ベルトルト「悪の血」(66)


※ベルトルトの過去妄想話
※ベル及びライ、アニの捏造有り
※架空の人物有り
※ネタバレは多分なし


ベルトルト「ただーいまー」

ガラッ

*「まだお前そんなこと言ってるのか!!」

*「やめて貴方!そんな事言わなくても…」

*「うぅぅっ……うううっ…」

*「また泣くのか!!!!!良い加減にしろ!!」

ベルトルト「……また来たのかあ…」


ライナー宅

ベルトルト「ラーイーナー」

ライナー母「あーらベル君!ウチのバカ息子に何か用かい?」

ベルトルト「あ…こんばんは…。実は…その、叔母さんが来てて…」

ライナー母「あぁ…大変だねえベル君は…。ライナーッ!!!ベル君来てるよっ!」


ライナー「そっかーじゃあ今日はウチで泊まってけよ」

ベルトルト「ありがとう…」

ライナー「そうと決まったら飯にしようぜ!ベルトルトが来たからお袋もやる気出してるだろうし」

ベルトルト「うん、ありがとう」

お父さんの妹…つまり僕の叔母に辺る人が、最近離婚した。原因はお姑さんからのイビリで精神を壊したことによる鬱病。…30年の結婚生活の後だった。


嫁いだところは隣村の大きな酪農家のうちで、当時15そこそこでお嫁に行った叔母さんは、酷くこき使われていたらしい。

毎日毎日家畜の世話に追われていた叔母さんに娘さんが生まれ、漸く生活に張りが出たかと思いきや、今度はお姑さんのイヤミが始まった。

田舎はどこもそうかは分からないけど、所謂『長男教』で男の子を望んでいたらしい。お姑さんにはさんざん言われたそうだ。内向的で、大人しい叔母さんには堪らなかっただろうな…。

と言ったら、母さんが「いえね、叔母さんあれでも昔はもう少しハキハキ言う方だったのよ」と返した。


叔母さんは、他人と話す時は必ずどもる。それが、母さんの弁だと…。

そんな人がそこまで精神を弱らせたのは、やはりお姑さんの言い方がしつこく、激しかったせいだろう。

お姑さんに悪口を言われても、言い返せずにおろおろする叔母さんを見ている内に、初めは味方だった叔母さんの旦那さんがだんだんとお姑さんの味方に廻り(ひどい話だと思う)、そこへお舅さんが加わり…。

叔母さんは孤立してしまった。お姑さん一家に支配されてしまった。

ストレスで体を壊し、度々お医者様の世話になる頻度が増え『病にばかり好かれるダメ女』と詰られ、また体を壊し…その呪縛から解き放たれるまで、実に30年が経っていた…。

う~ん始めたばっかだけど創作すぎるな…
あげ続けてよいものか…

取り敢えずあげてく


ライナー「おーしっ布団敷いたし、どうする早速休むか?」

ベルトルト「うん。なんだか今日はもう何も考えたくないよ」

ライナー「そうか…じゃあ俺も寝る。もう明り消すぞ」

ベルトルト「うん…ライナーありがとう」

パチン……


僕は…叔母さんが苦手だ。叔母さんが来るとウチは必ず荒れる。

おどおどした叔母さんにイライラしたお父さんが暴力的に振舞うお陰で、お母さんまで神経をすり減らしてしまう。…叔母さんが来ると良い事がない。

だから僕は、何時しか叔母さんが来たと分かったら、ライナーやアニ、ベリックの家に泊まらせてもらうのが定例になった。

ここら辺の人は皆その事情を知っているから、皆同情して泊めてくれる。有難い反面、何から何まで筒抜けの様でなんだか恥ずかしかった。


ベルトルト「ただいま」

ベルトルト母「ああお帰り。昨日はごめんね」

ベルトルト「いいよ、ライナーんちに泊めてもらったんだ」

ベルトルト母「いつもいつもお世話になってもらって…今度何かお礼持っていかなくちゃねぇ…ウチで採れた野菜でいいかしら」

ベルトルト「その時は僕が持っていくね。お父さんは畑だよね?僕手伝いしなくちゃ」

ベルトルト母「……ベルトルト」

ベルトルト「ん?」


ベルトルト母「あんな人になっちゃいけないよ」

ベルトルト「………」

ベルトルト母「自分の意思をはっきり持って、相手にモノを言えるようにならなくちゃいけないよ」

ベルトルト「……うん…」

『あんな人間になっちゃいけない』…優しいお母さんらしくない鋭い言い方。

ウチに叔母さんが来るようになってから、何時しかお母さんが決まって口にするようになった。


ーーーーーーー

ベルトルト「ただーいま…」

バチーン!!

ベルトルト「!?」

*「馬鹿野郎!!!」

*「うううぅ……うっううっ…」

*「貴方!どうか落ち着いて!!」

ベルトルト「……今日はアニんちに泊めてもらおう」


アニ宅

アニ父「おうフーバーんちの小僧っ子か。どうした?またあのモジモジ来てんのか」

アニ「お父さんそんなこと言わないの。あがりなベルトルト」

ベルトルト「…お邪魔します。あ、これウチで採れた野菜です」

アニ「今日は野菜炒めだね。あんたんちの野菜はいつも出来が良いから助かるよ」

アニ父「よしっ食ったら久しぶりに稽古つけてやろうな」

ベルトルト「え?良いんですか?やった!」


アニ「ごめんね、今お客用の布団は洗いに出してて無いから…私と一緒に寝よう」

ベルトルト「いいの?僕が入ると狭いよ…」

アニ「そう?たまには良いじゃん。ほら入りなって」

ベルトルト「うーん…アニはもうちょっと恥じらいというものを…」

アニ「モジモジしろっての?あんたの叔母さんみたいに?」

ベルトルト「……」


アニ「私はっきり言って、あんたんとこの叔母さん嫌い」

ベルトルト「…本当にはっきり言うね」

アニ「だって意味が分からないもの。嫌な姑のところに30年も居続ける必要無いじゃん。いざという時は子供連れて逃げてくりゃいいのに。それをずっと陰険ババァにところで言いなりになって、旦那からも義父からもいじめられて……」

ベルトルト「アニ」


アニ「情けないと思わないのかな。子供の前でもいじめられてるの見られてた訳でしょ、私そんなの絶対にヤダよ。そんな姿晒し続けるくらいなら、カッコ悪くとも逃げた方がよっぽど楽じゃない。それを…」

ベルトルト「アニ、やめて」

アニ「…ごめんなさい。言い過ぎた…」


ベルトルト「うん良いんだ…それよりも疲れたね、久々に稽古付けてもらったから…」

アニ「そうだね、じゃあもう寝よっか、明かり消すよ」

ベルトルト「うん……」

パチン……


ベルトルト「おやすみアニ」

アニ「おやすみ……ねえベルトルト」

ベルトルト「…ん?」

アニ「私はさ……逃げても正解だったと思うよ…これは間違ったことじゃないよね?」

ベルトルト「………おやすみ」


アニの言うことは間違いではないと思う。でも、逃げた事で全て解決したらの話だ。そんなに単純な話では無いのだ。

何せ、精神を壊した叔母さんは、未だにお姑さんの幻影に怯えているのだから。

どんな強靭な精神の持ち主でも、『お前は馬鹿だ』『役立たずだ』と言われ続ければ心が挫けてしまうだろう。戦闘能力を失って、身動きが取れなくなってしまうだろう。

それを三人から、しかも30年間も……地獄以外の何ものでも無い。

ベルトルト(叔母さんがアニみたいな性格だったら…あの性悪なお姑さんと渡り合えたんだろうな…)


ベルトルト(アニんちで早朝稽古させてもらってたらもう太陽があんなに高い)

ベルトルト(遅くなっちゃった。お父さん怒ってないと良いなあ…)

ベルトルト(ん?家の前に誰か居る…)

***「あ、ベル君…」

ベルトルト「あ…」

叔母さんの娘さんだ。


ベルトルト「叔母さん…居ないみたいです。どうやら入れ違いみたいです」

***「そう…悪かったわね。いっつもお世話になっちゃって」

ベルトルト「いえ…。ウチのお母さんも居なくて……あ、お茶出します」

***「あら良いのよ、すぐ連れて帰るつもりだったから…」

ベルトルト「いえ、何も出さないで帰したら怒られますんで」

***「良い子ねー」


娘さんの***さんは、叔母さんと違って気が強い。…と言うよりも、『あの家』の血を強く受け継いだというのが正しいかもしれない。

30に近いのに結婚をするつもりが無いようで、周囲からいかず娘とからかわれているのを、鼻で笑って返すような人だ。

***さんは今、この村に部屋を借りて、叔母さんと二人で暮らしている。

叔母さんが頻繁にうちに来るのはひとえにこのせいだ…が、誰も文句が言えない、お父さんですら。精神を壊し、生活力も失った叔母さんを養っているのはこの人だからだ。


***「…あんた達には世話をかけるね…。申し訳ないよホント。やめろっつってんだけど…」

ベルトルト「いえ……」

***「最近は少し笑うようになったから、近所で農業の手伝いしたりしてるようにはなってんのよ、あれでもね」

ベルトルト「はあ……」

***「それでも人と話すのはまだ怖いみたいだけど…」

***さんは愚痴を話したいようで、僕は取り敢えず相槌を打っていた。そして、前々から聞きたかった事を聞いてみた。


ベルトルト「あの…」

***「んー?」

ベルトルト「叔母さんは……どうしていつもウチに来るんです?」

***「……」

ベルトルト「お父さんに怒られるの…分ってるはずなのに。どうして…」

***「それよ」


ベルトルト「え?」

***「怒られに来てんのよ、あの人は」

ベルトルト「えっと……え?」

***「30年ずっとよ?もう、そういう体になってんの。怒られないと、殴られないと、詰られないと駄目なの。馬鹿女!!って言われないと」

ベルトルト「ええっ?でも…」


***「ベル君はお母さんに『お手伝いして!』って言われる?」

ベルトルト「…言われます」

***「毎日?」

ベルトルト「はい」

***「あの人の場合、その『お手伝いして!』が『馬鹿』に変わっただけの話」

ベルトルト「……」

***「日常の一部になっちゃったのよ…ごめん難しいわね」

そう言って***さんはお茶を飲んだ。


ベルトルト「…***さんは、今の生活、楽しい?」

***「大人びたこと聞くね」

ベルトルト「あ、ごめんなさい」

***「ううん。そうね…実家にいた頃よりは楽かな、クソババアうるさかったから…」

ベルトルト「…………結婚ってしないの?」

***「しないよ」

ぴしゃりと言い切った。顔も真剣だった。


***「あの人の結婚生活、ずっと間近で見てきて確信したの」

***「この家とあの人の遺伝子を残しちゃいけないって」

***「二つの血が混じった私から生まれた子供は、きっと人を不幸にする」

ベルトルト「……」

***「まーただ単に相手がいないってのもあるけど」


・・・・・




***「…さてそろそろ帰るね」

…***さんは、一度も叔母さんを『お母さん』と言わなかった。


例のごとく叔母さんが来たある日、今度はベリックの家にお世話になった。
お土産に持ってきた野菜が食卓に振舞われた。そしてその晩。

ベリック「へぇーそんなことあんのかー」

ベルトルト「***さんはそう言ってた。でもホントかな…悪口を言われ続けて、それが無いとダメになるなんてさ」

ベリック「薬みたいなもんなのかもなー」

ベルトルト「絶対それ悪い薬だよ……」

ベリック「うん、だからよ」


ベリック「悪いって分かってるんだけど、『飲み続けないといけない』って自分で思い込んでるんだろ」

ベルトルト「……」

ベリック「『自分は馬鹿だから怒られているんだ』『自分はダメな奴だから怒られないといけないんだ』って考えが染み付いてるんだ」


ベリック「で、もう馬鹿な自分を叱ってくれるありがたいお姑様が居ないから、お前んちの父ちゃんに怒られに行ってるんだろ」

ベルトルト「…やめようこの話。なんだか怖くなってきた」

ベリック「はははっベルトルトはあの人みたくなるんじゃねーぞー」

ベルトルト「君までお母さんみたいなこと言わないでよ!明り消すからね!」


パチン……


***さんに比べて分かりやすく噛み砕いたベリックの話を聞いて、背筋に鳥肌が立った。

もし、ベリックの言う事が本当なのだとしたら、離婚なんてしなくて良かったってこと?ずっと怒られたかったってこと?

ダメだ…理解できなくて気持ち悪い…。早く寝てしまおう……。


チュンチュン…

ベルトルト「…早く起きちゃった…朝ご馳走になる前に帰っちゃおう」

ベリック「グーグー……」

ベルトルト「ベリック、じゃーねー…」

ベリック「グーグー…」


スタスタ…

ベルトルト「ふあ~…昨晩小雨でも降ったのかな…道が湿ってる…」

ベルトルト「…んっ…?家の前に誰かが……」

叔母「……あっ…」

ベルトルト「……あっ…」


ベルトルト「お…はよう叔母さん」

叔母「お、お…おは、よう…」

ベルトルト(泣き声じゃない叔母さんの声久しぶりに聞いたな…というかどうしてこんな朝早くに居るんだろう)

叔母「あの…あの……」

ベルトルト(まさかこんな朝早くに『怒られ』に来たっての?)


叔母「あの、ね…その…お父、さんに…」

ベルトルト(…まだお父さんもお母さんも寝てるのに…わざわざ起こして、また怒られたいの?…正気…?)

叔母「あ……う…」

ベルトルト「…うじうじするのやめてよ」

叔母「…えっ…と…」

ベルトルト「やめてよ!」

叔母「!!」


ベルトルト「何なんだずっとずっとウチんちに来てお父さんの手を煩わせて!」

ベルトルト「迷惑なんだよ!鬱陶しいんだ!」

叔母「あ…あ、あ…」

ベルトルト「来ないで!触らないで気持ち悪い!」

ベルトルト父「何の騒ぎだ?朝っぱらから…」

ベルトルト「あ…」

叔母「……」


ベルトルト父「ベルトルト…叔母さんに謝れ」

ベルトルト「…やだ」

ベルトルト父「…いいから」

叔母「…………」

ベルトルト父「おい……行っちまった」


ベルトルト父「あのなベルトルト。あんな奴でも、一応お父さんと血の繋がった家族なんだ」

ベルトルト「…」

ベルトルト「そりゃ、イライラするだろうけど…あんまり言ってやるな。お父さんも反省するから」

ベルトルト「…ごめんなさい…」

ベルトルト父「それは今度叔母さんが来た時に言えよ」

ベルトルト「…はい」


ライナー「難しいもんだなー結婚って」

アニ「何いきなり」

ベリック「ベルトルトんちのことか?」

アニ「言っとくけど、あすこんちが特殊だっただけだと思うよ」

ライナー「でもよ?あんなに大人しくて奥ゆかしい人、いじめるもんなのかね?」


アニ「嫁ぎ先って酪農家でしょ、しかも結構大きいとこの。そりゃ弱々しい人よりも強そうな人の方が良いでしょうさ」

ライナー「だからってなあ~結構キレイな人なのに…しかも15歳で…」

ベリック「…そういや、あの人とベルトルトってちょっと似てるよなあ」

ベルトルト「お~いなんの話~?」


アニ「ライナーが将来あんたと結婚したいって話」

ライナー「言ってねえよ!!!!!」

ベルトルト「え、やだよ。ライナーと結婚するならベリックとする」

ライナー「」

ベリック「ハッハッハ!振られてやがる」

ライナー(釈然としねえ……)


アニ「そう言えばあんた、最近ウチらの家に泊まりに来ないね」

ライナー「お袋寂しがってるぞ」

ベルトルト「うん何だか最近、叔母さんウチに来なくなったんだ」

ベリック「へーーー。怒られるの遂に飽きたのかね」


ライ&アニ「何だそれ?」

ベルトルト「何でもないよ。平和になったから僕は構わない」

アニ「お父さん、また稽古つけてやりたいみたいだから、今度来なよ」

ライナー「俺んちもな」

ベリック「俺んちも俺んちも」

ベルトルト「ありがとう三人とも」



カーカー…


ベルトルト(遅くなっちゃった…今日は畑仕事お休みでよかった)

ベルトルト(…ん?なんだかウチの前が騒がしい…何かあったのかな)


ザワザワ…ザワザワ…

ベルトルト「すみませーん…通して…」

ベルトルト母「!!ベルトルト!今までどこへ…」

ベルトルト「ライナー達と一緒に…それよりも、これなんの騒ぎ?」

ベルトルト母「……ベルトルト、今夜はブラウンさん家に泊まらせてもらいなさい」


ベルトルト「…?どうして」

ベルトルト母「叔母さん、自殺しちゃったの」


ベルトルト「………え?」

ベルトルト母「ウチを使ってお通夜するけど、その、ご遺体が酷くって…」

ベルトルト母「頭から油をかぶって火を着けたから、綺麗にするまで少し時間がかかりそうなの。それまでブラウンさんちでお世話になってちょうだい」

ベルトルト母「前以て言ってあるけど、ご挨拶するのよ。ベルトルト?聞いてる?」


叔母さんが自殺した……。


生まれて初めてお葬式に出た。
***さんも参列していた。まだ信じられないのか、ぼーっと生気のない顔をしていた。
お父さんは、悲しそうな表情をしながらも、どこか重荷がとれたみたいな、そんな顔をしていた。



元旦那さんとそのご両親一家は…………来なかった。


叔母さんが眠る棺が土の中に納められ、お葬式は終わった。

人が一人死んだという実感がまるでなく、軽い喪失感だけを感じながら家の前をうろうろしていた。家の中は、葬儀屋さんとお父さん、お母さんが話をしていて居づらかったからだ。

そこへ、喪服姿の***さんがタバコを持って近寄る。あの日話して以来だ。


***「久しぶり」

ベルトルト「…お久しぶりです」

***「はーー死んじゃったよ……」

ベルトルト「……」

***「どんなに馬鹿にされても、ゴミ扱いされても、死ぬような真似はしなかった人が…」

***「しかも焼身自殺とか…わざわざキツイ死に方…」

ベルトルト「……」

***「離婚してから、抜け殻みたいになってたけど、死ぬ元気だけは残されてたってことかなぁ」


ベルトルト「僕のせいかもしれないです」

***「んんー?」

ベルトルト「僕叔母さんに、色々酷いこと言ってしまったから…」

***「酷いコトなんて30年言われてんのよ。今更」

ベルトルト「でもきっと…悲しかったはずです…」


***「…優しいねベル君は」

ベルトルト「…優しくないです…」

***「あの人そっくりだわ。あのクソババァから私を庇って殴られてくれた、あの人と…」

ベルトルト「…僕はそんな奴じゃありません」

***「…そう言えばさ、ベル君ちって、黒髪の人いないよね」



ベルトルト「……………………へ?」

***「お母さんは金髪がかった茶髪でしょ?お父さんは赤髪。で…あの人は黒髪」

***「どちらかのご先祖様に、黒髪の人が居たのかもね…」

***「ま、私の実家は黒髪揃いだったけどね。ははっ」

ベルトルト「…………」

***「それじゃあ私帰るわ。ベル君たまにはウチにも遊びに来てね」

***さんが手を振るのを、僕は、ゆっくりと頷くだけしか出来なかった。


夢に、叔母さんが出てきた。

『ベル…ベルトルト……』

『ベルトルト……待って…』

どんなに走って逃げても、その声は聞こえた。

ベルトルト「来ないでくれ…!」


『ベルトルト…顔を見せて…』

ベルトルト「助けて!ライナー!アニ!ベリック!」

『ベルトルト…』

ついに捕まり、手のひらが頬を包む。それまで霧の中を走っているように靄のかかった背景が晴れ上がり、目の前に若々しい女の人が立っていた。

ベルトルト「は、離して…!!あの日の事を…怒ってるならごめんなさい!」

『大きくなったね……』

見たことないけど…16歳の叔母さんだと分かった。だってその顔は僕にそっくりだったからだ。


ベルトルト「はーっはーっ……」

ライナー「おい!ベルトルト!おいって!」

ベルトルト「い、嫌だ…許して…はーっ……あっ!!」

ライナー「おい大丈夫か!?俺が分かるか?」

ベルトルト「ら…ライナー……」


ライナー「ああそうだ、今お前の目の前にいるのはライナー・ブラウンだ。また随分うなされてたな…」

ベルトルト「いや、うん。たまに見るんだ…」

ライナー「…ああ例の夢か」

ベルトルト「ライナー…ここってどこだっけ…」


ライナー「おいおい忘れんなって……訓練所の寮だろ」

ベルトルト「ああそうか、良かった…あの夢見ると、今自分がいる場所が分からなくなってしまうから…」

ライナー「……外、出るか」

ベルトルト「うん、そうだね…新しい空気吸いたい…」

ライナー「そ~っと起きろよ。ジャンに起きられたら面倒くさいからな」


ライナー「……すっきりしたか?」

ベルトルト「うん、大分ね…」

ライナー「そうか…」

ベルトルト「聞きたい?夢の内容」

ライナー「お前が話したいなら、止めはしないが」


ベルトルト「…昔にね、死んだ叔母さんの夢なんだ」

ライナー「…そうだったのか……」

ベルトルト「うん…それが結構ホラーな夢でね。叔母さんに追いかけられるんだ、ずっと」

ベルトルト「暫く見ていなかったんだけどね…エレンに『僕に自分の意思がない』って言っちゃったからかな?」

ベルトルト「はは…母さんに散々言われたんだけどなあ…『叔母さんみたいになるな』って…」

ライナー「……」


ベルトルト「夢に出てきた叔母さんはね…若くて僕にそっくりなんだ」

ライナー「ベルトルト」

ベルトルト「ライナー僕思うんだ。僕は、もしかして」

ライナー「ベルトルト」

ベルトルト「僕は、僕は………!」

ライナー「帰ろうな…故郷に」

ベルトルト「…………うん」


・・・・・



***『あの人ね、私を産んで15年くらいかな…もう一人子供産んでるのよ』

***『男の子をね』

***『でもね、死んだと偽ってこの村のどこかの家にお願いして預けたって』

***『この家で育てるよりはって、最後の親心かしら』

***『ベル君、あの人みたいになっちゃダメよ』


おしまい

田舎は結構ドロドロしている
なんかいろいろごめん
良い夢見ろよ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年05月10日 (土) 23:45:51   ID: q9-nS6AG

これ結構良いと思うのに
何で評価されない…

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