カイエン青山「ここがメジャーリーグか・・・」 (40)

観客「おう兄ちゃん、隣の席いいか?」

カイエン青山「あはい。(でかっ、汗くさっ)」

観客「がはは、ポップコーン食っていいぞ」

カイエン青山「結構ですので・・・(肉が当って・・・お、重い・・・)」

観客「今日はダルビッシュが先発らしいな。やつぁ日本人なのにたいしたもんだぜ」

カイエン青山「そうですね・・・」

観客「兄ちゃん中国人か?」

カイエン青山「日本人です」

観客「じゃあお前もダルを見に来たんだろうが。もっと盛り上がれ」バシバシッ

カイエン青山「うっ、痛っ、げほげほ・・・そっすね・・・(帰りたい・・・)」

カエイン青山「実は僕も日本でピッチャーやってまして・・・」

観客「お、そうかそうか!俺も地元じゃあエースで四番よ!」

カイエン青山「いえ草野球じゃなくてプロ・・・」

観客「うおおおお!見ろ!ダルビッシュが出てきたぞ!ほら立て立て!立たないやつは野球ファンじゃねえ!」ぐいい

カイエン青山「ちょっ・・・引っ張らないで・・・痛っ・・・」

観客「それで、なんか言ったか?」

カイエン青山「いや、だから僕もプ――」

観客「そーいや日本人といやあ最近はタナカってすげえ投手がいるらしいじゃねえか」

カイエン青山「!!!???」

観客「開幕から連勝続きで負けなしだろ?日本人にしとくにゃあもったいねえ」

カイエン青山「知ってるんですか?」

観客「おう、たしか22連勝だっけ?ぜひメジャーに来てもらいたいね」

カイエン青山「僕は?」

観客「は?」

カイエン青山「僕もメジャーに行っていいですかね?」

観客「・・・・・・・・」

カイエン青山「・・・・・・・・・」

観客「ぎゃはははははは!兄ちゃんナイスジョークだ気に入ったぜ」バシバシ

カイエン青山「痛っ・・・げほげほっ・・・」

観客「俺は日ハム時代からダルビッシュを知っているんだ!あそこはいい投手が多いよ」
カイエン「・・・」

観客「ふう、だいぶ大差がついちまったな」

カイエン青山「そうっすね・・・(ダルのやつざまーみろだぜ)」

観客「そう気ぃ落とすな。こういう日もある」

カイエン青山「はい・・・(俺のことバカにしてさっさとメジャー行きやがっていい気味だ)」

観客「もう帰るか?」

カイエン青山「そっすね」

観客「バカ野郎!」バシィッ!

カイエン青山「痛っ!(今日叩かれてばっかだな)」

観客「ファンなら最後まで見て行くのが男だろうが、それがファンの務めだろうが!」

カイエン青山「えっ?(結構帰りだしてる客いるんだけど)」

観客「俺は帰らねえ!せめてダルが降板するまで帰らねえ」

カイエン青山「(やっぱり途中で帰るんじゃないか)」

観客「たとえホームランを打たれても、俺は最後までダルの雄姿を見届ける!」

カイエン青山「あっ、また打たれた」ニヤリ

観客「あちゃあ・・・こりゃあ・・・・お、おい・・・こっちに来るぞ!!!」

カイエン青山「!!!!????」

観客「おおおおおお!グローブ装着ぅぅぅ!ダイビングキャーーーーーッチ!!」

カイエン青山「取った・・・・」

観客「はぁ・・・はぁ・・・見たか。取ってやったぜーーーーー!ヒャッハーーーー!!!」

カイエン青山「(おっさんダルビッシュファアンじゃなかったのか?身乗り出して取るからホームランになったじゃん)」

観客「ほれ、兄ちゃんプレゼントだ」

カイエン青山「え?」

観客「やるよ、そのボール」

カイエン青山「いいんですか?」

観客「ここで会ったのも何かの縁だ」

カイエン青山「・・・・・」

観客「お、ダル降板みたいだな。じゃあ俺はここらで帰るぜ。またな・・・」

カイエン青山「あはい」

観客「・・・・・・次は、お前の雄姿を・・・マウンド上で・・・・・」


カイエン青山「えっ!!!???」

カイエン青山「いない・・・・」


おっちゃんの姿はすでになかった。
僕の膝の上には、ダルビッシュが打たれた証であるホームランボールが乗っていた。
そのボールは今の僕には熱すぎた。
やけどしそうな熱を感じて、しばらく動くことが出来なかった。。。

???「佑樹が、田中君や大石君について、ライバルだとか負けたくないとか言うのを聞いたことがありますか?
無いと思いますよ。それは、佑樹が常にもっと高い所に目標を置いているからです」

帰りの飛行機の中、僕はずっと泣きっぱなしだった。

メジャーを観戦なんてしている場合じゃなかった。


カイエン青山「練習しなきゃ・・・」


そう、田中に追いつくためにダルに追いつくために、僕は心を入れ替えたのだ

あのおっちゃんとの出会いが僕を変えた


ビッグになろう

そしてカイエンを買うんだ

青山に土地も

2014に続く

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