進撃のトレマーズ(246)

※11巻までのネタバレあり




――――845年

キース「……エルヴィン、最近壁外の巨人の数が減ったとは思わんか?」

エルヴィン「はい、自分もそう思います。調べてみた所、遭遇する回数も半分以下になっていました。」

キース「しばしば発見される、不審な巨人の死体と関係があるのだろうか……」

エルヴィン「わかりません……ただ、巨人のうなじ部分を抉りとるような殺し方、人間以外には不可能だと思います。」

キース「だが、少なくとも我々では無い。調査兵団以外に巨人と戦う組織があるとでも言うのか?」

エルヴィン「自分は聞いた事がありませんが……」

キース「私もだ……」


ハンジ「リヴァイ! 左前方に巨人、14メートル級が一体! 距離約1000メートル!」

リヴァイ「チッ……行くか。」

ハンジ「――ん、あれ? 巨人がこけた? ドジな巨人もいたもんだねぇ。」

リヴァイ「……なんでも良い。余計な損害くれる前に始末するぞ。」




巨人「」シュワシュワシュワシュワ

リヴァイ「…………」

ハンジ「あれ!?」

リヴァイ「……おい、これはどういう事だ?」

ハンジ「私に聞かれたって知らないよ!」

リヴァイ「……? この巨人、穴にはまったのか……足が片方埋まっている……?」

ハンジ「そんな事より、こっちの方がおかしいよ! どうして胸からうなじまで風穴が空いてるの!?」

リヴァイ「俺が知るか……」


ハンジ馬「――!」 ヒヒーーン!

ハンジ「ちょ、どうしたのさ! 落ち着きなよ!」

リヴァイ馬「――!」 ヒヒヒーーン!

リヴァイ「……………………」

                        ――モコモコモコモコ…


リヴァイ「全速で本隊に戻る……遅れるな……!」 パカラッ パカラッ

ハンジ「あ、ちょっと待ってよ! リヴァイ!」 パカラッ パカラッ


ハンジ「ふぅー、いきなり全速だなんて、どうかしたのかい?」

リヴァイ「……何かはわからんが、嫌な気配がした。」

ハンジ「嫌な気配って何なのさ?」

リヴァイ「チッ……わからんと言っただろうが……」

ハンジ「そんな説明じゃ――――」

ミケ「――――?」 スンスン スンスン

ハンジ「ちょ、ミケ。初対面でもあるまいし、いったい何なのさ?」

ミケ「……? いや、お前達から嫌な匂いが漂ってきたんだが、気のせいかもしれん。」

リヴァイ「……それは巨人の匂いか?」

ミケ「違う。初めて嗅ぐ匂いだったが……もう消えた。」

リヴァイ「……そうか。」


エレン「よし、薪拾いはこんなもんで良いだろ。」

ミカサ「…………?」 キョロ キョロ

エレン「どうしたんだ、ミカサ? また地震か?」

ミカサ「うん。エレンは感じなかった?」 キョロ キョロ

エレン「気のせいじゃないのか? 俺だけじゃなくて、父さんも母さんもアルミンも地震に気付いてなかったぞ。」

ミカサ「そうかな……いつも微かな揺れだし、私の気のせいかもしれない。」

エレン「そうそう、気にしなくて良いって!」

                        ――モコモコモコモコ…


ライナー「――お、アニが戻ってきたぞ。」

ベルトルト「……あれ? 巨人の量が少ないよね?」

ライナー「む、言われてみればそうだな。この辺りは巨人が少ないのか……?」

ベルトルト「どうしよう……もっと集まるまで待つ?」

ライナー「いや、あまり時間をかけると調査兵団が戻ってきてしまう。予定通りに行うぞ。」

ベルトルト「……わかった。気を付けてね、ライナー。」

ライナー「お前もな。壁を壊した後、うっかり巨人に襲われたりするんじゃないぞ。」

ベルトルト「わかってるよ。」 ガリッ!


―――― ドゴーーン!







                     <ウワー キョジンダー!

                     <カベヲヤブラレタ! ニゲロー!


エレン「母さんを置いていけないよ!」 ググググ…!

カルラ「門を壊されたんでしょ!? ミカサを連れて逃げなさい!」

ミカサ「…………ッ!」 ググググ…!

エレン「まだ巨人は入って来てないんだ! 今ならまだ間に合うよ!!」 ググググ…!

カルラ「母さんの足は瓦礫に潰れて……ここから出られても走れない……わかるだろ?」

ミカサ「…………ッ!」 ググググ…!

エレン「俺が担いで走るよ!!」 ググググ…!

カルラ「――ッ!!」

                        ――モコモコモコモコ…


カルラ「どうしていつも母さんの言うこと聞かないの! 最期くらい言うこと聞いてよ!」

エレン「…………ッ!」 ググググ…!

カルラ「ミカサッ!」

ミカサ「ヤダ……イヤダ……ッ!」 ググググ…!

カルラ「――――ッ」


            ――モコモコモコモコ…


ミカサ(また地震……? 今度は近い……でも、今はそんなこと気にしてる時じゃ――――!)


カルラ「二人とも、逃げて!! お願いだから――――!」

???『キュオオオオオオオオ!!』 ゴバァッ!!

カルラ「ッ!?」

エレン「母さん!?」

ミカサ「おばさん!?」

???『オオオオオオ!』 バグッ!  …ゴクン!

エレン「…………」

ミカサ「…………」

                        ――モコモコモコモコ…


ハンネス「エレン、ミカサ、無事か!?」

エレン「…………」

ミカサ「…………」

ハンネス「アルミンから聞いたぞ! お前達も早く避難するんだ!」

エレン「…………」

ミカサ「…………」

ハンネス「おい、何をボーっとしてるんだ! カルラはどこだ!? 先に避難したのか!?」

エレン「母さんが……」

ミカサ「たべられた……」


鎧の巨人(よし……門は破壊した。後は巨人どもが雪崩れ込むのを待つだけだ。) ズゥン ズゥン

                        ――モコモコモコモコ…

鎧の巨人(どこか適当な所で巨人化を解いて避難民に紛れこむとするか――――) ズゥン ズゥン


――――ズボッ!


鎧の巨人(――ッ!?) ガクン

鎧の巨人(穴……!? いや、窪地か!? どうしてこんな街中に……!)

鎧の巨人(片足が埋まって無様にひっくり返ってしまうとは……早く足を抜いて身体を起こさないと……)

???『ギュオオオオオオオオオ!!』 ザバァ

鎧の巨人(なんだ!? 何かが俺の背中に!?)

???『オオオオオオオオ』 バリバリバリバリ!

鎧の巨人(馬鹿な! 俺の硬質化した皮膚を噛み砕くだと!?)

???『オオオオオオオオォォ』 バリバリバリバリ!

鎧の巨人(まさか、こいつ! うなじを狙っているのか!?)


鎧の巨人(うおおおおおおおおおおお!!) ガシッ!

???『ギュアアアアアアア!!』 ウネウネウネ

鎧の巨人(蛇!? いや、ミミズか!? 何にせよ、デカすぎる! 体長十メートルは確実に超えてやがる!!)

鎧の巨人(全身白色……アルビノってやつか! 硬そうなクチバシから蛇みたいな舌が三本……グロすぎるだろ!!)

???『ギュオオオ!!』 グネグネ

鎧の巨人(――しまった!) ツルリッ

???『オオオオオオオ!!』 ザバァン

                        ――モコモコモコモコ…

鎧の巨人(速い! 一瞬で地中に潜りやがった……!)

鎧の巨人(地中から襲いかかり、硬質化した皮膚すら食い破る……しかも、何故か巨人の弱点まで知ってやがるだと!?)

鎧の巨人(もしこんなのに群れで襲われたら、巨人化してても食い殺される……! 早く避難民に紛れこまなければ……!)


エレン「本当なんだ! 嘘じゃない!」

ミカサ「わたしも見た」

ハンネス「いや、そんな事言われてもなぁ……」

アルミン「ハンネスさんは見てないの?」

ハンネス「……俺が家についた時には、二人してボーっと突っ立ってたんだが。」

エレン「なんで信じてくれないんだよ! 母さんは、地面から出てきた白いやつに飲み込まれたんだ!」

ミカサ「…………ッ」

ハンネス「確かに、そこだけ瓦礫を押しのけたような跡はあったが……そんな生き物聞いた事もねぇぞ。」

アルミン「僕は信じるよ。エレンもミカサもこんな嘘をつくわけがないんだ!」

エレン「アルミン!」

ミカサ「……ありがとう。」

ハンネス「いや、俺も信じてやりてぇが……流石になぁ……」

エレン「じゃあもうどっか行けよ! 信じてくれないなら、ほっといてくれよ!!」

ハンネス(……混乱してるんだな。まだ子供なんだ……仕方ねぇ……)


エレン「くそっ……何でみんな信じてくれないんだ!」

ミカサ「…………っ」 グスン…

エレン「駆逐してやる……!」

エレン「母さんを飲み込んだ白いやつも……家を潰した巨人も……!」

エレン「この世から……一匹……残らず……!」

エレン「駆逐してやる!!」 ギリィ!


――――850年

氷爆石(ひょうばくせき)

立体機動装置に使用されているガスの原料であり、工場都市の地下でのみ産出される。


ナイル「その貴重な氷爆石の鉱脈らしきものが発見されました。」

キッツ「…………」

ナイル「その調査をあなたに命じます……が、駐屯兵団の隊長であるあなたに直接依頼する意味を良く考えて頂きたい。」

キッツ「それだけ優先事項だという事だろう。心得ている。」

ナイル「結構。もしも第二の工場都市となれる鉱脈なら、その利益は計り知れない。」

キッツ「言われずとも、わかっている。」

ナイル「政府も期待しています。では――――」


―――数ヵ月後

キッツ「また鉱夫の補充だと!? どういう事だ!!」

イアン「私も詳しい話はわかりませんが、荷物も持たずに夜逃げしたとか……」

キッツ「これで何度目だと思っているんだ! 高い給金を用意してやっても、ろくに続かんではないか!!」

イアン「しかし、ここまで連続して人がいなくなるという事は、何か理由があるのでは――――」

キッツ「それはやつらが根性無しなだけだ! 現場の待遇に問題は無い! 採掘の道具も準備してある!」

イアン「ですが、現に――――」

キッツ「黙れぇぇぇぇ!! 私の判断に間違いは無い!!」

イアン(これは……かなり憲兵団にせっつかれているんだろうな……) ハァ…

キッツ(――そうだ! ちょうど良い連中がいるではないか!) ハッ!


キッツ「……補充の件はしばらく保留とする。」

イアン「し、しかし、それでは作業が滞る事に――――」

キッツ「構わん。代わりの人員は私が見繕っておくので、お前は通常業務に戻るのだ。」

イアン(……気になるが、今何かを言っても聞き入れてはもらえないのだろうな……)

キッツ(何処の兵団にも属していない訓練兵なら、多少こき使っても問題ないだろう。)

キッツ(氷爆石の鉱脈と言えば向こうも断れまい……いや、これは政府の依頼なのだ! 拒否権などない!)

キッツ(いくら半人前とはいえ、兵士の訓練を受けているのだ。夜逃げするような馬鹿はおるまいしな。) ウンウン


キース「――――以上だ! それでは八班に分かれ、準備ができ次第出発するように!」

訓練兵「ハッ!」 ザッ!



――――2班

エレン「……やれやれ、もうすぐ解散式だってのに変な命令だよなぁ。」

アルミン「でも本当に氷爆石の鉱脈なら、それは凄い発見だよ!」

ミカサ「アルミンの言う通り、生産拠点が増えるのは歓迎すべき……でも、どうして私達が?」

トーマス「普通、そういう仕事は鉱夫の仕事だよな。」

ミリウス「まあ、地下洞窟の調査くらいなら俺達でも出来るだろ。採掘となると話は別だけどさ。」


――――4班

ライナー「洞窟の探索、か……これは兵士の役割ではない気がするんだが……」

ベルトルト「確かにね。僕もなんとなく釈然としないよ。」

アニ「……ま、どうせ二・三日で次の奴らと交代なんだ。文句言っても始まらないし。」

ミーナ「そーそー、ちょっとした遠足だと思って楽しもうよ!」

ナック「地下洞窟に入る機会なんて滅多に無いしな。」


――――5班

ジャン「畜生……なんで暗がりの作業なのに男だけなんだよ……」

マルコ「相変わらず、ジャンは自分に素直すぎるね。」

コニー「ま、良いじゃねーか! 訓練よりは面白いだろ!」

サムエル「兵団が分かれる前に、男同士ぱーっと楽しもうぜ!」

ダズ「……(暗い所が怖いなんて言えねぇ)」


――――8班

サシャ「むぅ……なんだか体よく使われてるだけのような……」

クリスタ「サシャ、そんな事言わずに頑張ろうよ!」

ユミル「お前は相変わらずの優等生だな……ったく、めんどくせぇ。」

ハンナ「フランツ、私暗い所は苦手なの……」

フランツ「大丈夫だよ、ハンナ……僕がついているから。」

ユミル(……うぜぇ。) イラッ


エレン「よし、それじゃあ2班出発――――って、皆集まってるのか。」

モブ兵A「おう、どうせだったら皆でまとまって行こうって話になってな。」

モブ兵B「地下洞窟まで馬でまる一日かかるんだし、話相手は多い方が良いだろ。」

ミカサ「私はエレンと一緒なら後は別に……」

アルミン「あはは……まあ、僕達だけ別行動する意味も無いしね。」

エレン「それもそうだな。それじゃあ現地まではまとまって行くか!」

トーマス「おう!」

ミリウス「わかった!」


――――その夜。野営地

ジャン「おう、エレン。またあの話聞かせてくれよ。」

エレン「お前とアルミンぐらいだよ、信じてくれるのは……」 グスッ

ジャン「ミカサも見たんだろ? エレンとは違う視点で説明して欲しいんだが。」

ミカサ「うん、わかった。私達が見たのは――――」

アルミン(……ジャンは信じてる訳じゃなくて、それをだしにしてミカサと話す機会を作ってるだけだよ……)

アルミン(……動機はどうあれ、ちゃんと話を聞くなら邪魔する気は無いけど。)

アルミン(みんなはエレンとミカサがショックで幻覚を見たと思ってるから、この話題の時は距離を取るんだよな……)

コニー「…………」

アルミン「あれ、そう言えば、コニーっていつもこの話の時口数が少なくなるよね?」

コニー「そ、そんな事ねぇよ! 俺は信じてないから口出ししないだけだ!」

アルミン「……?」

アルミン(その割には、いつも聞こえる距離にいる気が……マルコ達みたいに離れないし……?)


ミカサ「だから、あっという間の出来事だった……私達は何もできなかった……」

ジャン「いや、マジですげぇな……じゃあ、何か? そいつは地面の中を自由に動き回れるってのか?」

エレン「そうだと思う。ただ、アルミンが言うには、岩盤までは通れない筈だって。」

アルミン「土ならかき分けて進めるかもしれないけど、岩はそういう訳にはいかない筈だからね。」

ジャン「だが、変じゃねぇか? そんなのと遭遇して、なんでお前達は無事なんだよ。」

ミカサ「え?」

ジャン「い、いや! 疑ってる訳じゃねぇぞ!? 単純な疑問ってやつだよ。」 アタフタ

エレン「いや……ジャンの言う通りだ……何で俺達は無事だったんだ……?」

アルミン「その……こう言ったらなんだけど、お腹がいっぱいだったからじゃないかな……」

エレン「そうか、母さんが……」

ミカサ「おばさんが……」

コニー「音を立てなかったからだろ。」 ボソッ


アルミン「コニー、今何か言った?」

コニー「え、ええ!? い、いや、何も言ってねぇよ!?」

ミカサ「そんな事は無い。確かに『音を立てなかったからだろ』と言った。」

アルミン(隣の僕が聞こえなかったのに、どうしてミカサは聞き取れるんだ……) タラリ

エレン「おい、コニーどういう事だよ! お前もしかしてあれの正体を知ってるのか!?」

コニー「い、いや、そんな訳ないだろ! そんなの実在する訳ないんだ! そうに決まってる!」

アルミン「『実在する』……? それじゃあまるで、何かの逸話があるみたいな言い方だよね。」

ライナー「…………」 ピクッ

コニー「――ッ!」 ギクッ!


ジャン「おいおい、その反応……マジなのか、コニー?」

ミカサ「コニー、話して。」 ズイッ

エレン「コニー、頼む! この際、どんな手掛かりでも良いんだ!」 ズズィッ

アルミン「……コニー、こうなっちゃったら二人はテコでも動かないよ。」

コニー「ぐぐぐ……っ」

ミカサ「コニー。」

エレン「コニー!」

コニー「あー、もうわかったよ! 大した話じゃないけど文句言うなよ!」


エレン「――『グラボイズ』……それが奴らの名前か……」

コニー「いや、よくある御伽噺だからな! 『夜更かししてるとグラボイズがやってくるぞ~』って感じの!」

アルミン「……物音に反応し、地中にひきずり込む怪物。恐ろしく硬いクチバシと蛇みたいな舌を三つ持っている。」

ミカサ「私達が見たのと、まったく同じ特徴だ。」

アルミン「コニーの言う通り、子供を脅かす御伽噺は珍しくないけど、それにしては設定が細かすぎる気がする。」

アルミン「もしかしたら、コニーの故郷にも現れたのかもしれないね。それが逸話として残っている……」

コニー「や、やめろよアルミン! そんな訳ねぇだろ!!」

ジャン「――で、何でお前はあんなに渋ったんだ? 別に御伽噺ならさらっと話せば良いだろ。」

コニー「うっせぇ! この話をしたら俺が眠れなくなるから嫌なんだよ! トイレにも行けねぇし!!」

ジャン「ガチで信じてるじゃねぇか!!」


コニー「信じてねぇ――――!」

ライナー「面白そうな話だな。」 ヒョイ

アルミン(あれ、珍しいな……ライナーがこの話に寄ってくるなんて。)

ライナー「逸話なら、どうやってそいつを仕留めたかも伝わってるんじゃないのか? もしくは弱点とか。」

コニー「いや、そういうのは聞いた事ねぇけど……つーか、そんなのが伝わってたら怖がらなくて済むのに……!」

アルミン(トラウマになるほど、子供の頃に散々脅かされたって感じだな……)

ライナー「……そうなのか。いや、すまん。邪魔したな。」

アルミン(あ、行っちゃった……何だったんだろう……?)

エレン「さて、そろそろ休まないと明日キツそうだし……寝るか。」

ミカサ「うん、わかった。」

アルミン「そうだね。」

ジャン「そうするか。」

コニー「い、いや、もうちょっと良いだろ? もっと盛り上がろうぜ!」

ジャン「馬鹿野郎、早く寝ないと『グラボイズ』がやってくるかもしれねぇだろうが……」

コニー「やめろぉぉぉぉ!!」 ウワァァァァァ!!

スレタイに惹かれて来ました

シュリーカーとアスブラスター出る?

>>30
長期戦になったら分裂確定ですね。
ちなみにエレンとミカサが五年前に遭遇したのは不妊個体です。


――――地下洞窟の近くの詰所


クリスタ「うわぁ! なんだか色々と凄そうなのがあるよ!」

ユミル「へぇ、建設用の道具っぽいな。政府はマジで期待してるって事か。」

サシャ「な、なんですか!? あの大きな杭みたいな物は!?」

アルミン「うーん、確かな事は言えないけど……多分、井戸みたいな縦穴を掘る道具なんじゃないかな。」

エレン「ああ、あの杭を何度も地面に打ち付けるのか……でも毎回持ち上げるのが大変じゃないか。」

アルミン「もちろん人力じゃないよ。蒸気機関っぽいのが付いてるから、自動で動くんだよ。きっと。」

ライナー「ふむ……言われてみれば、確かにそんな感じに動きそうだな。」

ミカサ「流石アルミンだ。アルミンは何でも知っている。」

アルミン「そ、そんな事ないよ……」

ジャン「詰所の裏は十本程度だが巨大樹が生えてるな。涼むにはちょうど良さそうだ。」


マルコ「――皆、ちょっと詰所の中まで来てもらえるかな。」

エレン「どうかしたのか、マルコ?」

マルコ「いや、ここに鉱夫はいないって話だったよね。それにしてはおかしな気が……」

ジャン「なんだこりゃ。誰かの荷物がそのまま放置されてるのか?」

マルコ「そうみたいなんだ。この荷物の持ち主は何処に行ったんだろう。」

ユミル「仕事が嫌で夜逃げでもしたんじゃねーのか?」

ライナー「理由はともかく、それでは俺達の荷物が置けない。とりあえず外に運び出すぞ。」

ベルトルト「手伝うよ、ライナー。」

アニ「……やれやれ。着いて最初の仕事が掃除とはね。」

ミーナ「まあまあ、私達も三日間滞在するんだし、先に綺麗にしちゃおうよ。」

ジャン「くそっ、後続組の奴らはラッキーだな。」

サシャ「まったくですね……」


トーマス「エレン、馬は全部囲いに入れておいたよ。」

エレン「サンキュー、トーマス。こっちの掃除も終わった所だ。」

ミリウス「じゃあ、そろそろ洞窟の調査に向かうのか?」

エレン「いや、これからクジ引きするからちょっと待ってくれ。」

トーマス「クジ引き?」

アルミン「うん。どうやら洞窟の入り口は7つあるみたいなんだ。」

アルミン「あまる一班がここに待機して連絡要員になるから、そのクジ引きをね。」

ミリウス「連絡、って……洞窟の中だぞ? 連絡なんて取りようが無いだろ?」

ミカサ「いえ、それが洞窟の各所に管を通してあるらしい。その元がここにあるから、ここから呼びかければ洞窟内部と連絡が取り合えるそうなの。」

トーマス「へー、そりゃ凄いな。」


クリスタ「――――えー、と……詰所で待機は7班だよ。」

7班モブA「よっしゃー!」

7班モブB「それじゃあ、お前ら頼んだぜ! 俺達はここで待機しとくから!」

7班モブC「お土産オナシャス!」

7班モブD「じゃあ大富豪でもすっか!」

7班モブE「おう、まずはローカルルールの確認からだな!」

ジャン(うぜぇ……) イラッ

ミカサ「…………?」 キョロキョロ

サシャ「あれ、どうかしたんですか、ミカサ?」

ミカサ「今、揺れなかった?」

サシャ「地震ですか? いえ、何も感じませんでしたけど?」 キョトン

ミカサ「……うん。小さかったし、多分私の気のせいだ。」




7班モブA「それじゃー、お気をつけてー」

7班モブB「寂しくなったら何時でも呼んで良いぜー」

ジャン「サボんじゃねーぞ、クソッタレ!」

マルコ「ははは、しかも一番遠い入口のクジを引いちゃうとはね……」

アルミン「僕達はその隣の入り口だから、途中までは一緒だね。」

エレン「でも、立体機動装置は必要なのか? 置いてきた方が身軽な気もするんだが……」

マルコ「いや、洞窟の広さは10メートル四方はあるらしいからね。もし急な段差とかがあったら、大変だよ。」

エレン「それもそうか……しっかし、でかい洞窟だよな。きっと大昔からあるんだろうなぁ。」

コニー「もしかしたら、お宝とかあったりしてな!」

トーマス「はは、もし見つけたら山分けだ。」

ミリウス「ガラクタとお宝の見分けが付けば良いけどな。」

ダズ(洞窟だし、やっぱ暗いんだろうな……ああ、行きたくねぇ……吐きそう……) ウップ

サムエル「大丈夫か、ダズ……?」


クリスタ「あ、ここから入るみたいだよ。」

ユミル「私らが引いたのは一番近い入口だからな、無駄に歩かなくて済んで助かるぜ。」

サシャ「一番遠い入口なんて6キロくらい距離ありましたからね……」

ハンナ「ジャンが文句言ってたね。」

フランツ「お目付け役のマルコが一緒だから、サボりはしないと思うけどね。」


                               ――ズズズズズ…


サシャ「…………?」

クリスタ「どうしたの、サシャ?」

サシャ「何か、変な音が聞こえませんか?」

ユミル「風の音じゃねぇのか? 馬鹿デカい洞窟だからか知らねぇが、風が吹き抜けてるからな。」

サシャ「そうですかね?」

フランツ「ハンナはどうだい?」

ハンナ「私も、特に変な感じはしないけど……」


クリスタ「みんな松明は持ったよね? それでは、洞窟探検に出発進行!」

ユミル「ハァ……こんな事でよく盛り上がれんな……」

サシャ「クリスタは神様ですから! 汚れたユミルとは違うんです!」

ユミル「……なあ、おい……こんだけデカい洞窟なんだし、一人くらい埋まっててもわかんねぇよな。」

サシャ「ひぃぃ!!」 ビクゥ!

フランツ「ハンナ、奥は暗いから僕の手を離しちゃ駄目だよ。」 ギュッ…

ハンナ「わかってるわ、フランツ……あなたも離さないでね……」 ギュッ…

ユミル(埋めてぇ……) イラッ


今日はここまで。

そう言えば、『トレマーズ』って最近の若い子は知ってるんですかね?
十五年前くらいにテレビ放映してた筈なんですけど……十代とか二十代の若い子は知らないかな……

もしかして、だれもいなくなったなどを書いた人かな?

>>41

いえ、それは自分では無いです。


ライナー「ほう、思っていたよりもデカい洞窟だな。」

ミーナ「高さも幅も10メートルはあるよね。」

ナック「これならライナーもベルトルトも安心だな。」

ベルトルト「はは……そうだね。」

アニ「…………」

ミーナ「あれ? どうしたの、アニ? 浮かない顔して。」

アニ「いや、何でもないよ……」

ライナー(……考えている事は同じか。)

ベルトルト(……中に入れば巨人化は使えない。)

アニ(……考え過ぎだ……知性巨人の存在を、まだ人類は知らない筈なんだから。)

ライナー「さて、松明も持った事だし、奥へと進むとするか。」

ミーナ「了解! ――ねぇ、アニ。ちょっとドキドキしない?」

アニ「……まあ、そうかもね。」

アニ(あんたとは違う理由だけど……) ハァ…

エレン「お、ここが俺達の入り口か。思ってたよりデカいな。」

アルミン「うん。これだけ広かったら立体機動装置を使うには十分だよ。」

マルコ「それじゃあ、みんな、気を付けてね。」

ミカサ「ええ、マルコも。」

ジャン「はぁ……俺達はまだ歩かなきゃ行けないのか……」

コニー「ん、なんだこの匂い……?」 スンスン

サムエル「どうかしたのか、コニー。」

コニー「いや、何か匂わねぇか? なんだこの匂い……嗅いだ事ない匂いだぞ……?」 スンスン

エレン「なんだよ、どうかしたのか?」

ジャン「コニーが何か匂うって言ってるんだが、お前わかるか? 俺にはわからん。」 スンスン

エレン「……? いや、俺もわからないな。」 スンスン

アルミン「……? 僕も特には……」 スンスン


ミカサ「……微かな生臭さ……? 何だろう……嫌な匂い……」 スンスン

コニー「そう、それ! ミカサもわかるよな!?」 スンスン

ジャン「どうせ、どっかに動物の死骸でも転がってんだろ。」

コニー「いや、そういうのとは全然違うんだって!」

マルコ「コニーが言うなら説得力はあるけど……じゃあ、何の匂いなんだ?」

エレン「別に大した事じゃないだろ。それより、早く洞窟に入ろうぜ。」

ジャン「だな。俺達もさっさと持ち場に向かおうや。」


アルミン「いや、わかる範囲でも確認した方が良いよ。」

エレン「アルミン?」

ジャン「何でだよ……面倒くせぇ……」

アルミン「もし、どこかからガスが発生してるのなら、確認しておかないと命に関わる。」

マルコ「……そうか。もしガスが洞窟に流れ込んでたら大変だ……!」

ミカサ「確かに、洞窟は密閉空間……もしこの匂いが有毒なものなら危険だ……」

エレン「……言われてみればそうか。それじゃあ、俺達も協力しよう。」

ジャン「やれやれ……ま、もし危険なガスだったら皆に戻るよう伝えないといけないしな。」

トーマス「でも、どこを調べれば良いんだ? 俺も全然わからないぞ。」 スンスン

ミリウス「俺もさっぱりだ。」 スンスン

ミカサ「……向こう。」 スッ

コニー「だな。」

ダズ(……もしかして中止になるかもしれないんじゃ……ガス来い! 危険なガスー!)


7班モブB「おし、じゃあ革命であがり!」 スパァン!

7班モブD「うおわぁぁぁぁ! ふざけんなぁぁ!!」

7班モブE「ちょ、おれの切り札の2がwwwww」

7班モブA「お、これはワンチャン来たんじゃね?wwww」

7班モブC「既に一位抜けした俺に隙は無かった。」 フッ

ライナー(地下)「こちら4班。聞こえるか? こちら4班。」

7班モブC「お疲れさーん。そっちの様子はどうだ?」

ライナー(地下)「特に異常はない。」

7班モブC「了解。通話用パイプは300メートル置きに設置されてるみたいだから、何かあれば言ってくれ。」

ライナー(地下)「ああ、わかった……だが、遊びに夢中で気付かなかったとかは勘弁してくれよ。」

7班モブC「わかってるって!」


7班モブA「誰からだった?」

7班モブC「ライナーだ。入口に到着したってよ。」

7班モブA「じゃあ、後は2班と5班だな。……それにしても、結構ハッキリ聞き取れるんだな。」

7班モブC「ああ、おれも驚いた。……あ、ちょっと思いついたんだが、こんなのどうよ――――?」 ヒソヒソ

7班モブA「なになに――――ぶはっ! それ良いな! おい、お前らもちょっと聞いてくれ。」


サシャ「――むッ」 ピクッ

クリスタ「――えッ」 ピクッ

ユミル「――なんだ?」 ピクッ

ハンナ「……今の、なに?」

フランツ「……誰かのうめき声みたいなのが……」


                           <ウァァァァァ…


クリスタ「ひっ!」 ビクッ!

ハンナ「また聞こえた!」 ビクッ!


                           <オオオオオオオ…


クリスタ「まさか、お化け……」 ブルブルブル

ハンナ「やだ、怖い! フランツ!」 ヒシッ

フランツ「だ、大丈夫だよ、ハンナ! 僕が守るから!」

ユミル(……いや、ンな馬鹿な……だが私も聞こえたぞ……) タラリ


                           <ヒィィィィィ…


クリスタ「…………ッ」 グスン グスン

ユミル「お、おい、泣くなクリスタ! 気のせいに決まってんだろ!」

サシャ「……?」 キョロキョロ

クリスタ「でも……でも……っ」 エグッ エッグ…


                           <アアアァァアアアア…


ハンナ「フランツゥ……」 ギュゥゥゥ

フランツ「お、落ち着いて、ハンナ!」

クリスタ「絶対、気のせいなんかじゃないよぉ……」 ポロポロポロ


ユミル「おい、サシャ! お前もぼさっとしてないでクリスタを――――!」

サシャ「…………あのパイプって何なんです?」 スッ

フランツ「え? あ、ああ、上と連絡を取るためのものだと思うけど……」

サシャ「……? どうしてそこから変なうめき声が聞こえるんです?」

ユミル「―――― 何?」

サシャ「ユミルならちょうど耳の高さじゃないですか。くっつけてみたらわかると思いますけど。」

ユミル「……?」 ピタッ  <ウォォォォオオオ…

サシャ「聞こえました?」

クリスタ「……ユミル?」 グスン…

ユミル「――――……」 スゥゥゥゥゥゥ…

ユミル「ふざけた真似してんじゃねぇぞ! この馬鹿どもがァァ!!」


< バカドモガァァァァ!!

7班モブC「うわっ、ヤベッ! もうバレた!」 

7班モブA「マジかよ! 早過ぎんだろ!?」

7班モブE「でもクリスタの泣き声は聞けたな。」

7班モブB「おう、ちょっと反応しちゃったよ。」  

7班モブD「流石は104期生『泣かせたい女子ランキング一位』だな。」 


                       < ヒヒーーーン!!

                       < ヒヒーーーン!!

                       < ヒヒーーーン!!  


7班モブD「なんだ? 馬が騒いでるな……」

7班モブE「この辺は狼でも出るのか? ちょっと見に行こうぜ。」

7班モブD「そうだな。続きは俺達が戻るまで待っててくれよ。」

7班モブC「おう、わかってるって。」


7班モブA「ちなみに、次はどの班にする?」

7班モブB「4班にしようぜ。104期生『泣かせたい女子ランキング二位』のアニがいる。」

7班モブC「よしよし、4班に繋がってるパイプはどれだー?」

7班モブB「他の班のパイプに蓋するの忘れるなよー。いきなりバレたら面白くないし。」

7班モブC「わかってるって! さっきのユミルの声も他の班には届いてないから――――」


                       <ウワァァァアア!!

7班モブA「な、なんだ!?」


                       < ヒヒーーーン!!

                       < ヒヒーーーン!!

                       < ヒヒーーーン!!


7班モブE「うわぁぁぁぁあああああ!!」

7班モブA「おい、どうした! さっきの悲鳴は何なんだ!?」

7班モブE「Dが……! Dが化け物に飲み込まれた!!」 ガクガク ブルブル…!

7班モブB「まさか巨人が!? ここは壁の中だぞ!?」

7班モブE「ち、違う……! 地面から、何かデカいのが……!」 ガクガク ブルブル…!

                       < ヒヒーーーン!!  

                       < パカラッ パカラッ パカラッ!


7班モブC「って、おい! 馬が逃げ出してるぞ!?」

7班モブE「それどころじゃ――――!」

???『ギュオオオオオオオオオオォォォ!!』 ベキベキベキッ!!

7班モブE「うわぁぁぁああああ!!」 バクンッ!!

7班モブA「E!? Eが食われたァァ!!」


7班モブB「なんだよ、今のは!? 床板突き破って何かが出てきたのか!?」

7班モブA「わかんねぇよ! 一瞬でまた地面に潜りやがった!!」

7班モブC「何かわからんが、逃げるぞ!! ここにいるのはマズい――――」 ダッタッタッタ

???『ギュアアアアアァァ!!』 ベキベキベキッ!!

7班モブC「ぎゃァァァあああああ!!」 バクンッ!!

7班モブA「Cィィィィィ!!」


                       < ギャァァァアア!!

                       < ウワァァァァア!!

                       < タスケテクレェェェ!! 


ユミル「おいコラ、てめぇら! いつまで遊んでんだ!!」

ユミル「もうネタは割れてんだよ! 後でシメてやっから覚悟しとけ!!」

クリスタ「なんだぁ、ただの悪戯かぁ……」 ホッ

ハンナ「でも、よく見抜けたよね。」

フランツ「うん、サシャのおかげだよ。」

サシャ「あはは、私って耳が良いんですよ。」

クリスタ「やっぱり、狩りで生活してると感覚が鋭くなるんだね。」

サシャ「うーん、その筈なんですけど……やっぱり何か変なんですよねー。」


ハンナ「変、って何が?」

サシャ「いえ、この洞窟に入ってから、何か振動してるような……空気が震えてるような……」

フランツ「そう言えば、確かさっきも言ってたね。まだ違和感があるのかい?」

サシャ「ええ……何なんでしょうね? 私もこんなの初めてで……」

ユミル「氷爆石のせいかも知れねぇな……私もよく知らんが。」

クリスタ「そっか、ガスになる時に空気を震わせるのかな……でもそれなら、本当に氷爆石の鉱脈があるって事だよね?」

ユミル「そういう事になるな……ま、無駄足踏まされるよりゃ、そっちの方が良いが。」


ミカサ「……そこの岩山の向こうからだと思う。」

エレン「ここまで近付けば俺達でもわかるな……」

ジャン「ひでぇ匂いだ……腐った肉に薬品ぶっかけたみたいな……」

アルミン「有毒ガスじゃないみたいだけど、匂いだけで吐いちゃいそうだよ……」

エレン「ま、どうせ獣の死体か何か――――」 ザッザッザッ…

ミカサ「――――ッ!」


ジャン「うおわァ!?」 ビクッ!

アルミン「ええッ!?」 ビクッ!

コニー「なんだこりゃ!?」 ビクッ!

マルコ「で、でかい……!!」 ビクッ!

トーマス「わああああ!?」 ビクッ!

ミリウス「うわ、うわぁぁぁっ!?」 ビクッ!

サムエル「なんだこりゃあああああ!?」 ビクッ!

ダズ「ぎゃぁぁぁあああああああああああ!!」 ビクッ!


ミカサ「エ、エレンッ!! これは、あの時の……!」

エレン「――……ッ」 ギリリッ!

エレン「ああ、こいつだ……」 スラァァァアア…




エレン「よう……五年振りだな……化け物!」 ジャキン!!

グラボイズ『……………………』

http://uploda.cc/img/img523023d0253d8.jpg


今日はここまでです。

『トレマーズ』は1990年製作の映画ですが、思わぬ知名度の高さに驚いてます。
見返すと、グラボイズがCGじゃないのが逆に新鮮でした。
自分も、ホラーなのに微妙にネタッぽくて大好きです。

一応、元ネタ知らねーよ! という方の為に画像を用意してみました。

>>67
この画像2の?

>>69
まさかこんなに早く特定されるとは……(震え声)
多分、場面もおおよそわかってると思いますが、つまりそういう事です。

乙乙
グラボイズ一匹でシュリーカー三匹だっけ?先カンブリア時代の生物にしてはチート過ぎ、それより兵団の馬は巨人あいてにパニック起こさないのになんでグラボイズには起こすの?

>>74
その辺りはトレマーズ側の設定に従いました。
トレマーズ1でバルとアールの乗った馬が怯えてたので、その場面からの判断です。
バルとアールの馬は怯えてまともに動けなくなってたので、それと比べれば調査兵団の馬は規律が取れてます。

多分ですが、調査兵団の馬は巨人が人間以外を襲わないのを知ってるから動じないんだと思います。
自分を襲う狼とかと出くわせば、本能的に危機を察知して慌てるんじゃないでしょうか。

ガンマニア的な人は出ないのか





3班モブA「――あれ? 地面の感触が変わった?」

3班モブB「ああ、なんか地質がまだらになってるらしいぞ。」

3班モブC「さっきまでは岩っぽかったのに、今は土だな。」

3班モブD「随分変わった地形なのね。でも、土の方が柔らかくて歩きやすいわ。」

3班モブE「それで、結局調査って何をするんだっけ?」

3班モブA「とりあえず、渡された地図が正しいかを確かめるのが一番ね。」

3班モブB「じゃあ、奥まで行って戻るのか……面倒くさいな。」

3班モブA「いえ、奥に縦穴が掘られてるから、帰りはそこを上がって良いみたいよ。」

3班モブC「そのための立体機動装置か。なるほどな。」

3班モブD「ちなみに洞窟の深さはどれくらいなの?」

3班モブA「そうね……だいたい地図を確認しながら歩いて3時間くらいじゃないかな……」

3班モブE「広いな! マジかよ!」


                        ――モコモコモコモコ…





アルミン「エレン、ミカサ! ちょっと待って!」

エレン「…………ッ!」 フーッ! フーッ! フーッ!

ミカサ「…………ッ!」 フーッ! フーッ! フーッ!

アルミン「これ、もう死んでるよ……」

エレン「なんだって!?」

コニー「そっちからじゃ見えないから、こっちに回り込んでみろ。」

ジャン「……この匂いの原因はこれかよ。」

エレン「なんだよ、これ……」

ミカサ「胴体がえぐられている……?」

トーマス「内臓が丸出しになってるぞ……」 ウップ…

ダズ「ッ!」 オボロロロロロロロロ

マルコ「ダズが吐いた!」


アルミン「大きなクチバシ……蛇みたいな舌……コニーから聞いた通りだね。」

コニー「嘘だろぉぉ……マジで実在したのかよ……」

ジャン「でけぇな……クチバシから尻尾の先までの長さ……十メートル以上あるぞ。」

アルミン「目がない……? そうか、地中で生きているから目は必要ないんだ……だから音に反応するのか……」

エレン「くそッ! 母さんの仇を見付けたと思ったのに、なんで死んでるんだ!」

ミカサ「いえ、エレン……よく見て。これはあの時のやつじゃない。」

エレン「……そうか、あの時のやつは白かったけど、こいつは黒ずんでるな。」

ミカサ「ええ、でも同じ生き物だと思う。だから、こいつを良く観察しておこう。」

エレン「そうだな……弱点がわかるかも知れないもんな。」

ミカサ「誰か、こんな生き物がいると聞いた事がある? ……あ、コニー以外で。」

アルミン「生き物として近いのはミミズなんだろうけど……色々と違いすぎる。」

ジャン「ある訳ねぇだろ……」

マルコ「僕も……今こうして見ていても信じられないくらいだ……」

トーマス「俺達も同じだよ……何なんだこいつは……」

ダズ「ッ!」 オボロロロロロロロロ


アルミン「クチバシの硬さは普通じゃないみたいだ……多分、刃もアンカーも傷一つ付けられないと思う……」

エレン「なっ……!」

アルミン「胴体に生えてる太い爪のようなもの……これで土を掻き分けて進むのか……」

コニー「歯は無いぞ……って事は、この蛇みたいな舌で獲物を絡め取って丸呑みにするんだろうな……」

エレン「……それで、アルミン。なんでこいつは死んでるんだ?」

アルミン「わからないよ……もしかしたら病気なのかもしれないし、寿命なのかもしれない……」

アルミン「胴体の穴は、狼や鳥に食べられたんだと思う……」

ミカサ「胴体になら刃も通りそう……爪は無理そうだけど、皮膚自体はそこまで強固ではないみたいだ……」

エレン「なるほどな……弱点は胴体って事か……!」

ダズ「お前ら、何を冷静に観察してるんだよッ!」


ミリウス「ダズ?」

ダズ「一匹いたんだぞ!? 他にもいたらどうするんだよ!!」

マルコ「……!」 ハッ!

ダズ「こんなのに襲われたらひとたまりも無いだろ! 早く逃げようぜ!!」

アルミン「……マズい! 光の届かない洞窟はこいつの独壇場だ! みんなが危ない!!」

エレン「クソッ! ひとまず詰所に戻るぞ! みんなに戻るように伝えないと!」





ライナー「なんだ、この小屋みたいなのは……?」

ナック「ん、何か書いてあるぞ……なになに……『簡易便所』……?」

ベルトルト「ああ、そうか。トイレは必要だよね。どんな感じなのかな。」 ギィィィ…

ミーナ「ちょ、ちょっと、なにこれ!? 地面に穴掘ってるだけじゃない!?」

アニ「これは流石に使えないね……」

ライナー「まあ、これじゃあ見えないように囲いがしてあるだけだよな。」

ベルトルト「使った形跡が無いのが、せめてもの救いだね……」


ナック「あ、いや、ちょっと使いたいんだけど……」

ライナー「おいおい、本気か?……とは言え、こればっかりは仕方ないか……」

ミーナ「じゃあ、私達は先に行ってるからね。ちゃんと追いついて来てよ?」

ベルトルト「この先は岩肌になってるみたいだし、少し行けば座って待てるような岩があるんじゃないかな。」

アニ「……それじゃ、先で待ってるから。」

ナック「悪い! 用を足したらすぐ追いかける!」

ライナー(さすがに男の便所をそばで待つのはキツイからな……いや、女のでもキツイけど。)


                        ――モコモコモコモコ…





ナック「……よし、もう充分離れたよな。」 カチャカチャ

ナック「松明は倒れないようにそこの地面に突き立てて、と。」 カチャカチャ

ナック「――――ふぃ~。」 ジョボジョボジョボ…


       ――モコモコモコモコ…





                            <ウワァァァァァァァァ!!


ライナー「なんだッ!?」

ベルトルト「今の悲鳴は!?」

ミーナ「ナックの声じゃなかった!?」

アニ「……戻った方が良いかもしれないね。」





ライナー「ナック! どうした!?」

ベルトルト「扉を開けるよ!」 バァン!

ミーナ「……え、あれ?」

アニ「そんなッ……いない……?」


ナックの残した松明「」 ボボボボ…


ライナー「馬鹿な……この暗闇では、松明がなければ何も見えないぞ……」

ベルトルト「誰かに連れて行かれたような形跡も無い……足跡の乱れや、引き摺った跡が無い……」

ミーナ「ナックー! 何処なのー!? 返事してー!!」


                            <ヘンジシテェェェ… ヘンジシテェェ… ヘンジシテェ…


アニ「どういう事……? 悪戯、は無いか……」

ライナー「ああ……コニーやサシャならともかく、ナックがこんな馬鹿をするとは思えん。」

ベルトルト「ど、どうする……ライナー?」

ライナー「…………ひとまず、さっきの岩場に戻るぞ。ナックにはそこで待つと言ったんだからな……」

ミーナ「そ、そうだね……もしかしたら、途中ですれ違っただけかもしれないし……」

アニ(それならさっきミーナが呼んだ時に何かしら反応があった筈……だが、今は言っても仕方ないか……)

ライナー「さっきの岩場で少し待とう……もしナックが見つからないようなら……」

ベルトルト「――ようなら……?」 ゴクリ…

ライナー「……わからん。今は何とも言えん。」

ミーナ「そ、そんな……」 ゾクッ…

アニ「……………………」


                              ――モコモコモコモコ…





                       <ヒヒーン!

                       <パカラッ パカラッ

                       <ドドドドドド…!
                       

ジャン「――ん!? おい、あれって俺達の馬じゃないか!?」

エレン「嘘だろ!? なんで脱走してるんだよ!?」

マルコ「しかも一頭や二頭じゃない……! 全部だ!!」

アルミン「囲いから逃がしてしまったのか!? とにかく、捕まえないと!」

ミカサ「駄目だ……距離があり過ぎる。とても追いつける距離じゃない……」

ジャン「――――ッ!」 ピィィィィィィィ!!

エレン「――――ッ!」 ピィィィィィィィ!!

マルコ「――――ッ!」 ピィィィィィィィ!!


エレン「クソッ! あれだけいたのに、こっちに来たのは5頭だけか!!」

馬「…………ッ」 ブルルルンッ

コニー「こいつら、何かに怯えてるみたいだ……7班の奴らは何してたんだよ!」

アルミン「待って、ちょっと落ち着こう! 状況を把握するんだ!」

ジャン「ああ、そうだな……つっても、状況はかなりマズイぞ……」

マルコ「馬を逃がしてしまったのは痛すぎるね……訓練所に帰還する事すらできなくなった。」

ミカサ「……でも、なんとか5頭は確保できた。どちらかの班が応援を呼ぶ事は出来る。」

アルミン「うん……こうなったら、どちらかの班が詰所に、もう片方の班が訓練所に走るべきだと思う。」

エレン「それしか……ないか……」

トーマス「でも、どっちの班が?」

ダズ「お、俺達が応援を呼びに行こう! な!?」

サムエル「おい、ダズ!」

ダズ「ミカサは主席だろ!? あの化け物が襲って来ても、ミカサなら追い払えるんじゃないか!?」

ジャン「ダズ! てめぇ、自分が助かりたいからって適当な事言ってんじゃねぇぞ!」


マルコ「そんな……いくらミカサでも、地中を移動するような怪物と戦える訳がない……ッ!」

ミカサ「相手がどんな化け物でも、私はエレンを守る。」

エレン「そうだ……俺達はあいつらを駆逐してやると、あの日に誓ったんだ!」

ジャン「この死に急ぎ野郎がッ!! てめぇの勝手な理由に仲間を巻き込むつもりか!!」 ガシッ!

エレン「――――それはッ!」 ググッ…

アルミン「……でも、僕もジャン達が応援を呼んでくるべきだと思う。」

ミリウス「アルミン、その根拠は?」

アルミン「指揮官向きのマルコなら、迅速に適切な救援隊を組織できると思うんだ……少なくとも、僕達の班の誰よりも。」

トーマス「それは、確かに……」

ミリウス「そうだな……」

ジャン「くっ…………それが、一番か……」

マルコ「わかった……僕が責任を持って教官を説得してみせるよ……!」

コニー「俺は馬鹿だからお前達の判断に従う……すぐに応援を呼んでくるから、お前らも無茶すんなよ!」

エレン「ああ、わかってる!」

ミカサ「大丈夫、エレンは私が守る。」


ジャン「行くぞッ!」 ヒヒーーン!

コニー「おう!」 パカラッ! パカラッ! パカラッ!

エレン「……すまん。トーマス、ミリウス。なんか、俺達の復讐に巻き込んだみたいな形になっちまったな……」

ミカサ「……ごめんなさい。」

トーマス「良いよ、あの判断は俺も正しいと思うから。」

ミリウス「ああ、アルミンの判断は妥当だった。」

アルミン「そうかな……そうだと良いんだけど……」

トーマス「それに、今までエレンとミカサの話を信じてなかった俺達も悪かったし……」

ミリウス「あんなのを実際に見せられるまで、仲間の言葉を信じれなかったんだからな……」

エレン「お前ら……」

トーマス「あれがエレンのお母さんの仇なんだろ? 俺達も手伝うよ。」

エレン「言ったな、トーマス! 期待してるぜ!」 ニッ!

ミリウス「ああ、そうだとも! グラボイズをぶっ殺してやろう!」

ミカサ「……ありがとう、二人とも。」 グスッ…





ジャン「日が暮れるまで走り続けるぞ! 遅れんなよ、お前ら!」 パカラッ! パカラッ! パカラッ!

マルコ「ああ、わかってるさ!」 パカラッ! パカラッ! パカラッ!

コニー「任せとけ!」 パカラッ! パカラッ! パカラッ!

サムエル「一刻も早く救援を呼ばないとな!」 パカラッ! パカラッ! パカラッ!

ダズ「へ、へへ……助かった、助かったんだ……」 パカラッ! パカラッ! パカラッ!


                              ――モコモコモコモコ…


ジャン「――――ぐッ!?」 ガクン!

馬「ヒヒーーン!」 ズボォッ!

マルコ「なんだ、これは!? 急に地面が柔らかく……ッ!?」

コニー「畑にでも突っ込んだのか!? マズい、馬の足が取られてるぞ!」

サムエル「馬鹿な! こんな荒れ地を耕す訳が無い!!」

ダズ「うおおおお!? おおおおおおおおお!?」


                ――モコモコモコモコ…


ジャン「お、落ち着け! 静まれって!」 ガクン! ガクン!

ジャン馬「ヒーン! ブヒヒーン!」 ザボォッ! ズボォッ!

マルコ「くそ、なんでこんな……! 駄目だ、深すぎる!」

コニー「馬が抜けられないほど深いのかよ……!」

サムエル「おい、どうするんだ!? 馬を捨てるのか!?」

ダズ「ぎゃああああ! うわぁぁあああああああ!!」


   ――モコモコモコモコ…


グラボイズ『ギュォオオオオオオ!!』 ザバァァァァ!

サムエル「うわ、うわああああああああ!?」 キシャー! キシャーー!!

ジャン「サ、サムエーーーール!!」

マルコ「あ、ああああああ……!?」

コニー「う、うわああああああああああ!!」

ダズ「ぎゃあああああああああ!!」

サムエル「は、離せ! 助けて――――!」

サムエル馬「ヒヒヒーーーーーン!!」

グラボイズ『ギョオオオオォォ!!』 バクン!    ……ズブブブブブ

ジャン「あ、ああ、あああああああ……」 ガクガクガク…!

マルコ「サムエルが……馬ごと……の、飲み込まれた……」 ガクガクガク…!

コニー「なんだ、これ……! なんだよこれはぁぁ!!」 ガクガクガク…!

ダズ「いやだああああああ!! 助けてくれぇぇぇぇ!!」 ガクガクガク…!


        ――モコモコモコモコ…


ジャン(――ッ! おい、まさか……この地面のぬかるみはグラボイズが……!?)

ジャン(あの鉱山からでる為の、唯一の通り道に罠を張っていたのか……!?)

ジャン(馬鹿な、有り得ねぇ……! あんなデカいだけのミミズ野郎に、そんな知能がある訳が……ッ!)

マルコ「ジャン! 下だ!!」

ジャン「――ッ!」 ハッ!

グラボイズ『ギョオオオオォォ!』 ザバァァァァ!

ジャン「う、うおおおッ!!」 バシュッ!

コニー「おお! とっさに立体機動で近くの岩の上に……!」

ジャン馬「ヒヒーーン!」

グラボイズ『ギョオオオオォォ』 バクン!    ……ズブブブブブ

ジャン「お前らもこっちに移れ! 馬はもう駄目だ! 諦めろ!!」

コニー「くそっ! 仕方ねぇか!!」 バシュッ!

マルコ「ぐっ……! やむを得ない!」 バシュッ!

ダズ「あ、あああああああ……!」 ガチガチガチ…!


コニー馬「ヒヒヒーーーーーーン!」

グラボイズ『ギョオオオオォォオオオオ!!』 バクン!    ……ズブブブブブ

ジャン「落ち着け、ダズ!」

ダズ「ぐ、うぐううううぅぅぅ……!」 ガチガチガチ…!


        ――モコモコモコモコ…


マルコ馬「ヒヒィーーーーーーン!!」

グラボイズ『ギュアアアアアアアア!!』 バクン!    ……ズブブブブブ

コニー「駄目だ! ダズのやつ完全にパニクってる!!」

マルコ「マズイぞ! もう後はダズしか残ってない!!」

ジャン「ちぃ……!!」 ギリッ…!


        ――モコモコモコモコ…


グラボイズ『ギュォオオオオオオ!!』 ザバァァァァ!

ダズ「いやだああああああぁぁぁぁ!!」


ジャン「――――クソッ! 後で文句言ってくれるなよ!」 バシュッ!

マルコ「ジャ、ジャン!?」

ダズ「いだぁ!?」 ブスッ!

ジャン「我慢しやがれッ!」 ギュィィィィィン!!

ダズ「うわあああああああああ!?」 ズザザザザザザ!

ダズ馬「ヒヒィィーーーン!!」

グラボイズ『ギュアアアアアアアア!!』 バクン!    ……ズブブブブブ

コニー「む、無茶しやがる……! 直接ダズにアンカーを打ち込んで引っ張り上げたのか……!」

マルコ「いや、あの場合は仕方なかった……あのままじゃダズも飲み込まれていた。」

ダズ「うう……す、すまねぇ……あ、ありがとう、ジャン……」 ガクガク ブルブル…!

ジャン「ったく、焦らすんじゃねぇよ。アンカーを打ったのはふくらはぎだから、血を止めるだけで何とかなるだろ。」

ダズ「あ、ああ……恩に着る……」 ガクガク ブルブル…!

マルコ「手当てするから、動くなよ。」

コニー「……何とか命拾いしたが……これからどうするよ、ジャン。」

ジャン「しばらくはこの岩の上で息を潜めるしかないだろ……やつが諦めて引き上げたら、馬を探して訓練所に帰還するぞ……」


今日はここまでです。

>>77-79
バート的には、貧弱な銃器しかない進撃世界は耐えがたいでしょうから……
さすがに大量の爆薬の持ち込みはバランスブレイカー過ぎますし、出番は難しいですね……


―― 地上詰所・2班(エレン・ミカサ・アルミン・トーマス・ミリウス)


エレン「おい、どこだ7班! 誰かいないのか!?」

トーマス「床板がメチャクチャにされてる……いったい何が……」

ミリウス「馬の囲いは破られていた……破損状況から考えて、馬が暴れたみたいだ。」

ミカサ「何の理由も無く、馬が暴れるとは考えにくい。何かがあったのだと思う。」

アルミン「この破損状況……まさか、そんな……!」

エレン「アルミン、何かわかったのか!?」

アルミン「皆、落ち着いて聞いて欲しいんだけど……恐らく、7班はもういないんだと思う……」

トーマス「いないって、どういう事だよ!?」

アルミン「彼らはここで襲われたんだよ! あのグラボイズに!」

エレン「――なッ!?」

ミリウス「じょ、冗談だろ、アルミン!?」


アルミン「床板の破片の大半が床の上にあるだろ!? 上から踏み抜いたならこうはならない! 下から何かが突き上げたんだ!」

トーマス「た、確かに……上から踏み抜いたのなら、破片は全て下に落ちている筈……」

エレン「じゃあ、7班はみんな食われたってのかよ……!」 ギリリッ!

ミカサ(――? また地震だ……さっきよりも近い……?) キョロキョロ

ミリウス「畜生! もしかしたら馬が近くに残ってるかもしれない!」 ダッ!

アルミン「駄目だ、ミリウス!」

ミカサ(――!? なんだ、これは……地震が近付いて来る!? まさかこの揺れは!) ハッ!

ミリウス「大丈夫、詰所の周囲を見回るだけだ! すぐに戻――――」


―――― ザバァァァァァン!!


グラボイズ『ギュアアアアアアアアア!!』 キシャー! キシャー! キシャー!

ミリウス「えぁ!? うわぁあああああああ!!」 ジタバタ

エレン「ミリウス!?」

グラボイズ『ギュオオオオ!』 バクン!   ズブズズズズ…


エレン「……そん、な……」

ミカサ「……ッ」

トーマス「ミ、ミリウス……!」

アルミン「……あ、ああ……」

トーマス「おい! すぐにここから離れるんだ! 早く!」 ダッタタタ!

エレン「ッ!」 ハッ!

ミカサ「ええ! 行こう、エレン!」

アルミン「駄目だ、トーマス! 二人も動かないで!!」

トーマス「何を言ってるんだ、アルミン! いつまたあいつが襲ってくるかわからないんだぞ!?」

エレン「そうだ! すぐにここから離れないと!!」

ミカサ「早く逃げよう、アルミン!」

アルミン「今は動いたら駄目なんだ! 僕を信じて!!」


トーマス「馬鹿言うなよ! 死にたいのか!?」

エレン「アルミン! 何か理由があるのか!?」

ミカサ「――! 向こうに、馬が!」 ハッ!


                              <パカラッ パカラッ…

                              <パカラッ パカラッ…


トーマス「二頭だけだが、戻ってきてくれたのか! 二人ずつ乗ればここから逃げられる!」

アルミン「無理だ! とてもあそこまで辿り着けない! それより、皆静かにするんだ……!」 ヒソヒソ

エレン「――ッ!」 ハッ

ミカサ(そうか、やつは『音』に反応する……!) ハッ

トーマス「くそッ! 俺は行くぞ! 馬を連れてくる!」 ダッ!


              ――モコモコモコモコ…


エレン(駄目だ、トーマス!)

ミカサ(地震がまた近付いて――――!)


グラボイズ『ギュオオアアアアアアア!!』 キシャー! キシャー! キシャー!

トーマス「うわぁぁぁああああ!!」 ジタバタ! ジタバタ!

エレン「トーマァァァァス!!」 シャァァァァ!!

ミカサ「エレン!?」

トーマス「た、助けてくれぇぇぇぇ!!」 ジタバタ! ジタバタ!

グラボイズ『オオオオオアアアア!!』 キシャー! キシャー! キシャー!

エレン「うおぉぉぉぉ!!」 ヒュッ!!

アルミン(エレンの位置なら刃が届く!)


―――― バキィィィン!!


アルミン「刃が……!」

ミカサ「折れた……!?」

トーマス「うわああああああああ!!」

グラボイズ『オオオオォォオオオオ!』 バクン!   ズブズズズズ…


エレン「畜生……! 畜生ッ!!」

ミカサ「エレン、落ち着いて……! 静かに……!」

アルミン(このままじゃ僕らも……! どうすれば――――!) ハッ!

アルミン「二人とも、立体機動であのテーブルの上に避難するんだ!」 バシュッ!

エレン「お、おう!」 バシュッ!

ミカサ「わかった。」 バシュッ!

アルミン「……とりあえず、これで時間を稼げるよ。」 ヒソヒソ

エレン「トーマス……ミリウス……!」 ギリリッ…!

ミカサ「……エレン、今は感情的になっている時じゃない。」

エレン「何言ってんだ、ミカサ! 目の前で仲間が食われたんだぞ!」

ミカサ「二人の事は私も悲しいと思う……でも、今はエレンが助かる事を考えて。」

エレン「お前――!」

アルミン「しっ……! 静かに、エレン……!」 ヒソヒソ


    ――モコモコモコモコ…


エレン「――ッ!」 グラグラグラグラ…

アルミン(下に……) グラグラグラグラ…

ミカサ(いる……!) グラグラグラグラ…

アルミン「……やつには、僕たちの大まかな位置しかわからない筈だ。今の内に助かる方法を考えよう……」 ヒソヒソ

エレン「あ、ああ……わかった……」 ヒソヒソ

ミカサ「アルミン、何か案があるの?」 ヒソヒソ

アルミン「やつの一番の脅威は、地面から襲ってくることだ……だから、立体機動で屋上に逃げればひとまず安全だけど……」 ヒソヒソ

ミカサ「『だけど』……?」

アルミン「地下洞窟にいる他の班にグラボイズの脅威を伝える事が出来なくなる……きっと、また誰かが犠牲になる……」

エレン「……確かに、この詰所に誰かが近付いた時点でアウトだろうな……」

アルミン「だから、理想はやつを仕留める事なんだけど……刃が通じなかった以上、僕らにできる事は無い……」

ミカサ「……なら、屋上に逃げるしかない……仲間の事は心配だけれど、この状況ではどうにも……」

エレン「ふざけるな……! トーマスとミリウスを食ったやつから逃げるなんて出来る訳ないだろ……!」

ミカサ「私もやつを許せない……でも、刃が通じない相手をどうやって倒すの……?」

エレン「それは……!」


ミカサ「私は勝算も無しに、エレンを危険な目に合わせる事は出来ない……だから、今は逃げるしかない……」

エレン「ぐっ……! アルミン、お前はどう思う……? やつを駆逐する方法は無いのか……!?」

アルミン「……………………」

アルミン(やつの頑丈な頭部に刃は通じない……それは予想していた通りだった……)

アルミン(狙うなら胴体……でも胴体の皮膚もかなり分厚かった……とても脆いとは言えない……)

アルミン(恐らく、僕の技量じゃ刃が通らない……でも、ミカサなら確実にやれる筈……)

アルミン(問題はどうやって胴体を狙うかだ……二度の襲撃を見てわかったが、基本的にやつは頭部しか地上に出さない……)

アルミン(あの蛇のような舌で獲物を絡め取るから、頭を出すだけで十分なんだ……)

アルミン(そうだ……もし、あの蛇の舌でも足りないような状況になれば、身体を更に伸ばすんじゃないか……?)

アルミン「――――策は、あるよ……でも、上手くいくかどうかは正直わからない……」

エレン「よし……! だったら聞かせてくれ……!」

ミカサ「大丈夫……アルミンには正解を導き出す力がある……」

アルミン「うん、わかった……でも、あくまで選択肢の一つとして聞いて欲しいんだけど――――」


――――――

――――

――


エレン「――――なるほど……それは確かに、やってみないとわからないな……」

ミカサ「……………………」

アルミン「僕も出来るならやつを仕留めたい……トーマスとミリウスの仇を討ちたいんだ……」

アルミン「それに、やつから逃げれば、僕達の代わりに他の仲間が襲われる事になる……そうなったら、きっと後悔する……」

アルミン「でも、囮役がリスクを背負う事になるから……囮役は僕がやる――――」

エレン「待てよ、アルミン……囮は俺がやる……!」

ミカサ「エレン、それなら私が……!」

エレン「あのなぁ、ミカサ……俺とお前の斬撃、どっちが鋭いか、わからない訳じゃないだろ……」

エレン「お前は斬り込み役だ……悔しいが、こればっかりは代えが利かねぇ……」


アルミン「駄目だよ……! 僕の案でエレンが危険を背負うなんて――――!」

エレン「アルミン! お前ならわかってるだろ……? この中じゃ、俺が一番囮役をやるべきだって事を……」

ミカサ「エレン……?」

アルミン「――……ッ!」

エレン「俺もミカサも……やつが音に反応するのは知ってたのに、咄嗟に対応できなかった……でも、お前は違った……」

エレン「アルミン、もしお前が囮をやるなら俺が失敗した後だ……だが、無理そうならミカサと一緒に逃げてくれ……」

ミカサ「エレン……!?」

アルミン「そんなの、出来る訳ないだろ……!?」

エレン「この訳が分からねぇ状況を打破するには……アルミンの頭が、ミカサの能力が、絶対に必要なんだ……!」

エレン「だから、誰かを失うリスクがあるなら……俺がやるべきなんだよ……!」

ミカサ「……わかった、エレン……でも安心して……もしエレンがやつに飲み込まれたら……やつをズタズタにしてでも出してあげるから……!」

エレン「ははっ……お前なら本当にやりそうだな……頼もしいぜ……」


――――――

――――

――


エレン「……さて、と……それじゃあやるか……!」 バシュッ!

ミカサ「エレン……気を付けて……!」 バシュッ!

アルミン(まずはエレンが天井に立体機動のアンカーを打ち込んでおく……!)

アルミン(ミカサには壁にアンカーを打ち込んで壁に張り付いてもらう……!)

エレン「頼むぜ、ミカサ……!」 ダンッ!

アルミン(囮役のエレンが、安全なテーブルから床に音を立てて着地する……これでグラボイズはエレンに食らいつく……)

アルミン(後は、エレンが襲われる寸前に天井に退避……エレンを追って胴体を露出させればミカサの出番だ……)

アルミン(立体機動装置を使って、巨人のうなじを削ぐ要領でグラボイズの胴体をえぐり取る……!)

アルミン(単純だけど、現状ではこれが一番成功する可能性が高い筈……!)


エレン「来いよ、グラボイズ……! トーマスとミリウスにやったように、俺を飲み込んでみろ!!」

エレン(――――――来るか……?)            ――モコモコモコモコ…

エレン(――――来るか……?)     ――モコモコモコモコ…

エレン(――来るッ!) ――モコモコモコモコ…


―――― ザバァァァァァン!!


グラボイズ『ギュアアアアアアアアア!!』 キシャー! キシャー! キシャー!

エレン「ぐっ!」 ギュィィィィィン!!

アルミン(やった、成功だ!)

ミカサ(駄目……! まだ頭の部分しか出ていない……!)

エレン「どうした、グラボイズ! 俺はここだぞ!」

アルミン(音を立てているエレンにやつは引き寄せられる……!)


グラボイズ『ギュオオオオアアアアアアアアア!!』 キシャー! キシャー! キシャー!

エレン「おい……ちょっと、待てよ……!?」

アルミン(馬鹿な! あの舌はどこまで伸びるんだ!? 天井までは5メートル近くあるんだぞ!)

ミカサ(エレンの足に舌が絡まった……! まさか、胴体を露出させなくても天井まで届くと言うの……!?)

エレン「ぐ……! 離せよ、この野郎……!」 <キシャー! キシャー! キシャー!

ミカサ(そんな……! このままではエレンが……!)

アルミン(――――そうだッ!) ハッ!

アルミン「エレン! すぐに助けるよ!」 バシュッ!

ミカサ(アルミン!? どうして壁に片方のアンカーを打ち込んだの!?)

アルミン「後は……これで!」 バシュッ!     ―バスッ!

エレン(うわっ!? もう片方のアンカーを俺の鞘に打ち込んだ!?)

アルミン「エレン、僕と一緒にこっちに来るんだ!」 ギュィィィィィン!!

エレン「うわぁぁぁぁ!?」

ミカサ(エレンがアルミンのアンカーに巻き取られて壁に移動した!?)


グラボイズ『ギュオオオオオオオオオオオ!!』 ザバァァァァン!!

アルミン「やった! エレンを追ってテーブルに乗り上げた! これで――――!」

ミカサ「――――やれる!」 ギュィィィィィン!!


――――ズバァァア!!


グラボイズ『アオオオオオオオオオオオ!!』 ブシュァァァ!

アルミン「やった! 胴体を半分近く削ぎ落した!」

エレン「これで、とどめだぁぁ!!」 バシュッ!   ―ギュィィィィィン!!


――――ズバァア!!


グラボイズ『オ、オオォォ……』 ブシュァァ…

ミカサ「エレン、無事!?」

エレン「ああ、アルミンのおかげでな!」

アルミン「やった、のか……?」

グラボイズ『』 ドクドクドクドク…


アルミン「や、った……」

エレン「やったんだ! ついに母さんの仇を取ったんだ!」

ミカサ「うん……この個体がおばさんを襲ったわけじゃなくても……これで区切りをつける事ができる……」

エレン「よし、一応洞窟のみんなにも連絡しておこうぜ! もう危険はなくなったけどな!」

アルミン「うん! 凄かったよ、二人とも!」

ミカサ「アルミンの案のおかげ。私達は訓練と同じ事しかしていない。」

エレン「そうだぜ! もしアルミンが囮役をやってたら、俺はあんな機転を利かせられなかった!」

アルミン「そうかな……とりあえず、二人が無事ならもう何でも良いや。」

エレン「ありがとうな、アルミン!」







ミカサ「…………ッ」 グググ…

エレン「…………ッ」 グググ…

アルミン「駄目だ……ビクともしない……」 ハァハァ…

エレン「くそっ……引きずり出してトーマスとミリウスを助けたかったのに……」

ミカサ「呼びかけても返事が無いし……二人はもう……」

アルミン「恐らく、やつの体は地中を進む圧力にさらされる筈だ……酸素もないだろうし、すぐに絶命したと思うよ……」

エレン「そうか……せめて苦しまなかった事を祈るしかないな……」

アルミン「それじゃあ洞窟の皆と連絡を取ろう。7班のみんながいなくなった事も伝えないといけないしね。」

エレン「そうだな……あの二頭の馬も結局逃げちまったし、状況が悪い事には変わらないもんな……」


―― 地下洞窟・8班(サシャ・クリスタ・ユミル・ハンナ・フランツ)


サシャ「おや……何か熱気のようなものが……?」

クリスタ「なんだろう、向こうの方みたいだけど……」

ユミル「ん? 地図によれば、水脈が通ってるみたいだぞ。」





ハンナ「――――これは……地下で温められた水が流れてるのね。」

フランツ「こんな地下じゃなければ、良い観光地になったかもしれないのに。」

サシャ「温泉ならぬ温川って所ですか。確かに、これが地上なら喜ばれたでしょうねー。」

クリスタ「あれ……何だろう、これ。」

ユミル「なんだ? 孵化した卵か何かか?」

サシャ「ええ!? こんな大きな卵なんて聞いた事ないですよ!?」

ハンナ「人間の頭くらいの大きさだよ……」

フランツ「殻もかなり分厚いね……いったい何の卵なんだ……?」


ユミル「……物好きが高く買うかもしれねぇな。よし、拾っとくか。」

クリスタ「ええ!?」

ユミル「別に良いだろ。面倒事を押し付けられてるんだから、これくらいの役得はありだろうが。」

サシャ「お金になるかはともかく……私もこんな大きな卵なんて聞いた事ないですよ……」

ハンナ「もしかしたら大発見だったりして――――」

アルミン(地上)「こちら地上詰所、こちら地上詰所、各班の応答願います。」

クリスタ「え? 今の声ってアルミンじゃ……」

ユミル「ジャンの班ならともかく、エレンの班がサボるとは思えねぇ。何かあったのか?」

サシャ「ちょうどそこに連絡用のパイプがありますよ。」

クリスタ「じゃあ私が聞いてみるね。――アルミン、こちら8班、どうかしたの?」

アルミン(地上)「良かった、クリスタ! 無事だったんだね!」

クリスタ「無事、って……上で何かあったの? どうしてそこにアルミンが? 7班のみんなはどうしたの?」

アルミン(地上)「うん……ちょっと待ってね。他の班の準備が整ったら伝えるよ。」


――――――

――――

――


アルミン(地上)「――――という訳なんだ。信じられないと思うけど、これは事実だよ。」

ミカサ(地上)「仕留めたグラボイズの死体が詰所にある。自分の目で確かめてくれて構わない。」

ユミル「おいおい……何言ってるんだ、こいつら。頭がどうかしちまったのか?」

ハンナ「でも、アルミンとミカサがこんな冗談を言うとは思えないよ……」

フランツ「そうだね……この二人が言うなら、信じるしかないんじゃないかな……」

サシャ「でもそんな生き物がいるなんて聞いた事も――――」 ハッ…!

クリスタ「サシャ、どうかしたの……?」

サシャ「まさか……この卵って、その生き物の卵なんじゃ……」

ユミル「……いや、そんな馬鹿な話が……」


ハンナ「でも、アルミンが言うような大きな生物なら、卵もそれ相応の大きさだよね……」

フランツ「見た事も無い卵と見た事も無い生き物……関連性はあるかもしれない……」

アルミン(地上)「卵ってどういう事?」

サシャ「いや、ここにですね。見た事も無い卵があるんですよ……」

クリスタ「それも、5個も……」

ユミル「正確には、孵化しちまってる『卵の殻』だがな……」

アルミン(地上)「なんだって!?」

サシャ「いえ……よく見ると、一個はかなり古いです。残りの四個は同じタイミングで孵化したみたいですけど……」

アルミン(地上)「――ッ! そうか、地上の死体はその早く孵化した一個の分だったんだ! と言う事は……!」

アルミン(地上)「マズい……! グラボイズはまだ後三匹も存在する……!?」


今日はここまでです。

ちょっと更新ペース落ちます。


―― 地下洞窟・4班(ライナー・ベルトルト・アニ・ミーナ)


ミーナ「そんな……何かの冗談だよね……?」

アニ「どうだろう……あのアルミンとミカサがそんな冗談を言うとは思えないけど……」

ベルトルト「で、でも、そんな生き物がいるなんて聞いた事が……」

ライナー「……………………」

ミーナ「ライナー……?」

ライナー「ッ!」 ハッ!

ライナー「す、すまん、少し考え事をしていた。」

ミーナ「もう、しっかりしてよ……それで、今のアルミンの話だけど。」

ライナー「あ、ああ……にわかには信じ難い話だが……」

ベルトルト「やっぱり何かの間違いだよね?」

ライナー「いや、ここは信じるべきだ。もしこれが事実だとすれば、ナックが姿を消した理由も……」

ミーナ「そ、そんな……!」 ゾクッ…


ライナー「と、とにかく、アルミンに詳しい話を聞こう。」

アニ(ライナー……? どうしてそんなにあっさり信じるんだ……?)

ベルトルト(この表情……まさか、君は怯えているのか……?)

ライナー(馬鹿な……! あの時の化け物が、どうして今頃……!)





アルミン(地上)「――――ナックが!?」

ライナー「ああ、叫び声は聞こえたんだが……俺達が駆け付けると姿が無くてな……他の班に異常は無いのか?」

アルミン(地上)「……3班と連絡が取れない。」

ライナー「おい、まさかそれは……」

アルミン(地上)「うん……言い難いけど……きっと3班とナックはグラボイズに……」

ライナー「やはりそうか……」 ゴクッ…

ライナー「それで、俺達はどうすれば良い? ここは岩盤層だから安全だが、何時までもここにいるという訳にもいかない。」

アルミン(地上)「そう、だよね……水や食料はともかく、松明が尽きる前に何とかしないと……」


ライナー「お前達が倒したやり方も、ここでは不可能だ……交戦は選択肢から除外するとして、問題はどちらに向かうかだ。」

アルミン(地上)「うん、このまま洞窟を進んで奥の縦穴から地上に出るか、来た道を引き返すか……だね。」

アルミン(地上)「…………もし入口に戻れば、そこから先は平地だ。襲われたらひとたまりも無い……」

アルミン(地上)「洞窟の奥の縦穴なら、そこから立体機動で地上詰所の屋上にあがれる距離だ……」

アルミン(地上)「酷かもしれないけど……皆にはこのまま進んでもらうのが最善だと思う。」

ライナー「それしか、ないか……」

アルミン(地上)「うん……岩盤層は歩きで、土の層は何とか立体機動で凌ぐしかないね……」

ライナー「だが、もしも途中でガスが切れれば……」

アルミン(地上)「――え、ちょっと待って! ライナー、ごめん! また後で!」

ライナー「おい、アルミン!? どうかしたのか!? アルミン!」


―― 地下洞窟・1班(モブA・モブB・モブC・モブD・モブE)


モブA「冗談じゃねぇ! そんな化け物がいるのに、これ以上奥になんか進めるか!」 タッタッタッタッ!

モブB「まったくだわ! 来た道戻る方がよっぽど早いのに!」 タッタッタッ!

モブC「おい待てお前ら! 二人で先行しすぎだ!」 タッタッタッタッ!

アルミン(地上)「ちょっと待って! 落ち着いて! 音を立てちゃ駄目なんだ、そこは土の層だろ!?」

モブD「ま、待ってよぉ……!」 タッタッタッタッ…

モブE「しっかりしろ! 置いてかれるぞ!」 タッタッタッタッ!

モブD「――――きゃっ!」 ズデン!

モブE「どうした!?」

モブD「何かが足に引っ掛かって――――」 ハッ…!?

グラボイズ舌『キシャーーーー!』 キー! キー! キー!

モブD「いやぁぁぁぁぁぁあ!!」

モブE「うわぁぁぁぁぁぁああああ!?」

グラボイズ『ギュアオオオオオオ!!』 ザバァ!  ――――バクン!!


―― 地上詰所・2班(エレン・ミカサ・アルミン)


アルミン「どうしたの!? いったい何があっ――――まさかッ!?」

地下「いやぁぁあああああ――――!!」

アルミン「て、天井に! 天井に立体機動で張り付くんだ!」

地下「助けて! 誰かぁぁあああ――――!!」

アルミン「すぐに地面から離れるんだ! 走って逃げれる相手じゃない! 壁でも何でもいいから、とにかく地面から――――」

地下「うわぁぁぁぁああ――――! …………」       シ――ン…

アルミン「まさ、か……そんな……!」 ゴクッ…!

地下「」       シ――ン…

アルミン「誰か! 誰か応答して! 誰かッ!?」

地下「」       シ――ン…


エレン「――――アルミン、前任者が残した資材を確認してきたけど、ロクな物がなかった。」

ミカサ「応援が来るまでの間、私達が持ってきた物で凌ぐしかなさそう。」

アルミン「……………………」 ガクガク ブルブル

エレン「おい、アルミン、どうしたんだ!? 顔が真っ青だぞ!」

ミカサ「……地下で何かあった?」

アルミン「1班、が……全滅した……3班も多分……」

エレン・ミカサ「――ッ!?」

エレン「なんでだ! もうグラボイズは駆逐したんだぞ!?」

アルミン「グラボイズは一体じゃなかったんだ……クリスタ達が地下でやつらの孵化した卵を見付けたんだけど……」

ミカサ「それが、一つじゃなかったって事……?」

アルミン「孵化した卵は、全部で五つ……その内、二体は死んだから……残りは三体だと思う……」

エレン「なん、だって……!?」

ミカサ「あれが、後三体も……?」


アルミン「1班と3班だけじゃなく、4班のナックも……クソッ、何て事だ……!」

エレン「どうするんだ、アルミン!? 早く皆を助けないと!」

ミカサ「エレン、落ち着いて。私達も安全とは言えない。」

アルミン「ミカサの言う通りだ……それに、地上にいる僕達に出来る事なんて――――」 ハッ…!

ミカサ「……アルミン?」

アルミン「何とか、出来るかもしれない……」

エレン「本当か!?」

アルミン「エレン、ミカサ! 頼みがあるんだ―――― 」


―― 地下洞窟・4班(ライナー・ベルトルト・アニ・ミーナ)


ライナー「アルミン……上で何かあったのか……?」

アニ「……? アルミンとはまだ連絡が取れないの?」

ライナー「ああ、『少し待て』と言われたきり――――」

アルミン(地上)「――ごめん、ライナー! お待たせ!」

ライナー「お、おお、無事で良かった。さっきはどうかしたのか?」

アルミン(地上)「うん……1班がやられた……」

ライナー「なんだと!?」

アルミン(地上)「パニックになって駆け出した所を狙われたんだ……」

ライナー「クッ……」 ギリッ…

アルミン(地上)「でも、一つ案を思いついたんだ。――うん……ここからは全班に伝えるね。」


アルミン(地上)「皆……不安だと思うけど、落ち着いて聞いて欲しい。」

アルミン(地上)「1班と3班が……グラボイズに襲われて全滅した……」

アルミン(地上)「入口に戻ろうと走り出した所を襲われたんだ……やつらは音に反応するから……」

アルミン(地上)「でも、こっちがその習性を利用する方法を思いついたんだ。今、エレンとミカサが確認してる……」

アルミン(地上)「少し準備に時間がかかるけど、上手くいけば皆が安全に脱出できる筈だよ。」

アルミン(地上)「動き出せばすぐに伝わるだろうと思うけど、その方法は――――」 ――ゴゴッ!

ライナー「……アルミン? おい、アルミン!?」

ベルトルト「急にどうしたんだ? いきなり音が伝わらなくなったけど……」

ミーナ「あれ……さっきまでと、パイプに話しかけた時の音の感じが変わってない?」

アニ「……確かに……何て言うか、音が通らなくなった……? まるで、何かが詰まってるみたいな……」

ライナー「これは、まさか……パイプを潰されたのか……!?」

ベルトルト「かもしれない……音が通るって事は、グラボイズが反応するって事だろうし……」

ミーナ「でも、よりにもよってあんなタイミングで……」

ライナー「くっ……」


ベルトルト「どうするんだい、ライナー?」

ライナー「アルミンがああ言うなら、何か手があるんだろう……俺達はそれを信じ、進める所まで進んでおくべきだ……」

アニ「そうだね……岩盤層なら安全みたいだし……時間がかかるって言うなら、その間に進んだ方が良い。」

ミーナ「やっぱりライナーは凄いよね……こんな時でも冷静だもの。」

ライナー「そうでもないさ……ここが岩盤層でなければ、俺もパニックを起こしていたかもしれない。」

ベルトルト(この地下洞窟じゃ僕達は巨人化できない……襲われたらひとたまりもない……)

アニ(まさかこんな化け物が存在したなんて……何とかして地上に戻らないと……)


―― 地下洞窟・6班(モブA・モブB・モブC・モブD・モブE)


モブA「な、なぁ、おい……お前ら、どう思う?」

モブB「わ、わかんねぇよ! こんな話……信じられるわけないだろ!?」

モブC「で、でも……あのミカサやアルミンがこんな冗談言うとは……」

モブD「だよね……でも、これが本当なら……いつ化け物に襲われるかわからないって事に……」

モブE「こ、ここは岩盤層だ! だ、大丈夫だよな!?」

モブA「す、進むのか……? そ、それとも、戻るのか……?」

モブB「お、俺に聞くなよッ!?」

モブC「わ、私だって決められないわよ!」

モブD「落ち着いて! 少なくとも、ここは安全だから! とにかく落ち着いて考えよう!?」

モブE「そ、そうだよな……! ここは安全なんだ! ここなら……!」


―― 地下洞窟・8班(クリスタ・ユミル・サシャ・フランツ・ハンナ)


クリスタ「ど、どうしよう……まさかこんな事になるなんて……」

ユミル「……………………」

サシャ「ア、アルミンとも連絡が取れなくなっちゃいましたし……」

ハンナ「フランツ……私、怖い……」

フランツ「だ、大丈夫……僕が守るから……!」

ユミル「…………先に進むぞ。」

クリスタ「えっ!?」

サシャ「ど、どうしてですか!? ここなら岩盤層だから安全です! 助けが来るまで待ちましょうよ!?」

ユミル「手持ちの水と食い物でも、助けが来るまでの3日程度ならもつだろう……でも、明かりはどうする?」

クリスタ「あ……」

ハンナ「松明は……どう頑張っても一日も持たない……」

ユミル「命の危険に晒された状態で、地下の暗闇に耐えられると思うか? ……無理だ、精神が先に壊れちまう。」


フランツ「で、でも、それなら入口に戻らないのかい? そっちの方が奥に進むより外に近いよ。」

ユミル「よく思い出せ……ここに来るまでの道中、ここ以外に岩盤層があったか?」

サシャ「そ、それは……」

クリスタ「多分……なかった……」

ユミル「仮に、運良く出口に辿り着けたとしても、そこからさらに詰所まで戻らなきゃならねぇ。」

ユミル「その距離も合わせて考えれば、進んでも戻っても大して距離は変わらねぇだろ。」

ハンナ「そ、そっか……もしもこの先に岩盤層が少しでもあれば、進んだ方が結果的にはリスクが少なくなるんだ……」

ユミル「そういうこった……後は、少しでも静かに行動して、化け物に目を付けられないようにするしかないだろ。」

ユミル(洞窟の大きさも微妙だ……ここじゃ巨人化は使えない……下手をすれば洞窟を崩落させちまうからな……)


―― 訓練兵団本部


イアン「失礼します。」 コンコン

キース「……入れ。」

イアン「駐屯兵団のイアン・ディートリッヒと申します。本日は急な面会に応じて頂き感謝致します。」

キース「問題ない……それで、本日は何用か? 訓練兵達に関する事だと聞いているが。」

イアン「はい、ですがその前に……先日駐屯兵団から受けた依頼の内容を教えて頂けないでしょうか?」

キース「……? 君は、駐屯兵団所属と言ったではないか。知りたいなら自分で確認すればよかろう。」

イアン「はい……私も試みたのですが、私に確認できたのは、訓練兵団に依頼をしたという事実までで、その内容までは……」

キース「……………………」

キース「……つまり、あの依頼には何か裏があり……内容を隠匿されている、と?」

イアン「お恥ずかしい話ですが……」

キース「良いだろう、これが依頼書だ……」 スッ

イアン「ありがとうございます。」


イアン「ッ!」 ハッ…!

イアン(やはり過去の鉱夫の失踪については伏せられている……!)

キース「その表情、何か思い当たったようだが……?」

イアン「はい……私は、ここに載せられていない事前情報を知っています。」

キース「どういう事だ?」 ピクッ

イアン「実は――――――――」




キース「馬鹿な……! 何の理由も無く、それだけの数の鉱夫が失踪などするものか!」

イアン「……申し訳ありません。」

キース「…………ッ!」 ギリッ…

キース「いや、君を責めても仕方が無い……よく知らせてくれた、礼を言う。」


イアン「いえ、今回の一件は憲兵団と駐屯兵団の問題です……それを訓練兵に押し付ける形になってしまい、慙愧の念に堪えません……」

キース「違うな……憲兵団と駐屯兵団の『一部』の問題だ。君に責はない。」

イアン「……ありがとうございます。」

キース「すまないが急用ができた……これで失礼させてもらって構わないだろうか?」

イアン「はい。どうか、お気を付けて。」 ザッ!




キース「誰かいないか! 至急、地下洞窟に救援を送れ!」

モブ教官「ど、どうしたのですか? 何か問題でも?」

キース「それはわからない……だが、あの場所には確実に何かある……!」

キース「何らかの反社会組織が根城にしている可能性もある。対人制圧も視野に入れろ!」

モブ教官「は、はいッ!」

キース(キッツ・ヴェールマン、もしも彼らに何かあれば……その代償は高くつくぞ……!) ギリッ…


■各班の状況■

1班
生存者……無し
パニックに陥り、走り出した事でグラボイズを引き寄せ全滅。

2班
生存者……エレン・ミカサ・アルミン
地上詰所でグラボイズと交戦。トーマスとミリウスが死亡するが、グラボイズを一体討伐する。

3班
生存者……無し
地下洞窟を探索中、人知れずグラボイズに襲われ全滅。

4班
生存者……ライナー・ベルトルト・アニ・ミーナ
地下洞窟を探索中、ナックがグラボイズに襲われ姿を消す。現在は洞窟の奥へと移動中。


5班
生存者……ジャン・マルコ・コニー・ダズ
応援を呼ぶために訓練兵団に戻る途中、グラボイズに襲われる。サムエル死亡。馬を失い、現在は岩の上でグラボイズが立ち去るのを待つ。

6班
生存者……モブA・モブB・モブC・モブD・モブE
進むか戻るか決められず、立ち往生。

7班
生存者……無し
地上詰所に連絡係として残っていたが、グラボイズに襲われ全滅。

8班
生存者……クリスタ・ユミル・サシャ・フランツ・ハンナ
洞窟の奥へと移動中。


―― 平地・5班(ジャン・マルコ・コニー・ダズ)


ジャン「……結構時間経ったよな?」

マルコ「そうだね、太陽の動きから見て……二時間くらいかな。」

コニー「流石にもう諦めただろ……そろそろ動くか?」

ダズ「コニー、お前こんな状態でよくリラックスできるな……」

コニー「別にリラックスしてる訳じゃねぇよ。ブーツ脱いでるだけだろ。」

ジャン「動く前に、これからどうするかを決めねぇとな。」

マルコ「歩いて本部に帰還するか、さっきの詰所に戻るか、だね。」

ダズ「おい!? 俺達は本部に戻るんだろ!?」

コニー「馬で一日かかる距離を歩くのか……? いつ地中から襲われるかわかんねぇのに、流石に無理があるだろ。」

ダズ「う、ぐ……!」

ジャン「……向こうの岩山を伝えば、詰所までは安全に戻れるな。」

マルコ「こうなった以上、選択の余地は無いね……」


コニー「よし、じゃあ行くか――――」 コツッ …コロコロ

コニー「げッ! ブーツが落ちる!」


―――― トサッ…


グラボイズ『ギュォオオオオオオ!!』 ザバァァァァ!  …バクン!

ジャン「うおおおおおおおおおおお!?」

マルコ「うわぁぁぁあああああああ!?」

コニー「お、俺のブーツがぁぁ!?」

グラボイズ『ォォォォォ……』 ズズズズズズ…

ダズ「き、消えた……!?」

コニー「あ、危ねぇ……もしあのまま降りてたら食われてた所だぜ……」

ジャン「ああ、命拾いした――――って、言ってる場合じゃねぇぞ!!」

マルコ「やつは二時間もずっと息を潜めてたのか……なんて執念だ……」 ゴクリ…

コニー「な、なぁ……これってマズくねぇか……? もしずっとこのまま居座られたら、俺達はどうすりゃ良いんだ?」

ダズ「ま、まさか……ここから動く事すらできないのか……!?」


マルコ「……地面に降りたら間違いなくやつの餌食にされる。」

ジャン「向こうの岩山までの距離は約300メートルって所か……立体機動装置でも届かねぇぞ……」

ダズ「ッ!」 オボロロロロロロロロ

ジャン「吐いてる場合か、ダズ!!」 バシン!

ダズ「んな事言ってもよぉ……この状況で何が出来るってんだよ……!?」

ジャン「考えるんだよ!! 何でも良い! この状況を打破する手段を!!」

マルコ「それが出来なければ……」

コニー「俺達もやつに食われちまう……」


――――――

――――

――


―― 地下洞窟・8班(クリスタ・ユミル・サシャ・フランツ・ハンナ)


クリスタ「あ……」 ジャリッ…

ユミル「ちっ……こっからは土の層か……」

サシャ「ど、どうするんですか? 立体機動を使えば地面に触れずに移動できますけど……」

ハンナ「でも、まだ奥まではかなり距離があるし……途中でガスが切れちゃったら……」

フランツ「どう節約しても、とても奥まではもたないよ……」

ユミル「できるだけ音をたてないように移動するしかないだろ……」

クリスタ「そ、そうだよね……危ないと思ったらすぐに天井に張り付くしかないよね……」

サシャ「それしか無さそうですね――――……ッ!」 ピクッ…!


                              ――――ズズズズ…


ユミル「……どうした?」

サシャ「この音……! 聞こえませんか!?」


ハンナ「え……?」

フランツ「何が……?」


       ――――ズズズズ…


サシャ「どんどん近付いてきます! みなさん、早く天井に!」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!

ユミル「チッ! マジかよ、クソッ!」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!

クリスタ「ハンナ、フランツ、早く!」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!

ハンナ「う、うん!」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!

フランツ「わかった!」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!


グラボイズ『ギュオオオオオオオオオ!!』 ザバァァァァァン!


サシャ「ひっ……!」

クリスタ「あ、あれが……!?」

ユミル「グラボイズ、か……!」

ハンナ「は、早く逃げないと……!!」

フランツ「落ち着いて、ハンナ! 流石にここまでは届かないみたいだ……!」


グラボイズ『オオオオオオ……』

グラボイズ舌『キシャァァア……!』 ズリズリ… ズリズリ…


クリスタ「あの舌で、私たちを探してる……?」

ユミル「そうか……地面を伝わる音でこっちの距離を把握してたんだな……」

ハンナ「私達が天井に張り付いてるから、見失ったって事……?」

フランツ「そうみたいだね……サシャのおかげだ。あれがなかったら誰かが襲われていた……!」 ゾクッ…

サシャ「洞窟の中でずっと変な音が聞こえてて気になってたんです……音の正体は、あれが地中を進む音だったみたいですね……」

クリスタ「え、って事は……サシャはあれが近付いて来るのがわかるの!?」

サシャ「はい、やつが地面を進む音なら聞き取れます。」


ユミル「こいつは良い! 近付いて来るのがわかるなら何も怖くねぇ!」

ハンナ「凄いよ、サシャ!」

フランツ「お手柄だね!」

サシャ「え……あ、いや、そんな……」 エヘヘ…

ユミル「よし、とにかくしばらくは天井にアンカーを打ちながら進むぞ。」

ユミル「やつと距離を取った所で、また地面を進む。それが一番ガスを節約できるからな。」

クリスタ「頼りにしてるからね、サシャ!」

サシャ「はい! 任せて下さい!」


――――――

――――

――


―― 地上詰所・2班(エレン・ミカサ・アルミン)


エレン「アルミン、石炭は十分な量があるぞ! 質も悪くない!」

アルミン「良かった! 装置の方も動きそうだよ!」

ミカサ「今ならグラボイズは近くにいない……好機だと思う。」

エレン「まさかお前が地震だと思っていたのが、グラボイズが地中を移動する振動だったとはな……」

ミカサ「……私が、もっと早くに気がついていれば……」

アルミン「ミカサ、後からわかった事で自分を責めても仕方ないよ……今は自分達の出来る事に集中しよう……!」

ミカサ「うん、わかってる……」

エレン「それで、アルミン。装置を動かすのにどれくらいかかりそうだ?」

アルミン「蒸気機関だからね……この構造だと、どんなに急いでも一時間はかかると思う……」

エレン「くっ……それまで無事でいてくれよ、みんな……!」


―― 地下洞窟・4班(ライナー・ベルトルト・アニ・ミーナ)


ライナー「くっ……ここからは土の層か……」 ジャリッ…

ベルトルト「どうする、ライナー……?」

ライナー「アルミンの話によれば、やつらは俺達の出す音を地中から把握しているらしい……」

ミーナ「そ、それなら、音をたてないように忍び足で進めば良いの……?」

アニ「こんな状況でゆっくり歩くのは難しいよ……それに、忍び足程度で効果があるのかもわからないし……」

ライナー「……………………」

ベルトルト「ライナー……?」

ライナー「賭けになるが、立体機動装置で進もう。俺達のルートは岩盤層が多かった。残りの距離なら上手くやれば何とか……」

ミーナ「その……アルミン達を疑う訳じゃないんだけど、そんなに危険な相手なのかな……」

ベルトルト「ミーナ?」

ミーナ「だって、ライナーとベルトルトとアニがいるんだよ? 巨人が相手でも、このメンバーなら……」

アニ「つまり、逃げなくても戦えるんじゃないかって事?」

ミーナ「うん……ガス切れになっちゃったら本当に終わりだし……そんな賭けに出るくらいなら、って。」


ライナー「駄目だ……! あれは巨人とは別の種類の脅威だ。何の準備も無しに戦える相手じゃ――――……ッ!」 ハッ…

ベルトルト「ライナー、何を言ってるんだ?」

ライナー「な、何でもない……! ア、アルミンの話から判断しただけだ……とにかく、行くぞ! 他に方法も無い!」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!

ベルトルト「あ、ああ、わかった……!」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!

アニ(ライナーの口ぶり……まるで相手の事を知ってるみたいな……?) バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!

ミーナ「ま、待ってよぉ! 三人のペースじゃ追いつけないよ!」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!





ライナー「よし、また岩盤層だ! 降りて地面を行くぞ!」

ミーナ「ふぅ、疲れた……三人とも速すぎるよ……」 スタッ

ベルトルト「地中を高速で移動できるとはいっても、流石に立体機動には手も足も出ないみたいだね。」

アニ「ああ、ガス切れの心配もなさそうだし、これなら無事に地上に上がれるんじゃない。」

ライナー「やつも、まさか俺達がワイヤーで移動しているとは思いもしないだろう。どうやら安全に皆と合流できそうだな……」 ホッ…


――――――

――――

――


今日はここまでです。
多分、次の更新で終わると思います。


―― 平地・5班(ジャン・マルコ・コニー・ダズ)


コニー「……逆方向に何かを投げて、それに気を取られてる間に向こうの岩山に走るとか。」

ジャン「ンなもん間に合う訳ねぇだろ! 仮によっぽど上手くいったとしても、助かるのはせいぜい一人だけだ!」

ダズ「じゃあ、どうにかして馬を呼び戻そうぜ! それに乗って逃げれば――――」

ジャン「さっき馬ごと食われかけたのを忘れたのか!? だいたい、運よく馬を呼び寄せられたとしても、乗ろうとした瞬間に襲われるだろうが!」

ダズ「ならどうすりゃ良いんだよ!?」

ジャン「俺にわかる訳ねぇだろ!!」

マルコ「……………………」

コニー「マルコ! 何か案はねぇのか!?」

マルコ「……案は、ある。」

ジャン「本当か、マルコ!?」

マルコ「ああ、でもその前に、一度冷静になって状況を整理しよう。その上で、僕の案に乗るかを決めてくれ。」

ジャン「そ、そうだな……ちょっとばかし熱くなり過ぎてた。こういう時こそ落ち着かないとな……」

ダズ「た、助かるのか!? 助かるなら何でもするぞ!」


マルコ「まず前提として、グラボイズはここを離れるつもりはないだろうという事。」

コニー「多分、俺達を追い詰めたと思ってるんだろうな……恐らく、全員飲み込むまでテコでも動かねぇぞ……」

マルコ「一つ目の案は、3日後に交代の班が来るから、それまでここで耐えるというもの。」

ジャン「この状況で篭城か……もつかどうかは微妙なラインだな……」

ダズ「ちょっと待てよ! やつがいつまでも大人しく地下に潜んでくれてるとは限らないだろ!?」

マルコ「ああ、そうだ。痺れを切らして岩の上まで乗り上げてくる可能性は勿論ある。昼ならチャンスだが、もしも夜なら……」

コニー「無理だ! 明かりも無しじゃ戦えねぇよ!」

マルコ「僕もそう思う。だから、やられる前にやる。それが二つ目の案だ。」

ジャン「そ、それが出来るならベストだが……どうやって地下に潜むやつを叩くんだ?」

マルコ「一回限りのギャンブルだけど……上手くいけばこれで吹き飛ばせる筈――――」





ジャン「――――な、なるほどな……確かに、上手くいけばやれそうだ……」

コニー「けど、本当に一回限り……しかも失敗すれば立体起動装置が使えなくなる……」

ダズ「も、もっと確実な方法は無いのかよ!?」

マルコ「僕らの状況をよく考えてみろ! 岩の上に追い込まれ、手持ちの道具といえば立体起動装置と刃だけだ! 他にどんな手が打てる!?」

ダズ「で、でもよぉ……!」

コニー「俺は……ダズの気持ちもわかるよ……失敗したら完全に丸腰になっちまうんだからな……」

マルコ「ジャンはどう思う?」

ジャン「…………やつは落としたコニーのブーツに即行で食いついた。成功率は……高いかもな。」


コニー「飲み込ませる所までは俺もいけると思うよ! 問題はそっからだろ!?」

ジャン「俺のガスはほぼ満タンだ。お前らのも大差ないだろ? なら、理論上はやれる筈だ。」

ダズ「そんなに上手くいくのか!? 失敗したらどうするんだよ!」

マルコ「何もしなければ、それこそ可能性はゼロだ! 現状を打破するには賭けに出るしかないんだ!」

コニー「くそっ……それで、仕掛けは誰が作るんだ……?」

ダズ「おい、コニー!?」

コニー「俺だって出来たらやりたくねぇよ! でも他に手が無いんだ! 仕方ないだろ!?」

ジャン「これで三対一、だな……仕掛けは俺が作る。この中で立体起動装置に一番詳しいのは俺だろうからな。」

マルコ「ああ、ジャンに任せるよ。それじゃあ、ダズ。お前のガスも使うから、悪いけど受け入れてくれ。」

ダズ「ちくしょう……なんてこった……」





ジャン「――――よし、これでいける筈だ。」 カチャカチャ……ギュッ

マルコ「トリガーを引くのはやつがこれを飲み込んで少し待ってからだ。」

ジャン「ああ、わかってる。腹の中まで届いてからだよな。」

コニー「じゃ、じゃあ投げるぞ……いいな?」

ジャン「おう……やってくれ。」

ダズ「お願いします……神様……!」

コニー「そらよっ……食い付け、グラボイズ……!」 ポイッ    …トサッ


                         ――――ズズズズ…


マルコ(仕掛けそのものは単純な仕組みだ……)


                  ――――ズズズズ…


コニー(ジャン以外の立体起動装置のガス管を円形に並べ、その中心に割った刃を仕込む……)


         ――――ズズズズ…


ダズ(ガス管と刃はジャンの立体起動装置のワイヤーで縛り上げて固定してある……)


――――ズズズズ…


ジャン(これが『餌』だ……地面に落とせばこいつはすぐに食らいつく……)


グラボイズ『ギュォオオオオオオ!!』 ザバァァァァ!  …バクン!

コニー「かかった!」

マルコ「まだだぞ、ジャン! やつの腹の奥に到達するまでは!」

ジャン「わかってる!」


グラボイズ『オオォォォ……』 ズズズズズズ…

ダズ「また潜りやがった……!」

コニー「ジャン、頼むぞ!」

ジャン「ああ、任せろ! ワイヤーの長さギリギリまではトリガーを引かねぇ!」 バシュッ!

マルコ(片方のワイヤーは足元に打ち込んで体勢を固定……そしてもう片方のワイヤーはやつの飲み込んだ仕掛けとつながっている!)

ジャン(この状態で俺が仕掛けのトリガーを引けば、どうなると思う……?) スッ

マルコ(ジャンの立体機動装置がワイヤーを巻き上げれば、仕掛けを強力に締め上げる……!)

コニー(そうすりゃ、ガス管の中心に仕込んだ刃が突き刺さる……!)

ダズ(ガス管に亀裂が入れば、当然ガスは一気に外に流れ出て……内側からやつを吹き飛ばす……!)

ジャン(上手くガス管に傷が付かなければ俺達の負けだ……頼むぞ、くそっ……!) ドキドキドキ…

ジャン「くたばりやがれ、グラボイズ!」 グッ! ――ギュィィィィィン!!



――――ドォォォォォン!!


コニー「うわぁ!?」

マルコ「やった!」

ダズ「うおぉぉぉおお!!」

ジャン「サムエルの仇だ! ざまぁみやがれ!!」



――――ボタボタボタ…


コニー「うへぁ……」 ドロドロベトベト…

マルコ「うわ……やつの中身と体液か、これ……」 ドロドロベトベト…

ジャン「ひでぇ臭いだ……」 ドロドロベトベト…

ダズ「オボロロロロロロッ!」 ドロドロベトベト…

ジャン「吐いてる場合か、ダズ! 今の内に向こうの岩山から詰所に戻るぞ! 一匹いたんだ、他にいないとも限らねぇ!」

マルコ「ああ、こうなった以上は詰所で応援を待つしかない!」

コニー「とりあえず、今は詰所に戻って着替えたいぜ……」

ダズ「ま、待ってくれよ、お前らぁ!」


――――――

――――

――


―― 地下洞窟・4班(ライナー・ベルトルト・アニ・ミーナ)


ライナー「くっ、ここからは土の層か……また天井を伝うぞ!」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!

ベルトルト「ああ、わかった!」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!

アニ「了解。」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!

ミーナ「了解!」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!




ライナー(ガスの残量も問題ない……地上までは安全に戻れそうだな……) バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!


――――パラパラパラ…


ベルトルト「ん……なんだ、これ……?」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!

アニ「土が降ってくる……? まさか!?」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!

ミーナ「ラ、ライナー!」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!

ライナー「わかっている! 全員、止まれ!」


――――パラパラパラ…


ライナー(何の理由も無く、天井からこんなに土が落ちてくるものか……!) パラパラパラ…

ベルトルト(やつが天井側を移動してる……その振動で天井から土が……) パラパラパラ…

アニ(だが、足音を立てていないんだ……こっちの位置がわかる訳が無い……) パラパラパラ…

ミーナ(はやくどっか行ってよぉ……!) パラパラパラ…


――――パラパラパラ…


ライナー(なんだ……? どうして立ち去らない……?) パラパラパラ…

ベルトルト(僕達の位置はわからない筈だ……いったい何をしている……?) パラパラパラ…

アニ「ライナー、もしやつが上から襲いかかってきたらどうする……?」 パラパラパラ…

ライナー「……それならむしろチャンスだ。俺達の腕ならやつの胴体を削ぐには十分だろうからな……」 パラパラパラ…

ミーナ「そ、そっか……相手は私達の位置がわからないんだから、失敗した所を狙えるのか……」 パラパラパラ…

ライナー「ああ、そういう事だ……だから、今は息を潜めて――――」 パラパラパラ…

ライナー(いや、待て……もしもやつが俺達の位置を把握していたらどうなる……?) パラパラパラ…


ライナー(聴覚以外に、獲物の位置を把握する方法を持っていたとしたら――――……聴覚、だと?) パラパラパラ…

ライナー(まさか、この降ってくる小石は……! マズい!) パラパラパラ…

ライナー「全員、全速で前進しろ! やつは俺達の位置を把握しようとしている!」 パラパラパラ…

ベルトルト「ラ、ライナー!? いきなり何を!?」 パラパラパラ…

ライナー「この降ってくる小石だ! これが俺達に当たる音で位置を探っているかもしれない!」 パラパラパラ…

アニ「そんな、有り得ない!」 パラパラパラ…

ミーナ「いくらなんでも、そんな事が出来るとは――――」 パラパラパラ…

ベルトルト「――ッ! ミーナ! 上だ! やつが顔を出して――――!」

グラボイズ舌『キシャァァア!』 ヒュン!

ミーナ「え!?」 ギチッ…!

ライナー「ミーナ!」

ミーナ「いやぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」 グィン!

グラボイズ『ギュオオオオオオオオオ!!』 バクン!


アニ「え……ミー、ナ……?」

ベルトルト「そんな……こんなに、あっけなく……」

ライナー「……ッ!」 ギリッ…!

ライナー「全速前進! やつを振り切るぞ!」

アニ「でも、ミーナが!」

ライナー「あきらめろ! 飲み込まれた以上、もう……助からん!」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!

ベルトルト「早く! アニ! こんな所で死ぬつもりか!?」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!

アニ「あ……くっ……!」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!

ライナー「全速力だ! やつに位置を把握させるな!」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!

ベルトルト「ああ、わかってる!」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!

アニ(ミーナ……!) バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!


――――――

――――

――


―― 地下洞窟・8班(クリスタ・ユミル・サシャ・フランツ・ハンナ)


サシャ「――ッ! やつが近付いてきます!」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!

ユミル「振り切れそうか!?」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!

サシャ「いえ、このままだと追いつかれます! やつの位置は天井側です、どうしますか!?」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!

ユミル「ちぃ……お前ら、止まれ! 戦闘準備だ!」 シャァァァァァッ!

クリスタ「た、戦うの!?」

ハンナ「壁の中の相手とどうやって!?」

ユミル「そうじゃねぇ……このまま通り過ぎるならそれでよし。もしもやつが姿を見せるようなら、だ。」

フランツ「胴体が露出すれば、か……確かにそれなら……」 シャァァァァァッ!

ユミル「やつが上から落ちてくるようなら私と芋女が胴を削ぐ……相手はこっちの位置がわからねぇんだ。勝機はある。」

サシャ「わ、わかりました!」 シャァァァァァッ!

クリスタ(簡単じゃないだろうけど、ユミルとサシャなら……)

ハンナ(ユミルはさぼってる事が多いけど実力は十番以内……この二人なら……)


サシャ「やつが来ました……!」 ヒソヒソ

ユミル(きやがれ化け物……返り討ちにしてやる……!)


――――パラパラパラ…


サシャ「やつは私達の上をぐるぐる回ってるみたいです……!」 ヒソヒソ

クリスタ「やだ、天井から土が……」 パラパラパラ…

ハンナ「崩れたりしないよね……?」 パラパラパラ…

フランツ「流石にそれは大丈夫だと思うけど……」 パラパラパラ…

サシャ「……立ち去る気配はありません。」 パラパラパラ…

ユミル「何してやがる……嫌がらせのつもりか、クソッ……!」 パラパラパラ…


――――パラパラパラ…


サシャ「ユミル! やつが顔を出し――――!」

グラボイズ舌『キュァァァァァ!!』 ギュン!

ユミル(速いッ!?)

クリスタ「え……?」 ギチッ…

グラボイズ舌『キシャァァァ!』 グィン!

クリスタ「きゃあああああ!?」 グンッ


ユミル「クリスタッ!」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!

グラボイズ『ギュオオオオオオオオオ!!』 ガバァ

クリスタ「ひっ……!」

ユミル(クリスタを捕らえた舌は一本だけ……これなら!)

ユミル「うおおおおおおおお!」 ザシュッ!!

グラボイズ舌『ギアアアアアアアア!』

クリスタ「――――ッ」 ドサッ…!

ハンナ「クリスタが地面に!」

ユミル(どうなってやがる……やつのあの速さ、私達の位置を把握してたとしか思えねぇ……!)

ユミル(念のため気を配っていたクリスタじゃなかったら間に合わなかった……!)

ユミル「クリスタは私が助ける! お前達は先に行け!」

サシャ「そ、そんな! 二人を置いてなんて行けませんよ!」

ユミル「いいから行け! やつはこっちの位置を把握してやがる! 固まるのは危険だ!」

サシャ(――ッ! まさか、さっきの落ちてきた土が当たる音で……!?)


ユミル「クリスタを拾ったら次の岩盤層で追いつく! だからさっさと行きやがれ!」

ハンナ(いくらユミルでもクリスタを抱えながらじゃスピードは出せない……)

フランツ(でもユミルがクリスタを置いて行く訳が無い……ここは、僕達が先に行くしかない……!)

サシャ「ぐ……わかり、ました! ハンナとフランツは立体機動で天井を進んで下さい、私は地面を行きます!」 スタッ

ハンナ「サシャ! 無茶よ!」

サシャ「大丈夫です! 私ならやつが近付いて来る音を聞きとれますから!」

フランツ「ハンナ、サシャは囮になるつもりなんだ……僕達に代わりはできないから……」

サシャ「危ないと思ったらすぐに立体軌道に移りますから心配無用です! ほーら、こっちだぞー! やーい、やーい!」 タッタッタ

ユミル(サシャのやつ……へっ、生きて帰れたらパンでもゆずってやるか……)


ユミル「おい、クリスタ、大丈夫か!?」

クリスタ「…………」

ユミル「落ちた衝撃で気を失ったか……土の層で助かったな、怪我は大した事なさそうだ。」

クリスタ「う……」

ユミル「大丈夫か、クリスタ!」

クリスタ「ユ、ミル……? 私は……」

ユミル「安心しろ、やつの舌を切り落として助けたんだ。すぐに安全な場所に運んで手当てしてやるからな!」

クリスタ「うん……ありが、とう……ユミル……」 スゥ…

ユミル「くっ……また意識を失ったのか……」


――――パラパラパラ…


ユミル(――ッ!? なんだと!?) パラパラパラ…

ユミル(馬鹿な……なんでサシャに食いつかねぇ……! まさか、囮だと見抜いてるってのか!?) パラパラパラ…

クリスタ「ん……」 パラパラパラ…

ユミル(クソッ、こいつをこんな所で死なせてたまるか……! 考えろ、どうすればやつを出し抜ける……!?) パラパラパラ…

ユミル(クリスタを抱えて逃げるか……? だが、やつの地中を進む速度は半端じゃない……逃げ切れねぇ……) パラパラパラ…

ユミル(おまけにここじゃ巨人化も使えねぇ……! まさか、詰み……だと……!?) ギリッ…


――――――

――――

――


―― 地下洞窟・4班(ライナー・ベルトルト・アニ)


ライナー「よし、どうにか岩盤層まで逃げ切れたな……」

ベルトルト「ああ、危ない所だった……」

アニ「でも、ミーナが……」

ライナー「ミーナの事は残念だが……俺達も危なかった。無事に逃げ切れただけでも良しとすべきだろう。」

ベルトルト「ライナー、さっきから引っ掛かっていたんだけど……君はやつの事を知っていたのかい?」

ライナー「……………………」

ベルトルト「実際に目にする前から、君はやつを警戒していた。僕達は半信半疑だったのに、だ。」

アニ「それは私も気になってた……」

ライナー「…………ああ、そうだ……俺はやつと遭遇した事があった……」

ベルトルト「なッ!?」

アニ「だったら、どうして隠していた! 前もって注意していれば、ミーナだって……!」 ガシッ!

ベルトルト「よすんだ、アニ! こんな所で仲間割れしてどうする!」 グイッ

アニ「離せ……ベルトルト……!」


ライナー「すまん……だが、ミーナの前では話せなくてな……」

ベルトルト「ライナー、それってつまり……」

ライナー「……そうだ、故郷に関する事だ。」

アニ「くっ……じゃあ今なら話せるだろ……話しなよ、あんたが知ってる事全部。」

ライナー「あれは五年前のシガンシナ区を陥落させた時の事だ……俺もさっきまで悪い夢か何かかと思ってたんだが――――」






ライナー「――――結局逃がしてしまってな。極力思い出さないようにしていたんだが……」

アニ「硬化した皮膚すら食い破るだって……!? そんなのありえない!」

ベルトルト「それに、うなじの弱点まで把握してるって……そんな無茶な話が――――ッ」 ハッ…!

アニ「ベルトルト?」

ベルトルト「あの時、アニが連れてきた巨人の数が思ったより少なかったのは……」

アニ「やつらが巨人を襲っていたからとでも? 馬鹿げてる!」


ライナー「……だが、シガンシナ区が陥落したというのに、トロスト区周辺まで来る巨人は少ないらしい。」

ライナー「おかげで調査兵団も順調にシガンシナ区までのルートを構築してるらしいじゃないか。」

ライナー「それも、陥落したシガンシナ区周辺がやつらの生息地域だとしたらどうだ……?」

ベルトルト「――ッ! まさか、やつらに大半の巨人が襲われているから、トロスト区まで辿りつけないって事?」

アニ「そんな……それじゃあ、トロスト区の扉を破壊しても意味がないじゃないか……!」

ライナー「そうだ。俺達の目的は扉を破壊して巨人に人類を襲わせる事なのに、それが根底から崩されてしまう。」

アニ「なら、どうすれば……」

ライナー「やつらが巨人を襲うというなら、まずはやつらを何とかしなければならない。その為にも、今は地上に上がるのが最優先だ。」

ベルトルト「そ、そうだね……詰所にグラボイズの死体があるらしいし、戦うなら相手の事をよく知らないと……」

アニ「わかったよ……それならグラボイズは私達の敵だ。絶対に始末してやらなきゃね……」

ライナー「ああ、アルミン達と合流できればやれる事も増える。何としてでもやつらを始末するぞ。」

ベルトルト「了解だ……!」

――――――

――――

――


―― 地下洞窟・8班(クリスタ・ユミル・サシャ・フランツ・ハンナ)


――――パラパラパラ…


ユミル(このままじゃ……せめて、クリスタだけでも……!) パラパラパラ…


――――ドォォォォォン!!


ユミル「な、なんだ!?」 ビリビリビリ…!


――――ドォォォォォン!!


ユミル「じ、地震か!? いや、違う……これは、地上で何かしてるのか……!?」 ビリビリビリ…!

ユミル「洞窟が揺れる程の衝撃……!? いったい上でなにやってんだ!?」 ビリビリビリ…!


―― 地上詰所・2班(エレン・ミカサ・アルミン)


――――ドォォォォォン!!


エレン「それにしてもすげぇ音だな。」

アルミン「うん。地面の底まで穴を穿てるくらいだからね。」

ミカサ「蒸気機関で引き上げた鉄杭を何度も地面に打ちおろす……本当にこれで何とかなるの?」


――――ドォォォォォン!!


アルミン「うん、これだけの轟音だ。音を頼りにするグラボイズは混乱する筈だよ。」

エレン「なるほどな! 位置を把握できなくなったグラボイズなんか、ただのでかいミミズだ!」

エレン「やったな、アルミン! これで皆安全に上がって来れるぞ!」

アルミン「うん……でもそれだけじゃないよ。運が良かったら――――」


グラボイズ『ギュオオオオオオオオオオ!!』 ザバァァ!

ミカサ「アルミン! 穴の底にグラボイズが!」

アルミン「やった! かかったぞ!」


――――ドォォォォォン!!


グラボイズ『』 ブチュァッ!

エレン「すげぇ! あの硬い頭を粉々にしたぞ!!」

アルミン「やつらは音に引き寄せられる! 釣られて頭を出せばこうなるのさ!」

ミカサ「すごい……!」


――――ドォォォォォン!!


ジャン「おい、お前ら! 何だこのでかい音は!?」 タッタッタッ

マルコ「縦穴用の掘削機……動かしたのか!」 タッタッタッ

エレン「ジャン! お前、助けを呼びに行ったんじゃ――――」

ジャン「途中でグラボイズに襲われて馬をやられたんだよ! だが、一体しとめたぜ!」 ドロドロベトベト…

エレン「それは本当――――う、くせぇ……お前ら、ひどい臭いだぞ……」 ウップ…

ジャン「ンだと、てめぇ!」 ガシッ!

エレン「離せよ! 臭いが移っちゃうだろうが!」

ジャン「臭いなんざどうでもいいだろうが!」 ドロドロベトベト…

アルミン「ちょ、ちょっと二人とも……」


――――ドォォォォォン!!


ミカサ「ジャン。」

ジャン「お、おう。」 ドロドロベトベト…

ミカサ「マルコ達も、早く着替えてきて……正直、つらい……」 プイッ

ジャン「」 ドロドロベトベト…

マルコ「行こうか、ジャン……」 ドロドロベトベト…

コニー「俺達はもう鼻が麻痺しちまってるからな……」 ドロドロベトベト…

ダズ「もう胃液も出ねぇよ……」 ドロドロベトベト…


―― 地下洞窟・4班(ライナー・ベルトルト・アニ)


――――ドォォォォォン!!


ベルトルト「地震!? いや、それにしては長すぎる……!」

ライナー「――ッ! アルミンが通話が途絶える前に言っていたのはこれの事か!」

アニ「そうか……これだけ音を立てていたら、やつらは私達の位置を特定できない!」

ライナー「そういう事だ! 今の内に一気に走り抜けるぞ!」


―― 地下洞窟・6班(モブA・モブB・モブC・モブD・モブE)


――――ドォォォォォン!!


モブA「ひぃ!」

モブB「なんなんだよ、さっきからこの音は!?」

モブC「大丈夫! ここは岩盤層だから! ここなら安全だから!」

モブD「もう、いやぁぁ!」

モブE「落ち着け! ここから動かなきゃ助かるんだ! 助けが来るのをここで待つんだ!」


―― 地下洞窟・8班(クリスタ・ユミル・サシャ・フランツ・ハンナ)


――――ドォォォォォン!!


サシャ「ユミル! クリスタ!」

ハンナ「良かった! 無事だったのね!」

フランツ「必ず追いついてくれると信じてたよ!」

ユミル「悪いな、待たせちまって!」

クリスタ「皆も無事で良かった……!」


――――ドォォォォォン!!


サシャ「さっきからずっと鳴り響いてるこの音は何なんでしょうか……うるさくてやつの接近が聞き取れないんですけど……」

ユミル「それはやつも同じだろうよ。こんだけ地響きたてられちゃ、私達の足音だって聞き取れるものか。」

ハンナ「――ッ! そうか、そのために!」

フランツ「アルミン達が地上で何かをしてくれてるんだね!?」

クリスタ「通話が出来なくなる前に言いかけてたのはこれの事だったんだ……」

ユミル「今の内に一気に進むぞ! 今が最大の好機だ!」

サシャ「はい!」


―― 地上詰所・2班(エレン・ミカサ・アルミン)・5班(ジャン・マルコ・コニー・ダズ)


――――ドォォォォォン!!


アルミン「僕達が討伐した一体、ジャン達が討伐した一体、そしてこの穴の底で死んでる一体……」

エレン「なら残るは一体か! でもそれも時間の問題だな!」

アルミン「いや……それはどうだろう……」

ジャン「そう上手くいけばいいんだがな……」

コニー「おい、どうして二人とも暗い顔してるんだよ。この罠なら完璧だろ!」

ダズ「そ、そうだぜ! 後は待ってれば音に引き寄せられて、最後のやつも頭をぶち抜かれるだろ!?」

マルコ「いや……言われてみれば、そう上手くいくとは限らないかもしれない……」

ミカサ「どういう事……?」


――――ドォォォォォン!!


マルコ「一体は何も知らないから罠に掛かったけど、もう一体は掛からないかもしれない。」

ジャン「恐らく、やつらは俺達が考えている以上に知能がありやがる……同じ手が通じるとは思えねぇ。」

エレン「なん、だって……!?」

アルミン「僕もジャン達の話を聞いて確信したよ。やつらは知能――というよりは学習能力なんだろうけど、それがずば抜けて優れてる。」

アルミン「馬の足を止める為に地面をゆるくしたり、逃げ場が無い事を見抜いて何時間も待ち続ける相手だ……一筋縄じゃいかない。」

コニー「マジかよ……」


――――ドォォォォォン!!


アルミン「でも、この掘削機が動いている間は音で探る事はできない筈だ。今の内に何か手を考えよう。」

ジャン「替えのガスも交換したしな。これで戦えるぜ!」

マルコ「後一体だけなんだ、何としてでも!」

エレン「グラボイズを駆逐してやる!」


―― 洞窟の最奥、地上につながる縦穴


――――ドォォォォォン!!


ライナー「クリスタ! 無事だったか!」

クリスタ「良かった! ライナー達も無事だったんだね――――……え、ミーナとナックは……?」

ベルトルト「二人は……途中でやつに……」

サシャ「そんな……!」

アニ「……………………」 ギリッ…

フランツ「とにかく、今は地上に上がった方が良いんじゃないかな……」

ライナー「そうだな――――……む、これは……?」 ガサッ…

ベルトルト「前にいた鉱夫が置いて行ったものかい? ほっときなよ、そんなの……」

ユミル「いや、そうでもねぇぞ、ベルトルさん。」 ガサゴソ…

ライナー「ああ、こいつは使えそうだ。」 ニヤリ



――――ドガァァァアン!!


ライナー「うおっ!?」 ビリビリビリ…!

クリスタ「きゃっ!?」 ビリビリビリ…!

サシャ「な、ななな、何ですか!?」 ビリビリビリ…!

アニ「地上で何かあったみたいだ……急いで上がった方が良さそうだね……!」 ビリビリビリ…!


―― その少し前、地上詰所、屋根の上


――――ドォォォォォン!!


ジャン「そういや、あの掘削機はどれくらい動かせるんだ?」

アルミン「石炭はまだまだあるからね。丸一日はもたせられるよ。」

マルコ「なら洞窟の皆と合流する分には十分か……」

コニー「でも交代のやつらが到着するまでには足りないぜ。石炭が切れたらどうするんだ?」

エレン「その前にやつを駆逐すれば良いんだ。」

ミカサ「でも、もう少しで陽が暮れてしまう……夜になる前に何とか出来れば良いのだけど……」

ダズ「べ、別に無理にしとめる事ぁねぇだろ!? 交代のやつらが来るまで、こうやって屋根の上で待てば良いじゃねェか!」


――――ドォォォォォン!!


アルミン「ここが安全とは限らな――――えッ!?」

エレン「どうした、アルミン?」

アルミン「あれ! 掘削機が!」


ジャン「なッ!? 馬鹿な、いったい何をしやがった!?」

マルコ「掘削機が……傾いている……!?」


――――ドォォォォォン!!


ミカサ「まずい……どんどん傾きが大きくなっていく……!」

コニー「お、おい、何でだよ!? つーか、あのまま傾いていったらどうなるんだ!?」

ジャン「本来、垂直に打ちおろすものが傾けば……打ちおろした杭が穴の周囲と接触しちまうぞ……!」

マルコ「そうなれば、想定外の負荷がかかった掘削機はただでは済まない!」

エレン「ただでは済まない、って……どうなるんだ!?」

アルミン「蒸気機関が破損すれば……最悪、爆発してしまう……!」

エレン「なんだって!? 何とか出来ないのか、アルミン!」

アルミン「そもそも、どうして急に――――……ッ! くそっ、やられた!」


ミカサ「掘削機の土台が地面に沈んでいく……まさか、地盤を掘り返しているの……!?」

ジャン「邪魔な音を立ててるのが掘削機だと見抜いて……それでその周囲の地盤を沈下させてるのか……!?」

ダニ「ありえねぇ! こんなの偶然だろ!? そうに決まってる!」

マルコ「偶然なものか……やはり最後の一体は一筋縄じゃないかないぞ……!」

ミカサ「掘削機の角度はもう限界……みんな伏せて!」


――――ゴガッ、ガガガガガガッ!!      


――――――――ドガァァァアン!!


アルミン「うわぁぁぁぁ!」 ビリビリビリ…!

エレン「ぐっ……!」 ビリビリビリ…!

ミカサ「く、ぅ……!」 ビリビリビリ…!





マルコ「皆、無事か!?」

ジャン「う……どうやら、掘削機が爆発しただけで済んだみたいだな……」

コニー「ある程度距離があって助かったぜ……危うく爆発に巻き込まれる所だった……」

ライナー「お前達、無事だったか!」 ギュィィィィィン  ――スタッ

ベルトルト「あの音の正体は掘削機だったのか、道理で凄い音がしてた訳だ。」 ギュィィィィィン  ――スタッ

エレン「ライナー! ベルトルト!」

ユミル「だがそれも爆発炎上しちまってるじゃねぇか……どういう事だよ。」 ギュィィィィィン  ――スタッ

クリスタ「危なかったね、もう少し遅かったら地上に上がれなかったかも……」 ギュィィィィィン  ――スタッ

アルミン「クリスタ! ユミル! ――……え、洞窟の生存者は、これだけ……?」

アニ「他の班の事はわからないけど……ミーナとナックは、やつに……」

サシャ「誰も欠けなかった私達が幸運だったんですね……」

ハンナ「私達の場合はサシャがグラボイズの接近を察知できたから……」

フランツ「ああ、あれが無かったら、多分僕達も……」


アルミン「ごめん、皆……上がってきたばかりで疲れてると思うけど、情報の共有をしてもらえるかな。」

ライナー「当然だ。ようやく地上に上がってこれたんだ、仲間の仇を討たないとな!」

アニ「やつはここでしとめる……どんな手を使っても……!」


――――――

――――

――


ライナー「そうか……残りは一体だけなのか。」

アルミン「うん。でも厄介な事に、かなり頭が回るみたいなんだ。」

ユミル「なあ、アルミン。掘削機に潰されたやつの舌は見たか?」

アルミン「え? ……確か口から三本はみだしてたけど、それがどうかした?」

ユミル「じゃあ最後の一体は私が舌を一本切り落としたやつか。私のクリスタを汚しやがって……ぶっ殺してやる。」

ライナー「――ッ!?」ブフゥッ!!

クリスタ「ちょ、ちょっとユミル! 変な言い方しないで!」

クリスタ「舌に絡まれただけだから! 皆も変な勘違いしないでね!?」

ジャン(クリスタが……) ザワッ…

ライナー(舌に……!?) ザワザワッ…

ユミル「あーあ、自分で煽っちまいやんの。知ーらね。」

クリスタ「え、ええ!?」


エレン「ふふっ……」

ミカサ「エレン?」

エレン「ああ、いや、なんでもない。やっぱり仲間が揃うと心強いなって。」

ミカサ「それは……私も同感。」

エレン「だからこそ、皆の仇を取らなきゃな! 覚悟しろ、グラボイズ!」

コニー「だな!」

サシャ「やりましょう! 仇討ちです!」

ライナー「ジャン達のやり方で上手くいったのなら、これを使えばいいんじゃないか?」 ゴトッ…

マルコ「これは……!」

アルミン「ダイナマイトじゃないか! どこでこんな物を!?」

ライナー「地下で見付けた鉱夫の置き土産だ。見た感じ、まだ使えそうだろ。」

ジャン「最高の切り札じゃねぇか! 流石だな、ライナー!」

ベルトルト「束で拾ったからね。これだけあればやつを粉々にするには十分だろう。」

ライナー「……早速くれてやるか?」 ニヤリ

エレン「ああ、頼むぞ、ライナー!」 ニッ!


ライナー「これを、こうして……」 ボッ…

アルミン「導火線に火が点いたよ!」

ライナー「さあ、飲み込め! グラボイズ!」 ポーーイ


――――トサッ


グラボイズ『キィィィィィィィ!』 ザボン…!

ジャン「出やがったな!」

グラボイズ舌『キュゥゥゥゥゥ』 ツンツン…

マルコ「……? なんでだ、飲み込まないぞ……?」

グラボイズ舌『キィィ』 スポッ…

ユミル「おい、引っ込みやがったぞ!?」



――――ドォォォォォォン!!


サシャ「ひぇ!?」

クリスタ「きゃっ!?」

グラボイズ『ギュォォォォォオオ!!』 ブシュゥゥゥゥ!!

アニ「なんだ!?」

アルミン「爆発の音に驚いたみたいだね……でも、それだけだ。食いつかなかった……」

ライナー「ふん……運の良いやつだ。だが、ダイナマイトはまだまだあるぞ。」

ベルトルト「ライナー、次はもう少し導火線を長くしてみないか?」

ライナー「なるほど。じっくり飲み込むのを待つのか。良いアイデアだ。」

コニー「ふふん、こうなっちまえば怖くも何ともねぇな。屋根の上ならやつも手出しできないし。」

サシャ「まったくですね! 散々怖い思いをさせられたんです。最後は華々しく散ってもらわないと!」


ライナー「そらっ……遠慮せず、さっさと飲み込め……!」 ポーーイ


――――トサッ


グラボイズ『キィィィィィィィ!』 ザボン…!

ダズ「来た来た……!」

グラボイズ舌『キュゥゥゥゥゥ』 ツンツン…

ユミル「さっさと飲み込みやがれ……!」

グラボイズ舌『キュゥ』 ハムッ

アルミン「――――え?」

グラボイズ舌『キュッ!』 シュッ!

ジャン「おい!?」

マルコ「嘘だろ!? ダイナマイトを投げ返した!?」

エレン「おい、マズいぞ! 詰所の中に放り込まれた! 屋上からじゃ処理できない!」

アニ「そんな……!」


ミカサ「皆、ここにいたら危ない! そこの巨大樹に移って!」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!

ライナー「こんな、馬鹿な……信じられん……!」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!

クリスタ「皆、急いで!」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!

フランツ「ハンナ!」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!

ハンナ「ええ、わかってる!」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!

ダズ「畜生! どうなってんだよぉ!!」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!!


――――ドォォォォォォン!!


エレン「くっ……!」

コニー「なんてこった……詰所が吹っ飛んじまった……」

ライナー「残ってたダイナマイトも一緒に吹っ飛んだか……マズいな。」

アルミン「信じられない……まさか、一度見ただけでダイナマイトの性質を理解するなんて……」

ジャン「クソが……! もう陽が暮れちまうぞ、どうする!?」

クリスタ「巨大樹の上なら……安全だよね……?」

ハンナ「巨大樹の近くなら、太い根が邪魔して近付けない筈だよ!」


サシャ「……いえ、そう上手くはいかないみたいですよ……」

コニー「だな……この巨大樹、よく見ると枯れかけてやがる。多分、根をやられてるんだ……」

ダズ「おい! それもやつがやったってのか!?」

サシャ「そう考えるべきでしょうね……」

マルコ「それじゃあ、ここも安全とは言えないぞ……」

ミカサ「掘削機を傾けたように、巨大樹も倒されるかもしれない……過信はできない。」

エレン「…………ッ」 ギリリッ

ユミル「詰所は吹っ飛び、この巨大樹もいつ倒されるかわからねぇ……立体機動装置で届く範囲に高台もねぇ……」 ハァ…

クリスタ「どうしよう……どうすれば……」 オロオロ

エレン「決まってるだろ……やられる前にやる! やつを駆逐するしかない!」

ライナー「それは……そうできるならそれが一番だが……」

ベルトルト「この状況でどうやって……」

エレン「皆、聞いてくれ。俺に考えがある――――」





アルミン「――――そんな、無茶だよエレン!」

ミカサ「エレン、自分が何を言っているかわかっているの!?」

エレン「だったら他にどんな方法がある! これ以外にやつを地上に釣り上げる方法があるのか!?」

ミカサ「でも、エレン……いくら一度成功したからって、今度も上手くいくとは限らない……!」

アルミン「そうだよ! あいつは前のやつとは比べ物にならないくらい用心深い! きっと見抜かれてしまう!」

ジャン「……だが、どちらにせよ誰かがリスクを背負うのは避けられねぇ状況だ……」

サシャ「ジャン!? 何言ってるんですか!」

ジャン「このまま何もしなければ、全員がリスクを背負う……エレンの案を採用するなら、リスクを背負う人間は最小限で済む……だろ?」

クリスタ「だからって……!」

ジャン「現状を認識しやがれ! お前ら、このまま夜を明かせると本気で思ってるのか!?」

ハンナ「それは……」

ジャン「やつは下手すりゃ人間並みに頭が回りやがる……さっきのダイナマイトでわかっただろうが!」

フランツ「う……」


ジャン「相手は夜になるのを待ってる可能性だってあるんだぞ! 陽が落ちれば、成功率も格段に下がる! 今やるしかねぇんだよ!」

エレン「ジャンの言う通りだ。怯えて隠れていれば危機が過ぎ去るなんて考えは家畜同然だ! やらなきゃいけないんだ!」

コニー「ぐ……」

ライナー「……俺はエレンの案に賛成だ。やつを生かしておく訳にはいかない。」

ベルトルト「僕も協力するよ。このまま何事も無く夜を明かせるとは思えない。」

アニ「……私も……殺れるなら殺るべきだと思う。」

ユミル(最悪、ここなら巨人化すればなんとかなる……が、それは最後の手段だ。)

ユミル「私もやれるもんならぶち殺してやりてぇな。震えながら朝を待つなんざ性に合わねぇ。」

アルミン「そんな! それじゃあエレンが!」

ミカサ「どうしてもと言うなら私がやる。エレンを危険に晒すのは認めない。」

エレン「ミカサ、お前はまだそんな事言ってんのか! お前の役目も決まってるだろうが!」

ミカサ「でも……!」


ジャン「……エレンがしくじったら、次は俺がやる……それで文句ねぇだろ……誰かがやるしかねぇんだ……!」

マルコ「ジャン……」

サシャ(確かに、やつがこのまま何もしないとは思えません……)

コニー(やるしか……ねぇのかよ……)

マルコ「わかった……日没まで後三十分程だ……十五分で内容を詰めよう。失敗する訳にはいかないからね……」

アルミン(一度成功させてるエレンが適任だってのはわかる……頭ではわかってる……! でも……!)

ミカサ(エレンが死んだら私も生きてはいられない……お願いだから、無理はしないで……)


――――――

――――

――


エレン「よし……じゃあ、行くぞッ!」 バシュッ!

ジャン「しくじるんじゃねぇぞ、エレン!」

エレン「お前らもな!」 ヒュッ…          ――スタッ

マルコ(まずエレンが巨大樹の枝にアンカーを打ち込み、地面に降りる……)

アルミン(詰所でグラボイズをしとめたのと同じ方法……自分を餌にやつをおびきよせる……)

ミカサ(エレン……お願い、どうか無事で……)

アニ(来な、グラボイズ……その胴体削ぎ落してやる……!)


                   ――モコモコモコモコ…


エレン(かかった……! 地面の盛り上がりが近付いて来る……!)

エレン(さあ来い! 次にその大口を開いた時がてめぇの最期だ!)


   ――モコモコモコモコ…


グラボイズ舌『キシィィィィ』 ズズズ…

マルコ(来た……思った通り、いきなりは食いつかなかった……!)

ジャン(まだだぞ、エレン……! まだ早い……!)

グラボイズ舌『キィィィィィィ』 ズズズズズ…

エレン(ぐっ……! ぬめぬめした舌が足を這いあがってきやがる……!)

ハンナ(に、逃げなくて大丈夫なの!?)

フランツ(恐ろしくて見てられない……!)

グラボイズ舌『キュゥゥゥゥゥゥゥ』 ズズズズズズズ…

ミカサ(私のエレンに汚いものを押し付けた……殺す、絶対に殺してやる……!) ギリギリギリ…

アルミン(くそっ……まだ食いつこうとしない……やっぱり学習してるんだ……!)

エレン(そうかよ……そっちがその気なら、これでどうだ!) ガシッ!!

グラボイズ舌『キィィィ!?』 ビクンビクン!

ライナー(舌を掴んで締め上げた!?)

ベルトルト(無茶だ! トリガーから手を離すなんて!)


エレン「来いよ、グラボイズ! びびってんじゃねぇぞ!!」 ギリギリギリギリ…!

ミカサ「エレン! 早くトリガーを握って!!」

アルミン(いや、一見無謀だけどこれで音源が人間だと認識させた! これなら――――!)

エレン(――これだ! この地面が盛り上がる感覚! 学習したのがお前だけだと思うなよ!!) グッ…

グラボイズ『ギュオオオオオオオオオオオ』 ザバァ!!

エレン「頼むぞ、お前ら!!」 ギュィィィィィン!

ライナー「よくやった、エレン!」

ジャン「後は任せろ!」

ベルトルト「狙うはやつのクチバシ……!」

マルコ「その大口、閉じれなくしてやる……!」


――――アルミン「多分、やつは頭部だけしか地上に乗りださない……無理にでも胴体を露出させなきゃどうにもならない筈だ。」

――――エレン「詰所の時もそうだったな……その時は移動すればついて来たが、それと同じじゃ駄目か?」

――――アルミン「無理だろうね……期待はできない……それに、やつにこれ以上学習させない為にも、確実な方法をとるべきだ。」

――――ジャン「確実な方法……? ンなもんがあるのか?」

――――アルミン「うん、かなり強引な方法だけど――――」


ライナー(やつのクチバシは大きな上顎と、三つに分かれた下顎の、四つの部分で構成されている……!) バシュッ!  ――ギュィィィィィン!

ベルトルト(まずは、その四つのクチバシの内側に僕達がアンカーを打ち込み――――!) バシュッ!  ――ギュィィィィィン!

ジャン(そしてもう片方のアンカーは周囲の巨大樹に打ち込む――――!) バシュッ!  ―― ギュィィィィィン!

マルコ(後は、僕達がそれぞれ別の方向に立体機動装置で移動し、ワイヤーを巻き上げれば――――!) バシュッ!  ――ギュィィィィィン!

グラボイズ『オオオオオオオオオオオ!!』 ギチギチギチ…!

アルミン(やつはクチバシをこじ開けられ、その大口を僕達に晒す事になる!!)


アルミン「みんな、今だッ!!」 バシュッ!

ユミル「焦って外すんじゃねぇぞ、お前ら!」 バシュッ!

クリスタ「わかってる!」 バシュッ!

コニー「あんなでかい目標なら外さねぇっての!」 バシュッ!

サシャ「当然です!」 バシュッ!

ハンナ「成績上位には届かなくても!」 バシュッ!

フランツ「これくらいなら!」 バシュッ!

ダズ(外しませんように……!) バシュッ!

グラボイズ『オオオオオアアアアアアア!!』 バスバスバスバスバス!!

エレン「全員命中だ! 俺のも含めて、全部やつの喉奥に打ちこまれた!!」 バシュッ!

アルミン「了解! みんな、ワイヤーを巻き上げるんだ!!」 ギュィィィィィン!

ライナー「俺達も上に移るぞ! ここで決める!!」 バシュッ!   ――ギュィィィィィン!


グラボイズ『アアアアアアアア!!』 ズズズズズ…

アルミン「立体機動装置による綱引きだ……いくらお前の力が強くても――――!」 ギュィィィィィン!

エレン「体の内側から引っ張られるんじゃ、抵抗できねぇだろ!!」 ギュィィィィィン!

グラボイズ『アアアアアアアアアアアアアア!!』 ズズズズズ…

アニ(やつの身体が、徐々に引きずり出されていく……!)

ミカサ(これなら……やれる!)

アルミン「ミカサ! アニ! 今だァァ!!」

アニ「…………ッ!」 バシュッ!  ――ギュィィィィン!!

ミカサ「ああああああッ!」 バシュッ!  ――ギュィィィィン!!


――――ズパァァァァァァン!!


ライナー「やったか!?」


グラボイズ『オオオオオオオ……』 ズズズズ…

グラボイズ『……――――』 ボトリ…

ジャン「す、すげぇ……両側から切り込んだ斬撃が深すぎて、胴体を削ぐどころか両断しやがった……」

サシャ「やった! やりましたね!」

コニー「ああ! これで安心して眠れるぜ!」

アルミン「いや、もし万が一他にもいた場合に備えて交代で眠る事にしよう。」

ライナー「そうだな……応援が来るまで、なるべく巨大樹の上にいた方が良いだろう。」

コニー「うえ……マジかよ……」

ユミル「眠ってる間に丸呑みにされたきゃ、下で寝ればいいんじゃねぇか?」

サシャ「やめときます……」 トホホ…


ミカサ「エレン、大丈夫!? ああ……やつに汚されたあとが……早く着替えないと……」 グイッ

エレン「やめろ、ミカサ! 一人で着替えられる――って、だから服を脱がすな! あ、でも着替えが無いぞ……」

アルミン「あはは……後で詰所の残骸を漁って、使える物が残ってないか確認しなきゃね。」

ジャン「ハァ……もう絡む体力も残ってねぇよ……流石に疲れた……」

マルコ「お疲れ、ジャン。全滅だけは避けられて良かった……本当に……」

コニー「だな……あんなの相手に生き残れただけで奇跡だぜ。」

ダズ「何度死ぬかと思ったか……」

ハンナ「無事で良かった……! ハンナ!」 ギュッ

フランツ「あなたも……! フランツ!」 ギュッ

ユミル「うぜぇ……」 チッ

クリスタ「ユミル! もう!」

サシャ「ホッとしたらお腹が空いてきましたねー。」 グー

ライナー(まさか巨人の天敵になるような生き物が存在したとは……)

ベルトルト(予定を……変更しなきゃいけないかもしれない……)

アニ(…………ミーナ……仇は、とったよ……)


――――――

――――

――


そうして、警戒しながら夜を明かした僕達は、教官達によって翌日の昼前に救助された。

詳しくは聞けなかったが、僕達が出発した後、事前情報に不備があった事が発覚し、すぐに救援隊が組織されたそうだ。

僕達は知らなかったが、グラボイズを倒したあの時、6班がまだ洞窟の中にいたらしい。

進む事も戻る事も選べず、その場で助けを待つ事を選んだようだが、その末路は悲惨なものだった。

明かりが尽きた後、暗闇の恐怖に耐えきれず、教官達が救助に駆け付ける前に全員自害してしまっていた。

何らかの行動を起こしてくれていれば助かる可能性は十分にあったというのに、残念でならない。


訓練兵団に依頼してきた駐屯兵団の責任者は降格されたらしい。

ジャンやユミルが個人的にお礼参りをしたがっていたが、実際に行動を起こす事は無いだろう。

ジャンは憲兵団志望だし、ユミルは利に敏い。自分の立場が危うくなるような事はしない筈だ。

それに、訓練兵とはいえ僕達は兵士だ。上から与えられた任務で命を失ったとしても、それは……仕方の無い事なのだ。

考えてみれば、駐屯兵団の責任者はお咎めなしでもおかしくなかった。

処分が下ったという事は、誰かが王政に進言してくれたのだろうか。

もしそうだとしたら、あの日死んだ仲間達に代わって「ありがとう」と言いたい。

グラボイズはあれで全てだったらしく、洞窟内もくまなく調査されたが卵も発見されなかった。

グラボイズの存在については王政によって緘口令が敷かれ、あの日の出来事は公的に無かった事にされた。

また、あの地下洞窟の周囲は王政の管理下に置かれ立ち入り禁止になった。

本来の目的だった氷爆石の鉱脈も、実用化できる埋蔵量には程遠かったらしい。

僕が個人的にあの周囲の地層を調べた結果わかった事だが、あそこの周囲は岩盤層で取り囲まれていた為、もしも生き残りがいたとしてもあの地から出る事は出来ないだろう。

しかし、気がかりな点が二つ程あった。


一つは、シガンシナ区でエレンとミカサの前に現れた白いグラボイズ。

カルラおばさんを飲み込んだそれは、まだシガンシナ区に潜んでいるのだろうか。

もし、まだ潜んでいるのなら、シガンシナ区奪還の脅威となるのは間違いない。

僕とエレンが調査兵団に入ったら、またやつと戦う事になるのだろうか。

……ミカサはどうするのだろう。

ミカサがエレンと離れるとは考えにくい、ならミカサも調査兵団に入るかもしれない。

正直、グラボイズは恐ろしい。巨人とは別の恐ろしさがある。

でもエレンとミカサが一緒なら何とかなる気がする。

シガンシナ区の白いグラボイズはカルラおばさんの直接の仇だ。

僕にできる事があるなら、全力で二人を支えたい。

二人の仇は僕にとっても仇なのだから。


そしてもう一つの気がかり。

グラボイズの死体を解剖した、眼鏡をかけた調査兵団の人が言っていた事がどうにも気にかかる。

その人が言うには、グラボイズの臓器には重複している物がいくつもあったらしい。

それだけなら、別におかしな事じゃない。

牛にだって胃が複数あるのだし。

気になるのは、「重複した臓器がそれぞれ独立した個体」のように見えたという点。

まるで母親の胎内にいる赤ん坊のように。

だがグラボイズは卵生だ。それは間違いない。

サシャ達がみつけた卵は数も大きさもグラボイズのものと考えて間違いない筈だ。

でも……どうしても引っ掛かってしまう。

僕達が見付けた、地上で死んでいたグラボイズ。

あのグラボイズの体内には、その「重複した臓器がそれぞれ独立した個体」の分がすっぽり抜けていたらしいのだ。

偶然かもしれない。鳥や獣が食べてしまったと考えるべきかもしれない。

だが、もしも僕のこの気がかりが正しかったなら。

まだあのグラボイズの事件は終わっていないのかもしれない――――――――


続編を匂わすのはハリウッド映画のお約束ってばっちゃが言ってた。

少し間が空いてしまいましたがこれで完結です。

トレマーズシリーズは1~4までのナンバリングタイトルがお勧めです。

興味をもった人はレンタルビデオ屋でレンタルしよう! DVDも出てるよ!

> 214 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[] 投稿日:2013/11/04(月) 00:55:58 ID:AAkBMYG2 [37/62]
>
> ミカサ「掘削機の土台が地面に沈んでいく……まさか、地盤を掘り返しているの……!?」
>
> ジャン「邪魔な音を立ててるのが掘削機だと見抜いて……それでその周囲の地盤を沈下させてるのか……!?」
>
> ダニ「ありえねぇ! こんなの偶然だろ!? そうに決まってる!」


いくらなんでも『ダニ』はあんまりや…

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