千穂「私を映画館に連れて行ってください。」 (58)

こんばんは。

1.はたらく魔王さま!のSSです。ただ、アニメしか内容を知らないです。

2.以前に書いた、恵美「あいつらと一緒に映画を観に行くですって!」と、
  恵美「真奥、映画を観に来たわよ!」 の続編です。

3.前作以上にキャラ崩壊を起こしているため、苦手な方は注意してください。


以上の点を踏まえて、それでもOKという方、是非ご覧ください。

前作は、ちーちゃんを不憫な目にあわせてしまったので、
それを反省して今作では、ちーちゃん成分多めでお送りしたいと思います。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1379257400

千穂「えへへ。真奥さん、喜んでくれるかな。」

千穂は、自宅で作ったクッキーが非常にうまく出来たため、
真奥にも食べてもらいたいと思い、魔王城という名のアパートを訪れた。

千穂「真奥さーん。クッキー焼いたみたんですけど、味見してもらえませんかー。」

といいながら、真奥の部屋のドアを開ける。だがそのすぐ後、千穂に衝撃が走る。

部屋を覗いてみると、真奥と恵美が非常に近い距離で座っていたからだ。

千穂「(お互いに肩が触れ合いそうなほど近い距離にいるというか、
   よく見ると顔をお互いの方に向けているよね? しかもなんか顔が近い、近すぎる。
   なんでそんなに近づいてるの? えっなに? あれ、ちょっと待って、もしかして
   これって唇と唇を重ねるっていう例のアレの前段階?)」

千穂は思わず、持っていたクッキーの箱を落としてしまう。

そしてその音を聞いて、真奥と恵美が千穂の方へと顔を向ける。

真奥「ち、ちーちゃん!?」

恵美「千穂ちゃん!? あの、えっと、これは違うの、えっと、つまり・・・」

初めに述べておくと、別に二人はキスをしようとしていたわけではない。
恵美が目にゴミが入ってしまったというので、真奥はそれを気にかけていただけなのだ。

だがしかし、千穂にはすでに2人の言葉は聞こえていなかった。生気を失い、死んだ魚の
ような目をしている。

恵美と真奥は誤解を解くために、千穂に必死に言葉をかける。
だが、今の千穂にとってはその姿が逆効果だった。より仲がよさそうな風に映ってしまっていたから。

それを見て、千穂の中の何かがプツンと切れた音がした。

千穂「・・・は・・・・・ははは。」

千穂「あはははははははははははははは!!!!!!」

真奥「ち、ちーちゃん?」

恵美「千穂ちゃん、どうしたの?」

千穂「ふ、ふふふっ・・・」

千穂「・・・真奥さん・・・遊佐さん。・・・私と、じゃんけんをしましょう。」

真奥・恵美「えっ!?」

千穂「真奥さん・・・私が勝ったら、二人っきりでデートをしてください。二人っきりで。」

真奥・恵美「!?」

真奥「ち、ちーちゃん。なんかいつもと雰囲気が違うように感じるんだけど・・・」

千穂「何を言っているんですか、真奥さん。私はぜんぜん普通ですよ・・・いつも通りです。」

千穂「あ、そういえば、真奥さんは以前、遊佐さん達と映画を観に行ったんですよね。
   私は呼ばれてませんけど。・・・いいなぁーうらやましいなぁー私も行きたいなあー。
   ・・・・・・じゃんけんに勝ったら、私を映画館に連れて行ってください。」

真奥「!?」

千穂「・・・真奥さん、明日はシフト入ってないですよね?早速、明日行きましょう。」

千穂「遊佐さんは・・・そうですね。私が勝ったら
   ・・・私と真奥さんとのデートに口出しをしないでください。」

恵美「えっ?、えっ?」

千穂「では、まず真奥さん、構えてください。」

恵美「(今の千穂ちゃんの姿・・・というか貫禄は・・・まるで・・・)」

真奥「(さっき見てた映画に出てきた、主人公(第2章ver)と同

千穂「真奥さん。」

真奥「は、はい!」

真奥「私と、じゃんけんしましょう。(ニコォ」

-----


-----

真奥「ま、負けた・・・」

恵美「5回勝負で1度も勝てないだなんて・・・」

千穂「では真奥さん、デート楽しみにしてますから。
・・・遊佐さん、くれぐれもストーカー行為だけは避けてくださいね、お願いします。それでは。」

真奥「・・・ちーちゃんを怒らせると怖いな・・・」

恵美「そうね・・・」

恵美「(・・・千穂ちゃん・・・やっぱり今も、真奥のことが好きなのね・・・)」

すいません、間違えました。7からやり直します。


恵美「(今の千穂ちゃんの姿・・・というか貫禄は・・・まるで・・・)」

真奥「(さっき見てた映画に出てきた、主人公(第2章ver)と同

千穂「真奥さん。」

真奥「は、はい!」

千穂「私と、じゃんけんしましょう。(ニコォ」

-----

-----

真奥「ま、負けた・・・」

恵美「5回勝負で1度も勝てないだなんて・・・」

千穂「では真奥さん、デート楽しみにしてますから。
・・・遊佐さん、くれぐれもストーカー行為だけは避けてくださいね、お願いします。それでは。」

真奥「・・・ちーちゃんを怒らせると怖いな・・・」

恵美「そうね・・・」

恵美「(・・・千穂ちゃん・・・やっぱり今も、真奥のことが好きなのね・・・)」


佐々木家にて・・・

千穂「やっちゃったあああああああああああああ!!!!」

千穂はベッドの上で、左右に転がりながら悶えていた。

千穂「(どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう。)」

千穂「(つい勢いでやっちゃったけど、真奥さん達引いてなかったかな・・・)」

千穂「(とんでもないこと言っちゃったな。真奥さんに正真正銘の、
ごまかしなしのデートを申し込むなんて・・・)」

千穂「(それに・・・遊佐さんに悪いこと言っちゃったな・・・)」

千穂「(今度会う時・・・どんな顔で会えばいいのかな・・・)」

千穂がそう考えている時、携帯の着信音がなった。

千穂「(真奥さんからだ・・・!)」


千穂にメールが届く40分ほど前。

恵美は自宅に帰り、逆に芦屋が魔王城に帰ってきた。
そして真奥は、千穂と映画を観に行くことになったのを芦屋に伝えた。

芦屋「ついに佐々木さんも気持ちの限界がきましたか・・・」

真奥「芦屋、心なしか俺を見る目が冷たく感じるんだけど、気のせいか?」

芦屋「(これまで、魔王さまが自身で考えることと思い、口を出すのを控えていたが、
さすがに言わなくては駄目か・・・)」

芦屋「魔王さま。」

真奥「なんだ?」

芦屋「今からの十数分は、失礼を承知で言わせて頂きたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」

真奥「あ、ああ。いいぞ。気兼ねなく言ってくれ。」

芦屋「ではお言葉に甘えて・・・・・・・この鈍感へタレ男。」

真奥「ぐはっ!」

芦屋「佐々木さんからこれまで様々なアプローチを受けてきたのに、
   いっつも!なあなあでやり過ごしてきて、恥ずかしくないのですか?」

真奥「げふぅ!」

芦屋「あの心優しい佐々木さんだって、アプローチをかわされ続けた挙句、
   魔王さまと遊佐があれだけ仲良くしているのを見れば、
   やきもちをやいて・・・・失礼、イライラしてしまいますよ。」

真奥「えっ、今何で言い直したの?」

真奥「・・・そりゃあ、ちーちゃんが俺のことを恋愛対象として
   好いてくれているのに最近ようやく気付いた俺が悪いんだが・・・」

芦屋「気付いていたのですか!!!」

真奥「え!? 今までの会話って、俺が気付いていること前提で話してたんじゃないの!?」

芦屋「・・・気付いているならまあ・・・(多々問題はありますが、今のところは)いいです・・・。
   あと、遊佐と仲良くするのは今さらなので止めませんが、せめて本命は遊佐と佐々木さんの
   どちらなのか選んでいけませんか? こちらとしてもイライラするので。」

真奥「ストレートに言った!?」

真奥「・・・ちーちゃんのことは気になってはいる。これまで色々と俺に対してよくしてくれたんだ。
   気にならないはずがない・・・だけど・・・。」

芦屋「遊佐のことも気になっていて、すぐに選ぶことはできない・・・と。」

真奥「・・・ああ。」

芦屋「・・・優柔不断へタレ駄目男にパワーアップしましたね。」

真奥「すまん・・・」

芦屋「私に謝らないでください、謝るべきはもっと他にいるでしょう。」

真奥「ああ・・・そうだな。」

芦屋「まあ、魔王さまのことですから、明日のデートですぐにお付き合いをするか否かの話を
   することは恐らくできないでしょう。ですからせめて、明日のデートは佐々木さんに
   少しでも喜んでもらえるように、全力を尽くすべきです。」

真奥「・・・分かった、頑張るよ。早速ちーちゃんにデートの誘いのメールをしてみる!」

芦屋「その意気です、魔王さま。」

このすぐ後、真奥は千穂に対して、明日の映画デートについてのメールを送った。

メールには、今日驚かせてしまったことの詫びと、明日のデートは千穂に喜んでもらえるように
努力するということ、そしてクッキーがとてもおいしかったということを伝えた。

千穂がそのメールを見て、複雑な感情を抱きつつも、赤面しながら喜んだことは言うまでもない。

すいません、席を外します。続きは、今日か明日中には投下します。

楽しみにしてるよ

お待たせしました。再開します。

デート当日、ABC映画館前にて・・・

千穂「真奥さーん。」

真奥「おお、ちーちゃん早いな。」

千穂「真奥さんこそ。今、約束の時間の15分前ですよ?」

真奥「俺もついさっき来たところなんだ、そんなにちーちゃんと来た時間は変わらないよ。」

千穂「そうなんですか。」

真奥「(まあ、本当は1時間くらい前からいたけどな。絶対に今日は遅れるわけにはいかなかったし。
   見た感じ、今日は怒ってないみたいで良かった・・・)」

千穂「(真奥さん、昨日の私の態度のこと不気味がってない・・・というか気にしてないのかな?
   すごい普通に話しかけてくれたし。ってあれ?)」

千穂「真奥さん、今日の服はユニシロじゃないんですか!?」

真奥「えっそんなに驚くところ!? ・・・まあ、普段ユニシロの服を着てることが多いって
   いうのは否定できないけど。」

真奥「今日はちーちゃんとのデートだからな。
   いつもよりちょっとオシャレをしてみたんだけど、変かな?」

一言で言うと、今日の真奥の服装はユニシロ装備ではなく、ライトオフ装備だった。

千穂「そんなことないです!かっこいいです!」

真奥「そ、そうか/// そう言われると照れるな・・・。」

千穂「(真奥さん、今日のデートのためにオシャレしてくれたんだ・・・やったぁー///!)」

真奥「ん? どうしたちーちゃん、いきなり後ろなんか向いて。」

千穂「な、なんでもないです///  ところで真奥さん、今日は何の映画を観ましょうか?」

真奥「そうだなぁ、昨日ネットで調べていくつか候補を決めては来たんだけど・・・
   ちーちゃんは何か見たいのある?」

千穂「そうですねー、実は映画館の外壁に貼ってあったポスターを見て、
   気になったのがあるんですけど・・・」

真奥「そうなのか、どんなやつ?」

千穂「ええと、あった! あれです!」

千穂はそう言って、20代後半から30代前半くらいの男性と
小学生くらいの女の子が手を繋いでいるポスターを指差した。



VANILLA FICTION



真奥「VANILLA FICTIONか!。実は俺が昨日調べてきた、候補のひとつがそれなんだよ。」

千穂「そうなんですか! ・・・ちなみに、どんな感じの話なんですか?」

真奥「それが、よく分からなかったんだよ。映画の公式サイトを見たんだけど、予告編とかないし、
  制作者のコメントとこのポスターの絵しか載ってなかったんだ。逆にそれで興味が湧いたんだけどな。」

真奥「制作者のコメントによると、この映画は子育て映画らしいぞ。」

千穂「(子育て・・・)」


----千穂、妄想開始。

真奥「千穂、おはよう。」

千穂「貞夫さん、おはようございます。千沙は起きましたか?」

真奥「ああ、もうすぐ来るはずだ。」

千沙(妄想の産物)「パパー、ママー、おはよー!」

千穂「千沙、おはよう。さあ、みんなそろったことだし、朝ごはんにしましょう。」

千沙「今日の朝ごはんは何かなー。あっ、チーズ入りの卵焼きだ! 
   千沙、これ大好き! パパもこれ好きだよね?」

真奥「ああ、ママのチーズ入り卵焼きは絶品だからな、大好きだ。でも、一番好きなのはママだけどな。」

千穂「やだ、貞夫さんったら///」

千沙「千沙もママ大好きー!」

千穂「ありがとう、千沙///」

真奥「いやー、こんな良い家庭を持てて、俺は幸せだなー。」

千穂「貞夫さん///」


---千穂、妄想終了。




千穂「えへへー///」

真奥「ちーちゃん? どうかしたか?」

千穂「な、なんでもないですよー/// いいですね、VANILLA FICION! 
   是非観ましょう、行きましょう!」

そう言って千穂は、映画館の入口に向かってすごい勢いで走って行った。

真奥「は、速いなちーちゃん・・・」

真奥「(って、しまった・・・)」

真奥「(・・・ちーちゃんの服装、褒めるタイミング逃したな・・・すごい似合ってたんだが・・・)」

真奥は千穂を追い、映画館に向かっていった。

映画館内、シアタールームBにて・・・

千穂「結構、人がいますね。」

真奥「まだ公開されたばっかりらしいからな。どんな映画なのか楽しみだ。」

千穂「そうですね。」

千穂がそう言ったすぐ後、ビーという音が鳴り響いてシアターの幕が上がり、上映が始まった。


---

Q:どうして先生の書く物語は全てバッドエンドなんですか?

佐藤『私は、悲観的な妬み屋だ。恐らく私の未来は暗い。だからこそ他人の幸福を妬んでしまう。
   そんな私がハッピーエンドを書ける日は永久に来ないだろう。』

佐藤『このまま飽きられて失業して・・・私みたいなやっかいな人間は会社勤めなんてできないから、
   もう・・・ブルーシートの家でのたれ死ぬしか・・・』

真奥・千穂「!?」

佐藤『きっと私がハッピーエンドを書けるのは、世界で一番幸せだと感じられた時だ・・・
   そんな風に思える日がこないことは分かっているが・・・』

担当『先生、あ、諦めずに頑張りましょう!! 明日また打ち合わせを!!』

担当『・・・帰ってしまった・・・』

千穂「(佐藤先生、主人公なのに超ネガティブ発言を連発してる・・・)」

真奥「(へえ、今は超売れっ子の小説家だけど、書く物語が全てバッドエンドなのか。
   で、読者に飽きられるのを恐れてると。)」

佐藤『(もし私の小説のように神というものがいるのなら・・・願いを一つ叶えてほしい。
   他人の不幸を想像し、憂さを晴らすダメな私に、どうか、世界で一番の幸せを・・・)』

そう考えながら佐藤は、たまたま見かけた少女が落としたキーホルダーを届けるために、
とあるビルの部屋を訪ねる。そこで佐藤は・・・

短髪姿の男が、メガネをかけた男をナイフで切りつけ、開かれた窓の縁に座る少女がそれを見つめている姿を見た。

真奥・千穂「!?」

佐藤『えっ、・・なん・・?』

メガネ男『た、助け・・・あっがっ・・!!』

短髪男『長髪兄ちゃん、アンタ運が悪いなァ。まあ、そこでゆっくり見物しとけ・・・順番までな。』

真奥「(なんという急展開!? あれ? この映画って子育て映画じゃなかったっけ?)」

千穂「(あの女の子、すごいかわいい・・・天使みたい・・・)」

佐藤『(やばい!何が起こってる!? 全く分からない! ただ一つ確かなことは・・・
    あの男の次は私・・・私が殺される!!)』

佐藤『(扉は一つ! フロアは4階! どうする? 私が生き延びる方法! くそっ!!)』

佐藤『(どんな展開を考えても、バッドエンドにしかならない!!)』

佐藤『(私の脳みそは、肯定的結末を導き出すようにはできていないんだ!)』

真奥「(やばい、先生詰みかけてる・・・)」

千穂『(佐藤先生・・・頑張って・・・!)』

佐藤『(いや、待て・・・もし私が、あのメガネ男を主人公に物語をつくるなら・・・どうなる?)』

佐藤『(あいつの悲劇を想像してみろ!!)』

短髪男はメガネ男と争っている・・・

短髪男『あのガキ、お前が躾けたのか?』

短髪男『騒がねえし、泣かねえし助かるよ。俺、子供嫌いだからよォ、ははは!』

佐藤『・・・・・・・!!!』

佐藤は少女に向かって走った後、少女を掴んだ。その行動を見て、短髪男は動揺する。

短髪男『・・・おい、お前、どうするつもりだ・・・』

佐藤は意を決し、・・・・・・少女を窓の外へと突き落とした。

真奥・千穂「えええええええ!!!!!!!????????」

短髪男『てめえぇ!!!』

短髪男は、少女の安否を確かめるために窓に向かって走る。

佐藤『(短髪男の言動から、短髪男と少女に面識がないと予想できた。また、子供嫌いであり、
  他人を痛めつけて笑っている短髪男が、少女には手を出さないのはなぜか・・・恐らくそれは・・・)』

佐藤『(短髪男の目的が、少女にあるからだ・・・!)』

佐藤『(目的の少女を失った短髪男は正気ではいられなくなるだろう・・・混乱と焦燥に支配された彼の眼には・・・)』

佐藤『(すれ違う小説家の存在など、目に入るはずもない!!!)』

佐藤はその隙を突き、入口の扉に向かって走る。

真奥「(すげえ、あの僅かな時間でそこまで考えたのか・・・)」

千穂「(でもそれじゃあ、あの女の子は・・・)」

短髪男『お、俺の獲物!!・・・し・・室外、・・機?』

少女は、窓のすぐ下にある室外機の上に、仰向けの姿で倒れていた。
室外機により、地面への落下を防ぐことができたのだ。

真奥・千穂「(良かった・・・無事だった・・・)」

メガネ男『・・・・・・』

短髪男『はっ!?』

メガネ男は、短髪男が安堵した一瞬の隙を突き、短髪男を窓の外へと突き落した。

真奥・千穂「うそおおおおおおおおお!!!!!?????」

佐藤『(くそ・・・足がすくんで・・・しっかりしろ! もうすぐ出口だ・・・)』

メガネ男『おい。』

佐藤『!?』

佐藤の目の前には、メガネ男と少女の姿があった。

メガネ男『君は・・・数年後・・・世界が滅びると言ったら・・・信じるか?』

佐藤『?』

真奥「(またまたすさまじい急展開がきたぞ!これどうなるんだ!?)」

千穂「(そしてあれー? 子育て要素の出てくる気配が全くないよー、あれー?)」

メガネ男『俺は運悪く選ばれちまったんだよ、葉っぱに穴を開ける、虫の役に・・・』

佐藤『! それは私の小説の・・・』

メガネ男『たぶん次は、君の番だ・・・こいつを守り、君もせいぜい苦しめ・・・ははは、俺みたいに・・・』

そう言った後、メガネ男は力尽き、倒れた。
それを確認した後、少女は佐藤に向かって話しかける。

少女『わたし、うそをついたり、ものをとったり、大きな声を出したり、
   いけないことはやりません。いい子にできます。』

少女『これからどうぞ、よろしくお願いします。』

真奥・千穂「(えっ? まさかこれが子育て要素ってことなの? そうなの?)」

佐藤『訳がわからない! なぜ私がお前を守らなければならないんだ!! 
   世界の破滅、虫食いの穴! それは私の小説の話だ!』

太宰『そう、先生の小説と同じだよ。』

佐藤『!?』

太宰『奇遇だね、俺達も小さな虫食いの穴を開けて、世界を救おうとしてるんだ。』

太宰『俺の名前は、太宰 治。趣味と特技はセックス遊び。』

真奥「(!? ・・・またすごい濃いキャラがきたな。)」

千穂「(せ、せせせ、せっくすって・・・///)」

太宰『これから始まる物語は、先生の書く退屈な作り話とは全く違う。
   本当に面白い、悲劇的な物語だよ。』


VANILLA FICTION chapter:2 今冬公開予定。


真奥・千穂「!?」

---

ABC映画館前にて・・・

真奥「いやー、超面白かったな!」

千穂「そうですね! あんないいところで終わるなんて反則だーと思いましたけど。」

真奥「まあ確かになー。でてきた女の子の名前も不明だったし。」

千穂「あの女の子と佐藤先生が今後どんどん仲良くなっていくんですかね?」

真奥「たぶんな。先生があの子を引き取って育てていくんだと思う。
   じゃないと子育て物語にならないしな。」

千穂「ですよね、きっとそうですよね!ちなみに真奥さん、子供は好きですか?」

真奥「そうだなー、結構好きな方だぞ。魔界にいた時も、魔界の住民達の生活を調査するついでに、
   魔界の子供達と遊んだりしてたし。芦屋には、ほどほどにしとけって言われたけどな。」

千穂「そうなんですかー。へえー。(やったー!!!)」

千穂「・・・えへへー。」

真奥「?」

真奥「あっ、そうだ。ちーちゃん、まだこの後、時間大丈夫?
   この後、喫茶店で一緒に食事したいと思ったんだけど・・・」

千穂「は、はい、大丈夫です! 問題ないです! とってもうれしいです!」

真奥「そ、そうか。 じゃあ行こうか。」

千穂「はい!」

---

真奥と千穂は、喫茶店ドゥーチェ(笹塚店)にて映画の感想などを話しながら、楽しい時間を過ごした。

そしてその帰り道・・・

千穂「あっ、真奥さん。ちょっとここで止まってもいいですか?」

真奥「ん、いいけど。どうしたんだ、ちーちゃん?」

千穂「真奥さん、この場所・・・覚えてませんか? 
私、もうだいぶ前になるんですけど、ここで真奥さんとあることを話したんですよ。」

真奥と千穂のいる場所は、とあるT字路の真ん中だった。
近くには、防火水槽の標識が立っており、公園らしき広場も見える。

真奥「? すまん、思い出せな・・・いや、待て、そういえば・・・ああー!」

千穂「ふふっ、思い出しましたか? そうなんです、私この場所で真奥さんに告白をしたんですよ。
   その時は鈴乃さんが来て中断しちゃいましたけど。」

真奥「悪い、すぐに思い出せなくて・・・」

千穂「いいんです、いいんです!だいぶ前のことですし。
   でもまあ、そういう訳もあって、私にとっては大切な場所なんです。」

真奥「ちーちゃん・・・」

千穂「(頑張れ私、勇気を出すんだ・・・!)」

千穂「・・・なので、ここでもう一度、告白をさせてください。」

千穂「真奥さん、私はあなたが好きです。」

千穂「以前私はここで、真奥さんのことを好きでなくなる時は自分で決めますと言いました。
   けど私は、あれから今まで、真奥さんのことを好きでなくなるときは一度もありませんでした。」

千穂「むしろどんどん、どんどん真奥さんのことを好きになっていきました。
   私は、真奥さんと対等な関係になりたいです。」

真奥「・・・ちーちゃん、ありがとう。気持ちはすごいうれしいよ。」

真奥「・・・だけど、悪い。本当に悪い。
   自分がどれだけ最低なのかは分かっているけど、今はまだ返事ができない。」

真奥「だけど、もう長い時間はかけない。もう少しだけ待ってくれ。必ず、必ず返事をする。」

千穂「・・・分かりました。返事は、もう少しだけ待ちます。ですけど、真奥さんから返事をもらうまでは、
   これまで以上に全力でアプローチをかけていきますので、覚悟してくださいね!」

真奥「ああ、覚悟する。ありがとう、ちーちゃん。」

---


その後、真奥と千穂はお互いの家に帰った。そして千穂は・・・

またまたベッドの上で、左右に転がりながら悶えていた。

千穂「(言っちゃったー!!! 私ついに言っちゃったぁー!!!)」

千穂「(どうしよう、どうしよう、どうしよう、明日からどうしようー!!!)」

1時間ほど前の告白の興奮が冷めやまず、落ち着きがない千穂だったが、
あることを思いだし、落ち着きを取り戻す。

千穂「(だけど・・・これで、このままでいいのかな・・・)」

千穂「(・・・いや、・・・駄目だよね!)」

真奥への告白をした千穂には、ひとつだけ気がかりがあった。

そして、それを解決するために、ある人物へメールを送った。


---

次の日、とある公園にて・・・

恵美「ごめん、千穂ちゃん。待った?」

千穂「いえ、大丈夫です。私も今来たところです。」

千穂が昨日メールを送った人物、それは恵美だった。

恵美「伝えたいことがあるってメールに書いてあったんだけど、どんなことなの?」

千穂「(もう一度、勇気をださなきゃ・・・!)」

千穂「はい、単刀直入に言います。私は昨日、真奥さんに告白をしました。」

恵美「!?」

千穂「ただ、まだ返事はもらえていません。もう少しの期間、待って欲しいということだったので、
   私は返事をもらえるまでの間、全力で真奥さんにアプローチをかけようと思います。遊佐さんはどうしますか?」

恵美「・・・千穂ちゃん、どうして私にそんな大切なことを教えてくれたの?」

千穂「遊佐さんも、真奥さんのこと好きですよね?」

恵美「・・・ええ、好きよ。私は真奥が好き。この世界に来たばかりの時には、
   私はあいつが大嫌いだった。だけど今では、私は真奥貞夫という1人の人間が大好きよ。」

千穂「だからです。」

恵美「えっ・・・?」

千穂「・・・私は、遊佐さんのことを大切な友達だと思っています。
   なので、遊佐さんに黙っているのはフェアじゃないと思いました。」

恵美「千穂ちゃん・・・」

千穂「私は遊佐さんと、ちゃんと対決をして勝って、そして真奥さんと付き合いたいんです。
   それに・・・」

千穂「もし、遊佐さんの方が早く告白していたら・・・
   遊佐さんも同じことをすると思ったので、言いました。えへへ。」

恵美「千穂ちゃん・・・ありがとう。・・・本当に、ありがとう。
   分かった、対決をしましょう。私も全力で行くわ!」

千穂「はい!」

その後、恵美と千穂は真奥に対して、これまでにないほどのアプローチをしかけていった。
真奥が、恵美と千穂のどちらを彼女として選んだのかは、皆様のご想像にお任せしたいと思う。


完。

以上です。見てくださった方、ありがとうございました!

このSSを書いた者です。

激しく今更ではありますが、また間違っていた箇所があったので訂正します。

37レス目の、佐藤『(いや、待て・・・もし私が、あのメガネ男を主人公に物語をつくるなら・・・どうなる?)』は、

正しくは、佐藤『(いや、待て・・・もし私が、あの短髪男を主人公に物語をつくるなら・・・どうなる?)』です。

すみません。

では改めて、見てくださった方、ありがとうございました!


・・・アニメの続編発表まだかなー。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom