アニ「おまじない?」 (25)

ベルトルトとアニ
10巻くらいまでのネタバレ
時代背景色々無視

~夕食中の食堂~

アニ「いっ…た」

ミーナ「どうしたの?」

アニ「…さっきの立体起動訓練で爪やられた」

ミーナ「どれどれ…うわ!爪がべりって剥がれてるーー見てるだけでいたたた!」

ベルトルト(アニ大丈夫かな…爪かあ…痛いだろうなあ)チラッチラッ

ライナー(…またアニのこと見てるのか)

ライナー「おい、ベルトルト」

ベルトルト「あ、うん、なに?」

ライナー「お前、明日の休みどうするんだ?」

ベルトルト「明日?特に予定はないけど」

ライナー「じゃあ買い物つきあってくれ、服を買い足したいんだ」

ベルトルト「ああ、いいよ」

ベルトルト(買い物かあ…アニ一緒に来ないかな…いや同郷だとバレたらまずいし無理だけど…)チラッ

~次の日~

ワイワイガヤガヤ

ライナー「街は賑わってんなあ」

ベルトルト「日曜日だからね」

ヘイラッシャイ!ヤスイヨー

ライナー「……ん!?」

ベルトルト「どうしたの?」

ライナー「あの輝かしいオーラは…!」

ライナー「おーい!クリスタ!…と、ユミルか」

クリスタ「あ、ライナー!ベルトルトも!偶然だね!」キラキラ

ベルトルト(後光が眩しい)

ライナー(結婚しよ)

ユミル「なんかでっかいのがいると思ったらやっぱりお前らか」

ベルトルト「ライナーの買い物の付き添いでね…。その袋、いっぱい買い物したんだ」

ユミル「ああ…、クリスタがあれもこれも欲しいーってな」

クリスタ「浪費はしてないもん!これでも我慢したんだよ、マニキュアとか」プンスカ

ライナー(結婚したい)

ベルトルト「まにゅ…?まに?」

クリスタ「爪をね、好きな色にできるんだよ!内地で今流行ってるんだって」

ユミル「わたしは不自然な色の爪なんて気持ち悪いと思うんだけどな…内地のお嬢様方の考えはわからん」

クリスタ「えー、可愛いのに…それにお洒落だけじゃなくて爪の保護も兼ねてるんだよ」

ベルトルト「!」

ライナー「へぇ、ただのお洒落だけじゃないのか」

ユミル「保護っていっても気休め程度じゃねーの?」

クリスタ「うっ…で、でも割れにくくなるっていうし…」

ベルトルト「…その、まにきゅあってどこで売ってるの?」

ユミル「んー?ベルトルさんよ、マニキュアは普通男はしないもんだぞ…ああ、誰かさんにプレゼントか?」ニヤニヤ

ベルトルト「っ!、違う、よ…」

ライナー(アニか)

クリスタ(アニかなあ)

ユミル(アニだな)

クリスタ「ふふっ…マニキュアならね、そこの通りを右に曲がったところの雑貨屋さんだよ」

ユミル「野郎2人で入るような店じゃないけどな」

クリスタ「でも、プレゼント用だって言えば店員さん対応してくれるから大丈夫だよ」

ユミル「ま、頑張んな。…そんじゃクリスタ、私らはそろそろ戻ろうか」

クリスタ「うん!じゃあね!」フリフリ

ライナー「ああ、またな(結婚しよ)」

ライナー「…クリスタは天使だな…。さて、その雑貨屋に行くか」

ベルトルト「え、で、でも」

ライナー「なんだ、アニに買わないのか?」

ベルトルト「そんな…、そしてよくアニってわかったね…」

ライナー「お前、見過ぎだからな。多分ユミルもわかってんじゃないか?」

ベルトルト「ええ!同郷って?」アセアセ

ライナー「いや、そこまではわかってないだろ。そうじゃなくて、お前がアニのこと好きなのをわかってるんじゃないか?」

ベルトルト「ど、どうして!…いや…そんなんじゃ…」アセアセ

ライナー「嫌いなのか?」

ベルトルト「そ、そんなわけ…ない…けど、」

ライナー「まあ、とにかくだ。そのマニキュアってやつを買いに行くぞ」

ベルトルト「でも…迷惑じゃないかな、アニは僕らと徹底的に関わらないようにしてるし…爪割れたってのも盗み聞きみたいなもんだし…」

ライナー「いいだろ、ちょっとくらい。あいつ結構乙女だし、喜ぶんじゃないか?それに女ってのはサプライズプレゼントに弱いもんだ」

ベルトルト「喜ぶ…か」

ライナー「決まりだな、行くぞ」

チャランチャラーン

店員「いらっしゃいませー!」

ベルトルト「わあ…お店がキラキラしてる…」

ライナー「おお、場違いにも程があるな」

店員「なにかお探しですかー?」

ライナー「あー、マニキュアってやつをな」

店員「マニキュアですね、こちらになります!本日新色入荷致しましたのでごゆっくりご覧くださーい!」

ライナー「これか…随分小さいんだな」ヒョイ

ベルトルト「この液を爪に塗るの?水で落ちないのかな…」

ライナー「裏の説明見る限り、落ちないみたいだな」

ベルトルト「へー…いっぱい色あるね」

ライナー「ああ。これとこれなんて、同じ色に見えるんだがな」

ベルトルト「微妙に違うんだね」

店員「お兄さんたち、彼女さんへのプレゼントですか?」

ベルトルト(か、彼女!?いや、違う、違うんだけど、いや、でもそうなれたら…)カアアア

ライナー「まあ、そんな感じだ」

店員「わあ!彼女さん、きっと喜びますよー!流行の最先端ですからね!」

ライナー「だってよ」

ベルトルト「…う、うん」

店員「お色でお悩みですか?」

ライナー「まあ、そんなとこだ」

店員「んー…、彼女さんがどんな方か教えていただけたらイメージでお選びしますよ!」

ライナー「そうか、助かる。2人とも金髪碧眼で色白でな」

ベルトルト(え、ライナーも買うの?)

店員「色白な方ならパステルカラーがかわいいですよー」

ライナー(ぱすてる…?)

ベルトルト「えっと…見た目はちょっとキツい感じだけど…本当は優しくて…女の子らしくて…その…」オドオド

ライナー(女の子らしくはないだろ…)

店員「なるほどなるほど。じゃあ、この辺の色なんてどうでしょう?」スッ

ベルトルト「あ…いいかも」

ベルトルト(うん、なんか、アニっぽい…似合いそうだし)

ライナー「おお、なかなかあいつらしい色じゃないか」

ベルトルト「うん…これにしようかな、僕」

店員「きっとお似合いになりますよー!では、黒髪のお兄さんは決まりで、そちらの金髪のお兄さんはどうします?」

ライナー「そうだな…女神とか天使とか…そんな感じの色を見繕ってくれ」

店員「」

~帰り道~

ベルトルト「なかなかいい買い物ができたよ」

ライナー「ああ、ちょっと高かったけどな…まあクリスタの笑顔が見れると思えば安い買い物だった」

ベルトルト「でも…いつ渡そう…」

ライナー「アニなら夜は部屋か資料室だ、タイミングはたくさんあるだろ」

ベルトルト「まあ…でも、ばったり会ってプレゼントって変じゃないかな」

ライナー「あー?んじゃ、いつもの作戦会議みたいに呼び出せばいいだろ」

ベルトルト「じゃあ、いつも通りライナーが呼び出してよ」

ライナー「俺が『ベルトルトが話あるってよ』って呼び出すのか?そのほうが変だろ」

ベルトルト「…うう」

ライナー「今晩の夕食の後にでもちょっと声かければいいだろ」

ベルトルト「…うん、やってみるよ」ドキドキ

ベルトルト(ライナーを介さないで2人で待ち合わせるなんてはじめてだ)

ベルトルト(で、できるかな…いや、やるしかない…)

~食堂にて夕食中~

ワイワイガヤガヤ パァン!モグモグ

ベルトルト(うう…こんな日に限ってアニと席が遠い…)チラッ

ベルトルト(…今日無理に渡さなくても…)チラッチラッ

ベルトルト(いや、流れ的に今日街で買ってきましたーのほうが…この前買ってきた、だと言い出せなかった感がすごいし…)チラッチラッチラッ

ベルトルト(!わ、今一瞬目があった!)アワアワ

ライナー「ベルトルト…アニは多分気付いてるぞ、見過ぎだ」ボソッ

ベルトルト「ええ!それ、なんか僕気持ち悪い奴じゃん…」

ライナー「挙動不審になるな、落ち着いていけ」

ベルトルト「う、うん」ドキドキ

ミーナ(うう~ん、ベルトルトはアニのこと見てるのかな)チラッ

ミーナ(アニは…気付いてないのか、気付いてないフリをしているのか…)ムムム

アニ「……」モグモグ

ミーナ(これってもしかして…切ない片思いってやつかなー!)キャー

アニ「…ミーナ、どうしたの?なんか楽しそうだね」

ミーナ「んふふー!楽しいよ!罪な女ですなあアニさん」

アニ「なに言ってんの?いいからさっさと食べ終わってよ」ゴチソウサマ

ミーナ「わたしね、さりげなく食べ終わるの待っててくれるアニが好きだよ」

アニ「…そんなんじゃないよ」

ミーナ「うふふ」ニコニコ

ベルトルト(よ、よし!今日はアニたち食べ終わるの遅い!)

ベルトルト(だいぶ食堂も人が減ってきたし…絶好のタイミングだ)

ライナー「よし、エレンたちも戻ったし、俺も部屋に戻るかな」

ベルトルト「え、行っちゃうの」

ライナー「お前だって俺がいないほうがやりやすいだろ?」

ベルトルト(…確かにオドオドしているところをライナーに見られるのは嫌だ)

ベルトルト「ま、まあ…そうだね」

ライナー「俺もクリスタに渡さなきゃいけないしな…まあお互い頑張ろうぜ、じゃあな」ガタン スタスタ

ベルトルト「うん…」

ベルトルト(……うわあああどうしようなんて声かければいい?)

ベルトルト(アニ、渡したいものあるんだ…いや、これじゃなんかだめだサプライズ感ないし)

ベルトルト(あとで資料室にきてくれる?…これでいいかな…いやでもアルミン辺りが先に居たりしたら…)

ミーナ「ふー!ごちそうさまでした!お待たせしました!」

アニ「…部屋、戻ろうか」ガタッ

ベルトルト(ああ!行っちゃう!)ガタッ

ベルトルト「ア、アニ!」パシッ

ミーナ(きたきたきたーー!いきなりアニの手首を掴むとはやるね、ベルトルト!)ニマニマ

アニ「……何か用?」

ベルトルト「…えっと、その、」

ベルトルト(どどどどうしよう何て言おう)カアアアア

ミーナ(うう…見ていたいけど…ここは空気を読んで…!)

ミーナ「アニ、わたし先に戻ってるね!」

アニ「え、ミーナ…」

ミーナ「ごゆっくりー!」ササッ

ベルトルト(ああ…ミーナごめん、ありがとう…)

アニ「…………せっかく、待ってたのに」ボソッ

ベルトルト「あ、え、ごめん…」

アニ「いーよ。で、ライナーはどこ?」

ベルトルト「あの…会議じゃなくて、個人的な用なんだ」

アニ「わたしに?」

ベルトルト「う、うん」

アニ「…だからこっち見てたの?」

ベルトルト「…う、うん」

アニ「……とりあえず、手離してよ」

ベルトルト「え、あ!ご、ごめん!」パッ

ベルトルト(うわああ無意識に手首掴んでた…アニ手首細いなあ…こんな手でライナー投げ飛ばしてるのか…)

アニ「で?」

ベルトルト「で?」

アニ「用件」

ベルトルト「あ!えーっと…その、外で話せる?」

アニ「……別に、いいよ」ハァ

ベルトルト(…よし!…第一関門クリアだ!)


~外~

アニ「………」テクテク

ベルトルト「あ、あのさ」テクテク

ベルトルト(うわあああ緊張する何年ぶりだろう、こうやって話すの)

アニ「………」テクテク

ベルトルト「…久しぶりだね、こうやって2人きりで話すの」テクテク

ベルトルト(違うだろ僕!アニはきっと用件だけ聞きたがってる!こんな世間話はいらないんだよおおお)

アニ「…そうだね」テクテク

アニ「…そうだね」テクテク

ベルトルト「…最近は事務的なことしか話さないもんね」テクテク

アニ「…今日は事務的な話じゃないのかい?」テクテク

ベルトルト「あ、うん、まあ」テクテク

ベルトルト(もう一回ポッケのなかを確認…よし、ある、渡すんだ、頑張れ僕…!)

ベルトルト「あ、そこの階段で座って話そう、灯りもあるし、人気もないし」

アニ「うん」

~階段~

アニ「…………」

ベルトルト「…今日さ、街に行ったんだ」

アニ「ライナーと?」

ベルトルト「うん、ライナーが服が足りないって言うから…で、クリスタたちに会って…あ、このくだりはいいか…」

ベルトルト(あああ何言ってるんだ僕!でもアニはちゃんと聞いてくれてるっぽい、聞き流されてる感じもするけど)

ベルトルト「でね、単刀直入に言うと…これ…受け取って欲しいんだ」ゴソゴソ

アニ「…これ、なに?すごい、このラッピング…キラキラしてる」

ベルトルト「、プレゼントだよ」

アニ「…わたしに?」

ベルトルト「う、うん」

アニ「…誕生日でもなんでもないんだけど」

ベルトルト「あ、えーっと、その…」

アニ「…開けてもいいかい?」ガサガサ

ベルトルト「う、うん」

ベルトルト(よし、受け取ってもらえた…け、けどどうしよう、気持ち悪いと思われるかな、いきなり…)

アニ「…かわいい…」キラキラ

ベルトルト「ほ、ほんと!?」

アニ「でもこれ、なに?」

ベルトルト「内地で流行ってるマニキュア、ってやつだって」

アニ「ああ…聞いたことある…実物は初めて見た」

ベルトルト「そ、その、アニに似合いそうな色だなって思って…」

アニ「……淡いピンクが?」

アニ(…こんなかわいい色、似合わないよ)

ベルトルト「うん、アニって目の色とかクールなところとか、普通に考えると水色っぽいけど」

ベルトルト「…でも…本当は優しくて、女の子らしいから、ピンクにしたんだ」

アニ(や、優しい…女の子らしい…はじめて言われた…)カアアア

ベルトルト「それに、アニは色素が薄くて色白だし、指も細いし、…ピンクが似合うかなって…」

アニ「も、もういいよ」

ベルトルト「それにアニ、爪割れたって聞いて…これ、爪の保護効果もあるらしいんだ…せっかく綺麗な手してるんだから、」

アニ「も、もういいって!!」カァァァ

アニ「…恥ずかしいから、もう言わないでよ」

ベルトルト「あ、ご、ごめん」

ベルトルト(あああ恥ずかしいこと言っちゃったのか…思ったことを言っただけなのに…)

アニ「……ベルトルトには、わたしがそんなに女の子らしく見えるわけ?」

ベルトルト「う、うん…確かにライナー投げ飛ばしたり、強いけど…でも、…か、かわいい女の子だよ」

アニ「」

ベルトルト「……アニ?」

ベルトルト(どうしよう、アニが固まっちゃった…かわいいとか言わなきゃ良かったかな…)

アニ(…そ、そんな風に見えてたのか…)カァァァ

ベルトルト(な、なにか話そう、沈黙が怖い)

ベルトルト「あ、そ、その、塗ってみない?今」

アニ(…似合わなかったらどうしよう…でもせっかくの好意を無駄にしては悪い…)

アニ「、うん」キュポン

アニ「……ひやっとする」ヌリヌリ

ベルトルト「なんか独特な匂いがするね」

アニ「……乾いた」

ベルトルト「、見せて!…やっぱり、似合ってるよ!」

アニ「…そう?」

ベルトルト「うん、すごく綺麗だ」

アニ「っ、大袈裟だよ…」カァァ

アニ「…でも、このくらいの控えめな色なら…普段から使える」

ベルトルト「…うん!気に入ってくれた?」

アニ「…うん、すごく」

ベルトルト(…ちょっと笑った…ああ…買って良かった…!)ニコニコ

アニ「…他の爪も塗ろ」ヌリヌリ

ベルトルト「うん、うん」ニコニコ

ベルトルト(ああ…幸せだな…奮発した甲斐があったなあ…)

アニ「…右手、塗りづらい」

ベルトルト「左手で塗るからね。…僕が、塗ってあげるよ」

アニ「…ありがとう」

ベルトルト「アニは手が小さいね」ヌリヌリ

アニ「あんたがでかすぎるんだ」

ベルトルト「そうかな」ヌリヌリ

アニ「…そうだよ」

アニ(…大きい手は好きだ、落ち着くし、守られてるような気がするから)

アニ(ベルトルトの手、ゴツゴツしてるな…いかにも男って感じの、手)カァァ

アニ(マニキュアが冷たくて、でも手はあったかくて、くすぐったいけど気持ちいい)

ベルトルト「…3人で、故郷に帰れますように」ヌリヌリ

アニ「なに、唐突に」

ベルトルト「おまじない」ヌリヌリ

ベルトルト「願いながら塗れば、叶うかなって」ヌリヌリ

アニ「あんた、結構ファンシーなこと考えるよね」

ベルトルト「そ、そんなことないよ…ただ、本当に、帰りたいなあって」ヌリヌリ

アニ「………そうだね」

ベルトルト「……できた」

アニ「…ありがとう、…このマニキュア、大事にする」

ベルトルト「いっぱい使ってよ、なくなったらまた買ってきてあげるから」ニコニコ

アニ「…次は、わたしも行く、一緒に」

ベルトルト「……!、うん!」

アニ「……おまじない、叶うといいな」

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