ナルト「戦争は終わった」 (52)

ナルト「オビトも倒したし、マダラも封印した!もう大丈夫だよな…!」

ガイ「ああ…!」

ナルト「俺達勝ったんだよな!ビーのおっちゃん!」

ビー「おう!当たり前だぜバカヤローコノヤロー!」

ナルト「やった…やったー!!」

カカシ「……」フラッ

ガイ「みんなに報告しに行かないとな!ナルト、お前は忍界の英雄だ!」

ドサッ

ナルト「え?」

ビー「な、なんだ?」

カカシ「」

ガイ「……カカシ!おい、しっかりしろ!」

ナルト「一体どうしたんだってばよ!チャクラ切れか…?」

ガイ「駄目だ、意識が完全に飛んでしまっている!早く医療班の所へ運ぶぞ!」ガシッ

ナルト「俺も行くってばよ!」

ビー「一番近いテントは南の森の中だ!」

ナルト「サクラちゃんがいるところだな!サンキュー、おっちゃん!」

シュタッ

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1363788858

コミックス派なので、63巻の話までしか知りません。
内容に変なところがあるかもしれないです。すみません。

カカシ「……」ぼー

カカシ(また白か……)

サクラ「先生!気がついたんですね!」

カカシ「……」

サクラ「大丈夫ですか?私が誰か分かります?」

カカシ「サクラ……」

サクラ「良かったぁ、頭に影響はなさそうですね。でも万が一なにか異常があったら、すぐに教えて下さい」

カカシ「サクラ……」

サクラ「なんですか?ゆっくりで良いですよ」

カカシ「俺は…いつ処刑されるんだ…?」

サクラ「……!」

サクラ「……処刑?」

カカシ「連合は…何も聞いていないのか…」

サクラ「どうしたんですか…処刑なんてされるはずないでしょう?」

カカシ「今回の…戦争の黒幕は…俺だ…」

サクラ「はい?」

カカシ「俺が…リンを殺さなければ…戦争は…起こらなかった…」

サクラ「……まだ頭が混乱してるみたいですね。安定剤をとって来ますから」

カカシ「違う…!聞いてくれ…」

サクラ「……カカシ先生…」

カカシ「俺が…リンを殺したから…オビトは…リンの居る世界を…作ろうとしたんだ…。それで…無限月読を…」

サクラ「オビトって…マダラと一緒に居た人ですか?」

カカシ「そうだ…。俺が…戦争の原因を…作った…」

サクラ「だから、処刑されたいんですか。罪滅ぼしの為に」

カカシ「……」

サクラ「…誰がそんな理由で納得するんですか。先生は一度でもオビトって人に戦争を起こすように言ったんですか?」

カカシ「言ったも同然だ…俺は…里に帰る資格はない…」

サクラ「ふざけないで下さい。先生を助けたのは私なんですよ。死ぬなんて許しませんから」

スタスタ

カカシ「サクラ…!」

カカシ(俺には…もう…)ツー

サクラ「……って、カカシ先生が言ってたのよ…」

ナルト「そんな下らねぇ事考えてんのか!全く、先生は考え過ぎなんだよ…」

サクラ「いつも以上に目が虚ろだったし…バカな事考えなきゃ良いんだけど」

ナルト「俺が見張っていてぇけど、早く里に帰って来いって言われてんだよな…」

サクラ「それなら大丈夫よ。先生はあと一週間は動けないはずだし、その間に里に運んじゃえば何とかなるでしょ?」

ナルト「そっか!頭良いなサクラちゃん!」

サクラ「アンタが良くないだけよ。じゃ、私は患者さんを見てこないといけないから」

ナルト「あぁ、俺もそろそろ行かねぇとな」

シュタッ

シカマル「……」

サクラ「カカシ先生!今日はちょっと豪華な昼御飯なんですよ!もう蓄えはいらないから、食料庫を開放したんですって」

カカシ「……」

サクラ「自分で食べないなら私が食べさせるしかないですね。マスクもとっちゃいますよ?」スルッ

カカシ「……」

サクラ「あーあ、顔見られちゃった。怠けようとするからですよ。はい、あーん」

カカシ「……」

サクラ「もう、確かにいつものご飯は不味かったけど、今日はきっと大丈夫ですよ。あーん」

カカシ「……」

サクラ「…………食べないでいても死んだりしませんよ。栄養剤の点滴をつけてありますから」

カカシ「……」

サクラ「全く、少しぐらい明るい顔もしてくださいよ。戦争は終わったし、今日から里へ向かうんですから」

カカシ「……ッ!やめてくれ…!」

サクラ「無理ですよ。全員で移動するんです、先生だけに例外は認められません」

カカシ「俺は…!里には…帰れない…!」

サクラ「舌を噛んだりしたら承知しませんから。私が必ず助けますし、そのあと往復ビンタです」

カカシ「サクラ…!お願いだ…!」

サクラ「諦めが悪い男はモテませんよ。今の先生には逆らうことも出来ないんですから、素直に言うことを聞いて下さい」

カカシ「……」

サクラ「しばらくしたら出発です。それまでにその辛気くさい顔、なんとかしてくださいよ」スタスタ

カカシ「……」

—————

サクラ「それなりにかかったけど、やっぱり里はいいわね。無条件に心が落ち着くわ」

ナルト「サクラちゃーん!」

サクラ「ナルト!どうしたの?何だか嬉しそうね」

ナルト「そりゃ、サクラちゃん達が帰って来たんだ。嬉しいに決まってんじゃん!」

サクラ「フフッ、ありがと」

ナルト「…で、カカシ先生は?」

サクラ「まだ起き上がれないから病院のベッドで寝てるわ」

ナルト「そうか…」

サクラ「ちょっと、突然暗くならないでよ。先生は無事だって言ってるでしょ?」

ナルト「いや…確かにカカシ先生の事も心配なんだけどさ…」

サクラ「なによ…何かマズイ事でもあったの?」

ナルト「……綱手のばーちゃんが死んだのは知ってるよな」

サクラ「…………うん」

ナルト「それってさ…つまり、火影の座が空いちまうって事だろ」

サクラ「……アンタ…まさか」

ナルト「うん…俺が六代目に選ばれそうなんだ…」

サクラ「……それなら、もっと嬉しそうな顔しなさいよ!ただでさえ先生の暗い顔で参ってんだから」

ナルト「だって…素直に喜べねぇよ…。ばーちゃんが死んじまったから、俺がなれるんだぜ?」

サクラ「そういう事は考えないでいいの!師匠だって三代目が亡くなったから、五代目になったんでしょ?」

ナルト「……うん…」

サクラ「アンタは火影になって、木の葉と忍界を良い方向に変える努力をすれば良いだけよ」

ナルト「…簡単に言うけどさ、それってかなり難しいよな…」

サクラ「なーに弱気なこと言ってんのよ!アンタらしくないわよ!」

ナルト「……そうだな!俺ってば頑張るよ、サクラちゃん」

サクラ「そう、それでこそアンタよ。頑張んなさい」

———

シカマル「チッ…!ナルトが火影じゃあ、無理だなこりゃ…」

カカシ「……」

ナルト「おっす!見舞いに来たってばよ!」

カカシ「……」

ナルト「カカシ先生〜、せっかく優秀な教え子が来てやったのに、無視する事ねぇだろ」

カカシ「……」

ナルト「もうそろそろ起き上がれるようになるって、サクラちゃんが言ってたってばよ。そしたらさ、ラーメン食いに行こうぜ!もちろん先生の奢りでな」

カカシ「……俺の事は放っといてくれ」

ナルト「そう言うなって。カカシ先生が好きなイチャイチャシリーズも持ってきてやったぜ!」

カカシ「……」

ナルト「こんなつまんねー本なんで好きなのか分かんねぇけど、エロ仙人が書いたもんだし、俺もいつか真面目に読んでみようと思ってるんだ」

カカシ「…………暁の面の男、オビトだったろ」

ナルト「ん?ああ、そうだな」

カカシ「アイツは暁の黒幕でもあった…。暁が起こした事件も元を正せば全て俺の責任だ…。自来也様もアスマも俺が殺したんだ……本当にすまない…」

ナルト「……んな事ねぇよ!バカな事考えてねぇで、さっさとラーメン食いに行けるようになれって。先生に奢ってもらうまで、ラーメンは食わねぇからな」

カカシ「……」

ナルト「じゃあ、俺は行くから早く起き上がれるようになれってばよ!」

ガララッ ピシャッ

カカシ「……」

ナルト「全く、カカシ先生は被害妄想が酷いってばよ」

サクラ「この場合、被害妄想とは言わないんじゃないかしら」

ナルト「……いーじゃん、そんな事!それより先生をちゃんと見張っててくれよな」

サクラ「それが…今日はちょっと用事があって無理なのよ」

ナルト「えっ…!そんなん駄目だってばよ!火影命令だ!」

サクラ「バカ、アンタはまだ火影じゃないでしょ。どうしても私が行かないとならないの…」

ナルト「く〜っ!じゃあ俺が見張るからいいってばよ!」

サクラ「アンタだって火影候補なんだから色々と忙しい筈よ?今日だけは他の人に任せて、アンタも会議に集中しなさい」

ナルト「…………分かった」

—————

ピー

看護師「どうしました?眠れませんか?」

カカシ「……」

看護師「異常は……特になさそうですね。何かあった時じゃないと、ナースコールは押しちゃ駄目ですよ」

カカシ「……俺が」

看護師「はい?」

カカシ「…俺が悪いんだ!俺が元凶なんだよ!なんで誰も話を聞いてくれないんだ!」

看護師「か、カカシさん!落ち着いて下さい!」ガシッ

カカシ「離してくれ!俺が直にご意見番に訴える!そうしなければいけないんだ!」ジタバタ

看護師「ちょっ…誰か!誰か来て!」

医者「どうした!?」タタタッ

看護師「患者さんが錯乱状態なんです!早く鎮静剤を!」

医者「分かった!」タタタッ

カカシ「俺は里に居る資格はないんだ!離してくれ!」ジタバタ

ガサガサ

ナルト「……こんな所で何やってんだよ、カカシ先生」

カカシ「……!」

ナルト「病院のは影分身だろ。俺でも分かるってばよ」

カカシ「……お前だから、だろ。さすが英雄と言ったところかな。俺とは大違いだ…」

ナルト「とりあえず、そこから降りて来いってばよ。俺に見つかっちまった以上、首なんか吊れないだろ」

カカシ「……」スタッ

ナルト「なぁ…なんでそんなに死にたいんだよ。罪滅ぼしがしてぇなら、生きて償えばいいじゃねぇか」

カカシ「……それはただの綺麗事だ。真相を知れば里の奴らだって、俺を殺したくなるよ。……でも、お前が火影になったら押さえつけるんだろう?」

ナルト「当たり前だ。先生を死なせてたまるかよ」

カカシ「だから、自殺するしかないんだよ…。俺は一刻も早く死ぬべきなんだ……」

ナルト「戦争は終わった。これ以上戦争の犠牲者は必要ねぇだろ」

カカシ「違う、戦争の犠牲者なんて誰一人居やしない。暁の被害者もだ。全ては俺の責任なんだよ。九尾を操っていたのもオビトだったんだ。俺はお前の両親のカタキなんだぞ」

ナルト「そんな風に考える奴は誰もいねぇって」

カカシ「九尾の一件でうちは一族が疑われて、クーデターを起こすしか無くなったんだ。その結果、うちはは惨殺されイタチは同士討ちをさせられサスケは里を抜けた。全部俺のせいじゃないか」

ナルト「いい加減にしろってばよ!やったのはオビトだろ!?先生は関係ねぇ!」

カカシ「それに……俺にはもう生きていく理由がない。俺はオビトの代わりに生きてきた筈だった。でも、それさえ間違っていた。俺のやることは全てズレてるんだよ」

ナルト「俺達は……先生にとって大切な仲間じゃねぇのかよ!俺達を見捨てんのか!?」

カカシ「俺がお前らに教えられる事なんて何もない。俺は全ての人間にとって用済みなんだよ……」

ナルト「……先生が俺達を見捨てても…俺は見捨てねぇ!絶対に死なせたりしねぇぞ!」

カカシ「やめてくれ……もう全てが耐えられないんだよ!何もかも俺には残されていないんだ!希望も夢も俺は見ちゃいけないんだよ!」

ナルト「そんなの先生が勝手に決め込んでるだけだろ!俺が先生の希望になってやる!夢にもなってやるよ!」

カカシ「誰も…俺の希望にはなれない…。俺はあの時死んだはずの人間なんだ…」

ナルト「先生は生きてるだろ!死んでなんかいねぇんだ!」

カカシ「……だからこそ死ぬべきなんだよ」

ナルト「だーっ!もう!それなら、みんながどう思ってるか聞いてみりゃいい!誰も先生が悪いなんて言いやしねぇよ!」

カカシ「お前が命令すれば、そうなるだろうな…」

ナルト「俺はまだ火影になってねぇんだってばよ。今なら先生も納得できる本音が聞けるはずだ」

カカシ「……」

ナルト「病院に戻ろうぜ、先生」

—————

ナルト「とりあえずその辺にいた奴らに集まってもらったってばよ。先生の考えは話してある。みんなの意見を聞いてみようぜ」

カカシ「……」

サイ「僕は、はっきり言って馬鹿馬鹿しいと思いますよ。教唆とも言えないような事なのに、何をウジウジしてるのか分からないな」

紅「アンタはいつも考え過ぎなのよ。全てはオビトの意思でやった事。カカシの責任じゃないわ。アスマの事だってアンタが気に病む必要なんかないの」

チョウジ「僕も…よく分かんないけど、先生が悩む必要はないと思うな。僕だって同じ状況になったら悩むけど、それは無駄だと思うよ」

キバ「つまりよ、オビトってのが悪いんだろ?それにマダラとかカブトとかいっぱい居るじゃねぇか。先生がその中に入るとは思えねぇな」

ナルト「な?先生が悪いなんて思う奴はいねぇだろ」

カカシ「……」

ガララッ

シカマル「おいおい、俺は仲間外れかよ」

チョウジ「シカマル!シカマルもカカシ先生を元気付けに来たの?」

ナルト「おい、チョウジ!」

チョウジ「あ……」

カカシ「そんな事だろうと思ったよ…」

シカマル「俺はナルトと口裏合わせたりしてねぇぜ」

ナルト「そんな事はしてねぇってばよ!」

シカマル「んな事はどうでもいい。はっきり言わせてもらうが、俺はアンタを恨んでるからな」

ナルト「なっ……!!」

カカシ「……」

シカマル「俺の親父が戦死したのは知ってんだろ。五代目だって死んだ。ナルトはそのお陰で火影になれるから、感謝してるかもしれねぇが、俺は騙されたりはしねぇぜ。アンタの犠牲になったアスマも、俺の頭だけは認めてたからな」

ナルト「お前……最低だぞ!なんでカカシ先生が恨まれなきゃならねぇんだ」

シカマル「本人が言ってる通り、コイツが全ての原因だからだよ」

ナルト「テメェ…!!」

カカシ「やめろ……シカマルの言っている事は正しい。お前は偏った意見を持つ人間だけを連れてきた。里の大半はシカマルと同じ意見だろう」

シカマル「どうだかな。アンタが恨まれてるのは里の人間だけじゃねぇ筈だ。今回の戦争は忍界全体を巻き込む物だったんだからな」

ナルト「ふざけんな!我愛羅たちがお前なんかと同じ考え方する訳ねぇだろ!」

シカマル「お前の言う通り、聞いてみりゃはっきりすんだろ。俺は各里に今回の真相を綴った手紙を飛ばした。今日あたりに返事が来ると思うぜ」

チョウジ「シカマル…!いくらなんでもやり過ぎだよ!確かにお父さんの事は残念だったけど、それは別にカカシ先生のせいじゃ」

シカマル「何を言ったところで、死んだ人間は戻って来ねぇんだよ。コイツはちゃっかり生き返りやがったけどな」

カカシ「……」

キバ「お前がこんな冷静さを欠いた行動をするとはな。正直、見損なったぜ」

紅「カカシを責めた所で何も変わりはしないのよ」

シカマル「変わるさ。少なくとも俺の気は晴れる」

ナルト「もういい、ここから出ていけ!二度とカカシ先生に近寄るんじゃねぇぞ!」グイッ

ガララッ バンッ!

ナルト「ハァ…ハァ…!」

カカシ「…これで自殺する必要も無くなった訳だ」

ナルト「えっ…!」

カカシ「必ず、忍界は俺に復讐する。お前が何を訴えようと、必ずな」

全員「……」

ホムラ「遅かったな、ナルト。会議をすっぽかした次の日に遅刻とは、お前火影になる気はあるのか?」

ナルト「しょうがねぇだろ…。俺だって用事があるんだってばよ」

コハル「今はそんな事を言っている場合ではないじゃろ。各里から次々に手紙が届いているんじゃ」

ナルト「……!」

ホムラ「その顔だと、内容は知っているようだな。カカシの処刑を望む声がそこら中から集まっているんだぞ」

ガイ「なんですって!?どういう事ですか!!」

コハル「お前は静かにするという事を覚えろ。だからガイを会議に呼ぶのは反対したんじゃ」

ナルト「処刑を望む声って……どういう事だよ!!」

ホムラ「なんだ、てっきり内容を知ってるものだと思ったんだが…」

ナルト「なんでカカシ先生が処刑されなきゃならねぇんだよ!悪いのは全部オビトやマダラだろ!」

コハル「お前…まさか知った上で喚いているのか?各里がどんな反応をするかぐらい、分かるじゃろ」

ナルト「分かんねぇよ!きっと、シカマルの奴がデタラメ書きやがったんだ!じゃなきゃこんな事になるはずがねぇ!」

ホムラ「なら、自分で手紙をあらためてみろ。辻褄の合わないことは書かれていない筈だ」ガサッ

ガイ「私にも読ませて下さい!」

コハル「誰かあやつをつまみ出せ。やっぱりガイに会議など無理だったんじゃ」

ガイ「やめろ!離せー!」ズルズル

バタンッ

ホムラ「さて…どうだったんだ?」

ナルト「確かに…カカシ先生の言ってた事と合ってる……。けど、こんなのおかしいってばよ!」

コハル「何もおかしい事はない。それに、カカシ一人が死ねばそれで済む話なんじゃ。さっさと処刑の準備を進めるぞ」

ナルト「ふざけんなよ!俺はこんなの認めねぇ!」

ホムラ「お前の火影としての初仕事はカカシの処刑だ。文句は言わせん」

ナルト「くっ……!それなら、俺は火影になんかならねぇよ!」

コハル「もうここまで来たら、お前一人の意思でどうこうなる問題ではないんじゃ。お前は火影になるしか、道は残されていない」

ナルト「チクショウ…!!俺は絶対カカシ先生を殺したりしねぇからな!」

ホムラ「殺すのではなく、処刑だ。お前が望まなくても皆が望んでいるという事実を受け入れろ」

ナルト「クソッ…!」

サクラ「ナルト!会議は終わったの?」

ナルト「……サクラちゃん…!カカシ先生がやべぇんだ!このままじゃ先生は殺されちまう!」

サクラ「な、なに?突然。……殺されるって誰によ」

ナルト「…………俺にだってばよ…」

サクラ「えっ?えっと…どういう事?」

ナルト「……」

———

サクラ「そんな……全部カカシ先生の責任にしようとしてるってこと!?」

ナルト「自分達だって暁を利用したりしてきたくせに……やり方が汚ねぇってばよ!」

サクラ「だからこそ、こうなったとも言えるけど……」

ナルト「……なぁ、俺はどうしたらいい…?どうやったらカカシ先生を助けられるんだ!?」

サクラ「わ…私には分からないわよ……」

ナルト「俺は…こんな事がしたくて火影になりたかった訳じゃねぇ…!!」

サクラ「……とりあえず、先生に会いに行きましょう?先生の考えだけでも変えないと、どうしようもないわ」

ナルト「…そうだな」

スタスタ

ガイ『お前……それはどういう意味だ!』

サクラ「これってガイ先生の声…?」

ナルト「……!」

ガララッ

ガイ「こんな理不尽な事をお前は受け入れるのか!」グイッ

カカシ「そうだって言ってんでしょ……いい加減にしてくれよガイ……」

サクラ「ちょっ…!ガイ先生!カカシ先生は病み上がりなんですよ!」

ガイ「あ…」パッ

カカシ「……」ドサッ

ナルト「なぁ…今の話、俺にも説明してくれるよな。先生…!」

カカシ「……お前にも言った通り、俺は処刑されて当然の人間なんだよ…。忍界全体が俺を恨んでるって分かったじゃない」

ナルト「それは他にぶつけ所がねぇから、カカシ先生に八つ当たりしてるだけだろ!」

サクラ「そうですよ!全く筋なんて通ってないじゃないですか!」

カカシ「そんな事はないよ。俺が元凶だ。あの時素直に俺が死んでいればこんな事にはならなかったんだ」

ガイ「何を言ってるんだ!お前なら分かるだろ!お前は戦争の区切りとして利用されそうになってるだけだ!」

カカシ「それならそれでいい。俺は生きていく気なんかもうないんだよ」

ガララッ

三人「!!」クルッ

カカシ「……」

コテツ「カカシさん…あなたを牢に繋ぐよう、ご意見番に命令されました」

とりあえず書きためはここまでです。
そんなに長い話ではありませんが、またあげに来ます。

ガイ「なんだと!?それを俺が黙って見てると思うか!」

ゲンマ「やめて下さい、お願いですから…。連行の際に暴れる者がいたら、全員牢に繋ぐよう言われているんですよ」

ガイ「……ッ!!」

コテツ「こんなことになって残念です……」

カカシ「いいから早く連れててってくれ」

ゲンマ「……はい」

ガシャン

ナルト「…なんで手枷なんてはめるんだよ…!カカシ先生が暴れる筈ねぇだろ!」

カカシ「そういう決まりなんだよ。火影様がいちいち護送方法にまで口出してたらきりがないぞ」

ナルト「だから、俺は火影にはなってねぇっつってんじゃねぇか!!」

サクラ「…こんな事、本当に望んでるんですか…!?カカシ先生…!」

カカシ「……俺はそもそもお前らの先生になる資格は無かったんだ。それに今はもうカカシ班は無い。先生だなんて呼んでくれるな」

ナルト「この…!もうやめだ!火影になんかならねぇ!俺がカカシ先生を助けてやる!」

カカシ「ガイ…お前が本当に俺の事を心配してくれているなら、ナルトを止めてくれ」

ガイ「なにを……!」

カカシ「……」スタスタ

ナルト「待てってばよ!カカシ先生!」ダッ

ガイ「ナルト…!」ガシッ

ナルト「うおっ!」

ガイ「……」

サクラ「ガイ先生…!ナルトを離してください!」

ナルト「どういうつもりなんだよ!ゲキマユ先生!」

ガイ「……本当にアイツの為を思うなら、アイツの好きにさせてやるのがいいんじゃないか…?」

サクラ「なっ……!」

ナルト「……そんな事言うなんて…見損なったってばよ!ゲキマユ先生だけはカカシ先生の味方だと思ったのに!」

ガイ「……ッ!!」パッ

ナルト「……!カカシ先生!」ダダッ

サクラ「待って!私も行くわ!」ダダッ

タタタタ……

ガイ「何が…何が正しいのだろうな…カカシ……」

タタタッ

ナルト「カカシ先」

シカマル「おっと、勝手な行動はそこまでだ」ギュイーン

ピタッ

シカマル「影真似の術、成功っと」

ナルト「シカマル…!!」

サクラ「アンタ…!!」

シカマル「お前らには邪魔させねぇよ。これは俺の復讐なんだ」

ナルト「テメェは間違ってる…!カカシ先生一人に責任を負わせようとしやがって…!!」

シカマル「へっ…俺も処分を受けることになったぜ。無駄に騒ぎを広げたっつー事で1ヶ月の謹慎だ」

サクラ「ふざけんじゃないわよ…!全然釣り合ってないじゃない…!!」

シカマル「なんだ?釣り合ってりゃいいってのか。じゃあ俺も死んでやるよ。これでいいだろ」

シュタッ

チョウジ「…もう、やめろよ…!」

ナルト「チョウジ…!」

シカマル「……今はお前には構ってらんねぇんだ。後にしてくれ」

チョウジ「いい加減にしろよシカマル…!こんな事をしてシカクさんが喜ぶとでも思ってるの!?」

シカマル「俺だけの意思じゃねぇ、忍界が望んでいる事だ。それに言っただろ?俺は俺の気を晴らす為にやってんだよ。親父の為じゃねぇ」

チョウジ「…………僕、シカマルといのとだけは戦いたくなかったのにな…」

シカマル「あぁ?やる気かよチョウジ…!」

チョウジ「二人を離さないんなら全力で行く…!覚悟するんだね、シカマル…!」

シカマル「……」

チョウジ「……」

シカマル「……」

チョウジ「……!」

シカマル「ハァ……分かったよ」

フッ

チョウジ「シカマル…」

シカマル「別に説得された訳じゃねぇ。お前となんか俺だって戦いたくねぇんだよ」

ナルト「……行こうぜ!サクラちゃん!」

サクラ「うん!ありがとねチョウジ!」

タタタタ……

シカマル「……全くよぉ…俺だってこんな事はしたくねぇんだよ…」

チョウジ「えっ…?」

シカマル「……憎しみをカカシ先生に集中させねぇと、里単位で木の葉が目ェつけられちまうじゃねぇか……」

チョウジ「……!」

シカマル「クソッ……言わねぇって…………悪役になりきるって……決めてたのによ……!…クソッ…!」ポロポロ

タタタッ

ナルト「まだ追い付かねぇのか…!」

サクラ「もう牢獄に着いちゃったのかもしれないわね…」

ナルト「そうなったとしても、俺達で助け出す!」

サクラ「…………ナルト、それは何を意味するか分かってる?」

ナルト「えっ?」

サクラ「私達、木の葉の里どころか忍界中を敵に回す事になるのよ」

ナルト「……」

サクラ「火影候補にまでなったアンタが、全てを諦められるの?」

ナルト「サクラちゃん…カカシ先生は言ってた。仲間を大切にしない奴はクズだって」

サクラ「それは分かってるけど……」

ナルト「カカシ先生はずっと自分の事をクズだと思って生きてきたんだってばよ。オビトとリンって奴を守れなかったから、自分はクズなんだって。だから、自分の人生を捨ててオビトの人生を生きようとしてたんだ」

サクラ「……!!」

ナルト「そんな先生をこれ以上苦しめたくはねぇ。だから、俺は全部捨ててでも先生を助ける!」

サクラ「私も……私だって見捨てたりはしないわ!絶対に助けてみせるわよ!」

ナルト「サクラちゃんなら、そう言ってくれると思ったぜ!後悔はしねぇよな?」

サクラ「当たり前でしょ!早く先生を助けに行くわよ!」

暗部「鉄甲呪印・縛!」

ナルト「なっ……!」

ギュルルルッ!

ナルト「うわあああ!なんちゃって」ボンッ

暗部「なに!?」

ナルト「隙だらけだってばよ!」バキッ

暗部「ぐわあっ!」ズザッ

サクラ「私達まで牢屋に閉じ込める気なの?」シュタッ

暗部「違う…ご意見番がナルトに話があるそうだ」

ナルト「今さら俺に何を言うつもりなんだよ」

暗部「そう言うだろうから、呪印で縛って連れてくるよう命令されたんだ」

ナルト「何の用かは知らねぇけど、俺は今忙しいんだってばよ!ジジイやババアの相手なんかしてられねぇって伝えやがれ!」

サクラ「待って!…ナルト、これは最後のチャンスなのかもしれないわよ」

ナルト「チャンス…?」

サクラ「なんとかごねて、カカシ先生の処分を少しでも軽くするのよ。無期懲役でもアンタが火影になれば里を説得出来るし、そうなれば刑をもっと軽くして、いつか普通の生活を送れるようになるかもしれないでしょ?」

ナルト「俺が火影になれば…出来る事もあるかもしれないって事か…!」

サクラ「そう、逃げるのは試してからでも遅くないわ」

ナルト「……おっちゃん、この事は」

暗部「他言する気はない。俺もカカシさんには世話になったからな」

ナルト「よし…!行ってくるってばよ」

サクラ「……いつもアンタに押し付けちゃってごめんね…」

ナルト「押し付けてなんかいねぇよ。サクラちゃんも仲間だろ?」

サクラ「うん…!頑張ってねナルト!」

ナルト「おう!」シュタッ

ホムラ「ほう…自分の足で来るとは予想外だったぞ」

ナルト「火影は俺が引き受ける。ただ、一つ条件があるってばよ」

コハル「……」

ナルト「カカシ先生の処刑だけは絶対出来ねぇ。でも無罪放免にしてくれとは言わねぇってばよ。カカシ先生にも責任はあるからな」

コハル「少しは分かってきたじゃないか」

ナルト「じゃあ…!」

ホムラ「しかし、それは無理な相談だ」

ナルト「なんでだよ!」

ホムラ「お前を呼んだのは、明日カカシの処刑を執り行うと伝えるためだ」

ナルト「あ…明日!?なんでそんな…!!」

コハル「あまり引き延ばすと、外国から人が押し寄せる可能性があるからじゃ。里にまで危害が及ぶことがあっては、困るからな」

ナルト「チクショウ…!!どこまでカカシ先生を苦しませりゃ気が済むんだ!カカシ先生が仲間を殺さなきゃいけなかったのだって、何かしらの任務だろ!?それなら悪いのは木の葉じゃねぇか!!」

ホムラ「任務は個々の責任によって遂行されるものだ。…それに、火影がそんな事を言っていいのか?」

ナルト「俺はやっぱり火影になんかならねぇ!お前らの思い通りになんかなってたまるか!」

コハル「いや、お前には明日の処刑の席で、火影の就任式もやってもらう。これは決定事項だ」

ナルト「……俺ってばアンタらが思ってるより、ずっと強くなったんだぜ。もう命令なんか聞かねぇよ…!」

ホムラ「それはどうかな?」

ナルト「なんだと…!?」

コハル「入れ」

ガチャ

暗部「ご命令通り、連れてきました」

イルカ「……」

ナルト「イルカ…先生…!!」

イルカ「すまない…ナルト…」

ナルト「テメェら…イルカ先生になにしやがった…!!」

ホムラ「時限式の呪印を仕掛けた。お前が火影に就任するのを拒めば、時刻通りに呪印がイルカの命を奪うだろう」

ナルト「この…クソヤローどもが!!」

コハル「言っておくが、術者を殺してもその術は解けないぞ。解除するには術者が自分で印を組むしかないんじゃ」

イルカ「ゴフッ!」ビチャッ

ナルト「イルカ先生!!」

暗部「この呪印はイルカのチャクラで保たれているんだ。早く言うことを聞いて、医療班の所へ連れてった方がいいんじゃないか?」

ナルト「その声は…さっきのヤローだな…!」

暗部「悪いな。人を騙すのが仕事でね」

コハル「さてさてカカシとイルカの命、お前にとって重いのはどちらかな?」

ナルト「…こんな事されて俺がまともに火影やると思ってんのか!」

ホムラ「お前に政治をやらせる気など毛頭ない。お前はただのお飾りだ」

ナルト「くっ……!!」

イルカ「ナルト…俺に構うな…お前はお前の信じた道をッ…ゴホッ!」ビチャッ

ナルト「チクショウ…………!!」

コハル「カカシは死にたがってる。イルカはお前の唯一の理解者だった奴じゃ。どちらを選んだ方がいいか、分からぬ筈はないだろう」

ナルト「………………ッ!!!」

サクラ「ナルト…ちゃんと説得出来たかしら……」

木ノ葉丸「サクラねぇちゃん……」

サクラ「木ノ葉丸!一体どうしたのよ!?」

木ノ葉丸「イルカ先生が…イルカ先生がぁ…!」ポロポロ

サクラ「……落ち着いて、イルカ先生に何があったの…?」

木ノ葉丸「俺…一瞬だけど…見ちまったんだコレ…!イルカ先生が血吐いてて…暗部に連れ去られたんだ…!」ポロポロ

サクラ「えっ…!木ノ葉丸は大丈夫だったの?」

木ノ葉丸「多分…俺に気付いてたぞコレ……でも…スッゲー急いでたみたいだったから…」ポロポロ

サクラ「そう…木ノ葉丸だけでも無事で良かったわ」

木ノ葉丸「うぅ……うわあああああん!!」ポロポロ

サクラ「ほら、泣かないの。…イルカ先生はどこへ連れ去られたか分かる?」

木ノ葉丸「ひっぐ…えぐ…火影の…屋敷の方……」ポロポロ

サクラ「……!教えてくれてありがとね、木ノ葉丸」ポンポン

木ノ葉丸「うっ…ひっぐ…うわあああああああああん!」ポロポロ

外道過ぎる……映画じゃ絶対出来ないよ……

ナルト(俺は…どうしたらいいんだ……)

クラマ『おい、ナルト…』

ナルト「……なんだってばよ」

クラマ『お前…一体どうするつもりなんだ』

ナルト「分かんねぇよ…サクラちゃんに相談することも出来ねぇし…」

クラマ『フン…こんな忌々しい里、潰してしまえばいいだろう。ワシの力を貸してやるぞ』

ナルト「懐かしい事してんじゃねぇよ…。俺は本気で悩んでるんだ…」

クラマ『ワシも胸糞悪いんだ。結局、あの老害どもはお前の事なんか信じていないじゃないか』

ナルト「……みんなに認めて貰えたと思ったのにな…」

クラマ『……しかし、アイツらの言う通りカカシは処刑されたがってる。イルカを助けてやるべきなんじゃないか?』

ナルト「あの二人を…比べることなんて出来ねぇよ…」

クラマ『お前は甘いな。物事には諦めも必要だと、いつになったら分かるんだ』

ナルト「…………俺が失敗した時だろ」

クラマ『……!』

ナルト「今回がその時かもしれねぇな…はは…」

クラマ『ナルト……』

レス本当にありがとうございます!嬉しいです!
今回はここまでです。

>>28
木の葉ってこのぐらいしそうだと思うんです。

ガヤガヤ

ナルト「……」

ホムラ「火影がなんて顔をしておる。シャキッとしろ」

ナルト「……」

コハル「結局、イルカを選んだのか。賢い選択だな」

ナルト「俺は…選んじゃいねぇよ…」

ホムラ「選ばなかった結果か。まぁ、それもいいだろう」

ナルト「……」

スタスタ

刑務官「……」

カカシ「……」

スタスタ

ナルト「カカシ先生……」

ホムラ「これで全てが終わるな」

ナルト「……ッ!」

ガヤガヤ

刑務官「あとは一人で登って下さい…」

カカシ「…結局、首を吊る事になるとはね。随分皮肉が効いてるじゃない」

スタスタ

ナルト「……」

コハル「何にでも犠牲は付き物なんじゃ。お前にもいつか理解できる日が来る…」

スタスタ

カカシ「……」

ピタッ

ホムラ「さぁ、お前の出番だ。火影就任の宣言をしてこい」

ナルト「……」

ナルト(…………すまねぇ……カカシ先生…イルカ先生…!)

ナルト「俺は…宣言はしねぇ…」

コハル「……イルカがどうなってもいいのか」

ナルト「俺はどっちかなんて選べねぇよ……だからどっちも選ばねぇ…ここで俺も死んでやる!」チャキッ

ホムラ「ばっ…!馬鹿よせ!」

ナルト「悪ぃな、クラマ…!」

クラマ『フン…こうなったら地獄の果てまで付きまとってやる』

コハル「誰か!人柱力を止めろ!」

ナルト「勝手に困ってろってばよ!じゃあな!」グッ

サクラ「そこまでよ!!」

ナルト「!!」ピタッ

サクラ「ナルト!バカな事考えてんじゃないわよ!カカシ先生は任せなさい!」スタッ

ガシッ

カカシ「!?」

ガイ「お前を見捨てる事なんて出来るわけないだろ!カカシ!」スタッ

シュタンッ!

ナルト「サクラちゃん…!ゲキマユ先生…!」

ホムラ「くっ…!」

コハル「警備は何をしておるんじゃ!」

スタッ

カカシ「お前ら……」

サクラ「カカシ先生がなんて言おうと、先生は私達の先生ですから!」

サイ「僕は途中参加だけど…それでもカカシ班の一員ですからね」

ガイ「我が永遠のライバルを死なせてたまるか!」

リー「ガイ先生のライバルは僕のライバルです!うおおお!」

テンテン「それはちょっと違うと思うけど、私だってもう先生の落ち込む姿なんか見たくないしね」

キバ「俺もなんとなく関わっちまったし、本当にカカシ先生が悪いとは思えねぇんだ」

ヒナタ「ナルト君の為にも…カカシ先生は守ってみせる…!」

シノ「今回ばかりは仲間外れにされては困るからな」

紅「ここにいるのが私じゃなくてアスマでも、やっぱりカカシを助けると思うわ」

いの「サクラがカッコつけてんのに、私だけなにもしないのは嫌じゃなーい」

チョウジ「シカマルも意地張ってないで来ればよかったのに…」

シズネ「きっと、綱手様がご存命ならこんな事にはならなかったはずです。私は綱手様の火の意志を守りたいんですよ」

ザワザワ

ナルト「みんな……」

サクラ「ナルト!」

ナルト「!!」ビクッ

サクラ「アンタが人質とられて脅されてんのは分かってるわ!でも、もう大丈夫よ!」

ナルト「えっ…?」

ホムラ「なんだと…!?」

コハル「まさか…!」

ヨロヨロ

イルカ「ナルト…迷惑かけて悪かったな…」

ナルト「イルカ先生…!」

ホムラ「一体どういう事だ!?どうやって呪印を解いたんだ!」

暗部「私が解いたんですよ。自分の意思でね」スッ

コハル「貴様…なぜ裏切った!」

暗部「私はより有利な方についているだけですから。さ、ナルト君、みんなの所へ行こうか」ガシッ

ナルト「へっ?」

シュタッ

ナルト「……!」スタッ

イルカ「わざわざありがとうございます……」

暗部「いや、本当にすまなかったな」

ナルト「……イルカ先生…!」ギュッ

イルカ「ナルト…!心配してくれてありがとう…」

カカシ「……」

サクラ「先生、羨ましそうな顔してますよ?」

カカシ「俺は…俺には…お前らに助けてもらう資格はない……。お前らと話す資格だって…」

サクラ「資格って言うんだったら、私達には先生を助ける資格も、先生と話す資格もありますよね?」

カカシ「……」

タタタッ

ウドン「待ってよ木ノ葉丸君!」

木ノ葉丸「早く行かないとヤバイんだぞコレ!」グイッ

シカマル「おい、やめてくれ!俺は行く気はねぇんだよ!」

モエギ「いいからいいから!」グイッ

エビス「私を置いて行こうとするなんて…全く君達という人は!」

木ノ葉丸「だってエビス先生がウザイのが悪いんだぞコレ!」

ピタッ

木ノ葉丸「イルカ先生…!!」

イルカ「木ノ葉丸…!」

木ノ葉丸「イルカせんせー!!!」ガバッ

イルカ「うわっ!」ドスンッ

モエギ「全く、木ノ葉丸ちゃんったら…」

チョウジ「シカマル…来てくれたんだね」

シカマル「来たくて来た訳じゃねぇよ…俺はここにいる資格はねぇんだ…」

いの「なんだか、カカシ先生のコピーみたいになっちゃってるわね」

シカマル「俺は…カカシ先生を切り捨てようとしたクズだ……」

カカシ「…………似たような台詞、俺も吐いた事があるよ」

シカマル「えっ…」

カカシ「……俺なんかに気を使う必要はないよ。お前は結局、誰も切り捨ててはいないんだ。クズなはずがないでしょ」

シカマル「……」

ナルト「カカシ先生だって…クズなんかじゃねぇってばよ」

カカシ「俺は…………お前らとは違う。仲間を見捨てて戦争の引き金を引いた…クズヤローだ…」

ナルト「戦争の引き金を引いたのは先生じゃねぇよ。マダラもオビトも、それに大蛇丸なんかもみんな木の葉出身だ。きっとこいつらを産み出しちまった、木の葉の里自体が元凶なんだってばよ」

カカシ「だが……」

ナルト「だからいつまでもグチグチ言ってねぇで、木の葉は俺達で潰さなきゃならねぇんだ。その責任が俺達にはあるんだと思うぜ」

カカシ「……」

ザワザワ

ホムラ「クソッ!!なぜ暗部は動かない!」

イビキ「暗部や他の組織もろもろ、もうアナタ達の言うことは聞きませんよ」スタッ

コハル「……クーデターか!」

イビキ「癪に障るので訂正しておきますが、アナタ方には仮の権力しかないはずですし、その権力を乗っ取ろうとも思ってはいませんよ」

ホムラ「何を言っておる…!!」

イビキ「もう、みんな腐った上層部も、腐った慣習も、腐った他里との関係にもウンザリでしてね。私達はこの里を抜けさせて頂きます。そして新たな里長の元で一から里を作りますよ」

コハル「曰く付きのカカシを連れたお前らなど…抱える国がどこにある…!」

イビキ「いくらでもあるでしょう。アナタ方の大好きな人柱力がいるんですからね」

ホムラ「クッ……!!」

ザワザワ

ガイ「今からでも遅くはないぞ!着いてきたい奴は大歓迎だ!」

テウチ「待ってくれ〜!」

アヤメ「ちょっとお父さん!そんなに持ってける訳ないでしょ!」

ナルト「おっちゃん!おっちゃん達も来てくれんのか!」

テウチ「当たり前だ!新しい里長様はラーメンが大好物だからな!取り入っておかねぇと!」

ナルト「あはは!今更そんな事しなくても、一楽以外を選んだりしねぇってばよ!」

ガイ「カカシ、これ以上グダグダごねたりはしないよな?」

カカシ「……ああ、もう言わないよ。みんな、本当にありがとな」

サクラ「全く……素直になるの遅すぎますよ!」

カカシ「ま、そのお陰で俺の顔が見れたでしょ」

ナルト「えー!?どういう事だよサクラちゃん!」

サクラ「フフン、教えなーい」

ナルト「あとで絶対聞き出してやる…!」

木ノ葉丸「なぁなぁ、ナルト兄ちゃん!俺にちょっと考えがあるんだなコレ」

ナルト「ん?なんだよ?」

木ノ葉丸「へっへー!これを……」

ゴニョゴニョ

ナルト「ははっ、そりゃいいや!それじゃみんなでぶん投げようぜ!…イルカ先生、怒らないでくれよな」シュルッ

イルカ「怒るわけないだろう…。今度はお前が俺に贈ってくれ…」シュルッ

カカシ「こんなものに縛られてきたと思うと馬鹿らしいな…。ま、俺のは没収されてるけどね」

サクラ「そもそもこのマーク、ダサいのよ。センスの欠片もないわ」シュルッ

ガイ「俺の場合、邪魔にしかなってなかったからな!良い機会だ!」シュルッ

シュルッ シュルッ シュルッ

ナルト「みんな準備は出来たな!いっけぇー!!」

全員「おー!!」

ぽいっ

ドササササササササササッ!!!

ホムラ「アイツら額当てを……」

コハル「もう…止めても無駄じゃな…」

ナルト「じゃあな!もう二度と戻って来ねぇってばよ!」

ゾロゾロ

ナルト「よっしゃー!それじゃ、どっか新天地を求めて出発!」

カカシ「全然具体的じゃないね。どの方向に行くかぐらい決めなきゃ駄目でしょ」

ナルト「んー?じゃあ右!」

サクラ「アンタねぇ…せめて東西南北で言いなさいよ」

ナルト「えぇー!北がどこかも分かんねぇのに!」

ガイ「俺のカンだとあっちが北だ!」

ナルト「よーし!じゃあ北へ出発!」

イルカ「そっちは南だぞ…ハァ……」

ウドン「僕だけ額当てが外れなかった…」ぐすっ

木ノ葉丸「あ、本当だ。キツく縛りすぎだぞコレ!」

モエギ「全然とれないわ!」

サイ「僕がとってあげるよ」ジャキン

ウドン「僕の髪の毛がー!!」

サイ「ごめんごめん」

ヒナタ「紅先生、赤ちゃんは大丈夫なんですか…?」

紅「うーん……まぁ、何とかするわよ」

キバ「へへっ、先生らしいぜ」

シノ「赤子は体調に変調を来しやすいため、十分な温度管」

キバ「るせーよ。サクラ達もいるんだから大丈夫だろ」

テンテン「そうそう、寒さだけならリーの暑苦しさで防げるしね」

リー「僕は暑苦しくはありません!熱血なだけです!」

チョウジ「赤ん坊って肉が柔らかそうだよね……」

いの「アンタが言うと冗談に聞こえないんだけど……」ゾッ

シカマル「さすがにそこまではしねぇだろ。……多分な」

エビス「くっ…!木ノ葉丸君達と離れてしまったせいで、話し相手が……」

イビキ「なんだよ、俺がいるじゃないか」

エビス「……アナタと話が合うとは思えませんね」

シズネ「じゃあ、私と話しましょうよ。毒薬や内臓の話なら得意ですよ!」

エビス「遠慮しておきます……」

イビキ「俺もいいからな……」

アンコ「あら?どうしてアンタだけ名無しなの?」

?「どうしても俺の名前だけ思い出せないって…クソッ…!」

コテツ「なんだっけなぁ…お前の名前」

ゲンマ「確か……イズモじゃないか?」

イズモ?「それだ!多分それ!」

コテツ「本人も分からないんじゃあな……」

テウチ「膝が…腰が…!」

アヤメ「お父さん、やっぱり荷物おいていこうよ。これからしばらくは、当てもなくさ迷わなくちゃならないんだから」

いのいち「当てもなくさ迷うなんて……何かいいな」

チョウザ「40代でまだ思春期なのか…お前…」

ヒアシ「全く、里長もお前達も…まぁ、何とかなりそうだな」


終わり

—おまけ—

ナルト「カカシ先生ー!」

カカシ「んー?ナルト様が俺にご用だなんて、何だか面倒くさそうですね」

ナルト「中途半端に敬ってんじゃねぇよ」

カカシ「じゃあ、ひざまずいてみちゃったりした方がいい?」

ナルト「やめてくれってばよ!そんな事よりさ、ラーメン奢ってくれよ。俺ってば禁断症状が出そうなんだ…」

カカシ「お前…本当にあの時から食ってないのか?」

ナルト「当たり前だろ。一度言ったことは曲げねぇ、それが俺の」

カカシ「あーはいはい、カップラーメンでも買ってやるよ」

ナルト「先生……本屋はこの里にいらねぇみてぇだな」

カカシ「申し訳ありませんでした!お詫びの方は如何様にも致しますので……」

ナルト「そう?じゃ、一楽のラーメン奢ってくれよな。今日、やっと開店したんだってばよ!」

カカシ「もう開店したのか。やっぱりテウチさん達は凄いな」

ナルト「あ、早食いは禁止ね。ラーメンはゆっくり味わって食べるもんだからな」

カカシ「お前には言われたくないね。ゆっくり味わって食べた事あるのか?」

ナルト「やっぱ本屋は…」

カカシ「早速向かいましょう!いくらでも食べてくださいね!」

ナルト「どんだけエロ仙人の本、好きなんだよ……あ、サクラちゃん!」

サクラ「あら?もしかしてアンタ達も一楽に?」

ナルト「え!サクラちゃんもなのか」

サクラ「だって、一楽のラーメンの味ってなんか落ち着くじゃない。お袋の味ってやつかしら」

カカシ「全然違うと思うぞ」

ザワザワ

カカシ「ん?サイも並んでないか?」

サクラ「本当だ。サイ!」

サイ「サクラ…ああ、良かった。僕一人で入らなきゃいけないところだったよ」スッ

ナルト「お前、列出ちゃ駄目じゃん!」

サイ「いや、いいんだ。ここにいればみんなに会えるかと思って、並んでただけだから」

カカシ「会いたいなら会いに来ればいいじゃない」

サイ「用もなく押し掛けるのは悪いかと思いまして…。それに、僕の計算通り会えましたしね」

サクラ「何か嫌味な感じ……まぁ、いいわ。みんなで並びましょう」

ザワザワ

カカシ「いやー、それにしても暇だね。煙草でも吸ってこようかな」スルッ

ナルト「ぎゃっ!?なななんでマスク…!」

サクラ「カカシ先生、煙草なんて吸ってましたっけ?」

カカシ「最近始めたんだよ。暇潰しにもなるし、もう少し好きに生きてみようかと思ってね」

サイ「今、煙草を吸い始めるなんて馬鹿ですね。喫煙者への風当たりは強いですよ」

カカシ「いーんだよ。ナルトに何とかしてもらうから」

ナルト「コノヤロー!あっさりマスクとってんじゃねぇよ!俺のドキドキを返せ!」

カカシ「ちょっと、誤解を招くような事言わないでちょーだい」

サクラ「あ、もう入れるみたいですよ」

カカシ「そうだな。列離れる前で良かったよ」

サイ「これってやっぱり、カカシ先生に奢ってもらえるんですよね」

カカシ「えっ」

ナルト「そんなの当たり前だってばよ。な、先生」

サクラ「やったー!ありがとうございます!」

カカシ「お前らね…」

ガララッ

ナルト「おっちゃん!味噌ラーメン大盛りで頼むぜ!」

テウチ「おう!」


おしまい

読んでくださった皆様、レスをくださった皆様、本当にありがとうございました!
レスが増えるたび嬉しくてしょうがなかったです!

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