男「夏が終わる...」(13)

短め。

ゆったりと投下します。

彼女の誕生日に、神様はサプライズパーティーを開いた。
決して忘れることがないような、世界規模でのサプライズ。

女「夜になって、浴衣に縁側で涼しく月見ですか」

男「そんな感じ、湯冷めしないように、髪ちゃんと拭けよ」

女「ありがと、何回も言われてもう拭き終わってるけどね」

男「さすが我、妻よ」

女「そんな見た目で言われても実感がないわ」

男「なにをいうか、どんな見た目でも、俺はお前の旦那だ」

女「小学生の旦那様」

男「そういうおまえも…

…『人妻女子校生』ってエロいな」

女「シネ」

男「もう夏も終わるって言うのに日中は暑かったなぁ」

女「ホントねぇ。もうセミはまったく鳴いてないけど、残暑ってヤツかしらね」

男「小さいころは蝉取りとか喜んでしてたのになぁ」

女「大きくなるととたんに触れなくなるのよね」

男「そうそう、なんか気持ち悪いんだよね。うじゃ~って」

女「本で読んだことあるけど虫を殺すのが怖くなるっていうのも理由のひとつらしいよ」

男「そうなのか・・・。たしかに命の重みって言うのかな。いろいろわかってくると今まで出来たものができなくなることってあるな」

女「でも、そのうちまたやりたくなるときがくるんじゃない?」

男「そうかもねぇ・・・」

女「逆に子供のころ嫌いなものが大人になってから好きになるものもあるよね」

男「ビールとかそうだよねぇ。昔は『ブーッなんだこの炭酸麦茶!!』って感じだったのに」

女「ハハッ…炭酸麦茶って」

男「あー、またのみてぇなぁ」

女「だめだよ、もう体だいぶ弱くなってるんだから!」

男「もう、炭酸麦茶にしか感じなくなってんのかなぁ…」

女「…」

男「…」

男「文化祭の調子はどう?」

女「『春風祭』?順調よ、みんな協力してるしね」

男「いいなぁ、女のクラスは『グリーン』だから、比較的まともなやつらばっかだろ」

女「そうね、あなたとは違ってまだまだ『大人の品格』を持ってる人ばっかりよ」

男「うちのクラスはほとんど男子高校生のノリだな『ウェーーイwwwウェーーイwww』って盛り上がってるよ…」

女「それ以上落とされないように、あんたは気をつけなさいよ」

男「いやでもアレがまた盛り上がるんだよね!体力も戻ってきたから騒ぎたい年頃で!」

女「お前が発端かよ」

男「そういえばこの前『レッド』に繰り上げられたやついたなぁ。」

女「なにしたの?」

男「どこにいても『うんこ』と『ちんこ』で爆笑してた」

女「バカじゃないの?」

男「イヤーあいつは面白かった。あやうく俺らまで『レッド』行きになるところだったよ」

女「あんたらが担ぎ上げたんじゃない!」

男「根はいいやつだからそのうち帰ってくるよ」

女「ホントしょうもないわね。あんたたち」

男「いやぁ、こりゃ芸人としてテレビデビューあるで?」

女「芸能界なめんな」

女「あ…桜の花びら」

男「ホントだ…丘の上の学校からかな?」

女「もうそんな季節か・・・まだ、なれないなぁ」

男「もうかれこれ20年みてきたから、俺はなれたぜ」

神様はあの日、世界中の人間の頭に直接、こう、呼びかけた。



「人間は増えすぎたので世界を巻き戻します。」

女「20年前のあの日…私と娘の誕生日。」

男「そうかもな…17年前か。あの子が消えたのも。」

17年前

女「ちょっと、あなた…アレから3年たってあの子、どんどん生まれたころに戻ってるわよ。何とか…なんとかしてよ。ねぇ、あなた、退行を止めて見せるとかって言ってたじゃない」

男「俺が出来るのはここまでなんだよ…許してくれ…本当に…すまない」

女「私に謝らないで!!謝るなら!この子に謝ってよ!」

男「…本当に、すまない!!!パパが!!頭悪いばっかりに!!!!!こんな!こんなことになってしまって!こんな姿でも!!!お前を…『生き続けさせてしまって』いる…」

女「….ッ!!!」

現在

男「…。」
(結局、娘は人か…魚かわからなくなるまで生きつづけた。)
(今でも俺の開発した技術は世界中で使われているが、どうせみんな小魚になって消えちまうんだ。大切な人が人じゃない、人の形になっていく様子なんて…)

女「,,,変な雰囲気にさせちゃったね。私はもう気にしてないから…ね?」

男「うん、今はもうこんな姿になって、研究開発でGETした金で田舎にこもって適当な学校で適当に遊ぶ。精神まで逆行させてくれた神様にかんしゃだなー」

女「さ、今日はもう寝る?明日も学校だよ」

男「そうだね。布団に行こうか。」

女「久しぶりに抱いてみる?今はー、10歳の体だよ?」

男「おいおい、アグネスじゃねーか。どーせ子供は出来ないけどな。」


fin



切ないな

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