【グリマスSS】伊織「周防桃子がウチの事務所に入るですって?」 (50)

周防桃子
http://i.imgur.com/3Yp4gPn.jpg
http://i.imgur.com/AbctrIS.jpg

伊織「周防桃子って、あの人気子役の?」

P「そうだ」

伊織「どうしてこんな事務所に……」

P「俺もよく分からないんだが」

伊織「ふーん……、それで、何で私にそんな話を?」

P「……多分、周防さん、俺が担当することになるから」

伊織「えー!!!何なのよそれ!!私はどうなるのよ?!」

P「伊織は俺が引き続き担当するから」

伊織「あっそう……まあそれなら……
  でも、大丈夫なの?」

P「……多分」

伊織「心配ね……」

―そして対面の日―


P「……」ソワソワ

伊織「ちょっと、落ち着きなさいよ」

P「お、おう」

社長「やあ、おはよう。今日は765プロ劇場の新しい仲間を紹介する」

桃子「……初めまして、周防桃子です。11歳です。よろしくおねがいします。」

P「やあ、初めまして」

伊織(確かに大物の風格があるわね……)

桃子「お兄ちゃんは誰ですか?」

P「僕は、周防さんの担当プロデューサーだよ。
  これから一緒に頑張って行こうね」

桃子「…桃子のプロデューサー?そんなの、いらないのに……」

P「えっ?ま、まあ、そう言わずに……」

桃子「桃子のそばにいたいなら、桃子に逆らわないのが絶対条件だよ」

P「は、はあ」

伊織「ちょっとアンタ!さっきから聞いてればムゴゴ」

P「い、伊織、押さえて押さえて」

伊織「ムガー!(離しなさいよ!)」

桃子「社長、あのお兄ちゃんは業界何年目?」

社長「え?えーっと、何年目だったか」

桃子「……見たところ、結構若そう。子役の経験は?」

P「……ないよ」

伊織「むがー!」

桃子「それなら、桃子の方がギョーカイの先輩だね。
  お兄ちゃんを一人前にしてあげる!」

P「あ、あはは、よろしくご指導ご鞭撻のほど」

桃子「じゃあ早速ひとつ目ね!
  桃子の踏み台は必ずどこにでも持っていくこと!」

P「ふ、踏み台?」

桃子「そう、桃子の大事な踏み台、忘れないでね!」←140cm

社長(大丈夫かな?)

伊織「むがー!」

P「あ、すまん伊織」

伊織「ちょっとアンタ!窒息するかと思ったじゃないの!」

P「すまんすまん」

桃子「……そっちの人は?」

P「あ、こちらは僕の担当アイドルで、水瀬伊織さん
 これからは僕が二人を担当することになる」

桃子「……」

伊織「……」

伊織「あーら、ごきげんよう!私は、あなたの先輩の水瀬伊織よ!
  分かったら後輩なら後輩らしく……」

桃子「ふーん……」

伊織「ふーんって何よ!」

P「それで、この伊織が、しばらく周防さんの指導係になるよ」

桃子「ふーん……」

伊織「ふーん……、って、ちょっと待ちなさいよ!
  聞いてないわよ!」

P「うん、今決めたし」

伊織「はあ!!??」

桃子「……あんまりうるさいと、アイドルとしてイメージ良くないんじゃないの?」

伊織「はああああ!!!???」

P「というわけで、今日から3人で頑張っていこうな!はっはっは!」

伊織「このバカー!!」

伊織「はぁはぁ……叫んだら喉が渇いたわ。ジュース持ってきてちょうだい」

P「はいよ」

桃子「お兄ちゃん、私にも」

P「うん」

伊織「むっ」

P「じゃ、ちょっと待っててね」

伊織「ちょっと!えーっと、周防さん?一応この765プロ劇場では
  私が先輩なんだから、私の指示に……」

桃子「……」じー

伊織「な、何よ」

桃子「……」つーん!

伊織「……はあ?」

桃子「芸歴は何年?」

伊織「わ、私はこの劇場が出来た時から」

桃子「だったら、まだ一年もたってないよね?
  芸能界は桃子の方が長いんだから、逆に桃子に教えて貰う立場だと思うな」

伊織「なんですってー!!わ、私の方がアイドルとしては活動歴が長いわよ!」

桃子「……」つーん!

伊織「こ、このー!!」

P「お待たせ!オレンジジュースだけど、いいかな?」

伊織「ふん、よく分かってるじゃない!」

桃子「……」チラッ

伊織「……?」

桃子「桃子、違うのがいい」

P「あれ?どんなのがいいかな?」

桃子「うーん、桃子、よく分からないから、
  直接見て選びたいな」

P「え?そう?じゃあ給湯室に冷蔵庫あるから一緒に行こうか」

桃子「うん!」

桃子「……」チラッ

伊織「……?」

桃子「……」フフン

伊織「…………!!」

―桃子帰宅後―

伊織「むかつくむかつくむかつくー!!」

P「お、おいおい……」

伊織「なんなのよ!あの子はー!!!」

P「ふむ……」

やよい「い、伊織ちゃん!どうしたの?」

伊織「ちょっと聞いてよやよいー!今日入った新人がね、酷いのよー!」

やよい「うんうん」

伊織「それでね、このバカプロデューサーもかくかくしかじかで酷いのよー!」

やよい「えー!それは酷いですプロデューサー!」

P「うっ、やよいに怒られると効くなあ……
 ま、まあ、あの子はちょっと人との付き合い方がよく分かってないだけなんだよ」

伊織「本当かしら?とてもそれだけには見えなかったけど」

P「俺も、矯正のために頑張るし、伊織ならきっと最適な指導係になると思うんだ
 頼む!俺を助けてくれ!伊織!」

伊織「ふ、ふーん、そ、そんなに言うんなら、ちょっとくらい協力してあげてもいいけど」

P「ありがとう伊織」

伊織「ちょっとだけだからね!」

やよい「うっうー、伊織ちゃんとプロデューサー、元通り仲良しですー!!」

―別の日―

P「さーて、周防さん、今日はダンスレッスンだよ」

桃子「えー!またー?桃子、違うお仕事がいい!!
  お兄ちゃん、早く桃子にアイドルのお仕事させて!」

P「まあそう言わずに。舞台に立つには、レッスンがとっても重要だからね」

桃子「嫌!桃子、お兄ちゃんなんか知らない!」

P「あ、待って!」

桃子「あっ……」

伊織「あーら、有名子役さん?
   どこへ行くのかしら?」

桃子「おうちに帰るの!」

伊織「レッスンもしないで?」

桃子「だって、ダンスのレッスンなんてつまんないもん」

伊織「あーら、尻尾を巻いて逃げる気?」

桃子「え……?」

伊織「これじゃやっぱり、アイドルとしては私の方が上ね
  ダンスは圧倒的に私が上手いし」

桃子「……」

伊織「早く帰ればいいんじゃない?」

桃子「……桃子、ちょっと練習すればすぐ上手になるもん!」

桃子「お兄ちゃん、早く行こう!」

P「ああ」

P(感謝するよ、伊織)

―また別の日―

P「伊織!周防さん見なかったか?」

伊織「え?見てないけど?」

P「空き時間に学校の勉強をさせようとしたら逃亡したんだ!」

伊織「はぁ?やれやれね……」

伊織「あ、社長が呼んでたわよ。あの子は私が探すから。
  早く行きなさいよ」

P「そ、そうか、すまんな」

桃子「もう、桃子は学校のお勉強なんかしたくないのに……」

桃子「あれ?社長室にお兄ちゃん?桃子をほっとくなんて……
  ……何話してるんだろう」


社長「やあ、桃子君の調子はどうだね?」

P「はあ……中々、手を焼いています」

社長「まあ、そうだろうね」

P「毎日振り回されてますよ
 でも、あの周防桃子のプロデュースを希望したのは俺ですからね」

桃子(やっぱり……お兄ちゃんも今までの大人と一緒なのかな……?)

桃子(桃子が子役スターだから優しくしてるのかな……?)

社長「『同情するなら犬を飼え』『おでん』の大ヒットで、
  あの子は既に子役として芸能界に足跡を刻んだ子だ」

P「はい。しかし……」

社長「うむ、子役が順調に役者として成長するとは限らない!」

社長「子役として人気を博しながら、
  様々な要因から大成しなかった者は大勢いる」

P「アイドル事務所に移籍したのも、芸能活動を続けるにあたって
 迷いがあるからだと思います」

社長「うむ」

P「ですが……ここ数日周防さんと接してみて、
 彼女には、役者だけでなくアイドルとしても魅力ある子だということが
 分かってきました」

P「大分業界に慣れてしまっていますが、齢相応の素直さがある良い子です」

社長「そうだね。結局最終的には、素の部分から出る魅力がモノを言う場面もある」

P「最終的にどういう決断を下すのかは彼女次第ですが、
 アイドルとしても天下を取れる素材です」

社長「ふむ、アイドルとして輝くためには、
 そして、輝き続けるためにはどういうことが必要なのか
 是非、彼女に伝えてくれたまえ。期待しているよ」

P「はい!」

桃子「……」

伊織「あら、ここにいたの?プロデューサーが探してたわよ」

桃子「……うん。桃子、お勉強嫌だって逃げてきちゃったの
   でも、真面目にお勉強しようと思って」

伊織「……小学校の勉強なら、私もちょっとは見てあげられるけど?」

桃子「えー?!」

伊織「失礼な反応じゃないの……。さ、ビシバシいくわよ!」

桃子「桃子、お兄ちゃんがいいのに……」

社長「ところで、水瀬君を指導係にしたそうだね?」

P「はい。何となく似たところを感じたもので
 いきなり俺を格下認定したところなど」

社長「そうか……」

P「まあ、伊織の姿勢は周防さんにいい影響を与えると思います」

社長「ふむ、思うようにやりたまえ」

―後日―

伊織「ふう、レッスン終わったわよ」

桃子「お兄ちゃん、どうだった?」

P「今日もいい出来だったね。この分なら、もう大丈夫だろう」

桃子「大丈夫って?」

P「劇場でのデビューだよ」

桃子「本当!?」

伊織「まだ早いんじゃないかしら?」

桃子「ふふーん。やっぱりお兄ちゃんは私のことよく見てるよね」

P「周防さん、衣装ももう届いてるんだけど、着てみる?」

桃子「うん!」


桃子「……どう……かな?」

P「おお!すごく似合ってるよ。かわいい!」

伊織「まあまあじゃないかしら?」

桃子「そうかな……?えへへ」

桃子「……」サッ

桃子「……」ササッ

P「?」

伊織「……」(ちょっとプロデューサー、ポーズとってるんだから何か言ってあげなさいよ)

桃子「もう、お兄ちゃん!桃子がポーズをとったら感想言わなきゃダメじゃない!
  桃子のご機嫌をとるのがお兄ちゃんのお仕事なんだからね!」

P「お、おう……うおー!そのポーズ超かわいいよ!」

伊織「本当に駄目なんだから」

桃子「もうちょっと教育が必要だね」

―さらに後日 テレビ局―

桃子「お兄ちゃんどこー?……はぐれちゃった……」

桃子「このテレビ局来るの久しぶりだから道がよくわからない……」

桃子「別に、テレビ収録の見学なんか今更必要ないのに……」

記者A「あ、周防桃子ちゃん!」

桃子「え……困ります……」

記者B「桃子ちゃん!どうしてアイドルやろうと思ったの?」

記者C「桃子ちゃん!前の事務所の社長と喧嘩しちゃったって本当?」

記者D「桃子ちゃん!お父さんとかお母さんと仲悪くなったりしてない?」

桃子「あの……取材は事務所を通すことになってて……」

記者E「桃子ちゃん!こっち向いて!」

伊織「あー、事務所通さない取材はNGでーす!失礼しまーす!
  さ、こっちよ」

桃子「え、う、うん」

記者達「ま、待ってー!!」

伊織「ああいう記者達の対応は慣れてないのね」

桃子「だって……今日の記者さんたち、すごくこわかった……」

伊織「まあ、映画の記者会見みたいにはいかないわよね」ピ

桃子「どこか電話するの?」

伊織「ええ、あの馬鹿に…
  あ、プロデューサー?確保したわ。裏口に回してちょうだい」

記者達「待ってよー!桃子ちゃーん!!」

桃子「わっ!!追いつかれるよ!」

伊織「ちょっと走るわよ!」

桃子「はぁはぁ……もう走れない」

伊織「もうちょっとだから!頑張って!」

桃子「そんなこと言っても……きゃっ!!」

P「はぐれちゃってごめん!!」

伊織「本当よこのバカ!」

桃子(お姫様抱っこなんて……)

P「すぐそこに車あるから、そこまで我慢してね!」

桃子「う、うん」

伊織「そこ!キビキビ走りなさいよね」

伊織「ふぅ……何とか振り切ったわね……」

P「今日の記者は多かったなあ」

桃子「あの……」

桃子「どうもありがとう……」

伊織「……ま、どうってことないわよ。こんなこと
  元はといえばこいつが悪いんだし」

P「面目ないです。まあ、無事で良かったよ
 しかし今日は走ったなあ」

伊織「あんた、最後の方少し走っただけじゃないの」

桃子(あ……そういえばお姫様抱っこ……)

伊織「あれ?少し顔赤いわよ?やっぱり走らせ過ぎたかしら」

桃子「え……?も、桃子、大丈夫だし!
  もう、お兄ちゃん!桃子にずっと付いてなきゃダメじゃない!」

伊織「本当よ!全くダメな下僕ね!」

P「ご、ごめんなさい」

伊織「でもあのダッシュのおかげで何とか間に合いそうね」

P「ああ、ギリギリな」

桃子「劇場の出番のこと?」

P「ああ、とりあえず、デビュー前の見学はこれで最後かな」

―劇場―

P「ここからは伊織がメインだ
 周防さんには、伊織のステージを一回見てほしかったんだ」

桃子「どうして?」

P「伊織は、最初の頃、どんなアイドルとして活動するのか悩んでいたからね」

桃子「ふーん……」

P「最初は、かわいさを前面に押し出していたんだけど……」

P「次第に歌を中心に活動するようになった」

桃子「……どうして、歌を中心にしたの?」

P「伊織の希望だったんだけど、
 俺も伊織の歌には可能性を感じていたからね」

桃子「桃子も、歌中心なの?」

P「いや、それはまだ分からない。
 でも、周防さんも、自分なりのアイドルを見つけてほしい」

P「さ、始まるよ」

伊織「みんなー!今日は私を見に来てくれてありがとー!!
  最初は新曲、『プライヴェイト・ロードショウ』!!」

客「「うおおおおおおお!!」」

桃子「わっ!凄い歓声!」

P「伊織には熱狂的なファンが多いからね!」

桃子「え?聞こえない!あ、やっぱりいい!歌聞くから!」

P「え?何?」

伊織「みんな、今日は本当にありがとう。次はこの歌を聞いてください。
  『my song』」

観客「グスッ……いおりん……」

桃子(泣いてる人がいる…、大きな男の人が……)

P「うう、伊織~」

桃子(……間近で見るとちょっとキモいかも)

伊織「Stay この My Love Song
   エールくれる人よ
   愛を込め贈ろう
   Shine 輝いて
   ねぇ幸せあれ
   いま明日が生まれる」

桃子「……すごい……!」

―デビュー―

桃子「ようやく桃子の初仕事ね」

P「うん。頑張って行こう
 ……落ち着いてね、落ち着いて
 あ、飲み物持ってこようか?」

伊織「アンタが落ち着きなさいよ…」

桃子「お兄ちゃん、桃子、オレンジジュースがいい」

伊織「!!」

P「お?うん、用意してあるよ。はい」

桃子「ありがとう」

伊織「……ま、まあ今日は、私に任せてればいいから」

桃子「……でも、チャンスがあればどんどん前に出ていいんでしょ?」

P「!!……ああ、そうだ」

伊織「中々、言うじゃない?ついてこれるかしら?」

桃子「……ふふっ」

伊織「……にひひっ。じゃ、行くわよ!」

桃子・伊織「せーの!」


終わり
彼女たちの更なるステージに御期待下さい

―ある日―

桃子「ねえ」

伊織「どうしたの?」

桃子「どうして歌中心の活動にしたの?
  前はビジュアル中心だったんでしょ?」

伊織「と、唐突じゃない……誰に聞いたのよ?」

桃子「お兄ちゃんが言ってたよ」

伊織「あの馬鹿……」

桃子「むむ……」

伊織「な、何よその顔」

桃子「お兄ちゃん絡みだね?」

伊織「べ、別に、そんなこと」

―回想―

伊織「ボーカルレッスンこんなもんでいいでしょ?」

P「え?もう一回やろうよ」

伊織「……正直言って、あんまり身になってるとは思えないのよね」

P「どうして?」

伊織「だって、ウチには、千早とか、あずさとか、歌が凄い子はいるし……」

P「……うん、千早とかは確かに伊織よりは技術が上かな」

伊織「ハッキリ言うわね……私はトップアイドルになりたいの!
  だから自分の強い部分を伸ばしたいのよ」

P「でも、俺は伊織の歌好きだけどね」

伊織「へ?」

P「人前で歌う以上、最低限の技術は必要だけど……
 そこから先は天性のものだと俺は思う」

伊織「天性って……」

P「声質かな、歌い方かな、それとも他の何か……
 聞く人におっ!と思わせるものが伊織の歌にはあるよ」

P「伊織の歌はトップアイドルになれるもの……だと思う」

伊織「……」

P「じゃ、もう一回やろうか」

伊織「わ、分かったわよ……」

―回想終わり―

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