早苗「CGプロ捜査線!」美世「ベストパートナー♪」 (190)

書溜が9割ほどになったので見切り発車します。

注意
・プロデューサーはキュート、パッション、クール属性の3人が登場します。
・「逮捕しちゃうぞ」と「アイマス(シンデレラガールズ)」のクロスオーバーとなっております。
・二番煎じじゃねぇか!バカヤロウ!!

大丈夫だ、問題ない。という寛大な読者様は、しばしの間お付き合いください。

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8月12日 午前08:00 CGプロ 玄関

美世「ふぅ、今日も暑いな~」

CoP「おや?美世さん、おはようございます。」

美世「あ、CoPさん!おはよう♪」

CoP「今日も調子がよさそうで何よりです。」

美世「それはCoPさんがメンテしてくれてるおかげだよっ!」

美世「今日もフルスロットルで行くよーっ♪」

CoP「ふふ、美世さんは相変わらずですね。」

美世「CoPさん?どうしたの?」

CoP「いえ、何でもありませんよ。それよりも中に入りましょう。」

美世「うん!いこっCoPさん♪」

CoP「そうでした。美世さん、次の仕事が決まりましたよ。」

美世「本当?なになに?」

CoP「車、バイク雑誌『車輪の友』の巻頭グラビアです。」

美世「わぁ♪・・・でもグラビアなんだね。できれば、バイク工場の取材とかが良かったけど・・・」

CoP「・・・申し訳ありません、私の力不足です。」

美世「ううん。あたしこそワガママいってごめんなさい・・・」

CoP「いえ、私の力不足は事実ですから。」

CoP「女性ファッション雑誌の依頼も、ティーン向けで、しかも早苗さんしか頂けていませんし・・・」

CoP「美世さんも、早苗さんのように雑誌のコラム欄をもてれば、状況も一変出来ると思っているのですが・・・」

美世「うん、あたしの場合女性ファンが少ないもんね。」

CoP「そんなことはありませんよ。ですが、美世さんの趣味が『車・バイクいじり』であるので・・・」

CoP「出版社には世の女性に対するカリスマが発揮しづらいと思われているようでして・・・」

美世「うーん・・・やっぱり、あたしの趣味はアイドルとして問題なのかな?」

CoP「いえ、美世さんはそういった面を含めて魅力的な女性です。」

CoP「ファンの皆も同じように思っているはずですよ。私が保証します。」

美世「あはは♪もう、CoPさんたら。何処からそんな自信がでてくるの?」

CoP「もちろん、それは私が美世さんのファン一号だからですよ。」

美世「えへへ・・・///」テレテレ

CoP「あ、早苗さんのファン一号も、もちろん私ですよ。」

美世「うん・・・」

美世(CoPさんはああ言ってくれたけど、あたしには『女性の魅力』が足りない気がする・・・)

美世(せっかくアイドルになったんだから、もっと頑張ろう!)

美世(あ、そういえば・・・)

美世「何でCoPさんはこんなに早くに来てるの?」

CoP「美世さんも人の事を言えるような話ではありませんが・・・」

CoP「まぁいいでしょう。私は、今朝社長に呼び出されたのですよ。」

美世「社長に?」

CoP「ええ、早苗さん指名の依頼だそうで。早苗さんも向かっていると思いますよ。」

美世「早苗さんも!?」

美世(早苗さんと一緒に仕事してるのに、あたしには何にも連絡がないなんて・・・)

美世「あたしはアイドルに向いてないって思われてるのかな・・・」

CoP「美世さん。社長がどのような意図で、私達を呼び出したのかは今はわかりません。」

CoP「ですが、社長は誰かを見捨てるような真似を決してしない人間です。今回は早苗さんに用があるだけだと思いますよ。」

CoP「何より、美世さんがアイドルに向いていないなどと言う人は、たとえ社長であろうと私が許しません。」

美世「うん。ありがと、CoPさん♪」

8月12日 午前08:05 CGプロ 営業室

ガチャ

美世「おはようございます!」

CoP「おはようござ・・・」

ドシーン

社長「」ピクピク

美世「しゃ、社長っ!早苗さん!?」

早苗「はぁ・・・はぁ・・・」

ちひろ「あ、CoPさん!美世ちゃん!助けてくださいっ!!」

CoP「事情は大体理解できました。」

美世(あたしには全然わからないよ、CoPさん・・・)

CoP「また、社長が無意識セクハラ発言でもしたのですか?」

ちひろ「今回は違います!実は・・・早苗さん御指名の依頼について話をしたら・・・」

CoP「早苗さんの逆鱗に触れて、床と仲良くする事になったと。」

美世(今朝の『社長に呼び出された話』なのかな?)

CoP「ちひろさん。その『早苗さん御指名の依頼』について詳しく説明して頂けますか?」

ちひろ「はい。あれは昨晩の出来事なのですが・・・」

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前日 午後08:30 CGプロ 営業室

CoP「お先に失礼致します。」

PaP「ほい!おつかれぃッ!!」

CuP「お疲れ様、CoP君。」

ちひろ「お疲れ様でした、CoPさん!」

バタン

PaP「しっかし、最近アイツ頑張ってますねッ!!」

CuP「そうだね、入社してから半年もしてないのに、もう二人目の担当アイドルをスカウトしてきたし。」

CuP「君は入社二年目でも、まだ茄子ちゃんしか担当のいないからね。PaP君は彼を見習ってもっと頑張らないと。」

PaP「う・・・」

ちひろ「こらこらCuPさん、後輩をいじめちゃダメじゃないですか!」

ちひろ「PaPさんもあまり気を落とさないで下さいね。頑張っていることは知っていますし。次の担当アイドルもそのうち見つかりま・・・」

プルルルル プルルルル

ガチャ

ちひろ「はい、CGプロでございます。」

ちひろ「え゛・・・警察・・・ですか?」

Cu・Pa「警察ゥ!?」

ちひろ「あ、えっと。CoPは、本日退社してしまったのですが。明日改めて・・・」

ちひろ「あ、はい、社長ですか?かしこまりました、少々お待ちください。」

ちひろ「えっと、転送っと。社長、墨東署の方からお電話です。」

ガチャン

ちひろ「ふぅ・・・」

PaP「ちょ、ちょっと警察署からってどういう!?」

ちひろ「わ、私に言われても・・・」

CuP「まぁまぁ、二人共落ち着いて。」

CuP「もし犯罪にかかわる事なら、まず社長に話が行くはずだし。」

CuP「CoP君に話が来ている以上、普通にお仕事の依頼だと思うよ。」

ちひろ「そ、そうですね。」

PaP「しっかし、警察署からの依頼となると『一日所長』しかないんじゃ・・・」

CuP「そうだね、卯月達『ニュージェネレーションズ』ならともかく。」

CuP「CoP君の担当アイドルである、美世ちゃんと早苗さんのアイドルランクでは破格の依頼だね。」

ちひろ「でも、早苗さんは元々警察官でしたし。話題性は十分ですよ!」

ちひろ「ほら、『元警官がアイドルになって、警察署の一日所長に就任!』なんて前代未聞だと思いません?」

PaP「ちひろさんの言うとおり話題性はありそうっすけど、にしても変ですよ。」

PaP「それに、うまく言えないけど、なんかヤナ感じがするんすよ。なんつーか、こう裏があるような・・・」

ちひろ「ちょ、ちょっと不安になるような事を言わないでください!!」

ガチャ

社長「皆、少し時間を頂いてもいいだろうか?」

CuP「社長、どうかしたんですか?」

社長「うむ、先ほどの墨東署からの依頼だが・・・」

ちひろ「や、やっぱり。何か条件が・・・」

PaP「まさか!枕営業かッ!?」

スパーン

PaP「ぐはぁ!ちょっと、生身の人間に竹刀振らんでくださいよッ!!」

社長「君がおかしな事を言うからだよ。まぁ条件があるというのはあっているよ。」

社長「先方からの話では、依頼内容及び期間は不明。かつ早苗ちゃん御指名の依頼だそうだ。」

ちひろ「社長、『依頼内容及び期間は不明』ってどういう事ですか?」

社長「うむ、先方に込み入った事情があるらしくてな。」

社長「電話越しには詳細を伝えられないそうだ。」

CuP「・・・リターンは言うまでもなく大きいですが、リスクも相応にありそうですね。」

PaP「こんな怪しい依頼、普通なら速攻でご破算と言いたいとこだけど・・・」

PaP「相手が相手だけにホイホイ蹴るのも勿体ないっすね。」

社長「うむ・・・だが、いずれにせよ私達が勝手に判断する訳にはいかん。」

社長「明日、CoP君と早苗ちゃんには私から説明をする。」

社長「君達はこの件について彼らから相談があった時は、最優先で協力してほしい。」

全員「「「了解しました!」」」

社長「うむ!では、この話はここまでだ。」


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ちひろ「と、言う事があったんです・・・」

CoP「わかりました。私に任せてください。」

ちひろ「お、おねがいしますぅ・・・」

CoP「早苗さん、少しよろしいでしょうか?」

早苗「・・・何、CoP君?」

早苗「あたし、今、すっごく虫の居所が悪いんだけど・・・」

CoP「見ればわかります。ですが、一体何に対して怒っているのですか?」

早苗「はぁ!?ちひろさんの話を聞いてなかったの?」

早苗「多分、事件で人手が足りないから、あたしを警察に戻すとかそんな話よ!」

CoP「それは少々早合点というものではないでしょうか?」

美世「そうだよ早苗さん!まだ向こうは何も言ってないよ!」

早苗「あ・・・」

CoP「まずは先方と直接接触し、詳細を確認する。」

CoP「依頼を蹴るのも怒るのも、その後で遅くはないと思いますよ?」

早苗「・・・うん、ごめんなさいCoP君。」

CoP「私よりもそこで寝ている社長に言ってあげてください。」

早苗「・・・うん。」

美世(お仕事の依頼、早苗さん御指名って言ってたよね。)

美世(警察からの依頼だから、あたしはついていっちゃいけないよね・・・)

CoP「では、ちひろさん。先方との打ち合わせの設定をお願いします。」

CoP「こちらの出席者は、私、美世さん、早苗さんの3人です。」

美世「あたし!?」

ちひろ「わかりました。確定次第連絡しますね。」

早苗「ちょっと、CoP君!?美世ちゃんも連れてくつもりなの!?」

CoP「もちろんです、最近は別々の活動が増えてきましたが、お二人は同じユニットですし。」

CoP「早苗さんでなければいけない理由がなければ、一緒に仕事を出来るよう調整するつもりです。」

早苗「美世ちゃんと一緒に仕事が出来るのは大歓迎だけど、警察の依頼よ?美世ちゃんには危険じゃない?」

CoP「相手が警察であろうと、お二人には『アイドル』としてお仕事をしてもらうつもりです!」

CoP「少しでも危険がある場合は、依頼を受けるつもりはありません!」

早苗「まぁ、そういうことなら問題ないわね。」

美世「あの・・・CoPさん。あたしもついてっていいの?」

CoP「もちろんです、3人で行きましょう。」

美世「ほんと?やったっ♪」

CoP「では今日のスケジュールを確認しましょうか。」バサ

CoP「本日は1日中レッスンなので、二人でレッスン場へ向かってください。」ピラ

CoP「申し訳ありませんが、これから打ち合わせがありますので。」バタン

早苗「オッケー、お姉さんに任せときなさい!」

美世「それじゃあ、行ってくるね。CoPさん。」

8月12日 午後05:00 CGプロ 営業室

早・美「ただいまー!」

ちひろ「はい、お帰りなさい!」

ちひろ「それと、エナジードリンクが冷蔵庫で冷えてますよ。」

美世「ありがとっ!ちひろさん♪」

早苗「ん、流石ちひろさん!至れり尽くせりね♪」

ゴクゴク

ガチャ

CoP「おや、二人共レッスンお疲れ様でした。」

美世「あ!CoPさん、お疲れ様っ!」

早苗「お疲れ、CoP君!」

CoP「ありがとうございます。ところで、二人はこの後お時間はありますか?」

早苗「ん~?仕事上がりの美人を二人もデートに誘うなんて・・・このこの!隅に置けないねぇ!」ツンツン

CoP「確かに早苗さんも美世さんも美人ですが、自分で言っては意味がないと思いますよ?」

CoP「それと、デートではありません。お仕事です。」

早苗「な~んだ、おもしろくな~い。」プクー

美世(あたしが・・・美人・・・?)カァァ

早苗「まぁ、今朝は皆に迷惑を掛けちゃったし。ちょっとくらいならやったげるっ♪」

CoP「ありがとうございます。美世さんは大丈夫ですか?」

美世「・・・ふぇ?あ、あたしはだいじょぶだよっ!?」

CoP「・・・顔が赤いようですが?体調が悪いのであれば翌日に変更しますよ?」

美世「うん!大丈夫!!」

CoP「そうですか。無理だけはしないで下さい。」

早苗「で!そこでイチャイチャしてないで、仕事について教えなさいよ!」

CoP「・・・そのようなつもりはないのですが。」

CoP「まぁいいでしょう。仕事というのは『今朝の依頼』についての打ち合わせになります。」

早苗「え・・・?」

美世「あ、あのCoPさん?」

CoP「私も同行しますので、今から向かいましょう。」

スタスタ

早苗「仕事って、今朝の・・・?」プルプル

美世(さ、早苗さんが怒ってる・・・)

早苗「なんで警察はこういう時に限って仕事が早いのよっ!!」

美世ちゃんだあああああああああああ

超期待支援

8月12日 午後06:00 BAR止まり木 特別席

早苗「・・・」イライラ

美世「えっと、こんにちは!」

CoP「本日は急にお呼び立てを致しまして、申し訳ありません。」

警察官「こちらこそ、本日は御足労頂きまして誠にありがとうござ・・・」

バン

早苗「御託はいいわ!さっさと本題に移りなさい!!」

美世(さ、早苗さん。とっても怒ってる・・・)

警察官「は、はい!か、片桐元巡査は墨東署についてご存知でしょうか?」

早苗「墨東署・・・ね、よく知ってるわ。」

早苗「確か・・・二日酔い、女装等、勤務中の私的行為は日常茶飯事。」

早苗「果ては、違法すれすれの行動も辞さない。警察内でも異色の警察署。」

美世(異色って言葉で片付けていいのかな・・・?)

早苗「ついたあだ名が”ワイルドサファリ”とか”独立愚連隊”じゃなかったけ?」

警察官「ええ、お恥ずかしい話ではありますが。その通りです。」

早苗「で、その異色の墨東署が今回の仕事とどう関係するのよ?」

警察官「・・・単刀直入に申しますと。片桐元巡査に墨東署の警察官として復職して頂きたいのです。」

バン

早苗「ふざけないで!・・・話はもうここまでよ。」

誰も見てないと思っていただけに感動を禁じ得ない!(感涙)
頑張りますっ!!

原田美世

片桐早苗

見てるから頑張ってくれ

美世「ま、まって早苗さん!CoPさんも何か言ってよっ!」

CoP「そうですね。早苗さん、帰るのは理由を聞いてからにしませんか?」

早苗「なんですって!?」

CoP「無理矢理にでも復職させるつもりがあれば、まず社長に直接言うでしょう。」

警察官「は、はい!あくまで一時的に復職して頂きたいという事なのです。」

早苗「だったら先にそう言いなさいよ!まったく・・・」

警察官「・・・!」ガクガクブルブル

美世「お巡りさん。落ち着いて言えば大丈夫だよ♪」

警察官「はい、ありがとうございますッ!!」

早苗「で、なんであたしが警察に戻る必要があるのよ?」

警察官「実は、墨東署には”スーパーコンビ”と呼ばれる警察官がいまして・・・」

早苗「辻本夏美ちゃんと、その相棒ちゃんでしょ?」

警察官「!・・・ご存知なのですか!?」

早苗「夏美ちゃんとは、まぁ大会でちょっと、ね・・・そこで仲良くなったのよ。」

美世(どんな人なんだろう?)

早苗「でも懐かしいわね。ね、ね、夏美ちゃん元気そうにしてた?」

警察官「いえ、自分は広報課に勤めておりまして・・・交通課のお二人についてあまり存じ上げてないのです。」

早苗「な~んだ、残念ね。」

CoP「その”スーパーコンビ”さんと、片桐が復職する事にどう関係があるのですか?」

警察官「1月ほど前になりますが、辻本巡査が小早川巡査と共に本庁へ出向しまして。」

警察官「その情報をどこで知ったのか、以前彼女達に逮捕された銀行強盗犯達が、不在を狙って再起しまして。」

警察官「今月に入って既に3件も被害が・・・」

美世「ちょっとまって!警察車両の中には、日本で一般販売されている車両より高性能な車両もあるはずだよ?」

美世「そういった車両があれば追跡は難しくないと思うけど・・・どうして追跡できないの?」

警察官「捜査課全員で追跡を試みましたが、三回共追跡を振り切られまして。」

警察官「・・・どうやら小早川巡査に対抗する為、違法改造された車両を運用しているようなのです。」

美世「ナンバー・・・ナンバーはどうなの!?」

警察官「・・・車両のナンバープレートは盗難届のあるプレートでした。」

美世「そ、そんな・・・」

美世(車は楽しむ為にあるのに・・・それを悪い事に使うなんて!!)

早苗「追跡が難しいなら、現場で確保するのはできないの?」

早苗「あたしや夏美ちゃんでなくても格闘術が得意な警察官は一杯いるでしょ?」

警察官「墨東署で辻本巡査に次ぐ実力者が犯人達に挑みましたが、皆悉く返り討ちにあっています・・・」

警察官「辻本巡査と互角に渡り合ったという片桐元巡査でなければ、阻止できない相手なのです!」

CoP「・・・そちらの事情はわかりました。」

CoP「つまり今回の依頼は、片桐に犯人を逮捕してほしいという事でよろしいでしょうか?」

警察官「ええ。アイドルの方にこのような事を申すのは筋違いとは思いますが、どうかお願いいたします!」

CoP「・・・今回の件はアイドルとしての仕事の範疇を大きく超えています。」

CoP「申し訳ありませんが、このお話はなかった事に・・・」

美世「ちょっとまった!早苗さん、CoPさん。困っている人を見捨てちゃだめだよ!」

早苗「・・・美世ちゃん?」

美世「・・・その、犯人と対決するのは無理でも・・・出来る限りのお手伝いはしてあげられないかな?」

CoP「美世さん。その精神は立派ですが、今回は危険が大き過ぎます。」

早苗「そうね、警察が困る分にはどうでもいいし。無理に引き受ける理由はないわよ。」

CoP「ええ、その通りです。それでは美世さん、早苗さん、帰り「でも気が変わったわ!CoP君には悪いけどこの仕事引き受ける!」」

CoP「い、いや!早苗さん、何を言っているのですか!?そもそも受ける理由がないと言ってたではないですか!」

早苗「受ける理由?しいて言うなら、犯人の捻くれた根性が気に食わないからよ!!」

CoP「・・・」ポカーン

美世「早苗さん、ありがと!」

警察官「えっと・・・引き受けて下さるのですか?」

早苗「そのかわり三つ条件付きよ。」

早苗「一つ、今回の依頼は美世ちゃんの同行も許可する事。」

美世「あたしも!?」

警察官「い、一般の方をですか!?それはちょっと・・・」

早苗「嫌ならこの話はここまでよ?」

早苗「どーせ、あたしを戻すって言ったって正規の手段じゃないんだから、美世ちゃんが一緒でも問題ないでしょ!」

警察官「わ、わかりました・・・」

早苗「二つ、あたし達が怪我する危険が高い場合は無条件で依頼の破棄を認める事。」

早苗「三つ、事件が無事解決した暁には、墨東署が全力を挙げてあたしたちの宣伝をする事!」

警察官「・・・わかりました。三つとも承諾いたします。」

美世「早苗さん・・・あたしも行っていいの?」

美世「あたし、足手まといになっちゃうかもしれないよ?」

早苗「別に犯人と戦う訳じゃないのよ。なら美世ちゃんに出来ることもいっぱいあるじゃない♪」

美世「うん!」

CoP「美世さん、早苗さん、落ち着いてください!一生に関わる怪我を負うかもしれないのですよ?」

美世「落ち着いてなんかいられないよ!車は楽しむ為にあるのに、それを悪い事に使うなんて!!」

早苗「あたし、弱い者いじめって大嫌いなのよね!特に強いヤツから逃げてばっかの弱虫のいじめは特にね!!」

美世「それに社長もいつも言ってるよ!『悪を蹴散らして正義を示せ』って!」

CoP「・・・それは『諸悪莫作、衆善奉行』ですよ。『諸々の悪事をせず、諸々の善行を行え』という意味です。」

美世「大体あってるよ!」

CoP「全然違います。」

警察官「あの~プロデューサーさん。よろしいのでしょうか?」

CoP「・・・まだ長い付き合いとは言えませんが、こうなった二人が止まらない事だけは理解しています。」

CoP「大変ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。」

警察官「あ、ありがとうございます!こちらこそ、よろしくお願いいたします!!」

CoP「報酬等の詳細については、後ほど上司を交えて詰めていきましょう。」

警察官「はい、こちらには異存はありません。よろしくお願いいたします。」

CoP「あと上司への報告の為、依頼条件等をまとめた資料を頂きたいのですが。」

警察官「では、こちらを。」ピラ

警察官「あ、あとですね、もう一つお願いがありまして・・・」ゴソゴソ

早苗「何?」

警察官「その・・・お二人のサインを頂いてもよろしいでしょうか?」

8月12日 午後07:30 女子寮 食堂

早苗「あ~疲れたぁ~」グター

早苗「おばちゃ~ん、晩御飯お願い!その後、ビールと枝豆~」

アイヨー

美世「あ、あたしも同じの♪」

アイヨー

早苗「ふぁぁ~」ウトウト

美世「ちょっと休む?」

早苗「そうする・・・」ウトウト

美世「お疲れ様、早苗さん♪」

早苗「・・・」スゥスゥ

美世(早苗さん・・・あたしことも考えてくれて、ありがとう♪)

早苗「えへへ・・・」ニヘラ

早苗「ほらほら・・・順番・・・順番・・・」ニコニコ

美世(ふふ、楽しそう♪どんな夢を見てるのかな?)

美世(・・・あたしも、早苗さんみたいな『綺麗で素敵な女性』になれるのかな?)

早苗「うひひ・・・」ニヤニヤ

美世「でも早苗さん、その笑い方は駄目だよ。ファンが幻滅しちゃうよ?」

ガチャ

ちひろ「美世ちゃ~ん、早苗さ~ん、いらっしゃいますか?」

美世「あ!ちひろさん。早苗さんなら寝てるけど、どうしたの?」

ちひろ「あ、ごめんなさい!えっとねCoPさんからお届け物よ。」バサ

美世「この書類は?」

ちひろ「次のお仕事の資料ですって、あとで早苗さんと一緒に目を通しておいてね。」

美世「わかりました!」

ちひろ「それじゃあ、私はこれで。」

美世「お疲れ様でした!」

ガチャ バタン

美世「へ~結構いっぱいあるんだ。」ピラ

オマチドー

美世「あ!早苗さん、晩御飯だよ?」ペチペチ

早苗「!」ガバ

美世「あ、起きた♪」

早苗「ん~と、それじゃ・・・」

美世「うん!」

早・美「「かんぱ~い!」」カン

-------------

早苗「しっかし、わかんないわね~」モグモグ

美世「なにがわからないの?」ゴクゴク

早苗「『次の仕事』よ。さっき依頼条件を確認したんだけど、1つだけおかしい事があるのよ!」グビ

美世「おかしい事?」キョトン

早苗「ん~。そうね、美世ちゃん『1日所長』に任命された人は逮捕とかできないのは知ってる?」モグモグ

美世「え~と、知らなかったけど普通に考えるとそうだよね。」ゴク

美世(本職のお巡りさんの迷惑になるもんね・・・)

早苗「そうよ、ドラマとかではあるけど。普通は職務の邪魔でしかないからね!」ゴクゴク

早苗「でも、今回の『可能な範囲で犯人の行動を阻止する』って話はちょっと状況が違うじゃない?」

美世「うん、そこまで行くと警察のお仕事だよね。」

早苗「そうね。で、そんな事もあってか、今回の仕事ではあたし達に司法警察権が追加されてるみたいなのよ。」グビグビ

美世「しほうけいさつけん?」

早苗「あちゃ~そこから説明しなきゃダメか~」

早苗「司法警察権ってのは乱暴に言うと強制捜索や犯人の拘束を行ってもいい権利の事よ。」

早苗「今回の場合は、犯人の拘束のみだけどね。」

美世「え!?どうしてそんなものが!?」

早苗「犯人と遭遇した時に、過剰防衛と取られる程の怪我をさせちゃったら、アイドル活動に支障が出ると思われたんじゃない?」

早苗「その点、条件付きとは言え司法警察権があれば、拘束時に抵抗されたとかなんとかで、ある程度言い訳が立つからだと思うのよ。」

美世(失礼かもしれないけど・・・多分、早苗さんがいるからそうなったんだよね・・・)

早苗「まぁ、そんな事が一介の警察署が出来た事が腑に落ちないのよね・・・」モグモグ

早苗「仮にそんな事が出来るとしたら、本庁の上層部にいる人間だけだし・・・」グビグビ

美世「でも!?そんな、まさか!」

早苗「あたしも信じらんないわよ!でも、この資料を確認したけど、条件付きで司法警察権が付与されていたのよ。」グビィ

早苗「おばちゃ~ん、ビールおかわり~!」

アイヨー

早苗「ま、ここで悩んでもしょうがないことなんだけどね。」

美世「う~ん、わからない事だらけだけど・・・とにかく頑張ろっ早苗さん!」

早苗「まぁそうね、いつまでも悩んでるのはあたし達らしくないしね♪」

美世「うん♪」

オマチドー

早苗「ありがとおばちゃん♪で、その為に今考えなきゃいけない事は・・・」

美世「次に犯人がどこの銀行を襲うのか・・・だよね。」

美世「とりあえず、資料に同封されてた地図をだすね。」バサ

早苗「わかってるのは、被害にあった場所だけなのよね・・・。これでどう探せってのよ!」

美世「う~ん・・・」

茄子「あ!早苗さん、美世ちゃん。晩酌ですか?私も混ぜてくださいな♪」

美世「こんばんは、茄子ちゃん♪」

早苗「あら?茄子ちゃん。いいわよ、こっちにいらっしゃい。」

茄子「わーい♪おばさーん、いつもの徳利をお願いしまーす。」

ハイヨーモッテキナー

茄子「わーい♪あら?これは地図ですか?」トクトク

美世「うん♪今度の仕事でね、銀k、モガ!?」

美世(さ、早苗さん!?)ヒソヒソ

早苗(ただでなくたって厄介な仕事なんだから、部外者に話しちゃだめよ!)ヒソヒソ

茄子「ぎん?」クピ

早苗「番組の企画でね!地図の謎を解いて『銀水晶』ってお宝を見つけるのよ。」

茄子「へぇ~面白そうですねっ♪ということはこの地図に謎が隠れているんですね・・・」ジー

早苗「!」ティン

早苗「そうだ!茄子ちゃん。この地図見て何か思いつかない?」

茄子「う~ん・・・本拠地と拠点が3つ?」トクトク

茄子「・・・あ!」ティン

美世「何かわかったの、茄子ちゃん?」

茄子「ちょっと待っててくださいねっ!」

タタタ

----- 5分後 -----

茄子「はぁはぁ、お、お待たせしましたっ。」

美世「何を持ってきたの?茄子ちゃん?」

茄子「じゃーん♪コンパスです。」

早苗「コンパス?」

茄子「はい!これで本拠地から拠点を全て通るように、ぐるーと円を書くと・・・」シャー

茄子「この範囲内にきっとありますっ!!」

美世「う、うん。」

早苗「そうね、ありがと茄子ちゃん。」ナデナデ

茄子「わーい♪」ニコニコ

早苗「謎も解けたところで。女三人で酒盛りを楽しみましょ♪」

茄子「はーい♪」

美世「う、うん。それじゃあ・・・」

「「「乾杯♪」」」カン

-------------

早苗「う~ん・・・」モグモグ

茄子「・・・」クテン

美世「あれ?起きて~茄子ちゃん!」ユサユサ

美世「もう!寝るなら自分の部屋で寝てよ~!」ユッサユッサ

茄子「むにゃむにゃぁ・・・ぷろでゅーさぁ♪」

茄子「・・・かこにゃんだ・・・にゃぁ♪」ニヘラ

美世「あの人、茄子ちゃんに何させてるの!?」

早苗「・・・とりあえず、下手人はシメる。」グビ

美世「さ、早苗さん?せめて弁明だけはさせてあげて!」

早苗「冗談はおいといて、まじめな話をしてもいい?」モグモグ

美世「うん!」

早苗「さっきの茄子ちゃんのアイデアだけど、なかなかイイ線を行ってると思うのよ。」ゴクゴク

美世「どういう事?」

早苗「この地図に茄子ちゃんが書いた円なんだけど・・・」バサ

早苗「被害にあった3件のほかにもう1ヵ所、銀行が入っているのよね。」ゴクゴク

美世「うーん、でも、ここの銀行は墨東署の側だよね。」グビグビ

美世「そんな近くを狙うのかな?」モグモグ

早苗「今回の犯人は夏美ちゃん達の仕返しが主な目的だそうだから、おそらくそうよ。」モグモグ

美世「なんていうか、子どもっぽい犯人だね。」グビ

早苗「まったくね、下手に実力がある分厄介よ。」

早苗「『活動的なバカほど恐ろしいものはない』ってよく言ったものね・・・」

美世「社長の名言?」

早苗「どちらかというと教訓ね。」

美世「とにかく、方針も決まったし!」

早苗「明日からはレッスン漬けね。頑張るわよ!美世ちゃん!!」

茄子「・・・ふぁ?」ムクリ

早苗「ほらほら、茄子ちゃんも明日レッスンでしょ。」ペシペシ

早苗「もう遅いし寝るわよ!」

茄子「ふぁ~い・・・」フラフラ

美世「だ、大丈夫?茄子ちゃん!?」

早苗「大丈夫よ、この子の部屋は1階だし。」

早苗「あたし達も早く寝るわよ。」

美世「うん、また明日ね!」

早苗「おばちゃん、ごちそうさま♪」

美世「今日もおいしかったよ♪」

イツモアリガトネー

8月19日 午前08:30 墨東署 交通課オフィス

ガチャ

ガヤガヤ

中嶋「おはよ・・・ってなんだなんだ?この騒ぎは?」

頼子「あ、おはよ。中嶋君。」

葵「おはようございます。中嶋さん。」

中嶋「おう!頼子に葵。ところでこれは何の騒ぎだ?」

頼子「あれ?中嶋君聞いてないの?」

葵「今日から出向者二名が交通課に配属になるそうですよ。」

中嶋「はぁ?うちに出向者が来るなんてよくある話だろ?」

中嶋「なんで交通課全体でこんなに騒ぎになってるんだ?」

葵「それが・・・出向者の1人が、あの片桐さんだそうで・・・」

中嶋「はぁ!?片桐って、本庁の柔道大会で辻本と引き分けた?」

頼子「そうなのよ!しかも、私の情報筋によると・・・」

頼子「片桐巡査はすでに退職してるらしいのよ!」

中嶋「ははは、頼子~また適当な事を・・・」

葵「中嶋さん、今回の噂はかなり信憑性があります。」

中嶋「う、嘘だろぉ・・・」

葵「既に退職していると噂がある警官がここに出向してくるという事は・・・」

頼子「なにやら事件のにおいがするわね~」ニヤリ

ガチャ

課長「おはよう!お前達、ちょっといいか?」

課長「本日より二名、一週間ではあるが交通課に配属となった。」

課長「二人共、入ってこい!」

ガチャ

課長「今日から一週間、交通課に配属となった片桐巡査と原田巡査だ。」

課長「ほれ、二人共挨拶だ!」

早苗「片桐早苗と申します。一週間の間よろしくお願いいたします!」

美世「同じく原田美世と申します。よろしくお願いします!」

美世(あれ?二日酔いの人とか女装してる人がいるって聞いてたけど・・・普通の警察署って感じがする。)

課長「さて、お前達。今、墨東所内で問題になっている『連続強盗事件』は知っているか?」

葵「以前小早川巡査と辻本巡査が逮捕した犯人が、再び墨東署の管轄内の銀行を襲っている事件ですね。」

課長「そうだ。その事件が原因で、墨東署に対する周辺住民の信頼が地に堕ちてしまった。」

課長「今回、片桐巡査と原田巡査には、墨東署の信頼とイメージ回復の為に協力してもらう事になった。」

美世(あれ?聞いてた話と違うような・・・)

課長「一週間の間だがお互いに協力して職務に当たるように。」

課長「それと、中嶋!」

中嶋「は、はい!」

中嶋「二人に墨東署の案内をしてやれ。片桐、原田、困った事があれば中嶋に聞け!」

早・美「「了解しました、課長!」」

課長「話は以上だ。これにて解散!」

バタバタ

中嶋「よう、二人共!まずは自己紹介だな。」

中嶋「俺は中嶋剣。人呼んで『墨東の白き鷹』だ!よろしくな!!」

美世「ぼ、墨東の・・・」ポカーン

早苗「ぷぷ、白き鷹ねぇ。」クスクス

中嶋「ん?どうかしたのか?」

美世「あ、えっと、あた、じゃなくて私は原田美世です。」

美世「よろしくお願いします、中嶋さん」

中嶋「おう!よろしくな原田。それと、無理して言葉遣いに気を付けなくてもいいぞ。」

美世「え?で、でも・・・」

早苗「そーそー細かい事は気にしちゃだめよ♪という訳で、あたしは片桐早苗。よろしく、中嶋君♪」

中嶋「お、おう!片桐もよろしくな。」

中嶋「それじゃ、案内するか。まずは、会議室からだな・・・」スタスタ

葵ちゃん懐かしい! 一番好きだったわ

8月19日 午前10:00 墨東署 ガレージ前

中嶋「で、ここがガレージだ。うちにある全ての車両がここにある。」

早苗「へ~なかなか立派なガレージじゃない。」

美世「わ~♪」キラキラ

中嶋「は、原田?」

早苗「あ~気にしないであげて。この子の趣味だから。」

中嶋「そ、そうか?なんなら、中を見ていくか?」

美世「ホント!いいの?」キラキラ

中嶋「あ、ああ。お前達用として割り当てられた車両もあるしな。」

美世「え!?どこどこ?」キョロキョロ

中嶋「そこの白バイが置いてある車庫の右隣にある5番車庫だ。」

美世「わーい♪」

美世(警察車両♪警察車両♪楽しみだな~♪)

タタタ

早苗「美世ちゃ~ん!あんまり走っちゃ転ぶわよ~」

中嶋「・・・原田はどことなく小早川に似ているな。」

早苗「小早川って、夏美ちゃんの相棒?」

中嶋「ああ、そうだ。今は辻本と一緒に出向中だが、もうすぐ戻ってくるはずだ。」

中嶋「なんとしても、それまでにはこのヤマを片付けないとな・・・」

早苗「そうね。おそらく夏美ちゃんが戻ってきたら犯人もトンズラするだろうしね。」

中嶋「・・・」ジー

早苗「ん?・・・あ、ひょっとしてお姉さんの魅力にあてられちゃった?」

中嶋「いや・・・辻本と意気投合したと聞いてたから、てっきり同じようなタイプだと思っていたんだが・・・」

早苗「ふ~ん、それはあたしと夏美ちゃんを侮辱したと受け取っていいのよね?」ニコォ

中嶋「い、いや!そういう意味じゃなくてな、なんという・・・かぁッ!?」

ビターン

中嶋「あだだ・・・いきなり投げ飛ばすなよ!」

早苗「で!どういう意味なのよっ!!」プンスカ

中嶋「いや、な。辻本は『考える前にまず行動!』を地で行くヤツなんだよ。」

中嶋「で、犯人がどう動くかとか理論的な事は、大抵小早川が考えて辻本のフォローに回るのがいつもの流れだから・・・」

中嶋「てっきりお前達の場合もそうなんじゃないかと思ってな。」

早苗「まぁ、あたしもその傾向がある事は否めないけど。」

早苗「一応年上だからね、美世ちゃんの前では冷静に動くようにしてるのよ。」

中嶋「なるほどな。あ、いたたたた・・・」

早苗「やっぱり警察官だけあってタフね。受け身もしっかりとれてたみたいだし。」

早苗「やっぱ組手をするなら、骨のある相手に限るわね♪」

中嶋「片桐の対戦相手に心底同情するよ。それはそうとして原田はどうし・・・」

イヤァー

早苗「美世ちゃん!?」

中嶋「車庫で何かあったのか!?」

タタタ

美世「・・・」フルフル

中嶋「原田!無事・・・か?」

早苗「美世ちゃん!だいじょ・・・ぶ?」

美世「エンジンオイルは真っ黒、空気圧も基準値以下・・・」フルフル

美世「とどめにバッテリーの交換日が3ヶ月も前だなんて・・・」プルプル

美世「ちょっと!中嶋さん!!どういう事っ!?」クワッ

美世「こんなになるまでメンテしてあげないなんて・・・この子がかわいそうだよっ!!」ガー

中嶋「いや、だからな、それは・・・」

美世「問答無用!そこに正座!!」

中嶋「は、はい!!」スタッ

美世「いい?そもそも車というものは・・・」クドクド

早苗「いつまでかかるのかしら?まぁ面白いからいいけど♪」

----- 30分後 -----

美世「ということで、今後は注意する事!」

中嶋「はい・・・大変失礼をいたしましたァ!!」

早苗「はいはい、じゃ落ち着いたところで次のところに行くとしましょ♪」

中嶋「あ、ああ・・・といっても、ここで案内するとこは終わりだ。」

美世「えっと、それじゃあオフィスに戻るんだよね?」

中嶋「まぁ、それでいいんじゃないか?」

早苗「なんかいい加減ね。ちょっと気合い足りないんじゃない?」コキコキ

中嶋「ちょ、ちょっとまて!俺もこれ以上は知らないんだ!!」

美世「早苗さん、やめてあげて。」

中嶋「と、とにかく戻るぞ!」

8月19日 午前11:00 墨東署 交通課オフィス

課長「おう!案内にしては遅かったな。」

早苗「道中色々あったもので♪」

美世「半分以上はあたしが原因です。ごめんなさい・・・」

課長「まぁあんまり気にするな。それより今後について打ち合わせをするぞ。」

課長「二階堂、双葉、中嶋。二人を連れて先に会議室に行ってろ。」

頼子「了解、課長。」

葵「了解です、課長。」

中嶋「了解しました!」

早苗「改めて自己紹介をしとこうかしら。」

早苗「あたしは片桐早苗よ、よろしくね♪」

美世「あたしは原田美世です、よろしくお願いします!」

葵「ご丁寧にありがとうございます。私は双葉葵と申します。」

頼子「私は二階堂頼子。よろしくね、早苗に美世!」

頼子「それじゃ二人共、行くよ!」

早・美「「はい!」」

-------------

トコトコ

頼子「あはははは!中嶋君はまたそんな恥ずかしい異名を名乗ったの?」

中嶋「うるせぇなぁ、いいじゃないか・・・」

早苗「そーなのよ、一瞬世界が凍りついたわよ。」

美世「あはは・・・」

葵「まぁまぁ、確かにその・・・とても印象に残る異名ですけど。」

葵「中嶋さんの運転している姿は、異名に恥じないくらい恰好いいですよ?」

葵「私も初めて見たときは、思わずときめいてしまいました♪」

美世「へ~そうなの?」

中嶋「ま、まあな。あははは・・・」

ガチャ

中嶋「よっこらせっと。」ドサ

葵「それにしても、課長の用件は何なのでしょうか?」

頼子「ん~私の勘だと、早苗と美世が墨東署に来た本当の理由とかじゃない?」

美世(ぎく!)

中嶋「ははは!頼子、そんな適当な事言ってるとまた痛い目を見るぞ。」

中嶋「特に今回は相手が片桐だからなぁ、無事で済めばいいがな。」

早苗「ちょっと!中嶋君それどういう意味よ!!」

中嶋「まぁいつものように頼子の勘が外れているといいけどな・・・」

頼子「え!?ちょっと中嶋君!それどういう・・・」

ガチャ

課長「おう、そろってるな。」

葵「課長。早速ですが、私達をここに呼んだ理由を説明していただきたいのですが。」

課長「おう。その前に、お前達に頼みがある。」

葵「頼み・・・ですか?」

頼子「命令じゃないんですか?」

課長「ああ、今からする話は場合によってはお前達の警察官としての誇りに傷をつけると思ってな・・・」

課長「どうしても納得できなければ、内部告発してもかま「課長、その心配は不要です。」何故だ、双葉?」

葵「課長の事です。その理由というのは違法であっても不法ではないのでしょう。」

頼子「私たち、始末書ものの違法行為は日常茶飯事じゃないですか!」

課長「・・・くくく、それもそうだな。」

課長「さて話を戻すか。ここでの話は内密で頼むぞ!」

中嶋「了解です。」

課長「実は、二人を呼んだ本当の理由についてだが・・・」

中嶋「・・・課長。その件は俺に心当たりがあります。」

課長「ほう?なら中嶋、説明してみろ。」

中嶋「二人はおそらく、今回の銀行強盗を逮捕する為にここへ出向してきた。」

美世「!」

頼子「え?ちょっと何言ってるの中嶋君!」

課長「ほう?で、その理由は?」

中嶋「まず、片桐の格闘技術が辻本に匹敵する事。」

中嶋「そして、原田の車両知識が小早川並みである事です。」

課長「なに!原田は車両知識もあるのか?」

中嶋「ええ、そうです。まさか知らなかったとか?」

課長「いや、運転技術が高いとは聞いていたが、車両知識も豊富とは・・・」

課長「とてもアイドルとは思えんな・・・」

中嶋「はぁ!?」

頼子「ちょちょっと課長!?一般人を捜査線に加えたってことですか!?」

課長「だから言っただろう。本来、警察としてありえない事だからな。」

葵「ですが、現在の状況ではなりふり構っている場合ではないという事ですね。」

課長「まぁそんなところだ。さて、中嶋の話は大筋においてあってるぞ。二人にはあいつらを捕まえる為に来てもらった。」

課長「誠に遺憾だが、現在の墨東署の人間では格闘でも追跡でも、あいつらに対抗できないからな。」

頼子「ちょっと課長!以前は警察官だった早苗は置いといて・・・」

頼子「いくら運転が上手くて車に詳しいからって、一般人の美世を危険な事に巻き込むなんて何を考えてるんですか!?」

美世「・・・」

美世(あたしは・・・)

早苗「あたしが頼んだのよ!美世ちゃんと一緒じゃなきゃ受けないってね!!」

頼子「早苗!!」

早苗「今回の相手は追跡が難しい相手なんでしょ?あたしは格闘は得意でも運転はさっぱりなのよ。」

早苗「そもそも、あたし一人よりも美世ちゃんと二人の方が方々に言い訳が立つでしょ?」

頼子「でもっ!」

早苗「・・・今回の件は明らかに違法行為よ、やるからにはお互い迷惑がかからない方法を取るべきじゃないの?」

葵「確かに、少し調べればわかってしまう事ですし・・・お二人であれば、ただのイベントであると思わせることができますね。」

早苗「そういうこと♪それに危険なことがあっても基本的にあたしが引き受けるつもりだし。」

早苗「美世ちゃんに怪我を負わせるようなことはしないわ、約束する!」

頼子「・・・納得がいかないけど、美世が危険な目に合わないなら納得する。」

頼子「でも気を付けるのよ美世。警察官ってあなたが思ってるよりも危険なんだから!」

美世「うん。ありがと頼子さん!」

頼子「それに早苗もアイドルなんでしょ?怪我なんかしないようにしてね。」

早苗「もちろんそのつもりよ♪」

頼子「で、課長!まさか美世達に『トゥデイ』を預けたりしてないでしょーね。」

課長「当たり前だ!俺が小早川に殺される・・・」ガタガタ

美世(ホントに小早川さんってどんな女性なんだろう?)

頼子「ならいいけど。」

葵「ですが、美幸さん達の『トゥデイ』程の性能がなければ犯人の追跡はできないと思うのですが?」

中嶋「まぁ今回ばかりは犯人の足取りすら追う事すらできてないからな、さて、どうしたもんか・・・」

早苗(美世ちゃん、美世ちゃん)ヒソヒソ

美世(早苗さん、どうしたの?)ヒソヒソ

早苗(先週、あたし達が発見した『アレ』みんなに説明してみたら?)ヒソヒソ

美世(え?あれは早苗さんと茄子ちゃんが見つけた事だよ?)ヒソヒソ

早苗(いいのよ!これ以上目立つとホントに警察に戻されそうだし・・・)ヒソヒソ

美世(あはは・・・)ヒソヒソ

課長「コラ!そこで何をやっとるんだ!」

美世「あ!えっと、ちょっと気になることがあって・・・」

中嶋「何か気づいたことでもあるのか?」

美世「あ、はい!以前頂いた地図なんですけど。」バサ

美世「こうやって、墨東署を中心に被害のあった銀行を円で結ぶと・・・」シャー

頼子「あ!一か所、銀行が入ってる。」

葵「ですが、ここは墨東署からかなり近い位置にありますよ?」

中嶋「いや、今回の犯人は小早川達への復讐が主な目的と言える。可能性は十分にあるはずだ!」

課長「そうだな。片桐、原田、ここはお前達の警邏の担当範囲だ!」

美世(早苗さん、早苗さん!警邏って何?)ヒソヒソ

早苗(簡単にいうとパトロールのことよ。)ヒソヒソ

課長「この辺りは重点的に警戒するように!」

早・美「「了解しました、課長!」」

キンコンカンコーン

課長「む、もう昼か。では話は以上だ。解散!」

8月19日 午後00:10 墨東署 屋上

美世「はぁ~」

美世(あたし、ダメダメだなぁ・・・)

バン

早苗「あ!ここにいたのね。」

早苗「ど~したの?疲れちゃった?」

美世「早苗さん・・・あたしって・・・」

早苗「みんなの役に立ってないな~とか考えてたんでしょ。」

美世「!」

早苗「そりゃまぁ、心配されてのこととは言え、皆の中で唯一の『一般人扱い』されたんじゃあ、ねぇ・・・」

美世「・・・」

早苗「そういえば、前にやった握手会覚えてる?」

美世「・・・?」

美世「えっと、あたし達が最初に出した写真集の時?」

早苗「そうよ、あの時は大変だったわよね~」

早苗「握手だけじゃなく会場の設営から撤収準備まで、ってふざけてるわよ!低ランクアイドルは便利屋じゃないってのっ!!」プンスカ

美世「ふふふ・・・」クスクス

早苗「・・・あの時美世ちゃんは、やる必要のないことも向こうからたくさん言われたのに、喜んで力を貸してたわね。」

美世「それは、スタッフさん達が困ってたから何とかしなきゃと思って・・・」

早苗「そうね。だから最初はやる気のなかったあたしも、協力しようかなって気になったのよ。」

早苗「それと・・・今回、あたしが協力する気になったのは美世ちゃんのおかげよ。」

美世「・・・そうなの?」

早苗「そうよ、困った時だけ泣きついてくるような相手でも、嫌な顔せず力になろうと頑張ってた。」

早苗「だから、最初は絶対引き受けないつもりだったけど、考えを改めたのよ。」

美世「・・・」グス

早苗「美世ちゃんは役立たずでも足手まといでもないわ、あたしが保証する!」ナデナデ

早苗「なにより、思いやりと行動力のある相棒を、役立たず呼ばわりするのはあたしが許さないわよ!」

美世「・・・ホント?」ゴシゴシ

早苗「ホントよ!」

美世「えへへ・・・♪」

早苗「さ、元気が出たところでお昼にしましょ♪」

美世「うん!」

バン

頼子「みよ~さなえ~」

葵「お昼ご一緒してもいいですか?」

早苗「お♪ちょうどいいところに!」

美世「あれ?頼子さんお弁当は?」

頼子「大丈夫よ!もうすぐ来るから。」

早苗「もうすぐ?」

バン

中嶋「よりこ~5人分の昼飯を押し付けるなよ~」フラフラ

頼子「なによ~たいして重くないじゃない。」

葵「まあまあ頼子さん。それと、中嶋さんありがとうございました♪」

中嶋「お、おう・・・」ヘロヘロ

-------------

葵「さっき早苗さんがコラムを掲載している雑誌、読んできましたよ。」モグモグ

早苗「本当?どうだった?」モグモグ

葵「ええ、ティーン向け雑誌は久しぶりに読みましたが、なかなか面白いですね。」

葵「特に早苗さん流健康法のコラムはとても参考になりました。」

早苗「本当!?」

葵「ええ、特に締めの一言である『美しさは健康な肉体に宿る。』という文章は、名言と言っても過言ではないですね。」

早苗「そうなのよ!最近の若い子ってすぐダイエットに走るじゃない?」

早苗「なんていうか、若い子の間じゃ『美しさ=痩せてる』って風潮があるじゃない?」

早苗「そうじゃないのよ!ってあたしは声を大きくして言いたいのよ。」

葵「ええ、その通りです。」

早苗「大体男も男よ、『50Kgより重いとか女としてあり得ない(笑)』なんて言うのよ!」

早苗「標準体重ってものを調べてきなさいっての!!」

頼子「だって中嶋君。」

中嶋「お、俺は別に体重は気にしないぞ!」

頼子「そうよね~美幸は軽いもんね。」ニヤニヤ

中嶋「よ、頼子!」

葵「それはそうと、写真の衣装も落ち着いていて綺麗でしたよ。」

早苗「ありがと、でもあの衣装はあたしの趣味じゃないのよね。」ゴクゴク

葵「ということは別の方が?」

早苗「そうよ、デザイナーさんが決めたのよ。」

美世(早苗さんの趣味はちょっと斬新すぎるからね・・・)

中嶋「そういえば、原田は同じ雑誌には出てないのか。」

美世「うん・・・」

中嶋「あ、いや。そのうち依頼も来るさ、あまり悩むなよ!」

美世「あ、でも今度『車輪の友』っていう車とバイクの雑誌に出るんだよ?」

中嶋「お、『車輪の友』か。俺も時々買ってるぞ」

頼子「そうね~グラビアに可愛い女の子、モガ!?」

葵「頼子さん。それ以上はダメ!」

美世「本当!?中嶋さんは車派?バイク派?」

中嶋「俺はバイクだな。実家がバイク屋でな、普段はV-MAXに乗ってる。」

美世「わ~♪あれはいいバイクだよね!」

中嶋「お!原田はわかってるな!」

ワイワイ

頼子「ね~さなえ~美世ってばこんな調子で大丈夫なの?」モグモグ

早苗「・・・それはアイドルとしてってこと?」ゴクゴク

頼子「違うわよ、早苗と違って美世は優しいし可愛いから、きっかけがあればすぐブレイクすると思うのよ。」ゴクゴク

早苗「言ってくれるわね。」モグモグ

頼子「問題は引退した後よ。」チラ

中嶋「~」

美世「~!」

頼子「・・・あんなんじゃ彼氏ができないんじゃないかって思うのよ。」モグモグ

早苗「へ~頼子は人の恋愛事情を心配出来るほど余裕なんだ~」ニヤニヤ

頼子「ま~早苗よりはもてるわよ?」フンス

早苗「あによ~」ジドー

葵「まぁまぁ二人共、まずは「「葵ちゃんは黙ってて!」」うう、ひどいです~」

早苗「まぁなんとかなるんじゃない?駄目なら中嶋君もいるし。」モグモグ

頼子「残念だけど中嶋君は売却済みよ。」ゴクゴク

早苗「え!?誰よ、そんなおかしな趣味の女の子は?」

頼子「美幸よ。」モグモグ

早苗「あー納得。」モグモグ

頼子「えーその反応はおかしいわよ。」

頼子「美幸ってば、美人で気だても良くて頭もいい、超優良物件なんだよ?」ゴクゴク

早苗「でも、美世ちゃんに似て『車両バカ』なんでしょ?」チラ

美世「~♪」

中嶋「~!!」

早苗「あれだけディープな話についていける男なんてほとんどいないわよ。」モグモグ

頼子「まぁそうね。それと『車両バカ』とか『メカフェチ』って美幸に言わない方がいいわよ。言うと怒るから。」

葵「あと相棒をけなしてはいけませんよ、早苗さん。」

早苗「ん?最高の褒め言葉のつもりよ?」

頼子「はぁ・・・早苗は褒め言葉の意味から勉強しなおしたほうがいいわよ・・・」

美世「早苗さ~ん。何話してるの~♪」ニコニコ

早苗「あら。美世ちゃん、ずいぶんとご満悦ね。」

美世「うん!こんなに話が盛り上がったのは初めてだよっ!!」ニコニコ

中嶋「いや~久々に熱い議論ができたな。」ニカッ

美世「それで何の話だったの?」

頼子「それはね~美世が可愛いって話よ♪」

美世「え!?えっと・・・///」カァァ

早苗(可愛い。)

頼子(可愛いわね。)

葵(可愛いですね。)

早苗「そうよ、そうなのよ!!」

早苗「美世ちゃんはあたしより可愛いから、一緒に雑誌に出せっていつも言ってるのに!!」

早苗「向こうの編集長ったら一向に『うん』って言わないのよ!!!」

早苗「あー思い出したらイライラしてきた!」

美世「お、落ち着いてよ、早苗さん!」

中嶋「落ち着けよ、片桐!」

ガヤガヤ

頼子「平和だねぇ。」

葵「平和ですねぇ。」

8月19日 午後01:40 ひだまり銀行 墨東署支店前

ブロロロロ・・・

美世「う~ん、改造車は見当たらないね。」キョロキョロ

早苗「まぁ、そうそういるものじゃないわよ。それより、車の調子はどう?」

美世「うん!絶好調だよ。」

早苗「しっかし、今時軽自動車ってどうなのよ?しかも、マニュアルだし・・・」

美世「軽自動車には軽自動車の良さがあるよ?それにマニュアルの方が楽しいよ♪」ガコ

早苗「そういう話をしてるんじゃ・・・」

フォォォォォォォン・・・フォォォ・・・フォォォォォォォン・・・

早苗「!・・・あの車、改造車!?」

美世「多分ね、でも犯人じゃないと思うよ。」

早苗「どういうこと?」

美世「犯人は警察が追跡できないくらい運転が上手いんでしょ?」

美世「でも、さっきの改造車の運転手、ギアのつなぎがすっごく下手なの。」

早苗「違法改造された車両を運用してるとは聞いたけど、それと運転技術は関係ないんじゃない?」

美世「性能だけで追跡を振り切れるのは、外国みたいな長いストレートがある国だけだよ。」

美世「日本で追跡を振り切るなら、曲がり角を素早く曲がれる技術がないとね!」

早苗「それならスムーズなギアチェンジは必須って事ね。なるほど!」

美世「そういうこと♪」

美世「・・・右に見えるのが、問題の銀行だね。」

早苗「ここの銀行は結構大きいのね。駐車場もあるし・・・」

美世「ここが襲われるのかもしれないんだね・・・」

早苗「そうよ。やるからには被害が出る前に捕まえないとね。」

美世「うん!」

早苗「じゃ、次の場所に行くわよ。」

-------------

ブロロロロ・・・

美世「なんか、静かだね。」キョロキョロ

早苗「この辺は共働きの家庭が多いみたいね、お年寄りも住んでいないみたいだし。」

早苗「無人の家が多いから、誰かいればすぐにわかるわね。何より一本道で障害物もないしね♪」

美世「見通しがいいのはありがたいけど・・・あれ?」

早苗「どうしたの?」

美世「えっと、あの家なんだけど。あそこだけガレージがあるの。」

美世「きっと、車を大事にしている人なんだろうな~」ニコニコ

早苗「美世ちゃん?」ニコニコ

美世「・・・ごめんなさい。」シュン

早苗「後は、土手沿いの道だけね。」

-------------

ブロロロロ・・・

早苗「ちょ、ちょっと美世ちゃん!?左に寄りすぎてない?」

美世「そんなことないよっ!ちゃんと真ん中を走ってます!!」

早苗「ごめんごめん、でもホントに狭いわね・・・」

美世「何でこんなところをパトロールするのかな?」

早苗「この辺から侵入する不審者が意外と多いからよ。」

美世「確かに誰もいないしね・・・」

早苗「塀さえ越えちゃえばいいだけだからね。」

美世「これで全部?」

早苗「そうよ、ゆっくり確認しても一時間あれば見て回れる距離ね。」

美世「もっといっぱい仕事があると思ってたけど、そんなことなかったね。」

早苗「そんなものよ、元々あたし達は部外者だしね。」

美世「それじゃ、墨東署に向けて出発!」

ブロロロロ・・・

8月19日 午後03:00 墨東署 5番車庫

美世「・・・」カチャカチャ

美世「早苗さん、それとって。」

早苗「はい。」ポイ

美世「うん!ありがと。」

美世「・・・」カチャカチャ

美世「よし、整備終わり!ふぅ・・・疲れたぁ・・・」

早苗「運転と整備お疲れ様♪」

美世「うん!」

中嶋「お!ここにいたのか。」

中嶋「片桐!捜査課の連中が稽古をつけてほしいって言ってるんだが大丈夫か?」

早苗「あたしはいいけど・・・その間、美世ちゃんはどうするのよ?」

早苗「やることがないから放置だなんて、あたしの相棒に失礼じゃない!」

中嶋「いや、原田には他の車両の整備を頼もうかと思ってな・・・」

中嶋「特に捜査課の連中は車両を酷使するくせして整備が苦手だからな。」

美世「それなら、いつもはどうしてたの?」

中嶋「小早川が文句を言いつつやってくれてたからな、しばらくやらなくても問題と思ってたんだが。」

中嶋「だいぶガタがきてる車両もあるらしくてな。頼んでもいいか?」

美世「うん、任せて!」

中嶋「おう、任せた!それと、顔にオイルがついてるぞ。」

美世「え?あ、ホントだ!」

中嶋「左から2番目のガレージが小早川の作業場所だ。そこに小早川が使っているツナギがある。」

中嶋「今度整備する時はそれを使ったらどうだ?洗濯さえすれば小早川も怒らないだろうしな。」

美世「うん、そうする!」

早苗「それじゃ行ってくるね、美世ちゃん!」

美世「いってらっしゃい、早苗さん!」

早苗「さ、行くわよ中嶋君!」

中嶋「お、俺もか!?」

-------------

ガラガラ

美世「わ!いい車♪・・・じゃなくてツナギツナギっと。」キョロキョロ

美世「えっと、このロッカーの中かな?」

バカ

美世「あった♪」

美世「えっと、制服の上から着ても大丈夫かな?」

美世「とりあえず足から・・・あれ?美幸さん、あたしよりも足が長いのかな?裾が余っちゃう・・・」モゾモゾ

美世「でも、まくれば大丈夫だね。」モゾモゾ

美世「よし!サイズはちょうどいいか・・・な!?」

美世(お腹まわりはちょうどいいけど、胸とお尻が余ってる!?)ペタペタ

美世(あたしアイドルなのに、警察官の美幸さんにスタイルで負けてる・・・)ズーン

美世「・・・・・・うん、今は仕事仕事!」

タタタ

ストライク男来ないかな~

8月19日 午後05:00 墨東署 1番車庫

美世「・・・」カチャカチャ

美世「よし、終わり!」

ミヨチャーン

美世「あの声は・・・」

早苗「やほー、終わった?」

美世「今、終わったとこだよ。」

早苗「今日はもう上がっていいって、帰りましょ。」

美世「うん。じゃあツナギを返してくるね。」

-------------

美世「そういえば、稽古ってなにをしてたの?」

早苗「ん~今日は柔道と空手をちょっと、ね。」

早苗「で、捜査課の職員が、あ、男なんだけどね。」

早苗「そいつらが、自分達が墨東署で一番の武闘派だって言ってるのよ。」

美世「それで?」

早苗「まぁそこまで言うならと思って、軽く揉んであげたのよ。」

美世「その・・・揉んであげた後、どうなったの?」

早苗「全員仲良く、畳の上で雑魚寝よ。」

美世「あはは・・・」

早苗「何が『夏美ちゃんに次ぐ実力者』よ。あれじゃ足元にも及ばないっての!」プンスカ

美世(先週の社長みたいになっちゃったのかな?)

早苗「そうね~無理矢理参加させた中嶋君の方が、まだ手応えがあったかもね。」

美世「中嶋さんってそんなに強いの?」

早苗「たしか、剣道と柔道の有段者って言ってたわね。」

美世「すごい!中嶋さん!!」

早苗「でも、有段者なら強いって訳じゃないのよ。段が下でも強い人は強いからね。」

早苗「あくまで、型どおりに戦えるかってことだからね。」

美世「そうなの?」

早苗「そうよ、そういう意味では中嶋君は強い人に分類されるのかもね。」

美世「へ~」

早苗「それよりも問題は捜査課の男達よ!明日からはみっちり鍛えないとね!」

美世「ほどほどにしてあげてね。」

ブロロロロ・・・キキー

CoP「お待たせしました、どうぞ。」

早苗「わざわざ悪いわね。CoP君。」

CoP「いえ、お気になさらず。」

美世「ありがと、CoPさん!」

CoP「どういたしまして、美世さん。」

CoP「それでは女子寮に向かいましょうか。」

ブロロロロ・・・

>>38
今作では登場させられませんでした。
次回があれば、乞うご期待ってことでどうかご容赦を。

8月20日 午前08:50 墨東署 オフィス

早・美「「おはようございます!」」

中嶋「おはよう!二人共!!」

頼子「おはよ。美世、早苗。」

葵「美世さん、早苗さん。おはようございます。」

早苗「中嶋君、捜査課の稽古っていつから?」

中嶋「ん?昼間じゃなければいつでもいいと思うぞ。」

早苗「そ、じゃ今からやってくるわね。」

美世「それじゃあ、その間あたしは白バイのメンテをしようかな?」

スタスタ

中嶋「お、おい、片桐?原田?」

葵「行ってしまいましたね・・・」

中嶋「勝手知ったる何とやらだな。あいつら、ここに適応するのが早すぎだろ・・・」

頼子「中嶋君。美世はともかく、早苗をあのままにしていいの?」

中嶋「そうだな、ちょっと様子を見てくる。」

-------------

中嶋「徳さんが言うには、片桐の招集で捜査課全員が道場に向かったらしいが・・・」

ガラ

中嶋「たのもー」

早苗「はい、もう一セット!」ブンブン

女性警官's「「はい、片桐先輩!」」

早苗「うん、よろしい♪」

早苗「あ、中嶋君じゃない♪」ブンブン

中嶋「あれ?片桐、捜査課の男連中が誰もいないぞ?それと、人に向けて竹刀を振るなよ。」

早苗「あはは、ごめんごめん。そうなのよ、まったく何処ほっつき歩いてるんだか・・・」プンスカ

中嶋「ははは、それじゃ俺が探してくるからここで待って・・・」

早苗「待ちなさい!」グイ

中嶋「のわ!?な、なんだよ急に。」

早苗「折角だから、ちょっと付き合ってよ♪」

中嶋「お、おう・・・」

早苗「みんな!よく見ておくのよ!」

女性警官's「「はい、片桐先輩!」」

-------------

スパーン

ドサ

早苗「はい、もう一本!」

中嶋「」グター

早苗「もうダウン?まだ、あたしから3本しかとれてないわよ?」

早苗「目標まで後7本!さぁかかってきなさい!」ブンブン

中嶋「お、おう・・・」ヘロヘロ

女性警官「大丈夫ですか?中嶋巡査。」

中嶋「あ、ああ大丈夫だ。しかし片桐は強いな、なにかやってたのか?」

早苗「一通りの武術はやってるわよ。」

中嶋「何!?」

早苗「曲がった事が大嫌いだからね、何時でも悪いやつをぶっ飛ばせるように特訓してたのよ。」

中嶋「ならどうして警察を辞めたんだ?あ、言いたくないならいいんだ、スマン。」

早苗「んーしいて言うなら今の仕事が面白そうだったからかな?」

早苗「それにしても、遅いわね。ホントにどこにいるのかしら。」

中嶋「そうだな・・・可能性があるとすればガレージだな。」

早苗「ガレージ・・・?」

>>40

気長に待っとるよ

8月20日 午前10:00 墨東署 ガレージ前

ザワザワ

中嶋「やっぱりここにいたか・・・」

早苗「でも、なんでガレージに?」

中嶋「ああ、昨日の一件で原田は有名になったからな。」

早苗「人気・・・はあんまりないけど、アイドルなんだから当然じゃない!」

中嶋「それはそうなんだが。今、原田が捜査課の連中になんて呼ばれてるか知ってるか?」

早苗「さあ?」

中嶋「『ガレージの天使様』だとよ。」

早苗「ガレージの天使ねぇ・・・どういうこと?」

中嶋「何でだと思う?」ニヤリ

早苗「んー美幸ちゃんもそう呼ばれてたから!」

中嶋「いや、小早川は特にそうは呼ばれてなかったなぁ。」

早苗「じゃあおかしいじゃない!何で美世ちゃんだけ?」

中嶋「昨日のことだが、原田は整備だけじゃなく車内清掃やメンテのメモ作りを一台一台やってたんだ。」

中嶋「特に整備メモはわかりやすいと評判でな、おかげで面倒だった整備が快適になったって喜んでたよ。」

中嶋「何より、小早川はそこまではやらなかったしな。」

早苗「なによそれ!美世ちゃんは都合のいい女じゃないのよ!!」

中嶋「あいつらが原田を利用するつもりだったら昨日の内にぶん殴ってたさ。」

中嶋「だけど違うみたいだぞ、ほら。」

早苗「ん~」

男性職員A「美世さん昨日はありがとうございました。」

男性職員B「俺、整備が大事ってことにようやく気付きました。」

男性職員C「こんな俺でよければ整備について、手取り足取り教えてください!」

男性職員D「美世ー俺だぁー付き合ってくれー!!」

美世「え、えっと・・・」

スパーン バシ バシーン ベシベシ

早苗「それはそれとして。あんた達、あたしに何か言うことは?」ギロリ

男性職員's「「「「稽古をサボって申し訳ありませんでした・・・」」」」

早苗「他には!?」

男性職員's「「「「美世さんを口説いてすみませんでした!!!」」」」

早苗「よろしい。そして、とっとと支度しなさい!!」

男性職員's「「「「Yes,Mam!!!」」」」

ダダダダダダ

早苗「まったくもう!」

美世「あはは・・・」

中嶋「ははは、片桐も大変だな!」

早苗「ホントよ。それじゃ行ってくるわね!」

美世「うん!いってらっしゃい♪」

中嶋「おう!行って来い!!」

早苗「何言ってるの?中嶋君もよ?」

中嶋「え?」

8月20日 午後01:40 ひだまり銀行 墨東署支店前

ブロロロロ・・・

早苗「結局、皆とお昼食べ損ねちゃった・・・」モグモグ ゴクン

美世「ごめんね、早苗さん。」

早苗「それは別にいいのよ。でも、明日もサボったらシメる!」

美世「あはは・・・」

美世(やっぱり怒ってる。)

美世「まぁまぁ、流石に明日はちゃんと来ると・・・」

美世「あ!早苗さん!BMWだよ、BMW!」キラキラ

早苗「ん?珍しいわね、この辺は国産車ばっかりだし。」

美世「うんうん、スポーツカーもいいけどMINIもいいよね!」キラキラ

早苗「・・・美世ちゃん?話がかみ合ってないわよ?」

美世「う~ん♪MINIの中でも赤いクラブマンを選んでるのがいいよね♪」キラキラ

美世「あの車のドライバーはちゃんと違いがわかってる~♪」キラキラ

早苗「はぁ・・・もう好きにして・・・」

美世「・・・あれ?・・・まさかっ!!」

キキー

早苗「きゃっ!!」

美世「・・・」ガコ

ブロロン キキー

早苗「っ!?ちょっと!!いきなり急停止、バック、そんで駐車場に突っ込むなんて何考えてるの!?」

早苗「一応とは言え、警察官扱いされているんだから、安全運転を心がけなさい!」

美世「・・・早苗さん、あの車変だよ。」ガコン

早苗「・・・美世ちゃんの運転の方がよっぽど変だけど、何が変なの?」

美世「あの車のナンバーを見て。あの車の所有者ってこの辺に住んでる人じゃないよね。」

早苗「・・・で、それがどうしたの?」

美世「駐車場ってあたし達以外誰も使ってないのに、なんで路上駐車してるの?」

早苗「!・・・なるほどね、見知らぬ土地で堂々と路駐しているのが気になったのね。」

早苗「でも、ちょっと預金を引き出すだけかもしれないわよ?」

美世「怪しい理由は他にもあるよ。」

早苗「まだあるの!?」

美世「MINIクラブマンは最高グレードでも『5ナンバークラス』なの。」

美世「でもあの車のナンバーは『3ナンバークラス』でしょ?」

早苗「・・・ナンバーの分類って『排気量』と『車幅』で分けてるわよね。」

美世「うん。」

早苗「『車幅』は変えようがなくても、エンジンをとっかえれば『排気量』は変わるんじゃない?」

美世「うん、早苗さんの言うとおりだよ。でもBMWでは無理なの。」

早苗「・・・説明してもらえる?」

美世「BMWは、エンジンを初めとして車載装備のほとんどが電子制御されているの。」

美世「特にエンジンは車種ごとに排気量を電子制御して、全車で同じエンジンを利用しているんだよ。」

早苗「電子制御を弄るのは?」

美世「絶対に不可能だよ!」

早苗「なるほど、怪しむには十分って訳ね。それなら・・・」ガチャ

美世「早苗さん?」

早苗「ちょっと裏口を見てくる。美世ちゃんはそこの無線で応援を読んで!」

美世「あ、危ないよ!犯人がいるかもしれないんだよ!?」

早苗「裏口で張ってるだけよ。突入したりなんかしないわよ。」

美世「う~ん・・・」

早苗「じゃ、そういう訳で!」バタン

タタタ

美世「あ、ちょっと!早苗さん!?」

美世「も~!えっと無線無線・・・」カチャ

美世「え~こちら原田です。えっと、どなたか応答願います!」

中嶋『こちら中嶋だ、どうした?』

美世「あ、中嶋さ、じゃなくて中嶋巡査。犯人のものと思わしき車両を発見しました。」

美世「申し訳ありませんが応援願います。」

中嶋『了解した!すぐそちらに向かう。それと捜査課にも応援を要請しておく。』

中嶋『原田巡査は片桐巡査と協力して周辺住民の安全確保を頼む。』

美世「了解しました、よろしくお願いします。」ガチャン

美世「と、とりあえず早苗さんにも伝えないと。」ガチャ バタン

-------------

タタタ

美世(さ、早苗さ~ん?)ヒソヒソ

早苗(美世ちゃん?応援は?)ヒソヒソ

美世(呼んだけど、そっちはどう?)ヒソヒソ

早苗(・・・どうやら美世ちゃんの予想は当たってたみたいね。ほら・・・)ヒソヒソ

美世(あ、裏口のドアが開いたままになってる!・・・)ヒソヒソ

早苗(誰かが侵入してるのは間違いないわね。)ヒソヒソ

美世(・・・なら、お金が盗まれてる可能性もあるよね。)ヒソヒソ

早苗(おそらく、ね。)ヒソヒソ

ガタ ドタドタドタ

美世(さ、早苗さん!?)ヒソヒソ

早苗(あちゃ~出くわしちゃったか。こうなったら・・・!)ヒソヒソ

早苗(美世ちゃん、これ持って!)ヒソヒソ

美世(えっと、モップ?)ヒソヒソ

早苗(犯人が来たらこれでぶん殴・・・威嚇するのよ!)ヒソヒソ

美世(え、ちょっとそんな・・・)ヒソヒソ

オイ イッキニニゲルゾ

早苗(来たわよ!)ヒソヒソ

美世(ええい!)ヒソヒソ

ガチャ

犯人A「よし!誰もいな「ここにいるわよ♪」」

ドゴォ

犯人A「ぐはぁ!?」

ドサ

美世「ええい!」

ブン

犯人B「うお!?やべぇ、警察だ!!」

犯人C「何でここがばれたんだ!?」

犯人A「ッ!?・・・くそ!お前ら、とっとと逃げるぞ!!」フラフラ

犯人B「おい!折角手に入れたコイツはどうするんだ!?」

犯人A「あいつらに投げつけてやれ!時間を稼ぐんだ!!」

犯人B「くそ!食らえ!!・・・おい!まだ一人来てないぞ!!」

ドサァ

早苗「ちょっ!うひゃあ!!」ドシーン

犯人C「うるせぇ!捕まるよりマシだッ!!これでも食らいな!!」

ドサァ

美世「え?きゃあ!!」ドシーン

ダダダ バタン ブロロロロ・・・

早苗「ちょ、こらー待ちなさーい!!」バタバタ

美世「うーん、お金って重い~」バタバタ

早苗「とりあえず、お金を置くわよ!」

ドサ

美世「う、うん。」

ドサ

早苗「ふ~重かった。しっかし千円札ばっかね。」

美世「ここにはそれしかなかったのかな?」

早苗「そんなことはないと思うけどね。それよりも・・・」

美世「・・・まだ、中に一人残っているんだよね。」

美世「ううん、ひょっとしたら他にもいるかも・・・」

早苗「それはないわよ。少なくともそんな余裕があるようには見えなかったし。」

早苗「なにせ、折角手に入れたお金を捨ててトンズラするくらい慌ててたからね。」

美世「・・・早苗さん。突入するの?」

早苗「ん~応援を待ってもいいんだけど、正直逃げた犯人の追跡にそっちを回した方がいい気がするのよ。」

早苗「それに、職員さんも捕まってるだろうし・・・」

美世「そうだね。でも残ってる犯人って、ものすごく強いかもしれないよ?」

早苗「侮ってる訳じゃないけど、夏美ちゃん以外の実力から考えて、どんなに強くても最悪あたしと互角レベルだと思うのよね。」

早苗「格上じゃないならなんとかなるわよ。」

美世「わかった。でも気を付けてね。」

早苗「危険な事はしないわよ。今のあたしは警察官じゃなくてアイドルだしね♪」

ガチャ タタタ

美世「あたしも連絡しないと!」

タタタ

-------------

美世「無線無線・・・と。」カチャ

美世「こちら原田です。応答願います!」

葵『こちら双葉です、どうしましたか原田巡査?』

美世「ひだまり銀行墨東署支店前にて犯人と遭遇しました。現在3名が車両で逃走中です。」

美世「逃走車両は赤のMINIクラブマンでナンバーが・・・」

頼子『暴走車両、発見!!』

葵『・・・どうやら、ナンバーは不要のようです。犯人と思わしき車両と遭遇しました!』

葵『これより追跡します!原田巡査は銀行内の安全確認後に墨東署へ戻ってください。』

美世「えっと、さな、じゃなくて片桐巡査が現在残る犯人一名の確保の為、銀行に突入していまして・・・」

葵『本当ですか!?・・・では念の為、原田巡査は銀行内に人が残っていないか確認をお願いします。』

中嶋『こちら中嶋。後10分程度で到着する。』

中嶋『原田巡査。危険と思ったら無理せず安全な場所に避難してくれ。』

美世「はい、了解しました。」ガチャン

美世「早苗さん・・・大丈夫かな・・・」

-------------

-------------

トコトコ

早苗「しっかし、手持ちの武器がモップ一本てのは心もとないわね。何で警棒とか護身用の武器を支給してくれないのかしら?」キョロキョロ

早苗「そりゃ、あたし達は警官じゃなくてアイドルだからね・・・暴力沙汰がまずいのはわかるし、極力避ける努力はするわよ?」キョロキョロ

早苗「でもイメージよりも大事ってあると思うのよ!仮にあたしが傷物になったら誰が責任を取るのよ!!」プンスカ

トコトコ

早苗「・・・」

早苗「・・・おかしいわね。」

ピタ

早苗「~」スゥゥゥ

早苗「犯人さ~ん!!出ておいで~!!」

早苗「出ないと目玉を~・・・・」

シーン

早苗「・・・」

早苗「やっぱり、おかしいわね!」

早苗「人の気配っぽいものが、まったくないわ。」

早苗「・・・まさか、職員は犯人に!?」

ガタ

早苗「!?・・・ま、そんな訳ないわよね~」

早苗「多分、二階の端の部屋ね・・・」

タタタ

-------------

早苗「・・・おそらく、この部屋ね。」

コンコン

早苗「・・・」

ガタガタ

早苗「犯人か職員か・・・それとも両方か・・・」

早苗「3、2、1・・・・」

ガチャ

早苗「動くな!警察よ!!」

職員A「モガ!?」ビク

職員B「モガ~」ジタバタ

職員C「モガ、モガ~」バタバタ

早苗「・・・えっと?どういうこと!?」

支店長「モガ・・・」グター

早苗「え?ちょっと、あなた!大丈夫!?」シュルシュル

支店長「ふぅ、助かりました。ありがとうございます、刑事さん。」

早苗「いや、あたしは刑事じゃないの。なんていうか・・・アイドル警官?」

支店長「なんにせよ、ありがとうございます!あ、刑事さん実は店舗の現金が盗まれてしまって・・・」

早苗「知ってる。その現金は回収してあるわよ。今は下の掃除用具入れの中にまとめて突っ込んであるわ。」

早苗「それと、あたしは刑事じゃなくてアイドル警官!」

支店長「こ、これは失礼を!」

支店長「それと大変ありがとうございます!アイドル警官さん!!」

早苗「どういたしまして♪ところで犯人はどうしたの?」

支店長「それが・・・我々をここに幽閉した後に窓口へと向かったようでして・・・」

早苗「はぁ?それはおかしいわよ。」

早苗「普通は金庫に向かうわよね。現に現金が沢山持ち出されている訳だし。」

支店長「実は金庫の鍵は窓口に隠してあると、犯人に漏らしてしまいまして・・・」

職員A「モガ!モガモゴ!!」ドタドタ

早苗「うんうん、言いたいことはわかるわよ。職員さんをかばってのことだったんでしょ?」

早苗「結局現金も無事だったし、終わりよければすべてよし!ってことで♪」

支店長「そういっていただけると、ありがたいです。」

早苗(あれ?ということは・・・犯人はまだ窓口の側にいるはずよね。)

早苗(だって、犯人全員居なくなったら銀行に来ていた誰かが通報するかもしれないし。慎重に行くなら誰か残しておくわよね。)

早苗「・・・」

早苗(で、仮に窓口に残った犯人がいるなら、そいつは自分の仲間達が逃亡したのを見ているはず。)

早苗(あたしが犯人だったとして、仲間が逃げたらどうする・・・?)

早苗「・・・」

支店長「あの警官さん。できれば体を縛っている縄もほどいていただきたいのですが・・・」

早苗(お金を出来る限りもって逃げるのは当然として・・・問題は逃げる方法。)

早苗(仲間が自分を置いて逃げだすってことは警官が来ているのも簡単に予想出来るから・・・)

支店長「あの~アイドル警官さん?」

早苗(警官がいても安全に逃げれる方法・・・まさかっ!!)

早苗「人質!?それだと銀行に来ている人が危ない!!」

支店長「はい!?」

早苗「それだけじゃないわ!最悪、美世ちゃんにも危害が!!」

早苗「こうしちゃいられないわ!急いで戻らないと!!」

タタタ

支店長「ま、待ってください~」

キキー

早苗「何よ!?今急いでるんだから!!」

支店長「せめて、せめて誰か一人でいいので縄をほどいてください!!」

早苗「も~急いでるのに!!・・・美世ちゃん!お願いだから無事でいて・・・!!」

-------------

トコトコ

美世「銀行内に人がいるかどうかって言っても・・・犯人がいるかもしれないんだよね。」キョロキョロ

少女「あれ?けいじのおねぇちゃん、なにしてるの?」

美世「ふぇ!?あれ、女の子?えっと、こんな所で何をしてるの?」

少女「おさんぽ。おねぇちゃんはなにしてるの?」

美世(銀行強盗がいるかも・・・なんて言ったらビックリしちゃうから・・・)

美世「えっと、探し物をしてるんだよ♪」

少女「さがしもの?なにをおとしたの?」

美世「ん~と・・・お財布を、ね。」

少女「おさいふ?」キョトン

少女「あ!うらぐちのそばでみたよ。」

美世「え!?」

少女「おかあさんにあずけたの!いま、もってくるね~♪」

美世「あ、ちょっと!!今、銀行の中に行くのは危ないよ!!」

ウィーン

ドン

少女「きゃ!!」

犯人D「チッ!なんだガキか、ちゃんと前見て歩け!」

少女「うぅ・・・」グス

美世「ちょっと!!前見て歩いてなかったのはあなたも一緒でしょ!」

美世「ちゃんと謝りなさい!!」

犯人D「ん・・・?その制服、警察か!!」

美世(あ、やばっ!!ひょっとして犯人!?)

犯人D「ふん、ようやく運がめぐってきたな!来いガキ!!」ガシ

少女「きゃっ!!」プラーン

美世「ちょっとその子を放しなさい!!」

犯人D「そうだな、なら今着ているその服を脱いでもらおうか。」ニヤリ

美世「はぁ!?バカなことを言ってないで、その子を放しなさい!!」

犯人D「何を言っている。生殺与奪は俺にある。」ギリギリ

少女「く、くるしぃ・・・」

美世「わかった!やる!今すぐやるから・・・もう、やめてあげて!!」

犯人D「ようやく自分の置かれている立場が分かったか。」

少女「けほっ・・・けほっ・・・」

美世「うう・・・」プチプチ

美世(この変態!)

犯人D「ゆっくりと焦らすように、だ。逆らえば・・・」ギリ

少女「おねぇちゃん・・・」

美世「大丈夫・・・大丈夫だから、ね?」ニコ

美世(早苗さん・・・中嶋さん・・・お願い、早く来て!!)

-------------

美世「・・・」シュルシュル

犯人D「アイドルの生ストリップショーとはな、まったく俺を置いてったあいつら様様だ。」カシャカシャ

犯人D「次はスカートだ。」カシャカシャ

美世「言われなくても・・・」カチャ ジー

美世(これはビジュアルレッスン、これはビジュアルレッスン・・・)

美世(そう、LIVEとかでファンの皆がドキドキしちゃうようなアピールする為の・・・)

美世「・・・」シュルシュル

犯人D「・・・」カシャカシャ

美世(うぅぅぅ、どう考えても恥ずかしいよぉ!!)

犯人D「くっくっく・・・アイドルが公衆の面前で、下着姿を披露する事になるとはな!」カシャカシャ

犯人D「ここまで辱められたんじゃ、アイドルを続けてはいられないだろ。ん~?」ニヤニヤ

美世「ふざけ・・ないでよ!」

美世「この程度の事、なんともないんだからっ!!」

犯人D「ふん、威勢だけはいいな。だが、この先はないだろう。」カシャカシャ

犯人D「次はブラジャーだ、逆らえば・・・」ギリギリ

少女「おねぇちゃん・・・ごめんね、ごめんね・・・」ポロポロ

美世「泣かないで、ね?あたしは大丈夫だから・・・」

美世(ごめんねCoPさん、早苗さん。あたし・・・アイドル続けられないかも・・・)

美世「・・・」

フォン フォォォォォォォォン

犯人D「ん?」

中嶋「原田ァ!!」

美世「っ!・・・たぁぁぁっ!!」

ドン

犯人D「ぐッ!!」

少女「きゃっ!!」

美世「こっちよ!!」

少女「うん!」

犯人D「くそ!!ふざけや「そこまでだッ!観念しろ!!」」

フォン ギャギャギャ

犯人D「ちぃッ!!仲間がいたのか!」

中嶋「原田!これを着ていろ!!」バサ

美世「うん!」

犯人D「いいところで邪魔してくれたな、無傷で帰れると思うな!」

中嶋「それはこっちのセリフだ!女の子に怖い思いをさせた上に後輩を辱めやがって!!」

中嶋「『強盗罪』及び『強制わいせつ罪』の現行犯で逮捕する!!抵抗すれば『公務執行妨害罪』も付くぞ!」

犯人D「ふん、やれるものならな。」

中嶋「なめるな!」ダッ

ガシ

中嶋「これで、「終わりだな。」え?」

ビターン

中嶋「がはっ!?」

犯人D「ふん、他愛もない・・・」

犯人D「次はお前達だ。」

少女「!」

美世「大丈夫、あたしが守るからね。」

犯人D「ふん、忌々しい目つき「待て!」・・・受け身を取らせる暇すら与えなかったはずだが?」

中嶋「残念だったな。今、墨東署には鬼教官が来ているんだ。」

中嶋「この程度のダメージは日常茶飯事だ!」

犯人D「ならば、立ち上がれなくなるまで投げ飛ばすだけだ!」

中嶋「原田!その子を連れて逃げろ!!」

美世「でも!」

中嶋「いいから「行く必要はないわよ。」」

犯人D「!」

美世「早苗さん!!」

早苗「ごめんね、危ない目に合わせないって約束したのに。約束破っちゃって・・・」

美世「ううん、怪我してないからまだ許容範囲内だよ♪」

早苗「ふふ、ありがと♪中嶋君!後は任せて!!」

美世「片桐!そいつは柔道の有段者だ!手強いぞ。」

早苗「問題ないわ。あたしだって柔道の有段者よ?」

犯人D「ふん、女とはいえ手加「黙りなさいド変態!」」

早苗「さてと・・・『強盗罪』は当然として。」

早苗「中嶋君の行動に抵抗したから『公務執行妨害罪』、暴力もあったみたいだから『暴行罪』も追加ね。」

早苗「それと、そこの女の子のおびえ方を見ると、あたしの相棒をひん剥いた罪状は『強制わいせつ罪』ね。」

早苗「言うまでもなく・・・諸々の罪の現行犯で逮捕するわよ!!!」

犯人D「・・・さっきも言ったが、やれるものならやってみろ!」

早苗「あっそ、後悔するわよ?」

犯人D「行くぞ!」ダッ

早苗「っ!」ダッ

ガシ

犯人「ふん、投げ技か、その程度で「そぉいっ♪」」

ドゴォ

犯人D「ごはぁ!?」

早苗「とりゃ!」

ビターン

犯人D「がはッ!?一本背負い、だと?だが・・・さっきは打撃を・・・!?」

早苗「残念だけど、あたし柔道とか空手とか一通りの武術は有段持ちなのよね。うふふ~♪」

犯人D「なん・・・だと・・・!?」

早苗「さーてと、そこの女の子と中嶋君に危害を加えた分は今ので帳消しにしてあげるわ♪」コキコキ

中嶋「お、おい片桐、その辺で・・・」

早苗「でも、あたしの相棒に狼藉を働いてくれたお礼がまだよね~」ポキポキ

犯人D「・・・」ダラダラ

早苗「覚悟はいい?ま、許すつもりはないけどね♪」ニコォ

犯人D「ま、待ってください。なんでもしますから!!」

早苗「ほ~?今何でもするって言ったわよね?」ガシ

犯人D「へ?」

早苗「それなら、迷わず地獄へ落ちなさいっ!!」ギリギリ

中嶋「待て!片桐ィ!!」

犯人D「ちょ「おりゃぁぁぁぁっ!!」」

ドスン

中嶋「バックドロップ!?」

美世「犯人さん、生きてるかな・・・?」

犯人D「」ピヨピヨ

中嶋「一応無事みたいだな。おそらく、そこに落ちてるぬいぐるみに当たって助かったんだろうよ。」

少女「・・・あれ、わたしの・・・」

美世「うん!後で綺麗にしてから返してあげるね♪」

早苗「2時42分、罪状は『公務執行妨害罪』及びその他諸々で犯人確保!!!」

カシャン

中嶋「ふぅ、何とか片付いたみたいだな。」

美世「中嶋さんもありがと!それと、とっても恰好よかったよ♪」

中嶋「そ、そうか?」

-------------

犯人D「」ピヨピヨ

少女「こわかったよぉ・・・」グス

美世「よしよし、もう大丈夫だからね♪」ナデナデ

母親「この子を助けていただいて、なんとお礼を言えば・・・」

美世「いえいえ♪銀行にいた人が皆無事で何よりです♪」

中嶋「まったく、あの子のぬいぐるみがなければ即死だったぞ。」

中嶋「今回は仕方ないとしても、少しは手加減ってものを考えろ!」

早苗「ごめんなさい・・・」シュン

中嶋「まぁ皆無事だったからいいけどな。今度は気をつけろよ?」

早苗「うん。それと美世ちゃんも怖い思いをさせてごめんなさい。」

美世「あたしは大丈夫だよ。それよりも助けてくれてありがと♪」

早苗「どういたしまして♪とりあえず、美世ちゃんは店の中で服を着てきたら?」

美世「あ・・・///」カァァ

美世「い、行ってくるっ!!」

タタタ

早苗「さてと。あれ、見つからないわね。」ガサゴソ

中嶋「片桐?なにさがしてるんだ?」

早苗「ケイタイ。」ガサゴソ

中嶋「何でそんなものを?」

早苗「犯人が美世ちゃんのストリップを撮影してたはずよ!消去しなきゃ!」ガサゴソ

中嶋「おいおい、なにを根拠「中嶋君だって美幸ちゃんがストリップしたら撮影するでしょ?」」

中嶋「お、俺はそ、そんなことしないぞ!」

早苗「そう?でも普通の男ならそうするわよ?少なくとも、あたしが男なら間違いなくするわよ!」ガサゴソ

中嶋「そ、そうか?」

早苗「あ、あった!じゃ早速・・・」

中嶋「片桐!消去するのはちょっと待て!!」

早苗「なによ、まさか美世ちゃんのストリップ写真でいかがわしいことを・・・?」

中嶋「ち、違う!俺はそんな事考えてないぞ!!」

早苗「・・・冗談だったのに。で、どうしたの?」

中嶋「いや、それは犯罪の証拠になるからな。一部でいいから残しておいて欲しいんだ。」

早苗「まぁ確かにね。これも立派な犯罪だからね。」

早苗「でも、美世ちゃんの了解を得たらだからね。」

中嶋「もちろんだ!」

美世「早苗さ~ん、中嶋さ~ん。」

早苗「あ、戻ってきたみたいね。」

美世「中嶋さん、上着ありがとうございました!」

中嶋「おう!それじゃあ俺はコイツを捜査課に引き渡してから戻る。」

中嶋「お前達は先に戻って、今回の件について課長に報告しておいてくれ。」

少女「おねぇちゃん、まって!」

美世「?・・・どうしたの?」

少女「これ!」

美世「お財布?・・・ひょっとしてさっき言ってた?」

少女「うん!」

美世「ありがとね。これはちゃんと持ち主に届けるからね。」ナデナデ

少女「うん!ばいばい、おねえちゃん。」

美世「ばいばい!またどこかでね♪」

8月20日 午後03:20 墨東署 交通課オフィス

早・美「「ただいま~」」

頼子「あ、美世!犯人に襲われたって聞いたけど、大丈夫!?」

美世「あたしは大丈夫です、心配かけてごめんなさい。」

葵「早苗さんも無事で何よりです。」

早苗「今回はさすがに疲れたわよ。」

頼子「しっかし、よく逮捕できたわね。」

葵「ええ、中嶋さんも敵わなかった相手でしょう?」

早苗「まぁ、相手が油断していたからこそね。まともに行ったら、あたしでも負けてたわよ。」

頼子「油断?」

早苗「おそらくだけどあの自信からして柔道では敵なしだったと思うのよ。」

早苗「だから、空手の技で動揺を誘ってから投げ飛ばした訳よ。」

頼子「簡単に言うけど、あの一瞬でそこまで判断出来るのはすごいわよ!」

葵「さすが早苗さんですね。」

早苗「あ!犯人は追跡できた?」

頼子「それが、思いっきり引き離されちゃったのよ!」

美世「そんなに速度を出してたの?」

葵「いえ、狭い一本道ですのでそれはないと思います。」

葵「ですが、曲がり角を左折したと思ったら、もう向こうの交差点にいたんですよ・・・」

早苗「大体どこなのよ、見失った場所・・・」

頼子「えっと・・・」バサ

頼子「ここ。この細い一本道よ!」

早苗「ここって・・・あたし達の警邏の範囲じゃない!!確かに逃げ道はないはずよね・・・」

早苗「ま、でもナンバーはわかってる訳だし、ここで逃げられても逮捕は時間の問題よね~♪」

頼子「残念だけど、そのナンバープレートは盗難届が出されてるプレートなのよ。」

早苗「あちゃ~、結局、振り出しか~」

中嶋「ただいま戻りました。」

頼子「お、中嶋君。お帰り!」

中嶋「おう!頼子たちも大変だったみたいだな。」

中嶋「それより二人共、財布と写真は渡したのか?」

早・美「「あ!忘れてた!!」」

美世「えっと、事件のあった銀行で財布を預かりました。」

美世「これは事件のあった銀行の裏口で見つかったそうです。」

葵「はい、中身はなにがありました?」

美世「現金とカードと車の免許証が入ってました。」

葵「それだけあればすぐに身元の特定ができます。これは私が責任を持って持ち主に返却しますね。」

美世「お願いします♪」

早苗「えっと、事件現場でね。その、美世ちゃんのストリップを取った写真があるのよ・・・」ゴソゴソ

美世「細かく説明しなくていいから///」カァァ

早苗「はい、これよ。」

頼子「はい了解!じゃ美世、悪いけどこの写真は証拠として残させてもらうわね」

葵「ちゃんと私達が精査して問題がないものを一枚だけ残すようにします。」

美世「・・・うん!頼子さん、葵さん、よろしくお願いします。」

頼子「それと、事件の目撃者についても捜査課で調査してもらうようにするね。」

頼子「おかしな写真が出回らないように私達が責任を持って処理するから、安心しなさい!」

美世「ありがとうございます!」

頼子「任せといて!」

中嶋「しかし、頼子はともかく葵も写真の確認をやるのか?」

葵「・・・何か問題でも?」

中嶋「いや、そんなことはないぞ!」

美世「どうしたんだろう?」

早苗(何となくわかったけど黙っとこ。)

課長「しかし、二人共大手柄だ。」

頼子「そうよ!一人とはいえ、ようやく犯人のしっぽをつかめたんだから!」

早苗「そんなことないわよ、結局犯人はほとんど逃がしちゃったし。」

早苗「さっさと次の襲いそうな場所を特定して罠を張らないと!」

美世「うーん、でもこの次はどこを襲うのかな?」

中嶋「同じところは狙わないだろうしな。」

全員「「「「「「う~ん・・・」」」」」」

ビービー

課長「な、何事だ?」

放送『署内の全職員に通達します。』

放送『墨東署に侵入者発生。侵入したのは三十代と二十代の男性が二名。』

中嶋「二人もか!?」

放送『三十代の男性は職員より奪った警棒で、制止に入った男性職員を撃退しつつ交通課に向かっています。』

放送『また、二十代の男性も原田巡査の名前を叫びながら、後を追うように交通課に向かっています!』

課長「何だと!?男性職員はすぐ応戦出来るようにドアの前で待機しろ!女性職員はドアから遠い場所に退避!」

美世「ど、どうしよう?」

早苗「とりあえず侵入者さんの出方をみるしかないわね。」

ヨラバキル

ミヨサーン

美世「・・・早苗さん、その侵入者さんに心当たりがあるんだけど。」

早苗「・・・奇遇ね、あたしもよ。」

課長「二人共、どういうことだ?」

早苗「課長、その二人を妨害しないで下さい。」

美世「邪魔しなければ手出ししないし。」

課長「わかった!すぐ連絡する!!」

タタタ

頼子「早苗、知り合いなの?」

早苗「まぁね。」

-------------

バタン

社長「やあ、皆。」

CoP「美世さん!」

美世「社長!CoPさん!」

社長「はっはっはっ、すまないね。美世ちゃんが襲われたと署から連絡があってね、気になったので来てしまったよ。」

CoP「美世さん!犯人に襲われ純潔を奪われたと聞きましたが、本当ですか!」

美世「はあ!?な、なに言ってるの?」

CoP「!!・・・事実・・・なのですね・・・」

美世「違うの!早苗さんが助けてくれたから無事なんだよ!!」

CoP「美世さん!私の事は気にせずどうか真実を!!」

美世「もう!CoPさん!!いいから話を聞いてよっ!!!」

ギャーギャー

早苗「・・・説明しなさい。」ポキポキ

社長「どうも連絡を受けた事務員が悪ノリをしたらしくてね。」

社長「話を真に受けた彼は、冷静さを失って事務所を飛び出してしまったんだよ。」

早苗「とりあえず、帰ったらシメる!」

中嶋「・・・片桐達の社長さんは誤解だってわかっていたのか?」

社長「まぁ元凶の彼女とは長い付き合いだからね。」

早苗「それにしても、来るなら穏やかに来なさいよ!」

社長「ははは、元々は穏便に済ませるつもりだったのだよ。だが、先に着いた彼が警官と取っ組み合いを始めていたのでね。」

社長「誤解を解けるのを待っていたら日が暮れてしまう、そこで仕方なく強引な手を打たせてもらった訳だよ。」

中嶋「まぁ過ぎたことは置いといて、アレを止めなくていいのか?」チラ

CoP「美世さん!この事態を招いたのは私の責任です。」

CoP「この償いは私の生涯をかけて致します。どうか、許して頂けないでしょうか!?」

美世「えっと、不束者ですが・・・じゃなくて!それは違うの!あたしは無事でなんともないの!」

CoP「美世さん、こんな状況でも擁護して頂いて感謝しています。ですが「あーもう。めんどくさい!」」

ドガ

CoP「ぐはぁ!」

早苗「まずは落ち着きなさい。いい、ことの顛末は・・・」

-------------

CoP「皆さん、大変お騒がせを致しました!」ペコリ

早苗「まったくよ、仮にもプロデューサーなら常にクールでいなさいよ!」

美世「まぁまぁ、早苗さん!」

葵「犯罪の証拠となる写真は、美世さんであるとわからないようにしますので、安心して下さい。」

CoP「お心遣い感謝します。」

課長「しかし、片桐はともかく一般人にまで遅れを取るようじゃ、職員の訓練内容を見直した方がいいかもしれんな。」

中嶋「・・・なぁ片桐?お前達のとこの社長だが。ひょっとして強いのか?」

早苗「そうね、剣術だけならあたしよりずっと強いわよ。ただ、女の子相手だと何もできなくなるけどね。」

中嶋「墨東署も大概だが、お前たちの事務所も十分異常だな・・・」

早苗「失礼ねっ!」

美世「ところで、何で社長はここに?」

早苗「そうよ、CoP君はほっといてもそのうち誤解に気づいたと思うけど?」

社長「うむ、実は次の犯人の襲う銀行がわかったのでな、その連絡にと思ってな!」

全員「「「「「「はぁ!?」」」」」」

社長「正確にはおびき出すと言った方が正しいかな?」

葵「罠にかけるということですか?」

中嶋「そんな計画を立ててたってことは俺達が失敗すると思っていたのか!?」

社長「いや、徒労で済む事を願っていたよ。」

社長「ともかく本題に移ろう、実は面識のある大手プロダクションの社長が、近々レッスン施設を増設すると聞いたのでな。」

社長「それなら支払いを現金一括で支払うのはどうか、と打診してみたのだよ。」

社長「いや~ヨイショの上手い部下のお陰で何とか実現できたよ。」

中嶋「ずいぶんとスケールのデカい話だな。いまいち信じられないな。」

社長「まあ無理もない、だが事実だよ。」

社長「話を戻すが、その資金の引出先を墨東署の管轄内の支店にしてもらったのだよ。」

課長「なるほど、銀行は普段現金をそこまで所有していない。」

課長「銀行に資金がたんまり入るこのチャンスは犯人達にとってこれ以上ないご馳走だろう。」

中嶋「だが、社長さん。犯人がその情報を知っているとは限らないだろ。まさか大通りで叫んで回るとか言わないよな?」

社長「それも名案だが、今回は勝算がある。」

社長「今回事件のあった銀行も含めて、襲われた銀行はすべて同じ共同センターでデータを管理していてね。」

社長「どうも犯行前に犯罪に関わるとかなんとか、と理由をつけて銀行の情報を聞き出した墨東署の警官がいるらしい。」

社長「引出先の銀行も同じ共同センターの管理対象なので、おそらく今回の件も筒抜けだろう。」

課長「警察内に犯人がいるとでも?」

社長「スーパーコンビさんがいなくなった直後に再起を図ったんだ、怪しまない方がおかしいだろう?」

頼子「確かに怪しいけど、犯人と関係があるっていうのは乱暴じゃない?」

中嶋「頼子の言うとおりだ。いくら片桐の上司でも言っていい事と悪いことがある!」

早苗「そうよ社長、犯人が捜査機密に関わることを知ってたら話は別だけど。」

美世(捜査機密・・・そういえば!)

美世「あの~」

課長「どうした、原田?」

美世「えっと、犯人についてなんですけど。あの人、私がアイドルだって知ってたみたいなんです。」

頼子「別にそれは珍しくないじゃない!美世はアイドルなんだから!」

早苗「いや、それはおかしいわね。自分で言うのもなんだけど、若い人であたし達のファンって少ないから。」

美世「うん。握手会とかに来てくれる人はよく憶えてるんだ。あの人は見覚えがないよ!」

課長「ほう、それは確かなのか?」

美世「はい。」

中嶋「いまいち決め手に欠けるな。だが、墨東署内に犯人がいる可能性は出てきたか・・・」

葵「あの社長さん、ちなみに何処からそんな情報を?」

社長「そこのセンター長が昔の上司でね、いっぷ・・・いや一杯奢って聞き出したのだよ。」

社長「どうやら固く口止めをされていた、というよりもほとんど脅迫に近いものを受けていたらしい。」

社長「警察に話したら犯人の仲間と疑われて逮捕されるかもしれないぞ!、とかなんとか。」

葵「なるほど。それでは警察にも話してくれませんね。」

社長「ちなみに、センター長には次からは会話内容を録音するようにと勧めておいたよ。」

課長「・・・悪いが社長さん。誘い出したところで、逃走される可能性がある以上その案は呑めん。」

葵「ええ、レッスン施設が建ってしまうほどの額ですからね、逃げられればそれこそ墨東署はお終いです。」

社長「・・・うむ。」

中嶋「くそッ!他に手段はないのか!?」

頼子「ねえ、早苗!美世!何か無いの!?」

早苗「あったらとっくに言ってるわよ!!」

葵「み、みなさん、落ち着いてください!」

ガヤガヤ

美世「どうすればいいんだろう・・・」

社長「・・・ふむ、美世ちゃん。そういう時は、まず現状整理だ。」

社長「かの名探偵も『不可能を消去して、最後に残ったものが如何に奇妙なことであっても、それが真実となる』と言っているよ。」

美世「不可能なもの・・・?」

社長「そうだね、『通常ではありえないこと』に注目してはどうかな?」

美世(ありえない事・・・そういえばおかしい事が一杯あったっけ・・・)

美世(ちょっと考えてみよう・・・)

-------------

美世(問題は『犯人がどうやって追跡を振り切ったのか』だよね。)

美世(関係しそうな『ありえない事』は・・・頼子さん達を『狭い一本道で大きく引き離した事』かな?)

美世(引き離したってことは『加速音』や『タイヤ痕』とか何か痕跡が残るはず・・・)

美世(でも、それらしい痕跡がなかったってことは・・・)

美世(頼子さん達が『嘘をついてる』か『勘違い』のどちらかかな?)

美世(・・・『嘘をつく』のはありえないから『勘違いだった』ってことになるはず!)

美世(勘違いしたってことは『同じ車種の別の車両だった』って事かな?)

美世(じゃあ、仮に『別の車両』だったとして、それに関係する『ありえない事』ってあったかな?)

美世(確か、頼子さんは『引き離された』って言ってた。)

美世(普通に考えれば、引き離したのは『追跡していた逃走車両』だけど・・・)

美世(それだと『痕跡がない事』と矛盾しちゃう・・・)

美世(・・・と言うことは『同じ車両だと思うような何か』を見たってことだよね。)

美世(同じ車両と思うようなことって・・・『傷』とか、後はありえないけど『ナンバー』かな?)

美世(犯人の車両に『傷』は無かったから、『ナンバー』が同じってことになる・・・のかな・・・?)

美世(・・・そういえば、あたし達が犯人に遭遇した時、犯人の車には『ありえないナンバー』が付いてた。)

美世(でも・・・そのナンバーは盗難されたプレートだから、身元を隠す目的では問題はないよね。)

美世(だけど、わかる人が見たら違法だってばれちゃうナンバーを使うのかな?)

美世(・・・それでもそのナンバーを使ってたってことは、『危険でもナンバーを使う必要』がある!)

美世(『同じ車種の別の車両』と『同じナンバーが2つ存在した可能性』・・・)

美世(そして・・・『合わないナンバーを使わなきゃいけない理由』)

美世(ここからわかることは・・・)

http://i.imgur.com/ofEY83q.jpg
http://i.imgur.com/20f0noP.jpg
片桐早苗(28)

http://i.imgur.com/vS6LHZo.jpg
http://i.imgur.com/k8svQPP.jpg
原田美世(20)

-------------

美世「・・・」

早苗「美世ちゃん・・・?」

美世「・・・」

早苗「ちょっと美世ちゃん!大丈夫!?」ユサユサ

美世「・・・うん、ちょっと突拍子もない結論が出ちゃっただけだから。」

頼子「今は情報が足りないの、どんな無茶苦茶な事でもいいから話して!」

美世「えっとね、犯人は同じ車種・ナンバーの車をもう一台運用して、追跡をかく乱していたんだよ!」

早苗「・・・本当に突拍子のない話ね。ま~美世ちゃんには悪いけど、それは無理よ。」

美世「やっぱり・・・」

早苗「そもそも同じナンバーってことは、盗んだナンバーを再発行したってことでしょ。」

早苗「ナンバーの再発行は警察じゃなくて国土交通省内の運輸局の管轄よ。いくら警察でも難しいわ。」

早苗「まして、盗難届のあるナンバーよ。はっきり言って不可能よ!・・・っと言いたいとこだけど、みんなはどう思う?」

葵「そうですね・・・早苗さんの言うとおり運輸局を経由しての再発行は難しいと思いますよ。」

葵「ですが、ナンバーの製造元に犯人の仲間がいたのであれば、あるいは・・・」

中嶋「裏付け調査が必要か。墨東署に犯人がいる可能性があるし、俺達で調べるか。」

頼子「それだったら、首都周辺の工場じゃないの?運輸局で受け取れないはずだから、工場で直接受け取ってるはずだし!」

葵「ええ、後で洗い出してみましょう!」

美世「・・・みんな、信じてくれるの?」

早苗「当たり前じゃない!あたしたちはチームでしょ♪」

頼子「無茶苦茶な話だけど、ちゃんと筋は通ってるみたいだし!」

葵「美世さんの考えが正しければ、今まで追跡をかく乱しつづけた事にも説明がつきますからね。」

課長「だが、二階堂達が犯人を見失った場所は障害物のない一本道だぞ?」

課長「その問題はどう説明するんだ?」

美世「・・・おそらく、途中の駐車場に入ったと思われます。」

早苗「美世ちゃん、この辺って国産車しかなかった気がするけど?」

美世「多分ガレージだと思うよ、早苗さん。」

葵「そういえばありましたね、大きめの乗用車でも軽く入りそうな立派な車庫が。」

課長「・・・他に手掛かりがない以上、今はそのナンバーについて調査するしかなさそうだな。」

葵「それなら私が行ってきます。財布の持ち主も探す必要がありますし。」

課長「わかった。ならこの件は双葉に任せた!!」

葵「了解しました!!」

課長「さて、結果的に社長さんの用意した賭けに乗ることになってしまったな。」

早苗「無茶苦茶な案でごめんなさいね、課長。」

課長「何、墨東署ではいつもの事だ!」

課長「お前達は色々あって疲れただろう、今日は上がっていいぞ。逮捕の作戦はこちらで立てておく。」

美世「どうしよう?」

早苗「そういう時はお言葉に甘えておくのよ♪」

美世「それじゃあ、お先に失礼します課長。」

早苗「課長、お疲れ様でした♪」

課長「おう!明日もよろしく頼むぞ!!」

社長「あ!そうそう、忘れるところだったよ。」

早苗「何よ、急に?」

社長「うちの事務員からの差し入れだ。」コト

美世「この黄色い液体が入った入れ物は?」ツンツン

中嶋「これって・・・ペイント弾の中身か?」

社長「その通りだ。それもただのペイント液ではない!」

社長「着弾した車両の塗料を溶かしてしまう効果がついているペイント液だ!」

早苗「ちひろさん・・・一体何作ってるのよ・・・?」

社長「このペイント液を完成させる為に、私の愛車を含む多くの車両が犠牲になったのだよ・・・」ホロリ

美世「ちひろさん・・・一体何をしたの・・・?」

中嶋「・・・おいおい、非常識すぎるだろ。」

頼子「なんか・・・ここに美幸がいるような気がしてきた。」

葵「頼子さん。美幸さんが作る『非常識なモノ』はメカだけですよ?」

課長「なぁ・・・社長さん。事務所全員が警察官に転職する気は「ないな。」そ、そうか・・・」ショボン

中嶋「だが、これがあれば・・・」

葵「確実に犯人の車両を特定できますね!」

社長「役に立てたようで何より!それでは、私達は先ほどの謝罪に行こうか。」

CoP「そうですね。」

課長「それなら俺もついていこう。」

社長「これは助かります。」

スタスタ

CoP「あ!私も大事な事を忘れていました。」

CoP「申し訳ありませんが、少し待っていただいてもよろしいでしょうか?」

社長「うむ、手短に頼むよ。」

美世「何を忘れてたの?」キョトン

CoP「二階堂さん、双葉さん。アイドルに興味はありませんか?」ギュ

早・美「「え゛!?」」

頼子「え?わ、私!?」

葵「あら、いいんですか?」

CoP「ええ、お二人を一目見た時にティンと来ました。」

CoP「お二人ならばすぐにでもトップアイドルに、ごはぁ!?」

美世「へ~あたし達の事はどうでもいいんだ~」ニコニコ

早苗「薄情ね。頂点にたどり着く日まで、ず~と一緒だって約束したのにね。」ニコニコ

CoP「ち、違います。これには深い訳が・・・」ダラダラ

早・美「「問答無用!」」

ギャー

社長「はっはっはっ、仲が良いのは素晴らしいことだな!」

中嶋「これは、仲がいいっていうのか?」

頼子「まぁ、アイドルには興味はあるけど。私は警察官の方がいいかな?」

葵「私も頼子さんと同じです。」

CoP「わ、わかりました・・・」ボロ

社長「さ、今度こそ行こうか。」

スタスタ

美世「早苗さん。あたし達はどうしよう?」

早苗「そうね、CoP君がくるまで待ってよっか。」

美世「うん!」

頼子「それなら先に着替えて、その後にそこの休憩室でゆっくりしてたら?」

葵「ええ是非そうしてください、お二人が着替えている間にお茶を入れてきますから。」

美世「えっと、お言葉に甘えます。」

早苗「それじゃあ、着替えてくるわね。」

CoP「あ!私も大事な事を忘れていました。」

CoP「申し訳ありませんが、少し待っていただいてもよろしいでしょうか?」

社長「うむ、手短に頼むよ。」

美世「何を忘れてたの?」キョトン

CoP「二階堂さん、双葉さん。アイドルに興味はありませんか?」ギュ

早・美「「え゛!?」」

頼子「え?わ、私!?」

葵「あら、いいんですか?」

CoP「ええ、お二人を一目見た時にティンと来ました。」

CoP「お二人ならばすぐにでもトップアイドルに、ごはぁ!?」

美世「へ~あたし達の事はどうでもいいんだ~」ニコニコ

早苗「薄情ね。頂点にたどり着く日まで、ず~と一緒だって約束したのにね。」ニコニコ

CoP「ち、違います。これには深い訳が・・・」ダラダラ

早・美「「問答無用!」」

ギャー

社長「はっはっはっ、仲が良いのは素晴らしいことだな!」

中嶋「これは、仲がいいっていうのか?」

頼子「まぁ、アイドルには興味はあるけど。私は警察官の方がいいかな?」

葵「私も頼子さんと同じです。」

CoP「わ、わかりました・・・」ボロ

社長「さ、今度こそ行こうか。」

スタスタ

美世「早苗さん。あたし達はどうしよう?」

早苗「そうね、CoP君がくるまで待ってよっか。」

美世「うん!」

頼子「それなら先に着替えて、その後にそこの休憩室でゆっくりしてたら?」

葵「ええ是非そうしてください、お二人が着替えている間にお茶を入れてきますから。」

美世「えっと、お言葉に甘えます。」

早苗「それじゃあ、着替えてくるわね。」

-------------

ガチャ

CoP「美世さん、早苗さん。そろそろ帰りますよ?」

早苗「・・・でね、その時CoP君がこう言ったのよ!」

頼子「ふんふん!それでそれで!!」カキカキ

葵「頼子さん・・・それを聞いてどうするつもりですか?」

頼子「とーぜん、署内中に噂を広めるに決まってるじゃん♪」

葵「お二人はアイドルですからね、迷惑がかからない範囲して下さい。」

頼子「大丈夫よ!そこらへんは考えてあるから!」

美世「葵さん、止めなくていいんですか?」

葵「・・・長い付き合いですからね、こうなった頼子さんは止まりません。」

美世「あはは・・・」

CoP「お話し中に失礼します。美世さん、早苗さん、そろそろ帰りますよ?」

早苗「りょ~かい♪」

美世「あれ?社長はどうしたの?」

CoP「先ほど課長さんと道場へ行くと仰っていたので、途中で別れました。」

CoP「なんでも、互いに剣士としての血が騒ぐとか。」

頼子「あ~それはしょうがないわね。」

美世「そうなの?」

葵「ええ、課長は本庁でも有名な実力者ですから。」

早苗「武闘家ってやつは、ほんと業が深いわね~」

頼子「早苗が言えた立場じゃないでしょ~」

CoP「その意見には同意します。それはそうと何をお話しされていたのですか?」

早苗「ん~?話って言ったって他愛のない日常の話よ。」

早苗「例えば、CoP君達が『巨乳と貧乳どっちが正義か』で盛り上がってた話とか。」ケタケタ

頼子「・・・」カキカキ

葵「・・・頼子さん、無言でメモを取らないでください。」

美世「CoPさん、事務所でそんな話をしてたの・・・?」ジドー

CoP「私は混ざってません!それは先輩方だけの話でしょう!!」

CoP「ゴホン!・・・と、とにかく帰りますよ。明日も早いのでしょう?」

早苗「はいはい♪じゃ頼子、葵ちゃんまた明日ね。」

美世「お疲れ様でした♪」

頼子「ちゃんと休むのよ!」

葵「今日は本当にお疲れ様でした。」

-------------

ブロロロ・・・

美世「・・・」スースー

CoP「美世さんは、大分お疲れのようですね・・・」

早苗「まぁ犯人に襲われかけたんだから無理はないわよ。」

早苗「あと少し中嶋君が遅かったらどうなってたか・・・」

CoP「・・・やはり、美世さんだけでも「途中で降ろすとか言ったら本気でシメるからね!」」

CoP「・・・」

早苗「信用ないかもしれないけど。次はちゃんと守るから、ね?」

CoP「わかりました。ここまで来たら最後までお二人やりたいようにして下さい。」

早苗「ありがと♪」

早苗「・・・ねぇ、CoP君。もし襲われたのがあたしでも責任取ってくれた?」

CoP「もちろんです。」

早苗「じゃあ、二人共襲われた時はどうするの?」

CoP「それは・・・」

早苗「うん、意地悪な質問だったわね。」

CoP「・・・それでも私に出来る全てで責任を取るつもりです。」

早苗「ん、約束だからね。」

早苗「破ったらシメる♪」ニコニコ

CoP「ええ、どうぞ気の済むまで。」

ブロロロロ・・・

8月21日 午前08:50 墨東署 オフィス

早・美「「おはようございます!」」

頼子「おはよ。美世、早苗。」カタカタ

早苗「あれ?頼子だけ?」

美世「お仕事ですか?」

頼子「仕事と言えば仕事なんだけどね~」カタタン ターン

頼子「よし・・・後はこれを備品作成に詳しい人間に依頼をするだけね。」

早苗「ん~・・・なんかの暗号?」

頼子「ペイント弾の設計図。昨日美幸にお願いしたのよ。」

美世「え!?こんな細かいのを一晩で?」

頼子「そこが美幸のすごいところよ。じゃ、また後でね~」

スタスタ

カツカツ

課長「おう、おまえら。ここにいたのか。」

早苗「あ、課長!おはようございます!!」

課長「昨日の作戦だが、本日15時に決行だ。」

課長「作戦内容は10時半から説明をする、用事があるならそれまでに済ませておけ。」

早苗「了解しました!じゃ美世ちゃん、あたしはいつものを。」

美世「うん、その間あたしは白バイのメンテをしてくるね。」

スタスタ

-------------

トコトコ

早苗「さってと。どうせまだ捜査課のオフィスにいるんだろうから、声かけていこっと!」

ガチャ

早苗「おはよー皆!朝の稽古やるわよ!!」

女性警官's「「はい、片桐先輩!」」

早苗「・・・あら?他の職員は?」

女性警官A「えっと、それが・・・」

早苗「・・・またガレージ、ね。」

-------------

中嶋「・・・」カチャカチャ

中嶋「よし!こんなもんかな。」

ガヤガヤ

中嶋「なんかガレージの外が騒がしいな・・・」

トコトコ

中嶋「おいおい、捜査課だけしゃなく交通課の男連中もいるじゃないか。」

男性職員A「おい、中嶋!!小早川さんという人がいるのに浮気か!?」

中嶋「な!?お、俺と小早川はまだそんな・・・っていうか浮気ってなんだよ!」

男性職員A「何だ違うのか?てっきり俺達と同じ目的で来たんだと・・・」

中嶋「俺は愛車の整備だ。で、お前らの目的ってなんだよ?」

男性職員A「何って、そりゃ~もちろん・・・」

美世「あ!中嶋さ~ん、おは「「「「「「美世さーん!!」」」」」」」

ダダダダダ

美世「きゃ!?」

男性職員A「自分の身を呈してまで子どもを助けるなんて・・・俺!感動しました!!」

男性職員B「美世さん!俺に一生美世さんのメンテをさせてください!」

男性職員C「いや、一生俺のメンテをしてください!」

男性職員D「いや、死ぬまで俺のハンドルを握って下さい!」

男性職員E「いや、今すぐ俺のサイドブレーキを握って下さい!!」

男性職員F「美世ー俺だぁー今すぐ結婚してくれー!!」

美世「え、えっと・・・」

中嶋「おい、お前ら!原田が困ってるだろ!!少しは落ち着け!」

男性職員A「うるせぇ!!リア充は引っ込んでろ!!」

男性職員B「そうだそうだ!!」

男性職員C「何だよ!襲われそうになってるところに颯爽と登場とか!!」

男性職員D「テメェなんざ小早川さんに誤解されて振られちまえばいいんだ!!」

男性職員E「爆ぜろ中嶋ッ!!」

男性職員F「むしろもげろッ!!!」

中嶋「・・・誰か、何とかしてくれ。」

早苗「なんとかするわよ♪」

美世「さ、早苗さん!助けて!!」

男性職員's「「「「「「へ?」」」」」」

スパパパパーン バシバシバシバシ バシーン

早苗「さてと・・・昨日に続いて訓練をサボった言い訳は?」ギロ

男性職員's「「「「「「迸る熱いパトスを抑えられませんでした。」」」」」」

早苗「で、あたしの相棒に色目を使った件については!?」

男性職員's「「「「「「もう絶対に致しません。片桐鬼教官!」」」」」」

早苗「シメられたいなら素直にそう言いなさい!!」

ギャー

美世「あはははは・・・」

中嶋「今日も平和だなぁ。」

葵「あ!美世さん、中嶋さん、ここにいたんですね。」

美世「どうしたの葵さん?」

葵「昨日預かりましたお財布の持ち主がわかったのですが・・・」

中嶋「なんだか歯切れが悪いな。まさか・・・」

葵「・・・ええ、持ち主は墨東署の警察官の所有物でした。」

美世「本当!?」

葵「それと、その警察官は過去にナンバープレートの盗難届を提出しておりまして・・・」

中嶋「盗難届と逃走車両のナンバーが一致した・・・ってところか。」

葵「その通りです。そして、これが一番重要な話ですが・・・」

美世「まだあるの!?」

葵「どうやら、その警察官は秘密裏にナンバーの再発行を行っていたようなのです。それも同じナンバーを。」

美世「ホント!?」

中嶋「原田の予想が的中しちまったな・・・」

葵「ええ、ナンバープレートの製造元に確認を取りましたが間違いないようです。」

葵「どうやら工場の社員が製造ラインにこっそり紛れ込ませたようで・・・」

葵「製造費用もちろんの事、書類等も正式な物が用意されていた為、今回の調査がなければ発覚しなかったと思われます。」

中嶋「昨日の事と言い、今回の犯人は襲撃から逃走まで用意周到だな・・・」

葵「ええ、本当に厄介な相手です。」

中嶋「まぁそれでも、もっと厄介な助っ人がいたのは誤算だっただろうがな!」ニカ

葵「ええ、その通りだと思います。」ニコニコ

美世「うん!あたしの自慢の相棒だからね♪」

葵「美世さんも、ですよ!」

美世「あ、あたし!?」

中嶋「もし原田がいなかったら、あいつらの逃走手段もわからないままだったしな!」

美世「え、えっと・・・ありがとう、ございます・・・」

早苗「ふ~、スッキリした♪あれ?どうしたの美世ちゃん?」

美世「な、何でもないよ!」

早苗「そう?って、もう時間じゃない!行くわよ!!」

タタタ

-------------

課長「よし、二階堂以外は全員集まったな!」

美世「課長、頼子さんはどうしたのですか?」

課長「ちょっと野暮用を頼んでいてな。」

課長「さて、まずは二階堂が来るまで今回の事件についておさらいしておこう。」

美世「はい!」

早苗「そうね。」

課長「初めに今回の犯人は小早川達の不在を狙って銀行の襲撃を始めた事についてだが・・・」

葵「墨東署の警察官が犯人グループの一人であった為、美幸さん達の不在を既に知っていたという事ですね。」

課長「ああ、そうだ。」

課長「まぁ実際は、小早川達の不在だけじゃなく、襲撃先の銀行や捜査網に関する情報も筒抜けだった訳だがな。」

課長「次に、犯人の捕縛は別として何故追跡ができなかったという点についてだが・・・」

中嶋「当初の見解では、違法改造された車両を運用していたと言う事だったと思いますが。」

早苗「実際は偽造ナンバーの車両を二台走らせて、捜査をかく乱してただけなのよね。」

課長「これは原田と双葉のおかげで判明した事だ。」

課長「二人共、感謝する。」

葵「ありがとうございます、課長。」

美世「え、えっと、ありがとうございます。」

ガチャ

頼子「はぁ・・・はぁ・・・お、お待たせしましたぁ・・・」ゼェゼェ

課長「二階堂、ちょうどいいところだ!」

早苗「課長、頼子はいったい何を?」

課長「ペイント弾の作成と、噂の流布をな。」

美世「ペイント弾はともかく・・・噂ってなんですか?」

頼子「墨東署中に『今日、墨東署最強コンビが戻ってくる』という噂を流してきただけよ。」

早苗「なるほどね、それに関して調査をした奴が犯人の一味ってことね。」

課長「二階堂が適当な噂を流布するのは日常茶飯事だが、今回は場合が場合だけに動かざるを得ないだろう。」

頼子「かちょ~!」

課長「では、作戦について説明する!」

課長「双葉と二階堂は裏口周辺で待機。見つけ次第、捜査課に連絡しろ。」

頼子「了解です!」

葵「了解しました!」

課長「片桐と原田は正面玄関周辺の見張りを頼む。」

早苗「そんな堂々と正面で見張ってていいんですか?」

課長「今までの手口から考えて、裏口から侵入する可能性が高い。」

課長「二人は玄関だけを見張っていると見せかけて、犯人を油断させてほしい。」

早苗「了解!」

美世「了解しました!」

課長「最後に中嶋は、犯人逃走した場合に備えて周囲の安全確保を頼む。」

頼子「了解です!」

課長「以上、解散!」

8月21日 午後00:15 墨東署 屋上

頼子「あはははははは!ひ~お腹痛い・・・」ケタケタ

葵「頼子さん、笑いすぎですよ。」

頼子「だ、だって葵ちゃん・・・あはははは!命知らずにもほどがあるわよ!」ケタケタ

中嶋「鬼教官の訓練を二日続けてサボったわけだからな!」ニカッ

早苗「ちょっと!鬼って何よ!?」

美世「頼子さん!中嶋さん!早苗さんは・・・その・・・うん・・・」

早苗「美世ちゃん!?お願いだからフォローしてよっ!!」

頼子「ふぅ、それにしても、サイドブレーキを握って下さいとはね。」モグモグ

葵「意味深ですね。」モグモグ

美世「サイドブレーキってどういう意味なんだろ?」

早苗「暴走する気持ちを抑えて欲しいってことよ。」モグモグ

美世「そういうもん?」

早苗「そういうもん。」

頼子「美世も男性を好きになればわかるよ。どう?好きな男性アイドルとかいないの?」

美世「ん~、あたし男性アイドルを好きになったことないからわかんないや。」モグモグ

頼子「おやおや~?『男性アイドルは』ってことは、モグ!?」

葵「頼子さん、今日の卵焼きは一味違いますよ?」ニコニコ

葵「それなら美世さん、ジュピターとかはどうです?」

美世「あんまりかなぁ、今はアイドルだし。車とファンが恋人かな?」

頼子「ちょっと美世、そんなんじゃ早苗みたいになっちゃうよ?」モグモグ

早苗「ちょっと、あたしを引き合いに出さないでよ!第一頼子はどうなのよ!?」

葵「まぁまぁ、二人共落ち着い「「葵ちゃんは黙ってて!」」やっぱり、ひどいです~」

美世「ふふ、あはははは!」

中嶋「まったく、墨東署の命運をかけた作戦の前とは思えないな。」

葵「それが、『私たちらしさ』じゃないですか?」

中嶋「まったくだ、辻本達もここにいればな・・・」

美世「でも、夏美さん達がいたら、あたしたちはここにいなかったんだよね。

葵「そう考えると、運命というものは本当に不思議ですね。」

中嶋「ああ、そうだな。」

頼子「な~に、話してるのかな~?」

早苗「そ~よ、お姉さんも混ぜなさい!」

美世「運命って素敵だねって話だよっ♪」

8月21日 午後14:15 バビロニア銀行 墨東セレブ出張所

タタタ

美世「早苗さ~ん!こっちの駐車車両は全部移動してもらったけど、そっちのはどのくらいあった?」

早苗「結構あったけど、ほとんど移動してもらったわ。残りも数分以内には移動してもらえそうよ。」

美世「あたし達のミニパトはここの駐車場にしまったし。この銀行周辺に駐車車両があればすぐにわかるね♪」

早苗「そうね!・・・さて、後45分で作戦決行ね。」

美世「資金ってもう届いているのかな?」

早苗「今、金庫に入れている最中よ。今回は金額が金額だけに警備も相当厳重になってるわね。」

美世「そんな状態で強盗に来るのかなぁ?」

早苗「・・・と思うでしょ?」

美世「それなら何か確証があるの?」

早苗「質問を返すようで悪いけど。今回の犯人って何で不在を狙って行動したと思う?」

美世「えっと、『前に盗もうとしたのに邪魔されちゃったから、邪魔が入らない時がいいな』って思ったんじゃないかな?」

早苗「じゃあ、準備があそこまで用意周到だったのは?」

美世「用意周到だったのは、予想外の事に対応出来るように、って考えた結果だと思うよ。」

早苗「・・・美世ちゃん、昨日のひらめきはどこに行ったの?その解答じゃ落第よ!」

美世「ええっ!?」

早苗「考えてみなさい!ナンバープレートの偽装を初めとして、あれだけの機材を用意するには時間もお金もかかったはずよ!」

早苗「しかも、ナンバーの偽造なんて危険な真似すらしているのよ?」

美世「う~ん、準備にしてはやりすぎだよね・・・」

早苗「逆に考えれば、そこまでしないと欺けないような相手であるって事よ!」

美世「・・・と言うことは美幸さんと夏美さんの警備からお金を盗むつもりだったってこと!?」

早苗「おそらくはそうでしょうね。」

美世「でも!犯人が動き出したのは出向を始めたときだって・・・」

早苗「詳しいことは犯人をご・・・尋問にかけなきゃわかんないけど・・・」

美世(今、拷問って言いかけたよね!?)

早苗「機材等の費用回収を目論んでいたんじゃないかと思うわよ。もしくは他に準備があったとか・・・」

美世「・・・犯人が来るとして、どうやって現金を盗むつもりなのかな?」

早苗「そこがわからないのよね・・・」

早・美「・・・」

美世「・・・もし犯人が来なかったら墨東署は潰れちゃうのかな?」

早苗「それはないわよ。犯人の一人は捕まえてあるし、夏美ちゃんたちが戻ってくればじきに解決すると思うわよ?」

早苗「でも、ここで資金が奪われれば・・・」

美世「墨東署は潰れちゃうし、警察だって大変なことになっちゃう!」

早苗「そういうこと!」

8月21日 午後14:15 バビロニア銀行 墨東セレブ出張所

タタタ

美世「早苗さ~ん!こっちの駐車車両は全部移動してもらったけど、そっちのはどのくらいあった?」

早苗「結構あったけど、ほとんど移動してもらったわ。残りも数分以内には移動してもらえそうよ。」

美世「あたし達のミニパトはここの駐車場にしまったし。この銀行周辺に駐車車両があればすぐにわかるね♪」

早苗「そうね!・・・さて、後45分で作戦決行ね。」

美世「資金ってもう届いているのかな?」

早苗「今、金庫に入れている最中よ。今回は金額が金額だけに警備も相当厳重になってるわね。」

美世「そんな状態で強盗に来るのかなぁ?」

早苗「・・・と思うでしょ?」

美世「それなら何か確証があるの?」

早苗「質問を返すようで悪いけど。今回の犯人って何で不在を狙って行動したと思う?」

美世「えっと、『前に盗もうとしたのに邪魔されちゃったから、邪魔が入らない時がいいな』って思ったんじゃないかな?」

早苗「じゃあ、準備があそこまで用意周到だったのは?」

美世「用意周到だったのは、予想外の事に対応出来るように、って考えた結果だと思うよ。」

早苗「・・・美世ちゃん、昨日のひらめきはどこに行ったの?その解答じゃ落第よ!」

美世「ええっ!?」

早苗「考えてみなさい!ナンバープレートの偽装を初めとして、あれだけの機材を用意するには時間もお金もかかったはずよ!」

早苗「しかも、ナンバーの偽造なんて危険な真似すらしているのよ?」

美世「う~ん、準備にしてはやりすぎだよね・・・」

早苗「逆に考えれば、そこまでしないと欺けないような相手であるって事よ!」

美世「・・・と言うことは美幸さんと夏美さんの警備からお金を盗むつもりだったってこと!?」

早苗「おそらくはそうでしょうね。」

美世「でも!犯人が動き出したのは出向を始めたときだって・・・」

早苗「詳しいことは犯人をご・・・尋問にかけなきゃわかんないけど・・・」

美世(今、拷問って言いかけたよね!?)

早苗「機材等の費用回収を目論んでいたんじゃないかと思うわよ。もしくは他に準備があったとか・・・」

美世「・・・犯人が来るとして、どうやって現金を盗むつもりなのかな?」

早苗「そこがわからないのよね・・・」

早・美「・・・」

美世「・・・もし犯人が来なかったら墨東署は潰れちゃうのかな?」

早苗「それはないわよ。犯人の一人は捕まえてあるし、夏美ちゃんたちが戻ってくればじきに解決すると思うわよ?」

早苗「でも、ここで資金が奪われれば・・・」

美世「墨東署は潰れちゃうし、警察だって大変なことになっちゃう!」

早苗「そういうこと!」

-------------

美世「30分くらいたったかな・・・?」

バタバタ

早苗「どうやら現金輸送の警備員が撤収するみたいね。」

美世「え!?帰っちゃうの?」

早苗「元々銀行に警備員はいるしね、何より今日はあたし達もいるじゃない!」

美世「う~ん。でも、少しでも多くの人がいればなぁ・・・」

早苗「今まで襲撃にあった銀行に比べれば十分すぎるくらいの警備よ。」

早苗「ここに正攻法で潜入出来る銀行強盗は、それこそ大泥棒くらいね。」

美世「ルパンとか?」

早苗「そこは石川五右衛門でしょ?」

早・美「・・・」

早苗「な~んか、今日は息が合わないわね。」

美世「ご、ごめん!」

早苗「別に怒ってるわけじゃないの。ただ、嫌な予感がしてね。」

美世「うぅ・・・そんなこと言わないでよ。」

早苗「ごめんごめん。ま~気を負わなくてもなんとかなるわよ♪」

ピーピー

美世「あ、無線だ。」

警察官『バビロン銀行裏口周辺にて、犯人の車両を発見しました。』

美世「犯人!?」

警察官『残念ながら車両は逃走してしまいましたが、見張りに出ていた犯人3名を確保しました。』

早苗「あら、ずいぶんと早いわね。」

中嶋『こちら中嶋、了解した。犯人の護送はどうなっている?』

警察官『本官が護送します。中嶋巡査は引き続き警備をお願いいたします。』

プツン

間違えて、二回同じ文章を投稿してしまいました。
申し訳ない。

美世「聞いたことのない声の人だったね。この前のお巡りさんじゃなかった気がするし。」

早苗「そうね、交通課でも捜査課でも聞いたことがない声だった気がするわ。」

美世「・・・怪しくない?」

早苗「・・・怪しいわね。」

美世「よし!それじゃ無線で「待ちなさい!」どうしてっ!?」

早苗「いくら怪しくても証拠がないでしょ。下手に突っ込むとこっちが犯人扱いされるわよ?」

早苗「こっちは身分を隠して仕事をしてる身なのを忘れたの?」

美世「う・・・」

早苗「今は犯人を待つことね。向こうは仕掛けがばれてるとは思ってないだろうし。」

美世「う~もどかしいよっ!」

早苗「・・・美世ちゃん、オーディションの時を思い出して。」

美世「オーディション?」

早苗「そうよ、もうあたし達はやるべき事をすべてやったの。だから、今は結果を待ちましょ。」

美世「・・・うん!」

ピーピー

美世「あ、また無線だ。」

葵『こちら双葉。バビロン銀行裏口周辺にて、犯人グループ4名を確保しました。』

早苗「やっぱり来たわね・・・って確保!?」

美世「双葉巡査、犯人の車両にマーキングをしたのですか?」

葵『ええ、と言うよりペイント弾のおかげで確保できました。』

中嶋『双葉巡査、詳細について説明を頼む。』

葵『二階堂巡査がマーキングの為の狙撃を行う手はずになっていたのですが・・・』

葵『・・・その、マーキングに小早川巡査のバズーカ砲を持ち出しまして・・・』

美世「バズーカ!?」

早苗「・・・まぁモデルガンなんだろうけど、無茶苦茶ね。」

葵『着弾後、ペイント液は車両全体に広がりまして。その結果、コントロール不能に陥って塀に激突しました。」

中嶋『・・・犯人は無事なのか!?』

葵『ええ。車両の破損を除けば、怪我人及び器物損害はありません。』

中嶋『了解した。それでは犯人の護送を頼む。それと、二階堂巡査は始末書の用意をするようにな。』

頼子『そんな~』

葵『了解しました!これより犯人を墨東署へ護送します!』

中嶋『頼む、こちらは逃走した犯人車両を追跡する。』

プツン

美世「始末書でいいのかなぁ・・・?」

早苗「いいんじゃないの?」

美世「でも、これで犯人は殆ど捕まったのかな?」

早苗「逃走している1台を確保すれば終わりね。葵ちゃんからの話では偽造されたナンバーは1枚だけみたいだし。」

美世「それも中嶋さんが追いかけいているから、あたし達は仕事なし?」

早苗「拍子抜けって感じ?」

美世「・・・ちょっとだけ。」

早苗「まぁ、警察だって普段はこんなものよ。この前みたいに強盗未遂の現場に出くわす方が珍しいわよ!」

美世「そっか。じゃ、あたし達も墨東署に・・・」

ウィーン

職員A「はぁ・・・はぁ・・・」ゼイゼイ

犯人A「待ちやがれ!」

美世「誰!?」

早苗「ん?」

犯人A「お、お前らはあの時の!」

職員A「たす・・けて・・・」ゼイゼイ

美世「よくわからないけど、任せて!」

犯人A「邪魔をするなら容赦「うるさいっ!!」」

ドゴォ

犯人A「ごはぁ!?」

早苗「あ、やば!勢いで殴っちゃった。」

犯人A「」ピヨピヨ

美世「無事でよかった・・・あれ?この人どこかで・・・」

早苗「あ!あの時、なぐ・・・威嚇した犯人!」

美世「・・・あれ?逃げた人以外、全員捕まったはずじゃ・・・」

早苗「確かにそうね。それにコイツ、一人で銀行強盗出来るような凄腕にも見えないしね。」

職員A「あ、あの・・・」ゼイゼイ

美世「あ、さっき追いかけられていた・・・」

職員A「ふぅ、先ほどはありがとうございました。私はここの職員です。」

書き溜めが少なくなってきたので、風呂に入りつつ考えてきます。
12:30位に掲載再開できるよう頑張ります!!

おっつ 待ってる

早苗「早速で悪いけど、あなたを追ってたコイツは何処から侵入したの?」

職員A「・・・職員用の通路からです。」

早苗「何があったの?」

職員A「警察の方から資金の移動をするから扉をあけてくれと、連絡があったので扉を開いたところ・・・」

早苗「警察官じゃなくて犯人が流れ込んできたって事ね。でも、資金の移動ってどういうこと?」

職員A「実は警察の方からの要請で、資金を金庫ではなく別の場所に保管しておいたのです・・・」

美世「どうして!?」

職員A「何でも警察内に犯人と通じている者がいるとのことで、安全の為に資金を別の場所に隠しておきたいと。」

早苗「・・・そいつが犯人だって疑わなかったの?」

職員A「犯人はつい最近に出向してきた女性職員と仰っていたもので・・・」

早苗「ふ~ん。ちなみに犯人は小柄で栗色の髪の女と、黒髪の女の二人組だとか言ってなかった?」

職員A「ええ、そうです!・・・あれ?お二人はその特徴に合致している気が・・・」

美世「気のせいだよ!」

早苗「それにそいつが犯人よ!そいつはどこに逃げたわけ!?」

職員A「は、はい!今、資金を運び出している途中かと!」

フォォォォォォォォン

早苗「まずい!」

美世「追いかけよう!」

-------------

ブォォォォォォン

美世「~っ!!こんなことなら、もうちょっとチューンしとけばよかった!」

早苗「今、悔やんでも仕方ないわよ!それより無線無線!」ガチャ

早苗「こちら片桐!追跡行動可能な車両は、現在位置を応答しなさい!」

男性職員A『こちら墨東04。現在、銀行周辺の市街地を警邏中。追跡可能です!』

男性職員B『こちら墨東46。銀行周辺の繁華街を警邏中。同じく追跡可能!』

早苗「犯人が資金を奪って逃走中!銀行周辺で手配中の違法ナンバーを探して!」

美世「早苗さん!警察車両も!」

早苗「っ!?それと、付近の警察車両も調べなさい!」

男性職員A・B『『了解!』』

早苗「美世ちゃん!どうして警察車両なのよ!あのカラーリングだとかなり目立つでしょ!?」

美世「・・・早苗さんなら、逃走時に一番怖い事って何?」

早苗「そりゃ警察に追いつかれるに決まってるじゃない!捕まったら一巻の終わ・・・まさか、無線を!?」

美世「そう!警察車両ならあたし達の無線を拾えるから、あたし達の動きを読みやすいんだよ!」

早苗「それなら無線はあんまり使えないわね。」

男性職員B『違法ナンバーを発見!現在、浅草方面に逃走中です。』

中嶋『了解した!今そちらに向かう!』

早苗「とは言え、黙らせる訳にもいかないわよね。」

美世「うん・・・悔しいけど、しょうがないよね。」

『ファンファン』

早苗「あれ?無線からサイレンの音が・・・」

男性職員A『こちら墨東04より墨東23!何故、緊急走行しているのか説明せよ!』

美世「・・・あれ?犯人を追ってるわけじゃないのかな。」

男性職員A『繰り返す!墨東23『ガシャーン』』

プツン

早苗「ちょ、ちょっと!墨東04、応答しなさい!」

男性職員A『・・・すみません、片桐巡査、原田巡査。車両を破損しました、追跡できません・・・』

早苗「そんなことどうでもいいわよ!怪我は?」

男性職員A『・・・体を強く打っただけで、問題はありません・・・』

美世「・・・よかった・・・」

葵『墨東04及び墨東23を発見。墨東23へ通達します、ただちに車両を停止してください』

早苗「ナイス、葵ちゃん!」

葵『繰り返します。墨東23、応答願います。応答がなければ、犯人とみなしますよ!』

葵『・・・応答なしとみなします。片桐巡査!おそらく犯人は、土手沿いの道を経由して墨東署の管轄外に逃走するつもりです!』

頼子『よーし!私もやっちゃうわよ。』

美世「え?頼子さん何『ドーン』・・・」

早苗「例のバズーカ砲ね・・・」

葵『片桐巡査!犯人の車両は土手沿いの道に入りました!』

葵『我々は墨東04の救助、及び犯人の護送を行いますので、後はお願いします。』

早苗「任せなさい!美世ちゃんっ!!」

美世「うんっ!!」ガコ

ブォォォォォォン

-------------

ブォォォォォォン

美世「ここを曲がれば、土手沿いの道だよ!」ガコ

ファンファン

早苗「よし!このペースなら先回りできる!」

美世「行くよ!捕まっててねっ!」ガコン

キキー

ギャギャギャ

早苗「~っ、ちょっと急カーブ過ぎない?」

美世「そうかもっ!」

フォォォォォォォォン

早苗「っ!あと一歩、間に合わなかったっ!!」

美世「あの黄色、間違いないね!」」

フォン フォォォォォォォォン

早苗「早い!離されたっ!」

美世「っ!」ガコ

ブォォォォォォン

早苗「何とかついていけてるわね。それじゃああたしも・・・」

早苗「犯人に告ぐ!抵抗は無意味よ、おとなしく自首しなさい!」

キキー

美世「!!」

キキ-

早苗「きゃっ!!」

プスン

美世「まずい!エンストしちゃった!!」

キュルルルル ブロロン

早苗「急ブレーキなんて、やってくれるじゃない!」

美世「加速するよ!」

ブォォォォォォン

早苗「結構、離されてるわね!美世ちゃん、もっと速度は出せないの!?」

美世「これ以上は無理だよ!」

早苗「~っ!!今度こそ打つ手なし!?」

美世「このままじゃ・・・」

?『墨東署最強コンビよりアイドル警官へ、応答できますか?ど~ぞ~』

美世「誰?まさか犯人の仲間!?」

早苗「この声・・・?ひょっとして、夏美ちゃん!?」

夏美『はい!御無沙汰してます、早苗さん!』

美世「でも、どうして?」

フォォォォォォォォン

美世「さらに加速!?」

早苗「やっぱり夏美ちゃん達の事はかなり警戒してるみたいね。」

早苗「それと、夏美ちゃん?本庁に出向してたんじゃないの?」

夏美『私達がいないのをいいことに、悪さしてる連中がいるって聞いたので、飛んできちゃいました!』

早苗「・・・ってことは仕事をほっぽってきたってこと!?」

美世「無茶苦茶だよ・・・」

夏美『さ~てと。犯人さ~ん、聞こえてるんでしょ~?応答しないなら、一応言わせてもらうわよ。』

夏美『犯人に次ぐ!抵抗も降伏も無意味よ、とっととお縄について刑務所に戻りなさい!』

フォン フォン

美世「どういう事かな?」

早苗「降伏も、お縄につくのも、刑務所に戻る気もないって言ってるんじゃない?」

夏美『へ~いい度胸してるじゃない!ぶっとばしてあげるわ!!泣いても謝っても許さないわよ!!』

美世「・・・うん。やっぱり早苗さんはやさしいね!」

早苗「美世ちゃん!!今、夏美ちゃんと比較したでしょっ!」

フォォォォォォォォン キキー

美世「ちょっと、また!?」ガコ

キキー

早苗「・・・~っ!何なのよ、もう!」

早苗「・・・ってあれ?犯人の車の前、あれって・・・ミニパト?」

美世「あれ、前に美幸さんのガレージで見た車だよ!」

早苗「挟み撃ちってわけね!美世ちゃん、今まで散々コケにしてくれたお礼をするわよ!!」ポキポキ

ガチャ バタン

美世(やさしいって言ったのは撤回したほうがいいかな・・・?)

ガチャ バタン

早苗「さぁ!観念しなさい!」

シーン

美世「・・・犯人さん、出てこないね。」

早苗「しょーがないわね。ちょっと犯人さん、おとなしく出てきなさい?」コンコン

犯人B (゚Д゚)ハァ?

早苗「・・・」ガチャガチャ

犯人C m9(^Д^)プギャー

早苗「っ!!」ドン

警察官 (゚д゚)バーカ

早苗「・・・美世ちゃん、こ「駄目だよ!壊しちゃ!」」

キター!

ガチャ バタン

夏美「早苗さ~ん!」タタタ

早苗「うう・・・夏美ちゃ~ん!」ギュー

夏美「お~よしよし。今、片付けるから安心してください!」ナデナデ

美世「えっと、あなたが夏美さん?」

夏美「お!あなたが美世ちゃんね。初めまして!」

夏美「頼子達から色々聞いてるわよ!今回は大活躍だったそうね!!」

美世「え!?えっと、ありがとうございます・・・」テレテレ

美世(太陽みたいな女の人・・・それに、とっても美人・・・)

夏美「さってと、そこの犯人達!予告通りにぶっとばしたげるから、覚悟しなさいっ!!」

夏美「違法駐車に怒りを燃やす、熱い漢が生み出した必殺技!」ガシ

グワッ

犯人B「ッ!!」

犯人C「~!!」ジタバタ

警察官「!!」キョロキョロ

美世「く、車が宙に!?」

早苗「夏美ちゃん!そのまま落と「それはだめだよ!」」

夏美「駐禁・・・ファイヤーっ!!」

ズシーン

犯人B「」キュゥ

犯人C「」グター

警察官「」ピヨピヨ

夏美「ふ~、スッキリ!」

美世「へ、塀に車が・・・」

早苗「なるほど、車を塀に立て掛ける技なのね。これなら下手人を懲らしめつつ、狭いスペースも有効活用できるわね!」

美世「普通の人には出来ないよ・・・」

ガチャ バタン

美幸「夏美!普通の人にそんな光景を見せたら気絶しちゃうでしょ!ちょっとは自重しなさい!」

夏美「え~!無事確保できたんだから、細かいことはいいじゃない!」

美世「えっと、美幸さん・・・ですか?」

美幸「はい、そうですよ。初めまして、片桐巡査、原田巡査。」ニコ

美世(わ!すっごく綺麗な人・・・)

早苗「・・・中嶋君には勿体ないわね。」

夏美「あ!やっぱりそう思います?中嶋君って結構、頼りないとこあるし。」

美幸「ちょっと夏美、適当なことを言わないでよ!中嶋君はとても頼りになるわよ!」

美世「そうですよ!あたしも何度も助けてもらいましたし。」

早苗「まぁ頼りないかどうかは置いといて、根性はすごくあるわね!」

夏美「確かに!前に美幸が犯人に襲われた時も一歩も引かなかったって言ってましたし。ね、美幸?」

美幸「・・・うん///」テレテレ

美世(すごく、かわいい!)

早苗(ここまで両想いでくっつかないなんて。中嶋君も奥手だけど、美幸ちゃんも相当ね。)

早苗「まぁ、それは置いといて。あれ、どうする?」

犯人B・C・警察官「」シーン

美幸「そうですね。あれを元に戻すのは夏美でないと無理ですので、応援が来るまで私たちが監視しておきます。」

夏美「そういう訳なので!お先にど~ぞ!」

早苗「了解!じゃ、お先に失礼するわね。」

美世「墨東署で待ってます!」

-------------

ブロロロロ・・・

美世「これで、ようやく終わったんだね。」

早苗「そうね、たった数日だったけど長かったわね。」

美世「・・・ねぇ、早苗さんは警察に戻りたい?」

早苗「そうね、墨東署だったら戻ってもいいかもね。・・・でも、やっぱやめとくわ。」

美世「どうして?きっとここなら毎日楽しいよ?」

早苗「それはそうなんだろうけど、仮にここ配属されても他の署に異動する可能性もあるし。」

早苗「なにより、今の職場は納得のいかない事があったらトコトン抗議出来るからね。」

美世「抗議?そんなの当たり前じゃないの?」

早苗「そんなことないわよ、社会人はなにひとつ選べないからね。」

美世「・・・選べない?」

早苗「そうよ、あなたより八年長く生きているからね色々と経験してるつもりよ。」

早苗「社会人っていうものは、職場も上司も同僚も仕事も取引相手もなにひとつ選べないわ。それでも頑張る意志がなければやっていけないのよ。」

美世「・・・」

早苗「だから、今の職場はあたしの宝物よ。そう簡単に捨てられるものじゃないわ!」

美世「・・・当たり前だと思ってたよ、でも違うんだね。」

早苗「そうね、きっと社長もそう思って現状に納得できなかったんじゃない?」

美世「・・・うん!きっとそうだよ!!」

早苗「さぁ、辛気臭い話はここまで!さっさと墨東署に戻って課長達に報告よ!」

美世「うん!フルスロットルだよっー」ガコ

早苗「安全運転で行きなさい!!」

8月21日 午後16:45 墨東署 交通課オフィス

早・美「「ただいま~」」

中嶋「お、戻ってきたな。お疲れ!」

頼子「・・・おつかれ。」カキカキ

葵「お疲れ様でした、美世さん、早苗さん。」カキカキ

早苗「みんな、お疲れ様!その様子だと逃げた犯人は捕まったみたいね!」

中嶋「ああ。今、捜査課が取り調べ中だが、どうやら時間稼ぎが目的だったらしい。」

美世「なんで時間稼ぎを?」

中嶋「詳しいことは取り調べを待たないとわからないが、犯人の警察官に釈放してもらうつもりだったとかじゃないか?」

中嶋「まぁそいつも辻本に確保されたと知ったら、すぐに自首してきたしな。」

美世「それより、追跡中に怪我をした警察官さんは?」

中嶋「そいつは一応病院に搬送したが特に問題はなかった。仕事に支障はないそうだから今は書類整理をしてもらっている。」

美世「よかった・・・無事で・・・」グス

早苗「よかったわね美世ちゃん。で、頼子は始末書?」

頼子「設計書を作ったのは美幸なのに~私は悪くないのに~」カキカキ

葵「頼子さん。美幸さんは、『ペイント弾は車両全体に浴びせなさい』とは言ってなかったと思いますよ?」カキカキ

頼子「うぅ~美幸のばかぁ~」カキカキ

美世「あはは・・・」

早苗「・・・なんで、葵ちゃんまで?」

葵「止めなかった責任もありますから。」カキカキ

早苗「えらいわね~」

美・夏「「ただいま戻りました。」」

美世「え!?」

早苗「ちょっと、早すぎない!?」

夏美「いや~美幸が勘を取り戻したいってニト「余計なことは言わなくていいの!」まぁそんな感じ!」

早苗「よくわからないわよ・・・」

美世(言いたいことはわかったけど、ばれたら大問題になる事だから黙ってよう。)

カツカツ

課長「お前達、ちょっといいか?」

夏美「あ、かちょ~お久しぶりです!」

課長「辻本か、悪いが先に話をさせてくれ。」

課長「さて、『いい報告』と『悪い報告』どちらから聞きたいか?」

美幸「それならわ「いい報告からお願いしますっ!」ちょっと夏美!」

課長「おう!いい報告と言うのは、ここ最近、墨東署を騒がせていた犯人が全員逮捕されたと、捜査課から連絡があった。」

葵「課長。全員と言うのは確証があってのことですか?」

課長「ああ、確保した犯人全員の証言を検証したが、辻褄はあっているようだ。」

課長「そいつらの言い分が正しいとすると、仲間は確保している面子で全員だ。」

美幸「それで、悪い報告と言うのは・・・」

課長「実はな・・・原田、片桐両巡査が本日付けで出向終了になるそうだ。」

男性職員's『な、なんだってっ!!』

美幸「課長・・・それは別「課長!どうしてですか!!」「そんな・・・俺、もっと美世さんと話したかったのに!!」」

早苗「・・・どうして、あたしの名前が挙がらないのよ!」

葵「早苗さん。忘れられないくらい印象に残っていると受け取りましょう。」ポン

美幸「男の人って・・・」

夏美「美幸。理解できないかもしれないけど、男って生き物はかわいい女の子に弱いのよ・・・」ポン

美幸「・・・中嶋君もそうなの?」ジー

中嶋「い、いや。そこまで残念では・・・あ、いや原田、そういう意味じゃないぞ!」アタフタ

美世「だ、大丈夫ですよ!ちゃんとわかってますよ!」

早苗「中嶋君、動揺し過ぎよ。まずは深呼吸して落ち着きなさい。」

中嶋「・・・」スーハースーハー

夏美「課長!このまま、『お疲れ様でした』の一言でお終いですかっ!それじゃあんまりですよ!!」

課長「もちろん、それで済ますつもりはない。この後、ささやかだが送別会を予定している。」

イヤッホー

ヨッシャァァァァ

夏美「さっすが課長!よっ!大統領!!」

課長「それでは手の空いた奴から、会場設営に移れ。場所は大ホールを抑えてある!」

頼子「それじゃあ私は準備の方を・・・」

ガシ

葵「頼子さん・・・?」ゴゴゴ

頼子「ごめんなさい・・・」シュン

夏美「ま~今から頑張れば、送別会には間に合うって!」

美幸「最悪、私たちも手伝うから頑張りなさい。」

課長「さて。話中に悪いが、辻本、小早川。お前たちに話がある。」

美・夏「「はい!なんでしょうか?」」

課長「先ほど、本庁から連絡が会ってな。」

課長「『墨東署から来た講師が、予告も無く授業内容を自習に変更し、連絡が途絶えた』と言っているのだが・・・」

美・夏「「・・・間違いなく事実です!」」

課長「威張るな!お前達も始末書を用意しろ!!出来るまで送別会への参加は認めん!!」

美・夏「「了解しました!」」

課長「まったく・・・」

カツカツ

美世「え~と、それでいいのかなぁ・・・」

夏美「いいのよ!」カキカキ

美幸「いい訳ないでしょ!原田さんはあたし達の事を参考にしないでね。」カキカキ

美世「えっと、ルールを破ること以外は参考にします!」

中嶋「ははは!それだと見習うところはほとんどなくなるな!」

夏美「へ~それだと私達がいっつもルール違反してるように聞こえるけど?」カキカキ

中嶋「い、いや!そういう意味で言ったんじゃなくてな・・・その・・・」アタフタ

美幸「じゃあ、どういう意味なの?中嶋君♪」カキカキ

中嶋「い、いや、だからな・・・だ、誰か!た、助けてくれぇぇぇ!!」アタフタ

美世「・・・ごめん、中嶋さん。」

早苗「口は災いの元、よ。」

8月21日 午後18:30 墨東署 大ホール

課長「あ~これより、原田、片桐両巡査の送別会を行う。二人共、最後に一言ずつ挨拶を!」

美世「はい!一週間と言う短い間でしたが、ここでの経験は私の宝物です。ありがとうございました!」

ウォォォォォォォ

ミヨサァァァァン

美世(・・・ちょっと恥ずかしいけど嬉しいかも。

早苗(アイドルの引退ってこんな感じなのかしら?)

早苗「まぁ、人生何が起こるかわからないし。またここに来るかもしれないので、ちゃんと訓練は欠かさない事!以上!!」

サナエオネェサマー

ウワァァァァ

モットオレヲシゴイテクレェェェ

早苗(・・・ファンがいないよりはマシ。うん、いないよりはマシね!)

美世(うん・・・アイドルも色々ならファンも色々なんだね。)

課長「さて、片桐巡査も言ってたが二人がまたここに配属される可能性がないとは言えん。」

課長「だから、これは別れではなく再開を祝しての乾杯とする!乾杯!!」

カンパーイ

課長「今夜は無礼講だ!近所迷惑を掛けなければ何でもしていいぞ!」

ウォォォォォォォミヨサーン

ドゴォ

早苗「だ~れが、あたしの相棒に迷惑をかけていいって言ったの?」ゴゴゴ

葵「まぁまぁ、多少は大目に見てあげてください。」

頼子「そうよ、本格的に人気が出たら簡単には会えなくなっちゃうし!」

早苗「まぁ、そうは言っても・・・って美世ちゃんは?」

頼子「あれ?さっきまでそこにいたけど・・・なつみ~みゆき~!」

夏美「どしたのよ?」

美幸「何かあったの?」

頼子「それが、美世が見当たらなくて・・・」

美幸「原田さんなら、向こうで男性職員に囲ま「美幸!それ以上はマズイ!!」あ!」

早苗「・・・なんですって?」ゴゴゴ

夏美「あちゃ~」

早苗「美幸ちゃん、今すぐ案内して頂戴。」ゴゴゴ

美幸「わかりました・・・でも、仕事に支障が出ない程度で許してあげてくださいね。」

-------------

男性職員A「美世さん。俺、手紙書きます!」

男性職員B「電話もします!」

男性職員C「忘れないで下さい!」

男性職員D「俺達の事を!!」

美世「もちろんですよ!出来ればあたしの事も忘れないで下さいね♪」ニコニコ

男性職員A「もちろんです!それと、俺達に一夏の思い出を・・・」

美世「あ、えっと。思い出って・・・?」

男性職員B「そりゃ~もちろん「しょうがないわね~欲しがりさんなんだから♪」・・・っへ?」

早苗「そんな欲しがりな君達には・・・」ゴゴゴ

夏美「私達がたっぶりお見舞いしてあげるわ」ゴゴゴ

男性職員's(アカン・・・)

早・夏「拳をね♪」

-------------

ただいま、ご・・・折檻中です。しばらくお待ちください。

-------------

男性職員's『サーセンした!』

夏美「私達の後輩に手を出そうなんて!」

早苗「十年早い!!」

中嶋「お前たちは本当に懲りないな~」

美世(お礼といえば・・・まだ、お礼をしてない人がいた!)

美世「ね、ね、中嶋さん」クイクイ

中嶋「ん?どうした原田?」

美世「ちょっと屈んで♪」

中嶋「ん?こうか?」

チュ

中嶋「!?」

美幸「・・・」ポト

夏美「美幸、コップ落としたわよ?」

葵「夏美さん、おそらく聞こえていません。」

頼子「美世・・・恐ろしい子!」

美世「えへへ、この前のお礼です。ありがと、白バイのナイト様♪」

中嶋「お、おう!」

男性職員C「おい!中嶋だけずるいぞ!!」

男性職員D「そうだそうだ!」

早苗「あたしでよければしてあげてもいいけど?」

男性職員's『うぉぉぉぉぉぉ!!』

ダダダ

早苗「ただし、勝てたらだけどね♪」

男性職員's『逃げろぉぉぉぉ!!』

ダダダダダダ

早苗「何よ!骨のある相手はいないの!?」

中嶋「まったくしょうがない奴らだな。な、こばや・・・かわ・・・?」

美幸「・・・何?」ツーン

中嶋「こ、小早川?お、俺が何か・・・」アタフタ

美幸「別に・・・」プイ

中嶋「小早川~」

美世「あ!えっと・・・その・・・」

早苗「大丈夫よ、美世ちゃん。そのうち仲直りするから。」

美世「そうなの?」

葵「ええ、美幸さんは意外とヤキモチさんですから。」クスリ

頼子「中嶋君がもうちょっと押せば、すぐにでもくっつくのにね。」

中嶋「小早川ぁ~」

-------------

マイニチツブヤイテルーナニカタリナイー

美世「・・・いつの間にかカラオケ大会になってる。」

葵「美世さんはどうですか?アイドルですから高得点を出せると思いますよ?」

美世「う~ん。なんか怪しまれそうだからやめておきます。それに歌ってると踊りたくなってくるし!」

頼子「そしたら、完全にライブだね。」

美世「そういえば、早苗さん達は?」

頼子「あそこじゃない?ほら、課長がいるところ。」

美世「えっと。あ、ホントだ!」

タタタ

美世「早苗さ~ん!」

夏美「ね~ね~課長~打上花火やりましょうよ打上花火!」

美幸「ちょっと夏美!こんなところでやったら近所迷惑でしょ?」

課長「小早川の言うとおりだ。近所迷惑をかけるなと言っただろう。」

夏美「今日くらい硬い事言わないでよ~みゆき~かちょ~」

早苗「そーよそーよ、硬い事はいいっこなしよ!」

美幸「ちょっと、片桐さん!?夏美を煽らないで下さい。」

美世「その、美幸さん・・・あたしの相棒がご迷惑をおかけしてます。」

美幸「私の相棒も似たようなものです。それと、原田さんからも何とか言って下さい。」

美世「えっと、早苗さん夏美さん。打ち上げはみんなに迷惑がかかるから、やるなら手持ち花火にしよ?ねっ?」

早・夏「「はーい!」」

夏美「それじゃ~中嶋君!買ってきて!!」

中嶋「俺かぁ!?」

夏美「人手が足りないなら美幸も連れてっていいから!」

美幸「私も!?」

早苗「いいから!行ってきなさい!!」

中・美「「は、はい!」」

タタタ

頼子「夏美、早苗、ナイスアシスト!」

葵「ええ、素晴らしく自然な流れで二人きりにできましたね。」

夏美「まぁね!」

早苗「殆ど夏美ちゃんのおかげね、後は偶然うまく行っただけよ!」

頼子「またまた~」

美世「うんうん!完璧な流れだったよっ!」

トコトコ

中嶋「お~い、準備できたぞ~」

美幸「火は危険だから、意識がはっきりしている人だけ外に移動してくださいね。」

美世「ちょっと、早すぎじゃない!?」

グイ

夏美「中嶋君!折角のチャンスをなに無駄にしてるの!?」ギリギリ

中嶋「な、なにって・・・辻本・・・首がしまってる・・・」

早苗「まぁまぁ、夏美ちゃん落ち着いて。それと、やけに早かったけど何かあったの?」

中嶋「けほ・・・ああ、墨東署を出た直後にお前たちのプロデューサーに会ってな。」

夏美「早苗さんと美世ちゃんのプロデューサー?」

美世「中嶋さん、CoPさんがどうしたの?」

中嶋「ああ、片桐が花火をやりたいって騒いでるだろうから、と手持ち花火を大量に持ってきてくれてな。」

早苗「・・・今どこにいるの?」

中嶋「準備が終わったらこっちに来るって言ってたが・・・」

トコトコ

CoP「あ!早苗さん、美世さん。お疲「このバカっ!!」ごはぁ!?」

ガシ

早苗「こっちがようやく掴んだ千載一遇のチャンスを、あなたの行動が無駄にしたって事!わかってるのっ!?」ギリギリ

CoP「・・・す、すみま・・・せんでし・・・た・・・」

美世「早苗さん!CoPさんが死んじゃう!」

夏美「早苗さん、どうどう。」

頭が回らなくなってきたので今日はこの辺で寝ます。
明日には完結できると思いますので、もう少しおつきあいください。

待っとるよ

-------------

アハハ、ソレソレー

ウフフ

CoP「・・・なるほど。そうとは知らず、申し訳ありませんでした。」ペコリ

美世「今回はCoPさんに非はないよ、気にしないで!」

早苗「それと、本当にごめんねCoP君。」

CoP「いえいえ。」

葵「それより、あんなに大量の花火をありがとうございます。」

課長「ああ。ここ最近は休日を返上してまで働いてもらっていたからな。良い気分転換が出来て、皆とても喜んでいる。」

課長「墨東署を代表して感謝すると社長さんにも伝えておいてくれ。」

ヒャッハー

アチー

シネェナカジマァ

ウワッワメロッテ

美世(はしゃぎ過ぎて、近所迷惑にならないといいけど・・・)

葵「・・・ですが、代金は良かったのですか?」

CoP「ええ、ギャラとは別にいただいた試供品のようなものですし、使わずに湿気らせるよりはよっぽど有意義ですから。」

夏美「課長!そんなとこでのんびりしてないで、花火やりましょうよ!」

美幸「ちょっと夏美!課長はプロデューサーさんとお話なんだから後にしなさい!」

CoP「!」ティン

早苗(・・・CoP君の目がプロデューサーモードになってるわね。)

CoP「えっと、お二人は例の『墨東署スーパーコンビ』さんでしょうか?」

夏美「お!あなたが早苗さん達のプロデューサーさんね。私は辻本夏美、よろしく!」

美幸「初めましてプロデューサーさん。私は小早川美幸です、よろしくお願いします。」

CoP「これはご丁寧にありがとうございます。ところで、小早川さん、辻本さんアイドルに興味「も~CoPさんのばかぁっ!!」ごはぁ!?」

美世「うわ~ん、早苗さ~ん!CoPさんが浮気した~」ギュー

早苗「よしよし、悪は滅びたわよ。」ナデナデ

CoP「み、美世・・・さん・・・み、みぞおちに・・・入ってます・・・よ・・・?」プルプル

早苗「自業自得よ。」プイ

葵「・・・プロデューサーと言う職業はとても大変ですね。」

CoP「え、ええ・・・その分・・・やりがいも・・・大きい・・・ですけどね。」プルプル

8月21日 午後21:15 墨東署 正門

早苗「よし!片付け終了!」

美幸「すみません、片付けまで手伝っていただいて・・・」

早苗「いーのいーの!」

CoP「ええ、元々は私が持ち込んだ物ですし。」

トコトコ

夏美「そっか、しばらく会えなくなるのよね~」

早苗「まぁ、難しいかもね。」

頼子「うぅ・・・みよ゛ーさな゛えーまだあお゛うね゛」ボロボロ

早苗「はいはい、わかったから鼻をかみなさい。」

頼子「・・・」ヂーン

葵「早苗さん今度は健康法について語り合いましょうね。」

早苗「葵ちゃんこそ、普段の美容法について教えなさいよ。」

中嶋「原田、またバイクの話をしような。」

美世「うん、雑誌が出たら読んでね。」

夏美「早苗さん、美世ちゃん。困った時はよろしくね!」

早苗「夏実ちゃんが困るような事件には首を突っ込みたくないわよ!」

美幸「片桐さん、原田さん。アイドル活動頑張ってくださいね。」

美世「美幸さんも中嶋さんとうまくいくといいね!」

美幸「は、原田さん!?」

課長「・・・別れは済んだようだな。」

課長「本来なら感謝状を用意すべきなんだろうが、諸事情で出来ないんだ。代わりと言ってはなんだが、これで許してほしい。」

早苗「別に気にしなくてもいいのよ。」

課長「そう言ってもらえるとありがたい。・・・それでは、両巡査に敬礼!!」

ビシ

『墨東署一同、お二人に心より感謝します!』

早苗「・・・あたし達には、感謝状なんかよりも嬉しいの勲章ですよ!」

美世「うん、オーディションに合格した時と同じくらい嬉しいです!」

葵「それでは、また会う日まで!!」

頼子「・・・元気でね!」」

早・美「「今まで、ありがとうございました!」」

8月22日 午前08:30 CGプロ 玄関

美世「え~と、ここの問題は・・・」ブツブツ

ドン

美世「きゃっ!」

CoP「おっと!」

ガシ

美世「あ、ありがと・・・ってCoPさん!?」

CoP「ええ、そうですよ。・・・よそ見歩きとは感心しませんね。」

美世「ごめんなさい・・・」

CoP「次からは気を付けてください。それより、何を読んでいたのですか?」

美世「えっと、国家公務員の試験勉強をしてるんだよ!」

CoP「国家公務員・・・ですか。アイドルはやめて転職するという事でしょうか?」

美世「そういう訳じゃないの!その・・・えっと・・・この前の仕事でちょっと・・・」

CoP「この前の仕事、ですか?」

美世「うん。あたし警察官でもなかったのに警察官のお仕事をしちゃったから・・・」

CoP「なるほど、それで国家公務員の試験を・・・それなら美世さん、一つ提案があります。」

美世「提案?」

CoP「ええ、資格取得支援予備校でキャンペーンガールを募集していると言う話がありまして。」

美世「美世さんがよろしければ、そこに美世さんを推薦しようと思っているのですがどうでしょうか?」

美世「えっと、あたしはいいけど。それと公務員試験とどう関係があるの?」

CoP「その企画では、美世さんに国家公務員試験に合格するためのカリュキュラムを受けていただきます。」

CoP「合格できるかどうかは別としても、確実に学習する時間は確保できると思いますよ。」

美世「ホント!ありがとCoPさん!」

CoP「いえいえ、こちらとしてもお仕事の幅が広がって嬉しいですよ。」

美世「前のお仕事から、たくさん依頼をもらえるようになったよねっ!」

CoP「そうですね。美世さんには、一日保育士、整備のコラム、ファッション雑誌のモデルと大幅に増えましたね。」

美世「うん!こないだ助けた女の子のおかげだねっ!」

CoP「まさか、父親が有名私立保育園の園長だとは思いませんでしたよ。おかげで早苗さん共々知名度が大幅に上がりましたね。」

美世「そういえばCoPさん、早苗さんは事務所に来てる?」

CoP「いえ、今朝は見ていませんが・・・」

美世「うーん、用事があるから朝早めに事務所に行くって言ってたのに・・・変なの。」

CoP「変、と言えばPaP先輩も今朝から姿が見えないのですよ。昨日、朝一で打合せをすると言っていたはずなのですが・・・」

美世「・・・あっ・・・!」

CoP「美世さん?」

美世「CoPさん!あのね、PaPさんが茄子ちゃんに・・・」

ギャァァァァ

CoP「・・・真偽は置いておいて。先輩が鷹富士さんに狼藉を働いた、と早苗さんが勘違いをしたという所でしょうか?」

美世「そんな感じだと思う。PaPさん、大丈夫かな・・・」

CoP「先輩は殺されて素直に死ぬような律儀な人間ではありません。意地でも生き残りますよ。」

美世「褒めてるの?貶してるの?」

CoP「もちろん褒めてますよ?」

早苗「ふ~スッキリした・・・ってあれ?美世ちゃんじゃない!」

美世「あ、早苗さん。おはよ!」

早苗「ん~♪やっぱり運動はいいわね!」

CoP「準備運動は十分のようですね、今日はダンスレッスンですのでちょうどよかったですよ。」

美世「なんか久々だね、早苗さん♪」

早苗「そうね!気合い入れていくわよ!」

CoP「気合いが入ったところに申し訳ないのですが、残念なお知らせがあります。」

CoP「今日の担当は厳しさに定評のある、ベテラントレーナーさんになります。」

早苗「・・・帰っ「駄目だよ!帰っちゃ!!」・・・しょうがないわね!何でも来なさいよ!」

CoP「やる気になって頂けたようで何よりです。それでは「CoPさ~ん!」」

タタタ

ちひろ「はぁはぁ、お、お電話です・・・」

CoP「わかりました。美世さん、早苗さん、少し待っていただけますか?」

早苗「もちろんよ!早く行ってらっしゃい。」

美世「頑張って!」

CoP「ありがとうございます。行ってきます!」

タタタ

美世「仕事の電話かな?」

早苗「仕事でもレッスンでもどんと来い!だけどね。」

早苗「あんな大変な仕事は「暫くいいやって感じ?」・・・ぷっ!」

早・美「「あはははは!」」

早苗「ふぅ・・・わかってるじゃない!」

美世「当然!だって相棒だもんね♪」

タタタ

CoP「美世さん、早苗さん。実は急に「次の仕事ね!」「任せてよ!」・・・説明だけはさせて下さい。」

CoP「雑誌のグラビア撮影だそうですが、予定していたアイドルが急きょ来れなくなったそうで、依頼が来ました。」

早苗「ふ~ん、棚ぼたってのはちょっと残念だけど。まぁいいわ、行きましょCoP君!」

美世「チャンスであることに変わりはないよねっ!行こ、CoPさん!」

CoP「え、ええ。問題がないのであれば行きましょうか。」

CoP「それにしても、ずいぶん自信がありますね。急な分、いつもの仕事よりも難しいですよ?」

早苗「そんなのは問題じゃないわよ。だって・・・」

美世「うん、全然平気だよ。だって・・・」

早・美「「あたしには最高のパートナーがついてるからね♪」」

おわり

本編はこれにて完結となります。
ここまで、読んでいただいてありがとうございました。

正直、絶対誰かがやってるだろうな!と思いつつ執筆を始めたので意外と反響があったことに驚きました。

頂いた感想というかコメントを見ていて、美幸たちの活躍を期待してるように感じましたので
おまけ、と言う形でその後のお話を書いていこうと思います。(といってもあらすじしか考えてない状態ですが。)
よろしければもう少々おつきあいください。

おつーん 待ってますよ

やっぱいいなぁ 美幸と夏美は

8月24日 午前06:30 小早川・辻本自宅

ムク

美幸「・・・うぅ、この時期はエアコンが切れるとすごく暑い・・・これ以上は寝てられそうにもないわね。」

カチャ

夏美「おはよー美幸!はい、紅茶!」

美幸「ありがと、気が利くわね。」

夏美「でしょ。」

コクコク

美幸「ふぅ・・・」

夏美「朝ご飯は惣菜パンだけど、どれがいい?」

美幸「じゃあ、そこのチョココロネで。」

夏美「はい!」

美幸「ありがと、夏美。」

モグモグ

美幸「・・・あれ?」

夏美「どうしたのよ、美幸?」

美幸「・・・」ピッ

テレビ『土曜の朝からズバッと報道、土ズバのお時間です。』

美幸「土ズバが放送されてるということは。今、6時45分なのね。」

夏美「そーよ、本当にどうしたのよ!ひょっとして、中嶋君とデートの約束でもしてるのかな~?」ニヤニヤ

美幸「・・・」

夏美「美幸?」

美幸「」バタ

夏美「・・・美幸!?美幸!!しっかりしなさいよ!美幸っ!!!」

おまけ1【潜入!CGプロ!】

夏美「あはははははは、ひひひ、ふふふ!」

美幸「笑すぎよ!」

夏美「あはは、ごめんごめん。まさか私が早起きしたくらいで気絶するとは思わなかったからさ~」

美幸「・・・それが、どれほどあり得ない事かわかって言ってる?」

夏美「そんな、私が年中寝坊してるなんてこと・・・あるわね。」

美幸「でしょ、この世の終わりかと思ったわよ。」

夏美「ふふふ~」

美幸「なによ、ニヤニヤしちゃって気味が悪いわね。」

夏美「いやね美幸もちゃんと、かよわい女の子なんだなぁって思ってね。」

美幸「失礼ね!男勝りな行動なんて・・・結構してるけど、一応女性らしくしているつもりよ?」

夏美「わかってるわよ、私が男だったら間違いなく中嶋君から奪い取ってる自信があるし!」

美幸「・・・褒め言葉として受け取っておくわ。それより早く目が覚めた理由に心当たりは?」

夏美「なんでそんなことを?」

美幸「夏美に限って病気とかはあり得ないと思うけど、念のため調べておくべきだと思うのよ。」

美幸(それに、病気じゃないなら普段から叩き起こさなくても遅刻しないようにする方法が見つかるかもしれないし。)

夏美「みゆき~ありがと~」ギュー

美幸「はいはい、どういたしまして。それじゃあ昨日の夜中の出来事から話して頂戴。」

夏美「昨日?美幸と晩酌をした後は自分の部屋に戻って寝るつもりだったわよ。」

美幸「寝るつもり、ということは寝てないってこと?」

夏美「違う違う、電話が掛かって来たから30分くらい話してたのよ。」

美幸「電話、ね。そのあとは?」

夏美「覚えてない!」

美幸(そこで眠りに着いたのね・・・)

美幸「それなら、病気の可能性はほとんどないわね。電話以外はいつもと同じだから。」

夏美「よかった~!もし病気だったら将司君とデートできないからね!」

美幸「えっ!?電話の相手って巡査長だったの!?」

夏美「そーよ、二週間くらいの休暇をもらったからこっちに来るって。」

美幸「そう、何時から休暇なの?」

夏美「昨日からだって、今こっちに向かっているって言ってたわよ!」

美幸「・・・昨日から?富山県は遠いけど、電車を使えば4時間位で来れるはずだけど?」

夏美「自転車で来るみたいよ。」

美幸「あのママチャリで!?」

夏美「昨日の電話では、『俺の愛車でサイクリングの限界に挑戦するっす』って言ってたから、そうじゃない?」

美幸「まぁいいわ、巡査長が破天荒なのはいつものことだし。」

夏美「でも、楽しみだな~早く来ないかな~」ニコニコ

美幸「そうね、徒歩でも三日近くかかる距離だから、早くても今日の晩じゃないかしら。」

夏美「本当!?そっか、じゃあ明日はデートだ~♪」ニコニコ

美幸(ふふ、夏美だって十分女の子らしいじゃない・・・)

なんザマス、スクーターおばさんの出番がないザマス!免許があるのにおかしいザマス!免許があれば出れるはずザマス!

>>115
次回作のプロットに挟み込めないので、次々回こそは・・・
お待たせして大変申し訳ございません。おば様。

美幸「夏美、折角のデートなのだから洋服を新調したらどう?」

夏美「美幸ナイスアイディア!・・・だけど私は今時のファッションが全然わからないのよ・・・」

美幸「そうね、だったら葵ちゃ「あ!そうだ!!」・・・どうしたのよ?」

夏美「早苗さんに相談すればいいのよ!アイドルだしファッションにも明るいはずよ!」

美幸「・・・向こうは仕事で忙しいのよ。今回は、確実に連絡が取れる葵ちゃんにしなさい!」

夏美「え~さなえさんにあいたいよ~」バタバタ

美幸「我慢しなさい!それとも、可愛げのない恰好で巡査長に愛想を尽かされるのと、どっちがいい?」

夏美「葵ちゃんに相談します・・・」ピポパ

美幸「初めからそうしなさい。」

プルルルル プルルルル

ガチャ

葵『はい、双葉でございます。』

夏美「あ、もしもし葵ちゃん?今、電話大丈夫?」

葵『ええ、少しの間でよければ。』

夏美「あれ?なんか用事でもあるの?」

葵『実は、これから頼子さんと合コンに行く予定なんですよ。』

夏美「合コンっ!!?」

美幸「夏美、声が大きいわよ。」

葵『夏美さん?』

夏美「ああ、ごめん。ちょっとびっくりしちゃって・・・」

葵『いえ、それよりも私に何か?』

夏美「ん~服を買いに付き合ってもらいたかったんだけど、用事があるならまた今度でいいや!」

葵『そういう事でしたか、お役にたてずすみません。』

夏美「いーのよ、合コン頑張ってね!」

葵『ありがとうございます、ではまた。』

夏美「またね~♪」

プツン

夏美「駄目だったか~」

美幸「葵ちゃん、合コンだって?」カタカタ

夏美「あれ?驚かないの?」

美幸「頼子が誘ったんでしょ?」カタカタ

夏美「多分そうよ。で?何やってるの?」

美幸「片桐さんの出演依頼を調べているのよ。葵ちゃんも頼子もいないんじゃ、近くで頼れる人は片桐さんくらいでしょ?」カタカタ

夏美「そっか!私にはまだ早苗さんがいた!やっぱ頼れる先輩がいるのはありがたいよね~」

美幸「・・・・・・」カタカタ

夏美「どうしたのよ、急に黙っちゃって。」

美幸「・・・別に。」カタカタ

夏美「心配しなくても、美幸の事は一番頼りにしてるわよ?」

美幸「っ!」タタン

夏美「ん~どうしたのかな~?」ニヤニヤ

美幸「なんでもないわよっ///」

美幸「ほら、事務所の場所は調べたから今すぐ行くわよ!ヨタハチを出してくるから準備しておきなさい!」

夏美「はいは~い♪」

タタタ

8月24日 午前09:30 CGプロ 玄関

トコトコ

ピタ

夏美「・・・あのさ、美幸。場所あってる?」

美幸「ここのはずよ、公式ホームページに載ってるんだから間違いないわ。」

夏美「じゃあ、この雑居ビルが事務所っ!?有名アイドルを何人も抱えているプロダクションの事務所が!?」

美幸「私に言われても困るわよ。」

夏美「・・・しょうがないわね。それじゃあ、突「待ちなさい!」っ!?なんで止めるのよ!!」

美幸「夏美、落ち着きなさい。芸能事務所なんだからアポイントのない人を簡単に入れるわけないでしょ?」

夏美「そう?あたし達、早苗さんやプロデューサーさんとは顔見知りじゃない!大丈夫よ、突撃~♪」

タタタ

美幸「あ!夏美!待ちなさいっ!!・・・行っちゃった。」

タタタ

夏美「みゆき~おいかえされちゃった~」グス

美幸「片桐さんやプロデューサーさんが出てくるとは限らないでしょ?」

夏美「うん・・・」

美幸「通報はされなかったわよね?」

夏美「インターフォン越しにしか話をしてないし、大丈夫だと思うけどね。」

美幸「一応警察手帳は持ってきたけど、通報されないに越したことはないわ。」

夏美「・・・どうしよう、美幸。ここで張ってる?」

美幸「それは時間がもったいないし、他の方法を考えましょ。」

夏美「う~ん・・・あ!」ティン

美幸「どうしたの夏美?」

夏美「美幸!ちょっと耳貸して!!」

美幸「いいけど・・・」

夏美「いい、まず美幸が・・・」ホショホショ

美幸「ふんふん・・・」

夏美「でね、その後私が・・・」ホショホショ

美幸「ふんふん・・・んん?」

夏美「で、最後に・・・」ホショホショ

美幸「・・・・・・・・・本気?」

夏美「本気よ!」

美幸「・・・他の方法「にはしないわよ!」・・・はぁ・・・」

夏美「それじゃあ行くわよ!作戦名【潜入!CGプロ!】開始っ!!」

美幸「・・・一応中嶋君に連絡しておこう。」

--------------------------------

夏美「ささ、美幸!」

美幸「はぁ・・・プロデューサーさんがいてくれますように・・・」

ピンポーン

女性の声『は~い。どちら様でしょうか?』

美幸「おはようございます、墨東署の小早川と申します。」

夏美「同じく、辻本です。」(声色)

女性の声『え゛・・・け、警察ですか?ど、どういったご用件で?』

夏美「実は・・・この事務所で財務諸表の虚偽記載が行われていると通報がありました。」(声色)

女性の声『い、いや!う、うちはそんな事してませんよ!!』

美幸「・・・調査の為、財務諸表の確認をさせていただきたいのですが。」(棒読み)

女性の声『わ、わかりました!少々お待ちくださいっ!!』

プツン

夏美「美幸!完璧な演技だったわよ!」

美幸「夏美・・・これ訴えられたら、私達懲戒解雇よ?」

夏美「大丈夫よ!プロデューサーさんが何とかしてくれるって、最悪アイドルに転職しちゃえばいいじゃない!」

美幸「嫌よ!頑張って警察官になったのに!!」

ガチャ

社長「初めまして、私がこの事務所の社長です。お二人が早苗ちゃんの言ってたコンビさんかな?」

夏美「多分それで合ってます。私は辻本夏美です!」

美幸「・・・小早川美幸です。」

社長「美幸さんといったかな?事情は課長さん経由で中嶋さんから伺っているよ。」

美幸(中嶋君!本当にありがとう!!)

社長「早苗ちゃんに会いに来たそうだね。しかし残念ながら夕方までレッスンなのだよ。」

社長「まぁ、財務諸表でも確認しつつゆっくりしていきなさい。」

夏美「あ、やっぱり確認しないとまずいですよね?」

美幸「当たり前でしょ!自分の行動に責任を持ちなさい!!」

夏美「うぅ・・・私、事務作業苦手なのよ~」

美幸「手伝ってあげるから、頑張りなさい。」

社長「うむ、ではこちらへ・・・」

8月24日 午前10:00 CGプロ 社長室

社長「これが設立時から現在に至るまでの財務諸表だ。」ドン

美幸「すみません、社長さん。」

社長「なに、会計監査をして頂けると思えば安いものだ。」

社長「何かあれば、隣の営業室まで声をかけてほしい。」

夏美「わかりました!」

ガチャ バタン

美幸「さて、と。」バサ

ガサゴソ

夏美「ふ~ん。芸能事務所って結構お金が動くのね~」ピラ

美幸「そうね、アイドルによる収益も備品やレッスン代で殆ど消えてるみたい。」ピラ

夏美「・・・レッスン代をちょろまかして「それはないわ。さっき確認した。」それならよし!」ガサゴソ

美幸「後、気になる点があるとすれば賃金台帳位ね。」ピラ

夏美「え!?あの親切そうな社長さんが給料をピンハネしてるかもって事!?」ピラ

美幸「可能性の話よ。それに、社長さんだけじゃなくて経理担当の人も容疑者候補だけどね。」ガサゴソ

コンコン

夏美「ど~ぞ~」

ガチャ

卯月「失礼します。」

卯月「お仕事お疲れ様です♪お茶をどうぞ!」

夏美「お!わざわざありがとね!」

美幸「あなたは・・・島村卯月ちゃん?」

卯月「はい!そうですよっ!!」

夏美「へ~芸能人ってテレビと普段はキャラクターが違うって聞いてたけど、卯月ちゃんはそんな感じじゃないわね!」

卯月「えっと、普段の私が一番いいってプロデューサーさんが言ってくれたので///」

美幸(それはもう、告白ね。)コクコク

夏美「へ~優しいプロデューサーさんなのね!」

卯月「はい!自慢のプロデューサーさんですっ!!」

夏美「中嶋君もそれだけ積極的ならよかったのにね~」ニヤニヤ

美幸「っ!けほっ・・・こほっ・・・」

卯月「だ、大丈夫ですか?」ポンポン

美幸「な~つ~み~」ゴゴゴ

夏美「うん、仕事します、仕事するから許して~」

美幸「もう!」

卯月「ふふふ♪とても仲良しなんですねっ!」

夏美「もちろんよ!最高の相棒だからねっ!!」

美幸「時々破天荒な事をするけど、頼れる相棒よ。」

夏美「そういえば、卯月ちゃんはひとりでアイドル活動を?」

卯月「えっと、二人の友達と一緒に活動しています!今日はこれから遊びに行くんですよ!」

美幸「渋谷凛ちゃんと本田未央ちゃんよね。どちらも卯月ちゃんと同じくらい可愛かったわね。」

卯月「はい!プロデューサーさんと同じくらい自慢のお友達ですっ!」

夏美「うんうん、仕事も大事だけど青春も大事よね~」シミジミ

美幸「夏美、おばさんくさいわよ。」

ガチャ

未央「しまむー、いる!?」

凛「こら、未央!今はお客さんが・・・」

卯月「未央ちゃん!凛ちゃん!どうしたの?」

夏美「お!いらっしゃーい!」

未央「あ、お客さん?やっほー♪皆のアイドル本田未央ちゃんだよ~?」

夏美「キャーミオチャーン♪」

美幸「・・・ごめんなさい、私の連れが失礼を。」

凛「いえ、私の友達がお仕事の邪魔を・・・」

卯月「そういえば、未央ちゃん。急いでたみたいだけどどうしたの?」

未央「あ、そうだ!ちょっとまってて!」

タタタ トコトコ

未央「この子なんだけどね、しまむーのところで飼えないかなって・・・」

子猫 ニャー

卯月「わぁ、可愛いっ♪・・・でもうちじゃ無理かも・・・」

未央「そっか・・・」

夏美「・・・よし!私が何とかしてあげるわ!」

未央「本当!わ~い♪」

美幸「夏美!また、簡単に安請け合いして!」

夏美「いいじゃない!どーせ私が助けなくても美幸が助けたでしょ?」

美幸「・・・後10分で確認するわ。」

夏美「何よ図星じゃない。じゃ、後はよろし「夏美もやるの!」・・・はい。」

ガサガサ ゴソゴソ

卯月「・・・邪魔になっちゃうから私達は外に行こうね。」

未央「うん!」

凛「わかった。」

ガチャ バタン

夏美「そういえば、卯月ちゃんはひとりでアイドル活動を?」

卯月「えっと、二人の友達と一緒に活動しています!今日はこれから遊びに行くんですよ!」

美幸「渋谷凛ちゃんと本田未央ちゃんよね。どちらも卯月ちゃんと同じくらい可愛かったわね。」

卯月「はい!プロデューサーさんと同じくらい自慢のお友達ですっ!」

夏美「うんうん、仕事も大事だけど青春も大事よね~」シミジミ

美幸「夏美、おばさんくさいわよ。」

ガチャ

未央「しまむー、いる!?」

凛「こら、未央!今はお客さんが・・・」

卯月「未央ちゃん!凛ちゃん!どうしたの?」

夏美「お!いらっしゃーい!」

未央「あ、お客さん?やっほー♪皆のアイドル本田未央ちゃんだよ~?」

夏美「キャーミオチャーン♪」

美幸「・・・ごめんなさい、私の連れが失礼を。」

凛「いえ、私の友達がお仕事の邪魔を・・・」

卯月「そういえば、未央ちゃん。急いでたみたいだけどどうしたの?」

未央「あ、そうだ!ちょっとまってて!」

タタタ トコトコ

未央「この子なんだけどね、しまむーのところで飼えないかなって・・・」

子猫 ニャー

卯月「わぁ、可愛いっ♪・・・でもうちじゃ無理かも・・・」

未央「そっか・・・」

夏美「・・・よし!私が何とかしてあげるわ!」

未央「本当!わ~い♪」

美幸「夏美!また、簡単に安請け合いして!」

夏美「いいじゃない!どーせ私が助けなくても美幸が助けたでしょ?」

美幸「・・・後10分で確認するわ。」

夏美「何よ図星じゃない。じゃ、後はよろし「夏美もやるの!」・・・はい。」

ガサガサ ゴソゴソ

卯月「・・・邪魔になっちゃうから私達は外に行こうね。」

未央「うん!」

凛「わかった。」

ガチャ バタン

--------------------------------

夏美「よ~し!終わりっ!」

美幸「流石に疲れたわ・・・」

夏美「賃金台帳はどうだった?」

美幸「そうね、社長さんの役員報酬が少ないのは気になったけど、計算はあってたから問題はないわ。」

夏美「ふ~ん。じゃあ、報告としては『ガセネタでした御免なさい』でいいの?」

美幸「そうね。でも、元々は夏美がついた嘘だからね、問題があったらちゃんと責任は取るのよ。」

夏美「いざとなったら、美幸も「同罪なんて嫌よ、夏美一人で何とかしなさい。」そんな~」

コンコン

美幸「はい、どうぞ。」

社長「うむ、そろそろ終わることかと思ってね。で、結果はどうだい?」

夏美「・・・すみません、資料そのものに問題はありませんでした。」

社長「まぁ、そうだろうね。むしろあっては困る。」

美幸「申し訳ありません、社長さん。お詫びと言っては何ですが、私達にできることであれば何でも致します。」

夏美「美幸!今回は私が・・・」

美幸「いいのよ、私達は相棒でしょ?」

夏美「みゆきぃ~」

社長「あ~美しい友情に水を差すようで悪いのだが、詫びも償いも不要だよ?むしろ感謝したいくらいだ!」

美・夏「「え?」」

社長「あの後、事務員とプロデューサーがね、自分達の経理作業のやり方について自主的に見直しを始めたのだよ。」

美幸「・・・それは、私達が原因なのでしょうか?」

社長「だと思うよ?ここ最近金額が合わないことが多くてね、こう間違いが多いと外部に虚偽記載と勘違いされるかもしれないぞと注意したばかりだしね。」

社長「いや~おかげさまで社員の危機意識が高まったよ。」

夏美「あはは~まぁ何とかなってよかった。嘘から出た真ってやつ?」

美幸「結局、虚偽記載はなかったんだから、九死に一生を得たの間違いよ。」

社長「さて、この後はどうするのかね?ここで早苗ちゃんたちの帰りを待ってても構わないが・・・」

夏美「未央ちゃんが連れてきた子猫の里親探しを手伝いますよ!」

社長「うむ、わざわざすまないね。もし、早苗ちゃんが戻ってきたらすぐに連絡しよう。」

美幸「ありがとうございます。」

社長「では、失礼するよ。」

スタスタ バタン

夏美「よっし!やるよ、美幸!」

美幸「やるのはいいけど、ここに来た目的は忘れてないわよね。」

夏美「あ!」

美幸「はぁ・・・忘れていたのね。」

夏美「あはは、まぁ早苗さんが戻ってこないことには始まらないし。人助けは大事よ?」

美幸「それはそうだけど、簡単に見つかるかしら?」

夏美「やるだけやってみるわよ!」

美幸「はいはい。」

ガチャ

卯・凛・未「「「失礼します。」」」

夏美「お!丁度いいところに!」

卯月「えっと社長から聞いたんですけど、本当に手伝ってもらっていいんですか?」

夏美「いーのいーの!」

未央「ありがとう!綺麗なお姉さん達!」

夏美「あらまぁ、嬉しいことを言ってくれるじゃない!」

凛「それなら、お姉さん達の名前を教えてよ。」

夏美「私は辻元夏実よ、よろしく!」

美幸「私は小早川美幸、よろしくね。」

卯・凛・未「「「よろしくお願いします!」」」

グゥゥゥゥ

卯月「未央ちゃん、お腹すいたの?」

未央「しぶりん、お昼食べてないの?」

凛「今の音は、卯月じゃないの?」

夏美「・・・今の音は、私よ。」

美幸「しょうがないわね、まずはお昼にしましょうか?」

夏・卯・凛・未「「「さんせ~♪」」」

8月24日 午後01:30 CGプロ 玄関

卯月「この子の里親を募集しています!」

未央「よろしくお願いします!」

スタスタ

夏美「やっぱそう簡単にはいかないわね。」

凛「最初は沢山の人が足を止めてくれたけどね。」

美幸「夏実が脅しをかけるからよ。」

夏美「脅しじゃないわよ!卯月ちゃん達に近寄る悪い虫を追っ払っただけじゃない!」

美幸「同じよ。」

卯月「でも、夏美さんのおかげで危ない思いをしなくて助かってますよ。ありがとうございます♪」

卯月「いつもはプロデューサーさんが守ってくれるんですけど、今日は忙しいみたいで・・・」

夏美「ま、まぁそういう日もあるわよ!今日は私がいるから安心しなさい!」

美幸(夏実が原因なのは黙っておいてあげましょう。)

美幸「そうね、それにボディーガードなら夏美が最適ね。夏美より強い相手なんて、そうそういないから。」

夏美「なんですって~!」

卯月「それなら、私たちのライブの警備もぜひお願いしますね♪」

未央「こら~しまむー手を動かせー!」

凛「そうだよ、早くこの子の里親を見つけてあげないといけないんだよ!?」

子猫 ニャー

夏美「そうは言っても、なかなか難しいわよ。」

美幸「ちゃんと面倒を見て可愛がってくれる人に預けないとね。」

卯月「はい!頑張ります!」

未央「しまむーは前向きだね~」

凛「未央だって卯月の事言えないと思うよ?」

タタタタタ

中年男性「誰か、誰かいないか!?」

卯月「あれ?」

夏美「そんなに騒いで何が起こったのよ?」

中年男性「そ、それが・・・仮面をつけた男が駐車違反している車両を次々と破壊していて・・・」

凛「そんなの警察に言いなよ!」

中年男性「そ、そうなんだが・・・お巡りさんは全員そいつの魔球で気絶させられてしまって・・・」

美幸「駐車違反・・・仮面・・・魔球・・・」

夏美「みゆき~私、関わりたくないんだけど・・・」

美幸「・・・私もそうしたいけど、ほっとくわけにも行かないわよ?」

夏美「はぁ・・・えっと駐車違反を狙ってるんだっけ?ここらだと、どの辺かね~?」

卯月「駐車違反ですか?」

夏美「そうそう、具体的に言うと通行の邪魔になりそうな車のことよ。」

凛「じゃあ、事務所の裏側とか?」

未央「うん、車がほとんど通らないから、結構車を止める人が多いんだよね。」

ウワー

夏美「まずい、後手にまわった!」

卯月「事務所の裏口をぬけたほうが早いですよ!案内します!」

夏美「よし、急ぐわよ美幸!」

美幸「わかったわ!」

タタタ

支援

--------------------------------

青年「や、やめてくれぇ!!」

S男「問答無用!駐車違反の報いを受けよッ!魔球トルネードダイナミッククラッシュッ!!」

ガシャーン

青年「ああ、僕のベンツがぁ・・・」ショボン

S男「悪・即・葬、それが私達(自分と警察)が共有する真の正義・・・」

S男「駐車違反に限らず法を犯す悪党は、例外なくあの世へと葬り去られる運命にあるのだッ!」

タタタ

夏美「っ!あ、あんたは・・・!」

美幸「ストライク男!」

未央「へ、変態さんだー!」

凛「未央!本当のことを言っちゃダメだよ!」

卯月「そうだよ未央ちゃん!!ちゃんと仮面男さんって呼ばないと!」

凛「卯月・・・それも違う。」

S男「誰だ、私を変態とか仮面男とか呼んじゃう不届き者は!?」

夏美「ここよ!ストライク男!!」

美幸「また騒ぎを起こして・・・いい加減にお縄につきなさい!」

S男「む?その声どこかで聞いたと思えば・・・ニュージェネレーションズではないか!!」

夏美「ここであったがひゃ・・・って私はニューなんとかじゃないわよ!」

美幸(真っ先に反応したところを見ると、ストライク男も卯月ちゃん達のファンなのね・・・)

S男「む!?さらに我が永遠の宿敵、初代ホームラン女とその相棒もいるではないか!」

S男「しかし、ホームラン女!ニュージェネレーションズを知らぬとは・・・恥を知れッ!!」

夏美(・・・卯月ちゃん、そのニュージェなんとかって何?)ヒソヒソ

卯月「私達のユニット名ですよ。」

S男「まぁいい、まさか貴様がニュージェネレーションズの護衛とは・・・運命すら感じるなッ!」

S男「私は貴様を倒し、必ずッニュージェネレーションズのサインを手に入れるッ!!」

凛「・・・サインの為にそこまでしなくても。」

未央「言ってくれれば、いくらでも書くのに。」

夏美「はっ!!あんたが手に入れるのは、サインではなくて警察への片道切符よ!!」

ヒュッ

未央「わ、バットが!」

夏美「よっと!上等じゃない・・・何時ものように場外までぶっとばしてあげるわ!!」

美幸「・・・夏美、本来の目的を忘れてないわよね?私達はあいつを捕まえるのよ?」

夏美「わかってるわよ!まず、あいつの球を打ち返してからゆっくりと縛り上げてくれるわ!」

卯月「・・・」カキカキ

S男「行くぞッ!!」

夏美「来いっ!!」

S男「受けよ我が必殺の魔球ッ!!サンダージャイロサブマリンスプラーシュッ!!」

ビュッ

未央「なんかカッコいい!!」キラキラ

凛「未央・・・」

卯月「凛ちゃん、未央ちゃん。ちょっといい?」

夏美「ぬおりゃぁぁぁぁぁぁっ!!」

ブン

カキーン ガシャーン

夏美「どーだ!見たか!!」

S男「な、何ッ!?くっ・・・未完成とはいえ我が必殺の魔球が破られるとは・・・」ショボーン

トコトコ

卯月「ストライク男さん。はい♪」

S男「・・・む?これは・・・サインか?」

未央「さっきのは惜しかったよっ!今度会った時には、完成した魔球を見せてね!」

凛「違法駐車が悪いのはわかるけど、周りに迷惑かけるような事をしちゃだめだよ?」

S男「ふッ!感謝するぞ、ニュージェネレーションズ。そして、我が宿敵ホームラン女よ!次に会う時こそ貴様を倒すッ!」

夏美「次なんてないわよ!今すぐお縄に・・・」

S男「ではさらばだッ!!」

ダッ タタタ

夏美「美幸!追うわよ!!」

美幸「夏美・・・今すぐ逃げた方がいいわよ?」

夏美「へ?」

近所のおじさん「誰だァ!!こんなとこで野球をしたバカは!!」

夏美「まずっ!皆、逃げるわよっ!!」

ダダダ

--------------------------------

カァ-カァ-

夏美「はぁ、もう日も暮れてきたわね。」

美幸「休み明けに墨東署にチラシでもまく?」

夏美「そうね、後は頼子と葵ちゃんにも相談しよう!」

未央「・・・」

卯月「あれ?どうしたの未央ちゃん?」

未央「ごめん、しぶりん、しまむー遊びに行く予定だったのに私のせいで台無しにしちゃって・・・」

凛「未央、気にしないでよ。遊びには行けなかったけど同じくらい楽しかったし。」

卯月「そうだよ、元気だして!」

未央「うん!」

夏美「うんうん、仲良きことは素晴らしきかなってやつ?」

美幸「・・・おばさんくさいわよ?」

卯月「でも、すみません夏実さん、美幸さん。早苗さんに用事があっただけなのに、私達の用事にまで付き合って頂いて・・・」

夏美「それこそ気にしなくてもいーのよ、早苗さんが来るまで暇だったし。」

トコトコ

壮年の男性「ん?そこにいるのは美幸ちゃんに夏実ちゃんじゃねぇか!」

美幸「あ、大丸さん。ご無沙汰しております。」

大丸「ははは、気にすんな!」

未央「ねぇねぇ、夏実さん。あのおじさんは?」

夏美「美幸の義理のお父さんになる人よ。」

未央「義理のお父さんってことは?」

凛「恋人のお父さん?」

卯月「きゃー♪」

美幸「夏実!!」

大丸「美幸ちゃんが剣の恋人たぁ、そりゃあ願ったり叶ったりだ!」

美幸「大丸さん!!」

大丸「ははは、それよりこんなとこで、何をやっとるんだ?」

夏美「実は子猫の里親探しを・・・」

大丸「ほう?見せてみな。」

未央「はい、この子だよ!」

子猫 ニャー

大丸「お、初対面のわしにも愛想がいいな!こやつめ。」ナデナデ

子猫 ニャァン

大丸「ははは!うい奴め!どうだ?わしのとこに来るか?」

子猫 ニャ

大丸「そうかそうか!よし、気に入った!!わしが里親になろう!!」

夏美「本当ですか!」

未央「やったー」

美幸「大丸さん、いいんですか?」

大丸「ああ、最近瀬奈が剣が寄り付かねぇ寄り付かねぇ、って寂しがってるしな。」

大丸「仕事中はわしもかまってやれんし、何よりこやつは看板猫の素質がある!」

美幸「ありがとうございます、大丸さん。」

大丸「ははは、いいってことよ!それじゃあ帰るぞ!」

子猫 ニャー

スタスタ

美幸「よかったわね、大丸さんならちゃんと面倒を見てくれるわよ。」

卯月「よかった、ありがとうございます!」

未央「ありがとう!夏美さん、美幸さん!」

凛「ありがと、夏実さん、美幸さん。」

夏美「どういたしまして!」

トコトコ

早苗「あれ?夏実ちゃんじゃない!」

夏美「あ、早苗さーん!!」

早苗「どうしたのよこんな所で?」

夏美「実は・・・」

--------------------------------

早苗「遠く離れた地からやってくる恋人のために、おめかしでお迎えだなんて・・・かわいいっ!!」ギュー

夏美「さ、早苗さん!?」

早苗「事情はわかったわ、あたしに任せなさい!」

夏美「お願いしまーす!」

ダダダダダ

美世「ちょっと待ったっ!!」

美幸「は、原田さん?」

早苗「何よ?美世ちゃん、騒々しいわね・・・」

美世「早苗さん!!夏実さんのデート服をコーディネートをするって、どんな服を着せるつもり!?」

早苗「それはもちろん、あたしの一張羅・・・」

美世「あんな派手派手なのを着せたら、夏美さんの恋人さんが気絶しちゃうよ!」

早苗「失礼ね!」

美幸(葵ちゃんが言ってたけど、片桐さんはシンプルな服装を好まないみたいね。)

美世「とにかくっ!夏美さん!コーディネートだけは早苗さんに任せちゃだめだよっ!」

早苗「・・・百歩譲ってあたしじゃ駄目だとして、誰にコーディネートしてもらうのよ?」

美世「CoPさん!「営業に出てるの忘れたの?」あ・・・」

卯月「それなら私達のプロデューサーさんにしてもらえばいいと思います!」

未央「しまむーナイスアイディア!」

凛「そうだね、プロデューサーなら力になってくれるよ。」

夏美「さ、さすがに悪いわよ!」

早苗「よくわからないけど、この子達の手伝いをしてたんでしょ?お礼の代わりだと思って受け取っておきなさいよ!」

美幸「夏美、せっかくだからご厚意に甘えたら?プロのコーディネートなんて、なかなか受けられないわよ?」

夏美「そう?じゃあお願いしようかな?」

卯・凛・未「「「はい!」」」

タタタ

8月24日 午後05:30 CGプロ 営業室

ガチャ

卯・凛・未「「「ただいまー!」」」

PaP「・・・」カタカタ

ちひろ「」グター

CuP「ん?あ、三人共、どうしたんだい、久々のオフに訪ねてきて?」

卯月「お疲れ様です、プロデューサーさん。実は・・・その・・・」

CuP「なんだい?言ってごらん?」

卯月「お世話になった人がいるんですけど、その人の服装をコーディネートしてあげて欲しいんです!」

CuP「うん、いいよ。どんな場面で着るのかな?」

未央「デートだよ!遠距離恋愛中の彼氏さんと会うんだって!」

CuP「へぇ、女性かい?で、今どこにいるんだい?」

凛「社長室だよ、綺麗な人だけど口説いちゃ駄目だよ!」

CuP「はいはい、わかっているよ。・・・PaP君、ちひろさんを仮眠室に。」

PaP「・・・うっす。」ガタ

CuP「それじゃあ行こうか。」

卯・凛・未「「「はーい」」」

ガチャ バタン

ストライク男キター!

--------------------------------

ガチャ

CuP「失礼します。」ガラガラ

卯・凛・未「「「失礼しまーす。」」」

美幸「あ、お邪魔しております。」

夏美「どもーお邪魔してます!」

社長「む、CuP君。その衣装箱の山はどうしたのかね?」

CuP「お世話になった人にデートの服装をコーディネートしてあげて欲しいと、卯月達に頼まれたんですよ。」ガラガラ

CuP「そうそう、例の資料は完成しました。確認をお願いします。」

社長「うむ、重要な事とは言え少々脅かしすぎたかな?」

CuP「ええ、ちひろさんが泣きながら作業していましたよ。今度、おいしいものでも奢ってあげたらどうです?」

社長「善処しよう。では確認してくる。」

バタン

美幸「えっと、あなたが卯月ちゃん達のプロデューサーさん?」

CuP「はい。卯月達が大変お世話になりました。」ペコリ

美幸「いえ、礼なら私の連れに言ってください。」

CuP「そうでしたか。では、そちらの女性が・・・」

夏美「辻本夏美です!で、隣にいるのが相棒の小早川美幸です。よろしく!」

卯月「プロデューサーさん、早く!早く!」

CuP「はいはい、じゃあ始めようか。」

CuP「夏美さんは多分早苗さんと同じ位のサイズだろうから、この辺かな?」ガサゴソ

夏美「おー!手際がいい!」

美幸「当たり前じゃない、プロデューサーさんなんだから。」

CuP「まずは下着からだね。えーと確かこの箱に・・・」ガサゴソ

美幸「え゛・・・」

夏美「ちょ・・・」

凛「プロデューサー!真面目にやりなよっ!」

CuP「僕は何時だって真面目にやってるよ?恋人と会うんだから下着も重要なファクターじゃないか。」ガサゴソ

凛「そ、そうかもしれないけど・・・その、えっと・・・」

CuP「・・・凛、どうしたんだい?」ニコニコ

凛「な、何でもない///」カァァ

夏美(みゆき~この人、強制わいせつ罪で逮捕したほうがいいかな?)ヒソヒソ

美幸(お、落ち着きなさい夏美!まずは証拠を押さえてから社長さんに報告よ!)ヒソヒソ

CuP「さてと、続き続き・・・」

CuP「下着の形状は動きやすくかつレース付の物を、色は淡い暖色系かな・・・」ガサゴソ

未央「あ、うすいオレンジ色なんだ。夏美さんのイメージにぴったりだねっ!」

CuP「靴はショートブーツの方が動きやすくていいかな、普段からスニーカーのようだしね。」ガサゴソ

CuP「ボトムも動きやすさを重視して、でも可愛さも欲しいからタータンチェックのショートパンツで。色は暗めっと・・・」ガサゴソ

凛「・・・ふーん、デートなのに動きやすさを重視するんだ。」

CuP「大事なデートだからこそ着慣れた服装にするんだよ、慣れない恰好は怪我の元だからね。」

卯月「デート中に怪我をしたら大変ですもんねっ!」

CuP「トップスはやっぱり白のブラウスだね。アクセントにネックレスがあるといいかな?」ガサゴソ

CuP「最後にアウターは、キャメルのロングカットソージャケットで決まりだ。」ガサゴソ

テキパキ テキパキ

夏美「おー♪」キラキラ

美幸(夏美の行動パターンを考慮しつつ、それでいて可愛らしいコーディネートをするなんて・・・)

美幸(さすが人気アイドルのプロデューサーね・・・変態扱いは失礼だったかしら。)

夏美「流石プロデューサーさんね。最初はどうなるかと思ったけど。」

卯月「ごめんなさい・・・普段はもっと紳士的でカッコいい人なんです。」

夏美「わかってるわかってる。自慢のプロデューサーさんだもんね!」

CuP「まぁこんなところでいいかな。さて夏美さん、今から試着してみようか。」

美・夏「「・・・・・・・・・はい?」」

凛「え゛・・・」

未央「ぷ、プロデューサーは何を言ってるのかな~?」

CuP「何って、サイズの確認に決まっているじゃないか。」

CuP「一応、合わせたつもりだけど、試着してみないとわからないしね。」

凛「プロデューサー!ここで生着替えしろなんて、セクハラだよ!」

CuP「そ、そうだね・・・ごめんよ凛、夏美さん。それじゃあ夏美さん、代わりにスリーサイズを計らせて頂けますか?」シャー

凛「」ポカーン

美幸(この人、凛ちゃんの言いたい事をまるで理解していない!)

卯月「プロデューサーさん・・・本気で言ってます?」

CuP「さっきから言ってるじゃないか、僕は何時でも真面目に本気で「早苗さーん!ここに変態さんがいますっ!」ちょっ卯月!?」

ガチャ

早苗「ちぇすとーっ!!」

ドゴォ

CuP「ぐはぁ!?」

ドサ

早苗「はいはーい、変態一名ご退場~」ズルズル

バタン

卯月「ごめんなさい・・・本当にごめんなさい・・・」ボロボロ

夏美「あ~よしよし、私は気にしてないからね~仕事熱心なだけだもんね~」ナデナデ

美幸「・・・凛ちゃん達のプロデューサーさんって、仕事の時はいつもあんな感じなの?」

凛「今日は・・・今日は疲れているだけだよ、きっと・・・」グス

未央「いつもは・・・今日ほど変じゃないんだよ・・・?」ボロボロ

美幸「うんうん、あなた達の自慢のプロデューサーさんだものね・・・」ナデナデ

夏美「で、さっきのは置いといて・・・この高そうな服は本当に着てもいいのかな?」

美幸「せっかくコーディネートしてもらったんだから着てみなさいよ。」

未央「うん!夏美さん早く着てみてよ!」

卯月「早く!早く!」

夏美「はいはい。今着るわよ。」

--------------------------------

夏美「おー♪オーダーメイドみたいにぴったし!」クルクル

夏美「みゆき~どう?」

美幸「よく似合ってるわよ、夏美。」

卯月「うんうん、素敵です♪」

未央「これなら絶対恋人さんも惚れ直すよ!」

夏美「そ、そう?えへへ・・・」ニコニコ

凛「そういえば、夏美さんの恋人ってどんな人?」

夏美「うーん・・・一言でいうと山バカ?」

美幸「・・・」

夏美「でも、一緒にいて落ち着く人かな?」

美幸「・・・その人の名誉の為に補足するけど、大らかで誠実な男性よ。」

卯月「知り合いなんですか?」

美幸「ええ、職場は違うけどね。」

卯月「でも、素敵な恋人さんですねっ!」

コンコン

卯月「どうぞ♪」

ガチャ

社長「失礼するよ。」

社長「おや、もう終わったのかい?さすがCuP君だ、いい仕事をする。」

美幸「ええ、完璧でした。」

美幸(仕事は・・・)

夏美「あ、社長さん!この衣装の代金なんですけど、いくらになります?」

社長「代金は不要だよ。彼女達の手伝いの対価として受け取っておいてほしい。」

美幸「で、ですが・・・衣装はお高いのでは?」

社長「高いことは高いのだがね。流行が過ぎた服なので、もう着る予定はないのだよ。」

どうせ取っておいても、いつか処分するものだ。有用に使って欲しい。

夏美「そういう事なら、ありがたく頂きます!」

美幸「すみません、ありがたく頂戴いたします。」

未央「それだったら美幸さんもコーディネートしてもらえばよかったね。」

夏美「そうよね~そしたら中嶋君も惚れ直すかもよ~」

凛「中島さんって、美幸さんの恋人さん?」

夏美「そうよ!墨東署を代表する白バイ警官で、なんと異名もあるのよ!」ニヤニヤ

未央「かっこいい!!ねぇ夏美さん、どんな異名なの?」

凛「未央、そんなことより美幸さんとの馴れ初めを・・・」

美幸「夏美、いい加減にしなさい!大体、中嶋君とはまだ、その・・・」

夏美「なーにー?まだ付き合ってなかったの?この前、美幸が一人で無茶した時に中島君と色々あったんじゃないの?」

美幸「え!ど、どうしてそれを!?」

未央「夏美さん!夏美さん!早く詳細をお願いしますっ!」

夏美「いいわよー。この前、美幸が仕事中に無茶して崖に落っこちちゃったのよ。」

卯月「え!崖に!?」

美幸「夏美!」

夏美「まぁ無事だったんだけどね。で、これまた偶然、中島君が美幸を連れ戻すために追っかけていたのよ。」

凛「へぇー偶然なんだー(棒読み)」

夏美「そうよー。で、中島君が落ちた美幸をおぶって戻ってきたんだけど、二人とも顔が真っ赤だったのよ!」

凛「でも、怪我した人を運んでたら顔が真っ赤でも変じゃないと思うけど?」

未央「確かに怪我したしぶりんを運んだ時は、プロデューサーもしぶりんも真っ赤だったもんね♪」

凛「未央!///」

夏美「それがねー。昨日、訓練中に怪我した女性警官を運んだ時は涼しい顔だったのよ。」

夏美「・・・となると。これはもう、怪しいでしょ?」

凛・未「「確かに!」」

卯月「美幸さん!中嶋さんにおぶってもらった時に何があったんですか?」

美幸「夏美!!用事も済んだしすぐ帰るわよ!」

夏美「えーここからがいいとこ「なら、晩御飯は夏美一人で作りなさい!」しょーがないわね。悪いけどこの話はまた今度で!」

未央「えーもっと話したいよ~」

凛「未央、文句言わないの。」

卯月「あ、それなら今度私達のライブに来てください。このチケットを見せれば楽屋に入れますし。」ピラ

夏美「悪いわね。それじゃあ、皆誘って行くわね。」

凛「待ってるね、夏美さん、美幸さん。」

美幸「話もまとまったし、今度こそ行くわよ。」

スタスタ

夏美「は~い、それじゃーみんなまたね!」ブンブン

美幸「長い間、お邪魔しました。プロデューサーさんと社長さんによろしく伝えておいてくださいね。」ペコリ

卯・凛・未「「「はい!今日はありがとうございました!」」」

バタン

8月24日 午後06:30 CGプロ 玄関

夏美「あーあ、ここからがいいところだったのに・・・」

美幸「なーつーみー?」

夏美「はいはい。でも美幸、いつまで中島君がアクションを起こすのを待ってるつもり?」

美幸「・・・」

夏美「まぁ、中島君が浮気するのはあり得ないけど、誰かが中嶋君と既成事実を作っちゃうのはあるかもよー?」ニヤニヤ

美幸「!」

夏美「たまには美幸からも攻めたらどーおー?」

美幸「・・・考えておくわ、それより夏美こそいつ結婚するのよ?夏美の年齢なら、もう結婚適齢期でしょ?」

夏美「え~?自分の事は棚に上げてるのに?」

美幸「どうなの!?」

夏美「はいはい、そのうちにね~」

美幸「そんなこと言ってると、巡査長に愛想つかされちゃうわよ?」

夏美「そのセリフ、そっくりそのまま返すわよ!」

美幸「なんですって!?」

タタタ

東海林「あ、夏美さーん、美幸さーん、お久しぶりっす!」

中嶋「おーい!待てよ、東海林!」

夏美「あ、あれ?将司君!?・・・とついでに中島君。」

中嶋「俺はついでかよ!?」

美幸「でも中島君はともかく、巡査長はどうしてここに!?」

東海林「いやー休暇を「それは夏美から聞きました。」そうっすか?じゃあ他に何か?」

美幸「昨日富山を自転車で出発したのなら、どんなに急いでも明日までかかるはずですよ?」

中嶋「富山を出てすぐにトラックの運転手に東京まで相乗りさせてもらったらしいぞ。」

夏美「へ~」

東海林「あれ?夏美さん、その格好はどうしたっすか?」

夏美「あ、これ?普段着を新調してみたのよ、どう?」クルクル

美幸「夏美は巡査長が来るって聞いて、精一杯のおめかしをしたんですよ?」ニコニコ

中嶋「なるほど、道理で辻本にしては珍しい服装な訳だ。」ニヤリ

夏美「ちょっと美幸!」

東海林「そうだったんすか、よく似合ってるっすよ夏美さん!」

夏美「本当!?」

東海林「でも、俺は何時もの夏美さんの方がいいっす。」

夏美「・・・それって、私に可愛い格好は似合わないって事!?」ギリギリ

東海林「ち、違うっす・・・そういう意味じゃないっす・・・」

夏美「じゃあなんなのよ!」プンスカ

中嶋「東海林の趣味に合わせようとしないで、辻本は自分の好きな服を着てくれ、って事だよ。」

夏美「あ、そういう事!ごめん将司君。」

東海林「いいっすよ、中島さんもフォロー助かったっす。」

中嶋「気にするな。」

夏美「でもこれ結構気に入ってるのよ?動きやすいし、何より折角プロに見たててもらった服だし。」

東海林「へ~どこの店で買ったっすか?」

夏美「売り物じゃないわよ?なんてったって現役アイドルの衣装なんだから!」

美幸「実は知り合いのアイドルの紹介で、事務所の筆頭プロデューサーさんにコーディネートして頂いた衣装なんですよ。」

東海林「・・・へー」

夏美「あ、あれ?将司君、反応薄くない?」

東海林「別になんでもないっすよ?あ、美幸さんちょっといいっすか?」ニコニコ

美幸「どうかしましたか?」

東海林「一晩、夏美さんを借りるっす。」ヒョイ

夏美「ちょ、ちょっと将司君!?降ろしなさいよ!」バタバタ

美幸「わかりました・・・ちなみに、夏美は明日まで休暇ですから。」

夏美「美幸!そんなことはいいから助けてよ!」バタバタ

中嶋「・・・東海林、ちょっといいか?」

東海林「なんすか?」

夏美「中嶋君!」パァァ

中嶋「女物の服は高いぞ、乱暴に扱うなよ?」

夏美「ちょっとー!心配するところが違うでしょ!」バタバタ

東海林「わかってるっすよ、そうなったら新しいのを買うっす!」

中嶋「・・・ほどほどにしておけよ?」

東海林「了解!それじゃあ、失礼するッす。」

トコトコ

夏美「ちょっと!将司君!降ろしなさいよー!」

ギャーギャー

美幸「・・・」

中嶋「行っちまったな・・・」

美幸(結局、プロデューサーさんが想定した通りの展開になってしまったわね・・・)

美幸(今度会ったら変態扱いしたことを謝ろう・・・)

美幸「・・・」

中嶋「・・・」

美幸(そ、そういえば今の状況・・・中嶋君と二人っきりじゃない!)

美幸(ど、どうしよう!あれ以来、中嶋君と二人っきりになったことがないから何て言えば・・・)

中嶋「・・・な、なあ小早川?」

美幸「う、うん・・・」

中嶋「・・・そ、その、こ、この後な・・・」

美幸「だ、大丈夫だから・・・お、落ち着いて、ね?」

中嶋「あ、ああ。その・・・小早川。」

美幸「うん・・・」

中嶋「こ、この後なんだが・・・め、飯でも・・・い、一緒にどうだ?」

美幸「う、うん・・・いいよ。」

中嶋「ほ、本当か!?」

美幸「でも、この辺ってレストランはなかったはずだけど?」

中嶋「それなんだが、ここから20分位歩いたところに喫茶店があってな。」

中嶋「今の時間は軽食だけじゃなくて食事をやってるらしいんだ、そこにしないか?」

美幸「うん、いいよ。じゃ、行こっか?」

中嶋「ああ。それじゃあ行くか。」

スタスタ

美幸「あ・・・」

美幸(ここで、手をつないでほしかったな・・・)

ピタ

中嶋「どうした?」

美幸「ううん、なんでもないよ中嶋君。」

ギュ

中嶋「こ、小早川!?て・・・」

美幸「て?手がどうかしたの?」

中嶋「い、いや。何でもないぞ。」アタフタ

美幸(ふふ、偶にはこういうのもいいかも♪)

美幸「ほらほら、早く行きましょ!」

中嶋「そ、そうだな。」

美幸「そういえば、巡査長と一緒にいたみたいだけど。何処で会ったの?」

中嶋「ああ、それを説明すると少し長くなるが・・・」

美幸「いいよ?時間がかかっても、時間ならたくさんあるからね。」

中嶋「そ、そうか?それじゃあ今朝の話になるんだが・・・」

美幸「うんうん。」

美幸(他の人から見てゆっくりでも、私達は私達のペースで歩いていけばいいよね?中嶋君♪)

終わり

これにておまけは終了となります。
本編に引き続きここまで読んでいただいてありがとうございました。

それと、投稿内容に誤字脱字がありましたことをこの場を借りてお詫びいたします。

それと、おまけの裏舞台のお話を思いついたのですが(例によってあらすじ程度ですが)
これ以上グダグダのまま引き延ばすべきか迷いまして、
もし読んでみたいという方がいらっしゃいましたら投稿したいと思います。

最後になりますが、私の拙い腕で綴った物語にお付き合いくださいまして本当にありがとうございました。

おつ
まだあるなら見てみたい

おっつおっつ☆ おもしろかった!

とりあえず、おまけの裏側の前に次回予告。

-------------次回予告-------------------

夏も終わりに近づいた八月下旬。

あたしと美世ちゃんは担当プロデューサーであるCoP君に『お願い』して海に連れてってもらう事になった。

折角だから、前の仕事でお世話になった夏美ちゃん達も呼んでバカンスを楽しむつもりだったのだけど・・・

そこに突如現れた謎の仮面、ビーチバレー男と対決する事になってしまったの!

ビーチバレーだか誰だか知らないけど、こっちには最高の相棒と頼れる助っ人がいるんだから絶対負けないわよ!

次回!「青春のビーチバレー男再び!」

見てくれないと逮捕しちゃうぞっ?

8月24日 午前09:00 喫茶『三保の松原』周辺

フォォォォン

中嶋「流石に腹減った・・・早く帰って朝飯にするか。」

中嶋「久々の休みだからな、とりあえず帰ったら、掃除してから雑誌でも読んで、一日のんびり過ごすとするか・・・」

フォォォォン

青年「」グター

中嶋「ん・・・?あれは、人か!」

キキー タタタ

中嶋「おい!あんた、大丈夫か!?」ユサユサ

東海林「・・・あ、中嶋さん。」

中嶋「ん・・・?巡査長じゃないか。どうした、巡査長!しっかりしろ!」ユサユサ

東海林「・・・中嶋さん・・・俺が死んだら墓はいらないっす・・・」

東海林「ただ・・・ヒマラヤの山並みに・・・俺の灰を撒いて欲しいっす・・・」

中嶋「おい!簡単に諦めるな!お前が死んだら辻本は・・・」

グキュルルル

中嶋「・・・とりあえず惣菜パンならあるが、どうする?」ガサ

東海林「いただくっす!!」ガバ

おまけ2【潜入の裏側】

東海林「ふぅ~なんとか持ち直したっす、ありがとうございます中嶋さん!」

中嶋「3日分の食料を食い尽くされて腹ごなしにしかならないとは・・・まぁいいか。」

中嶋「それより巡査長は何でこんなところに?救難救助の訓練があるとは聞いてないぞ?」

東海林「仕事じゃないっすよ。休暇をもらったんで夏美さんに会いに来たっす!」

中嶋「そうか、もう会ったのか?」

東海林「まだっす。」

中嶋「ん?昨日のうちに着いたんだろ、ひょっとして夜遅かったのか?」

東海林「いや、今着いたばかりっす。」

中嶋「・・・どうやってきたんだ?」

東海林「富山を出るまでは自転車で、その後は途中で知り合ったトラックのおっちゃんに東京に入るまで乗せてもらったっす。」

東海林「後は自転車で夏美さんの自宅に向かうつもりだったんすけど、途中で空腹の限界に達したっす。」

中嶋「自転車でここまで!?無茶苦茶だろぉ・・・」

東海林「俺の愛車に走れない道はないっす!」

中嶋「だが、東京まで送ってもらったのに何でそこで空腹で倒れてたんだ?」

東海林「送ってもらったお礼に財布の中身を全部渡したっす。」

中嶋「少しは手元に残せよ・・・」

東海林「いやぁ、水だけじゃあ飢えは凌げないってことがわかってよかったっす。」

中嶋「はぁ・・・それで、ここの滞在費とかはどうするんだよ。」

東海林「ホテルは前払いで払ってあるっす。飯は夏美さんに頼るっすよ!」

中嶋「それじゃあ恰好がつかないだろ、俺が貸してやるよ。」

東海林「本当っすか!?感謝するっす!」

グゥゥゥ

中嶋「・・・俺も腹減ってたのを忘れてた。」

東海林「中嶋さんも腹減ってたんすね。なんか食いに行きます?奢るっすよ?」

中嶋「お前は金持ってないだろ。まぁいいか、何処か近くに店は・・・」キョロキョロ

東海林「あ!あそこの喫茶店なんてどうっすか?」

中嶋「そうだな、じゃあ行くか!」

東海林「了解っす!」

なつかしいなぁ 予告...

8月24日 午前09:20 喫茶『三保の松原』

カランカラン

店員「いらっしゃいませ~♪」

中嶋「二人なんだが。」

店員「はい、こちらへどうぞ!」

トコトコ

中嶋「よっと。」ストン

東海林「よいしょ。」ストン

店員「お冷やをどうぞ。注文が決まりましたらお呼びくださいね。」コト

スタスタ

東海林「さて、何があるっすかね?俺はカレーが食いたいっす。・・・あれ?」バサ

中嶋「朝からカレーを出す喫茶店がどこにあるんだよ。大人しくトーストにしておけよ。・・・ん?」バサ

中嶋(この店、朝のメニューが納豆定食とデザートしかないのかよ!?)

東海林(この店、ご飯と味噌汁だけじゃなくて納豆と卵もお代わり自由っす!)

中嶋「・・・なんていうか、すごい店だなぁ。」

東海林「そうっすね、今時貴重な店っす。」

中嶋「まぁいいか、巡査長注文しておいてくれ。」

東海林「了解っす、それと中嶋さん仕事以外は名前で呼んで欲しいっす。」

中嶋「わかった。東海林でいいか?」

東海林「それは名字っすよ、中嶋さん?」ニコニコ

中嶋「お、おう。しょ、将司?」

東海林「なんすか~?」ニコニコ

店員「・・・」ジー

中嶋「・・・もうこの辺で勘弁してくれ、店員さんの意味深な視線がキツイ。」

東海林「しょうがないっすね。店員さん、納豆定食二つお願いするっす!」

店員「かしこまりー♪」

タタタ

中嶋「ふぅ、ようやく朝飯にありつけるな。」

東海林「俺もうお腹と背中がくっつきそうっす・・・」グテー

ヴーヴー

中嶋「ん?メール・・・こ、小早川から!?」

東海林「お!デートっすか?」

中嶋「ま、まさか、お、落ち着け!」ピッ

--------------------------------
From :小早川
Subject:無題
--------------------------------
夏美暴走中
突撃寸前
CGプロ
助けて!
--------------------------------

中嶋「・・・」

東海林「どうしたっすか?」

中嶋「・・・まぁ見てみろ。」スッ

東海林「どれどれ・・・う~ん、めちゃくちゃ大変だって事しかわかんないっす。」

中嶋「それはそうだが、少しは考えてくれよ!小早川が危険な状態かもしれないんだぞ!?」

東海林「むむむ・・・」

中嶋「うーむ・・・」

東海林「あ!三行目はなんとなく場所っぽくないっすか?聞いたことのない場所っすけど。」

中嶋「なるほど、助けを呼ぶならまず場所を伝えるからな。しかしCGプロか・・・どっかで聞いた気が・・・」

カランカラン

店員「いらっしゃいませ~♪あ、いつもありがとうございます!」

茄子「おはようございますっ♪席空いてますか?」

店員「・・・えーと、普通のお席でよろしければ、すぐにお通しできますが?」

茄子「それで、お願いします♪」

店員「はい、こちらへどうぞ~♪」

スタスタ

茄子「プロデューサー、こっちですよっ♪」グイグイ

PaP「はいはい、わかったから落ち着けって茄子。」ズルズル

茄子「ほらほら。ちゃんとご飯食べないと、いいお仕事はできませんよ?」グイグイ

PaP「それは関係ないだろ。それに、俺は朝飯食ってる暇があるなら溜まった仕事を片付けたい。」ズルズル

茄子「もうっ!いくら忙しくても朝ごはんは食べないとダメですよっ!」

PaP「何を言っている!朝飯なんて食わなくても体調は常に万全!栄養もスタミナドリンクで補ってるしな!」

茄子「スタドリで栄養補給なんてなんて不健康ですよっ!」

PaP「んなこと言ったって。朝は飯食う時間なんてないし、なにより朝は食欲も湧かないし~」

茄子「普段から朝の食事をおろそかにするからですよっ!これからは、ちゃんと朝昼晩食べてくださいっ!」

PaP「へーへー」

茄子「むぅ~!そうやってプロデューサーが生活態度を改めないなら、私にも考えがありますからねっ!」プンプン

PaP「ほほう、その考えというのは・・・?」ニヤニヤ

茄子「CGプロを辞めま「すいませんでしたッ茄子さん!!俺が悪かったァッ!」わかってくれればいいんですよ♪」

トコトコ ストン

中嶋「なぁじゅ、東海林。今、CGプロって・・・」

東海林「俺も聞いたっすよ、間違いないっす!」

ガタッ

茄子「あ!店員さ~ん、いつもの・・・」

中・東「「そこの二人!ちょっと聞きたいことがある(っす)!!」」

茄子「きゃ!」

PaP「な、なんなんだ、あんた達は!」

東海林「なんだかんだと「東海林!今はボケてる場合じゃないぞ!」」

中嶋「なぁ、そこのカップルさん。CGプロってどこなのか教えてくれ!時間がないんだ!」

茄子「か、かっぷる!?///」カァァ

PaP「ちょっ、あんたらこそ落ち着け!」

PaP「って言うか、アイドルとプロデューサーに向かって何を言ってやがる!業務妨害で訴えるぞ!」

東海林「あれ?その子、アイドルだったんっすか?てっきり二人は仲のいい恋人かと思ったっす。」

PaP「違うわッ!」

茄子「え?私が恋人じゃ嫌ですか・・・?」シュン

PaP「い、いやそうじゃ・・・って茄子!話をややこしくするなッ!!」

茄子「えへへ~♪」ニコニコ

PaP「はぁ・・・で、CGプロだったっけか?ここからだと30分位の場所にあるが?」

中嶋「頼む、教えてくれ!」

東海林「でも中嶋さん、今からじゃ間に合わないっすよ?」

中嶋「そんなことは関係ない!小早川の危機なんだ!」クワッ

茄子「えっと、プロデューサー・・・」クイクイ

PaP「皆まで言うな、力になりたいんだろ?だがな兄さん達、うちの事務所に何の用だ?」

中嶋「時間がないんだ!後で説明するから教えてくれ!」グワングワン

PaP「なぁ!そこのさわやか兄さん!連れのグラサン兄さんは一体全体どうしたんだよ!?」ガクンガクン

東海林「俺は東海林将司っす。事情は話すと長くなるっすけど・・・」

PaP「三行で頼む!俺がやばい!!」ガクンガクン

東海林「俺の恋人暴走中、CGプロ突撃寸前、大惨事の予感っす。」

PaP「なるほど、よくわかった!だが今行ってもアイドルはいないから、被害の起きようがないと思うが!?」ガクンガクン

中嶋「何!?」パッ

東海林「そうなんすか?」

PaP「ああ、たしかニュージェネ組は休みだし、早苗さんも美世もレッスンで出てるはずだしな。」フラフラ

中嶋「早苗に美世って・・・ひょっとしてCGプロって片桐と原田が所属している事務所なのか?」

PaP「むー?二人ともメディアへの露出が増えたとはいえ、知名度は変化してないのか。後でCoPに教えてやろう。」カキカキ

茄子「プロデューサー!お仕事してないで質問に答えなきゃだめですよっ!」

PaP「はいはい。お察しの通り、うちは片桐早苗と原田美世が所属する事務所ですよ~」カキカキ

中嶋「それならなんとかなる、情報感謝する!」ピポパ

プルルルル ガチャ

課長『はい、墨東署交通課。』

中嶋「課長!中嶋です!」

課長『お~中嶋か?どうした?』

中嶋「実は辻本が片桐達の事務所に約束なしで訪問しているようで・・・」

課長『そうか~辻本が片桐の事務所に、ってちょっと待て!どういう事だ!?』

中嶋「事情はわかりませんが、ほっとくと何時ものように小早川と無茶をすると思いますが?」

課長『はぁ~折角お前達がいなくて平和な一日が過ごせると思ったのだがな。事情はわかった、俺から社長さんに連絡しておく。』

中嶋「すみません、頼みます。」

プツン

中嶋「はぁ・・・」

PaP「よう、グラサン兄さんお疲れ!話はついたのか?」

中嶋「ああ、さっきは悪かったな。俺は中嶋剣、よろしく頼む。」

PaP「PaPだ、この子のプロデューサーをやってる。よろしくな兄さん達!」

茄子「えっと、鷹富士茄子です。」

中嶋「わざわざありがとな。今、上司経由で向こうの社長さんに連絡してもらった。これで一安心だ。」

PaP「あん?ひょっとして剣さん、うちの社長を知ってるのか?」

中嶋「剣さんって俺かぁ?まぁいいか、社長さんとはついこの前知り合ったばかりだ。」

中嶋「剣術がやたらと強くて、女性には話にならないくらい弱いらしいな。」

PaP「そりゃ間違いなく社長だ。それなら言ってくれればとりついだのに。」

中嶋「あ・・・」

東海林「まぁ仕方ないっすよ。恋人のピンチっすもんね?」ニヤニヤ

中嶋「東海林!」

茄子「あれ?先ほどは、東海林さんの恋人さんが突撃寸前とおっしゃっていましたけど?」

東海林「俺の恋人の相棒さんが助けを求めて来たっす。その人が中嶋さんの恋人っすよ。」

茄子「え、そうなんですか?中嶋さん、その人について詳しく話してください♪」

中嶋「い、いや・・・」

タタタ

店員「はい、納豆定食三つ、白玉ぜんざい一つお待ちどう様でした!」コト

中嶋(た、助かった!)

中嶋「ほ、ほら。冷める前に食べようか!」

東海林「そうっすね。俺も腹減ったっす!」

茄子「むーいいとこだったのに・・・」プクー

PaP「そうむくれるなよ、茄子。」

--------------------------------

中嶋「・・・」モグモグ

東海林「・・・」ガツガツ

PaP「・・・」ハフハフ

茄子「・・・」もぐもぐ

中嶋(納豆だと馬鹿にしていたが、なかなか美味いなぁ。)

東海林「お代わりっす!」

店員「はい、ただいまお持ちします!」

タタタ

中嶋「早いな、東海林。」

東海林「お代わり自由っすからね。今の内に溜め込んでおくっす!」

中嶋「お前はラクダかよ?」

PaP「将さんはよく食うけど、ガテン系の仕事をしてるのか?」

東海林「まぁ似たようなもんすね。俺は山岳警備隊員っす。」

PaP「警備隊って、警察官か!?」

東海林「そうっす。なんなら警察手帳を見るっすか?」

茄子「いいんですか?」

東海林「いいっすよ。ほら。」パカ

茄子「わー♪本物だ~」キラキラ

東海林「ちなみに中嶋さんも警察官っすよ。」

PaP「剣さんも警察官かよ!」

茄子「本当ですか!中嶋さんの手帳も見たいですっ!」

中嶋「まぁ見せて減るものでもないしな。」パカ

茄子「わー♪かっこいいですねっ!」キラキラ

東海林「中嶋さんは墨東署の白バイ隊員で、自称"墨東の白き鷹"っす。」

中嶋「自称って言うなよ!」

茄子「鷹、ですか?私とお揃いですねっ♪」ニコニコ

中嶋「・・・」ジーン

東海林「その切り返しは初めてっすね。」

PaP「・・・と言うといつもは?」

東海林「大爆笑か、失笑か、スルーされるかのどれかっす。」

PaP「そいつは納得の反応だな。」ニヤニヤ

中嶋「・・・お前達、人の感動を返せよ。」

東海林「まぁまぁ、中嶋さんの運転テクを見れば納得の二つ名っすよ。」

PaP「じゃあ、なんでいまだに自称なんだよ?」

東海林「それは?」

PaP「もちろん?」

Pa・東「「口に出すのが恥ずかしいから(っす)!」」

Pa・東「「あはははは!」」

スパーン ぽかーん

茄子「もうっ!二人とも中嶋さんに失礼ですよっ!」

東海林「すまないっす・・・」

PaP「なんで俺だけ強く叩いたし・・・」

中嶋「ははは、お前の事務所は面白いアイドルばかりだな。」

PaP「ん?剣さんは、うちのアイドルに会ったことがあるのか?」

中嶋「ああ、片桐と原田に会った。二人とも面白くていい奴だったな。」

茄子「そこは可愛かったって言ってくださいっ!」

中嶋「お、おう。すまん!」

ヴーヴー

PaP「ん?メール、いや電話か・・・?」パカ

茄子「どうしました?」

PaP「ああ、事務所から電話がな。」ピッ

PaP「どうも、俺です。って、ちょっと!?ちひろさん?なんで泣いてるんすか?」

中嶋「穏やかな話じゃなさそうだな。」グビ

東海林「そうっすね。事件じゃなければいいっすけど。」

PaP「え?事務所に婦警さんが!?それも二人!?」

中嶋「ブフーッ!!」

東海林「・・・中嶋さん、きたないっす。」フキフキ

PaP「へ?うちに虚偽記載の疑いがあるって?んなバカなー」

PaP「は?その婦警さん達が、今事務所で財務諸表を洗い直してるところ?」

中嶋「・・・」ダラダラ

茄子「中嶋さん、すごい汗ですよっ!」

PaP「マジっすか、それで・・・?」

PaP「・・・わかりました。茄子をレッスン場まで送ったら、すぐ事務所に戻ります!」

ピッ

PaP「・・・」ガツガツ

PaP「ごちそうさまでした!」

茄子「プロデューサー?」

PaP「茄子、悪いが用事ができた。このあとレッスンだがすぐに行けるな?」

茄子「あの、私一人でもいけますよ?変装道具もありますし、プロデューサーは事務所に戻った方が・・・」

PaP「バカ!お前の身に何かあったらどうするつもりだ!」

茄子「プロデューサー///」テレテレ

PaP「そういうわけだ、急ぐぞ。」

中嶋「待て、PaPさん。」

PaP「なんだよ剣さん!こっちは急いでるのに!」

中嶋「さっきの礼をまだしていない。代わりと言ったらなんだが、鷹富士は俺達が責任を持って送って行こう。」

東海林「だからPaPさんは事務所に急ぐっすよ。」

茄子「そうですよっ、ちひろさんを助けてあげてください!」

PaP「だが・・・」

茄子「お二人は警察官ですよっ!プロデューサーよりも強いんですよっ!」

PaP「まぁ・・・ひじょーに不本意だが。確かに二人は誠実そうだし、俺より腕が立つだろうから安全か。」

PaP「申し訳ないけど、剣さん、将さん、茄子を頼みます!」

中嶋「わかった。」

東海林「任されたっす。」

PaP「店員さん!俺達の代金はCGプロにつけておいてくれ!」

店員「かしこまりました!」

タタタ カランカラン

東海林「中嶋さん、PaPさん気づいてないんすかね?」

中嶋「多分な。」

茄子「気付いてない、ってなんですか?」

中嶋「・・・今の電話に出てきた婦警さんというのは、おそらく二人とも俺の同僚なんだ。」

東海林「俺の同僚と恋人の間違いっすよ。」

中嶋「い、いや俺と小早川はまだ・・・」アタフタ

東海林「あれ?おかしいっすね。夏美さんの話だと、中嶋さんは美幸さんに告白したんじゃないっすか?」

中嶋「し、してないぞ!」

中嶋(しようとはしたけどな・・・)

茄子「東海林さん♪その話、聞かせてくださいな?」

東海林「いいっすよ、レッスン場に向かいながら話すっすよ。」

中嶋「はぁ、気が重いな・・・」

店員「あら?もうお食事はよろしいのですか?」

茄子「ええ、今からお仕事です♪」

店員「そうですか、頑張ってくださいね。あ、これはサービスです♪」コト

茄子「わぁ♪ありがとうございますっ!」

東海林「お茶っすか?感謝っす。」グビグビ

中嶋(サービス満点な店だな。これで朝の定食のメニューが充実していれば完璧なんだがなぁ。)ズズズ

店員「もしよろしければ、夜も来てくださいね。」

東海林「考えておくっす。」

中嶋「それじゃあ行くか。会計を済ませておくから外で待っていてくれ。」

東海林「了解っす。」

茄子「よろしくおねがいしますね。」

トコトコ カランカラン

中嶋「納豆定食2つ分で。」

店員「はい、600円になります!」

中嶋「・・・安すぎないか?」

店員「サービスですよ♪」

中嶋「・・・・・・近いうちにまた来る。」

店員「お待ちしております♪」

中嶋「さて、行くとするか。」

カランカラン

8月24日 午前10:50 レッスン場『ノワール』前

トコトコ

東海林「・・・ってことがあって中嶋さんの恋人、あ、美幸さんっていうんすけどね。」

中嶋「だから!俺とこ、小早川は、その・・・つ、付き合ってないぞ!」

茄子(中嶋さん・・・あんなに照れちゃって、かわいいですねっ♪)ニコニコ

東海林「中嶋さん、うるさいっす。で、さっきの話っすけど。」

東海林「その美幸さんが一人で突っ走って犯人を捕まえったっすけど、勢い余って崖から落っこちたらしいっす。」

茄子「えっ!?崖から?」

東海林「そうっす、それで中嶋さんが助けに向かったらしいっす。」

茄子「へぇ~それでどうなったんですか?」

東海林「救助班が到着した頃には救助と手当はほとんど終わっていて、病院に向かう途中だったらしいっす。ただ・・・」

茄子「ただ?」

東海林「その時、美幸さんは中嶋さんに背負われていたらしいっすけど、背負っていた中嶋さん共々真っ赤な表情だったらしいっす。」

東海林「一体何があったんすかね~」ニヤニヤ

茄子「何があったのですか~?」ニコニコ

中嶋「もう勘弁してくれよぉ~」

タタタ

中嶋「ん?」

トレ「茄子さん!無事ですか!?」

茄子「あ、トレーナーさん。おはようございます♪」

トレ「先ほどプロデューサーさんから同行できないと連絡を受けたので、迎えに行くつもりでしたが・・・」

トレ「その様子ですと、無事にたどり着けたのですね。」

茄子「はい、そちらにいる「それより、そこの変質者さん!今すぐ茄子さんから離れなさい!」」

中嶋「へ、変質者って・・・?」

東海林「俺達っすか?」

茄子「えっ?ト、トレーナーさん!この人たちは・・・」

トレ「他に誰がいるんですか!特にサングラスを掛けたそこのあなた!」

中嶋「俺かぁ?別にいいじゃないかサングラスくらい。普通だろう?」

トレ「普通じゃありません!」

茄子「トレーナーさん!この方達は警察官なんですよっ!」

トレ「こんな怪しい人たちが警察官であるわけがありません!」

東海林「心外っすね。中嶋さんはともかくとして。」

中嶋「・・・いくらなんでも、ひどくないか?」

東海林「それは置いとくとして。目的は果たしましたし帰ります?」

中嶋「いや、俺達が不審者ではないと説明だけはしよう。」

中嶋「このままだと、最悪通報されるかもしれないしな。」

東海林「それは嫌っすね。」

トレ「さ、行きますよ。茄子さん!この人達も通報しないと・・・」グイグイ

茄子「え?あ、ちょっとトレーナーさん!?」

東海林「あ!中嶋さん、手帳を見せるっすよ。」

中嶋「そうだな!そこのトレーナーさん、これを見てくれ。」パカ

トレ「もう!一体なん・・・です・・・か・・・え!?」

東海林「俺達は、警察っす。今日は非番っすけど。」パカ

トレ「け、警察!?」

中嶋「ちょっと訳があって、鷹富士をレッスン場まで送っていただけだ。用が済んだらすぐに帰るから騒がないでくれ。」

トレ「あ、あぁ・・・」カァァ

--------------------------------

トレ「先ほどは本当にすみませんでした。」ペコリ

トレ「わざわざ茄子さんを送って頂いたのにあんな失礼を・・・」ペコペコ

東海林「別にいいっすよ、中嶋さんが強面なのがいけないっす。」

中嶋「俺のせいかよ?」

茄子「ふふふっ♪」

中嶋「それじゃあ今度こそ帰るか。じゃあな鷹富士。」

東海林「そうっすね。茄子さん、さよならっす。」

茄子「はい!今日はありがとうございました!」

トレ「あ!ちょっと待ってください!」

ピタ

東海林「なんすか?」

トレ「初対面でこのようなことを申しますのは誠に無礼ですが、お二人にお願いが・・・」

中嶋「俺達に頼み?事件なら最寄りの警察署で相談してくれ。」

トレ「いえ、事件ではなく。応急手当の指導をお願いしたいのです。」

東海林「応急手当っすか?」

トレ「はい。私を含めた職員全員、手当についての知識はあるのですが、実際の負傷者の手当ては経験が少ないもので・・・」

トレ「是非とも経験者の方からお話を伺いたいのです。」

中嶋「どうする東海林?お前が適任者だと思うが?」

東海林「いいっすよ、引き受けるっす。」

トレ「ありがとうございます。それと謝礼についてですが」

東海林「いらないっす。」

トレ「え?ですが・・・」

中嶋「トレーナーさん。警察官は副業禁止なんだ、正式な依頼じゃないからボランティア扱いで頼む。」

東海林「それに、怪我の対処法はいろんな人に知ってもらいたいっす。その為なら協力は惜しまないっす。」

トレ「ありがとうございます。」

東海林「で、いつからやればいいっすか?」

トレ「可能であれば今からお願いしたいのですが・・・」

東海林「了解っす。中嶋さんは先に帰るっすか?」

中嶋「いや、お前に金を貸す約束がまだだからな。終わった頃にまた来る。」

トレ「それでしたら中で待っていたらどうでしょうか?」

トレ「ここはトレーニングやリラクゼーション施設も充実していますから退屈するようなことはないと思いますよ?」

中嶋「そういうことなら、待たせてもらいます。」

トレ「では、ゲストカードをお持ちしますね。少々お待ちください。」

いいねぇ こういうの

茄子さんわりとキャラ濃いからこのメンツに入ってても違和感ねぇな

タタタ

中嶋「しかし、良かったのか?鷹富士にCGプロの場所を聞いて、今から向かえば辻本に会えただろうに。」

東海林「いいっすよ。それに今行くと、きっと大騒ぎっす。」

中嶋「まぁ・・・そうだな。それじゃあほとぼりの冷めた頃に行くとするか?」

東海林「そうっすね。」

タタタ

トレ「お待たせ致しました。こちらがゲストカードになります。」

中嶋「ありがとう。じゃあ後でな。」

東海林「了解っす。」

8月24日 午後01:25 『ノワール』大廊下

トコトコ

中嶋「ふーいい汗かいたな!まさかベンチプレスだけじゃなくてボルタリングの設備もあるとはな。」

中嶋「食堂のメシもなかなかうまかったし、ここはいい施設だ!」

トコトコ

中嶋「ただ・・・この施設で度々見かける、この墨絵は一体何なんだ?」ジロー

中嶋「第一、タイトルの『セレブな私』ってそもそもなんだ?」

?「その絵はここの設立者の自画像ですよ!」

中嶋「ん?誰だ?」クル

黒髪の少女?「初めまして!新しいトレーナーさんですか?」

中嶋「い、いや、俺はただの見学だぞ!?」

黒髪の少女?「あ!すみません、とてもいい体格の人だったのでつい・・・」

中嶋(男の子、のように見えるが・・・女の子、だよな?)

中嶋「えっと、名前を聞いてもいいか?」

真「あ!すみません。ボクは765プロダクションのアイドルで、菊地真って言います。おじさんは?」

中嶋「お、おじ!?い、いや俺は中嶋剣だ。よろしくな。」

中嶋(この子もアイドルなのか、最近はやけにアイドルと縁があるな。)

真「はい!よろしくお願いしまーすっ!」

中嶋「それより、この墨絵なんだが・・・一体誰なんだ?」

真「それは961プロダクションの黒井社長の自画像ですよ。」

中嶋「黒いプロダクションの・・・黒い社長?」グルグル

真「あはは・・・まぁそういう名前の社長がいるんです。」

真「その絵は、現金一括払いでこの施設を建てた記念だそうですよ。」

中嶋(現金一括・・・この前CGプロの社長さんが言ってた話はこれか。まさか本当だったとはな・・・)

中嶋「だから絵のタイトルが『セレブな私』なのか。それにしても詳しいな、ひょっとして知り合いなのか?」

真「あんな人とは知り合いたくもありません!」

中嶋「お、おう!すまん!!」

真「あ!ボクの方こそごめんなさい・・・」シュン

中嶋「・・・何かあったのか?俺でよければ相談に乗るぞ?」

真「実は、黒井社長はうちの社長と仲が悪くて、昔から色々と嫌がらせを受けていて・・・」

真「最近は大分おとなしくなりましたけど、またいつ嫌がらせをしてくるか・・・」

中嶋「なるほどな。」

真「本当はここの設備も使えないんですけど、うちの社長の知り合いのおかげで利用する事が出来ているんですよ。」

中嶋「そういう事だったのか。もし今後、嫌がらせがあればこれを持って墨東署まで来てくれ。」スッ

真「へ?これって名刺ですか?」

真「って!?中嶋さん、け、警察官だったんですか!?」

中嶋「ああ、俺はただの白バイ隊員だが、相談や関連部署への案内くらいはできる。困ったことがあれば、いつでも力になるぞ!」

真「本当ですか?ありがとうございます!」

真「それにしても警察官かー。どおりでいい体格だと思いましたよ!」

中嶋「まぁ体格は警察官には大事な資質だからな!まぁ、俺の場合は親父のおかげだがな。」

真「そうだったんですか。あ!中嶋さん、このあと予定がなければボクと組手をしませんか?」

中嶋「く、組手?」

中嶋(何をするのかはわからないが、嫌な予感がする・・・)

真「はい!一度ボクの実力がどこまで通じるのか試して見たくって。警察官って格闘技術は必須項目でしたよね?」

中嶋「まぁ・・・剣道と柔道は段持ちだし、実戦だけなら空手の経験もあるしな。」

真「やーりぃ!空手の経験があるなら大丈夫ですね、行きましょう!行きましょう!!」グイグイ

中嶋「ちょ、ちょっと!?」ズルズル

8月24日 午後01:40 『ノワール』武道室

ガラ

中嶋「まさか、道場まであるとはな・・・」

真「さってと、中嶋さんプロテクターは付けました?」キュッキュッ

中嶋「あ、ああ、今から付ける。それと聞いてなかったが何をするんだ?」キュッキュッ

真「あ!ごめんなさい。組手をするんですよ!」

中嶋「その、組手というのは?」

真「所謂、空手の手合せの事ですよ!」

中嶋「か、空手か・・・」

真「経験はあるんですよね?」

中嶋「あ、ああ・・・」

中嶋(一方的に殴られていただけならな・・・)

真「大丈夫ですよ!戦っているうちにやり方を思い出しますって!」

中嶋(とほほ、流石に断れないよなぁ・・・)

真「それじゃあ、行きます!」

中嶋「ま、まて!まだ心の準備が・・・」

真「でりゃあぁぁぁぁっ!!」

まさかの本家からww

--------------- 2時間後 ---------------

真「はぁ、はぁ、やっぱり中嶋さんは強いですね。本気で行ったのに有効打が一打もありませんでしたよ。」

中嶋「はぁ、はぁ、はぁ、その歳で、そこまで出来れば、十分すぎるだろぉ・・・」ゼイゼイ

中嶋(片桐との手合わせがなかったら負けてたな・・・)ゼイゼイ

バタ

中嶋「はぁ、はぁ、しばらく、動けそうに、ないな・・・」ゼイゼイ

真「ふぅ、二時間休みなしでしたもんね。ゆっくり休んでくださいね!」

ガラ

少女「まことー?いるー?」

真「あ!春香!久しぶりっ!最近会えなかったけど元気にしてた?」

春香「やっほー!真こそ元気だった?」

真「ボクはいつも絶好調だよっ!」

春香「そっか~」

春香「って、そこで倒れている人は誰!?」

真「あ、この人は中嶋さん。警察官だよ。」

春香「え!?警察って、黒井社長がまた何かしたの!?」

中嶋(その黒い社長さんはどんだけ悪党なんだ?)ゼイゼイ

真「違うよ、今日は見学に来てたんだって。」

春香「ふーん。じゃあなんでこんな所に見学者さんがいるの?それも息が上がった状態で?」

真「えーと、それは~」ポリポリ

春香「もう!また、真が無理矢理連れてきたんでしょ!?」

春香「最近手合わせ出来る人がいないからって初対面の人を無理矢理連れてきちゃダメじゃない!」

真「はい・・・ごめんなさい中嶋さん。」

中嶋「い、いや。気にするな。ははは・・・」

春香「大丈夫ですか?真に付き合うのは大変でしたよね?」

中嶋「そんなことはないぞ!この前うちの署に来た、鬼教官のほうがよっぽどきつかったからなぁ!」

クシュン

中嶋「・・・」

中嶋(今、片桐の声が・・・き、気のせいだよな・・・?)

真「中嶋さん、どうかしたんですか?」

中嶋「な、なんでもないぞ!」

中嶋「それより、菊地。そこのリボンをつけた子はお前の友達か?」

真「はい!ボクと同じ765プロの仲間ですよ!」

春香「天海春香です、よろしくお願いします♪」

中嶋「俺は中嶋剣だ、よろしくな天海。」

春香「はい!あ、そうだ、ケーキを焼いてきたんだ。真、食べる?」ゴソゴソ

真「食べたい!」

春香「はい、どうぞ♪」

真「わ~♪春香のお菓子は久々だよ!」

春香「中嶋もどうぞ!さっき真に付き合っていただいたお礼です。」

中嶋「悪いな、それなら一つもらおう。」

春香「どうぞ♪」

中嶋「・・・」モグモグ

中嶋(う、美味い!甘い物はそこまで好きじゃなかったが、これならいくらでも食べられそうだ!)モグモグ

春香「どうですか?」

中嶋「ああ、美味いぞ。」

春香「本当ですか!?えへへ、よかった~♪」

真「やっぱり春香のお菓子が一番だよ!」ニコニコ

春香「真、お菓子の欠片がついてるよ。」

真「え!?どこどこ?」ペタペタ

春香「取ってあげるね。」ヒョイ パク

真「は、はるか!?」

春香「えへへ、とっても美味しい。」

中嶋(なんだか、居づらいな・・・時間も経ったしそろそろ帰るか。)

中嶋「さて、そろそろ俺は帰るとするか。」

真「あ、中嶋さん!今日はありがとうございました!」

中嶋「気にするな。天海もお菓子をありがとな。」

春香「喜んでもらえて何よりです♪」

中嶋「東海林の講義は終わってるといいが・・・」

春香「あれ?東海林さんって応急手当のお兄さんですか?」

中嶋「ああそうだ、どこで講義をしてるか知ってたら教えて欲しいんだが?」

春香「二階の大会議室でしていましたよ?もう、終わる頃だと思います。」

中嶋「そうか、ありがとな。二人とも元気でやれよ!」

春香「はい!」

真「今度会ったら、また組手しましょう!」

中嶋「ははは、機会があったらな!」

トコトコ

ガラ

8月24日 午後04:15 『ノワール』二階廊下

中嶋「大会議室ってのはこの辺か?」

タタタ

東海林「あ!中嶋さーん!」

中嶋「ん?よう、東海林。もう終わったのか?」

東海林「今はそれどころじゃないっすよ!」

中嶋「どうしたんだよ?」

トウカイリンサーン

東海林「来たっす!中嶋さん、上手く誤魔化しておいて下さい!」

タタタ

中嶋「お、おい!」

ダダダ

女性職員A「ちょっと!そこのおじさん!東海林さんはどこ!?」

中嶋「え!?と、東海林の奴ならそこの階段を駆け下りて行ったが!?」

女性職員A「よし!みんな、行くわよ!」

女性職員'S「「「おー!」」」

ダダダ

中嶋「・・・まるで嵐だな。」ポカーン

東海林「行ったっすか?」ヒョコ

中嶋「ああ。だが、一体あれはなんなんだ?」

東海林「なんだかん「それはいいから。」むぅ、残念っす・・・」シュン

中嶋(この前、辻本達と観たアニメにはまったみたいだな・・・)

東海林「この状況になった原因っすよね。実は俺もよくわからないっす。」

中嶋「何でわからないんだ?」

東海林「講義が終わったと思ったら、いつの間にかあんな風に女の人に囲まれていて。」

東海林「最初は講義の質問かと思ったんすけど、好きな食べ物とか趣味とか関係のない内容ばっかりで・・・」

中嶋「ああ、なるほどな・・・」

東海林「で、嫌な予感がしたんで逃げてきたっすよ。」

中嶋「状況はわかった。それなら、さっさとここから離れたよう。」

東海林「同感っす。ならCGプロに向かうっすか?場所はトレーナーさんから聞いておいたっす。」

中嶋「手際がいいな。後は借りたカードだが・・・」

東海林「それも聞いておいたっす。ゲストカードは帰る時に受付に渡しておけばいいそうっす。」

中嶋「完璧だな。それじゃあ俺は受付に向かうがお前はどうする?」

東海林「人のいない道を探して出てくるっす。」

中嶋「それなら入口で合流しよう。頑張れよ!」

東海林「頑張るっす!それじゃあまた後で!」

タタタ

中嶋「無事に逃げられればいいが、まぁあいつなら大丈夫だろ。」

トコトコ

8月24日 午後04:50 『ノワール』前

中嶋「遅い・・・あれから30分位たったが出てくる気配がないぞ。あいつ本当に大丈夫か?」チラ

トウカイリンサァァァァァン

中嶋「あっちはあっちでまだ探してるみたいだし、ちょっと様子を見に行くか。」

ガサッ

中嶋「ん?誰だ!?」

東海林「俺っすよ。」ピョン

中嶋「と、東海林!?なんで塀から出てきたんだよ!?」

東海林「よっとっ。」スタ

東海林「ここしか逃げ道がなかったっす。おかげで葉っぱまみれっすよ。」パンパン

中嶋「そ、そうか。それじゃあ、バレないうちに向かうとするか。」

東海林「了解っす。」

トコトコ

中嶋「あ!」ピタ

東海林「どうしたっすか?」

中嶋「お前の軍資金を用意するのを忘れてた、コンビニに寄ってもいいか?」

東海林「もちろんっす。むしろ手間を掛けさせて申し訳ないっす。」

中嶋「気にするな。それじゃあ今度こそ行くか。」

トコトコ

--------------------------------

イラッシャイマセー

中嶋「じゃあ、ATMに行ってくる。」

東海林「了解っす。」

トコトコ

中嶋「これだな、取り合えずカードを入れてっと・・・」

ガコー

中嶋(お金をおろすのも久しぶりだな、ここ最近は忙しかったからなぁ・・・)

ピーピー

中嶋(十万もあればとりあえずは大丈夫だろう 。)

中嶋「おーい、って、あいつ雑誌コーナーで立ち読みしてるのか。」

トコトコ

中嶋「東海林、何読んでるんだ?後、お前の軍資金だ。」

東海林「あ、中嶋さん恩に着るっす!それと、この雑誌見てたんすけど、なかなか面白いっすよ。」

中嶋「車輪の友か。だがお前はバイクも車も乗らないだろ?何が面白いんだ?」

東海林「今週号から自転車整備のコラムが追加されたっすよ、非常に参考になるっす。」

中嶋「そうだったのか、今週号はまだ読んでなかったが・・・お、このコラムも原田が書いているのか。」

ギロ

中嶋「!」ビクッ

オイ イマアイツ ハラダッテ

イヤイヤ ベツジンダッテ カンチガイオツー

中嶋(まずい!ここに原田のファンがいたとは!)

中嶋「・・・なぁ東海林、腹減ってないか?」

東海林「減ったっす!なんか食べに行きます?今度こそ奢るっすよ?」

中嶋「よし!そうと決まれば行くぞ!」グイグイ

東海林「ちょ、ちょっと中嶋さん!?」ズルズル

アリガトーゴザイマシター

--------------------------------

トコトコ

東海林「なるほど、さっきの雑誌に載ってたアイドルのファンがいたんすね。」

中嶋「ああ、知り合いだとバレると色々なところに迷惑がかかる。最悪、原田達にも被害が出る可能性もあるしな。」

東海林「男の嫉妬は、女の嫉妬より恐ろしいっすからね。」

中嶋「まぁな。ファン全員がそうでないとは思うが、注意するに越したことはないはずだ。」

東海林「アイドルも楽じゃないっすね。」

中嶋「世の中が善人ばかりなら、もう少し楽なんだろうけどなぁ。」

東海林「それだと中嶋さんは商売あがったりっすよ?」

中嶋「事件なんてないほうが一番だ、誰も悲しい思いをしなくて済む。」

東海林「俺もそう思うっすよ、平和が一番っす。」

グゥゥゥ

東海林「・・・腹減ったっす。」

中嶋「そういえば昼飯はどうしたんだ?」

東海林「準備やら何やらで食べてる暇がなかったっすよ。」

東海林「終わった後にトレーナーさんが手料理を御馳走してくれるって言ってたっすけど・・・」

中嶋「さっき追い回されて逃げてきたからうやむやになっちまったのか。もう五時をまわったから居酒屋あたりでもいいか?」

東海林「どこでもいいっす、食べれるなら。」

中嶋「ずいぶん投げやりだな・・・」

東海林「そんな意味で言ったんじゃないっすよ?地上の飯はどれもおいしいっすから、どこでもいいっす。」

中嶋「地上、ってことは山の上の飯はどうだったんだ?」

東海林「・・・・・・・・・・・・」

中嶋「・・・俺が悪かった。」

東海林「・・・別にいいっすよ。それより飯はどこにするっすか?」

中嶋「っとそうだな、ならそこの雑居ビルの一階はどうだ?」

東海林「了解っす。」

中嶋「よし、行くぞ。」

8月24日 午後05:35 たるき屋

ガラガラ

店員「いらっしゃいませ!」

中嶋「二人で。それと連れが激しい空腹に襲われているから、すぐ出せるものを頼む。」

店員「でしたら、うどんグラタンが今焼きあがりましたのでどうですか?余ってしまったもので恐縮なのですが・・・」

中嶋「いや構わない、それで頼む。」

店員「ご注文ありがとうございます!ではこちらにどうぞ。」

トコトコ ストン

店員「ただいまお持ちしますので、少々お待ちください。」

スタスタ

東海林「・・・・・・腹減ったっす。」グテー

中嶋「もうすぐ来るから元気出せよ。」

スタスタ

店員「お待たせ致しました!お冷と、うどんグラタンと、こちらはサービスの焼きおにぎりになります。」コト

東海林「待ってたっす!」ガバッ

中嶋「サービスって・・・いいのか?」

店員「はい、御迷惑でなければ是非!」

中嶋「そういうことなら、ありがたくもらうとするか。」

東海林「店員さん、感謝するっす!」

店員「はい!ごゆっくりどうぞ。」

スタスタ

中嶋「で、CGプロってどこらへんにあるんだ?」

東海林「ちょっと待つっす。」スッ

中嶋「ん?それって今話題のスマホって奴か?」

東海林「そうっすよ。位置情報がすぐにわかるので地上を歩く時は便利っす。」

中嶋「地上は、ってことは山の上は使えないのか?」

東海林「使えないことはないっすけど、基本的に役に立たないっす。中嶋さんも便利だからって過信しちゃダメっすよ!」

中嶋「安心しろ。俺には使えないからな。」

東海林「そうっすか。でも、それが一番っすよ。」

中嶋「そうだな。便利だからって、頼りきりはいざという時に困るからな。」

東海林「中嶋さんは偉いっす!そういう人が増えてくれると俺達の余計な仕事も減ってくれるのにって感じっすよ。」

中嶋「余計な仕事?ひょっとして、富士山の世界遺産に登録された影響か?」

東海林「直接関係はないっすけど、登山がブームになってるのは確かっすね。登録後からは富山でも登山客が増えたっす。」

東海林「それで遭難者も増えてるっすけど、大抵の人が軽装か、スマホに頼って登ろうとして失敗するかのどちらかっす。」

中嶋「富士山も大変だって聞いたがそっちも大変だな。」

東海林「全くっすよ!最近はコンパスや地図もついてるんで、コレだけで山に登ろうとする人が増えているから本当に困るっす!」

中嶋「大変だな。それで、場所はわかったのか?」

東海林「もちろんっす。ここから30分位のとこにあるっす。」

中嶋「じゃあ、とっとと食べて向かわないとな。」

東海林「了解っす!」モグモグ

中嶋「ふぅ、なんか一日いろんな事があったなぁ。」

東海林「御馳走様っす。」

中嶋「もう食ったのかよ!?それじゃあ行くか?」

東海林「そうするっす。まだ残っていればいいっすけど・・・」

中嶋「まぁ、いないなら辻本達の自宅に向かえばいいさ。」

東海林「そうっすね。じゃあ会計済ませてくるんで、先に行っててほしいっす。」

中嶋「わかった、よろしくな。」

アリガトウゴザイマシター

ガラガラ

--------------------------------

中嶋「もうそろそろか・・・」

ガラガラ

東海林「・・・」

中嶋「どうした、東海林?浮かない顔して。」

東海林「あのグラタン、注文ミスで破棄する予定の物だったからお金は受け取れないって言われたっす・・・」

中嶋「・・・ってことは、タダだったのか?」

東海林「なんか無銭飲食した気分っすよ・・・」

中嶋「ならまた来ればいいじゃないか。その時に沢山注文して、お返しすればいいだろ?」

東海林「なるほど!そうっすね、後で夏美さんを誘って行くっす。」

中嶋「ああ、それがいいぞ。」

トコトコ

東海林「そういえば、中嶋さんはいつ結婚するっすか?」

中嶋「な!?お、俺は・・・」

東海林「中嶋さん、そんな風に立ち止まっちゃダメっす。」

東海林「崩落や転落する危険もありますし、何より足が竦んでどこにも行けなくなるっすよ。」

中嶋「・・・途中から登山の話になってないか?」

東海林「恋も登山も同んなじっす。確実な一歩を踏み出し続けることが大事っす。」

中嶋「確実な一歩、か。」

東海林「あ!踏み出すと言っても二歩踏み出しちゃダメっすよ。途中で力尽きやすくなるっす!」

中嶋「わかった、ありがとな東海林。」

東海林「どういたしましてっす。ところで美幸さんとは何処まで行ったっすか?」

中嶋「な!?い、いや、だからな・・・」

東海林「中嶋さん。そこで、一歩踏み出すっす。」

中嶋「そ、そうだな!えっと、実は告白しようとしたんだが・・・」

東海林「告白したんすね!?挙式は何時っすか?」

中嶋「お、落ち着け!それが、言い終わる前に気絶したんだ。」

東海林「ん?おかしいっすね。なんで気絶したってわかったんすか?」

中嶋「ただ一言、『うん・・・』とだけ言って返事がなくなったんだ。」

東海林「そうっすか。でも、中嶋さんもやる時はやる男でよかったっす。」

中嶋「まぁ、それに今言わないと後悔すると思ったしな。」

東海林「なんでっすか?」

中嶋「その時は対した怪我もなかったが、俺達はいつ死んでもおかしくない環境にいる。」

中嶋「だからその前に言っておかないと後悔すると・・・」

バシ

中嶋「痛!?何するんだ東海林!」

東海林「何、弱気になってるんすか!ふざけるのも大概にしてくださいよ!」

中嶋「い、いや俺は万一の可能性を・・・」

東海林「そんなの関係ないっす!俺達が死んだら悲しむ人がいるっすよ!」

中嶋「!」

東海林「俺だってそう思うことはあるっすよ。でも、それで弱気になったらダメっす!」

中嶋「・・・悪かった、弱気になったりして。」

東海林「いや、俺の方こそ叩いてすまないっす。」

中嶋「確かに弱気になったらダメだよな。」

東海林「そうっすよ。中嶋さんはもっと強気で行くといいっすよ。」

中嶋「ああ。だけど、お前は今朝死んだらどうとかって弱気になってなかったか?」

東海林「え?そんなことないっすよ?あはは・・・」

中嶋「・・・」ジドー

東海林「・・・」

中・東「「・・・・・・」」

東海林「・・・逃げるっす!」

中嶋「待て!東海林!」

タタタ

8月24日 午後06:30 CGプロ 玄関付近

夏美「そのセリフ、そっくりそのまま返すわよ!」

美幸「なんですって!?」

タタタ

東海林「あ、夏美さーん、美幸さーん、お久しぶりっす!」

中嶋「おーい!待てよ、東海林!」

夏美「あ、あれ?将司君!?・・・とついでに中島君。」

中嶋「俺はついでかよ!?」

美幸「でも中島君はともかく、巡査長はどうしてここに!?」

東海林「いやー休暇を「それは夏美から聞きました。」そうっすか?じゃあ他に何か?」

美幸「昨日富山を自転車で出発したのなら、どんなに急いでも明日までかかるはずですよ?」

中嶋「富山を出てすぐにトラックの運転手に東京まで相乗りさせてもらったらしいぞ。」

夏美「へ~」

東海林「あれ?夏美さん、その格好はどうしたっすか?」

夏美「あ、これ?普段着を新調してみたのよ、どう?」クルクル

美幸「夏美は巡査長が来るって聞いて、精一杯のおめかしをしたんですよ?」ニコニコ

中嶋「なるほど、道理で辻本にしては珍しい服装な訳だ。」ニヤリ

夏美「ちょっと美幸!」

東海林「そうだったんすか、よく似合ってるっすよ夏美さん!」

夏美「本当!?」

東海林「でも、俺は何時もの夏美さんの方がいいっす。」

夏美「・・・それって、私に可愛い格好は似合わないって事!?」ギリギリ

東海林「ち、違うっす・・・そういう意味じゃないっす・・・」

夏美「じゃあなんなのよ!」プンスカ

中嶋「東海林の趣味に合わせようとしないで、辻本は自分の好きな服を着てくれ、って事だよ。」

夏美「あ、そういう事!ごめん将司君。」

東海林「いいっすよ、中島さんもフォロー助かったっす。」

中嶋「気にするな。」

夏美「でもこれ結構気に入ってるのよ?動きやすいし、何より折角プロに見たててもらった服だし。」

東海林「へ~どこの店で買ったっすか?」

夏美「売り物じゃないわよ?なんてったって現役アイドルの衣装なんだから!」

美幸「実は知り合いのアイドルの紹介で、事務所の筆頭プロデューサーさんにコーディネートして頂いた衣装なんですよ。」

東海林「・・・へー」

中嶋(東海林の奴、『筆頭プロデューサーさん』に嫉妬してるな。)

夏美「あ、あれ?将司君、反応薄くない?」

東海林「別になんでもないっすよ?あ、美幸さんちょっといいっすか?」ニコニコ

美幸「どうかしましたか?」

東海林「一晩、夏美さんを借りるっす。」ヒョイ

夏美「ちょ、ちょっと将司君!?降ろしなさいよ!」バタバタ

美幸「わかりました・・・ちなみに、夏美は明日まで休暇ですから。」

夏美「美幸!そんなことはいいから助けてよ!」バタバタ

中嶋「・・・東海林、ちょっといいか?」

東海林「なんすか?」

夏美「中嶋君!」パァァ

中嶋「女物の服は高いぞ、乱暴に扱うなよ?」

夏美「ちょっとー!心配するところが違うでしょ!」バタバタ

東海林「わかってるっすよ、そうなったら新しいのを買うっす!」

中嶋(多分、わかってないな。)

中嶋「・・・ほどほどにしておけよ?」

東海林「了解!それじゃあ、失礼するっす。」

トコトコ

夏美「ちょっと、将司君降ろしなさいよー!」

ギャーギャー

美幸「・・・」

中嶋「行っちまったな・・・」

美幸「・・・」

中嶋「・・・」

中嶋(『確実な一歩を踏み出し続けることが大事っす。』・・・か。)

中嶋「・・・な、なあ小早川?」

美幸「う、うん・・・」

中嶋「・・・そ、その、こ、この後な・・・」

美幸「だ、大丈夫だから・・・お、落ち着いて、ね?」

中嶋「あ、ああ。その・・・小早川。」

美幸「うん・・・」

中嶋「こ、この後なんだが・・・め、飯でも・・・い、一緒にどうだ?」

美幸「う、うん・・・いいよ。」

中嶋「ほ、本当か!?」

美幸「でも、この辺ってレストランはなかったはずだけど?」

中嶋「それなんだが、ここから20分位歩いたところに喫茶店があってな。」

中嶋「今の時間は軽食だけじゃなくて食事をやってるらしいんだ、そこにしないか?」

美幸「うん、いいよ。じゃ、行こっか?」

中嶋「ああ。それじゃあ行くか。」

スタスタ

美幸「あ・・・」

ピタ

中嶋「どうした?」

美幸「ううん、なんでもないよ中嶋君。」

ギュ

中嶋「こ、小早川!?て・・・」

美幸「て?手がどうかしたの?」

中嶋「い、いや。何でもないぞ。」アタフタ

美幸「ほらほら、早く行きましょ!」

中嶋「そ、そうだな。」

美幸「そういえば、巡査長と一緒にいたみたいだけど。何処で会ったの?」

中嶋「ああ、それを説明すると少し長くなるが・・・」

美幸「いいよ?時間がかかっても、時間ならたくさんあるからね。」

中嶋「そ、そうか?それじゃあ今朝の話になるんだが・・・」

美幸「うんうん。」

中嶋(不器用な俺だけど、これからもよろしくな小早川。)

終わり

スタスタ

美幸「あ・・・」

ピタ

中嶋「どうした?」

美幸「ううん、なんでもないよ中嶋君。」

ギュ

中嶋「こ、小早川!?て・・・」

美幸「て?手がどうかしたの?」

中嶋「い、いや。何でもないぞ。」アタフタ

美幸「ほらほら、早く行きましょ!」

中嶋「そ、そうだな。」

美幸「そういえば、巡査長と一緒にいたみたいだけど。何処で会ったの?」

中嶋「ああ、それを説明すると少し長くなるが・・・」

美幸「いいよ?時間がかかっても、時間ならたくさんあるからね。」

中嶋「そ、そうか?それじゃあ今朝の話になるんだが・・・」

美幸「うんうん。」

中嶋(不器用な俺だけど、これからもよろしくな小早川。)

終わり

以上をもちまして終了とさせていただきます。
本当に長い間お付き合いくださいましてありがとうございました。

この後HTML化依頼を出しておきます。

次回は何時になるかわかりませんが、よろしければまたおつきあいしていただけると嬉しいです。

本当にありがとうございました!!

おつー 終わっちゃったか…
楽しく読ませてもらいました
なんか他に書いたものあれば教えて?

これは2作目で茄子さんのSSを書いたのが最初です。

同じ世界観を共有してます。
モバP「絵馬と願い事」
モバP「絵馬と願い事」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1375616325/)

よろしければどうぞ!

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