【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 Part.10【アラフォーマーズ】 (1000)

・京太郎主人公

・安価スレ

・某掲示板ネタ

・本編の数年後。京太郎はプロになってる

・基本ギャグ仕立て時々しんみりシリアス

・でも腹パンとか川落ちとか関係ない

・逃げ場のない火星で情事、情事とせまってくる男に餓えたアラフォーの群れ(嘘です)

・京太郎は麻雀ガチ勢(ランキング13位)

・でもドラマに出たり(松実宥とゲスト同士共演)、料理番組を持ってたり

・異名は「オカルトスレイヤー」。堅実な技術を持つオールラウンダー。闘牌時は非常に獰猛

・でも上位のオカルト持ちと打つと、ミンチより酷い状態になる

・高校生の頃に恋人が居たらしい

・そのお相手は高鴨穏乃。少なくとも玄は知らない

・進学などの関係により、破局している

・弘世菫、小走やえと同じチーム

・江崎仁美、辻垣内智葉、弘世菫、原村和、新子憧、小瀬川白望と同じ大学(T大)

・カリス……ではなく、一とは高校時代に一緒にゲーセン行ったり、夏祭り行ったり、バッセン行く程度の仲

・脚力がヤバイ。女子サッカー日本代表にPK対決で勝利

・オカルトスレイヤーの愛称は、出演ドラマから
 超能力ヒーロー学園ものドラマ。超能力者に対抗する、唯一の魔法使い(物理)


   須賀 京太郎 日本

  2X歳 ♂ 高い 標準
 『麻雀ランキング』13位
  M.O.手術 〝昆虫型″
    ━リオック━


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1376742749

※前スレ
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1376742749/)
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 Part.2
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 Part.2 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1376906010/)
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 Part.3【アラフォーマーズ】
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 Part.3【アラフォーマーズ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1377177278/)
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 Part.4【アラフォーマーズ】
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 Part.4【アラフォーマーズ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1377422773/)
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 Part.5【アラフォーマーズ】
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 Part.5【アラフォーマーズ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1377702523/)
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 Part.6【アラフォーマーズ】
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 Part.6【アラフォーマーズ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1377881272/)
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 Part.7【アラフォーマーズ】
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 Part.7【アラフォーマーズ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1378048787/)
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 Part.8【アラフォーマーズ】
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 Part.8【アラフォーマーズ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1378214717/)
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 Part.9【アラフォーマーズ】
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 Part.9【アラフォーマーズ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1378555350/)


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1376906010

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1378828682

・安価を出して、安価先の内容を基に、
 そういう「そういう事があった」「そういうトピックのスレッドが立ってる」としてそれに絡めた話を書きます
 例えば安価先が【小鍛治健夜結婚】なら


引用元:【リアルババ抜き】 小鍛治健夜、結婚 【ターンエンド】

1 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
ソースはブログ。すこやんが男の手料理を食べたとかなんとか

2 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
すこやんみたいな干物が手料理をごちそうになる……これは結婚ですなぁ

3 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
やっとすこやんにも春が来たんだね……遅すぎるとしても

4 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
釣りかと思ったらマジだった

5 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
【悲報】ついに人柱がささげられる

6 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
勇者ありがとう。お似合いだよ……どんな人かはしらんけど

7 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
おめでとうすこやん!これで俺も安心できる

8 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
なんだこれは……たまげたなぁ

9 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
しつぼうしました。うえのさんのふぁんになります

10 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
ん、でもこれさ……この背景……スッガが出てる料理番組じゃないか……?

11 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
糸冬 了

12 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
やっぱりそんな都合がいい話がすこやんにあるはずがなかった


・と言う感じで、これならその番組ですこやんで絡んだシーンとか

・開始時の人間関係はフラットです。安価で人間関係が決まります

・いちゃいちゃとかルートとかコンマで闘牌とか今のところ予定はない。今のところ

一応のルールとか

【見出し系】
・基本、恋愛&マイナス結果確定系はNG
 状況なら確定系は可。
 例えば、『須賀プロ、○○プロと路上で口論』。
 但し、『須賀プロ、○○プロと路上で口論。その後、暴行』はNG
 同様に『○○プロ、須賀プロと共演。須賀プロを激怒させる』

・状況確定系でも恋愛関係確定はNG
 『恋人の○○と~』は駄目。
 『恋人と噂される○○と~』はギリOK
 あんまり恋人と噂が多いとなんか悪いこと起こるかもね

・暴行&下衆&鬱&エログロネタはNG
 AVデビューとかいじめ、強姦被害とか自殺とか薬物中毒とか元風俗嬢など。
 不良に絡まれたとかならまあよし

【ファンスレッド系】
・「○○プロ応援スレ」など
・一般人についてはNG

【質問、目撃スレ】
・「スッガと話したけど質問ある?」のような
・恋愛関係確定系はNG(彼女・元彼女など)


これ+同一IDの連続取得については最安価とします
なお、ズレて取得になった場合もこれにカウント

好感度

★4
大星淡
ハギヨシ

★3
弘世菫

★2
松実玄
宮永照
赤土晴絵
亦野誠子

★1
佐々野いちご
瑞原はやり
小鍛治健夜
松実宥
姉帯豊音
龍門渕透華
対木もこ
片岡優希
辻垣内智葉
小走やえ
愛宕洋榎
愛宕絹恵
野依理沙
三尋木咏
渋谷尭深
国広一
東横桃子
竹井久
夢乃マホ
原村和

☆スキル
>『爽やかな笑顔』
>女性キャラと(ゲーム的には初登場)遭遇時の判定について
>内容や判定に正の補正が加わります

>『プロ並のシュートセンス』
>スポーツや運動関連の判定について
>内容や判定への正の補正が加わります

>『愚行権』
>彼は本当の意味での凡人だ
>運があろうが実力があろうが、とにかく分かりやすい華はない
>因縁めいた偶然なんて存在しない
>物語の補正なんてのは、ない
>だからこそ、普通と違う誰かには、もの珍しく映ったり……
>【……思考が常識離れしている相手の好感度に影響】

>『反響定位』
>舌打ち音の反響により、無視界でも通常通りの活動が可能
>音感関連の判定や『反響定位』が活用可能な判定について
>内容や判定への正の補正が加わります

好感度、ハギヨシさんの単独トップ待ったなし!

さて、眠い
京太郎がミンチられるところまでは、進めたい
1レスか2レスやな


京太郎「ハギヨシさん」

京太郎「お願い、します」

ハギヨシ「……私、ですか?」

ハギヨシ「私で……よろしいの、ですか?」

京太郎「ええ、貴方がいいんです」

ハギヨシ「……判りました」

ハギヨシ「貴方の気持ちに、精一杯応えさせていただきます」


照「……!」


ハギヨシ「オーダーは、如何ほどに?」

京太郎「そうですね」

京太郎「“この戦いはタッグじゃない”」

京太郎「そこだけです」

ハギヨシ「……了解しました」


ハギヨシ(彼の最後の視線から察するに……彼は、三人まで絞っていた)

ハギヨシ(何故その三人かを考えれば……彼がどのような形を求めているのか、理解できる)

ハギヨシ(私が選ばれた意味……)

ハギヨシ(彼が発した言葉の意味……)

ハギヨシ(……)

ハギヨシ(なるほど、判りました)

ハギヨシ(須賀プロほど、麻雀は上手ではありませんが……)

ハギヨシ(伊達に執事をしてはいません)

ハギヨシ(彼に足りないものを、補わせていただきます)


京太郎「悪いな、待たせた」

ハギヨシ「私が、同卓させていただきます」

竜田「……“持ってない”か」

下足「短いか長いかはわかりませんけど……よろしくお願いします」


 竜田揚げを口に放り込んでた金髪の少女が、顔を上げる。

 下足をかじっている黒髪の少女は席を立ち、お辞儀をした。

 だが、どこか空々しい。

 やはり、本質的なこちらへの敬意や思いやりなどは、感じられないのだ。


 そんな二人を眺めつつ、席決めの牌を抜き、座席につく。

 京太郎の下家が竜田。上家が下足。対面がハギヨシ。

 そのような形となった。


竜田「……それじゃあ、始めよっか」

竜田「サイコロ回して――」

京太郎「――待てよ」

竜田「……」

竜田「……何ですか?」

京太郎「指に、脂付いてるだろ」

京太郎「ちゃんと拭けよ。ガン牌になっちまう」


竜田「……誰が、そんなことするかって」

竜田「判りましたー。拭きまーす」

京太郎「そうしてくれ」

京太郎「あと、打ってる最中に食うんなら楊枝を使えよ?」

京太郎「脂がつくし、妙な動きになるからな」

竜田「はいはーい。判りましたー」


竜田「……もう、学校の先生かっての」

竜田「……一々、五月蝿い奴」

京太郎「ああ、そりゃ当たりだ。大正解」

京太郎「大学じゃ教育学部ってな……教師になる勉強してたんだよ」

竜田「……聞いてないから」


竜田(……やっぱコイツ、ムカつく)

竜田(プロだかなんだか知らないけど、弱っちい癖に)

竜田(……年上だなんだって、そんな偉そうな空気出して、ムカつく)


竜田(……ウザったいし、速攻で潰す)

竜田(素人に負けた麻雀プロって、不名誉を被ればいい)

竜田(能力ないくせに……弱い奴らの側の癖に……)

竜田(……でしゃばるから、そうなるんだよ)

竜田(それを、教えてやる)


 結果、牌が指し示した出親は京太郎。

 東一局。攻めると言い切れない手牌。

 別段、異常はなかった。

 ダブリーや、配牌5シャンテンもない。

 1シャンテン地獄もなければ、カンが飛び出す訳でもない。

 配牌がそれほどよろしいとは言えないが故に、大事をとった“見”。

 何も得られず――。


ハギヨシ「――ツモ」

ハギヨシ「1300・2600です」


 同じく静観していたハギヨシが、12順目にてツモ和了する。

 形としてツモってしまった。

 だから、仕方なく和了した。それだけである。


 そして東二局。

 それは――起こった。


京太郎(射抜いて……みるか……?)

京太郎(だけどもまだ、判断材料が少ないしな)

京太郎(まだ、傾向ってほど傾向がわからん)

京太郎(ある程度安牌を抑えといて、少しずつ……進むか)


 自身の手を整えて進む。

 手なりで進めば行けるだろうが、高くもない。

 かといって、副露してより速く進むには①筒のトイツと9索のトイツが邪魔。

 刻子絡みがあるために、仕上がれば待ちは広くなるだろうが。

 やはり、無理は禁物だった。

 面前で、大人しく進める。射てるときに射つ。

 使いづらいヤオチュウの刻子を温存しつつ、前にいく。

 いざとなれば、ここを落として逃げる。

 回し打ち、タンヤオに変化させるのも難しくはない。そういう意味では、悪くない。

 だけど――。


 10巡目に、それは起こった。


竜田「――カン」


 クルリと返される、少女の手牌。

 連風牌――東の、暗槓。

 少女の指が伸ばされた。捲られる牌は、


京太郎(……マジかよ)


 表示牌は――京太郎の風、“北”。

 暗槓した東に、モロにドラが乗った形となる。

 これだけでも、親っ跳……18000が確定。

 だというのに、さらに……。


京太郎(いや、まさか……な)

京太郎(まさか……だよな……?)


竜田「――ツモ」

竜田「ダブ東、嶺上開花ツモ、ドラ4」

竜田「……8000オール」

竜田「これで、だいぶ離しちゃったねー 」

竜田「覚悟は、いいかな?」


東二局・結果

京太郎:89400 (-8000)
ハギヨシ:97200 (-8000)
竜田(金髪):122700 (+24000)
下足(黒髪):90700(-8000)

眠い
……という訳で、おやすみー

京太郎はミンチにされてからが本番

魔物兼ぽんこつの二重苦が生意気なのも小学生だから手加減とか考えるわけない

京太郎は人間だからね
人間に出来る範囲のことしか出来んで


始めようか


京太郎(咲+玄さんの能力……)

京太郎(いや……それとも、大星の変化バージョンか複合型……?)

京太郎(王牌を支配するのは、確実だな)

京太郎(2局で随分削られたな……10600点か)

京太郎(直接の点差にして、34600点)

京太郎(こいつは中々、グレートにヘヴィな状況だな)


 もし、今のをもう一発食らったのであれば……。

 ツモでの点差は66600点。

 直撃を浴びたなら、82600点差。

 いよいよもって、逆転など不可能となる。それこそ、役満を当てない限りは。


京太郎(役満なんて、そうそう出せねーよ)

京太郎(さっきのあんな事故はともかく、ここぞってときに俺は出せない)

京太郎(大星にブチ当てた三倍満だって……)

京太郎(混一色三暗刻対々和に咲のカンドラが乗っただけだ)

京太郎(元はと言えば、そんなに刻子が被ったのだって……咲の仕込みがあったから)

京太郎(俺自身の引きには期待できない)

京太郎(勿論、確率である以上大物手ってのは……できるけど)

京太郎(セーラさんみたいに、コンスタントにでかいのは作れない)

京太郎(そりゃあ、手作りには自信があるから……打点を高くもできるけどさ)


 ただし、時間をかけねばならない。

 淡のようなこちらにとっての『安全圏』が確定するオカルト持ちならともかく、

 それ以外の魔物に足を止めるのは死を意味する。

 躱して打つ。躱して打つ。

 必要ないかぎり、極力無理攻めはしない。

 放銃を減らし、取れる取れるとこを拾い、攻めるところで攻める。

 そんな、ある種教科書通りの麻雀を打つのが京太郎。


 ――違う点があるとしたら。


 その判断に、単純な卓以外の情報を持ち込むこと。

 相手の目線を追う。相手の発汗を感知する。相手の思考を読む。

 相手の嗜好を知る。相手の能力を視る。相手の傾向を睨む。

 山を考える。河を浚う。手牌を臨む。

 そんな“観察眼”と“判断力”を基本に進む、アウトファイター。


京太郎(……ま)

京太郎(大概の魔物を相手にすると、そうも言ってられないんだけどな)

京太郎(どうしても……今みたいに)

京太郎(多少無理でも、攻めなきゃならない)


 直接食らわずとも、ツモで削られる。

 或いは、他家がトビそうになっている。

 状況というものがあった。攻めざるを得ない状況が。


 それは、明らかに不利な地形に追いやられ、

 その地形を踏破できるのが己以外存在せず、速攻で決着をつけなければならず、

 一撃で相手を倒すべく、飛びかかるのに似ていた。


京太郎(ここで……和了しないと)

京太郎(流さなければ、終わりだ)


 しかし、思いに反して手が進まない。

 どうにも、ムダヅモが続く。

 そうしている間に――。


竜田「――カン」


 死刑宣告が、入った。

 捲られるドラ表示牌――“北”。

 カンドラが、乗った。暗槓された“東”に。


京太郎(親倍、確定か――)

京太郎(一本場で、24300)

京太郎(こんなもんをやられたら、もうどうにも……!)


 手に、嫌な汗が滲んだ。

 ここで和了されたら、止められない。

 止まらずにこうして、一方的に喰らい続けられる。

 これが、魔物と人間の差。

 持たざるものと、持つものの差。

 それを端的に、表されていた。


 お前は、こちら側ではない――と。


 だが……。


竜田「……ああ、こっちか」

竜田「リーチ」


 意外にも、嶺上開花は起こらない。

 ツモった牌をそのまま場に置いての、リーチ宣言。

 曲げられた赤⑤筒。ドラ嶺上牌ツモ切りの、リーチだった。


京太郎(……首の皮、繋がったな)

京太郎(さて……これはどっちのパターンだ?)

京太郎(裏ドラが乗るからリーチしたのか……それとも、魔物故の傲慢なのか)

京太郎(ああ、ツモって倍満コースもあるか)


京太郎(……さて、赤⑤筒ね)

京太郎(それがアタリじゃねーってのしか、わからんな)


 静かに、己の手を見た。


 3【5】7s ①②②⑨⑨p 一一五六八m


 伸ばしてもリーチのみ。

 トイツ(コーツになるだろう)があるため、平常の人間なら裏ドラやカン裏期待もするかもしれない。

 だが、京太郎にそんな期待はない。

 また、この手牌で親っ跳確定相手に突っ張るなど、愚者すぎる。

 よほどの初心者でも、やらない。

 故に京太郎も、オリを決める。


京太郎(さて――)

京太郎(一発、ツモはなしか)

京太郎(親倍確定能力じゃあねえか)


京太郎(ハギヨシさんは……退いてるな)

京太郎(ハギヨシさん相手なら、差し込めるんだけど……)

京太郎(流石に、魔物との戦いを分かってる)


 黒髪の少女も、オリを決めていた。

 素直に安全策を取るタイプなのか、それとも、金髪の少女を知っているが故の判断か。

 いや、もうひとつ。

 彼女たちは、二人とも宮永照や宮永咲と打ちたがっている。

 必要な条件は、二人でワンツーフィニッシュ。

 京太郎を三位以外に押し込めること。

 現在ハギヨシが2位であるが、然したる点差ではない。

 始まったばかりで、無理に攻める必要はないのだ。

 それよりは、ここで金髪がドデカいのを決めて、京太郎かハギヨシを沈めた方がよい。

 そんな判断が、あるのだろう。


京太郎(なるほど……)

京太郎(こっちは、ある程度冷静か)

京太郎(つまり、絶対的な――天衣衣や大星淡みたいな和了確定な――ものじゃ、ない)


京太郎「ノーテン」

ハギヨシ「ノーテン」

下足「ノーテン」

竜田「テンパイ」


東二局一本場・結果

京太郎:88400 (-1000)
ハギヨシ:96200 (-1000)
竜田(金髪):152700 (+3000)
下足(黒髪):89700(-1000)


ミス

東二局一本場・結果

京太郎:88400 (-1000)
ハギヨシ:96200 (-1000)
竜田(金髪):125700 (+3000)
下足(黒髪):89700(-1000)

×京太郎を三位以外に
○京太郎を三位以下に

シリアス闘牌は疲れるなぁ


京太郎(配牌はまずまず……)

京太郎(究極、流しに行けるのはいい)

京太郎(ハギヨシさんは、分かりやすく並べてくれてるな)

京太郎(向こうも……早いか)

京太郎(コイツのテンパイまでに……)

京太郎(どっちかが、張れるかが条件)

京太郎(そこで流すしか、他ないんだ。これ以上の連荘はやべー)

京太郎(黒髪の方は……よっぽどでもないと攻めないだろうからな)

京太郎(なんつーか、嫌に余裕がある風に見える)

京太郎(後々、自分もトップ圏に入れる自信……みたいのが)

京太郎(後は……なんだろうな)


 京太郎の眼が、手牌を整理する少女の手を追う。

 それから、胸に。顔に。

 そのまま全員を眺めて、己の手牌に目を落とす。


 京太郎は、眼がいい。

 その経験に裏打ちされた、常人を超えた視覚能力。

 ただの人間なら、つまらぬ情報と切り捨てるほどの誤差を、大真面目に分析する。

 須賀京太郎は天賦の才をもたない。

 ただ、真面目に積み重ねていく。真剣に考え続ける。愚直に行い続ける。

 習得した技能もすべてそれ。

 天分がないが故に頂点には至れない。ただ、やればできることをやっただけ。

 問題は――普通ならやろうとも思わないことや、できるほどやらないことを、

 ただひたすらに、やることである。


京太郎(さて――どうなるか)

京太郎(咲のような役形確定系ってのは分かった)

京太郎(ついでに、大星の打点確定がセット)

京太郎(ただ、和了までは確定できない)

京太郎(他家が介入するまでもなく、和了が崩れている。自力でツモれてない)

京太郎(そこがまだ――若さだな)


京太郎(あとは……妨害しつつの攻めがあるかだ)

京太郎(『自分の必要牌を、他家の不要牌としておっ被せる』)

京太郎(そういう能力があると、どうにも面倒だ)

京太郎(あるのかないのかは、不明)

京太郎(ベタオリしたから、誰かが掴まされたかどうかはわからん)


京太郎(……伸ばせば打点期待できるのに)

京太郎(あんまり、進まないな)

京太郎(そこらへん、やっぱ運がねーよな)

京太郎(あるとすればの話だし、あってもなくても関係ないけど)


京太郎(……っと)

京太郎(ハギヨシさんは、テンパイか)

京太郎(リーチかけないのは、金髪の親っ跳を警戒だな)

京太郎(ドラは……あの⑥筒の切り出しの速さから考えるに、ある)

京太郎(並び的には……赤⑤筒がトイツ)

京太郎(捨て牌は典型的なタンピン系)

京太郎(他には……あってドラは、1~2枚か)

京太郎(なるほどな)


 いくらかムダヅモはあったものの、ハギヨシはストレートにテンパイしていた。

 京太郎は今、2向聴。

 黒髪は詳細不明。ただ、京太郎と同等以上には向聴数を減らしているだろう。

 そして――。


竜田「――カン」

竜田「……今日は重なるなぁ」

竜田「リーチ」


 かかったリーチ。

 またしても、東の暗槓。表示牌は“北”。

 親っ跳確定のリーチであり。

 それに対し、京太郎は迷わず――


ハギヨシ「御無礼、ロンです」

ハギヨシ「5200点は5800点」


 ――差し込んだ。


 ツモられたら親倍確定。

 マイナス8600点で、点差は実に33200点も開く。

 直撃など言うに及ばず。他家が放銃しても、18000点が開く。

 これが一番、被害が少ないのだ。


竜田「……人がリーチした途端に」

竜田「ヘボプロ」


 金髪の少女は、不満げに1000点棒を投げる。

東二局ニ本場・結果

京太郎:82600 (-5800)
ハギヨシ:103000 (+6800)
竜田(金髪):124700 (-1000)
下足(黒髪):89700 (±0)



京太郎(さて……ここが、見極めか)

京太郎(どうなるか、だけどさ……)

京太郎(俺の手は、そこそこ)

京太郎(相変わらず、引きは微妙だな)


京太郎(……ん?)

京太郎(黒髪が……攻めに、行ってる?)

京太郎(勝負手っつーことか?)

京太郎(……ま、ならいいさ)

京太郎(知り合いであるあんたが、攻めてもいいって判断したってことは)

京太郎(『是非とも和了したいか』)

京太郎(『ここなら和了できるか』)

京太郎(どっちかだぜ……ああ)


 例えば、勝負手であり、確実に京太郎やハギヨシを削れる。

 或いはこの先、いままで以上に恐ろしい和了が来るため点数が必要。

 それか、自分の能力の条件なのか――だ。


 無論、普段ならそんな事は判らない。

 それは――お互いの事情に変わりなく、己の最善を目指すであろうため。

 ただこれは、限定された状況下である。

 彼女たちは二人とも、宮永プロと打ちたがっている。

 京太郎は、その障害。

 己の目的を果たすために、京太郎を如何に撃破するか。

 そんなことを念頭に、行動する。

 だから、ここで黒髪が攻めるのには“意味がある”。


 データが足りないが故に。

 少しでもデータを得られるだろう場を、京太郎は整えた。

 少女たちは、気付かない。気付けない。

 卓に着くよりも先に、戦闘は始まっているのだ。


 ――これが、須賀京太郎の経験。


京太郎(そんで、攻めに来るなら……)

京太郎「――ロン」

京太郎「7700点」

下足「……はい」

京太郎(射抜く、ぜ?)


 ――これが、13位。


 233445s ③③③④p ニ三四m ロン②

東三局・結果

京太郎:90300 (+7700)
ハギヨシ:103000
竜田(金髪):124700
下足(黒髪):82000 (-7700)



京太郎(さて……どっち、だ)

京太郎(あれは親での限定なのか、そうじゃないのか)

京太郎(そいつを見極めるのが……ここだ)


 先ほど黒髪が動いた理由。

 金髪が親番以外にあの能力を使えないとするなら、動くのもわかる。

 ならば確かに彼女が動くほか、あるまい。

 ここでなんの動きもないなら……。

 金髪の和了は、かなり限定的なものだと確定する。

 果たして……。


京太郎(普通に、攻めるつもりか?)

京太郎(つまり、あのカンドラ爆はない?)


 黒髪は、動いた。

 つまり、金髪のドデカイものはこない。

 だからこその、行動。


京太郎(……俺の、手)

京太郎(一気通貫確定の平和、ドラはなし)

京太郎(リーチかけずじゃ3900点。ツモで5200点)

京太郎(……勿体ないな。黒髪より俺のが早いし)

京太郎(ここは、点差を詰めるためにも――)


京太郎「――リーチ!」


 ――だが、考える力があるということは……。

 ――視えるということは……。

 ――それが故に、見えないことを生む。


 やはり、魔物という化け物と戦っているストレス。

 その力を、眼球と脳髄を酷使しているが故に無意識的に勝負を急ぎたくなる感覚。

 油断ならない魔物を相手に、可能な打ちに、開いた点差を詰めたい。


 ――そんな思いが……。

 ――人間が故の弱さの、そんな涙が……。

 ――京太郎の目を曇らせた。


竜田「――カン」

竜田「もうひとつ――カン」

竜田「そんで、リーチ」


 金髪の手の内で回る、4×2の牌。

 場風の“東”。自風の“西”。

 追加ドラ表示牌は、一枚が“北”であった。


 場風牌、自風牌にドラが4つ。

 跳ね満が、確定する。

 これは不味いと思った。

 リーチをしてしまったこの状況では、躱せない。

 ツモれたのなら、競り勝てたのならば――。


 だけどそれは、起こらない。

 ツモ切り。ただの、ムダヅモ。

 そこへと――


竜田「――ロン」

竜田「リーチ一発東西ドラ4」

竜田「16000点」


 ――魔物の一撃が、襲いかかった。


東四局・結果

京太郎:73300 (-17000)
ハギヨシ:103000
竜田(金髪):141700 (+17000)
下足(黒髪):82000



京太郎(……が、クソッ)

京太郎(喰らっち……まった……!)


 点差は実に、68400点。

 あまりにも絶望的な数字。

 京太郎の打点で取り戻すには、極めて困難に近い点数。

 不注意だった。眼が眩んだとしか、言い様がない。

 片腕を潰されたに等しいほどの放銃を、京太郎は行ってしまっていた。


 取り戻さねば、ならない。

 ひたすら直撃を狙い続けるほど、京太郎は射抜く力に特化していない。

 とにかく、細かくも積み重ねる。

 そのためには、ここで少しでも連荘する必要がある。

 だけどそれは、できない。


京太郎(コイツの能力は……風牌の支配)

京太郎(2役になる分の風牌を、各4枚集めてカン)

京太郎(それで、ドラを4枚乗せる)

京太郎(つまりこの位置は……)


 東場の東家。

 南場の南家。

 そこはあまりにも、危険な領域である。

 なんとなく、その二つは危ないかと考えてはいた。

 他の風牌については、可能性の考慮に留める程度。

 危険とは思った。思ったが、動いた。

 理由は、黒髪の少女の存在。

 彼女が攻めたが故に、金髪の少女を知る彼女が攻めたが故に。

 京太郎も、攻撃に移行した。


 だけれども、それは間違いであったのだ。


 それは、片眼が潰されたも同然の衝撃。

 己が頼った眼には、誤りがあったのだ。故に一撃を受けてしまった。

 芽生える不信感。

 錯綜する思考に、滲み出る脂汗。


 ――京太郎は、優れた“眼”を有しているが故に。

 その“眼”を潰されてしまったのなら、平常なる戦闘能力は半減する。


京太郎(……このままなら、倍満をかぶっちまう)

京太郎(連荘して、稼ぐか?)

京太郎(それとも、ハギヨシさんに流して貰うか?)

京太郎(どうする?)

京太郎(そもそも、アイツはまたツモるのか?)

京太郎(アイツのリーチと嶺上開花ツモの違いはなんだ?)


 衝撃に、思考が空回る。

 滲み出る汗。濡れる掌。

 混乱する思考に比例して、手が進まない。

 深海の底に潜るがごとく、手牌が重く動かない。

 続く、ツモ切り。


 その間に――。


竜田「……カン」

竜田「――ツモ」

竜田「連風牌、嶺上開花ツモ、ドラ4」

竜田「4000・8000」


 ――暴風が、吹き荒れた。


南一局・結果

京太郎:65300 (-8000)
ハギヨシ:99000 (-4000)
竜田(金髪):157700 (+16000)
下足(黒髪):78000 (-4000)



 そして、南二局目。

 ついに、もう一人の力が……表に表れる。


京太郎(攻めるべきか、判らない)

京太郎(自分自身の判断が違っていたんだから……迷っちまう)

京太郎(でも……)

京太郎(あの黒髪の娘は、動いた)

京太郎(攻めた方がいいのか……と、思う)

京太郎(思う……が)


 続く、ツモ切り。

 配牌は決して悪くない。悪くないのに関わらず……。

 引きが、まるで伴わない。

 見れば、ハギヨシも顔を顰めている。

 金髪も、攻める姿勢に向かっていない。

 この状況を引き起こしているのは――。


下足「――ロン」

下足「2600点です」

ハギヨシ「……はい」


 先ほどまで事態を静観していた、黒髪の少女。

 照をして魔物級という少女が、動き出していた。

南ニ局・結果

京太郎:65300
ハギヨシ:97400 (-2600)
竜田(金髪):157700
下足(黒髪):80600 (+2600)


京太郎はロンされてもアッハイだがハギヨシさんからロンだと!?


 ――南三局。


 金髪の少女が牙を研ぎ始める。

 あれほど奪っても飽きたらず、未だに攻めようとするその姿勢。

 しかしそれを止めるためには、無理攻めの必要がでる。

 これ以上、京太郎の点数を削られてはならない。

 ハギヨシは、そう思って、今度こそはこの己が。

 親番で、攻めるべきだと考えた。

 だが、しかし――


ハギヨシ(……これは)

ハギヨシ(やはり、無駄な引きが増えています)

ハギヨシ(局数が進めば進むだけ、ツモで有効牌を引けなくなる)

ハギヨシ(何かの糸でがんじがらめにされているか)

ハギヨシ(……そんな気分すら、覚えますね)

ハギヨシ(僭越ながら、確認の為に……敢えて防御を外させて頂きましたが)

ハギヨシ(やはり、彼女だけは早い……いや、平常通りのように見える)

ハギヨシ(京太郎くんは既に気付いている……ようですね)


ハギヨシ(『局数に比例して無駄なツモが増える』)

ハギヨシ(対戦者にそれを与えるのが、彼女の能力)


ハギヨシ(彼女は正しく……)

ハギヨシ(深く前へと進んだその先の……暗黒の洞穴の主)

ハギヨシ(言うなれば、こんな所でしょうか?)


黒髪「――ツモ」

黒髪「1000・2000」

南三局・結果

京太郎:64300 (-1000)
ハギヨシ:96400 (-2000)
竜田(金髪):156700 (-1000)
下足(黒髪):84600 (+4000)



竜田(……終わったかな)


 彼女は静かに、牌を倒した。

 もう十分な点数を稼いだし、ここから先はもう一人の領域。


 東一局、東二局、東二局一本場、東二局二本場、東三局、東四局。

 南一局、南二局、南三局。

 都合、これまでの局数は9つ。つまり、無駄に引かされるのも9つ。

 麻雀のツモはおおよそ17~18回。

 その半数を、封じられる。

 配牌一向聴で仮にストレートだとしても10巡目までは聴牌ができない。

 ともすれば、この能力下では聴牌すらままならない。

 その状態で彼女だけは、平然と打ち続ける。

 そして、局数が重なるほど手は動かなくなる。

 彼女がラス親の場合、起こるのは地獄の光景。


 有効牌を引き入れられず、ツモ切りを繰り返す。

 その中で一人続く、聴牌と連荘。

 仕舞いには、なにもできなくなった中。

 ただ、彼女が聴牌するのを見るしかない。

 彼女がノーテンをする以外、その地獄は永続する。

 誰もがただ、点棒を吐き出す機械と化す。


竜田(……やっぱり、だから)

竜田(宮永プロと、戦わないと)


 静かに、手牌を弄ぶ。

 常人を相手にしたって、結果など見えているのだ。

 どうあがいても、決まりきった帰結にしかならない。

 それは、目の前の男とてそうである。

 何様かは知らないが、どうなるのかなんて、知っていた。

 どうせ、決まってるんだ。

 彼らがどうなるのかなんて。どうするのかなんて。


 放銃なく進んだ、南四局五本場。

 一人だけの聴牌。続くノーテンの声。

 漸くそれも――


下足「ノーテン」


 ――終わりを告げた。


 些か、退屈であった。

 彼女も二位に入らなければならないため、手出しをしてはいけないのだ。


 改めて、点棒を眺める。

 自分が一位。あの娘が二位。燕尾服が三位で、金髪が四位。

 所詮は、こんなもんである。

 どうなっても結果は変わらない。


 だからこそ――


竜田(宮永プロと、戦わないと)


 そうとだけ、思うのだ。

南四局~南四局五本場・結果

京太郎:59300 (-5000)
ハギヨシ:91400 (-5000)
竜田(金髪):151700 (-5000)
下足(黒髪):99600 (+15000)



 確かに彼女は結果を知っていた。

 常人がどうなるのかを知っていた。

 自分たちのオカルトの強力さも知っていた。


 だが――知らない。


 それはただの職業なのか。称号なのか。

 生き方なのか。分類なのか。

 強さなのか。巧さなのか。


 彼女たちは――知らない。


京太郎(ああ……判った)

京太郎(そういうこと……だよな)

京太郎(ああ、判った)


 プロ雀士というものを知らない。


京太郎(視えるよ)

京太郎(ああ……視えるぜ、ハッキリと)


 オカルトスレイヤーというものを知らない。


京太郎(お前らの涙が……)

京太郎(俺には、ハッキリと視える)


 須賀京太郎という男を――知らない。



【オカルトスレイヤーKYO(前編)】



←To be continued...

いつの間にか京太郎が8位の貫禄を出していた
いつの間にか当初のプロットよりオカルトが強力になっていた
いつの間にか点差がバンバン離されていた

な、何を言って(ry

優希がプロならリオックだよね(小学生並みの感想)


それじゃあ、おやすみー

そういやスレじゃなく板なんだよな

やっぱり運逃がしまくって国士狙うべきだと思う

始めようかね


まあ、本編描写見るかぎりオカルトは公的には認められてないけど
ネットみたいな俗世界なら「オカルト」呼びしててもいいよね、くらいで

イチローが打率高くても「イチローは能力者」っていう人おらんけど、ネタにはするやん?

つまり、ツッチーはマジ対子王子


【オカルトスレイヤーKYO(後編)】



「京」

1:みやこ。明るく大きく広い丘と高い楼閣

2:数の単位。兆の一万倍

3:仮名尻。いろは歌の最後に用いる。転じて終わりを意味する



「太郎」

1:長男の名前

2:最も優れたもの。大きなもの

3:物事の始まり。最初


京太郎「お疲れ」

京太郎「それじゃあ、15分休憩で」


 言うなり、席を立つ。

 ハギヨシには声をかけずに、そのままバックヤードへと向かう。

 これは、コンビ打ちではない。

 余計な会話など、不要だった。


照「……」


 向かうその途中に佇む照。近くには咲。

 皆は、遠巻きに京太郎の様子を伺っている。

 照は無言。

 笑顔の仮面を捨てたいつもの表情で、京太郎を見る。

 表情の変化を読み取ろうとして――やめた。

 余計なところで、目を使う訳にはいかない。温存しなければならない。

 それにこんな――ある主の戦闘モードとなった照から何かを読むのは、京太郎をしても不可能に近い。


 照は黙って京太郎を見る。

 何かを言いたげでもあるし、逆に、京太郎の話を聞きたそうにもしている。

 鏡の花、水の月――それを象徴するような湖面を思わせる硬質の瞳には、

 京太郎の姿だけが反射して、その目に照自身の色を映さない。


京太郎「……照さん」

照「……」

京太郎「これが……これが俺の、変えられない生き方なんです」

照「……そう」


 それだけ告げて、京太郎は奥に向かう。

 懐には煙管。小走やえからの、プレゼントだ。


京太郎「……ふう」

京太郎「『渡したはいいけど、あんまり吸うな』とか」

京太郎「あの人も、無茶言うよな」


 タッグ戦優勝の記念だと、贈られた煙管。

 煙草よりは絵になるし、却って仰々しいからおいそれと吸わなくなるだろう。

 そう、やえは言っていた。

 京太郎自身、普段の思考能力が低下するので、学生時代とは異なり、ニコチンの摂取は控えている。

 それでもやはり、吸いたくなるときはあった。

 呼吸とともに首筋が疼き、肺の中を重厚な空気が充たす。

 遅れて来る、緩慢で温かい幸福感。

 胸に溜まった痼を煙に掃き捨てるように、紫煙を吐き捨てる。


京太郎「やっぱ、流石は魔物級だな」

京太郎「点差が10万点近く……普通なら、普段なら二位抜け狙いに切り替えるぜ」


 ああ、もう十分やっただろうとか。

 半荘で潰されなかっただけ頑張ったとか。

 これが、人間と魔物の差なんだとか。

 一人になれば、そんな考えが浮かんでくる。


京太郎(そもそも俺のスタイルは、牌符とか映像とかで充分に研究を重ねて……)

京太郎(事前に恐怖し、自覚し、対処し、作戦を考えることだ)

京太郎(人間は弱いから……そうしないと、土俵にすら立てない)

京太郎(そもそも、準備なしに……小学生とはいえ“魔物級”と戦うのが無茶なんだよな)


 或いは、夢乃マホや宮永照なら、同卓して直ぐにその特性を把握するだろう。

 しかし、京太郎は凡人である。

 己がもっとも恋い焦がれる麻雀において、天は彼に味方しない。

 何かが起こるのはすべて、京太郎の意思とは関係ない。善きにしろ悪きにしろ、華を持たない。

 ……相手が強く、華を持てば結果も相応になるが故に。

 それと対戦したときに、悪い意味での華を得るのは、ある意味順当であるが。

京太郎はSAMURAIの血を引いてないからしかたないね


 京太郎は不運ではない。常人並か、やや上か下か。

 おおよそ平凡。そんな程度だ。

 明らかなるマイナスの、負ける運命の人間ならば、

 それはそれで“運”に対する理論が組み立てられようが、

 純然なる確率の問題である以上、それは考慮に能わない。理論など作らない。


 ……なお。

 井上純のような、“亜空間殺法”も手札にはしてあるが、

 やはり京太郎には未知の理論であり、また、そもそもそれで揺るぐほど運が細くないである為、

 魔物級や上位プロ勢相手に使うことなどはまずない。

 精々、国広一とのジョジョごっこで、アヴドゥルを粉みじんにするぐらいにしか使わない。


京太郎「あー」

京太郎「糖分が足りない」

京太郎「ブドウ糖溶液でも、また射つか?」


 やたら多い注射痕の物々しさと、覚醒剤に間違えられて職質で面倒なこと。

 流石に今は、やめていた。

 イメージが大切な麻雀プロである。

 シャブ中呼ばわりなぞ、洒落にならない。


1:国広一
2:東横桃子
3:その他、メール(更に判定)

↓7


一「ほら、忘れ物」


 顔を上げるとそこにいたのは、国広一。

 その手には先ほど、東横桃子が寄越したおみやげ。

 京太郎の打ち方を知っている、だから、わざわざ持ってきてくれたらしい。


一「結構おいしいよ?」

京太郎「食ったんスか? 俺へのおみやげなのに? 俺より先に?」

一「細かいことを気にしてたら、ボク以外にはモテないよ」

京太郎「一さんにモテれば十分っすよ」

一「そう? ボクは嫌だけどね」

京太郎「嫌なんだ……」

一「そりゃいい人なんだから……いい人だって、ちゃんと周りにも判って貰えた方が嬉しいって」

京太郎「そーなんすか」

一「そーなんだよ」


 そういうもんかと、おみやげを口に運ぶ。

 甘い。

 なんだこれは。ンマイなぁぁぁぁあ~~~~~!


一「京太郎くん、こっち見て?」

京太郎「はい?」

京太郎「……って、手品っすか? 唐突に?」

一「緑色、目にいいって言うからね」

京太郎「……あ。ありがとうございます」

一「どういたしまして」


京太郎「……ありがとうございます」

京太郎「色々、落ち着きました」

一「そう? ならいいけどさ」


 やれやれ、と腰を上げる国広一。

 見えてはならないものが見えてしまいそうになり、咄嗟に目を背けた。

 壁に寄りかかった一が、ポツリと漏らす。


一「煙草、やめたんじゃなかったっけ?」

京太郎「……煙管っすよ?」

一「そういう、言葉尻を捉えた言い方はしない」

京太郎「了解っす」


 煙を吐き出してみる。

 また暫し、静寂が訪れる。

 蝉の鳴き声、遠雷の音が聞こえた。

 どこかで一雨降っているのだろう。


京太郎「……一さん」

一「何かな?」

京太郎「前半、あんなんだったけど……」

京太郎「後半は、信じて下さい」

京太郎「人間の強さを――俺の強さを」


 上手く笑えたか、疑問ではあるが。

 見上げるように、彼女へと笑いかけた。

 自分自身の弱い考えが、外に滲み出てないかを祈りながら。


 すると。

 国広一は、京太郎の顔を眺めてから少し間をおいて、


一「京太郎くん」

一「人間はね……弱いんだよ」


 そんな風に、小さく呟き返した。


一「前に……言ったよね」

一「ボクは昔、取り返しのつかないことをしちゃったって」

京太郎「……はい」

一「そのことが元になって、今の縁があるから……いつまでも引きずってはいないけど」

一「それでもあのときのボクは、客観的に見ても、間違いを犯した」

一「それは事実だ」


 吹き上がった煙が、空に混じる。

 遠くの入道雲を思わせてから、消えていく。


一「だからボクは、身を以って知ってる」

一「人間は、弱いってね」


 彼女の過去は、聞いていた。

 ハギヨシに連れられて、屋敷で面通しされて。

 手品ができるということなので――京太郎は、教授を願った。

 そういうものを持っていたら誰かを楽しませることができて面白いだろうし、

 彼女の見せた手品に魅せられて、やってみたいという気持ちになったのだ。

 京太郎は純粋な気持ちであったのに、一は難色を示した。


 挙げ句、あろうことかこう言った。

 京太郎が麻雀をやっているということを、そして伸び悩んでいるということを知っていた彼女は――

 『イカサマにでも使う気かい?』

 ――と、本気で問いかけたのだ。


 京太郎とて、そんな言葉を出されたら、黙っていられなかった。

 自分を侮辱された。

 麻雀への思いを侮辱された。

 京太郎と麻雀で関わった人を侮辱された。

 そしてそれは、京太郎と友人関係を形成していたハギヨシへの侮辱でもあった。

 いくら温厚な京太郎とて、我慢ならない。

 そこからは、売り言葉に買い言葉の応酬だった。

 思えば、第一印象は最悪であった。


 後から聞くに。

 気さくそうに見えても、一はやや頑なタイプであり。

 京太郎という異物が、自分のテリトリーである屋敷に入ることに、ストレスを感じていたのだろう。

 「それに、とーかとやたら仲良さそうに見えたから」というのは、後の彼女の言葉。

 ハギヨシに良いところを見せようと勝手に屋敷の業務に手を出した、

 他人の領分に土足で踏み込んだ自分には気遣いが足りてなかったのだと、

 後から振り替えればそう思う。


 「ボクの服装についてのことも含めてね」とは、彼女の談。

 ハギヨシにうっかり漏らした言葉が、まさか当人に聞かれているなど……。

 これからは色々気をつけようと、そう思った。


一「だから……」

一「ボクは、こう言うよ?」


一「『人間は弱い』」

一「でも……」

一「ボクの知っている――須賀京太郎は、強いって」


一「どこにでもいるような程度だった君を……」

一「今みたいな一流になる前の君を、ボクは知っている」


一「不器用でも器用でもない君が……」

一「本当に真面目に手品を覚えたのを見ればさ」

一「どれぐらい、麻雀の為に力を注いだのか」

一「それ以外の、万能タレントって呼ばれる理由の色んなことにも」

一「沢山努力を積み重ねたんだって、ボクには判る」


一「なんとか麻雀に生かせないかって……」

一「他人から見たらどんなにバカらしくて、荒唐無稽であっても……」

一「僅かな可能性を掴みとろうと……必死に考えてた君を知っている」

一「それでもどうにもならなくって……」

一「麻雀から離れようと色んなことに我武者羅になってたときも……」

一「それでも諦めきれずに、捨てずに麻雀に触れることを続けていた君を知っている」


 言葉を区切って、一歩、京太郎に距離を詰める。

 いつもは見上げる形だけど。

 珍しく見下ろす形になっている青年へと、笑いかける一。


一「君の“習慣(いきかた)”を――変わらない君の努力を」

一「ボクは、知っている」


一「だからボクが保証してあげるよ」

一「人間は弱いけど――」

一「須賀京太郎は、須賀京太郎の生き方は強い……ってね」


 


一「だから、こう言ってあげる」

一「君はどうにも格好つけしいだからね……」

一「励まされるよりも、慰められるよりも――」


一「ショーはまだ、始まったばかり」

一「クライマックスは、これからなんだろう?」

一「期待してるよ、オカルトスレイヤー」


一「――こういう台詞の方が、似合ってるってさ」

一「違うかい?」


 悪戯っぽく笑う一が手を伸ばす。

 その手をとって、立ち上が――ろうとして京太郎の体重に一がよろけた――。

 どうにもしまらないなと笑いながら、尻を払う。


京太郎「ええ」

京太郎「ショータイムは、これからだ」

京太郎「期待してて下さいよ」

京太郎「逆境なんてのは、ショーのスパイスでしかないんだ」

京太郎「こっからカーテンコールまでは、オカルトスレイヤーの独壇場っすよ」

一「……期待してるよ? し過ぎるくらいに」

京太郎「ええ」

京太郎「格好つけたがりの、軽い男っすからね」

京太郎「思い期待を背負って、ちょうどいい」




一「……いくらなんでも、格好つけすぎじゃないの?」

京太郎「女の子の前なんで……一さんの前なんで、ね」

一「本当に……軽いね、君」




  ◇  ◆  ◇



 およそ10万点差。

 尋常ならざる点数の差。

 役満を直撃させられたとて、それでもまだ自分の点が残り、振り出しに戻るだけ。

 勝負は決したと言っても、なんら差し支えはないだろう。

 半荘が終わるなり逃げるように席を立った須賀プロを振り返りつつ、

 やはりプロと言っても所詮は人間でしかないのだと、

 失望感を孕んだ虚無感と共に、少女たちは卓を離れる。


 向かう先は、宮永照。

 自分たちの、本当の目的――。

 だが、


照「……まだ、早い」

下足「なにが、ですか?」

竜田「……これ以上やっても、あのプロが悲惨を曝すだけだけど」

照「……」


 静かに、宮永照は二人を見やった。

 揺るがない瞳。静寂を保つ表情。


照「あなたたちは、須賀プロを知らない」

取れてるんじゃないの?
家に趣味やら修行の一環やらで獲得したトロフィーとか溢れてそう


下足「それって、どういう……」

竜田「……買い被りじゃあ」

照「……」


 無言で顔を背ける宮永照。

 その視線の先にいるのは――須賀京太郎。

 あれほどまでに、点差を離されたというのに。

 男の眼は、死んでない。


 しつこい。

 諦めが悪い。

 馬鹿らしい。


 そんな、彼を軽んじる感情の中に……半ば薄ら寒いものを覚えた。

 すぐさま、頭を振って否定する。

 須賀プロと宮永プロは、仲がよさそうだ。

 だからこそ人前で、彼を貶すことをしなかったのだろう――と。


 一旦粘りのようなものを見せて。

 それから碌な見せ場もなく敗北した様を眼前でありありと見せ付けられた分、

 少女たちの内なる失望感は、簡単には拭えない。


竜田「倒したら……」

下足「逃げずに、戦って下さいね?」

照「……」


 宮永照が僅かに頷いたのを見て、少女たちは、先だって卓に戻る。


京太郎「さて……」


京太郎(分析は、それなりにできた)

京太郎(まだまだ足りないし……)

京太郎(思考はできても、試行はできちゃいない)

京太郎(だから、こっから先はやりながら……試しながらの闘いだ)


 静かに、手を握る。

 一から、託された。彼女の期待を託された。

 だから、任された。

 魔物と戦う人間として、須賀京太郎という男として。

 彼女に、任されたのだ。戦いを。



照「……京ちゃん」


 脇を通るその時に、宮永照が言葉を投げかけた。

 静かなポーカーフェイス。

 揺るがない、卓上の魔物。麻雀界の最高峰。揺れない震源……げふんげふん。

 無言で、無表情ながらも――京太郎に問いかけていた。

 或いはそれは、ただの錯覚だったのかもしれないけど……。


 照の視線に、京太郎は答える/応える。

 満身創痍で、絶体絶命であるけれど。

 国広一が保証してくれた生き方を元に、こう言うのだ。


京太郎「――やれます」



照「……そっか」


 それ以上、言葉は要らぬと。

 照は、一歩後ろに下がる。

 ある種の信頼関係がそこにあった。無言の会話が、そこにはあった。

 伊達に、共演はしていない。

 他人からは分かりにくい照の表情の変化を、京太郎が知るように……。

 照も、京太郎が抱える思いを、その在り方を知っている。


 ……それでも。

 興味以上の好意を抱く男が、本来得意とする舞台ではない戦場に向かうとあっては、

 苦言の一つでも呈さずにはいられない、歳上としての自負が出るが。

 ついでに言うと。

 彼らしい小気味良いやり取りを真似しようとしても上手くいかずに、些か不満である。


 ……と。


照「……須賀プロ」

京太郎「なんですか?」

京太郎「――って、痛てえええええ!」

照「なにか失礼な事、考えたでしょ」


 なんとなく彼からの良からぬ思考を感じたので。

 とりあえず、一撃入れておいた。

 美味しそうなお土産物を一人じめしたことへの不満もある。

 糖分が欲しいなら、持ってるお菓子と交換したのに。

 けしからん。

 美味しさは、分けあうべきだと思う。


京太郎「……これから戦いにいくやつにすることじゃないっすよ」

京太郎「却って、頭が冴えましたけど……」

照「……」

照「京ちゃんが悪い。私には判る」

京太郎「……あ、はい」



 ……だから。


照「京ちゃん」

京太郎「今度は、なんスか……?」


 そういう、格好つけたやり取りは分からないから。

 伝えようとすると、どうにも喋り過ぎてよそよそしくなるか。

 妙にこそばゆくて、色々考えて口数が少なくなってしまうから。


照「――頑張って」


 余計かもしれないけど、自分の本心を。

 シンプルな自分の言葉で、彼に伝えようと思った。

 言わなくても伝わっているだろうし……。

 覚悟を決めた彼との会話には、蛇足かもしれないけど……。

 やっぱり言葉にして、伝えたい。

 あと、見たいのだ。


京太郎「――はい!」


 彼のこの、快活な笑みが。


 やっぱり、年相応というか年下っぽくて。

 思い詰めた表情とか、妙に乾いた笑いや、無理してる風な格好つけよりも。

 こういう方が、自分は好きだ。


京太郎「……悪いな、待たせて」

下足「いえ、構いませんよ」

竜田「……別に」

ハギヨシ「ヒーローは、遅れて登場するものですから」


 卓に、京太郎が戻る。

 点差は十万点近く。相手は本物の魔物級。

 ギャラリーだって、多い。

 これで破れでもしたら、麻雀プロとしての須賀京太郎には、多少なりとも影響が出るだろう。


 失うものがあって。

 得られるものは、なにもない。


 ただの余興で、小学生と卓を囲んでいるに過ぎない。

 或いは。

 相手は馬鹿らしい天性のイカサマ使いで。

 これで戦うのは、維持とか一分とか、そういう話を通り越している。

 ただの、単なる無謀でしかない。

 余人なら、そう思うだろう。


 だが……。


ハギヨシ(貴方がしたいことは……)

ハギヨシ(貴方がしようとしていることは……)

ハギヨシ(すべて、貴方だけのものだ。貴方が打って、貴方が決めることだ)

ハギヨシ(本当は、大きな事情なんてない)

ハギヨシ(能力がない人間を代表するとか……)

ハギヨシ(能力がなくても食い下がれることを他人に証明するとか……)

ハギヨシ(そんなのは、もののついででしかない)

ハギヨシ(期待するのも勝手。期待させるのも勝手)

ハギヨシ(ただ、そんな世界でしかない)



 誰が何をしようとも。

 そこにあるのは個人の意思だ。

 他人の言葉で表そうとしたって、完全な本質を捉えない。

 単純に、皆が皆、自分の為に打っている。


ハギヨシ(だから……私も)

ハギヨシ(私がやりたいようにやる)

ハギヨシ(そう……)


 これは、タッグ戦ではない。

 須賀京太郎も、金髪の少女も、黒髪の少女も。

 自分の理由で、この場に立つ。

 それは、ハギヨシとて例外ではない。


ハギヨシ(友人を……友人の思いを)

ハギヨシ(全力で手助けする)

ハギヨシ(それが――私のやりたいこと)


 自分を慕ってくれた、年の離れた気の置けない友人。

 どこか線引きをしがちで、当事者であることを避ける自分を。

 意識的に、或いは無意識的に――様々な機会へと誘ってくれる。


ハギヨシ(勝手に貴方に期待して、勝手に貴方に背負わせる)

ハギヨシ(勝手に代わりにしてもらって、勝手に貴方に証明してもらう)

ハギヨシ(私も大概、自分勝手な男です)

ハギヨシ(ですから……)

男女差別はよくないなあ

中の人のモットーは「期待は裏切る。予想は超える。」だからな~。どんな風に予想を超えてくれるのか楽しみさね


 そんな快活な彼の苦悩を知っていた。

 一部のみならず、ハギヨシはそれに立ち会った。


 今でこそ万能と言われるが……。

 彼は大概、いい意味でも悪い意味でも人の域を出ない素質の持ち主。

 そんな彼が、麻雀以外は天才だと言われる裏には、単純な理由がある。

 そう思われる域まで、積み上げたのだ。

 真剣に麻雀以外の道を探して、麻雀以外にすべき方向を探って。

 まさしく鬼気迫る勢いで、麻雀から離れようともがき続けた。それこそ、命懸けで。

 結局それは、麻雀への思いの裏返し。

 “やればできる”“やろうとすればできる”まで辿り着いた彼は。

 同時に自分が、それ以上には至れないことを知った。

 そうして、舞い戻った。

 捨てきれない感情と、因縁を持つ麻雀に。


ハギヨシ(貴方も自分のやりたいように、すべきと思ったことをして下さい)

ハギヨシ(私も勝手に、それを助けます)

ハギヨシ(私の持つ……やれるだけの力で)


 そんな男を、友人を。

 助けたいと願うのは。少しばかりでも力になりたいと思うのは。

 それがただのエゴだとしても、止める気などにはまるでなれない。


 麻雀に触れ、どこまでも努力を続けるのが彼の“習慣(いきかた)”ならば。

 支えたいと思った相手を、それに見合う相手を、この身の限り支えんとするのが……。

 きっと、この自分の――変えられない“習慣(いきかた)”だろう。


ハギヨシ(さあ……始めましょうか、京太郎くん)

ハギヨシ(無駄だの無理だの……そんな言葉は、聞き飽きましたよね?)

圧倒的ヒロイン力

玄「」

淡「」


気付いたら一ちゃんのヒロイン力が増大していた
気付いたら照が色々思ってても口下手で表に出せない不器用なお姉ちゃんになってた
気付いたらハギヨシさんが過去の京太郎を把握し行動を共に支えていたヒロインと化していた

な、何を(ry

たまのシリアスだとどうにも力が入りすぎんだね

これが終わったら、暫くは闘牌描写とかあんまりなしのギャグに行きたい


あ、ランキングについては前も言ったけど確定は無理よ
なんかそこらへんに繋がりそうなお題をとって、コンマだしてね
あとは展開次第やから

まあ、シャコの中の人がリオックになってるようなもんじゃないかな


眠いんでおやすみー

おつおやすー

おつー

「あの牌をツモったあの指の『動き』ッ!
あの『牌』の挙動……オレにはわかっちまった……イーピンだ
それがオレにはわかってしまったッ!」

正直京ちゃんの観察力だとここまで至れてもおかしくない
木の実化不可避

今うんこしてきたよ。 すごい手応えだったけど見ないで流したよ

壁に向かって放尿するタイプの便所もなんとか汁!隣との囲いがないから チ○ポ みられ放題だし、壁から跳ね返ったおつりがかかりまくる。壁には厚さ1 センチ 以上の黄色い層ができている。もちろんう○こがしてあることもよくある

男らしいでしょ

最近の日本人は軟弱だからこのタイプのトイレを増やすべき

皆はどうおもうかな?

大事な事だから皆で話し合いをしよう

激しい二日酔いの朝、ウンコをしたら灰色としか言いようのない色が出て きてびっくり。 焦ってすぐに流してしまったのではっきりとは覚えてないのだが… 単なる見間違いだろうかどうかはわからないが、それからしばらくは野菜 中心の食生活に。

大便の色

黄色、緑・・・・・・・・野菜、果物の取り過ぎ(陰性過多) 黄土色・・・・・・・バランスがよい(中庸) 焦茶色、黒色・・・・・・・動物性の取り過ぎ(陽性過多) 白色・・・・・・・・肝臓の病気があるとき 血便・・・・・・・・腸、痔の病気のあるとき

大便の臭い

健康な便・・・・・・・良い匂い 不健康な便・・・・・・・悪臭

要するにうんこがうんこ色にならない時は肝臓を疑えということのようで す。 わかりやすい気もしますが。お大事にどうぞ。 それにしても「不健康な便・・・悪臭」はいいが、「健康な便・・・良い匂い」 って 言うこたねえだろってここは万人のつっこみどころです。

13時間労働を3ヶ月ほど続けたところで、ウンコが赤黒くなった。 (あーこれはあれだ。カイヨウだ。)と思い、「ちょっち病院にいってき ます」と ふらふら歩いていったら、受付のカウンターで立っていられなくなった。 (入院するんなら家に帰って準備したいな)と思ったが、強制に近い形で 即入院。 治療室で横になっているうち、どうしてもウンコしたくなった。 「すみません。トイレ行きたいんですけど」というとシビンを差し出され た。 「すみません。大なんですけど。」というと、その看護婦はロコツにいや な顔をしたが、 黙って準備を始めた。 「どうせ血ィしか出ないんだけど……」というと、もっといやな顔をされた 。 すんごくいやな顔をされた。

∧_∧ ( ´Д`) <みなさーん、お茶が入りましたよ? / \ | l l | ..,. ., ., | | | _|。.:_::゜。-.;.:゜。:.:;。 ヽ \_ .。'゚/ `。:、`;゜:;.::.。:.:。 /\_ン∩ソ\ ::..゜:: ゚。:.:.::.。.。:. . / /`ー'ー'\ \ ゜: ::..゜:: ゚。:.:.:,。:.:. 〈 く / / ::..゜:: ゚。:.:.:,.:.:.:。:.:, . \ L ./ / _::..゜:: ゚。:.:.:,.:.:,.:.:.:, 〉 ) ( .::旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦. (_,ノ .`ー'旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦

皆のうんこはどうかなお茶でも飲みながら語ろうよ

皆のうんこはどうかなお茶でも飲みながら語ろうよ

この京太郎だと汗とかの排泄物の臭いで相手のコンディションを完璧に把握しそう。
京太郎「体臭や化粧、香水の具合で大体の状態は掴めるが、汗以外の例えば血液とかなら、より詳しく把握できるな」
淡「おしっこやウンコは?」
京太郎「汗の時より精度は上がるけど…カメラやファンの前では絶対に口にするなよ」
淡「京太郎の能力はバレたらドン引きだもんね」
京太郎「ぐっ」
咲「京ちゃんが欲しいのならいいよ…(もじもじ)」
和「しずと別れた理由が分かりました」
京太郎「誤解だーーー」

京ちゃんは確かに『ハイウェイ・スター』とか似合いそうだよね

『ハイエロファント・グリーン』や『ダイバー・ダウン』、『オー! ロンサム・ミー』も


それにしても阿知ポでデメ能力つけられててワロタ
憩の能力も、発展させれば3位になりそうなので何より

始めるでー

2行目に挙げられてる人たちは逝き方の印象が強すぎるんだよなぁ…

半荘後半戦・開始

京太郎:59300
ハギヨシ:91400
竜田(金髪):151700
下足(黒髪):99600



僕は5部ゲーが一番好きです(半ギレ)

強いて言うならセッコとかの敵キャラ使えれば良かった

俺「お前さあ、お前の役目って何よ?うんこの警備でしょ?違う か?」 肛門「・・・そうです」 俺「だったらさあ、

がって」 肛門「だって、屁ですっていわれたから・

俺「そりゃ言うよ、

たらそれくらいのことはいうよ。 俺が怒ってんのは、屁っていわれたからってすぐ通すなっつってん の!」 肛門「でも自分、うんこと屁の見分けできないし・

俺「じゃあどっちも通すなよ!俺が便所に着いて許可出すまで誰も通 すな! うんこと屁の見分けつかねー頭なら、せめて身体張ってどっちも止め ろよ!」 肛門「でも自分、一人だけだし、

数で負けてるし、 そもそも自分そこまで身体強くないですし・

俺「お前言い訳ばっかりだな。

事したくねーのか?なんだ? やる気ねーのか?」 肛門「・・・」 俺「黙ってねーで答えろよ!」 肛門「・・・あります」 俺「聞こえねーよ、何があるんだよ」 肛門「やる気、あります・

俺「おう、じゃあそのやる気見せろよな。二度と満員電車の中で脱糞 させんじゃねーぞ」

アニメに夢中になるのもいいけど現実を見よう。京太郎はT大出かもしれないけど、それは京太郎のステータスであって君には関係ない。君に出来るのはうんこくらいさ

バイト先の近くに有るうどん夜のトイレに行った ときの出来事。

ドアを空けると… おバちゃんがこっちにケツ向けて踏ん張っている ではないか! 「わっキタナっ!」 そう叫びながらドアをバンっと閉め一目散に逃げ ました。

みんなで年をごまかして、近所の炉端焼屋で酒を かっ食らってた。 宴もたけなわ、

。 なかなかトイレから帰ってこない。 気になって、

こいつも帰ってこない。 仕方ないので、

俺はテーブルにひとり取り残されて、

をつまんでいた。

Kが戻ってきて、笑いながら叫んだ。 「Tのバカ、

ウンコの臭いとカタチに気持ち悪くなって、

上に、ゲロ吐いちまったんだと。 で、



その様子を見に行ったUも、

まじさに吐いちまって・

Kは一生懸命笑いをこらえているように見えた。 しかし、次の瞬間、突然、今、俺が食ってるマグ ロ納豆の上に 黄色いゲロをぶちまけた。 反射的に立ち上がり、逃げようとした俺も、

後頭部に 納豆の糸を引きながら赤っぽいゲロを注いでいた 。


 賽が回る。

 席順はそのまま、親を決める。

 仮初めの後、決まったのは――。


竜田「……私か」

竜田「幸先いいね、これ」


 京太郎の下家。金髪の少女。

 乗せてしまったら止められない、陣風を統べる風神少女だ。

 親の倍満。

 今一度その和了を行われたのならば。

 京太郎の負けは、確定する。

 対する、北家の京太郎の……その配牌は。


京太郎(……ああ、知ってた)

京太郎(打点が高く、相手より早く和了しなければならない)

京太郎(そんなものが求められているが……)

京太郎(それを俺が引けないなんて、知ってた)


 相手の能力を知り。

 それを具に観察し。

 その対策を考案し。

 場の総てを考慮したとしても――。


 己の手牌が揃わなければ、描いた結果には到達できない。

 そんな都合がいい、絵図通りに物事を運べるほど――。

 世界は京太郎に、優しくない。

マスターベーションをやめろ
糞をつくる作業に戻るんだ

昔見たマンガに、ウンコ中にびっくり すると、ひょうたん型のウンコが出来る というのがあった。

俺が糞を散らさなくてもここは不感症野郎のスパームでいっぱいだ。いいかお前らすぐにマスターベーションをやめるんだ

とぐろ巻きは、腰を振る技術があっ てもそもそもとぐろを巻けるほどの 長さのうんこは出しにくいと言う現実がある。

また、ひょうたん型に至っては技術というよりも 、うんこの堅さや材質、水分、また 特定の栄養素の残量などによる粘着加減が、非常 に難しい上に、これを基礎 としたうんこを製造しようとしても、調整などほ ぼ不可能に近い

食物繊維を豊富に取りすぎるとずいぶんところこ ろしたうんこになってしまい、また 肉などを多く取った場合、くそが堅くなってしま う。 また、下痢気味だと、水分がおおいため型くずれ を起こしてしまい、また、粘着質 がすくないと絞ったときに、そこでうんこが切れ てしまうからだ。

思った通りのうんこを出すことは、今の科学力で は不可能に近い

しかし俺ならできる

お前らも力を貸してくれ

他にもやれる奴はいるはずだ

なんなら俺んちのオマルを貸し出してもいい

マスターベーションをやめてもっと進化するんだ


 オカルトスレイヤーだなんだのと言われても。

 所詮は詰まるところ、京太郎はただの人間だ。

 あらゆる武器より優れた腕を持ち、素手で怪物を封殺できる鋼の王ではない。

 どれだけ技術を積み重ねても、麻雀が麻雀であるが故に、埋められない壁が存在する。

 確率はやはり、京太郎にとって単なる確率でしかない。

 良い配牌もあれば悪い配牌もあり、良いツモもあれば悪いツモもある。

 そんなこの世の偶然を支配できる能力など、京太郎には存在しない。

 勝つかもしれない。負けるかもしれない。

 そんな偶然性の上に成り立つ英雄があるものか。

 だから、京太郎は単騎で怪物を討つ英雄などではない。


 しかし――。


京太郎(……ハギヨシさんは、よさそうだな)

京太郎(さっきの……あのもう一人の能力を喰らってても)

京太郎(そうじゃなくても、あの人の引きは普通に悪くない)


 これが麻雀であるが故に。

 一人で戦う理由なんてのは、どこにも存在しない。

 この戦いに、英雄なんてものは必要ない。


 ――タッグ戦ではない。


 京太郎は彼に、そう言った。

 だから打ち合わせなどは行わない。

 行うことは京太郎の主義に反する。目的と異なる。

 それでは、望む結末には至れない。


 だけれども。

 一人独走する人間を止めようとするのは、なんら、自然である。

 事実――対策の為に、かつての宮永照の牌譜を確認したときに。

 彼女は一切の打ち合わせを行っていない、他の三校の連携を受けた。

 京太郎に、ドラを集める能力などない。

 一巡や、或いはそれ以上の先を見るような動作などできない。


 だが、魔物ではないが故に。

 京太郎に、見えるものはある。

皆俺が、キチガイだと思ってるのかな

皆俺が、キチガイだと思ってるのかな

カタテマのまももの装備「蟷螂の斧」を連想した。


京太郎(金髪の――お前の能力)

京太郎(風を集める……)

京太郎(自分にとって益となり、他人にとって厄となり、役になる風を)

京太郎(俺が気付いたことはいくつか)


京太郎(まずお前は――役牌をカンするまで、和了ができない)

京太郎(役牌をカンして、嶺上開花でツモ)

京太郎(カンをして、リーチ)

京太郎(なんつーかな……)

京太郎(リーチのパターンは、もう一人の能力に妨害されてたのかどうか知らないけどよ)

京太郎(どっちも、嶺上牌をツモ切っていた)

京太郎(嶺上牌を取り入れたのは“2つカンをしたとき”)

京太郎(それ以外は、ツモ切り)

京太郎(……お前は嶺上牌がなくても聴牌してる)

京太郎(カンをする、そのときのツモの牌で聴牌)

京太郎(聴牌してから、カンをする)


京太郎(それまでの手牌について考えられるのは2パターン)

京太郎(あらかじめ、4枚の風牌を抱えていてから、他の面子を成り立たせるツモの後にカン)

京太郎(刻子を持ち、面子を作っておいて……そっから最後の1枚を引いてカン)

京太郎(後者は……つまり、聴牌状態)

京太郎(たとえば……)

 ①②③筒 456索 二二 七七萬 東東東

京太郎(こんな形)

京太郎(こっから、東の最後の1枚を待ってる)

京太郎(そんでこっからカンをして、出和了待ちになる)


京太郎(つまり……だ)

京太郎(後者なら――ご丁寧に、待ってる訳だ。最後のものを……態々)

京太郎(こっちのパターンなら、自分の能力を信じてるんだろうな)

京太郎(ま……そっちの方が、打点が上ってんだから当然だろうな)

京太郎(聴牌してんのにさ)

京太郎(出和了する以上、アイツにフリテンはない)

京太郎(あんまりにも普通なんで……言うまでもないが、アイツの切った牌は安牌だ)

京太郎(ただ、近いものを引いたら……普通は表情は変化する)

京太郎(勿論、隠せる奴はいる)

京太郎(自分の能力に絶対の信頼をおいてれば、まあ……顔が変わらなくても不思議じゃない)


京太郎(だけどな……)

京太郎(自分の能力で……フリテンなんてしないって知ってても、所詮は小学生だ)

京太郎(リーチをかけてから、俺たちが当たりに近い牌を切ったとき……)

京太郎(お前の目線が僅かながらに変わるのを俺は、視てる)

京太郎(お前はやはり、動揺する。するんだよ)


京太郎(……で)

京太郎(お前のツモに、それは見られない)

京太郎(だから、高確率でお前のカン前の手牌は前者)

京太郎(よっぽど、他人に引かれたくないんだろうな……風牌を)

京太郎(だけどそいつは……『重い』ぜ?)

京太郎(実質、1牌足りない状態で麻雀打ってるようなもんなんだからよォ……)


京太郎(可愛らしいな。可愛らしい弱点だ)

京太郎(自分であらかじめ確保するっつーことは……)

京太郎(昔の……長野の県予選のときの優希や)

京太郎(自分がカンをするまで攻められないように配牌に妨害をする淡みたいなもんだ)

京太郎(怖いんだろ? 嫌なんだろ?)

京太郎(お前を愛してる麻雀の神様だか、お前の深層心理だか知らないがよォォォオ~~~~~)

京太郎(『あらかじめとっとかないと奪われる』)

京太郎(そんな風に、怯えてるんだろ?)


京太郎(だからお前は、『不完全』だ)

京太郎(手がつけられない運の持ち主じゃあない)

京太郎(お前がリーチしたときも、結局は流れた。自力でツモれた)

京太郎(嶺上開花じゃないときは、ロンしかできない。絶対に)

京太郎(そんで……)

京太郎(リーチでも掛けて足を止めない限りは)

京太郎(俺は、経験の足らない小学生から直撃なんて受けない。読みきれる)

京太郎(逆に――射ってやるよ。直接な)

×自力でツモれた

○自力でツモれない


どんな間違いやねん

心理描写のくどさから京太・・・須賀プロ、小学生相手にかなりテンパっているじぇ

【幼女】須賀プロjs雀士を泣かす【涙目】
1 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
大人気なく、小学生を涙目にした須賀プロについて語るスレ


京太郎(二つ目)

京太郎(リーチやツモ、嶺上開花を除いて……)

京太郎(他の役が複合することはない)

京太郎(対々和もない。三暗刻もない)

京太郎(チャンタもなければ、混一色もない)

京太郎(三色も一気通貫も存在しない)

京太郎(ついでに、カンドラ以外のドラも乗らない)

京太郎(これは……いい判断材料だ)


京太郎(確実に、順子+刻子の複合形)

京太郎(三暗刻がない時点で……刻子は2つまで。1つは風牌で確定)

京太郎(三色がないから、異なる色で同じ順番になることもない)

京太郎(チャンタがないから、絶対どこかにヤオチュウの順子か刻子か対子が混ざる)

京太郎(赤ドラ……⑤筒二枚を引けないから)

京太郎(筒子の⑤絡みの順子は作りにくいし、刻子にはならない)

京太郎(で、混一色もないから違う色が確実に混じる)

京太郎(ああ――読みやすい)

京太郎(お前の手は、読みやすい)


京太郎(視える……視えるぜ)

京太郎(ハッキリと、お前の動作が。攻めに向かう姿勢が)


 或いはそれを、温存しているのかもしれない。

 本当は使えるけど、対宮永姉妹の為に隠しているのだと。

 その可能性はあった。あったが、無視した。


 隠しているのなら――追い詰められるまで、出しはしない。

 この局で出されるはずが、ない。

 さっさと勝負を決めるために、そんな切り札を切ることだってあり得る。

 だけど、だ。

 早く勝負を決めたいのならばそもそも、態々この半荘に突入する前に出す。

 そこで京太郎を消し飛ばして終わるのだ。


 あのときはなくて、今はある。

 そんな心境の変化もあるかもしれないが――。

 あのときと今、心境が変わる何かがあったとは思えない。

 だから、今それは考慮しない。


 推論の元に、相手へと踏み出す。 

 アウトファイターから、インファイターへ。

 寸前まで攻め続ける姿勢に。


清澄麻雀部の部員が
顧問 うたたん
3年 はっちゃん、胡桃
2年 ころたん
1年 タコス、魔王
マネージャー 京太郎
だったら

>>583
魔王さまより低い穏乃を押す

>>585
わざわざ乗るなks

>>589
(´・ω・`)めんご。そういう流れだと思って。


京太郎(んで……)

京太郎(嶺上開花を起こさない方法?)

京太郎(そこまではまだ、材料が足りない)

京太郎(だから……)

京太郎(単純に、手番をブッ飛ばす。速攻でこの局を流す)

京太郎(視えれば、限界まで攻められるからな)

京太郎(ハギヨシさんに副露して貰う。俺自身、最大限に副露する)

京太郎(相手がまだ攻撃できる姿勢じゃあないって読めれば――)


京太郎(攻めるのは、そう難しいことじゃあないぜ)


京太郎「――ポン」

ハギヨシ(……!)

ハギヨシ(なるほど……)


ハギヨシ「ポン」

京太郎「チー」

ハギヨシ「ポン」

京太郎「チー」

ハギヨシ「ポン」


ハギヨシ「――ツモ」

ハギヨシ「2000・3900です」


東一局目・結果

京太郎:57300 (-2000)
ハギヨシ:99300 (+7900)
竜田(金髪):147800 (-3900)
下足(黒髪):97600 (-2000)




魔物相手だと、オカルト無しの常人では心理描写がくどくなるぐらいテンパり、かなり消耗するわけですか。
京ちゃんは芸達者なスモーキンジョー(バキ)。

>>600
早まるな、捨てるのはやり過ぎだ

>>601
>>早まるな、捨てるのはやり過ぎだ
早まるな、捨てるの『はやり過ぎだ』→はやり過ぎたにパッと見えた。食べごろを過ぎちゃったのかと…


 続く、東二局目。

 京太郎は静かに手牌を倒す。

 この局、金髪の少女は動かない。絶対に動けない。


 彼女の能力は、風を集めること。

 自風、場風を集める。

 そして、どちらにもカンをする。カンドラを乗せる。

 それが能力である。少なくとも、現時点で判明している限りの。


 さて――。

 今、東二局。場風は東。

 前局、親であった彼女の風は北。

 東がドラとなるのならば、表示牌として北が使われる。

 つまり、北は揃わないのだ。4枚揃わない。

 だから、攻められない。

 今までの局、黒髪の少女が動いたのはこれが理由だ。

 金髪の少女がそもそも攻められないことを、知っていたのである


 魔物の制約にどんな理由があるかは、知らない。

 何か制限をつけることで、強くなるのだろうか。

 ケルトの騎士かお前らは、と思う。

 それはそーいうものなのだろう。とにかく、制約があるならあるのだ。


 東場の南家、東場の北家。

 南場の東家、南場の西家。

 そんな、風が隣り合う局では――彼女は和了できないのだ。

 今まではそれでも良かっただろう。

 何せ、打点が圧倒的すぎる。普通なら2回か3回和了した時点で、勝敗が決するのだから。

 仮に彼女が東場の東家であるとして、能力で3度和了したとしよう。

 その時点で他家の残り点数は100点。終わったも同然だ。

 だからこれは今までは――碌な弱点ではなかった。


京太郎(だけど……な)

京太郎(プロはそこまで、甘くない)

京太郎(俺は、そこまで……甘くない)
 

プロは踏んだ場数ではアマの比じゃないですから。
ころたんも始めの方はカツ丼さんに負け越していたかも。
始めは勝てたけど対策を立てられ、ころたんや魔王でも勝つ事(魔物に限る)が難しくなっているとかありそう。


 ただしそれは、配点が25000点であった場合。

 現在の対決は、配点が10万点。

 点差は離される。圧倒的にリードされる。

 勝機は遠退く。直ぐに終わらず、魔物の恐怖を味わい続ける時間が長くなる。

 だけど――死なないのだ。

 瀕死でも、耐えられるのだ。


京太郎(生きてさえいれば……10カウントが訪れなければ……)

京太郎(俺は、戦える)

京太郎(こっからの逆転がどれほどか細いものだとしても……)

京太郎(死んでないなら……まだ戦えるのなら……)

京太郎(その可能性がたとえ那由多の彼方でも――俺には十分すぎる)


 静かに、少女を見る。

 和了不可が確定しているのだ。彼女に打てる手はない。

 黒髪の少女を見る。

 前の半荘。彼女はここで攻めてきていたが――今回は、果たして。


下足「……」


 攻めようとはしない。

 配牌があまりよろしくないのか、

 それともハギヨシが連荘してくれた方が、後の彼女にとってありがたいのかは知らないが。

 彼女は攻めない。

 或いは前回、京太郎に狙い射たれたのを気にしているのかも知れない。


 後半起こる、あの無駄ヅモを考えるのならば。

 ハギヨシは攻めず、ここは京太郎が攻めるべきである。

 それが定石。道理の筈だ。

 だが……


ハギヨシ「――リーチ」


 ハギヨシは、攻めた。

 これは結局、コンビ打ちではない。

 点差が近いハギヨシがトップを狙いに行くのも、なんら、不自然ではないのだ。


 金髪、黒髪ともベタオリの末。


ハギヨシ「――御無礼、ツモです」

ハギヨシ「おや……」

ハギヨシ「裏が乗って……4000オールですね」


 13順目、ハギヨシが和了した。



東二局目・結果

京太郎:53300 (-4000)
ハギヨシ:111300 (+12000)
竜田(金髪):143800 (-4000)
下足(黒髪):93600 (-4000)




執事だから仕方がない。

【完璧超人】龍門渕執事、プロと魔物を破りトップに【黒執事】
1 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
モンブチの執事が一番の魔物じゃないのか


京太郎(そりゃあさ)

京太郎(三人が攻めなきゃ、こうなるって)

京太郎(麻雀ってのは、四人で打つものだからな)


 配牌を眺めて、手牌を伏せる。

 また、開く。

 開いたら何が変わるという訳でもない。

 やろうと思えば、すり替え程度は容易いが――。


 それだけは、絶対にやらない。


 それは麻雀に対する侮辱である。

 それは対戦相手に対する侮辱である。

 それは国広一に対する侮辱である。

 それは、自分自身と――自分自身を信じてくれた人への侮辱である。


京太郎(……で、どうするんだ?)

京太郎(誰も攻めなきゃ……当然だけどさ)

京太郎(その人、普通に和了するぞ?)


ハギヨシ「――御無礼、ロンです」

ハギヨシ「3900は4200」

下足「……はい」


東二局目一本場・結果

京太郎:53300
ハギヨシ:115500 (+4200)
竜田(金髪):143800
下足(黒髪):89400 (-4200)





京太郎(さて……と)

京太郎(『須賀京太郎は勝つことを諦めて』)

京太郎(一人だけしか通さないように、嫌がらせを仕掛け始めた……)

京太郎(なんて思ってくれても、いいだろうが……)


 一人は動けないのが確定しているが。

 もう一人もまた、動かない。

 後半の、能力下による連荘期待なのだろうか。

 大した自信だと思う。が、それも仕方ない。

 何せ、妨害能力としては一級。

 しかも、後半何も出来なくなった相手へと――八連荘――役満を叩き込むことも可能。

 無理攻めする必要がなく、後々取り返せばいい。

 そう考えても、無理もない。


京太郎(ま、ハギヨシさんが聴牌できずに終わるのは普通にあるだろうが)

京太郎(誰も攻めないで親がノーテンするのと、誰かが攻めて親を流すの)

京太郎(どっちの確率が上かなんて、明白だろ)


 天江衣の執事である、ハギヨシ本人の腕も然ることながら。

 やはり、場の状況というのが大きかった。


ハギヨシ「――リーチ」


 そうしている内に、更にリーチがかかる。

 二人は、ベタオリを始めた。

 我慢比べだと、考えたらしい。


 後の黒髪の能力が強力になるとしても、ハギヨシが点数を稼ぎにいく。

 稼いだ点数で逃げ切る路線――と、見せ掛けて。

 和了に向かおうとしたところを、脇の京太郎がズドン。

 そんな作戦であると。


 その作戦にかからないためにも。

 また、何をしようと後々自分の有利になるのだから、と。

 黒髪の少女は、静観を決め込む。


 或いは、どうせ流すにしても大物手で……。

 なんて、思っているのかもしれなかった。


京太郎(いや、ま……その通りだけどな……)

京太郎(ハギヨシさんに隠れて、射ろうと思ってるよ)

京太郎(だからそれは、正解だよ。大正解だ)


京太郎(だけどさ――)


 ハギヨシのリーチにベタオリを始める少女たち。

 その様を眺めつつ、京太郎は牌を倒した。


京太郎「――ロン」

竜田「……ッ」

京太郎「16600点だ」


 一二三 九萬  112233索 ①②③筒  ロン:九萬 ドラ:3索


京太郎(別に、オリてる奴を狙うことも訳ないんだぜ?)

京太郎(連荘が続けば、その数だけ配牌も変わる)

京太郎(その中には当然、高目を目指せる配牌だってある)

京太郎(攻めるのがハギヨシさんしかいないって判れば……)

京太郎(高い手だって、安心して作れるんだよ)


 ベタオリをする。

 それにあたっても――存在する問題。

 金髪の少女の能力の欠点、その2。


 彼女はどういうわけか、風牌を切らない。

 松実玄と同系統の能力なのだろうか。定かではないが。

 玄とは異なり特定局以外では平然と高打点で和了できるあたり、厄介であるが……。

 やはりそれは、弱点には変わりない。


 彼女の手が遅いことは、以前述べた。

 東場の東家、南場の南家以外となると……。

 その特性は顕著となる。


 例えばこの局。

 彼女は実に……恐らく7牌もの風牌を抱えている。

 二副露しているも同然。残りで、防御に立ち回らなければならない。

 そして彼女は、他の役が併合しない特性が故に……。

 既に暗刻が2つ存在する場合、それ以降の牌は重ならない。

 結果、どうなるか。

 対子落としができず、共通安牌を切ることができない。

 残りの牌はバラバラの順子。

 和了できる場面ならともかく、和了不可能が確定付けられている以上……。

 リーチ者の現物落としや、筋だよりの切りを行うしかなくなる。


 7牌が確定して、複合役がないことを加味し、さらに和了不可能という状況から考えるなら……。

 そんな少女の手牌を予測し、狙い撃つことなど――なんら難しいことではないのだ。


京太郎(なんつーかさ……)

京太郎(素直によォォォオ~~~~)

京太郎(『コンビ打ち』じみた麻雀以外を打っとけば良かったんだよ)

京太郎(そうすりゃあ、大概の相手は親倍で削られた点数を取り返そうと躍起になり……)

京太郎(結果、和了できない局なんてのは直ぐに流されるんだからな)

京太郎(連荘がなければ、俺にも狙える手なんて入らなかっただろうし……)

京太郎(高打点を練ってる暇なんてのも、生まれなかった)


京太郎(……ま)

京太郎(ワンツーフィニッシュにしなければいけない形にしたのは、俺だけどな)

京太郎(余裕を持てる、10万点っとのにもな)

京太郎(中国の兵法書に「孫子」ってのがあって……こう書かれている)

京太郎(『勝利というのは、戦う前に全てすでに決定されている』)


京太郎(……なんて)

京太郎(問題は、次局からだな)


東二局目二本場・結果

京太郎:69900 (+16600)
ハギヨシ:115500
竜田(金髪):127200 (-16600)
下足(黒髪):89400





京太郎(さて……と)

京太郎(この局で――一体、どう動くのか)

京太郎(そこだぜ。問題は……)


 黒髪の少女が、親番での連荘を狙うのか。

 それとも金髪の少女が、和了に向かうのか。

 或いは、その両方か。


 どうやら、その第三案だったらしい。

 二人とも、攻めていた。

 それも当然だろう。


 京太郎からの直撃により、ハギヨシとの点差が詰められてしまった金髪の少女。

 後々の自分の能力の為にも、親で連荘しておきたい少女。

 どちらが攻めるのも、道理である。

 そして京太郎とハギヨシもそれに続く。


 京太郎としては、この親番でも高目を和了したい。

 だが、そう上手くはいかないもの。

 先程ハギヨシが親だったときに同じく、少女の連荘の間に高目を目指せる配牌を待つ。

 それも考えたが、それよりは、自分の親番で連荘の方が美味い。

 またしても、金髪の少女の攻め手を封じられる位置であるため、尚更だ。

 ならば、余計な局などいらない。速攻で流しにかかるのは必然。


 ハギヨシについても同じだ。

 自分が和了すれば――直撃なら――京太郎の助けともなり、

 また、トップに躍り出る事ができるのだ。

 後半のあの、狂気的な無駄ヅモ地獄を考えるに、ここで少しでも点数を得たい。

 そんな思いで、誰もが和了を目指したが――


下足「ツモ」

下足「1300オール」


 競り勝ったのは、黒髪の少女だった。

 他家の無駄ヅモの分、僅かながらに上をいった。

 タンピン手をツモり、百点棒を卓に並べる。

東三局目・結果

京太郎:68600 (-1300)
ハギヨシ:114200 (-1300)
竜田(金髪):125900 (-1300)
下足(黒髪):93300 (+3900)






京太郎(……っと)

京太郎(鳴き三色か……それとも鳴き一通か)

京太郎(弱点が多すぎて……ストレートは辛いな)

京太郎(ドラもついてるし……)

京太郎(なんとかまあ、叩いておきたいところだけどさ)


 攻められると言えば、攻められる。

 攻められないと言えば、攻められない。

 攻めるほどの手かと言われると――難しい。


 思考の海に潜る。

 とは言っても、一秒にも満たないほどの逡巡ではあるが――。

 多少の違和感を覚えた京太郎は、副露による速攻を取り止めた。

 そのまま暫くは、手を練るか。

 無駄ヅモをしてしまう為にそれは上策ではないが……。

 ここで無理攻め放銃も、躊躇われた。


 そこで果たして、


ハギヨシ「リーチ」


 ハギヨシの、テンパイ宣言が入った。

 金髪か黒髪か、どちらかが親の場合……。

 相手が振り込まずとも、ハギヨシがツモったのならば、京太郎と少女たちの距離が詰まる。

 京太郎の点数も削れてしまうという問題もあるが……。

 京太郎の“技術”なら、それを取り返すことも可能であり、

 また、ハギヨシがトップを埋めるというのも、悪い話ではなかった。


 故に、ハギヨシはリーチをかけた。


京太郎(……流石だな、この人)

京太郎(リーチってことは……リーチしなきゃ和了られないか、勝負手ってことだな)

京太郎(まあ、ハギヨシさんのなら……何度も打ったから予想できる)

京太郎(先にリーチしちまってたならともかく……)

京太郎(そうでもなきゃ、振り込みなんてまずしねー)

京太郎(だから、このままハギヨシさんに走って貰いたいところだ……な……?)

京太郎(……)

京太郎(先にリーチって……まさか)

京太郎(まさか、な……)

京太郎(……いや)

京太郎(こういうときの、予想ってのは)

京太郎(当たる――)


竜田「――カン」

竜田「もうひとつ、カン」

竜田「そんで……リーチ」


 入った、金髪の少女の動き。

 お前もかという思いよりも――。

 これが、判別しきれなかった能力か……と。

 その能力に従うなら、ハギヨシは……。


竜田「――ロン」

竜田「リーチ一発、東西ドラ4」

竜田「16000点」


ハギヨシ「――ッ」

ハギヨシ「……はい」


京太郎「――」

京太郎(嶺上開花で和了しないとき……)

京太郎(ロンで和了するとき……)

京太郎(それは、こういうパターンかよ……!)


京太郎(しまった……)

京太郎(前局、タンピンにリーチを加えなかった理由を……リーチをかけなかった理由を……)

京太郎(考えて、おくべきだった……!)

京太郎(クソッ)

東三局目一本場・結果

京太郎:68600
ハギヨシ:97800 (-16300)
竜田(金髪):142200 (+16300)
下足(黒髪):93300






眠いので、すまんが寝ますわ


あー、京穏書きたいんじゃー

手元に麻雀牌もパソコンもない1を虐めないでくだちい

ちょっと3~5時間くらい汗流してから、三連休なんでこっち始めます


点数間違いの指摘ありがとーなー

ただしくはこうやな


東二局目二本場・結果

京太郎:70900 (+17600)
ハギヨシ:114500 (-1000)
竜田(金髪):127200 (-16600)
下足(黒髪):89400


東三局目・結果

京太郎:69600 (-1300)
ハギヨシ:113200 (-1300)
竜田(金髪):125900 (-1300)
下足(黒髪):93300 (+3900)


東三局目一本場・結果

京太郎:69600
ハギヨシ:95900 (-17300)
竜田(金髪):143200 (+17300)
下足(黒髪):93300





あ、夜からはじめます

途中中断するけど、始めようか


憧「誕生日おめでと」

憧「あー……うん。駄目ね、これ」

憧「駄目だ、これ……似合いすぎるわ」

憧「これだと、京太郎のイケメン具合が強調されちゃう」

京太郎「ありがとな」

京太郎「……あと、心配すんなよ」

憧「ふふ~ん? 本当に大丈夫?」


憧「2月2日が誕生日って、正直損な感じがしない?」

京太郎「そうか?」

憧「冬も終わりだし春にも遠いし、親からも微妙なプレゼントしか貰えなさそうっていうか」

憧「中途半端な時期だから、あんまり祝って貰えなさそう」

憧「大学だと、講義も休みになっちゃうしさ」

京太郎「ん……ああ」

京太郎「……まあ、早生まれのやつって皆そうなんじゃねーの?」

憧「そうかな」

憧「ま、あたしはこれから毎年祝ってあげるし……」

憧「もうひとつ、取って置きのプレゼント用意してるけど」

京太郎「マジか?」

京太郎「でも、悪いって……そんなにしてもらったら」

憧「いいって。ホラ、前向いて歩きなよ」



2月2日で2位だったら、キリがよかったなぁ……と


東四局目、開始


京太郎:69600
ハギヨシ:95900
竜田(金髪):143200
下足(黒髪):93300


京太郎(……親番が、来たな)

京太郎(あの能力――俺も認識が甘かった)

京太郎(先行時点で嶺上開花がないパターンがあった……)

京太郎(だから、リーチに理由もないもんだと思ってた)

京太郎(だけど、違った)

京太郎(先行時の嶺上開花が成功してなかったのは……本人の能力じゃない)

京太郎(上家の、妨害能力があったから……ツモれなかったんだな)


京太郎(おそらく、本来の能力は……)

京太郎(先行時は、自風牌・場風牌とドラ4で嶺上開花ツモ)

京太郎(後発時が、自風牌・場風牌とドラ4でおっかけリーチ一発)

京太郎(そういう能力だってことだ)

京太郎(なんつーか、ますますえげつない能力だな)

京太郎(嫌が応でも、自分が和了するって言いたげな感じだぜ……)

京太郎(……ま)

京太郎(それでこその、魔物級ってところなんだろうけどな)


京太郎(アイツが和了可能なときは……リーチはしちゃいけない)

京太郎(実になかなか、えげつない状況だ)

京太郎(場風が使えない。リーチが使えない)

京太郎(おまけに、他の……アイツの役にならない風も使えない)

京太郎(これまで、アイツ以外に手の内に風を持っているやつは居なかった)

京太郎(相手の手を妨害しつつ、自分はドデカイのを和了がる)

京太郎(風が制限されたら、混一色も非常に使いづらくなる)

京太郎(本当に……なんていうか、えげつないぜ)

京太郎(実にグレートなやつっすよ……こいつは)


京太郎(ただ、まあ……)

京太郎(おかげで、やりやすくもある)

京太郎(客風なんていう余計なモンをこっちも、引く心配がなくなるんだからな)

京太郎(……普通は)

京太郎(安牌に使えるものがなくなって困るところなんだろうが……)

京太郎(生憎と、そこは経験の違いだ)

京太郎(プロが相手でもない限りは、それがなくたって……)

京太郎(リーチさえしなけりゃ、放銃はしない)


京太郎(俺がするのは……実にシンプルなことだ)

京太郎(親の……この、打点が高い時点で)

京太郎(できる限り、稼ぐ。安くても稼ぐ)

京太郎(それで、待つ)

京太郎(配牌が良いものに……俺の目指すべき方向と重なるものになることを、待つ)

京太郎(俺は運を自在に操れるわけじゃあない)

京太郎(だが、引き寄せることは可能だ……少しずつ、月の満ち欠けみたいに)

京太郎(配られる牌は、少なくとも俺にとっては単純な確率だ)

京太郎(ならば――技術で)

京太郎(俺が磨いた技術で、その確率に近づけてやればいい)

京太郎(局が増えれば増えるだけ、よい牌を引く可能性は上がる)

京太郎(なら、俺は続けりゃあいい)

京太郎(逆転手を引くまで――一局でも多く、和了を積み重ねればいい)


京太郎(風牌が自由に使える……?)

京太郎(だからなんだ。たった一種類増えただけだろ)

京太郎(タンヤオ、一気通貫、三色同順……麻雀には、他にも色々役はあるんだ)

京太郎(麻雀を――)

京太郎(麻雀プロを――舐めんなよ……!)


京太郎「――ロン!」


京太郎「一通ドラ1で、3900点だ」

下足「……はい」

点数ミスった



×京太郎「一通ドラ1で、3900点だ」

○京太郎「一通ドラ1で、2900点だ」


東四局目・結果


京太郎:72500 (+2900)
ハギヨシ:95900
竜田(金髪):143200
下足(黒髪):90400 (-2900)


京太郎(……さて)

京太郎(とにかく、今のうちに……ドンドン攻めるぜ)

京太郎(東場の南家である限り、下家は和了できない)

京太郎(上家は……攻める姿勢だけど、攻めたら狙われることをわかっている)

京太郎(だから、消極的な攻め)

京太郎(『これぞ』って手が来るまでは攻めてこない)

京太郎(ついでに言うと、技術はそれほどじゃあ……ない)

京太郎(風牌と混一色が使えない状況だと、結構速度に影響が出てるみたいだな)

京太郎(ま……)

京太郎(ここで俺が安い手を積み重ねて連荘する分には……)

京太郎(向こうにとっても本意なんだろうけどな)


 麻雀の親の連荘は平均でおよそ2~3本場ほど。

 京太郎がいかなる打ち手だとしても、この確率から大きく逸脱することはできない。

 ただしこれは、尋常な場においての話である。

 魔物級のオカルトにより支配され、決して引くことのできない牌や役。

 さらには、和了を目指すことができない/やらない人間の存在。

 これに京太郎自身の技術を換算すれば――


京太郎「――ツモ」

京太郎「2100オールだ」


 ――平常な場に比べて、連荘する可能性というのは大きく上昇する。

 京太郎がそもそも、聴牌できない限り……。

 他家が和了を目指さないのであれば、連荘が途切れることはない。


 続く東四局二本場においても、京太郎は連荘を決める。

 形式聴牌を取っただけ。

 聴牌できない約一名を除き、全員が聴牌。

 そして、東四局三本場に突入する――。


東四局目一本場~二本場・結果


京太郎:79500 (+7000)
ハギヨシ:94800 (-1100)
竜田(金髪):140100 (-3100)
下足(黒髪):89300 (-1100)



すまんち


東四局目一本場~二本場・結果


京太郎:79800 (+7300)
ハギヨシ:94800 (-1100)
竜田(金髪):140100 (-3100)
下足(黒髪):89300 (-1100)



京太郎(来た――勝負手が)

京太郎(好配牌だ)

京太郎(トイトイ、三暗刻、役牌……いや、もっと伸ばせる)

京太郎(ツモり四刻刻まで……伸ばせるのに……)

京太郎(だけど……クソッ)

京太郎(手が、入らねえ……!)


 ここまでの局はすでに、9局。

 前回苦渋を飲まされた、オーラスと同じ状況。

 ツモの半分が、無駄になるのである。

 唯一まだマシなのは、黒髪の少女が和了を目指しては居ないこと。

 そうであったのならば、京太郎がこうも苦しいツモを行う間に……。

 とっくのとうに、流されているであろう。


 京太郎の連荘が続き、南入りしたのなら。

 ここから「最低でも、黒髪の少女に親が回るまでに経過した局数は12局。

 ほとんど彼女以外誰も、聴牌すらままならなくなる。

 後に待ち受けるのは、虐殺のみ。

 それがわかっているからこそ彼女は、追いつかれた今となっても……まだ、動かない。

 結果……。



京太郎「……聴牌」

ハギヨシ「聴牌です」

下足「ノーテン」

竜田「……ノーテン」


 せっかくの好配牌も、生かせない。

 打点を下げての副露を行っての聴牌をとっても。

 それでも、和了が叶わなかった。


 最終的にはトイトイ、役牌。

 それでも、誰も振込みはしなかった。



 


東四局目三本場・結果


京太郎:81300 (+1500)
ハギヨシ:96300 (+1500)
竜田(金髪):138600 (-1500)
下足(黒髪):87800 (-1500)

流れぶった切って申し訳ない、点数で言うべきだった金髪もう-2000やね
あと今気付いて遡ってみたけどハギヨシ計算ミスってる場面があって2000ほど多い現在94300

ひゃっはー、ちょっと中断やねん


40~60分くらい中断しますわ
なんとか今日中に終わらせて咲ちゃんの出番を書きたい

>>760
グラッツェ
ディモールト・グラッツェ


東四局目三本場・結果


京太郎:81300 (+1500)
ハギヨシ:94300 (+1500)
竜田(金髪):136600 (-1500)
下足(黒髪):87800 (-1500)

伊達眼鏡漫喫に忘れた……死にたい……

そいじゃあ、始めようか……


京太郎(……で、次はこれか)


 二四六萬 ①⑤⑦⑦⑨筒 11248索  ドラ:1


京太郎(……悪夢だな)

京太郎(リャンカン2つで、ペンチャン対子……)

京太郎(そのくせ、ドラは乗ってる……)

京太郎(苦しいな……苦しいぜ、これ)

京太郎(面前で進めるしかないのに……その面前が難しいなんてな)

京太郎(叩けば……テンパイぐらいはできるか?)


 顔が歪む。

 思わず、ポーカーフェイスを忘れるほどである。

 舌打ちひとつ、したくなるほど。

 ままならない状況――それは、多々あった。

 これまでの麻雀人生でも、数えきれないほど。

 さながら、今まで食べたパンの枚数と同じくらいだ。


 悔やむより先に考える。嘆くより先に考える。呻くより先に考える。

 それが、京太郎の流儀だ。

 スタイルだ。


 『運に妙な期待をするな』――『LESSON1』。


 運に不平を言うよりも先に、己に出来ることを考察しろ。分析しろ。実行しろ。

 どうせ、“それ”は京太郎の及ばないところで起きるのである。

 それに一喜一憂するよりも、如何に勝つかを――負けぬかを考える方が遥かに建設的。

 そんなことは、理解していた。理解はしていたが――。


京太郎(クソッ、タレ……!)


 『納得』できるかはまた、別の問題だ。


 頭では解っていながらも、心では割り切れない。

 良い配牌を引けば、高い打点で和了すれば、見事に相手を射抜ければ――素直に嬉しいし、

 ツモが悪ければ、安手で流されれば、直撃を受ければ――悔しい。

 それが、麻雀の楽しさであると思っている。


 だけれども――。


京太郎(何も、こんなところで来なくても……いいじゃあねえか)


 打点が必要な場面で。ひとつでも多く和了が必要な場面で。

 これは、あんまりだった。

 無為に局を積み重ねれば、その分、黒髪の少女の支配は強まる。

 南に入る前に、高打点での和了が必要なのだ。

 そうでなくとも、他家全員がノーテンでもない限り、流局よりは大抵の和了の方が上。

 形式聴牌では、足りないのだ。

 なのに……。


京太郎(どうすりゃあ、いい?)

京太郎(どうすりゃあ、俺はこいつらに勝てる?)

京太郎(やっぱり……人間じゃあ、勝てないのか……?)

京太郎(こいつらの言う通りだって――証明するしか、ないのか?)

京太郎(俺は……)


 そんな、弱い考えが浮かんだ。

 心に、絶望が訪れる。

 首筋を這い上がる、灼け付くような焦燥感。

 指先が痺れて来るのだ。泣きたくさえ、なってくる。

 焦りが、思考を鈍らせる。それにまた焦り、悪循環で思考が乱れる。

 “眼”と“記憶”と“分析”を酷使し、集中力も限界近く。そこにきて、これだ。


 思考を回す事が、唯一の――人間である京太郎の生きる道。

 ここに来て、その道すら閉ざされようとしていた。

 京太郎は、諦めに心を――


穏乃『京太郎はさ』

穏乃『もっと、笑った方がいいと思うよ?』


 ――閉ざされ、なかった。


穏乃『そう。笑顔だよ、笑顔』

穏乃『いっつも、難しそうな顔してるでしょ?』

穏乃『……あ、うん。判ってる』

穏乃『京太郎が打つのはそーいう麻雀だってのは……そうじゃなきゃ、勝ちにくいってのは』

穏乃『……うん』

穏乃『別に、京太郎にその麻雀をやめろって言ってる訳じゃないんだ』

穏乃『そんなつもりは、ないよ』

穏乃『ただ……』


穏乃『うーん、なんて言うのかな……えっとさ』

穏乃『もっと、麻雀自体を楽しんでもいいんじゃないかなって』

穏乃『ああ』

穏乃『そりゃ、勝った方が嬉しいし楽しいってのは当たり前』

穏乃『だから別に……楽しければ負けてもいい、なんて言わないよ』

穏乃『だってやっぱり、負けたら悔しいんだ。当然だって、そりゃ』

穏乃『でも……』

穏乃『あー、なんて言うんだろうなー』

穏乃『楽しければ負けてもいいってのはやっぱりどっか嘘だけどさ……』

穏乃『勝つために楽しさを捨てるのも間違いじゃないか……って』

穏乃『そんな風に、思ってるんだよね』


穏乃『うぇへへ……何が言いたいか判らないって?』

穏乃『ごめん。うん、ごめん』

穏乃『うーん……そうだね。だから、分かりやすく言うよ』


穏乃『――私は、京太郎が笑ってる方が好きだ!』


穏乃『そうだよ……折角、笑顔が似合うんだからさ!』

穏乃『絶対、京太郎は笑ってた方がいいって!』

穏乃『うん!』

穏乃『無理にそうしろなんて、言わないけど……』

穏乃『勝ちを目指しながら、笑顔で楽しめるようになっちゃえばいいんだよ!』

穏乃『だって勿体ないよ。京太郎が、笑わないなんてさ』

穏乃『「無責任」って……たはは。ごめん、確かにそうだね』

穏乃『でも、私は京太郎の笑顔が好きだよ?』

穏乃『だから、やってて欲しいなー……ってさ』

穏乃『そう?』

穏乃『そっか……うん、よかった』

穏乃『うん、そうだって! 絶対京太郎は笑ってる方がいいよ!』

穏乃『私が保証するよ! 絶対それがいい!』






穏乃『……へ?』

穏乃『うぇ!?』

穏乃『ふぁっ!? ち、違う違う! そーゆー意味で言ったんじゃないからね!?』

穏乃『あう、ち、違うってば……! 違うよ!』

穏乃『や、違う……あううううううううううう』

穏乃『あー、もう……!』

穏乃『笑顔が似合うって言ったけど、その悪い顔は禁止!』

穏乃『禁止!』


京太郎(――ああ、そうだよな)

京太郎(俺自身が楽しまなくて、どうするんだよ)

京太郎(そうだ)

京太郎(辛い顔をしている奴が言う言葉で説得力があるのなんて、腹痛の言い訳ぐらいしかない)

京太郎(……ああ)

京太郎(あの試合。穏乃は笑ってた)

京太郎(絶望的な状況だとしても――あいつは、笑ってた)


 瞳を閉じて、天を仰ぐ。


 ――須賀京太郎に豪運はない。

 ――須賀京太郎には華がない。

 ――須賀京太郎は魔物じゃあない。


 だから、どうした。

 そんなことは、判り切っているじゃあないか。

 それでも――それだからこそ。

 前を向いて、笑うのだ。


京太郎(……ああ)

京太郎(牌に好かれることも、神様からの愛も……)

京太郎(不思議な能力も、判りやすい華もいらない)

京太郎(俺には――この、勇気があればいい)

京太郎(穏乃、お前の勇気を……強さを、貰うぜ)



京太郎(辛くて苦しい。苦くて悲しい)

京太郎(――だから、どうした!)


京太郎(大切なものは、ここにある……!)

京太郎(そうだ! 俺は、ここに持ってる!)

京太郎(一さんに信じられた、俺の生き方は……! 努力は……!)

京太郎(これがなくちゃ、生かせない!)


京太郎「――ふ、く」

京太郎「くくく……あはははは!」

竜田「……何?」

下足「気でも、狂ったんですか?」


京太郎「いや……さあ」

京太郎「麻雀って、楽しいなって思ってな」

竜田「……は?」

下足「……」






京太郎「お前らは――麻雀、楽しんでるか?」



すこやんならゼオライマーが流れるシーン

あんまりやりすぎじゃない程度になー


「Futuristic Player」 http://www.youtube.com/watch?v=f9h1t5YFFpM

「桃源郷エイリアン」 http://www.youtube.com/watch?v=VK9i9rmbG7s

「Bloody Stream」 http://www.youtube.com/watch?v=bVJQf0wv4Bg

「Life is SHOWTIME」 http://www.youtube.com/watch?v=aDhKk26Z9A4


竜田「……っ」

下足「……ッ」


 京太郎の言葉に、二人の少女の顔が引きつった。

 もっとも、踏み込まれたくない部分。

 そこに土足で踏み込まれたとばかりに。

 元々、感情を全面に表している金髪の少女は勿論、慇懃な態度を取っていた黒髪の少女も……である。


京太郎「……ああ、やっぱりか」

京太郎「作業……って、感じじゃあなかったけどさ」

京太郎「楽しんでるとは……言い難い雰囲気だったもんな」


 今、思えば――。

 「人間の癖に」と……そんな言葉。

 あれは、京太郎を見下していたというよりは、何かに諦めていた。

 失望や侮蔑が顔を覗かせていたが――あれは諦観だ。


竜田「……確かに私たちは楽しんでない。楽しめてない」

竜田「でもそれは、そっちも一緒でしょ?」

竜田「私たちと戦うと皆、つまらないって言う」

竜田「それか諦めて、怯えた表情をする……」

竜田「今までその繰り返し……ずっと、ずっと。いつでも、どこでも」

竜田「それとも……」

竜田「それでも、楽しいって言うの?」

竜田「負けてるのに? 勝てないのに?」

竜田「それでも楽しいって――そう、言うつもり!?」


京太郎「……いや」

京太郎「勝てれば嬉しいし、負ければ悔しい」

京太郎「それは、確かだよ」

竜田「だったら……!」

K「麻雀楽しいよね」


京太郎「――でもな」

京太郎「昔、それでも言われたんだよ」

京太郎「辛気臭いのはよせって、さ」

京太郎「笑った方がいい。勿体ないって」

京太郎「勝ちを目指しながら……麻雀自体を楽しんでもいいって、な」


竜田「……なにそれ」

竜田「意味、わかんないんだけど……」

京太郎「まあな」

京太郎「あいつらしい、バカな言葉だと思う」

京太郎「……世の中、そう上手くはいかないっての。バカみたいだよな?」



京太郎「だけど――俺はその、バカを極める」



京太郎「いいじゃないかよ、そーいうの」

京太郎「馬鹿になって楽しめるんなら、それが一番いい。きっと、多分な」

京太郎「そうは言っても、そうなれない人間がいるってのは判るよ」

京太郎「そう上手くいくことばかりじゃないって、さ」

竜田「……」

下足「……」

京太郎「でもやっぱり……勿体ないよな。勿体ないんだよ、笑わないのは」


竜田「……それが許されないから」

下足「だから私たちは、ここにいるんです」

下足「プロなら……宮永プロたちなら、違うと思って」

京太郎「……」

竜田「そっちだって、一緒でしょ?」

竜田「結局なんだかんだ言ったって、勝てなくちゃつまらないのなら……」

下足「どちらにしても、この戦いはつまらない」

竜田「もう、勝負も決まった」

竜田「まさかこれから、終わるまでニコニコ笑ってんの? 絶対に勝てないのに?」

下足「そんな訳、ないですよね」

下足「勝てなきゃ絶対に――そんなこと言ってるあなたも、笑わなくなる!」


竜田「……そんなのもう、判ってるんだよ」

下足「……」

京太郎「……」

寝たかな?

まあ魔物クラスのオカルト持ちの中では唯一シズだけが説得力をともなって言える台詞ではあるよな
あれはオカルト持ちを普通の麻雀に引き落とすだけで自分は普通の麻雀だし

お前ら咲さん嫌いなん?

ここの咲さんは舐めプしたから…

寝落ちしてたわ。すまん
大丈夫だ。咲ちゃんのフォローもする。ヒロイン度は上がる

タコス? 誰、それは

突然のタコスディスり宣言

まあ、始めます

タコスなんていない。片岡優希はいるとしてもな


京太郎「……オホン、オホン」

京太郎「オホン、オホホォォォン」

竜田「……何?」

下足「どうか、しましたか?」

京太郎「んー」

京太郎「いやいや、それがさ……」

京太郎「黙って聞いてたら……面白いことを言うなーと思って」

竜田「……なにがよ」

下足「いたって、真面目に言ったつもりですけど」

京太郎「そこだよ、そこ」


京太郎「聞けば……『この戦いはつまらない』とか『絶対に勝てない』とか」

京太郎「なんか、随分と勝手に話が進んでよなー……と思って」

京太郎「いや、マジに驚いたぜ。正直に言って……心底驚いた」

京太郎「最初に、言ったと思うぜ? 多分、言ったはず」

京太郎「『麻雀に絶対にはない』『俺がそれを証明してやる』」

京太郎「そんな風に……たしか、言ったはずだよ」


竜田「……それが、どうしたの」

下足「私たちは、大真面目な話をしてるんですけど……」

京太郎「俺も、大真面目だぜ?」



京太郎「まだまだこっからが勝負で――」

京太郎「そんで、俺が勝つ」

京太郎「負けたことがないなら……俺が、『負け』を教えてやるよ」



竜田「……は?」

下足「……なにを、言ってるんでしょうか?」

下足「トラッシュトークで集中でも乱そうと思ってるんですか?」

竜田「今、最下位で、能力も持ってないただの人間で、もうラス確定の癖に……」

竜田「……何様のつもり?」


京太郎「よくぞ聞いてくれました」

京太郎「折角なんで、ここで改めて自己紹介させて貰うぜ」




京太郎「俺は、須賀京太郎」

京太郎「職業は――麻雀プロだ」



京太郎「趣味は家事全般、特技はサッカー」

京太郎「好きな言葉は……一に『頑張る』、二に『努力』」

京太郎「ピッチピチの二十代で、独身」

京太郎「最終学歴はT大教育学部だ」


竜田「……馬鹿にしてるの?」

下足「舐めてるんですか、私たちを」

京太郎「いや、全然」

京太郎「それに……待てよ。まだ話は終わってないぜ。自己紹介は済んでない」



京太郎「M.A.R.S.ランキング、13位」

京太郎「異名は――『オカルトスレイヤー』だ」



竜田「ダサい」

下足「オカルトにスレイヤーされるんじゃなくて?」

竜田「ただの人間じゃん」

下足「13位って、不吉な順位ですね」

竜田「ダサい」

下足「ダサい」

京太郎「……手厳しいな、女子小学生」

京太郎「スゲー泣きそうになってくる」

竜田「……泣けばいいでしょ、いい歳こいて」

下足「変な名乗りに付き合わされる私たちの方が泣きたいですよ」

京太郎「……いや、マジに手厳しいなオイ」



京太郎「ま、いいさ。冗談はここまでだ」

京太郎「こっから先は、真面目の本気で……」

京太郎「俺が証明してやるよ……! さっきの言葉をな」


京太郎「――さぁ、ショータイムだ」


竜田「……ふん」

下足「……上等」


京太郎(さて……)

京太郎(気持ちを変えたからって、ツモがよくなるなんてのはない)

京太郎(知ってたさ。ああ、知ってた)

京太郎(形式聴牌? 上等じゃねーか)

京太郎(辛くっても苦しくっても、まだなんも終わっちゃいないんだからよ)

京太郎(まずは連荘する)

京太郎(少しずつでも、積み重ねる)

京太郎(ここは、真っ直ぐに進む――)


 ツモ切り。

 ツモ3索。打、8索。

 ツモ切り。ツモ切り。ツモ赤五萬。ツモ切り。ツモ切り。



 真っ直ぐに京太郎が進むとて、それでも難しいものがある。

 上家の存在。

 自分自身の異能であるが故に能力の影響を受けず、彼女の聴牌速度は普段と変わらない。

 彼女が和了に向かったのなら、まず間違いなく京太郎はその後ろをいく。

 であるが故に、彼女が戦闘態勢に入ってしまったのであれば、ここで京太郎の連荘は途切れるのだ。

 そして――


下足(そんなふざけた軽口、二度と叩けないように……)

下足(潰して、やる……!)


 京太郎の挑発じみた宣誓を受けた彼女は……。

 静かに激昂し、その牙を研ぐ。


 強めの打牌。

 攻めにいくとは決して言い切れない手牌からであったが、彼女は京太郎を叩き潰さんと攻勢に転じる。

 この、ふざけた調子の男を潰す。

 そんな目的で、膝に力を込めようと――。


京太郎『――ロン』


 したそこで、男の声を聞いた。

 勿論、幻聴である。男の手牌は倒されてなぞはいない。

 しかし、ひょっとしたら……と。

 そんな疑心が、胸に芽生えていた。


 これまで何度も、男に狙い射たれていた。

 暗闇から唐突に槍を突き入れられるあの感覚。

 正面から、背後から、下方から――突然訪れる攻撃。

 前兆はなく爆発のように襲いかかり、嵐の如く立ち去っていく。

 そんな、ある種の獰猛さがあった。


 果たして――だ。

 麻雀プロともあろうものが、何の考えもなしに先ほどのような発言をするだろうか。

 何か、勝算があるから……。

 例えば、この親番での逆転の一手を引いたからこそ、ああ宣言したのではないだろうか。

 あの自信。そしてこの、獰猛な笑み。

 怒らせてこちらのペースを乱し、前傾姿勢になったそのところで……。

 何か大きな一撃を、カウンターで繰り出すつもりなのではないだろうか。

 あの、勝利宣言。

 その後の、こちらを苛立たせる発言。

 それは――逆転への布石なんじゃあないか?


下足(……っ)

下足(その手には、乗りませんよ)


 そうして彼女は、攻勢に待ったを掛けた。


京太郎「……テンパイ」

ハギヨシ「テンパイ」

竜田「……ノーテン」

下足「テンパイ」


 そして、この局も終わる。


下足(和了すれば、11600だけど)

下足(……リーチをかけなきゃ、和了できない手)

下足(警戒、しすぎたかな)


 京太郎の親番は、継続である。

11600じゃねーよ、親満だよ

あと、点棒2000点どっか行ってるから計算し直すから待っとって

前半戦


京太郎:100000 -2600 -8000 -1000 -5800 +7700
         -17000 -8000 -1000 -5000

      =59300 (-40700)


ハギヨシ:100000 +5200 -8000 -1000 +6800
        -4000 -2600 -2000 -5000

       =89400 (-10600)


竜田:100000 -1300 +24000 +3000 -1000
       +17000 +16000 -1000 -5000

       =151700 (+51700)


下足: 100000 -1300 -8000 -1000 -7700
        -4000 +2600 +4000 +15000

       =99600 (-400)

東四局四本場終了まで


京太郎:59300 -2000 -4000 +17600 -1300 +2900 +6300
         +1000 +1500 +1000

      =82300 (-17700 前比:+23000)


ハギヨシ:89400 +7900 +12000 +4200 -1000
        -1300 -17300 -2100 +1000 +1500 +1000

       =95300 (-4700 前比:+5900)


竜田:151700 -3900 -4000 -16600 -1300
       +17300 -2900 -2100 -3000 -1500 -3000

       =130700 (+30700 前比:-21000)


下足:99600 -2000 -4000 +3900
        -2100 +1000 -1500 +1000

       =91700 (-8300 前比:-7900)

しかしオチがわかってるからいいけど、十以上年上の男(プロ)相手に潰してやるとか何様のつもりとか物凄い小学生である。
これ相対したのがやえさんや菫さんだったらどうなってたんだろ。

>>882
そこら辺なら大人な対応するだろうし
やえさんはドラ無しであれだけやれる力があるし菫さんは京ちゃんよりランク上だしなんとかするでしょ

問題は彼女達の望み通り魔物がでばってきた時心が折れないかどうかで


京太郎(……さて)

京太郎(ドラが1枚、役牌が暗刻)

京太郎(手は安いが……)

京太郎(まあ……どっちにしても和了を、確実にしておきたいとこだな)

京太郎(……試してみるか。一応は)


京太郎(無駄ヅモ……つまり、向聴数が変化しないツモ)

京太郎(そう仮定するなら――ここを引くのは、あり得る)

京太郎(そう……白の刻子に、もう一枚重なる)

京太郎(これは、あり得ることだ。そうなんだよ)

京太郎「――カン」

京太郎(んで、この無駄ヅモ能力は……金髪の娘のあれを見るに)

京太郎(嶺上牌にも――王牌にも通じる)

京太郎(だから、嶺上開花にはならない。それは確実)

京太郎(……ま、元々俺がこっからツモれるだなんて思ってねーよ。それはいい)

京太郎(ただ……嶺上牌の追加ドローのおかげで、そっちで無駄ヅモが消費される)

京太郎(本来の俺のツモには、余裕が出てくる形に……なるぜ)

京太郎(だから――)


京太郎「……ツモ」

京太郎「2000オールは、2400オール」
 

京太郎(こういう形にもなる)

京太郎(ドラが乗らないなら……役が期待できないなら)

京太郎(符を増やしてやりゃあ、いい)

京太郎(ヤオチュウの暗槓なら、32符)

京太郎(アガリ符は60符になる)

京太郎(2役の60符は、3役の30符に等しい)

京太郎(副露しちまったから、ツモの分はないがよォ――――)

京太郎(まあ、これはこれでオッケーだぜ)

東四局目四本場・結果


京太郎:89500 (+7200)
ハギヨシ:92900 (-2400)
竜田(金髪):128300 (-2400)
下足(黒髪):89300 (-2400)


今の京ちゃんみたいな戦法してるやつがワシズ様に負けてたな

パニキちょいタンマ、東4で2900直ったのゲソになのに竜田から引いてる
4200は書いてないだけでちゃんと引けてるからここだけで他は合ってると思う多分メイビー


京太郎(んで……)

京太郎(こうなるか……)

京太郎(流石に、どうしようもないぜ……こいつは)

京太郎(もう1つくらい、とっときたかったけどな……)

京太郎(テンパイすらままならないってのは、あるよ)

京太郎(流石にあんだけ副露したら、上家も牌を絞るしな)


京太郎「……ノーテン」

ハギヨシ「ノーテンです」

竜田「ノーテン」

下足「ノーテン」


京太郎(絞ったせいで、あっちもテンパイできなかったみたいだな)

京太郎(さて……ここまでが、12局)

京太郎(次局、俺が普通に牌を引けるのは6回だけ)

京太郎(その次は5回、その次は4回)

京太郎(最短で俺に巡ってきたとしても……そのときの俺の有効ツモは3回)

京太郎(そこで、テンパイできるのか? 逆転できるのか?)

京太郎(そんな問題はついてくるが……)

京太郎(まあ、諦める理由にはならないさ……可能性が、あるかぎりは)

京太郎(最後まで前のめりに、全力投球でいくぜ……!)


京太郎(なんつーんだろうな……)

京太郎(こういう、デカすぎる緊張感の中にいるんだけど)

京太郎(自然と、笑いが込み上げてくるのは……)


京太郎(これが、楽しいって奴か?)

京太郎(……そうなのか、穏乃?)

>>895
ファッ!?

グラッツェ。ディモールト、グラッツェ

東四局目五本場・結果(訂正分)


京太郎:89500
ハギヨシ:92900
竜田(金髪):131200
下足(黒髪):86400



京太郎(……金髪の娘の、親番か)

京太郎(南場の東家ってことは、こいつは動かない)

京太郎(さて――ここで、上がっときたいが)


下足「ツモ!」

下足「1000・2000は、1600・3200」


京太郎(流れ6本場だと、痛いな)

京太郎(まあ……親は、金髪だ)

京太郎(ちょっとでも……点差が縮まったぜ)


京太郎(さて――こいつのスタイル)

京太郎(今まで見てたが、副露は決してしてはいない)

京太郎(自分から動いて……ツモをズラす)

京太郎(そーいうのは、御法度らしい)

南一局目 流れ六本場・結果


京太郎:87900 (-1600)
ハギヨシ:91300 (-1600)
竜田(金髪):128000 (-3200)
下足(黒髪):92800 (+6400)

1600,2600とちゃう・・・?

>>905
あ、また間違えた

大人は嘘つきじゃないのです。ただ、間違いをしてしまうだけなのです

※訂正


京太郎(……金髪の娘の、親番か)

京太郎(南場の東家ってことは、こいつは動かない)

京太郎(さて――ここで、上がっときたいが)


下足「ツモ!」

下足「1000・2000は、1600・2600」


京太郎(流れ6本場だと、痛いな)

京太郎(まあ……親は、金髪だ)

京太郎(ちょっとでも……点差が縮まったぜ)


京太郎(さて――こいつのスタイル)

京太郎(今まで見てたが、副露は決してしてはいない)

京太郎(自分から動いて……ツモをズラす)

京太郎(そーいうのは、御法度らしい)

京太郎(そこらへんが、糸口になればいいけど……)

南一局目 流れ六本場・結果


京太郎:87900 (-1600)
ハギヨシ:91300 (-1600)
竜田(金髪):128600 (-2600)
下足(黒髪):92200 (+5800)


京太郎(ハギヨシさんの、親番……)

京太郎(……残り、3局)

京太郎(俺も……ハギヨシさんも、和了したい)

京太郎(だけど――)


 手が、進まない。

 深海の邪神に身体を拘束され、その毒を流し込まれているように……。

 京太郎の手牌は、ガンとして動かない。


 海棲の生物が持つ毒――テトロドトキシンというのは。

 彼らの体内で、精製されている訳ではない。

 海中にいる細菌がそれを生産し、それをプランクトンが捕食。

 その上位者が捕食、またその上位者が捕食、更に更に――と。

 そう、ピラミッドの頂点目掛けてかき集められ、その毒性を濃縮して強化していく。

 実際、例えば幼生時から水槽で飼育したフグは、卵巣に毒性を持たないことが明らかとなっている。


 そんな毒のように――。


 彼女の“毒”――能力は。

 積み重ねられて、その効力を発揮していくもの。


 第一段階は、多少の違和感。

 ツモが僅かながらに思い通りにはいかなくなるという、軽度の痺れのようなもの。

 第二段階は、明確なる障害。

 明らかに和了への妨害が認められる。進もうとする手作りが、麻痺する。

 第三段階は、重度の障害。

 ほとんど、面前での手作りは不可能。

 誰かの手を――副露――借りなければ、動くこともままならない。

 そして、訪れる第四段階。

 それは――死だ。

 手を進めることもままならず、ただ彼女一人が聴牌するのを待つしかない。

 今の京太郎たちは、この第四段階に程近い。


下足「――ロン」

下足「2600点」

ハギヨシ「……ッ」

ハギヨシ「はい……」

淡「」ガタッ

南二局目

京太郎:87900
ハギヨシ:88700 (-2600)
竜田(金髪):128600
下足(黒髪):94800 (+2600)


京太郎(……これでここまでで、14局)

京太郎(最短で終わってくれれば、俺のとこでの無駄引きは15回で済む)

京太郎(済むが……)


下足「リーチ」


京太郎(そう、上手くはいかないよな)

京太郎(知ってるさ……ああ、知ってる)

京太郎(喰らわないように……するしかないな)

京太郎(そろそろ、疲れてきた。目が限界に近い……)

京太郎(どうした、もんかな……)


下足「――ツモ」

下足「2000オール」


京太郎(……ッ)

京太郎(まだ唯一、救いがあるとしたら……)

京太郎(“能力(どく)”に比重を置いてる分……こいつ自信の“膂力(パワー)”はそれほどでもないこと)

京太郎(まだ、若いからだろうな)

京太郎(これに……技術と打点が組合わさったら、手がつけられなくなる)

京太郎(まあ、5回連荘するだけで15000貰えるんだ)

京太郎(下手な打点なんて、いらないんだろうな)

南三局目

京太郎:85900 (-2000)
ハギヨシ:86700 (-2000)
竜田(金髪):126600 (-2000)
下足(黒髪):100800 (+6000)



京太郎(……駄目だな)

京太郎(益々、状況が悪くなってる……)

京太郎(手牌は痺れてくるし、思うように動かない)

京太郎(息苦しいくらいだ……この、進まなさっていうのは)

京太郎(……目も、辛いな。頭も重いし)


下足「リーチ」


京太郎(ここで、リーチか)

京太郎(……最後の親番まで、眼は温存する)

京太郎(ここは……ベタオリしかない)

京太郎(……?)


下足「――ツモ」

下足「1300は1400オール」


京太郎(……)

南三局目一本場・結果

京太郎:84500 (-1400)
ハギヨシ:85300 (-1400)
竜田(金髪):125200 (-1400)
下足(黒髪):105000 (+4200)


 続く南三局二本場。

 ツモの16つが、まるで役に立たないという状況。

 そんな状況において、動けるものはただ一人。


下足「リーチ」


 千点棒を薙いでのリーチ宣言。

 誰もが動かない。動けない。

 そのまま――。


下足「テンパイ」

京太郎「ノーテン」

ハギヨシ「ノーテンです」

竜田「……ノーテン」


 場が、流れる。

 流れが更に彼らを、下方へと追いやっていく。

 百点棒の横に輝く、供託の千点棒。

 黒の中で唯一の赤いそれは、海に浮かんだ誰かの血の色を思わせた。


 そして、南三局三本場。

 “それ”は……起こった。

南三局目二本場・結果

京太郎:83500 (-1000)
ハギヨシ:84300 (-1000)
竜田(金髪):124200 (-1000)
下足(黒髪):107000 (+2000)


供託、1000点


京太郎「――ロン」


竜田「……は?」

下足「……えっ」

竜田「いま、なんて……」

京太郎「ロンって、言ったんだよ。聞こえてなかったか?」

竜田「……は?」

下足「そんなの……できるわけがないッ!」

下足「できるわけがない! できるわけがないでしょ!」

下足「私の支配を受けてるのに!」

京太郎「いや……なんつーか」

京太郎「この信用のなさも……やれやれっつーか、なんというか」


京太郎「――次にお前は『手を見せて!』と言う」

下足「手を見せて!」

下足「――はっ」


京太郎「そりゃ、見せるさ」

京太郎「和了したんだから、当然だろ?」

京太郎「ほら、どっからどう見ても和了してるだろ?」

京太郎「お前ら相手に、チョンボで場を流そうなんてケチ臭いことは考えねーよ」

竜田「……そんな」

下足「……」

京太郎「リーチしちゃいないから、裏ドラ捲れないけど……」

京太郎「ま、どうせ……こんなとこで都合良く乗らないだろうしな」


京太郎「っと、7700点」

竜田「……はい」




京太郎「さて……これで」

京太郎「俺の『射程距離』に、入ったな」



京太郎「っと、三本場だっけ?」

京太郎「7700は8600だな」

金髪「……はいはい」


下足(……ここでの和了)

下足(考えられるのは1つ)

下足(配牌の時点で、テンパイしていたか……一向聴だった)

下足(それで、運良く私よりも先に……テンパイした)

下足(そんな、幸運しかあり得ない! それ以外、考えられない!)

下足(確かに、この土壇場でそれを引くなんてのは……凄いと思うよ)

下足(確かにプロだって言われても、頷ける)

下足(……でも、そんな偶然は二度も起こらない!)

下足(次は、全く有効牌が引けない局)

下足(ダブリー状態でもないかぎり、副露でもしないとテンパイ不可能)

下足(それで……副露したなら、打点は下がる)

下足(前のときみたいに安く連荘するつもりかもしれないけど……それは無理)

下足(今度は、全く有効牌をツモれない! そんな状況で連荘なんて、できるわけがない!)

下足(だから、あなたはもう勝てない……!)

さあ大詰めだな

南三局目三本場・結果

京太郎:93100 (+9600)
ハギヨシ:84300
竜田(金髪):115600 (-8600)
下足(黒髪):107000



京太郎(あれは……確か、そうだな)

京太郎(『LESSON1』は――『妙な期待を天気にするな』だったか?)

京太郎(山の天気ってのは、どーにも変わりやすいからな……口を酸っぱくされたよな)


京太郎(んで、『LESSON2』が『動物に悟られるな』……だったか?)

京太郎(なんかよくわからんが、野性動物を驚かせるなってことみたいだったな)

京太郎(奈良ならともかく、他は『熊出没注意』だし)

京太郎(あとは……ああ、確か)

京太郎(動物に悟られる歩き方だと――無駄がある)

京太郎(慣れてないなら、無駄なく行けってことだっけ)


京太郎(『LESSON3』は……)

京太郎(『笑顔は無限の力。信じろ』……か)

京太郎(ま、笑って喋ってりゃあ登る苦しさとか感じなくなるからな)

京太郎(元々、楽しむために山に登るんだから……笑うのも当然だぜ)

京太郎(……あいつらしいよ)

京太郎(まあ、穏乃は楽しむためってより……登ることそのものが楽しいってタイプだった)


京太郎(『LESSON4』は『敬意を払え』)

京太郎(山への敬意を忘れちゃならない)

京太郎(どれだけ楽しくても、どれだけ近しく感じても……山は山だ)

京太郎(山への恐怖を忘れてはならない。敬意を払うことを忘れちゃあならない)

京太郎(それが大事なんだって、あいつは言ってたな)


京太郎(そんで……)


京太郎(言うならこれは……『LESSON5』)

京太郎(俺にとっての近道は……遠回りだった)

京太郎(廻り道こそが、最短の道だった)

京太郎(山でもそうだ。近い道が、正しい道とは限らない)

京太郎(そこには危険が潜んでいるかもしれないし……結果を急ぐのなら)

京太郎(そんな焦りは、不注意を生む。それこそが……山では最も避けるべきところだ)


京太郎(……ああ、穏乃)

京太郎(この勝負においても、そうだった)

京太郎(それは……変わりなかったんだ)

シズちゃんみたいな状態?


京太郎(何を以って、無駄ヅモとなるのか)

京太郎(俺はそれを考えるべきだった)


 ――例えば、以下のような手牌があるとしよう。


 一一三四五萬 ②③④⑦⑧⑨筒 56索


 この時、有効なツモとなるのは4-7索のみとなる。

 それ以外は、手を張り替える事が出来ても、なんら向聴数に影響を及ぼさない。



 ――さて、では以下なら。


 一一三四六萬 ②③④⑦⑧⑨筒 56索


 有効なツモは4-7索の他に、二-五萬が追加される。

 つまり、向聴数が増えるだけ、有効牌が増えるのである。

 三向聴なら、もっと増える。四向聴なら、もっと……。


京太郎(ベタオリしたときに、俺は気付いた)

京太郎(それまででは無駄になるツモが……そのときは有効牌になったんだ)

京太郎(もっと早く、気が付くべきだった)

京太郎(俺が役を決め打ったときのあのツモは――『有効牌の方を引いた』んじゃあなく)

京太郎(本来なら無駄であった筈の牌を、引いたのだと)

京太郎(……副露と組み合わせてたから、気付くのは難しかったし)

京太郎(極力ベタオリを避けて、少しでも点を稼ぐために攻撃を続けてたから……気付くのが遅れた)


京太郎(俺に必要なのは勇気だった)

京太郎(見える形を捨てる……差し出す勇気が必要だったんだ)

京太郎(一見、遠廻りに見える道が……俺の唯一の道だった)

京太郎(だから、俺は……)

京太郎(これを、敢えて『差し出す』……敢えてな)


京太郎(本当はもっと、完璧な能力だろうな)

京太郎(意味ないところに客風でも掴ませたなら……)

京太郎(簡単に無駄ヅモが作れるし、な)

京太郎(でも、あの金髪の能力でそれは起きない……起こせない)

京太郎(それに加えて、18×3人分の無駄ヅモ……)

京太郎(これらすべてを支配するなんてのは、相当に無理が来るんじゃあないか?)


京太郎(やはり、だ)

京太郎(一度切った牌を再びツモるってのは堪える)

京太郎(いらないと思って切ったら、次順もツモって……)

京太郎(そんでもって、三枚目ってのは中々のダメージになる。シンプルだけどな)

京太郎(支配が一杯一杯だからかは知らねーけど……そんなシンプルな方向に来てる)

京太郎(対子が重なる……積み重なって、刻子になるな)


京太郎(ついでに……作ったこの状況)

京太郎(あいつ以外は誰も有効牌が引けないって状況が、スゴくイイぜ)

京太郎(眼を、フル活用だ)

京太郎(相手の手の内にある牌を……いずれ引くであろう牌を……)

京太郎(俺は、カウントできる)

京太郎(そうすれば、どっちの対子を残すべきかなんてので……迷わない)


京太郎(……嶺上牌がどうなるのか)

京太郎(果たして、誰のが優先されるのか)

京太郎(決まってるぜ、そんなのは)

京太郎(アイツにとっての無駄ヅモだ。それが一番、支配率が高い)

京太郎(先行なら嶺上開花確定だが、黒髪の能力で妨害された)

京太郎(後発なら、ただの無駄ヅモで終わり)

京太郎(つまり――アイツが先手をとれないこの状況なら)

京太郎(どっちの能力にしても、嶺上牌は無駄ヅモが好ましいんだよ)


京太郎(ついでに、だ)

京太郎(アイツがカンして、裏ドラを乗せたことはない)

京太郎(二つカンをしても、同じ)

京太郎(あの王牌の中に、裏ドラの位置に――風牌は存在しない)

京太郎(今までの局を見るに、最後のツモに纏まってる)

京太郎(最後の2つ~3つは風牌! それは確定!)


京太郎(ハギヨシさんと、金髪の手牌)

京太郎(そこから目指せる最終形……するはずのツモ)

京太郎(全員の手牌を読めば、逆算できる!)

京太郎(これまで、随分と局を重ねた……何度も何度も連荘が続いた)

京太郎(お前の能力なんだろうが……勝ち筋なんだろうが……!)

京太郎(そのおかげで、俺にもお前の手牌を読む『材料』が集まったぜ)


京太郎(だから――俺は)



京太郎「リーチ!」


京太郎「――カンッ!」


京太郎「ツモッ!」



京太郎(運なんかに頼らなくても、裏ドラを乗せられる――!)


京太郎「リーチ、嶺上開花・ツモ、三暗刻、ドラ6」

京太郎「12000オールだ!」


京太郎(これ……五筒開花だったか)

京太郎(特にそんな役はないけど……綺麗な和了だ)

京太郎(あの日の、赤い花みたいでな)


京太郎(ありがとう、穏乃……本当に)

京太郎(本当に……)

京太郎(『ありがとう』……)

京太郎(俺には、それしか言えない……言う言葉が見つからない)




――――――――――
  南四局目・結果
――――――――――

京太郎:129100 (+36000)
ハギヨシ:72300 (-12000)
竜田(金髪):103600 (-12000)
下足(黒髪):95000 (-12000)


京太郎(なんつーか、やっぱり)

京太郎(綺麗な逆転K.O.ってのは……気持ちがいいな)

京太郎(疲れ……たぜ)

京太郎(弘世先輩ならもっとさっさと狙い射つし……)

京太郎(辻垣内先輩なら、スマートに行く)

京太郎(荒川プロとか、ありゃ化け物だしな……)

京太郎(……ま)

京太郎(勝ったぜ。俺が)


竜田「……」

下足「……嘘」

京太郎「嘘じゃない。俺の、勝ちだ」

京太郎「つまらない逃げじゃない。セコい勝ち方じゃない」

京太郎「俺が……正面からお前らを、倒したんだよ」

竜田「……」

下足「……」


京太郎「だから言ったろ?」

京太郎「俺が勝つ。負けを教えてやる……ってさ」

これは濡れる


京太郎「これで……わかって貰えたか?」

竜田「……」

下足「……」

京太郎「俺には何もないけど、それでも努力すれば君たちには勝てる」

京太郎「何がなくても、勝てない理由にはならない。麻雀に絶対はない」


京太郎「麻雀、つまらなかったんだろ?」

京太郎「だから、宮永プロたちと戦って――」

京太郎「――負けたかった」

京太郎「自分たちが絶対に勝つんじゃないって……」

京太郎「自分たちの打つ麻雀はつまらないって……」

京太郎「そうじゃないことを、証明して欲しかった」

京太郎「違うか?」

竜田「……」

下足「……そう、です」


京太郎「……」

京太郎「なんつーかさ」

京太郎「俺には、そんな能力がないから……解ってるなんていえねーけどさ」

京太郎「それでも……」

竜田「……はい」

下足「……」

京太郎「その力は……な」

京太郎「今はつまらないかもしれないけど、いずれそれは仲間の支えになれる素晴らしい力なんだよ」

京太郎「きっと、頼りにされる」

京太郎「純粋な麻雀じたいの楽しさとは違うかもしれないけど、別の楽しさ……」

京太郎「みたいのを、味わえると思う。仲間と一緒に」

竜田「……仲間?」

下足「です、か……?」

京太郎「ああ。仲間だ」


でも京ちゃんは心の中では別の女への思いでいっぱい
NTRみたいでワクワクする


京太郎「だから……さ」

京太郎「だから、麻雀を嫌わないでくれ。夢や希望を失わないでくれ」

竜田「……夢?」

下足「希望……?」

京太郎「みんなと、麻雀を打つこと」

京太郎「楽しく、麻雀を打つこと」

京太郎「そうしたいって……思ってるんだろ?」

竜田「……はい」

下足「そう、です……」

京太郎「だよな」

京太郎「だったら、力のことで悩まないもんな」


京太郎「そりゃあ、さ……」

京太郎「やめたくなったなら……他にやりたいことができたなら、別にいいぜ」

京太郎「それは君たちの人生で、君たちの自由だ」

竜田「……自由?」

京太郎「ああ、自由だ」

京太郎「麻雀は打たされるものじゃない。打つモンだからな」

京太郎「やりたいならやればいいし、やりたくないならやめればいい」

京太郎「俺だって……一回は打つことから遠ざかったんだよ」

竜田「……須賀プロでも?」

下足「こんなに、強いのに……?」

京太郎「そうだ」

京太郎「ついでに言うなら、妹の方の宮永プロもな」

竜田「……そう」

下足「なん、だ……」



京太郎「だから結局、どうしたいかなんて君たちの好きにしていいんだよ」

京太郎「嫌いにならないで欲しいとは言ったけど……」

京太郎「好きになれとか……打ち続けろとか……」

京太郎「俺は、そういうことは言わない。君たちに、強制なんてしない」

竜田「……」

下足「……」


京太郎「……でもさ」

京太郎「でも……麻雀がつまらないって言うなら」

京太郎「それでもどうしてもつまらない……と思うなら、俺を呼べよ」

京太郎「呼んでくれたらまた俺が戦う。そんで勝つ」

京太郎「何度でも勝って、凡人でも君たちを倒せるって……麻雀に絶対はないって証明してやる」

京太郎「俺には絶対なんてものはない。それでも、勝ってみせる」

竜田「……ぅ」

下足「ぁ……」

京太郎「俺は――麻雀プロだ。オカルトスレイヤーだ」

京太郎「だから、そんなときは……」

京太郎「いつでも俺が駆けつける」

京太郎「君たちが泣いているなら、その涙を拭いにいく」




京太郎「――俺が君たちの、最後の希望になる」


【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 Part.11【アラフォーマーズ】
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 Part.11【アラフォーマーズ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1379229833/)


次スレやねん

いやあ、いい最終回でしたね

京ちゃんカッコイイ

一応、こっちで処理


【国広一の好感度が上昇しました!】

【ハギヨシの好感度が上昇しました!】


埋めてーなー

>>1000なら京太郎所属チームの団体戦メンバーで飲み会
まだ決まってない二人はまだ出てないキャラから安価で

1000ならスッガ戦隊ものに出演 燃える炎の麻雀レッド

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom