勇者「メガネを知りませんか?」 マスター「はい?」(131)

勇者「銀縁のメガネです。知りませんか?」

マスター「知りません」

勇者「おかしいですね。確かにその辺に置いたはずなのですが」

マスター「不注意な方ですね」

勇者「ええ、よく言われます」

勇者「ところで少し疑問なのですが」

マスター「なんですか?」

勇者「あなたはなぜ私の家にいるのですか?」

マスター「えっ」

勇者「えっ」

マスター「まさかとは思いますが」

勇者「はい」

マスター「あなたは今、自分がどういう状況なのかわかっていないのですか?」

勇者「若干混乱していますが、わかっているつもりです」

マスター「ほう」

勇者「まず、私は王に魔王の討伐の命を授かりました」

マスター「つまり、あなたは勇者様なのですか」

勇者「はい。ですので、自宅にて身支度をしていたのですが」

勇者「少々入浴していた隙に置いていたメガネが移動してしまいまして」

マスター「通りであなたは今タオル一枚なのですか」

勇者「おやおや」

勇者「つまり今あなたは、私の家に侵入し」

マスター「ほう」

勇者「入浴後、薄着の私を見ている」

勇者「これは、重大な犯罪ではないですか?」

マスター「そうでしょうか」

勇者「言い逃れはできませんよ。覚悟してください」

マスター「ここは酒場ですよ」

勇者「急に何を?」

マスター「ここは酒場で、私は酒場のマスターです」

マスター「その私、マスターの目の前に、タオル一枚でメガネを探しているのがあなたです」

勇者「ちょっと何を言ってるのかよくわかりませんね」

勇者「いいからメガネはどこでs」

マスター「話をすり替えないでください」

勇者「は、はい」

マスター「あなたは今、今の状況を理解しましたね」

勇者「い、いいえ、全くといっていいほどです」

マスター「なぜですか?」

勇者「酒場特有の騒々しさがありません」

マスター「ああ、それは」

勇者「どうです?そうやって狂言をはいてられるのも今のうちです」フンス

マスター「非常に申し上げにくいのですが」

マスター「あなたの姿にくぎ付けになっているからです」

勇者「 」

勇者「い、いえ。そんな妄言にはダマされません」

マスター「随分な言われようですね」

勇者「私の目には、いつものわが家の風景しか映っていませんから」

マスター「あなたの目が一番信用できません」

勇者「では、こうしましょうか」

マスター「なんでそんなに偉そうなんですか?」

勇者「あなたは、ここが酒場だということを私にわからせることができたら、あなたの勝ちです」

勇者「あなたが負けたら、メガネを探し出ししだい、行くべきところに突き出します」

マスター「私が勝った場合はどうなるのでしょうか」

勇者「私が羞恥で死にます」

マスター「死ぬんですか」

勇者「死にます」

勇者「想像してみてください」

マスター「はい」

勇者「あなたは目が不自由だとします」

マスター「目が不自由なていでいます」

勇者「入浴する際にメガネを外します」

マスター「世間がぼやけています。危ないです」

勇者「無事、入浴を済ませましたが、メガネがありません」

マスター「記憶を頼りに探します。置く場所を決めていなかった事を激しく後悔します」

勇者「するといつの間にか酒場にいます。死にます」

マスター「想像が途切れました。おかしいです。床の感触に気づくべきです。あなたの命はそんなに軽くはありません」

勇者「五感をフルに使って探しているのですから気づきようがありません」

マスター「一つ信用ならない感覚が混じっています。気が散っています」

マスター「いい加減にしてください。早く帰らないと湯冷めしますよ」

勇者「はくちゅ」ブルッ

マスター「言ったそばからくしゃみをしていますね」

勇者「そんな甘言に流されるほど私は甘くはありません」

マスター「意固地になっていませんか?」

勇者「なっていません。それにここは私の家です」

勇者「はやくここが酒場である証拠を出せばいいじゃないですか」

マスター「仕方がありません。では、傭兵の方をお呼びします」

マスター「魔法使いさん、いらしてください」

魔法使い「・・・お呼びですか」

マスター「これで、私の勝ちでよろしいでしょうか。でも死なないでくださいね」

勇者「なるほど」

勇者「こうなることは予想済みでした」

マスター「えっ」

勇者「このあたりの酒場は、冒険者に対して傭兵の斡旋もしています」

マスター「まさにそうです。実演しています」

勇者「しかしながらその事情を詳しく知るあなたは、前もって相方を用意」

勇者「酒場のマスターであると騙り、私の前に現れたのです」

マスター「言い掛かりです。私の前に現れたのはあなたです」

勇者「男二人で押し入るとはいい度胸です」

マスター「魔法使いさんは女性ですよ」

魔法使い「・・・はい」

勇者「声は確かに高いですが、そういう男性も世間にはごまんといます」

マスター「あなたは視野どころか別のところも霞んでいるのではないでしょうか」

勇者「視覚、聴覚も頼れないならば、触覚で確かめるほかありません。触ります」ムニッ

魔法使い「・・・あっ」ビクン

勇者「む、この感触、スライム系の魔物ですか。叩き切ります」

マスター「やめてください死んでしまいます」

勇者「切る剣がありません。見逃してあげます」

マスター「見えてないのに見逃すとはこれいかに」

マスター「しかしこれでは、酒場のようにお酒を出しても同じように言い返されてしまいます」

マスター「なんだかはめられた気分です」

勇者「大人しくお縄を頂戴するべきです」

魔法使い「・・・あのっ」ツンツン

勇者「スライム系の声ですね。何か用でしょうか」

魔法使い「・・・私のこれを」スッ

カチャッ

勇者「これは・・・少々度が合っていませんが、紛れもなくメガネ・・・」

マスター「・・・」

魔法使い「・・・」

勇者「あっ」





勇者「すみません、旅の仲間を募りに来たのですが」

マスター「開き直らないでください」




-おわり-

オナ禁中なので、紛らわすために書きました
虹ロリで抜いて寝ます

折角なので、ちまちま書いていきます
適当短編ですね。左手が忙しいです



勇者「あなたは魔物ですか?」 ハーピー「いいえ人間です」


魔法使い「・・・」

勇者「みてくれは完全に魔物ですが」

ハーピー「あなたはみてくれで人を判断するのですか?」

勇者「はい」

ハーピー「身も蓋もありませんね」

勇者「そうでないとしても、その腕から先が羽になっているのは誰も擁護できませんよ」

ハーピー「私が擁護できます」

勇者「それは言い訳です」

ハーピー「いいえ、れっきとした主張です」

勇者「ほう」

魔法使い「・・・また始まった」

勇者「では状況を整理します」

ハーピー「どうぞ」

勇者「私とスライム系は酒場で出会い、私が雇う形で、こうやって旅をしていました」

魔法使い「・・・スライムじゃないです。ひがまないで」

勇者「ひがんでいません」

勇者「そして、ここで魔物に襲われましたが」

勇者「大半の撃退に成功し、残るは腕から羽が生え、鳥のような足を持った」

ハーピー「ちょっと待ってください」

勇者「はい」

ハーピー「最後あたりに悪意を感じます」

勇者「別段悪意を込めた気はありませんが」

ハーピー「描写が繊細すぎます。卑猥です」

勇者「卑猥ですか」

ハーピー「卑猥です」

ハーピー「あなたは例えば、私が高度なコスプレイヤーだとは思わないのですか?」

勇者「つゆ程も思いませんでしたが、言われてみればそんな気もしますね」

ハーピー「人間にも魔物のコスプレという、わりかしニッチな嗜好を持つものはいます」

勇者「人間事情にくわしいですね。人間味が増してきました」

魔法使い「・・・みてくれは十分魔物」

勇者「おっと、惑わされるところでした。あなたは魔物です」

ハーピー「違いますコスプレイヤーです」

勇者「そうでした。コスプレイヤーでした」

勇者「しかし、コスプレイヤーが羽ばたきながら地面から浮くでしょうか」

ハーピー「おやおや」

ハーピー「ハイレベルなハーピーのコスプレイヤーは羽ばたきで宙に浮けるのです」

勇者「ちなみにレベルはいかほどなのですか?」

ハーピー「85くらいです」

勇者「なるほど。かなりその道を極めているのですね」

ハーピー「ここまでくるのに5年かかりました」

勇者「努力の結晶ということですね。素晴らしいです」

勇者「ところであなたは魔物ですか?」

ハーピー「いいえハーピーです」

勇者「えっ」

魔法使い「・・・」

ハーピー「あっ」

勇者「今あなたはハーピーと」

ハーピー「いえ、ですからハーピーのコスプレをしたコスプレイヤーです」

勇者「なるほど、やはりそうでしたか」

ハーピー「はい。あまりにも唐突だったもので、思わずだいぶはしょってしまいました」

ハーピー「なりきっていると、ふと、自分は本当にハーピーなのではないか、と思ってしまうときもありますから。不可抗力なのです」

勇者「ということは、熱心なコスプレイヤーであり、魔物ではないということで認めてしまってもよろしいですか?」

ハーピー「はい。私は魔物ではなく、ハーピー・・・のコスプレイヤーです」

ハーピー(危ない危ない・・・また間違えるところでした)

勇者「ん?何を間違えるところだったのですか?」

ハーピー「!?」

ハーピー「あなたは相手の心が読めるのですか?」

勇者「はい。勇者なので」

ハーピー「ちなみにレベルはおいくつですか?」

勇者「気持ちは85レベルです」

ハーピー「なるほど、意識高い勇者なのですね」

勇者「はい。平和を願わない日はありません」

勇者「ところで話は戻りますが」

勇者「何を間違えるところだったのですか?」

ハーピー「それは・・・ハーピーとコスプレイヤーを言い間違え・・・というか・・・むぐぐ」

勇者「先ほども間違えたのに。注意力散漫なお方ですね」

魔法使い「・・・あなたが言えた義理じゃない」

勇者「むぐぐ」

勇者「はっと」

魔法使い「・・・はっと?」

勇者「そういえばコスプレイヤーとはそのキャラになりきるわけですから」

勇者「中身は人間のはずです。外装を剥ぎ取れば正体を暴くことができます」

魔法使い「・・・なるほど。少し見直した」

勇者「勇者ですから」

ハーピー「そんな簡単なことに気づいていなかったのですか」

ハーピー「しかしながら単純かつ最高な見分け方ですね」

勇者「ということで、まずは剥ぎ取るべく引きずり下ろします」

ハーピー「待ってください。物凄く乱暴な響きがします。物騒です」

勇者「優しく引きずり下ろします」

ハーピー「引きずりが要りません。悪意を感じます。やましさ満点です」

ハーピー「やめてください、無理やりやられると墜落します」

勇者「たかだか30cmくらいじゃないですか」

ハーピー「打ち所が悪いと死にます」

勇者「それは危ないですね」

勇者「下になにか柔らかいものを敷けば・・・あっ」

勇者「・・・」ジーッ

魔法使い「・・・なに」

勇者「スライム系、出番ですよ」

魔法使い「・・・ボソッ」攻撃力UP↑

勇者「静かなる殺意を感じました。仕方がありません」

勇者「私が優しくキャッチしますので、私の胸に飛び込んできてください」

ハーピー「緩衝材がありません。死にます」

勇者「引きずり下ろします」ガシッ

ハーピー「あっ、やめっ」バタバタ

勇者「引きずり下ろしました」

ハーピー「引きずり下ろされました・・・」

勇者「さて。それでは正体を暴くべく、羽やら何やらむしり取ってやりましょう」

ハーピー「卑猥です。破廉恥です」

勇者「卑猥上等。破廉恥結構。こんな森の中で恥も外聞もありません。ばれなければいいのです」

ハーピー「ゲームやめなさいと言われたのにトイレの中に持ち込んでこっそりする子供ですかあなたは」

勇者「何の事だか。ではひんむきます」

ハーピー「く、こうなったら、かくなるうえは・・・」

ハーピー「・・・」パタリ

勇者「おや」

魔法使い「・・・」

ハーピー「・・・」





魔法使い「・・・」コチョコチョ

ハーピー「う・・・ひひっ、わ、脇腹はっ、やめっ」ピクピク

勇者「・・・」




-おわり-

ろくなオチを思いつきませんでした
抜いて夕飯の支度です

そうですね
無属性路線のつもりがお恥ずかしながら性欲に負けてしまいまして



勇者「魔法を見せてほしいのですが」魔法使い「・・・なぜ?」


勇者「魔法を見たいからです」

魔法使い「知ってる」

魔法使い「・・・急に改まって、何?」

魔法使い「魔物とかに・・・普段使ってるのに」

勇者「そのですね、戦闘中だとなかなかよそ見ができないもので」

勇者「ちらとは見えてもまともに見たことがないのです」

魔法使い「・・・そう」

勇者「ついでにいうと私は魔法の才がなく、魔法が使えないので」

勇者「その点については尊敬の念を抱いていますし、スライム系な所に若干の畏怖の念も抱いています」

魔法使い「・・・ボソッ」攻撃力UP↑

勇者「おお、魔法一つ目ですね。今のはこれを見たいがための狂言なのでお気になさらず」

魔法使い「・・・そう」

勇者「そういう魔法を見るかぎり、補助魔法が得意なのでしょうか」

魔法使い「・・・まぁ・・・そう」

勇者「しかし、かけられたときは何となくかかっている実感はしますが」

勇者「今現在かかってない私からしてみれば、至って普通のスライム系に見え」

魔法使い「・・・」ゲシゲシゲシ

勇者「あっ、まっ、軽い効果音の割に凄まじい痛さです」

勇者「ひどい鈍痛でした。骨に来ますね」

魔法使い「・・・フンッ」

勇者「しかしながら、効果のほどは痛感したのですが、やはり味気ないですね」

勇者「魔法といえば、やはり攻撃魔法じゃないですか」

魔法使い「・・・そう?」

勇者「はい。憧れます」

勇者「攻撃魔法といえば、炎・氷・風、果ては雷といった天変地異的なものまであると聞いています」

勇者「そこで、今回はそれを遺憾無く発揮してもらうべく、この方に協力してもらいます」

ハーピー「こんにちは」

魔法使い「・・・ハーピーだよね」

勇者「はい。コスプレイヤーのハーピーです」

勇者「正直魔物のハーピーなのかハーピーコスプレイヤーか判断がつきかねたのですが、やはりコスプレイヤーの線が有力であると思いまして」

ハーピー「アイ アム コスプレイヤーです」

魔法使い「・・・」

勇者「なぜだまってしまったのかはさておき、今回この方にやっていただくのは」

勇者「砂袋です」

ハーピー「砂袋ですか?」

勇者「ユー アー サンドバッグです」

ハーピー「ノーセンキューです。激しくノーセンキューです」

勇者「いいですか?ハーピー。これはあなたにしかできない仕事なのです」

ハーピー「任されません。断固拒否です」

勇者「普段から魔物を相手に使っているのですから、魔物の容姿であるあなたが的なら、本腰を入れて使えるというものです」

ハーピー「冗談はぬりかべ体型だけにしてください」

勇者「剥きます。頑として剥きます」ムンズ

ハーピー「あっいけません。羽はアロンアルファでくっついていることになっています」バタバタ

魔法使い「・・・空撃ちすればいい」

勇者「その発想はなかったです」

ハーピー「短絡思考が災いを招いた形になりましたね」

勇者「その点については反省しています。が、剥きます」ガシィ

ハーピー「あっ、ちょっと待ってください。服はハーピー成分となんら関係はありません」ジタバタ

魔法使い「・・・はぁ」

勇者「やられました。全身が痛みます」ズキズキ

ハーピー「めしうまとかいうやつです」

魔法使い「・・・見たいなら、そこでおとなしくしてて」

勇者「さすがの私もおとなしくせざるをえません」

魔法使い「じゃあ・・・いくから」

魔法使い「・・・ボソボソッ」

魔法使い「・・・やっ」ピッ

キランッ ドコーン

勇者「おお、何やら青白い閃光が飛んだように見えましたが」

勇者「派手かと言われるとそうともいえない微妙な心持ちです」

魔法使い「・・・使える攻撃魔法、あれだけ」

勇者「なんと」

勇者「ちなみにアレは雷ですか?」

魔法使い「・・・ただ魔力そのまま出してるだけ」

勇者「なるほど、ふんだんにある魔力をそのままストレートにぶつける」

勇者「実にスライム系らし・・・あ、いえ。なんでもありません」

魔法使い「・・・」

ハーピー「ちなみに私はチャーム系の魔法を使えますよ」

勇者「状態異常系の魔法を使えるのは感心ですね」

勇者「ですがよりによってチャーム系ですか」

ハーピー「随分といやみな言い方をしますね」

ハーピー「ゼロには何回かけてもゼロだと気づくべきですね」

勇者「ほう」

魔法使い「・・・」

勇者「着痩せ、という言葉を知っていますか?」

ハーピー「便利な言葉ですね」

勇者「逃げ口上などではありません。れっきとした現象です」

勇者「現実問題、今まさにこの場で起こっている現象なのですよ」

ハーピー「脱いだらすごいとかいうアレですか?」

勇者「そうです。そのアレです」

ハーピー「では実際脱いでしまえばこの押し問答も終結しますね」

勇者「あなたは気がふれたのですか?」

ハーピー「幾度も人をひんむこうとした人が発するセリフではありません」

ハーピー「恥も外聞もへったくれもないと言っていたのはあなたじゃないですか」

勇者「へったくれは言ってません」

魔法使い「・・・少し暗くなってきた。そろそろ宿屋n」

ハーピー「へりくつはいいので脱いでください」

勇者「私が脱いだところで後悔するのはあなたですよ?」

魔法使い「・・・ねえ」

ハーピー「そういう発言で自爆ダメージがうなぎ登りなのに気づかないのですか?」

勇者「そんなわけがありません。それどころかあなたは一致スカーフりゅうせいぐんばりのダメージを受けること請け合いです」

魔法使い「・・・」

ハーピー「それなら――」
勇者「ならば――」

魔法使い「・・・制圧」ボソッ

ゴッ

ハーピー&勇者「「!?!?」」ガクッ





勇者「・・・えっ、今のは・・・えっ」

魔法使い「・・・宿屋、先に行ってる」スタスタ

ハーピー「一瞬思考が飛びました。ガチ魔法です」ワナワナ

勇者「・・・後で謝っておきましょうか」

ハーピー「・・・完全同意です」




-おわり-



勇者「困りごとですか」村長「はい」


村長「大変重要なお話なのですよ」

勇者「むむ、何やら鬼気迫っているご様子」

勇者「私どもでよければ力になりましょう」

村長「おお!それはありがたい。ではこちらの部屋でお話しましょう」

村長「他のお方はこの村の名産の桃を用意しておりますので、お召し上がりながらお待ちくださいな」

ハーピー「はい。お言葉に甘えさせていただきます」

魔法使い「・・・わかりました」

村長「それでは」

パタン

ハーピー「実に色鮮やかでみずみずしくおいしそうな桃ですね」

魔法使い「・・・でも剥けてない」

ハーピー「剥いて食べろということでしょうか」

魔法使い「・・・どうやって剥くの?」ツンツン

ハーピー「刃物があれば普通は刃物で剥きますが」

ハーピー「熟して柔らかいものは手で剥けるみたいですね」

魔法使い「・・・ふーん」コロコロ

勇者『何やらおいしそうな桃でしたね』

村長『はい。今が旬でして・・・』

ハーピー「あちらも桃の話をしているようですね」

ハーピー「村長さんが大事な用件を告げる前に桃の話題をふったのは勇者さんでしょうね。口いやしい輩です」

魔法使い「・・・盗み聞きよくない」コロコロ

ハーピー「こうやって聞いていれば、勇者さんが説明する手間が省けるというものですよ」

ハーピー「それでは続きをば」

村長『あまり大きな声では言えないのですが』

村長『実はそれは、魔物なんですよ』

勇者『なんと』

ハーピー「・・・えっ!?!?」

魔法使い「・・・そろそろ食べよ」

ハーピー「魔法使いさん待ってください!!!」ドッキャァ

ズザザザァー

村長『岩のような魔物でしてね。桃を荒らす犯人なのですが、村人達の不安を煽りたくないのです』

勇者『なるほど』

魔法使い「・・・急にタックルしてきて、なに?」

ハーピー「そ、その桃は危険です。桃に非ずです」

魔法使い「・・・何言ってるの?」

ハーピー「村長さんが実は魔物だとおっしゃっていました」

魔法使い「・・・」

ハーピー「ほ、本当です。信用できないならば魔法使いさん食べてみてください」

魔法使い「・・・なんか気味悪い」

ハーピー「でしょう?」

村長『奴の住む場所は場所は南側の洞窟なのですが・・・』

勇者『ほう』

魔法使い「・・・でも村長は召し上がれといってた」

ハーピー「確かに・・・不確定要素が多いですね」

ハーピー「もう一度聞き耳を立ててきます」

魔法使い「・・・」コクリ

ハーピー「・・・」ソーッ

村長『もう収穫期ですから、村の屈強な男共数人がかりでかかりました』

ハーピー「ず、随分と大掛かりですね。魔物ですからね」

村長『しかし奴ら、擬態してまして』

ハーピー「みてくれは完全に桃ですもんね、うん」

村長『油断していると、割れ目から奇襲してくるのですよ』

ハーピー「ちょっ、ちょちょちょ!」

ハーピー「魔法使いさん!桃から距離をとってください!!」

魔法使い「・・・う、うん」ササッ

村長『しかし、これでどのように襲い掛かってくるかがわかりましたから、是非勇者殿には頑張っていただきたいです』

勇者『はい。怪我をした人々を安心させてあげなければなりませんね』

村長『そうです。ところで、先ほどの桃ですが・・・』

ハーピー「ど、どうやら桃に擬態しつつ、その割れ目から攻撃をしかけるみたいです」

ハーピー「ついでにいうとこの村はその桃を全力で収穫しているようです。つまり食しています。危険です」

魔法使い「・・・どえらいとこにきた」

ハーピー「まったくです。村長の相手をしている勇者さんがさすがに心配です。様子を伺います」

魔法使い「・・・お願い」

勇者『すごくおいしそうですね。私も是非いだだいてみたいです』

ハーピー「すみません。もう手遅れです。洗脳されています」

魔法使い「えっ・・・」

ハーピー「ど、どうしましょう。これでは袋のネズミとかいうやつです」

魔法使い「・・・どうにかして切り抜けないと」

村長『後でいくらか包んで持たせましょう』

勇者『お心づかい感謝いたします』

村長『いえいえ・・・。あっもう一つお話があって』

勇者『はいはい、何でしょう?』

村長『私のどら息子の事なんですが・・・』

魔法使い「・・・夜までどうにかごまかして、夜中に脱出する」

ハーピー「なるほど、妙案です。それでいきましょう」

ハーピー「そういえばあちらに動きは・・・」ピトッ

村長『恐らく夜逃げ・・・でしょうかね』

勇者『私もその線が濃厚だと思います』

ハーピー「ばれてます・・・!夜逃げ作戦ばれてます・・・!」

魔法使い「なんで・・・」

村長『ですが』

村長『私も鬼ではありませんので』

ハーピー「鬼どころか悪鬼羅刹です。何をされるかわかったものではありません」

村長『やはりそれなりに礼を尽くしてもらえれば、私もそれにこたえますよ』

ハーピー「!」

勇者『例えば?』

村長『土下座なんてどうでしょう』

ハーピー「魔法使いさん!土下座すればなんとか免れることができそうです」

魔法使い「ど、土下座なんて・・・」

ハーピー「背に腹は代えられません!一時の恥ですよ!」アセアセ

勇者『それは鬼畜の所業ですね』

村長『はっはっは。冗談ですよ・・・おっと、もうこんな時間ですか。明日はどうぞよろしくお願いします』

勇者『任せてください。必ず果たしてみせます』

村長『頼りにしています。では、こちらから』ガラッ





ハーピー「許してください!!この通りです!!」ゲザー

魔法使い「・・・ご、ごめんなさい・・・」ペタ

勇者「・・・何をやっているのですか?」




-おわり-

少し苦しいですが。それは私の愚息も同様ですから悪しからず



勇者「最近少々疑問に思うんですが」ハーピー「そうですか」


勇者「取り合う気がさらさらなさそうな言い方ですね」

ハーピー「しょうもないことであると女の感が告げています」

勇者「そうですか。それならば、なんだかんだ言いつつとりあってくれるスライム系ならば」

魔法使い「・・・ボソッ」攻撃力UP↑

勇者「激しい孤独感を感じます」

魔法使い「・・・一応聞くけど」

勇者「やはり。私はあなたを信じていました、握手を求めます」スッ

魔法使い「・・・大仰すぎ」ギュ

勇者「そこでその、気になることなのですが」

勇者「これは何でしょう」



魔法使い「・・・なにこれ」

勇者「さきほどまた見かけたもので。酒場でも見かけました」



ハーピー「何か空中に浮いてるようですね。全然気づきませんでした」

ハーピー「勇者さん触ってみませんか?」

勇者「自然体を装ってすすめてくるとは。あなたもしたたかになりましたね」

魔法使い「・・・補助魔法ならかけてあげる」

勇者「ハーピーにお願いします。今からこの方がチャームで牽制しますから」

ハーピー「ちょっとそれは聞き捨てなりませんね」

ハーピー「牽制どころで済むわけがありません」

勇者「そこですか」

ハーピー「そこです。譲れません」

魔法使い「・・・いる?補助魔法」

ハーピー「お色け的な攻撃力の上昇が見込まれそうですが要りません」

魔法使い「いや・・・攻撃されたら痛そうだから」

ハーピー「ふふふ。お心づかいは感謝します。ですが、私には旅人を幾度も悩殺するという安心と信頼の実績がありますから」

勇者「いわゆるビッチというやつですか。ドン引きです」

ハーピー「ビッチではありません。悩殺したら放置して逃げます」

勇者「それはまた特殊なビッチですね」

ハーピー「ビッチではありません。響きがわるいです。撤回してください」



(∵)スッ

魔法使い「・・・あ、実体化した」

ハーピー「えっ」

勇者「えっ」

勇者「もしかして、チャームをかけるタイミングはまさに今ではないですか?」

ハーピー「そうでしょうか」

勇者「はい。実体化したことによって、こちらに興味を示した可能性が濃厚です」

勇者「つまり、ピンチでありながら、紛れも無いチャンスでもあるのですよ」

ハーピー「それはどうでしょうか。あれを見てみてください」

(∵)

ハーピー「色は緑、もさもさしてそう、無表情」

ハーピー「これらの事からあれは植物である可能性が高いです」

勇者「つまり何が言いたいのですか?」

ハーピー「植物にチャームは効きません」

勇者「ものは試しという言葉がありますが」

ハーピー「無理です。怖いです。不用意に目立ちたくありません」

勇者「ではあなたのチャームは何のためのチャームなのですか?」

ハーピー「その場しのぎの為ですが。本来の使い方を為されてません。宝の持ち腐れというやつです」

勇者「旅人が混乱するような代物が宝なのですか?」

ハーピー「見とれて感極まり混乱、ということですよ」

勇者「私にはつゆほども感極まる部分が見いだせないのですが」

ハーピー「そうですか。そういう事ならすかさずチャームです」パァァ

勇者「剥いてよろしいですか?」ポーッ

ハーピー「えっ」

( ∵)チラッ

魔法使い「・・・反応あり」

ハーピー「魔法使いさん、それどころではありません。真剣に剥かれそうです助けてください」グググ

勇者「この奥ですか?この奥に私が感極まるほどの境地があるのですか?」グググ

魔法使い「・・・制圧」ボソッ

勇者「スライム系、その魔法を気付けがわりに使うのはやめてください。記憶が飛ぶので気味が悪いです」

魔法使い「・・・少しの間思考停止させるだけだけど・・・だめ?」

ハーピー「それは構いませんが、私まで巻き込まれる義理はありません」

魔法使い「・・・人物指定めんどい」

ハーピー「ええっ、私の扱い軽すぎ?」

勇者「それ程強力な魔法ならあれにかけてみたらどうでしょう」

(∵)

ハーピー「確かにそうですね。うっかりしていました」

魔法使い「・・・あれ地味に疲れる。めんどい」

勇者「もう一回かけても更に地味に疲れるだけじゃないですか」

魔法使い「かけなくても・・・別にあれ悪そうにみえないし」

勇者「そうでしょうか」

魔法使い「なんとなく」

魔法使い「・・・」コロンコロン

ハーピー「妙な音を出しはじめましたね」

勇者「何をやっているのですか?」

魔法使い「・・・呼んでみてる」コロンコロン

ハーピー「とんでもないことをやってのけますね。しかし、それはともかく」

ハーピー「その音の出所がとても気になるのですが」

魔法使い「・・・上あごの裏に舌をつけて、喉の奥に打ち付ける・・・みたいな」

ハーピー「・・・」コロン

ハーピー「おお、成功です」

魔法使い「・・・じーちゃんが、鳥を呼ぶときに使ってた」

勇者「ゲホッ!ゴホッ!?」

魔法使い「・・・」コロンコロン クイクイ

( ∵) オホー

勇者「カフッ、ちょっ、気管にコホッ、うぁ」

ハーピー「すこぶる不器用なお方ですね」サスサス

((( ∵) オホォ スィー

ハーピー「本当に寄ってきました。気味がわるいです」

勇者「こ、心なしか鳴いていませんか?気色がわるいです」

魔法使い「・・・こっちこっち」コロコロ クイクイ

パシッ

(∵) オホッホッー

魔法使い「・・・」モサモサ

(∵)

(∵)「やんぬるかな・・・」

勇者「えっ」

ハーピー「えっ」

魔法使い「・・・」

魔法使い「・・・ん?」

(∵)「私は不覚にも、この娘の誘いに乗せられ、捕獲されてしまった」

(∵)「これが嘆かずにいられるだろうか」オホー

勇者「スライム系、これはどういう事ですか?」

魔法使い「・・・わからない。パス」ポイ

ハーピー「えっ、私ですか」パシ

(∵)「おお、先程チャームをかけていた鳥娘か」

ハーピー「はい」

(∵)「私にもできればかけていただけないだろうか。植物には通用しないと言っていたが、そこは私だ。通るかもしれないだろう?」オホー

ハーピー「フタを開けたらただのヘンタイでした。扱いに困ります」ポイ

パサッ

勇者「・・・」

(∵)「次は君か。先程の熱い絡みは実に興味深いものだった。よければだが是非もういちd」

グシャア オホッ ナニヲスルワタシハセイレイナルゾ ブチッ オホアッー





ハーピー「あれ、どうしましょう」

魔法使い「・・・精霊らしいし・・・飼う?」

ハーピー「地味に精霊を見下していますね魔法使いさん」




おわり



勇者「姫様を捜していなさると」執事「さようでございます」


(∵)

勇者「私達につとまるのであれば、喜んでお引き受けいたしましょう」

執事「これはこれは、ありがたいお言葉にございます」

勇者「では、早速ですが、その姫様の特徴をお教えいただきたいのですが」

執事「はい。何やら市民の目撃情報によりますと」

執事「夜中にとび色の外套を着込み、フードを目深に被ったいかにもな輩が城門からでて行ったということです」

勇者「ちょっと非礼な言い方ですよね。姫様かもしれないというのに」

ハーピー「夜逃げとは姑息な手段を用いますね。もしかして姫様はアバズレなのでは」

執事「もしかしても何も、完膚なきまでにアバズレでございます」

魔法使い「・・・どうせ私はアバズレ」ブツブツ

勇者「少々言葉が過ぎるというものです。それとスライム系はなぜダメージを受けているのですか?」

執事「鬼の居ぬ間というものです。きゃつがいないこの場ならば万の悪態が許されます」

勇者「私が許しません。しかし姫様はなぜそれ程までに家臣の怨みを買っているのですか」

執事「それは・・・ですね」

執事「一定条件下で性格バーサーカーが発現なさるからでございます」

勇者「つまり多重人格をお持ちだということでしょうか」

執事「有り体にいえばその通りでございます」

執事「魔王が出現する前は、私達家臣一同一心にお慕い申しておりましたのですが」

執事「性格バーサーカーが発現してからというもの、暴れ回るやら、怪我人が出るやら」

執事「挙げ句の果てには必殺技ぶっぱで城をお破壊遊ばせなさるのです」

勇者「必殺技ですか。それは困りましたね」

ハーピー「かなり聞き捨てならない事だとおもうのですが。追求させてください」

執事「大方あなたがたのご想像通りでございますれば。ところで」

魔法使い「・・・想像より質素な暮らし」

フード女?「そうですの。私の好みですわ」

執事「その実に怪しい風貌の方の詳細を知りたいのですが」

勇者「おやおや」

勇者「この方は森の中で倒れているところを発見したので、とりあえず行動を共にしているのですが」

執事「恐ろしい程に特徴と合致してごさまいます」

勇者「言われてみれば確かにそうですね」

執事「確認してみましょう。もし、そこの方」

フード女?「なんですの?」クルリ

執事「・・・」

フード(∵)「!!」ギョッ

フード(∵)(な、なぜ執事がこんなところに居ますの!?)アセアセ

執事(誰だこいつ)

勇者「どうですか?」

執事「姫様ではありません、人違いでございました」

フード(∵)「なっ!」

フード(∵)(姫様ではないなんて・・・それはそれで心外ですわ!)

勇者「それは残念でしたね」

執事「いえいえ、まだ別人格がでていなければよいのですが・・・」

フード(∵)「お ま ち な さ い !」

執事「はて、何用でございましょうか」

フード(∵)「いくら見つかりたくないとはいえ、見つかった上で別人扱いされるなんて納得がいきませんわ!」

執事「つまりどういうことでしょうか」

フード(∵)「私が姫って事よ!」

執事「お言葉ですが、姫様はそのような面がまえではございませんゆえ」

ハーピー「むしろ精霊さんに似てませんか?」

勇者「そうですね。セクハラ発言と体がある以外は精霊ですね」

執事「あなたさまには何やら精霊容疑がかけられておりますが」

フード(∵)「精霊ではなくて姫なのですが」

勇者「ややこしいですね」

フード(∵)「どこがややこしくあるもんですか」

執事「そうですね、ならば」

執事「証拠となるものをご提示いただきたい」

フード(∵)「むう・・・例えば?」

執事「王家の者とわかるものならばそれでかまいません」

フード(∵)「・・・全て城に置いてきましたわ」

執事「それでは話になりませぬ」

フード(∵)「あ、あ、ちょっと待ちなさい!声ならわかるでしょ!あー!あー!」

執事「誠に申し訳ございませんが」

執事「そんなモノが証拠になると思うか?」ゴゴゴ

フード(∵)「 」

ハーピー「しかしえらく食い下がりますね」

勇者「そうですね。もう少し詳しく聞いてみてもいいと思います」

執事「そうでございましょうか?」

ハーピー「そういえば魔法使いさん、先程から何やらお話していたようですが」

魔法使い「あー・・・」

魔法使い「してた」コクリ

ハーピー「どのようなお話しを?」

魔法使い「なんか・・・どういう暮らしをしてたかとか・・・?」

魔法使い「もさっとしてる割には・・・人間味があるとは思った」ウン

フード(∵)(あっ、この方にも人と思われてませんでしたのね)

ハーピー「精霊が人に近い生き方をしていたということですか」

勇者「あなたと似たようなものですね」

ハーピー「いいえ違います。私はコスプレイヤーです」

執事「しかしこれでは精霊容疑が固まっていくばかりです」

フード(∵)(むぅ・・・!このままでは・・・)

フード(∵)「あっ」

フード(∵)「別人格を出させれば万事解決ですわね!」

執事「なりませんそれだけはお止めください」

フード(∵)「なぜですの?」

執事「万が一姫様であられると後始末が大変でございます」

フード(∵)「それは・・・私にとっても苦渋の決断ですわ・・・」

ハーピー「私は楽しみですが」

勇者「もはや他人事ですね。私もですが」

フード(∵)「でも・・・なにより、私が姫である事が認められないことが・・・まるで人格を否定されたようで・・・」

執事「・・・」

フード(∵)「・・・じいや」

執事「なんでございましょう」

フード(∵)「私がなぜ、城を飛び出したかわかる?」

執事「・・・いいえ、全く」

フード(∵)「周りの目が、怖かったからですわ・・・」

執事「・・・」

フード(∵)「確かに別人格が発現する前であっても、あなたは度々ブラックな事を抜かしておりましたけど」

フード(∵)「あなたはともかく、他の皆はそれは優しく接してくださっていたのに」

フード(∵)「今では、私を見る目はまるで厄介者の如く、近寄れば攻撃されると怯え」

フード(∵)「私は・・・孤立したも同然に思い、それが心苦しくて・・・」

ハーピー(何だかぶっちゃけはじめましたね。これはもう姫様確定ではないですか?)

勇者(顔は精霊ですが・・・取り付かれでもしてるのですかね。この方を見つける少し前から見当たりませんでしたし)

執事「・・・」

フード(∵)「・・・あなたはなぜ私を捜していたの?」

執事「・・・私にとって別段反抗期の時ほどめんどくさい姫様ではございませんでしたが」

執事「やはり周りへの被害やら外面やら、いろいろ問題が生じてくるのでございます」

執事「それに、姫様は発現条件により手が使えませんので」

執事「世話をしつつ呪いを解く方法を見つけ出せればと思っていたしだいでございます」

フード(∵)「そう・・・なら」

フード(∵)「早く私が姫であると証明しないといけませんわね?」

執事「左様でございます」

勇者「そういえば、発現するにはどのようにすればいいのでしょう」

執事「何かを握れば発現いたします」

勇者「それは危険ですね」

ハーピー「あっ、こんなところに魔法使いさんの風の魔導書が」

魔法使い「返して・・・」

フード(∵)「お借りしますわ!」パシ

魔法使い「あっ・・・」



フード(∵)「クククク・・・」

フード(∵)「ッッハッハッハッハァ!」

一同「「「!?!?」」」

執事「あー」

フード(∵)「アー・・・んん~~?」

フード(∵)「ンなんなんだァ!このカビくせぇモンはよォ~~~~!!」ムンズ

ドッシャァ

( ) チーン

勇者「あ、精霊が顔から引っぺがされましたね」

ハーピー「くっついていただけだったのですね」

姫「おい、そこのマヌケ」

ハーピー「む、いきなりマヌケとは何事ですか」

姫「魔物が不法入国たァ、この国の警備もザルなモンだァなァ~~~~?」

ハーピー「えっ、私はコスプレ」

姫「安心しろ。一瞬だ」

ハーピー「チャーム!」パァァ

姫「効かねぇなら姑息でも何でもねぇなァ~~~」

姫「くらえ!グンッ、グニルッ!」ブォウ





執事「ああっ、あれは!」

執事「 -グングニル(gungnir)- 属性:風
天空へ魔法で生成した槍「グングニル」を数本打ち上げて、落下する槍により敵を攻撃する。
槍は風を纏いながら急降下し、地面に刺さると小さい竜巻を発生させる」ヒュンヒュンヒュンドスドス

執事「でございますね!やはり姫様でございましたか!」ギャー!イヤアア!

魔法使い「・・・めでたしめでたし」




-おわり-

若干雰囲気がかわってきてしまいましたね
私の性欲至らず申し訳ないかぎりです



騎士「あ、あなたは魔法使い!」魔法使い「・・・はぁ」


(∵)

-三日前-

騎士「あ、あなたは魔法使い!お久しぶりですなーあっはっは!」

魔法使い「・・・」シカトー

-一昨日-

騎士「ややっ、これは魔法使い。久しぶりだな」

魔法使い「・・・今戦闘中。シッシッ」ワーワー

-昨日-

騎士「おっす魔法使いひさしbほあっ!?」ブシャア

魔法使い「・・・入浴中なんだけど」

-今-

騎士『魔法使いー久しぶりー』窓バンバンバン

勇者「また湧きましたか。ストーカーでしょうかね?」

魔法使い「・・・ストーカーかな、あれ」

ハーピー「魔法使いさんの名前を呼んでますし、お知り合いなのでは?」

魔法使い「・・・」ヂュー

勇者「ジュースなど飲んでいないで真面目に答えて欲しいのですが」

魔法使い「知らん」

勇者「えっ」

魔法使い「・・・」ヂュー

ハーピー「ひー」

勇者「な、なんだかただならぬ雰囲気ですね・・・制圧も辞さない感じがプンプンします」

ハーピー「しかし、あの方の言動や態度からして、どうも魔法使いさんに縁がありそうなんですが」

魔法使い「・・・」ヂュルル

騎士『魔法つか、あっ、ちょっ、足場がうあっー』ガラガラ

ドガシャア

ハーピー「あちゃあ、ここ宿屋の2階ですが大丈夫ですかね」

-翌日-

騎士「あ、な~んだ、魔法使いぢゃ~ん!マジ久しぶり系ってゆ~か?」

ハーピー「どうやら杞憂でしたね」

勇者「一々偶然を装ってくるのはなんなのでしょうか。地味にウザいです」

勇者「スライム系、いい加減何か言ってやってください」

魔法使い「・・・」つ(∵)オホー

ポイッ パサッ

騎士「ああっ!魔法使いがなんか落とした!ケセランパサランの類か!」

(∵)

(∵)「・・・今のお前は幾らでも法で裁ける手段がある。次はないぞ」

騎士「 」ゾゾゾ

(∵)「という伝言だ。暫く世話になるぞ」

騎士「 」

-さらに翌日-

騎士「・・・」コソコソ

ヤーネー ナニカシラアノヒトー ザワワ

ハーピー「もはや完璧にストーカーの様相を呈してきましたね」

勇者「あそこまでモロばれな追跡というのもまた新鮮ですね」

ハーピー「緊張していると細部への配慮が疎かになるものですよ」

勇者「それどころの騒ぎですか?」

魔法使い「・・・ストレスでアルシンドになりそう」

勇者「普通ここまでやられたら制圧の一発や二発飛んでてもおかしくないのですが」

ハーピー「わかりませんかね、勇者さん。ワケアリだからですよ」

勇者「ワケアリとは?」

ハーピー「『ワケ』が『ある』からワケアリなんですよ!」キャー

勇者「どうでもいいことで勝手に盛り上がらないでください」

ザッ

騎士「おい!いい加減にしろ!」

ハーピー「あっ、ついに痺れを切らしたようですね」

騎士「魔法使い!無視するのも大概にしてくれ!」

魔法使い「・・・割と構ってたと思うけど」

騎士「いきなり勝手に家をとびだしたと思えばこんな所に・・・」

騎士「まぁいい。話は後にして、村に帰るぞ!」グイッ

魔法使い「やっ・・・!いやっ・・・!めんどくさい・・・っ!」ズリズリ

勇者「おやおや、暴力にうったえるとは穏やかじゃないですね」

ハーピー「無理矢理魔法使いさんを村に連れ帰ってどうするつもりですか」

騎士「あ?結婚するんだよ!」

勇者「えっ」

ハーピー「えっ」

魔法使い「・・・えっ」

騎士「いやお前の『えっ』はおかしい」

騎士「式前日の夜に勝手に抜け出しやがって!」

ハーピー「夜逃げ常習犯ですか」

魔法使い「・・・ん・・・なんか」

魔法使い「騎士がヘタレって事思い出して・・・」

魔法使い「・・・萎えた」

騎士「公開処刑ですか?」

魔法使い「・・・制圧が使えるようになったのは」

魔法使い「・・・おーまーえーのーせーいーだー」

騎士「ぐぬぬ」

勇者「何やら身内のお話しになってきましたね、ハーピーさん」

ハーピー「いたたまれないですね、勇者さん」

勇者「しかし、こんなにも年端のいっていなさそうなお方をたぶらかすとは。どのような姑息な手を使ったのでしょうねこの人は」

騎士「姑息とかいうな。真っ当な手段に決まっている」

ハーピー「お前がそう思うんならそうなんだろう、お前ん中ではな。ですね」

騎士「世間の常識と照らし合わせても至極真っ当だぞ」

勇者「まぁ、とりあえず行くべきところへ行きますか」グイッ

ハーピー「くさい飯がどれだけくさいのか教えてほしいものです」グイッ

騎士「おっ、おいっ!そこだけはやめてくれ!」

魔法使い「・・・タイム」

魔法使い「・・・情が移った。豚箱行きは・・・大目に見てやれ」

勇者・ハーピー「「はい」」

騎士「魔法使い・・・助けてくれたのか?」

魔法使い「・・・あなたに助けられたことは一度もないけど」

騎士「ぐうう・・・」

ハーピー「お二人は何か並々ならない因縁でもあるのですか?」

魔法使い「んー・・・」

魔法使い「・・・こいつが」ピッ

騎士「俺が?」

魔法使い「魔物に囲まれそうになったとき・・・」

魔法使い「一人で逃げた」

ハーピー「あー」

勇者「あー」

騎士「何なんだその反応薄・・・というか、こいつって他人行儀な呼び方するなよ」

魔法使い「・・・だって赤の他人じゃん」

騎士「たしかにな」

勇者「えっ」

ハーピー「えっ」





魔法使い「・・・もう演技疲れた。帰ってよし」

騎士「あ、うん。それじゃ、旅の方々お気をつけて」

勇者「えっ」

ハーピー「えっ」

魔法使い「あー・・・、今のは、なんかこの町の曲芸師だって。雇ってみた、それだけ」

勇者「えっ・・・」

ハーピー「えっ・・・」

魔法使い「・・・なに?」




-おわり-

えっ?



勇者「この塔には伝説の宝具が?」ハーピー「あるそうですね」


(∵)

勇者「なかなか本格的な塔ですね」

ハーピー「塔にパチモンも何も無いかとおもいますが」

勇者「雰囲気があるじゃないですか」

魔法使い「今日快晴だし・・・別にそこまで」

勇者「まったく、心の貧しい方々ですね」

ハーピー「物理的に貧しい方に言われたくはないですね」

勇者「まあとりあえず入ってみましょうか」グイグイ

ハーピー「押し入れないでください。足元がおぼつかな」

ガコン

ハーピー「いっ・・・」ガクン

ヒュウウウゥゥ・・・

魔法使い「・・・」

勇者「・・・」

勇者「えっ」

魔法使い「・・・ハーピー、うるさいけど・・・いいやつだった」ナムナム

勇者「えっえっ」

勇者「私がやらかしてしまったのですか?」

魔法使い「・・・うん。そこ見て」

勇者「はい?」

『入口近くに落とし穴がありま~す(笑)落ちたらご愁傷様だね^^;』

勇者「清々しいほどの煽り文句ですね」

勇者「しかしこれ・・・底が見えないですね。救出出来るでしょうか」

魔法使い「・・・無理っぽい?」

勇者「・・・」

勇者「・・・ま、まぁ、何とかなるでしょう・・・何とか・・・」

魔法使い「・・・ハーピーの犠牲を無駄にしてはいけない。進むべし」スタスタ

勇者「もう死んだ者として扱うのですか?少々心が痛むのですが・・・」スタスタ



バサバサッ

ハーピー「・・・とか言いながら、半ば見捨てる形でおいていきやがりましたねあの方々!」トサッ

ハーピー「まぁいいです。パーティにぽっかり空いた穴の存在の大きさにむせび泣くがいいです」

ハーピー「押してダメなら引いてみろ、ですね。反応としては・・・」

勇者『ああ、生きていたんですか。ちょっと心配したんですよ』

魔法使い『・・・まあ・・・ちょっとくらいは生きてると思ってた』

ハーピー「うん、ちょっと思ってくれていたら及第点ですね」

ハーピー「目標を低く見積もれば、オーバーした際のマージンは大きくなりますから」

ハーピー「我ながら小賢しい手だとは思いますが・・・なんにせよ反応が楽しみですね。ふふふ・・・」パタパタ

―第一の関門―

゛そこの穴に手を入れてね。あ、でも嘘つきさんは手とか妖が吸えそうな感じになっちゃうかもね^^;゛

勇者「相変わらず好戦的な誘導文ですね」

勇者「これはいわゆる真実の口というやつではないですか?」

魔法使い「まぁ、うん・・・そうだね」キョロキョロ

勇者「ん?なにやら目線が泳いでいますが」

勇者「もしや、なにかやましいことでも抱えているのでしょうか?」

魔法使い「・・・」

勇者「睨まれても困ります。が、スライム系の気分が乗らないというのならば私が行きましょうか?」

魔法使い「・・・別に」

勇者「よし、借りができましたね、後で万倍にして返して」

魔法使い「それはめんどくさい」ズボ-

勇者「手を失うより嫌なんですか?」

カチッ

魔法使い「!?」ビクッ

ゴゴゴゴ・・・

勇者「おや、普通に扉が開きましたね」

勇者「まあでも実際こういうものは、嘘つきは痛い思いをすると思い込ませて」

勇者「手を入れさせずに追い返す・・・というものでしょう。人間ですから嘘をつかない聖人なんていません」

魔法使い「・・・死ぬかと思った」ブルブル

勇者「私に任せておけばよかったのに」

魔法使い「死んでも嫌だ」

勇者「あれ?私そんなに嫌われる事しましたっけ」





ハーピー「げ、現在進行形で嘘ついてるので、こんなものに突っ込めるわけがありません・・・」ビクビク

ハーピー「適当にこれでも突っ込んでおきましょうか」つ(∵)オホォ

-第二の関門-

??「失礼します、私こういう者でして・・・」ピラ

勇者「これはこれはご丁寧に・・・ごひいきにさせていただいてます」ピラ

魔法使い「・・・何のやりとり?」

勇者「塔の番人ですか。変わった職種ですね」

番人「そうですね。この辺りは魔物界でも田舎でして。就ける職種も限られているんです」

勇者「都会に出ると選択肢もありそうですが」

番人「こちらには妻子がおりますし・・・子供の顔も毎日見ることができますから、私はこれで満足しています」

勇者「いい親御さんですね」

番人「そんな・・・恐縮ですよ」テレテレ

魔法使い「・・・何のやりとりなの?」





番人②「ねぇ、おぢさんとイイことしない?」ハァハァ

ハーピー「これだからチャームは嫌なんですよ!!逃げます!!」

―第三の関門―

勇者「あっついですね、この部屋」ジリジリジリ

魔法使い「・・・え?」ヒエヒエ

勇者「そういう魔法があるなら私にもかけてください」

―第四の関門―

魔法使い「・・・リーチ一発タンヤオドラ3」カターン

オーク「ま、またアガりやがった!」

スライム「かーっ!嬢ちゃんやり手やなぁ!降参やわぁ」

勇者「なんですかこれ」

―第五の関門―

魔法使い「・・・王手」パチッ

ルームガーダー「・・・っ!・・・降参だ」ガクッ

勇者「ボードゲーム強いですねスライム系」

゛後は階段を上れば宝具があるよ。あっ、君が使いこなせるわけないか^^;゛

勇者「最後まで怒りを誘ってきますねこの誘導文」

魔法使い「・・・階段一段一段に『^^;』ってあるけど」

勇者「しつこいですね。上りますけど」



勇者「着きましたね。あとはここに手をかざせば扉が開くと」

ゴゴゴゴ・・・

勇者「おやおや、これは・・・」

魔法使い「あっ・・・」

ハーピー「はぁ・・・はぁ・・・なんとか逃げ切りましたね」

ハーピー「早くチャーム以外を実用段階にしなければ話になりません」

ハーピー「言うこと聞かせつつワープアイテムで逃げるのも骨が折れます」

ハーピー「ドロボウしたわけじゃあるまいし・・・」

ハーピー「・・・ん?あれ」

勇者「あっ・・・」

魔法使い「・・・」

ハーピー「お二人じゃないですか。探しました?」

勇者「探す云々言ってる場合ではありません」

ハーピー「そうですか?」

執事「これはこれは勇者ご一行様。今この宝具が姫様の呪いに有効なのか試している次第でございます」ペコリ

姫「・・・」ゴゴゴゴッゴ

ハーピー「あっ」





姫「・・・光と共に、消えてもらおうか」ゴウッ

姫「メガフラッシャー・・・!」カッ

執事「で、でたー! -メガフラッ(ry」

ハーピー「なんだかんだで私助からないんです?」

勇者「私もですよハーピーさん」




-おわり-



勇者「よくよく考えてみればですね」魔法使い「・・・うん?」


(∵)

勇者「この中に回復系魔法を扱える方が居なくないですか?」

魔法使い「・・・今更?」

ハーピー「もうこの環境に慣れてしまいましたし、必要性を感じません」

勇者「それほどにこき下ろしますか?」

ハーピー「魔法使いさんと同じく、凄まじいほどの今更感を感じます」

勇者「そうですか・・・たしかにそれもそうですね」

勇者「せっかく来ていただいていたのですが」

魔法使い「えっ」

ハーピー「えっ」

勇者「ご足労痛み入りますが今回はこれで・・・」

神官「ァ・・・えっ、そ、その」

神官「死にます・・・」

勇者「聖職者にあるまじき発言ですね」

ハーピー「それどころではありませんが」

神官「どうせ私なんて社会不適合者だから・・・」ブツブツ

勇者「あなたたちの発言のせいで縮こまってしまいましたが」

ハーピー「追い撃ちをかけたのはどこのどなたですか?」

魔法使い「・・・まさか居るとは思ってなかったし」

勇者「居なければ言うんですか」

ハーピー「先生と生徒みたいになってますね」

神官「変に色気出さずに部屋から出なきゃよかった・・・」ブツブツ

勇者「早くこの暗雲を振り切ってあげねばなりませんね」

勇者「ハーピーさん何かおもしろい事言ってください」

ハーピー「中学生みたいなノリはノーセンキューです」

勇者「全然おもしろくないですね」

ハーピー「今のはシャレでも何でもありません」

神官(こういう、構ってあげないとみたいな空気が一番嫌なんだけど)

神官(はぁ・・・帰りたい・・・)

魔法使い「・・・」チョンチョン

神官「イヒイッ!?」ビクウッ

魔法使い「魔法・・・使うんでしょ・・・?」

神官「はっ、ハヒィ・・・」

魔法使い「・・・ナカーマ」

神官「!?!?」

勇者「そういえばこの中で魔法が使えるのはスライム系だけでしたね」

ハーピー「私だって使えますよ」

勇者「チャームは魔法ですか?」

ハーピー「いいえ・・・恋の魔法です」

勇者「冗談はコスプレだけにしてください」

ハーピー「私のアイデンティティを冗談で片付けないでください」

魔法使い「回復魔法って・・・どんなもの・・・?」ズイッ

神官「えっ、エエエイァ・・・アノ・・・」

神官(ち、近い!)

勇者「同志を発見した事で、いつになくスライム系がハイテンションですね」

勇者「しかしながら私もほとんど見たことがないので、興味があります」

ハーピー「見たと言っても」



姫『アイレアメイナ!』パァァ

執事『な、なんとー!これはかの太古の全体回復魔法 -アイレ(ry』

勇者・ハーピー『『 』』ボロボロ

魔法使い『・・・哀れ』



ハーピー「まともに見れたためしがなかったですからね」

神官(何それ・・・なんか厨二くさいな・・・)

勇者「まぁそんな必殺技キャラはさておきですよ」

神官(必殺技キャラ・・・?)

勇者「私はごく一般的な回復魔法で癒されたいのです」

ハーピー「右に同じくなんです」

魔法使い「・・・興味ありけり」

神官「エ・・・エヒッ、アアアノ・・・」(だ、だれにかければ・・・)アタフタ

ハーピー「ん、神官さんどうしまし・・・はっ」

神官(気づいてくれた・・・)ハァ~

ハーピー「誰かが傷を負わないことには解りづらいと言いたいのですね」

神官(ち、ちがっ・・・!?)ギョッ

勇者「なるほど、それは一理ありますね。では失礼して」ブチッ

ハーピー「いった!!・・・くない痛くないです羽はハリボテですからね!」

ハーピー「なーにするんですか勇者さん!」

勇者「的といえばハーピーさんという認識が染み付いていまして。反射的につい」

ハーピー「言い訳がましいです。確信犯です」

勇者「ところで、どこに傷があるか目視で確認できないですね。スライム系」

魔法使い「・・・御意」サッ

ハーピー「えっ」

勇者「よろしくお願いします」

魔法使い「・・・痛くない、痛くない・・・さきっちょだけだから」ニジリニジリ

ハーピー「注射針でさえ痛いのにさきっちょやられて痛くないわけがありません」

魔法使い「・・・じゃあ一思いに」

ハーピー「思い切らないでください。あなたが勇気を振り絞る機会は今ではありません」バサァ

魔法使い「まーてー」ヒュンヒュン

ハーピー「ひいいいい!!」

勇者「スライム系、無差別爆撃系ですか?」ドンチュドーン

神官(ど、どうしてこうなった)

神官(って、私が優柔不断だったからだよね・・・やんなるな・・・)

~数十分後~

神官「・・・・・・」トボトボ

神官(・・・いたたまれなくなってバックレてしまった)

神官(これで3バックレ目か・・・そろそろプロだな)

神官(雰囲気は一つ前のとこよかだいぶマシだったけど、勇者一行の回復役とか私には荷が重いって・・・)ハァ・・・

神官(行く前からすごく気分悪いしお腹痛いしでホントにだめだ・・・あのノリとか)

神官(・・・でも・・・)ピタッ

神官(・・・神父さんに、今回こそはってめっちゃ張り切って言ったのに)

神官(また期待裏切るのか・・・つくづくカスだな私・・・)

神官(・・・なんか帰りたくなくなってきたな・・・)

トスン

神官「はぁ。疲れた・・・」

神官「こっからどうしようかな~・・・」

ガサガサッ ガサー

魔法使い「あっ」

神官「あっ」

神官(や、やばっ!みつかっ―――)

魔法使い「・・・迷子?」

神官(!?)

神官「ハッ、ハイ・・・」

魔法使い「・・・そう。・・・私、地図係だから?」

神官「・・・」コクコク

魔法使い「・・・逃げて、どこかに行った二人を探す・・・OK?」

神官「・・・」コクコク

魔法使い「・・・ついでに、回復・・・OK?」

神官「・・・」コクコク

魔法使い「・・・うん。それじゃあ・・・」





ギュッ

神官「!?」

魔法使い「・・・手をつないだ方が、案内早い・・・OK?」

神官「お、おーけーおーけー・・・」

魔法使い「・・・肩の力抜けた・・・?」

神官「・・・少し」




-終わり-



魔刀士「あれっ、ハーピーじゃないですか」ハーピー「えっ」


(∵)

魔刀士「こんな所で会うなんて!」

ハーピー「えっえっ」

魔刀士「ん?なぜ挙動不審?」

ハーピー「何でもありません」

ハーピー(な、なぜこんな所に魔族のじゃじゃ馬が!!)

ハーピー「と、とりあえず、私は今人待ちでですね・・・」

魔刀士「へ?ハーピーに友達ですか?私だけしかいないと思ってたのに」

ハーピー「だまらっしゃい。とにかく私は忙しい身ですので、できれば即刻行方をくらまして欲しいんですが」

魔刀士「そうです?」

ハーピー「是非に」

魔刀士「私がそんなこと聞くと思います?」

ハーピー「あっ・・・」

魔刀士「分かってるじゃないですかー私の親友さん!」ギュウ

ハーピー「すみません抱擁に羽巻き込んでます痛い痛い!!」

ギイヤアアアアアア!!

勇者「おや、今の断末魔はハーピーさんでしょうか」

魔法使い「・・・魔物に襲われてる・・・?」

勇者「チャームし損ねたのでしょうかね」

神官(思ってたけどハーピーさんの扱い雑だな・・・)

魔法使い「・・・効かない敵もいるけど」

勇者「そういえばそうでしたね。でしたら危険かもしれません」

勇者「とりあえず急いで向かってみましょう」

魔法使い「・・・おす」ギュッ

神官「!?」

魔法使い「・・・こっち」

神官(わ、わかってるんですが・・・)

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