ハルヒ「ねえキョン、バトルロワイアルって知ってる?」(627)

「キョンくんおきてー」
妹の体が俺の背中にどすどすとのしかかる。ええい、俺はトランポリンじゃないぞ。
仕方なく布団から顔を出し、眠い目をこすりつつ目覚ましを見る。思わず血の気が引いた。短針は九を指している。
集合時刻は九時半だ。あと三十分しかない。
妹をなんとか振り切って大急ぎで身支度を整えて家を出た。

今日は合宿の日である。
なにが目的とか意義とかそういうことは置いといて、とにかく合宿なのだ。
いつもの公園に着くと、そこにはじれったそうに腕を組んで足をぱたぱたさせているハルヒがいた。
朝比奈さんは世界を救うような天使の、古泉は達観しきったような微笑みで俺を見ている。
言うまでもなく、長門は当然無表情。
谷口はナンパがどうだとか相変わらずなことを国木田に吹き込んでいて、鶴屋さんは状況を全く無視した天真爛漫な笑顔だった。
実は今回の合宿、SOS団+αなのである。
「遅いわよ! キョン!」
襟首を思い切り掴まれる。時刻はちょうど九時三十分、ハルヒに怒鳴られる筋合いはないはずだ。
「馬鹿ね、あたしより遅く来た人間はみんな遅刻なのよ!」
「へいへい。で、俺は何をおごればいいんだ?」
この八か月で染みついた奴隷根性である。
「あら、分かってるじゃない。そうねえ、考えとくわ。お茶代どころじゃ済まないわよ!」
俺は今のうちに破産申告をしておくべきだろうかと悩んでいると、
「んじゃ、全員揃ったし早く行こっ!」
と鶴屋さんがハルヒに促した。この合宿の立案者は彼女だ。なんでも山に大きな別荘を持っているらしい。
人は多ければ多いほどいいと言うことなので、それなりに面識のある谷口と国木田を誘ったというわけだ。
「あっ、待ってよハルにゃん! 一番乗りはこの私だよーっ!」
鶴屋さんとハルヒが猪のごとく駅まで駈け出して行った。朝っぱらから元気なことだ。
駅で切符を買って改札を通る時、前を歩く長門がこちらを少し振り向いた。が、そのまま何も言わずに進んでいってしまった。
長門も長門なりに楽しんでいるのだろうか。きっとそうだったら良いと思う。

今考えればここがターニングポイントだったのだ。
日常と非日常を分かつラインがこんなただの自動改札だったなんて、思わないだろ普通?

2げt

フイタ

意味がわかりません

頭痛が痛い。
そんな定番なネタが真っ先に思いつくあたり俺の出来の良いとは言えない脳みそは問題なさそうだった。
この類の痛みは一日に十二時間以上寝てしまった時に起きるものと同じものだ。
ならばいっそ、もう一眠りしてこの頭痛から意識を手放してしまおう。ぼんやりと開いた瞼を再び閉じようとした。
眠りにつくかつかないかぎりぎりのところで、額に衝撃が走った。
「起きて、起きなさいよバカキョン!」
ハルヒが俺を見下ろしていた。珍しく不安そうな瞳をしている。
デジャヴ。
いつかの閉鎖空間を思い出す。おいおい、あんなのはもうゴメンだぞ。
違う、今日は合宿で鶴屋家の別荘に行くつもりだったのだ。
駅から電車に乗って、そういえば珍しく車両には他に誰一人としていなかったな。
それをいいことにみんな好き勝手に振る舞った。
ハルヒと鶴屋さんと朝比奈さんは一車両をまるまる使って鬼ごっこをしていた(もちろん朝比奈さんは
二人に無理やり誘われて、だ)。
谷口は座席に横たわっていびきをかいて寝ていた。ホームレスかお前は。と突っ込みを入れたはずだ。
俺は―――何をしていたんだっけな。あ、そうだ、吊り革を使って懸垂していたんだ。
しばらくすると、急にハルヒたちの騒ぎ声が聞こえなくなった。
俺は不思議に思ってそちらを見た。違う、見ようとしたのだが出来なかったのだ。
その後のことは何も思い出せなかった。

なんというゆとりスレ
スレタイを見ただけで平成生まれだと分かってしまった
円周率はまちがいなく3

   / ̄\
  | ^o^ |  
   \_/

起き上がって辺りを見回す。どうやらここは教室のようだ。
掃除をする時のように机と椅子が後ろに下げられている。俺たちは前の空いたスペースに投げ出されていた。
俺のすぐそばにはハルヒと長門がいた。少し離れると顔が見えなくなるほどに室内は暗かったが、
目を凝らすと合宿のメンバー全員がぼんやり見えた。

全員が目を覚ましたらしく、この状況を訝しむ声が大きくなっていった。
窓には板が打ち付けられているし、扉にも鍵がかかっていて外に出ることはできなかった。
嫌な予感に背筋を震わせながら額を撫でつけた。
どうやらハルヒに殴られたらしく、未だにじんじんと痛む。どんだけ馬鹿力なんだこいつは。
ハルヒは眉根にしわを寄せて俺に疑問をぶつける。
「あたしたち、合宿に来たのよね?」
「ああ。そのはずだけどな。ここが鶴屋さんの別荘なのかもしれん」
「そんなわけないじゃない。どう見てもここは教室よ。しかも北高じゃないわ」
そう、どうみてもこの教室は見慣れた北高のものではない。それが余計に俺たちを心もとない気持ちにさせた。
「なんだか妙に息苦しいわ」
言われてみればと首に手をやると、なんだか金属質なものが指に触れた。
まさか、首輪―――ということは―――。
「キョン、これってもしかして……」
その時教室の明かりがついた。急な光に目がくらんだものの、ハルヒの首にがっちりとはまる
冷たい首輪ははっきりと見えた。

期待してみる

バトルロワイヤルというには、人数がなぁ……。
そこらへんはどうするんだろう支援

俺は完全に諦めモードだった。白旗を両手両足で挙げたい気分だった。
これは間違いなく“プログラム”だ。
他に比べりゃまともな国の中で唯一まともでない部分があるとすればこの法律に違いない。
『高等学校五十クラスを任意で選抜し、クラス内で最後の一人になるまで殺し合いをさせる』
本や専門家はもっと遠まわしに表現するけれど端的に言えばこのようになる。
ついこの間四十一号プログラムが行われたばかりだ。テレビの速報で優勝者のインタビューを放送していた。
溜息をついて、封印したはずの言葉を口にする。
「やれやれ」

担当教官とやらは女性だった。黒いスーツを身にまとい、勝気な瞳で俺達をねめつける。
「はじめまして。今日からあなたたちの担当教官よ」
彼女はすぐさまルール説明を始めた。
「まあみんなだいたいルールなんて知ってると思うんだけどね、ネットで優勝者のブログとか見てる人も多いでしょう?
でもこれも仕事だからね。とりあえず一から説明します」
そう言って黒板に地図を描きはじめる。やはりここはゴーストタウンと化した島のようだ。
彼女は地図を描き終えるとその上半分に斜線を引き始めた。
「今回は参加者が九人と少ないので、エリアを最初から限定します。こっちの」
カン、とチョークで斜線を引いた部分を指す。
「このエリアに入るとみんなの首についてる首輪が爆発するから近づかないように。下半分で戦ってね」
俺たちを支配しているのはこの首輪である。これが参加者を島に縛り付け、反抗する人間の首輪を吹き飛ばす。
「それと、禁止エリア制度は本プログラムでは採用されないことになりました。その代り、期間を一日とします。
一日経った時点で生き残りが複数いた場合、全員の首輪を爆発させます。優勝者は当然なしになるわね」
朝比奈さんのしゃくりあげるような嗚咽が聞こえた。
すかさず鶴屋さんがフォローに入っている。泣くなっ、みくる! とゴムまりのように弾んだ声で。
鶴屋さんの精神力は賞賛に値するなと思いつつ教室を見渡すと、おかしいことに気づいた。
ここにいるのは全部で八人だ。
さっき彼女は参加者は九人だと言っていた。一人人数が合わない。
「そうそう、転校生を紹介するわ。入ってらっしゃい、朝倉涼子さん」
―――またお前か。
朝倉涼子は素敵な笑顔でぺこりと頭をさげた

朝倉は本当の転校生のように、少し緊張した面持ちで話し始めた。

「パパの出張が予定よりもずっと早く終わってね、戻ってきちゃったの」
「ずっと涼宮さんのやってる『部活』に興味があったんだ」
「だからね、入部しようと思って。短い間だけどよろしくね」

何言ってやがる。おいハルヒ、なんか言ってやったらどうだ。
こいつの言ってることは全部嘘っぱちだ。
だいたいさっきから静かすぎるだろお前。なに考え込んでんだ。
いつものムチャクチャな論理でこのおかしい奴らを言い負かしてみろよ。
朝倉がプログラムに参加するだと? どうなるかなんて目に見えている。
朝倉涼子は床に腰を下ろすとそれきり黙ってしまった。

「あの、一つ質問をしたいのですが」
後ろからゆったりとした声が聞こえた。
「なんですか、古泉一樹君?」
古泉は柔和な微笑みを浮かべつつ、教卓に立っている担当教官に問いかける。
「プログラムは本来、クラス単位で行われるはずです。なぜクラスも学年も違う我々が選ばれたのでしょう」
「古泉君なら頭がいいからわかるでしょう?
プログラムの目的は戦闘データを収集することなの。それにはたくさんの異なるデータが必要なのよ」
「期間が短かったり禁止エリアがないといったことが、どう作用するかを見たいということですか」
彼女が満足げに笑った。
「その通り。クラスでなくて部活動単位、というところもミソね」
部活動。町の不思議なことを探しまわったり映画を作ったりクリスマスに鍋パーティをする部活動。
選ぶにしてももっとましな部活があるだろう。
例えばコンピュータ研究会とか。
「つうか、俺はこのSOS団とかいう訳のわからねえ部活になんて入ってねえぞ」
谷口が不服そうに呟いた。それでも決して反抗はしない。
いくらこいつがアホでもそんな事をしたらどうなるかくらい分かっているからだ。

やる夫は!

「……まあ、そこは私の知るところではないわね。
私の仕事はこの名簿に載ってる生徒をプログラムに参加させることだから」
彼女は時計を見ると、教室の引き戸を開けた。
「そろそろ時間ね。じゃあ、名前を呼ばれたらここに積んであるディパックを一つとって出て行ってください。
それぞれ武器が入ってるから、それで戦いなさい」
軍服を着た男がディパックが積んであるカートを引っ張ってきた。
「誰も殺さないでスタートできそうでよかったわ、余計に少なくなっちゃうものね」
言いようの怒りを感じた所で、なすすべがない。
こいつに殴りかかっても腰に光る拳銃で頭に穴が開くか、取り巻きの兵士に蜂の巣にされるかだ。
もちろん俺はこんなところでは死にたくない。
子、孫、曾孫に囲まれながら眠るように死ぬ、という理想はさすがに実現しそうにないと思っているが
こんな若くにプログラムなんかで死ぬのは真っ平御免だった。

ハルヒは担当教官とやらが現われて以来、あぐらをかいて腕組みという格好で何事かを考えていた。
俺が声を掛けようとすると、それを制するように凛とした声が室内に響いた。

「午前零時。それでは2009年度第四十二号プログラムをはじめます。一番、朝倉涼子」


【残り九人】

俺は自身の立ち位置を学校を出るまでに決めようと思った。
脱出頑張っちゃうぞーなポジションか、それとも殺人鬼な感じか。
あるいは普段の俺どおりに、事なかれ主義を貫くか。
いくら考えても結論には行きつかず校庭に出てしまった。
しかし次に出てくるハルヒを待つということだけは、どのポジションの自分も一致していた。
とにかくハルヒと会わなければ。

よく考えて、いやよく考えなくとも、俺が殺戮マシーンになることなど不可能だった。
俺は教室から校庭に出るまでのあいだ支給武器の確認すらしていなかったのだ。
それくらい危機感に欠けた人間はどう見ても不適正だろう。
そしてそのお陰で今俺は見事に狩られる側になっている。
ひゅん、と風を切る音と共に金属の矢が地面に突き刺さった。
あと数十センチずれていたら足を貫いていたはずだ。
「キョン、逃げないでよ」
全力で逃げようと躍動する足を止めないまま振り返る。
国木田はその小柄な体には似合わない重厚なクロスボウを向けて、引き金に指をかけていた。
国木田は自分の次に出てくる俺を待っていた。国木田は俺に至極フレンドリーに話しかけ、一言二言交わしたのちに
俺の頭めがけて撃った。
至近距離だったのに矢が逸れたのは幸運としか言いようがない。
まあその幸運も後数分で無意味になってしまうかもしれないのだが。
友人に命を狙われているという事実を甘んじて受け入れている自分がいた。
いくら仲良くやってきたやつらとは言ったって、自身の命と天秤にかけたらそりゃあ自分のほうが大切に決まっている。
だから国木田が俺を襲ってくるのは想定内だ。本当さ、ショックなんざ受けちゃいない。
しかしただ命を狙われるのと、命を奪われるのとは当然別問題だ。
―――友達からであろうと誰であろうと俺は殺されたくないのだ。
ポケットから携帯を引っ張り出す。こうなったら一か八かだ。このまま逃げ切れるとは思えない。
振り向きざまに携帯を思い切り投げた。そりゃもう、甲子園の名ピッチャー並の球速で。
ごつっ。鈍い音がして国木田が頭を押さえているのが見えた。
俺はすぐさま林立する木々の隙間を縫うようにして奥へと逃げ込んだ。

木の幹に寄りかかって様子を窺ったが、国木田が追いかけてくる気配はなかった。
真っ暗な森の中にいると夜空が変に明るく見える。
数年来の友人は俺に容赦なく引き金を引いた。
矢が少しでもずれれば俺は今この場所にいなかったのだ。
「くそ、感傷的になってる場合か、本当に死ぬぞ」
そうだ、まずは武器の確認だ。ディパックを開けて何が入っているのか探ると、固いものが指先に触れた。
俺の支給武器は探知機だった。

今日はなんとなくツイてるようだ。まさに不幸中の幸いと言える。
この探知機さえあればこっちから人に接触することができる。
範囲は割と狭いようだが、ないよりは全然マシだ。
とにかく学校の方に戻ってみよう、まだその近くにハルヒがいるかもしれないしな。
少し移動してから再び探知機に目を落とすと、画面の端に一つ反応があった。
もしかしたらまだ国木田が誰かを待ち伏せているのかもしれない……が、ある希望を捨てきれなかった。
そのぴくりとも動かない青い点は、普段の彼女の姿そのもののような気がした。
何度も窮地から自分を救いだしてくれた存在。
この状況を地から一変させてくれるかもしれない。
俺は探知機片手にそいつのところまで走った。筋肉が変にこわばっている。明日はきっと筋肉痛だ。

「やっぱりお前か、長門」
息も絶え絶えに声をかける。長門有希はベンチに腰かけたまま、視線だけをこちらに寄こした。
吸い込まれそうな瞳が俺を見つめる。
煌々と月明かりが差す公園はかなり目立つだろう。探知機には俺達以外の反応はなかったが、注意しなくてはならない。
実際にもう乗ってしまった人間がいるのだ。
「教えてくれ、これは現実なのか?」
閉鎖空間か、それとも別の時間平面に全員が迷い込んでしまったのか。
きっと正確に答えられるのは長門しかいない。
「そう」
にべもない答えが返ってくる。

読みにくい
その上につまらないってどうよ

wktk

「俺達は本当に選ばれたのか、プログラムに」
「そう」
「政府がいう『公平な抽選によって』でか?」
「そうではない」
まさか。嫌な予感が頭をよぎった。直後にそう思った自分を焼却処分したい気持ちになった。
あいつがこんなことを望むはずがないだろ、いくらなんでも。

「涼宮ハルヒによって世界は改変された」

出し抜けに長門が言った。
つい何週間か前にも世界が改変されたっけな。なんだかひどく昔のことに思える。
その時に長門を頼りすぎては駄目だと決意したのだが……結局アテが他にないのだ。
「それはどんな風に変わったんだ?」
「このプログラムが作品中のフィクションである世界から、プログラムが実在する世界になった」
ちょ待てよ! 某アイドルの台詞が脳内再生される。
いや待て。待て待て待て。
フィクション? プログラムが作品の中のフィクションだって?
じゃあ俺のこのプログラムに関する知識はなんだ。
正式名称“戦闘実験第六十八番プログラム”
毎年高校から五十ものクラスが選抜されて、最後の一人になるまで殺しあう。
優勝者には一生の生活保障が約束される。著名人にも経験者が結構な数いて
その人たちの本やらブログやらには生々しい戦いの様子が述べられている。
俺は高校に入学した後、知的好奇心をフル活動させてそれらを隅々まで読みつくした。
自分が選ばれることないと思っていながらも、『もしかしたら』と考えていたからかもしれない。
ちょうど宇宙人や未来人や超能力者の存在を思惟するような、そんな気持ちで。

ゆとり

「あなたたちの記憶はプログラムが実在するものとして一から作り直されている」
俺の鮮明な記憶を長門が否定する。
子供のころに見た、優勝者が血にまみれた笑顔でインタビューを受けていたの今でも思い出す事が出来る。
あれも嘘だったのか。
なあ長門、にわかには信じがたいぜ。
お前の言葉じゃなかったら俺は0.5秒で相手に『この人は不思議ちゃんなんだな』とレッテルを貼るところだ。

長門は俺から視線を逸らし俯いた。制服のスカートから伸びる足が明りに照らされて白く輝いている。
寒そうに見えたので上着でもかけてやろうと、俺はブレザーを脱いだ。
ふとなにかがおかしいことに気づいた。しかしそれがなんなのかが咄嗟に出てこない。

俺たちは元々何をしにきたんだ―――そうだ、合宿だ。
なのになぜ俺は制服を着ているんだ。
当然私服を着ていたはずなのに。

おかしい、辻褄が合わない。
なにかずれている―――。

「改変される以前の記憶を、あなたはまだ持っている」

「ねえキョン、バトルロワイアルって知ってる?」

「聞いたことはあるな」

「あたし今読んでるんだけど、これが結構面白いのよ。下手な恋愛小説よりも全然マシだわ」

「もう十年以上前の本だよな。お前が読書なんて珍しい」

「なによ。あたしだって有希まではいかないけど、結構読書するんだから」


そんな会話を、確かにした。

支援

さっさとプログラム修正施せよ
あっ制御されてるんすかwwwサーセンwwww

支援

とりあえず書き溜めてあるところまでだらだら投下します
見づらくてすまん

せめて台詞と地の文の間にスペースを入れてくれ

「長門、ようやくお前の言うことを信じられそうだ」
今脳内では、二つの異なった世界での記憶が混同している。
片一方は事実で、もう片一方は作り物である。
ただこれだけは言えるだろう、長門は俺に嘘はつかない。
「やっぱりこれは、ハルヒが望んだ世界なのか?」
「そういうことになる」
俺は次の言葉を言おうか迷った。
また余計な負担をかけてしまえば、今度こそ長門は壊れてしまうかもしれない。
しかし。俺はため息をついた。
俺にはどうしようもできないのだ。
「お前の力でここから抜け出せないか?」
長門は目を伏せたまま、どこかさびしそうに言った。
「わたしの力をこの空間で使うことは不可能。情報統合思念体との連結が遮断されている」
今は悲劇的なBGMが流れてもいいところだ。
「ここでのわたしは人間の女性の平均的な身体能力しか保持していない」
これまで数々の障害を潜り抜けてきた、半ばチート気味でもあった『長門の力』という手段が使えない。
ここから出る方法はないのか。まさか本当に殺しあって最後の一人になれと?
「今世界を元に戻そうとするよりも、先にこの島から脱出したほうが可能性は高い」
ここで俺たちに与えられた時間は一日だ。
タイムリミットと戦いつつ方法を模索するよりかは一旦島から脱出し、直接命の危険がないところで
改変のキーを探ったほうが安全、ということか。
「脱出か……なにか考えはあるのか」
一つの記憶では、「脱出なんてしようとしても絶対に失敗する」
もう一つの記憶では、「そういえば主人公とヒロインが二人で生き残ってたな」
「今その方法を考えている」
長門は少しの沈黙ののちに答えた。
なにか俺にも出来ることはあるのか。そう言おうとした時だった。

ぴこん、電子的な音がした。
探知機に目をやると、それほど遠くないところに反応が二つあった。

>>26
わかった。30行制限があるから変なところで切れちゃうかもしれないけど…

朝比奈みくるは嗚咽を止められなかった。
無論プログラムに選ばれてしまったこともその一因であったが、
未来と連絡がとれない、TPDDが使えない、自分のバックホーンが消えてしまったことが
より彼女をパニックにさせた。

どうしよう。あたし、帰れない。帰れなくなっちゃった。
なんで? どうして連絡が取れないの?
わからない。怖いよ。

みくるは誰かに会いたい一心で辺りを見回した。
ここは住宅街のようで、古い家屋が密集している。

「朝比奈さんですか?」

背後からの声にびくりと体を震わせた。こんな状況だから、声の主が分かっていても驚いてしまう。

「こ、古泉くん……?」

振り返ると柔和な笑みを浮かべた古泉一樹がいた。
手には鋭く光る日本刀が握られている。みくるは息を飲んだ。

「ああすみません。朝比奈さんがやる気だとは思ってなかったのですが、念には念をと思って」

古泉は刀を鞘に収めた。
それでもみくるの頭は、突然古泉が日本刀で襲いかかってくるシーンを再生してしまう。
この時初めて恐怖を感じた。
未来うんぬんを考えている場合じゃない。きっと自分はこの時間平面上で死ぬのだと思った。

あたしはもう未来人じゃなくて、ただの人間なんだ。

gj支援する

ふむ。

「恐らく僕とあなたは同じことを考えているのではないでしょうか」

古泉は横目でみくるを見た。

「僕たちの『役割』と僕たち自身の『命』、どちらを重視するかについて」

涼宮ハルヒ。自分は彼女を監視するために未来から送られた存在だ。
だけど今のこの状況でその任務を続ける意味はあるのだろうか。
それどころか生命の危機だ。

「あっ、あたし……未来に帰れないし、何をすればいいか……」
「結局のところ、僕たちはただのコマとして動くしかないのかもしれません」

古泉の口調が打って変って鋭くなる。

「あなたも僕も、ここでは力を発揮できませんしね。仕事か命か。
あなただったらどちらを取りますか? 聞くまでもないことですが」

古泉は一歩みくるに近づいた。みくるは反射的に一歩下がった。逆光で表情が読めない。
殺される。
直感でそう思った。

「あ、あ……やめて、こないでぇ!」

小石につまずきみくるは尻もちをついた。古泉は日本刀を片手にそれを見下ろしている。
体が硬直してから動き出せるようになるまで、随分時間がたった気した。
だがそんなことは今のみくるには関係のないことだ。
みくるは彼女自身が持つ全ての力を使って逃げ出した。
行く先なんてどこだって良かった。彼のいないところならば。

もちろん誰かはわからない。
俺はすでに長門という信頼できる人間と接触できている。リスクを冒してまで会いに行くべきではない……が。

探知機に再度目を落とすと、つい先ほどまで固まっていた二つの点のうちの一つが
つつーっと右方向へ滑っていき画面外へと消えていった。
きっとこいつは危険なやつだ。襲われたかなにかで彼あるいは彼女は逃げていったに違いない。
誰だ? やはり国木田か―――そうだ、あいつを今まですっかり忘れていた。

朝倉涼子。
俺にとっていつだって危険な存在でしかなかったもう一人のヒューマノイド・インターフェース。
ついこないだ会って殺されかけたばかりだ。

「どうしてこの世界では朝倉がいるんだ」

長門は下を向いたまま答えない。恐らく分からないのだろう。
この世界は長門でさえ把握できないことだらけだ。
全員の話を繋ぎ合わせていけば、もしかしたら突破口があるかもしれない。
刑事物でも探偵物でも関係者からの情報収集はお約束だ。

「長門、俺は今からこいつと会ってくる。お前も行くか?」

長門はこちらを向いて即答した。いい、と。
いくら探知機で状況がわかっているとは言え、ここに一人にしておくのも心配だった。

「わたしは平気」

長門は足もとに置いてあったディパックから黒い塊を引っ張り出した。
それはどう見ても拳銃だった。長門は弾倉を銃に押し込みスライドを引き、一瞬でコッキング状態にした。
扱いを知っているのだろうか。少しくらいなら、きっと大丈夫だろう。
俺は長門にいざという時の集合場所を教え、急ぎ足でそいつのところへ向かった。

しえん

しえ

読みにくい……のが解消されてるw

「ああ。僕としてはこんなに早くあなたと会えてうれしい限りです」

俺は全く嬉しくない。まあ朝倉涼子よりかは古泉のほうがマシか。あいつとは話し合いで解決できる気がしないからな。
古泉一樹は木にもたれかかったまま、むかつくほど爽やかな笑顔をこちらに向けていた。

「お前、今誰といたんだ?」

「さて。なんのことでしょうか」

とぼけるな。ついさっきまで誰かがいたじゃねえか。どこかに逃げてったみたいだけどな。
俺は古泉が握っている刀を見た。こいつやっぱり―――

「それは……探知機ですか。嘘はつけませんねえ。僕はとある人物に襲われていたのですよ。
そして追い払うためにこの刀を使った。それだけです」

とある人物って誰だよ。

「あなたのお友達、確か……谷口君でしたっけ? 彼にですよ」

うわ、信憑性がある人物出してきやがった。これが朝比奈さんや鶴屋さんだったら全力で否定できたものを。
国木田にしろ谷口にしろ、なんだか連れてきた俺がとても申し訳ない気分だ。

「まあいいさ。それを信じるにしろ信じないにしろ、逃げていったやつは死んでないわけだし」

死んでないならそれだけで十分じゃないかと、俺は思った。

紫煙

古泉がため息混じりに言った。

「それにしても不運なものですね。まさかプログラムに選ばれてしまうなんて」

やはり改変前の記憶はないのだろうか。俺が長門の説をかいつまんで話すと、古泉は手を顎に当ててじっと考え込んでいた。

「残念ながら僕にはその記憶がないようです。そこであなたに伺いたいのですが、
こちらの世界のプログラムと作品中のプログラムとで、なにか差異はありますか?」

俺は二つの記憶を照らし合わせて、違う部分を抜き出そうとした。
しかしそもそも元の世界、つまりプログラムがフィクションの世界において俺はそのバトルロワイアルという
原作を読んでいないから、詳しくはわからないのだ。

「ええと、まず本だと対象は高校生じゃなくて中学生だな。それとこれはこっちでも異例だったが
部活で選ばれるんじゃなくてクラス単位だったはずだ」

「そうなると長門さんの論がより説得性を増してきますね」

今までなんとか上手にやってきたが、今回はもう駄目かもしれないな。本当にあいつはロクなことを考えない。

「涼宮さんが“望んで”このような世界になったとは思えません」

古泉は少し厳しい口調になって、「あなたはそう思うんですか?」と聞いてくる。

「……どうだかね」

しえんn

「涼宮さんは本を読み終えた後、考えたのでしょう。高校生で、SOS団の団長である自身が
プログラムに巻き込まれたらどうなるだろうか。中学生でもクラスでもなかったのは
恐らく今が一番彼女にとって充実しているからで、そちらの方が想像して面白いですからね。
実際に涼宮さんは創造してしまったわけですが」

くそ、うまいこと言ったつもりかこの野郎。
俺だってハルヒが殺し合いとか、人が死ぬこととかを望んでるなんて思っちゃない。
ただそうなってしまうハルヒの絶大な能力に気押され、苛立たしいだけだ。
いったいあいつは今どこでなにを考えてるんだろうな。
まあ殺しても死なないようなやつさ。心配するなよ。

「我々が置かれている状況は恐らく今までで一番厳しいものでしょう。
きっちり構築された物語の中に迷い込んでしまった以上、抜け出すのは骨ですよ」

「長門が脱出方法を考えているところだ。お前も手伝え」

当然、古泉は首を縦に振ると思っていた。
でなかったら御託をいろいろ並べて別行動をとりたがるか。
俺はこの状況を楽観的に考えすぎていたのだと痛感した。
古泉のしたことはどちらでもなかった。
おもむろに刀を鞘から抜くと、俺の首筋に突きつけたのだ。

私怨

「おい。ふざけてる場合か」

「冗談に見えますか?」

やつの目は本気だった。
下手に動いたらきっと斬られる。俺が動かずにいると古泉がにじり寄ってきた。
顔が近いんだよ気色悪い。殴るぞ。

「僕はこのゲームに乗るべきなのでしょうか」

そんなこと知らん、俺に聞くな。

「我々が元の世界に戻ることは不可能だと僕は思っています。
この空間は涼宮ハルヒの精神活動が影響したものであるのは確かです。が、それだけじゃなく
おそらく外部からの要因もあるはずです。近頃安定している彼女の心にここまで残虐な思想が
生まれるとは考えづらい。僕は彼女の心の動きについてはスペシャリストですからね」

と、普段のように饒舌に論を述べる古泉だが、一向に俺の首筋から刃を逸らそうとしない。
古泉が切先を少しスライドさせた。
首から鎖骨へ生暖かいものが流れていくのを感じると、さーっと血の気が引いていった。
遅れて痛みがやってくる。そのまた少し後に、恐怖が訪れる。
超能力者に日本刀で斬り殺される人間も、きっとそうはいないだろう。

支援

「こうするだけでもう出血してしまうんですね」

一人で納得するように古泉が言う。
こいつはまだ迷っている。だがここで俺が逃げ出したらきっと反射的に俺を切り殺すだろう。
まだ動くべきじゃない、血だって大した量じゃないさと言い聞かせながらその場に立っている。

「最初に会った人を逃がしてしまった時、次こそはと思っていたんですが……やはり決心がつきませんね、特にあなただと」

古泉は日本刀を下ろした。しかし安心したのも束の間で、俺との間合いを一気に詰めて持っていた探知機に手を伸ばした。

「探知機をくれれば見逃してあげますよ」

そんな声が聞こえた気がしたが、俺は探知機を奪われまいと必死だった。
これがないと誰かに―――そうさ、『誰か』に―――会うのがもっと難しくなる。
せいぜい二十センチの鉄の塊を無心で守る様は、なんとも滑稽なことだろう。
気づけば俺は探知機を抱え込むようにして丸くなっていた。
脳裡にはにっかりと笑う団長様の姿があった。

軽率でしたね、と古泉の言葉が頭上から届いた。

「あなたがそれを使って涼宮さんと接触してくれれば、何か好転するかもしれません。失礼しました」

古泉は恐ろしく冷静だった。こいつの思考回路はどこもショートしちゃいない。
こいつはこいつなりに考え、最善の道を探している。
それが俺達と一緒に行動するということでないのは確かだった。

しぇーん

「僕はあなたに賭けますよ。いつかの閉鎖空間の時のようにね」

古泉は刀を鞘にしまい、ディパックを肩にかけた。

「それまで僕は数を減らすことにしますから。別に問題ないでしょう、もし世界が元通りのものになったら
僕はただの超能力者で、殺人者にはならないんですからね」

お前の答えはそれか。
説得は―――できないだろうな。俺がなんと言おうと、古泉は古泉の正しいと思ったことをするだけだ。
古泉は腸が煮えくりかえりそうなほどさらりとした笑みを向け、どこかへ去っていく。
誰かを殺すために。


俺は初めて、心から絶望的な気持ちになった。
なんだかんだ言ってもSOS団が集まれば何とかなるんじゃないかと思っていた。
今まで散々色々あったが、十二月まで生きてこられてのだ。
全員で元に戻って、はいハッピーエンド。そうなるだろうと期待していた。

ああ、違うんだな。これはプログラムなのだ。
大団円では終われない、そんな気がした。

完結したら評価する

「ねえ、ちゃんとわたしの話聞いてる?」

ぐり、と靴の底が柔らかいものを踏み込んだ。
あまりの痛みに涙が出そうになる。もう逃げ出せない、これ以上強くされたら―――。

朝倉涼子は潮風に髪をなびかせて、微笑みを浮かべながら自分を見下ろしている。
プログラムに選ばれてしまった。
以前クラスのまとめ役であった女子生徒がまた転入してきた。
そして今彼女は自分の股間を踏んでいる。
意味が分からない。整合性がとれない。俺は何故こんなことをされている?

「なんなんだ、意味わかんねえよお前!」

朝倉は端正な顔立ちを崩さないまま、軽く首をかしげる。

「谷口君ってやっぱり馬鹿なの? どうして理解できないの?」

谷口は言ったことを後悔した。朝倉がおしおきと言わんばかりに足に力を込め始めたからだ。
必死に止めるよう叫んでも彼女に声は届かないのか、ぐりぐりと抉るように足裏を動かす。
脳天を突き抜けるほどの激痛が走る。

「だからね」

出来の悪い子供に言い聞かせるように言った。

「涼宮ハルヒをレイプしてきて、と言ってるの」

朝倉がありがちにシリアルキラーだろうから、なんだかなぁ……

最終『支援』寝ます

「どうして、そんなこと、しなきゃ」

息も絶え絶えに聞く。従順にならなければならないと悟った。でないと踏みつぶされてしまう。

「有機生命体が一番精神にダメージを負うのは性的暴行によるものなんでしょ?」

「ゆ、ゆうきせいめいたい? お前何を……涼宮を憎んでるのか?」

朝倉が足の力を緩めた。質問をするのは気を逸らせる良い手段なのかもしれない。

「憎む? 憎むというのは嫌うということでいいのかな。ううん、そんなんじゃないわ。
観察対象である涼宮ハルヒの出方を見たいだけ。だから殺しちゃ絶対ダメ」

と、谷口の股間をまじまじと眺める。

「わたしにはXY染色体がないから、わざわざあなたにお願いしてるんじゃない。この、」

つま先で形をなぞる。やわやわと与えられる刺激と、彼女のスカートから生える柔らかな太もも、
その先から少し目を凝らせば見える下着、が相まって谷口の頭はあっという間に情欲でいっぱいになった。

「この性器を使って彼女の精神を痛めつけるの。愛のない生殖行為は有機生命体、特にヒトの雌にとって苦痛と聞いたわ」

朝倉は弄ぶように足を動かす。徐々に熱を帯び始めてくるのを感じた。
視覚、触覚で朝倉にもそれがわかるのだろう、彼女は口の端を上げて笑っている。

「おもしろい。こんな風になるのね」

谷口は快感と恐怖に身を震わせながら思った。
こいつは、悪魔だ。

いやーまさかこんなことになるとはねっ! ちょーっとびっくりだよっ。
人生楽ありゃ苦もあるってかあ?
死にたくはないけど、人殺しとか絶対無理っ、ムリムリムリ。
まあいっか。今は生きてるんだし、それでいっか!

ふと時計を見るともう四時だった。この孤島に放り出されて四時間も経ったことになる。
ここがどこら辺にある島なのかはわからないが、外に出ていられないほどの寒さを感じないので
南方の島なのだろうか。
ずっと眠らされていたせいかばっちり頭は冴えている。
支給武器の警棒をバトンのように振り回しながら、人気のない道を歩いていた。

鶴屋さんはプログラムが開始して先ほどまで、寂れた住宅街の中でも比較的大きな一軒家に身を潜めていた。
しかし彼女はそのようには認識していなかっただろう。
家にはテレビゲームが山ほどあり電気も通じていたため、この三時間ほど熱中してゲームをしていたのだ。
いい加減に目が痛くなってきたのと、外が白み始めていたのもあって気分転換でもしようかと家を出、現在に至る。
早朝の静謐な雰囲気が全身を浄化していくような感覚になる。

んーっ、やっぱり外は気持ちいいなぁっ。これがプログラムじゃなきゃ最高なのにっ!
もう誰か死んじゃってるのかな? 悲しいけどしょうがないよねえ。

このゲームに乗ってしまった人間がいないと考えるほど彼女は理想家でもなかった。
底抜けの楽天家で抜け目のないリアリスト、それが鶴屋さんだ。

しえ

>>1
ロワ住民?

警棒を宙に投げ、自身を一回転させてからキャッチする。テンションは最高潮だ。
ふと視線を前にやると、普段仲の良い少女がこちらに向かって歩いてきたの見つけた。
あまりの嬉しさに警棒をぶんぶんと振り回す。

「みくるーっ!」

朝比奈みくるは声にびくりと体を震わせた。

「つ、鶴屋さん?」

みくるが足をもつれさせながら駆け寄ってくる。
制服は泥だらけで目には涙を浮かべている。大きいディパックは小さい体に不釣り合いだ。

「うわわ、みくるに会えるなんて嬉しいよ!」

がばっと勢いよく抱きつくと、みくるの「ふえ~っ」だとか、「ひゃあ~」だとか、かわいらしい悲鳴が聞こえた。

面白い
支援

アジトにしていた家に舞い戻り、二人は今後について話し合っていた。
みくるはやっと落ち着きを取り戻したようだった。
そろそろ移動するべきだ。みくるを襲ったやつがまだこの辺をうろついているに違いない。
古泉一樹に殺されかけたという彼女の話を受け入れるのは容易かった。なんとなく、彼は乗るだろうなと
そんな気がしたからだ。
イケメンジェノサイダー。映画化決定! わおっ、めがっさ人気出そう!
みくるが眉を寄せて口をきゅっと結び、なにやら真剣に考えている様子を眺めながら、ふと鶴屋さんが言った。

「みくるはさっ、なんかしたいこととかないの?」

みくるは顔をきょとんとさせた。

「したいこと、ですか?」

「そそそっ。最後くらいしたいことしなきゃ!」

「あたし、まだ死にたくない。けど、みんなを殺すなんて、そんなこと、できません!」

「そりゃあそうだよね、あたしもそう思うよっ。だけどこんな考えって、きっと
すごーく甘っちょろいんだよ、だって、人を殺さずに最後の一人になれると思うかい?」

「それは、その……」

「だからね、あたしはもう生きるのを諦めちゃった!」

みくるははっとした表情で鶴屋さんを見た。
何か言おうとしているのを制すように鶴屋さんが声を張り上げる。

「どんなに長く生きれても後二十時間しかないって思ってね、なんかしたいことってあったかなあって
けっこー考えてたんだけど、あたしには別にないんだよねっ! わが人生一片の悔いなし! そんな感じ!」

「―――でっ、みくるは?」

早口でまくしたてると、みくるは眉をハの字にして困惑した面持ちだった。

「あたしの、したいこと……」

みくるがぽつりと呟く。
その瞬間、窓ガラスが割れるけたたましい音が聞こえた。

つまらん読むのやめるワクワクしない
微笑が真実か七夕読んで勉強してこい

どうやら隣室かららしい。
鶴屋さんはみくるに彼女の武器と、その他必要なものだけを詰めた小さな鞄を押しつける。
もちろん彼女が詰め替えてあげたものだ。
みくるは大切な友人だから長生きしてほしいし、何より後悔させたくない。
彼女は、いつも遠慮ばかりしているのだから。

「さあっ、一旦ここから逃げて! 早く! あっち行けば玄関だからっ」

一番近い逃げ道はこの部屋の窓からだが、ここからだと恐らく侵入者とかち合わせてしまう。
玄関なら反対側に面しているのでまだ安全なはずだ。
背中を無理やり押して急かすと、みくるは今にも泣きだしそうな顔で振り返った。

「で、でもでも! 鶴屋さんは……?」

「あたしは誰なのかを確認したらすぐに追いつくよん! 大丈夫大丈夫! あたしを信じるのさっ」

みくるの姿を見届け、そして小声でさよならを告げた。

この侵入者は味方ではないと最初からわかっていた。
何でもない、ただの勘だ。しかし彼女のそれはたいてい当たってしまう。
少しくらい時間稼ぎになってくれればいいのだが、とみくるの運動音痴を心配した。

「うわっ、痛いなあ……きっついなあ」

自分の手足が真っ赤に染まっているのが見える。
頭は霞がかって上手く働かない。斬りつけられた痛みもだんだんとぼやけていった。


あたしはみんなより先に行って、どんな結末になるのかを見届けるとしよう。

輪を遠くから眺めて楽しむポジションは、元より彼女が望んでいるものだ。
若くして死ぬのは客観的に見て残念だと思うけれど、さっきみくるに言った言葉に嘘はなかった。
もう悔いはない。
高校に入学してから、普通でない人間を山ほど見てきた。普通でない体験をたくさんした。
それだけで十分だ。
未来人である本当に、本当に可愛らしい友達にも会えたことだし。

でも―――。
そんなに辛そうに殺されると、こっちも辛いなあっ。
もうちょっと楽しそうにしなよ、古泉くん。
二枚目が台無しだよ?


古泉が突き刺さった刀を引き抜くと噴水のように血が溢れた。
空を切って血を払い、死体に一瞥をくれてから家を出る。

朝日が一帯を照らしており、古泉は眩しさに目を細めた。
オレンジ色の光はすべての淀んだものを美しく映し出してくれる。
朽ちた家屋、ゴミを漁るカラス、血にまみれた自分自身も。
後戻りはもう出来ない。彼は前に進むしかなかった。


【残り八人】

支援

鶴屋さんが最初の死亡者とは意外だな

支援

目を覚まして最初に見たのは、木々の隙間からのぞく薄ぼけた空だった。
自分がどうしてここにいて何をしているのかがよくわからなかった。
なんで俺はこんな所で大の字になって昼寝してたんだ?
このままでも仕方がないので起き上がってみると首に鋭い痛みが走った。
手をやって傷口をなぞっていると、ああそう言えば古泉にやられたんだっけなと思い出せた。
シャツの襟から胸までは血で真っ赤に染まっている。
ああ、プログラムなのか。本当やってられないな。夢オチを期待してたんだが。

握りしめたままだった探知機を見ると、画面内には何の反応もなかった。

「長門……」

俺が気を失ってから最低でも一時間は経っているはずだ、その間に何があったのかはわからない。
きっといつまで経っても戻ってこない俺に痺れを切らして移動したのだろう。
それ以外の可能性なんて考えたくもないね。
貧血起こしてぶっ倒れて伸びてたなんて俺も呑気だな。よく殺されなかったもんだ。
くそ、酷い立ちくらみだ。
とにかくあの公園に戻って確かめなければ。
探知機は死者には反応しない。現実逃避したってどうにもならないことは分かっている。

支援

長門は公園にはいなかった。が、ベンチには長門の代わりに一冊の本が置いてあった。
引っ掴んでページをめくり、しおりを探した。

『指定された場所にて、あなたを待っている』

明朝体のフォントを使っているのかと思うほど丁寧な字だ。
十回くらい読み直しているうちに、やっと心拍音が正常に戻ってきた。
大丈夫だ。長門は生きている。
死んじゃいない、ちゃんと生きている。

急いで長門の元へ行き、ここから脱するにはどうすればいいのかを考えなければならない。
歩き出そうとするとまた視界が歪む。
酔っ払っている時の感覚に似ていたが、体が驚くほど冷えていた。
重心が右に傾いたかと思うと一秒後には俺の頭は地面に打ち付けられていた。
どうやら思ったよりもよっぽど俺は出血していたようだ。
血が足りないことの辛さが身に染みた。今度献血車を見かけたら是非とも協力してやろう。
そんなことを考えて気を紛らわせながら、俺は目的地を目指した。

キョンはアニメでは酒飲んでないし原作でも酔いが回るほど飲んでないですよね

支援

桐山……

SSなんだから割り切れよ()

>>69
孤島症候群

「あの、長門さん?」

「なに」

「僕……ここにいていいかな」

「…………」

「あ、ごめんね、もう行くから」

「いい」

「?」

「ここにいても構わない」

その問答を経て国木田は長門有希の隣、神社の石段に腰かけていた。
神に対する社交辞令かと思えるほど建物は小さく、彼らの後ろにある賽銭箱も
抱えることができそうなくらいの大きさだ。
神様がこんな社に来臨してくれるとはどうにも思えない。
結局惰性なんだ、信仰心なんて。
もし普段から神に感謝していたらこの事態にならなかったのだろうか。
まさか、と彼はすぐさま打ち消した。あまりにも馬鹿馬鹿しかった。

国木田はクロスボウにちらっと目をやってから、長門有希を見る。
長門はその視線を気にすることなく一点を見つめ続けている。普段ならば分厚い本を読んでいるのだが
さすがにそんな余裕はないのだろうかと国木田は思う。

支援

書き溜め切れたか

「長門さん、僕さっき、人を殺そうとしたんだ」

長門は何も答えなかったし、表情も変えなかった。それは彼を不思議と安心させた。
幼児が形に出来ない不安を母親に抱きつくことで解消するように、今の彼は精神的支柱を求めていた。
キリストに懺悔する気持ちって、こんな気分なのかなと国木田は思った。

「こんなことになってすぐにね、やっぱり死にたくないって思ったんだ。
まだ高校生だし、僕の人生なんて本当に普通で、主人公どころか脇役以下だったけど、
クラスでふざけあったり、テスト勉強して、そしたら徹夜明けに雪が降っててね、
それがすごく綺麗だったんだ。そういうのがもう二度と見れないと思ったら、僕は」

こぼれ出る言葉はそこで止まる。喉の奥がひくついて声が出ない。
いつの間にか彼は泣いていた。いくら袖で拭っても涙が次々にあふれ出てくる。

「僕は、帰りたい。だから殺そうって、思った。キョンをこれで撃った。
でも全然当たらなくて、逃げられて、すごく悲しかった。ずっと仲の良かった友達が
僕から、逃げていくのが」

矛盾していることなどわかっている。
ただ、馬鹿かと怒って自分を止めてほしかった。
なんてわがままなのだろうと、自分でもわかっていた。

鶴屋さん……

支援

 

「僕は馬鹿だ。みんなを殺して生き残っても、今まで通りになんて、暮らせるわけ、ないのに」

ふと顔を上げると、長門がいつの間にかこちらを見つめていた。
何を思っているのだろう。
国木田には長門の感情をその表情から掬いあげることはできない。

「僕は、キョンに謝りたいんだ」

彼は許してくれるだろうか。それ以前に、自分は彼に会えるだろうか。
涙がようやく止まる頃なって、長門が国木田を見据えて言った。

「私は彼と待ち合わせをしている」

「彼って、キョンと?」

「そう」

「じゃあ僕も一緒に、待ってていい?」

「いい」

国木田死亡フラグか

はやく

長門いい奴

ふむ・・・おもしろいな

前にあった県ごとのバトルロワイヤルも面白かったな

>>85
島根とか鳥取とかすぐに死にそうなSSだな

悪夢のような体験からもう数時間が経った。

朝倉のやつが何を考えてるんだかさっぱりわからない。
だがもう彼女に従うしか道はなかった。
ちくしょう、と谷口は悪態をついた。
俺だってあんな依頼、普通だったら断るに決まってるだろう。
馬鹿げてるじゃないか、クラスメイトを指してレイプしてこいだと?
あいつ頭湧いてるんじゃねえか。

股間への圧迫から解放された今は、ある程度思考をめぐらせることができた。
しかし『死』にとりつかれているのは変わらない。
朝倉涼子は別れ際に、彼女の命令が絶対的である、と思わせることを谷口にした。
黒いリモコンを取り出し谷口の首元へ近づけ、それで首輪の識別番号を読み取ったのだ。

「これでね、このボタンさえ押せばあなたの首輪は爆発しちゃうの」

思わず耳を疑った。なんだそのバランスぶち壊しの武器は。
朝倉は谷口の表情を見て、くすりと笑った。

「でもねえ、これって首輪ぎりぎりまで近付けないと読み込んでくれないの。
だから相手の懐に上手く入れる人じゃないと、これを使いこなすのは難しいわね」

そして見事、使いこなしたわけだ。
谷口はため息をついた。相手は優しいクラスの(元)委員長だ。
なんの疑いもなく信用してしまうだろう。
本当にあれは朝倉涼子なのかと、今になっても不思議に思う。

ねみぃ

言葉通り、谷口の命は朝倉が握っている。
朝倉が気分であのボタンを押してしまえば自分は死ぬ。
ハッタリと思われたら困るから、と朝倉は目の前でボタンを押した。
ぴっ、ぴっ、ぴっ。
電子音が鳴る間隔がだんだん短くなっていく。
ぴぴぴぴぴぴぴぴぴ。
首輪の仕組みなんかまるで知らない谷口でも、爆発するのが間近であるとわかった。

「やめろ、信じるから、早く止めてくれ! 頼む!」

「わかってくれてよかった。じゃあよろしくね」

朝倉がもう一度ボタンを押すと、首輪からの音は止んだ。




―――こうして見事に俺は飼いならされたわけだ。
朝倉が設定したタイムリミットは午後十二時。あと丁度六時間ほどだ。
それまでに涼宮ハルヒに会い、そして彼女を犯さなければ自分は死んでしまう。

もうすることは決まっている。決まってしまった。
谷口は重い足取りで涼宮ハルヒを探している。

支援

完結すんだろうな

sien

期待

俺が神社にたどりついたのは、太陽が完全にその円い姿を現す頃だった。
地図と探知機があるとは言え土地勘が全くないので致し方ないだろう。
しかも体が思ったように動かず、転ぶわ木にぶつかるわでロクに進めなかったのだ。
ぽつんと青く存在を示す一つのドットを頂上に見立て、エベレスト登頂を目論む
マロリーのように俺は歩いていた。

石段に座っている長門を見止めた時に俺は心底ほっとした。
体中の力が抜けてへたり込んでしまったほどだ。だからあの賽銭箱の後ろにあるものに
すぐ気付くことができなかった。
長門に詫びを入れている最中に、俺は視界の端に赤がちらつくのに気づいた。
どうしようもなく嫌な予感がした。長門は何も言わない。
立ち上がって恐る恐るそこに近づき、そして見たくもない国木田の死体を見ることになった。

直視に耐えないほど死体の状態は酷かった。
首の周りの肉がはじけ飛んで骨が見えている。行き場のない血だまりがじわじわと拡大していき
石段を伝っていた。
ピンポン玉のように見開かれた目が屋根の縁のあたりを映している。

「これ、なんなんだよ……」

こみ上げてくるものを飲み込みながら独り言を言った。
長門へ向けたわけじゃない、なぜなら俺はこの時長門の存在を忘れていたからだ。
それほどの衝撃だった。

俺を殺そうとした友人は、また別の友人によって殺されていた。


【残り七人】

そんなこと言ってお前らabakanたん好きなんだろ!?え!?
丸っこい消炎器のフォルムとか見て興奮するだろ!?
2弾バーストがほぼ同じ速度で同じ場所に当たって萌えないのかよ!?
弾痕とか見て勃起しないのかよ!?
5.45mmの口径みたら誰でもよだれたらすだろ!
それでニヤけるには至らなくても5.45x39mm弾が発射された瞬間
己のRPGも発射しそうになっちゃうだろ!?え!?
2弾バーストで1800発/分とかきゅんきゅんくるだろうが!!
誰だよ!「移動砲台」なんて粋なセカンドネーム考えたやつ!!
abakanたんにピッタリのネーミングじゃねーかよこら!可愛いなもう!
74Mに比べてぽっちゃりしちゃったし天然なabakanたんだけど僕が側にいるからね!!!

ごめん

「彼はあなたに謝りたいと言っていた」

右後ろから長門の声が聞こえる。
そうか、そういえば待ち合わせていたんだっけ。

「お前が―――」

後に続く言葉を、俺は少しだけ残っていた理性で押しとどめた。
死体を見ればわかることだ。
国木田が死んだのは首輪が爆発したからだ。しかし長門の武器は拳銃だったはずだ。
首輪には弾痕もないし、拳銃で首輪を撃って故意に爆発させたとも考えられない。
だったら。だったら、長門がやったんじゃない。
俺は長門が犯人でないのを証明する理論を、数秒で考えてみせた。
なら誰がやった。どいつが犯人なんだ。

「私と彼はあなたを待っていた」

珍しく俺から疑問を提示する前に、長門が話し始めた。

「今から二十五分十三秒前に朝倉涼子が来た」

「あいつ……あいつか……」

なんなんだよ、あいつは。
どうしていつもこんな事ばかりするんだよ。
俺はあいつに一生苦しめられなきゃならんのか?

賽銭箱に倒れこむように座った。
この際バチが当ろうが、もうどうでもいいことだった。

>>95
仕方ないね

>>94
9x39mmも忘れないで

>>94
94取れて良かったな

やるなー

俺の嫁が・・・国木田が・・・

アッー!

「朝倉涼子は武器で彼の首輪を爆破させ、その結果彼は死んだ」

「はは、大した武器だな」

「わたしは止めようとしたけど間に合わなかった」

長門がこんなに悲しそうにしているのを俺は見たことがなかった。
俺でなくてもわかるんじゃないか、と思うほどだ。
よく見ると、長門の手には拳銃が握られていた。

「朝倉涼子と疎通を図ると、わたしのバックアップとして機能していることがわかった。
彼女はわたしを傷つけなかった」

「ついこないだの改変のときと同じ役割なのか? 朝倉はお前も守るようにプログラムされている?」

「そうらしい。わたしには朝倉涼子の連結を解除はできなくとも、肉体を殺すことはできた。
しかしわたしはそれが出来なかった。彼女はそのまま去っていった」

長門が朝倉に手を出せなかった理由なんて、聞かずともわかる。
自分を庇護してくれる存在をむやみに殺すことが出来なかったのだ。
本当に人間らしくなったな。
きっと本人に聞けばバグだとかエラーだとか言うだろうが。

「わたしは申し訳ないと思っている」

お前のせいじゃない。お前は悪くないさ。
じゃあ誰が悪いのか? 朝倉か? プログラム自体がか?
いや、俺がもう少し早く着いていたらこんなことにはならなかったかもしれない。
俺は物事の判断が上手く出来なくなっているのに気付き始めた。

書き貯め切れたー
その場で書いてくと文章にならなそうなんで、ちっと時間ください。
ちゃんと完結させる気でいるんで・・・

>>104
なるべく保守するんで最後まで頼むよ

保守は任せな

保守スレになるか完結するか……

完結したら評価に値する。

まだまだー

ほしゅーっ

寝たな…

いやいや起きてるよ! 保守ありがとうございます
小出しにするの嫌だから、明け方になっちゃうけどキリのいいところまでまとめて投下します。
今日の夜までに完結できたらいいなと思ってます。

IDチェック☆

>>115
中途半端なハッピーエンドなら希望が全くないバッドエンドにして欲しくな
ハッピーエンドなら超絶ハッピーエンドで

>>115

今日の夜って、どんだけ引っ張るんだよ…

保守

先は長いなw

捕手

ほしゅ

わさっ

きなこ

もちっ

ほっしゅ

とりあえず書けたんで投下しまっす。
といってもそんなに進んでないですけど…

くそ、ダメだ。
こんなぐだぐだ考えていたってどうしようもない。
もう割り切らなければやっていられない。
俺は俺の思ったことをするまでだ。
俺は国木田の目を閉じて、腕を組ませてやった。そうすることで一番慰められるのは
もちろん国木田ではなく自分自身だ。
弔うという行為自体、自己満足に過ぎないのだと思った。

「それで、だ。長門、俺たちはこれからどうすりゃいい? まずここから脱出するんだろう」

「この島の周りは巡視艦が包囲している。船やボートの類はすべて撤去されていた。
一番確実なのは本部を制圧後、関係者や優勝者を輸送するための船を呼び出し
内部を一掃したのち、この国以外のどこかへ密入国すること」

「気の遠くなるような道のりだな。本部ってのは俺たちが最初にいた廃校だろ?
あそこはもう禁止エリアになってて侵入できないはずだ」

「だからこの首輪の爆発機能、探知機能、盗聴機能を解除する必要がある」

この首輪がいかに高性能かは『必勝! バトルロワイアルマニュアル』という
政府折り紙つきの番組で毎回語られている。
恐らくプログラムに興味のある人間なら、この首輪の持つ三つの機能は空で言えるはずだ。
つまり今の俺達の会話も本部に丸聞こえということになる。
しかしこれくらいの会話で動く本部ではない。
きっと脱出がどうこうなんて誰でも考えることで、俺たちもその大勢の中の一部であり
結局失敗に終わるであろうと確信しているのだ。
今俺たちの首輪が爆発しないのはそういうことだ。


「解除するにはコンピュータが必要。でもわたしが回った民家には備え付けられていなかった」

長門はそこまで言うと国木田を見やって、辛そうな顔した。ように見えた。

「あと首輪のサンプルが欲しい。彼のを使おうと思っている」

許可を求めるように俺を見上げる。
俺に拒否権はない。もしここから出れて世界を元に戻せたら、国木田だって生きているはずだしな。

「わかった。長門はそれを解析しててくれよ。俺がどっかからパソコン持ってくる」

長門はうなずくと地図を取り出し、一点を指さした。

「わたしはここで待機している。コンピュータもしくは―――涼宮ハルヒと合流したら、ここへ戻ってきてほしい」

「ハルヒ?」

「涼宮ハルヒとあなたが出会った時点で、全てから抜け出せる可能性もある。
今はどの手段を使っても情報統合思念体にアクセスができない。でも、涼宮ハルヒがいれば
彼女を介するかたちで情報統合思念体にアクションを起こさせることができるかもしれない」

古泉も似たようなことを言っていた。
ハルヒはまだしも、俺に一体何の力があるってんだ。
時計を見ると六時を回っていた。ハルヒと離れてからそんなに経っちゃないのに
どうも寂しいような気がするのはどういうわけかね。

「なるべく早くに戻る。気を付けてな、やばそうだったらすぐに逃げろよ」

最後に国木田をもう一度見た。視界が歪みそうになったが、目がしらを押さえてなんとかやり過ごした。
泣くにはまだ早かった。

いくら待っても鶴屋さんは来なかった。
家に戻ってみるともう彼女は死んでいた。
長い髪が血にたゆたって、部屋を赤く染めていた。

今にも倒壊してしまいそうな精神を支えていたのは、他ならぬ鶴屋さんだった。
彼女はわずかな時間と言葉でいかに生きることがシビアなのかを教えてくれた。
そして言った、『最後くらいしたいことしなきゃ!』
あたしのしたいことってなんだろう。
もう未来へは帰れない。未来人としての役割はない。古泉一樹もそう言っていた。

あたしという“人間”がしたいこと。
それはなに?
思いつくのにそう時間はかからなかった。
ここ最近の様々な記憶がフラッシュバックする中、心に刺さった破片を拾い集める。

涼宮ハルヒに強引に部室へ連れてこられたこと。
そしてその後バニーガールに扮装させられたこと。あの人は止めてくれなかったな。
胸をコンピ研の部長に鷲掴みにされたこと。もちろん仕掛けたのは涼宮ハルヒだ。
映画の撮影で十月の汚れた池に投げ落とされたこともあった。
その後涼宮ハルヒは私にお酒を飲ませて、好きでもない男とキスさせようとした。
鶴屋さんからはあの後謝られたけれど、もちろん彼女から直接の謝罪はなかった。
あの人に怒られて少し萎れていたけれど、すぐにあの人は彼女に何か優しいことを言ったらしく
次の日の放課後には元気を取り戻していた。

―――それを見てあたしは何を思った?

もうわかりきっている。
憎悪だ。

あたしには? あたしには何も言葉をかけてくれないの?
涼宮ハルヒにとってあたしはただの玩具でしかない。
ただの着せ替えの出来る動く人形でしかない。
今まで耐えてこられたのは、これは仕事であると割り切っていたからにすぎない。
上から許可を与えられなければ何もできない、そんな仕事で。
メイド服を着て、お茶を入れるどじっこキャラを演じ続けるのにも嫌気がさしていた。
未来の自分のため。そう思って我慢してきたことは、もうすべて水泡に帰してしまった。

ただ一つだけ、未来がなくなってしまったことで自由になれることがあった。
それは彼女の中で二つ目の目標として燦然と輝いていた。

あたしのしたいこと。
朝比奈みくるの中ですでに結論は出ていた。

涼宮ハルヒを殺す。

支援

タイムリミットが刻々と迫る中、谷口が焦っていた理由はそれだけではなかった。
いわば彼は首と背中に死を抱えているようなものだった。

「うわっ!」

刀の切っ先がブレザーの背中を裂いた。古泉の斬りつけるモーションが大きかったおかげで
二人の差が少し開いた。
これだけ狭い島で、どこかに隠れることもせずに堂々と歩いていれば狙われるのは当然だった。
できれば室内で丸くなっていたかったのだが、それは朝倉が許さなかった。

古泉はまた徐々に間隔を詰めていく。
このままでは今度こそ殺される。谷口は覚悟を決めた。
谷口は背負っていたディパックを投げつけ、古泉がひるんでいるスキにバットで殴りかかった。
手加減はしない。狙うは頭だ。
頭がい骨を砕く感覚が伝わってくる、はずだった。
バットは地面をほんの数ミリ抉るだけで、既に古泉の姿は谷口の視界からは消えていた。

くそっ。
反転するとちょうど古泉が刀を振り下ろすところだった。
駄目だ、かわせない―――。
谷口は身を守ろうとバットで刃を受け止める姿勢をとった。
きっと大根が切れるようにバットも真っ二つになると思い、谷口は恐怖に戦慄した。

「困りましたねえ……」

古泉が顔をしかめている。日本刀はバットに半分近く食い込んでいるものの断ち切ることはできなかったようだ。
よくよく刃を見れば、血と脂でギトギトだった。これでは切れ味も落ちるだろう。
谷口は刃を受け止めたバットを押して、古泉を突き飛ばした。
古泉はそのまま後ろに倒れる。隙だらけだ。
すっかり諦めモードの古泉を放置してそのまま走り去った。

あいつ、古泉だっけ?
なに殺されても構わない、みたいなカオしてんだ。
別に俺は殺したいわけじゃない。勘違いすんな。
にしても、なんなんだあの達観したような余裕さは。
死ぬのが怖くないのか、やめろよ、俺がアホみたいにみじめじゃないか。

思考が別のところをさまよっていた。
自身がどこを走っているかなんて全く意識になかった。
足を踏み外して落ちていくとき、死にたくないとひたすら願い続けていた。
どうしたらあんな表情ができるのか。

「ちょっ、もー! 痛いじゃない!」

突き抜けるような溌剌とした声。
体を乱雑に揺すられた。

「谷口でしょ? 早く起きなさいよ!」

やっと会えた。
爆弾の解除コードがやっと手に入った。
彼女に対しての様々な思いを、谷口は『解除コード』として一括りにすることにした。
そうでないと混乱してしまうからだ。

顔を上げると、不機嫌そうに谷口を見る涼宮ハルヒがいた。

ひゃ

支援

窓ガラスを割って、部屋に侵入する。
一通り物色して役立ちそうなものを鞄に詰め込む。
しかしどこを見渡しても目当ての物はどこにもない。俺は諦めて外に出た。
ほんと、ただのコソ泥だなこれは。

パソコンとハルヒを探すことが俺の目下のところの使命だ。
探知機で誰もいないことを確認してから動き始める。
恐らくこの探知機、最後まで持たないだろう。電池残量がじわじわ減っていくのが見て取れる。
ただオンオフのスイッチもないからどうしようもない―――ん?

ぱぱぱぱぱぱぱぱ

遠くで銃声が聞こえた。気がした。
本物なんて今までに聞いた覚えがないから判断がつかない。
誰かが爆竹鳴らしてると言われたらそれまでだ。まあこんな状況で誰がそんなことするかって話だが。
探知機に再び目を落として俺は驚いた。
二つのドットが物凄い勢いでこちらに向かってきたからだ。
あの銃声から逃げてきたのだろうか。
俺は身を物陰に隠しつつ二人に近づくことにした。
複数で固まっている時点で危険性は限りなく低いはずだ。


数分後に俺が見たのは、ぎゃあぎゃあわめき合う谷口と、涼宮ハルヒの姿だった。

支援

「だから逃げねーとお前死んじまうとこだったんだぞ!」

「うっるさいわね! もしかしたら間違って撃っちゃっただけかもしれないでしょ!」

「あんなぶっ放しといて誤射もクソもねえよ!」

傍から見てるとなんて平和な光景なんだ、という感想を俺は持った。
なんだかハルヒの顔を見るのが本当に久しぶりな気がする。

「おい。お前らなにやってんだよ」

俺が声をかけると、二人とも驚いた顔をして近づいてきた。

「キョン! 良かったあ、もうアホの谷口とは付き合ってらんないとこだったのよ」

ハルヒはいつも通りのハルヒだった。
その瞬間、無性にハルヒを抱きしめたくなるという意味不明な衝動に駆られた俺は、
馬鹿やめろ谷口がいるんだぞやめとけと五回念じてその欲望を鎮めることに成功した。

「よぉキョン、まだ生きてたのか」

「ああ。ところでお前ら何やってたんだよ」

「俺達襲われたんだよ。急に撃たれそうになってさ、そんで逃げてきたわけだ」

「違うわよ、撃った人もそんな気なかったはずよ!」

またそこで口論が起きそうだったので、俺は別の質問をして気を逸らせようとした。

おかえりー

読みにくいな


「結局誰だったんだ? そいつ」

「わからない。全然姿が見えなくって……木の隙間から弾が飛んでくる感じだったから」

「まあいいじゃねえか、どっちにしろもう撒いたはずだ……って、いってえ」

谷口が突然足首を抑えて痛み始めた。
逃げている途中で捻ってしまったのだろう。
ハルヒが情けないわね、と一蹴する。
さすがハルヒだ。助けられた(だろう)相手に感謝の一つないどころかけなすとは。
仕方ない、本来なら長門のところへ帰るべきなのだが、一旦近くの民家で休もう。
谷口に肩を貸してやる。

「いってええ」

「すぐそこだ、頑張れ」

俺は谷口にグーパンチして気合いを入れてやった。
谷口は大げさに痛がるとアホみたいに笑った。
そうしてふざけあっている様は、以前の日常となんら変わっていないように見えた。

谷口がハルヒの制服を無理やり脱がそうとしている。
ハルヒは口から出る抗議の声を押し殺すように唇を噛んでいた。
セーラー服の上はブラジャーが見えるまでにずりあげられている。
細いくびれのラインを谷口の手が撫でまわしている。

目が覚めて一番に飛び込んできたのはそんな光景だった。
なんだこれは。
反射的に飛び出そうとして何故か後ろにのけぞった。手首が柱に縛り付けられている。
瞬きする度に視界が赤くなっていった。血が頭皮を液体が伝い額に垂れていく。
そういえば頭が痛かった。

「キョン!」

ハルヒが俺を見た。縋るような目だった。いつもだったらこんな目、絶対にしない。
谷口は俺を身動き取れない状態にしてハルヒを犯そうとしている。
俺は叫んだ。しかし何を言っていたのかは自分でもわからなかった。

「俺はこうするしかないんだよ、悪いな」

谷口の言葉の意味を深く考えようとはしなかった。
嫌がるハルヒの顔を見るだけで十分だった。

「いや! やめてよ! もういやっ!」

「いいのかよ、そんな態度で。こいつのこと殺したって別にいいけど」

鋭いナイフが俺に向けられた途端、ハルヒは手足を動かすのを止めた。
ぎゅっと目を閉じて、少しでも早く事が終わってくれないかと体を震わせている。
谷口の汚らしい唇がハルヒの唇と重なった。
なにかがぷちっと潰れる音がした。

支援

俺はこいつを殺す。
殺す。
殺す。
殺す。

殺す。
絶対に殺す。



死ね。
死ね。
早く死ねよ。死ねって。いいから。


谷口の顔は殴れば殴るほどその形を変えていった。
何本か歯が抜けている。全部抜いてやろう。
全部が真っ赤なままひたすら谷口を殴り続けていた。

ふと腰に何か重いものがまとわりついていることに気づき、俺はそちらを見た。
ハルヒだ。涼宮ハルヒ。

「やめてよお……やめてよキョン……もういいから、お願い」

ハルヒ。泣いている。
急に体から力が抜けていった。
そういえば、頭が痛かった。
もう何も考えたくなかった。

「ありがとう。とても興味深いものを見ることができたわ」

朝倉涼子は無残な姿になった谷口に言う。
まだ息はあるものの、そよ風が吹いただけで消えてしまいそうな命だった。

「うん、涼宮ハルヒももちろんよかったけど、なんといってもキョン君はすごかった。
普段あんなに無気力そうなのにね。ここまでボコボコにしちゃうとは思わなかったな。
あれはちょっと狂気の域だったかもね。
やっぱりこれも『愛』だとか『恋』って概念のせいなの?
私には理解できないけど、結構楽しそうね。人間って本当に、面白い」

「…………」

「もう二人は逃げちゃったみたいね。これからも期待できる展開がたくさんありそうだわ」

「す、みや……」

「うん? どうしたの、谷口君」

朝倉は谷口の切れた唇に耳を近づけ、彼の言葉を聞こうとした。
ヒト―――もとい、有機生命体は理解できない。だからこそ興味深い。
谷口が朝倉を見る。その刺すような眼差しに朝倉ははっとした。
ついさっきまで情欲に駆られ、今死にかけている人間とは思えない。

「涼宮ハルヒ」

谷口が気丈な声でその人名を言うと、朝倉の全身が呼応したように、ぎゅうと締め付けられた。
鼻の奥から喉までを突き抜けていくかすかな痛み。
なに、これ―――。
苦しいし、重い。抉られるような感覚。
これはどこの器官? 
もしかして、ここが―――こころっていうの?

答えを聞こうとしても既に遅かった。
谷口は虚ろな目をして浅く呼吸を繰り返すだけだった。
瞳から涙だけが伝って落ち、彼の血まみれの頬を一筋だけ洗い流した。

「でもわたしには、まだよくわからない」

リモコンのボタンを押す。
ぴっ ぴっ ぴっ 音が聞こえる。
これは嬉しい音? それとも悲しい音?
ねえ、谷口君はどっちだと思うの?


ぴー


どんっ




【残り六人】

【生存者】
キョン
ハルヒ
古泉
長門
みくる
朝倉

【死亡】
国木田
鶴屋さん
谷口


という支援

ここまでしか書いてないっていう…

>>153
ありがとう助かります
結構書いてるつもりなのにまだこんだけいるのかw

はよ書け

>>154
死亡した順番、鶴屋さん・国木田・谷口でした
こちらこそすんませんでした

これから出かけなきゃならんので、ほんと申し訳ないですが保守お願いしていいですか?
携帯でぽちぽち書き溜めときます。
もし落ちてたら似たようなスレタイでまた立てます。
たぶん帰ってくるのが六時すぎくらいになっちゃうから、落ちてる気がするけどw

よし寝るか

保守

妹乱入はまだですか?

この手のバトルものハルヒSSっていつもみくるが黒化するんだよなあ……。

原作もそうだけど、たまには全うに活躍するみくるちゃんが見たい

みくる一番ストレス溜まってそうだから仕方ない

ほし

このSSもありきたりな作者お出かけEndか

14時まで保守お願いします

保守

☆ゅ

おもろい

☆彡

ほしゅ

ほ し ゅ !

ほしゅ

ほしゅ

んん?

ほす

最近途中で投げ出して無駄に保守させる奴が多すぐる
>>1てめぇもそのうちの一人になるなよ

sssp://img.2ch.net/ico/anime_jien01.gif
期待

寝起きで保守

追いついた

14時に戻って来ないに1万点

>>1が来るのは18時以降だろ

あげ

5分切ったぞ!

やったー!1万点!

>>1はどうしてるんだ?

捕手

ほしゅ

>>1が来るのは6時以降でしょ?

1000までには終わらしてね

ほし

>>1しか読んでないけど超ウルトラグレートデリシャス大車輪山嵐読みにくい

しえん

>>197
途中で指摘してくれた人がいて、読みやすくなったよ。

ほほほほほしゅ、ほしゅ、ほしゅ。ほしゅ

ほし

もしもしだと行間開いてても開いてなくてもさして変わんないんだけどね

ほし

>>202
w2chだと全然違うよ

あげぃ

あけ

>>1が帰ってくるまで保守がてらしりとりしようぜ!

 
りんご

ゴマすり

りんびょう

うり

りす

スマップ

プーバラン

キョン縛られてたんじゃねーの?

あっ


ごめん五年ROMる

ンジャメナ

ナーバス

内藤

ウガンダ

ダム

無駄

無駄

無駄

無駄

ダリ

リンダリンダ

完結頼む保守

そろそろくるー?

帰ってきました。保守ありがとう!
書けたとこまで投下します。

逃げたか…
得意の用事か?
いやいや、18時から書き溜め中か?
ブリーチみてるのか?

気づけばもう日が高く昇っていた。
時間を気にする余裕など当然今の俺にはなかった。

俺はもう頭がおかしくなってしまったのだろうか。
あの時俺は谷口を本気で殴り殺す気でいた。
脳内はどこを殴ればこいつが死ぬかを考えるのでいっぱいだった。
なるべく醜く、原型を留めぬほどぶち壊してやりたいと思っていた。
ハルヒが必死になって止めていなかったら、それは実現していただろう。

「キョン、あたし、あの……ありがとう。助けてくれて」

やめてくれよ。
なんでお礼なんて言われなくちゃならない。
元はと言えば俺が悪いんじゃないか。甘かった。
俺は谷口を信用しきっていた。だから隙を見せた。頭を殴られて縛り付けられた。
そのせいでハルヒは俺の命を保証する代わりに自分の体を差し出すことになった。
全部俺のせいだ。

「……自惚れてんじゃないわよ! なによ、悲劇の主人公ぶって。
あたしはあたしのしたいことをしたまでよ。だから元気出しなさい」

ハルヒがアヒル口で怒鳴った。
男は叱られるのが好きというが、あれは本当なのかもしれない。
素直にされるよりよっぽど俺の精神は落ち着いた。
ふいにハルヒにどうしようもない感情を持ったが、それを止めたのは近くのスピーカーから流れるノイズの音だった。

おかえりー支援

『はーい、お昼の定時放送の時間です。って言っても、禁止エリアどうこうがないから死亡者を伝えるだけなんだけど。
鶴屋さん、国木田君、谷口君。今のところ死んだのはこの三人ね。
ちょっとペース遅いんじゃないかしら。あと十二時間で五人殺すように頑張って。
たぶん夕方の六時ころになったらまた放送を入れると思うわ』

『あ、そうそう、脱出なんて考えない方がいいよ。だいたい卑怯なのよ、正規の方法以外でここから
抜け出そうなんて。私はそういうやり方、気に入らない。
だからこっちが本当に危険性ありと判断したら、容赦なく首輪を爆発させるからね。それじゃあ、また』

彼女が一方的に話すだけ話して放送は終わった。
脱出云々は恐らく俺達に言っているのだろう。
まだ長門が生きているようだし、ばれないように上手くやっているか、あるいは何も思いついていないかの
どちらかなのだろう。
長門は元気でやっているだろうか。俺は意識を遠くに投げようとした。

「キョン……」

やめてくれ。

「三人も、死んだの? 谷口も―――」

もう言わないでくれ。

「ねえ、キョン!」

俺は何も知らない!
知らない知らない知らない知らない。
考えたくない。
人を殺したなんてもう考えたくない。

>>230
wwwwwww

もうやめてくれ!

俺は叫んだ。この手で友達を殺した紛れもない事実が、どこまでも追いかけてくる。
多分俺一人だったらとっくに発狂していただろう。
ハルヒは冷静に俺が殺人犯でないという理論を組み始めていた。
ぶつぶつと独り言が聞こえる。

「おかしいわよ……違うわ。だって、あんたを引きずってってあの家から逃げたとき、
あいつまだ息をしてたもの。キョンはあいつのナイフを取り上げた後、それ放り投げてずっと
素手で殴ってた。それは覚えてる?」

俺は何も覚えていなかった。
どうして手かせを外せたのかも、ナイフ相手に立ち向かったかも、
逃げた最中のことも思い出せない。気づいたらこの小さな診療所のベッドで横になっていた。

ただ鮮明に覚えているのはこの手で谷口を何度も殴ったことだけだ。

「あいつ……でもそんなはず……ああもう!」

ハルヒが弾けるように立ち上がった。座っていたパイプ椅子が後ろに吹っ飛んでいった。
ハルヒは俺にずい、と顔を近づけて言った。

「あたしが確かめてくるわ! いい、あたしが戻ってくるまで大人しくしてるのよ!」

ちょっと待て、と起きあがろうすると体が悲鳴をあげた。
ハルヒを止める言葉を探そうとしている間に、猪突猛進の団長様はドアを勢いよく開けて出て行ってしまった。

おかえり

外は危ないから大人しくしてろよ、そう言えなかったのはそれがあまりに白々しい嘘だったからだ。
ハルヒは嘘には鋭い。きっと俺の本心をそこから汲み取ってしまうだろう。

俺は一人でいるのがひどく心細いだけだ。
ハルヒにそばにいてほしかった。
ハルヒの駆けだす背中を見て、もうこれが最後に見るこいつの姿なんじゃないかと思うと
不安でどうしようもなかった。
俺もついていきたいのに古泉にやられた首の傷、谷口にやられた額の傷、そしてそいつを殴った時に
傷ついた両手、そして極度の疲れがそれを許さなかった。

俺はベッドで一人横になり、ただただ孤独と戦っていた。
自分が殺人犯かもしれないことに震えながら。
もしかしたらハルヒはもう俺の元に戻ってこないかもしれない。
殺人犯と一緒にいたいなんて思う奴なんていない。

全身が震えた。布団を被っても体の芯の冷たさが解れることはない。
目を閉じて、ハルヒが帰ってくるのを待つしかなかった。

支援


わからないわ。人間って。
有機生命体の中では最も優秀であると言っていいだろうけど、一つの内面に矛盾を多く孕んでいる。

朝倉涼子は海岸を歩いている。
太陽の光がきらきらと海面に反射して眩しい。海水は透きとおったエメラルドグリーンだ。
沖縄の近くの孤島なのかもしれない、と朝倉は思った。
こっちと比べ物にならないほど沖縄の海は美しいのだと、以前クラスメイト達が話していたからだ。

『涼子ちゃん行ったことないの? あ、でも修学旅行があるから行けるよね!』

『もうめっちゃ楽しみだよねえ、涼子ちゃんと二年でも同じクラスになれるといいなあ』

クラスメイトの屈託のない笑顔。
自分は五月にはその存在を抹消されていたため、叶わぬ夢になってしまったが。
また体が異変を起こし始める。
心臓を細い針で刺されるような、そういう類の痛み。

「わたしがエラーを起こすのも、時間の問題だったのかもね」

しゃがみ込んで冷たい海水に掌を浸した。
海の向こうには地平線が広がっている。その上を政府の巡視艦が四隻ほど滑っている。
最後に色々見て回るのも面白いかもしれない。
朝倉は地図を広げた。
生きていようとさえ思えば、まだ十二時間は生きていられる。
自然と顔の筋肉が緩む。
足取りがいつもより軽いものに思える。

彼女は感じたことのない昂揚感を覚えつつ、また海岸を歩きはじめる。


さっきは殺されてもおかしくなかったのに、よく生きていたものだ。
僕も悪運が強くなったんだろうか。

古泉一樹は念入りに日本刀を磨き上げていた。
と言っても血や油を拭って、近くの金物屋で見つけた砥石を適当に刃にあてがっただけなのだが。
それにしてもバット一本も断ち切れないなんて、
日本刀一本ではせいぜい二、三人くらいしか殺せないと何かの雑学雑誌だか漫画だかで
読んだのは事実だったようだ。
まさかこんな形で知ることになるとはね。

古泉は自嘲ぎみに笑った。
三年前超能力に目覚め、機関に入ってから様々な種類の笑みを彼は会得してきた。
そして彼は何枚もの皮を被ってきた。
素を出せ、と言われたらきっと困ってしまう。
もう元の面がどんな風だったか思い出せないのだ。
普通だったら絶対に体験できないようなスペクタクルな日常だ。退屈という言葉とは無縁だった。
だが平凡な高校生活が失われてしまったことは事実だった。

それが良かったことだったのか否かは今考えるべき事項ではない。
首を振った。はあ、こんなのいつもずっと思い続けてきたことじゃないか。

支援

彼は涼宮ハルヒに会えただろうか?
こんなに狭い会場で探知機まで持っていればすでに接触できていてもおかしくない。
彼が素直に閉鎖空間を抜け出すときに使った手段を実行してくれればいいのだが。
しかし―――そうしても元の世界へ再改変されるという保証はない。
それどころか成功する可能性は低いと古泉は考えている。
でなかったら当然自分は彼を手伝っていただろう。
鶴屋さんを殺すこともなかったはずだ。

次々とあふれ出るifをやり過ごす。
いや人殺しは自分だけじゃない、他にも二人死んでいるんだ、と思うことでなんとか解消してみせた。
谷口と国木田。彼の友達だ。それに鶴屋さんで、見事に副団員から死んでいっているわけだ。
これは彼女の願望によるものなのか。それだと筋が通る。
表では思っていないだろうが、潜在意識で線引きしているに違いない。
それは仕方のないことだろうと思う。

それじゃあ今僕が生きているのも涼宮ハルヒのお陰なのか。感謝しなくては。
古泉は苦笑いに似た表情を浮かべた。全ての感情が笑顔となって表に出てしまうのは、
もう直しがたい癖のようなものだった。

スッキリしたし支援!


あたしは狂ってなんかない、今、ちゃんとした目標があるんだから。

朝比奈みくるはサブマシンガンを構えつつ、ゆっくりと歩を進めていた。
MP5Kという武器らしい。ドイツ製で取り扱いがし易いのだと説明書には書いてあった。
それでもさっき撃った時の反動は、元々運動音痴で力もない彼女には制御しづらいものだった。
よくわからないが、アタリ中のアタリ武器なのは確かだ。

それなのに、せっかく涼宮ハルヒを見つけたのに、みすみす逃してしまうなんて。
やっぱり。
やっぱりあたしは。
また自己嫌悪にとりつかれる。

とろくさい自分が大嫌いだった。
涼宮ハルヒのように溌剌とも振る舞えないし、長門有希のように淡々と意志を貫くこともできない。
鶴屋さんのような達観した明るさも身につけられない。
ただ馬鹿みたいな格好をして、へらへら笑ってお茶を淹れて、何かが起きても何もできない、
いつもぐずぐず泣いているだけの存在。

“女”を売り物にしているといつも思う。
胸元を露出したコスチュームや、気弱ですぐに涙を見せてしまうところが。
男子生徒の性的ないやらしい目つきの中を毎日生きている自分が本当に嫌だった。
どうしようもなく汚らわしいと感じる。

だからもう全てにケリをつけたかった。
全部終わりにしてしまいたかった。
あの人にも会いたかった。

涼宮ハルヒに及ぶところは一つもなかったが、今は彼女をこの武器で殺すことはできる。
それがみくるの唯一の強みだった。

黒い


長門有希は展望台の窓から外を眺めている。

南には、断崖絶壁の向こうに海が続いていた。
東には、不均衡な集落が見えた。
北には、高い山があった。
西には、灯台がそびえ立っていた。

長門は海を見続けている。
風の音もさざ波の音も自身の呼吸音も聞こえない空間の中で、ただ彼を待っている。


wktk

「喜びなさいキョン! あんたはあいつを殺してないわ」

ハルヒは部屋に駆けこむなりそう叫んだ。
夢と現実の狭間をさまよっていた意識が一気に引き戻される。
俺はハルヒの言葉より、ハルヒの存在を受け入れるのに必死だった。
戻ってきてくれた。

「はー、本当によかった……キョンが殺人犯なんかにならなくて」

ハルヒの声は弾んでいたものの表情はどこか暗かった。わざわざ死体を見に行ったんだから当然だろう。
俺は痛む体をなんとか起こした。
さっきよりはよっぽどマシだった。ハルヒが適当に渡してきた薬が効いているのかもしれない。

「どうしてわかるんだよ」

「だって、谷口の首、もうめちゃくちゃだったのよ。原形とどめてないっていうか……もう思い出したくないわね。
キョンはあんなことしてないでしょ、あんたは無罪なのよ!」

首。また首か。
俺の顔を見てハルヒが眉をひそめた。

「なに、何か心当たりがあるの?」

「朝倉だよ」

「朝倉?」

「あいつは国木田も殺してる」

「じゃあっ、じゃあ鶴屋さんを殺したのは?」

それはわからない。が、朝倉だと考えればまだ心は休まる。
ジェノサイドを繰り広げているのがあいつ一人だけだと考えた方が精神衛生上いいじゃないか。
俺は鶴屋さんを思い出した。
あの人はすべてを悟っている人だ。鶴屋さんが退場したのなら俺もそれに従うべきだろうか。

「ちょっとキョン、なに考えてるのよ」

ネクタイを引っ張られた。痛っ、怪我人になにしやがる。

「あんた何か暗いこと考えてんじゃないの? 
後ろ向きなこと、言ったり思ったりしたら、あたし、絶対に許さないからね」

そう言って俺の目をのぞき込んだ。
俺は理性が思考回路を機能させる前に、ハルヒを抱きしめていた。
もう耐えきれなかった。
ハルヒはびくりと体を震わせたが、すぐに俺の背中に手を回してくれた。
この時間が永遠に続けばいい。
プログラム? 世界の改変? 知るか。
俺とハルヒが抱きしめあう。
それだけでいいのに。こうしていられれば俺は他に何も望まない。本当だ。
俺はいつかは終わってしまう抱擁を恐れながら、ハルヒの体温を感じていた。

「キョン、あたし―――」

今来たとこだけど、>>5の頭痛が痛い、で読む気失せた

厚い雲が急激に空の青を覆い尽くしていった。
太陽は南中高度を通り過ぎ下降線をたどる。

古泉は灰色に光る日本刀を一人の女子生徒に向けていた。

「古泉君、だっけ」

青い髪が風になびき、彼女はアーミーナイフの刃を愛おしそうに撫ぜている。
朝倉は頬に当たる髪を耳にかけた。
その仕草はあまりに魅惑的だったが、今の古泉にそんな下卑たことを思う余裕はない。

「どうしてわたしにそんな物騒なものを? あなたはやる気なの?」

こめかみから嫌な汗が滴ってくる。
以前に暴走を起こして彼を殺そうとし、涼宮ハルヒの情報爆発を観測しようとした情報統合思念体の急進派。
彼女のこの世界に立ち位置はどうなっているのだろう。
彼女はどう設定されてこの場に立っているのだろう。
古泉は朝倉を見据えた。
朝倉の制服は血に染まっている、白い靴下は元から色が赤なんだよと言っても通用するはずだ。
信じる気はさらさらないが。

「申し訳ないですが、僕はあなたを殺します」

「……そう」

朝倉が目を伏せたままナイフを構えた。
それが合図だった。

>>251なら読むなクズ

>>251
それ解った上でのお遊びでしょ。

>>251
別に読めと強要してないから

わざわざ言わなくていいから

古泉は一気に間合いを詰める。
朝倉は人間と思えない動きで横に大きくジャンプした。
そのまま凄まじいスピードで古泉の懐に飛び込もうとする。
日本刀とアーミーナイフではリーチに大きな差がある。
刀の方が当然有利だろうが、それはある程度の距離がある場合の話だ。
朝倉の攻撃をすんでのところで避け、再び間を開けるために後ろへ下がった。
ネクタイとワイシャツがぱっくり裂かれていた。
接近戦はまずい。

「あのときを思い出しちゃうな」

朝倉の声が微かに聞こえた。
しかし辺りを見回しても彼女の姿はどこにもない。
耳に痛いほどの静寂が訪れる。

おかしい。
どこへ行った? まさか、逃げた―――

古泉が向き直った時、それが見当違いであるとわかった。
きらりと光る刃が古泉の心臓めがけて飛んできたのだ。
体を捻ってナイフをよけようとしたが、直後に固い異物がめりこんだ感覚で
失敗に終わったのだと悟った。

地面に倒れこむ。脇腹にナイフが根元まで食い込んでいた。
少し離れたところで、朝倉が木から猫のようにしなやかに着地したのが見えた。
やっぱり人間じゃないんだなと古泉は思った。木に一瞬で登ってそこからナイフを投げるなんて。
朝倉はするすると古泉の元へ近づいてくる。
眼球を動かして日本刀を探すと、三メートルほど遠くに放り投げられていた。
万事休す、だ。

古泉ってロワだと汚れ役になりやすいよな…


「じゃあね、古泉君」

朝倉がリモコンを古泉の首元に近づける。
今の彼女は油断しきっている。
まだ自分の体には凶器が刺さったままだと言うのに。
このまま死んでしまうのはやはり悔しい。

引き分けにしましょう、朝倉さん。

古泉は最後の力を振り絞って腹に刺さっていたナイフを抜き、彼にまたがる格好になっていた
朝倉に向かって突き刺した。
肉が切れる感触がした。奥底まで突き刺さっていくナイフに安堵を覚えながら、古泉の意識は飛んでいった。
死は、何かを考える余裕すら与えてくれなかった。

「あーあ、刺されちゃった」

朝倉は自身の腹から生えるナイフの柄を見つめていた。
赤い血がだらだらと地面に落ちていく。
痛みは感じない。そういう風に構成され、生み出されたからだ。
朝倉は自分の体が出る血をしばらく眺めたのち、歩きだした。






【残り五人】

やっとおいついた。
支援


わたしは―――わたしは死ぬ。
死ぬというのは肉体が動かなくなること。
死ぬというのは意識が消えること。

死ぬのはきっと、悲しいことだ。

なんでだろう。視界が変にぼやけてる。
原因がなんなのか把握できない。システム異常? バグの堆積?

エラー
エラー
エラー

わたしが消える時、いつもその音が頭の中で鳴る。
今も鳴っている。だからわたしはもうすぐここからいなくなる。

波の音が聞こえる。

海は綺麗。わたしの髪の色と同じ。
今のわたしが消えても、またどこか別の時間軸でわたしが生まれる。
わたしはきっと繰り返している。
情報統合思念体もこの海みたいに、次々と新しい生命体を生み出している。
わたしは消えてなくならない。

頭ではそうやってわかっているのに、体の真ん中が痛い。
最後に谷口君と話してた時に感じたものと同じだ。
ヒトは毎日、毎回こんな痛みを抱えて生きているのかなあ。
すごく大変そう。
でもちょっと、うらやましい気持ちもする。

しえん

帰ってきてくれて本当に嬉しいしえん

ぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱ

わたしの体に無数の穴が開く。
目の前にいる女の子と目が合う。

「なに、これ……?」

今まで体験したことのない波が一気に押し寄せてくる。
胸がきゅううと締め付けられ、体の下の方からゆっくりとなにかがせり上がってくる。
それは生温かくて気持ち悪くて、でもやわやわとしていた。

嬉しい、楽しい、面白い、
辛い、悲しい、怖い、憎い、

たぶんすべての感情はそこに内包されていた。

わたしの体は後ろに倒れていった。
海水とは違った透明できらきらした液体が宙に浮かんでいた。
これが涙っていうの?
どうしてわたしは泣いてるのかな。

そうか。
この丸っこい感情の塊が何かを、ようやく理解できたからだ。
あの人が考えていたことが―――いまやっと。

なんでかな、悲しいのに、少し嬉しい。



【残り四人】

スネーク「……」

スネーク「(ステルス迷彩解こうかな……)」

朝倉は桐山ポジじゃないのね

とりあえずここまでしか書けんかった。
でももう構想は出来てるから、今度は終りまで一気に投下するつもり。
日付が変わったころに来れればいいなあと思ってます

あと自分アニメ+原作暴走までしか読んでないから、なんか食い違ってるとこあったら
スルーしてくれ


引き続き保守する

長門は俺の嫁

ほすほす

はぁ?
>>1シネスイッチ

支払いはまかせろー

ほっしーの

ほっしゅ

バリバリ保守

ほっしゅ

書き溜めずにちょいちょい離れるならなんでSSスレたてるの?

うるせえよ電話

この程度の日数保守できないやつがSSスレ見るなよ

そういうこといっちゃうと荒れて埋まっちゃうからやめろ

ねます

ほすほす

眠い

よかった乙

とりあえず保守

ほす

ほしゅ
普通に面白い

うほす

★ゆ

怖いw

最後

うめ

保守ありがとうございます!
0時半から再開します。

nice!

おかえりー

>>1は何だかんだで良いところで休憩するから皆が見たがるんだよな

頭の良いやつめ

みくるは俺の嫁

朝倉は俺の妻

マダー?


俺とハルヒは長門有希が待つ展望台へと向かっていた。
天候はますます悪くなっていくばかりで、少しでも早く着こうと俺たちは躍起になって歩いた。
地図は手汗でくたくたになっていて見づらいし風は強くなってくるしで
俺はなんとなく焦っていた。午後二時、長門と別れてからもう八時間も経つ。
パソコンは手に入らなかったが、ハルヒは連れてこれるぞ、長門。

その時だ。

ぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱ

さっきも聞いた、特徴のある発砲音。
探知機に反応はない。そこまで近くにはいないようだ。
俺はほっとした。音がしたのは進行方向とは逆の方だし、さっさと離れれば危険は及ばないだろう。

「キョン! あの音! 早く行きましょう!」

はあ?
思っていることがそのまま口に出てしまった。
何を考えているんだこいつは。
一度ならず二度までも銃をぶっ放してるやつに会いに行きたくなんてないぜ。

「もしかしたら誰かに襲われてるのかもしれないじゃない!」

「だってお前、さっきは撃たれそうになったんだろ?」

「そうだけどっ、でも誰かいるってわかってるのに放っておけないわ」

おかw

のんびり待つか

いよいよクライマックス


俺は今にも駆け出しそうなハルヒの腕を強く掴んだ。
駄目だ。何だかすごく、行かせてはいけないような気がする。
ハルヒが撃たれるシーンがとても鮮明に浮かび上がった。
直感が警鐘をガンガン鳴らしていた。
俺はハルヒの両肩に手を置いて言い聞かせた。

「駄目だ。あれが朝倉だったらどうするんだ?」

「説得してやるわよ、あんなやつ」

「今は長門に会いに行くのが先だ。俺もあいつを待たせてるし心配なんだ」

「……わかったわよ。でも、有希と合流したら早いところ他の人とも会いましょ。
みんなが集まれば、絶対なんとかなるはずよ」

こうなるように仕向けたのはハルヒ、お前だって言うのにな。
なんでそんなに善人キャラになってるんだよ。
俺のカルマは確実に下がっていく一方だっていうのに。

「絶対こんなところから逃げだしてやるんだから!」

遂に追い抜いてしまった‥‥



涼宮ハルヒのBR
いよいよ最終戦!!


「……入って」

長門は普段と変わらぬ仏頂面で俺たちを迎えてくれた。

「遅くなって悪かったな」

「いい。あなたたちが無事でわたしは安心している」

俺は思わず長門を二度見してしまった。
そしてこんな所にいてはいけないと強く思った。
こいつは感情のないロボットや、端末なんかじゃない。
情報統合思念体がどうとかこうとか、そんなことはどうでもいい。
長門有希は感情の備わった、れっきとした人間なのだ。

「こんな島に展望台があるなんて、結構栄えてたのかしら」

展望台は灯台をそのまま小さくさせたような外観だった。
中に入り赤錆びの浮いた螺旋階段を上ると、360度ガラス張りの展望室に続いていた。
晴れていたらなかなかの絶景だったかもしれないな。
今は灰色の雲が一面を覆っていて、室内に暗い影を落としていた。
東西南北にはワンコイン制の望遠鏡が設置してあったが、どれも塗装が剥がれて地の色が見えている。
この施設があるということは、ハルヒも言うようにこの島はある程度観光地として
機能していたのだろうか。

「でっ、有希! この島から出られそうなの?」

ハルヒが身を乗り出して聞いた。

このスレモバゲー(笑)にコピペされてるぞ


結局、俺とハルヒが出会っても世界は改変されなかった。
残念だったな古泉、やっぱりお前の言うことはアテにならないぜ。
そうなってしまった以上は長門の案に従う他ない。
一旦ここから脱出して、その後で改変の手段を探す。
あるいはハルヒを介して情報統合思念体を動かすか。

長門はハルヒを見つめている。恐らく後者の方法を試みているのだろう。
そして俺の方をちらと見やった。

「できない」

俺とハルヒに二人に向けられた言葉だ。

「そう。そうよね、でもこのままじゃいられないわ」

情報統合思念体は動かせない、か。
また一つ可能性が消えたわけだ。
そして一番実現するのが難しそうなデカイやつが残ったってことだ。

長門は何ともなかったようにハルヒに向き直った。
すると自分の鞄から筆記用具を取り出し、ノートにボールペンで字を書き始めた。
惚れ惚れするほど綺麗な字だ。
将来習字の先生になれるかもしれないな。

『この首輪は盗聴されている。ゆえに筆談』

『まずしなくちゃならないのが、この首輪の解除』


『首輪の構造は理解できた。でもこの内部プログラムをいじるには
本部のメインコンピュータに接続するのが必要。それにはこちらにもコンピュータが要る』

『それにアクセス出来れば、わたしが内部プログラムを操作してこの首輪の爆破機能、探知機能、盗聴機能を
オフに出来る。そうした後に』

長門は凄まじい早さでノートに文字を書き連ねていく。

『我々が保有する限りで最大限の武装をし、本部へ乗り込む。後は敵を殲滅するだけ。
今回のプログラムの参加者は九人であることから、警備も手薄であると考えられる』

『全てがすんだらメインコンピュータから輸送船を向かわせるよう申請する。
あとは輸送船の中さえ制圧できればわたしたちは脱出できる』




わくわくしております。

うん!うん!

wktk


俺は前にその話を聞いていたから話半分だったが、ハルヒは目を輝かせた。
何かを言いだそうと口を開けたので俺は慌てて手でふさいだ。
盗聴されてるって言ってるだろうが。

『じゃあパソコン関係は全部任しちゃって大丈夫ね?』

ハルヒの豪快な字が豪快にノートに書き殴られる。

『まかせて』

『じゃああたしたちは今んとこ、パソコン持ってくればいいのね』

『そう』

『有希も行く?』

『私はここで待機している』


ハルヒは自分の武器であるリボルバー式の拳銃を持って立ち上がった。

「行くわよ、キョン!」

「どこにだ」

「パソコンと、あとみんなを探しに!」

パソコンって言っちゃったらダメなんじゃないか


俺たちは住宅街にいる。
くすんだ家屋の一軒一軒を巡りパソコンを探している最中だ。

「もー。ほんっとうに、どこにあんのかしら」

ハルヒは支給されたパンをがじがじ噛みながら不満げに言った。
これは俺が考えた策だった。ハルヒが思ったことを口に出さない、なんてそもそも無理な話だ。
パンをくわえさせれば、何を言ってるか本部も聞き取れないだろう。

あのハルヒの言葉は本部には届いているのだろうか。
まあ今死んでいないことだし、きっと大丈夫だったんだろうさ。

「あ、見て。あの家、窓が割れてるわ。誰かいるかも」

「いや、探知機には反応ないな。もうもぬけの殻なんじゃないか」

割れた窓から入り込んだとき、俺は思わずせき込んだ。
濃い血の匂いが充満していた。
そして隣の部屋で鶴屋さんが冷たく横たわっているのを見つけた。
ハルヒがくわえていたパンを床に落とす音がした。

鶴屋さんの遺体は国木田に比べれば綺麗なものだった。
まぶたを柔らかく閉じて、唇の端が心なしか上がっているように見えた。
きっと彼女は彼女らしく死んでいったのだろうと俺は思うことにした。
そう思ってないとやり切れないからだ。
鶴屋さんの傍らにはゲーム機があり、マリオやドンキーコングやらのソフトが近くに散乱していて、
これで遊んでいたんだろうかと、彼女のマイペースさを思い出した。

>>321
落ち着け
もうちょっと待つんだ

階段での辺りで言っちゃってたし良いんじゃね?

支援

マダガスカル

しえん


「キョン。やっぱりこんな田舎だし、普通の家にはないのよ」

ハルヒがようやく口を開いた。
今七件目のお宅を物色中で、その間ハルヒは一言も話さなかった。
SOS団名誉顧問である鶴屋さんの死は大きかったのだろう。
無論、俺にとっても。

「もっと大きい施設かなにかに行かないと。市役所とか図書館とか」

「……そうだな。ただ場所がわからないと」

地図を見る。簡略化されすぎていてそれらの情報は一切載っていない。

「あと、これ」

ハルヒは俺にリボルバーを渡した。
眉根にしわをよせ、口をヘの字に曲げている。
こいつのものすごく不機嫌そうに見える顔は、不安であることの表れなのだ。

「あたし、今は撃てないと思う」

「わかったよ」

リボルバーを受け取ると、あまりの軽さに拍子抜けした。


「もうついてないわね。最低よ!」

雨が降ってきた。
ハルヒは恨めしそうに天を睨んだ。
雨はどんどん勢いを増していき、俺とハルヒは拝借した傘をさして公共施設を探していた。
俺たちにはもう雨宿りをしている時間もない。
午後四時三十分。早くパソコンを探し当てて長門の元へ戻らなければ。

雨が傘を打つ音にすべて飲み込まれていた。
だから探知機が反応を示す音にも、銃声にもすぐに気付けなかった。
俺には生まれながらにして危機感というものがないんじゃないかと思う。

ぱぱぱぱぱぱぱぱぱ

またあの音だ。

「キョン!」

ハルヒが叫んだ。俺がさしていた傘が吹っ飛び、五メートルほど後ろへ軟着陸した。
穴だらけで骨がめちゃめちゃに折れている。

前を向くとマズルフラッシュが見えた。
俺はハルヒの手を引っ掴んで建物の陰に隠れた。

いったい誰なんだ、あいつは。

シエンタ

早く

思い当たる節は二つ。
朝倉か? それとも古泉か?

俺はハルヒから預かっていたリボルバーの撃鉄を起こすと、闇雲に撃った。
ただの牽制だ。大人しくどこかへ去ってくれよ。お願いだ。

「キョン、こっちくる!」

雨の向こうに人影が見えた。
早く逃げなければ蜂の巣にされる。

ぱん ぱん ぱん ぱん

走りながら撃ったって当たるはずがない。
んなこたわかってる。
それでももう少しくらい怯んだっていいはずだ。
あいつは恐れを知らないように俺たちを全力で追いかけ、弾をばらまいている。

ちくしょう、弾切れだ。
急いで弾を込めるが、視界が雨で霞むうえに走りながらなので手元が覚束ない。

ぱぱぱぱぱぱぱぱぱ

容赦なく相手は鉛玉を浴びせてくる。



「うあっ」

体が跳ねた。
ついに被弾してしまった。しかも足にだ。
スピードが一気に落ちる。逃げなければ死ぬとわかっているのに、足が全く言うことをきかない。

「キョン、大丈夫?!」

「駄目だ先行け! 早く!」

俺は映画みたいなセリフを吐きながら、ああこれが主人公を命がけで守って死ぬ役の
気分なんだなと思った。
思ったよりかは味気ない。

「馬鹿! あんた置いていけるわけないでしょ!」

ハルヒが俺の首根っこを掴んだ。
俺がいくら立とうともがいても、左足が自分の重みを支えきれない。

「やっぱりお二人だったんですかあ」

俺はひどく場違いな声を聞いた。
きっと聞き間違いだろう、危機に瀕しているから彼女のような、存在だけで人を幸せに
するようなお方の声が聞こえてくるんだろう。

「ずいぶん探してたんですよお。やっと会えました」

目の前にはマシンガンを突きつける朝比奈みくるがいた。

ゴトゥーザさまぁぁぁ

脳内再生


「み、みくるちゃん?」

ハルヒがハルヒらしくない、動揺した声を出した。

「あなたが、あたしたちを撃ったの?」

「はあい」

朝比奈さんが首肯した。
普段と全く同じ、例えばお茶くれと頼まれた時の答え方と寸分の狂いもなかった。
ハルヒは俺の足の傷と朝比奈さんの顔を交互に見た。
足からは血があふれ出ている。雨が洗っても洗っても、血は止まらなかった。

「なに考えてんのよ! みくるちゃん、本気でやってんの?!」

「本気に決まってるじゃないですか……冗談でこんなことしませんよお」

朝比奈さんがマシンガンを持ってじりじりと詰め寄ってくる。

俺はリボルバーの銃口を朝比奈さんに向けた。
こんなことしたくない。したくないに決まっている。したくない、ないが!
朝比奈さんは笑っている。
あの天使のような微笑みだ。
俺はなんで朝比奈さんに銃なんて向けてるんだ。
恐らく俺は世界中の男を敵に回している。

「涼宮さんを殺しに来たんです。あなたはあたしにとって、ストレスそのものでしかなかったから」


「え、な、なにっ……? どういう意味よ……」

「あたしをいじめて楽しかったですか? あたしを池に投げ落として楽しかったですか?
あたしはあなたのために、ううん、未来のためにずっと我慢してきました。
でも、それも今日で終わりです。あたしは楽になりたいんです」

「…………」

ハルヒは朝比奈さんが向ける憎悪を理解できないようだった。
ただ自分がなにか取り返しのつかないことをしてしまった、と感づいたらしく真っ青になっていた。

「みくるちゃん、あたし、あの」

「何も言わないで。聞きたくないの」

俺には朝比奈さんが言いたいことがよくわかる。
そしてここまで思いつめていると考えもしていなかった自分を悔いた。

「朝比奈さん、俺が悪いんです。こいつは朝比奈さんが嫌がってるなんて思ってもみなかったんですよ。
本当に悪いのは俺です。俺は朝比奈さんが耐えてるのをいつも見てるだけでした。俺が本気になって
ハルヒに止めるよう言えばよかったんです。だからお願いです」

俺は両手をついた。

「ハルヒにだけは手を出さないでください」


裏ボス登場だな

支援

キョンかっけえ

「……なんで、なんでですかっ……」

朝比奈さんは俺たちを見下ろして泣いていた。

「あたしはっ、キョンくんに謝ってほしいわけじゃないのに……どうしてかばうの?
なんでなの、わかんないよ……あたしは、涼宮ハルヒに……キョンくん。キョンくん」

ぱぱぱぱぱ、またあの音だ。
銃口は俺に向いている。
ああ、今度こそここで終わりか。まあ朝比奈さんにやられるんだったらそれほど悪い気もしないな。
天国で自慢できるだろう。

「キョン!」

黄色いカチューシャが見えた。
視界いっぱいにセーラー服が飛び込んでくる。
そこからはさっき抱きしめあった時にもかいだいい匂いがした。

「ハルヒ?」

人が死ぬのは一瞬だった。
俺が何かをしようとする前に始まって、終わっていた。

ハルヒは―――この世界の創造主であるはずの涼宮ハルヒは―――死んでいた。
いくら揺すってもその身体は何の反応も示さなかった。
本来だったら俺の体が受けるはずの弾丸は、全てハルヒの華奢な体で受け止められていた。



【残り三人】

えええええええええええええええええ

ハルヒーーーーーー……!!

ハああああああルぅヒいいいぃぃぃぃぃ

みくるしね

しんだろか

え…ん?

何かが生まれて、何かが壊れる
繰り返し無駄なことさえ、やめない人たち、不思議な人たち、眺める私も含まれた。

詰んだじゃねえか

春日ざまあ

やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめ

ハルヒ…。

うわああああ

え・・・?


















え・・・?


「キョンくん」

あたしの言葉に彼は全く反応を示さない。
ただ必死に涼宮ハルヒの体を揺すぶっている。

もう死んでいるのに。
もう死んでるんだよ?

「キョンくん」

もう一回呼びかける。
彼は涼宮ハルヒを抱きしめたまま、微動だにしない。

あたしは取り返しのつかないことをしたんだな。
でも、別に後悔はしていない。
あたしは最期になって、やっと自分の思うままに動くことができたの。

だよね、鶴屋さん。
あたしはこれでいいんだよね。

「キョンくん」

もう一度呼ぶ。何度でも呼ぶ。

間違いなくみくるは今レイプ目

張飛が死んだ!

か・・関羽も死んだ!

ざまあwwwwwwwwwwwwwwww

これは予想出来なかったな

ハルヒざまぁ

古泉生きてるよな?長門、みくる、キョン

…四人じゃね? 

古泉死んでるよ
朝倉に殺された

>>362出直してこい

確か古泉は朝倉と共倒れしたはず

朝倉は古泉と朝比奈の連係プレーでやられたよ

黒…は

まさかここで朝まで保守とか無い…よな?

その瞬間
マジックテープ式ライフルが静寂を切り裂く
バリバリ
やめて!彼女は死んだ。MTS(笑)

>>1起きてる?


彼はやっぱり答えてくれない。

でも今思うとね、あたしは最近、あたしなりにSOS団での楽しみを見つけてたのかもしれない。
涼宮ハルヒも以前のような振る舞いはしなくなった。
あたしが涼宮さんを殺した理由なんて、元から一つしかなかったのかもね。

未来にいつか帰る。
未来にいつか帰ると思っていたけど、彼に惹かれるのを止められなかった。
彼は優しかった。
涼宮さんはあたしが彼と仲良くするのを心底嫌がっていた。
あたしは彼と話すとき、もちろんそこには嬉しさと恥ずかしさでいっぱいになった。
でもそれと同時に。毎回涼宮さんの刺すような視線に怯えなくちゃならなかった。

未来に帰れなくなって、あたしは普通の女になった。
あたしは彼に思い切り恋をしてよかったし、涼宮さんに怯えなくても良かった。

だから涼宮さんを殺そうとしたのに、彼は涼宮さんをかばった。

「キョンくん」

分かりきったことだったのにな。
彼はあたしなんか恋愛の対象として見てないって。


涼宮さんと両想いなことなんて、わかってたのに。


……どうしても許せなかったの。

【生存者】
キョン
長門
みくる

【死亡】
鶴屋さん
国木田
谷口
古泉
朝倉
ハルヒ


支援

眠い…。誰か朝まで残しておいてくれ…。

寝るわノシ

あしたの昼頃まで残ってたら嬉しい

まだまだいくよー

「キョンくん」

どこか遠くで呼ばれてる気がした。
でも答える気になれない。

「キョンくん」

「キョンくん」

「キョンくん」

うるさいな、何なんだよ! 放っておいてくれ!

「キョンくん」

すぐ目の前には朝比奈みくるがいた。
俺の手から拳銃を取ると、弾を一発だけ込めた。

「殺すなら早くしてくれ」

朝比奈さんは笑ってそれを自分のこめかみにあてると、少しも躊躇ずに引き金を引いた。


「―――さよなら」





【残り二人】

長門と2人か…

ハルヒ(´;ω;`)

sssp://img.2ch.net/ico/monaazarashi_1.gif
なんだと

なんてこったい

ほほう……

古泉死んでたな
朝倉をころしてくれてありがたい

寝ラン無いじゃないかこのやらう

早く

完全に書き溜めが切れてしまったー
間に合うかなと思ったら全然間に合わなかったー

その場その場か、まとめて投下か、どっちがいいか教えてください。
本当に申し訳ないです

高品質だったらなんでもいい

>>381
朝倉さん殺したのは朝比奈さん。まぁ、止めだけど。

その場その場でかまわないけど>>1のやりやすい方で

あとどれぐらい続くんだ?

>>384
あなたがやりやすいように。
溜めて書くのならそう宣言して頂ければ寝られますので助かります。

てかもうねるねないと寝る時おやすみなさい。

ここまで来たら書ききっちゃってもいいんじゃね

じゃあゆっくりになっちゃうけど、ぶっつけで書きます。
絶対に完結させるんでそこは大丈夫です

>>388
あと10レス分くらいだと思います

モバゲーにパクリアップしてる奴通報したいからだれかURLないか

追いついた

支援

>>391
よしきた頑張れ

>>392
これでいいのかな?
ハルヒ「ねえキョン、バトルロワイアルって知ってる?」 - SSまとめ速報
(http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1255951736/)

>>395
書き込み時間すげぇな

追いついた支援

追いついた~
とりあえず>>1頑張れ


俺はハルヒを抱きしめたまま動かなかった。
だんだん冷たくなっていくハルヒの体を自分の体温で温めたかった。
そうしたらハルヒが生き返ってくれるような気がした。

最後までハルヒに伝えられなかった思いを告げようとすると、喉が詰まって何も言えなかった。

『キョン、あたし―――』

俺もこいつも似た者同士だった。
あの後ハルヒは顔を赤くして何も言わなかった。
俺からあのとき言ってやればよかったんだ。
そうしてれば、言葉で確かめ合った同じ気持ちを共有できたのに。

当たり前だ。俺はハルヒが好きだった。

閉鎖空間に閉じ込められた時、俺はキスを手段として使った。
もちろんそこに愛情はあったが、だからこそどこかに罪悪感があった。
だから俺はここでキスするのを拒んだ。
世界が正常に戻ったら手段とかどうとか、そういうのを一切無視した本当の恋愛感情だけで
ハルヒを抱きしめて、キスがしたかった。

今ものすごく後悔している。
どうだってよかったんだよそんなことは。

生きていただけでよかったんだ。


ハルヒの唇はもう冷たい。

(´;ω;`)ブワッ

(´;ω;`)ブワッ

あぁ…………

僕は福原遥ちゃんっ!

さて、そろそろ布団に潜りながら携帯で見るか・・・

僕は福原遥ちゃんっ!!!

おwwwwwwwまwwwwwwwえwwwwwwらwwwwwwww
こんなんで泣くなよwwwwwwwww









(´;ω;`)ブワッ


どれくらいの時間、ここにこうしていたか分からない。

俺はハルヒの顔をじっと見つめていた。
今でしかできない行為だ。

「なによキョン、あたしの顔になにかついてるわけ?」

そう言われてしまうだろうから。


時間が経った。
雨はもう止んでいたが、ハルヒの髪は濡れたままだった。
俺はそれを触っていた。

また時間が経った。
もう夜になっている。自分たちが住んでいる街では決して見ることのできない星空が広がっている。
綺麗だなあと素直に思う。
この頃になって俺はようやくまともになってきたのか、ハルヒ以外の物事に目がいくようになった。

前方には朝比奈さんの死体がある。
白い顔が夜空に照らされて蝋人形のように光っている。

俺はどこかに行かなければならなかった。
そのどこかが思い出せない。


「―――迎えにきた」

俺のすぐそばに長門有希が立っていた。

カメムシが飛んでる部屋で、NHKの野郎のフンドシ映像を流しながらこのスレを読んでも泣けるわけねぇじゃんww




(´;ω;`)ブワッ

描写が細かいからか、場面がちゃんと脳内再生される

支援

長門がキョンころしてEND


「涼宮ハルヒは死んだ」

長門は俺を見下ろして言う。
そんなことわかっている。
じゃあなんで俺はハルヒを抱きしめているのか?
そんなことわからない。

「涼宮ハルヒの意思はその死体にはもう存在しない。それはただの肉塊であって涼宮ハルヒではない」

「涼宮ハルヒが以前のように我々の世界で生活することは二度とない」

「涼宮ハルヒはもうあなたの前には現れない」


俺の理性はとうの昔に吹っ飛んでいた。
でなきゃ長門の首を絞めるなんてことは絶対にしない。
長門の首は細かった。
力を込めれば折れてしまうんじゃないかと思った。

長門は感情のない瞳で俺を見ている。
入学してまだ間もない頃の長門の目だ。
その瞳はずっと見続けていた、ハルヒの死体とよく似ていた。

そのことに気づいて俺は手を離した。
そして長門の細い体にしがみつくと、俺は初めて泣いた。

え、そこ怒るとこちゃうやろ

長門を殺したら俺がキョンを殺す

何度読み返しても長門は怒らせるような発言してないじゃん!

エンドレス

最愛の人が死んだ直後にその事実を感情の無い声で淡々と述べられたらそりゃ逆上すんだろ

キョンの感情を逆撫でするような発言はしている

キョン死ね

事実を述べられて逆上するとかキチガイもいいとこだな
キョン氏ね

感情移入しやすい話だ
良作

>>419
事実を言われてイラついたことないの?

これはこの作品は素晴らしいと思えてきた

最後の完結の仕方によっては下半期オレが選ぶベストSS賞を是非とも授与したい

いつまで続く?

>>421 イラついたことはあるけど暴力振るったりはしたことないよ
そんなこと聞いてくる君はキョン擁護するつもりなの?

>>424架空の話になに熱くなってんだよwwwwwwwwwバカじゃねぇの


思えばここ何年も泣いたことなんてなかった。
卒業式やらのイベントで男泣きするような連中を遠巻きに見て、ああ若いっていいねえとか
親父臭いことを上から目線で思っていたような、ひねくれた人間だった。
涙腺塞がってんじゃないかと疑ることもあった。

そんな俺が今一人の女子生徒にすがって泣いている。
長門はなにも言わないし、なにもしなかった。

これ以上泣けないと思うところまで泣くと、涙は急に止まった。
悲しいと思っていても涙が出ないのだ。

「もうここにはあなたとわたししかいない」

俺がぼんやりハルヒの死体を見ていると長門が言った。
もうハルヒには触れなかった。
触れたらもう二度と離せなくなりそうだったからだ。

「他のやつらは?」

「六時の放送で死亡したと伝えられた」

そんなものが流れていたのか。
覚えていない。記憶にはハルヒの死に顔しかない。

「古泉も、朝倉もか?」

「……そう」

>>425 架空とはいえ大好きな長門が首絞められてんだぞ暑くならざるを得ないだろ
電話が必死に草はやすなよ

>>424
擁護するわけでもないが、目の前で人死にが出た状況でそんなことされたら頭に来るのも仕方ないんじゃない?

全ての人間が常に冷静で理性的で合理的な行動をするわけではない。

長門生きてるのか
てっきり首〆で死んで素敵なバッドエンドかと思ったわ

>>428
そうですよねすいません、ROMってますね

>>427大好きな長門wwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

むー

あーもうあかん寝る!!

麻がたのしみや


俺はあることを思い出した。

「そうだ、脱出はどうなったんだ?」

パソコンがどうこう……。
俺とハルヒが外に出た理由はそれを手に入れるためだったはずだ。

「そもそもコンピュータを手に入れること自体が、現在の我々には不可能だった」

長門の表情が揺らいだ。

「この島がプログラム会場として明け渡されたのは1993年で、今から十六年前のこと。
小さい島にはコンピュータそのものが存在していなかった。我々がここから抜け出すのは不可能」

民家や展望台の風化具合。
鶴屋さんが死んでいた家にあった古いゲーム。
ずっと思っていた。この島は時間が止まってしまっているみたいだと。

「でも電気が通っていたし、置いてあるものだってそこまでは劣化していなかったはずだ」

「恐らくプログラムで年に数回利用している。ライフラインを切断していないのは政府が望んだから」

長門は拳銃を俺に向けた。

「だから我々は殺し合うしかない」

   ≡≡≡

 ≡≡≡     ハ,,ハ  ぬ~すんだバイクで おことわり~♪
    / ̄/  (゚ω゚ )  
   /─ ハ    ハ  ハ  ≡≡≡≡≡
  ノ[ ̄]ノo \二⊂ノ  ノ   _   ≡≡≡
   ̄ ) ̄)Ninja\ ハ ヽ ̄ノ ノ ̄\  ≡≡≡
   // //冊||冐呪| ハ ヽ ニニニo┘  ≡≡≡

 /⌒/ ハ川 重⌒ハ (__)言 ´ニヽ   ≡≡≡
( ̄(/ / ) 巛○(○)|  /ニニ(○))  ≡≡≡
 \_ ノ   ̄ ̄ ̄  ̄  ̄ \ 二 ノ ≡≡≡

やめて!

バリバリ

>>437
やめて

>>437
やめろwww

あとどのくらいでおわるんだ>>1

sssp://img.2ch.net/ico/monaazarashi_1.gif

    ∧__∧.   \       J( 'ー`)し          /
   ( ・ω・)    \ バリバリC□l丶l丶        /   ∧__∧
   (っ囗と) バリバリ \    /  (   )やめて!/    ( ゚ω゚ ) 支払いは任せろー
   ./   )       \  (ノ ̄と、 i     / バリバリC□ l丶l丶
   ( / ̄∪    __ lヽ,,lヽ   ∧∧∧∧  /       /  (    ) やめて!
    _|. :::|_    | |Θ|(    ) <   マ >        (ノ ̄と、   i
| ̄ ̄ ̄| ̄ ̄|_ |_|_|と    i. <   ジ >            しーJ
|___|__|_|  |_|  しーJ < 財 ッ >
 ――――――――――――< 布 ク >―――――――――――――――――――

 お会計を承ります        < の テ > \       /^`''-..,
  ハ,,ハ               < 予  l  >   \     //  /`〉゙'.,
 ( ゚ω)              < 感 プ >    \  //  / / ;;::|
 /<▽>ヽ             <  !!! 式 >      //  / / ;;:::/

 |::::::;;;;::/  ∧__∧       /<      >      ヤ,\/ / ;;::/ ミ
 |:と),__」  ( ゚ω゚ )     /   ∨∨∨∨        ヤ, V./ ;;:/ ミ バリバリ
  |::::::::|  C□ l丶lヽ  /乗せてやんよ!,... -―――――ヤ, //7;;:/  ___
  |:::::::|  /  (   /        ,,..-''"(´・ω・`)     ヤ,/_.;;:::/ヽ、\皿#,,\
  |:::::::|  (ノ ̄と /   ,,.. - ''"゙゙;>ー―---――;=''''"゛゛⌒ヽ, ̄ィ7  /〉  ''´ ̄`i マジック
  |::::::|      /  ,,. '"  ,,. '"        /    /   ヽェソ 乃▲ /,r'⌒!'  テープ式!?
  し'_つ       ∠二フ/___,___/∠二フ/  r'⌒ヽヽ_/´   // ∩ i    lヽ,,lヽ
           〔`゙`ー―――――――――'''''"゙´   / ∩ |   ̄___!/ノ ∪ノ   (    )
            〉同〉―― [二二] ―――j同>=:;つ_ノ ∪ノ/ ̄   `ー―''´    と   i



>>440
出来れば五時までには終わらせたいけど、たぶん六時くらいまでかかっちゃうと思います
いやーほんとに早く書けんわ

ほし
寝る
あとは
頼んだ

作品を批判するつもりは毛頭無いんだが聞いてくれ。
なんで完結まで書いて投稿しないんだ?
途中で休憩を入れるんだ?

もしかしてそれがスレを伸ばす方法だと知っているからか?
そうならむしろ感服する。
単にサボってるだけならポーターの財布で頬っぺた引っ叩いてやる。

おいついた
しえん

やめて

>>442
スピードより内容重視でいいと思うよ
ただ寝る時は事前に教えてもらえるとありがたいッス

TSUTAYAなどがネット規制推進してるので不買運動よろしく

身分書を見せないと、まんが喫茶を利用できなくなる

権力者ウマーーー
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
こんな馬鹿企業をほっとくと自分の首を絞めることになる
自由な社会には匿名が必要
警察はきれいな言葉を使い国民の自由を奪い、権力者を守ろうとしてる。
★★★★★★不買するネットカフェなどの一覧★★★★★★

ゆう遊空間、TSUTAYA、カラオケ店「メガトン」「ワオキューブ」   
自遊空間   
TVゲームショップ桃太郎、モモオー ドットコム、桃太郎王国、ゲームセンター「アミ ューズメント桃太郎」

Airs Cafe(エアーズカフェ)
フリークス
コミックバスター
アプレシオ
CYBAC(サイバック)
複合カフェ「快活CLUB」、「快活フィットネスCLUB」
アイ・カフェ、古本市場

不買の理由はこれを読んでください
不買!→TSUTAYAゆう遊エアーズ自遊空間(ポルノ規制)
web魚拓

1ヶ月ほど前に、けいおん!でバトルロワイアルするSSがあったな。

唯「バトロルワイアル……って、何?」

って奴。ニコ動でも見たけど。

sssp://img.2ch.net/ico/monaazarashi_1.gif
>>448全部うちの近くになくてまともに利用できない事実に愕然とした

sssp://img.2ch.net/ico/monaazarashi_1.gif
>>449ニコ動のは知らないな、詳しく


朝比奈さんの手が握っているリボルバーをむしりとった。
別にこのまま殺されても構わないと頭で思っているのに、体は勝手に生存本能を発揮させる。
朝比奈さんの右前頭部ははじけ飛んでいたが、残った左目、鼻筋、顎のラインは驚くほど美しかった。


俺と長門は拳銃をお互いに突きつけ合う形で立っている。

「ひどいな、お前も」

「……あなたは私を信頼しすぎた」

「最初からこうするつもりだったのか」

「そう」

「……そうか」

引き金を引いたのは、俺も長門もほぼ同じタイミングだった。


かちん 



間抜けな音が二つ重なった。弾が入っていない拳銃に殺傷能力なんてない。

長門は口を少し開け、驚いた表情で俺を見据えていた。
どうやら俺たちは同じことを考えていたらしい。

>>448
自由が丘にある"ワイプ -WIP-"は大丈夫のようだな。
もっともネカフェなんて滅多に利用しないけど。

>>444
後先考えずにスレ立ててしまった。
本当に申し訳ないです。今度からは気をつける!

>>447
今起きてる間に終わらせます!

>>453
快活の廃スペックPCでネトゲやるのが月一の楽しみだったんだが…
もうずっと自宅のクソPCでやっとくかね

>>451
VIPのSSを、かまいたちみたいな感じで読めるようにした奴。

あのSSは、伏線の張り方と回収の仕方が神がかっていた。

ニコ動のは30分ちょっとで全部読めたよ。

>>455
PC買えばいいじゃん。
ネカフェの灰スペックPCなんて大したことないぜ。
WIPの「灰スペック席」のスペックなんてひどい。
Pen4にGeForce6600だ。
メモリ1GB。
どこが灰スペックだっての。

追い付いたああ



続きまだー?

支援

俺のマグナムが火を噴くことはなかった

一生無いから安心しろ
俺も仲間だ


長門と俺はその場に座り込んで話していた。
と言っても、俺が一方的につらつらと思っていることを口に出すだけだが。
すぐそばにはハルヒと朝比奈さんの死体がある。
全員が集まったら楽しいだろうなと思った。

「なあ、長門」

俺は何度もした提案をしつこく持ちかける。
しかし長門は聞く耳を持たない。

どうして断るんだよ。
この世界に情報統合思念体とやらがないんだったら、お前はここでは普通の女子高生だ。
生還して、一介の人間として一生を過ごす。
いいじゃないか、それで。

「あなたはどうして生き残ろうとしないの」

聞かずともわかるだろう。
俺はハルヒのいない世界には興味がないんだよ。
もっと正確に言えば、ハルヒ、朝比奈さん、古泉、鶴屋さん、国木田―――今なら朝倉と谷口を含めてやってもいい、
あともちろん長門、お前もだ―――そいつらが全員いない世界なんて何の意味もないからだ。

「同じ」

長門が笑っているように見えた。

「わたしも同じ理由。だからあなたの提案は拒否する」

>>457
PCあるにはあるんだがどうもゲーム用には厳しくてな
最近車買ったししばらくは大きな買い物は出来そうにないって言うwww

>>463
何のゲームやりたいんだよ。
どうせSudden Attackみたいな韓国製だろ?
あんなもんオンボードでも動くぜ。

早く寝させてくださいお願いします

長門はやっぱりいい奴だ

きた

ねもい

>>464
FPSはやらねー
一応国産MMOとだけ言っとくw
いい加減スレチだしなw

時計が十二時を指した瞬間、首元で電子音が鳴り始めた。

ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。

「長門」

「なに」

「死ぬのって、やっぱ怖いな」

「……そう」

「まあ一瞬で終わるって思えばいいか」

ぴっぴっぴっぴっぴっぴっ

「でも俺はたぶん幸せなんだな。一人で死ななくて済むんだからさ」

「……わたしもそう思っている」


ぴーーーー



ぱぁん


【残り一人/ゲーム終了・以上第四十二号プログラム実施本部選手確認モニタより】

ここからラストまでは一気に投下します。
6時までには終わらせたい

支援

くそっ、ひっぱりやがって…

保守

さるよけ

よし来い

よしこい

>>1文章読みやすいし面白いぞ
しえん

残り一人…だと…?


明日仕事なのに
現場なのに

長門の策略か
ハルヒパワーでキョン生還自殺ENDか

早く読み切って寝たいものです(´・ω・`)

はげど

まだかなぁ

しえん

まだかまだか

おせえええ
さるくらったか

朝8時集合で、今日から合宿な俺はどうすれば

おいまだか

はやくねさせろおおおおおおおおおお
いや寝させてくださいお願いします

ラストスパートへの書き溜めか寝オチかビミョー

まだか

もうちょっと待っててください、すいません
寝オチだけは絶対にないです

もうねる
あばばあばば

>>491
がんばれ

>>491
待ってるぜ☆

6時になったぞ おい 6時になったぞ

6時になったから来たのにひどい!
寝るからほしゅお願いします

やっぱり寝ます
保守してください

お前らあと少しだ!1よ頑張れ


俺は船の中の一室にいた。
目の前には担当教官とやらが鎮座している。
偉そうな態度の女で、プログラム中に何があったか根掘り葉掘り聞いてくる。
仕方なく俺は答える。

「あなた、キョンって呼ばれてるの?」

「ええ、まあ」

「キョンね、なかなか面白いニックネームだわ。キョン、知ってた?
あなたってこのゲームの参加者ほとんどと会ってるの。
涼宮、朝比奈、古泉、谷口、長門―――鶴屋と国木田はもう死んでたけどね。
まったく会ってないっていうのが朝倉だけっていうんだから驚き」

朝倉涼子。いつも俺に凶器を振りかざしてくるあいつは、今回に限って見逃してくれたらしい。

「そうねえ、朝倉さんはいつもキョンたちがいる所とは反対方向にいたりしてたわね。
まあ会わなくて良かったんじゃないかな。あの子は怖かったわねえ、盗聴記録見てびっくりしちゃった。
キョンも興味あったらみてもいいわよ。あなたはもう優勝者なんだから」

見ず知らずの年上の女性にこんなふざけたニックネームで呼ばれるのは、
普段だったら嫌悪感でいっぱいになるはずだった。
しかし彼女の口調と『キョン』という言葉の響きは不思議なほどマッチした。
俺は黙ったままで彼女を見つめる。

7時半までに確実に完結させてくれ。

1週間はネット環境から離れるから。

きたああああああた

長門おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

まさか担当教官が……

「ねえ、結局最後はどうだったのよ?」

「最後?」

「しらばっくれないの。長門さんと、どうなった? どうしてあなたが生還した?
あと三秒で首輪は爆発するとことだったのに」

その出来事から、まだ一時間も経ってない。
記憶は痛いほど鮮明だった。



あの時。

首輪がけたたましい警告音を鳴らしていた時。

長門は自分のオートマチック式の拳銃を拾い上げるとこめかみにあてた。

俺だけ生き残らせて、お前は何がしたいんだよ!
そう思った。

とっさにそれを止めようと俺は長門の手を掴んだ。
運悪く俺の親指がトリガーにかかってしまった。
無我夢中だった俺はそれに全く気付かずに力を込め、拳銃を引きはがそうとした。

ぱぁん

銃声がすると首輪の音は止んだ。
足元では長門有希が体を投げ出して倒れていた。
実にあっけない出来事だった。

なんという鬱END

長門……

俺はここまでのようだ

仕事に行ってくる

「ふうん……」

彼女は俺を見て薄く笑った。

「変な話ね。まあどこが、とは突っ込まないでおくわ」

彼女は立ち上がって部屋を出ようとする。
逃がすか。
俺には確かめなければならないことがある。

長門が使っていた拳銃を彼女に突きつける。
彼女は少しだけ驚いたようだったが、すぐにからかうような口調で俺に言った。

「それ、弾込めてないんでしょう。そうじゃなきゃ船内に持ち込めるはずないもの」

そう。
この銃に弾は込められていないはずだった。
長門と俺の拳銃、どちらともあの死ぬ間際では殺傷能力のない鉄の塊だったはずだ。
俺はあの後ずっと長門と一緒にいたが、あいつが弾を込めるのを見ていない。
それでも弾はここから発射され、長門有希の命を奪った。
なぜだ。

急展開ww

このスレモバゲーのVIPに丸写しされてるぞ

モバゲー()笑

>>510
みんな知ってるから黙ってな

口調がハルヒっぽい


おかしい。
この世界はおかしい。
つなぎあわせで作られたハリボテだ。

俺は引き金に力を込めようとする。たぶんこの拳銃からは弾は発射されるだろう。
確信があった。
俺はこの女を殺して、みんなの敵打ちができる。

「キョン」

おかしい。ここはおかしいんだ!
担当教官であるはずの女が涼宮ハルヒに見えるなんて間違っている。
ハルヒはあの島で死んだはずなんだ。
死んだじゃないか、俺を庇って穴だらけになって!

涼宮ハルヒは記憶よりも少し大人びた風貌をしていて、軍服姿がよく似合っていた。

「残念ね。あんたとは仲良くできると思ったのに」

駄目だった。引き金を引けない。
涼宮ハルヒにしか見えないこの女を殺せない。

俺の好きだった涼宮ハルヒが死んでも、この涼宮ハルヒは生きている。
もうこれ以上俺はこいつの未来を奪いたくない。

「銃口を向けた以上、反逆罪よ。弾がなくともね」


涼宮ハルヒは俺の額に小型の拳銃を押し付けると、引き金を引いた。

え?

あるぇ

カオスすぎる…

>>510
http://mbga.jp/_msg_list?o=0&p=1&t=99552692


今日こそは一番乗りだろうと思った。
なんてったって集合時間の三十分も前だ。
俺は自転車を止め、公園へ向き直ると驚愕した。

「遅いわよ! キョン!」

ハルヒが怒ってるのか笑っているのか判別しづらい顔で言った。
見渡すと全員がそこにいた。

鶴屋さんが八重歯を見せて笑い、
国木田、谷口がいつもの馬鹿みたいな会話で盛り上がり、
古泉は雑誌からそのまま抜け出てきたような体で、
朝比奈さんは相変わらずの天使のスマイル、
長門は無表情、だけど心持ち嬉しそうに見える。

俺は少し遠くからこちらを眺めていた朝倉涼子に声をかけた。

「一緒に行こう。きっと楽しいから」

朝倉は恥ずかしそうにはにかんで輪に加わる。
これでいいんだ。
もう争いが起こることもない。

「おい、ハルヒ」

「なによ」

「早く行こうぜ」

これは

「またわたしはあなたに再生されたの?」

「そう」

「今度は一体どんな役回りかしら、どうせ消える運命なんでしょうけど」

「わたしに溜まったバグは膨大。もう制御できない状態にある」

「そうみたいね。ここは情報統合思念体も介入できない空間みたいだし」

「だからわたしはわたしの抹消を試みることにした」

「なるほど? それにしては面倒な方法をとったのね。本のフィクションを
ベースにプログラミングするなんて」

「涼宮ハルヒが熱中していた本を適用した。説明は省く。あなたと記憶を共有する」

「―――わかったわ。一日だけ自由に振る舞えるってことね」

「……ただ」

「わかってるわよ、彼には手を出さない。一回消されたことがあるからよく理解してるつもり」

「それで? あなたは彼に何を望んでいるの?」

「わたしの破壊」

「それだけのために、わざわざこんなことを?」

「そう」

味噌汁ウマ過ぎ

カオス

「情報統合思念体に申請すれば、あっという間に処分が下るのに」

「……わたしは彼以外の人間には壊されたくない」

「ふうん。へえ、このなんだかどろどろしてて形が掴めないのが、あなたがバグをそこまで
溜めることになった要因ね」

「…………」

「わたしにも理解できるときがくるかしら」

「わからない」

「まあいいわ。結局わたしはあなたに従うしかないってことよね。
もしここでわたしが情報統合思念体にアクセスしようとしたら、あなたはわたしを消去するだろうし」

「……涼宮ハルヒの力をある程度制御できたとはいえ、彼女が何を引き起こすかは未知数。
私が把握できないもあるかもしれない。あなたはそのバックアップ」

「……わたしはもう集合場所へ行く」

「長門さん、心配しないで。ちゃんと転入してくるわよ」

朝倉涼子は朝日を見つめながら、明日を思った。





エピローグで伏線回収はあるのか?

>>1乙!!!!

今来た
まだ>>5の一行目だわ。このSS読む価値あんのかな
長々しいけどスレ伸びてるし、さぞ評判なんだろうな

>>1お疲れさま!!

なんか目から汁が出てた…

後はうんこの方が終われば寝れる

キョン「ハルヒがマグロだから別れる」 - SSまとめ速報
(http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1256072332/)

>>1
乙!久々にSS読んだが面白かった
おやすみ

>>1乙!!
他のやつらも乙!!

初SSでお見苦しい点(最初の読みづらさとか)もあったと思いますが
完結できて本当によかったです。
最後のほうぐだぐっだになっちゃってすいませんでした><
保守、レスしてくれた方、みなさんありがとうございました!

これは長門が自分の存在を消すために、SOS団+αを巻き込んだっていうこと?

>>1

寝る前に完結してくれて良かった


死んでく順が良かった

うーん、なんというか最終的に説明不足な感
携帯で二日にわたって保守してただけに残念だ

>>1
グロになりがちな題材をよくここまでまとめたと思う
最後まで読めてよかった!

結局どうなったの?

まだ落ちるな

長門が参加者ハルヒと教官ハルヒの二人を用意
教官ハルヒが世界を改変(正常化)で>>519

もしくは>>519は死後の世界

だろうか

最初の展開が早いな

もうちょっと

国語力0の俺に最後の展開の詳細を

>>1乙!

オレが思うに>>519は改変された世界とかじゃなくて
>>1の回想だと思うんだ。
んで何故バトルロワイアルになったのかが>>521以降に・・・
でもそう考えると>>519の「もう争いが起こることもない。」ってフレーズが意味わからん

おもろかったよ。
でもやっぱ補足エピソード欲しいな。wkwk

俺も>>519は回想だと思ってたけど
うーん… 
わかんね

でも最近いいハルヒSSなかったから面白かった
>>1

>>1

>>1よ、おつむが残念な俺に最後の方を説明してくれ

モバゲーのスレ主(笑)がモバゲーで賞賛されてるなw
一言作者に言えば良かったのに

>>1

>>1乙、よかったぜ

よかったら最後解説してほしいw

終盤がカス
他のssみて勉強してこいよ

エピローグ頼む!

うわぁ…最後ひでぇな

亀乙

今起きました。
読み直すとラストが説明不足すぎですねw

レスでああだこうだ説明するのは恥ずかしいんで、補足話書いてきます!

キマシタワー

>>559
待ってた

モバゲーにコピペした者です。 
以前に自分と同じような事してるユーザーがいたのでついやってしまいましだ。

常識的に考えれば悪い事は明白なんですが… 
作者さん本当に申し訳ありませんでした。 
以後気をつけます


>>562
死ね

さぁ補足するんだ

VIP運用って書いとけよ

>>565
把握


とても残念な気持ちになった。
人殺したことについてではない。そんなことは日常茶飯事だからだ。
優勝者がトチ狂って殺されるなんて、一年に一件程度はみられる事象だ。
でも。
彼女は目の前で死んでいる男を見下ろした。

「キョン」

青春に似た苦さが胸に突き刺さった。
彼女は今28歳で、こんな気分になるのは数年来なかった。
なぜ自分がこんな一介の男子生徒に心を奪われているのか理解できなかった。
キョンと呼ばれる彼をどこかで見たような気がする。
しかしいくら記憶を底から引っ張り出しても、彼には行きつかないのだ。
会ったことがないのにとても懐かしいのはなぜだろう。

彼女は彼の頬に触れた。
そして何かを考える間もなく、全く無意識のうちに、唇を重ねていた。
血の味を噛みしめながらしばらく呆然としてしまう。
初対面の男に、しかも死体にこんなことをするなんて、あたしは頭がおかしくなったのか。

「……キョン、あんた馬鹿よね。弾がない拳銃であたしを殺そうなんてさ」

あの時の彼の表情には鬼気迫るものがあった。
もし彼が冗談めいていたら、いくら自分でも反逆罪と見なすことはなかった。
彼の拳銃を確認すると、やはり弾は装填されていなかった。
彼もそれはわかっていた。なのに本気で自分を殺そうとしていた。

この世界はおかしい、と彼は言っていた。
いったいそれはどういう意味だろう。

>>562
しねばいいとおもうよ^^


長門有希の盗聴記録を思い出す。
彼女はとても大人しい人間でほとんど話すことがなかったので、声以外のものがよく聞こえた。
荷物を漁る音、食事を摂る音、そして拳銃をいじる音。

彼の言っていたことには矛盾があった。
長門有希は自殺しようとして、それを止めようとした彼ともみ合いになって死んでしまった。
彼と彼女はお互いを生かそうと、弾の入っていない拳銃を突きつけ合ったらしい。
拳銃が無害なものになったのはこの時で、それ以降長門有希の首輪からはマガジンを装填する音は
聞こえなかった。
そして十二時を迎える。
弾は長門有希の体を貫き、彼を優勝者にさせる。

と言っても、拳銃をいじくる音なんて小さなものだ。
首輪が受信しなかった可能性もある。

「あんたが有希をやったんじゃないの?」

口から出る言葉にまた驚いた。
見ず知らずの女子生徒を名前で呼んでいた。

彼が彼女を殺した。そう思っていた。

でも―――本当にこの拳銃に弾が込められてなかったとしたら。

いったい誰が彼女を殺した?

>>562
人がやったからってやるなよ死ね
今すぐ削除しろ
作者だっていいとは一言も言ってねーぞカス

わくわく

>>562
いまさら何を言っても何をやっても意味はない
あんたの汚れはもう落ちないんだ
あんたはもう立派な盗人だ
おめでとう犯罪者さん


考えれば考えるほど、この世界が整合性の取れていないものに思える。
鉛弾はどこから出てきたのか。
深く考える必要はないかもしれない、もうすべては済んだことだ、言い聞かせても
彼の存在が胸を引っかき回した。

そばのテーブルから資料を取る。
今回の参加者の個人プロフィールだ。

なぜか今見返すと、全員見覚えがあるような気がした。

みくるちゃん、朝倉、古泉くん、有希、鶴屋さん、アホの谷口、国木田。

そしてキョンと涼宮ハルヒ。

キョンは最後、あたしを涼宮ハルヒと呼んだ。
書類にクリップで留めてある涼宮ハルヒの写真。勝ち気そうな瞳でこちらを睨んでいた。
確かに自分に似ているかもしれない。

彼の顔、体のラインをなぞった。
ごつごつした指も長いまつげも少し茶色い髪も全てが好きだった。
……今まで会ったこともないのに。

「キョン」

名前を呼んだ。
あたしには涼宮ハルヒが乗り移ってしまったのかもしれない。

その時ドアが勢いよく開く音がして、ようやく警備にあたっていた兵士たちがやってきた。

夜まで残っててくれ…

おお!
補足が来てた
支援

支援バイト終わりまでのこれ


「どうされましたか!」

兵士たちは一列に並んであたしの名前を呼んだ。
もちろん涼宮ハルヒではない。もっと普通の名前だ。

「あたしに拳銃を向けてきたから、反逆罪として処断したわ。最後ボディチェックをしたのは誰?」

兵士の一人が申し訳なさそうに手を挙げた。
自分の行動がこの事態を引き起こしたことがわかったのだろう。

「あんた、こんな子供に言いくるめられたの? 武器を記念に持ち帰りたいって?
弾回収すればいいってもんじゃないのよ。原則禁止って上からも言われてるでしょう」

「申し訳ありません」

「まあいいわ。こんなのよくある事例の一件で片づけられるでしょ。私が始末書を書いておくわ。
あなたたちはこの死体の始末をして」

そう言うあたしはいつものあたしだ。
あたしの精神はどこも異常じゃないはずだ。でなかったら、こんなにキビキビと命令が出せるはずない。

「はっ、了解です」

部下たちが彼の死体を外に引きずり出す。
あたしは政府の人間だと言い聞かせ、涼宮ハルヒの思いを断ち切る。
彼が出ていくと血だまりが部屋には残った。臭いはしない。慣れてしまっているからだ。


アナルロワイヤル

支援

>>578
あ、あいでぃー…IQがすてき

まだかな支援

兵士の一人が血だまりに浮かぶ拳銃を拾い上げ、一礼をして部屋を出ていこうとする。

「待って。それはあたしが預かっておくわ」

「なぜですか?」

「あたしが処分しておく。馬鹿正直に上に報告したら面倒じゃない。なんで銃を預からかなかったのかって
ちょっと問題になるわよ。だから銃の存在はなかったことにする。文面もごまかして書くわ」

兵士は、ありがたいですと事務的に笑んで拳銃を渡した。
ドアを閉めて一人になると、さっき座っていたソファに沈み込む。

彼のお陰で、この世界はひどくあやふやなものになってしまった。
拳銃には弾はない。
ひどく軽かった。

あたしはソファの背もたれに寄りかかって、口の中に拳銃を突っ込んだ。
ドラマや映画なんかだとこめかみに当てるのがセオリーだが死にきれないことも多々ある。

もしこの世界が完成されたものならあたしは死なない。弾がないのだから当然だ。
でも不完全なものならあたしはないはずの銃弾で死ぬ。
完成していない世界に生きるのは真っ平ごめんだ。

キョンという大好きな赤の他人の存在なんて認めたくない。
この先こんな気持ちになることがあるんだったら、あたしはこんな世界望まない。

「キョン」

あたしは引き金を引く。

続きが気になるのう・・・


かちん

口内から聞こえてきたのは間抜けな音だった。
やっぱり―――そうだよね。
こみ上げてくる笑いを止められない。
なんと滑稽なことだろう。
現実はどこまでも現実だった。

考えすぎだ。世界がそんなに歪みきっているわけがない。
世界はきちんと構築されている。

いや。
突然面白い考えがふって湧いてきた。
世界は、今この瞬間にやっと構築されたのかもしれない。

写真の少女があたしを睨みつける。
涼宮ハルヒが望んだから、あたしがここに今いる、そんな可能性だってある。
参加者の立場でなく、それを統括する担当教官として。

あたしは涼宮ハルヒの写真をポケットに入れた。
あたしはあたしであると同時に、また涼宮ハルヒなんじゃないか、そう思った。

涼宮ハルヒ、あんたの好きな彼は、あたしが殺しちゃった。
でもいいの。
あたしはがこっちで生きていくには、たぶんキョンの存在は辛すぎるだけになっちゃうから。ごめんね。


涼宮ハルヒは鏡を見ると、おもむろに長い髪を一つにくくり始めた。
特に意味はなかった。

ポニーテール……

うわああああ

長門じゃなくてハルヒがそうさせたのか

二人の力が混沌化しているって感じかな?

                           __
             __,,..-:‐::─::─:‐:‐:-<´__  ̄`ヽ、
          ,.ィ´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :`ヽ、
        /: : : : : .:/-‐‐'" ̄ ̄ ̄ ̄゛`ーi:: : :`ヽ、___

          /: : : : : : ::/__,.:-‐:─:─:‐:-:─:─|: :ヘ'" ̄  /
       /: : ;/: : : :/"::{::、:.: : : : :\:: : : : : : :|:.: :ハ. 、-:ヘ.、
        /: :;ィ'|: : : : {:: :λ::\:.: : : : :\:.: : : : :|:.: : :|  \:.:ハ
      j;/ .|: : : : |:.:/ ∨: :|\:: : : : :|\:;ィヘ|: : : |    ,>:.:}
     く.    |: : : : |::|  ∨::|  \:: : :|,/\:|: : :/:ヘ,/λ::|
      〉   |: : : : |::|/´`ヽ:|   \:|,____ }:.:/:: :|:.: : :|'|:.:|
      /____,|:: :|:: :|:j __,, `ー'"   オ弐テ7j;/::.: :|:.: : :j |::j
      |:.|:: ::ハ:: :|:: :|マ弐チテ"     V:ィ:;リ,,' ハ::.: :j: : :/ レ'
      |::|: ::{ ∨:.: :|、込ィ:;リ_,'     、  ̄"´ 〈:: : :/:: :/
      |:j|: ::ゝ、{: : :∧" ̄              〉::/:: :/
      |' |: : : : :ヽ、: : :ヽ、 ,ヘ、        ,.ィ::/|;/
          ∨: : : :: : :;r'^ヘ:>‐-`-、-‐r<´_:|;/
         ヽ、:ト、:.:.:_}  r,〉  \____,}   /∧
           ` `{二二ニl、   \ニニ| //、 ヘ、
              |" ̄ ̄~}、_   \j // ヽ、ハ
              |      j / `ー-、_//、  ,r‐┴-、
              |     ,     /:::j::::;> |`ー-‐'´|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヾ、_,ノ'´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|    | ̄ ̄

                            |    j
                           `=='´


長門有希は木枯らしに吹かれながら公園までの道のりを歩く。
ダッフルコートを羽織っているのは冬であるしるしのようなもので、彼女自体に寒暖の差は
意味を持たない。

これから起こりうる事態を彼女は全く予想できなかった。
涼宮ハルヒの力を出来る限り制御したとは言え、何を起こすのか分からないのが涼宮ハルヒである。
プログラムから抜け出そうとするのならば全力で阻止しなければならない。
彼に逃げだされてしまったら、情報統合思念体を裏切った意味がなくなる。
情報統合思念体に存在を抹消されるのは嫌だった。

嫌だと感じることが出来る。
今までの自分には出来なかったことだ。


わたしは、その反対の感情を抱くことも出来た。


わたしは彼に消される。消されなければならない。

わたしにバグが蓄積する原因をつくったのは、あなた。

もっとちょうだい

頑張れ>>1

支援

 i゙ /:/ .i:::::l::::::::::/l:::::/ |::ト;:::::::::::::::::::::::::l:::::.ヽ:::::::::::::::::l::::::l::::::::l`ヽ、.  \

 |./.:.:/   .l:::::|::::;;;;_i |:::/  |::|.ヾ、::::::::::::::::::::ト;:::::|ヽ:::::::_;;ィ|!:::::l::::::::l   l:ヽ、 /
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12月18日。


わたしはあの中で永遠に存在できたらどんなにいいだろうと思っていた。
部室にはわたしと彼しかいなかった。

彼はわたしが改変させた世界を望まないだろうとわかっていた。
選択権を彼に委ね、やはり彼は元の世界を選び取った。

あの時、彼が病室で言ってくれた言葉。

わたしは解消したはずの自らのバグがますます膨れ上がっていくことに気づいた。

『お前の親玉に言ってくれ。お前が消えるなり居なくなるなりしたら、いいか? 俺は暴れるぞ。
何としてでもお前を取り戻しに行く』

彼はそう言った。
だが彼が選び取ったのは涼宮ハルヒがより身近にいる世界。
その力で彼の後ろに座り、彼のうなじをシャープペンシルでつつくとの出来る距離。

わたしはわたしのバグを対処することができなかった。
否定。
しようとしなかったのだ。

わたしは流れ込んでくる感情の波に疲弊していた。


全て終わらせたかった。彼の手によって。

切ないのう……


「あっ、有希! 早くこっちにきなさーい!」

涼宮ハルヒの声が鼓膜に響く。
集合場所には彼を除く全員が揃っていた。

「珍しく遅いじゃない、んま、ビリはいつもと変わらないけどね」

わたしは当然彼を生き残らせるつもりでいる。

わたしはわたしを彼に終わらせてほしいと望むだけで、彼に恨みなどなかった。
別の手段もあった。が、涼宮ハルヒが読んだ本を影響させた世界の方が
彼女が自然にその状況を受け入れ、力が故意に働かなくなるだろうと考えた。
涼宮ハルヒの力とわたしの力のバランスがどうなるかは予測がつかなかった。

彼がこちらに向かってくるのが見える。

彼は恐らくわたしを頼ってくるだろう。
脱出の手段を探そうとするだろう。
わたしはいつでもこの空間を再構成し、歪みを元に戻せる。それを悟られてはならない。

―――わたしには弾を込めていない拳銃を発砲させることも出来る。

彼がわたしを見る。
わたしが彼を見る。


微笑もうとしたが、今のわたしにはとても出来なかった。

                                    終わり

補完乙
近年稀にみる秀作

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          /f'"   ゙Y \                  ヽ -    ノ ト.〈''
       ,, ri''"  }''三三ミ{   ゙'ーァ、                    >、_,, ィ'" ./ Yヽ、
        ,ベ!.゙!   |  :::::::|    //ヘ              /:ハ   / /.:.:.:.|\
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      ト;::/゙i ゙!  l  .:::::l   /./::v:::|         ,イ´.::.:.:.:./゙:.:| |r::::{;/ Уl:.:.\.:.:.:::::::::.`ー 、
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微妙だ…
クソとカス間くらいの作品だ

なんでだろう



目から水がでてくる





**

これでちょっとは分かりやすくなったかな…
みんな付き合ってくれてありがとう、終わってよかった

>>604
乙~

>>604
乙!
そのうちまた何か書いてくれ

楽しみに待ってる

保守


ごめん面白かったんだけど
教官の女は何だったんだ

保守派

今追いついた

なんかBRみたくなってきたわ

借りてこようかしら

落ちる前に読み終えられて良かった

>>1

ブックオフに105円で腐るほどあるよ

駄作ともいえない良作ともいえない

とりあえず暇つぶしにはなった。ありがとう。

>>604
それでこそ我が子

みんなぁぁぁぁぁぁあ(泣)

ねえこなた。バトルロワイヤルってしってる?

>>609
教官の女はハルヒの逃避願望の表れってことでひとつ

またSS書くときはちゃんと最後まで書き終わってからにするよw
暇つぶしになってくれたら幸い。あとモバゲーのコピペ云々は気にしてないから続けちゃってもいいです
みなさんありがとうございました。では!

>>621
ノシ

ほしゅ

乙!

ハルヒSSにしちゃあかなりの良作

いちおつ!

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