ハルヒ「あんたならハルヒって呼んでもいいわよ」(674)

ハルヒ「それじゃ、今日はもう解散にしましょ」
みくる「そうですね。外も暗くなってきちゃいました」
キョン「…」

古泉「? どうしました?」
キョン「あぁ。いや……ちょっとな」
みくる「あの、お先に失礼しますっ」
長門「鍵」チャリ
キョン「いいよ。俺が返しておく」
古泉「では僕もお先に。また明日」

ハルヒ「なによキョン、居残り?」
キョン「ちょっと今日は……厄介な宿題を渡されてな」
ハルヒ「……そう。戸締りはちゃんとしておきなさいよ」
キョン「わかってるよ」
ハルヒ「…」
パタン

キョン「…」カリカリ
キョン「…」
キョン「消しゴム……」

キィ
古泉「探し物はこれ、ですか?」
キョン「……帰ってくると思ったよ」
古泉「宿題をする、というのはウソではなかったんですね」
キョン「俺は嘘つきじゃないからな。まあ……正直者でもないだろうけど」
古泉「ご一緒しても?」
キョン「するために戻ってきたんだろ? 勿論、俺が断ったとしても居続けるだろうし」
古泉「そこまでお分かりいただけているのなら遠慮はしませんよ」ガタッ
キョン「…」カリカリ

古泉「そこの問題、間違えてますよ」
キョン「これか? どこがだよ……あれ?」
古泉「先にこちらを計算しないと……こうですね」
キョン「なるほど。その調子で全部やってくれてもいいぞ」
古泉「そこまでする義理はあるかもしれませんが、個人的に遠慮させてもらいます」

キョン「…」カリカリ
古泉「……あれから、閉鎖空間は一度も発生していません」
キョン「…」カリカリ
古泉「最初は疑問に思ったことではありますが……これが涼宮さんの望んだことだとすれば」
キョン「すまないな。俺は今、見ての通り宿題をやっている最中なんだ」
古泉「ではそれが終われば、僕の話を……いえ、あなたの話を聞かせていただいても?」
キョン「……すきにしろよ」カリカリ

キョン「ふぅ……」
古泉「恐らく、ですが二問ほど間違いが」
キョン「…」
古泉「今更言うなという顔ですね。ですが、間違えることから学ぶのも大切です」
キョン「わからんでもないが、お前に言われると何故か腹が立つな」

キョン「……あいつは、もう帰ったのか」
古泉「ご心配なく。女性方は皆、揃って駅前の喫茶店に」
キョン「家に帰れよ。それじゃまるで解散の意味がないな」
古泉「いいじゃないですか。女同士、聞かれたくない会話でもあるのでしょう」
キョン「どうだかな……」
古泉「同じように、僕もあなたもここに残っているわけですし」
キョン「気持ち悪い言い方をするな。俺は別に宿題をする以外の他意はない」
古泉「そうですか」

古泉「そろそろ出ないと、下校時間の範疇を越えますね」
キョン「くだらないことで怒られるのも嫌だからな。出よう」

古泉「……暖かくなってきましたね」
キョン「俺は涼しくなってきたと思うな」
古泉「どちらも同じ意味ですよ。表し方、状況が違うだけで」
キョン「そろそろ夏服に替えないと……妙な汗がでる」
古泉「そうですね。衣替えも遅くはないでしょう」
キョン「お前と二人でいるのも発刊作用の要因でもある気がするけどな」
古泉「なんだか酷い言われようですね。僕は」

キョン「で、お前はどこまでついてくる気だ?」
古泉「どこまでと言われましても……貴方次第ではどこまでも」
キョン「……そういうのが気持ち悪いと言うとるんだ」
古泉「そうですか」

キョン「ほらどけ、自転車が出せん」
古泉「これは失礼」
キョン「……なんだよ」
古泉「荷台、付けてないんですね」
キョン「そうだな。買い換えてから、付ける必要もないしな」
古泉「最近は野外活動もないですからね」
キョン「楽で助かるよ。毎度毎度、振り回されることも少なくなったし」
古泉「……何故、彼女は」
キョン「…」
古泉「涼宮さんは、彼方と違うクラスになることを望んだのでしょうか?」
キョン「……さあな。知ったこっちゃないさ」

古泉「彼方と彼女が同じクラスだった一年次、思い出してください」
キョン「…」
古泉「その中で、二人の席が離れたことすら……一度もなかったじゃないですか」
キョン「よく知ってるな。それも機関とやらの力か?」

古泉「正直、僕にはわかりません」
キョン「俺にもな。多分、誰にもわからんさ。そして気にすることもない」
古泉「……涼宮さんのストレス、閉鎖空間の存在も感じ取られませんしね」
キョン「だろ? だからもういいじゃないか。ほら、帰るからそこをどけ」
古泉「ですが」
キョン「気にしないでいいことは、気にしないでいいのさ。じゃあな。また明日」
古泉「…」

キョン妹「キョン君、おかえりー」
キョン「おう、ただいま」

キョン「……疲れた」ボフッ
キョン「学校で宿題やって正解だったな……眠い」
キョン「…」

ピリリリr
キョン「んんっ……ん? 電話か……」
キョン「……ハルヒ」

キョン「もしもし」
ハルヒ「あっ、やっとでたわね。遅いわよ、三コール前には出なさいよ」
キョン「なんだよ……涼宮」
ハルヒ「……あのね、ちょっと聞きたいことがあってね」

ハルヒ「……そう、わかったわ。ありがとう」
キョン「ん」
ハルヒ「宿題は? 終わったの?」
キョン「あぁ。終わったよ」
ハルヒ「そう……」
キョン「じゃあな」
ハルヒ「あっ、ちょっと」
キョン「あ?」
ハルヒ「……なんでもないわ。またね」
キョン「あぁ」ピッ

キョン「…」
キョン「……涼宮、か」

キョン「……ハルヒ」
キョン「…」
キョン「俺だってわからないさ。なんで……」

【翌日】

国木田「おはよう、キョン」
キョン「おう。早いな、国木田」

国木田「宿題した?」
キョン「お前で三人目だ。俺の宿題を心配してきたのは」
国木田「あはは。だってほら、キョン忘れっぽいからさ」
キョン「終わらせたよ。家に帰る前に終わらせた」
国木田「あ、涼宮さんに教えてもらったな?」
キョン「……違う。あいつには一切何も聞いてない」
国木田「そうなの? 前はあんなに勉強教えてもらってたのに」
キョン「…」

谷口「おぉーい、キョォォォン……」
キョン「なんだよ、気持ち悪い声出しやがって。あと休み時間毎にウチのクラスに来るな」
谷口「いいじゃないか! あっちにはそんなに知り合いがいないんだよ!」
国木田「寂しい……」ボソッ
谷口「やめろ!」

谷口「はぁ、なんで俺だけ違うクラスなのかね」
キョン「俺は毎度毎度お前の顔を見なくて快適だがな」
谷口「おいおい、俺の顔を見ずに誰の顔を見ると?」
国木田「え? 呼んだ?」
キョン「……どうつっこめばいいんだよ」

谷口「でもアレだろ、キョンが見ずに清々すんのは俺じゃなくて」
キョン「?」
谷口「涼宮だろ。クラス替えしてから、休み時間毎にちょっかい出されることもなくなったんだろ?」
キョン「……まあな」

谷口「聞いたか? あいつ、今のクラスで孤立してるって」
キョン「…」
谷口「まあ一年の時の悪行やらなにやらがあれば、それも納得だよなぁ」
国木田「悪行って……うん」

谷口「ま、俺らももう子供じゃないんだ。アイツも大人しくなってくれんとなぁ」
キョン「十分子供だ。俺もお前も……あいつも」
国木田「でも確かに、涼宮さんの個性って強いからね……新たに友達を作るのは難しそう」
谷口「その上、そういうのを望むような奴でもないしな」
キョン「…」
谷口「それはそうと、お前らちゃんと今週末空けとけよ?」
国木田「もちろん! 女の子と遊びに行くっていうのに、違う予定で埋めるわけないじゃん」
谷口「言っとくけど、○○って子だけは俺の獲物だからな!」
キョン「獲物って……まあ、わかったよ」

キョン「……っと、しまった」
国木田「どうしたの?」
キョン「宿題、部室に置いたままだ。とってくる」
国木田「うん、早く戻ってきなよ。あの先生うるさいんだから」

キョン「鍵開いてるのか……ん?」
ハルヒ「あっ、キョン」
キョン「なんだハ……涼宮。なにしてるんだ」
ハルヒ「別に。昼休みだから、部室に寄ってただけよ」
キョン「……そうか」
ハルヒ「なに、忘れ物? 鍵閉めちゃったわよ」
キョン「貸してくれ。そのまま俺が持っておくよ」
ハルヒ「わかったわ」チャリ

ハルヒ「……ねぇ、キョン?」
キョン「ん?」
ハルヒ「あの……」
キョン「なんだよ、急いでるんだ。早く言ってくれ」

ハルヒ「こっ、今週の土曜日……ヒマ?」
キョン「土曜日? いや、予定が」
ハルヒ「久しぶりにね? 外でなにかしようと思って」
キョン「だから、予定があるんだ。俺以外のメンバーでやってくれ」
ハルヒ「なっ、団長命令を聞けないっていうの?」
キョン「急いでるんだ。また放課後にでも」タッ
ハルヒ「あっ、こら!」

ハルヒ「……バカキョン」

【放課後】

キョン「あれ? お茶の葉、変えました?」
みくる「はい。コーンのお茶です。とうもろこしですよ」
長門「玉蜀黍……ポップコーン……」クゥ

キョン「美味いですね」
みくる「でしょ? 珍しいかなって」
長門「ポップコーン……」キュルルー
みくる「羊羹ならありますよ? 合うかはわかりませんけど」
長門「…」コク

ガチャ
ハルヒ「あれ、皆揃って……古泉君がいないわね」
キョン「そういやそうだな。そのうち来るだろ」
ハルヒ「みくるちゃん、お茶貰える?」
みくる「はぁい」ススッ

ハルヒ「へぇ、とうもろこしの……こんなのあるんだ」
みくる「はい。美味しいですか?」
ハルヒ「中々ね!」

キョン「……で、週末に何をする予定なんだ」
ハルヒ「えっ?」
キョン「だから、昼休みに言ってただろ。野外活動しようみたいなことを」
ハルヒ「あ、あぁ……うん。やっぱりやめるわ」
キョン「?」
ハルヒ「もういわ。あんたが来ないなら……全員が揃わないならまた今度で」
キョン「…」

キョン「なんか、それじゃ俺が悪いみたいだな」
ハルヒ「別に。あくまでもSOS団としての活動だから」
キョン「いいじゃないのか? たまには俺抜きでも」
ハルヒ「……もういいって。また今度」
みくる「…」

ハルヒ「……ごめん。急用思い出しちゃった、今日はもう帰るわ」ガタッ
みくる「! あっ、涼宮さん」
キョン「?」
長門「…」モクモク
みくる「行っちゃった……あの、キョン君?」
キョン「なんですか?」
みくる「その……どうしても、週末は出てこられそうにないですか?」

キョン「ですから予定が」
みくる「……どうしても?」
キョン「…」
長門「悪いことは言わない。参加するべき」
キョン「長門まで? なんなんだよ一体」

長門「……彼女は、それを望んでいる」
キョン「だから俺には予定があると」
長門「彼女はあなたに――」
みくる「長門さん! ほら、チョコありますよ!?」
長門「…」モクモク
キョン「……なにがなんだか」
みくる「できればその、参加してもらいたいなって。こういうのも久しぶりですから」
キョン「……すいません」

キョン「俺もそろそろ帰ります。戸締りお願いしてもいいですか?」
みくる「は、はい。わかりました」
長門「…」モクモク
キョン「あんま食べすぎるなよ、長門」

キョン「……なんだろ、なにをする気だったんだ? 週末に」
キョン「…」
キョン「別にそっちに行ってもいいけど……先に誘われたのを断るのも、な」
古泉「今日はお早い帰りですね」
キョン「!? っ、びっくりさせるな!」
古泉「すいません」
キョン「ったく、なにを急に……ん?」
古泉「久しぶりに、バイトをしてきました」
キョン「……そうか」

古泉「中々に手ごわい相手でしたよ」
キョン「ん」
古泉「ですが何故か、勝手に消えていきましたけどね」
キョン「?」

古泉「一つの仮定として、僕は彼女からその類の力が消えたのかと思っていました」
キョン「それならよかったのにな」
古泉「それにはノーコメントとさせていただきます。しかし……やはり、彼女は彼女のままですね」
キョン「…」
古泉「とするとやはり、この現状は涼宮さんが望んだことだということに」
キョン「なら問題ない。恐らくお前の久しぶりのバイトも、俺がお前にコーヒーでも奢れば納得のいく範囲だと思う」
古泉「……自分が原因であると、自覚していると見させていただいても?」
キョン「…」

【週末】

○○「へぇ、それでキョン君っていうんだ」
キョン「あぁ。どういうわけかな」
○○「面白いね!」
谷口「…」

谷口「なんでお前があの子と仲良くなんてるんだよおおおおおお!?」
キョン「いや知るかよ。俺からは話しかけてないぞ」
谷口「俺の言ったこと聞いてた? 俺はさ、この日の為にだな」
キョン「わかってるって。大体、なんで女の子二人しか来てないんだよ?」
谷口「しょうがないだろ! 風邪ひいちまったって言うんだから」
キョン「それのおかげで一人余るわけだし……あっちはあっちで」
○×「あはは、そっか。国木田君の顔、女の子っぽく見えるもんね」
国木田「うん、よく言われるよ」
キョン「……な?」
谷口「自由すぎる! おまえら自由すぎるんだよ!」
キョン「うるせぇ」

キョン「…」
○○「キョン君って基本無口なんだね」
キョン「え? 別に……どうだろ」
○○「なんか寡黙って感じで、カッコいいよ」
キョン「俺が?」

○○「だれだっけ……ほら、谷口君とキョン君と一緒のクラスだった」
キョン「?」
○○「なんとかって女の子。その子に引っ張られてるキョン君、何度か学校で見たことある」
キョン「……涼宮か」
○○「そうそう。その涼宮さんって子と……付き合ってるのかと思ってた」
キョン「いや、別にそういう関係じゃ」
○○「ほんとに? まあ、色々迷惑がってるんじゃないのかな? とも思ってたけどね」
キョン「……そういうわけでもない」
○○「ほら、入学してすぐぐらいにさ? バニーガール? か何かでビラ配りしてたりとか」
キョン「…」
○○「今はどうか知らないけど、なんだか変な子だなぁってさ」

○○「別に付き合ってないんなら……」
キョン「ごめん、ちょっとトイレ」
○○「あっ、キョン君?」
谷口「○○ちゃーん! このあとボーリングとカラオケどっちがいい?」

キョン「……何やってるんだ、俺は」
キョン「そりゃそうだろ。他人からすれば……そう見えても仕方ない」
キョン「…」
キョン「もういいさ。過去のことだ、忘れよう」
ハルヒ「……あれ? キョン?」
キョン「えっ? ……! ハルヒ?」

ハルヒ「なにやってるのよ、あんた」
キョン「なにって……お前こそ」

○○「キョン君? もう皆、移動するって……あ」
ハルヒ「?」
○○「涼宮……さん、よね?」
ハルヒ「……予定って、こういうこと?」
キョン「いや、違う。あのな涼宮」
ハルヒ「そりゃ仕方ないわね。ごめんね、ムリに誘っちゃって。それじゃ」
キョン「おい、待てって!」

キョン「…」
○○「どうしたの? なんでここにあの子が」
キョン「ごめん、ちょっと行かないといけない。谷口によろしく」
○○「!? ちょっ、ちょっとキョン君!」

キョン「あいつ……間違いなく勘違いしたよな」
キョン「…」
キョン「マズいな、このままじゃまた古泉の仕事を増やしちまう」

キョン「おい、涼宮」
ハルヒ「……なに? デートはいいの?」
キョン「違うんだ。そういうのじゃない」
ハルヒ「中々可愛い子よね。学校でもよく見かけるわ」
キョン「あのな、あれは谷口が」
ハルヒ「……佐々木さんは?」
キョン「! それも違うと、何度も言ったじゃないか」
ハルヒ「…」
キョン「確かに俺は、あいつとは中学時代……そういう関係に見えていたのかもしれん」
ハルヒ「…」
キョン「だけどそうじゃない、ただの友人関係だ。俺とアイツは」
ハルヒ「もういい、聞きたくないから。じゃあね」

【数日後】

古泉「……なるほど。では涼宮さんとはそのまま」
キョン「そうだな。口も聞いてないし顔も見ていない」
古泉「…」

キョン「佐々木の事といい、この間の事といい……すまないな」
古泉「なにがです?」
キョン「いやだから、俺の所為で閉鎖空間が」
古泉「あぁ、それですか。ご心配なく、全く発生していません」
キョン「えっ?」
古泉「もうあなたが何をしようとも、彼女は気にすることもないでしょうから」
キョン「それは……どういう意味だ?」
古泉「今日は用があるので、この辺で失礼します」
キョン「おい、古いず……なんなんだよ」

キョン「……ウソつけよ。どう見たってあいつ……」
長門「…」
キョン「ん? どうした長門」
長門「食べる?」スッ
キョン「飴……」
長門「ぐるぐるしている」フリフリッ
キョン「いらん。好きなだけ食え」
長門「…」チロチロ

長門「来ない」
キョン「?」
長門「今日はこれ以上待っても……彼女は、ここには来ない」
キョン「……知らん。別に聞いてもいない」
長門「気にしているふうに見える」
キョン「…」
長門「ついてきて」スッ
キョン「? おい、どこへ行く……長門?」

キョン「どこへ行くんだ? 学校の外か?」
長門「…」ペロペロ
キョン「飴に夢中かよ」

長門「こっち」
キョン「そっち? そっちは……駅の方か」
長門「…」カリッ
キョン「なにかあるのか。そこに行けば」
長門「彼女がいる」
キョン「……ハルヒが、か」
長門「その呼び方、久しぶりに聞いた」
キョン「…」
長門「そこ」スッ

××「涼宮さん、話してみると意外と面白い子なんだな」
ハルヒ「やめてよ。勝手な想像であたしの性格を決め付けるないでよね」
××「はは、そういうのが面白いってことだよ」

キョン「あれは……なんだ、誰だあの男」
長門「…」

長門「彼は、彼女と同じクラスの男子生徒」
キョン「それがなんで……二人で」
長門「あなた自身でも十分に理解できるはず」
キョン「…」

××「時間、大丈夫?」
ハルヒ「……別に」
××「ならさ、ちょっと電車で移動しないといけないんだけど」
ハルヒ「…」

キョン「……そういうことか。そうだよな、それなら閉鎖空間だって」
長門「…」
キョン「長門も、別にそういうことなら言ってくれればいいのに」
長門「…」
キョン「別に……いいじゃないか。ハルヒがそれでいいなら、別に」
長門「互いがそれでいいのなら、いいのかもしれない」
キョン「…」
長門「聞いてみるといい。彼女の意見も、あなたの意見も」

キョン「……楽しそうにしている二人の邪魔をするのは、俺の趣味じゃないさ」
長門「…」
キョン「もう帰るよ。あいつに気づかれないうちに」
長門「もう遅い」
キョン「?」
ハルヒ「あれっ、キョン?」
キョン「!」

ハルヒ「……なにしてるのよ、こんなトコで」
キョン「なにって、別に……あれ? 長門?」
××「? 誰?」
ハルヒ「あの……お、同じ部活の」
××「あぁ、そういうこと」

キョン「すまんな、本当に偶然だ。邪魔して悪い……じゃあな」
ハルヒ「…」
××「ほら、行こう」
ハルヒ「え、えぇ。そうね……」

ハルヒ「…」
××「早くしないと電車が」
ハルヒ「……ごめん、ちょっと急用思い出しちゃった」

××「用? そんなこと言ってなかったじゃないか」
ハルヒ「だから、思い出したの。悪いけど……今日はもう」
××「…」

ハルヒ「キョン、待って!」
キョン「……? なんだよ、なにか用か?」
ハルヒ「あの……」
××「ハルヒちゃん! また夜にでも電話するよ! またね」
ハルヒ「あっ……う、うん」
キョン「…」

キョン「いいのかよ、彼氏……ほっといて」
ハルヒ「そんなんじゃないわよ! あたしはただ……デートしてって言われただけで」
キョン「楽しそうだったじゃないか。ほら、戻れって」
ハルヒ「…」

ハルヒ「……いいの?」
キョン「なにがだ」
ハルヒ「あたしが……彼氏」
キョン「良いも悪いも、俺がどうこう言う必要なんてないだろ」
ハルヒ「それは、そうかもしれないけど」
キョン「好きにすればいい。俺は関係ない」
ハルヒ「……あんただって、佐々木さんと仲良くしてたんだしね」
キョン「それは」
ハルヒ「もういいわ。やっぱりあたし、戻る」
キョン「……好きにしろ」

【翌日】

古泉「なるほど……なら、閉鎖空間が発生しなかったのも頷けますね」
キョン「アイツにそういう相手が現れたんだから、俺もお前らも用無しってことなんだろうな」
古泉「まあ僕としては、平和であるのならそれが一番だとは思いますが」
キョン「……なんだよ」
古泉「いえ、別に。それでは、僕はこの辺で」
キョン「? 最近なんだか帰るのが早いな、お前」
古泉「えぇ。おかげさまでヒマなので、僕もやりたいことをしようかと」
キョン「?」

キョン「……静かですね」
みくる「は、はい」
キョン「あの、もういいんですよ朝比奈さん? あいつは多分、中々ここには戻ってこないでしょうし」
みくる「だけど……」
キョン「長門も、わざわざ毎日顔出さなくてもいいんだぞ」
長門「ここには、食べるものが沢山ある」モッシモッシ
キョン「……あぁそうかい」

みくる「キョン君」
キョン「何ですか?」
みくる「……いえ、なんでもないです……」

みくる「あの、じゃあ私もそろそろ」
キョン「はい。また明日」
みくる「……あの」
キョン「?」
みくる「大丈夫です! あの、まだ……二人は」
キョン「はい?」
みくる「……失礼します」

キョン「? 二人はって……」
長門「…」パタン
キョン「長門も帰るのか」
長門「空腹」クゥ
キョン「今お菓子食べてただろ」
長門「私達の中で、嘘を言っている人が一人いる」
キョン「なに?」
長門「……それを彼方が見抜ければ、少しはココもうるさくなる」スッ
キョン「長門……どういう意味だ?」

キョン「……俺も帰るかな」
キョン「今日は一体、ここになにをしに来たんだろうなぁ」

キョン「…」
キョン「……一体どこで……おかしな空気になっちまったんだ?」
キョン「…」
キョン「やっぱりあのときの……」

キョン「…」
キョン「いや、佐々木が悪いんじゃない。俺が……俺が悪いんだ」

【数ヶ月前】

ハルヒ「だーかーら! なんっかい言わせるのよ!? あんた自分で考えてる!?」
キョン「うるさいな、考えてるとも。だからお前に聞いてるんだ」
ハルヒ「それが考えてないって言ってるの! ほら、もう一度この問題解いてみなさいよ!」

みくる「宿題ですか?」
ハルヒ「ううん、違うわ。あたしが自主的にキョンに勉強を教えてるの」
みくる「?」
ハルヒ「こいつったらこの間の数学のテストで笑えるほど酷い点をとってたのよ!?」
キョン「大声で言うな!」
ハルヒ「SOS団にはね? そんなバカな団員はいらないの! ほら、悔しかったら早くこれ解きなさい!」
キョン「くっ……ハルヒのくせに」
ハルヒ「あと五分!」

ハルヒ「…」カリカリ
キョン「もう嫌だ。もう数字なんて見たくない」
長門「…」モーシャモーシャ
キョン「それ一個くれよ……甘ったるい匂いを充満させやがって」スッ
長門「許可できない」

ハルヒ「よし! 全部できてるじゃない!」
キョン「当たり前だ。俺はやればできる子なんだよ」
ハルヒ「さすがあたし……キョンみたいなバカにもわかりやすく教えることができるなんて」
キョン「全然聞いてないな」

古泉「おや、なんですかこれ。机の上がノートだらけに」
ハルヒ「あっ、古泉君もいいところに! ねぇ、数学って得意?」
古泉「数学ですか? まあ……苦手ではないですけど」
みくる「今ですね、キョン君と涼宮さんで勝負してるんですよ」
古泉「勝負?」
長門「私達が問題を出して、どちらが先にそれを解けるか」
キョン「こんなもん、公式さえ理解すれば楽勝だからな」
ハルヒ「だーれのおかげだと思ってるのよ!」
古泉「面白そうですね……では、僕もなにか考えてみましょう」

ハルヒ「はっ! 威勢よくかかってきたのはいいけど、惨敗とはどういうことかしら!?」
キョン「くっ……何も言えん」
ハルヒ「バカの一つ覚えみたいに公式だけを覚えたってだめなのよ。それぞれに応用が利く解き方を学ばないと」
キョン「もうやめてくれ、脳が悲鳴を上げそうだ」
ハルヒ「素直に負けを認めなさいな、バカキョン」
キョン「ったく。わかったよ、俺の負けだ」
ハルヒ「よしよし!」

ハルヒ「じゃあ今日は解散! 皆、気をつけて帰りなさいね!」
みくる「失礼しまぁす」
長門「…」クゥ
ハルヒ「あっ、キョンは居残りね。もうちょっと勉強して帰るわよ」
キョン「はぁ!? もう勘弁してくれよ……十分だ」
ハルヒ「覚えられるうちに覚えとけばいいのよ。明日の小テスト、もっといい点とりたいでしょ?」
古泉「ふふっ、お二人とも頑張ってください。それでは」

ハルヒ「これだけ勉強すれば二、三日は忘れないでしょ」
キョン「あぁ……いつからSOS団は塾になったんだという勢いだったな……」
ハルヒ「んー……あたしもこれだけ集中して勉強教えたのは初めてだわ」フニィ
キョン「おいおい、帰るんじゃないのか? なに寝ようとしてるんだ」
ハルヒ「ちょっと休憩してから帰るわー」

キョン「…」
ハルヒ「キョンはさ……中学の頃、どうやって勉強してたの?」
キョン「どうって、普通に」
ハルヒ「自分一人で勉強できてた? 誰かに教わってたんじゃないの?」
キョン「……まあそうだな。今日のお前みたいに、親切に教えてくれる人は居た」
ハルヒ「へぇ、同級生?」
キョン「そんなとこだな」
ハルヒ「モノ好きもいたもんね……ふふっ」
キョン「うるさいな」

ハルヒ「勉強しすぎるとね? 知恵熱っていうのかな……熱が出るのよ」
キョン「そういうイメージはあるな。そこまで勉強したことがないからわからんが」
ハルヒ「おでこにね、冷却シート張ってね……勉強したりするの」
キョン「そこまで必死になれるほど、こんなもんに魅力があるとはなぁ」

ハルヒ「どうなの? 熱、出てない?」
キョン「まあなんとか……どうだろ、わからん」
ハルヒ「わからんってなによ、自分のことじゃない」
キョン「今日はほら、暑いからこれが体温の所為か気温の所為かがさ」
ハルヒ「ふーん……」ピト
キョン「ん?」
ハルヒ「ぜーんぜんぬっるい。まだまだ教えたりなかったかしら?」
キョン「いいや十分だ、もう勘弁してくれ! ……手ェ冷たいな、ハルヒ」
ハルヒ「んー……ふふっ、そうかも」

ハルヒ「そうだキョン。今週の金曜日、ヒマ?」
キョン「金曜日? 折角の祝日だからな。家で満足いくまでゴロゴロするよ」
ハルヒ「このうえなくヒマってことね。じゃあ朝の十時に駅前集合」
キョン「なっ」

ハルヒ「観たい映画があるの。わかった?」
キョン「いいかな? とか一緒にどう? とか、誘い方があるだろうに」
ハルヒ「あたしが行くって言ったらいくの。まあ他の子には悪いから……あんただけの呼び出しで」
キョン「……十時だかな、なるべく間に合うように頑張ってやる」
ハルヒ「遅れたら死刑ね!」
キョン「はいはい……ほら帰るぞ。駅まで送ってやるよ」
ハルヒ「うん」

く、くぎゅぅぅぅぅぅ!

ルイズぅぅぅぅ!

長門と薔薇乙女ってダッチワイフとしてどちらが人気あるの?

キョン「連休? とくに予定は……」
谷口「寂しい奴だなぁ」
キョン「お前もだろ」
谷口「…」

谷口「じゃあ寂しい奴ら同士で、どっか行くか? 金曜からさぁ」
国木田「いいねぇ。僕、ちょっと行きたい所あるんだ」
キョン「まあ……あ、そうだ」
谷口「?」
キョン「忘れてたよ。俺予定あるんだった」
谷口「はぁ? なんだよ」
キョン「いやその、妹とだな……出かけてやらんといかんのだ」
ハルヒ「…」

ハルヒ「なんでウソついたの?」
キョン「え?」
ハルヒ「だからさっき、妹と出かけるって」
キョン「あぁ……別に、堂々とハルヒと出かけるって言っていいのなら言ったが?」
ハルヒ「いっ、言えばいいじゃない!」
キョン「なにを焦ってるんだよ」

ハルビン

【金曜日】

ハルヒ「あれ、先に来てる」
キョン「なんだよハルヒ。遅いじゃないか」
ハルヒ「はっ、早く来すぎるのもダメよ! 罰ゲーム!」
キョン「何故そうなる」

キョン「始まるまで、まだ時間があるんだな」
ハルヒ「そうね。余裕を持って行動するのが一番だからね」
キョン「驚いたな。お前からそんな計画性のある言葉が聞けるとは」
ハルヒ「なによそれ?」
キョン「まあいいさ、始まるまでそこの喫茶店で時間を潰そう」
ハルヒ「あたしココアね、甘いやつ!」
キョン「……俺のオゴリ?」

ハルヒ「このハムサンド、美味しいわよ? ほら一個どーぞ」
キョン「ん……んん? んー……」
ハルヒ「なによその感想」

キョン「なんか……平和な日だな。今日は」
ハルヒ「そう?」
キョン「お前に呼び出された休日で、これほど平穏な時が流れてるのも初めてってぐらいだ」
ハルヒ「なによそれ、いつもあたしがうるさくしてるみたいじゃない」
キョン「その通りだろ」
ハルヒ「いいのいいの。それがSOS団なんだから」
キョン「お前なぁ……ま、皆が付き合ってくれてるのに感謝はしとけよ?」
ハルヒ「……あのさ」
キョン「?」
ハルヒ「その、お前って言うの……やめなさいよ」
キョン「ん? あぁ、すまん。別に怒らせるつもりじゃ」
ハルヒ「ううん、そうじゃないわ」

ハルヒ「別にね、何て呼ばれようと構わないんだけど……」
キョン「なんだ?」
ハルヒ「あの……キョンにはね、あたしと対等の立場で話してもらいたいっていうか」
キョン「…」

ハルヒ「ううん、なんでもないわ! なんでもないしなんでもいいわ!」
キョン「なぁ、ハルヒ」
ハルヒ「うん、なに?」
キョン「……なんでもない」
ハルヒ「ふふっ、なによぉ」
キョン「ほら、そろそろ映画始まるぞ? 行こう」
ハルヒ「はぁーい」

キョン「ええと、ドコだっけ?」
ハルヒ「エレベーターで三階よ。なんでもう忘れてるのよ」
キョン「あぁそうだ。そうだった……ん?」
ハルヒ「?」
キョン「……佐々木」

佐々木「? あれ、キョンじゃないか」
キョン「なんだお前、何故ここに」
佐々木「何故って……休日に映画を観ることに、疑問が生じるのも珍しいよ」
キョン「まあそうだな、久しぶりだな」
ハルヒ「……?」

キョン「中学の頃のさ、同級生だ」
佐々木「はじめまして、佐々木です。えっと」
ハルヒ「……どうも」
キョン「なんだよハルヒ、急に大人しくなって」

キョン「ほら、前に言ってた……中学の頃、一緒に勉強してたっていう」
ハルヒ「へぇ……女の子だったんだ」
キョン「言ってなかったか?」
ハルヒ「…」
佐々木「キョンとは塾が一緒でね。記憶力はいいんだけど理解力があまりよくなくて」
キョン「おいこら、余計なことを言うな」
佐々木「涼宮さん、キョンは高校でもちゃんと勉強についていけているかい?」
ハルヒ「……教えてあげれば、なんとかね」
キョン「はっ、まあ昔とは違うさ。今はあのときほど……っと、もう始まるな」
佐々木「久しぶりにあったのが同じ映画館で、しかも席が隣ってのも不思議なもんだね」
キョン「それもそうだな……」
ハルヒ「…」

キョン「zz」
ハルヒ「キョン、キョンってば」
佐々木「まあ……個性的な映画だったけど、眠るのはどうかと思うね」
ハルヒ「こら、バカキョン!」

佐々木「……今日は、二人でデート?」
ハルヒ「えっ? ま、まあ……そんなとこね」
佐々木「そっか、キョンがそういう相手を見つけるとは」
ハルヒ「……あの」
佐々木「?」
ハルヒ「あの、キョンとその……佐々木さんは」
佐々木「あぁ、心配しないで。ただの同級生だよ。キョンと僕は、そういう関係だったわけじゃない」
ハルヒ「! そ、そう?」
キョン「んんっ……ん? もう終わり?」
佐々木「起きた。こらキョン、君は本当に」
キョン「いやいや、覚えてるぞ。なんか……爆発してるとこまで」
佐々木「作中にそんなシーンは一つもなかったよ」
キョン「……すまん、ハルヒ」
ハルヒ「別にいいわよ。ほら、行きましょう」

キョン「いやすまん、俺も眠るのはどうかと思うわ」
ハルヒ「わかってるなら眠るんじゃないわよ!」
キョン「だからゴメンって。ほら、お詫びになんか買ってやるから」
ハルヒ「あのねぇ、あたしはそんなので機嫌直せるほど子供じゃ……」
キョン「ん? なんだこれ、欲しいのか?」
ハルヒ「いやいや、そういうわけじゃ」

キョン「ほらみろ、ご機嫌じゃないか」
ハルヒ「そんなことないわよ」
佐々木「くくっ、面白いほどにお似合いな二人なんだね」
キョン「? なにがだよ?」
佐々木「君と涼宮さんが、だよ。なんというか……この僕ですら、羨ましく思えてくるのさ
キョン「あぁ……そういや佐々木も、ハル……涼宮と同じようなこと言ってたよな」
ハルヒ「えっ?」
キョン「恋愛ってのは病気の一種だとかなんとか……そういうところ、似てるな二人は」
ハルヒ「いや、なんで今……」

案外つまらんことで大事にまで発展したもんだな

>>1マダー?
寝たなら俺も寝ようかな

>>1>>255も最近の若者は途中で投げ出すところが良くないと思うよ

いやはや遅くて申し訳ない。
ただまあ、少し調子が悪いんでね。長い目で見てもらえると助かります。
間違いなくスレを落とすまでは終わらせますので……

>>258 やればできる子

関係ないけど、昔ヘルスで酔っ払ったような頭が足りないような女の子とやったんだわ
あれよあれよといううちに童貞奪われてさ
それは良いんだけど、女のマンコを舐めたせいか、そのあと俺ゲェゲェ吐いて頭グラグラして具合悪くなってさ
もしかしたら俺、実は女が嫌いなんじゃないかってそのとき初めて思ったわけ
でもその後、その話をオヤジにしたら、
「それは多分、前の客が変な薬を女に与えたか塗ったかしてたんだろう」
って言うのさ
そうとは知らなかった俺、
童貞喪失の翌月にはアナル処女を失ってたんだ
風俗には魔物がいるから俺からの忠告

>>267
オヤジって父親か?

>>268
他に俺にどのオヤジがいるって言うのさ

>>269
冗談のつもりで聞いたんだけどな
父親とそういう話するのか

実話かよww
それでスレ建てれ

>>271
そうかすまん
オヤジが「お前、かわいそうだから」って2万くれたからヘルスに行ったんだ
昔のことだが、おかげでひきこもりが治った
彼女ができたらニートも卒業する
横浜だから風俗とかわりと普通なんだよ
日常会話でもどの娘はぼったくりだとかチャイナはやめとけとかそんな話よくする

>>272
実話だかスレを立てるほどでもないだろ
ただ「保守」って書くのもあれだからちょっと言ってみただけ
スレ汚しだったな
すまんかったよ>>1

佐々木「なんだか悪いよ。折角二人きりの所を邪魔するのは」
キョン「いいじゃないか、久しぶりなんだし。なぁ?」
ハルヒ「……うん」

キョン「あぁ、国木田も相変わらずだよ」
佐々木「くくっ……そうかい。それならよかった」
キョン「佐々木はどうなんだ? 高校とか」
佐々木「そうだな、特に……まあ、楽しくはやっているよ」
ハルヒ「…」
キョン「なんだよ、ハルヒ? 大人しくなっちまって」
ハルヒ「ちょっとお手洗いいってくる」
キョン「おう。でもあれだよな卒業してからまだ――」

ハルヒ「…」
ハルヒ「なによあれ、バカみたい……キョンのバカ」

ヤキモチ妬くハルヒは可愛いな

佐々木「それにしても、いい子じゃないか。涼宮さん」
キョン「いやぁ、普段はあんなのじゃあないんだよ。っんとに面倒な奴でな」
佐々木「なんだろうな、二人とも……とても楽しそうに見えたよ」

佐々木「キョンも教えてくれればよかったのに」
キョン「なにをだ?」
佐々木「だから、彼女ができたのならそれを、さ」
キョン「いや、俺はあいつとは別にだな」
佐々木「隠さなくてもいいよ。というか、この状態でなにを弁解するっていうんだい?」
キョン「……でも、本当に違うんだよ。まだ俺はあいつとは、そういう関係じゃない」
佐々木「? それはどういう意味だい?」
キョン「そのままの意味さ。正直、あいつのことはわからないことだらけでな」
佐々木「……へぇ」

キョン「なんというか、あいつは普通の子とは少し違う子でな」
佐々木「そうかな? そうは思えないけど」
キョン「違うんだ。……具体的にどう違うかとは言えないけど」

キョン「それに対して、俺自身もどう考えてるのかがよくわからん」
佐々木「?」
キョン「……あいつのことが好きなのか、それとも怯えて合わせてるのか」
佐々木「合わせる?」
キョン「都合が良すぎるし、悪すぎることもある。うーん、なんと言えばいいのやら」
佐々木「よくわからないけど、なんだかキョンらしさは伺えるね」
キョン「それこそどういう意味だよ」
佐々木「君は昔からそうじゃないか。何に対してもすぐ面倒だという態度をみせる」
キョン「…」
佐々木「だけど、それが自分にとって大切なことだったりすると……ちゃんと面と向かって考えていく」
キョン「そんな大層なもんじゃあないよ。ただ……うん」
佐々木「何はともあれ、僕が言えるのはだね? そういうのはハッキリしないとダメだ。君は男なんだし」

キョン「なんだろうな……なんで俺、こんなことを佐々木に聞いてるんだか」
佐々木「僕としては嬉しいよ。君に、友人としてアドバイスできるってことはね」
キョン「正直、こういうのを話せる友人ってのも少ないからな」
佐々木「確かに、キョンの周りには……くくっ、いないだろうね」

佐々木「せめて、名前で呼んであげたらどうだい?」
キョン「名前?」
佐々木「そう、名前。彼女は勿論、君にとても好意的なんだ。だからせめて、安心する呼び方で呼んであげれば」
キョン「……名前か」
佐々木「好きな人から特別な呼び方で呼ばれるというのは、呼ぶ方も呼ばれるほうも気持ちいいことだと僕は思うよ」
キョン「鋭いな、佐々木」
佐々木「鋭い?」
キョン「実はその……まあ、色々あってだ。俺はあいつのことを、名前で呼ぶようになったんだ」
佐々木「へぇ、そうなんだ。あれ? でもさっき」
キョン「丁度今朝な、似たような話になって……改めて、あいつのことを『ハルヒ』って呼んでみると」
キョン「なんだかこう、変に恥ずかしくなってな……だからさっきは、つい改まって苗字で呼んでしまった」
佐々木「……なんだ、やっぱりキョンらしいなぁ。度胸があるのか、ないのかがよくわからないところがさ」
キョン「失礼な」

むぅ

ハルヒ「…」
キョン「そういうところは昔から変わらないな、お前もさ」
佐々木「昔って言い方をするほど、僕も君も歳をとっているわけじゃないだろう?」
ハルヒ「……なによ、楽しそうにして……はぁ」

キョン「? おう、戻ってきたか」
ハルヒ「本当に仲がいいのね。あんたと佐々木さん」
キョン「ん? まあ、そうだな……俺の少ない、仲のいい友人ってやつさ」
佐々木「キョンと話していると、自分の性別を確認したくなるほど話に夢中になってしまうよ」
ハルヒ「……男女の友情ってやつ?」
キョン「そうだな」
ハルヒ「へぇ。キョンでもそんな器用なことできるんだ」
キョン「?」
ハルヒ「さ。もうそろそろいい時間になってきたわね。どうする? あたしはそろそろ」
キョン「もうこんな時間か……そうだな。そろそろ帰ろう」

キョンが鈍感なんだと思ってたけど、ハルヒが感情隠すの巧みなんだな

佐々木「それじゃあねキョン。また連絡するよ」
キョン「あぁ、わかった」
佐々木「涼宮さんも、今日は折角のデートを邪魔しちゃったみたいで」
ハルヒ「……別に、気にしなくていいわ。あたしも楽しかったから」
佐々木「それじゃ、お二人とも仲良く。失礼するよ」

キョン「うーん……なんだか妙に気の抜けた一日だったよ、今日は」
ハルヒ「…」
キョン「しかしあいつも、一人で映画を観にくるなんていい趣味だ」
ハルヒ「あたしだって、別に一人で来れなかったわけじゃないわ」
キョン「わかってるさ。まあ俺も、行けなくはないな」
ハルヒ「……意外だったわ。キョン、あんた結構女の子と二人で喋りなれてるのね」
キョン「? いや、そういうわけじゃないけど……あいつは特別だな」
ハルヒ「特別なんだ、佐々木さん」

>>297
なんかハルヒが可愛く思えてきた

キョン「そら、今日はどうしよう? お前の駅まで送ってやろうか」
ハルヒ「いいわよ別に」
キョン「そういうなって。その、なんだ……まあいいじゃないか」
ハルヒ「…」

キョン「時間も時間だから、結構空いてるな」
ハルヒ「そうね」
キョン「疲れたか?」
ハルヒ「ちょっとだけ」
キョン「……楽しかったよ。今日は」
ハルヒ「映画、寝てたくせに」
キョン「それはまあ……ごめん」
ハルヒ「…」
キョン「どこだっけ、駅? まあ少しの間だけど、寝るなら肩貸してやるよ」
ハルヒ「いいわよ。別に眠くないし。でも……肩は貸しなさい」ポフ

ふにぃ

追い付いた

>>304
俺は昨日の早朝から追い付いてる
おかげで何も手につかない

あれ?夢か…

ハルヒ「……ねぇ」
キョン「なんだ」
ハルヒ「本当に、男女の友情って……あると思う?」
キョン「なんだよ? またその話か? あるよ、現に俺は」

ハルヒ「あたしはないと思う」
キョン「そうか?」
ハルヒ「だって、友人ってことは傍に居て気を使わないでいいって存在でしょ?」
キョン「そうだな。それでいて、そいつと居て楽しいと思える存在」
ハルヒ「……そんな人を、好きにならないわけがないじゃない」
キョン「……お前一人の考えが全てじゃないさ」
ハルヒ「…」

キョン「それじゃ、また学校で」
ハルヒ「……またね」

国木田「佐々木さん?」
ハルヒ「そう、その……同級生だったんでしょ?」
国木田「そうだね。特にキョンと仲のいい子だったよ」

ハルヒ「それはやっぱり……」
国木田「ううん、そういうのじゃない。って、本人達が否定してるだけでそうは見えてたけどね」
ハルヒ「…」
国木田「放課後に二人でいるのも何度か見かけたけど、同じ塾だったからってことで」
ハルヒ「そう。やっぱり、あの二人は」
国木田「いや、僕はずっと二人を知ってるから……本当に、ただの友人だったと思うよ」
ハルヒ「そんなの、本人達にしかわからないじゃない」
国木田「キョンがそんな器用なウソをつけるわけないじゃない? それは、わかるでしょ?」
ハルヒ「……あたしがこんなこと聞いたなんて、キョンには一切言わないでね」
国木田「うん、わかったよ」

谷口「おいキョン、お前に大事な話がある」
キョン「なんだよ?」
谷口「お前はこの間の連休……用があるからって俺の誘いを断ったよな」
キョン「そうだな」
谷口「見損なった! お前がそんな男だとは思わなかったぞ!」
キョン「はぁ!?」

谷口「誤魔化すんじゃないぞ? 俺は全てを見ていたんだ」
キョン「何を言ってるんだよ」
谷口「あの美少女は誰だったんだ!? お前、涼宮と違う女の子を連れて遊んでただろ!」
キョン「……お前、何故それを」
谷口「折角の連休に、人が集まりそうな所に行ってなにが悪い! さあ説明してもらおうか……」
キョン「説明も何も、佐々木とはたまたま出会っただけで……そこにはあいつも居ただろ?」

ハルヒ「? キョン……何の話を」
谷口「そうだな、確かに涼宮も居た! だけどもうわかってる。あいつとお前はそういう関係じゃないってことは!」
キョン「……佐々木とも、そういう関係じゃないっての」
谷口「俺は騙されんぞ? 明らかにあの子と話してるお前は涼宮と話してるときより楽しそうにしてたじゃないか!」
ハルヒ「…」

キョン「そう見えたのかどうかは知らんが、そりゃ久しぶりに再会した奴だったわけだし」
谷口「ならアレか、元カノか? なんだよお前……お前は裏切らない奴だと思ってたのに」
キョン「裏切りもなにも、お前と協定を結んだ覚えが一切ない」
谷口「じゃあなんであんな綺麗な子と知り合いだということを俺に言わない!?」
キョン「逐一お前に俺の交友関係を教えるほど、俺はお前に依存していないといけないのか?」

谷口「はぁ……まあいい。信用していいんだな? あの子とお前は、何の関係もないと」
キョン「そうだ。何度もそういうことを聞かれたが、俺と佐々木は唯の友人」
谷口「涼宮といいその子といい、なんでお前みたいな男の周りには女の子が集まるんだよ」
キョン「知るか。それで何度も厄介ごとに巻き込まれてる俺の身に……」
ハルヒ「……邪魔」
キョン「ハルヒ……お前、いつからそこに」

ハルヒ「……馴れ馴れしく名前で呼ばないでよ。佐々木さんみたいに、勘違いされたいの?」
キョン「えっ? いや、お前……」
谷口「そうだそうだ! キョンよ、お前は一度男女としての人間関係の付き合い方をだな~」

キョン「……遅いな。ハルヒの奴」
みくる「あれ? 一緒に教室を出たんじゃないんですか?」
キョン「いや、ちょっと色々ありまして……」

みくる「んー……喧嘩しちゃいました?」
キョン「まあ、似たようなもんですね」
みくる「ふふっ、喧嘩するほど仲がいいってやつですね。はい、お茶どうぞ」コト
キョン「ありがとうございます」
みくる「本当は、逆なんですけどね」
キョン「逆?」
みくる「仲がいいから、喧嘩するんです。自分と違う人だから、でも自分と同じでいてほしいから……」
キョン「…」
みくる「キョン君と涼宮さんは、お互いがお互いの意見を押し合うような関係ですから……でも、それがいいんですけどね」
キョン「さすがだな朝比奈さんは。俺よりもずっと人間関係の本質を理解してるみたいだ」
みくる「先輩を侮っちゃだめですよ?」
キョン「それもそうですね」

ガチャ
ハルヒ「あれ? みくるちゃんだけ?」
みくる「あっ、涼宮さん。古泉君と長門さんは、まだ来てないです」
ハルヒ「そう……」
キョン「…」

みくる「はい、お茶どうぞ」
ハルヒ「ん」
みくる「あっ、お茶菓子が……ちょっと買ってきますね」
キョン「え? 朝比奈さん?」
みくる「失礼しま~す」ガチャ

キョン「……別に、茶菓子の一つや二つ……なぁ?」
ハルヒ「…」
キョン「……おい、ハルヒ」
ハルヒ「名前で呼ばないでってば。馴れ馴れしい」
キョン「怒るなって。いいじゃないか、今は俺とお前しかいないんだから」

キョン「何を怒ってるんだよ」
ハルヒ「怒ってなんかいないわ」
キョン「怒ってるじゃないか、その……名前で呼ぶなって」
ハルヒ「なによ、呼ばれたくないからそう言ってるだけじゃない。なにか問題でも?」

キョン「……この間、お前が言ってたじゃないか」
ハルヒ「…」
キョン「対等な立場でいたいから、名前で呼んでくれって」
ハルヒ「それは、あんたとあたしが似たような意思を持って……同じことを思って、話せる人だと思ったから」
キョン「俺だって、お前に対してそう思うところがあったからそうしてたんだ」
ハルヒ「……簡単に言ってよ」
キョン「簡単に?」

ハルヒ「別にかまわない。あたしとキョンが、それぞれ違う考え方を持ってても」
ハルヒ「だけど……それでもあたしは……教えて」
ハルヒ「あんたにとって、あたしはどういう存在なの?」
キョン「……俺にとっての……」

キョン「…」
キョン「……うん」
ハルヒ「答えなさいよ」

キョン「その……なんだ。特別な存在ではるさ」
ハルヒ「佐々木さんのように?」
キョン「あいつは友人、本当に唯それだけだ」
ハルヒ「じゃあキョンからして、あたしと佐々木さんの違いってなによ?」
キョン「それは……その」

ガチャ
長門「……?」
キョン「長門」
ハルヒ「……そう呼びたいのなら、あたしにちゃんと理由を言って」ガタッ
キョン「あっ、ハルヒ……」
長門「?」
キョン「……どうしろっていうんだよ」

谷口はクソ虫

古泉「それで、彼女はもう帰宅されたのですか?」
キョン「長門と入れ違いにな……」
古泉「なるほど。何故追いかけなかったんです?」
キョン「……わからないんだよ。俺にも」

古泉「わからないって、なにがですか?」
キョン「確かに俺は、あいつには特別な感情を抱いていたのかもしれん」
古泉「それを認めているのなら、起こすべき行動は唯一つじゃないですか」
キョン「だけどそれは……過去に、佐々木に対しても抱いていた感情だ」

キョン「俺はそれを、紛れもない友情だと理解した。それ以外の何でもないと」
キョン「ハルヒと佐々木の違いと言われても……すぐに明確な答えを出すことはできない」
古泉「……あなたが自分自身に思うところがあるのは理解しますが」
古泉「先入観と経験に囚われた結果論で彼女を論じようとするのは、感心しませんね」
キョン「俺自身がはっきりしないままで、あいつに答えるのは……俺にもあいつにも失礼なことじゃないか」
古泉「なら、お好きにすればいい。幸い、まだ閉鎖空間も生まれていません」
キョン「…」
古泉「あなた方のことは、あなた方で解決するのが一番ですしね」

長門「…」
キョン「お前等に頼りすぎて、どんな問題でも解決できると思ってたんだろうな、俺」
長門「好きと、言えばいい」
キョン「言えないから困ってるのさ。自分が臆病だってのは、簡単に気がつけるものだからな」
長門「……難しい」

キョン「まあ足掻いても仕方ない。ちゃんと俺がはっきりできるまでは、この関係で維持させてもらうよ」
古泉「……できれば穏便に済ませていただきたいものです」
キョン「もちろん、お前達に迷惑は掛けんさ。だけど、なんだ……」
古泉「若者らしく、自分達の力で悩めるだけ悩みたい、という感じですか」
キョン「……近いんだろうな、それに。とにかく皆に守られているままよりはマシだろう」
古泉「わかりました。なら、今回は我々はサポートらしいことはしないようにします」
長門「私も?」
キョン「俺は一番長門に頼ってるからな……そうしてもらえれば」
長門「なら、甘いものでも食べて見ている」
古泉「あくまでも、閉鎖空間が生じる前に解決してくださいね」
キョン「わかったよ」

>>145

キョン「…」
キョン「……あれから何もしないまま、気がつけば二年生、か」
キョン「閉鎖空間も発生しない、目に見えるアイツの態度でも……不満は感じられなかった」
キョン「だから俺は……」

キョン「……月日が過ぎれば、大きな悩みすら滑稽なものに思えてくる」
キョン「問題の内容は変わらなくとも、受け取る側の意識は薄くなって……」
キョン「…」
キョン「……違うんだよ。ハルヒ……お前と佐々木じゃ、全く違うんだ」

ハルヒ「…」
××「だからさ、またハルヒちゃんが暇な日にでも」
ハルヒ「ねぇ」
××「ん?」
ハルヒ「……なんであたしのこと、名前で呼ぶの?」
××「なんでって、そう呼ぶのはダメ?」
ハルヒ「ダメじゃないけど……」

××「ハルヒちゃんと話してるとほんと楽しいよ」
ハルヒ「…」
××「もう帰る? 送るけど」
ハルヒ「いや、ちょっと部室に寄りたいから……」
××「SOS団ってやつだよね? わかったよ、それじゃまた明日」

ハルヒ「…」
ハルヒ「……名前……呼ばれても、嬉しくないわよ」

ハルヒ「部室……誰かいるのかしら」
ハルヒ「……いっそのこと、本当に付き合っちゃおうかしらね」

みくる「あっ、涼宮さん」
ハルヒ「みくるちゃん……帰るの?」
みくる「はい。部室に、キョン君が居ますよ」
ハルヒ「…」
みくる「残念でしたね。この間の休日」
ハルヒ「うん……」
みくる「先に予定があったのなら、仕方ないですよね。また違う日にでも」
ハルヒ「……ごめんね。あたし……もう無理かもしれない」
みくる「えっ?」

みくる「……じゃあ、そのクラスの子と遊んでるのを見られたんですか?」
ハルヒ「うん……でも違うのよ、本当に誘われたからってだけで」
みくる「わかってます。だからこうやって悩んでるんですよね」
ハルヒ「…」コク

ハルヒ「キョンが知らない子と遊んでたから、あたしも変にムキになって」
ハルヒ「もう本当に、あんな奴知らないって思って……」
みくる「楽しかったですか? その人と遊んでみて」
ハルヒ「…」フルフル
みくる「そうですよね……だから涼宮さん、キョン君に」
ハルヒ「でもあたし、そのときにまた佐々木さんとのことを」
みくる「……大丈夫です。キョン君も、涼宮さんのこと思ってますから」
ハルヒ「みくるちゃん……ごめんね、こんなのあたしのキャラじゃないわよね」
みくる「いいんですよ。私も涼宮さんも女の子なんですから……こういうことで悩むのも、当たり前です」
ハルヒ「…」
みくる「ほら、部室前まで一緒に行きますから。もう一度キョン君と話してみましょ? ね?」

ハルヒ「でもキョン、話聞いてくれないわよ。また彼氏だとか言って」
みくる「涼宮さんが違うって言えば、キョン君も信じますよ」
ハルヒ「でも……信じてなかったわよ」
みくる「それは、涼宮さんもキョン君のこと……信じてあげなかったのと同じです」
ハルヒ「…」

みくる「喫茶店で約束したじゃないですか。このことは、一人で頑張るって」
ハルヒ「でもキョンが」
みくる「でも、じゃないです。本当にいつもと逆ですよ? いつもなら、私の立場が涼宮さんです」
ハルヒ「……わかった」
みくる「はい、頑張ってくださいね」
ハルヒ「…」コク

>>8

ハルヒ「ごめんね、有希。みくるちゃん」
長門「?」
みくる「あのぅ……なんで私達だけで」
ハルヒ「古泉君と……キョンには、ちょっと聞かれたくない話だから」
みくる「ええっ?」

ハルヒ「実はね……うん……あの」
みくる「…」
ハルヒ「あたしね、去年の暮れぐらいからずっとキョンと気まずい関係になってて」
長門「知っている。突然、彼があなたを呼ぶ名称が元に戻った」
ハルヒ「……わかる?」
みくる「あの、そうですね。気にはなってたんですけど」
ハルヒ「色々あってね。そういうことになっちゃって」
みくる「喧嘩……してるんですか?」
ハルヒ「ちょっと違うかな……ううん、多分そうなんでしょうね」

ハルヒ「このままじゃいけない、ってずっと思ってたんだけど……気がつけば年も明けちゃって」
ハルヒ「気まずいって思ってるまま、クラスも変わって……顔を合わせることも少なくなって」
みくる「…」

ハルヒ「でね? もうキョンも気にしてない……ん、わからないけど」
ハルヒ「とにかく……このままでどうしよっかなって」
長門「…」
ハルヒ「……ごめん。あたしらしくないわね。上手く説明できないけど……」
みくる「キョン君と元の関係に戻るのにどうすればいいか、っていう相談ですか?」
ハルヒ「……まあ、そうなるわね。別にこのままでいいけど、皆にまで気を使わせるわけには」
みくる「ふふっ、もう十分伝わってます。ずっと気になってましたもん。キョン君と涼宮さん」

ハルヒ「……色々と考えてみたんだけど……それ考えてるとそれしか考えられなくなっちゃって」
みくる「確かに暮れ頃から、涼宮さん大人しくなりましたよね」
ハルヒ「そんなことないわよ!? あたしはいつも通り……うん」

みくる「いいんです、今はムリしなくても。今は先輩として、涼宮さんの悩んでることを聞きたいです」
長門「…」モグモグ
みくる「長門さんも、友達として。ね?」
長門「? ……そう」コク
ハルヒ「二人共……そうね。ちょっと今日はオフ気分で話を聞いてもらうわ」
みくる「はい」

長門「……佐々木」
みくる「ええっ、そこまで聞いたのに……キョン君なにも答えなかったんですか」
ハルヒ「うん……またすぐ話しかけてくれるかな? って思ってたけど、今日までずっと」
みくる「うーん、それはちょっと……キョン君がどうかと思いますね」

ハルヒ「でも、キョンの気持ちもわかるの。あたしもちょっと素直じゃないところもあったし」
ハルヒ「……だけどあたしから、このことをどうにかできるわけでもないし」
みくる「キョン君にどう思うか聞いてるから、キョン君が答えてくれないと……どうしようもないですよね」

ハルヒ「十分に考えたから、もうわかってるの。佐々木さんとは、本当に友人関係で終わってたんだろうって」
長門「…」
ハルヒ「いいえ、もうそれもどうでもいい。過去のことはどうでもいいから……とにかく、あたしはキョンの言葉が聞きたくて」
みくる「涼宮さん……」
ハルヒ「あたしだって、恋愛に関してはそんなに人に自慢できるほどちゃんとした経験なんてないし」
ハルヒ「実際に本当に男女間の友情ってのもあるんじゃないのかな? って、少しは理解も出来てきたと思う」
ハルヒ「けど……もうどうしようもなくて……考えたってキョンとは他人行儀でしか振舞えなくって……」
みくる「俯かないでください。ちゃんとわかってますから……もう一人で考えないで?」
長門「泣くのはあまり、オススメできる行動ではない」
ハルヒ「わかってる、わかってるけど……ごめん」

みくる「涼宮さん、一人でずっと悩んでたんですね。どうすれば、キョン君と一緒にまた笑えるのかって」
ハルヒ「何度も後悔して、諦めそうになって……でも、あたしがしっかりしてれば、いつかはキョンが話しかけてくれるって」
みくる「……もう大丈夫ですよ? 私も二人のこと、考えてみますから」
長門「協力する」
ハルヒ「ありがとう……んっ、ありがとう、二人とも」

ハルヒ「はぁ……ごめんね。変な所を見せちゃって」
みくる「私は涼宮さんの女の子らしいところも大好きですから……でも、もう泣かないでくださいね?」
ハルヒ「うん、もう大丈夫」
みくる「さてと、それじゃあどうすれば二人が元の関係に戻れるのかを考えましょう」
長門「…」コク
みくる「……って言っても、考えるもなにも一つしかないですよね」
ハルヒ「一つ?」
みくる「キョン君が意外と度胸ないのはわかりました。だから……涼宮さんからコンタクトをとってみるんです」

おっきしてきた

申し訳ないです、二十四時頃までちょっと抜けます……
いきおいで立てたものの、なんだかダラダラと長くしてしまって申し訳ないです。

この>>1とは随分長い付き合いな気がするよ
チンコ痒い

>>452 俺はそろそろ風邪を引きそうだ

>>453
チンコ拭けよ

ただいま……帰ってきたら部屋でコウモリが飛んでて焦ったんだぜ……
あれかな、もしかしてまだ2日ルールなのかな?
だとしたら4時で落ちるのかしら?

伸びたの?
信じていいの?

まあ……4時までに間に合わすようには頑張ってみます……

ハルヒ「あたしから? でも、それは……ムリよ。なんて切りだせばいいかわからないわよ」
みくる「簡単ですよ。また一緒にどこかへ行こうって、ただそれだけ言えばいいんです」
ハルヒ「言えるわけないじゃない。それが言えたら……こんなこと二人には話さないわよ」

みくる「言えます。涼宮さんなら、大丈夫です」
ハルヒ「いつものあたしなら大丈夫よ? 確かに……だけど、本当に今はムリなの」
みくる「何故今はムリなんですか? 今までどおり、普通にキョン君に接すればいいだけです」
ハルヒ「……本当にムリなの。できないから」
みくる「涼宮さんからすれば、最近と前じゃキョン君との関係に亀裂が走っているように思えるかもしれません」
みくる「だけど私からすれば……それは亀裂なんかじゃなく、互いが互いを見てないだけで距離なんか一つも離れてないと思うんです」
ハルヒ「……有希はどう思うの?」
長門「私も賛成。この場合、誰かが行動に移さなければ状況はなに一つ変わらない」
ハルヒ「…」
長門「あなたには少数を多数にする力、悪を善にする……力がある」
みくる「なっ、長門さん」
長門「……彼があなたを好意的に思っているのも事実。だけど、好意的になれないのも事実」
長門「どちらかが現状を打ち壊さないと、前には進めない」
ハルヒ「……あたしが、どうにかしないと……」

ハルヒ「今更、また一緒に映画でも観に行こう……って、言うの?」
みくる「直接そう言えるなら、それのほうがいいと思いますけど」
ハルヒ「……キョンが素直に来るなんて、思えないわよ」
みくる「じゃあこうしましょう。SOS団で、野外活動をしたいって言うんです」

みくる「思えばここ最近、学校の外には全然出てなかったですよね」
ハルヒ「冬休みも春休みも、気まずくって全然そういうのしなかったわね」
みくる「だから丁度いいです。ね、それでいきましょう?」
ハルヒ「…」
みくる「もちろん、私達は行きませんよ。当日急に来れなくなったとか、そう言ってもらってもいいです」
ハルヒ「じゃあ、本当に二人だけで……」
みくる「……困っている涼宮さんを助けたい、その気持ちももちろんありますけど……」
長門「これは、あなたと彼の問題。アシストはできても、解決するのはあなた達自身」
ハルヒ「……わかったわ。じゃあ……うん。あたしももうそんな子供じゃないし、なにより団長だからね」
みくる「涼宮さん……よかったです。あなたにそんな風に一緒にいたいと思える人が現れるなんて」
ハルヒ「なっ、なによそれ? みくるちゃんったら妙に大人っぽくなるときがあるわよね」
みくる「禁則事項です♪」

ハルヒ「それじゃあ……明日、キョンにそう言ってみる」
みくる「できればその、今電話して聞いてみたほうが」
ハルヒ「今? 今はちょっと」
みくる「今できないのなら、後でできるっていう保障はありませんよ?」
ハルヒ「……わかったわ。電話してみる」

ハルヒ「……うん、なんでもないわ、またね」ピッ
みくる「…」
長門「……?」
ハルヒ「ごめん……やっぱり言えなかった」
みくる「そうですか。なら、仕方ないですね。また明日」
ハルヒ「…」
みくる「ちゃんと伝えようと思った、その気持ちが大切なんです」
ハルヒ「でも」
みくる「家に帰って、ぐっすり眠って……また明日起きて。それでも、今の気持ちを忘れないように」
ハルヒ「……わかったわ」
長門「これ」スッ
ハルヒ「? クッキー? どうしたの?」
長門「甘いものは、頭の回転を早くする。それに……落ち着く」
ハルヒ「……うん。ありがとう、有希」

>>406

ハルヒ「キョン、本当にいるの?」
みくる「いますよ。部室で眠ってます」
ハルヒ「…」
みくる「もう今しかないですよ。もう今を逃せば……」
ハルヒ「わかってる。もう今日で最後に――」

××「あれ? ハルヒちゃん」
ハルヒ「――! あっ」
みくる「?」
××「ちょっと忘れ物しちゃってね。まだここに居たんだ」
ハルヒ「その……うん」
××「朝比奈先輩、ですよね。ハルヒちゃんと同じクラスの××です」
みくる「……えぇ、どうも」
××「いいなぁSOS団ってのは。美人がこんな、二人も」
みくる「…」
××「俺も入部してみようかなぁ」
ハルヒ「いや、それは……」

××「誰だっけ、ほら。ハルヒちゃんと一年の頃同じクラスだったっていう」
ハルヒ「キョン?」
××「そう、その人。あぁ、この間の……なんだかいつも嫌々付き合ってるように見えててさ?」
みくる「そんなことないですよ」
××「彼よりかは、まあ……ハルヒちゃんの為なら、色々と頑張れると思うよ。俺」
ハルヒ「……そう、それはよかったわ」
××「っと、もうこんな時間! ごめんね、それじゃまた明日!」

みくる「……あの人は?」
ハルヒ「なんか最近になって、話しかけてくるようになった奴で……一度だけ、一緒に遊んでみた」
みくる「…」
ハルヒ「違うの。キョンがいう、男女間の友情っていうの……あたしも大丈夫なのかなって」

ハルヒ「……でも、ムリ。明らかにあたしのこと、友人としては見てないし……見れない」
みくる「あたしは、自分を持ち上げる為に誰かを貶す人は大嫌いです。それが例え、とてもいい人と言われていても」
ハルヒ「でもね、一つだけ気がついたの。誰かに優しくされるってことは、どんな人であろうと心地よくって」
みくる「…」
ハルヒ「……だけど、あいつに名前で呼ばれるのは……嫌。どうしても、キョンにそう呼ばれてた頃を思い出して」

ハルヒ「それ以上に、キョンに苗字で呼ばれるのが辛い。あたしは……それが、一番辛いの」
みくる「わかってます。もう、キョン君の気持ちも涼宮さんの気持ちも……私は、ちゃんとわかってますから」
ハルヒ「…」
みくる「俯いちゃダメですよ? キョン君に、うさぎみたいな目だって笑われちゃいますから。ね、笑って?」

みくる「さあ、ドアの向こうにキョン君がいますよ」
ハルヒ「……一緒に」
みくる「ダメです、私はここまで。ここからは二人で頑張ってください」

ハルヒ「笑われちゃうわよね。あたしがこんな弱気になってるなんて」
みくる「いいんですよ。それだけ好きな人ができたってことです。全てを知れば、キョン君も喜んでくれるかも」
ハルヒ「好きって……うん、そうよね。あたしはキョンが――」
みくる「それを言うのも、今じゃないです。中に入って、キョン君を起こしてから」
ハルヒ「……わかったわ。ごめんねみくるちゃん、それじゃ……ありがとう」
みくる「頑張ってください。次に会うときは、二人ともが笑顔で会えますように!」

みくる「…」
みくる「いいなぁ、私もそういう人……見つかればなぁ」
長門「それはこっちで? それとも未来で?」
みくる「こっちで見つけても、私の時代に来ちゃうとおじ……って、長門さん!」

キョン「……ん……んんっ?」
ハルヒ「……キョン?」

キョン「んっ……あぁ、寝てたのか」
ハルヒ「…」
キョン「ハル……涼宮。お前、帰ったんじゃ」
ハルヒ「帰ってないわよ。それどころか、今部室に来たの」
キョン「……そうか」
ハルヒ「少し……話、してもいいかしら」
キョン「…」

ハルヒ「座るわよ」
キョン「あぁ」
ハルヒ「……お茶飲む?」
キョン「いや、いいよ」

ハルヒ「……なんだか久しぶりね。部室で二人ってのも」
キョン「そう……だな」

ハルヒ「ねぇ、どう? 新しいクラス」
キョン「どうって、別に特記することもないぐらい普通のクラスだ」
ハルヒ「勉強、ちゃんと着いていけける?」
キョン「もちろん、全然問題なく」
ハルヒ「……あたしは、前の方が面白かったわ」
キョン「…」
ハルヒ「前みたいに、あんたが前に座ってあたしがその後ろってのが、楽しかった」
キョン「でもそれは、お前が望んだからそうなったんだろ」
ハルヒ「あたしが望んだ?」
キョン「! ……いや、なんでもない」
ハルヒ「……でもそうね。確かに、キョンとは違うクラスになりたいって思ったのは事実」
キョン「…」

ハルヒ「あんたと居るのが気まずいって、思うようになったから」
キョン「……俺もだよ。どうも、お前と話すのは……って、なってた」
ハルヒ「ねぇ。だからもう、お互いにそのこと……水に流さない?」
キョン「お前がいいのなら、俺はそれでいい。俺も、ムキになってたとこがあると思う」

ハルヒ「じゃあ、またこれからは今まで通りに」
キョン「……ごめんな」
ハルヒ「あたしも、ごめんなさい」
キョン「その……涼宮にさ、妙に気を使わせてるのもわかってた。意地になってたのも」
ハルヒ「…」
キョン「ん? どうした?」
ハルヒ「元に戻すのだから、それも――」

ピリリリr…
キョン「電話、鳴ってるぞ」
ハルヒ「ごっ、ごめん……あっ」
キョン「…」
ハルヒ「気にしないで。なんでもないわ」
キョン「この間の、あいつか」
ハルヒ「! ちっ、違っ……うん、そう。よく電話掛かってくるようになったの」

ピリリリr
キョン「出なくていいのか?」
ハルヒ「……出たほうがいい?」
キョン「それを決めるのは、俺じゃなくてお前じゃないか」
ハルヒ「そうだけど……あたしは、キョンが出てほしいっていうなら、そうする」
キョン「…」

ハルヒ「……鳴り止んだわね」
キョン「そうだな」
ハルヒ「あれから、よくこうやって掛かってくるようになったの。少し、鬱陶しいぐらいに」
キョン「言えばいいじゃないか。鬱陶しいならそうだって」
ハルヒ「でも、あたしに好意的なら……それでもあたしは、嬉しいわよ」
キョン「……どっちなんだよ。嫌なのかそうじゃないのか」
ハルヒ「だから、キョンならどうなの? あたしがアイツと話したり遊んだり……そういうの、どう思う?」
キョン「…」

キョン「……いい気なんか、するわけないだろ……俺が言うようなことじゃないかもしれないけど」
ハルヒ「……うん、そっか……」

キョン「別に、ハルヒと誰がどういう関係でも、俺には関係ない」
キョン「それを咎める術もなければ、権利も理由もない」
キョン「……だけどな……うん」

キョン「俺意外の誰かが、ハルヒの名前を口にしているのを聞くのは……嫌なんだ」
ハルヒ「…」

ハルヒ「呼び方……元に、戻ってる」
キョン「……すまん、つい……前みたいに、呼んじまったな」
ハルヒ「なんで謝るの! そんなの……っ、謝らないでよ!」
キョン「…」
ハルヒ「いいの! あんたは……キョンは、あたしのこと……」

キョン「ハルヒ、大丈夫か?」
ハルヒ「見ないで。こっち、あたしの顔は見ないで」
キョン「……おぅ」

ハルヒ「でも……聞いて。ちゃんと聞いて」
キョン「…」
ハルヒ「あたしが今から言うこと。聞きにくくても、それでも、一字一句逃さずに聞いて」
キョン「あぁ、わかった」
ハルヒ「……はぁっ」

ハルヒ「……別に気にしないでいいから。もう過去のことも全て……あたしも気にしないから」
ハルヒ「だから、キョンはこれからも……ずっとあたしのことを」
ハルヒ「キョンはずっと……あたしのこと、ハルヒって……呼んでいいからっ!」

ハルヒ「対等な立場だとか、親しいからとか、そういうのじゃない」
ハルヒ「キョンには……ハルヒって呼んでほしい。キョンにだけは……遠慮されたくない」

ハルヒ「隠さないでほしい。あたしをハルヒって呼んでることを」
ハルヒ「誰にでも呼ばれたいんじゃない。キョンにだから、そう呼んでもらいたい」
ハルヒ「あたしだけは、キョンにとって他の人と違う存在だって思ってほしい」

ハルヒ「……わがままだって思われても、あたしはそうとしか言えない」
ハルヒ「キョンとの間には、友情なんてものは存在しないし、作りたくない」
ハルヒ「だから……もう二度と、あたしのことを涼宮だなんて……呼ばないで?」

キョン「……そっち向いても、いいか?」
ハルヒ「だめ。あたしの顔見ると、あんた絶対笑っちゃうから」
キョン「笑わないよ、約束する。だから……俺の顔、見てくれよ」
ハルヒ「……うん」

キョン「……ハルヒ。ごめんなハルヒ。俺もずっと……ハルヒって呼びたかった」
キョン「これが俺の答えだ。俺にとってハルヒは……ハルヒじゃないといけない、唯一人の存在だ」

ハルヒ「……もう、許してくれる?」
キョン「許すも何も、怒ってない。それに、それを言うなら俺の方だ」
ハルヒ「あたしが弱気になっても、それを笑ったりしない?」
キョン「するわけないだろ。俺の傍でそうなりたいなら、いつでもそうすればいい」
ハルヒ「……あたしがこう言ってって言ったら、それを言ってくれる?」
キョン「……言うよ。俺が思ってることと、ハルヒが言ってほしいことが一緒なら……何でも言う」

ハルヒ「もっと近くに来て」
キョン「…」
ハルヒ「もっと」
キョン「これ以上近くにいくと、お前に触れてしまう」
ハルヒ「いいから」
キョン「…」スッ
ハルヒ「……これだけ近ければ、互いの顔を見なくてすむでしょ?」
キョン「もっと見たいんだけどな。いつもと違う、可愛い顔」
ハルヒ「変なこと言わないでよ……キョン」
キョン「もうこの際だ。何でも言うさ」
ハルヒ「…」ギュッ

ハルヒ「……もう一回呼んで? あたしのこと」
キョン「ハルヒ」
ハルヒ「うん……やっぱり、キョンに呼ばれるのが一番落ち着く」
キョン「あいつよりも?」
ハルヒ「当たり前じゃない。もう、電話してこないでって言うわ。遊びにもいかない」
キョン「……俺も、改めてお前のこと紹介しないとな。佐々木にさ」
ハルヒ「お前って言った。ハルヒって言わないとダメって言ったじゃん」ギュ
キョン「っと、痛いって。わかったよ、ごめんハルヒ」
ハルヒ「……ふふっ」

キョン「もういいだろ。ほら、もう帰ろう」
ハルヒ「まーだっ」
キョン「…」ナデナデ
ハルヒ「んー……なんか、色々と悩んでたのが……ウソみたい」
キョン「俺もさ、もしハルヒと同じような力を持ってたらって……何度、世界を改変させようと思ったことか」
ハルヒ「力?」
キョン「カリスマみたいなもんさ。気にすんな」

ハルヒ「っと、ちょっと放れて?」
キョン「おう」
ハルヒ「……はぁ、なんか放れちゃうとテレるわね」
キョン「……なんだ、その、顔みんな。俺も見れん」

ハルヒ「でもダメよ。キョンには、まだしてもらわないといけないことがあるわ」
キョン「なんだよ? 土下座でもしろっていうのか?」
ハルヒ「それでもいいけど……もっとちゃんと、聞きたいこと」
キョン「……言えと」
ハルヒ「好きって」
キョン「おい、言っちゃってるぞ」
ハルヒ「ふふっ、案外簡単と言えるものね。ほら、あたしは言ったわよ? 今度はキョンの番」
キョン「……ハルヒ」
ハルヒ「うん」

キョン「好きだ、ハルヒ。俺はお前のこと、大好きだ」
ハルヒ「……ありがと。それがずーっと……聞きたかった」

         ./^l、.,r''^゙.i′
         l゙:r i:i′ .|            ど ん な  か な し い こ と が あ っ て も
      :i^¨''iノー-i (_.vv,、
      i.、/:::::::::::::::::゙彳_ >

     _,ノ i::::::::::::::::::::.('`,.ヽ         や せ が ま ん で も い い
     ( 、:|:::::.i;i;i:::::::::::i:.'^゙'<       
     '' ::.!:::::.ii;i.|::::::::::.i‐ ,フ''
    .< :::i::::::.ii;i;|:::::::::.,「=(          ひ の あ た る ば し ょ で
     `ー::|,.:::::i;i;::::::::::/.\^':、
      ./゙,r|:::::::::::::::::,i゙.'!'=;^′
     .) ,/ソ,:::::::::::,l'_ .).:r          つ よ く い き て い こ う と お も ふ

      ゙'レ'´i''!゙ー/'(゙゙ | .|
         | ._,i'!(冫.;i .| 
            .. |. |           そ う  た ん ぽ ぽ の よ う に
              .! .i   ._,,,‐''^^'''''>
    、....,,,,..,,_      ! .;! .,/'゙`,_   .,ノ
    \  .⌒\  │ .|!.,,iミ/ ._,,,./′

      i  '^'''‐、..゙'hノ| .|厂 . ̄′
     .ヽ_    ゙メリ| .|
         ̄ ̄   |. |    ._,,,‐''^^'''''>

>>537

古泉「さあ、お二人はどういった具合に?」
みくる「あっ、古泉君」
長門「今は部室の中は見えない。私が、誰も干渉できないようにしている」
古泉「お二人がどう転んでもいいように、機関のほうで色々と保険をかけてきましたよ」
みくる「うーん……大丈夫かなぁ」
古泉「どうでしょうね。ただ、僕としては楽な仕事内容ではありました」

長門「楽?」
古泉「えぇ。閉鎖空間で神人と戦うぐらいなら……彼を涼宮さんともう一度ああやって近づけることぐらい」
みくる「でもそれは、私の勝ちだったみたいですね。結局、涼宮さんからキョン君に打ち明けたみたいです」
古泉「……こういうとなんですが、彼は少し度胸というか……」
長門「私達を頼りにしないと言いながら、自分自身何もしないというのは矛盾」
古泉「気持ちはわからなくもないですけどね。それに、そうだったから……お二人はあそこまで悩めたんでしょうし」

古泉「やれやれ、それにしても長い戦いでした。時間的にはあの夏休みより短いものでしたが」
みくる「涼宮さんもキョン君も……とっても純粋で、可愛い子達ですよね」
古泉「しかしよかったのでしょうか? 最後の最後で、禁じ手を使ってしまったのは」
長門「いい……と、思う」

古泉「? 何故です?」
長門「一応、彼にそれを見抜くチャンスは与えた。私達の中に、ウソをついている人がいると」
みくる「えっ、ばらしちゃったんですか?」
長門「ヒントを与えただけ。……私という固体は、もう二度とあの夏休みのようなことは味わいたくないと思っている」
古泉「まあ、それは……でも気がつかなかったんでしょうか。お二人とも」
みくる「気がつかないと思いますよ。私も、ついさっきまで騙されたままだったんですし……」

古泉「でもいいアイデアでしたね。それを長門さんが提案してくるとも思いませんでした」
長門「……書いていた。本に」
みくる「絶対、少女漫画ですよね。それ」
長門「違う」フリフリ

みくる「あの状況で閉鎖空間が発生しなかったのも……凄いですね」
古泉「涼宮さんは現状を否定しながら肯定して、受け入れつつも対処法を自ら探していたということでしょう」
みくる「……私の立場としても、一年と少しを共にした学校の先輩としても……涼宮さん、成長したなって思います」
長門「何度か危ない状況にはなっていた。危機は迫っているのも知っていた」
古泉「なら教えてくださいよ……僕だって、いつ恐ろしい戦いを迫られるのかが怖くて怖くて……」

古泉「で、そのウソをついていたとされる人物は?」
長門「いる。隠れてないで出てきて」
××「……んもー。長門さんすぐにばらしちゃうんだから」

××「どう? 私の演技。上手かったでしょ?」
みくる「上手いもなにも……私、とっても失礼なことを」
××「いいのいいの。そういうキャラを演じることによって、涼宮さんが更にキョン君を好きになるって寸法よ」
古泉「果たしてそれは、上手くいったのでしょうか?」
××「いかなかったら、私がなんでこんなことしたのか意味がわからなくなるわよ!」
長門「……そろそろ視覚情報操作を解除して。見栄えが悪い」
××「なにそれ! 失礼ね! ちゃんと私のチャームポイントは残してたでしょ? 眉毛に」
みくる「……言われれば確かに……身なりにしては、不自然に太い眉毛……」

朝倉「なによそれ! 不自然って、私なりの現代人的美形フォームを否定する気!?」
みくる「ふえぇ、そういう意味じゃないですぅ!」

朝倉「あーもー、疲れたわよ。もうこういう役目は御免よ?」
長門「一度バグが発生したのにも関わらず、新しく構築し直した私に言うことは?」
朝倉「……それとこれとは別よ。あなた私がいない間、ずっと好き勝手に甘いもの食べてたでしょ?」

古泉「それにしても、いつから涼宮さんと同じクラスに?」
朝倉「最初からよ。一応ね、転校生ってことで編入してきたのよ」
みくる「学年が違うってのもありますけど、でも誰も話題に……」
朝倉「この学校でそんなのを気にするのは涼宮さんぐらいでしょ? でもその彼女もあんなことになってたんだし」
古泉「上手く虚を突いたということですか」
朝倉「ほんとならねぇ、すぐにでも彼女に近づいたんだけど……さすがにいきなり馴れ馴れしくするのも不自然でしょ?」
みくる「でもあの、本当に心配だったんですよ? いつ涼宮さんが爆発しちゃうかって」
朝倉「でもいいじゃない。結果的にここまで嗅ぎつけられたんだから。ねーねー、中どうなってるの?」
長門「見れない。見せないようにしている」
朝倉「いいでしょ別に。えいっ」ブオンッ
長門「あっ」

朝倉「……なんとも微妙な距離ね」
みくる「あわ、あわわ……見ちゃダメですよぉ」
朝倉「しっかりと見てるじゃない、それ」
古泉「ふむ……」

朝倉「もう一押ししてみましょうかね」カチカチ
みくる「? 何を?」
朝倉「電話して、またギャーギャー騒げば……キョン君も考えを行動に移すでしょ?」
長門「止めたほうがいい」
朝倉「なんでよ?」
みくる「……多分、大丈夫ですよ。ほら、涼宮さん電話に出ようとしません」
朝倉「むー、なんでよぉ。ちぇっ」ピッ
古泉「さあ、僕らはそろそろ解散しましょう。いつまでも覗き見するのも失礼です」
朝倉「あーあ。折角またこっちに戻ってこれたと思えば、また情報統合思念体に逆戻りかぁ」
長門「違う。あなたにはまだ……仕事が残っている」

【翌日】

キョン「遅い、なにをやってるんだハルヒは」
古泉「そんなに心配なら、クラスまで向かえにいってあげればいいじゃないですか」
キョン「いや別に、心配ってわけじゃ」
みくる「早く会いたいんですよね? ねぇキョン君?」
キョン「……な、なにを根拠にそんな」

ガチャ
ハルヒ「ごめんごめん! あっ、もう皆集まってる」
キョン「遅いぞハルヒ。授業終わったら真っ先に部室集合って言ったのはお前だろ」
ハルヒ「いいじゃない。ちょっと色々と調べ物してたのよ」
キョン「調べ物?」
ハルヒ「あのね!? とても不思議なことが起こったの!」
キョン「……なんだ、この嫌な予感は」

ハルヒ「あたしのクラスの生徒が、突然転校しちゃって……」
キョン「…」
ハルヒ「それだけならよかったんだけど、なんと入れ違いで転校生が現れたのよ!」
キョン「入れ違い? なんだその偶然は」

ハルヒ「その転校生ね!? キョンもあたしもよく知ってる子よ?」
キョン「……!?」
朝倉「久しぶりキョン君。元気してた?」
キョン「なっ、あっ、朝倉!? 何故お前がここに!?」
ハルヒ「なんか親の仕事で外国に行ってたんだけど、一人だけ戻ってきたんだって」
朝倉「出戻りって言えばいいのかしら?」
ハルヒ「なんとも都合いい話だけど、そういうこともあるもんなのね」
キョン「……ない。こいつに限っては絶対にないと思うぞ」
ハルヒ「だからまあ、SOS団に入ってもらうわ」
キョン「何故そうなる!?」
ハルヒ「いいじゃない。この短い間で二度も転校する不思議少女よ? 願ったり叶ったりだわ!」
キョン「……おい長門」
長門「…」
キョン「こっちみろ、おい。おいってば」

ハルヒ「そんなわけだから、今日は朝倉の入部歓迎パーティーをやるわ!」
キョン「なぁ古泉? お前どういううことか知ってるか?」
古泉「はっは、なにがです?」
キョン「朝比奈さん?」
みくる「禁則事項です♪」

ハルヒ「ほら行くわよ、キョン!」
キョン「……マジでなにがどういうことだ……どこからどこまでがお前らの」
朝倉「ま、安心してよ。あなたと涼宮さんの関係も……私はちゃんと理解してるわ」
キョン「!? やっぱりなにか……」
ハルヒ「ほらほら早く! しばらくなんの活動もしてなかった分、今日は遊ぶわよっ!」

ハルヒ「はーっ……楽しかった」
キョン「なんで、なんで朝倉が……絶対裏でなにか」
ハルヒ「なにをブツブツ言ってるのよ?」

ハルヒ「……べつにあたしの駅まで、来なくてもよかったのに」
キョン「まあいいさ。ほら、一緒に居たいって気持ち、わからんわけでもないだろ?」
ハルヒ「! はっ、はっきり言うのね……うん」
キョン「……なにがどうあれ、この結果には俺は満足だからな」
ハルヒ「?」
キョン「そういえばハルヒ、あいつはどうしたんだ? あの……××っての」
ハルヒ「あぁ、そう。彼なの。転校しちゃった子ってのは」
キョン「……そうか」
ハルヒ「思えばあたしに変に近づいてきたのも、いなくなるまでせめてあたしと話たかったとか……」
キョン「もしかすると、そうだったのかもな」
ハルヒ「……キョンともう一度ちゃんと話そうって思わなければ、あたしもあんな風に別れちゃってたかも」
キョン「安心しろ。もうそうはさせないし、しない」
ハルヒ「……あんまりムリにカッコよく言おうとしないでいいわよ。あんたはそのままでいいんだから」ポフ
キョン「肩が重い」
ハルヒ「がーまーん」

ハルヒ「それじゃここまで! 帰りの電車も気をつけてね?」
キョン「何を気をつけろってんだ。乗り過ごしか?」

ハルヒ「……また明日ね、キョン」
キョン「あぁ、また明日な。ハルヒ」
ハルヒ「……バイバイのキス、してみる?」
キョン「えっ?」
ハルヒ「うーそっ! それはまた……もうちょっと落ち着いてから!」
キョン「……へ、変なことを言うなよ。ったく」
ハルヒ「とにかく、今まで話せなかった日数分、あんたと一緒にいたいと思ってるから」
キョン「…」
ハルヒ「週末放課後、夜寝る前と、休み時間……空けられる時間は、全部空けておくように!」
キョン「あいよ。できるだけ、頑張るさ」

ハルヒ「キョンはずっと、あたしのことハルヒって呼びなさいね?」
キョン「わかってる。約束だ……ハルヒ」
ハルヒ「うんっ!」




                            終。


えー、まあなんだ。
なにが書きたかったかっていうと、ここまでくるとよくわからないです。
とにかくまあ……あんまり甘くないのもいいかな? って思って、ここまで来てみました。

呼び方ってのは不思議なもんで
その人にはこう呼ばれたい、呼ばれないとしっくりこない!とかそういうのを何度か体験しまして。
それを元に、ハルヒとキョンがそれを経験するならこうかな、と。

何度も間が飛んだり、長い時間掛けてしまいましたが
読んでくれた方はありがとうございました。保守支援してくれた方も更に感謝。
それではまた、そのうち。今度こそ「はらぺこながとむし」。

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