ダンテ「学園都市か」(987)

ダンテ「随分と小奇麗な街じゃねえか」

学園都市、とあるビルの屋上。
真っ赤なコートを羽織り背中に巨大なギターケースを担ぐ銀髪の白人が気だるそうに呟く。

ダンテ「ちょっとはやく来すぎちまったかな。なんならトリッシュと一緒に来ても…」

ふとその相棒の女の事を思い起こす。

気まぐれで、このダンテでさえ振り回されるやっかいな女。
ダンテ「いや…ねえな。」


ダンテ「…へえ」
すんっと何かの匂いを嗅ぐかのように鼻を小さく鳴らす。

ダンテ「…つまみ食いするか」

男はそう呟くと10階以上あるビルの屋上から飛び降り、街の喧騒の中へ消えていった。

―――

黒子はとある廃ビルへ向かっていた。

数分前に奇妙な通報があったのである。
内容は廃ビル内でスキルアウトが銃撃戦。

それなら特に奇妙な話ではない。

だが問題はそれを通報した者のだ。
通報者自身がスキルアウトなのである。

その通報時の電話音声も異常だった。
通報者は叫び、助けて、助けてと懇願していた。
後ろからは多数の銃声と身の毛がよだつほどの絶叫。

スキルアウトがジャッジメントやアンチスキルに助けを請うなどありえない。
よほど切迫していて、とにかくなんでもいいから助けが欲しかったのか。

そして悲鳴と共に通話は途絶えた。

黒子は急いだ。

ぎりッと握る手に力が入る。

黒子が現場の廃ビルの前に着いた時は既にあたりは静かになっていた。

黒子「…」

アンチスキルも急行している。
待つべきか否か迷ったが、あの通報の状況ならば中には多数の負傷者がいる可能性が高い。

黒子「…行きますの…」

意を決して黒子は中へ入っていった。

悪寒を感じながら廃ビル内へと進んでいく。
時刻は午前、天気は快晴なのにもかかわらず中は薄暗かった。

黒子「…(不気味なほどに静かですの…)」

できるだけ足音を立てないように静かに歩くが、
その靴の裏と地面がこすれる僅かな音さえはっきりと聞こえるほどに静かだ。

万が一に備え、両手に釘を握る。
じんわりと冷たい汗が吹き出てくる。

一階のフロアを全て回ってみたが、何も見つからなかった。
続けて二階も回ってみたが同じだった。

黒子「(まさかいたずら…?)」

かもしれない。
まずスキルアウトが通報してくるなどと言うのがおかしい。
だがあの電話越しの銃声は解析によって本物と判明している。

わざわざその為に実弾を撃ちまくるのもおかしい。

そんなことをあれこれ考えながら三階に上がろうとした時。
疑念は全て吹き飛んだ。

黒子「(…この匂い…!!)」

湿った、鉄のような匂い。
階段を上がるにつれどんどん強くなっていく。

黒子の心臓の鼓動が急激に早まる。

三階に上がった黒子はあまりの惨状に胃の中の物を戻しそうになった。

阿鼻叫喚の地獄絵図。
一面が血の海。
天井に飛び散った血がポタポタと滴っている。
床にはおそらく人体の一部であったろう肉塊が大量に転がっている。

黒子「…!!うぅ…!!!」

溜まらず呻き声を漏らす。

黒子「(落ち着きなさい!黒子!!)」

黒子「(生存者を!!!生存者を探すのです!!!)」

自分に言い聞かせる。

ネロは出るのか?

恐る恐る見渡す。

大小さまざま銃、そして大量の薬莢が転がっている。
このスキルアウトはかなり重武装だ。

だがそんな彼らでさえこのざまだ。

黒子は考える。
彼らの傷は銃などの通常の武器によるものではない。
彼らを殺したのは恐らくかなり上位の能力者。

そして黒子の悪寒が更に強くなる。

ここまで躊躇無く人間を殺せるような相手がもしまだこのビル内にいたら―――

果たして確保することができるのか―――

ゴクっと黒子の喉が大きな音を立てる。

額から冷たい汗が雫となって滴る。

その時、後方からジャリ…と小さな音が聞こえた。

>>7出る

バッと勢い良く振り向く。

その音の発信元はとなりの部屋へ繋がるドア。
大きく開け放たれている。
そしてその向こうにズリ…ズリ…と動く影が見えた。
本体は完全に向こうの部屋にいるため見えない。

だが何者かがいるのは確かだ。

黒子「…ジ、ジャッジメントですの!!!」

自分の弱気を払うかのように大きく叫ぶ。

その影が一瞬ピタッと止まるが、再び動き出す。

黒子「と、止まりなさい!!!」

だがその静止の声を無視して動く。
そして。
その何者かがそのドアから姿を現した。

黒子「…なッ…!」

それは黒いぼろきれを羽織った奇妙な人型の何か。
頭部には位置にはムンクの『叫び』のような表情をした仮面のようなもの。

ぼろきれの隙間から肉が全くついてない骨のような腕が。

黒子「…一体…何ですの…!?」

ぞわッと背中を何かが這い回る感覚。 

その化物は黒子の姿をみるや
コォォォォォォォォ!!!っと奇妙な声をあげた。

その瞬間周りに砂のようなものがどこからとも無くザァッと出現し、何かを形作り始めた。

黒子「え…!?え…!?」

その塊はあの化物と同じ形になる。

そして。
更に二体、同じ姿の化物が彼女を囲むように現れた。

黒子「―――!!!」

手には巨大な鎌。
その姿はまるで絵本にでてくるようなステレオタイプの死神そのものだった。

コォォォ!!!っと奇怪な音を上げながらゆらりと鎌を振り上げる。

黒子「は…?!」

そして黒子目がけて振り下ろした。

黒子「ッ!!!」
咄嗟に後ろへ跳ねる。

ゴンッ!!!と鈍い音を立てて床に鎌が突き刺さる。

黒子「一体何ですのよこれは!!!」

死神もどき達はのろのろとあたりを見回し、黒子の姿を見つけるとのそりと体の向きをかえる。

黒子「(とにかく!戦わなければ!!)」

ダン!!っと前の死神もどきが一気に距離を詰めてきた。

黒子「―――!!!」

鎌の鋭い切っ先が黒子の顔面目がけて振るわれる。

だがその鎌は空を切った。

黒子「こっちですわよ!!!」

黒子はその化物の真上にテレポートしていた。

そしてドロップキックを頭頂部にお見舞いする。

ゴン!!っと鈍い音。

黒子「(…ッ!!)」

ビリッと足が痺れる。
まるで石の塊を蹴ったような感触。
そしてかなりの重量があるらしく、死神もどきは微動だにしなかった。

トンッと離れた場所に着地する。

黒子「(…!あれだけ頑丈なら少しぐらい荒っぽくてもかまいませんわね!!)」

床に手をつく。
そして次の瞬間、彼女の手を中心にして直径1m程の穴が空いた。

それと同時に死神もどきの頭上に1mのコンクリート片が現れ、そのまま落下する。

ドゴン!!っと轟音を立てて死神もどきは地面に倒れこむ。

すかさず黒子は釘を飛ばし、拘束する。

黒子「(一体目ですの!)」

そして二体目も同じ戦法であっさりと床に磔にする。
突然速く動いたりするものの、基本的に鈍いらしい。

黒子「(次がラストですの)」

最後の一体をジッと見据える。

死神もどきはコァ!!っと声をあげ突進してきた。
だが黒子はテレポートし、難なく交わす。
死神もどきはそのまま壁に突撃し、激突した。

黒子「おバカさんですわね」
すかさず釘を飛ばす。

三体目もあっさりと壁に磔にされた。

黒子「(確保完了ですの!!!)」
黒子「(最初は驚きましたが…それほど強くありませんわね)」

磔にされている死神もどきを見る。
奇妙な声をあげながらもぞもぞ動いている。

黒子「(…人間…には見えませんわね…)」

先の出現した時の光景を思い出す。

黒子「(おそらく…能力による産物ですの…)」

その時、一体がビキビキっと音を立てて拘束を引き剥がそうとし始めた。

黒子「!」

通常、人間では到底抜けられない拘束を強引に解く。
ゴバ!!!っとコンクリートの破片が飛び散る。

黒子「(やはり人間では…なら少々手荒にいっても問題ありませんの)」
自由の身になった死神もどきがコァァァァァ!!!っと咆哮する。

黒子は近くの壁に手を当てる。

黒子「では、本気でやらせて貰いますわ」

その言葉と同時に、壁に穴があく。

そして目の前の死神もどきの頭部に重なるように直径1mの壁の破片が出現した。

ゴリィン!!!っと音が響く。

頭部を失った死神もどきの腕が力なくダラリと下がり、巨大な鎌が音を立てて床に落ちた。

そしてザァッっと音を立てて崩れ、砂になった。

少し黒子は安堵する。

万が一人間だったら取り返しのつかないことになっていただろう。
客観的に見れば正当防衛が成り立つが、それでも彼女は人殺しには絶対なりたくない。

残りの二体が咆哮をあげ、拘束を破ろうとする。

黒子「悪いことは言いませんの。おとなしくしてなさい」

だがその声にかまわず二体は拘束から力づくで脱出する。

黒子は両手を壁につける。

黒子「残念ですわ」

その瞬間、残りの二体の頭部も巨大なコンクリート片に入れ替わり砂となって散った。

黒子「…もういないみたいですわね」

耳を澄ますが音は一切聞こえない。

黒子「…生存者を探しますの…」

戦闘からの緊張から解き放たれ、再び周囲の惨状に嫌でも意識が行く。
そこでふと疑問が湧く。

改めてみると、ここにいたスキルアウトは重装備だ。
それがあの程度の化物三体に皆殺しにされるだろうか?

釘で拘束できたくらいだ。

銃弾を叩き込めば倒せないにしても寄せ付けないくらいは簡単だ。
その間に逃げることもできる。
ここまで一方的に虐殺されるなら10体はいないと考えられない。

黒子「…」

まだいるかもしれない。

そう考えた時、背後から声が聞こえた。

「へえ。面白えな」

振り向くとそこには派手な服装の大男がいた。

血のように赤いコート、銀髪に灰色の瞳。
30代後半あたりの、端正な顔立ちの白人。
背中には巨大なギターケース。
そして腰にはこれまた巨大な二丁の拳銃。

どう見ても怪しい。

「それが能力ってやつか?」

男は薄ら笑いを浮かべながら緊張感の無い声で黒子へ声をかける。
この惨状を目の当たりにしながらも一切動じていない。

そしてその問いかけを聞く限り、先の死神もどきとの戦闘も見ていたはずだ。

黒子は確信する。

この男は何らかの形で関係している。
恐らく―――真犯人。

黒子「ジャッジメントですの」
腕章を見せながら告げる。

「JudgmentDeath...No?」

『Judgment』が進化した和製英語とでも思ったのだろうか。
『ですの』を含めた一つの言葉と勘違いしているのか。
ネイティブの発音で聞き返してくる。

黒子「(…外の人間のようですわね)」

外の能力者は珍しいが、
黒子は現に目撃し戦った経験もある。

かつて巨大な像を操る金髪のゴスロリ女と戦った。

黒子「あなたを殺人の容疑で現行犯逮捕しますの。あなたには黙秘―――」

「おいおい、どういう事だい?お嬢ちゃん」

男がふざけた調子を崩さずに声をあげる。

黒子「頭に手をのせなさい」

「ん?おまわりさんごっこか?」

黒子「命令ですの。頭に手を」

目の前の男は全く緊張していない。
あの黒子の戦いを見た上でのこの余裕。

釘を握る手に力が入る。

「俺なんか悪いことしたか?なら謝るぜ?」

完全に舐められている。
イラついてくる。

黒子「さもなければ力づくで拘束しますの!」

「そうしかめっつらすんなよ。せっかくの可愛い顔がもったいねぇぜ」

ピキッと黒子の額に青筋が入る。

黒子「これで最後ですわよ!!!」

「へぇ…改めてみると…こりゃ10年後が楽しみなお嬢ちゃんだ」

黒子の頭の中で何かが音を立てて切れた。

黒子「だまりなさいですの!!!!」
男の頭上へテレポートする。
ドロップキックを食らわすべく。

だが。
男は軽く身を捻るだけでそれをかわした。

黒子「…は?」

予想外の事に動揺し、少し体勢を崩しながら着地する。

「…ぶふ!!おいおいすげぇの履いてるな!」

パンツを見られたようだがそんなのはどうでも良かった。

黒子「(…なぜですの…!?まさか読心系…!?)」

テレポートを使った攻撃をかわすなんて、
その出現位置を前もって知らないと不可能だ。

だが黒子があれこれ考えを巡らせても目の前の男は特に反応していない。
本当に読心系なら、黒子の脳内の推理に何かしらの反応を見せても良いはずだ。

黒子「(…もう一度…試してみますの)」

「それにしても面白いなそr」

男の言葉が終わらないうちに再び頭上へテレポートする。

再びひらりとかわされる。

黒子「…!」

黒子「(…やはり何らかの形で読まれてるとしか…!)」
壁に寄りかかって腕組をしている男を睨む。

黒子「(フン…余裕たっぷりですこと…!)」

「生憎だが」

黒子「…なんですの?」

「何度も見せてくれるのは嬉しいんだがな、ガキのを見てもおr」

黒子「キィィィィィィィィ!!!!!」

黒子「(…)」
ふと気付く。

男が壁に寄りかかっている。
今ならそのまま磔にできる。

だがそれもわざとなのか。

黒子「(どうせこれも避けられるでしょうが…)」

ダメもとで手にある釘を男の赤いコートへテレポートさせる。

「あん?」

黒子「…へ?」

男はあっさりと壁に磔になった。

拍子抜けだった。
調子が狂う。

黒子「(一体何なのですの…この男は…)」

黒子「残念ですわね。終わりでs―――!」

終わったと思ったのもつかの間、男は一切力む様子も無く楽々とその拘束から抜け出した。
壁に深くめり込んでいる釘をスポスポと軽々と引き抜いていく。

黒子「(この男…!!)」
この男はとてつもない腕力の持ち主。

「で、次は?」

薄ら笑いを浮かべながら両手を広げ、黒子を挑発してくる。

黒子「上等ですわ!!」
そう言い放つと、黒子は床に手を付ける。

そして50cm程のコンクリート片が次々と男の頭上に出現する。

ゴンガン!!!っと重いコンクリートの破片が連続で降り注ぐ。

だが男は人間離れした反射神経でひょいひょいかわす。
死角のコンクリート片すら見えているかのように華麗にかわす。

かと思いきや。

今度は降り注ぐコンクリート片をパンチやキックをして弾きはじめた。

黒子「…は…?」

普通なら大怪我をする。
だが男の拳や足には傷一つつかない。

そして更に黒子を驚愕させる光景が。
その弾いたコンクリート片がまるで積み木のように綺麗に縦に積みあがっていくのである。

黒子「うそ…?」

あまりの事に黒子はコンクリート片をテレポートさせる作業を止めてしまった。
男が反応する。

「ん?終わりか?」

男の周りににはコンクリート片が積みあがったタワーが四本ほど聳え立っていた。

余裕過ぎる。
攻撃としてすら認識されていない。

黒子「(完全に遊ばれてますの!!!)」

黒子「(これじゃ埒が明きませんわ!!)」

黒子「(…なんとかあの男の体に触れられれば…!)」

黒子「(しかしあのふざけた腕力の相手に体術を挑むのも無謀ですの…!)」

黒子は考える。
そしてふと閃く。

相手の余裕につけこめば良い。


黒子「…参りましたわ」

「へえ」

黒子「わたくしは白井黒子」

そしてスッと手を差し出す。

読心系なら心を読まれる可能性もある。
それに敵なら普通は握手なんかしない。

これは一か八かの賭けだ。

「随分あっさりしてんな」

少し焦る。
が、

「まあいい。OK、仲直りしようぜ」

男は特に疑うそぶりも見せず近づいてくる。

黒子は自分でこんなバカらしい作戦を立てときながらふと思った。

この男は本当にバカなんじゃないかと。

男は黒子の小さな手をとった。

黒子「これで終わりですの!」

とびっきりの笑顔を向ける。
そして。
男の体をコンクリートの壁の中へテレポートさせた。

「あん?」

首から先だけが壁から生えている。
首の付け根から下は全てコンクリートの壁の中。
これ以上の拘束具があるだろうか。
さすがのこの男でもこれからは抜け出せないはずだ。

黒子「これでようやく仲直りですわ」

「ハッハァ~!すげえな!別の奴も飛ばせるんだな!」

黒子「…」

だが男は未だにふざけた調子を崩さない。
少しは焦っても良いはずだ。

黒子「(…まさか…いや…ありえませんですわね)」

この拘束から抜けるなど不可能だ。
頭からそのバカな想像を振り払う。

「ちょっと離れてな」

だが。
そのバカな想像が当たっていた。

ビキッ!!っと壁に亀裂が入る。

黒子「まさか―――!」

ゴバァ!!!っと突然壁が爆散した。
破片から逃れるため黒子は後方へテレポートする。

黒子「(…!そんな…!)」

男は何事も無かったかのようにその粉塵の中から現れた。
パンパンと体のチリを手ではらっている。

黒子「(こうなったら…かなり手荒ですが…仕方ありませんの!)」

床に散らばっている小さなコンクリート片を手に取る。
そして男の足首。
ちょうどアキレス腱の位置へテレポートさせた。

ガクン!!っと男の姿勢が崩れた。

黒子「(これで!!本当に終わりです…の…?)」

だがそれだけだった。
男は再びスッと元の姿勢に戻る。

「へぇ…そういう使い方もできるんだな」
そういいながら調子を確かめるかのように足踏みをしている。

黒子「(まさか…アキレス腱は完全に切断されたはずですの!!立ってられるはずが…!!!)」

「で、次はどこだ?」

ありえない。
瞬時に体を治癒させる能力なんて聞いたことが無い。

黒子「…ッ!そ、そんな…!」
黒子「(こ、こうなったら心臓に…いいえ!それだと死んでしまうかもしれませんの…!!)」
男を生け捕りにする方法が思いつかない。

「おッ」

突然男が辺りを見回し始めた。
その瞬間、男の背後に砂の塊のようなものが現れた。

黒子「(あれは…まさか…!?)」
見覚えがある。
ついさっき同じ現象を見た。

あの死神もどき。

「やっとおでましか」

そして男の背後にあの死神もどきが鎌を振り上げながら現れ―――

ドンッ!!!と男の背中に突き刺した―――
胸から鎌の先が飛び出す―――

黒子「…ッ!?」

周囲に次々と死神もどきが現れ、たて続けに男に鎌を突き刺していく。

ゾン!!ザン!!っと不気味な音が響く。

「へぇ、懐かしいなこのパターン」

男の声。
普通なら死んでいる。

だがその声には痛みすら感じられない。

「ハッ!やっとパーティの時間だぜ!」

黒子「…なッ…えッ…!?」

目の前の光景が理解できない。

「お嬢ちゃん、そこ動くなよ」

黒子へ言ったようだが、返事はできなかった。

次の瞬間、ゴギン!!!っという轟音と同時に男の両側にいた死神もどきが大きく吹き飛ばされた。

黒子は動けなかった。
ただ呆然とその光景を眺めていた。

男がパンチやキックのようなものを繰り出す。
『ようなもの』というのも、あまりにも速過ぎて黒子の目では捕えきれないからだ。

ドギン!!!ズン!!っと地響きと共に死神もどきがバラバラに砕け、壁へ叩きつけられる。

男は踊っているかのように立ち回っていく。

自分の胸に突き刺さってる鎌を引き抜き、ぶん投げる。
ゾリィィィン!!!っと死神もどきの頭部が切断される。

今度は一体の死神もどきを倒し、その上に飛びのる。
そして地面を蹴り、イェア!!!っと楽しそうに叫びながら、
まるでスケートボードのように乗り回し始めた。

ギャギャギャギャ!!!っとスケートボード代わりにされている哀れな死神もどきがどんどん磨り減っていく。
そして男は突然ピョンと飛び降りる。
哀れな死神もどきはそのまま壁に激突し砂となる。

狂っている。

黒子の頭にその一言が浮かんだ。

15体はいた死神もどきがあっという間に全滅した。

ビル内はその戦いで、というよりはその男にめちゃくちゃに破壊された。
壁や床、天井は大きく抉れている。

もう死神もどきが出てこないのを確認した男は突然ビシッ!!!とポーズを決め、
二の腕の部分を掴みながら

「JudgmentDeathNo!!!Yeah!!!」

と、なにやら勘違いしたままノリノリで叫んだ。
かっこいいのかダサいのか、
シリアスなのかコメディなのか良くわからない。

黒子「…」

「違うか?」

黒子「…それは…戦う前に言うものですの…」

「へえ」

黒子「…」

何から何まで調子が狂う。
凄惨な現場を見て、不気味な化物と戦った。
だがそんな事が全てこの目の前の得たいの知れない男の作り出す空気によって吹き飛ばされた。

まるでB級映画の世界に紛れ込んだような奇妙な気分だった。
この男が主人公で、それを中心にして世界がまわっているような。


もうどうでもいい。
はやく帰ってお姉さまと一緒の日常に戻りたい。
そう黒子は思った。

黒子「…あれ?」

ふと気がつくとあの男の姿はどこにも無かった。
現れたときと同じように、音も無く消えていた。

黒子「…」

あの男の事を考える。

あれで普通の人間だとは考えられない。
確実に何らかの能力者。


少なくともレベル4、いやレベル5相当かもしれない。
本気を見てないから底はわからない。

でもそれでも信じられない。
胸に大穴を開けられた人間が生きているなど。
そしてその後に大立ち回りを演じたなど。

黒子「はぁ…」

ため息。
遠くからアンチスキルのサイレンの音か聞こえる。

黒子「何て書けばいいんですの…報告書…」


―――

―――

真っ赤なコートを羽織り、背中に巨大なギターケースを背負った銀髪の大男が街を歩く。
かなり目立っているのか、周囲の視線が集る。
中には腰の銃に気付き慌てて目をそらす者もいる。

だが男は気にすることなく歩く。

ダンテ「……落ちつかねえ」

学園都市は少々居心地が悪い。

フォルトゥナのような様式美漂う荘厳な街並みもあまり好きじゃないが、
この近代的で、整っている明るい街並みも気に入らない。

ホームレスどころかヒゲ面で酒臭いジジイすらいない街。
チンピラっぽいガキまでがシャレた小奇麗な服を着てる。

むず痒くなってくる。

そしていたるところにある電子機器。
『故障したら殴って直す』レベルの機械音痴の彼を更にイラつかせる。

やはり彼にとっては薄汚く埃っぽいスラム街がお似合いだ。

ダンテ「…まさかな…」

不安が頭をよぎる。
『真面目』という言葉がこれ程に合わない彼にだって、
本気で悩む事は一つくらいある。

ダンテ「あるよな…ピザくらい…」

ダンテ「無かったら本物の地獄だぜここは」

他人にとってはどうでも良いような事に本気に頭を悩ませていると、
ふと50m先の二つの人影に目が止まった。

ダンテ「お」

白い修道服を着た少女とツンツン頭の少年。

ダンテ「いたいた」

彼が学園都市来る事になった原因の人物。

ダンテ「禁書目録ちゃん」


プロローグ 完


―――

10時まで休憩する。

・DMC側の時間軸は4の数年後。
・禁書側の時間軸はイギリスクーデターの三日後あたり。

ダンテがややアホっぽいのは4の小説版の、
『あまりにも強すぎるからたまにわざと攻撃食らったり隙を作ったりして楽しんでる』うんぬんを参考にしてるので。

今のところ登場予定なのはダンテ、ネロ、トリッシュ、ベリアル、ボルヴェルク(2の好敵手)、魔帝ムンドゥス、そしてわれらが兄貴バー(ry

第七区 とあるファミレス

禁書「とうまーとうまー! これがいい!!」

上条「お前これ4人用のピザだろ!なんか得体の知れないの乗っかってるし!」

禁書「えー」

上条「こっちのやっすいお子様ランチにしなさい!」
上条「(うう…帰国早々コンロとレンジが同時に壊れて水道も止まるなんて不幸すぎですよ…)」

「先ほど入ったニュースです。第七区の○×銀行に複数の強盗が押し入り…」

店内に置いてあるテレビからの結構重要なニュースも上条は「不幸」にも聞き逃す。

カランッ
いっらっしゃいませー

上条が自らを襲った不幸に頭を抱えてる中、一人の銀髪の大男が喫茶店に入ってきた。

上条「(うお…なんだあのメチャクチャかっけーおっさんは…でっけえギターだなってかすげえ派手なカッコしてる)」

店員に案内されたその男は通路を挟んで上条たちの真横のテーブルに来ると
ゴドンッ!と大きなギターケースを乱暴に床に置き、
ドサッ!っと椅子に腰を降ろした。

上条「(何入ってんだあのギターケース…そういえば服装もどことなく魔術ちっくな…ッ!!)」

上条の頭の中を不安がよぎる。
そう、上条たちは今までに何度も魔術師に狙われ、襲撃を受けてきた。

上条「(まさか…いや、きっとあの人はイギリスかどっかから来た普通のパンクな人だ…!)」
上条「(いや!!油断するな!いつもこういうパターンからとんでもない事になってるじゃねえか!)」

上条の不安を露とも知らずにインデックスは幸せそうにお子様ランチをほお張っている。
そんな上条に更なる追い討ちが。

銀髪男「あー このピザのLと…このストロベリーサンデー頼む」

上条「(日本語ペッラペラじゃねえか!!魔術師って100%このパターンですよね!!)」


銀髪男「さて…お前が幻想殺しの坊やかな?」

上条「うきゃぁぁぁあぁッ!!」

禁書「とうま?どうしt…ッ!!!」

銀髪男「よう、禁書目録のおチビちゃん」

禁書「ダッダッダダダダ…!!ダンテ!スススススパーダの息子!!」

ダンテ「…俺の事覚えてんのか?」

禁書「お、覚えてないけど見ればわかるんだよ!!」
禁書「かつて魔界を封じた伝説の悪魔スパーダの息子!!魔剣士ダンテ!!』
禁書「魔界の帝王ムンドゥスを封印した最強の半人半魔!!』

上条「な、なんか良くわからないけど物凄くヤバイお方ってのだけはわかりますよ!!」

ダンテ「グゥーッド。さすがだねえおチビちゃん。」

上条「う、うるせえ!!何しにきやがった!?何企んでやがる!?ローマ正教の魔術士か何かか?!」

ダンテ「…お前バカだろ。今説明してくれたじゃねえか」
ダンテ「用があるっちゃあるんだが、お前らをどうこうするつもりは無いから安心しな。」

上条「じゃあ何だ!?説明してくれ!!」

ダンテ「その前にピザだピザ。」

上条「へ?」

とある喫茶店の一角、とある三人を中心にして重い空気が漂う。
とはいえ重い空気を垂れ流しているのはツンツン頭の少年と修道服を纏った少女で、
事態の原因になった銀髪の男は何事も無く
ンン~グゥーッド等何やら英語で幸せそうに呟きながらピザをほお張っている。

上条「…で、何で来たんだ?何の用だ?」

ダンテ「…さて…どっから話そうかね」

とその時
バン!!ッと店のドアを乱暴に開け、何やら武装した男達が勢い良く入ってきた。

強盗1「床にふせろ!!ふせるんだ!!」
強盗2「死にたくねえなら言うことを聞け!オラァ!」

上条は頭に残っていたかすかな記憶を思い起こす。

上条「(ッ!!そういえば第七区で銀行強盗があったとか…!!)」

咄嗟にインデックスと一緒に机の下に潜る。
強盗犯達はアンチスキルとジャッジメントに追われていたのだろう。
サイレンの音が店を囲む―――。

上条「(さて…どうしたものか)」

店内に居る強盗犯は三人。
それぞれが銃器で武装。
トラブルがあったのか、何か興奮気味に口論している。

上条「(能力頼りの連中ならどうにかなったかもだが…銃はなあ…)」

禁書「とうま。ダメなんだよ。ここはじゃっじめんとに任せるんだよ。」

強盗1「おい!テメエ!」

上条「(うお!やべ!!こっちに来る!!)」

禁書「!!」ビクッ

上条達は驚いたが強盗犯の矛先は彼らではなく、
その真横でストベリーサンデーを何事も無く食す銀髪の大男であった。

強盗1「床にふせやがれ!」

ダンテ「いくら俺でも床に寝そべりながら食う程お行儀悪くないぜ。」

強盗1「うるせえ!死にてえのか?!」チャキ

銀髪の男は目の前に大口径の拳銃を突きつけられても平然と食し続ける。

上条「(あの余裕…インデックス曰くこいつメチャクチャ強いんだっけ…なんとかしてくれるんじゃね?!)」

強盗3「その余裕…お前能力者か? おい、やれ。」

強盗1「チッ!!」ガチ

ドンッ!!と炸裂音が店内に響く。

上条「…ッ!?」

至近距離から額に銃弾をブチ込まれ、銀髪男の鼻から上が吹き飛ぶ。
周囲に肉片が飛び散り、辺りには硝煙と血が混ざった形容し難い匂いが立ち込める。

上条「うそ…だろ…?」

力なく銀髪男の体がドッとテーブルに突っ伏した。

上条「テンメェェェェエエエエェエエエエェェエエ!!!」

その無残にも変わり果てた男を目の当たりにして嘔吐感がこみあげたが、
それ以上の怒りが彼を包んだ。

強盗1「何だ!てめえも死にてえのか!?」

上条「うるせぇ!!なんで殺した!!?ああ!?」

強盗3「目障りだ。そいつもやr」

「おい」

上条&強盗三人「え?」

頭の上半分吹き飛ばされた死体がムクリと起き上がる。

ダンテ「ダイニングテーブルでは静かにしなさいってママに習わなかったか?坊や」


上条と強盗三人は驚愕の余り口をパクパクさせる。

その間にも銀髪の男の頭部はみるみる再生していき、
10秒も経たないうちに元通りになった。

ダンテ「お行儀の悪い坊や達はお仕置きTIMEだ。」

呟くと、先ほど自分の額に銃弾を放った男の腕をガッと掴む。
そしてふがしの様にクシャっと握りつぶした。

強盗1「ガァアアアアアア!!」

まるで関節が一つ増えた様に見える腕を押さえながらのた打ち回る強盗犯。
銀髪の男の手にはいつ奪ったのか、その強盗犯の拳銃が握られている。

ダンテ「このオモチャは没収だ。ママにもっと教育的なのを買ってもらうんだな」

と言うとこれまたいとも簡単にベキベキッと握りつぶす。

強盗3「テ、テメエ!やっぱり能力者だったか!!」
強盗3「どういう能力か知らねえが、灰なっても生き返れるかぁ!!?」

ダンテ「さあな。灰になったことは無ぇからわからねえ」

リーダー格の強盗犯の腕から炎が噴出し、
銀髪の男を覆いつくす。

上条「(くそッ発火能力者か!!さすがにヤバイんじゃね!?俺の右t)」

ダンテ「ン~ンこれまたホットだな」

強盗3「…は?」

上条「えっ?」

業火の中から声が続く。

ダンテ「だがこの程度じゃあ俺のハートに火はつかねえぜ」

その言葉と同時にゴバッ!!と破壊音。

次の瞬間には先ほどまでリーダー格の強盗犯が立っていた場所には銀髪の大男が、
そしてその前方3mの壁にリーダー格の強盗犯が泡を吹きながらめり込んでいた。

上条からすればまるでテレポートでもしたかの様に見えたが、
その銀髪の男は前に飛び出して殴っただけである。

ただ、『とてつもない速度』で。

ダンテ「で、次はお前か?坊や」

強盗2「…ひ、ひぃ」

―――

―――

路上を奇妙な組み合わせの三人が歩く。
一人は白い修道服を着た小柄な少女。
一人は学生服を着たツンツン頭の少年。

そして真っ赤なコートに巨大なギターケースを担いでいる銀髪の白人大男。

上条「さっきの、あんた何の力を使ったんだ?やっぱ魔術か?」

ダンテ「いや 殴っただけだ。」

上条「…もしかして聖人?」

ダンテ「半分悪魔だ」

上条「…ほあ?」

禁書「半人半魔、父親が悪魔で母親が人間なんだよ」

上条「悪魔って…あの天使と悪魔の悪魔?」

禁書「とうま、何言ってるかわからないんだよ」

上条「悪魔…」

禁書「悪魔とは魔界の住人なの」

禁書「もともとこの世界と魔界は繋がる筈がなかったんだけど、太古の昔にある大悪魔が穴をあけて繋げちゃったの」

禁書「それでこの世界は魔界に侵略されて、滅ぼされされかけたんだけど、」

禁書「その時立ち上がったのがダンテの父親、英雄スパーダ!!」

禁書「自分も悪魔なのに人間側に付き、そして戦争を勝利に導き穴を塞いで侵略を防いだんだよ!」

上条「んん…なんか半分くらいしか分からなかったけど…」
上条「つまりこの方は人類を救った大英雄の息子さんなんですね!?」

禁書「ちっちっち それだけじゃないんだよ」

禁書「このダンテも数々の世界の危機を防ぎ、何度も人類を救っているんだよ!!」
禁書「既に父親を越えたとも言われてるんだよ!!」

上条「な…なんか…とにかく色々規格外な方というのが分かりました…!!」

ダンテ「悪魔ってのがどんなのか分かったかい?」

上条「いいえそこは全く」

ダンテ「だろうな」

ダンテ「あーあれだ、こっちの人間と同じく悪魔が暮らしていて、こっちの動物と同じく魔物が生態系を作ってる世界だ。」

上条「なんとなくわかった気がする…まてよ…俺がこの右腕で触ったらもしかしてダンテさんとか悪魔って消える?」

禁書「消えないんだよ。『悪魔』というちゃんとした『生命体』だから。」
禁書「全ての穴が塞がって、完全に魔界と切り離されたら『ありえない存在』になって消えるけど。」

上条「ん?穴は塞がったんじゃ?」

禁書「塞がったのは侵食が起こる大きな穴だけで、小さな穴は世界中に無数に残ったまんまなんだよ。」

ダンテ「そういう穴を通ってこっちに来るお客さんを、ブチのめすのが俺の仕事だ」

上条「そうそう、来た理由まだ聞いてなかったけど、ここに来たのもそういう悪魔をぶっ飛ばす為なのか?」

ダンテ「イェア」

上条「んで俺達になんか用があるって言ってなかったか?」

ダンテ「今回のお客さんの目的が禁書目録のおチビちゃんだ」

上条「なっ!?」

ダンテ「思い当たる節はたくさんあるだろぅ??なあ、禁書目録のおチビちゃん。」ニヤニヤ

ダンテ「なんせフォルトゥナの魔導書もたんまりその頭に入ってるしなぁ」ニヤニヤ
ダンテ「原典は俺が片っ端から処分したから、もうそのプリティな頭の中にしか存在しないわけよ」

禁書「フォルトゥナの術式はどれも、世界中の魔術師を集めても、魔力が全然足りなくて発動しないようなのばかりだけど…」

上条「今回の敵は人間じゃなくて悪魔…か…なあ、その狙ってる連中って結構ヤバイ奴らなのか?」

ダンテ「ああ。魔帝ムンドゥスの部下どもだ」

上条「まてい…?」

禁書「ムムムムムムンドゥス!!!?」

上条「なんなんだその『むんどす』って?」

禁書「魔帝ムンドゥス!!魔界の神であり王!!かつて人間界を滅ぼそうとした張本人なんだよ!!」

上条「うぉっ!!待てよ!!なんでそんなやべえ奴がインデックスを狙ってんだ!?」

禁書「というかダンテ!あなたが10年前に魔帝ムンドゥスを封印したはずじゃ!?」

ダンテ「ああ。まだ封印されてるぜ」
ダンテ「だから、その封印を解く為に部下がおチビちゃんを狙ってるわけだ」

禁書「確かに…私の頭の中にはかつてスパーダが使用した封印の術式が…」

ダンテ「そいつを解析して封印を解くつもりなんだろう」
ダンテ「まあムンドゥスのことだ。復活したらすぐにまた人間界侵攻するだろうよ」

上条「やべえじゃねえか!!」

ダンテ「もう一回俺が封印してやるってのもいいが、確実じゃねえぜ」
ダンテ「俺だって死にかけのギリギリでやっとできたんだからな」

上条「…インデックスを守るのが一番ということか…」

上条「つまり、ダンテさんはその悪魔達からインデックスを守りに来たのか?」

ダンテ「んん、まあそんなところかな」

上条「おお!そいつは頼もしいぜ!!」

禁書「ちょっと…確認していい?」

ダンテ「ああ?」

禁書「その背中の箱に入ってるのは魔剣『リベリオン』だよね?」

ダンテ「まあな」

禁書「あの、それでね…今回、ムンドゥスということは…魔剣『スパーダ』も使う気なのかな?」

上条「…?」

ダンテ「…復活しちまった場合な」

禁書「そ、そっか…」

上条「なんだ魔剣『スパーダ』って?」

禁書「とうま。絶対に復活阻止しなくちゃダメなんだよ!もし『スパーダ』を使うことになったら…」

上条「?そんなやべえ代物なのか?」

ダンテ「まあな」

禁書「前回のダンテが封印した時の場所はマレット島っていう島なんだけど…」

上条「?」

禁書「その島は魔剣『スパーダ』の力の余波で最終的に崩壊して消滅しちゃったの」

上条「!!」


―――

―――

同時刻
イギリス、ロンドンのバッキンガム宮殿のとある一室

この重苦しい空気漂う一室にイギリスの心臓部たるトップの者達が集っていた。
イギリス女王エリザード、
騎士派のトップ騎士団長(ナイトリーダー)、
イギリス清教のトップ最大主教の代理の神裂火織とステイル=マグヌス、

そしてこの重苦しい空気の原因を土産に持ってきたゲスト、『トリッシュ』。

外からは工事の音が聞こえる。
クーデターで破壊された部分の修復作業がはじまっていた。



神裂「そ、その…つまり、魔帝軍を止めないと再びムンドゥスが復活するということですね?」

トリッシュ「そう」

エリザード女王「ムンドゥス復活は持っての他」
エリザード女王「なんとしてでも禁書目録を守らねばならぬな」

トリッシュ「そゆこと」
トリッシュ「あなたたちは禁書目録を確保したらあとはこっちに任せて」

騎士団長「大丈夫なのか?」

トリッシュ「私とダンテがいればどうにかなるわよ」
トリッシュ「それにフォルトゥナのネロも上手くいけば増援に加わるし」

神裂「ネロさん…も…」

神裂とステイルは、ダンテ、ネロ、そしてこのトリッシュに面識がある。
数年前、フォルトゥナの術式をインデックスに記録する時にこの三人が同席していたのである。

※少し本筋から逸れるけど許して。
ねーちんとネロたちの出会いが書きたい。

~~~~~~数年前~~~~~~~~



伝説の魔剣士スパーダの物語。

悪魔でありながら、魔界を裏切り人間の為に戦い、そして救った英雄。

しかしスパーダ本人はその名や武勇伝が後世に残ることを由としなかった。
その為もあってか、いつしか事実は物語となり、数ある伝説となりの一つとなり人々の記憶から薄れていった。

天草式、必要悪の教会という裏世界に属している神裂すらスパーダの神話の神話は知らなかった。

しかしある時、人づてに『閻魔刀』の話を聞く。
全ての空間と次元を切断し、人と魔を分かつ、史上最強の刀。
その刃は神すら切り捨てると言われている刀。

その話に興味を持ち、神裂は必要悪の教会の蔵書を漁った。
そしてフォルトゥナという小さな城塞都市の教典を見つけた。
その中にスパーダの伝説と『閻魔刀』の事が書いてあった。

神裂はうすうす予想はついていたものの、その記述を見て落胆する。

『閻魔刀』とはスパーダが所有していた魔剣の一つ。
そこまでは問題ない。

だがこの大戦争の事は見ても眉唾だ。

そんな大規模な動乱があったのなら、世界中の書物になにかしら残ってない方がおかしい。
となると『閻魔刀』の存在自体も怪しい。

もし本当に存在したとしても、実際に見つけるのは不可能。
完全に失われたか、どこか人知れず厳重に封印されているだろう。
本物の聖杯を探し出すくらい困難なことだ。

その考えに行き着き、神裂の『閻魔刀』探求は終了した。

しかしその後しばらくした時、思わぬ形で再び『閻魔刀』の探究心に火がつく。

ある時、神裂とステイルはインデックスの護衛としてフォルトゥナへ向かうことを命じられた。
フォルトゥナの魔導書をインデックスに記録する為だ。

『悪魔狩り』を生業とする魔剣教団の本拠地、フォルトゥナ。
かつて一時期スパーダが治めていたという城塞都市国家。

とある事件以前までははほとんど外界と接触を持たず、必要悪の教会ですらその実態をほとんど把握していなかった
魔術サイドの闇の最深部。

いや、魔術サイドというよりも、『悪魔サイド』という独立した勢力として表現したほうが正しいのかもしれない。

そのフォルトゥナの鉄壁ベールを剥す事件が、神裂達が行く一年前に起こった。

最大主教の話によると、魔剣教団の上層部が神を作り出す事を目論んだという。
それに使われたのがスパーダの血と魔剣『スパーダ』、そして『閻魔刀』。
それをスパーダの血族が防いだとの事だった。

この事件を機に、フォルトゥナはいくらかオープンになり、
外界の各魔術機関とも盛んに交流する様になった。

そしてこの事件は魔術サイド全体を震撼させた。
(とはいえこのフォルトゥナの動乱を知っている者は魔術サイドの中でも極一部なのだが)

神を作るというのもかなりの事だが、それ以上に驚かせたのはかのスパーダの神話が事実だったという事だった。


そして神裂は打ち震えた。

『閻魔刀』が実在した。
しかもつい最近フォルトゥナで使用された。

インデックス護衛という任務があるにもかかわらず、まるで観光にでも行くかのように神裂は嬉々としてイギリスを旅立った。

復興作業が続くフォルトゥナに降り立った神裂達がまず驚いたのは、
街の中心にそそり立つ巨大な黒い石版だ。

綺麗に斜め一閃で切断されており、
切り落とされた上半分が傍に横たわっている。
切断される前は高さ200mはあっただろうか。

案内のフォルトゥナの者曰く、あれは聖碑、地獄門、と呼ばれるもので、魔界への扉だったらしい。
先の事件でスパーダの血族の者が『閻魔刀』を用いて切断したとのことだ。
材質は未知の物質で、その硬度は鋼鉄を遥かに凌ぐため、撤去作業ができず事件当時からあのままだという。

神裂はその光景に息を呑んだ。

どうやって刀で切断したのか想像がつかない。
もしかして『閻魔刀』とはとてつもなく巨大な物なのかもしれない。
刀とは名前だけで、実際は全く違う武器かもしれない。

思いを巡らしてるうちに、とある聖堂へ案内された。
魔導書の記録は翌日に予定されていたが、どうやら同席する者が急かした為このまますぐに行われるとの事だった。

位の高そうな者に謝罪されたが、神裂は快諾した。
先に用件を済ませて、フォルトゥナ城等スパーダゆかりの場所を巡りたかったのである。
ステイルに 君はわかってるのかい?これは任務だぞ と注意され表情を引き締めたが、胸の高鳴りは収まらなかった。

聖堂はかつて歌劇場として使われていたらしい。
中央に台座があり、その周りを半円状に長椅子が何重にも置かれていた。

彫刻が施された何本もの柱、200人ほど収容できる広さ、そして天井は高く中央の部分にはステンドグラス。
そこから外の光が真っ直ぐに台座に降り注いでいる。
この建物自体が芸術品だ。

だが良く見ると、柱の上の方が欠けたりしている。
そしてかの事件でここも戦いの場になったらしい。

神裂は一目見てそれが剣によるものだとわかる。

台座の奥は妙にガランとしていた。
恐らく何かの彫像が置いてあったのだろうが、戦闘で傷がつき撤去でもされたのだろう。

神裂は屋内を見渡す。
すると、余りにも場違いな服装をしている二人を見つけた。
神裂も人の事を言えないのだが。

周りの物が質素な服を着、頭にフードをかけているので尚更その二人が目立つ。

一人は20代後半あたりの金髪の妖艶な女性。

女の神裂ですら照れてしまうほど美しい。
台座の近くにある手すりに座って足をプラプラさせている。
黒のチューブトップとタイトな皮のパンツがよりいっそうその官能的なオーラを引き立てている。


そしてもう一人は恐らく30代後半の、赤いコートの銀髪の男。

長いすにだらしなく寝そべっている。
良く見ればかなり端正な顔立ちだ。
腰には巨大な拳銃。
そして一際異彩を放つのは傍に立てかけられた銀色の不気味な大剣。

ステイルもその二人を見つけたのか、なにやら怪訝な表情をしている。

インデックスはそんな二人を気にすることも無く先ほど 小腹がすいていましたらどうぞ と差し出された料理を貪っていた。

そんなインデックスを見て、
あの金髪の女性とは正反対の清らかな美しさの、
その料理を持ってきたキリエと呼ばれる女性が苦笑いをしていた。

その時、神裂と長いすに寝そべっていた銀髪の赤いコートの男の目があった。

銀髪の男は神裂を見るや、むくりと起き上がった。
そして神裂の全身を舐めるように眺める。
その男の視線に気付き、近くの手すりに座っていた金髪の女性もこっちを見る。

神裂「(…?)」

銀髪の男は立ち上がると、傍に立てかけてあった銀色の大剣を背中にかけ、つかつかと向かってきた。
金髪の女も続く。

さっきから奇妙な感覚がある。
あの男と目があった時からだ。

妙に落ち着かない。
体の奥底がザワザワする。

ステイルも同じだったようだ。
ジッと近づいてくる奇妙な二人を睨む。

そしてその二人は神裂達の目の前に来る。

後ろで料理を貪っていたインデックスがその二人を見てピタっと動きを止める。
良く見ると手が小刻みに震えている。

「あなた達がイギリス清教の?」

金髪の女が口を開く。

神裂「は、はい」

「で、禁書目録はその子?」

金髪の女がインデックスを指差す。

ステイル「そうだが。あなた達は?フォルトゥナの方には見えないが」
ステイル本人は隠しているつもりだろうが、警戒心を抱いているのは見え見えだった。

「あ~、助っ人ってところかしらね」

助っ人。
良く意味がわからない。
神裂がそれを聞き返そうか迷っていると、銀髪の男が口を開いた。

「ほぉ…あと三年…いやあと五年すりゃかなりホットになるぜお嬢ちゃん」
神裂をジロジロ見ながら意味不明な事を喋る。

神裂「…は?」

「あっちが禁書目録ってことはお嬢ちゃんとそっちの坊やは護衛ってとこか?」

銀髪の男は神裂の七天七刀を見ながら言葉を続ける。

神裂の横でなにやらチリッと音がした。
坊やと呼ばれステイルがイラついたのがわかる。
まあ実際に少年なのだが。

神裂「…はい」

「禁書目録ねえ…女ってのは聞いてたがこんなに若いとはねえ」

銀髪の男はインデックスに目を移す。

「へえ…こっちも将来が楽しみだな。いい女になるぜ」

その言葉を聞いて耐えかねたステイルが口を開く。

ステイル「おい!あんたさっきから何なんだ?!」

横から金髪の女性が銀髪の男に言う。

「あなた少しだまってなさいよ」

銀髪の男は苦笑いしながら両手を挙げ、へいへい という仕草でそれに答えた。

その時、聖堂のドアが勢い良く開き、一人の若い男が飛び込んできた。
目の前の二人ほどでは無いものの、その男も奇抜な姿をしていた。

青いコートに銀髪。

神裂達はその男の右手を見て驚いた。

異形の右手。
赤い甲羅のようなもので覆われ、その甲羅と甲羅の隙間が青白くぼんやりと光っていた。

キリエ「ネロ!」

インデックスに食事を出してくれたキリエと呼ばれていた女性が、その若い男のであろう名を呼んだ。

ネロ「悪い遅れた!って明日の予定じゃなかったのか?」
近くにいたフォルトゥナの者が事情を説明する。

その説明を聞くやいなや、ダンテの方を睨む。

ネロ「またあんたかよ」

ダンテへ声を投げかける。

ダンテ「いいじゃねえか。さっさと終わらせて帰りてえんだよ。今のこの街は退屈すぎてどうにかなっちまいそうだぜ」

ネロ「あんたがそう感じるならこっちとしては嬉しいね」

つかつかとネロが神裂とダンテ達のところへ歩いてくる。
なぜか近づいて来るにつれ右手の輝きが増す。

ネロ「で、あんた達がイギリス清教のか?」

神裂「は、はい」

それぞれが自己紹介を済ませる。

ネロ「それにしても三人とも随分と若いな」

ダンテ「だろ、その赤毛の坊やなんて昔のお前にそっくりじゃねえか。生意気そうな目つきとかよ」

ステイルが再びムッとする。
ネロはそのダンテの言葉をフンっと鼻で笑って流す。

トリッシュ「じゃ、役者がそろったことだし、早速はじめましょ」

その声を聞き、フードを被ったフォルトゥナの者達が魔導書を持って来て台座の上に乗せる。
その数は10冊。

ネロ「じゃあ皆出てくれ」
ネロが周囲の者達に外に出るよう促す。

神裂は少し困惑する。
大抵、魔導書を記録する時は厳かにやるものだ。
周囲に結界を何重にも張り、同席するものはそれ相応の霊装を着たりする。

だがここには結界が張られている気配も全く無いし、
神裂も人の事は言えないがこの目の前の三人の服装もおかしい。
そして何よりもこの三人には全く緊張感が無い。
ダンテにいたってはあくびして背伸びをしている。

神裂「(…舐めてるんでしょうかこの人たちは…)」

トリッシュが台座に向かい、なにやら魔導書を二つに分けている。
そして三冊積みあがった方にポンと手を載せ、

トリッシュ「こっちは記録しなくていい方ね」
と言った。

神裂は疑問に思った。
記録しないならなぜここに持ってくる?
そしてそれに返答したダンテの言葉は信じられないものだった。

ダンテ「今ぶっ壊せばいいのか?」

トリッシュ「やりたいならどうぞ」

魔導書を『ぶっ壊す』? ありえない。

魔導書とはただの本ではない。
それそのものが魔法陣と化しており、干渉を一切受け付けない。
しかもあれは原典だ。
たとえ傷をつけられたとしてもすぐに自己修復し、強力な迎撃術式が作動する。

どれだけ手を尽くしても封印するのが精一杯だ。
壊すなんて困難極まりない。

インデックスとステイルもそのやりとりに驚愕している。
神裂「(…何を言っているんでしょうかこの方達は…)」

いよいよ心配になってくる。

だが唖然としている三人を尻目に、トリッシュは三冊の魔導書をダンテに向かって適当に放り投げた。

インデックス「ね、ねぇ!!ちょ、ちょっと!!!」

耐えかねたインデックスが声を上げる。

インデックス「こ、壊すってどういうこと?」

ダンテ「その言葉のまんまだ」
そう返しながら床に落ちている三冊の魔導書を拾い積み上げる。

インデックス「む、無理じゃないかな?!」

ダンテ「まあ見てろって」
そういうとダンテは背中の大剣に手をかけ、

イェァァァ!!!

掛け声と同時に、積みあがっている魔導書目がけて一気に振り下ろした。

ゾン!!!っと三冊の魔導書が両断された。

バラッと切断された魔導書が無残にも散らばる。
そしてすぐに眩く燃え始め、5秒もたたずにしおしおと小さくなり跡形も無く消えた。

ダンテ「あん?なんだ。やけにしょぼいな」

イギリス清教の三人はあまりの光景に口が塞がらなかった。
目の前の男は魔導書の原典をいとも簡単に破壊してしまったのである。

ダンテ「おいトリッシュ。反撃なんかしてこねえぞこれ」

トリッシュ「あんたが強くやりすぎたんでしょ」
トリッシュ「少しくらい加減しなさいよ。本よそれ」

インデックス「そ、そんな…」

インデックスにはわかる。
決して魔導書が弱かったのではない。
むしろあの三冊は魔導書の中でもトップクラスの力を持っていたはずだ。

目の前の男には特に魔術を使った形跡も無い。
つまり腕力のみで破壊した。
力ずくでねじ伏せたのだ。

ありえない。

ここで神裂は先ほどダンテとトリッシュの姿を見た時に感じた違和感を思い出した。

まさか―――人間じゃない?

ダンテ「…なあ…帰って良いか?」

トリッシュ「うるさいわねすこし我慢しなさいよガキじゃあるまいし」

ネロ「さっさとやっちまおうぜ」

ネロはそう言い、インデックスに台座のところへ来るよう手で合図した。

ステイル「…質問は後にしとこう…済ませてきてくれ」

インデックス「…わかったんだよ」

ふらふらとインデックスが台座へ向かう。
ステイルと神裂は魔導書の中身が目に入らないよう、後ろに下がる。

トリッシュ「じゃあ最初はこれね」
ポンっとインデックスの前に一冊目を置く。

インデックスは首をかしげながらトリッシュの顔を見る。

トリッシュ「?どうしたの?はじめていいわよ?」

インデックス「…結界は?それとここにいるとあなた達も危ないかもなんだよ」

トリッシュ「心配ないわ」

インデックス「…一つ聞いて良い?」

トリッシュ「なあに?」

インデックス「あなた達、人間じゃないよね。悪魔?」

その言葉を聞いてネロはばつが悪そうに頭を軽く掻いた。
ダンテはニヤリと軽く笑った。

トリッシュ「そうよ。だから大丈夫」

すんなりとトリッシュは答えた。

インデックスは軽く頷き、魔導書の記録作業をはじめた。
15m程後ろではそのやりとりを聞いていた二人が呆然としていた。

―――

神裂はベッドに寝転がっていた。
魔導書の記録作業で疲れたのか、となりのベッドにいるインデックスは既に寝息をたてていた。

二人は今フォルトゥナ側が用意してくれた部屋にいる。
かつての騎士の寮であったらしい。
彼女達が泊まっているのは位の高い騎士専用の部屋であり、壁に見事な彫刻が施されている。

天井を見上げながら、ふーっと神裂は息を吐く。

色々ありすぎた。
『閻魔刀』の力の跡。
魔導書の破壊。
そして本物の悪魔に会うとは。

神裂の想像していた悪魔像とはかけ離れていた。
もっと異形の姿だと思っていた。

だがあの三人の姿はどう見ても人間だった。
ネロは右手が明らかに異形だったが、それ以外の部分や仕草等をみれば一番人間らしい。

トリッシュ曰く、神裂の悪魔像は当たっており、おかしいのはこの三人の方だと言っていた。

神裂「(なんか…私も疲れた…)」

睡魔が襲う。
そのまま身を委ね、まどろみの中へ落ちていった。

翌日、神裂ら一行はフォルトゥナの街を散策していた。

案内ということでネロが同行してくれている。
トリッシュもいつの間にかやってきて一緒に行動している。
だがダンテの姿がなかった。

トリッシュ曰く、仕事が入ったから嬉々として夜のうちにフォルトゥナを離れたとのことだった。

神裂「仕事…ですか?」

トリッシュ「『悪魔狩り』よ」

悪魔が悪魔を狩る。
一瞬奇妙に思ったが、よくよく考えれば人間の世界でも賞金稼ぎという職業がある。
特に突っ込まなかった。

一人で納得していると、トリッシュがいきなり別の話題を出してきた。

トリッシュ「あなた、聖人でしょ?」

神裂「…!?そ、そうですけど…なんでわかったんですか?」

トリッシュ「匂いよ」

神裂は一瞬ドキッとする。
理由がどうあれ、女の子としては匂いがどうこうの言われるのはやっぱりちょっと居心地が悪い。

トリッシュ「ネロ。やっぱりこの子聖人みたいよ」

ネロは特に興味なさそうに へえ と返す。

トリッシュ「ほら、この子も刀使うみたいよ」
トリッシュが神裂の腰にある七天七刀を指差す。

『この子も』
そこに神裂はピンときた。
ネロも刀を使うのか。

どんな刀を使ってるのか。
悪魔の剣術はどんなものなのか。
悪魔の体で繰り出される技はどんなものなのか。

神裂の中に一気に一人の剣士としての興味が湧いた。

一度、手合わせしてみたい。

神裂「あの…」

ネロ「?」

神裂「一度、お手合わせを…」
恐る恐る頼んでみる。

ネロ「…あ~…」

ネロは困惑する。
神裂は非常に長い刀を持っている。
その何気ない身のこなしからも結構な使い手だというのがわかる。

だが年端も行かない女の子と刃を交わらせるのはやはり気が引ける。

ダンテなら相手が女だろうがなんだろうが速攻OKをだしているだろう。

トリッシュ「いいじゃないの?少しぐらい。楽しい旅行の思い出作ってあげなさいよ」

その旅行という言葉を聞いてステイルがムッとする。
任務だ!と叫びたそうにうずうずしていた。

ネロ「…しょうがねえな。わかったよ。少しだけな」

一行は場所をかつての騎士の修練場に移した。

ネロの左手には剣身が銀、柄が赤の大剣。

神裂は少し落胆した。
どんな名刀が出てくるのか期待していたのである。
あの剣はどう見ても刀ではない。

それを察してか、トリッシュが20m程離れた場所から口を挟む。

トリッシュ「それでやるの?!あっちは使わないの!?」

ネロ「バカいってんじゃねーよ!使える訳ねーだろ!」

神裂は少しムッとする。
どうやら刀を使っているのは本当らしい。
だが神裂程度ではそれを使うレベルではないということだ。

神裂「(舐められたものです)」

神裂「(上等というものです。使わせてみせます)」

彼女は一気にネロへ向かっていった。

戦闘キター

>>170すまんキングクリムゾン

だがあまりにもあっさりと試合は終わった。

手合わせを始めて幾羽も無く、彼女の膝が地に着いた。

鍛錬に鍛錬を積み重ねた彼女の神速の刃は、全て軽くいなされかわされた。

そして彼女の七天七刀が。

あの火を噴く大剣に弾かれ宙を舞った。

そしてネロは無防備となった彼女の喉に刃を突きつけた。

レベルが違っていた。

確かに神裂は自分が最強だとは思っていない。

しかし聖人だ。
そして修練を積み重ねてきたプライドもある。
一対一の勝負は誰にも負けない自信があった。

だが圧倒的な力の差を証明された。

スピード、パワーもさることながら、何よりも異常だったのは反射神経だ。
目に見えない死角の攻撃すらまるでダンスでもしてるかのように華麗にかわす。

今まで真っ向勝負でここまで圧倒的に敗北した経験は無かった。

これが人間と悪魔の壁かと実感した。

厳密に言えば人間と悪魔の壁と言うよりはネロが特別なのだが。
実際神裂レベルならそこらの下等悪魔は簡単にあしらえるし、
かなり上位の高等悪魔とも充分戦える。

だがそんなことを露とも知らず、
神裂は初めての完璧な敗北感を味わいその場にうな垂れた。

その様子を見かねてネロが口を開いた。

ネロ「…わぁったよ。見せてやるよ『閻魔刀』」

神裂「…は?」

一瞬自分の耳を疑った。

『閻魔刀』

そう聞こえた。

神裂「…え?や、『閻魔刀』…ですか!?」

ネロ「ああ」
突然ネロの右手が光だした。

神裂「ほほほほほ本当ですか!!?あああの『閻魔刀』ですか!!?」

ネロ「?俺の知ってる『閻魔刀』はこれだけだぜ」
ズゥッ!とネロの右手から黒い鞘の刀がいきなり生えてきた。

神裂「そそそそそそそ…それが…!!!」

遠くから見ていたインデックスも硬直する。
一見するとやや長めの普通の刀だ。
だが少女はその刀が桁違いの代物だいうことがわかった。

まず人間界ではありえない程の存在だ。

インデックス「あれ…本物の…魔剣『閻魔刀』…!!!」

驚いてるのか怖がっているのか嬉しがっているのかわからない顔で神裂がとにかくバタバタする。

ネロ「そこから動くなよ」

ズウッとネロの目が赤く輝き始めた。

神裂「…え?」

次の瞬間、キン!!!と甲高い音が辺りに響いた。
神裂の目の前の空間に斜めの一筋の光の線。
そしてその線を境に上の風景がズズッと斜めにずりおちた。

神裂「…へ?」

ネロが『閻魔刀』で神裂の前の空間を切断したのである。
その後しばらくしてスウッとずれた風景が元に戻る。

神裂「…い、今のって…!?」

ネロ「こんなところだ」
『閻魔刀』が出てきたと時とは逆に右手にスウッと沈んでいった。

神裂はなぜネロが刀を使わなかったのかが分かった。

『閻魔刀』は余りにも力が高すぎるのである。

それも当然。
『閻魔刀』とは魔剣の中でも頂点の三本のうちの一つなのだから。

とてもじゃないが試合で使える代物ではない。
あんなのが使われていたら一瞬で神裂の体が真っ二つになっていただろう。



ネロ「でもあんたも強いぜ」
ネロ「あんたと同じくらいの頃の俺には勝ってるよ」

神裂「そ、そうですか?」

ネロ「あんたはもっと強くなる。機会があったらいつかもう一戦やろうぜ」

神裂「…ッ!はい!!!」

ネロとふらふらとしている神裂はギャラリーの三人と合流した。

ステイル「つ、つまり…あの地獄門を切り落としたのは…」

ネロは否定した。
一瞬喋って良いのかと聞くかのようにトリッシュの顔を見て、そして言った。

ネロ「あれはダンテがやった」

ダンテ。
先の事件を解決した者はスパーダの血族。

つまりダンテはスパーダの血を引いている。

イギリス清教の三人は皆その答えにたどり着いた。

いくらなんでも神裂弱すぎだろwwwww


……いや、そんなことないか

―――その日の夜―――

前日は衝撃の連続だったが、
今日はそれ以上だった。

ベッドの上で昨日と同じように息を吐く。
インデックスもまだ起きている。

日中の興奮がまだ冷めぬのか、もぞもぞとしきりに体を動かしている。

あの後トリッシュは 一応記録としてちゃんと残しておいたほうがいいかもね と、
ダンテの武勇伝をおおまかにインデックスらに聞かせた。

伝説の魔剣士スパーダの実の息子であること、母親が人間であること、

そしてダンテ自身が最強の存在として伝説になりつつあるということ。

そしてあの銀色の大剣は魔剣『リベリオン』。
『閻魔刀』と並ぶ、最強の剣の一つ。

あのふざけた調子の男がそんな英雄とは到底思えないが、
現に目の前で簡単に魔導書を破壊したのである。

直にその力の片鱗を目撃している。
信じる信じない以前の話だ。

>>183すまん、説明入れるの忘れた。
※この話の時期は数年前と言うことで、神裂はまだ唯閃すら会得していない未熟な頃

トリッシュは最後に付け加えた。
ダンテ自身は称えられるのをとにかく煙たがるから、この話は記録するだけにして。
ダンテが死んだら、その時は任せるわ。公開するもそのまましまっておくのも好きにして と。

三人はあの男が死ぬ状況など全く想像がつかなかったが。


その話が終わった時、インデックスが聞いた。

ネロ。あなたもじゃないの?と。

神裂とステイルはその質問の意味がいまいち理解できなかった。

だがネロはそれがわかったらしく、
らしいな とそっけなく答えた。

それにトリッシュが付け加えた。
次の伝説の候補ね ダンテと同じくその事をあんまり前に出したがらないけど と。

それの言葉を聞いて神裂とステイルも理解した。

ネロもまたスパーダの血を引いていると。

神裂「なんか…おとぎの世界へ紛れ込んだ気分です…」
そうベッドの上で呟き、少し滑稽に思う。

神裂は聖人だ。
表の世界からすれば彼女もファンタジーの登場人物だが、
だが今日会ったあの人物達は本物の生きる伝説・神話だ。

インデックス「…うん…」
隣のベッドから小さな返事。

神裂「さ、寝ましょう。明日は早いですからね」

インデックス「うん」

明日の朝、フォルトゥナを発つ。
ステイルによると最大主教から至急帰還し報告しろとの命が下ったそうだ。

報告は建前で本当は土産話を早く聞きたいんだろうとステイルは言っていた。

神裂「おやすみなさい。インデックス」

インデックス「おやすみ。かおり」

―――

ちょっと休憩、一服する

次からは時間軸が現代へ戻ります

~~~~~~~~~
時間戻って現在
イギリス、ロンドンのバッキンガム宮殿のとある一室



トリッシュ「防衛戦はあなたたちに任せるわ」

エリザード女王「拒む理由は見当たらないな。」

エリザード女王「それに、どうやって嗅ぎ付けたのかは知らぬが、ついさっき学園都市側からも支援要請が届きおった」

騎士団長「それで、敵の兵力は?」

トリッシュ「たくさん、というところかしら」

エリザード女王「ステイル、騎士団長。こちらが送れる兵力は?」

ステイル「必要悪の教会から即展開可能な戦闘要員は310名です。三日ほどお時間を下されば1200名程揃いますが…」

騎士団長「即展開可能な騎士は900名…ですが先日の件によって皆疲労がピークに達しています」

この部屋にいる、トリッシュを省く全員は先日のクーデター勃発時からほとんど一睡もしていない。

エリザード女王「むう…」

エリザード女王「迎撃はダンテに任す。我らは禁書目録の守備に徹する」

エリザード女王「神裂火織、ステイル=マグヌス」

エリザード女王「人選はそなたらに任す。強者のみを率いて少数精鋭で学園都市へゆけ」

ステイル&神裂「はっ」

スーパーおもしろい支援

エリザード女王「騎士団長。騎士は派遣せぬ。国防と治安維持を継続させろ」
エリザード女王「今の状況、ローマ正教がどう動くかわからぬからな」

騎士団長「はっ」

エリザード女王「それでトリッシュとやら、先の話の限りでは、フォルトゥナからの増援は確実ではないように聞こえたが?」
エリザード女王「そのネロとやらはフォルトゥナの誇る最大戦力なのであろう?」

トリッシュ「あ~その件なんだけどね」

トリッシュ「三週間前に魔帝の手下に襲撃されたの」

ステイル「な…!?」

神裂「…?!」

トリッシュ「恋人が拉致されたりとか、かなり不利な状況だったんだけどなんとか撃退したみたい」
トリッシュ「それに相手も結構な奴よ。『ボルヴェルク』。聞いたことぐらいあるでしょ?※」

神裂「…確か、太古の神の一人が転生した悪魔ですよね?」

騎士団長「そうだ。それでムンドゥス配下の魔界の騎士になったと聞いたことがある」

ステイル「伝説級の存在だな…」

トリッシュ「そうそいつ」




※デビルメイクライ2に登場するボス。ダンテの好敵手として登場。
※高難易度だと下手するとラスボスより厄介
※wiki見てみると、実はオーディーンが悪魔に転生したというとんでもない奴。

神裂「それで、ネロさんにケガとかは?」

トリッシュ「私は見てないけど、聞くところによるとほぼ無傷だって」

ステイル「なぜ魔帝軍は彼を狙ったんだ?」

トリッシュ「仇敵の血を絶つため」

神裂「…」

ステイル「…」

トリッシュ「その襲撃であの子ブチギレちゃってね、今はその『ボルヴェルク』を追っかけてるらしいの」

ステイル「つまり、その件が終わるまでは増援として学園都市には来れないということか?」

トリッシュ「そうね。その『ボルヴェルク』が学園都市に来る魔帝軍に加わってれば別だけど」

神裂「そういうことですか…」

―――

各々が自分のやるべき事を再確認し、それぞれが席を立ち部屋から出て行く。

神裂「私は天草式を率いていきます。」

ステイル「大丈夫なのかい?彼らは特に疲労が積もってると思うが?」

神裂「私の『部下』にそんな軟弱者はいません。それに…また私だけ勝手に行ったら皆に怒られそうですし…」

ステイル「ふふ。なら良いな。君との相乗効果でかなりの戦力にもなるしね。」

ステイル「僕はシェリーを連れて行こう。彼女、先日の自分の不甲斐無さですごく不機嫌だしね。」
ステイル「あの鬱憤を晴らしてあげないとその内暴れだしそうだ。」

その時、彼らに後ろから声がかかる。

トリッシュ「ちょっといいかしら?赤毛君」

ステイル「?(もしかして僕の事か?)」


トリッシュ「あなたに渡したい物があるの」


ステイルと神裂は小さな一室へ案内された。
バッキンガム宮殿内の、トリッシュの滞在の為に用意された部屋。

無造作に脱ぎ捨てた衣服やら過激な下着。

目のやり場に困っている二人の未成年を気にすることも無く、
トリッシュはどこからか身長ほどもある大きなバッグを運び出してきた。

トリッシュ「よっ」

ガチャンッ!!とテーブルに置かれたバッグが大きな音を立てる。
そのバッグについているいくつもの拘束具を乱暴に外していき、ガチャガチャと中を漁りはじめた。

神裂とステイルは一目見て分かった。
その拘束具一つ一つにとんでもない術式と恐ろしい程の魔力が込められていると。
このバッグの中身はきっととてつもない代物だと。

トリッシュ「あったあった」

トリッシュはお目当ての物を取り出し、ゴドンッとテーブルの上にそれを置く。

「こ、これは…?!」

不気味な光沢を放つ、赤と黒の恐らく金属製の巨大な『篭手』。
その一品を目の当たりにした二人の魔術師の体を形容し難い戦慄が走る。

トリッシュ「『イフリート』よ」

『イフリート』。

地獄の業火の番人にして魔界最高位に属する伝説級の大悪魔。
ステイルら炎使いの魔術師にとって神とも呼べる存在。

ステイル「こ、これを…ぼ、僕に…!?」

トリッシュ「あげるわけじゃないわよ。レンタル。事が終わったら請求するからね。」

ステイル「おお…おぉぉお!!おおおぉおおおお!!!」

神裂「これが『イフリート』…一体どんな術式を組めばここまでの霊装を作れるんでしょうかね…」

神裂が独り言の様に呟くと

イフリート『我を人間共の小細工と並べる気か?小娘』

神裂「」

トリッシュ「霊装じゃないわよ」

神裂「しゃ…しゃしゃしゃ…!!!しゃべべべべった!!?」

トリッシュ「本物よ。本物の悪魔の『イフリート』。」

トリッシュ「太古の昔にどっかの誰かがイフリートを篭手にしちゃって封印したのよ。」
トリッシュ「それで10年前にダンテが封印を解いて契約の儀を行って使役、今はアイツの使い魔よ。」

神裂「は…はあ 契約の儀…使い魔…?」

トリッシュ「そう、地獄の業火で『魂』ごと焼かれて、それを耐えたら合格。」
トリッシュ「まっ人間なら一瞬で蒸発ね」

ステイル「…僕も…焼かれなきゃダメなのかい?」

トリッシュ「その心配は無いわよ。この子はアイツの命を受けてるから」
トリッシュ「代理使役のね」

トリッシュ「『イフリート』を装備すれば聖人並の体になるし、魔術の力も爆発的にあがるわ」

ステイル「おおお!!早速使用の為の術式を組まねば!!」

トリッシュ「でも気をつけなさい。」

ステイル「…?」

トリッシュ「ちょっと気を緩めれば『喰われる』わよ」
トリッシュ「もともと人間には到底扱えない存在なんだし」

トリッシュ「というか、半々の確率で死ぬわよ」

ステイル「…」

トリッシュ「できれば使わないでね」
トリッシュ「もうどうにもならないって場合の時だけにして」

トリッシュ「それと聖人のサムライガール、あなたにはこれ」ッス

神裂「これは…?」

それはおぞましいほどの苦悶の顔が刻まれている紫色の水晶のような物。

トリッシュ「『パープルオーブ』よ。悪魔の力が結晶化した物。」

神裂「ぱーぷるおーぶ?」

トリッシュ「使いたい時に肌に当てれば自然に溶け込んでいくわ」
トリッシュ「あなたはもうある程度完成されてるし、あとは全体的な力の底上げって事で」
トリッシュ「それを使えば一時的にネロくらいの強さになれるかもね」

神裂「!!!」

トリッシュ「ただ、いわばドーピングだからそれなりに負担は大きいし、莫大な魔力の塊だからこれも油断すると『喰われる』わよ」

神裂「は、はい!!」

トリッシュ「大事に使うのよ。私ですらそんなに持ってない希少な物なんだから」

トリッシュ「あ~あとこれ」
トリッシュは黒い石のようなものをステイルに手渡してきた。

トリッシュ「学園都市に着いてからは私と別行動だから、なんかあればこれで連絡して」

ステイル「連絡?霊装か?」

トリッシュ「いいえ。魔界の念話する虫の一種を固めたものよ」
トリッシュ「握って私を呼べば繋がるから」

神裂「む…む…ッ!」

ステイル「…虫…」

神裂「ス、ステイル、あなたが持っててください!」

ステイル「…虫…ね」

―――

―――

学園都市 窓の無いビル

土御門「…さすがのお前でも今回はプランとやらにねじ込む余裕は無いだろう」

アレイスター「利用できる部分は全て使わせてもらうつもりだよ」

土御門「それ、俺からしてみれば、大勢の命を賭けたギャンブルに聞こえるぜよ」

アレイスター「あながち間違ってはいないな」

土御門「チッ …で、今回はこっちも全力でやるんだろう?」
土御門「悪魔相手じゃ通常兵器は全く役に立たない」

アレイスター「うむ」

土御門「ということは能力者が主戦力だな」

アレイスター「当然だ。レベル5を筆頭に、あらゆる戦力を使う。もちろん君らもだ。準備して指示を待て」

どこからとも無く現れたテレポーターの腕に掴まりながら呟く。

土御門「はあ…さすがの俺でもここ最近色々ありすぎて疲労度MAXだにゃー…」

アレイスター「ふむ、この件が終わったら君の休暇について検討してみよう」

土御門「一ヶ月くらい欲しいにゃー」

アレイスター「却下する 最大で2日だ」

サングラスをかけた金髪の少年はうな垂れたままテレポーターと共にどこかへ『飛んで』いった。


prrrr

「お呼びでしょうか?」

アレイスター「第一級警報( コードレッド)発令準備、そのまま待機だ。」

「!!?」

アレイスター「状態はデフコン2、市民のシェルター避難の準備もしておけ。」

アレイスター「命令があり次第即行動できる様にだ。」

「りょ、了解」ブツッ

アレイスター「(さて…)」

アレイスター「(ヒューズ=カザキリ…確かに力は強大だが…)」
アレイスター「(それだけだな。彼らからするとただの愚鈍な的だ)」

―――

アレイスター「(エイワスは…万が一にでも倒されたら1000年は現出できぬかもしれん)」
アレイスター「(魔帝の復活となれば大悪魔達が集う。エイワスも倒されるかも知れぬしな)」

―――

アレイスター「(となるとやはり能力者でゆくべきか…)」

アレイスター「(レベル5の直接動かせる戦闘要員は第一位、第四位、第七位の三人)」
アレイスター「(第三位はゲコ太で誘導して、幻想殺しに『偶然』遭遇させれば後は勝手に戦列に加わるだろう)」

アレイスター「(やはり第二位の損失が響くな…強引に出撃させるか?)」
アレイスター「(いやあの体たらくだ。まともな戦いにすらならん)」

―――

アレイスター「(とはいえ魔術サイドは頼りない。)」

アレイスター「(やはり何か手を打たねばな)」

おもしれぇぇぇぇぇ

アレイスター「(ふむ…第一位を…。)」

―――

アレイスター「(…埋め込んで…いやちがうな…そこに第二位の…いやむしろ…そしてミサカネットワークで…)」

―――

アレイスター「(これ…だな)」
アレイスター「(少々強引だがプランも短縮できる)」

アレイスター「(ふふ…この高ぶり…恐怖の裏返しか、それとも歓喜か…)」
アレイスター「(私もまだまだ人間だという事だな…ふふ…)」

アレイスター「(面白くなりそうだ)」

―――

4やったけど結局ネロはなんで悪魔の右腕持ってんのかわからなかった。
バージルが関係してるのはわかるけど、

―――

学園都市 第七区

「(はあーあたしとしたことが)」

「(まさかこんな重要な情報を見過ごしていたなんて…まだまだ甘いわね)」

「(でもちゃんと手に入れたし結果オーライね♪)」

少女の手にはとある店で先ほど購入したゲコ太の限定ストラップ。
彼女が察知できなかったのは当然だ。
なぜならつい10分前に発表、そして5分後に発売開始された品なのだから。

「あれ…?」

ふと目を向けると、50m程離れた場所に見慣れた人影が。
特徴的なツンツン頭、レベル0でありながらレベル5の彼女の攻撃をことごとく退ける少年。

「(あ、あいつ…な、なんでこんな所にいるの!?)」

特に必要性が無いのに無駄に慌てる。

「(…連れがいるみたいね…?)」

少年の右側にはまたあの修道服を来た少女。
そして左側には巨大なギターケースを担いだ銀髪の大男。

「(…い、いや!連れがいても関係ないんだからね!!)」

「(よ…よし!!)」



―――

―――

上条「そうか…正に人類の危機ってやつだなこれは…」
上条「(いままで色々あったけど、今回が一番ヤバイ気がする…)」

ダンテ「…ところで、後ろのお嬢ちゃんは知り合いか?」

上条「?」

上条「ビ、ビリビリ!!?」

禁書「短髪!!?」

御坂「ビリビリゆーなぁ! 御坂美琴って名前がちゃんとあるのよ!!」

ダンテ「へえ…」ジー

御坂「な、なんですか?(というか誰?)」

ダンテ「…学園都市ってのは随分と上玉ぞろいだな」
ダンテ「今はまだノンヘアーだろうが、このお嬢ちゃんも10年後には最高にホットな女になるぜ」

上条「…ちょ…な、何をおっしゃってるんですか!!?」

御坂「な、なぁぁぁああぁ!?(す、少しくらいはあるわよ…!!!)」パリパリッ

ダンテ「(電気…?)」

禁書「?」

御坂「ちょ、ちょっと!!何なのよこの人!?」


上条「あ…お、おー…」

上条「お、おじさん!インデックスの!」

禁書「ちgフガモガッ」

ダンテ「…」

ダンテ「ダンテだ。よろしく お嬢ちゃん」

御坂「そ、そうなの?(変人の親族は同じく変人ね…)」

上条「御坂はなにしてんだ?」

御坂「よよよ、用事は終わったし、これから帰るところよ!」

上条「どうしたお前?なんか顔が赤いぞ?体調でも悪いのか?」ズイ

御坂「ちちちちちかかぁあちかっっ!!!!」パリパリパリッ

禁書「…」ジトー

上条「ちょちょちょ!放電するな!」

ダンテ「ほぉう…へぇ…」

ダンテ「ちょっといいか? それ、思い浮かべただけで出るのか?」

御坂「?」パリッ

ダンテ「電気」

御坂「ん~まあイメージすればね。他にも演算とかやんなきゃいけないことあるけど」

ダンテ「へえ…(悪魔のやり方に似てるな)」

上条「御坂はレベル5の第三位なんだぜ!通称レールガン!」

ダンテ「…それすごいのか?」

上条「あ~っと、つまり学園都市第三位の実力者ってことだ!」

御坂「ま、まあね。そーなんだけど」

ダンテ「へえ…そいつはすげぇな…最高に痺れるじゃねえか」ニヤァ

禁書「とうま、猛獣の前にエサをちらつかすのはあぶないかも」

上条「ダ、ダンテさん?!なんですかその危険なオーラは!!?」

御坂「な、何!?や、やるっていうの?!(なんなのよこの威圧感はッッ!!)」

そういや禁書って銀髪なんだっけ

御坂「い、言っとくけどね!そいつの方が強いのよ!私の攻撃一切効かないし!」

ダンテ「…へえ…お前強いのか…?」ジロッ

上条「こっちに振らないで下さい御坂サン!!いやぁ!!?そそその目で見ないで下さいダンテさん!!」


ダンテ「―――」ピクッ

上条&御坂&禁書「?」

ダンテ「悪い。用事だ」

上条「へ?」

ダンテ「また後でな」

上条「ま、待て!なんかあったのか?!まさかもう―――」


ダンテ「心配ねえ。パーティの開演はまだだ」

ダンテ「ちょっとしたつまみ食いさ」


そう言うと銀髪の大男は、上条達が返答する間もなく足早に路地裏へ入り消えた。

上条「つまみ食い…?」

禁書「とうま、任せといても心配ないんだよ」

上条「…」

御坂「…ちょっといい?」

上条「なんだ?」

御坂「あの人って一体何者なの?」
御坂「まさかあんたまた厄介事に首突っ込んでるの?」

上条「…いやっパーティだよ」
上条「しょ、食事会があるんだ」
上条「ほら、背中にギター背負ってただろ?」
上条「パーティの時に弾くんだ。その準備だよッ」

御坂「…そう…」

怪しい。
そして別にも引っかかる点がある。

彼女のレーダーが反応したのだ。
あの男は三人の視界から外れた途端とんでもない速度で移動し、
一瞬にして彼女の索敵範囲外へ離脱していったのである。

明らかに普通ではない。

御坂「本当?」

上条「…ああ」

上条は誰かが危険に晒されるのを極端に嫌う。
例えその誰かが赤の他人だろうと。

絶対に問題の外部の人間を自ら招き入れることは無い。
危険に晒されるのは自分だけでいい。
戦うのは自分だけでいい。

それがこの少年の絶対譲れないけじめ。
とある日に御坂美琴はそれを嫌と言うほどに突きつけられた。
今ここでどれだけ粘っても上条は彼女を招き入れないだろう。

御坂「…そう…あっ そろそろ帰らなくちゃ」

上条「?そうか、じゃあまたな」

御坂「うん、またね」

禁書「ばいばい短髪」

二人から離れ彼女は思う。

あんたが入れてくれないってんのなら―――。

こっちから無理やり飛び込むまでよ―――。

―――

ダンテ
桐生一馬
アカギ
天道総司

この辺は負ける姿が想像できない

>>261
勇次郎追加でお願いします

―――

ダンテは暗い路地にいた。

足元には切断された黒い左腕。

赤い毛が生え、指先には鋭い爪。

先ほどダンテが切り落とした、『ゴートリング』と呼ばれる高等悪魔の左腕である。
その悪魔自体は逃がしてしまった。

逃げられる事自体は特に珍しくない。
ダンテ自身が結構うっかり者なのでその隙を付けられることがあるし、
それに逃げる悪魔は別に追おうとは思わない。

だがこの時は少し違っていた。

戦闘中に突然別の感覚が彼の体を走ったのである。
その瞬間彼の体が反応し、無意識のうちに一瞬魔人化した。

ダンテ「…まさかな…」

その感覚には覚えがある。
スパーダの血の叫び。
魂の共鳴。

同じ血族の者の気配がどこからかする。

ダンテ「ネロか…?」

この感覚を引き起こす原因の者は三人知っている。
その内二人はもういない。
そして残るはネロ。

そうネロしかありえない。
ネロは今ボルヴェルクを追っている。
そのボルヴェルクも学園都市に来る魔帝軍に加わっていればネロが来てる可能性もある。
それしかない。

―――と、半年前のダンテならこう納得しただろう。

今は違う。

思い当たる人物がもう一人いる。

ゆうじろうってそんなに強いのか

半年ほど前のある日、ネロが突然事務所に電話をしてきた。

『閻魔刀』が突然『出てこなくなった』と。

その時は無くしたのかと思いネロをぶっ飛ばしてやろうかと思ったが、
詳しく話を聞くとどうやら普通に無くした訳ではなかったらしい。

『閻魔刀』が無いのにもかかわらずその力自体は失っていない。
なんかおかしい。
存在を感じるのに引き出せない。とネロは困惑していた。

ダンテにはわかった。

ネロに教える。

それは『閻魔刀』が別の者に召還された。と。

たまにダンテも『リベリオン』を召還することがあるからわかる。
魔剣は主に呼ばれると、どれ程距離があろうと一瞬で手元にやってくる。

そして続けて説明する。

存在を感じるのはお前がその召還した者と魂が繋がっているからだ。
いま残っている力は『閻魔刀』のじゃなく、もともとのお前の力だ。と。

>>267
人類最強とかそういう次元じゃないんだよな

>>267
スペック的に考えれば最強じゃないけど補正というかふいんき(ryが凄い

ネロは聞き返す。
『閻魔刀』を俺よりも強く呼んで召還できるやつなんているのかと。

ダンテは返す。

ああ、いる。
真の持ち主だ。バージル。
俺の兄貴だ。と。

ネロは再び困惑する。
死んだんじゃなかったのか?と。

ダンテは返す。
現にお前の話を聞くかぎりじゃあ復活したのは確実だろ。と

そう言いながらダンテ自身も己の言葉を反芻する。

復活。
今、バージルが生きている。

ニヤリと薄く笑う。

ネロは魂が繋がっているという点には特に疑問を持たなかったらしい。
それがスパーダの血族特有の物だと思っている。

ダンテは、
魂が繋がるなんて兄弟ですらおこらない。
もっと近しい関係じゃないとおこらない事 というのは伝えなかった。

勇次郎「ぬぅっ・・・この俺に刀など・・・不要・・・!!」 ペキッ

俺らの兄貴きたぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ

ネロは どうすればいい?探して取り戻したほうが良いのか?と聞く。

ダンテは
ひとまず様子見だ と返す。

バージルを探し出し『閻魔刀』を奪いネロの手に戻すのは非常に難しい。

バージルははっきり言うとダンテより強い。

バージルを最終的に殺したのはダンテだ。
だがその時のバージルは自我を失っていたし、力も不完全で『閻魔刀』も無かった。
その状態であるにも関らずダンテを追い込んだ。
ダンテはギリギリ勝てたのである。

そんなバージルが復活し今『閻魔刀』を持っている。
困難極まりない。

ネロどころかダンテでさえ返り討ちに合う可能性がある。
それにバージルはそれほど危険人物ではない。

過去に一度人間界を危機に陥れたが、それは間接的な結果だった。
バージルは人間を根絶やしとか征服とかには全く興味が無い男だ。

そしてもう一つ。ダンテが気が進まない点がある。

家族と殺し合いするのはもうごめんだ。と。

>>262
ダンテ
桐生一馬
アカギ
天道総司
塾長
ガッツ
勇次郎

この辺は負ける姿が想像できない

ダンテ「…」

路地裏で一人考える。

ダンテ「バージル…」

どこからか気配を感じる。
向こうもダンテを感じている。

既に学園都市にいるのか、
それともどこか別の場所にいるのかはわからない。

だが確実にこちらを意識している。

ダンテ「お前もこのパーティに混ざりたいのか?」

ムンドゥスの復活。
多くの世界・次元を巻き込んだ大イベントだ。

ダンテ「…」

最悪の事態を考える。
それは魔帝の復活ではない。

ダンテ「三度も殺り合うのはカンベンだぜ。バージル」

ポツリと呟き、路地裏をあとにする。

>>279
あとはラッキーマン辺りだなwww

―――


暗い路地裏を人間離れした速度で移動する人影があった。
グレーのスーツに黒い髪の壮年の男。
それだけなら特におかしい点は無い。
事実、先ほどまで普通に路上を歩き、人の流れに身を任せていた。


だが『変装』が解けはじめている今は違う。
大きく開かれた目からは赤い光が漏れている。

そして左腕が無かった。


一歩が20mを越える程の歩幅で、行き先も考えずにただひたすら走る。

先ほどの出来事を思い出す。
突如眼前に現れた赤いコートを羽織った悪魔。

魔界では高名な武人である、高等悪魔の彼ですら恐怖を覚えた。


『悪魔すら泣き出す( DEVIL MAY CRY)』と称される怪物。
スパーダの息子にしてムンドゥスを封印した、紛れも無く神クラスの悪魔。


無論、即座に逃亡した訳ではない。
全ての力を解き放ち、そして挑んだ。

が、次の瞬間には左腕が肩から切り落とされていた。

そのまま死を覚悟したが、突然ピタリと止まったためなんとか逃げることができた。

「(とにかく…今は逃げねば)」

あの強烈な一撃でほとんどの力を削ぎとられ、最早左腕さえ再生できない。
男は走り続ける。

「…」

何かを察知した男は急停止する。
路地の先には仁王立ちする小さな影が二つ。

匂いからして人間。

高等悪魔の彼にしてみれば道端の小石程度の小さな存在だが。
鋭い悪魔の勘が反応する。

男は油断せずにその二つの影を見据える。

―――

sien

http://www.youtube.com/watch?v=ATpe0f-WasA

―――
上条達と離れた後、御坂美琴はあの銀髪の『ダンテ』という男を探した。
後輩の白井黒子もなにやら心当たりがあるらしく、協力を快諾した。

二人は各地へテレポートしてはレーダー捜査を繰り返した。
そしてテレポート12回目にして遂に高速で移動する反応を捉え、
先回りしたのである。


御坂「…あの人…じゃない?」

黒子「…お、お姉さまッ!!」

御坂「…ッ!!?」

よく見ると男の左腕が無い。
しかしそれ以上に二人を驚かせたのはその男の顔である。
赤く光る瞳。

御坂「どうみても普通じゃないわね…」

黒子「一体何者なんですの…?」

男「人間の娘か…?」

御坂「(雰囲気的に…平和的にいかなさそうね…見るからに敵意むき出しだし)」

御坂の体が緊張する。
すぐにでも電撃を放てるように神経を研ぎ澄ます。
それを察知し、黒子も太ももにある釘を意識する。

御坂は考える。

こんな人間離れした速度で移動する人物が二人同時に現れるか?
学園の能力者ならおかしくない。

だがあの『ダンテ』という男もこの目の前の男も、
どう見ても学園都市の能力開発を受けた世代ではない。

とすると外部の能力者か?
そんなのが二人同時に偶然にも現れるか?

怪しすぎる。

御坂「聞きたいんだけど」

男「…」

御坂「『ダンテ』って銀髪の人知ってる?」

その言葉を聴いた途端男の表情が大きく歪む。

男「貴様…」

御坂「(…なんかキレたっぽい…)」

御坂「黒子」

>>287
相変わらずマジキチだな

返事をする間も無く黒子は男を拘束するべく、
黒子は男の真後ろ上の死角へ飛ぶ。


男の後頭部へドロップキックを、渾身の一撃を放つべく。
しかし黒子がテレポート先で見た光景は、予想とは異なっていた。

男の真後ろ上の死角へ飛んだはず。

なのになぜ―――

なぜ男はこちらを見据えて右腕を振り上げている?


ドンッ!!っと巨大な破壊音。
少女の体が大きく後方へ吹き飛ばされた。

目を開けると粉塵が舞っている。
パラパラと周りから何かの欠片が落ちる音が聞こえる。

黒子「…ッ!!」

起き上がろうとすると激痛が体を駆け巡った。
しかし痛みの他にもう一つ。
彼女が慣れ親しんだ―――電撃による痺れ。

御坂「黒子ッ!!大丈夫!!?」

黒子「だ、大丈夫ですの…!」

御坂美琴が放った電撃によって彼女の体は弾かれ、男が振り上げた右腕の直撃をすんでの所で免れたのだ。

その痺れの原因を放った少女の声の方へ目をやると、間に立つあの男、そしてその周りの惨状も目に入った。

男の足元のアスファルトがまるで砲弾が炸裂したかのように
直径5m程、深さ1mほど抉れていた。
大穴は両脇のビルへも食い込んでおり、壁が大きく崩れて屋内が見えていた。


あれが直撃していたら―――
黒子の脳裏に僅かな一瞬で枝分かれした別の未来が浮かぶ。
小さな体は原型を留めていなかっただろう。

しかし粉塵が晴れ男の姿が露になった時、その妄想は跡形も無く吹き飛んだ。

粉塵の中から現れた、人型の『何か』。

体の表面はゴツゴツしており、筋肉らしきものが大きく浮き出ており、
首から胸元と肘から先が赤い毛で覆われている。

指先には鋭い爪。
山羊の頭に巨大な角。
目から溢れている赤い光。

体の回りを黒い霧のような物がまとわり付いており、
そこから透かして見える奥の風景は絶えず揺らいでいる。

さっきの男と結びつくのは左腕が無いという点のみだった。

異形の化物は数刻前にも見た。
だが目の前の『それ』は明らかに異質だ。

ズゥ!!!っと凄まじい威圧感と恐怖が黒子の体に圧し掛かる。
『それ』を見た黒子は何も考えられず、体も完全に硬直した。
『逃げる』という事すら考え付かなかった。

『ゴートリング』。
十字教では『バフォメット』と呼ばれる大悪魔の種族。
高等悪魔の中でもさらに上位の存在。

黒子の体を固く縛る。
生命としての本能よりもさらに深淵―――魂の恐怖が。

が、突如聞こえた叫びが彼女を深淵の闇から呼び戻す。

「あぁぁあああぁあぁあああぁあああ!!!」

僅かに意識が戻る。
テレポートをしようと思う程の余裕は無かった。
地面を思いっきり蹴り、無我夢中でその場を離れる。


と同時に
バキンッ!!と大気を切り裂く音が響く。

oi
おい、御坂と黒子あきらかにヤベェだろ

一方その頃

オナニーしてたら右手から日本刀出てきてワロタwwww(2)

>>300
やめろwwwwwwwwwwwww

そういやDMCは3までしかやってなかったけなあ
暇だし4買ってやってみるかな

『アレ』はヤバイ
何なのかわからないけどとにかくヤバイ

殺らなきゃ 
殺られる

魂の叫びが御坂を突き動かし、防衛本能が爆発する。

「あぁぁあああぁあぁあああぁあああ!!!」

雄叫びを上げながら、
『化物』へ特大の電撃の槍をフルパワーで叩き込む。

「らぁぁあああああああ!!!」

とてつもない威力の電撃を立て続けに何発も叩き込んでいく。
辺りのアスファルトやコンクリートの壁がみるみる形を変えていく。

『化物』はその中を臆することなく猛烈な速度で正面から突進してくる。

真正面。外すことは無い。全弾当たり続ける。
当たるたびに僅かにひるみ、速度が落ちてる事からして効いているようだった。
だが『化物』は止まらなかった。

そして御坂の目の前まで接近してきた。

瞬間、御坂は電磁力を使って後方へ15m程飛ぶ。
とそれと同時に一瞬前まで彼女が居た場所に『化物』の拳が振り下ろされ、
ドンッ!!とアスファルトの地面を大きくめくり上げた。

>>302
リアルタイムスタイルチェンジ楽しいぞ
DMCは2以外どれも安心してプレイできる面白さ

「(近距離はヤバイ!!!!)」

飛び散った破片が彼女の電気シールドに遮られ、
バチンッバチンッと火花を散らす。

御坂は電撃を放ちながら、
そのまま後ろへ高速で下がり30m程距離をあける。


離れる御坂を追わずに、『化物』はその場で腕を畳み姿勢を低し
空手の中段突きのようにグッと構えた。

御坂にもわかる。
恐らく何らかの遠距離攻撃を放つつもりだ。

彼女の予想は当たっていたが、その攻撃の仕方は予想を遥かに超えていた。

『化物』は空へ拳を放つ。
爆発的な衝撃波を伴いながら、黒い『何か』が御坂へ突き進む。

『化物』と御坂の距離は30m。

目では確認できない程の速度で何かが接近してくる。
放たれた黒い『何か』を御坂はレーダーで感知し、
体を右に飛ばしてギリギリの所でかわす。

先ほどまで御坂の体があった空間を黒い棒のような物が貫いた。
衝撃波に耐えながら御坂はようやくその黒い棒を目で確認する。

それは『化物』から30m以上も延びている。

「(なッ!!?腕!!?)」


『化物』は腕を伸ばしたのである。

そしてその腕は更なる攻撃を加える為、
ギュンッっと鞭のようにしなりはじめた。

長さ30mもの腕が、
まるで怒り狂った大蛇が筒の中で暴れるかのように、狭い路地の中を左右上下に激しくうねる。

ガンッ!!ズンッ!!ドンッ!!っと両脇の壁・地面をえぐり、
巨大な溝を次々と刻んでいく。
一撃でも当たれば即死。

御坂はレーダーと電磁力による移動を駆使してギリギリの所をよけていく。
電撃で応戦する余裕は無い。

地形は縦に伸びる、幅が狭い路地。

『化物』は肉体を駆使して近距離で戦うタイプ。
ならば遠中距離戦を得意とする御坂は一定の距離を保ちつつ、
一つの面のみに弾幕を張れば一方的に攻撃を加えられる。

だがその地形による優勢はいまや崩壊し、逆に仇となっていた。

いつまでもよけてはいられない。
回避の限界点がもう目の前にまで迫っている。


だが彼女はレベル5。
この程度では追い詰められることは無い。

足元の地面が軋み盛り上がる。
それは彼女が仕込んだ、とある策の準備が整った合図。

「(もう良いわね)」

「(もうちょっと集めたいけど、そろそろこっちが限界だわ)」

御坂の次の手が発動した。

御坂の足元が大きく盛り上がり、そこから黒い砂のような物が一気に噴出す。
それは彼女が時間をかけ、広範囲の地中から集めた砂鉄。
どこからとも無くマンホールの蓋や、鉄製のガラクタも飛んでくる。

大量に集められた鉄がベキベキベキッと音を立てながら圧縮され、長さ5m太さ60cmはある二本の巨大な柱を形成した。

通常の剣サイズなら彼女は一瞬で精製できる。
だがその程度では、アスファルトをクッキーのように簡単に叩き割る『化物』に
傷をつける事は心もとない。

かといっていつかの時のようにレールがあるわけでもないし、ビルの重量を支える鉄骨を抜き取るわけにも行かない。

だから彼女は時間をかけ、広範囲の地中から大量の砂鉄を集めた。


御坂「(電撃で決定打を与えられないのなら!!)」
御坂「(物理的に叩き潰すまでよ!!)」

能力によって爆発的に加速された二本の鉄槌が、
学園都市のシェルターすらブチ抜く程の破壊力を持って、

うねる『化物』の腕と正面から激突した。

ゴッキィィィインッ!!と金属の衝突音。

衝撃で二本の鉄槌の先端が潰れるが、
『化物』の腕も大きく弾かれ、壁へめり込んだ。


すぐさまその黒い鞭は再び攻撃にうつるもことごとく二本の鉄槌が防ぐ。
激突により二本の鉄槌は潰れ破片が飛び散るも、
能力によって一瞬にして再生する。

そして鞭を避ける必要の無くなった御坂は再び『化物』の本体へ
連続して牽制の電撃を放つ。


御坂が10数回、鉄槌で鞭による攻撃を防いだところで、
『化物』は無駄と判断したのか、腕を縮め元の長さに戻した。

御坂も体制を立て直すため一旦電撃を辞め少し後ろに下がる。

上条「学園都市か」

一方その頃 台湾・台北

兄貴「学園都市か」

違います。

数秒間の沈黙。
お互いが睨み合う。


御坂はその間にレーダー・シールド・鉄槌等の演算を最適化し、
再チェックしバグを排除して整える。

「(…いけるッ!!)」

御坂の心には幾分か余裕が生まれていた。

その御坂に呼応するかのように、
『化物』のまわりにまとわりつく黒い揺らぎが濃くなり、
禍々しい威圧感がよりいっそう強くなった。

「(さて…どう切り崩すか…)」

スカートのポケットの中にある小さな金属の円盤を意識する。
彼女の最大の切り札。
ただそれの使用には多くの演算と力が必要になる。
必然的にレーダー・シールド・鉄槌の稼働率が大幅に下がる諸刃の刃。

あの速さで動く相手にそんな大きな隙を見せるわけにはいかない。
となると、どうにかして相手にも大きな隙を作らせ、
それに重ねるしかない。


「(電撃で無理なら)」

コレ
「(鉄槌でぶっ飛ばす)」

攻撃を防げたし、弾けた。
ならば『化物』本体にも効果はあるはず。
そのまま倒せても良し、ひるんでる間に切り札もぶち込める。

ではどうやって鉄槌を叩き込む?
加速させ飛ばすか?

一本だけだと確実にかわされる。
当てるなら二本同時に放ち、回避先を押さえるしかない。

だがそれでもかわされる危険性がある。
そして外れた鉄槌をこちらに引き戻す前に距離を詰められてしまう。
それじゃあどのみち追い込まれる。

となると近距離戦。
外れても即座に鉄槌を引き戻せる。

危険性は格段に上がるが、
勝てる可能性も確実に上がる。

御坂は腹を括る。

「おッしゃあああああ!!」

その雄叫びが再開の合図となった。

『化物』と少女はお互いをめがけて一気に飛び出す。

距離は6m。

先に攻撃を放ったのは御坂だった。
鉄槌を加速させ『化物』の頭上へ振り下ろす。

『化物』は右前方へ半歩動きかわす。
ドッゴォアアン!!っと鉄槌が地面に突き刺さる。

『化物』は勢い殺さずそのまま黒い右腕を御坂の顔めがけて振るう。
しかしもう一本の鉄槌が二人の間に割り込む。

ゴッリィィィィィンッ!!と鉄槌に強烈な一撃が食い込み、辺りに鉄の破片が飛び散る。
御坂は散弾となった破片をシールドで防ぎつつ、
『化物』の後ろの地面に刺さってる、先ほどかわされた鉄槌を引き抜く。

そして『化物』の後頭部めがけて飛ばす。

が、『化物』は姿勢を低くしそれもかわす。

ゴォンッ!!っと盾にしていた鉄槌に、かわされた鉄槌がぶつかる。

御坂「らぁッ!!」

御坂はとまどうことも無く、かわされた鉄槌を下に居る『化物』へ向かってそのまま落とす。

同時に『化物』は頭部の上へ右手をかざし防御体制をとりながら、
左足で御坂の腹部を蹴り上げようとする。

御坂もそれに反応し、『化物』の上に鉄槌を落としながら、
盾として使っているもう一本の鉄槌も操作して蹴りを防ぐために移動させる。

ゴォンッ!!!と内臓を揺さぶる程重い衝突音が二つかさなる。

高速で落ちてくる鉄槌を防ぎ弾いた『化物』の右手の黒い霧が衝撃で剥げ、
恐らく血であろう赤い液体が飛び散る。

『化物』の蹴りが直撃した盾の鉄槌はおおきく『く』の字に曲がる。
御坂は自ら後ろへ飛びその衝撃を吸収する。

御坂「(なんて蹴りなの…!!)」

繰り出されるのは察知しやすいが、その欠点を簡単に補うほどの圧倒的な威力だった。
あの蹴りが連発されると鉄槌の再生が追いつかず耐えられない。

『化物』は負傷した右腕に見向きもせずそのまま飛び出し、
こんどは右足でとび蹴りを繰り出す。

御坂「…!!」

再生しきってない鉄槌を間に移動させる。

バギイィィィン!!っと轟音が響き、鉄槌が切断された。

『化物』は盾を失った御坂へそのまま右手を繰り出す。
が、ギリギリのところでもう一本の鉄槌が間に入る。

ゴリィンッ!!!と鉄槌に爪痕が刻まれる。

幸いにも『化物』に落とした方の鉄槌は御坂側に弾かれていたため、
すぐに引き戻すことができたのである。

御坂は先ほど二つに折られた鉄槌を繋げないでそのまま使う。

「(なら!これはどうよっ?!)」

一つずつ『化物』の左右に移動させ、そして加速させて放った。

一つ目は右腕で防げる。
だが二つ目は、左腕が無い『化物』は移動してかわさなければならない。
移動するということは蹴りを放つのは難しい。
もし放たれたとしても無理な体勢からでは威力は激減する。

そして御坂は三発目として盾の鉄槌を前に突き出す。
前に出すだけなら、もし反撃されてもそのまま盾として使える。

だが結果は御坂の予想しないものになった。

『化物』は左右からの攻撃を無視したのである。

ゴキベキッ!!っと『化物』の体に鉄槌の欠片が両側からめり込み、赤い液体が辺りに散るが、
かまわず『化物』は前に出て、非の打ち所が無い完璧な蹴りを繰り出した。

バギィィィィィン!!っと今度は一撃で鉄槌が割られる。

御坂「!!!!」

咄嗟に電撃を放ちながら下がる。
その瞬間、御坂がいた空間が『化物』の右腕で
ゴウンッ!!と横になぎ払われた。

電撃を叩き込みながら御坂はそのまま後ろへ飛ぶ。

御坂「(マズイ!!どうする!!?)」

だが次の策を考える暇は無かった。

『化物』は真横へ飛んで電撃を避け、
そしてビルの壁面を蹴って一気に距離を詰めてきた。

御坂「ッ!!!」

『化物』は宙で身を捻り足を振り下ろす。

御坂「…ヤバッ……!!!」

御坂は電撃を放つのを辞め、
全ての演算を『跳躍』へ集中させ、おもいっきり後方へ体を飛ばす。

先端が音速に達するほどの蹴りが仰け反る御坂の目の前の空間を縦に割った。

その蹴りによって生まれた衝撃波に
髪の一部が巻き込まれ切断された。
僅かに回避が遅れていたら彼女の顔面がそぎ落とされていただろう。


振り落とされた足は地面を叩き割り、大量の破片が飛び散る。
全ての力を回避の跳躍にまわしていた為、
シールドが無い彼女に大量の破片が襲い掛かる。

御坂「あ゛あ゛ッ!!!」

すぐにシールドを復活させたものの防ぎきれなかった破片がわき腹にめり込む。

後方へそのまま吹き飛ばされる。

なんとか宙で体制を立て直し、地面に叩きつけられるのを免れる。
一気に嫌な汗が吹き出る。
呼吸に合わせて激痛が体中を跳ね回る。

御坂「あ゛ぁ…はぁ゛ッ…!!」

わき腹に手をやる。
どうやら腹を引き裂かれたわけではないらしい。

だがかなり強くうち付けた。

高速で動き、10億ボルトの電撃を放ち、巨大な鉄槌をあやつる彼女でも、
肉体そのものは普通の女子中学生である。

3で人間の女の子がけっこう悪魔と善戦してなかったっけ?
あの子能力とかなしで近代兵器のみだったような

『人間』

エコーのかかったような低い声が脳内に直接響いてきた。
恐らくあの『化物』の声。
だがそれに返答する余裕はなかった。
心臓はマシンガンのように鼓を刻んでいる。

最高出力の電撃を連続で放ち、
最高強度のシールドを張り、
大量の鉄を操作し、
高速で移動し、
通常の感覚はほとんど使わずに能力によるレーダーをフル稼動。

その演算のとてつもない負荷による疲労が、この一撃で一気に溢れ出てきた。
彼女の意識は朦朧としている。

『お前は強い』

頭の中に声が響く。


『名は?』


声を絞り出す。
スカートのポケットへ手を入れながら。

御坂「…御坂…御坂美琴…レベル5第三位…」

『覚えておこう』

御坂「ついでに…もう一つの名前も…」

スカートのポケットから手を出す。

御坂「いや…直接その体で体験しなさい」

そしてその手を『化物』へ向ける。
その指先にはゲームセンターのコイン。

化物は油断している。
今なら。

レーダーを照準の為の前面のみに絞り、
他の力はすべて切る。

距離は15m。
外さない。


覚えておきなさい―――


『超電磁砲』よ―――


何かを察知したのか、『化物』はすぐに少女へ正面から突進する。

同時に彼女の手から矢が放たれた―――

>>339
悪魔ではないけど一応彼女はスパーダに協力した巫女の血を引いてるらしい
まあだからといって生身の人間より強いのかどうかは定かではないけど

キュドッ!!!っと彼女の指先から音速の三倍もの速度で光の矢が放たれる。

その衝撃波が激闘で穴だらけになった路地の地面全体を更にえぐる。

そして光の矢は『化物』の胸へ直撃した。

ズッッッドォォアアアアアッ!!!!っと大気が大きく震える。


大量の粉塵が辺りを覆い、視界を遮る。


そして静寂。


御坂「…はぁ…はぁ…はぁ…」

少女の呼吸音のみ。



だが。

だが。だと?

だがまだだ。

御坂のレーダーが反応している。

『アレ』があの粉塵の向こうでまだ立っている。

その静寂が切り裂かれる。
粉塵の向こうから。

ヴォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛!!!!っと
この世のものとは思えない咆哮が響いた。

『化物』が粉塵の中からゆらりと出てくる。

胸にはサッカーボール大の大穴が開き、向こう側が見えていた。
全身も衝撃のせいか、ただれている。

御坂「全く…しっぶといわね!…なんで生きてるのよ…!」
わき腹を押さえながら叫ぶ。

この激痛ではさっきまでのような激しい接近戦は耐えられそうもない。

ならばもう一発。
もうかわされる心配などしてる余裕は無い。
奴もかなり負傷している。
きっと当てれる。
そう信じて全てを賭けるしかない。


『…あれは…nkjhhauのkjiiiajhbか…? kaajibxx見せてみろ…』

あの『化物』の声。
先ほどとは違いノイズのようなものが混ざってる。

意味は正確には分からなかったが、拾えたワードのみで勝手に解釈し答える。

御坂「…見せてあげるわよ。…だけど…あと一度しかやらないからね。」

それが合っていたのかはわからない。

だが『化物』はそれに答えるかのように少女へ向かって飛び出す。
その速度は最早先ほどとは比べ物にならないくらい遅く、
目だけでも簡単に補足できた。

進んで来る『化物』へコインをもった手を向ける。
狙いは頭部。
赤い目の間。


限界まで引き寄せる。

御坂「よく見てなさい」

御坂「これが『超電磁砲』よ―――。」

両者の距離が3mになった時。

2発目の破壊の矢が『化物』の額めがけて放たれた。

3mという至近距離で、
『化物』の額に音速の三倍でコインが直撃する。

『化物』は後方へ吹き飛ばされながら大きくのけぞり、
仰向けのまま地面へ落下した。

貫通したコインがそのまま突き進み後ろで粉塵を巻き上げた。


そして。


『化物』の頭部が完全に消失していた。
ピクリとも動かない。

御坂「…勝った…?」

するといきなりバキン!と石が割れるような音がした。

御坂「!?」

咄嗟に身構える。
よく見ると『化物』の体が徐々に白くなり、ヒビが入っていった。

御坂「…?」

そしてヒビが全体を覆い、『化物』の体が粉々に砕ける。
さらにその破片も砂になり、どこからとも無く吹いた風に巻かれ消えた。

『化物』の痕跡が完全に消え、徹底的に破壊された路地に御坂一人が取り残された。


御坂「勝った…あたし…勝ったんだ…」


緊張が解け、重要な事を思い出す。


御坂「…そういえば…!!黒子ッ!!?」

勝ったか

御坂「黒子ーッ!!黒子ーッ!!!」
御坂「(ま、まさか巻き込まれてたりしてないでしょうね!!?)」

黒子「お姉さま…?」

ツインテールの少女がひょっこり物陰から出てきた。

御坂「黒子…!黒子!!大丈夫!!!?」

黒子「お、お姉さま…う゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

走りながら号泣し、そのまま御坂の胸へ飛び込んだ。

黒子「ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛」

御坂「よしよしっ大丈夫だからね…もう終わったからね…」
優しく撫でながら囁き掛ける。

学園都市の屑共じゃ悪魔の相手にならんな

>>363
劇中ではそんな感じだった気がするが
ずっと悪魔狩人やってたらしいし上級雑魚ぐらいはあしらえるんじゃね

>>365小説版だと、4の時点でビアンコアンジェロ一体とほぼ互角

遠くからサイレンの音が聞こえる。
アンチスキルがこちらに急行しているのだろう。

だが今はこの少女を帰し落ち着かせるのが先決だ。
後で自分が出頭すれば良い。

御坂「さっ行きましょ。」
手を繋ぎ、優しく誘導しその場を離れ―――ようとした時―――


路地の向こうに二つの人影が―――

その目の位置に赤い光―――

でもレディは人間だから心臓さされたりしたら終わりなんだよな…よくがんばるわあの子(ゲーム中ではダンテに散々斬られたけど)
それに比べてダンテは頑丈だからってすぐ調子に乗るから困る

御坂「!!!?」

黒子「あ…!?」


御坂はグイッと黒子を自分の後に移動させる。
まるで怯えた園児のように黒子が御坂の背中に張り付く。

二つの人影がゆっくりと近づいてくる。
四つの赤い光が不気味に揺らいでいる。
どす黒く重い威圧感。
体の奥底の不快なざわつき。

御坂「(まさか…他にもいたなんて…!!)」

グイっとカーディガンが引っ張られる。
後ろの少女の震えが一段と激しくなった。

アグニ&ルドラがアップを始めました

ウ゛ン!!っと音がし、
二つの人影が形を変えた。

さっきまでいやというほど見ていたシルエット。
二本の大きな角に筋骨隆々の逞しい体。

御坂「掴まってなさい!!!」

叫び、小さな体を一気に抱きかかえ、
電磁力を使い敵と逆の方向へ跳ぶ。


とにかく逃げなければ―――

彼女のレーダーには後方から急速に迫る二つの反応―――

>>371
No talking!

ビルの壁面を駆け上がり屋上へ。
屋上から屋上へ飛び移る。

後ろからは依然二つの反応。
距離は離れるどころか徐々に縮む。

このままじゃ追いつかれる。
そしたら確実に負ける。

だがそれは絶対にできない。


黒子を支える手に力が入る。

お姫様抱っこされている黒子は御坂の首へ腕を巻き、
顔をうずめている。
小刻みな振るえが伝わってくる。

なんとしてでも―――

なんとしてでもこの子を守らなければ―――

クレイトスさんならいい勝負しそう。あっちも神々と戦ってるし、死んでも地獄から何回か戻って来てるし。

そういえばGOW3まであと1ヶ月切ったか
はやくあのハゲ操作してええええ

どうすれば逃げ切れる?
この子の今の精神状態じゃテレポートは到底不可能。

どうすれば―――

御坂の頭に一人の少年の顔が浮かぶ。

あんたなら―――どうするの?

おねがい―――

助けてよ―――



レーダーが急に反応する。
その瞬間今いる屋上が黒く長い棒で叩き割られた。

見たことがある。
あの伸びた腕。

御坂「!!!」

バランスを崩し、再びどこかの路地へ転落した。

なんとか体制を建て直し着地したものの、
同時に前後からダンッっと音が聞こえる。

目で確認するまでも無い。
追いつかれた。
そして挟まれた。

そして瞬時に前方の『化物』が両腕を大きくしならせ、
二人の少女へ振るった。

御坂の反応が遅れる。

御坂「(避けられn―――)」










「お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」

どこからともなく聞こえた叫びと同時に二人の少女の体へ何かが激突し、横へ大きく吹っ飛ばされた。
その直後にさっきまで二人が居た場所に二本の腕の鞭がドンッと振り下ろされた。

地面に叩きつけられたせいで意識が朦朧とする。

「大丈夫か!!?おい!!」

聞きなれた声。

そして

「おい!!御坂!!白井!!」

一番聞きたかった声。



御坂「…本当に来てくれた……」

上条当麻。

幸か不幸か、
いつも究極のタイミングで登場する男。

黒子「あ、あなたは…」

御坂「はやく…逃げなきゃ…」

上条「大丈夫だ。」

御坂&黒子「…え?」

上条「あの人がいる」


ふとあの『化物』達に目をやる。
『化物』は彼女達を見ていなかった。

その赤い目は壁面の上、
ビルの屋上のへりに立つ赤いコートの男へ注がれていた。

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     ;;;;;;:::::;;;;;;;;;;:::::;;;;;;;;:::/;;;;;;:::::::::;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::;;:;;;;:::ヽ

御坂「…あの目…!!?」

『化物』と同じように、
赤いコートの男の目には赤い光。
背中には何かを背負っている。


ダンテ「ヘィ!!」

屋上からあのふざけた調子の声が響く。

ダンテ「お姫様たちは無事かい?!」

上条「ああ!!大丈夫だ!!」

ダンテ「オーケィィ じゃあそこで―――じっとしてな。」

その男はビルの壁面をとんでもない速度で駆け下りて、
御坂達の前方にいる『化物』へ突き進んだ。


御坂はその瞬間に見た。
その男の背中。
銀色の不気味に光る、身長ほどもある大剣を。

イェェェェアッハァア!!!

いかにも楽しそうな男の声。

ドズンッ!!っと強烈な蹴りの一撃を『化物』の側頭部へお見舞いする。
ベギンッ!!っと角が折れ、そのまま吹き飛ばされ壁に激突、
ドッガァァァァァァァァン!!!と大穴を開ける。

御坂達の後方にいた『化物』が、彼女達を完全に無視してダンテに向かって突進する。

ダンテは笑いながらその両手に持つ、
長さ30cmはある巨大な黒と白の二丁の拳銃を向けた。

そしてドンドンドンドン!!!とその大砲を連射する。
銃口からその破壊力を物語る巨大な砲炎と強烈な衝撃波が噴出す。

更に放たれた銃弾はその見かけを遥かに凌駕した威力を持つ。
ダンテの莫大な魔力が練り込められてる対悪魔用の弾丸。

ドバッ!!ドバッ!!っと『化物』の体に次々と巨大な穴を開けていく。
だが『化物』は止まらない。
フォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛!!っと咆哮しながら怯むことなく突き進む。


ダンテ「Ha-ha!!C'mon!!!」

ついにダンテの目の前にまで到達した『化物』は、御坂を散々苦しめたその蹴りを放つ。

が、ダンテもホァ!!!っとカンフーのように叫んでそれに蹴りを重ねる。
二体の悪魔の蹴りが交差する。

ゴバァッ!!!っと地面が激突の衝撃で大きく抉れる。


そして『化物』の膝から先が千切とぶ。


ダンテはォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛っと呻く『化物』の腹をそのまま真上へ蹴り上げる。
左足を無くした『化物』は宙を舞う。


その『化物』が最期に見た光景は真下から向けられる巨大な銃口―――

そしてその向こうに見える薄ら笑いの顔―――

パチっと軽くウインク。

ダンテ「"Adios,Amigo"」

次の瞬間、破魔の銃弾の雨を浴びた『化物』は粉々になった。

御坂があそこまで梃子摺った敵を・・・・
さすがダンテさん

DMCのイベントシーンが容易に想像できるな

先に蹴り飛ばされた『化物』は再び向き直ると、ダンテへ向けて鞭の腕を放った。

ダンテは右手の銃を腰にしまい、背中の大剣へ手をまわす。
そして迫ってくる腕に向けて下から剣を振り上げた。

ダンテ「Drive!!!」

その瞬間ダンテの剣先から赤い衝撃波のようなものが射出された。

ゾリィィンッ!!と化物の腕が切断される。

赤い衝撃波はそれだけでは止まらず、後方のビルへ食い込み、
ドッゴォォオアアア!!!!と巨大な縦に長い穴を刻んだ。

ダンテ「…huh…」

明らかにちょっと強すぎだ。

ン゛ォ゛ォ゛ォ゛っと腕を切断された『化物』が呻く。

ダンテ「What's up!? Baby!! Ha-ha!!」

屈みながら両手でパンパンと軽く拍手し、まるで子犬を呼んでいるかのように挑発する。
『化物』はもう一方の腕を伸ばし、ダンテへ振るう。

だがダンテは軽く跳躍してそれをかわす。
そしてその腕の上へトンッ着地した。

ダンテって30後半なん?
もっと若くなかった

>>396
1は20後半、2は40オーバーだから4の後だと30後半でいいんじゃね

は? という声が化物から聞こえてきそうだった。

御坂たちにもわかった。
あの『化物』は目の前の光景に驚愕している。

『化物』は振り下ろそうと腕を振り回す。

だがダンテはハッハァ!!ヘィ!!!と何やら喚きながらその腕の上で華麗なステップを刻む。
そしてその腕の上にドサっと寝そべって背伸びをし始めた。

『化物』はその腕を一気に上に振り上げた。

ダンテの体が真上に飛ばされる。
だが焦ることも無くニヤニヤしている。

ダンテは宙で身を捻り再び大剣を手に取る。
そして一気に『化物』の頭へ振り下ろした。

ン゛ン゛ッッッッッッッッハァ!!!

キィィィィィン!!!っと甲高い金属音。
ズバァ!!っと先よりも一段と大きな余波が地面を割った。

頭頂部から股まで綺麗に縦一筋、文字通り『化物』は一刀両断された。
左右均等に割れた体は地面に倒れる前に、ボロボロと割れ粉となって風と消えた。

ダンテは額に指二本を当てて、敬礼のような動作をした。

ダンテ「Good Night Baby」

何?なんなの?何がどうなってるの?―――

御坂は目の前で起こった事が理解できなかった。

あれ程苦戦した『化物』を二体、
あの赤いコートの銀髪の男が瞬く間に倒した。
軽くながすような余裕を持って。

明らかに遊んでいた。

その男は何やら英語でブツブツ良いながらゆっくりとこちらに来る。


御坂は知らず知らずのうちに、隣にいる上条の腕をギュッと掴んでいた。

上条「…大丈夫だ。」

その上条の声と同時に、あの男の目から赤い光が消え、
どす黒い威圧感も嘘のように消えていた。

ダンテ「よう また会ったな」

御坂「…ええ…」

黒子「…あなたは…!」

御坂の背中に張り付きながら黒子が強い口調で言う。


「ダンテェェェ!!とうまぁー!!ここから降ろして欲しいんだよ!!」

ビルの上から声。

上条「あ インデックス」

ダンテ「おー 忘れてた」

御坂「…で、どうやってここが…?」

上条「お前と別れた後、ダンテさんすぐに戻ってきてな。」
上条「んでそのあと三人でしばらくブラブラしてたんだが…」

上条「ダンテさんがいきなり俺ら二人を抱えて跳んだんだ」

禁書「死ぬかと思ったんだよ!!」

先ほどダンテに降ろしてもらったインデックスが喚く。


上条「なんかお前らが危ないって言われてびっくりしたよ。」

上条「そのまますっげえ速さで移動して、どっかの路地にいきなり放り込まれてこの状態にっと」

御坂「そう…な、なんというか…ありがと…」

上条「俺じゃなくてダンテさんに言っt」

ダンテ「痒い」
そう言いながらダンテは肩を竦める。

上条「そうか…ってか白井大丈夫か?」

上条は御坂の後ろの少女に目をやる。
ダンテの姿を見たせいか、いつもの調子に戻りつつあるようだ。

黒子「も、もちろんですの!」

幾分かは落ち着きを取り戻している。
震えも止まっている。

ダンテ「そういえばさすがは№3、一人倒したんだな」

御坂「ええ…まあねっ」
御坂「聞いて良いかしら?あの『化物』達はなんなの?」

ダンテ「ああ、あれは『ゴートリング』っていう悪m―――」

途中で上条の視線を感じる。

ダンテ「…まあそういう獣だ。」

御坂「ねえ、一体何が起こってるの?」

上条「…いや…もう終わったんだよ。ほ、ほら今ので!もう解決したぜ!」

御坂「本当のこと言ってよ…お願い」

そこで思わぬところから支援が来る。

禁書「とうま、短髪のことをおもうなら教えておいたほうがいいかも。」

ダンテ「一理あるな。お嬢ちゃん達は向こうの奴を一人殺してるんだぜ」
ダンテ「『あの子達は関係ありません』ってつって『はいそうですか』って退くような連中じゃあない」

ダンテ「必ず狙われるぜ」

上条「…!!」


『あの子達』

そのワードが御坂の心に響く。
そう、彼女と後ろにいる小さな少女の二人の事。

上条は状況を簡単に説明した。

外部からとんでもない力を持った者たちが学園都市に侵入し、
大量の化物を引き連れてなにやら危険な事をするつもりだと。
それは人類全体の危機に繋がると。

標的がインデックスという事と、
相手が悪魔という事はうまく濁した。

ダンテ「お嬢ちゃんが倒した奴や、さっきの二人は偵察に来た斥候だ」

御坂「まだまだ本番はこれからって事ね…」

ダンテ「イェア。」

御坂「いいわ、あたしも戦うわ」

上条「ダメだ」

御坂「何でよ!?こんな事態なのに黙ってられるわけないでしょ!!大体アンタだけをそんな危k」

上条「御坂」

上条はまくし立てる少女を強い口調で制す。


上条「お前が前に出たら、誰が白井を守るんだ?」

ケルベロス「おい我が牙の加護どこやった」

御坂「……!」

御坂のカーディガンを掴む、後ろの小さい手の力が強くなった。

上条「御坂。白井を守るんだ。」
上条「心配するな。今回は俺は何もしないさ。」

御坂「…」

上条「ダンテさんがやってくれる」
上条「見ただろ?あの強さ。俺達なんかがいくと逆に足手まといになるぜ。」

上条「上条さんもインデックスを守って大人しく隠れていますよ。」

禁書「とうま…」

御坂「…ええ」

普段の御坂ならその言葉に嫉妬しただろうが、
この時は素直に従う。
あたりまえだ。

黒子を一人にする訳にはいかない。

御坂「わかったわ。」
御坂「約束よ。アンタはその子を必ず守り抜く。私は黒子を必ず守り抜く。」

上条「ああ。約束する。」

御坂は知らない。
上条にとってその約束がどれ程困難なものかを。

インデックスを守る。
つまりそれは騒乱の中心、最前線に立つ事。

だが上条は約束を破る気はさらさら無い。

上条「必ず守ってみせる。」

その言葉はむしろ自分自身へ向けて放ったものだった。

ダンテ「…なあ」

他4人「?」

ダンテ「言いにくいがよ、多分すぐ殺されちまうぜ」

上条「…なっ!?」

御坂「…」
御坂は否定しない。
先の『化物』が複数体きたらとてもじゃないが勝てる気がしない。

ダンテ「だがらお嬢ちゃん。こいつを貸してやる」

ダンテは腰から何かを取り出す。

御坂「…!!」

それは先ほどダンテが使っていた巨大な銃の黒い方。

ダンテ「『エボニー』だ。反動はまあ能力で何とかしな」
ダンテ「好きに使え。ちょっとくらい無茶したってビクともしねえ」

禁書「エボニー&アイボリー!!」
禁書「伝説の霊装製作者ニール=ゴールドスタインの遺作にして最高傑作!!」
禁書「ニール=ゴールドスタインは現代火器と魔術の融合霊装製作の第一人者なんだよ!!」

御坂「魔術? れいそう?」

上条「つ、つまりとにかく凄い銃ってことだ」

御坂「そう…よね」

先ほどのダンテの戦いを思い出しながら御坂は答える。

御坂「うん、ありがたくいたd」


御坂は受け取―――ろうとしたが


御坂「重ぉぉぉぉッ!!!何よコレ!?」

もはやインなんとかさんが「解説しよう!」の役でしかないwww

両手で何とか支える。
正確には分からないが、
先ほど抱えていた黒子と同じくらいの重量を感じる。

御坂「こ、これ、電子機器とか使ってるッ?」

ダンテ「いんや」

御坂「そう、なら―――」

電磁力を利用して持ち上げる。
フワッと一気に重量感が無くなる。
重すぎず、かつ存在感がある扱いやすい軽さまで調節する。

御坂「っと、大体このくらいね。」

ダンテ「へぇ、便利だなその力」

御坂「…でもあたし銃の使い方とか良くわからないんだけど。」
御坂「反動は能力で銃を抑えればいいけど。(照準もレーダーと組み合わせれば問題ないわね)」

ダンテ「なあに、ただ引き金を引けば良い」

御坂「その…弾とはかはどうするの?切れたらまた入れなおさなきゃダメなんでしょ?」

ダンテ「残弾の心配は無いぜ。自動召喚で勝手に補充される」

禁書「こんなにシンプルかつ高性能の召喚術式は見たこと無いんだよ!!」

御坂「…? まあ弾の心配は無いって事ね」

上条「俺の右手で触らないほう良いっぽいな。」

ダンテ「いんやあ、特に問題ない。その時は普通にマガジンを換えればいい。」
とりあえず持っとけっと三本の弾倉をどこからか取り出し御坂に渡す。

御坂「ありがたく頂いておくわね」

ダンテ「貸すだけだぜ。事が終わったら返してもらうぜ。」

御坂「…わかったわ。」

                               ノ`7
                    , ⌒ヽ    _z'7,.ィ'´
                     / ノ,fヘ.ト-ワ´ ,.ィ'´  ',
                     7.! ' `7リ-(r,='、∧   !
                    > ̄ノ「l ̄ /`ヽ   ',
                  _>' !. !. | `7 l  !   !

                , 1 〈  L.⊥{ ,イ  ヽ、i   |
               /  ハ ヽ !-‐イ |   | `ー‐'´
              /  /!. | /},'ニi-`、l  ,'
            r┘ ./  | !' /  ! ', ',  |
           /   」´   | //-―中―ヘ '人!
            ̄   /ン/    i! ry'´ 人
                 〈 〈./   , ⊥ ⌒ー'`ヽト、
                77/  /  l {    ,>┘、
               / ,'  /  .!    /    ヽ

             ト-{  |  ,'    「` ーく     |
             ! /L」  i    !    |,  ⌒  |
              「7ヲ7.!   !    !!   |       |
             ,'片ツ !=== 、 l.{   |       |
            ,' /  !         | !  |     |
             ! /   .|      ,' .!   |!       |
            .l/    ト------ '.| |   ||      L
              /    |      |,'    !ヽ , ィ'´ ̄7{
           /       |      ! !   | レ' ヽ ̄/ラ
            /     /      ! !   | ヽ  ∀/
         └‐-、___ |    ,. ┴┴‐ 、 ヽ |  , ={コL

VIP列島@とある悪魔の泣き寝入り ーVIPPERで学園都市を作るー
http://vipquality.sakura.ne.jp/town/start.htm
【列島Wiki】http://www21.atwiki.jp/viprettou/pages/1.html

御坂「じゃあ…あたしは黒子と一緒に戻るわ。」

上条「おう。気をつけろよ」

御坂「アンタもね。それと…頼むわよ」

ダンテ「任せな。」

御坂「さあ、黒子行きましょ」
黒子と手を繋ぐ。

黒子「はいですの」

二人の少女が路地から離れ、雑踏の中へ消えていった。

上条「…」

禁書「とうま?どうしたの?」

上条「確かにダンテさん強いけどさ、一人だとやっぱきつくないか?向こうは大人数なんだろ?」

ダンテ「イギリスから俺達の増援が来るぞ」

上条「イギリスって…もしかして必要悪の教会か?!」

ダンテ「俺の相棒と一緒にな。イギリスは全面的に協力するらしいぜ。聖人のサムライガールや赤毛の坊やも来るそうだ」

上条「神裂…とステイルか…?とにかくいい知らせじゃねえか!!!いつ到着するんだ!?」

ダンテ「あと43分だ」

―――
とある空の上の機内

五和「うぅ…」

建宮「これは…こたえるのよな…」

彼らは学園都市へ向かう航空機に乗っている。
7000km/hオーバーというとんでもない速度を誇る学園都市製の超音速旅客機。
乗り心地はお世辞でも良いとはいえない。
慣れない者にしてみればちょっとした拷問だ。

機内に居る天草式の52人それぞれが声にならない呻きを発する。

建宮「あと…どれくらいで到着なんだ?」

インカムで機長に問う。

機長「学園都市到着は40分後です」

建宮「うへぁ」

横の五和は限界点に達したのか、

五和「…おしぼりです…それは…おしぼりです…」

っとなにやらうわ言を呟いている。

超音速旅客機の貨物エリア。

ここに神崎火織、ステイル=マグヌス、シェリー=クロムウェル、そしてトリッシュがいた。


ステイル「これならどうだい?」

ノートに描いた試作の術式を見せる。

シェリー「これじゃ体ごとぶっ飛ぶぞ。もっと抑えなきゃダメだ。ここのルーンどうにかなんないか?…あ゛ぁ~…」

ステイル「ここのルーンは外せないよ。こっちのなら…」

ステイルは『イフリート』使用の為の術式をシェリーと共に考えている。
ステイルは何度もこの超音速旅客機に乗っている為平然としているが、
慣れていないシェリーは若干顔色が悪い。

トリッシュは小さい輸送用のケースに座り、
その長い足を組みながら寝ている。

その後ろで神裂火織は荷物を漁っていた。

戦いへ向けてもう一度七天七刀の手入れをしようと
打ち粉や拭い紙が入っているポーチを探していたのである。

っと、その時あるものを見つける。

ふぎゃぁぁぁぁ!!っと思わず声を上げる。

ステイル「どうしたんだい?」

シェリー「うっせえな。なんだその乳鷲掴みにされた様な声は。」

神裂「…!い、いえ、なんでもありません!」

それは見慣れたダンボール箱。

神裂「(な、なんでこれがここに!!?)」

中を見るまでもない。
何が入っているかは知っている。

―――

―――
とある魔界のどこか


空は完全な漆黒。
だが辺りはぼんやりと明るい。

あたり一面には血のような赤い液体。
深さは10cm程。
ところどころに白亜の瓦礫の山、
そして壊れた柱が立っている。

見渡す限り延々とその光景が続いていた。


柱の一つには男は寄りかかっていた。
目を閉じ、静かに瞑想している。

青いコートを羽織り、銀髪のを後ろになで付けている。
左手には長い日本刀。

『閻魔刀』。

つい最近まで別の者がその『閻魔刀』を所持していたが、
この銀髪の男が復活した際に召喚し、呼び戻したのである。

魔界の深淵。
そこには彼のみ。
周りには誰もいない。

一見すると人間に見える。

魔界では通常見られない姿である。
そしてここは魔界の中でも最深部。

魔界の住人の悪魔でさえ滅多に来る事の無い、
悪魔の亡骸と血が最後に行き着く地獄の釜の底。


魔界の構造は人間界とはかけ離れている。

果ての無い広大な層がいくつも無限に重なっている。
面積を測ることは不可能である。

かつて魔帝ムンドゥスは最上層を自ら『作り』、
そこに玉座を据えて魔界を統べていた。

だがある者が魔帝を引き摺り下ろし、その玉座を破壊した。

ダンテ。

伝説の魔剣士スパーダの息子。

彼の弟。

感覚を研ぎ澄ます。

魔界の動向を意識する。

彼は感じた。

魔帝軍の大量の悪魔達が人間界へ向けて移動を始めた。

「…」

パチっと目を開く。

時間だ。

ズウッ!!と目の前の空間に漆黒の穴が出現した。
青いコートの男はゆっくりと歩きながらその穴へ進む。

穴は人間界、学園都市へ繋がっている。

男はその穴の中へ消えていった。



―――

―――

学園都市 とある路上

通りを杖を突きながら白髪の少年が歩く。
左手にはコンビニの袋。

彼はとある少女と久しぶりに会う為に、とあるマンションへ向かっていた。

「めンどくせェ」

すごく会いたがってる。駄々をこねてヤバイ。さっさと顔を出せ。と、
その少女の面倒を見る黄泉川に催促されて『渋々』(本人はそのつもり)来たのである。

prrrr

マンションの入り口へいざ入ろうとした時、携帯が鳴った。

「あン? なンだ?」

『仕事だぜい』

「チッ」

『今回はかなりの大仕事だ』

「緊急か?」

『そうだ』

「…わァッたよ クソッ」

携帯を耳に当てながら、彼を待っている少女が居るであろう階を見上げる。

『今そっちに向かってる』

「俺もそッちに向かうから途中で拾え」

『…』

「何ダマッてやがンだ?」

『いや。なんでもないにゃー』

携帯をしまい早歩きでマンションの入り口へ向かう。
そして左手に持っていたコンビニの袋を、
とある部屋の番号が刻まれたポストへ乱暴に突っ込んだ。

「ワリィな」

そう呟くと踵を返し、来た道を戻っていった。

ポストに無造作に突っ込まれたコンビニの袋。
その中はいつものコーヒーではなく、子供向けの菓子が入ってあった。


―――

―――


学園都市から少し離れた場所。

とあるビルの屋上に、学園都市を眺めている青年がいた。

銀髪に青いコート、その下には赤いベストを着た、やや幼さが残っている青年の男。
背中には巨大な金属製のケース。
そのケースにはフォルトゥナ魔剣騎士団の赤い紋章が刻まれている。

魔剣騎士、ネロ。

ネロ「はは、随分とでけえお祭りになるみてえだな」

ネロ「…」

青年は自分の右手に目をやる。
どう見ても人間の手ではないそれを。

彼は二年前にダンテから『閻魔刀』を授かり、
この右手に吸収して収納していた。

だが半年前から、その『閻魔刀』が取り出せなくなっていた。

そしてその時から奇妙な感覚がある。

この右手が誰か別の者と繋がっているような。

その繋がっている『向こう側』の誰かが勝手に『閻魔刀』を引き出して使っている。

今までの彼なら普通にブチきれているだろう。
彼と彼の最愛の女性の恩人であるダンテから預かった大事な物を、
勝手に使われるとなっちゃ黙っていられるわけが無い。

だがなぜか悪い気がしない。

むしろ妙に懐かしくて穏やかな気分だ。

ネロ「…」

ダンテとの話し合いでその件は様子見することになった。
少し彼は嬉しかった。
このぬくもりは悪くない。

それに今は別にやる事がある。

『ボルヴェルク』。

やはり奴は学園都市へ来る魔帝軍に加わっているらしい。

彼の最愛の女性を危険に晒した悪魔。

奴をぶっ殺す。
奴の頭をこの右手で握りつぶす。

ネロ「待ってなクソ野郎」

そう呟くと、
青年はビルを飛び降り学園都市へ向かって歩を進めた。


―――

第一章 おわり

>>1
乙、文才あり杉ワロタwwwwwwwwwwwww

第二章は昼頃とかか?

続きは明日の正午あたりから投下です

実際書き出してみると長すぎてワラタ
今日中に二章まで400レスで終わらす予定だったのに

寝る

>>472
何章まであるの?

第二章が最終章で一章と同じくらいの量ならこのスレで終わらせられるけどな

>>473
4…

明日からはできるだけ短縮する
おやすみ

―――

ダンテ「で、そっちはどうだ?」

トリッシュ『順調よ』

ダンテ「…」

トリッシュ『なに?なんかあるの?』

ダンテ「ガキのお守りは飽きた」

トリッシュ『イギリス清教がくるまで我慢しなさい』

ダンテ「わぁったよ」

トリッシュ『あとネロも来るみたい』

ダンテ「つーことは『ボルヴェルク』の野郎、やっぱり来やがるのか」

トリッシュ『それともう一人』

ダンテ「まだなんか来るのか?」

トリッシュ『わかるでしょ』

ダンテ「あ~…」

トリッシュ『バージル』
トリッシュ『やっぱりあなたも感づいてたわね。どう思う?』

ダンテ「さあ。確かなのは観光目的じゃねえって事だな」

トリッシュ『彼が狙いそうなのはいくつかあるけど』
トリッシュ『禁書目録の中にあるフォルトゥナの術式とか、あと今私のところにある「スパーダ」とか』

ダンテ「…」

トリッシュ『もしかしたらあなたに会いに来たのかもね』

ダンテ「ハッ」

トリッシュ『あなた、人の家庭事情に首突っ込むなってよく言うでしょ?』
トリッシュ『だからなんかあったらよろしくね。バージルの事。任せるわよ』
トリッシュ『もし戦り合うことになったら、まともにアレと戦えるのあなたしかいないからね』

ダンテ「へいへい」

やはりバージルも来る。
少し嫌だ。

会話を終わらせ、黒い石を乱暴にポケットに放り込む。
そして少年と少女を待たせているファミレスへ向かう。

―――

―――

上条・インデックス、そして戻ってきたダンテはとあるファミレスにいた。


禁書「まだかな♪まだかな♪」

彼ら三人は先ほどLサイズのピザ三枚頼んだ。

上条「ダンテさん、さっきもピザ食べてなかったか?」

ダンテ「まあな」

上条「ピザ好きなのか?」

       
ダンテ「ああ」

ダンテ「ピザとストロベリーサンデーと酒が無い世界は地獄だ」

上条「(…なんかどっかで聞いたことのあるようなフレーズだな)」

上条「ダンテさん…聞いていいか?」

ダンテ「なんだ?」

上条「ダンテさんが使ってた剣、…普通の剣じゃないよな?」

今、ダンテはギターケースに剣を入れている。
抜き身のまま背負うわけにもいかない。

ダンテ「まあな」

上条「もしかして…それも『魔剣』ってやつか?」

ダンテ「ああ」

禁書「『リベリオン』。かつてスパーダが作り出した『魔剣』の一つだよ」
禁書「『スパーダ』、『閻魔刀』とこの『リベリオン』が魔剣の中でも最強の三本なんだよ」

上条「そんなすげえ物なのか…俺が右手で触ったら…やっぱやばいよな?壊れたりするんだろ?」

禁書「壊れないし、別に力を失ったりもしないよ」

上条「そうなのか?」

禁書「『魔剣』っていうのは意思と魂を持つ生命体の一つだから」

上条「せ、生命体?つまり生きてるのか?」

禁書「うーん、まずとうまには霊装と魔具の違いから説明するんだよ」
禁書「霊装は、形を神聖なものに似せたり術式を組み込んだりした物で、
禁書「霊装その物の材質は人間界のただの金属や材木なの」

上条「だから俺の右手で触れば術式とかが効果を無くしてただのガラクタになるんだよな」

禁書「そう。でも魔具は違うの。魔具にも色々種類があるんだけど、」
禁書「基本的に全て魔界で精製、もしくは魔界のもので作られてるの」
禁書「例えば悪魔が姿を変えて武器になったりとか、」
禁書「そうでないものも魔界の金属生命体が材料になってたりするの」

上条「それで『生きている』ってことなのか」

禁書「そう。とうまの右手でも魂は消せないし、その生き物が持つ本来の力は消せないでしょ」
禁書「例えば聖人の力とかも」

上条「なんとなく…わかってきたぞ…」

はじまってたああああああああ
全力で支援

禁書「魔具が作り出した間接的な攻撃、例えば火とかは魔力を使う魔術の一種だからとうまの右手で消せるけど、」
禁書「魔具のもつ直接の破壊力は無効化できないんだよ」

上条「なるほど…火を纏ったチェーンソウってところかな?」
上条「火は消せてもチェーンソウ自体は止められないっていう」

禁書「そう。これは魔具だけじゃなく、通常の悪魔の攻撃にもいえることだよ」
禁書「さっきダンテや短髪が戦った悪魔は、肉体を駆使した直接的な攻撃をするタイプだから、」
禁書「とうまの右手は一切効き目が無いよ」

上条「そういえば…あいつら普通に腕でコンクリぶち割ってたしな…」

禁書「他にも魔具には恐ろしい点があるの」

上条「まだあるのか?」

禁書「霊装も術式とかで魔術的な力で攻撃するけど、基本的に結局は物理ダメージでしょ?」
禁書「でも魔具にはそれとは別に、魂へもダメージを加えるの」

上条「魂のダメージ?※」

※魂のダメージ=DMCのゲーム内でのライフ。体力。

禁書「魔具のもつ魂の力を使って、相手の魂を削るの」
禁書「これは悪魔の攻撃にもあるんだよ」
禁書「魔界特有の攻撃方法なんだよ」

上条「…良くわかりません…」

禁書「例えば物理的な破壊力が低くても、その魂への攻撃が強ければ相手を傷一つ負わせずに殺せるの」

上条「つまり…その魂への攻撃が強ければ指先で突っついただけで殺せるのか?」

禁書「理論上ではね。基本的にそれに比例して物理的な破壊力も高くなるけど」

上条「それじゃあ無駄なんじゃないか?物理的な破壊力だけで充分じゃないのか?」

禁書「普通の悪魔の戦いなら特に必要ないんだけどね」
禁書「下等の悪魔なら、肉体の損壊に耐えられずにそのまま死んじゃうけど、」
禁書「大悪魔となると別なの。魂の力が莫大だから体をいくら破壊してもほとんど効果が無いんだよ」
禁書「だから魂を直接削る攻撃が必要なの」

上条「そういえばさっきダンテさんも頭半分なくなったのにピンピンしてたのも…」

禁書「普通の武器じゃ大悪魔にダメージを与えるのは不可能なんだよ」

上条「…そうか…」

禁書「ところでとうま」

上条「なんだ?」

禁書「まだこないんだよ…ピザ…」

上条「…はあ…お前って奴は…待ってなよ。そろそろ来ると思うから」

ダンテ「ああ、来たぜ」

上条「?」
上条は店内を見渡すが、ピザを持っている店員はいない。

上条「?来てないみたいだぞ?」

ダンテ「いんや」

さっきまで空腹でしきりに体をもぞもぞさせていたインデックスが急に固まる。

禁書「…き、来たかも…」

ダンテ「そーら、『お客さん』だぜ」

その時、辺りが急に暗くなった。


―――

(。⊿゜)

―――

窓の無いビル

アレイスター「(はじまったか…予定よりも3時間以上はやいな)」

アレイスター「(イギリス清教の増援も未到着)」

アレイスター「(例の件の準備も整って無い)」

アレイスター「…」

prrrr
ガチャ

『お呼びでしょうか?』

アレイスター「第一級警報発令。」

アレイスター「状態はデフコン1、市民の避難を開始。」
アレイスター「それと、至急ラストオーダーを保護しろ。」

『了解』ブツッ

アレイスター「…少々…まずいな…」

―――

時刻は昼の二時。
天気は快晴だった。

一分前までは。

今は辺りが薄闇につつまれている。

その暗さは何かがおかしい。

店内に置かれているメニューの字は簡単に読めるのに、
まるで完全な暗闇にいるような感覚。

上条「な、なんなんだ!?」

ダンテ「奴らさ。学園都市に魔界を『重ね』やがった。」

突如、
ウウウウウウウウウウウウウウ!!!っとけたたましくサイレンが鳴り響いた。

街頭のスピーカーから機械的な声がしている。


第一級警報及び第一級戦時態勢が発令されました―――

市民の皆さんはアンチスキル及びジャッジメントの指示に従い―――

最寄のシェルターへ迅速に避難してください―――


上条「や、やばいんじゃねえのか?!」

店内の客が半ばパニックになりかけながら出口へ殺到している。

ダンテ「まあな」

禁書「とうま…」

上条「ど、どうする?!俺達もシェルターに避難したほういいのか?!」

ダンテ「奴らにとっちゃシェルターなんぞダンボール箱と同じさ。」

上条「じゃ、じゃあどうするんだ!?」

ダンテ「もう少しここにいようぜ」

―――

素晴らしい

さるさん?

  ▂▃▃▂
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―――

学園都市 とある路上

打ち止めと芳川は、シェルターへ向かう人の流れに身を任せていた。

アンチスキルやジャッジメントの的確な指示のおかげか、
市民は比較的落ち着いている。

黄泉川は先ほど緊急に召集された。
今頃どこかで市民を誘導しているだろう。

打ち止めは一方通行が置いていった、
菓子が詰まったコンビニの袋を大事そうに胸に抱いている。

打ち止め「あの人どこいっちゃったのかな?ってミサカはミサカは心配で心を痛めてみる…」

芳川「大丈夫、彼もきっとどこかに避難してるわよ」

その言葉は気休めにもならない根拠の無い言葉だということを芳川は自覚していた。

一方通行はマンションの入り口まで来たにもかかわらず、結局顔を見せなかった。
そしてこの事態。

関係ないわけが無い。
彼女もかつて学園都市の闇にいたからわかる。
あの少年は学園都市側の最大戦力の一人である。

恐らく動員されたのであろう。

その時、後ろから芳川に声がかかった。

「芳川桔梗か?」

振り向くとそこには黒いスーツを着た屈強な男が三人。
一目でわかる。
一般市民じゃない。

「ラストオーダーを保護する」

芳川はああっと納得する。
重要な個体だけもっと安全な場所に移すのだろう。

「ラストオーダーは『どこ』だ?」

芳川「?」

『どこ』?彼らは打ち止めがどのような姿なのかを知らないのか?

芳川「打ち止めならこk―――」

横にいる少女に目をやるが

芳川「!!!?」

いなかった。


辺りを見回すが、見慣れたアホ毛の少女の姿はどこにもなかった。
―――

ガンガレ超ガンガレ

とある路上に停められた、バンの中


バンの中に『グループ』の四人がいた。

結標「…信じられない話ね」

土御門「でもそれが現実に起ころうとしてるんだにゃー」

海原「しょうがないですよ。魔術師の僕でさえ信じられないような話ですからね」

土御門「とにかくだ、奴らを止めないと人類の危機ってことだぜよ」

一方通行はそのやりとりを黙って聞いていた。
学園都市に悪魔の大軍が侵入。
魔帝とやらの復活。

それはあの少女の『世界』が破壊されるということ。
そしてその子本人にも危険が及ぶということ。

一方通行「(ふざけンな)」

一方通行「悪魔だがなンだが知ったこッちゃねェ。皆殺しだ」

土御門「当然だ」

結標「ええ」

海原「もちろんです」

四人それぞれに守らなければいけないものがある。
例え自らの命を失ってでも。

土御門「じゃあ、行くぜよ」

結標「…あなたは残ったほうがいいんじゃない?」

土御門「…それ、俺が使えないって意味か?」

一方通行「テメェは残れ。情報を集めて全体の状況を把握しろ」

土御門「…わかったぜよ。じゃあほら、お前らはさっさと行け」」

三人がバンから離れ、薄闇の街へ消えていった。

土御門「(確かに…さすがの俺でも今回はきついにゃー)」

prrrrr

土御門「お」

一方さん優しいな

プツッ

土御門「なんだ?」

『土御門』

土御門「…アレイスター?わざわざ電話とは珍しいぜよ」

『ラストオーダーと第一位を連れてこい』

土御門「……はい?」

『急げ。この二人が学園都市側の要になる』

土御門「ま、まて、話が良くわからないんだが?」

『策があるということだ。それにはあの二人が必要なのだ。最優先で探せ』ブツッ



土御門「…なんか面倒なことになりそうだにゃ…」

―――

―――

上条達三人はとあるファミレスにいた。

店内はもちろん、通りも無人だ。
辺りは夜の様に暗くなっており、しんと静まり返っている。

禁書「……」

上条「…で、どうするんだ?」

ダンテ「いくつか選択肢があるぜ」

上条「?」

ダンテ「一つ目」

ダンテ「俺が魔帝軍を狩りに行く」

上条「…それは…!?」

ダンテ「そうだ。お前らが無防備になっちまう」

ダンテ「二つ目」

ダンテは腰から巨大な白い銃を取り出し、

ダンテ「これは一番簡単な解決方法だぜ。」

銃口をインデックスに向け―――

ダンテ「そのおチビちゃんのキュートな頭をブチ抜く―――」




上条&禁書「へ?」


引き金を引いた―――

ドンッ!!っと鼓膜が破れそうな大音響。
上条は反射的に目を瞑ってしまう。

上条「インデックス!!!!?」

禁書「ほぁ…あ…」

インデックスは固まっているが生きている。
どうやら銃弾は当たっていないらしい。

上条「お、おぃ!!!何を―――」

バリィィィィン!!ドダン!!っと上条の後ろでガラスが割れるような音がし、それに続いて何か重い物が落ちる音。

上条が驚き振り向くと、そこには巨大なトカゲのような化物が悶えながら倒れていた。
腕には何かの結晶でできたような巨大な爪が生えていた。

『フロスト』と呼ばれる魔帝軍の精兵である。
氷を操る悪魔。

ダンテ「で、これが三つ目だ―――」

ダンテ「交代が来るまでガキのお守りをする―――」

ダンテかっこEEEEEEEEEEEEEEEえ

ダンテ「伏せてな」
その声を聞いて上条とインデックスは咄嗟に机の下に潜る。

バキィィィン!!とガラスを割るような音とともに何体もフロストが店内に現れる。

ダンテ「Ha!!!!! Let's party!!!!」

その声を合図に、周りのフロスト達が一斉にダンテへ飛び掛った。

後方の一体がその長い氷の爪をダンテの頭へ突き立てる。
ダンテは頭を僅かに傾けただけでそれをかわし、右手でカウンターを叩き込んだ。

ドギン!!!っと鈍い轟音と共にフロストが大きく吹っ飛ばされる。

左右から一体ずつフロストが接近する。

ダンテ「Ha!!」

足を大きく開き、左右二体の顔面に同時に蹴りを加える。
ゴギン!!!と二重に音が響き、左の一体は大きく吹っ飛ばされた。
だが右の一体は顔をわざと仰け反らせて衝撃を緩和し、そのまま至近距離から再度爪を振るってきた。

ダンテ「(相変わらず芸がこまけえぜ!)」

ダンテはその爪を右手でいなし、左手の白い銃『アイボリー』を至近距離からフロストの顔面めがけてぶっ放した。

バキィィィン!!!っと氷でできた兜のようなものに直撃する。
そのままフロストは後方に吹っ飛ばされたが、空中でするりと体勢を立て直して着地した。

ダンテの放った銃弾によって氷の防具は割れていたものの、すぐにパキパキ音を立てながら再生していった。

ダンテ「(やっぱしぶといなこいつら)」


ダンテはふとフロストの攻撃をいなした右手を見る。
パリッっと見事に凍っていた。

ダンテ「hmmm.....」

まじまじと眺める。
そして何やら閃いたようにニヤリと笑う。

ダンテ「いいねぇ。氷対決としゃれこもうじゃねえか」


ダンテ「CERBERUS!!!!!」


その叫びと同時に、
どこからともなく青いヌンチャクが飛んできてダンテの足元の床に突き刺さった。

フロストたん懐かしいなあ

HOAAAAAAAAA!!Too easy!!キターーーーー

飯喰ってくる
45分までには再開する

乙、味わって食べろよ

そのヌンチャクはケルベロス。
ダンテの使い魔の一つ。

ダンテはそのヌンチャクを足に引っ掛け、蹴り上げて床から引き抜き宙に放り上げる。

右手でキャッチし、そのままぶん回す。
左手に持ちかえて、そして足に引っ掛けて更に振り回す。
一通りの演舞を終えて最後に決めのポーズをする。

ダンテ「さぁて!ワンちゃん!久々にパーっとやろうぜ!!!」

フロスト達が四方から一斉に飛び掛る。

HoooooAAA!!!!

ダンテはその場でケルベロスを右手、左手と交互に持ち変えながら凄まじい速度でぶん回した。

ガギギギギギギン!!!っと衝突音と共にフロスト達の氷の甲冑がはげる。

ダンテ「Chew on this!!!」

そう叫びダンテはケルベロスを地面に突き刺す。

それと同時に前方のを割って巨大な氷柱が突き出てくる。

バギィィィィン!!!っと前方の二体のフロストが下から突き上げられ、
店内の天井をブチ破って階上へ叩き込まれた。

そして今度は左側のフロストへ向くと、凄まじい速度でヌンチャクの乱撃を加える。

HA! Huh! HoAAAAAA!!!

最後に軽く飛び上がり、空中で体を駒のように回転させる。
ジャリィィィィ!!!!っとヌンチャクが3m近くまで伸び、そのままダンテの回転に合わせて風車のように周囲をなぎ払った。

店内の床、天井が紙細工のように破壊されていく。

そして着地と同時に思いっきり伸びたヌンチャクを叩き付けた。
その乱撃を食らったフロストはそのまま悶えながら倒れ、溶けるように消滅した。

ダンテ「Ha! Too easy!」

これで店内にいるフロストは全部片付けた。
ふと外に目をやると、薄闇の中に10体ほど見える。

ダンテ「ハッハ~♪」

心底嬉しそうな顔をしながら、店のドアを蹴破って外に飛び出していった。

―――

―――
上条はテーブルの下に潜りインデックスを抱えている。

ダンテは先ほど ここから動くな と言うと、
どこからとも無く現れ店内に侵入してきたトカゲのような悪魔達と戦い始めた。

ダンテの掛け声、銃声、悪魔の叫び声が連続して聞こえる。

戦いの場は外に移ったようだが、ドン!!!ガン!!!っととてつもない衝撃がこの店を地震のように揺らしていた。

天井や壁の破片が落ちてくる音が絶え間なく続く。

インデックスは上条の服をギュッと握り締め、彼の胸に顔をうずめている。

上条「大丈夫だ…大丈夫」

「Freeeeeeze!!!!!」

一際大きいダンテの叫びが聞こえそれと同時に今まで以上の轟音と振動が彼らを襲った。

鼓膜が破れそうになる。

店が崩れそうだった。
いや、厳密に言うと既に半壊しているのだが。

上条「…」

そうしている内に店内は静かになった。

上条「…ダンテさん?」

テーブルの下から動かずに呟く。
耳をすませる。

上条「誰も…いない?」

とその時
ドンッ!!と巨大なトカゲのような足が目の前に着地した。
衝撃でタイルが割れ、三本の爪が床にめり込んでいる。

上条「…!!!」

禁書「と、とう…!!」

バッとインデックスの口を手で覆う。
彼らはテーブルの下にいるため、
そのトカゲのような悪魔の脛から下しか見えない。

フーッ、フーッと呼吸音であろう音が聞こえる。

その足は向きをかえ、ドンッドンッと地響きを立てながら店の奥へ向かっていった。

上条「(…!俺達を探しているのか…?!)」

上条「(ま、まさか、ダンテさんやられたのか…?!)」

上条「(ど、どうする…?!)」

抱えているインデックスの方を見る。
インデックスは心配そうな瞳で上条を見つめている。

上条「(とにかくこのままじゃ見つかる!!!)」

上条「(隙を見つけて逃げるしかない!!)」

上条は ここにいろ とインデックスに手で伝えると、
ゆっくりとテーブルの下から顔を出す。

上条「(いない…な)」
恐る恐る見渡す。

テーブルの下で縮こまってるインデックスを呼ぼうとした時

ガリっと真上から音がした。
ゆっくりと上を見上げると。

天井にあのトカゲの悪魔が張り付き、赤い瞳で彼を真っ直ぐ見ていた。

ズンッ!!っと上条が動く間もなくその悪魔は彼の目の前に着地した。
その衝撃で上条は尻餅をつく。

禁書「とうまぁ!!!」

上条「来るなインデックス!!!」

やばい―――やばい―――

トカゲの悪魔はググっと上条の顔を覗き込んだ。
虚ろな二つの赤い目が彼を見つめている。

禁書「とうまぁ!!とうまぁああ!!」

後ろから少女の叫び声が聞こえる。

上条「おぁああああああ!!」
渾身の力を込めて、目の前の悪魔の顔面を蹴り上げる。

ゴッ!!と鈍い音がする。

上条「痛ッ…!!!」

まるで鉄の塊を蹴ったような感触。
そして足が焼けるような痛み。

靴の裏がその一瞬の接触だけで白く凍っていた。

悪魔は微動だにしていない。
体表なのか防具かわからない甲羅上のものの隙間から赤い目が彼を睨む。

禁書「と、とうま!!」
インデックスは上条へ向けて駆け出す。

上条「バカッ…!!来るn―――」

その時だった。

ギャリィィイン!!っとその悪魔の頭を後ろから何かが貫いた。

上条「…!!?」

それは銀色に輝く剣。

「動くなと言っただろう」

低い声が続く。

「聞き分けの悪い子は―――」

「たっぷりとお仕置きだぜ―――」

上条「ダンテさん!!」

禁書「ダンテェ!!」

R指定だ

頭を貫かれ、悪魔はギギ…と呻く。
ダンテはそのまま剣で2m以上あろう悪魔の巨体をぶん回し、
床に叩き付けた。

ゴバン!!!っとめり込む。
顔面を貫いていた剣はその衝撃で、悪魔の頭を真っ二つに裂いていた。

しかしその状態でもまだ生きており、起き上がろうと腕を動かしている。

が、ダンテは悪魔の体を踏みつけて押さえ、

ダンテ「おねんねしな」

というとドンドンドン!!っと至近距離から銃を撃ち込んだ。
ビチャビチャと辺りに白い液体と悪魔の肉片が飛び散った。

上条「ダンテさん!!良かった!!」

禁書「どこいってたの?!遅いんだよ!」

ダンテ「ここを離れるぞ」

ダンテ「ついてきな」


三人は店の外に出る。
上条は外の惨状に驚愕した。

何もかもが破壊されていた。

周囲のビルは崩れ、道路は抉れ、辺り一帯を氷が覆っていた。
そして一際目立つのは直径30m程のクレーター。
その表面も氷で覆われている。

そのクレーターはダンテの大技、ケルベロスの『Ice Age』によるものだった。

この街の破壊は9割方ダンテのせいだ。

ダンテwwwwww

耳を澄ますと、既に無人の街の静寂は壊されていた。
どこか遠くから銃声と何かの破壊音、
そして人ならざる者の咆哮が聞こえる。

上条「街中に…あのトカゲの悪魔が現れてるのか?」

ダンテ「かもな」

禁書「あれは『フロスト』。かつて魔帝が人間界侵攻の為に創造した精鋭の兵士達なんだよ」

ダンテ「普通の人間にとっちゃ結構キツイだろうがな」

上条「…なんとかして止めないと…!」

ダンテ「止めるさ。だがまずイギリス清教の連中と合流してからだ」

上条「どうやって合流するんだ?」

ダンテ「向こうがこっちに来るさ」

―――

―――


神裂を先頭にステイル、シェリー、そして天草式の52人が無人となった街を突き進む。

彼らは23区の空港に到着した途端、
機体の壁を内側から破壊しそのまま飛び降りて上条らの下へ向かっていた。

トリッシュはその時に別れを言うことも無くいつの間にか姿を消していた。

どうやらトリッシュが渡してくれた黒い石には対称の追跡能力もあるらしく、
ステイルのポケットの中で、ググッと動いて方角を示してくれる。

彼らは先ほど第七区に入った。

ステイル「このまま真っ直ぐ!!」

辺りにはバラバラになった学園都市最新の駆動鎧があちこちに転がっていた。
駆動鎧の残骸の割れ目から赤い液体がドロドロと溢れている。

むせかえるような血の匂い。

五和「これは…アビニョンに現れた…」

走りながら呟く。

ステイル「学園都市の兵だね。ここの部隊は全滅したようだ」

神裂「…」

建宮「ま、前!!」

その言葉と同時に、彼らの前方の地面に複数の黒い円が浮かび上がった。

神裂「このまま突破します!!」

ヴンッ!!とその円の中から2mはあろうトカゲのような悪魔達が姿を現した。

トカゲのような悪魔は氷でできた鎧で急所を守っている。
そして手の先には氷でできた巨大な爪。

悪魔の一体がその氷の爪を猛烈な速さで飛ばして来た。

神裂「ッ!」

持っていた七天七刀で弾く。

ガギィン!!!ッと神裂の手に予想外の感覚と衝撃が走る。

神裂「(固ッ…!!)」

まるで金属の塊のような感触。
弾かれたその氷の爪は砕けることなくアスファルトの地面に深く刺さっていた。

神裂「(普通の氷では無いみたいですね。それとも魔界の氷は鋼鉄並みの強度が当たり前なのでしょうか)」

神裂「天草式!!3人一組で戦いなさい!!」
体格、そして先の攻撃から判断し指示を出す。

そして神裂は前方の悪魔達へ突撃する

向こうからも悪魔の一体が彼女へ突進してくる。
悪魔は右手を振り上げ、その結晶のような巨大な爪を彼女へ振るう。

遅い―――!

確かに相手は強大な力を持った人外の魔物だったが、
今の彼女の敵では無かった。

彼女はその攻撃を難なくかわし、
すれ違いざまに聖人の力を解放し神速の居合『唯閃』を放つ。

キン―――

一瞬で悪魔の上半身と下半身が切り離される。
どう見てもオーバーキルである。

そのまま悪魔の群れの中へ飛び込み、次々とすれ違いざまに切り伏せていく。

ステイル「このまま突破するぞ!!」
ステイルが炎剣で悪魔達をなぎ払いながら続く。
どうやら彼の炎の攻撃はあのトカゲの悪魔には効果抜群らしい。

死神のような悪魔達が絶え間なくあちこちから湧き出てきた。
左右のビルの壁面、時には空中がガラスのように割れその中から飛び出してくる。

前方の悪魔の群れはどんどん厚くなり、
左右後方からも悪魔の壁が押し寄せてくる。

神裂「あの死神もどきは雑魚です!!!トカゲの悪魔に注意してください!!!」

建宮「しかしキリがないのよな!!」

戦いの中で負傷したのか、額から血を流す建宮が叫ぶ。

ステイル「止まるな!!とにかく進むんだ!!」

その時、左側の悪魔の群れが一斉に距離を詰めてきた。

大半があの雑魚の死神もどきとはいえ、数が多すぎる。

神裂「…!!」

ここで掴まり止ってしまうと完全に包囲される。
いや、すぐにでも全周防御陣形に移行しないと乱戦になり確実に死人が出る。
だがこんなところで時間を潰すわけにも行かない。

任務の為、仲間の屍の上を進むという手段もある。
だが彼ら魔術師は『軍隊』ではない。
戦闘能力は高いものの、その戦いは私情に溢れている『素人』なのである。

神裂「(どうする…!?)」

任務の遂行と仲間の命。
どちらの決意も固い。

だからなおさら天草式の指揮官は迷う。

そうしている内に左側から悪魔の津波が押し寄せてくる。
神裂は決める。

神裂「天草式!!全周防g―――!」

その時だった。

ドガガガッ!!!と目前まで迫っていた悪魔の群れが
巨大な黒い何かになぎ払われた。

神裂はその黒い何かを確認する。
それは7メートルは越えている巨大な悪魔。
体の左右には巨大なハンマーのような腕。

その足元にシェリーが立っていた。
右手には白のオイルパステル。

シェリー「てめえらはさっさと行け!!」

神裂「…な?!」

神裂が悪魔と思ったその巨人は、シェリーの魔術によって作り出されたゴーレムだった。
そのゴーレムの体を構成しているのは

悪魔達の死体―――

シェリー「ここは任せな!!」

神裂「…で、でも…?!」

シェリー「うるせえ!!てめえら邪魔なんだよ!!巻き添えくうぞ!!」
そう言ってる間もゴーレムを操り、悪魔を群れごとなぎ払い叩き潰す。


神裂「…わかりました…!!」

神裂「…絶対死なないで下さい!!」

シェリー「いいからはやく行け!!」

神崎ら54人がその場を離れる。

悪魔の群れの一部が神崎らを追う。

シェリー「チッ!やっぱり全部引き止めることはできねえか…」

だが、彼女がここで悪魔を殺せば殺すほど神崎らを追跡する連中の数が減る。
実際にその場にいた悪魔の内七割がここに残っている。

俺のシャドウたんは出ますか?

悪魔達は一旦攻撃をやめ、彼女とゴーレムの包囲を固めている。
両脇のビルの壁面、屋上にも大量の悪魔。
ざっと100体はいるだろうか。
無数のおぞましい視線を感じる。

シェリー「最高だろ?『エリス』」

傍らに立つゴーレムへ語りかける。

今までのよりも一回りも二回りも体が大きい。
そして力は何十倍にも増していた。

悪魔の血、悪魔の怨念、悪魔の魂、悪魔の亡骸で作られたゴーレム=エリスは、
今や真の『魔像』となっていた。

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莫大な魔力がゴーレムに蓄えられる。

ゴギゴギッ!とゴーレム=エリスの背中からもう一対の腕が生える。
そしてその計四本の腕が更に巨大化する。

シェリー「てめえらが死ねば死ぬほど、『エリス』は強くなる」

シェリー「オラ、さっさと来いよ。何ボケッとしてやがる。居眠りでもしてんのか?」


シェリー「なんなら―――」

シェリーの声にあわせ、ゴーレム=エリスがその巨大な腕を振り上げる。

シェリー「叩き起こしてやるよ―――!!」

―――

―――

ドンドンドン!!!と黒い巨大な銃が火を噴く。

死神もどきの悪魔達が一発でバラバラになる。

御坂「(とんでもないわね!!この銃!!)」

御坂は周囲へ電気を帯びた破魔の弾丸をばら撒く。

別の方向では、
ゾンッ!!!と悪魔の頭が消滅し、バスケットボール大の瓦礫と入れ替わる。

黒子「さすがお姉さまですわ!!」

御坂「黒子もやるじゃないの!さっきとは大違いね!」

黒子「舐めてもらっては困りますの!!」
黒子も吹っ切れたようで、この緊張感をどこか楽しんでいる節がある。

御坂「…大体こんなもんね」

辺りを見回す。動く者の気配は無い。

黒子「もうこの辺りにはいないようですの」

御坂「移動しましょ。まだまだやり足り無いわ」

黒子「…お姉さまがどんどんダークサイドに堕ちていく気がしますの」

御坂「アンタも充分ダークサイドに堕ちてると思うけど」

黒子「この白井黒子!!お姉さまとならどこまでもご一緒しますのよォォォォ!!」

いきなり黒子はとびつく。

御坂「ちょっと…!!離れなさい!!!」

黒子「お姉さまぁあぁぁぁ!!!うへへぅ゛ぐふぁああう゛へえ゛え゛へへへへ!!!」

その時、後ろから急に声がかかった。
「お姉様?、ってミサカはミサカはお姉様に変な趣味が無いかちょっと心配しながら声をかけるの!」

御坂「え?」

黒子「へべ?」

黒子「ほぉぉ、ほぉおああ、ほぉぉぉぉぉぉぉぉああああああああ!まぁまぁまぁ!!!まぁまぁまぁまぁ!!!まぁまぁまぁ!!!」
黒子「なぁぁぁぁんて可愛らしい子ですの!!!!まるで小さなお姉様ッ!!!!」

我を忘れて黒子はその小さな少女に飛び付こうとしたが御坂に羽交い絞めにされる。
打ち止めは突然の状況に顔を引きつらせる。

御坂「落ち着きなさい!!!落ち着けぇええ!!!」
そのまま電気を流し込んだ。

黒子「う゛へぁっ!!!」

御坂「あたしの妹よ」

髪が少し縮れている黒子に説明する。

黒子「なるほど…妹さまがいらしたのですね…それにしてもやはりお姉さまの血族」
黒子「その遺伝子の素晴らしさが体中から溢れ出ておりますの…」

打ち止め「いたらぬお姉様がお世話になってます!!、ってミサカはミサカはペコリと礼をしてみたり!」

黒子「ほあああ!!!黒子は!黒子はぁぁぁぁ!!!」

御坂「黒子それ以上近づいたらアフロにするわよ」

黒子「…御意ですの」

御坂「で、あなたはこんな所で何してるのよ!?」

打ち止め「あの人を探してるの!来るはずだったのにまたどこかに行っちゃったの…、ってミサカはミサカはあの人の心配してうな垂れるの」

御坂「あの人…?まあつまり迷子になって逃げ遅れたってわけね」
御坂「黒子。ここから一番近いシェルターは?」

黒子「第七区14番シェルターですわ」

御坂「黒子、この子をそこに放り込むわよ」

黒子「そうですわね。こんな危険な状況で連れて歩くわけにもいきませんし」

打ち止め「それはダメなの!!、ってミサカはミサカは首をふりながら断固拒否するの!!」

御坂「アンタ状況わかってるの?そんn」

打ち止め「あの人が危ないの!!あの人が『また』ミサカを守ろうとして戦おうとしてるの!」
打ち止め「、ってミサカはミサカは信号を確認しながら叫ぶの!」

御坂「『あの人』…?また『守る』…ってまさかアンタの探してる人って…!?」

御坂の脳裏にツンツン頭の少年の姿が浮かぶ。
打ち止めの言っている『あの人』とはその少年とは別人なのだが。

打ち止め「このままじゃあの人が死んじゃうの!!ってミサカはミサカはネットワークで手に入れた情報を確認しながら足をばたつかせるの!!」

御坂「…!いいわ、あたし達がアイツを助けるから、」

打ち止め「…始まっちゃったの…!!ってミサカはミサカはあの人の戦闘信号を確認したの!!!」

御坂「アンタはシェルターへ…ってちょっと待ちなさい!!」

打ち止めは御坂の話を聞き終わる前にどこかへ向かって駆け出した。

御坂「黒子ォ!!!」

黒子「はいですの!!!」

黒子がテレポートし、少女の小さな体へ覆いかぶさろうとした時、

黒子「へぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」

黒子の体がブスブス音を立てながら崩れ落ちた。

御坂「な、なにやってんのよ!!」

黒子「妹さまも…『電気使い』…なのですね…」

御坂「全く…!!!止まりなさい!!!こらァ!!!」

―――

―――

一方通行「弱ェな。悪魔ってこンなモンなのかァ?」
足元に転がったトカゲの悪魔の死体を蹴る。

当たり一帯に無数の悪魔の死体が転がっている。

海原「さあ。僕も本物を見るのは初めてですし」

結標「油断しない方良いんじゃないかしら?こいつらどう見ても雑兵っぽいし」

一方通行「チッ! さっさとでてこィやァ親玉さンよォ!!!」

海原「随分とイラついてますね」

一方通行「るせェ。テメェらが使えねェからだ」

結標「本当の事とはいえそう言われるとムカつくわね」

一方通行「ムカついてンのはこっちだ!!俺はさっさと終わらせてェんだよ!」

その時、前方に複数の赤い目が現れた。

結標「さっきのよりは強そうね。」

現れたのは山羊の頭をした悪魔『ゴートリング』
四体いる。

海原「(山羊の頭…!)」

結標「先頭は私が貰うわよ」

一方通行「勝手にしな」

結標が前に出る。

結標「そうね…この車のドアなんかお似合いじゃない?」
そういうと、そばにあった壊れた車のドアが消え、
悪魔の体内に飛んで、その体を真っ二つに裂いた―――

はずだった。

御坂って打ち止めと面識あったっけ

>>604
ないと思うが妹だって事は解るだろうが

あれっ打ち止め12巻で面識なかったっけ?
『小さな打ち止めの姿を見て不機嫌になった御坂は』うんぬんってあったような気がしてた

結標「!!」

悪魔達はとんでもない速度でいきなり彼女へ向かってきたのである。
車のドアは悪魔のはるか後方に現れ音を立てて地に落ちた。

結標「(速すぎる!!座標の補足ができない!!!)」

海原「下がれ結標!!」

瞬間、悪魔の拳が振り下ろされ、地面に巨大な穴が空く。

海原「結標!!」

すると海原の背後から声がした。

結標「うっさいわね…」
彼女は悪魔の拳が直撃する寸前に飛んだのである。

一方通行「チッ やっぱ使えねェなテメエらは」

一方通行「さァ! きな!!」

一方通行目がけて悪魔の一体が突撃して来た。

ゴアンッ!!!っと悪魔の強烈な蹴りが直撃する。
何もかもを粉砕する破壊力をもった蹴り。

だが粉砕されたのは。
悪魔の足だった。

一方通行「ハッ!!すっげェ蹴りだなオィ!!」

ヴォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛!!!
っと悪魔の叫びが響く。

一方通行「次ァこっちの番だ」

一方通行は悪魔の首を掴む。
ベクトル操作により、彼の左手が万力のように悪魔の首を締め上げる。

そして右足で蹴りあげる。
バヅンッ!!!っと悪魔の腹がその衝撃で裂ける。

一方通行「なンだ、案外脆いじゃねェか」

残りの三体が一斉に向かってきた。

一方通行「ザコにァ用はねェンだよッ!!!」

そばに停めてあった業務用のトラックを標的へ飛ばす。
瞬間的に音速の数倍まで加速されたトラックが摩擦熱で火の玉となって、

ドッズンンンンッ!!!と悪魔の三体をまとめて叩き潰し大爆発を起こした。

結標「もう少し丁寧にできないの?いつもはもっとおとなしいじゃない」

一方通行「うるせェ。俺は今最高に機嫌ワリィんだ。」

海原「まあ良いんじゃないんですか?人間にやるような攻撃じゃびくともしなさそうでしたし」
その時、海原は脇に下げている魔道書の原典に何か違和感を感じた。

海原「(…ッ!これは…!?)」

一方通行「海原ァ。テメェも気付いたか?」

海原「…はい」

結標「何?どうしたのよ?」

海原の緊張を察知し、結標も辺りを見回す。

結標「…はは…私もなんとなくわかってきたわ…」

最初は特に気にするレベルではなかったし、実際彼女も気付かなかった。
だがそれは徐々に強くなり、いまは彼女の体に重く圧し掛かっている。
得体の知れない強烈な悪寒、ジリッと皮膚が焼け付くような感覚。

一方通行「はははは!!!」
一方通行「やっと来やがったみてェだなァッ!!!」

一方通行の視線を海原と結標が追う。

先ほどの一方通行の攻撃で崩れたビルの瓦礫の上に人影があった。
銀髪を後ろになで付けている。
赤い目に。青いコート。左手には日本刀。

海原「あ、あれは…!」

結標「な…な…!」

二人はその赤い瞳を見た途端、まるで心臓を手で鷲掴みにされた感覚に陥った。

一方通行「待ちくたびれたぜェ!!!」

海原「結標!!(『アレ』は次元が違う…!!)」

海原は呆然としている結標の手を強引に引き、その場を離れた。

一方通行は瓦礫の上の人影を睨んでいた。

一方通行は知る由はないが、この銀髪の青いコートの男の名はバージル。
ダンテの兄であり彼と双璧を成す史上最強の悪魔の一人。

一方通行「おィ!!!テメェがこのゲテモノ共の親玉か!!?」

バージル「…」

一方通行「あン?まさかそんだけ殺気撒いときながら味方ですとか言ゥんじゃねェだろうなァ!?」

バージル「…」

一方通行「聞こえなィんですかァ?!!!」

その言葉と同時に、ドッガァァァァァァッ!!!!と瓦礫の山もろともバージルを吹き飛ばす。

一方通行「あン?」

瓦礫の雨がやみ、爆心地が見える。
中心にバージルが先ほどと変わらずに平然と立っていた。

一方通行「(コイツ、俺みてェな自動防御でもあンのか…?)」

トンッと地面を軽く蹴る。
その瞬間周囲の無数の瓦礫がその男目がけて飛ぶ。
小石サイズから車サイズ程もある瓦礫が、急激な加速を受け摩擦熱で発光する。

ドドドドドドドドッ!!!!!と無数の光の矢の雨が男に降り注ぐ。

一方通行「チッ!」

だがその猛攻を浴びても尚、男は変わらずに平然と立っていた。
ただ黙って一方通行を鋭く冷たい目で見ている。

バージル「…」

一方通行「ハッ!!!クールなことで!!!なンならこいつはどうだァ!!?」

ベクトルを利用し体を一気に加速させバージルへ突進する。
そして左手に大気を収束させる。
空気が圧縮され発生したプラズマが彼の左手を覆う。

その左手をバージルの顔面へ叩き込む。
バヂィィィィィィィン!!!!っと炸裂し、周囲の瓦礫がプラズマの温度で形を変える。

だが。
男は素手で一方通行のその突きを正面から掴んでいた。

一方通行「(ンだとッ!!?)」

バージルはそのまま一方通行の腹めがけて蹴りを繰り出してきた。
バギィイイン!!!っとその蹴りが自動で反射される。

一方通行「!!!?」

一方通行の能力がその蹴りのとんでもない威力を検知した。
だが彼をそれ以上に驚かせたのは。

一方通行「なンでだ…!??」

確かに驚異的な威力だったが、難なく反射した。
それなのに何故。
   
一方通行「(なンで傷一つ負ってねェ…!?)」

一方通行は悪寒を感じ、一旦後ろへ飛び距離を空ける。

バージルは一方通行を蹴った自分の足を見ていた。
そしてフンと鼻で笑った。

バージル「…面白いな」

一方通行「ハッ!!喋れるじゃねェか!!!」

バージル「そいつで―――これは防げるか?」

バージルは刀に手をかけた―――

一方通行の今までの実戦で培った感が叫ぶ―――
あれは避けろと―――

キィィィィンッ!!!と地面に細い線が走る。

反射的に一方通行は瞬時に横へ体を飛ばす。
僅かな時間差で彼がいた空間が縦に切り裂かれた。

一方通行「…な…!!」

一見、威力はそれ程でもないように見える。
だが彼はその飛んできた斬撃がどれほど異常なものかがわかった。

一方通行「(…なンなんだよこりゃァ…!!!!)」

何もエネルギーを感知できなかったのである。
大気が、地面が切断されたという痕跡のみで、
それを引き起こしたエネルギーそのものは全く感知できなかった。

いや、これは切断されたと言うより、空間自体がパカッと自然に割れたと言った方が正しいかもしれない。

かつて垣根帝督も未知の攻撃を使ってきたが、あれは未知とはいえ認識でき、最終的に演算できた。

だがこれは違う。

全く認識できない。

反射どころではない。
演算すらできない。

一方通行「(…だが…避けられるッてンならなンとかなる!)」

そう、彼にとって反射は単なる手段の一つだ。
それが封じられたからといって彼が無力になるわけではない。
それに状況が違うとはいえ、反射が無効化される事態は経験済みだ。

彼は慌てずに反撃の手段を探す。

一方通行「(奴は恐ろしくタフだ)」

一方通行「(なら―――耐えられねェくれェの力をぶつければ良い―――)」

能力が地球の自転ベクトル捕え、彼の手へ収束させる。

一方通行「ハァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ!!!!」

そしてその莫大な力が大気を押し出し―――

バージルへ向かう―――

帝督戦のダメージは一方さんが無意識に受け入れてるベクトルに未元物質を混ぜて偽装したからで
偽装していないただの未知の物質自体は解析とか無しで普通に反射してるから
次元斬も11次元の演算とか把握してるから反射しそう気もするが
エイワスの例もあるしどうなんだろ

>>629バージル・ダンテクラスのマジの魔剣攻撃はエイワスのと似たようなイメージ。
一見地味で小規模だけど実はとんでもなくヤバイ、ということにして下さい。
バージルの『閻魔刀』もかつて魔界の封印に使われたという、よくよく考えるとマジキチレベルの代物だし。


圧倒的な衝撃波が周囲全てをなぎ払う。ビルが吹き飛ぶ。
凄まじいエネルギーの束がバージルへ突き進む。

バージルの目つきが変わる。
先ほどとは違い、今度はしっかりと構える。

腰を低くする。
そして足を前に踏み出すと同時に

バージル「ハァッ!!!」

神速で抜刀した―――

一方通行が地球全土の『3分』を犠牲にしてまで放った攻撃が、
キンッッッ!!!!!と甲高い金属音と共に真っ二つに裂かれ、そのままかき消された。

一方通行「ウソ―――だろ―――おィ―――」

そしてその斬撃の余波が―――

一方通行の左腕を切り落とした―――

一方通行「がァァァァァァァァァ!!!!」

切り落とされた傷口から血が噴出す。
激痛が走る。

瞬時に血管を塞ぎ痛みの信号を遮断するも、
その僅かな時間に失った血の量はかなりのものだった。

一方通行「…クソがァァァァァァァァ!!!」

無駄とわかっていながらも周囲の瓦礫を飛ばす。
当然、全く効果が無い。

タンッとバージルが軽く、かつ猛烈な速さで向かってきた。

一方通行「おァ゛ァ゛ァ゛!!!」

一方通行も向かう。

白髪の少年は周囲のあらゆるベクトルを右手に収束させ繰り出す。
がバージルはそれを難なくかわし、
すれ違いざまに抜刀し一方通行の左脇へ振るった。

再び甲高い金属音が響く。

一方通行「ぐ…ァあ…」

物理的な部分は反射した。
だが認識できなかった刃が彼の左脇を裂いた。
肋骨は寸断され、傷は肺にも届いていた。

ベクトル操作をし、傷口から内臓が飛び出すのを防ぐ。
かわりに器官や肺、体内に溢れた血を傷口から排出する。

一方通行は膝から崩れ落ちた。
最早戦う力は残っていなかった。

一方通行「(くっそッ……なンなンだよこれァ…ふざけンな…)」

その時だった。

少し離れた前方からジャリッジャリッと何者か歩いてきた。
バージルでは無い。奴は後ろにいる。

一方通行は顔を上げ、その第三者の姿を確認した。

一方通行「おィ…!!?」

一方通行「なンで…!!?なンでだァッ!!!?」

脇の傷など忘れその新たな来訪者へ叫ぶ。

一方通行「なンでテメエがここにいるンだァァッ!!!??」


なンで―――

なンでこのガキが―――?


一方通行「ラストオーダァアアアアア!!!!」

―――

―――

打ち止め「あ…あ…ミサカは…ミサカは…」

今にも泣きそうな顔で打ち止めは小刻みに震えながら近づいてくる。
手には見覚えのあるコンビニの袋をギュッと握り締めている。

一方通行「オィ!!逃げろ!!!さっさと行け!!!」

打ち止め「…あなたの傍に…いたいの…ってミサカは…ミサカは…」

一方通行「来るンじゃねェェェェェェ!!!!!」

その小さな少女の体を後ろへ吹っ飛ばした。
避けたコンビニの袋から菓子が散る。
彼が操作したため、地面へ叩きつけられること無く穏やかに着地した。

その時、別の方向で
ドンッ!!と閃光が瞬く。

電気を帯びた破魔の銃弾がバージルへ向かってきたが彼は難なくかわす。

ゴバン!!と外れた弾丸が地面を抉った。

閃光が瞬いた方向から一人の少女が飛び出してきた。
打ち止めを成長させたような顔の少女。

一方通行「(なンでテメエも―――!!?)」

打ち止めが今度は走りながら一方通行に駆け寄ってくる。

御坂「止まりなさい!!!!止まれぇええ!!!!!!」
御坂が叫びながら打ち止めへ向かう。

そしてバージルも動いた。

マズイ―――

このままだと打ち止めをあの刀の衝撃波が襲う。

くっそォォォォォォォォ―――!!

キィン!!!とバージルの冷酷無比な刃が振られた。

御坂と打ち止めは何かに弾き飛ばされた。
その瞬間、さっきまでいた場所の地面がスパァアン!!!と割れた。

御坂「な…!!?」

すぐに打ち止めの姿を確認する。
やや強く地面に叩きつけられたものの、ケガは擦り傷程度だった。

そしてもう一人。白髪の少年方へ目をやった。

御坂「―――!!」

白髪の少年は胸から大量の鮮血を噴き上げていた。
そしてうつ伏せに地面へ倒れこんだ。

血の海に横たわる一方通行を見て打ち止めが叫ぶ。

打ち止め「…いや…いやだ…!!!…いやだ…ってミサカは!!!…ミサカはぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

御坂は、一方通行へ向かおうとする打ち止めの体を押さえ込む。
そして震える手でダンテから預かった銃をバージルへ向け、
絶叫しながら引き金を引いた。

御坂「ぁああああああぁぁぁああああッ!!!!」
ドンドンドンッ!!と無我夢中で連射する。

が全て軽くいなされる。

バージル「その銃…」

バージルは御坂の持っている銃を見るや、ゆっくりと近付いてきた。

御坂はコインを持っている左手をバージルへ向ける。

御坂「うあぁぁぁぁぁぁぁあああッ!!!」

音速の三倍で放たれたコインがバージルへ向かう。

だがその彼女の切り札も
バキィィン!!!と刀で弾かれた。

いや弾かれたというのは正確ではない。
厳密にいうと、刀でキャッチしたのである。

バージルの刀の先に、コインと先ほど放った銃弾が綺麗に並んで載っていた。
切っ先のコインと銃弾を少し見つめた後、バージルは刀を返してそれらを地面に落とした。

御坂「…そんな…」

バージルは何事も無かったようにそのまま歩いてくる。

その時、地獄の底から響くような低い声が。

「…ン…じゃねェ…」

バージルが血溜りに突っ伏している一方通行へ目を向ける。

一方通行「…近付くンじゃねェ…」

彼は残った右手を地に突き、起き上がろうとする。

一方通行「近付くンじゃねェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!!!!」

咆哮と共に少年の背中から黒い何かが噴出し、束となってバージルへ向かった。
バージルは瞬時に抜刀すると
バキィィィィンン!!!!とその黒い噴射物を弾いた。

バージル「…硬いな」

ジッとその黒い噴射物を見つめる。
バージルは切断しようとしたのだが、その黒い噴射物は予想以上に硬かったようだ。

バージル「…」

先とは比べ物にならない程にバージルの目が赤く輝きはじめる。
バージルの体が青く光り始める。

一方通行「オ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!!!」

一方通行の背から生える黒い噴射物の塊が更に巨大化し、
腰を低くして構えているバージルへ突き進む。

その速度は音速の数十倍に達する。

一方通行の正真正銘の切り札、彼の最強の攻撃。

その攻撃が当たる直前。
バージルの体が青い太陽の様に輝き、体の形がかわる。

そして真の力を解き放った。

『ハァァッッ!!!!』

エコーのかかったバージルの掛け声が響く。

その次の瞬間、青白い光の線が何重にも走った。
黒い噴射物の塊は格子状に寸断された。

バージルはすぐに魔人化を解いため、その姿を一方通行達が見ることは無かった。。

一方通行の黒い羽はザァッと消滅する。
最早一方通行には何も残っていなかった。

それでもその目はバージルを睨み、
打ち止めと御坂の方へ行かせまいと仁王立ちしている。

バージルは余韻に浸るかのようにゆっくりと納刀し、その少年の目を見つめる。
バージルは少し驚いていた。まさか人間の子供相手に魔人化させられるとは思ってもいなかった。

とはいえ、魔人化してかなり軽く振っただけなのだが。

バージル「心配するな」

バージル「あのガキ共を殺すつもりは無い」


彼らにはそんなことはわかるわけも無いだろうが、
バージルは彼女の持つ銃に興味を持っただけで、別段殺すつもりは無かった。


それ以前に、この戦いは先に一方通行が吹っかけたもので、バージルは別に戦うつもりはなかった。

バージル「おい」

御坂を見ながら言う。

バージル「その銃、どうした?」

御坂「…あ…な…!?」
御坂「し、知り合いに貸してもらったのよ!!」

バージル「…そうか」

そっけな言葉を返すとバージルは踵を返し、破壊された街の中へ消えて言った。

御坂「…なんなのよ…一…体…」

一気に体の力が抜け、緊張の糸が切れる。
打ち止めがゆるんだ拘束を抜け出し、依然仁王立ちしている一方通行のもとへ駆け出す。

打ち止め「もう大丈夫だよ…ね?…ってミサカはミサカはなだめてみるの」

一方通行の前へ立ち彼の右手を取る。

一方通行「…ラスト…オーダー…」

途切れ途切れの声。

一方通行「クソ…ガキ…が…」

その言葉を最後に一方通行はドッと倒れた。

御坂「ちょっと!!!」

薄れていた意識を奮い起こし、彼女も一方通行のもとへ駆け寄る。

一方通行は完全に意識を失っていた。

御坂「起きなさいよ!!!」

打ち止め「眠っちゃだめ!!眠っちゃだめだよ!!!ってミサカはミサカはぁぁぁぁ!!!」

御坂「起きろっつてんだよぉぉぉぉッ!!!!!」

その時二つの人影が突然目の前に現れた。

土御門、結標だ。

土御門「ッ!!!クソッタレ!!!!」

土御門はすぐに一方通行の傍へ駆け寄り、息や脈、傷を確かめる。

御坂はそれぞれ彼らと面識があり、
なぜこの場にその二人が揃って現れたか甚だ疑問だがそんな突っ込みを入れてる場合じゃなかった。

御坂「ど、どうなのよ!!!?」

土御門「まだ生きてる!!!結標!!!」

結標「ええ!!!」

土御門は近くに落ちていた一方通行の左腕を拾い上げる。

土御門「ラストオーダー!!お前も来い!!」

打ち止め「うん!!!ってミサカはミサカは当たり前の返事をするのッ!!!」

御坂「どうなのよ!!助かるのコイツ!!?」

土御門「死なせはしねえぜよ!!!こいつにはまだやってもらんなくちゃなんねえ事があるんぜよ!!!」

そして彼らは一方通行と打ち止めを連れて、現れた時と同じようにどこかへテレポートしていった。

一人になった御坂は思いを巡らす。

なんで一方通行が己の身を挺してでも彼女達を守ろうとしたのか―――

御坂「いつかちゃんと訳を聞かせてもらうわよ」
御坂「もし死んだら」

一人呟く。

御坂「一万回ぶっ殺してやる。一方通行」

しばらくして彼女のルームメイトが目の前に現れた。

白井「お姉さま!!!こんな所に!!!探しましたのよ!!!」
白井「妹さまはいずこへ!??」

御坂「遅いのよ黒子ォ!!!」

御坂はそのツインテールの頭を引っ叩いた。

―――

キリがいいし、ちょっくら飯言ってくる。
七時までには再開する。
後々アレイスターの策でパワーアップした一方さんがリベンジ戦する予定あり。


誤字脱字すまん

飯食い終わってしまったから書き溜めしつつ復習。

ダンテ→イギリス清教が来るまでインデックス護衛。
バージル→目的は不明。魔帝軍とは一切関係なく、単独で行動中。
魔帝ムンドゥス→部下がインデックスを使って封印を解いてくれるのを待っている。
魔帝軍→インデックスを奪う為奮闘中。また敵対勢力へ妨害中。
ネロ→『ボルヴェルク』を殺すため学園都市入り。
神裂達→上条達のもとへ急行中。

―――

上条「おい、さっきのは一体…!?」

1kmほど離れたところからだろうか、先ほど立て続けに巨大な粉塵があがり、地響きが起こったのである。
今はそれが嘘のように不気味な静寂。

ダンテ「…」

上条「!?も、もしかして神裂達が…?!」

ダンテ「…まあ…直接聞きな」

上条「?」

ダンテ「あっちだ」
ダンテが指差した方向に人影があった。

禁書「…!!」

上条「…なッ!!!?」

その30m程のところに立っている男を見て上条達は言葉を失った。
青いコートに銀髪、左手には長い日本刀。
そしてその男の顔はダンテと瓜二つだった。

上条「な…えッ…?」

上条は傍らにいる男と、正面にいる男の顔を交互に見る。状況が全くわからない。

ダンテ「…よう」

バージル「…」

ダンテ「久しぶりじゃねえか」

バージル「…そうだな」

ダンテ「元気そうでなによりだ」

バージル「…」

ダンテ「復活した気分はどうだ?」

バージル「悪くは無い」

上条はダンテの横顔を見てふと気がつく。
そのいつもふざけていた顔が僅かに歪んでいた。
嬉しさと悲しさが複雑に混じった感情がかすかに見える。

上条「(…?)」

ダンテ「で?何しに来た?」

バージル「…」

ダンテ「あれか?俺のこと怒ってるのか?」
ダンテ「なんなら謝るぜ。」

バージル「…」

ダンテ「どうやら仲直りに来た訳でもなさそうだな」


バージル「失せろ」

バージル「禁書目録を渡せ」


ビクッとインデックスが反応し、彼女をかばうように上条が身構える。



ダンテ「…へえ…お前もか…」

ダンテ「で、禁書目録で何するんだ?」

バージル「貴様と戦うつもりはない。失せろ」

ダンテ「おいおい訳ぐらい教えてくれたっていいだろ」

バージル「三度は言わない」

ダンテ「…断る」

バージル「…そうか…」



数十秒間の沈黙。

ダンテが背中の剣へ手をかけながら、
上条とインデックスへ向けて言う。

ダンテ「おい。ここから動くな。」

次の瞬間、二人の史上最強の魔剣士が激突した。

神速で繰り出される刃と刃の衝突音がまるでマシンガンのように続く。

その衝撃波で地面が瞬く間に寸断され粉砕される。

周囲のビルがその嵐に耐えられずに爆散し倒壊する。
その瓦礫の雨が地に着く前にまた新たな衝撃波で弾き飛ばされる。

車ほどの、崩れたビルのパーツが辺りを舞う。

上条とインデックスは一歩も動くことすらできずにその場でただ身を丸めていた。
あたりに巨大な瓦礫の塊が降り注ぐものの、彼らの上には落ちてこなかった。

ダンテが戦いながら、銃で上条達へ向かう瓦礫を撃ち落していたからである。

オァァッ!!
ハァァッ!!!
セイヤァッ!!!!

二人の魔剣士の掛け声が交互に聞こえる。

上条達にはそれは『戦い』には見えなかった。

赤と青の光が残像を引きながらまるでダンスをしているかのように交わり、絡まり、衝突している。
そのたびに眩い光を伴った爆風が周囲を破壊する。

上条は超人達の戦いに何度も身を投じたことがある。
聖人同士の戦いも目の当たりにしたことがある。
だがこの『破壊の嵐』は完全に次元が違った。

上条は身をうずめ、傍らの小さな温もりを抱きしめながら見てるしかなかった。

小さき人間が火山の大噴火を成す統べなくただただ眺めている様な状態だった。

突如、一際大きな衝撃波が発生し、
ゴバァァァァ!!!っと巨大なクレーターを作った。

ようやく上条はその赤と青の光の正体を捉える。

その爆心地で二人の魔剣士が鍔迫り合いをしていた。
ヂリリリリリリリリ!!!っと刃と刃が交わる点から巨大な火花が散る。

オァァッ!!!

掛け声同時に
バギィン!!っと二人の魔剣士がお互いを弾き飛ばした。

ダンテは空中で体勢を立て直し、上条達から5m程の所に着地する。
ダンッ!!とアスファルトが衝撃で割れる。

上条「ダ、ダンテ!!」

見ると、ダンテの頬が大きく裂けて赤い液体が溢れている。
コートの袖からも赤い液体が滴っている。

ダンテ「あん?」

上条「だ、大丈夫なのか!!?」
上条「き、傷は?!」

ダンテ「ああ、それなら心配すんな」

そう言っている間にダンテの頬の傷がみるみる塞がっていく。

ダンテ「おい!バージル!!」

お互いが弾かれ後ろへ跳んだため、二人の魔剣士の距離は100m程ある。

ダンテ「ハッハァ!!すげえじゃねえか!前よりだいぶ強くなってるな!!」

バージルは歩きながらゆっくり近づいてくる。

バージル「当然だ。貴様が人間界で呆けている間、俺はずっと戦い続けていた」

ダンテ「そう言うなよ。こっちでも色々あったんだぜ」

バージル「知っている。全て、な。」

ダンテ「…『閻魔刀』の『前の所持者』のこともか?」

バージル「ああ」

ダンテ「…へえ」

ダンテが剣を地面に突き立て、駒のように回転させている。
チリリリン、チリリリン、とアスファルトと剣先がこすれる音。

ダンテ「で、次の出し物は何かな?そのまま第二ラウンドか?」

バージル「…」

バージル「いや」

ダンテ「へぇ。じゃあ何すんだ?ポーカーでもやるか?つまんねえのは願い下げだぜ」

バージルが鞘から刀を抜く。
それに応じてダンテも肩へ剣を乗せる。

バージル「警告はした」

ダンテ「ああ聞いたぜ」

バージル「…」

バージルはいきなり自分の腕へ刀を突き刺した。
ビチャ!!っと鮮血が足元の地面へ飛び散る。

ダンテ「おいおい。とうとう狂っちまったか?」

バージルは答えずに刀を腕から引き抜き、
次は足元の血溜りへ刀を突き立てた。
その瞬間血溜りが沸騰したように蠢いた。


ダンテ「おいバージル…そいつぁ…」
ダンテの表情から余裕が消える。

禁書「まさか…ダンテ!!」

バージルの狙いがわかったインデックスも叫ぶ。

ダンテ「最高に―――」

ダンテ「つまんねえじゃねえか―――」

その瞬間ダンテの足元の地面に
ズアァァァ!!と黒い円が浮かび上がった。

黒い円の直径は5m程。
その中心にダンテが立っていた。

黒い円から無数の赤い半透明のツタのようなものが飛び出し、
あっという間にダンテの体へ巻きつく。

上条「ダンテさん!!!」

ダンテは振りほどこうと身をよじるが、抜け出せない。
知っている。
ダンテは過去に何度もこれに道を塞がれた経験がある。
封印術の一種。

空間ごと断絶させるため、ダンテでさえなかなか突破できない。

だが使用には莫大な力が必要なため、
大悪魔でさえ壁や扉にしかかけれない術だ。

そんな術をバージルは標的へ直に、このダンテに直接かけたのである。

ダンテ「あー、くそったれ」

バージル「隙だらけだ。相変わらず大雑把過ぎる。少し学べ」

ダンテ「ハッ!!その俺に何回負けたか覚えてんのかお前は?」

赤い半透明のツタがどんどん巻きついていく。

※赤いツタ=DMCで強制戦闘の時に扉とか塞いで近付くと手が生えてくるやつ

上条「ダンテさん!!大丈夫か!!」
上条「おいインデックス!!あれ何なんだ!?」

禁書「ふ、封印術の一種だと思うんだよ!!」

上条「封印術!?魔術か!?なら俺の右手で壊せるんだな!!?」

禁書「た、たぶんできるよ!!」

上条「なら―――!!」

っと上条がダンテの下へ駆け出そうとしたとき。
ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!と目の前に何かが飛び降りてきた。

上条「…ッ!!!」

それは『ゴートリング』。
あの御坂ですら一体倒すのが限界だった大悪魔。
それが三体、上条の前に立ちふさがっていた。

ドンドンドンドン!!っと更に周囲に何体も現れ、
そしてどこからともなくあのトカゲの悪魔も大量に集ってきた。

悪魔達が一斉にバージルへ飛び掛る。

だがキンッ!!!という音と同時にその悪魔達の体がバラバラになる。
そして浅葱色の剣が十数本、バージルの周りに現れる。

『幻影剣』

彼の魔力によって精製された剣。

その剣はそれぞれが意思があるかのように飛び交い、周囲の魔帝軍の悪魔達を次々と切断していく。

上条「くそ…!!!」

上条の前にいる悪魔がじわりじわりと近づいてくる。
インデックスが近くにいるせいか、どうやら破壊的な手段はあまり取れないらしい。

上条が一人でダンテ向かって特攻すれば、インデックスから離れた彼を悪魔達は一瞬でミンチにするだろう。
だがインデックスを担いでこの悪魔達の壁を突破するわけにもいかない。

ダンテ「おい!!坊や!!」

赤い半透明のツタに埋もれたダンテから声がする。
もう体のほとんどが覆われている。

ダンテ「アホな事考えんな!おチビちゃんを連れてさっさと行け!」

上条「…で、でも…!」

ダンテ「イギリス清教が近くに来てる!さっさと合流しろ!」

上条「わ、わかった!!」

バッとインデックスを抱き上げ、ダンテと反対の方へ駆け出した。

それを周囲の悪魔達が追―――

―――おうとしたが、耳をつんざく甲高い音と共に一瞬でバラバラになる。

上条「うぉぉぉぉぉ!!!」

寸断された悪魔のパーツがドサドサと落ちて来る。
悪魔達の血が雨のように降り注ぐ。

上条は無我夢中でその場を離れた。

ダンテ「追わねえのか?」
ダンテ「魔帝軍に取られても知らねえぜ」

バージル「奪い返せば良い」

ダンテ「余裕だな。さっさといかねえとあのガキ達も仲間と合流しちまうぜ?」

バージル「それがどうした?」

ダンテ「眼中にねえってか」

バージル「…」

ダンテ「一つ忠告しといてやる」

ズォア!!っと、ダンテの足元から赤い半透明の巨大な手が現れた。
ダンテを魔界の深淵に引きずり込む為に。

ダンテ「甘く見ねえ方がいい」

反撃きたー!

>>733 スマン、スーパーダンテが大暴れするのはもう少し後なんだ

その巨大な手はツタに埋もれたダンテを鷲掴みにし、

ダンテ「覚えとけ」

地面の黒い円の中へ引きずり込みはじめた。
ダンテはバージルへ向けて右手を突き出し、
中指を立てる。

ダンテ「人間は強いぜ、兄貴」

ズズズズ!!っとツタに絡まれた男は中指を立てたまま沈んでいった。
そして黒い円も完全に消え、地面は破壊されたアスファルトに戻った。
最早その言葉を向ける相手はいないが、彼はバージルは口を開いた。

バージル「何をいまさら。それくらい―――」

バージルの脳裏に一人の女性の姿が浮かぶ。
かつて幼い頃の彼とその弟を身を挺して守り、命を落とした人間の女性。

バージル「知ってる」

彼は上条達が逃げた方向へゆっくりと歩いていった。

上条は走る。
胸が裂けそうなくらいに心臓が暴れている。

上条「ハァッ…ハァッ…」

辺りを見回すも何も動く気配が無い。

禁書「とうま…」

上条「大丈夫だ…大丈夫だインデックス…何も心配するな…」

どこに向かえばいいか分からない。
インデックスを抱いたまま、ただ走る。

上条「ステイルッ!!!神裂ッ!!!」

来ているであろう友人の名を呼ぶも、
その声は無人の街でむなしく反響する。

上条「くそッ!!どこにいる!?」

その時、ジリッと背中が焼けるような感覚。

上条「…くそ…」

見なくてもわかる。追いつかれた。

インデックスを降ろし、手でかばいながらゆっくりと振り向く。

20m程の所に青いコートの男。
ゆっくりと歩きながら近づいてくる。

バージル「諦めろ」

上条「ふざけんじゃねえ!!!」

バージルは上条の目を見つめる。
『命に代えてでも守る』という強い意志がこもった瞳。

この目を見るのは今日二度目だ。

バージル「どうするつもりだ?」

上条「…ッ?」

上条は拍子抜けした。覚悟を決めていただけにだ。
てっきりすぐに切りかかってくると思っていたのである。

時間稼ぎできればイギリス清教の皆が来てくれるかもしれない。
そう思い、上条はバージルの問いかけに答える。

上条「イ、インデックスは渡さねえ!!」

上条「魔帝軍にも!!」

上条「てめえにもな!!!」

バージル「そうか」

その瞬間、
ドンッ!!と強烈な衝撃が上条の体全身を襲った。

上条「がぁぁぁぁぁぁ!!」

何が起こったのかわからない。
後ろへ大きく吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられる。



とうまああああ!!!―――

バージルはインデックスの隣に立って、腕を掴んでいた。
インデックスは吹き飛ばされた上条のもとへ向かおうと、その手をどうにかして振りほどこうと暴れている。

上条「てめぇぇぇぇ!!!」

上条「インデックスを離せ!!離せっつてんだよぉぉぉお!!!」
痛みを無視して跳ね起きバージルへ突進する。

が、次の瞬間上条の左肩を何かが貫いた。

上条「ごぁぁぁッ!!!」

そのまま後ろに飛ばされ、ビルの壁面に叩きつけられる。
だが地面には落ちなかった。左肩に突き刺さった何かで磔にされたのである。

禁書「とうまぁああああ!!!」

ミシッ!!っと解放された体重がその左肩に集中する。

上条「がぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛ッ!!!」

上条は左肩を貫いているそれを見た。浅葱色の、ガラスのような剣。

咄嗟に右腕をかざすと、その剣は簡単に砕け散った。
ドザッ!!と上条は地に落ちる。

バージル「…その右手」

ぱっくり開いた左肩からおびただしい量の血が溢れている。意識が朦朧としてくる。

上条「おぁ…あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

それでも上条は立ち上がり、再びバージルへ向かった。

だがドンッ!!と猛烈な衝撃が再び胸から腹にかけて襲う。
ベキベキッ!!と体の中から湿った不気味な音。

上条「ご…ぁ…」

上条はその場に崩れ落ちる。倒れる中、上条の耳に少女の絶叫が聞こえた。

禁書「いやぁあああああ!!!とうまぁあああああ!!!!」

上条は地面に仰向けに倒れた。
胴体は真っ赤に染まり、胸から皮膚とシャツを突き抜け2本の折れた肋骨が飛び出していた。

最早上条にインデックスを連れて逃げる力が無いと確信したバージルはインデックスの手を離した。

禁書「とうまぁ!!とうまぁ!!」

インデックスはすぐに倒れている上条へ駆け寄ると、上条の胸や腹の傷を塞ごうと手を押さえつける。
だがその小さな手をむなしくすりぬけた大量の血が彼女の修道服を真っ赤に染め上げていった。

禁書「とうま…。とうま…。」
上条にはまだ息がある。ヒューッヒューッと呼吸音がしている。

禁書「もうやめてぇ!!…お願い!!!…なんでもするからぁぁぁ!!!」
小さな少女が泣きながら叫ぶ。

バージル「…」

禁書「お願い…殺さないで…」

バージルはその死にかけの少年と傍らの少女の姿を見つめる。

その光景が再び過去の記憶と重なる。
死にかけの母に寄り添う、二人の幼い銀髪の少年。

忘れたと思っていた感情。
より人間の血が濃いネロと魂が繋がっているせいなのか、その感情が僅かにこみ上げてくる。

バージルは鼻で軽く笑った。
少し滑稽だった。

己の心がこんな感情に揺さぶられるなど。
だが別段それ程悪い気もしない。

上条「イン……デ…」

かすかに喋った。
虚ろな目が彼女の顔を見つめている。

禁書「とうま…喋っちゃだめ…」

バージルはぬらりと刀を抜いた。

禁書「…!!」
インデックスが上条を守ろうと覆いかぶさる。
バージルは刀で地面のアスファルトに何やら文字のようなものを刻み始めた。

バージル「これで我慢しろ」

禁書「…あ…」
インデックスはその文字の意味がわかった。

バージル「行くぞ」

禁書「とうま…」
インデックスは上条を見つめる。

バージル「さっさとしろ。コレを消すぞ。」
文字が刻まれた地面を鞘で軽く叩く。

禁書「…!!わかったんだよ…」

上条は薄れ行く意識の中、遠ざかる青いコートの男と、
赤と白のまだら模様の修道服の少女を見ていた。


―――

―――

神裂「か、上条当麻ッ―――!!??」

神裂達が彼を見つけたのはそのわずか数分後だった。
五和の悲鳴が響く。

天草式の医療メンバーが手当てにあたる。

神裂「上条当麻ッ!!聞こえますか!!」

ステイル「勝手に死ぬのは許さんぞ!!!おい!!」

五和「離してください!!!離して!!!離せッつってんだよぉおおお!!!」
パニックに陥った五和は無駄ということもわすれて回復魔術を施そうとし、他の天草式メンバーに取り押さえられている。

「……」
手当てしていた天草式の医療メンバーが顔を上げる

ステイル「…何やってる!!」

「…亡くなりました」

―――

完全な沈黙が一瞬辺りを包んだ。
その後方々から言葉にならない声が漏れる。

死ん…だ…?
そんな…

ステイルは静かに立ち上がり、その輪から離れた。

輪の中からは
…ふざけるな!!
俺がやる!!
諦めるな…まだだ!いける!!
と声が聞こえる。

ステイル「…」

手が震えている。
上条当麻のことは別段好きじゃない。
むしろ気に入らない。

だが共に何度も死線をくぐり、お互いを助け合った。
戦友という言葉がしっくりくる。
心にぽっかり穴が空いた気がする。

ステイルは14才ながら、壮絶な人生を送ってきた。
多くの殺し合いに参加し、数々の同胞が斃れていった。

それ故、この喪失感も何度も味わった。だがやはりいつまで経っても慣れない。

ステイル「…全く…またあの子に嫌われそうだよ…僕…」

上条を慕っていた少女の顔を思い出す。
その少女の笑顔が守れるならばなんだってする。

だが、これを知った少女の顔からは笑顔が消えるだろう。

ステイル「(…トリッシュに報告するか…)」
だが今は任務がある。悔やみ悲しむ暇は無い。トリッシュから渡された黒い石を握り、彼女の名前を呼ぶ。

トリッシュ『何?』

脳内に直接声が響いてきた。

ステイル「禁書目録が奪われた」

トリッシュ『相手の姿を見た者はいる?』
ステイルはその言葉になぜか引っかかった。

ステイル「いるが。どうした?」

トリッシュ『話を聞きたいの。ちょっとした確認よ』

ステイル「それは、『誰』が禁書目録を奪ったかが知りたいという意味か?」

なぜインデックスをさらった人物を確認する必要がある?さらうとすれば魔帝軍一つしかないのではないか?
トリッシュは第三勢力がいると考えているのか?

トリッシュ『そう』

ステイル「隠している事があるだろう?」

トリッシュ『話すわ。その前にその目撃者とかわって』

ステイル「生憎だが。直接聞きに行けばいい。彼はかわれないよ」
ステイル「死んだのだから」

上条「すまねぇ…待たせたな」
ダンテ「ククク…ハーッハッハ…奴が…伝説の…超サイヤ人だ…!くっ…これで終わりだ…!バージルさんよぉー…!」

トリッシュ『…わかったわ。行くわよ』

ステイル「…は?」
彼女の声調を聞く限りじゃ冗談に聞こえない。ステイルは皮肉のつもりで喋ったのだが。
その時、目の前の地面に黒い円が浮かび上がった。

さっき腐るほど見た光景だ。悪魔が現れる穴だ。

ステイル「(まずい…!!!)」

他の者達は気付いていない。
彼が叫ぼうとした時、その黒い円の中からトリッシュが現れた。

ステイル「へ?」

トリッシュ「で、どこ?」

ステイル「…向こうだ」

トリッシュ「…?」

その時、トリッシュの目が少し離れた地面に止まった。
そこには魔界の字で文が刻まれていた。

トリッシュ「…へえ」

トリッシュは上条の遺体を眺めていた。左肩の傷口を見る。

トリッシュ「(これは…幻影剣ね…相手はやっぱりバージルか…)」
トリッシュ「この子が今の禁書目録の管理者って訳ね。確か幻想殺しっていう力を持つ手があるって聞いてたけど、どっち?」

神裂「…右手です…」

トリッシュ「こっちね」
すっと上条の右手をとってみる。まだ暖かい。トリッシュは試しに電気を流してみる。
周りの神裂とステイル以外の者は知らないが、彼女の正体は実は悪魔だ。
そして彼女は電気を操ることができる。

トリッシュ「(なるほどね…)」
彼女の流した電気が打ち消された。右手はまだ生きている。

トリッシュ「(まだ完全には魂が抜け切ってないわね)」
トリッシュ「なるほどね。ちょっと待っててね」

そう言うと彼女はそこから少し離れた。きょとんとしている皆を尻目に彼女はその場に魔方陣を描き始めた。

そしてある物を召喚した。
ヴン!!と魔方陣が輝き、中央にゴドンっと何かが現れた。

かなりの重さがあるのか、アスファルトにヒビが入っている。
それは銀色の篭手と脛当て。

魔具『ベオウルフ』。

トリッシュ「何ボケッとしてんのよ。そっちにこれ運ぶの手伝いなさい」

ダンテの方しか元ネタ知らないから皆の半分くらいしか楽しめてない気がする
まあ面白いから良いけど

>>783
デビルメイクライさえ知らない俺がいるから安心しろ

「こ、これどうすれば?!」
『ベオウルフ』を運ぶ天草式の者たちが彼女へ聞く。

トリッシュ「この子の左手と両足に装着して」
そういうとトリッシュは傷にお構いなしに少年の心臓がある部分にナイフを突き立てた。

ステイル「な、何をしてるんだ!?」

トリッシュ「この子の体に悪魔を『流し込む』の」

少年の右手が邪魔して、魔術はうまく動かない。
だが実際に生命体として存在している悪魔なら。
悪魔の力を、魂を直接移植すれば。

地面には只一言こう刻まれていた。

『悪魔に転生させろ』と。


―――

         ナ ゝ   ナ ゝ /    十_"    ー;=‐         |! |!
          cト    cト /^、_ノ  | 、.__ つ  (.__    ̄ ̄ ̄ ̄   ・ ・
ミミ:::;,!      u       `゙"~´   ヾ彡::l/VvVw、 ,yvヾNヽ  ゞヾ  ,. ,. ,. 、、ヾゝヽr=ヾ
ミ::::;/   ゙̄`ー-.、     u  ;,,;   j   ヾk'! ' l / 'レ ^ヽヘ\   ,r゙ゞ゙-"、ノ / l! !ヽ 、、 |
ミ/    J   ゙`ー、   " ;, ;;; ,;; ゙  u ヾi    ,,./ , ,、ヾヾ   | '-- 、..,,ヽ  j  ! | Nヾ|
'"       _,,.. -─ゝ.、   ;, " ;;   _,,..._ゞイ__//〃 i.! ilヾゞヽ  | 、  .r. ヾ-、;;ノ,.:-一'"i
  j    /   ,.- 、  ヾヽ、 ;; ;; _,-<  //_,,\' "' !| :l ゙i !_,,ヽ.l `ー─--  エィ' (. 7 /
      :    ' ・丿   ̄≠Ξイ´,-、 ヽ /イ´ r. `ー-'メ ,.-´、  i     u  ヾ``ー' イ
       \_    _,,......::   ´゙i、 `¨ / i ヽ.__,,... '  u ゙l´.i・j.冫,イ゙l  / ``-、..- ノ :u l
   u      ̄ ̄  彡"   、ヾ ̄``ミ::.l  u   j  i、`ー' .i / /、._    `'y   /
              u      `ヽ  ゙:l   ,.::- 、,, ,. ノ ゙ u ! /_   ̄ ー/ u /
           _,,..,,_    ,.ィ、  /   |  /__   ``- 、_    l l  ``ーt、_ /  /
  ゙   u  ,./´ "  ``- 、_J r'´  u 丿 .l,... `ー一''/   ノ  ト 、,,_____ ゙/ /
        ./__        ー7    /、 l   '゙ ヽ/  ,. '"  \`ー--- ",.::く、
       /;;;''"  ̄ ̄ ───/  ゙  ,::'  \ヾニ==='"/ `- 、   ゙ー┬ '´ / \..,,__
、      .i:⌒`─-、_,....    l   /     `ー┬一'      ヽ    :l  /  , ' `ソヽ
ヾヽ     l      `  `ヽ、 l  ./  ヽ      l         )  ,; /   ,'    '^i

―――


「(ここは―――?)」

上条はどこかの荒野に立っていた。
草木が一切無く、灰色の砂と瓦礫のみ。
空は真っ黒。

「(ああ、そういえば…)」

記憶を探る。

「(俺死んだのか…)」

「(ここは…天国じゃあなさそうだな…)」

「(悪魔に殺されたんだもんなあ…)」

「(インデックス…)」

「(すまん…)」

その時、後ろから急に激痛が襲ってきた。

「(ぐぉおお!!!)」
「(なんだ?!体がうごかねえ!!)」

「スパーダァアアア!!!」

いきなり口が勝手に開き叫んだ。

「(なんだ!?体が勝手に…スパーダ?)」

体が後ろを向く。
そこには全身が黒い悪魔が立っていた。
右手には巨大な赤い剣。

「貴様!我らを!我が主を裏切るのか!!?」

上条の体が勝手にその黒い悪魔へ飛び掛っていく。

「(おい!どうなってるんだこれ!)」

左目に激痛が走る。

「『ぐぁああああああ!!!!』」

相手の悪魔に左目を切られたのである。
上条の叫びと体の叫びが重なる。視野の左側が真っ黒になる。

上条が見ているその光景は『ベオウルフ』と言う名の大悪魔の記憶。

その後も彼は長い長い記憶を見続けた。

復讐する為、己の誇りを守る為に幾千もの時間をかけ力を蓄えるベオウルフ。

だがその全てを捧げた力さえ、二人の怪物に簡単に砕かれる。

ダンテには右目を切られ、バージルによって頭部を切断され、そして武器に姿を変え使役される。

バージルと融合しダンテと戦い、
次はダンテと融合しバージルと戦う。

上条はベオウルフと共にこの兄弟と融合し、彼らの記憶の奥底を垣間見る。

この兄弟を庇って最愛の母が傷を追い、
そして目の前で息絶えた。

絶望の底。

兄は己の弱さを恨み憎み、全てを捨てて力を求めた。
弟は道を失い目的も無く暴力と殺戮の世界へ飛び込んだ。

そして上条は彼らの魂の叫びを聞いた。

兄と弟が刃を交えた時。
弟は己の進むべく道を見出した。
そしてその道は―――

兄とは決して共に歩めない道―――

弟の叫び―――

『俺達がスパーダの息子なら―――』

『受け継ぐべきなのは力なんかじゃない!』

『もっと大切な―――誇り高き魂だ!』

『その魂が叫んでる』

『あんたを止めろってな!』


そして兄の叫び―――

『悪いが俺の魂はこう言っている』

『―――もっと力を!』


―――

しばらくして視界が急に眩しくなった。
何も見えない。

「(誰だ…?)」

まわりから声が聞こえる。

目を開く。
それと同時に辺りが急に騒がしくなった。
視界が正常に戻っていく。
何かが目の前を覆っている。

「(…?)」

視界がはっきりしてそれの正体がわかった。


上条「い、五和!!?」


―――

上条の左手と両足へ『ベオウルフ』を装着し終えると、トリッシュは突き立てていたナイフを一気に引き抜いた。
それと同時に上条の体が跳ねる。

トリッシュ「押さえて!!」

実はこの方法は確実ではない。一か八かの賭けだ。『ベオウルフ』が彼を認めなかったら体が爆散する。
また莫大な力に乗っ取られ、理性を無くした怪物になる可能性もある。

トリッシュ「さあ…来るのよ」

体の跳ねがやむ。
トリッシュ「呼んで!彼を呼んで!!」

皆が声を荒げ、上条の名を叫ぶ。
すると上条の目が開いた。
その目を見て皆息を呑んだ。赤い光が瞳に宿っている。

トリッシュ「…」
不足の事態に備え、彼女は腰の銃へ手をかける。
するといきなり五和が飛び込み、上条の上へ覆いかぶさった。

トリッシュ「どきなさい」

五和「嫌です!!私は信じてます!!」
他の天草式の物が五和を引き剥がそうとした時であった。

「い、五和!!?」
それと同時に五和の言葉にならない声が辺りに響き渡った。
先ほどとは違う、喜びと安心感にあふれた声が。

五和「ふぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!よ゛がっだ!!よ゛がっだでずぅう゛う゛う゛う゛!!」

上条「お、おいいッ…?!」

神裂「上条当麻!!上条当麻!!」

上条「か、神裂ィッ!!?」

ステイル「生き返ったか…やはり君は何から何までふざけているな」

上条「生き返った…てことはやっぱり俺は一回死んだのか?」

トリッシュ「そうよ」
上条はその女性を見た。上条自身は直に会った事は無い。だが記憶の中で会った。

上条「トリッシュ…さんですよね?」

トリッシュ「ああ、『それ』の記憶見たのね」

上条「…?」
トリッシュの指した方向を追うと、左手に大きな銀色の篭手が。両足にも脛当てが装着されていた。

上条「…そうか…『ベオウルフ』…か…」

トリッシュ「仲良くなったみたいで安心したわ。ほら、これ」
そう言いながら皮製の右手用の手袋を差し出してきた。

トリッシュ「あなたの右手が効くかどうかわからないけど、万が一の為よ。『ベオウルフ』を素手で触らないでね」
トリッシュ「実験するわけにもいかないし。それが今のあなたの生命維持装置だから」

ふと思い出す。
上条「…インデックス!!!」

周りの者達もピタッと静かになった。

上条「ステイル…皆…すまん…」

ステイル「…」

トリッシュ「で、その禁書目録が奪われた時の状況を説明してくれないかしら?」

上条「ああ…」
上条はこと細かく説明した。

神裂「ダンテさんが…ですか…」

トリッシュ「どうせ余裕かましてたところをやらてたんでしょ」

ステイル「でその相手は魔帝軍ではないんだな?」

上条「ああ…それがな…」
上条はあの男を知っている。記憶の夢の中で見た。ちらっとトリッシュの顔を見る。

トリッシュ「どうぞ」
その視線の意味を理解したのか上条に言う。

上条「ダンテの…兄だ…」

ベオ条さん・・・なんか境遇がディンゴみたいだな

神裂「兄…ですか?」

上条「ああ。ダンテと互角以上に強い」

ステイル「くそ…トリッシュ…これを隠していたのか?」

トリッシュ「ごめんなさいね。学園都市に来たのはついさっき知ったばっかりだし、
トリッシュ「まさか禁書目録を狙っていたとは思っていなかったわ」

神裂「それで、目的は何なのでしょう?魔帝軍と敵対しているのならば、ムンドゥスの復活が目的では無いでしょうし」

トリッシュ「その点については、あなたの方が詳しいんじゃない?幻想殺しの坊や」

上条「…確かに俺はあいつの記憶を見たし、考え方も知ってるけど、10年以上前のだぞ?」

ステイル「何も無いよりはマシだろう」

上条「バージルは力こそが全て、力を得るためなら何だってやるし、何だって犠牲にするってやつだ」

ステイル「つまり、インデックスを使って何かの力を得ると?」

トリッシュ「フォルトゥナの術式には『魔剣精製』があるわ。フォルトゥナでは結局魔力不足で使えなかった代物だけどね」
トリッシュ「まあバージルなら余裕でしょうね」

神裂「上条当麻。どうなのです?その術式を狙いそうですか?」

上条「可能性はあるな…でも確実じゃあないと思う」

トリッシュ「ま、ダンテがいない以上、できることは限られてるわ」
トリッシュ「確実なのは魔帝軍の矛先は全てバージルに向かう」
トリッシュ「その衝突のどさくさに紛れてあなた達が禁書目録を回収、といったところね」

ステイル「『あなた達』?」

トリッシュ「私にはやることがあるの」

衝撃鋼ギルガメス「……」

ステイル「まだ何か隠してないか?」

トリッシュ「別に。これは私用よ」

ステイル「…」

トリッシュ「心配しないで。途中までついて行ってあげるし、なんかあったら呼んで。いつでも助けてあげるから」

上条「ダンテさん、どうにかできないのか?あの人が居たらかなり有利になるのに」

トリッシュ「さあて、どうしましょうね。」

ステイル「召喚とかはできないのか?」

トリッシュ「あいつを召喚できるくらいの力あったら苦労しないわよ」

上条「そういえば…!インデックスが俺の右手であの封印を壊せるって!」

ステイル「本当か?!」

上条「ああ!!こうしてられねえ!はやく―――」

トリッシュ「無駄よ。話を聞く限りじゃ、その封印術は少しの間ダンテの動きを封じる為のものよ。」
トリッシュ「その間に魔界の深淵に落とされちゃったみたいね」

トリッシュ「拘束自体はもう解けてるだろうけど、魔界にいる彼を探し出してる時間はないわよ」

上条「くそ…」

トリッシュ「とりあえず、あなた達は準備しなさい」
トリッシュ「魔帝軍も体勢を整える為にすこし時間がいるでしょうし」

ステイル「僕達もその間に準備を整える か」

トリッシュ「そう」
トリッシュ「赤毛君もまだ『イフリート』の調整終わってないしね」

ギルガメスやルシフェルやパンドラと戦ってみたかったな

トリッシュが敵に探知されない為の悪魔祓いの術を辺りに敷き、
各々がそれぞれ傷の手当や武器の点検を行う。

上条はビルの瓦礫の上に座っていた。

上条「(冷たい…な。一回死んでる…か…)」
自分の体を触る。ヒンヤリしていて温もりがない。

トリッシュ曰く、今の上条は半人半魔らしい。
ベオウルフはかなり高位の大悪魔である為、力を大幅にセーブさせているとの事だ。

上条の体に流れている力は本来の10%にも満たないとか。
だがそれでも10mは軽く跳躍できるし、自動車くらいなら持ち上げられるとのことだった。

上条「(ははは…上条さんは人間をやめましたってか…)」

いつもと違う感覚もある。
目で見てなくとも、周囲にいる天草式の皆の動向が手にとるように分かる。

胸と腹の傷も10分もしないうちに綺麗に治っていた。

上条「(これなら…皆と一緒に戦えるかもな…)」

だがやはり右手の傷だけは治っていない。
つまり右手だけがいまだ『人間』なのであろう。

トリッシュ「で、どう?調整終わった?」

ステイル「一応ね。」

トリッシュ「そう…まあ自滅しないよう程ほどにね」

ステイル「あの子を救う為なら何回でも自滅してやるさ」

トリッシュ「あらお熱いこと」

ステイル「ふん。で、そっちは?ダンテを戻す件は?」

トリッシュ「あ~からっきしダメ。ダンテが自力で這い出すのを待つしかないわ」


ステイル「自力…て可能なのか?」

トリッシュ「あいつならなんとかなるわよ。ま、どうにもならない場合は私が手をうつわ」」


―――

―――

窓の無いビル

アレイスター「どうなのだ?」

『処置は一通り完了したよ。手術も成功した。容態も安定している。』

アレイスター「そうか。なによりだ」

『あの時の君に比べたらまだマシだよ』

アレイスター「それで―――」

『ああ―――君のその作戦に彼は耐えられないかもしれない』

アレイスター「…君にしては曖昧だな」

『これは未知の領域だ。データも不足すぎる。僕の予想じゃ、成功する確率は五分五分だ』

『そして例え成功しても、その後に命を落とす可能性も高い。』

『一人の医師として言わせてもらおう―――無理だ』

アレイスター「そうか」

『ま、そう言ったところで君は止めないだろうし、僕にそれを止める権限も無い』

アレイスター「…」

『じゃあ』ブツッ

アレイスター「…」

―――

―――

一方通行はとある病室で目が覚める

一方通行「ンあ…?」
一方通行「ッ…!!!!」

鈍痛が体中を這い回った。

土御門「起きたかにゃ~?」

一方通行「テメェか…」

土御門「本来は絶対安静なんだがにゃ、」
土御門「状況がアレなもんだから無理やり起きてもらったにゃ~」

一方通行は自分の体を見る。
得体の知れない医療機器が部屋中にひしめいており、大量のコードや管が彼の体に繋がっていた。

そして彼の右手を握ったまま、打ち止めがベッドの端に突っ伏していた。

土御門「ラストオーダー、泣き疲れて寝ちゃったみたいだぜよ」

一方通行「…うぜェガキだ…」

土御門「…ま、お前もいつも通りの歪んだ愛情表現で良かったにゃ」

一方通行「死ね」

切り落とされた左手はしっかりと繋がったようだ。指先の反応はかなり鈍いがしっかりと動く。

切断された部分はギプスのようなもので覆われている為見えない。
胸にはなにやら防弾チョッキのような物が着せられていた。

先の事を改めて思い出す。

あの銀髪の男。

さすがの一方通行でも己の事を世界最強だとは思っていなかったし、
自分よりも強い存在がいくつかあってもおかしく無いと考えてはいた。

だがあれ程の力の差があったとは。圧倒的な、絶対的な壁。

土御門「いや~死ななくて良かったにゃ~」

一方通行「…」

土御門「そんなお前にとっておきの切り札があるぜよ」

一方通行「あァ?」

土御門「さあさあ」
土御門が立ち上がると、病室に黒いスーツの男達が入ってきた。
そしてなにやら医療器機を弄り始め、一方通行の体から管やコードを外す。

土御門「移動するぞ。お前とラストオーダーを作業できる場所へ運ぶ」

一方通行「おィ待て!ラストオーダーになンかすンのかァ!!!?」

土御門「心配ない。危険は全く無いぜよ」

一方通行「テメエ、もし騙しやがったら殺してやる!!!」

土御門「はは、怖いにゃ~」

―――


第二章 おわり

上条「(これなら…皆と一緒に戦えるかもな…)」ゴロン ゴツッ!

上条「おぉぁぁぁぁぁぁ!!?俺の頭に!!頭にトサカが生えてる!!!!!!!!!!!!!?」

上条当麻が不本意にも融合する事となった悪魔ベオウルフ。
かつて人間界において神聖化された彼の名はパズスと言った。

避難中の通行人A「ヒソヒソ(ちょっとアレ見てよ・・・あれゲリョスじゃない?)」
避難中の通行人B「ホントだ・・・ゲリョ戦記って感じ・・・)」
避難中の通行人A「えっ」
避難中の通行人B「えっ」

ここで折り返し
あと二章

エピソードを三分の一も削ったのにこの長さ

出番が無くなった方々↓
むぎのん、絹旗、滝壺、浜面、ナンバーセブン、アックア、ヴェント、フィアンマ

>>874
ダンテの勇気が、世界を救うと信じて……!

>>876
兄貴「インデックスはお腹が減っていたので近くのファミレスに開放しておいたわ!」

>>875
ちょっむぎのんエピソードkwsk
いやどういう風にむぎのんを動かすつもりだったかとか
ネタバレになるならいいですごめんなさい

ぷっつんネロが完全に忘れられているな

忘れられてるんじゃない
間違えて浅草に行っちゃったから登場できてないだけだ

ネロ「へぇ~日本の学校の校門にはこんなデッカイ堤燈が下がってんのか!」

>>882
むぎのん戦力として動員。
絹旗・滝壺・浜面は逃げる最中に無双中のスーパーシェリーと遭遇。そのまま合流。
そこにむぎのん現る。そこからなんやかんやで争いの中心へ。

>>884
ネロは三章からハッスル ダンテも帰還してハッスル バージルもハッスル
この人達アホみたいに強すぎるから序盤では動かしにくい

一方浅草──────

警官A「あぁん!?外人じゃないか!ワシは英語なんぞ分からんぞ!!中川!!」
婦警A「そんなんでどうやって警察になれたのよ両ちゃん」
警官B「フムフム学園都市ですか。ちょうど僕の車があるのでお送りしましょう」
警官A「面白そうだな!ワシも行く!!」

人類最強の男、参戦決定。

11時まで休憩。

ストーリー結構削っちゃったから、練り直して修正しながら書き溜めてくる。

クレイトス「学園都市か」
ベヨネッタ「学園都市ね」

人修羅「ここにダンテさんがいるのか」
人修羅「学園都市か」
という展開なら一メガテニストとして発狂する程嬉しいけどなwwwwww

上条「あれは、、、?」
クレイトス「I am the God of War !!!!!!!!」

銃ばっかだったなー2は…そう言ったとこでスタイリッシュさが足りなかったと思うんだ

>>921
モッサリッシュだから

でもメガテンに出演したときはスタイリッシュってレベルじゃなかった
やめて挑発やめて

>>926
挑発→リベリオン=即死はもう嫌だお…

―――

とあるビルの屋上にバージルとインデックスはいた。

インデックスは地面に座り込んでおり、
向かいの貯水塔の上にバージルが佇んでいた。

周りには他に誰もいない。

インデックスの頭には何やら奇妙な金属の塊がついていた。
それは魔界の金属生命体の一種を改造した機械である。

その機械は彼女の頭の中にあるフォルトゥナの術式を引き出そうとしている。

辺りは静かだ。
インデックスの頭についている機械のギチギチという稼動音のみが聞こえる。

インデックスはこの男を一目見てわかった。
ダンテと瓜二つの顔。左手にある『閻魔刀』。

この組み合わせ、ダンテの兄バージル以外に誰がいる。

禁書「(…なにする気なんだろ…)」

何か腑に落ちない。
彼女の頭の中にある術式が目的というのは当然わかる。
だが、術式を手に入れたいだけなら彼女を連れてさっさと逃走し、邪魔が入らない場所でゆっくりやればいいのではないか?

禁書「(まさかここで何かの術式を起動させるつもりなのかも…)」

禁書「」ぐぅぅぅぅぅぅぅぅ
禁書「…あっ…わっ!」

インデックスの胃が鳴く。
脳が活発に活動しているせいで普段よりもさらに空腹だ。

バージル「…」
バージルはいきなりザッと立ち上がるとビルの屋上から飛び降りてどこかへ行ってしまった。

禁書「(…なんか悪いことしちゃったかも…?)」

敵であるはずなのだが、少し申し訳なく思う。
しばらくするとバージルが右手にコンビニのビニール袋を持って戻ってきた。

バージル「食え」

そして無造作にその袋をインデックスの前へ投げた。
地面に落ちた衝撃でその袋からはおにぎりやらパンがこぼれ出た。

禁書「……え?」

恐らく近くのコンビニから持ってきたのだろう。
状況はそれどころではないし、上条の「犯罪行為は許しませんよ!」という言葉が思い出されたが、
目の前の食物を見てインデックスの口の中ではよだれの洪水が発生した。

店員「いらっしゃいませー」
兄貴「食えるものをよこせ」
店員「なにそれこわい」
兄貴「えっ」
店員「えっ」

禁書「あ、ありがとうなんだよ…じゃ、じゃあいただきます」

おにぎりを一つ手に取り、いそいそと食し始める。

食べながら思う。
インデックスの脳内にあるバージルの記録と、
実際に目の前にいるバージルとでは大分違う。

記録にはこうある。
冷酷無比。僅かでも障害となる者は敵味方悪魔人間の関係無く容赦無く殺す。
無駄を嫌う完璧主義者。
慈悲の欠片もない鉄の男。

ではなぜ上条の止めを刺さずに、更に命を救う手助けをしたのか。

そして今もなんでインデックスの体を気遣っているのか。

今行っている作業だって、
インデックスの生命を無視すればいくらでも効率化できるはずだ。

禁書「え…?」

その時だった。

禁書「こ、これ…!?」

頭についている機械が目的の術式を発見したようだった。
そしてその術式を、狙い通りに起動させるために修正し書き換えていく。

その術式は彼女が予想していたものでは無かった。

インデックスがバージルがやろうとしてる事に気付く。

禁書「な、なんでこんな事を…!!?」
禁書「どうして…!!?」

なぜそんな事を、何のためにそんな事をするのかがわからない。

バージル「…」
だがバージルは答えなかった。聞こえてないかのように、先ほどとかわらず瞑想を続けていた。


禁書「なんであなたも魔帝の封印を!!!??」

―――

∴<おいすー

メガテンⅢでのダンテ戦が神曲

>>955
これだな 真3でダンテさんが大暴れ
http://www.youtube.com/watch?v=Y9l5t194Fh0

―――

神裂「天草式、総員準備が整いました」

ステイル「僕もだ」
ステイルの両手に『イフリート』が装着されている。

トリッシュ「あなたは?」
傍の瓦礫に座っている少年に声をかける。

上条「いつでもいいぜ」
ズボンについた塵を手でパンパンとはたきながら少年は立ち上がる。

トリッシュ「バージルはここから1km東にあるビルの屋上よ。そこに禁書目録も」
トリッシュ「魔帝軍もその周囲に集結してるみたい」

ステイル「結局ダンテは戻ってこなかったな」

トリッシュ「大丈夫よ。あいつはなんだかんだできっと戻って来る。いつもギリギリのとんでもないタイミングに現れるのよ」

神裂がその言葉を聞いてチラッと上条を見た。

上条「はいそうです…思い当たる節が俺にも…」
上条がその神裂の視線に同意する。

トリッシュ「さっ、出発よ」

その時だった。
ズンッ!!!と地面が大きく揺れる。

ステイル「なんだ!!!?」

トリッシュ「あら…」

大地が、大気が激しく振動する。
神裂が叫ぶ。

神裂「み、皆さん!!!あれ!!!」

皆神裂が指差した方向を見る。
1kmほど離れた場所のビルの上の空間に、
ガラスにはいったような、長さ100mはありそうな巨大なヒビが縦に走っていた。

上条「おい!!何がおこってんだよ!!!」

トリッシュ「バージル…」
どんどんヒビが入っていく空間を見る。トリッシュは一目でそれが何の術式かわかった。

トリッシュ「あなたも…それが狙いなの…?」

―――


禁書「あ…あ…」

インデックスは上を見上げていた。
頭上の空間に巨大な亀裂。
そしてその亀裂はどんどん巨大化していく。

彼女を中心にして、直径10m程の魔方陣が地面に浮かび上がっていた。
バージルの魔力と血が使われているため、淡く青色に光っている。

禁書「なんで…なんでこんなことするの…?」

スパーダがかつて封印した魔帝。
その後一度復活したものの、今度はダンテが魔剣『スパーダ』の力を使ってやっとの事で封印した。

バージル「…」

バージルは相変わらず瞑想している。
目の前で起こっている現象が、まるで己と何も関係ないかのように。

魔帝の復活。
それがバージルの狙い。だがそれは下準備にすぎない。

本当の目的はそれからだ。

彼にとって、父と弟の行った封印という手段は生ぬるかった。

俺は殺す―――

殺せ―――

2000年に渡る闘争の決着を付けろ―――

生まれついた時から付きまとう影を振り払え―――

スパーダの血族に―――

スパーダの力に喧嘩を売った愚者の首を刎ねろ―――


そしてその首を掲げ証明しろ―――

父を越えたことを―――


己の力が最強だということを―――

―――

3の後∴に負けてネロアンジェロ化だったっけ

―――

とある施設

一方「ん…ァ…」

土御門「目覚めたかにゃ~?」

一方「…」

土御門「よう」

一方「…もう終わったのか?」

土御門「準備は整ったぜよ」

一方「…さっきとなンにもかわンねェが」

土御門「チョーカーのスイッチいれて能力を起動すればわかるにゃ」

一方「そうか…」
一方通行はチョーカーへ手を伸ばす。

土御門「おおっと待つぜよ!!!起動するのは外にでてからだにゃ!!!」

一方「あァ?」

土御門「ここで起動されるとマズイ!!」

一方「チッ…お楽しみは後でッてか。おィ…ラストオーダーはどこだ?」

土御門「隣の部屋にいるぜよ。呼んでくる」

一方「いらねェ」

土御門「そういうな。そうそう、このデータに目を通しておいてくれ」
土御門は一方通行にPDAを渡し、部屋から出て行った。

渡されたPDAに目を通す。

一方「おィ…?」
PDAに表示されているデータ。一方通行はそれを良く知っている。
実際に演算し、処理したこともある。

一方「ハッ!!!あの野郎生きてやがッたか!!!」

土御門達の狙いがわかる。そのデータはとある能力者の資料。脳内の演算構成。
一方通行と同じく、『何か』の壁を越えて更に己の能力の進化に成功した者。

その能力者の脳がミサカネットワークに接続され、その力が一方通行へと集約される。

一方「最高だぜクソ野郎!いいぜェ!!テメェを殺すのは最後にしてやる!!」

その能力者は。

レベル5第二位、『未元物質』。垣根帝督。

部屋のドアが勢い良く開き、小さな少女が走りこんでくる。
そしてそのまま一方通行の上へ飛び乗った。

一方通行「ぐォッ!」

打ち止め「体の具合は大丈夫!?ってミサカはミサカはあなたの体を気遣ってみるの!」

一方通行「テメェ!!それで気遣ってるつもりかァおィ!!」

一方通行は打ち止めの右耳の上にくっ付いている小さな白い箱を見つけた。

一方通行「…なンだそりゃァ?」

土御門「あ~外付けの受信機だ。それで第二位の信号を受信・変換してミサカネットワークに接続する」
土御門「脳にプログラムを直接書き込んでも良かったんだがな、外付けの方が作業が楽だったんだぜよ」

一方通行「そういゥことか」

土御門「それにお前もそっちの方がいいだろ?」

一方通行「…チッ」

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