苗木「超高校級の……犬?」アマテラス「ワン!」 (65)

落ちたので続きから

苗木「超高校級の……犬?」アマテラス「ワン!」
苗木「超高校級の……犬?」アマテラス「ワン!」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1379675733/)

モノクマ「ま、それは別にどうでも良いんですけどね」

大和田「テメェは何がしてぇんだ? あぁ?」

モノクマ「何がしたいって、決まってるじゃない。君達に絶望して欲しいんだよ」

苗木「だから、僕達は絶望なんて……」

モノクマ「うぷぷ。これを見てもそう言えるかな?」

霧切「何、その封筒は?」

モノクマ「この中にはオマエラの知られたくない秘密が入っているのです!」

不二咲「え……!?」

モノクマ「今から24時間以内に殺人が起きなかったら、その秘密を駅前の街頭で堂々と放送しちゃいます!」

大和田「な、なにぃ……!」

不二咲「どうして、こんな酷いことするのぉ……?」

モノクマ「だから言ってるでしょ? 君達に……ハッ!」

スカッ

犬「!?」

モノクマ「うぷぷ。いつまでも舐められてばかりだと思ったら大間違いだよ?」

セレス「文字通りですわね」

モノクマ「あー、久しぶりに清々した! それじゃあ、明日の朝を楽しみにしてるからね!」

苗木(そう言うとモノクマは早々に消えてしまった)

苗木(僕にはシロが怖くて逃げ出した様に見えたけど、モノクマに言ったら否定するんだろうな)

腐川「……で? ど、どうするのよ、この秘密」

十神「心配しなくてもお前の秘密はバレているようなものだから安心しろ」

腐川「びゃ、白夜様が私の心配を……!」

十神「何故そうなる」

石丸「うむ。僕はこの場で皆の秘密を打ち明けるべきだと思うのだが……」

霧切「嫌よ」

セレス「お断りいたします」

舞園「事務所的に、これはちょっと……」

不二咲「……ごめん、今はまだ……」

大和田「すまねぇな、兄弟……」

石丸「う、ううむ。多数決は民主主義の基本だ。ここは従うしかあるまい」

苗木「あんまり無理やり聞き出すのも、心苦しいもんね」

苗木(こうして、体育館での第二の動機提示会は終了した)

苗木(第一回目の動機提示の時よりは、みんな落ち着いているようで安心したけど……)

苗木(やっぱり、どうしても同様の色は隠せない人も多い)

苗木(でも、今は……みんなを信じて明日の朝を待つしかない)

苗木(僕は、みんなを信じるって決めたんだ!)

――解散直後

犬「……?」クンクン

不二咲「きゃ! ど、どうしたのぉ……?」

大和田「お、おいテメェ! 不二咲に何かしたら……や、やさしくただじゃおかねぇぞ……?」

犬「くぅん?」

大和田(首かしげて……可愛いいじゃあねえかぁ……!)

不二咲「? ……あ、大和田君。ちょっと良いかな?」

大和田「……おっ、おお? どうした?」

――

――夜時間 苗木の部屋

苗木(………)

苗木(……眠れない)

苗木(やっぱり、どうしても不安だよな。舞園さんの件だってあったんだし)

苗木(……あれ? シロがいない)

苗木(どこに行ったんだろう? さっきまでは確かに部屋に……)

苗木(……気晴らしに、ちょっと探しに行こうかな)

――二階 廊下

苗木「シロー、おーい?」

苗木「……寄宿舎と一階全部回ったのに居ないなんて」

苗木「となると、残りはプール……ハッ、まさかあいつ……!」

苗木(朝日奈さんがプールに行くのを見つけてそのまま……!?)

苗木「勘弁してよ、飼い主だからって僕まで怒られるんだから!」

――二階 プール前

――ワン! ワン!

苗木「良かった、やっぱりここか……ん?」

苗木(今の鳴き声、男子更衣室の中から……?)

ガンッ!!

苗木「ッ!?」

苗木(な、なんだ今の音!?)

ガンッ!!キィン!

苗木(な、中で一体何が……?)

キィィ…

ゾワァァ!!

苗木「!?」

苗木(扉を開けてすぐに感じ取ったのは、肌寒く、そしてこの世のものとは思えないほど不快な風だった)

苗木(その瞬間、言いようのない恐怖が僕を襲う)

苗木(でも、それも一瞬だったんだ)

犬「ガウゥ!!」

苗木(冷たい風の後に飛び出してきたのはシロだった)

苗木(僕には目もくれず、吹き込んできた風を追いかけるように更衣室の前へと踊り出る)

苗木(そして、シロの尻尾が忙しなく動いた次の瞬間)

苗木(部屋の中で渦巻いていた淀んだ空気が、晴れていくのを感じた)

犬「……くぅん!」

苗木(後に残ったのは得意げなシロと、呆けた顔でシロを見つめる僕だけだった)

――

苗木(少しして、我に返った僕は、急いで男子更衣室の中を確かめた)

苗木(そこには……)

苗木「お、大和田君!?」

大和田「………」

苗木「大和田君、しっかり! 大和田君!」

大和田「……わ…」

苗木「わ?」

大和田「…ぅわぁたぁあんめぇんだよぉぉ……」

苗木「……は?」

苗木(ね、寝言……ってことでいいんだよな……?)

不二咲「ぅ……ひっく、ぅ……!」

苗木「! えっ……不二咲、さん……?」

苗木(女の不二咲さんが、なんで男子更衣室に……?)

苗木「だ、大丈夫? 不二咲さん?」

不二咲「! な、苗木君……! ゴメン、ゴメンナサイ……!」

苗木「え……?」

不二咲「僕が大和田君の悩みに気がつけなかったから、だから……!」

苗木「お、落ち着いて、不二咲さん!」

不二咲「ゴメンねぇ……!」

苗木(その後不二咲さんから聞いた話によると)

苗木(彼女……いや、彼は男だった)

苗木(第二の動機でそのことがバラされると知って、これを機に強くなろうとしたんだ)

苗木(そこで、強くて憧れの大和田君に、そのことを相談したら……)

苗木(大和田君の、触れてはいけない部分に触れてしまった)

苗木(危うくダンベルで殴り殺されそうになった時、シロが駆けつけて来たという)

苗木(そのまま大和田君とシロは揉み合いになり、不二咲君はショックのあまり放心状態に)

苗木(不二咲君が気がついた時には、もう全てが終わった後だったらしい)

大和田「……すまねぇ、不二咲。俺が弱いばっかりに、俺はお前を……」

不二咲「……うんうん、いいんだよ。僕も、大和田君の辛さに気づいてあげられなかったから」

大和田「だけどよ、俺はこのままじゃ気が済まねえ……自分で自分を許せねえんだ……!!」

不二咲「……じゃあ、ひとつだけいいかな?」

大和田「ああ、言ってくれ!」

不二咲「僕を……うんうん、僕と一緒に強くなってくれないかな?」

大和田「!? お、お前……」

不二咲「だめ……かな……?」

大和田「……いや」

大和田「そうだな。じゃあ、俺からも頼む。俺と一緒に、強くなってくれ」

不二咲「うん! えへへ、『男の約束』だね!」幸 幸 幸 幸

大和田「ああ、『男の約束』だ!」幸 幸 幸

……

苗木「二人はもう大丈夫みたいだね。僕達も、部屋に戻ろうか」

犬「ワン!」

――校舎一階 廊下

苗木(それにしても、さっきのは一体何だったんだろう)

苗木(舞園さんの時もそうだ。いきなり唸りだしたと思ったら、そのまま舞園さんに襲いかかって……)

苗木(けど、結果的に舞園さんは殺人を犯すことは無かった)

苗木(大和田君も……)

苗木「……シロ」

犬「ワン?」

苗木「……君が、僕達を助けてくれてるのか?」

犬「……アゥ?」

苗木「……あはは、そんなわけないよね」

苗木「けど、大和田君のことは本当にありがとう。君が居なかったら、今頃不二咲君は……」

ぐぎゅるるるる……

苗木「………」

犬「……くぅん……」

苗木「……倉庫に行こうか。あそこなら、何か食べさせてあげられる物があるかも」

犬「ワン!」

苗木(そして、運命の翌朝)

苗木(僕らは誰一人欠けることなく24時間を迎えた)

苗木(僕らの秘密は、街頭に放送された『らしい』)

苗木(らしいと言うのは、実際にその様子をモノクマが見せてくれなかったからだ)

苗木(結局、本当に僕らは秘密をバラされたのかも分からないまま、第二の動機はその効力を失った)

苗木(その直後に、僕のおねしょの件だけ学内にバラされたけど……)

苗木(そしてまた、僕らには平穏な日常が訪れた)

苗木(……かに見えた)

苗木(第二の動機が効力を失ったその次の日)

苗木(モノクマは畳み掛けるように僕達を揺さぶってきた……!)

モノクマ「……えぇー、みなさんおはようございますぅ。モノクマ任三郎です」

朝日奈「どうして古畑?」

モノクマ「ボクがさっきまで見てたからだよ! 悪いか!?」

葉隠「オメーも暇なんだなぁ」

モノクマ「誰のせいだと思ってんのさ! キミらがまったく殺し合わないせいでしょうが!?」

セレス「そう言われましても困りますわ」

山田「殺人ムード(笑)など、あってないようなものですからなぁ」

モノクマ「ぐぐぐ……それもこれも……君達のせいだよ!」

犬「わふ?」

苗木「え、僕?」

モノクマ「そうだよ君達! 君達が絶望の芽をことごとく摘んで回ってるせいでねぇ」

モノクマ「僕の絶望分がまったくと言っていいほど補給出来ないんだよぉぉ!」

苗木「な、なんだよ絶望分って……」

モノクマ「ま、という訳で。今回もちゃっちゃと動機提示と参りましょうか」

十神「随分とおざなりになってきたな」

モノクマ「いや、もうぶっちゃけ動機の提示も飽きてきたし」

葉隠「いくらなんでもぶっちゃけ過ぎだべ……」

腐川「な、なら……あ、アタシ達をさっさとここから出しなさいよ……!」

モノクマ「それは嫌です」

腐川「こんの……ッ!」

モノクマ「さ、今回の動機ですが……こちら!」

セレス「!」

モノクマ「ひゃーくおーくえーん!!」

モノクマ「卒業生が出たああああああああああああ!!」

犬「ワンワン!」

モノクマ「や、やめ、やめなさい! やめろこらぁ!」

不二咲「今度はあんなに転がされてる……」

桑田「前回無かったから油断したな、あいつ」

モノクマ「うー、気持ち悪……一体型カメラなんだから勘弁してよね、まったく……」

犬「ワンワン!」

朝日奈「はいはい、慌てないの……別に逃げないんだから…・」

大神「朝日奈よ……随分と手慣れてしまったな」

モノクマ「完全無視!?」

江ノ島「……ご愁傷様」

モノクマ「うるさいよ!」ポコ

江ノ島「あいた!」

苗木(第三の動機提示が終わり、僕らは体育館を後にした)

苗木(みんなに確認を取ってみたけど、大切な友達をお金のために売るような事はできないと言ってくれた)

苗木(こんな状況じゃ、普通信じろって方が無理なんだろうけど)

苗木(僕は、みんなからその言葉が聞けただけで十分信じるに値する内容だった)

苗木「……あれ? シロ?」

苗木(またどこかに行ったのかな?)

苗木(……まぁ、いいか。探すついでに、三階の探索に行こう)

――三階 娯楽室

セレス(………)

セレス(……ふ、フフフ)

セレス(キタアアァァァァァァァ!!)

セレス(こんな所、誰かを殺してさっさと出ていこうと思っていましたが……)

セレス(今の今まで我慢して正解でしたわね)

セレス(これで『外に出ること』と『夢の資金を貯めること』を両方同時に行うことが出来ますわ)

セレス(どちらも成功させることがギャンブラーの辛いところですが……)

セレス(覚悟はできていて? わたくしは出来ていますわ)

セレス(さて、ビリヤードでもしながら作戦を考えるとしましょう……)

クイッ

セレス「ん……?」

犬「ハッハッハッ」

セレス「あら、苗木君のところの白餃子ではありませんか」

セレス「どうしたのです? 遊んで欲しいのですか?」

犬「ワン!」

セレス「うふふ、忠実で賢い犬は好きですわよ」

セレス「しかし、今は少し取り込んでいるのでまた後で……」

犬「!」

グイッ!

セレス「ちょ、す、スカートを引っ張らないでくださる!?」

犬「!!」

セレス「や、やめ……やめて……!」

犬「!!!」

セレス「やめろっつってんだろこのビチグソがァ!!」

犬「!!?」

セレス「まったく……飼い主に似て馬鹿な犬……」

犬「ワンワン!」

セレス「……今度はなんですの?」

犬「ワンワン!」

セレス「雑誌ラックに向かって吠え続けて、何の意味が……」

セレス(……まさか)

セレス「花咲かじいさん……?」

セレス(さっきわたくしを引っ張ってこようとしていたのも、まさかこのため……?)

セレス「……こんな場所に何が……あら?」

【モノクマメダル】ピョロロー

某国の王も集めているというちいさなメダル
要するに鉄で作った幸玉である

セレス「こんなところにモノクマメダルが……え? これだけですの?」

犬「ハッハッハッ!」

セレス「……はぁ、無駄骨でしたわね」

セレス(こんなものじゃ、モノモノマシーン一階回すくらいしか……え?)

犬「………・」ジィ

セレ「…………・まさか……?」

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