妹「ただいまぁー……って、えっ……誰‥‥?」(1000)

男「あーくそ、まじつまんねー……」

男「彼女も出来ねーし、いっそ、死んだほうがましなのかもな……」

男「…………」

男「……バイト行くか……」

トゥルトゥルトゥル

男「ん、電話? 知らねー番号だな……まあ出るか」

男「はい、もしもし」

?『あ、男君?』

男「……ん? その声は、もしかして、店長?」

店長『おお、よく分かったね』

男「ええまぁ、何となく覚えてました」

男(妙に声高いから気持ち悪いんだよな……)

男「それで……どうかしましたか? 今、自分、お店に向かってますけど」

店長『あーうん……そのことなんだけどね』

店長『今日、来てくれなくていいよ』

男「……え?」

男「すみません、よく意味が分からなかったんですけど」

店長『んと、つまり、今日はバイトなしね』

男「……なんかあったんですか? お店は休みですか?」

店長『店は普通に営業してるよ。ただ……』

男「ただ?」

店長『もう、手数はいるから男君が来てくれても、やってもらう仕事がないんだ』

男「……先週、空いてるシフトに入ったつもりですが」

店長『それでも、もう大丈夫なんだよ』

男「大丈夫って……。じゃあ、とりあえず今日はやめて、土曜行きますよ」

店長『それもこなくていいよ』

男「…………」

男(どういうことだ?)

店長『はっきり言っちゃうとさ、君の代わりに新人雇ったんだ』

店長『女子高生の子でね、とってもいい子で僕も心打たれてね』

男「……つまり、首ってことですか?」

店長『ごめんね、君には悪いことしたと思うん……』

ピッ。

男「…………」

男「……あー、マジやべぇかも」

男「俺、何やってんだろ……」

男「大学卒業して……なんとなく就職活動して入った会社、慣れずに辞めて」

男「…………」

男「こんな風になるために、大人になったわけじゃねぇのにさ……」

男「……は、はは」

男「……仕方ねぇ……帰るか」

男「……ん?」

男子生徒「妹さんっ家って、どんな家族構成なの?」

妹「お姉ちゃんと二人で暮らしてるんだ」

男子生徒「あっ……そうなんだ……」

男子生徒「ごめんね、余計なこと聞いちゃったかも」

妹「ううん、両親が亡くなったのは結構前だし……」

妹「今では、しっかりと受け止めてるよ。お姉ちゃんとの生活も楽しいしね」

男子生徒「そっか……妹さんはやっぱり凄いなぁ」

妹「そんなことないよ。……ただ、最近ちょっと不満があってね」

男子生徒「え、なんだい?」

妹「お姉ちゃんが仕事で帰りが遅くて……それがちょっと、ね」

男子生徒「お姉さん、働いてるんだ」

妹「うん、バリバリのキャリアウーマンなんだ」

妹「頭も良いし、美人だし……本当凄いっ」

男子生徒「妹さん自慢のお姉さんだね」

妹「もちろんっ」

男「…………」

男(……はは、ガキどもが色気づいてるというのにな)

男(俺は、職を失って、帰って寝るだけか……)

男「…………」

男「……マジで、死のうかな……」

男(……でも、それも出来ないチキンなんだよな……)

男「あーくそ、やってらねぇよ……」

男(俺の人生、終わっちまってるな……)

男(どうせまた、似たようなバイト先で働いて……)

男(家賃と飯代を稼ぐのに精一杯で……)

男「……俺、生きてんだよな……?」

男「…………」

男(ははっ、誰も答えてくれねぇや……)

男(あーもう、今なら何でも出来る気がするな……)

男「……この際」

男(どうせ、糞みたいな人生がこの先に待ってるだけなら)

男(……一花咲かせて、綺麗に散ってやろうかな)

男「……は、はは」

男「く、くくくっ」

男「く、くははははははっ」

男(よし……決めたぞ。俺は、決めた)

男(やってやろうじゃねぇか……ぶち壊してやるよ……)

男(俺の今までの人生……捨て去ってやる……)

男「……どうする?」

男「…………」

男「……ん、そうだ」

男(俺は昔から一人っ子で、ずっと妹が欲しかったんだ)

男(小さい頃はよく両親にも頼んでみたが……すぐに離婚しちまったからな)

男(妹……か)

男(……欲しかったな……物語に出てくるような、優しい妹が……)

男「…………」

男「……うし、動くか」

──数日後

ガチャ。

妹「ただいまー」

妹「あーもう……部活で、遅くなっちゃった……」

妹「ん……あれ、電気つけっぱなしだったかな……」

妹「電気代ばかになんないのに……おっちょこちょいだなー自分」

男「──ういっす」

妹「……へ?」

男「こんばんわー」

妹「ふぇ……? だ、誰……?」

男「おう、よくぞ聞いてくれましたっ!」

男「自己紹介遅れました、男です。これからよろしくな」

妹「……ちょ、ちょっと、まって……」

男「ちなみに今、無職。数日前にバイト、クビになってね」

妹「や、やだ……なに……わけわかんない……」

妹「あっ……け、警察っ……」

バッ。

男「──おっと、行かせないぞー」

妹「や、やめてっ! は、離して下さいっ!」

男「まあまあ、そう慌てんなって。時間はまだたくさんあるんだからさ」

妹「いやっ、やめてっ!」

妹「お願いですっ! お金なら出しますからっ!」

男「おいおい、まるで俺が強盗みたいな言い草だな」

妹「ち、違うんですか……?」

男「少しぐらい話を聞いてくれよ」

妹「…………」

妹「まずは、手を離して下さい……」

男「離したら、逃げようとするだろ?」

妹「……に、逃げませんから……お願いします……」

男「んー」

男(どうしたものか……)

男(想像してたようにはうまくいかんな……完全に怯えてるわ)

男(せめて明るくいこうと思ったんだがな……失敗した)

男「……分かった。手は離すよ」

妹「……あっ……」

男「ほれ、座って座って」

妹「………うぅ」

男「頼むよ、悪いようにはしないからさ」

妹「……は、はい」

男「ん、よし」

男「色々喋っても誤解を生むだけだし、単刀直入に言うわ」

妹「…………」

男「俺、君の生き別れの兄ね」

妹「………え?」

男「だから、生き別れた兄だよ」

妹「……い、意味が分かりません」

男「んー、説明するっていっても、これだけだからなぁ」

妹「わ、わたしには……姉一人しかいないはずです」

男「うん、知ってる」

妹「そ、それに両親はすでに他界してますし……」

妹「実は、兄がいるなんてこと、聞いたこともありません……」

男「…………」

妹「夫婦仲も良かったし……他所で子供を作るなんてこと……」

男「……めんどくせー」

妹「へ?」

男「あーくそ、めんどくせーな」

男(なんだよ、想像と全然違うじゃねーか)

男(物語の中だったら、そこはとりあえず信じとくとこだろうが)

男「ん、もういいや」

妹「……え、ええと」

男「生き別れた兄っていう設定はなし、で」

妹「……は、はぁ」

男「でも、まあ、何て言うかさ」

男「今日から、一人兄が出来たと思えばいいじゃん」

妹「…………」

男「兄貴欲しくね?」

妹「……い、いらないです……」

男「またまた、謙遜すんなって。欲しいだろ?」

妹「……いりません」

男「…………」

男(やっぱり、無職ってことが問題かな……)

男(くそっ、余計なこと言っちまったぜ……)

男「定職はさ、いつかきっと見つけようと思ってるんだ」

妹「……はい?」

男「でも、俺は思うわけよ。『若いうちこそ、苦労しとけ』ってね」

妹「そ、それがどういう……」

男「社会の荒波に揉まれてこそ、真の男たるものが出来上がるってわけ」

男「まぁ……最近は、ちょっと挫折しまくりだけどな」

妹「……そ、そうなんですか」

男「とにかく俺が言いたいのは……」

男「──将来に期待してくれって、ことだ」

妹「…………」

男(完全に決まったな。あまりの男らしさに、口開いたままになってるぜ)

男(まあ、ガキみたいな異性に囲まれてたら、そんなもんか)

男(……もしかして、これで惚れられたりしたら……マジどうしようか……)

男「ぐへへっ」

妹「…………」

ガチャ。

?『ただいまー』

妹「あ、お姉ちゃんだっ」

男「……え、あれ? まだ七時、予定と違くない?」

姉『今日は早く帰れたぞー。一緒にご飯食べるかー』

男「……お、おいおい」

男(マズい……これは、壮絶にマズいぞ……)

妹「お、お姉ちゃん……おかえりなさい……」

姉「ん、誰か来てるのか?」

男「……ど、ども」

姉「ああ、どうも……」

妹「こ、こちらは、男さんです」

男「は、初めまして……」

姉「あ、ああ、こちらこそよろしく……」

妹「…………」

姉「…………」

男「…………」

男(なんなんだこれはぁぁぁぁぁぁぁっ?!)

男(逃げたい……一刻も早く、この場から逃げ出したいっ!)

男「じ、じゃ、僕はそろそろこのへんで……」

妹「……あっ」

男「夜分遅くおじゃまして、ホントすみませんねっ」

そそくさ……そそくさ。

姉「……おい、待て」

男「……っ」

男「な、なんでしょうかっ?」

姉「んー……」

姉「せっかくだから、飯でも食べていかないか?」

男「え、遠慮しときますよっ」

姉「そう気を遣うな。人数が多ければ飯はうまいんだ」

男「お、お気持ちは有り難いんですが……ちょっとこの後に用事もありまして」

妹「そ、そうだよ、お姉ちゃん。男さんに迷惑だよっ」

姉「まあいいじゃないか。その用事とやらは今回は我慢してくれ」

男「……え、ええ!?」

姉「ほらほら、座って座って」

男「……あっ、は、はい……」

妹「ちょ、ちょっとっ! お姉ちゃん、本気なのっ?」

姉「何だ、何かおかしいか。妹の友人を飯に誘ってるだけだぞ?」

妹「そ、それはそうだけど……」

姉「…………」

姉「何か、私といられると困ることでもあるのか?」

妹「……うっ」

姉「……まあ、いい。その辺りも含めて、今日はたっぷりと聞こう」

姉「初めて妹が呼んだ、異性の友人だからなっ」

妹「……お、お姉ちゃん……」

姉「フンっ……そうだ、妹、飯の用意はしてあるのか?」

妹「ま、まだだけど……」

姉「じゃあ、まずは酒を持ってきてくれ。今日は飲まずにはやってられん」

妹「わ、分かったよ……じゃあ、ご飯も用意してくるね」

たったったったっ。

男(……えっ、俺をこの場に置いてくの?)

姉「…………」

姉「じぃ……」

男(み、見られてる……見られてるぞっ)

姉「……なあ、男」

男「は、はいっ?!」

姉「お前、よく人に大人びてるって言われるだろ?」

男「い、いえ特に……」

姉「そうか? 妹の学友なんだろ? 今年高三か?」

男「……ええと」

姉「来年はいよいよ受験だな。どの辺りを目指してるか、聞かせてくれ」

男「……そ、そのですねっ」

姉「ああ、どうした?」

男「実は……もう……その、はい」

姉「ん?」

姉「あー……なんだ、そういうことか」

男「えっ……」

姉「それならそうと、早く言ってくれっ。誤解してしまっただろっ」

男「そうなんですっ、誤解なんですっ」

男「ちょ、ちょっとした出来心で……」

姉「──もう、大学生なんだろ。変な勘違いしてすまんな」

男「…………」

姉「しかし、そうだとすると、妹とどこで知り合ったんだ? 」

男「……ちょっとした、偶然で……」

姉「深くは語らないというヤツだな。中々、焦らしがうまいな」

男「へ、へへっ」

姉「おっと、だとすると……」

妹「……はい、お姉ちゃん、ビールだよ」

姉「おおっ、やっときたかぁっ! やはりビールは瓶に限るぞっ」

ブシュッ。

姉「ああ……この感触がたまらなくいい……」

姉「言いかけたが、男、大学生なら酒はいける口だろ?」

男「えっ、は、はい、まあ、多少は……」

姉「おいおい、そんな弱気でどうするっ。今日は、私に付き合ってもらうんだからなっ」

男「え、ええ……お、お手やわらかに願います……」

姉「んーなんだ、もしかして、弱い方か? 歳は二十越えてるんだろ、幾つだ?」

男「……173です」

姉「んっ? 身長じゃないぞ、歳だよ歳。はは、面白いヤツだな」

妹「い、いいじゃん、お姉ちゃんっ! そんなことどうだって……」

姉「なんだ、別に歳ぐらい構わないじゃないか。女じゃあるまいし……」

姉「ちなみに私は28だ。まだ、三十路にはいってないぞ、ハハハ」

妹「お、お姉ちゃんっ!」

姉「うるさいなぁ……。で、男、歳は幾つだ?」

男「……………です……」

姉「ん? 聞こえんぞ、もっと大きな声でっ」

男「二十……」

男「──五です……」

姉「ああ、二十五か。それなら、酒も……」

姉「──って、二十五っ!?」

妹「…………」

姉「……大学は?」

男「既に卒業しました……」

姉「……じゃ、じゃあ、会社で働いてるのか……?」

男「げ、現在、無職です……」

姉「…………」

妹「…………」

──警察署

警官「で、どうして他人の家に入ったわけ?」

男「い、妹が欲しかったからです……」

警官「……これじゃあ、埒があかないなぁ」

警官「こっちも遊びでやってるんじゃないんだ。そろそろ真面目に答えてくれないか?」

男「う、うぅ……くっ……」

警官「正直、泣きたいのはこっちのほうなんだけど」

警官「もう一度、聞くよ? 何で、人の家に侵入したの?」

男「い、いぼうとが、ぼしがった、から、うぅっ……」

警官「はぁ……」

警官「少し、休憩にするよ……」

男「──ぶわああああああーんっ!」

ガチャ……。

警官2「どうだ……口を割りそうか?」

警官「ありゃ、完全に駄目だな。お手上げって感じだよ」

警官2「ふむ。バイトを突然クビになったのが堪え……」

警官2「或いは、精神的に病んでいて……それで、突発的な行動に走ったか」

警官「…………」

警官2「どうした? なにか気になることでもあるのか?」

警官「……俺はな、今回の事件、かなり裏があると思ってるんだ」

警官2「裏というと?」

警官「あいつの泣く姿見てみろよ」

警官2「お、おう。本当に辛そうだな……」

警官「違う違う、騙されてるんだ。あれは、演技だ」

警官2「ほ、ほんとうか?」

警官「『妹が欲しかった』なんて、わけのわからん供述もそうだ」

警官2「た、確かに訳がわからんな……」

警官「俺達を惑わせようとする策略さ」

警官2「なっ……」

警官「やつはヤバいぜ……俺達の手には負えそうもない……」

警官2「……まさか」

警官「ああ、そうだ。そうするしかない」

警官2「い、いや、でもっ、もし違……」

警官「──間違ってからじゃ遅いんだよっ!!」

警官2「……ッ」

警官「俺は今、初めて警察に入って、自分の無力さを痛感しているっ」

警官2「お、お前……」

警官「分かってくれ……俺の身体を流れる血が、これは大きなヤマだと言ってるんだ」

警官2「親父さんも祖父も警官だった、お前の血が、か……」

警官「ああ……死んだ親父が、俺にそう伝えてくれてるんだと思う」

警官2「殉職した、あの英雄の人が……」

警官「くっ……思い出したら、涙が出てくるぜ……」

警官2「ああ、立派な人だったよ……」

警官「そう言ってくれて、天国の親父も喜んでるよ……」

警官2「そういうことなら、俺も分かった……」

警官「本当かっ!」

警官2「ああ、彼らに任せよう」

警官2「──特別捜査官の彼らにな……」

──???

男「モゴモゴモゴ」

ザバッ。

男「はぁ……はぁ……な、何なんだいったい……」

男「こ、ここはどこだ……?」

男「急に目隠しされたと思ったら……うう……」

バンッ。

男「ま、眩しいっ……」

?『幾ら優秀な君でも、今は、きっとこう考えているに違いない』

?『ここはどこだ、一体どうしてしまったんだ』

男(なんだ……この機械音は……)

?『その問いに、簡潔に答えよう』

?『我々は、君の全てを暴くためにいる』

?『この場所は、そのために用意された。そう、君だけのために』

男「す、すみません……わ、訳が分からないんですが……」

?『…………』

?『そうやって、演じているのも今のうちだ』

?『取り繕っていられなくなるのは、恐らく、すぐにやってくるだろう』

男「え、演じてるって……何を……」

?『初めの質問だ』

?『君は、MYKグループの一員か?』

男「えむわいけー? そ、そんなものは知りません……」

男「と、とにかく、早く家に帰して下さいっ」

?『もう一度、問う』

?『君は、国内テロ組織MYKグループの一員なのか?』

男「し、知らないって!」

?『……心拍数が上がっているようだ』

男「え?」

男(あっ……手首に何か巻かれてるぞ……)

?『どうやら今の質問は、もう一度繰り返す必要があるようだな』

?『MYKの一員だな?』

男「ち、違うっ!」

?『どうして、あの家を選んだ?』

男「い、妹が欲しかったからだよっ! 何度も言わせんなっ!」

?『バイトをクビになったのは何故だ?』

男「て、店長が極度のJK好きだからっ! 意味なんてねぇ!」

?『次の写真を見て欲しい』

男「な、なんだって言うんだ……」

バンッ。

男(ま、また真っ暗になったぞ……ん? あれはスクリーン?)

?『これは君の住んでいる地域の衛星写真だ』

男「……そうだけど」

?『今、赤く点灯したのが、君の住んでいるアパート』

男(おお……確かにそうだ……)

?『次に、緑。これは、バイト先だ』

?『そして最後、青く点灯したのが、君が侵入した家』

男「……こ、これが何だって言うんだ?」

男(わ、わけがわからんぞ……)

?『この全てを線で結んでみると……』

男「ん……?」

?『……現れたのは見事に綺麗な三角形』

男「……何が言いたい?」

?『分かっているんだろう。内心は、ただならぬ心境のはずだ』

?『なんせ、この図形の中央には……』

男「……え?」

男(そ、そんな馬鹿な……)

?『──国会議事堂があるんだからな』

?『一体、何を企んでいたんだ、男君』

男「な、何も企んでなんかいないっ!」

男「お、俺は……自分の人生に嫌気が差していただけでっ!」

男「国をどうかしようなんて、そんな勇気持ち合わせていないっ!」

?『…………』

?『……まあいい、時間はたっぷりある』

?『君が白状するまで、な』

男「……な、なんてこった……」

──独房

男「くそっ……なんで、俺が……」

男(飯はまずいし……拷問まがいの尋問は続くし……)

男(どうすりゃいいんだ……いつまで続くんだよ……)

男(……ああ、外じゃ、どれくらいの時間が経ったんだろ……)

男(基本、真っ暗だから何もわかんねー……)

バンバン……。

男「な、なんだ……」

バンバン……。

男「……くそっ、気味が悪いな……」

男「一体、何の音だって言うんだ……もう、眠れねぇじゃねえか……」

ガチャッ!

男「お、おいっ! お前……」

看守「──貴様っ! よくも仲間を連れてきたなっ!」

男「……は? 意味わかんないって……」

看守「もう俺以外は、ほとんど生き残ってねぇ!」

男「生き残ってないって……ははっ、冗談キツい」

看守「……死んだんだよ」

男「…………」

看守「後は、俺だけだ……すぐここにも奴らがやってくるだろう……」

男「……う、嘘だろ?」

ササッ。

男「……って、え?」

看守「お前を盾にしてでも、俺は生き残る」

男「や、やめてくれ……」

看守「う、動くなっ! 動いたら、首の動脈が一瞬で切れるぞ」

男「……わ、分かったよ……」

ダダダ……ダダダ……。

看守「くそっ……奴らだ……」

男「MYKなんちゃらか……?」

看守「ここまできても、とぼけやがって。そうさ、仲間を助けにやってきたんだっ」

男「お、俺の他にも奴らの仲間が収容されてたのか?」

看守「ああ……お前はまだ良い方だった」

男「……つ、つまり?」

看守「見るに堪えない拷問が行われてたってことだよ」

男「……う、嘘だ……」

ダダダダ!

看守「くそっ……もう、こんなに近くに……」

男「お、おいっ! 俺はどうなるんだっ!」

看守「はっ? そんなの知らねぇよっ! 仲間だったら助けて貰えるんだろっ!」

男「だから初めから言ってるだろっ! 俺は無関係だっ!」

看守「だったら……お前も、俺と一緒にあの世行きさっ!」

男(ど、どうしてこんなことに……)

ダダダダダダ!

男(ただ自暴自棄になって、妹が欲しいと願っただけだったのに……)

ダダダダダダダダ!

男(こ、こんなところで……死ぬなんて……)

ガチャッ!!

看守「くっ──」

男(くそっ……まだ死にたくないっ!!)

?「背後を狙い撃て」

バンッ!

看守「………………カッ」

男「……へっ?」

看守「…………」

バタンッ……。


男「……ま、マジか……」

男「だ、誰か……嘘だと言ってくれよ……」

男「あ、有り得ないだろ……人が、人が……死んで……」

?「貴様は誰だ?」

男「……だ、誰って……俺は……──」

男(……ドアからの光が眩しくて、顔がよく見えない……)

?「聞いたことがない名だな……。ならば、所属はどこだっ?」

男「…………」

?「ん? 何を戸惑っている? まさか貴様……」

カチャ……。

へっ?

男「ち、違う違うっ! 俺はただの一般人だ!」

?「嘘をつけ。一般人がこの施設に収容される訳があるか」

男「ほ、本当なんだって!」

?「もう一度だけチャンスをやろう。お前の所属はどこだっ!」

男「……うぅ……」

男(なんて言えばいいんだよ……)

男(どうせ『MYKのメンバーですっ』っていったところで、すぐにバレる嘘だし……)

男(けど、何か言わないと、アイツのように射殺される……)

男(く、くそっ! もう、どうにでもなれっ!!)

?「何を黙っているっ! 所属は……」

男「所属はッ!」

男「──無職だっ!!」

?「…………」

男「…………」

かまわん

続けろ

?「……と、とりあえず、連れてけ」

?「は、はいっ」

男(この後……どうなるんだろ俺……)

男(……あっ……顔が見られるぞ……)

女「…………」

男(……き、綺麗な人だ……)

サッ……。

男(ん……ああ……眠く……)

男(…………)

男「所属はッ!」

男「──無職だっ!!」

シュールw

はよせい

──隠れ家

男(や、やめてくれ……俺は妹が欲しかっただけで……)

男(ち、違うっ! 頼むから、信じてくれよっ!)

男(うぅ……うあああああああああ)

男「──はっ」

男「……ゆ、夢か……」

男「はは……そりゃそうだよな……そんなことに巻き込まれるわけ……」

女「──目が覚めたか?」

男「え……」

女「少々荒っぽかったが、あの場ではああするしかなくてな」

女「一応、すまなかったと謝罪しておこう」

男「……ゆ、夢じゃない……?」

女「どうした? どこか具合でも悪いのか?」

男「…………」

男「……なぁ、一つだけ聞いてもいいか……」

女「構わない。私でよければ、何でも聞いてくれ」

男「これは……」

男「──本当に現実か……?」

女「…………」

男「俺は……あの施設で……」

女「そうだ、我々がお前を助けた」

男「…………」

男(嘘だ……頼むから、嘘だと言ってくれよ……)

女「そのことでお前に……いや、男だったな、聞きたいことがある」

女「今度はそちらが答えてくれ。何故、あの場にいた?」

男「…………」

女「どうした、黙ってても分からないぞ」

男「どうせ言ったところで、信じてくれないだろ?」

女「……初めからそう言ってくれるな」

女「これでも、一応、理解するように努めてみるよ」

男「…………」

女「……そうか」

女「なら、私の想像だけでも伝えさせてくれ」

男「……ああ」

女「男、お前は最後のあの瞬間、私に向かってこういった」

女「『俺の所属は無職だッ』と」

女「あの真剣な眼差しと力の籠った言葉」

女「それで、確実にそのことが真実であると確信した」

男「ほ、本当か?」

男(こ、こいつは分かってくれるのか……っ)

女「ああ、本当だ」

女「男、お前は……」

女「──フリーの殺し屋だな」

男「……へっ?」

女「ふふ……良いんだ、お前が否定するのは分かっている」

女「あの場でわざと弱き振りをして、我らの敵意を逸らし」

女「見事、MYKとの接触に成功した……その機転は凄まじい」

男「ちょっ、ちょっと待て」

女「分かっている。お前が立場上、肯定が出来ないことぐらい」

女「この世界は常に暗黙の了解で成り立っているからな、私にでも分かるよ」

男「ええとな……その……」

女「歓迎しよう、男。お前を我々は雇うことに決めた」

女「報酬は規定の口座へ振り込んでおこう。いや……現金渡しのほうがいいのかな?」

女「まあ、どちらにせよ変わりない。お前の力が我々には必要だ」

男「…………」

男(こいつ……何言ってんだ?)

女「しかし、あの機転。実際の腕は、相当なものなのだろうな」

男(あーだめだ……もう分かっちまう)

男(何言っても、この女は俺のことを理解しないだろう)

女「一度、手合わせをお願いしたいところだが……ハハ、私では敵いそうもない」

男(はは……慣れって怖いな……確信しちまってるよ……)

女「……どうだ? 返事を聞かせてくれないか?」

男(……だから、もう何言っても無駄って決まってるなら……)

男「──いいだろう。俺が助けになってやるさ、フフフ」

女「ほ、本当かっ!」

男(とことん自分を騙すしかねぇよなぁ……)

──数年後

女「思い出せ」

女「辛く苦しく、朋の死に涙した日々を」

女「思い出せッ」

女「国を変えたいと、我らが立ち上がった日の心を」

女「思い出せッ!」

女「変えられぬものなど、何一つ有りはしないと誓ったあの日をっ!」

女「……今日だ」

女「今日で、全ては終わるっ!」

女「この愚鈍に満ち溢れたこの国を、ついに変えることが出来るのだっ!」

女「先立った朋達に、成功の報せを伝えることが出来るのだっ!」

『うおおおおおおおおおおぉぉぉぉッ!!!』

女「……やろう、やり切ろう」

女「決して我らは、諦めない。挫けない」

女「それが、我らMYKたる所以なのだから」

男「…………」

女「男、上がってくれ」

男「ああ……」

女「皆、知っているだろう。彼が、本作戦の指揮を取る者だ」

女「彼の手腕で、我らが幾つもの難所を乗り越えてきたか」

女「彼抜きでは……正直、今日という日を迎えることは出来なかっただろう」

女「しかしッ、これだけは言えるっ!」

女「我らには、彼がついているのだっ! 何も恐れることなどないッ!」

『うおおおおおおおおおおぉぉぉぉッ!!!』

女「男、君の番だ」

男「はは、盛り上げるのがいつもうまいな」

女「お前に褒められるとは……光栄だよ」

男「…………」

女「…………」

男「……期待していろ。俺が、変えてやるよ」

女「……男」

男「……ん……」

女「……あ、ん……」

女「……お、お前というヤツは……もう……」

男「はは、景気付けだ」

男「…………」

男「……愛してる」

女「ふふっ、やはり私達は気が合うな」

女「私もだ……男」

女「行ってこい、皆が待ってる」

男「……おう」

タンタンタン。

男「すぅー…………はッ」

男「みな、聞いてくれっ! 本作戦は本日早朝──」

ラスボス手前の今までと比較にならない強敵を相手に闘う前夜に
男「俺には無理だよ!俺ホントはただの無職だったんだよぉ」

女「それでもアンタは今まで私たちを支えてくれた!アンタのお陰で皆ここまで来れたんだよ
今のアンタは無職の男なんかじゃないよ!」

男「女ぁぁぁぁ」

セクロス
までは補完した

> ラスボス手前の今までと比較にならない強敵を相手に闘う前夜に
> 男「俺には無理だよ!俺ホントはただの無職だったんだよぉ」
> ↓
姉「そうか、じゃあ氏ね」

男「姉ェエエエエ!!」

腰に携える鞘から刀を抜き、それを上段から振り下ろした。

ガギン---という耳障りな金属音が辺りに響き渡る。

姉「男ォオオ!」

自身の身の丈ほどある長刀を軽々と振り回す姉は、何度も何度も男の急所を目掛けて切り掛かる。

速さを売りにしてる男と力を売りにしてる姉。その実力は拮抗していた。

男「女の敵だァアアアアア」

刹那、男の姿が姉の視界から消えた。

姉「!?」

ズシャン----

姉「はぁ、はぁ…くっ」

男「力で速さに勝てるとでも思ってたのか」

腕を組みながら姉を見下している男はニヤリと口角を緩める。

表の世界の護衛者と裏の世界の護衛者では、その実力に開きがありすぎる。

男「クハッハァハハ」

またもや人間離れした脚力を披露する男は、瞬時に姉の眼前まで迫り、そのまま男の右脚が姉の顔面に吸い込まれていく

姉「ひでぶっ」

──???

男「分かっているとは思うが、我々は今回も隠密行動を基本とする」

男「気付かれてしまえば、そこで本作戦は失敗だ」

男「気を十二分に引き締めていけ」

部下A「了解」

部下A「銃の使用は……」

男「許可する。ただし、乱用はするな」

部下B「猶予の時間は幾らですか」

男「リミットは三十分ほど……」

男「それ以上かかってしまえば、ジエンドだな」

部下B「意外と少ないですね……」

部下A「オイオイ、弱気になってるんじゃねーよな」

部下B「違うわよ馬鹿っ。ただ、現実の厳しさを痛感してただけ」

部下A「フン、ならいいが」

部下B「……ッ、あなたって人は……」

男「止めろ、二人とも」

男「開始の合図があるまで、作戦の概要を再確認だ」

男「我々の最大目標……それはホシの捕獲」

男「殺した状態ではなく、生け捕りにすることに意味がある」

男「勿論、それを障害する全ては……排除してよい」

男「……本作戦のホシは」

男「我が国の最大の権力者にして、我々最大の敵……」

部下A「…………」

部下B「…………」

男「──現内閣総理大臣だ」

──A地点

男「A地点よりこちらチームα。準備は整ったか」

ザザ……。

声『D地点より目標を確保』

男「狙え」

声『了解、狙いました。いつでもいけます』

男「その状態を保て……C地点はどうなってる」

声『こちらC地点。遮蔽物が邪魔して、先ほどから目標を確認出来ません……』

男「…………」

男「くそっ、時間がない……」

部下B「どうしますか」

男「…………作戦を強行する」

声『し、しかし……』

男「俺が目標を引きつける。ポイントまでの距離を伝えるから用意しておけ」

声『り、了解っ』

ザザッ……。

男「…………ふぅ」

部下A「男さん、俺が代わりに行きますよ」

男「いや、俺でいい」

男(何故こいつらが俺を信頼しているのか、未だ理解出来ないが……)

男(作戦の遂行には、確実にこの二人の力がいるからな……)

部下A「で、でもっ……」

部下B「……目標、目視できました」

男「よし」

男「いいか、俺が引きつけた隙にドアへ向かえ」

男「裏口から入った後は、一分俺の帰りを待つ」

男「もし、それ以上超えたら……お前達だけで行け」

部下B「……お、男さんっ……」

男「開始だ。さあ、走れっ!」

部下B「……ッ、了解」

男(……はは、何かっこつけてんだよ、俺)

男(足が勝手に震える……)

男(いつからこんなに……)

男「…………」

男「おいっ! そこのお前っ!」

見張り「──っ、貴様誰だっ」

男「いいからこっちにこいっ!」

見張り「う、動くなっ! そこから少しでも動いたら撃つっ!」

男「…………」

見張り「よしそのままだ、手を高く上げろ」

ザザっ……。

男「……対象まで……十メートル」

声『まだ目視出来ません』

見張り「頭の後ろで手を組め。いいかっ、ゆっくりとだ……」

男「……六メートル」

見張り「こんな早朝に……一体、何だって言うんだ……」

男「……五」

見張り「よし、後ろを向いて……」

男「……三」

男「一」

声『も、目標を確保ッ』

見張り「ひざまづ──」

男「撃て」

バンッ!

見張り「…………」

……ドサッ。

男「……はは、いい腕だ」

どうでもいいが俺、NYSってとこに所属してるぜ

保守時間目安表 (休日用)

00:00-02:00 40分以内                   __
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09:00-16:00 80分以内         /: : : :,ヽ、\/l`ヽ、  \
16:00-19:00 60分以内         /::/: :〆、 ,×l/:l : l : ̄ヘ<
19:00-00:00 30分以内       |/|: :/●  ●|_!_l_l=:-:‐i´

                  .,-、  |: :|@   @|::|=|: : : : l
保守時間の目安 (平日用)  ;|!:::::::`ヽ、|!_ ⌒  _/:/ : : : : : l
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02:00-04:00 120分以内     ヾー──'‐(::|×|:::ト==l: : : : : : l
04:00-09:00 210分以内       ./: : : : :ノ:|×|:::|:::::::|: : : :l : : l
09:00-16:00 120分以内      /: :/: : :._}=ェ==|:::::::::ゝ、: :l : : :l

16:00-19:00 60分以内      /: :/|:.__/:::/:/:/ヘ|:::::::::::ノ: : l: : : l
19:00-00:00 30分以内.     /: :/,|/_/_/_/_/∧_l_lエ´ヘ、:l l: : : l
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                         .ヽ_人_ノ

──二階

男「……入った後は、客に混じってしまえばいいが」

部下A「……これじゃ、埒があきませんよ」

部下B「部屋の数が多すぎますし……このホテルは三十五階もあります……」

部下A「虱潰しに一つずつ回って行くしかないのかもな……」

部下B「そ、それじゃあ、予定の時刻までに間に合わないっ」

部下A「そんなこと俺だって分かってるさ……でも……」

男「──三十二階だ」

部下A「はっ?」

男「ホシは三十二階にいる」

部下B「なんで分かるんですかっ……?」

男「警備する人間の立場になって考えてみろ」

男「難しいことじゃない。忌むべき事実だが、奴らは俺たちと同類の人間だ」

男「最悪のケースを常に想定している、という点がな」

部下A「……それを逆手に取るということですか」

男「そうだ。最悪のケースを想定し、奴らはその時に備えているはず」

男「それを、利用する」

部下B「……で、でも」

男「いいから、これを見ろ」

部下B「……各階の案内図ですか」

男「見るのは三十階以上だ。他の階と何が違う?」

部下A「…………連絡通路がありませんね」

男「そうだ、隣の棟との連絡通路がこの階から存在しない」

部下B「で、でも、それが……」

男「守るべきエリアは大きいほうがいいか?」

男「警備する人間の立場になって考えてみろ」

部下B「警備する…非常時に直ぐに非常階段で逃げることができる2階ですね!!」

部下B「……えっ、それは小さいほうが、勿論、負担は減っ……」

部下B「──あっ!」

部下A「……そういうことですか」

男「そうだ、きっと、この階より上にいるに違いない」

部下B「……警備のために、上下のフロアを確保したいとなると……」

男「恐らく、三十二階になるな」

部下A「…………」

部下B「す、すごい……」

男「そうと決まれば急ごう」

男「正面玄関では、本人確認を義務づけて」

男「裏口にも警備をつけるという、徹底ぶりだ」

男「明らかに、敵は優秀に違いない」

男「外の警備からの連絡が途絶え、既に警戒態勢が敷かれているはずだ」

男「とにかく……まずは、三十階へ向かおう」

──三十階

部下A「……予想通りですね」

部下A「一般人に成り済ましていますが、この階から、警備の数が格段と増えてます」

部下A「しかし、これでは……」

男(ここまで厳重だとはな……どう考えても上の階にいけそうもない)

タタタタ……。

男「どうだった?」

部下B「……やはり向こうの階段も通行禁止になってます」

部下A「エレベーターは……」

部下B「駄目、三十一階から三十三階だけ、止まらないように設定してある」

男「…………」

部下A「くそっ、なんとか手段はないのかっ!」

部下B「ホシの居場所は確実に分かったのにね……」

部下B「男さん、どうします……?」

男「…………」

男(どうする……?)

部下A「……もう、強行突破しかない……」

男(作戦を見直すと言っても……時間はそれほど残っていない)

部下B「無理よ。仮に階段の警備を突破して三十一階へ辿り着いたとしても……」

部下B「この階以上に増えた敵に対処しているうちに」

部下B「──確実に、ホシは上の階へと逃げる」

男(ここまできて、終わってしまうのか……?)

部下A「くそっ……」

部下B「……正直、お手上げね……」

男(……ああ、何も思いつかない……)

男(どうする……俺達の作戦が失敗したら、今日という一日が全て無意味になる)

男(首相を捕らえることが、計画の前提条件だと言うのに……)

部下B「男さん、大丈夫ですか……?」

部下A「……顔色、真っ青ですよ……」

男「だ、大丈夫だ……」

男(……終わった……やってしまった……)

男(そもそも、無職の俺に出来ることなんて何もなかったんだ……)

男(その場しのぎで、今までやってきたが……)

男(……何事からも逃げ続けてきた俺には、荷が重すぎた……)

男(……ごめん、女……)

男(お前との約束、果たせそうもない……)

男(…………)

男(……ん?)

部下B「とりあえず、命令を……」

部下B「……って、男さん?」

男「…………」

男「……ああ、そうか」

部下A「え?」

男「……まだ、諦める必要はない」

部下B「そ、それは一体、どういう……?」

男「いいか……」

男「──手段は、一つだけ残っている」

──三十階

ボーイ「……フン♪」

ボーイ「……フンフーン♪」

ダンッ!

ボーイ「うっ…………」

……バタン。

部下A「……クリア」

男「よし、すぐさま着替えろ」

部下A「了解」

部下A「……しかし、従業員に成り済ましてどうするんですか?」

部下A「恐らく、彼らも上に続く階段は登れませんよ?」

男「違う、そこじゃない」

部下A「え?」

部下B「残された手段って……一体……?」

男「…………」

男「ホテルで宿泊した時、腹が減ったらどうする?」

部下B「……色々手段はあると思いますが……」

部下B「私は受付に電話して、食事を持って来てもらいますね」

男「その時に使用するのは、客が使っているエレベーターか?」

部下B「……それは、恐らく違うはずで……」

部下B「──あーっ、そういうことですかっ!」

男「そうだ、従業員用のエレベーターが確実にどこかにある」

男「そして、そこに対する警備は……」

部下A「『手薄』ってことですね」

男「……ああ。俺達は、見事、最短で三十二階へ行ける」

部下B「……つまり」

男「そこからは、純粋な力勝負だな」

男「…………」

男「行くぞっ」

部下A・B「「はいッ!」」

紆余曲折

組織崩壊
傷だらけで逃げる男

……


妹「ただいまぁー……って、えっ……誰‥‥?」
男「そう、全てはここから始まったんだ」
男はボロボロになっていた
その腹からは血が止めどなく流れている
男「ひさしぶり」
妹「…」
男「って、おぼえちゃないか」
男は弱々しく笑う
やっと妹に会えたことに、憶えてないことに、自分の不甲斐なさに
男「…いろいろと遠回りしちゃったな。妹ごめんな…ふがいない…お兄ちゃんで…」

力が抜ける

寒い…
薄れる意識の中
男は思った


男「あ、おれ妹居ないじゃん」

ごめん ④

支援

保守時間目安表 (休日用)

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09:00-16:00 80分以内         /: : : :,ヽ、\/l`ヽ、  \
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19:00-00:00 30分以内       |/|: :/●  ●|_!_l_l=:-:‐i´

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04:00-09:00 210分以内       ./: : : : :ノ:|×|:::|:::::::|: : : :l : : l
09:00-16:00 120分以内      /: :/: : :._}=ェ==|:::::::::ゝ、: :l : : :l

16:00-19:00 60分以内      /: :/|:.__/:::/:/:/ヘ|:::::::::::ノ: : l: : : l
19:00-00:00 30分以内.     /: :/,|/_/_/_/_/∧_l_lエ´ヘ、:l l: : : l
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                         .ヽ_人_ノ

テスト

──三十二階 エレベーター前

ガタン……。

警備2「ん? 誰か来たのか?」

警備2「……なっ」

ピュンッ!

警備2「……かはっ……」

……バタン。

男(二、一のフォーメーション)

男(俺が先頭を行くから、援護を頼む)

部下A(了解)

部下B(バックは任せて下さい)

男(よし)

男(…………)

男(……角に二人)

部下A(……やりすごせますか?)

男(……その時間はない……おびき寄せる)

…………ダン……。

警備3「……ん? 今、何か音しなかったか?」

警備4「そうか? 俺には聞こえなかったが……」

警備3「確認してくる」

警備4「分かった。ここは任せろ」

タタタ……。

警備3「…………」

警備3「誰もいないか……ん?」

ザザッ。

警備3「──っ……」

バタンッ……。

男(……OKだ。もう一人も確実に仕留めろ)

部下A(了解)

タタタ……。

警備4「おい、大丈夫か……」

警備4「──って、お前っ!?」

ピュンッ!

警備4「……かっ……」

バタン。

部下A「クリア」

男「時間はない、急ぐぞ」

部下B「はいっ」

──三十二階 一室

首相「君、さきほどから官邸のほうと連絡が取れんぞ」

付き添い「現在、我々の方でも状況を急ぎ確認しております」

首相「状況? ……一体どういうことだ?」

付き添い「国会議事堂がテロにあったようです」

首相「……て、テロ?」

付き添い「詳細はまだ分かりませんが、恐らく確かな情報でしょう」

首相「そんな大事なことを君は黙っていたのかっ!!」

付き添い「出来る限り、貴方に負担がないようにと」

首相「……っ」

首相「いいかっ! 私はこの国の代表者なんだっ!」

首相「何が重要で何が不必要な情報か、それを判断するのはあくまでも私だっ!」

付き添い「分かっております」

首相「…………くっ」

首相「……それで、勿論、制圧出来ているんだろうな……?」

付き添い「……現在、確認中です」

首相「か、確認だと? ぐ、軍はもうとっくに動いたんだろう?!」

付き添い「それが、対応が大幅に遅れておりまして……」

付き添い「最高でも、後30分はかかるそうです」

首相「……あ、有り得ない……そんなこと有り得る訳がない……」

首相「このような日が来ないようにと、あれだけ準備してきた……」

首相「……ま、まさかっ……」

付き添い「……はい。恐らく、上層部がテロの者と繋がっているのでしょう」

首相「──あの売国奴めっ!!」

首相「だから、あの男を防衛大臣に任命するのは嫌だったんだっ!」

首相「クソっ! これが片付いたら、アイツを必ず処刑してやるっ!」

付き添い「しかし、彼は断固として、その事実を認めないでしょう」

首相「構うものかっ! 責任を負わせ、無理矢理にでも引きずり降ろしてやるわっ!」

首相「そして、私の目の前で直に刑を下してやるっ!」

付き添い「…………」

首相「はぁ……なんて厄日なんだ……」

付き添い「……いいえ、まだ我々はツイている方です」

首相「何を寝ぼけたことを言っている……」

付き添い「救いは、あなたがあの場所にいなかったこと」

付き添い「仮に国会議事堂を落とされても、あなたがいる限り、どうとでもなります」

首相「……フンっ……なら、いいがな」

バンッ。

警備5「──た、大変ですっ! し、侵入者ですっ!」

首相「なにっ!?」

付き添い「…………」

付き添い(やはり、そう、うまくはいきませんか……)

首相「ど、どういうことだっ?! 安全だったのではないのかっ!」

付き添い「……いいえ、大丈夫です」

付き添い「ここまでの警備は万全ですよ」

付き添い「その者たちは、三十階か? 或いはもう三十一階まで来て……」

警備5「──三十二階っ! 既に近くまで来ていますっ!」

付き添い「なっ……」

首相「ど、どうなってるっ!! 万全のはずなんだろっ?!」

付き添い「……一体どうやって……」

付き添い「……ッ、と、とにかく、早くこの階から避難しま……」

──バンッ! バンッ!

警備5「く、くそっ! 援護してきますっ!」

タタタタッ!

首相「……まさか、今の音は……」

首相「──……銃声?」

付き添い「…………」

首相「……せ、説明しろ……」

首相「何が起こっている……? なぜ、何も言わない……?」

付き添い「…………」

首相「……そうか、そういうことか……」

首相「私達は……ここで……」

首相「…………」

バンッ!!

警備5『……ゴホッ……』

バタン……。

首相「…………」

付き添い「…………」

ガチャ……。

男「…………」

男「……やっと、会えた」

男「どれだけ、この日を待ち望んだことか……」

男「……お前には、きっと、分からない……」

首相「……あ、ああ……」

首相「や、やめろっ……」

首相「そ、それ以上……近づくなっ!!」

付き添い「こ、交渉だけでも……」

男「──殺せ」

部下A「了解」

バンッ!

付き添い「…………カ……」

バタン……。

首相「あ、あああ……」

首相「う、うわあああああああッ!」

首相「た、頼むぅ……い、命だけは……っ!?」

男「ハハ、安心しろ」

首相「……へっ?」

男「お前を殺すほど、俺も馬鹿じゃないさ」

首相「……ほ、本当か……?」

男「ああ、もちろん」

首相「あ、ありがとうっ!! ……い、幾らだ? 幾らでもや……」

男「──これから、もっと苦痛に喘いでもらわないとな」

首相「……は?」

男「簡単には死なせない……」

男「……生きていることを、必ず後悔させてやるよ」

首相「……う、嘘だ……」

首相「た、頼む……嘘だと言ってくれ……」

男「…………」

首相「……だ、誰か、誰でもいいから……」

首相「とにかく私を……」

首相「……助けて……く……」

──ガチャン。

h

手錠?

保守時間目安表 (休日用)

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                         .ヽ_人_ノ

保守

──国会議事堂前

女「…………」

女「……男……大丈夫だろうか……」

トゥルトゥルトゥル。

女「はい」

防衛大臣『首尾はどうなっている?』

女「既に議事堂は制圧しました。現在は、警察との拮抗状態が続いています」

防衛大臣『……そうか、うまくやったようだな』

女「ご協力のおかげで」

防衛大臣『……私は今でもこの選択が間違いなのではないかと考えてしまう』

防衛大臣「違う手段があったのでは……と、思わずにはいられないのだ」

女「ここまできたのです。もう、引き返すことはできません」

防衛大臣『分かっている……分かっているのだが……』

防衛大臣『ん………そうだ』

防衛大臣『協力の条件に出した、首相の確保は達成されたのか?』

女「……現在、報告待ちです」

防衛大臣『な、なんだと……』

女「進展がありましたら、こちらから連絡させて頂きます」

防衛大臣『ヤツを捕らえない限り、全ては水の泡だぞっ!?』

女「わかっています」

防衛大臣『反対派も自らの安全が保証されない限り、味方にはついてくれないッ』

女「…………」

防衛大臣『……良い連絡を期待している……』

女「はい、失礼します」

女「…………」

女「……ふぅ」

タタタタッ。

女「どうした? 何かあったか?」

部下C「女さん宛に電話です」

女「もしや、男っ……」

女「──と、そんなわけないか……あいつなら私に直接かけてくるはずだ」

女「しかし、このタイミングか……」

女「……一体、誰だ?」

部下C「追跡は出来ませんでした。秘匿回線を利用しています」

女「…………」

女「わかった……貸せ」

部下C「はい」

ピッ。

女「もしもし」

?『おめでとう、と言った方がいいかな、女君』

女「……誰だ?」

?『君に名乗る必要はない。用件はすぐに終わるのでね』

女「…………」

?『話というのは、君たちのグループに所属している……ある男のことなんだ』

女「……なに……?」

?『……心当たりがあるようだね?』

女「ち、違う……そういうわけでは……」

?『私が『おめでとう』と言ったのは、議事堂を占拠できたことだけではない』

?『見事、作戦は成功したよ、女君』

女「え……?」

?『君たちの精鋭グループは、首相を確保した』

女「……ど、どこでそれを……?」

?『今、私が出る寸前のホテルでだよ』

女「私はまだそんな連絡を貰ってはいないッ!!」

?『しかし、確かな情報だ』

?『追って、君にも報告が届くことだろう』

?『ただ……その時に私はもう、ここにはいないがね』

女「…………」

女「……用件はなんだ?」

?『五年前、ある紛争地域から一人のアジア系の男が消えた』

女「な、何を……」

?『逃走兵など幾らでもいる。本来ならば、あまり気にも留めないことなんだがね』

?『……その時だけは、訳が違った』

?『男は、圧倒的な戦力と頭脳を持っていた』

?『ヤツの指揮ならば、倍の数の敵戦力も無意味だった』

女「……そ、そんな……」

?『しかし、その男が戦場から突然消えたのだよ……』

?『これは我々にとって大きな損失だった……いや、大きすぎた……』

?『そして我々は……ある結論に辿り着いた』

?『何度捜索しても死体は見つからない……いや、そもそも死んだという前提が間違っているのではないか?』

?『各国を探し求め……時間だけが過ぎた……』

?『何人もの同胞が死んでいった……』

?『そして、遂に……』

女「……ッ」

?『──この偏狭の地で、見つけてしまったのだ』

女「ち、違うっ!」

?『言うな、何も言うな。君には分かっているはずだ』

?『顔形は昔のものと違ったが……今の時代、変えることなど造作ない』

女「…………」

?『……長くなってしまった。次が電話の用件だ』

?『今、私の部下が二人の者を捕らえている』

女「……なっ」

?『一人は落ちぶれた一国の総理、もう一人は……』

?『──今作戦の指揮官、男という名の者だ』

?「わかっているな。わかっているなら例の場所で待つ」

男「くそ!なんということだ!!」

?「まさかあの時のあなたがあの男だとは…いまは男と名乗っていましたね」

男「…」(誰かと勘違いされてるのか?)

妹「久しぶりだね、あの時みたいに呼んでもいいよ」

男「!!」







妹はいつ出るんだ…

>>372
上手く繋げすぎwww

即興で書くか、適当に>>241に繋げるか迷った

妹分が不足してるんだ…

>>372
妹「思えば、わたしに気づかれずにあの部屋へ忍び込めた時に気づくべきだったね」

男「」ポカーン

妹「完全に周辺になじみ潜伏していたわたしをみつけ」

妹「セキュリティ、監視共に完璧だったあの部屋に、一切気づかれずに侵入した腕前」

妹「あのあと調べたけど、侵入された形跡は一切見つからなかったよ」

男「あれは、>>1の都合で!」

妹「メタ発言はダメ!」

男「…」ぐっ…

妹「そう、あの時に気づいてたら、こんなに厄介なことにはならなかったのに…」

男「…」
妹「…」
男「…」
妹「…」
男「…」
妹「…」

男「…おい」
妹「ごめん、セリフ忘れちゃった」

ごめん もうだまっとく④

>>377
またかwww
でも、悪くないんだ、これはこれで面白いから困る…

──???

?「──時刻までに用意しておくように」

女『お、おいっ……』

ピッ。

男「…………」

男(……一体、どうなってやがる……)

?「テープを剥がし、アイマスクも取ってやれ」

?「はっ」

男「……ぷはっ」

将官「どうだ? 自分の置かれた状況を理解したか?」

男「……どういうつもりだ……?」

将官「どういうつもりも何も、さきほど電話で話した通りだ」

男「……俺は、あんたの探している相手とは違う」

男「話せば幾らでも説明出来るはずだが……」

男「……一つだけ気に喰わないことがある」

将官「……それは?」

男「あんた、分かってるんだろ?」

男「──俺が求める相手ではないのを、さ」

将官「…………」

男「どうしてだ? 何故、気付いているのに騙し続ける?」

将官「ククッ」

男「笑ってないで、答えたらどうだ?」

将官「……いやはや、素晴らしい」

将官「困難に直面した時の発想の機転、部下からの厚い信頼」

将官「そして、優れた洞察力か。本当に、素晴らしいな」

男「…………」

将官「君の問いに答えよう」

将官「そうだ、その通りだ。私が探している者は、君ではない」

男「……ならば……」

将官「実はね、もう死んでしまったんだ」

男「──はっ?」

将官「彼女には死体が出なかったと言ったが、私は自分の目で確認している」

将官「私の目の前で、彼が吹き飛んだ光景をね」

男「……お、おい」

将官「しかし、仲間の士気を下げる訳にはいかなかった」

将官「それだけ、彼は我々にとって大きな存在だったんだよ」

将官「……そう、彼女たちにとっての君のようにね……」

男「…………違う」

将官「違わないさ。自分を過小評価するのは止めたまえ」

将官「今日の結果も、電話の彼女の狼狽ぶりもそれを証明して……」

男「──本当に違うんだっ!」

将官「…………」

男「お、俺は……ただ……」

男「自分の人生に嫌気がさしていて……」

男「いつも何事からも逃げ続けて……そんな自分が本当に嫌いで……」

男「なりゆきで、こんなことをしているが……」

男「あんたの考えているような人間では、決してない……」

男「は、はは……これを聞けばあんたも落胆するだろうよ……」

男「俺はな……初め、妹が欲しいとか馬鹿なこと考えて」

男「他人の家に忍び込んで……そして、捕まったのさ」

男「全ては……そこから始まった……」

男「そう、ただ運命に翻弄されてるだけなんだ……」

将官「…………」

男(……これで、もう馬鹿なことを考えないだろう……)

男(落胆のあまり、もしかしたら俺を殺すかもしれねぇな……)

男(……まあでも、それで終わりもいいか……)

男(人生のほんの少しだけだったが……女との日々は、とても充実していた……)

男「そういうことだ。俺は、あんた達の求めるような人間じゃない」

男「出来れば、首相だけでも確実に届けてくれ」

男「奴は……この国の未来のために必要なんだ」

将官「……ふむ」

将官「どうやら言っていることは真実のようだ」

将官「君の目からは、嘘偽りを言っているようには感じられなかった」

男「だろっ? なら……」

将官「──でも、いいじゃないか」

男「……は?」

将官「君の過去などには元々興味などない」

将官「大事なのは今で……そして、これからだ」

男「ま、待てっ」

将官「あいにく、我々に残された時間は少ないのだよ」

将官「相手は兵器という兵器を使って、我々を圧倒している」

将官「このままでは……潰滅させられるのもすぐだ」

男「……で、でもっ」

将官「頼む、とは言えない。フェアな取引をするつもりはないからだ」

将官「ただ、彼女が私の要求を飲めば、君たちが求める男は引き渡そう」

将官「君は……私と一緒に来てもらう」

男「…………」

男(な、なんてことだ……)

男(……ど、どうしてこんなことに……)

将官「よし、車に連れてけ」

部下「はっ」

男「……ッ」

バタンッ。

将官「予定通り、空港だ」

将官「長旅もこれで終わる……やっと故郷に帰れるぞ」

将官「そうだ、さきほど言っていたな……」

男「……なん……だ?」

将官「妹が欲しかったと」

男「……? ああ、そうだが……」

将官「残念なことに妹はいないが……」

将官「──今年で二十歳になる、私の娘がいる。自慢の娘だ」

男「……は?」

将官「君さえよければ、妹だと思ってくれればいい」

男「そ、そういうことじゃ……」

将官「では、向かおう」

将官「…………」

将官「この国に……幸あれ」

???

男「我が国の最大の権力者にして、我々最大の敵……」
男「──現内閣総理大臣だ」

男「出来れば、首相だけでも確実に届けてくれ」
男「奴は……この国の未来のために必要なんだ」

の繋がりを教えて・・・

──倉庫

女「…………」

女「……まだか……」

女「もう既に約束の時間を過ぎているぞ……」

女「…………」

女「……男……無事でいてくれ……」

トゥルトゥル。

女「……っ!」

女「もしもしっ!」

将官『すまない。少し連絡が遅れてしまった』

女「約束通り、こちらは十億用意したぞ」

女「お前も、男と首相を早くこちらに引き渡せ」

将官『……よくこの短時間で集められたな?』

女「当然だ、この国の未来がかかっているんだっ!」

女「お前にとってもこの金は軍備のために必要なんだろ?」

将官『ああ、そうだ。……とりあえず、北の出口に出てくれ』

女「北? 中で取引をするんじゃないのか?」

将官『まあいいから、こちらの指示に従ってくれればいい』

女「…………」

将官『本当に君一人で来たのか?』

女「勿論だ、余計な問題を引き起こしたくない」

将官『ふむ、懸命な判断だな』

女「歩いていけば、いいのか……?」

将官『ああ』

タン……タン……タン。

女「まだか……こちらからは海しか見えんぞ?」

将官『いいから、進みたまえ』

タン……タン……。

女「……倉庫から出たぞ」

将官『…………』

女「おいっ、どこもいないじゃないか」

女「約束と違うぞっ! 金ならこの通……」

──プツッ。

女「……切れた」

女「くそっ……どういうことだ……」

女「分からん……何が目的だ……?」

ザザッ……。

女「……近辺に人影は?」

部下C『見当たりません』

女「不審な車などあるか?」

部下C『出入りした車は一つもありませんでした』

女「…………」

女「……そうだ」

女「男たちと行動していた二人は見つかったか?」

部下C『まだのようです……』

女「……くそっ」

女「一体何がどうなってるん……」

クルっ……。

女「──へっ?」

女「…………」

女「……この男は……」

女「──首相?」

部下C『どうしました? 状況を伝えて下さい』

女「……わ、わからんが……」

女「……倉庫の裏の隅に……首相が……」

部下C『えっ? 見つかったのですか?』

女「……両手両足を縛られた状態で、気絶している」

女「…………」

女「……ま、まさか」

部下C『女さんっ! 今、連絡が入りましたっ!』

女「どうしたっ!?」

部下C『男さんと行動していた二人が、ホテルの一室で発見されました』

部下C『二人とも、手足を縛れて気絶したようです』

女「……首相と同じ……」

女「……お、男は?」

部下C『……ホテルにはいなかったようです』

女「……ああ」

女「そういうことか……」

部下C『……えっ?』

女「完全にやられた……」

部下C『どういうことですか?』

女「……囮だ。男を引き渡す気など、初めからなかったんだ……」

女「こんな単純なこと、何故気付かなかった……」

女「判断能力が鈍っていたのか……? 男が捕まったから……?」

女「……ああ」

女「……くそぉ……くそっくそっ……」

女「……ど、どうすれば……」

女「なんとかして……助けられないのか……?」

女「……あぁ、分からない……」

女「私には……もう……正常な判断が……できない……」

女「……お、男ぉ……」

女「……くっ……うっ」

……トゥルトゥル。

女「……うぅ……ああ……くぅ……」

……トゥルトゥル。

女「……っ」

ピッ。

女「……い、今は手が離せないから、後で折り返……」

男『……俺だ』

女「えっ……?」

自重します

──飛行機内

女『お、男かっ!? 今、どこにいるっ! 無事だったんだなっ!?』

男「……ああ……大丈夫だ」

女『すぐに迎えの者をやるっ! 場所を教えろっ!』

男「いいんだ……女、それより聞いてくれ」

女『何がいいものかっ! これから国民にTVで知らせねばならないっ!』

女『この国が本来あるべき民主主義の、第一歩を踏めたのだとっ!』

女『早く男が来ないと、いつまで経っても始められないぞっ!』

男「俺がいなくても、お前ならやれる」

女『な、何をわけがわからないことを言っている……?』

女『首相の安否を心配しているなら……奴は今、確保したぞ?』

女『電話の男は、どうやらお前を取り逃がし、パニックになったようだな』

女『これで防衛大臣との約束も果たした。軍は我々の味方となる』

男「……そうだな、アイツを国民の前でしっかりと裁いてやらなきゃいけない」

女『そのつもりだ。裁判でしっかりと悪事を暴かせるっ』

女『そのためにも、男、まだ私たちにはお前の力が必要だ』

女『……そして、私にとっても……な?』

男「…………」

女『どうした? 何故、何も言ってくれない?』

男「……す、すまない」

女『え?』

男「ここからは、お前と一緒にはいけない」

女『な、何を言ってるんだ……? け、契約したはずだろっ?』

女『あっ……ああっ! 報酬のことを心配しているんだなっ!?』

報酬は?

女『分かった、すぐにでも希望の額を……』

男「──違う。もう、終わったんだ」

女『なっ……』

男「国を変えるための手助けをする」

男「それが取り決めだ」

男「そして、今、それは叶った」

女『……ま、まだだっ……終わっていない……』

男「いいや、軍を味方にした時点で、全て片付いた」

男「見事、この国は変わる。君の手でな」

女『…………』

男「一つだけ心掛かりがあるとしたら……」

男「お前がこの国を指揮する姿を、一度だけでも見たかったな」

女『……それなら側にいてくれればいい……』

男「だが、俺はいかなきゃならない」

女『……っ』

男「逃げてきた戦地へ……もう一度、やり直さねばならない」

女『お、男ぉ……』

男「ありがとう」

男「君に逢えて……本当に良かった」

男「幸せだった……」

男「…………」

女『い、いやだ……やだ……』

男「……そして」

男「──本当にごめんな」

女『……あっ』

ピッ。

男「…………」

男「…………は」

男「……は、ははっ」

男「…………」

男「……く、くそっ」

将官「……電話は終わったか?」

男「……ああ」

将官「君が騙らずとも良かったのにな」

男「いや、こうするしかなかった……」

男「……俺が、さらわれたと知ったら……」

男「アイツはきっと、どこまででも追いかけてくれるはずだ……」

男「俺を救うために、それこそあんたのように、世界中を回ってな」

将官「…………」

男「でも……今、あの国にはアイツが必要なんだ」

男「誰かを引きつけるような……カリスマ的な存在がな……」

将官「確かに、彼女の演説は素晴らしいものだった」

男「は、はは……あの時から、もう忍び込んでたのか?」

将官「…………」

男「……ふー」

男(……また、全て失っちまった……)

男(少しだけ……幸せな未来を想像したのにな……)

男(まあ、俺には……似合わなかったんだろう……)

男(……次行くとこは、紛争地帯か……)

男(……俺……生きてけるかな……)

──飛行機内

男「…………」

男「ん……ああ、寝ちまったのか……」

男「…………」

男(女との夢……か……)

男(……ああ)

男(……やべぇ……涙出そうだ……)

男「……くっ……」

男「…………」

ガタンガタン……。

男(……ん? 揺れが激しいな……)

男(乱気流だろうか……)

ガタガタッ!

男「…………」

男(おい……まさかってことはないよな……)

男(……ってか、どれくらい寝てたんだろ……)

男(窓の外を見たいが……)

男(ちょうど座席は……真ん中なんだよな……)

男(この手足の縛りがなければ、なんとかいけるんだが……)

男「……って、あれ?」

男(あいつらはどこいった? 見張りは?)

男(……もしかして、逃げるチャンス……?)

男「……くっ」

……ミシッ。

男「……ッ」

男(駄目だ……腕力じゃ切れそうもない……)

男(何か使えそうなものは……)

男「…………」

男「……あった」

男(……この椅子の部分で擦り続ければ……)

男(頼む……切れてくれよ……)

──飛行機内 数分後

ブチッ……。

男「……よしっ」

男(これで、両手が使えるぞ……)

男(足のものも取ってしまおう)

男(…………)

男(……うし……OKだ)

男「…………」

トコトコトコ。

男「……海か……」

男「どこまで続くんだろうな……」

ガタガタッ。

男「……ッ……くそっ、揺れる……」

男「…………」

男「しかし……」

男(どうもおかしくないか……)

男(……機内が、あまりにも静か過ぎる……)

男(そして……)

男「……人の気配がない……」

男「…………」

男「…………」

男(……仕切りを開けてみるか……)

男(相手も銃は使わないだろう……何とか、倒せるといいが……)

男(一対複数か……かなり、無理があるな)

男「……が、やるしかねぇ」

男(……何故か、とてつもなく嫌な予感がする……)

男(…………)

男「……ッ」

ザザッ!

男「…………」

男「なっ……」

男「……だ、誰も、いない……?」

妹2「ただいまぁー……って、えっ……誰‥‥?」

男「やっ」

妹2「まさか、組織の」バッ

チャキッ

男「待った!ほら両手上げてるでしょ、だからその拳銃は下ろして」

妹2「あなたいったい誰よ」

将官「はっはっは、その辺にしときなさい妹2」

妹2「パパッ!」

将官「その男は、男と言って今日からお前の兄になる男だ」

妹2「わたしのお兄ちゃん?なにいって」

男「いや、でも 飛行機に一人取り残されたときは死んだと思いましたよ」

将官「はっはっは、それでも無傷でこうしている。さすが男、わたしが見込んだだけはある」

妹2「だれかわたしの質問に答えなさ~~~い!!!」



この>>1は妹分を焦らすのがうまいなwww
わたしは妹欠乏症で妹が出てくる妄想しか思い浮かばないよwww④

──飛行機内 数分後

男「…………」

男「……なんて、ことだ……」

男「パイロットまでいないじゃないか……」

男「ど、どうなってる……?」

男「……今は、自動操縦だから構わんが……」

男「着陸の時は……」

男「…………」

男「だ、だめだっ……頭を一旦、整理しよう……」

男「……まず……俺は、何時間寝てたんだ……」

男「時計……時計」

トコトコトコ。

男「──ん? ……止まってる」

男「…………」

男「ほ、他のを探そうっ」

バサバサッ……。

男「あっ……」

男「…………」

男「飲みかけのコーヒー……」

男「……まだ仄かに温かい……」

男「…………」

男「……ああ……これは……」

男「どこかで……見たことがある光景だ……」

男「……どこだ……どこで見た……?」

男「…………」

男「……ッ」

男「ま、まさか……」

男「神隠……」

──ガタン、ガタンッ!

男「う、うぉっ!」

男「ど、どうした!?」

ガタガタガタガタッ!

男「た、立ってられない……揺れる……ッ!」

ガタガタガタガタッ!

男「と、とにかく近くの席に……」

ウーウーウー!

男「緊急用のブザーかっ!?」

ガタガタガタガタッ!

男「…………」

男「お、おいおい……嘘だと言ってくれよ……」

ウーウーウー!

男「……マジで……?」

ガタガタガタガタッ!

男「こ、ここで終わり……?」

ガタガタガタガタッ!

ガタガタガタガタッ!

男「ああ……もう……」

男「…………誰か……」

ガタガタガタガタッ!
ガタガタガタガタッ!

ガタガタガタガタッ! ガタガタガタ……

──バァァァァァーンッ!!!!!!

>>448
なら俺はそんなお前に10万ジンバブエだ。

>>449
じゃあ俺はそのお前とは逆目に10万シシカバブだ

──海

男「…………」

男「かはっ……」

男「……っ……」

男「……い、生きてるのか……」

男「は、はは……運がいいのか、悪いのかわかんねぇよ……」

男「……ここは……一体……」

男「……とりあえず、機体から出ないとな……」

男「よいしょっ……って……」

男「──うっ……」

小銭でちまちまとwwwww

男「あっ……」

男「……足が……ッ……」

男「……これは……折れてるぞ……」

男「た、立てない……」

男「何か……杖のようなものはないか……?」

男「……ん」

男「……この鉄の棒を使うか……」

男「しかし、これ……一体どこの部品なんだろうか……」

男「もうぐちゃぐちゃでわかんねぇな……」

男「…………」

男「……これも持って行こう……」

トコ……トコ……トコ。

男「……あと、ここを登って……」

男「…………青空?」

男「……うわぁ……綺麗だなぁ……」

男「あれだけ天候が悪かったのに……今は、快晴か……」

男「墜落してから、かなりの時間……気絶してたのかもしれないな……」

男「しかし、沈まないということは浅部だな」

男「もう少し周りの景色が見たい……」

男「……うっし……そこを登ろう……」

男「……おっ」

男「あ、あれは……」

──島?

男「ふぅ……」

男「近くに……島があってよかった」

男「ただ……島にしては大きすぎるような……?」

男「まあどちらにせよ、人は住んでいるに違いない」

男「もしかして……大陸だったりしてな」

男「ははっ、そんなわけないか」

男「こんな場所にあるわけないもんな」

男「…………」

男「……でも、仮にそうだとしたら?」

男「……ハ、ハハ」

男「ま、まあ、いい。とりあえず、歩くしかない」

トコ……トコ……トコ。

男「しかし……」

トコ……トコ……トコ。

男「……熱いなぁ……」

男「南の国のどこかなのか……」

トコ……トコ……トコ。

男「おーいっ!」

男「誰かいないかーっ!」

トコ……トコ……トコ。

男「はぁ……はぁ……」

男「片足だと……歩くのもしんどいな……」

男「……誰か、見つけないと……」

トコ…………トコ…………。

男「…………」

男「……うぅ……」

バタンっ。

男「はぁ……はぁ……はぁ……」

男「もう駄目だ……動けない……」

男「これ以上は……無理だ……」

男「何で何も見つからない……」

男「……草木の中を、ただ無心に歩いてるだけじゃないか……」

男「もしかして……無人島だったりするのか……」

男「…………」

男「機体の上からは……何か尖ったものがみえたんだけどな……」

男「……あれは山だったか……しくったな……」

男「どうしよう……ああ……もう、いい」

男「今日は……ここで……休もう……」

男「……明日は……見つかるといいな……」

男「身体が……だるい……」

男「……おや、すみ……」

保守時間目安表 (休日用)

00:00-02:00 40分以内                   __
02:00-04:00 90分以内            _□.--‐<´ヽ`、
04:00-09:00 180分以内         ,.-"`: :.|___\  ヽ、_ノ
09:00-16:00 80分以内         /: : : :,ヽ、\/l`ヽ、  \
16:00-19:00 60分以内         /::/: :〆、 ,×l/:l : l : ̄ヘ<
19:00-00:00 30分以内       |/|: :/●  ●|_!_l_l=:-:‐i´

                  .,-、  |: :|@   @|::|=|: : : : l
保守時間の目安 (平日用)  ;|!:::::::`ヽ、|!_ ⌒  _/:/ : : : : : l
00:00-02:00 60分以内    |!:::::::::::::::::∥r:‐t-t//::ヽ, : : : : : l

02:00-04:00 120分以内     ヾー──'‐(::|×|:::ト==l: : : : : : l
04:00-09:00 210分以内       ./: : : : :ノ:|×|:::|:::::::|: : : :l : : l
09:00-16:00 120分以内      /: :/: : :._}=ェ==|:::::::::ゝ、: :l : : :l

16:00-19:00 60分以内      /: :/|:.__/:::/:/:/ヘ|:::::::::::ノ: : l: : : l
19:00-00:00 30分以内.     /: :/,|/_/_/_/_/∧_l_lエ´ヘ、:l l: : : l
                  /: :/ゝ、/_/_/_/_/_l_l_ヘ_ヘ_ヘ,.ゝl : : :|
                   ̄      .|:×|:×|      ̄ ̄
                         .ヽ_人_ノ

早く続きかけよもう待てない

>>497-498

>>503->>508
三村「これそういう話じゃねえから!」

                                `ヽ      _
                ,. --─.、             |       l `
            _/: : : : : : | : :',              ノ    / 、_) ヽ
         ,. ::/: : /: : : : : : : __|_ハ__         く

       , </::/: : ,': : : :_r‐「>┴┴┴`- 、____    l      ‐┼ l l
     ///: /: : :l: : : rl/´: : : : : : : : : : : : :`ヽ|: : ヽ   }    ( ̄`
    /:/  !:/: : : :l: : /: : : : : : : :/: : :/: : : : : \/l  く       ̄
    _|/__ノ/: : : :/: /: : : : : : : :/: : :/: : :/: :,ィ : :ハ|   ヽ   | ‐┼ >>514-520
   /:, '才: ::/: : : :/: ::l: : : : : : /: /: :/:\/: :///: : ∧   l.   レ  ノ
   |/  |: : : : : :ノ/: ::|: : : /ミ/|/|/: :/--<.ヽ/ //: : : : : :',   |
     l: : ::( ̄/: :_:ノ: : 〈{./ : :o |/{ヽ /:l})ト、//: : :/ : : : l  ノ    二7
     .}: : |ヽフ!:(ヽ: : : : /: : : :/ ゚ `U ー'三/イ/|∠!: : : : ! ヽ    ()_)
    <:__ノ  ヽ/ ∨: /|: ゚: ::/o   __ 三三/l)}|: :| :/  / 
       ,. -─- 、 ∨ .|: : /  ,. <:::::\  l `'oノ:/:/  /.    -/- ヽ
      /l     \|  |: /  ∧   `ヽ:::`7 /|/|/  く     / d、
    / .|      |\ |/ \ \\   l/ /:/o゚    |     ┃ ┃
   /      ',     ト、  .\ \>'´ _'/:/       ム‐- 、. ・ ・
          ',  / | ∧  /|_ヽ-- '"/: : :/o         |  __
           l /  !ヽハ 〈、ヽ`lヽ/イ/       __     レ´
           |/   \`|_)l `ト、|        _∠_ \--、
          / /|_    `卞、_}_ \     //ヽ \ \ l


>>527-531
男「くそっ・・・なぜばれたし!?」

追いつき④
>>将官「君の過去などには元々興味などない」
>>
>>将官「大事なのは今で……そして、これからだ」

かっこよすぎる

\   / .::::::::::::::::::::::::;;:;;::,ッ、::::::   )  く   ホ  す
  \ l  ,ッィrj,rf'"'"'"    lミ::::::: く   れ  モ  ま
     Y           ,!ミ::::::: ヽ  な  以  な
`ヽ、  |           くミ:::::::: ノ   い  外  い
     |、__  ャー--_ニゞ `i::::,rく   か  は
``''ー- ゝ、'l   ゙̄´彑,ヾ   }::;! ,ヘ.)  !  帰
      ゙ソ   """"´`     〉 L_      っ
      /          i  ,  /|    て    r
≡=- 〈´ ,,.._        i  't-'゙ | ,へ     ,r┘
,、yx=''" `ー{゙ _, -、    ;  l   レ'  ヽr、⌒ヽ'

        ゙、`--─゙      /!         `、
  _,,、-     ゙、 ー''    / ;           `、
-''"_,,、-''"    ゙、    /;;' ,'  /         、\
-''"    /   `ー─''ぐ;;;;' ,'  ノ      
   //    /     ヾ_、=ニ゙

──森

男「…………」

男「何もない……誰もいない」

男「一体……いつまで続くんだ……」

男「…………」

男「……腹が減ったな……」

男「何か食べたい……が、どうする?」

男「……木の実か果物でもあるといいなあ……」

男「…………」

トコ……トコ……トコ。

男「熱い……もう、きついぞ……」

男「喉も乾いたし……川を探すのが先決かもな……」

男「……ん?」

男「こ、これは……」

男(見たこともない果物だな……食べて、大丈夫だろうか?)

男「…………」

男「一か八か……」

もぐもぐ。

男「……おお、甘くてうまい……」

男「たくさん取っておくか。これからどうなるか分からないしな……」

男「よし、川を見つけたらそこで休みにしよう」

──数日後

ザザー……。

男「…………」

トコ……トコ……。

男「……ごほっ」

男「こほっ、こほっ」

男「……う……」

ザザー……ザザー……。

男「……雨、一向に止む気配がないな……こほっ」

男「っ……咳が止まらん……」

男「……うっ……ごほごほっ」

男「あぁ……ふらふらする……」

男「…………」

……ドスン。

男「ひとまず、座ろう……」

男「……これは、完全にやばいな……」

男「確実に熱がある……この状況でどうする……?」

男「正直、もうこれ以上動くのは危険だ……」

男「…………」

男(こんなに歩いたっていうのに、誰一人いない……)

男(進むスピードは遅いにしても……もう相当の距離は歩いたはず……)

男(……考えられるのは……)

男「……ここに、人は住んでいない……ってか」

男「…………」

ザザー……ザザー……。

男「……ああ……」

男「……一人で生きてけんのか……?」

男「話し相手もいない……そんな状況で、俺は……」

男「──こほっこほっ……!」

パタン……。

パタン……。

男「……はぁ……」

ザザー……ザザー……。

男「……なつかしいな……」

男(あの時もこうして、自分の部屋のベットで一人寝転がってた……)

男(……自らの人生に毒づいて、変わらない日々を憎んで……)

男(……毎日、生きている心地すらしなかった……)

男「……今は……どうなんだ?」

男「少しぐらい……マシな生き方をしているんだろうか……ごほっごほっ……」

男「…………」

男「だれか……」

男(……ああ、頭が……)

男「……だれでもいいから……返事してくれ……」

男(……だんだん……視界がぼやけてくる……)

男「……お、おれは……」

男(……これはもう……駄目だ……)

男「きちんと……」

男「……生きてる……か……?」

男「…………」

男(…………)

──ザザー……ザザー……。

どうなってんだ、これ

──森

トコトコ。

?「…………」

?「あれ……?」

?「……誰か倒れてる……?」

?「……大変……助けを呼んでこなきゃ……っ」

?「でも……この格好……」

男「…………」

?「…………」

?「……いいえ、詮索は後にしないとっ」

?「ちょっと待ってて下さいねっ!」

タッタッタ。

男(……ん? ここはどこだ……?)

男(…………)

男(……俺、あの後、どうなったんだろ……)

男(あっけなく死んじゃったりしてな……)

男(……じゃあ、ここは死後の世界だったりするのか……)

男(…………)

男(白いな……ただ、白い……)

男(……何もねぇし、誰一人もいない……)

男(……これが……死……?)

男(…………)

男(だったら、やめだ……)

男(俺は……こんな世界……っ)

男(…………)

男(……死にたくない……)

男(………まだ、俺は……)



──生きていたいっ!!


ガバッ。

男「……ッ」

男「……はぁ……はぁ……」

男「……生きてる……まだ、生きてる……」

ドクッ……ドクッ……。

男(心臓の鼓動が聞けて嬉しいと思うなんて……ホント、どうかしてる)

男(それでも今は……今だけは……)

男「…………」

男「……で、また、ここはどこだ?」

男「見るかに、人の家だが……」

男「…………」

……ガチャ。

男「……ん?」

?「あっ……目が覚めたんですね?」

男「…………」

男「……え、え?」

?「もうあんな場所で倒れているんで、死体かと思って心配したんですよ」

?「しかも高熱だったし……足も折れてて……」

男「……き、きみ……」

?「へ? どうかしましたか?」

男「…………」

?「何か言いたいことがあったら、遠慮せずにお願いしますね」

?「こういうときは助け合いです」

男「……失礼なことかもしれないが」

男「……一つだけ聞きたい」

?「はい、何なりと」

男「…………」

男「君の……その耳……」

男「──少し長過ぎやしないか……?」

エルフ「……え?」

まじで展開が読めねえ……

どうしてこうなった

>>568「まじで展開が読めねえ……」

>>569「どうしてこうなった」

エルフ「……え?」

>>575
おいww

──居間

エルフ「これで、よしっと」

男「……おぉ……」

エルフ「はいどうぞ。たくさん食べて下さいね」

エルフ「しっかりお腹に入れて、怪我や体調を早く治しましょう」

男「……本当にありがとう……感謝してもしきれない……」

エルフ「いいえ、気にしないで下さい。私の好きでやっていることですから」

男「しかし……こんな豪勢な食事……」

男「大きな負担になったりはしないか?」

エルフ「大丈夫です。この村、食料には何の不自由はしてないんですよ」

男「……そうなのか、ならいいが」

男(……ん? 今……)

男「村ってことは、他にも人が住んでるのか?」

エルフ「はい、私も含めて……二百人くらいかな?」

男「そ、そんなにいるのかっ!?」

エルフ「そうですね。村の規模の割には多くの者が住んでます」

男「じゃあ……」

エルフ「ちょっと待って」

男「へ?」

エルフ「質問は後で幾らでも聞きますから」

エルフ「その前に、まず……ね?」

男「……あ、ああ」

男(そうだな……焦る必要もないか……)

エルフ「冷めないうちにどうぞっ」

男「おう、頂くとするよ」

もぐもぐ。

男「…………」

男(こ、これは……)

エルフ「どうですか?」

男「……う、旨過ぎる……」

男「…………」

男(こ、これは……)

エルフ「どうですか?」

男「……う、旨過ぎる……」


勃起した

スネークの声が・・・

>>589
ってことは次辺りでもっと食わせろ!!って言うな

男「こんな旨い飯……初めてかもしれん……」

エルフ「良かった。その言葉だけでも、作りがいがありました」

エルフ「誰かが自分の料理を食べてる姿って……私とっても好きなんです」

もぐもぐ。

エルフ「おかわりもありますから、一杯食べて下さいね」

もぐもぐ。

男「ああ……ほれは何杯でもいけほうだな」

エルフ「もう、零してますよっ、ふふっ」

男「す、すまん、すまん」

男「…………」

男(しかし、どう見ても……)

エルフ「……?」

男(これは……物語とかで出てくる……エルフだよな……)

男(俺はもしかして……そういった世界に来ちまったのか……)

男(……ああ、どうしよ……)

エルフ「どうかしました?」

男「……んや、ちょっとね」

男「少し……考えていただけさ」

もぐもぐ。

エルフ「……そうですか」

もぐもぐ。

エルフ「……とりあえず」

エルフ「ご飯を食べ終わったら、外に出ましょう」

エルフ「私が、この村を案内します。楽しみにしてて下さいね」

──家の外

男「……ん?」

男「──う、うおっ……こんな……」

エルフ「どうですか、結構、住み易そうなところでしょ?」

男「いや……その……」

エルフ「え? どうかしました?」

男「……これは、あー、大丈夫なのか?」

エルフ「大丈夫とは?」

男「……家が……地面に落ちたり……」

エルフ「ああ、それは心配無用です」

男「そ、そうかっ」

エルフ「危なくなる前に、軋む音がしますから」

エルフ「それを聞いた時に、逃げ出せばいいんですよ」

男「…………」

男「へ?」

>>595
何という危険地帯www

──村

エルフ「説明すれば長くなるんですが……」

エルフ「基本、私たちはこうやって生活してます」

男「木の上に家を作るってか?」

エルフ「はい、こうして家と家を橋で結んでもいます」

男「……この橋は確かに頑丈だが……」

男「単純な話、下で暮らせばいいじゃないか」

エルフ「はぁ……でも、下だと大変なことになりますよ」

男「大変なことって?」

エルフ「…………」

エルフ「ええと、すごく気になってるんで、いいですか?」

男「おう、遠慮なく聞いてくれ」

エルフ「男さんって、この土地の人じゃないですよね?」

男「…………」

エルフ「森で見つけたときから、少し違うなって思ってたんです」

エルフ「それでもあんな場所に倒れていたから、訳ありの方なのかもしれないって……」

エルフ「……でも起きて話を聞いてみると、私の姿に驚いて……」

男「そうだな……」

エルフ「男さんは、一体どこから来たんです?」

男「………信じないと思うぞ」

エルフ「いいえ、話してみないと分からないですよ」

男「いや、この展開は……もう、何度も経験してるんだ」

男「……そして、みんな勘違いしていった……」

男「恐らく君も……そうだ」

エルフ「……はぁ、疑り深い人ですね」

男「俺の身になれば、きっと君もそうなる」

エルフ「もうっ! そんなこと言われたら、余計気になるじゃないですかっ!」

エルフ「とにかく、ほらっ……」

ギュッ……。

男「……なっ」

エルフ「私の目を見て……ね?」

男「あ、ああ……」

男(……綺麗な碧色の眼だな……)

エルフ「はい、どうぞ」

男「……どうぞって……何を?」

エルフ「さっき私が聞いたことですっ。眼を逸らさず言って下さいっ」

男「…………」

男「俺は……多分……」

男「──違う世界からやってきた……と思う……」

エルフ「…………」

男「……ほらな、やっぱり君も……」

エルフ「──……当たった……」

男「……は?」

エルフ「やった! やっぱりそうなんだっ!」

男「おい、おい……一体、どうし……」

エルフ「──ねぇ色々聞いていいですかっ!」

男「……あ、ああ」

男(なんだ……妙なはしゃぎっぷりだな……)

エルフ「男さんの世界には、私たちの姿の者はいないんですよね?」

男「そうだ。ただ、物語の中には出てきたりする」

エルフ「お話の世界ですか?」

男「ああ、魔法を使えたり、凄い寿命が長かったり……」

エルフ「へぇ……そうなんですか」

男「……実は、君も使えたりするのか?」

エルフ「え、何をです?」

男「魔法だよ。呪文を唱えて……みたいな」

エルフ「ふふっ、無理に決まってるじゃないですかっ。長生きもしませんよー」

男「そうか……やはり、違うんだな」

エルフ「ただ、恐らく男さんが驚くことが一つあります」

男「それは?」

エルフ「…………」

エルフ「実はね、私たち……」

エルフ「──女性しか、いないんですよ」

よーし男、お前は十分やった。
俺と代われ。

エルフ「実はね、私たち……」

エルフ「──女性しか、いないんですよ」


これは誘っているのか・・・?
しかし訳分からなくなってきたな・・・2スレ目行くぞ・・・!

──村

男(……た、確かに……)

通行人1「……じぃ」

通行人2「……じぃ」

男(すれ違った人にはガン見されてるな……)

男(……男性が彼女たちには珍しいのだろうか)

男(しかし、女だけでどうやって……)

男「…………」

男(……ま、まあ、あんまり聞くことでもないな)

男(……少し……いや、とっても気になるけどさっ)

エルフ「男さーん」

男「お、おうっ」

エルフ「さて、問題です。この建物は何でしょうか?」

男「……ん?」

男(見るからに大きいな……)

男(よくこんな建物を木の上に作れるもんだ……凄い技術だな……)

エルフ「どうです? 少し難しかったですか」

男(……大きさから考えるに)

男「ここは……村の集会をやるところだ」

男「建物の規模から考えても、多くの人が利用するところに違いない」

男「どうだ? 合ってるか?」

エルフ「……惜しいですっ」

エルフ「確かに、多くの者が集まるところではあります」

エルフ「でも、それは、ほとんどが子供たちなんですよね」

エルフ「もう、分かりましたか?」

男「…………」

男「……もしかして……」

男「──学校?」

通行人1「……じぃ」

通行人2「……じぃ」

じじいかとおもた

?「お兄いちゃ……お兄ちゃん!」

男「……えっ……誰……?」

妹「なに寝ぼけてるの?せっかく就職先決まったのに遅刻しちゃっていいの?」

男「……夢…だったのか…?」

トゥルトゥルトゥル

男「……ん、電話か……っ!?就職先からじゃん!?」



みたいな終わり方に100ペソ

保守時間目安表 (休日用)

00:00-02:00 40分以内                   __
02:00-04:00 90分以内            _□.--‐<´ヽ`、
04:00-09:00 180分以内         ,.-"`: :.|___\  ヽ、_ノ
09:00-16:00 80分以内         /: : : :,ヽ、\/l`ヽ、  \
16:00-19:00 60分以内         /::/: :〆、 ,×l/:l : l : ̄ヘ<
19:00-00:00 30分以内       |/|: :/●  ●|_!_l_l=:-:‐i´

                  .,-、  |: :|@   @|::|=|: : : : l
保守時間の目安 (平日用)  ;|!:::::::`ヽ、|!_ ⌒  _/:/ : : : : : l
00:00-02:00 60分以内    |!:::::::::::::::::∥r:‐t-t//::ヽ, : : : : : l

02:00-04:00 120分以内     ヾー──'‐(::|×|:::ト==l: : : : : : l
04:00-09:00 210分以内       ./: : : : :ノ:|×|:::|:::::::|: : : :l : : l
09:00-16:00 120分以内      /: :/: : :._}=ェ==|:::::::::ゝ、: :l : : :l

16:00-19:00 60分以内      /: :/|:.__/:::/:/:/ヘ|:::::::::::ノ: : l: : : l
19:00-00:00 30分以内. 

上のほうから一応コピペしとく

エルフ「見てみますか?」
男「お願いします」

……


エルフ「ここが学校です。あ、先生こんにちは。見学させてもらいますね」

妹「あ、エルフさんこんにちは……って、えっ……誰‥‥?」

男「!?」

エルフ「異世界からいらっしゃった男さんです」

妹「あ、はじめまして、妹です」ペコリ

男「」ぽかーん

妹「あ、それじゃ授業の続きをします!」
妹「わたしたちの種族エルフは女しか居ません。でも、子どもを作るには男が必要になります。今日は男との生殖についてお話します」

幼エルフ達「せんせー男って何?」

妹「んー…あ!それじゃ珍しく男の男さんがいらっしゃってるのでみんな実地で勉強しましょう」

男「はっ!なぜか気づいたら裸!?」

妹「それじゃ、先生がお手本を見せますね~」

つづかない④

──学校

子供1「わぁーっ! お姉さん、おはよー」

子供2「今日は何するのー? 私は体を動かすのがいいーっ」

子供3「ねぇねぇ、隣の人だれっ?」

エルフ「ほら、みんな。まずは席に座って」

子供たち「「はーいっ」」

男「……しかし、すごいな」

エルフ「ふふっ、みんな元気が有り余ってるんですよ」

男「君は……教師なのか?」

エルフ「教師というか、まとめ役……んー……」

エルフ「いい言葉が見つかりませんが、多分、違うと思います」

男「どういうことだ? 子供たちに物事を教えているんだろ?」

エルフ「はい。一般常識から、時には雑学など」

男「ならそれは、教師だと思うぞ」

エルフ「……んー……ちょっと違うんですよね……」

エルフ「なんていうか……その……」

エルフ「子供たちにとっての……姉、と言ったほうがいいかもしれません」

男「姉?」

エルフ「はい。時には甘えさせたり、でも、厳しくしたり……」

エルフ「良い意味での、遠慮のいらない関係って感じでしょうか」

男「…………」

男(……よく分からない……)

男(ここは学校なんだろ? なぜ、教師と言われることを否定する?)

男(自主的にやっているボランティアのようなものだからか?)

男(……んん、俺の世界と何か根本的に違うようだな………)

エルフ「はーいっ、ではみなさん」

エルフ「お早うございますっ」

子供たち「「おはようございますっ!」」

男(……まあ、考えていても仕方ないか……)

男(慣れていくしかない……この世界に……)

エルフ「今日は、みんなに是非紹介したい人がいます」

エルフ「みんなも、もう、気になっている人……いるよね?」

男(しかし……死ぬまでこの世界にいるのだろうか……?)

男(戻る方法があればいいが……多分……ないな……)

男「…………」

エルフ「こちらは……」

男(あーくそっ……難しいことを考えるのはやめやめっ……)

エルフ「──別世界からやって来た、男さんですっ!」

男「…………」

男「……って、え?」

──村

男「……はぁ……疲れた……」

エルフ「お疲れさまです」

男「あんなに質問攻めにされるなんて、聞いてないぞ……」

エルフ「ふふっ、でもみんな楽しそうでしたよ」

男「そりゃ、あいつらからしたら俺は生きる玩具だろ……」

男「……ペタペタと身体に触ってくるやつはいるし……」

男「かと思えば、相手にしてもらえなくて拗ねる奴もいる……」

エルフ「みんな男さんが気になるんですよ」

男「そんなに……俺は珍しいか?」

エルフ「はい、もちろんっ」

男「…………はぁ……」

男「ほんと……疲れた……」

エルフ「文句言いつつも、優しく接してくれてありがとうございます」

男「別に……そうしたつもりはない」

エルフ「いいえ、あの子たちは意外に人の心に敏感ですから」

エルフ「少しでも怖いと感じたら、あんなに仲良くはなれませんよ」

男「…………」

男(『絶対、また来てね』、か……)

エルフ「……それで、お疲れのところ申し訳ありませんが」

エルフ「……今日は、あと一つ、案内したいところがあるんです」

男「……ん? 今度は一体どこに連れていくんだ?」

エルフ「それは、着いてからのお楽しみです」

男「……これ以上、疲れるのは勘弁な……」

エルフ「大丈夫ですよ、その辺は安心して下さい」

エルフ「では行きましょう。ここから、すぐ側なんです」

トコ……トコ。

男「……しかし、天気悪いなぁ……」

エルフ「そうですね……霧まで出ちゃってますね……」

男「こっちはこういう気候が多いのか?」

エルフ「そうでもないんですが……最近は、じめじめしています」

男「……湿度高そうだな……」

トコ……トコ。

エルフ「そういえば、足の状態はどうですか?」

男「ん……以前変わらずだな。まだ……痛む」

エルフ「あとで家に帰ったら、治療しましょうね。私に任して下さい」

男「そうだ、そのことで聞きたいことが……」

エルフ「──あ、着きましたっ」

男「……ん?」

エルフ「ほらっ、ここですっ」

男「これは……」

エルフ「……どうですか?」

男「…………」

男(……先が尖った、三角の柱……)

男(……何かの碑だろうか……)

男「ほう……これは?」

エルフ「…………」

エルフ「……これですか?」

男「ああ……ちょっと、柵超えてもいいか?」

エルフ「えっ?」

トコ……トコ。

男「…………」

男(何で出来てんだ……?)

男(銀色だから、鉄……んー錆びるな。じゃあ、何だろう?)

エルフ「お、男さんっ」

男(……叩いてみるか)

ゴン……ゴンッ。

男「……ふむ」

男(わからん……が、確かに金属のようだ)

男(となると……精製できる技術はあるのか……)

エルフ「ちょっ、ちょっと駄目ですよっ!」

男「あー悪い悪い」

エルフ「もうっ……私、知りませんからね……」

男「で、これは一体なんなんだ?」

エルフ「……碑です」

男「それは分かるが、何の?」

エルフ「さぁ、私も分かりません」

男「…………」

エルフ「…………」

男「……謎掛け?」

エルフ「……違いますよ」

男「おいおい、そんなところに何で連れて来た?」

エルフ「他所の世界の男さんなら知ってるかなって……」

男「……知る訳ないだろ……」

エルフ「ですよね……すみません……」

男「……まぁいい」

エルフ「では、早く家に帰ってご飯にしますかっ」

男「おうっ……って、そのことだっ! 聞きたいことがある」

エルフ「はい、何でしょうか」

男「本当にいいのか? 俺が君のうちに厄介になってしまって……」

男「迷惑なら、出来るだけ早めに出て行こうと思うんだが……」

エルフ「別に大丈夫ですよ。男さんが嫌じゃなければ、ですね」

男「全くもってそんなことはない……とにかく、感謝の気持ちで一杯だ」

エルフ「なら、何の問題もありません。これからよろしくお願いしますね」

男「こちらこそっ、恩に着る」

エルフ「そうと決まれば、早く帰りましょう。私、ご飯の準備まだですし」

男「ああ……分かった」

男「しかし……」

男(何か……気になるな……)

保守時間目安表 (休日用)

00:00-02:00 40分以内                   __
02:00-04:00 90分以内            _□.--‐<´ヽ`、
04:00-09:00 180分以内         ,.-"`: :.|___\  ヽ、_ノ
09:00-16:00 80分以内         /: : : :,ヽ、\/l`ヽ、  \
16:00-19:00 60分以内         /::/: :〆、 ,×l/:l : l : ̄ヘ<
19:00-00:00 30分以内       |/|: :/●  ●|_!_l_l=:-:‐i´

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保守時間の目安 (平日用)  ;|!:::::::`ヽ、|!_ ⌒  _/:/ : : : : : l
00:00-02:00 60分以内    |!:::::::::::::::::∥r:‐t-t//::ヽ, : : : : : l

02:00-04:00 120分以内     ヾー──'‐(::|×|:::ト==l: : : : : : l
04:00-09:00 210分以内       ./: : : : :ノ:|×|:::|:::::::|: : : :l : : l
09:00-16:00 120分以内      /: :/: : :._}=ェ==|:::::::::ゝ、: :l : : :l

16:00-19:00 60分以内      /: :/|:.__/:::/:/:/ヘ|:::::::::::ノ: : l: : : l
19:00-00:00 30分以内.     /: :/,|/_/_/_/_/∧_l_lエ´ヘ、:l l: : : l
                  /: :/ゝ、/_/_/_/_/_l_l_ヘ_ヘ_ヘ,.ゝl : : :|
                   ̄      .|:×|:×|      ̄ ̄
                         .ヽ_人_ノ

──家

ガチャ。

エルフ「さっ、入って下さい」

男「……おじゃまします」

エルフ「……何ですかそれ?」

男「ん? こちらでは言わないのか?」

エルフ「はい、初めて聞きます」

男「そうだな、人ん家に入るときの挨拶みたいなものだ」

エルフ「へー、そっちの世界ではそんな風習があるんですか」

男「他にもあるぞ」

男「自分の家に入るときは『ただいま』」

エルフ「……ただいま」

男「そうそう、そんな感じ」

エルフ「なんか、気恥ずかしい気持ちになりますね」

男「ははっ、確かにそれはあるな」

男「あとな、逆に帰って来た者を迎える時は『おかえり』って言うんだ」

エルフ「『ただいま』と『おかえり』ですか」

エルフ「面白い習慣ですね」

男「まあ、そうかもしれん」

男「ちなみにこっちでは……」

?「──おかえり」

男「…………」

男「ん? 今、何か言ったか?」

エルフ「へ? 私ですか? 何も喋ったつもりはないですけど……」

男「…………」

男(確かに今……聞こえたよな……)

男(しかも、『おかえり』って……)

男「……俺の聞き間違いかもな……」

?「おい」

男「……え?」

?「こっちだよ、こっち。後ろ向け」

男「ええと……」

?「迎える時は、『おかえり』って言うんだろ? 違ったか?」

男「いや……そうだが……」

エルフ「あーっ親友じゃないですか!」

親友「よっ、遊びにきたぜっ」

男「…………」

男「……誰?」

──居間

親友「お前たちのこと、もう、凄い噂になってるぞ」

もぐもぐ。

エルフ「あーやっぱり、そうですか……」

もぐもぐ……。

親友「だったら何で、子供たちのところに連れてったりしたんだ?」

もぐ……もぐ……。

エルフ「子供たちにとって良い刺激になるかなーって」

……もぐ。

親友「その気持ちは分からなくもないが……」

……ピタッ。

親友「……じぃ」

男「…………」

男(……なんだ、なんだこの視線は……)

男(こんなに見られていたら、ろくに飯も食べられない……)

男(いっそ……こちらから話しかけてみるか)

男「ち、ちょっといいか……」

親友「……ん? 私に用か?」

男「君は、俺がどういう状況か知っているんだな?」

親友「まあ人聞きではあるけど、大体は」

男「……例えば?」

親友「見知らぬ世界から迷い込んだ男だとか」

親友「超能力を隠し持っているとか、実は、宇宙人かもしれないとか」

男(噂に尾ひれついてるーっ!)

エルフ「……んー、ちょっと違いますね」

男(いや、ちょっとじゃない……かなり違う……)

親友「そうなのか? 私はそれで、ここに来たようなもんなんだがな」

男「……エルフを心配してか?」

親友「勿論、それ以外に何かあるか?」

男「……ごもっとも」

エルフ「そんな……大丈夫ですよ。ほら、この通り」

親友「まだ決まったわけじゃないだろ? これから本性を見せるかもしれない」

エルフ「ちょっと失礼ですよ。男さん……ごめんなさい」

男「んや、別に構わない。ところで……」

親友「なんだ?」

男「君は俺のことで不信感を抱いているようだが、俺も君のことが分からない」

親友「…………」

男「出来れば、自己紹介してくれると有り難いな」

親友「……まあ、そうだな。確かに、一理ある」

親友「私は……」

エルフ「──小さい頃からの、親友兼幼なじみなんです」

──数時間後

親友「ん? もうこんな時間か……」

親友「では、そろそろ帰らせてもらおうかな」

エルフ「そんな……今日ぐらい泊まっていけばいいのに……」

親友「そうしたいのは山々なんだが……少しやらねばならないことがあってな」

エルフ「……そうですか」

親友「ああ、また来るよ。今日は色々な話が聞けたし、楽しかった」

エルフ「私もです。気軽にご飯でも食べに来て下さいね」

親友「うん。じゃあ、また」

男「…………」

親友「…………」

男(ん?)

親友「…………」

男(……そういうことか)

ガタンッ……。

エルフ「……あれ、男さん?」

男「ちょっと、親友を外まで見送ってくる」

親友「ひ弱なガードマンなどいらんぞ?」

男「ヤバいときには盾にでもなるさ」

親友「ふふっ、中々言うな」

エルフ「えっ? でも、足は大丈夫なんですか?」

男「リハビリもかねてな。それと、少し夜風に当たりたいんだ」

エルフ「……そうですか、早く帰って来て下さいね」

男「ああ、分かった」

親友「……男、見送るつもりなら、早く行くぞ」

男「おいっ、待て……」

遅れてすみません。

少しお待ちいただいた後、今日中に終わらせられますよう頑張ります。
このスレ内で完結したいので、少いレスでお願いします。
これ以降はageません。

また、猿よけのためにIDがコロコロ変わると思いますが、気にしないでください。
何卒、よろしくお願いします。

最悪の場合、ロダにてtxtファイルをあげようと思います。

最後に、本当に遅くなって申し訳ありませんでした。

*返答レスは不要です。

トコ……トコ。

男「…………」

親友「…………」

トコ……トコ。

男「……で、俺に話があるんだろ?」

親友「……ああ」

トコ……ピタッ……。

男「ん?」

親友「足は大丈夫なのか?」

男「まあ、この杖があるから歩くのはさほど難しくはない」

親友「そうか……早く治るといいな」

男「……おう、ありがとう」

親友「ん、別に……お礼を言われることでもない……」

トコ……トコ。

男「…………」

親友「…………」

男「おい、まさか話ってそれだけじゃないよな?」

親友「……ん、まあな」

男「それとも、切り出し難い話なのか?」

親友「…………」

男「……まだ、俺のこと信用出来ないか?」

親友「いや……話を聞いて、お前のことは大体理解した」

男「…………」

親友「嘘か本当かまでは私には分からないが……ただ」

親友「何か企んでいる、という様子じゃないのは確かだ」

男「……そうか、誤解が解けたなら良かった」

親友「…………」

親友「……聞いてもいいか?」

男「おう、構わないぞ」

親友「あの話……本当なのか?」

男「というと?」

親友「私たちが知らない、別の世界からやって来たって話」

男「ああ、本当だ」

男「こことは全く違う……そんな場所から辿り着いた」

親友「……なら」

男「ん?」

親友「頼みたいことがある」

男「…………」

男(何だ……急に真面目な顔して……)

親友「今日、ずっとお前を観察してた」

男「なっ……日中もか?」

親友「いや、そうじゃなくて……飯を食べている時だ」

男「ああ、そういうこと……」

親友「そのとき、一つ気付いたことがある」

男「……何だ?」

親友「……お前……」

親友「……実は、相当腕が立つ奴だろ?」

男「…………」

親友「身体もしっかり引き締まっているし、腕なんかもかなり太い」

親友「しかも……ところどころには、傷痕があるし……」

親友「……普通に生きているだけじゃ、そんな風にはならない」

男「…………」

男(女と過ごした数年間……)

男(生きていくためには身体を鍛えなければいけなかった……)

男(……時には、有り得ないような傷も負った……)

男(確かに、以前の俺とは……比べものにならないかもしれない)

親友「……だから思ったんだ」

親友「お前になら……ここにいないはずのお前なら……」

男「…………」

親友「……お願いだ」

親友「何かあったら……」

親友「──エルフを助けてやってくれ……」

男「……それは……」

男(……助ける? 何から?)

男「一体、どういうことだ……?」

親友「…………」

男「もしかして……」

男「……この村が、地面を避けて暮らしていることに関係しているのか?」

男(……前から疑問に思っていたことだ)

男(あえて、ここまでする理由は何だろう? 危険でもあるのか?)

親友「それは、違う」

男「……本当か?」

親友「私達が上で生活しているのは……」

親友「もう少し経つと、この一体が水浸しになることが原因だ」

男「水浸し?」

親友「ああ、雨がずっと降り続いてな。水位が上がっていく」

男「……そうなのか?」

親友「お前がここで暮らすつもりなら、そのうちやってくるよ」

男「……分かった」

親友「では……返事、聞かせてもらって良いか?」

男「エルフを守るって……話か?」

親友「ああ……お前に頼るしかない」

男「……理由は……」

親友「…………」

男(……どうやら、教えるつもりはないようだな)

男「……分かった」

男「それがどんなものか分からないが、力を尽くす」

親友「……あ、ありがとう」

男「いいんだ、俺も世話になってるしな」

親友「……本当に、頼んだぞ……」

男「…………」

保守時間目安表 (休日用)

00:00-02:00 40分以内                   __
02:00-04:00 90分以内            _□.--‐<´ヽ`、
04:00-09:00 180分以内         ,.-"`: :.|___\  ヽ、_ノ
09:00-16:00 80分以内         /: : : :,ヽ、\/l`ヽ、  \
16:00-19:00 60分以内         /::/: :〆、 ,×l/:l : l : ̄ヘ<
19:00-00:00 30分以内       |/|: :/●  ●|_!_l_l=:-:‐i´

                  .,-、  |: :|@   @|::|=|: : : : l
保守時間の目安 (平日用)  ;|!:::::::`ヽ、|!_ ⌒  _/:/ : : : : : l
00:00-02:00 60分以内    |!:::::::::::::::::∥r:‐t-t//::ヽ, : : : : : l

02:00-04:00 120分以内     ヾー──'‐(::|×|:::ト==l: : : : : : l
04:00-09:00 210分以内       ./: : : : :ノ:|×|:::|:::::::|: : : :l : : l
09:00-16:00 120分以内      /: :/: : :._}=ェ==|:::::::::ゝ、: :l : : :l

16:00-19:00 60分以内      /: :/|:.__/:::/:/:/ヘ|:::::::::::ノ: : l: : : l
19:00-00:00 30分以内.     /: :/,|/_/_/_/_/∧_l_lエ´ヘ、:l l: : : l
                  /: :/ゝ、/_/_/_/_/_l_l_ヘ_ヘ_ヘ,.ゝl : : :|
                   ̄      .|:×|:×|      ̄ ̄
                         .ヽ_人_ノ

現状を報告します。

今のところ順調に書き進めることが出来ているので、
今日のうちには終わらせられることと思います。
ただ完成には少々時間がかかるとおもいますので、
txtファイルのUPは深夜、或いは明け方になってしまいそうです。
本当に申し訳ありません。

とにかく、出来るだけ急いで頑張ります。

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