ルルーシュ「もうすぐクリスマスだな」(301)

C.C.「あぁ、大昔の人間の誕生日か」

ルル「見も蓋も無い言い方を……」

C.C.「つがいの男女が発情する日と言った方が良かったか?」

ルル「……全く、サンタクロースというものもあるだろう」

C.C.「さんたくろーす?」

C.C.「……何だそれは?」

ルル「何だお前、サンタクロースを知らないのか」

C.C.「私でも知らない事くらいはある」

ルル「ふん、随分と素直じゃないか」

C.C.「まあな。それで、さんたくろーすとは何だ?」

ルル「お前には関係のない事だ、C.C.」

C.C.「……何だと?」

ルル「サンタクロースというのは、
    心の綺麗な者にしか関係が無い」

C.C.「ほう。ならば、私にも十分関係があるじゃないか」

ルル「黙れ魔女。
    サンタクロースは、ナナリーの様な天使にこそ縁がある」

C.C.「お前がシスコンなのは知っている。
    サンタクロースについて聞かせろ」

ルル「……ふん、良いだろう」

ルル「C.C.。クリスマス・イブについて知っている事は?」

C.C.「神の子の誕生日の前夜祭」

ルル「……まあ、その程度で良い」

C.C.「サンタクロースは、クリスマス・イブに関係があるのか」

ルル「そうだ。
    サンタクロースは――クリスマス・イブにやって来る」

C.C.「……やって来る?」

C.C.「意味がわからない」

ルル「黙って聞け。
    サンタクロースは、イブの夜に心の綺麗な者の所にやって来る」

C.C.「ほう……サンタクロースとは人なのか」

ルル「いいや、それはわからない。
    人か……または、人の形をした別の何かかもな」

C.C.「ふふっ、まるで私のようだな」

ルル「C.C.……お前は、トナカイが引くソリに乗ったことがあるか?」

C.C.「……何?」

C.C.「トナカイ……確か、モコモコした鹿だったか」

ルル「頭の悪そうな例えだな」

C.C.「黙れ。良いから続けろ」

ルル「ふん。
    ……サンタは、トナカイが引くソリに乗って来るんだ」

C.C.「成る程。だが、それでは海を越えられないだろう」

ルル「いいや、その考えは間違っているぞC.C.」

ルル「……そのトナカイは――空を自由に駆ける事が出来る」

C.C.「何……だと……?」

C.C.「馬鹿な事を言うな。有り得ないだろう」

ルル「いいや、事実だ」

C.C.「そんな訳が……トナカイが空を飛ぶ……?」

ルル「勿論、サンタクロースのトナカイはただのトナカイじゃない」

C.C.「何が違う。何が、トナカイを空へと飛ばした」

ルル「そのトナカイは――鼻が真っ赤なんだよ、C.C.……!」

C.C.「鼻が赤いトナカイ……さすがに聞いたことが無い」

ルル「知らないのも無理はない。
    お前は幼少期に――……すまない、失言だった」

C.C.「気にするな。
   むしろ、お前に気を遣われると気味が悪い」

ルル「……ふん! 言ってくれるじゃないか」

C.C.「ほら、サンタクロースについてもっと詳しく聞かせろ」

ルル「良いだろう」

ルル「これからする話は、民衆のほとんどが知っている有名な話だ」

ルル「サンタクロースは、
    クリスマスの日に心の綺麗な者の所へやって来る」

ルル「こんな世界だ……サンタクロースから見れば、
    心が綺麗な者とは子供という幼い存在しかいないだろう」

C.C.「成る程。なら、お前の所にはサンタクロースは絶対に来ないな」

ルル「まあな。だが、ナナリーの所には絶対に来る」

C.C.「それはもうわかった。サンタクロースは何をしにやってくるんだ?
    心の綺麗な者を攫ったりでもするのか?」

ルル「……プレゼントしにだよ、C.C.」

C.C.「プレゼントを?」

C.C.「何のために」

ルル「さあな。だが、望むものを与えるのがサンタクロースだ」

C.C.「待て待て。クリスマスには、
    心の綺麗な者は望むものが与えられるのか?」

ルル「そういうことになる」

C.C.「ふん、そんな夢みたいな話があってたまるか」

ルル「いいや、ある。誰もがその存在を知っている」

C.C.「……」

C.C.「……」ニヘラ

ルル「――言っておくが、ピザなどサンタにかかれば容易いぞ」

C.C.「!? わっ、私は別に……」

ルル「くくくっ!
    ……欲の深い人間のもとにサンタは現れないが、な」

C.C.「……ふん、いくらサンタといえど、
   世界で一番美味いピザを用意出来るはずが無い」

ルル「いいや、出来る」

C.C.「!?」

C.C.「こ……このブリタニア宮殿の料理人達よりもか?」

ルル「愚問だな」

C.C.「ピザーラよりもか!?」

ルル「そこは、せめてピザハットと言っておけ……」

C.C.「世界一美味しいピザ……!?」

C.C.「そんなピザが……食べられるのか」

ルル「サンタクロースが来る者は、な」

C.C.「……」

ルル「――くくくくっ! 残念だったな、C.C.」

C.C.「……何がおかしい」

ルル「サンタクロースが現れるのは、ナナリーのような天使の前だけ!
    つまり、お前は条件を満たしていない!」

ルル「ふははははっ! C.C.よ、魔女というのは大変だなぁ!」

C.C.「……」

C.C.「……ルルーシュ、少し黙れ」

ルル「――C.C.、サンタクロースに来て欲しいか?」

C.C.「……ふん、来ないとわかっている者を待ち続ける程、
   私は気が長くは無いんだ」

ルル「だが、お前の望みを叶える者は現れた」

C.C.「っ……それは……」

ルル「もう一度問おう」

ルル「――C.C.、サンタクロースに来て欲しいか?」

C.C.「……私は……」

ルル「俺ならば、お前の望みを叶えてやれる」

C.C.「……」

ルル「そう、契約しただろう?」

C.C.「ルルーシュ……」

ルル「――C.C.! サンタクロースに来て欲しいのなら契約をしろ!
    俺ならば、お前のもとにサンタクロースを招待してやる事が出来る!」

C.C.「……ふふっ、そこまで言うのなら結ぼうじゃないか」

C.C.「――ルルーシュ、私はお前と新たな契約を結ぶぞ」

ルル「契約成立、だな」

     ・    ・    ・

ロイド「う~ん……うう~ん……!」

セシル「どうしたんですか?」

ロイド「それがさーあ、この頃デバイサーが忙しくて、
     機体のテストがどうにも滞っててねぇ」

セシル「スザクく……クルルギ卿はナイトオブゼロですから……」

ロイド「あ~! どこかに良いパーツは無いのかなぁ!」

セシル「ちょっと! 彼もそうですけど、パイロットをパーツ扱いするのは――!」

C.C.「ほう、テストパイロットを探しているのか」

ロイド・セシル「!?」

C.C.「どうした、テストパイロットを探して居るんだろう?」

セシル「いつからそこに……」

C.C.「そんな事はどうでも良い」

ロイド「何? まさか、テストパイロットをやってくれるって事?」

セシル「そんな、無茶です!
     あの機体は簡単に扱えるものじゃ……」

C.C.「死ぬ事はないだろう?
   それに――私は、その程度では絶対に死なない」

ロイド「……ふむ」

セシル「でもっ!……それに、KMFの操縦経験は?」

C.C.「ある。ガウェインの操縦や、
    黒の騎士団の時にもパイロットとして戦場にも出ていた」

セシル「それなら……いっ、いえ! 駄目です!
      もう、ロイドさんからも言ってくださ――」

ロイド「――残念でしたー! そして、おめでとー!」

セシル「……まさか」

ロイド「良いねぇ、こーんなに近くに良いデバイサーが居たなんて、
     考えてもいなかった!」

セシル「はぁ……やっぱり」

ロイド「ラクシャータが開発したKMFとの比較も聞けるかなぁ~?」

C.C.「その程度ならお安い御用だ」

ロイド「――それじゃ、本当にお任せしちゃうよ~?」

C.C.「ああ、良いだろう。何せ私は――」

C.C.「――心の綺麗な“良い子”だからな」


     ・    ・    ・

ルル「……」

ルル「……くくくっ……!」

ルル「ふははははっ!」

ルル「まさか、まんまとかかってくれるとは思わなかったぞ、C.C.!」

ルル「確かにお前の所にサンタクロースは来てくれるかもしれないなぁ」ニタリ

ルル「『クリスマスまで良い子にしていればサンタクロースが来る』という言葉に、
    まんまと踊らされてしまうんだから……!」

ルル「くくくっ……あぁははははははははっ!!」

     ・    ・    ・

C.C.「……ふぅ」

セシル「お疲れ様でした」

C.C.「何、たいしたことは無い」

ロイド「あはっ! それは謙遜かい? それとも本音?」

C.C.「事実だ」

ロイド「今回のデータを見た感じじゃ、
     君用のランスロットの開発もして良いかもねぇ!」

C.C.「そうか」

ロイド「これからも、テストを頼んでも良いかなぁ?」

セシル「もう! 今さっきテストが終わったばかりなのに……!」

C.C.「その前に一つだけ聞きたいことが有る」

セシル「? 何ですか?」

C.C.「私は“良い子”か?」

セシル「いっ、良い子……?」

ロイド「う~ん……僕が思うに、『良い子』と言うには歳が――」

セシル「っ!」

バシッ!

ロイド「あいたっ!?」

セシル「……ゴホン!
     こーんな人のお手伝いをしてくる人が、良い子じゃないわけありませんよ」

ロイド「お~痛い……!」

C.C.「なら、私は良い子というわけだな」

セシル「ええ」

C.C.「ふふっ、そうか!……おい、そこのお前」

ロイド「?」

C.C.「女に歳の話はするな。
    それと、私用に作るなら色はピンクにしろ」


     ・    ・    ・

ルル「――C.C.、お前は今日まで多くの邪魔をしてくれた」

ルル「……計画を進めるための準備をことごとく……!」

ルル「やれ『ピザを作れ』だの、やれ『暇つぶしの相手をしろ』だの……!」

ルル「……だが、クリスマスまでそれに悩まされる事も無くなった」

ルル「ふはは……! まさか、こんなに簡単に騙せるとh」

C.C.「今度は誰を騙したんだ?」

ルル「ほわあっ!?」

ルル「しっ、C.C.!? いつからそこに……」

C.C.「クリスマスまで、からだな」

ルル「……」

C.C.「それで? 今度は誰を騙したんだ?」

ルル「いや、それは……!」

C.C.「? 何を焦っている」

ルル「……」

ルル(――ちいいっ! 勝手に部屋に入るとは想定外だった!)

ルル(確かに施錠はしておいたはず……何故だ……!?)

C.C.「ルルーシュ?」

ルル「あ、ああ……」

ルル(だが、今はそれよりもC.C.にバレたのかどうかだ!)

ルル(それによって、クリスマスまでの予定に大きな誤差が生じる……!)

ルル(直接的に聞いてみるか? いいや、駄目だ!
    勘付かれる危険が大きい!)

ルル(ならば間接的に?……有り得ない!
    それでは、気付かれていなくても怪しいと自ら言っているようなものだ!)

ルル(どうする? 考えろ、考えるんだ……!)

ルル「――!」

C.C.「……」

ルル「……C.C.、人を騙すのは良い事か?」

C.C.「急に何を言っている」

ルル「良いから答えろ。
    人を騙すという行為をお前はどう思う」

C.C.「それは……褒められたものでないのは確かだろうな」

ルル「――ああ、そうだな」ニヤリ

ルル「ならばC.C.よ、お前が俺の騙した人物を知った時、
    『良い子』のお前がするべきことは?」

C.C.「それは……騙されている人間に、そう教えてやることだろう」

ルル「だが、それでは“計画に支障をきたす”事になる」

C.C.「……」

ルル「良い子であろうとすれば、サンタクロースに会えるだろう。
    だが、それでは本来の望みからは遠ざかることになる」

C.C.「なら……どうすれば良い」

ルル「さあ……――今まで、何の話をしていたんだったかな?」

C.C.「!……さあな。不思議なことに、全く思い出せない」

ルル「ははっ、思い出せないなら仕方ないな」

C.C.「あぁ、良い子の私でもこればっかりはな」

ルル(――馬鹿め! まんまとかかってくれるとは!)

ルル(C.C.……気付いていないのかもしれないが、
    それでは見てみぬフリをしていることになる)

ルル(そしてその結果、クリスマスの日に『あの日の事が……』と、
    サンタクロースがやって来なかった理由にも出来る!)

ルル(ありがとう、C.C.。俺に、最高の退路を与えてくれて……!)

C.C.「多少忘れっぽくても、サンタクロースは来るだろう?」

ルル「勿論だ。何せ、サンタクロースだからな」

ルル「――さあ、もう良いだろう。
    色々な所へ行ってお手伝いをしてきたらどうだ?」

C.C.「歩き回るのが面倒だk……ルルーシュ、
    お前は何か手伝って欲しいことはないのか?」

ルル「いいや、これっぽっちも助けを必要としてないな」

C.C.「本当か?」

ルル「C.C.……俺は、お前には嘘はつかない」

C.C.「……ふふっ、そうだったな」

ルル「C.C.、良い子のお前にはやれる事があるだろう」

C.C.「当然だ」

ルル「ならば行って来い。俺に構わず、な」

C.C.「ああ、そうさせてもら――」

コンコン!

ルル「ん? 誰だ」

『ルルーシュ、僕だよ』

ルル「スザク……? どうしてここに……」

『とりあえず入っても良いかな?
 ドア越しだと、やっぱり話しにくいからね』

ルル「ああ、構わないぞ」

『それじゃあ、お邪魔するよ』

ガチャッ

C.C.「……なら、私は行くとするかな」

スザク「――あれ、C.C.じゃないか」

スザク「もしかして、君も疲れてるだろうルルーシュを労いに?」

C.C.「いや、違うな」

スザク「なんだ……僕はてっきり、
     皇帝をやって疲れてるルルーシュの気分転換をさせるためにだと……」

ルル「おいおい、それは本人を前にして言う台詞じゃないだろう」

スザク「えっ、そうかな?」

C.C.「……ふむ、やはり疲れがたまっているのか」

ルル「まあ、さすがに――」

ルル(――っ!? まずい! この流れは――)

スザク「かなり疲れてるようだね。僕にはわかる」

ルル「うおあっ、い、いや、それは……!」

スザク「ルルーシュ、隠し事はやめてくれ」

ルル「ま、待てスザク……!?」

C.C.「確かに……言われてみれば顔色が良くないな」

スザク「ああ。なけなしの筋肉も凝り固まってる」

ルル「おい! 『なけなし』とはどういう意味だ!?」

C.C.「服の上からでもわかるのか?」

スザク「動作を見ればわかるよ。やっぱり違和感があるから」

ルル「俺を無視するな、スザク!」

スザク「……C.C.、今のルルーシュは疲れてるんだ」

C.C.「……ああ」

スザク「僕が剣で、君が盾。その意味をよく考えて欲しい」

C.C.「……疲れているルルーシュに――」

スザク「――僕達で、やれる事をしてあげよう」

ルル「!?」

スザク「人に対して優しくするのは、とても良い事だと思うから」

スザク「例えそれが……許されない罪を背負った人にでも」

C.C.「……そうだな」

C.C.「『良い子』の私が、ルルーシュを放っておくはずが無いさ」

スザク「良い子?」

ルル「っ!」

ルル(ええい! どうしてその単語に引っかかる、スザクっ!)

C.C.「ああ、そうだ」

スザク「いきなり良い子だなんて、一体何が――」

ルル「――いたたたた……!」

スザク「? どうしたんだいルルーシュ」

ルル「いや、最近腰が痛くてな……!」

ルル(その場凌ぎだが……!)

スザク「……やっぱり、体の調子が悪かったんだね」

ルル「……ああ、実はそうなんだ」

ルル(仕方ない……!)

スザク「聞いたかいC.C.、ルルーシュはやっぱり疲れてたんだ」

C.C.「ルルーシュ……何故黙っていた?」

ルル「それは――お前達を心配させないためだ」

C.C.「ルルーシュ、お前……」

スザク「僕達の間に、嘘もだけど隠し事も無しだよ」

ルル「ああ、そうだな……!」

ルル(ええい! これでは、C.C.だけでなくスザクもここに居続けてしまう!)

お風呂

スザク「――よし、そうと決まったら話は簡単だ」

C.C.「? 何をする気だ」

スザク「ルルーシュ、ベッドにうつぶせに寝てくれ」

ルル「? どうしてだ」

スザク「いいからいいから」

ルル「うおっ!? ちょっ、引っ張るなスザク!」

ドサッ!

ルル「……やれやれ、この俺にうつぶせの状態でどうしろと?」

スザク「いや、君はじっとしてるだけで良いんだ」

ルル・C.C.「?」

スザク「そしてC.C.」

C.C.「? 私に何をしろと言うんだ」

スザク「ルルーシュの上に乗って欲しいんだ」

C.C.「……成る程、そういうことか」

スザク「おっと! 
     別にエッチなことはしないから勘違いしちゃ駄目だよルルーシュ」

ルル「俺がそういった類の事を一言でも言ったか!?」

C.C.「要するに、私にルルーシュのマッサージをしろ、
    と言いたいんだろう?」

スザク「話が早くて助かるよ」

ルル「……なんだ、そういう事か」

C.C.「感謝しろ、ルルーシュ。
   良い子の私が、自らお前のマッサージをしてやるんだからな」

ルル「いや、悪いがマッサージの必要は――」

スザク「ねえ、さっきも気になったんだけど、『良い子』って――」

ルル「ハハハ! ありがとうC.C.!」

ルル(何故だ……)

ルル(何故、C.C.を追い払うためについた嘘がこんな事に……)

C.C.「それじゃあ、はじめるぞルルーシュ」

ルル「ん? あぁ――」

C.C.「よっこいしょ」

ドシッ! ボキンッ!

ルル「おぐうっ!?」

スザク「? 何か乾いた音がしたけど、気のせいかな……?」

ルル「お……こ……!」

ルル(C.C.が乗った腰骨が……!)

C.C.「ふふっ、どうしたルルーシュ?
   興奮するのがわかるが、落ち着け童貞ボウヤ」

ルル「ひうっ、ぐ……!」ポロポロ

スザク「ルルーシュ……まさか、君が涙を流すとは思わなかった。
     けれど、人は感動した時は泣いて良いんだ」

C.C.「さて……それじゃあマッサージに移るぞ」

ルル「やっ、やめ――」

     ・    ・    ・

C.C.「――まあ、こんな所だろう」

スザク「うん、見た感じだと完全にこりはほぐれてるね」

C.C.「ルルーシュ、何故起き上がらない」

スザク「きっと、泣き顔を僕らに見られたくないんだろう」

C.C.「ふふっ、可愛い所があるじゃないか」

ルル「」

スザク「ところでC.C.、ちょっと聞きたいんだけど」

C.C.「何だ」

ルル「」

スザク「君がさっきから言っている『良い子』っていうのはどういう事だい?」

C.C.「あぁ、あれか。私は良い子だから答えてやろう」

ルル「……」

C.C.「良い子にしていれば、サンタクロースが美味しいピザを届けてくれる」

スザク「えっ? 意味がわからない」

C.C.「ふふっ! まさか、お前は知らないのか?」

スザク「サンタクロースをかい? それなら知ってるけど……」

ルル「……ま……待て……スザク……!」

C.C.「やはり知っていたか。
    どうやら、サンタクロースは本当に実在するようだな……!」

スザク「えっ? いないよ?」

ルル「あっ」

C.C.「えっ?」

C.C.「サンタクロースは……いない……?」

スザク「うん」

C.C.「……」

ルル「い、いや、居る! サンタクロースは……!」

スザク「サンタクロースは居ないよ、ルルーシュ。
     あれは、そういった作り話のイベントだ」

ルル・C.C.「……」

スザク「確かに、サンタクロースを装って、
     夜中枕元にプレゼントを置く親も居る」

スザク「けれど、僕はそれが正しいこととは思えない」

スザク「プレゼントをするのは親だ。
     だから、受け取った子供は両親に感謝するべきだ」

スザク「それに、子供はサンタクロースに無茶な願い事もする。
     けれど、それで困るのは親だし、子供はその事実を知らない」

スザク「プレゼントが欲しいのなら、直接親に言えば良い。
     ……間違った手段で得た結果に、価値は無いから……」

スザク「それにC.C.、君はサンタからプレゼントを貰うには歳をとりすぎてる」

ルル・C.C.「……」

C.C.「……ルルーシュ」

ルル「な、何だ……」

C.C.「今、スザクが言ったことは本当か?」

ルル「いや、それは――!」

スザク「本当だ。紛れもない事実だよ、C.C.」

ルル「スザクっ!」

スザク「言いにくいのはわかるけれど、ハッキリと教えてあげるべきだ。
     君が言いにくそうだったから、君の剣の僕が言ってあげたよ」

C.C.「……あぁ、凄い切れ味だったよ」

ルル「っ……!」

C.C.「なら、良い子にすればというのは……」

ルル「それh」

スザク「僕は、あれも間違ってると思う。
     完全に物で釣っている躾に、価値はないから」

C.C.「私は……まんまと釣られたというわけか」

ルル「だかr」

スザク「えっ? まさかとは思うけど、本当に信じてたのかい?
     ……えっ? ねえ、本当なのかい?」

ルル「スザアアアクッ!」

C.C.「……ふふっ……まんまと騙されたというわけか」

スザク「うん、そうだね」

ルル「それは、その……――お前にも、
    サンタクロースに関しての行事を楽しんで貰いたかった」

C.C.「……そうなのか?」

スザク「いや、違うだろうね。だって……ルルーシュだから」

ルル「ええい! 黙っていろスザク!」

スザク「ルルーシュ……僕達は友達だろう?」

ルル「今はそれは関係ないだろう!?」

C.C.「そうか……なら、私が良い子にしていたのは無意味だったのか」

ルル「……――いや、そんな事はない。
    その考えは間違っているぞ、C.C.よ」

C.C.「ほう? 何故そこまで言い切れる」

ルル「お前が助けた人間が、お前に感謝をしたという事実は残る。
    その先にあるのは、人々が互いに手を取り合える優しい世界だ」

C.C.「……」

スザク「あっ、そういえばランスロットのテストだけど、
     誰かがやったみたいなんだよね」

スザク「でも、今後はそういった事は控えるように言って欲しい。
      間違ったデバイサーで得た実験結果に、価値は無いから……」

C.C.「……」

ルル・C.C.「……」

スザク「あれ? どうしたんだい二人とも?」

C.C.「――私の枕元に、世界一のピザは置かれない訳か」

ルル「ああ……すまない」

スザク「それ、物凄く寝にくそうだなぁ」

C.C.「――良い子にしていろというのも、方便だったのか」

ルル「常日頃から思っているが……すまない」

スザク「? どうしてお通夜みたいな空気になってるんだい?」

スザク「うーん、よくわからないけれど……」

スザク「ルルーシュは、C.C.にサンタクロースの話をした。
     世界一のピザが食べたいC.C.は、良い子にしてサンタを待つ事にした」

スザク「……合ってるかい?」

ルル「完全にわかっているじゃないか……!」

C.C.「だが、それももう終わった。
    ルルーシュが、私を騙していたと――」

スザク「――なんだ、そういうことだったのか!
     やるじゃないか、ルルーシュ」

ルル「な、何……?」

スザク「――C.C.。確かに、ルルーシュは嘘をついた」

C.C.「そんなことはわかっている」

スザク「けれど――クリスマスイブの夜、
     君の枕元には世界一のピザが置かれていただろう」

ルル「むっ?」

C.C.「……何だと?」

スザク「嘘も貫き通せば真実になる」

スザク「ルルーシュは――君のサンタクロースになる気だったのさ」

ルル「……」

ルル「えっ?」

C.C.「おい、それはどういう意味だ」

スザク「思い出すんだC.C.。
     疲れていたルルーシュの体の、どこが痛んでいたのかを」

C.C.「それは……腰だったな」

スザク「キッチンで料理するのは立ち仕事だ。
     そして、立ち仕事で疲れるのは脚と――腰さ」

C.C.「! まさか……!?」

スザク「そのまさかさ。
     ルルーシュは……世界一のピザをつくる練習で疲れてたんだ」

C.C.「……!」

ルル「……えっ?」

C.C.「そんな……ルルーシュ、本当なのか?」

ルル「えっ、いや、違――」

スザク「これに関しては、ルルーシュは本当のことを言わないだろう。
     例えそれが、誰に対してであってもね」

C.C.「どうしてだ」

スザク「サンタクロースを信じていた君を喜ばせるためさ」

C.C.「……!」

スザク「あっ! 今、ここで言ったら駄目だったじゃないか!
     ごっ、ごめんよルルーシュ……」

ルル「え? ああ……」

スザク「とっ、とにかく! クリスマスまで後10日も無い。
     けれど、それまでに――」

C.C.「ルルーシュは世界一のピザを作れるようになっている、か」

スザク「うん、そういうことさ」

C.C.「ふふっ、そういうことだったのか」

スザク「きっと、面と向かってプレゼントするのが恥ずかしかったんだよ。
     そういう意味じゃあ、やっぱり君は特別なんだと思う」

C.C.「やめろスザク、背中がむず痒くなる」

スザク「あはは! C.C.が照れてるよ、ルルーシュ」

ルル「あ、ああ……」

ルル(――なんだこれは……!?)

ルル(クリスマスまでに世界一のピザを作らなければならなくなっただと……!?)

ルル(ええい! そんな事をしている暇は無い……!)

ルル「待t」

C.C.「期待しているぞ、ルルーシュ……ふふっ!」

ルル「えっ、あ……」

スザク「ルルーシュ。催促じゃあないんだけれど、
     僕にもサンタクロースが着てくれると嬉しい」

ルル「……」

C.C.「世界一のピザ……楽しみだ」

スザク「僕も、なんだかワクワクしてきたよ」

C.C.「なあ、ルルーシュ」

ルル「なっ、何だ?」

C.C.「サンタクロースは居て、
    良い子の私の所へはやって来るだろう?」

ルル「そr」

スザク「間違いなくね。そして、僕も良い子だ」

ルル「……」

C.C.「ふふっ!」


C.C.「クリスマスまで、もうすぐだな」


おわり

こんなくだらないもん最後まで読んでくれてありがとう
続けて黒の騎士団のはじまるます
タイトルはスレタイ

カレン「何? まさか、パーティでもする気?」

ルル「いや、そんな事はしない」

カレン「なら、どうしたっていうのよ」

C.C.「ルルーシュ……何を企んでいる?」

ルル「企む? 人聞きの悪いことを言うな」

ルル「――ちょっとナナリーに会って来るだけだ」

C.C.・カレン「……」

C.C.・カレン「えっ?」

ルル「だから、騎士団の大規模な活動はクリスマスは休止となる」

カレン「えっ? ちょっ、ちょっと待って……!?」

C.C.「ナナリーはエリア11の総督府に居るだろう……」

ルル「だが、クリスマスだ」

カレン「ぜんっぜん理由になってないんだけど!?」

C.C.「どうやら本気で言っているようだな、残念なことに」

ルル「C.C.、カレン。クリスマスには奇跡が起こる」

ルル「そしてこの俺……いや、私はゼロ」

ルル「――今まで多くの奇跡を起こしてきた」

C.C.・カレン「……」

ルル「ゼロが再び奇跡を起こす……このクリスマスにな!」

カレン「いや……」

C.C.「……無理だろう」

ルル「この俺に不可能など無い。
    既に、ナナリーの元へたどり着く138のルートを導き出している」

カレン「そんなに!?」

C.C.「やれやれ、暇な奴だ」

ルル「黙れ魔女! ナナリーの寝顔を見たい俺の気持ちがわからないお前に、
    とやかく言われる筋合いは無い!」

カレン「えっ? も、もしかして……」

ルル「カレン。ナナリーの元へは、
    サンタクロースが来るべきだと思うだろう?」

C.C.「サンタクロース・ゼロ……か」

カレン「……あっきれた」

ルル「なんとでも言うが良い」

C.C.「お前、ナナリーがまだサンタクロースを信じていると?」

ルル「ナナリーは、間違いなくサンタを信じている。
    汚れきったお前とは違い、ナナリーの心は透き通っているからな」

C.C.「……ほう」

ルル「サンタへの手紙を先に確認出来ないのが無念だ……!」

C.C.・カレン「……」

カレン「サンタへの手紙って……」

C.C.「ナナリーは、毎年そんなものを書いていたのか?」

ルル「ああ、書いていた。
    可愛らしい小さな手で、一生懸命にな」

カレン「へー。他の子だと微妙だけど、あの子だと可愛く思えるわ」

ルル「あの一生懸命さ……サンタクロースが実在したら、
    俺は――サンタを許しておかなかった……!」

C.C.「サンタにすら嫉妬するのか」

カレン「ねえねえ、ちなみにどんな事を書いてたの?」

ルル「む?」

C.C.「そうだな、確かに興味がある」

ルル「感謝の言葉、
    そして、世界中の子供へプレゼントを贈って回ることへの労いだ」

ルル「ははっ、ナナリーの奴、
    サンタに『お兄様といつまでも一緒にいられますように』ってお願いしてたんだ」

ルル「本当に優しくて可愛い妹だよ、ナナリーは……」ニヘラ

C.C.・カレン「……」

ルル「そんなナナリーの所へ、行かないわけがないだろう?」

カレン「ど、同意を求められても……ねぇ?」

C.C.「コッチに振るな、頼むから」

ルル「だが……問題も多い」

カレン「そっ、そうよね! だから、馬鹿な事はやm」

ルル「ナナリーの所へたどり着いても、
    あまりの可愛さにここに戻って来られなくなる可能性が高い……」

C.C.「……一応、戻ってくる気があるのは褒めてやろう。一応な」

ルル「まず、ナナリーの寝室へと入る」

カレン「……それまでの過程はまるで問題にしてないのね」

ルル「……その時点で、帰還率が2%になってしまう」

C.C.「おい、さすがにそれは低すぎるだろう」

ルル「いいや、この数字は正確だ」

ルル「何せ、かなりの期間ナナリーの匂いを嗅いでいないからな。
    それを補充するために、どれだけの時間を費やすか見当がつかない」

カレン「うわぁ……」

ルル「ナナリーの匂いという条件をクリアーするためには、
    着ているものを全て脱がなければならないだろう」

C.C.・カレン「……」

ルル「鼻だけでなく、皮膚呼吸も含めた全てを費やす。
    頭髪も剃りたい所だが……学園でブリタニアに怪しまれるからな」

C.C.・カレン「……」

ルル「それでも、生還率は80%。
    しかも、匂いを補給している時は完全に無防備だ……!」

C.C.「悔しそうな顔をするな」

ルル「さらに、全裸になったことで衣装も用を成さなくなる」

カレン「衣装? ゼロの格好で行くんじゃ……」

ルル「ああ、クリスマスカラーのな」

カレン「はあっ!?」

C.C.「お前、そんなものを作っていたのか……」

ルル「いざという時、周囲に紛れ込むことも可能だ。
    ゼロのマスクの頭頂部には、おおきな星もあしらえてある」

C.C.・カレン「……」

ルル「当然、ナナリーがそれを見ることは無い。
    眠っているし、何よりナナリーは……」

ルル「だが……それでもその格好でプレゼントを置きたかった……!」

ルル「ナナリーの元へ、サンタクロースとして駆けつけたかった……!」

カレン「……まぁ、帰還するためには、
     ふっ、服を脱がなきゃいけないんでしょ?」

ルル「……ああ」

カレン「だったら……全部脱ぐべきだと思うわ」

C.C.「ルルーシュもだが……カレン、お前も落ち着け」

ルル「脱ぐ……べきか」

カレン「それしか、他に方法はないのよね?」

ルル「他のプランも考えたが、
    最も現実的なものが全裸になることだった」

カレン「じゃあ……貴方は脱ぐべきよ」

ルル「……ありがとう、カレン。
    おかげで決心がついた」

カレン「べっ、別に大したことはしてないわよ!
     わ、私はただ……貴方が帰ってこないと困るから……」

C.C.「……何なんだ? この会話は」

ルル「――だが、まだ障害は多い」

ルル「寝室の入り口からナナリーの寝るベッドへ近づくにつれ、
    俺の脳裏にはナナリーとの思い出が蘇ってくるだろう」

ルル「笑顔のナナリー、少し拗ねたナナリー、
    悲しげなナナリー、他にも様々な時、色々な場所でのナナリーがだ……」

ルル「俺は……実物のナナリーがそこに居たとしても、
    その思い出のナナリーの愛らしさに押し潰されてしまうかもしれない……」

ルル「そうなってしまっては、生還する確率はほぼゼロになるだろう……」

C.C.・カレン「……」

ルル「――ええい! ナナリーはどうしてあんなに可愛いんだ!」

ルル「ナナリーが可愛いらしいのか!?
    可愛いらしいのがナナリーなのか!?」

カレン「わっ、私に聞かないでよ!?
     それに意味わかんない、支離滅裂すぎ……!」

ルル「あぁ……ナナリー……!」

C.C.「……ふん。だったら、今のうちに思い出に浸っておけば良いだろう」

ルル「! その手があったか!」

C.C.「……」

C.C.「えっ?」

ルル「確かにお前の言う通りだ、C.C.」

C.C.「……何がだ」

ルル「今の内にナナリーとの思い出に浸っていれば、
    クリスマスの日に思い出が枷になる心配はなくなる」

ルル「いや! むしろ、ベッドで眠るナナリーに、
    一刻も早く駆け寄って顔を見たいという衝動に駆られるだろう!」

ルル「くくく……! そうか……その手があったか……!」

ルル「――さすがはC.C.、この俺の共犯者だ……!」

C.C.「……そんなに褒めるな。
   私はもう泣きそうだよ、ルルーシュ……」

ルル「――カレン、そしてC.C.……礼を言わせて貰う」

ルル「お前達のおかげで、条件をクリアーする事が出来た」

ルル「……ありがとう」ニコリ

C.C.・カレン「……」

カレン「……そんなに穏やかな笑顔で感謝されると複雑だわ」

C.C.「……ふふっ、お前がそんな顔が出来るとはな」

C.C.・カレン「「……本当、この状況で見たくはなかった」」

ルル「ナナリーの眠るベッドにたどり着ければ話は早い」

カレン「……あぁ、そう」

C.C.「……良かったな」

ルル「まず、ナナリーの薔薇のような左頬に軽くキス。
    続けて頬同士をスリスリさせた後、右翼にも兵を展開」

カレン「何言ってんの!?」

C.C.「ルルーシュ、お前……」

ルル「あぁ、すまない。
    ナナリーに対して兵を差し向けるような表現をしてしまった」

カレン「そこじゃないわよ! 問題はさぁ!」

C.C.「それは……さすがに起きるだろう」

ルル「問題ない。
    毎年、この条件はクリアーしてきた」

カレン「アンタ、クリスマスはいっつもそんな事してたわけ!?」

ルル「いや? クリスマスに限らずしていたが……」

カレン「有り得ない……さすがに私でも、
     お兄ちゃんにそんな事されてたら引くわ……!」

ルル「? 何故だ」

C.C.「……本当にわかっていないらしいな」

カレン「あのね? 普通のお兄ちゃんは、
     妹にそういう事しないと思うんだけど」

ルル「それは、妹がナナリーではないからだろう」

C.C.・カレン「……」

ルル「ナナリーが妹だったら、誰だってそうするだろう。
    ……本当、俺はナナリーの兄で幸せだよ」

カレン「……まあ、起きないなら良いかしら」

C.C.「……私は、この男と共犯者なのか」

ルル「まあ良い、話を戻すぞ」

カレン「戻るというか、変な所へ連れてかれる気分だわ……」

C.C.「……奇遇だな、恐らく私も同じ所へ連れて行かれている」

ルル「チュッチュが終了してからの行動は決定している」

カレン「……チュッチュって」

ルル「それは――モフモフだ」

C.C.「……何だそれは。いや……聞きたくは無いな」

ルル「この作戦のポイントは、このモフモフだろう。
    モフモフ次第で、作戦時間が大きく変わるからな」

C.C.「ルルーシュ、一応聞いてやる」

ルル「何だC.C.」

C.C.「モフモフとは、一体何だ? 何をするつもりだ」

ルル「決まっているだろう。
    抱きしめながらナナリーをモフモフする」

カレン「ちょっと待って……アンタ、その時全裸なんじゃないの!?」

ルル「?」

カレン「キョトンとしないで!」

ルル「服を脱ぐべきだと言ったのはカレン、お前だろう」

カレン「その時はその、も、モフモフ?……をするなんて、
     思ってもいなかったのよ!」

C.C.「思っていたとしたら、それはもう駄目だろう」

ルル「……やれやれ、カレン。
    そんな事では、零番隊の隊長は任せられんぞ」

カレン「そんなに!? ねえ、そんなにモフモフって大切なの!?」

ルル「……仕方が無い」

モフッ

カレン「ひぃぇあっ!?」

C.C.「……おい、どうしてそこでカレンを抱きしめる?」

ルル「この斑鳩に乗っている以上、
    俺はルルーシュでもあり、ゼロでもあるからな」

モフモフッ

カレン「ちょっ、ちょっと離し……!?」

ルル「信頼する部下に、
    モフモフの重要性を教えるのは当然だ」

モフモフモフッ

カレン「だ、駄目……!」

ルル「……だからこその――モフモフ」

モフモフモフモフッ!

カレン「あ、あぁっ……!?」

C.C.「……そうか」

モフモフモフモフモフモフッ

カレン「あぁ……ぁ……」

ルル「――そろそろ良いか」

パッ

カレン「あっ……」

ルル「どうだカレン。
    お前ならば、モフモフの重要性をわかってくれたと思う」

カレン「……えぇ……モフモフって大切だわ」

C.C.「……やれやれ」

ルル「このモフモフにどれだけ時間がかかるか、だな……」

カレン「最悪……いえ、最高朝までかかるかも知れないわね」

ルル「しかも、相手は可愛い可愛いナナリーだ。
    ナナリーが目覚めても続けている可能性もある……」

カレン「……そうなるとおしまい、か」

C.C.「カレン……お前はもうルルーシュの世界へ行ってしまったようだな」

カレン「あのね、C.C.。この際だから言っておくわよ?」

C.C.「何だ」

カレン「モフモフはまずいわ。あれはホンットーにまずい」

C.C.「……あぁ、そうか」

ルル「……何か、俺のナナリーへの愛を抑える方法は無いのか……!
    全く、これっぽっちも思いつかん……!」

C.C.「思いつくのなら、今すぐそれを実行したいよ」

カレン「! そうだわ!」

ルル「? どうしたカレン」

カレン「誰か、あの子と知り合いの人が一緒に行けば良いんじゃない?」

ルル「! 成る程、それならば五時間程度、
    腹八分目でも帰還しようとする可能性がある!」

C.C.「……それでも長いだろう」

ルル「だが……適した人物となると非常に限られてくる」

カレン「それなら私が――」

ルル「カレン。この戦況の中、
    紅蓮のパイロットのお前が斑鳩を離れるのは却下だ」

C.C.「いやいや、ゼロのお前自身が斑鳩を離れるだろう」

ルル「事情を知り、有る程度腕が立つ、
    条件に当てはまる人物となると……」

C.C.「……おい」

C.C.「……何故こちらを見る」

ルル「――C.C.……俺の共犯者」

C.C.「断る」

ルル「これは、俺一人では達成出来ない」

C.C.「断ると言っているだろう……!」

ルル「サンタクロースにはトナカイが居るように、
    俺には……お前が居る」

カレン「C.C.……私からもお願い」

C.C.「……いや、それでも断r」

ルル「クリスマスの夕食といえば、七面鳥やピザg」

C.C.「仕方が無い。お前は私の共犯者だからな」

     ・    ・    ・

C.C.「――まさか……本当にここまで辿り着くとは」

ゼロ「何を言っている。
    この俺が立てた計画に抜かりは無い」

C.C.「それにしても……派手だな」

ゼロ「クリスマスだからな」

C.C.「イルミネーションがされていないのが不思議だよ」

ゼロ「何を言っている。それでは目立ちすぎるだろう」

C.C.「……まあ、そうだな」

ゼロ「この扉を開ければナナリーが居る……!」

C.C.「ほら、時間が無いから早くしろ」

ゼロ「言われなくてもそうするさ――」

カチャリ……

ゼロ「ナナリー……やっと……!」

ぽちっ!

ルル「ナナリー……! ナナリー……!」

C.C.「……ボタンを押せば自動で裸になる仕組みだったのか」

ルル「こー……ほー……! こー……ほー……!」

C.C.「本当に深呼吸をするとは」

C.C.「……しかし、暗がりだからお前の貧相な体を見ずに済ん――」

ナナリー「――誰ですか? こんな時間に、私に何の用ですか?」

ルル「こひゅっ!?」

C.C.「……起きた……いや、起きていたのか」

ナナリー「どなたかわかりませんが、答えなければ人を呼びますよ……!?」

ルル(ナナリーが起きているだと……!?)

ルル(馬鹿な! そんなはずはない! 想定外だ!)

ルル(天使のようなナナリーが、この時間まで起きているなど!)

ルル(偽者か? いいや、今の声はナナリーの肉声だ!)

ルル(ぐっ、グレてしまった……不良になってしまったのか!?)

ルル「だが……夜更かししてちょっと悪い子ぶるナナリーも可愛い……!」

ナナリー「……その声……まさか、お兄様……?」

C.C.「おい、もうバレたぞ」

ルル(くっ! さすがナナリーだ!)

ルル(だが、すぐわかって貰えて嬉しさが止まらない……!)

ルル(しかし……今はまだ……会えない……!)

ルル「――いいや、私はお前の兄ではない」

ナナリー「なら……何者です! 答えなさい!」

ルル「私は――サンタクロースだ」

ナナリー「サンタさん? それじゃあ、やっぱりお兄様なのですね!」

C.C.「おい、とっくにバレてたぞ」

ルル(ええい! どうする!? どうすればこの状況を……!)

ルル「くっ……ナナリーが可愛すぎて考えがまとまらない……!」

C.C.「まあ、お前は突発的な事態に弱いからな」

ナナリー「それにこの声は……C.C.さん?」

C.C.「ああ、久しぶりだな」

ルル「おい!」

ナナリー「お二人とも、どうしてこんな時間にここへ……」

ルル「それは……ナナリーが可愛すぎて……」

C.C.「……まあ、本当にそうだな」

ナナリー「……」

ルル「ナナリー……可愛いよ、ナナリー。
    愛しているよ、ナナリー」

C.C.「久々の再会でその台詞は無いと思うぞ」

ナナリー「……わかりました。
     きっと、これはサンタさんがくれた夢なのですね」

ナナリー「また、お兄様やC.C.さんと一緒に、
     平和に暮らしたいという私の望みの夢……」

ルル「いや、俺はここに居る。
    ずっと一緒だって、約束したろう?」

C.C.「ルルーシュ、少し黙っていろ」

ナナリー「だって、お兄様やC.C.さんがここに居るはずがありません。
     だからきっとこれは、私の幸せな夢……」

C.C.「――ああ、そうだ」

ルル「いいや、これは本当のことさ。
    愛しているよ、ナナr」

ボキッ!

ルル「おぐぅっ!?」

C.C.「――これは夢だ。
   お前の見ている、幸せな夢だ」

ナナリー「……そうですよね。
     だって、お二人がここに居るなんて有り得ないもの」

C.C.「ああ、その通りだ」

ナナリー「夢なら……言っても良いですよね」

C.C.「当然だ。これは、お前の夢の世界の事なんだから」

ナナリー「それじゃあ、えっと……お兄様」

ルル「な、何だ……ナナリー……っ?」

ナナリー「あの……いくら兄妹でも、お兄様はちょっとやりすぎだと思うんです」

ルル「」

ナナリー「朝起きて顔がベタベタなのはちょっと……」

ルル「あ、おおう……!」

ナナリー「しかも、寝ている間にですから……」

C.C.「それは気分が悪いだろうな」

ナナリー「ええっとその……少し」

ルル「ほわあっ!?」

C.C.「本当は?」

ナナリー「……かなり」

ルル「うおっ、おおおぉぉぉ……!?」

C.C.「なあ、ナナリー。
    この際だから、言いたい事をいっておいたらどうだ?」

ナナリー「えっ?」

ルル「お、おおぉ……」ポロポロ

ナナリー「ええと……無言でベッドに入ってこられると驚いたり……」

C.C.「ほう、そんな事までするのか」

ナナリー「ほっぺたをスリスリされると眠れないんです……」

C.C.「だろうなぁ」

ルル「ぐあっ……ぐ、おぉ……!」ボロボロ

C.C.「成る程。ナナリーは、それが不快なんだな?」

ルル「ぐあああああっ!?」

ナナリー「ふ、不快というほどじゃあ……!」

C.C.「だが、正直良くは思っていない、と」

ナナリー「ええと……ごめんなさい、お兄様」

ルル「頼むから誤らないでくれ、ナナリー……!」キュィィン!

C.C.「ギアスを使うほど、謝られると心が砕けそうなのか」

ルル「だが……これだけは言わせてくれ」

ナナリー「はい」

ルル「愛してるよ、ナナリー」

ナナリー「はい、私も愛してます……普通の時のお兄様は」

ルル「ぐふぉっ!」

C.C.「――と言うわけで、私達はそろそろ帰る」

ルル「」

C.C.「夢の中とはいえ、夜遅くに邪魔をしたな」

ナナリー「いえ……また、会えますよね」

C.C.「その時は、また折り紙でも折ろう」

ナナリー「はいっ!」

C.C.「それじゃあ、おやすみ」

チュッ

ナナリー「し、C.C.さん……?」

C.C.「これの代わりに――」

ルル「」

C.C.「おやすみのキスだ。それと――」


C.C.「メリー・クリスマス」


おわり

こんなくだらないもん最後まで読んでくれてありがとう
おやすみ

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