アニ「私の尻チラ見してんじゃないよ」(73)

※ネタバレあり
※微エロ注意
※マルコ×アニ
※キャラ崩壊注意

―図書資料室―

マルコ「えーと、この本が新しく入って来た本で、こっちが古い本だね。こっちは捨てて・・・」ゴソゴソ

マルコ「ふぅ~、思ったより大変だなぁ。コニーたちが手伝ってくれて助かった」

マルコ(他に手伝ってくれるって言ってたジャンやベルトルトは、今日は座学の教室の方の掃除当番って聞いてたから、そっちに行ってもらったけど・・・終わったら来てくれると助かるなあ)

マルコ(あとで教室や寮に手が空いてる人募りにいこうかな)

コニー「おーい、マルコ!この本はどうすんだ?捨てるやつか?」ドサドサ

マルコ「ああ、それはねあっちの本棚の一番上に。名前順に並んでるから間に戻して行ってくれ」

コニー「りょーかい」タッタッタ

マルコ「コニーは機敏で助かるなあ」

ツンツン

マルコ「ん?」

アニ「マルコ、ここの本、何冊か表紙が無くなってるんだけど」

マルコ「え?ああー本当だね。この破れ方は誰かがむしり取ったんだね。ひどいなあ。後で補修するよ。ありがとうアニ」

アニ「あんた忙しそうだし、私が補修しようか?」

マルコ「いいの?ありがとう。やり方わかる?」

アニ「教えて貰えればたぶん」

マルコ「じゃあ、こっちの机で一緒にしようか。一回してみたら感じがわかるから」

アニ「わかった」

―――――
――――
―――

コニー「おーい!ミカサ!はしご登ってるついでに、この本もそこにさしてくれ!」

ミカサ「待って、今斜めになってるところを直してるから」

コニー「なぁー!ミカサ!聞こえてんのかぁ?」ユサユサ

ミカサ「コニー、危ないからはしごを揺らさないで。ちゃんと聞こえてる」

コニー「おい!本投げるぞ!?投げるぞミカサ!?」ブンブン

ミカサ(コニーこそ私の話を聞くべき)

ミカサ「わかった。本を渡して」

コニー「ほらよっ!」ビュンッ!

ミカサ「・・・・・・」パシッ

コニー「次行くぜー!」ビュンッ

ミカサ「・・・・・・」パシッ

コニー「よーし!どんどん行くぜ!」ブンブン

ミカサ「コニー、私の手は二つしかない。ので、本は二冊ずつにしてほしい」

コニー「なんだよー、足でとれねぇの?」

ミカサ「ブーツを履いているから無理、あとマルコがこっちを睨んでるから謝ってきて」

コニー「あー?なんで睨んでるんだ?」キョトン

ミカサ「おそらく本を投げたから怒ってる。謝ったほうがいい」

コニー「なんで怒るんだ?こっちの方が早いのに」

ミカサ「マルコは本が傷むのが嫌なんだと思う。コニー、手遅れにならないうちに早く」

コニー「わーったよ。じゃあ、本ここ置いとくから、手が空いたら戻してくれよな」

ミカサ「わかった」

―――――
――――
―――
コニー「マルコ!ミカサがお前が睨んでるから行ってこいって」

マルコ「睨んでるっていうか、まあ、そうだけど」

コニー「で、なんだよ」

マルコ「いいか、コニー。本を投げたらダメだろ、もっと丁寧に扱ってくれないと困るよ」

コニー「でも投げる方がイチイチはしご登るより、はえーよ。ミカサなんか、背表紙のとこを上手くキャッチしてたし、全然傷んでねぇと思うぜ」

マルコ「あのね、そういう物理的なこともそうだけど、物を大事にする気持ちってこと。わかるかな?」

コニー「なんだよ、説教か?俺、難しいこと言われてもわかんねーぞ?」

マルコ「なにも難しくないよ。そうだなぁ・・・身近な話だと、僕たちはあんまり服を持ってないよね」

コニー「そうだな、下着もねーな」

マルコ「そう、下着も無いよね。・・・しょうがないけど、雨で生乾きとか気持ち悪いよなあ・・・」

コニー「俺なんて洗濯するの忘れてて、履かずに何日か過ごしたぜ」

マルコ「えっ、コニーも?恥ずかしながら実は僕も1回だけあるよ。ズボンが直接当たるとゴワゴワするし収まりが悪いよね」

コニー「だよなあ」ウンウン

アニ「ねえ、話がずれてないかい?」

アニ(あとあんまり知りたくない情報を知ってしまったよ・・・)

マルコ「あっそうだね。おっとっと」

マルコ「話を戻そう。えーと、服が着れなくなると困るし、そんなに簡単に新しい服を買えるお金も無いから、僕たちはいつも繕いながら服を着るだろ。それって自分のためだけど、服を大事にしてるってことだ」

コニー「俺は別に年中裸でもいいけどな。気持ちいいし!」

マルコ「まあ確かに開放感はありそうだけど、そんな格好で過ごしてたらすぐに憲兵団に捕まってしまうんじゃないかな・・・」

マルコ「それに立体機動のベルトを裸で装備するのは痛そうだし、怪我もしそうだからおすすめできないな」

コニー「あー、そうだな。それにち●こもブラブラして邪魔そうだな」

アニ「あんた、女の子の前で何言ってんだい」

バシッ

コニー「いてっ!なんで蹴るんだ!?」

アニ「セクハラだよ」プイッ

マルコ「アニ、ごめん。僕が余計なこと言ったから」

コニー「おい、怒ってんのか?アニ、なんかしらんがすまん」

アニ「うるさいね、いいからマルコの話聞きなよ」

マルコ「で、大事にされた服はどうなるかっていうと・・・コニーには兄弟がいるよね」

コニー「おお、いるぜ!」

マルコ「うん。それで、コニーのお母さんは、コニーが着れなくなった服をどうしてた?」

コニー「俺が着れなくなった服?そりゃ弟たちが着てたんじゃねえかな?」

マルコ「そう、コニーが服を大事に着てたから、コニーに必要が無くなっても、誰かが着れたんだよね。これは例えになっちゃうけど、もしコニーが服をダメにしてたら、お母さんは自分のパンを我慢して新しい服を買う、もしくは兄弟の誰かが着る服がなくて凍えちゃってたかもしれないね。そんな時、コニーはどう思う?」

コニー「俺は・・・俺はなんてひどいやつなんだ・・・」ズーン

マルコ「あ、いや、例えばの話だからね。服に関してコニーは大丈夫だよ」

マルコ「そこで、本の話に戻るけど、大して傷まないだろうっていう気持ちで扱ってると、やっぱり傷んじゃうんだよ。自分が丁寧に扱わなかったせいで、誰かが読みたい時に読めなくなってたらかわいそうだろ?君から貰うパンを待ってたのに、君が手渡ししてやらず投げたから、落ちてパンがダメになったサシャを想像してごらんよ」

コニー「・・・・・・」

コニー「落ちたくらいならサシャは食うんじゃねぇかな・・・?」

アニ「綺麗なとこだけでも食べそうだね」

マルコ「えっ!?ええっ!?」

マルコ「ええと、じゃあ、パンは泥水の中に落ちて沈んでしまいました。ブクブクブク・・・」

コニー「・・・・・・」

アニ「・・・・・・」

マルコ「どう?サシャの顔は。それが読みたかった本を読めなかった人の顔だよ」

コニー「パンが無くなったサシャ・・・すげえ顔してるぜ・・・かわいそうだな。いつもは嫌だけど、今回だけは俺のパン分けてやりてぇよ・・・」

アニ(サシャの表情が陰惨すぎて、流石の私でもまっすぐ見れないよ・・・)

コニー「わかったぜ、マルコ!俺は本を大事に扱うぜ。サシャの悲劇は繰り返させねぇ・・・!」

マルコ「そうだ。サシャの笑顔を守るのはコニー、君だ!」

コニー「おうっ!マルコ、ありがとな!仕事に戻るぜ!」ダッ

マルコ「うん!よろしくね」

アニ「なんでサシャの笑顔を守る話になってんの?」

マルコ「えっ、あれ?なんでかな。あはは」

アニ(ふーん、真面目なだけなやつかと思ったら、案外テキトーなとこもあるんだね)

アニ「ところでマルコ、これでいいかな」ビローン

マルコ「ああー・・・なかなか独創的で趣があるけど、その付け方だとちょっと読みにくいかもね」

アニ「そうかい?うまくできたと思ったんだけど」

マルコ「ははは。もいっかいやってみようか。僕がやるの見ててね?」

アニ「うん、悪いね」

マルコ(アニって何考えてるかわかんないタイプで、ちょっと怖いなって思ってたけど、こういう可愛い失敗することもあるんだな。ちょっと意外だ)

―――
――――
―――――

コニー「ミカサ!待たせて悪ぃ!俺がやるよ」タッタッタ

ミカサ「あとこれだけだから、別にかまわないけど」ドサドサ

コニー「おい!ミカサ!!」ガシッ

ミカサ「!?」

コニー「ミカサお前・・・!」


ミカサ(?コニー・・・怒ってる?なぜ)

ミカサ「コニー、腕を掴まれると仕事ができない。そして痛いので離してほしい」

コニー「お前、お前なんてことしたんだ・・・!」

ミカサ「本をしまおうとしただけだけど、コニーは何を怒ってるの?」

コニー「お前!今本を重ねただろ!」

ミカサ「重ねたけど」

コニー「本が・・・本に挟まれて・・・傷んだらどうすんだ!?サシャはどうなるんだよ!?」

ミカサ「本は本棚に戻しても挟まれる。コニー、あなたは冷静じゃない。サシャは今日も元気いっぱい、パンをほおばっていたから安心してもいい。とにかく落ち着いて」

コニー「え、本が挟まれてもサシャはパンを食べれるのか?」

ミカサ「食べれる。だが巨人が壁の中に侵入したら食べられなくなるかもしれない。コニー、そうならないためにも私たちは訓練をがんばろう、コニーなら沢山の巨人を駆逐できると私は思う」

コニー「え、そ、そうか?お前いいやつだな!・・・そうだな!がんばろうぜ!よーし!俺、なんか燃えてきたぜ!ちょっと走ってくる!!」ダッ

ミカサ「あっ、コニー今はいけない・・・!」

ミカサ「・・・いってしまった」

マルコ「・・・・・・」ジーッ

ミカサ(はっ!・・・マルコが見ている。コニーが走りに行ったのがばれたら、まずい。ここはコニーを早急につれ戻してこないと・・・)

マルコ「アニ、ちょっと待っててね。あとそれ、貼り方違うから・・・」

アニ「え?・・・難しいね・・・全く」

マルコ「ミカサ!」スタスタ

ミカサ「マルコ、コニーなら、トイレに行くと言っていた。ギリギリまで我慢して仕事してたみたいなので走っていくしかなかった」アセアセ

マルコ(まだ何も言ってないよ)

マルコ「トイレ?僕も行ってこようかな」

ミカサ(まずい!コニーがいないのが発覚してしまう)

ミカサ「いや、マルコはここにいて。私が代わりに行ってくる。私は強い、マルコより強い・・・だからトイレは私にまかせて」ダッ

マルコ「ええっ!?ちょっとミカサ!ミカー・・・行ってしまった・・・」ポカーン

マルコ(ミカサは自由だな・・・)

アニ「ねえ、マルコ、ちょっといいかい?」

マルコ「ああうん、今行くよ」

―――
――――
―――――

アニ「なるほど、じゃあこうしたらいいんだね」

マルコ「そうそう。上手いじゃないかアニ!」

アニ「そうかい?」

マルコ「うん、最初に比べたらかろうじて本の表紙っぽくなってるよ」

アニ「でもちょっと弱い感じがするんだけど。それにページもなんか引っ張ったらとれそうだ」グイグイ

マルコ「ああ、じゃあ一回全部はがして、中を補強しようか」

アニ「わかった」ベリベリ

マルコ「うん。糊だけだとまたとれそうだから、糸を通して補強しよう。貸して」

アニ「・・・いや、私がやるから教えてよ」

マルコ「え?できるかな」

アニ「教えてくれたらできるよ。そのくらい」

マルコ「そう?じゃあ、背表紙になる方を整えて。机にトントンってするんだ」

アニ「こうだね」トントン

マルコ「そうそう。上手い上手い。あ、ページが飛び出てたらずれるから、軽く押さえてトントンするんだ」

アニ「うん」トントン

マルコ「できた?」

アニ「見てよ。どうかな?」

マルコ「うん。上手に出来たね、アニ」

アニ「次はどうしたらいい?」

マルコ「じゃあ次は穴を開けたいとこに印をつけようか。はい、これで印をつけてね」

アニ「真ん中がいいね。ここに開けたい・・・」グリグリ

マルコ「あ、うん・・・僕の言い方も悪かったけど、そういうことじゃないから、ちゃんと測りながら書こうか」

アニ(!?先に言いなよっ)

アニ「・・・今のはちょっとした冗談だよ」ケシケシ

マルコ「えっ?・・・・・・ははっ」

マルコ「あはは」

アニ「何笑ってんだい」

マルコ「あ。ごめん。アニって面白いね」

アニ「・・・・・・」

マルコ「・・・もしかして怒った?」

アニ「別に怒ってないよ。いいから、どこに穴開けるか教えなよ」

マルコ「ならいいけど・・・、僕が抑えてるから、定規で測って、等間隔に印を付けてって」

アニ「わかった」グリグリ

マルコ「・・・・・・」

アニ「・・・・・・」

マルコ(間近に見ると、アニってすごい鼻高いし、まつげ長いし、肌白いなあ・・・。いつも怖い顔してるけど美人だし、髪の毛も結構サラサラで綺麗だなあ・・・)ジーッ

マルコ(それに、手小さいな。あ、でも胸は結構大きいな・・・。あ、あはは、何見てるんだ僕は。でもこうして見るとアニって可愛いかも)

アニ「ちょっと」

マルコ「・・・・・・」ジーッ

アニ「?」

アニ「ちょっと、マルコ」

マルコ「はっ!あ、え?何?」ビクッ

アニ「できたよ。これでいい?」

マルコ「あ、うん、良いかんじだよ。じゃあ目打ちで穴を開けようか。怪我したら危ないから僕がやるよ」

アニ「私がやるよ。立体機動で刃扱ってるのに目打ちくらいで怪我なんかしないよ」

マルコ「そう?刃の扱いは得意でも、裁縫や工具の扱いが苦手な場合もあると思うけど・・・まあ、そんなに難しいことじゃないし大丈夫かな」

アニ「大丈夫だよ、ほら貸しな」

マルコ「はい。気をつけてね」

アニ「・・・・・・・」

アニ(えーと、印の上から突き刺したらいいんだね)グッ

マルコ「あっ、アニ、そうじゃなくて紙を少しずつとって・・・」

アニ「!?」ズルッ

マルコ(危ないっ!)バッ

ガリッ

アニ「あっ!」

マルコ「痛っ」

アニ「ご、ごめん!大丈夫・・・」

マルコ「大丈夫大丈夫、ちょっと皮切っただけで、血も出てないから」

マルコ(ちょっとアニの手に触れちゃったけど・・・。やっぱり小さくて、それに・・・なんか・・・すべすべしてたな)ドキドキ

マルコ「じゃあアニ、気を取り直して、紙はね、少しずつとって開けていったらいいよ。やってみて」

アニ「う、うん・・・」グッ

アニ(今、滑った時にマルコがとっさに手を重ねてくれなかったら、私の手に刺さってたね・・・)チラッ

マルコ「?」

アニ「ありがと、助かったよ。あんた、かばってくれたろ」

マルコ「え?ああ、とっさに手が出ただけだから気にしなくていいよ」

アニ「あんたっていいやつだね」

マルコ「ははっ・・・どうも。心配してくれるアニもいいやつだと思うよ」

アニ「・・・私はいいやつなんかじゃないよ」

マルコ「なんで?」

アニ「・・・いや、なんでもない。穴、こんなかんじでいいかな」

マルコ「うん。・・・そういえばさ、アニは兵団はどこ希望なんだっけ?」

アニ「私は憲兵団だよ。あんたは?」

マルコ「僕も憲兵団だよ」

アニ「まあ内地で一番安全だし、楽だしね」

マルコ「いや、僕の夢は王の近くで働くことだから、そういうんじゃないよ」

アニ「ふぅん、あんた真面目だね。でもさ楽したいやつらや、自分が一番可愛い奴らが集まってる組織なんて、あんたが夢見てるようなもんじゃないと思うけど」

マルコ「そうかな・・・でも、もしそうだとしても、誇りを持って働いていれば組織を内側から変えることも・・・できるんじゃないかな。皆が皆腐っちゃいないと、志を持って憲兵団を目指す人たちもいる・・・って、僕はそう思うよ」

アニ「……」

アニ「いるかな、そんな特殊なやつ」

マルコ「特殊って・・・普通だろ?」

アニ「あんたはさ、知らない誰かのために本を大事に扱うことができる人間だろ。そして、それが正しいと思ってる。皆あんたみたいな人間だったら譲り合って、本はずっと綺麗なまま本棚にしまわれてて、皆が読みたい時に読める」

マルコ「うん・・・?」

アニ「でもさ、正しいことが何かわかってても、それを実際するかっていうとするやつとしないやつがいる。憲兵団に行くようなやつらの大半は読み終わった本を自分のものにしたり、皆そうしてるし、そのほうが自分の利益になったり、楽だったりするから」

アニ「本棚に戻さなくちゃって、悪いことなんだって思ってても、無意識でも、皆捨ててるんだ。その中あんたはひとり、本棚に本を戻す。でもあんたの戻した本はまた誰かに捨てられるんだ。正しいことしてるけど、あんたのしてる行動を皆どう思うかな」

マルコ「うーん、馬鹿みたいって思われるかな?」

アニ「それって特殊なやつだろ?」

マルコ「ああ、まあ、そういうことか。そういう環境の中ならそうかもね。でも僕はそういう特殊なやつ、いると思うよ」

アニ「・・・まあ、あんたがそう思うんならいるかもね。悪いね水指すようなこと言って」

マルコ「いやいいよ。気にしないで」

マルコ「でもその話からすると僕も特殊なやつになるな」

アニ「・・・・・・」

マルコ「アニは・・・」

アニ「・・・・・・」

マルコ「アニはそういう時は本を戻すタイプ・・・かな?」

アニ「・・・私は、自分が読むことしか考えないし・・・周りに流された扱い方をするだろうね」

マルコ「そうかな?」

アニ「こんな補修なんかもきっとしないよ。悪い奴だろ?」

マルコ「悪いっていうか、まあそういう人も普通にいるんじゃない?」

アニ「・・・普通かな」

マルコ「うん、だってそういう人がいなかったら、僕らここでこんな補修なんてしてないよ。アニが言いたいのは、憲兵団にはそういう人が多いんだってことだよね。そういう人個人は別にそんな珍しいわけじゃないよ。どこにだっているし、それに誰だってそういう面はあるだろ?」

アニ「・・・ありがとう」

マルコ「ん?何かわかんないけど、どうしたしまして?ところで、流されるってことはアニは結構怖がりなのかな?」

アニ「そう見えないかい?」

マルコ「あ~うん、怒られるかもしれないけど、正直言うとすごく強そうに見えてた。実際体術がすごく強いし」

アニ「私だってこう見えてかよわい乙女なんだ」

マルコ「ごめんごめん。僕が何を言いたいかっていうとね」

アニ「?」

マルコ「もしアニが悪い奴でいるのが嫌だったらさ、周りに流されずに、本棚に本を戻したいって思ったらさ。僕が一緒に戻すから、頼ってくれたら嬉しいなって」

アニ「え?」

マルコ「そしたら怖くないと思うんだけど。僕もひとりで特殊なやつ扱いされなくてすむし。あはは」

アニ「やっぱあんた特殊だよ・・・でもまあその時は頼むよ」

マルコ「あとさ、僕はアニのこといいやつだと思うから、僕が頼んだらきっと・・・君は今みたいに僕を手伝ってくれると思うな」

アニ「どうだかね」

マルコ「まあ、一緒に憲兵団に入ったらの話だけど」

アニ「あんた成績いいからきっと配属されるよ」

マルコ「アニも今の成績なら間違いないよ。一緒になったらよろしくね。同期仲間が一緒だと心強いな」

アニ「まあ、その時はよろしく・・・」

マルコ「うん。ええと、じゃあ穴は開いたから紐で閉じていこうか」

アニ「わかった」

マルコ(特殊かあ・・・ジャンに慣れてるからあんまりショックじゃないけど、アニって結構きついことも言うなあ・・・けど、そんなに僕の志願理由っておかしいのかな?いや、そんなことない)

マルコ「紐がずれないように背に溝をちょっと掘るね。これは僕がするから見てて」

アニ「わかった」

マルコ「・・・・・・」ザリザリ

アニ「・・・・・・」

マルコ「・・・・・・」ザリザリ

マルコ(うーん、沈黙・・・)チラッ

アニ「・・・・・・」ジーッ

マルコ(眉ひとつピクリともせずに僕の手元見てるなあ。そういえばアニっていつも無表情っていうか、どこか遠くを見てるような何も見てないような。笑ったらどんな感じなんだろう・・・笑う時もあるのかな)

マルコ(・・・笑わせてみようかな。でもどうやって?コニーなら、失笑だとしてもなにか面白いことをして見せて、アニを笑わせることが出来そうだけど・・・。僕にはコニーの真似なんてできないしな)

マルコ(うーん、四つん這いになって馬の真似をして「何の真似だと思う?馬?ブッブー!ジャンです」とか・・・?いや、僕は友達に対してなんてこと思ってるんだ。ジャンはそんな馬面じゃないぞ。いや、ちょっと馬っぽいけど・・・いやいや、ジャンはかっこいいよ。まああまり下手なことはしないでおこう)

マルコ「・・・・・・」ザリザリ

アニ「・・・・・・」ジーッ

マルコ「ごめん、僕と二人きりだと退屈だよな」

アニ「は?」

マルコ「いや、作業の話とか真面目な話以外あんまり話題なくて、退屈かなって」

アニ「別に」

マルコ「あ、そ、そう?」

アニ「あんまりうるさいのも好きじゃないし・・・それにあんたといるの嫌いじゃないよ」

マルコ「ええっ!?」ザリッ

マルコ(ああっ、溝失敗した・・・!というか、今のはどういう意味なんだろう。まあ・・・別に深い意味はないだろうけど、ちょっとドキッとしてしまった)

アニ「あんたってちょっと私の知ってるやつに似てるんだ」

マルコ(あ、そういう・・・)

マルコ「へえ、どんなとこが似てるの?」

アニ「・・・穏やかなとことか、喋り方もちょっと似てる。あんた優しいし、そういうとこも似てるね」

マルコ「ふぅん。なんか褒められてるみたいで嬉しいな。ありがとう」

アニ「でも、まあ・・・そいつはあんたと違ってかなり泣き虫だけどね」フフッ

マルコ(あっ!)ドキッ

マルコ(笑った・・・)

マルコ「アニはその人のことが好きなんだね」

アニ「・・・え?」

マルコ「違ったかな?なんか、表情が柔らかかったから大事な人なのかなって思ったんだ」

アニ「そうだね、同類っていうか、まあ縁の深いやつだけど」

アニ(運命共同体みたいなもんだし・・・そういう意味でも)

アニ「好きかは別としても、大事な人っていうのはそうかもね」

―――――
――――
―――

―座学の教室―

ベルトルト「ぶえっくしゅ!!」

ジャン「なんだあ?風邪か?」

サシャ「大丈夫ですか?」

クリスタ「あ、鼻紙あるよ、使う?」

ベルトルト「ありがとう・・・風邪じゃないんだけど、なんか突然むずむずして・・・」チーン

クリスタ「掃除してるからホコリが舞ってるのかなあ」

サシャ「窓をいっぱいに開けましょうか」ガラッ

ジャン「そりゃ誰かに噂されてんじゃねぇか?」

クリスタ「あ、噂されるとくしゃみでるって聞いたことあるかも。誰かがベルトルトの話してるのかもね」

サシャ「ライナーですかね」

ベルトルト「なんでライナー・・・」

ジャン「他にお前のこと気にする奴なんているか?」

クリスタ「ちょっとジャン!なんてこと言うの!」

サシャ「そうですよ。ベルトルト、私はご飯時にベルトルトがパンくれないかなって毎日気にしてますから!安心してください」

ベルトルト「え・・・あ、うん・・・ありがと・・・でもそれ僕じゃなくてパンを気にしてるよね・・・」

―――
――――
―――――

―図書資料室―

マルコ「そうか、アニもそういう人がいるんだね」

アニ「あんたはいないの?」

マルコ「僕?うーん、それは女の子で好きな人がいるかって話でいいかな?」

アニ「それでも別にいいけど」

マルコ「まあ、今のとこ別に好きな子はいないな。ちょっと気になる子ができたくらいで」

アニ「ふーん」

マルコ「だからアニのこともっと話してほしいな」

アニ「は?」

マルコ「なんかアニのこと気になっちゃって」

アニ「な、なんだい突然、あんた素朴なふりしてとんだジゴロ野郎だね」

マルコ「えっ!?あ、ご、ごめん。流れ的に僕がアニを好きになっちゃって口説いてるみたいになったけど、そういうわけじゃなくて///」アセアセ

アニ「は?私のことなんて別に好きじゃないっていいたいのかい?」

マルコ「そんなこと言ってないだろっ!ええと、ううーん、アニが女の子で可愛いから仲良くなりたいとか、そういう下心で言ってるわけじゃないのはわかってほしいんだけど」

アニ(・・・可愛い!?)アセッ

マルコ「いや、下心が全くないってわけでもないんだけど・・・アニって僕と正反対で興味あるんだ。さっきの僕が特殊とかいう話も面白かったし。アニから見た世界っていうか、僕が思いもよらないことを考えてるんだなって思ったら、もっと話が聞きたくなったし、それに仲間としてもっと仲良くしたいって。今そう思ってる」

アニ「私はあんたと仲良くする時間があるほど暇じゃないんだ」

マルコ「えっ・・・あ、ああ、そう?そっか・・・残念だよ。ははっ・・・しかしアニって言い方キツイな・・・ジャンみたい・・・」

アニ「はぁ!?」

マルコ(うわっ!アニ、顔怖っ・・・!)

アニ「訂正しな」

ゲシッゲシッ

マルコ「足蹴らないでくれよっ…!訂正って!?」

アニ「私はジャンみたいじゃない」

マルコ「いや、言い方が結構似て・・・」

アニ「ジャンじゃない」ゴゴゴ・・・

マルコ「あ、うん。ごめんなさい・・・」

アニ「わかればいいんだよ、まったく・・・」

マルコ(まあ僕はジャンのキツイとこも気に入ってるんだけど。誤解されやすいから心配なとこではあるけど、僕には無い部分だからね。でも悪口と思われたのかもな、フォローしておくか)

マルコ「あ、でもそういうキツイとこも好きなんだ」

アニ「いつまで口説いてるんだよ、恥ずかしい。あんたがMなのはわかったから」

マルコ(なんか誤解されたな・・・)

マルコ「うん・・・」

アニ「あのさ」

マルコ「ん?」

アニ「さっきは言い方が足りなかったから、悪かったよ。私は誰かと特別仲良くする気はないって言いたかったんだけど。また一緒に本直したりくらいは、たまにならしていいよ」

マルコ「え?」

アニ(さっきは急に可愛いとか言うからちょっと戸惑ってキツイ言い方になったんだよ)

アニ「あんたのこと別に嫌いじゃないし・・・」

マルコ「あ、ありがとう。僕もだよ」

アニ「・・・・・・」

マルコ「・・・・・・」

マルコ(あ・・・ダメだこれ、すっごい恥ずかしい///コニーたちどこまで行ったんだろう・・・早く帰ってこないかな)ソワソワ

マルコ「アニ、あのさ、ええーと、えっと、あ、そうそう。本。溝掘れたから、紐で本綴じようか」

アニ「そうだね。どうやるんだい?」

マルコ「ええと、糸をここの穴に通して、次はこっちの穴に通して・・・」

アニ「同じ方向から見ないとよくわかんないね。隣でやってよ」

マルコ「あ、うん」

マルコ(うっ、近い。うわ~隣に立つとアニってちっちゃいなあ。あはは、つむじ見えるw)

アニ「ほら、教えてよ」

マルコ「ああ。見ててね。まずこう・・・」

アニ「ふーん・・・」ジーッ

―――
――――
―――――
―宿舎・廊下―

ミカサ(コニーを探して宿舎まで来てしまった。コニー、どこに行ってしまったの)タッタッタ

ミカサ「コニー!」キョロキョロ

コニー「なんだ?」

ミカサ「コニー。ちょうど良かった。今私はコニーを探しているんだけど、見かけなかった?こう・・・丸い頭をしている」

コニー「え?なんで俺に聞くんだ?いや・・・俺はコニーを見かけてねぇな・・・???」

ミカサ「そう・・・ありがとう。他をあたってみる」タッタッタ

ミカサ「・・・・・・」

ミカサ「・・・・・」クルッ

コニー「お?どうしたんだ?」

ミカサ「コニー、図書室に帰ろう」ガシッ

コニー「ん?お前の探してるコニーって俺のことだったのか?」

ミカサ「私の知ってるコニーはこのコニーしかいない。あなたしかいない。さあ、立って。帰ろう」グイグイ

コニー「いいけどよ。俺、全力で走りすぎて足が今、生まれたての馬なんだ。ほら、これ見てくれよ」プルプルプル

ミカサ「立てないの?」

コニー「今すぐは無理だな」プルプルプル

ミカサ「仕方ない。私の背中に乗って」サッ

コニー「おんぶかよ!やだよ、恥ずかしい!」

ミカサ「コニー。わがまま言わないで」

コニー「ええ~でもよぉ・・・誰かに見られたらかっこ悪ぃし」

ミカサ「コニーがカッコ悪いと思われても、私がかっこいいと思われるはず。つまりプラスマイナスゼロ。普通になる。ので心配しなくていい」

コニー「え?俺計算苦手だからわかんねぇよ」

ミカサ(ダメ。コニーは説得するのに時間がかかる。こんな時アルミンならどうするの。教えて、私の脳内アルミン)ウーンウーン

ミカサ「・・・・・・」アルミンミンミンミン・・・

ミカサ「・・・・・・」ミーン!

ミカサ「・・・後ろがダメなら前がある。コニーくらいなら私でもきっと抱えられる」ガッ

コニー「え?・・・って、うおっ!!??」

ミカサ「ふっ!」グイーン!

コニー「おっ、お前っ!これは・・・!!」

ミカサ「お姫様抱っこだけど、仕方ない。コニーがおぶさらないからこうするしかなかった」

コニー「なんだこれ!?すっげえカッコ悪ぃよ!お、おろしてくれ!」ジタバタ

ミカサ「私がカッコいいから相殺されると言ったはず。だから安心していい。暴れると・・・おっと、手が」バッ

コニー「うわあああああ!!落ちるっ!!」ズルッ

ミカサ「・・・滑って落としてしまうかもしれない。気をつけて」ガシッ

コニー「わかった!わかったよ。お前の言うとおりにするよ」

ミカサ「それでいい。じゃあ図書室に帰ろう」スタスタ

コニー「なあ・・・」

ミカサ「何?」スタスタ

コニー「これってよ、なんかおっぱいあたって気持ちいいな!」

ミカサ「」ドサッ

コニー「いてっ!」ドスッ

コニー「いてて、ケツ打ったじゃねえか・・・なんで急に・・・」

ミカサ「エレンにも触られたことがないのに・・・」プルプル

コニー「おい、どうしたんだ?」

ミカサ(よし、無かったことにしよう)

ミカサ「コニー!」キョロキョロ

コニー「なんだよ?なにやってんだ?俺はここにいるぞ?」

ミカサ「コニー。ちょうど良かった。今私はコニーを探しているんだけど、見かけなかった?こう・・・丸い頭をしている」

コニー「そりゃ俺だな」

ミカサ「そう・・・ありがとう。他をあたってみる」タッタッタ

ミカサ「・・・・・・」

ミカサ「・・・・・」クルッ

ミカサ「コニー、図書室に帰ろう」ガシッ

コニー「お、おう。帰るけど・・・」

ミカサ(よし、私は時を戻した。コニーに胸を触られていないとこまで戻した)ウンウン

ミカサ(でもコニーにはお仕置きが必要。デリカシーというものがない)

ミカサ「コニー、歩けるようになるまで、ここに座って一緒に休もう」

コニー「お、いいのか?なんだよ、俺エレンじゃないのに今日は優しいな」

ミカサ「今日は特別。それより足が治ったら言って。追いかけっこしながら帰ろう」

コニー「いいぜ!楽しそうだな!」

ミカサ「コニーが立ち上がってから30秒後に私が追いかける。私に追いつかれる前にマルコのとこにたどり着けばコニーの勝ち」

コニー「お前が鬼か。まあ、足の速さなら自信があるからな。負けねーぞ!」

ミカサ「私も負けない。私が勝ったら、コニーには私の言うことを聞いてもらう」ゴゴゴゴゴ・・・

コニー「・・・なんか・・・なんかさ、怒ってんのか?その顔すげぇ怖いんだけど・・・」

ミカサ「コニー、私の胸があたったことを誰かに言ったらどうなるか・・・わかる?」

コニー「・・・・・・」サーッ

ミカサ「・・・・・・」ジーッ

コニー「お、おっぱいのことかよ!別に言わねーよ!!だからそんな顔でこっちみんなよ!こえーよ!」ドキドキ

ミカサ「コニー、おしおきはもう始まっているの」

コニー(やばい、足が治っても治らなくても俺は死ぬ)

―――
――――
―――――

―図書資料室―

アニ「・・・ふう、できた」

マルコ「うん!いいね、アニ。上手い上手い」パチパチ

アニ「ほんとかい?」

マルコ「見た目が汚いのはともかく、糸がしっかりとまってるし上手に出来てるよ。これでアニは本の補修名人だね!」

アニ「そうかい、あんたの教え方が上手いんだよ」

マルコ「じゃあ次はこっちを頼むね」

アニ「ああ」

マルコ「もうひとりで大丈夫だと思うから、僕はこっちで本の仕分けするね。何かわからなくなったら声かけてよ」スタスタ

グイッ

マルコ「ん?どうしたの?僕の服の裾が伸びるだろ」

アニ「もう一冊だけ一緒にやってくれないかな」

マルコ「いいよ」

アニ「やり方はわかってるんだ。確認だから」

マルコ「うん、じゃあどの本直そうか。この本が薄くてすぐできそうだからこれにするか」パッ

アニ「いや、こっちの床にあるこれにしよう」グググ・・・

マルコ「それ図鑑だから時間かかりそうだなあ。こっちにしようよ?」

アニ「これがいい」グググ・・・

マルコ「わかったわかった。重いだろ?貸しなよ」ヒョイッ

アニ「・・・あんたって力持ちだね」

マルコ「うん、皆と同じように鍛えてるからね。ライナーやベルトルトやフランツにはかなわないけど、僕も背が高いほうだし。細く見えるかもしれないけど、結構、力もあるほうだと思うよ。ほらっ力こぶっ」ムキッ

アニ「私だってそのくらい出るよ」ムキャッ

マルコ「うん、可愛い力こぶだね」ニコニコ

アニ「・・・脚の筋肉はきっと私のほうがある」シュッ

マルコ「そうだね。アニは蹴り技がすごいし、下半身強そうだね。お尻もギュッとしまってて、意外と大きいし・・・」

アニ「は?」

マルコ「あ、ええ、いや、ごめんっ。アニってスタイルいいなって思って。こう、ボンキュッボン・・・じゃなくて、その。あ、あのごめん、セクハラだ」アセアセ

マルコ(間違って口に出して言ってしまった)

アニ「・・・マルコが爽やか装って、ジゴロに加えてスケベ野郎だったとは」

マルコ「ジゴロはやめてくれよ。それに男はみんなスケベだよ」チラッ

アニ「私の尻チラ見してんじゃないよ」バッ

マルコ「ああっ、ごめん」

アニ「・・・・・・触ったら蹴るから」

マルコ「わかってるよ」アセアセ

アニ「じゃ、図鑑直そう。これは大物だからね、あんたに教えてもらいながらじゃないとできないね」

マルコ「はいはい・・・」

マルコ(アニって賢いし、覚えもいいから、たぶんこの図鑑もひとりで直せると思うんだけどなあ。なんだろ、もしかして甘えてきてるのかな?なんで?仲良くしたいと思ってくれてるのかな?)

マルコ「じゃあ内側のページが取れてないか確認しようか」バサバサ

アニ「そうだね」ジーッ

マルコ「あのさ」ペラ・・・ペラ・・・

アニ「なに?」

マルコ「アニって勉強熱心なんだな」

アニ「そうでもないけど、なんで?」

マルコ「もうできるのに僕に教わりたがるから」

アニ「・・・確認だって言っただろ。教えたくないなら別にいいよ・・・あっち行けば」

マルコ「いや、そういう意味じゃなかったんだけど。イヤミに聞こえちゃう言い方だったな。ごめん。一緒に直そう」

アニ「そういう意味じゃないって、どういう意味なのさ」

マルコ「え?うーん、これは言ったら蹴り殺されるかもな・・・」

アニ「言いなよ。別に蹴らないから」

マルコ「怖い顔もしない?」

アニ「それはわかんないね」

マルコ「じゃあ言わないでおくよ」

アニ「あっそう・・・」

マルコ「うん、気にしないで」ペラペラ

アニ「・・・いや、やっぱ言いなよ。気になるだろ」

マルコ「じゃあ言うけど・・・アニってもしかして甘えん坊なのかなって思って」

アニ「は?」ドキッ

アニ「なにいってんだい、私のどこが・・・」

マルコ「いや、さっき怖がりだって話もしたし、アニって見た目はツンとしてて強くてかっこいいけど、中身は怖がりで甘えん坊な小さい女の子ぽい感じがしたんだ。なんて・・・僕の気のせいかな?」

アニ「気のせいだね。そんなの」

マルコ「気のせいかな。なんか僕に教わりたがるアニが、僕のことお兄ちゃんかお父さんみたいに感じてるのかなって思ったんだけど。いや、お父さんはないか」

アニ「・・・・・・ないね」

マルコ「そっか。でも頼ってくれるのは嬉しいよ」ニコッ

アニ「・・・別に・・・」フイッ

アニ(教えてもらって、上手く出来たら褒められて・・・でも・・・)

アニ(別にお父さんと重ねたわけじゃない・・・)

アニ(重ねたわけじゃないよ・・・)

アニ(・・・お父さん・・・)

―――
――――
―――――

アニ「・・・・・・」ズーン

マルコ(まいったな・・・。さっきからアニがうつむいて黙ったままだ。やっぱり言わなかったら良かったな・・・困った)ペラペラ

マルコ「アニ、疲れただろ?部屋に戻って休んでもいいんだよ?あとは僕がやっておくから」

アニ「えっ?・・・いや、大丈夫だよ。ちょっと考え事してただけ」

マルコ「そう?無理するなよ?」

アニ「してないよ」

マルコ「ならいいけど、なんか元気なくなっちゃったし、心配なんだ」

アニ「あんたってさ、早死しそうだね」

マルコ「えっ・・・やめてくれよ。ひどいな。あ、さっきの甘えん坊発言に怒ってるんだろ?」

アニ「そうじゃなくて、違う」

マルコ「違うって?」

アニ「あんた・・優しすぎるから」

マルコ「そうかな?ええっと・・・ありがとう。でも早死にはしたくないな。あはは」

アニ「ごめん」

マルコ「いや、いいよ。早死しないように強いアニのそばにずっとくっついていようかな。あ、でも邪魔だってアニに蹴り殺されるな。あ、だめだ。早死するな、これは」

アニ「なにいってんだい、私はそんなに乱暴者じゃないよ」

マルコ「ははっ・・・そうだね。アニはか弱い乙女だった」

アニ「あんたねぇ・・・でもあんたって、意外と冗談も言うんだね」フフッ

マルコ(あっ、今笑った・・・!)ドキッ

マルコ「まあ、少しはね。仲間内で冗談言うのはライナーとかコニーが多いけど。特にコニーは天然だし、面白いよ。アニも今度コニーと話してみなよ。きっと好きになると思う」

アニ「ふぅん。まあ気が向けば。ところでコニーといえば、どこ行ったんだろうね」

マルコ「あっ、そうだな。そういえばミカサも遅いな。探してこようか」

アニ「ほっときなよ。どうせそのうち戻ってくるだろ。それより糊が乾かないうちにここ挟むから、上から押さえてくれない?」

マルコ「ああ、了解」グッ

アニ「えっ?ちょ、ちょっと・・・横からでいいんだよ。なんで後ろからっ」ビクッ

マルコ「あっ!?ご、ごめん。でも変に動いてずれるといけないから、今のうちにさっと金具で挟んで固定しちゃって」

アニ「わかったよ」グイグイ

マルコ(ああっ。コニーたちのこと考えて意識してなかったから、思わずアニの真後ろから本の上に両手をついてしまった。これじゃアニを後ろから抱え込んでるみたいだな。しかもまあまあ密着してしまった。なるべく体が当たらないよう気をつけてっと・・・。しかしアニ、小さいなー。抱きしめたらすっぽり僕の腕の中に収まりそうだ)ドキドキ

アニ「よいしょっと。これでいいだろ。マルコ、いいよ」

マルコ「あっ、うん―――」

ダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!!

コニー「うわあああああああああ!!マルコおおおお!!!助けてくれええ!!!」ダダダダダダダ

マルコ「!?」

コニー「マルコおおおお!!!!」ガバッ

マルコ「えっ!?うわっ!!」

ドンッ!!ドシーッ!!!

アニ「!?」ガタッガタッ

アニ「マルコ、なにすんだい。上に乗ってきて、重い・・・!」ジタバタ

マルコ「ご、ごめんアニ。コニーが・・・!!」

マルコ「コニー!?どうしたんだ!?突然抱きついてきてっ!というか、背中に乗って押さえつけないでくれっ。アニが僕の下敷きになってる!」

マルコ(しかもアニの後ろから本を押さえてた体勢だったから、僕の腕の上に、アニの胸が乗っかって、その上から僕が乗っかって、コニーが乗っかって・・・。アニがジタバタして胸がムニュムニュしてて・・・女の子の胸ってこんな柔らかくて気持ちいいなんて・・・腕が幸せだ。って、ダメだダメだ。変なこと考えちゃ!)

コニー「マルコおおおおお!!!助けてくれよおおおお!!!!」ガッガッガッ

マルコ「だ、だから背中で跳ねないでくれよ!!いてっ、いてて」アセアセ

アニ「なにやってんだい!?早くどきなっ!!」ジタバタ

マルコ「そう言われれも、コニーがっ、それにアニもジタバタされると・・・」アセアセ

マルコ(さっきから、アニのお尻が僕の・・・チビマルコの近くに当たってて、動かれると・・・。アニのお尻すごい弾力だし、ボリュームもなかなか・・・///ああっだからダメだって、チビマルコがデカマルコになったらやばい!!!というかすでにちょっとなりかかってるけど・・・、これ以上はアニに気づかれる!!)

マルコ「コニー!落ち着け!どくんだ!」グググッ

コニー「マルコおおおお!!!ミカサがくるっ!!!」ギュウウウウ

マルコ「だっ、だから抱きつくのは・・・」

アニ「マルコ、あんたでかくて力持ちなんだから、コニーくらい跳ね除けられないのかい」ジタバタ

マルコ「やってるよ!」

マルコ(やってるんだけど、君のお尻と胸が気持ちいいせいで半分力が抜けてるんだよっ!///)

ミカサ「コニー・・・」ユラリ・・・

コニー「うわああああ!!ミカサ!!見ろ!!マルコだ!!マルコに先に俺がたどり着いたからな!!俺の勝ちだぜっ!?」ビクビク

ミカサ「そう・・・わかった。コニーの勝ちでいい。コニーは速かった」

コニー「よ、よっしゃああああ!!やった!!」

ミカサ「私は部屋へ帰る」クルッ

マルコ「?」

コニー「えっ?どうしたんだ、ミカサ?」バッ

マルコ「ふう・・・やっと降りてくれたか」ムクッ

アニ「なんなんだい。ふう、重かったね」ムクッ

ミカサ「あとでまた来る」テクテクテク

コニー「ミカサ!どこ行くんだよ」タッタッタ

―廊下―

ミカサ「部屋に帰る。コニーはマルコを手伝ってて」テクテク

コニー「戻るって、なんだよ?負けたから拗ねてんのか?」

ミカサ「すねてない」テクテク

コニー「なんだよ、じゃあ怒ってんのかよ?わけわかんねぇぞ、お前」

ミカサ「怒ってない。コニーが勝ったからもう終わったこと。私は着替えに帰る」ピタッ

コニー「着替え?」

ミカサ「さっき追いかけっこのときに、コニーが避けた池に足をつっこんでしまってブーツの中にも水が入った。これで本は扱えない」ビチャビチャ

コニー「あ、ほんとだ。悪ぃな・・・。それで走るのもちょっと遅かったのか。なんか、俺のせいだな」シュン

ミカサ「コニーのせいじゃない。追いかけっこをしようと言ったのは私」

コニー「いや、バカだけど俺はこういう時どうするかわかるぜ。ブーツ脱げよ。俺が寮の入口までおぶっていってやるからよ」スッ

ミカサ「いい。エレンに見られたくないし、カッコ悪い」

コニー「はあ?ベシャベシャのブーツ持って裸足で歩いてるほうがカッコ悪いだろ。それに、えーと、お前女なんだから、俺がかっこよくて、お前は可愛いだろ?つまり、えっと、ブラ・・・スマタ・・・イナリが・・・なんだっけ、ああっ、とにかく普通になるから大丈夫なんだよっ!」

ミカサ「かっこいいと可愛いのダブル良いになるなら、普通よりもっといいことになる」

コニー「あ?よくわかんねーけど、そうだろ?お前がおぶさることは普通よりいいことになるんだ。じゃあなんで乗らねぇのかって話だろ?」

ミカサ「私もよく意味がわからなくなってきたので、悪いことがないならとりあえず頼むことにしよう」ガシッ

コニー「よっしゃ!まかせろ!」スタッ

ミカサ「コニーは意外と乗り心地がいい」

コニー「まあ、村にいた頃は弟や妹毎日のようにおぶってたからなー。おぶるのは得意だぜ」スタスタ

ミカサ「そういえば、エレンは昔みたいにおぶってくれなくなった」

コニー「もうガキじゃねえんだろ」スタスタ

ミカサ「私は何も変わってないのに、エレンは変わってしまったんだろうか」

コニー「はあ?変わってねえこたぁないだろ」スタスタ

ミカサ「私は変わってない」

コニー「いや、ガキの時と違って胸とかケツとかでっかくなっただろ?今背中に当たってるけど、結構でかいと思うぜ。うん」スタスタ

ミカサ「!?」

コニー「はっ・・・!!しまった・・・!!!」サーッ

ミカサ「コニー・・・寮まで追いかけっこしよう・・・」ゴゴゴ・・・

コニー「いや、いや、悪い!だってよ、当たるんだからしょうがねぇじゃねぇかっ!!もう、なんでも言うこと聞くから許してくれよっ!!」アセアセ

ミカサ「・・・なんでも?しょうがない、くっつかないよう私も気を付ける。ので、許そう。ただ・・・誰かに言ったら・・・」

コニー「わかってるよ!言わねぇよ。約束する。エレンに誓って絶対言わねぇから、信じてくれよ」スタスタ

ミカサ「エレンに誓うなら信じよう」

コニー(まったく、ヒヤヒヤしたぜ。でもおっぱいで取り乱したりして、ミカサも結構普通に可愛いとこあるんじゃん)

―――
――――
―――――

―図書資料室―

マルコ「ふう、重かったね。アニ、大丈夫か?」

アニ「・・・・・」キョロキョロ

マルコ「アニ?」

アニ「・・・・・・」サワサワ

マルコ「・・・どうしたんだい?さっきから自分のお尻気にしてるけど、お尻になにかついてるの?」


アニ「いや、さっき何か硬いものが当たってた気がして、まだこの辺に感触が・・・」

マルコ「!?」ドッキィ!!

アニ「なんだったろ、あんたなんか当たってるの見た?」

マルコ「いややや、僕は何も当ててな・・・」アワアワ

アニ「え?当てて?」

マルコ「あや、ややや、あーっ!本じゃないかな!?」アセアセ

アニ「本?」

マルコ「ほら、ここ図書室だし、見て、本の背表紙って硬いよね」ガッガッ

アニ「ちょっと、あんたさっきコニーに本を大切にっていったくせに、机に本ぶつけるなんてどうかしてるよ」

マルコ「あっ!?僕としたことが。あ、後で直すから・・、うん、そうだな。僕は混乱している。ええっと、でもきっと本だよ。本が挟まってたんだよ」アセアセ

アニ「あんたと私の間に?」

マルコ「うううううう、うん」アセアセ

アニ「なんでそんなとこに本が挟まるんだよ」

マルコ「そりゃあ、本って本棚で本に挟まれたり、ブックエンドに挟まれたり、しおり挟まれたり、押し花挟まれたりしてるだろ?本ってだけで挟んだり挟まれたりする存在なんだから、別に僕らに挟まってても、お尻に挟まってても、何も不思議はないだろ?自然なことだって思わないか!?僕は思うね!だってそれが自然の摂理なんだから」

アニ「そうかな?」

マルコ「そうだよ!そんなことよりアニ、図鑑を直そうね!」

アニ「え?ああ、そうだね」

マルコ(ふう・・・危なかった・・・)ドキドキ

アニ「じゃあ、こっちも金具つけるから、マルコ押さえて」

マルコ「うん」スッ

アニ「今度は横から抑えなよ」

マルコ「あはは・・・わかってるよ」グイッ

アニ「後ろから、変なものまたお尻に当てられたらたまんないからね」

マルコ「……」

アニ「……」グイグイ

マルコ「・・・えっ///」汗ダラダラ

アニ「このスケベ野郎」

マルコ「あ・・・///」カアアアアアッ

アニ「フフッ」

終わり

以上です。ありがとうございました。

セリフに抜けがあった。すいません。「捨てたりする」が抜けてました。

×アニ「でもさ、正しいことが何かわかってても、それを実際するかっていうとするやつとしないやつがいる。憲兵団に行くようなやつらの大半は読み終わった本を自分のものにしたり、皆そうしてるし、そのほうが自分の利益になったり、楽だったりするから」
○アニ「でもさ、正しいことが何かわかってても、それを実際するかっていうとするやつとしないやつがいる。憲兵団に行くようなやつらの大半は読み終わった本を自分のものにしたり、捨てたりする。皆そうしてるし、そのほうが自分の利益になったり、楽だったりするから」

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