櫻井桃華「百聞は一見にしかず」 (42)

アイドルマスターシンデレラガールズのSSです。

以下の物語の続きです。

千川ちひろ「後悔先に立たず」
千川ちひろ「後悔先に立たず」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1371/13715/1371571865.html)

相原雪乃「転ばず先の杖」
相原雪乃「転ばず先の杖」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1372/13720/1372071540.html)

モバP「寝る子は育つ」

五十嵐響子「子は鎹」
五十嵐響子「子は鎹」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1376/13762/1376272820.html)

小松伊吹「人の噂も七十五日」
小松伊吹「人の噂も七十五日」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1376/13769/1376916231.html)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1378901768

─ 事務所 ─


それはPさんが一か月のスケジュールをまとめた大き目のファイルをのぞいている時のことでした。

モバP(以下P)「うーん、今日はスケジュールが立て込んじゃってるなー」

成宮由愛「忙しいの・・・ですか・・・?」

P「俺は特にね。由愛は・・・今日はレッスンだね。俺は外回りで見てあげられないけど、頑張ってね」

由愛「はい・・・、が、がんばります」

P「その調子。由愛は強い子だ、俺なんかよりずっとね」ナデナデ

由愛「えへへ・・・」


???「Pーっ!」

P「おっと、時間か」

由愛「朋さん・・・ですね」

藤居朋「なーに由愛ちゃんのことナデナデしてるのよ、仕事終わったらアタシにもしなさいよ」

P「んー、先払いで」グワシグワシ

朋「あーもうっ、雑にやらないでよ!今日のラッキーアイテムの花のカチューシャが外れちゃうじゃない」

P「今日はLIVEバトルでヘッドセットつけるから外すことになるぞ?」

朋「えっ、うそ!?今日のバトルぜったい負けちゃうと思うの・・・」

由愛「だいじょうぶ・・・です。朋さんは負けません・・・」

P「由愛もそう言ってるし」

朋「う、うーん・・・まぁいいわ!運がつけられないなら引き寄せるまでだわ!」

由愛「バッチグー・・・ですっ」

P「よし、行こうか」

朋「ん。由愛ちゃん、行ってくるわね」

P「あ、由愛、そこのファイルを俺の机に入れておいてくれ」

由愛「分かりました」



2人「行ってきまーす」

由愛「行ってらっしゃい・・・」

由愛「Pさんの机・・・」

由愛「この大きさのファイルじゃ・・・一番下の所にしか入りませんね・・・」

私は大きい引き出しを開け、そこにスケジュール表を入れようとしました。

由愛「あれ、開かない」

由愛「中で何かひっかかってるのかな・・・」

由愛(力をいれて・・・えい)

カタン・・・カタン・・・

由愛「何か飛び出てきましたね・・・こ、こ、これは・・・?」

イヴ・サンタクロース「ブリッツェン、今日もレッスンですよー」

ブリッツェン「ブモッ!」

由愛(い、いけないっ!)

イヴ「あれ~?由愛さん、どうして縮こまってるの~?」

由愛「え!?あ、その・・・」

イヴ「もしかしてお腹痛いの~?」

由愛「は、はい!そうです!トイレ行ってきます・・・!」

イヴ「胃薬用意しておきますね~」

ブリッツェン「ブモー」

─ トイレ内 ─

由愛「ど、どうしよう・・・」

個室内に入ってしまい、この大切なモノを盗んでしまってるのが現状。

このまま盗んだままにするわけにはいかない、元の場所に戻さなくては。

由愛「今日のPさんの予定は・・・朋さんのLIVEバトル会場へ連れて行った後、芽衣子さんがドイツから帰ってくるので空港まで迎えに行った後、今日移籍の櫻井桃華ちゃんを連れて事務所に帰ってくる・・・」

時間にして約10時間後、日が暮れ、外は夜景で綺麗になっている時間帯だ。

由愛(これから人がいっぱい来てしまいます・・・Pさんの引き出しを何も考えずに開けるのは変に思われてしまう)

由愛(私はどうしたらいいのでしょうか・・・。このPさんにとって大事なモノ・・・今後を左右するはずのアイテムを・・・返さなきゃ・・・)

─ レッスン場 ─

トレーナー「由愛さんどうしましたか?」

五十嵐響子「すっごい汗だけど・・・」

由愛「だ、だ、大丈夫です。ちょっと考え事してただけです・・・」

トレーナー「集中できそうですか?」

由愛「できます・・・」

響子「悩みごとありましたら言ってくださいね、一緒に考えてあげますから!」

由愛「い、言えないです・・・、言ったら響子さんに・・・嫌われます・・・」


響子「き、嫌う!?どどどどどど、どんなこと考えてるんですか!?」

トレーナー「五十嵐さん落ち着いて!」

由愛「え、あ、うう・・・」

響子「わ、わ、私が嫌っちゃうくらい悪いことが起きちゃってるんですか!?う、うがああああああああああああああ」

トレーナー「落ち着いてください!」


トレーナー「成宮さんのレッスンはまた後日ってことでいいですか?」

由愛「はい・・・すみません」

トレーナー「何があったかは聞かないでおきますが、なるべく早く解決してくださいね?」

由愛「分かりました」

由愛(レッスンを抜けれました・・・今なら戻せるかな・・・)


─ 事務所 ─

由愛「ただいまです・・・」

千川ちひろ「おかえりなさい由愛ちゃん。早かったですね、どうしたんですか?」

由愛「ちょっとこちらに用事が・・・」

ちひろ「わかりました」

由愛(よかった・・・ちひろさんだけだった・・・)

相原雪乃「由愛ちゃん?」

由愛「ひぃぃいい!?」

雪乃「そんなに驚かなくても・・・。何かあったのですか?」


由愛(ゆ、雪乃さんも確かPさんのこと・・・)

由愛「な、なんでもありません!」

雪乃「あ、由愛ちゃん!行ってしまいました・・・イライラしてるのでしょうか」


─ 仮眠室 ─

由愛「Pさん・・・早く帰ってきて・・・」

由愛(私にはこんな重い物、持ってられません・・・)





由愛「すぅ・・・すぅ・・・」




それから数時間して・・・



P「ただいま帰りました」

並木芽衣子「たっだいまーっ!」

ちひろ「おかえりなさい、Pさん、芽衣子ちゃん」

P「ささ、入って」

櫻井桃華「はじめまして、櫻井桃華と申しますわ♪」

ちひろ「お話には聞いてました、今日からよろしくお願いしますね」

P「もう皆帰ってしまいましたか?」

ちひろ「中学生組は帰っちゃいましたね、逆に朋ちゃんがまだ帰ってきてないんですよ」

P「後で迎えが必要か連絡してみますね」

ちひろ「あ、そういえばまだ由愛ちゃんが寝てますね」

P「由愛が?なんでまた。いつもなら美玲と巴と一緒に帰ってるのに」

響子「なんだかすっごく悩んでましたよ。私に嫌われる~とか言ってましたし」

P「響子に嫌われる?一体何をしでかしたんだ?反抗期?」

響子「分かったらこんなに苦悩しませんよ!あ~、気になります!」

P「ん~、じゃあ桃華」

桃華「?」

P「君は由愛と年が近い。初対面の相手だからこそ話せるという事もあるかもしれない。だから由愛と軽く話してみてくれないか?」

桃華「ええ、よくってよ。Pちゃまの頼みとあらば、いくらでもやってあげますわ」

─ 仮眠室 ─

由愛「すぅ・・・すぅ・・・」

桃華「由愛ちゃん、起きてくださいまし」

由愛「んぅ・・・ううん・・・」

桃華「おはようございますわ、由愛ちゃん」

由愛「え、えっと・・・」

桃華「今日からこのプロダクションに入った櫻井桃華ですわ。以後よろしく、ですわ!」

由愛「うん、よろしくお願いします」

桃華「由愛ちゃんが悩んでいると聞いて、お話を聞きに来たんですの」

由愛「悩みなんて・・・そんな大したことない・・・です」

桃華「少しの悩みでもこうして部屋に籠ってしまうレベルなら、それは大事な悩みだと思いますけど?」

由愛「そう・・・なのかな・・・」

桃華「ところで、さっきからその手に持ってる「黒い箱」はなんですの?」

由愛「あっ!?」

桃華「なんで隠しますの?」

由愛「これは・・・大事なものだから・・・」

桃華「それが・・・由愛ちゃんを悩ましてる原因ですわね」

由愛「・・・」

桃華「でも、それが何かを教えてくれないとわたくしも協力できませんわよ?」

由愛「き、協力?」

桃華「そうですわ、こうやって二人っきりで話せる機会ですもの。秘密の共有もまた人を繋ぐ方法の一つだと思いますの」

由愛「で、でも!」

桃華「じれったいですわね!百聞は一見にしかず、ですわ。その箱の中身を見せてくださいまし!」

由愛「・・・うん」

桃華「こ、これは・・・」

由愛「・・・Pさんに・・・」

桃華「Pちゃまに!?」

由愛「うん・・・渡さなきゃ・・・」

桃華「自分の立場がわかってらっしゃるの!?」

由愛「うん・・・」

桃華「それにこれ、偽物ですわよ」

由愛「そうなの・・・?でも、偽物だとしても、大事なのは想いだと思う」


桃華「・・・ん~、そう言われると何も言えませんわ、そこまでの覚悟がありましたのね」

由愛「え・・・?」

桃華「こうなったら、とっとと言ってしまうのが良いですわ!」

由愛「え゛?」

桃華「さぁ、Pちゃまが待ってますわよ、行きましょう」

由愛(な、何か勘違いされてる・・・?)


桃華「Pちゃま、連れてきましたわ」

P「ん、ありがとな。さてと」

由愛「P、Pさん・・・」

P「ゆーめっ、どうしたんだ?レッスンさぼっちゃったみたいだけど」

由愛「これを・・・渡さないとって思ってて・・・」


黒いケースに丁寧に入れられていたそれは指輪だった。

ちひろ「こ、これって、もしかしてアレですよね」

響子「け、けっ、っけけけ・・・」


「「「「結婚指輪────っ!!!?」」」」


芽衣子「由愛ちゃんがプロデューサーにプロポーズ・・・」バタッ

イヴ「芽衣子さーんっ!!」

由愛「や、やっぱり勘違いされてる・・・!?」

P「由愛、この指輪・・・」

雪乃「由愛ちゃんと付き合ってたのですか?」

P「いや、まったく」

雪乃「では由愛ちゃんが今回いきなりの告白・・・」

由愛「告白じゃありm」



朋「たっだいまー♪」



ちひろ「朋ちゃん、おかえりなさい」

朋「なになにザワついてるけど」

響子「由愛ちゃんがPさんにプロポーズしたわけでして」

朋「え゛」

由愛「ち、違います!」

桃華「指輪渡したのに?わたくしてっきり告白したくて悩んでいるのかと」

由愛「違います!私のミスで机に入れ損ねて・・・誰かが見たら絶対混乱になるって・・・」

響子「本当なんですか!?」

P「ああ、これは俺の指輪だからな」

響子「じゃあ・・・もしかして・・・Pさんが誰かと結婚するために・・・?」

ちひろ「遂にお嫁さんにするアイドルを選んじゃうんですか!」

P「いやいや、そんなことないですよ。なぁ、朋」

朋「なんであたしに振る・・・ああ、そういうことね」


一同「?」


朋「それはね、あたしがPにプレゼントした指輪よ」

雪乃「えっ・・・」


P「俺の大学受験が受かりますようにってその月のラッキーアイテムをくれたんだよ」

朋「そういうこと。あたしは昔から占い信じてたからねー」

P「それ以来、大きな仕事がある度にこの指輪をつけるようにしてるんだ」

響子「朋さんがPさんにプロポーズしたわけじゃないんですね、よかった(ニッコリ)」

朋「それはそれで・・・あってほしかったりするけど」


イヴ「でもそれがここにあるってことは、もうすぐ大きなお仕事が来るってことですよね☆」

P「ああ、もうすぐフェスの時期なんだよ、美玲が今回のフェスでピックアップされることになったしね。ゲン担ぎに持ってきたんだ」

朋「大事にケースにまで入れちゃって・・・。もう・・・」

由愛「すごく嬉しそうですね・・・」

朋「そりゃそうよ、中学生の時にPが遠くに行っちゃう!って知って、持ってるお金全部使って買った指輪だもの。確か5000円とは言え、こんなに大切に使ってもらえるなんてね」






響子「ん?」

雪乃「あら?」

芽衣子「ふぁ・・・?(起きた)」



桃華「えーっと、朋さんでいいんでしたっけ?」

朋「そうよ、よろしくね桃華ちゃん」

桃華「さっきから気になってたのですが、Pちゃまとはどういう関係で?」

朋「え・・・あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

響子「なーんで朋さんがずっとPさんと仲がいいと思ったら・・・」

雪乃「白状した方が身のためですよ?」

朋「な、何を言ってるのかなぁ・・・あたしはこっちに来てマックでバイトしていた所にPと初めて出会ったんだけどなぁ・・・」

芽衣子「さっき思いっきり中学生のころって言ってた気がするなーっ?」

朋「そ、それはっ!?というか芽衣子さん倒れてたでしょ!?」

P「俺と朋は従兄妹同士なんだよ」

朋「ちょっとP!?内緒にしておいてって・・・」

響子「い~と~こ~ぉ~?」

雪乃「ちょっと聞き逃せない単語が聞こえましたね?」

芽衣子「朋ちゃん、ちょっとレッスン場まで来てくれるかなっ。聞きたいことが山ほどあるんだけど?」



朋「えぇい!Pの隣はいまはあたしのだしょだ。うばいかえせばいい・・・できるものなら!」




P「朋、お前それMother2じゃないか・・・」

由愛「みんなでレッスン場にいっちゃいましたね・・・」

P「怪我とかしないでくれればいいんだけどね。最近、胃の調子がいいし」

由愛「それにしても・・・」

P「ん?」

由愛「ロマンチックですね、その指輪」

P「ああ、手放せない大切なお守りだよ」

由愛「どんな夢物語よりも・・・人の笑顔が見えたお話の方がよっぽど・・・素敵ですから・・・」




後日・・・。


由愛「Pさん・・・素敵なハンカチ見つけたので・・・プレゼントします」

P「おー、ありがとうな!大切に使わせてもらうよ」

雪乃「私の家族の皆が愛用しているオーダーメイドの腕時計です。いつもお世話になってるPさんにもぜひ使って欲しくて」

P「こ、これは・・・パーティとかの時に使わせてもらうね」

芽衣子「ドイツで陶器製のビールジョッキ買ってきたんだっ、今度一緒に飲もうね」

P「おう、わかった」

響子「Pさんに似合いそうな渋いネクタイピンが家にあったのでぜひ使ってください!」

P「それお父さんのじゃないの・・・?」



朋「ちょっとぉっ!みんな揃ってプレゼントしてるんじゃないわよ!」

桃華「しょっちゅうPちゃまの家に入り浸ってるって聞きましたわ。プレゼントくらい許されても何の問題もないと思いますけど?」

朋「それはっ・・・Pの家でゲームやりにいってるのよ!」

桃華「それは初耳ですわね~、まぁでも・・・」



桃華「百聞は一見にしかず、ですわ。目の前でプレゼント見せつけるだけでダメージ受けそうですわね」

朋「うぐぅ・・・」

P「ははは・・・」

朋「Pも笑ってないで拒否するなりしてよ!」

P「せっかくのプレゼントだし、全部大事に使わせてもらうよ」

朋「うぐぐぐぐぐぐ・・・・・・わかったわ!そうなるならあたしは先輩から教えてもらったとっておきで攻めるわ!判子持って待ってなさい!」

由愛「あ・・・行っちゃいました」

P「判子・・・?」

桃華「騒がしい事務所ですわね、ふふっ」




今日も事務所は平和でした。


終わり。






なお、翌日Pの机には婚姻届が置かれていた模様。

以上です。読んでくれた方はありがとうございます。

芽衣子、美玲SR化おめでとう、私はプリンセスお嬢ゲットで力尽きたヨ・・・。

今回のお話はアイドルが親戚なら、茜ちゃんとかののちゃんよりも大学生とか社会人なのに高校生ぐらいの気分が抜けてない
朋ちゃんとか衛藤さんの方が生々しいよね、という友人との謎の会話から生まれました。

何にせよ、女子寮妄想とか家族構成妄想とか楽しいですよね?

では、また。

次回予告がてらアンケートをば。

1.藤居朋「まな板の鯉」

2.並木芽衣子「棚から牡丹餅」

のうちどちらがいいか、レスしてくれると幸いです。レスがよりある方を優先で書こうと思ってます

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom