矢吹丈「あしたは学園都市でも寄るか…」 (378)

※注意
・とある×あしたのジョーのクロスss
・上条さんと一部のキャラが若干、拳キチ化(拳闘キチガイ)します
・互いの作品のイメージを崩す可能性があります
・ジョー本編より10年後の話で、ジョーが生存って設定になってます

【前スレ】
矢吹丈「明日は学園都市でも寄るか…」
矢吹丈「明日は学園都市でも寄るか…」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1377414909/)
(前スレでは、レス138で止まってます)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1379097195

なぜかHTML化(過去ログ化)された…依頼もしてないし、期日を過ぎた訳でもないのにorz
多分、管理人が間違えただけと思うけど…

とりあえず、また初めから投下します
それと話の途中に、前スレで書かなかった、話も投下しますので
(前スレからの続きでなく、話の間に挟む形で)

上条「不幸だ…」

上条(私こと、上条当麻は訳あって記憶喪失になってしまった)

上条(その経緯とこの町の情報、俺の自身の事については、あのカエル顔の医者から簡単に聞かされた)

上条(あのインデックスと名乗る子の事すら、良く思い出せない)

上条(守らなければならないという使命感だけが心にあるだけで)

ガヤガヤ

上条(しかし、やけに廊下が騒がしいな…)

【退院当日】

上条「お世話になりました」ペコ

冥土帰し「うん。これから色々大変だろうけど負けないようにね」ボソ

禁書「さあとうま、お家に帰るんだよ!」

上条「ああ」

ピーポーパーポー

医者「すいません!急遽患者が10名ほど」

スキルアウト「う…ぅあ…がぁあ…」ピクピク

冥土帰し「はぁ…またか」

上条「またって…?」

冥土帰し「最近どうも『スキルアウト狩り』が流行ってるようでね」

上条「スキルアウトってたしか不良集団の…?」

冥土帰し「ああ。相手が不良とは言えこの惨状には、いささか同情の念が湧くね」

冥土帰し「私が医者という立場を抜いて見てもね」

上条「そんなに酷い目に合ってるんですか?」

冥土帰し「アゴを破壊されたり、内臓を破裂させられたり…もう連日、大変な騒ぎだよ」

上条(さっき廊下が騒がしかったのは、それが理由か)

冥土帰し「ま、君も気をつけるんだね」

上条「いや俺は…」

冥土帰し「ははは、冗談だよ。お大事に」

禁書「ただいまー」ガチャッ

上条(ここが…俺の家)

禁書「それじゃ早速、御飯にするんだよ!」

上条「えぇ、いきなりですか」

禁書「つべこべ言わないで早く作ってほしいかも!」

上条「へいへい」

~~

禁書&上条「いただきまーす」

禁書「あ、そういえばとうま。今日はDVD見ないの?」

上条「DVD?何かレンタルしてたか」

禁書「ほらボクシングの、ジョーのDVDだよ」

上条「ジョ、ジョー?」

禁書「ほらこれ」ススッ

上条「なになに…矢吹丈?」

禁書「何を惚けてるのかな、当麻はいつもこのDVD見て熱くなってるんだよ」

上条「ま、まじっすか…?」

禁書「そうだよ!この間なんかも、こもえの家で3人で一緒に見たじゃないとうま!」

上条「へ?あ、ああ~そういえば~そうかもな~(棒)」

上条(人の家で何やってんだ俺は)

pppp

上条「あ、携帯…」

上条「なになに…『黄泉川愛穂』?」ピッ

上条(知り合いか…困ったな…)

上条「はい、もしもし」

黄泉川『おう上条。夏休みの補修の方はどうだ?』

上条「……補修?」キョトン

黄泉川『またまた惚けて。しっかり勉強するじゃん』

上条「はぁ…」

黄泉川『まあそれはさておき…いい加減DVD返してくれないか?』

上条「はい?」

黄泉川『ジョーのDVDだ。忘れたとは言わせないじゃん』

黄泉川『泣きながら私にDVDを貸してくれって、頼んできたのはドコのどいつじゃん』

上条「な、泣きながら!?」

黄泉川『そうだ!たしか数ヶ月前に…』

~~

【数ヶ月前】

黄泉川「今日の体育は雨だから、外での授業は中止!」

黄泉川「ってな訳で教室でDVDを見るじゃん」

吹寄「なんのDVDでしょうか?」

黄泉川「ボクシングのDVDじゃん」

青ピ「えーボクシングなんてつまらんわ。ぼくは萌え萌えな女の子が出てくるのがええなぁ」

土御門「青髪に同意だにゃ~」

吹寄「静かにしなさい貴様達!」

上条「zzz」

吹寄「こら起きろ上条!」ゴン

上条「あが!?」

吹寄「もう授業が始まるぞ」

上条「あ、ああ…」ボケー

キーンコーンカーンコーン

黄泉川「はい、今日はココまでじゃん」

青ピ「全く汗臭くて適わんわ」

土御門「あのホセとか言うチャンピオンすげえ強かったにゃ~」

土御門(俺の体術もあれ位強くならないとな…)

吹寄「矢吹丈って、とんでもない不良だと聞いてたけど、あの根性は見習うべきね」

上条「……」

土御門「ん?どうしたカミやん」

上条「……」ボロボロ

土御門「って泣いてるぜよ!?」

青ピ「どうしたんやカミやん、目にゴミでも入ったんか!?」

上条「す、すげぇ…」グスグス

土御門&青ピ「へ?」

黄泉川「どうしたんだ」

上条「先生!!」

クラスメイト「!?」ビクッ

黄泉川「な、なんだ上条」

上条「他にもありますか?矢吹丈の試合のDVD」

黄泉「あ、あるけど…」

上条「俺、矢吹丈のファンになりました!!」ボロボロ

上条「お願いします!!!DVD全部貸してください!!!」ドゲザ

全員「!?」

上条「俺も…あんな風になりたい…」

上条「どんなに追い詰められても立ち上がれる…燃える男になりたい!!」

~~

~~~

黄泉川『矢吹丈の様に燃える男になりたいって泣き叫んでたじゃないか』

上条(何やってんだ俺…)orz

黄泉川『私は基本学校にいるから。近いうち宜しく頼むじゃん』ピッ

上条「はぁ…はぁ」

上条(まさか上条さんが熱狂的なボクシングファンだったなんて…)

禁書「それでとうまはどうするの。今日は見ないの?」

上条「……」

上条(見たという記憶が今の上条さんには無い訳だ…黄泉川って人に返すなら今のうち見ておこう)

~数分後~

上条「うおおおおお!!立て!!!立つんだジョオオオオ!!!!」ボロボロ

上条「ホセのキングオブキングという風潮…いや!その幻想をブチ殺せ!!!!」グスグス

禁書「とうま、ちょっと騒がしいかも」

『矢吹、ダウン!』

上条「ジョー…ジョオオオオオオオオ!!!!」orz

~~

舞夏「今日もお隣は酷くうるさいのだ」

土御門「全くだ。勘弁してほしいぜカミやん」

上条(上条さんは見事にボクシングファンに…否、再び矢吹丈のファンになった)

上条「インデックス、もう一回見て良いか?」イケメンAA

禁書「もう今日で5回目だよ!早く寝るんだよ!」

【次の日・放課後】

上条「はぁ…補修疲れた」

上条「早く家に帰って、DVDを見たい」

上条「昨日はホセ戦だったからな…今日はカーロス、金竜飛、ハリマオ…どの試合を見ようか」wktk

不良1「ねぇねぇ、君可愛いね~」

女生徒「え、ええ…??」ビクッ

上条「……?」

不良2「俺達と一緒にお茶しない?」

女生徒「え…いや…その…」ビクビク

上条「……全く、買い物済ませて、早く家に帰りたいのに」

上条「しかしあの人数、ざっと10人以上いるぞ」

上条「はぁ……不幸だ」

上条「ちょっと君達!」

女生徒「え…」

不良達「あぁ?」

上条「彼女、困ってるじゃないか」

不良3「なんだコイツ…?」

不良4「なに正義面してんの?」

上条「……」ゴクリ

不良5「おい、やっちまおうぜ」

上条「……わかった。仕方ないから相手になってやる」

不良6「随分、自信ありげだなぁコイツ…」パキパキ

上条「……少し場所変えようか」

不良7「しゃあねえな。君、今日は帰って良いよ」

女生徒「は…はい…」ビクビク

上条「……」

~~~

上条「……よし、この辺で始めようか」

不良9「覚悟しろよ」ゴキゴキ

不良10「せっかく女の子と遊ぶ時間を潰してやったんだ、ありがたく思えよ」パキパキ

上条(さて、逃げる準備と心構えを…)ソロリ

不良11「おう来たぜ」

上条「え」

不良12「生意気な野朗ってのはそいつか?」

上条(ぞ、増援!?)

不良1「へへへ…事前に増援を連絡しておいたぜヒーロー君」

不良2「なんせ最近、スキルアウト狩りをしてる奴がいる位だしな」

不良3「念には念をってね」ニヤニヤ

上条(ヤバイ完全に囲まれた…!!30人はいるんじゃないか!?)

上条(今日は早く帰ってDVDを見たかったのに…)

「おう、随分賑わってるじゃねえか」

BGM↓
http://www.youtube.com/watch?v=3T5xnbZNAlw&list=PLB76B9D32610AD04B

全員「!?」

「俺も混ぜてくれよ、その喧嘩」

不良1「あぁん?なんだお前」

「ただの風来坊よ」

不良2「なんだよそのコートに帽子、ダッセエ格好だな」

上条(だ、だれだ…ってあれ?)

「……」

上条(あの人まさか…)

上条(でも、昨日ネットで調べたら死んだって噂も合った気が)

不良1「どうする?」

不良2「良いんじゃね?加勢するなら歓迎だぜ」

「おいおい、俺はそこのウニ頭をリンチしたいんじゃねえ」

「やっこさん達をぶっ潰してやりたいのさ」

不良1「やっこさん?なんだそりゃ」

不良2「豆腐の事か?」

「あほんだら、そりゃ冷やっこだ」

不良2「あ?」

「しっかしなんでい、最近の若ぇのはやっこさんの意味も知んねぇのかい」

不良達「……」

「へへ、来な。遊んでやるよ」

不良1「おらぁ!!」ブン

「おせえ」ササッ

「わきを締めて、内側にえぐり込むように…」

「打つべし!」ヒダリジャブ

ボォォン

不良1「がっ……!!」ガクン

バタッ

上条(リーダーらしき人を一撃で倒した…!!)

不良1「」ピクピク

「なんだ情けねぇ…ジャブ一発で血ヘド吐いて、オネンネかい」

不良2「くっ…おい!!やっちまえ!!」

「へへ、来いよ……おわああああ!!!!」ダダッ

不良達「」ピクピク

「なんでぇい、つまんねぇ」

上条「す、すごい…」

上条(やっぱりあの人は…)

上条(いやでもそんなはず…)

不良29「まだ…まだ…」ムクリ

「ほう、まだ意識合ったのかい…デヤァ!!」ミギストレート

不良29「…!!」

上条(速い!!コレはきまッた!!)

ブンッ

上条(え…)

「…チッ、外しちまった」

上条(あの至近距離で、それに相手も避けてないのにどうして…)

「やっぱり右方向は上手く当たらねぇな…」

不良29「び、びびった…」ガクガク

「ぅぅ、やべぇ」ガクン

上条(今度は倒れた!?)

「いけねえな…『また』目まいがしてきやがった…」グラッ

不良29「良くわからんが今のうち…!!」

「……っ。やべえなこりゃ」

上条「させるか!!!」ボゴォォン

不良29「ぐはぁ…!!」ドサッ

「ぅ…ぅぅ…」

上条「大丈夫ですか!?」

上条(ダメージは受けてないハズなのにどうして…)

「わりぃな…ちょいと二日酔いでな…」

上条「は、はぁ」

上条(でもその割には、あまりお酒臭くない気が…)

不良30「まだ…まだ俺が残ってるぞ!」バチバチ

上条「っ!?能力者か!!」

不良30「そうだ、おれはレベル2の電撃使いだ!」バチバチ

不良30「喰らえ!!」バチチ

「よ、避けなきゃ…」ムクリ

上条「大丈夫です!俺が…うおおおお!!」キュイーン

不良30「な、電撃が消えた!?」

「ウニ頭の兄ちゃん、あんたも能力者なのか…」

上条「いや、おれはレベル0ですよ」ダダッ

「まちな」ガシッ

上条「え…」

「やっと骨のある奴と闘えそうだ…へへへ、燃えてきたぜ」ニヤッ

上条「ちょ、ちょっと…フラフラじゃないです!」

「二日酔いなんざ…気合で乗り越えてやるぜ!」

「へへへ、へへ…」フラフラ

不良30「気味の悪い奴だ…死ねぇぇ!!」バリバリ

「……」サッ

不良30「な…電撃を避けた!?」

「こんな鈍ら電撃より、ベネズエラの大将のパンチの方が速かったぜ!」

「おわああああ!!!!」ミギストレート

不良30「っ!!」

ブンッ

「……また空振りか。やっぱり右はダメだな」アタマツカム

ガシッ

不良30「うっ…!!」

「あばよ!!」ズツキ

ゴォォン

不良30「がぁ…は…」ドサッ

「ぅぅ…頭突きなんてするもんじゃねえな…ますます『酷く』なりそうだ」フラフラ

上条「酷くなる…?」

「ああ、こっちの話だ。気にすんな」

「それよりありがとうな、さっきは助かったぜ」

上条「いえ…逆に助けられてしまって。感謝してます」ペコッ

「……ま、今回は俺がいて命拾いしたな」

上条「ははは…」

「じゃあな、若ぇの」

上条「あ、待って下さい!」

「なんでぇい」

上条「あの…何かお礼を」

「ああ…結構だ。そういうの」

上条「いえ何か…それに二日酔い?なんですよね」

上条「ウチで休んでいきませんか?夕飯をご馳走するので」

「……」ピクリ

「……ここ数年、誰かと夕飯を食べた記憶なんてなかったな」

上条「っ!それじゃ…」

「ああ、これも何かの縁だ。お言葉に甘えて頂くとするよ」

「家庭の温かいご飯ね…楽しみだ」

上条「あの…」

「なんだいウニ頭の兄ちゃん」

上条「ウニ頭じゃなくて、私には上条当麻という名前がありまして…」

「ああわりいなぁ上条。んで何だい?」

上条「あの、間違えたらすいません」

「おう」

上条「もしかして、元ボクサーですか?」

「……どうしてそんな事を聞くんだい」

上条「いや~上条さんの好きなボクサーに似てるから、もしかして~…っなんて思って」

「……」

上条「すいません。人違いですよね…」

「もうあれから10年経つってのによ、まだ俺のファンとかいるのかい」

上条「え」

「上条、俺の…俺の名前はな」

矢吹「矢吹丈って言うんだ」

【学生寮前】

上条「……」ジーン

矢吹「フュ~フュフュフュ~」クチブエ
(口笛の曲:http://www.youtube.com/watch?v=UBzGrCDG7r4

上条「……」ボロボロ

矢吹「ん、どうしたんでい。涙なんか流して」

上条「上条さんは今、幸せです」

上条「……まさか、あの伝説のボクサーに会えるなんて夢みたいで」グスグス

矢吹「そうかい。しかしお前さんも物好きだな」

矢吹「10年前に世界タイトルマッチに挑戦し、敗北したボクサーのファンとかよ」

【学生寮・階段前】

矢吹「んで、お前さんの部屋は何階なんでい?」コツコツ

上条「7階です」コツコツ

矢吹「へぇ…しかし、コレが学生寮ね。これまたご立派な建物だぜ」フラフラ

上条「いやいや、学園都市のレベルで見ればヘボい寮ですよ」コツコツ

矢吹「んなこた無ぇさ、羨ましいね最近の学生さんは」フラ~

ツルッ

矢吹「うお!?」

ズデーン!
ゴロゴロゴロ…

上条(か、階段からずっこけた!?)

矢吹「あいたたた…」アタマサスル

上条「だ、大丈夫ですか!?お怪我は…」

矢吹「ああ、これ位大したこたぁ無ぇ」

矢吹「こんなのここ10年位、日常茶飯事なもんよ」

上条「に…日常茶飯事!?」

矢吹「ああ、毎日が二日酔いみたいなもんでね」フラフラ

上条「……」

矢吹「へへへ…少しは酒の量を減らさねぇとな」

上条「ただいま~!!」

矢吹「ごめんくださーい」

禁書「あ、とうまお帰り!」

上条「インデックス、今日は上条さん大奮発して晩飯、ステーキにしちゃいますよ!」

禁書「え、ほんとう!?やったー!!」

上条「少し待っててな、いま調理するから」

禁書「うん。でもどうしたの突然……」

上条「ふふふ…上条さんのお隣にご注目アレ!」

禁書「隣…?」

矢吹「よお」

禁書「あーーー!!!じょーだ!!!!」

矢吹「おお、白い姉ちゃん。お前さんも俺を知ってるのかい」

上条「あ、紹介します。居候のインデックスです」

矢吹「へ~異国のシスターさんかい」

禁書「宜しくね、じょー!」

矢吹「おうよ、しかしなんだって上条の家に居候が」

上条「それには山よりも高く、海よりも深い訳が…」

禁書「うん……そうそう」

矢吹「ふ~ん、てっきり上条の彼女かと思ったぜ」

上条「ぶほぉ!?」

禁書「や、やだなもうじょーったら///変なこと言わないで///」ドキドキ

上条「イヤイヤありませんから!なんでこんなお子様体型のインd」

禁書「……と~う~ま~」ギラッ

上条「」ビクッ

上条「な、なな、何でそんなに睨んでるんでせうかインデックスさん…そしてなぜお口を開けt」ダラダラ

ガブッ

上条「ぎゃああああああああ!!!!」

矢吹「はははは、こりゃ過激な愛情表現だな」

上条「た、助けて矢吹さぁぁん!!」

~~~

全員「いただきまーす」

矢吹「悪いな。飯を作って貰っちゃって」

矢吹「しかもステーキと来たもんだ、ありがてぇや」

上条「いやいや。あの伝説のボクサーを家に招いてるんですから」

矢吹「伝説のボクサーね…それが俺の今の通り名かい」

上条「ええ、そうですね」

禁書「現役の頃は何て呼ばれてたのかな?」

矢吹「ロクなもんじゃないさ」

矢吹「殺し屋だの、死神ジョーだの…全く頭くるぜマスコミの連中も」

禁書「そ、それは確かに嫌なんだよ…」

矢吹「まあ…色々あったし、否定はできねぇけどよ」ボソ

禁書「あっ………ごめん」シュン

上条「……?」

矢吹「しっかし、インデックスの肉はやたらデカイな」

禁書「えへへへ~」バグバグ

矢吹「この食いっぷり…まるで西だな」

上条「西?」

矢吹「俺の親友だよ」

矢吹「それに引き換え上条、なんだってお前さん、肉が小さいんだい」

上条「あははは…上条さんは少食なんで…」

矢吹「……上条、皿を交換しようぜ」

上条「え?」

矢吹「成長期なんだからよしっかり食えよ、ホラ」ササッ

上条「わわ、ちょ!?ダメですよ!矢吹さんはお客さんですから、一杯食べないと」

矢吹「あとご飯もやるよ。俺はこの小さいステーキだけで充分だ」

上条「矢吹さん!」

矢吹「良いんだよ。お前のその気持ちだけで…もう充分だ。感謝してるぜ」

上条「でもこんな小さいステーキで…それにご飯も無しなんて…」

禁書「とうま、ご飯いらないなら頂戴」

上条「お前は食いすぎだ!」

矢吹「……あん時食ったステーキは美味かったなぁ」

上条&禁書「え?」

矢吹「あれは東洋太平洋戦の日だった。時間ギリギリまで減量して、その後に食った…小さなステーキ」

上条「そんなに切羽詰まった減量だったんですか?」

矢吹「……おっつぁんが余計な事しやがってよ、お陰で再計量する羽目になったんだ」

矢吹「でも、おっつぁんからのオゴリだったあのステーキは…忘れられねえ、美味かった」

禁書「げ、減量なんて…私にはとてもじゃないけど無理なんだよ」ガクガク

上条「やっぱり、減量って相当キツイのでしょうか?」

矢吹「まあ普通に考えりゃキツイ訳だが……」

矢吹「……深くは答えられねぇ」

禁書「えー教えてよー。減量ってどんなに大変なの?」

矢吹「……」

禁書「ねーねー」

矢吹「……申し訳ないんだよ。あいつに」

上条&禁書「え?」

矢吹「話を濁して悪いな。さっ、食おうぜ」

~~~

全員「ごちそうさまでした」

矢吹「ありがとよ、んじゃ帰るわ」スクッ

上条「あ、待って下さい!」

矢吹「なんでい」

上条「あの…泊まっていきませんか?」

矢吹「いやいいよ、じゃあな」

上条「あ…待って下さい!!お願いがあるんです!!!」

矢吹「今度はお願いと来たか…なんでい藪から棒に」

上条「……」

上条「不肖、この上条当麻に……」

矢吹「おう」

上条「ボクシングを教えてください!!!」

矢吹「な、なにぃ~!?」

上条「俺、矢吹さんに憧れてるんです」

上条「何度倒されても立ち上がる不屈の闘志…」

上条「そしてあの鮮やかなクロスカウンター…!!」

上条「俺も矢吹さんみたいに…真っ赤に燃え上がる強い男になりたいんです!!」

上条「お願いします!!!!」ドゲザ

矢吹「……」

上条「……」

矢吹「……」

上条「ダメでせうか…?」

矢吹「……」

禁書「……私からもお願いなんだよ」ペコ

上条「インデックス…!」

禁書「とうまはね、お人よしで穏やかでね、滅多に人に無理なお願いなんてしない人なんだよ」

禁書「そんな、とうまが熱くなる時はいつも、誰かを守りたくなる時か」

禁書「ジョーの姿を追いかけてる時だけなんだよ」

矢吹「……」

矢吹「……わかった、いいぜ」

上条「ほ、本当ですか!?」

矢吹「ああ、丁度良い暇つぶしになるしな」

矢吹「早速、明日からの朝4時半から特訓だ」

上条「はい!!」

禁書「よ、四時半!?」

矢吹「言っとくが俺は鬼より恐ろしいぜ…覚悟しな」

上条「は、はい!!!」

矢吹「……それと、条件がある」

上条「はい!なんですか?」

矢吹「おれは相当、気まぐれな男よ」

矢吹「ある日、突然消えることも可能性的にある。その時点で、俺との特訓は終わりだ」

上条「え?」

矢吹「一日一日の特訓が最後だと思って、死ぬ気でやれ」

上条「え、いや、あの、それはどういう意味で」ドギマギ

矢吹「わかったのか?どうなんだい!!」キッ

上条「あ、は、ははいいい!!!」ビクッ

矢吹「んじゃ、おいとましますわ」

上条「あ、だから、泊まってってください!」

矢吹「いやだからいいって」

禁書「そういえばジョー」

矢吹「ん?」

禁書「学園都市のどの辺に住んでるの?」

矢吹「ドコに住んでるかって?おれはドコにも住んでないぜ」

上条&禁書「え」

矢吹「おれは風来坊…旅人だからな」

上条&禁書「た、旅人!?」

矢吹「おうよ、もうかれこれ10年は日本中を旅してる所だ」

矢吹「それで本来、学園都市でなく、浅草の泪橋(なみだばし)に帰郷して」

矢吹「その後、東北、北海道……シベリアに行こうと思ってたんだ」

上条「シ、シベリア!?」

禁書「そ、それってロシアなんだよ!」

矢吹「だが何となく、学園都市の存在が気になってな、3ヶ月前にここに来た」

上条「随分前から来ていたんですね」

矢吹「まあな。本当は1週間したら浅草へ帰ろうと思ってたんだが」

矢吹「この辺の子供らと仲良くなり、情が移っちまって…ズルズルとな」

矢吹「俺、子供と遊ぶの、割と好きなんだ」

上条「そ、そうだったんですか…」

禁書「所で普段はどうやってご飯食べてるの?」

矢吹「パチンコで生計を立ててる」

上条「パ、パチンコ!?」

矢吹「へへ、俺の賭博術は超プロ級だぜ。毎日大当たりよ」

上条「上条さんとは大違いです…」

上条「でも、だったら尚更…」

矢吹「そうは言ってもな…既に居候がいるようだし」

禁書「私は大歓迎なんだよ!」

矢吹「……」

禁書「家族が増えて楽しくなるね!」

矢吹「家族…か。一匹狼、矢吹丈には似合わないね」プイッ

上条&禁書「……」シュン

矢吹「……」

矢吹「でもまあ…良いか」

上条&禁書「ほ、本当(ですか)!?」

矢吹「ああ、悪くねぇ…悪くはねぇよ」ニコッ

上条&禁書「やったあああぁぁ!!!!」ハイタッチ

矢吹「へへ…まあ、ヨロシク頼むわ」

上条「それじゃ、そろそろ寝ましょうか」

矢吹「そうだな」

上条「それで寝床なんですが…」チラッ

禁書「む…なんでこっちをみるのかな」

矢吹「おれはベランダでいいよ」

上条「っ!?な、何いってるんですか!風邪引きますよ!」

矢吹「大丈夫だって、おれは何年も野宿で暮らしてきたんだ」

上条「それでもダメです!」

矢吹「それじゃ洗面所ってのはどうだい」

上条「ま、まあ…そこが妥当なんですが…」チラッ

禁書「だから何でコッチを見るんだよ」

上条「あ、それで、パジャマ貸しますよ」

矢吹「ワリぃな」ウケトル

矢吹「お、Yシャツか…久しぶりだな」

禁書「ジョーはいつも同じ格好なの?」

矢吹「まあそんな所だな」ウワギヌグ

矢吹「………」

矢吹「…ん……くっ…」ググッ

上条&禁書「?」

矢吹「くっ…くそ…こんにゃろ…」ググッ

上条「矢吹さん……?」

矢吹「くそ…くっ…ぅぅ…」

ブチッ

矢吹「あ……」

上条(ボタンが取れた…)

禁書「ジョーって、もしかして結構、不器用なのかな?」

矢吹「………」

矢吹「ああ…そうなんだよ。昔からそそっかしいしよ」

矢吹「へへ、参ったなこりゃ」プルプル

上条「……」

上条「あの、矢吹さん」

矢吹「なんだい」プルプル

上条「手が…震えてますが」

矢吹「……」プルプル

矢吹「俺、冷え性が酷くてよ。たまにこうなるんだよ」

矢吹「本当、たまにな」

上条「はぁ…」

矢吹「悪いな。後で手の震えが止まったらボタンを縫っとくからよ」

上条「いやそんな…」

矢吹「それよりよ、Tシャツを貸してくれないか?」

上条「え、あぁ、はい」

【洗面所】

矢吹「しっかしお前さんも本当にお人よしなんだな」

矢吹「居候をベットに寝かすとかよ」

上条「まあインデックスさんは女の子ですし」

上条「俺みたいに風呂場に寝かせると言う訳にも」

矢吹「へへ、まあ…それもそうか」

矢吹「でも、それでもよ、お前さんは俺とは大違いだな」

矢吹「俺なんか少年院にいた頃は、先輩達をブチのめして、布団を集め即席ベットを作ったもんだ」

上条「しょ、少年院!?」

矢吹「ああ、俺がインデックス位の頃かな」

矢吹「色々やんちゃしたもんだ」

矢吹「しかしなんだって、俺なんかを尊敬するのか、不思議でならねぇな」

矢吹「どっちかって言うと、ホセのファンとかになりそうだけどな」

上条「いや!矢吹さんが良いです!!」

矢吹「少なくともあの頃の俺は、お前さんが嫌いそうな男だったぜ?」

上条「でもそれは昔の話であって…とにかく俺は矢吹さんの様になりたいんです!!」

矢吹「……実は今日、お前さんがやっこさん達に囲まれてたの、最初から見てたんだ」

上条「え」

矢吹「ブチのめしてやろうと思ってた手前…お前さんが来たんだ」

矢吹「一目見てわかったね『俺とは違う人種』だってな」

上条「でも矢吹さんは俺を助けて…」

矢吹「結果だけ見ればな。だが俺は根っから『喧嘩屋』」

矢吹「お前さんは喧嘩慣れしてそうだが、『正義の味方』って言った所よ」

上条「……」

上条「俺はただ…矢吹さんの背中を追いかけたいだけです」

矢吹「……」

上条「矢吹さんの試合を見て、腹の底からマグマみたいに、熱いものが込み上げたというか」

上条「とにかく…理屈抜きなんです」ググッ

矢吹「理屈抜きね…」

矢吹「へへ、そうだよな…理屈じゃない」

矢吹「言葉に出来ない、どうしようもない程の熱いものを…リング上で放出し、燃やし尽くす」

矢吹「そして最後には、真っ白に灰になる…」

上条「……」

矢吹「……寝るか、あしたは早ぇ」

上条「はい…」

【早朝・河川敷】

矢吹「準備運動は出来たようだな、今日の予定は?」

上条「9時から3時まで、学校で補修です」

矢吹「サボっちまえそんなの」

上条「上条さんの人生が終わってしまいます!」

矢吹「ああ、わかったわかった」

矢吹「俺もどの道、お前さんが学校に行ってる間やる事がある」

上条「はぁ……?」

矢吹「ボクシングに必要な道具を揃える、その為の資金稼ぎよ」

上条「……?」

矢吹「それじゃまずは、ランニングとダッシュのコンビネーションで行くぞ」

上条「あ、はい!!」

矢吹「はぁっはぁっはぁっ」ダダッ

上条「ぜぇぜぇ…!!」

上条(流石元ボクサー…体力が凄い)

矢吹「よし、ダッシュだ!!」ダダダッ

上条「え、ちょ、待っ」

矢吹「おらああああ!!」ダダダッ

上条「ああ…もうあんな所まで…」ダダッ

矢吹「遅ぇぞ!!早くしろ!!」

上条「はぁはぁ…!!」

矢吹「よし、ざっと10キロは走ったか」

上条「」orz

矢吹「よし、んじゃそろそろパンチの打ち方を教えてやる」

上条「は…はい!!」

矢吹「心して聞きな」

矢吹「あしたの為にその1…ジャブだ。

矢吹「攻撃の突破口を開く為、或いは敵の出足を止める為、左パンチを小刻みに打つ事…」

矢吹「肘を脇の下から離さぬ心構えで、やや内角を狙い、えぐり込む様に打つべし!」

矢吹「……昔、おっつぁんから言われた事だ。やれ」

上条「はい!!」

上条「肘を脇の下から離さぬ心構えで、やや内角を狙い、えぐり込む様に…」

シュッ

上条「打つべし!!」

矢吹「ダメだ、動きが大きい。もっとシャープにいけ」

上条「打つべし!打つべし!!」シュッシュッ

矢吹「力むな、もっと手首を使え」

上条「打つべし!打つべし!!」シュッシュッ

矢吹「おお、良い感じになってきたな。その感覚を忘れるなよ」

矢吹「よし、折り返して家まで残り10キロ走るぞ!」

矢吹「今度は、ランニング、ダッシュ、シャドーの繰り返しで行くぞ」

上条「ちょ、ちょっと待ってください」

矢吹「なんでい」

上条「休憩させて下さい…10キロ走って、シャドー終えたばかりで走るのは…」

矢吹「ああ、わかった」

矢吹「……」

~~~

矢吹「いくぞ」

上条「え、まだ5分しか」

矢吹「つべこべ言ってないで、付いて来やがれってんでい!!」

上条「は、はひ!!」

矢吹「まあ初日はこんなもんか、今日の特訓終わり」

矢吹「ボクシングに必要な物を揃えたら、夕方から夜にかけても特訓だ。いいな?」

上条「は、はひ…」

矢吹「それじゃとっととシャワー浴びて、学校行って来い」

ツルッ

矢吹「うおぉ!?」

ズデーン!

上条「大丈夫ですか!?」

矢吹「あいててて…」

上条「また二日酔いですか?」

矢吹「へへ…どうやらそのようだな」

上条(二日酔いで良くあれだけ走れるな)

上条(でも…あれ、矢吹さん昨日お酒飲んで無かったような…?)

上条「いってきまーす!」

矢吹「おう」

禁書「行ってらっしゃい」

矢吹「インデックスは日中はどうしてるんだ?」

禁書「日中はヒマかも、早くとうま帰って来ないかな~寂しいんだよ」

矢吹「……よし、決まりだ」

禁書「え?」

矢吹「インデックス、ちょいと付き合えや」

禁書「何をするの?」

矢吹「一緒にパチンコやりにいくぞ」

禁書「パ、パチンコ?」

矢吹「そうだ、ちょいと金が必要なんだ」

禁書「パチンコなんてやった事ないんだよ」

矢吹「大丈夫だ、俺が教えてやる」

矢吹「それと、夕方からは公園で子供らと遊ぶが…いいよな?」

禁書「いいよ」

矢吹「んじゃ行くか」

禁書「うん!」

一旦締めます
因みにココまでは、前スレの>>90までの話

ここから本来は『日常&再会編』でしたが、ここで前スレに無かった話を挟みます

その話とは元々は『実験編の前日談』として書く予定の物でした
しかし、このタイミングで書いた方が時系列的に解りやすくなると思ったので、ここで挟みます

とりあえず、今から書き溜めしてきます

前スレでは沢山コメ頂いたのに、謎のHTML化が起きて、本当に申し訳ないです

投下します
前スレに無かった追加話
(前スレでも書く予定だったけど)

前スレ>90~>96の間の話(時系列的に)
そして『あの方達』との出会い

【数日後・パチンコ屋】

矢吹「さて、今日も儲けるぜ!」ジャラジャラ

禁書「ねえ、じょー。昨日、とうまから言われたんだけど」ジャラジャラ

矢吹「なんだい」カチャカチャ

禁書「私ってパチンコ屋入るの危ないんじゃって言われた。まだ未成年だし」カチャカチャ

矢吹「大丈夫だよ。おれはお前くらいの頃、ジャンジャンやってたぜい」

禁書「でも、この町にはアンチスキルとジャッジメントがいるから、やめとけって言われたんだよ」

矢吹「アンチスキルにジャッジメント?」

禁書「町の治安を守ってる、警官みたいな人達だって」

矢吹「へ!上等じゃねえか、アンポンタンスキルだかジャージメットだが知らねえがな…」

矢吹「注意されたら、適当に二十歳越えだって言って、誤魔かせや」

禁書「はーい。あ、今日も午後からは子供達と遊ぶんだよね?」

矢吹「ああ。今日は特性紙芝居と、かくれんぼするぜ!」

~その頃~
【ジャッチメント支部】

御坂「やっほー黒子!」

黒子「まあまあお姉さま!!今日も麗しゅうお姿で…///」ギュゥゥ

御坂「ちょ…離しなさい!暑苦しい!」

初春「こんにちは御坂さん。…って、ちょっと白井さん、固法先輩が連絡報告してるんですから、静かにしましょう!」

黒子「少しくらい、二人だけの時間をほしいですの…」パッ

御坂「あれ、佐天さんは遊びに来てないの?」

初春「今日は大切な用事があるとかで、来ないみたいです」

固法「はいはい静粛に。連絡事項を申し上げるわよ」

黒子&初春「はい」

固法「ここ数ヶ月、『スキルアウト狩り』が流行っているみたいなの」

黒子&初春「スキルアウト狩り…?」

黒子「まさかお姉さま…」ジー

御坂「な、何よ!悪い奴を倒して何が悪いのよ!!」

固法「いや、御坂さんの事ではないわ」

御坂「え」

固法「電撃とかの傷でなく、殴られた者ばかりだって」

初春「それって、スキルアウト同士の抗争とかじゃ?」

固法「……一応、あいつにも聞いてみたけど、違うと思うって」

初春(あいつって…黒妻さんかな?)

固法「それに、入院してるスキルアウト達からの証言によると」

固法「身長は170cm台の細身で、ハンチング帽子とロングコートを着た人だって…それと江戸っ子口調だとか」

黒子「ふむ、いまどき珍しい江戸っ子とは…」

御坂「ハンチング帽子とロングコート…それに江戸っ子口調…」

初春「御坂さん?」

御坂「私、多分…その人知ってるかも」

初春「え、本当ですか!?」

御坂「うん、前に自販機で会ったような…」

御坂「でもスキルアウトを倒してくれてるんでしょう?だったら良いじゃない。治安も良くなるし」

固法「いやそれがね…『度』が過ぎるみたい」

固法「この数ヶ月で、数え切れない程のスキルアウト達が病院送りに…しかも、ほぼ全員、全治一ヶ月以上」

固法「それと一昔前の医療で治せず、後遺症が残ってるようなケガをされたとか」

初春「こ、後遺症…」ブルッ

固法「医療の発展を遂げたから、酷いケガも治るみたいだけど、度が過ぎるってお医者様から報告があったの」

固法「治安が良くなってるのは事実みたいだから、逮捕とまではいかなくとも、厳重注意をしてほしいって言われたわ」

黒子「なるほど。まあ私からすれば、天罰としか言い様がありませんが…度がすぎるのも問題ですの」

御坂「それじゃ早速、例の自販機の所に行って見る?」

固法「それじゃ、白井さんに初春さん。行ってきて貰える?」

黒子&初春「はい!」

ジョーと黄泉川さんの相性はどうなんだ?
てか、ジョーのほうが年上?

【公園・自販機前】

黒子「付きましたの!って…あれは?」ヒュンッ

ガヤガヤ、ワイワイ

初春「自販機の前に、子供達が群がってますね」

ボンボン!!

御坂「あ、やっぱりそうだ…!」

黒子&初春「え?」

矢吹「打つべし!打つべし!!」ボンボンッ

ガコン、ガコン!

子供1「わーいジュースだ!」

子供2「ありがとう!ジョー兄!!」

子供3「うつべし!うつべし!」シュッシュッ

矢吹「うわははは!さあさあ、じゃんじゃん飲め飲め」

禁書「美味しい~」ゴクゴク

黒子「あ、あの殿方は…一体なにを…」アゼン

矢吹「さあお次は、俺とこのシスターで書いた、紙芝居を披露するぜ!」

禁書「題して『マンモスと一匹オオカミ』だよ!はじまり、はじまり~」

矢吹「むか~しむかし!ある所に、マンモスと一匹オオカミがいたとさ。ある日、二人は山の頂上まで競争する事になった!」

矢吹「だがしかし!一匹オオカミは喧嘩が大好き」

矢吹「『こんにゃろー!!俺こそが最強だ!!』…一匹オオカミは喧嘩に夢中で、なかなか走らない!」

禁書「『い、今のうちに、ワイが走って距離を縮めるさかい』っと、マンモスは走り出した!」

矢吹「マンモスは必死に走った。だが暫くしたらお腹が減って、山の麓にある、うどん屋へ寄ったとさ」

禁書「『ここのうどんは格別やで~』ズルズルと美味しそうに食べるマンモス。しかし…」

矢吹「『おーいマンモス!』っと声が聞こえるではないか、マンモスが声をした方を振り向くと…」

矢吹「なんとなんと!山の頂上に一匹オオカミがいるではないか~!」

禁書「『そ、そんなアホな…』…マンモスはショックを受ける」

矢吹「こうして敗れたマンモスは、一匹オオカミの舎弟になりましたとさ」

矢吹&禁書「めでたし、めでたし」

黒子&初春「」

矢吹「良いか皆!勝負ってのはな、最後まで何が起きるか分からないんだぜ」

矢吹「それと、うどんは食いすぎるなよ!」

子供達「はーい!」

禁書「イヤだ」

御坂「な、なんか…色々と酷いわねあの紙芝居」

黒子「と、とりあえず…仕事を…」

矢吹「それでは次回!『アル中オヤジへ、一匹オオカミの恩返し』乞うご期待!」

黒子「ちょっと、御免あそばせ…」ススッ

子供達「あ、常盤台の人達だ」

矢吹「常盤台?」

黒子「ジャッチメントですの!」

矢吹「ジャッチメント?ああ、今朝インデックスが言ってた…」

黒子「少々お聞きしたいことがあるのですが、宜しいでしょうか?」

矢吹「……」

矢吹「やなこった」アッカンベー

黒子「は?」ピキッ

矢吹「よーし皆!次はかくれんぼだ!」バンザーイ

子供達「わーい!!」

禁書「ジャンケンするんだよ!」

黒子「ちょっとお待ちなさい!!」

矢吹「ウルセーな…なんだってんだい」

黒子「質問をしたいのですが、私のお話を聞いてくれますか?」

矢吹「なんだよ…俺はな!これから子供らと、かくれんぼするんだよ!かくれんぼ!!邪魔すんじゃねぇよ!!」

初春「良い大人が、かくれんぼが出来なくて怒ってますよ…本当にあの人がスキルアウト狩りの犯人なんですか?」ドンビキ

御坂「さ、さあ…」

矢吹「わーったよ!ピーチクパーチクうるせぇ事よ」

黒子「全く…」

矢吹「かくれんぼを一緒にやってくれたら、聞いてやるよ」

黒子「今聞いて欲しいですの!!」

矢吹「面倒だなあ…かくれんぼ嫌いなのかよ」

黒子「そういう事じゃないですの!!」

御坂「あ、あの…」ソロ~

矢吹「うん?あ、この間、一緒に自販機ぶっ叩いた…」

御坂「覚えててくれましたか?」

矢吹「おてんばじゃねえか!」

御坂「だ、誰がお転婆だ!!」

矢吹「まあそうカッカすんな。んで、どうしたんだい」

御坂「率直に聞きますけど」

矢吹「おう」

御坂「スキルアウト狩り…ってやってますか?」

矢吹「スキルアウト?なんだそりゃ」

御坂「簡単に言えば、ならず者達…なんか凄い勢いで、被害に合ってるみたいですけど」

初春(でもやってたとして、簡単に認めるのでしょうか)ヒソヒソ

黒子(た、確かに…)ヒソヒソ

矢吹「……」

矢吹「ああ、やっこさん達か!連日ブチのめしてるぜ」

初春&黒子「あ、あっさり!?」ガガーン

御坂「やっぱりアナタだったんですか…」

黒子「えーっと…一応、聞きますの。何のためにスキルアウト狩りなどを」

矢吹「いや…この町ってやたらチンピラ紛いな奴多いだろう?」

黒子「ま、まあ…」

矢吹「女子(おなご)が、チンピラにナンパされて困ってたり…あと野朗がカツアゲされてたり…」

矢吹「可愛そうだから、やっこさん達をブチのめしてやったのさ…そしたら恨みが恨みを呼んでよ…」

黒子「目を付けられてたんですのね?」

矢吹「まあそんなこった」

黒子「ふむ…一応、事情は分かりましたわ。ほぼ正当防衛ではありますね」

矢吹「終わりかい?」

黒子「いえ…実は、学園都市のお医者様から伝言が」ペラッ

黒子「『度がすぎる。もう少し抑えて』だそうです」

矢吹「へん…なんだ、そんなことかい」

黒子「それと『時代が違えば、後遺症だって残ってた』…だ、そうです」

矢吹「」ビクッ

黒子「?」

矢吹「」

禁書「……」

子供達「ジョー兄、どーしたの?」

矢吹「」

初春&御坂(……?)

黒子「あの…聞いてますの?」

矢吹「」

黒子「もしもーし」ポンポン

矢吹「あ、ああ…悪かった。気をつけるよ」

黒子「……?今度はやけに素直ですわね…」

矢吹「わ、悪いな…世話かけて…」

黒子「それじゃ、失礼しますの」

黒子「後、もう自販機は叩いてはなりません」

矢吹「ああ…ご苦労さん」

初春「なんでしょう…変人かと思いきや、急にマジメになっちゃって」

御坂「……凄い、落ち込んでたわよね」

矢吹「……」

禁書「じょー…」

子供達「ジョー兄…どうしたの、元気だして」

初春「……ん?あれは」

佐天「あーーー!!!初春に皆さんお揃いで!」

初春「佐天さん、今日は大事な用事あるんじゃ」

佐天「うん!いま向かってる所……」

佐天「……ん?」

矢吹「……さて、かくれんぼするか」

佐天「あ、あ…え、う、嘘…」

初春「佐天さん…?」

佐天「ジョーだあぁぁぁ!!!!!!!」

全員「!?」ビクッ

佐天「あ、あの…矢吹丈さんですよね!?」

矢吹「え?ああ…」

佐天「私!矢吹さんの大ファンなんです!」

矢吹「ファ、ファン?」

黒子「矢吹丈…?聞いたことありませんわね」

御坂「えっと、この人って…有名人か何か?」

初春「さあ?」

佐天「わああ嬉しい!!サイン下さい!!!はい色紙!!!」ススッ

矢吹「え?あ、ああ…」サラサラ

佐天「やったーーー!!!!」バンザーイ

矢吹「しっかしまあ、物好きが多いねこの街は」

佐天「あの、その…今は何やってるんですか?」

矢吹「ウニ頭に居候を懇願されてだな…ソイツにボクシングを教えてる」

矢吹「昼間はパチンコやったり、子供らと遊んでる所だ」

佐天「あ、あの…もし良ければ、私にもボクシング教えてください!!」

矢吹「え…うーん、良いよ」

初春「あ、あっさり…」

御坂「この人って元ボクサーなの?」

佐天「そうです!元東洋チャンプ、そしてあの世界王者ホセ・メンドーサと同等に闘った男…伝説のボクサーです!」

矢吹「よせやい。もう10年も前の話だ」

黒子「なんでそんな昔のボクサーの事を…」

佐天「前に、受けさせられた特別講習で、黄泉川先生からジョーさんの試合のDVDを見たんです」

佐天「ボクシングとか詳しくなかったけど、矢吹さんの試合を見て…もう感動しちゃって涙が止まらなくて…」

佐天「私、無能力者だけど、すごい勇気を頂いて…私もジョーさんみたいになりたくて…」

佐天「これからボクシングジムに入門しようとした所です」

初春「大事な用事って、まさかそれだったんですか?」

佐天「うん、でもキャンセルする。矢吹さんに教わるから」

矢吹「ところでお前さん、どこら辺に住んでるだい」

佐天「○地区の、○○辺りです」

矢吹「う~ん…居候先から、かなり距離があるな」

佐天「わたし、毎日通います!」

矢吹「バスで?だいぶ金かかると思うぜ」

佐天「むむむ…でも」

黒子「佐天さん、釘をさして置きますが、完全下校時刻は守ってくださいまし?勿論、お姉さまも」

御坂「う、うるさいわね…!」

佐天「……」

矢吹「とりあえずだ。毎日とはいかなくとも、週に3回とかどうだ?」

佐天「ああ、そうですね!それならバス代も…」

矢吹「よし…決まりだな」

禁書「それで、長いお話は終わったのかな?」

子供達「ぶーぶー」

矢吹「ああ、悪い悪い!」

矢吹「よし…それじゃ、このお嬢様方にも責任を取ってもらおうかい!」

黒子&初春「え」

御坂「せ、責任って…?」

矢吹「全員でかくれんぼするぞ!!」

黒子&初春「!?」

子供達「わーい!」

佐天「わーい!」

御坂「ちょ」

矢吹「四の五のは無しだぜ、ほら…じゃんけん!」

~2時間後~

子供達「ばいばーい」

矢吹「おう、またな!」

黒子「な、なんで私達まで…」グッタリ

初春「でも楽しかったし、良いんじゃないですか?」

御坂「まあ子供と遊ぶの、嫌いじゃないし悪くなかったわ」

佐天「ジョーさん!今日は楽しかったです!!」

矢吹「ああ、涙子。帰りホームセンターに寄るから付き合えや」

佐天「ホームセンターですね?わかりました!!」

【ホームセンター】

禁書「何を買うの?」

矢吹「今日のパチンコの儲け分で、鍬(くわ)を買う」

佐天「鍬なんか買ってどうするんですか?」

矢吹「まあ見てなって…鍬を3つほど購入するぜ」

【空き地】

矢吹「二人とも、良く見てろ」

佐天&禁書「?」

矢吹「せーの!」ブンッ

ザクッ!ザクッ!

佐天(鍬を片手で、土を…?)

矢吹「……っとまあ、これをだな涙子。毎日片手で、30分2セット、左右ずつ交換してやってくれ」

禁書「畑でも耕すの?」

矢吹「それも悪くねえが…これはスナップを鍛えるためにやるんだ」

矢吹「涙子、コレをだな毎日やるんだ」

佐天「この鍬を…毎日…」ガシッ

矢吹「それと、ダッシュとランニングの合わせたロードワーク、シャドーもな」

矢吹「基礎体力を付けろ」

矢吹「来週から、週に3回ウチに来て、3人で合同練習をやるぜ」

佐天「分かりました!毎日、片手くわ素振り、ロードワーク、シャドーをやります!」

矢吹「そうだ。週3回ウチに来るのはあくまで、サンドバックやミット打ちの練習のため…日々の鍛錬を忘れるんじゃねぇ」

矢吹「まず今日の分の鍬素振りを終え、その後に『あしたのためにその1』を、涙子に伝授するぜ」

禁書「ところで、じょー。3人って…とうまとるいこ、あと一人は?」

矢吹「お前だよ」

禁書「」

矢吹「パチ屋で話していた、お前さんの境遇を聞いてだな…決めた。決めたんだよ。明日のためにな」

矢吹「早速始めるぜ!お前らのあしたの為に!鍬の片手素振り30分2セット開始!!」

佐天「は、はい!!!!」ブンッ

禁書「」

ここからは
前スレ>96からの続き

【一週間後の深夜・自宅】

上条(矢吹さんが上条家に来てより、早一週間)

上条(三日前に、矢吹さんがパチンコで稼いだお金で、ボクシングに必要な物を購入)

上条(それから俺の特訓は早朝だけでなく、夕方から夜にかけても行うようになる)

上条「ワンツー!ワンツー!」ボンボン

矢吹「良い調子だ!残り1分間、気合入れろ!!」

上条「はい!!」ボンボン

上条(そして物品が揃ってから三日前より、もう一人練習生が増える)

禁書「ぜぇぜぇ、あしたの為に…うつべし…うつべし…」ヘロヘロ

矢吹「おい!ダラダラやってんじゃねぇ!!」

禁書「だ、だってぇ…」ヘロヘロ

矢吹「もっと気合入れてサンドバック叩けぇねえのかよ!!」

禁書「な、なんで私までボクシング始めなきゃいけないのぉ~…」ペチペチ

矢吹「つべこべ言ってないで、体を動かせってんでい!!」

禁書「縄跳び終わったばかりなのに、体力持たないんだよ…」ペチペチ

上条「あの…なぜインデックスさんにもボクシングを…?」

矢吹「一緒にパチンコをやってた時によ、お前らのこと色々聞かせてもらったよ」

矢吹「インデックスの奴…魔法結社なる連中に狙われてる身らしいじゃねぇか」

禁書「魔法結社じゃなくて魔術結社!」

矢吹「どっちも変わらねぇだろうが!!黙ってサンドバック叩きやがれ!!」

禁書「うぅ…魔術だってば…」ビクビク

上条「あの~…インデックスさんは女の子だからもう少し優しく…」オロオロ

矢吹「バカヤロウ!本当に心配してるならな…あいつを強い女に育てなきゃダメだ!!」

矢吹「自分の身は自分で守れるくらいな」

矢吹「インデックスには、C級ライセンスを取れる実力に育ってもらわなきゃな」

矢吹「よし!今日の特訓は終わりだ!」

禁書「」バタンキュ~

上条「ありがとうございました!」

矢吹「そうだ、お前に話して置きたい事があったんだ」

上条「はい?」

矢吹「近いうちに、スパーリングやるぞ」

上条「ス、スパーリングですか!?」

矢吹「ああ、覚悟しておけよ」

上条「えっと、ご相手は矢吹さんですか?」

矢吹「まあ俺でも良いんだけどよ…だがな…」

上条「はい…?」

矢吹(いきなり俺じゃキツイだろうしな…どうしようか…)

矢吹「んま、とりあえず今日はシャワー浴びて寝な」

上条「あ、その前にDVDで見たい試合があるんですよ」

矢吹「見たい試合?そうだな、勉強になるし構わないぜ」

上条「今日は…レオン・スマイリーとの試合を見たいです」

矢吹「…っ」ピクッ

上条「?」

矢吹「……レ、レオンか、いいぜ」

~~

『おおっと、レオン!矢吹にバッティング!』

禁書「今の絶対ワザとなんだよ!」

上条「試合前にも矢吹さんに、やたら挑発してたし、とんでもない奴だな」

矢吹「……あんまりよ、レオンの悪口を言うのはよそうや、な?」

上条・禁書「え…」

矢吹「初めは頭にもきたけどよ…解りあえば、案外良い奴なんだぜアイツも」

上条「いや~凄い試合でした!」

矢吹「…そうかい、そいつは良かった。んじゃ寝ようか」

上条「あの…明日は補修休みなんで、もうちょっと見たいです」

矢吹「あ、そう。んじゃ何の試合を見るかい?」

上条「それじゃウルフ金串との試合を」

矢吹「……」

矢吹「ウ、ウルフとの試合は…また別の機会の時に見ようや…」

上条「……?それじゃ、力石徹との試合を」

矢吹「」ビクッ

上条「矢吹さん…?」

矢吹「……」

矢吹「……悪い、ちょいと散歩してくるわ」クルッ

上条「え、ちょ、ちょっと!」

矢吹「明日の夜には帰るわ、んじゃ」

上条「明日の夜って…それじゃ今夜はドコに泊まるんですか!?」

矢吹「ああ、そうだ。ウルフ戦も力石戦も、俺がいない間に見ておけ」

矢吹「良い勉強になる筈だ。じゃあな」

ガチャッ

上条「どうしちゃったんだ一体…」

禁書「ぅぅ…当麻のバカ!!」ガブッ

上条「いででで!!な、なんだよインデックス!!」

禁書「じょーに軽々しく、りきいしの話するのは禁句なんだよ!」ガブガブ

上条「そ、それはどういう意味でせうか…?」

禁書「忘れちゃったの!?前に私に話してたじゃない!」ガブガブ

上条(話していた?そうか俺は記憶喪失で…でも一体何なんだろう)

禁書「じょーは、りきいしを…」

上条「……え?」

【翌日の夕方・河川敷】

矢吹「……」

矢吹「……」ウトウト

――――

矢吹よ、どうした…

力石か…どうもしねぇさ

そうかい、相変わらずだな

当たり前よ

ふふふふ、それじゃあな

へへへ、あばよ

――――

矢吹「……っ」パチッ

矢吹「夢…か…」

矢吹「もうすっかり暗くなっちまった」

矢吹「力石……」

矢吹「……」

ドゴォォォン!!!

矢吹「っ!!?な、なんでい!!」スクッ

ゴゴゴゴゴ…!!

矢吹「ビ、ビルが崩壊しやがった…!!」

ススス…

矢吹「っ!?今度は壊れたビルが、元の形に戻ってやがる…」

矢吹「……」アゼン

「この町ってのは毎日の様に、不思議な事が起きますよね本当…」

矢吹「……?」

「あっしも初めてこの町に来た頃は、よく面食らいましたよ」

矢吹「……ん?」

「どうしました」

矢吹「っ!!アンタは…!!」

「へい、以前ドコかでお会いしましたか?」

矢吹「暗くて俺の顔が良く見えないかい?よく見るんだ俺の顔を」

「……っ!!!」

矢吹「へへへ、やっと思い出したかい」

「あなた…生きてたんですか!!?」

矢吹「おいおい、勝手に殺すなよ」

「……」グスッ

矢吹「そんな涙ぐむなよ、大げさだな」

矢吹「まあお互い、積りに積もった話もあるだろうに」

矢吹「今夜は一杯どうだい?」クイッ

「…へい、お供を致しやす」

【自宅】

矢吹「た~だいま~」フラフラ

禁書「あぁ!!じょーが帰ってきた!!」

矢吹「へへ、悪かったな。心配かけて」

禁書「……とうまには良く叱っておいたから」

矢吹「別にいいのに…って、後ろにいる巫女さんは誰なんだい」

姫神「どうも…私、姫神秋沙」

矢吹「おう、客人かい?」

姫神「……彼に命を救われました」

矢吹「彼?」

禁書「ええと…実は」

~~

矢吹「ふーん、要するに俺がいない間に、上条が大活躍したって訳ね」

禁書「そんな所なんだよ、それより…」ビクビク

矢吹「なんだい?」

禁書「その、後ろにいる怖そうな人は誰なのかな?」ビクビク

矢吹「ああ、客人だ」

「どうもお嬢さん方、あっしは別に危ない人じゃありませんぜぇ。ご安心を」

姫神(いや、どう見ても…)

【数時間後・病院】

~~

禁書「あのね、色々話した結果、あいさは教会で預かる事になったみたい」

上条「教会?おい、まさか歩く教会の教会なんですよってオチじゃ…」

矢吹「おう、派手にやらかしたみたいだな上条」

上条「あ…矢吹さん。その…この間は」

矢吹「ああ良いよ、あの事は気にするな」

矢吹「俺もお前の力に慣れなくてすまなかったな」

上条「いや、そんな謝らなくて…」

矢吹「確かアロウサウルスだっけ?俺もソイツをブチのめしたかったんだけどな」

姫神「アウレオルス…」ボソ

矢吹「それと…ちゃんと試合は見たかい?」

上条「はい…クロスカウンターとアッパーの打ち方、そのタイミング、凄く勉強になりました」

矢吹「なら良いや」

上条「あの…それより、その後ろにいる方は?」

上条(なんか怖そうなんですけど…)ビクビク

「まあまあ、そう怖がらないで下さい」

「これ…お見舞いの品です。後で食べてください」ススッ

上条「あぁ…すいません」ペコッ

上条(見かけによらず良い人だな…)

矢吹「この人は今度、上条のスパーリング相手になる人だ」

上条「え、この人が!?」

「はい…無理せず、体を直してからで良いんで」

上条「えっと…元ボクシング経験のある人ですか?」

「イヤイヤ…そんなんじゃありません」

矢吹「まあともあれ、退院したらすぐにスパーリングだ」

上条「は、はぁ…それでお名前は…?」

「はい…あっしは」

権藤「ゴロマキ権藤と申します」

上条「ゴロマキ…?」

権藤「はい。ゴロマキってのは…喧嘩って意味でしてね」

上条「は、はぁ…」

権藤「私はその喧嘩のプロフェッショナル…まあ言ってしまえばヤクザの用心棒をやってますわ」

上条&禁書(やっぱり怖い人だ!!!)

権藤「最近は近辺の組織に単発で契約を結んで、飯を食ってたんですがね」

権藤「…この町から離れようか考えてたところですわ」

上条「えっと、それはどうして」

権藤「相手が能力者だったりする事もありまして…おまけに最近、歳食って体力の衰えが出始めましてね」

権藤「この町で随分、荒稼ぎしてきましたが…情けない事に限界を感じて来た所ですわ」

権藤「そんな時に、矢吹さんに再会しました」

権藤「矢吹さんの勧めもあり、この町での最後のご相手を…アナタにしたいと考えました」

矢吹「そういう訳だ、んで退院はいつ何だい?」

上条「えっと…明日には退院できるかと」

矢吹「随分早いな。腕をぶった斬られたって言うのによ」

上条「ははは…ここのカエル先生は、凄腕の医者ですからね。もうくっ付きかけてます」

上条「所でスパーリングですが…ドコでやるんですか?20学区辺りならジムもありますが」

矢吹「ジム?バカ言っちゃいけねぇ…いつもロードワークやってる河川敷の所だ」

上条「え、あそこでやるんですか!?」ギョッ

矢吹「ああ、丸太4本とロープ3本を買っておいた。それでリングを作る」

上条「ま、まさか外でスパーリングをやるとは…」

【翌日・河川敷】

矢吹「さあ、リングは立てたぜ」

上条「はい!」シュッシュッ

矢吹「審判はインデックス、おまけにドクターに秋沙もいるぜ」

姫神「おまけで悪かったわね」ボソッ

矢吹「それじゃ上条…ここでおさらいだ。『あしたのためにその3』を復唱してみろ」

上条「はい…あしたのためにその3、リングに上がる際の心構え…」

上条「リング上では人間味はいらない。必要なのはファイティング・マシーン。とことん闘い抜く、非情な機械に徹した者のみが勝利を握る」

矢吹「そうだ、だがお前さんはお人よしだからな。ちょいとばかし、この教訓は厳しいものかもな」

矢吹「だが権藤さんはこの辺は徹底してるぜ。元ボクサーではないがな」

上条「……」

矢吹「それでだ、ここで『あしたのためにその7』を教えてやる」

上条「は、はい!!」

矢吹「あしたのためにその7…それは孤独との戦い」

矢吹「ボクサーほど孤独な存在は無い。敵への恐れ、不安…名セコンド、名コーチが付いていようとリングへ上がった時からひとりになる」

矢吹「この教訓については、お前さんはそれなりに解っているとは思う。喧嘩慣れしてるようだしな」

矢吹「だが、恐れや不安、孤独ってのは闘いには付き物だ。覚悟してかかれ」

上条「はい!」

矢吹「ほれ、マウスピース」

上条「あ、その前に…」

矢吹「なんでい」

上条「なんで権藤さんスーツを脱がないんですか?それにヘッドギアも付けないで」

権藤「これがあっしの正装でしてね…上条さんも、ジャージを着たままで結構ですぜ」

上条「は、はぁ…でもそれなら、俺もヘッドギアは付けません」

矢吹「大丈夫かい、上条」

上条「大丈夫です!」

矢吹「……わかった。後悔するなよ。よしインデックス、ゴングを鳴らしてくれ」

禁書「わかったんだよ!」スッ

カーン!

禁書「ファイ!」ササッ

権藤「……では!!」ザッ

権藤「ふんっ!」ドスボゴ

上条「くっ…先手を取られた…!」ガード

上条(一つ一つのパンチが重いな…)ググッ

ボスッドガッ!

矢吹「おい、なにやってんでい上条!固まってちゃ何も始まらないぜ!!」

上条「そ、そうだ…固まってても仕方ない…」

権藤「とりゃ、でやぁ!!」ドスボガ

上条(確かにパンチは重いけど…隙も大きい)ググッ

権藤「クラァ!!」ブンッ

上条(来た…!!)左ジャブ

ボォン!!

権藤「ごぉっ!!?」

上条「よし、顔面に決まった…!」

矢吹「手を休めるんじゃねぇ!!そのまま左ジャブを打ち続けろ!!」

上条「うおおおお!!」シュシュッ

ボォン!ボォン!ボォン!ボォン!!

権藤「うお!ぉぉ…」ガクッ

バタン…

禁書「ごんどう!ダウン!」

権藤「ふっふふ、へへへ…なかなか良いジャブですぜ…」

禁書「わんー!つー!すりー!」

権藤「だが、まだまだお尻の青いアナタに負けるつもりはありません」ムクッ

禁書「ふぉー!ふぁいぶ!」

権藤「ふふふ」ググッ

禁書「まだやるんだね?それじゃファイ!」

~~

カーン!

禁書「1R終了なんだよ!」

権藤「……」ペコッ

上条「はぁはぁ…」ペコッ

矢吹「権藤さんからダウン取るとはな、やるじゃねえか」

上条「ぜぇぜぇ、矢吹さんの指示のお陰です…」

矢吹「調子も良いみたいだし…ここは『アレ』を始めるしかないな」

上条「アレって何ですか?」

矢吹「まあ見てな…おーい権藤さん!2Rから、アレ始めようぜ!」

権藤「へい、しかし上条さんには少々酷なのでは、大丈夫でしょうか?」

矢吹「大丈夫だ。なんたって、腕をぶった切られる位の修羅場を潜ってきてるんだ」

矢吹「上条を強くする為には、アレくらいの闘いを用意しないと」

権藤「……解りました。但し、手加減はしませんぜ」

上条「あの…さっきから『アレ』って何なんですか?」

矢吹「特別ルールって奴だ」

上条「特別ルール?」

矢吹「2Rからは少々キツイ戦いになるから覚悟しな」

矢吹「ほら、権藤さん『コレ』用意してきたぜ」ススッ

権藤「……どうも」

上条(……?なんで瓶ビールケースを横に)

カーン!

禁書「セコンドアウト!」

上条「行って来ます!」

矢吹「あしたのために3と7…」

上条「えっ」

矢吹「忘れてないよな?」

上条「は、はい」

矢吹「よし行け」

上条(よし、今度は先制攻撃を仕掛けるぞ!)ダダッ

権藤「……」ニヤリ

上条「うおおお!!」右ストレート

権藤「……調子が出るとすぐ大振りになる、この点はまだ未熟ですね」ススッ

上条(くそ…しゃがんで避けられた)

権藤「……ふん!!」キック

ボゴォォン!!

上条「がぁっ!!?」ガクン

上条「ぅぅ、アゴを…って!これ反則じゃ!?」

禁書「ごんどー!減点!」

矢吹「いや、減点じゃねぇな」

上条&禁書「え!?」

矢吹「言ったはずだ…2Rからは特別ルールってな」

権藤「そうですよ上条さん……それにね」ススッ

上条「え、ちょ、それって」

権藤「リングの上では人間味を出してはならない…非情に徹しないとね」ブンッ

パリィィィン!!

上条「っ!!?」

権藤「まだまだ…でりゃ!!!」ブンッ

パリィィィン!!

上条「がぁっ!!」

上条「ちょ、ビール瓶で殴打ってシャレにならn」

権藤「おりゃ!!!」ブンッ

パリィィィン!!

上条「がぁっ!!」ガクン

バシャバシャ

上条(しかもこれ、中にお酒入ったままじゃないか…!!)

禁書「ストップ、ストップ!!」

矢吹「ダメだ。ノーストップだ」

姫神「彼が死んじゃう。ドクターストップ」

矢吹「何言ってんだい、上条の底力を知ってるのは俺よりも、他ならぬお嬢さん方だろうに」

上条「と、特別ルールって…そういう事だったんですか…」

パリィィィン!!

上条「いいぜ…あんたがこんなのを…」ダラダラ

権藤「おりゃ!!」ブン

上条「フンッ!!」ガード

パリィィィン!!

上条「……」ググッ

権藤(む…左腕でガードと来たか…)ブンッ

上条「こんなのがボクシングって言うなら…」右フック

ボゴォォン!!

権藤「ごぉっ!!」トケツ

権藤(リ、リバーブロー…たった一発でこの威力…)ガクガク

上条「そのふざけた幻想を」ググッ

矢吹「っ!!あれはアッパー…!」

上条「ぶち殺す!!!」右アッパー

ボッゴォォォン!!!!

権藤「があぁぁ…!!!」

禁書「ごんどーの体が、一回転して…」

姫神「そのままリング場外に放り込んだ…!!」

ドサッ

権藤「」

禁書「ごんどー!ダウン!」

禁書「わんー!つー!すりー!」

姫神「ちょっと待って」ススッ

禁書「え」

権藤「」

姫神「……」

姫神「気絶してる、これはTKOね」

カンカンカン!!

禁書「勝者、とうま!!」

上条「はぁはぁ…」

矢吹「よくやった上条、素晴らしいアッパーだったぜ」ニヤリ

上条「ひ、酷いじゃないですか…瓶ビールが飛んでくる事くらい教えて欲しかったです…」ズキズキ

矢吹「ま、普通の練習生相手ならこんなマネはさせないがな」

上条「……え?」

矢吹「お前さんの強さを見込んで、敢えて喧嘩紛いのスパーリングをさせた」

矢吹「これからも慢心せず、もっと精進しな」

【数時間後】

権藤「……む」パチッ

姫神「目が覚めた」

権藤「ぅぅ…ああ、まだダメージが残ってますぜ…」ムクリ

上条「あのー大丈夫ですか…?」

権藤「ふふ、へへ…そういうアナタこそ、頭部のダメージはどうですか?」

上条「ま、まだちょっとズキズキしますね…」

権藤「先ほどは無礼な振る舞い、失礼しました」ペコッ

上条「ははは…まあ殴りあったんだし、お互い様って事で」

矢吹「ありがとうな権藤さん、無茶な要求してよ」

権藤「へへへ…何、お安い御用ですぜ」

権藤「しかし…たった一週間でこれほどの力を付けられるとは…」

権藤「これは将来、大物になる予感がしますね」

上条「え、い、いや~…」

~~

矢吹「いいのかい権藤さん…今日も飲みにいこうや」クイッ

権藤「未成年がいる手前、そんな事をする訳には行けませんぜ」

矢吹「別に良いだろう。な、上条も一緒に飲むよな?」

上条「……先生方に見つかったら退学ですよ。ただでさえ成績悪いのに」

矢吹「ちぇ、なんでい…」

矢吹「それじゃ権藤さん、アンタは浅草に帰るんだな」

権藤「へい、またあの辺を縄張りに、生計を立てていくつもりです」

矢吹「そうかい、俺も盆の時期になったら…もしかしたら泪橋に帰るかも知れないからよ、その時は」

権藤「そうですね、その時にでも一杯やりましょうか」

矢吹「その時はお前らも来るんだぜ」

上条「いやいや、学園都市の外なら良いという物では無いでしょう」

禁書&姫神「OK」

上条「おい」

権藤「それでは…ごめんなすって!」タタッ

矢吹「ああ、またな!」

姫神「私もそろそろ帰るね」

上条「ああ、今日はドクターとして付いてくれてありがとな」

姫神「う、うん///そ、それじゃ…」

禁書「それじゃ行こっか、あいさ」

上条「え、インデックスまで…どうした?」

禁書「今日は小萌の家で、焼肉パーティーするんだよ!!」

上条「え、ちょ、それ聞いてないぞ!?」

禁書「待ってー!あいさー!!」ダダッ

上条「全く…でも俺も行ったら迷惑だしな。矢吹さん、今夜はどうします?」

矢吹「んじゃ飲みにいこうや」クイッ

上条「だから無理ですってば」

「あーー!!アンタ!!!」

矢吹&上条「?」

「今日こそ決着、付けさせてもらうわよ!!」バチチッ

上条「げ、お前は!常盤台の盛夏祭の時に会った、ビリビリ中学生!」

御坂「ビリビリじゃない!!」バリバリ

矢吹「あ、おてんばじゃねぇか!」

御坂「だ、誰がお転婆だ!…って、アナタは」

矢吹「よぉ、久しぶりだな」

上条「え、知り合い何ですか!?」

矢吹「ああ、前に自販機の前で会った事があってだな」

上条「じ、自販機?」

矢吹「お転婆が自販機を蹴っ飛ばしてたから、俺も自販機にジャブ決め込んで一緒にジュース飲んだんだ」

上条「な、何やってるんですかアナタ達…」

御坂「コイツと知り合いなんですか?」

矢吹「まあな。居候させてもらう変わりに、ボクシングを教えてやってる」

御坂「そっか、矢吹さんが言ってたウニ頭ってコイツだったのね」

御坂「それに良く見ればアンタ、体がボロボロじゃない!」ギョッ

上条「今日のスパーリングも含め、最近色々ありまして…」

御坂「ふーん…でもその体じゃあ本気出せないようだし、今日の勝負はお預けにしてやるわ!」

矢吹「勝負か…いいねぇ、やってやれよ上条」

上条「はぁ!?」

矢吹「強くなるためだ」

上条「いや、だって女の子だし…」

矢吹「……」

矢吹「まあ、そうだよな。やっぱ相手が女じゃやり辛いよな」

御坂「って言うか、この間の盛夏祭に来てたんですね」

矢吹「ああ、俺はほとんど屋上で寝てたけどな」

御坂「寝てたって…お祭りなのに勿体無い」

矢吹「昔ほど偏見は無いが、どうにも金持ちお嬢様ってのはな…こう…」ムズムズ

矢吹「……」イライラ

御坂(ああ、こういうタイプの人ね…)

矢吹「……金持ちお嬢様で気を許せるのは、葉子だけだ」

上条&御坂(昔の彼女かな…?)

矢吹「だが安心しな」

矢吹「少なくとも前に公園であった、涙子とお転婆を含む、その他の連中は嫌いじゃない」

矢吹「特に涙子もお転婆も、なかなか良い目をしてやがる」

矢吹「それとお前さんが女でなく、男なら、俺は喜んで決闘してたぜ」ニヤッ

御坂「は、はぁ…それはどうも」

上条「じゃ、じゃあ今日はもう暗いからこの辺で…」

御坂「今日は特別よ!次からちゃんと勝負しなさいよ!!」

上条「はいはい(棒)」

御坂「適当に返事してんじゃないわよ!!」バリバリバリ

上条「わわわ!?」キュイーン

御坂「全く…!」

矢吹「じゃあな、お転婆」

御坂「お転婆じゃない!!御坂美琴!!」

上条「しっかし血の気の濃い奴だなぁ…」

矢吹「良いじゃねぇか。俺の若い頃には周りに、血の気の濃い女がいなかったから、なんか新鮮だぜ」

上条「おしとやかな人が多かったんですね、羨ましいなぁ」

矢吹「そうだな…紀ちゃんも葉子も、穏やかな方だったな」

上条(良いな…やっぱり女性にモテてたんだろうな…)

矢吹「しかしお前のその右手便利だな」

上条「……逆に、この右手が原因で、不幸な人生を歩んでる気もしますけどね」

矢吹「そうだ!俺はお前にボクシングを教える!」

矢吹「変わりにお前は、俺に幻想殺しを身に付ける方法を教えてくれよ!」

上条「コレは脳を弄ったって、簡単に身に付けられる物じゃありません」

上条「俺のこの右手は…本当に先天的な物で、修行して身に付けられる物じゃないんです」

矢吹「やってみなきゃわかんねぇだろう…よし!能力開発の為に、俺もお前と同じ学校通うぜ!」

上条「無謀すぎます!!」

ココからは、前スレ最後の>138からの続き
ほんの少しだけ投下

【数日後・自宅】

矢吹「ホラ!ミット打ち、ラスト3発ガンバレ!!」

禁書「打つべし、打つべし…打つべし!!」ペチン

矢吹「よっしゃ休憩!」

禁書「ぜぇぜぇ…の、喉、乾いた…」ヘロヘロ

矢吹「スポーツドリンクを買ってきてやる。それまで水でも飲んでろ」

禁書「うん、わかったんだよ…」

矢吹「んじゃ、いってきまーす!」ダダッ

禁書「とうま…早く帰って来ないかな…」ゴクゴク

禁書「るいこも早く来ないかな~」

矢吹「ヒュ~ヒュヒュヒュ~」クチブエ

ドス!ドガ!バキ!

矢吹「ん?路地裏から何か聞こえる」チラッ

スキルアウト1「た、助けてくれぇぇ!」

スキルアウト2「お願いだ!許してくれ!!」

矢吹(ありゃ確か、スキルアウトって呼ばれてる…)

「ケヘヘヘヘ…精々、この俺に喧嘩売った事、後悔するンだな…」ニヤァ

矢吹「……これは何か、今までと訳が違うな」ゴクリ

今日はここまで
佐天さんの出番はまた後ほど、ひょこっと出ます

次は実験編(前編)

【改めて報告】
・前スレに無かった話(間に挟んだ追加話)
>>68>>89

>>72
多分、喧嘩するほど仲が良いみたいな関係になりそう
ボクサーとしては尊敬してそうだけど

このジョーは31歳(?)位なので、同い年じゃないかと思う


個人的には、駒場さんたちスキルアウト組と絡んでほしいけどなー
お嬢様といえば婚后さんはどうだろう?ジョーよく知らないけど婚后さんはジョーの時代の尾お嬢さまぽいと思うんだが……

少し短めですが更新します

>>131
婚后さんか…なんか激しく言い争いしてるのが目に浮かぶ
ただ、葉子みたいな例もあるから意外と…?

「エヘヘヘへ、てめェらみたいなクズは死ンでも、かえって世のためってもンだよなァ?」ニンマリ

矢吹(……奇妙なオーラをまとってやがる)

矢吹(まるでハリマオと金竜飛を足したような…そんな奴だ)

「それじゃそろそろ…愉快なオブジェに変えてやンよ!!!」

矢吹「止めろよ若ぇの、殺す気かよ」ススッ

パキィィン!

矢吹「っ!?な、なんでい…手がはじき返されやがった!!」

「あァ、誰ですかァ?」

矢吹「……」

矢吹「誰だって良い。だがこれ以上はいけないぜ」

矢吹「人を殺すってのはな…殺すって事はなぁ…」

矢吹「……」

矢吹「……後悔するぜ。にーちゃん」

「後悔だァ?ふン…ふふふふふ」

矢吹「何が可笑しい」

「ギャハハハハ!!!ギャハハハハハハ!!!!!」

「笑わせンじゃねェよ、おいおい…」

矢吹「……」

「オマエ、なめンてンの?俺を誰だと思ってンですか…」

「あぁ?おい」

矢吹「……」ブチッ

矢吹「……おい、さっきから人が穏便に対応してやってるってのによ、随分な態度じゃねえか」ピキピキ

矢吹「おれはよ…気が短いんだ、いい加減にしねえとブチ回すぞ!!!」

「…オマエ、度胸はあンのな。ま、どォせすぐ泣いて命乞いするだろうけど」ニヤニヤ

矢吹「もうアッタマに来たぞ…謝ったって絶対に許さねぇからな!!この、すっとこどっこい野郎が!!!!」ググッ

矢吹「おわあああああ!!!!」ダダッ

「ケヘへへ…」ススッ

矢吹(……?落ちてるバットで攻撃する気か)

ピュンッ

矢吹「っ!?」ササッ

「チィ、避けきったか。普通は避けきれないンだけどな…あの速度じゃ」

矢吹「な、なんでい!?いま触っただけで…バットが銃弾みてぇいに飛んできやがった…!!!」

「俺は量、 運動量、電気量、空気量、あらゆるもののベクトルの変換をすることができる…」

「そしてェ反射もできる学園都市最強…第一位」

一方通行「一方通行だ。よろしくゥ…」

一方通行「それじゃお遊び再開と行こうかァ」スッ

矢吹(今度は地面の石ころを拾いやがった)

一方通行「オラァァ!!」ビュンッ

矢吹(っ!!ヘッド、リバー、それと足にめがけて、計3つか)ササッ

一方通行「へェ、やるじゃン…格闘技か何かやってたんですかァ?」

矢吹「……」

一方通行「でもよォ、格闘技なんざァ俺には通用しないなんだよォ」

一方通行「それが例え、格闘技の達人でもなァ、俺の目の前じゃタダのザコォなんだよ」ニヤッ

矢吹「……なにぃ?」ピクッ

一方通行「ケヘヘヘヘ」

矢吹「この野朗…!!ボクシングを…俺のライバルたちを侮辱したな!!?」ダダッ

一方通行「ケヘヘヘ、そらァ!!!」ダンッ

矢吹「地面を踏み込んだ…?」ダダッ

ボォォォン!!!

矢吹(ア、アスファルトが砕けやがった!?)

ブオォォォ!!!バチバチ!!!

矢吹「痛!!石ころが、砂利が…凄い勢いで…」ガード

矢吹(クソッ!!砂埃で前が見えねぇ…!!)

ギュンッ

矢吹(……ん?何かデカイのが飛んでくる…?)チラッ

一方通行「ゲヘヘヘ!!!」ギュンッ

矢吹(っ!!なんだありゃ!?一方通行って野朗が、凄ぇ速度でこっちに突っ込んできやがる)

矢吹(よ、避けねぇと…)サッ

一方通行「ギャハハハハ!!!」スッ

矢吹「…ダメだ!!回避しきれねぇ!!」

矢吹(こうなったら…せめて俺のクロスカウンターをぶち込んでやるぜ…!!)ブンッ

一方通行「だからァ俺には効かないって説明したじゃねェか…」キィィィン

グシャアアアア

矢吹「っ!!!?」ドサッ

シュパァァ…

一方通行「チィ、頭部をミンチにするつもりだったのによォ…有り得ない動体視力しやがってェ…」

矢吹「ぁ…ぁ…」ドクドク

一方通行「でもまァ、その『右目』はもうブッ潰れちまったみたいだなァ」ニヤニヤ

矢吹「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」ドクドク

矢吹「がぁ…ぁぁ…ああ…」ピクピク

矢吹(バカな…この俺がこんなケツの青いガキにやられるだと!?冗談じゃねえ!!)ドクドク

矢吹(あっちゃならねぇ…こんな奴に負けるなんてことは!断じて!断じてあっちゃならねぇんだよ!!)

矢吹(こんな奴に負けちまうようじゃ…あの世に行った時、力石に、力石に合わす顔がねぇんだよ!!!)ギロッ

一方通行「ンだァ?まだ戦意が残ってンのかよ、健気だねェ」ニヤニヤ

矢吹「……」ムクッ

矢吹「ぅぅ!!!」ガクンッ

矢吹(血を流しすぎて意識が…)フラフラ

ドサッ

矢吹(やべぇ…体が動けねぇ…)

一方通行「それじゃそろそろ、締めましょうかァ」

矢吹「っ!!」

一歩通行「なァ…血液の流れを逆向きにしたらよォ、その体、どうなるか分かるかァ?」ススッ

矢吹「こ、こんにゃろぉ…!!」

矢吹(ダメだ…体がいう事効かねぇ…!!)

「お待ちください。とミサカはアナタの行動を引き止めます」

短いけど今日はココまで
ただ用事がすんだら、またすぐに更新できると思います

このジョーは、アニメ版ジョー2の方を基準としてます
投下します

矢吹「……?」

一方通行「あァ?もう時間か…」ピタッ

「はい。至急、現場に向かいましょう。とミサカは実験の準備を促します」

矢吹「お、おてん…ば…?」

一方通行「チィ、オマエ…運が良かったなァ」

一方通行「最もォ、右目を失っちまったけどなァ」スタスタ

矢吹「ま…待ちやがれ…!!まだ、まだ終わってねぇだろうが!!」ムクッ

矢吹「ぅぅ…」ガクン

矢吹「おい、お転婆!!!そいつ危ねぇぞ、早く逃げろ!!!」

「……」コツコツ

矢吹「聞こえねぇのかコラァ!!!」

「大丈夫ですか?とミサカはアナタの安否を確認します」ゾロゾロ

矢吹「え」クルッ

矢吹「な…!!!?」

「この度はアナタに多大なるご迷惑をお掛けしました。とミサカは第一位に代わり謝罪いたします」ゾロゾロ

矢吹「ど、どういう事でい…なんだって、こんなに沢山おてんばが…いやがるんだ!!!」

「おてんば…とは、お姉さまの事でしょうか?」ゾロゾロ

矢吹「お、おね…さま?どういう事でいそりゃ」

御坂妹「関係者以外は禁則事項なので、これ以上の事に関して申し上げれません。とミサカは謹んで事情を打ち明けません」

御坂妹「それよりも病院へ。とミサカはアナタに体を案じます」

御坂妹「入院への手続きは私たちが行います。とミサカは速やか連絡をする準備をします」

矢吹「勝手に話を進めるんじゃねぇ!!こんのあほんだら!!!」

妹全員「」ビクッ

矢吹「心配してくれるのはありがてぇがな、俺は病院なんぞにはいかん」

御坂妹「しかし治療をしないと…」

矢吹(……しかし、なんなんだコイツら)

矢吹(……)

矢吹「ああ…そういう事か」

御坂妹「??」

矢吹「これは…『幻覚』って奴だな」

御坂妹「私たちは幻影ではありませんと。とミサカは自分たちの存在意義をここに提示します」

矢吹「『さっきの一撃』で『症状が酷く』なっちまったんだな…参ったなぁ…」

御坂妹「余計…酷くなるとは…?とミサカは」

矢吹「こっちの話だ…って幻影に言っても仕方ないか」テクテク

御坂妹「あ、待ってくd」

矢吹「……」プイッ

矢吹(それよりも急がないとな…!)ダダッ

矢吹「……お転婆を追いかけてみたが、見失っちまった」ドクドク

矢吹「あれから随分時間も経ったな…無事だと良いが」ポタポタ

通行人1「ねぇ…あの人…」ヒソヒソ

通行人2「うわぁ…!」ヒソヒソ

矢吹「…チィ、周りがうるせぇな。ジロジロ見やがって」ポタポタ

矢吹「だがいい加減、出血がうっとおしくなっていた所だ」ポタポタ

矢吹「薬局にでも行くか…」

ガクンッ

矢吹「ぅぅ…ダメだ。意識がもう」

矢吹「そうだ…あの路地裏で、一休みしよう」

~~~~

【翌日の昼・路地裏】

矢吹「……」パチッ

矢吹「あー…こりゃ、タンマリと寝ちまったな。だが、丁度いいか」

矢吹「上条の野朗に絶対、病院行けとか言われるしな…」

矢吹「病院に行ったって事にして、念のために、帰るのは明日にするか」

矢吹「さて…日中は、見つからないようにひっそりと薬局に」

矢吹(しかしなんだ…体がダルい)フラ~

矢吹「潰れた目にばい菌が入って、熱でもひいたか?」

矢吹「いや、それとも…」

【薬局】

店員「いらっしゃいま…って、うわああ!!!」

矢吹「悪いんだが…消毒と包帯、痛み止め、解熱剤くれないか?」

店員「は、はぁ!?」

矢吹「どうなんでい、有るのか無いのかハッキリしろい」

店員「は、はひ!!ただいまお持ちを!!」

矢吹「あと…それと」

店員「な、なな、なんでしょうか…?」

矢吹「黒い眼帯、売ってないかい?」

店員「はぁ…黒い眼帯…?」

【更に翌日・上条宅】

矢吹「ただいま~」ガチャッ

禁書「じょー!!今までドコに行っt…ってうわあああ!!!!」

上条「どうしたインデックス!!って矢吹さん!?」

矢吹「よ、ご無沙汰してました」

上条「ど、どうしたんですか!!その右目は!!」

矢吹「ちょっと事故にあってな…今朝まで入院してた」

上条「えっと…視力は」

矢吹「もうないよ。右目が完全に潰れちまった」

矢吹「やむなく眼帯を買って来たよ…おっつぁんと同じ黒いのな」

上条「そ、そんな…こんな事って…」

矢吹「おいおい、こんなの大した事ねぇさ」

矢吹「それよりよ…悪いけど日中、ベットで寝かしてくれないか」フラ~

矢吹「熱が…40度…合ってy」バタンッ

禁書「じょー!!!」

上条「矢吹さん!!!」

【深夜3時】

矢吹「……む」パチッ

矢吹「……」

上条&禁書「zzz…」

矢吹「インデックスにまで気を使わせちまったな…情けねえぜ」

矢吹「ベットは日中までで良かったのによ」

矢吹「まだ…頭がボーっとする。頭痛もするぜ」ズキズキ

矢吹「……だが、そろそろ始めるか」

ガバッ

矢吹「ワンツー!」ジャブ

シュッシュッ

矢吹「ワンツー!」ストレート

矢吹「奴を攻略するための特訓をな!」

~~

【数日後・自宅】

矢吹「……」ボーッ

佐天「調子はいかがですか?」

ppp

矢吹「……39度だと」

佐天「まだそんなに…」

矢吹「へへ…まあ夏風邪だからな」

矢吹「それよりありがとな涙子、おかゆまで作ってもらっちまって」

佐天「いやいやこれ位なんて事ないです!」

矢吹「結構、世話焼きなんだなお前さん」

佐天「弟がいるんでそれでよく面倒とか見ていて、ついつい世話焼きたくなるんです」

矢吹「……なんかお前見てると、紀ちゃんを思い出すな」

佐天「のりちゃん?」

矢吹「少しだが…見た目も性格も似てるわ。涙子がボクシングを好んでる所以外は」

佐天(なんだろう、その人)

矢吹「……」

佐天「……あ!まさか昔の彼女さんですか!?」

矢吹「そんなんじゃねぇよ、友達だよ。もう結婚もしてるしな」

佐天「じゃあ好きだったんですか、その人の事?」

矢吹「さあどうだろうね。ただ…」

佐天「ただ?」

―――
紀ちゃん行くかい、玉姫公園

嬉しい。矢吹君に誘われたの初めてだもん!

~~

ねぇ、もうボクシング辞めたら?
最近怖いの…いつか哀しい目に遭いそうで

中途半端は許されねぇ…それに申し訳ねぇんだよ
死んだ力石、アゴの砕いたウルフ金串、廃人になっちまったカーロスに

考え過ぎよ…青春と呼ぶにはあまりにも暗過ぎるわ

負目や義理だけでボクシングやってる訳じゃねぇんだ
俺は、リングの上で燃えるような充実感を何度も味わってきたんだ

ブスブスとそこらにある見てくれだけの不完全燃焼とは訳が違う
ほんの瞬間にせよ、眩しい程に真ッ赤に燃え上がるんだ

そして、後には真っ白な灰だけが残る
燃えっカスなんか残りやしない、真っ白な灰だけだ…!

わたし…矢吹君に付いていけそうにない
―――

矢吹「……」

佐天(…やっぱり何かあったんだろうな)

矢吹「……」

矢吹「あ、もう夕方じゃねぇかい。そろそろインデックスも買い物から帰ってくる頃だ」

佐天「あの…もしよければ今日はずっとココにいますが」

矢吹「そういう訳にはいかねぇよ、年頃の女子を野朗の家にいつまでも居させる訳にはいかねぇぜ」

矢吹「それに上条も、もうすぐ帰ってくる頃だ」

佐天「は、はぁ…」

矢吹「早い所、おいとましちまいな」

佐天「そ、それじゃ…無理をなさらずに」

矢吹「おう、涙子も特訓さぼるなよ?」

~数十分後~

禁書「ただいま~」ガチャッ

矢吹「お帰り。ちゃんと買い物できたかい?」

禁書「むぅ~!そうやってバカにして」プクゥ

矢吹「あ~はいはい、ご苦労さんでしたってな」ガサゴソ

矢吹「……ん、インデックス、トマトは?」

禁書「え、買った筈だけど?」

矢吹「……インデックス、残念だがこれはリンゴだ」

禁書「ま、間違えちゃったんだよ…」

矢吹「ま、リンゴも好きだから良いけど」シャリッ

矢吹「ちょっくら出かけてくるわ」ムクッ

禁書「え、まだ風邪治っていでしょ!?」

矢吹「少しだけ下がったから大丈夫だ。ちょいと散歩ついでにトマト買ってくるわ」ガチャン

禁書「ダメだよ!!…って行っちゃった。もう、じょーのバカ!」

矢吹「ふぅ…久しぶりに外に出たぜ」

矢吹「全く、ずっと引きこもってると気が狂っちまいそうだ」

矢吹(紀ちゃん思い出したら、むしょうにトマト食いたくなっちまったぜ…)

上条「ぜぇぜぇ…!!」ダダッ

矢吹「……んん?おーい上条!!!」

上条「はぁはぁ…!!」ダダッ

矢吹「なんだ行っちまったよ…何をそんなに急いでるんだ?」

矢吹「……ん?鉄橋の上にいるのお転婆じゃねえか」

~~

上条「何やってんだ。お前…!!」

御坂「何よいきなり。夜遊び程度の事で文句でも」

上条「止めろよ…御坂妹の事も、シスターズの事も、実験の事も全部読んだ」カサッ

御坂「っ!!!」


矢吹「……」コソソ

~数十分後~

上条「何一つ失う事無く、皆で笑って帰るのが俺の夢だ。だから、それが叶うように協力してくれよ」

御坂「……!!」

上条「さあ、教えてくれ。あいつの居場所を」

御坂「一方通行は…」

矢吹「おう、話に割り込んで悪いな」ボロッ

上条&御坂「っ!?矢吹さん!!」

矢吹「げほげほ…へへへ、話は聞かせてもらったぜ」

上条「矢吹さんいたんですか!?いや、それより…熱出して寝てたんじゃ」

矢吹「トマトが食いたくてな、ちょっと散歩してた」ボロロ

御坂「あの、服が黒こげになってますが、まさか…」

矢吹「あ…ああ、へへ、なかなか刺激的だったぜ」

御坂「ゴ、ゴメンナサイ…!!!」

矢吹「ゲホゲホ…ともあれ、早く実験を食い止めないとな」

上条「あんた40度も熱があるでしょう!それに怪我してるし、電撃だって喰らったし…とにかくダメです!」

矢吹「四の五のは無しだ。師匠として俺も連れて行け…拒否権は無ねぇぜ」

上条「でも…」

矢吹「いいから連れてけって行ってるんだよ!!このあほんだらが!!!」ギロッ

上条「は、はひ!!」ビクッ

矢吹「……それにな、俺の右目を潰した野朗は、一方通行なんだよ」

上条&御坂「え…」

矢吹「……そんじゃ頑張って来い。俺は見守ってる」

矢吹「お前の修行の成果を見届けてやる」

上条「……はい!!」

御坂「無茶…するんじゃないわよ…アンタ」

【実験場】

一方通行「オイオイ、少しは学習してこいよォ……」ボゴォッ

御坂妹「くっ…」

一方通行「……?」チラッ

一方通行「おい。この場合、実験ってェのはどうなるんだァ?」

御坂妹「……!?」

上条「……」

上条「おい、今すぐ御坂妹から離れろ!!この三下!!!」

一方通行「離れろねェ……なら、ちゃンとキャッチしろよォ」ボゴォォン

御坂妹「ぐぅぅ!!!」

上条「っ!!」

矢吹「妹さんは俺がキャッチする!お前は闘う事に集中しろ!!」ダダッ

一方通行(…ンだァ?ありゃこの間の格闘家じゃねェか)

上条「っ!!すいません矢吹さん!!」

一方通行「おいおい、健気な師匠だなァ」

上条「……俺がアタマに来てるのはシスターズの件だけじゃない」

一方通行「あァ?」

上条「俺の尊敬すべき師匠、矢吹さんを襲い…右目を潰したことだ」

上条「二度とこんな馬鹿げた事が出来ないよう…ぶっ飛ばす!」

一方通行「へェ…」ニヤッ

~~

矢吹「大丈夫かい妹さん」

御坂妹「あ、あなたは路地裏で会った…」

矢吹「今のうち逃げな」

御坂妹「そ、そういう訳にいきません。とミサカはあなたの意見に反対します…」

御坂妹「そ…それよりも…アナタが早くココから立ち去る事を勧めます。と…ミサカは…アナタの身を案じ…ます」

矢吹「そういう訳にはいかないね」

矢吹「師匠として、最後まで見届ける義務があるからな」

御坂妹「……」

矢吹「だが…参ったな」プルプル

御坂妹「…?」

矢吹「正直…俺もな、一方通行と戦いたくてウズウズしてる所だ」ギリギリ

御坂妹「っ!?」

矢吹「こんな気持ちになったのは随分久しぶりだぜ…」グググッ

今日はココまで

一方さんがハリマオに似てると聞いて
木原クン「落ち着け一方通行!ほら、チョコレート!」

一方「ぐる、がるる」

とか想像しちまったよ!ちょっと力石にヤジ飛ばして殴られてくる。

上条「うおおおおおお!!!」ダダッ

一方通行「遅っえなァ…!」ダン

上条(っ!?地面が割れて砂埃が!!)

ボォォン!!

上条「ぐあぁぁ!!」ドサッ

一方通行「そンな速度じゃ百年遅ぇぞォ」カキィィン

ベコッ!ベコッ!

矢吹(なんだありゃ…鉄骨が滅茶苦茶な形に変形しやがった…)

ギュンッ!

上条「と、飛んできた…!!」

ビュンッ!ビュンッ!

上条(落ち着け。練習通り…パンチを避けるイメージで)

上条「まずは右方向から」サッ

ザンザン!

上条「次は左方向から…」ササッ

御坂「何アレ…凄い丁寧に攻撃を交わしてる…!」

一方通行「ほォ…」

一方通行「イイ動きしてンじゃねェか」

一方通行「だけどよ、そンな事でこの俺を倒せるとでも思ってンですか?」

上条「……」

一方通行「つーかオマエ、無能力者だろ?」

一方通行「ザコ中のザコじゃねェか…お前の師匠と一緒でなァ」

上条「っ!!お前いま…何て言った!!!」ブチッ

一方通行「師匠と同じで、前に突っ込む事しか出来ない…ザコ中のザコだっつってんだよォ…」

上条「この野朗…!!!」ギリギリ

一方通行「ところでオマエ…早く逃げた方が良いンじゃねェか?」

上条「どういう意味だ!!」

一方通行「コンテナの中身は小麦粉、そして今日は風邪が無風だなァ」

一方通行「なァ…粉塵爆発って知ってるか?」ダンッ

上条「!!!」

御坂「危ない逃げて!!」

ボオオオオオオオオオン!!!

~~~~

上条「ぜぇぜぇ…あ、危ねぇ…!!」

一方通行「…まァ、お前はお前で、よく頑張った方だぜェ」パチパチ

上条「くっ…」

一方通行「ンでェ、身構えてどうすんの…お前?」

一方通行「まさかァ、あの格闘家から教わった拳法でもお披露目する気かァ?」

上条「あしたの為にその2…右ストレート…」ググッ

一方通行「まあいい…血の流れを逆流させて、楽に死なせてやンよォ」

上条「これは…拳闘における基本…」

一方通行「やる好きなほう選べ」

上条「右拳に全体重を乗せ」

一方通行「右か?左かァ??」

上条「まっすぐに目標をぶちぬく様に」

一方通行「両方かァァ!?」ダダッ

上条「打つべぇぇし!!!」ブンッ

ドォォォォン!

上条「シスターズだって精一杯生きてんだぞ…お前の様な奴の喰い物にされてたまるか!!」

ドサッ

一方通行「」

矢吹「……ピクリとも動かねぇな」

御坂「う、嘘でしょう…学園都市最強の一方通行が…」

御坂妹「し、信じられません…と、ミサカは…」

矢吹「へへ、やるじゃねぇか」

上条「ぜぇぜぇ…」

一方通行「」

上条「た、倒した…?」

矢吹「よお上条」ポン

上条「矢吹さん…」

矢吹「見事な右ストレートだったな。さっきの鉄骨の回避もなかなかだったぜ」

上条「あ、ありがとうございます!」ペコッ

矢吹「だが…正直、残念だぜ」チラッ

一方通行「」

矢吹「まさかこうもアッサリやられちまうとわな…」

矢吹「……帰るか。病院へ急ごうぜ」

上条「は、はい」

御坂「あ、肩貸すわよ」

上条「悪いな御坂」

御坂「あと…ぁりがと」ボソッ

上条「俺は別に…」

一方通行「」ピクッ

御坂妹「?」

一方通行「」ピクピク

御坂妹「み、皆さん、待ってください…」

御坂「え?」

御坂妹「まだ…意識があるようですと…ミサカは報告を申し上げます」

一方通行「この…三下がァ…」ムクリ

御坂&上条「!!!」

一方通行「調子に乗ってんじゃねェぞ……ガハッ!」トケツ

ポタポタ

一方通行「かか…」ススッ

上条「何を始める気だ…」

一方通行「かかっかくかきけこかかきくけききくけけこきくきこかかかかかかかかかかか!!!!」

矢吹「……」

御坂「えっと…」

一方通行「かかかかかかかかかかかかかかかか!!!!!!」

上条「何を騒いでんだ…アイツ?」

一方通行「かかかかかかかかかかかかかかかか!!!!!!」

御坂妹「…?」

……

一方通行「ぜぇぜぇ…な、なぜだァ!なぜ風が起きねェンだ…!!」

一方通行「何でプラズマが形成できねェンだ!!!」

上条「風にプラズマ…?」

御坂「…!!まさか!!」

上条「何かわかったのか!?」

御坂「アンタのさっきの一撃で、演算が狂い始めてるんじゃ…」

一方通行「……能力が起こせないだと?」

一方通行「冗談じゃねェ…そんな事…そんな事あってたまるかよォ!!」

上条「悪運もココまでだな。一方通行!!」

一方通行「!?」ビクッ

上条「もう二度と悪さできないように…お前をぶっ飛ばす!」ダダッ

一方通行「!!」

上条(相手は動揺してるけど、油断はできない)

上条(だが演算は狂ってる。おれの左手でも攻撃はできる!)

上条(基本にそって、まずは左ジャブから…)ススッ

上条「打つべしぃぃ!!」シュッ

一方通行「やめr」

キィィィィン

上条「痛っ!?」

御坂「え…なんで、反射が効いた!?」

御坂妹「もしかして、まだ完全に壊れてはいないのでは…と、ミサカは予測します」

御坂「完全に壊れてない…?」

御坂妹「能力者は身体的なダメージをもらうと、一時的に、能力が上手く扱えなくなる事があります」

御坂妹「一方通行は多大なるダメージで、負荷の多い演算だと能力を処理仕切れなくなりました」

御坂妹「しかし、負荷がまだ少ないレベルの物なら、演算を処理仕切れるのでは…とミサカは予測し、解説してみます」

御坂「じゃあまだアイツの、ベクトル操作は生きてるって事!?」

上条「い、痛…」ポタポタ

上条(左拳から血が…)

一方通行「ケヘ、ケヘヘヘヘ…全く冷や冷やさせやがってェ…」

一方通行「一時的とは言え、お前の破壊力で、俺の演算を狂わせたのは褒めてやる」

一方通行「お陰でまだ俺は、プラズマはおろか、風すら起こせないがなァ」

一方通行「フン!!」ダン

上条(また地面を踏みつけて、砂埃を!!)ガード

バチバチ!!

上条「くっ…!!!」

一方通行「さて…今度こそ、その体を粉々にしてやンよ!!」

矢吹「待ちな」

一方通行「ンだァ?」

矢吹「そこまでだ」

御坂&御坂妹「……?」

上条「はぁはぁ…?」ポタポタ

矢吹「血まみれだな上条…だが良くやった」

矢吹「合格だ。大したもんだよ」パチパチ

矢吹「練習通りの事を、しっかり本番に活かしきれてやがった」パチパチ

上条「あ、ありがとうございます…?」

矢吹「俺は確信したよ。お前は必ず一方通行に勝つ」

上条「え……」

一方通行「……あァ?」ピキッ

矢吹「だがな、勝敗が明らかになってる物を見せられる程、見ていて退屈な物は無い」

御坂「た、退屈って…」

矢吹「上条」

上条「は、はい」

矢吹「選手交代だ!」

上条「え…えええ!?」

矢吹「ご苦労さんでしたっと」ポンッ

上条「や、矢吹さん…?」

矢吹「心配すんな、俺には奴に勝つ為の秘策を用意してる」

上条「秘策?」

矢吹「俺が高熱を出しながらも毎晩、特訓をしてたじゃねぇか」

上条「特訓って…あの奇妙なシャドーボクシングですか?」

矢吹「そうだ。今、奴に特訓の成果をお見舞いする所だ」

御坂妹「無謀です!とミサカは滅茶苦茶なアナタの行動を止めます」

御坂「ちょ、待っ……ねえ!アンタも止めなくて良いの!?」

上条「……確かに、無謀かもしれない。ただ」

御坂「な、なによ」

上条「俺はここ数日、矢吹さんの奇妙な特訓を付き合わされてたんだ」

―数日前深夜・自宅―

矢吹「ワンツー!」シュシュッ

上条「あの…矢吹さん、熱出してるんだから寝てないと」

矢吹「話しかけるな」シュシュッ

上条「でも……いやそれより」

矢吹「ああもう、うるせぇな!!何だってんだい!!」

上条「何で壁に向かって、寸止めしてるんですか?」

矢吹「壁を叩いたら、近所迷惑だろ」

上条「いや、それはわかるんですけど…」

矢吹「あ、そうだ。お前にお願いがあるんだ」

矢吹「明日よ、補修帰りにバスケットボールを幾つか買ってきてくれないか?」

矢吹「ほれ金だ、釣りはいらねぇ」ススッ

~次の日の深夜・近場の公園~

禁書「このボールを、じょーに投げつければいいの?」

矢吹「あ、ああ…」フラフラ

上条「あの、ドッチボールは止めましょうよ…フラフラじゃないですか」

矢吹「い、いいから来い。それにこれはドッチボールじゃない」

矢吹「寸止めシャドーをやるんだよ…そのボールを相手に」

上条「な、なんでそんな事を…??」

矢吹「いいから投げろっつってんだよ!!!」

上条「は、はい!!」ビュンッ

―――――――

矢吹「明日よ、補修帰りにバスケットボールを幾つか買ってきてくれないか?」

矢吹「ほれ金だ、釣りはいらねぇ」ススッ

~次の日の深夜・近場の公園~

禁書「このボールを、じょーに投げつければいいの?」

矢吹「あ、ああ…」フラフラ

上条「あの、ドッチボールは止めましょうよ…フラフラじゃないですか」

矢吹「い、いいから来い。それにこれはドッチボールじゃない」

矢吹「寸止めシャドーをやるんだよ…そのボールを相手に」

上条「な、なんでそんな事を…??」

矢吹「いいから投げろっつってんだよ!!!」

上条「は、はい!!」ビュンッ

―――――――

~~~

御坂「寸止めシャドー…?」

上条「あの奇妙な特訓の成果を、今出すみたいなんだ…」

上条「確かに…弟子としては矢吹さんを守りたいけど」

上条「ここは矢吹さんを信じる事にする」


矢吹「へへ…ご無沙汰でしたってな」

一方通行「お前…頭おかしいンじゃねェのか?」

矢吹「お前さんだけには言われたくねぇな、白モヤシ」

一方通行「あァ?何なンですか、運良く生き延びた分際で」

矢吹「そういうお前さんこそ運が悪いな」

矢吹「何せこの矢吹丈に、処刑されちまうんだからな」

一方通行「あァ?」ピキッ

矢吹「今のうち言っておくぜ…タオルを投げる準備をしとけってな」

一方通行「ブチ殺す…!!!」

矢吹「んでよ、戦う前にお願いがあるんだ」

矢吹「お前さんの力で、鉄骨で出来たリングを作ってくれないか?」

一方通行「鉄骨のリングだァ?」

矢吹「ああ。その方が互いに燃えるってもんだろうよ」

一方通行「……フン」カンッ

グググググ…
べコン!バコン!

上条(鉄骨のリングが…!!)

矢吹「へへへ…感謝するぜ」

一方通行「冥土への手土産ってなァ」ニタァ

矢吹「ああそうかい、んじゃ俺はお前の墓場に肥料でも巻いといてやるよ、白モヤシ」

矢吹「たくさん育つといいな」

御坂「ちょ、ちょっと煽りすぎだって…」

一方通行「…!いい加減にしやがれこの三下ァァァァ!!!」プルプル

一方通行「フン!!!」ダン!

ボォォォン!!!

矢吹「っ!!!また地面をぶっ壊して、砂埃戦法かい」ガード

バチバチ!!

矢吹(くそ…何度喰らっても痛ぇなこりゃ…)

矢吹(前と同じパターン来るなこりゃ)

一方通行「ウラァアアアアァァァ!!!」ギュンッ

矢吹(突っ込んできたな…甲高い声出しやがって…)

矢吹(片目は見えないし、熱で意識もボンヤリとしてやがるが…)フラフラ

一方通行「今度こそ…愉快なオブジェに変えてやンよ!!」ギュンッ

矢吹「今回ばかりはパンチを外すわけにはいかないぜ…!!」ググッ

一方通行「死ねェェ!!!」ススッ

矢吹(右手で俺を潰すつもりだな。なら俺は左手で応じるのみだ)

矢吹「そらぁ!!」

ブンッ…

上条「…!!クロスカウンターを決めるつもりだ!!」

一方通行(やっぱりバカなのかこいつ)

矢吹「……!!」クイッ

バシッ

一方通行「!!?」

御坂「え…一方通行の右腕を…」

上条「矢吹さんの左肘で弾いた!?」

矢吹「まだ終わりじゃねぇ…ココからが本番だ…」ススッ

上条(ここで右ストレート…まさか!?)

矢吹「おわあああああああ!!!!!」ブンッ

クイッ

ボゴォォォォォォン

一方通行「っ!!!?」


ドサッ


一方通行「ガハッ!!!」トケツ

一方通行「どういう…こと…だ…」ドクドク

一方通行「」ガクッ

矢吹「ぜぇぜぇ…」

上条「ダ、ダブルクロス…!!」

御坂「な、何よ…そのダブルクロスって…」

上条「クロスカウンターで、通常のパンチの4倍の破壊力があるって言われてるけど…」

上条「ダブルクロスは8倍って言われてる高等技術だ」

御坂「でもそれって普通、一方通行の前じゃ逆に自分の身を滅ぼすわよ…?」

矢吹「へ、へへへ…そんな事はどうだって良いじゃねえかよ」フラフラ

矢吹「見なよ…やっこさん。気絶してるぜ」

一方通行「」

矢吹「とにかく勝ったんだよ、この俺がな」

御坂妹「」アゼン

矢吹「へへへ…それじゃ、病院へ行こうか」

上条「は、はい…」

御坂「あ…大丈夫?」ススッ

上条「ああ…わるい。でも俺のことより妹を」

御坂「んじゃ、両方まとめて」ガシッ

御坂妹「す、すいません…とミサカは感謝を申し上げます」

矢吹「……そんじゃ、俺はあの白モヤシを運ぶとするか」

御坂&御坂妹「え」

矢吹「へへへ、随分派手にやられちまって…顔の形が変わっちまってらぁ」

御坂「ちょっと…そんな奴ほっといt」

矢吹「ぅぅ…」ガクッ

バタン

全員「!!?」

上条「矢吹さん!!!」パッ

御坂「あ、ちょっ」

矢吹「」

上条「高熱で無茶してたから、気絶してる…」

御坂「どうする、救急車呼ぶ?」

上条「こんな時間だけど大丈夫かな……ん?」チラッ

上条「……」

上条「……」テクテク

御坂「どうしたの?」

上条「な、なあ…この血の量、ヤバくないか…?」

一方通行「」ドクドク

御坂「だからそんな奴どうだって……」

御坂「でも確かに…銃弾で撃たれたみたいに、血の池が出来てる」

上条「……」ススッ

上条「……っ!!!マズイ!!!」ビクッ

御坂「?」

上条「早く病院に連れて行かないと…!!」ガシッ

御坂「ちょ、ちょっとどうしたのよ」

御坂妹「心臓が…止まってるんですね」

御坂「!!?」

上条「ああそうだ!!早くショック療法で心臓を…」

御坂妹「それなら私に任せてください」ススッ

一方通行「」ドクドク

上条「お前…まさか…」

御坂妹「はい、私が蘇生させて見せます。とミサカが電気ショック与えます」

バリバリ!バリバリ!

一方通行「」ビクッ

一方通行「」トクントクン

上条「そ、蘇生した…!!」

御坂妹「さあ、いきましょう」

御坂「ねぇ…どうして…」

御坂妹「はい?」

御坂「なんでアンタが…あんなに酷い目に合わされてたのに」

御坂妹「……それならお姉さまは、死人を見殺しに出来るのでしょうか?」

御坂「そ、それは…出来ない、でも…」

御坂妹「それに一方通行が死なれてしまったら、命の恩人の方々に罪を着せるようで申し訳ないからです。とミサカは理由を述べます」

上条「おまえ…」

【病院前】

上条「悪いな御坂…結局、矢吹さんを背中で担ぎながら、御坂妹を支えてもらって」

御坂「良いわよこれ位…大体あんただってそんなにボロボロなのに、一方通行なんか背負って…」

一方通行「」

御坂「あのそれより…その、それで…えと…」モジモジ

上条「あ?どうした」

御坂「えと…」モジモジ

御坂妹「お姉さま、今は先に受付に向かいましょう。とミサカは意見を述べます」

御坂「あああ!!!そ、そう、そうね」

上条「?」

矢吹「ぅぅ…」

上条「あ、矢吹さん!目が覚めましたか!」

矢吹「下ろしてくれお転婆…」

御坂「良いけど、そのあだ名はやめてほしいかな」

矢吹「わかったよ、下ろしてくれ美琴」

御坂「はいっ」ススッ

矢吹「今日は…色々大変だったな」

全員「……」

矢吹「へへ…じゃあな。俺は先に家に帰るわ」

上条「え、ちょっと、待ってください」

矢吹「なんだい」

上条「40度も熱あるんじゃ折角なんだし、入院していっても…それに傷だって」

矢吹「別に良いって。家に帰れば薬だってあるんだ」

上条「でも…」

矢吹「そんな事よりお前さんたちの方がボロボロじゃないか」

矢吹「早いところ、手続きを済ませちまいな」

矢吹「ってな訳で家に帰るわ。後で見舞いにも来るから、じゃあな」ダダッ

御坂「行っちゃった。走って逃げるように…」

上条「なんだろう…前から気になってたけど、矢吹さんって病院が嫌いなのかな」

御坂「嫌い?」

上条「ああ…特に、医者にはあまり会いたがらないって言うか…そんな気がする」

御坂「?」

上条「と、とにかく受付に行くか…」

御坂妹「追いかけなくても宜しいのでしょうか?とミサカは命の恩人に問いかけます」

上条「そうしたいのは山々だけど、あんまりしつこく引き止めたら怒鳴られるか、ぶっ飛ばされそうで…」

御坂「どれだけ病院が嫌いなのよ…」

今日はここまで
これで、物語の前半分終了です

次回から中盤のお話

【次の日・病院前】

禁書「ねー!結局昨日は何があったのー!」

矢吹「だからタイマンだって」

禁書「じゃあなんで当麻が入院して、じょーは入院しなかったの!?」

矢吹「ヒュ~ヒュヒュヒュ~」クチブエ

禁書「もー!!口笛吹いてないで答えてよ!!」

矢吹「ヒュ~……ん?」ピクッ

禁書「どうしたの?」

矢吹「インデックス、先に病室へ向かってろ」

禁書「え?うん」

~~~~

御坂「あ…矢吹さん」

御坂妹「おはようございます……」ペコッ

矢吹「どうだい、調子は」

御坂妹「はい…身体も目も負傷してますが、後遺症の心配はありません。とミサカは現状報告します」

矢吹「そうかい。んま、今後は平和に生活できると良いな。それじゃ」

御坂「あ、待ってください!」

矢吹「なんでい」

御坂「昨日はどうも…これ、お礼のクッキーです」ススッ

矢吹「おお!すまねぇな」

御坂「あいつもこれ位、素直に感謝してくれても…何よ手作りとか…」ブツブツ

矢吹「ん?なんだ、上条の見舞いは済んだのかい」

御坂「あ、はい」

矢吹「ふーん。んじゃ俺もそろそろ病室に向かうから、ここで」

御坂「はい、本当にありがとうございました…!」

矢吹「……あ、そうだ」ピタッ

御坂「なんでしょうか」

矢吹「上条の野朗、結構モテるから早めにアタックしておけや」

御坂「は、はぁ!?///」

矢吹「喧嘩も恋も闘いは付き物ってな」

御坂「だ、だだ、誰があんな奴の事なんか!!!///」

矢吹「あーはいはい(棒)」

御坂妹「あの…」

矢吹「ん、なんでい妹さん」

御坂妹「本当にありがとうございます」ペコッ

矢吹「お礼はこっちも言いたい所だ。あの路地裏の件は感謝してるぜ」

御坂妹「……」

矢吹「まあ、これからガンバレや」

御坂妹「…はい」ペコッ

【病室】

矢吹「思ったより元気そうだな」

上条「途中から矢吹さんが交代してくれたおかげで、ケガも対した事ないです」

上条「今日には退院できそうです」

矢吹「そりゃ良かった。インデックスの野朗も腹を空かせてるからな」

禁書「全く、とうまもじょーもいなくなって、お腹はすくし、心配するし…大変だったんだよ!」

矢吹「わかったわかった…所でインデックス」

禁書「なに?」

矢吹「金やる。病院の食堂で好きなもの食って来い」ススッ

禁書「わああ!!ありがとうじょー!!」ダダッ

ガチャン

矢吹「んで、一応聞いておきたいんだが。一方通行の様態はどうでい」

上条「……先生から聞いたんですけど、なんとか命に別状は無いみたいです」

矢吹「なんとか…ね。後遺症は?」

上条「……」

矢吹「本当の所、ゾロリと吐いちまいなよ」

上条「……言語機能、計算能力に著しいダメージが残ったらしいです」

上条「しかし先生は必ず、一方通行の脳と体…能力を治すって言ってました」

矢吹「名医なのかい?」

上条「はい。俺の切れた腕をくっ付けてしまう位ですし」

矢吹「そうかい、それを聞いて少し安心した。少しな」

上条「少し…ですか」

矢吹「俺も奴から右目を抉られた身だが…」

矢吹「同時に現役の頃、人の体をぶっ壊してきた身だ。倒した相手を心配しないと言ったら嘘になる」

上条「そういえば矢吹さんは…なんで引退したんですか?」

矢吹「え?」

上条「この間の闘いといい…まだまだ現役としてやれる気がするんですが」

矢吹「ボクサーは活躍できる寿命は短いもんだ」

上条「でもあれだけ強かった矢吹さんが20才位で辞めてしまうなんて…」

上条「選手寿命だって個人差はあるし…30代前半ならまだ力も全然残ってるんじゃ」

矢吹「……」

矢吹「全部…使い切ったんだ。あの10年前の世界戦でな」

矢吹「俺にはもう何も残ってないんだよ。だからリングから降りることにした」

矢吹「それだけの話だ」

上条「…上条さんとしては、もう一度、矢吹さんがリングに上がった姿を見たかったのですが」

矢吹「嬉しいこと言ってくれるじゃねぇの。でもな俺は、俺はもう…」

矢吹「……」

矢吹「とにかく、もうリングには上がる事はない。二度とな」

矢吹「それより退院は何時ごろだ」

上条「午後になりそうです」

矢吹「そうかい、んじゃ俺も病院の食堂に向かうとするかな。また午後にな」ガチャッ

上条「いってらっしゃい」

~廊下~

矢吹「しかし最近の病院ってのは本当に凄いな」キョロキョロ

「ヤブキ…?」

矢吹「あん…?」

矢吹「」

「ジョー……ヤブキ……」

矢吹「あ…ぁ…ぁあ…」

「お前、ワタシの友達ネ…」

――――――
ワタシはお前と試合をするまでニッポンをから離れナイ
お前は初めて出会ったホンモノだからダ

ジョー、お前には火薬の匂いがする…とても危険でスリリングな匂いガ

そういうアンタはナイフだ、ギラリといつも、目の奥で光ってやがる

ワタシはリングの上で全てを出しつくし、最高の持て成しをするつもりダ

よーし、その言葉忘れるなよ……!
――――――

矢吹「カーロスの旦那…!!!!」

ザワザワ、ガヤガヤ

上条「なんだろう…廊下が騒がしいな」ガチャッ

カーロス「オー~ジョーヤブキ~」ポワワ~ン

矢吹「カーロス!!久しぶりじゃねえか!!」

上条「え…カ、カーロスってあの!?」

矢吹「おお、上条!カーロスが、カーロスがこの病院にいたんだよ!」

カーロス「ハハハハ…お久しぶりだネ~…ジョ~」グスッ

矢吹「へ、へへへ…本当懐かしいや…」グスッ

上条(これが元バンタム級世界6位…無冠の帝王…)

カーロス「ワタシ、お前に敢えて嬉しいネ~」ポワワ~ン

上条「なんだろう…もっと凛々しいイメージが合ったんだけどな…」

矢吹「でも確か箱根の療養所にいたんじゃ…まさか葉子がここへ連れてきてくれたのかい?」

カーロス「フフフ、お前もワタシもベリーストロング~」グス

カーロス「また一緒にブランコゆらゆらしたいネ~」

矢吹「葉子はどうだ、元気かい?」

カーロス「また一緒に雪を見たいネ~」ボロボロ

矢吹「……」

矢吹「……はは、そうだな。また一緒に公園行きたいな」

カーロス「ジョー…どっちが強いか、また勝負シマショウ~」ググッ

矢吹「ok、いいぜ」

上条「え、ちょ!?」

カーロス「ファイトジョ~…ファイト~…」

矢吹「さあ、全力で来な」

上条「ちょっと矢吹さん!ここ病院!!」

矢吹「カーロスは…その、もう昔の力は無いんだ」

上条「え…」

――――――
オー…ジョーヤブキ…

ユーアーベリーベリーストロングネ~

ここでもう一度どっちが強いか試合をシマショウ~

おいおい!試合を終えたばかりでそれは…!

待ってくれおっつぁん

ジョー…!!

ファイト、ファイト~楽シイネ~

ポン…

な、なんてこった…あの稲妻みたいなジャブが…こんなに見る影も無くボロボロによ…

ファイトジョー~…ファイト~…
――――――

矢吹「……重い病を患っててな」

上条「……病?」

矢吹「だから…」

矢吹「……」

カーロス「それじゃまずは左ジャブネ~」

ボォォン!

矢吹「っ!!!?」

上条「!?」

カーロス「次は~右アッパーネ~」シュッ

ボゴォォォォン!!

矢吹「ガハァ…!!!」

バタッ

矢吹「ど、どうなってやがる…」

矢吹「」ガクッ

ガヤガヤ、ザワザワ

冥土帰し「おやおや、これは一体なんの騒ぎだね」

上条「あ!先生…」

カーロス「オゥ~ヘヴンキャウンセラ~、ハロ~」

矢吹「」

冥土帰し「っ!!カーロス、ダメじゃないか!!人を殴っちゃ!!」

矢吹「あ…ぁあ…大丈夫だ…俺も元ボクサー…」ムクリ

矢吹「友達なんだよ、カーロスは」

冥土帰し「でも唇が派手に切れてるじゃないか。処置を…」

矢吹「いいってこれ位…」

カーロス「オ~流石ダネ~」ポワワ~ン

矢吹「それよりよ…これは一体どうなってるんだい」

矢吹「カーロスは確か病気を患ってるんじゃ…」

冥土帰し「ふむ…カーロスの病の件を知ってるという事は、やはり知り合いなんだね」

冥土帰し「……っと言うか君、ドコかで見たことある顔だね」

矢吹「……」

冥土帰し「ひょっとして、かなり有名なボクサーだったりとか?」

矢吹「……俺の事なんざどうだっていい。過去の栄光にしがみ付くつもりは無ぇ」

矢吹「それよりカーロスが、なんでこんなに強くなってるんでい」

冥土帰し「実は2年ほど前に、重度のパンチドランカーであるカーロス・リベラの治療の依頼が来てね」

上条(パンチドランカー…?)

冥土帰し「私がその病を治療をする事にしたんだ」

矢吹「……あの病は、重度のレベルじゃ治らないんじゃ」

冥土帰し「それはもう昔の話、医療技術は進み…カーロスの病気は今年中に完治する予定だ」

矢吹「な、なんだって…!!?」

カーロス「どうしました?もうケーオーですカ~?」シュシュッ

矢吹「ま、待ってくれカーロス…ちょっと、ちょっとだけよ」

冥土帰し「まあ見ても分かるが、まだ完治はしてない」

冥土帰し「脳の構造とは非常に複雑でね、簡単にはいかない」

冥土帰し「ここに入院した直後、私はまず、運動機能を指令する神経のみ一点集中に治療を施した」

冥土帰し「結果、カーロスは、見る見ると元の力を取り戻した」

カーロス「うぅぅ…」クラッ

矢吹「どうしたカーロス!!大丈夫か!?」パシッ

カーロス「」

冥土帰し「おっといけない…さっきも話したが、まだ彼は完治をしていない」

冥土帰し「急激に無茶な運動をすると、意識を失ってしまう事がある」

矢吹「……なあ、カエルのおっつぁんよ」

冥土帰し「なんだい?」

矢吹「……また、スパーリングくらいは出来るのかい?」

冥土帰し「ちゃんと完治して、数ヶ月経過したら大丈夫だろうね」

矢吹「……」

冥土帰し「ただ、医者としてはもう。現役復帰させるのはおススメしないけどね」

矢吹「……なあ、カエルのおっつぁん。あんたによ言っておきたい事がある」

冥土帰し「ふむ、なんだい」

矢吹「来年…カーロスの病気が完治したとしてもだ」

矢吹「……この10年間、カーロスが本来歩むべきハズだった」

矢吹「ボクシングに捧げるはずだった…かけがえの無い青春、その時間って奴はよ…もう二度と戻ってこない」

冥土帰し「……」

矢吹「それでも…それでも俺はアンタに言いたい」グスッ

上条「あ…」

上条(矢吹さんが涙ぐんでる…)

矢吹「カーロスを…カーロスの病気を治してくれてよ…その…ぅうう…」ボロボロ

矢吹「ぅぅ…くぅ……ぅぅう…」ボロボロ

冥土帰し「……」

矢吹「ありがとよ……本当にありがとよ!!!」ボロボロ

【病室】

カーロス「zzz……」

矢吹「なあ、カエルのおっつぁんよ」

冥土帰し「なんだい」

矢吹「カーロスと…その明日とか、外出してもいいかな」

矢吹「久しぶりによ…遊びたいんだ」

冥土帰し「ふむ。あんまり遠出でなければ良いよ」

矢吹「本当によ…本当に…なんつったら良いか…」ボロボロ

矢吹「ぅぅ…くぅ…ぅうぅぅ…」グスグス

上条「矢吹さん…」

~数時間後~

上条「それじゃ、お世話になりました」ペコッ

冥土帰し「うん、もう無茶をするんじゃないよ」

矢吹「それじゃカエルのおっつぁん、また明日な」

上条「明日はドコにいくんですか?」

矢吹「そうだな…公園が良いかな…?」

禁書「ねえ!かーろすに合ったって本当!?」

矢吹「ああ、ビックリしたよ」フラフラ

禁書「そっか、明日が楽しみなんだよ~」

上条「あの…話し変わりますけど矢吹さん」

矢吹「今度はなんだい」フラフラ

上条「パンチドランカーって具体的にどんな病気なんですか?」

矢吹「……」フラフラ

矢吹「まあ……なんつーか、とにかく重い病気なんだよ」ツルッ

ステーン!ゴロゴロゴロ…

矢吹「うぅ!がぁ…ぁぁ…い、痛ってぇぇ!!」ドガドガ

禁書「階段から転げ落ちたんだよ!!」

上条「だ、大丈夫ですか!?」

矢吹「へへへ…参ったな、今日は一段と二日酔いがひどいや」フラフラ

【ファミレス】

「ねえ麦野、皆は?」

麦野「滝壺は連絡が取れないから多分、寝坊してるわね…全く」

麦野「それよりフレンダ、絹旗に連絡ついた?」

フレンダ「今日は外せない用事があるとかで、結局、集まりに来れないみたい」

麦野「はあ…まーたどうせくだらない映画でも見てるんでしょう。まあいいわ」

麦野「私達だけで会議を始めましょう」

フレンダ「それで今度の依頼は?」

麦野「一方通行を倒した『例のレベル0』を抹殺だって」

フレンダ「やっぱ第一位が倒されたって本当だったんだ…」

フレンダ「でも確か二人のレベル0が、協力し合って倒したって聞いたけど」

麦野「それがね…良く分からないけど、抹殺するのは一人だけで良いみたい」

麦野「一方通行にトドメを刺した張本人のみをね」

フレンダ「ふ~ん、でも依頼者は何で一人だけ抹殺を依頼したんだろうね」

麦野「いいじゃない理由なんて、どうだって」

フレンダ「それで、その抹殺される対象の名前は?」

麦野「それがね、名前のデータが無いみたい」

フレンダ「侵入者?」

麦野「みたいね。どうやってここに辿りついたんだか知らないけど…」

麦野「一応、仮説だけ出てるわ。元ボクサー矢吹丈だって」

フレンダ「……だれ?」

麦野「詳しくは無いけど、元東洋王者みたい」

麦野「10年前、世界タイトルマッチ終了後に半年間入院」

麦野「その後、退院当日に人知れず病院を抜け出して、現在は行方不明扱いになってるわ」

フレンダ「…良く分からないけど結局、世界王者にはなり損ねた半端者って訳じゃない」

麦野「んで、もう一人のレベル0が…上条当麻、ただの高校生」

フレンダ「そいつは抹殺しなくていいの?」

麦野「基本的には無視……もしも邪魔してきたら潰す」

麦野「早速今日から、尾行を開始。それで適当に目立たない場所まで連れてきて抹殺」

フレンダ「尾行するのは構わないけど、どうやって目立たない場所まで誘導するの?」

麦野「何も無理に誘導する必要は無いわ…案外、様子を伺ってれば、チャンス来るかもよ」

フレンダ「チャンスね…今回は尾行も含めると、一日じゃ終わらなさそう」

麦野「でも一度お掃除を始めちゃえば、あっと言う間よ」

麦野「だって相手はたかだが無能力者だもん…出来損ないボクサーとただの高校生に何が出来るのよ」

フレンダ「だよね!んじゃ今回は私が先に手を打たせて!」

麦野「ボーナスが欲しいんでしょ?まあ、ちゃんと仕事してくれるなら文句は無いけど」

麦野「しかしレベル0に負けるとはね…第1位様も、案外ザコなのかもね」ニヤッ

ここまで
次回、アイテムとの闘い

【翌日・廃工場】

禁書「それじゃ30秒数えるね」

矢吹「よーし!お前ら散らばれ!!」

子供達「わ~隠れろ~!」タタッ

矢吹「さあ行こうぜカーロス。まだ体調が万全じゃないから俺と一緒な」タタッ

カーロス「フフフ、かくれんぼ楽しいネ~」ルンルン

禁書「いーち!にぃー!さーん!」

上条「……」ポカーン

矢吹「ん?どうした上条」

上条「え、いや、別に」

矢吹「早く隠れろや、先行くぞ」タタッ

上条「……」

上条(今日は、カーロスさんのリハビリも兼ねて、公園で散歩する予定だった)

上条(公園に付くや、矢吹さんと仲が良い子供達と遭遇。結果、矢吹さんにかくれんぼを強制参加させられるハメに)

上条(しかも公園じゃ在り来たりと言う理由で、こんな廃工場に連れて来られた)

上条(危なそうな場所なので止めたが『もし喧嘩を売られたら買ってやるよ、喜んでな!』と意気揚々と連行された)

上条「はぁ…まさか高校生になって、かくれんぼをする事になるとは」

上条「あの人は時々、発想がやたら幼稚になる時があるんだよな…」


禁書「にじゅーく!さんじゅー!もーいーかい!」

子供達「もーいいよー!」

矢吹「あいよー!」

カーロス「オ~ケ~カモン~」

上条「いつでもどうぞ~」

~数分後~

禁書「う~ん…ドコかな~。広いから見つけにくいんだよ」キョロキョロ

「ねえ、そこのシスターさん」

禁書「ん、私?」

「ここの廃工場は、危ない人が集まるアジトだから早く立ち去った方が良いよ」

「多分知り合いだろうけど、さっき私が男の人達をココから立ち去るように促したから」

禁書「え、そうなの?」

「うん、子供達も工場の出口にいるから、早く行ってあげな」

禁書「ふーん…わかったんだよ!ありがとう!」タタッ

~出口前~

子供達「あ、インデックス姉ちゃん」

禁書「ねえ、とーまとじょー、それにかーろすは?」

子供1「え、さっき注意してくれたおねえちゃんから聞いてなかった?」

子供2「あの三人は買い物に出かけたって」

禁書「え~!!?なにそれ、私や皆を差し置いて酷いんだよ!!」

子供1「どうするねーちゃん」

禁書「ぅぅ…携帯も忘れちゃったから、ドコにいるのかも分からない」

禁書「もう今日は夕方になるまでドコかで遊ぶんだよ」

子供達「はーい」

禁書「もう…とーまとじょーのバカ!!」

~~

滝壺「もしもし滝壺だよ。標的外は皆、避難させたよ」カチャッ

滝壺「うん、後は任務が終えるまで外で待ってれば良いんだよね。それじゃ」ピッ

滝壺「あれ?そういえば上条当麻は避難するように声かけたっけ?」キョトン

滝壺「……多分、声かけたよね。多分」ウンウン

~1時間後~

上条「遅すぎる」

上条「まさか忘れ去られたとか言う、お決まりの展開でせうか?」

上条「はぁ…不幸だ。すぐに見つかりそうなロッカーの中にいたのに」ガチャッ

矢吹「あれ、上条いたのか」

上条「矢吹さん?皆はどうしたんですか」

矢吹「わからねぇ、いつの間にか消えちまってよ」

カーロス「みんなドコ行っちゃったんですカ~ワタシ悲しいネ~」グスッ

矢吹「泣くなよカーロス。大丈夫だよ今みんなと会えるから、な?」ポンポン

カーロス「ぅぅ…」グスグス

上条「とりあえず、インデックスに緊急用の携帯を持たせてますから今連絡してみます」ピッ

上条「……」プルルルルル

上条「繋がらない…」

上条「あいつ、さては携帯忘れたな…はぁ、不幸だ」

矢吹「……」ジーッ

上条「ん?どうしました矢吹さん」

矢吹「……」

矢吹「おい、そこにいるのは誰なんでい」

「……」

矢吹「さっきからこっちをジロジロと、何だってんでい!」

「それ!」ポイッ

上条「人形!?」

矢吹「……お前ら伏せろ」ササッ

ボォォォォン!!

上条「ば、爆弾!?」

矢吹「おお、危ねぇ…大丈夫かいカーロス」

カーロス「オ~ケ~」

「ふ~ん、結構用心深いのね」コツコツ

上条「外国人の女の子?」

カーロス「ワオ~、イッツァキュート~」デレデレ

矢吹「なんだい、お前さんの母国では爆弾入りの人形を投げつける風習でもあるのかい」

「……あんた、矢吹丈で良いんだよね?」

矢吹「ああ、そうだ。お前さんは何者だい」

フレンダ「私はアンタの命を狙う…フレンダっていうの。ヨロシクね」ポイポイ

矢吹「っ!!今度は小型ミサイルかい」ササッ

ボォォォォン!!

フレンダ「避けたわね…伊達にボクシングやってたわけじゃないのね」

上条「一体何なんだお前は…!!」

フレンダ「アンタは上条当麻ね」

上条「っ!?なんで俺を」

フレンダ「なんだっていいじゃない。それよりもココにいて大丈夫なの?」

フレンダ「アンタとそこの南米人は、標的外だからとっといなくなった方が良いわよ」

矢吹「標的外だと?なんで俺だけを狙う」

フレンダ「しーらない、そんなの依頼人に聞いてよ」

フレンダ「結局、私はただ仕事をしてるだけな訳よ!」

フレンダ「でも…」チラ

上条「……」ググッ

フレンダ「もし邪魔するなら、抹殺するしかないよね」

上条「お前…!!」

矢吹「待てや上条…やっこさんは俺に用があるんだ」

矢吹「ひとまずカーロスを連れて逃げろや」

上条「……」

矢吹「……つっても、お前なら意地でもココに残るよな」

矢吹「とりあえず、カーロスを守ってくれ」

上条「はい…!」

カーロス「……」

フレンダ「……」

矢吹「しかし困った」

フレンダ「そりゃそうよね、いきなり命を狙われてるんだから」

矢吹「いやそうじゃない。こんな貧弱そうなお嬢さんを殴るのに気が引けるって意味だ」

フレンダ「へ~意外と紳士なのね。でも貧弱は余計」

フレンダ「大体アンタは結局、世界チャンピオンになり損ねた、出来損ないボクサー訳じゃない」

矢吹「……なにぃ?」ブチッ

フレンダ「一方通行を倒したとか噂を聞くから、まさか世界チャンピオンなのかと思ったけど」

フレンダ「ただのアジア止まりとか」クスクス

カーロス「……」

上条「おい、お前…ふざけるなよ、矢吹さんは」プルプル

矢吹「上条、悪いがお得意の説教はしなくて良い。お嬢さんは俺に用がある」ググッ

矢吹「今のうち言っておくぜ。タオル代わりに帽子でも投げとけってな」

フレンダ「イヤだって言ったら?」

矢吹「試合開始だ…ファイトってな!」ギュンッ

フレンダ(っ!?早い!!もう目の前まで!!)ビクッ

矢吹「おらあああああ!!!」

フレンダ「なーんてね、喰らえアタシの脚線美!」ブンッ

矢吹「むっ!」ガード

ザクッ!

矢吹「っ!?なんでい…いま左腕に刃物が!?」ポタポタ

上条「靴のかかとに、刃物をを仕込んでる…!!」

フレンダ「へへーん、スポーツにはこういう攻撃はないからね!」

矢吹「調子に乗ってんじゃ…ねえよ!!」右ストレート

フレンダ「ほいっ」ススッ

矢吹「っ!?スウェーバックだと!!」

フレンダ「この私が格闘に関しては、素人だと思った?」ススッ

上条「今度はポケットから何か…?」

フレンダ「さあ、この拳銃でとっとと楽になっちゃう訳よ!!」チャキッ

パァン

矢吹「おいおい…ドンパチかよ」サッ

フレンダ(な…避けた!?この距離で!!)

矢吹「このまま俺のクロスをぶち込んでやるぜ!」ブンッ

フレンダ「いや……!!」

矢吹「……」ピタッ

フレンダ「……え、寸止め?」

矢吹「俺のクロスが当たってたら、お嬢さんは今頃、血の海って訳よ」

フレンダ「……」

矢吹「結局、俺の勝ちって訳だ」

矢吹「一体、ドコのヤクザ屋の回し者だか知らんねぇが、こんなバカことから足を洗うんだな」スッ

矢吹「さあ、帰ろうぜ上条、カーロス」クルッ

上条「あ、は、はい」

フレンダ「……」ススッ

上条「……ん?」クルッ

フレンダ「ばーか。結局、もう1丁あるって訳よ」チャキッ

矢吹「あ?」

上条「危ない矢吹さん!!」ガバッ

パァン

矢吹「あいててて…」

上条「良かった間に合って…」

矢吹「すまねぇ、お前こそ大丈夫か」

上条「ええ、なんとか被弾せずに済みました」

フレンダ「チッ、運の良い奴ら~」

上条「この野朗…矢吹さん。次は俺がいきまs」ムクリ

カーロス「待ってくだサイ。ジョー、トーマ」

矢吹「カーロス……?」

矢吹「っ!?」ビクッ

上条「どうしました矢吹さん?」

矢吹「カーロスの目が」

上条「目?」

カーロス「……」ギラギラ

上条「ひ、光ってる…!?」

矢吹「あれは昔、カーロスと試合をした時と同じ目だ…」

矢吹「手の付けられない野獣のような…あるいはナイフみたいな、ギラリと光ったあの目…」

カーロス「……」コツコツ

フレンダ「なに、今度は謎の南米人が相手?」チャキッ

カーロス「……」グッ

ギュンッ

フレンダ「っ!!消えた…!!?」

上条「な、なんだあのスピードは…!!」

フレンダ「ど、ドコよ!!ドコに消えたのよ!!」キョロキョロ

カーロス「……」ササッ

上条(真後ろに張り付くようにして、移動してる…!)

カーロス「ユー、ワタシの友達を傷つけたマシタ」

フレンダ「っ!!うしろね!!」クルッ

カーロス「そして侮辱シマシタ。偉大なる男、ジョーヤブキを」

フレンダ「死んじゃぇぇ!!」チャキッ

カーロス「無駄デス」ブンッ

バキィィィ!!

フレンダ「……っ!!」

上条「なんだ今の音は!?銃声ではないよな…って痛っ!!」コツン

矢吹「どうした?」

上条「け、拳銃が頭上に飛んできました」

カーロス「……」ギラギラ

フレンダ(私の腕を殴って、拳銃を薙ぎ払った…)

フレンダ(つーか、私の腕の骨が折れてるじゃない…!!)プラプラ

カーロス「……」ギラギラ

フレンダ「ええい、喰らえ!!アタシの脚線美!!」ブンッ

キィィン!

フレンダ(靴に仕込んだ刃物が折れた…!?)

バキィィィ!!

フレンダ「ぐぅぅ!!」

ボォン!ボォン!ボォン!

フレンダ「っ!?」トケツ

ドサッ

フレンダ「ちょ、足の骨が…折れて…」ガクガク

上条「な、なんだ…何が起きてるんだ…」

上条「高速パンチなんてレベルじゃない…コレじゃ光速パンチだ」

矢吹「上条、いまカーロスは何発パンチを打ったかわかるか」

上条「えっと、2発ですか?」

矢吹「違う5発だ。物凄い速さでな」

上条「っ!?」

矢吹「しかも内の1発は、リバーに必殺技まで決めやがった」

上条「必殺技…?」

フレンダ「な、何なのよアンタ!攻撃が全然見えない…」

フレンダ「まさか、衝撃波でも扱える能力者なの!?」

カーロス「ノー、ワタシ、無冠の帝王」

フレンダ「な、何よそれ」ムクリ

フレンダ(まだ片腕が生きてる!それで一旦距離を作って、爆弾を…)フラフラ

カーロス「逃がしまセン」ダダッ

バキィィィ!!

フレンダ「ちょ!両腕の骨が折れt」プラプラ

カーロス「フィニッシュ」シュッ

ボゴォン!!ドゴォン!!!

フレンダ「ガハァ…!!!」

ドサッ

矢吹「いまお嬢さんのテンプルへ放った攻撃は」

矢吹「パンチと肘の二段攻撃…カーロスの必殺・エルボースマッシュだ」

上条「あれが…無冠の帝王の力。よくドローまで持ち込めましたね」

矢吹「ああ、よくあんな強い奴と引き分けまでやれたと思うぜ」

フレンダ「」

矢吹「……しかし。すげえよカーロス、本当によ」グスッ

矢吹「俺と戦ったときと同じじゃねえか…へへ、タイムスリップした気分だぜ」ボロボロ

カーロス「ジョー…ワタシ、お前を守っタ」フラフラ

カーロス「お前の命と…その誇りヲ…」バタンッ

矢吹「ありがとうなカーロス。お疲れ様」ササエル

カーロス「zzz…」

上条「結局、何だったんでしょうねコイツは」

矢吹「さあな。だが、このお嬢さんもなかなかだったぜ」

矢吹「元日本チャンピオン・タイガー尾崎ですら、カーロスに一撃で倒された。だがこのお嬢さんは何度もその強打に耐えた」

上条「……っ!!」

矢吹「まあとりあえず病院まで運んでやろうぜ」

矢吹「話はそれからでも良いだろ」

上条「はい」ススッ

「待ちなさ~い」

上条&矢吹「?」

「まあよくもフレンダを可愛がってくれたわね~」

「……ま、一人で片付けてようとして、ボーナスゲットに目が眩んだのもいけなかったんだけどね~」

上条「誰だお前!」

麦野「アイテムのリーダー…麦野だにゃ~」

麦野「……お前が上条当麻。そして」チラッ

矢吹「……」

麦野「矢吹丈…」

矢吹「なんでいアイテムって…それがあんたらの組の名前かい」

麦野「組って、私たち別にヤクザじゃないんだけどね~」

矢吹「似たようなモンだろうが、俺の命なんざ狙いやがって」

麦野「まあ自己紹介はこの辺にしといて…」

麦野「ウチのフレンダに手を出した矢吹丈と謎の南米人…そして上条当麻」

麦野「ブ・チ・コ・ロ・シ・か・く・て・い・ね」

上条(おれ、まだ手は出してないんだけど…ってそうじゃなくて!)

上条「こんな訳のわからない理由で矢吹さんを襲いやがって…」

上条「お前達の好きにさせるか!!」

麦野「ふーん、アンタが私の相手ね。それじゃ出来損ないボクサーの相手は…」

麦野「絹旗!!やっちまいな!!」

絹旗「超了解です」

矢吹「ん?いつの間にか後ろにいやがった…」クルッ

矢吹「……ってまた女かよ。しかも15にも満たないような」

絹旗「あなたが元ボクサー矢吹丈ですね」

矢吹「ああそうだよ」

絹旗「あなたには恨みありませんが、仕事なので超覚悟して下さい」

矢吹「……はぁあ」

絹旗「どうしました。勝負をあきらめたんですか?」

矢吹「あのよ…まさかアイテム組ってのは女しかいないのかい?」

絹旗「はい。それと名前に組を付けるのは止めてください」

矢吹「んで、お嬢さんは俺を殺すのかい?」

絹旗「はい。それと、アナタが抱えてる南米人も」

カーロス「zzz…」

矢吹「……背に腹は変えられないってか」テクテク

矢吹「カーロス悪い…少しの間、壁の隅っこで寝ていくれ」ススッ

矢吹「上条、がんばれよ」

上条「はい、矢吹さんも」

麦野「……」

矢吹「それじゃいくぜ、絹旗とかいうお嬢さんよ」

絹旗「いつでもどうぞ」

矢吹「……」

絹旗「…?どうしました、来ないのですか」

矢吹「……」

矢吹「燃えねぇな…全然燃えねぇ」

絹旗「萌えない?」

矢吹「違う。燃えないだ」

矢吹「なんでい。その澄ました目、それに表情はよ」

絹旗「……」

矢吹「決闘を始めようってのに、お前さんの目は全然燃えてねぇじゃないか」

絹旗「わたし、アナタの様にスポ根魂とか無いので」

矢吹「……」

絹旗「ですが、仕事はキチンと超こなしていくつもりです」ダダッ

矢吹「そっちから来たか……ま、初めは様子を見るか」

絹旗「どうなっても超しりませんよ」ブンッ

矢吹(まずはリバーか…)

ボゴォォォン

矢吹「っ!!!!?」ガクン

絹旗「……」

矢吹「ゴ…ガハァ…!!!」トケツ

矢吹(な、なんだこりゃ!?滅茶苦茶な破壊力じゃねえか…!!)ガクガク

絹旗「今のはほんの挨拶です」

矢吹「あれで本気じゃねえだと…!?」

絹旗「……」

矢吹「お嬢さん、ボクシング経験者か?」

絹旗「いいえ。ボクシング『なんか』やってません」

矢吹「ボクシング…『なんか』?」ピクッ

矢吹「随分と歪みのある台詞だな」

絹旗「たかだかボクサーに負けるつもりはありませんし」

矢吹「絹旗のお嬢さんよ…少し口の利きかたを気ぃつけな!!」ブチッ

矢吹「おわあああああ!!!!!」ブンッ

ガァン

絹旗「……」

矢吹「あ…ぁぁあ…」ポタポタ

矢吹(な、なんだこの硬さはよ…なんで顔面が歪まないんだよ)ポタポタ

絹旗「一つ言い忘れてましたね」

絹旗「私は能力は窒素装甲…レベル4です」

絹旗「そして私の窒素装甲は鉄の様に超硬いです」

絹旗「血だらけになった拳を見れば、もうおわかり頂けると思いますが」

絹旗「その強打が自らを超滅ぼします」

矢吹「……!!!」ポタポタ

絹旗「つまり、アナタは絶対に私には勝てません」

今日はここまで

大変お待たせしました
今から投下します

矢吹「この俺が勝てない…だと?」

絹旗「さあどうします?今なら超苦しまないように、楽にあの世に送って差し上げる事もできますが」

矢吹「冗談じゃ……ねえぞ!!!」ブンッ

ガァン

矢吹「っ!!!」

絹旗「破れかぶれの猪突猛進ですか。超無意味です」ググッ

絹旗「それでは今度こそあの世へ」ミギストレート

ブンッ

矢吹「……」ササッ

絹旗「華麗なスウェーバッグ…さすが元ボクサーですね」

矢吹「10代の女子にしてはいい筋してるが、俺から言わせればキレの悪いパンチだ」

絹旗「その割には私のパンチ、超効いていた用ですが?」

矢吹(……)

矢吹(こんなキレのパンチなのに…なぜあんな破壊力あるパンチが打てるんだ)

矢吹(参ったぜ…俺は元々、肉を切らせ骨を絶つ戦法が主流だ)

矢吹(ディフェンスは得意じゃねえ…だからカウンターを狙うんだが、これじゃ俺が自滅する一方だ)

矢吹(……)

絹旗「……どうしました?何もしないなら攻撃しますよ」ブンッ

矢吹「おっと…」ササッ

矢吹(埒が開かねぇ…)

ボォォォォォン

麦野「オラオラ!!!」

上条「うわぁ!?なんだ、御坂のレールガンみたいな能力か!!?」キュイーン


矢吹(どうやらあっちも決闘を始めたようだな)

矢吹(……止む終えないな。『アレ』を出すか)ゴソソッ

絹旗「…?自分のカバンなんか漁ってどうするんですか」

矢吹「……」ススッ

絹旗「ボクシンググローブに包帯?」

矢吹「バンテージだ。そしてこのグローブはただのグラブじゃねぇ」グルグル

矢吹「16オンス…スパーリング用の厚めのグラブだ」ボンボン

絹旗「なるほど、それで拳を痛めないようにするのですね」

矢吹「正直、こんな事をするのは俺の柄じゃないんだがな」チラッ


麦野「どうした腰抜けが!!!!」ギュンッ

上条「うおおおお!!!」キュイーン

矢吹「まだ俺は、ここで死ぬ訳にはいかないんだよ」

矢吹「……まだな」

矢吹「そして俺はお前さんに、とっておきの奥義を御見舞いしてやるぜ」

絹旗「私の窒素装甲を打ち破る秘策とでも?」

矢吹「さあな。だがこの技は、俺が人生最後の試合の時に修得した技だ」ググッ

矢吹「行くぜお嬢さんよ」ダダッ

矢吹「世界チャンピオン・ホセメンドーサ直伝…」

シュルルルッ

絹旗(腕と拳が螺旋状に回転を…?)

矢吹「コークスクリューブローだ!!!」ブンッ

バァァァン!!

絹旗「……」

矢吹「……」

絹旗「所詮、無駄な足掻きでしたね」

絹旗「それと…さぞ凄い衝撃だったんでしょうね」

矢吹「…っ」ツー

絹旗「いくら、ぶ厚いグラブをはめていても、ダメージはあったようですね」

絹旗「グラブの隙間から、血が垂れてますよ」

矢吹「へへ、へへへ…笑っていられるのも今のうちだぜ」

絹旗「そうですか、では執行猶予として、しばし超時間を上げます」

絹旗「超ご自由に」

矢吹「おわあああああ!!!!」シュルルルッ

バァァァン!!

ポタポタ…ポタポタ…

絹旗(グラブの隙間からドンドン血が流れてきてますね)

絹旗(勇猛果敢ですが、潰れるのも時間の問題)

矢吹「ぜぇぜぇ…」ググッ

矢吹「おわあああああ!!!!」シュルルルッ

上条「……」チラッ


矢吹「おらあああああ!!!!」シュルルルッ

バァァァン!!!

絹旗「……」


上条「なんだアイツ…なんで矢吹さんのパンチを喰らっても平気な顔してるんだ」

麦野「よそ見していて良いのかにゃ~??」ギュンッ

上条「うおおお危ない!!!」キュイーン

麦野「つーかどうなってるんだよ…上条はレベル0じゃなかったのかよ!!!」

麦野「なんであたしのビームを打ち消してんだよ!!!」ギュンッ

上条「くっ…!!!」キュイーン

上条(やっかいな能力だな、御坂のレールガン級の攻撃を何発も撃って来る)

上条(埒が開かない…もう前に進むしかない!)ダダッ

麦野「お?良いね…健気にも前に突っ込んできたわね」ギュンッ

上条(右手で消せるのは消しきって、極力神経を研ぎ澄まして、ビームを自力で避けきる!!)ササッ

麦野「へぇ、動体視力も良いんだな」ギュンッ

上条(よし!目の前まで来たぞ)ググッ

麦野「む、あたしの目の前まで来たな」

麦野(バリアでも貼るか)ブゥゥン

上条(能力が高い連中ほど…身体能力が弱かったりするんだよな)ググッ

ブンッ

上条(ボクシングで鍛えた上条さんの一撃を喰らえ!!)ミギジャブ

パリィィィン!

麦野「っ!?バリアまで消しやがった!!!」

ボゴォォォン!

麦野「ゴハァッ…!!!」

上条「まだまだ!!」ジャフラッシュ

ボォン!ボォン!ボォン!ボォン!!
ボォン!ボォン!ボォン!ボォン!!

麦野「ぅぅ…くっ!!」

上条「トドメに右アッパーで…うおおおおお!!」ブンッ

ボゴォォォン!!

麦野「ガッ…!!!」

麦野「」ガクン

ドサッ

上条「ふぅ…終わった」

麦野「」

上条「魔術師も能力者にしろ、こんなに殴った相手は今までいなかった」

上条「もう立ち上がって来ないだろうな」チラッ

上条「後は矢吹さんの護衛に回るか!」ダダッ

麦野「」ムクリ

上条「っ!?悪寒がした…」ビクッ

麦野「……」ポワァ

上条「……!?立ち上がってるだと!!」クルッ

麦野「……」ギュンッ

上条「おわああ!?」キュイーン

麦野「殺す…絶対にブチ殺す!!!」ギュンッ

ボォォォォン!!!

矢吹「はぁはぁ…」ポタポタ

絹旗「……」

矢吹「……」チラッ


麦野「てめえ覚悟しろよ!!この童貞野朗が!!!」

上条「うわわわ!!?どんだけ打たれ強いんだよ!!!」キュイーン


矢吹「上条も結構、苦戦してやがるな…」

絹旗「余所見してる場合ですか?」ブンッ

矢吹「おっと……うぅ!」ガクッ

矢吹(やべぇ…意識が…)グラッ

ボゴォォン!

矢吹「がぁ…テンプルを…打たれた…」フラフラ

絹旗「執行猶予は終わりです…」ググッ

絹旗「さよなら」

矢吹(まだだ…俺のクロスをぶち込んでやる…)ググッ

矢吹(それもただのクロスじゃない。コークスクリューのクロスで勝負だ!!)シュルルルッ

絹旗(カウンターですか…まあ精々あがいてください)ブンッ

ボゴォォォォォン!!!!

矢吹「」

絹旗「……」

ドサッ

絹旗「まあ根性は超一級品でしたよ」

絹旗「さて、麦野の応戦でも」

ツー…

絹旗「…?何か額から垂れてきました…これは」グシッ

絹旗「返り血ですかね?」ジンジン

絹旗「ん?今度は額から妙な違和感が」ススッ

絹旗「痛っ」

絹旗「痛い…?この私が痛覚を感じる…」

絹旗「それじゃこの血は…私のですか!?」

絹旗「そ、そんなバカな。私の窒素装甲はこんな柔じゃ」

矢吹「ぜぇぜぇ…」ムクリ

絹旗「」ビクッ

矢吹「どうだい…少しは効いたろう」ポタポタ

絹旗「な、なんなのですか…アナタは…」

矢吹「ぜぇぜぇ…」ポタポタ

絹旗(超屈辱です。でも所詮はかすり傷)

絹旗(相手は多大なダメージを受けてます。恐れる事はありません)

矢吹「ぜぇぜぇ…」チラッ


麦野「オラオラオラオラオラァァァァ!!!!」ギュンッ

ボボボボボボボボボ!!

上条「くそ!!動きが激しすぎて、簡単に前にいけない!!」キュイーン


矢吹(……)

矢吹(戦いの果てに死ぬなら後悔もない)

矢吹(だが…)


カーロス「zzz…」

上条「クソ!!どうすりゃいいんだ!!」キュイーン


矢吹(カーロスは一度は壊れ、そして今は、再生に向かっている)

矢吹(上条にもまだ未来がある)

矢吹(まだ死ぬわけには行かなねぇ…)

矢吹「アイツらの…あしたの為にもな!!」

矢吹「上条!!!」

上条「っ!?は、はい!!」

矢吹「苦渋の決断をするぜ」

上条「く、苦渋の決断…?」

矢吹「……」

矢吹「選手交代だ」

上条「え?」

矢吹「お前なら、あの絹旗とか言うお嬢さんを倒せるハズだ」コツコツ

矢吹「俺はあの、極道お嬢を倒す」

上条「でもあんなビームを打てる奴を…それにそんな血まみれの体で」

矢吹「俺のことは心配するな、ほらバトンタッチだ」ススッ

上条「はい……」ススッ

パシッ

絹旗「……やれやれ、今度は弟子が登場ですか」

上条「……覚悟しろよ」ダダッ

絹旗「師匠でも倒せない私を、どう攻略するつもりですか」ブンッ

上条(左ストレートか…よし、ここは猛練習したクロスカウンターで勝負だ!!)

上条「うおおおお!!」ミギストレート

ボゴォォォォン!!

絹旗「がはぁっ!!?」トケツ

上条「ぐっ!!!なんだこの重いパンチは!!」トケツ

ドサッ

麦野「おいおい…満身創痍じゃねえか」

矢吹「……傷は男の勲章だ」

麦野「へ、くっだらね」ポイッ

麦野「シリコンバーンで…粉々にしてやんよ!!」ギュンッ

ボボボボボボボボボ!!!

矢吹「あぶねぇ…」サッ

麦野「チッ…外した」

矢吹「……」

矢吹(片目が見えない上に、ダメージも大きい…こんな状態で、あのビームを避けていくのか)

矢吹(頑丈な俺でも流石に、ビームなんか喰らった日にゃ粉々だな)

矢吹(よし…ここは、あの懐かしき少年院時代に見た)

矢吹(青山(アオ)の力を借りようか)グニャグニャ

麦野「オラオラ死ねや!!!!」ギュンッ

矢吹「……」グニャッ

麦野「ん?」ギュンッ

矢吹「……」グニャッ

麦野「なんだてめぇ…そのふざけた動きは」ピキピキ

矢吹「ふざけてなんかいないさ」

矢吹「青山直伝のこんにゃく戦法を舐めるなよ!!」グニャグニャ

麦野「チッ!!あたらねぇ!!!」ギュンッ

矢吹「よし、こんにゃく戦法でジリジリと距離を詰めてきたぜ」

麦野「っ!!目の前まできやがった」

麦野「こうなったらバリアを…」

麦野「うぅ…!!」ガクン

麦野(やべ…さっき上条から喰らったダメージが)フラフラ

矢吹「隙あり!!!」コークスクリューアッパー

麦野「しまッt」

バァァァン!!

麦野「ぐぁぁ…!!」

矢吹「まだまだ」

麦野「ッッッ!!!!」

麦野「こ、この野朗…」ググッ

麦野「いい加減にしやがれ!!!!」ポワァ

矢吹「っ!!ビームを撃つ気だな、この至近距離で」

麦野「おらぁぁ!!!」ギュンッ

矢吹(顔面にめがけて撃って来る…確実に避けないと死んじまう!!)ササッ

矢吹「おわああああ!!!!」コークスクリューカウンター

ボゴォォォン!!!

麦野「が…ぁぁ…」ピクピク

麦野(ビームを避けて、ボディに攻撃しただと…)

麦野「ゴハァッ」トケツ

麦野(あ、ありえねぇ…こんな…無能力者にこのアタシ…が…)ガクッ

ドサッ

矢吹「ぜぇぜぇ…」

麦野「」

矢吹「……」チラッ

上条「」

絹旗「」

矢吹「……上条、いつまで伸びてるんだ起きろ」ユサユサ

上条「ぅぅ…矢吹さん…」

矢吹「どうやら倒したみたいだな、お嬢さんを」

上条「矢吹さんも…あのリーダーを倒したんですね、ゲホゲホ!」トケツ

矢吹「さて、やっこさん達を病院まで運んで行くか」ガシッ

矢吹「俺はカーロスと麦野って言うこのお嬢を運ぶ、お前は金髪の姉ちゃん、絹旗のお嬢さんを頼む」

上条「はい」ガシッ

矢吹「いや~しかし焦ったぜ、本気で死ぬかと思った」

矢吹「想像以上に人外染みた連中が多いなこの街は」

上条「は、ははは……同感です。所で」

矢吹「なんだい」

上条「……やっぱり、今回も治療は受けないんですか」

矢吹「ああ、受ける必要なんてない」

上条「こんな血まみれの体で治療を受けないなんて…」

矢吹「なんだい」ギロッ

上条「どうしてそんなに拒むんですか!!」

矢吹「……」

矢吹「あの病院にいる、カエルのおっつぁんは大恩人だ」

矢吹「カーロスの病気をあそこまで治してくれたからな」

矢吹「だがな、残念だが俺は、アスパラガスと医者が食わず嫌いなんだ」

上条「……」

矢吹「だから治療は受けん。自分でどうにかする」

矢吹「それにお前だって、治療費が掛かって大変だろうがよ」

上条「……でも今回は」

矢吹「次言ったら、同じこと言ったらぶっ飛ばすぞ」ギロッ

上条「……」

矢吹「まあそれはさておき…」チラッ

上条「……?」

矢吹「さっきからコッチをジロジロ見てるのは誰何だい」


滝壺「……」ブルブル


上条「女の子…?」

矢吹「さっきからジロジロと、どうした」

滝壺「あの…その…」ボソッ

矢吹「なんでい、はっきり言っちまいなよ」

滝壺「その人達は私の仲間だから…一緒に、病院まで運ばせて…」ガクガク

上条「な、なんだって!?」

矢吹「……」

矢吹「……」コツコツ

滝壺「ぅ……」ビクビク

矢吹「ほら、それじゃこのお嬢を頼む」ススッ

滝壺「え…」キョトン

矢吹「行くぞ」クルッ

滝壺「あ、待って」

矢吹「なんでい」

滝壺「救急セットあるから、応急手当してあげる…」

上条「え…」

滝壺「いま、包帯出すから…」

矢吹「いらん」テクテク

上条「あ…ちょっと!」

矢吹「敵に情けないどいらねぇな」ポタポタ

滝壺「……」

【翌日・病室】

矢吹「どうだい調子は」

上条「今日には退院できます、そこまで大した怪我ではなかったんで」

矢吹「頭部に包帯を巻いといて、なかなか良い根性してるじゃないか」

上条「上条さんより明らかに、矢吹さんの方が重症に見えるんでせうが…」

矢吹「てやんでい、余計なお世話だ」

上条「……」

矢吹「それより、動けるなら見舞いに行くぞ」

上条「はい。あ、カーロスさんには会いました?」

矢吹「ああ、さっきな。元気そうだったぜ」

矢吹「昨日の件の記憶は、すっかり忘れちまってたがな」

上条「……」

矢吹「ま、今年中にはカーロスの治療は終わるから心配するな」

上条(忘れて良かったのか悪かったのか…)

ガララッ

矢吹「やーやーお嬢。お勤めご苦労さまですよっと」ノシ

麦野「テメエら…!!!」ギロッ

矢吹「ほう…ガン飛ばしてきて、また俺達とタイマンするのかい」ニヤッ

上条「矢吹さん、後ろに下がってください!俺が前に立って右手をかざすんで」ススッ

麦野「……はぁ、もういいわよ。ギャラも何故か沢山貰える事になったし」

上条&矢吹「は?」

麦野「何よ、鳩が豆鉄砲撃たれたみたいに」

上条「え…だって任務失敗したんじゃ」

麦野「あぁ?知らないわよ!上があたし達に報酬をタンマリくれるっていうんだから良いじゃない」

麦野「そもそも暗部とは無縁そうな奴を、何の為に抹殺しなけりゃいけないのか、こっちは知らなかったんだし」

麦野「でも…」チラッ

フレンダ「zzz…」

麦野「フレンダを全治4ヶ月の複雑骨折にさせたのは許さないわよ?」

麦野「おかげでフレンダは今年中は、暗部の活動できなくなったじゃない」

矢吹「ほう、それで?許さないならどうするんでい」ズイッ

上条「ちょ、ちょっとそんな煽らなくても」オドオド

麦野「……」

麦野「はぁ。めんどくさ、もう帰ってよ」

矢吹「はいはい帰りますよっと」クルッ

上条「ホッ」

【廊下】

矢吹&上条「む?」

絹旗「あ」

矢吹「よう、あんたは元気そうだな」

絹旗「気絶してただけなんで」ギロッ

上条「……」

絹旗「全く…アナタ達は何なのですか」

絹旗「矢吹丈…アナタは窒素装甲の私に超かすり傷を負わせ」

矢吹「……」

絹旗「上条当麻…アナタは私の能力その物を超打ち破りました」

絹旗「全く、超理解不能です」テクテク

矢吹「待ちな」

絹旗「はい?」

上条「…?」

矢吹「……」ダダッ

上条「ちょ!?」

絹旗「っ!?」

矢吹「おわあああ!!!!」ブンッ

ピタッ

絹旗「っ!!」ビクッ

上条「す、寸止め…??」

矢吹「勘違いするなよ?俺はな、お前さんからの勝負に逃げたわけじゃない」

矢吹「カーロスと上条の…あしたを守る為に、敢えて苦渋の決断をしたんだ」ギラギラ

矢吹「俺がもしもソロだったら、死ぬ覚悟で立ち向かったんだ…!!」ズイッ

絹旗「……!!」

絹旗(す、すごい…眼力…)ブルッ

矢吹「俺をぶっ殺したきゃ挑んでくればいいさ。何度でもな」ギラギラ

矢吹「この街にいる限りいつでも待ってるぜ」ギラギラ

矢吹「もっとも、ギャラをタンマリ貰ったアンタらは、今さら俺の命を奪おう何て思わないだろうがな」

矢吹「俺としても、15にも満たない女を殴るのは極力控えたいからな」

矢吹「だから俺からも喧嘩を売らん」

矢吹「だが残念だ…アンタが男だったら、話は別だったんだがな」

矢吹「じゃあな」ポンッ

絹旗「……」

絹旗「超恐ろしい男です…」ブルッ

矢吹「さあ、家に帰ったら特訓と行こうぜ!!」

上条「上条さんはそのつもりですが、矢吹さんは家で安静にしてた方が…」

矢吹「あほんだら!!指導者の俺を抜きなんて許さんぞ!!」

上条「しかし…」

矢吹「しかしもへったくれもねぇ……ぅぅぅぅう!!!?」ガクン

上条「ちょ、矢吹さん大丈夫ですか!?」

矢吹「う…ぐぅぅ…!!!!」

キィィィィィン

矢吹(耳鳴りが…頭痛が…)ビキビキ

矢吹「……だ、大丈夫だ」ガクガク

上条「やっぱり診察の依頼をしましょう。俺が今いってきます」

矢吹「おい、ぶっ飛ばされてえのか!!!!!!!」

上条「ぶっ飛ばされても連れてきます」

矢吹「……」

上条「……」ググッ

矢吹「へへへ…なかなか根性あるじゃねえか」フラフラ

矢吹「もう大丈夫だよ。頭痛は治まった」フラフラ

上条「……」

矢吹「ほら、家に帰るぞ」フラフラ

今日はここまで
次回は番外編的なものをやります

内容は、上条さん、インデックス、佐天さんのスパーリング
対戦者は次回のお話の中で発表します

あと余談だけど予定では、オルソラ奪還編辺りまでやろうかと思ってます
ただ方針を途中で帰るかも知れませんが

【数日後・上条宅】

上条「肘を脇の下から離さぬ心構えで…」

禁書「やや内角を狙い、えぐり込む様に…」

上条&禁書「打つべし!打つべし!」シュシュッ

禁書「ねーとうまー、じょーが朝からいないけど、どうしたの?」

上条「今朝早く、矢吹さんは浅草に帰省したよ」シュシュッ

禁書「ふーん、だから今日は朝のロードワークなかったんだ」シュシュッ

禁書「……って!なんで私達を連れていかなかったのかな!?」プンプン

上条「矢吹さんに言われてたんだよ、『家で待ってろ』って」

上条「オレも午後から補習だしどの道、上条さんもお供はできない」

上条「それに久しぶりの帰省を邪魔しちゃ悪いしさ、諦めようぜ」

禁書「むぅ~」プク~

上条「あ、そういや矢吹さんから伝言が」

禁書「なに?」

上条「まずは2リットルのジュースを2個」

禁書「わーい!」ガシッ

上条「それと…メモ…」ススッ

禁書「うん…なになに…」カサッ

禁書「えええ!!サウナで30分づつ、縄跳びとシャドーボクシング!?」

上条「縄跳びとシャドー合わせてだから、つまり計1時間はサウナにいろって事だな…」

禁書「そんなことしたら、私死んじゃうんだよ!!」

上条「オレだって止めたさ。流石にオーバーワークなんじゃって」

上条「そしたら、冷蔵庫からこのジュースを黙って渡されて」

上条「そのまま出かけたよ…」

禁書「あぅぅ…今日が私の命日なんだよ…」

上条「あ、それとサボるのは諦めろよ?」

上条「土御門の妹が見張りに来るみたいだし」

上条「矢吹さんがパチンコの景品で買った、高級ティーカップを舞夏に贈呈してるから逃れられないぞ」

禁書「」

禁書「……じょーの鬼トレーナーぶりが、最近加速度を増してるんだよ」

上条「なんでも近々スパーリングをやるみたいだぞ」

上条「オレと佐天さん…それと、お前も」

禁書「ええ!!私もスパーやるの!?」

上条「すでにお前と佐天さんの相手候補は、何人か決めてるみたいだ」

上条「後はオレの相手候補決めだけみたいだ。その為の帰省でもあるんだってさ」

禁書「あうぅ…スパーなんて怖くてしたくないんだよ…」

【東京・某所】

ビュゥゥゥゥゥゥ…

矢吹「……」

矢吹「今日は曇り…あの日もこんな空模様だったっけな」

矢吹「そして…」

ヒュゥゥゥゥゥゥ…

矢吹「強く激しく…そして、寂しく冷たい風が吹き荒れてるぜ」

ビュゥゥゥゥゥゥ…ヒュゥゥゥゥゥゥ…

(BGM:http://www.youtube.com/watch?v=bdZHesCf7LM

矢吹「フュ~フュフュフュ~」クチブエ

矢吹「全く…真夏だって言うのによ、コート着てても寒いや」

矢吹「泪橋の丹下ジムに向かう前に、玉姫公園と商店街に寄らないとな」

ビュゥゥゥゥゥゥ…ヒュゥゥゥゥゥゥ…

矢吹「ああ…本当に風が冷たいや」ブルッ

矢吹「あと数キロ歩けば、浅草の泪橋だ」

【浅草・泪橋前の商店街】

ガヤガヤ、ワイワイ

矢吹「」

ガヤガヤ、ワイワイ

矢吹「……」

矢吹「こ、ここは…どこでい。本当にあの…おんぼろドヤ街・泪橋なのか…」

矢吹「人生に疲れ果て、吹き溜まりの貧民街…なのか?」

矢吹「……あそこにあったハズの電気屋がないぞ」キョロキョロ

矢吹「おい、そこのあんた!」

通行人「はい?」

矢吹「あそこにあった電気屋はどうした」

通行人「ああ、7年前に撤退しちゃったよ」

通行人「今は、どっかの大手電気屋チェーン店で雇ってもらってるみたいだよ」

矢吹「なんだって!?昔あそこでたまに、テレビを見せてもらったのによ!!」

通行人「ここ10年で文明が凄く進んだからね、いちいち街頭テレビなんて見ないでしょう今どき」

矢吹「そ、それじゃ…その隣にあった酒屋は…」

通行人「その酒屋も、何年か前に引っ越してしまったよ」

矢吹「……」

通行人「きみ、元は泪橋の住人とかかい?」

矢吹「……ああ」

通行人「私がココに来たのは、確か9年前だっけかな。来た当初は汚いオンボロの街だったよ」

通行人「でもね、この町には伝説のボクサーが住んでたって噂を聞いてね」

通行人「当時仕事の転勤先がココから近い事を理由に、引っ越してきたんだ」

矢吹「物好きだね」

通行人「ははは。でも街は、あっと言う間に変わってしまったよ」

矢吹「……ああ、本当に変わっちまったな」

通行人「……そういえばキミ、ドコかで見たことあるね。あれか?まさか有名人か何かだったり」

矢吹「そいつは気のせいだよ」クルッ

通行人「あ!……行っちゃった。でも確かにドコかで見たんだよな…」

ガヤガヤ

矢吹「……」

ワイワイ

矢吹「10年経つと…こんなにも変わっちまうのかい」

矢吹「……太郎やサチ達が、住んでた家まで無くなってるじゃないか」

矢吹「あいつらはドコに…」

矢吹「……」

矢吹「こ、ここはドコなんだよ…」

「ジョー…?」

矢吹「え」

「ジョー…ジョーなのか!?」

矢吹「は、林屋の旦那!!!」

林「やっぱり!ジョーじゃねえか!!」

矢吹「良かった…やっと知り合いに会えた…」ホッ

林「おめえ…浅草の病院抜け出して、今までドコでなにやってたんでい!」

矢吹「何って…旅だよ」

林「お前さんって奴は…まあいい!今夜はパーッと!町の皆でドンチャン騒ぎしようじゃないの!!」

矢吹「そいつはありがてぇ。だがよ」

矢吹「その町のみんなはどうしたんだよ」

林「……まあ、時代が変われば何とやらってわけだな」

矢吹「だいぶ…知り合いが減ったな」

林「で、でもよ!まだまだ昔のドヤ街の連中は居残ってるぜ!」

林「それに…ほら!」

秋山&神田「あ、本当に先輩だ…!!お久しぶりです!!」

矢吹「秋山に神田!!お前ら今は林屋の店員やってるのか」

秋山「はい。自分らの力に限界感じて、二人で一緒に引退しました」

神田「今ジムに残ってるのは河野と、新しい練習生だけですね」

矢吹「そうかい…お前ら、悔いは残してないんだな?」

秋山&神田「はい」

矢吹「……ならいい」

秋山「ただ河野の奴は諦めが悪くて」

神田「矢吹さんが言ってた『真っ白』の境地に辿り着くまで止めないって、意固地貼ってるんすよ」

矢吹「知ってるよ、今度タイトルマッチに挑戦するんだろ?テレビで見たよ」

林「そうだ…おーい紀子!!ジョーが帰ってきたぞ!!」

矢吹「」ビクッ

「え?もう~お父さん、冗談はよしてよね」トテトテ

林「本当だって!ほら!!」チラッ

紀子「え~ドコにいるのよ」キョロキョロ

林「あれれ?さっきまでいたのによ~」キョロキョロ


矢吹「……」ソロ~


林「あ!いた!!」

紀子「矢吹くん…!!!!!」

矢吹「あ……その……わるい、先にジムに顔出しに行ってくるわ」コソソッ

紀子「待ってよ!!!」ダダッ

矢吹「今夜パーティーするんだろ?また来るから…その、何だ。あれだ。おう、まあ、待っててくれよ」ダダッ

紀子「ちょ、ちょっと!待ってってば…!!」ダダッ


秋山「先輩って意外と照れ屋だよな」

神田「本当な」

【丹下ジム】

矢吹「ただいま~!!!!」ガチャッ

練習生一同「!?」

矢吹「おっつぁん!!!帰ってきたぞ!!!矢吹丈が帰ってきたぞ~!!!」

練習生1「おい…矢吹丈ってあの…」

練習生2「伝説のボクサー…?」

練習生3「生きてるのかも死んでるのかもわからない…伝説の…」

矢吹「な~に言ってんだよ!俺は生きてるぜ!」ズイッ

練習生3「わわわっ!」

河野「」ポカーン

矢吹「よお河野!まだ現役で頑張ってるそうじゃないか!」ポンポン

河野「」

矢吹「いや~嬉しいね!後輩がタイトルマッチに挑戦するとはね~」

河野「せ、先輩…よく無事で…」ウルウル

矢吹「え?何だよいきなり…まあいい」

矢吹「なあ!おっつぁんはどうした!!ドコにいるんだい?」

練習生一同「え?」

矢吹「だ~か~ら~!丹下段平だよ!拳キチのおっつぁんだよ!!会長だよ!!」

矢吹「どこにいるんだよ!?」

練習生一同「……」

矢吹「何だよ、ドコに居るのか知らねぇのかい」キョトン

河野「あの…その…実は…」

矢吹「なんでい」

河野「……」

矢吹「黙ってないでなんか言ったらどうなんだい」

河野「いや…その…あの…」

矢吹「なんだよ歯切れが悪いな!ゾロリ吐いちまいなよ!!」

ガチャッ

紀子「矢吹くん!!!」

矢吹「げげっ見つかっちった!?」

紀子「矢吹くん!病院抜け出して今までどうしてたの!?」

矢吹「どうしてたって…旅だよ」

紀子「どうして、また旅なんかに…」

矢吹「何でって…そりゃまあ…」

~10年前・世界戦前~

矢吹君は結婚って考えた事ない?

全く無ぇな

そう…そうよね

今度の試合、勝ったら世界チャンピオンね。
そしたら、矢吹君どうするの

どうするって…別に考えちゃいねぇよ、そんな事は

旅ね

旅…?

また旅に出てしまいそうな気が今、ふとしたの


(ああなるほど。そいつは良いな、旅か…)


でも行って欲しくない。今度、矢吹君が旅へ出たら、もう二度と戻って来ない気がするの

帰ってくるよ俺は
この泪橋にはおっつあんがいて、西がいて、サチやキノコやトン吉達がいて、
そして紀ちゃんがいる!

(でもまあ…試合が終わったら、また旅に出てみるかな…)

(そうだ…まずは北に行こうかな…)

~~~~

矢吹「まあ、何と無くだよ。気まぐれって奴さ」

ガチャッ

「ただいまー!!」

全員「!!」

「うん?なんや…どうしたんや…そんな皆、ポカンとして」

矢吹「お前は…」

「……え?」

矢吹「へ、へへへ…」ウルウル

矢吹「久しぶりだな」グスッ

「ジョ、ジョーーーーー!!!!!」ボロボロ

【2日後・学園都市スポーツジム】

禁書「ここで良いのかな?」

上条「ああ、ここでカーロスさんがリハビリを行ってる施設みたいだ」

禁書「かーろすはドコ?」

上条「カエル顔の先生が曰く、今日は脳を使うリハビリするみたいだから、ココには来ないみたいだ」

禁書「ふーん、涙子は?」

上条「もうすぐ来るんじゃないかな」

上条「それと矢吹さんも、そろそろココに来る頃だ」


矢吹「おーい、待たせたな」タタッ

上条「あ、来た」

「どうも初めまして~」ペコッ

禁書「なんかデカいのが来たんだよ」

上条「は、初めまして…上条当麻です」ペコリ

上条「えっと…この人が俺のスパーリング相手ですか?」

矢吹「ああ、元8回戦の選手だ」

矢吹「だが実力的には10回戦…つまり、タイトルマッチに挑戦できる実力だ」

「よ、よさんかジョー。ワイは8回戦止まりでっせい」

矢吹「謙遜するなよ。お前は拳さえ故障しなきゃ、間違いなくミドル級チャンピオンだったさ!」

「な、何をいうとんねん!ワイは、軽量級のジョーに歯が立たんかったやろ」

「パンチの破壊力もお前さんの方が、遥かに上やろ」

矢吹「へへへ…まあ、そりゃ俺が強過ぎただけの話よ」

上条「えっと……すいません、お名前を教えてくれませうか?」

矢吹「ああコイツはな、前に話したオレの親友」

「ジョー…」ウルッ

矢吹「そんで、大のうどん好きで昔オレに…」

「ちょいと待てや!余計な事は言わんでええ!」

「自己紹介くらいワイがするで!」

西「ワイの名は西寛一や。現役の頃はマンモス西と名乗っておったで」

上条「は、初めまして!ヨロシクお願いします」ペコッ

西「なかなか好青年やないか。そんで隣にいる可愛らしいお嬢さんは?」

矢吹「ああ、コイツはインデックスっていう、オレと同じワケありの居候」

西「そうかいな。よろしゅうな」

禁書「うん!昔、うどん食べ過ぎて、じょーにぶっ飛ばされた人かな?」

西「!?」

矢吹「そうそう。コイツが親友のうどん野朗」

西「ジョ、ジョー!!もう言うてしまったんかいな!?」

更新、大変遅くなりました
転勤とかドタバタしたりしてました

その最中、違うジャンルのSSを書き始めたりして(しかも完結済)

前回あれだけコメント貰ったのに…
本当に申し訳ないです

一時は仕事の疲れとか、プライベート事情で、もう心が折れかけてた

でも、ブスブスと心に燃え残った物があった
完全燃焼したいので、まだ頑張ります

疲れきってて、10レス位しか更新できないかもしれませんが
(出来れば20~30は更新したいけど)

なるべく1~2週間に一回の更新を努めます
今日はココまでです

【スポーツジム内】

矢吹「それじゃ早速、スパーリングを行うが…西と上条は最後に闘ってもらう」

上条「はい」

西「それまでワイらは見学っちゅうワケやな」

矢吹「ああ。それとインデックス、お前は一番最初だ。シャドーやってアップしてろ」

禁書「うん」

~~~

佐天「こんにちわー!」ダダッ

矢吹「おう、よく来たな!」

上条「あ、佐天さんおはよう」

佐天「矢吹さんに上条さんどうも!あれ、インデックスはどこですか」

禁書「ぜぇぜぇ…わ、私はここだよー!」シュシュッ

佐天「わわ!?もうウォーミングアップしてるし」

矢吹「涙子もウォーミングアップしろ…と言いたいが、すでに随分と息が上がってるな」

佐天「ぜぇぜぇ…てへへ、ここまで走ってきたんで」

矢吹「その感じだと、もう準備万端だな」

佐天「それで隣にいる大きな人は?」

矢吹「コイツはオレの友達の西って奴だ」

西「ど、どうも~初めましてて~」

佐天「どうも初めまして。あ、もしかして例のうどんの人ですか!?」

矢吹「そうそう」

西「ジョー!どれだけ言いふらしとるんや!?」

矢吹「まあまあもう良いじゃないか。昔の話だ」

佐天「それで、私達の対戦相手って誰なんですか?」

矢吹「そろそろくるよ」

御坂&白井&初春「こんにちは」ガチャッ

佐天「あ、御坂さんに白井さん!それに初春まで!!」

御坂「あれ、佐天さんも呼ばれてたの!?」

黒子「おやおやこれは、皆様おそろいで…」

上条「御坂お前まで…」

御坂「え、ええ!?あんたもいたの!?」ドキッ

初春「えっと…これはどういう事ですか矢吹さん?」

矢吹「お前らの中から、スパーリング相手を決めようと思う」

全員「!?」

矢吹「まあそうは言っても…だ」ジーッ

初春「はぁ……なんでしょうか?」

矢吹「飾利はあんまり強くなさそうだな」

初春「!?」ガガーン

御坂「ちょ、ちょっと何もそんな言い方をしなくても…」

矢吹「たしか飾利と黒子はジャッジメントで、能力者なんだよな?」

初春&黒子「はい」

矢吹「そうか、それじゃ早速だがグローブつけてリングに上がれ」

全員「!?」

御坂「ちょ、ちょっと!あまりに唐突すぎるんじゃ…」

矢吹「俺は言った筈だぜ?協力して欲しい事があるからスポーツジムに来てくれとな」

御坂(そ、そりゃ恩もあるから言う事聞いたけど…)

黒子「てっきり事件が何かかと思ってましたですの」

矢吹「言っておくが能力使用は禁止だからな」

黒子「はぁ…まあ、良いですわ。ジャッジメントの訓練だと思って協力致しましょう」

矢吹「お前らがどちらか勝った方が涙子と闘ってもらう」

佐天「!」ドキッ

初春「私が佐天さんと殴り合い…?」

矢吹「いやなら不戦勝で黒子に任せても良いんだぜ?」

初春「えぇ…あぅぅ…佐天さん、ボクシングなんて危険なスポーツ止めましょうよ…」

佐天「初春…無理強いはしないけど、私、強くなりたいの」

初春「……」

佐天「私と殴り合いしたくなければ、白井さんと戦うから」

佐天「そのときは私の事、応援してね?」

初春「……」

初春「わかりました。私も佐天さんに協力します」

佐天「っ!初春…」

矢吹「決まりだな」

矢吹「それじゃ西、悪いが審判やっててくれ」

西「まかしとき~。3ラウンド3ノックダウン制でええんやな?」

矢吹「ああ。それとヘッドギアと16オンスグローブも忘れるなよ」

御坂「ねえ待って、私は誰と闘うの?」

矢吹「お前はインデックスと闘ってもらう」

御坂「っ!?私、ボクシングなんてやってないんだけど」

矢吹「美琴は能力だけじゃなくて、身体能力もありそうだからな」

矢吹「まあお前は適当にアップしながら、二人の戦いを見届けておけ」

矢吹「ほれ、縄跳び」ポイッ

御坂「??なんで縄跳び…」

矢吹「上条!一緒にアップしてやれよ」

上条「はーい」

御坂「っ!?べ、べべ、別に一人で出来るわよ!!///」

矢吹「さてと、インデックス。体は温まったかい」

禁書「ぜぇぜぇ…う、うん」

矢吹「今から黒子と飾利がスパーを始める」

矢吹「俺達はウォーミングアップの仕上げとして、ミット打ちをするぞ」

矢吹「プールにあるサウナの中でな」

禁書「」

矢吹「さあ、いくぜ」ガシッ

禁書「ちょ、ちょっと待って…せめて水着に着替えてから…」ズルズル

矢吹「何を言ってやがるでい。ジャージのままで行くんだよ」

禁書「た、助けてとうま~!!」ズルズル

上条「今日も絞られてんなアイツ…」

【サウナ】

シュ~~

禁書「打つべし~打つべし~」ペシペシ

矢吹「オラ今日はスパーリングだぞ!もっと気合を入れろ!」

禁書「……ねぇ」

矢吹「なんでい」

禁書「どうしてそこまで私にボクシングを強要するの?」

矢吹「ずっと前に言ったじゃねぇか。タチの悪い魔術師を倒すため、その対抗手段としてお前を鍛えさせると」

禁書(私だって対抗手段で強制詠唱くらいは使えるけど…)

矢吹「それに上条が側にいて助けてくれるとは限らんからな」

禁書「で、でもボクシングなんかじゃ魔術師勝てるとは思えないんだよ…」

禁書「じょー位、強くてもせいぜい、魔術師から逃げ生き延びるのが関の山なんだよ」

矢吹「勝つとか負けるとかが問題じゃねぇ」

禁書「え…」

矢吹「巨大な壁を乗り越えるために…その命を全力で燃やし尽くすのさ」

矢吹「闘うってのはそういう事なんだ」

矢吹「俺はな、例え相手が核兵器みたいな奴でも、立ち向かう自身がある」

矢吹「その途上、ムシケラみたいに、死んだって構わないとさえ思ってる」

矢吹「全力の果ての結果ならな」

禁書「……」

矢吹「魔術師にだって個々の実力差ぐらいあるだろ?」

禁書「そ、それは…まあ…」

矢吹「お前だって強くなれば一泡吹かせることは出来るだろう…きっとな」

禁書「……」

矢吹「いずれにせよだ、弱さ理由にオロオロしながら死ぬぐらいなら」

矢吹「生き残れるかもしれない、その可能性を身に付けようじゃねぇか」

矢吹「ボクシングでよ」

禁書「じょーの理論は破天荒にも程があるんだよ」

禁書「でも、じょーが私を本気で心配してくれてるのは良く解ったんだよ」

禁書「ありがとね。でも…」

矢吹「なんでい」

禁書「私、勝てるかな…」

矢吹「さあ、そいつはやってみないとわからねぇな」

禁書「……」

矢吹「……昔、オレが少年院にいたって話、したよな?」

禁書「うん、私ぐらいの年齢のときに悪さして捕まったって」

矢吹「その時によ、青山(アオ)と言う奴がいたんだ」

矢吹「男のクセに、女のお前みたいな体型で、ヒョロっちくて、小さくて気が弱くて…」

矢吹「なんであんな、やさおとこが少年院にいるのか不思議でならなかった」

矢吹「だがある時、少年院でボクシングブームが起きて」

矢吹「奴は変わった」

矢吹「自分よりもデカイ連中をドンドン倒していった」

矢吹「そして、このオレをも苦しめた」

禁書「っ!!じょーを!?」

矢吹「何とか勝利を手にした俺だが…正直、アオは凄い奴だと思ったよ」

禁書「……」

矢吹「俺はな、お前が俺みたいな戦い方が出来るなんて思っちゃいないが」

矢吹「お前にしか出来ない事だってあるはずなんだ」

矢吹「特にお前は頭が良いからな、その点も期待してるぜ」

禁書「……」

矢吹「む…話し込んでる内に随分時間が経ったな」

矢吹「そろそろ出るか、もうスパーも終ってる頃だろ」

矢吹「よお、結果はどうだったかい?」

初春「」キュ~

御坂「黒子に1RでKOされました」

黒子「少々、本気になりすぎてしまったですの…」ペコッ

矢吹「あちゃ~おい、大丈夫か」

初春「は、はい……KOと言っても3回ダウンしただけですし」ムクッ

矢吹「そうか、まあご苦労さん」

矢吹「インデックス、お前は水でも飲んで休憩してろ」

禁書「うん」ゴクゴク

矢吹「美琴」

御坂「はい?」

矢吹「ちょいとリングに上がってくれ」

御坂「え、でも私はあのシスターと闘うんじゃ…」

矢吹「ほんの少し、地の実力が見たいんだ」

御坂「まあ…べつにいいけど」

矢吹「さあこい!」

御坂「せい!えい!」ドゴッボカッ

矢吹「……」ガード

御坂(攻撃してこない?様子見かなのかな)

御坂(そういうの嫌いそうな人に見えるけど…)

御坂(まあいいや…ガンガン突っ込んで行くしか無いわよね!)ドゴッボカッ

矢吹「よし…いくぜ!」ググッ

御坂(くる!?)

矢吹「おりゃああ!!」ブンッ

御坂(あ…だめだ!速過ぎて対応しきれない)

矢吹「……」ピタッ

御坂(……寸止め?)

矢吹「……ありがとな、もういいよ」

御坂「??」

矢吹「少し休憩したら、スパー開始だ」

御坂「え、あ、はぁ…?」キョトン

矢吹「インデックス、しっかり見てたかい?」

禁書「うん。ほんの少しだけしか見れてないけど、短髪の癖とか攻撃パターンとかは頭に入れたよ」

矢吹「そうかい。まああれだけの闘いじゃ判断も難しいだろうが」

矢吹「全てを出し尽くして来い、お前のボクシングスタイルでよ」

禁書「うん」

~~~

西「それじゃ第二回戦…インデックスちゃんと美琴ちゃんの試合を始めるで」

禁書「負けないよ短髪!私はこの数週間、じょーに鍛えられたんだから!」

御坂「私だってやるからには負けないわよ」

御坂(でも確かに…初めて会った時と比べて、顔付きが変わったわね)

御坂(油断は出来ないわね)ググッ

西「それじゃ…ファイ!」ササッ

御坂「覚悟しなさい!」ダダッ

御坂「でやああ!!」ブンッ

禁書「……」ササッ

御坂「む、避けたわね…伊達にボクシングをやってた訳じゃないわけね」

御坂「でもそう何回も避けられると思わないでよね!」

禁書「……」グニャグニャ

ササッ

御坂「くっ…!!」ブンブンッ

禁書「……」グニャグニャ

ササッ

御坂「なんなのよ…そのコンニャクみたいな動きは…!!」

カーン!

西「1ラウンド終了!」

御坂「ぜぇぜぇ…」ピキピキ

黒子「お疲れ様ですのお姉さま!」

御坂「ちくしょう…なんなのよアイツ」イライラ

御坂「全然攻撃してこないし、そのクセ避けたりガードばかりで」イライラ

御坂「あーっもう!これじゃ戦いに成り立たないじゃない!」

黒子「お、お姉さま、ひとまず落ち着いて下さいまし」アセアセ


矢吹「お疲れさん」

禁書「ぜぇぜぇ…うん」

矢吹「イイカンジだったぜ、序盤はあれでいい」

矢吹「おれが仕込んでやった、コンニャク戦法も上手く扱えてたな」

禁書「ありがとう」

矢吹「それじゃ次のラウンドだが――」ボソッ

禁書「うん、わかった」

上条「あの~矢吹さん」

矢吹「なんでい」

上条「インデックスに『アレ』をやらせて大丈夫なんですか?」

矢吹「ああ、問題ない」

上条「はぁ」

西「それでは第2R…ファイ!」

カーン!

御坂「おりゃああ!!!」ブンブンッ

禁書「……」グニャグニャ

御坂「またコンニャクみたいな動きで…いい加減、打ってこいや!!」ブンブンッ

~残り25秒~

御坂「ぜぇぜぇ…」ググッ

禁書(……そろそろかな)

ダラ~ン

全員「!?」

佐天「あ、あれは…ノーガード戦法!!」

上条(1Rはセコンドに矢吹さんがいながら、徹底したディフェンス作戦。らしくないとは思ってたけど…)

上条(2R終了まであと25秒経過…ここでノーガード戦法を使うなんて…?)


御坂「」ブチッ

御坂「ねぇ…あんた、人の事なめてんの?」ピキピキ

禁書「舐めてないよ、マジメだもん」

御坂「こ…この…」プルプル

御坂「いい加減にしろや!!!」ブンッ

禁書「……」ササッ

御坂「クソッ!!」ブンッ

禁書(モーションが大きいだけに体勢が崩れてる…今だ!)バシッ

御坂「なっ…!?腕を肘で弾かれた…!」

禁書「えい!!」ブンッ

ボゴンッ

御坂「ガハッ!?」ガクッ

バタッ

西「ダウン!」

禁書「ぜぇぜぇ…」

矢吹「よくやったぜインデックス」

禁書「ぜぇぜぇ…うん」コクッ

上条「嘘だろ…あのインデックスが…」アゼン

西「ワン!ツー!スリー!フォー!」

御坂「す、少し面食らっただけよ…」ムクリ

御坂「この私がどれだけの修羅場くくって来たと思ってるのよ…」

西「ファイブ!シックス!セブン!」

御坂「レフェリー、私はまだやれるわよ!」ググッ

禁書「負けないよ短髪!」

西「ファイト!」ササッ

今日はここまで


久々に見にきたら、更新していて嬉しかった

インちゃん強wwwwww
つーか沢山食べても太らないから、減量苦は無さそうだな


所で別なSS書いてたらしいけど、すげー気になるんだけど…(チラチラ

御坂「この!このぉぉ!!」ブンブン

禁書「……」サッサッ

御坂「ぜぇぜぇ…!」ブンブン

黒子「お姉さま落ち着いてくださいまし!振り大きいですの!」

上条(御坂の奴…完全に周りが見えてない…)

御坂「いい加減にしろっつってんでしょうがあぁぁ!!!」アッパー

禁書「習いもしないでアッパーなんてするもんじゃないよ、短髪」サッ

禁書「てい!」カウンター

ドゴォ

御坂「ぐぅ…っ!」クラッ

御坂「……」ガシッ

矢吹「む、ロープを掴んでダウンを回避したか」

禁書(よし、ここは調子に乗らないで冷静に対処を…)グッ

御坂「……」

禁書(…?短髪の様子がおかしいんだよ)

御坂「……」バチバチ

全員「!?」

矢吹「おい美琴、能力使用は禁s」

御坂「こんの…」バチチチチ

御坂「ザケんじゃねぇぇぇ!!!!」

シュンッ!

全員「!?」

禁書「き、消えた!?」


御坂「……」バチチチ


上条「違う…電気使って高速移動したんだ」

西「ちょっと、美琴ちゃんそれは反則やで…!!」

御坂「……」バチバチ

矢吹「……だめだ、頭に血が昇って聞こえちゃいない」

御坂「うらあああ!!!」ブンッ

禁書「わわっ!!危ない!!」ササッ

ズドン!!!バチバチ!!

上条(電撃をまとった、振り下ろしパンチ…!!)

御坂「はぁはぁ…」ギロッ

禁書「…!!」ビクッ

カーン!

西「2ラウンド終了!両者ニュートラルコーナーへ」

西「……それと美琴ちゃんは、電撃能力による高速移動と電撃パンチを使用、よって減点2個や」

御坂「減点…私が…」

禁書「はぁはぁ…」ダラダラ

黒子「お姉さま…少しは落ち着きましたか?」

御坂「……」

黒子「相手のペースに飲まれるなんて、らしくないですの」

黒子「減点されてしまったのは仕方ありません。最後のラウンドに全てを賭けていきましょうですの」

御坂「……うん、ありがとう黒子。あんたがいて助かったわ」

黒子「いえいえ、私はお姉さまの露払いとしての役目を果たすまでですの」

御坂「黒子…」

御坂「……」

御坂(ん?)


矢吹「ここが正念場だ、ガンバレ」

矢吹「次のラウンドはまた、ガードをしっかり固めていけ」

禁書「……」コクリ


御坂「……冷静になって。私、確信したわ」

黒子「はい…?」

御坂「この勝負…私の勝ちよ」

黒子「!?」

西「最終ラウンド…ファイ!」

カーン!

黒子(……こんな事言いたくありませんが、言葉の意味がイマイチ理解できないですの)

御坂「……」ダダッ

上条「ああ御坂の奴…また猪突猛進に…」


御坂「えい!!」ブンッ

ドゴッボガッ!

禁書「あぅ…」ガード

上条「ん?」

禁書「ぜぇぜぇ…」ダラダラ

上条「休憩したはずなのに、なんだあの汗の量…それに息も上がってる」

矢吹「いよいよだな」

上条「え?」

矢吹「ここからが本当の闘いだ……!」

禁書「……」フラフラ

御坂(やっぱり…もうスタミナが切れかかってるんだわ)シュッシュッ

ドゴッボガッ

禁書「ぜぇぜぇ…」フラフラ

矢吹「動きが鈍い!ガードも下がってきてるぞ!」

禁書「はぁはぁ…」スッ

御坂(ガードが開いた!)

御坂「おらあぁぁ!!」ブンッ

ボゴォ!

禁書「ぅぅ…」ドサッ

西「ダウン!」

西「ワン!ツー!スリー!フォー!」

矢吹「立てインデックス!!」

禁書「」

上条「がんばれインデックス!」

禁書「あ…ぅぅ…」ムクリ

西「まだやれるかいな?」

禁書「……」コクリ

西「それじゃ…ファイ!」

御坂「さあ…ガンガン行くわよ!!」ダダッ

禁書「ボクシングで得た…私の新しい極上の防御結界…」ガード

禁書「見せてやるんだよ!」ググッ

御坂「まだ体力残ってたのね…でも負け無いわよ!」ボスドゴ!

御坂「おらぁぁ!!」

禁書(1ラウンドも2ラウンドも、私がポイントをリードしたハズ)

禁書(このまま踏ん張れば、絶対に私の勝ちなんだよ…)フラフラ

バス!ドガ!バキ!

禁書(耐えれば…勝ち…なんだよ…)フラフラ

矢吹「負けるなインデックス!!」

上条「もう少しだガンバレ!!あと15秒だ!!」

禁書(とうまとじょーの声が聞こえるんだよ…)

禁書(あと15秒…もうちょっと…)

禁書「もう…ちょっ…と…」フラッ

ドサッ

全員「!!」

西「ダウン!」

御坂「ぜぇぜぇ…」

西「ワン!ツー!スリー!」

~~~

西「エイト!ナイン!テン!」

カンカンカン!

西「勝者・美琴ちゃん!」

黒子「お姉さまぁぁ!!」ダキッ

御坂「た、たははは…な、なんとか、勝てたわ」グッタリ

矢吹「よく頑張ったなインデックス」

禁書「ま、負けちゃった…」

矢吹「お前にしちゃ上出来だったぜ」

矢吹「ま、スタミナとパワー不足なのはお前も解ってた事だしな」

矢吹「またみっちり特訓しないとな」

禁書「ぅぅ…」

矢吹「さて…次は涙子か」

佐天「はい!」シュッシュッ

禁書「るいこ…頑張ってね」

佐天「うん!相手は白井さんだから不安はあるけど…精一杯頑張ってくる!」

矢吹「お前さんたちよ、闘う前にちょいといいか?」

佐天「?」

矢吹「黒子、お前さんの能力を見せてくれないか?」

黒子「はて…いきなりどうなされましたの?」

矢吹「……」

矢吹「前にも話したが…昔ほどではないにせよ、金持ちのボンボンお嬢様なんて大っ嫌いだ」

矢吹「『ある金持ちの女』とお前さん達を除いてな」

黒子「……」

矢吹「不思議なもんでな、美琴と黒子においては、嫌いになれなかった」

矢吹「一目すら置いた。只者じゃないっ…てな」

矢吹「お前らは強者の目をしてた」

黒子「……つまり、お手合わせ願いたいっと言った所でしょうか?」

全員「!?」

矢吹「お前さんは女だ。大した攻撃はしない。だが本来の力だけでも見せてくれ」

黒子「かしこまりましたですの」

黒子「では」シュンッ

矢吹「き、消えた!?そうか、瞬間移動って奴か」

黒子「……」ビュンッ

矢吹(右斜め上のサイドからのキック…)

矢吹(なるほど、俺が右目が潰れてる事を利用して、死角を狙ったわけか)

矢吹「だが甘ぇ」ガシッ

黒子(っ!!足を掴まれた!?)

矢吹「俺ぐらいの元ボクサーなら野生の勘で、弱点はカバーできるぜ」

矢吹「ほらよ」ポイッ

黒子「くっ…」ヒュンッ

矢吹(投げ飛ばされても動揺せず、瞬時に次の攻撃に移る…)

矢吹「まだ12、3歳だってのに、いい判断能力してるぜ」

黒子「お褒め言葉、どうも」ヒュンッ

矢吹「っ!?真下だと!!」

黒子「せい!!」足払い

ボゴォッ

矢吹「うおぉっ!?」ドサッ

黒子「ではトドメに」ガチャッ

矢吹「っ!?手錠…!!」

黒子「常盤台レベル4のジャッジメント、白井黒子の実力…お分かり頂けましたでしょうか?」

西「あのジョーを…こうもアッサリ…」

矢吹「……」

矢吹「へ、へへへ…なるほどね。よーくわかったよ、お前さんの強さが」

矢吹「だがな」グギギギ

バキィィィン!バキィィィン!
カララン…

黒子「!?」

御坂「て、手錠を引き千切った!!」

上条「しかも、ぶ厚い鉄輪の部分を…」

矢吹「手錠をはめられるのは、少年院時代だけで充分だ。なあ模範生のジャッジメントさんよ」

矢吹「まあ良いウォーミングアップが出来たはずだ」

矢吹「ほら涙子、俺はリングから降りるから、お前は上がれ」

佐天「は、はい!」

黒子「……」

黒子「野暮なこと、聞いてよろしいでしょうか?」

矢吹「なんでい」

黒子「その右目の眼帯はどうしたのですの?」

矢吹「そんなこと聞いてどうするんでい」

黒子「ジャッジメントとして、聞いておかなければなりませんの」

黒子「何か事件に巻き込まれてないか、否か」

上条「あ、白井…これはな…その…」

西「実はジョーは…10年前、最後の試合から右目が見えないんや」

全員「!?」

矢吹「あー…余計な事を言いやがって…めんどくせえ」ポリポリ

上条「え、この間の『事件』が原因で失明したんじゃ…」

西「じ、事件やて!?なんや!どうゆうことや!」

上条「俺も現場にいた訳じゃないし、矢吹さんから後で聞いた事なんですけど…」

西「ジョー!!一体何があったんや!?」

矢吹「……お前ら少し落ちついたらどうなんでい。話が混乱するだろ」

上条「矢吹さん…」

矢吹「へへへ、なんてことは無い。ホセと闘ってる時に右目を失明した」

矢吹「んで、この間のイカレ野朗に、同じ箇所の右眼球を潰された」

御坂(一方通行…アイツ…)

矢吹「だからこの黒い眼帯を付けた。おっつぁんとおそろいのな」

矢吹「それだけの話だ」

黒子「……」

西「なんやそのイカレ野朗ちゅう奴は!!ワイは許さへんで!!!」

矢吹「おちつけ、ちゃんと落とし前はつけてきた」

西「ジョー…」

矢吹「へへへ、ま、これで俺も完全におっちゃんと一緒の片目野朗って訳さ」

矢吹「それより西…おっつぁんはどうしたんでい」

西「……」

西「おっちゃんは生きとるで」

矢吹「……そうか、安心した」ホッ

矢吹「んで、どこにいるんだい。なぜジムにいなかった」

矢吹「いやそれ以前に…なぜ泪橋の連中は皆、おっつぁんの事を話したがらない」

西「ジョー、昨日も言うたが…このスパーリングが終ったら全て話すで」

西「だから今は…このスパーリングを進めようや」

矢吹「……わかった」

矢吹「悪かったな二人とも、それじゃスパーリングを始めようか」

佐天「はい!」ググッ

黒子「よろしくお願いします。佐天さん」ペコリ

佐天「よろしく白井さん!負けないからね!」

佐天(……とは言え相手は白井さん。能力だけじゃなくて、武術にも長けてる)

佐天(でも…私だって…)ググッ

西「それでは1ラウンド…ファイ!」

カーン!

今日はココまで

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