ミーナ「怖い話をするよー!」(27)


ジャン「で、そいつは言ったわけだ。それは・・・お前だーーーーーー!!!!!!!!」

コニー「ぎゃーーー!!」
サシャ「ぎゃーーー!!」

エレン(白目)
ミカサ「エレン、エレン、しっかりして」

アニ「・・・・」
アルミン「アニ、顔色悪いけど大丈夫?」

クリスタ「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」
ユミル「おい、クリスタ、しっかりしろ」

マルコ「あー、なんとなくオチわかっちゃうよねー」
ミーナ「ねー、ありがちっちゃ、ありがちだなー」


ライナー「おい、お前ら何してんだ?」

サシャ「あ、ライナーにベルトルト!今、みんなで怖い話してるんです!」

ベルトルト「そ、そうなんだ」

コニー「お前ら二人も交じれよ!道連れは一人でも多い方が良い」

ベルトルト「道連れって・・・。ライナー、どうする?」

ライナー「まぁ、ちょうど暇だしな(ここで男らしい所を見せればクリスタと・・・)」

ベルトルト(ライナー、また下らないこと考えてるんだろうなぁ)

マルコ「じゃあ、次は僕の番だね。これは知り合いから聞いた話なんだけど・・・」

数年前の訓練兵にある男の子がいた。名前はAって言う事にしとくね。

Aの家は代々優秀で親も兄弟も憲兵団に所属していたらしいんだ。

当然Aも憲兵になることを期待されていた。そのプレッシャーはそうとうのもんだった。

でもね、Aはそこまで成績が良い方じゃなかったらしいんだ。

座学はそれなりに優秀だったけど、実技が平均程度。

だから、Aは訓練兵になってからというもの、実技の成績を補うために勉強ばかりしていたらしい。

その甲斐あって、1年目はなんとか9番に入ることが出来た。

でも、問題は2年目からだった。皆も知っての通り、2年目からは急に発展的な事を授業でやり始めるよね。

Aはそこで躓いてしまったんだ。


なんとか成績を盛り返そうと寝る間も惜しんで勉強するんだけど、全然ついていけない。

実技では平均どころか、下から数えた方が早い時さえあった。

焦れば焦るほど、どんどん上手くいかなくなり、ついに成績が10番を外れてしまった。

Aは大いに焦った。なんとかして、10番以内に入らないと憲兵団に入れなくなってしまう、と。

そこでAはやってはいけないことをやってしまう。

そうカンニングだ。

当然、カンニングがばれたら憲兵団に入ることは出来ない。それどころか、最悪の場合、開拓地送りになる。

だからAにとってそれは一か八かの賭けだった。

こっそりとカンペを袖口に仕込んで試験の最中に盗み見をする。

それはどんな気分だったんだろうね。

でも、Aは誰にもばれずにカンニングをやり遂げた、はずだった。

そうAがカンニングしていたのを、見ていた人がいたんだ。それは同じ訓練兵の子だった。まぁ、Bってしとこうか。

BもAと同じでなんとか10番以内に入れるかどうか危うい成績の子だった。

もしここでAのカンニングが教官に知れれば、自分が10番以内に入れるかもしれない。

でも、AとBはそれなりに仲も良かったし、すぐに教官に言う事も気持ち的に出来なかった。

だから、その夜、BはAを外に呼びだして自分が見たことを伝えようと思ったんだ。

もしAが自らカンニングの罪を認めて教官に告白すれば、憲兵団は無理でも許してもらえる可能性もあるからね。

カンニングを見られていたことを知って、Aは真っ青になった。

Bに黙っていてくれないかとAは懇願した。自分は何としてでも憲兵団に入らなくはいけないんだ、と。

でも、Bは決して許さなかった。自ら罪を認めて教官に告白するか、そうでないなら自分が教官に見たことを伝えると言ってきかなかった。

言い合いになり、ついにはもみ合いの喧嘩となってしまう。

そこで不運なことが起こる。

Bが教官のもとへ行こうとしたのを止めようとAが手を引っ張ったら、Bがそのまま後ろに倒れ込み岩に頭をぶつけてしまったんだ。

あわてて助けようとするが、打ち所が悪くBは死んでしまっていた。

Aは完全にパニックになった。

BがAを呼びだしたのは何人かがすでに見ている。

もしBの死体をこのまま放置したら真っ先に自分が疑われるだろう。そうしたら、開拓地はおろか牢へ行くことになってしまう。

AはそこでBの死体をなんとかして隠そうとした。

でも、Aはその時物事を正しく判断できるような状態ではなくなっていた。

Bの死体を隠すため、AはBの死体を切り刻んで捨てようと考えたんだ。

夜のうちに死体を処理してしまえば、誰にもBがどうなったのかはわからないだろう、と。

Aは持っていたナイフや訓練用のブレードでBを少しずつ切り刻み始めた。

れはすさまじい光景だったらしい。

あたり一面に血や肉片が広がり、すごい匂いが漂った。

そして、途中でAはふと我に返った。

その時、Aがどういう気持ちだったのかはわからない。

死体を隠しきれないと絶望したのか、それともそんな事をしてしまった罪の意識にかられたのか。

ともかく、AはBの死体から少し離れた場所で首をつった死体として次の朝発見された。

でもね、Aは未だに憲兵団に行くことを諦めていないらしい。

試験前になると10番前後の成績の子が、血まみれのAらしき幽霊を良く見るんだって。

何とも言えない表情をしていて、一度見たら忘れられないらしいよ。

そろそろ試験も近いし、10番前後の成績の子はもしかしたらAを見るかもしれないね・・・」

サシャ「わ、わ、私は大丈夫ですよね!」
コニー「お、お、俺も怖くなんかないぞ!」
ジャン「お前ら、手足が震えてるけど大丈夫か?」

エレン(白目)
ミカサ「エレンは成績が良いから大丈夫。エレンの前には幽霊は現れない」

アニ「・・・・」
アルミン「わぁ、アニ、顔色がますます悪くなってるよ!」

クリスタ「どうしよう。私、どうしよう」
ユミル「クリスタ、大丈夫だ。落ち着け」

ミーナ「さすがマルコ、話自体は対して怖くないんだけど、語り口調の怖さが半端ないわね」
ベルトルト「ぽつりぽつりとした話し方が心得てるというか、なんというか」


ライナー「なぁ、今の話、怖いか?」


サシャ「ライナー、何強がってるんですか?!」
コニー「そうだぞ、強がるなよ!成績2位様にはわからねーかもしれねぇけどよー」

ライナー「いや、だって何かする訳でもなく、ただ姿を現すだけだろ。そんなの普通の人間と変わらないだろうが」

ミーナ「もう、ライナーはわかってないなぁ。こういうのはね「わー怖い!」って言いあうためのものなの!正論なんていらないのよ!」

ライナー「そうなのか」

ミーナ「そうよ!まったく。じゃあ、次は私が話すわね、これもマルコと同じで訓練兵の話なんだけど・・・」

ミーナ「数年前に仲の良いカップルがいたんだって。そう丁度、ハンナとフランツみたいな。

周りの訓練兵たちも、そんな2人をからかいながらも見守ってたらしいわ。

2人はそんなに成績が良い方ではなかったから、卒業後は2人で駐屯兵団にでも入って結婚しようねって約束してたらしいの。

でも、その夢は叶わなかった。

卒業までもう後1年ってところで、女の子が妊娠してしまったことがわかったの。

訓練兵中に妊娠なんてすれば、開拓地送り。

それどころか、子供を産んでしまった後、一緒に暮らせるかもわからない。

2人はすっかり途方にくれてしまったらしいわ。

でも、悩んでる時間はそう多くない。すぐにお腹が膨らんで妊娠していることがわかってしまう。

そこで2人はある結論を出した。

ミーナ「それは2人で訓練所から逃げ出して、どこか遠い町で2人で暮らすことだった。

もちろん、逃げ出すなんて簡単なことじゃないけど、2人にはそれしか方法がなかったの。

森の中で立体起動の訓練を行う時があるでしょう。

2人はその時にわざと指定のコースを外れて、町に逃げ出すことを決めた。

訓練が始まって、誰にもわからないように抜け出し、約束した場所で2人は落ち合ったの。

森をずっと突っ切れば辺境の街に着き、そこからさらに遠くの街へ向かう予定だった。

でも、そこで悲劇が起きたの。

森の途中には急な崖になっている場所があった。

だけど、見通しが悪く女の子はその崖に気が付かなかったみたい。

立体起動のワイヤーがどこにも引っかからないと気づいた時には、体が崖に放り出されてしまっていた。

なんとか、岩場に引っ掛かったはいいけれど、ひどく怪我もしてしまったし、立体起動装置も壊れてしまった。

女の子は男の子に助けを求めた。

ミーナ「男の子はなんとか助けようとしたけれど、そこは狭くて足場も悪く、とてもじゃないけど男の子一人では助け出せないような場所だったそうよ。

女の子を助ける為には教官に助けを求めるしかなさそうだった。

でも、男の子は怖くなったの。

女の子を妊娠させてしまった挙句、逃げ出そうとしたなんてどんな罰が待っているんだろう、と。

そこで男の子は女の子を見捨てることにした。

素知らぬ顔で訓練に戻れば、何もばれることはない。

そうして男の子は訓練に戻った。少し道に迷って遅れてしまったという事にしてね。

訓練が終わった後、女の子が集合場所にいないことがわかり、大騒ぎになった。

何人かの教官たちが女の子を探しに出かけ、男の子は女の子が見つかるんじゃないかとびくびくした。

だけど、そんな挙動不審な様子も同期の訓練兵には彼女が行方不明になって気が動転しているためだと思ったみたい。

次の日になっても女の子は見つからなかった。そして、その次の日になっても。

ミーナ「日が経つにつれて、男の子はだんだん怖くなってきた。

彼女が見つかって全てが告白されるのも嫌だし、だからと言って彼女があんな岩場でたった一人というのも想像しただけで恐ろしかった。

彼女はまだ生きているんだろうか、そんなことを男の子は毎日思っていた。

そうして1週間が過ぎた。女の子はいまだに見つかっていなかった。

もうきっと死んでいるに違いない、男の子はそう思ったそうよ。

そんな時、ある声が聞こえたの。

「どうして裏切ったの」

それは間違えなく、女の子の声だった。

男の子はびっくりしてあたりを見回したけど、女の子の姿は見えなかった。

自分の勘違いかと思ったけど、その声は耳にこびりついて離れなかった。

ミーナ「そうして、次第に男の子はその声に取りつかれるようになったの。

何をしていても、どこにいても、女の子の声が聞こえた。

「どうして裏切ったの」「どうして裏切ったの」「どうして裏切ったの」

男の子は目に見えて、やつれていったそうよ。

そして、ある朝、男の子はベッドの上で死んでいた。

手で耳をふさいで。

でもね、女の子は男の子が死んだことにまだ気が付いていないみたい。

だから、男の子に良く似た黒髪の子を見ると声をかけるそうよ。

「どうして裏切ったの」って・・・」

コニー「お、おれ狙われたら、どうしよう」
サシャ「だ、大丈夫ですよ。コニーは坊主じゃないですか」
コニー「く、黒髪なんだよ!剃ってるだけで!!」
ジャン「なんだよ、それ」

エレン(白目)
ミカサ「もし幽霊が現れたら、私が削ぐから安心して、エレン」

アニ「・・・・」
アルミン「アニ、アニ?顔真っ白だけど、大丈夫?!」

クリスタ「裏切ってません。裏切ってません。裏切ってません」
ユミル「クリスタ、お前、黒髪でもないし、男でもないから、大丈夫だぞ」

マルコ「そっかー、僕の所にも幽霊来るのかなぁ(笑)」
ベルトルト「僕の所にも来るかもなぁ。美人だと良いんだけどなぁ(笑)」

ライナー「なぁ、今の話って」
ミーナ「うるさいなー。だーかーらー!」

ユミル「ふーん、じゃあリアリストなライナー様に丁度良い話をしてやろうか」

ライナー「なんだ、そんな話あるのか?」

ユミル「おう、とっておきのやつがな。東館の3階の男子トイレからよくうめき声が聞こえるんだ」

ライナー「東館ってあまり使わない棟だろ。なんだ、幽霊でも出るのか?」

ユミル「そんな非科学的な話の訳ねーだろ。そこはな、いわゆるハッテン場だそうだぜ」ニヤリ

コニー「??」ぽかーん
サシャ「??」ぽかーん
ジャン(ぜってー、近づかねー)

ミカサ「エレン、聞いてはダメ。絶対に東館のトイレに近づいてはダメ」

アニ「アルミン、顔色が悪いみたいだけど」
アルミン「い、いや大丈夫・・・」

クリスタ「ねぇ、ユミル、ハッテン場ってなぁに?」

ミーナ「ハッテン場かぁ」キラキラ
マルコ「あー、そっちのかー」

ベルトルト「ライナー・・・」
ライナー「ハッテン場っていわゆる・・・」

ユミル「東館の3階男子トイレの一番奥の個室は、設計上の問題で他の個室より少し広くなってるらしいな。で、事をするには丁度良い、と」

ライナー「入ったら、問答無用なのか」

ユミル「まさか。もちろん合図がある。個室に入るのを見計らって、外からノックがあるそうだ。
    
    まず、外からコンコンと2回。オッケーなら内側から2回ノックを返すらしい。

    そして、もう一度確認の意味で外から2回。それに答える形で内側から2回したら準備完了。鍵を開けるとともに開始ってな」

ライナー「気をつければ良いなら特に怖いことないだろう。大体、ユミル、どうして女のお前が男子トイレの事情を知ってるんだ」

ユミル「ある筋から、ちょっとなー。ま、せいぜい気をつけなよ。お、そろそろ消灯の時間だぜ。クリスタ、部屋に戻ろう」

クリスタ「う、うん。おやすみ、みんな」
ミーナ「もう、そんな時間かおやすみ~」

マルコ「僕らも行こうか。おやすみ~」

~数日後~

教官「ブラウン訓練兵、少し用事を頼みたいのだが」

ライナー「はっ!」

教官「東館の3階の教室にこの書類を置いて来てくれないかね」

ライナー「東館の3階ですね。はっ!」

教官「よろしく頼むよ」


@東館3階

ライナー(書類を置いたは良いが腹が痛くなってきたぞ。トイレでも入るか)

ライナー(東館のトイレはあんまり来たことないけど中々綺麗だな。一番奥に入るか)

トントン

ライナー(ん、なんだ?他の個室も空いてるだろうに。入ってるぞ、と)トントン

トントン

ライナー(なんだ、しつこいぞ!他の個室に行け)トントン

ライナー(あれ、そう言えばこの間のユミルの話・・・)

ガチャ




ライナー「あーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!」




ベルトルト「次の日、ライナーが妙にお尻をなでてるような気がしたけど、ライナーは僕には何も話してくれなかったよ」


終わり☆

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