淡「サキなんて大嫌い!」 (48)

立つかな

白糸台高校 麻雀部部室


淡「おはよ~」ガチャッ

咲「あ、淡ちゃんおはよう」

淡(…!!やった!!サキと2人きり!!)

淡(掃除当番さぼって部室に直行した甲斐があったよ!!)

咲「…」パラッ

淡(ああ…本に目を向ける物憂げな視線がたまんない)

淡(傾いた首からうなじにかけてのラインとか色っぽすぎるでしょ!!)

淡(そしてこの仄かに香るサキお気に入りのシャンプーの香り…)

淡(思い切りprprhshsしたいよぅ…)

咲「?淡ちゃん?」

淡(って見とれてる場合じゃなかった!!)

淡(ここは爽やかに挨拶を返してサキの好感度を上げないと!!)


淡「部活中に本なんて読んでずいぶんと余裕だね、サキ」

ん?

淡「転校したてのくせにちょっと態度でかいんじゃない?」

え?

淡「いくらテルーの推薦でこの白糸台麻雀部に入れたからって、特別扱いはしないんだからね」

あれ?

淡「だいたいウチのIH三連覇を阻止しておいて、のこのこと転入してくるなんて…」

おい

淡「神経図太いにも程があるよね」

ちょおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉおぉぉおぉおおぉぉぉぉおおぉ!!!!? 

何言ってんの私はああああああああああああああ!!!!!

ちょっと待ってちょっと待って!? 私そんなことこれっぽっちも、欠片ほども思ってないよ!!

私がどれだけサキを好きか教えてあげようか !? 

そりゃもう人に言えないようなことばっか考えてるよ性的な意味で!!

咲「…ごめんね、淡ちゃん」

わあああああああああああああああああん!!

何でサキが謝ってんのよおおおおおおおおおお!!

そんな悲しげな顔しないで!!

ってそんな表情させたのはこの私なんだけど!!

sageてるのか
支援

ふぅ~むなるほどなるほどなるほど~

淡「へえ~、謝るってことは自覚があるんだね、自分の性格の悪さに」

だ・か・らっ!!

私の、この、おバカな、口は!!

思ってもいないことを、ペラペラペラペラとぉぉぉぉぉぉ!!


咲「私が入ってきたばっかりに不快な思いさせちゃってごめんね…」

咲「…でも、私これからここで大好きな麻雀をやっていきたいんだ」

咲「だから、これからよろしくお願いします」ぺっこりん


まっすぐな瞳で健気に頭をさげるサキ

あああああああああああ可愛いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!

私は自分の置かれた状況も忘れて心中でのたうち回った

だって!サキが!私を見て!『(麻雀が)大好き』って!『(麻雀が)大好き』ってっ!!

主語なんていっそどうでもいい

大事なのはサキが恋煩いをしているような切なげな表情で、私の目を見て

(麻雀が)大好きと、告白(圧倒的勘違い)してきてくれたということ!!

有頂天。今の私を一言で表すならまさにそれだ

どうかこの言葉をかけられただけで天にも昇る気持ちになる私の愛がサキに届けばいい

そしたら私がさっき言った照れ隠しの言葉は真っ赤な嘘だって一目瞭然なのに

サキのいない所でなら好き愛してる結婚しよう舐めさせて匂い嗅がせて揉ませてと声が嗄れるまで言えるのに

天邪鬼な私はサキを前にすると真反対のことしか出てこない

サキには笑っていてほしいのに、私はサキを悲しませることしかできないんだ

大好き、大好き、大好き、大好き

そんな安っぽい言葉じゃ伝えきれないくらい大好きなの、サキに知ってほしい

けど人間は言葉にしないと気持ちのひとつも相手に伝えられない面倒なツクリをしているから

音にしようと唇を動かして声帯を震わせるけど


淡「あっそ。まあどーでもいいけど。なるべく私の目に付かないとこにいてくれない?目障りだから」


もうなんなの!? なんなの私の口!? どーでもよくないっつの! 

サキのことどーでもよかったら、今ごろあらゆるものがどーでもよすぎて廃人だっつーの! 

サキは目に障るどころか保養だよ!

喉が潰れるほど叫んで主張してやりたかったけど

プライドが何よりも先行する私がそんなことできるはずもなく

その上こんな時だけ考えが顔に出ない

サキはふっと瞳を揺らめかせ、くるり踵を返した

咲「ごめんね邪魔しちゃって…練習、頑張ってね」


こちらを振り返らないまま部室の外へと向かっていく

さんざん悪態をついた私を気遣ってくれる心優しいサキに

私はお礼ではなく「アンタに頑張ってなんて言われたくないっつの」なんて下種以外の何者でもない言葉を吐き捨てた

ああもう死ね私。でも死んだらサキに触れないからやっぱ死にたくない

ああああサキが行っちゃうぅぅぅぅううううううううううう! 

行かないでぇぇぇぇぇぇえぇぇえぇええぇええ!!

胸中での私の大絶叫も虚しくサキの姿は外へと消えていった

淡「サキ……」

行っちゃった、どうし……あ、そうだ残り香だけでも嗅いどこう

後悔の降り積もった自身を慰めるために、私はせめてサキの名残を味わおうと嗅覚に全神経を注いだ

くんかくんかすぅはぁすぅはぁふうふうはぁはぁ――ふぅ……

誠子「…ナニやってんだ淡」

部室の中心で鼻息荒く呼吸する私にそんな誠子の呆れたような声がかかったのは、それから13分後のことである

淡「うわあああああん!!一体どうしたらいいのおおおおお!?」

誠子「落ち着け淡」

尭深「まあまあ淡ちゃん、お茶でも飲んで」スッ

淡「お茶なんて飲んでられないよおおおおおおおお」グビグビグビ

誠子「それで?思ったことと真逆のことが口に出ちゃう、と」

尭深「このままでは咲ちゃんに嫌われる確立99%…」ボソ

淡「そ、そんな…サキに嫌われちゃったら生きていけないよ…」

誠子「頼みの宮永先輩や弘世先輩も引退しちゃったしなぁ」

ふむ

淡「どうしよ~誠子にタカミー…」

尭深「う~ん…咲ちゃんと会話する時、特に意識しないようにしてみたらどうかな?」

淡「…そんなに簡単にできないよぉ…」

誠子「咲ちゃんを私達だと思って話してみる、とか」

淡「サキを誠子だと思って?ハッ!大天使サキを釣りキチ誠子だと?ハッ!」

誠子「そんな生意気なことを言うのはこの口か?」グニグニ

淡「い、いひゃい、口ひっぱんないで~」

しあ

誠子「とにかく、咲ちゃんは既にうちのエースなんだ。辞められたら困る」

誠子「同じエース格の淡には何としても咲ちゃんと仲良くやってもらわないと」

淡「うう、思ってることが全部口に出ればいいのになぁ」

尭深「それはそれで淡ちゃんの変態性がバレてドン引きされるのでは…」

誠子「――それだ!!」

淡「え?どれどれ?」

誠子「思ったことが口に出る方法!!」

尭深「ええっそんなことが出来るの?」

ばかわ

誠子「IH中に聞いたことがあるんだ」

誠子「とある鹿児島の巫女集団にツンデレを治してもらった女子アナがいるとか…」

誠子「その後その女子アナはずっと片思いしてた女子プロ雀士に告白して成就したって…」

尭深「SOA」

淡「そ、それじゃあ私のこの悪癖も治るってこと?」

誠子「ああ、その巫女集団に頼めばもしかしてもしかするかも…!」

淡「よーっし!!私さっそく鹿児島行ってくる!!」

誠子「待て淡!!私達も一緒に行くよ!!」

尭深「達って…私も入ってるのね…」

~~~~~~~~

霞「これはこれは、遠い所からよくおいで下さいました」

初美「お待ちしてましたですよー」

誠子「あ、どうも…」ペコッ

淡(ちょっと何あのアラサーおっぱいお化け!)ヒソヒソ

尭深(アラサー?私達と同じ高校生のはずだけど…)ヒソヒソ

霞「誰がアラサーですって?」ニッコリ

淡・尭深「ひっ!!」

誠子「す、すみませんうちの者達が失礼を!」ペコペコ

てるてると霞さんは同じ学年だった気が…

30年前から高校生3年生なんだよ

初美「いえいえ。確かに霞ちゃんはどう見ても老け…」

霞「ふんっ!!」ブルンッ

初美「へぶしっ!!」バタッ

淡・尭深(おっぱいで叩き倒した―――!!)

霞「それで、今回の用件はそちらの金髪のお嬢さんね」

淡「は、はいっ!!」

淡「私、好きな人の前では正反対の言葉しか出てこなくて…」シュン

霞「それは辛いわね。いいわ、お姉さんが貴方のツンデレを治してあげる!!」

淡「!!あ、ありがとうございます!!」

霞「それじゃあ、さっそく祈祷をはじめましょう」

淡「よろしくお願いします!!」

誠子(こんなに礼儀正しい淡を見るのは初めてだな…弘世先輩が見たら感涙しそうだ)

霞「では、この場にしゃがんで目をつぶっててちょうだいね」

淡「はいっ!!」

霞「いい?雑念は捨てて、心を無にするのよ」

淡「分かりました!!」

霞「それでは…はじめます」

誠子・尭深「……」ゴクリ

困った時の永水

正直咲にキツく当たる淡はかなりツボだわ

霞「ぶつぶつぶつ…」バッサバッサ

淡「…」

霞「ぶつぶつぶつぶつ…」バッサバッサ

霞「キエ――――――――ッ!!!!」

誠子・尭深「」ビクッ

霞「お金持ちになりたーい!!」バッサバッサ

霞「素敵な恋人がほしーい!!」バッサバッサ

霞「若く見られたーい!!」バッサバッサ

誠子「あんたが雑念ばっかじゃねーか!!」

尭深「あ、これもう駄目かも…」

支援

<●>

霞「…ふぅ、終わったわよ。どうかしら?」

淡「うん!今ならサキと素直にしゃべれるような気がするよ!!」

誠子(だといいけどな…)シロメ

尭深「(まあまあ誠子)この度は後輩の為にありがとうございました」ペコリ

霞「いえいえ。意中の子を落とせるといいわね」

淡「はいっ!!」

~~~~~~~~~~~~

誠子「ふー、やっと白糸台に戻ってきたな…」ゲッソリ

尭深「もう当分飛行機には乗りたくない…」ゲッソリ

淡「じゃあ私さっそくサキのところ行ってくるね!!」

尭深「淡ちゃん頑張って!」

誠子「うまくいくと良いけどなぁ…」


淡「――サキ!!」

咲「あ、淡ちゃん。さっきから顔を見ないと思ったけど出かけてたの?」

淡「あ、あ…」

咲「亦野先輩や渋谷先輩も姿を見せないし…」

淡「ああ、あの…」

咲「ん?」

淡「――私がどこで何をしてようとサキには関係ないでしょ!」

淡「今疲れてんだから気安く話しかけないでよね!!」

淡「全く、どこまでも無神経なんだから!!」

咲「…あ、ごめんね淡ちゃん…」

咲「じゃあ私、もう行くね…」


淡「…」

淡「……」

淡「……………」

淡「………………………………オワタ」

霞さんェ・・・

雑念が多すぎたんだ

誠子「…おい、淡」

淡「」

尭深「返事がない、ただのしかばねのようだ」

誠子「今はそれシャレにならんから」

尭深「わざわざ鹿児島まで行ったのに何の効果もなかったね…」

誠子「後で石戸さんに飛行機代請求しとこう」


監督「おーい1軍の皆!集まれ!」

監督「今からミーティングをする!!」

部員一同「はい!!」

支援

監督「今度の国体の件についてだ。先鋒と大将のポジションを誰に当てるかだが」

監督「大星と宮永の2人が候補にあがっている。2人の意見はどうだ?」

咲「ええと、私はどのポジションでも構いません」

淡(ああ、やっぱりサキは遠慮深くて優しくて天使のようだなぁ)

淡(どうしようもない私に舞い降りた私だけの天使だったらいいのに)

監督「宮永はどちらでもOK、と。大星、お前はどうだ?」

監督「やはり戦い慣れてる大将がベストか?」

監督おったんか

咲「…」ジッ

淡(ああ、サキの瞳が私だけを映してる)

淡(いっそその澄み切った瞳の中に永住してしまいたい)

淡(とは思っていても、どうせ口に出るのはアレだよ)

淡(『こんな人と一緒に戦うなんてごめんです!』とか言っちゃうんだろうなぁ)

淡(はぁ、もう泡になって消えてしまいた……ん?)

監督「おい、大星?」

淡(あれ?何か今胸がすっと軽くなった、ような……)

淡(…………………)

咲「?淡ちゃ…」

淡「サキ!サキ!サキ!サキぃぃぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!サキサキサキぅううぁわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!宮永咲たんの栗色ドの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
(ry」


咲「」

監督「」

反動か

暴発したw

~~~~~~~~~~~

数日後

咲「淡ちゃん、紅茶淹れたんだけどどうかな?」

淡「し、しょうがないなぁ。飲んであげるよ!」

咲「うんっ」

淡「せ、せっかく淹れた紅茶が余ったら勿体無いからねっ!勘違いしないでよ!///」

咲「うん、ありがとう淡ちゃん」


誠子「これはまたテンプレなツンデレっ娘になったもんだ」

尭深「でもデレが分かりやすい分大進歩だよ」

誠子「咲ちゃんも淡が本気で嫌がってないって分かってから打ち解けたようだしな」

尭深「あの淡ちゃんの変態発言も私達が誤魔化したおかげで咲ちゃん気にしてないようだし」

たかみーどんな説明したんだ

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