櫻子「ひかり」 (109)

ゆるゆりSS
鬱(微鬱?)注意

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櫻子「んむ~……」スピー

ジリリリリリリリ

櫻子「ん~……うるへ……」

ジリリリリリリリ

櫻子「あれ、暗い……目覚ましどこ……?」ゴソゴソ

櫻子「……これか」カチ

櫻子「グゥ……」スピー

ガチャ

撫子「櫻子、起きな」

櫻子「んー……」スピー

撫子「櫻子」

櫻子「ん……ねーちゃん……こんな時間になんだよ?」

撫子「こんな時間って……起きないと遅刻するよ」

櫻子「まだ真っ暗じゃんかぁ……」

撫子「はぁ?寝ぼけてんの?遅刻しても知らないよ」

櫻子「時計……ねーちゃん電気つけて」

撫子「……櫻子?いい加減にしな」

櫻子「だってなんも見えないし!今何時?」

撫子「……櫻子、私の方見て」

櫻子「真っ暗で見えないってば!電気つけて」

撫子「櫻子、冗談もいい加減にしな!!」

櫻子「ムカッ!冗談なんかいってないし!ねーちゃんこそこんな時間に起こしてどういうつもりなんだよ!」ムキー

撫子「……」スッ

撫子(手を近づけても反応が無い……)

櫻子「ねーちゃんってば!」

撫子(……)ペチンッ

櫻子「いたっ!なんで急にデコピンするんだよー!?」ムキー

撫子(そんな……まさか……)

撫子「ご、ごめん……喉が渇いて目が覚めて、ついでに、櫻子を、か、からかってやろうかと思って……」

櫻子「なんだとー!櫻子様の睡眠を妨害した罪は重いぞ!」プンプン

撫子「ご、ごめん!今日、アイス買ってきてあげるから」

櫻子「!」キュピーン

櫻子「ふむふむ、じゃあハーゲンダゼで頼むよ」ニヤニヤ

撫子「わ、わかったよ」

櫻子(ねーちゃんやけに素直だなー。やっとこの櫻子様を敬う気になったか!)

櫻子「よろしい」フフン

撫子「起こしてごめんね。お休み」

ガチャ

撫子「嘘……でしょ……」ヘタリ

撫子「どうすれば……とりあえずお母さんに電話……」カチカチ

プルルルルルプルルルルル

大室母『もしもし、撫子?どうしたの?』

撫子「お母さん……櫻子が……」

花子「撫子お姉ちゃん?」

撫子「!」ブチッツーッツーッ

花子「そんなとこに座り込んでどうしたし?」

撫子「目……」

撫子(花子……まだ言わない方が……)

花子「め?」

撫子「目にゴミが入って……もう大丈夫……」

花子「ふーん。それよりひまねえが来てるし。櫻子まだ起きないのかし?」

向日葵「撫子さん、おはようございます」

撫子「ひま子……」

撫子(ひま子にはどうする……?ダメだ、頭が働かない……どちらにしろ花子がいるからここで言うわけには……)

向日葵「まったく……櫻子ったらまだ寝てるんですのね。私が起こしますから撫子さんはどうぞ準備をなさってください」

撫子「!さ、櫻子は体調悪いみたいだから今日は休ませるよ!」

向日葵「あら、そうでしたか。撫子さんが言うなら仮病でもなさそうですわね。顔を見て行ってもよろしいでしょうか?」

撫子「だ、だめ!」

向日葵「……撫子さん?」

撫子「あ、いや、うつすと悪いから……」

向日葵「……」

撫子「だから、ごめん。ひま子」

向日葵「……そうですか、わかりましたわ」

花子「櫻子のやつ、お腹出して寝てたとかに決まってるし」

撫子「ほら、二人ももう行かないと」

花子「あ!本当だし!いってきます!」

向日葵「櫻子にお大事にとお伝えください」

撫子「うん……いってらっしゃい」

撫子「ふぅ……」

撫子「……」カチカチ

撫子「お母さん……さっきは急に切ってごめん……実は……」

ーーーーーーー

撫子「うん、帰ってこれそう?」

撫子「よかった……今日は私も学校休むよ。お母さん帰ってくるまでになんかあると困るし」

撫子「うん、多分大丈夫。うん。じゃあ」

ツーッツーッ

撫子「……櫻子、どうして……」

ーーーーーーー

櫻子「ん……ふぁぁ~……」

櫻子「んむぅ…あれ?まだ暗い……」

撫子「櫻子……」

櫻子「うわっ!ねーちゃん!?」ビクッ

櫻子「なんで私の部屋にいんの?てか今何時?」

撫子「……」

櫻子「ねーちゃん?」

撫子「今は……10時だよ……」

櫻子「は?そんなわけないじゃん!私寝たの10時半だし!」

櫻子「ハッ!まさか丸一日寝ちゃってた!?」ガーン

撫子「……昼の10時」

櫻子「そんなわけ……あれ?」

櫻子「…………ねーちゃん……私……」ゴシゴシ

撫子「……」

櫻子「あれ……?あれ……?嘘……」ゴシゴシ

撫子「……」ギュゥ

櫻子「目が……嘘……」

櫻子「どうして……ねーちゃん?」

撫子「……」ポロポロ

櫻子「ねーちゃん……なんか変なんだ……目がさ……」

撫子「昼頃、お母さんが帰ってくるから、病院行こう」

櫻子「やだ……外出たくないよ……」

撫子「大丈夫」

櫻子「やだ……やだ……」

撫子「きっとすぐに治るよ。私も一緒に行くから」

櫻子「怖いよ……」

撫子「大丈夫だから、ね?」

櫻子「……」コクン

撫子「……」ナデナデ

櫻子「ん……」スゥスゥ

撫子「……」ナデナデ

撫子「そろそろ昼か……」

撫子「櫻子、起きたらなんか食べるかな……」

撫子「ご飯つくろ」

カチャ トットットットッ

櫻子「」スゥスゥ

ーーー

櫻子「んぅ……ふぁ……」モゾモゾ

櫻子「あれ?……あ……」

櫻子「そうだ……目が……」

櫻子「ねーちゃんどこ……?」

櫻子「ねーちゃん?」

櫻子「うぅ……」ヨタヨタ

櫻子「ねーちゃん!」

ガッ

櫻子「いたっ…!うぅ……」ジワ

櫻子「やだ、なんで見えないんだよ……」ポロポロ

櫻子「ねーちゃんどこ?……グスッ……」ヘタリ

櫻子「う……グスッ……うえぇぇぇん……」ポロポロ

カチャ

撫子「!」

撫子「櫻子!!」

櫻子「ねーちゃん……グスッ」

撫子「大丈夫?」

櫻子「暗いよ……離れちゃやだぁ……一人にしないで……」ポロポロ

撫子「ごめんね」ギュ

櫻子「うぅ……」ポロポロ

撫子「大丈夫だよ。今日は私もずっと家にいるから」ナデナデ

櫻子「グスッ……」

撫子「ちょっと離れることはあるかもしれないけど、櫻子を家に一人にはしないよ」

櫻子「グスッ……ありがとう……ねーちゃん……」グー

櫻子「……」

櫻子「お腹ペコい」

撫子「今ちょうど昼食作ってきたとこ。食べよっか」クス

櫻子「……」グシグシ

櫻子「食べる!」

櫻子「……ねーちゃん」

撫子「なに?」

櫻子「……恥ずかしいんだけど」

撫子「一人じゃ食べられないでしょ?ほら、アーンしな」

櫻子「ぐぬぬ……あ、あーん」パク

櫻子「ング……」モグモグ

撫子「はい、あーん……小さい頃を思い出すな」

櫻子「?」モグモグ

撫子「櫻子は覚えてないだろうけど、まだ赤ちゃんだったあんたにこんな風に私がご飯を食べさせたこともあったんだよ」

櫻子「ふーん……」

撫子「妹ができて嬉しくてさ、お母さんに頼んでやらせてもらったんだ」

櫻子「……」

撫子「お父さんもお母さんも仕事で忙しいから家では花子と三人でいることが多かったね。櫻子は昔っから騒がしかったけど、おかげで暇しなかった」

櫻子「……」

櫻子「……ねーちゃん」

撫子「なに?」

櫻子「……えと…手、握って欲しい……」

撫子「……うん」キュッ

櫻子「バチが当たったのかな……?」

撫子「え?」

櫻子「ねーちゃんとか花子のおやつ勝手に食べたり、あとご飯当番サボったりしたし……」

撫子「そんな……」

櫻子「ねーちゃんの手、あったかい……」

撫子「……まぁ人騒がせなあんたのことだから、目だって何事もなかったかのようにすぐに治るよ」ナデナデ

櫻子「ねーちゃん……ありがとう……」

撫子「はい、あーん」

櫻子「あーん」

ガチャ ドタドタドタドタ

大室母「櫻子!!」

櫻子「……お母さん?」

大室母「櫻子……ほ、本当なの?」

櫻子「うん……」

大室母「櫻子……うぅ……どうして櫻子が……」ギュウ

櫻子「……」

撫子「落ち着いて、お母さん」

大室母「……ごめんなさい、そうよね。撫子もありがとう」

撫子「櫻子、病院行こ」

櫻子「うん」

ーーーーーーー




学校

あかり「今日櫻子ちゃん休みなんだね」

ちなつ「向日葵ちゃん、何か知ってる?」

向日葵「……」

ちなつ「向日葵ちゃん?」

向日葵「……え?ごめんなさい、何か言いましたか?」

ちなつ「今日櫻子ちゃん休みなんだねって」

あかり「向日葵ちゃんも櫻子ちゃんのこと心配なんだね」

向日葵「そ、そんなんじゃありませんわ!ただ……」

向日葵(今朝はどうも撫子さんの様子が……)

あかり「あかりも心配だよぉ」

向日葵「で、ですからそんなんじゃ……まぁ、あの子の事ですから昨日夜更かししてたとかそんなところでしょう」

向日葵(杞憂……ですわよね……)

ちなつ「みんなでお見舞い行かない?」

あかり「行く!向日葵ちゃんも行こうよ!」

向日葵「ま、まぁお二人が行くと言うなら私もお付き合いいたしますわ」

あかり「えへへ」ニコニコ

ちなつ「」ニヤニヤ

向日葵「な、なんですの?お二人とも……//」

病院

櫻子「疲れた……」

撫子「お疲れ様。お母さんは先生と話してくるみたいだから待ってよう。ほら、こっちに椅子あるからおいで」

櫻子「うん……」

撫子「何か飲む?」

櫻子「えっと……い、いらない……」

撫子「……」

チャリ ピッ ゴトン

撫子「はい、オレンジジュース」

櫻子「え?」

撫子「変な遠慮してんじゃないの」

櫻子「……」

撫子「何年あんたの姉やってると思ってんの?ホラ、自分で開けれる?」

櫻子「……うん」

パキョッ

ゴクゴク

櫻子「ふぅ……」

撫子「今は、迷惑とか遠慮とか、余計な事気にしなくていいの」

櫻子「……」

櫻子「……ん」スッ

撫子「?」

櫻子「……一緒に飲も」

撫子「いや、全部飲んでいいよ」

櫻子「ん!」ズイッ

撫子(……ま、いっか)

撫子「ありがと」ゴクゴク

撫子「ふぅ……おいし……」

櫻子「えへへ」

大室母「おまたせ」

撫子「!」

櫻子「あ……お母さ…ん」

大室母「詳しい検査結果が出るのは明日らしいわ。……今日は、帰りましょう」

櫻子「あ……うん……」

撫子「……」

大室母「きっと治るわよ」

ーーーーーーーー



大室家

撫子「櫻子寝かせて来たよ」

大室母「そう……」

撫子「……先生に本当はなんて言われたの?」

大室母「!」

撫子「あんな顔で戻って来られたらわかるよ。櫻子が気づいたかはわからないけど……」

大室母「……」

撫子「お母さん……」

大室母「……詳しい検査結果が明日になるのは本当よ……ただ……」

撫子「?」

大室母「……ごめんなさい、明日まで待って頂戴」

撫子「……わかった」

花子「ただいまー」

撫子「!」

大室母「撫子、花子は……?」

撫子「まだ……言ってない……」

大室母「そう……でも、話さなきゃね……」

カチャ

花子「あれ?お母さんどうしたし?お仕事は?」

大室母「花子、話があるからちょっと座って頂戴」

花子「?」

ーーーーーーーーーーー



花子「……………え?」

大室母「……」

撫子「……」

花子「ふ、二人とも花子をからかってるの……?」

大室母「……本当よ」

撫子「……」

花子「そ、そんなの嘘だよ……」

花子「わかった!櫻子が嘘をついてるんだし!二人とも櫻子に騙されてるし!」

花子「お母さんに仕事を休ませてまで櫻子は何やってるし!花子が怒ってくるし!」ダッ

撫子「!!待ちな、花子!」

ドタドタ

ガチャン

花子「櫻子!!」

櫻子「ん……」

花子「櫻子!何呑気に寝てるし!」ユサユサ

櫻子「う……ん……?」

櫻子「ヒッ…!だ、誰……!?」

ドタドタ

撫子「花子!やめな!」

櫻子「は、花子……?」

花子「お母さんと撫子お姉ちゃんが変なこと言うし!櫻子が目が見えなくなったとか!」

櫻子「あ……」

撫子「花子!!」

花子「櫻子が二人に嘘ついてるんでしょ?わざわざお母さんまで帰らせて何バカなことし……」

撫子「花子!!!」

パシン

花子「あっ……う……」ジワ

撫子「ぁ……」

花子「うっ……グスッ……うえぇぇぇん……」

撫子「……」

花子「うっ……うええぇん……グスッ……」

撫子「ごめんね櫻子。花子、こっち来な」

櫻子「……」

櫻子「……待って、ねーちゃん」

櫻子「花子、こっち来て」

花子「うっ……グスッ……」

櫻子「えーと、ここか?」

櫻子「うりゃ!」ギュッ

花子「グスッ……櫻子……?」

櫻子「花子、私は今……その……目が見えない」

櫻子「でもわかる!花子は今ねーちゃんに叩かれて泣いてんだろ?」

花子「……な、泣いてないし」グシグシ

櫻子「嘘つけー!目が見えなくたってわかるんだぞ!櫻子様をなめんなよ!」

花子「……これくらい誰だってわかるし」

櫻子「えーそうかなー?」

櫻子「でもさ、ねーちゃんとか花子のことだったら見なくても結構色々とわかる気がするんだよね。だから心配すんな!」

櫻子「あとさ、怒ってたり生意気な花子は嫌いだけど泣いてる花子はもっと嫌い。だから櫻子様に好かれたかったら泣きやめ!」

花子「……なんだしそれ……櫻子のばか……」ギュウ

花子「櫻子のくせに……生意気だし……グスッ……」

櫻子「な!?生意気なのは花子だろ!妹のくせに!もっと姉を敬え!」

花子「……ごめんだし、櫻子」

花子「撫子お姉ちゃんも……ごめんなさい」ペコ

撫子「ううん……私も叩いてごめん」ナデナデ

櫻子「二人とも私がいないとダメだな!」

撫子(強いな……櫻子は……)

ーーーーーーーーー





櫻子「はぁ……」

櫻子(「私がいないとダメだな」とか、何言ってんだろ)

櫻子(人がいないとなにもできなくなったのは自分じゃん)

櫻子(……これからどうすればいいんだろ)

櫻子(……私……どう、なるんだろ……)

櫻子(身捨てられたり……するかも……)

櫻子「うっ……グスッ……ふっ…うぅ……」ポロポロ

コンコン

撫子「櫻子、ちょっといい?」

櫻子「!」グシグシ

櫻子「い、いいよ!」

カチャ

撫子「……」

撫子「櫻子、友達が来てる。ひま子とあかりちゃんとちなつちゃん」

櫻子「ぁ……」

撫子「……その…どうする?」

櫻子「い、言わないで!」

撫子「……いいの?」

櫻子「お願い……!みんなには……向日葵には……言わないで……」

撫子「……そう、わかった」

カチャ

撫子(泣いてたな……櫻子……)

撫子(バカだな、私……あの子はまだ中学生なのに……そんなに強いわけないよね……)

撫子(私がしっかりしなくちゃ)

ーーーーーーーーーーー


玄関

向日葵「あ、撫子さん。櫻子は……?」

撫子「ごめんね、櫻子寝ちゃってて」

向日葵「そう……ですか……」

あかり「あの、櫻子ちゃんは大丈夫ですか?」

撫子「……ちょっと体調くずしちゃっただけだから、心配しないで」

あかり「よかったぁ……」

向日葵「……」

ちなつ「あの、これ、プリントです。櫻子ちゃんに渡しておいてください」

撫子「ありがとう。みんなせっかく来てくれたのにごめんね」

あかり「いえ、おじゃましました」







撫子「ごめんね………」

カチャン

ーーーーーーーーーー



櫻子「ん……ふわぁ……」

櫻子「……あー、また寝てた……」

撫子「あ、起きた?」

櫻子「ねーちゃん……?ずっと居てくれたの?」

撫子「ん、まぁ…ね」

櫻子「ありがと……」

撫子「ふふ……」ナデナデ

撫子「そろそろ夕飯作るけど、何か食べたいものある?なんでも好きな物作ってあげるよ」

櫻子「ぁ……じゃあ……ハンバーグ…」

撫子「わかった。作って来るから待っててね」

撫子「何かあったらすぐ呼ぶんだよ」

櫻子「うん」

ーーーーーーーーー

ジャーーー トントントン

ピンポーン

撫子「ん?」

撫子(誰だろ?)

撫子「はーい」

カチャ

撫子「!」

向日葵「……こんばんは」

撫子「ひ、ひま子……」

向日葵「撫子さん」

撫子「な、なに……?」

向日葵「単刀直入にお聞きします。櫻子はどうして今日学校を休んだんですか?」

撫子「……さっきも言ったでしょ。ちょっと体調を崩して……」

向日葵「撫子さん」

撫子「っ……!」

向日葵「撫子さんのことですからただいたずらに隠してるわけでは無いのでしょう……何か考えがあってのことだと……」

撫子「……」

向日葵「自分にもそういい聞かせてます……でも、どうしても……」

向日葵「櫻子のことが……心配で……」

向日葵「教えて……もらえませんか?」

撫子「……あがって」

向日葵「……ありがとうございます」

ーーーーーーーーー



撫子「ごめんね、ちょうど夕飯作ってたところで。作りながらでもいいかな?」

向日葵「はい、もちろんですわ。お邪魔してるのは私ですので……」

撫子「そう……ありがとう。そこ、座っていいよ」

向日葵「はい、失礼します」カタ

撫子「……」カチャカチャ

向日葵「……あの、何かお手伝いしましょうか?」

撫子「いや、大丈夫だよ」

向日葵「そうですか……」

撫子「……」

向日葵「……」

撫子「櫻子のことね……詳しいことは教えられない……」

向日葵「ぇ……?」

撫子「ごめん……あの子がそれを望んでるから……」

向日葵「櫻子が……?」

撫子「……」コク

向日葵「そんな……どうして……」

撫子「一つ……言えるのは」

撫子「ただの体調不良じゃないってこと。明日も学校は休ませる」

向日葵「……」

撫子「いずれひま子も知ることになると思う。その時は……」

撫子「あの子のこと……支えてあげて欲しい……」

向日葵「もちろんですわ」

撫子「ありがとう……ごめんね……」

向日葵「いえ…。櫻子は……家族のようなものですから」ニコ

撫子「ふふ……昔婚姻届も書いたしね」

向日葵「なっ……///そ、そういう意味じゃありませんわ!///」

翌日

花子「行ってきます」

撫子「行ってらっしゃい」

大室母「撫子も今日は学校行きなさい」

撫子「え?」

大室母「何日も休むわけにはいかないでしょう?櫻子は私がいるから大丈夫よ」

撫子「でも……」

櫻子「大丈夫だよ、ねーちゃん」

撫子「……そっか」

めぐみ「あ!撫子おはよー!」

藍「昨日どうしたの?」

撫子「うん、ちょっと体調悪くて」

めぐみ「もう大丈夫なの?」

撫子「大丈夫だよ、ありがとう」

美穂「……」

撫子「ちょっとトイレ行ってくる」

めぐみ「いてらー」

美穂「……ねぇ、なんか撫子いつもと違くない?」

藍「んー、確かにちょっと元気無い感じするけど、病み上がりだからじゃないかな?」

美穂「そういうんじゃなくて……なんていうか、今日の撫子はいじっても楽しくなさそうというか……」

めぐみ「理由がひどいよ!?」ガーン

放課後

美穂「撫子、みんなで寄り道してかない?」

撫子「あー、まだ本調子じゃないから今日は遠慮しとくよ」

藍「大丈夫?家まで送ろうか?」

撫子「私は大丈夫だから三人で行ってきて。じゃあ」タタタタッ



藍「んー、やっぱりちょっと変だね」

めぐみ「本調子じゃないって言いつつ、走ってるし……」

美穂「どうしたんだろう……」

撫子「ただいま」

シーン

撫子「?」

カチャ

大室母「……」

撫子「お母さん?」

大室母「!」ビクッ

大室母「撫子……」

撫子「お母さん……櫻子は?」

大室母「部屋に……」

撫子「病院……行ったんでしょ?」

大室母「行ったわ……そうね、話すから座って……」

大室母「しばらくは……治らないって」

撫子「っ……!」

撫子「しばらくはってことは、いつかは治るの?」

大室母「わからないわ」

大室母「視神経が死んでしまってるらしいの」

大室母「聞きなれない言葉が出てきてあまりわからなかったんだけど、視神経を再生する医療はまだ研究段階で……」

大室母「目の治療に使うには……まだ年月がかかるって……」

撫子「そっか……」

撫子「櫻子のとこ行ってくる……」

コンコン

撫子「櫻子、入るよ」カチャ

櫻子「……」

撫子「寝てるの?」

櫻子「……なんか用?」

撫子「……ただいま」ナデナデ

櫻子「……ねーちゃん」

撫子「なに?」

櫻子「私、もうこのままなんだって」

撫子「そんなことない。いつか治せるかもしれないって……」

櫻子「いつかっていつだよ!!!」

撫子「!」ビクッ

櫻子「いつ治るの!?治せるかもしれない!?それって治せない可能性もあるってことじゃん!!」

撫子「さ、櫻子!落ち着い……」

櫻子「うっさい!目が見えないんだぞ!!このまま!!このまま……!」

櫻子「治るか治らないかもわからないまま生きるなんて……」

櫻子「そんなの……いやだよ……」ポロポロ

撫子「櫻子、お願いだから変な気は起こさな……」

櫻子「ねーちゃんにはわかんねーよ!!だってねーちゃんは……」

櫻子「目が見えるんだから……」

撫子「ぁ……」

櫻子「一人にして」

撫子「ごめんね……ごめん……」

カチャン

大室母「撫子?大きな声が聞こえたけど、大じょ……」

撫子「なんで話したの……」

大室母「え……?」

撫子「なんで医者の言ったことを櫻子にバカ正直に話したの!?」

大室母「な、なんでって……」

大室家玄関前

向日葵(また……来てしまいましたわ……)

向日葵(どうしたいのでしょう……私……)

向日葵(櫻子のことは教えてもらえない。顔も見せてもらえない)

向日葵(それでも、ジッとしていられない……あの子が隣にいないだけでこんなにも……)

向日葵(……撫子さんいらっしゃるかしら)スッ

『なんで医者の言ったことを櫻子にバカ正直に話したの!!?』

向日葵「!」ピクッ

向日葵(撫子さんの声?こんなに荒げて……)

『な・・・でっ・・・』

向日葵(この声は、櫻子のお母様?よく聞こえない……)

向日葵(……)

向日葵(……すみません、櫻子、撫子さん)

ソー カチャ パタン

撫子「櫻子はまだ中学生なんだよ!?」

大室母「じゃあどうすればよかったの?すぐに治る、すぐに治るって言い続けて何年も櫻子を騙し続けろって?」

撫子「わかんない!でも他にあったでしょ!まだ中学生なのに!目が見えないまま……」

撫子『目が見えないまま過ごさなきゃいけないなんて!』

向日葵「え……?」

向日葵(め?……目?)

向日葵(目が……?嘘……)フラ

ガタン

撫子「!」

ガチャ

撫子「ひ、ひま……子……」

向日葵「撫子さん……櫻子は……その……失明……したんですか?」

撫子「き、聞いてたの……?なんでここに……」

向日葵「撫子さん」

撫子「っ……そう……だよ」

向日葵「……櫻子の部屋にあがらせていただきますわ」

撫子「待っ……今は!」

向日葵「どうしてですか?」

撫子「ダメだった……一人にしてくれって言われちゃった……」ツー

向日葵「撫子さんが弱気になってどうしますの?今一番苦しいのは櫻子でしょう」

撫子「……」ポロポロ

向日葵「約束しましたもの。櫻子を支えるって」

コンコン

櫻子「……一人にしろって」ボソ

向日葵『櫻子、入りますわよ』

櫻子「!ひ、ひまわ……!やだ!来ないで!」

カチャ

向日葵「櫻子……」

櫻子「ぁ、いや……」

向日葵「聞きましたわ、目のこと……」

櫻子「ぁ……え……」

櫻子「え、えへへ……これなら向日葵の目障りなおっぱい見なくていいからラッキー!なんちて……」

ギュウ

櫻子「あ……」

向日葵「声が震えてますわよ、バカ櫻子」ギュウ

櫻子「ぅ……ぁ……」

櫻子「ひまわりぃ……ひまわりぃ……」ポロポロ

向日葵「はいはい」ナデナデ

櫻子「グスッ……見捨てないで……お願い……」ギュウ

向日葵「見捨てませんわよ」ナデナデ

櫻子「ひまわりぃ……」

向日葵「ずっとあなたの隣にいますわ」

櫻子「うっ……グスッ……ひまわりぃ……」

向日葵「ここにいますわ」

………

……



櫻子「ひまわ、り……」スースー

向日葵「……」ナデ

スッ

カチャ パタン

ーーーーーーーーーー

撫子「ひま子……」

向日葵「……櫻子は泣き疲れて寝てますわ」

撫子「ありがとう……」

向日葵「いえ……先程はすみませんでした。出すぎたことを言いました……」

撫子「ううん。私はお母さんに八つ当たりすることしかできなかった……」

向日葵「家に戻りますね。失礼します」

撫子「あー、えっとさ……」ギュッ

向日葵「わぷっ……な、撫子さん?」

撫子「その……少し発散しないと、楓に心配されるよ」ナデナデ

向日葵「ぁ………うぅ……」

向日葵「グスッ……さくらこ……」ポロポロ

撫子「……ありがとう」ギュウ

向日葵「どうして……グスッ……さくらこぉ……」

………

……



向日葵「すみません、お恥ずかしいところをお見せしました……」

撫子「ううん、あの子のために泣いてくれて、ありがとう」

向日葵「また櫻子に会いに来てもいいですか?」

撫子「もちろん、私が行くより喜ぶよ」

向日葵「私にできることであればなんでもしますので、手伝えることがあったら言ってください」

撫子「ありがとう。多分たくさん頼ることになると思うけど」

向日葵「あの子のためでしたら、喜んで。では、失礼します」



花子「……」

コンコン

カチャ

花子「さ、櫻子?」

櫻子「……」スースー

花子「寝てる?」

櫻子「ん……」スースー

花子「……」

モゾモゾ

櫻子「ん……?」

花子「……」ギュー

櫻子「ふぁ………花子?」

花子「……」ギュー

櫻子「えっと……何してんの?」

花子「今日はここで寝るし」ギュー

櫻子「……暑いんだけど」

花子「………」ギュー

櫻子(……いっか)

花子「……櫻子」

櫻子「……」

花子「花子ね、病気のことはよくわからないけど、櫻子の目はきっとすぐ治ると思うし」

櫻子「……そんな慰め…」

花子「もし、医者が治せなくてもね、いつか花子が治してやるし」ギュー

櫻子「!」

花子「花子が……グスッ……花子がね……頑張って……勉強して……うっ……グスッ……すごい医者になってね……櫻子お姉ちゃんの目…絶対に治すし……」ギューー

櫻子「ぁ……」ポロポロ

花子「だから……」

櫻子「……」ガバッ

花子「わっ……な、なんだし?」

櫻子「……へへっ」ギュウ

花子「く、苦しいし!暑いんじゃなかったのかし!?」

櫻子「あったかいの間違いだった!」ギュッ

花子「そんなのどうやったら間違えるし……やっぱ櫻子はバカだし……」

櫻子「ねぇ、もっかい『櫻子お姉ちゃん』って呼んでよ」

花子「う…うるさい!早く寝るし!バカ櫻子!」

櫻子「えー、ケチ!」

花子「うっさいし!」

櫻子「……」

櫻子「私さ……ねーちゃんに怒鳴っちゃった……」

花子「え……?」

櫻子「ねーちゃんは私を元気付けてくれようとしたのに……『いつ治るんだ!』『ねーちゃんに私の気持ちはわからない!』って……」

花子「……」

櫻子「ねーちゃんは謝りながら部屋から出てった……何も悪いことしてないのに……」

櫻子「でもさ……私もうわかんないんだ。頭ん中ぐちゃぐちゃで……不安で仕方ないんだ」

花子「……それは……しょうがないと思う……けど」

花子「撫子お姉ちゃんは冷静に見えるけど、きっと誰よりも櫻子のこと心配してるし。さっき会ったときもすごく落ち込んでた」

櫻子「うん……」

花子「でも謝ればきっと大丈夫だし。その上で……八つ当たりとかじゃなくて謝った上で、櫻子の不安とか全部ぶつければいいし」

櫻子「……迷惑じゃない?」

花子「迷惑なんかじゃないし。花子にも、不安とか全部ぶつけていいし。目が見えないことの不安とか、恐怖とか、花子には全然想像もできないから……きっとその方が櫻子の力になれると思うし」

櫻子「ありがとう……はなこぉ……」グスグス

花子「……もう寝るし、櫻子」ナデシナデシ



コンコン

撫子「花子、そろそろ起きな」カチャ

撫子「あれ?いない……」

撫子(ここかな?)

ソー カチャ

撫子「ぁ……」

櫻子「ん……」スースー

花子「んぅ……」スースー

撫子「……」

撫子(花子はいいんだ……)

撫子(っ……バカか、私は)

パタン

撫子(もう学校行っちゃお……)

花子「櫻子、花子もう学校行くね」

櫻子「ねーちゃんは?」

花子「もう学校行っちゃったみたいだし……」

櫻子「そっか……」

花子「大丈夫だよ、櫻子」

櫻子「うん……」

学校

撫子「……」ボー



めぐみ「美穂さんや、どう思いますか?」

美穂「どう見ても変でしょ。藍ちゃん前の席だけど何か話聞いてない?」

藍「んー、向こうからは話しかけてこないし、こっちから話しかけても空返事ばっかで……なんか常に上の空って言うか……」

めぐみ「うーん……アレの日とか?」

藍「それにしては流石に様子が変だよ。直接聞いてみる?」

美穂「昨日の様子だとまたごまかすんじゃないかな」

めぐみ「今日の放課後また誘って見てさ、機会があったら聞いてみよ」

藍「そうだね」

放課後

めぐみ「撫子、撫子が好きそうな店見つけたんだけどこれから行かない?」

撫子「私はいいや…」

藍「体調悪いの?」

撫子「別に……」

美穂「この後何か用事あるの?」

撫子「ごめん……ちょっとほっといて」

藍「ぁ……行っちゃった……」

美穂「……今日の数学の授業覚えてる?」

めぐみ「?」

美穂「数学ってうちの担任が担当してるじゃない?あの先生いつも出席番号で生徒当てるよね?」

めぐみ「そうだけど……それが?」

美穂「今日って確か撫子の番号だったと思うんだけど、当てられてなかったよね?」

藍「先生が何か知ってて、撫子を当てるのを躊躇ったってこと?」

美穂「何か聞いてた上で今日の撫子の様子を見たら躊躇ってもおかしくない……かも……」

めぐみ「とりあえず聞きにいってみよ!担任なら何か知ってるかも!」

ーーーーーーーーーー




先生「大室さんのことですか……」

めぐみ「何か知ってるんですか?」

先生「まぁ……」

藍「教えて貰えませんか?」

先生「僕も今日の大室さんの様子はすごく気になってて……ただ、大室さんに口止めされていてね……」

先生「……君たちはあの子と仲良かったね?」

美穂「はい」

先生「あの子の意思を尊重したいので詳しい事情はやっぱり話せません……これは大室さん個人の問題ではなくて家庭の問題だから、あまり深入りするのは勧めないけど……事情もわからない君たちには勝手なお願いになってしまうけど、大室さんもおそらく辛い思いをしているから、できるだけ近くにいて支えてあげてください」

藍「結局詳しいことはわからなかったね……」

めぐみ「家庭の事情じゃあまり首突っ込むのもね……」

美穂「!ねぇ、あそこに座ってるのって……」


撫子「……」ボー



めぐみ「……」

美穂「……」

藍「……」


「私、ちょっと話してみる。二人は帰ってて」

「え?私たちも行くよ」

「こういう時は複数人で話を聞くより一人の方が良いよ」

「そう……かな……」

「大丈夫、撫子は私に任せて」

「撫子」

撫子「……なんでここに?」

「偶々。撫子こそ、先に帰ったんじゃなかったの?」

撫子「……」

「となり座るね」

「……」

「撫子ってさ、あんまり自分の弱いところを人に見せようとしないよね」

撫子「……」

「弱いところって言うのも変かな?あんまり物事を人に相談しないっていうか……まぁ撫子は頭良いし相談しなくても一人で解決しちゃうんだろうけど」

「でも最近はちょっと違うよね。撫子が何に悩んでるのかわからないけど、こういう時に力になれたら、私も他の二人も友達冥利に尽きるというか、私に限って言えば恋人冥利に尽きるというか」

「話したくないことはもちろん話さなくてもいいよ。ただ、撫子が辛いときに少しでも甘えられる様な相手になれたらな、って、思ってる」

撫子「……」ポロポロ

「他の二人もね、同じ気持ち。まぁ本音としては私に一番に甘えて欲しいけど、なんて」

撫子「……り…とう……ありがとう……」ポロポロ

「うん……」

撫子「ねぇ……キスして……」

「……うん」

撫子「ん……」

「ん……」

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