男「男友達が多い」同級生「女友達が多い」 (15)

公園

男「ま、前から好きだったんだ! オナシャス! 付き合ってください!」ペコリ

「えー? マジで? うそうそっ、本気?」

男「おお…マジでマジ! クラスでもすっげー目立ってて、しかも可愛いじゃんっ?」

「え~んなことないって~」

男「そんなことあるって、ホントホント! そんな所を好きになったっていうかさぁ」

「あはは。男くんって褒め上手ぅ」

男「そ、そお? ンフフ、えっとそれで返事は…?」

「んー……いいよ、付きあおっか?」

男「マジで!? うっはー! ホントに!?」

「マジマジ」

男「お、おお!」

次の日 朝

男「──それでその後、フラレた」

友「は? なんで? いや待ちなさいよお前…え? どういうコト?」

男「なんだよ」

友「告白して、付き合っていいよってオッケ貰った。ここまではよし、合ってるよな?」

男「うん」

友「…なんで今日に振られてるワケ?」

男「わっかんねーよだからお前に聞いてんだろ」

友「オレもわからねえよ。意味不明過ぎて笑いも出ないから」

男「…なんか変なこと言ったかな俺。それすらもわからん…」

友「それって喧嘩別れ?」

男「多分。あっちブチギレてたし」

友「ますますわからんぞ…」

男「う”ーん」

友「何か失礼なこと言ったんじゃね? ブスとか、馬鹿だとか」

男「小学生かよ俺…」

友「いやいや、お前ってそういう所あるし。女子に嫌われやすい性格、みたいな?」

男「オイ、なんだそれ初耳だぞ」

友「……前から思ってたけどお前って、女友達居ないよな」

男「えっ」

友「びっくりするぐらい居ないよな。幼馴染すら居ないし、本当に長年この街に住んでんの?」

男「いや、待って居るよ? 女友達ぐらい居るって…」

友「じゃあ名前言ってみろよ」

男「…妹とか」

友「妹じゃねーか! まんま妹じゃん! ヤバイよお前…」

男「え、嘘嘘…オイ待てよ、俺女友達居ない感じ…?」

友「うん。さっきからそう言ってるよね」

男「………」

友「そんな今更深刻そうな顔されても…等に乗り越えてた問題だって思ってたよオレ…」

男「の、乘り越えられるわけねぇだろっ…友達一人も居ないとか…っ」

友「いやいや、そういう奴も居るよ。うん、いっぱい居るよ」

男「ど、同情した目で見るんじゃねぇ!」

友「大丈夫」

男「なにが大丈夫なんだよっ! おいおい…相談してみればもっとデカイ悩みが出てきたぞ…!」

友「つかオレ的には振られた原因のほうが気になってるんだけども」

男「うるせぇデブ! パンでも食ってろ!」ダダッ

友「んだとォ!? 柔道部だからデカイのは仕方ねえだろ!」

男「ッ……!」ガララ

ピシャ!


男(マジかよ…嘘だ女友達居ないなんてそんなワケがねぇ…)ゴソゴソ

男(携帯の連絡先にあるだろ一つぐらい、あるハズだろ…)ピッピッ

男「…………」

男「……男共しか乗ってねえ……」

男「まじですか……」


~~~~~


友「じゃあオレ部活行くからな。さっきの話の続き聞かせろよ?」

男「……今話しかけるな」

友「んだよまだ気にしてんのか。お前みたいな奴なら出来るって」

男「じゃあ何時だよ教えてくれ」

友「い、何時かだよ」

男「…………」

友「だぁーもう! うぜぇなお前、馬鹿なの? 気にしてんなら作ろうって頑張れよ」

男「だって嫌われやすいんだろ俺って…っ?」

友「泣きそうになるなよ…」

男「ううぅ」

友「…仕方ねえな。じゃあここ行ってこいよ男」すっ

男「何これ…? 割引券…?」

友「そこいって癒やされてこい。オレも通ってる素晴らしい場所だからよ」ビッ!

男「素敵な所…?」

友「おうっ! そこでならもしくは可能性もあるやもしれん、うむ」

男「期待するぞ…いいのか? 期待しちゃうぞっ?」

友「ああいいぞ」

男「んじゃ行ってくる。あとで報告するな」がた

すたすた

友「…わからんもんだな、男友達はやべぇぐらいに多いってのに」


~~~


男「えっと場所は確かここのハズなんだが…」

『メイドカフェ ジャスティス』

男「………うん?」

男(見間違いじゃない、よな? 確かにここの場所で合ってる…)

男「友の奴ここに通ってんの…?」

男(あの180超えのデカさで? 意外すぎるだろ、てか、こんな所オススメするってお前…)

男「メイドカフェ…話に聞いたことあるけども…」ゴクリ


カランカラーン


男「うわわっ!? ドア開いた……っ!」バタバタ

「っはぁー今日も働いたァ」

男「っ………」

「んっ? あ! お帰りなさいませご主人様ぁ~」

男「えっ、あっ、ハイ!?」

「……ヤバ、制服着てないのにクセでつい……あれ、アンタその制服…」

男「あ、あれ? お前って確か同じクラスの……」

女「…確か男じゃない」

男「お、おおう。どうも…」

女「なんでこんな所に居るのよ」

男「えっ? いや何でって言われても…」

女「ま、別に。ここに客としてきてるんなら構わないけど、私が働いてること言いふらさないでよね勝手に」

男「別にそんなつもりじゃねえけど…」

女「そ、ならいいけど」

男(…さっきからなんだコイツ、そんな言い方無くない?)

女「それじゃあね」

男「…じゃあな」

男「……」

男「もう帰ろっかな。乗り込む勇気も無くなっちまったよ…うん…」

男(後で友の奴にご主人様無理でしたってメールしてやろう…それで気を晴らしてやる…)

すたすた

男「はぁーぁ…どうしよっかねぇほんっと」すた…


ふわり


男「んぁ?」

「わぁー…」キラキラキラ

男(この匂い…妹と同じヤツのシャンプーの…)

「ここがあのメイドカフェかぁ……うん!うん!うん!」

男(えらく意気込んでるなコイツ。てか背がちいせぇ、何センチだよ。つか女? 男?)じぃー

「じゃあ中に入って──ひぁあぁあっ!?」びくぅ!

男「うぉおっ!? なんだっ!?」

「えっ、あのっ!? えっ!? なんでどうして!?」

男「な、なんだよっ? 急に叫んでびっくりするだろっ」

「どーして男くんがここに居るの…っ……うそうそ、なんで!?」

男「……男くん? ちょ、待って。なんで俺の名前知ってんの?」

「なんでって、それは……ハッ!?」

男「なんだよ…」

「そ、そうか…女ちゃんが気を利かせてくれたのかな…」ブツブツ

男「?」

「えっと、そのぉ~男くんだよねっ?」

男「…そうですけども」

「ぼ、僕はねっ! 隣のクラスの……奴なんだけどわかるかなっ?」

男「知らないな」

「あ、うん………だよね、うん」

男「そのよ、勝手に落ち込んでる所すまないけどさ」

「う、うん! なにかなっ?」

男「こっちが逆に気になるから名前教えてくれる?」

「僕の名前を……君に……?」

男(その表情は何だよ)

「……僕の名前はね、えっと、その」モジモジ


同級生「──って言うんだよ、その、よろしくね」


男「ふーん」

同級生「聞き覚え…ないかな…?」

男「ないな」

同級生「……うん、だよね」

男「なんで落ち込むんだよ。さっきもそうだけど、別に良いだろ他のクラスなんて憶えてなくっても」

同級生「…僕は知ってるよ君のことは」

男「へっ? なんで?」

同級生「だ、だって君は有名人じゃないかっ!」

男「……俺有名人なの?」

同級生「うん! 君の名前を知らないなんて、あの学校じゃモグリだからねっ!」

男「一体何のだ…」

同級生「そんな君に僕の名前を知ってて欲しい、なんて考えは当たり前のことなんだよ…うん、うん」

男「そのーひとつ参考にまで聞きたいんだが、どう有名なの俺って?」

同級生「え…知らないの…? えっと、周りはよく『なんか凄い奴』とか『とりあえずやばい奴』なんて言われてるけど…」

男「嫌だなその有名度!」

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