ミカサ「エレン、起きて」(31)

朝目覚めるとき

夢の中の出来事は全て

僕の知らない内に世界が始まり

僕の知らない内に世界が終わる

頭が痛い訳でもない。頭はしごくまともだった。

目覚めているのか夢を見ているのか

ただ非現実的だった

「・・レン・・エレン」

エレン「・・ん」

ミカサ「エレン、起きて」

ミカサ「起きて、エレン。トマトが色付いているか見に行こう」

ミカサの声

ほぼ無意識のまま

僕はまだボンヤリした頭で

少し大きめの靴を履いて畑に向かった

ミカサ「もうすっかり春だね」

まだ現実とも非現実とも定まっていない頭で

「そうだね」と答えた

ミカサ「今日はカルラおばさんから、小松菜と玉ねぎを取って来るよう言われてるよ」

「そうだね」と答えた

ミカサ「エレン?まだ寝てるの?」とミカサがいうと

「そうだね」と答えた

家に朝取りの野菜を届けたあと

ミカサは泥で汚れた僕の顔を濡れた冷たいタオルで揉みほぐし

母さんが作ったスープを温めて持ってきてくれた

スープは妙にざらついていて、舌触りが悪く柔らかみに欠けていたが

何度も飲んでいるうちに、口が少しずつ慣れていき

旨さを感じる事が出来た

僕はミカサに「ありがとう」とだけ言うと

ミカサは嬉しそうに微笑んだ

ミカサ「トマト赤くなってきたね」

エレン「うん、」

ミカサ「もう少しで収穫の時期だね、その時はカルラおばさんに赤いトマトのパスタを作って貰おう」

エレン「うん、」

ミカサ「楽しみだね」

エレン「うん、」

昼食が終わり父さんと母さんが市場に買いだしに出かけた

僕とミカサは絵を描いたり、本を読んだりしながら過ごした

ミカサが僕の手を握った。そして僕はミカサを抱きしめた。

全く感情のない言葉で

「愛してる」と言った。ミカサも

「愛してる」と言った。

それから僕達は機械的とも言えるような単調なセックスをした

この家にはベッドが2つしかない

父さんの部屋にあるベット

そして僕の部屋にあるベットだ

父さんと母さん

僕とミカサで互いに1つのベッドで眠る

擦れて痛い時もあったが、いつもお互いを離さないように

ギュっと強く 抱き合って眠るんだ。子供が玩具を抱いて離さない様に

父さんと母さんもよくセックスしていたと思うし、それは僕達にだって

どんな行為かは理解できた。

エレン「・・起きてる?ミカサ」

ミカサ「・・起きてるよ?エレン」

ミカサ「したくなったの?」

エレン「ううん・・呼んでみただけ」

ミカサ「・・そう」

たぶんその通りだろうと、僕は思った

その日は雨音がしていたと、思う

調査兵団が戻って来る日で

僕はミカサの小さな手を掴んで、全速力で広場に向かった

人類が巨人の進行を許して以来、世間の風当たりは変わり

調査兵団は人類の希望となった

子供たちはみな兵団に憧れ

12歳で生産者に回る者は腰抜けと呼ばれる事になる

僕もまた、そんな世論に流された、子供の1人だった

その時、調査兵団を迎える鐘の音が聞こえた

街の住民「ひでえな・・」

街の住民「みんな食われちまったのか?」

2日前に出発した兵団は300を超える人数だったが

腕の無い者、脚の無い者、その両方がない者

それ全てを足しても戻ってきたのは数十名だった

僕はミカサの手をギュっと握っていた

ミカサ「私はエレンを失うのはとても辛い

でも、エレンは調査兵団に入りたいと言う

巨人と戦いたい、兵士になりたいって」

僕は言葉に詰まった

ミカサ「私が今なにを考えているかわかる?」

エレン「・・わからない」

ミカサ「貴方が行くなら、私も・・」

エレン「それはダメだ」

エレン「いいかミカサ。この世界で兵士なんて存在は

檻にいれられて、犯されるのを待つ様な存在なんだ

誰も支えてくれないし、誰も助けちゃくれない」

ミカサ「貴方は行こうとしている」

エレン「誰かが行く必要があるんだ、兵士とは人類の希望なんだから

ここで誰も続く人が居なかったら、今まで死んだ人達の命が無駄になる」

雨が強まる

帰り途

僕は広場を少しそれて、売店でチョコレートを買った

それをミカサに渡し「母さんには内緒だぞ」と言った

ミカサ「・・・」ミカサはチョコを食べ、半分僕にくれた

母さん「お帰りなさい、遅かったわね、2人とも」

エレン「まあ色々あって」

ミカサ「エレンが、調査兵団に入りたいって」

僕は一瞬ハッとなりながら、ミカサを睨み付けた

母さん「エレン!何を考えているの!」

エレン「・・・」

母さん「壁の外に出た人類がどれだけ死んだか、分かっているの?」

エレン「・・・うるさい」

母さん「え?」

エレン「なんで、なんで、僕の心を理解してくれないんだ」

僕は2階の部屋に戻り、鍵を掛け毛布に包まった

エレン「ひっく・・ひっく・・」

ミカサ「・・・エレン」

エレン「ひっく・・ひっく・・」

ミカサ「エレン・・ここ開けて」

エレン「嘘つき なんで母さんに話したんだ」

ミカサ「ごめんなさい、でも、ここを開けて欲しい」

僕は鍵を開け、ミカサを部屋に入れた。

ミカサ「これ、温めたミルク」

エレン「ひっく・・」

ミカサ「雨で濡れた、風邪をひかないように、砂糖も入れてある」

僕は温めたミルクを飲み、少しだけ落ち着いた。

それからミカサはタオルで僕の髪を溶かし

僕を抱きしめこう言った

ミカサ「私は貴方を愛してる」

エレン「なんだよ、突然」

ミカサ「それでも私は貴方の心の全てを理解する事は出来ない。

それと同じようにエレンも私の心の全てを理解する事は出来ない。

でも私は貴方の心の一部分でも理解するよう努力する。

それがきっと愛と呼べる物だから」

ミカサ「貴方の心を理解するように努力する、だから貴方も

私の心の一部分でいいから、理解してほしい」

僕は黙って肯いた

翌年、僕とミカサは訓練兵団に志願した

訓練兵団へ向かう前夜

母さんは僕とミカサにハヤシライスを作ってくれた

限られたこの土地で牛肉は1部の特権階級にしか支給されない貴重な物だ

畑で採れた大好きなトマトも添えてくれた

僕とミカサは喜んで食べていた

母さんは泣いていた

僕とミカサは訓練兵団に入隊した

訓練所に着くと、まずは身体の隅々を検査された

それから僕は支給された服を着て

支給された部屋にいき

指示された通りの行動をした

兵士としての生活は極度に規律正しい態度を強要される

僕とミカサは区画を分けられ、それぞれ別々の班で生活し

別々の班で訓練を続けた

此処での生活は地獄と呼んでも相応しい物だった

3年にも及ぶ訓練は僕を精神的にも肉体的にも成長させてくれた

僕達は必至に訓練した

兵站行進、馬術、格闘術、兵法講義、技巧術、立体起動

ライナー、ベルトルト、アニ、ジャン

マルコ、コニ―、サシャ、クリスタ、ユミル

アルミン、トーマス、ミ―ナ という素晴らしい仲間にも出会う事が出来た

そして、訓練兵団を卒業した

3年ぶりに故郷へ帰る事が許された

調査兵団へ入団し

兵士として任務に就くまでの2週間の間

僕は同郷のアルミン、ミカサと3人でウォールマリア行きの馬車に乗り

懐かしい街を風景を眺め、ウォールマリアに戻ってきた

3年ぶりだというのに、街はそれほど変わっておらず

広場でアルミンと別れ、ミカサと2人で家に帰る

ミカサは僕の手を掴んだ

僕は何故か恥ずかしくなり

でも、とても嬉しくもあった

3年ぶりにミカサと家に帰ると母さんがご馳走を作って待っていた

荷物を部屋に置いて、僕の部屋で

訓練所での様々な出来事について話した

この3年でベッドは幾分狭くなり

2人の距離は幾分遠くなったように感じた

僕はミカサと3年ぶりに交わった

乳房は大きくなり、女性的な柔らかい体つきになっていた

僕はミカサの口元にキスをすると

ミカサは僕の口内に舌をいれてきた

僕達はお互いの欲望を満たす為に

巨人が人間を食い尽すように

何度も何度も性交を続けた

次の日、僕とミカサは故郷でデートをした

訓練兵は僅かばかりの給与と各兵団に行く為の支度金が出る

僕はミカサが欲しがっていた本を買い

喫茶店でアイスコーヒーを頼み、チョコレートケーキを食べ

夕暮れになり、街の外れにある公園でキスをした

人前でキスをした

それが重要だった

「(僕はミカサを失うのがとても辛い。

僕はミカサを愛しているし、大事なのは、その気持ちの有り様なんだ。

それを”変形”してまでも、君を手に入れたいとは思わない)」

幸福なだけの日常は直ぐに過ぎ去っていった

任務に向かう前夜、母さんは訓練兵団へ向かう前日と同じく

赤いトマトでハヤシライスを作ってくれた

母さんは”2人で助け合って生きて欲しい”という事を僕達に伝え

そして、また泣いた

次の日

壁外へ向かう調査兵団へ合流する為の馬車に向かう

ミカサは僕に言う

ミカサ「戦場が混乱したら、私の所へ来て

私は貴方を守る」

エレン「ありがとう。でも僕はもう子供じゃない

ミカサの世話にはならない。」

ミカサ「貴方の気持ちは理解した。でも1つだけ 死なないで」

それからの事は余り覚えていない

「(僕の記憶はそこで止まった)」

それからの僕は余りに暗く余りに静かだった

僕は深く眠ってしまいたかったが、

時間と感覚について考えると、僕の頭は酷く傷んだ

五感で触覚だけははっきりしているようだ。意識もある。

しかしは僕は混乱した。正気を保つのは容易な事ではなかった

時間がどれだけ過ぎたか把握できない

音も光もない空間で

全てがまったく同じ状況だった

ただ永延と

僕は息苦しさと身体の節々の傷みが走り

出来る限りの力で暴れてみた

すると身体に針が刺さり、僅かに感じ取れた触覚の感覚さえなくなった

僕は深い眠りに付き、そして、理解した

僕は"ダルマ"になったんだ

医療班「こういう特殊な患者を観察出来るという事は

医師として絶好のチャンスじゃないか。人類の為にも彼は必要だ」

調査兵団「しかし、彼の家族にはどう伝えますか?彼の意志を反映させず

この様な状態で生かし続ける事は彼の尊厳にも関わります」

医療班「他の多数の負傷者を救うためにも、彼には研究材料として、生きる資格があるのだ。

彼自身、何か直接の手柄はなくても、それは人類にとって大きな反撃の糧となる」

医療班「家族に伝える必要はない。身元不明の死傷者、それだけで十分だ

大丈夫だ、彼には意識がない。反射的に肉体痙攣を起こす時は沈静剤で抑制すればいい」

身元不明の死傷者

研究材料として、僕は生かされる事になった

僕はこの恐ろしい感覚の中で正気を保つ事に神経の全てを費やした

時間の感覚なんて概念はとうに捨てた

どれくらいの時間が過ぎたのか知る術もなかった

定期的に身体に針が刺さり、身体の傷みを感じ暴れると沈静剤を打たれた

そして僕は過去の事、家族の事、仲間の事、ミカサの事を考え

真っ暗な世界で時間を費やした

長い冬が去り、春になると、ミカサとトマトの苗を植えにいく

5月の終わり色付き始め、収穫が終えると母さんにトマトのパスタを作ってもらう

僕とミカサはハムエッグとサンドウィッチとサラダを食べ、それから図書館へ出掛ける

僕は本も読まずにウィリアム・テムごっこをして過ごす

ミカサはジャンキーを読んだり、ダッチシュルツ最期の言葉などを読んでいる

昼食にオレンジとバターをたっぷり塗ったト―ストを食べ

ジャクジャクジャックソンとか訳の分からない事を言いながら石を蹴って遊んだ

陽が沈み帰り途、ひろしが酒を飲んで仕事をサボっていたから僕は脚を蹴った

ひろしはそれはそれは激怒したそうだが、酔っぱらっていて脚元もおぼつかない

これ幸いと石ころを投げつけ、帰ってきた

「そんな事で巨人が攻めてきた時大丈夫なのかよ」

父さんが内地の診療を終え、帰ってきた。父さんはシフォンケーキを買ってきてくれた

僕は急いで包丁とお皿を用意して、出来る限る均等になるよう切った

ミカサ「エレンの分が大きい」エレン「見る角度のせいだって、ほら、ここから見ると

ミカサのケーキの方が大きく見えるぞ?」ミカサ「嘘じゃなくて?」

エレン「こういう事で嘘は付かない!」ミカサ「本当に?」エレン「そう感じるんだ!」

ミカサ「エレンはチョコレートと私どっちが好きなの」

エレン「ミカサ」

ミカサ「貴方が私を好きな事を示して欲しい」

エレン「勃起しているよ」

ミカサ「見せて」

目を覚ましたのに真っ暗だ

こんなの無理だ

死にたい!

お願い、もう無理だ

助けて、助けてよ、母さん、どこ行っちゃったの?

ミカサ、どこ行っちゃったの?

母さん、ミカサ、悪夢に閉じ込められて起き上がれないんだ

母さん、ミカサ、何処行っちゃったんだ、助けてよ、助けてよ、助けてよ

死にたい、お願い、もう無理だ、助けてよ、助けて、ミカサ、助けてよ

怖いよ、怖いよ、怖いよ、怖いんだ、誰かが僕に針を刺すんだ、腕がないんd

足がないんだ、口がないんだ、目がないんだ、耳がないんだ、

こあいよ、こわいよ、こわいよ、こわいよ、こわいよ、こわい、こわい、こわい

助けて、僕っを助けて、家に帰して、たすけて、こわいんだ、無視しないで、殺して)

僕は考える事を止め、いつ終わるかもわからない暗闇の中を

ただひたすら過ごした こうして数年の月日が流れた

なんかもう完全にジョニーは戦場へ行ったになりそうなんて止めます

首を振ってモールス信号として相手へ意思疎通を送る事を考える

意識がある事を医療班が確認する

研究資料としての成果が上がらず、金の無駄と安楽死させる方向

ミカサ知る

調査兵団の給料使ってエレンをチューブに繋げる・生存を続ける

ミカサとカタワエレンのラブラブ展開

ミカサ、巨人に食われ死亡

エレン絶望

ミカサ「起きて、エレン」

エレン「なんだ夢か」

こんな感じにしようと考えてました。終わり

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