大石泉「安易ロジカル・チェックメイト」 (154)

安易――たやすいこと、気楽でいい加減なこと。
イロジカル――。非論理的な、不合理な。

モバマスの大石泉SSです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1379141708

泉「ふんふんふーん♪」

泉(友達に誘われてトップアイドルを目指すことになったなんて。昔の私が見たらどう思うだろ?)

泉(有り得ない、非論理的って言うだろうな、きっと。現在進行形で私らしくないことしているなって思っているし)

泉(それは多分、亜子とさくらがいてくれたから。だから私は、一歩前に踏み出すことができた。2人には感謝しても、し足りないぐらいだ。ありがとう)

泉(それと……)

泉「あっ、帰って来た。おかえりなさい!」

P「ただいまー! ふぃー、疲れたよ」

泉(彼がそばにいる日常なんて。どんなデータを見ても、分かりっこなかったな)

泉「今日もお仕事お疲れ様でした。ご飯もうすぐ出来るからね」

P「この香りは……、カレー!」

泉「正解。あなたの好きなもの、作っちゃいました」

P「あはは、すっごく今更だけど……。あなたってやっぱり恥ずかしいかな」

泉「そう? それじゃあ……ダ、ダーリンとかは?」

P「うぐっ! すげー破壊力……」

泉「ふふ……、それじゃあ今からダーリンって呼んであげるね。ちょっと恥ずかしいけど。ほらっ、もうスグだから。座って待ってて、ダーリン」

P「それ、気に入ってない? それじゃあ俺も、ハニーって呼ぼうかな」

泉「そ、それはちょっと違う気がするかな……。恥ずかしいよ」

P「うん。自分で言ってみてなんか違うなって思ったり。でもさ、後二ヶ月で俺たち」

泉「そう、だね。やっぱりまだ、変な感じ。普通に高校を出て、良い大学に行って、プログラミング関係の仕事につくと思ってたからさ」

泉(キラリと光る左手の指輪。みんなの前では秘密にしているけど……、実は私たち)

泉「婚約……。やっぱり実感沸かないな……」

泉(結婚ができるのは16歳からだけど、実は婚約は15歳でも出来る。つい最近まで知らなかったけど)

泉「世の中、何がどうなるかなんて分からないものだね」

データやロジックなんかでどうにもならないのが人とのつながり、人生。
そんなイロジカルな世界で生きる、私と彼と仲間たちの、他愛のない毎日のお話――。





~アイドルになる前の話~



泉「……こう来たら次は」

さくら「イーズミンっ! なにやってるのぉ?」

亜子「それは……何やっけ。棋譜?」

泉「うん。チェスのね」

さくら「チェス? チェスって将棋の親戚だよね?」

亜子「それはちょっと違うんじゃないかな。言わんとしていることは分かるけど、ルールもちゃうで?」

さくら「オセロみたいなシンプルなのがいいよぉ!」

亜子「あれもあれで頭脳ゲームやけどね。で、棋譜まで用意するなんて。ずいぶん本格的やね。そもそも泉ってチェスなんかしてたっけ?」

泉「昨日始めたんだ。暇を持て余したときに、オンラインチェスのサイトがあって。お父さんがチェスとか将棋が好きだったから一応ルールは知ってたし、面白そうだから始めて見たんだ」

さくら「いいなぁ。イズミンは暇が有って。わたし、宿題がたまって寝る時間もないよぉ。だから宿題見せて欲しいなぁ……。ダメ?」

泉「分からないところを教えるのはいいけど、自分でやらないと意味がないよ?」

さくら「むぅ……」

泉(つつきたい、この頬っぺた)

亜子「オンラインチェスねぇ。そういうのって、チェスに自信のある人ばっか集まるんちゃうの?」

泉「初心者ルームは有ったよ。未経験者やビギナー対象の部屋がね。最初はそこで打ってたんだけど……」

亜子「あー、分かった。無双してしまったんでしょ。泉のことやし」

さくら「イズミーン、これ見方が全然わからないよ……。ゴチャゴチャしてるし」

亜子「いやぁ……、見上げた努力やな。お金がかかってるわけでもないのに、ようやるわ」

泉「うん。最初の方は棋譜を取ってなかったから、思い返しながら作ったんだ。おかげで少し寝不足」

亜子「お、憶えてたんや……」

泉「間違いないって自信を持って言えないけど、駒の動きはこんな形だったよ」

さくら「それでも凄いよね!」

亜子「それだけの労力使う余裕があるんなら、あの話も前向きに考えといて欲しいんやけどね」

泉「あの話……? 亜子が大阪プロレスに出るっていっていたやつ?」

亜子「そーそー! ダンプ土屋ってリングネームで極悪非道の限りを……ってちゃうよ! アタシ一度もプロレスの話題だしたことないって! しかもなんで大阪プロレスなんよ! お笑い枠って言いたいんか!?」

さくら「アコちゃん! 座布団投げは任せてねっ!」

亜子「なんかゴッチャになってるけど、投げるんはタオルよ?」

泉「サレンダー確定なんだ」

亜子「それはそれで嫌なんだけど。ほら、アイドルのことやって!」

泉「そういやそんな話していたね。あれ本気だったんだ」

亜子「当然! まさかその場の思い付きでアイドルなりたいって言ってると思ってます?」

泉「うん。その日って数学の授業で印税の話題が出てた記憶があるし」

亜子「しっかり憶えてるやん。まぁそれがトリガーってのは認めるよ? 印税入るし広告料も入るし局や事務所のお金でどこにでも行けるし」

泉「コネを作って他のアイドルのライブのチケットを貰ってダフ屋でもするつもり?」

亜子「……ごめん、その考えはなかったわ」

さくら「イズミン、流石にそれはダメだよ。ダフ屋って何か分からないけど」

泉(私亜子より守銭奴なの!?)

さくら「でも有名人にたくさん会えるよね! 片桐はいりさんとかつ!」

泉(なぜそのチョイス)

亜子「動機なんてそんなもんやって! 楽しそう、それでええやないか! アタシとさくらと泉。3人でならこの群雄割拠の芸能界で新たな波を起こすことができる! そう思ってるんよ」

泉「さくらとって言うけど、さくらもアイドルになるの?」

さくら「もっちろん! アコちゃんとイズミンと一緒なら、どんな困難もへっちゃらだよぉ! ねっ!」

亜子「そう! アタシたちはいつも3人で1つやったやん! 地元じゃ負け知らず、そうやろ?」

泉「勝ちも知らないけどね」

亜子「い、痛いとこつくよね……」

泉「アイドル、か……。私には向いてないよ」

泉(亜子みたいに行動力があるわけじゃないし、さくらみたいに可愛げもない。話が面白いわけでもないし、アイドルとして輝ける要素は0。論ずるに値しない)

亜子「向いてない、ねぇ。アタシはそう思わないけどね」

さくら「わたしもだよ! イズミンがアイドルなんて、ちょー可愛いじゃん!」

泉「か、可愛い? 私が?」

さくら「あっ、頬っぺた赤くなってる! イズミンがアイドルになったら、みんな絶対応援するよぉ!」

亜子「まっ、難しく考えないで気軽に考えといてよ。どうせなら、三人まとめてシンデレラや!」

泉(私がアイドル……)

泉弟『姉ちゃんがシンデレラガール? ツンデレラの間違いじゃないの? べ、別にあんたのためにガラスの靴置いたんじゃないんだからねって? ごめん、面白いわ』

泉(笑われるよね)

泉の部屋

泉「データは頭の中に叩き込んだ。今度こそ、負けない」

美味しい水さんがエントリーしました。対局相手を選択しますか?

泉「……」

ロクヨンダイバーさんに挑戦状を送りました。

泉「!」

対局の準備が出来ました。30番ルームへ案内いたします

ロクヨンダイバー:やあ。また来るんじゃないかなって思ってたよ

美味しい水:ええ。負けっぱなしは嫌ですから。今度こそ、チェックメイトして見せます

ロクヨンダイバー:それは楽しみだ。それじゃあ良い勝負をしよう

美味しい水:こちらこそよろしくお願いいたします

泉「私からか。それじゃあこのポーンを定石通りe4に……」

泉「c5か。やっぱり向こうもこう来るよね。ならばナイトをf3で……、ポーンd6、これも基本に忠実に来たね」

泉(相手の一手二手……いや、五手先を読む。私にはアイドルよりもこっちの方が向いて……)

亜子『動機なんてそんなもんやって! 楽しそう、それでええやないか! アタシとさくらと泉。3人でならこの群雄割拠の芸能界で新たな波を起こすことができる! そう思ってるんよ』

さくら『イズミンがアイドルなんて、ちょー可愛いじゃん!』

泉(私は……)

泉「! しまった、その駒を動かしたら!」

ロクヨンダイバー:チェックメイトだよ

泉「クッ、また負けた……。こんなつまらないミスで……」

美味しい水:また、負けちゃいましたね

ロクヨンダイバー:いや、結構こっちもギリギリだったよ? 美味しい水さんも凄いスピードで上達しているし。だけど、最後のはちょっと頂けなかったかな。突然キングをポーンで狙える位置に置くんだもの。ちょっとビックリした

美味しい水:申し訳ありません。お恥ずかしい悪手を見せてしまって

ロクヨンダイバー:気にしない気にしない。どうする? もう一度する?

美味しい水:いえ。多分今日はもうまともに打てなさそうですし、これで終わりにしておきます

ロクヨンダイバー:そう? それじゃあ少しお話しません? あっ、如何わしいことはしないよ? そういう場じゃないし、俺にはそんな度胸もないしね

泉「少しぐらいなら良いかな」

美味しい水:お話ですか? 構いませんけど、私は余り面白くないですよ?

ロクヨンダイバー:俺も似たようなもんだから気にしない気にしない。第一仕事が終わってやることがオンラインチェスってのも、格好いいんだか格好悪いんだかね

泉(こんな手を打つ人がつまらないとは思わないけど……)

美味しい水:では……、1つ悩み事を話してみてもいいですか?

ロクヨンダイバー:えっ? 悩み事? 見ず知らずの相手に話しても言いの?

美味しい水:なんとなくですけど、あなたになら話しても大丈夫かなって思って

泉「我ながら論理的な答えじゃないわね……。変な人って思われたかも」

ロクヨンダイバー:買いかぶりすぎだと思うけど……。まぁ俺の答えれる範囲でなら、何でも聞くよ

美味しい水:ありがとうございます。それじゃあ……、アイドルってなんでしょうか?

ロクヨンダイバー:はいっ? アイドル? アイドルって、テレビで歌って踊るアイドルで間違って……無いよね?

ああ、チェスは8×8か

美味しい水:ええ。そのアイドルです。実は、私一緒にオーディション受けないかって相談受けているんです

ロクヨンダイバー:なんと! そいつは凄いじゃないか

美味しい水:凄いのは……、私以外の2人です。1人は凄く元気があって、みんなを笑顔にする天才なんです。とても可愛くて、一緒にいて安心する、そんな子です

美味しい水:もう1人はお金にがめついところはありますけど、やるって決めたら全力で走り抜けるような行動力があります。話も面白いですし、気が付いたら相手と仲良くなっているような子です

ロクヨンダイバー:へぇ。それは素敵な子たちだね

美味しい水:はい。親友として誇らしいぐらいです。きっと2人となら、アイドルも楽しいんじゃないかなって思えるぐらいで

美味しい水:だけど私はアイドルってキャラじゃないんです。趣味はプログラミング、可愛げ有りませんし、面白い話も出来ない。だから

美味しい水:そんなもの、本当にあるんでしょうか?

ロクヨンダイバー:有るさ! アイドルらしくない、って思うかもしれないけど君の冷静な性格は君の魅力だと思うよ。相手の何手先も読んで先回りするその分析力っだって、立派な武器さ

美味しい水:アイドルらしくないですね

ロクヨンダイバー:そんなものだって。それに、俺こう思ってるし。是非とも君達に一度会ってみたいって

泉「!?」

ロクヨンダイバー:あっと、今の言い方じゃ誤解を生んじゃいそうだな。ここで連絡先を乗せるわけにもいかないから……、一度このサイトに飛んでほしいんだ

美味しい水:これは?

ロクヨンダイバー:もしかすると、君たちの力になれるかもしれないよ。興味があるなら、電話かメールが欲しいな。一応美味しい水さんと分かるように、今日の対極の初手の内容を言ってくれれば対応するからさ。それじゃあ、続きはそっちの方でしようか! では、おやすみ!

美味しい水:待ってください! 説明がまだ

ロクヨンダイバーさんが退出しました

泉「……どういうことだろう。悪質なサイトに繋がったりはしないよね。入力してと」

泉「芸能事務所サンドリヨンプロダクション?」

泉(これが、後に所属することになるサンドリヨンプロダクションとの出会い。そして……)

P「美味しい水さん、で良いんだよね」

泉「! ええ、ということは」

P「ハンドルネーム:ロクヨンダイバーです。その正体は、アイドルプロダクションでプロデューサーをしているよ。まぁ、駆け出しだけどね」

泉(プロデューサーとの、出会い――)

Opening end

とりあえずここまで。書き溜めしながらなので更新は早くないと思います。
チェスに関しては素人なので、笑い飛ばして下さい。

これは面白い導入部
続きにも期待

乙ですっ☆
これは期待せざるを得ない!
楽しみ!

イズミン2枚目引いたんで支援。

>>20>>21の泉のセリフ繋がってる感じ?

いずみんにダーリン呼びされるとか鼻血吹きそう
期待

>>27
そうですね。ちょっと分かりにくくて申し訳ないです

大石泉(15)
http://imgur.com/qAaBCWU
http://imgur.com/CRCX0mJ

土屋亜子(15)
http://imgur.com/VhjtcqS
http://imgur.com/NqdZQxE

村松さくら(15)
http://imgur.com/ts7Mz6S
http://imgur.com/GiXN3JT

片桐はいり(50)さんの画像も用意しようかと思ったけど、流石に止めました。

画像はimgurにアップした後、その画像をクリックしてひらいたURLを貼るとjpgが末尾に付きますよ。
そちらを貼る方がお薦めです。

http://i.imgur.com/Kn02ujr.jpg

よくわからないけど、これで良いのかしら


大石泉(15)
http://i.imgur.com/jIZDzq0.jpg
http://i.imgur.com/iLOsPmb.jpg?1

>>31
jpgで終わってるアドレスひっぱればいいんよー
上から二番目のやつね

土屋亜子(15)
http://i.imgur.com/GXsqpJ4.jpg?1
http://i.imgur.com/M0W92e2.jpg?1


村松さくら(15)
http://i.imgur.com/M47D6Yb.jpg?1
http://i.imgur.com/izTcJej.jpg?1

とりあえず書いていきます

泉「……」

P「おーい。泉ー、もしもーし?」

泉「! ごめんなさい。少し昔を思い出して」

P「昔?」

泉「うん。チェスで負けたこととか、喫茶店で出会ったこととか。色々だよ」

P「昔ってほどでもないけどね。10ヶ月前ぐらいの話かな」

泉「なんでだろ、凄く前のことに感じちゃった。こうやって一緒にいることが当たり前みたいになって来たからかな」

P「どうだろうね。ところであのマスター、まだ現役なのかな。引退される前に一度でも勝っておきたいものだ」

泉「ダーリンは負けず嫌いだもんね」

P「ま、まだダーリンを引っ張りますか」

泉「ふふっ、あなたっていうのも新婚さんみたいで好きですけど、ダーリンって呼ぶと顔を真っ赤にするんだもの。可愛い」

P「そりゃあまぁ、慣れてませんからね。泉みたいに可愛い子にダーリンって言われるなんて、男の子は誰だって望むことだよ」

泉「可愛いだなんて。私の弟は言わないと思うけどね」

P「弟君はまぁ別じゃない? さてと、晩御飯食べようか。頂きます」

泉「頂きます」

P「おやっ?」

泉「味はどうかな? ちょっとスパイス変えてみたんだ」

P「だからか。いつもと違うなって思ったけど、そういうことね」

きてるー!
期待機。

P「ごめんごめん。でもそう涙目になられると、中々来るものがあるな……」

泉「変態」

P「いやいや、何を言いますか。男はすべからく変態だって前川君も言ってたじゃないですか」

泉「肯定したね。って前川君って誰?」

P「誰だろ? あっ、一応確認しておくけど。すべからくの使い方、間違ってないよね?」

泉「うん。正しいよ。当然のように変態なんだ」

P「そう言うものじゃない?」

泉「じゃあ一緒の布団で寝るの止めとくね。変態さんに何されるかわからないし」

P「おいおいおい! 話が違うじゃないか! 1人だと寂しいって布団に入ってきたの、イズミンのほうでしょ? すでに運命共同体となっておりますので、どうか最後までお付き合いくださいって」

泉「言ってないよ、そんな気持ち悪いこと。寂しい、ってのは否定しないけど……。あれ? 今イズミンって呼ばなかった?」

P「さくらをリスペクトしてみました」

泉「あなたに言われると変な感じ。イズミン、か。私にしてはちょっと可愛らしいあだ名かな」

P「最初聞いたときピクミンと聞き間違えたんだよね」

泉「そうだったね。でも本当に、あなたの後ろをついていくことになるなんてね」

P「後ろじゃなくて、隣。でしょ?」

泉「ふふっ、それもそうだね」

P「でもひょこひょこ後ろについてくるのも可愛いかな。私たちイズミン、あなただけについて行くって」

泉「最後食べられちゃうよ。別の人に」

P「それは嫌だ」

泉「うん、私も嫌。だから……後2か月ぐらい残っているけど、あ、貴方ために美味しくしているから、ね?」

P「か、可愛い……! さ、さっきの貴方の部分、ダーリンにしてもっかい!」

泉「えっ? えっと……、言わなきゃダメ?」

P「嫌ならご主人様とかでもいいけど?」

泉「わ、分かったよ。ダ、ダーリンの! ために美味しくしているから、ね? だから……、他の人を見ちゃダメだから、ね?」

P「」

泉「……失神しちゃった」

P「あまりにも泉が可愛くて破壊力が高かったので、俺以外に言わないでね」

泉「言わないよ。恥ずかしいし、ダーリン以外に聞かせたくないし」

P「ダーリン呼び結構気に入ってない?」

泉「そんなこと……」

泉(あるけど)

P「しかしまぁ、こうやって泉といちゃつけるのも、チェスを嗜んでたからってのが面白いよな。すべてはチェスに通ずとはよく言ったものだよ」

泉「初めて聞いたな、その格言」

P「5秒で考えたもん」

泉「色々思い当たる節があったから納得出来るんだよね」

/

P「まぁ俺らからすれば、強ち間違ってないもんね。風呂出たらさ、久しぶりに一戦やらない?」

泉「一戦とか言って、結局何度もしてると思うよ? それに、明日もお仕事があるでしょ。私もあるし」

P「それは……、いつも泉が勝つまでやってるからじゃない? もう一戦、もう一戦って」

泉「ダーリンだって中々負けを認めたがらないじゃない。でも最近ご無沙汰だし、勝負勘を取り戻す意味でも付き合おうかな」

P「そう来なくちゃ。そうそう! さっき言いそびれてたけど」

泉「何?」

P「このカレーのスパイチュ、俺好みだよ。特に愛情が」

泉「わ、忘れろー! 忘れろ忘れろ忘れろビーム!」

泉(忘れることなんて出来ないんだ。彼と亜子、さくらと過ごしてきた時間と、何度も何度も繰り返された棋譜は)

泉(決して色褪せることはないんだから)

サンドリヨンプロか…たしかにそうなんだけど

>>42
いずみん、なんで風紀委員の必殺技を……

?プロデューサーと出会う話?

泉「ねぇ……。さくら、亜子。アイドル事務所、紹介しようか?」

亜子「へ? 事務所? どしたの、藪から棒に」

泉「いや……、昨日どうしても勝てない人がいるって言ったよね」

さくら「チェスがちょー強い人だよね! どうだった? 勝てた?」

泉「ううん。良いところまで行ったけど、自滅しちゃった」

亜子「自滅? 泉らしくないワードやね。なんか疾しいこと、考えとったんちゃう?」

泉「違うよ」

泉(2人のせいだよ、とはとても言えない)

亜子「で、そのちょー強い人と、アイドルプロダクションがどう関わってくるん?」

泉「確証はないけど……、その人芸能関係者っぽいかも」

亜子「なんと! 思わぬ所から出て来たなぁ。で、なんて事務所?」

泉「サンドリヨンプロダクション」

さくら「サンドリヨンってなぁに?」

泉「シンデレラのフランス語読みだよ」

さくら「わたしフランス語知ってるよ! えーと……フレンチ!」

亜子「それ英語やね。サンドリヨン、ねぇ。んな洒落た名前より、サンドノメシの方が好きかな」

亜子「シンデレラプロダクションなら知ってるよ? 業界でも大手に入る今最もホットな事務所らしいし」

さくら「ニュージェネの事務所だよね!」

亜子「他にも人気アイドルが多く所属しているし、オーディションやスカウトも積極的にやっとるとこみたいよ」

泉「調べてみたら、その系列事務所みたいだね。ただ出来てまだ歴史が浅いのもあって、所属アイドルはいないみたい。とりあえず事務所作ってHP立てました、って所だと思う」

さくら「ねーイズミン。誰もいないって大丈夫なの?」

亜子「ちょーと怪しいなぁ。デレプロ系列って言うからには信用してもよさそうやけど……」

泉「それなら心配ないよ。シンデレラプロダクションの方に電話して確認は取ったから」

さくら「さっすがぁ! イズミン準備がはやぁい!」

亜子「抜かりないね。しっかし顔も素性もしらん相手スカウトするつもりなんかね? そのチェスの天才さんとやらは」

泉「そこまで言っていないけど……。でも力になるかもしれないって言ってたよ」

亜子「しっかしなぁ、こう旨い話が転がってくるってのは、その裏にロクでもないことが待ってるのが相場やん」

さくら「でも他にアイドルになる方法ってないよ?」

亜子「いや。オーディションやらスカウトやらあるけど……、どちらも東京とか都会にいかな参加出来ひん。本当にこっちに興味有るのならば……来て貰おうか。信用に値するか、そこで見定める。お金は成るだけ使わん方向で」

泉「分かった。少し交渉してみるね」

亜子「交渉事ならアタシの出番よ?」

泉「話を最初に聞いたの私だから。ちょっと待ってて……」

???『はいっ、お電話ありがとうございます! サンドリヨンプロダクションでございますが……』

泉(女性? ロクワンダイバーさんじゃない?)

泉「あの……。そうだ、e4、c5」

さくら「いーよん、しーご?」

亜子「なんや? 推理小説のダイイングメッセージか何か?」

さくら「ライジングソーセージ?」

亜子「……双海姉妹?」

???『e4、c5? ……ああ! 失礼いたしました! 弊社のプロデューサーに電話を替わりますね! 少々お待ちください』

泉「伝わったの、かな?」

さくら「ぜぇんぜん分からなかったよぉ」

亜子「なるほど、泉とそのチェスの天才さんとの間の秘密のやり取りがあったってことですな」

さくら「イズミン青春してるねぇ」

泉「違うって。っと、変わったみたい」

?『ただいま電話変わりました、○○です。美味しい水、さんだよね?』

泉「! ええ、ということは」

P『ハンドルネーム:ロクヨンダイバーです。その正体はアイドルプロダクションでプロデューサーをしているよ。まぁ、駆け出しだけどね』

泉「やっぱり、芸能関係者だったんですね」

P『まあね。信用して貰えるかは分からないけど、一応弊社はシンデレラプロダクションの』

泉「系列事務所、ですよね」

P『あらっ、事前に調べてたか。確かに設立したてでアイドル候補生すらいない名前だけの事務所だけど、天下のデレプロのお墨付きさ』

泉「ええ。十分理解いたしました」

P『なら良かった。名前も顔も明かさずに一方的に話を進めたからさ、疑われてるんじゃないかと思って』

泉「その心配はなさそうですね」

P『そういうこと。だから俺達のことを信用してほしいな。そうそう、電話を入れてくれたってことは、アイドル活動に興味がわいた?』

泉「一応話を聞く価値はあるかなと思いました」

P『ありがたい! 実はさ、スカウト活動をしていたんだけど、どうも上手くいかなくて困っていたところなんだよ。だからこうやってアイドルに興味があるって子は大歓迎だよ』

亜子「例のアレ、言ってみて」

泉「それなんですけど。私たち、静岡県の高校に通っているんです」

P『静岡県ね。ちょっと遠出になるけど、行けない距離じゃないね』

泉「その……、やはりこちらから伺った方がよろしいでしょうか?」

P『いや、旅費は事務所で出るし俺から赴くよ。美味しい水さんって高校生だよね。貴重なお小遣いを使わせるのも悪いし。それに静岡を観光するいい機会だ、静岡でスカウト活動していた時に君らと出会った、ってことにすれば良いさ』

泉「あちらから来てくれるみたい」

亜子「っし! 旅費浮いた!!」

さくら「アコちゃん、聞こえちゃうよ」

亜子「っとっと。ついつい叫んでもうた」

泉「ありがとうございます。では、いつ静岡に来られますか?」

P『早い方がいいよね。まぁこっちも暇だから……、明日伺うよ。最寄り駅ってどこかな』

泉「清水駅です」

P『清水……、ちびまる子ちゃんの舞台か。それじゃあ授業が終わる時間……、5時に駅付近の喫茶店で落ち合おう。ついたらこちらから連絡を入れるよ。2人の友達と一緒に来ればいいよ』

泉「では……喫茶店アリスミラーで落ち合いましょう」

P『了解いたしましたっと。一応簡単な面接はするつもりだよ。それと、証明写真を撮っててくれると有りがたいかな』

泉「了解致しました。2人にもそのように伝えます」

P『さてと。こんなところかね。じゃあ明日、3人に会えることを楽しみにしているよ。……っと失礼! そういえば、まだ名前聞いてなかったね。ずっと美味しい水さんって呼んでたし』

泉「大石泉です」

P『大石泉……。だから美味しい水、ね。なかなかユーモアがあると思うよ? それじゃあ、失礼します』

亜子「どやった?」

泉「明日の授業後、喫茶店アリスミラーで待ち合わせだよ」

さくら「履歴書とかいるのかなぁ?」

泉「面接をするとは言っていたけど、写真だけでいいみたいだよ」

亜子「なんか話が上手くいきすぎて怖くなってきたな……」

さくら「大丈夫だよぉ! イズミンがついてるもん! だいじょーぶ、だよね?」

泉「私は、話を聞くだけだよ?」

亜子「またまたぁ! ホントは少しだけ、興味あるんとちゃうの?」

泉「まさか……。少しだけ、なら」

さくら「やったぁ! イズミンと一緒にアイドルやれるね!」

泉「だから話を聞くだけだって」

泉(でも、悪くないと思っていたり)

亜子「ほなっ、証明写真取りに行こうや! 写真は重要よ、ここでいかにインパクトを与えるかが重要や!」

さくら「インパクトなら任せてぇ! この前お父さんがセ下位の終わり? とか言うバンドのピエロマスクを拾ってきたからそれを被れば」

泉「インパクトはあるけど、顔見えないよ。それにこういうのはきちんとしたところで撮らないと。亜子のことだから、機械で済まそうと思ってるんじゃないの? 素直に写真屋さんで撮ってもらおうよ」

亜子「うーん。まぁちと値は張るけど……、そこはアタシが値切っておくから! 安心して頂戴!! 定価なんかには絶対負けんで!」

さくら「すごぉい!!」

泉「商店街の八百屋さんじゃないんだから……」

サンドリヨンは、フレデリカも知らなそうだ。

亜子「やっぱり、定価には勝てんかったわ……。とほほ、アタシャ情けないよ」

さくら「アコちゃぁん……」

泉「それが普通だよ」

泉(亜子よ、あなたは一体何を期待していたのか。翌日へ続く)

とりあえずここまで。読んでくれた方、ありがとうございました

乙ですっ☆
ストーリーは間違いなく王道だが、小ネタが楽しいな。
続きも期待。

書いて行きます

翌日

さくら「うぅ……」

亜子「覚悟しとったとはいえ、き、緊張してくるもんやね。アカン、ちゃんと面接できるか心配なって来た……」

泉「ステージに立つわけじゃないんだから。そのままの2人でいいと思うよ」

さくら「イズミンは緊張しないのぉ?」

泉「別に、緊張なんて……ふぁーあ」

亜子「緊張して寝付けなかった、違う?」

泉「ち、違うよ。ネットサーフィンしてただけ」

泉(寝つけたの4時ごろだったけど……)

亜子「それじゃあ、最終確認や! 家族にアイドルになるかもしれないことをちゃんと相談したか!? 勿論、清水を離れることになるかもしれないと、説明したか! はいさくら!」

さくら「はぁい! 東京で生活するかもしれないって言ったら、ちょっと寂しそうにしていたけど……。最後は応援してくれたよぉ」

亜子「オッケーイ! 次、泉!」

泉「一応したけど……、案外そっけなかったよ? 3時間もしない距離だからかな」

泉(そもそも自分でもよく分からないのが本音。準備は……抜かりないけど)

亜子「それはその時やね。最後の最後やけど、忘れ物してないよね?」

さくら「うん! 写真持ったし、ハンカチも家を出るときお母さんから貰ったし、ポケットティッシュもあるよぉ! あっ、お菓子は500円までだよね!」

亜子「遠足にでも行くん? 泉は……、大丈夫よね。PCまで持ち込んでるし」

亜子「えーと……。プロデューサーちゃんとやらは……」

さくら「あの人かなぁ? カウンターでマスターとチェスしているよ」

泉「あの手は……。うん、あの人だと思うよ」

亜子「もしかして、打っている手を見てプロデューサーと思ったりした?」

泉「うん。あの駒の動かし方は私が対局した人の手に似ているから」

亜子「ホンマよう憶えとうな……。勧誘しといてあれやけど、そのまま学者の道進んでもええんちゃうかな」

泉「それも悪くないかもね。その時は、学者系アイドルになるのかな」

亜子「冗談やってんけどね」

マスター「チェックメイトです」

P「むむっ、やられてしまいましたね。オンラインでは負け知らずだっただけに、こうやって負かされちゃうと凹んじゃいますね」

マスター「いえ、若いのに筋のいい打ち方をしていましたよ。おや、どうやら貴方にお客様ですね」

P「! もしかして……」

泉「はい。大石です。それでこの2人が」

さくら「む、村松さくらでぇす!」

亜子「土屋亜子! プロデューサーちゃんでええんよね。シクヨロ!」

P「ということは君たちが……。オーケーオーケー。それじゃあ席に座ろうか。マスター、いい試合でした。感想戦はまた後程」

マスター「ええ、こちらこそ久しぶりに楽しめました。ごゆっくりしていってください」

P「さてと……。少し情けないところを見せちゃったね」

泉「マスター、チェスが強いんですか?」

P「うん。オンラインで戦ったてきた連中の何倍も強いよ。というか俺って面と向かってチェスを打つのは苦手なんだよね。まぁチェスの話題はそんなところにして、と。2人はサンプロの話は聞いているかな?」

さくら「サンプロ?」

P「サンドリヨンプロダクション、略してサンプロってとこかな。いちいち社名言うのもめんどっちいからね」

亜子「デレプロさんとはどういう関係になるんです?」

P「デレプロ系列は他にもあるんだけど、サンプロが一番若い事務所になるかな。まだ社長と事務員とプロデューサーである俺だけしか所属していないけど、レッスンとかはデレプロと同じトレーナーたちが担当するよ」

亜子「それは美味しい立場ですね」

P「弱小事務所……と言われたら反論できないけど、所属アイドルに不自由させるような事務所じゃないってのは分かってほしいな。それと……、念押しの意味でこれを見て欲しいんだ」

かな子『それじゃあ、コホン! アイドルって特別なもの、自分にはあり得ないと思っている人も多いと思います。事実私もそうでした。だからプロデューサーにスカウトされたとき、すっごく驚きました』

さくら「プロデューサーさんがスカウトしたんですか?」

P「んにゃ、俺の先輩プロデューサーのことだね。入社した時から世話になって来た頼れる先輩さ。その関係でかな子ちゃんとも交流があったんだ」

泉「三村さんはデレプロのアイドルでは?」

P「実を言いますと。俺って元々デレプロに入社していて、雑務だったりスケジュール調整をしてたんだ。新事務所を立ち上げるにあたって、先輩が俺を推薦したんだとさ」

かな子『不安な気持ちでいっぱいだと思います。だけど、ステージに上がった時、きっとこう思えるはずです。アイドルになって良かった、って。偉そうなことは言えないんですけど……、一緒にステージに立てたら。それは凄く素敵なことだと思います。えっと、こんなので良かったですか?』

P『十分すぎるぐらいだよ。かな子ちゃん、ありがとう』

???『あっ、撮影始まっていますか? タブレットをご覧の皆様始めましてっ、三村かな子です』

さくら「あっ! かな子ちゃんだぁ!」

亜子「三村かな子って! こ、これモノホンですか?」

泉「合成とかではなさそうだよ。本物みたいだね」

P「実績も何もない会社だからね。キチンとした事務所ってことをアピールする意味もあるかな」

かな子『えーと……。私、こういうの得意じゃないので、どう言えばいいか分からないんですよね』

P『かな子ちゃんの思う通りで構わないよ。未来の後輩たちに一言貰えたら満足さ』

P「と、簡単なアイドルのプレゼンをしてみましたが、これで信用して貰えたかな?」

亜子「まぁ、あないなん見せられたら騙しってことも無いでしょうしね。信用させてもらいます」

P「実績は0だけど、芸能界に新たな波を起こすアイドルを探している。それが君たちだとしたら、とても嬉しいな。えっと、他に質問はあるかな?」

亜子「アタシは今のところないです。さくらと泉は?」

さくら「難しいこと分からないからパース!」

泉「大体はHPを見てきたので把握していますよ」

P「了解っと。まずは君たちのこと知らないと話が進まないもんね。自己紹介お願いしようかな」

さくら「め、面接ですよねぇ? わたし、ちゃんと話せるかなぁ」

P「あはは。そう硬くならなくてもいいよ。ありのままの君たちを見せて欲しいんだ。それじゃあ誰から行こうかな?」

亜子「んじゃ、先陣切らせてもらいます! 土屋亜子、15歳! アイドル志望動機はズバリ! 一攫千金ですっ!」

P「一攫千金? お金のためにアイドルに? あっ、否定しているわけじゃないよ? ちょっと珍しい答えだったからね」

亜子「まぁ約束があるんですよ、ちょっとした」

泉(そう言えば私理由知らないや。そういうキャラかと割り切ってたけど)

亜子「そのためにお金が必要なんです。確かにアイドルでお金を稼ぐのが目的って、不純やと思いますし真剣にやってる人に失礼かもしれません。やけど! アタシ、お金に対して真剣ですから」

さくら「アコちゃんはお金の話になると煩いんです! 昨日も写真屋さんで値切ろうとしてましたし」

亜子「こ、こらさくら! それはオフレコや!」

泉「多分ここで何か頼んでも、プロデューサーに払わせようとすると思いますよ」

亜子「あんたらはアタシのことをどない思ってるんや!」

P「写真屋で値切るのは……無理があると思うよ流石に」

亜子「あはは……、若気の至りです」

P「でもまぁ、ここは大人の余裕を見せて奢っておくかな。何か頼んでいいよ?」

亜子「ええんですか!? いやぁ、プロデューサーさんはアレですね! 太っ腹ですわ! いよっ、大統領!」

さくら「パフェ食べていいですかぁ?」

P「どれでもお好きなのをどうぞ。大石さんも何か頼んだら? 別に堅苦しい面接じゃないんだし、リラックスした君たちの話を聞きたいんだし」

亜子「それじゃあこのメニュー表に乗っているもん全部……は流石にダメよね、うん。だから泉、そない睨まんといてよ」

泉「すみません。亜子が無茶苦茶言って」

P「ちょっと助かったのかな? じゃあ土屋さん。これだけは負けないっていうアピールポイントあるかな?」

亜子「アピールポイントは……、やっぱトークですよ! アタシ、生まれは静岡ですけど、両親が関西出身なんです。いわば本場仕込みのトークを毎日聞かされてきたわけですからね。場を盛り上げるのは得意ですよ」

P「ほうほう。トークね。アイドルには無くてはならない要素だね」

亜子「でしょでしょ!?」

P「じゃあ逆に苦手なものも教えてほしいな」

亜子「苦手なもの? アタシほどの人間になれば弱点なんてありません! って言いたいんですけど、音楽の成績が人より少しアレかなぁって……」

さくら「そうかなぁ? 気持ちよさそうに歌っててわたしは好きだよ?」

泉「私のPCに亜子の歌が入ってますけど、聞いてみますか?」

亜子「はぁ!? い、何時録ったの!?」

泉「カラオケに行ったときにこっそりね。それじゃあ再生しますね」

亜子「やめてええええええ!!!」

P「……うん。レッスン次第でうまくなるよ」

亜子「うぅ汚されてもうた……。もうお嫁に行けへん……、泉責任とって養って!」

泉「いやよ」

さくら「ダメだよぉ! イズミンはわたしを養うの! イズミンのお弁当ちょー美味しいんですよ♪」

泉「ちょ、ちょっとさくらまで?」

P「ピクミン? ピクミン弁当って食べたくないな……」

亜子「ピクミンちゃいます、イズミンです」

P「あっ、はいはい。素で間違えてしまった。大石さん、モテモテだね」

泉「これ、アイドル事務所の面接、なんだよね……」

P「まっ、気負わず軽くいこうぜ。土屋さん、ありがとう。それじゃあお次は……」

さくら「はぁい! 村松さくらでぇす! アイドルになって可愛くなりたいなぁって思ってまぁす!」

P「元気があって良いね。じゃあ村松さんがアイドルになろうと思った理由を教えてくれるかな?」

さくら「多分わたし1人じゃアイドルになりたいなんて言わなかったと思います。でも、アコちゃん、イズミンが一緒ならきっと楽しいんだろうなって! そんな理由じゃ、ダメですか?」

泉「さくら……」

亜子「アタシが巻き込んだようなもんですけど、さくらはこう見えて芯がしっかりしてますからね!」

P「ダメだなんてとんでもない! アイドルになるのに高尚な理由なんていらないさ。俺はそう思うよ」

さくら「そうですかぁ? えへへへ……」

P「次は村松さんの誰にも負けないところ、教えてほしいな」

さくら「誰にも負けないところ……。イズミン、アコちゃん。なんだろう?」

亜子「まさかのオーディエンス!?」

さくら「うん。だってわたしの負けないところって、思いつかないもん。早起きなことぐらい?」

泉「何時に起きてる?」

さくら「今日は8時に起きたよっ」

亜子「別に早くないよ、それ」

さくら「これでもいつもより早いよ! ですよね?」

P「お、俺? うーん……、あと30分ぐらい早く起きたらどうかな? アニメやってるし」

さくら「そうなんですか? じゃあ頑張りまぁす!」

泉(静岡と東京じゃ映る番組も違う気がするけど)

亜子「あー、ちょっと良いですか? さくらは自分で自慢出来るところないとか言ってますけど、それは大きな間違いです」

泉「うん。さくらの良さを私たちは知っていますから」

さくら「そうなの?」

亜子「なんてったってさくらは」
泉「だってさくらは」

亜子「とにかく優しいええ子ですから!」
泉「笑顔が可愛いんです」

亜子「あれ? 普通そこはシンクロするんがお約束ちゃうの?」

泉「知らないよそんなお約束。別に良いじゃない。2つ良いところがあるんだから」

さくら「えへへっ! 優しくていい子で、笑顔が可愛いのが自慢です!」

P「ちゃっかりしてるね、村松さん。何、良いところなんてすぐに見つかるさ。2人とも君のことをしっかり見ているからね。最後に弱点を教えてくれるかな?」

さくら「自分に自信が持てないところです!」

亜子「自信満々にゆうなぁ」

泉「さくららしいね」

P「オーケーオーケー。村松さんもこれぐらいにして、最後は大石さんだね」

泉(大丈夫。聞かれる問いも私の想像していた通り。準備は万全)

P「それじゃあ、大石さんが目指したいアイドルって誰かな?」

泉「えっ?」

さくら「あれ?」

亜子「質問内容ちゃいますね」

P「同じ内容ばかりじゃ芸もないしね。それに、大石さんと対局してて分かったことだけど、彼女は入念な準備をして勝負を挑んできた。だから、俺がどんな質問をするか事前に読んでたんだろうな」

亜子「あー、図星っぽいですね」

泉「そう、来ましたか」

P「チェスは相手の一手先二手先を読みその裏をかくゲームだからね。尤も、凄い人なら、その都度一手先読むだけで勝てるんだとか」

さくら「どうしてですか?」

P「いつも必ず正しかったから、だってさ。格好良いなぁ、死ぬまでに一度は言ってみたいセリフだよ」

?「一手だけにね。ふふっ……」

亜子「今、誰か会話に入りませんでした?」

さくら「?」

泉「……」

亜子「想定外、やったみたいですね」

さくら「イズミン、大丈夫?」

泉(アイドルとしての才能は2人に比べてないかもしれない。だけどここからは、私の得意分野で攻めていこう。イメージするんだ……。今このテーブルは、チェス盤!)

亜子「泉は芸能関係は詳しく……」

泉「まさか、このような質問が来ないと思っていたと?」

亜子「えっ?」

さくら「なんだぁ。やっぱり準備してたんだ」

亜子「マジっすか……」

泉「私が目指したいアイドルは……」

P「アイドルは?」

泉「チェックですよ?」

P「へ?」

泉「亜子とさくらです」

P「!?」

さくら「わたし?」

亜子「えーと、泉? 亜子とさくらってユニット、聞いたことないんやけど……。もしかして、うちら?」

泉「うん。2人のことだよ」

亜子「いやいやいや! アタシらまだアイドルになれるか分からない……」

泉「さくらは可愛くなることに貪欲です。ピンクの小物を集めたり、カラオケではいつも可愛らしい歌を歌っています。ついついハミングしちゃいそうなぐらい、気持ちよさそうに歌うんです。老若男女関わらず愛される、そんなアイドルになれると思っています」

さくら「えへへ、褒められるとこそばゆいかも」

泉「亜子はとにかく行動力があります。鉄の斧を泉に落としたら、間違いなく落としたのは金の斧って答えるような、強欲な子です」

亜子「し、失敬な! 金の斧か銀の斧か聞かれたら……、両方って言ってついでにプラチナの斧も持って帰るわ!」

さくら「余計ダメだよぉ」

泉「そんな子です。当然トップアイドルという目標に向かって、ありったけの力を使って走り出すはずです。それに、トークも見事です。3分あれば相手の心と財布のひもを握っているでしょう」

亜子「そんな子ってなんか褒められてるのか貶されてるのかようわからんわ」

泉「2人とも違った個性を持っています。人を幸せにする笑顔と、自分を幸せにするバイタリティ。私にとって2人は、親友ですし憧れでもあるんです」

泉「そんな2人と一緒にならば、自分の気付いていない魅力に気付けるんじゃないかなって」

P「なるほど、そう来たか……。予想外の答えが来て、少しびっくりです」

泉「ふふっ、私こう見えて負けず嫌い、ですから」

亜子「見たまんまやと思うで?」

さくら「うん。そうじゃないと何回も勝負しないもんね」

泉「プロデューサー。私は次の一手でキングが取れる状況ですよ? どうしますか?」

さくら「キング?」

亜子「えーと……、趣旨変わってません?」

P「! ならば次の一手を出すとしようか。この手を君はどうかわすかな? 自分たちを他の何かに例えて説明してください。何でもいいよ、動物でも無機物でも」

亜子「もしもーし?」

泉「分かりました。私たちは言ってしまえば、チェスのポーンです」

さくら「ぽーん?」

亜子「将棋で言う歩みたいなもんやね。……ごめん、全然意味わからへん。アタシら、ポーンなん?」

P「その心は?」

泉「ポーンは敵陣の一番奥に入るとプロモーションが出来る」

亜子「えーと、成るってことで良いんよね? 歩が成ったら……、と金やん!」

泉「ポーンは単体だと強くないです。ですがポーンはキング以外の好きな駒になれる。私たちはポーン。今はまだ二歩、一歩ずつしか進めない弱い駒でも、最奥まで行けばクイーンになれる。どうですか?」

P「素晴らしいよ。俺も同じことを考えていたしね」

さくら「イズミンとプロデューサーさん、仲良いね」

亜子「何やろ……、根本的な部分が似とんちゃう?」

さくら「お似合いだねっ!」

亜子「せやね。なんかこの人相手ならうまいことやって行けそうな気がするわ」

P「??!!」

泉「??」

亜子「……アウトオブ眼中ってこういうこと言うんやね。なんかこの机がチェス盤に見えて来たわ、白黒やし」

さくら「あっ、ホットドックくださぁい!」

亜子「アタシもなんか頼も。ごちになりまーす」

P「??」

泉「??」

1時間後

泉「その、ごめんなさい。完全に2人のこと、忘れてたわ」

P「俺もついつい熱が入ってしまって……」

さくら「むぅ、イズミンもプロデューサーさんも酷いよぉ!」

亜子「憧れてるんじゃなかったのー?」

??「亜子だけにね。ふふっ」

亜子「だからさっきから何!? タイミングを見計らったかのようにダジャレが飛んでくるのは!?」

泉「ごめん。それ私の作った自動ダジャレ生成プログラム[メープル]のせいかも」

亜子「……それ、何の意味があるの?」

泉「……さぁ」

P「……今接待受けても結果は変わらなっあっ……そこつ、気持ちいいや……」

泉「なんだか締まらないね」

P「コホン! えー、それでは気を取り直して。面接の結果を発表するよ。土屋さん、村松さん、大石さん」

亜子「来いっ!」

さくら「神様、お願いしまぁす!」

泉「……」

P「……チラッ、チラッー」

泉「クイズ番組みたいに溜めないでください。一応私も緊張しているんだし」

P「マジレスされると凹むなぁ」

3人とも、おめでとう。サンドリヨンプロダクションは、君たちを歓迎するよ」

泉「!」

さくら「えぇと……」

亜子「つまり合格ってことで、良いんですよね? 喜んで、良いんですよね?」

P「イエス。存分に喜びたまえ」

亜子「ヨッシャア! うちらの時代、きっつぁぁぁぁ!!」

さくら「わぁい! わたしたち、アイドルになれるんだよぉ! ハイターッチ!」

亜子「イエイ! ほら、泉も喜ぶ! 深呼吸してからのヨッシャやで!」

泉「えっと……。私がアイドルに?」

P「いまさら何言ってるのさ。大石さん、君は今新たな世界への一歩を踏み出したんだ」

泉「Hallo World」

P「ん?」

泉「プログラミングを学び始めたとき、一番最初にプログラムする言葉なんです」

P「プログラミングって……、大石さん。プログラミングが出来るの?」

さくら「イズミンはね、ちょー凄いんだよ! よく分からないけど!」

亜子「普通なら面接中にアピールすることやんったんですけどね。いきなりチェスみたくやり合いだしたから口に出せなかったんです」

P「なはは……」

亜子「ち・な・み・に。泉のプログラムは完成度高いですからねぇ。企業に売りさばく事も出来るでしょうね」

泉「またお金儲けのこと考えてる……」

メープル『ふふっ』

P「Hallo Worldか。良い言葉じゃん。たった今、俺達は新たな世界にコンニチワしたわけだしね。どんな時も、始めたばかりの頃のドキドキとかワクワクを忘れないことが、大成する秘訣じゃないかな」

泉(初心忘るべからず、だね)

P「それでは、ここからはちょっち真面目な話になりますが……。アイドル活動の拠点となるのは、君たちも想像している通り東京になるんだ」

さくら「首都だもんね」

亜子「大阪だって芸能の町でっせ! 出身静岡やけど」

泉「ここから東京の事務所がある所に行くには……高速バスでも2時間45分もかかるね。片道2,600円程度……。流石に毎日はきついね」

P「そういう事。ちなみに電車だと、2時間半の5,000円越えときた」

亜子「えーと、ねがいましては……うげぇ!?」

さくら「そんなにお金有りませんよぉ」

P「そうなんだよね。関東の子らはまだ来やすいけど、静岡だと少し難しい。アイドル活動って言っても、テレビに出るだけが仕事じゃない。レッスンしたり営業活動したり。急な呼び出しだってあるかもしれない。番組に出演予定だったアイドルにもしものことがあった場合、こちらにお鉢が回ってくる場合も十分にある」

泉「つまり……、アイドル活動をするには東京で生活する必要があるということですよね」

亜子「覚悟はしとったけど、そうなったら学校のみんなともお別れやもんなぁ」

さくら「だけど、わたしたちの夢ってそこに有るんだよね」

P「この点は親御さんに確認、取れてるかな?」

さくら「大丈夫でぇす♪ 寂しいけど、離れていてもみんな一緒だから!」

亜子「そういう事です! むしろ尻叩かれて応援されましたわ」

泉「現実感が沸かないけど、亜子とさくらがいるのならきっと大丈夫です」

P「そっか。もちろん学校や住居といった諸々の手続きはこちらでするよ。後日きちんとした資料や契約書を持って静岡に行くとしよう。そのとき、親御さんたちとも話をするつもりだよ。大切な娘さんを預かるんだ。それが大人として、男として、プロデューサーとしての責任だ」

P「とりあえず、今日はこんな感じかな。詳しい連絡等はメールないし電話で送ります。これが俺のアドレスね。何か分からないことがあれば何でも聞いて欲しいな」

さくら「数学とか教えてくれますか?」

P「算数なら教えれるけど? あっ、ダメですよね」

さくら「むぅ。宿題教えてくれるかなって期待したのにぃ」

P「参考書読んでおきます。それじゃあ、解散しますか。今日は来てくれてありがとう。不安な気持ちが強いかもしれないけど、そのPCの壁紙みたいに笑っていれば、きっと良いことあるよ。これから4人で頑張って行こう!」

3人『はいっ!』

さくら「そーだ! みんなで写真撮ろうよ! プロデューサーさんも一緒に!」

P「お、俺も? でもカメラ今無い……」

マスター「デジカメでよければ、撮りますよ?」

P「! すみません、それじゃあお願いいたします」

亜子「ほらっ、泉もこっち寄って!」

泉「わ、私がセンター?」

さくら「プロデューサーさんに会えたのは、イズミンのおかげだもん!」

亜子「それにうちらの中じゃ一番リーダーっぽいやん!」

泉「えっ? 亜子じゃないの?」

さくら「アコちゃんリーダーなんてお金がどこかに飛んで行っちゃうよぉ」

泉「それもそうだね」

亜子「どういう意味や! そりゃあ懐には隠すけど……」

泉「ダメじゃん」

P「マスターさん、準備出来たんでお願いしますね」

マスター「それじゃあ撮りますよ? はい、チーズ!」

亜子「ほらっ、泉もこっち寄って!」

泉「わ、私がセンター?」

さくら「プロデューサーさんに会えたのは、イズミンのおかげだもん!」

亜子「それにうちらの中じゃ一番リーダーっぽいやん!」

泉「えっ? 亜子じゃないの?」

さくら「アコちゃんリーダーなんてお金がどこかに飛んで行っちゃうよぉ」

泉「それもそうだね」

亜子「どういう意味や! そりゃあ懐には隠すけど……」

泉「ダメじゃん」

P「マスターさん、準備出来たんでお願いしますね」

マスター「それじゃあ撮りますよ? はい、チーズ!」

――そう、忘れるなんて出来やしない。

亜子「えっ? 準備出来てないってのわっ!」

さくら「わぁ!!」

泉「えっ? きゃあ!」

パシャッ!

泉「いたたた……」

さくら「イズミン、大丈夫?」

泉「う、うん。ビックリしたけど怪我は……」

P「お、大石さん? え、えっとですね……。そ、その」

マスター「うっひゃー!!」

亜子「マスター! その写真焼き回ししてください! 泉のハプニング写真、これは売れるでぇ」

さくら「イズミン、ごめんなさぁい……」

泉「へっ?」

P「チェック、メイト?」

泉「い、いやあああああ!!!」

――4人で撮った最初の写真でパンモロしてしまったことなんて……。

P「あれ、赤かったよね……」

泉「忘れろー!!!」

泉(きっと死ぬまで、記憶に残り続けるんだろうな。うん)

Turn2 end

その写真ください

とりあえずここまで。流れとしては現在→過去→現在→過去っていうように、チェスをしているような構成になってます。
次はお風呂から。読んでくださった方、ありがとうございました

乙ですっ☆
いずみん、赤なのか……

泉「人の記憶を消せるプログラムを作ろうと思うんだけど。それも早急に」

P「唐突にどうしたのよ。いや、アレは忘れることは出来ないよ? 真面目でクールかと思っていた泉があんな下着着ていたとは思いもしなかったし。今では見慣れた光景なんだけど」

泉「それはもう水に流そうよ。やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい」

P「一緒にお風呂入ってるのに?」

泉「それは貴方が誘ってくるからで……、私は別々に入っても良いんだよ?」

P「やだ、一緒、入る。それ、幸せ。だから入る」

泉(なぜに片言?)

泉「嫌って言ったら?」

P「お風呂で溺死してやるゾ」

泉「はぁ、分かったから。あなたに死なれたらさくらと亜子が悲しむし、私だって……喪主になんかなりたくないから。それだけだよ?」

P「泉?」

泉「ほらっ、先入っていて。お湯、温くなっちゃうよ?」

泉(一緒に入りたいのは、こっちの方なのにね)

P「絶好のゴールデンタイムこの手につかめ♪渾身のポーカーフェイス決めて仕掛けるよ♪」

泉「また歌っている。あの曲、好きなんだ。私も好きだけど」

P「手放したくないもんはどれ? ふぅ……、我ながら素晴らしい美声だなぁ。木場さんも筋がいいって言ってくれたし、本気で目指してみようかな。歌うプロデューサー」

泉「お風呂で歌っているからエコーがかかってそう聞こえるだけだよ? それに、褒めていた木場さんの顔少し引き攣ってたし」

P「むぅ。連れないなぁ。つーか木場さんが褒めてくれたと思ったら、ただの社交辞令だったのね……」

泉「ほらっ、背中流してあげるから。さくらみたいに頬っぺたふくらましても、可愛くないよ?」

泉「どう? 力加減は、痛くない?」

P「いや、むしろ気持ち良いぐらいだよ。ツボを押さえたみたいにピンポイントでゴシゴシしてくれるから、マッサージみたいだ」

泉「そう? 練習の成果、出たのかな」

P「最初の頃は加減が分からなかったのか、ヒリヒリしたもんなぁ」

泉「私は常に前に向かって進化していくのよ。はい、お湯かけるからね」

P「こうやってシャワーと一緒に疲れまで流れていくよ。次、泉の番だよ?」

泉「いいよ。私自分で洗えるし」

P「そういわずにほら、座って座って!」

泉「はいはい。分かったよ。変なこと、しないでね? 抑えつかなくなりそうだから……」

P「重々承知してますって」

泉「あっ……、そここそばゆいかも。洗い方、やらしいよ」

P「っと、悪い悪い。そういう声出されると少しアレだね。ちょっと、滾る」

泉「変なこと言わないでよ」

P「ゴメンナサイ。しっかし、最初に出会ったころから思っていたけど、泉の髪凄く綺麗だよね。さらさらしていて、良い匂いがする」

泉「だからもう……。なんでそんな恥ずかしいこと、平気で言えるかな。照れるじゃん」

P「そりゃ好きな子だからね。髪も顔も声も何から何まで、綺麗で眩しく見えるな」

泉「声は見えないよ?」

P「比喩表現だって」

P「泉はさ」

泉「うん?」

P「歌上手いよね」

泉「それほどでも……有るのかな? よく言われるけどあまり実感がわかないかな」

P「木場さんが誉めてたもん」

泉「社交辞令は……言わない人だから信じていいのかな」

P「俺の時は思いっきり社交辞令言われたんだけどさ……」

泉「ふふっ。大丈夫だよ、私のプラン通りに練習すれば上手くなるから」

P「どういうプラン?」

泉「まずはマラソンから。もちろん、フルだよ?」

P「遠慮しときます」

泉「冗談だよ。私ならもっと効率のいいプラン立てるし」

P「でも隣で泉が手を繋いで走ってくれるなら、どこまでも走れそうだな」

泉「奇遇だね。私も同じこと、思ってたり。走りにくいかもしれないけど」

P「時間が出来たらさ、あてもなく歩きたいね。2人で一緒に」

泉「その時は……、ううん。無計画の方が楽しいかな」

P「ふぅ……、良い湯加減だ。泉もおいでよ」

泉「狭くならない?」

P「いつものことじゃんか。それに、むしろ泉と密着できるから大歓迎だぞ?」

泉「変なこと、しないでね?」

P「了解了解……えいっ」

泉「ひぅ!」

P「泉の体、温かいよ。ずっとこうしていたい」

泉「変なことしないでって言ったのにぃ……、もう。私デリケートだから、壊さないように、ね?」

P「……ねぇ泉、こっちむいて」

泉「えっ? あっ……んっ……」

P「はむっ……」

泉(いきなりは……ずるいよ……)

P「あむっ、んちゅ」

泉「!!」

泉(耳、塞がれて……。いやらしいおと、あたまにひびくぅ……)

P「ぎゃ!!」

泉(あっ、したかんじゃった)

泉「……反省してる?」

P「調子に乗りすぎました、すみません」

泉「私も悪いことしたなぁって思っているけど、悪いのはダーリンだからね。ホント、溶けちゃうかと思ったし」

P「反省しています」

泉(キスだけでこうなっちゃうなんて……。それ以上先に行くと、本当に蕩けちゃうかな……)

泉「私、ダメな子になっちゃったな」

P「え?」

泉「ううん、何でもないよ。ほら、パジャマ着てよ。チェス、するんでしょ?」

泉(私自身が知らない部分も知っているのが、親友ならば――。亜子とさくらは間違いなく親友と呼んでいいと思う)

亜子『泉は絶対恋したら甘々になるタイプやろなぁ』

さくら『うん。なんか分かる気がするよ! ダーリンとか言ってそう!』

泉『好き勝手言ってるけど……、有り得ないわ』

亜子『ふひひ……、1つ教えといたるわ。有り得ないってことが有り得んねんで?』

さくら『てっつがくー!』

泉『グリード?』

泉(亜子、さくら……。あなた達は正しかったみたい)





~上京した時の話~


亜子「あぁ、ダーリン! 今日のお弁当は、お好み焼きを作ったのっ! 一番の調味料は愛情! 貴方の胃袋、チェックメイト! キャハッ☆」

さくら「デザートにダーリンの大好きな桃も入れちゃったよぉ! アハッ☆」

亜子「みたいになるって絶対! 400円賭けてもええわ!」

泉「安いね、賭け金」

さくら「うんうん! プロデューサーさんとかお似合いだよねぇ! イズミンも乙女だね!」

亜子「弟君もお義兄ちゃんが出来て嬉しいんちゃうかな! いや、まさかのここで弟とPちゃんの泉を巡るトライアングラーが……」

泉「2人とも……、流石に怒るよ? あっ、彼からメールが来てる」

亜子「えっ、来てたっけ?」

さくら「来てないよぉ?」

泉「うん、個人的な内容だからね」

さくら「好みのタイプは誰ですかぁ? とか!」

亜子「赤い勝負下着、決まってましたか!? とか? いやん、泉ちゃんのエッチィ!」

泉「違うって。後亜子、それ以上続けるなら個人情報をネットの海にばらまくよ? サジェストも汚染するよ? 土屋亜子って検索したら四十肩って出るようにするよ?」

亜子「すんません」

泉(プロデューサーとの出会いから3日後、彼は再び書類等を持って清水にやって来た)

P「泉さんをアイドルとして、プロデュースしていきたいんです」

泉パパ「」

泉(私の家族はと言うと、娘がアイドルになると言い出したのは冗談か何かと思っていたみたいで、プロデューサーから話を聞いたとき、お父さんは座ったまま気を失っていた)

泉ママ「でもアイドルなんて……、そう簡単になれるものでもないでしょう?」

P「確かに厳しい世界です。だけど、彼女たちには芸能界に新たな波を起こすことが出来る存在だと信じています」

泉弟「姉ちゃんが?」

泉ママ「娘を褒めてくれるのは嬉しいけど、そんな非論理的なこと」

泉「確かに、ロジカルじゃないと思う。計算外にも程があるけど……、さくらと亜子がいるから、きっと上手く行ける。安易でイロジカルな考えで私らしくないかもしれないけど、それでも彼に賭ける価値は十分あると思うから」

泉(説得の末、アイドル活動を認めてもらえた。お母さんは最後まで渋い顔をしていたけど、私とプロデューサーがメールのやり取りで作った計画表を見せて、なんとか納得してもらえた)

泉弟「姉ちゃんがアイドルかぁ。何か笑えてきた……ッ!」

泉(案の定弟は笑っていた。悪気はないにしても、笑われっぱなしは気に入らないので、トップアイドルになって見返してやるとしよう。今はまだ、笑って待っていればいい)

P「3時間もない距離さ。決して遠い場所じゃないよ」

泉「ええ。長編映画一本見ていれば着きますから」

泉(新たな学校や住居も決まり、旅立ちの日がやって来た)

学友「3人とも、頑張ってねー!」

泉パパ「辛かったら戻ってきてもいいんだぞー!」

泉弟「そん時は笑ってやっからなぁ!」

泉ママ「行ってらっしゃい、泉」

マスター「どうか3人の未来に幸が多からんことを。Good Luck!」

亜子「次帰ってくるときは、オリコンに名前が載ってるからなぁ!」

さくら「みんなぁ、頑張ってきまぁす!」

泉「私たちの見送りに、こんなに来てくれたなんて……」

P「さっそく、ファンがたくさんできたみたいだね」

泉「余計、逃げれなくなりましたね」

泉(そして……)

3人「せーのっ!」

さくら「トーキョーだぁ!」

亜子「憧れの町についたでぇ!」

泉「みんな見てるよ? それに、ここに立っていたら邪魔だし……」

泉(私たちの夢のある場所、東京へ――)

P「とりあえず、移動しようか。車持ってくるから、ちょっと待ってて」

さくら「ねぇねぇ、写真撮ろうよ! アイドル生活の始まりを記念して!」

亜子「おっ、ええね!」

泉「でも誰が撮るの?」

亜子「チョイ待ち、スンマセン! そこの綺麗なお姉さん!」

???「えぇ? あたしのことぉ? 綺麗って女子力有るってことだよねぇ☆」

亜子「女子力? えーと、あたしら今から写真を撮るんですけど、忙しくなかったらカメラマンお願いしていいですか?」

???「良いよぉ☆ それじゃ並んで並んでっ! 1+1は?」

3人『にーっ!』

亜子「ありがとうございますっ!」

???「じゃあねぇ! よく分からないけどぉ、頑張ってね!」

P「おーい、何してるのー?」

亜子「あっ、スンマセン。ちょっと写真撮って貰ってたんです」

P「好きだね、写真撮るの」

さくら「えへへっ、思い出たくさん作りたいなぁ! ねっ、イズミン!」

泉「ええ、そうね」

女子力さん?

P「これ会社の車だから、あんまり汚さないようにね」

亜子「失礼しまーす」

さくら「あっ、なんか流れてますね。えーと、名前が出てこないっ!」

泉「スキマスイッチでしたっけ?」

P「正解。俺好きなんだよね、この人たち。いつも聞いてる気がする。そうそう、8月21日にはスキマスイッチBest Album『POPMAN’S WORLD?All Time Best 2003?2013』が発売したんだってさ! デビューシングルviewから、最新のアニメタイアップ曲でもあるHallo Especiallyまで30曲も入った贅沢な1枚だぜ! 3枚買うしかない!」

泉「ステマスイッチ……?」

亜子「むしろダイレクトやない?」

P「それじゃあまずは、君たちの住居に案内しようかな」

亜子「住居ってどこになるん?」

P「デレプロの所有する寮だよ」

さくら「ってことはぁ、他のアイドルさんにも会えるんですかぁ?」

P「いや……、大きな寮じゃないからね。一応うちの事務所用に宛がわれているから、住むことになるのは4人になるよ」

泉「4人? 私たちともう1人は?」

P「……俺です」

泉「ええっ?」

さくら「プロデューサーさんも同じ部屋なんですかぁ?」

亜子「いやいや。全員別々の部屋やろ」

さくら「なんだぁ。みんなでワイワイできるかなって思ったのに」

P「一応談話室はあるし、お風呂も洗濯機も各自部屋に用意されているから、変な心配はいらないよ。俺が住んでるって言っても、基本的にトラブルが起きたときに駆け出す位だよ」

亜子「せやね。水道トラブル5,000円とか使いたくないし、テラフォーマーが出たときは駆除して貰おかな」

P「やっぱりそうなるよね……。んじゃ、シートベルトを忘れずに。出発進行っと」

さくら「ゴー!!」

シンデレラ第5寮

P「さてと、寮に着いたよ」

さくら「うへぇ……」

亜子「あっ、着きました? ふぅ……」

泉「必要以上に疲れたね……」

P「そうか? とりあえず大きな荷物は部屋に持って行こうか」

亜子「なぁ、泉。Pちゃん、個性的な歌声やったね。アタシも人のこと言えんけどさ……」

さくら「もう2度と聞きたくないよぉ……」

泉「耳栓、買っておこうか」

泉「ここが私の部屋か。ネット環境整ってるし、近くにPCショップ有ったし悪くないかも」

泉「ベッドも結構大きいし。小さな寮って言っていたけど、結構住み心地はよさそう。あれ、こんなもの持ってきたっけ?」

泉「チェス盤だ。もしかして」

P「大石さーん、そろそろ事務所に行くよー」

泉「プロデューサー。このチェス盤って……」

P「あー、それ? 俺からのプレゼント。折角チェス仲間が出来たんだし、時間があるとき打てたらいいなって。こうやって同じ寮に住むのに、オンラインチェスってのもアレでしょ? まぁ、ファンから貰った最初のプレゼントと思っててよ」

泉「そうだね。いつまでも負けっぱなしってのも嫌だし、チェス盤買おうかなって思っていたところだから。ありがとうね」

泉(ファン、か。期待に応えれるようにしないと)

亜子「泉はプレゼント何貰った? アタシはたこ焼きメーカー貰ったで。これでいつでもタコパが出来るで!」

さくら「わたしはピンクの真ん丸とした縫いぐるみだよぉ! すっごく可愛いんだよ!」

泉「カービィ? 私は、チェス一式だった」

亜子「Pちゃんらしいと言うかなんというか。泉気に入られてるんちゃう?」

さくら「良いなぁ!」

泉「まさか」

亜子「チェスから始まるアイドルプロデュースだってあるんやから、チェスから始まる恋もあるって! あなたの心にチェックメイト! みたいな?」

泉「土屋亜子 四十肩 土屋亜子 銭ゲバ 土屋亜子 鮫島事件 犯人 土屋亜子 逆転裁判5 黒幕」

亜子「わわっ! ホンマにせんといてよ!」

さくら「銭ゲバは事実だよぉ?」

亜子「言い方ってもんがあるでしょうが!」

P「おーい。準備は出来たかな? それじゃあ事務所に行こうか。ここから歩いて3分位の所にあるよ」

さくら「はぁい!」

亜子「くぅ?! いよいよって感じがしてきたで!」

泉「事務所と言えば。以前電話した時に女性の方が対応してくれたけど」

P「ああ、うちの事務員さんだな。ちひろさんって言って、社長がスカウトしてきたみたいだけど、俺も良くは知らないんだよね。まぁ社長も元々はデレプロでプロデューサーをしていたしその伝手だと思うよ」

泉「そうなんだ。ちひろさん、か。上手く話せるかな?」

P「心配?」

泉「初対面の人と話すの、苦手だから」

P「俺とは普通に話せてるけど?」

泉「チェスをしていたから。それでも、少し何を話せばいいか分からなくなることは有るよ?」

P「まっ、ゆっくりで良いんじゃないかな。俺も3人のことをまだまだ知りたいし、俺のことも知ってほしい。出会って1週間ほどなんだからさ、気長に行こうよ」

泉「それもそうだね。プロデューサー」

P「ん?」

泉「色々迷惑かけちゃうと思うけど……、私たちのこと夢へと導いてね」

P「了解っと」

泉(私たちがチェスの駒なら、彼はプレイヤー。どんな手を打ってくれるか、楽しみだな)

とりあえずここまで。誤爆してしまい申し訳ないです。
アイドルの口調とかに違和感が有れば指摘頂けたらと思います。
イズミンが可愛く書ければなんでも良いや

乙!
亜子ちゃんの口調は、逆に参考にさせてもらってる。


土屋亜子 [禁則事項です]事件 犯人ってwwwwwwwwww

乙だけど、ら抜き言葉がちょびっと気になるかなぁ
勝手なイメージだけどいずみんはその辺キッチリしてそうだし

>>1の書くいずみんを見るのが最近の楽しみだわ

事務所

P「さてと、事務所に到着したよ」

泉「サンドリヨンプロダクション……」

亜子「いよいよやね」

さくら「緊張してきたよぉ。プロデューサーさぁん、こういう時どうすれば良いですかぁ?」

P「人って言う字を手に書いて飲めば良いって聞くけど」

さくら「えっと、人、人、入……」

亜子「それ、入るじゃない?」

さくら「緊張して書けませぇん! どうしたら良いんですかぁ!?」

P「わぁ!! そ、そう言われましても……」

泉「大丈夫。さくら、これを飲めばマシになるよ」

亜子「ん? 緑茶?」

泉「下の自販機に売ってた。ハーブティーでも有れば良かったんだけど、流石に売っていなかったから。緑茶のテアニンって言う成分にはリラックス効果があるの」

さくら「ふぅ……」

P「気持ち落ち着いた?」

さくら「さっきよりは落ち着きましたっ♪ 流石イズミンだね!」

P「あはは、俺も精進しないとな。それじゃあ、事務所に入ろうか」

おお、キタ!

P「ただいま戻りましたー」

泉「失礼いたします」

P「あー、大石さん。今日からここは君たちの帰ってくる場所でもあるわけで……。だから、そこまでかしこまる必要はないよ」

さくら「こんにちわぁ!」

亜子「毎度、お世話になりまーす!」

P「これぐらいフランクで良いんじゃない?」

泉「そう、かな。それじゃあ、ただいま?」

???「お帰りなさい! 彼女たちが新人アイドルの子たちですね! とりあえずソファに座っていてくださいね」

ちひろ「早速絆を深めたみたいですね。社長とかな子Pが見込んだだけありますね! あっ、自己紹介がまだでしたね。千川ちひろです! サンプロで事務員やらせていただいてます。皆さんの活動を最大限サポートいたしますので、よろしくお願いしますね!」

さくら「よろしくお願いしまぁす!」

亜子「こちらこそ頼みます!」

泉「ご迷惑をかけるかと思いますけど、よろしくお願いいたします」

ちひろ「迷惑だなんて! 若いうちは迷惑をたくさんかけても許されるんですよ!」

泉(ちひろさんも若いと思うけど……)

ちひろ「はい、これを飲んで待っていてくださいね。そろそろ社長も戻ってこられると思いますし」

さくら「美味しいです! これ、何って言う飲み物ですかぁ?」

ちひろ「ハーブティーですよ! 社長がガーデニングで育てて来たハーブで作ったんです」

亜子「いやはや……、商品化していいレベルですよコレ!」

泉「オレンジジュースとカモミールティーかな。7:3の割合で…」

P「えっ、そんなことまで分かるの?」

泉「冗談だよ。そこまで舌が優れているわけじゃないし」

P「ですよねー」

ちひろ「お見事です! 泉ちゃんの言う通りの配分ですよ」

P「マジかよ!」

泉「エスパー、だからかな」

P「……今誰かのアイディンティティが崩れた音が聞こえたよ」

社長「ただいま戻ったよ」

ちひろ「社長! お帰りなさい!」

社長「そうか、彼女たちが来るのは今日だったね。初めまして、そしてようこそサンドリヨンプロダクションへ。私がこの事務所の社長だよ」

亜子「想像しとったよりもずいぶん若々しいですね」

さくら「お父さんと同じぐらいかなぁ?」

泉(30代後半?)

社長「驚いたかな? 私自身数か月前までシンデレラプロダクションでチーフプロデューサーをしていた身だからね。自分でもこんなに早く自分の事務所を持つようになるとは思わなかったよ」

P「だから俺としても社長というよりもチーフって印象の方が強いんだよね」

社長「さてと。今日は疲れたとは思うが、もう少しだけ頑張ってもらうよ。ちひろちゃん、アレを」

ちひろ「了解です! プロデューサーさんと社長は少し外で待っていてくださいね!」

泉「今から何を?」

ちひろ「衣装合わせですね。一応プロフィールは目を通していますけど、ステージ用の衣装がチャンと着れるかの確認です」

さくら「大丈夫! わたし体重変わってないもん」

亜子「うぐっ、アイドルになれるってことで少しフィーバーしすぎたかな……。少し体重が……」

泉「これからはカロリー計算も忘れずにしないとね。何ならこっちで管理してあげるけど?」

亜子「頼むわ! いやぁ、こういう時泉がおるとすっごく助かるわぁ」

ちひろ「それじゃあ、着替えを始めましょうか!」

さくら「可愛い服だねっ」

亜子「似合うんかなぁ……」

泉「えっ? この服、着るんですか? 少し恥ずかしいと思うんですけど」

さくら「えー? おへそとか見えて、セクシーだよぉ?」

泉(おへそなんて誰にも見せたことなかったのに……)

泉「着なきゃ、ダメですか?」

ちひろ「はい♪ プロデューサーさんが選んでくれたんですよ? きっと喜んでくれますって!」

泉「プロデューサーが? なら、着た方がいいかな」

ちひろ「社長、プロデューサーさん! 衣装合わせ、終わりましたよ! 入ってきてください」

社長「ほう。君のセンスも中々と言ったところかな」

P「……」

社長「感動のあまり声も出ない、かい?」

さくら「えへへっ、どうですかぁ?」

亜子「変やったりしません?」

泉「私……、可愛く見えますか?」

P「悪い、セレクトした自分でもここまで似合うとは思っていなかったわ。3人とも、可愛いよ」

さくら「わぁい!」

亜子「か、可愛い? 言われ慣れてないから、少し恥ずかしいですわ」

泉「可愛い……」

泉(鏡に映る赤青黄色の私たち。ステージ衣装よりは制服の方が良く似合うと思っていたけど)

P「大石さん。安心して、よく似合っているから」

泉(彼が誉めてくれたのなら、素直に受け入れていいのかな)

泉(その後私たちはこれからお世話になる方々への挨拶回りを行い、寮へと戻って来た)

泉「今日1日、疲れたな。明日からは学校もレッスンもあるんだよね。上手く馴染めるかな」

泉「考えても仕方ないか。寝よう、おやすみなさい」

泉「……ダメだ、寝付けそうにない。PC弄って時間潰す……まだ起きてるかな?」

泉「もしもし、プロデューサー? 少し、時間あるかな?」

P「夜遅くまで起きてるなんて感心しないなぁ。村松さんなんかとっくに寝ているよ?」

泉「そっちこそ。同じようなものじゃない? って部屋の中見たの?」

P「まさか。イメージで話しました」

泉「まぁ、そんな気はするけど」

P「さてと。あんまり長々とやっても明日しんどいだけだし、一局だけだよ?」

泉「うん。それで十分だよ」

P「了解。んじゃ始めるかな」

泉「プロデューサーって」

P「ん?」

泉「どうしてチェスを始めたの?」

P「大した理由じゃないよ? ただ単に格好良いと思ったから。それだけだよ」

泉「本当に?」

P「嘘じゃないよ。中学の頃好きだった子に格好良く見せようと、チェスを学びだしたのがきっかけ。頭の良い人が好みって聞いていたから、頭の良さそうなゲームを始めた。それでどっぷり嵌っちゃったわけですが」

泉「それで……、その子とはどうだったの?」

P「チェスより将棋のの方が好きって言われた」

泉「それは、ドンマイだね。はい」

P「おっ、良い手だ。さて、どうしたものか……」

P「今思うと、その子何となく大石さんに似てたかもね」

泉「え?」

P「いや、勿論別人だよ? だけどなんつーか、雰囲気が似ているといいますか」

泉「変なこと言わないであっ」

P「……ごめん、チェックメイト」

泉「動揺してミスをしたのは私が悪いと思っている。だけど、その原因を作ったのは……」

P「もう一戦、します?」

泉「受けて立つわ」

泉(と、対局を続けるも、結局1度も勝てることなく……)

泉「すぅ、すぅ……」

さくら「イズミン、イーズーミーン……。寝ちゃってます……」

先生「転校初日から寝るなんて……、喝ッ!!!」

泉「あだっ!!」

泉(最初の授業で先生に出席名簿でたたかれたのは、良い思い出……か?)

先生「そっちも! カーーーッツ!」

亜子「んぎゃ! な、何するんですか!?」

先生「大石、土屋。後で職員室に来なさい、こってり絞ってあげる」

泉&亜子『はーい……』

さくら「2人とも寝ちゃダメだよぉ。イズミンのノート写せないじゃん」

泉「そこ?」

亜子「しかし泉まで寝てしまうとは。退屈な授業やったけど、授業中に寝ているとこ初めて見たわ」

泉「ちょっとね。夜更かししてて」

亜子「夜更かし? そう言えば、Pちゃんも眠そうにしとったけど……はっ! まさか初日からあんなことそんなことを!? 不純異性交遊はうんたらかんたらやで!」

泉「チェスしてただけ。それだけだよ?」

亜子「好きやね、チェス」

泉「一局だけのつもりだったけど、結局朝までしてたから……。だからもう少し寝させて……すぅ」

亜子「また寝たし……」

さくら「今日は早起きしてアニメを見たよ! ラッコがトラックに乗ってビルに突っ込んでたっけ」

亜子「さくらは偉いなぁ。つーか、何やそのシュールなアニメは。気になるようなならないような……」

泉「すぅ、チェックメイトぉ」

亜子「そうや、今のうちに寝顔写メっておこ。Pちゃんもやる気出すやろうし、今後のビジネスを考えて……ふひひっ」

さくら「あんまりイズミン弄っちゃダメだよぉ?」

亜子「送信っと。Pちゃん絶対喜ぶやろなぁ」

泉「ぐぅ」

さくらが見たアニメはバクマン。のラッコ11号かな?

いまさら何を言うんだと思われるかも知れないですが、スレをHTML化申請致します
と言うのも、設定を十分に練れていなかったことも有り、これからの展開に制約と矛盾が生まれてしまう事と、個人的に少し思うところが有りまして、期待してくださった方々には非常に申し訳有りませんが一旦中断したいと思っています。

こちらとしても完結させる意思はありますので、結末まで納得のいく出来にしたう上で、もう一度同じスレタイで投下いたします。

重ね重ねになりますが、本当に申し訳ありませんでした。

残念だが、期待して待ってます。

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