妹「明日運動会だしさ」兄「マジで?明日!?」妹「う……うん」 (42)

兄「え?なんで今の今まで言わなかったの、妹ちゃん!」

妹「え……?そ、その……ごめんなさい」

兄「ごめんなさいじゃないよ!運動会なんだろ!!?」

妹「……運動会です」

兄「じゃあ今からでも準備しないと行けないじゃないかっ!!」

妹「準備………?」

兄「運動会だしいろいろいるだろ!?」

妹「ま、まぁ運動会だしね」

兄「こうしちゃいられない!運動会と聞いたら妹ちゃんを膝に抱えてほのぼのしてる場合じゃない!!」

妹「えー……ほのぼのしよーよー」

兄「運動会なんだぞ!!いい加減にしなさい!!」

妹「…………あい」

兄(53)
妹(49)

妹「で、でも運動会だからって何か特別にすることってあるの?」

兄「運動会だからこそだろ!?」

妹「う、うん……」

兄「いくらこないだ土曜日だったからってだらけすぎだぞ!!」

妹「……はい」

兄「今日は運動会の前日だから許すけど」

妹「そうだね。運動会の前日だしね」

兄「な」

兄「さて……とはいえ今から準備出来るものなんて限られてるしな……」

妹「ビデオカメラの充電とか?」

兄「ばかたれ!!」

妹「……ご、ごめんなさい」

兄「妹ちゃんの………ちんちくりん!!」

妹「…………直れ」

兄「あれ?」

妹「正座」

兄「……はい」

妹「誰の胸がちんちくりんだぁ?誰の身長がちんちくりんだぁ?」

兄「誰もそんなこと言ってません」

妹「言ったよ。さっきこの口が発したよぉー?」

兄「……すみませんでした」

妹「」

妹「うん、いいよ。今日のとこは準備が忙しそうだから許したげる」

兄「割りといつでも許してくれるよね」

妹「なんでもいいけど他に何するの?」

兄「そりゃあ、ありとあらゆるものを準備しないと。運動会の前日だし」

妹「まぁ運動会の前日だしね」

兄「まさか今日が運動会の前日とはね」

妹「こないだまで土曜日だったのにね」

兄「不思議なものだよ」

妹「ホントだねー」

兄「あ、散髪しとく?」

妹「散髪はいくない?」

兄「そっか」

兄「ちなみに兄ちゃんの髪形イケてるかな?」

妹「散切り頭で言われてもねー」

兄「やっぱダメ?」

妹「ちょっとね」

兄「うーん…とはいえちょんまげにするほど髪残ってないしなー」

妹「まぁでも台風だったし仕方なくない?」

兄「そうだけど……明日は運動会だぞ?」

妹「なんとかなるよ」

兄「そうかな?」

妹「だって運動会の前日だし」

兄「そうか。あくまで今日は運動会の前日だもんな」

妹「そうだよ。明日が運動会なだけで今日は運動会の前日なんだから」

兄「……うん。なんとかなるような気がしてきた」

兄「うーん……やっぱり運動会の前日だと準備も大雑把になるなぁ」

妹「結局何準備したの?コンドーム?」

兄「見るか?ほれ」

妹「弁当箱にビニールシート……ナイフにスプーン………フォーク」

兄「…………」

妹「……太鼓、ラッパ、笛…………犬に猫……」

兄「ちなみに名前はダイワワンとダイワニャンな」

妹「ダイワワン……!『わ』が続いてなんて言いにくいんだ!!」

兄「他にも……鰹節に昆布…油絵の具にキャンバス…」

妹「硯に筆……」

兄「こんなもんだな」

妹「まぁ運動会の前日だしね」

兄「これが限界だわ」

妹「でも運動会の前日にしては集まったねー」

兄「最善を尽くしたよ!」

妹「うん!これで借り物競争は勝ったも当然だよ!!」

兄「だろ!!」

妹「さすが私の兄ちゃんだよ!大好き!!」ダキッ

兄「まだだ!!まだ抱きつくのは早い!!」

妹「えー?チューもなしー?」

兄「運動会の前日なんだから!特訓だ!!」

妹「……むー」

兄「まずはムカデの練習でもするか」

妹「えー?無理だよー。二人しかいないじゃーん」

兄「それもそうか……」

兄「閃いた!!」

妹「……なにを?」

兄「ムカデの気持ちになるんだ!!」

妹「っ!?ムカデの……気持ち!!?」

兄「そうだ……ムカデの気持ちだ!!」

妹「そ、そんな方法があったなんて……!!」

兄「盲点だっただろう!!」

妹「そんな発想にたどり着く兄ちゃんすごいっ♪」

兄「はっはっはー!!誉めろ誉めろー。褒め称えろー」

妹「よっ!カタツムリ!!」

兄「よせよー」

妹「いよぉ!!天晴れ!カブトムシ!!」

ゆい姉さんが可愛い……

兄「いや……もうちょんまげじゃないしカブトムシは違くね?」

妹「そう言われるとカタツムリも違うよね」

兄「そうだな……てか元々二本もなかったのになんでカタツムリなんだろうな」

妹「運動会の前日だしね」

兄「運動会の前日だもんな」

妹「これが運動会の当日なら違う結果だろうにね」

兄「運動会の翌日とか考えらんねぇよな」

妹「本当だよー」

兄「とりあえず……ムカデになる?」

姉「そだねー」

兄「ムカデのように!」

妹「這いつくばり!!」

兄「ムカデのように!」

妹「壁を!!」

妹「壁は無理だよ」

兄「運動会の前日でもか?」

妹「うーん……これは逆に運動会の前日だからかな…」

兄「あちゃー……逆に運動会の前日だから無理だったか」

妹「運動会の前日も万能じゃないからねー」

兄「じゃあ何をしようか?」

妹「チューでもする?」

兄「ソーラン節かなぁ」

妹「……そうきたか」

兄「ラジオ体操もあったな」

妹「プログラム一番だしね」

兄「なんてったってプログラム一番だしな」

妹「ねー」

兄「てか無理に練習することないよな」

妹「そだねー」

兄「運動会の前日なんだから寝なくちゃ」

妹「運動会の前日だしね」

兄「運動会の当日に本領を発揮できないと困るしな」

妹「じゃあ寝るかー」

兄「おーす」

妹「兄ちゃんの腕枕でー」

兄「せやろか?」

妹「」

兄「ふわぁ……朝だー」

妹「んん…………もう朝?」ゴシゴシ

兄「ついに運動会の当日だな」

妹「昨日が運動会の前日だったしね」

兄「まぁいいや。運動会の当日だし場所取り行かなきゃ」

妹「今何時ー?」

兄「4時だな」

妹「4時かー…私はもう一眠りするよー」

兄「じゃあ兄ちゃんは場所取りに行ってくるなー」

妹「……運動会の当日だしねー」

兄「うんち、ちゃんとしてから来いよー?」

妹「うんちー」

妹「んー……」

妹「気持ちのよい眠りだったー」

妹「時間は……7時か…いい時間だ」

妹「うんちうんちー」

妹「さて学校行こーっと」

ガチャッ!!

妹「……おぅ…」

ザーザーザー!!

妹「また台風だねー」

妹「台風だし仕方ないよねー」

妹「台風だしねー」

妹「もう一眠りしよー。台風だし」

妹「そろそろ連絡網が回って来る頃だな」

妹「台風だし」

兄「…………」


ザーザーザー!


兄「台風だしなー」

兄「台風……だなー」

兄「……妹ちゃーん………」

兄「台風も急に来るんだからなー」

台風「直撃するつもりはなかったんやけどなー」

兄「台風だしなー」

兄「妹ちゃんも来ないし」

兄「中止……いや延期か」

兄「台風だもんなー」

兄「っ!!?」

兄「まさか!!今日は運動会の当日な上に台風なのか!!?」

兄「……さ、最強じゃないか…」

兄「もう運動会の当日じゃあないだろうけど……」

兄「……最強だ」



妹「兄ちゃん、帰って来ないな」

妹「せっかくの台風だから朝御飯にカレー作ったのに」

妹「まったく」

妹「あっ!台風だから喫茶店いかなきゃ」

妹「台風なんだし」

妹「な」



めでたしめでたし

兄「ただいまー」

妹「やっと帰ってきた」

兄「台風だし運動会の当日だしなー」

妹「だしねー」

兄「それより腰痛めた」

妹「なんで?」

兄「いやぁ……台風の中、綱引きしてたらね」

妹「日々の運動不足の結果だねー」

兄「ん?この臭い?」

妹「おっ!気づいた?」

兄「いや、わかんない」

妹「台風だしね」

兄「うんち」

兄「運動会の当日じゃなくなっちゃったなー」

妹「せっかく昨日運動会の前日だったのにねー」

兄「じゃあほのぼのするか?」

妹「台風だしそんなことしてる暇ないよ」

兄「あー……台風だしなー」

妹「でしょ?」

兄「ん?台風ってことは……」

妹「うん。台風だから喫茶店行かないといけない気がするのは気のせいじゃないよ」

兄「だよなー」

妹「台風だし」

兄「よぉし。台風だし出掛けるかー」

妹「台風だしその上、元運動会の当日だしね」

兄「元運動会の当日だしな」

妹「それでは出発しますか?」

兄「いいえ」

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