半沢直樹(小学生)「ひゃくまんばい返しだ!!!」 (99)

 
近藤「うえぇぇえぇぇ……」 シクシク

半沢「おい! どうしたんだよ近藤!」

近藤「う、うえぇぇ……」 シクシク

半沢「泣いてちゃ分かんないじゃないか!」

近藤「ボール……」

半沢「え?」

近藤「ボール取られた……」

半沢「ボール取られた?  誰に?」

近藤「小6のお兄ちゃんたち……」

半沢「っ! あいつらめ……! 行こう!」

近藤「えっ……どこに?」

半沢「小6の教室だよ!! あいつらに文句言って取り返すんだ!!」

近藤「えぇ──z___ ッ!? 無理だよぅ! 怖いよぅ!!」

半沢「いいから来い!」

近藤「あぁ~~~……」 ズル…ズル…

 
───

 小6の教室の前

「それでよ、その時のあいつったら……」
「マジかよw」
「ぎゃはははははwwww」

半沢「あいつらだな!」

近藤「こ、怖いよぅ! やめようよぉ!」

半沢「いい加減覚悟決めろ!」

近藤「だ、だ、だってあいつら体大きいんだよ!」

半沢「フッ……ケンカは体の大きさで決まるわけじゃない」

近藤「えぇ……?」

半沢「行くぞ!」

 ガラッ

半沢「1年1組、半沢直樹!! 失礼します!」

「あぁ?」
「何だ? 1年?」
「1年坊主が何の用だ」

近藤役の人顔歪んでね?

 
半沢「こいつのボールを返してください!」

近藤「……」

小木曽「ボールっていうのは……」

小木曽「これかな?」 スッ

近藤「あ! ぼくのボール!」

小木曽「………」

半沢「ほら、ちゃんと言わないと」

近藤「あ、え、えっと……僕のボールを返してください!」 ペコリ

小木曽「………」 机バン!!

近藤「ひっ!?」 ビクッ

小木曽「このボールだけどねぇ……」

近藤「え、へ?……」

小木曽「本当に君のものなの?」

近藤「え……?」
 

 
小木曽「このボールが、君のものだって証拠があるのかな?」

近藤「え? え?」 オロオロ

小木曽「証拠っつってんだよ!」 バン! バン!

近藤「ひっ、ひぃ……」

小木曽「証拠も無くさぁ!! 人を盗人呼ばわりかい!!」 バン! バン!

近藤「うっ…うぅぅぅぅ……」 ポロ…

小木曽「このボールがぁ! 君のものだっていう!! 証拠を! 出せよ!!」 バン! バン!

近藤「ふぅぅ、うええぇぇぇえぇ……」 ポロ…ポロ…

小木曽「バン! バン! バン! バン!」

近藤「─────」

 ボタッ ボタッ ボタッ


半沢「ちょっと待ってください!!!」


小木曽「何だね」 バン! バン! バン! バン!

半沢「証拠ならあります!」

近藤「ボールとられた…」

古美門「知ったことではありませぇえええん!!!」

 
小木曽「証拠ぉ? 証拠なんてどこにある!」 バン! バン! バン!

半沢「まずそのパーカッションを止めろォ!!ギョロ眼鏡が!!!」

小木曽「ッ!!!」

半沢「フッ……齢(よわい)二桁にもなって、希望とランドセルを背負ったばかりの1年生をイビり倒すとは」

半沢「それが上級生のやることか!!!」

小木曽「なァ~~にィ~~~?」

小木曽「貴様ァ! 言わせておけば!!」 バン! バン!

小木曽「いいだろう!! その証拠って奴を出してみろ!!」 バン! バン!

 
小木曽「ただし!! もしも納得のいかない証拠だったら!!」

小木曽「しっぺ!!」

近藤「ビクッ」

小木曽「デコピン!!」

近藤「ビクッ」

小木曽「ババチョップ!!!」

近藤「ビクッ」

小木曽「全て喰らわせてやる!!」

近藤「……」 ガタガタガタガタ…
 

 
半沢「………」

小木曽「どォ───なんだ半沢ァ!!!」



半沢「………いいだろう」



近藤「っ!?」

小木曽「なっ……」

半沢「しっぺだろうがデコピンだろうがババチョップだろうが」

半沢「カンチョーだろうが次の電柱までランドセル運びだろうが」

半沢「何だってするがいい!!」

小木曽「ぐっ……」 
 

 
半沢「だが、それだけ大見得切ったのなら……」

半沢「小木曽先輩……アンタにも相応の責めを負ってもらう!!」

小木曽「っ……」

半沢「6歳児が考え付く限りの屈辱を……味わわせてやる!!」

小木曽「っ、ぐ、……」

小木曽「証拠だァ!!!」 バン!バン!バン!バン!

小木曽「証拠を出せェ! 半沢ァ!」バン!バン!バン!バン!

半沢「……証拠なら、今、まさにあなたが持っているボールです」

小木曽「な、何っ!?」

半沢「ほらボール貸してみろ!!」 バッ

小木曽「あっ……」

半沢「ほら、そのギョロ目見開いて良く見ろォ!!」

「  半  」

半沢「僕のサインがちゃぁぁぁぁんと書いてあるでしょうがあぁぁぁ!!」

小木曽「な、なぁぁぁあぁっ!!?」

 
近藤「えっ……」

近藤(お、おかしいな……ぼ、僕はあんなの書いた覚えがないんだけど……)

小木曽(ば、バカなっ……!? た、確かに何度も確認したはず……)

半沢「おやァ~~~? ずいぶん顔色がよろしくないようだが?」

小木曽「ぐっ……」

半沢「さっきまで元気にバンバンやってましたよねぇ!? こうやってぇ!」

半沢「バン!バン!バン!」 ←ズボン叩いてる

半沢「ほらぁ! さっきの威勢はどうしたんだ小木曽ォ!」

小木曽「う、ぐ……」

半沢「……これで、証拠は出しました。 このボールは僕が近藤にあげたものです。」

半沢「そして、間違いなくあなたのものではない」

小木曽「……」 ガク…

半沢「あなたへの罰は、後日くつばこにてがみを入れて書面にて送付します。 お楽しみに」

小木曽「う、うぅぅぅ……」
 

 
半沢「さ、行くぞ近藤」

近藤「う、うん!」 キラキラキラ

近藤(やっぱ直樹くんってすごいや!)

小木曽(おかしい……確かにサインなんて無かった……無かったはずなんだ……!) バン! バン!

小木曽「……ハッ」

小木曽「待てェェェい 半沢ァ!!」 バァン!

近藤「ビクッ」

半沢「……」

小木曽「貴様、そのボール見せてみろぉ!」 バッ

近藤「あっ!」

小木曽「……やはり、やはりだ!」

 キュッ

小木曽「これを見ろォ!」

近藤「ああっ!?」

近藤「は、半の字がちょっとにじんでる!?」

 
半沢「……」

小木曽「ククク……これは水性ペンで書かれたサインだ……」

半沢「……だから何だ? 書くペンの種類まで決められているのかぁ? 机バンバン星では」

小木曽「黙れっ!」 ガシッ

半沢「!」

近藤(!? は、半沢の腕をつかんだ!?)

小木曽「ようやく読めたぞ……このボールには元々サインは書かれていなかった……」

小木曽「しかし貴様は、あらかじめ自分の手の平に水性ペンで『半』の字を書いていたんだ!」

小木曽「そして私からボールを奪った瞬間、それをボールに押し付けた!」

近藤「!!」

小木曽「スタンプの要領で『半』の字をボールにプリントしたんだ!!」

近藤「!!!」

半沢「……」

小木曽「……このまま貴様に立ち去られていたら……私の敗北だったな……」

半沢「……」

 
小木曽「しかし、今、貴様の手は抑えた……!!」

小木曽「残念だったなぁ!! 不正は無効だ!!」

小木曽「お前は終わりだ半沢ァ!!」

くるっ

小木曽「……え……」

近藤「な、何も書かれてないよ!」

半沢「やれやれ……何を言い出すかと思えば……」

小木曽「そ、そん、ば、バカ、な……」 ガクガクガク

半沢「ふっ……言いがかりも甚だしい……」

半沢「『納得するような証拠を持って来い』……貴方が言い出したことだ」

小木曽「っ、が、ぐ、ぁ……」 ブルブル

半沢「ふっ……行くぞ、近藤」

近藤「う、うん……!」

 ガラララ…

     パタン。

 
小木曽「……」

小木曽「……」フラ… ドサ

小木曽(馬鹿な……何故…… なぜ……)

小木曽(奴がハンカチやティッシュを取り出すような素振りは無かった……なのに……どうやって……)


 ──半沢『おやァ~~~? ずいぶん顔色がよろしくないようだが?』


小木曽「……」


 ──半沢『さっきまで元気にバンバンやってましたよねぇ!? こうやってぇ!』


小木曽「……」


 ──半沢『バン!バン!バン!』


小木曽(……ズボンをはたいて……)

小木曽「あ」

小木曽「ああぁぁあぁぁぁあぁぁああああ!!!!!」

 

<ああぁぁああぁ!!!


近藤「ビクッ」

近藤「な、何か、すごい声が聞こえたけど……」

半沢「ほっとけ。 糾弾と離婚はタイミング命。はずせば泥沼ってな。」

近藤(時々直樹くんの言うことが分からない……)

半沢「思ったより時間を食ったな。 そろそろせいかつ科が始まる頃だ。教室に戻ろう」

近藤「うん!」

 

───



浅野「ほう……そして、1年生にいいようにやられてしまった、ということですか」

小木曽「……う、うぅ……」

 
浅野「そして、その半沢という1年に課せられた罰とは?」

小木曽「………」

小木曽「……」 ぶわっ

小木曽「ひぐっ、うぐ、うぐうぅぅぅううぅぅう」 ボロ…ボロ…

浅野「……」

小木曽「あ、あいつ……あいづぅ……」

───

半沢「さて、コレを持ってきました」

小木曽「あ! あぁぁぁあぁ!! それはぁ!」

半沢「あなたの靴箱から拝借した、泥団子です」

半沢「ふむ……良く練り上げられ、磨かれている……相当な手間暇をかけたものだ」

小木曽「そ、それは……それは4年生のときからずっと……」

小木曽「ずっと細かい粒の泥と、軽石を削った粉を塗り重ねて、ティッシュで磨いて作った……」

小木曽「ほ、他のどの泥団子にも負けない最高の……」

半沢「ふむ……」

 
半沢「つまりあなたにとっての宝物、というわけだ」

小木曽「そ、そうだ」

半沢「あ?」

小木曽「そ、そうです……」

半沢「ではこれを……」

 スッ

小木曽「そ、それは……書道用の文鎮!?」

半沢「さーて」 スッ

小木曽「そ、それだけはぁぁぁ……!!!!」

半沢「……」 ピタ…

小木曽「あ、あ、あぁ……」 プルプル

半沢「やめてほしいですか?」

小木曽「は、はい!!」
 

 
半沢「それほど大事なものなんですか?」

小木曽「そ、そりゃもう……2年分の昼休みを費やして作った……」

半沢「2年間も……がんばりましたね」

小木曽「は、はい! 女子からキモがられても、先生に捨てられそうになっても守って……」

半沢「なるほど、宝物なんですね」

小木曽「は、はい! 宝物です! 僕の魂です!!」

半沢「なるほど、魂ですか」

小木曽「魂です!」

半沢「宝物ですか?」

小木曽「宝物です!」

半沢「命ですか?」

小木曽「命です!!!」

半沢「はいドーーンwwwwww」 グシャッ

小木曽「あ゙ああ゙ああ゙ああ゙あああ゙ああ゙あ゙あ゙あああ!!!」
 
小木曽「ああ゙ああ゙あ゙あぁぁ゙ぁあ゙ああ゙あ゙ぁああ゙あ゙ああ!!!!」

 
半沢「あららら、結構頑丈ですね~ 1割ぐらいしか壊れなかったですよw」

小木曽「ハヒュー ハヒュー ハヒュー ポヒィ」

半沢「………」

小木曽「………」

半沢「………」

小木曽「………」

半沢「小木曽先輩のマネーwww」 バン! バン! バン! バン!

 グシャッ グシャッ グシャッ グシャッ

小木曽「あ゙ぁぁ゙あ゙あ゙あぁあ゙あぁ゙あ゙あ゙あ!!!!」

───

小木曽「……」 ボロ… ボロ…

浅野「そんなひどいことが……」

小木曽「はいぃ……僕の……僕のシャルロッテが……」 ポロ…ポロ…

浅野「シャ…… むごいことを」

小木曽「はい……」 ポロ…ポロ…

 
浅野「とにかく……」

 スッ(カーテン)

浅野「1年生をのさばらせておくわけにはいかないな」



近藤「はい! 半沢くんターッチ!」

半沢「む? 君が僕にタッチしたのはいつのことかな? 何時何分何秒? 書面で提出してくれるかな?」

近藤「ずーるーいー」



浅野「ふっ……今は元気にさえずらせておきましょう」

浅野「今は、ね……ククク……」

小木曽「シャルロッテ……」

浅野「……」


  第一話 

     完

おやすみ
第二話はまた今夜スレ立てる

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