黒子「ジャッジメントですの!」花山薫「ん・・・?」(991)

開いた理由を産業で

生れついての凶器……!!
ただ純粋な力……その巨体……並ならぬ握力……
学園都市最弱の無能力者にして不死身の異能をもつ男花山薫ッッッ!

黒子「んまー薫さんったらまたトランプを無駄にしてしまいましたのー?」

花山「・・・」

黒子「力が強いのはわかりましたからもう少し気品のある行動をとってもらいたいですわ」

花山「・・・」

アニメ、レールガン6話
銀行内
黒子(なんてことですの!なんて失態、私一人が独断で先行したあげくにこの様とは……)
シャッターにはパチンコ玉が開けた穴が空いていた。
しかしッッッ!だれが想像できるであろうか!

銀行員「いやぁ、驚いたなんてもんじゃないですよ。だってですよ、巨人ですよあれ。あろうことか、

開けた穴を3倍近くにまで素手で圧し広げたんですから。」

余りに異様ッッッ!

銀行員「しかもね…あろうことかその場をよそ目にね。どこへ向かったと思います?

ATMですよっ?ATM!普通考えられませんよね…しかもお金を普通に下ろしてました。目立つなんてもんじゃないですよ。」



つかれた…

その巨漢は余りに圧倒的ッッッ!
初春「つ、次の瞬間にはね、強盗に撃たれていたんですよ!あ、あの方。」
この場を占める圧倒的存在感ッッッ!誰しもがッッッ!!!この軽率過ぎる行動に唖然したッッッ!
初春「いえ、撃たれたというよりは……当てられたといったほうが……正しいのかも知れません。」
次の瞬間ッッッ!目まぐるしいほどの衝撃ッッッ!
初春「はい、捕まっていたはずだったんです。音が聞こえたと思ったら、

飛んでいたんですよ、もう一人の強盗目掛けて強盗が…もうね、投げたとかそういうものじゃなかったです。」

この圧倒的暴力ッッッ!

~とある893の喧嘩殺法~

黒子「男は入って来た穴から前屈みになってでていこうとしてたのですのよ。何も言わずですわっ!」


黒子「あなた怪我してますわね、今、治療班がきますわ。大人しくしていらして」
花山「……」


黒子「完全無視でしたの、余りの横暴に感謝の言葉も忘れてしまいましたわ。」


黒子「ジャッジメントですの!大人しくしてくださいまし、貴方はには事情聴取がありますのっ!」

黒子が、あの巨体をとめた、その事実だけッッッ!

>>1
とある
任侠(ヤクザ)の
喧嘩面子(ゴロメンツ)

花山なら素手でレールガンを受け止める

バキ世界の人間が禁書やレールガンみたいな能力を手に入れたら…ガクブル

上条「シャオリー…… そ の 幻 想 を ぶ ち 壊 す 」
勇次郎「ニタァ~~~」
上条「!?」
勇次郎「能力じゃなくて技術だからなァ…」

上条「巨大化の能力か……!?」
↓ 
右手をかざす

↓ 
グシャ 
↓ 
花山「蝿がいたか…?」

上条「ガイア…… そ の 幻 想 を ぶ ち 壊 す 」
ガイア「ニタァ~~~~」
上条「!?」
ガイア「能力じゃなくて愛だからな…」

歯「1.5…多くて2.0から2.2ってとこか」
上条さん「…?そのふざけた幻想をぶち壊す!」

刃牙世界なら一方通行さんは滅茶苦茶弱いだろうな。
殴れば反射を適用する前に拳を引いてノーダメージ。
腕を掴めば反射を適用する前に握り潰される。
一通の攻撃は軽くかわされ一瞬で間合いを詰められ秒殺される。

まだあるだと・・・?

黒子「ジャッジメントですの!」
花山「…」

黒子「前が見えねェ」

       /ヽ  //:|: :|: : l: : | |: :l: ::l: : : jム.: : : : :l: : ::l: : :l: : : ::{、 ヽく /: : |
     /: : _儿/|!::l:l: :l: : l: : | |: :l: ::l: : : |  '. l: : :|: : ::l: : :l: : : ::|!\  〉、: : :|
     .:': : :∠ / /|: l:l: :l: : l: : | |: :l: ::l: : l:|   |:l: : :|!: : :|: : :|: : : :||: 勹/: :l: : :|
   /: : : :/::¨∨ Ⅵ:l: :l: : l: 卞ト、」: :l: : ト{  |:|: :/,孑/: : /_: : /:|:| {: : : l: ::|

   /: ::/ /: : :/\∧:l:rヘ: :l: :|zテ=ミト、:{    リィ升jホ㍉ ||<Ⅵ: |:|  ',: : :l: :|
  /: /  /: :.:/ |弋/:Ⅳl '`V|: K いり}ヽヾ  ' '弋:夕 / リノ /: :l:|  ヽ: }/|
  /::/  /: : /  |: : : :|: :\ゝトミ{ ,,ゞ‐'        -‐   /_,イ: : : |    ∨: |
 .': :l  /: ::/   |: : : :|!: : ::>ム       i         /: :イ: : : :l   /レ': |
 |: :{ /: :/     }: : :/ !: : : |  丶      __       /: : | ヽ: : :|/: :/|: : |   <ババアですの!
 |: : V: :/    /: : / }: : :/   _㌧   <___)   .ィ┴‐┼-ト:/: :/ /: /
 |: : :|: :{    /: : / _/-'⌒ヽ、ィf{   >ュ_ ー  .イ  {\  ヽ ヽ`≦⌒《_:/─-  __
  ; : :ヽ:l    /: : /´___ ヽ   {ヽ   \ ¨¨ /  }  、  | | /   ヽ )     }─
  ヽ: : :\  /: :〃ニ__ミ、    ',     >=〈     |  ', | | ,    /      l
   \: : :ヽ.': :/ / 、     \  ∧    /  ∧   j   Ⅵl |'   /         l
    }\: : `从/   \     \ ヽ  /  { \_ノ!   ∨ l  /     /   ノ
    、: : ト、: :八     ` ー- ヽ } ̄ \ ゝ  / /    V/_/      /   /
    ヽ::レ'乂ハ   _ -===-  ミx|     \`、/ /   」__(     /   ノ-‐"
      〉:<: (: ∧/彡=二二ニ=-二ニ-- 、  ヽ/ // ̄ ,  `ー―-<_x-‐'´
      /:/ヽ厂}: : {彡'=====‐- 、   \ / ノ ノフ′ _

二話で切っちゃったからあんまわからんけどてっきり

黒子「ジャッジメントですの!」
なんか飛ばす
楽々と避け花山が無言で近づく
近くで見るとかなり大きい
花山が腕を私に伸ばす
黒子「ひっ!」
みたいな展開かと

           /ヽ  ,. . .-‐…‐- . .
        {_/)'⌒ヽ: : : : : : : : : 〉`: 、

        {>:´∧;;;;;/. : : : : : : : : : : : : :ヽ
      /: : : /;;;;;;Y: : : : : : : : : : : : : : : : : : .___
.   /: : : :/丁⌒: : :∧ : : /: /` }: : : : : :ハ;;;;;;}

   /: : : :/: : :{: : 八: :{:>x/| /   |:i : : :}: : : };;;∧
.  /: : :/} : : :八Y⌒jY´んハ从  从-‐ノ: : :/Y: : :.
 /: : / /: :/: : : V(.  弋ツ    心Yイ : ∧ノ: : ハ
 !: : :!//i: : : : : 个i ''''     , {ツ /彡く: ハ: : : :i
 }: : :ヽ  / : : : i: :´{入   _     /: : : ∧: i i: : : |    ジャッジメントですの!
〃. : : : ∨: : : :/l: :/⌒ヽ、  `  イ: : : :/ }: リ: : :ノ
: : :/\: : V : /ノ:/     VT爪_八: : : { 彡. : イ{
: :( /: \:} /: :/{     rv\j  { >‐=ミー=彡ヘ: ヽ
`)' ){: (  ): : :{八   /ヘJ ̄ ̄ {_/ /   \j: : 八: :}
 (  ー=ミ  彡'  ト、 / / 〔o〕     `トしヘ. _ \{ j ノ
   r=彡' ー=ァ |\{.      . -‐、‐=ァ′  ヽ  \(
   `フ   (   |   \_/  x个彳)   ∧   \
             ヽ   | _/  ∨ {\  /、ヽ     ヽ
            ヽ  ー-ヘ.    ∨j   ヽ{__>  . _}
            〉    \   \
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           /           \   \
            〈               j\   \
          / ー--==ニニ=く  \


黒子「ジャッジメントですの!」
花山「ん……?」
黒子「学園都市でその風貌怪しいすぎますわ。少しお話を…」
花山「………」スタスタ
黒子「ちょっ……ちょっと待ちますのよ!」
花山「…………」スタスタ
黒子「聞かないのならば実力行使しかありませんわね!」
花山「…………」
黒子「とっ……止まりますのよーー!!」ペチポコ
よく考えたらレールガン知らなかった
おやすみ

黒子「ジャッジメントですの!」
薫「ん・・・?」
黒子「何故、あなたの様な無能力者の893さんが学園都市に?」
薫「・・・。」
黒子「ちょっ!おまちなさい!」

黒子は、瞬間移動で花山の前に現れる
驚いた表情の花山
しかし、それも一瞬のことで
黒子を無視し、またも歩き出す

黒子「なっ!?いい加減になさいまし・・・これは、警告でしてよ。」

太もものガーターから針の様な物を取り出し構える黒子
今まで無視を決めて居た花山が始めて身構える素振りを見せる


書き始めたら
花山が無口すぎるのと世界観違いすぎるので難しすぎなことに気づいた

黒子「大人しくしないと、この針があなたの内臓に・・・」

花山は、口上を始めた黒子の言葉を聴くこともせず一瞬で間合いを詰める

黒子(速い!?)

思わず瞬間移動も忘れ後ろにたじろぐ黒子
花山の動きは、それ程までに速かった
黒子は、針を持つ手首を掴まれると針を落としてしまう

ヒュン!

刹那、瞬間移動で距離を取ったものの
一瞬掴まれただけの手首には、激痛が走り腫れ上がって居る

黒子「痛っ・・・あなた、何者ですの?」
薫「嬢ちゃん・・・俺に構うな。」

それだけ言うと花山は、また何事も無かった様に歩き出した

黒子「ま、待ちなさい!」

叫ぶと同時に手首に激痛が走る
思った以上に重症の様だ

黒子「なんなんですの・・・あの化け物。」

黒子は、一時ジャッジメント支部に戻り報告することにした

一方、花山は学園都市を歩き続けて居た
なるべく目立たない路地裏を選び歩いて居るのだが
2メートルを越す巨体に顔中に刻まれた傷跡
そして、上下白のスーツ姿
周りは、若者や学生ばかりのこの都市では隠れようもなかった

花山の目的は、噂の真相を突き止めることにあった
噂というのは、組の人間が学園都市に入り込み薬の売買に始まり
はぐれ能力者を雇い、恐喝、誘拐、イカサマギャンブルまでして居るというものだ
完全に孤立した都市である学園都市には、警察が居ない代わりに
警備員(アンチスキル)と風紀委員(ジャッジメント)で治安を維持して居るのだが
アンチスキルは、ともかくジャッジメントに至っては、学生がその役目を担っている
能力者と言っても所詮年端も行かぬ学生である
素人の目を掻い潜り、プロの極道が立ち回るのは余りに容易だった

しかし、これは組内でも完全にルール違反
花山らしく、組長自ら学園都市に赴いたのだった

その頃・・・ジャッジメント支部に着いた黒子は、傷の手当てを受けていた

初春「酷い怪我・・・いったい何をされたんです?」
黒子「手を・・・ほんの一瞬手を掴まれただけですわ・・・。」
初春「そんな・・・それでこんな酷い怪我に。すぐに病院に見せて下さい。」
黒子「そんな暇ありませんことよ。あの危険人物を直にでも指名手配にしないと・・・。」
固法「白井さん、ちゃんと病院に行ってらっしゃい。こちらのことは、まかせなさい。」
黒子「固法先輩・・・
    ・・・解りましたわ。でも相手は無能力者、能力で検索することはできませんわ。
    幸い、すこぶる目立つ特徴の持ち主なので、直に見つかると思いますけど。」

そう言うと黒子は、男の特徴を伝えると病院に向かった

花山は、真相を探るべく夜まで身を潜めることにした
裏路地で休んで居ると若者二人がやってきた

若者1「へへ・・・この薬捌くだけで10万はチョロいぜ。」
若者2「おい、でもあの人達本当に大丈夫なのかよ?何かやばくね?」
若者1「なんだお前、ビビってんのかよ。実際、金貰えんだし気にすることねーって。」

薫「その話、詳しく聞かせろ。」
若者二人「う、うわぁーーーー!!」

突然現れた巨漢に思わず叫ぶ二人
花山は、若者一人の頭を掴むと軽々と持ち上げてしまった
バタバタと足を動かすが直に諦める
花山が、二人から話を聞きだそうとしたその時だった

ビュン!!バチバチバチ・・・

花山の顔僅か数センチの位置に電撃?の様なものが走りぬけ壁を破壊した
花山(こいつは・・・。)

御坂「ちょっとそこのあんた・・・何やってんの?」

目線を路地の方に向けると、そこに一人の少女が立っていた

やっぱ無いな・・・
wiki見ながら世界観に辻褄合わせようとしても無理だわ
何度シュミレートしても花山が圧倒的すぎて話しにならん

一方通行辺り出せば相手になりそうだが・・・
御坂の能力も原作未読だから細かいこと解らんし寝る

黒子「ジャッジメントですの」
黒子「少しお時間をいただけます?」

ユラ…

黒子「~~~ッッッ!」

日本一の喧嘩師、花山薫ッッ

黒子「ええ…」
黒子「ブランデーグラスが、まるでおちょこのようでしたわ」

初春「わ、私…… あんなに丸くなったビール缶なんてみたことなくて……」
初春「その人の周りに、いっぱい転がっているんです」

「なっ……」

店員の驚きはピークに達していたが、黒子からすれば相手のやり方を特定するいいきっかけでしかなかった。

(やはり強化の類……ならば改めて撃ち込んで!)

そう決めた瞬間、彼女の目の前が真っ暗に染まる。
自分の顔が彼の手の中にあると気づいたのはすぐ後。
まずい、と空間移動(テレポート)の能力を発動しかけた時、違和感に気付く。


「……大概にしときな」


それは攻撃ではなく気遣い。頭を優しく撫でられただけ。
その事実に憤怒する前に、彼の姿は店から出ていこうとする。

「お、お待ちなさい!」

そんな言葉で止まるはずがない。しかし分かっていてもそう言うしかない。

「……っ、」

逃がしたくない。
その一心で再びガーターに備えた矢に手を伸ばすが、

ガタッ

「あっ」

そう、逃げようとする対象は一人ではないのだ。
特にその根元を逃す訳にはいかない。
少なくとも、アンチスキルの到着までは。

「くっ……」

自分の能力を使えば恐らく二人を抑えるのは不可能ではないだろう。
だが、“恐らく”ではダメなのだ。

「あなたには、容赦しませんわよ」

怯える店員を脅し、店の外を見る。

「……本当、厄日ですわ」

呟きは誰にも聞こえぬものだった。

男はところどころ千切れたスーツのまま、当て所もなく歩いていた。
カランカランと自然と落ちていく鉄矢の音が落ちていく度に思い出す。

「……」

目で追える範囲は追えた。それは、いい。
だが明らかに消えた瞬間があった。

「……あれが」

超能力、というやつなのだろうか。
ならば、と思う。

「意外とこっち側に近い、か」

男は飢えていた。だからこの日は行幸だった。
もしかすると、自分を満たす何かがここにはあるかもしれない。
そう、微かに感じられたのだから。

「初春、ありましたの?」

帰るなり不躾にそう問うてくる同僚。

「すみません、まだです」

それに正直に答えただけだというのに、

「ふざけてますの? たかだかそれだけのデータですのよ!」

「あぅ、そう怒らなくてもいいじゃないですか。第一、念写能力で人相は分かりますけど実際に相対したのは……」

「な、ん、で、す、の?」

「な、なんでも……あ、それより」

「あぁん!?」

「ひぅ!」

「全く」

彼女がジャッジメントの詰め所に戻って第一に行ったのは自分の相対した相手の情報収集だった。

(しかし二人でカテゴリーを絞ってこうも見つけられませんの?)

思い出してもあれが何か特殊なタイプに思えない。
単純なモノであるはずだが、そういったカテゴリーの能力者は見当たらない。

(やはり一度カテゴリーに囚われず、一つ一つあたっていくしかないですわね)

せっかくの休日を徹夜で過ごす覚悟を決める。
あの感覚。ただ者ではないだろう。絶対放っておけない。

「初春、監視カメラのモニターチェックの方は任せますわよ」

「あの、それなんですが」

「……? 何ですの」

「さっき見つかりました、みたいな」

「「……」」

「何ですぐ報告しませんの!!?」

「しようとしたら言わせなかったのはそっちじゃないですかぁ?!」

しばらく離席。

「場所は!」

するどく問い掛ければ返る答えは既にジャッジメントのそれ。

「区画は第七、三九線・木の葉通りの監視カメラです!」

「ケンカ通り、ですの……やはりスキルアウトの関係者の線も」

「でも、能力者なんですよね?」

「でないと説明がつかない可能性が高いだけですのよ。まぁいいですわ」

ピリッ、と初春は針にも似た空気を肌に感じる。

「直接、“お話”してきますから」

長い付き合いだからこそ分かる、白井黒子の久々の本気だった。

ケンカ通り。そんな物騒な由来は不明なまま。
しかし厳然としてその事実がなくならない訳はそこを中心として活動する人間は知っている。
簡単なことだ。ただトラブルが多い。それだけのこと。
大通りから外れ、少し進めば裏路地。
スキルアウトと呼ばれる集団を始め、血の気の多い世代である能力者たちの小競り合い。
そして人知れず何かの陰謀が蠢く、そんな場所なのだ。



「……」

そして彼は“そちら側”に極めて近かった。


ただ、そこを、歩く。
それだけの事が彼には日常のようにはまっていた。




「よぅ、見ない顔だね、あんた」

軽い調子の声がかけられる。

「随分ボロボロだけど、ケンカでもしたかい?」

「……」

馴れ馴れしく話しかけるソイツは、体格はそれなりに良かったが花山と並ぶと少々見劣りする。
だがそこには臆した様子はなく、寧ろ獲物を狙う息遣いがあった。


「でもさ、ボロは着てても実は錦。なんつってさ。それ、見た感じはいい服じゃん」

花山の着るそれは学園内ではかなり古いタイプの素材ではあるが、実際に高級なそれだ。
そういった服装から相手の品格を値踏みした正当な評価だ。
そして花山をがたいからパワータイプだと感じ取ったのも彼が長年そういった行動をとってきたことによる技だった。
その上で声をかけた……つまり今回の標的が決まったということ。

「だからさぁ、そんなあんただから見込んで頼みがあるんよね。お金をさー、少し貸してくんねぇかな」

「……」

「必ず返すよ。な? な? いいだろ?」

「……」

「おいおい、無視かよ。んじゃあ」

周りを彷徨いていただけの動きから一変。
次の瞬間、背後から側頭部に向けて隠しもっていたスタンガンを振り下ろす。

バチリ、と火花が散った。

本来の数倍の光量と音量がそれが学園内にて改造されたものだと物語る。


「はは、あんたが悪いんだぜ? 人を無視しちゃいけません、なんて小学生でも知ってるルールを破ったんだからよ」

けたけたと無邪気に笑う少年。いつも通りだ。
学園都市であり、異能の力がばっこするとはいっても大抵はただの学生だ。
明らかに格上や、危ない人間は避けてきた。
力の強そうなだけであるとか、強能力者以上には手は出さないようにしていた。
先手必勝。気絶させれば大体の相手には勝てる。
そういう意味では彼は天性のセンスがあったのだろう。
レベル1以下の、それも不意打ちを食らってくれる相手を選べるというその点に関して言えば、だ。


だが彼のセンサーに引っかからないものはあった。
“改造スタンガンを食らって倒れない相手”などという規格外は。


「なぁ」

ぽん、と肩に手を置かれる。誰かと思い振り返っても誰もいやしない。
そう、それはあり得てはならない場所……正面から聞こえてくるのだ。

「人をいきなり殴るなんてダメだ。それくらいわかるよな、小学生でも」

「は……ぁ、え?」

呆然とする少年の手にある凶器に手を伸ばす。

「なぁ、わかるよな?」

バチリ、と微かな音がする。
自然と離していたスタンガンに目を向ければそこには紙か何かで出来ていたのではないかと思えるそれがある。
くしゃり、と。音にするならそんな感じだ。

「ぁ、は、はい」

「なら、いい」

そう言って返されたそれに触れて分かる。
その堅さ、間違いなく金属を含むそれだ。


へにゃり、とへたり込む彼が見たのは大きすぎる侠の背中。

その様子を影で見ている人物は何人も居た。
仕掛ける人間ばかりが能ではない。ハイエナのようにおこぼれに預かるのもまた、賢いやり方だからだ。
そんな人間達は悟る。あれは関わるべきではない、と。
そうした判断を下すや一人、二人と路地裏から気配は消えていった。




「静かになったな」

誰に話すでもなく呟いた言葉。

「ええ、そうですわね」

それに返る答えがあった。




「あんたか」

「ええ。ジャッジメントですの」


月夜の下。
侠と異能が再会する。

花山「……電気は大切に」

「我々は本来は学園内の風紀を守るのがお役目ですの」

「……」

「ですから先程の違法について色々とお話を、と思ったのですけれど」

チラリと花山の服に残る焦げ目を見やる。散った火花で焦げ付くのだ。
一体どれほどの電流だったのか想像もしたくない。

「見てましたわ、それ。本来ならば我々が動くところですが……動く前に終わらされてしまいましたもの。怒らないでくださいな」

「……」

花山からすれば何のことはなかったのだろう。
軽く肩を竦める以外に反応はない。

「何か用かい」

「そう、ですわね。本来ならば罪を償っていただき、貴方が今後真っ当に更生したくなるほどきつくお仕置きするつもりでしたわ」

「……でした、ね」

「ええ。どうやら貴方は根本的な部分で風紀を乱すタイプには思えなくなりまして。悩んでますの」

ピリピリとした雰囲気が少しずつ溶けていく。

「……」

「今後、そういった事に関わらないでくださるなら、今回は不問にしようかと思いますの」

黒子は自分でも何を言っているのだろうと思う。
先程まであれほどに内に沸いていた何かが先の一件を見ただけで霧散していく。
何故かはわからないその心境に、彼女の表情は拗ねたような言いようのないものになる。

「とにかく! ですわ。もうしない、と誓っていただけますの!」

もやもやとした胸の内を吐き出すように誓約を要求する。
こんな日はさっさと帰ってお姉様の寝顔でも楽しもう。
そう決めた彼女に、

「俺は何も悪いとは思ってないんでね」

「は?」

「やめる理由がない。だから誓えない、ってことだ」

あっさりと拒否の言葉を発した。

あまりの堂々した態度と、その風体にまさかと思い至る黒子。

「あの、まさかアンチスキルの……?」

だから書庫のデータに引っかからなかったのか。
しかしそれでは昼間の一件に説明がつかない。
実際彼もアンチスキルという単語にピンときた様子はない。
ではただの成人、なのだろうか。外部から? まさか、有り得ない。
あらゆる可能性を潰していけば思い至る。
そう……それはただ純粋に悪いと本気で思っているのだ。

「あ、ああ、貴方は……!」

わなわなと体の芯を何かが駆け巡る。
先程までの穏やか、とは言い難かったがそれに近かった心境は吹き飛ぶ。

「つまりまぁ……嫌だ、ってことだ」

大げさに肩を竦め、小馬鹿にしたようにため息をこれみよがしにつく。

「オーケー、オーライ、わかりましたわ。ええ、とても」

ふふふ、と気味の悪い声で笑い、

「地べたに這いつくばらせて嫌ってほど誓わせてさしあげますわ!!」

ここに第二ラウンドの火蓋が切って落とされた。

ミス

×悪いと思っている
○悪いと思っていない

仕掛けたのは黒子。
遠慮がいらないことは先程までの経過でわかっている。
彼には一度は通じた戦法でまずは動きを封じにいく。
ガーターに装填された鉄矢に触れながら懐へと“飛ぶ”。
次に脚を払い、転倒を狙う。
あとは先程の倍、一度に全てのダーツを使い切るつもりで縫い止める。
完璧な一連の動きは、

「痛っ」

脚を払った瞬間に感じた強烈な痛みに止められる。

(なんですの?! 私、間違ってコンクリートか何かを……)

無論、そんな訳はないと見上げた先にある存在感が告げる。

つまんなかったら埋没するだろうという自然の理に乗っ取ってみたりとか感じ

「っ!」

動揺するなと言い聞かせ、近場に“飛ぶ”。

「きゃわっ?!」

バサバサと自身の上に被さる生ゴミに苛立ちながらも自身を叱咤し立ち上がる。

(このくらいの痛みと動揺であっさりコントロールが甘くなるなんて)

空間移動能力の泣きどころである制御の難しさを噛み締める。
その視線の先には今しがたまで自分がいた場所へ拳を打ち下ろしていた花山の姿がある。

「……冗談キツいですわ」

コンクリートに罅の波紋を残す相手に寒気を覚える。

(自身の肉体への干渉……ですわよね?)

そう当たりをつけていたがやはり間違っていたのではと感じ始めた。

今北産業

能力者のほとんどが直接的に肉体への干渉をせず、物理法則などを媒介にしている。
逆に言えばそういった身体を強化するというような能力者は少ないのだ。
肉体再生や肉体変化。このあたりを始め、あまり多岐には渡らない。
故に彼女は花山が能力者であるならばその類である限り少ないデータ量から早く割り出せると踏んでいたのだ。

(見た目に騙されたのか、それとも)

後者の僅かに思い至った可能性を打ち消し即座に思考を組み立て直す。

(発条包帯等による身体強化。こちらの線が濃厚ですわね)

ただそれだけではないと自身の第六感が告げるが今は無視。

(明らかに私の限界値を越えた質量ですわね)

一度目と違い、接触の瞬間に能力を発動していたから分かる事実。

(……どうしましょうかしら)

少しずつ焦りが募る。

>>264
握力×
体重×
スピード=

またか、と喧嘩師は思う。
捉えたと思うと既にそこにはいない。
視界から消えられるのだ。
圧倒的な情報不足。だがまだ負ける気はしない。
実際、分かったこともある。
一度目は完全な油断からあっさりと地べたに転かされた。
しかし来るとわかって構えれば相手は打撃による攻撃で自分を倒せない。

敵の攻撃手段は読めないが、それでもなんとなく予想はつく。
そんなとんでもないことが許されると仮定すれば、ではあるが。



「そちらから来ませんの?」

正直の声に振り返れば、

「こっち、ですわ!!」

更に背後から跳び蹴りが入る。
だが巌のごとき鋼の肉体にたかだか少女の体重を全て込めたところでダメージには至らない。

ぶぉん、と空気を裂きながらふるう拳は何も捉えられない。
先程からその繰り返しばかり。

(決定打がなければ、まずいですの)

回避には成功を続けているがこれ以上長引けば先に倒れるのは負担の大きいこちら。
やはり直接ダーツを撃ち込むしかないのか、と覚悟を決めるところまで彼女は悩む。

(しかし、それは……)

確かに彼は違法行為を犯しただろう。
それはこれから先、間違いなく続く。
それ自体は勿論許せないことではあるし、やめてほしいと思う。
だがそれだけ……飲酒や恐らく風体から考えるに喫煙を行うであろうというだけで相手にそこまですべきか。
さすがに何か行き過ぎたものを感じ、心に迷いが生じる。

(……ぁ)

それに身体は正直に答える。
空間移動に、失敗した。

迫る拳。
それがとんでもない凶器であると感じながらもどうすることも出来ない。

(……お姉様っ!)

心に描く走馬灯には様々な百合色の思い出と、仲間たちとの歩んだ道。

(ごめん、なさい)

ぎゃっと瞑った目。
失った光の後に感じたのは強烈な破砕音だった。








「……何故、ですの」

そして決着はついた。
壁にめり込むほどの破壊力は、黒子の数cmほど横に叩き込まれていた。

「情け、ですかしら」

「……礼だよ」

ゆっくりと壁から手を引き抜きながら花山は答える。

「面白いものを見せてもらったから、な」

「……。勝者の余裕ですかしら」

「勝者、ね。ゴロでもないのに勝敗なんてあるもんかね」

「ゴロ、ですの?」

「得物を使わず、命を獲るでもなく、誇りを賭した訳でもない」

ごきり、とひとつ気だるそうに首を鳴らし。

「なら、そりゃゴロでもなんでもないだろ。それにな」

きびすを返し、再び当て所もなく歩き始める。

「……女を殴るのは、趣味じゃない」

「なっ」

絶句する黒子をそのままに侠は消えていった。

やはり、と花山は思う。
ここはとんでもない場所だ。
あんな少女ですら、自分の知覚できないレベルの動きが出来る。
あれは相当に手加減を加えられていたが、もしあの鉄矢を本気で撃ち込まれていたら……。
勿論それが出来ない相手だったのかもしれない。
だが出来る可能性のある人間はいくらでも、いる。そう思える。

握った拳は堅く、熱い。
まだ見ぬ何かに期待して……。

悔しい、と黒子は思う。
あいつはとんでもない存在だ。
あんな怪物がこの都市内に跳梁しているなんて信じたくない。
いくら鉄矢を直接肉体に撃ち込まなかったとはいえ……。
あの相手には致命傷を負わせるなんて不可能ではないかと思わせられる。
油断がなかったわけではない。だが本気を出さなかった訳でもない。
そして何より彼が純粋な悪だと思い切れない。
そんな様々な感情が渦巻く胸中。
堅く握った拳は、そのやり場のない感情に熱く震えていた。

そんな感じで一旦お疲れ様。多分次は合法ロリ

一夜が明けた。
この都市を訪れて1週間と経っていなかった花山は、その日も宛がわれた寮へと戻っていなかった。

「はぁ、何でこう先生のところには問題児ばかりなんでしょうかー?」

そんな抜け殻の部屋を訪れる小さな影はため息をもらす。
ここ一週間近く、それこそ初日から一度もお目にかかっていない転入生。
心配ではあるが、思春期特有のあらゆるものへの反抗心からこうなってしまうのだろうかとも悩む。
そうであるならあまり関わりすぎても逆効果な時もあるだけに……。
ただそうだとしてせめて一度くらいはちゃんと話をしなければならないはずなのだが、アンチスキルへは特に報告せずともよいというお触れがあった。
勿論、そんなことは関係なく何度も要請を出しているのだがどこかでとめられているのか動いている気配はない。
先日そのことを同僚の教師から聞かされ、余計にここへと足を運ぶ頻度をあげているのだが全て空回り。

「はふぅ。特殊なご家庭の事情があるとは伺っていますけど、こうも甘えた行動ばかり許していてはいけないですよ」

彼がどんな人物であるかは一通り資料で読んでいるが、それとこれとは別。
あくまで学園都市である以上、 相手は子供であり、指導すべき生徒なのだ。


「幸い今日はお休みですからね。絶対見つけてお説教なのですよ」

ぷりぷりと一人で怒りモードへ突入しながら繁華街へ繰り出す。
その数分後に彼がそこに戻るとも知らず……。

この生活感のない部屋に戻るときは大体が身だしなみを整える時だけだった。身体や心を休める必要がないような日々だっただけに、それで十分。
組の運営や、余所との折衝。そして多くの繋がりに対する責任と行動。それらが自分の手の届かない場所で行われるという不安だけが、唯一の心配ではあった。
しかし結局は何も出来ないという事実のみが返ってくる。表面上、何の揺らぎも感じられない彼だがそんな弱さもあったのだ。

「……」

だが、今は少し違う。濃密な時間が先まであった。死線には遠いが、今まで知らなかった高みがあった。
それを思い出すだけで、様々なしがらみを一時ではあるが忘れられる。拳が、魂が疼くのだ。

「……学園、都市」

ここで自分はどこまで通じるのだろう。男として、雄として。彼もまた強者であるが故の衝動。
それが沸々と彼の中で渦巻いては内側から暴れていたのだ。

「……」

軽くシャワーを浴び、新たなスーツを始め彼なりの正装を整える。
さぁ、行こう。場所なんてどこでもいい。この学園都市ならば。

「……」

いや、と一つ指針を決めることにする。昨日は少ししか味わえなかった酒を満足いくまで飲む。
彼はそれだけを決めると繁華街へと足を進めるのだった。

朝。そう呼ぶには少し遅く、昼というには少し早い時間帯。
花山は適当に買い漁った食料を腹に納めながらいくつか考えていた。
この学園都市という場所はあまりに広く、全てを把握など出来そうもない。だがいくつか法則性は見て取れる。
要は学生達が生活の中心とするあたりは必然的に賑わいを見せ、表の通りが大きくなる。そしてそれは同時に光が増す度に大きくなる影と同じで裏を育てる。
昨日、彼が酒を手に入れたのは第六学区と呼ばれるアミューズメントが発達した区画だ。他にアテもない以上、あのあたりにもう一度足を向けることにする。
彼の近くを通る学生達はその風体と食事量からただ者ではないと分かってか、彼を避けるように歩く。
だが、そんな中。彼と一定の距離を保つ人間がいることに気付いていた人物はほとんどいなかった。

「はぁ……」

白井黒子は疲れていた。疲れた体に鞭をうち、昨夜の一件を報告書としてまとめ提出。更にギリギリまでデータの洗い直しをしていた為に完全に朝帰りだ。
その上で寮長からは門限に関して連絡不十分とされかなりしぼられるという責め苦を味わう。
そこに憧れのお姉様から、

『昨日はあんたも大変だったみたいね。聞いたわよ、男のとこ行ってたんだって?』

なんてトドメを刺された日にはぐぅの音も出ない。恐らく情報ソースである初春には何らかの制裁を加えることを心に決めたところで完全にダウンしていた。

「何、黒子。あんた昨日から変よ」

「……変ではありませんのよ」

「あっそ。ま、何があったか知らないけど、あんたが元気ないとこっちまで調子狂うのよね。早く復帰してよ?」

その言葉に黒子の脳内では激しく変換が行われる。
お姉様は私がいないと調子が狂う→お姉様には私が必要→お姉様は私が欲しい→お姉様は私の愛が必要!!
この間、コンマ数秒の閃きで彼女の体が消えると次の瞬間にはお姉様に飛び付いていた。

「お姉様の想い、受け取りましたわ!!」

「ちょ、な、何あんた! 演技だったわけ!? こら、離れな……さいっ!!」



バチン、とひどく痛々しい感電音がした。と、たまたま通りがかった隣室の生徒は後に語っている。

パチパチと未だ体に残る電流に体を震わせつつ、黒子はお姉様を見上げる。

「お、姉様、今日のご、予定、は、?」

「本当ならこの前あんたに誘われてた買い物、こっちの都合でドタキャンしたからそれの埋め合わせとか考えてたけどいらないわよね」

「!?」

ガバッと起き上がる黒子。その目には爛々と喜びの光が。

「本当ですの!?」

「まぁね。けどなんか疲れてるみたいだしまた今度に……」

「平気ですわ!」

疲れなどという概念を忘れ、嬉しさが那由多の彼方まで高まってくる。

「さぁ行きましょう! すぐ行きましょう! ああ、巡るめくパライソですわぁ!」

「や、あんた。放課後からに決まって……」

「そんなもの、愛の前には不要ですの! という訳でぶっちで満喫デートですわ!」

そんなるんるん気分な彼女に、当然のように、

「ほぅ、不登校か」

「ええ、当ぜ……」

「「……」」

「寮長?!」

「どうやらまだしぼられ足りなかったようだな。もう少し話をしようか」

「ひィい!?」


天罰かと言わんばかりの結果が待ち受けていた。





「じゃ、先行くから」

「お、お姉様の裏切り者ぉ~!」

こちらはこちらで平和だった。

しばらくご飯とか諸々。



……誰か書かないかなぁ。

おい、読心能力(サイコメトリー)とか卑怯だぞ。

あ、拗ねはしない。
寝ちゃうにくせにに見えた。

「ぅ~、ここでもないですね」

何軒ものアミューズメントパークをハシゴしていた月詠小萌は疲労を隠せないでいた。昼間こそ良かったが、時刻が夕方に近付くにつれ否が応でも人は増える。
聞き込みが出来る人数こそ増えてきたのはメリットにあたるが、自分の背丈がない為か奥まで見通しがきかないのはかなりマイナスだ。

「べ、別にこれくらいはハンデにならないわけですよ! 先生まだまだ元気です!」

と、奮起した瞬間、

「きゃー、可愛いー!」

「ふぇ?」

「ねぇねぇ、一人? 一人なの?」

「迷子かなぁ。よーし、お姉さんたちに任せときなさい!」

「あ、ちょ、ちょっと! 先生は迷子じゃないですよっ。ちょ、だから話を……ふやぁぁあ?!」



こうして連れて行かれた数分後に目的の人物がそこに現れることになるなど、勿論知るはずもなかった。

「……」

やはり相容れない。そう感じるのは花山本人もだった。
アミューズメント施設を何軒か周り、そこにいる浮いた存在達を探してみたがどれも不良と呼ばれる程度の人間ばかりだ。
こいつらからは自分の望むものは得られない。そう見切りをつけては移動を繰り返してきたが、こうも収穫がないとさすがに辟易してくる。
特に前日のような濃密な時間のあとなら特に、だ。勿論それを表面に出す彼ではなかったが。

「おわっ」

だが集中力が途切れていたのか誰かにぶつかってしまう。

「……」

「痛て、……すみませんっした」

それだけを告げ、相手はそそくさとその場を立ち去ろうとする。が、その肩に大きな手が添えられる。

「ぁ……あら? その、何すか? もしかして気に障ったとか?」

「……」

「だったらいくらでも謝りますんで、ここは一つ穏便に……」

そう、腰の低い態度で後ずさろうとする男。しかし花山は見逃がす様子はない。
この状況になってさすがに周りもざわめきだしていた。

「……」

ずい、と差し出される手は明らかに何かを要求するもの。あたりを囲む人垣は恐喝の現場だと判断するや他人ごとを決め込む。
穏やかではない雰囲気に少年はだんだんと焦りだす。

「あ、あのさ! 別に何も汚したりとかじゃないはずだ……ですよね!? なのにそんな、理不尽な……っ」

少年がどんなに弁明し、詫びを入れても男は動かない。空気的にいよいよか、と思われたその時、

「ちょっとあんた」

人垣の中から一人の少女が進み出る。その姿は常盤台と呼ばれるお嬢様学校の制服に身を包んでいる。

「ここは公共の場なんだから、あんまりもめ事は持ち込まないでよね」

だが纏う空気はお嬢様というには程遠い、勝ち気なものだ。

「おわ! ビリビリかよ!」

「ビリビリ言うな!」



二人は知り合いなのか、ギャーギャーと言い合いを始める。そんな中、一人沈黙していた花山が初めて口を開く。

「……それ、返してくれるか?」

「へ?」

ここにきて少年は初めて何かを誤解していた事に気づく。ふと見やれば自分のポケットのあたりに見覚えのない財布がある。

「あ。ああああ?! ち、違うっす違うっす! スリとかするつもりじゃなくて!」

何やら不幸なことにこんな事態になっていたようだが、彼に悪気はないことはわかる。
だからこそ、返すものさえ返してもらえれば何も起こらないはずだった。


そう、はずだった。



「ちょっとそこの。がっこも行かずカツアゲなんて札付きじゃんよ」

現れた新しい人影はジャージの下にダイナマイト級のスタイルを備えた一人の教員だった。

「……」

「あ、え? 何これ、どうなってんの?」

「知らないわよ!」



ますます混迷の様相を呈す場。それに拍車をかけたのは……

「お姉様! 探しまして……げっ」

「おい、人の顔を見るなり、げっ、はないだろ」

「ふん! って、あちらにいるのは……なっ」

「……」

「彼は……」

「あら黒子、知り合い?」

「知り合い、と言いますか」

歯切れも悪く見上げる巨体。見紛うことなき存在感は昨日の“敵”だ。

学園都市に死刑囚が集まってくるんだよな?

バキ「『準・範馬の血(ザ・マスター)』、あらゆる能力、前提条件を無視して直接攻撃を当てるだけの能力……要はただ殴れるだけサ」


一通「~~~~~~~~~ッッッ!!」

バキキャラにも能力があったらいいのに

           /ヽ  ,. . .-‐…‐- . .
        {_/)'⌒ヽ: : : : : : : : : 〉`: 、

        {>:´∧;;;;;/. : : : : : : : : : : : : :ヽ
      /: : : /;;;;;;Y: : : : : : : : : : : : : : : : : : .___
.   /: : : :/丁⌒: : :∧ : : /: /` }: : : : : :ハ;;;;;;}

   /: : : :/: : :{: : 八: :{:>x/| /   |:i : : :}: : : };;;∧
.  /: : :/} : : :八Y⌒jY´んハ从  从-‐ノ: : :/Y: : :.
 /: : / /: :/: : : V(.  弋ツ    心Yイ : ∧ノ: : ハ
 !: : :!//i: : : : : 个i ''''     , {ツ /彡く: ハ: : : :i
 }: : :ヽ  / : : : i: :´{入   _     /: : : ∧: i i: : : |    ジャッジメントですの!
〃. : : : ∨: : : :/l: :/⌒ヽ、  `  イ: : : :/ }: リ: : :ノ
: : :/\: : V : /ノ:/     VT爪_八: : : { 彡. : イ{
: :( /: \:} /: :/{     rv\j  { >‐=ミー=彡ヘ: ヽ
`)' ){: (  ): : :{八   /ヘJ ̄ ̄ {_/ /   \j: : 八: :}
 (  ー=ミ  彡'  ト、 / / 〔o〕     `トしヘ. _ \{ j ノ
   r=彡' ー=ァ |\{.      . -‐、‐=ァ′  ヽ  \(
   `フ   (   |   \_/  x个彳)   ∧   \
             ヽ   | _/  ∨ {\  /、ヽ     ヽ
            ヽ  ー-ヘ.    ∨j   ヽ{__>  . _}
            〉    \   \
               /       \   \
           /           \   \
            〈               j\   \
          / ー--==ニニ=く  \


今やアミューズメント施設内における人物間で何が起きるのか予想がつかない状況。そんな煮詰まった空気を破ったのはジャージ姿の教員だ。

「とにかくさ。離してやんなって言ってんじゃんよ」

すたすたと他に目をくれず花山の元へと移動する。そこには怯えや遠慮、そして余計な感情はない。
彼女のうちにあるのは、ただただ生徒に対する指導の心だけ。

「……」

それに対する花山の態度もまた堂々としたものだった。自身に非がない以上、彼が引く必要はない。
ただ真っ直ぐに相手を見据え、その手を離すことはない。

「いい度胸してんじゃんよ。さすが新入りってとこかね。まぁガタイがいいから力は有り余ってるだろうし……」

こきり、と一つ首を鳴らすと、

「少しくらいガス抜きしてやるじゃんよ」

見事な初速で彼の足を右からの蹴りが捉えた。


(まずっ……!)

その様子を見ていた黒子は思わず目を覆いたくなる。あの相手の尋常ではない固さを思い出していたからだ。
それをあんな速度で蹴り抜けば……想像しただけで痛みがぶり返すようだ。
その場にいた誰しもが少なくとも黒子ほど実感を伴わないにしろ、同じような感覚にあった。


しかし……実際に痛みを味わったのは花山の方であった。

「……?」

それは不思議な感覚だった。一瞬前までは見下ろす形だった相手の姿が今は自分と同じ高さになっている。
それが自分が膝をついたのだという事実によるものだと痛みにより気づかされた時、彼の中では一気に闘志が溢れ出さんとしていた。

「もっかいだけ言うじゃんよ。その手を離……」

言葉はそこで遮られる。花山による平手打ちが彼女の体を打ったからだ。
真横に。比喩でもなんでもなく、事実として飛んだ教師はクレーンゲームの筐体に体をぶつけ、肺の中の空気を全て吐き出す結果になる。

「……なっ」

目の前で起こった暴力というには行き過ぎた事態に思わず呆然とする少年。

「な、……ちょっと、ちょっと!!」

吹き飛んだ教員を見てその元凶につかみかからんとする少女。

そして……

(やはり、こうなりましたのね)

既に臨戦態勢に入った黒子。その三人以外はこの事態に、

『きゃぁぁああー!』

一気に逃げ惑った。

???「僕の名前を知ってるかい~?」
黒子「ジャッジメントですの!」
???「発音は正しく!」


審判小僧「ジャッジ↑メーン↓」

「っ、あ~。やっぱたまってんじゃんよ。いったぁ」

様々な反応を見せる面々よりも彼は今一番差し迫った危険を全面の女に向ける。あれだけ痛打されながらもダメージを感じさせない声。
そして衝撃でフレームから外れた筐体の防犯ガラスを持ち上げ、不敵に笑うそのたち姿。
それは彼が“仕事”の折に何度か遭遇したことのある闘士達のそれに酷似していたからだ。

「……ふっ」

その中でも稀にしか出会えぬ本物。否が応でも高ぶってくる。

「先に手出ししたのはこっちだから文句はないじゃんよ。けどそれなりに指導理由はあるから……こっからじゃん?」

どんどんと高まる熱気が沸点に到達しようかというその時。対峙する間に二人の人間が滑り込む。

「待ちなさいっての!」

「誤解だ誤解! 非があるとしたらこっちにあんだよ!」

互いに背中を合わせた格好で超能力者と無能力者が介入した。

「ほら、これだろ! 返すから、もうやめとけって!」

多少乱暴な手つきではあったが、今回の元凶になった財布を渡す少年。しかしそれを受けとる様子はなくただ前を見据えている。

「おーおー、先生庇われちゃってんじゃんよ。まいったね、どうも」

「だから違うって! つぅかこんな高そうなのが俺の財布な訳ねぇんだし!」

「そうね。間違いないわ」

「即肯定かよ、おい」

放っておけばいつまでも続けそうな二人の間を抜け、教師は近付く。

「ってか、色々誤解があったとして、だからはいやめます。なんてタマじゃないじゃんよ、こいつは」

「……」

防犯ガラスの盾を構え、

「ガス抜き、相手してやんじゃんよ」

くい、と指で相手を招く。


瞬間、鈍い破砕音と共に再び教師の体が飛んだ。

がしゃん、と大きな音が鳴り、防犯ブザーが不協和音となり店内に響く。
それでも彼女はゆっくりと起き上がってくる。


「くそ、やめろっつってんだろ!?」

その様子に耐えかねたか、少年は花山に殴りかかる。それに合わせる形でカウンターの攻撃が入りかけるが、

「全く、世話をやかせないでくださいまし」

それは黒子によって突き飛ばされることにより少し離れた場所へ回避することになる。

「どわ?!」

結果、思い切りアーケードゲームの筐体に突っ込みダメージをおうことになるが。

「……あのバカ」

「それから」

無様に転ぶ少年に呆れながらバリバリと帯電する少女に、

「お姉様も一般人なのですから無理に介入なさらないでくださいな」

彼女の身を案じ、下がるよう促す。
が、勿論今時珍しい“自分より強い奴に会いに行く”なんてゲームでも滅多に見なくなった主義の少女が退くはずもない。

「はいはい。どうせ一般人よ、私は。でもこういうのって一応私向きだと思うんだけど?」

彼女の能力の応用幅を考えれば確かに頷ける話ではある。一般的な相手であるならば、だが。

「それは……」

確かにそうだ。だが黒子は思う。きっと彼女は何か認識がズレているのではないか、と。
仮に彼女が相手を倒すではなく、相手を殺すつもりで最初から全力ならば何ら心配はしない。
だがもし彼女がただ相手を征するだけの、格下を相手にするつもりな戦い方をするならば……。
昨日の自分を思い出し、黒子を嫌な予感が駆け巡る。

「ま、お気に入りのゲーセンをこれ以上荒らされても困るし、ね。せー、っの!」

決めたが瞬間、彼女は花山に向けて走る。その両手に大の大人が一撃で沈むほどの電流を生みながら。

普段ならばその様子に完全な信頼を持って見ていられるのに、今回ばかりは何故かそうあれない。
何か……何かが引っかかる。そう、昨夜だ。
自分が彼と相対する前に……

「っ、いけませんわ! お姉様、力を出し惜しみしないでください!」

思い出す。男は違法改造を施したスタンガンに顔色一つ変えなかったのだ。

バチン!
それは改造スタンガンなどでは到底出せぬだろう光量と火花と音をあげた一撃だった。

(ヤバっ……)

撃った本人ですからやりすぎたと感じる電力量。直前の一言のせいでかなりリミッターを外してしまった。
ほぼ雷と同等の一撃を加えたせいで恐らくは心臓を始めとするかなりの器官に負担がいっただろう。

「だいじょ……」

思わず声をかけようとした時、彼女の無意識下で放っている電磁センサーが高速で打ち込まれる打撃を感知する。

「っ?!」

緊急防御として寄せ集めた鉄の盾は、しかし打撃を止めることは出来ずにいる。
当たれば致命傷になるであろう一撃に、思わず目を瞑る。

「お姉様!」

その危機に当然のように黒子は飛び込むが、それより早く、

「ンなろー!!」

少年が彼女を抱えて横へと飛びさる。

「なっ!」

おい、何どさくさに紛れて好感度上げくさってやがるこの類人猿、と言いかけた台詞を引っ込め、

「そのままお姉様を連れて離れてくださいませ!」

そのまま指示を飛ばす。
わずかに迷った様子を見せるが、何かに気付いたのか一度下がってくれる。
それを確認し、改めて男の側を確認する。



寄せ集めとは言え鉄くずを集めた盾を殴った拳は痛々しい赤色に染まり、白のスーツは焦げつき煙と臭いをあげている。
それでも大地に踏ん張った四肢はいささかも力が抜けておらず、立ち上る覇気はより強まっている。

(化け物、ですわね)

ガーターに備えた鉄矢を、今回ばかりは傷つけてでも抑える覚悟で触れる。
向こうもそれを察してかこちらに意識を向ける。その瞬間、



「隙ありじゃんよ!」

防犯ブザーのけたたましい音と共にゲームの筐体が飛んできた。

花山さんリンチなんてかわいそう





スーパー独歩ちゃんに救援を要請する

規制解除されないかな。


保守

合わせて行動、というよりは利用されたというべきか。しかしこちらの腕章を見て判断されたようにこちらも身のこなしから向こうがアンチスキルなのだと理解する。
それもかなりのやり手だ。あの怪物を止めるには確実に力を借りるべきだ。
素早く判断を下すと花山への攻撃に合わせるように“飛ぶ”。
鉄矢を飛ばし、回避の一歩を踏み出せないよう足の周りに配置する。非番ではあるが数はそれなりにある。
できるなら傷はつけたくないという思いと、その余裕からの判断だった。


しかし、巨大な凶器に対して避けるなどという選択肢のない男が相手だった。
電流に蝕まれた体力から崩れそうになる姿勢を無理矢理に維持し、受け止める。
殺しきれない衝撃が彼を襲うが、鉄矢が支えとなり耐えきる。

「そんな……!」

「甘いじゃんよ!」

驚きを隠せない黒子に対し、女教師は二の撃に入っている。
受け止めた筐体の陰。潜りこむように沈めた姿勢から新たな防犯ガラスで薙払う。
割れないそれは鈍い衝撃となり倒れることも動くことも難しい彼の体を打ちのめす。

しえん
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「っ……!」

ここまでの立て続けのダメージに、声こそもらさないが身体の危険な域にあることは想像に難くない。
それでも倒れることなく受け止めていた筐体を振り下ろす。
勿論それをまともに受ける相手ではなかったが、

「浮い……っ!?」

足元の不自由さをほぼ溜めなしからのジャンプより胴回し回転蹴りを放ったのだ。
この巨大から鈍重だとどこかで決め付けていた彼女は、それを受けることになる。

「―――!」

衝撃から体を突き抜けた時には彼女の意識は吹き飛びかけている。
壁にノーバウンドでぶち当たり、崩れたところに花山の容赦ない追撃が向かう。が、勿論それをただ見ている訳にはいかないのが黒子だった。

「女を殴る趣味はないのでは?」

現れた瞬間、牽制の意味を込めて鉄矢を“飛ば”さず放る。

「……蹴っただけだ」

それをものともせず突っ込もうとする花山の足に痛みが走り足が止まる。
靴を突き破る形でそこに鉄矢が刺さっていた。

「もはや手を抜ける段階ではありませんので悪しからず」

「……」

止まった隙にアンチスキルらしき人物の元へ走り寄り意識を確認する。

>>430 かっけぇ。……かっけぇ。




黄泉川「死んでないじゃんよ」

「っ……、ぁ」

辛うじて意識は留めているが、ダメージは深刻だろう。出来るならば戦線には戻したくはないが、

……カラン

(無茶苦茶ですわ)

深く刺したはずの鉄矢をあっさりと指の力で引き抜いてしまう。あれだけの攻勢を受けて彼にはまだ底知れぬ何かがある。

「申し訳ありませんがまだ働いてもらあますわ」

普段、自分が使用しているきつけ薬を教師の口に含ませる。

(本来はお姉様とのお楽しみの際に使う予定でしたのよ。感謝していただかないと)

決定打に成り得る戦力の復活に賭けて、彼女は時間稼ぎの作戦に出る。




時間は少し遡る。
少年と少女は勿論逃げてなどいなかった。

「い、ったた」

少女は少年に抱きかかえられ横へと飛んだ際に二人して強く地面に叩きつけられていた。
そこから起き上がりすぐにでも戦線に復帰する予定だったのだが……。

「あー、重たいんでどいてくれると非常にありがたいんだが」

「なっ?! お、重たくないわよ! ていうかどこ触ってんのよ!」

「どこも触ってねぇだろ! つぅか重たいって!」

「うっさい、ばか!」

「のわっ?! だから待てって!」

「きゃっ?! また変なとこ触った!!」

「触ってねぇって! いいから早くその重たい体を」

「重くない!!」




一生やってろ。

初めて会った時。あれをカウントするならば既に三度目になる立ち会い。
それも徐々に血腥くなる一途を辿ったそれ。初めは戦術では圧倒。二度目はこちらの負け。では三度目ともなれば……。


花山は理解していた。彼はテレポートの原理は分からないが、その目はその瞬間以外をほとんど捉えていたからだ。
まず、飛ばすには重量の制限がある。少なくとも自分を体術以外で転がせない、または飛ばせない。
それだけでなく筐体を飛ばすことや、飛んできたそれを返したりはしていない。つまりは何らかの限界値が存在するのだ。
次にあの矢は触れた瞬間から“飛ぶ”。そして着弾点を決めてそこに対象がいれば相手の強度を問答無用にし攻撃が成立するのだ。
だが、それだけだ。あらかじめ着弾点を決める分、それを読み体を外してやれば当たりはしない。
先程の足に刺されたそれも牽制の投擲があって行動制御された結果だろう。
だから答えは簡単な事で、出来る限り矢に触れる瞬間を見逃さず先読みして常に動き回ればいい。
そう結論付け、花山は攻勢に出ていた。

(まずいですの……。このままでは)

相手がこれ程の短期間で自分の能力を理解したとしか思えない動きを見せている。もはや自分だけでは彼を止められなくなっているのだ。

「……、げほっ!」

身体の中から感じる熱で彼女の意識は完全に戻った。ただのガス抜きにしては随分としてやられたと思う。
ただ、あの子が求めていたのは恐らくこういった事。本当ならばそれがこんなにも愚かだと軽く制裁を加えて教えるつもりだった。
しかし相手が想像の何倍にも強くありすぎた為にこんなことになっている。無様でしかない。
思わずもらした失笑ですら身体が痛みを感じている。どうやら相当なダメージがあるようだ。
だが、動けない訳ではない。見ればジャッジメントの少女はだんだんと押されている。

「……まいったじゃんよ。動かなきゃいけなくなっちまうじゃん」

軋む身体に鞭打ち、一人の教師が戦場に戻る。

本当は完全にプロレスな受けさせる予定だったけど理由は後述な予定。

「……ようやくかい」

「!」

その声に振り向けばアンチスキルの彼女が再びどこからか剥ぎ取った防犯ガラスを構えている。

「待っててくれたって? 紳士じゃんよ」

「あんたから売られた喧嘩(ゴロ)だからな」

「なっ……」

ここにきて黒子は気付く。彼は最初から自分を相手にしていなかった。
そう、彼が見ていたのは今起き上がってきた彼女であり、そして反撃してみせた相手ばかり。
自分へは攻撃があったかと言われれば、形ばかりで……。

(……屈辱、ですの)

だが既に実力差を見せつけられた事は確かだ。もし彼が本気で自分と相対していたのなら。そう考えると寒気が走る。

一瞬の静寂。そして次の瞬間飛び出す両者。
体格が劣る分、初速で勝った女教師は構えた盾を前に突き出す形でチャージ。
成人であれ女性では出せぬであろう衝撃で真正面からぶち当たった。

(手応えはあり)

でも、と呟く。

(冗談きついじゃんよ)

上から迫る巨人の鉄槌はいささかも褪せていない。
なりふり構わなかった一撃の後だ。防御など考えていなかった為、死んだっておかしくない。

(ま、でも全力出しての結果だから仕方ないじゃんよ)

ふ、と目を瞑り来るべき時に備えた。




だがいつまでも訪れぬその時にふと目を開ければ……。

禁書のキャラはラノベ的にはそこまで強くないからバキレベルでも渡り合えそうなのがちらほら

そういえばレベル5っていま一方さんと美琴たん以外でたの?能力とかだけでも

>>545
第1位 一方通行(アクセラレータ)本名不明
第2位 未元物質(ダークマター)垣根帝督
第3位 超電磁砲(レールガン)御坂見美琴
第4位 原子崩し(メルトダウナー)麦野沈利
第5位
第6位
第7位 念動砲弾(アタッククラッシュ)削板軍覇

順位不明 心理掌握(メンタルアウト)本名不明

御坂美琴だななんだよ御坂見美琴ってこれだからもしもしの変換は…

第1位 一方通行(アクセラレータ)本名不明
第2位 未元物質(ダークマター)垣根帝督
第3位 超電磁砲(レールガン)御坂見美琴
第4位 原子崩し(メルトダウナー)麦野沈利
第5位 花札千切り(トランプクラッシャー)花山薫
第6位
第7位 念動砲弾(アタッククラッシュ)削板軍覇

順位不明 心理掌握(メンタルアウト)本名不明

>>554
心理掌握は5位と明記されてたような

>>560だっけ?まぁ最近読んでないからそっちのが正しいかな

禁書キャラはあくまでファンタジーじゃなく現実に近い世界観だからラノベ的にはチートクラスはいないんだよな、まぁそれがいいんだけども

別にチートクラスが出るのが悪いわけじゃないがな

>>561
ラノベ的チート能力ってどういうの?

ラノベはラブコメメインのしか買わないから
あからさまにチート能力ってイマイチ思い浮かばないんだが

>>563最近読んだのは林トモアキの戦闘城塞マスラヲのラスボス、ロソ・ノアレがチートだった

ピクル編は随分長いギャグパートだよな

幻想組手(リアルシャドー)

下痢してた。今日もこんな時間からですまんこ。

男は初日の帰りに何人かからの誘いを受けていたがどれも断っていた。彼にとってその日は大事な買い物がある日なのだ。
第六と第七の境にほど近い、少々高い物件の中にそれはある。

「来たか。今日もいつものでいいかな?」

本来そこはとある印刷企業系のオフィスとして登録されていたはずだ。
しかし、実際には高級な雰囲気漂うアンティークに彩られた立派な『店』だ。勿論裏向きのではあるが。

「……」

多少値は増すがどうやら前のような場所ではなく、きっちりと商売として成り立たせているのだろう。安定して向こうからは品が提供されてくる。
これでも金というものは生活する以上の分で多少荒く使ったところで問題ないほどにはある。よって、ここは彼にとってはお気に入りの一つとなっていた。ただ一つの点を覗いて。

「しかし君もなかなかにカタギの側ではないようだが……」

酒を紙袋に詰めきれないほどに入れながら、彼は切り出す。

「他に何か入り用じゃないかね? 例えばそこにあるような最新の武器や、生きのいい娘も、」

そんな言葉を最後まで聞くことなく、彼は袋を受け取り、去っていく。

「ああ……全く。私は君ともっとより良い付き合いがしたいつもりだ。いつでも注文は待っているよ」

オフィス街の裏を抜けながら彼は考える。“悪”がいけないとは思わない。自分も社会から見れば立派な悪だ。
いや、悪に立派も糞もないだろう。それはどんな世界の、どんな場所にだってある。
それでも義がない悪は受け入れがたい。そう感じてしまう。
例えばそう、この街に救う闇とはその類だ。人間味をひどく欠いた、そんな腐敗臭が立ち込める。
今通うあの場所もその一端を覗かせるが、しかしそれ以上の何かがある。
その“何か”が花山にとっては踏み込まずにいたい一線を引かせる原因だった。
かちゃり、と音を立てる袋から一本のワイルドターキーを取り出し片手にて空けると、一気に飲み干す。
何故かお気に入りの一本が、何故か昼間に食べた弁当よりも味気なく感じた。

そんな道中、湿った路地裏から後少しといったところで見覚えのある後ろ姿を見つける。
土御門、といったか。金髪にサングラス。後ろからは見えないがきっとはだけた学生服は下にアロハシャツを着ているからだろう。
あの目立つ出で立ち故に見間違いということはないはずだが、確か帰りにはどこかへ寄ると言っていたはず。
そうこう考えている間に彼はキャンピングカーに乗り込んでいく。

「……」

その奥にチラリと白い影が見えたような気がするが、それはすぐにどこかへ走り去っていく。
気にしても仕方ない。そう結論付けだ彼は日の当たる場所へと出ていくのだった。

そんな彼とは対象的に、この街の闇であり、底辺にして地獄へ向かうキャンピングカーの中では四人の人間が揃っていた。
そこには仲のよいなんて言葉とは正反対な、ピリピリとした空気が漂う。

「しっかしにゃー。あの話がマジもんだったとは意外ぜよ」

「おや。この重たい空気を打開する素晴らしいお話ですか」

「いいから黙ってろ。馴れ合いなんて要らねェんだよ」

「同感ね。いいから仕事の話に入りなさいよ」

ギスギスとした空気は更に物理的に重みを持とうとしていたが、

「ま、聞いとけ。意外と無駄にはならんはずだ」

金髪の少年が笑いをひいたあたりで全員が彼の方を見すえる。

「裏で新しい動きがあった。『素材』ってコード名で、今あるものが集められている」

彼は一枚の紙切れを取り出し、優男に放る。

「……このリストは?」

そこに見覚えがないのか順にその場にいる面々に回していく。

「そこにいる人間は全部無能力者《レベル0》扱いだ。というより能力開発がまだってところか」

「それがどうかしたってかァ?」

「ああ、こいつらは能力なんて使わずにレベル4以上と渡り合える人間だそうだ」

その言葉に全員が動きを止める。

「冗談。なんの為の能力開発よ」

まさにこの学園の存在意義に真っ向から挑むような情報に、さすがに反論が出る。

「だが事実だ」

「しかし全くの予備知識すらなく、強能力を圧倒すると言われても想像がつきません」

車内には今違う意味で空気が重みを持ち始める。

「勿論、圧倒するとは言ってない。寧ろ大部分の場合は負けるだろうな」

「でしたら、」

「だが、勝てる可能性も十分秘めている。そこがミソだ」

例えば、と彼は言う。

「身体能力が人間の限界値を遥かに越えていたり、積み重ねた経験による先読みにもにた勘、そして常人にない何か」

「……それらはまるで」

「そう、『原石』に成り得る『素材』だ」

そして一同が改めてリストに注目する。

「勿論眉唾だろうと高をくくってたんだが……まぁ、出会っちまったんだよ。『素材』にな」

そうして彼が睨むように見つめる名前の欄には【花山薫】のそれが記されていた。

なんかおかしいと思ったら強能力って書いてたね。
正解は大能力でした。
ビチ糞下痢野郎ですません。

表通りを何気なく歩いても、往来を無頼が闊歩しているようにしか見えない。
道行く人は皆、彼に道を空ける。

当の本人としては威嚇しているつもりはないのだが、ある意味「恵まれた体躯」が周囲にそう認識させる。
野生のライオンが満腹で歩いていても、捕食される側の動物が逃げ出すのと同じことだ。
彼は「捕食する側の宿命」と割り切っているのだが、先程の味気ないワイルドターキーが
何故だか今日はやたらにその「捕食する側の孤独」を刺激する。

「……」

もしかしたら「能力者」も同じ孤独を抱えるのだろうか?
何故だかふと、あの黒子という少女の顔が過ぎった。
そう、彼女もまた同じ「捕食する側」なのだから。

突如、彼の四肢を鉄矢が貫く。
そして目の前に現れたのは思い起こしていた少女。
今にも泣きそうな顔で彼に告ぐ。

「……ジャッジメント……ですの……」

更に彼の身体に無数の鉄矢が突き刺さる。
動きを封じるという目的にしては執拗。
それ以上の何かを込められているかのような鉄矢の雨。
初撃で四肢にダメージを受けているとはいえ、半分は回避
迎撃できたであろうその豪雨を花山薫は受け止め、崩れなかった。
表情一つ変えずに少女に告ぐ。

「随分なことしてくれるじゃねぇか……気に入ってたスーツが台無しだ」

「……その怪我では再起不能ですの……貴方はこのまま学園都市を去って下さいませ」

その双眸から流れる涙。悔しそうな口唇。震える肩。

「お嬢さん……オレのスーツを汚さなきゃならなかった理由……聞かせてくれないか?」

声を荒げることもなく彼は続け、少女を見据える。
その姿は人の心を確かに打つものだった。
理由の「誤魔化し」など彼には通用しない。

「それは……それはこのスレももう終わりに近づいているからですわ!」
「貴方がここを去れば話は終わる!こうするしかなかった!」
「でも…私は悔しくて堪りませんの!この書き手、なかなかうまく書いていますわ!」
「できれば続けて欲しい!でもっ……!」

堰を切った少女の感情の吐露。
幼さの残るその美しい顔を涙でクシャクシャに歪ませ、嗚咽する。

「見てらんねぇな……続けて欲しいんなら……信じろ」

彼は左上腕に突き刺さった鉄矢を力任せに引き抜くと、その鉄矢で一気にコンクリートの壁を削った。
そこに刻まれし文字は「保守」の二文字。

これぞ真の侠、花山薫であるッ!

花山・黒子「「保守ッ!」」

一応このスレでの話はもうちょいで終わらせるつもりだったり。
やっぱり黒子と花山さんでピシッと終わりたいなぁとか。
次スレとか話出てるんで意識してるつもりはないけどとりあえず。
あ、はい。すみません。下痢はさっさと文章書いてます。

がんばれ
期待してるよー

「初春、どしたの?」

「ふぇ? あ、えぇと。……何でもないです」

「それが何でもない奴の顔~? うりうり、話してみんしゃい」

「ひゃふ?! ひゃへへくらはひ~!」

そんな仲むつまじい会話を繰り広げる少女達がいる。片や風紀委員の腕章を付ける以外はどこにでもいるような、だ。
一通りふざけあい、最近話題のジェラードをぱくつきながら、改めて髪の長い少女が尋ねる。

「で、マジでどうしたのよ。何か悩み事?」

「うぅ。悩み事といいますか……白井さんが、ちょっと」

「白井さんがどうかしたの?」

「なんだか最近、らしくないといいますか、無理してるような気がして」

「なるほど。それで心配になって初春まで不調な訳か」

「お恥ずかしながら……」

「ふぅむ。心当たりは?」

「そうですね……なんだか自分の能力が足りてないとかもっと伸ばさなきゃ、みたいな感じがしますかね」

「うげ。そんなの言われたら私達はどうすりゃいいのよ」

「あ、あはは」

彼女が自分の能力の低さにコンプレックスを抱いていることを知るだけに冗談でも笑いにくい。だが、

「でもさ。無理して能力上げるよりも大事なものがあるってこと、思い出してもらうのがいいかもね」

ね? と、その大事なものに笑いかける彼女は良い方向に変わったと思う。

「そう、ですかね」

「そうよ、そう。だから初春も初春で一人で考えこまずに単刀直入に行かなきゃ」

「……はい! ありがとうございます!」

「という訳で相談料はいただきね」

「あぁ! それは私の分の……!」

plll...

「ふや、あ、はい」

そんな和気藹々とした雰囲気が一緒にして変わる。

「はい、はい。……すぐに」

片手で謝る形を作って席を立つ。慣れたもので相方の彼女はいってらっしゃいと声をかける。
早足で店から出て、向かう場所は現場ではなく風紀委員の詰め所だ。
連絡によればすでに現場に黒子が向かったと聞いていたが、しかし……

「(でも、大丈夫でしょうか)」

いつもなら当たり前のこの形がひどく不安に感じる。

「(確かここしばらく……)」

ずっと休んでいないはずだ。あれだけ微細な制御が必要な能力、果たして影響がないのだろうか。
とはいえ考えても仕方ない。自分にできるだろう、サポートするだけだ。
そう心に決めて、足を進める。




しかし彼女のその心配は現実になってしまおうとは誰が知ろうか。

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