いーちゃん「涼宮ハルヒ、ですか?」(368)

立ったら書かない

ぼく「涼宮ハルヒ、ですか?」

哀川「そっ、玖渚機関の傘下の機関が神と崇める少女。面白そうだろ?」

ぼく「まぁ興味はありますけどね。もう少しマシな拉致り方は無かったんですか……」

哀川「だってふつーに頼んでもつまんねーだろ?」

ぼく「はぁまあ良いですけどね。それでこの子と接触するのが今回の仕事ってわけですか……」

哀川「うんにゃ、今回はあたしのお遊びだよ。ぱぱっと北高に潜入して、どんな奴なのか見てやろうかと思ってね」

ぼく(なんて人だ……)

哀川「そんなの今さらだろ?」

ぼく「心を読むのは止めてください」


────

ハルヒ「ビッグニュースよ!」

キョン「朝から騒々しいぞ。俺は一限の小テストの勉強で忙しいんだ。はしゃぐなら一人ではしゃげ」

ハルヒ「あんなのにテスト勉強なんて必要無いでしょ? それよりも考えるべきなのは今日このクラスにやってくる二人の転校生についてよ!」

キョン「考えるも何も有無を言わせず部室に拉致するだけじゃないか」

ハルヒ「拉致だなんて人聞きが悪いわね。転校初日から我がSOS団の見学が出来るのよ? きっと転校生は感激のあまり震えるはずよ!」

キョン「やれやれ」



涼宮ハルヒの歓喜



────

岡部「今日から二人、転校生がこのクラスに所属することになった。じゃあ二人とも入ってきてくれ」

ざわ……ざわ……

谷口「すげぇ……」

国木田「綺麗な人だねぇ」

ハルヒ「来たわよキョン」ゴソゴソ

キョン「静かにしてろ」ゴソゴソ

哀川「哀川 潤だ。仲良くしたいやつはあたしの事を名字で呼ぶんじゃねーぞ」

ぼく「ぼくは零崎愛識。でも零崎とも愛識とも呼ばれたくないから、ぼくを呼ぶ時はいーくん、いーたん、いの字、いのすけ、いーの、いっきー、いっくん、いーくん、この中から好きなように呼んでよ」

ハルヒ「二人とも見るからに不思議じゃない。これは接触する価値ありね!」ゴソゴソ

キョン「確かに変態指数的にはお前好みかもな」ゴソゴソ

ハルヒ「さっそくホームルームが終わったらアプローチするわよ」

キョン「一人で勝手にやってくれ」

ハルヒ「言われなくてもそうするわよ。アンタのペースに合わせてたら不思議なんて一生捕まりっこないわ!」ガタッ

キョン「こら! 静かにしなさい!」


────

ぼく「で、神様は一体誰なんです?」

哀川「んー……」

ハルヒ「ちょっとアンタ達!」

哀川「あれだよ」ボソッ

ぼく「あれですか……」

ハルヒ「? 何か感じ悪いわね……まぁいいや、それよりアンタ達放課後空いてるでしょ? 空いてないなら空けなさい!」

ぼく(哀川さんみたいな人だな……)

哀川「バッチリ暇だぜ。あたしもいーたんも何しようか考えてたところなんだ。歓迎でもしてくれんのか?」グリグリッ

ぼく「いたたた……」

ハルヒ「だったら放課後我がSOS団の見学に来なさい! 私の眼鏡に敵えば入団も夢じゃないわよ!」

ハルヒ「遅れたら死刑だからね!」タッタッタッ

ぼく「嵐みたいな子ですね……」

哀川「面白くていーじゃねーか。お前も青春時代はヒューストンに缶詰だったんだし、折角だから楽しめよ」

ぼく「生憎はしゃいで回るのは柄じゃないんですよ。慣れない事したせいで一度エラい目にあいましたから」

ぼく(流石に高校生の遊びでウォッカを一気飲みする事は無いだろうけれど)


────

カリカリカリカリカリッ……

キョン(くそっさっぱり分からん……)

ハルヒ「…………」スースー

哀川「…………」チネチネポイッ チネチネポイッ

ぼく「…………」ポー ビシッ ポー ビシッ

キョン(何でもう終わってるんだよこんな問題を……!)

キョン(変態には総じて頭脳明晰のオプションがつくようになってるのか?)


────

キョン(そんなこんなでもう放課後か……)

キョン「ハルヒと転校生は何やら騒いでるみたいだし、一人で行くかな……」


────

古泉「涼宮さんはどうされました?」

キョン「転校生と何やら話してたよ」

古泉「転校生……ですか?」ピクッ

キョン「ああ、エラい美人さんと陰気なやつだ。また何か面倒な事があるんじゃないだろうな?」

古泉「機関の方からは変わった連絡はありませんが……涼宮さんの力の事もありますし、警戒しておくに越した事は無いでしょう」

朝比奈「お茶どうぞ~」

キョン「あぁ、ありがとうございます朝比奈さん」

古泉「いただきます、朝比奈さん」

ハルヒ「新しい団員を紹介するわよ!」バタンッ

古泉「おやおや」

キョン「やれやれ」

ハルヒ「転校生の潤ちゃんといのすけよ! 皆仲良くしてねー!」

哀川「おっす。あたしの事は名字で呼ぶんじゃねーぞ」

ぼく「どうも」

古泉「…………」ピクッ

朝比奈「…………」ピクッ

長門「…………」ピクッ

ハルヒ「あれ? どうしたのよ、辛気臭いわねー」

古泉「いやはや……失礼しました。古泉一樹と言います。どうか宜しくお願いします」

哀川「おう、お願いされるぜ」

朝比奈「朝比奈みくるです。何かあったら何でも言って下さいね!」

ぼく(可愛らしい子だなぁ)

長門「…………」

ハルヒ「この子は有希! SOS団の無口な眼鏡キャラだから! とても良い子なのよ!」

ぼく(何か酷い事言ってねぇか)

ぼく「で、SOS団ってのは何をするところなんだい?」

ハルヒ「宇宙人、未来人、異世界人、超能力者を見つけだして一緒に遊ぶのが目的よ!」

ぼく「へぇ、楽しそうだね」

キョン(本当にそう思うのか? おい、どうなんだおい!)

ハルヒ「それだけじゃないわ! 不思議な事は全てSOS団の管轄内よ。アンタも何か不思議な事を見つけたら団長の私に報告しなさい!」

ぼく「うん」

キョン(くそ! これ以上俺を苛めて楽しいか神様よ。これじゃあ普通な俺が異常みたいじゃないか)


────

ぼく「君は……」

キョン(うわこっききたうわなにをするやめ)

キョン「俺は……」

ハルヒ「そいつはキョン! SOS団の雑用よ。面倒事は全部キョンに任せなさい!」

キョン「……キョンだ」

ぼく「よろしくキョンくん。早速だけどコーヒー買ってきてよ」

キョン「怒るぞ」

ぼく「嫌だなぁ、冗談だって」


────

ぼく「チェスなんて久し振りだな。キョンくん強いね」

キョン「お前が弱過ぎるんじゃないか? 古泉とやってみろよ」

古泉「手合わせ願えますか?」

ぼく「うん、良いよ」

長門「…………」パラパラ

哀川「退屈だー! ようハルヒ、何か面白いことねーのか」

ハルヒ「甘いわねぇ潤ちゃん。不思議と出会うには待つ事も必要なのよ」

朝比奈「潤さんといーくん、お茶どうぞ」

長門「…………」パタン

ハルヒ「あらもうそんな時間? じゃあ今日はもう解散! 潤ちゃんといのすけは明日もちゃんと来なさいよ!」

哀川「じゃあねーん」

ぼく「うん、ばいばいハルヒちゃん」

キョン「…………相変わらず落ち着きが無いな」

古泉「…………」

キョン「どうした古泉?」

古泉「どうして貴女がここに居るのですか?」

哀川「…………」

古泉「オーバーキルドレッドさん」

めし

哀川「知ってたんだな。こりゃ光栄だ」

古泉「貴女だけじゃありません。そちらの方も壱外の方の情報で小耳に挟んだ事があります。戯言遣いさんですね?」

ぼく「へぇ、壱外とも繋がってるんだね。まぁ玖渚の傘下ともなれば当然か」

キョン「おい古泉説明しろ。俺はまたナイフで刺されたりカマドウマに教われたりせにゃならんのか?」

古泉「落ち着いて下さいね。僕もいきなりの事で少々困惑してるんですよ」

朝比奈「な、なんで伝説の請負人が……」

キョン「朝比奈さん……」

長門「私が説明する」

哀川「へぇ、そっちのお嬢ちゃんもあたしの事知ってんのか。なぁいーたん、あたしってば有名人だったり?」

ぼく「そりゃそうでしょう」

長門「哀川 潤。人類最強の請負人の異名を欲しいままにし、世界各国を股にかけて活動中。西東 天、藍川 純哉、架城 明楽の三人の……」

哀川「ストップだお嬢ちゃん」

長門「…………」

哀川「人のプライバシーをべらべら垂れ流すのは感心しねーな。ほどほどにしとかないと痛い目見るぜ?」

長門「…………」ジー

キョン(何で俺を見るんだよ)

キョン「長門、哀川についてはもう良い。次はそっちの奴についてだ」

哀川「名字で呼んでんじゃねーよ童貞坊や。まぁまだ敵かどうかは分かんねーけどな……」

キョン「…………」

長門「彼の名前は……」

ぼく「またまたストップだよ有希ちゃん。本当にぼくの事を知っているならその名前は言わない方がいい。もしかしたらもう手遅れかもだけどね」

長門「……彼の呼称を戯言遣いと定める。去年の十月に砂漠の狐、デザートフォックスと渡り合った少年。無為式 if nothing is butによって周囲の意識を歪める力を有している」

キョン「無為式?」

古泉「ただの言葉遊びですよ。黒に限り無く近いグレー、要注意人物だと思っていただければ結構かと」

ぼく(酷い言われようだなぼく)

古泉「単刀直入に尋ねます。哀川 潤さん」

哀川「心配すんなよ。あたしらは涼宮ハルヒってのがどんなやつか興味があっただけだ。おたくらの邪魔になる事はしねーって」

古泉「……機関の活動は筒抜けですか」

哀川「はっ、そんなもん調べるほどあたしは暇じゃねーって。知りたい事はおにーちゃんの顔に書いてあんぜ?」

古泉「…………!」

キョン(もう帰って良いかな俺)

ぼく(もう帰って良いかなぼく)

古泉「……とにかく、機関は貴女を敵に回す事だけはしたくない。機関結成から耳が痛くなるほど言われましたよ、赤き征裁は敵に回すなと」

古泉「だからここはどうか静観を決め込んでもらえるよう願います。朝比奈さんも、長門さんも良いですね?」

長門「……」コクッ

朝比奈「……はい」

哀川「まぁあたしも深入りするつもりは無かったしな。精々面白いもん見せてくれよ」

古泉「そうならないように僕は願います」

キョン(俺の意見はどうなるんだ?)

ぼく(退屈だな……エイトクイーンでもしようか)


────

ハルヒ「明日の団活は何をしようかしら」

ハルヒ「潤ちゃんにコスプレさせてみるのも面白そうね! あの子コスプレ好きそうな顔してるし!」

ハルヒ「それともいのすけ? アイツは華奢だから女装なんか似合いそうね……ん?」

狐面「…………」

ハルヒ「…………」

狐面「よう」

ハルヒ「な、何よあんた……」

狐面「《な、何よあんた……》か、ふん。躾がなってないようだな。他人にものを尋ねる時は名乗れ、常識だ」

ハルヒ「不審者が常識を語るっていうの?」

狐面「《不審者が常識を語るっていうの? か、ふん。先入観からものを言うのは関心しないな。俺は確かに変かもしれないが不審ではない」

ハルヒ「警察呼ぶわよ……」

狐面「そう警戒するなよ。俺とお前の縁はまだ弱い。こちとら因果から追放された身でね、どうこうしようなんて思ってないさ」

ハルヒ「…………」

狐面「じゃあな女。縁があったらまた会おう」

ハルヒ「行っちゃった……」

ブロロロロッ

ハルヒ「ポルシェ!? あの変態何であんな良い車乗ってんのよ」

ハルヒ「でも……」

ハルヒ「不思議なやつだったな……」


────

ぼく「で、今日からどこで寝泊まりするんですか?」

哀川「心配すんなって。分譲マンションの一室を確保してっから」

ぼく「豪勢ですね……」

長門「…………」テクテク

ぼく「有希ちゃん、何で着いて来てるんですかね?」

哀川「さぁな。ほっとけよ、んなもん。さっさとコブラ取りにいかねーと、撤去されたら面倒だ」

ぼく「意外ですね。潤さんが法律に屈するなんて」

哀川「あ? 何言ってんだよ、取り返すのが面倒ってことだよ」

ぼく「でしょうね」

哀川「おーあったあった! 寂しかったかーい?」ナデナデ

ぼく(セーラー服とスポーツカー……)

長門「…………」ジー

ぼく「有希ちゃんどうしたんだい? ぼく達は今から愛の巣で営みを始めるところなんだけど」

長門「話がある」

ぼく(突っ込んでよ)

長門「来て」

哀川「待てよ」

長門「…………?」

哀川「あたしらは慣れない学生生活を過ごしたせいで腹が減りまくってんだ。どうせ話すならどこかで飯でも食いながらでも良いだろ?」

長門「人が居る場所は推奨出来ない」

哀川「個室取りゃ大丈夫だろ。ほら乗れって」


────

哀川「今朝運転してたのになんか久し振りな気がするよ」

ぼく(セーラー服にサングラスで車を運転する姿が似合うのはこの人だけだろうな……)

哀川「へへっ、ありがといーたん」

長門「…………」

ぼく「もう慣れましたけど止めて下さいよそれ」

哀川「うっし着いたぜ!」キキッ

ぼく「……居酒屋じゃないですか。ぼく達制服ですよ」

哀川「お前は酒飲まねーから関係ねーだろ? あたしは着替えるから先に行ってろよ」


────

哀川「おう親父! 奥の部屋使わせてくれよ」

店長「おう潤ちゃん久し振りだねぇ! ゆっくりしていきな!」

ぼく「何でこんなところに知り合いが居るんですか……」

哀川「んなちんまい事気にしてっからそんな身長なんだよ」グリグリッ

ぼく「いたたたっ……ぼかしとけば誰も分からないんだから黙っててくださいよ」

長門「…………」


────

哀川「で、話ってのは何なんだ?」

長門「情報の伝達に齟齬が発生するかもしれない。でも聞いて」

ぼく「……」

長門「私は普通の人間ではない。情報統合思念体によって生み出された、対有機体コンタクト用ヒューマノイドインターフェース。それが私」

ぼく「…………」ガタッ

哀川「逃げんなよいーたん」ガシッ

ぼく「離せ! 離せ! 話してる場合じゃねぇぞ! 通報だ!」

哀川「お嬢ちゃんももっと分かりやすく説明しろよ。スタンドで例えろ」

長門「半永久的に継続可能なザ・ワールド」

哀川「はっ、そりゃすげーや」

ぼく(ますます分かんねーよ)

哀川「ようするにお嬢ちゃんは宇宙人製アンドロイドってわけだな」

長門「そう」

ぼく「何で理解出来るんですか」

哀川「で、そのヒューマノイドインターフェースが何の用だ?」

長門「涼宮ハルヒについての情報をあなた達に提供したい。オーバーキルドレッドとは友好関係を保つ事を、情報統合思念体も望んでいる」

ぼく(宇宙人まで哀川さんに降るなんて、この人もしかしたら人類最強じゃなくて全類最強なんじゃないか?)

哀川「そりゃ良いや。あのおにーさんから読み取った情報だけじゃあイマイチピンとこねーからよ。あたしとしても望むところだ」

長門「涼宮ハルヒは自分の感情に応じて環境を変化させる願望実現能力を持っている」

哀川「ロベルトの理想を現実に変える力みたいなもんか」

長門「しかし彼女はその力に一切の自覚を持っていない。この状態を維持する事を情報統合思念体は望んでいる」

ぼく「なんでだい? 折角そんな力があるのに」

哀川「思考停止してんじゃねーよいーたん。そんな力が自分に備わってるなんて知ってみろ、お前ならどうする?」

ぼく「……確かに」

長門「涼宮ハルヒの力はとても不安定。その力を観測し続ける為には彼女の周囲の状況を平静に保つ必要がある」

哀川「ふーん。でもそれが情報の提供と何の関係があるんだ?」

長門「涼宮ハルヒの力の全貌を説明すればあなた達も迂闊に手を出せなくなるだろうと情報統合思念体は判断した」

哀川「へぇ」ピクッ

ぼく「…………」

哀川「つまりお前のパトロンはこう言ってんだな?」

哀川「たとえ哀川 潤でも宇宙規模のとんでも能力を前にしたら尻尾巻いて逃げんだろって」

長門「そう判断しても構わない」

ちょっと休憩
保守は自分でするよ

哀川「面白くねーな。あたしが一発ブン殴ってやろうか?」

長門「情報統合思念体は地球上には居ない」

哀川「お前も洒落が通じねーやつだな」

ぼく「あなたが言うと洒落に聞こえないんですよ」

哀川「じょーだん、幾らあたしでもそんなに沸点低かねーって」

ぼく(沸点が常に変動してるんですよあなたは……)


────

ぼく「運転代わります? 結構呑みましたよね」

哀川「馬鹿言ってんじゃねーよ。こんなの呑んだうちに入るかよ」

長門「…………」

哀川「家まで送ってやるよ宇宙人ちゃん。道案内頼むぜ」

長門「…………」コクッ

ぼく「…………」

ぼく(なんかぼく蚊帳の外だな)


────

長門「ここ」

ぼく「分譲マンションか。良いとこ住んでるんだね」

哀川「ん……? ここってあたしが確保してた分譲マンションじゃねーか」

ぼく「そうなんですか?」

哀川「どうも縁があるみたいだな。まぁ短い間だけどよろしくやろうや」

長門「…………」コクッ

ぼく(なんかもう京都に帰っても良い気がしてきた。みい子さんに会いたい。あっそう言えば七々見に本借りたままだった)


────

哀川「おーおー、しかもお隣さんかよ。んじゃまた明日な」

長門「…………」コクッ

ぼく「ところで哀川さん、ぼくの部屋はどこですか?」

哀川「お前いい加減にしないとコブラで繋いで高速道路で引き摺るぞ。二人でこの部屋を使うんだよ」

ぼく「…………」

哀川「何か不満か? おねーさん傷ついちゃうな~」

ぼく「不満というか、人に寝顔を見られるのは嫌いなんですよ。哀川さん絶対覗くでしょう?」

哀川「言われなかったら覗かなかったけどな」

ぼく「覗くんじゃないですか」


────

古泉「こんばんわ、森さん。どうしたんですかこんな時間に。閉鎖空間は現われてないようですが……」

森「ある意味閉鎖空間よりもタチが悪いものがこの辺りに集まってるわ」

古泉「タチが悪いもの、ですか?」

森「そう。殺し名第二位の闇口衆が闇口 濡衣。そして殺し名第三位の零崎一賊の生き残りの二人がこの町に来ているわ」

古泉「そんな馬鹿な……!」

森「事実よ。これから機関の緊急集会があるわ。直ぐに準備しなさい」

古泉「わ……分かりました」


────

キョン「また難儀な事になりそうだな」

キョン「無為式と人類最強の請負人、か。脳ミソにカビでも生えてんじゃないのか? まったく……」

キョン「まぁ流石のハルヒさんも人死にまでは望まないだろけどな。今回もとことん付き合ってやるか……」

キョもうと「キョンくんハサミ貸して~」

キョン「あったとこに直しとけよ」

キョもうと「は~い」

濡衣「まったく……狐さんも困ったお方だ」

濡衣「まぁあの人の命令は主の命令みたいなものですし、従う他無いんですけどね」

濡衣「しかし何やらきな臭いです。戯言遣いの少年が絡んでなければ良いのですが……」

濡衣「まぁどちらにしても……」

濡衣「誰も恨まないで下さいよ。好きでやってるんじゃないんだから」

舞織「この辺りですね。新しい零崎が居るのは」

人識「赤神の時みたいに人違いじゃなけりゃ良いけどな」

舞織「間違いないですよぅ! わたしだって仮にも零崎なんだから、この気を間違える筈が無いじゃないですか!」

人識「ふーん。まぁ良いけどよ。しっかし嫌な感覚がすんなぁ、まさかアイツがいるのか?」

舞織「アイツ?」

人識「いつか話しただろ? 欠けてないところが無い、欠陥製品さ」


────

ハルヒ「よし! 今日は早く学校に行って潤ちゃんのコスプレの衣装の準備しなきゃ!」

ハルヒ「行ってきまーす!」タッタッタッ

ハルヒ「何であんたがいるのよ……」

狐面「《何であんたがいるのよ……》か、ふん。俺が何処にいようが関係ないだろう? 物語には何の影響も無い」

ハルヒ「物語?」

狐面「……そうだな。こうしてまた会ってのも何かの縁だ。乗れよ、学校まで送ってやる」

ハルヒ「嫌よ……」

狐面「まぁそう言うなよ。あいつほどの縁は感じないが、それでも俺はお前に興味がある」グイッ

ハルヒ「えっ? ちょ……分かったから……引っ張らないでよ!」


────

ハルヒ「ジェイルオルタナティブ……か。くだらないわね」

狐面「そう思うのも無理は無い。俺もお前くらいの頃はここまで達観してなかった」

ハルヒ「いいえ、アンタは今も達観なんてしてないわ! あたしもみくるちゃんも、古泉くんも、有希も、潤ちゃんも、いのすけも、そして……キョンも!」

ハルヒ「皆代理品なんかじゃない。そんな考え方は悲しいだけよ!」

狐面「…………」

ハルヒ「な、何よ……」

狐面「……くく、くくくっ」

もう我慢ならんちょっと弟泣かしてくる

ごめんちょっとお仕置受けないとだから十二時くらいまでむりっぽ。ちまちま自分でも保守的るから協力してもらっていいかな?

あう

くそ

くそっ

いいかげん

ぐれるぞ

ただいま、そしてありがとー
保守してくれた人には弟がウンコ流さなくなるおまじないかけといたから
んじゃコソコソかきためたとこから投下するよ

狐面「潤と……いのすけ……? くくっはははははははははっ!!」

ハルヒ「な、なんなのよ!」

狐面「ははっ……何の因果だよこれは……俺の目も鈍ったもんだ。こんな強い縁を見過ごそうとしてたとはな! ははははははははははははははっ!!」

ハルヒ「やっ……やだ! アンタ気持ち悪いわよ!」

狐面「はははっ、すまんなお嬢ちゃん。何しろこんな事になるとは思わなかったからな。それより、お前の名前を教えろよ」ズイッ

ハルヒ「す、涼宮ハルヒ……」

狐面「涼宮ハルヒ……良い名だ。その名前、着が向いたら覚えておいてやるよ。ついでに俺の名前を教えてやるよ」

西東「西東 天、俺の名前だ。その身に刻んで記憶しろ」

ハルヒ「…………」

西東「ついでにどうでも良い事も教えてやろう。俺の座右の銘は面白き事も無き世を面白く、だ」

ハルヒ「…………」ブルブルッ

西東「くくっ……俺としたことがべらべら話し過ぎちまったな。ほらさっさと降りろ! もう着いたぞ」ドンッ

ハルヒ「きゃっ……」

西東「じゃあな涼宮ハルヒ。縁が合ったら……いや、縁があるからまた会おう」

ブロロロロッ

ハルヒ「な……なんなのよ……」

ハルヒ「怖い……怖いよ、キョン……」

ハルヒ「面白き事も無き世を……面白く……」

『ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら私のところに来なさい、以上!』

ハルヒ「私……あの人と……同じなのかな?」


────

哀川「まさかいーたんと一緒に登校するなんて夢にも思わなかったよ」

ぼく「ぼくは誰かと登校するなんて夢にも思いませんでしたよ」ガチャッ

長門「…………」ジーッ

ぼく「うわっびっくりしたなぁ。どうしたの? 有希ちゃん」

長門「あなた達に協力を仰ぎに来た」

ぼく「協力? 一体……」

哀川「良いぜ」

ぼく「んな早計な……せめて用件を聞いてから」

哀川「お前あたしが何やってるか忘れたのかよ。引き受けない理由なんて無いだろ?」

長門「感謝する」

ぼく「じゃあ有希ちゃんの頼みを請け負うってことですか?」

哀川「おうともよ。んじゃ歩きながら用件を聞こうか」

長門「先程何者かが涼宮ハルヒに接触した」

哀川「へぇ」

長門「即座にその人物について調査したが詳細は不明。存在そのものが希薄でこれ以上の調査は不可能であると情報統合思念体は判断した」

ぼく「…………」

哀川「ちっ……面白くねーな」

長門「……? その他の懸案事項として、この辺りに多くのイレギュラーが集まっている事が挙げられる。あなた達にはその危険因子を食い止めるのを手伝って欲しい」

哀川「ああ、その頼み、あたしが請け負ってやるよ」

ぼく(まさか……あの男?)


────

キョン「ふゎあーあ……」

キョン「何だか目覚めが良いと思ったら……あいつ、もしかして寝坊か? いつもならダイビングかましてくるはずなのに」

キョン「まぁ良いや……取り敢えず顔洗うか」ガチャッ

キョン「ん……? なんだこの匂い……」

キョン「おーい妹よー。ちゃんとハサミしまったかー」

シーン……

キョン「あれ?」

ざわ……ざわ……

キョン「なんか胸騒ぎが……」

キョン「うぇ……この匂い……気持ち悪いな」

キョン「……まさか!」

キョン「おい! 誰か!」ガチャッ

キョン「!?!?!?」

キョン妹「おはよーキョンくん。今日はお寝坊さんじゃないんだね」

キョン「な……あ……」

キョン妹「あれ? まだ寝ぼけてるの? 顔でも洗ってきなよ~」グチャグチャッ

キョン「な……嘘……だよな? これは夢だよな?」

キョン妹「どうしてそんな顔してるの? あっ、分かった~これの事だね!」ブチュッブチュッ

キョン妹「だって何も持たないであたしに背中を向けるんだもん。殺さない方が難しいよー」ザシュッ

キョン「う……おぇえっ……!」

キョン妹「もう、汚いな~キョンくんったら! そんな事してると殺しちゃうよ?」

キョン「ごほっ……ごほっ」

キョン妹「まぁどっちにしたって……」

キョン妹「殺すんだけどね!」ダッ

キョン「っ!!」

古泉「させませんよ!」パシッ

キョン妹「えっ? えっ?」

キョン「こ……古泉……」

古泉「離れて下さい! 今の彼女は普通じゃありません! あなたを庇いながら闘うのは無理です!」

キョン「…………」

古泉「はやく!!」

森「間に合ったみたいね……こっちですキョン君!」

キョン「は……はい!」


────

古泉「やっと行ってくれましたね……」

古泉「まぁ、一番苦労するのはここからですがね」

キョン妹「どうして邪魔するの? 古泉くん。折角もう一人殺せそうだったのに~」

古泉「彼とはこれからも仲良くしていたいのでね……ここで彼に死なれては困るんですよ」

古泉「彼の死を機関は望んでいない……いや、なにより」

古泉「僕自身が望んでない!!」ダッ

キョン妹「あはは~、死んじゃえ!」チャキッ

新川「さ、早く乗って下さい!」

キョン「は、はい!」

森「新川! 急いで車を出して!」

新川「…………」ガチャッブロロッ

キョン「古泉は!? 古泉はどうするんですか!?」

森「彼は大丈夫です。機関の訓練はこんな時の為でもあるんですから」

キョン「でも!」

森「私達を信用して下さい。そんなに私達は頼りないですか?」

キョン「くっ……分かりました……」

キョン(古泉……死んでくれるなよ)


────

古泉「今何かフラグが立った気がしますね……」

キョン妹「よそ見してると刺しちゃうぞー!」ブンッ

古泉「よっ……と。いくら零崎と言えど、小学生に負けるほどやわな訓練は受けてませんよ!」バキッ

キョン妹「きゃっ!?」

古泉「ふぅ……これで、終わりだ!」

「傑作だぜ」

古泉「えっ?」


────

朝比奈「潤さんといーくん……仲良く出来たら良いけど」

朝比奈「うふふっ、奮発して買ったお茶の葉、二人とも喜んでくれるかな?」

朝比奈「あ……あと、キョンくんも喜んでくれたら良いけど///」

朝比奈「やだっ私ったら! 何考えてるんだろ……」

「すみません、ちょっと良いですか?」

朝比奈「えっ?」

崩子「北高ってご存じですか? 知り合いがそこに行ったらしいんですけど……」

朝比奈「あぁ私も北高生なの。お兄ちゃんかお姉ちゃんが居るのかな? 良かったら一緒に行こ?」

崩子「ありがとうございます。お手数かけます」ペコリッ

朝比奈「良いのよ、礼儀正しいんだね。お名前はなんて言うのかな?」

崩子「闇口 崩子と言います」

朝比奈「珍しい名字だね。闇口なんて人、いたかなぁ?」


────

長門「……状況が急変した」

哀川「あ?」

長門「古泉一樹が零崎一賊に襲われている。直ぐに救助に向かう事を推奨する」

哀川「淡々と言いやがる……。まぁいいや、行くぞいーたん!」

長門「私は別の用件を解消しに行く。そちらは任せた」

哀川「任された!」ダッ

ぼく「ちょっ……? 飛び降りないで下さいよ……まったく」


────

ハルヒ「私何で部室に来たんだっけ……」

ハルヒ「まぁ良いや、お茶でも飲んでゆっくりしよっと」

ハルヒ「…………」

ハルヒ「面白き事も無き世を面白く……」

ハルヒ「私にも……出来るのかな?」

ハルヒ「…………」

ハルヒ「あーもう! 何かモヤモヤするわね!」ダンッ


────

西東「くくくっ……おいおいおいおい」カタカタッ

西東「何だこの女は。調べれば調べるほどとんでもない事が見えてきたじゃねぇか」カチッカチッ

西東「願望実現能力……。世界の終わりを見るには手っ取り早い。濡衣を借りておいて正解だったぜ」カチャプルルル

西東「おう俺だ。制限はつけねぇ、適当にやってくれ。じゃあな」

西東「くくくっ……」プルプル

西東「あははははははははははははははははははははははっ!!!」


────

濡衣「では勝手にやらせてもらいますかね。丁度良い的が居ることだし」チャキッ

濡衣「恨まないで下さいよ、崩子。こんなところにいけしゃあしゃあと現れたあなたが悪いんだから」

濡衣「目標は一キロ前方。外すような不安因子は……ありませんね」キリリリッ

濡衣「では、今度こそ死んで下さい」バンッ

崩子「え?」

朝比奈「え?」

長門「…………」バリバリバリッ

朝比奈「な、長門さん!? どうしてこんなところに……というか何ですかこれ~!!」

崩子「これは……結界?」

長門「朝比奈みくると闇口崩子の周囲三メートルに物理エネルギー遮断フィールドを展開完了。パーソナルデータ闇口濡衣を敵性と判断する」

崩子「濡衣!? 濡衣さんがいるんですか!?」

朝比奈「崩子ちゃん……」ギュッ


────

濡衣「いやぁ参りましたね……」

濡衣「何なんでしょうかあの人は。まったく気味が悪い」

濡衣「まさか……こっちを見てるわけないですよね? あれ」

濡衣「まぁ良いでしょう。失敗を取り返そうと足掻くのは愚図のする事」

濡衣「さっさと撤退させてもらいましょう」ダッ

長門「……目標の撤退を確に──」ザシュッ

朝比奈「長門さん!?」

「ぎゃっははははははっ!!」

崩子「……あなたは」

「んん~? なーんか見た事あるやつが居ると思えば、闇口んとこの崩子ちゃんじゃん! ぎゃっはははは! ここで会ったが百年目ってかぁ!?」

崩子「匂宮……出夢さん……」

出夢「ごめいとーう。僕が匂宮 出夢だぜぃ? ご褒美にちゅーしてやろうか?」

崩子「なんであなたがここに……」

出夢「僕が聞きてーっつーの! 死んだと思ったら目を覚ませばこんなとこに居るじゃねーか僕。どうしたんだい僕! 僕は誰? ここは何処? なーんてな! ぎゃっはははは!!」

朝比奈「長門さん! しっかりして下さい!!」

長門「……平気」

出夢「あっれー? 勢い余って戮っちまったみたいだな。いやいや悪いねー! 来世じゃお幸せに!」

長門「…………」

出夢「あれ? 何で生きてんの?」

出夢「おっかしーなぁ。ばっちし一喰いが炸裂したはずなんだけど……もしかしてお嬢ちゃんって変態さん?」

長門「あなたの攻撃が私に命中したのは事実。損傷部分を修復しただけ」

出夢「へぇ……まぁ僕にはよく分かんねーや、ソーユーノ」

朝比奈「あ……あの……」ブルッ

出夢「あぁん?」

朝比奈「ひっ……!」

ごめん身体がきついや、ちょっと休憩
見てる人いたら一旦質問とか苦情とか要望とか受け付けるよー

オナニーは1日何回しますか

弟さんはどうなったんですか

>>158
四回か五回くらいかな、そう言えば今日はしてないや

>>159
ぐーすか寝てるよ。やべっ顔見たらまた泣かしたくなってきた

>>1の性別は?

>>162
女で一日に五回オナニーするやつが知り合いでいるなら紹介してくれ
つまりそういうことだ

うっし、そんじゃ再開

朝比奈「……あなたは敵なんですか? 味方なんですか?」

出夢「あーもう! 知るかよそんな事! こっちはまだ病み上がり……じゃなくて死に上がりなのに」

長門「彼に敵意は無い。安心していい」

朝比奈「じゃあ……私達と一緒に行動しませんか? 何だか大変なことになってるみたいだし……」

出夢「お断りだっつーの!」

朝比奈「!」ビクッ

出夢「僕は闇口が大っ嫌いなんだよ! そこの嬢ちゃんとは一度だけやむなく手を組んだけどよ、べたべた馴れ合うのは御免だ」

崩子「…………」

出夢「じゃあな。僕は好きにやらせてもらうよ」


────

ぼく「一樹くん!」ダッ

古泉「うっ……くっ……」

哀川「関節外れてんな。ほら、はめてやるから動くなよ」ゴキッ

古泉「つっ……」

ぼく「取り敢えずは無事みたいですね」

哀川「ああ、相手は新手の零崎だろうな。相手はどんなやつだった?」

古泉「……彼の妹です。昨日の夜から零崎化の傾向が見られましたが、まさかこんなに早く目覚めるとは……」

哀川「まぁあの零崎相手に負けて生きてるんだから運が良いよお前は。ついてんなー、はははっ」

古泉「いえ……それは」

古泉「実は……彼女との交戦中に二人の男女が乱入して来たんです」

ぼく「え?」

古泉「マーブル模様に髪を染めて顔に刺青を入れた小柄な男性と、ニット帽を被った背丈は高めの女性でした……」

ぼく「あいつ……来てたのか」

哀川「へぇ……んでその二人はどうしたんだ?」

古泉「すみません……少し意識を失っていたので曖昧なんです。男性の方にやられてしまいまして。三人で何やら話しているみたいでした」

哀川「よしよし、約束はきちっと守ってるみてーだな」

古泉「?」

哀川「こっちの話だよ」

哀川「零崎一賊まで出張ってくるたぁ面白くなってきたじゃねーか」

ぼく「ぼくはあの人間失格に会うと思うとうんざりなんですけどね」

哀川「随分毛嫌いしてるじゃねーか、仲良しさん」

ぼく「…………」


古泉「……彼等も零崎なのですか? じゃああれが零崎人識と零崎舞織……」

哀川「お前みたいな半端もんが零崎をペラペラ語ってんじゃねーよ。次は生きてねーぞ?」

古泉「……すみません」ギリッ

哀川「はっ、んな怖い顔するくらいならもっと頑張れって。お前もいーたんと同じでサボり過ぎなんだよ」

「何でお前がいるんだよ」

「僕も知りたいさ。確か殺された気がしない事も無いんだがね」

「まぁ……俺も人の事言えないけどよ」

「ん? 君も同じクチかい? 困ったな……ガンツに転送されるのだけは勘弁だよ」

「くだらない事言ってないでこの辺りを調べてみるっちゃよ、レン」

双識「分かってるさアス。自殺志願零崎 双識、第二の人生スタートってやつかな?」

軋識「ふん……」


───

ハルヒ「ふふ……ふふふっ……」



────

森「くっ……閉鎖空間!? よりによってこんな時に!」

新川「う、うわあああああああっ!!」キキーッ

キョン「うわっ!?」

森「どうしたの!?」

パリーン!!

新川「かはっ……!」

「ゆらぁ~り~」

森「くっ……! 退きなさい!」パンッパンッ

「ゆらぁ~り~」ザシュッ

森「うっ……!?」バタッ

キョン「なんなんだよ! 俺が何をしたって言うんだ!!」ダッ

「ん~。殺さなきゃだよね? きみも死んでね~」

「止めなさい玉藻」

玉藻「あ、ぎはらはせんぱい。何でこんなところにいるんですか~?」

子荻「萩原です。つい三分前に言ったばかりでしょう? 車両を強奪しなさい。でも必要以上の殺しは止めなさい、と」

玉藻「あれ? じゃあなんであたしこのおにーさんを殺そうとしてたんだっけ?」

キョン「っ…………」ブルブルッ

子荻「はぁ……頭が痛いわね。可哀相に、怯えて震えてるじゃない」

キョン「止めろ!! 止めてくれ!!」ブルブルッ

子荻「何もしませんよ。そこを退いて離れてくれれば見逃しましょう。あっ、お金を持っていたら置いていってもらえます?」

キョン「……うわあああああああっ!!」ダッ

玉藻「というかあたし何でここにいるんだっけ?」

子荻「今回ばかりは私にも分からないわね。確かにジグザグに殺された筈なのだけれど……」

玉藻「ゆらぁーりー」

子荻「早く乗りなさい。これからこの辺りについて徹底的に調べます」

玉藻「はぁい」

子荻「何の因果でしょうね……まぁ良いでしょう」

子荻「私の名前は萩原 子荻。私の前では悪魔だって全席指定。真っ向から堂々と不意打ってご覧に入れましょう」

寝ちまってた……
どうも体力切れ臭いから俺はもう寝る

おはよう、そしてありがとー
逃亡する気はさらさら無いからそこんとこは安心してね
んじゃはじめるよー


────

西東「くくくっ……面白いことになってきたじゃねーか」

西東「匂宮と闇口と零崎。殺し名の序列上位が集まるとはな」

西東「極めつけは策士萩原子荻ときた。世界の終わりを迎えるには充分過ぎる面子じゃねぇか」

西東「これが願望実現能力……。しかしあの女、一体何を望んでるんだ?」

西東「まぁいい。それが何であろうと同じ事だ。物語には何の影響も無い」

西東「ふふっ……。さあ! 俺に最高の終わりを見せてくれ!」


────

濡衣「ごふっ……」

双識「相変わらず容赦無いねぇ」

軋識「お前に言われたくねーっちゃよレン」

双識「それより君、前に一度僕とやり合った事があるかい?」

濡衣「……あ……がっ……」

軋識「もう喋れるわけないっちゃ。シームレスバイアスを受けて生きてるだけでも奇跡なんだよ」ブンッグチャ

双識「あらら、死んじゃった。ま、僕から見ても君は不合格だったしね」

変態の一人称は「私」じゃないかと

軋識「やり口からして闇口の人間か……どうもきな臭いっちゃよ」

双識「うふふっ、逆にきな臭い匂いを出してるのは僕達かもしれないよ?」

軋識「かもしれねーな。だがまぁ俺達がやる事は一つだけだ」

双識「まぁね。いつでもどこでも僕達はそんなものなのだから」

軋識「んじゃま、かーるく零崎を始めるちゃ」

双識「さぁ、零崎を始めよう」


────

古泉「くっ……こんな時に閉鎖空間ですか!」

ぼく「閉鎖空間?」

古泉「ええ……昨夜長門さんからアプローチがあったようですね。ならば涼宮の願望実現能力についてはご存じでしょう?」

ぼく「うん。スケールが大き過ぎてイマイチよく分からなかったけど」

古泉「閉鎖空間とは彼女の精神状態と呼応して出現する、涼宮さんのストレス発散の場所のようなものです」

ぼく「ふぅん」

古泉「……と、規模が大きいようですね。細かい説明はまた後でします。あなた達は他のSOS団の面子と合流して下さい。何やら事態が急変しているみたいです!」

ぼく「うん。じゃあ行きましょうよ哀川さん」

シーン

ぼく「あれ?」

古泉「何処に行ったのでしょうか……」

ぼく「…………」

ぼく(あなたはいつもそうだ。いつも大変な時には居なくて美味しいところだけをかっさらってゆく……)

ぼく(まぁそれがぼくが敬愛する人類最強なんだけどね)

ぼく「取り敢えず、ぼくは哀川さん抜きでなんとかしてみるよ」

古泉「……はい。ではまた会いましょう」ダッ

ぼく「行ったか……」

ぼく「出て来いよ。人間失格」

人識「気付いてたのかよ。面白くねーな」

ぼく「当たり前だろ? ぼくは常々お前の事を思ってたんだから。早く死んでくれれば良いのにって」

人識「かははっ、奇遇だな。俺もまったく同じ事を常々考えてたよ」

ぼく「戯言だよ」

人識「傑作だろ?」

ぼく「丁度哀川さんと入れ違いくらいかな? にしても何でわざわざ戻ってきたんだよ」

人識「忘れもんだよ。ほらそこにあるアンチロックブレード取ってくれよ」

ぼく「……買い換えたのか。良いねこれ、ぼくにくれよ」

人識「キャッシュで二百万くれるなら譲ってやっても良いぜ?」

ぼく「高くなってるじゃないか」

ぼく「新しい家族の勧誘かい?」

人識「ま、そんなところだ。じゃあ俺はもう行くよ。表に妹達を待たせてるかんな」

ぼく「もう行くのか?」

人識「ああ──」

バキィッ

ぼく「うわっ!?」

人識「うぉっと!?」

出夢「ぎゃっはははは!! こりゃ何の因果だよ! ひーさしぶりだねぇひ~とし~きクゥン!」

ぼく「!?!? 何で君が……」

人識「おいおいおいおい……傑作通り越して笑えねーぞこりゃ」

めし

ただいま
もうすき家には行かない絶対にだ
んじゃ再開

舞織「人識くん!」

キョン妹「おにーちゃん!」

人識「いててて……こりゃ約束守れるかビミョーだな。ずらかるぞ!」ダッ

出夢「あれ~逃げちゃうの? 逃がしゃしねぇっつーの! 今日の殺戮は全部お前にあててやんよ!」ダッ

ぼく「なんで出夢くんが……待ってよ二人とも!」ダッ


────

ブロロロッ

子荻「あら? あれは匂宮 出夢と零崎 人識ですね」

玉藻「ひしときくんが居るの~?」

子荻「ふぅん……どうやら只事ではなさそうね。ここで二人が潰し合うのは万全とは言えないし」

玉藻「ぎはらはせんぱい、あれに交ざってもいい?」

子荻「駄目よ玉藻。使える駒は取っておかないと、取り敢えずあの二人の意識をこちらに向けて潰し合いを止めさせなきゃね」グンッブーーン

玉藻「あれ~? 撥ねちゃうの~?」


────

出夢「だぁらああああああああっ!! 暴飲暴食!」ブンッ

人識「大味過ぎんだよ!」スカッ

舞織「危ない!」

ブーーン

出夢「ぐえっ……」バキッ

人識「うぉっと……?」

出夢「いててて……あんの野郎ためらい無く撥ねやがった! おい待てこらぁ!!」ダッ

人識「今のは……」

舞織「人識くん大丈夫? 今の車、ブレーキかけてなかったみたいだけど、お知り合いかな?」

キョン妹「おにーちゃあん!」ダキッ

人識「うわっ? 引っ付くんじゃねぇよ!」


────

子荻「分断には成功したみたいね。まぁ当然なのだけど」

玉藻「追って来てる~?」

子荻「万全です。私の読み通りならば、あれは私達の元には辿りつけません」

子荻「まぁ読み通りになる保証が無ければ、こんなリスキーな真似しないんだけど……ね!」キキーッ ギャルルルルッ

玉藻「ゆらぁーりー」

子荻「やっぱり腕にくるわねこれは。もう少し私の腕が丈夫だったら良いんだけど……もっと牛乳飲まなくちゃ」

玉藻「なんかつまんないな~。ひとしきくんと殺し合いたいのにな~」

子荻「はぁ……」


────

出夢「だぁらああああああああっ!! 逃がさねーぞこらぁ!! 僕が一片も残さず食いちぎってやる!!」ダダダダッ

バキッ

出夢「ひでぶっ!?」

「邪魔だっつーの! どこに目ぇつけてんだ!」

出夢「いててて……何だなんだぁ? 今日はついてねぇな」

出夢「あれは……」

出夢「赤色?」


────

子荻「ふふっ……予想より早かったわね」

子荻「零崎一賊。匂宮雑技団。そして私、見間違いじゃなければ無為式も」

子荻「こんな面子が一同に会している状況で赤き征裁が居ないはずがない。そして彼女と接触すれば足を止めざるを得ない」

子荻「でもこの状況下で彼女と接触するなと言う方が難しい。遅かれ早かれ匂宮 出夢は足を止めるしかなかったのよ」

玉藻「お腹すいたな~」

子荻「……そうね。この車もそろそろ乗り捨てて、どこかで食事をとろうかしら」

キョン「はぁ……はぁ……」

キョン「なんでこんな事に……ハルヒ、これもお前が望んだことなのか?」

キョン「っ!!」ブンブンッ

キョン「何考えてんだ俺は、馬鹿か! ああ馬鹿だ! 大馬鹿だ!」

キョン「あいつが人死になんて望む筈が無い! SOS団にそんな奴は居ない!」

キョン「ん……あれは……?」

キョン「朝比奈さん! 長門!」タッタッタッ

朝比奈「キョンくん!」

朝比奈「無事だったんだね! 私、キョンくんに何かあったらどうしようかって……」ウルウルッ

キョン「ははっ、あなたを置いて俺は死にませんよ」キリッ

キョン「それよりそこのお嬢ちゃんは……?」

崩子「闇口 崩子です。戯言遣いのお兄ちゃんを探しに、京都から来ました」

朝比奈「え!? 崩子ちゃんが探してたのっていーくんだったの?」

崩子「……あの人は本当に甲斐性なしですね。目を離すと直ぐにこれですから……」ハァ

なんか収拾つかなくなってきた……
ちょっと考え煮詰めてくる

うっし完ぺきだ!
再開

長門「危険因子が複数、この学校に集まってきている」

キョン「おい長門、何がどうなってるんだ。説明してくれ」

長門「詳細は不明。明らかなのはこの件が涼宮ハルヒの精神と密接な関係にあるという事だけ」

キョン「ハルヒがこれを望んだってのか?」

長門「そうではない。涼宮ハルヒの願望が彼女の意にそぐわない形で実現されている。原因は恐らく、戯言遣いと……」

哀川「西東 天。あたしの父親だ」

朝比奈「潤さん!?」

キョン「哀川……」

崩子「やっぱりあなたなんですね。戯言遣いのお兄ちゃんを連れて行ったのは」

哀川「まぁそういうなって。あたしだってこんな事になるとは思わなかったんだからよ」

哀川「まぁこうなったのは多分あたしの責任でもあるんだろーしな。このお祭のハッピーエンドはあたしが保証してやるよ」

キョン「ハッピーエンド……だと?」プルプル

哀川「どした? なぁに怖い顔してんだよ、童貞坊や」

キョン「ふざけるな!」

崩子「っ!」ビクッ

朝比奈「キョンくん……」ギュッ

崩子「あんまり抱き締めないでくださいよ……」

キョン「こうなったのはアンタの知り合いのせいなんだろ!?」

哀川「だーかーらー、責任は取ってやるって言ってんだろ?」

キョン「だったら何で最初から動いてくれなかったんだ! アンタのせいで俺は……家族を……!」

朝比奈「キョンくんやめて!」

キョン「離して下さい朝比奈さん! こんな横暴な態度を黙認していたら俺達全員とんでもない事になりますよ!」

哀川「はっ、顔のわりに面白い事言うじゃねーか。おにーちゃん」

キョン「……なんだと?」ピクッ

哀川「確かに原因はあたしらかもしれねぇ。だがよおにーちゃん、お前はこんな状況になるまでに一度でもそれに抗おうとしたか?」

キョン「なにが言いたい……」

哀川「被害者面が気にくわねーっつってんだよ、おにーちゃん」

キョン「っ!!」

哀川「どいつもこいつもウジウジウジウジしやがって、おまけに苦し紛れの責任転換ときた」

哀川「これ以上あたしを楽しませんなよ、お前もサボり過ぎだっつーの!」ボカッ

キョン「いてっ!」

崩子「相変わらずですね……」


────

舞織「っ! 人識くん!」

人識「わーってるよ。しかしこいつぁどうなってんだ?」

ぼく「どうしたんだ?」

人識「さっきの出夢のやろーといい、どうにもメルヘンな魔法が発動してるみたいだな」

ぼく「あぁ……そういえばどうして出夢くんが……」

人識「かははっ、傑作だぜ。バイオハザードでもやってる気分だ」

舞織「うなー」

キョン妹「うなー」

人識(この感じ……兄貴と大将だよな? 傑作過ぎんぞこのやろー)


────

双識「ほらほら、早くしろよアス」

軋識「さっきから疑問なんだっちゃが、そっちに何かアテでもあるのか?」

双識「僕のセンサーがビンビンに反応してるんだよ! あぁもう! 我慢出来ない! 今行くよー!!」

軋識「こらレン! ……っ行っちまった……」

軋識「まぁ行動を共にする理由も無いか。俺はのんびりやらせてもらうっちゃ」


────

子荻「しっかり食べておきなさい。これから何が起こるか分かったものじゃないわ」

玉藻「せんぱいでも分からないんですか~?」モグモグ

子荻「状況が状況だもの。私は策士であって、万能家ではないのよ」モグモグ

子荻チャーン 子荻チャーン

玉藻「あれ~?」

子荻「まさか……」

子荻(こんな嫌がらせって無いわ……)

双識「子荻ちゃーん!!」

双識「会いたかったよ子荻ちゃん! 僕は君に会うために蘇ったのかもしれない! いや、きっとそうだ!」

子荻「…………」

双識「どうしたんだい? 元気が無いなぁ、お兄ちゃんが相談に乗ってあげよう」

子荻「…………」ウルウルッ

双識「泣くほど嬉しいのかい! いやぁ僕も嬉しいよ! 今なら君が一夜の過ちを犯しても許せるよ!」

子荻「…………」ブワッ

双識「さぁ子荻ちゃん! お兄ちゃんの胸に飛び込んで来なさい! アイニーヂュー!!」バッ

子荻「うぇ……うっ……ひっぐ……」

玉藻「……ゆらぁ~り~」モグモグ


────

古泉「くっ……浸蝕が速過ぎる!」

モブ「うわあああああああっ!!」

古泉「今回の神人は次元が違いますね……」ビューン

モブ「ぐわっ!」

古泉「大丈夫ですか!? くそっ……森さん、新川さん……何で来ないんですか……」

ぼく「で、その大将さんは本当にこっちに居るのかい?」

人識「ああ、兄貴のやろーはすげぇスピードでどっかに行ったみたいだけどな。ありゃ請負人のねーちゃんともタメ張れるぜ」

舞織「でも大丈夫ですかね、この人を連れてきても。あの人って零崎を鏡みたいな人だから……」

人識「殺しても死なねーのがこの欠陥製品だよ」

ぼく「お褒めにあずかり光栄だよ、人間失格」

キョン妹「おねーちゃん、うなーやってよ! うなー!」

舞織「うなー」

キョン妹「うなー、うなー!」

行間を読むかぎり真心に殺されてる


────

軋識「零崎の気配が三つ……」

軋識「こっちに向かってきてるみたいっちゃね」

軋識「ん……あれは?」

軋識「げっ!?」

哀川「んあ?」

キョン「え?」

朝比奈「え?」

崩子「はい?」

長門「…………」

軋識「なんでお前が……」

哀川「おいおいあたしは夢でも見てんのか? そりゃこっちの台詞だっつーの」

崩子「…………」クンクンッ

朝比奈「え? どうしたの崩子ちゃん? ちょ、待ってー!」

崩子「やっと見つけましたよ……」タッタッタッ

>>251
軋識は死んだけど、「式岸軋騎」は生きてるんじゃね?
人間人間読む限りじゃそんな感じだと思ったけど

崩子「見つけました」ギュッ

ぼく「えっ? 崩子ちゃん?」

人識「おいおい……零崎に匂宮、闇口までいやがんのかよ。頭が痛くなってくるぜ」

キョン妹「死合お死合お~」バタバタッ

舞織「あっこら! ダメですよぅ!」グイグイッ

ぼく「崩子ちゃん。何でこんなところに居るんだい?」

崩子「お兄ちゃんは私が居ないとまた怪我して帰ってきちゃうじゃないですか」

ぼく「心配してくれたんだ。ご褒美にわん! って言って良いよ」

崩子「……………………わん」

ぼく「……冗談だって」


────

ハルヒ「バックノズル……ジェイルオルタナティブ……」

ハルヒ「ディングエピローグ……」ゴゴゴゴッ

ハルヒ「世界の終わりって……どんなものなのかしら……」ゴゴゴゴッ

ハルヒ「ふふふ……ふふふふっ……」

ハルヒ「あははははははははははははははははははははははっ!!」ゴゴゴゴッ


────

ゴゴゴゴッ

出夢「うおっ!? なんだありゃ?」

出夢「あれって学校……だよな?」

出夢「何であんな馬鹿デカい塔になってんだ!?」

出夢「うーん……ダメだ! さっぱり分かんねー! 理澄がいりゃ何か分かんだろーけど」

出夢「……まぁ面白そうだし?」

出夢「いっちょ出向いてみるか!」ダッ


────

哀川「いーたん!」

軋識「人識!」

ぼく「あぁ哀川さん、あれは一体なんなんです?」

哀川「あたしの事を名字で……って、今はんな事言ってる場合じゃねーな」

人識「かははっ、ここまで来たらメルヘンなんてレベルじゃねーな」

キョン「おい!」

キョン妹「あ、キョンくんだ~!」

キョン「お前……」ギリリッ

哀川「ストップストップ! 兄弟喧嘩は余所でやれって」

朝比奈「見て下さい! 空が……!」

ぼく「雨雲……じゃないですね。まるで空そのものが色を無くしているような……」

人識「うおっ!? なんだよこれ? 景色が全部灰色になってんじゃねーか!」

舞織「うぅ……さっさと帰れば良かったですよぅ」

キョン妹「泣いちゃ駄目だよおねーちゃん! うなー! うなー!」

長門「閉鎖空間が世界を覆ってしまったと思われる。現実世界と閉鎖空間の逆転を観測した」

人識「へーさくーかん?」

古泉「くっ……間に合わなかったみたいですね……」

朝比奈「古泉くん!? 大丈夫ですか!?」

キョン「なっ!? お前その怪我……」

古泉「神人にやられてしまいましてね……機関はほぼ壊滅状態ですよ。ははっ……ははははっ……」

ぼく「…………」

キョン「しっかりしろ古泉!」ブンブンッ

めし

再開

古泉「もう駄目だ……駄目なんですよ……」

キョン「諦めるなよ! サボってんじゃねぇ!」

哀川「…………」

古泉「ははっ……終わりだ。世界の終わりだ……」

西東「その通り」

人識「うわっ? びっくりさせんなよ!」

ぼく「……っ!」キッ

西東「よう俺の敵。まぁそうかっかしなさんな」

哀川「クソ親父……」

西東「よう潤。あれから変わりはないか?」

哀川「名前で呼んでんじゃねぇよ」

西東「涼宮ハルヒ……世界の終わりを見るには丁度良い人材だったよ。だが困ったことになったな、これじゃあ世界の終わりを見る前に俺が終わっちまう」

ぼく「お前……!」

哀川「止めろいーたん。こいつに何言っても無駄だよ、このクソ親父はなーんも考えてねぇんだから」

西東「ははっ、そんなことより見ろよあれ」

人識「うおおっすっげー!? SF映画みてーだ!」

朝比奈「あれは……」

キョン「神人……」

バキバキバキィッ

崩子「きゃっ!?」

ぼく「危ない崩子ちゃん!」

長門「……」パクパクペチャクチャッ

軋識「なんだこりゃ? 結界……?」

長門「対高出力エネルギー防御フィールドを展開した」

古泉「無駄だ……無駄なんですよ……長門さん」

キョン「お前いい加減に……!」

哀川「いい加減にしやがれ!」バキッ

古泉「……っつ!」

哀川「お前が諦めてんならもう良い。けどやる気出してる人間の邪魔はすんな」

ぼく「…………」

哀川「なぁ有希。この閉鎖空間を破るにはどうすりゃ良いんだ? このデカブツ共全員ブン殴れば良いのか?」

長門「この閉鎖空間を止めるには神人の殲滅、そして涼宮ハルヒの精神状態を今の状態から狂わせる必要がある」

哀川「へぇ……」

哀川「じゃあ神人とやらの殲滅はあたしらが請け負うよ」

人識「あたしら?」

哀川「んん? 勿論お前らも手伝うんだよ。まさか嫌だなんて言わねーよな?」

人識「なぁ大将、このねーちゃん俺達に死ねって言ってるぜ? 酷いよな?」

軋識「俺にふるんじゃねーっちゃ。どっちにしても死ぬんなら俺はやるっちゃよ?」

人識「…………」

哀川「なぁいーたん」

ぼく「はい?」

哀川「お前今回なーんにも活躍してねぇよな? そろそろ見せ場が欲しいんじゃねーの?」

ぼく「嫌だなぁ、ぼくがそんなに目立ちたがりに見えますか?」

哀川「そうかそうか、目立ちてーのか。じゃあ今回は美味しいとこはお前にやるよ。お前がハルヒを説得して来い」

ぼく「はぁ」

哀川「有希、ハルヒは何処にいるんだ?」

長門「この塔の最上階にて観測した」

哀川「うっし! じゃあ一っ走り行ってこい!」ドンッ

ぼく「うわっ!?」

哀川「そんで……」グイッ

キョン「うわっ何すんだ──」

哀川「お前も行くんだよ。お姫様の眠りを覚ますのは王子様しか居ねーだろうが」ドンッ

キョン「うわっ!」

哀川「あんだけ人に大口叩いたんだ。まさか今さらサボったりしねーよな?」

哀川「キョン!」

キョン「……っああ! やってやるよ!」ダッ

ぼく「じゃあぼくは王子様の付き人か……割に合わないなぁ」ダッ

哀川「うっし、じゃああたしらも派手にやるか!」ダッ

古泉「無駄だ……神人に普通の兵器は通用しないんだ……ましてや丸腰なんて……」

哀川「っらぁ!」ボコッ

ズウゥゥゥンッ……

朝比奈「神人が倒れました!」

古泉「馬鹿な……っ!?」

人識「かははっ、案外ちょろそーだな。んじゃ、殺して解して並べて揃えて、晒してやるか!」ダッ

舞織「私も行きますよぅ。それでは……零崎を始めます!」

軋識「ふん、荒唐無稽にもシームレスバイアスと呼ばれる俺の存在、とくと感じ入るが良いっちゃ!」ダッ

古泉「な……なんで……」

長門「彼等はこの世界の因果からは外れた存在」

朝比奈「因果?」

長門「本来彼等と私達は接触する筈が無かった。しかし西東 天と戯言遣いの存在によってその事実は改変された」

長門「因果の外にいる存在の力と古泉 一樹の超能力は類似している。神人を殲滅する事は可能である」

崩子「という事は……」

朝比奈「助かるんだ! 私達助かるんですね!」

長門「可能性は高くは無いが零ではない」

古泉「…………」

『サボってんじゃねぇよ』

古泉「ふふ……そうでしたね。僕が機関に所属しているのは正義の為なんかじゃない……」

古泉「僕はこの世界が大好きなんだ! 涼宮さんに朝比奈さんに長門さん! そして彼の笑顔を守りたいから闘っていたんだ!」ブーンッ

古泉「んっふ、僕は大馬鹿ですね。こんな大事で簡単な事を忘れてたなんて……」ビューン

古泉「うおおおおっ! ふんもっふ!!」スパスパッ

哀川「はっ、やっと本気になりやがったか」ボコーンバコーン

人識「かははっ、殺人鬼から正義のヒーローってのも──」

ゴゴゴゴゴッ

人識「うおおおおっ!? あっぶねえええっ!!」

舞織「人識くん!」

軋識「人識!」

「だぁらららららららああああああああっ!!! 暴飲暴食!!」バッシィィッ

人識「な……出夢?」

出夢「ぎゃっはははは!! 楽しそうな事やってんじゃん! 僕も仲間に入れろよ!」


────

ぼく「はぁ……はぁ……何処まで続くんだ? この階段は……」

キョン「うおおおおっ!!」ダダダダッ

ぼく「高校生は元気だなぁ……」

ぼく「頂上に居るのが友だったら、ぼくもあんな風になるのかな?」

ぼく「まぁ……」

ぼく「戯言だけどね」

キョン「見えたぞ! あれが屋上の扉だ!」

キョン「うらああああっ!!」バタンッ

ぼく(お前そんなキャラじゃねぇだろ)

キョン「ハルヒ!!」

ハルヒ「…………」

キョン「おい!」

ハルヒ「……キョン?」

ぼく「と、ぼくもね」

ハルヒ「いのすけ……」

キョン「ハルヒ! もう帰るぞ! 俺達の場所に帰るんだ!」

ハルヒ「いやよ」

キョン「なっ!?」

ハルヒ「やっぱり前のあれは夢なんかじゃなかったんだわ! 見てよキョン!」

キョン「…………」

ハルヒ「古代の生物兵器とそれに立ち向かう人……素敵じゃない? まるで映画を見てるみたいだわ!」

キョン「素敵なもんか! 古泉や朝比奈さんに長門……皆が死ぬかもしれないんだぞ!?」

ハルヒ「良いじゃない。死んだら作り直せば良いだけよ!」

ぼく「…………」


ハルヒ「今なら何でも出来そうな気がするわ! そうよ! 私はきっと神様の生まれ変わりなのよ!」

キョン「ハルヒ!!」

ぼく「ぶち殺すぞ糞女」

キョン「え?」

ぼく「さっきから黙って聞いてればぬけぬけと……」

ぼく「神様の生まれ変わり? そんな荒唐無稽な話があるか。もしそうならお前はぼくの敵だ」

ハルヒ「…………」

ぼく「なぁぼくの敵……返せよ。紅音さんを返せ。智恵ちゃんを返せ。むいみちゃんを返せ。秋春くんを返せ。巫女子ちゃんを返せ」

ぼく「子荻ちゃんを返せ。玉藻ちゃんを返せ。姫ちゃんを返せ。神足さんを返せ。木賀峰さんを返せ。円ちゃんを返せ。理澄ちゃんを返せ。友を返せ。ぼくを返せ」

ぼく「死んだら作り直せば良いんだろ? じゃあ返せよ。ぼくのせいで死んでいった人達を」

キョン「…………」

ハルヒ「…………」

ぼく「それともぼくを殺すか? それでもぼくは一向に構わないよ。さぁ……」

ハルヒ「…………」ブルブルッ

ぼく「さぁ……さぁ、さぁ、さぁ!」

ハルヒ「いや……あんたも、気持ち悪い……」

ぼく「ははっ、酷いなぁ。ぼくは公明正大な一般人だよ? ぶしつけだなぁ、気持ち悪いだなんて」テクテク

ハルヒ「いや! 来ないで!」

ぼく「死んでしまった人間は帰ってこない。残された人がどれだけ悲しんでもね……」

ぼく「その道理を自分の願望のままに壊すなんてあっちゃいけない。死者に対する冒涜だよ」

ぼく「君が申し訳ないと思うのなら今直ぐ謝るんだ。ぼくにじゃないよ? この世界に向けて……だ」テクテク

ハルヒ「うっ……ひっぐ……」

ぼく「君はぼくの敵になっちゃいけない。ハルヒちゃん、君には帰るべき場所があるだろう?」

キョン「…………」

ぼく「まぁ……」

ハルヒ「うぇっ……ひっぐ……ごめん……なさぃ……こめんなさああ゛い!!」

ぼく「戯言だけどね」ナデナデ

キョン「ハルヒ……」

ハルヒ「ひっく……な……なに……?」

キョン「SOS団は、楽しいか?」

ハルヒ「……っ……ひっく……」コクコクッ

キョン「SOS団はお前にとって大切か?」

ハルヒ「…………」コクコクッ

キョン「俺達の世界は好きか?」

ハルヒ「…………」コクコクッ

キョン「俺はお前が嫌いだ!」

ハルヒ「…………」

キョン「ムカつくくらい傲慢で」

キョン「ムカつくくらい我儘で」

キョン「ムカつくくらい優秀で」

キョン「ムカつくくらい明瞭で」

キョン「ムカつくくらい目茶苦茶なお前が大嫌いで……」

キョン「大好きだ!!」ギュッ

ハルヒ「……キョン」ブワッ

キョン「さぁ帰ろうぜ? 俺は不思議なんかよりもいつもの部室の光景が好きなんだ」

ハルヒ「……私も」

風呂

ぼく(何だかぼく、邪魔みたいだなぁ)

ぼく(みいこさんに会いたいな)

ぼく(それとも鴉の濡れ場島までひかりさんを拝見しにいくのもいいかな……)

ぼく(あ、でも春日井さんには会いたくないなぁ)

西東「若いねぇ……」

ぼく「うわっ!?」

ぼく「あんた何やってんだ……」

西東「おら! 何やってんだ! そこは一気にキスするところだろうが!」

ハルヒ「…………」

キョン「…………」

ぼく(流石狐さん。頼んでもないのに良いムードをぶち壊しやがった。そこに痺れる! 憧れるぅ! のか……?)

西東「おら押し倒せ! そのまましっぽりいっちまえ!」ブンブンッ


────

哀川「おらっ!」ボコーン

ズウゥゥゥンッ

朝比奈「凄い! 神人を全部……」

長門「この星の物理法則を無視している……」

崩子(あれ? 何でこんなとこに来たんだろ……)

崩子「……わん」

哀川「おっし! 手ぇ抜かないのはやっぱ楽しいな! ……お?」

舞織「空が……」

人識「かははっ、傑作だぜ」

軋識「ちょっとしたスペクタクルだっちゃね」

出夢「ぎゃっはははは!! アーイアムヒーロー!」

数日後
────

人識「じゃあな欠陥製品」

ぼく「ばいばい、人間失格」

キョン「…………」

ぼく「妹さんに挨拶しなくても良いのかい?」

キョン「ああ、結局こいつの家族は零崎なんだろうよ。俺に言う事は無いよ」

ぼく「ふぅん、淡白なんだね」

人識「かははっ、お前が言うなって」

舞織「じゃあまたいつか会いましょうね!」

キョン妹「ばいばーい!」

ぼく「じゃあぼく達も行こうか。北高祭もう始まってるよ」

キョン「ああ、ステージ発表遅れたらハルヒから死刑にされちまう」


────

哀川「よう」

ぼく「もう来てたんですか」

哀川「ったりめーだ。ハルヒ達の晴れ舞台だぜ? 見逃してたまるかよ」

ぼく「おっ、始まりますね」

ハルヒ「こんにちわ! SOS団です!」

ハルヒ「私達はつい最近とても不思議な体験をしました!」

ハルヒ「でも気付いたんです……誰も楽しくない不思議は不思議なんかじゃない。それは悲劇なんだって……」

ハルヒ「この曲は皆で楽しい不思議を分かち合えたら良いなって、そう思いながら作りました!」

ハルヒ「それでは聞いて下さい!」

SOS団「ハレ晴れユカイ!!」

『ナゾナゾみたいに地球儀を解き明かしたら』

哀川「なーんか背中が痒くなっちまいそうな曲だな」

ぼく「嫌いですか?」

哀川「うんにゃ、大好きだ」

『皆でどこまでも行けるね』

哀川「こういう面白い事があるから人生は止めらんねーんだよな」

ぼく「ぼくは疲れましたけどね」

哀川「疲れただけかよ?」

ぼく「まさか」

『わくわくしたいと願いながら過ごしてたよ』

『かなえてくれたのは誰なの?』

ぼく「こんな経験も悪くはないですね。誰かさん風に言うなら傑作でしたよ」

哀川「はっ、それこそ戯言だよ」

哀川「でもそんな戯言も、たまには良いかもな」

『Boooon!! ワープでループなこの思いは』

ぼく「……今日の哀川さん、なんか穏やかですね」

哀川「あたしの事を名字で呼ぶなって言ってんだろーが」

『何もかもを巻き込んだ想像で』

哀川「まぁいいや、あたしらも行こうぜいーたん!」ダッ

ぼく「えっ? ちょっ?」

『遊ぼう!』

 次の日にはあいつらは転校していた。
まぁそもそも本当に高校生なのかも疑わしいのだが、今となっては俺に知る術は無い。
 結局貫徹して事の本質が見えない事件だったが、そんな事はいつもの二割増し良い笑顔を浮かべる我らが団長さんを見ていると、どうでも良くなってくる。
 人類最強を名乗る人類最強は結局終止シニカルな笑顔を浮かべるだけだったし、戯言遣いと名乗るあいつは終止仏頂面だった。
 後になって振り返ってみると思い浮かぶのはそれくらいだ。
 だが、ステージ発表のダンスの時に俺の隣りで踊っていたあいつが……。
 最後の最後で、一瞬だけ笑ったような気がしたんだ。

 今回の事件も何だかんだで哀川さんに振り回されていたような気がする。
 それはさておき、ハルヒちゃんの力で復活したと思われる出夢くんと大将さんは、閉鎖空間が破れると同時にどこかに消えてしまったそうだ。
 もしかしたら再び死んでしまったのかもしれないし、もしかしたらどこかで放浪しているのかもしれない。
 まぁそんな事はぼくにとってほんの些事でしかない。
 この物語は神にも等しい力を持った少女が自分の幸せに気付いただけの、なんともらしくないハッピーエンドの物語なのだ。
 懐かしい香りがする骨董アパートの前でぼくはいつものように、戯言だけどねと呟いた。

涼宮ハルヒの歓喜《了》

終わり
今から蛇足みたいなオマケと蛇足にもならないオマケを投下する
良かったら最後まで付き合ってねー

双識「動物園も良いものだろう? ほらライオンさんだ! 子荻ちゃんは動物にもモテモテだなぁ!」

子荻「……うっ……ひっく……」

双識「いやぁ動物園が泣くほど嬉しいなんて……可哀相に、きっとろくな娯楽を経験した事が無かったんだね……」

双識「だが安心したまえ! これからはお兄ちゃんが毎日楽しいところに連れて行ってあげるからね! うふふっ」

子荻「お願い……神様……私を殺して……」シクシク

玉藻「ゆらぁ~り~」

みいこ「何だあいつら?」

真心「なんか色んなやつに呼ばれた気がしたんだけど、どこだここ……」

唯「おっはよームギちゃん!」ドンッ

真心「うわっ、何だお前? おれさまはムギちゃんじゃねーぞ!」

唯「またまた~。あたしがムギちゃんの眉毛を見間違えるわけないじゃん! ムギちゃ~ん、今日のお菓子はなぁに?」

真心「なんなんだ? おれさまわけわかんねーよ」

紬「あら?」

今度こそ終わり
次は
まる子「みんな集まれ~! 零崎が始まるよ~!」

唯「やばい……性欲が止まらない止まれないよぅ……」

刃牙「これはこれは……師匠」梓「えっ?」

のどれかで会おうぜ!
何か質問やら意見やら合ったらどぞー

乙!

次はいつ頃かな?

>>357また規制に掛かってその規制がとけるくらいかな

他に手掛けた西尾SSはあるかね?

友って死んでたっけ?

>>360
いーちゃん「桜高けいおん部?」っての書いたよん

>>361
一回死んで成長が止まったんじゃなかったっけ?

>>1
戯言と人間関係で好きなキャラは?

>>367
子荻ちゃんに決まってんじゃん! 子荻ちゃんのおっぱいもふもふしたいお!
姫ちゃん? 誰それ? あぁあのデコッぱちの事?

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