男「ようこそ、ライダーの世界へ」 (400)


男「こんなトコロに迷い込むとは、君もつくづく運命に嫌われているね。
……いや、好かれているよと言うべきかな?ん、失敬。そんな世間話をする気分ではなかったかな?」

男「……んん?ははぁ、わかったぞ。自分が置かれている状況が解っていないんだね」

男「無理もない。では、一つずつ確認しておこう」

男「まず、君の性別はなにかな?」

>>4


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男の中の漢


男「まぁ、それはそうだろうね。その風貌で女性だとしたら、些かばかり驚いてしまうよ」

男「さて、では君の名前は覚えているかな?」

>>8

竜二


男「ふむ、竜二くんというのか。……あぁ、私の紹介をまだしていなかったね」

男「そうだな、私の事は、そうだな……まぁいい、好きな様に呼んでくれ」

男「さて、竜二くん。これから君には仮面ライダーとなって戦ってもらう」

男「理由?強いて言えば、君だから……という他ないだろうな。戦いの理由なんてちっぽけなものだよ」

男「あぁ、君の意志はもう聞かないよ。ここに来たということは、そういう事だからね」

男「さて、君のライダーの力だが……今は数が少なくてね」

男「古代の仮面。超能力の仮面。鏡の仮面。機械の仮面。剣の仮面。鬼の仮面。虫の仮面。時間の仮面。牙の仮面。
破壊の仮面。記憶の仮面。欲望の仮面。宇宙の仮面。魔法の仮面」

男「この中で、君はどれが好みかな?」

>>14

超能力


男「ふむ、それを選んだか」

男「では、竜二くん。君にはこれから戦いに巻き込まれる事になる」

男「しかしそれは悲観すべき事ではない。この戦いは、きっと君に意味を与えてくれるだろう。
何故ならこの戦いには━━━━」



そこで記憶は途切れる。意識は覚醒する。

どうやら安っぽいベッドで寝ていたようだ。場所はどうやら、廃墟らしい。

ここはどこだろうか。服はごく普通の無地のTシャツにジーンズ。持ち物はそこそこ金の入った財布しかない。

これからどうするか。この廃墟を探索するか、それとも外に出てみるか。他の事をするのもいいだろう。

>>20

外に出るべ


まずは外に出てみよう。この廃墟の探索はそれからでも遅くはない。
ベッドから身を起こし、木製のドアを外側に開ける。

眼前に広がっていたのは━━━━荒廃したらしい、かつて街だったような、そんな曖昧な言葉でしか表現できいないような光景だった。
姿あるときは巨大な建物だったであろうコンクリートも、今ではある程度の壁と屋根となっているに過ぎない。
振り返ると、自分が出てきた建物も、他の建物物に比べえるとある程度形は残してあるものの、かつての名残は
恐らく残していないだろう。看板らしきものもあるが、もう掠れて読めやしない。

竜二「どうなっている……?」

全く記憶がない。こんな恐ろしい事が起こったのに、自分は全く記憶がない。しかしそれ以上に、記憶がない事をさほど重要視していない事。そしてそれを平然と認めていることが、恐ろしい。

竜二「……これからどうする」

一旦この廃墟に戻り、何か手がかりがないか調べるか。それともあの荒廃した大地に脚を進めるか。
もしくは、どこか別の場所に行ってしまおうか。

>>28

廃墟を探索、行動の拠点とする


竜二「とりあえず……食料ぐらいはあるか探しておくか」

こういう時は焦らずに行動しよう。そう自分に言い聞かせて、廃墟……この名前は嫌だな。
仮住まいになるかもしれないんだ。家という事にしておこう。
俺は家の中を探索する事にした。どうやらこの家は三階建てと地下に車庫があるらしい。さて、何処から探索するか……

現在地・一階

>>33

地下の車庫


竜二「下から探してみるか……」


階段を下り、車庫に降りる。そこにはビニールシートで覆われていた、一台のバイク。

竜二「そういえば、免許証も財布に入ってたな……こんな世界でも意味はあるのか?」

一通り車庫を探すと、ガソリンとキー、ヘルメットなどバイクを扱う上で必要なものの他に、一枚の手紙を見つけた。


男『やぁ竜二くん。久しぶりだね。それとも先程ぶりかな?それはともかく、移動手段の発見をおめでとうと言おう。
これは君専用に調整したバイクでね、名前をマシントルネイダーという。コイツにはちょっとした隠し芸があるが、それは君自身で見つけてくれ。
それでは私はこれにて失礼しよう。君の仮面に、祝福を』

竜二「マシントルネイダーか……」

とりあえず跨てみると、自然に体はコイツを扱う姿勢をとった。どうやら俺専用というのは確かなようだ。
しかし記憶がない状態で運転できるかは疑問だが。

さて、次はどうするか。移動手段は手に入ったが、まだ家の探索も済んでいない。

>>39

寝ます。安価なら下で


竜二「しかしまた、地味な配色だな……」

マシントルネイダーなるバイクは灰色を基調とし、一部分が白や黒など、まるで本来の色を失ったような彩色だった。
だが、たかだか色ぐらいで文句は言ってられない。そんな事を言えるほど、余裕はないのだ。
そもそも、今の自分にこのトルネイダーを扱いきれるかも疑わしいのだ。
おそらく一般的に必要な分の体力や筋力はあるだろうが、それだけでこの荒野の世界を生きていけるとは思えない。

竜二「何かないか……」

車庫を見渡すと、奥の隅に埃をかぶったサンドバックとランニングマシーンがあった。
サンドバックはともかくランニングマシーンは使えるかどうかは怪しかったが、一応引っ張り出した。

竜二「……お、生きてる」

車庫にあったコンセントにプラグを挿入し、電源を入れるとランプが点いた。
これで今現在の自身の体力の測定と向上が出来る。

サンドバックは多少傷んでいたが、しばらくは持つだろう。幸い、グローブも見つけたので拳を痛める心配もない。

竜二「とりあえず、測れるだけ測ってみるか……」


あれから二時間、走りっぱなしの殴りっぱなしだった。そして大量の体力と汗を消費しわかったのは、自分の体力と筋力はどうやら人並み以上にはあるらしいということ。

竜二「……まぁ、これなら大丈夫かな」

この世界で生きていくにはこの程度の体力で十分だろう。

しかしさて、この後はどうするか。家の探索はともかく、外への探索はキツいかもしれない。しかしトルネイダーという脚の能力も見てみたいところではある。

>>48

走らせてみる


竜二「折角見つけたんだもんな。乗れるかどうかは別として、少し走らせてみるか」

ガレージを開けると、妙に暑い嫌な風が吹き込んでくる。しかしそんな事は意に介さず、ガレージから出て鍵をかける。
ヘルメットを被り、キーを回す。快調な稼動音を発したトルネイダーの調子は良さそうだった。

竜二「さて、どこに行くか……」

家の裏側から見てみると、どうやらは西側にはまだ街らしい形を残した建物群が見える。西側には僅かばかり海が顔を見せている。

街へ行くか、海へ行くか、それともすぐ眼前のゴーストタウンに行くか……。


>>56


飯食ってきます。

ゴーストタウン

海と街を西側にしたのは私の責任だ。だが私は謝らない。
スミマセン、海は東側です。

竜二「手っ取り早くいくか」

ハンドルを回す。どうやら記憶にはなくとも体で覚えているようだ。緊張をほぐし、足を離す。
右に迂回して家の正面からゴーストタウンに向かう。


竜二「(ヒドイな……ほとんど街としての形を保ってない)」

荒れた道には歩道も車道もない。ただ地面を走っていく。右も左も、似たような風景が延々続く。
人がいるようには、とてもじゃないが思えなかった。

竜二「(ん……?あれは……ショッピングモールか?)」

右も左も分からぬままに走っていると、屋根部分はデカデカと巨大な孔が穿っているが、それでもこの街で最もマシな建物を見つけた。

竜二「(食料があるかもしれないし、あれだけの建物なら人もいるかもな……)」



ショッピングモールの自動ドアは、虚しく閉じていたが、ガラスを割られたその姿は何処か悲哀を感じさせる。
どこにトルネイダーを止めようか悩んだが、こんな場所に駐輪所もへったくれもない。スピードは落としつつも、そのまま走らせる。

竜二「結構でかいんだな……。あっちは食品館か」

目に付いた食品館に進む。しかし消費期限が切れているものばかりだった。
だが幸いというべきか、それなりの数の缶詰や未だ消費期限の切れていない水などは手に入れることができた。

竜二「こんだけ見つかっただけでも収穫か……」

シートの下に入れるだけ物を詰め、今日はその場を立ち去ろうとする。すると

「……、……」

何かが聞こえた。気がした。

竜二「人がいるのか……!?」

僅かに抱く淡い希望。しかし疑念がそれを消す。

竜二「(いるのか、本当に……こんな所に、人が……?)」

先程は全く感じなかった人の気配。しかし、単にそれは自分が気づかなかっただけかもしれない。
聞こえてきた場所は、恐らく遠くはない。しかし、決して近いわけでもない。

竜二「どうする……?」

>>60

大声で呼びかけてバイクで突っ込む


……いや。考えるまでもない。人がいるのなら、この状況について何か知っているかもしれない。

アクセルを回す。トルネイダーはその声を高らかにあげる。

竜二「おい!誰かいるのか!?」

中央のホールを突っ走りながら声を張る。

「…………」

すると、何か声が聞こえた。しかしトルネイダーの駆動音がそれをかき消してしまう。

竜二「クソッ!」

僅かに聞こえた声を頼りに、トルネイダーを右に傾け、一旦停まる。
そして耳を澄ませながら、もう一度声を張り上げる。

竜二「どこにいる!?」

「…二階……食堂……」

今度はしっかり聞こえた。

竜二「二階か……!」

思い切りアクセルを回し、エスカレーターに突っ込む。しかし、トルネイダーではエスカレーターを上がるのは無理なのは明らかだ。それ故に竜二の取った行動は、ごく自然に行われた。

前輪を持ち上げ、エスカレーターの手すりに乗せ、そのままアクセルを回し続けて今度は後輪を持ち上げる。
そしてそのままバランスを崩さずに手すりのみを道に、トルネイダーは駆ける。

そして二階に到達するとそのまま一瞬の浮遊感の後に衝撃が伝わる。しかしその程度、トルネイダーにも竜二にも、問題はなかった。辺りを見回す。食堂はすぐに見つかった。そこには、奇妙な風貌が一人、佇んでいたからである。
その存在は、一度、視線をこちらに移すとすぐに、興味なさげに視線を外した。
その視線の先には、麻のローブで身を覆ったもう一人の存在があった。

「た……助けて!お願い!」

少女の声のローブが叫ぶ。もう一人の存在はまるで聞いていないように静かに歩み寄る。
思考する瞬間もなく、ローブの少女ともう一人の間にトルネイダーで割って入る。

竜二「乗れ!」

言うが早いか、少女はすぐにトルネイダーに跨り、それを合図にそれまで以上にアクセルを踏みしめその場を立ち去る。

竜二「(助けたはいいが……これからどうする?)」

何処かに身を隠すか、家に連れて行くか。それとも西の街に行かせるべきだろうか。

>>64

犬(仮面ライダーへの変身アイテム)を連れたもう一人の少女が現れる
どうやら後ろに乗せてる少女を助けに来たようだ

スミマセン、では>>70の行動安価でお願いします。

>>69


ショピングモール二階の駐車場を経由して、ショッピングモールから離れる。

ある程度距離をとったところで、少女を降ろす。

竜二「ここまでくれば、平気だろ」

少女「あ、ありがとうございます!」

竜二「いいや、そんな事より、教えてくれないか?この世界のことを」

少女「え……?」

竜二「……なんていうのかな。記憶喪失?らしくてさ……なにが起こったのか、全然理解できないんだ。だから……君が知っている限りでいい。教えてくれ」

少女「そうなんですか……。分かりました」

少女「この世界がこんなになったのは……仮面ライダーのせいなんです」

竜二「仮面ライダー……?」

少女「ある日突然、現れたんです。仮面ライダーと名乗る人達が、世界中に。それとほぼ同時に、怪物たちも現れたんです。……最初のうちは、仮面ライダーは怪物達と戦っていたんですけど、だんだん人を襲うライダーも出てきて……」

少女「そんな時に、ある噂があったんです。全てのライダーの頂点になった者が、願いを手に入れるだろう、って……」

竜二「願い……?」

少女「それが何かはわかりませんけど……。とにかく、それが原因でライダーたちは今度は、ライダーと戦い始めたんです。一番強い奴が頂点だ、って……。他にもお金を一番持っているライダーだったり、怪物を一番多く倒したり、色々な噂が流れてて……」

竜二「……で。この状況はその怪物とライダー達のせいか……じゃあ、さっきの奴も?」

少女「そうだと、思います……。あそこはたまにお金になるものや、食べ物がありますから」

竜二「そうか……。っと、そういえば自己紹介がまだだったな。俺は、竜二だ。君は?」

少女「あ、私は……」

少女の名前は?

ミス。安価>>75

アイリス
あだ名はイリス


アイリス「アイリスです」

そういって少女……アイリスはローブを外した。整った顔立ちはまだ幼さを僅かに残しているが、一般的に美少女といっても差し支えないだろう。

竜二「(少なくともこの子からは敵意や殺意は感じられないな……)」

何故だかはわからない。しかし竜二には、そう確信があった。

竜二「それで、アイリスの家は?送っていくけど」

アイリス「あ、西の街ですけど……」

竜二「じゃ、乗って」

そう言ってヘルメットを差し出す。

アイリス「あ、大丈夫です。ここまで来たら、もう一人で帰れますから」

竜二「そうもいかねぇよ。こんなトコに一人じゃ、またさっきのヤツが現れたらどうすんだ?」

アイリス「あの人は、基本的にあのショピングモールからは出てきませんから……それに、街に入るには許可証が必要なんです。こんなのなんですけど……」

そうやってアイリスが差し出したのは、一見する免許証にも似たカードだった。そこにはアイリスの写真と名前、住所や職業などが記載されている。

アイリス「竜二さん、これ持ってます?」

竜二「……いや」

あの家を探索したら出てくるかもしれないが、少なくとも今の竜二は持っていない。

アイリス「これがないと、出るのも入るのもできなくて……まぁ、私も無断で出てきたんですけど……」

竜二「いちいち許可が必要なのか……面倒だな」

アイリス「これでも、王様が皆を守るためにやっているんですよ、ホラ、あの一番高いビル」

アイリスが指差したのは、この位置でも見える巨大なビルだった。

アイリス「あそこにいる王様……あの人もライダーなんですけど、怪物に襲われる危険を減らすために、許可なく出入りは出来ないようにしているんです」

竜二「なるほど……全員が全員悪い奴じゃないのか……」

アイリス「王様は、悪い人じゃないと思います。……っと、そろそろ戻らなきゃ。助けて頂いて、ありがとうございました」

竜二「いいや。けど。本当に大丈夫か?」

アイリス「大丈夫ですよ、ここはライダーも怪人も滅多に出ませんから」

竜二「そっか。じゃ、気をつけてな」

アイリス「はい、竜二さんも」

そう言って、竜二と別れたアイリスは街に向かって歩いて行った。

竜二「(……さて、俺はどうするか……)」

西の街は許可証がないと入れないらしいので、行くならまずそれを手に入れなければならない。
もしくは、あのショッピングルームに戻ってあのライダーに会ってみるか?最悪、戦闘も免れないだろう。
ならば海でもいってみるか?何かの手掛かりがあるとは思えないが……

>>79

もう一度ショッピングルームへ


竜二「蛇の道は蛇、ってか……」

トルネイダーの今日何度目かのアクセルを回す。
目指すはショッピングモール。あそこにもライダーがいるのなら、少なくとも一般人よりは詳しいだろう。

竜二は再びショッピングモールに足を進めた。ここにいるライダーによっては、これからの自分の道が、これまでの自分が見つかるかもしれない。先程とは別の緊張が体を巡る。

竜二「さっきは二階にいたな……よし」

今度は駐車場を経由して、直接二階へと突入する。

竜二「……おい、いるんだろ!出てこい!」

竜二の声が響く。
すると目的の相手は、すぐに現れた。

???「……お前は、さっきの」

現れた存在は、既にその仮面を覆っていた。
左腕にハサミのような武器を装備している、オレンジ色の甲冑のような出で立ち。
ベルトには、蟹のようなレリーフが刻まれていた。

???「……ちょうどいい。相棒が腹空かせてたんだ。お前のおかげで食い損ねたが……」

ライダーはベルトからカードを一枚引きぬき、左腕の武器にセットした。すると無感情な機械音が響く。

『ストライクベント』

???「なんでノコノコやってきたかは知らねぇが……さっさと餌になっちまいな!」

竜二「クソ、話ぐらい聞けよ……!」

襲いかかるライダー。竜二はそのまま振り切るか、それとも戦うかを強いられた。

>>83

シザースかよ……戦うと結構スペックがキツそうだし逃げたい
ショッピングモールからは出てこないらしいしこっちはバイク乗ってるし


竜二「(ここは逃げるか……)」

そう決めるやいなやトルネイダーを百八十度回転させ、来た道を逆走する。

???「逃がすかよ!」

しかし、経験と地の利は明らかに向こうにアドバンテージがあった。

『アドベント』

またも無感情な音声が木霊する。そして今度は目前に、蟹の様な怪物が現れた。

竜二「クソッ……!」

急ブレーキをかけ、車体を横にすることで勢いを殺す。
出口には蟹の怪物、入口には蟹のライダー。まさに挟み込まれた状況だった。

竜二「笑えないぜ……」

???「お生憎だったな。俺もボルキャンサーは鬼ごっこは嫌いでね……」

ジリジリとよってくる、二体の敵。
もう竜二には、一枚の手札しか残っていなかった。

竜二「…………」

バイクから降り、ヘルメットをハンドルにかける。

竜二「行くぜ、この蟹野郎」

へその前に手をかざす。すると黄金に装飾されたベルトが現れた。

???「お前……ライダーだったのか!?」

言葉を聞き流す。左手の小指と中指を折り曲げて、前につきだす。

竜二「……変身!」

体を光が包むと、一瞬のうちに竜二の姿は変身を遂げていた。
金を基調とした体に、紅い両目。まさにその姿は、竜であった。




???「(チッ……分が悪いな……)」

竜二は構えを固定させたまま、蟹のライダーに向き合う。

竜二「(これが、仮面ライダーの力……!)」

体から溢れ出る力に仮面ライダーの力に驚愕する。明らかにさっきまでの自分とは違う。

竜二「…………行くぞ!」

???「ま、待て!見逃してくれ!」

竜二「……なに?」

???「人はもう襲わない!だから見逃してくれ、頼む!」

竜二「…………」

>>90

契約モンスターと変身ベルトを破壊する


竜二「悪いが……断る!」

そう言い切って、蟹のライダーに向かって走る。

???「チッ……!!」

蟹のライダーも意を決したのか、右腕の武器を構える。

???「だったら死ねぇ!」

拳を振るうように右腕を振り抜く。しかし、竜二はそれを左腕でさばき、顔面にカウンターを見舞う。

竜二「(っ……思ってたより硬いな)」

???「ぐっ……やりやがったなテメェ!ボルキャンサー!」

蟹ライダーが叫ぶと、後方から迫ったてきたもう一匹の怪物……ボルキャンサーが羽交い絞めにする。

???「きたねぇなんて言わねぇよなぁ?これがライダーの戦いだもんなぁ!」

そう吐き捨てると、竜二の腹部に蹴りを放つ。

竜二「……!」

???「あぁ?思ってたより弱いなお前。これならさっさと殺っておけば良かったぜ……オラ!」

右腕の武器で今度は顔を切りつける。

竜二「っつ……」

???「まぁいい。これで久し振りの勝ち星だ……大人しくこのシザースの為に死んでくれや……!」

武器を放り、またカードデッキに指を添える。

???「これでお前も終いだよ……じゃあなぐうっ!?」

不意に、シザースが吹き飛ぶ。僅かに生まれた隙を突いてボルキャンサーの腹部に肘をうち、拘束から逃れる。

竜二「……これが、お前の本当の姿か?トルネイダー?」

シザースを吹き飛ぼしたのは、トルネイダーだった。しかし先程の地味な色ではなく、黄金を基にして赤のラインや青いライトなど、一転して派手な彩色となっている。

シザース「ぐっ……!フザけた真似しやがって……マジで殺す!」

シザースはそう言ってカードを引き抜き、左腕に装填する。

『ファイナルベント』

シザースは飛び、更にボルキャンサーによってさながらバレーボールの様に大きく上に打ち上げられる。

竜二「切り札があんのは……お前だけじゃねぇ!」

精神を集中させ、構えをとる。
すると地面に、その力の象徴たる紋章が浮かび上がる。

竜二「はぁぁ……!」

その紋章が徐々に右足に吸い込まれる。そしてシザースが空中で体を捻ったのと同時に自身も空中に飛ぶ。

シザース「ラァァァァァ!!!」
竜二「ハアァァァァァァ!!!」

二人の蹴りが空中で交差する。そしてそのまま、ボルキャンサーに突撃し、地面に着地する。
それと同時に、パキンと何かが割れる音が聞こえた。

シザース「あぁ……!?待てよ……待てよ待てよ!お、俺はこんなところじゃ死ねねーんだよ……!い……嫌だ嫌だ嫌だ!死にたくない!!あああああああ!!!」

そう悲痛な叫びをあげ、シザースは相棒たるボルキャンサー共々消滅した。

竜二「これが、ライダー同士の戦い……なのか」

竜二は自分の心に、穴が空いた様な気分だった。しかし、これがライダーの戦いだった。襲ってくる相手を倒さなければ、自分が殺されてしまうのだから。

竜二「どうすっかな……」

このままこのショッピングモールを探索するか、それとも今日は家に帰ってしまおうか。それとも他の事をすべきだろうか
>>95

モール創作


竜二は変身を解き、再び色を失ったトルネイダーに乗る。

竜二「アイツ……シザースが何か手がかりになる様なもん持ってりゃいいんだけどな……」

トルネイダーで二階全域を探索したが、情報らしきものは無かった。しかし代わりにモール全体の地図を発見した。

竜二「屋上は無くなってるとして……5階建てか。どっから探すか……」

地図によると、既に無き屋上は遊園地があり、四階は娯楽施設、三階は家電や寝具など生活用品置き場、二階はファッション関連とフードコート、一階は食品館と小物売り場となっていた。

竜二「一階と二階は終わったから……三階と四階か。どっちから探すかな……」

>>101

4


竜二「四階から探すか」

そう言ってトルネイダーを走らせる。今度もまた手すりに乗って走るという離れ業をいともたやすくやってのける。

四階についてまず目に飛び込んできたのはおもちゃ売り場だった。そしてその隣にはゲームセンター。
更に向かいにはゲームショップがある。
しかしおもちゃもゲームも、どれもこれも埃やゴミで汚れていた。

竜二「……俺も昔は、こんなところに来たのかな……」

そんな今はなき記憶に思いを募らせながら、四階の探索をする。

まずおもちゃ売り場にいったが、これといった収穫はなかった。ゲームセンターもどれも電気が通っていないのか、どれも反応がなかった。ゲームショップにはいくつかのゲームが置いてあったが、今はそんなものを楽しむ余裕はなかった。

竜二「収穫なしか……このぶんだと三階も何もないかもな……」

ここで今日は切り上げて帰るか、それとも三階までちゃんと調べてみるか……。

>>105

>>104


竜二「まぁ、調べてみるか……」

今度は手すりに乗ったりはせず、そのままエスカレーターを駆け下りる。ガクンガクンといった衝撃は意に介さず、抜群のバランス感覚で下っていく。

三階に降りてあったのは、家電売り場であった。いたるところにPCや携帯電話、掃除機などが綺麗に配置されているが、どれもこれも埃をかぶっていいた。
しかし、その中で二つ、そうでないものがあった。
電源が点いている真っ黒なノートパソコンと、その隣に置いてある同じく黒い携帯電話。

竜二「……なんでこれだけ電源が……ん?」

よく見ると、画面の左側に、メールの通知を知らせるアイコンがバルーンでメールの着信を示している。
竜二はそっとカーソルをそれに合わせ、メールを開いた。

『やぁ、竜二くん。ここに来たというのなら、恐らく君は一人目の敵を倒したのだろう。
おめでとう、それで君も立派な仮面ライダーだ。私としても鼻が高いよ。それで、君にはこのPCと傍に置いてある携帯電話をプレゼントしよう。きっと君の役に立つことだろう。あぁ、それともう一つ、伝えておこう。君は記憶が無くなっていると思っているだろうが、それは違う。君の記憶には、少し鍵をしているだけさ。もし、君が記憶を取り戻すことに躊躇いがないというのなら、Mのメモリを探したまえ。それが、唯一の鍵だよ。
……それでは、私はこれで失礼しよう。君の仮面に、祝福を』


竜二「…Mのメモリ……」

添付さていた画像には、緑色のUSBのような物だったそれにはまるで脳を模したようなMの字が刻まれていた。

竜二「記憶を取り戻したいか……?当たり前だろうが」

男の軽快な文章に多少のイラつきを覚えながらも、ノートPCをシートの下に押し込み、携帯電話はポケットに入れる。

竜二「これでこのショッピングモールは全部調べたか……?」

今日はもう帰ろうか。それとも、もう一度順当に一階から四階まで探してみるか……。
窓辺から差し込む光は、紅く輝いていた

ミス安価>>110

ここで寝るか


竜二「もう陽も傾いてるな……暗くなってからあの街を抜けるのは危ないか……?」

陽は傾き、月は存在を明瞭にする。
遥か上空には、小さな星の煌きももあった。

竜二「……今日は、もうここに寝るか。幸い寝具はあるみたいだし、食料と水も申し分ないしな……」

誰もいない空虚な箱は、ただ風の声とトルネイダーの歩みの音だけを残響させる。
とりあえず一番痛みのないベッドに横になる。すると、妙な違和感が右ポケットにあった。
そういえば、と先程しまった携帯電話を取り出す。あの時はちゃんと見ていなかったが、どうやらこの携帯にもメールが来ていたようだった。

竜二「またあの男か……?」

そう言って携帯を開き、手馴れた操作でボタンを押してメールを開く
そのメールにはただ短く、こう書かれていた。

『たたかえ』

竜二「……たたかえ、か」

携帯を閉じて、枕元に放り投げる。

竜二「今日は、もう寝るかな……」

体はある程度疲労を溜め込んでいる。このまま寝てしまおうか、それとも……。

>>114

ねよう


竜二はそのままベッドに横たわり瞼を閉じる。
身体もそれに応えるように、自然と眠気は体中に行き渡った。



竜二「……もう、朝か」

空腹と零れた日光で目が覚める。枕元に放り投げた携帯で時間を確認すると、既に十時を回っていた。
トルネイダーのシートの下から昨日手に入れた缶詰と水を取り出す。

竜二「……米が恋しい。食えるだけでもありがたいが……缶詰だけじゃなぁ」

水と食料だけでも十分文句は言えないが、味付けの濃い缶詰では素朴な味の白米が欲しくなるのは必然とも言える。

竜二「ま、無いものねだってもしょうがないか……」

水を一口のみ、今日の予定を考える。

このまま帰宅して家の探索をするか、それとも人西の街とやらの下見にでも行こうか。心の休息に海へ行くのも悪くない。
>>118

海へ


竜二「気晴らしに海にでも行くか……」

トルネダーにまたがり、ショッピングモールを出る。それから無人の街を抜け、二十分程度で海についた。
青く澄んだ海はあの無人の街と同じ世界にあるとは思えなかった。まるでここだけ切り取られた別の世界ではないかと錯覚してしまうほどに。

竜二「魚も結構いるんだな……食えるかな、あいつら」

竿でもあればまた来てみようか、などと呑気な思考ができてしまう程度には、心は癒さたようだ。

竜二「けど……やっぱ収穫はなしか。まぁ、なくてもともとか」

収穫といえば心の憩い場を見つけた程度か。遠くに島らしきものも見えるが、航行手段がない以上意味がない。

竜二「さて……そろそろ行くか」

といっても宛があるわけでもない。しかし、何処かへ行かなければ始まらない。
となれば……


>>122

家に帰る


竜二「帰るか……」

家と称しておいて一日といなかったのは流石におかしい。これからの拠点となるのにも関わらずろくに探索も終えてない。
ここから十五分とかからない。一旦帰って探索を続けるとしよう。

一日ぶり家は特に変わった様子もなく、トルネイダーを車庫にしまう。

竜二「さて、家の探索だ。車庫は調べたから残りは二階と三階か」

どこから調べようか

>>126

3階


竜二「まぁ、三階からでもいいか……」

階段を上り三階に上がる。三階には部屋が三つあった。一つは西側の部屋、もう一つは東側、残りは一番奥の北側の部屋だった。

竜二「どこから探すか……」

>>130


手始めにまず、一番奥の板側の部屋から探索してみることにした。

竜二「ここは……」

その部屋には西側と東側に窓、北側にベランダがあり、ゴーストタウンやショッピングモール、海と西の街を一望できた。
しかし部屋に置かれているのはなにもなく、がらんとなっている空き部屋だった。

竜二「の、割には塵一つ落ちてないな……。もしかして、俺以外にこの家に住んでいて人がいるのか……?」

となれば、何か手掛かりになる物の一つでもあればいいのだが……。
しかしこの部屋に気になるものはない。残りの二つの部屋を調べよう。
残るは西と東だ。

>>134

西


竜二「今度は西側を調べてみるか」

部屋を出て、西側の部屋のドアを開ける。

竜二「ここは……書庫か?」

部屋には多くの本棚と、机があるだけで、電灯もない。
しかしこの本の量は、手掛かりに対する期待を膨らませる。

竜二「一つずつ確認していくか」

本棚には様々な種類の本が大きさもジャンルもバラバラに仕舞われていた。
歴史書、家庭菜園指南、ジャーナリズムについて、携帯ツールの発展と可能性、進化論、日本の妖怪一覧、料理本、時間をテーマにしたらしい小説、ヴラム・ストーカーの半生、平行世界についての考察、ハードボイル小説、上手な欲の付き合い方、宇宙飛行士の自伝、指輪物語……本当に多種多様だった。
……その中でも家庭菜園に心惹かれたのは謎だが。

竜二「うーん……手掛かりになりそうなのは……ん?」

ふと、タイトルの書かれていない本があった。裏表紙も何も書かれておらず、大きさは丁度両手二つに収まるほどだった。

竜二「なんだこれ……?日記?」

日記と思わしきそれは、しばらく続いていたかと思えばしばらく空白が続き、そしてまた書いたと思ったら、
また何ページかを飛ばして書く、その繰り返しだった。

竜二「マメなのか大雑把なのか……。けど、これは期待できそうだな」



『暇があれば日記をつけてみる事にした。いつまでやれるかは不明だが、所詮はただの暇つぶしだ。誰に見せる訳でも提出する訳でもない。とりあえず飽きるまでやってみる事にしよう』

『どうやら世界は終わりを迎えるらしい。世界各地で新種の生物や怪物たちが街を襲っているらしい。日記をつけて二日目にコレとは、全くもってツイていない。明日は我が身であろうか』

『どうやら助かる可能性があられたようだ。世界各地で仮面ライダーなる存在が怪物たちを倒しているらしい。軍隊でも対して効果がなかったと言われる怪物たちを打破するとは、まさに彼らは救世主である。矮小なる身だが、一個人として彼らを応援する事にする』

『しばらく間が空いてしまった。やはり日記などというものは向いていないかもしれないが、どうせ趣味が長続きした試しはない。ダメで元々だ。そんな事より奇妙な話が出回っている。それは、仮面ライダーが人々を襲っているというのだ。
恐らく心無い者たちの誹謗中傷か、あるいは仮面ライダーを美化しすぎた誰かが、最近多くなっているという人型の怪物に出会ったのだろう。全く彼らにとってはいい迷惑だろう』

『どうやら先日の話は事実らしい。たまたまカメラを持っていた人物が撮影した動画が今世間を騒がせている。
それはライダーとライダー同士の戦いだった。方や人を襲ったライダー、方やそのライダーから人々を助けていたライダー、であるらしい。ライダーという最後の希望すら無くなるのかと思うと、どうしてもやるせない』

『世界は間もなく終わるだろう。私たちに抗う術はない。せめて、誰かがあの戦いの終止符を打ってくれる事を切に願う』


竜二「……情報は集まったが……どうも断片的すぎるな」

日記を机の上に置くと、そのまま東側の部屋に向かった。


東の部屋にあったのは、どれこもこれも用途の分からないものばかりだった。

竜二「物置か、はたまたあの日記の主のコレクションか……」

あの本棚と日記を見るに、日記の主は多趣味、悪く言えば相当飽きっぽいらしい。

ダンボールやケースに入れられたそれらは、全くもって用途の解らないものばかりだった。

竜二「これで三階は調べ尽くしたな……後は二階だけか」

二階にある部屋は二つ、西側と東側だった。どこから探すべきだろうか……

>>139

あえて西


とりあえず西側の部屋から見てみよう、そう思い扉を開ける。

竜二「ここは……誰かの部屋か?」

上の三部屋とは違って、生活感溢れる部屋。恐らく前の主が使っていたものが、そのまま残っていたのだろう。
一階のものより多少上質になっているベッド、服の仕舞われたタンス、小型のテレビにチェストなど、おおよそ人が生活してだであろう痕跡が残っていた。

竜二「チェストの中身は……なんだこれ?封筒……手紙?」

チェストの中に入っていた封筒を開けると、中には一通の手紙が入っていた。

『親愛なる友人へ
私はついに発見する事ができたよ。君と私が長年夢見てきた、あの夢を叶えるための希望を。コレさえあれば、私たちの夢は必ずか叶うことだろう。コレを見つけたときは、心が踊ったよ。君にあんな事があって自身を喪失してから、もう何年になるだろうか。思えば、君がもう研究をやめろと言ってきたのもあの頃だったな。君はあれから情熱を失ってしまったからな。しかし、私は諦めなかったよ。何より、情熱を失った君を奮い立たせるためにね。しかしコレさえあれば、君もかつての情熱が出てくるはずだ、この賢者の石さえあれば、君の失った娘も、私の思い描く平和な世界も、叶うんだ。君には是非とも、私と、もう一度共に来てくれないか?
                                            親愛なる君の友人より』

竜二「賢者の……石?」

それが意味するものは分からなかったが、恐らくこれは真相に近づく鍵の一つだ。
無くさないようにここに仕舞っておこう。

続いて東側の部屋へと行く。

竜二「……あれ?」

部屋には鍵がかかっていた。何回かドアノブを回していたが、開く様子はない。


竜二「鍵なんて見た覚えがないが……しょうがない、また鍵を見つけて探すか……」

しかしそうなると、今日はどうするか……。携帯を見ると、丁度十二時になったところらしい。
どこかに出かけるか……?

>>145

寝ます。

kskst


まだこの辺りの地理は把握しきっていない。通行証がないと入れなないらしい西の街も入らなければ問題ないだろう。

竜二「行ってみるか……あの街に」

トルネイダーを走らせて約二十分。街は見えてきた。
それにつれ、徐々にではあるが草木や原型のある建物も視界に入ってくる。

竜二「(復興しているのか、それともあの街だけ守られたのか、逆にあのゴーストタウンだけ襲われたのか……)」

詮無きことを考えては沈める。どの道今の自分には考えることもままらない。

竜二「(とりあえず情報はあっても困らないし……集め切れるだけ集めるか)」

身を隠せるほどの距離を保ち、遠巻きに街を観察する。
出入り口には衛兵らしき人物が四人ほど駐在していた。

竜二「衛兵ね……。あっちからしたら完璧侵入者の俺は通してくれんな……」

家を探索したが通行書が出てこなかった。つまり、竜二はあの街の人間では無いということだ。

竜二「通行証の発行も出来ない俺は侵入者でしかない、か……ならいっそ、本当に侵入してみるか?」

>>150

衛士に話しかけて王様とやらにお目通りできないか試してみる


竜二「……いや、荒事を起こすよりは……」

トルネイダーを建物の影に隠しておき、衛兵達に近づく。

竜二「あ、あのーすみません」

衛兵「なんだ、お前は」

衛兵は険しい顔で竜二を睨みつける。

竜二「ここの王様って仮面ライダーなんですよね?ちょっと会いたいなーって思いまして」

衛兵「……貴様、浮浪者か?通行証を見せてみろ」

竜二「あ、や、その通行証は持っていなくて……」

衛兵「やはり浮浪者か。おい、コイツをダストに連れていけ」

衛兵2「ハッ!」

竜二「(ダスト……?)っと、待って待って。俺通行証は持ってないけど、ライダーなんですよ!だから王様とお話したいなーって」

衛兵「ライダーだと……!?」

衛兵達の表情が一層険しくなる。

衛兵3「隊長、どうします……?」

衛兵「……念の為だ。連れていけ!」

衛兵2・3「ハッ!」

そう言うと、一人の衛兵は指輪をはめた右手をベルトに当て、

『シャバドゥビタッチヘーンシーン』

という音声がなると、今度はベルトの両端を上下させ、別の指輪をつけた左手をそのベルトにあてた。

衛兵2「変身」

『チェンジ・ナウ』

という音声の元、姿が変わる

衛兵3「変身」

もう一人は奇妙なベルトをそのまま横に倒した。
すると体に無数のラインが現れ、一瞬の瞬きの内に姿が変わった。


竜二「アンタ等もライダーだったのか……!」

竜二「(どうする……計算外だ!ここは逃げるか?それともこいつら蹴散らして強行突破……?クソ、面倒事は避けたがったが……!)」

>>154

変身して衛兵の一人を連れ去って家に帰る


竜二「(ええい、ままよ!)変身!」

変身し、衛兵たちから距離を取る。

衛兵「ライダーというのは本当だったか……。しかもアギトとは……これはまた珍しい」

衛兵「退け。アギトではお前達では敵わんかもしれん。私がやる」

衛兵2・3「りょ、了解……」

そう言って隊長と呼ばれた男は黒いカードケースを取り出した。

竜二「あれは……シザースと同じ……?」

衛兵「ほう、あの裏切り者とあったか。だが私は、アイツ程弱くはないぞ……?」

衛兵「KMAENRAIDER」

そう言うと腰に電流が走り、銀色のベルトが現れる。それにデッキケースをセットすると、謎のエネルギーが彼を包み、
彼を変身させる。

衛兵「さて……やろうか?アギト」

腰からカードを一枚引き抜き、腕のリーダーに通すとカードは赤く燃え、
無感情な、しかしシザースとは違う女性の声が響く。

『ソードベント』

ジリジリと距離を図る大剣を持った黒いライダーと竜二ことアギト。

竜二「(……冗談じゃねぇ。今の俺じゃ勝てる相手じゃねぇ……!)」

ふと、視線を僅かに逸らす。そこには、腕を震わせながら銃をむける、自分と年齢がそう変わらないであろう青年がいた。

竜二「(気はすすまねぇが……仕方ない!)」

横に走り青年の首に手加減をしつつ手刀を落とす。

衛兵「貴様っ!」

黒いライダーが大剣を構えて走り出す。しかし、その間にいつの間にか走り出してきていたトルネイダーが割って入る。
トルネイダーに青年を乗せ、自身は後方に置かれていた彼らのバイクを奪取し、走り出す。

衛兵2「ま、待て!」

衛兵「……いい、放っておけ」

衛兵3「しかし……」

衛兵「今すぐ全員に報告しろ。新たにライダーを発見、仲間を人質に取られた。討伐に向かうとな」

衛兵2・3「……はっ!」

竜二「思わず連れてきちまったが……どうしよう、コイツ」

青年は先ほどの手刀が効いているのか、未だにのびている。
適当な場所に捨て置くか、聞き出せる情報を搾り取るか……。

>>158

叩き起こして青年も組織についてや彼がライダーか尋ねる
このまま俺が解放してもお前は銃殺刑になると脅して生きるために共闘するように促す


竜二「おい、兄ちゃん。起きろー」ペチペチ

頬をなんどか叩くが多少唸る程度で起きる気配はない。
とりあえず暴れないように武装は隠しておき、車庫に連れてきたはいいがさっきからこの調子である。

竜二「おい。兄ちゃん。起きろ。聞きたいことあんだよ」

青年「う……うぅん……うわっ!?」

竜二「おー起きた起きた」

青年は思わず後ろに飛び退き、壁に当たる。銃を探しているようだが、生憎ここにはない。

竜二「そんなビビむなよ。聞きたいことがあるだけだ」

青年「き、きき聞きたいこと……?」

竜二「そうだ。そしてお前が俺の条件を飲めば、殺したりしねぇよ。解放してやる」

青年「ほ。ホントに……?」

竜二「お前が条件を飲めばな。まず一つ。俺が知りたい情報を全て教える事。二つ、嘘の情報を言ったりシラを切ること。
どうだ?」

青年「の、飲みます!飲ませてください!」

竜二「じゃあ、まず一つ目。通行証ってのはどうやって手に入れる?」

青年「あ、あれは選ばれた人しか貰えないんです……。ダストにいる人たちから、無差別に王が選出するんです……」

竜二「そのダストってのは?」

青年「ぼ、僕らの街の反対側にある。貧困層のま、街の俗称です……」

竜二「なるほどな……それで、お前らはどんな組織なんだ?まさかライダー三人で入口固めてただの門番なんて言わねーよな」

青年「ナ、円卓の騎士団(ナイト・オブ・ラウンズ)です。お。王を筆頭とした防衛及び街の奪還・復興を目的とした組織です」

竜二「メンバー、幹部、王の情報はどれだけ知ってる」

青年「た、確か総人数は三百人程で、さっきの二人は指輪の方はメイジ、もう一人はライオトルーパーと言って、円卓の騎士団の多くはあのライダーです。幹部は入れ替わりがあるので正確には分かりませんが、さっきの隊長は幹部の一人です。王はいつもライダーの姿なので、詳しくは……」

竜二「なんつー名前だ?」

青年「確か……キバ。仮面ライダー、キバです」

竜二「キバ、ね……んじゃ、これで最後にしてやる。お前自身は、ライダーか?」

青年「あ、いや……素質はあるって事で、半ば無理やり徴兵されたんですけど……メイジにもライオトルーパーにもなれなくて……」

竜二「それで後方支援か……まぁ、聞きたいことは以上だ。帰っていーぜ」

青年「あ、あの、僕の銃は……」

竜二「返すわけねーだろ。表にバイク止めてるから勝手に帰れ」

青年「ですよねー……じゃ、じゃあ僕帰りま「あーそういえば」え?」

竜二「実は君が起きるまで暇だからたまたま置いてあった軍事関連の本読んで知ったんだけどよ……知ってる?敵兵に武器を奪われ、奪還できなかった場合……」

先程から戻りつつあった青年の血の気がまたもや消えていく。恐らく軍事学校で叩き込まれたモノが思い出されたのだろう

竜二「まぁ、なに?ここに隠れて死んだことにすりゃ、死ぬこともないんだろうけどね」

青年「……初めからそれが目的だったんですか?」

竜二「なんのことやら。ま、運命共同体になるもならないも、お前の自由だ。……どうする?」

青年「…………」

>>162

どうせ殺されるならライダーになってからにしたいと主人公に付き合うことを決心
主人公が敵ライダーを倒した後ベルトを盗むことにする


青年「……分かりました。無理やり連れて行かれてライダーになれなくて死んだら、あの世で笑わるし、一度ぐらいは
ライダーになってみたいし協力しますよ」

竜二「任せろ。ベルトかっぱらってでもライダーにしてやるよ」

青年「……じゃあ、そういうことで」

竜二「運命共同体、だな。……そういや、なんつーんだ、名前?」

青年「あぁ、僕は……」

>>147



沙耶

すみません、名前安価で決めます。
>>167

あ、失敗したけど成功してる。


沙耶「沙耶、って言います」

竜二「沙耶か。俺は竜二だ。好きに呼んでくれ」

沙耶「分かりました。それで、これからどうするんですか?」

竜二「そうだな……お前、何か出来ることあるのか?」

沙耶「えーっと……」

沙耶の持ちスキル
>>172.173.174

なんか今日調子悪いな。安価一つずらします。

沙耶「ピッキングとか、声の真似とか……あ、あと目も結構いいですよ」

竜二「犯罪じゃねーか。……まぁいいや。それで、そのピッキングってーのは、あの街に侵入も出来るレベルなのか?」

沙耶「……衛兵がいない第七下水路からなら、解錠するだけなら可能だと思います」

竜二「そうか……なら、早速作戦会議だ」

沙耶「……というか、何を目的に侵入するんです?」

竜二「情報、お前でも扱いきれるライダーのベルト、あとは俺に協力してくれそうな優秀な人材だな」

沙耶「それだけ聞くとまんまテロリストですよね」

竜二「別に街を襲う気はねーよ。俺は何者で、何をすべきかを見極めたいだけだ……ん?何の音だ?」

微かに聞こえる空気の揺れる音。カーテンに身を隠し、窓の外を伺う。
見ると、西の街からこの家に向かって、バイクに跨ったライダーの大群が迫ってきた。

竜二「ありゃあ……さっきの衛兵達か?」

沙耶「報復に来たんでしょうね……どうします?控えめに見ても50人はいますよ?」

竜二「…………」

あの人数では、流石の竜二も無傷で済むとは言えないだろう。
篭城しながら戦うか、今からでも身支度して何処かへ逃げるべきか……

>>181

逃げよう


竜二「逃げるぞ。あの数じゃ太刀打ち出来ない」

沙耶「逃げるたって……何処にですか?」

確かに、竜二達の逃げる選択肢はあの無人街か、海か、それともただがむしゃらに逃げ続けるか……
そのいずれかしかない。もしここで正解を選べなかったとき、それは一巻の終わりとほぼ同義であった。
その上で、逃げるとすれば……

>>193

第七下水路


竜二「……いや、あるぞ」

沙耶「え?」

竜二「お前が言ってただろ?第七下水路には誰もいないって。そこまで逃げ切れれば……!」

沙耶「そうは言っても……第七下水路まで行くにはあの東の海側から行かないと……。
それに下水路まで身を隠せるものは何もないんですよ!?」

竜二「そうだ。あの場所を知っている奴なら、まず海なんて行こうと思うわけがない。
まだ身を隠せる場所がある無人街に行くと考える……!」

沙耶「……それまでに、第七下水路にいって街に侵入する……と?」

竜二「時間との勝負だが……どうだ?」

沙耶「……分かりました。正直五分五分ですが……それでいきましょう」

竜二「よし、行くぞ!」

食料や水を詰め込めるだけ詰め込み、車庫から海に向けて疾走する。
今は、バイク隊は気づいていない事を祈るのみだった。

竜二「道案内は任せるぞ」

沙耶「はい、付いてきてください!」


三十分後。
二人は海沿いを走っていた。あれから、バイク隊はこちら気づくことはなく、無事に逃げ切ることができた。
沙耶を先頭に、バイクを走らせていると、目的の場所は次第に姿を現した。

竜二「あれが……第七下水路か……?デカイな……」

沙耶「本当に大きだけですけどね。大きすぎて警備の人手が避けないから、システム任せにしてるんです」

竜二「何でもデカけりゃいいってもんじゃねぇな……ん?」

ふと、目の端に何かがチラつく。目線をズラすと砂浜には何かが打ち上げられていた。

竜二「なんだありゃ……」

今の速度では直に通りすぎるだろう。何か気になるが、確かめるにはバイクを降りるほかない。
しかし、もしそれでただのゴミやその類であったら、見つかる危険が増してしまう……
降りて確かめるか、否か……。

>>198

確かめますん


竜二「ちょ、沙耶!まった!」

沙耶「え、りゅ、竜二さん!?」

ブレーキをかけて、砂浜に降りる。逆光を放ち竜二の目に存在を示していたソレは、銀色のベルトだった。

竜二「これ……ライダーベルトか?なんでまたこんなトコに……」

沙耶「ちょっと竜二さん何やってんですか!見つかっちゃいますよ!」

竜二「沙耶、お前これ知ってるか?」

竜二はそう言って、沙耶に拾ったベルトを差し出す。

沙耶「これ……ベルトですか?見覚えはありませんね……。
何か書いてあたみたいですけど、削れて読めなくなってますし……」

ベルトには大きく右上から左下にかけて、大きな傷が出来ていた。僅かに残る凹凸で何か書かれていたらしき事はわかるが、それだけだった。

竜二「……ま、何か使えるかもしれんから持っておくか……。それとも沙耶、お前がこいつ持っておくか?」

沙耶「え……僕がですか?」

沙耶は躊躇いの表情を表している。無理もないだろう、何があるのか、そもそも何かが起こるのかすらもわからないベルトだ。どう考えても怪しすぎる。受け取るか受け取らないか僅かに考えて、沙耶は……
>>202

受け取ってつけてみる


沙耶「……ま、貰っておきます、一応」

竜二「試しに着けてみたらどうだ?」

沙耶「そうですね……よっと」

そう言って腰に巻きつけてみる。

沙耶「……特に、これといって変化はないですね」

竜二「単なるベルトだったのか、壊れてるのか条件があるのか……。まぁ、損はないだろ」

沙耶「ですね……って、じゃなくて、早く行きますよ!」

竜二「っと、そうだな。さっさといくか」


『……………』


沙耶「…………?」

何かの視線を感じる沙耶。しかし辺りを見回すが、ライダーはおろか、生物の影もない。

竜二「どうした、沙耶」

沙耶「いえ……なんでもありません。行きましょう」


第七下水路。
某貯水場の様な作りなそこは、とにかく巨大だった。目を凝らしても奥が見えず、東西南北に別れていた。

沙耶「これは……困りましたね。どこから行けばいいのか……」

竜二「おいおい、頼むぞ。お前だけが頼りなんだからよ……」

沙耶「そうは言っても、こんなに大きいとまでは……」

とにかく巨大な下水路は、くまなく入口を探していては時間がなかった。
せめて、どれか一つの方角に道を決めなければ……。

>>207

西


沙耶「……とりあえず、西から探してみましょう」

竜二「頼むぜ……ホント」

二人は西にバイクを走らせた。しばらく進むと水がだんだんと増えていき、十分後には立っていると踝近くまで水が迫って
……否、自ら進みに行っていた。

竜二「なぁ……沙耶?」

沙耶「……言いたいことは分かりますけど、ここまで来たら行くしかないじゃないですか……」

本人も責任を感じているようだった。

沙耶「……?あ、あれ!竜二さん、あれ!」

沙耶の声が明るくなった。言われて沙耶の指差す方向を見ると、ライトで照らされた一つのドアがあった。

竜二「お、おぉ!ナイスだ沙耶!」

二人揃ってアクセルを回す。近づいたドアには、
『第七下水路西棟第三出入り口』と書かれていた。

竜二「……これって」

沙耶「どっち言ってもあった可能性大ですね……」

僅かな沈黙。だが消沈している暇はない。

竜二「いや、もういい、忘れろ。それより沙耶、コイツ開けれるのか?どう見ても電子錠だろ、コレ」

沙耶「どんなモノでも、それが鍵なら問題ありませんよ……よっと」

何処に持っていたのか、様々な道具であれやこれやとしていくのは、さながら往年の怪盗を思わせる手口だった。

沙耶「……開きましたよ」

竜二「よし、行くぞ。鍵は閉めれるか?」

沙耶「可能です」

竜二「頼むぜ。しかしなんつーか……普通に関係者用通路、って感じだな」

そう言ってトルネイダーと沙耶のバイクを運び入れる。西棟と書かれていた割には、ただ大きな通路があり、奥には業務用のエレベーターという簡素なものだった。

沙耶「元々、使えるものを最大限使って効率よく暮らしていくのが、この街が廃れない要因の一つですから。
ライダーがいる安心感もそうですが、人は住みやすさを求めますからね」

施錠が終わった沙耶とバイクに乗り、エレベーターまで緩く走る。
エレベーターは業務用の見た目に違わず、バイク二つを乗せても動いてくれた。

竜二「暮らせりゃ贅沢は言えねぇと思うがね……ここが地下一階で、地上三階から一階までか。どこで降りたほうが安心なんだ?」

沙耶「そうですね……」

>>212

2階ですね


沙耶「いきなり一階は危ないので、二階から行きましょう。それでも危険なのは変わりませんが、そこから下水道に行けますから、竜二さんはそこで待っていてください」

竜二「俺は……って、お前はどうすんだ?」

沙耶「とりあえず、竜二さんの許可証を作ります。そしたら、竜二さんもある程度は自由に動けると思います。
……まぁ、巡回や警備に回っている兵士に見つかったらまずいですけど……」

竜二「ずっと下水じゃ動きづらいしな……そういうことなら、頼んだぜ?」

沙耶「はい!」

そこで、二階に到着した。重々しく開く扉から辺りを伺い、トルネイダーと共に外に出る。

竜二「じゃあ、ヘマすんなよ?」

沙耶「竜二さんも、気を付けて」




沙耶視点に移る・移らない
>>216

移る


エレベーターのドアが重々しく開かれる。恐る恐る外に出るが、幸いにも人影はなかった。

沙耶「とりあえず、警備室に行こう。そこならパソコンもあるだろうし……」

あくまで、警備に来た兵士を演じる。いくら第七下水路に人はいないといっても、何かの事情で人が来るとも限らない。
しかし、不安と緊張が体中を支配していた割に、警備室にはなんなく侵入する事ができた。

沙耶「えーっと……あった」

PCを起動し、この街の管理局のサーバーにハッキングをかける。なんでも開けるピッキング技術を昇華する為に鍛えていたハッキング技術がこんなところで使われるとは思ってもみなかったが。
管理局の許可証一覧の末尾に、竜二の名を加え、修正を施す。
その後、でっちあげた年齢や職業、住所を加え、許可証を制作する。
下水路という場所柄、無くした許可証を再発行するためにプリンターやラミネート加工機などがあったのは幸運であった。
しかし、あくまでこれはガワだけである。本来はこれに加え極薄ICチップを埋め込まなければならないが、こればかりは
ここではどうしようもない。

沙耶「一応、目的は果たせた……監視カメラは設置されてなくて助かった……」

沙耶「……他にも、出来る事はやっておこうかな。いや、そんな事してアシがついたら……」

これからの事を考えてたら、やるべきことはやっておくべきだろう。しかし、ここでバレれば何もかもが露見してしまう。

沙耶「どうしよう……」

>>220


今の内にスタコラサッサだぜ


沙耶「……いや、目的は果たしたんだ。さっさと離れよう」

そう言ってPCの電源を落とす。そしてまた、誰にも見つからないようにエレベーターまで目指す。

沙耶「……これで、僕も完璧言い逃れできやしないな……」

残念そうな言葉とは逆に、沙耶はどこか心に満足感を得ていた。その時。


『……………』


沙耶「…………!」

またもや、視線を感じて振り返る。今度は確実に、何かに見られていた。何故だかは分からないが、確実に見られていたという事を断言できる。
見られていた場所は、近い。恐らく走れば視線の主を見つけることができるだろうが、しかし万が一敵ならば、それはそのまま死に近づく事になる。逃げるか、それとも見つけ出すか……

>>225


沙耶「(……この視線、さっきも感じたのと同じ感じだ……。ここで逃げるのは簡単だけど……)」

足を止めて、深呼吸をする。
そして、意を決して振り向き、通路を駆ける。仮にも軍人である沙耶は、常人以上には客力に自信もあった。
そして僅かな速さで視線の主が隠れているであろう通路の角に立つ。

『…………』

―――そこに居たのは。
左半身は緑色。右半身は錆色の、メタリックなバッタだった。

沙耶「なんだ、コイツ……?」

メタリックなそのバッタは、目の前の沙耶から逃げ出そうともせず、向かってくる様子もない。
しかしどこか、沙耶を見つめているようにも感じていた。

沙耶「……付いて……きたいのか?」

『…………』

なにも答えない。

沙耶「……どうしよう、コイツ」

>>229

放っとく
着いてくるならそれに任せる


沙耶「……襲ってこない、って事は敵意はない……のかな?逃げないし……なら、構ってる暇はないや」

駆けた通路をまた戻り、エレベーターの②というボタンを押す。
一度振り帰ってみたが、あのバッタは追いかけてくる様子はなかった。

沙耶「なんだったんだ、あれ……」

気にはなる、しかし今はそんな事より合流しなくては。
開いたエレベーターに入り込み、扉を閉じる。ゴゥンという重々しい音を鳴らし、鉄の箱はゆっくりと降下した。


臭気漂う下水道。あちらこちらに鼠や虫が蔓延っている。

竜二「……思ったより早かったな。もう大丈夫なのか?」

沙耶「見掛け倒しですが、重要施設に入る以外なら問題ありません。
ただ、竜二さんの顔が割れていたら、相当ヤバいですけど……」

竜二「その時はその時だ、なんとかするさ。……それより、これからどうすんだ?」

沙耶「とりあえず、一旦地上に出ましょう。この通路のどこかに、地上につながる通路があるはずです」

竜二「つまり……」

下水道は三つの通路に分かれていた。右・左・真ん中。
果たして、地上に出る通路はどれなのか……。

>>240

真ん中

スミマセン、またあとでキマス


竜二「真ん中ってことだな」

沙耶「なにがつまりなのかわかりませんが、迷ってても仕方ないですしね。行きましょう」

竜二「……しかしトルネイダーは流石に持っていけないか」

下水道という場所柄、上がるには先ほどの関係者用の通路を使うか、沙耶の言った地上に繋がる通路を使用しなければならないが、到底バイクを移動出来るほどの物ではないだろう。

沙耶「一旦ここに隠して、また取りに戻るしかないですね……」

竜二「しゃーない、行くか」

そう言って真ん中の通路を渡っていく。心なしか、先ほどより多くの虫が居る気がしてならない。
とはいえ気にしてはいられない。今は地上を目指さなければならないのだ。

沙耶「……竜二さん、水の音……聞こえませんか?」

竜二「あぁ……こりゃ、案外早く見つけるかもな」

遅すぎず、早すぎずの歩行をきーぷし、何処からか聞こえる水の音を探す。


十五分ほど直線の通路を歩いていくと、地上から降り注ぐ水を見つけることができた。
しかし、ここで地上に上がることは簡単だが、もしここが人通りの多い場所なら、完全アウトだ。
よもや下水の掃除をしていました、なんて言い訳が通用する訳が無い。

沙耶「ここ、登りますか?それとももっと他のを探します?」

竜二「そうだなぁ……」

せめて人の声が聞こえれば助かるが、降り注ぐ水の音は残響して他の音をかき消してしまう。
ここで上がるのが正解か、もっと慎重に、ほかの場所にするか……

>>245

他へ


竜二「……他のを探してよう。ここだけが唯一の出口、って訳じゃないからな」

沙耶「……冷静なんですね。驚きました」

竜二「慎重なだけだ。いくぞ

そう言って降り注ぐ水を横目に奥へと歩を進める。しばらく進むと、今度は十字に道が分かれていた。

竜二「また分かれ道か……こうも多いとウンザリするな」

沙耶「そうですけど……文句を言っても始まりませんし」

竜二「それもそーだ……」

しかし、今度は何処に進むか……西か、北か、はたまた南か……


>>250

西


竜二「西側に進むか」

また歩を進める。が、十五分、二十分と経っても、一向に地上への道は開けない。

沙耶「失敗しちゃいましたかね……?」

竜二「仮にそうだとして、今更戻るっつーのもな……」

無駄口を叩く暇はないが、そうでもしないと気が紛れない。
先程とは打って変わって、全く音がしないのだ。

竜二「……?」

そこで、異変に気づく。

沙耶「……?どうしました?」

竜二「静かにしろ……」

そう言って、辺りに耳を澄ます。
……だが、やはり。

竜二「……やっぱり。何の音もしねぇ……」

さっきまであちらこちらにいた虫や鼠の足音も鳴き声も、むろん水の音さえも。
沙耶もそう言われて耳を澄ますが、何も聞こえない。だが、

沙耶「……!竜二さん、奥に何か……扉みたいなものが!」

竜二「扉……?そんなもんなにもないぞ」

沙耶「言ってませんでしたっけ?僕、暗いとこでも結構見えるんですよ。
……それよりも、もう少し先行ったところの突き当りに扉があるんですよ!」

言われて、歩く速度を早める。すると確かに、こんなところには似合わない重々しい金属製の分厚い扉があった。

竜二「なんでこんなとこにこんな扉が……」

沙耶「さぁ……でも、これ第七下水路と同じタイプの電子錠ですね……開錠出来ますけど、どうします?」

>>254

開ける

開けちまう


>>253
すみません、安価SSで無駄コメはいらんと言われたので……。



竜二「……開けてみよう。もしかしたら、地上に出れるかもしれないからな」

沙耶「分かりました。すぐに開けます」

そう言って、再び開錠を試みる沙耶。
先程からの疲労はないのか、手先を狂わせずに様々な道具を扱っていく。

沙耶「…………、っと。開きました」

竜二「うし、行くぞ……」

僅かなライトだけが頼りの狭い通路を歩いていく。
数メートル進んだところでまた扉があったが、それには施錠はされていなかった。

沙耶「……こんな通路があるなんて聞いたことありませんよ……」

竜二「ただの通路か、たまたま知らなかっただけか、本当に謎の通路なのか……どのみち、行けばわかる」

沙耶「……いくんですか?」

竜二「…………」

何があるか、本当に分からない。もしかしたらこの先に誰かが待ち構えていて、扉を開けた瞬間に二人共蜂の巣になるかもしれない……。開けるべき、だろうか……。
>>259

>>257

>>1
事務連絡くらいは構わないと思う
急に投下無くなると心配になるし


竜二「……念のためだ、沙耶、離れてろ」

沙耶「? はぁ……」

そう言って沙耶が数歩下がると、腰にベルトを出し、短くポーズを取り変身する。

沙耶「りゅ、竜二さん!?」

竜二「念の為だ、念の為。……俺が行くから、お前はここにいろ。
もし俺が三十分以内に帰って来なかったら、すぐ逃げろ。いいな」

沙耶「ちょ、ちょっと竜二さん!」

さやを無視し、扉を開け中に入る。幸いにも想定していた最悪の事態は避けることができたようだ。
扉を開けると、また長い通路があった。

竜二「……意味分かんねぇ作りしてんな……」

そう言いつつ、辺りの気配を探りつつ先へと進む。

しばらく進むと、巨大なホールに出た。そこからまた無数の通路に出ることが出来るようだが、それ以上に目を引いたのは
中央の巨大な謎の装置だった。

竜二「……なんだ、これ」

???「知りたいか?」

竜二「ッ、誰だ!?」

ホールに謎の声が響く。しかし姿は見えない。

???「コイツは『ノアの方舟』。あらゆる願いを成就させる可能性の舟。あるいは、愚かな果実だな。
君も、もう聞いているんじゃないか?ライダー達が争う理由、この世界がこうなってしまった理由を」

竜二「……ライダーの頂点に立ったものが、願いを叶える……?」

???「……少々、歪曲しているが概ねその通りだ。ライダーとなるものは、大なり小なり願いを持っている。
下賎なものから崇高な理想まで、様々のな。そしてその全てのライダー平等に持ち合わせている権利がある。
それが、コイツの使用権利だ。だが、コイツにはある条件があってな……」

竜二「条件……?」

???「コイツにその願いを理解させる事だ。コイツには自立思考型AIが組み込まれいる。全ての可能性を、例え
0%なものでも100%にする為にな。だが、コイツはそのAIのせいで自身の性能をより高く引き上げ、擬似的な自我まで
持ち始めやがった。そのせいでコイツは意味がないと判断した願いは聞き入れなくなっちまった」

???「そこで誰が言い出したか、こう言った」


『願いの正当性を証明するために、自分がこの世で最も正しいという事を理解させてやればいい』



竜二「……つまり、それがライダーの頂点、っていう解釈になった訳か」

???「だろうな。だが、もしそれを成した者が邪悪な存在だったら世界の秩序が一瞬にして崩壊しかねん。
だからここの王は、コイツをこんなトコに隠したんだろうよ」

竜二「なるほどな……情報をくれた事には感謝するが……まだ、答えてねぇぞ」

竜二「テメェは、誰だ?」

???「……そろそろ時間になるぞ?大切な友人と離れてもいいのか?」

竜二「…………!」

言われて気づく。そういえば、今はどれくらいの時間が過ぎているのか、考えていなかった。
今から戻れば、沙耶と合流できるだろう。しかしこの声の主は、自分が知らないことを知っている。
ここで情報を聞き出すことができれば、大きな前進になる。しかし、それは沙耶の危険性も増してしまう。

竜二(どうすれば……!)」

>>264

アイツを見捨てるなんて有り得ない


>>261
分かりました。今回からそうします

竜二「(……考えてる余裕はない……!)」

全速力で来た道をもどる。声の主が攻撃をしてくるかと思い後方に意識を集中させたが、どうやら襲ってくる気配は無い。

竜二「間に合えよ……!!」


???「……間に合うともさ」

『テレポート・ナウ』

無人となったホールに、その二つの言葉だけが響いた。

竜二「沙耶!」

通路を駆け、扉を蹴破る。

沙耶「うわっ!?
りゅ、竜二さん!?……割と早かったですね、まだ二十分ぐらいしか経ってないのに」

竜二「…………は?」

沙耶「え?」

竜二「……アイツ、謀りやがったなぁぁぁぁ……!」

沙耶「……大変、だったみたいですね……」

沙耶はそれ以外、かける言葉が見つからなかった。


二人は来た道を戻っていた。
あの通路の奥に進んでみたはいいものの、そこには行き止まりしかなかったからである。

竜二「残るは二つか……」

左右それぞれに一つずつの通路。もう、ハズレを引くわけにはいかない。
右と左、どちらを選ぶか……

>>268


竜二「今度は左だ」

そう言って左側の通路を進む。

沙耶「……慣れって怖いですね。もう悪臭も気にならなくってきましたよ」

竜二「上に上がったら風呂に入りたいぜ……」

沙耶「同感です……あ、竜二さん!奥に梯子が見えますよ!」

竜二「行くぞ!」

梯子は錆び付いており、濡れている。人の声などは聞こえなかった。

沙耶「ここ、登ってみます?」

竜二「(……どうするか)」

>>272

のぼってみっか


竜二「登ってみるか。先に俺が行くぞ」

そう言って、梯子に手と足ををかけ登っていく。幸いにも頭上の蓋は空いていた。

竜二「(……頼むぜ!)」

右手を梯子に、左手で蓋を持ち上げ、横にずらす。
そこから少しだけ頭を出し、辺りを窺う。……幸いにも、人影はないようだ。

竜二「……大丈夫みたいだ、上がってこい」

そう沙耶に言って地上に出る。どうやらここは裏路地らしい。

竜二「ここがどの辺りか、沙耶分かるか?」

沙耶「中心部じゃ無さそうですね……。多分、街の端の方だと思います」

竜二「身を隠せそうな場所に心当たりは?」

沙耶「端の方は、ダストよりは幾分マシな程度っていうぐらいで、貧民層の居住地ですから、
お金さえ積めば何とかなるかもしれませんが……」

竜二「……沙耶、財布は?」

沙耶「竜二さんに拉致らましたから、今頃僕のロッカーか、もしくは押収されたか……」

竜二「俺のは残金二万五千円だ……」

これではせいぜい安いホテルで一泊が限度だろう。二人は頭を悩ませた。

竜二「…………?」

すると、竜二の後方から妙な視線を感じる。

沙耶「(……竜二さん)」

竜二「(……見られてるな。けど向こうは俺らが視線に気づいていることに気づいてない……。素人か、一般人か……)」

もし通報でもされれば一巻の終わりだ。しかしもし仮に一般人ならば傷つけるわけには行かない。

沙耶「(適当に誤魔化して、匿って貰うというのは?)」

竜二「(危険じゃないか?それならもう逃げたほうがいいと思うが)」

どちらの言い分も、視線の主を傷つけるよりはマシな選択だった。果たして、どちらを選択するのが正しいのか……

>>277

今日はもう寝ます

ここは頼んでみよう



沙耶「(そんなことしたら余計に怪しまれますよ)」

竜二「(……そう、だな。分かった。お前の案に乗った)」

二人は違和感がないように、たまたま後ろを振り向いて視線の主に気づいた風を装った。

竜二「あ、すみません。あのー、俺たち人をさが……アレ?」

アイリス「あ、やっぱり竜二さん!」

沙耶「……お知り合いですか?」


竜二は二人に馴れ初めや事情を話した。

アイリス「りゅ、竜二さんもライダーだったんですね……す、すみませんでした!
あの、私失礼なこと言っちゃって……!」

竜二「良いって良いって。大体あってるんだし。……それよりさ、お願いがあるんだけど……いいかな?」

アイリス「お願い……ですか?」

竜二「あぁ、ダメぁな?」

アイリス「私に出来ることなら構いませんけど……その前に、一つ。私からもお願いがあります」

竜二「お、お金だったら実は……」

アイリス「お金はいりません。ですから……」

アイリス「お願いですから、お風呂に入ってきてください」




ホテルパンドラ。
アイリスがこの街にやってきたときにこのホテルで働いており、今やアイリスが支配人となっているホテルである。
部屋はベッドとアナログテレビだけであり、風呂トイレ共同というアパートに近い質素なものであるが、
住居としては十分である。
しかし宿泊というよりは、アイリスの作る食事や、アイリス自身が目当ての客ばかりで、朝九時から夜十時まで開けている
食堂の方が主な収入源である。



沙耶「なんだか久しぶりにお風呂に入っている気がしますよ……」

竜二「ホントそうだなー……やべー眠りそう……」

沙耶「溺れますよ。ほら、もう出ましょう。アイリスちゃんが待ってますよ」

竜二「おーぅ……」


アイリス「あれ、意外と早かったんですね。カラスの行水ってやつですか」

竜二「あんまり待たせられないしね……それでアイリス」

アイリス「あ、待ってください。お話は明日にしません?
今日はもう陽も傾いてますし……竜二さんたちも、疲れて、お腹も空いているんじゃないですか?」

そういえば、朝食べてから今日は何も食べてないことを思い出す。とたんに、腹の虫の居所が悪くなってきた。

竜二「(……今日は他既明日話すか、それとも今の内に話しておくべきか……)」

>>282

話す


竜二「いや、アイリス。大事な話なんだ」

アイリス「……分かりました」

竜二「話す前に、いくつか聞きたいことがある。今日の昼ぐらいから今まで、なにか大きなニュースはなかったか?」

アイリス「……いいえ、無かったと思います。けど、いつもより警備しているライダーたちが少なかったような気はします」

竜二「じゃあ、妙な噂は聞いてないか?誰かがこの街に侵入しようとした、とか」

アイリス「……そういえば、正面ゲートで誰かが侵入しようとして戦闘があった、っていうのは聞きました」

竜二「その正面ゲートを守っていた衛兵については?」

アイリス「確か、侵入しようとしたやつに殺されたって……」

竜二「そんな風に伝わってたか……。沙耶、お前の財布は帰ってきそうねーな」

沙耶「僕の通行証もただの役立ずになっちゃいましたね……」

アイリス「え?……えぇ!?」

竜二「正面ゲートの侵入者は俺だ」

沙耶「それで殺された衛兵は僕です」

アイリス「……どうして、そんなことを?」

竜二「ここの王様がライダーなら俺の事を知ってるかと思ってお目通り叶わねーかと思ったんだが、どうもここのライダー
はキナくせぇ。俺がライダーだと知った瞬間に襲ってきやがった」

沙耶「で、竜二さんが逃げる時に僕が拉致されて脅されて今に至る訳です」

竜二「よくいうぜ。元々忠誠心の欠片もなかったくせによ。……それで、アイリス。俺たちはもうここから出て行く。
だから、もし誰かが俺たちのことを聞きに来たら、何も知らないと答えてくれ。俺たちに脅されてた、でもいい」

アイリス「……これから、どうするんですか?」

竜二「情報収集、それと優秀な人材の確保」

沙耶「……そういえば、聞いてませんでしたね。情報収集はともかく、なんで人材も?」

竜二「この世界には不確定で不特定の事がありすぎて、記憶のない俺にはどう立ち回っていいかわかんねーからな。
元が善人か悪人かも分からねぇ。だから、考えてたんだよ。とりあえずの方針を」

沙耶「方針……?」

竜二「あぁ。世界をこんな風にしていたやつを……ぶん殴る」

アイリス「…………心当たりが、あるんですか?その相手に」

竜二「いいや。けど手掛かりは持っている」

アイリス「……竜二さん。先程の答えですが……お断りさせて頂きます」

竜二「……そうか。いや、そうだな。……行くぞ沙耶。風呂、あんがとな」

アイリス「竜二さん。まだ話は終わってません」

竜二「……?」

アイリス「私の条件を飲んでくれたら、円卓の騎士団の方々には、そう伝えます。……どうですか?」

竜二「条件……?」

アイリス「私を……仲間にして欲しい」

沙耶「え……?」

竜二「どういうことだ……?」

アイリス「お返事だけを……お願いします」

>>287

わかった俺達は仲間だ


竜二「……わかった」

沙耶「りゅ、竜二さん!?」

竜二「ただし理由は聞かせてもらうぜ?」

アイリス「……復讐ですよ。こんな世界に対する、復讐。
もし、世界がこんな風になってしまった事に、誰かが原因なら……私は、その人に復讐しなくちゃいけないんです」

アイリス「褒められない事なのは分かってます。でも私がやらなくても、いつか誰かが同じ事をすると思います。
それなら、誰かが罪になる前に、私が……」

竜二「……そっか」

アイリス「……今日は、この辺にしておきましょう。お二人共、お腹空いてますよね!私、何か作りますから、食堂に来てください。何かリクエストはあります?あんまり難しいのは無理ですけど……」

>>290.291

温かいスープ


竜二「スープで」

沙耶「僕卵かけご飯で」

アイリス「お腹空いてますよねって聞いたのにスープと卵かけご飯ってなんですか!
せめてもう一品ぐらいまともなの言ってくださいよ!」

竜二「じゃー……」

>>294

ハンバーグ


竜二「ハンバーグできる?」

アイリス「ハンバーグですね、分かりました」



アイリス「スープと卵かけご飯、ハンバーグ二人前、お待ちどう」

沙耶「うわ、すっごい美味しそうじゃないですか!」

竜二「スープもうまいな」

久しぶりにも思える食事。その味は体の奥深くにまで染み渡る。

沙耶「卵かけご飯も美味しいですよ。ご飯はホカホカだし、卵は綺麗な黄色ですし」

竜二「ハンバーグもうめぇな。こりゃソースなしでもいけるな」

沙耶「ホントですね……料理の天才だね、アイリスちゃん」

アイリス「これぐらいならいつでも言ってくださいね」



竜二・沙耶「ご馳走様でした」

アイリス「お粗末様でした。今日はお二人共、もうお休みになりますか?それならお部屋の鍵をお渡ししますけど……」

竜二「そうだな……」

>>298

アイリスと話したいから部屋に連れこむ


竜二「そうだな、そろそろ休むか……」

アイリス「じゃあ、これが鍵です」

そう言ってアイリスは301と302と書かれた鍵を二人に手渡した。

竜二「俺が301だな」

沙耶「じゃあ、僕は302ですね」

アイリス「私は奥の事務所にいるので、何かあったらそこに来てください」

沙耶「分かりました。じゃあ、竜二さん、行きましょうか」

竜二「おう。……あ、アイリス。悪いけど、後で部屋に来てくれないか?話したいことがあってさ」

アイリス「? 分かりました」



アイリス「竜二さん、起きてます?」

竜二「悪いな、呼び出して」

アイリス「いえ、それで……?」


話す内容>>302

あの時廃墟で何してたか


竜二「いや、単に気になってさ。俺たちが初めて会ったあの時、あのショッピングモール……いや、無人街で何をしていたのかを」

アイリス「……痛いとこ、ついてくるんですね」

竜二「聞いちゃマズイことだったか?」

アイリス「いえ……。実はあの街のどこかに、とても強いライダーベルトがあるっていう噂があって……それを使えば、私も円卓の騎士団に入って、こんな世界にした奴に……」

竜二「復讐、か?」

アイリス「……はい。結局見つからなくて、あのショッピングモールにいたライダーに襲われて……
あとは、知っての通りです」

竜二「……そっか。悪いな、こんな時間に聞きにくいこと聞いて」

アイリス「いえ、大丈夫ですよ。それより今日はぐっすり休んで下さいね」

竜二「そうだな……」

今日はもう、寝てしまおうか……?
>>308

寝ます

何のライダーに襲われたか尋ねる

再開します

竜二「あ、そうだ。なぁアイリス」

アイリス「なんですか?」

竜二「いや、ちょっと確かめたいんだけどさ。アイリスを襲ったライダーって、どんなやつか覚えてる?」

アイリス「え?……えっとたしか、全身オレンジ色で、ハサミみたいな武器を持ってた……と、思います」

竜二「他には、見なかったか?」

アイリス「他ですか?……いえ、見てないと思います」

竜二「そっか。悪い、へんなコト聞いたな」

アイリス「いえ、それじゃあ、おやすみなさい、竜二さん」

竜二「あぁ、おやすみ」

とりあえず、あのショッピングモールに他のライダーなどはいないようだ。
いい加減疲れもピークだ。そろそろ休息をとろうか、それとも考えを纏めようか……。

>>313

ねるねる


竜二「もう寝るか……」

無意味に体力を削る必要はない。休める時にはしっかりと休んでおこう。
ベッドに倒れこむと、そのまま意識は微睡んでいく。



目を覚ますと、辺りはそこはホテルパンドラではなかった。
延々と水平線と地平線が続く砂浜。周りには何もなく、空には雲一つない。

竜二「……ここは」

男「アンダーワールド、心象風景、深層心理……呼び方は様々だが、君の場合は、わかりやすく言えば夢さ」

竜二「夢……?」

男「夢の世界は自由だ。たとえ何が起きても納得できるからね。現に君も、私がここにいることに何の驚きもないだろう?
ここでは感情なんてものは無意味になるのさ。良いか悪いかは別としてね」

確かに、目の前に自分をこんな世界に呼び出した張本人がいるにも関わらず、不思議と怒りは湧いてこなかった。

男「さて……竜二くん。実は君には少々驚いていてね。てっきり私は君は一人で戦い抜くものだと思っていたが……
なかなかどうして、君はこの世界で仲間を手に入れた。それで君に今まで以上に興味が出てきてね」

竜二「……何の話だ?」

男「こっちの話しさ。……あぁ、長ったらしい話は嫌いだったかい?なら要点だけ話そう」

男「君は……荒ぶる嵐と猛る炎、どちらを望む?」

>>317


竜二「なに……?」

男「君は面白い反応をしてくれるからね。もう一工夫加えれば、もっと私を楽しませてくれると信じているんだよ」

竜二「なんでテメェ如きを楽しませる必要がある?」

男「無論ないさ。だが、果たして今の君では倒せない敵がいることも、君は知っているだろう?」

ふと、あの黒い仮面ライダーが脳裏をよぎる。確かにあの時、竜二は直感であのライダーには敵わないことを悟った。
少なくとも、現状の自分では。

竜二「……お前のいう、ソレで俺は……今より強くなれるのか」

男「なれるともさ。もう一度言うかい?荒ぶる嵐と、猛る炎。君はどちらを望むんだい?」

竜二「……炎だ」

男「良いだろう。では君が必要とするとき、炎は君の力となるだろう。応援しているよ、竜二くん。君の仮面に、祝福を」



唐突に目が覚める。ベッドから身を起こし携帯をみると、時刻は七時半だった。

竜二「……顔洗ってくるか」

風呂場に設置してある洗面所で顔を洗い、意識を覚醒させる。

沙耶「あ、竜二さん。起きてたんですね」

竜二「なんか目が覚めてな。お前も早いな」

沙耶「元々軍属でしたから、早起きがクセになっちゃって。今日はどうするんですか?」

竜二「そうだな……」

ホテルに留まって来客から情報を集めるか、危険を冒して街に出て王の情報を集めるか、はたまた別に何かをするか……

>>322

大分経ったので↑


竜二「まだ派手に動くわけにもいかんだろ。今日は一日大人しくするとしようぜ」

沙耶「そうですね、分かりました」

アイリス「あ、ここに居たんですね、二人共。朝ごはん出来ましたけど、今よそいます?」

竜二「そうだな、お願いしていいか?」

沙耶「あ、僕も手伝うよ」

アイリス「分かりました。じゃあ沙耶さん、厨房に行きましょうか。竜二さんは食堂で待っててください」


ホテルパンドラは、その主な収入が食堂ある。
アイリスの作る食事は、どの食材を選んでも一級品に昇華させると、この辺りではもっぱらの噂である。
竜二は無論、同じ街の住人の沙耶も知らない事である。そんな二人が初めてアイリスの料理を空腹時に口にしたのなら。

竜二「……!……!」

沙耶「騎士団のご飯とは比べ物にもならない……!!」

アイリス「そんながっつかなくても、おかわりはありますよ、二人共」

竜二「おかわり頼む!」

沙耶「ぼ、僕も!」

アイリス「はいはい」

こうなるのは、至極当然である。


竜二「ふぅ……美味かったな」

沙耶「騎士団に入ってからは美味しいものがあるなんてすっかり忘れてましたよ……」

竜二「そんなにマズかったのか?あの家の本には結構美味そうに載ってたが」

沙耶「………………雑でしたね」

竜二「ざ……いや、そうか……」

あえて触れないでおこう。竜二はそう直感で悟ったのは、ライダーであるが故なのだろうか。

竜二「そういえば、お前あのベルトつけてから、何か変わったトコとこあるか?」

ふと、あの時謎の声が言った言葉……『ライダーになる者は大なり小なり、願いがある』
もし沙耶にその資格があるなら、何か変化がある筈だ。

沙耶「変わったことですか……?僕自身には何も……あぁ、でも」

竜二「でも?」

沙耶「機械のバッタみたいのは見ましたね。あれから見てませんけど……」

竜二「それ、どこでだ?」

沙耶「あの下水の警備室ですけど……」

竜二「機械のバッタか……」

そのバッタが何故沙耶の前に現れたのかは分からないが、もしライダーや、その他に重要な手がかりになるのなら、
出来ることなら手元に置いておきたい。

竜二「(どこにいるかも分からんバッタ探しなんかしてアイリスに迷惑はかけられんしな……。それにもし敵の罠だったりしたら、それこそ迷惑どころの話じゃない……)」

この広大な街での、一匹のバッタ探し。どう考えても無謀ではあるが……

竜二「(どうしたもんか……)」

>>326

今日は寝ます

時間経ったので↑2


竜二「……探してみるか、そのバッタとやらを」

沙耶「探すって言っても、昨日の今日ですよ?もし見つかったら……」

沙耶の言うことは最もだった。焦りすぎて事を仕損じれば、それは自分のみならず沙耶アイリスまで危険を及ぼしてしまう。

竜二「(……俺ひとりで行くのはどうだ……?それなら沙耶を連れて行くよりは危険が及ばないし……)

沙耶の事を考えれば自分一人で行くのがいいだろうが……
>>330

1人で行く


竜二「……あぁ、だから今回は俺ひとりで行く」

沙耶「一人でって……危険ですよ!」

竜二「お前に危害が及ぶよりは遥かにマシだ。日が落ちるまでにゃ、戻ってくるよ」

沙耶「竜二さん……」

そう言ってパンドラを後にする。誰にも見られていないことを確認しながらあのマンホールの元に行き、再度周りを確認しながら下水道へと降りていく。

竜二「さて……何処から探すか」

沙耶がバッタを見たという警備室か、あの巨大なホールか、もしくは直感で行動するか……

>>338

けーびしつ


竜二「ま、目撃情報がある場所から探すのが鉄則だよな」

そう言って竜二は下水道を抜け、警備室に直行した。途中警備や巡回の衛兵がいないか身構えたが、沙耶の言った通り人影はまるでなかった。


竜二「ここが警備室か……しかしデスクにパソコンだけとはな。監視カメラもねいし……形だけ見繕ったのか?」

目立ったゴミもなく、僅かにホコリが溜まっているだけの警備室にはまるで人の気配がない。

竜二「ここには何もないな……。廊下とかも探しとくか……?」

>>343

廊下


竜二「しかしメタリックなバッタね……罠じゃなきゃいいが」

廊下にでて辺りを探すが、それらしいものは見つからない。

竜二「うーん……やっぱいねぇな。こうなると無駄足だったか……?」

携帯を取り出し沙耶にもっと詳しい情報を聞こうかとも思ったが、生憎ここは圏外だった。

竜二「まぁ地下だしな……。どうしたもんか」

あまり長居するのは危険だ。今日はもう切り上げるか、他の場所も探索するか……。

>>347

ホール


竜二「心当たりは全部潰しとくか……」

警備室を後にし、『ノアの方舟』のあるホールにやってきた。
相変わらず存在感を示しているが、二度目のせいか慣れていた。

竜二「……あの時は気づかんかったが、結構通路が多いんだな」

数えてみると、竜二の入ってきた真後ろの通路を含めた十四個の通路に、妙に新しい作りの通路が一つの合計十五個の通路があった。

竜二「こんだけの通路を一つずつ調べていく暇なんてねぇぞ……」

これだけの通路だと、せいぜい一つの通路を調べるのが限界だろう。
自分の後ろの通路を0として、何番目の通路に行こうか……いっそのこと戻るのも良いかもしれない。

ミス
安価>>352

戻ってみるか


竜二「変なトコに出て厄介なことになったら面倒だしな……今日は戻るか」


マンホールの蓋を僅かに持ち上げて、周りの様子を伺い、人がいないことを確認して地上に出る。

竜二「……先ずは風呂だな」


ホテルパンドラ

沙耶「あ、竜二さんおか……うっ…」

竜二「何も言うな、分かってるから。……風呂入ってくる」

沙耶「洗濯しときます……」

竜二「すまん……」


沙耶「それで、どうでした?」

竜二「なんの収穫もなかったな……」

沙耶「そうでしたか……残念でしたね」

竜二「もしかしたら、お前がいないと駄目なのかもな。俺がいない間に、なんかあったか?」

沙耶「……いえ、特になかったと思います」

竜二「そうか……とりあえず、明日も探索してみるさ」

沙耶「この後はどうするんですか?」

竜二「そうだな……」

>>356

優秀な人材の情報集めとかを出来ればしたいんだが


竜二「人材探し、だな」

沙耶「人材っていっても……そんな都合よくライダーがいますかね……」

竜二「別にライダーが絶対条件じゃないさ。俺が必要とする能力を持つやつがいれば、それで十分だ」

沙耶「例えば、どんな?」

竜二「そうだな……戦闘面では俺がいるし、お前は潜入。アイリスは拠点確保に料理。
となると後は……情報、機械、医療、それに参謀のエキスパートが欲しいな」

沙耶「なるほど……。でも、心当たりは?」

竜二「ある訳ないだろ。むしろ、お前の方はいないのか?」

沙耶「一応騎士団はそれなりの規模ですから居るでしょうけど……基本的にみんな王に忠誠を誓ってますからね」

竜二「アシで探すしかないか……」

沙耶「アシっていっても、この街も相当広いですよ?」

竜二「そもそも俺はこの街の土地勘ないんだけどな……」

沙耶「あ、そうでしたね。えーっと……」

沙耶「今、ホテルパンドラがあるのが、この東地区です。で、西もここと同じく貧困層の人たちが多く住んでいます。
その他の特徴として治安が悪いのが挙げられますね。ですがその分、活気もあります」

沙耶「中心部は富裕層が中心として、一部の上級騎士と呼ばれるライダー達の住居もあります。ここはいわゆる高級地で、騎士団のスポンサーも多く、その分セキュリティも他と比べ物にならないほど高い水準になています」

沙耶「そして南方面は騎士団の本部があります。この街で最も堅牢な建物といっても過言ではないでしょう。
北地区は犯罪者を住まわしてる流刑地がありますね。それほど規模は大きくありませんが、森もあります」

沙耶「最後に……正確にはこの街ではありませんが、この街の更に西の方に、ダスト呼ばれる集落があります。
元は浮浪者達が集まってたんですが、この街を出て行った人や、元から外に住んでいた人達が集まって集落を形成したんです。治安は悪いですが腕っ節に自信がある人たちは多くいますね」

竜二「なるほど……。それが今の選択肢ってわけね」

沙耶「そうなりますね」

竜二「さて、じゃあまずは何処から探すかな……」

>>360

ダスト


竜二「……ダストにしよう」

沙耶「ダスト……ですか?でも、そうなるとまた見つからにようにダストに行く方法を考えないと……」

竜二「心配するな。もう見つけてある」



アイリス「……はい?ダストに行きたい?」

竜二「衛兵達に見つからないように出る方法があるんだろ?」

アイリス「あるにはありますけど……それを聞きに私の部屋に?」

竜二「頼む。教えてくれ」

アイリス「教えるのは構わないんですけど……本気でダストに行くんですか?」

竜二「……何か問題でもあるのか?」

沙耶「治安の事なら問題ないと思うよ。竜二さんは色々と機転も効くしね」

アイリスは未だに納得してない表情だが、やがて部屋の中から何枚かの地図を持って出てきた。

アイリス「食堂で作戦会議、やりましょうか」


アイリス「まず、この街の中と外を結ぶ道は私が見つけただけで全部で30あります。
その中で衛兵達が守っているのは10。そして人が入れいる大きさ、環境が整っているのが10です。残りはそれぞれ問題があって通ることは出来ませんでした」

アイリス「そしてその内の10ですが、安全かつダストに一番近いのが、この二つです」

アイリスが指差したのは、『東第一ゲート・現在廃棄』『西第四下水路』と書かれた通路だった。

アイリス「ここからの近さでいうのなら、この東第一ゲート。下水路を通っていくという安全面を考慮すれば、第四下水路
がいいと思いますけど……どうします?」

>>364

しまったsageてた。
再安価>>365

東第一ゲート


竜二「時間が惜しい……この、東第一ゲートだ」

アイリス「東第一ゲートですか。それなら、ここよりもう少し東に進んだところにあります。元は荘厳な造りだったんです
けど……少し前に外のライダーとの戦闘で色々崩壊ししているので、多分見ればすぐ分かると思います」

沙耶「それなら僕も知ってますから、案内出来ますよ」

竜二「わかった。頼りにしてるぜ、沙耶」

東第一ゲートに向かう前に、何か準備して行こうか……

>>369

なんか必要な物資を集める

スミマセン、ちょいと急用が入りました。
大変申し訳ありあませんが今日はここまでにします。


竜二「あぁ、そうだ沙耶。そのダストって、何か持っていたほうがいいものとかあるか?」

沙耶「ダストにですか?」

竜二「あぁ、食料とかさ」

沙耶「そうですね……」

>>376

>>374


沙耶「酒とかタバコがあればいいんですけど…」

竜二「酒にタバコか……アイリス、あるか?」

アイリス「お酒はいくつかありますけど……タバコはあったかな……。ちょっと探してきます」

竜二「すまん、頼む」

タバコは見つかった?

>>380

アイリスの父親が昔吸ってた奴がカートンで幾らか残ってた


アイリス「竜二さん、ありましたよ、タバコ!」

竜二「おぉ、サンキュ……ってカートン……?」

沙耶「うわ、しかもこれ結構高い銘柄ですよ……?しかも18mm……」

アイリス「父が昔吸ってたのが残ってみたいです。結構ヘビースモーカーでしたから」

竜二「まぁ、1カートンあれば事足りるだろ。行くぜ沙耶」

沙耶「分かりました」

ホテルを出、出来るだけ人目につかないように東第一ゲートへと向う。
竜二の先の起こした騒動のせいか昼過ぎだというのに人影はなく、二十分ほどで東第一ゲートの目と鼻の先まで来ていた。


―――東第一ゲート。
この『街』で出来た最初の四つの東西南北のゲートの一つである。
元は装飾され荘厳な造りだったが、外来からのライダーの襲撃により、その美しさは過去のものとなった。
現在は安全上の理由から一般人の通行は禁止されているが、アイリスの様な無許可で街の外に出るときによく使用されるが、衛兵が定期的に見回りをしている為に、発見されれば処罰される危険性もある。

竜二「さて、衛兵がいない事を祈るが……」

建物の影に不自然ではない程度に身を隠し、ゲート周辺に目を配る。
衛兵は……

>>384

何人もの衛兵が血だまりの中でぐったりと倒れている


竜二「……!?」

竜二の目に映ってきたのは。赤い血だまりの中で。ただ静かに。命を消していた兵士達の姿だった。
その状況を理解するのに数秒掛かり。事実を肯定する事に更に数秒。体が動くことには躊躇いはなかった。
血だまりは一見血の池にしか見えず、靴や衣類にじんわりと染み込んでいく。

沙耶「ぐぅ……!?」

沙耶は顔を背け、必死に吐瀉物を吐き出さまいとしている。それは、この場で伏している彼らに対する冒涜だと。
しかし頭で、意識で、理性でそれを納得しようにも、肉体はそれを拒み、胃にある全てのものを逆流させた。

沙耶「おえぇぇぇぇ……ゲェェッ………ェェ…」

鉄の匂いと酸の匂いが鼻孔を刺激し、更に逆流を加速させる。
沙耶の目からは、悲しみか、恐怖か、怒りか、はたまたそれら全てからか、大量の涙が零れた。

竜二「全員、死んでる……」

倒れている衛兵は六名であり、その全てが死んでいる。
恐らくは外傷による失血死かショック死であろう。その証拠に、六人全員が頭や心臓といった部分は全く傷ついておらず、代わりに腹部を抉られたり、腕や足を引き裂かれている。中には上半身と下半身が切断され、内蔵を露出させらている衛兵の姿もあった。

???「動くな!」

不意に、後ろから声が響く。
振り向くと、いつぞやの黒いライダーに変身する衛兵の男が数十人の兵とともにこちらに敵意のある目を向けている。

???「手を上げてゆっくりと立て」

???「沙耶。生きているとは思ってなかったが、まさかお前が我々を裏切るとは夢にも思わなかったよ。
……お前も立て。ゆっくりとだ」

竜二「……おい、聞いてくれ。多分アンタ達は勘違いして――」

???「アギト。次、許可なく喋ってみろ。貴様の喉を切り裂くぞ……!」

竜二「(……どうする。竜二を連れて逃げるか?……この人数相手でか?ならば戦うか?そうなれば汚名はもう拭えないな……。ここは大人しくしておくべきか……?)」

沙耶を見ると、顔は涙で崩れていた。
…………無理もない。彼らと接点があるかは竜二に知る由もないが、この場にある死体は、ほんの数日前は同僚だった彼らなのだから。

竜二「(…………どうする)」

>>389

アギトに変身する、捕まれば裏切り者扱いの沙耶が処刑されかねない

それと可能ならばホッパーゼクターが来る


×竜二「(……どうする。竜二を連れて逃げるか?……この人数相手でか?ならば戦うか?そうなれば汚名はもう拭えないな……。ここは大人しくしておくべきか……?)」

○竜二「(……どうする。沙耶を連れて逃げるか?……この人数相手でか?ならば戦うか?そうなれば汚名はもう拭えないな……。ここは大人しくしておくべきか……?)」

竜二「………」

もし、ここで。逃げたとして、彼らに応じたとしても。沙耶の命が危険なのは変わらない。
ならば、少しでも。少しでも可能性のある方に賭けよう。

ノータイムで血だまりの上を走る。男も警戒していたのか、顔色を変えずに右拳を竜二に向かい振り抜く。
さばかず、そのまま顔面に受け入れる。痛みがないわけではない。しかし気にしている余裕もない。そのまま右足を男の鳩尾に叩き込み、反動で後方に下がる。

???「ぐっ……貴様!」

竜二「変身!」

間髪いれず、竜二はアギトに変身する。

竜二「沙耶、先にいけ!俺が時間を稼ぐ!!」

沙耶「りゅ、竜二さん……!!」

竜二「早く行け!!

沙耶「…………!!」

沙耶は荷物を抱え、ゲートを走り抜ける。

???「お前たちは沙耶を追え!コイツの相手は俺がする……!」

衛兵達「了解!」

竜二「行かせ……!」

???「KMAENRAIDER!」

男の腰にバックルが現れ、男は即座にデッキケースを挿入し、変身する。
黒く輝くその姿は、アギトの姿とは一線を画していた。

???「お前の相手は俺だ、アギト」

腰からカードを引き抜き、右腕のリーダーに通す。
カードは燃え、機械的な女性の声が響く。

『ソードベント』

???「オルタナティブ・ゼロ……その首、頂いていく」

寝ます

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