カレン「シノ!ヒサベツブラクってなんデスカ?」 (237)

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カレン「♪♪今日も授業がおわったデース!」

カレン「早速帰るデスヨ」

カレン「ん!?あれはアヤヤ!珍しくヨーコと一緒じゃないんデスネ」

カレン「ヘーイ!あやy」

カレン「ちょっと待つデスヨ。フフフ」

カレン「今日はあややのことを尾行してみるデース」

カレン「アヤヤ、きっとワラァマンションに住んでるデスヨ♪」

カレン「♪♪♪」

カレン「ストーキングミッション、スタートデス♪」

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テクテクテクテク

あや「(キョロキョロ」

カレン「!!!(サッ!」

あや「・・・?」

あや(今、誰かの視線を感じたのだけれど・・・気のせいかしら)

カレン「ふぅ・・・」

カレン(あぶないところデシタ。あと少しで見つかったデスヨ)

カレン(それにしても・・・)

カレン(なんだか薄気味悪いところデース・・・こんなところにあややの家あるデスカ・・・?)

テクテク

カレン(Wao!なんですかこの看板!なんか黒地に黄色字でなんかカッコイイデース!)

カレン(『??をなくそう!??を?ろう!』・・・?)

カレン(うーん・・・漢字よめないからよく分からないデス)

カレン(アリスも連れてくればbetterデシタね・・・とりあえず写真撮っておきマスヨ♪(カシャッ!ピロリローン)

カレン&あや「!!!!!!!」

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あや「な・・・なに・・・!」

あや(今カメラの音が・・・でも人影はないみたいね・・・)

カレン(見つかるところデシタ!ふぅ・・・)

カレン(あやや、なんだか周りを気にしてマスネ)

カレン(まるで、知られてはいけない秘密があるかのようデス)

テクテク

あやや「ただいまー」

カレン「!?!?!?」

カレン(こ、これがあややの家デスカ?わーお・・・)

カレン(周りにもまったく同じ外見の家がたちならんでいマス)

カレン(それに・・・なんか怖いデース)

カレン(とりあえずあややの家の写真とっておきマスヨ♪今度は音が聞こえないように気をつけマス(カシャッ)

カレン(本当はいきなり押しかけてびっくりさせようと思いましたが、もう暗くなったので帰りマスヨ)

カレン(きっとヨーコをつれて押しかけたほうが、あやや、ビックリするデスヨ♪)

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帰宅

カレン「それにしてもあややの住んでいるところ、なんだか独特デシタネ」

カレン「住所は分かったので、ネットで検索してみましょう」

カタカタ

カレン「うーん、日本語打つの難しいデスネ」

カタカタ

カレン「なんかページがみつかりましたヨ」

カレン「うーん、読めないデス」

カレン「Copy and Pasteして辞書に放り込んでミマショウ」

カレン「えっと、どれどれ・・・ヒサベツブラク・・・?」

カタカタ

カレン「うーん・・・English-Japanese Dictionaryひいてもでてきまセン」

カレン「これは明日しのに聞いてみるのが一番デスネ!」

カレン「Good night!」

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翌朝

カレン「ヘーイ!シノ!アリース!Good Morning!デース」

しの「カレンおはよう」

アリス「おはよう」

カレン「オハヨウゴジャリマース!」

カレン「ところでシノ!聞きたいことがあるデース!日本語のことデスヨ」

しの「???私でこたえられれば」

カレン「あのデスネ・・・ヒサベツブラクってなんデスカ・・・?」

しの「・・・?」

カレン「???」

しの「ひさしぶりブルース・・・???」

カレン「・・・!?もしかしてシノ!日本人なのに日本語知らないデスカ!」

しの「うーん・・・きいたことありません・・・ごめんなさい」

カレン「はあ・・・まったくやれやれデスヨ」

アリス「はいはい!ワタシ知ってるよ!(ムフーッ」

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カレン「おおーっ!さすがアリスデスネ!シノよりも日本に詳しいデス!」

カレン「それに引き換えシノときたら・・・フッ」

しの「はうううう・・・私の存在価値って一体なんなんでしょう・・・」

アリス「ちょ、しの!?」

しの「私が他人より勝っている点なんて・・・アリスやカレンといった金髪美少女が周りにいることくらいです・・・」

アリス「しの・・・」

しの「アリス・・・」

しの&アリス「えへへへへ」

カレン「はい、ストップデース。アリス!さっさと教えるデスヨ!」

アリス「えっと・・・なんだっけ・・・?」

カレン「ヒサベツブラクの意味デスヨ!」

アリス「ああ、そうだったね」

アリス「ヒサベツブラク、被差別部落っていうのは別名同和地区ともいって、かつての身分制度で士農工商の下に」

カレン「???」

アリス「つまり、この世には生きてはいけない人間、ゴミクズが押し込められている地区のことだよ」

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しの「・・・」

カレン「・・・んんぅ~?」

アリス「なにか質問はある?」

カレン「えっとそのデスネ、つまりつまり・・・?」

アリス「だ~か~ら!エタやヒニンが住むところなの!」

しの「ちょ、アリス、あんまり大声でそういうことは」

アリス「???本当のことだからいいでしょ」

アリス「エタは穢れが多いと書き、ヒニンは人では非ずと書くの」

アリス「つまりはそういうことなの」

カレン「うーん・・・なんとなく分かったデスヨ」

アリス「穢れた血だから一回交わってしまうと自分たちの血まで穢れてしまうの」

アリス「だからだめよ」

カレン「なるほど!血統主義なわけデスネ!つまりは、すっごく身分が低い人ってことデスネ!」

アリス「それでもいいよ」

しの「はわわわわ・・・」

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アリス「それにしてもカレン・・・」

アリス「どうしてそんなこと聞いてきたの・・・?」

アリス「もしかして私たちの周りに」

アリス「被差別部落のエタ・ヒニンがいたりするの?」

アリス「ん?」

カレン(アリス、怖いデース・・・うーん、あややのことは言わないほうがよさげデスネ)

カレン「いやいや違いマスヨ!アリース!なんとなく気になっただけデスヨ」

アリス「なんとなく・・・?へえ・・・なんとなくで『ヒサベツブラク』なんて言葉を知るのかなぁ?」

アリス「なんか理由がありそうだよ」

アリス「ねえ、しのぉ、しのはどう思う?カレンなんか怪しいよね?なにか隠してそうだよね?」

しの「え、えっと・・・」

アリス「なんで目をそらすのしの?もしかして私のことキライになったの?(ショボーン」

しの「いえいえ、そういうわけではないですよ!ないんですが・・・」

アリス「よかったぁ。じゃあ」

ようこ「よー!おはよっ!どうしたんだ、そんな怖い顔して!」

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アリス「・・・」

しの「あ・・・えっと・・・」

カレン(よーこ、good jobデス。話題を流すことができマスヨ)

アリス「・・・おはようようこ(ニコォッ」

カレン「お、オハヨウゴジャリマース、ヨーコ!」

ようこ「あれ?あやはまだきていないのか?」

しの「うん、あやはまだきてないみたい」

カレン「ううっ!あ、あやややややや」

ようこ「・・・ど、どうしたんだ」

カレン「ちょ、ちょっと噛んだだけデス!AHAHA!」

カレン(あややの名前がでて動揺してしまいマシタ)

アリス「・・・(ジーッ」

カレン「ど、どうしたんデスカ、アリス?」

アリス「ううん、なんでもないよ」

カレン(今日のアリス怖いデース・・・あの目、心が読まれてそうデスヨ・・・)

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キーンコーンカーンコーン

カレン「じゅ、授業が始まるのでクラスにもどりマスネ」

アリス「うん、じゃあまた休み時間」

ようこ「にしても、あやの奴どうしたんだ・・・?」

しの「お休みでしょうか・・・?」

・・・

からす「今日は小路さんはお休みです。風邪を引いたようです。みなさんも体調には気をつけてくださいね」

アリス「・・・」

・・・

休み時間

ようこ「あやのやつ大丈夫かな」

しの「ただの風邪ですから大丈夫ですよ。明日には治ってますよきっと」

アリス「うーん、でもワタシ、心配だよぉ」

アリス「あや、きっとよーこにあえないから寂しがってるよ!」

アリス「ワタシもしのに会えない日があったら寂しいもん!だから、お見舞いに行こうよ」

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アリス「しのもよーこもお見舞い賛成だよね?」

しの「えっと、いや私は」

ようこ「おっ!いいな!お見舞い!あやの好きなお菓子買っていってやろうぜ」

しの「あ、あのですね、でもですね」

ようこ「どうしたんだしの?なんか用事でもあるのか?」

しの「いやそうじゃなくてですね」

アリス「もしかしてしの、あやのお見舞い反対なの・・・?」

しの「ええっと・・・」

アリス「どうしたのしのぉ?なんだか朝から様子が変だよ?」

アリス「あの話が出てから変だし、あやの話がでても変になるし・・・」

アリス「どこか具合悪いの?」

ようこ「おいおい、しのまで風邪かぁ?」

しの「うう・・・」

アリス「じゃあしのも一緒にいくんだよね!あやのお見舞い!」

ようこ「でもさ、いくっていっても、あやの家の場所分かるやついるのか?」

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しの「・・・!!!そうですそうです!場所が分からないならいけないですよ」

しの「お見舞い確かにいきたいです!大切なお友達ですから」

しの「ですがどこにいけばいいのか分からなかったら無理じゃないですか」

アリス「しの、急に元気になったね」

ようこ「実はさぁ、前もあやが風邪になったとき、お見舞いに行って驚かせてやろうと思ってからすちゃんに住所聞いたんだけどさ」

ようこ「からす『いくら仲のいいお友達とはいえ個人情報を教えるわけにはいきません(アタフタ』って感じで教えてくれなかったんだよなー」

アリス「じゃあ、ようこも知らないのか・・・ワタシも知らないし」

しの「私も知りませんよ!」

アリス「うん、『ここにいる3人』の中にはあやの家知っている人はいないみたいだね」

ようこ「ここにいる3人・・・?まあ、そうだけど」

アリス「でも、まだもう一人いるんだよ。私たちの『お友達』。あと一人『だけ』」

アリス「ほらきたよ」

ガラガラ

カレン「へーい!みんなー!話しましょう!ん・・・?あれ、どうしたんデスカ?ワタシの顔そんなにかわいいデスカ?もー!(照れ」

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アリス「・・・(ジーッ」

カレン(ううっ!やっぱり今日のアリス怖いデスヨ。無理やりハイテンションで来ては見ましたが、この雰囲気、デンジャラスデス!)

カレン「んふふ!どうしたんデス?あれ?あやややややややややややややや」

カレン(Oh No!また動揺して噛んでしまいマシタ!)

アリス「あやならきてないよ。風邪なんだって」

カレン(ん?噛んだのバレませんデシタカー?さすがワタシデス!)

カレン(正直、あややが今日いないのは好都合です。顔を見たらとんでもなく動揺してしまう自信がありマース)

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アリス「それでね、みんなでお見舞い行こうって話してたんだ」

カレン「お見舞いデスカ!ワーオ!それはきっとあややややややややも喜ぶデスヨ!」

アリス「でもね誰もあやの家知らなくて・・・カレン、もしかして知ってたりしない?」

カレン「OK!それだったら任せてクダサイデスヨ!実は昨日、ああっ!」

アリス「昨日?」

カレン「いえなんでもアリマセン!忘れてクダサイ!」

カレン(ピンチデース!もし昨日あややの家に行っている分かったら・・・)

カレン「ちょっと勘違いしてただけデスヨ。あやの家があの町にあるなんて知らないデスヨ」

アリス「あの町こ・・・?あの町にあるって知ってるの?あの町ってどこ?」

カレン(口が滑りマシタ。これはまずいデス。誤魔化さないとヤヴァイデース)

カレン「んー?あれ、今ワタシ日本語、もしかしておかしかったデスカ?」

カレン「I don't know where the uncanny house Aya lives in is.っていったつもりデス。日本語って難しいデース.」

アリス「へえー。uncannyなんだぁ。よく知ってるね」

カレン(OH NO!!!!)

しの「餡子煮・・・?」

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カレン「ちがいマスちがいマス」

アリス「うん?なにが違うの?」

カレン(もう誤魔化せないデスヨ。これ以上しゃべったらマズイデス)

カレン「うう・・・」

キンコーンカーンコン

カレン「OH!チャイムデース!次の授業移動教室なの忘れてマシタ!!行ってキマース」

ようこ「おう、じゃあな」

しの「うんじゃあね」

アリス「・・・うん、またあとでね(スサッ」

・・・

カレン(ふう・・・なんとか助かりマシタ・・・寿命縮みマシタネ・・・)

カレン(ん・・・?あれ・・・?ケータイが・・・?どこかに忘れたのデショーカ)

カレン(うーん・・・でもとりあえず次の授業に行かなきゃデース)

・・・

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昼休み

カレン「ヘーイみなさーん!」

カレン(今度は大丈夫デスヨ!同じスダチはかけませんよ!)

カレン「ワーオ!ヨーコのお弁当、相変わらずおいしそうデスネ!」

カレン(誰にも悲しい思いはさせナイデスヨ!!あややにもしのにもよーこにも!そしてアリスにも!)

アリス「ねえ、ところでカレン」

カレン「どうしたんデスカ?このパン、食べたいデスカ?いいデスヨ!半分こシマショウ!」

アリス「ううん、そうじゃなくてね」

アリス「さっき、休み時間、カレン教室に来たでしょ?」

アリス「そのときね」

カレン「・・・?どうしたんデスカ?なんかゆっくりとしたしゃべり方デスネ?」

アリス「カレン、携帯電話忘れていったよ、ほら」

カレン「!!!」

カレン(このスマホには昨日撮ったあやの家とその周辺の写真が・・・!)

カレン(いやしかし、みられているとは限りまセン!ロックもかけてるから大丈夫デース!)

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アリス「で、それでね、悪いとは思ってなんとなくいじってたんだけどね」

カレン「!!!」

カレン「あ、アレェ~?ろ、ロックがかかっているはずデスヨ?」

アリス「それなら1234って打ったら解除できたよ」

しの「わあアリスすごいです」

ようこ「ははは!でもケータイの中勝手にみるのは感心しないなー。プライバシーとかあるし」

カレン「そ、そーデスヨ!」

カレン(くぅ!ワタシとしたことがヌカリがあったデス!もっと複雑なパスコードにするべきデシタ)

アリス「うん、ごめんね。それで色々見ててね。メールとか見たんだけど、特にやましいことをしている様子もなかったし」

アリス「なんだーつまらないなーと思って、写真フォルダをみたの」

アリス「そしたらね、みてみてこんな写真が出てきたの」

カレン(Oh my God!!)

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ようこ「おっ!なんだよ、あやの写真じゃんか!」

しの「ほんとです~いつとったんですか、カレン?」

カレン「だ、だめデス!みちゃダメデス!それにそんな写真知らないデス!どこかも知らないデスヨ!(ブンブン」

ようこ&しの「・・・?」

しの「どうしたんですかカレン?」

ようこ「なにもそんなに否定しなくても」

しの「そうですよ、かわいく撮れてますよ」

ようこ「これあれだな、この前駅前に買い物にいったときのだな」

しの「自撮りしているカレンもかわいく写ってますよ?」

カレン「!!!」

カレン(アリス!はめマシタネ!ワタシの反応を見るためにブラフを仕掛けてきたんデスネ!)

アリス「ふふふ。カレン、どうしたの?そんなに気に入らなかったのこの写真?」

カレン(でもまだあの写真を出されなければ勝ち目はありマスヨ!)

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カレン「うーん、そうなんデスヨその写真。ちょっと半目になっちゃって恥ずかしいンデスヨ」

カレン「でも、あやややややややがかわいく撮れてるから消すわけにもいかなくて困ってたんデース」

アリス「へー、半目かー。吊り目のクセに」

アリス「ふふふふふふ」

カレン「・・・や、やっぱり写真はかわいく写りたいデスカラネ。ハハハハ!」

アリス「あっ!それでねそれでね」

アリス「こんな写真もあったの!」

アリス「じゃじゃーん!」

アリス「あやがおうちに入るところの写真!」

アリス「こんなの撮ってたんだね、カレン」

しの「・・・!」

ようこ「おっ、なんだよカレン、あやのうちいったことあるのかよー」

カレン(鬼畜デス!このアリス鬼畜デスヨ!)

カレン「うーん。ずーっと前ですね。ちょっと尾行したんデス」

カレン「でも、ずっと前のことだし、あやややややややややの家がどこにあるかは・・・覚えてないデス、残念ながら」

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カレン「覚えてないから、さっきも『知らない』っていったんデスヨ」

カレン「思い出せればいいんデスガ、残念デース」

ようこ「なんだーそうなのか」

アリス「あれぇぇぇ?ねえねえカレン、この写真の撮影日時、昨日の夕方になってるよ?」

カレン「!!!」

カレン(もう無理デス!こうなったら、とぼけるしかないデスネ)

カレン「アレーソーデシタカー?ウーン?日本の生活、まだまだ慣れなくて、色々記憶がゴチャゴチャデース」

カレン「それに覚えていないのは事実なので、たとえ昨日の出来事だったとしても、結局無理デース」

アリス「大丈夫だよ」

カレン「???な、なにがデスカ?」

カレン(このアリス怖いデス、今日一番で怖いデス。何もかも見透かしたような顔をシテマース)

アリス「ねえ、・・・って知ってる?」

カレン「ん?な、ナンデスカ?きこえなかったデス」

アリス「Exifって知ってる?」

アリス「位置情報記録するにチェックしたまま撮影してくれてありがとう、カレン」

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カレン「・・・え・・・?」

アリス「この写真にね、どこでとったかの座標が記録されてるの」

カレン「そ、そんな・・・あんまりデース・・・」

アリス「さっきね、google mapで調べたら大体の位置が分かったよ」

アリス「ストリートビューで表札を確認しようと思ったんだけど、なぜかこの地域だけストリートビュー導入されてなかったんだ」

アリス「なんでだろうね」

アリス「ちなみにこの地域には隣保館っていう施設や皮革加工工場があるみたい」

アリス「特徴的な町だよね」

しの「・・・」

ようこ「ん?よく分からないけど、とりあえずあやの家が分かったってことか?」

アリス「うん、そうだよ!だから放課後お見舞いいけるんだよ」

ようこ「へっへー。楽しみだなー」

カレン「あ・・・え・・・そんな・・・」

アリス「どうしたのカレン?お見舞いにいけるんだよ!カレンのおかげで!カレンの『せい』で!ふふふ」

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アリス「あとね、それからそれからね、こんな写真もあったんだよ」

アリス「これもExif情報みてみたらあやのおうち周辺みたいなんだけどね」

アリス「ほらこの看板だよ!」

アリス「ねえねえカレン、この看板の漢字読める?」

カレン「・・・読めないデース・・・」

アリス「だよねだよね!やっぱり!」

アリス「カレンはきっとこの看板の文字が読めなかったんだよね。で、気になった、だから写真をとった」

アリス「この看板の写真が撮られたのはあやのおうちの写真のちょっと前だね」

アリス「なんでとったか、それは何が書いてあるか知りたかったから」

アリス「ワタシかしのか、そのどちらかに聞こうとした」

アリス「ここまではあってるよね?ねえ、カレン?」

カレン「・・・」

アリス「その沈黙は肯定ととるよ」

アリス「で、なにが書いてあるか教えてあげるね。今朝聞いてくれればよかったのに」

アリス「カレン、これはね、『差別をなくそう!人権を守ろう!』って書いてあるんだよ」

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アリス「人権教育に力を入れている地域なんだね」

アリス「ちなみにさっき言った隣保館って施設も、人権を守るための施設なの。英語だとSettlementっていうんだよ、イギリス発祥なんだよ」

アリス「人権は私たちに与えられた生来の権利、尊重するのは当然だもんね」

アリス「すばらしい地域にあやは住んでるみたいだね」

アリス「あれ?どうしたのカレン?そんなに青ざめて」

アリス「まるで自分のせいで、なにかとんでもないことが起きてしまったみたいな顔して」

アリス「いつも元気なカレンらしくないよ!ねえしの?」

しの「・・・あ、えっと・・・」

アリス「なんだ、しのも元気ないよ」

アリス「お見舞いに行く側がこれじゃ、あやがかわいそうだよ」

アリス「えへへ」

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カレン(ワタシのせい・・・?ワタシのせいデスカ・・・?)

カレン(今確かになにかマズイ方向にことが進んでいるように思えマス)

カレン(しかし、しかしデス。考えろ!デース、カレン)

カレン(状況を整理するのデス。そしてどう行動するかを考えるのデス)

カレン(まず、あややが住んでいる地域・・・ネット上の情報やアリスの言っていることから考えるに被差別部落という場所であることは確定デス)

カレン(そしてそこに住んでいる人は卑しい身分としてされ差別されている・・・?)

カレン(うーん・・・日本は身分制がないはずなのによく分からないデース。どういうことなんでショー)

カレン(今朝のアリスの話からすると、その地域に住んでいるから差別されるわけではなくて、差別されている人間が住まわされているということデスネ)

カレン(しかし、人間の性質を考えるに、もはや土地と差別とがダイレクトに結び付けられて考えられるようになってしまっているデショウ)

カレン(まあ、そんなことはどうでもいいデス、いま大事なのは、アリスはその差別を思い切りしているということデス!)

カレン(つまり、アリスにとってあややは差別されるにたる存在であるということデス)

カレン(これではあややがかわいそうデス。私たち5人は友達のはずなのにそんなのおかしいデス)

カレン(幸いなことに、しのはその様子から考えるに差別しているようではないデスネ。というか多分アリスに引いてマスネ)

カレン(よーこも、どうやら差別をする気配はアリマセン)

カレン(つまり、なにもせず、普通に振舞えば、何も起こらないということデース)

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カレン(ここでワタシが動揺するから変な方向に進んでしまうのデス)

カレン(行動を間違えなければ誰も傷つかないはずデスヨ)

カレン「・・・それじゃあこういうことデスカー?」

カレン「ワタシのおかげでわかったあやのおうちに放課後みんなでお見舞いにいく!ということデスネ?」

しの「ちょ・・・カレン・・・」

カレン「大丈夫デス。大丈夫なんデスヨ、しの」

アリス「・・・?」

アリス「とりあえず、カレンも元気になったし、じゃあみんなでいこうね」

アリス「元気ないけどしのもだからね?」

しの「・・・うん・・・わかりましたよ・・・」

ようこ「やっぱあれかなー、風邪引いてるときってプリンとかそういうのがいいのかなー」

ようこ「ポテチとか食べる元気ないよなー」

アリス「ううん!ようこがね、口渡しであげれば、あや犬や家畜のように食べると思うよ!」

ようこ「そ、そうか・・・?」

アリス「うんうん!きっと喜ぶよ!家畜のように!」

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カレン「まあ、というわけで放課後が楽しみデスネ」

アリス「うんうん、とっても楽しみ!」

アリス「あとね、実はね日本に来てから、しののおうちやカレンのマンションくらいしかお邪魔したことないから」

アリス「日本のおうち、楽しみなの」

アリス「外から眺めることはできても、なかなか中に入ることできないから」

アリス「どんなおうちなんだろー、さっきの写真じゃ玄関のあたりしか分からなかったからね」

アリス「あやのおうちだからかわいいんだろうなー、そうなんでしょカレン?」

カレン「うーん、ドーデショー?さっきいったように覚えてないデスヨ」

アリス「そうなんだー。さっきuncanny、不気味っていってたから気になってたんだよ?」

カレン「そんなこといいましたっけ?覚えてないデース!ハハハ」

カレン(ワタシもそんなこと思わず言ってしまったんデスネ。そういうことをいうのはよくないことデスヨ)

しの「・・・あの・・・やっぱり、病気の人のところにいきなり行くのはよくないと思うんですけど」

アリス「んん?しのってもしかしてよーこのこと大切じゃないの?」

アリス「知り合いが病気なのに!」

アリス「ってことは、ワタシのこともきっとそういう風に考えているんだね・・・うう・・・悲しいよ・・・」

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しの「ち、ちがいますよ!アリスのことは大切です!なによりもだれよりも!」

アリス「そーなの?えへへ」

しの「そーですよ!私にとってアリスがいない世界なんて考えられないんですよ(ナデナデ」

アリス「えへへ・・・うれしいよぉ///(ポォ」

ようこ「まったく・・・こいつらイチャイチャしやがって」

カレン「ヘーイ!ようことあやは他人のこと言えないですよ!」

カレン「ハハハ!」

カレン(これデース!これを利用するのデス!)

カレン(アリスのあの反応!あの照れ、デレ!あれは演技ではないデス!本気デス!)

カレン(本気でしののことが好きなんデス!)

カレン(つまり、ずっとあのイチャイチャ状態を維持できれば!)

カレン(そうすればきっと、あの怖いアリスは出てこないはずデス!)

カレン(イチャイチャするしのとカレン!その横でイチャイチャするヨーコとあやや!)

カレン(それにワタシがツッコミを入れるわけデス!)

カレン(これで平和!Love and Peaceデスヨ!)

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カレン「おーっと、そろそろ5限が始まりマスネ。クラスにもどりマース」

カレン「アリス、ちゃんとワタシのケータイ返してもらいますヨ」

アリス「はい、カレンのスマホだよ」

アリス「それじゃ、放課後待ってるね」

カレン「OKデース!!」

ようこ「それじゃカレン!また放課後!」

ガラガラ

しの「・・・」

しの「・・・どうすれば・・・だめだすよ・・・こんなの・・・」

ようこ「お?どうしたんだしの?なにがダメなんだ?」

しの「いえいえ!なんでもありません!なんでもないんです!」

しの(なぜ私には勇気がないのでしょう。カレンにもっと加勢できていれば!)

しの(どうにかして見せます!アリスまっててください!救ってあげますからね!)

アリス「・・・(ジーッ」

キーンコーンカーンコーン

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>>63
だめだすよ→だめですよ

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放課後

カレン「お待たせシマシタ!」

ようこ「よーし集まったな!」

アリス「うん、それじゃ早速行こうね!」

しの(作戦1発動です!)

しの「うっ!うううううう!」

ようこ「!?」

アリス「ど、どーしたのしの!大丈夫!」

しの「頭とおなかが痛いです・・・うう・・・苦しいです・・・」

しの(作戦1:自分が病気になることで、お見舞いの行き先を『私の家』に変更させる。完璧です)

カレン「うーん?おー!そういうことデスカ!」

しの(カレン、気づいてくれましたか!)

カレン「ヘーイ!バファリンルナデース!効きますヨ!」

しの(違います!バカですか!)

ようこ「なんだー、しの、女の子の日だったのか。あはは」

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しの(なんということですか・・・せっかく考えに考えた作戦が・・・)

アリス「・・・」

アリス「ねえねえしの?」

しの「な、なんですか・・・?あああ!い、いたいぃ!」

アリス「ホントは痛くなんかないんじゃない?」

しの「・・・へ・・・?え・・・?」

アリス「分からないとでも思うの?」

アリス「ずっと、ワタシはしのの近くにいるんだよ?」

アリス「それに今日はしのの生理のわけないよ」

アリス「ちゃーんと汚物入れとかチェックして、周期計算してるよワタシ」

アリス「だって、しののこと大好きだもん」

アリス「えへへ」

しの「・・・!!!」

アリス「だからね、しのの演技だって分かるの。なんの目的かは分からないけどね」

アリス「じゃあ、あやのおうちに向かおうか(ニコッ」

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カレン(アリス怖いデス!ストーカーです!)

ようこ「おいおいアリス」

カレン(さすがにヨーコもツッコミ入れるデス)

ようこ「あまり大声でそういうことはいわないもんだぞ」

カレン(そこじゃないデース!)

カレン(うう・・・ツッコミたいデス。でも今日のアリスにツッコミいれたら、いつの間に大変なことになりそうだから我慢デス)

しの「・・・実は、アリスがあやのことばかり心配するからちょっとやきもちやいて・・・それで演技したんです」

アリス「もー、しのったら、ワタシ、しのが一番大切だよ!例えるならその辺の家畜の100兆倍好きだよ!」

アリス「あ、でも家畜のことは別に好きじゃないし、むしろキライだからマイナスだね」

アリス「じゃあ、その辺の家畜のマイナス100兆倍の感情をもってるよ!」

しの「あ、ありがとうございます」

アリス「ほらみんな!はやくいかないと暗くなっちゃうよ」

アリス「こっちだよこっち!」

ようこ「おう!」

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テクテク

アリス「ここのコンビニで何か買っていこうよ。google mapによるとこの先にはもうお店あまりないみたいだよ」

ようこ「おいおいアリス、あまり画面ばっかみて歩いていると転ぶぞ、しのみたいに」

ようこ「で、お土産か。本当はお見舞いっぽい果物とかお花とか持っていきたいけど・・・」

カレン「ワタシタチには似合いませんネ」

ようこ「そうだな。ま、じゃあ適当に買ってくるわ」

アリス「ワタシも、よさそうなもの買ってくるね!」

カレン「じゃあワタシも買ってくるデース」

しの「それじゃ私は外で待ってますね。みんなのお金も割り勘で払いますよ」

カレン「アリガトウゴジャリマース!」

ウィーン

店員「イラッシャイセー」

しの(どうしましょう・・・)

しの(もう作戦ないです。ナンバリングしたけど、1までしかないです)

しの(だって1で成功すると思ったんですよ・・・そ、そうだ!思いつきました妙案!名案!)

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店員「アリャーシター」

ウィーン

ようこ「おーおまたせ!」

カレン「買ってきたデース」

アリス「それじゃいこうか」

しの「あ、あのアリス?」

アリス「どうしたのしの?」

しの「荷物もったままスマホの地図みるの大変じゃありませんか?」

アリス「うん?そんなことないよ」

しの「大変なんです!」

アリス「あ、は、はい!」

しの「というわけで私がガイドしますね」

アリス「え?う、うん・・・別にいいけど・・・」

ようこ「おいおい大丈夫か、しのは超絶方向音痴で地図も分からないんだぞ~」

しの「大丈夫です!任せてください!さあ、アリス!スマホをください!あっ、私スマホいじれないんで、わかる状態でくださいね!」

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しの(ふふふ・・・今度こそは完璧です!作戦2完璧です!)

しの(作戦2:超絶方向音痴の私が地図をみてガイドしていたところ道に迷って結局たどり着けなくて終わる)

しの(あまりにも自然!あまりにも流麗!)

しの(パーフェクトです!)

しの「それじゃあ皆さんこちらですよ」

カレン「OKデース!ついていきますヨー!」

アリス「・・・」

テクテク

しの「えっと・・・あれ・・・こっちですかね・・・?多分、こっちですね、ここ右ですね」

しの(我ながら完璧です。さりげなく迷ってる感だしまくりです)

しの「で、次を道なりに進んで・・・」

テクテク

ようこ「おっ、あったあった!ここかあやの家」は!」

カレン「到着デース」

アリス「すごいしの!ちゃんと迷わず来れたね!」

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しの「   」

アリス「どうしたのしの?」

しの「い、いえなんでもありません・・・」

しの(まさか、着けてしまうなんて・・・)

しの(私の方向音痴っぷりがあだとなりました)

しの(この生来の超絶方向音痴スキルと、わざと迷うように歩くという行為)

しの(これらが打ち消しあって、最短ルートで到着してしまいました)

しの(なんということでしょう)

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ようこ「ここがあやんちかー」

ようこ「よーし早速お邪魔するかーおどろくぞー」

カレン「オー!デース!」

カレン(まだ大丈夫デス。まだただのお宅探訪デスヨ!)

カレン(今日のこのお見舞いは、楽しく終わるんデス)

カレン(そして明日の朝、風邪の治ったあややが登校して、ちょっと恥ずかしそうに、ちょっと照れながら)

カレン(『き、昨日はありがとう。別に寂しかったからみんながきてくれてうれしかったとかじゃないから!』とか言うんデスヨ)

カレン(そういう未来デス。そういう未来があるはずなんデスヨ)

アリス「あやんちか、うーん・・・ちょっとなんかあれだね・・・」

しの「・・・!」

アリス「しのの家とは違ってこれもこれでいいよね。日本っぽいおうちだね」

しの「・・・そ、そうですね。ええ、そうです」

ようこ「おーい、お前らー、チャイム押すぞー?」

しの「あ、まってください、いま行きます」

カレン「レッツピンポーンデース」

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ようこ「じゃあ押すぞ」

カレン「・・・!?」

カレン「ちょ、ちょっとまってクダサーイ」

カレン(なんデスカ・・・?なにか嫌な予感がシマス・・・)

カレン(取り返しの付かないことになる予感が・・・)

カレン(なんでショウカ、何かがひっかかりマース・・・違和感が・・・)

カレン(うーん・・・分からないデス)

カレン(それに、ワタシの考えは正しいのデショウカ?)

カレン(ワタシタチが差別を見せることがなければ、友達のままでいられるというのは、どこまでもワタシ目線の考えではないデスカ?)

カレン(自分が、それに正当な理由がないとはいえ差別される身分の人間だと友達に知られてしまったあややの気持ちは?)

カレン(ワタシタチがあややが被差別部落の人間だと気づいた、と確信はできなくとも、それでもいつかバレルのではないかという恐怖に苦しむはずデス)

カレン(そんな状態でワタシたち五人は友達でいられるのでしょうか?)

カレン(そして、この差別するべきではないというワタシの考え自体、邪悪な差別なのではないデスカ?)

カレン(一体何が正解なんデスカ?)

カレン(ワタシはこの人差し指をこのまま前へと進ませていいのデショウカ?)

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カレン(分かりませんヨ・・・どうすればいいのデスカ・・・?)

カレン(お見舞いに行くというこの行為は、まさしく仲のいい友達の証デス!)

カレン(しかし、それによってその関係が壊される可能性があるとしたら!)

カレン(肯定することで否定することになるかもしれないデス!)

カレン(そしてその否定の結果はあまりにも破滅的デス!)

カレン(まだ引き返せますヨ!)

カレン(ワタシは今、引き返す権利をもってイマス!そしてそれは今や義務となりマシタ!)

カレン(ここで指を引っ込めて、後ろを振り向き、適当な理由をつけて帰るんデス!)

カレン(もちろん、あややには気づかれないように、静かに静かにデス!)

カレン(どうすれば説得できるか?そんなのはどうでもいいデス!)

カレン(大切なのは、今ワタシにできることをやるだけデス!よし行きますヨ!)(クルッ

カレン「あ、あのミナサーンやっぱり、あややへのお見舞いは」

ピンポーン、ピンポーン

カレン「え・・・誰が・・・」

しの「カレン、なかなか押さないから私が押しちゃいました(ニコッ」

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カレン「え・・・そ・・・そんな・・・」

インターホン『はい?』

ようこ「あ、あの私たち小路さんの、綾さんのクラスメートで」

アリス「お見舞いに来たんですけど、綾さんに会えますか・・・?」

インターホン『あら、綾の・・・ちょっとまっててくださいね(ブチッ』

しの「どうしたんですか、カレン?」

カレン「Why? Why have you ran' the doorbell? Shino!」

しの「ちょ・・・カレン、待ってください、何を言っているか分からないですよ」

アリス「・・・」

アリス「『緊張して押せなかったから助かったよ、しの』って言ってるんだよ」

しの「ああ、そうなんですか。いえいえ、カレン、礼には及びませんよ」

カレン「ハアハア・・・」

カレン(そんな・・・そんな・・・)

ガチャッ

母「それじゃみなさんおあがりください。あの子も起き上がれるくらいにはなっていますので」

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ガチャ

ようこ「おー、あやー。なんだなんだ!思ったより元気そうじゃん!」

あや「う、うん。ありがとう・・・」

ようこ「はい、これお見舞いの品でーす!プリンを買ってきてやったぞ!コンビニで一番高い奴!」

あや「ありがとうようこ・・・」

ようこ「ほら、せっかくだから食えよ。うしし!あ、でも病人に食わせるのも悪いな」

ようこ「よーし、私が食わせてやるぞ。はい、あーん」

あや「ちょ、よ、ようこ!・・・あ、あーん・・・んっ・・・おいしい・・・///」

ようこ「よかったよかった。んーそんなにうまいなら食ってみよーかな」

ようこ「あやの分ちょっともらうぞ」

あや「ちょ、そ、それ間接っ!間接キッ!///」

ようこ「うん。うまいな!」

カレン「・・・ワタシはポッキー買ってきましたデース。よーことあややがポッキゲームする用に・・・」

ようこ「さっきから元気ないなー?そんなにチャイム押せなかったのがこたえるのか・・・?」

あや「ポッキーゲーム・・・///」

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ようこ「そういえばアリスはお土産何買ったんだ?」

アリス「えーっとね。まだ秘密!もうちょっとあとで!」

ようこ「なんだなんだ?きになるなー」

あや「・・・今日はみんなありがとう・・・私寂しかったから皆が来てくれてうれしい・・・」

ようこ「おっ、いつになくあやが殊勝だな!風邪のウィルスのせいか?ははは」

あや「・・・で、でね・・・今日はどうして?どうして来たの?」

アリス「どうしてって、だから、お見舞いだよ?」

ようこ「あやに会えないのはこっちも寂しいからな!」

しの「・・・」

あや「どうしてって・・・そういう意味じゃなくてね・・・」

あや「どうして、私の家を知っているの?」

あや「誰にも教えてないはずなのに!」

ようこ「お、おい・・・大声出すと、体に響くぞ」

カレン(あぁ・・・やっぱりデス・・・やっぱりあややは傷ついていマス・・・ワタシのせいなのデショウカ)

アリス「家の場所?それはね、カレンが昨日あやのこと尾行して写真とってたから分かったんだよ!」

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あや「!!!(ギロッ」

カレン「!!!」

あや「・・・!!(ギロッ」

カレン「ち、ちがうんデス!」

アリス「え?何が違うのカレン?」

カレン「だから、その!」

カレン(なにもちがくないデスヨ・・・ちがくないデス・・・でも・・・)

アリス「カレンのスマホの中からね、この辺の地域を撮った写真が何十枚も出てきたの!」

アリス「それでね、場所も分かったからお見舞いに行こうかってなったんだよ」

カレン「何十枚?そんなにないデス!たったの2枚だけデスヨ!」

アリス「なんだー。やっぱり写真とったんだー」

カレン(Oh no!)

あや「昨日ね・・・」

あや「昨日帰り道、誰かにつけられてる気がしたの・・・でね、カメラのシャッター音も聞こえたの・・・気のせいかなって思ってたんだけど・・・」

あや「カレンだったのね」

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カレン(このアリス!なんなんデスカ!?)

カレン(ワタシをはめました!)

カレン(場所が分かったからお見舞いに行こうって話になったという説明じゃ、順序が逆デース)

カレン(でも、でも、確かにワタシが写真を撮ってそのせいでお見舞いにきたというのは事実デス)

カレン(そればかりはどうしようもできまセン)

あや「カレン・・・あなたって・・・そういう・・・」

カレン「誤解デス!誤解なんデスヨ!」

ようこ「お、おい、あや!カレン!どうしたんだよいきなり」

ようこ「まあ、確かに尾行して写真を撮るってのは若干悪趣味だけどさ、そこまで怒らなくていいだろ」

ようこ「カレンが探偵ごっこしてくれたおかげで、みんなでお見舞いにこれたわけだしさ!」

ようこ「ほら落ち着けって(ナデナデ」

あや「ようこぉ///う、うん・・・そ、そうね・・・尾行されたくらいで怒ってもしょうがないわよね」

あや「・・・カレン、ごめんなさいね。そんなことで怒ってしまって・・・」

あや「そうよね、カレンってイギリス人だもの・・・この辺の土地のことなんて知らないわよね。悪気があったわけじゃ」

アリス「この辺の土地?土地といえば、今朝、カレン、ワタシとしのになにか土地っぽいことについて質問しなかったっけ?なんだっけあれ?」

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あや「土地っぽい質問?」

しの「・・・!」

しの「あ、あのー私、ジュース買ってきますね・・・近くに自販機あったので(ソロー」

ガチャ、ダダダ

カレン「う・・・!」

ようこ「ん?なんだなんだ?またカレン、日本語の質問かー?分かることなら答えてやるぞ!」

アリス「そうそう、日本語の質問だったよねー。私もシノも分からなかったんだけど・・・」

アリス「ようこじゃそういうの頼りにならないし・・・」

ようこ「なんだとぉ?まあ、事実だけど・・・」

カレン「・・・」

アリス「そうだ!頭もいいし、あや『なら』分かるんじゃない?」

アリス「ほら、あの質問してみなよ!カレン!」

アリス「ほら!」

あや「土地っぽい質問・・・?なにかしら・・・?」

カレン「・・・(バクバクバクバク」

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カレン「土地・・・とち・・・」

カレン「とちぎ・・・」

あや「うん?」

カレン「とちぎ・・・栃木と群馬の位置関係が分からないデス!」

カレン「日本の地理も勉強しようと思っているんデスが、いっぱいあって覚えられないデース」

カレン「特に、あの栃木と群馬!島根と鳥取より厄介デスヨ・・・」

カレン(これはさすがにひどい回避デース。我ながらアホデスネ・・・)

あや「ああ、それだったら・・・うーんと・・・とちぎのぎは『みぎ』のぎと覚えたらどうかしら」

あや「群馬が左で栃木が右よ」

カレン(大丈夫デシタ!)

カレン「オー、すばらしい覚え方デース!Thanks!デース」

アリス「・・・」

アリス「んー・・・あれー?そんな質問じゃなかったよー?確か確か・・・そうそう!ヒサ」

ガチャ

しの「ただいまもどりました。はいジュースですよみなさん」

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ようこ「お、結構じかんかかったな、しの!」

しの「ええ、ちょっと、お手洗いも借りていたので」

あや「今、カレンに栃木と群馬の位置関係を教えてたのよ」

しの「へ、へーそうだったんですかー」

しの「はい、これあやにです、で、これはようこに(スイスイッ」

しの「で、これはカレンにです(スイッ」

ようこ「お、サンキューな!実はちょっとノドかわいてたんだよなー(グビグビグビグビプハー」

あや「すごい飲みっぷりね・・・私あんまりノド渇いてないんだけどせっかくしのが買ってきてくれたんだからちょっとくらいは・・・(ゴクッ」

カレン「ワ、ワタシは、何かを口に入れるような気分ではないので遠慮シマース・・・」

あや「それにしてもこのジュース選びのセンスすごいわよね・・・」

ようこ「よくもまあ、こんなまずそうなジュースばかりピンポイントで」

しの「うう・・・ちょっとひどいですよ。私は本当においしそうなのを真面目に選んでですね」

ようこ「はははは」

あや「うふふふ」

カレン(もう、アリス・・・お願いだから、これを壊さないでほしいデス・・・)

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アリス「・・・」

アリス「・・・ハァ・・・」

アリス「ワタシ、ちょっとトイレに行ってくるね・・・借りるよ、おトイレ?」

あや「ああはい、部屋を出て左の突き当りがトイレよ」

アリス「ありがとうね(ザサ」

ガチャッ

しの(アリス・・・トイレにいきましたね・・・)

しの(・・・ポワーン)

しの(ってなにはしたない想像してるんですか私は!)

しの(今だったら、アリスと二人きりで話せるチャンスです)

しの(アリスのことが分かるのは、私しかいないんです!)

しの「あのー私もちょっとトイレに・・・」

ようこ「ん?さっき、ジュース買うついでにトイレに寄ったって・・・」

あや「それに学校のトイレじゃないんだから何人も入れないわよ」

ようこ「まったく、しのは。ハハハ」

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カレン(ん???今トイレにたてば、アリスと二人きりで話せマース!)

カレン(ワタシが説得しマス!もうこんなことはやめろといえマス!)

カレン(小さい頃から友達デスヨ!ちゃんと言えば分かるはずデス)

カレン(しのに行かせてはダメデス!)

カレン「ワ、ワタシもオシッコしたいデス!」

しの「も、もう我慢できないんです!」

カレン「ノー!それはワタシもデスヨ?」

しの「ここでもらしてもいいんですか!」

あや「それはいやよ!」

カレン「ふふーん!それだったらワタシの勝ちデスネ!今ほんのちょっともれてマース!」

あや「最悪じゃない!」

しの(なんなんですか?カレンは?その年齢で要おむつなんですか?)

しの(構っている暇はない)

しの「じゃあいきますね(ダダダ」

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ガチャッバタ

カレン「オーノー!」

カレン「先を越されてしまいマシタ!」

あや「ねえ・・・カレン・・・本当にもれてるの?」

カレン「え・・・いや、まあそれはさすがに・・・」

ようこ「ははは!いくらカレンでもこの年齢でもらしたりは・・・うう・・・」

あや「ど、どうしたの?ようこ」

ようこ「すまん、なんか気持ち悪くて・・・頭がフラフラする・・・」

あや「もしかして私の風邪が移ったのかも・・・仕方ないわね///(ピトッ」

あや「熱はないようね・・・///」

カレン「そりゃ元から熱っぽい風邪の人間がおでこ当てたら、相手の熱なんてわかりませんヨ・・・」

---廊下

アリス「しのか、カレンか・・・どっちかくるかなーって思ってたよ」

しの「アリス・・・!」

アリス「しのが来たってことは、こっちの勝ちだね(ニコォッ」

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・・・

翌朝

学校

朝のSHR

烏丸先生、ジャージではなく黒いドレス。

からす「もう知っている人もいるかもしれませんが、今日は皆さんにつらいお知らせをしないといけません」

からす「昨日、火事で猪熊さんが亡くなられました。一緒にいた小路さんも煙を吸い込んで・・・まだ意識がもどらないようです」

からす「アリスさんと、他のクラスですが九条カレンさんもその場にはいたようですが命に別状はないそうです」

からす「そして・・・これはいいづらいのですが・・・」

からす「大宮さんが・・・大宮さんが逮捕されました。放火殺人の罪で、です」


・・・

前日、夕方、廊下

アリス「しのが来たってことは、こっちの勝ちだね(ニコォッ」

しの「うん、そうだね!アリス!」

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しの「とりあえず外に出ましょうか。ここだと声が聞こえてしまうかもしれないので」

アリス「うん!そうだね!」

・・・

あやの家の外

しの「それにしても今朝は、アリスが部落について知ってるなんて驚きましたよ」

アリス「うん!だって日本については色々勉強したからね!」

しの「驚いたのと同時に申し訳なくなりましたよ」

しの「日本の、そんな汚い、底辺の、ごみの、掃き溜めの、肥溜めの、そういう人間が、いや、ただの人型の肉塊がいるという事実」

しの「それを知ってしまったらアリスは幻滅してしまうのではないかと心配になりました」

アリス「だからあのとき、カレンに部落について質問されたあのとき、知らない振りをしたんだね」

しの「はいそうです。それなのにアリスが知っているなんていうから・・・」

アリス「ちょっとおどけて話をそらそうとしたんだね」

しの「そうです。意味はありませんでしたけど」

アリス「えへへ」

しの「ふふふ」

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しの「そして、アリスの話を聞いているとどうやらアリスは単なる事実として部落を知っているのではなく」

しの「そうではなく、確かにその部落民に憎悪を抱いているのだと分かりました」

しの「あそこまで強い憎悪」

しの「これはいよいよ、アリスが日本のことを嫌いになって私から離れていってしまうのではないかと思い始めました」

アリス「あのときアワアワしてたしのもかわいかったよ!」

しの「ありがとうございます」

しの「問題はさらに続きます。あやが部落民であるということ」

しの「もちろん私は知っていました。知っていて付き合いました」

しの「当然、あんなのと遊んだりおしゃべりをしたり、そんなのは本当に嫌でしたね」

しの「しかし、あのレズビアン、ようこを狙っているようでぴったりくっついてきやがる」

しの「私はようこのことは友達として好きなので、金魚の糞のようにくっついてくるあやとは仕方なしに付き合っていました」

しの「汚いものには蓋ではありませんが、極力あれのことはみないようにしてすごしていました」

しの「ところが、カレンの言動からあやが部落民であるということがアリスにどうやら露呈してしまったようである」

しの「これは本当に最悪でした」

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しの「自分の周りに、しかも友達面して接近していたのが部落民・・・」

アリス「すごいショックだったよ!吐くかと思っちゃった!気分最悪だったね」

しの「まあここまではまだどうにかなるかな、と思いました」

しの「金輪際アリスとあやとを引き合わせなければいい」

しの「そうすればアリスは嫌な思いはしないのですから」

しの「まあ私に限って言えば、アリスさえいれば生きていけるので、最初からあやはいらなかった」

しの「ようこと付き合えなくなるのは悲しいですが、まあアリスと比べてしまったら、どんなものでもかないません」

アリス「私もしのといれば、どこまでもいつまでもなによりもだれよりも幸せだよ!」

しの「うふふ、アリス、うれしいですよ(ナデナデ」

アリス「えへへ(スリスリ」

しの「ところが・・・ところがですよ、アリス、一体どういうつもりだったんですか?」

しの「あやのところにお見舞いにいこうだなんて」

しの「なぜあやが部落のアンタッチャブルな存在だと知りながらそんな馬鹿げたことをいったのですか?」

しの「あのとき、私は私のなかで思い描いていたアリスとの二人きりの世界」

しの「その世界が、他でもないアリス自身の手によって壊されたような錯覚に陥りましたよ」

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アリス「単なる好奇心だよ」

しの「好奇心・・・ですか・・・?」

アリス「そう。確かにワタシはヒサベツブラクという言葉をしっている。どういうものかを知っている」

アリス「でも、生の経験として持っていなかった」

アリス「あやというゴミクズと付き合ったことは確かに経験かもしれない」

アリス「でも、その時点では部落民であるということは知らなかった」

アリス「だから生の経験とはいいがたいよね」

アリス「だからお見舞いを提案したの」

アリス「この目で部落を眺めて、この耳でおぞましい音を聞いて、この鼻で不快なにおいをかいでみる」

アリス「そして、目の前のかつての友人が、実際はただの部落民である、という事実をかみ締めながら」

アリス「この『心』で、人ならざる、存在してはいけないそれと対話するの」

アリス「だから好奇心。たんなる好奇心」

アリス「しのがなんか反対っぽい雰囲気を出していたときは悲しくなったんだよ?」

しの「でもですね、私にも私の考えというのがあったんですよ」

アリス「うん?」

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しの「アリスが実際に部落をみて、そして部落民であると知りながらあれと話してしまったら」

しの「心底嫌な気分になって、それで日本を嫌いになって、私のもとから」

アリス「もう、しのったらそればかりだね」

しの「うん、だって私アリスがいなくなったら、もうどうしようもないですから」

しの「ですから私は、最後までアリスが部落に足を踏み入れるようになることを妨害しようとしたのです」

しの「『住所が分からない』。このことは大きかったですね」

しの「住所が分からなければ、アリスが穢れの土地にいくこともないですから」

しの「ところが、ところが、あのカレンが。あのカレンが写真を撮っているのは予想外でした」

アリス「ふふふ。しのもまだまだだねー。カレンの様子を見ていれば、写真を撮っていたことなんて一目瞭然だったのに」

アリス「カレンの口から『ヒサベツブラク』なんて言葉が出ること自体おかしいんだよ」

アリス「普通に生きていたら知りようがない。じゃあどこで知ったか。それはきっと生の体験として」

アリス「つまり、カレンは部落に足を踏み入れたということ。そして、さらに質問してきたということは興味をもってる」

アリス「きっと一目見て分かる異様な雰囲気に惹かれたんだろうね」

アリス「そこまでいったら・・・それを記憶に残すために、あるいは自分の不満足な日本語能力の大体として記録に残すために写真を撮る」

アリス「カレンならやりそうなことでしょ?」

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しの「それであのとき、休み時間に追い詰められたカレンがチャイムに救われて帰るとき、カレンのケータイを抜き取ったんですね」

アリス「なんだ気づいてたんだ」

しの「アリスのことは見ていますから」

アリス「まあそのあとは、カレンはアホだからパスコードなんてアホみたいのに設定してるに決まってるからね」

アリス「適当なのをうったんだよ。そしたら開いちゃったから、色々あさってみたの」

アリス「援助交際でもしてるんじゃないかと思ったけど、ぜんぜんそんな様子はなくてがっかりだよ」

アリス「クラスの友達とアホらしいメールとかの日本語不自由なやりとりくらいしかなかった」

アリス「援助交際でもしてたらそれをネタに脅して、まあ、このあとのことやらそうかなあとか思ってたのに」

しの「アリス・・・鬼畜過ぎますよ・・・」

アリス「そうかなあ?えへへ」

しの「ふふふ」

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しの「で、カレンのあほのせいで住所が判明してしまい、向かうことになった」

しの「繰り返し言いますが、前述の理由によって私はアリスを絶対に部落なぞには行かせたくなかったのです」

しの「自己の保身に走って必死で誤魔化そうとするカレンに加勢すればよかったんですが」

しの「あんなアホと手を組んだらどんな計画もうまくいかないなんて目に見えてますからね」

アリス「うん、シノは正しいよ!」

しの「で、いろいろと考えて部落へ行かないように手を尽くしてみたんですが、結局ダメでした」

アリス「ワタシはうれしかったけどね!」

しの「家についてしまったときには覚悟しましたよ。まさかあそこからもどるわけには行きませんからね」

しの「あほのカレンがチャイムを押すのにずいぶんと逡巡してたので、しびれを切らして押してしまいました」

しの「あそこで押してくれないと、私の『覚悟』が無駄になりますからね」

しの「とりあえず部屋に上がらないと実行できません」

アリス「しのの『覚悟』って・・・」

しの「もちろん、殺すことです、あの穢れを」

アリス「わーうれしいよ!ワタシとおんなじだよ!」

しの&アリス「えへへ」

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しの「まあ、結果的には、関係ない今部屋にいる二人も殺すことになりますが仕方ないですね」

しの「アリスと二人きりの世界のためですから」

しの「アリスが部落の話を振っているのをみてはらはらしましたよ」

しの「もしあそこで、あいつが怒って私たちを追い出してしまったらなにもできませんから」

アリス「でもカレン、すーっごくバカだからからかうのたのしかったよ」

しの「でもやりすぎですよ、アリス」

アリス「しのが途中で買ってきたジュースってもちろん」

しの「もちろんお薬入りです」

しの「とりあえず適当な頃合を見計らって、ジュースを3本買いに行きました」

しの「注射器で薬を入れて接着剤で穴をふさぎました」

しの「それで私とアリス以外の3人に渡して飲ませました」

しの「部落民はほとんど飲まなかったし、あほのカレンは受け取りもしませんでしたが、もう一人は飲みきっていたので・・・そろそろ」

しの「そろそろ倒れている頃合じゃないですかね」

しの「さて、最後の仕上げです」

しの「さあアリス、そのポケットに入っている、コンビニでかったヘアスプレーとライターを出して私に渡してください」

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アリス「えー、でもこれはワタシが」

しの「アリスは外国人です。日本で犯罪を犯したら色々面倒です」

しの「その点私は日本人です。私のほうが適任ですよ」

しの「それにですね、アリスにつらい思いなんてさせませんよ」

しの「渡してください。幸いなことに木造住宅です。まわりの建物も木造ですね」

アリス「しかも密集して建っているからよく燃えるよきっと」

しの「ええそうですね・・・きっとさぞかしきれいな光景になるでしょう」

アリス「でもね、やっぱりしの、火をつけるのはワタシの仕事だと思うの」

しの「・・・」

しの「分かりました」

しの「それじゃあ最後にお願いいいですか?」

しの「抱きしめさせてください。なでさせてください。ぎゅっとさせてください」

アリス「うん!いいよ!しのにだったらなにされてもいいよ!(プスッ」

アリス「あれ・・・しの・・・?(バタッ」

しの「注射器もってるっていったじゃないですか・・・アリス」

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しの「アリスは安全な位置に動かしました」

しの「さて、火をつけましょう。このヘアスプレーを火炎放射器代わりにして」

しの「これで物語が完結するのです」

しの「私たちの周りの人間を殺す。それによって、この世界は私とアリスだけになるのです」

しの「それはとっても幸せな世界です。とろけてしまいそうです」

シュゴーーーーブァァァワァァァ!

しの「ふふふ!よく燃えています!ああ!すごい!すごい勢いです!まるできんいろにかがやく柱ですよ!」

しの「ふふふ、どんどん穢れを飲み込んでいきます!天まで!天まで届いちゃってください!ふふふふふふ!」

・・・

病院

あや「・・・ん・・・うっ・・・」

あや「こ、ここは・・・?あれ私・・・どうして・・・」

カレン「気づいたデスカ、あや・・・?」

あや「カレン・・・?あれ、ここって病院?どうして私・・・」

カレン「・・・なにも覚えてませんカ?」

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あや「確か、私のうちにみんながお見舞いにきてくれて・・・」

あや「で、アリスとしのがトイレに行っている間にようこが倒れて・・・」

カレン「・・・」

あや「そしたら煙が・・・あああああああああああ」

カレン「ワタシもあややも、体が動いたのでなんとかようこを助けようとしたんデスヨ」

カレン「しかしあの状況では無理デシタ。すごい勢いで煙が部屋に入ってきて息をするのも困難デシタ」

あや「よ、ようこは?ようこはどこ?ねえ!ようこ!」

カレン「・・・わかっているはずデス」

あや「ようこ!ようこおおおおお!そんな!ウソでしょ!!!!」

カレン「限界まで二人ともがんばったんデス。決して見殺しにしたのではありまセン」

カレン「やがてあややも動くのがつらそうに見えた、だから無理やりワタシはあややを抱きしめたまま窓から外にダイブしたのデス」

カレン「本当だったらようこも一緒に・・・しかし無理デシタ」

あや「私のせいじゃない!私が動ければ!私がもっとがんばれば!あ・・・ああ・・・ようこぉ・・・」

カレン「いえ、検視の結果によると、火事がなくとも死んでいたそうです・・・毒によって」

あや「毒?よ、ようこは誰かに殺されたって言うの?誰よ!?誰よ!許さない!この手で引きちぎってやる!!」

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カレン「・・・」

あや「知ってるの・・・?誰?誰なの?言いなさいよ!」

カレン「しの・・・デス」

あや「!!!そ、そんな・・・」

あや「・・・どこにいるの・・・?(ガタッ」

カレン「あや、まだ動いちゃだめデスヨ!」

あや「しのはどこにいるのよ!許さない許さないんだから!」

カレン「・・・」

あや「知ってるなら答えなさいよ!」

カレン「しのは・・・逮捕されました・・・」

あや「ふーん、だったら警察かどっかにいるのね!」

あや「ねえ、カレン知ってた?私って被差別部落に住んでるの!」

あや「差別されて生きてきたの!虐げられて暮らしてきたの!だからね」

あや「マスコミや議員なんて、私たちがちょっと脅せば簡単に口を滑らせるのよ」

あや「どう素敵でしょ?部落って」

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あや「差別をしてきたくせに、見下してきたはずなのに、なんでそんな相手に対してぺこぺこするのかしらね?」

あや「それはね私たちが、部落部落と呼ばれてきた私たちが正義をもっているからなの」

あや「人権という名の正義よ」

あや「この正義は日常生活ではちょーっと重すぎるから、普段は隠しているのだけど」

あや「こういうときはちゃんと行使しなきゃね!」

あや「だって、私、何も悪くないもの!そうでしょ!」

カレン「・・・」

あや「なによこっちみなさいよ!それとも日本語分からない?窓の外の景色見るよりこっちみなさいよ!」

カレン「あやはなにもわるくないデスヨ」

あや「ふん!そうに決まってるでしょ!」

カレン「でも、あやの言っているしのを殺すってのは絶対に無理デス」

あや「な、なんでよ!」

あや「刺し違えてでも!たとえ死刑になろうとも!ようこのあだ討ちよ!絶対にやり遂げてみせる!」

カレン「無理デスヨ・・・だって・・・」

カレン「しのも死んでしまったカラ」

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あや「は・・・?」

カレン「残念デス・・・しのには罪を償ってもらいたかった、ちゃんと反省してもらいたかったデス」

あや「しのまで死んだって・・・どういうこと・・・」

カレン「ようこがシノによって殺されたと知ったら、あやはどうするでしょうカ?」

あや「え?」

カレン「きっと今のように怒って、シノをその手で殺そうとするデショウ」

カレン「それがあややにとって、ようこに対する手向けになるからデス」

カレン「そして彼女はそのことを分かっていたのデス」

カレン「現場の近くで倒れていた、友人の少女・・・警察は油断シマシタ」

カレン「事情聴取としてしのと会わせてしまったのデス」

カレン「警察にとっても予想外の事態だったデショウ。彼女は、アリスは髪留めを鋭く加工して仕込んでいたのです」

カレン「シノのノドをえぐり鮮血がほとばしるのを確認した後、すぐに自分の大動脈にも突き刺しました」

カレン「二人は手をつなぐようにして、重なりあうようにして死んだらしいデス」

カレン「シノの黒髪、アリスの金髪、血・・・まるでモザイク画のようだったらしいデスヨ」

カレン「二人の死に様は、汚いはずなのに、キラキラと輝くモザイク画のようだったそうデス」

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あや「そんな・・・じゃあ・・・私は一体・・・どうすれば・・・」

カレン「シノを殺してしまえば、あややの復讐は成し遂げられない・・・考えたものデスネ」

カレン「あややにとってはそれが辛いことが二人には分かっていたのデス」

カレン「最後まで、どこまでも、死のまさにその瞬間まで、二人はあややを苦しめようとほくそ笑んでいたのデスネ」

あや「・・・ああ・・・そんな・・・」

カレン「引き返すべきだったのデス・・・」

カレン「ワタシはあややのうちのチャイムの前でなんともいえぬ違和感を感じたのデス」

カレン「しかし、その正体に気がつくことなく結局は、シノにチャイムを押されてしまった・・・」

カレン「あの違和感はきっと、シノの行動や悪意だったんデスネ」

カレン「あの時、引き返せたのデス」

カレン「私たち5人が元にはもどれなくても、それでも私たち5人が生きている未来というのは存在したのデス」

あや「一体・・・私が何をしたっていうのよ・・・何もしてないじゃない!」

カレン「そうデスネ・・・なにもしてないデス。でも何もしていなくても選ばれたり、何かをしているのに選ばれなかったりするんデスヨ・・・」

カレン「そういうものなんデショウネ・・・世界っていうのは・・・」

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あや「なに、くさいこと言ってるのよ!元はといえばカレンのせいじゃない!」

あや「カレンが私を尾行して!家を暴いて!こんなことになったのはカレンのせいじゃないの!」

カレン「はいそうデスヨ。今思えば、全部ワタシのせいなんデスネ」

カレン「あややを尾行しなければ、写真をとらなければ、住所を検索して被差別部落という言葉をしらなければ」

カレン「興味本位で二人に質問をしなければ、休み時間に皆さんのところにいかなければ」

カレン「チャイムを押さずに振り返って皆さんを説得できれば・・・」

カレン「しのがあややの部屋でトイレに立ったとき、先を越されてしまいマシタ」

カレン「あのとき、もしワタシが、シノではなく私がトイレにいっていたら」

カレン「そうしたら結末もぜんぜん変わったものになっていたかもしれませんネ」

あや「そういう世界もあるのかしら・・・今となっては手遅れかもしれないけど・・・みてみたいわね・・・」

カレン「みてみたいんですか?」

あや「え?」

カレン「ワタシが先にトイレにいった世界みてみたいんですカ?」

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カレン「みたいデスカ?」

カレン「ハッピーエンドに変わるとは限りませんヨ?」

カレン「むしろもっと悪い結末かもしれませんヨ?」

カレン「たとえば、あややがヨウコのことを殺してしまう」

カレン「そういう結末かもしれまセーン」

あや「そんな馬鹿なこと、あるわけ」

カレン「それじゃあ、シノがヨウコを殺して、アリスがシノを殺して自殺する、これは馬鹿げていないことなんデスカ?」

あや「それは・・・」

カレン「勇気がありますカ?」

カレン「さっき、あややは何もしていないのにどうしてっていいましたネ?」

カレン「どうしますカ?今、どうしますカ?なにかしますカ?それともやっぱりなにもしませんカ?」

あや「・・・そんないきなり言われても」

カレン「さあどうするんですカ」

あや「私は・・・私は・・・!」

あや「(>>200の内容)よ!」

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お風呂に入ってくるのであまりはやくとらないでくだサーイ

あやとよーこは幸せなキスをして終了

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あや「私は・・・私は・・・!」

あや「ようことキスがしたい!最後にキスがしたいわ!」

カレン「・・・OKデース。わかりマシタ」

あや「他のことは望まないわ。ただ、幸せに、ただキスをしたいの・・・」

あや「女同士なのに変だとは分かっているけど・・・」

カレン「いえいえ、変じゃないデスヨ。本当に好きなら、自然な気持ちデス」

あや「本当・・・?」

カレン「ええ、ソーデース!さて、キスデスカ」

カレン「まあ、まかせてくだサーイ!せめてもの罪滅ぼしをしますヨ!」

カレン「うーん・・・でもその状態だとまだ出歩けませんネ」

カレン「ヨーシ!ナイスアイディーアデース!」

カレン「数日後を楽しみにしていてくださいネ」

あや「え、ええ、分かったわ・・・」

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数日後

カレン「~♪」

カレン「へーいあやや!コンニチハデース!」

あや「あら、カレン、まっていたのよ」

カレン「フフーン、ヨウコをちゃんとつれてきましたヨ!」

あや「ほ、本当!」

カレン「ジャジャーン!」

あや「・・・!ひっ・・・ひぃっ・・・!」

カレン「遺体の損傷が原型をとどめないほど酷かったので、司法解剖が済んですぐ火葬にしたそうデース」

カレン「お葬式はまだデスが、遺族に無理言って借りてきたのデスヨ(ドヤァ」

カレン「事情を話したら、それならばということで渡してくれたのデース」

カレン「さあ!あやや!ようこの頭蓋骨デスヨ!」

あや「ひい・・・そんなの、ようこじゃないわよ!」

カレン「What? あややはヨウコとキスがしたいんじゃないんデスカ」

カレン「ほら、キスし放題デスヨ!」

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あや「うっ・・・やめて、そんなのようこじゃ・・・ようこじゃ・・・」

あや「私に近づけないでよぉぉ!(ガタッダダダ」

カレン「ほら、あやや!ヨウコですヨ!ヨウコもあややとこうやって会えてきっと喜んでいますヨ?」

あや「やめて(タタタッ」

カレン「逃げないでくだサーイ?それにそっちは・・・」

あや「やめてこないで、こないで(グラッ」

あや「えっ・・・きゃあああああああ」

カレン「窓、開けっ放しでしたネ」

・・・ドーン!グシャドシャメギョッ

カレン「Oh no.この高さからだと即死ですネ」

カレン「あっ」

ヒューッ!バゴォッ

カレン「おっと、ヨウコの頭蓋骨落としちゃいましタ」

カレン「あややの頭の部分に当たってとまりましたネ」

カレン「まるで二人がキスしてるみたいデース。HAHAHA!」          二人は幸せなキスをして。 END

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だってキスしろっていうから・・・

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年04月26日 (日) 16:11:15   ID: rtqe0wqV

本場のレイシスト怖いデース………

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