『スマイルプリキュア レインボー!』 Part 4 (993)

~ ごあいさつ ~

こちらは、『スマイルプリキュア!』の第2期を想定した自作のストーリーを SS形式で展開していくスレとなっています。
投稿の作法や文体などに至らない点がありましたら、随時ご指摘いただけますと幸いです。

作品の主なルールは下記の通りです。


・地の文無し(基本的にセリフと擬音のみ)

・内容はあくまで『プリキュア』シリーズっぽく作成します
 キャラ崩壊や、シリーズを著しく逸脱する内容 (エロとか残酷描写とか) はありません

・設定は基本的に原作『スマイルプリキュア!』を踏襲します
 ※意図的に崩す場合は注釈を入れます

・本作では原作終了後、中学3年生となったみゆき達を描いていきます
 新しい設定・キャラ・敵を盛り込んだ完全オリジナルストーリーとなります

・毎週日曜 AM 8:30 更新予定
 (本家『プリキュア』と同じ時間)


本シリーズの過去スレはこちら

・Part 1(第1話 ~ 第11話)
 『スマイルプリキュア!』第2期を SS で作るスレ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360385907/)

・Part 2(第12話 ~ 第20話)
 『スマイルプリキュア レインボー!』 Part 2 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366529393/)

・Part 3(第21話 ~ 第29話)
 『スマイルプリキュア レインボー!』 Part 3 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1373151336/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1379287447

月曜日朝にプリキュアやっててもいいじゃない
連休だもの

レインボー



『スマイルプリキュア レインボー!』

このあとすぐ!

~ ふしぎ図書館 ~

みゆき「――それじゃあ、スマイルプリキュア、全員集合をお祝いして!」


全員「カンパーイっ!」

木下「カ、カンパイ……」


カチーンッ!


ポップ「ようやく、ようやく、伝説の戦士が 7人全員そろったでござるな!」

キャンディ「めでたいクルぅっ!」

ポップ「うむっ!」

ポップ「赤の戦士・キュアハッピー」

みゆき「え? あ、はい!」


ポップ「橙の戦士・キュアサニー」

あかね「にひっ」ニカッ


ポップ「黄の戦士・キュアピース」

やよい「えへへ!」ピース


ポップ「緑の戦士・キュアマーチ」

なお「うんっ!」


ポップ「青の戦士・キュアビューティ」

れいか「はいっ!」


ポップ「藍の戦士・キュアノーブル」

はるか「うん!」


ポップ「そして……、紫の戦士・キュアヴェール!」

木下「……はい……」


ポップ「虹の 7色にまつわる伝説の戦士達が揃ったことで、希望が見えてきたでござる!」

ポップ「全ての世界をデスペアランドから守り、ピクチャーランドを元の平和な国に戻す、という希望が!」

ポップ「あとは、マティエール王女の持つ最後の秘宝・"ホープブラッシュ" によって "夢の絵の具" の力を引き出せれば、フレスコ王子――デスペア国王も止められるはずでござる」

キャンディ「そうクル! マティ、もうちょっとクル。みんなスマイルになれるように、いっしょにガンバルクルぅっ!」

マティ「はいっ! みなさま、これからもよろしくお願いいたしますわ!」ペコリ


木下「…………」


木下(伝説の戦士・プリキュア……、この間は、"やってみる" って言っちゃったけど……)

木下(……どうしよう……。話、全部聞いてわかったけど……、思ったよりずっと……、ううん、想像もつかないようなタイヘンなことだった……!)

木下(わたし達のいる世界とは別の世界――メルヘンランドとピクチャーランド、そんなものがあって……)

木下(悪い心でできた闇の絵の具っていう道具で、ピクチャーランドが悪い力に塗りつぶされちゃってできたのが、この間おそってきたデスペアランド……)


木下(そのデスペアランドは、わたし達全員の心を一度全部なくして、希望しか持たない心に塗り替えようとしてる……)

木下(そんなことになったら……、その人は、その人じゃなくなっちゃう……。世界中の人達みんな……! だから、止めなきゃいけない……)


木下(でも、そのデスペアランドの一番えらい人で、元のピクチャーランドの王子様だったデスペア国王って人は、今のセンパイ達でもぜんぜん何もできないくらい強いんだって……)

木下(わたしから見たら、センパイ達だってものすごく強いのに……、それよりも、ずっとずっと……)


木下(……そんな人達相手に……、わたしなんかに何ができるのかな……)

木下(プリキュアになったって、あの葉っぱの盾くらいしか出せないわたしが……、世界中の人を苦しめるような悪い人達相手に、何が……)

木下(…………ムリだよ……。できっこないよ……)

木下(わたしも "希望" だなんて言われてるけど、そんなすごい力、わたしにはないよ……)

木下("世界を救う" だなんて、そんなこと……ムリに決まってるよ……!)


木下(どうしよう……、どうしよう……!?)


木下「…………」ブルブル


みゆき(……? 木下さん、震えてる……?)


みゆき「…………」

みゆき「はいはーいっ! みなさんちゅうもーくっ! わたし、星空 みゆきから提案がありますっ!」

あかね「ん? なんや、みゆき、ハブから棒に」

れいか「あかねさん、それを言うなら "ヤブから棒に" ですよ」

あかね「あ、あはは、せやったっけ? まあ、ええやんええやん。で、どしたん、みゆき? "提案" ってなに?」

みゆき「よくぞ聞いてくれました! わたし達、ついに 7人そろったけど、まだ大事なものが足りないと思うの!」

なお「? さっきポップが言ってた、"ホープブラッシュ" の話?」

みゆき「それもそうだけど……、もう一つ、大事なものがあるよね!」

やよい「なんだろ……? それってなに、みゆきちゃん?」

みゆき「そ・れ・はぁー……、チームワークですっ!」

はるか「チームワーク?」

みゆき「はいっ!」


みゆき「木下さんもプリキュアになってくれたけど、みんなの力を一つにするには、チームワークが大事だと思うんだ!」

みゆき「でも、わたし達は木下さんのことを、木下さんはわたし達のことを、あんまりよく知らないよね」

あかね「ん、まぁ、せやな。何回か一緒にお昼食べたくらいやし」


れいか「確かに、みゆきさんの言うことはもっともですね。それで、みゆきさんの "提案" というのは?」

みゆき「うん! あのね……」


みゆき「みんなで遊園地に遊びに行こうよ!」

6人「遊園地?」

みゆき「うんっ! みんなでたくさん遊んで仲よくなれば、もっとお互いのことがよくわかって、チームワークもよくなると思うんだ! どうかな?」

はるか「……なるほど、いいんじゃないかな。確かに、仲良くなるにはそうやって、一緒に遊ぶのが一番かもしれないね!」

はるか「特に、私は木下さんのことはまだ全然知らないから、仲良くするためにも、ぜひお願いしたいな。ね、木下さん」

木下「え……? あ、はい……。わたしも……、別にいいです……」


みゆき「他のみんなはどう?」

やよい「いいよ、いいよ! 賛成! あのねあのね、そしたら、今度のお休みに行こうよ! ちょうどその日、"ディノレンジャーショー" やってるんだぁ!」

なお「相変わらずそういうの好きだねー、やよいちゃん。あたしもいいよ! みんなで楽しむ分には大賛成!」

あかね「うちもオーケーや! よっしゃ、今から何乗るか決めとこかな!」

れいか「私も賛成です。楽しみにしておきますね!」


みゆき「よぉーし! それじゃあ今度のお休みは、みんなでいっしょに遊園地に行こうっ!」

5人「おぉーっ!」


マティ「ゆうえんち……、よくわかりませんが、なんだか楽しそうですわね、木下様!」

木下「あ、うん……、そうだね……」

木下(センパイも、絵原さんも……、なんであんなに楽しそうなんだろう……)


木下(この世界の人達みんながおかしくなっちゃうかもしれないんだよね……。それを、わたし達がどうにかして止めないといけないんだよね……)

木下(できるかどうかもわからないのに……。どうして、あんなに笑ってられるんだろう……)


木下(……不安じゃ……、ないのかな……)




スマイルプリキュア レインボー!

第30話「7人のプリキュア! 遊園地で大はしゃぎ!」



~ 遊園地・シエルランド ~

みゆき「――と、いうわけで、やってきました "シエルランド" ーっ!」

あかね「うわぁーっ、めっちゃでっかいなぁー! うち、大阪おった頃からいっぺん来てみたかったんやー!」

はるか「日本で一番有名な遊園地だもんね! 私も来たことあるけど、どれくらいぶりかな……!」


シエルランド マスコット・アルクくん(犬)「(スタスタ)」

シエルランド マスコット・アンちゃん(猫)「(スタスタ)」


マティ「あっ! あそこにとても大きな男の子のイヌさんと、女の子のネコさんが! ま、まさか妖精さんでしょうか……!? リアルランドにも妖精さんが……!?」

木下「違うよ、絵原さん……。あれは、この遊園地のマスコットだよ……」

マティ「ますこっと?」

やよい「うん! この遊園地を代表するキャラクターで、とっても人気なんだよ!」

なお「やっぱりカワイイなぁー……! 帰り、またぬいぐるみ買って帰ろうかな……」

れいか「あら? なおの家にはぬいぐるみ、なかったかしら?」

なお「弟達がすぐダメにしちゃうんだよねー。投げたりするからさ……」

あかね「あははっ、大家族もタイヘンやなぁ」


みゆき「さぁーて、それじゃ、さっそく遊びに行こうっ! ほら、行こっ、木下さん!」ギュッ

木下「えっ……!? あ、星空センパイ、つ、強く手を引っ張らないでください……!」

あかね「ええからええから! ほれほれ、どんどんいかんと、時間なくなってまうでー!」グイグイ

木下「ひ、日野センパイも、押さないでくださいっ……!」

~ シエルランド ゲート近くの物陰 ~

ヒョコッ


ウィスタリア「……プリキュア達をたまたま見かけたからついてきてみれば……、何ここ? 広くって、人間がいっぱいいる……」

ウィスタリア「でも、これだけ人間がたくさんいれば、心の絵の具もたくさん取れそう! よぉーっし、このままプリキュアについていって、チャンスを――」


シエルランド・女性事務員「お客様、お待ちください。入る前にチケットを見せてもらえますでしょうか?」

ウィスタリア「え? ちけっと? 何それ?」

シエルランド・女性事務員「入園するためには、こういうチケットが必要なんです」ペラッ

ウィスタリア「ちけっと、って、その紙のこと? それがあればいいの?」

シエルランド・女性事務員「はい。そこのチケット売り場でお買い求めください」

ウィスタリア「ふーん……。ねえ、ちょっとそれ良く見せて」

シエルランド・女性事務員「え? あ、はい、どうぞ……」

ウィスタリア「…………」ジーーーッ…

シュバババッ


ウィスタリア(小声)「キャンバスのちけっとの絵よ、実体化せよ……!」ボソッ


ズズズズズズ…


ウィスタリア「できた……! ……はい、これでいい?」

シエルランド・女性事務員「あ、すでにチケットをお持ちだったんですね! はい、どうぞ。お楽しみください!」

ウィスタリア「はいはーい」

ウィスタリア(ふふふっ、ちょろいちょろい! わたしの描いた絵はあんまり長くもたないけど、ちょっとくらいなら実体化できるんだもんねー!)

ウィスタリア(さぁーて、プリキュア、逃がさないんだから!)


スタスタスタ…


ドロッ


シエルランド・女性事務員「きゃっ! チ、チケットが、溶けた……!? これって、絵の具……?」

シエルランド・女性事務員「……な、なんなの、あの子……」

~ シエルランド ジェットコースター "スカイサンダードライブ" ~

みゆき「やっぱり遊園地といえばこれだよね! ジェットコースター!」

やよい「うんうんっ! さっすがみゆきちゃん! わかってるぅ!」

れいか「乗る前の緊張と、降りた後のほっとする感じがとても楽しいんですよね」

はるか「おっ、れいかちゃん、いけるクチ? 乗ってる最中に叫ぶともっと楽しいよ!」


ワイワイワイ


あかね・なお・木下「…………」ドヨーン…


マティ「よくわかりませんが、わたくしも行ってきま――あら? 木下様、あかね様、なお様は行かれないのですか?」

あかね「うち、パス」

なお「同じく」

木下「わたしも、ちょっと……」

みゆき「えーっ、なんでー!? いっしょに行こうよー!」

あかね「……高いとこ、コワいねん……」

なお「……同じく……」

木下「わたしも……ジェットコースターはちょっと……」

ウルルン「けっ! なっさけねーウル! いつももっとアブないヤツらと戦ってるのに、これっくらいがコワいウル?」

マジョリン「ホントマジョ! 特になお! "勇気リンリン" が聞いてあきれるマジョ!」


あかね「お、ゆーたな? ほんなら、あんただけでも乗ってきいや。ほれ、みゆき、ウルルン連れてき。ぬいぐるみのフリしとけばごまかせるやろ」

みゆき「え? あ、うん。じゃあ、いっしょに行こっか、ウルルン」

ウルルン「おう! こんくらい、ヘでもねーウル!」


なお「れいか、マジョリン預けるよ。……後悔したって知らないからね」

れいか「ええ、わかったわ」

マジョリン「まったく、頼りないパートナーマジョ! あたしが勇気のお手本、見せてやるマジョ!」


木下「絵原さんも、やめた方がいいかも……」

マティ「いいえ、わたくし、行きます! なにごとも勉強ですわ! どんなことでも体験しておかなければ!」

木下「絵原さん、スゴいね……、さすが、ピクチャーランドのお姫様……。……じゃあ、行ってらっしゃい」

マティ「はいっ!」

~ ジェットコースター上 ~

ガタンッ ガタンッ ガタンッ


マティ「ゆっくり昇っていくだけですね……。これがコワいのですか?」

ウルルン「ヘンっ、やっぱり大したことねーウル!」

やよい「ううん、コワいのはこれからだよ……!」ワクワク


ガタッ…


マジョリン「? 昇り終わったマジョ? これからどうなるマジョ?」

はるか「さぁ、ここからだよ……!」


グワッ


マティ「えっ……? 乗っているこれが、少しずつ落ちていって――」


ゴォォォォォォォォォッ!


みゆき「わぁぁぁぁぁぁぁっ!」

やよい「ひゃぁぁぁぁぁぁっ!」

れいか・はるか・マティ「きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!」


ウルルン「うっ、うぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

マジョリン「ひぃぃぃぃぃぃぃっ!?」

~ ジェットコースター近くのベンチ ~

ゴォォォォォォォォォッ!


あかね「うわー……、ジェットコースターはやっぱムリやわ……。見てるだけであかん……」

なお「うん……。あたし、小さい頃に一回乗って以来、"もう二度と乗らない" って決めたよ……」


木下「…………」ジーッ…

あかね「……ん? 木下さん、どないしたん? うちらのことジッと見て」

木下「さっき、ウルルンさん、でしたっけ……、言ってましたけど……」

木下「日野センパイも、緑川センパイも、プリキュアになるととってもすごいのに、ニガテなものもあるんだなぁ、って……」

なお「あ、あははは……。後輩の木下さんに言われちゃうと、さすがにちょっと恥ずかしいなぁ……。みっともないかな?」

木下「い、いえ……! ただ、ちょっとビックリして……」


あかね「……まぁ、うちら、プリキュアなんてやっとるけど、別にコワいもんなし、っちゅーわけでもないな」

なお「……だね。ニガテなものだって、キライなものだってあるよ。確かに、ちょっと情けないかもしれないけどね、あはは」

木下「そう……、なんですか……」


木下(センパイ達でも、コワかったり、ニガテなものがあったりするんだ……)

木下(……あんなにすごいのに、そういうところは普通の人と変わらないんだなぁ……)

~ ジェットコースター乗り場前 ~

スタスタスタ


やよい「はぁっ、面白かったぁーっ! やっぱりジェットコースターはいいよね!」

れいか「はるかお姉さんの言う通り、大声を出してみたらなんだかスッキリしました!」

はるか「でしょ? いいストレス発散にもなるんだよね!」


あかね「おっ、帰ってきた! どやった? おもろかった?」

みゆき「うんっ! スリル満点でサイコーだったよ! あかねちゃんたちも乗ればよかったのにー」

なお「え、遠慮しとくよ……」

あかね「……で、ジェットコースター初体験組は?」

みゆき「……それが……」

れいか「……このとおりで……」


ウルルン「――――」グデーン

マジョリン「――――」グデーン


あかね「あーあー、すっかりくたびれてもーて……」

ウルルン「す、すまねぇ、あかね……。も、もう、二度とバカにしねぇウル……。うぷっ、酔っちまったウル……」


なお「ね? だから言ったのに。後悔しても知らないよ、って」

マジョリン「ゴ、ゴメンマジョ……。ちょ、ちょっとあたしにはキツかったマジョ……。もう乗らないマジョ……」


マティ「…………」

木下「あ、あの……、絵原さん……? だ、だいじょう――」

マティ「(パァッ!) とーーーーっても面白かったですわ! 胸がドキドキして……わたくし、大興奮です!」

木下「え? あ、そ、そうなん、だ……。それはよかったね……」

あかね「マティは図太いなぁ……」

~ メリーゴーラウンド 馬上 ~

ゴウン ゴウン ゴウン ゴウン


メリーゴーラウンドBGM『ブンチャッチャー♪ ブンチャッチャー♪』


なお「そうそう! こういうのだったらいいんだよ! ゆっくりだからコワくないし! ね? マジョリンもこっちの方がいいでしょ?」

マジョリン「これなら気持ちいいマジョ! 楽しいマジョー!」


はるか「うーん、こういうのんびりしたのもいいなぁ……。ゆったりできて」

ペロー「はるかさん……、スラッとしてるから、お馬さんが似合うペロ! まるで、白馬の王子様みたいでカッコいいペロー……!」

はるか「ありがと、ペロー君。……でも、せっかくなら王子様よりお姫様の方がいいかなぁ」

~ メリーゴーラウンド ゴンドラ上 ~

あかね「…………」

あかね(……白馬の王子様、か……)


やよい「じぃーーーーっ……」ニヤニヤ

あかね「わっ、な、なんやねん、やよい? ニヤニヤこっち見て」

やよい「あかねちゃん……、"白馬の王子様" って聞いて、ブライアンのこと思い出したでしょ?」

あかね「えっ!? ……な、なに言うとんねん、そんなわけ……」

やよい「ほーんとー? 顔が赤いよ? "いっしょに乗れたらいいなぁ" とか思ってたんじゃないの?」ニヤニヤ

みゆき「えっ!? そうなのそうなの!?」

あかね「もーっ、なんやねん、みゆきまで! ちゃうって!」

木下「あの、すみません……。"ブライアン" って誰ですか……?」

れいか「ブライアンさんは、以前私達のクラスに来ていたイギリスからの留学生で、あかねさんのボーイフレンドです」

マティ「まぁ……!」

あかね「ちょっ! れいかまで何ゆーとんねん!」

れいか「隠さなくてもいいじゃないですか」


れいか「はるかお姉さんの家庭教師のおかげで英語もどんどん上達していて、"色んなやり取りができるようになった" と喜んでいたじゃないですか。素敵なことです」ニコニコ

みゆき「あ、そういえば、あかねちゃんってはるかさんに英語教えてもらってたんだっけ」

やよい「そうなんだ! "色んなやり取り" って何!? ねぇ、あかねちゃんっ!」フンッフンッ

あかね「あー、もー! やよい、鼻息荒くすんのやめーや! ……絶対言わへんからな!」

みゆき「"言わない" ってことは何かあるんだ! 教えて教えて!」キラキラ

あかね「みぃーゆぅーきぃー……! ……ええかげんにせえやぁっ!」プンスカ

みゆき「わぁっ、あかねちゃんが怒ったぁ! ご、ごめーんっ!」

れいか「あかねさん! ゴンドラの上で暴れたら危ないですよ!」

あかね「誰のせいやと思とんねん! そもそもれいかが余計なことゆーからやろが!」


ワイワイワイ ドタバタ


木下「…………」

木下(……日野センパイ、顔真っ赤……。好きな男の子とかいたりするんだ……)

木下(みんなで好きな子の話したりして、盛り上がって……)


木下(センパイ達も、クラスのみんなと変わらないことをしたりするんだなぁ……)

~ メリーゴーラウンド 後方の馬上 ~

ウィスタリア「……うーん……、この距離じゃ、プリキュアが何話してんのかわかんないなぁ……」

ウィスタリア「こらっ、馬っ! あんた、もっと早く走りなさいよ! あたしはもっと近づきたいの! やる気あんの!?」ペチッ ペチッ


客の少女「ねー、ママー。あのおねーちゃん、メリーゴーランドのお馬さんにおしゃべりしてるよ?」

客の少女の母親「きっと作り物って知らないのよ。そっとしておいてあげましょう」

~ ライド型シューティングアトラクション "ユニバーサル・ウォーズ" ~

ゴウン ゴウン ゴウン ゴウン


ユニバース・ウォーズ 音声『みんな、光線銃は持ったな!? これから悪い宇宙人が乗った UFO がやってくる! 撃ち落して地球を救うんだ!』


みゆき「あぁー、なるほど。この銃を、壁に映った UFO の絵に向けて撃ったらいいんだね」

キャンディ「わぁ……! 面白そうクルぅ! キャンディもやりたいクル!」

みゆき「うん、いいよ! いっしょにやろうか!」

マティ「木下様! わたくし達も頑張りましょう!」

木下「う、うん……!」


ユニバース・ウォーズ 音声『来た、宇宙人だ! みんな、頼むぞ!』

やよい「任せてっ! わたし達が、絶対に地球を守ってみせるっ!」キリッ

はるか「やよいちゃん、なりきってるねぇ……」

ピュンッ ピュンッ ピュンッ


あかね「えいっ、このっ! ……あー、なかなかうまくいかへんなぁ! ちっとも当たらんわー!」

れいか「弓道のようにはいきませんね……」


ドカンッ! ドカンッ! ドカンッ!


みゆき「わっ、すごい! どんどん UFO が減ってく! 誰が撃ってるの!?」

なお「ふふーん、あたしだよ!」

やよい「おぉー、なおちゃんすごーいっ!」

れいか「そういえば、なおは去年の夏祭りでも射的が上手だったわね」

なお「サッカーで鍛えた動体視力のおかげかな!」


ドカンッ! ピュンッ ドカンッ!


はるか「あれ? 別の方向の UFO も減ってるよ?」

木下「あ……。わたし、みたいです……」

あかね「なおほどやないけど結構当たっとるやん!」

マティ「すごいですわ、木下様!」

木下「そ、そうかな……」


なお「よぉーし、じゃああたし達でガンバろうか、木下さん!」

木下「え……。あ、は、はい……!」

ジャラララーンッ!


ユニバース・ウォーズ 音声『君達のおかげで地球は守られた! ありがとう!』

みゆき「おぉっ、やったぁー! ゲームクリアだぁー!」

ユニバース・ウォーズ 音声『特に 4番と 7番の君は素晴らしかった! 勲章を授与しよう! おめでとう!』

やよい「4番と 7番? ……あ、この銃についてる番号のことかな」


なお「あ。あたし 4番だ」

木下「わたし……、7番です……」

れいか「では、お二人が大活躍だった、ということですね」

はるか「みたいだね!」

スッ


なお「ほらっ、木下さん!」

木下「え……。緑川センパイ、手を高く上げて……、なんですか?」

なお「ハイタッチだよ! ふたりでうまくできたから、そのお祝い! 木下さんも手、上げて!」

木下「あ、は、はい」スッ


パンッ!


なお「やったね!」

木下「……! ……はい……!」


みゆき「すごいよ、木下さん! おめでとう!」

木下「あ、ありがとう、ございます……」


木下(……ほめられちゃった……)

木下(……ちょっと……うれしい、かも……)

~ ヒーローショー ステージ会場 ~

ディノレンジャー6人『超竜戦隊! ディノレンジャー!!』


ドカァァァァァンッ!


子ども達「わぁぁぁっ!」


みゆき「うわっ、ステージが爆発した!?」

れいか「とても派手な演出ですね……!」

やよい「シエルランドのステージはね、火薬を使ったりして、すごくハデなことで有名なんだよ!」

あかね「く、詳しいな、やよい……」

やよい「もちろん! 近くでやってるヒーローショーは全部チェックしてるんだから!」

はるか「前、ショーに行った時のやよいちゃんは元気なかったけど、普段こんな感じなんだ……。まさに水を得た魚って感じ……」


オニニン「あ! やよい、あれ、あれを見るオニ!」

やよい「え!? あ、あれは……!」


敵役・プリティーマダム『出たわね、ディノレンジャー! あなた達の恨みの心、もらってあげるわ!』


ペロー「この間出てきたばかりの "恨みの女王" プリティーマダムだペロ! もうショーに出るペロ!?」

やよい「ホントだ! すっごく強いんだよね……! ガンバれ、ディノレンジャーっ!」


なお「……あの、はるかさん。ペローももしかしてこういうの好きなんですか?」

はるか「うん……。前におもちゃ屋に行ったことあったよね。あの時以来、アニメとかヒーローとか気に入っちゃったらしくて……。私の部屋のテレビで毎週見てるよ。大さわぎするからなだめるのが大変で……」

なお「ちなみに、はるかさんは好きなんですか?」

はるか「ううん、私はぜんぜん」

なお「ですよねー……」

敵役・プリティーマダム『はぁっ! プリティーウィップ!』


バチィンッ! バチィンッ!


ディノレンジャー達『うわぁぁぁっ!』


ポップ「むむ……、あのムチはやっかいでござるな……!」

ウルルン「まったくだウル……! おい、ディノレンジャー! 負けんじゃねーウル!」


なお「……相変わらず、男の子達は盛り上がってるねー」

マジョリン「なーにが面白いのかさっぱりだマジョ」


やよい「……ねぇ、木下さんは応援しないの? こういうのはあんまり好きじゃない?」

木下「わ、わたしは、その……、あの……」

木下「……実は、時々見てます……。休みの日にテレビつけたらやってたりするから……」

やよい「そうなんだ……! じゃあ、いっしょに応援しようよ! 大きな声出すと、気持ちいいよ!」

木下「あ……、わたしは、そういうのは、あんまり……」

敵役・プリティーマダム『さぁ、観念するのね、ディノレンジャー!』

ディノレッド『……へっ、しょうがねえ。こうなったら、アレをやるしかねぇか!』


オニニン「!? アレ……、アレってまさか……!」

ペロー「うん……、もしかして、もしかすると……!」


ディノレッド『みんな! ディノパワーをオレにわけてくれ!』

ディノレンジャー達『おう!』


ボォォォォォンッ!


あかね「おわっ! 会場が煙だらけや!」

みゆき「何にも見えないよ!」


ユラリ…


ウルルン「煙の中に影がいるウル……!」

やよい「あれは……あれは……!」


スーパーディノレッド『参上! スーパーディノレッド!!』


やよい・ウルルン・オニニン・ポップ・ペロー「おぉぉぉぉぉぉぉっ!!」


ペロー「やっぱり! この間出たばっかりの新バージョンペロ!」

やよい「このタイミングで出してくるなんて! すごい、すごいよっ!」キラキラ


はるか「……みんな、周りの子ども達より盛り上がってる……」

やよい「ほらっ、木下さんもいっしょに応援しよう! がんばれぇぇっ、ディノレンジャーぁぁぁっ!!」

木下「え、あ、その……、……が、がんばれー……」

オニニン「声が小さいオニ! もっと大きな声で応援するオニ!」

木下「そ、そんなこと言われても……」


マティ「がんばってくださいませ、ディノレンジャー様ぁぁっ! ……こんな感じでございましょうか!?」

木下「(ビクッ) え、絵原さん……!?」

やよい「うんっ! マティちゃん、バッチリだよ! ほら、木下さんもみんなといっしょに!」

みゆき「わたし達も応援するよ! だいじょうぶ、みんないっしょなら恥ずかしくないよ!」


なお・はるか(……そうかなぁ……?)


あかね「それじゃ、せーのでいくで! せーの……」


みゆき・あかね・やよい・ウルルン・オニニン・ポップ・ペロー・マティ「がんばれぇぇっ! ディノレンジャーぁぁっ!!」

木下「が……、がんばれーっ!」

やよい「いいよ、木下さん、その調子! さぁ、どんどん応援しよう!」

木下「は、はい!」

ディノレッド『必殺、スーパー・ディノスラァーッシュ!!』ズバッ!

敵役・プリティーマダム『くぅっ……! な、なかなかやるわね、ディノレンジャー! 今日のところは許してあげるわ! 憶えてらっしゃい!』ダダダダッ…


やよい「やったぁ! ディノレンジャーが勝ったよ! きっと、木下さんの応援のおかげだよ! やったね!」ピース

木下「そ、そうなんでしょうか……」

木下(……ショーなんだから、結果は決まってると思うんだけどな……)


木下(……でも、なんだろう……。大きな声出したからかな……)

木下(胸が……ドキドキしてる……!)

~ ステージ 離れた観客席 ~

ウィスタリア「あーあ、だらしないの。あの悪者、途中まではよかったのに結局負けちゃってさー。リアルランドの悪者って大したことないんだねー」

ウィスタリア「……ここは一つ、あたしがホントの悪さってのを見せてあげちゃおうかなー」ニヤリ


ウィスタリア「闇の絵の具よ! 闇の絵筆よ! キャン――」


ピンポンパンポーン


場内アナウンス『これから、ディノレンジャー撮影会を行います。撮影は、ステージ上で行いますので、係りの人に従って、一列にお並びください』

観客の子どもA「わぁっ! スーパーディノレッドと写真とらなきゃ!」

観客の子どもB「ぼくが先にとるんだ!」


ドドドドドッ


ウィスタリア「えっ!? こ、子ども達が押し寄せてくる……!? ちょっ、こ、こっちに来ない――」

ウィスタリア「わぁぁぁぁぁっ!?」


ドドドドドッ…


ウィスタリア「あいったたた……。なんなの、もう……、あんなにいっぱい来て……! さんざんぶつかったじゃない……! あー、痛い……!」

ウィスタリア「じゃあ、気を取り直して続きを――」


ウィスタリア「――!? 闇の絵の具がない!? さっき、子ども達にぶつかられた時に落としたの!? さ、探さなきゃ……!」

ウィスタリア「ったく、もーっ!」ゴソゴソ

~ ゴーカートコース ~

シエルランド ゴーカート係員「はい、次の方どうぞー」

みゆき「あ、わたし達の番だよ! 誰が先に乗る?」

れいか「それでは、私が参ります」

あかね「おっ、めずらしなぁ。れいかがこういうのに自分から行くなんて」

れいか「ええ。以前、おじい様から教えていただいた、ゴーカートの運転技術を試してみたくて」

やよい「……え? あ、あのおじいさんが、車の運転を?」

れいか「はい。とてもお上手でいらっしゃるんですよ」

みゆき「そ、そうなの……? じゃ、じゃあ、こんな感じに――」


ギャアァァァァッ!(妄想)

曾太郎(れいか祖父)(妄想)『うむ。今のは良いドリフトだった』


みゆき・やよい「…………」

あかね「……ほんまかいな」


はるか「私も初めて聞いたけど、おじい様、芸達者だからなぁー……。何ができてもふしぎじゃないんだよね……」

なお「……確かに……。なんでもできるれいかを見てると、わかる気がします……」

シエルランド ゴーカート係員「あ、助手席にもうひとり乗れますけど、どうしますか?」

れいか「え? そうなのですか? ……それでは……」


れいか「木下さん、いかがでしょうか?」

木下「え? わ、わたしが助手席に、ですか……?」

れいか「はい。せっかくですので、一緒に楽しみましょう」ニコッ

木下「あ、は、はい……!」


木下(ゴーカート、ちょっとコワそうだけど……、青木センパイなら優しそうだからだいじょうぶだよね……)


れいか「木下さん。準備はよろしいですか?」

木下「はい。シートベルトも締めました」

れいか「わかりました。……それでは、青木れいか、参ります!」グッ


ギャルルルルルッ!


木下「え?」


ガァァァァァッ!


木下「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ――」


みゆき「(ポカーン)」

やよい「あ、あっという間に見えなくなっちゃった……」

なお「れいか……、最初っからアクセル全開だよ……」

はるか「おじい様……。れいかちゃんに何教えたの……?」

~ 数分後 ~

キキィィィッ!


あかね「あ、帰ってきた」

れいか「ふう……。思い切り運転できて、とても気持ちよかったです!」

なお「い、いや、れいかは気持ちよかったかもしれないけどさ……」

やよい「れ、れいかちゃん、となりとなり」

れいか「え?」


木下「――――」グデーン

みゆき「き、木下さんっ!」

れいか「いけない……! 運転に夢中で張り切りすぎてしまったの……!?」

ウルルン「おいおい、ジェットコースターの後のおれ達とおんなじようになってるウル」

マジョリン「まあ、あんなに速く右に左に曲がられたら、ジェットコースターと変わらないマジョ」


マティ「だ、だいじょうぶですか、木下様っ! お気を確かに!」

れいか「す、すみません、木下さん……! しっかりしてください!」


木下「――――」グデーン

~ シエルランド 園内ベンチ ~

木下「――ぅ……、うーん……」

はるか「あ、起きた。大丈夫、木下さん。……良かった、意外とすぐに目が覚めたね」

木下「……藍沢……センパイ……」

ペロー「れいかさんといっしょに車に乗った後倒れちゃったから、はるかさんがみててくれたんだペロ!」

木下「そう、ですか……」


はるか「ごめんね、木下さん。れいかちゃん、珍しく張り切っちゃったみたいで。大変な目にあっちゃったね」

木下「は、はい……」


木下「……でも……」

はるか「ん?」

木下「うっすらとしか憶えてないですけど……、青木センパイ、楽しそうでした……」

木下「だから……、とりあえず、それはよかったかな、って、思います……」

はるか「……そっか。優しいね、木下さん」

木下「優しい、だなんて……、そんなこと……」

木下「……ところで、他のみなさんは?」

はるか「ああ、木下さんが目を覚ました時に冷たいものでも、って言って、色々買い物に行ってるよ。もうすぐ戻ってくるんじゃないかな」

木下「じゃあ、今は藍沢センパイとわたしの二人だけ、ですか?」

ペロー「ぼくもいるペロ!」

木下「あっ、そ、そうだった……。ゴメンね……」


はるか「でも、どうしたの、木下さん、そんなこと気にして」

木下「…………」

木下「……あの、藍沢センパイにお聞きしたいことがあるんです」

はるか「聞きたいこと? なに?」

木下「あの……、その……」


木下「みなさん、どうしてあんなに笑っていられるんでしょうか……」

はるか「え……?」


木下「前にも、星空センパイに同じことを聞いたことがあるんです」

木下「その時、星空センパイは "友達がいてくれるから笑えるんだ" って言ってました」

木下「今日も、その前からも、ずっと仲よさそうなセンパイ達を見てて、それはなんとなくわかったような気がします」

木下「……でも、今、センパイ達は、すごくタイヘンなことになっているんですよね……!?」


木下「悪い人達が世界中のみんなの心を作り変えようとしてて、プリキュアがガンバらないといけない、って……」

木下「しかも、その悪い人達はとっても強くて、前に何もできないでやられちゃった、っていうじゃないですか……!」

木下「みんなの未来を助ける、なんて、タイヘンなことをしなきゃいけないのに……、それができないかもしれないのに……」


木下「センパイ達は、どうして笑ってられるんでしょうか……!?」


はるか「……なるほど、ね」

はるか「木下さん、もしかしてそれ、この間、説明聞いた時からずっと考えて、気にしてたんじゃない?」

はるか「それで、木下さん自身、今、自分が言ったようなすごい不安に押しつぶされそうになってて」

はるか「なのに、同じ立場のはずの他のみんなが笑ってるのがわからない。……そういうことじゃない?」

木下「…………」コクン


木下「……わたし、特になにが得意なわけじゃないし、あんまりほめられたこともありません……」

木下「星空センパイから聞いたと思いますけど、プリキュアになっても、他のみなさんみたいにあんまり強くなれなかった……」

木下「だから……、わたしなんて、何にもできないんじゃないか、って……、そう思うんです……」


木下「誰かに聞いてみたかったんですけど、同じ学校だから、毎日顔を合わせると思うと聞きづらくって……」

はるか「それで、違う学校の私にだけ聞きたかったんだ」

木下「はい……」

はるか「……そっか。そんな悩みを抱えてたんだね」

木下「…………」


はるか「……木下さん。みんなが笑える理由だけど、私、わかるような気がするよ」

はるか「実はね、木下さん。私、プリキュアをやってる間に、友達になった人がいるんだ」

木下「え……?」

はるか「最初は敵同士だったんだけど、お互いの気持ちをぶつけ合って、最後にはわかり合うことができた」

ペロー(……シアンナさんのことペロ……)

木下「その人は今、どうしてるんですか……?」

はるか「……わかんない……」


はるか「前に説明した通り、私達は一度、デスペアランドの一番偉い人、デスペア国王にコテンパンに負けちゃってるんだ」

はるか「その時、私達を逃がすために盾になってくれて……、無事かどうかも……わからない……」

木下「そんな……」

はるか「"その人に会いたい" って思うたびに、時々、胸が苦しくなるよ……」

はるか「"もう会えないかもしれない" って不安が押し寄せてきて、押しつぶされそうになる……」

はるか「それに、できれば、その人も望んでたように、デスペアランドから私達の世界を守りたいけど……、あの時、何もできずに負けて以来、不安でしょうがないんだ」


はるか「"もしかしたら、私達には無理かもしれない" って」


木下「藍沢センパイ……」

はるか「……多分、みんなも同じような気持ちだと思うよ」

木下「星空センパイ達も、今の藍沢センパイと同じように悩んでる、ってことですか……?」

はるか「うん」

木下「でも……、すごく楽しそうに笑ってるし……、そんな風にはちっとも……」

はるか「表に出さないだけだよ、きっと」


はるか「みんなが笑ってられるのは、負けないように頑張って戦ってるからだと思う」

はるか「不安に負けそうな、自分自身の気持ちと」


木下「自分の気持ちと……、戦う……」


はるか「みんなには、たどり着きたい未来が――夢があるんだ」

はるか「でも、ここで不安な気持ちに負けたら、絶対にその未来にはたどり着けない」

はるか「だから、ツラくても楽しんで、笑って、その力で、ほんのちょっとずつでも前に進もうとしてる」

はるか「みんなが笑ってるのは、そういう理由だと思うな」

はるか「それは、木下さんにだってきっとできるはずだよ」

木下「え……?」

はるか「自分の中の不安と戦うこと」

木下「でも、わたし……、プリキュアになったばっかりだし……。みなさんみたいに、気持ちも強くないし……」

はるか「そんなことないよ。みんな、木下さんとそんなに変わらないよ」

木下「そ、そうなんですか……?」

はるか「そうだよ」


はるか「木下さんは、みんながプリキュアとしてずっと戦ってるからすごく強い、と思ってるかもしれないけど、実際はそうでもないんだよ」

はるか「だってみんな、プリキュアである前に、一人の女の子なんだもん」

はるか「得意なことがあれば、ニガテなことだってある。失敗だってたっくさんするし、ツラい時は泣いちゃったりもする」

はるか「木下さんと何にも変わらない、普通の子達だよ」

はるか「そんなみんなが、頑張って不安な気持ちと戦ってる。自分にできる精一杯のことで」


はるか「だから、木下さんも "何もできない" って最初から思わないで、探してみよう?」

はるか「きっとあるはずだよ。木下さんにしかできない何かが」


木下「…………」


木下(わたしにしか……できないこと……?)

木下(それって、なんだろう……)

はるか「……あ。でも、もう一個あるかも。みんなが笑うわけ。むしろ、今日に限っては、そっちの方が大事かも……」

木下「え? それって……?」

はるか「あ、うん。それは多分――」


ダダダダダッ


マティ「木下様ぁーっ!」

木下「え、絵原さん……、みなさん……」

マティ「よかった、お目覚めになったんですのね! わたくし、心配しておりました……!」

木下「だ、だいじょうぶだよ、絵原さん……。ありがとう……」

みゆき「木下さん! はい、これ! 冷たい飲み物だよ!」

なお「気分悪い時に甘いものだとつらいと思って、紅茶にしておいたから。飲んだらスッキリするよ、きっと!」

木下「あ、ありがとう、ございます」


れいか「木下さん……、本当に、すみませんでした!」

れいか「木下さんと一緒に楽しめれば、と思ってお誘いしたのに、迷惑をかけてしまって……。申し訳ありません!」ペコリ

木下「あ……! そ、そんな……。謝らないでください……!」


はるか(小声)「ふふっ。ね? 言ったでしょ? "失敗することもある" って」

木下(小声)「……はい……」

あかね「……どや、木下さん、もうだいじょぶか?」

木下「あ、はい。大分よくなったと思います……」

やよい「そうしたらさ、今度はコーヒーカップに行こうよ! あれだったらゆっくりだから、きっと楽しいよ!」

みゆき「そうだね! みんなで乗ろうっ!」

木下「あ……、はい……!」


木下(……そうなんだ……。みんな、わたしとおんなじ気持ちなんだ……。不安だけど、ガンバって楽しんでるんだ……)

木下(そうやって、ちょっとずつ前に進もうとしてるんだ……)

木下(……それなら、藍沢センパイの言う通り、わたしにも、できるかな)


木下(不安な気持ちに、負けないこと)

~ シエルランド 園内ベンチ近くの物陰 ~

ウィスタリア(ふぅ……。まったくヒドい目にあった……)

ウィスタリア(闇の絵の具なくしてからずーっと探して、やっと見つけたよ。ったくもー……)

ウィスタリア(目の前にプリキュア達もいることだし……、これ以上ヘンなことにならないうちに始めちゃった方がいいかも――)


オーレン「おい。ここで何をしている」

ウィスタリア「うひゃっ!?(ビクッ) あ、あんた、オーレン……だっけ? ビックリするじゃない! 急に後ろから声かけないでよ!」

イエロワ「スキだらけなんじゃよ。気付かないお主が悪いわ」

ウィスタリア「イエロワ……、あんたまで……。あんた達こそ、何しに来たのよ!? あたしはこれから仕事しようと思ってたの! 文句ある!?」

オーレン「ある。お前一人では満足な成果は得られないからだ」

ウィスタリア(ムカっ)

イエロワ「ワシらは、国王陛下と大臣様から直々に命を受けたんじゃよ。勝手に動いとるお主と違ってな。ワシらの方がよい仕事をするからじゃろう。ふぇっふぇっふぇ」

ウィスタリア(ムカムカっ)

イエロワ「……だがしかし、このまま一人がやるというのも芸がないわい」

イエロワ「そこで、どうじゃ? せっかく 3人おることだし、ここは力を合わせてみる、というのは?」

ウィスタリア「……はぁ!? なーんで、あたしがあんた達なんかと! お断りよ!」

オーレン「そうやって一人でやり続け、失敗ばかりしているだろう」

ウィスタリア「う……」

イエロワ「そもそも、プリキュアとて 6人――いや、お主の報告だと 7人になったんじゃったかの。相手がそれだけおるんじゃから、ワシらとて共に動くのは悪くない策だと思うがのう」

ウィスタリア「…………」


ウィスタリア「……わかった。いいよ、やろう」

ウィスタリア「ただし! あたしの足引っ張ったらしょーちしないからね!」

オーレン「自分に言え」

ウィスタリア「(ビキッ!) ……ム、ムッカぁーっ……! ……もういい! やるならさっさとやるよ!」

イエロワ「やれやれ……。やかましいヤツじゃのう……」

オーレン「闇の絵の具よ!」

イエロワ「闇の絵筆よ!」

ウィスタリア「キャンバスに絶望を描き出せ!」


シュババババッ


オーレン・イエロワ・ウィスタリア「実体を持ってキャンバスから現れよ、アキラメーナ!」


ズズズズズズ…


アキラメーナ(空中ブランコ型・オーレン作)「アキラメーナァッ!」


アキラメーナ(バイキング型・イエロワ作)「アキラメーナァッ!」


アキラメーナ(メリーゴーラウンド型・ウィスタリア作)「アキラメーナァッ!」

~ シエルランド 園内ベンチ ~

キャンディ「クル……!?」ピクッ

みゆき「ん? キャンディ、どうしたの――……って、もしかして!?」

キャンディ「間違いないクル! デスペアランドの気配クル!」

木下「……! また、あの悪い人達が来たの……!?」

マティ「キャンディ、あの方達はどちらに!?」

あかね「マティ……、聞かんでもわかるで……! あれ、見てみぃ!」


アキラメーナ(空中ブランコ型・オーレン作)「アキラメーナァ……!」ドスンッ

やよい「あれ、吊り下げたブランコに乗ってグルグル回るやつだよ……!」


アキラメーナ(バイキング型・イエロワ作)「アキラメーナァ……!」ドスンッ

なお「あっちは、船の形の乗り物が前後に動くアトラクションだ……!」


アキラメーナ(メリーゴーラウンド型・ウィスタリア作)「アキラメーナァ……!」ドスンッ

れいか「そして、メリーゴーラウンド……!」


はるか「いっぺんに 3体!? これって――」


ザッ


ウィスタリア「そーゆーこと! 今日は 3人でやらせてもらうよ!」

オーレン「また会ったな、プリキュア」

イエロワ「今度はこの前の小手調べのようにはいかんぞ? ふぇっふぇっふぇ……」


ポップ「デスペアランド! まさか、3人一度に来るとは……!」

オーレン「さて、ではまずは一つ目の仕事だ」

イエロワ「人間達の心の絵の具をもらおうかのう」

ウィスタリア「さぁ、アキラメーナ! 周りから心を吸い取っちゃって!」


ドワァァァッ!


親子連れの客「――――」バタッ

カップルの客「――――」バタッ


なお「ま、周りの人がどんどん倒れていく……!」

やよい「……ひどい……!」


ドボッ ドボッ


オーレン「人間が多いだけあってよく集まるな」

イエロワ「ほほ、そうじゃのう、十分な量じゃ。……それに比べて……」


ポチャンッ ポチャンッ


ウィスタリア「…………」ムスッ

イエロワ「相変わらずお主のアキラメーナが吸い取る心は少ないのう……。そんなことでは国王陛下もお怒りになるぞ?」

ウィスタリア「……うるっさいなぁ……! いちいちイヤミ言わなくてもわかってるって……!」

ウィスタリア「それに、心の絵の具の量が少なくても、プリキュアから "夢の絵の具" が奪えればチャラでしょ!? やってやるわよ!」


ウィスタリア「そういうわけだから、今日こそ覚悟してよね、プリキュアっ!」


れいか「あの新しい 2人のアキラメーナは、人の心をより多く吸い取るのでしたね……! このままではお客のみなさんが危険です!」

みゆき「うんっ、早くやっつけないと! 行くよ、みんな!」


5人「うんっ!」

木下「は、はい……!」

みゆき「あ、そうだ。木下さん、前に言っておいたアレ、よろしくね!」

木下「え……!? ……ホントにやるんですか……? 恥ずかしいです……」

はるか「大丈夫、すぐに慣れるよ! それに、アレをやると気合が入るしね!」

木下「…………」


木下「わ、わかりました。やってみます……!」

妖精達「デコル・チェーンジ!」

パチンッ!

レディ!

7人「プリキュア! スマイルチャージ!!」

ゴー! ゴーゴー! レッツゴー!!


ハッピー「キラキラ輝く、未来の光! キュアハッピー!!」

サニー「太陽サンサン、熱血パワー! キュアサニー!!」

ピース「ぴかぴかぴかりん♪ じゃん・けん・ポン!(チョキ) キュアピース!!」

マーチ「勇気リンリン、直球勝負! キュアマーチ!!」

ビューティ「しんしんと降り積もる、清き心。キュアビューティ!!」

ノーブル「さらさら流れる気高きせせらぎ! キュアノーブル!!」

ヴェール「そよそよさざめく、優しい木陰。キュアヴェール!!」




7人「7つの光が導く未来!」


7人「輝け! スマイルプリキュア!!」



ハッピー「……決まったぁ……っ!」

ピース「虹色の戦士だもんね! やっぱり "7つ" っていうとビシッと決まるね!」

ヴェール「……でも、やっぱりちょっと恥ずかしいです……」


ビューティ「みなさん、感動しているところすみませんが、時間がありません! 手分けをしてそれぞれ戦いましょう!」

ノーブル「それでうまいこと一か所に集めて、レインボー・アーチでまとめて決めよう!」

サニー「シアンナさん達と戦った時とおんなじ要領やな! オッケーやで!」

マーチ「よし、みんな、行こうっ!」

ピース「うんっ!」


バババババッ!

ヴェール「あ、あの、えっと……、わ、わたしは、どうすれば……」オロオロ

ハッピー「ヴェールもいっしょに……、って、わたし達みたいに強い力は出ないんだっけ……」


ハッピー「じゃあ、とりあえずヴェールは後ろで見てて! 何かできそうなことがあったらよろしくね!」バッ

ヴェール「あ、は、はい……!」


ヴェール(わたしにできそうなこと、といえば、あの葉っぱの盾 "ヴェール・カーテン" を出すくらい……)

ヴェール(で、でも……)


アキラメーナ(空中ブランコ型・オーレン作)「アキラメーナァッ!」ドスゥゥンッ…


ヴェール(ち、近づかないと、盾も使えないよね……。でも、大きくて……コワい……!)


ヴェール(……わたしにできること……あるのかな……)

アキラメーナ(空中ブランコ型・オーレン作)「アキラメーナァッ!」グルグルグルッ!


マーチ「ブランコがすごい勢いで回りだした!」

ノーブル「ぶつけてくる気!? 気をつけて、マーチ!」

マーチ「だいじょうぶです、ノーブル! あの回転、あたしの風で止めてみせます!」


マーチ「プリキュア! マーチ・シュートォォッ!!」


ブワァァァァァッ!


アキラメーナ(空中ブランコ型・オーレン作)「アガッ……!?」ギシギシッ…


ノーブル「マーチ・シュートの球をばらけさせて作った風をぶつけた!? やるね、マーチ! ブランコの回転が遅くなってるよ!」

マーチ「ノーブル、今です!」

ノーブル「OK! 任せて!」

ノーブル「ブランコのどれかをつかめれば……、柔道技で投げ飛ばしてみせるっ!」バッ


オーレン「悪くない考えだ。だが」

オーレン「残念ながらパワーが足りないな」


アキラメーナ(空中ブランコ型・オーレン作)「ア……キラメーナァッ!」グルグルグルッ!


ノーブル「! 力で風を跳ね除けた!?」

ペロー(デコル)「ノーブル、危ないペロ! ブランコが来てるペロ!」

ノーブル「えっ!?」


ドカァァァァッ!


ノーブル「わぁぁぁぁっ!?」ドォォォォンッ!

マーチ「ノーブルっ!」

マジョリン(デコル)「吹き飛ばされちゃったマジョ!」


オーレン「まず一人。次はお前だ、緑」

マーチ「くっ……!」

アキラメーナ(バイキング型・イエロワ作)「アキラメーナァ……!」


ブゥンッ! ブゥンッ! ブゥンッ!


ピース「あ、あのアキラメーナ、船の部分を振りながらこっちに来るよ……! サ、サニー、あれ、受け止められないかなぁ?」

サニー「ちーっと大きすぎんなぁ……! 普通にやったらムリやで……!」


イエロワ「ふぇっふぇっふぇ。そうじゃ、受け止めるなぞ、やめておいたほうがいいぞ。吹き飛ばされるのがオチじゃわい」

イエロワ「まぁ、何もしなくても吹き飛ばすがのう。ふぇっふぇっふぇ!」

サニー「くぅ……! なんかバカにしてるみたいで、ハラ立つじいちゃんやなぁ……!」

サニー「……せや! ピース! 電気で機械おかしくして、止められんか!?」

ピース「それだ! うんっ、やってみるよ!」


イエロワ「……ほう、そっちの黄色いのは電気を操れるのか? 先にわかってよかったわい。アキラメーナ!」

アキラメーナ(バイキング型・イエロワ作)「アガッ!」ブゥンッ…

サニー「……!? なんや……、その場で船を高く振り上げよった……?」


アキラメーナ(バイキング型・イエロワ作)「アキラメーナァッ!」ブンッ!


ドガァァァァァンッ!

グラグラグラッ


オニニン(デコル)「ふ、船を地面にたたきつけたオニ!」

ピース「わっ、わわっ!? じ、地面が揺れて……、身動き取れない……!?」


イエロワ「ほほっ。何をするのかわかれば、止めるのは難しくないわ。ほれ、アキラメーナ。やってしまえ」

アキラメーナ(バイキング型・イエロワ作)「アキラメーナァッ!」ブンッ!

ウルルン(デコル)「やべぇっ……! 船がこっちに……!」


ドカァァァァァンッ!


サニー「うわぁぁぁぁぁっ!?」

ピース「きゃぁぁぁぁぁっ!?」


イエロワ「ふぇっふぇっ、一丁上がりじゃ」

メリーゴーラウンドBGM『ブンチャッチャー♪ ブンチャッチャー♪』


ハッピー「な、なんだろ……。メリーゴーランドが回り始めたよ?」

ビューティ「相手はアキラメーナ、何をしてくるかわかりません。ハッピー、気をつけて!」


ウィスタリア「ふふーん、気をつけたってどうにもならないけどねー」


メリーゴーラウンドの馬「(グルンッ)」

メリーゴーラウンドの馬「(グルンッ)」


ハッピー「うわっ……! う、馬が全部こっち向いた……!?」

キャンディ(デコル)「コ、コワいクル……!」

ウィスタリア「さぁっ、大レースの始まりだぁっ!」

メリーゴーラウンドの馬「ブヒヒィーーンッ!」


ガチャッ!

ドドドドドドドッ!


ビューティ「!? こ、これは……!?」

ポップ(デコル)「つ、作り物の馬が切り離されて、こちらに押し寄せてくるでござる!」

ハッピー「わっ、わっ! ど、どうしよう!?」

ビューティ「私が氷で馬の動きを止め――」

メリーゴーラウンドの馬「ブルルルッ!」ドカカッ ドカカッ

ビューティ「っ! は、速いっ!?」


ドカァァァァンッ!


ビューティ「きゃぁぁぁぁぁっ!?」

ハッピー「ビューティっ!」


ウィスタリア「よそ見してる余裕あるのかなぁー、ピンク!?」

ハッピー「えっ!?」

メリーゴーラウンドの馬「ブルルルッ!」ドカカッ ドカカッ


ドカァァァァンッ!


ハッピー「わぁぁぁぁぁっ!?」

キャンディ(デコル)「ハッピーっ!」

マティ(デコル)「……そんな……、プリキュアのみなさまが……!」

ヴェール「あ、あっという間に、やられちゃった……!」


オーレン「手応えがなさすぎるな」

イエロワ「まぁ、こんなもんじゃろう。元々 6人でアキラメーナ一体倒すのがやっと、というところなのじゃからなぁ」

ウィスタリア「……シャクだけど、これなら勝てそうだね」


オーレン「ところで、あいつはどうする。特に何もしていないが」

ヴェール「(ビクッ) ……こっち……見てる……!」

ウィスタリア「ほっといていーんじゃない? あの子、ちょっとした盾出すくらいで、てーんで弱っちいよ。パワーとか全然ないし」

イエロワ「ふむ……。ならば、先に他のプリキュアを倒し、"夢の絵の具" を手に入れるとしようかのう」

ウィスタリア「そうしよ、そうしよ」

オーレン「ふん、そうか」

オーレン「つまり、あいつは役立たず、というわけだな」


ヴェール「……!!」


ヴェール(……役……立たず……)

ヴェール「…………」ボーッ…

マティ(デコル)「ヴェール様……? どうしたのです、ヴェール様!? みなさまがピンチです! 今こそお守りしなければ!」

ヴェール「…………」

マティ(デコル)「ヴェール様っ!」


ヴェール「……絵原さん……、あのオレンジの髪の人の言う通りだよ……」

ヴェール「わたしには、みんなみたいなすごい力はないし、前に出て、盾になる勇気もない……」

ヴェール「やっぱり……、わたしにできることなんて……ないんだ……」


ヴェール「わたしは…………、……役立たずだよ……」

マティ(デコル)「ヴェール様……」

ハッピー「……そんなこと……ないよ……っ! そんなことないっ!」

ヴェール「……!? ……ハッピーセンパイ……?」

ハッピー「だって、ヴェールはこの間、わたしとマティちゃんのことを助けてくれたじゃない!」

ハッピー「ちゃんと、できることはあるんだよ……! 何もできない、なんてこと、絶対にない!」


イエロワ「ほほほっ、果たしてそうかのう、ピンクの」


イエロワ「実はな、ワシとオーレンには見えるんじゃよ。人間の心の色がな」

イエロワ「その紫のの心は、確かに黒く濁っているのがよーく見えるわい。不安の黒でのう」

イエロワ「その娘の心の中は今、不安と絶望でいっぱいじゃ。そんな者に何ができるものか」


イエロワ「今何もできんようでは、これからもずーっと、その娘は役立たずじゃな! ふぇーっふぇっふぇっ!」


ヴェール「…………」


ハッピー「そんな風にはならないよ……! わたし達がさせない……っ! だって……、だってわたし達は……!」

ハッピー「わたし達は、そのために遊園地に来たんだもんっ!」


ヴェール「…………え?」

ハッピー「ヴェール……。前に言ったっけ。"笑顔は人を元気にしてくれる"、って」

ヴェール「……はい……。聞いた……ような気がします……」


ハッピー「わたしね、ヴェールがプリキュアになって不安がってること、わかってたんだ」

ハッピー「だって、ひとりでこっそり震えてたから……」


ハッピー「だから、わたし達が笑顔でいれば、その不安も吹き飛ばせるんじゃないか、って思ったの」

ハッピー「みんなで明るく騒げば、きっとヴェールの気持ちも明るくなるって、そう思ったんだ!」


ハッピー「だからわたし達は遊園地に来たの! みんなで明るい気持ちになって、いっしょに前に進みたかったから!」

ヴェール「……ハッピーセンパイ……」


はるか(回想)『……あ。でも、もう一個あるかも。みんなが笑うわけ』


ヴェール(……そっか……。藍沢センパイが言ってたのって……このことだったんだ……)

ヴェール(みんなが……、笑ってたのは……)


ヴェール(わたしを……元気づけるためでもあったんだ……!)

イエロワ「ああ言えばこう言う……。何を言ってもムダなようじゃのう」


イエロワ「では、実際にその娘が役立たずであることを証明して見せようか。キュアハッピー! お主を倒すことでな!」

イエロワ「どうせその娘は指をくわえて見ているしかできんわい! 仲間の役立たずぶり、思い知るがいいわ!」


アキラメーナ(バイキング型・イエロワ作)「アキラメーナァッ!」ブゥンッ…


ハッピー「船が……こっちを狙ってる……!?」


マティ(デコル)「ハッピー様! ……ダメですわ……、ここからでは、走ってもハッピー様のところには間に合いません……!」

ヴェール「……!」


イエロワ「さぁ、これで終わりじゃ、キュアハッピーっ!」

アキラメーナ(バイキング型・イエロワ作)「アキラメーナァッ!」ブンッ!


ハッピー「……っ!」


ドガァァァァァァァッ!

ハッピー「…………あれ……? 何ともない……」

キャンディ(デコル)「ハッピー! 前を見るクル!」

ハッピー「前って……、……あ……! これ……!」


パキィィィィンッ!


ハッピー「"ヴェール・カーテン" ……! っていうことは……!」


ヴェール「…………っ!」


ハッピー「ヴェールっ! こっちに手を向けて……助けてくれたんだ!」

イエロワ「……なんじゃと……!? あの船の一撃を止めたのか……!?」


サニー「な、なんちゅうパワーや……。あれ、止められるんか……!」

ビューティ「それだけではありません……! ハッピーの話では、"ヴェール・カーテン" は目の前に葉っぱの盾を出す技でしたが……」

ピース「あんな離れたところから、遠くにいるハッピーを守った……!」

マーチ「もしかしてあの盾……、どこにでも出せるの……!?」

ヴェール「…………わたしは、役立たずかもしれない……」

ヴェール「でも、センパイがそうじゃない、って言ってくれるなら……、わたしは……、自分でそう決め付けたくない……!」


ヴェール「やるんだ……。何もできないかもしれないけど、やるんだ……!」

ヴェール「わたしを不安から守ってくれるセンパイ達のためにも……、不安な気持ちに負けたくない……!」


ヴェール「わたしも、少しずつでも前に進んでいくんだ! センパイ達といっしょに!」


ノーブル「ヴェール……!」


ノーブル(……ほら、やっぱりできたよ、ヴェール……! 自分の、不安な気持ちと戦うこと……!)


ノーブル(ヴェールももう、立派なプリキュアだよ!)

オーレン「ふん。お前一人がどう頑張ったところで何も変わらん。アキラメーナ、やれ」

アキラメーナ(空中ブランコ型・オーレン作)「アキラメーナァッ!」ドスンッ ドスンッ


マティ(デコル)「ヴェール様! ブランコのアキラメーナがハッピー様に近づいていきますわ!」

ヴェール「う、うん……! また "ヴェール・カーテン" で守るよ……!」


ビューティ「……はっ。待ってください、ヴェール! "ヴェール・カーテン"、あのアキラメーナの足元の前に出せませんか!?」

ヴェール「えっ? で、でも、動いてるから、うまくできるかどうか……」

マーチ「できるよ、ヴェールなら! シューティングゲームのこと、思い出して! よく狙えば、きっとできる!」

ヴェール「……!」


ヴェール(そうだ……、あの時みたいに、よく狙って……!)


ヴェール「…………えぇいっ!」バッ


パキィィィィンッ!

ガッ!


アキラメーナ(空中ブランコ型・オーレン作)「アガッ!?」

オーレン「なんだ!? 足元に出たあの盾につまずいたのか!? アキラメーナが、転ぶ!?」

アキラメーナ(空中ブランコ型・オーレン作)「アガァァァァッ!?」ドシィィィィンッ!


ヴェール「……できた……!」

ビューティ「成功です! うまく転ばせることができました!」

サニー「おおっ! やるやん、ヴェールっ!」

ピース「うんっ! すごいよ!」

ヒュンッ ヒュンッ

ギュシィィィッ


イエロワ「んむ……!? オーレンのアキラメーナのブランコが、倒れた拍子にワシのアキラメーナの脚に絡みよった……!?」


オーレン「ふん、こざかしい。転んだくらいでどうだというんだ。立て、アキラメーナ」

アキラメーナ(空中ブランコ型・オーレン作)「アキラメーナァッ!」ググッ

イエロワ「ま、待つんじゃオーレン! 今、そいつを立たせてはならん!」

オーレン「? イエロワ、何を言って――」


グイッ!


アキラメーナ(バイキング型・イエロワ作)「ア、アガッ!?」

イエロワ「いかんっ……! 脚を引っ張られる……!」

アキラメーナ(バイキング型・イエロワ作)「アガァァァァァッ!?」ドシィィィィィンッ!

イエロワ「な、なんということじゃ……! ワシのアキラメーナまで転んでしもうたわ……!」

ブゥンッ…


ウィスタリア「……え? イエロワのアキラメーナの船、転んだせいで上に振りあがって……」

ウィスタリア「ま、まさか……!」


ブンッ!


ウィスタリア「あ、あたしのアキラメーナめがけて落ちてくる!? アキラメーナ! 避け――」

アキラメーナ(メリーゴーラウンド型・ウィスタリア作)「アガ?」


ドゴォォォォォォンッ!


アキラメーナ(メリーゴーラウンド型・ウィスタリア作)「ア、アガガ……」ピクピク

ウィスタリア「っ! ……あ、頭に直撃……。遅かった……!」


メリーゴーラウンドの馬「ブル……ル――」


ガタンッ ガタンッ


ポップ(デコル)「メリーゴーランドの馬が全部止まったでござる!」

ビューティ「元のアキラメーナがダメージを受けたからでしょうか……!」


ハッピー「ヴェールの盾だけで……みんな倒れちゃった……!」

キャンディ(デコル)「す、すごいクル……」


マティ(デコル)「……よ、予想外の効果ですね、ヴェール様……」

ヴェール「う、うん……」

ウィスタリア「ちょっと、何してんのよ! あんた達のおかげでめちゃくちゃじゃない!」

オーレン「知るか。偶然だ。ここまで被害が出るなど予測できるか」

ウィスタリア「ぐうぜんーっ!? あんた、人のことはさんざん言っといて、自分がミスった時はそういうこと言うわけ!? 信じらんない!」

イエロワ「落ち着かんか、二人とも! 早く体制を立て直さんと――」


ノーブル「みんなまとめて倒れた! ヴェールが作ってくれたこのチャンス、逃すわけにいかない!」

ハッピー「はいっ! みんな、レインボー・アーチをやろう!」

サニー・ピース・マーチ・ビューティ「うんっ!」


イエロワ「……! こ、これはいかん……!」

パカッ

キラキラキラキラ


キャンディ「"夢の絵の具" よ……、プリキュアのみんなに、未来に進む力を!!」


ブワァァッ!


6人「6つの夢を、今こそ一つに!!」


6人「未来へ届け! 希望の架け橋!!」


6人「プリキュア!! レインボー・アーチっ!!!」


ブワァァァァァァァァッ!!


アキラメーナ(空中ブランコ型)(バイキング型)(メリーゴーラウンド型)「アガァァァァッ!?」


6人「ハッピー……エンド!!」


ドガァァァァァァァァァン!!


アキラメーナ(空中ブランコ型)(バイキング型)(メリーゴーラウンド型)「アガァァァァァ……」シュワァァァァ…


マティ(デコル)「みんなやっつけましたわ!」

ヴェール「や、やったぁ……!」

ウィスタリア「……あーあ、やられちゃったー。誰かさんが文字通り足を引っ張らなければ、こんなことにはならなかったのになー」

オーレン「イヤミのつもりか?」


イエロワ「……いやはや、3人で同時に仕掛けたのがアダになるとはの……。今後は 1人ずつ仕掛けた方がよさそうじゃな」

ウィスタリア「さんせーい。あんた達ジャマ」

オーレン「同感だ。オレ一人の方がやりやすい」

イエロワ「やれやれ……、こうもウマが合わんとは……。まぁ、濁った心の絵の具は採れたから良しとしようかの。帰るぞ、2人とも」シュバッ

オーレン「ああ」シュバッ

ウィスタリア「ちょっと、仕切んないでくれる!?」シュバッ


ノーブル「……ずいぶん仲悪いなぁ、あの 3人……。シアンナ達はもっと仲良かったような気がするけど」

ビューティ「そうですね……」

マティ(デコル)「勝ったのはいいですが、こうしてはいられません!」

ヴェール「え? 何……?」

ハッピー「あ、そっか……! あのオーレンとイエロワって人のアキラメーナに吸われた人の心は、マティちゃんが元に戻さなきゃいけないんだっけ……!」

ピース「でも、ここ遊園地だから、倒れてる人たくさんいるよ……!? どうするの……!?」

マティ(デコル)「……わたくしに考えがありますわ」


マティ(デコル)「今ならできるはずです。わたくしの力と、ヴェール様の力、そして、"ホープブラッシュ" があれば」

マティ(デコル)「ヴェール様、"ホープブラッシュ" を持って、高く掲げてくださいますか」

ヴェール「え? う、うん……。こう?」バッ

マティ(デコル)「はい! そのままでいてくださいませ!」


マティ(デコル)「……はぁぁぁぁぁぁぁっ!」


ブワァァァァァッ!


マーチ「わっ! 筆の先から光がたくさん飛び出した!?」

ノーブル「その光が、倒れた人達に入っていく……!」


男性客「う……。ここは……」ムクッ

女性客「……あれ……? 私、どうして寝てたんだっけ……?」ムクッ


ムクッ ムクッ

ムクッ ムクッ


ビューティ「周りの人達が、次々に起き上がっていきます……!」

マティ(デコル)「わたくしとヴェールの力を "ホープブラッシュ" で強くしたのです。プリキュアになったからこそできることですわ」


ハッピー「こんなことまでできるんだ……。すごい、すごいよ、ヴェール……!」

ハッピー「役立たずなんかじゃない……! ヴェールは、わたし達の自慢の仲間だよっ!」


ヴェール「……仲間……」


ヴェール(…………)

~ 夕方 シエルランド 帰り道 ~

あかね「いやー、アキラメーナが 3つも出てきた時はどうなることかと思たけど、何とかなってよかったなー!」

なお「その後もたくさん遊べたしね! もう大満足!」

れいか「ええ! とても楽しい 1日でしたね!」


みゆき「木下さんはどうだった? 今日、楽しかったかな? これで、少しでも不安がなくなってくれるとうれしいな」

木下「……星空センパイ……」

木下「…………今日は、楽しかったです……」

みゆき「! ホントっ!?」

木下「はい……。こんな風に、他の人と遊びに行くなんて久しぶりで……」

木下「みなさんもとっても明るくて……。……少し、元気出たと思います……」

木下「……ありがとう、ございます」


みゆき「そっかぁ……、よかったぁ! 来たかいがあったね!」

マティ「はいっ! 木下様が喜んでもらえたのなら、何よりですわ!」

はるか「よかったね、木下さん」ニコッ

木下「あ、はい……」


ピタッ


木下「…………」

やよい「あれ? どうしたの、木下さん、立ち止まって」

木下「……あの……、絵原さん、センパイのみなさん……。お願いが、あるんですけど……」

マティ「え?」

みゆき「お願い?」

あかね「何や、改まって?」

木下「あの……、その……」

木下「…………わたしのこと、"ゆかり" って、呼んでもらっても、いいですか……?」


全員「……!」

木下「星空センパイ、さっき、わたしのこと "自慢の仲間だ" って言ってくれました……」


木下「みなさん、名前で呼びあってるから、わたしも名前で呼んでほしいんです。わたしだけ苗字だと、なんだか……仲間はずれみたいな気がして……」

木下「わたしも……、みなさんに、ちゃんと仲間として扱ってほしいから……」


木下「だから、その……、わたしも、名前で呼んでもらえると……うれしい、です……」

全員「…………」

みゆき「……もちろんだよ、ゆかりちゃんっ! それなら、わたしのことも "みゆき" って呼んでよ!」

あかね「うちのことは "あかね" でええで! ゆかり!」

やよい「これで立派な仲間だね、ゆかりちゃん!」


木下「……! みなさん……!」


マティ「では、わたくしのことも "マティ" とお呼びくださいませ。やっぱり、パートナーは名前で呼び合った方がいいですものね。……ゆかり様!」

木下「……絵原さ――、……うん、……マティちゃん……!」

みゆき「じゃあ改めて、よろしくね、ゆかりちゃん!」


ゆかり「はい……! よろしくお願いします、みなさん……!」





つづく

次回予告

みゆき「プリキュアとしてとっても頼もしくなったゆかりちゃん! これからも私達の仲間として活躍してくれそう!」

みゆき「でも、やっぱりクラスではなかなかうまくいってないみたい……。今度はマティちゃんまで問題に巻き込まれちゃったんだって……」

みゆき「ゆかりちゃん、マティちゃんのことを守ってあげられるといいんだけど……。どうしたらいいかな、なおちゃん!?」


みゆき「次回、『スマイルプリキュア レインボー!』 "なおの教え! 守るために大切なもの!"」


みゆき「みんな笑顔でウルトラハッピー!」

今回はここまでです!
お読みいただいた方、ありがとうございました。

それでは、よかったら次回もまたよろしくお願いします!


第1話 ~ 第11話 『スマイルプリキュア!』第2期を SS で作るスレ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360385907/)
第12話 ~ 第20話 『スマイルプリキュア レインボー!』 Part 2 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366529393/)
第21話 ~ 第29話 『スマイルプリキュア レインボー!』 Part 3 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1373151336/)

第30話 >>3 から

前スレのお返事、こちらで返させていただきます!



> ボーズさん

『レインボー!』のキャラクターの声優さんですか、夢が広がりますね!

ただ正直、あんまりイメージしないで書いていますので、
みなさまお好きなイメージでお読みいただければと思います。


でも、デスペア国王のイメージが陶山 章央さんかぁ。。
"大神 一郎" として考えるとカッコイイんですが、『プリキュア』的には『5』の "ガマオ" なんですよね。。

ガマオかぁ。。



> Part3 984さん

> 紫は草タイプ(ミントと同じ)だったか。

ああ、やっぱりそう見えますよね。。葉っぱバリアー出せば。
でも実はヴェールの能力は、、まあ、そのうち、おいおい。。


> 色的には闇・雷とかなんだろうけど

紫で雷、、"体育座り座の青銅聖闘士" が思い浮かびましたw


> "レインボー!"をアニメで放送すると、多分会社が泣くことになるんだよねww

ええ、そうでしょうね。。
自分でやっといてなんですが、ぶっちゃけ 7人は多すぎ。。描く人タイヘンでしょうねw
当初、『スマイル』は 7人や 12人の予定もあったようですが、やめて正解だと思います。

まあ、こちらは絵がないんで、今後も好き勝手にやらせていただきますわ!



お返事は以上になります!
それでは、また来週!

申し訳ないです!
31話は本日 8:30 にアップする予定でしたが、まだ完成しておりません。。!

ただいま鋭意製作中なので、本日中のどこかでアップできればと思っています。
スミマセンが今しばらくお待ちください!

大変お待たせいたしました!

『スマイルプリキュア レインボー!』

このあとすぐ!

~ 放課後 七色ヶ丘中学校 教室棟前 ~

スタスタスタ


ゆかり(学校も終わってやることもないし……。今日はまっすぐ帰ろうかな……)


ゆかり(……あ、でも……、マティちゃんを誘って、どこか行ってみたり、しようかな……?)

ゆかり(そうしたら……楽しいかも……)


みゆき(回想)『友達と一緒にいれば、面白いことがいーっぱい起きるよ!』


ゆかり(……みゆきセンパイの言う通りかも……)

ゆかり(いっしょにいられる人がいるって……なんか……、いいな……)

ゆかり(……あれ……? あそこにいるのって……)


マティ「――では、このゴミ箱をあの焼却炉というところまで持っていけばいいんですのね?」

1-3 女子生徒・後藤 りか「そうそう! さっすが絵原さん! 覚えがはやーい!」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「すっごく助かっちゃうー!」

マティ「ちょ、ちょっと重いですが……、みなさまのお力になれるならガンバりますわ!」

1-3 女子生徒・後藤 りか「頼りになるぅー! ガンバってね、絵原さん!」


ゆかり(マティちゃんと……、後藤さんに宮田さん……。そうじ当番だったっけ……)


1-3 女子生徒・後藤 りか(小声)「ラッキー、またまた助かっちゃったね」ヒソヒソ

1-3 女子生徒・宮田 さなえ(小声)「ホントホント! 絵原さん、頼んだらすぐやってくれるから、ラクでいいよね!」ヒソヒソ

1-3 女子生徒・後藤 りか(小声)「そうじ当番なんてやってらんないもんねー」ヒソヒソ


マティ「? あの、何か言われましたか?」

1-3 女子生徒・後藤 りか「ううん! なんでもないよー! 気にしないで!」


ゆかり(……! ……聞こえ、ちゃった……)


ゆかり(あのふたり、また人にそうじ当番やらせてるんだ……。わたしの時みたいに……)

マティ「…………」ヨロヨロ


ゆかり(マティちゃん……、ガンバってるけど、やっぱり重いんだ……)

ゆかり(マティちゃん、ツラそうなのに……、どうして手伝ってあげないんだろう……。……ひどいよ……!)

ゆかり(……わたしが、何か言ってあげなきゃ――)


1-3 女子生徒・後藤 りか(回想)『ほらぁー、早くゴミ運びなよ!』

1-3 女子生徒・宮田 さなえ(回想)『まったくもう、どんくさいなぁ!』


ゆかり(――!)ブルッ

ゆかり(……体が、うごかない……)


ゆかり(あのふたりににらまれたり、大声出されたりしたら、って思うと……)

ゆかり(コワくって……、足が前に進まない……!)


ゆかり(…………マティちゃん……、ごめん……っ!)ダッ


タタタタタッ…

~ 七色ヶ丘中学校 通学路 ~

ゆかり「…………」トボトボトボ…

ゆかり(……逃げて……きちゃった……。マティちゃんを置いて……)


ゆかり(わたし、どうしてこうなんだろう……。言いたいこと、ちゃんと言えないで……)

ゆかり(……でも、あのふたりが怒ったら、何するかわからない……。いやがらせとか、されちゃうかもしれない……)

ゆかり(やっぱり、コワいよ……)


ゆかり(わたし、せっかくプリキュアになれたのに、こういうところはちっとも変わってない……)

ゆかり(……なさけないな……)

なお「――それはちょっとスジが通ってないんじゃないですか!?」


ゆかり(え……。この声……、なおセンパイ? そこの曲がり角の先から聞こえるけど……。何かあったのかな……)

ゆかり(こっそり見てみよう……)ソーッ…


高校生の男子「オレのカワイイ弟が、お前の後ろのヤツがムカつくって言ってんだよ! そこどけよ!」

なお「どきません! いくら兄弟のためだからって、小学生同士のケンカに高校生が出てくるなんて、ヒキョウだと思います!」

高校生の男子「中学生のクセにオレの言うことが聞けねぇってのかよ!?」

なお「年なんて関係ありません! 問題があるなら、本人達同士で解決するべきじゃないんですか!? 大きな体でおどかしたりするのはおかしいです!」

高校生の男子「こっ、この……!」


ゆかり(わ……! なおセンパイ、あんな体の大きな人と言い合ってる……)


小学生の男子「…………」ブルブル


ゆかり(なおセンパイの後ろに小さい男の子がいる……。震えてる……? なおセンパイ、もしかして、あの子のために……?)

ゆかり(でも、このままじゃなおセンパイだって危ないよ……。ど、どうしよう……!)

チリリン チリリン


松原巡査「こらーっ! 君達、そこで騒いで、何をしてるんだ!」

高校生の男子「げっ、おまわりだ! 自転車でこっち来やがる! ……くそっ! 憶えてろよ!」


タタタタタ…


ゆかり(あの大きな人、走って行っちゃった……。あのおまわりさんのおかげかな。よかった……)


なお「松原さん! ありがとうございます、助かりました!」

松原巡査「大きな声がしたから来てみてみれば……、なおちゃん、またケンカを止めに入ってたのかい?」

松原巡査「勇敢なのはすごくいいことだけど、気をつけてね。君自身も危ないんだから」

なお「あ、あはは……、つい、放っておけなくて……」

なお「もう大丈夫だよ。コワい人はどっか行っちゃったから。もしまたあの人が来るようなら、遠慮なく大人の人に助けてもらっていいんだからね」

小学生の男子「……うん……」

なお「それに、あの人の弟さんと何があったのかわからないけど、もしケンカしちゃってるなら、ちゃんと仲直りもしようね」

小学生の男子「……わかった……。ありがとう、おねえちゃん……」

なお「うん! ガンバってね!」


スタスタスタ…


松原巡査「さて、あの子も無事に帰ったことだし、僕もパトロールに戻るよ」

なお「はい! ありがとうございました!」


シャァァァァッ…


ゆかり(おまわりさんも行っちゃった……)


ゆかり(……なおセンパイ、スゴいなぁ……。あんな大きくてコワそうな人にも堂々と言いたいことが言えて)

ゆかり(わたしも、なおセンパイみたいになれたらいいのにな……。そうしたら……)


ゆかり(そうしたら、マティちゃんも助けてあげられるのに……)


ゆかり(…………)

スタスタスタ


ゆかり「あの……、なおセンパイ、ちょっといいですか……?」

なお「わっ!? ゆ、ゆかりちゃん!? 急に後ろから声かけるからビックリしたよ……。いつからそこに?」

ゆかり「さっき、男の人と大きな声で言い争ってるのを見てて……」

なお「あ、見てたんだ。……それにしても、そんな大きな声出てたかなぁー……。ちょっと恥ずかしいな……」

なお「ところで、ゆかりちゃん。あたしに用事があるの? 何かな?」

ゆかり「あ、その……、あの……」


ゆかり「……なおセンパイに、お願いしたいことがあるんです」

なお「え? お願い?」




スマイルプリキュア レインボー!

第31話「なおの教え! 守るために大切なもの!」



~ 七色ヶ丘市 公園 ベンチ ~

なお「――なるほどね。クラスメイトにタイヘンなことをさせられてるマティちゃんを何とかしてあげたい、と」

ゆかり「……はい……」

なお「マティちゃん、ガンバりやさんだからなぁー……。頼りにされたらなんでも引き受けちゃうんだろうね、きっと」

ゆかり「そう、だと思います……」


ゆかり「ホントは、わたしが何とかしてあげなきゃいけないと思うんです……。クラスメイトだし、プリキュアのパートナーだし……」

ゆかり「でもわたし、入学してからずっとそのふたりの言いなりになってたから……、怒らせるのがコワいんです……。さっきも体が動かなくって、何もできませんでした……」

ゆかり「だから、わたしもなおセンパイみたいになれたらいいなって、思ったんです……。そうしたら、マティちゃんも助けてあげられるのかな、って……」


ゆかり「なおセンパイ。どうしたら、センパイみたいな勇気が出せるんでしょうか……」

なお「勇気、か……」

なお「じゃあさ、ゆかりちゃん。もしあたしのことを "勇気がある" って思ってくれてるんだったら、あたしのことを見て考えてみなよ」

なお「ゆかりちゃんがマティちゃんを助けるために必要なことはなんなのか」

ゆかり「え? あ、あの、今教えては、もらえないんですか……?」

なお「……言葉で伝えるのはカンタンだよ。あたしなりに、自分のことに対する強い気持ちはあるし」


なお「でも、それはあたしの気持ちであって、ゆかりちゃんの気持ちじゃない。あたしの言う通りにしたって、それじゃ意味がないと思うんだ」

なお「ゆかりちゃん自身がしっかり考えないと、ゆかりちゃんのためにもならないんじゃないかな」


なお「だから、できるだけ自分で考えてみて。ゆかりちゃんの気持ちのこと」

ゆかり「……わたしの、気持ち……」


ゆかり「…………」

ゆかり「……わかりました。わたし、やってみます。なおセンパイを見て、自分のこと、考えてみます」

なお「うん! ガンバってね、ゆかりちゃん!」

ゆかり「……はい……! よろしくお願いします、なおセンパイ……!」

~ 翌日 放課後 七色ヶ丘中学校 サッカー部グラウンド ~

ドドドドッ


サッカー部員・フォワード・村田 ともか「センタリング行くよ、山中さん!」

サッカー部員・フォワード・山中 あきえ「え!? あ、う、うん……!」ダダダッ

フォワード・村田「山中さん、スタート遅いよ!? それじゃ間に合わない!」


なお「村田さん! こっちに上げて!」

フォワード・村田「キャプテン! わかりました! えいっ!」ドカッ

なお「場所もタイミングもバッチリ! よし、ダイビングヘッドだ! だぁぁぁっ!」バッ


ドカッ!


キーパー「あっ!? と、捕れない……!?」


バサッ!


サッカー部監督・久保「ゴール! 白組 1点追加! いいぞ、緑川、村田!」

なお「やったね、村田さん! ナイスセンタリング!」

フォワード・村田「キャプテンこそ、すごいヘッドでした!」

フォワード・山中「…………」


サッカー部ファンの女子A「きゃぁぁーーっ! 緑川センパイ、カッコイイーっ!」

サッカー部ファンの女子B「さわやかな汗がステキ……! ああ、緑川センパイ……!」

ゆかり「わ……、すごい人……。これ、みんなサッカー部の応援なんだ……」

あかね「ええでー、なおーっ! その調子で張り切っていきやーっ!」

ゆかり「あ、あれ? あかねセンパイ?」

あかね「ん? あ、なんや、ゆかりやん! どしたん? ゆかりもなおの応援?」

ゆかり「え……、あ、まぁ……。なおセンパイに、練習見に来ないかって誘われて……。あかねセンパイも……?」

あかね「ああ、うちはちょくちょくなおの応援に来とんねん。同じスポーツ選手やし、なおにはガンバってもらいたいからな!」

ゆかり「そうなんですね……」

あかね「ほれほれ、そんなとこおらんとこっち来ぃ! せっかくやからいっしょに応援しよ!」

ゆかり「あ、はい……」

サッカー部監督・久保「山中! さっきのプレイはどうした!? もっと積極的にゴールを狙いにいけといつも言っているだろう!」

フォワード・山中「……スミマセン、監督……」

サッカー部監督・久保「大会までそうないのに、これではいかんな……。仕方ない。加藤! 山中に代わってコートに入れ!」

サッカー部員・控えフォワード・加藤「はいっ!」

フォワード・山中「……! か、監督! わたし、まだやれます!」

サッカー部監督・久保「フォワードのお前が満足にチームプレイができないようでは決定力が落ちてしまう。チームの得点力を上げなければ大会では通用しないんだ」

サッカー部監督・久保「……場合によってはレギュラーの変更もあるぞ。そのつもりでいるんだ」

フォワード・山中「……そ、そんな……!」

サッカー部監督・久保「さぁ、みんな! 練習の続きだ! ボヤボヤしている時間はないぞ!」

サッカー部員達「はいっ!」


フォワード・山中「…………」

あかね「ひゃー……、話には聞いとったけど、サッカー部の監督キビしいなぁ……」

ゆかり「そうですね……。あの人、あんなに汗いっぱいかいてガンバってるのに……」

あかね「せやなぁ……。けど、あの監督がキビしくて、サッカー部やめてもーた子もおる、て聞くで……。あの子もそうならんとええな……」

ゆかり「…………」


ゆかり(あの人、くやしそう……、ツラそう……)

ゆかり(なんとか……、なんとかならないのかな……!)

なお「……待ってください、監督! 山中さんを引き続き練習に参加させてください!」

フォワード・山中「……! キャプテン……!」

なお「山中さんはシュートがとても正確です! 監督もそれは知ってますよね? 今、山中さんをはずすべきではないと思います!」

サッカー部監督・久保「しかしそのシュートも、パスに追いつけなければ打てないぞ、緑川。今のままでは山中は活躍できない」

なお「……でしたら、山中さんのシュートを活かすことのできる練習をしましょう。うまくやれば、絶対に大きな得点力になるはずです!」

なお「……山中さん。山中さんはずっと、部活が終わってもシュートの練習をしてたよね」

フォワード・山中「え……! 知ってたんですか……?」

なお「前、帰りに見かけてね。ジャマしたら悪いと思って声はかけなかったけど、それからちょくちょく見てたんだ」

なお「最初は全然狙ったところにいかなかったシュートも、ずっと練習してるうちにだんだんちゃんと打てるようになって、今ではすごくうまくなったよね。うちのチームで一番 PK の成績がよくなるくらいに」

フォワード・山中「…………」


なお「監督。あたしは、山中さんの努力と情熱を信じたいと思います」

なお「今、パスに追いつけないなら、追いつけるようになればいい。努力家の山中さんならきっとできるはずです」

なお「それができるようになった時、山中さんはチームにとって、なくてはならないエースストライカーになれる。そう思うんです」

なお「ですから、お願いです! 山中さんをこのままプレイさせてあげてください!」ペコリ

サッカー部監督・久保「…………」


サッカー部監督・久保「……わかった。キャプテンのお前がそういうのであれば、任せよう。引き続き、山中はチームプレイの練習をするように!」

フォワード・山中「は、はいっ!」

なお「監督……! ありがとうございます!」


なお「さぁ、みんな、練習再開しよう! 山中さんを中心にした攻めの練習するから、守備陣も手伝って!」

サッカー部レギュラー守備陣「わかりました!」

ゆかり「……なおセンパイ、すごい……」

あかね「うん、ああいうところはさすがやな。選手一人ひとりちゃんと見とって、チーム全体のことをしっかり考えられへんとああキレイにまとまらへんで」

ゆかり「それもそうなんですけど……」

あかね「ん? すごいと思たの、そこちゃうの?」

ゆかり「……あのキビしい監督さんに真っ直ぐ意見を言えるのがすごいなぁ、って思って……」

あかね「ああ、なるほどな。ゆかり、ニガテそやもんな、そーゆーの」

ゆかり「……わたしには、なおセンパイみたいな勇気がないから……」


あかね「……勇気、か……。まぁ、それもあるんやろけど、さっきのなおのはちょっとちゃうような気ぃすんなぁ」

ゆかり「え……?」

あかね「なおは、多分あの山中さんって子のためにやったんやないかな」

あかね「うちも、バレーやっとった時はたっくさん練習しとった。バレーが好きで、エースアタッカーになりたかったからや。そのおかげで、3年生になったら念願のエースアタッカーになれた」

あかね「せやけど、そのガンバりが実らんかったら……、エースアタッカーになれてへんかったら、それは……めっちゃツラかったんやないかな……」


あかね「なおは、あの山中さんって子にそんな想いをさせたなかったんやないやろか」

あかね「せやから、あのコワーい監督にも山中さんにレギュラー続けさせられるようにお願いできたんやと思う」

ゆかり「山中さんのために……?」

あかね「多分な。ま、うちはなおやないから、ほんまのところはわからんけども」

ゆかり「…………」


ゆかり(なおセンパイ、やっぱりすごいなぁ……。人のためにガンバれるなんて……)

ゆかり(それに比べてわたしは……、タイヘンな目にあわされてるマティちゃんを置いて逃げちゃって……)


ゆかり(……どうしたら、人のためにガンバれるんだろう……)

~ 練習終了後 ~

あかね「なーお、おつかれ!」

ゆかり「あの……、おつかれさまでした……」

なお「ゆかりちゃん! 練習、見に来てくれたんだね。あかねも、また応援しにきてくれたんだ!」

あかね「なおにはサッカー部最後の大会がまだ残っとるやろ? 大会で勝てなかったうちの分もガンバってほしいんや!」

なお「ありがとう! めいっぱいガンバるよ!」

あかね「ほな、うちは家の手伝いあるし、今日は帰るわ! また明日なー!」

なお「うん! またね!」

ゆかり「おつかれさまでした……!」


スタスタスタ…


ゆかり「行っちゃいましたね、あかねセンパイ……。おうちのお好み焼き屋さん、忙しいんでしょうか……」

あかね「そうだね。毎日、お好み焼きの修行もかねてお手伝いしてるみたいだよ。そんな中応援に来てくれてるんだから、あたしもガンバらないとね!」


なお「……ところで、ゆかりちゃん、どうだったかな、マティちゃんのこと。あたしの練習見て参考になった?」

ゆかり「それが、まだ……。わからなくなるばっかりで……」

なお「そっか……。まぁ、焦らないでゆっくりいこうよ! そんなにすぐうまくいくことでもなさそうだしさ」

ゆかり「はい……」

なお「……あっ!」

ゆかり「わっ……!? ど、どうしたんですか、急に大声出して……」

なお「いっけない、忘れてた! 今日、お母ちゃんが外出してて、あたしが夕飯作らないといけないんだった! 帰って支度しなきゃ!」

ゆかり「そ、そうなんですか……? なおセンパイのおうちって確か、7人兄弟なんでしたっけ……」

なお「うん! だから夕飯の準備もタイヘンだよー! これから買い物して、弟達の面倒みながらごはん作って……。今からで間に合うかなぁ……!」

ゆかり「ほ、本当にタイヘンそうですね……」

タタタタタッ


みゆき「おーーいっ! なおちゃーーんっ! ゆかりちゃーーんっ!」


ゆかり「あ、みゆきセンパイ……!」

なお「みゆきちゃん! 今帰り?」

みゆき「うん! 図書室で絵本読んでたら遅くなっちゃって――って、ふたりともどうしたの? なんだか困ってるみたいだけど」

ゆかり「なおセンパイ、これからおうちのお夕飯を作らないといけないんですけど、やることが多くて困ってるんです……」

みゆき「ああ、なおちゃんち、兄弟たくさんだもんね。いつもタイヘンだね……」

なお「うん……。……でもやらなきゃ! みんなおなか空かせちゃうからね!」

なお「それじゃ、あたし、先に帰るね! ふたりとも、また明日!」ダッ

みゆき「……待って、なおちゃん!」

なお「な、何、みゆきちゃん? あたし、急がないと……!」

みゆき「えへへー、わたし、いいこと思いついちゃった!」

なお「いいこと……?」

みゆき「うんっ!」


みゆき「ねえ、ゆかりちゃん。これから時間ある?」

ゆかり「え……?」

~ 緑川家 玄関 ~

ガラッ


なお「ただいまー!」

けいた(なお弟・長男)「あ、なおねーちゃん帰ってきた!」

ゆうた(なお弟・次男)「なおねーちゃん、おなか空いたー!」

なお「はいはい、今ごはん作るから、ちょっと待っててね!」

はる(なお妹・次女)「でも、なおねーちゃん……。ひなやこうたが遊びたがってるし、お風呂のしたくとか、お洗濯ものの取り込みとかもしないと……」

なお「あ、それは大丈夫! 後ろのふたりが手伝ってくれることになったんだ!」

はる「え? 後ろの、って……」


みゆき「やっほー、はるちゃん! 久しぶり!」

ゆかり「あの……、こんにちは……」

はる「あ、みゆねーちゃん! ……と、どちらさまですか?」

ゆかり「あ……、わたし、木下 ゆかりっていいます……」


みゆき「わたし達が来たからにはもう安心! しっかりなおちゃんちのお手伝いするよ!」

はる「ホントですか! ありがとうございます!」

なお「ゴメンね、ふたりとも。うちのことなのに手伝ってもらっちゃって」

みゆき「いいよいいよー! 言い出したの、わたしだもん、任せてよ! ねっ、ゆかりちゃん!」

ゆかり「あ、はい……」

なお「ありがとう! それじゃ、あたしはご飯の準備するから、よろしくね!」

みゆき「うんっ!」

~ 緑川家 居間 ~

ひな(なお妹・三女)「ひかりよ、かがやけーっ! マジカル・ムーン・ウェーイブっ!」

こうた(なお弟・三男)「えーい! すーぱーでぃのすらーっしゅ!」

みゆき「ぐ、ぐわぁぁぁ! やーらーれーたー!」

ひな「ちがうよ、みゆねーちゃん。『マジカル・ムーン』の敵は "ふわわわーん……" って言ってやられるんだよー」

こうた「『ディノレンジャー』の敵だからいいのー!」

ひな「『マジカル・ムーン』ごっこなんだから、そうしないとダメなの!」

こうた「『ディノレンジャー』ごっこだもん!」

みゆき「ああー、ふたりともケンカしないでー! いいじゃない、ヒーローが力を合わせるってことで! 仲良くやろうよー!」

ゆかり「お洗濯ものは……、これでいいのかな……」テキパキ

はる「あ、もうたたむの終わったんですか!? はやーい!」

ゆかり「あ、うん……。自分の家でもお洗濯はわたしの仕事だから……、たたんだりするのは慣れてるんだ」


ゆかり「ええと……、はるちゃん……だったっけ……。お洗濯もの、どこにしまったらいいのかな」

はる「あ、わたしといっしょにやってください! みんなの分、きちんと決まった場所にしまわないと後でタイヘンですから」

ゆかり「うん、わかった。よろしく……」

なお「みんなー! ごはんできたよー! 自分の分、持っていって!」


ひな「はーい! おなかすいたー!」

こうた「すいたー!」


トタタタタ…


みゆき「はぁー、ご、ごっこ遊びはいったん終わりかな? た、助かったぁ……! 前、なおちゃんの姿になっちゃった時も思ったけど、やっぱりみんなの相手するのはタイヘンだなぁ……!」

みゆき「……って、言ってる場合じゃない! わたしもごはん運ぶの手伝わないと!」

ゆかり「わたしも、お洗濯ものの取り込み、終わったんで手伝います」

みゆき「あ、ゆかりちゃん! よろしく!」

コトッ コトッ


ゆかり「……あれ……? なおセンパイ、お皿、少し多くないですか……?」

みゆき「あ、ホントだね」

なお「ふたりの分だよ。お手伝いしてくれたから、お礼にごはん、いっしょにどうかな、って思ってさ」

ゆかり「え……!? いいんですか……? わたし達まで……」

なお「もちろん!」

ゆうた「わーい! みゆねーちゃんとゆかりねーちゃんと、みんなでいっしょにごはんだー!」

なお「ほら、みんなもふたりがいっしょで喜んでくれてるし。遠慮しないで!」

ゆかり「は、はい。わかりました」


なお「さ、それじゃみんな。ちゃんと手を合わせて」


全員「いただきます!」

~ 夕食後 緑川家 玄関前 ~

ゆかり「なおセンパイ、夕ご飯ごちそうさまでした。おいしかったです」

なお「おそまつさまでした。こちらこそ、色々手伝ってくれて、すっごく助かったよ!」

みゆき「また何かあったら呼んでね! わたし達、いつでもお手伝いするから!」

なお「ありがとう!」


みゆき「じゃ、そろそろ行こうか、ゆかりちゃん」

ゆかり「はい。失礼します」

なお「うん! また明日!」

~ 七色ヶ丘市 道路 ~

スタスタスタ


ゆかり「……なおセンパイのおうち、とってもにぎやかでしたね」

みゆき「だねー! みんな元気いっぱいだから、行くたびにこっちまで元気になっちゃうよ!」

ゆかり「そうですね。なおセンパイがうらやましいです……」

みゆき「わたしも一人っ子だからわかるよー! 家族が多いっていいよね!」


ゆかり「……でも、なおセンパイ、タイヘンそうでしたね」

ゆかり「サッカー部の練習もあるのに、一人でごはん作って、家族みんなの面倒見て……」

ゆかり「すごいなぁ、って、思います……」

みゆき「うん、そうだね。きっと、なおちゃんが家族みんなのことを本当に大切に思ってるからできるんだと思うよ」


ヒョコッ


キャンディ「そうクル! なおが初めてプリキュアになった時も、家族みんなを守るためだったクル!」

みゆき「あ、そうだったね。……なんだか、懐かしいなぁ」

ゆかり「そうなんですか?」

みゆき「うん。前に悪さをしてた "バッドエンド王国" って人達に家族を危ない目にあわせられて……、みんなを守るために変身したんだよ」

みゆき「なおちゃんは家族のことが大好きだから」

みゆき「……そういえば、ゆかりちゃんがプリキュアになった時も、わたしとマティちゃんを助けるためだったよね」

みゆき「なんだか似てるかもしれないね、ゆかりちゃんとなおちゃん!」

ゆかり「え……? わたしと、なおセンパイが……?」

みゆき「うん!」


みゆき「だってふたりとも、"誰かを守りたい" って強い気持ちを持ってるから!」

ゆかり「……! わたしが……?」

みゆき「そうだよ! ゆかりちゃん、プリキュアになったら、葉っぱの盾でみんなを守ってくれたじゃない!」

みゆき「ゆかりちゃんの "守りたい" っていう気持ちがあるから、そういうことができるんだと思うよ」

ゆかり「…………」

みゆき「あ、それじゃあわたしこっちだから。また明日ね、ゆかりちゃん!」

ゆかり「はい……。おやすみなさい……」

みゆき「おやすみ!」


スタスタスタ…


ゆかり「…………」


ゆかり(わたしと、なおセンパイが……似てる……?)

ゆかり(わたしにも、"誰かを守りたい" っていう、強い気持ちがある……?)


ゆかり(……本当にそうなのかな……)

ゆかり(みゆきセンパイの言う通り、わたしがプリキュアになった時は、みゆきセンパイとマティちゃんを守りたいって思った)

ゆかり(ふたりとも、わたしのことをすごく気にしてくれてたから……)


ゆかり(……でも、あの時は夢中だった……。ただ、"ふたりにいなくなってほしくない" って思っただけ……)

ゆかり(その時の気持ちが、わたしにはよくわかってないから……、だから、ゴミ運びさせられてたマティちゃんを助けられなかったのかな……)

ゆかり(なおセンパイはわかってるんだろうな……。誰かを守るために必要な、その気持ち)


ゆかり(その気持ちって、なんなんだろう……)

~ デスペアランド 王宮 玉座の間 ~

デスペア国王「ウィスタリアよ。やはりお前は他の二人に比べ、心の絵の具の採取量が少ないようだな」

ウィスタリア「はい……」


ウィスタリア(あーあ、またお説教か……。あたしだって仕事してないわけじゃないんだけどな……)


デスペア国王「リアルランドの人間達の心を食らう怪物 "デスペア" の完成には、まだまだ多量の濁った心の絵の具が必要だ」

デスペア国王「多く量を取ることができないのならその分工夫をしろ。他二人に劣らぬようにな」

ウィスタリア「はい……」


ウィスタリア(いちいちあの二人と比べなくてもいいのに……! あたしの方が早く生まれた分センパイなのにさ……!)


デスペア国王「以上だ。今までよりもさらに励め。わかったな」

ウィスタリア「わかりました……。失礼します」


ギギギギギッ… バタンッ

~ デスペアランド 王宮 玉座の間 前 ~

ウィスタリア「……あーもうっ! なんであたしばっかり怒られなきゃなんないのよ! あいつらだってプリキュアには負けてるじゃん!」

イエロワ「まぁ、わしとオーレンはお主と違って、心の絵の具をたくさん集めておるからのう」

ウィスタリア「わっ!? ……いつからいたの、イエロワ」

イエロワ「お主が国王陛下のお叱りを受ける前からじゃ。話は全部聞いとったわい。災難じゃったのう、ふぇっふぇっふぇ……!」

ウィスタリア「……聞いてたんなら、ちょっとくらいフォローしてくれてもいいじゃん」

イエロワ「なぜワシが? 叱られたのはお主の責任じゃろう。そのくらい自分でどうにかせい」


イエロワ「それに、この間自分で言ったばかりではないか、"一人でやる" と、な」

ウィスタリア「……そうだけど、さ」

イエロワ「自分一人で結果を出せぬ者など必要ないわ。まぁ、ワシの仕事ぶりでも見て勉強するんじゃな。ふぇっふぇっふぇ……」シュバッ


ウィスタリア「ハっ、ハラ立つぅー……! 後から出てきてエラそうにぃ……! アンタなんて負けちゃえばいいんだ! ベーッだ!」

~ 翌日 七色ヶ丘中学校 1-3教室 ~

ガラッ


マティ「あ、ゆかり様! おはようございます!」

ゆかり「(ビクッ) あ、マ、マティちゃん、おはよう……」

マティ「? ゆかり様、どうかされましたか? 顔色が少し悪いみたいですが……」

ゆかり「そ、そうかな……。なんでもないよ……」


ゆかり「……ゴ、ゴメン、マティちゃん。わたし、授業の準備するからっ……!」タタタッ

マティ「ゆ、ゆかり様!?」


マティ「……ゆかり様、どうされたのでしょう……?」

ゆかり「…………」


ゆかり(……この間、マティちゃんを助けられなかった時から顔を合わせづらいよ……)

ゆかり(これじゃあ、マティちゃんともうまく付き合っていけない……。……プリキュアだって……)


ゆかり(わたし、どうしたらいいんだろう……)

~ 放課後 七色ヶ丘中学校 校門 ~

ゆかり「…………」トボトボ…


タタタタタッ


なお「ゆかりちゃーんっ!」

ゆかり「なおセンパイ……!? それに、れいかセンパイも……」

なお「後姿が見えたから走って追ってきたんだ」

れいか「やっぱりゆかりさんだったわね、なお」

なお「うん」

れいか「それより、どうかしましたか、ゆかりさん。なんだか元気がないようですが……」

ゆかり「……そう、ですか……?」

れいか「ええ。表情がくもって見えます。何かあったのですか?」

なお「ゆかりちゃん、まだあのこと、気にしてるの?」

ゆかり「…………」コクン

なお「そっか……」


れいか「あのこと? なお、あなたは何か知っているの?」

なお「うん。この間、ゆかりちゃんから相談されてね。……ゆかりちゃん、話してもいいかな?」

ゆかり「……はい、だいじょうぶです……」

なお「じゃあ、立ち話もなんだし、場所移そうか。れいかには歩きながら話すよ」

れいか「わかったわ」

~ 七色ヶ丘市 公園 ベンチ ~

れいか「――そうですか。ゆかりさんにそんなことが……。それで、どうしたらマティさんを助けられるか、なおに相談していたんですね」

ゆかり「はい……」

なお「今、元気がない、ってことは、やっぱりまだどうしたらいいかはわからないんだ……」

ゆかり「…………」コクン


ゆかり「わたし、なおセンパイを見て考えてました……。誰かを守るために必要な気持ちってなんだろう、って……」


ゆかり「なおセンパイは、目上の人にも自分の意見を堂々と言えたり、大切な人のためにガンバれたりできる人だ、ってわかりました」

ゆかり「みゆきセンパイにも聞きました。プリキュアになったきっかけは、大切な家族を守るためだった、って」

ゆかり「わたし、そんななおセンパイを見ていて、すごいな、って思いました……」

ゆかり「でもそれは、やっぱりなおセンパイに勇気があるからだと思うんです……。勇気があるから、いろんなことに立ち向かっていけるんだと思うんです……」

ゆかり「……わたしには、最初からその勇気がないんです……。だから、マティちゃんが困ってるのに助けられなかった……」

ポップ「そうでござるか? ゆかり殿はもう 2度もプリキュアとして勇敢に戦っているではござらんか」

ゆかり「そんなことないです……。だって、わたしがプリキュアになった時は、周りにみなさんがいてくれましたから……。わたし一人じゃ何もできなかったと思います……」


ゆかり「やっぱりわたしは……、なおセンパイや、わたしを助けてくれたみゆきセンパイみたいには、なれないのかもしれません……」

ゆかり「こんな、臆病なわたしには……」


なお・れいか「…………」

れいか「……ねえ、なお。ゆかりさんにあの話、してもいい?」

なお「あの話? …………あ! もしかして、あの話……?」

れいか「そう、あの話」

なお「うーん……、ちょっと恥ずかしいけど……、まあいっか、ゆかりちゃんなら」

れいか「ありがとう、なお」


ゆかり「……? あの話、って……なんですか……?」

れいか「ゆかりさん。さっき、"なおには勇気があるからいろんなことに立ち向かえる"、そう言っていましたね」

ゆかり「はい……」

れいか「ゆかりさんから見たらそう見えるかもしれませんが、実はなおも最初から勇気があったわけではないんですよ」

ゆかり「え……、そう、なんですか……?」

なお「うん……、まぁね」


れいか「私となおは幼なじみで、小さい頃から今までずっと一緒にいました。だから、昔からよくふたりで遊んだりしていたんです」


れいか「私達がまだ小さかったある日、肝試しにこの町の廃墟に行ったことがありました」

れいか「私達はそこでお互いにはぐれてしまい、ひとりになった私はとても怖い想いをしました」

れいか「なおもそうだったみたいですよ。その時の経験が原因で、虫やオバケを怖がるようになってしまったということです」

ゆかり「え……!? なおセンパイ、虫やオバケがニガテ、なんですか……? 遊園地の時に聞いた、高いところだけじゃなかったんだ……」

れいか「ふふ。こう見えて、なおは結構怖がりなんですよ」

なお「お恥ずかしい……」


れいか「そんななおの小さい時ですから、廃墟でひとりぼっちになった時は、とても怖くて、泣いていることしかできなかったそうです」

ゆかり「……今のなおセンパイからは、信じられないです……」


ゆかり「でも、それならどうして、今はこんなに勇気が出せるようになったんですか……?」

れいか「なおが言うには、その後の体験のおかげのようです」

れいか「私はその時の事がとても怖くて、何があったのかは忘れてしまっていたのですが、この前、なおがその話を私にしてくれました」

れいか「なおがひとりで怖くて泣いている時、幼い私はなおの手を握って、こう言ったんだそうです」


れいか「"だいじょうぶだよ。おててあったかいからひとりぼっちじゃないよ。こわくないよ" って」

れいか「幼いながらに、怖がりながらもなおを元気づけようとしたみたいです」


なお「……そう。その時、あたしはそのれいかを見て、"勇気" ってなんなのかを知ったんだ」

なお「その時のれいかは、自分だってコワいはずなのに、あたしのためにコワさをこらえてはげまそうとしてくれた。泣くのもこらえて、一生懸命に」

なお「だからあたしは、その時思ったんだ。もし誰かが困ってたら、その時のれいかみたいにガンバって助けてあげよう、って」

なお「ゆかりちゃんはあたしのこと、"勇気がある" って言ってくれたけど、全然コワくないわけじゃないんだよ」

なお「目上の人に何か言う時だって、"怒られたりしたらどうしよう" とか思うこともあるよ」

なお「プリキュアになって誰かを守る時だって、痛かったり、ツラかったりするのがコワい時もあるよ」


なお「でも、だからって何もしないで、あたしの周りの誰かが悲しんだり、ツラい思いをするのはイヤなんだ」

なお「あたしの家族、プリキュアのみんなや、妖精のみんな、この町の人達……。あたしの大好きな人達には、いつだって笑顔でいてほしい」

なお「だからあたしはガンバれる。いろんなことに立ち向かっていけるんだ」


ゆかり「……なおセンパイ……」

なお「……結局、あたしが思ってること、全部話しちゃったね」

なお「ホントはゆかりちゃんがガンバって自分の気持ち、見つけられればと思ったんだけど……、ゆかりちゃん、ツラそうだったからさ。参考になれば、と思ったんだ」

なお「でも、あたし達が伝えられるのはここまでだよ。ここから先は、ゆかりちゃんが一人で考えなきゃ」


なお「ゆかりちゃんは、誰のために勇気を出したいのか」

なお「それがマティちゃんなら、どうしてゆかりちゃんはマティちゃんのために勇気を出さなきゃいけないのか」

なお「ゆかりちゃんは、マティちゃんのことをどう思ってるのか」

なお「それは、あたし達から教えることはできないよ。自分で考えて、自分の気持ちをわからないといけないんだ」


なお「でも、その答えが見つかった時、それはきっと、ゆかりちゃんだけの "勇気" になると思うよ!」

ゆかり「わたしだけの……勇気……」

タタタタタッ


マティ「はぁっ、はぁっ。見つけましたわ、ゆかり様!」

ゆかり「マ、マティちゃん! ど、どうしてここに……」

マティ「ここのところ、ゆかり様の様子がおかしかったので探していたのですわ!」


マティ「だいじょうぶですか、ゆかり様!? 顔色が優れないようですが、どこかお体が悪いところはありませんか!?」

ゆかり「だ、だいじょうぶだよ、マティちゃん……。どこも悪くないよ……」

マティ「……え? そうなのですか……? それなら良かったですわ……」ホッ


マティ「……あ! でもそうしましたら、元気がないのはなぜでしょう!? もしや、何かお悩みでもあるのでしょうか!?」

マティ「もし何かあるのでしたら、わたくしに言ってくださいませ! わたくしにできることならなんでもいたしますわ!」


ゆかり・なお・れいか「…………」キョトン

なお「……ぷっ」

なお「あはははははっ!」


マティ「な、なお様? 突然お笑いになられて、どうかされましたか?」

なお「ゴメンゴメン! マティちゃん、急に来てすぐ大慌てするから、なんだかおかしくって……!」

マティ「あ……、わたくしとしたことが取り乱してしまって……。このようなことでは王女失格ですわね……。お恥ずかしい限りです……」

れいか「でも、それはゆかりさんを思ってのことなんですよね」

マティ「はい……。わたくし、ゆかり様のことが心配で、つい……」

ゆかり「マティちゃん……」


ゆかり「…………」


ゆかり「……マティちゃん。わたし、マティちゃんに言わなきゃいけないことがあるんだ……」

マティ「え……? なんでございましょう?」

ゆかり「うん……、あのね――」

ポップ「むっ……!? この感じは……!?」


ポップ「皆の衆! デスペアランドの者が現れたようでござる!」

れいか「本当ですか、ポップさん!?」

ポップ「うむ! 確かにイヤな気配を感じたでござる!」

なお「じゃあ、すぐ行って止めなきゃ! ポップ、どっちにいるかわかる!?」

ポップ「あっちでござる! そう遠くはないでござるよ!」

マティ「わかりましたわ! すぐに参りましょう! わたくしは "手紙のキャンバス" で他のみなさまにもご連絡しておきます!」

なお「お願い、マティちゃん!」


なお「……ところで、ゆかりちゃん、大丈夫? プリキュアになれそう?」

ゆかり「……本当はまだ、ちゃんとプリキュアをやれるか不安ですけど……、やってみます……!」

ゆかり「プリキュアとしてガンバってみれば、わたしの気持ちを見つけるヒントがわかるかもしれないから……!」

なお「わかった! それじゃあ行こう!」

ゆかり「はい……!」

~ 七色ヶ丘市 公園 広場 ~

アキラメーナ(自転車型)「アキラメーナァ……!」


ドワァァァッ!


学生達「――――」

主婦「――――」


ドボッ ドボッ


イエロワ「ふむふむ、これだけ心の絵の具が取れれば上々じゃのう。さて、あとは――」


ザッ


なお「そこまでだよ!」

れいか「もうこれ以上、あなたの好きにはさせませんっ!」

イエロワ「来よったな、プリキュアのお嬢さん方。待っておったぞ」


イエロワ「では、お主たちの持つ "夢の絵の具"、もらうとしようかのう!」

アキラメーナ(自転車型)「アキラメーナァッ!」


なお「そんなこと、させるもんか! 行くよ、れいか、ゆかりちゃん!」

れいか「ええ!」

ゆかり「はいっ……!」

妖精達「デコル・チェーンジ!」

パチンッ!

レディ!

3人「プリキュア! スマイルチャージ!!」

ゴー! ゴーゴー! レッツゴー!!


マーチ「勇気リンリン、直球勝負! キュアマーチ!!」

ビューティ「しんしんと降り積もる、清き心。キュアビューティ!!」

ヴェール「そよそよさざめく、優しい木陰。キュアヴェール!!」

イエロワ「んむ? 3人しかおらんのか? それだけでどうにかなるかのう? ふぇっふぇっふぇ……!」

マーチ「やってみなきゃわからないよ! 来いっ!」

イエロワ「それでは遠慮なく。アキラメーナ、行くがよい」

アキラメーナ(自転車型)「アキラメーナァッ!」ギャルギャルギャルッ

ビューティ「あれは……! 自転車のペダルがもの凄い勢いで回転しています……!」

アキラメーナ(自転車型)「アキラメーナァッ!」


ギュンッ!


ヴェール「えっ……、自転車がこっちに向かって――」

マーチ「ヴェール、危ないっ!」バッ


イエロワ「ほう、キュアマーチ、キュアヴェールを抱えて突進をよけたか。よく間に合ったのう、ふぇっふぇっふぇ……」

マーチ「確かにあいつの言う通りだよ……。あのアキラメーナ、速い……! 結構ギリギリだった……!」

ヴェール「あ、ありがとうございます、マーチセンパイ……。全然動けませんでした……」

マティ(デコル)「ですが、チャンスですわ、ヴェール様! ヴェール様の葉っぱの盾 "ヴェール・カーテン" でしたら、あのアキラメーナの攻撃も受け止められるはずです!」

マティ(デコル)「うまく防げれば、動きが速い分、きっとゴッツンして相当痛いに違いありませんわ!」

ヴェール「あ、そ、そうだね……! やってみる……!」


イエロワ「そううまくいくかのう? まぁ、試してみればわかることじゃて。アキラメーナ」

アキラメーナ(自転車型)「アキラメーナァッ!」ギャルギャルギャルッ


マティ(デコル)「来ますわ、ヴェール様! 集中してくださいませ!」

ヴェール「う、うん……!」

アキラメーナ(自転車型)「アキラメーナァッ!」ギュンッ!


マティ(デコル)「今ですっ!」

ヴェール「うんっ! "ヴェール・カーテン" っ!」


パキィィィィンッ!


マーチ「うまく目の前に出たね!」

ビューティ「ええ! いいタイミングです! これなら――」


イエロワ「ところが、そううまくはいかんのじゃなぁ」ニヤリ

アキラメーナ(自転車型)「アキラメーナァッ!」


ギギギギギッ!


ヴェール「……! ブレーキをかけてる……!?」

マティ(デコル)「これでは盾にぶつかってくれませんっ!」


アキラメーナ(自転車型)「アキラメーナァッ!」ギャルルッ!


マーチ「そのままの勢いで方向転換して、回り込んだ!?」


イエロワ「その盾、決めた場所に 1つしか出せないのじゃろう? この間見せてもらったからわかっておったわ。つまり――」

イエロワ「その盾がいくら硬くても、そこ以外はガラ空きということじゃ」


アキラメーナ(自転車型)「アキラメーナァッ!」ギャァァァァァッ!


ヴェール「……! う、後ろから来る……!?」

マティ(デコル)「危ないっ、ヴェール様!」

ビューティ「させませんっ!」バッ

ヴェール「えっ……!?」


ドカァァッ!


ビューティ「きゃぁぁぁぁっ!」ドサァッ

マーチ「ビューティっ!」

マジョリン(デコル)「ビューティが吹き飛ばされちゃったマジョ!」

ヴェール「ビューティセンパイ……、わたしを、かばってくれた……?」


ポップ(デコル)「ビューティ殿、だいじょうぶでござるか!? しっかりするでござる、ビューティ殿っ!」

ビューティ「……うぅっ……」

イエロワ「さすがにあの速さでぶつかれればタダでは済むまいて。これは思わぬ収穫じゃわい」

イエロワ「さて、せっかくのチャンスじゃ。たたみかけさせてもらおうかのう」

アキラメーナ(自転車型)「アキラメーナァッ!」ギャァァァァァッ!

マーチ「あのアキラメーナ、倒れたビューティに向かっていく!」

マティ(デコル)「ヴェール様っ!」

ヴェール「う、うん、わかってる……! "ヴェール・カーテン" !」


パキィィィィンッ!


ポップ(デコル)「おおっ、盾でビューティ殿を守ってくれたでござるか! かたじけない、ヴェール殿!」

イエロワ「ふぇっふぇっふぇ! こうも見事に引っかかってくれると楽しいのう!」

ヴェール「えっ……!?」


アキラメーナ(自転車型)「アキラメーナァッ!」


ギギギギギッ!


マーチ「……! またブレーキをかけて――」


ギャァァァァァッ!


マティ(デコル)「向きを変えてこちらに向かってきますわ!」


イエロワ「言ったじゃろう。盾のあるところ以外はガラ空きじゃ、と。盾を別のところに出してしまったら、どうやってお主自身を守るんじゃ?」

ヴェール「……!」

イエロワ「そう、キュアビューティを狙ったのは引っ掛けじゃ。本当の狙いはお主じゃよ、キュアヴェール! さぁ、やってしまえ、アキラメーナ!」

アキラメーナ(自転車型)「アキラメーナァッ!」ギャァァァァァッ!


マーチ「くっ……、ヴェール!」ダッ

マジョリン(デコル)「ビューティを守りに行ってたせいでヴェールまで距離があるマジョ! 間に合うマジョ!?」

マーチ「……しょうがない……っ!」

マーチ「だぁぁぁぁぁっ!」バッ


ドンッ


ヴェール「え……、マーチセンパイ……? わたしを、突き飛ばした……?」


ドカァァァァッ!


マーチ「うあぁぁぁぁぁぁっ!」ドサァッ

ヴェール「マーチセンパイっ!」

マティ(デコル)「マーチ様も、ヴェール様をかばってダメージを……!」


マーチ「くぅ……!」

ビューティ「うっ、ぅぅ……」


ヴェール「マーチセンパイ……、ビューティセンパイ……」


ヴェール(ど、どうしよう……。二人とも、ボロボロになっちゃった……!)

ヴェール(わたしの……、わたしのせいで……!)

イエロワ「それにしても、二人ともようやるわい」

イエロワ「キュアヴェールのように守る方法があるのならわかるがのう、そうでもないのに、わざわざ痛い思いをしてまで守ろうとするとは。理解に苦しむわ」

イエロワ「それも、キュアヴェールのような足手まといのためにのう!」


ヴェール「……!」

マティ(デコル)「そんなことありませんわ! ヴェール様には守りの力があります! その力は、みなさまのお役に――」

イエロワ「――立っておらんではないか。守るための力を持つ者が、守る力の無い者に守られ、それで役に立っていると言えるのかのう?」

イエロワ「これが足手まといでなければなんだと言うのか、教えてほしいわい! ふぇっふぇっふぇ!」


ヴェール「…………」

ヴェール(……やっぱり、わたしにはムリだったんだ……。誰かを守るなんて……)

ヴェール(勇気もなければ、力もない、わたしなんかには……)

ヴェール(今まで、うまくいってたのも、全部たまたまだったんだ……)


ヴェール(本当は、わたしがみなさんを守らないといけないのに、逆に守られて……)

ヴェール(これじゃあ、仲間だなんて言えないよ……!)

マーチ「……関係……ないよ……っ!」グググッ

イエロワ「ほほ、キュアマーチ、まだ立てるのか」

マーチ「立つよ……、何回だって……! ヴェールを……、みんなを守るためなら……!」


マーチ「そうだ……、関係ないんだ……」

マーチ「あたしに守る力がなくったって……、ヴェールがうまくいかなくたって……、そんなこと……、あたしがヴェールを守ることには何の関係もない……!」

マーチ「だってあたしはヴェールに……! 仲間に……!」


マーチ「大切な友達に! ツラい思いをさせたくないだけなんだから!!」

ヴェール「!」

マーチ「だから、あたしに守る力がなくても関係ない! 傷つくのも関係ない!」

マーチ「この気持ちがあれば、あたしは何度だって立ち上がる! 守る力がないなら、自分の体を盾にだってしてみせる!」


マーチ「それがあたしの "勇気" なんだ!!」


ヴェール「……マーチセンパイ……」

ヴェール(……そうだった。マーチセンパイは……、なおセンパイは、そうだったんだ)


ヴェール(さっき、なおセンパイは "コワいことがあっても、誰かのために立ち向かっていきたい" って言ってた)

ヴェール(コワい高校生の人や、サッカー部の監督に意見を言った時も……)

ヴェール(みゆきセンパイから聞いた、プリキュアになった時に家族を守ったってことも……)

ヴェール(全部、なおセンパイに誰かを想う強い気持ちがあったからなんだ……)


ヴェール(わたし、カン違いしてた……。なおセンパイがいろんなことに立ち向かえるのは、勇気があるからだ、って)

ヴェール(でも、違うんだ……)

ヴェール(勇気があるから、誰かを守れるんじゃない……! 誰かを守りたいから、勇気を出すんだ……!)

ヴェール(勇気って、そういうものなんだ……!)


ヴェール(…………)


ヴェール(……それなら……、それなら……わたしだって……!)

イエロワ「……まぁ、なんでもええわい。こちらとしては、何度立ち上がろうが、何度でも叩きのめすだけじゃ」

アキラメーナ(自転車型)「アキラメーナァ……!」ギャルギャルギャルッ

マジョリン(デコル)「ま、またペダルが回り始めたマジョ……!」


イエロワ「キュアマーチはもうロクに動けんじゃろう。このまま一気に決めさせてもらうとしようかのう」

イエロワ「……おっと! と、見せかけて、またキュアヴェールに行くかも知れんなぁ?」

イエロワ「さぁ、ワシの狙いはどっちじゃろうのう!? ふぇっふぇっふぇ!」


マティ(デコル)「イヤな人ですわ……! わたくし達を困らせて、楽しんでいるようです……! どうしましょう、ヴェール様……!」

ヴェール「…………」

ヴェール「…… "ヴェール・カーテン" !」


パキィィィィンッ!


マジョリン(デコル)「ヴェール……、自分の目の前に葉っぱの盾を出したマジョ……!」

イエロワ「ほう。と、いうことは、キュアヴェールは自分を守ることを選んだわけか。当然じゃな。他の者のために自分が傷つくなど、バカげてるからのう」

マーチ「……うん、それでいいよ、ヴェール。大丈夫、あたしのことは……あたしが自分で何とかするから……! ヴェールは自分を守って……!」

ヴェール「…………」


マティ(デコル)「……確かに、今はどうするのが一番いいか、わたくしにもわかりません……」

マティ(デコル)「ですが、本当にそれでいいのですか、ヴェール様!? あなたを守ってくださるマーチ様をお守りしなくて、本当にいいのですか!?」

ヴェール「…………」

マティ(デコル)「ヴェール様っ!」

イエロワ「さて、それではそろそろやるとしようかのう。アキラメーナ、行けぃっ!」

アキラメーナ(自転車型)「アキラメーナァッ!」ギャァァァァァッ!


マジョリン(デコル)「アキラメーナが動いたマジョ! 狙いは……」

マティ(デコル)「マーチ様ですっ! マーチ様の方に真っ直ぐ向かっていきますわ!」

マーチ「……!」

イエロワ「ふぇっふぇっふぇ! 足が速いのが自慢のお主でも、今のそのボロボロの体でよけきれるかのう!?」

マーチ「くっ……!」

ヴェール「……今だっ!」


ガシッ


イエロワ「んむ? キュアヴェールが盾を掴んだ?」


ダダダダダッ


マジョリン(デコル)「そのまま走って……!」


バッ


マーチ「……! ヴェール、あたしの前に飛び出した……!?」


ヴェール「わぁぁぁぁぁっ!」


ガシィィィィィィッ!


アキラメーナ(自転車型)「アガッ!?」

イエロワ「盾でアキラメーナを受け止めよった……!?」

ギャルギャルギャルギャルッ!


アキラメーナ(自転車型)「アガガガガガッ……!」

ヴェール「くぅぅぅぅっ!」

イエロワ「なんと……! アキラメーナの車輪が回転するばかりで、一向に進まん……! 押し切れんのか……!?」


ヴェール「たぁぁぁぁっ!」


バァァァァァァンッ!


アキラメーナ(自転車型)「アッ、アガァァァッ!?」ガシャァァァンッ


マジョリン(デコル)「やったマジョ! アキラメーナを逆に弾き飛ばしたマジョ!」

ポップ(デコル)「考えたでござるな、ヴェール殿! ああやって盾を自分で持てば、決めた場所にしか出せずとも、盾を移動させることができるでござる!」

マティ(デコル)「ヴェール様……、自分の目の前に盾を出したのは、このためだったのですね……!」

マーチ「……でも……、もし盾で防げてなかったら自分も危なかったよ……! どうしてそんなムチャを……!」


ヴェール「……マーチセンパイと、同じです……」

マーチ「えっ?」

ヴェール「マーチセンパイが、わたしのことを友達だと思って守ってくれたように、わたしも、マーチセンパイのことを守りたかったんです」

ヴェール「そう思ったら、あんまりコワくなくなりました。ただ、やらなきゃ、って、それしか思わないようになりました」


ヴェール「だってマーチセンパイは、わたしに大事なことを教えてくれた……、大切なセンパイだから……!」

マーチ「ヴェール……!」

イエロワ「まだ終わってもいないのに喜んでもらっても困るのう……! アキラメーナ、立ち上がるのじゃ!」

アキラメーナ(自転車型)「ア、アガガガ……!」グググ…

マーチ「まだ立てるの……!?」

イエロワ「ふぇっふぇっふぇ、勝負はまだまだこれからじゃて」


バッ


ノーブル「ううん、もう終わってるよ! ヴェールが頑張ってアキラメーナを転ばせた時点でね!」スタッ

マーチ「ノーブルっ!」

ノーブル「お待たせ、みんな! あとは私達に任せて!」


ノーブル「はぁぁぁぁっ! "ノーブル・ボール" っ!」


ブワァァァァッ ポンッ


アキラメーナ(自転車型)「アガッ!?」

イエロワ「な、なんじゃと? アキラメーナが水の球の中に閉じ込められた……!」

アキラメーナ(自転車型)「アガッ、アガガガッ!?」ギャルギャルギャルッ!

ノーブル「水の中じゃ、どんなに車輪を回しても前には進めないね!」

イエロワ「な、なんと……!」

ノーブル「ピース! 後はよろしく!」


バッ


ピース「はいっ!」スタッ

ヴェール「ピースセンパイ……!」


ピース「プリキュア! (ピシャァン!) ひゃぁっ! ピース・サンダーァァッ!!」


バリバリバリバリッ!


アキラメーナ(自転車型)「アガガガガッ!?」


ピース「バッチリ効いてるね! やっぱり水の中だと電気も伝わりやすいんだ!」

マーチ「ピース、ノーブル! ナイスコンビプレー!」

ハッピー「じゃあ後は、いつもみたいに決めるだけだね!」

マティ(デコル)「ハッピー様!」


サニー「ビューティ、ずいぶんボロボロになってもーたなぁ……。だいじょぶか?」

ビューティ「はい、ありがとうございます、サニー……。休んでいたおかげで、大分元気になれました」

サニー「レインボー・アーチ、いけそうか?」

ビューティ「はい! もう、肩を貸していただかなくても大丈夫です!」

サニー「……そか、わかった! ハッピー! こっちは準備オーケーや! 決めるで!」

ハッピー「うんっ! キャンディ、行くよ!」


ポンッ


キャンディ「わかったクル!」

パカッ

キラキラキラキラ


キャンディ「"夢の絵の具" よ……、プリキュアのみんなに、未来に進む力を!!」


ブワァァッ!


6人「6つの夢を、今こそ一つに!!」


6人「未来へ届け! 希望の架け橋!!」


6人「プリキュア!! レインボー・アーチっ!!!」


ブワァァァァァァァァッ!!


アキラメーナ(自転車型)「アガァァァァッ!?」


6人「ハッピー……エンド!!」


ドガァァァァァァァァァン!!


アキラメーナ(自転車型)「アガァァァァァ……」シュワァァァァ…


イエロワ「……またやられてしもうたか……!」


イエロワ「……じゃが、まあよいわ。濁った心の絵の具は十分集められたわ」

イエロワ「今度は "夢の絵の具" もいただくぞ。覚悟しておくんじゃな、プリキュア。ふぇっふぇっふぇ!」シュバッ

マティ「――ふう……。心を吸われた方々を元に戻しておきましたわ」

はるか「ありがとう、マティちゃん」


あかね「いやー、それにしても間にあってよかったわ! 3人やったらキツかったんとちゃうか?」

れいか「ええ……。確かに、手ごわい相手でした」

なお「でも、何とかなったよ! だってヴェールがいたからね!」

ゆかり「えっ……? わ、わたし、ですか……?」

れいか「もちろんです。今回、とても活躍されていたではないですか」

なお「みんなにも見せたかったよ、ヴェールの勇姿!」

やよい「へぇぇー、そうなんだ! ねぇ、どんな風に活躍したの? 聞かせてよ!」

ゆかり「あ、あの、えっと……、なんだか、少し恥ずかしいので……、また今度ということで……」

マティ「……あ、そういえば、ゆかり様。デスペアランドの方が現れる前、わたくしに何か言おうとしていませんでしたか?」

ゆかり「あ……、あのね、それは……」


ゆかり「……ゴメン、なんでもないんだ」

マティ「ええ? そうなのですか? 何か思いつめたような感じでしたが……。本当に何もないのですか?」

ゆかり「ホントになにもないの。ゴメンね、マティちゃん」

マティ「いえ、それならいいのですが……」

ゆかり(……ホントは、"助けてあげられなくてゴメンね" って、言おうとしたんだ……)


ゆかり(けど……、もう言わなくてもよくなったかもしれないから……)


ゆかり(だって、今のわたしなら……、きっと……)

~ 後日 放課後 七色ヶ丘中学校 教室棟前 ~

みゆき「ねぇねぇ、今日はみんなでふしぎ図書館に行こうよ!」

れいか「いいですね。そういえば、はるかお姉さんがおいしいお菓子をもらった、と言っていました。持ってきてもらって、みんなで食べましょうか」

やよい「あ、さんせーい! じゃあわたしもママにお願いして何か持ってこようっと!」

ゆかり「あ……、それなら、少し待ってもらえますか? マティちゃんが今日そうじ当番だから、それが終わってからにしたいです……」

あかね「おお、せやな。やっぱ、みんな集まっとらんとな!」


なお「……あれ? あそこにいるの、ひょっとして、マティちゃんじゃない?」

やよい「あ、ホントだ。ゴミ箱運んでる。おそうじの途中なのかな」


1-3 女子生徒・後藤 りか「絵原さん、今日もゴミ箱持ってくれてありがとー! 助かるよー!」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「ホントホント! 楽ちん楽ちん!」

マティ「いえ……! なんのこれしき、ですわ……!」ヨロヨロ

あかね「……ん? なんか様子おかしない? マティ、ゴミ箱重そうやのに、他の子はなんで手伝ったらんの?」

みゆき「……あっ! 確かあの子達、ゆかりちゃんにもゴミ箱を運ばせてた子達だよ! 重いゴミ箱をゆかりちゃんに持たせて、自分達だけラクしようとしてたんだ!」

やよい「あ、みゆきちゃんから前に聞いたことあるかも……!」

れいか「ゆかりさんの気の弱さや、マティさんの人の良さにつけこんでいる、ということですか……。あまりほめられたことではありませんね……!」


ゆかり「…………」

ゆかり「(スタスタスタ)」


みゆき「え? ゆかりちゃん? どこ行くの?」

れいか「マティさん達のところに行かれるようですね……。もしかして、マティさんを助ける気なのではないでしょうか……!」

あかね「そうなん? ……せやけど、ゆかりだけやと不安やなぁ……! うちも助っ人に行くで!」ダッ

なお「……待って、あかね!」ガシッ

あかね「な、何、なお? 急に肩掴んで」

なお「ここはゆかりちゃんに任せよう」

やよい「えっ? で、でも、あの子達、前にゆかりちゃんもおどかしてムリさせてたんだよね? 大丈夫なのかな……」

なお「多分大丈夫だよ。今のゆかりちゃんなら」

1-3 女子生徒・後藤 りか「ねぇ、絵原さん。ちょっとペース落ちてない?」

マティ「すみません……。ちょっと、疲れてしまって……」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「ええー、そうなの? もう少しガンバってほしいなー。あたし達、これから用事があるからさ」


ザッ


ゆかり「……じゃあ、手伝ってあげてよ……!」


マティ「ゆかり様……?」

1-3 女子生徒・後藤 りか「木下さん? 何でこんなとこにいんの? ってゆーか、今何か言った?」

ゆかり「マティちゃん――絵原さんばっかりに……重いもの――」ボソボソ

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「何!? 聞こえないんだけど!? 言いたいことがあるならハッキリ言ったらぁ!?」

ゆかり「(ビクッ)」


ゆかり(やっぱりコワい……! 大きな声出されると、何も言えなくなっちゃう……)


ゆかり(……でも、ガンバらなきゃ……! ちゃんと、言いたいこと、ハッキリ言わなきゃ……!)


ゆかり(だって、マティちゃんは……、わたしの、大切な……!)

ゆかり「……ズルいよ……」

1-3 女子生徒・後藤 りか「だから何!? あたし達急いで――」


ゆかり「マティちゃんばっかりに重いもの持たせてズルいよ! 自分達ばっかりラクして!」

後藤・宮田「!?」ビクッ


ゆかり「マティちゃん見てよ! フラフラだよ! 重いのに、二人のためにガンバってくれてるんだよ!」

ゆかり「そんなマティちゃんの優しさをいいようにして……! ズルいよ!」

ゆかり「マティちゃんだけにツラい思いさせるなんて、そんなの……、そんなの……!」


ゆかり「そんなの、絶対許さないんだからっ!!」


マティ・後藤・宮田「…………」ポカーン


マティ「……ゆかり様……」


1-3 女子生徒・後藤 りか「な、なに、急に怒り出してさ……。意味わかんない……」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「ホ、ホントだよ……。なんなの、もう……」

ゆかり「手伝ってあげてよ、マティちゃんのこと。そうじ当番なんだから、みんなでやろうよ」


後藤・宮田「…………」

1-3 女子生徒・後藤 りか「……貸してよ、絵原さん」

マティ「……え?」

1-3 女子生徒・後藤 りか「ゴミ箱貸して、って言ってるの」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「しょうがないからあたし達が持ってってあげるよ。なんか木下さんがうるさいしさ……」

マティ「あ……、それでは、よろしくお願いしますわ……」


1-3 女子生徒・後藤 りか「あー、重い……。何であたし達がこんなことしなきゃなんないの……」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「やってらんない……。ったくもう……」


スタスタスタ…


マティ「……行ってしまいましたわ」

ゆかり「……あ……」フラッ


ヘタッ


マティ「ゆ、ゆかり様!? だ、大丈夫ですか? 急に座り込んでしまって」

ゆかり「あ、う、うん……。大きな声出すの、慣れてないから……、疲れちゃったみたい……」

マティ「本当に驚きましたわ……。ゆかり様があのような声を出されて、しかも、他の方に注意をするなんて……」


マティ「……もしかして、わたくしのために……?」

ゆかり「……うん……。マティちゃんにツラい思いは、してほしくなかったから……」


ゆかり「だって、だってマティちゃんは……」

ゆかり「マティちゃんは、わたしの大切な友達だから」


マティ「……!! ゆかり様……っ!」


ギュッ


ゆかり「マ、マティちゃん……!? どうしたの、だ、抱きついたりして……」

マティ「よかった……」

ゆかり「え……?」

マティ「わたくしのパートナーがあなたでよかった……」

マティ「こちらの世界で、あなたとお友達になれて……よかった……!」


マティ「わたくしの方こそ、ゆかり様は……一番のお友達ですわ!」ニコッ

ゆかり「マティちゃん……」

ゆかり「……それなら、"ゆかり様" って呼び方、……やめない?」

マティ「呼び方、ですか?」

ゆかり「あんまり、"様" ってつけたり……しないと思うんだ。その……、……友達、なら」

マティ「……!」


マティ「……わかりましたわ、ゆかりさ――、……ゆかりちゃん! これからも、よろしくお願いいたしますわ!」

ゆかり「……うん! よろしくね、マティちゃん……!」

タタタタタッ


みゆき「ゆかりちゃーんっ!」

ゆかり「あ……、みゆきセンパイ……、みなさん……」


あかね「ビックリしたで! ゆかり、あんな大きな声出せるんやな! あの二人、完全にビックリしとったで!」

やよい「カッコよかったよ! イケないことをちゃんと注意できて……、スゴいよ!」

れいか「……見事、マティさんを助けることができましたね、ゆかりさん」


ゆかり「……なおセンパイのおかげです。なおセンパイが教えてくれたから、できたんです。誰かを守るために大切なものが、なんなのか」


ゆかり「それは、誰かを大切に思う気持ちだったんですね……」

ゆかり「なおセンパイが、勇気は大切な人のために出すものだって教えてくれたから、ガンバれました……」

ゆかり「そのために、マティちゃんがわたしにとって、大切な人――友達だって気付かせてもらえたから、ガンバれました……」


ゆかり「なおセンパイ……、本当に、ありがとうございます!」


なお「ゆかりちゃん……」

なお「……うんっ! ゆかりちゃんが自分で見つけた大切な気持ち、大切な友達。これからも、しっかり守っていってね!」


ゆかり「はいっ!」





つづく

次回予告

みゆき「タイヘン! 生徒会の副会長さんがとってもキビしくて、色んなことを禁止し始めたの! みんなが困ってるみたい……」

みゆき「ゆかりちゃんやマティちゃん達 1年生は特にツラそう……。学校のこと、キライにならないといいんだけど……」

みゆき「れいかちゃん! ここは生徒会長として、みんなのためにガンバって!」


みゆき「次回、『スマイルプリキュア レインボー!』 "導け、れいか! それぞれの想い、それぞれの道!"」


みゆき「みんな笑顔でウルトラハッピー!」

今回はここまでです!
お読みいただいた方、ありがとうございました。


ここのところ更新が不安定になってしまってスミマセン。。
若干仕事がコゲ臭くなってきたので、そのせいかもしれませんです。

ですが、できる限り週一ペースは守っていきたいと思いますので、
よかったら次回もまたよろしくお願いします!


第1話 ~ 第11話 『スマイルプリキュア!』第2期を SS で作るスレ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360385907/)
第12話 ~ 第20話 『スマイルプリキュア レインボー!』 Part 2 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366529393/)
第21話 ~ 第29話 『スマイルプリキュア レインボー!』 Part 3 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1373151336/)

第30話 >>3 から
第31話 >>104 から

大分遅くなってしまいましたが、お返事返させていただきます!


> 乙くださったみなさま

ありがとうございます!
励みにしてせいいっぱいがんばるわ!



> ボーズさん

いつもありがとうございます!
新キャラ・ゆかりのことを気に入っていただけたなら何よりです。
これからもよろしくお願いします!



> プレゼさん

いえいえ! 逆にやる気がムンムン湧いてきましたとも!
仕事のせいで体力的にちとツラくなってきましたが、折り合いつけて間に合わせられればと思います!


> 七人でのレインボーアーチに必要な木下さんの夢が来週明らかになるのでしょうか?

スミマセン、、なりませんでした。。
最後の "夢の絵の具" に関してはもうちょっと、、いや、もうしばらくお待ちください。

> 96さん

ご意見、ありがとうございます! 興味深く読ませていただきました。


> ヴェールは登場時期的にムーンライト・ミューズ枠なんだろうけど、どうしても2人に比べると地味だよね

そうですねー。。正直、そのふたりはポジション的には主人公格ですからねー。。
比べるとどうしても地味になっちゃうと思います。

ただ、今のヴェールがヘボいのは意図的なものなので、
今後の展開でうまいこと見せていけ、、たらいいなぁ。。ガンバります。。

> 98さん

> 色からしてニコちゃんにするべきだった。はっきり言って期待はずれだった。

ご期待を裏切ってしまい、スミマセン。。

始める前からこういう展開にするつもりだったので、
6話で "紫はニコちゃん期待" のレスをいただいた時にこうなってしまうとは思っていました。。

ホントスミマセン。。


ただ、ちょっと言い訳させてもらうと、原作『スマイル』本編ではニコちゃんいないことになってるので、
その続きという体裁をとっている本作では出せないんですよね。。

なので、今後も『レインボー!』本編ではニコちゃんは出せないと思います。。
申し訳ないですが、悪しからず御了承ください。

> スマイルさん

ご心配をおかけしたようで、スミマセンでした!

日曜朝にも "遅れます" という旨のレスはしたんですが、
反映されてなかったみたいですね。。申し訳ないです。

今後もガンバっていきますので、引き続きよろしくお願いします!



お返事は以上です!
それでは、また来週!


キュアベール「マーチとビューティが攻撃を受けたのは私の責任だ。だが私は謝らない」
ヴェールってドキドキのベールと名前が被ってると気づいた。
つまりマーチ(暴食という点でグーラと同じ)ともう一人誰か(リーヴァ枠)を吸収して強くなったり
携帯電話と合体したりするんだな!?

『スマイルプリキュア レインボー!』

このあとすぐ!

~ 朝 七色ヶ丘中学校 通学路 ~

タタタタタッ


マティ「おはようございます、ゆかりちゃん!」

ゆかり「あ、おはよう、マティちゃん。……今日も、誰にも見つからなかった?」

マティ「はい、バッチリですわ!」

マティ「今はふしぎ図書館に住まわせていただいてますが、本棚から出てくる時は、見つからないかといつもドキドキしてしまいますわ」

ゆかり「結構タイヘンそうだね……」


スタスタスタ


れいか「ゆかりさん、マティさん、おはようございます」

ゆかり「あ、れいかセンパイ……。おはようございます」

マティ「おはようございます!」

れいか「今日もお二人で登校ですか? とても仲よしなんですね」

マティ「はいっ! だってわたくし達は、一番の友達同士ですもの! ね、ゆかりちゃん」

ゆかり「マ、マティちゃん……、そんなに大きな声で言われると、なんだか恥ずかしいよ……」

れいか「ふふ、いいじゃないですか。素敵なことです」

れいか「それでは、私はやらなければいけないことがあるので先に行きますね。またお昼にでもご一緒しましょう」

ゆかり「あ、はい。がんばってください……」

れいか「ありがとうございます。では」


スタスタスタ…


マティ「れいか様、とてもお忙しそうですね」

ゆかり「花壇のお花に水をあげたりとか、校内のおそうじとか、今日はやってなかったけど校門で朝のあいさつとか、いろいろやってるみたい」

マティ「そんなに色々やってらっしゃるのにいつもあのように涼やかなお顔でいらっしゃって。すごいお方ですね、れいか様は」

ゆかり「うん、そうだね……」


1-3 女子生徒・真崎 かなこ「……!」

1-3 女子生徒・真崎 かなこ(み、見ちゃった……! うっそー……!)

~ 七色ヶ丘中学校 1-3教室 ~

1-3 女子生徒・真崎 かなこ「ねぇねぇ、木下さん!」

ゆかり「わっ!? な、何、真崎さん……」

1-3 女子生徒・真崎 かなこ「さっき登校してくる時、木下さん達、生徒会長とおしゃべりしてたよね!? どうして!? 知り合いなの!?」

マティ「はい、それはもう! なんと言いましても、わたくし達はプリ――」

ゆかり「わっ、わっ! あ、あの……、ちょ、ちょっとしたことで知り合って、それ以来よくお話したりするよ……」


ゆかり(小声)「ダ、ダメだよ、マティちゃん……。プリキュアのことはないしょにしないと……」

マティ(小声)「す、すみません……、つい……」


マティ「ですが、どうしてそのようなことを聞かれるのですか?」

1-3 女子生徒・真崎 かなこ「あったり前だよ! あの生徒会長と普通におしゃべりしてるんだもん! 気になるよ!」

ゆかり「"あの" ……?」

1-3 女子生徒・真崎 かなこ「そうだよ!」

1-3 女子生徒・真崎 かなこ「成績は優秀で、常に学年トップ!」

1-3 女子生徒・真崎 かなこ「運動もできて、弓道部でも大活躍!」

1-3 女子生徒・真崎 かなこ「その上、誰にでも優しい、みんなをまとめる生徒会長!」

1-3 女子生徒・真崎 かなこ「おまけにあの美しさと、常に絶やさないたおやかな微笑み……」

1-3 女子生徒・真崎 かなこ「……わたし、憧れてるんだぁ……」ウットリ…

マティ「そ、そうなんですのね……」

1-3 女子生徒・真崎 かなこ「そういう子、結構いるよ。生徒会長に憧れてる子」

1-3 女子生徒・真崎 かなこ「だからビックリしたんだよ! 学校の人気者の生徒会長――れいか様と、木下さん達が楽しそうにおしゃべりしてたからさ!」

1-3 女子生徒・真崎 かなこ「ね、ね! もしよかったら、わたしのことれいか様に紹介してよ! わたしもお近づきになりたいの! お願いっ!」

ゆかり「え……、あ……、その……。じゃ、じゃあ、また今度にでも、……いっしょに会いに行く……?」

1-3 女子生徒・真崎 かなこ「いいの!? きゃっほーう! ありがとう、木下さん! 約束だよ!」

ゆかり「う、うん……」


スタスタスタ…


ゆかり・マティ「…………」ポカーン…


ゆかり「真崎さん、行っちゃった……」

マティ「きゅ、急にはしゃがれたので、驚いてしまいましたわね……」

ゆかり「うん……」


マティ「ですが……、うふふ」

ゆかり「……? どうかしたの、マティちゃん、笑って……」

マティ「いえ、れいか様が他の方からもあんなにお慕われになられているのがうれしくて、つい……」

ゆかり「……そうだね。身近な人がほめられるのって、なんだか……うれしいね」

スタスタスタ


1-3 男子生徒・永田 あゆむ「ね、ねぇ、木下さん。今の真崎さんとの話聞いてたんだけど……、生徒会長と知り合いなの……?」

ゆかり「あ、永田くん……。う、うん、そうだけど……」

マティ「永田様もれいか様とお会いしたいのでしょうか?」

1-3 男子生徒・永田 あゆむ「そうといえばそうなんだけど……、真崎さんの理由とはちょっと……違うんだ……」

マティ「そうなのですね。……ですが、だいじょうぶですか、永田様? なんだかお元気がないようですが……」

1-3 男子生徒・永田 あゆむ「……うん……。実はね……」


1-3 男子生徒・永田 あゆむ「生徒会長に、お願いしたいことがあって……。それを、木下さんに伝えてほしいんだ」

ゆかり「え……。伝えてほしいこと……?」




スマイルプリキュア レインボー!

第32話「導け、れいか! それぞれの想い、それぞれの道!」



~ 昼休み 七色ヶ丘中学校 中庭 ~

れいか「え? 私に頼みたいこと、ですか?」

ゆかり「はい。同じクラスの永田くんという人からのお願いで……」

マティ「聞いてくださいませ。実は――」


1-3 男子生徒・永田 あゆむ(回想)『実はぼく、将棋が好きで、よく学校でも将棋の本を読んで勉強したりしてたんだ……』

1-3 男子生徒・永田 あゆむ(回想)『この間も休み時間に廊下で本を読んでたら、生徒会の副会長さんが来て――』


生徒会副会長(2年)・板野 まさお(回想)『君は 1年かい? 学校は勉強をするところで、このようなものを読むところではないんだ。預からせてもらうよ』


1-3 男子生徒・永田 あゆむ(回想)『――と、ムリヤリ本を取られちゃって……』

1-3 男子生徒・永田 あゆむ(回想)『その本、将棋好きのぼくのためにお父さんが買ってくれた、大切な本なんだ……』

1-3 男子生徒・永田 あゆむ(回想)『生徒会長さんに頼んで、何とか返してもらえないかな……。お願いだよ、木下さん、絵原さん』

マティ「――と、いうわけなのです。それもどうやら、永田様だけではないようでして」

ゆかり「同じクラスの望月さんもファッション誌を、江島くんも音楽プレーヤーを、それぞれ取られてしまったみたいなんです……。それに、他にも同じような人がいるみたいで……」

マティ「みなさま、お休み時間に少し楽しんでいただけですのに……」

ゆかり「れいかセンパイ、なんとか……なりませんか……?」


やよい「そうなんだぁ……。注意もしないですぐ取っちゃう、っていうのは、たしかにちょっとかわいそうだよね……」

なお「れいかはこのこと知ってたの?」

れいか「……いえ……。すみません、初耳でした……」


あかね「副会長かぁ……。そういや、前にもモメごと起こしたことあったなぁ。生徒会でフリマやった時やったっけ。ゆーてることは間違っちゃないんやろうけどなぁ……」

みゆき「大事なものをムリヤリ取り上げちゃうのは……。ねぇ、れいかちゃん。わたしからもお願いだよ。どうにかしてあげられないかな?」


れいか「…………」

れいか「わかりました。そのお話、お引き受けします。副会長と話し合い、みなさまの大切なものを返してもらうようにしてみます」

ゆかり「……! ほんとですか……!?」

れいか「はい。ゆかりさんはもう大丈夫とみなさまにお伝えください」


みゆき「やったね、ゆかりちゃん! れいかちゃんに任せておけばだいじょうぶだよ!」

あかね「せやせや! なんたって、七中が誇るスーパー生徒会長やからな!」

ゆかり「はい……! じゃあ、れいかセンパイ……、よろしくお願いします」ペコリ

マティ「よろしくお願いいたしますわ」ペコリ

れいか「はい。お任せください」ニコリ

~ 放課後 七色ヶ丘中学校 生徒会室 ~

れいか「――では、今日の議題はこれで終了になります」

れいか「ですが、解散の前に一つだけ、みなさまとお話したいことがあります」

生徒会書記(2年)・倉田 なおき「お話? 何かあったんですか、会長」

れいか「はい。ぜひ、聞いていただきたいのです」

生徒会会計(2年)・寺田 るな「それっていったい……」


れいか「実はこのところ、生徒会によって生徒の私物が没収されているようなのです。それも、なかばムリヤリに、です」

生徒会役員達「!」ザワッ…

生徒会副会長・板野 まさお「…………」

れいか「私が聞いたのは副会長の行いのみですが、他にもこういったことをされている方はいますでしょうか。もしいるなら教えてください」


ザワザワ…


生徒会副会長・板野 まさお「……他にはいませんよ。やっているのはぼくだけですから」

生徒会書記(2年)・倉田 なおき「板野くん……」

れいか「……そうですか」

れいか「では、副会長にお聞きします。どうして生徒のみなさんのものをムリに取り上げてしまうのでしょうか」

生徒会副会長・板野 まさお「どうして、と聞かれても困ります。学校は勉強をする場所で、関係ないものを持ってきてはいけないからです」

れいか「それは、確かにそうですが……、せめて先に注意にとどめるといったことはできなかったのでしょうか?」

生徒会副会長・板野 まさお「必要ないと思います。学校の風紀を守るのも生徒会の務めだと思っていますから、それを乱すものはなくしてしまうのが一番です」


生徒会副会長・板野 まさお「それに、このことは先生方にも喜んでいただいているんですよ」

れいか「……! 本当ですか?」

生徒会副会長・板野 まさお「はい。気になるようでしたら、教頭先生に確認してみてください。以前、ぼくのことをほめていただいたことがありますので」

れいか「……わかりました」

~ 七色ヶ丘中学校 職員室 ~

教頭先生「ああ、副会長の活動ね。知ってるよ。私達も彼が頑張ってくれるおかげで助かっているんだ」

れいか「そうなのですか……」


れいか「ですが、生徒みなさんの大切なものを、勉強に必要ないからといってすぐに取り上げてしまって、いいものなのでしょうか?」

れいか「勉強に支障が出ない範囲で、息抜きとして楽しんだりする程度ならそれほど問題ではないのではないかと思うのですが……」

教頭先生「うーん……。青木さんの言うように、みんながきちんとわきまえてくれれば、まだいいんだけどねぇ……」

れいか「と、言いますと……?」

教頭先生「中には授業中にゲームをやったり漫画を読んだりする生徒もいてね。困っている先生方も結構いるんだ」

教頭先生「だから、副会長が先にそういったものを取り上げてくれることで、授業がスムーズに進むようになったと、先生方も喜んでいるんだよ」

教頭先生「できれば、副会長には今後も活動を続けてもらいたいね」


れいか「……! そう、ですか……」

~ 晩 青木家 れいか自室 ~

れいか「……ふぅ……」

ポップ「……悩ましいでござるな、れいか殿。副会長殿の行動が困っている先生のみなさまをお助けしていたとは……」

れいか「はい……。副会長の言うことも、教頭先生のおっしゃることも、正しいと思います」

れいか「学校は勉強をするところ。勉強はとても大切なこと。それはよくわかります」

れいか「ですが、それは本当にそれだけなのでしょうか……。学校とは、本当に勉強をするためだけにあるものなのでしょうか?」

ポップ「それはどういうことでござろうか?」

れいか「……私も以前、"なぜ勉強をしなければならないのか"、ということで悩んだことがありました」

れいか「そして、悩んだ末に思ったのです」

れいか「勉強とは、色々な事を学ぶことで色々なことを知り、それによって、それぞれの "道" を見つけるためにあるのではないか、と」


れいか「ですから、学校に通っていても、学業のみではなく、他の事を学んだり、ある程度息抜きをしたりしてもいいのではないか、と、私は思うのです」

れいか「必ずしも勉強だけしなければならない、ということは、ないと思うのです」

ポップ「……迷い続けてきた、れいか殿らしい考えでござるな。拙者も、とてもすばらしい考えだと思うでござるよ」

ポップ「……しかし、教頭先生殿の言う通り、それで他の方に迷惑がかかってしまうのはよくないでござるな……」

れいか「はい……、問題はそこなのです」


れいか「私は生徒会長として、生徒のみなさんにはできるだけ、学校での時間を楽しく過ごしてもらいたいと思っています」

れいか「ですが、先生の皆様方にもご迷惑はおかけしたくはありません……」

れいか「生徒のみなさまには最低限のルールを守ってもらうことを約束してもらい、その思いを副会長や先生方にお伝えできればいいのですが……」

ポップ「なかなかに難しい問題でござるな……」

れいか「はい……」

れいか「……ポップさん。私、明日、みなさんに相談してみようと思います」

ポップ「プリキュアの衆に、でござるな」

れいか「はい」

れいか「以前、ポップさんが教えてくれましたから。"一人で抱えずみんなの力を借りれば、できないこともできるようになる" と」

ポップ「そうでござったな……」


れいか「ですから私、みなさんと一緒にできるだけ頑張ってみます。みなさんが、楽しく学校で過ごせるように」

ポップ「うむ! 拙者も何かあったら力を貸すでござるよ! ガンバるでござる、れいか殿!」

れいか「ありがとうございます、ポップさん」

~ 翌日 朝 七色ヶ丘中学校 3-1教室 ~

れいか「すみません、みなさん。朝早く集まっていただいて」

なお「それはいいんだけど……、れいか、浮かない顔だね。だいじょうぶ?」

あかね「もしかして、昨日ゆかりにお願いされたこと、うまくいかへんかったんか?」

れいか「はい……」


ピョン


ポップ「昨日あったことを手短にお話しするでござるよ」

やよい「ポ、ポップ!? 教室なのにカバンから出たらダメだよ!」

ポップ「なぁに、こう早い時間であればまだ誰も来ないから、心配いらないでござ――」


ガラッ


3-1 女子生徒・岡田 まゆ「あれ? 青木さん達もう来てたんだ。おはよう。みんな早いね」


3-1 女子生徒・岡田 まゆ「……ところで、みんなで花びん囲んで何してるの?」

あかね「あ、あー、そのなんや……。この教室、ちょっとさびしいと思わへん!?」

なお「だ、だからね、キレイな花でいろどりを添えようかと思ってさ! は、ははは……!」

3-1 女子生徒・岡田 まゆ「ふーん。いいアイデアかもね! お花選びならわたしも手伝おうか?」

みゆき「い、いいよいいよ! わたし達だけでやるから!」

3-1 女子生徒・岡田 まゆ「そう? じゃあ、ガンバってね。楽しみにしてるから」

れいか「は、はい!」


5人「(ホッ)」


あかね「……せやから、みゆきがあかん、っちゅーたのに……」

ポップ(花びん)「面目ないでござる……。……ところで、拙者はいつまで花びんの姿に変身していればいいでござるか?」

れいか「一度場所を変えましょう……。人のいないところでもう一度話させてください」

みゆき「そうしよっか……」

ポップ(花びん)「まことにかたじけない……」

~ 七色ヶ丘中学校 3階廊下 ~

スタスタスタ…


マティ「……あら? ゆかりちゃん、あそこ、前を歩いているの、みなさまではないですか?」

ゆかり「ホントだ……。れいかセンパイに昨日のこと、どうなったか聞きにきたのに……、どこ行くんだろう……」

マティ「ついていってみましょうか」

ゆかり「うん」

~ 七色ヶ丘中学校 校舎 屋上 ~

ポップ「――と、まぁ、そういうことなのでござる」


みゆき「なるほど……。副会長さんがみんなのものを取り上げてたのは、学校や先生のためだったんだね……」

あかね「うーん……、やっとることはちーとも間違っとらんなぁ……。こらやっかいやで……」


やよい「……でも、そうしたら、わたしも気をつけないといけないのかな……」

みゆき「あ、そっか……。やよいちゃんも、休み時間よく絵の練習してるもんね」

やよい「少しでも早く、もっともっとうまくなりたいから……」


やよい「副会長さんの言う通り、学校に来たら勉強に関係のないことをしたらいけない、っていうのはわかるよ」

やよい「でもそれって、ちょっと……キュウクツに感じちゃうな……」

なお「好きなことやれる時間が減っちゃう、ってことだもんね……」


れいか「……昨晩、ちょうどポップさんと同じようなお話をしていました」

ポップ「うむ。れいか殿は、"学校は勉学のみをする場ではなく、色々なことを知り、自分の道を探す場だ" と言っていたでござる」

みゆき「おぉ、さすがれいかちゃん……。いいこと言うなぁ……」

れいか「なので、副会長の厳しい取締りはできれば緩めてもらいたいのです」

れいか「……ですが、その方法がなかなかわからなくて……。先生方の助けになっていると思うと、強く止めることもできず……」

なお「……なるほど、わかった。それで、あたし達に相談したいってことなんだ」

れいか「ええ……。すみませんが、またみなさんの力を貸してもらえないでしょうか……?」


あかね「……なに水臭いことゆーとんねん!」

みゆき「そうだよ! わたし達とれいかちゃんの仲だもん! れいかちゃんが困ってるなら、わたし達が助けるよ!」

やよい「何ができるかわからないけど、手伝えることがあるならなんでも言って!」

なお「……そーいうこと。みんなで力を合わせてガンバろう、れいか!」

れいか「みなさん……! ありがとうございます!」


ポップ「やはり皆の衆の絆はとても強いでござるな。頼もしいでござる」

キャンディ「もちろんクル! みんなずーっといっしょにいた仲よしさんだからクル!」

れいか「あ……、ですが、話し合う前にみなさまに一つお願いがあるのです」

みゆき「ん? なぁに、れいかちゃん」

れいか「……このことは、ゆかりさんとマティさん、あと、はるかお姉さんには内緒にしていただけないでしょうか……」

あかね「へ? そらかまわんけども……。けどなんで?」

れいか「ゆかりさん達は、私のことをとても頼りにしてくださっています……」

れいか「そこで私がうまくいってないことを知ったら、お二人とも不安になるのでは、と思いまして……」

なお「なるほどね……。確かに、みんなのリーダーの生徒会長が不安がってたら、みんなも不安になっちゃうよね」

やよい「生徒会長さんもタイヘンだね……。わかったよ、れいかちゃん!」


みゆき「でも、ゆかりちゃん達のことはわかったけど、はるかさんにまで内緒っていうのはなんで?」

なお「はるかさんならいいアイデア出してくれそうだけど」

れいか「……だからなのです……」

れいか「はるかお姉さんは私達よりも年上ですし、頭もいいですから、きっといいアドバイスをくれると思います」

あかね「ええことやん。なんでダメなん?」

れいか「このことは私達生徒会の問題、この学校の問題です。できるだけ、私達この学校の生徒で解決するべきだと思うのです。……いえ、そうしたいのです」


れいか「私は、この学校と、ここに通うみなさんが好きですから……」

みゆき「れいかちゃん……!」

みゆき「……わかった! ガンバってわたし達だけで何とかしようっ!」

あかね「れいかの心意気、見届けたで! うちらもキバったるわ!」

やよい「うんっ! わたし達の学校のことだもんね! わたし達で何とかしなきゃ!」

なお「やろう、れいか! はいっ」


スッ


れいか「……? なお? 手を前に出して、どうしたの?」

なお「みんなで気合を入れるんだよ! さ、ほら! みんなも手を重ねて!」

みゆき「ああ、なるほど! はいっ!」スッ

あかね「よし来た!」スッ

やよい「わたしも!」スッ

なお「ほら、れいかも」

れいか「……ええ!」スッ


れいか「それではみなさん、私達の学校をより良くするために、頑張りましょう! よろしくお願いしますっ!」


みゆき・あかね・やよい・なお「おーっ!」

~ 七色ヶ丘中学校 校舎 屋上 物陰 ~

ゆかり・マティ「…………」


マティ「みなさんの後を追って屋上まで来てみたら……。わたくし達、聞いてはいけないことを聞いてしまったような気がしますわ……」

ゆかり「そうかも……」


ゆかり(……れいかセンパイでも、難しいことなんだ……)

ゆかり(勉強もできて、スポーツもできて、キレイで、優しい生徒会長で……。そんな、れいかセンパイでも、できないことって、あるんだ……)

ゆかり(でも、センパイ達みんなが力を合わせて、なんとかしようとしてくれてる。わたし達のために……)


ゆかり(……それなら……、それなら、わたしだって……)

ゆかり「ねぇ、マティちゃん……」

マティ「なんですか、ゆかりちゃん?」

ゆかり「……わたし達も、れいかセンパイ達のために、なにかできること……ないかな……?」

マティ「え……?」

ゆかり「わたし、ちょっと思ったんだ……」


ゆかり「れいかセンパイはわたし達のためにガンバってくれてる……。それで、うまくいかなくて苦しい思いをしてくれてる……」

ゆかり「なのに、わたし達はそんなれいかセンパイにまかせっきりでいいのかな、って」

ゆかり「わたし達もなにかしなくちゃいけないんじゃないかな……。見てるだけじゃなくって」


ゆかり「困ってるれいかセンパイや永田くん達のためになにかしてあげられないか、って、そう……思うの……」

マティ「ゆかりちゃん……」

マティ「……よくぞ言ってくれましたわ、ゆかりちゃん!」

マティ「わたくしのふるさと、ピクチャーランドがまだ平和で元気だった頃にも、困ったことがあったらみんなで協力してやりとげていました!」

マティ「わたくし達もやりましょう、ゆかりちゃん! みなさまをお助けするのです! わたくし達ふたりで!」

ゆかり「マティちゃん……!」


ゆかり「……やってみよう……。わたし達はわたし達にできることをやってみよう」

マティ「はいっ! わたくしも力をお貸しいたしますわ!」

みゆき(ナレーション)『こうしてわたし達は、れいかちゃんといっしょにガンバることになりました』


みゆき(ナレーション)『ですが、わたし達はお互いに意見を出しあって色々なことを試してみたものの、どれもなかなかうまくいかなかったのです……』


みゆき(ナレーション)『その間も、れいかちゃんはどんどん疲れていきました。きっと、夜遅くまでたくさん考え事をしているんだと思います』


みゆき(ナレーション)『そうして、数日が過ぎました……』

~ 放課後 七色ヶ丘市 商店街 おもちゃ屋・"シークレット・トイズ" 前 ~

ペロー「わぁ……! 新しいおもちゃが出てるペロー……! はるかさん、欲しいペロ!」

はるか「ダーメ。この間買ったばっかりじゃない。あれでガマンしてよ」

ペロー「これは新しいのなんだペロ! お願いペロー、はるかさん!」

はるか「ダメったらダーメ。たい焼きなら買ってあげるから、これでいいでしょ? 帰っていっしょに食べよう?」

ペロー「うーん……、しょうがないペロ……。わかったペロ! はるかさんとたい焼き食べられるならそれでもいいペロ!」

はるか「素直だね、ペロー君は。じゃあ、早速買っていこうか!」

ペロー「はいペロ!」


ペロー「……あれ? はるかさん、前から歩いてくるの、プリキュアのみんなじゃないペロ?」

はるか「あ、ホントだ」

トボトボトボ…


あかね「……なかなか、ええアイデア出ぇへんなぁ……」

なお「うん……。やっぱり、副会長を説得するためには決め手にかけるね……」

やよい「何か、みんなの意見をそのまま伝えられるようなことがあればいいんだけどな……」

みゆき「うーん……。むずかしいね……」

れいか「…………」


はるか「ハイ、みんな! 今日はみんなで寄り道?」

みゆき「わっ! は、はるかさん。こんにちは」

はるか「こんにちは。……って、ちょっとみんなどうしたの? なんか元気ないみたいだけど……、大丈夫?」

はるか「特に、れいかちゃん……、顔、少し青いよ? ……何かあったの?」

やよい「あ、それが……、えっと、その……」

れいか「…………」

れいか「……あの、はるかお姉さん……」

はるか「ん? 何?」

れいか「……少し、相談に乗ってもらってもいいでしょうか……?」

はるか「相談? もちろん! 大丈夫、任せて。何でも言ってよ。力になるよ」

なお「……! れいか……!」

れいか「…………」


あかね(小声)「……ええんかな、はるかさんに相談して……。うちらだけでやるんやったんやなかったん?」

みゆき(小声)「でも……、れいかちゃんとてもツラそうだよ……。うまくいかなくって、すごく苦しいんじゃないかな……」

やよい(小声)「れいかちゃんの気持ちはえらいと思うけど、このまま何もできないんじゃどうしようもないし……。しょうがないよ……」


れいか「…………」

はるか「……えっと、どうしたの、れいかちゃん? 相談事があるんだよね? ここだと話しづらいこと? それなら、どこか場所を変えて――」

れいか「……すみません、はるかお姉さん! なんでもないんです! 失礼しますっ!」ペコリ


タタタタタッ…


はるか「え!? あ、ちょ、ちょっと!? れいかちゃん!?」

ペロー「走って行っちゃったペロ……」


なお「れいか! す、すみません、はるかさん、そういうことなんで、あたし達も失礼します!」

みゆき「ま、また今度! さよならーっ!」

やよい「待ってー、れいかちゃーんっ!」


タタタタタッ…


はるか・ペロー「…………」ポツーン…


はるか「そういうこと、って、どういうこと……?」

ペロー「さっぱりわからないペロ……」

~ 七色ヶ丘市 道路 ~

れいか「はぁっ……、はぁっ……、はぁっ……」


タタタタタッ


あかね「ど、どないしたんや、れいか? 急に走り出すからビックリしたで!」

れいか「すみません、あかねさん、みなさん……」


なお「それもだけど、れいか、さっきはるかさんにあの事相談するのかと思って、ビックリしたよ。あたし達だけでやろうって言ってたから」

れいか「…………本当は、そのつもりでした」

みゆき「え!? そうだったの!?」

れいか「はい……」

れいか「……私はここ数日、何度も何度も、問題を解決することばかりを考えていました……。ですが、いい考えがまったく浮かばなくって……」

れいか「私は生徒会長だから、私がなんとかしないといけないのに……、それができないのが苦しくて……、悔しくて……」


れいか「だからつい、はるかお姉さんに相談しようとしてしまったんです」

れいか「……自分で決めたことを、変えてまで……」


なお「れいか……」

れいか「……でも、相談する前に、"それではいけない" と思ったんです。つらくても、そのことから逃げるようなことをしてはいけない、と。なんとか、できるだけ頑張ってみようと思い直したんです」

れいか「"学校の皆さんのために頑張る" と、自分で決めたことですから……」

やよい「だから、相談をやめて途中で走り出しちゃったんだね」

れいか「はい……」


れいか「だから、もう少し頑張ってみます。つらくても、前へ進んでいこうと思います。」

れいか「自分の足で、しっかりと」


4人「…………」

あかね「うぅー……! れいかの話聞いてたら、なんか燃えてきたわ! みんな、うちの店来ぃ! あかねちゃん特製、スタミナお好み焼き、おごったるわ!」

れいか「え……、いいんですか……?」

あかね「うちも色々考えてみたけど、あんまうまいことでけへんっぽいし……。できることといえば、めっちゃウマいお好み焼きで、れいかに元気になってもらうくらいや!」

あかね「うちはうちにやれることを精一杯やるわ。せやから、れいかも負けへんでガンバろ! なっ!」

れいか「あかねさん……」


みゆき「よぉーし! それなら今日はわたしもお好み焼き作る! 前にあかねちゃんがわたしをはげますために作ってくれたお好み焼き、すっごくおいしかったから!」

みゆき「だから、今度はわたしがれいかちゃんに作るよ! "れいかちゃんガンバれ!" って気持ちいーっぱい込めたお好み焼き!」

やよい「じゃ、じゃあ、わたしはソースとマヨネーズで絵を描くよ! にっこり笑った、れいかちゃんの顔!」

やよい「れいかちゃんがガンバり抜いて、笑顔になれますように、って!」

れいか「みなさん……」


なお「行こ、れいか」

れいか「なお……」

なお「だいじょうぶ、れいかならできるよ! 昔っかられいかのことを見てきたあたしが保障する!」

なお「みんなの応援を力に変えて、ガンバろう!」


れいか「みなさん……。……ありがとうございます!」

~ 七色ヶ丘市 商店街 ~

ペロー「はるかさん……、さっきのみんな、なんだか様子がおかしかったペロ……」

はるか「確かに、ちょっと気になるね……。後でまたれいかちゃんに聞いてみようかな……」


スタスタスタ


マティ「……あら? はるか様ではありませんか。ごきげんよう……」

ゆかり「……こんにちは……」

はるか「あ、ゆかりちゃんにマティちゃん。ハイ。……って、どうしたの? 二人までショボーンとして」

マティ「"わたくし達まで" というのは、どういうことでしょう?」

はるか「ああ、実はね、さっきここでれいかちゃん達 5人と会ったんだ。その時のみんなもなんだか落ち込んでるみたいだったから、気になってたんだけど、ゆかりちゃん達まで……」

はるか「ホントにどうかしたの? 何か、大変なことでもあったんじゃ……」

ゆかり「……はるかセンパイ……」

ゆかり「……あの、実は――」

マティ「ゆかりちゃん……! あの事は、れいか様ははるか様にはヒミツにしておきたいと……!」

ゆかり「でも……、でも、やっぱりわたし達ふたりだけじゃなんにもできないよ……! いいアイデア、出なかったじゃない……」

マティ「確かに、そうですが……」


ゆかり(……れいかセンパイ、ごめんなさい……!)


ゆかり「お願いします、はるかセンパイ……。相談に乗って、もらえないでしょうか……」

はるか「……わかった。何があったのか、教えてくれる?」

ゆかり「はい……」

~ 七色ヶ丘市 公園 ベンチ ~

マティ「――と、いうことがあったのです」

はるか「……なるほど、そういうことだったんだ」

ゆかり「れいかセンパイがツラそうにしてるのが、なんだか申し訳なくって……」

ゆかり「だから、わたし達でも何かできないか、って思って……それで……」

はるか「…………」


はるか「……それなら、いいアイデアがあるよ」

マティ「え!? ほ、本当でございますか? 教えてくださいませ、はるか様!」

はるか「わかった。じゃあ、話すよ」


はるか「それはね――」

はるか「――っていうアイデアなんだけど、どうかな?」

ゆかり「…………」

マティ「それは……、タイヘンそうですわね……」

はるか「うん。二人が目いっぱい頑張らないといけないと思う。ふたりとも、できそう?」

ゆかり「…………」


ゆかり「……わたし、やってみます」

ゆかり「できるかどうかわからないけど……、それでれいかセンパイや学校のみんなが元気になれるなら……!」

マティ「もちろん、わたくしもです! みなさまの笑顔のためにガンバりたいですわ!」

はるか「……そっか! じゃあ、やってみて! これならきっと、うまくいくと思うから」

ゆかり「はい……! はるかセンパイ、ありがとうございました……! それでは……」

マティ「失礼いたしますわ!」


タタタタタッ…


ペロー「おふたりとも、行っちゃったペロ。なんだか、うれしそうだったペロ」

はるか「そうだね」


ペロー「でも、はるかさん。よかったペロ? れいかさんが自分でガンバりたい、って思ってるのに、ゆかりさんにアドバイスしたりして」

はるか「うん、いいんだよ。だって、ゆかりちゃんが私に頼ってきたのは、れいかちゃんが頑張ってるからなんだし」

ペロー「ペロ? どういうことペロ?」

はるか「……ペロー君。ゆかりちゃんだけどさ、初めて会ったころと比べて少し変わったと思わない?」

ペロー「え? そうペロ?」

はるか「前のゆかりちゃんだったら、誰かのために自分から何かをしよう、って思わなかったんじゃないかな」

ペロー「そういえば……。ゆかりさん、最初はもっと大人しい感じだったのに、なんだか行動的になった気がするペロ」

はるか「変わったんだよ。ほんのちょっとだけど。マティちゃんや私達、みんなと出会って」


はるか「さっきゆかりちゃんが頼ってきたのも、頑張ってるれいかちゃんを助けてあげたい、っていう気持ちがあったからだよ。それは、れいかちゃんが頑張ったことの成果の一つだと思う」

はるか「だからゆかりちゃんにはアドバイスしたんだ。れいかちゃんの頑張りが、ゆかりちゃんを通じて、れいかちゃん自身を助けられるように」

ペロー「あ、なるほど、そういうことペロ」


はるか「みんなで助け合って、頑張って……。ちょっとずつかもしれないけど、みんな成長しようと……、未来に向かおうとしてるんだね」

はるか「私はそんなみんなを応援してあげたいんだ」

ペロー「ペロ……! そんなこと考えてたなんて、さすがはるかさんペロ!」


はるか(みんな、難しいことでも、自分のできることを精一杯やろうとしてる。とっても一生懸命で、見てて何だかまぶしいよ)


はるか(みんな……、頑張れ!)

~ デスペアランド 大臣自室 ~

ゴポゴポゴポ…


大臣「ふぅむ……。心を食う怪物 "デスペア" を育てるために必要な闇の絵の具……、大分貯まってきましたね。国王陛下もお喜びになるでしょう」


大臣「ですが……、欲を言えば、もう少し量が欲しいところですねぇ……。そう思いませんか、オーレン?」

オーレン「回りくどい言い方をしなくていい。リアルランドに行き、闇の絵の具を作るのに必要な、濁った心の絵の具を集めてくればいいのだろう?」

大臣「さすがは私の作った闇の描き手。理解が早くて助かりますよ」


オーレン「では行ってくる」

大臣「ああ、少しお待ちなさい」

オーレン「何だ? なぜ止める?」

大臣「一人でいいので? またプリキュア達にジャマをされたら、あなた一人では危ないのでは?」

オーレン「それでこの間、3人で戦ったらあのザマだ。足を引っ張るだけの味方など必要ない」

大臣「本当にいいのですか? 伝説の戦士・プリキュア……。手ごわいですよ?」

オーレン「問題ない。大きな力が一つだけあれば、群れる必要などないことを証明してやる」シュバッ


大臣「……やれやれ、行ってしまいましたか。自信があるのは結構ですが、どうなることやら……」

大臣「……まぁ、今はプリキュア達の持つ "夢の絵の具" を奪えずとも、闇の絵の具さえ増やせれば良しとしましょうか」


大臣「そう、今のところは、ね。くくくっ……!」

~ 翌日 放課後 七色ヶ丘中学校 校庭 ~

スタスタスタ


みゆき「今日もいいアイデア出なかったぁー……。やっぱりムズかしいねー……」

なお「まだまだ! ガンバる、って決めたんだから、ファイトで行こうよ! ね、れいか!」

れいか「ええ。めげている場合ではないものね」


やよい「れいかちゃん、すっかりやる気まんまんだね! あかねちゃんのお好み焼きのおかげかなぁ?」

あかね「にししっ、毎度おおきにー。ほなら、これからやる作戦会議にもいくらか焼いて持ってこか?」

なお「おっ、いいねー! あたし豚玉がいいなー!」

マジョリン「じゃああたしはチーズがいいマジョ!」

オニニン「おれ様はイカ焼きがいいオニ!」

ウルルン「やっぱ肉だウル、肉! あかね! 肉モリモリのヤツ焼いてくれウル!」

あかね「いや……、焼くんはれいかのためで、あんたらのためやないんやけど……」

キャンディ「それじゃあ、キャンディは、キャンディはー、どうしようクルー」

あかね「こらキャンディ! 人の話聞かんかい!」

キャンディ「えー? だって、キャンディもあかねのお好み焼き食べたい――」


キャンディ「(ピクッ) ――クル……!?」

みゆき「ん? キャンディ、どうしたの?」

やよい「……あ、もしかして……!」

キャンディ「みんな! イヤな感じがするクル! デスペアランドクル!」

みゆき・あかね・やよい・なお「えーーっ!?」


あかね「ったく、この忙しい時に! 毎度毎度間の悪いやっちゃで!」

なお「しょうがない! ちゃっちゃとやっつけて作戦会議しよう! 行こう、れいか、みんな!」

れいか「ええ!」

~ 七色ヶ丘中学校 1-3教室 ~

1-3 女子生徒・真崎 かなこ「(カキカキ) ……よし、書けたっと。これでいいの?」

ゆかり「あ、うん。ありがとう、真崎さん……」

1-3 女子生徒・真崎 かなこ「いいっていいって! 愛しの生徒会長のためならガンバっちゃうんだから! あぁ……、れいか様……!」

マティ「ま、真崎様、とてもれいか様のことがお好きなのですね……」


1-3 男子生徒・永田 あゆむ「でも、これタイヘンそうだね……。今、どのくらい集まったの?」

ゆかり「マティちゃんとふたりでやって、真崎さんで 10人目……」

1-3 男子生徒・永田 あゆむ「どのくらい必要なのかな……」

マティ「多ければ多いほどいいそうですわ。ですから、わたくしたちももっともっとガンバらないと! ね、ゆかりちゃん!」

ゆかり「……うん」

1-3 女子生徒・真崎 かなこ「……あれ? あっ! ねぇ、窓の外、あそこの校庭のところを走ってるのって、れいか様じゃない!?」

ゆかり「え……?」


れいか達「(タタタタタッ…)」


マティ「本当ですわ。よくお気づきになられましたね、真崎様」

1-3 女子生徒・真崎 かなこ「そりゃあもう! あの麗しい長く青い髪……! 見間違えるもんですか!」

マティ「そ、そうですか……」


1-3 女子生徒・真崎 かなこ「……でも、れいか様だけじゃなくって、お友達もいっしょみたいね」

ゆかり「あれって……、もしかして、みゆきセンパイ達……? あんなに急いで走ってどこに行くのかな……」

マティ「あの方達が急ぐ用事といえば……」


ゆかり・マティ「……まさか……!」


マティ「……ゆかりちゃん! わたくし達も急ぎましょう!」

ゆかり「う、うん……! 永田くん、ごめんね……! 続きはまた後でやるから……!」


タタタタタッ…


1-3 女子生徒・真崎 かなこ「……あのふたり、急に顔色変えて出て行って……。どうしたのかな?」

1-3 男子生徒・永田 あゆむ「さぁ……?」

~ 七色ヶ丘市 商店街 おもちゃ屋・"シークレット・トイズ" 前 ~

オーレン「やれ、アキラメーナ」

アキラメーナ(ロボット玩具型)「アキラメーナァッ!」ドシュッ ドシュッ


ドガァァッ! ドガァァァンッ!


ノーブル「くっ……! あの足から出すミサイル攻撃……、やっかいだね……!」

ペロー(デコル)「ゴクリ……! さ、さすが、必殺の "バスター・ミサイル" だペロ……! ノーブル、気をつけるペロ! あれは、ワルブッターの部下の飛行メカを一発で落とすほど強力だペロ!」

ノーブル「何言ってるのか全然わかんないけど、アブないものだっていうのはわかったよ!」


ザッ


みゆき「わっ、もう始まっちゃってる!」

れいか「ノーブル! 先に戦っててくれていたんですね!」

ノーブル「みんな! 来てくれたんだ! 待ってたよ!」

やよい「……って、あぁぁぁーーっ!」

なお「うわっ!? な、なに、やよいちゃん、大声出して……!?」

やよい「あ、あのアキラメーナ……、ロボッターだよ!」

れいか「ロボッター……というと、あのやよいさんが大好きなロボットアニメのキャラクターでしょうか」

みゆき「あ、ホントだ! ロボッターだ、あれ!」

ノーブル「あのデスペアランドの人が、ロボットのおもちゃを基にアキラメーナを作ったんだよ!」


やよい「ひ、ひどいよ……! ロボッターは正義のロボットだよ! そんなことするためにいるんじゃないのに!」

あかね「ま、まぁ、そのへんはどっちでもええねんけど……、放ってはおけへんな!」

れいか「ええ! 相手がなんであろうと、私達のやることは変わりません! みなさん、変身しましょう!」


みゆき・あかね・やよい・なお「うんっ!」

妖精達「デコル・チェーンジ!」

パチンッ!

レディ!

5人「プリキュア! スマイルチャージ!!」

ゴー! ゴーゴー! レッツゴー!!


ハッピー「キラキラ輝く、未来の光! キュアハッピー!!」

サニー「太陽サンサン、熱血パワー! キュアサニー!!」

ピース「ぴかぴかぴかりん♪ じゃん・けん・ポン!(チョキ) キュアピース!!」

マーチ「勇気リンリン、直球勝負! キュアマーチ!!」

ビューティ「しんしんと降り積もる、清き心。キュアビューティ!!」

ビューティ「デスペアランド! これ以上この町で悪事を働くことは、私達が許しませんっ!」


オーレン「プリキュア、これで 6人か。もう一人の小さい紫はどうした?」


ハッピー「あ、そういえば……! 慌てて出てきたからヴェールを呼んでこれなかった!」

ノーブル「いつもだったらマティちゃんが私達を呼んでくれるけど、今日はそのマティちゃんがいないから……」

マーチ「あたし達 6人で戦うしかないね……!」

サニー「せやけど、6人でも十分やで! いつもみたくケチョンケチョンにしたるわ!」

ピース「そうだよ! 正義のロボッターを悪いことに使うなんて許せない! 成敗してやるっ!」ビシッ

サニー「……一人だけテンションがなんかちゃうけど、そういうことや! 覚悟しぃや!」


オーレン「6人で十分とは言ってくれるな。その愚かさ、思い知らせてやる。行け、アキラメーナ」

アキラメーナ(ロボット玩具型)「アキラメーナァッ!」ブンッ!

ビューティ「パンチが来ます! 避けてください!」バッ

ハッピー「わっ、わわっ!」バッ


ドガァァァァンッ!

ブワァァァァッ!


6人「わぁっ!?」

ビューティ「な、何てパンチ……! 当たってないのに、風圧だけでよろめいてしまいそう……!」

ガシッ!


ノーブル「でも、手を掴んだよ! このまま投げるっ!」グイッ

オーレン「アキラメーナ、手を外せ」

アキラメーナ(ロボット玩具型)「アガ」ガコンッ

ノーブル「えっ!? 手が取れた!? あっ、な、投げようとしたから、勢いがつきすぎてバランスが……! わっ、たっ、たぁっ……! (ドテッ) ふぐっ」

ビューティ「こ、転んでしまいました……! ノーブル、大丈夫ですか!?」

ハッピー「そうだった……! ロボッターは手が取れて相手に飛ばす武器があるんだった……!」

サニー「あー、そういやそんなんやったっけ……。前にやよいに教えてもろたなぁ……」


オーレン「では武器として使ってやろう。手は二本あるからな。やれ、アキラメーナ」

アキラメーナ(ロボット玩具型)「アキラメーナァッ!」バシュゥゥッ!


ゴォォォォォッ!


ピース「わっ! みんな気をつけて! "スーパー・ロボッターパンチ" が飛んで来るよ!」

マーチ「気をつけて、って言っても、あんなに大きかったらどうしようも――」


ドゴォォォォォォンッ!


6人「わぁぁぁぁぁぁっ!?」ドサァッ


オーレン「今度は当たったようだな。あの威力だ、ひとたまりもあるまい」

ハッピー「ま、まだだよ……!」グググッ

サニー「せやで……! 勝負はまだまだこれからや……!」グググッ


オーレン「まだ立つか、無駄なことを。お前達ではこのアキラメーナには勝てん」

マーチ「やってみなきゃ、わかんないよ!」

ビューティ「そうです! 私達一人ひとりの想いが集まれば……、できないことはありません!」

オーレン「たわごとを。ならば試してみろ」

ピース「言われなくったって!」ダッ


タタタタタッ


オーレン「黄色いの、一人で来るか。迎え撃て、アキラメーナ」

アキラメーナ(ロボット玩具型)「アキラメーナァッ!」バシュシュシュシュシュッ!

ハッピー「わっ! 足からたくさんのミサイルが!」

ノーブル「その攻撃はさっき見たよ! "ノーブル・スプラッシュ" っ!」シュバッ


ドドドドドドォォォォォンッ!


オーレン「水滴を放って全て撃ち落したか」

ペロー(デコル)「さっすがノーブルペロ!」

ノーブル「ピース、そのまま行って!」

ピース「はいっ!」タタタタタッ

ガシッ


ピース「脚を捕まえたよ! このまま……えぇぇぇぃっ!」


バリバリバリバリッ!


アキラメーナ(ロボット玩具型)「アガァッ……!?」

オーレン「電撃を食らわせたか。しかし、その程度では倒れないぞ」

ピース「倒せなくてもいいんだよ! 見てみてよ!」


アキラメーナ(ロボット玩具型)「ア、アガガッ……!?」ガクガクッ

オーレン「何だ? 動けないのか?」

ピース「ロボッターはね、電気が弱点で、動きが鈍くなっちゃうんだよ! 雷を使う敵ロボットと戦った時も、すっごく苦労してたんだから!」

サニー「さっすがピースや! ロボッターのことならようわかっとるで!」

マーチ「今がチャンスだよ! たたみかけよう!」

ハッピー「うんっ、わかった!」


ハッピー「プリキュア! ハッピー・シャワーァァッ!!」

サニー「プリキュア! サニー・ファイヤーァァッ!!」

マーチ「プリキュア! マーチ・シュートォォッ!!」


ドドドォォォォォォォォンッ!!


アキラメーナ(ロボット玩具型)「アガァッ……!?」グラリ


マーチ「効いてるよ! ビューティ、お願い!」

ビューティ「わかりました!」ダッ

タタタタタッ


ビューティ「十分近づいて……!」


バッ


ノーブル「アキラメーナの目の前まで跳んだ!」

ビューティ「これだけ近づけば、威力も大きくなるはず! 行きますっ!」


ピース「……(ハッ) ビューティ! ダメだよ! 目の前は危ないっ!」

ペロー(デコル)「そ、そうだったペロ! "ロボッター・アーク" があったペロ!」

ビューティ「プリキュア! ビューティ・ブリ――えっ!?」


オーレン「もう遅い。やれ」

アキラメーナ(ロボット玩具型)「アガァァァッ……!」パァァァッ…!

ビューティ「む、胸の部分が輝いて……!」

アキラメーナ(ロボット玩具型)「アキラメーナァッ!」ドバァァァァァッ!

ポップ(デコル)「こ、これは……! 胸の部分から光線が……!」


ブワァァァァァッ!


ビューティ「きゃぁぁぁぁぁっ!?」

マーチ「ビューティっ!」

オーレン「青には直撃か、決まったな。アキラメーナ、そのまま他の連中もなぎ払え」

アキラメーナ(ロボット玩具型)「アキラメーナァッ!」ドバァァァァァッ!

ハッピー「ひ、光がこっちにも……!」


ドバァァァァァァンッ!


5人「わぁぁぁぁぁぁっ!?」ドサァッ


オーレン「全員倒れたか。今度こそ起き上がれまい」


サニー「うっ、くぅ……!」

マーチ「うぁっ……!」

オーレン「先ほど、青が "想いが集まればできないことはない" などと言っていたな」

オーレン「しかし、これで、そんなことを言う自分達の愚かさがわかっただろう。力など、大きく、強い力が一つあれば十分なのだ。それ以外のものなど邪魔なだけだ」

オーレン「ましてや、お前たちの言う "想い" などというちっぽけな力はな」

ビューティ「……!」


ビューティ「そ、そんなこと……、ありません……! 私達の……想いをあわせれば……きっと――」

オーレン「きっと、なんだ? そのザマでよくも言えたものだな」

オーレン「想いとやらが力になるなら、その力で今すぐアキラメーナを倒してみせたらどうだ。できるものならな」

ビューティ「……くっ……!」

ポップ(デコル)「ビューティ殿……!」

オーレン「何も言えないか。当然だな。想いなどというものでなんでもできるわけがない。いくら意気込んだとて、できないことはある」

オーレン「お前達には何もできはしない。大人しく諦めるんだな」

ビューティ「…………」

オーレン「では、これで終わりだ。青、まずはお前からトドメをさしてやろう」

アキラメーナ(ロボット玩具型)「アキラメーナァ……!」ガシャンッ

ハッピー「足のミサイルが、ビューティを狙って……!」


オーレン「さらばだ」

アキラメーナ(ロボット玩具型)「アキラメーナァッ!」バシュッ!

マーチ「ビューティぃぃっ!」

ビューティ「……っ!」


ドガァァァァァンッ!

ビューティ「…………? なんとも、ない……?」

ポップ(デコル)「ビューティ殿! 前を見るでござる!」

ビューティ「前……?」


パキィィィィンッ!


ビューティ「これは、葉っぱの盾 "ヴェール・カーテン" ……! 私を、守ってくれたの……?」

ポップ(デコル)「と、いうことは……!」


ヴェール「はぁっ、はぁっ、よかった、間に合って……!」


ハッピー「ヴェールっ! 来て……くれたんだ……!」

サニー「は、はは……! ええとこで出てくるやんか……!」


オーレン「来たか、紫。これで、全員そろったというわけだな」

オーレン「だが、紫。お前の盾の弱点はイエロワから聞いているぞ。その盾、一度に一つしか出せないそうだな」

オーレン「なら今、お前は無防備というわけだ」

ヴェール「……!」


オーレン「やれ、アキラメーナ」

アキラメーナ(ロボット玩具型)「アキラメーナァッ!」バシュッ!

ピース「ミ、ミサイルがヴェールに……!」


ドガァァァァァンッ!


ヴェール「きゃあぁぁっ……!?」ドサッ

ビューティ「ヴェール……っ!」

ヴェール「うっくっ……、い、痛い……っ!」

オーレン「そんなに痛がるとは、まともに攻撃を受けるのは初めてか? 役に立ったのは最初だけだったな」


バサッ バサバサッ


オーレン「ん? 何だこれは。紫から何かが散らばったな」

ハッピー「あれって……、ゆかりちゃんの……カバンの中身……?」

ピース「急いで来たから……、変身したまま持って来ちゃったのかな……?」


マティ(デコル)「……! ヴェール、タイヘンですわ! あの、あのノートが落ちてしまいました……!」

ヴェール「……!?」


オーレン「紫の顔色が変わったな。その中に大事なものでもあるのか」


ペロー(デコル)「ノーブル……、あのノートって……!」

ノーブル「うん……、多分そうだよ……!」

オーレン「それでは、全て焼いてやるとしようか」

ヴェール「!!」

オーレン「それほど大事なものなら、奪ってやる。絶望を味わえ」


オーレン「やれ、アキラメーナ」

アキラメーナ(ロボット玩具型)「アキラメーナァッ!」バシュッ!

ノーブル「ミサイルが……、ノートに……!」


ヴェール「…………ダメ……」

ヴェール「それはダメぇぇっ!」


ガシッ

バッ


ピース「ヴェールが葉っぱの盾を掴んでノートの前に……!」

マーチ「この間、あたしを守ってくれた時と同じ……!」


ドガァァァァァンッ!


ヴェール「うっ……く……!」

マティ(デコル)「ふ、防いでも、すごい衝撃ですわ……! だいじょうぶですか、ヴェール!?」

ヴェール「う、うん……。なんとか……」


オーレン「なんだか知らんが、わざわざ出てきてくれるなら好都合だ。続けろ、アキラメーナ」

アキラメーナ(ロボット玩具型)「アキラメーナァッ!」バシュシュシュシュシュッ!


ドドドドドガァァァァァンッ!


ヴェール「くっ、うぅぅぅっ……!」

マティ(デコル)「ヴェール! ガンバってください! あのノートだけは守らなければなりませんっ!」

ヴェール「わ、わかってる……! 絶対、なくさせたりなんか……しないよ……!」


ビューティ「…………」


ビューティ(ヴェール……、プリキュアになったばかりで、まだ怖いはずなのに……)

ビューティ(そんなにまでして、どうしてそのノートを守っているの……?)

ドガァァァァァンッ!

バサッ


ビューティ「あ……。爆風で、目の前にノートが……」

ポップ(デコル)「……! こ、これは……! ビューティ殿! 開いたノートのページを見るでござる!」

ビューティ「え……、ページ、ですか……?」


ペラッ


ビューティ「…… "永田 あゆむ"」

ビューティ「…… "望月 きらら"」

ビューティ「…… "江島 とおる"」

ビューティ「…… "真崎 かなこ"」

ビューティ「他にも、まだ名前が書いてあります……」


ビューティ「そういえば、この人達の名前、確か――」


ゆかり(回想)『はい。同じクラスの永田くんという人からのお願いで……』

ゆかり(回想)『同じクラスの望月さんもファッション誌を、江島くんも音楽プレーヤーを取られてしまったみたいなんです……』


ビューティ「副会長に、私物を取られてしまった生徒の皆さんの名前……。では、これはもしかして……」


ビューティ「署名、なのですか……? 副会長に意見を伝えるための……」


ビューティ「その署名を集めるための運動を、ゆかりさんとマティさん、おふたりがしていてくれたのですか……?」


ヴェール「……はい……」

ヴェール「……実は、わたし達、聞いちゃったんです……。れいかセンパイが、副会長さんのことがうまくいかなくて、悩んでいるのを……」

ヴェール「れいかセンパイは、わたし達のためにツラい思いをしても、ガンバってくれてる、って……」


ヴェール「でも、いつもキレイな笑顔を見せてくれるれいかセンパイがツラそうにしてるのは……、なんだか……なんだか、とってもイヤで……!」

ヴェール「だから、わたし達も見てるだけじゃなくって……、れいかセンパイのこと、助けたかったんです……!」

ポップ(デコル)「では、そのために、このノートをそんなにガンバって守ろうと……?」

ヴェール「……わたしは、それくらいしかできないから……。みなさんみたいに、悪い人をやっつけることは、できないから……」


ヴェール「……でも、わたし、決めたんです。自分にやれることがあるなら、できるだけガンバってみよう、って……!」

ヴェール「こんなわたしにも、できることがあるなら……!」


ヴェール「れいかセンパイにも、クラスのみんなにも……、元気になってほしいから……! そのために、ガンバりたいんです……っ!」


ビューティ「……!」


ハッピー「ヴェール……、ビューティとおんなじようなこと言ってる……」

ペラッ


ビューティ「……このノート、まだ続きがあります……」


ビューティ「…… "ぼくは、将棋がとても上手になって、将来プロになりたいです  永田 あゆむ"」

ビューティ「…… "今からファッションを勉強して、ファッションデザイナーになりたいんです  望月 きらら"」

ビューティ「…… "音楽で将来必ずビッグになる!  江島 とおる"」


ビューティ「これは……。皆さんがそれぞれのものを持っていた……理由……?」

ビューティ「では、ここに書かれているのは……、皆さんのやりたいこと……、……皆さんの……夢……!」

ヴェール「ちゃんと理由を聞いてもらえれば……、返してくれるんじゃないかと思って……、それで、書いてもらったんです……!」


ドガァァァァァンッ!

ピシィッ!


ヴェール「……!? "ヴェール・カーテン" に、ヒビが……!」

マティ「こ、このままでは割れてしまいます……!」


オーレン「よく粘るが、もう一息というところだな。それでは、トドメといこう」

アキラメーナ(ロボット玩具型)「アガァァァッ……!」パァァァッ…!


ピース「ア、アキラメーナの胸が光った……! また "ロボッター・アーク" が来るよ……!」

サニー「さっきの光線かいな……!?」

マーチ「今あんなの受けたら……、いくらヴェールの盾でももうもたない……!」

ハッピー「ヴェール……! ビューティ……!」


ビューティ「…………」

ビューティ(……このノートに書かれているのは……、副会長に取り上げられてしまったのは……、生徒の皆さんの夢……)

ビューティ(皆さんは学校で、自分のやりたいことをひたむきにやっていただけだった……!)


ビューティ(それはヴェールも同じ……。皆さんの想いをあんなに一生懸命に守ろうと……)

ビューティ(私のことを、あんなに一生懸命に応援しようとしてくれている……)


ビューティ(……では、私のやるべきことは……、やりたいことは……何……?)

ビューティ(……私のやりたいこと……、それは……!)


ビューティ(皆さんの、未来に向かうための想いを守り、それぞれの "道" を真っ直ぐに行かせてあげること!!)

オーレン「やれ、アキラメーナ」

アキラメーナ(ロボット玩具型)「アキラメーナァッ!」ドバァァァァァッ!

ノーブル「また光線が……!」

ペロー(デコル)「ヴェールが危ないペロっ!」

ハッピー「ヴェールっ!」

ヴェール「……っ!」

ビューティ「……はぁぁぁぁっ!!」


バキバキバキッ!

ドバァァァァァァンッ!


アキラメーナ(ロボット玩具型)「ア、アガッ……!?」

オーレン「これは……。紫の盾を青が凍らせて、さらに巨大な盾に変えただと?」

ピース「すごい……。完全に防いじゃった……!」


ヴェール「はぁっ、はぁっ、……ビューティ……センパイ……」

ビューティ「……ありがとうございます、ヴェール、マティさん。あなた方が助けてくださったおかげで、私は大切なことに気付けました」


ビューティ「私に協力してくれた皆さん……」

ビューティ「このノートに込められた、生徒の皆さんの夢……」

ビューティ「そして、そのノートを懸命に守ろうとしてくれたヴェール……」

ビューティ「皆さんの想い、決してムダにはしませんっ!!」


バァァァァッ!


オーレン「……!? なんだこれは……! 体が、青く輝いて……!?」

ヴェール「あれって……!?」

マティ(デコル)「れいか様の "夢の絵の具" の力を引き出した姿ですわ……!」

ビューティ「……この力は、ポップさんにも負担がかかるはずですね……。大丈夫ですか?」

ポップ(デコル)「言ったでござろう。"何かあったら力を貸す" と」

ポップ(デコル)「大丈夫でござる! 思う存分、ご自分の "道" を進んでくだされ、ビューティ殿!」

ビューティ「……ありがとうございます」


ビューティ「それでは、参ります」


シュバッ


アキラメーナ(ロボット玩具型)「ア、アガッ……!?」

オーレン「何だ? いつの間にアキラメーナの目の前に……!?」


ビューティ「はぁぁぁぁぁっ!」


ドガァァァッ! ドガッ! ドガァァァッ!


アキラメーナ(ロボット玩具型)「アガッ!? アガァァッ!?」

オーレン「拳や蹴りなどの単純な攻撃でオレのアキラメーナが圧倒されている? なぜだ。あれほど大きさの差がありながら、なぜ……!?」


ビューティ「……これが、想いの力です」

ビューティ「オーレン、でしたか。あなたは言いましたね。"想いなどというちっぽけな力は、いくら集まっても無駄だ" と」ドカァッ!

アキラメーナ(ロボット玩具型)「アガァッ!?」


ビューティ「ですが、今私の体からあふれるこの力こそ、その想いの力なのです」ドカァッ!

アキラメーナ(ロボット玩具型)「アガァァッ!?」


ビューティ「皆さんの、それぞれの強い想いが、私にも "その想いを守り、未来へ進ませてあげたい" という、強い想いの力をくれました」ドカァッ!

アキラメーナ(ロボット玩具型)「アガァァッ!?」


ビューティ「ですから、もう一度、改めて言わせていただきます」


ビューティ「私達一人ひとりの想いが集まれば……、できないことはありませんっ!!」


ドガァァァァッ!


アキラメーナ(ロボット玩具型)「アガァァァァッ!?」ドタァァァンッ!


オーレン「オレのアキラメーナが、倒された……!?」


ヴェール「……ビューティセンパイ……、すごい……」

マティ(デコル)「あれが "夢の絵の具" の……、いいえ、ビューティ様の、心の力ですわ」

ヴェール「心の、力……」

アキラメーナ(ロボット玩具型)「ア、アガガッ……!」ガクガクッ

ビューティ「十分にダメージを与えられたようです。皆さん、あと一息、力を貸してください!」

ハッピー「わ、わかった……! んっ、んんんんっ……!」グググッ


ハッピー「……キャンディ、行くよっ!」


ポンッ


キャンディ「わかったクル!」

パカッ

キラキラキラキラ


キャンディ「"夢の絵の具" よ……、プリキュアのみんなに、未来に進む力を!!」


ブワァァッ!


6人「6つの夢を、今こそ一つに!!」


6人「未来へ届け! 希望の架け橋!!」


6人「プリキュア!! レインボー・アーチっ!!!」


ブワァァァァァァァァッ!!


アキラメーナ(ロボット玩具型)「アガァァァァッ!?」


6人「ハッピー……エンド!!」


ドガァァァァァァァァァン!!


アキラメーナ(ロボット玩具型)「アガァァァァァ……」シュワァァァァ…

オーレン「オレのアキラメーナがやられた、か」


タポン タポン


オーレン「まあいい。心の絵の具は十分手に入った。目的は果たした」

オーレン「……しかし」


ビューティ(回想)『私達一人ひとりの想いが集まれば……、できないことはありませんっ!!』


オーレン「くだらん。そのようなもの、いずれ必ず砕いてやる。憶えておけ、プリキュア」シュバッ

~ 戦闘後 ~

れいか「ゆかりさん、マティさん、ありがとうございます。私のために、このようなものを用意してくれて……」

マティ「とんでもございませんわ! 元はと言えば、わたくし達がお願いしたこと。お手伝いするのは当然ですわ! ねえ、ゆかりちゃん!」

ゆかり「う、うん……」

れいか「それでも、ありがとうございます」ニコッ

ゆかり「は、はい……!」


みゆき「なるほど、署名か……。その手があったね……」

みゆき「じゃあさ、その署名、みんなで集めようよ! みんなでやれば、もっと多く集まると思うよ!」

やよい「うん! きっとそうだよ! やろうやろう!」

なお「あたしも、サッカー部のみんなに聞いてみるよ!」

あかね「でも、これでなんとかなりそうやな! よかったな、れいか!」

れいか「はい! 皆さんのおかげです! あともう一頑張り、よろしくお願いします!」

みゆき・あかね・やよい・なお・マティ「おーっ!」

ゆかり「お、おー……!」

はるか「(ニコニコ)」


ペロー「はるかさん、なんだかうれしそうだけど、よかったペロ? あのアイデア、はるかさんのものだって言わなくても」

はるか「いいよ。だって、私はちょっとだけみんなの背中を押しただけだもん。頑張ったのは、みんななんだから」

はるか「みんなが自分で頑張って、喜んでくれるなら、私はそれで満足だよ」

ペロー「そうペロか……! わかったペロ! ぼくも何も言わないようにするペロ!」

はるか「ありがと、ペロー君」


ワイワイワイ


はるか(みんな、うれしそう。きっと、頑張るみんなの気持ちが通じ合ったおかげだね)

はるか(よかったね、みんな!)

~ 数日後 七色ヶ丘中学校 生徒会室 ~

生徒会副会長・板野 まさお「…………」ペラッ

れいか「どうでしょうか、副会長。副会長のムリな行いを良く思っていない方の意見が、そのノートに書かれているだけ集まりました」


れいか「副会長の考えも間違っていないと、私は思います。事実、それで先生方は喜ばれているのですから」

れいか「ですが、生徒の皆さんにはそれぞれの想い、それぞれの希望があります。それを汲み、生徒の皆さんのためを考えて行動することはできないでしょうか?」

れいか「私達は、七色ヶ丘中学校 "生徒会" なのですから」

生徒会副会長・板野 まさお「…………」


生徒会副会長・板野 まさお「……わかりました。確かに、僕にも行き過ぎたところがありました。生徒の皆さんから取り上げたものは、全てお返しします」

れいか「……! 本当ですか……!?」

生徒会副会長・板野 まさお「はい。……それでは、私物を預けた先生にお話に行くので、失礼します」

れいか「ありがとうございます、副会長」

生徒会副会長・板野 まさお「…………」


ガラッ ピシャッ

~ 七色ヶ丘中学校 生徒会室前 廊下 ~

生徒会副会長・板野 まさお「…………」


ペラッ


生徒会副会長・板野 まさお(……この署名、5,60人分はある。これだけの人が、ぼくのやったことに不満を感じている、ということか……)

生徒会副会長・板野 まさお(ぼくのやっていることは間違っていないはず……。なのに、どうしてなんだろう……)

生徒会副会長・板野 まさお(どうして、青木生徒会長の周りには人が集まり、ぼくは……)

生徒会副会長・板野 まさお(…………)


生徒会副会長・板野 まさお(……ぼくには、何が足りないんだろう……)

~ 七色ヶ丘中学校 中庭 ~

れいか「あなたが永田さんですね。今回は、生徒会がご迷惑をおかけしました。こちらはお返しします」

1-3 男子生徒・永田 あゆむ「あ、ありがとうございます……! さすが生徒会長……! 助かりました!」

れいか「いえ、お礼でしたら、私よりゆかりさんとマティさんに言ってください」

ゆかり「え……!? わたし達、ですか……?」


あかね「まぁ、そらそやな。ゆかりとマティの署名運動がなかったら、こうもうまくいかへんかったもんな」

やよい「そうだよね。署名を集めるのはわたし達も手伝ったけど、ゆかりちゃん達が始めたおかげだもんね!」

なお「だから、胸を張っていいと思うよ!」

みゆき「うん! ありがとう、ゆかりちゃん、マティちゃん!」

ゆかり「みなさん……」


1-3 男子生徒・永田 あゆむ「そっか……。ありがとう、木下さん、絵原さん」

ゆかり「あ、う、うん……。その……、よかったね」

1-3 男子生徒・永田 あゆむ「うん……!」

れいか「ゆかりさん、今回見せてくれたその優しい気持ち、忘れないでください」

れいか「その気持ちでこれからも他のみなさまのこと、守ってあげてくださいね」


ゆかり「は、はい……! ガ、ガンバります……!」





つづく

次回予告

みゆき「待ちに待った文化祭! わたし達もとっても楽しみ!」

みゆき「でも、ゆかりちゃんはなんだか浮かない顔……。クラスの出し物の実行委員にされちゃったんだって……。"自分にはムリかも" って落ち込んでる……」

みゆき「でも、ガンバればきっとどうにかなるよ! そうだよね、やよいちゃん! みんなで、ゆかりちゃんのことを応援してあげよう!」


みゆき「次回、『スマイルプリキュア レインボー!』 "やよいとゆかりの文化祭! ガンバることの大切さ!"」


みゆき「みんな笑顔でウルトラハッピー!」

今回はここまでです!
お読みいただいた方、ありがとうございました。

それでは、よかったら次回もまたよろしくお願いします!


第1話 ~ 第11話 『スマイルプリキュア!』第2期を SS で作るスレ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360385907/)
第12話 ~ 第20話 『スマイルプリキュア レインボー!』 Part 2 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366529393/)
第21話 ~ 第29話 『スマイルプリキュア レインボー!』 Part 3 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1373151336/)

第30話 >>3 から
第31話 >>104 から
第32話 >>209 から

それでは、前回までにいただいたレスにお返事いたします。


> 乙くださったみなさま

ありがとうございます!
励みにさせていただきます!



> ボーズさん

> マティちゃんが学校に通学している時、一瞬亜久利ちゃんに感じました。

確かに、しゃべり方とかは確かにかぶってるところがありますね。。
ただ、キャラクター性が全然違うので、まあいいかと思って割り切ってます。



> プレゼさん

> レインボーの世界ではドキプリの歴史と言うのは無いものなのでしょうか?

特にないです。

自分個人の考えですが、"『プリキュア』シリーズは全てパラレルで、つながってはいない" と思っていますので、
一応『スマイル』の続編である『レインボー!』と、『ドキドキ!』には関連性はありません。
(『フレッシュ』みたいな、パラレルワールドありきの世界観ならまた話は別ですが。。)

なので、『レインボー!』の世界の一万年前にプリキュアがいた、とか、そういうことはありませんw



> 205 さん

> キュアベール「マーチとビューティが攻撃を受けたのは私の責任だ。だが私は謝らない」

笑いましたw

キュアヴェールと『ドキドキ!』のベールの名前がかぶってるのはわかってたんですが、
"ヴェール" の名前は『スマイル』放送当時からすでに決めていて、それに合わせてイメージも固めてきてたので、
登場前に変えりゃよかったんですが、他にいい名前が思いつきませんでした。。

笑って許してもらえればと思います。

> 206さん

ご新規の方ですか!

結構量あるので、全部読まれるのはタイヘンだったかと思います。
ありがとうございます!

気付けば物語も 2/3 が経過しました。
これからラストに向けて盛り上がっていく予定ですので、よければ、今後ともごひいきに!



> 207さん

> 作る側からすると、ヴェールって↑のエースとかに比べて、どうなるか予想がつかなくて怖いと思うんだけど

そうですねー。
おっしゃるとおり、実際の『プリキュア』シリーズだったら、ヴェールみたいなキャラは出ないと思います。
やっぱりハデな方がいいですもんね。

ただ、こちら『レインボー!』は商業ではないので、
ホントにただの "物語" として、勝手気ままにやらせてもらってる感じです。
バンダイカーン様の圧力もないですしねw

ヴェールに関しては明確な意図や活躍の方針が決まってるので、
今後もやりたいようにやらせてもらえれば、と思います。



お返事は以上です。
それでは、また来週!

test

少し遅くなりました!

『スマイルプリキュア レインボー!』

このあとすぐ!


……と、行きたいのですが、現在最終調整中です。
出来次第あげますので、もうちょっとだけお待ちください。

お待たせしました!

『スマイルプリキュア レインボー!』

今度こそこのあとすぐ!

~ ふしぎ図書館 ~

みゆき・あかね・なお・はるか「えっ!? やよいちゃんが文化祭のパンフレットに漫画を描くの!?」

やよい「……わたし、が……?」

れいか「はい」


れいか「今、生徒会で今度の文化祭に使うパンフレットを作成しているのですが、来てくださる方にわかりやすく文化祭を紹介するページがほしい、ということになりまして」

れいか「それならば、小さなお子様でも読みやすい漫画がいいのではないか、と、私が提案しました」

なお「その漫画をやよいちゃんに描いてもらおうってこと?」

れいか「ええ。生徒会も先生方も、"漫画雑誌で賞を取ったこともある、漫画研究部の部長であればピッタリだ" と、みなさん賛成してくださいました」


はるか「へぇー……! すごいじゃない、やよいちゃん!」

あかね「ほんまやで! 学校に認めてもらった、っちゅーことやもんな!」

みゆき「やったね、やよいちゃん!」


れいか「どうでしょう、やよいさん? できれば、ぜひお願いしたいのですが」

やよい「…………」

やよい「……やる」


やよい「やるよ、やるやる! わたし、絶対やるよ!」

れいか「本当ですか!? ありがとうございます!」


オニニン「でもやよい、いいオニ? 文化祭に漫画研究部で発表する漫画も途中だオニ。時間足りるオニ?」

やよい「ガンバってどうにかするよ! だって、わたしの漫画に期待してくれる人がいるんだもん! こんなにうれしいことないよ!」


やよい「そういうわけだから、任せて、れいかちゃん! パンフレット用の漫画、バッチリ描いてみせるから!」

れいか「頼もしいですね、やよいさん! それでは、よろしくお願いします!」

やよい「うんっ! よぉーし! そうと決まったら、早速どんな漫画にするか考えなきゃ!」


ワイワイワイ


ゆかり「…………」

マティ「ゆかりちゃん、大丈夫ですか? 顔色がよくないですが……」

ゆかり「……マティちゃん。やよいセンパイ、学校から漫画を描いてもらうようお願いされたんだって。すごいね……」

マティ「はい、それはとてもすばらしいことだと思いますが……」


マティ「……ゆかりちゃん、やっぱり "あのこと" が気になっているのですか……?」

ゆかり「…………」

ゆかり(やよいセンパイは、大きなお仕事を頼まれたのに、あんなにはりきってガンバろうとしてる……。……わたしとは大違い……)

ゆかり(わたしも、あんな風にガンバれたらな……)


ゆかり(どうしたらいいんだろう……)




スマイルプリキュア レインボー!

第33話「やよいとゆかりの文化祭! ガンバることの大切さ!」




~ 昨日 七色ヶ丘中学校 1-3教室 ~

1-3 担任教師(回想)『では、今度の文化祭の実行委員を決めようと思う。誰かやりたい者はいるか?』


ザワザワザワ…


1-3 担任教師(回想)『立候補がないなら、推薦でもいいぞ。この人なら、って人がいたら挙げてくれ』


1-3 女子生徒・後藤 りか(回想)『はーい、せんせー! あたし、実行委員は木下さんがいいと思いまーす!』

ゆかり(回想)『え……!?』ビクッ

1-3 女子生徒・宮田 さなえ(回想)『あっ、あたしも賛成ー! 木下さんならぁー、ピッタリだと思います!』

1-3 担任教師(回想)『木下さんか。後藤さんと宮田さんがそこまで言うなら。木下さん、どうだ? やれそうか?』

ゆかり(回想)『あ、あの、わたしは、その……、あの――』

1-3 女子生徒・後藤 りか(回想)『はい、決定! 木下さんも特にイヤがってないみたいだし、いいよね!』

1-3 女子生徒・宮田 さなえ(回想)『木下さんがいいって人、拍手ーっ!』


パチパチパチパチ!


ゆかり(回想)『……!』オロオロ…

マティ(回想)(クラス中から拍手が……!)


マティ(回想)(ゆかりちゃん、困った顔してらっしゃいますわ……、もしかしたら、一人ではやりたくないのでは……!?)

マティ(回想)(それならわたくしも……!)


マティ(回想)『先生! それなら、わたくしもゆかりちゃ――木下さんと一緒にやりますわ!』

1-3 担任教師(回想)『おお、そうか! 一人だと大変だもんな。では二人でやってくれ。頼んだよ、木下さん、絵原さん』

ゆかり(回想)『……はい……』

~ 現在 ふしぎ図書館 ~

マティ「ゆかりちゃん……、もしお仕事がイヤなんでしたら、今からでも先生様に言えばいいのでは……?」

木下「……でも、クラスのみんなが決めたことだし……。反対したら、もめ事になっちゃうよ……。わたしがやらなきゃ……」

マティ「……わかりました。ではわたくしも、精一杯お手伝いいたしますわ!」

木下「……ありがとう、マティちゃん……」

やよい「よし! じゃあ、早く帰って漫画を作るよ! ゴメンね、みんな! 先に帰るね!」

オニニン「また来るオニー!」

みゆき「うんっ! またね、やよいちゃん! ガンバってね!」

やよい「ありがとう、みゆきちゃん! それじゃ!」


パァッ…


なお「……ハリキってたね、やよいちゃん。これならきっとうまくいくよ!」

れいか「ええ、そうね。楽しみに待ってるわ」

ゆかり「あの、すみません……。わたしも今日は帰ります……」

あかね「あれ? なんや、ゆかりもかいな。もーちょっとゆっくりしてったらええのに」

ゆかり「やらなきゃいけないことが……ありますから……」

はるか「そうなんだ。もしかして、ゆかりちゃんも文化祭で何かやるの?」

ゆかり「……ええ、まぁ……」


ゆかり「それでは、失礼します……」ペコ

マティ「わたくしも用がありますので、これで失礼しますわ! みなさま、ごきげんよう! ……では、参りましょう、ゆかりちゃん」

ゆかり「うん……、お願い……」


パァッ…


みゆき・あかね・なお・れいか・はるか「…………」


みゆき「なんだかゆかりちゃん、元気なかったね……。何かあったのかな」

れいか「確かに表情も曇っていましたし……、心配ですね」

なお「今度会ったら聞いてみようよ。力になれるかも」

みゆき「うん、そうだね……」

~ 翌日 放課後 七色ヶ丘中学校 生徒会室 ~

れいか「すみません、みゆきさん、あかねさん。私達の仕事を手伝ってもらうことになってしまって」

みゆき「いいよいいよー! だって、この学校って 3年はクラスの出し物やらないでしょ? 部活動はそれぞれやるみたいだけど、わたしはどこの部にも入ってないから時間あるもん!」

あかね「うちもバレー部引退済みやから、なんぼでも手伝うたるわ! 任しとき!」

れいか「ありがとうございます! それでは、私は事務などの仕事がありますので、校内の飾り付けをお願いします!」

みゆき「うんっ! バッチリやっておくよ!」

~ 七色ヶ丘中学校 校門 ~

みゆき「――で、ここに紙で作った花を添えて、と……、んしょっ……!」

あかね「ふぅ……。大分形になってきたなぁ、文化祭用の校門のアーチ」

みゆき「うん! 来てくれた人が一番初めに見るものだもんね! めいっぱいキレイにしなきゃ!」


みゆき「よぉーし、じゃあ、この花をあの遠いところにくっつけて、っと……! んーーっ……!」

あかね「ちょっ、みゆき、足元気ぃつけてな! うちら、高いところで作業しとるんやから! 落っこちたらタイヘンやで!」

みゆき「へ、へーきへーき……! もうちょっとで届くから……! もうちょっ――」


ズルッ


みゆき「わぁっ!?」

あかね「! みゆきっ!」


パサッ


みゆき「……あ、あぶなかったぁ……。もう少しで落っこちちゃうとこだった……」

あかね「せやからゆーたやん……。危なっかしいなぁ、ほんま……。だいじょうぶかいな?」

みゆき「う、うん。とっさにしがみついたからなんとかなったよ……。花は落ちちゃったけど」

あかね「花が落ちただけで済んだらラッキーやで。無事でよかったわ」

みゆき「でも、花落ちちゃった……。取りに降りなきゃ――」


タタタタタッ


なお「その花ってこれ?」ヒョイッ

みゆき「あっ、なおちゃん!」

なお「サッカー部のランニングしてたらちょうど二人が見えてさ。寄ってみたんだ」

あかね「そういやサッカー部は、文化祭で特別試合やるんやったな。その練習中ってこと?」

なお「うん! 今度来る "村雨中" は次の大会でも勝ち残るはずの強豪だからね! 気合入れなきゃ! みゆきちゃん、はい、これ、落としたお花」

みゆき「拾ってくれたんだね! ありがとう、なおちゃん!」

なお「どういたしまして! ガンバってね、二人とも!」

あかね「なおこそな! 負けたら承知せーへんで!」

なお「わかってるよ! それじゃ、また!」


タタタタタッ…


みゆき「……やよいちゃんも、なおちゃんも、れいかちゃんも、文化祭に向けてガンバってるね。わたし達もガンバらなきゃ!」

あかね「せやな! 裏方やけど、精一杯やって文化祭、成功させよな!」

みゆき「うんっ!」

~ 七色ヶ丘中学校 図書室 ~

ペラッ


マティ「文化祭の出し物に、何かいいものがないかと探しに来たはいいのですけれど……」

ゆかり「なかなか見つからないね……」

マティ「やっぱり、クラスのみなさまが力を合わせてやるようなことがいいと思うのですが……」


ペラッ


マティ「……! ゆかりちゃん! これ、いかがでしょう!?」

ゆかり「えっ? マティちゃんが読んでるそれって、絵の本だよね……? いいのがあったの……?」

マティ「はい! 見てください、このページ! "モザイクアート" というものがあるそうです!」

ゆかり「モザイク……アート……?」

マティ「小さい紙に色をつけて順番通りにたくさん並べることで、遠くから見るとすごく大きな絵に見える、という絵のことだそうですわ!」

ゆかり「あ……、広告とかで見たことあるかも……。そういう名前なんだ……」


ゆかり「でもこれ、すごくタイヘンそう……。いっぱい作業しないとダメだよね、きっと……」

マティ「ですから、みなさまで協力するにはもって来いかと思いまして! 文化祭の出し物にはピッタリなのではないですか?」

ゆかり「そうかもしれないけど……、準備もタイヘンそうだよ……? 小さい紙を貼る大きな元の絵を用意しなきゃいけないみたいだし、どこにどの色を貼るかも決めないといけないみたいだし……」

マティ「準備は全部わたくしがいたします! これでも絵の国の王女、これくらい、お茶の子さいさいですわ! ですから、やってみましょう、ゆかりちゃん! クラスのみなさんとごいっしょに!」

ゆかり「……うん、わかった、やってみる。よろしくね、マティちゃん」

マティ「はい! お任せください!」

~ 翌日 放課後 ふしぎ図書館 ~

やよい「お待たせ、れいかちゃん! 文化祭のパンフレット用の漫画、できたよ!」

れいか「えっ、もうですか!? この間お願いしたばかりなのに……」

やよい「頼まれたから、ガンバっちゃった! ね、みんなもいっしょに見てみてよ!」

はるか「うん、見せて見せて! どれどれ……」


ペラッ


漫画のキャラクター『わたし、七色ヶ丘中学校の妖精・ナナちゃん! わたしが文化祭を紹介するよ! よろしくね!』


みゆき「わっ、このキャラクターカワイイーっ!」

あかね「ほんまやな! めっちゃかわええやん! 何これ、やよいが自分で考えたん?」

やよい「うん! れいかちゃんが "小っちゃい子にも読みやすいように" って言ってたから、こういうカワイイキャラクターがいるといいかなって思って、作ってみたんだ!」

なお「へぇー……! なんだか "ゆるキャラ" ってやつみたいだね」

れいか「ゆる……きゃら……? なお、それは何?」

なお「あ、れいか知らないんだ。あのね、"ゆるキャラ" っていうのは、"ゆるくてカワイイキャラクター" のことだよ」

なお「色んな町とか会社とかが人の目を集めるために作るキャラクターで、今すっごく流行ってるんだ!」

あかね「せや! 今、めっちゃカワイイご当地キャラクターが全国にぎょーさんおんねんで! うちにもグッズいっぱいあるわ!」

みゆき「あかねちゃん、カワイイの大好きだもんね!」

れいか「……つまり、自分達のことをアピールするための可愛いキャラクター、ということね」

なお「そういうこと!」

ペラッ


れいか「――内容、読ませていただきました。とてもわかりやすく紹介できていると思います!」

やよい「! ほんと、れいかちゃん!?」

れいか「はい! こちらでパンフレットを作らせてもらいますね! やよいさん、忙しい中すばらしい作品を描いてくださって、ありがとうございました!」

やよい「えへへ……」

オニニン「やよい、よかったオニ! ガンバったかいがあったオニ!」

やよい「うん!」


やよい「……あれ? そういえば、ゆかりちゃんは?」

はるか「今日はまだ来てないみたいだね。文化祭でやることがあったみたいだし、そっちが忙しいんじゃないかな」

やよい「そうですか……。ゆかりちゃんの感想も聞いてみたかったんだけどな……」

~ 同時刻 七色ヶ丘中学校 1-3教室 ~

ゆかり「――と、いうわけで、1-3 では、このモザイクアートというものをやろうと思います……」

マティ「みなさまにはこの小さな紙に一枚ずつ色を塗って、それをわたくしが用意したこの大きな紙に貼っていただきたいのです!」


1-3 女子生徒・望月「うわぁ……、大きな紙……。教室の壁一面くらいありそう……」

1-3 男子生徒・片桐「木下さん、その小さい紙に色を塗るのって一人どれくらいやるわけ?」

ゆかり「一人、50枚くらいです……」

1-3 男子生徒・内藤「げ……、50枚……!?」

マティ「だいじょうぶです! どなたがどの色を何枚描けばいいかはわたくしが決めてあります! みなさまにはその作業をしていただくだけで結構ですわ!」


1-3 担任教師「うーん、なるほど。大変そうだけど、いいじゃないか! クラスみんなで協力できる、文化祭にふさわしい出し物だな!」

マティ「ありがとうございます!」

ゆかり「みなさん、どうですか……? 協力してもらえますか……?」


クラスメイト達「(ザワザワザワ…)」

1-3 男子生徒・内藤「……ゴメン、おれムリだわ」

ゆかり「え……?」

1-3 男子生徒・内藤「おれ、バスケ部なんだけどさ、文化祭の日って練習試合があって、その日のために練習しないといけないんだよね……」

1-3 男子生徒・内藤「だから 50枚も紙に色を塗るなんてムリだよ。悪いけど、他のみんなでガンバってくれる?」

マティ「そう、ですか……。それではしかたありませんね……」


1-3 女子生徒・真崎「ゴメン、わたしもダメそう……。おうちが花屋だから、その手伝いしなきゃいけなくて……」

ゆかり「え……!?」

1-3 男子生徒・江島「おれも。軽音楽部でバンドの練習しないと……」

ゆかり「ええ……!?」


1-3 担任教師「おいおい、みんな。忙しいのはわかるけど、少しくらい手伝えないか? せっかくの文化祭なんだから」

1-3 男子生徒・内藤「って言われても……。部活の方が大事だし……」


クラスメイト達「(ザワザワザワ…)」


ゆかり「…………」ボーゼン…

1-3 女子生徒・後藤 りか「ふふふっ、狙い通り。困ってる困ってる」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「木下さんを推薦した甲斐があったね、りか」

1-3 女子生徒・後藤 りか「うん。あの子にクラスをまとめられるはずないもん」


ゆかり(回想)『手伝ってあげてよ、マティちゃんのこと。そうじ当番なんだから、みんなでやろうよ』


1-3 女子生徒・後藤 りか「……ナマイキなんだよね、この間のそうじの時に意見したりしてさ……! 今まであたし達の言うこと何でも聞いてたのに」

1-3 女子生徒・後藤 りか「もっと困ればいいんだ……!」

~ 七色ヶ丘中学校 通学路 ~

ゆかり「…………」トボトボ…

マティ「……結局、協力してくれそうな方はあんまりいませんでしたね……」

ゆかり「うん……。これじゃあ、出し物なんてとても……できないよね……」

マティ「…………」


マティ「……で、でも、まだムリと決まったわけではありませんわ! お忙しい方には数を減らして少しでもやってもらって、その分わたくし達がガンバりましょう! ね?」

ゆかり「…………」

ゆかり「……それで、できるかな……。本当に……」

マティ「ゆかりちゃん……?」

ゆかり「マティちゃん……。わたしね、マティちゃんが来るまで、クラスに仲のいい子、全然いなかったんだ……」

ゆかり「今だって、そんなに変わらない……。わたしといつもいっしょにいてくれるのは、マティちゃんくらいだよ……」

ゆかり「そんなわたしがクラスをまとめるなんて……、本当にできるのかな……」


ゆかり「……ムリ……なんじゃ、ないのかな……」

マティ「そんな……」


マティ「ですが、この間、れいか様をお助けする時には、他の方に協力してもらえたじゃないではありませんか! きっと今回だってできますわ!」

ゆかり「あれは……、れいかセンパイのためだって思ったから……、ガンバれたんだと思う……」

ゆかり「でも、今度はなんのためにガンバればいいのかな……。それが、わからないと……」

ゆかり「……ガンバれないよ……、わたし……」

マティ「ゆかりちゃん……」

スタスタスタ


みゆき「おぉーい、ゆかりちゃーん、マティちゃーん!」

ゆかり「……! みゆきセンパイ……、みなさん……」

みゆき「遠くに見えたから、もしかしたらふたりかなー、って思ったら、やっぱりそうだった!」

マティ「みなさまはおそろいでお帰りですか?」

あかね「せやな。ふしぎ図書館でやよいの漫画見せてもろて、その帰りや」

ゆかり「え……!? それって、この間言ってた、パンフレット用の漫画、ですか……? もうできたんですか……?」

れいか「はい。それも、とても可愛らしいキャラクターを使って、わかりやすく仕上げてくださいましたよ」

ゆかり「……そう、なんですか……」


やよい「そうだ! ねぇ、ゆかりちゃん! よかったらわたしの漫画、見てくれないかな? 感想を聞かせてほしいんだけど――……ゆかりちゃん?」

ゆかり「…………」

ゆかり(やよいセンパイ……、もう……漫画、描けたんだ……)

ゆかり(学校から頼まれた大仕事なのに、こんなに早く……。すごいよ……)


ゆかり(それに比べて、わたしは……なんにもできてない……)

ゆかり(クラスみんなをまとめなきゃいけないのに……、まとめるどころか、頼む勇気も出ないで……)


ゆかり(なんだか……、なんだか……、なさけないよ……!)

やよい「――りちゃん? ゆかりちゃん!? どうしたの、だいじょうぶ? なんだか顔が青いけど」

ゆかり「……!(ハッ)」

やよい「……ねぇ、もしかして、何かあったの? わたし達でよければ相談に乗るよ?」

ゆかり「…………」


ゆかり「……ごっ、ごめんなさいっ……!」ダッ

やよい「え!? あ、ゆ、ゆかりちゃん!? どこ行くの!?」


タタタタタッ


ゆかり(相談……できないよ……!)

ゆかり(やよいセンパイはガンバり屋さんだから……、きっと、やよいセンパイにはわたしのことはわからない……!)

ゆかり(ガンバれないわたしが何を言ってもらっても……、きっとなさけない気持ちになっちゃうだけだよ……!)


タタタタタッ…


やよい「……ゆかりちゃん、行っちゃった……」


みゆき「ねぇ、マティちゃん。ゆかりちゃん、そういえばこの前から元気なかったよね。どうかしたの?」

マティ「……みなさまにはお話しておいた方がよさそうですわね……」

マティ「――と、いうわけなのです」

はるか「なるほど、それでほぼムリヤリに文化祭の実行委員にされちゃって」

れいか「けれど、クラスの皆さんをうまくまとめることができず、困っていた、ということですね」

あかね「そらしんどいなぁ……。あの子、そういうのニガテそうやもんな……」


マティ「さっき、ゆかりちゃんも言っていましたわ。クラスをまとめるのは、仲のいい方がいない自分にはムリだ、と」

マティ「どうやってガンバったらいいかもわからない、と……」

マティ「わたくし、それを聞いて何も言葉をかけてあげられませんでした……」

マティ「ゆかりちゃんをガンバらせてあげる方法がわからなくって……、何も言ってあげられませんでした……」

みゆき「マティちゃん……」

はるか「"どうやって頑張ったらいいか" か。……難しいね」

れいか「そうですね……。頑張る理由は人によって違いますから……」

なお「できればなんとかしてあげたいけど……」

あかね「うちらがゆーても、ゆかりが自分でガンバる気持ちを見つけられへんのやったらしゃーないのかもな……」

みゆき「うん……」


やよい「…………」

やよい「……みんな、ゴメン、わたし、先に帰るね」

なお「え? う、うん、だいじょうぶだけど……、何かあったの?」

やよい「うん。やらなきゃいけないことができちゃったんだ。だから、早く帰らなきゃ」

れいか「やらないといけないこと……?」

やよい「とにかく、急がないといけないから! じゃあみんな、またね!」ダッ

みゆき「あ、う、うん」


タタタタタッ…


はるか「……やよいちゃんまで走って行っちゃった……。どうしたのかな?」

あかね「わからんですわ……。ほんま、どないしたんやろ……?」


みゆき「…………」


みゆき(……やよいちゃん、もしかして……)

みゆき「ねぇ、みんな。わたし、思うんだけど、やよいちゃんは、ゆかりちゃんに何かしてあげたいことがあるんじゃないかな」

れいか「してあげたいこと、ですか?」

みゆき「うん」


みゆき「だってみんな、思い出してみてよ。やよいちゃんだって昔は、さ……」

あかね「……あ。なんとなくわかったわ、みゆきの言いたいこと。あと、やよいのやりたいことも」

なお「うん。あたしもわかったような気がするよ」

はるか「え? みんな、どうしたの? やよいちゃん、昔に何かあったの?」

れいか「あとでお話ししますよ、はるかお姉さん」


みゆき「だからわたし、ゆかりちゃんのことはやよいちゃんがなんとかしてくれるって信じたいの」

みゆき「やよいちゃんならきっと、ゆかりちゃんをガンバらせてあげることができると思うから……!」


全員「…………」

マティ「……わかりましたわ。みゆき様がそうおっしゃるのなら、わたくしもやよい様を信じます! やよい様がゆかりちゃんを元気にしてくださる日まで……!」

みゆき「うん……! ありがとう、マティちゃん!」


みゆき「じゃあ、みんな! わたし達はわたし達のやることをやろうよ! ガンバって、文化祭を盛り上げようっ!」

あかね・なお・れいか・マティ「おーっ!」

はるか「みんな、ガンバってね! 私も応援してるから! 手伝えることがあったら何でもするよ!」

みゆき「ありがとうございます、はるかさん!」


みゆき(わたし達は、自分達のことを精一杯ガンバるよ)

みゆき(だからガンバって! やよいちゃん、ゆかりちゃん!)

~ 黄瀬家 やよい自室 ~

オニニン「――えーっ!? 今から漫画研究部で出す漫画の内容を変えるオニ!?」

やよい「わっ、わっ! オニニン、しーっ! ママに見つかっちゃうよ……!」

オニニン「おっと……! スマンオニ……!」


オニニン「……でも、どうするつもりオニ? "学校を襲う悪いヤツと戦う正義のヒーロー" の漫画を描いてたのに……。何を描くオニ?」

やよい「描くことはもう決まってるからだいじょうぶだよ」

オニニン「間に合うオニ……? 今描いてる漫画だって間に合うかどうかわからないのに……」

やよい「……それでもやりたいの。……ううん、やらなくっちゃいけないの」

オニニン「……そこまでしてやよいが描きたいものって何オニ?」

やよい「描きながら話すよ。とにかく急がなくっちゃ! オニニンの言う通り、時間もないもん!」

オニニン「……わかったオニ! おれ様もやよいにとことん付き合うオニ! そうと決まれば急ぐオニ!」

やよい「ありがとう、オニニン!」


やよい「よぉーっし、ガンバるぞーっ!」

~ 翌日 放課後 七色ヶ丘中学校 生徒会室 ~

れいか「それでは倉田くん、文化祭用のパンフレットの印刷を頼んでください。予備もかねて部数は少し多めにしておきましたから、間違えないようにお願いしますね」

生徒会書記・倉田 なおき(2年)「わかりました、会長!」


れいか「寺田さん。来場される方が多くなった時のために、職員用のトイレも解放できれば、と思います。教頭先生にお願いに行ってもらえますか?」

生徒会会計・寺田 るな(2年)「はい! 行ってきます!」


れいか「副会長。来場者の皆さんが迷われないように、案内所をいくつか校内に準備したいと考えています。見取り図に印をつけておきましたが、この配置で問題なさそうでしょうか?」

生徒会副会長・板野 まさお(2年)「…………はい、大丈夫だと思います。これでいきましょう。案内役の生徒はぼくの方で探して、予定も組んでおきます」

れいか「助かります。よろしくお願いしますね」

~ さらに翌日 放課後 七色ヶ丘中学校 サッカー部グラウンド ~

なお「村田さん、パス!」バシッ

サッカー部員・フォワード・村田 ともか「ナイスパスです、キャプテン! 山中さん、センタリング行くよ! 合わせて!」

サッカー部員・フォワード・山中 あきえ「うんっ!」ダッ

サッカー部員・フォワード・村田 ともか「それっ!」ドカッ!

サッカー部員・フォワード・山中 あきえ「たぁぁぁぁぁっ!」バッ


ドカッ!


キーパー「えっ!? ボール捕らないでそのまま蹴った……!?」


バスッ!


サッカー部監督・久保「ゴール! いいぞ、山中! よく決めた!」

サッカー部員・フォワード・山中 あきえ「はぁっ、はぁっ、う、うまくいった……!?」

サッカー部員・フォワード・村田 ともか「ダ、ダイレクトシュート……!? すごい……!」

なお「やったね、山中さん! 大分モノになってきたよ!」

サッカー部員・フォワード・山中 あきえ「ありがとうございます、キャプテン! 練習に付き合ってくれたキャプテンと、センタリングをあげてくれた村田さんのおかげです!」

なお「でも、喜ぶのはまだ早いよ! 本番で使えるようになるまでしっかり練習しよう! ディフェンス陣も遠慮しないで、次は決められないようにガンバって!」


サッカー部員達「はいっ!」

~ さらに翌日 放課後 七色ヶ丘中学校 校庭 ~

ガチャガチャッ


あかね「……ふぅ、できたで! "お好み焼き屋・あかね" 出張屋台! うちの城や! 当日はジャンジャンお好み焼き焼いたんでぇ!」


あかね「おーい、みゆきぃー! そっちはだいじょーぶ――」

みゆき「わっ、わぁっ!?」


ガシャァァァァンッ!


あかね「っ! ――や、ないみたいやな……。無事か、みゆきー!」

みゆき「う、うん、だいじょうぶ……。屋台組もうとしたら崩れちゃって……」

あかね「ったく、しゃーないなぁ……。待ってや! 今そっち行く――」


タタタタッ


クラスメイト・岡田 まゆ「星空さん、だいじょうぶ!?」

みゆき「あ……! 岡田さん、尾ノ後さん、金本さん!」

クラスメイト・金本 ひろこ「青木さんから聞いたんだ! 星空さんとあかね、ふたりで屋台を並べてるって」

クラスメイト・尾ノ後 きよみ「だから、手伝いにきたんだよ! いっしょにやろう?」

みゆき「みんなぁ……!」

スタスタスタ


クラスメイト・豊島 ひでかず「そういうことなら男手もいるだろ? 手伝うよ、星空」

クラスメイト・宗元 しんや「力仕事ならおれ達に任せてよ!」

みゆき「と、豊島くん! 宗元くんも!」

あかね「野川! 木村! あんたらまで手伝いに来てくれたん!?」

クラスメイト・野川 けんじ「まぁな!」

クラスメイト・木村 さとし「女子だけだとタイヘンだろうと思ってさ!」


みゆき「あ、あれ? でもみんな、文化祭はバンドコンサートやるんでしょ? 練習しなくていいの?」

クラスメイト・豊島 ひでかず「だいじょうぶだよ、休憩中だったから。それに……」

みゆき「? それに?」

クラスメイト・豊島 ひでかず「……星空には去年の文化祭で、"みんなで力を合わせることはいいことだ" って教えてもらったからよ……。そのお礼、ってことで、さ」

みゆき「……! 豊島くん……!」

クラスメイト・豊島 ひでかず「さ、とっとと終わらせようぜ! みんなでやったらすぐ終わるだろ!」

みゆき「……うんっ!」


みゆき(みんな、こうやって助けてくれて……、うれしいな。ゆかりちゃんもこんな風に、クラスのみんなとガンバれるようになれればいいな……)

~ さらに翌日 2時限目 七色ヶ丘中学校 3-1教室 ~

3-1 担任・佐々木 なみえ先生「――えー、それではここの和訳を……、黄瀬さん、答えてください」

やよい「…………」ウツラ ウツラ…

3-1 担任・佐々木 なみえ先生「……黄瀬さん? 黄瀬さん!」

やよい「!(ビクッ) あ、は、はいっ! え、ええっと、ええっと……!」ペラッ ペラッ

3-1 担任・佐々木先生「……居眠りしてたのね? 文化祭が近いから漫画研究部の方が忙しいのもわかるけど……、ほどほどにしないとね」

やよい「す、すみませんっ……!」

3-1 担任・佐々木先生「でも、学園祭用に漫画も描いてくれたことだし、今日は大目に見ます。体、壊さないようにね」

やよい「あ、ありがとうございます……!」

みゆき「…………」

みゆき(やよいちゃん、眠そう……。やっぱり、ゆかりちゃんのためにしてることがタイヘンなのかな……?)


3-1 担任・佐々木先生「さて、それじゃあ代わりに……、星空さん! ここの和訳、答えてください」

みゆき「え!? あ、は、はいっ! ええっと……!」ペラッ ペラッ

3-1 担任・佐々木先生「……星空さんは居眠りしてなかったわね? なのに教科書、どこのページかわからないの?」

みゆき「……すみません……、ぼーっとしてました……」

3-1 担任・佐々木先生「……星空さん、宿題、ちょっと多めにしとくわね」

みゆき「えーっ!? そ、そんなぁー……」


クラスメイト達「あははははっ!」

みゆき「はっぷっぷー……」

~ 昼休み 七色ヶ丘中学校 中庭 ~

なお「災難だったね、みゆきちゃん。怒られちゃって」

みゆき「ううん、わたしはいいんだけど……」チラリ


やよい「…………」ウツラ ウツラ…


れいか「やよいさん、とても眠そうですね……。相当ムリをしているのでしょうか……」

オニニン「やよい……、ここのところずーっと、夜遅くまで漫画描いてるオニ……。おれ様もいっしょにやってるから眠いオニ……。ふわぁーぁ……」

あかね「そか……。したら、そっとしというた方がええかな」

なお「そうだね。少しでも休ませてあげよう」

みゆき「ところでマティちゃん、その……、ゆかりちゃんの様子はどう?」

マティ「……変わりありませんわ……」

あかね「っちゅーことは、まだ元気ないままか?」

マティ「はい……。クラスのみなさまの説得に誘ってはいるのですが……、あまり行きたがらないみたいで……」

なお「クラス、まだまとめられてないんだね……」

マティ「その通りですわ……」

れいか「困りましたね……。なんとかゆかりさんを元気づけてあげたいのですが……」


全員「…………」

やよい「……らなきゃ……」


あかね「ん? やよい、何か言うた? 起きたん?」

なお「しっ。あかね、違うみたい」


やよい「……ガンバらなきゃ……。……わたしが、ガンバらなきゃ……。むにゃむにゃ……」


みゆき「……寝言?」

れいか「夢の中でも頑張っているんですね、やよいさん……」


みゆき「だいじょうぶだよ、きっと。やよいちゃん、こんなにガンバってるんだもん。きっとゆかりちゃんを元気にしてくれるよ!」

あかね「せやな! やよいはやる時はやる子やで! せやから、安心して待っとき、マティ」

マティ「わかりました! お願いいたしますわ、やよい様(ボソッ)」


やよい「……むにゃむにゃ……」

~ さらに翌日 黄瀬家 やよい自室 ~

やよい「――で、できたぁーっ!」

オニニン「やったオニ、やよい! 間に合ったオニ! すごいオニ! あとは……」

やよい「うん! あとはこれをゆかりちゃんに見てもらうだけだね!」


やよい(これを見て、ゆかりちゃん、元気になってくれるといいなぁ……)

やよい(ガンバれるように、なれるといいな……)

~ デスペアランド 王宮 玉座の間 ~

ブワァァァァッ…


大臣「闇の絵の具が空に消えていく……。国王陛下、心を食う怪物 "デスペア" の育成は順調のようですな」

デスペア国王「うむ。これまでにもかなり多くの闇の絵の具を与えてきた。そろそろ、次の段階に移ってもいい頃なのだが――」


????『オォォォォ……』


ウィスタリア「……? なんか聞こえる……? オーレン、あんたなんか言った?」

オーレン「オレは何も言っていない」

イエロワ「しかし、確かに何か聞こえるの……」

大臣「……! これは……、もしや……!」


????『オォォォォォォォォォッ……!!』


ガタガタガタガタッ


ウィスタリア「……っ!? す、すごい声……! 城ごと揺れてる……!? 何、今の……!?」


大臣「国王陛下、これは……!」

デスペア国王「……間違いあるまい……!」


デスペア国王「"デスペア" の声だ……! ついに、"デスペア" が声を発するまでに成長したのだ……!!」


怪物・デスペア『オォォォォォォォォォッ……!!』

デスペア国王「ついにここまで来たのだ。この調子で闇の絵の具を与え続ければ、"デスペア" は自ら動けるようになり、リアルランドの人間達の心は食い尽くされるだろう」

デスペア国王「ただし、それにはこれまで以上に闇の絵の具が必要だ。闇の絵描き手達よ、リアルランドに行き、闇の絵の具の材料となる濁った心の絵の具を採取してくるのだ」

イエロワ「かしこまりました、国王陛下。それでは、今回はこのワシが――」

ウィスタリア「あたしが行く!」

イエロワ「――っと……。なんじゃお主は。ワシがしゃべっておるのにジャマするでない――」

ウィスタリア「行くったら行くの!」

イエロワ「……人の話を聞かんか……」


大臣「ふーむ……。今のところ、あなたが一番仕事の成果が良くないんですがねぇ……。それでも行くのですか?」

ウィスタリア「もう決めたの! 今回は絶対あたしが行くから!」

大臣「……仕方ありませんね」

大臣「では、これを授けましょう。持って行きなさい」ヒュッ

ウィスタリア「(パシッ) っと……! 投げてよこしたこれ……、絵の具?」

大臣「私が特別に作った心の絵の具です。もしプリキュアにジャマされることがあったら、それを闇の絵の具と混ぜ合わせて使いなさい」

大臣「"デスペア空間" という、心に直接影響を与える空間を作り出し、そこにプリキュアを閉じ込めることができるでしょう」

ウィスタリア「これ、そんなにすごいの……!?」


デスペア国王「ただし、それを使うからには結果を出すのだ。我が部下に役立たずはいらん。わかっているな」

ウィスタリア「……! ……わかってます。今度こそ絶対にプリキュアもやっつけて、心の絵の具も大量ゲットしてきます!」

オーレン「うまくいけばいいがな」

イエロワ「せいぜい失敗しないことじゃな。ふぇっふぇっふぇ……」

ウィスタリア「うるさい! 見てなさいよ!」シュバッ

ウィスタリア(あたしだってやれるんだから……! 役立たずなんかじゃない……!)

ウィスタリア(今度こそ、それを証明してみせるんだから!)


ウィスタリア(覚悟しなさいよ、プリキュア!)

~ 翌日 昼休み 七色ヶ丘中学校 屋上 ~

ゆかり「…………」モグモグ

ゆかり(文化祭のことでガンバれないから……、なんだかセンパイ達にも、マティちゃんにも会いづらいな……)

ゆかり(こうやって、屋上でひとりでお弁当食べて……)


ゆかり(……なんだか、前に戻っちゃったみたい……。プリキュアじゃなかった頃のわたしに……)

ガチャッ!


やよい「はぁっ、はぁっ、いた、ゆかりちゃん!」

マティ「中庭にいなければ屋上、やよい様の言ったとおりでしたわ!」

ゆかり「……!? や、やよいセンパイ……!?  マティちゃん……!? どうしてここに……!」

やよい「探してたんだよ、ゆかりちゃんのこと」

ゆかり「わたしを、ですか……?」

やよい「うん。どうしてもゆかりちゃんに見てほしいものがあって」ゴソゴソ


スッ


ゆかり「紙の束……。これって、漫画、ですか……?」

やよい「うん。読んでみてくれないかな。ゆかりちゃんに読んでもらうために描いたんだ」

ゆかり「……! わたしの、ために……?」

やよい「(コクリ)」

ゆかり「…………」


ゆかり「……わかりました。読んでみます……」


ペラッ


ゆかり「…………」

やよい「…………」

ゆかり「――読み終わりました……」

やよい「どうだった?」

ゆかり「……最初は引っ込み思案で何もできない女の子が、友達や周りの人に助けてもらって、だんだん色んなことにガンバれるようになっていく……」

ゆかり「とっても、ステキなお話だと思います……」


ゆかり「でも、やよいセンパイ……。どうして、この漫画をわたしのために描いてくれたんですか……?」

やよい「この主人公の女の子がガンバるところを見て、ゆかりちゃんもガンバれるようになったらいいなぁ、って思って描いたんだ」

やよい「どう? 少しでも、元気出た?」

ゆかり「…………」

やよい「あんまり、かな……?」

ゆかり「…………」コクン

ゆかり「……この女の子、最初はわたしみたいだな、って思いました……」

ゆかり「やりたいことが、コワくてなかなかできなくて……。ガンバれずに困って……」


ゆかり「でも、この女の子は違うんですよね……」

ゆかり「イヤなことから逃げ出したくなっても、何とかガンバって、一生懸命前に向かって進んで……」

ゆかり「……わたしは、この主人公の女の子みたいにはなれない、って思ったら……、なんだか、余計落ち込んでしまって……」


ゆかり「この女の子みたいに、ガンバれるようになったからコワくなったり、不安になったりしない」

ゆかり「できないことだらけのわたしは……そんな風に、なれそうもないです……」


マティ「……ゆかりちゃん……」

ピョンッ


オニニン「……そんなことないオニ」

ゆかり「え……?」

オニニン「その女の子は、ガンバれるようになっても、いつだってコワくなったり、不安になったりしてるオニ」

オニニン「それでも負けずにガンバって、ガンバりぬいて……、だから、その最後のページまでたどり着けたんだオニ」

ゆかり「最後の……ページ……」


ペラッ


ゆかり「……笑ってる……。まぶしいくらいに……」


オニニン「……やよい、あのこと、言ってもいいオニ?」

やよい「……うん。ちょっと恥ずかしいけど……、いいよ」

ゆかり「あのこと……? なんですか……?」

オニニン「その漫画の主人公の女の子……、それは、やよい自身なんだオニ」

ゆかり・マティ「えっ……!?」

オニニン「その漫画は、やよいが実際に体験したことをほとんどそのまま描いたお話なんだオニ」


ゆかり「え……、だって……、この漫画の女の子は、最初やりたいことができなくって、うまくいかなくて落ち込んだりして……」

ゆかり「漫画を描くのがとっても上手で、大好きなやよいセンパイとは全然違うじゃないですか……」

やよい「……今は、喜んで人に漫画を見てもらえるようになったけど、前は違ったんだよ」

やよい「そういえば、ゆかりちゃんとマティちゃんには話したことなかったかもしれなかったけど……」

やよい「わたしね、最初は、自分の絵を人に見せるの、すごくイヤだったんだ。なんだか、恥ずかしいし、バカにされちゃうって思ってたから……」

やよい「すぐコワがるし、すぐ泣いちゃう、弱虫だったんだ……」


ゆかり「やよいセンパイが……弱虫だった……?」

マティ「今の元気で明るいやよい様からは信じられませんわ……」

やよい「変われたんだよ。……ううん、変えてくれたの、みんなが。わたしが、好きなことをめいっぱいガンバれるように」

ゆかり「みんな、っていうのは……、他のプリキュアのセンパイ達ですか……?」

やよい「うん」

やよい「例えばその漫画の最初のシーン、女の子のために、クラスの子達がはげましてくれるところ。それは、みゆきちゃんとあかねちゃんのことなんだ」

やよい「わたしの時は、自分の描いた絵を人に見せることだったんだけど……、ふたりが、わたしのことをホメてくれて背中を押してくれたから……、最初の一歩を踏み出せたの」


やよい「あとは、運動会のリレーにムリに出させられるシーン。それも、ホントにあったことなんだよ」

ゆかり「主人公はうまく走れなくってイヤになったり……、そのことでクラスの人にバカにされたりして……、今のわたしみたいだな、って思って読みましたけど……」

ゆかり「やよいセンパイにも、ホントにこんなことがあったんですか……?」

やよい「うん……。クラスの子にバカにされてるのを聞いちゃった時は、ショックだったなぁ……」


やよい「でもね、その時、わたしをはげましてくれたのがなおちゃんだったんだ」

やよい「なおちゃん、"みんなで力を合わせれば、できないことなんて何もない!" って言って、一生懸命ガンバって……」

やよい「そんななおちゃんを見てわたしもガンバろうって思えたから、リレーのバトンを最後まで渡せたし、そんなわたしを、クラスの子も応援してくれるようになったんだ」


やよい「わたしは、そんな風に、なんとか色んなことをガンバってこれたから、今のわたしになれたんだよ」

やよい「弱虫で泣き虫の昔のわたしから、好きなことに一生懸命ガンバれる、今のわたしに」


ゆかり「…………」

やよい「ゆかりちゃんは、文化祭のことがうまくいかなくって、ガンバれなくなっちゃったんだよね?」

ゆかり「…………」コクン

やよい「どうしてガンバるのかわからなくなって、ガンバれなくって……。すごくツラいと思う……」


やよい「でも、ガンバってみようよ! 自分がどうしてガンバるのかわからなくっても、とりあえず目の前のことをガンバってみようよ!」

やよい「そしたら、何か変わるかもしれないよ! ゆかりちゃんだけの、ステキなことが見えてくるかもしれないよ!」

やよい「そうなる前にやめちゃうなんて、もったいないよ!」

ゆかり「……でも、わたしは……」

やよい「だいじょうぶ! 弱虫で泣き虫だったわたしだって変われたんだもん! ゆかりちゃんも変われるよ!」

やよい「ちょっとずつでも、自分にできることをガンバれば、きっとなれるよ! どんなことでもガンバれるゆかりちゃんに!」


やよい「それに、そうすれば、きっと……」

ゆかり「きっと……?」

やよい「うん。ガンバり続ければ、きっと――」

ザッ


ウィスタリア「なんだか知らないけど、ガンバったって結果が出なかったら意味ないけどね!」

やよい・オニニン・ゆかり・マティ「えっ!?」

やよい「デ、デスペアランド!? ここ、学校の屋上だよ!? どうしてこんなところにいるの!?」

ウィスタリア「ここ広いじゃない? だから、高い所に登って上からプリキュア探そうかなー、って思ったんだけど……」

ウィスタリア「こんなところにいるなんてね! しかも二人だけ! これって大チャンスだよね!」

ゆかり「……! じゃあ、またわたし達を襲う気なの……?」

ウィスタリア「気なの! さぁ、いくよ! 今日のあたしはいつもと違うんだから! 覚悟してよね!」


サッ


マティ「……? 懐から絵の具を取り出したのでしょうか……?」

オニニン「……! やよい! あの絵の具、もしかして……!」

やよい「う、うん……! ゆかりちゃん、早く変身しよう! このままじゃ危ないよ!」

ゆかり「え……!? は、はい、わかりました……!」

オニニン・マティ「デコル・チェーンジ!」

パチンッ!

レディ!

やよい・ゆかり「プリキュア! スマイルチャージ!!」

ゴー! ゴーゴー! レッツゴー!!


ピース「ぴかぴかぴかりん♪ じゃん・けん・ポン!(パー) キュアピース!!」

ヴェール「そよそよさざめく、優しい木陰。キュアヴェール!!」

ウィスタリア「こっちも行くよ!」


ウィスタリア「才能の紫 "ダークライラック"! 闇の絵の具と混ざり合え!」


ビャァァッ バチバチバチッ

バチィッ!


ウィスタリア「完成、闇の絵の具・"無能の紫"!」


ウィスタリア「闇の絵の具よ! 闇の絵筆よ! キャンバスに絶望を描き出せ!」


シュババババッ


ウィスタリア「実体を持ってキャンバスから現れよ、アキラメーナ!」


ズズズズズズ…


アキラメーナ(漫画型)「アキラメーナァッ!」


マティ「……! やよい様の漫画をアキラメーナに!」

ピース「やっぱり……! あれって、前にシアンナさん達も使ってた……!」


ピース「ヴェール! 危ないよ! あのアキラメーナから離れて!」

ヴェール「えっ?」


ウィスタリア「もう遅いよ! 取り込んじゃえ、アキラメーナ!」

アキラメーナ(漫画型)「アキラメーナァッ!」


バァァァァァァッ!


ヴェール「……!? 漫画から黒い光が……!」

ピース「アキラメーナに吸い込まれちゃう……!」


ピース・ヴェール「わぁぁぁぁぁっ……」


スゥゥゥゥッ…

~ "無能" のデスペア空間 ~

ヴェール「……ぅ……。……ここは……?」

ウィスタリア「ここはね、あたしのアキラメーナが作ったデスペア空間だよ!」

マティ(デコル)「デスペア……空間……?」

ウィスタリア「そう! ここは――」

ピース「ヴェール、気をつけて! ここにいると、心がイヤな気持ちに変えられちゃって、おかしくなっちゃうよ!」

ウィスタリア「あたしに言わせてよ、もう!」


ウィスタリア「……でも、もう何言っても遅かったみたいだけどね!」ニヤッ


ヴェール「えっ……? な、なに、これ……。力が……抜ける……」ガクッ

マティ(デコル)「ヴェール!? どうしたのですか、ヴェール!」


ウィスタリア「この "無能" のデスペア空間にいるとね、"自分はもう何もできない" って思い込んで、動けなくなるんだ!」

マティ(デコル)「そんな……! それじゃあ、うまくいかなくて悩んでいた今のヴェールには……!」

ウィスタリア「効果バツグン、ってわけだね」


ヴェール「…………」

ピース「ヴェール! しっかりして、ヴェール!」

ウィスタリア「……あれ? そっちの黄色には効かないんだ? なんで?」


ウィスタリア「……まぁ、いいか。一人だけなら動けたって大したことない! 出てきて、アキラメーナ!」


ズズズズズズ…


アキラメーナ(漫画型)「アキラメーナァ……!」


オニニン(デコル)「アキラメーナの中にアキラメーナが出てきたオニ!?」

ウィスタリア「普通のヤツと強さはいっしょだよ! さぁ、アキラメーナ! 動けない紫ごと、黄色をやっちゃって!」

アキラメーナ(漫画型)「アキラメーナァッ!」


ドスンッ! ドスンッ!


オニニン(デコル)「アキラメーナが走ってくるオニ! ピース、ここは……!」

ピース「……うん! わたしが、なんとかしなきゃ……!」

バッ


ピース「やぁぁぁっ! ピース・パァーンチっ!」ブンッ


バシィッ!


ピース「えっ!?」

オニニン(デコル)「ピースのパンチが受け止められちゃったオニ!」

アキラメーナ(漫画型)「アガァ……!」

ウィスタリア「"そんなの効かない" だってさ! アキラメーナ、やっちゃえ!」

アキラメーナ(漫画型)「アキラメーナァッ!」ブンッ!

ピース「ア、アキラメーナのパンチが……!」


ドカァァァァッ!


ピース「わぁぁぁぁっ!?」ドサァァッ

マティ(デコル)「ピース様っ! ……ヴェール! ガンバってください! 今こそ、ヴェールの守りの力でピース様をお守りする時です!」

ヴェール「…………」

マティ(デコル)「ヴェールっ!」


ウィスタリア「ムダムダ! もうその紫は、"自分には何もできない" って思っちゃってるから動けないよ」

マティ(デコル)「そんな……!」


ウィスタリア「黄色もいい加減ガンバるのやめたら? どうせ一人じゃ何にもできないでしょ? 何にもならないでしょ?」

ウィスタリア「いくらガンバったって、結果が出なかったらさ……」


デスペア国王(回想)『結果を出すのだ。我が部下に役立たずはいらん』


ウィスタリア「…………!」ギリッ


ウィスタリア「結果が出せなきゃ、ガンバることの意味なんてないんだよ!」


ピース「…………」

ピース「……じゃあ、よけい……、ガンバらないわけには……いかないよね……っ!」グググッ

ウィスタリア「立った……!?」


ウィスタリア「……なんで……!? ちょっとでも "何もできない" って思ったら動けなくなるこの "無能" のデスペア空間で、何で立てるの!?」

ウィスタリア「ガンバったって、どうせ勝てないんだからムダなのに!」

ピース「それが違う、ってことを……、どんなことでも、ガンバることはムダじゃないってことを……、ヴェールにわかってもらうためだよ!」

ヴェール「……!」

ピース「わたし、ゆかりちゃんのために漫画を描いててわかったんだ。どうして、わたしは漫画を描きたいのか」

ピース「みんなに楽しんでもらう、っていうのもそうなんだけど……、もう一つ、理由があったんだ」


ピース「それは、わたしがガンバることで、漫画を読んでくれる人にもガンバることの大切さを伝えたいから!」


ピース「だって、わたしは知ってるもん……! 小さなことでもガンバれば、ちょっとずつでも前に進める、って……!」

ピース「そうやって、前に進んでいけば……、ガンバり続ければ、きっと……!」

ピース「きっと……!」

ピース「きっと、自分だけの笑顔が見つけられるから!!」


ヴェール「!」

ヴェール(自分だけの……笑顔……)

ピース「だから、うまくいかなくっても、失敗ばっかりでも……!」

ピース「わたしは! ガンバり続けるんだっ!!」


バァァァァッ!


アキラメーナ(漫画型)「ア、アガッ……!?」

ウィスタリア「うわっ……!? な、何これ……! 急に、黄色く光り始めた……!?」


ピース「…………」バァァァ…

ヴェール「あの光……、この間のビューティセンパイとおんなじ……」

ピース「見ててね、ヴェール。ガンバればきっといいことがある、って、わたしが見せるから!」


バッ


ピース「やぁぁぁぁぁっ!」


ドガガガガガッ!


アキラメーナ(漫画型)「アガッ!? ガガガガッ!?」

ウィスタリア「きゅ、急に強くなった……!? もう、なんなの!? アキラメーナ! 相手は一人だよ!? しっかりしなさいよ!」

アキラメーナ(漫画型)「ア、アガッ!」

アキラメーナ(漫画型)「アガァッ!」シュバッ


オニニン(デコル)「ピース! あのアキラメーナ、漫画のページを抜いて投げてきたオニ!」

マティ(デコル)「まるで紙のカッター……! 危ないですわ、ピース様!」

ピース「だいじょうぶ! これくらいっ!」バッ


スカッ


ウィスタリア「あーっ、投げた紙よけられちゃったじゃない! 何してんのよ、もう!」

アキラメーナ(漫画型)「アガッ!」

ウィスタリア「え? "よく見ろ" って……」


クルクルッ


ウィスタリア(! あの紙、戻ってくる……! しかも、黄色はそのことに気付いてない!)


ピース「一気に決めるよ、オニニン!」

オニニン(デコル)「おうオニ!」


マティ(デコル)「! 危ないですわ、ピース様! 投げた紙が後ろから、ピース様に向かって戻ってきますっ!」

ピース「えっ!?」


ウィスタリア「もう遅いよ! そのままやられちゃえ!」


ピース「っ!」

パキィィィィンッ!

ガキィィンッ!


ピース「!」

ウィスタリア「黄色の後ろに葉っぱの盾が……! 紙をはじき落としちゃった……!」

ピース「"ヴェール・カーテン" ……。それじゃあ……!」


ヴェール「はぁっ……、はぁっ……!」


ピース「ヴェールっ!」

オニニン(デコル)「手をこっちに向けて……! ヴェールが守ってくれたオニ!」


ヴェール「……ごめんなさい……、体、全然動かなくって……。これが、せいいっぱいです……」

ヴェール「でも、わたし、これしかできないから……。誰かを、守ってあげることしかできないから……。せめて、それだけでも……ガンバろうと思って……」


ヴェール「わたしも……、自分だけの笑顔、見つけたいから……!」


マティ(デコル)「ヴェール……!」

ピース「……ありがとう!」

ドドォォォォォォンッ!!


ウィスタリア「ひゃっ!? き、黄色に、す、すごい大きいカミナリが落ちた……!?」

ピース「(キッ)」


ピース「プリキュア! ピース・サンダー……ハリケェェーンッ!!」


バリバリバリバリッ!


アキラメーナ(漫画型)「アガァァァァァッ!?」

ウィスタリア「す、すごい光……! まぶしくて、目開けてらんない……!」


ビシィッ! バキバキッ!


ウィスタリア「!? デ、デスペア空間に、ヒビが……!?」


ピース「いっけぇぇぇぇぇぇっ!!」


バリィィィィンッ!

~ 七色ヶ丘中学校 屋上 ~

バリィィィィンッ!


ヴェール「! 外に……出た……!?」

ピース「やったぁっ! やったよ、ヴェール! わたしとヴェール、ふたりでガンバったおかげだね!」

ヴェール「ガンバった……、おかげ……」


アキラメーナ(漫画型)「ア、アガガ……!」

ウィスタリア「アキラメーナ、ひっくり返っちゃってる……! もう戦えないかも……!」


ウィスタリア「……でも、あんた達、今までずっと閉じ込められてたでしょ! その間にきっと、アキラメーナが濁った心の絵の具をたくさん吸い取って――」


絵の具のボトル「(チョロッ)」


ウィスタリア「――ない!? ちょっとしか入ってない……! ウソ、なんで……!?」


ザッ


サニー「残念やったなぁ! そのアキラメーナ、今までうちらがずっと足止めさせてもらってたで!」

ビューティ「この学校の生徒の皆さんの大切な心……、あなた方には渡しませんっ!」


ピース「サニー! ビューティ! みんな!」


ノーブル「遅れてごめんね、ピース! ヴェール! でもふたりなら、なんとかできるって信じてたよ!」

マーチ「アキラメーナ、デスペア空間を破られて動けないみたい! ハッピー! チャンスだよ!」

ハッピー「うんっ! キャンディ!」


ポンッ


キャンディ「任せるクル!」

パカッ

キラキラキラキラ


キャンディ「"夢の絵の具" よ……、プリキュアのみんなに、未来に進む力を!!」


ブワァァッ!


6人「6つの夢を、今こそ一つに!!」


6人「未来へ届け! 希望の架け橋!!」


6人「プリキュア!! レインボー・アーチっ!!!」


ブワァァァァァァァァッ!!


アキラメーナ(漫画型)「アガァァァァッ!?」


6人「ハッピー……エンド!!」


ドガァァァァァァァァァン!!


アキラメーナ(漫画型)「アガァァァァァ……」シュワァァァァ…

ウィスタリア「……また……やられちゃった……」

ウィスタリア「せめて、心の絵の具だけでも採れてればよかったけど……!」


チョロッ


ウィスタリア「全然少ない……! こんなんじゃ帰れないよ……! また怒られるに決まってる……!」

ウィスタリア「……くっ……!」シュバッ

~ 戦闘後 ~

ゆかり「やよいセンパイ、これ……」スッ

やよい「あ、それ、わたしの漫画……。ずっと持っててくれてたの?」

ゆかり「はい……。なくしたらタイヘンだと思って……」


ゆかり「だってこれは……、やよいセンパイのガンバりがたくさん詰まってるから……」

やよい「ゆかりちゃん……」

ゆかり「やよいセンパイ、わたし、ガンバってみます」

ゆかり「うまくいかないかもしれないけど……、何のためにガンバるのかもまだわからないけど……、自分にできることだけでも、せいいっぱいやってみます」


ゆかり「やよいセンパイを見てて、わたしも思いましたから……。……変わりたい、って」


やよい「だいじょうぶ! ゆかりちゃんならきっとできるよ! だってもう、わたし達のことを何度も助けてくれてるんだもん!」

やよい「ゆかりちゃんならガンバれる! 自信を持って!」

ゆかり「……はいっ……!」

はるか「ゆかりちゃん、目の色が違って見えるよ。元気が出たみたいだね」

なお「よかったね、マティちゃん!」

マティ「はいっ! これから、ふたりでいっしょにガンバりますわ!」


あかね「……それにしても、やよいが "自信を持って" なんて……、ゆーようになったなぁ……」

れいか「やよいさんには元々芯の強いところがありましたが……、ゆかりさんのためにそれをハッキリ見せようとしているのでしょう」

みゆき「うん……。なんだか、やよいちゃんが大きく見えるよ……!」


みゆき(ありがとう、やよいちゃん。ゆかりちゃんを元気づけてくれて)

みゆき(ゆかりちゃん。うまくいかないこともあるかもしれないけど……、ガンバってね!)

みゆき(そうしたらきっと、いいことあるから!)

~ 数日後 七色ヶ丘中学校 1-3教室 ~

ペタペタペタ


ゆかり「マティちゃん、赤の色の紙、あと何枚塗ればいいのかな……?」

マティ「あと 32枚ですわ!」

ゆかり「さ……! まだそんなに……!? ……でも、やるよ」

マティ「はいっ! わたくしもお手伝いします! ガンバってください!」

ゆかり「うん、ガンバる……!」


ゆかり(そうだ、ガンバろう。クラスのみんなが手伝ってくれなくても、わたしにできることを、少しずつでもせいいっぱい)

ゆかり(そうすれば何か変わるかもしれないから……!)


ペタペタペタ


1-3 男子生徒・片桐「……なぁ、木下さんと絵原さん、ここんとこずーっとああして、ふたりだけでやってるよな……」

1-3 男子生徒・内藤「うん……」

1-3 男子生徒・片桐「おれ達、部活で忙しいけどさ……、なんもしなくていいのかな……」

1-3 男子生徒・内藤「そうだよな……」


1-3 女子生徒・真崎「…………」

スタスタスタ


1-3 女子生徒・真崎「ゴメンっ、木下さん! 絵原さん! わたしも手伝うよ! 何すればいい!?」

ゆかり「えっ!? ま、真崎さん……!?」

マティ「よろしいのですか? 確か、おうちのお花屋さんのお手伝いで忙しいと……」

1-3 女子生徒・真崎「……そう、だったんだけどさ」


1-3 女子生徒・真崎「ふたりとも、ここのところ、ずっと遅くまで残ってやってるよね。それ見たら、忙しくってもまだガンバれるんじゃないか、って思ったんだ」

1-3 女子生徒・真崎「……それに、ふたりにはれいか様に紹介してもらったしね! そのお礼もしたいの!」

ゆかり「……真崎さん……!」

スタスタスタ


1-3 男子生徒・永田「ぼくも手伝うよ……!」

ゆかり「永田くん……」

1-3 男子生徒・永田「ゴメン……、クラスのみんなが何もしないのに、ぼくだけ手伝うのがなんだか……恥ずかしかったんだ……」


1-3 男子生徒・永田「でも、木下さんと絵原さんには、この間、生徒会の人からぼくの将棋の本、取り返してもらったよね」

1-3 男子生徒・永田「だから、今度はぼくがふたりを助けてあげたいんだ……!」

マティ「ありがとうございます! 永田様!」


スタスタスタ


1-3 男子生徒・江島「じゃあ、おれもやらないとダメだよな……。木下達には音楽プレーヤー取り返してもらったし」

1-3 女子生徒・望月「わたしもやるよ。ファッション誌、返してもらったもんね」

ゆかり「江島くん……、望月さん……!」

ゾロゾロゾロ


1-3 男子生徒・片桐「木下さんと絵原さん、おれ達もやるよ」

ゆかり「いいの……? みんな、事情があるんじゃ……」

1-3 男子生徒・内藤「いや、なんかさ……、おれ達、何もしてなくて申し訳ないな、って思っちゃって……。ふたりが、ガンバってるのを見たら、さ……」


1-3 男子生徒A「内藤の言う通りだよ……。ぼくもやる」

1-3 女子生徒A「今まで手伝えなくってゴメンね、木下さん、絵原さん……!」


ワイワイワイ


ゆかり「…………」ポカーン


マティ「ゆかりちゃん……。クラスのみなさまが……、やる気になってくださいました……!」

ゆかり「……うん……」

マティ「ゆかりちゃんがガンバる姿をみなさまにお見せしたからですわ!」

ゆかり「そう……なのかな……」

1-3 女子生徒・真崎「それで、何したらいいんだっけ」

1-3 男子生徒・片桐「何でも言ってよ、手伝うからさ」

マティ「わかりましたわ! もう一度、最初からご説明します!」


マティ「でも、その前に……、ゆかりちゃん、一言お願いしますわ」

ゆかり「えっ!? な、なにそれ……、なに言えばいいの……!?」

マティ「実行委員はゆかりちゃんなのですから! みなさまをまとめる言葉を、ビシッとお願いいたします!」

ゆかり「え……あ……、えっと……」


1-3 クラスメイト達「(ジーーーーーッ…)」


ゆかり「…………」

ゆかり「……そ、それじゃ……」

ゆかり「みんなで力を合わせて、がんばろうっ」


1-3 クラスメイト達「おぉーっ!」


ゆかり「……!」


マティ「クラスのみなさまが一つになりました! お見事ですわ、ゆかりちゃん!」

ゆかり「あ、ありがとう……」

ワイワイワイ


ゆかり「…………」


ゆかり(わたしの周りにクラスのみんながこんなに集まって……)

ゆかり(こんなこと……、今までなかったよ……)


やよい(回想)『ガンバれば、ゆかりちゃんだけの、ステキなことが見えてくるかもしれないよ!』


ゆかり(やよいセンパイが言ってたのって……、こういうことなのかな……)

1-3 女子生徒・後藤・宮田「…………」ポツーン…


1-3 女子生徒・後藤 りか「……ちょっと何あれ……! なんであーなんの……!?」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「……ね、ねぇ、りか……。あたし達も、手伝った方がいいんじゃないかな……」

1-3 女子生徒・後藤 りか「はぁ!? なんでよ!? 木下さん、ナマイキだからいっしょにイタイ目見せよう、って言ったじゃない!」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「で、でも……、クラスのみんなも手伝ってるし、あたし達だけやらない、ってのも……」

1-3 女子生徒・後藤 りか「……っ!」ギリギリ


1-3 女子生徒・後藤 りか「……ジョーダンじゃない! あたし、木下さんの手伝いなんか、絶対しないから!」スタスタスタ…

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「あっ、ま、待ってよ、りか!」スタスタスタ…

~ 文化祭当日 七色ヶ丘中学校 1-3教室前廊下 ~

スタスタスタ


みゆき「ゆかりちゃんとマティちゃん達、うまくいったかなぁ?」

はるか「きっと大丈夫だよ、あのふたりなら」

れいか「そうですね。とても頑張ってましたから」

なお「モザイクアート、っていうのを作ったんだっけ。どんなだろう、見るのが楽しみだよ!」

あかね「おっ、1-3、ここやな。ドア、開けんで」


ガラッ

~ 七色ヶ丘中学校 1-3教室 ~

やよい「……わぁっ……!」


はるか「壁一面に、すごく大きな絵が貼ってある……!」

れいか「青い空にかかる、大きな虹……!」

なお「すごいキレイ……!」

あかね「……うわっ、これ、遠くで見ると絵に見えるけど、近くで見るとほんまにちっちゃい紙が集まってできとるで! 作るのタイヘンやったやろなぁ……!」

みゆき「すごい……、すごいよ、ゆかりちゃん、マティちゃん……!」

スタスタスタ


ゆかり「みなさん……! 来てくれたんですね……」

マティ「ありがとうございますわ!」

やよい「ゆかりちゃん、マティちゃん! これ、本当にすごいね! みんなでやったの?」

ゆかり「はい……。クラスのみんなも手伝ってくれて……」


ゆかり「……やよいセンパイの言ったとおりでした」

ゆかり「今まで、クラスのみんながわたしを気にしてくれることなんてなかったのに……、自分にできることをガンバったおかげで、みんなが手伝ってくれました……!」

ゆかり「やよいセンパイが、ガンバることの大切さを教えてくれたおかげです……!」


やよい「ゆかりちゃん……!」

やよい「やったね、ゆかりちゃん! これからも、いろんなことをガンバっていこうね!」ピース


ゆかり「はい……! ありがとうございました、やよいセンパイ……!」





つづく

次回予告

みゆき「文化祭でガンバったおかげで、クラスをまとめられたゆかりちゃん! クラスのみんなとも仲よくなれたみたい!」

みゆき「でも、どうしても仲よくしてくれない子がいるんだって……。それは、ゆかりちゃんにゴミ運びをやらせてたあの子達……」

みゆき「でもだいじょうぶ! 友達思いのあかねちゃんなら、きっとなんとかしてくれるよ! だから、ガンバって、ゆかりちゃん!」


みゆき「次回、『スマイルプリキュア レインボー!』 "あかねの熱血指導! 友情のお好み焼き!"」


みゆき「みんな笑顔でウルトラハッピー!」

今回はここまでです!
お読みいただいた方、ありがとうございました。

それでは、よかったら次回もまたよろしくお願いします!


第1話 ~ 第11話 『スマイルプリキュア!』第2期を SS で作るスレ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360385907/)
第12話 ~ 第20話 『スマイルプリキュア レインボー!』 Part 2 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366529393/)
第21話 ~ 第29話 『スマイルプリキュア レインボー!』 Part 3 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1373151336/)

第30話 >>3 から
第31話 >>104 から
第32話 >>209 から
第33話 >>301 から

それでは、前回までいただいたレスにお返事させていただきます!


> 乙くださったみなさま
ありがとうございます!
今後ともよろしくお願いします!


> ボーズさん

> やっとコメが盛り返してきましたがやはり第1章、第2章に比べれば少ないです

そうでしたっけ。。
Part2, 3 あたりは 1, 2レスくらいしかない回がほとんどだったような気が。。

まあ、あまり気にせず引き続きガンバります!


> プレゼさん

> はるかとゆかりは学年や学校が異なるからか原作のスマイルメンバー五人と妖精たちの中にまだ少し溶け込めていないようなかんじがしますね。

これは意図があるにはあるんですが、、
その辺りのお話は後ほど機会があったらおいおい。。


> 296さん

> なんか現行のドキドキと同じくらい次が楽しみだよ

身に余る光栄……! ありがとうございます!

だんだんと盛り上げていく予定なので、
引き続きよろしくお願いします!

> 297さん

> 中学時代に生徒会に所属してた身としては板野君がかわいそう(意識とかに問題はあると思うけど)な回だった。

なんと、、実際に生徒会を経験された方なんですね。
イヤな思いをされてしまったならスミマセン。

ただ、ネタばらしになってしまうので多くは言えないんですが、
『レインボー!』に登場する普通の人達は決して悪いことにはならない、、ようにするつもりです。

副会長・板野くんの今後についても考えてあるので、以降の展開をお待ちください。



お返事は以上です!
それではまた来週!

たびたびスミマセン……!

今日の『スマイルプリキュア レインボー!』ですが、
仕事やらなんやらあって、まだ完成しておりません。。

今日中に完成させてアップする予定なので、しばらくお待ちください。。

スミマセン! 丸一日お待たせしました!

『スマイルプリキュア レインボー!』

このあとすぐ!

~ 放課後 お好み焼き屋 "あかね" ~

ジュージュー…


あかね「――ほいっ、できたで! 食べや!」

みゆき「いただきまーすっ! (モグモグ) ……うぅーん、やっぱりあかねちゃんのお好み焼きはおいしーいっ!」

ゆかり「本当に……おいしいです……!」

マティ「そうですわね! なんだか、食べただけで笑顔になってしまいますわ……!」

あかね「せやろせやろ! 何てったって、そのお好み焼き一枚一枚には、うちのみんなへの気持ちがこもっとるからな!」

ゆかり「わたし達への気持ち、ですか……?」

あかね「せや」

あかね「そのお好み焼きな、実は一人ひとり、みんなちょっとずつ味ちゃうねん」

はるか「え、そうなの!? 気付かなかった……。れいかちゃん、ちょっと一口もらっていい?」

れいか「はい、どうぞ。それでは、私もなおのをもらってみようかしら。いい、なお?」

なお「もちろん! じゃ、あたしはやよいちゃんのをもらってもいいかな?」

やよい「どうぞどうぞ! それじゃあ、わたしははるかさんのをいただきますね」


やよい・なお・れいか・はるか「…………」モグモグ


はるか「……ほんとだ……! 確かに私のとれいかちゃんの、味が違うね……!」

あかね「みんなの好みに合わせて、ちょっとずつ変えてあるんですわ。お好み焼き作るからには、やっぱり喜んでもらいたいですから」


あかね「普段のお客さんに作る時もそや。人によって味付けとか、焼き加減とか、好みもみーんなちゃうからな。その人に合わせて作っとるんや。それがうちの、お好み焼きへの気持ちのこめ方やねん!」

あかね「せっかく食べに来てくれとるんやから、うちにしか作れへんスペシャルなもんでめいっぱい喜んでもらいたいんや!」


あかね「言うてみればお好み焼きは、うちから食べてもらう人への "世界でたった一つの贈り物" っちゅーとこやな!」

ゆかり「……!」


なお「料理が贈り物かぁ……。お好み焼きで人を元気にしたい、あかねらしい考え方だね」

あかね「にししっ。こうやって言うのはちーとテレくさいけどもなー」


ゆかり「…………」

ゆかり(世界でたった一つの、気持ちがこもった贈り物……)

ゆかり「……あの、あかねセンパイ、おねがいがあるんですけど、いいですか……?」

あかね「ん? なんやゆかり、おかわりか? 遠慮せず言い! どんどん焼いたるわ!」

ゆかり「あ、違うんです……! わたしが食べたいわけじゃなくて……、その……」

あかね「……? せやったら何?」


ゆかり「…………」

ゆかり「……わたしに、お好み焼きの作り方を教えてほしいんです」


あかね「へ?」




スマイルプリキュア レインボー!

第34話「あかねの熱血指導! 友情のお好み焼き!」




あかね「ゆかり、お好み焼きの作り方教えてほしい、って……、またなんで?」

ゆかり「さっき、あかねセンパイ、お好み焼きのこと、"気持ちをこめた贈り物" って言ってましたよね……」

あかね「ん、言うたけども……。それがどしたん?」


ゆかり「……実は、わたし、気持ちを伝えたい人がいるんです……。もしかしたら、お好み焼きだったらそれができるかな、って思って……」

みゆき「気持ちを伝えたい人……?」

やよい「そ、それってまさか……! あ、あ、愛の告白とか!?」キラキラ

なお「はいはい、やよいちゃん、目輝かせない。そういう感じじゃないみたいだよ」

れいか「そうなのですか、ゆかりさん?」

ゆかり「…………(コクン) 相手の人は、同じクラスの女の子達です……」

はるか「"達"? 一人じゃないんだ」


マティ「……! ゆかりちゃん、もしかして、あのお二人に贈るつもりなのでしょうか……?」

ゆかり「……うん……」

みゆき「あの二人? わたし達も知ってる子?」

ゆかり「はい……」

ゆかり「贈りたいのは、後藤さんと宮田さん……――わたしやマティちゃんにゴミを運ばせたりしてた、あの人達です……」

みゆき「えっ……!?」

はるか「ゴメン、私よく知らないんだけど……、もしかしていつだったか聞いた、ゆかりちゃん達を困らせてた子達のこと?」

なお「そう、みたいです……」


あかね「でも、なんであの二人に贈り物したいん? イヤなことさせられとったのに……」

マティ「ゆかりちゃん、それは、この間の "あのこと" があったからでしょうか?」

ゆかり「うん……」

れいか「あのこと……? またあのお二人と何かあったのですか?」

マティ「実は、この間、ゆかりちゃんが見事に文化祭の実行委員を務めてからというもの、ゆかりちゃんはすっかりクラスの人気者になったのです」

みゆき「えっ!? そうなの!?」

ゆかり「それで、クラスのみんながわたしのこと、いっしょにどこかに遊びに行こう、って誘ってくれたりするようになったんです……」

なお「へぇ、そうなんだ……! よかったじゃない! やったね、ゆかりちゃん!」


やよい「でも、それとあの子達へプレゼントしたいことと、どういう関係があるの?」

はるか「そうだよね。クラスのみんなと仲よくなれたんなら、その子達ともなれたんじゃないの?」

ゆかり「……それが――」

~ 数日前 放課後 七色ヶ丘中学校 1-3教室 ~

1-3 女子生徒A(回想)『ねぇねぇ、木下さん! よかったら今度の日曜日、いっしょにお買い物に行かない?』

ゆかり(回想)『え……? わたしと……?』

1-3 女子生徒B(回想)『うん! あたし、すっごいカワイイアクセサリ売ってるところ、知ってるんだ! 見に行こうよ!』

ゆかり(回想)『い、いいけど……、わたし、いっしょに行ってもいいの……?』

1-3 女子生徒A(回想)『当たり前じゃない! こっちから誘ってるんだからさ! 絵原さんもいっしょにどう?』

マティ(回想)『ありがとうございます! ぜひ、ごいっしょさせてくださいませ! 楽しみですわね、ゆかりちゃん!』

ゆかり(回想)『う、うん……』

タタタッ


1-3 女子生徒・後藤 りか(回想)『……ちょっと待ってよ! 今度の日曜って……、あたし達と買い物行く予定だったよね!?』

1-3 女子生徒・宮田 さなえ(回想)『そうだよ! 約束したよね?』

1-3 女子生徒A(回想)『え、約束……? …………あ……! ゴ、ゴメン、そうだった! 約束したの、大分前だったから忘れちゃってた……!』

1-3 女子生徒・後藤 りか(回想)『何それ……、信じらんない!』

1-3 女子生徒B(回想)『ほんとにゴメン……。文化祭とかあって忙しかったから、つい――』

1-3 女子生徒・後藤 りか(回想)『……もういいよ! そんなに木下さん達と行きたければ、勝手に行けば? 行こ、さなえ』

1-3 女子生徒・宮田 さなえ(回想)『うん』


スタスタスタ…


1-3 女子生徒A(回想)『……行っちゃった……。約束、すっかり忘れてた……。悪いことしちゃったな……』

1-3 女子生徒B(回想)『でも、あんなに怒らなくってもいいよね……。謝ったのに……』


ゆかり・マティ(回想)『…………』

~ 現在 お好み焼き屋 "あかね" ~

マティ「そのことがあってからというもの、後藤様・宮田様はどんどん機嫌を悪くされてしまいました……」

ゆかり「元々、わたし達を誘ってくれた人たちと後藤さん達は、よくいっしょに遊びに行ってたみたいなんですけど……、後藤さん達が怒っちゃったから、最近はあまり遊んでないみたいなんです……」

マティ「それどころか、他のクラスの方まで近寄りづらい雰囲気になってしまって……。このところずっと二人だけでいるみたいですわ……」


あかね「……なるほどなー。その子達のちょっとした間違いで、ヘソ曲げてもーたんやな。ほんで、ずーっと怒っとるもんやから、クラスからも浮いてもーた、と」

ゆかり「はい……」


ゆかり「……わたし、そのことがずっと気になってたんです……。わたしのせいで、あの二人がみんなと仲よくできなくなっちゃったんじゃないか、って……」

なお「でも、間違えちゃったのはゆかりちゃん達を誘ってくれた子達でしょ? ゆかりちゃんが気にすることないんじゃないかな」

ゆかり「そうかもしれませんけど……、でも、どうしても気になっちゃって……」


ゆかり「……それでわたし、考えてたんです」

ゆかり「わたしが後藤さん達の機嫌を直してあげられれば、もしかしたら元通り、みんなで仲よくできるんじゃないかな、って」

みゆき「……だから、あの二人にお好み焼きをプレゼントしようと思ったの?」

ゆかり「はい……。さっきあかねセンパイがお好み焼きのこと "世界でたった一つの、気持ちがこもった贈り物" って言ってたのを聞いて……」

ゆかり「わたしの気持ち、せいいっぱい込めたら喜んでもらえるかもって思ったんです……」

やよい「でも、できるかな……。あの子達、元々ゆかりちゃん達と仲よくなかったんだよね……? ゆかりちゃん、あの子達のことはニガテなんじゃ……」

ゆかり「……やよいセンパイの言う通り、ホントはまだ後藤さん達のことはニガテです……。にらまれると、コワくなっちゃって……」


ゆかり「でも、せっかく、この間の文化祭でクラスのみんなが仲よくなれたと思ったのに、あの二人だけ……仲間はずれになっちゃったようで……。それが、なんだかイヤで……」

ゆかり「できれば、みんなが仲よくなれたらいいな、って……、そう思うんです」

みゆき「ゆかりちゃん……」


あかね「……ゆかりの気持ち、わかるで。うちもゆかりといっしょや」


あかね「うちな、クラスでも冗談言うたり、おもろいこと言うてみんなを笑わせたり、ようするんや。それは、うちの周りのみんなにはいつも明るく、元気な笑顔でおってほしいからや」

あかね「暗ーく落ち込んだり、怒ってピリピリしとる顔は、やっぱし見たないもんな」

ゆかり「はい……」

あかね「……よっしゃ! そういうことならうちに任しとき! ゆかりにとびっきりのお好み焼きの作り方、教えたる!」

ゆかり「……! ほんとですか……!?」

あかね「おお、ほんまもほんまや! ついでに、その約束忘れてもーてた子らも連れてき! やっぱ、ちゃんと "ごめんなさい" せんとあかんやろしな」

あかね「みんなで楽しい気持ちぎょーさん詰めたお好み焼き作って、あの子らにも元気になってもらおうやないの! なっ!」ニカッ

ゆかり「あかねセンパイ……! ありがとうございます……!」

みゆき「それなら、わたし達も手伝うよ!」

ゆかり「え……?」

はるか「自分がニガテな人にも元気になってほしい……、なかなか思えることじゃないよ」

れいか「ゆかりさんのその優しい願いがかなうよう、私達にもお手伝いさせてください」

なお「大丈夫! みんなで力を合わせれば、きっとあの子達も笑顔になるような、とびっきりのお好み焼きが作れるよ!」

やよい「だから、いっしょにガンバろ! ねっ!」


マティ「もちろん、わたくしもお手伝いいたしますわ!」

マティ「ここまで来たら、クラスのみなさん全員と仲よくなれるよう、ガンバりましょう!」

ゆかり「マティちゃん……、みなさん……!」


ゆかり「よろしく、おねがいしますっ……!」ペコリ


あかね「さてと、ほんじゃ、お好み焼き作る前に、ゆかりの料理の腕前、ちと見せてもらおかな。ウチの店の材料好きに使てええから、お好み焼き作ってみ」

ゆかり「は、はい……、やってみます……!」

~ 数十分後 ~

ゆかり「……ふぅ……、できました……!」

あかね「おっ、できた? じゃあ、見せてもらおかな」

ゆかり「はい、どうぞ……!」


コトッ


あかね「おぉー、これがゆかりの作ったお好み……焼き……?」

ゆかり「どうでしょうか……」

あかね「いや、どう、っちゅーか……。とりあえず、中に入っとるこの黒い四角いの、何?」

ゆかり「チョコレートですけど……」

あかね「…………え? ゴメン、もっかい言うて」

ゆかり「チョコレートです」


全員「…………」


あかね「……な、なんでチョコレート入れようと思たん?」

ゆかり「え……、ダメ、ですか……? おいしいかな、と思って……」


全員「…………」

やよい「ね、ねぇ、ゆかりちゃんってもしかして、あんまり料理しない……?」

ゆかり「あ、はい……。いっつもお母さんが作り置きしてくれるので、自分では全然……」

あかね「なるほどなぁ……。……あんな、ゆかり、普通、お好み焼きにチョコレート入れへんで?」

ゆかり「えっ……!? そ、そうですか……。マティちゃんのアドバイスどおりにしてみたんですけど……」

あかね「……マティは何を言うたんや?」

マティ「はい! "自分の好きなものを入れればおいしくなるのでは" と、アドバイスさせていただきましたわ!」

全員「…………」


なお「あ、あぁ、それでチョコレート入れたんだ……。ゆかりちゃん、チョコレート好きなんだね」

ゆかり「はい……」


あかね(……あかん、あかんわ、このコンビ……)

あかね「……ゆかり、ええか、よーく聞き。ちょいとキビしいこと言うで」


あかね「ハッキリ言って全っ然あかん。うまいへた以前に、料理になっとらんわ」

ゆかり「……! そう……、ですか……」


マティ「……わたくし、余計なことを言ってしまいましたでしょうか……」

はるか「まぁ、マティちゃんはしょうがないよ。別の世界の人なんだし。あんまり落ち込まないで」

あかね「……せやけど、もしゆかりにやる気があるんやったら、うちがちゃんとした料理の仕方を教えたる。一から十まで、全部や」

ゆかり「ほ、ほんとですか……!?」

あかね「やる気があるんやったら、な。まったく料理したことないとこからのスタートやから、ちゃんとしたのができるようになるまでは、毎日猛特訓が必要になる。それをガンバれる覚悟があるんやったら、の話や」

ゆかり「猛特訓……」ゴクリ…

あかね「せやから、改めて聞くで」


あかね「ゆかりは本気で、その後藤さん・宮田さんをお好み焼きで元気にしたいんやな?」

ゆかり「…………」

ゆかり「……はい。わたし、やります」

マティ「ゆかりちゃん……!」


ゆかり「わたし、クラスのみんなと仲よくするなんて、ずっとムリだと思ってました……。幼稚園の時も、小学校の時も、仲のいい子、いませんでしたから……」

ゆかり「でも、仲よくなれたんです。文化祭の時に一生懸命ガンバれたから、ムリだと思ってたこともできたんです」

ゆかり「だから、わたしじゃムリかもしれないけど……、あの二人を元気づけるために、今度もガンバってみたいんです」

ゆかり「やれるだけ、せいいっぱいガンバってみたいんです」


ゆかり「だから……、おねがいします、あかねセンパイ……!」ペコリ


あかね「…………」

あかね「……ゆかりの気持ち、ようわかったわ」


あかね「よし! ほんなら、ゆかりがちゃーんと料理できるように、うちが特訓つけたる! 明日からウチの店来ぃ! さっき言うた通り、約束守れへんかった子らもいっしょにな!」

ゆかり「あかねセンパイ……! ありがとうございます……!」

あかね「お礼を言うのはまだ早いで? これからキビしーい特訓が始まるんや! お礼はそれを乗り越えてからやで! ええな!」

ゆかり「はいっ……!」


はるか「……なんだかゆかりちゃん、いい顔になってきたね」

なお「そうですね。最初の頃に比べて、キリっとしてきたと思います」

れいか「色んなことをガンバって、少しずつ成長しているんですね……」

やよい「よぉーし、それじゃ、わたし達もその特訓に出ようよ! ゆかりちゃん達のこと、応援しよう!」

あかね「お、ほんまか! 人手多いと助かるわ! よろしく頼むで!」

みゆき「うん! 任せてよ、あかねちゃん! ガンバっちゃうんだから!」


あかね「じゃあ、明日から早速特訓開始や! みんな、ハリキって行くでぇっ!」

全員「おぉーっ!」

~ 夜 日野家 あかね自室 ~

あかね「――ふぅっ、今日も一日お仕事ガンバったわぁ……」

ウルルン「おう、おつかれウル」


ウルルン「……それにしても、ゆかり達に話してる時のお前のこと思い出したら、くくくっ、ちょっと笑っちまうウル」

あかね「む。なんや? まーたうちのことバカにしとるんか?」

ウルルン「いや、そうじゃねえウル」

ウルルン「ゆかりに "特訓つける" って言った時のお前が、お前に特訓をつけようとした時のおやっさんにソックリだと思ったウル」

あかね「! うちが、父ちゃんに?」

ウルルン「おうウル。前に似たようなことがあったな、って思い出してたウル」

あかね「……言われてみればそうやな」


あかね「うちは、人を元気づけようとガンバるゆかりを応援したいんや。そんなゆかりを元気にして、ガンバれるようにするためやったら、できるだけのことはしてやりたい、って思とる」

ウルルン「お前を見てる時のおやっさんも、そんな気持ちだったんじゃねえかウル?」

あかね「……そうかもしれへんな」

あかね「よっしゃ! 明日からゆかり達の特訓や! うちもめいっぱいガンバるでぇ!」

ウルルン「その意気ウル! ガンバるウル、あかね!」

あかね「うんっ!」

~ 翌日 お好み焼き屋 "あかね" ~

あかね「ほんじゃ、今日からうちがお好み焼きの作り方を教えたる!」

1-3 女子生徒A「木下さんと絵原さんから話は聞いてます! よろしくお願いします!」

1-3 女子生徒B「わたし達も、後藤さんと宮田さんに謝りたいから……!」

あかね「うんうん、気合入っとるな! じゃあ、早速始めんで!」


ゆかり・マティ・女子生徒達「よろしくお願いします!」

1-3 女子生徒A・B「(トントントンッ)」

あかね「おっ、二人は結構やるやないの! キャベツの千切りもキレイにできとんな!」

1-3 女子生徒A「家庭科の時間で習いましたから」

1-3 女子生徒B「これくらいはできる……、はずなんだけどなぁ……」

あかね「……せやなぁ」


ゆかり「…………」プルプル

あかね「ゆかり、ほんま料理ダメなんやなぁ……。包丁持った手が震えてもーて、危なっかしいわ……」


プツッ


ゆかり「っ!? 痛っ……!」

あかね「あぁ、言うとるそばから……! ゆかり、どっか切ってもーたん!?」

マティ「だ、だいじょうぶですか、ゆかりちゃ――」


ガッ


マティ「あっ、つまずいて……、きゃっ――」


ガシャァァァンッ!


あかね・1-3 女子生徒A・B「っ!」


マティ「あいったたたた……。す、すみません……、転んだ拍子に食器などを崩してしまいましたわ……」

あかね「あ、いやー、ケガがないなら別にええねん。何ともなくてよかったわ」

マティ「申し訳ありませんわ……」


あかね(……前途多難やなぁ……)

あかね「ちゃう! 包丁はしっかり握って、腰入れて、まっすぐ上から落とすんや! 押さえる方の手は指を丸めて、猫の手にするのも忘れたらあかんで! 危ないからな!」

ゆかり「は、はい……!」


マティ「うっ、うぅぅ……、あかね様、ど、どうしたのでしょう……。涙が止まりませんわ……!」

あかね「あー、玉ねぎが目にしみてるんやな……。玉ねぎで目がしみんのは、鼻から玉ねぎの成分が入るからや。口だけで息吸うようにしたら大分ラクになんで」

マティ「はぁっ、はぁっ、……あ、ほんとですわ。涙が収まってきました!」

あかね「涙で見えなくなるから、間違って自分の指切らんよう、気ぃつけや」


あかね「ええか、ゆかり。生地を混ぜる時はな、ちょっとずつ水加えながら、ゆーっくり混ぜるんや。優しく、優しくやで」

ゆかり「は、はい……! で、でもこれ……、ボウル持ってる腕がつ、疲れます……!」

あかね「せや。でも、乱暴にしたら生地があちこちで固まって味が落ちてまう。ガンバった分だけおいしくなると思っとき」

ゆかり「わ、わかりました……!」

ガラッ


みゆき「みんなー! 差し入れ、持ってきたよー!」

あかね「おっ、みんな! ええとこに来たな! よっしゃ、ほなちょっと休憩にしよか」

ゆかり・マティ・1-3 女子生徒A・B「は、はい……」

ゆかり・マティ・1-3 女子生徒A・B「…………」グデーン…

れいか「みなさん、お疲れのようですね……」

なお「そんな時はこれ! スポーツマン愛用のレモンのはちみつ漬け! 疲れが取れるよ!」

はるか「紅茶も持ってきたから、一緒に飲んでね!」

ゆかり「あ、ありがとう……ございます……」


みゆき(小声)「ねぇ、あかねちゃん、みんなずいぶん疲れてるみたいだよ……。だいじょうぶなの?」

あかね(小声)「せやから言ったやんか。"猛特訓する" て」


あかね(小声)「……でもな、見てみ、みゆき。だいじょうぶかどうかはいらん心配みたいやで」

みゆき(小声)「えっ?」

パクッ モグモグ


マティ「……!? な、なんでしょうこれは……! す、すっぱいですわ……!」

なお「マティちゃん、レモン食べるの初めて? だいじょうぶ! 甘くしてあるからそんなにキツくないはずだよ!」

ゆかり「わ、わたしも……!」モグモグモグ

やよい「あっ、ゆ、ゆかりちゃん、そんなにいっぺんにレモン口に入れたら……」

ゆかり「~~~~っ……!」

はるか「あーあー……。くすっ、ゆかりちゃん、口すっごいすぼめて、へんな顔になっちゃってるよ」

ゆかり「で、でも……、これ食べて、ガンバらないと……! だから、ガンバって食べます……!」

マティ「わ、わたくしも、負けてられませんわ……!」モグモグ


ゆかり・マティ「~~~~っ……!」


みゆき「ゆかりちゃん、マティちゃん……!」

あかね「な? 見てのとおり、みんなええ根性しとるわ。これなら、結構早くお好み焼き作れるようになりそうやで」


あかね「せやから、うちらもあの子らのこと信じよ。最後までガンバれる、って。うちも、せいいっぱいみんなのこと上達させたるから」

みゆき「……うん! お願いね、あかねちゃん!」

あかね「任しとき!」

~ 数日後 放課後 七色ヶ丘中学校 1-3教室 ~

1-3 女子生徒・後藤 りか「あぁー、今日も学校終わった終わった! ね、今日はどこ行こうか、さなえ」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「…………」

1-3 女子生徒・後藤 りか「ん? どーしたの、さなえ、元気ないじゃん」


1-3 女子生徒・宮田 さなえ「……りかさ、ここんとこ、ずっとあたし達だけで遊んでるよね……」

1-3 女子生徒・後藤 りか「うん、そうだね。だから何?」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「あのさ……、ちょっと言いにくいんだけど……」


1-3 女子生徒・宮田 さなえ「あたし、たまには他の子とも遊びたいな、って思うんだよね……」

1-3 女子生徒・後藤 りか「……! それって、あの子達のこと?」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「…………」

1-3 女子生徒・後藤 りか「……さなえ、忘れたわけ? 先に約束破ったのは向こうだよ?」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「忘れたわけじゃないけどさぁ……」

1-3 女子生徒・後藤 りか「じゃあ、なんでそんなこと言うわけ? あたしら悪くないのに、こっちから謝ってまで他の子と遊びたいわけ!? わざわざそんなことしなくても、あたし達だけでいいじゃん!」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「りか、あんまり大きな声出さないでよ……! みんな見てるよ……」


1-3 生徒達「…………」ザワザワ


1-3 女子生徒・後藤 りか「…………」


1-3 女子生徒・宮田 さなえ「りかだって気付いてるんでしょ? あたし達、こないだの事からピリピリしすぎて、みんなから浮いちゃってるってさ……」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「……あたし、何だか息苦しくって……。もっとみんなと仲よくしたいよ……」

1-3 女子生徒・後藤 りか「でも、あの子達は木下さん達と遊びたくって、あたし達との約束すっぽかそうとしたんだよ?」

1-3 女子生徒・後藤 りか「なら、木下さんにも "仲よくしてください" ってお願いすんの? 今まで色々押し付けてきた、臆病で、ナマイキなあの子にも? ……あたしはやだよ」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「……でも、そうやって意地張ってたら、ずっとこのままだよ……? りかはこのままでもいいの? 他の子達と仲よくできなくても」


1-3 女子生徒・宮田 さなえ「さみしく、ないの……?」

1-3 女子生徒・後藤 りか「…………」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「ねぇ、おねがい、りか。あたしといっしょにみんなと話をしに行こうよ。あの子達だって謝ってたし、あたし達が "もういいよ" って言えば、元通りになるよ」

1-3 女子生徒・後藤 りか「……あたし、行かない……」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「りか……! いいかげんに――」


1-3 女子生徒・後藤 りか「そんなにみんなといたいんなら、さなえ一人で行けば!? あたしのことなんてほっといてさ!」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「……!」


1-3 生徒達「…………」シーーーン…


1-3 女子生徒・宮田 さなえ「……りか……」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「……ごめん、あたし、今日は一人で帰るね……。今度、また話そ。じゃあ……」


スタスタスタ…


1-3 女子生徒・後藤 りか「…………」

1-3 女子生徒・後藤 りか(……なんなの、さなえまで……! みんな、どんどん離れて行っちゃって……! あたしが悪いの……!?)


1-3 女子生徒・後藤 りか(……木下さんのせいだ……! あの子があたし達に逆らうようになってから、なんだかいろんなことがおかしくなったんだ……!)

1-3 女子生徒・後藤 りか(ずっとあたし達の言うこと聞いてればよかったのに……! 何で急に……!)


1-3 女子生徒・後藤 りか(……あたしは絶対、木下さんみたいな弱虫なんかとは仲よくなんてしないんだから……!)

~ 七色ヶ丘中学校 校門 ~

スタスタスタ


1-3 女子生徒・宮田 さなえ(…………)

1-3 女子生徒・宮田 さなえ(……このまま他の子達と話に行けば、あたしだけでもクラスの中に戻れるよね……)


1-3 女子生徒・宮田 さなえ(でも、そしたら、りかはどうなるの……? あたしまでいなくなったら、りか、一人ぼっちになっちゃうよ……)

1-3 女子生徒・宮田 さなえ(どうしたらいいんだろう……)


スタスタスタ


マティ「さ、ゆかりちゃん! みなさま! 今日もガンバりましょう!」

1-3 女子生徒A・B「おーっ!」

ゆかり「うん……!」


1-3 女子生徒・宮田 さなえ(……! 前を歩いてるのって、あの子達……、それに、木下さんと絵原さん……)

1-3 女子生徒・宮田 さなえ(……もう、すっかり仲よくなったのかな……。あたし達のことも忘れて……)

1-3 女子生徒B「それにしても、ハリキってるね、絵原さん」

マティ「もちろんですわ! わたくし達がガンバれば、クラスが一つになるかもしれないんですもの! ね、ゆかりちゃん!」

ゆかり「そうだね……」


1-3 女子生徒・宮田 さなえ(……? クラスが一つに……? どういうこと? あの子達、何かやってんのかな……)


ゆかり「ガンバって、おいしいお好み焼き作ろう……! それで後藤さんと宮田さんに喜んでもらえたら、きっとみんな、元通り仲よくできるようになると思うから……!」

1-3 女子生徒A「うん! わたし達もあの二人にはちゃんと謝らなきゃいけないし……。ガンバるよ!」

ゆかり「うん……、いっしょにガンバろう……!」


1-3 女子生徒・宮田 さなえ(……!? ……あたし達に、喜んでもらう……? 仲よくできる……? どういうこと……!?)

1-3 女子生徒・宮田 さなえ(よくわかんないけど、あの子達、"ちゃんと謝りたい" って……。そのために何かしようとしてるのかな……)

1-3 女子生徒・宮田 さなえ(あたし達の、ために……?)


1-3 女子生徒・宮田 さなえ(……それなら、あたしも……)

1-3 女子生徒・宮田 さなえ(あたしも……、りかのために何かできないかな……!?)

1-3 女子生徒・宮田 さなえ(…………)


ダッ

タタタタタッ


1-3 女子生徒・宮田 さなえ「木下さん達!」

ゆかり「えっ!? み、宮田、さん……? な、何……かな……」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「……ちょっと相談したいことがあるんだけど……、いい……?」

マティ「相談……? なんでございましょう?」

~ お好み焼き屋 "あかね" ~

ガラッ


ゆかり「こんにちは……」

みゆき「あっ、ゆかりちゃん! こんにちは!」

あかね「来たな! よっしゃ、じゃあ今日も特訓の続きを――って、ありゃ? 一人多くない?」

やよい「ホントだ……。5人いるね」

マティ「そうなのですわ。実は、"お好み焼きを作りたい" という方がもう一人増えまして」


1-3 女子生徒・宮田 さなえ「……こんにちは」

なお「こんにちは。あなたがその新しい子?」

れいか「……あら? どこかでお見かけしたような……」

ゆかり「……クラスメイトの、宮田 さなえさんです」

みゆき達「えっ!?」


あかね「宮田さん、ゆーたら……、ゆかり達がお好み焼きあげたい、言うとった本人やないの……!」

みゆき「……あ、ホントだ……! 前にゆかりちゃんやマティちゃんにゴミを運ばせてた子だ……!」

はるか「そんな子が、またなんで……」


ゆかり「さっき、校門のところで会って、宮田さんからお話を聞いたんです……」

ゆかり「宮田さんはもう約束守ってもらえなかったこと、怒ってないみたいで、みんなと仲直りしたい、って思ってるって……」

みゆき「そうなんだ……! じゃあよかったね!」

マティ「……ですが、もう一人の方の後藤様は、そう思ってはくださっていないようなのです……」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「……りか、"あたしは悪くない" って、すごく意地張っちゃって……。全然仲直りしようとしないんです……」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「このままじゃ、どんどんクラスのみんなから離れていっちゃう……」


1-3 女子生徒・宮田 さなえ「どうしようか悩んでる時に、木下さん達から聞いたんです。"料理であたし達を元気にしようとしてる" って。あたしにもそれ、手伝わせてほしいんです」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「あたしも、りかには元気な笑顔でいてほしいから……」

ゆかり「……宮田さん……」


あかね「…………」

あかね「……宮田さん、やったっけ。あんたの友達を思う気持ちはようわかったわ。ええで。他のみんなといっしょにお好み焼きの焼き方、教えたる」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「ホントですか……!」

あかね「せやけど、今のままやったらダメや。うちが教えるには条件がある」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「……条件……?」


あかね「宮田さん、その後藤さんといっしょになって、ゆかりやマティにそうじ当番押し付けたりしてたそうやないの」

あかね「ゆかり、それがイヤやったんやけど、あんたらがニガテで、ずっとちゃんと言えへんかったんやって」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「……!」

あかね「そういうことしとった宮田さんがゆかり達の力借りたい、思てんのなら、先にやらなあかんこと、あるやろ?」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「…………」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「……木下さん、絵原さん、ごめんなさい」ペコッ

ゆかり「! 宮田さん……」


1-3 女子生徒・宮田 さなえ「あたし達、二人が何も言わないのをいいことに、自分達のイヤなことみんな押し付けてた……」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「自分達がラクしようと思って、二人にツラい思いばっかりさせて……」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「……本当に、ごめんなさい……!」ペコリ

ゆかり・マティ「…………」

ゆかり「……もういいよ、宮田さん」

ゆかり「わたし達、宮田さんと後藤さんを元気にしたくて、お好み焼きの練習してたんだもん……。もう、何とも思ってないよ」

マティ「そうですわ! ですから、顔を上げてくださいませ」

ゆかり「後藤さんを元気にするために、いっしょにガンバろう」


1-3 女子生徒・宮田 さなえ「木下さん……、絵原さん……! ……ありがとう……!」


あかね「……よかったな、ゆかり。これで、一歩前進やな」

ゆかり「はい……!」


あかね「じゃあ、ぼちぼち特訓始めるで! みんなで後藤さんを元気にするために、キバっていこか!」


ゆかり達「はい!」

~ 数日後 七色ヶ丘市 公園 ベンチ ~

ウィスタリア「……はぁ……」


ウィスタリア「どうしよ……。せっかく大臣にもらった新しい力を使ったのに、これじゃあ……」


チョロッ


ウィスタリア「ボトル、心の絵の具が全然入ってない……。"デスペア" っていう怪物を育てるのにたくさん必要なのに……」

ウィスタリア「こんなんじゃ帰れないよ……。せめて、もっと、もっと心の絵の具を集めなきゃ……!」


イエロワ「ふむ、そうじゃのう。それじゃあ、さすがに少なすぎるわ」

ウィスタリア「うわっ!?(ビクッ) イ、イエロワ!? あ、あんた、いつの間に隣に……!?」

イエロワ「じゃから、お主はスキだらけすぎるんじゃ。もうちょっと周りに気を配らんか」

ウィスタリア(……あんたの陰が薄すぎるだけじゃないの……?)


ウィスタリア「……で、何しに来たのよ」

イエロワ「決まっておるじゃろうが。心の絵の具を集めに来たんじゃよ。ふがいないお主に変わってな」

ウィスタリア「……!」

イエロワ「お主はデスペアランドに帰ってきとらんから知らんじゃろうが、今、"デスペア" は大変なことになっとる」


イエロワ「この間、声を出すようになってからというもの、次々に闇の絵の具を要求するようになってな」

イエロワ「その闇の絵の具を作るのに必要な、濁った心の絵の具が全然足らんのじゃ。国王陛下も大臣様も困っておる」


イエロワ「そこで、ワシが集めに来たというわけじゃよ。お主だけに任せておっては全然溜まらんからの」

イエロワ「じゃから、安心して任せて、お主はどっか行っとるがいいわ! ふぇっふぇっふぇ……!」

ウィスタリア「…………」ムカムカ

ウィスタリア(一言多いんだってば……! いちいちイヤミ言わないとしゃべれないの……!?)

ウィスタリア「……でも、そういうことならあたしも行くよ」

イエロワ「んむ? なんじゃ、お主。ワシやオーレンとは組まないのではなかったのかの」

ウィスタリア「心の絵の具、たくさん必要なんでしょ? なら二人で行った方がいっぱい集められるじゃん」

イエロワ「まぁ、それはそうじゃな……。……じゃが、ワシの足だけは引っ張らんようにな」

ウィスタリア「……わかってるよ」

イエロワ「……なんじゃ、イヤに素直じゃな。結構結構。ふぇっふぇっふぇ!」

ウィスタリア「…………」

ウィスタリア(そうだ。組むのがヤダ、とか言ってる場合じゃない)

ウィスタリア(どんなことをしたって、あたしもデスペアランドの役に立てるってところ、見せるんだ……!)


ウィスタリア(……それで、王サマに……)


ウィスタリア(…………)

ウィスタリア「……ねぇ、イエロワ。そういえば、王サマ、あたしのこと何か言ってた?」

イエロワ「なに? 何でそんなことを聞く?」

ウィスタリア「いいから教えてよ」

イエロワ「やれやれ、人の話を聞かんヤツじゃ……」


イエロワ「……大体、教えろと言っても、何も言うてはおらんかったぞ?」

ウィスタリア「…………ホントに何も?」

イエロワ「しつこいヤツじゃな。ウソなどついてどうなる」

ウィスタリア「…………」


ウィスタリア「……あっそ。ならいいよ」シュバッ


イエロワ「……ワシを置いて先に行きおった……。なんなんじゃ、まったく……」シュバッ

~ 七色ヶ丘市 公園 ~

スタスタスタ


1-3 女子生徒・後藤 りか「ねぇ、さなえ、どうしたの、急に。こんなところに呼び出して。……ここのところ、あたしが誘っても遊びに行かなかったのに……」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「それは……、ごめんね、りか。りかに渡したいものがあったから、それを作ってたんだ」

1-3 女子生徒・後藤 りか「渡したいもの……? 何それ?」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「今から見せるよ。……みんな!」


スタスタスタ


ゆかり「……こんにちは、後藤さん……」

マティ「ごきげんよう」

1-3 女子生徒・後藤 りか「木下さん、絵原さん……!? それに……あんた達」

1-3 女子生徒A「なんだか、こうやって話すの、久しぶりだね……」

1-3 女子生徒B「最近、あんまり話せてなかったから……」


1-3 女子生徒・後藤 りか「…………」

~ 七色ヶ丘市 公園 草むらの陰 ~

みゆき達「(コソコソ)」


やよい「みんなが心配で見に来ちゃったけど……、だいじょうぶかなぁ……」

はるか「あれだけガンバったんだもん、きっと大丈夫だよ」

れいか「あとは皆さん次第ですね」

なお「そうだね。あたし達は黙って見守ろう」

みゆき「……うまくいって、みんな仲よしになれるといいね……!」

あかね「……うん」

~ 七色ヶ丘市 公園 ~

1-3 女子生徒・後藤 りか「……さなえ、これ、どういうこと? なんでこの子達といっしょにいるわけ? あたしと遊びに行くの断ってまで……!」

1-3 女子生徒・後藤 りか「……さなえは……、さなえだけは、あたしといっしょにいてくれると思ったのに……!」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「……!? ち、違うよりか! 別にりかのことキライになったとか、そんなんじゃなくて――」

1-3 女子生徒・後藤 りか「じゃあなんだって言うの!? あたしよりその子達の方が大事なんでしょ!? じゃあその子達といっしょにいればいいじゃん!」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「りか……!?」

1-3 女子生徒・後藤 りか「……っ!」


ダッ


1-3 女子生徒・宮田 さなえ「りか!? どこ行くの、待って!」

1-3 女子生徒・後藤 りか「もう知らない! ついてこないで!」タタタタッ

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「りか!」


ゆかり「……!」

ゆかり「行かないで、後藤さんっ!!」


マティ・1-3 女子生徒A・B・宮田「!?」ビクッ

1-3 女子生徒・後藤 りか「……!」ピタッ

ゆかり「……お願いだから……、ちゃんと宮田さんの……、みんなの話を聞いて……!」

1-3 女子生徒・後藤 りか「…………」


女子生徒A「……び、びっくりした……! 木下さんって、こんな大きな声出るんだ……」

女子生徒B「いつもはちっちゃい声なのに……」

マティ「わたくしを助けてくださった時も、あんな風に大きな声を出してくれましたわ……」

1-3 女子生徒・後藤 りか「…………」スタスタスタ

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「りか……、戻ってくる……」


1-3 女子生徒・後藤 りか「…………」ジロッ

ゆかり「……!」ビクッ


1-3 女子生徒・後藤 りか「……木下さん、またあたしに意見しようってわけ?」

ゆかり「……うん……」

1-3 女子生徒・後藤 りか「……!」ムカムカ

1-3 女子生徒・後藤 りか「木下さん、何なの? 今まで、いつもビクビクしてる弱虫だったのに、またあたしに命令する気なの?」

ゆかり「……命令……なんかじゃないよ……。ただ、宮田さん達の話を、ちゃんと聞いてほしいってだけ……」

ゆかり「宮田さんは……、みんなは……、後藤さんに元気になってほしいんだよ……!」

1-3 女子生徒・後藤 りか「……!? あたしを、元気に……!?」


1-3 女子生徒・後藤 りか「……な、何言ってんの? あたしが元気ない、なんて、べ、別にそんなことないし! 勝手に決めつけないでよ!」

ゆかり「……後藤さん……、ウソ、ついてない……?」

1-3 女子生徒・後藤 りか「なっ……」


ゆかり「……じゃあなんで、そんなにツラそうな顔してるの……?」

1-3 女子生徒・後藤 りか「ツラそう……? あたしが……?」

ゆかり「さっき、宮田さんがわたし達といっしょにいるって知った時の後藤さん……、すごくツラそうだった……。今も……」


ゆかり「それって、宮田さんまでそばにいなくなっちゃって、一人ぼっちになっちゃった、と思ったからじゃないの……?」

1-3 女子生徒・後藤 りか「!!」

ゆかり「……でも、違うよ、後藤さん。後藤さんは一人ぼっちになんてなってないよ……」


ゆかり「宮田さんは、クラスで避けられるようになっちゃった後藤さんのことを、すっごく心配してたよ……」

ゆかり「あの二人も、後藤さんとの約束忘れちゃってて、謝りたい、って言ってた……」

ゆかり「みんな、後藤さんのこと、心配してるんだよ……。マティちゃんも、わたしも……」

1-3 女子生徒・後藤 りか「……木下さんまで、わたしの心配? エラそうに……、余計なお世話だよ……。文化祭でちょっとうまくいったからって、調子に乗ってるんじゃないの……?」

マティ「後藤様! それはあんまりですわ! ゆかりちゃんは――」

ゆかり「マティちゃん、いいよ……。別に、後藤さんがわたしのことをキライでも、いいの……。みんなと仲よくなって、笑顔になってくれれば、それでいいよ……」

マティ「ゆかりちゃん……」

1-3 女子生徒・後藤 りか「…………」

1-3 女子生徒・後藤 りか「……なんでそこまで、あたしのこと気にするの……? 木下さんだって、あたしのことキライなんでしょ……? 今までずっといいようにされてきたんだからさ……」

ゆかり「……ホントは、後藤さんのこと、ニガテだよ……。声、大きいし……、コワいから……」

ゆかり「でも、後藤さんがツラい思いをしてるのは、イヤなんだ……」


ゆかり「……だって……」

ゆかり「一人ぼっちのツラさは、さみしさは……、わたし、よく知ってるから……」

ゆかり「だから、誰にもそんな思いはしてほしくないんだ……」


1-3 女子生徒・後藤 りか「……木下さん……」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「……りか、ちょっといい?」

1-3 女子生徒・後藤 りか「さなえ……」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「今、木下さんが言ったとおり、あたし達はただ、りかに元気になってほしいだけなの」


1-3 女子生徒・宮田 さなえ「だからみんなで、これを作ってたんだ」スッ

1-3 女子生徒・後藤 りか「さなえの持ってるそれ、なに……? プレゼントの箱……?」

マティ「お好み焼きですわ」

1-3 女子生徒・後藤 りか「お、お好み焼き……? なんで……?」


女子生徒A「"料理は、その人のためを想って作るから、気持ちがこもる" って、あるセンパイが言ってたの」

女子生徒B「だから、あたし達はこのお好み焼きに気持ちを込めたの。"ごめんなさい" って」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「あたしも、"りかに元気になってほしい" って、このお好み焼きで伝えたかったんだ」

マティ「わたくし達も、気持ちをこめてお作りしましたわ」

ゆかり「だから、このお好み焼きには、わたし達の気持ちがいっぱいこもってるんだ……」


ゆかり「わたし達の気持ち、もらってくれないかな……、後藤さん」


1-3 女子生徒・後藤 りか「…………」

ガサッ


キャンディ「みんな、タイヘンクル!」

みゆき「わっ! ちょっとキャンディ! 今いいところなんだから静かに――」ガサッ


後藤・宮田・女子生徒A・B「…………」

みゆき「あ、あははは……。どーもー……」


みゆき「……ほら、キャンディ! 急に茂みから飛び出すから、ヘンな目で見られちゃったじゃない!」

キャンディ「そんなこと言ってる場合じゃないクル! デスペアランドが来てるクル!」

あかね「! ほんまか!?」ガサッ

キャンディ「ほんまクル! すぐ近くにいるクル!」

なお「マズいよ! また人の心が吸われちゃう!」ガサッ

やよい「そ、そうだね! 早く行かないと――」ガサッ


ザッ


イエロワ「その必要はないわ。もう来とるからのう」

れいか「あの人は……、デスペアランドのイエロワ! それに……」ガサッ

ウィスタリア「今日はあたしもいるよ!」

はるか「ウィスタリア! 性懲りもなく!」ガサッ


後藤・宮田・女子生徒A・B「…………」

1-3 女子生徒・後藤 りか「し、知らない人がいっぱい次々出てきて……。な、何これ……、どうなってんの……?」

イエロワ「知る必要はないぞ、お嬢さんや。どうせすぐ、立ってもいられなくなるんじゃからのう」


イエロワ「さ、やるぞ。準備はよいな?」

ウィスタリア「うん……!」

イエロワ「闇の絵の具よ!」

ウィスタリア「闇の絵筆よ!」

イエロワ・ウィスタリア「キャンバスに絶望を描き出せ!」


シュババババッ


イエロワ・ウィスタリア「実体を持ってキャンバスから現れよ、アキラメーナ!」


ズズズズズズ…


アキラメーナ(ブランコ型・イエロワ作)「アキラメーナァッ!」

アキラメーナ(ポンプ型・ウィスタリア作)「アキラメーナァッ!」


後藤・宮田・女子生徒A・B「!?」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「な、何あれ……。バケモノ……!?」


イエロワ「さぁ、アキラメーナよ、心を吸ってしまえ」

アキラメーナ(ブランコ型・イエロワ作)「アキラメーナァッ!」


ドワァァァッ!


1-3 女子生徒・後藤 りか「うっ――」バタッ

宮田・女子生徒A・B「――――」バタッ


ゆかり「後藤さん……、宮田さん……、みんな……!」

マティ「心を吸われてしまいましたわ……!」


みゆき「ひどい……! ゆかりちゃん達、せっかく仲よくなれそうだったのに……!」

みゆき「みんな、行くよっ! あの子達を守らなきゃ!」

全員「うんっ!」

妖精達「デコル・チェーンジ!」

パチンッ!

レディ!

7人「プリキュア! スマイルチャージ!!」

ゴー! ゴーゴー! レッツゴー!!


ハッピー「キラキラ輝く、未来の光! キュアハッピー!!」

サニー「太陽サンサン、熱血パワー! キュアサニー!!」

ピース「ぴかぴかぴかりん♪ じゃん・けん・ポン!(グー) キュアピース!!」

マーチ「勇気リンリン、直球勝負! キュアマーチ!!」

ビューティ「しんしんと降り積もる、清き心。キュアビューティ!!」

ノーブル「さらさら流れる気高きせせらぎ! キュアノーブル!!」

ヴェール「そよそよさざめく、優しい木陰。キュアヴェール!!」


7人「7つの光が導く未来!」

7人「輝け! スマイルプリキュア!!」

ウィスタリア「……出たね、プリキュア。今日のあたしは一味違うよ……!」

サニー「いっつもそんなようなこと言うとるやん! 今日もいつも通りコテンパンにしたるわ!」

ウィスタリア「やれるもんならやってみなよ! アキラメーナ!」

アキラメーナ(ポンプ型・ウィスタリア作)「アキラメーナァッ!」ガチャッ


ビューティ「……? あれは、池の水を吸い出すポンプ……?」

ノーブル「そのホースの先がこっちに向いて……まさか!?」

ウィスタリア「今頃気付いても遅いよ! やっちゃえ!」

アキラメーナ(ポンプ型・ウィスタリア作)「アキラメーナァッ!」


ブシャァァァァァッ!

バシャァァァッ!


ピース「ひゃっ! な、なに!?」

マーチ「足元に、なんかドロドロした水が撒かれた!」

ハッピー「うわぁ……、なんか気持ち悪いーっ!」


グニョン グニョン


ビューティ「! みなさん! これは気持ち悪いだけではありません!」

ヴェール「……! 足がネバついて……動けないよ……!」

ウィスタリア「引っかかったね、プリキュア! そこで黙って見てなよ! 人間達が心を吸われるところをね!」

ウィスタリア「イエロワ、今のうちに人間達から心を吸っちゃって。こいつらの足止めはあたしがやるから」

イエロワ「ほう……! いつも真っ先に飛び出すお主にしては珍しいのう。どういう風の吹き回しじゃ?」

ウィスタリア「別に……! ……ただ、今はデスペアランドのために、一番心の絵の具を集められる方法を取ろうと思っただけだよ」

イエロワ「ふぇっふぇっふぇ、いい心がけじゃ。では、そのまま足止めしておれ。ワシがその間に人間達の心を集めておくわ。ゆくぞ、アキラメーナ」

アキラメーナ(ブランコ型・イエロワ作)「アキラメーナァ……!」

イエロワ「まずは、そこの倒れてるお嬢さん達から、もっと心をいただこうかのう……! ふぇっふぇっふぇ……!」


ズシンッ ズシンッ


マティ(デコル)「ヴェール! アキラメーナが後藤様達に向かっていますわ!」

ヴェール「後藤さん達があぶない……!」

ウィスタリア「紫! よそ見してる場合じゃないよ! くらえっ!」

アキラメーナ(ポンプ型・ウィスタリア作)「アキラメーナァッ!」ブシャァァァァァッ!


ハッピー「今度は普通の水!?」

ノーブル「でも、あんな勢いの水、まともに受けたら……!」

ヴェール「……!」


ヴェール「"ヴェール・カーテン" っ!」


パキィィィィンッ!

バシャァァンッ!


マーチ「ヴェール、盾であたし達を守ってくれた……?」

ピース「ありがとう、ヴェール!」


ウィスタリア「そうだよね! そうするしかないよね!」

ウィスタリア「でも、そうしたらあの子達は誰が守んのかなぁ!? 足も動けない、盾でも守れない、その状態でさぁ!」

ヴェール「!」


イエロワ「……ウィスタリアのヤツ、中々いい仕事をするわい。あの盾がなければ、ワシのジャマをする者はおらんからのう!」

イエロワ「そのまま、指をくわえて見ているがいいわ! ふぇっふぇっふぇ!」


ズシンッ ズシンッ


ヴェール「このままじゃ、後藤さん達の心がもっと取られちゃうよ……!」

マティ(デコル)「で、ですが、今 "ヴェール・カーテン" を解けば、プリキュアのみなさまが危ない目に……!」

ヴェール「ど、どうしよう……!」


サニー「……!」

サニー「……おぉぉぉぉぉぉっ!」


ボワァァァァッ!


ウィスタリア「!? なに!? オレンジのやつの体から炎が出た!?」


ジュゥゥゥゥゥッ…


ウィスタリア「……! ベタベタ水が……、消えていく……!?」

ノーブル「そうか……! サニーの炎の熱で、水を蒸発させてるんだ!」

サニー「これで何とかうちだけは動けんで! じいちゃん、待ちやっ!」ダッ


ザァァァッ


イエロワ「む、ワシの前に回りこんで……、そのお嬢さんらをかばう気かの?」

サニー「当ったり前のこんこんちきや! 好きにはさせへんで!」


サニー「ヴェールの大事な友達は、うちが守る!」

ヴェール「……! サニーセンパイ……!」

イエロワ「ふぇっふぇっふぇ。勇ましいのは結構じゃがのう、一人でどこまでやれるかな? アキラメーナ、やってしまえ」

アキラメーナ(ブランコ型・イエロワ作)「アキラメーナァ……!」


ブンッ! ブンッ! ブンッ!


サニー「ブランコを振り回しだした……!?」

ウルルン(デコル)「あかねんちで読んだ漫画で見た、ヌンチャクってヤツみてぇウル!」


アキラメーナ(ブランコ型・イエロワ作)「アキラメーナァッ!」ブンッ!


ウルルン(デコル)「来たウル、サニー! よけ――」

イエロワ「――てもいいのかのう? 後ろに何があるか、忘れたか?」

サニー「!」


後藤・宮田・女子生徒A・B「――――」グッタリ


サニー「せやった……! うちがよけたら、この子らにブランコが当たってまう……!」

イエロワ「スキありじゃ。食らえ」

アキラメーナ(ブランコ型・イエロワ作)「アキラメーナァッ!」ブンッ!


ドカァァァッ!


サニー「うっ……!? くぅっ……!」

イエロワ「ふぇっふぇっふぇ! 動けまいて。そのまま頑張って受け続けるがよいわ」

アキラメーナ(ブランコ型・イエロワ作)「アキラメーナァッ!」ブンッ! ブンッ! ブンッ!


ドカァァァッ! ドカァァァッ! ドカァァァッ!


サニー「うぁぁぁっ……!?」


ハッピー「サニーっ!」

マーチ「くっ……、せめて、この足さえどうにかなれば……!」

ドカァァァッ!


サニー「わぁぁぁぁぁっ!」ドサァッ

ウルルン(デコル)「おい、サニー! ムチャウル! いくらなんでも受けすぎだウル!」

サニー「せやけど……、うちの後ろのこの子らのためにも……! どくわけにはいかへんっ……!」グググッ


イエロワ「まだ立ちよるのか、頑張るのう。そんなにその人間達が大事なのか?」

イエロワ「そんな連中をかばって傷つくなど、バカげておるわ。その人間達を置いて、どこへなりとも逃げたらどうじゃ? 今なら見逃してやるぞ?」

サニー「何言うとんのや! できるわけないやろ!」


サニー「ゆかりも、この子らも……、うちの大事な後輩なんやから!!」


ヴェール「!」

サニー「ゆかりが、みんなが……、なんであんなにガンバったと思とんのや……!」

サニー「手をヤケドしたり……、包丁で切ってもーたり……」

サニー「みんなであんなにガンバったのは、なんのためやと思とんのや……!」


サニー「大切な人を元気にするためや! そのためにみんなはクタクタになっても料理の特訓をガンバったんや!」

サニー「その心意気……、うちが絶対にムダにはさせへん!!」


ヴェール「……サニーセンパイ……っ!」


ドキッ ドキッ


ヴェール(……なんだろう……。サニーセンパイの言葉が胸に響くみたい……。胸が熱くなってくる……!)

ヴェール(……そうだった。そうだったよ)

ヴェール(わたしは、みんなに明るく、元気になってほしくてお好み焼きを習い始めたけど……)


あかね(回想)『ちゃう! 包丁はしっかり握って、腰入れて、まっすぐ上から落とすんや!』

あかね(回想)『ガンバった分だけおいしくなると思っとき』

あかね(回想)『みんな、ハリキって行くでぇっ!』


ヴェール(そのための元気をくれたのは……、あかねセンパイの笑顔と優しさだった……!)

ヴェール(……守りたい……。守らなきゃ)

ヴェール(後藤さん達だけじゃない。今も、わたしのためにガンバってくれてる、サニーセンパイを守りたい)


ヴェール(わたしに元気をくれた、サニーセンパイを守らなきゃ……っ!)

イエロワ「……何を言っとるのかさっぱりわからんが、もうそろそろ限界じゃろう。足が震えとるぞ」

サニー「……っ!」ガクガクッ

イエロワ「さ、トドメじゃ、アキラメーナ」

アキラメーナ(ブランコ型・イエロワ作)「アキラメーナァッ!」ブンッ!


ピース「ブランコがサニーに!」

ハッピー「サニぃぃぃぃーっ!」

パキィィィィンッ!

ガァァァァンッ!


サニー「…………」

ウルルン(デコル)「葉っぱの盾……。おい、サニー、これって……」

サニー「うん……。ヴェールが、うちのこと守ってくれたんや……」


イエロワ「ふぇっふぇっふぇ! たまらずキュアサニーを守ったか! これも計算通りじゃて! キュアヴェール! お主の盾は一度に一枚しか出せないのはわかっとるわ!」

イエロワ「この間は自分で盾を持って守ったが、足が動けん今となっては、もはや自分達を守る盾はないはず!」

サニー「せや……! うちの方に盾使ってもーたら、みんなが守れへんやないか……!」


イエロワ「チャンスじゃよ、ウィスタリア! 今のうちに残りのプリキュアをやってしまうがいい!」

イエロワ「これでプリキュアの戦力も大幅ダウン! "夢の絵の具" も手に入り、バンバンザイじゃわい! ふぇーっふぇっふぇっふぇっ!」


サニー「みんなっ……!」

ウィスタリア「……何言ってんの、イエロワ……。盾、まだこっちにあるけど……」

イエロワ「……なんじゃと?」


アキラメーナ(ポンプ型・ウィスタリア作)「アガガッ……!」ブシャァァァァァッ!


バシャシャシャッ!


イエロワ「……本当じゃ。まだ盾が水を受け続けておる……」

イエロワ「じゃあ、キュアサニーを守ったこの盾は……」


イエロワ「……まさか……2枚目……!?」

ヴェール「はぁぁぁっ……!」


ノーブル「ヴェール……、右手をウィスタリアの方に向けて……」

ビューティ「左手をサニーの方に向けています……」

マティ(デコル)「もしかして、ヴェール……、片手で 1枚ずつ "ヴェール・カーテン" を出せるようになったのですか!?」

ヴェール「……やってみたら、なんかできたよ……」


ヴェール「わたしには、プリキュアのセンパイ達も、後藤さん達クラスの人たちも、みんな大事なんだもん……! みんな、守らなきゃ……!」

ヴェール「誰にも……、ツラい思いなんてしてほしくないから……!」

ヴェール「みんなに、いつも元気でいてほしいからっ……!」


ハッピー「ヴェール……!」


サニー「……ははっ、ヴェール、結構根性あるなぁ、とは思とったけど、こんなにスゴかったんか……!」

サニー「……よっしゃぁっ! うちも負けてられへん! ヴェール、この盾、ちょっと借りるで!」ガシッ

ヴェール「えっ……?」

イエロワ「むっ、キュアサニー、盾をつかんで何をするつもりじゃ?」

サニー「こうするんや! 行くでぇっ!」


サニー「ヴェール・カーテン・アタァァァーックっ!」ブンッ


ゴチィィィィンッ!


アキラメーナ(ブランコ型・イエロワ作)「アガッ!? ア、アガガ……」フラフラ

イエロワ「な、なんと……! 盾でアキラメーナを殴った……!?」

サニー「どや! あんだけ硬いんや! 結構効くやろ!」

ヴェール「そ、そういう使い方じゃ……ないと思うんですけど、それ……」

サニー「にししっ! まぁ、ええやないの! うまくいったんやから!」

サニー「……それより、今までずいぶん好き勝手やってくれたなぁ……。まとめて返すでぇっ!」


パチンッ! ボワァァッ!


イエロワ「指を鳴らしたら、キュアサニーの手が炎に包まれて……! こ、これはいかん……!」

サニー「くらいや! うちの真っ赤な怒りの炎!」


サニー「サニー・スペシャル・パァァーーンチッ!!」


ドゴォォォォッ!!


アキラメーナ(ブランコ型・イエロワ作)「アガァァァァッ!?」


ビュンッ


ウィスタリア「!? ちょ、ちょっと! イエロワのアキラメーナがあたしのアキラメーナに向かって飛んで来る!?」

アキラメーナ(ポンプ型・ウィスタリア作)「ア、アガガッ……!?」アタフタ


ガシャァァァンッ!


アキラメーナ達「アガァァァァッ!?」ドタァァァンッ!

ウィスタリア「あーっ! まとめて倒れちゃった!?」


サニー「そっちのアキラメーナの水も止まった! チャンスや! 足が動かんでも、レインボー・アーチ、いけるやろ!? ハッピー、頼むで!」

ハッピー「うんっ! ナイス、サニー! キャンディ、お願いっ!」


ポンッ


キャンディ「わかったクルっ!」

パカッ

キラキラキラキラ


キャンディ「"夢の絵の具" よ……、プリキュアのみんなに、未来に進む力を!!」


ブワァァッ!


6人「6つの夢を、今こそ一つに!!」


6人「未来へ届け! 希望の架け橋!!」


6人「プリキュア!! レインボー・アーチっ!!!」


ブワァァァァァァァァッ!!


アキラメーナ(ブランコ型・イエロワ作)「アガァァァァッ!?」
アキラメーナ(ポンプ型・ウィスタリア作)「アガァァァァッ!?」


6人「ハッピー……エンド!!」


ドガァァァァァァァァァン!!


アキラメーナ(ブランコ型・イエロワ作)「アガァァァァァ……」シュワァァァァ…
アキラメーナ(ポンプ型・ウィスタリア作)「アガァァァァァ……」シュワァァァァ…

ウィスタリア「また、やられちゃった……」

イエロワ「これは、まずいのう……」


チャポッ チャポッ


イエロワ「今日はワシもあまり心を集めることができなんだ……。このままでは、ワシまで叱られる羽目になりそうじゃ……!」シュバッ

ウィスタリア「あ……! なによアイツ……、自分がうまく行かなかったらさっさと帰っちゃって……!」


ウィスタリア「…………あたしは、どうしよう……」

ウィスタリア(イエロワ、王サマはあたしのこと、"別に何も言ってなかった" って言ってた……)

ウィスタリア(それって……、あたしのこと全然気にしてない、ってことだよね……)


ウィスタリア(帰っても、デスペアランドにあたしの居場所、あるのかな……)


ウィスタリア「…………」シュバッ

~ デスペアランド 王宮 玉座の間 ~

大臣「……国王陛下。イエロワ、ウィスタリア様、両方とも、またプリキュアに敗れたようでございます」

デスペア国王「心の絵の具はどうだ?」

大臣「今回はあまり取れなかったようで……」

デスペア国王「……良くない状況だな」


怪物・デスペア『オォォォォォォォォォッ……!!』


デスペア国王「"デスペア" の闇の絵の具への欲求がとどまるところを知らん。このままではうまく育たないかもしれんな……」

デスペア国王「……何か、濁った心の絵の具を大量に集める手段を考えなければならんか……」

大臣「…………」


大臣(ふふふ……、困っておいでですねぇ、国王陛下……)


大臣(これは、もしかしたらあるかもしれませんね……。私の出番が……!)

~ お好み焼き屋 "あかね" ~

ジュージュー…


マティ「……結局、あかね様のお店でお好み焼きを振舞うことになってしまいましたわね」

ゆかり「うん……」

1-3 女子生徒A「しょうがないよ。後藤さんに渡すお好み焼き、さっきまで温かかったのに、なんか急に冷めちゃったし」

1-3 女子生徒B「やっぱり、みんな倒れてた時に何かあったのかな……? その時のこと、何にも覚えてないんだよね……。なんだったんだろ?」

マティ「さ、さぁ? ふしぎなこともあるものですわね。うふふ……」


1-3 女子生徒・宮田 さなえ「……でも、こっちの方がよかったかもね。出来立てを作ってあげられるし、それに……」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「こうやって大勢で鉄板を囲むのが、ちょっと楽しいから……。ね、りか?」

1-3 女子生徒・後藤 りか「…………」

ゆかり「……できた……!」

1-3 女子生徒A・B「こっちもできたよ!」

マティ「わたくしのも完成ですわ!」


ズラッ


1-3 女子生徒・宮田 さなえ「りか。みんなの気持ちがこもったお好み焼きだよ。食べてみて」

1-3 女子生徒・後藤 りか「…………」

1-3 女子生徒・後藤 りか「……いただきます」


パクッ モグモグ


ゆかり・マティ・1-3 女子生徒A・B「…………」ゴクリ

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「どう、りか? おいしい?」

1-3 女子生徒・後藤 りか「……何だか、ふしぎな味がする。胸があったかくなるみたいな……。これが、みんなが込めてくれた気持ちなのかな……」


1-3 女子生徒・後藤 りか「……すごくおいしいよ……!」

ゆかり「……! よかった……!」

マティ「ガンバったおかげですね、ゆかりちゃん!」

ゆかり「うん……!」

1-3 女子生徒・後藤 りか「……ねぇ、木下さん。あたし、木下さんに言っておきたいことがあるんだ」

ゆかり「(ビクッ) え……、なに……?」


1-3 女子生徒・後藤 りか「あたし、今まで木下さんのこと、弱虫だと思ってた」

1-3 女子生徒・後藤 りか「いっつもビクビクしてて、人の顔色ちらちら見て……、それがキライで、見ててなんとなくイライラしてた」

1-3 女子生徒・後藤 りか「だからイヤなことを押し付けて困らそうとしたし、言い返されたりした時は頭に来たりもしたんだ」

ゆかり「…………」


1-3 女子生徒・後藤 りか「……でも、違うんだね」

1-3 女子生徒・後藤 りか「木下さん、大声でおどかしたりするあたしのこと、ニガテなのに、ちゃんとさなえやみんなの気持ちを伝えてくれた」

1-3 女子生徒・後藤 りか「木下さんがそうしてくれなかったら、こんなにおいしいお好み焼き、食べられなかったよ」

1-3 女子生徒・後藤 りか「だから今は木下さんのこと、"本当は強い気持ちを持ってる子なんだ" って思う……」

1-3 女子生徒・後藤 りか「ありがとう、木下さん。……あと……、今までごめんね……」

ゆかり「……! 後藤さん……!」

1-3 女子生徒・後藤 りか「今度、どこかに遊びにでも行こうか? もちろん、みんなでいっしょに」

ゆかり「……うんっ……!」


マティ「おめでとうございます、ゆかりちゃん! これで、クラスのみんなと仲よくなれましたね!」

ゆかり「いっしょにガンバってくれたみんなと、それに……」チラッ


あかね「(ニカッ)」

ゆかり「優しいセンパイ達のおかげだと思う……」

マティ「そうですわね……」


ゆかり(ありがとうございます、あかねセンパイ……! みなさん……!)ペコリ

ワイワイワイ


はるか「……よかったね、ゆかりちゃん。みんなと仲よくなれて」

あかね「せやな」ニコニコ


やよい「……あれ、どうしたの、あかねちゃん? すごくニコニコしてるけど」

あかね「……うちな、今めっちゃうれしいねん」

なお「ゆかりちゃん達が仲よくできたから?」

あかね「それもあるんやけど……」

れいか「他にも理由があるのですか?」

あかね「うん」

あかね「うちの教えたお好み焼きでみんなが喜んでくれて、ウチの店でみんなが仲よくなれた」

あかね「そのことがサイコーにうれしいんや」


あかね「世界中、どこでもケンカやらなんやら色々あると思うけど……」

あかね「あんな風に世界中の人達が集まって、元気に、楽しそうに笑い合う」

あかね「いつか、そんな光景を見てみたいな……」


みゆき「あかねちゃんの夢は、"世界一のお好み焼き屋さん" だもんね」

あかね「うん」

1-3 女子生徒・宮田 さなえ「あ! 絵原さん、ちょっと大きさバラバラに切りすぎじゃない!? あたしのちっちゃいよ!」

マティ「あ、すみません……」

ゆかり「宮田さん、それだったら、わたしのと交換しようよ……。こっちの方が大きいよ……?」

1-3 女子生徒・後藤 りか「じゃあ、あたしのと交換してよ。こっちもちっちゃくてさ」

ゆかり「あ……、……うん、いいよ」


ワイワイワイ


あかね「……今のゆかり達は、うちのその夢の大きな一歩になったんやないか、って思うんや」

みゆき「そうかもしれないね……」


あかね「……よっしゃ! あっちに負けてられへんで! こっちでも盛り上がろうやないの! 今日も特別にうち特製のお好み焼き、おごったるわ!」

みゆき「ホント!? やったぁっ!」

あかね(……お礼言わなあかんのはこっちの方やで、ゆかり)

あかね(ゆかり達が仲ようなれたから、うちも自分の夢に向かって前に進んだような気がするわ)


あかね(ほんま、ありがとな、ゆかり! 自分が作ったみんなの笑顔、忘れたらあかんで!)

あかね(これからもみんなを元気にするためにガンバりや!)





つづく

次回予告

みゆき「前にわたしがやった絵本の朗読のこと、憶えててくれた子がいて、その子の幼稚園で絵本の朗読会をすることになったの!」

みゆき「……あれ? でも、ゆかりちゃんがいないよ……? 朗読会は、みんなで協力してやるはずだったのに……。どこ行っちゃったのかな……」

みゆき「……えっ!? ゆかりちゃん、一人でデスペアランドの人を止めに行ったの!? 大丈夫かな、ゆかりちゃん……!」


みゆき「次回、『スマイルプリキュア レインボー!』 "みゆきのハッピーとゆかりの想い!"」


みゆき「みんな笑顔でウルトラハッピー!」

今回はここまでです!
お読みいただいた方、ありがとうございました。

それでは、よかったら次回もまたよろしくお願いします!


第1話 ~ 第11話 『スマイルプリキュア!』第2期を SS で作るスレ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360385907/)
第12話 ~ 第20話 『スマイルプリキュア レインボー!』 Part 2 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366529393/)
第21話 ~ 第29話 『スマイルプリキュア レインボー!』 Part 3 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1373151336/)

第30話 >>3 から
第31話 >>104 から
第32話 >>209 から
第33話 >>301 から
第34話 >>397 から

それでは、前回までのレスへのお返事をさせていただきます!


> 乙くださったみなさま

ありがとうございます!
今後ともよろしくです!



> ボーズさん

いつもありがとうございます。
ゆかりはゆるゆると、でも着実に成長していく予定なので、
今後ともよろしくお願いします



> プレゼさん

> 乙です。金本さんはスマイルの無印時代にストーカーネタに使われたあの子ですよね(間違っていたらごめんなさい)

一瞬、"金本さん" がピース役の金元 寿子さんとかぶって、ワケがわからなくなってしまいました。。
みゆきちゃん達のクラスメイトの "金本 ひろこ" さんのことですね。

おっしゃるとおり、二次ネタでは通称 "スト子" と呼ばれてたキャラクターです。
クラスメイト代表として、仲がいいと思われる岡田さん(お嬢様っぽい子) と、尾ノ後さん(ちっちゃいツインテの子) といっしょに出してみました。



> 390さん

> やよいちゃんがやよいちゃんらしさを残しつつ立派に先輩をやってる感じがうまく出てていいね

そう言ってもらえてすごいうれしいです! やりたかったのがまさにそれなんで。
ちゃんと描けてたようでよかったです

> 391さん

> >>1の最大の誤算は、ラスボスの名前が思いっきりデスパライア様と被ってしまったことだった…

……すみません、、そのあたりはそっとしておいてあげてください。。
これにはワケがあるんですが、、今する話じゃないので、終わった後にでも。。



> 395さん

暖かいお言葉、ありがとうございます!
無事にアップできてよかったです。

来週は日曜日にアップできると思います、、多分。。
次回もまたよろしくお願いします!



お返事は以上となります。
では、また来週!

『スマイルプリキュア レインボー!』

このあとすぐ!

~ 放課後 七色ヶ丘市 なないろ幼稚園前 道路 ~

スタスタスタ


ゆかり「――え……? みゆきセンパイ、絵本を描くんですか?」

みゆき「あ、ゆかりちゃんにはまだ話したことなかったっけ。そうなんだぁ!」


みゆき「わたしって昔から、読むと気持ちをハッピーにしてくれる絵本が大好きなの。だから、わたしもそんなお話でみんなをハッピーにしたくて作り始めたんだ」

みゆき「……まだあんまり上手じゃないけどね。えへへ……」

マティ「ご自分でお話を作られるなんて、よっぽどお好きなんですのね」

みゆき「うんっ!」ニコッ


ゆかり「…………」


ゆかり(みゆきセンパイ、すごく明るい笑顔……。好きなことがあって、それがやれてるからなのかな……)

ゆかり(……うらやましいな……。わたしにはそういうの……、夢とか、ないから……)


ゆかり(わたしにもやりたいことがあれば、あんな風に笑えるようになるのかな……)

タタタタタッ


園児の少女「あーっ、えほんのおねえちゃんだー!」

みゆき「わっ!? な、なに、あなた? "えほんのおねえちゃん" ……?」


タタタタタッ


幼稚園の先生「こら、あけみちゃん! 急に幼稚園の外に飛び出したら危ないよ!」

園児の少女・あけみ「あ、せんせい……。ごめんなさい……。でもね、でもね、えほんのおねえちゃんがいるよ!」

みゆき「あ、あのー……、さっきからその子が言ってる、"えほんのおねえちゃん" って、なんですか?」

幼稚園の先生「ああ、ごめんなさいね、ビックリさせてしまって」

幼稚園の先生「あなた、前にあった朗読コンクールで、自分の描いた絵本を読んだ、七色ヶ丘中の生徒さんよね?」

みゆき「えっ!? あ、は、はい、そうですけど……、どうしてそれを?」

幼稚園の先生「実はね、あのコンクール、ウチの幼稚園でも園児みんなを連れて見に行ってたのよ。そうしたら、みんなあなたのお話を気に入ったみたいで」

幼稚園の先生「特にこのあけみちゃんはあなたのお話の大ファンでね。今じゃ他のお話を読んであげてもそっぽを向いちゃうくらいなのよ。ね、あけみちゃん」

園児の少女・あけみ「うんっ! ねえ、えほんのおねえちゃんのおはなしだいすき! またききたい!」

幼稚園の先生「と、まぁ、こんな感じなの」


みゆき「…………」

みゆき「……わたしのお話が、大好き……?」

幼稚園の先生「あ、そうだわ。もしよかったら、今度ウチの幼稚園に来て朗読会をしてもらえないかな?」

みゆき「朗読会、ですか?」

幼稚園の先生「ええ。あなたがお話を読んでくれるんだったら、きっとみんなも喜んでくれると思うわ! 都合もあるだろうから、ムリにとは言わないけれど……、どうかしら?」

園児の少女・あけみ「おねえちゃん、おねがい! みよちゃんもかなこちゃんもききたいっていってた! わたしもききたい! ねぇ、おねがい!」


みゆき「…………」

みゆき「……わたし、やります! 朗読会、します!」

幼稚園の先生「えっ、本当に!? やってくれるの?」

みゆき「はいっ! わたしの絵本でみんなが喜んでくれるなら、絶対やりたいです! やらせてくださいっ!」

幼稚園の先生「ありがとう! 準備ができたら連絡もらえるかしら。予定は、相談して改めて決めましょう」

みゆき「わかりました! 待っててね、あけみちゃん! とっても楽しいお話を読んであげるから!」

園児の少女・あけみ「やったぁ! ありがとう、おねえちゃん! あけみ、まってる!」

みゆき「うんっ!」

~ 七色ヶ丘市 道路 ~

スタスタスタ


みゆき「(ニコニコ)」

キャンディ「みゆき、さっきの幼稚園の時からニコニコクル」

みゆき「もちろんだよ、キャンディ」

みゆき「だって、だってね、わたしの描いたお話、面白いって言ってくれたんだよ? あんなに目をキラキラさせて……」

みゆき「わたしの描いたお話で誰かをハッピーにできるんだ、って思ったらすごくうれしくて……、思わず笑顔になっちゃうよ」

キャンディ「……よかったクル、みゆき」

みゆき「うん。朗読コンクールの時はタイヘンだったけど……、あの時ガンバって、本当によかった……!」


みゆき「でも、タイヘンなのはこれからだよね! あの子達をウルトラハッピーにするような朗読会にしなきゃ!」

みゆき「よぉーし! ガンバるぞーっ!」


ゆかり(……みゆきセンパイ、本当にうれしそう……! なんだか、見てるわたしまでちょっと、うれしくなっちゃうよ……)

ゆかり(わたしにも何か、センパイのためにできること、ないかな……)

ゆかり「みゆきセンパイ、わたしにも何かお手伝いできること、ないですか……?」

みゆき「ゆかりちゃん……、わたしのために?」

ゆかり「はい。うれしそうなみゆきセンパイを見てたら、なんだかわたしも……応援したくなりました。何かできることがあったら言ってください……!」

マティ「もちろんわたくしもご協力いたしますわ! ですから、あの子達のためにガンバってくださいませ!」

みゆき「ゆかりちゃん、マティちゃん……!」


みゆき「ありがとう! わたし、ガンバるよ! よろしくね、ふたりとも!」


ゆかり・マティ「はい!」




スマイルプリキュア レインボー!

第35話「みゆきのハッピーとゆかりの想い!」



~ ふしぎ図書館 ~

あかね・やよい・なお・れいか・はるか「――幼稚園で朗読会!?」

みゆき「うんっ、そうなの!」

あかね「へぇー……! やったやん、みゆき! それって、みゆきの絵本が認められたっちゅーことやろ!?」

やよい「すごいよ、みゆきちゃん! おめでとう!」

みゆき「えへへー、ありがとう!」


はるか「それで、どんなお話にするかは決まったの? また、あのコンクール時のお話をするつもりなのかな?」

みゆき「それが、まだ決まってなくって……」

なお「またお話が思いつかなくなっちゃったの?」

みゆき「ううん、実は、あれからいくつかお話を考えてあるんだけど……」

みゆき「幼稚園の子達に喜んでもらうんだったら、どのお話がいいかなぁ、ってあれこれ考えてるんだ」

れいか「……小さい子達が喜んでくれるようなお話、ですか……」

れいか「……そうだわ! みゆきさん、そうしたら、ただお話を読むだけではなく、人形劇風にするというのはどうでしょう?」

みゆき「人形劇?」

れいか「はい。去年、生徒会で絵本の読み聞かせ会をした時、みゆきさんが白雪姫を人形劇風にしてくれたじゃないですか。あの時と同じようにできませんか?」

れいか「みゆきさんが本を読み、わたし達がそれに合わせて人形を動かす、という形の劇にしたらどうでしょう?」

なお「なるほど! 確かにそれだったら小さい子達ももっと喜んでくれそうだね!」

あかね「あん時も大盛況やったしな!」

はるか「へえ、そんなことがあったんだ。いいね、それ! 面白そうだよ!」


れいか「と、いうわけでみゆきさん、これまでに作ったお話の中で、人形劇に適したものはありませんか?」

みゆき「うーん……、人形劇、かぁ……。と、なると……」


みゆき「……そうだ! あれならピッタリかも!」

やよい「あるんだ! ホントに色んなお話作ってたんだね、みゆきちゃん!」

みゆき「うん! みんな、ちょっと待ってて! 家に帰って取ってくるから! じゃあ、キャンディ、本の扉、開いてくれる?」

キャンディ「わかったクルぅ!」


パァッ…

~ 数分後 ~

パァッ…


みゆき「よっ、と! お待たせ!」

あかね「早かったやん。すぐ見つかったんやな。……で、どんな話なん?」

みゆき「へへへー、それはー……、じゃーんっ! これです!」


6人「……『がんばれ! キャンディ姫!』?」


なお「"キャンディ" って、……そのキャンディ?」

キャンディ「そうクル!」

みゆき「前にキャンディから、"キャンディの絵本を描いてほしいクルぅ" って言われて描いたものなんだ」

やよい「どんなお話なの?」

みゆき「よくぞ聞いてくれました! それじゃあ、一回読んでみるね!」


みゆき「それでは、『がんばれ! キャンディ姫!』、はじまりはじまりー!」


パチパチパチパチ!

みゆき「"どこかにあるふしぎの国、メルヘンランド。その国のお姫さまのキャンディは、とってもタイクツしていました"」

みゆき「"なぜなら、まわりの人たちはみーんなキャンディ姫に毎日たくさんのおべんきょうやおしごとをさせたがるので、とってもタイヘンだからです"」


みゆき「"そんなある日、キャンディ姫はとうとうガマンできなくなり、お城をこっそり抜け出すことにしました"」

みゆき「"「すぐ戻ってくればきっとだいじょうぶクル! 行ってきまーすクル!」"」

みゆき「"こうしてキャンディ姫は、お城の近くの町におでかけすることになったのです"」

みゆき「"キャンディ姫が町に出ると、みんな大いそがしでお仕事をしていました!"」


みゆき「"「みんなとっても楽しそうクル! おじさんは何をしてるクル?」 キャンディ姫がたずねると、おじさんは笑いながらいいました"」

みゆき「"「もうすぐお祭りだからね! みんなで食べるケーキを作っているんだよ! 国の人たちみんなが食べるから、たくさん作らなきゃ!」"」


みゆき「"別の場所では、ちがうおじさんがたてものを作っていました。キャンディ姫が聞くと、おじさんはこたえます"」

みゆき「"「ここは、お祭りでつかうぶたいなんだ! お祭りの日には、ここでおどり子のみんながおどるんだよ!」"」


みゆき「"ぶたいのすぐ近くでは、おどり子のおねえさんがおどりの練習をしています"」

みゆき「"「お祭りの日までもう少し! キレイにおどれるようにガンバらなくっちゃ!」"」


みゆき「"キャンディ姫は、そんな町のみんなにびっくりしました。みんなとってもタイヘンそうなのに、とっても楽しそうだからです"」

みゆき「"キャンディ姫は聞きました。「みんな大いそがしなのに、なんで楽しそうクル? タイヘンじゃないクル?」"」

みゆき「"それを聞いた町のみんなは、笑ってこう言いました"」


みゆき「"「わたしの作ったケーキでみんなが喜んでくれるなら、これくらいへっちゃらさ!」と、ケーキ屋さん"」

みゆき「"「ぶたいはみんなが楽しむためにひつようなものだから、タイヘンでもガンバれるんだよ!」と、大工さん"」

みゆき「"「たくさんのひとがわたしたちのためにガンバってくれるんだから、わたしもガンバらなきゃ!」とおどり子さん"」


みゆき「"楽しそうにはたらくみんなを見ていたら、なんだかキャンディ姫も楽しくなってきました!"」

みゆき「"「キャンディもおてつだいするクル!」"」

みゆき「"そう言うと、キャンディ姫は、ケーキ屋さんといっしょにケーキを作ったり、大工さんといっしょにおどりのぶたいを作ったり、おどり子さんといっしょにおどったり"」

みゆき「"みんなといっしょに楽しくお祭りのじゅんびをしたのでした"」

みゆき「"ですが、お祭りの前の日、タイヘンなできごとがおこってしまいました!"」

みゆき「"キャンディ姫のおとうさんの王さまがびょうきになってしまったのです。みんなのリーダーである王さまがいなくなっては、お祭りどころではありません"」


みゆき「"王さまをまもるナイトさまは言いました。「王さまがびょうきになってしまったので、お祭りは中止にします」"」

みゆき「"町のみんなもこれにはガッカリ。楽しみにしていたお祭りがなくなってしまい、とってもざんねんそう"」


みゆき「"そんなみんなの様子を見ていたキャンディ姫は、びょうきの王さまのところに行って言いました"」

みゆき「"「キャンディがメルヘンランドのおしごとをガンバるクル! だから、お祭りをやらせてあげてほしいクル!」"」

みゆき「"これには王さまもビックリ! キャンディ姫は、おべんきょうやおしごとが大キライで、今までぜんぜんやりたがらなかったからです"」

みゆき「"王さまは聞きます。「キャンディや、おしごとはとってもタイヘンだぞ。それでもやるのかい?」"」

みゆき「"キャンディ姫はこたえます。「町のみんなは、お祭りを楽しみにして、いっしょうけんめいガンバってたクル」"」

みゆき「"「だから、キャンディはみんなにお祭りをやらせてあげたいクル! みんなのためにガンバりたいクル!」"」


みゆき「"それを聞いた王さまは、ニコニコしながら言いました"」

みゆき「"「みんなのためにガンバることはすばらしいことだよ。キャンディ、どんなおべんきょうよりいいことをまなんだね」"」

みゆき「"王さまはナイトさまに言いました「ナイトや。ちゃんとお祭りはやる、と町のみんなにつたえなさい」"」

みゆき「"これにはナイトさまも、町のみんなも大よろこび! みんな、またはりきってお祭りのじゅんびをはじめたのでした"」

みゆき「"そして、ついにお祭りがはじまりました! おいしいケーキやゆかいなおどりがあって、みんなとってもたのしそう!"」


みゆき「"そんなみんなを見て、キャンディ姫もおもわずニコニコ"」

みゆき「"キャンディ姫は思いました。「キャンディのおしごとやおべんきょうは、みんなをニコニコにするためのとってもたいせつなものだったんだクル」"」

みゆき「"「これからも、みんなのためにガンバるクル!」"」


みゆき「"こうして、たくさんおべんきょうやおしごとをガンバるようになったキャンディは、おおきくなって、とってもりっぱな女王さまになりましたとさ"」

みゆき「"めでたしめでたし"」

パチパチパチパチ!


なお「面白かったよ! みゆきちゃんらしい、優しいお話だったね!」

みゆき「あはは……、ちょっとテレくさいけど……、ありがとう!」


キャンディ「キャンディもガンバったクル! ホメてほしいクルぅ!」

あかね「ガンバったのはキャンディやなくて、お話の中の "キャンディ姫" やん!」

ポップ「キャンディも、"キャンディ姫" のように立派な女王様になれるよう、ガンバらねばならないでござるよ。拙者の渡したクイーンになるための宿題、ちゃんとやってるでござるか?」

キャンディ「あう……。……ちょ、ちょっとずつ、やってるクル……」

ポップ「…… "キャンディ姫" への道のりは、まだまだ遠そうでござるな」


みゆき達「あははははっ!」

みゆき「と、いうわけで、れいかちゃんが言ってくれた人形劇は、このお話でやろうと思うの!」

やよい「うん、いいと思うよ! それなら、さっそくお話用のお人形を作らなくっちゃね!」

みゆき「ふふーん、違うんですよ、やよいさん。実は、このお話を人形劇のために選んだのはワケがあるのです」

あかね「ワケ? なんやそれ?」

みゆき「お人形さん作る必要ないじゃない! だってほら――」


ヒョイッ


みゆき「ここに本人がいるんだもん!」

キャンディ「……クル? みゆき、どういうことクル? なんでキャンディをだっこしたクル?」

みゆき「人形劇のお人形さん役は、キャンディ達にやってもらおうかと思って!」

キャンディ「……え? ええっ!?」

ウルルン「キャンディ"達"、っつーことは、まさか……おれ達もかウル!?」

みゆき「うん!」


なお「……あ、わかった! あたしが前に、家出した女の子のゆうちゃんにやった時の、マジョリンの腹話術みたいな感じでやるの?」

みゆき「そういうこと! 妖精のみんなには人形のふりをしてもらって、劇に出てもらうの! やってもらえないかなぁ?」


妖精達「…………」

オニニン「おれ様はいいオニ! なんだか面白そうだオニ!」

ポップ「拙者も協力するでござる! みなを喜ばせるためなら、この男ポップ、一肌脱がせていただくでござる!」

マジョリン「どうしても、って言うんなら出てあげてもいいマジョ!」

ペロー「ぼくもやるペロ! さっきのお話のお祭りみたいで楽しそうペロ!」

ウルルン「……みゆき達に頼まれちゃあ、断れねえウル……。よっしゃ! そうと決まったらやってやるウル!」

キャンディ「もちろん、キャンディもやるクル! みんなでいっしょにあの子達をハッピーにするクル!」


みゆき「みんな……! ありがとう!」


マティ「あのー……、みゆき様? わたくしも劇に出たほうがいいのでしょうか?」

みゆき「え? あ、あぁー……、マティちゃんは見た目は普通の女の子だから、ちょっとムズかしいかもね……」

はるか「大丈夫! ちゃんと劇をやるなら、お芝居には出なくても、裏方の仕事とかがいっぱいあるよ。マティちゃんはそっちで頑張ろう!」

マティ「あ、はいっ、わかりましたわ! せいいっぱいガンバらせていただきます!」

みゆき「じゃあ、誰がどのキャラクターの役をやるかも考えてあるから言うね」


みゆき「まず、"キャンディ姫" はもちろんキャンディ!」

キャンディ「まかせるクル!」


みゆき「"町のケーキ屋さん" は、ウルルン!」

ウルルン「ケーキ屋か……。おれは作るより食う方が好きだウル」

あかね「たまには作るのもええもんやで? ……って、別にほんまに作るわけやないけども」


みゆき「"町の大工さん" は、オニニン!」

やよい「大工さんかぁ……! 力持ちのオニニンにピッタリだね! ガンバって!」

オニニン「がってんオニ!」


みゆき「"町の踊り子さん" は、マジョリン!」

マジョリン「さすがみゆき! わかってるマジョ! 美しいあたしにピッタリだマジョ!」

なお「張り切りすぎてぎっくり腰にならないようにね」


みゆき「"王様" はポップ!」

れいか「今、メルヘンランドのリーダーを務めているポップさんにはお似合いですね」

ポップ「少々緊張するでござるが……、頑張るでござる!」


みゆき「最後に、"ナイト" はペロー!」

ペロー「ぼくがナイト……! カッコイイペロー……! ついにこの腰の剣がうなる時が来たペロ!」シャキーン

はるか「そういうお話じゃないから、これ……」

れいか「それでは、各妖精さん達を動かすのは、お互いのパートナーということになりますか?」

みゆき「うん! それがいいと思う!」


あかね「じゃあ、うちがウルルンで」

やよい「わたしがオニニン」

なお「あたしはマジョリン」

れいか「私はポップさん」

はるか「で、私はペロー君、ってわけだね」

みゆき「うん、そうそう! やっぱり、仲のいいパートナー同士の方がいいもんね!」


あかね「……ん? ちょお待って。肝心のキャンディってどうなるん? みゆき、本読まなあかんのやろ? キャンディ動かせへんやん」

やよい「そうだね……。誰がやるの?」

みゆき「あ、それはね、ゆかりちゃんに頼もうかと思ってたんだ!」

ゆかり「…………」


ゆかり「……えっ……!? わ、わたし、ですか……!?」

みゆき「うん。あかねちゃんが言ったとおり、わたしは絵本読まないといけないから。キャンディを動かすのは、ゆかりちゃんにお願いしたいんだ」

マティ「ゆかりちゃん、すごいですわ! 主役です!」

ゆかり「わ、わたしが主役……。……で、できるかな……」

あかね「ゆかり、心配せんでもええ。今はでけへんくても、練習すればええねん!」

やよい「そうだよ! だいじょうぶ、ガンバればきっと何とかなるよ!」

はるか「今までだって、色んなことをなんとかしてきたじゃない! 自信を持って!」

れいか「肝心なのは、ゆかりさんがどうしたいか、です」

なお「もしちょっとでもやってみたい気持ちがあるなら、勇気を出して、やってみようよ!」


ゆかり「みなさん……」

ゆかり「わたし、やってみます」

ゆかり「みゆきセンパイとも約束しましたから……。できるだけお手伝いする、って」

ゆかり「だから、メイワクかけちゃうかもしれないですけど……、わたし、やります。よろしくお願いします……!」ペコリ


みゆき「ゆかりちゃん……! ありがとう!」

みゆき「それじゃ早速準備始めようっ!」

れいか「人形はいらないとはいえ、劇の練習の他にも、舞台の作成など、やることはたくさんあります」

はるか「よし! じゃあ、みんなで手分けして取り掛かろう! 分担決めるから、ちょっと待ってね!」

マティ「絵のことならお任せください! ちょちょいのちょいでやってみせますわ!」

やよい「あっ、じゃあわたし、絵のデザイン作るよ! 漫画のために色々勉強してるのが役に立ちそう!」

なお「力仕事なら任せてよ! 家事で鍛えてるからさ!」


ワイワイワイ


あかね「にししっ、盛り上がってきたやん! ガンバって、絶対みんなをハッピーにしたろな!」

みゆき「うんっ! ガンバろうね、ゆかりちゃんっ!」

ゆかり「はいっ……!」

ポップ「お城のデザインでござるが、メルヘンランドのお城を参考にして……、こんな感じでどうでござろうか?」

やよい「うんっ、すっごくいいよ、ポップ! やっぱりホンモノを見てると迫力が違うね! それじゃあ、これにわたしなりのアレンジを加えて……できたぁっ! マティちゃん、お願い!」

マティ「わかりましたわ! この大きな画用紙にお城の絵を描けばいいんですのね! では! ……えぇいっ!」


シュババババッ!


マティ「……ふう。このような感じでいかがでしょう、やよい様、ポップ様?」

ポップ「こんな大きな絵があっという間に描けてしまったでござる……。さすがは絵の国・ピクチャーランドの王女様!」

やよい「これだけ描くの速ければ、漫画描くのもラクチンだろうなぁ……。今度、アシスタント手伝ってもらおうかな……」

ギィコ! ギィコ! ギィコ!


はるか「さすがなおちゃん! 絵を貼り付けるベニヤ板、ノコギリでキレイに切れてるね!」

なお「はい! ダテに大工の娘じゃないですから! 任せてください!」


トテ… トテ… トテ…


ウルルン「はぁっ、はぁっ、な、なおー……、木材、どこに置けばいいウル……?」

なお「あ、ありがとう、ウルルン! そこ置いといて!」

ウルルン「お、おう……。しかし、この小せえ体じゃ運ぶのも一苦労ウル……」


ドスン ドスン ドスン


オニニン「なんだオニ、ウルルン。お前、もうヘバったオニ? だらしないヤツオニ! ほら、どんどん運ぶオニ!」

ウルルン「なんだとぉー……!? 言いたい放題言いやがって……! 負けるかウル!」トテトテトテッ

オニニン「ワッハッハ! そうでなくちゃ張り合いがないオニ! どっちが多く運べるか、競争オニ!」

チクッ


あかね「あいたっ! うー……、指に針刺してもーたー……」

れいか「大丈夫ですか、あかねさん? 確か、このあたりにバンソウコウが……」ゴソゴソ

あかね「ああ、ええてええて! こんなんなめときゃ治るわ! それより、はよ妖精のみんなの衣装、作らんと!」

れいか「……そうですね。まだ数着しかできていませんし、頑張りましょう」

あかね「うん! ……マジョリン! さっき作った踊り子の衣装の着心地、どや?」


トテトテトテ


マジョリン「着替えてきたマジョ! どうマジョ? とってもセクシーマジョ?」クネッ クネッ

れいか「え? え、ええ……、とってもよくお似合いですよ……」

あかね(体が妖精やから、セクシーとかどうとか、ようわからんわ……)


ペロー「マジョリン、キレイペロ……! なんだかドキドキするペロ……!」

マジョリン「ふふふ、ペローはよくわかってるマジョ! もっとホメるマジョ!」

あかね(あ、妖精から見たらそう思うんや……。ふーん……)

ゆかり「あの、みゆきセンパイ……、この場面はキャンディちゃんをどう動かしたらいいですか?」

みゆき「え? うーん、そうだなぁ……。キャンディ姫は元気で明るい女の子だから、ピョンピョン! って動かしてみようか!」

ゆかり「ぴょんぴょん、ですね……。わかりました。キャンディちゃん、持ってもだいじょうぶ……?」

キャンディ「だいじょうぶクル! よろしくクル、ゆかり!」

ゆかり「う、うん……。じゃあ……、ぴょん、ぴょん……!」


バッ バッ


キャンディ「わっ、ひゃっ! お、思ったより目が回るクルぅ……」

ゆかり「あっ、ご、ごめんね……。動きすぎちゃったかな……」

キャンディ「だ、だいじょうぶクル! ゆかり、もっとやるクル! ふたりで、みゆきのためにガンバるクル!」

ゆかり「う、うん……!」

なお「よしっ! 舞台、できたよ!」

やよい「背景の絵もバッチリ!」ピース


れいか「こちらも、妖精さん達の衣装の準備、できました!」

あかね「手、傷だらけになってもーたけど、自信作やで!」


はるか「うん、どっちもいい出来してるね! みゆきちゃん、これならいいんじゃないかな?」

みゆき「そうですね……! みんな、ありがとう! もちろん、手伝ってくれた妖精のみんなもね!」

妖精達「へへへ……!」


みゆき「じゃあ、本格的にお芝居の練習を始めよう! よろしくね!」

全員「うんっ!」

みゆき「―― "そんなある日、キャンディ姫はとうとうガマンできなくなり、お城をこっそり抜け出すことにしました"」


キャンディ(小声)「ゆかり! ぴょんぴょん、クル!」

ゆかり(小声)「う、うん……! ぴょん……、ぴょん……!」ヒョイッ ヒョイッ


みゆき「あっ、ゆかりちゃん、今のすっごくいいよ! "キャンディ姫" の元気いっぱいな感じが出てたよ!」

ゆかり「ほ、ほんとですか……? ありがとうございます……!」

ゆかり(……ほめられちゃった……)


みゆき「それじゃあ、その調子でどんどん行ってみよう! ゆかりちゃん、お願いね!」

ゆかり「は、はいっ……!」

みゆき「"「もうすぐお祭りだからね! みんなで食べるケーキを作っているんだよ! 国の人たちみんなが食べるから、たくさん作らなきゃ!」"」

あかね「ここは、楽しそうに、っと……。こうかな……」ヒョイッ

ウルルン「……ふっ、ははっ! あかね、くすぐってぇウル!」ジタバタ

あかね「あ、こら! 暴れんと、じっとしぃ!」


みゆき「"「ここは、お祭りでつかうぶたいなんだ! お祭りの日には、ここでおどり子のみんながおどるんだよ!」"」

オニニン「木材の小道具を持って力強く……、ふんっ! ……やよい、だいじょうぶオニ?」

やよい「よ、よく考えたら、オニニンは力持ちでも、小道具とオニニンいっしょに持つわたしはそうでもないんだよね……!」プルプル

オニニン「な、なんとかガンバるオニ! ファイトオニ!」

やよい「う、うん、ガンバるよ……!」


みゆき「"ぶたいのすぐ近くでは、おどり子のおねえさんがおどりの練習をしています"」

マジョリン「よっ! ほっ!」ヒラリン

なお「へぇ、マジョリン、踊るの結構上手だね! 意外な特技、見つけちゃったかも!」

マジョリン「なおの動かし方もいいカンジマジョ! その調子マジョ!」


みゆき「"キャンディ姫のおとうさんの王さまがびょうきになってしまったのです。みんなのリーダーである王さまがいなくなってはお祭りどころではありません"」

ポップ「……拙者達はそれほど動かなくていいからラクでござるな」

れいか「そうですね。ですが、動かぬこともまた演技。気を抜かず、精一杯動かないようにしなくては」

ポップ「心得たでござる!」


みゆき「"王さまをまもるナイトさまは言いました。「王さまがびょうきになってしまったので、お祭りは中止にします」"」

ペロー「ふんっ、ペロ!」シャキーン!

はるか「ああ、もう! ペロー君! 剣抜かなくっていいから!」

ペロー「でも、この方がカッコイイペロ……」

はるか「そういうシーンじゃないんだってば! 今回、ナイトは脇役なんだから目立っちゃダメ。しっかり、自分の役を演じなきゃ。ね?」

ペロー「はーい、ペロ……」

みゆき「―― "めでたしめでたし"」

全員「…………」


あかね「……一応全部やってみたけど、いけるやん! 結構よかったんとちゃう!?」

みゆき「うんっ! みんな、とっても上手だったよ!」

はるか「これなら、本番も何とかなりそうだね!」

れいか「では、この調子でさらに練習を積みましょう!」

やよい「そうだね! もっともっとよく出来るかもしれないし!」

なお「よーし! そうと決まれば、早速練習再開しよう!」


ワイワイワイワイ


ゆかり「…………」

マティ「ゆかりちゃんもとってもよかったですわ! ……あら、ゆかりちゃん? どうかしましたか、みなさまの方をぼーっと見てらして……。お疲れなのでしょうか?」

ゆかり「あ、違うの、マティちゃん……」


ゆかり「……みなさん、とっても楽しそう……。みゆきセンパイも、他のセンパイ達も……」

ゆかり「その中に自分もいる、って思ったら、なんだか……、胸があったかくって……、じーんとして……。なんだかふしぎな感じがするんだ……」

マティ「……それはきっと、ゆかりちゃんも楽しんでいるからだと思いますわ。それがうれしいんじゃないでしょうか」

ゆかり「わたしが、楽しい……?」

マティ「はい。ゆかりちゃん、なんだか、いつもよりウキウキして見えますもの!」

ゆかり「……そっか……、楽しいって、こういう感じだったっけ……」

ゆかり「わたし、ずっと友達もいなかったから、こういうこと、忘れてた気がする……」

ゆかり「でも、このあったかさ……、気持ちいい……。なんだかとっても……いいな……!」


ゆかり「ずっと、こんな気持ちでいたいな……!」


マティ「……だいじょうぶですわ、ゆかりちゃん。そのあったかい気持ちはどこにも行きません。ずっと、ゆかりちゃんの胸にあります」

ゆかり「……うん……!」

みゆき「おぉーい、ゆかりちゃーん! 練習、始めるよーっ!」


マティ「さ、行きましょう、ゆかりちゃん! 楽しい気持ちになるためにも、今をせいいっぱいガンバりましょう!」

ゆかり「うん!」

~ 夕方 七色ヶ丘市 商店街 ~

タタタタッ


みゆき「劇の練習の後、幼稚園に打ち合わせに行ってたら、すっかり遅くなっちゃった! 早く帰らないと、晩ゴハンに間に合わないよーっ!」

キャンディ「みゆき、急ぐクル!」


肉屋・店主「おぉーい、えほんのおねーちゃーんっ! ちょっと待ってくんな!」

みゆき「えっ!? あ、わ、わたしですか……!?」

肉屋・店主「そうそう! やっぱりそうだったか。そのクルクル髪の毛、あけみの言ってた通りだったから、もしかしたらと思ってね」

みゆき「"あけみ" って……、それじゃあ、なないろ幼稚園のあけみちゃんのお父さんですか?」

肉屋・店主「そういうこと! あんたのことはあけみから聞いてるよ! とっても面白いお話を書くんだってな」

みゆき「い、いやぁ、それほどでもぉ……」

肉屋・店主「ところでおねーちゃん、晩ゴハンはまだかい?」

みゆき「え、そうですけど……」

肉屋・店主「それなら、こいつを持ってきな! サクサクホクホク! ウチの特製コロッケだ! 食べてくんな!」

みゆき「え……!? そ、そんな急にもらえないです……!」

肉屋・店主「遠慮しないでもらってくれって! あけみを楽しませるためにガンバってくれてるんだろ? せめてものお礼っつーことでさ。ほれ」ズイッ

みゆき「……そ、それじゃあ、いただきます」


八百屋・店主「おっと! そういうことならこいつも持ってってよ! 切り立てシャキシャキのキャベツの千切りだ! コロッケによく合うよ!」

みゆき「えっ!? や、八百屋さんまで!?」

八百屋・店主「うちの息子のこうたろうも、あんたのお話、楽しみにしてるんだ。いっぱい食べて、ガンバってね」

みゆき「あ、ありがとうございます……!」

肉屋・店主「頼んだよ、おねーちゃん! うちのコロッケ食べて、ガンバってくんな!」ニコッ

八百屋・店主「子ども達のためにも、いいお話、頼むよ!」ニコッ

みゆき「…………」


みゆき「はいっ!」

~ 七色ヶ丘市 星空家 帰路~

スタスタスタ


キャンディ「みゆき、よかったクル! いっぱいおみやげもらえたクル!」

みゆき「……うん……」


みゆき「……キャンディ、あのね……」

キャンディ「クル?」

みゆき「あのね、わたしね……、今、すっごくうれしいの……!」

みゆき「わたしがお話を書いたら、あけみちゃんや他のみんながハッピーになってくれて……」

みゆき「そうしたら、その子達の家族の人達がハッピーになってくれて……」

みゆき「その人達が、贈り物といっしょに、わたしに……ハッピーをくれた」


みゆき「自分がガンバったおかげでみんながハッピーになって、わたしもハッピーになって……。こんなにうれしいことないよ……!」

キャンディ「みゆき……」


みゆき「わたし、もっともっとガンバりたい! もっと多くの人達をハッピーにしてあげたいんだ!」

キャンディ「みゆきならきっとできるクル! キャンディも応援するから、いっしょにガンバるクルぅ!」

みゆき「うんっ! ガンバろうね、キャンディ!」

キャンディ「クルぅっ!」

~ デスペアランド 王宮 玉座の間 ~

怪物・デスペア『オォォォォォォォォォッ……!!』


デスペア国王「……闇の絵の具が足りぬか、"デスペア" よ……」

大臣「そのようですね……。このままでは、成長が止まってしまうか……、はたまた、空腹のあまり暴れだすか……。いずれにしても、良いことにはならなさそうです」

デスペア国王「…… "闇の描き手" 達の仕事でも、もはや追いつかん……」

デスペア国王「私自身が行ければよいのだが……。"デスペア" の育成がある以上、この場を離れることはできん……」

デスペア国王「何か……、何か他に、大量に闇の絵の具を生み出す方法があれば良いのだが……」


大臣「…………」ニヤリ

大臣「……国王陛下、私ならそのお悩み、解決してさしあげられるかもしれません」

デスペア国王「……本当か、大臣」

大臣「はい。ただし……」


大臣「私の "真の力" を使えれば、の話ですが」

デスペア国王「! ……それは、お前の "封印" を解け、ということか?」

大臣「そういうことになりますねぇ」

デスペア国王「…………」

大臣「……迷っておいでのようですね」

大臣「ですが、よいのですか? デスペア国王陛下?」

大臣「このまま "デスペア" がうまく育たなければ、リアルランドの人間達の心を消すことはできません」

大臣「"夢の絵の具" を使っての、希望しか持たない心を人間達に与えることもできない。そうなれば……」


大臣「ピクチャーランドも、元通りにはなりませんよ?」

デスペア国王「……!」


デスペア国王「…………」


デスペア国王「……本当に、闇の絵の具を大量に増やすことができるのだな?」

大臣「全力を尽くさせていただきます。ピクチャーランドと国王陛下のために、ね……」

デスペア国王「……いいだろう。そこまで言うのであれば、やってみるがいい」

大臣「これはこれは……! ありがたき幸せ……!」


デスペア国王「ただし、条件がある。1時間だ。それ以上は許さん」

デスペア国王「それが過ぎれば、事が成せようが成せまいが、再び "封印" を施し、強制的にデスペアランドに戻らせるぞ。よいな」

大臣「結構です。私の働き、とくとご覧ください。それでは、失礼いたします」ペコリ


スタスタスタ…

ギギギギ… バタンッ


デスペア国王「…………」


デスペア国王(あの者の "封印" を解くことだけはしたくはなかったが、いたし方あるまい。我が大願のため……、ピクチャーランド復活のためだ……)


怪物・デスペア『オォォォォォォォォォッ……!!』


デスペア国王(……待っていてくれ、皆の者。もうすぐ、もうすぐだ……!)

~ デスペアランド 王宮 玉座の間 前 ~

バタンッ


大臣(……ふふふ、面白くなってきましたねぇ……! このような形でチャンスが訪れようとは……!)

大臣(この期に、"デスペア" に必要な分だけに留まらず、それ以上の心の絵の具を採取するとしましょうか)

大臣(そうすれば、いずれは……。くくくっ……!)


ザッ


オーレン「珍しく嬉しそうだな、大臣」

イエロワ「何かあったのですかの?」

大臣「ああ、オーレンにイエロワ。いえね、今さっき国王陛下から、ついに私に "封印" の解放の許可が下りましてねぇ……!」

イエロワ「なんと……!」

大臣「ですから、今回はあなた方の力は必要ありません。ここに残っていなさい」

大臣「私一人で十分ですからね……! くくくっ……!」


スタスタスタ…


オーレン「大臣の真の力、か。イエロワ、お前はそれがどんなものか知っているのか?」

イエロワ「実際に見たわけではないがのう。もし聞いている通りのお方であれば、プリキュアさえも物の数ではなかろう。何せ、ワシらの産みの親なのじゃからな」

オーレン「そうだな。では、手並みを見せてもらうとしよう」

~ 七色ヶ丘市 公園 ベンチ ~

ウィスタリア「…………」ポツン


ウィスタリア(……結局、デスペアランドに帰れなかった……)

ウィスタリア(何回も仕事をしても、失敗ばかり……。心の絵の具も全然取れてないし……。せめて、プリキュアに勝てれば……!)


ウィスタリア(でも、残った手段はもうそんなに多くない……。あとは、あたしが無事でいられないものばかり……)

ウィスタリア(……やるしか、ないのかな……)

少年「んっ……、んんーーっ……!」

少年の父親「よしっ、頑張れ! もう少しだぞ! お腹に力を入れて、くるんっ、って回るんだ!」

少年「んんっ……、えぇいっ!」


クルンッ


少年「……! できた……!」

少年の父親「ははっ! 出来たじゃないか、逆上がり! やったな!」


ウィスタリア(…………)

ウィスタリア(……あたしは、どっちがいいの……?)

ウィスタリア(このまま、何もなく終わるか……。それとも、自分を犠牲にしても勝つか……)


少年の父親「よく頑張ったな!」ナデナデ

少年「へへへ……、お父さんのおかげだよ!」ニコニコ


ウィスタリア(…………)

ウィスタリア(……決めた。やろう。あたしがどうなったって、きっと今よりはマシだよ)

ウィスタリア(胸に穴が開いたような、今よりは……!)


ウィスタリア(今度こそ勝つんだ。勝ってあたしは……、あたしは……!)

ウィスタリア(この胸の穴を埋めるんだ……!)

~ 朗読会当日 七色ヶ丘市 なないろ幼稚園 あかぐみ教室 ~

幼稚園の先生「――それじゃあ、準備が出来たら呼んでね。みんなを連れてくるから」

みゆき「はい! よろしくお願いします!」


ガラッ


あかね「……いよいよやな」

やよい「うぅー……、何だか緊張してきちゃった……!」

みゆき「……実は、わたしも……」

なお「だいじょうぶだよ! たくさん練習したじゃない!」

れいか「平常心でいればきっとうまくいきますよ。みゆきさん、やよいさん」

みゆき「う、うん……、わかってるけど……」

はるか「じゃあ二人とも、ここの子達の笑顔を想像してごらん」

みゆき「みんなの笑顔、ですか……?」

はるか「そ! 私達の劇が大成功して、みんなが笑顔で拍手してくれてるところ!」

やよい「……んんー……」


園児達(想像)『わぁぁぁぁぁっ!』パチパチパチパチ!


みゆき・やよい「…………」


みゆき「……あ、あれ……? なんだか、少し気持ちがラクになったような……」

やよい「ホントだ……!」

はるか「頑張れば、きっとハッピーが待ってる。そう思えるようになったからだよ、きっと」

みゆき「ガンバれば、ハッピーに……」


みゆき「……ありがとうございます、はるかさん! なんだかやる気が湧いてきました!」

はるか「そうそう、その調子! リラックスして、楽しんでいこう!」

やよい「はいっ!」

あかね「……あれ? ところでゆかりは?」

なお「キャンディとマティちゃんもいないよ……! だいじょうぶなのかな、主役なのに……!

れいか「その三人なら、ふしぎ図書館に残っていたわ。できるだけ練習をしておきたいんですって」

なお「そうなんだ……。でも、間に合うかな……」

はるか「それだけ気合入ってるなら、遅刻だけはしないと思うよ。私達は私達の準備をしてよう」

なお「……そうですね。わかりました!」

~ 七色ヶ丘市 道路~

タタタタタッ


キャンディ「ゆかり! 急ぐクル!」

ゆかり「はぁっ、はぁっ、わ、わかってるよ、キャンディちゃん……!」

マティ「はぁっ、はぁっ、練習に夢中になり過ぎて、遅くなってしまいましたわね……! 間に合うでしょうか……!?」

ゆかり「……間に合わせるよ……。だって、あんなにガンバったんだもん……!」

ゆかり「わたし、見たいから。幼稚園の子達や、センパイ達の笑顔……!」

マティ「……そうですわね! では、急ぎましょう! ダッシュですわ!」

ゆかり「うん……!」

ピクン


キャンディ「……! ふ、ふたりとも、待つクル! タイヘンクル!」

マティ「えっ……!? こ、こんな時になんですか、キャンディ?」

ゆかり「タイヘンって……? …………まさか……!」

キャンディ「デスペアランドが出たクル! いつものイヤなカンジがするクル!」

ゆかり・マティ「!?」

マティ「よ、よりによってこんな時に……! 早く、プリキュアのみなさまを "手紙のキャンバス" で呼ばなければ――」


ゆかり「……マティちゃん、待って!」

マティ「は、はい! ……って、ゆかりちゃん、どうして止めるのですか?」

ゆかり「……今センパイ達が来ちゃったら……、朗読会はどうなるの……? もうすぐ始まるよね……?」

マティ「ですが、このままデスペアランドを放っておけば、町の人々が危険な目にあってしまいますわ! みなさまをお呼びしなければ!」


ゆかり「…………」

ゆかり「……マティちゃん、わたし達だけで行こう。キャンディちゃん、悪いけど、一人で幼稚園に行ってくれるかな……」

マティ・キャンディ「!?」

キャンディ「それって……、ヴェールだけで戦うつもりってことクル……!?」

ゆかり「……うん」


ゆかり「だって、みんな、今日のこと本当に楽しみにしてたから」

ゆかり「みゆきセンパイのお話が大好きなあけみちゃんも……」

ゆかり「そんな幼稚園のみんなを喜ばせようとしてる、センパイ達も……」


ゆかり「だから、絶対に台無しになんてさせたくない……! ちゃんとやって、みんなでハッピーになってほしいんだ……!」

マティ「ゆかりちゃん……」


ゆかり「キャンディちゃん、このことは、センパイ達にはないしょにしておいてくれる……? センパイ達といっしょに、朗読会を終わらせてほしいの……」

ゆかり「それまでは、わたしがなんとかするから……!」

キャンディ「ゆかり……! ……で、でも、ひとりじゃあぶないクル……!」

マティ「……だいじょうぶですわ、キャンディ。ゆかりちゃんはひとりじゃない。わたくしもいますから」

ゆかり「マティちゃん……!」

マティ「ゆかりちゃんの、みなさまを想う強い気持ち……、確かに見させていただきました」


マティ「いっしょに参りましょう! わたくしたちは、ふたりでプリキュアなのですから!」

ゆかり「……! うんっ!」


キャンディ「…………」


キャンディ「……わかったクル。キャンディは、みんなと朗読会をガンバるクル」

キャンディ「でも、終わったらすぐ助けに行くクル! だからゆかり……、マティ……!」

キャンディ「絶対、負けちゃダメクル!」


ゆかり「ありがとう、キャンディちゃん……! 行ってきます……!」


タタタタタッ…


キャンディ「……ふたりとも、ガンバるクル……!」

タタタタタッ


ゆかり「はぁっ、はぁっ、はぁっ」


ゆかり(……どうしてかな……。ヴェールだけで行かなきゃいけないのに、ちっともコワくない)

ゆかり(……みんなの笑顔が見たいからかな……。朗読会がうまくいって、みんながハッピーになってほしいからかな……)

ゆかり(そのことを考えるだけで……、胸が熱くなる……、勇気が湧いてくるよ……!)


ゆかり(わたし達だけでも、ガンバるんだ……!)

~ 七色ヶ丘市 なないろ幼稚園 あかぐみ教室 ~

ガラッ


キャンディ「みゆき! お待たせクル!」

みゆき「あ、キャンディ! もー、遅いよ! 主役がいなかったら始まらないんだから!」

キャンディ「ご、ごめんクル……」


みゆき「……あれ? ゆかりちゃんとマティちゃんは? いっしょじゃなかったの?」

キャンディ「クル……!? あ、あのふたりは、急な用事ができちゃって、少し遅れてくる、って言ってたクル!」

みゆき「え!? そうなの? そっかぁ、用事じゃしょうがないけど、困ったなぁ……。キャンディ動かすの、どうしよう……」

はるか「私がやるよ。ペロー君の "ナイト" はそんなに出番多くないし。ゆかりちゃん達の練習は見てるから、とりあえず動かすだけだったら私でもできると思うよ」

みゆき「あ、じゃあ、お願いします!」

はるか「わかった! 任せて!」


ガラッ


幼稚園の先生「どう、星空さん。そろそろ準備、いいかしら?」

みゆき「あ、はい! お待たせしました! もうだいじょうぶです!」

幼稚園の先生「わかったわ! じゃあ、みんなを呼んでくるから、よろしくね!」

みゆき「はいっ! お願いします!」


みゆき「よーし! ゆかりちゃんとマティちゃんがいないのは残念だけど……、みんなでガンバろうっ!」

全員「おーっ!」


キャンディ「……クルぅ……」

~ 七色ヶ丘市 なないろ幼稚園近くの公園 ~

ザッ


ゆかり「はぁっ、はぁっ、……いた……!」


アキラメーナ(回転ジャングルジム型)「アキラメーナァ……!」


マティ「あのアキラメーナは、なんでございましょう?」

ゆかり「あれ、あの網みたいな鉄棒にぶら下がったり、中に入ったりして、グルグル回して遊ぶものだよ……」


ウィスタリア「来たね、プリキュア――って、何よ、あんた達だけなの? 他のヤツらはどうしたのよ」

ゆかり「……今日は、わたし達だけだよ」

ウィスタリア「……!? はぁ!? 何それ……! あんた達だけで何ができるってのよ!?」

ゆかり「それでも、やらなきゃ……! これ以上、悪いことはさせない……っ!」


ゆかり「行くよ、マティちゃん……!」

マティ「はいっ!」

パチンッ!

レディ!

ゆかり「プリキュア! スマイルチャージ!!」

ゴー!

ゴーゴー! レッツゴー、ヴェール!!


ヴェール「そよそよさざめく、優しい木陰。キュアヴェール!!」

ウィスタリア「…………」


ウィスタリア「……何よ……、人が本気で戦う覚悟で来てみれば、相手がたった一人だけ……!?」

ウィスタリア「それも、よりによって一番弱っちい紫だけだなんて……!」

ウィスタリア「あたしなんて、それだけで十分ってわけ……!?」


ウィスタリア「バカにしないでよ!!」


ヴェール「!?」ビクッ


ヴェール「な、なに、あの子……、どうしたのかな……?」

マティ(デコル)「い、いつもと様子が違うようです……!」


ウィスタリア「……もうアタマきた……。あの紫をコテンパンにして、他のヤツらを引きずり出してやる!」

ウィスタリア「アキラメーナ! 一回キャンバスに戻って!」

アキラメーナ(回転ジャングルジム型)「アキラメーナァッ!」ドロッ


シュバァッ


ヴェール「え……!? アキラメーナが絵の具になって……」

マティ(デコル)「キャンバスの中に戻ったのでしょうか……?」


ウィスタリア「やっ!」スボッ


ズブズブズブ


ヴェール「!? あの子、キャンバスの中に体ごと入っていく……!?」


ウィスタリア『もう一度! 実体を持ってキャンバスから現れよ、アキラメーナ!』


ズボッ

ズドォォォンッ!


アキラメーナ(回転ジャングルジム型)「ア……ガァァァァァァッ!!」


ヴェール・マティ(デコル)「……!」

ヴェール「な、何あれ……! いつものと違うカンジがする……!」

マティ(デコル)「とても危険そうですわ……!」

ウィスタリア『これは、あたしとアキラメーナが合体した、あたしの作り出せる最強のアキラメーナ……!』


ヴェール「合体……!? じゃあ、あの子はアキラメーナの中にいるの……?」


ウィスタリア『このアキラメーナは今までのとはワケが違うよ……! その力、見せてあげる!!』

アキラメーナ(回転ジャングルジム型)「ガァァァァァァッ!!」


ドンッ!


マティ(デコル)「!? すごいスピードの体当たりが来ますわ! ヴェール、防御を!」

ヴェール「う、うん……! "ヴェール・カーテン" ……っ!」


パキィィィィンッ!

ガァァァァァァンッ!


ヴェール「……っ!?」ビリビリッ

マティ(デコル)「う、受け止めたのに、ここまで震えが来ていますわ……!」


ウィスタリア『そんな葉っぱの盾なんて!!』

アキラメーナ(回転ジャングルジム型)「ガァァァァァァッ!!」ブンッ


ガァァァァァンッ!


アキラメーナ(回転ジャングルジム型)「ガァァァッ!! ガァァァッ!! ガァァァァァァァッ!!」


ガァァァァァンッ! ガァァァァァンッ! ガァァァァァンッ!


ヴェール「盾の上からでも、かまわずパンチしてくる……!?」

ピシッ!


ヴェール・マティ(デコル)「!!?」


ヴェール「"ヴェール・カーテン" に……ヒビが入った……!?」

マティ(デコル)「そんな……! 今まで、傷一つついたことなかったのに……!?」


ウィスタリア『壊れちゃえぇぇぇっ!!』

アキラメーナ(回転ジャングルジム型)「ガァァァァァァッ!!」ブンッ


ガァァァァァンッ!


ビシッ! ビシビシッ!


バリィィィィィンッ…!


マティ(デコル)「…… "ヴェール・カーテン" が……」

ヴェール「割れちゃった……」


ウィスタリア『やぁぁぁぁぁぁっ!!』

アキラメーナ(回転ジャングルジム型)「ガァァァァァァッ!!」ブンッ


ヴェール「……! アキラメーナのパンチが……!?」


ドカァァァァァッ!


ヴェール「わぁぁぁぁぁぁっ!?」ドサァァッ

マティ(デコル)「ヴェールっ!」


ウィスタリア『そんな盾なんて……今のあたしには意味ないよ!』

~ 七色ヶ丘市 なないろ幼稚園 あかぐみ教室 ~

みゆき「――えー、こほん。みなさん、今日はわたしのお話を聞きにきてくれて、ありがとうございます!」

みゆき「わたし、星空 みゆきとわたしの友達が、絵本に合わせた人形劇をやります! 楽しんでください!」

園児達「わぁぁぁっ!」パチパチパチパチ!


みゆき「『がんばれ! キャンディ姫!』の、はじまりはじまりー!」

~ 七色ヶ丘市 なないろ幼稚園近くの公園 ~

ヴェール「はぁっ……、はぁっ……」ヨロッ…

マティ(デコル)「ヴェール……、だいじょうぶですか!? 立てますか!?」

ヴェール「はぁっ、はぁっ、なんとか……」


ウィスタリア『すぐに立てなくなるようにしてあげるよ!!』

アキラメーナ(回転ジャングルジム型)「ガァァァァァァッ!!」


スポッ

スポッ


マティ(デコル)「アキラメーナの手足が引っ込んで……!」


アキラメーナ(回転ジャングルジム型)「ガァァァァァァッ!!」


ギャルギャルギャルギャルッ!


マティ(デコル)「こちらに転がってきます! ヴェール!」

ヴェール「うっ……、"ヴェール・……カーテン" ……っ!」


パキィィィィンッ!

ガァァァァァァンッ!


アキラメーナ(回転ジャングルジム型)「ガァァァァァァッ!!」ギャルギャルギャルギャルッ!


ピシィッ!


ヴェール「!! また、盾にヒビが……!?」


バリィィィィィンッ…!


アキラメーナ(回転ジャングルジム型)「ガァァァァァァッ!!」ギャルギャルギャルギャルッ!


ドカァァァァァッ!


ヴェール「ぅぁ……っ!?」ドサァァッ

マティ(デコル)「ま、また盾が破られて……! ヴェール! しっかりしてください! ヴェールっ!」


ウィスタリア『言ったでしょ!? もう、あんたの盾なんてなんの役にも立たないよ! このアキラメーナの前じゃね!』


ヴェール「うぅ……!」

~ 七色ヶ丘市 なないろ幼稚園 あかぐみ教室 ~

みゆき「"そんなある日、キャンディ姫はとうとうガマンできなくなり、お城をこっそり抜け出すことにしました"」

みゆき「"「すぐ戻ってくればきっとだいじょうぶクル! 行ってきまーすクル!」"」

みゆき「"こうしてキャンディ姫は、お城の近くの町におでかけすることになったのです"」


キャンディ「クルぅっ!」ピョコッ


園児の少女・あけみ「わぁっ! あのおにんぎょうさん、かわいいっ!」

~ 七色ヶ丘市 なないろ幼稚園近くの公園 ~

バリィィィィィンッ…!

ドカァァァァァッ!


ヴェール「う……くぅっ……!」ドサァァッ

ウィスタリア『はぁっ、はぁっ、……どうだ!』

ヴェール「……ま、まだ……、……動けるよ……」グググッ

マティ(デコル)「ヴェール……っ!」


ウィスタリア『……! しつこいなぁ……!』

~ 七色ヶ丘市 なないろ幼稚園 あかぐみ教室 ~

みゆき「"ですが、お祭りの前の日、タイヘンなできごとがおこってしまいました!"」

みゆき「"キャンディ姫のおとうさんの王さまがびょうきになってしまったのです。みんなのリーダーである王さまがいなくなってはお祭りどころではありません"」


園児の少年・こうたろう「おまつり、できないの……? みんなかわいそう……」

幼稚園の先生「大丈夫よ。きっとうまくいくから。心の中で応援しようね」

園児の少年・こうたろう「うんっ!」

~ 七色ヶ丘市 なないろ幼稚園近くの公園 ~

ドガァァァァァンッ!


ヴェール「…………」

マティ(デコル)「ヴェール! ヴェールっ!」


ウィスタリア『こ、今度こそ、やっつけたでしょ……!?』


ヴェール「…………う……」グググッ…


ウィスタリア『……!? 壁にめり込むほど叩きつけたのに、まだ動けるの……!?』

ウィスタリア『……うっとうしい! あんたは、あたしには何もできないんだよ!』

ウィスタリア『大体、あんた守る以外になんにもできないじゃん! これ以上、何してもあたしには勝てないよ!』


ウィスタリア『いいかげん、あきらめなよ!!』


ヴェール「……あきら……める……?」

ヴェール「……今……、わたしが、あきらめ……たら……、どう、なっちゃうの……かな……」

ヴェール「きっと……、朗読会も……、台無しに、なっちゃう……」

ヴェール「……そうしたら……きっと……」


園児の少女・あけみ(回想)『やったぁ! ありがとう、おねえちゃん! あけみ、まってる!』


ヴェール「……きっと……!」


みゆき(回想)『よぉーし! ガンバるぞーっ!』


ヴェール「きっと……っ!」


グググッ…


ヴェール「はぁっ……、はぁっ……、はぁっ……」


ウィスタリア『立った……?』

ウィスタリア『……何でよ……。どうしてあきらめないの……!?』

ウィスタリア『何なのよ、あんたはぁっ!』


ヴェール「だって! わたしがあきらめたら、みんなの笑顔がなくなっちゃうから!!」


ウィスタリア『笑顔……!? 何を言って……』

ヴェール「……わたし、まだうまく笑えないの……。前から、ずっと……」

ヴェール「楽しい、ってことも、まだちょっとしか思い出せてないし……、やりたいこともない……」

ヴェール「だから、笑えないんだと思う……」


ヴェール「でも! わたしは笑えなくってもいい! みんなが笑顔でいてくれれば!」

ヴェール「みんなの笑顔がなくなるのは、とっても……、とってもイヤなの!」


ヴェール「わたし、やっとわかったの……! 笑顔の大切さが……! プリキュアのセンパイ達みんなが教えてくれたから!」

ヴェール「だから、わたしは……、これしかできないけど……!」スゥッ


パキィィィィンッ!


ヴェール「みんなの笑顔を……守りたいから……!」スゥッ


パキィィィィンッ!


ウィスタリア『紫……、広げた両手にそれぞれ盾を出して何を……』


ヴェール「(キッ)」

ヴェール「だからわたしは! あきらめたくないっ!!」バッ


ガキィィィィンッ!


ウィスタリア『……!? 両手を合わせて……二つの盾を……くっつけた……!?』


マティ(デコル)「二つの葉っぱが重なって……、ハートの形に……!」


ヴェール「…… "ヴェール・カーテン・ハート" ……!!」


ヴェール「ここは! 絶対に通さないっ!!」

ウィスタリア『……だからなんだっていうのよ、そんなもの!!』

アキラメーナ(回転ジャングルジム型)「ガァァァァァァッ!!」ギャルギャルギャルギャルッ!


マティ(デコル)「ヴェール! またアキラメーナが転がってきます!」

ヴェール「……っ!」グッ


ウィスタリア『そんな盾、また壊してやる!!』

アキラメーナ(回転ジャングルジム型)「ガァァァァァァッ!!」


ドカァァァァァッ!

ギャルギャルギャルギャルッ!


ウィスタリア『……!? 受け止められた!?』

ヴェール「くぅぅぅぅぅっ!」

ウィスタリア『さっきの盾は割れたのに……! なんで……!?』


ウィスタリア『……っ!』ギリッ

ウィスタリア『どきなさいよ!!』


ヴェール「イヤだ!!」


ウィスタリア『どけっつってんのよ!!』


ヴェール「絶対どかないっ!!」


ウィスタリア『……!!?』


ウィスタリア(……なんなの……!? なんなのこいつ……!)

ウィスタリア(なんでこんなに立ち上がってこれるの……!? 守ることしかできないんだから、どうせあたしを倒すことなんてできないのに……!)

ウィスタリア(……なんで……!!?)

ウィスタリア(それに、どうして……、どうして……!)

ウィスタリア(ただ、あたしの攻撃を防がれてるだけなのに……っ!)


ヴェール「うぅぅぅぅぅぅっ!!」


ウィスタリア(どうしてあたしが負けてるような気持ちになるの……!!?)


ウィスタリア(……あたしは負けない……。でも……)

ウィスタリア(…………勝てる気もしない……!)

デスペア国王(回想)『我が部下に役立たずはいらん』


ウィスタリア(…………)


ウィスタリア(……あたしは……、……あたしは……)

ガクッ


ヴェール「うっ……!」

マティ(デコル)「ヴェール……!? ヒザをついて……!」

ウィスタリア『……!』


ウィスタリア『……あはっ』

ウィスタリア『あははっ! あははははっ!』

ウィスタリア『そうだよね! いくらその盾が硬くでも、あんたの体力まで減らないわけじゃないもんね!』


マティ(デコル)「……!? ヴェール、もう体力がないのですか……!?」

ヴェール「はぁっ……! はぁっ……!」


ウィスタリア『もう盾が割れなくったって、そんなの関係ない!』

ウィスタリア『盾ごと押しつぶしてやる!!』

アキラメーナ(回転ジャングルジム型)「ガァァァァァァッ!!」ギャルギャルギャルギャルッ!


ヴェール「……っ!!」

マティ(デコル)「ヴェール……!」


マティ(デコル)「ヴェールぅぅぅっ!!」

ハッピー「――プリキュア! ハッピー・シャワーァァッ!!」

ウィスタリア『えっ!?』


ドォォォォォォォォンッ!!


アキラメーナ(回転ジャングルジム型)「ガァァァッ!?」ドタァァァンッ!

ウィスタリア『わぁぁぁぁぁっ!?』


ヴェール「はぁっ……、はぁっ……、……な、何が……起きたの……?」

マティ(デコル)「ピンク色の光が、アキラメーナを吹き飛ばして……。……これは……!」


ザッ


ハッピー「ヴェール! だいじょうぶ!?」

ヴェール「ハッピー……センパイ……」


ピース「キャンディから全部聞いたよ!」

マーチ「あたし達が朗読会をやってる間、ずっとマティちゃんとふたりでガンバってくれてたんだって!?」

サニー「ムチャしよんなぁ……! ボロボロやんか……! しっかりしぃ!」

ビューティ「……ですが、私達が来たからにはもう大丈夫です」

ノーブル「これ以上、ヴェールを傷つけさせない!」


ヴェール「……みなさん……!」

ヴェール「……あ……、朗読会……! 朗読会は、どうなったんですか……!? もしかして、途中でやめてきちゃったんじゃ……!」

ハッピー「……ううん、ちゃんと終わったよ。キャンディ、ポーチから、さっき預けたあれ、出してくれる?」


ポンッ


キャンディ「わかったクル! (ゴソゴソ) これクル!」

マティ(デコル)「それは……? ひまわりのお花の形の首飾り……?」

ヴェール「何か、字が書いてある……」


ヴェール「…… "えほんのおねえちゃん ありがとう" ……」


ハッピー「……今日のお礼のために、前からあけみちゃん達が作ってくれてたんだって。朗読会が終わった後、これをもらったの」

ハッピー「ヴェール。わたしね、今すごくハッピーなんだ」


ハッピー「朗読会、大成功して、みんなすっごく喜んでくれた。わたしのお話で、みんながハッピーになってくれた」

ハッピー「そのみんなの笑顔だけでも十分なのに、こんなプレゼントまでもらって……!」

ハッピー「わたし、ウルトラハッピーなの!」


ハッピー「……でも、それはヴェールのおかげなんだよ」

ヴェール「……わたしの……?」

ハッピー「うん。だって、ヴェールがこうしてガンバってくれたから、ちゃんと朗読会最後までできたんだもん」

ハッピー「だから、ヴェールがわたしをハッピーにしてくれたんだよ!」


ハッピー「ありがとう、ヴェール! ……ううん、ゆかりちゃん!」


ヴェール「……! ……みゆき……センパイ……っ!」


ハッピー「キャンディも。わたし達に朗読会をやらせるために、ヴェールのこと、黙っててくれたんだよね。黙ってるの、ツラかったよね、きっと」

ハッピー「ありがとう、キャンディ!」

キャンディ「……クルぅ!」

ウィスタリア『……う……うあぁぁぁぁぁぁっ!!』

アキラメーナ(回転ジャングルジム型)「ガァァァァァァァッ!!」

6人「!?」


ハッピー「アキラメーナしかいないのに、ウィスタリアって子の声だけ聞こえる……!?」

マティ(デコル)「彼女は今、アキラメーナと合体しているのです!」

ノーブル「それって……、シアンナが前にやってたのと同じ……!?」

マティ(デコル)「とても強くなっていますわ! お気をつけて!」


ウィスタリア『なんなの……、なんなのよ、あんた達は!?』

ウィスタリア『いっつも誰かがピンチになると、そうやってどっからかやって来て!』

ウィスタリア『どうしてそんな風に誰かを助けられるのよ!?』


ハッピー「……それが仲間で、友達だからだよ」


ウィスタリア『……!? 仲間……!? 友達……!?』


ハッピー「ヴェールは、わたし達のために一生懸命ガンバってくれた」

ハッピー「だから今度はわたし達がヴェールを助ける番だよ!」

ハッピー「そうやって、助けて、助けられて、前に進んでいく」


ハッピー「それが、友達なんだよ!」


ウィスタリア『…………』

ウィスタリア『……うるさい……!』

ウィスタリア『うるさい、うるさい! うるさぁぁぁぁいっ!!』


ウィスタリア『そんなもの、くだらないよ! あたしが全部壊してやる!!』

アキラメーナ(回転ジャングルジム型)「ガァァァァァァッ!!」ギャルギャルギャルギャルッ!


マティ(デコル)「! みなさま、気をつけてください! あのアキラメーナはすごいパワーで転がってきますわ!」

サニー「だいじょぶや! うちらみんながおれば、あれくらい――」


ザッ


ハッピー「わたし一人でやるよ。やらせてほしいの」

マーチ「え……!? でも、一人じゃいくらなんでも……」

ハッピー「だいじょうぶ。ヴェールのガンバりが、わたしに力をくれるから」


ブワァァッ…!


ピース「ハッピーが、ピンク色に光って……!」

ビューティ「あれは……!」

ポップ(デコル)「"夢の絵の具" の光る力でござる!」

ウィスタリア『うあぁぁぁぁぁっ!!』

アキラメーナ(回転ジャングルジム型)「ガァァァァァァッ!!」


ギャルギャルギャルギャルッ!


ハッピー「……はぁぁぁぁぁっ!!」


ガシィィィッ!


ウィスタリア『う、受け止められた……!?』


パァァァァッ


ウィスタリア『ピ、ピンクの手が、光って――』


ハッピー「プリキュア! ハッピー・シャワーァァッ!!」


ドバァァァァァァァッ!!


ウィスタリア『わあぁぁぁぁぁっ!!』


ドガァァァァンッ!


ヴェール「ハッピーセンパイ……すごい……!」


ハッピー「ハッピー・シャワーで吹き飛ばして動きを止めたよ! みんな、レインボー・アーチで行こう!」

5人「うんっ!」

ハッピー「キャンディ! 力を貸して!」

キャンディ「わかったクル!」

パカッ

キラキラキラキラ


キャンディ「"夢の絵の具" よ……、プリキュアのみんなに、未来に進む力を!!」


ブワァァッ!


6人「6つの夢を、今こそ一つに!!」


6人「未来へ届け! 希望の架け橋!!」


6人「プリキュア!! レインボー・アーチっ!!!」


ブワァァァァァァァァッ!!


アキラメーナ(回転ジャングルジム型)「ガァァァァァァァッ!?」

ウィスタリア『うっ、うわあぁぁぁぁぁっ!!』


ウィスタリア(す、すごい光……! このままじゃ……あたしまでアキラメーナごと消えちゃう……!)

ウィスタリア(そんなの……そんなのイヤだ……っ!)


6人「ハッピー……エンド!!」


ドガァァァァァァァァァン!!


アキラメーナ(回転ジャングルジム型)「ガァァァァァ……」シュワァァァァ…


バッ

ドサッ ゴロゴロゴロッ


ウィスタリア「……うっ……うぁ……」

ウィスタリア(何とか、逃げられたけど……、もう、動けない……! アキラメーナとの合体で、力、使い果たしちゃった……)

ウィスタリア(……どうして……?)


ウィスタリア(あの紫……キュアヴェールは……、ピンチになったら、他のヤツらが助けに来てくれた……)

ウィスタリア(なのに、どうして……?)


ウィスタリア(どうしてあたしがピンチの時は……、誰も来てくれないの……?)

パチ パチ パチ パチ


ハッピー「え……、何……?」

ビューティ「拍手……?」


スタスタスタ


大臣「いやぁ、すばらしいお手並み、見させていただきました。さすがは伝説の戦士・プリキュア。もう、ウィスタリア様では相手にならないようですねぇ」


マーチ「! あんたは……!」

ノーブル「デスペアランドの……大臣……!」

大臣「覚えていてくださり、光栄でございます。くくくっ」


ウィスタリア「……!」


ウィスタリア(大臣……? もしかして、あたしを助けに来て……くれたの……?)

サニー「何しに来たんや! 普段は出てこぉへんくせに!」

大臣「事情があるんですよ。"デスペア" が声を上げるまでに成長したおかげで、育てるために闇の絵の具がさらに必要になりましてねぇ。私はそのために来たのです」

ピース「……! "デスペア" って確か……!」

ビューティ「私達、リアルランドの人々の心を全て食べてしまう、という、デスペアランドの怪物……!」

ノーブル「もう、そんなに成長してたの……!?」


大臣「……さて、そういうわけですので、ここからは私が仕事をいたします。ウィスタリア様はお帰りなさい」

ウィスタリア「あ……、う、うん……」


ウィスタリア「…………」

ウィスタリア「……ねぇ、大臣……。あたしにも、できること……ないかな……?」

大臣「……は?」

ウィスタリア「せっかく助けてもらったんだし……、何か、手伝えればと思ったんだけど……」

大臣「"助けた"? ……ウィスタリア様。あなた、少しカン違いをされているようですねぇ」

ウィスタリア「え……?」

大臣「私が来たのは、あくまで心の絵の具を集めるため。あなたを助けるためなどではありませんよ」

ウィスタリア「……!」


ウィスタリア「……で、でも……! 今、あたしを逃がそうとしてくれて――」

大臣「ジャマだから追い払おうとしただけですよ。大体、そのザマで一体何ができるというのです? せいぜい、逃げるくらいしかできないでしょう?」

ウィスタリア「…………」


大臣「わかったら、さっさとどこへでも行ってください。話が進みませんので」

ウィスタリア「…………わかったよ……」シュバッ


大臣「……やれやれ。何を思い違いをしているのやら。困ったものですね」

大臣「さて、ジャマ者もいなくなったことですし、それでは仕事を始めるとしましょうか」


大臣「……それにしても……。……くくくっ……! くふふふふっ……!」


大臣「ひゃははははははっ!」


7人「!?」ビクッ


ノーブル「な、なに……!? 急に大声で笑い出して……!?」

大臣「ああ、これはすみません。驚かせてしまいましたねぇ。ですが……くくくっ……!」

大臣「つい笑いがこみ上げてしまったのですよ。これから、あなた達がどのような顔をするのかと思ったらねぇ!」

ハッピー「何を……言ってるの……?」

大臣「すぐにわかりますよ。すぐにね」


大臣「では国王陛下! このローブの封印を解き、私の真の力を解放してください!」

デスペア国王の声『……忘れるな。1時間だけだ。それ以上は 1秒たりとも待たん』

大臣「わかっておりますとも」

デスペア国王の声『では……、ゆくぞ』


カッ! ブワァァァァッ!


サニー「わっ!? な、なんや!? あの大臣っちゅーのが光りだしたで……!?」

マーチ「何あれ……、黒い、光……!?」


シュルルルッ

シュルルルルッ


ノーブル「ローブがどんどん縮んで、まとまっていく……」


バサァッ


ペロー(デコル)「一枚のマントみたいになっちゃったペロ……」

ノーブル「中から出てきたのは男の人……? あれが、ローブに包まれてた大臣の、本当の姿……」


ノーブル「あの格好……、まるで、ピエロみたい……」


ハッピー・サニー・ピース・マーチ・ビューティ「…………」


ハッピー「…………うそ……」

サニー「……なんやこれ……。どうなっとんのや……」


ピース「え……? え……? なんで……? どうして……?」


マーチ「こんな……、こんなことって……。……だって、だって "あんた" は……」


ビューティ「確かに "あの時" に……」


大臣(真の姿)「……くっ、くっくくくくく……! そうです! 私が見たかったのはその顔ですよ、プリキュアの皆さん!」


ノーブル「え……!? ちょ、ちょっとみんな、どうしたの……!? 顔、真っ青だよ……!? 知ってる人なの……!? ペロー君、わかる!?」

ペロー(デコル)「ぼ、ぼくも知らない人ペロ……! 一体誰ペロ……!?」


ウルルン(デコル)「……知ってるも何も……、忘れたくても、忘れられねぇツラウル……!!」

オニニン(デコル)「あいつの……あいつのせいでおれ様達は……!!」

マジョリン(デコル)「とても、とてもヒドい目にあわされたマジョ……!!」


ポップ(デコル)「…………そういうことでござったか……」

ポップ(デコル)「ずっとおかしいとは思っていたのでござる」


ポップ(デコル)「"闇の絵の具" とは、バッドエナジーの固まり。怒り、憎しみ、不安、恐怖……、そういった良くない感情の集まりでござる」

ポップ(デコル)「しかし、今デスペアランドとなってしまっているピクチャーランドは本来、喜びや楽しみなどのプラスの感情しか取り込まない世界」

ポップ(デコル)「その世界の主であるフレスコ王子――今のデスペア国王が、闇の絵の具を持っているはずがないのでござる」


ポップ(デコル)「ならば、フレスコ王子はどうやって闇の絵の具を手に入れたのか。今、その答えがハッキリとわかったでござる」


ポップ(デコル)「お主が……、お主がピクチャーランドに入り込み、フレスコ王子に闇の絵の具を渡していたのでござったか……!」

ポップ(デコル)「そうでござろう、大臣!? ……いや!」


ポップ(デコル)「元バッドエンド王国・最高幹部! ジョーカーっ!!」


ジョーカー「(ニヤリ)」





つづく

次回予告

みゆき「どうして……!? 前にわたし達がやっつけたはずのジョーカーが、またわたし達の前に出てきちゃった……!」

みゆき「わたし達が驚いてる間もなく、ジョーカーは町全体からアキラメーナを作っちゃった……! そのアキラメーナはとっても強くて、全然歯が立たない……!」

みゆき「このままじゃ、町のみんなが危ないのに……! どうすればいいの……!? ……わたしは……、わたしは……!」


みゆき「次回、『スマイルプリキュア レインボー!』 "立ち上がれ! 夢と希望を力に変えて!"」


みゆき「みんな笑顔でウルトラハッピー!」

今回はここまでです!
お読みいただいた方、ありがとうございました。

それでは、よかったら次回もまたよろしくお願いします!


第1話 ~ 第11話 『スマイルプリキュア!』第2期を SS で作るスレ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360385907/)
第12話 ~ 第20話 『スマイルプリキュア レインボー!』 Part 2 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366529393/)
第21話 ~ 第29話 『スマイルプリキュア レインボー!』 Part 3 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1373151336/)

第30話 >>3 から
第31話 >>104 から
第32話 >>209 から
第33話 >>301 から
第34話 >>397 から
第35話 >>495 から

それでは、お返事タイムとさせていただきます!



> ボーズさん

> 6人が「ハッピー・・・エンド」と言った台詞某ゴッドフィンガーを決めた台詞に一瞬感じました。

あ、ついにバレた。。
スミマセン、意識してます。

と、いうのも、合体技を出すにあたって、「トドメの時の決めゼリフがホシイナー」と思いまして。
「ハート……キャッチ!」とか、「1、2、3! フィナーレっ!」とか、「輝け! ハッピースマイル!」みたいな。
と、いうことで用意したのがコレだったのです。



> プレゼさん

気にされていた、ゆかりの成長、大臣の正体など、
長い間暖めてきたものが色々出せた今回、いかがだったでしょうか?

こういったプロセスを経て、物語もいよいよ終盤に入っていきます。
盛り上げていく予定なので、今後ともよろしくお願いします!



> 493さん

ありがとうございます! 楽しんでいただけたなら何よりです!
34話であかねちゃんの熱さ、暖かさが表現できていたならよかったです。



お返事は以上です。
では、また来週!

あ、ところで今のうちにお聞きしておきたいんですが、
『スマイルプリキュア レインボー!』番外編、どこにアップしようかで悩んでます。

本編には混ぜたくないのでこのスレには上げたくないのですが、
かといって、それだけのためにスレを立ててもいいのか? という懸念もあります。どうしましょ。。
ご意見ありましたら、いただけますと幸いです。

特に何も言われないようでしたら、別に新スレ立てて、
そちらにアップしようと思います。


……まぁ、予定通り来週に上げられるかどうかはかなりビミョーなところなんですが。。まだできてないので。。
間に合わなかったらスミマセン。。

えー、そろそろ『スマイルプリキュア レインボー!』のお時間ですが。。
申し訳ないです! 本日はお休みさせてください。。


と、いうのも、今週はドキプリ劇場版公開に合わせようと番外編を書いてたんですが、、
番外編長い! 書いても書いても終わらない。。!
一週費やせば何とかなるかと思ったんですが、、甘かった。。

このまま番外編書き続けて本編が滞ってもしょうがないので、来週は普通に 36話をお送りします。
番外編は隙を見て書きつつ、出来次第投稿、という形にさせていただければ、と思います。
スミマセンです!

特に、今日お誕生日ということで楽しみにされていたプレゼさん、、ホントに申し訳ないです!
番外編はまたいずれ、ということで、一つよろしくお願いします。。


それでは、また来週よろしくお願いします!

先週から長々とお待たせしてホントスミマセン。。

『スマイルプリキュア レインボー!』第36話ですが、まだ作成中でございます。

今日中には完成できる、、かな? と思いますので、
もうしばらくお待ちください。。

大変お待たせしました!
36話、やっとできました。。


ですが、遅くなってしまったのと、ある程度見直しを行いたいので、
アップは明日の AM 8:30 にさせてもらいたいと思います!

よかったらお読みください。
よろしくお願いします!

大変長らくお待たせしました!

『スマイルプリキュア レインボー!』

このあとすぐ!

※念のためのご注意

今回の『スマイルプリキュア レインボー!』では、
原作『スマイルプリキュア!』のキャラクター設定について触れるような表現がありますが、
やっぱり本作のみの、後付け捏造設定でございます。

そのつもりでお読みいただければと思います。

~ 七色ヶ丘市 なないろ幼稚園近くの公園 ~

7人「…………」

ジョーカー「くくくくっ……」


ビューティ「……本当に、以前私達と戦った、あのジョーカーなのですか……!?」

ジョーカー「もちろんですよ、キュアビューティ。あなたには色々とお世話になりましたねぇ……!」

ジョーカー「ずぅーっと待っていましたよ……。この姿であなた方と再会できる、この時を」

ジョーカー「以前皆さんがデスペアランドに来られた時は、私がいることを伝えられないのが歯がゆかったですよ。くくく……!」


サニー「……うちらは二度と会いとうなかったわ……! うちらにも、ウルルン達にも、さんざんヒドいことしよって……!」

ウルルン「サニー……」

ジョーカー「おやおや、つれませんねぇ。せっかくの再会だというのに。残念です」


マティ(デコル)「…………」

マティ(デコル)「……デスペアランド大臣――いえ、本当の名前はジョーカーというのですね。先ほど、ポップ様がおっしゃっていたことは、本当なのですか?」

ジョーカー「この声は、ピクチャーランドのマティエール王女ですね? ……はて、先ほどのこと、というのは?」

マティ(デコル)「とぼけないでください! あなたがピクチャーランドに潜り込み、デスペア国王――、……お兄様に、闇の絵の具を渡していたのかと言うことです!」

マティ(デコル)「お答えなさいっ!!」

ジョーカー「ああ、なるほど、そういうことですか。これは察しが悪くて申し訳ありません。くくくっ……」


ヴェール「マティちゃん……、怒ってる……? 初めて見た……」

ノーブル「当たり前だよ……。もしあの人のせいで、お兄さんであるフレスコ王子様がみんなを苦しめるようになっちゃったなら、……許せないよ……!」


ノーブル(……私も……、私だって、あの人のことは……!)グッ…

ペロー(デコル)「ノーブル……?」

ハッピー「……それに、どうして? どうして、あなたがここにいるの……?」

ハッピー「あなたは前に、バッドエンド王国の皇帝ピエーロといっしょになって、消えちゃったはずじゃなかったの……?」

マーチ「そうだよ……! あたし達は、あんたが闇の絵の具になったところをしっかり見てたんだ……!」

ピース「それなのに、どうして……!?」


ジョーカー「おっと、そんなに一度に聞かれては答えられませんよ」

ジョーカー「なら、いいでしょう。少しの間、おしゃべりでもいたしましょうか」


ジョーカー「時間はたーっぷりあることですし、ねぇ」ニタァッ




スマイルプリキュア レインボー!

第36話「立ち上がれ! 夢と希望を力に変えて!」



ジョーカー「……さて、どこから話したものですかね」


ジョーカー「まず、マティエール王女の質問からお答えしましょうか。私がフレスコ王子様に闇の絵の具を渡していたのかどうか、についてですね」

マティ(デコル)「そうです!」

ポップ(デコル)「大方、お主がフレスコ王子をそそのかして、デスペア国王に変えてしまったのでござろう!?」

ジョーカー「くくくっ、それは誤解ですよ」


ジョーカー「確かに、私はフレスコ王子様に闇の絵の具をお渡しし、使い方をお教えしました」

ジョーカー「ですが、それを望んだのは他でもない、フレスコ王子様ご自身ですよ」


ポップ・マティ「……!?」


ジョーカー「あなた方も見たでしょう? デスペア国王陛下――フレスコ王子様の、あの強い憎しみを。あれは紛れもなく、陛下自身のご意思です」

ジョーカー「マティエール王女。身近であのお方の苦しみを見てきたあなたなら、そのことは良くご存知なのではないですか?」

ジョーカー「あのお方は、自ら闇の絵の具の力を手にしたのです。私はただ、闇の絵の具の存在をお教えしただけですよ」


ビューティ「私達、リアルランドの人々を憎んでいるのは、王子様自身……」

マーチ「……じゃあ、ジョーカーに操られてる、ってことじゃないんだ……」

マティ(デコル)「…………」

ハッピー「……マティちゃん……」

ポップ(デコル)「しかし、それではなぜ、お主はフレスコ王子に協力しているのでござるか! なぜフレスコ王子に闇の絵の具を渡したのでござるか!?」

オニニン(デコル)「そうだオニ! きっと何かたくらんでるに違いないオニ!」

ジョーカー「企む、だなんてそんな! それこそ誤解ですよ」


ジョーカー「私はただ、ピクチャーランドを救おうとするフレスコ王子様に心を打たれて、その願いをかなえるためにご協力しているだけですよ」

ウルルン(デコル)「ウソつくなウル! お前がそんなこと考えてるはずがねぇウル!」

マジョリン(デコル)「そうマジョ! 別の目的があるに違いないマジョ!」

ジョーカー「……やれやれ、ずいぶんとキラわれてしまったものですねぇ」

ジョーカー「まぁ、信じるも信じないも、あなた方のご自由ですよ。くくくっ……」


ジョーカー「さて、ではもう一つの質問に答えましょうか」

ジョーカー「キュアハッピー。どうして私がここにいるのか、というお話でしたね?」

ハッピー「そうだよ! 消えちゃったはずのあなたが、どうしてここにいるの!?」

ジョーカー「確かにあなたの言う通り、私は以前、皇帝ピエーロ様にこの身を捧げ、一体となって消えました」

ジョーカー「そして、その皇帝ピエーロ様もろとも、私はあなた方プリキュアの力によって浄化されました。……ここまでは皆さんがご存知の通りです」


ジョーカー「ですが、皆さんに浄化された後、私だけはどうにか復活をすることができたのです」


ジョーカー「皆さんも知っての通り、私の体は闇の絵の具――バッドエナジーでできています」

ジョーカー「皆さん、リアルランドの人々の心に良くない感情がある限り、そのエネルギーを集めて復活するのはそれほど難しくはないのですよ」

ジョーカー「特に私は、元々ある一つの感情が元になって作られた存在ですからねぇ。復活はよりカンタンでしたよ」

ハッピー「ある感情……?」

キャンディ(デコル)「そりって何クル……?」

ジョーカー「ふふふ、それは――」


ジョーカー「"不安" ですよ」


ハッピー「……不安……?」

ジョーカー「ところで皆さん、なぜ私が "ジョーカー" と名乗っているのか、ご存知でしょうか?」

サニー「知らんわ、そんなん! ウルルン、わかるか?」

ウルルン(デコル)「いや……。そういえば、バッドエンド王国時代に一緒だったおれ達も知らねぇウル」

ジョーカー「ふふふ。ではご説明しましょう」


ジョーカー「私の元になっている感情、"不安"。それは、決して皆さんの心から消え去ることはありません」

ジョーカー「例えどんな大成功をしようとも、何度苦しいことを乗り越えようと、新しい困難にぶつかれば、必ず心の中に湧き上がってくる」

ジョーカー「その度に現れて、皆さんを苦しめる。そういうものです」

ジョーカー「捨てたくても捨てられない。捨てようと思っても、必ずまた心の中に戻ってくる、邪魔な感情」

ジョーカー「どうです? まるで、トランプゲーム・"ババ抜き" の "ババ" のようだと思いませんか?」


ビューティ「……! わかりました。それで、あなたは……」

ジョーカー「そうです! 私は、その "不安" の化身!」


ジョーカー「だから、皇帝ピエーロ様は私をそう名づけられたのです! "ジョーカー" と!!」


ジョーカー「あなた方の心に "不安" がある限り、私は何度でもよみがえります」

ジョーカー「私を完全に消し去ることなど、不可能なのですよ!」


7人「……!」


マーチ「それじゃあ、あんたは……!」

ピース「不死身、ってことなの……!?」

ジョーカー「くくくっ、まぁそういうことです」

ジョーカー「……さて、質問は以上ですね? では、おしゃべりはそろそろ終わりにしましょうか」


ジョーカー「不安はいつだって、あなた方の心のどこかにある」

ジョーカー「絶望はいつだって、あなた方の足元に潜んでいる」


ジョーカー「今からそれを証明して見せましょう!」


フワッ…

スゥーーーッ…


ピース「ジョーカーの体が浮いて……」

ハッピー「空に向かって飛んでいく……」

~ 七色ヶ丘市 上空 ~

ジョーカー「……ふぅむ、いい眺めです。このくらいの高さでいいでしょう」

ジョーカー「では、始めるとしましょうか」スッ


ジョーカー「闇の絵の具よ! 闇の絵筆よ! キャンバスに絶望を描き出せ!」


シュババババッ


ジョーカー「実体を持ってキャンバスから現れなさい、アキラメーナ!」


ドババババババッ!


ジョーカー「ひゃははははっ! あふれなさい、あふれなさい! そして全てを不安と絶望で包み込むのです!」

~ 七色ヶ丘市 なないろ幼稚園近くの公園 ~

ヒュゥゥゥゥゥ…!


サニー「……なんや、あれ……? ジョーカーんところから、なんか落ちてくんで……!?」

ビューティ「あれは……、黒い、光の球……!?」


ドォンッ! ドドォンッ! ドォンッ! ドドドォンッ!


7人「わぁっ!?」


ヴェール「く、黒い光の球が、どんどん落ちてきます……!」

ノーブル「な、何これ……!? これがあのジョーカーって人の攻撃なの……!?」

マーチ「まだまだ出てくるよ!」


ドドドォンッ! ドォンッ! ドドォンッ!


ピース「ま、町中に、黒い光の球が……!」

ハッピー「どんどん落ちてくる……! 止まらない……!」


ドドォンッ! ドドドォンッ! ドドォンッ!


7人「……っ!」

シーーーン…


7人「…………」


ハッピー「……終わった、のかな……?」

サニー「……ちゃうで、ハッピー……。周り……、周り、見てみ……!」

ハッピー「え……? 周り、って――」キョロキョロ

ハッピー「……!!」


ハッピー「……そんな……。……こんなことって……!」

アキラメーナ(家型・A)「アキラメーナァ……!」ムクッ

アキラメーナ(家型・B)「アキラメーナァ……!」ムクッ

アキラメーナ(家型・C)「アキラメーナァ……!」ムクッ

アキラメーナ(マンション型)「アキラメーナァ……!」ムクッ


ハッピー「……周り中……、アキラメーナだらけ……」


アキラメーナ(八百屋型)「アキラメーナァ……!」

マーチ「商店街の方にも……!」


アキラメーナ(駅型)「アキラメーナァ……!」

ピース「駅の方まで……!」


ビューティ「……それでは……ジョーカーが描いたものは……!」

ジョーカーの声『そうですとも!』


ジョーカーの声『私が描いたのは、この町全てですよ!』


アキラメーナ達「アキラメーナァァァァァッ!!」


ビリビリビリビリッ!


7人「……っ……!?」


サニー「なんちゅう数や……! いっぺんに声出しただけで町中が震えるみたいや……!」

ノーブル「……町中全部から、アキラメーナを生み出した、ってこと……!?」

ヴェール「こんな……、こんなにたくさん……どうにかしないといけないの……?」

ジョーカーの声『さて、アキラメーナを生み出したからには、もちろんこのままでは終わりません。ここからが私の本当の仕事です』

ハッピー「……まさか……!」


ジョーカーの声『さぁ、アキラメーナ達よ! 町中の人々の心を吸い取るのです!』

アキラメーナ達「アキラメーナァァァァァッ!!」


ドワァァァァァァァッ!!


7人「!!」


マーチ「ま、町中から、黒い煙みたいなものが、ジョーカーに向かって昇ってく!」

ポップ(デコル)「これは……、町の人々の心の絵の具でござる!」


ドドドドドドッ


ジョーカーの声『くくくくっ! たまります、たまりますよ! 町中の人々の濁った心の絵の具が! この大型のボトルにも入りきらないくらいにねぇ!』


ハッピー「そんな……。……それじゃあ、今、町の人達は……!」

ジョーカーの声『ふふふ……、ここからだとよぉーく見えますよぉ。心を失い、倒れている人々の姿が!』

7人「……!!」


ハッピー「……やめて……! やめてよぉっ!!」

ジョーカーの声『やめるわけないじゃないですか! こうして大量の心を集めるのが私の仕事なのですから! はははははっ!』

マーチ「くっ……!」

ノーブル「みんなの言ってたこと、本当だった……! あの人は、人を苦しめて楽しんでる……! 話に聞いてたとおりのイヤな人……!」

ジョーカーの声『……それより皆さん、こんなところでボーッとしていていいんでしょうか?』

ハッピー「え……?」

ジョーカーの声『私は今、町中の人々から心を吸い取っているのですよ?』


ジョーカーの声『その中には、あなた方の大切な人も含まれているのではないですか? くくくっ』

7人「!!」


マーチ(……そうだ……。それじゃあ、あたしの家族の心も……!)

マーチ(……お父ちゃん……、お母ちゃん……、けいた……、はる……、ひな……、ゆうた……、こうた……、ゆい……!!)


マーチ「……っ!!」


ダッ!


ノーブル「マーチ!? 急に走り出して、どこへ――」


タタタタタッ…


ノーブル「……行っちゃった……」

ビューティ「……多分、おうちに向かったのだと思います。マーチは……、なおは、人一倍、家族想いですから……」

ノーブル「でも、町中にアキラメーナがいるのに、一人じゃ危ない――」


サニー・ピース「(ダッ!)」


ノーブル「サニー!? ピース!? 二人まで――」


タタタタタッ…


マティ(デコル)「サニー様とピース様まで、行ってしまわれましたわ……」


ジョーカーの声『それはそうでしょう! それぞれ、守りたいものがあるのでしょうからね!』

ジョーカーの声『……ところで、残ったあなた方は、大切な方のところへ行かなくてもいいんですか? 意外と薄情なんですねぇ、くくくっ!』


ハッピー・ビューティ・ノーブル・ヴェール「……!」


ノーブル「そうか……、これがジョーカーの狙い……! 私達をバラバラにする気なんだ……!」

ノーブル「みんな! 挑発に乗っちゃダメだよ! ここはみんなで――」

ビューティ「……ごめんなさい、ノーブル……。……できませんっ!!」

ノーブル「……! ……ビューティ……!? あなたまで……」

ビューティ「……頭では、わかっているんです……。ここで離れ離れになっては危ない、って……」

ビューティ「……でも……でも……っ!」


ビューティ「私は! 大好きな家族が苦しめられているのに、落ち着いてなんていられませんっ! 少しでも早く、助けてあげたいんです!」

ビューティ「だから……、……ごめんなさいっ!」ダッ

ノーブル「ビューティ! 待って、ビューティっ!」


タタタタタッ


ペロー(デコル)「……ビューティさん、行っちゃったペロ……」

ノーブル「……当たり前だよね。ビューティは、いくら賢くってもまだ中学生なんだもん……。こんな状況でガマンなんてできるわけないよね……」


ペロー(デコル)「……ノーブルだってそうペロ?」

ノーブル「え……?」

ペロー(デコル)「ノーブルも、お母さんのこと、心配ペロ? 早く助けに行きたいペロ?」

ノーブル「…………」

ハッピー「……ノーブル、やっぱり、それぞれ、自分の大切な人のところへ行った方がいいと思います」

ノーブル「ハッピー……」

ハッピー「ノーブルの言う通り、みんなバラバラになっちゃったら、タイヘンかもしれないですけど……」

ハッピー「でも、大切な人はみんなそれぞれ違うから……! その人を想う気持ちは違うから……!」

ハッピー「だから、別々に行った方がいいんじゃないでしょうか。自分の大切な人、大切な気持ちを守るために」

ノーブル「自分の……気持ち……」


ノーブル「……ふふっ、私ってダメだね。ホントだったら、一番お姉さんの私がしっかりみんなをはげまさないといけないのに、逆にはげまされちゃうなんてね」

ノーブル「ハッピーの言う通りだよ。まずは自分の気持ちを大事にしなきゃね」

ノーブル「私達は、気持ちで戦う戦士・プリキュアなんだから」

ハッピー「ノーブル……」

ノーブル「じゃあ、私も自分の家に行くよ。ハッピーとヴェールも?」

ハッピー「はい……。お母さんが心配だから……!」

ヴェール「わたしはだいじょうぶです……。お母さん、今日も仕事でこの町にいないから……」

ノーブル「そっか……」


ノーブル「それじゃあ、ハッピーとヴェールは一緒に行った方がいいよ。特に、ヴェールはさっきの戦いでフラフラでしょ?」

ハッピー「あ、そういえば……!」

ヴェール「わ、わたしなら、だいじょ――」


フラッ


ハッピー「ヴェールっ!」ガシッ

ヴェール「あっ……。……支えてくれて、ありがとうございます、ハッピーセンパイ……」

マティ(デコル)「やっぱり、まだ疲れが残っているんですわ……!」

ノーブル「そうだよね。ハッピー、疲れたヴェールのこと、守ってあげて。ヴェールも、もしできることなら、ハッピーのことをサポートしてあげて」

ノーブル「ふたりでいれば、危ない目にあっても何とか切り抜けられると思う」

ヴェール「わかりました……!」


ハッピー「あ、でも、そうすると、ノーブルが一人に……!」

ノーブル「私なら大丈夫! 一人で何とかしてみせるから! 任せて!」

ペロー(デコル)「そうペロ! ノーブルはとっても強いから、きっと大丈夫ペロ!」


ハッピー「ノーブル……。……わかりました」

ノーブル「……じゃあ、そろそろ行くけど、ふたりとも、忘れないで。私達は 1人じゃない。7人でプリキュアなんだ」

ノーブル「大変なことになっちゃったけど……、みんなで力を合わせてればきっと乗り越えられる!」

ノーブル「絶対に……、この町を守り抜こう!」

ハッピー・ヴェール「はいっ!」


ノーブル「それじゃ! ふたりとも、ガンバって!」ダッ


タタタタタッ…


ヴェール「ノーブルセンパイ、行ってしまいましたね……」

ハッピー「うん。わたし達も行こう、ヴェール。私達の大切な人だけじゃない。町の人みんなを守らなきゃ……!」

ヴェール「はい……!」

~ 緑川家 前 ~

ズザァァァァァッ!


マーチ「着いた……! みんなは……!?」


ズゥゥゥゥンッ…!


アキラメーナ(緑川家型)「アキラメーナァ……!」

マーチ「やっぱり……! あたしの家までアキラメーナに……!」

マジョリン(デコル)「……そ、それじゃあ……、家のみんなは今、あのアキラメーナに心を吸われちゃってるマジョ……?」

マーチ「きっとそうだよ……! 早く止めなきゃ!」

マジョリン(デコル)「……!!」


マジョリン(デコル)「……マーチ……、ゴメン……、ゴメンマジョ……!」

マーチ「え……? どうしたの、マジョリン、こんな時に……!?」

マジョリン(デコル)「あたしが最初に、"なおといっしょにキュアマーチになりたい" って言った時、なおがすごく怒ってたわけ……」

マジョリン(デコル)「ようやく……、ようやくわかったマジョ……!」

けいた(なお弟・長男)(回想)『それーっ!』ポーンッ

ゆうた(なお弟・次男)(回想)『あははっ! えぇーいっ!』ポーンッ

なお(回想)『こらーっ! けいた! ゆうた! 家の中でボール遊びしちゃダメ、って、いつも言ってるでしょ!?』

けいた(回想)『わぁっ! なおねーちゃんが怒ったぁー! 逃げろー!』ドタドタ

なお(回想)『待ちなさーいっ!』ドタドタ


マジョリン(回想)『…………』コソッ


マジョリン(デコル)「……あたしは、ずっとなおの家のみんなのこと、隠れて見てるだけだったけど……、みんな、ホントに明るくて、元気で、楽しそうで……」

マジョリン(デコル)「……いつの間にか、あたしもその中に入って……、……家族になったような……、そんな気がしてたマジョ……」

マジョリン(デコル)「だから……、つらいマジョ……! 大好きなみんなが苦しめられて、今、とってもつらいんだマジョ……!」

マジョリン(デコル)「大切な家族を苦しめられることって、こんなにつらいことだって、初めてわかったマジョ……!」ポロポロッ

マーチ「……! マジョリン……、泣いてるの……?」


マジョリン(デコル)「あたしは……、あたしは……っ、マジョリーナだった時、なおに本当にヒドいことをしちゃったんだマジョ!」

マジョリン(デコル)「こんなつらい想いをなおにさせちゃったんだマジョ! 怒って当たり前マジョ!」

マジョリン(デコル)「ホントに! ホントに、ごめんなさいマジョ……っ!」ポロポロッ


マーチ「……マジョリン……」


マーチ「…………」

マーチ「……マジョリン、ありがとう」

マジョリン(デコル)「え……?」

マーチ「あたし、うれしいんだ。あたしの大好きな家族を、マジョリンがそんなに好きになってくれたことが」

マーチ「あたしの、大切な友達が、家族を好きになってくれたことが、うれしいんだ」

マジョリン(デコル)「……! マーチ……、あたしのこと……、友達って、言ってくれるマジョ……?」

マーチ「今さら何言ってるの! もうずーっといっしょにガンバってきたでしょ!?」


マーチ「あたし達はもう、立派な仲間で、友達だよ!」

マジョリン(デコル)「マーチ……っ!」

マーチ「……だから、マジョリン、力を貸して」

マーチ「あたしの……、あたし達の、大切な家族を守るためにっ!!」

マジョリン(デコル)「わかったマジョっ!!」


カッ! ブワァァァッ!


マジョリン(デコル)「"夢の絵の具" の光る力……。目いっぱい出すマジョ! ガンバるマジョ、マーチっ!」

マーチ「うんっ! みんな、待ってて。絶対に、守ってみせるっ!!」

~ お好み焼き屋 "あかね" 前 ~

ズザァァァァァッ!


サニー「はぁっ……! はぁっ……!」

ウルルン(デコル)「おい! 急に走り出したりして、本当にどうしたウル、サニー!?」

サニー「どうしたもこうしたもあるかい……! 町中全部の建物からアキラメーナが作られたっちゅーんなら……!」


ズゥゥゥゥンッ…!


アキラメーナ(お好み焼き屋 "あかね" 型)「アキラメーナァ……!」

ウルルン(デコル)「……! こ、こりゃあ……、あかねんちのアキラメーナ……!?」


サニー「…………」

サニー「……許さへん……」ブルブル


サニー「この店は……、お好み焼き屋 "あかね" は……、みんなにおいしいお好み焼き食べてもろて、元気になってもらう……、笑顔になってもらうところなんや……!」

サニー「父ちゃんがおって……、母ちゃんがおって……、げんきがおって……、お客さんがおって……、みんな明るう笑っとって……!」

サニー「みんなの笑顔が大好きなうちにとって、ほんまに……、ほんまに大事な場所なんや……!」


サニー「その店で、なんでみんなを苦しめとんねん! なんでみんなの笑顔を奪っとんねん!」

サニー「そんなん……、そんなん……っ!」


サニー「そんなん、絶対許さへんっ!!」


ウルルン(デコル)「サニー……!」

ウルルン(デコル)「……サニー、今なら、おれにもわかるウル、お前の怒りが……!」

サニー「ウルルン……?」


ウルルン(デコル)「おれは、プリキュアのみんな以外の前には出られねぇから、お前がお好み焼き焼いてる時は、いっつもお前の部屋の窓から外を見てんだウル」

ウルルン(デコル)「そうすっと、いいもんが見られるウル。お前や、おやっさんのお好み焼きを食べて出てくる、客の笑顔が」

ウルルン(デコル)「大人も子どもも、みんなニコニコした顔してるんだウル」


ウルルン(デコル)「それを見ると、おれも……、ちょっとうれしいウル」

ウルルン(デコル)「おれのパートナーのあかねが、こんなたくさんの人を笑顔にしてんのか、と思うと、ちょっと誇らしい気持ちになるウル」

ウルルン(デコル)「そのためにお前がどんだけガンバってんのか、おれはよく知ってるからウル……」

ウルルン(デコル)「だから! おれは今、今までのいつよりもジョーカーに頭に来てるウル!」


ウルルン(デコル)「ウルフルンだった時にバカにされた時よりも! 脅かされた時よりも! 客や、お前の家族や、お前の笑顔を台無しにされた今の方が、ずっと、ずーっとハラが立つウル!」

ウルルン(デコル)「おれもお前と同じ気持ちウル! そんなの、絶対許せねぇウル!!」

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