カルラ「エレンがヘタレすぎるせいで私が巨人化した」(116)

エレン「うあああああ、母さん! 早く出てきてよおおおお!!」

カルラ(くっ……家が壊れ、私は既に脚が潰れている……)

カルラ(このままでは全員……!)

カルラ「エレン、ミカサを連れて逃げなさい! 早く!!」

エレン「うん、分かった」

カルラ「えっ」

エレン「ほら、逃げるぞミカサ! 急げ!!」

ミカサ「そんな! おばさんを置いて逃げるなんて……!!」

エレン「母さんの最後のお願いを聞けないのか! いいから逃げるぞ!!」スタタター

ミカサ「は、離してエレン! ……お、おばさあああああん!!」

カルラ「えっ」

カルラ「……えっ」

巨人「」ズシーンズシーン

カルラ(えっ、これマジで食われるじゃん)

ハナシテー エレーン
ダメダー ハヤクニゲルンダー

カルラ(あの野郎、一度も振り返らずに全力で走ってやがる……しかも結構速いな)

カルラ(なんて息子だ)

エレン「はぁ……はぁ……こ、これなら船まで逃げきれるぞ! もっと急げ、ミカサ!」

ミカサ「うわあああああああああん!!」

カルラ「この……」

カルラ「裏切りもんがああああああああああああああああああああああ!!!」

ピカアアアアアアアアアアアアアン!!

エレン「」

カルラ巨人「」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

エレン「…………」

エレン「母さんが……巨人に変身した」

ミカサ「」

カルラ巨人「ウオオオオオオオオオオオオオアアアアアアアアアア!!」

バキイイイィィィ!!

巨人「ギャアアアアアアアアアア」

エレン「母さんつえぇ……巨人を拳一つで粉砕しやがった……」

ミカサ「怖い」

エレン「怖いな」

ミカサ「超怖い」

エレン「こりゃ当分母さんには逆らえないな」

ミカサ「うん」

ハンネス「確かこっちにイェーガー家が……」タッタッタッ

カーサンコエー
オバサンツエー

ハンネス「!! エレン! ミカサ! 無事か!!」

エレン「あ、ハンネスさん」

ハンネス「確かイェーガー先生は朝から出張だったな……なら無事か。カルラのほうは!?」

エレン「あぁ、母さんなら……」

カルラ巨人「オラオラオラオラアアアアアアアアア!!!」ゲシゲシ

巨人「イダダダダダダ」

ハンネス「」

ハンネス「巨人が……巨人を……」

ハンネス「虐めてる……」

キース「勝ったな」
グリシャ「ああ」

エレン「いや、虐めてるほうは母さんなんだ」

ハンネス「えっ」

エレン「母さん、もう充分だよ! 早く逃げよう!!」

カルラ巨人「」コクリ

ズーンズーン

ハンネス「普通に歩いてこっち来たぞ」

エレン「そうだね」

ハンネス「……お前の母さん、あんな怖い顔してたっけな」

エレン「俺がオネショするとああいう顔になるよ」

ハンネス「そうか」

フーゴ「くっ……急げ!! 早く閉門するんだああ!!」

鎧の巨人「」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

兵士A「なんだあの巨人は……」

鎧の巨人「」ズンズンズンズンズンズンズン

兵士B「まずい、こっちに突進してきた!!」

フーゴ「う、撃てえええええええ!! 撃つんだああああああ!!!!」

カキーン!カキーン!

兵士C「なんだあいつ……!!」

兵士D「砲弾が効かないだと……!!!」

フーゴ「た、退却だああああ!! 門を閉じろおおおおお!! 突っ込んでくるうううううう!!!」

兵士E「もう駄目だああああ!!!!!!」

カルラ巨人「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

バキィ!

鎧の巨人「ギャアアアアアアアアアアアアアアア!!」

カルラ巨人「オラァ! シネェェェェェェ!!」ゲシゲシ

鎧の巨人「イタイイタイイタイッテ ソコハヤバイッテ」

フーゴ「……あの巨人、鎧の巨人の股間を執拗に……!」

兵士A「あまり見ていて気持ちよくはありませんね」

フーゴ「まぁ……男としてはな」

兵士B「つってもあいつ、付いてないっすよ」

フーゴ「でも……痛そうだろ?」

兵士C「痛そうですね、凄く」

兵士E「いっそうなじを狙ってやれよ」

エレン「母さんつえーなぁ……」

ミカサ「鎧さんちょっと可哀想」

ハンネス「あの光景……イェーガー先生と喧嘩する時によく見たな」

エレン「母さんってなかなか鬼畜だったんだな」

カルラ巨人「オラアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

エレン「あ、母さんが鎧の巨人を投げ飛ばした――」

ドカアアアアアアアアアン!!

門「」バラバラ

エレン「」

ミカサ「」

ハンネス「」

フーゴ「門があああああああああああああああ」

兵士A「結局あの巨人も敵じゃないですかあああ!!」

兵士B「くそっ、やっぱり巨人が味方になるなんてありえなかったんだ……!」

兵士C「は、早く避難をおおおおおお!!!」

兵士D(なんか、うっかりやっちゃったようにも見えたが……)

カルラ巨人「…………」

カルラ巨人「テヘッ」

兵士D(やっぱうっかりだな)

鎧の巨人(俺がボコられる必要あったのかな……)ボロボロ

カルラ巨人(どうしよう……)

カルラ巨人(せっかく壁を守ろうとしたのに、ついうっかり壊してしまった)

カルラ巨人(これ人間に戻ったとしても絶対処刑じゃないかしら……)

エレン「母さーん」

カルラ巨人(エレンが呼んでる)

エレン「わりとマジで駐屯兵団が狙ってきてるから早く逃げてー」

カルラ巨人(は?)

フーゴ「撃てええええええ!! 標的はあの巨人だあああああ!!!!」

兵士ども「「「うおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」

カルラ巨人(やばいやばいやばい、もう既に処刑されそうなんですけど)

カルラ巨人(逃げろおおおおおおおおおおお)スタコラサッサー

フーゴ「逃がすな!! 撃ちまくれえええ!!」

兵士ども「「「おらあああああああああああ!!!」」」

カルラ巨人(くっ、このままじゃ本当に殺される……!)

フーゴ「あのオバサン巨人を粉砕するんだああああ!!!!」

カルラ巨人(…………)

カルラ巨人(は?)

カルラ巨人(……は?)

ハンネス「ん、なんだ? カルラのやつ、足元の石を持ち上げて……」

カルラ巨人「クラエヤアアアアア!!」

ドゴーン!!

フーゴ「ぎゃあああああああああ」

兵士A「大砲がああああああああああ」

ミカサ「あ、あの技は……!」

ハンネス「知ってるのかミカサ」

ミカサ「おじさんが一度だけ、おばさんに『シワ増えた?』って聞いた時に炸裂した、石投げ……」

ミカサ「おじさんの眼鏡すら貫通して眼球を潰しにかかる……!!!」

ハンネス「そ、そうか」

エレン「よく失明しなかったよねっていつも思う」

ハンネス「大砲のみを粉砕し兵士を一人も犠牲にしてないあたり、さすがだな」

フーゴ「くっそおお、撤退だあああ! 全員撤退!!!!」

ゾロゾロ

カルラ巨人(はぁ……はぁ……やっと行ったわね……)

カルラ巨人(でもさすがに体力が限界……)

パラパラ

エレン「あ、母さんが蒸発していく……!」

ハンネス「待て、うなじから……カルラ本人が出てきたぞ!」

エレン「母さん……母さああああああん!!」スタタター

ミカサ(母さん置いて逃げた時のほうが足速かった気がするけど、気にしてはダメよミカサ)

カルラ「う、うぅ……エレン?」

エレン「母さん……母さん! 無事でよかったよおおおお!!」

カルラ「たわけが!」ボコォ

エレン「ぶほおおっ」

カルラ「このダメ息子は! いつもは全然言うこと聞かないくせに、どうしてさっさと逃げたの!? 逆にビックリしたわ!!」ボコッボコッ

エレン「痛い痛い! 顔はやめて顔は!」

ミカサ「息子の顔面をためらいもなく殴る……さすがおばさん」

ハンネス「あなたの息子さん、だんだん顔つき変わってきてますよカルラさん」

こうして巨人の進攻により、人類の活動領域はウォール・マリアからウォール・ローゼまで後退した。

内門を破壊した巨人は『熟女の巨人』と呼ばれるようになったものの、その正体が彼女であることは世間にバレずに済んだ。

しかし、この力を活かして人類に貢献したいと誓った彼女は「自分も訓練兵団に入れて欲しい」という結構な無理難題をハンネスに頼み込んだ。

正直無理だよねと一時は諦めかけたハンネスだったが、あれやこれやと根回しをして、なんとかカルラを入れさせてもらうことに成功した。

こうしてカルラ・イェーガーは訓練兵団に裏口入学した。

キース「おい、貴様は何者だ!?」

アルミン「シガンシナ区出身! アルミン・アルレルトです!!」

キース「そうか! バカみてぇな名前だな!! 親がつけたのか!?」

アルミン「祖父がつけてくれました!」

キース「アルレルト! 貴様は何しにここに来た!?」

アルミン「人類の勝利の役に立つためです!!」

キース「それは素晴らしいな!! 貴様には巨人のエサにでもなってもらおう!!」

キース「3列目、後ろを向け!」

ザッ!

キース(さて、次は――)

カルラ「…………」

キース「…………」

カルラ「…………」

キース「えーと……」

キース「き、貴様は何者だぁ!?」

カルラ「はっ! シガンシナ区出身、カルラ・イェーガーです!!」

キース「そ、そうかぁ! 良い名前だなぁ!!」

キース「しかし……き、貴様、歳はいくつだ!?」

カルラ「…………」

キース「いや、そこで黙られても困るんだが」

カルラ「レディーに歳を聞くなんて……失礼じゃありませんか?」ニッコリ

キース「!!??////」

キース「そ、その通りだ……失礼した」

カルラ「分かってくださればいいんですよ」ニコニコ

キース「…………」

キース(結婚しよ)

~入団式後~

サシャ「ひいいいいいいい!!!」タッタッタッ

コニー「あの芋女、まだ走らされてるぞ」

エレン「すごいな、5時間ぶっ通しか」

カルラ「大丈夫かしら」

アルミン(駄目だ、おばさんが兵団服着て隣に立ってることに圧倒的違和感が)

マルコ「ところで君は出身とか普通に聞かれてたけど、どこだったっけ?」

エレン「俺は母さ――カルラとアルミンと同じ、シガンシナ区だ。そこから開拓地に移って……12歳になるまでそこにいた」

マルコ(今、母さんって言いかけたよな……)

マルコ(いや、そもそもその女の人が僕達と同世代と言うには無理がありすぎるような……)

コニー「ってことはよ、『その日』もいたよな、シガンシナ区に! 見たことあるのか、超大型巨人?」

マルコ(凄いな、こいつは何の疑問も感じちゃいねぇ……)

~食堂~

エレン「だから見たことあるって……」

「本当か!?」
「どのくらい大きいんだ!?」

エレン「壁から首を出すぐらいだ……」

「何!? 俺は壁を跨いだと聞いたぞ!」
「私も!!」
「俺の村でもそう言ってた!」

エレン「いいや……そこまでデカくはなかった」

「どんな顔だったの?」

エレン「皮膚が殆ど無くて、口がデカかったな」

「じゃ、じゃあ、ウォール・マリアを破った『熟女の巨人』は!?」

エレン「!? え、えーとぉ……」チラッ


カルラ「ほら、こうやると上手に編めるでしょ?」

クリスタ「凄い! 編み物上手なんですね、おばさん!」

カルラ「は?」

クリスタ「すみません」


エレン「……怒ると小さい子でも容赦無いんだ……」

「え?」

「じゃあ、『熟女の巨人』に股間を蹴られたあげく、門に投げ飛ばされたっていう『鎧の巨人』は?」

エレン「そう呼ばれてるけど、あいつ門破れなかったくせになんで”鎧の”なんて呼び名が付いたのか未だに分かんねぇ……」

ライナー「…………」

ベルトルト「泣いちゃ駄目だライナー」

「じゃ、じゃあ……普通の巨人は!?」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

カルラ巨人「ウオオオオオオオオオオオオオアアアアアアアアアア!!」

バキイイイィィィ!!

巨人「ギャアアアアアアアアアア」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

エレン「うっ…………」カラン

「「「!?」」」

マルコ「みんな、もう質問はよそう。思い出したくないこともあるんだろう」

コニー「す、すまん! 色々と思い出させちまって……!」

エレン「いや……違うぞ」

マルコ「え?」

エレン「巨人なんてな……実際大したことねぇな」

エレン「いや……ほんとに……大したことなさすぎて……見ていてもう……」

~翌日~

キース「まずは貴様らの適性を見る! これができない奴は囮にも使えない! 開拓地に移ってもらう!!」

眼鏡「これはまだ初歩の初歩だが、この段階から立体機動の素質は見てとれる」

眼鏡「見ろ……あの子だ」

カルラ「」グルングルングルングルン

眼鏡「ブレしかない」

眼鏡「何をどうすればいいのかすべて分からないのだろう……素質とはそういうものだ」

兵士(いやぁ、あれは素質以前にお年が……)

カルラ「」ギロッ

兵士(あかん、目を合わせたらあかん)

エレン(母さん……俺でも普通にできたのに)

ミカサ(おばさん、回りすぎて貞子みたいになってる)

キース「な、何をやってるカルラ・イェーガー。上体を起こせ」

カルラ「うっさいわね! 今やろうとしているじゃない!!」

キース「ごめん……」

エレン「母さん! 上体をもっと、こう……上げるんだ! ニュアンスが伝えづらいけど!!」

カルラ「待ってなさいエレン、母さんはこの程度で屈したりはしないわ」

カルラ「必ずやこの訓練を乗り越え、巨人どもを駆逐してやるのよ!!」グルングルングルングルン

エレン「母さああああああん!!」

キース(せめて親子関係ぐらいは隠せよ)

~その夜~

ライナー「ししししし姿勢制御のコツかああああ……」ビクビク

カルラ「お願い! 二人とも上手いって聞いたわ! ベルトルト、ライナー!」

ベルトルト(何でこの人、当たり前のように男子寮にいるんだろう……)

ライナー「すすす、すまんが……ぶら下がるのにコツがいるとは思えん」ビクビク

ライナー「期待するような助言はできそうにないなあああああ……」

カルラ「あなた、なんだかさっきから私のこと怖がってない……?」

ライナー「ひぃ!! そんなことありません!! お願いだから投げ飛ばさないで!」

カルラ「?」

ベルトルト(ライナーのトラウマは深い……)

ベルトルト「君は、シガンシナ区出身だよね?」

カルラ「ええ、そうよ」

ベルトルト「じゃあ……巨人の恐ろしさを知ってるはずだ。なのに……どうして兵士を目指すの?」

カルラ「いや、そんなに恐ろしくもなかったし……」

ベルトルト(ですよねー)

カルラ「むしろちょっと可愛らしかったぐらいだわ!」

ライナー(あんたはその可愛らしい巨人に何をした)

~翌日~

キース「カルラ・イェーガー、覚悟はいいか?」

キース「これができなければ開拓地に移ってもらう」

カルラ(やる! 私は絶対にやる! 私には素質がないかもしれないけど……)

カルラ(根性だけは誰にも負けない!)

キース「では、始めろ」

カルラ(理屈なんて知らない! 根拠もない! でも私にはこれしかない!)

カルラ(これが――――)

カルラ「私の武器だ!!!」



グルングルングルングルン

キース「」

全員「」

カルラ「」グルングルングルングルン

キース「わ、ワグナー! 今すぐベルトの装備を交換してあげるんだぁ!!」

ワグナー「えっ、なんで」

キース「早くしろおおおおおお!! このままじゃカルラさんが開拓地へ行ってしまうだろおおおおお!!!!」

ワグナー(必死すぎだろ)カチャカチャ

キース「よし、装備を交換した……」

キース「カルラ・イェーガー! もう一度やってみたま――」

カルラ「」グルングルングルングルン

キース「Oh…………」

エレン(まずい、このままじゃ母さんが!)

ミカサ(開拓地行きは免れない……)

アルミン(むしろなんで入団式で免れたんだ)

キース「…………」

キース「ふっ……」

キース「はっはっはっ! 素晴らしいぞカルラ・イェーガー!!!」

「「「!!??」」」

キース「そのような回転運動……並の訓練兵には真似できないだろう!」

キース「これほどの素質を持つ人材……開拓地へ送るにはあまりにも惜しい!」

キース「よってカルラ・イェーガーは合格とする!!!!」

アルミン(色眼鏡だああああああああああああああああ)

ワグナー「だ、駄目ですよキース教官! この訓練を乗り越えられなかった者は開拓地行きという決まりで――」

キース「うるさい黙れ」

キース「これは決定事項だ。カルラさんはこれからも訓練兵としてここで励んでもらう」

ワグナー「しかし!」

カルラ「ワグナーさん」

ワグナー「このようなエコヒイキを認めるわけには!」

カルラ「ワグナーさん」ゴゴゴゴゴゴ

ワグナー「あ、はい」

エレン「母さんの笑顔はスゲーや」

こうしてなんとか開拓地行きを免れたカルラ・イェーガーは、日々の訓練に全力を投じるようになった。

彼女の成長は凄まじく、とても初日にロープで回転していたとは思えないほど変わっていった。
むしろキース教官の読み通り、立体機動能力は異様に伸びた。

そして、ついに訓練兵団は卒業を迎えることとなる。

上官「本日、諸君らは『訓練兵』を卒業する……」

上官「その中で最も訓練生席が良かった上位10名を発表する。呼ばれた者は前へ」

首席 カルラ・イェーガー

2番 ミカサ・アッカーマン

3番 ライナー・ブラウン

4番 ベルトルト・フーバー

5番 アニ・レオンハート

6番 ジャン・キルシュタイン

7番 マルコ・ボット

8番 コニー・スプリンガー

9番 サシャ・ブラウス

10番 クリスタ・レンズ

エレン「…………」

エレン「えっ」

~食堂~

ジャン「やったぜー! これでこのクッソ息苦しい最前線の街から脱出できる!」

ジャン「内地での安全で快適な暮らしが俺達を待ってるぜー!!」

カルラ「」ボコッ

ジャン「ぎゃああああああああああああああ」ビターン

カルラ「あなた、内地が快適とか言ったわね。この街も5年前まで内地だったのよ」

カルラ「ジャン……内地に行かなくても、あなたの脳内は”快適”だと思うわ」

ジャン「いや、そのですね……」

カルラ「」ドゴォ

ジャン「まで何も――!?」バターン

エレン「や、やめなよ母さん」

カルラ「エレン、どうしてあなたは10番以内に入れなかったの!?」

エレン「えっ……だって俺じゃあ無理だし」

エレン「俺なんかがどんなに頑張っても憲兵団なんて入れないよ……」

カルラ「このヘタレ息子がっ!!」バシンッ

エレン「平手打ちっ!?」ブホォ

アルミン(ジャンにはグーだったのに、息子にはパーなのか……)

ミカサ(もしかしたら案外おばさんは親バカなのかもしれない)

~翌日~

ミーナ「ちょ、ちょっとサシャ、なに食料を盗んできてるの」

トーマス「そうだぞ、早く戻してこい!」

サシャ「大丈夫ですよ」

サシャ「土地を奪還すればまた……牛も羊も増えますから」

全員「…………」

「なるほど」
「そういうことか」

エレン「お、俺のぶんの肉も残しておけよサシャ」

「俺もだ」
「私もよ!」

カルラ(あれから……5年が経った)

カルラ(3分の1の領土と2割の人口を失ってようやく、人類は尊厳を取り戻しつつある)

カルラ(勝てる……人類の反撃は、これからよ――)

超大型巨人「」シュウウウウウウウウウウウウウ

「う、うあああああああああああああああ」
「超大型巨人だああああああああああ」
「ひいいいいいいいいいいいいい」

エレン「まずい、逃げるぞみんな! 正直勝てる気しない!!」

カルラ(一匹……残らず!!)

カルラ「固定砲整備4班! 戦闘用意!!」

カルラ「目標目の前! 超大型巨人!!」

カルラ「これはチャンスよ! 絶対逃がすなあああああああああ!!」プシュー

超大型「」ビクッ

エレン「無理だよ母さあああああああああああああああん」

カルラ「そんなことはないわ、エレン……」

カルラ「私にはあの力があるのよ!」

エレン「!? まさか母さん、やるんだな! 今、ここで!?」

超大型(アカン)

カルラ「うおおおおおおおおおおおおお思い知れえええええええええええ人類の仇いいいいいいいいいいい」

ピカーン!!!

カルラ巨人「」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

超大型「」

超大型(ライナアアアアアアアアアアアアア!!アニイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!助けてくれええええええええええええええええええ!!!!)

「カルラさんが巨人に変身しただと……」
「マジ?」
「よく分かんねぇけど、なんか頼もしいぞ!!」
「……なぁ、あれって噂の『熟女の巨人』じゃね?」

カルラ巨人「カタキイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ」

サシャ「あ、あの巨人……15メートルしかないのに、どうやって超大型巨人に立ち向かうんですか!?」

ミーナ「いや、よく見て! あの巨人……」

カルラ巨人「」プシュー

ミーナ「立体機動装置を身につけているわ!!!」

エレン(装置デカくね)

カルラ巨人(5年ぶりね……)プシュー

超大型(なんか飛んできたあああああああああああああ)

カルラ巨人(あなたの顔……どこか見覚えがある気がするけど、きっと気のせいよね)

超大型(まずい、このままじゃ本当に殺されてしまう!!)

ドシーンドシーン

コニー「超大型巨人が逃げ出したぞ!!」

エレン「でも……思ったより遅い…………!!」

カルラ巨人(!? あの走り方は……)

カルラ巨人「ベルトルト……?」

超大型「」

超大型「」

超大型(正体までバレたあああああああああ)

超大型(もはや人間に戻っても逃げ場がねえええええええええええ!!)

カルラ巨人(そう……あなた、ベルトルトだったのね)

カルラ巨人(どんな事情があるのかは知らないけど、ここで仲間を殺すわけにはいかないわ)

カルラ巨人(だから――)プシュー

超大型(!? うなじに寄ってきた!? まさか!!)

カルラ巨人(うなじごと噛みとる!!!!)

ブチィ!!

ベルトルト「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!おおおおおおおおお!?……お?おおおおおおおおおおおおおおおおほほほほほほほほほほおおおおおおおお!!!????」

エレン「あ、うなじからベルトルトが出てきた」

全員「…………」

カルラ「さて」

カルラ「どうしてこんなことをしたのか説明してもらおうかしら」

ベルトルト「ウッス」

カルラ「5年前に壁を壊したのもあなたね?」

ベルトルト「ソッス」

カルラ「まったくあなたは……」

カルラ「やっていい事と悪い事があるでしょ!!!」ムキー!

ベルトルト「……スイマセン」

エレン(正座させられている……)

コニー「なんだ? よく分かんねぇけど超大型巨人の正体はベルトルトだったのか!?」

カルラ「ほら、鎧の巨人の正体も吐きなさい。ついでに他にもいるならそいつも吐きなさい」

ベルトルト「いやー……それはちょっとマズイっすよ」

カルラ「今度は人間のままうなじを噛み切るわよ」ギラッ

ベルトルト「ライナーとアニです」

エレン(はえぇ)

カルラ「まったく……本当にあなた達は……」

カルラ「仕方ないわね、せめてあなた達が処刑されないように私が取り計らってあげるわ」

カルラ「その代わり! これからは人類のために精一杯尽くすのよ!! いいわね?」

ベルトルト「あ、ありがとうございますううううううう!!!」ウワーン!!

カルラ「ふふ、ほんといくつになっても子供ね」

エレン「か、母さん……取り計らうってどうやって」

カルラ「言うとおりにしないと内地で巨人化すると脅すわ」

エレン(脅すのかよ……)

こうして5年前から始まった人類の危機は去ることとなった。

ベルトルト、ライナー、アニの三人は、裁判の結果一生地下牢に閉じ込められ、時には人類のために働くことを強いられることにはなったが、処刑だけは免れたようだ。

いったいなぜ処分が甘くなったのかは世間に知らされていないが、なぜかカルラ・イェーガーの正体については調査兵団に知らされていた。

エルヴィン「というわけで、今日からよろしくお願いします……カルラ・イェーガーさん」

カルラ「あらあら、こんな私で良ければ!」

エレン「あの……俺もっすか?」

リヴァイ「その女が調査兵団に入団する条件として、お前も一緒に入ることを提示してきたんだ」

エレン「ちょっ……母さん! 俺には巨人と戦うなんて無理だって言ったろ!?」

カルラ「あんたはヘタレすぎなのよ! 少しは勇敢な男になりなさい!!」

カルラ「大丈夫よ、ミカサやアルミンも付いてくるって言うから」

ミカサ「安心して、エレン」

アルミン「僕達もついていくよ!」

エレン「むしろお前らのその勇猛さはどこから来るんだよ」

エルヴィン「というわけで、これからよろしくお願いします」ニッコリ

カルラ「あら//////」

エレン「え、母さん?」

カルラ「この団長さん……なかなか良い男じゃない/////////」

エレン「えっ……」

バタン!

グリシャ「カルラあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」ナミダー

終わり

くぅ疲
これでやっと5作目……
ぶっちゃけギャグセンスないから正直面白いかどうか自分でも分からない、ので楽しんでもらえたら嬉しい
次は何書こ……

今まで、書いた作品を教えてください。乙。

>>97
すまんな、ギャグSS自体今回が初めてだから期待できるようなものはないと思う……

一作目
サシャ「」ムシャムシャムシャムシャ エレン「…………」
二作目
エレン「巨人どもの小人化に成功しただって?」
三作目
クリスタ「朝、目を覚ますと巨大な虫に変身していた」
四作目
ミカサ「エレンがウォール教に入信した……」

今作もいつものノリで書こうと思ってたが、自分の中の何かがそれに打ち勝った

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年10月12日 (土) 19:27:56   ID: KRizeK7m

お母さんが巨人化なんて。

2 :  SS好きの774さん   2013年11月13日 (水) 15:58:16   ID: 9Zroy-yd

笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑

3 :  SS好きの774さん   2013年11月13日 (水) 15:59:46   ID: 9Zroy-yd

カルラ怖いだろ巨人を粉砕とかwwwwwww

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom