タマキ「イズルのお見舞いに行こう!」(80)

スルガ「そういえば、面会今日からだったな」

ケイ「そうね。きっと暇してるだろうから、何か持っていきましょう」ソワソワ

アンジュ「それでは、行く前に何処か寄りましょうか」

食堂への道


タマキ「私塩辛持ってく~」

スルガ「やめとけ」

ケイ「私はケーキを」

スルガ「それは勘弁」

ケイ「なんか言った?」キッ

アンジュ「私は何か、花を…」

スルガ「アンジュぅ~!お前だけだよまともなの!!」

アンジュ「え?」

タマキ「取り敢えず、朝ごはんが先なのら~」ピョコピョコ

スルガ「腹が減っては戦は出来ないからなぁ」

ケイ「行くのは戦じゃないわよ」

アンジュ「…あの、アサギさんは居ないんですか?」

スルガ「あぁ、アサギは部屋に居なかったんだよ」

ケイ「きっと先に朝食を取っているんだわ」

タマキ「アサギが塩辛を取ってなければいいけどぉ…」

スルガ「いや、それはないから」

タマキ「ほぇ?」

アンジュ「そうだったんで――」

アサギ「あ、お前ら今から朝食か?」

タマキ「アッサギぃ!おはよぅ!!」

アサギ「おはよう」

スルガ「おう」

ケイ「おはよう」

アサギ「おはようございます」

スルガ「お前先に飯食いに行ってたんじゃないのか?」

アサギ「いや、これからだ」

ケイ「部屋に居なかったから、てっきり先に行っていると思っていたわ」

アサギ「あ~…食堂行く前に、イズルのとこ行ってきたんだ」

アンジュ「イズルさんの所に…ですか?」

アサギ「どうせ暇してるだろうからな。絵を描く道具、持っていってやったんだ」

ケイ「…ふふ。もうすっかりお兄ちゃんね、アサギ」

アサギ「そうか?」

タマキ「もしかして、これから一緒に住んじゃう?」

アサギ「既にお前ら俺の部屋に入り浸ってるだろ」

タマキ「そだった」

スルガ「じゃあアサギはもう、見舞いに行かないのか?」

アサギ「見舞い?」

アンジュ「はい。今日から面会許可が降りるので、皆さんでお見舞いに行こうかと…」

アサギ「それなら、俺も行く。さっきは結局、イズルとも喋ってないしな」

スルガ「ん?なんでだ?」

アサギ「まだ寝てたし、これから検査もするって言っていたんだよ。だから、道具をルーラさんに預けて朝食に戻ってきたんだ」

スルガ「なるほどな~。検査って事は、暫く面会駄目ってことか」

タマキ「なら、それまでにお見舞いの品買うのら!」

アサギ「…フッ。変なの買うなよ?」

タマキ「買わないのら!」

ケイ「私は、ケーキにしようと思うの」

アサギ「やめてやれ」

ケイ「」ムスッ

タマキ「食堂についたのら!塩辛塩辛~♪」

スルガ「カレーカレー♪お姉さんお姉さん♪」

ケイ「私のケーキ…そんなに酷いかしら…」ブツブツ

カシュン

ケイ「あ」

アンジュ「あれは…」

アサギ「スズカゼ艦長…」

リン「」チーン

スルガ「完全に死んでやがる…」

シオン「しょうがないのよ」

スルガ「食堂のお姉さ~ん!」

シオン「おはよう、みんな!今日も何時もので平気?」

ケイ「はい」

タマキ「塩辛食べる!」

スルガ「お姉さんの作ったカレーならなんでも!」

アサギ「なんでもと言いつつ、カレー指定してんじゃねぇか」

アンジュ「あはは…」

アサギ「…えっと、艦長、どうしたんですか?」

シオン「もう前の大戦の後処理で、走り回ってるそうよ。ここに来たときも、ゾンビみたいだったわ」

アンジュ「あ…」

ケイ「そうだったんですか…」

アサギ「…俺達は、休んでていいのでしょうか?」

リン「当然よ。貴方たちは、前の大戦ではよくやってくれたわ」

アサギ「艦長!」

リン「あとシオン。さっきゾンビみたいって言っていたの、聞こえてたからね」

シオン「あらやだ!」

リン「…後で何か作ってもらうわよ」フッ…

シオン「はーい。あ、じゃあ私、朝食持ってくるわね!」パタパタ

アサギ「…あの、艦長…」

リン「アサギ、気にしなくていいのよ。ここからは私達の仕事なんだから。貴方たちは、前の大戦の疲れをしっかり癒しなさい」

アサギケイタマキスルガアンジュ「…はい!」

リン「…あ、あと確か、イズルの面会は今日からよね。貴方たち、面会には行くの?」ゴソゴソ

アサギ「はい、そのつもりですが…」

リン「じゃあこれ」

アサギ「飴…ですか?」

リン「…お疲れ様って言っておいてね」ニコッ

シオン「あぁ!!」

アサギケイタマキスルガアンジュリン「!」ビクッ

シオン「それイズル君にでしょ!…ちょっと待ってて!!」ダッ

アサギ「…」

シオン「お待たせ!これもお願い!!」

アサギ「…お弁当…」

シオン「イズル君、いっつも食が細いでしょ?こうなったら、いろいろ試そうと思って!どれか好きか聞いてきてもらえる?」

アサギ「はぁ…」

リン「じゃあ、頼むわね」コツコツ

カシュン

シオン「お願いね!」ダッ

アサギケイタマキスルガアンジュ「…」

タマキ「預かっちゃったのら」

アサギ「皆…面会するにも、面会する暇もないんだな」

スルガ「…そうだ!見舞いに行く前に皆のとこ寄っていかね?もしかしたら、こうして渡したいものあるかもしれねぇし!」

ケイ「…いいわね。きっとイズルも喜ぶわ」

アンジュ「けど、迷惑じゃないでしょうか…」

アサギ「その時は、すぐに帰ればいいだろ」

アンジュ「…そうですね」

スルガ「じゃ、決まりだな!飯食ったら、各々の見舞い品持って集合な!!」

アサギ「あぁ」
ケイ「えぇ」
タマキ「分かったのら~」
アンジュ「はい」

朝食後


スルガ「全員集まったな!」

アサギ「…」
ケイ「」ソワソワ
タマキ「はーい」ピョコピョコ
アンジュ「」ソワソワ

スルガ「ま ず は~…見舞い品が何か、発表しようぜ~!」

アサギ「なんでお前そんなに楽しそうなんだよ」

スルガ「こういうの見るの、楽しいじゃん!」ニシシ

アサギ「…俺は何も持ってきてないぞ。さっき持ってったし」

スルガ「なんだぁ。つまんねぇの」

タマキ「じゃあじゃあ!私から!!私はやっぱり、塩辛にしたなのら!!」

アサギ「塩辛かよ…」

スルガ「さっきやめとけって言ったのに…」

タマキ「なんでなのらぁ!!」プンプン

ケイ「…」チラッ

アサギ「ケイはやっぱりケーキなのか?」

ケイ「!」ギクッ

スルガ「止めといてやれって!それにほら!お姉さんのお弁当もあるし、そんなに食えねぇよ!」

ケイ「…それもそうね」ショボーン

アサギスルガ「」ホッ

スルガ「俺はやっぱり、グラビアのポスターをだな――」

アサギ「自分の部屋に貼れ」

スルガ「」ショボーン

アサギ「アンジュは?」

アンジュ「わ、私は…前回、盆栽を持っていったら、ケイさんに怒られたので…今回は花束を」

アサギ「よ、漸くまともな――」

アンジュ「菊の花束を!」バッ

アサギ「――…やっぱり、ザンネンだな…」

アンジュ「え?」

スルガ「仕方ねえよ…俺達だし…」

アンジュ「え?」

数十分後


アサギ「結局…俺が急遽選んだ花束か…」

スルガ「安定のアサギだな」

アサギ「なんだよそれ…」ムスッ

スルガ「誉めてるんだって!」ヘラヘラ

アサギ「嬉しくねぇ…」

アンジュ「まぁまぁ…」

タマキ「取り敢えず、どこ行くのら?」

ケイ「そうね…取り敢えず、ピットクルーの人たちかしら」

アンジュ「忙しくないのでしょうか…」

スルガ「また結構壊しちまったからなぁ」

アサギ「アンナなんかは、張り切ってたけどな」

スルガ「俺の兄貴達も…」アハハ…

アサギ「そういえば、BLACK6はどうしてるんだ?」

アンジュ「BLACK6は、レイカさんを中心に整備してもらってます。流石に、あそこまで消耗してると、私では精密に検査も見れないので…」

スルガ「なるほどなぁ…」

アサギ「じゃあ、ピットクルーの人たちは全員アッシュ整備室に居るんだろうな。行ってみるか」

本部 整備室


アサギケイタマキスルガアンジュ「」

レイカ「ちょっと!そこ何ちんたらしてるの!!」

アンナ「おい!ぶるーいちの部品持っていったのは誰なんだい!!」

マユ「あ、ごめん私達かも」

デガワ「間違いで 混乱招き ごめんなさい」

ダン「こんな時に読まないでください」

マリー「ホントにお嬢まで攻撃がとどかなくてよかったわぁ」

ロナ「イズル君を落とせなくて残念ね…」

ジェーン「だから落とすのは敵艦だって」

シンイチロウ「フン」シャカシャカ

シンジロウ「フンフン」シャカシャカ

シンザブロウ「フンフンフン」シャカシャカ

ディエゴ「アンナも張り切ってるなぁ」

マテオ「これはいい嫁さんになるかもしれんなぁ」

ディエゴ「えぇ!?まだアンナには早いと思います!」

ヒデユキ「お前ら!手が止まってるぞ!!筋肉が足りてないのか!?」ビシッ

ノリタダ「プロテイン飲め!!」ビシッ

タカシ「筋トレしろ!!」ビシッ

アサギケイタマキスルガアンジュ「…」

アサギ「忙しそうだな…」

スルガ「違うとこ行くか…」

レイカ「あ!アサギちゃん達じゃない!!」

アサギケイスルガタマキアンジュ「!」

ピットクルー「お~大戦お疲れ~」

アサギ「あ、こちらこそ…お疲れ様です」

レイカ「どうしたの?こんなところに」

アサギ「これから、イズルの見舞いに行くんです」

マユ「あ!今日からだったの!?」

ダン「あちゃぁ…忘れてましたね~」

レイカ「まぁ忙しいから、行ってる暇もないんだけどね~」アハハ

タマキ「だからあたしたちがお見舞いの品届けに行くのらぁ!」

ケイ「何かあれば、ですが…忙しいのでありませんよね。すみません、忙しい時に…」

レイカ「そんなことないわ。みんな、少し休憩を入れたかったところなのよ。丁度いい息抜きになるわ」ニコッ

ケイ「」ホッ

マユ「けどお見舞いのしなかぁ。何かありますか?」

デガワ「僕が読んだ俳句集が――」

ダン「やめてください」

マリー「う~ん…この間ケーキのレシピは買ったけど、それはお嬢の為だし…」

ジェーン「そこはやっぱり、お嬢を!」

ケイ「えぇ!?ちょ、何を!!///」

シンイチロウ「アニメのビデオならあるが…」

アンジュ「ヒーローものなら、喜ぶかもしれませんね」

シンジロウ「ほのぼの萌え系だ」

スルガ「ど、どうなんだろうな…」

シンザブロウ「仕方ない…観賞用、保存用、実用用、布教用があるから、一つをやろう」

スルガ「実用用って何!?」

ヒデユキ「我々からは、筋トレグッズを――!」

アサギ「相手はけが人です」

アンナ「う~ん、なにかあったかな…あ!アサギ用の胃薬ならあるぞ!!」

スルガ「いや、なんでここにもあるんだよ…」

アンナ「アサギが忘れて足引っ張っちまったら、ぶるーいちも浮かばれねぇしな!」

アサギ「んなことしねぇよ!!」

レイカ「う~ん、そうね…。私には秘蔵酒ぐらいしか――」

ピットクルー「」

レイカ「」ハッ

マユ「おやっさん!もしかしてもしかしなくてもこのくそ忙しい時に密かに飲むつもりですね!?」

マリー「私達だってお酒飲みたいのに!!」

レイカ「ダメよこれは私の燃料なんだから!!」

マテオ「ワシらにも別けろぉぉ!!」

ワイワイガヤガヤ

アンナ「あ、アロマオイル入れるペンダントもあるぞ!」

アサギ「あぁ…うん、ありがとう…」




アサギ「結局、預かったのはアニメのビデオだけか…」

スルガ「まさか、まともなのくれるとは思わなかった人物からの品物だな」

アンジュ「…」

アサギ「…アンジュ?どうしたんだ?」

アンジュ「あ、いえ…賑やかだな、と思いまして…」

スルガ「BLACK6には、ピットクルー必要ないもんな」

アンジュ「えぇ。私は、一人の方が気が楽なので、今のままでも十分ですが、さっきのを見て…少し、羨ましいですね」

タマキ「…アンジュには私たちが居るのらぁ!」ギュッ

アンジュ「わ!」

ケイ「そうね」フフ

スルガ「全く…今更だな!アンジュ。最近なんか、アンジュもよくアサギの部屋来るじゃん!」

アンジュ「えっと、それは――」

アサギ「ホント…もうすっかり、俺の部屋が集合場所になったよな…お前ら」

タマキ「いい匂いがするから、落ち着くのら」

スルガ「眺めもいいしな」

アサギ「まったく…勝手にしろ」ハァ…

アンジュ「――…ありがとうございます」ニコッ

タマキ「ふふ~ん」ニコニコ

スルガ「次はどこ行く?」

タマキ「はいは~い!ジュリアーノ様とジークフリート様のとこがいいと思うのら!!」

ケイ「それはタマキが会いたいからでしょ?」

タマキ「あ、ばれちゃったのらぁ」テヘ

アサギ「まぁ、どこにいるか大体予想が出来る人から攻めて行けばいいだろ」

スルガ「ジュリアーノさん達だと、ゴディニオンに居るんじゃないか?」

アンジュ「ゴディニオンも修理や調整に出てると思うので、ここから近いですし、いいんじゃないですか?」

タマキ「やったぁ!じゃあ早速行くのら!!」

ゴディニオン モニター室


カシュン

タマキ「こんにちは~」

ジュリアーノ「ん?やぁ、子猫ちゃんたちじゃないか。こんにちは」ニコッ

ジークフリート「こんにちは」ニコッ

アサギ「失礼します。今、忙しいでしょうか?」

ジークフリート「どうしたんだい?」

アサギ「大した用ではないので…忙しければ、我々も退室します」

ジュリアーノ「…どうだい?休憩にコーヒーを一杯」

ジークフリート「そうだな…。ずっとモニターと睨めっこをして疲れていたところだ。君たちもどうだい?」

アサギ「ありがとうございます」

タマキ「ありがとうございます!」メロメロ

コーヒーブレイク


ジュリアーノ「なるほど、イズル君のお見舞いに、ね…」

ジークフリート「では、我々からはこれを…」スッ

タマキ「…パンフレット?」

ジークフリート「前回、イズル君とどこか行こうって約束をしてね」

ジュリアーノ「その候補のパンフレットだよ。君たちで相談して、どこに行きたいか決めておいてね」ニコッ

タマキ「私達もいいのら!?」

ジュリアーノ「もちろん」

ケイ「そんな…迷惑なんじゃ…」

ジュリアーノ「そんなことないよ。旅行は皆で行った方が楽しいだろ?」

ジークフリート「それに、君たちがしっかり者ばかりだ。逆に、ジュリアーノが迷惑をかけるかもな」

ジュリアーノ「お前なぁ…」

ジークフリート「本当の事だろ?」

スルガ「こ、これ!どこでもいいんスか!?」

ジークフリート「あぁ。因みに、ドイツなら私が、イタリアならジュリアーノが案内できるぞ」

ジュリアーノ「僕のおすすめは、やっぱりリヴォルノかな」

スルガ「うっひょー!どこにしようかな~!?」

アサギ「あの、ありがとうございます」

ジュリアーノ「そんなに固くならなくていいんだよ。…アンジュ君も」

アンジュ「あ…」

ジュリアーノ「僕達も、君たちと仲良くなりたいんだ。サポーターではなく、一人の友人として…ね?」

アンジュ「…はい」

タマキ「アンジュアンジュ!アンジュはどこがいいと思うのら?」

アンジュ「私が…ですか?」

スルガ「俺はここがいいかな~。…美人なお姉さんも多いし!」

ケイ「私はここね…。おいしいお菓子で有名なの」

アサギ「お前ら…ここで選ぶんじゃなくてイズルのとこで選べよ…」

ジュリアーノ「ふふ、ゆっくり選んでね」

ジークフリート「我々も、楽しみにしてるよ」




タマキ「ジュリアーノ様とジークフリート様は、今日も素敵だったのらぁ」メロメロ

アンジュ「とても気さくで、いい人ですね」

ケイ「えぇ。私達の事も、しっかり気にかけてくれているし…」

スルガ「優しい人たちだよな!」

アサギ「お前たちは、はしゃぎ過ぎだ」

タマキ「だって楽しみなんだもん。アサギはどこに行きたい?」ニコニコ

アサギ「え、俺か?…俺はゆっくり出来るとこならどこでもいいよ」

タマキ「なんかおじさんくさ~い」

アサギ「なんだと!?」

スルガ「さて、次はどうする?」

ケイ「ここからだと、どこが近いかしら…」

アンジュ「そうですね…ここからだと、アマネ大佐のところが近いですね」

アサギ「アマネ大佐はな…――」

指令室前


ジョン「ごめんね。アマネ大佐、今手が離せないんだ」

アサギ「ですよね~」

ジョン「う~ん…一応一言声をかけてみるね」

アサギ「お忙しいのに、すみません」

ジョン「いいっていいって。君たちには何度も救われてるから、これぐらいはね。じゃあ、少し待っててね」

アサギ「ありがとうございます」

カシュン

アンジュ「…やっぱり、忙しいんですね」

スルガ「テレビのインタビューだけでも、引っ張りだこだもんな」

タマキ「今日の朝も見たのら」

ケイ「それだけじゃないわ。他にも、大戦の後処理、各国への対応、他にも対応しなきゃならない物もあるだろうし…」

アサギ「今回の作戦は、アマネ大佐が指揮だったからな…たぶん、一番忙しいよな…」

カシュン

アサギ「!?」

コミネ「む、君たちは…」

アサギ「コミネ大佐!?お、お疲れ様です!」バッ

コミネ「確か、チーム…チーム…」

アサギ「チームラビッツです…」

コミネ「そう!チームラビッツではないか!こんなところに、何の様だ」

アサギ「アマネ大佐に会いたいと思い…」

コミネ「ほう…」ジー…

アサギ「…」

コミネ「むむ…」ジー…

スルガ「あ、あの…なんでしょうか…」

コミネ「みすぼらしい…実にみすぼらしい!何だその恰好は!」

アサギ「は、はぁ…」

コミネ「君たちは、休養が終わったらインタビューに出てもらうんだぞ?そんな恰好でどうする!?」

スルガ「さいですか…」

コミネ「そんなことだろうと思って、私がこれを用意した。これで身だしなみを整えたまえ!」

アサギ「あ、ありがとうございます…」

コミネ「RED5の操縦者にも渡しておきたまえ!」

スルガ「わ、わかりました…」

コミネ「うむ。…ハッハ!送る手間が省けたわい!」スタスタ…

アサギ「」ポカーン

ケイ「…なんだったのかしら」

スルガ「…ちゃんと6個あるぜ…」

タマキ「何をもらったのら?」

スルガ「」ビリビリ

アンジュ「…櫛?」

カシュン

ジョン「あ、君たち」

アサギ「は、はいぃ!?」ビクッ

ジョン「?どうしたんだい?」

アサギ「…なんでもありませえん…」

ジョン「?まぁ、それならいいんだけど…」

アサギ「あの、アマネ大佐はなんと…」

ジョン「少しの時間なら、平気だって」

指令室


アマネ「――だからそれは!…はい、…はい。…また後で連絡します」

アサギ「アマネ大佐」

アマネ「チームラビッツの皆、お疲れ様。ごめんなさい、慌ただしくて」

アサギ「いえ、お時間頂き、ありがとうございます」

アマネ「ふふ、いいのよ」

アサギ「あ…コーヒー、入れましょうか?」

アマネ「あ、ありがとう。お願い」

アサギ「はい」トポトポ

アマネ「それで、どうしたの?わたしに何か用?」

タマキ「あたしたち、これからイズルのお見舞いに行くのら」

スルガ「それで、イズルに渡したいものがあれば、俺達が届けようと思い、こうして皆のところに周っているんです」

アマネ「そういえば、今日からだったのね。イズル君の面会は」

アサギ「どうぞ」

アマネ「ありがとう。…ごめんなさい、用意する暇もなかったから、私からはないわ」

ケイ「いえ、こんなに忙しいんですから、当然です。時間を割いていただき、ありがとうございます」

アマネ「そうね…伝言でもいいかしら?」

アンジュ「伝言…ですか?」

アマネ「えぇ、“チームラビッツのおかげで、ゲートを破壊することができたわ。ありがとう”って」

アサギ「…」

アマネ「もちろん、貴方たちもね。…いつも、最前線で戦わせてしまって、申し訳なく思ってるわ」

アサギ「…いえ、それが我々の役目です」

アマネ「…そうね。だから、とても頼もしかったわ。あなた達なら、きっとやり遂げてくれるって…信じてたから。だからゲートを破壊するできた」

アサギ「それは、僕らだけの力じゃありません。
アマネ大佐の指揮やシモン司令の援護、ゴディニオンのサポートやピットクルーの皆さん、増援に来たチャンドラさんや量産型アッシュ…他にも、たくさんの協力があったからこその勝利です」

アマネ「…そう言ってくれると、嬉しいわ」

スルガ「アマネ大佐も、大戦で疲れてるんですから!無茶はしないでください」ニシシ

アマネ「ふふ、心配してくれてありがとう。けど、大丈夫よ。私は結構タフだから」

ケイ「…そろそろ、行きましょう。いつまでもここに居たら、迷惑だろうから…」

タマキ「もし、何かあったらいつでも声かけるのら!」

アンジュ「私達が出来ることなら、いつでもお手伝いします」

アンナ「そうね。その時は、お願いするわ」

アサギ「それでは、失礼します」

アマネ「…本当に、貴方たちが生きて帰ってきてくれて、よかったわ」

アサギケイスルガタマキアンジュ「…」

アマネ「…ありがとう…」ニコッ




スルガ「ほんと、アマネ大佐は俺達の事気にかけてるんだな」

ケイ「本当に…ひしひしと伝わってきたわ」

アサギ「俺達だけじゃない。他の戦艦や、パイロットも気にかけてる」

スルガ「何度も自分の戦艦で特攻しようとしてたもんな」

タマキ「守れてよかったのら」

ケイ「そうね…あ、ペコさん」

アンジュ「お電話中ですね…」

スルガ「丁度いい、電話が終わったら話しかけてみようぜ」

ペコ「だからまだ無理だって言ってるでしょうがぁぁぁ!!」

アサギケイスルガタマキケイ「」ビクッ

ペコ「…もし強行しようとしたら分かってますか…放送権無くしますよ?」キラーン

スルガ「あ、悪い顔だ…」ボソッ

ペコ「えぇ、えぇ…準備が出来たのなら、こちらから連絡します…いいですか?パパラッチもダメですよ?いいですね!」ピッ

ペコ「ふぅ…」

アサギ「ペ、ペコさん…」

ペコ「あ、みなさ~ん。聞きましたよ!イズルさんに渡すお見舞いの品を預かって周っているって」

スルガ「情報はぇ~」

ペコ「皆さんの身の回りの管理も、私の仕事ですから~」

ケイ「…いつもお世話になってます」

ペコ「いえいえ、つい先ほど用意したんですよ。いやぁ、タイミングが合ってよかったです」

スルガ「準備はぇ~」

ペコ「これぐらいは、朝飯前ですよ~」

アサギ「恐れ入ります…」

ペコ「私からはこれです。図書カード。イズルさんは漫画が好きですからね。
イズルさんが居る病院には本屋も入っていた筈ですから、これで好きな漫画でも買って羽を伸ばしてくださいって、伝えといてください」

アンジュ「分かり、ました」

ペコ「それでは、私はまだ仕事が残っているので、皆さん、道中は気を付けて~」スタスタスタ…

スルガ「…すげぇ…文句の付けどころがねぇ…」

タマキ「かっこよかったのら…」

アサギ「ペコさんって、すごい人だったんだな…」

ケイスルガタマキアンジュ「…うん」




スルガ「あとは…チャンドラさんぐらいかな?」

アンジュ「チャンドラさんなら、学園にいると言ってました」

スルガ「学園かぁ。…そういや、学園はどうするんだろうな。一応、ウルガルに勝ったんだろ?」

ケイ「もともと、MJP機関は宇宙での生存に適応する人類を申請するために発足した機関だわ。目的が戻るんじゃないかしら?」

アサギ「それに、兵士も教養し続けるだろ。まだウルガルが全滅したと確認されていない以上、対抗する術を放棄することはないんじゃないか?」

スルガ「それもそうか」

タマキ「あんまり、あたし達の時と変わらないのら」

アサギ「そうだな。ただ、量産型アッシュが完成したから、それを重点に置いて訓練するんじゃないか?」

アンジュ「練習機とは、少し操作の感覚が違いますからね」

タマキ「ふ~ん、そうなんだぁ」

スルガ「じゃあ、取り敢えず学園行くか」

グランツェーレ都市学園 校庭


スルガ「チャンドラさ~ん!」

チャンドラ「ん?…チームラビッツじゃないか。どうしたんだい?」

タマキ「イズルのお見舞いに行くのら!」

ケイ「それで、もし渡したいものや伝言があれば、預かろうと思いまして…」

アンジュ「皆さん、忙しそうなので、少しでもお力になれればと思いまして」

チャンドラ「そうか。今日からだったね、面会は」

アサギ「はい」

チャンドラ「そうだな…我々からは――」

モブ「あ、チームザンネンじゃねぇか」

モブ「本当だ!久しぶりじゃない!!」

モブ「ヘブンズゲートではお疲れ~」

アサギ「!お前ら!?」ウゲッ

モブ「アサギのその顔見るのも久しぶりだな」ヘラヘラ

モブ「ちょっとは頼むしくなったのかなって思ったけど、相変わらずね」ケラケラ

アサギ「なんだと!?」クワッ

スルガ「アサギィ!どうどう」

アサギ「…チッ」

チャンドラ「…フッ。これから、イズルの見舞いに行くそうだ。見舞いの品を届けてくれるらしい。たしか、用意してたよな?」

アサギケイスルガタマキアンジュ「!?」

モブ「ちょ!先輩!!バラさないで下さいよ!!」アセアセ

チャンドラ「ついでだから、届けてもらってもらいなさい。チームラビッツが療養中の今、君たちが主戦力なんだ。何が起きても対応できるよう、私が鍛えるのだからな。訓練に、暇はないぞ?」

モブ「チャンドラ先輩、厳しー」

モブ「けど、それもそうね。私、取ってくる」ダッ

アンジュ「あの、私も一緒に訓練した方がいいんでしょうか?」

チャンドラ「アンジュは十分、戦力になっている。…しかし、もう少し共闘を覚えなさい」

アンジュ「…精進します」

モブ「はいは~い、持ってきたよ!」

モブ「これ、千羽鶴と色紙」ハイッ

アサギ「おい…真ん中の字って…」

スルガ「チームザンネン…」

モブ「その方が、お前ららしいだろ?」

アサギケイスルガタマキアンジュ「…」

モブ「はいは~い、持ってきたよ!」

モブ「これ、千羽鶴と色紙」ハイッ

アサギ「おい…真ん中の字って…」

スルガ「チームザンネン…」

モブ「その方が、お前ららしいだろ?」

アサギケイスルガタマキアンジュ「…」

病院 廊下


スルガ「だいぶ預かったな~」

アサギ「時間も結構経っちまったな」

ケイ「イズルは起きてるかしら」

アサギ「絵でも描いてるんじゃないか?」

タマキ「ありそ~」

アンジュ「暇があれば、いつも描いてますからね」

スルガ「あと、シモン司令やテオーリアさんのとこにも行きたかったな」

タマキ「ダニール様に会いたかったのら…」

ケイ「仕方ないわ。あの人たちが居るのは、関係者以外立ち入り禁止なんだから」

タマキ「む~…」ムスッ

アサギ「あ…」

アンジュ「シモン司令…」

シモン「…」

スルガ「シ、シモン司令!シモン司令も、イズルのお見舞いですか?」

シモン「いや、定期検査をしに来た。これから戻るところだ」

スルガ「ど、どうですか?シモン司令もイズルのお見舞いに…」

シモン「いや、遠慮しとこう」

スルガ「そうですよね~」

シモン「…“ヘヴンズゲートではよくやった。ゆっくり、療養しておくように”と伝えといてくれ」

スルガ「は、はいっ!」

シモン「君たちもだ。…本当に、よくやった」

ケイスルガタマキアンジュ「ありがとうございます!」バッ

アサギ「…」

スルガ「…アサギ?」

アサギ「…悪いが、さきイズルのとこ行っといてくれ」

タマキ「どうしたのら?」

アサギ「少し、シモン司令と話したいことがあるんだ」

ケイ「…行きましょう」コツコツ

タマキ「アサギ、あとでね~」コツコツ

アサギ「あぁ」

シモン「…」

アサギ「…すみませんでした」

シモン「…」

アサギ「結局、イズルを戦場に出してしまいました。守ると誓ったのに…俺の力が、足りなかったばかりに…」

シモン「…アサギ、顔を上げなさい」

アサギ「…」

シモン「チームラビッツは、RED5が居ない状態でも十二分に活躍した。軍団長の一人を倒し、ビーコンを打ち込むことに成功した。
むしろ、我々が高エネルギー障壁を予想していなかったのが敗因だ。…悪かった」

アサギ「…」

シモン「?…どうした?」

アサギ「いえ…司令は、意外と優しいんですね」

シモン「…」

アサギ「!す、すみません。口が過ぎました…」

シモン「いや、気にすることはない…」

アサギ「…今回の大戦で、司令の事、いろいろわかった気がします」

シモン「…」

アサギ「前回、教官を進めたり、イズルに待機命令を下したりしたのは、司令の優しさからだったんですね」

シモン「…」

アサギ「そして、意外なほど一人で無茶をする。…そういうところ、イズルにそっくりです」

シモン「!?」

アサギ「やっぱり、遺伝子を受け継いでるんですね。…俺は――」

シモン「…アサギも、似ている」

アサギ「え?」

シモン「いや、私ではなく、もう一人の…」

アサギ「…」

ルーラ「あ、アサギ君。それに、司令」

アサギ「!ルーラさん」

ルーラ「…司令、先程確認したこと、よろしいでしょうか?」

シモン「」コクン

アサギ「?どうしたんですか?」

ルーラ「アサギ君は、イズル君の遺伝子提供者について知ってるって伺ったわ」

アサギ「はい…それがどうしたんですか?」

ルーラ「大戦の前、イズル君の体調が優れなかったのは、恐らく、ウルガルの遺伝子のせいだわ」

アサギ「!…やっぱり、そうだったんですね…。あの、イズルは大丈夫なんでしょうか?」

ルーラ「今はとても安定しているわ。…アッシュを使いこなしたことが影響してるのかもしれないわね。このまま行けば、退院も近いわ」

アサギ「…よかった…」ホッ

ルーラ「けど、アサギ君にお願いしたいことがあるの」

アサギ「俺に…ですか?」

ルーラ「アサギ君に、イズル君のフォローをお願いしたいの」

アサギ「!?」

ルーラ「もちろん、こっちでもサポートはするわ。けれど、私達も常に一緒に居るわけにもいかないから…、その時は、アサギ君にお願いしたいの」

アサギ「…」

ルーラ「まだ完全には解決はしていないから、またいつ体調を崩すかわからないの。
私達も、早急に解決できるよう尽力するわ。ただそれまでは、やっぱり気を付けることしかできないの」

アサギ「…」

ルーラ「遺伝子提供者を知っている、アサギ君にしか頼めないの。お願いできる?」

アサギ「…」

アサギ「」クルッ

シモン「…」

アサギ「今度こそ、守ります!」

シモン「…」

アサギ「ルーラさん、任せてください。俺がなんとかします」

ルーラ「…ありがとう」

アサギ「それでは、失礼します」スタスタ…

テオーリア「…頼もしいお兄ちゃんですね」スッ

ルーラ「テオーリア皇女…」

シモン「…えぇ、立派になりました」

ルーラ「…いいんですか?二人とも、イズル君に会わなくて…」

シモン「体調は良好ならば、それでいい」

テオーリア「そうですね。…元気でいてくれれば、私も満足です」

ルーラ「…」

テオーリア「また何か、協力できることがあれば、呼んでください。彼らが幸せになれるのなら、いくらでも協力します」

ルーラ「ありがとうございます」

病室前


アサギ「…」

コンコン

アサギ「入るぞ」

カシュン

イズル「アサギお兄ちゃん!」

アサギ「だからその呼び方やめろ!!」

イズル「え~、いいと思うんだけどなぁ…」

スルガ「おう、アサギ。話長かったな~」

アサギ「あぁ…少しな」

ケイ「…」

タマキ「品物は全部渡し終わったのらぁ」

イズル「こんなにいっぱい…僕、嬉しいよ!」

アサギ「…よかったな」

イズル「…うん!」

スルガ「…むふふ~w」

アサギ「なんだよ」

スルガ「いやなんでも~w」

アサギ「…」ジト…

イズル「あ、お兄ちゃんもありがとう。絵を描く道具持ってきてくれて」

ケイ「私たちがここに来るまで、描いていたそうよ」

イズル「うん!いっぱい描きたい漫画もあるしね。描けるうちに描いとかないと!」

アサギ「何描いてたんだ?」

アンジュ「それが…アサギさんが来るまで、見せてくれなかったんです」

イズル「自信作だからね!」

スルガ「アサギも来たし、そろそろ見せろよ!」

イズル「ちょっと待ってて…」ゴソゴソ

アサギケイスルガタマキアンジュ「」ワクワク

イズル「ジャーン!」

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アサギ「やっぱり下手だな」
ケイ「下手ね」
スルガ「いつも通り下手だな」
タマキ「下手なのら」
アンジュ「下手ですね」

イズル「えぇ!?」ガーン

イズル「…今回のは自信作だと思ったのに…」ショボーン

アサギ「けど――」

イズル「?」

アサギ「――お前らしくて、いいんじゃねぇか?」

ケイ「明るくて、素敵だと思う」

スルガ「なんか、その絵見ると安心するな」

タマキ「あたしも好きー」

アンジュ「とてもいい絵ですよ」

イズル「…」

イズル「…ありがとう、みんな」

タマキ「イズルのお見舞いに行こう!」 おわり

本スレで、“エンドカードは帰還したイズルが色を塗った”っていうのを見て、とても素敵だと思い、書きました。
いろいろと、こんなことがあればいいなぁと思いながら書いたので、捏造も多かったですが、楽しんでいただけたら幸いです。

乙!

いいね、乙でした


本編で後日談ほしいと思ったけど、こうやって色んな人が想像するのを見るのも楽しいな

乙!

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