キョン「朝起きたらハルヒが隣で寝てた」(692)

キョン「…」
古泉「…」
キョン「……寝てたんだ」
古泉「何を言い出すかと思えば」

古泉「お酒はいけませんよ」
キョン「いや、違うんだ」
古泉「クスリはいけませんよ」
キョン「違うって」
古泉「妄想は……まあ、仕方ないですね」
キョン「どういう意味だおい」

キョン「酒を飲んでたとか、変な粉を鼻から吸ってたわけじゃない」
キョン「前日の記憶も確かにあったし、寝起きもばっちりだった」
キョン「だがよく見ると……隣でハルヒがすやすやと眠ってたんだ」
古泉「不思議な設定ですね」
キョン「ウソじゃないんだ。おい、冷めた目で見るな」

古泉「若いんですから、そういう夢を見るのもわかりますよ」
キョン「お前も同じ歳だろうが」
古泉「しかし、それを同級生に話すのは……ちょっと」
キョン「だから本当の話だと言ってるだろ」
古泉「……双方同意した上ならいいんじゃないですかね」
キョン「そういう関係でもない」
古泉「不順な関係もどうかと思います。強引に事に及んだのなら、あなたを見る目も」
キョン「もしかしてあれか? 俺が悪者設定か? ん?」

キョン「寝るじゃん」
古泉「はい」
キョン「起きるじゃん」
古泉「えぇ」
キョン「すると……隣にハルヒが」
古泉「はぁ」

キョン「最近、急に寒くなってきたじゃないか」
古泉「そうですね」
キョン「だから毛布出さないと、って思っていっつも出すの忘れて寝る」
古泉「わかります」
キョン「でもその日は、なんか暖かいなーって」
古泉「はい」
キョン「……幸せそうな顔して、俺の腕に抱きついて寝てるハルヒが」
古泉「…」
キョン「…」
古泉「信じられると思いますか」
キョン「お前が超能力者うんぬん言ってたときの俺の気持ちがそれだ」
古泉「なるほど」

キョン「もちろん夢だと思ったさ」
キョン「夢にしては実感がありすぎるけど、そういう夢もあるだろうと」
古泉「これは夢だってわかってる時、ありますよね。夢って不思議です」
キョン「そうそうそれ」

キョン「だからまあ、とりあえず寝ようと。寝なおそうと」
古泉「しますね」
キョン「で、少しの間無心で目を閉じて……もう一度目を開けると」
古泉「…」
キョン「ハルヒはいなかった」
古泉「まさかの夢オチじゃないですか。なんですかこの話は」
キョン「違う違う! そこで終わりじゃない!」

キョン「思うよな? 夢だったと思うよな」
古泉「夢ですからね」
キョン「だがこの話はここで終わりじゃない。ここからが怖いんだ」
古泉「えっ、怖い話なんですかこれは」

キョン「その日は休日で、特に予定もないから家でゴロゴロしてたんだ」
キョン「でそのまま気がついたら夜になっててな」
古泉「休日を無駄に過ごしたわけですね」
キョン「そんな言い方するな。ちょっと気が重くなる」
古泉「で、丸一日生きてるかどうかわからないような生活をして?」
キョン「……まあいい。眠った。そんときは朝のことなんて忘れてて」
古泉「はぁ」
キョン「で、清々しく起きたら……またハルヒが眠ってた」
古泉「…」
キョン「無限ループって怖くね?」
古泉「そんな妄想してる人のほうが」
キョン「頼むから信じてもらえんかね」

キョン「なんか息苦しいなと、寝息も聞こえるしシャミセンが潜り込んできたのかと」
古泉「寒いですからね。毛布は出したんですか?」
キョン「出してない。あっ、出さないと」

キョン「で、目を開けると」
古泉「開けると」
キョン「……俺に抱きついて眠ってるハルヒが」
古泉「うわっ」
キョン「妄想じゃない! ほんっとにそうなんだよ! 目の前できもっちよさっそうに眠ってたんだ!」
古泉「…」
キョン「で、びっくりして飛び起きるとな……消えた」
古泉「………………………」
キョン「コメントに困るな。困ってるのは俺だ。これで終わりじゃないんだよこの話」

キョン「さすがに二日連続でそんなことがあれば、俺も気になったりする」
古泉「いろんな意味で」
キョン「いろんな意味で。正直に話すが、確かに悪い気もせんかった」
古泉「でしょうね」
キョン「そこはあなたも僕も男の子ですからわかってくれますよね?」
古泉「なんですかその話し方は。僕ですか」

キョン「その日も休日だったわけだ。日曜日」
古泉「何をしましたか」
キョン「……どうせなにもしてないよ……って、そうじゃなくてだ」
キョン「どういうことかを考えた。まず、夢って可能性は否定してな」
古泉「淡く甘い吐息と、絹のような肌の感触を忘れられずに」
キョン「うまいこと言ったみたいな顔すんな」
古泉「えぇ、まあ、続きを」
キョン「あれは普通の女の子じゃない。よく訓練された女の子だ」
古泉「なにに訓練されたんですか」
キョン「……その……これも……あいつのアレかと」
古泉「願望、ですか」

キョン「安直に考えるとそうなる。あいつはそういう存在だ」
古泉「まあ、妄想話でないと信じられる理由でもありますし」
キョン「……でも意味はわからんがな」
古泉「わかりませんね」

キョン「しかしだ、お前俺の隣で寝てただろってハルヒに聞くわけにもいかん」
古泉「どこの超絶変態自意識過剰肥大妄想男って思われるかもしれませんね」
キョン「なんでちょいちょい面白く言おうとするの?」
古泉「それで、涼宮さんには?」
キョン「スルーかよ。まあ、聞けるわけもなく、その日はそのまま終了」
古泉「休日二日ともほんとになにもしてないですね」
キョン「たまたま! 今回だけ!」

キョン「で、寝ないわけにもいかんわけで」
キョン「それにさすがに三日連続ってのもないだろうと」
古泉「よくわからない予想ですね」
キョン「恐れながらも就寝したわけだ」

古泉「…」
キョン「……寝た」
古泉「どうなったんですか」
キョン「…」
古泉「?」
キョン「今度は……俺がハルヒに抱きついてた……」
古泉「うわっ」
キョン「無意識だ! ほんっとに知らない! なんかそうなってただけ!」
古泉「……寝にくいでしょうに」
キョン「いや、暖かかったしなんかいいにお……じゃない」
古泉「…」
キョン「……驚いて体が固まってだな」
古泉「正確には一部が、じゃないんですか」

キョン「驚くだろ? 起きたらお前、女の子に抱きついてるんだ。自分が」
古泉「若いですね」
キョン「遠くを見るな。俺を見ろ」
古泉「嫌ですよ。その辺を見ます」

キョン「完全に夢じゃない。触感があった。温度も」
古泉「……ふにゃっと?」
キョン「ふわっと。いやどうでもいいだろそこは」
古泉「ふわっとですか」
キョン「俺とは逆方向を向いててだな、こう、くの字みたいな」
古泉「バックドロップですね」
キョン「動いたら起きる、起きたら殴られる、そう思ったんだ」
古泉「っていうのは建前で、ほんとはこの感覚逃がすまじというか」
キョン「……二割ぐらいは」
古泉「…」
キョン「あぁそうだよ! 七割はそうだ! だって仕方ないじゃない!」

キョン「兎にも角にもその三割分のジェントルメンがだ、どうにかこうにか冷静さを保っててだ」
古泉「いっそのこと夢だと思い込んでしまっても」
キョン「……その手があったか……って、いやおい」

キョン「でもどっちにしろ動けんわけだよ。動くにも腕はハルヒに絡みついてるし」
古泉「足は?」
キョン「……もぞもぞしてました」
古泉「浮き足立つとはこのことですね」
キョン「でも起きんわけにはいかん。だからまあ、頑張って声を出してみた」
古泉「ほう」
キョン「声というか……んんっ、みたいな」
古泉「喘がないでくださいよ。気持ち悪いです」
キョン「そういうのじゃないって!」

キョン「で、なんかこう、ちょっと動いた」
古泉「起きましたか」
キョン「……寝苦しい、みたいな」
古泉「全然起きてないですね」

キョン「ってことは爆睡ってことで、これ俺動いても大丈夫だろと」
古泉「けしからんことをしたわけですか」
キョン「してない! してない!」
古泉「で、脱出したんですか」
キョン「それが、いざ動こうとしたら……あいつが寝返りやがって」
古泉「…」
キョン「その拍子にあの、俺の金時殿に……膝が」
古泉「ヒットですか」
キョン「ヒットです。ヒットと同時に、彼女は消えました」
古泉「残された鈍痛が涼宮さんの存在を示す唯一の証拠だと」
キョン「すり潰れるかと思ったぞ。不意打ちもいいとこだった」

キョン「これは大事だと。いかんともし難い事態だと」
古泉「病院に?」
キョン「いやあの、膝がうんぬんのくだりはもういい」

キョン「その日は平日だった。だから、学校に行かないといけない」
古泉「病院行けませんね」
キョン「大丈夫だ! 俺の俺はもう平気なんだってば!」
古泉「登校したわけですか」
キョン「あぁ。そんで、これハルヒに逢ったらどうなるんだ、と……」
古泉「彼女がそうさせてるんなら、まあ自覚があってもおかしくないですね」
キョン「聞けるわけもない。でも、意識すんなって言われても正直ムリだ」
古泉「ですね」
キョン「だから、とりあえずあいつが登校するのを待ったんだよ」

キョン「で、登校してきたわけだ。ちょっと遅刻ぎみに」
古泉「話しかけましたか?」
キョン「いや、なんだ……こう、話しかけはしなかったけど」
古泉「何をちょっとテレてるんですか」

キョン「まあでも、目が合った」
古泉「はぁ」
キョン「……別に普通だった」
古泉「何の反応もなし?」
キョン「何の反応もなし」
古泉「……やっぱり夢では」
キョン「痛かった。……柔らかかった」
古泉「あぁ、そうですね」
キョン「…」
古泉「……なにを反芻してるんですか」

すげー眠い
ちょっとだけ寝かせておくれ

キョン「しかしまあ、全く会話しないのも……意識するのもダメだと」
古泉「青いですね。実に青い」
キョン「だって仕方ないだろ! そりゃ気になるだろ!?」

キョン「なにーげなく話してみたんよ」
古泉「何をですか?」
キョン「いや、遅刻するなんて珍しいな、と」
古泉「あぁ……まあい語り口かと思います」
キョン「そうでもないわよって言われた」
古泉「……そうでもないのか」
キョン「そうでもない」
古泉「じゃあダメじゃないですか。意識しまくりじゃないですかそれじゃ」
キョン「仕方ないもん! 仕方ないもん!」

キョン「まーでも、そうだったっけ? みたいな感じでとりあえずは会話できた」
古泉「はい」
キョン「……それだけだ。あとは至って普通」

キョン「いつもならなにかしらの兆しはあるじゃないか」
古泉「彼女がこうしたい、ああしたいって思うからこうなってああなるわけですからね」
キョン「……なかった」
古泉「…」
キョン「だから、その、なんだ。それで終わりだと思ったわけだ」
古泉「終わり?」
キョン「多分俺が本気で寝ぼけてたんだろうと。まずわが身から疑ってみた」
古泉「それはそれで遅いような……」
キョン「いやいや、まあ聞いてくれ」

キョン「しかもほら、別に隣で寝てるだけで害もないし」
古泉「あったじゃないですか。見事なニーがヒットしたじゃないですか」
キョン「それは……角にぶつけたとかそういうのかと」
古泉「なんの角にぶつけるんですか」

キョン「それに、こうも思ったんだ」
古泉「?」
キョン「今度こそ叩き起こせばいい。んで、何やってんだお前って言えばいいじゃないかと」
古泉「それが一番危ないと思いますけど……」
キョン「いやいや、前の閉鎖空間のこともあるしな? 言えばなーんとなくわかるかなぁと」
古泉「あ、そういえば」
キョン「?」
古泉「曖昧にされたんで覚えてないんですけど、あのときどうやって閉鎖空間から戻ってきたんですか?」
キョン「なにそれ。そんなことよりこのお茶美味いなおい、いいお茶だこれ」

キョン「それに俺は一つ気がついたことがあったんだよ」
古泉「なんですか」
キョン「三日とも、寝るのが遅かった」
古泉「なにもしてなかったのに」
キョン「なんでそう辛くなるようなことを言うかな」

キョン「そもそもほら、あいつがマジで俺が寝てる横に空間移動してきてるなら」
キョン「あいつより先に寝て先に起きれば……その現象を目の当たりにすることができるんじゃないかと」
古泉「涼宮さんは現れてからどういう風に消えてたんですか?」
キョン「それがな、気がついたらいないんだ。瞬きしたらいないと思ってくれればいい」
古泉「……怖いですね」
キョン「だろ? ちょっと俺の気持ちわかってきた?」
古泉「まあ少しですけど。でも七割楽しんでたわけですし」
キョン「それはそれ。これはこれだ」

キョン「だから寝た。帰ってすぐ寝た」
古泉「ほう」
キョン「つっても床に入ってはい熟睡ってわけもなく」
古泉「ダラダラと布団の中で過ごした、と」
キョン「…」

キョン「でまあ、気がついたら寝てた」
古泉「どのぐらい寝てたんですか」
キョン「起きたのが二時だ。だからまあ、結構寝たな」
古泉「早寝早起きってレベルじゃないですね」
キョン「そんでまあ、なんか目覚めもよかったんで体を起こしてみると」
古泉「みると」
キョン「……ベッドの端で寝てた。しかも抱き枕持参でだ」
古泉「なんと」

キョン「さすがの俺も目を疑ったよ。いるんだもの、いないと思ってたのに」
古泉「面白いですね。寝る時間も一緒ですか」
キョン「面白くねーよ」
古泉「それで、どうしたんですか」

キョン「隅のほうで、寒そうに抱き枕を抱えてたんよ」
古泉「布団を掛けてあげましょうよ」
キョン「そういう問題じゃないだろ。さすがに今回は起こしてみようと」
古泉「あぁ、そうでしたね」
キョン「とりあえず、あいつの肩を叩いてみた。おーいって」
古泉「ほう」
キョン「……無反応。だから今度は顔叩いてみた」
古泉「どれだけ外道なんですか……」
キョン「勢いよくじゃねーよ。それに俺はもっと痛いの食らってるんだぞ?」
古泉「どんな感じ叩いたんですか」
キョン「……頬をこう……ぷにぷにっと」
古泉「それ叩いたって言いませんよ。突っついたって言うと思います」

キョン「そしたら、あいつんーとか言ってな」
古泉「もしかして惚気話とかになりますか? ならとてもどうでもいいんですけど」
キョン「おねがい聞いて」

キョン「……くしゅって」
古泉「?」
キョン「くしゃみ」
古泉「あぁ」
キョン「だから、布団を掛けてやった」
古泉「……惚気話じゃないですか。なんですかこれ」
キョン「だってお前! そんな反応されたらお前!」
古泉「まさかそれで終わりじゃないですよね。終わりなら人格を疑いますよ」
キョン「日々現実を疑ってる俺よりマシだろ。もちろん終わりじゃない」

キョン「俺もほら、この状況で布団に戻るわけもいかんじゃない」
古泉「いいじゃないですか。我が家なんですから」
キョン「三割の良心がなくなったらどうするんだ」
古泉「まあそれはそれで」

キョン「しかしそこで俺は冷静に考えた。このままじゃこいつ熟睡しちまうと」
古泉「恐らくですけど、してます。熟睡ですそれ」
キョン「どうにか起こしてだな。ここは俺の部屋だと言いたかったわけだ」
古泉「それが目的ですしね」
キョン「もう一度あいつを起こそうと……今度はこう、頬をぺちんぺちんしてやろうと」
古泉「…」
キョン「そう思って手をかざすと、アイツ喋りだしたんだ」
古泉「起きたんですか?」
キョン「いや……眩しいって」
古泉「なんで電気付けてるんですか」

キョン「だからとりあえず電気を消した」
古泉「いやいや、そのタイミングで起こしましょうよ」
キョン「だって眩しいって」
古泉「…」

キョン「で、このとき気がついたんだけど」
古泉「はい」
キョン「あいついつのまにか、俺の枕使って寝てやがってな」
古泉「……はぁ」
キョン「で、これで完璧に布団に戻れなくなったんだ」
古泉「やっぱり戻る気だったんじゃないですか」
キョン「もう言い訳しません。正直とても戻りたかったです」
古泉「……客観的に見ても、可愛いですよね」
キョン「大人しいあいつってほんとそうだよ。あっ、いや、別にその、恋愛的な意味じゃなく」
古泉「…」
キョン「おっ、俺の感情はいいだろ! とにかく! 問題はそこじゃない!」


キョン「……正直、それ以上解決策が見つからなかった」
古泉「?」
キョン「普通に起こしてもよかったんだが、その……」

キョン「想像してみ」
古泉「何をですか」
キョン「カチューシャ外してな、なんか可愛らしいパジャマ着て、抱き枕抱えてすやすや眠ってるんだ」
古泉「……起こしたくないですね」
キョン「だろ!? 俺おかしくないだろ!?」
古泉「でもそのままってのも」
キョン「だからとりあえず、観察することにした」
古泉「…」
キョン「だって可愛いんだよ……畜生……ハルヒのくせにちくしょう……」

キョン「すやすや眠ってたよ」
キョン「いびきもなく、小さく吐息が漏れる感じ」
キョン「ネコいるじゃんネコ。アレが眠ってるような」

キョン「邪魔したら起きるかな? と思いつつもなんか邪魔したくなって」
キョン「口つまんでアヒル口にしたり、こめかみぐりぐりしても……起きない」
キョン「あまりにも気持ち良さそうに眠るもんだから、見てるこっちも眠くなってきて」
キョン「でもベッド占領されてるから、寝るわけにもいかず……って」
キョン「もしかして聞いてない?」
古泉「えっ? あぁ、全然聞いてないです」
キョン「……ちょっと調子に乗りました……ごめんなさい」
古泉「いえいえ」
キョン「そんでな、アイツの髪をいじったり」
古泉「……………………」

キョン「そんなことしてたら、いつのまにか俺も眠ってたんだ」
古泉「布団に入ったんですか。よくできました」
キョン「違う違う! こう、ベッドの横に伏せてだな」
古泉「入っちゃえばいいじゃないですか」
キョン「それは……ほら、それは……ねぇ?」

キョン「で目を覚ますとハルヒはいなかった」
古泉「またいつの間にか戻った、と」
キョン「しかも、今回はそれで終わりじゃなかった」
古泉「?」
キョン「あいつ……抱き枕忘れていったんだよ」
古泉「なんと」
キョン「しかもだ……その代わりに俺の枕を持っていきやがった」
古泉「まあ」

キョン「物理的な証拠があったから、これは完璧にあいつのしわざだと」
古泉「限りなく現実に近い夢じゃなく、まじりっけなしのリアルワールドってわけですね」
キョン「えっ? あぁ、うん。それ」

キョン「で、時計を見ると三時」
古泉「一時間もいちゃいちゃしてたわけですか」
キョン「しししっ、してない! 俺はただ観察してただけだ!」
古泉「その抱き枕は?」
キョン「あるよ、家に。ふかふかでなんかいい匂いだ」
古泉「うわぁ……」
キョン「! かっ、嗅いでないぞ! 抱きしめたりもしてない!」
古泉「もうなんでもいいです」
キョン「……だって……もうほんと、仕方なかったんだ……ほんとに」

古泉「べとべとのぐちょぐちょになってなければなんでもいいです」
キョン「引っ張らないでその話は」
古泉「もしかして……べとべとのぐちょぐちょなんですか……」
キョン「違うって! さらさらのふわふわのくんかくんか……いやなんでもない」

キョン「…」
古泉「…」
キョン「どうすりゃいい?」
古泉「どうって……別に、不満があるようにも思えませんが」
キョン「気まずいだろ!」
古泉「いやでも、特になんのリアクションもないんでしょ」
キョン「あぁ、でもほら……今の状況みてみ」
古泉「? 部室にあなたと二人ですね」
キョン「ここにいるはずの文学少女と萌え要素さんとヒューマノイド・タイフーンはどこだ」
古泉「……あぁ、なるほど」

キョン「俺と同じで、もしかしてハルヒも彼女達になにかしらの相談をしてるんじゃないかと」
古泉「十分ありえそうですね。なんかこんな夢みたんだけど……ってぐあいに」

【Girl's Side】

ハルヒ「朝起きたらキョンが隣で寝てたの」
みくる「…」
長門「…」
みくる「……寝……てた……?」

みくる「お酒はいけませんよ」
ハルヒ「飲んでないわよ!」
長門「幻覚剤はオススメできない」
ハルヒ「飲んでないわよ! シラフよシラフ!」
みくる「涼宮さんもお年頃ですから……そういうこと考えるのも」
ハルヒ「違うってば! いいから聞きなさい二人とも!」

ハルヒ「最近寒いじゃない?」
みくる「そうですねぇ。私寒がりなんで毛布いっぱい使ってます」
長門「コタツはいい」
ハルヒ「もしかして有希、こたつで寝てるんじゃないでしょうね」

ハルヒ「毛布ださないとなーって思うけど、いつも布団に入ってから思っちゃうのよね」
みくる「億劫ですよね」
ハルヒ「うん。まあしばらく経てば暖かく思えるから、いいかなって」
長門「こたつはいい」
ハルヒ「わかったわよ。んで、眠ってるうちになんか暖かいなって思ったら……」
みくる「思ったら?」
ハルヒ「……キョンが隣で寝てた。むしろ、あたしが何故かキョンの部屋に」
みくる「…」
長門「……こたつは……いい」

>>112
すまんかった

谷口以下だなと訂正させてもらう

ハルヒ「いやいや、さすがにありえないでしょ?」
みくる「あっ、ありえませんよね」
長門「…」コク
ハルヒ「夢。絶対夢だわ、だってありえないもの。って思ったわけ」

ハルヒ「……でもなんか違うのよ。明らかに現実味があるの」
みくる「たまーに、夢か現実かわからなくなるのがありますよね」
ハルヒ「うん。でもなんだろう……なんか違うって」
長門「?」
ハルヒ「言葉で表すのは難しいわね。で、とりあえず眠かったしなんでもいいわって」
みくる「はい」
ハルヒ「キョンの腕に抱きついてみたら……確実に実体があったの」
みくる「……そ、そうですか」(なんで抱きついたんだろう……)
長門「?」

>>114
谷口なら俺の横で寝てるけど?

ハルヒ「あ、これキョンだって。なんか確信したのよ」
みくる「へぇ……」
長門「…」ジー
ハルヒ「飲んでいいわよピル○ル。でもゆっくり飲みなさいよ」

長門「…」チュー
みくる「で、あの、このジュースは一体……」
ハルヒ「みくるちゃんも飲んでいいわよ。あげるから、ちょっとあたしの話を聞いてくれない?」
みくる「それは……いいですけど」チュー
ハルヒ「なんていうか……不思議なのよ。ほんとに不思議な夢」
みくる「はぁ」
長門「けほ! けほっ!」
ハルヒ「あぁもう、だからゆっくり飲みなさいって」ポンポン

ハルヒ「暖かいのよ腕が。ぎゅーってしてみると暖かいの」
長門「…」
ハルヒ「夢にしてはリアルだなぁって。でもまあ、ありえないし」
みくる「あ、ありえないですね」

ハルヒ「まあいいやって思って、そのまま寝てたら」
みくる「寝てたら?」
ハルヒ「部屋に戻ってた。おかしいでしょ」
長門「…」コク
ハルヒ「なんだったんだろうって……でもなんかすっごい目覚めよかったの」
みくる「そうですか」
ハルヒ「……これで終わりじゃないわよ?」
みくる「えっ」

ハルヒ「その日は土曜日だったから、起きてぼーっとしてたの」
みくる「あ、私映画観ましたよ」
ハルヒ「? どんな映画?」
みくる「えっと、恋愛映画でですね」
長門「…」チュー

ハルヒ「へぇ、面白そう……って! 違う違う! あたしの話!」
みくる「ひゃい!」
長門「…」ズゴゴゴ
ハルヒ「飲みきったの? 早いわね……ココナッツスライスでも食べてなさい」スッ
長門「?」
ハルヒ「まんまよ。ココナッツをスライスしたやつ。美味しいから食べてみなさいよ」
長門「…」ポリポリ
ハルヒ「で、その日はそのまま特になにもなく終わったの。問題はその後……また夢を見たの」

ハルヒ「あたし抱き枕使ってるのよ」
みくる「抱き枕ですか」
ハルヒ「ふっかふかでいいのを見つけてね。いつもそれ抱いて眠ってるんだけど」
長門「…」ポリポリ

ハルヒ「その日もそれを使ってたはずなんだけど、どうも床に蹴落としちゃったみたいで」
みくる「あらら」
ハルヒ「なーんかこう、うつらうつらしてて……眠ってるのと起きてるのはんぶんくらい」
みくる「あー」
ハルヒ「で、拾うの面倒だなって思ったら……なんか隣に丁度よさそうなのが」
長門「…」ポリッ
ハルヒ「なんだ落としてなかったんじゃんって、抱きついたら……キョンだった」
みくる「えっ」

ハルヒ「いやもー、ほんとに。キョンなの。またキョンが寝てるの」
みくる「…」
長門「……寝てる」

ハルヒ「いくらあたしでも驚くわ。二日連続でキョン夢とか」
みくる「しかも……その……添い寝」
ハルヒ「そんでまた、暖かいの。ちゃんと呼吸してて、すやすや眠ってるの」
長門「快眠?」
ハルヒ「うん。なんか可愛かった……じゃなくて!」
みくる「その……それから?」
ハルヒ「まあ夢だし、このままでいいやって……また寝た」
みくる「だっ、抱きついたままですか」
ハルヒ「なっ、ななっ、なによ! 別にいいでしょ夢なんだもん!」
みくる「あわわっ」

キョム「…」

スーパー晩御飯タイム

ハルヒ「朝起きたらキョムが隣で寝てた」

キョム「……」チリーン

ハルヒ「ねぇキョム」

虚無僧「…」チリーン

あ、鶴屋さん探してる奴いたけど鶴屋さんと佐々木は今俺の隣で寝てるよ

>>168
おい、それちゅるやさんだ。

再☆開
http://www.youtube.com/watch?v=0Bmhjf0rKe8

ハルヒ「その日は日曜日。さすがに二日も変な夢見ちゃったもんだから……ちょっと考えてたの」
みくる「キョン君のことをですか?」
ハルヒ「ゆっ、夢のことをよ! なんで二日続けて似たような夢みちゃったのかって!」
長門「疲労?」
ハルヒ「それは……どうかしらね」

ハルヒ「結論から言うと、よく眠れたわ」
みくる「そうですか」
ハルヒ「二日とも目覚めはよかったわ。暖かかったし……」
みくる「そうですかぁ」
ハルヒ「でもね、それだけじゃなかったの」
長門「?」
ハルヒ「気分がよかったから、その日は掃除したり買い物したりして……終わったわけ」
みくる「気分がよかった……いい夢、観れたからですね」
ハルヒ「そうそう。ぐっすりしっぽり眠って……!」
長門「…」ポリポリ

ハルヒ「まさか三日も続けて同じ夢みるとは思わないでしょ?」
みくる「そう……ですね」
ハルヒ「ねぇ、有希」
長門「…」コクコク
ハルヒ「あたしもそう思ったわよ……でも」

ハルヒ「今度は逆」
みくる「逆?」
ハルヒ「うん。逆だったの」
長門「……彼が……あなたの布団に?」
ハルヒ「そそそっ、そうじゃないわ! そんなの許さないわよ!」
みくる「あれ? 違うんですか? えーっと、じゃあ」
ハルヒ「キョンがあたしに抱きついてたの! こう、後ろからぎゅーっと!」ギュー
長門「くるしい」

みくる「はっ、羽交い絞めですか」
ハルヒ「というか……ふわっと」
みくる「あー」
長門「放してほしい」
ハルヒ「いーじゃない」スリスリ

ハルヒ「焦ったわよ。今まではあたしが動いてたのに、今度はキョンがあたしを抱いてるの」
みくる「抱いて……」
ハルヒ「! なっ、なによ! 変なこと考えてるんじゃないわよみくるちゃん!」
みくる「えー、私なんのことかわかりませぇん」
長門「喉が渇いた」
ハルヒ「あたしのピ○クル飲んでいいわよ」
長門「…」チュー
ハルヒ「ゆっくり!」

ハルヒ「二度あることは三度ある……とも言うわよね」
みくる「言いますね」
長門「…」コク
ハルヒ「それに、寝るまでキョンの……キョンの! 夢! のことを考えてたし!」

ハルヒ「動けないの。動こうにも、なんかあいつ起こしちゃいそうで」
みくる「? 別に起こしても……夢ですし」
ハルヒ「いやぁ……夢だとしても、寝てる人を起こすのは」
長門「?」
ハルヒ「ん? なによ有希」
長門「いつもここで机に伏せてる彼を起こしてる」
ハルヒ「それはそれ! これはこれなの!」フニフニ
長門「ほほをひっはらないへほひい」

ハルヒ「まあ別に害もないし……悪い気はしなかったからいいかなって」
みくる「夢ですしね」
ハルヒ「もちろん」
みくる「ねぇ」
ハルヒ「えぇ」

ハルヒ「……じーっとしてたら……キョンがなんか寝言みたいなの言ってて」
みくる「寝言?」
ハルヒ「んー、とか、んんっ? みたいな」
みくる「あー。寝言ですね」
ハルヒ「寝言よね。こいつ夢の中でも寝言言うなんてどういうことって思ったわ」
みくる「夢って不思議ですねー」
ハルヒ「ふっしぎよねー」
長門「…」チュー

ハルヒ「まあでもあたしも眠かったし、ほっとこうと思ったんだけど」
みくる「夢の中でも眠いって変ですね」
ハルヒ「え? あー……そういえばそうね」
みくる「でもぉ、夢ですよねぇ」
ハルヒ「夢よねぇ」

ハルヒ「なんかあいつ動き出して」
みくる「!」
ハルヒ「胸に手が当たりそうだったから、寝返ってやろうと思ってね」
ハルヒ「振り向いたら……その……」
みくる「?」
ハルヒ「膝が、その、キョンの……股間に」
長門「股間」
ハルヒ「そこで起きたの。なんか後味が悪かったわ」
みくる「そ、そうですか……それはそれは」

ハルヒ「さすがに三日もそんな夢みてたんじゃ、こっちも変に意識しちゃうわけ」
みくる「そうですよね。なんか……実は向こうも同じ夢みてたんじゃないかな? とか」
ハルヒ「そうそう!」
長門「…」

ハルヒ「でもそんなのはありえないでしょ? 普通に考えて」
みくる「まあ……ありえませんね」
ハルヒ「……前にも似たようなことはあったんだけど」モゴモゴ
みくる「えっ? どうしました?」
ハルヒ「! なんでもないわよ! そんで、その次の日は学校だったわけ」
長門「トイレに」ガタッ
ハルヒ「ん? あぁ、いってらっしゃーい」

ハルヒ「ちょっと寝坊しちゃって、遅刻ギリギリで教室についたの」
みくる「はい」
ハルヒ「まあもちろんキョンもいて……普通だったわ」
みくる「そうですよね」

ハルヒ「でもなんか……あたしこいつの隣で寝てた、って思ったら」
みくる「思ったら?」
ハルヒ「なんか……変な意味じゃないわよ!? こう……もじもじするっていうか」
みくる「もじもじですか……もじもじですかー」
ハルヒ「変な意味じゃないからね!」

いつも思ってたんだけど

ハルヒ「」
キョン「」
ハルヒ「」



ハルヒ「」

キョン「」

ハルヒ「」

って、どっちが読みやすいの

ほほう
俺は短くまとめたほうが、そこでワンテンポ会話を終わってるって感じに見えるかと
そう思ってるわけね。どっちでもいいか
というか何気に人いるなぁ。久しぶりだからおじさんびっくりだ

ハルヒ「学校ではそれで終わり。特になにをするでもなく」
みくる「学校では?」
ハルヒ「……ここからが本題なの」

みくる「本題?」
ハルヒ「三日目まではよかったの。ただの夢だったわけだし」
みくる「そうですね」
ハルヒ「……もう一回その夢を見たのよ」
みくる「またですか、凄いですね」
ハルヒ「あたしもびっくりしたわよ。ちょっと怖いぐらい」
みくる「どんな夢だったんですか?」
ハルヒ「それがね……」

ハルヒ「寒さで目を覚ましたの。すっごい寒くてね」
みくる「毛布出しました?」
ハルヒ「もちろん。そんな何度も寒い思いなんてしないわよ」

ハルヒ「で、気がついたら布団被ってなくて」
みくる「あれ、それじゃ寒いはずです」
ハルヒ「そうよね? だから布団を被ろうとしたら……誰かが寝てた」
みくる「……キョン君?」
ハルヒ「…」コク
みくる「すっ、凄いですね」
ハルヒ「ここまでくると怖いわよ! 周りを見ても、そこはキョンの部屋で……」

ハルヒ「もうほんと怖くなって、これは目覚めないといけない夢だと思ったの」
みくる「…」
ハルヒ「だって四回目よ? 四日も連続で、似たような夢を見る?」
みくる「それは……」

ハルヒ「それに、キョンの部屋すっごく寒くて……それがまたなんか怖くってさ」
ハルヒ「布団を奪おうとしたんだけど、全然キョンが起きなくて」
みくる「起こそうとしたんですか?」
ハルヒ「初めはね? だけど、なんかそれも怖くなって……」

ハルヒ「寒かったけど、目を覚まさないと逃げられないと思ってね」
ハルヒ「傍にあたしの抱き枕があったから、それを抱いて必死に目を閉じて夢から出ようとしたの」
みくる「……そうとう怖かったんですね」
ハルヒ「だって寒いし暗いし意味わかんないし……うん」

ハルヒ「でも全然眠れなくて。いや、眠ってるわよね……起きられなくて」
ハルヒ「寒くて風邪ひきそうだし、なんかどんどん焦っちゃって」
みくる「…」

ハルヒ「そうしてるうちに、キョンが起きちゃったのよ」
みくる「あれ、起きたんですか」
ハルヒ「うん。でもこっちは背中越しだったから顔までは見れなかったんだけど」
みくる「キョン君、何してたんですか?」
ハルヒ「なんかため息ついたと思ったら、部屋の電気を付けやがったわ」
みくる「……眩しいですね」
ハルヒ「眩しいわよ。なんかちょっとイラッときたわね」

ハルヒ「起きて蹴っ飛ばしてやろうかと思ったんだけど……あいつに先を越されたのよ」
みくる「蹴られたんですか? キョン君酷い!」
ハルヒ「いや、そうじゃなくて」

ハルヒ「後ろから肩叩いてきて、おーいって」
ハルヒ「返事しないでいると、ほっぺ突っついてきたわ」
みくる「それはもう、起きたほうが」
ハルヒ「でも考えてみてよ? あいつはあたし爆睡してるって思ってても、ほんとは全然目が覚めてるの」
みくる「……?」
ハルヒ「悔しいじゃない。飛び起きて寝たふりしてただろ! とか言われたら」
みくる「えっ、あ……えー……そ、そうですね」
ハルヒ「だからね! 絶対起きてやらない! って思ってたらくしゃみが出たの」

みくる「……ふふっ」
ハルヒ「だって仕方ないじゃない! 寒かったもん」
みくる「そうですね、ふふっ。寒かったら仕方ないです」
ハルヒ「そしたらキョン……布団被せてくれて」
みくる「あらぁ」

ハルヒ「ついさっきまでキョンが使ってたから、なんか生暖かかった」
みくる「よかったですね」
ハルヒ「ついでにぼそっと眩しいって呟いたら、電気も消してくれた」
みくる「わー、キョン君優しーい」
ハルヒ「あたしが眩しいって言ってるんだから当たり前よ! ついでに枕も奪ってやったわ!」

ハルヒ「するとキョンね、床に座り込んでじーっとこっち見てるの」
みくる「薄目で見てたんですか?」
ハルヒ「うん。気がつくかなーって思ってたら『熟睡してるなぁ』とか言ってて」
みくる「全然はずれですね。キョン君ったら」
ハルヒ「バカよねー」

ハルヒ「体も暖かくなってきたし、眠気も戻ってきたから……安心してきて」
ハルヒ「と思ったら今度はキョンが邪魔してきたの」
みくる「邪魔、ですか?」

ハルヒ「なんかこっち見てると思ったら『なんでカチューシャしてないんだろ』って」
みくる「……寝てるからですよね」
ハルヒ「そりゃそうよ。まあ、夢だし、キョンのバカも七割り増しってとこだったわ」
みくる「二倍近くですよそれは」
ハルヒ「んで……うん、まあ夢だからね……なんか」
みくる「? 他にも何か?」
ハルヒ「……『可愛いな』って」モジモジ
みくる「わぁ……あらぁ」
ハルヒ「知ってるわよ! そんなの言われなくても気がついてるわよ! っとにバカなのよキョンはー」
みくる「そうですね。キョン君も……いやいや、キョン君はー」

ハルヒ「こめかみぐりぐりしてきたり、アヒル口してきたり……寝ようとしてるのを邪魔してくるの」
ハルヒ「絶対起きてやるもんかって。意地でも寝てやるって思ってたら」
みくる「先に……寝ちゃった?」
ハルヒ「そう! もー、ほんっとに変な夢でしょ?」

ハルヒ「で、そっとキョンの顔見たら……気持ち良さそうに寝てた。床で」
みくる「床でですか」
ハルヒ「布団掛けてあげようかと思ったけど、あたしが使ってたし……あたしの夢だし」
ハルヒ「本格的に眠くなったから、そのまま眠ったの。そしたら、起きたらもう家になってた」
みくる「無事に帰ってこれましたね」

ハルヒ「でも、ここからが一番怖いのよ」
みくる「こっ、怖い?」
ハルヒ「あたし……抱き枕を抱えてたはずなのに、起きたら見知らぬ枕を抱えてたのよ」
みくる「……!?」

ハルヒ「びっくりしたわよ! 枕が二つあるもの!」
みくる「気のせいじゃ、ないですか?」
ハルヒ「そんなわけないわよ! だって、実際そこにあったもの」

ハルヒ「……ちょっと匂いかいでみたのよ」
みくる「え? 匂い?」
ハルヒ「なーんか……キョンっぽい匂いがした」
みくる「え? え?」
ハルヒ「! ほ、ほら! その家特有の匂いってあるじゃない!?」
みくる「えぇ、まあ、そうですね」(だからって……別に匂わなくても)

ハルヒ「……どういうこと?」
みくる「さぁ……わかんないです」(恐らく、涼宮さんがキョン君の部屋に……)
ハルヒ「もしかして信じてない?」
みくる「信じ……難いですねぇ」
ハルヒ「そうよね。やっぱ……信じられないわよねぇ」

ハルヒ「でもどこ探しても抱き枕見つからないし……キョンに聞いたって変な顔されるだろうし」
みくる「そ、そうですね。夢みただけですし」
ハルヒ「うーん……なにがなんだか」

ハルヒ「とにかく誰かに聞いてほしくてさ。でもキョンに聞かせるわけにはいかなかったから」
みくる「私と長門さんに? ふふっ、こういう話なら幾らでも聞きますよ」
ハルヒ「もー、ありがとーみくるちゃーん♪」ムギュウ
みくる「はわわっ!」
ハルヒ「……でもなんだったんだろ……まさか今日も見たりしないわよね」
みくる「あの、その夢の話なんですけど」
ハルヒ「ん?」
みくる「私……なんで涼宮さんがそんな夢をみるのか、その原因をですね」

みくる「夢をみるっていう現象は、脳から思い出を引き出して起こしている現象なんです」
ハルヒ「えーと、大まかには知ってるわ。何とか睡眠と何とか睡眠ってのがあってー」
みくる「レム睡眠とノンレム睡眠。浅い眠りと深い眠りって考えてください」

みくる「で、夢はその浅い眠りのときに発生するんです」
ハルヒ「へぇ、よく知ってるわね」
みくる「まあ……先輩ですし。夢は、記憶してる思い出を元に作られてるんですよ」

みくる「変な夢みたなぁ……って思っても、実は原因は自分の中にあるんです」
みくる「それがたとえ悪夢だとしても、記憶してないことはみれない」
みくる「じゃあ逆に考えると……記憶の中に、同じ人の思い出が沢山詰め込まれていたら?」
ハルヒ「……その人が出てくる夢を、頻繁に見るかもしれないわね」
みくる「はい。そういうことです」
ハルヒ「えーと、じゃあこういうこと? あたしは……ずーっとキョンのこと考えてるって」
みくる「まあ、それに近いかなって」
ハルヒ「ななっ、ないない! そんなことないわよ! 絶対違うわ!」

バカもいればSMも二人いるって
なんだこのスレ

ハルヒ「ぜーったい違うわ! なんで四六時中キョンのこと考えてないといけないのよ!」
みくる「四六時中とまでは……でも例えば、寝る前に考えてたり、逢いたいなーって思ったり」
ハルヒ「そんなの……ぜんっぜん! なーんにも考えてないわよ?」

みくる「おっかしいなぁ。私の記憶違いなのかなぁ?」
ハルヒ「絶対そうよ!」
みくる「でも……この人の傍で一緒に眠りたいって思って、それが現実になったら嬉しいですよね?」
ハルヒ「そりゃあねぇ……嬉しかっ……! 嬉しいわよね! 多分!」
みくる「もしその夢が、涼宮さんが嫌に思う夢じゃなければ……見続けるのも楽しいかもしれませんよ?」
ハルヒ「えー? 嫌よ、そんな毎晩キョンの顔とか……嫌よぉ」デレデレ
みくる「…」(可愛いなぁ……)

ハルヒ「そういやキョン達どこにいるのかしら? 部室?」
みくる「だと思いますよ」
ハルヒ「あー……」
みくる「行きます?」

ハルヒ「いや、なーんか気まずいわね。別にいいんだけど」
みくる「もしかしたらキョン君も古泉君と似たような話してるかもしれませんよ?」
ハルヒ「? なんで?」
みくる「あれ、そういえば長門さん戻ってこないですね」
ハルヒ「んー? そういえばそうね……部室に行ったのかしら?」

【Boy's Side+1】

長門「…」テクテク
長門「…」ピタ
長門「部室に鞄を置いたまま」

キョン「――で、もしかしてハルヒも彼女達になにかしらの相談をしてるんじゃないかと」
古泉「十分ありえそうですね。なんかこんな夢みたんだけど……ってぐあいに」
キョン「でも恐らく朝比奈さんと長門のことだから、上手く聞き流してくれてるとは――」
ガチャ
キョン「!」
長門「?」
キョン「っと、長門。なんだ、どうした?」
長門「……それ」ピッ
キョン「鞄? これをとりに来たのか」
長門「そう」

長門「…」
キョン「なぁ長門。その……ハルヒと、何か話したか?」
長門「?」
キョン「いや、何もないならいいんだけど」
長門「話している。今、彼女の教室で」
キョン「え?」

長門「夢に何度もあなたが出てきたと」
キョン「…」
古泉「やっぱり、原因は彼女側ですね」
キョン「長門はどう思う?」
長門「…」
キョン「だよなぁ」
長門「違うと思う」
キョン「やっぱり長門もそう……って、えっ」
古泉「えっ」

キョン「何故だ? こんなの、ハルヒ以外誰のせいだって言うんだよ」
長門「あなたは、彼女の力が及ばない唯一の存在」
キョン「……なんか前にもそんなこと言ってたな」
古泉「でもあの、閉鎖空間の例もりますし」

長門「閉鎖空間にあなたが存在したのは、あなただけを彼女が望んだ結果」
キョン「…」
長門「それは逆に、あなた以外を否定した。あなたに及んだことではない」
キョン「じゃあこれは……どういうことだ?」
長門「夢」
キョン「夢って」
長門「あなたも彼女も、夢を見ているだけにすぎない」
古泉「しかし」
長門「その証拠に、互いに互いが望んでいる行動しか示していないはず」
キョン「……いや……えっと」

キョン「そうだ、抱き枕! 俺の部屋にハルヒが使ってた抱き枕があるぞ」
長門「それが彼女の物だという証拠は?」
キョン「それは……でもあるんだって。俺の枕もなくなってたし」
長門「なら、家に帰って確かめてみればいい」
古泉「……なんとも」

長門「そろそろ戻る」
キョン「お、おう」
古泉「さようなら」
キョン「……長門にあんなに全否定されるとは」
古泉「実際、どうなんですか」
キョン「明らかに現実だ! だってこう……匂いとか、感触とか」
古泉「言われてみれば確証的なものは……ないですよね」
キョン「だから家に抱き枕が」
古泉「もしかすると、なくなっているかも」
キョン「……なんだか一気に怖くなってきたぞおい」

【Girl's Side】

ガラッ
長門「…」
ハルヒ「有希。あら、鞄とってきたの?」
長門「そう」コク
ハルヒ「部室、誰かいた?」
長門「二人が」
ハルヒ「へぇ……そっか」

ハルヒ「有希はどう思う?」
長門「?」
ハルヒ「あたしの夢。みくるちゃんはあたしがその……キョンのこと、考えてたからだって」
長門「私もそう思う」
ハルヒ「えっ? 有希も? でも、確かにみたことない枕が」
長門「それは恐らく、寝起きで寝ぼけてしまったとか」
ハルヒ「……いやいや、でも」
みくる「帰って確かめてみればいいんですよ」
ハルヒ「……でもなぁ。そんな四日も連続であんな夢……」ブツブツ

長門「気になるのなら」
ハルヒ「?」
長門「もう一度その夢を見たときに、試してみればいい」
ハルヒ「なにを?」
長門「夢なのだから、全てが思い通りにいくはず」
みくる「なっ、長門さん?」

ハルヒ「……それもそうね」
長門「現実なら、そんなことはありえない」
ハルヒ「そうよね! なんであたしがキョンの布団に潜りこまないといけないのよね!」
みくる「そ、それはそうですが……」
ハルヒ「なーんかそう考えたら変なこと言ってるわねあたし。ふふっ、ごめんね二人とも」
長門「かまわない」
みくる「わ、私も、その……」
ハルヒ「もう暗くなってきたわね。そろそろ解散しましょうか!」

ブラジル    コートジボワール   ポルトガル

            _北朝鮮
         __,,/  _, ----`ヽ  :.
     :.  / _     ___   、\

       / /   i      \   \\ :.
     :. ,'./       i  ヽ:.   ヽ:.:.. ヽ.ヽ
      ,'/    / .ハ ヽ ヽ:.:.:.:. ヽ::.. ヽヽ :. な…
     :. |i .i i  .i /  ヽ ト 、 \、:.:.:. ',:.',:.:.lヽ}    なんなんですか?
       |i .i l  :N_, -弋 \弌弋ナ:}:.:}       ここ、どこですか?
     :.|i∧ ', :{ ,ィjモト \  イjミトイイV :.    なんであたし
      .|  :メヽ.', `ozZ}      izN。ハ::{        全裸なんですか?
      :.|  :ヾ_! ゝ "゙゙    '  `゙ ハ.:', :.
      |  :.:_イ .:.ヽ.   (二フ , イ :.:.:!:.ヽ
   :.  / rィイ | :.:.ヽ: >r/`<ノ .:.::.}ヽ、\:.
      / ∧l;l ! :.:.:.://{二 ̄ .} ..:..::リ  \.:\
 :.  / . /  ヽi .:.:.{ /(^`  |.:.:.:./     }: . ヽ.:.
   / /  }    ヽ:.ハ ヤ{    !.:./     |:.:. i '
  ./ .,イ .:..}      /   l !   レ      l:.:.: .ハ ',
  { /| .:.:ハ     /    l  i   i     /:.:.:/ }:.}
  V | .:.:/:.: ',   /    iノ :i     !    /:.:i.:{  リ
    ヽ:.:{、.:.:.l       |  |     |.   /:.::∧|
     ヽ! )人      |  !        / \! :.
      "  ヽ    /  {      /    \ :.
       :.  \__/   \______/      ヽ

長門「…」
みくる「……あの」
長門「?」
みくる「その、大丈夫でしょうか……さっきの」

長門「大丈夫」
みくる「でも」
長門「夢なら……ある程度は操作できる」
みくる「えっ!?」
長門「現実でそれをやられて、混乱を招くよりは」
みくる「……あ、なるほど」
長門「入れ違いになった枕も、座標操作を行い元に戻しておいた」
みくる「す、凄いですね」
長門「…」コク

みくる「そういえば昨日観た映画もそういうのでした。夢をこう……消すというか、潜るというか」
長門「?」
みくる「記憶除去手術ってのを受ける人のお話で……もしかして、それに近い?」
長門「かもしれない」
みくる「……穏便にお願いしますね!?」
長門「できるだけ」

【Conversation After】

ハルヒ「あっ」
キョン「なっ」

ハルヒ「……なっ、なによキョン? 今帰り?」
キョン「おう、お前もか? 何してたんだこんな時間まで」
ハルヒ「なんでもいいじゃない!」
キョン「そうだけど……うん」
ハルヒ「……あのさあ」
キョン「?」
ハルヒ「抱き枕って」
キョン「えっ!?」
ハルヒ「……! いやいや、なんでもないわ! じゃあねキョン!」
キョン「いや、おいハルヒ……なにを」

ハルヒ「…」(あのリアクション……もしかして)
キョン「…」(あんなこと聞くってことは……やっぱりあの夢は)

ハルヒ「ただいまー」
ハルヒ「枕、確かめてみないと」

ハルヒ「…」
ハルヒ「……ない」
ハルヒ「あれ? やっぱり枕が……あっ」

ハルヒ「……抱き枕あるじゃん」
ハルヒ「…」
ハルヒ「えー? やっぱりただの夢だったってこと?」
ハルヒ「うー……もうわけわかんないわねー」

ハルヒ「…」
ハルヒ「はぁ……無理無理。こんなの、意識するなって言われたってしちゃうわよ」
ハルヒ「なーんか、またキョンの夢みちゃいそう……ふふっ」

キョン「ただいま」
キョン妹「おかえり!」

キョン「……なぁ」
キョン妹「なに?」
キョン「俺の部屋に抱き枕あっただろ」
キョン妹「? 知らないよ、入ってないもん」
キョン「……そうか」

キョン「どういうことだ?」
キョン「まさか本当にただの夢? でもさっきのハルヒの様子じゃ、あいつも」
キョン「……偶然似たような夢を見るってことはないだろう」
キョン「…」
キョン「あっ、閉鎖空間!」

キョン「そうだよ、閉鎖空間だ」
キョン「だから俺だけが……って、それなら古泉とかも気がつくか」
キョン「…」

キョン「うおお、考えれば考えるほど自分の記憶が曖昧に……」
キョン「まあ曖昧だからこそ夢なんだろうけど……うーむ」
キョン「…」
キョン「別に影響することもないし、まあ悪い気も」ブツブツ
キョン「…」

キョン「ただの夢なら、目を覚ませば終わり」
キョン「夢じゃなければ、長門が助けてくれるだろ。うん」
キョン「よし、じゃあもうこの話は終わりだ」
キョン「今日こそはゆっくり眠るぞ! もうハルヒのことは考えん!」

キョン「ハルヒのことは……ハルヒ……ハルヒ」
キョン「……あの寝顔はなぁ」

スーパーごめん
眠い。できれば昼までには帰ってきたい
いやもう、ほんとごめんなさい

おやすみ

sageわすれ
だめだめだー

おいついちゃった。。支援!!!!!!!!!!!!!!!!!!

だーんけーん支援ーーーーーーん!!!

ローソンでバイトしてたんだけど
客「L骨なしチキン」
っていわれたのはじめてだったわ

>>408
俺はファミマでバイトしてるけど、こないだLチキくださいって客が来たよ

>>410 結構間違える客いるよな
ファミチキはめっちゃいわれる

【Pillow Talk】

ハルヒ「……抱き枕」ギュウ
ハルヒ「あったかー」

ハルヒ「もう十二時か……そろそろ寝ようかな」
ハルヒ「……まさか、今日は見ないわよね?」
ハルヒ「…」

キョン「……もう十二時か」
キョン「寝るかな」
キョン「…」
キョン「いやいや、さすがにそんな、五日連続でそんな」
キョン「…」
キョン「期待してるわけじゃないぞ」

ハルヒ「zzz」
キョン「zzz」

キョン「……ん……さむっ」モゾモゾ
ハルヒ「んー」モゾモゾ
キョン「いかんな、また毛布を……」
ハルヒ「ん?」

キョン「…」
ハルヒ「…」

キョン「!」
ハルヒ「!?」

ハルヒ「なっ……キョン?」
キョン「違います」
ハルヒ「嘘つけ!」
キョン「……ハルヒか」

キョン「お前、今日は起きてるのか」
ハルヒ「今日? いや、一応……寝てるんだけど」
キョン「…」
ハルヒ「これは……夢、なのよね」
キョン「夢なんだよな」
ハルヒ「…」

ギュウウウウウ
キョン「いだだだだだだっ! ほっぺつねるな! 痛いだろ!」
ハルヒ「あれ?」
キョン「自分のにしろよ! なんで俺だ!?」

ハルヒ「えー……おかしいわよ。夢なんだから痛くないはず」
キョン「だから自分でやってみろって」
ハルヒ「嫌よ。痛かったらどうすんのよ」
キョン「…」

ムギュウウ
ハルヒ「! や、やめっ、痛いってば!」バシコン!
キョン「おぶっ!」
ハルヒ「……ほんとだ、ほっぺ痛いわ。ええっ?」
キョン「おまっ、抱き枕で……顔に当たったぞ顔に」
ハルヒ「あんたがいけないのよ! ったく、やめてって言ったのに」
キョン「先にしてきたのはお前だろ」
ハルヒ「なによ」
キョン「なんだよ」
ハルヒ「……ふむ」
キョン「…」

ハルヒ「キョンの部屋」キョロキョロ
キョン「キョロキョロすな」
ハルヒ「べっど」バフンバフン
キョン「跳ねるな」

ハルヒ「…」
キョン「…」
ハルヒ「なんであんたの部屋なのよ! 毎回毎回!」
キョン「知るか。夜中なんだから大声出すなって」
ハルヒ「! こっちみんなっ!」バシコン!バシコン!
キョン「おふっ! な、なんでだよ、痛いからやめっ、やめろ!」

ハルヒ「……あたしのパジャマ姿、タダで拝めると思ってるんじゃないわよ」
キョン「どういうことだよ……そっちが勝手に」
ハルヒ「くしゅっ!」
キョン「……ほら、布団やるよ」
ハルヒ「ん……ありがと」

ハルヒ「……あんた寒くないの?」
キョン「寒いよ。だから毛布を出す」ゴソゴソ
ハルヒ「ふぅん」

キョン「ちょっとそっちに寄ってくれ。座れん」
ハルヒ「ん」モゾモゾ
キョン「はぁ……」
ハルヒ「……どういうことよ」
キョン「さぁな。俺が聞きたいよ」
ハルヒ「夢じゃないの?」
キョン「難しいところだな。夢であっては……ほしいけどなぁ」

                  i       ̄ ̄⌒゙゙^――/   ::::::|
                 /                  :::::::::\

                 /●\           ./●>  :::::::::\
                /ミ\ \         / /彡 i し./:::::::\
                /  ミ\.\ヽ|||liiiii||/ /./彡   ノ (::::::::::::::::::\
               /    ミ\\|||iii||l//彡     '~ヽ  :::::::::::::::\
              /        ̄    ̄,,、          /:::::::::::::::::.\
  キタ━━━━━/  \ /  ,,____ _,/ ̄ \ \    /::::::::::::::::::::::::::::\━━━━ッ!!!!!
            \    |.. | /└└└└\../\    /:::::::::::::::::::::::::::::::::/
              \    ∨.|lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll|  /::::::::::::::::::::::::::::::::::/
               \   |.|llllllllllll;/⌒/⌒   |    ::::::::::::::::::::::::/
                 \ |.|lllllllll;   ./ .   . |    :::::::::::::::::::/

ハルヒ「夢のほうがいい?」
キョン「そりゃあ、こんな現実離れしたことは……」
ハルヒ「それもそうね。あたしも意味わかんないもん」

ハルヒ「…」
キョン「…」
ハルヒ「もしかすると」
キョン「ん?」
ハルヒ「二人ともが、夢を見てるのかも?」
キョン「……同じ夢を、ってか。それこそありえないだろ?」
ハルヒ「でもこれが現実であることのほうがありえないでしょ?」
キョン「ま、まあ……そうかもしれんが」(そっちのほうがありえるんだけどな……)

ハルヒ「みくるちゃんが言ってたんだけど」
キョン「なにを?」
ハルヒ「えっと……寝る前に考えてたことって、夢になりやすいとかどうとか」
キョン「へぇ」

ハルヒ「あんたさ」
キョン「おう」
ハルヒ「あたしのこと、考えてた?」
キョン「……ど、どうだったかなぁ」
ハルヒ「あたしは、考えてた」
キョン「なっ」
ハルヒ「……なんか最近、変な夢ばっか見てて、それにずっとあんたが出てきてたのよ」
キョン「…」
ハルヒ「夢にまで出てくるってどういうことよ! 図々しいわね!」バシバシ!
キョン「痛いって! なんで俺のせいなんだよ、流れ的にお前のせいだろ!?」

ハルヒ「はぁ、もうなにがなんだか」ボフッ
キョン「こら、寝るな」
ハルヒ「ベッドはそういうものでしょ?」
キョン「俺のだ」
ハルヒ「……!」ゲシッ!
キョン「いってっ、蹴るな!」

ハルヒ「……これで五回目よ? あんたが夢に出てくるの」
キョン「知るかよ。俺だって……いや、なんでもない」
ハルヒ「…」ジー
キョン「なっ、なんだよ」
ハルヒ「あんた、本当にキョン?」
キョン「お前だって本当にハルヒか?」
ハルヒ「あたしはあたしよ!」
キョン「俺も俺だ。……ふふっ」
ハルヒ「なによ、なに笑って……くすっ」
キョン「お前だって笑ってるじゃないか。あーもー、なんだよ一体」
ハルヒ「知らないわよー」

ハルヒ「よくわかんないわね。夢か現実か」
キョン「くしゃみしただろ? だから現実じゃないか?」
ハルヒ「なによその基準」

ハルヒ「……喉乾いた」
キョン「はぁ?」
ハルヒ「なんか飲み物ない?」
キョン「ねーよ」
ハルヒ「即答しなくてもいいじゃん」
キョン「だってないのに……わかったよ、何か飲み物取ってきてやる」
ハルヒ「ん」

ガチャ
キョン「!?」
ハルヒ「? なに、どうしたの?」
キョン「……夢だ。これは夢だハルヒ」ガチャン
ハルヒ「なんでドア閉めるのよ」
キョン「……冷蔵庫だった」
ハルヒ「はぁ?」

ハルヒ「何言ってるのよ」
キョン「冷蔵庫なんだって! 開けてみろよ!」
ハルヒ「? 意味がわからないわね、よいしょっと」ギシッ

ガチャ
ハルヒ「!?」
キョン「…」
ハルヒ「…」バタン
キョン「……どうだった?」
ハルヒ「冷蔵庫」
キョン「だよな!? 俺の見間違いじゃないよな!?」
ハルヒ「いやいや……れ、冷蔵庫だわ」ガチャ

ハルヒ「…」チュー
キョン「……冷蔵庫だったよな」
ハルヒ「ピル○ルが入ってたわ……」チュー
キョン「怖っ」

あばばばばばば

キョン「……まてよ、もしかすると」
ハルヒ「?」

ガチャ
キョン「うぉっ」
ハルヒ「? なになに?」
ガチャン
キョン「……なんでもない」
ハルヒ「なによ、なーに?」
キョン「アレだ、どこでも○アってあるじゃないか……アレだよ」
ハルヒ「……あんた、今なに見たのよ? ちょっとこら、キョン!」
キョン「知らん! なんでもない! なんでもないぞ!」

ハルヒ「いやあ、夢だってわかったらなんか安心できるわね」
キョン「なんでだよ」
ハルヒ「怖くないじゃん」
キョン「でも夢だとしたら……お前が今飲んでるそれは、なんだ?」

ハルヒ「なにって、ピル○ル」
キョン「だから、なんで味があるんだよ」
ハルヒ「あ」
キョン「それに冷たいし、飲んだら喉が潤う感覚も……」
ハルヒ「……や、やめてよ。怖いじゃない!」
キョン「ハルヒでも怖がるんだな」
ハルヒ「うっさい!」ペシペシ
キョン「痛いってば」

ハルヒ「……多分、起きたら忘れてるのよ」
キョン「そうだといいな」
ハルヒ「多分……多分ね」

キョン「で」
ハルヒ「?」
キョン「どうするんだよ」
ハルヒ「どうって……どうしよう」

キョン「ドアを使えば、自分の部屋に戻れるんじゃないか?」
ハルヒ「やってみようかしら」
キョン「おう」

ガチャ
ハルヒ「…」
キョン「どうだ?」
ハルヒ「だ、だめね。帰れないみたい」バタン
キョン「? なんで?」
ハルヒ「知らないわよ! 知らないけど帰れないの!」
キョン「?」

キョン「じゃあアレか、寝るしかないのか」
ハルヒ「……うん、多分」
キョン「…」

キョン「寝ていいぞ」
ハルヒ「えっ?」
キョン「だってほら、俺の部屋だし……お前が寝ないと、帰られないだろ?」
ハルヒ「うん、そうだけど……何か変なことする気でしょ!」
キョン「しっ、しない! 何もせんぞ俺は!」
ハルヒ「……怪しい」
キョン「しないって」
ハルヒ「まあでも、すぐに眠れそうにもないし……もうちょっと起きてる」
キョン「そうか」

ハルヒ「……真っ暗ね」
キョン「電気付けるか」
ハルヒ「いい」
キョン「そうか……おう」

キョン「時計も動いてるな」
ハルヒ「何時?」
キョン「二時だってさ」
ハルヒ「……夜中」

キョン「暇だな。ゲームでもするか?」
ハルヒ「いい」
キョン「じゃあなにするんだよ」
ハルヒ「なんにもしなくていい。このまま」
キョン「……眠いんだろ」
ハルヒ「なんでよ?」
キョン「だって、なんか喋り方が」
ハルヒ「……い、いつもどおりよ。変なこと言わないでよ」
キョン「?」

ハルヒ「そういえば、なんかみくるちゃんが」
キョン「!?」ビクッ
ハルヒ「?」
キョン「え、あ、ん? 朝比奈さんが?」
ハルヒ「…」

ハルヒ「なによ今のリアクションは」
キョン「なんでもない」
ハルヒ「こっち見なさいよ」
キョン「なんでもないです」

ハルヒ「……へぇ」
キョン「なっ、なんだよ」
ハルヒ「…」スッ
キョン「?」

ガチャン
ハルヒ「…」バタン
キョン「…」
ハルヒ「……ピンクのパジャマ」
キョン「!?」
ハルヒ「キョンのバカ! バカ! アホ!」ゲシゲシ!
キョン「やめて! 蹴らな、蹴らないでごめんなさい!」

ハルヒ「最低じゃない? 女の子の寝室、覗き見るなんて」
キョン「だって……いやほら、夢だし」
ハルヒ「いいわけすんな」ギュー
キョン「痛い痛い!」

キョン「……でもほら、可愛い寝顔だったよな」
ハルヒ「うん」
キョン「…」
ハルヒ「…」ゴスッ
キョン「いたいってば、ごめんって」
ハルヒ「……ふんっ」

キョン「で、朝比奈さんが何だよ」
ハルヒ「みくるちゃんがね、なんか映画観たって」
キョン「映画? どんなの?」

キョン「あぁ、それか。知ってるな」
ハルヒ「知ってる?」
キョン「アレだろ。別れた恋人が自分の記憶を消してて、そんで腹いせに自分も消してやるってなって」
ハルヒ「観たことあるの?」
キョン「ないよ。どんなのかだけは知ってる」

ハルヒ「面白いの?」
キョン「さあな。まあ……面白いとは聞くけど、俺は恋愛映画とか観ないしなぁ」
ハルヒ「あんたからは程遠いことだもんね」
キョン「どういう意味だよ」
ハルヒ「面白いなら観てみたいわね……! そうだ」
キョン「?」

ガチャ
ハルヒ「……よし!」
キョン「おい、なんだよ」
ハルヒ「ほらキョン! ちょっと来なさいよ!」グィグィ
キョン「っと、ん?」

キョン「……映画館か……なるほど」
ハルヒ「あたし真ん中! この席ね!」

キョン「もうここまでくると、本当に夢なんだな」
ハルヒ「そうね。だから夢を思いっきり楽しんでやるわ!」
キョン「……それはいいとして」
ハルヒ「?」
キョン「何を観るんだよ」
ハルヒ「だから、さっきの」
キョン「俺もお前も内容知らないのに、どうやって?」
ハルヒ「あ」

キョン「……寂しいなぁ……映画館に二人だけっていうのも」
ハルヒ「…」

ハルヒ「くしゅっ!」
キョン「寒いのか?」
ハルヒ「んーん」
キョン「毛布、取ってきてやるよ」

ガチャ
キョン「……長門」
キョン「古泉」
キョン「朝比奈さーん……」
キョン「…」
キョン「本当に夢なのか? 誰も干渉してない……のか」

ガチャ
キョン「ほらハルヒ、毛布……ん?」
ハルヒ「あ! キョン、早く早く! なんか始まったわよ!」
キョン「なんと」

キョン「これ……さっき言ってた映画か?」
ハルヒ「わかんない。観たことないし」
キョン「…」
ハルヒ「あ、毛布ありがと。ほら座りなさいよ」
キョン「あぁ」

ハルヒ「…」
キョン「……口開いてるぞ」
ハルヒ「うっさいわね。映画を観なさいよ」

キョン「…」
ハルヒ「へぇ……」
キョン「…」(ほんと新鮮だな……カチューシャのない、おとなしいハルヒ……)
ハルヒ「? だからなんでこっち見てんのよ?」
キョン「いや、なんでもない」

ハルヒ「……終わった」
キョン「終わったな」
ハルヒ「どうしよう、キョン」
キョン「?」

ハルヒ「……っごい面白かった!」
キョン「あー、うん。まあ……面白かったな」
ハルヒ「なによそのリアクション! 凄かったわ!」
キョン「なんか観てて楽しかったな」
ハルヒ「なんだー。もっと早く知ってればよかったわ」
キョン「おう」
ハルヒ「へー……何か変な夢みて、得した気分ね」
キョン「この内容が、本当にその映画そのままなら……そうかもな」

ハルヒ「なんか似てるわよね、今の状況とさ?」
キョン「映画も俺もお前も……夢の中で、いろんなことを」
ハルヒ「あたしが隠れるから、探してみる? どこに隠れたかをさ」
キョン「お前のことだから見つけた傍からまた逃げるだろ」
ハルヒ「あれ? なんでわかったのよ?」

自分で書いててなんだけど
これ『エターナル・サンシャイン』知らないとわけわかんなくないか
そうでもないか

ハルヒ「いやぁ、いい映画観れたわね。これで気持ちよく眠れそう」
キョン「そりゃあよかったよ」

ハルヒ「?」
キョン「ん?」
ハルヒ「いや、あの」
キョン「寝るんだろ? ベッド使っていいよ」
ハルヒ「……キョンは?」
キョン「起きてるって。大丈夫、なにもしない」
ハルヒ「わ、悪いじゃん。あたしだけ寝ちゃうとか」
キョン「仕方ないだろ。……一緒に……ってわけにも」
ハルヒ「…」

ハルヒ「じゃあ、ベッド借りるわよ」
キョン「ん」
ハルヒ「おやすみ」
キョン「おやすみ」

ハルヒ「…」
キョン「……ふぁっ」
ハルヒ「眠い?」
キョン「眠いよ」

ハルヒ「……寝れば?」
キョン「ん……そのうち」
ハルヒ「あの」
キョン「?」
ハルヒ「……ううん」
キョン「なんだよ」
ハルヒ「なんでもないわよ」

キョン「枕、高くないか?」
ハルヒ「高いわね。でも我慢する」
キョン「そうか……うん、我慢しろ」
ハルヒ「…」

ハルヒ「…」
キョン「ハルヒ?」
ハルヒ「なに?」
キョン「あ、いや。寝たかなって」

ハルヒ「寝てない」
キョン「だろうな」
ハルヒ「……もしかしてこの夢、誰かに覗かれてたりしてね」
キョン「そこから、更に記憶を消されてる?」
ハルヒ「そもそもこれは誰の夢なの? あんた? あたし?」
キョン「さあな……多分、二人の夢だ」
ハルヒ「……変なの」
キョン「俺もそう思うよ」

ハルヒ「……別に夢なんだからさ」
キョン「うん?」
ハルヒ「こっち……きてもいいわよ?」
キョン「…」

キョン「いや、それは」
ハルヒ「……あたしだけベッド使わせてもらうのも……アレだし」
キョン「でも、枕が」

ハルヒ「枕? 使えばいいじゃない」
キョン「お前どうすんだよ」
ハルヒ「別にいらないもん」
キョン「首、痛くなるぞ」
ハルヒ「何の心配してるのよ」
キョン「心配というか、その」
ハルヒ「……もう、わかったわよ!」

ガチャ
キョン「?」
ハルヒ「ほら、これで枕二個になった」
キョン「……それ、どこから持ってきたんだ?」
ハルヒ「そりゃああたしの……ど、どこだっていいでしょ!」

ハルヒ「っていうか枕とかどうでもいいじゃない!」
キョン「ま、まあ……そうだけどさ」
ハルヒ「ほら、寒いんだから早く……あたし寝るわよ」

ギシッ
キョン「……もっとそっち寄れって」
ハルヒ「寄ってるもん」
キョン「狭いっての」
ハルヒ「あたしは狭くない」
キョン「……あのなぁ」
ハルヒ「いいの。あたしの夢だから、あたし中心だもん」
キョン「なんでだよ。俺の夢でもあるんだぞ」
ハルヒ「知らないもん」
キョン「……まったく」

キョン「いいなぁ、抱き枕」
ハルヒ「使う?」
キョン「いいよ。使ってろ」

ハルヒ「…」
キョン「なんか……こう……寝にくいな」
ハルヒ「ベッド狭いわよ」
キョン「文句あるなら出て行け」
ハルヒ「やだ」
キョン「……背中合わせだから、布団引っ張ってるな」
ハルヒ「あたしが寒くなるから、あんたこっち向きなさいよ」
キョン「嫌だよ。お前がこっち向けよ」

ハルヒ「……じゃあ、その……せーのって」
キョン「?」
ハルヒ「もういいわよ、よいっしょっ」ポイッ
キョン「あ、抱き枕が」
ハルヒ「……邪魔だもん」
キョン「…」

ハルヒ「こっち向きなさいよ。向いてあげたんだから」
キョン「わかったよ」

ハルヒ「……こんばんわ」
キョン「なんだよそれ」
ハルヒ「ふふっ」
キョン「……まったく、変な夢だよ。ハルヒが突然現れて、ドアが冷蔵庫になって」
ハルヒ「みくるちゃんの部屋覗いて、映画観て……一緒に寝る」
キョン「な? おかしいだろ」
ハルヒ「夢だもん。このぐらいで丁度いいわよ」
キョン「……かもな」

ハルヒ「……五回も、キョンの夢見てる」
キョン「ん?」
ハルヒ「五回ともおっかしいなぁって思ったけど……今が一番おかしい」
キョン「あぁ」
ハルヒ「でもなんか……一番幸せかも」
キョン「…」

ハルヒ「この夢、起きても覚えてるかしら?」
キョン「今まではどうだったんだ?」
ハルヒ「全部……覚えてた」
キョン「じゃあ覚えてるかもな」

ハルヒ「わかんないわよ。忘れてるかも」
キョン「どっちだよ」
ハルヒ「わかんない」
キョン「……忘れてたら、いつも通りだな」
ハルヒ「忘れてなくてもいつも通りじゃん」
キョン「いや、ちょっと無理かも」
ハルヒ「?」
キョン「……忘れるって言うんなら、お前に言いたいことがあるんだよ」
ハルヒ「忘れないといけない?」
キョン「忘れてくれたほうが、ちょっとだけ嬉しいかな」

ハルヒ「じゃあ、忘れてあげる」」
キョン「……いやだめだ。確証が得られない」
ハルヒ「なによ。あたしが忘れるって言ってるから忘れるわよ」
キョン「ほんとか? 信じていいか?」

ハルヒ「信じてよ」
キョン「……じゃあ言うよ」
ハルヒ「なに?」
キョン「……可愛いよ、ハルヒ」
ハルヒ「…」
キョン「一日前も二日前も……その前も、ずっと可愛かった」
ハルヒ「それだけ?」
キョン「それだけ」

ハルヒ「……違うことかと思った」
キョン「違うこと? なんだよ?」
ハルヒ「もっとこう……わかんない?」
キョン「忘れるってんなら、それは言わないってことで」
ハルヒ「え? あ、ちょっと! 卑怯じゃないそれ?」
キョン「知らん知らん」

ハルヒ「明日、学校終わったらさ」
キョン「?」
ハルヒ「一緒に映画、観に行かない?」

キョン「映画? なにをさ」
ハルヒ「さっきの」
キョン「観たじゃん」
ハルヒ「もっかいちゃんと観たいの。いいじゃん」
キョン「……覚えてたらな」
ハルヒ「忘れてたら?」
キョン「いかない」
ハルヒ「やだ」
キョン「えぇ? どうしろと」
ハルヒ「行くの。行くって言え」
キョン「……わかったよ。約束するよ」

ハルヒ「眠い?」
キョン「眠い。眠くないか?」
ハルヒ「眠い。でも……寝たくない」
キョン「……子供」
ハルヒ「ちーがーう」

ハルヒ「……忘れられるかな」
キョン「忘れてくれ」
ハルヒ「あんたは忘れちゃだめよ」
キョン「難しいな」

キョン「じゃあアレか。明日俺が、ハルヒを映画に誘わないといけないのか」
ハルヒ「そうね」
キョン「断るなよ?」
ハルヒ「わかんない。でも、多分断らないと思う」
キョン「それで断られたら、俺が恥ずかしいじゃないか」
ハルヒ「じゃあ覚えてていい?」
キョン「……それも恥ずかしいな」
ハルヒ「どっちにしろ恥ずかしいんじゃない」

ハルヒ「忘れてあげるからさ」
キョン「…」
ハルヒ「今はあたしの……夢に出てきたキョンになって」
キョン「……わかったよ」

【Around The World】

キョン「ん……ハルヒ?」
キョン「…」
キョン「あれ?」

キョン「朝か……」
キョン「なんだ、よく寝たな」
キョン「…」
キョン「……なにかを忘れている気がする」

キョン妹「キョンくーん、朝ごはんー」
キョン「あぁ、はいはい。……? なんでこんなところにピル○ルが?」

キョン「何か夢を観たんだよ.絶対に何かを」
古泉「また涼宮さんの夢ですか」
キョン「いや……それが、覚えてないんだ」
古泉「覚えてない?」

キョン「なんだっけなぁ。すっごい変な夢だった」
古泉「覚えてないのが悔しいですよね。そういう夢って」
キョン「しかもなんか……覚えとけって言われたんだよ」
古泉「夢をですか? 誰に?」
キョン「わからん」

ガチャ
長門「…」
みくる「あ、もう来てたんですか」
キョン「長門、朝比奈さん」

キョン「なぁ長門……お前、昨日俺になにかした?」
長門「していない」
キョン「やっぱり。じゃあ俺が勝手に忘れてるだけか……」
長門「……できなかった」
キョン「え?」

みくる「昨日、涼宮さんから聞きましたよ」
キョン「夢の話ですか?」
みくる「あ、やっぱりキョン君……知ってたんですね」
キョン「そりゃあまあ、変な体験でした」
みくる「今日も見られたんですか? その夢」
キョン「それが……覚えてないんですよね」
長門「…」

長門「干渉するつもりが、できなかった」
キョン「?」
長門「あれはもしかしたら、閉鎖空間とはまた違う……」
キョン「なに、どうしたんだ長門?」

ハルヒ「あれ、あたしが最後?」
キョン「! ハルヒ」
ハルヒ「……キョン」

キョン「掃除か、遅かったな」
ハルヒ「う、うん」
古泉「?」
ハルヒ「ねぇちょっと、来なさいよキョン」グィ
キョン「? なんだよ」

ハルヒ「……ほら」
キョン「あ?」
ハルヒ「あの、だから」
キョン「?」
ハルヒ「……やっぱり! 朝からおかしいと思ったら……逆になってる」
キョン「何が? なんだよどういうことだ?」

ハルヒ「ふふ、ふふっ……知りたい?」
キョン「なんだその笑い方は」
ハルヒ「今から映画観に行くわよ。あんたのお金で」
キョン「はぁ!?」

ハルヒ「ワリカンにしようかと思ったけど、覚えてないから罰ゲーム!」
キョン「……お前、まさか昨日も」
ハルヒ「っと、思ったけど、あたしが覚えてるから……チャラにしてあげる」
キョン「なぁおい、なんのことなんだ? 教えてくれよ」

ハルヒ「夢の話よ。今からそれを、映画で教えてあげる」
キョン「……他の奴らはどうすんだよ」
ハルヒ「いーの。ほら、ちゃんと言う事聞きなさいよ。行くわよ」グィグィ

古泉「……帰ってこないですね」
みくる「どこ行ったんでしょう?」

古泉「で、彼が言っていた話は」
みくる「十中八九、涼宮さんの力ですね」
古泉「やっぱり」
みくる「でも昨日のは……」チラッ
長門「違う」
みくる「えっ?」

長門「夢を操作しようとしたら、何かに邪魔をされた」
古泉「?」
長門「なので、彼らが昨日見たのは……夢じゃない」
古泉「では、それも現実で」
長門「わからない」
みくる「…」

みくる「もしかすると、キョン君が覚えてないのも涼宮さんのせいかもしれないですね」
古泉「そう……なんでしょうか」
みくる「はい」

みくる「私達の知らないところで、二人は何か秘密を作ったのかも」
古泉「なんとも、彼女らしい不思議なことですね」
みくる「……覚えてなくても、また二人は元に戻る」
長門「?」
みくる「いいえ、なんでもないです。できればこの件は、見守っててあげましょう?」
古泉「そうですね」
長門「…」コク

キョン「何の映画、観るんだよ」
ハルヒ「楽しい映画。いいから黙って付いてきなさいよ……約束したんだからね!」
キョン「?」

はいおわり
たまにはハルにゃんしか知らない秘密って終わりかたもいいじゃないか
http://www.youtube.com/watch?v=QQ19yzwSGWo
【エターナル・サンシャイン】。面白いから観てみろって

おやすみ

お前ら「朝起きたら隣でハルヒが寝てた」

古泉「良い歳して妄想ですか?しかもそれを友人に語るとは……」

お前ら「ち、違う!妄想なんかじゃなくてだな。ちゃんと実態もあったんだ」

古泉「抱き枕を勘違いされたのでは?」

お前ら「えっ?」

古泉「?」

お前ら「いや、そんなまさか…」

古泉「全く、困ったものです」

お前ら「あれ、いや……言われてみればそんな気が」

こんなSSかと思ったのに

>>1

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