少年「ポケモンの世界に迷い込んで……」 (10)

おかしいな。
僕は確か、明日の旅行のために
支度をしていて、それが終わって、
疲れて寝てしまって、
気付いたら……ここに居た。

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僕が目を覚ましたのは草むら。
周りを見てもどこか解らない。
履いてなかったはずの靴……
僕のお気に入りのスニーカー。
それが今、自分の足を覆っている。

近くに自分のリュックもあった。
ちょっと大きめの、親に、
旅行用に買ってもらった青いリュック。
中身は支度したものが全部ある。

予備の服、双眼鏡、使い捨てカメラ、
タオル、歯磨きの道具、防寒具や
折りたたみの傘。そして飴が数個。

携帯は……家に置いてきた。
財布も……無い。

でも、リュックの奥底に10円玉が何枚か
入っていた。公衆電話で使えるかな。

こうして荷物を調べているけど、
実際の僕はそこまで冷静じゃない。
焦っていた。

回りに木がたくさんあって、
家なんて無くて、
誰も来ないような知らない場所で、
ひとりぼっち。

何で?と考える暇もなかった。
そんな余裕なんて、感じられなかった。

面白そうkskr

これからどうしよう?
どうしたらいいか解らない。

そう僕が悩んでいると、
急に後ろで音がした。
話し声…………?それに足音……。

草を踏んだときの、あの独特の音。
それと、二人の声。
もちろん聞いたこともない。
声は、どんどん近くなってきた。

僕は一度立ってみた。
話していた二人は、僕と同じくらいの
歳に見える、男の子と女の子。

そのうち、話している内容も
はっきり解ってきた。

ケイ「そんなだからユウは
簡単に襲われるんだよ!」

ユウ「気を付けてはいるんだけどね……」

ケイ「次のバトルまで
ユウ自身が持たなそうだ」

ユウ「こ、こいつ女の子が
全員か弱いと思ってやがる……」

ケイ「か弱いのはお前だけ……
う、嘘!冗談!だからバッジ
投げつけてくるのはやめて!
おれの身も持たないから!」

けんか中、なのかな?

しばらく草むらからその二人を
見ていると、ユウ、と呼ばれた
女の子が僕に気付いた。

ユウ「あ!いい所に!」

そう言って近づいてくる。
そして……

ユウ「ちょっとバトルしない?」

僕「バトル……?」

ユウ「そう!もちろんやるでしょ?」

ケイ「ユウ、そいつがトレーナー
とは限らないだろ」

ユウ「トレーナーじゃなくても
バトルするの!」

ケイ「また無茶を……」

バトル?トレーナー?
……聞いたことがある。

この二つのワード……。
もしかしたら、この人達が言ってるのは…

??「こんにちは!」

僕「うわあっ!?」

僕は思わず尻もちをついた。
驚いたからだが、驚いた理由は
突然の声だけじゃない。

あれは……
過去何度も見たことがある。
でもそれは、液晶の向こうの中だけで、
実際には見れないはずのもので……。

ユウ「あ、ごめん、驚かせちゃった?
でもこの子すごく人懐こいから
ね?イーブイ」

……イーブイ。
それを聞いた瞬間何回心で嘘だと
叫んだだろう。

よく見れば、男の子の後ろにも、
揺らめく炎を尻尾に持つ、あの
ポケモンが居た。

ケイ「人懐こ過ぎるんだよ、
おれのヒトカゲぐらいで丁度いい」

どうやら、僕は……。


ポケモンのいる世界に迷い込んで
しまったようだ。

心を落ち着かせる時間は短くはなかった。
目の前にいるのは本物のポケモン。
そして五感がはっきりしていて、
自分の意思で行動できることから、
これは夢でもない。
だからといって、現実味もない。

……?

あれ?さっき僕にあいさつしたのは……?

そこに居る、ユウというトレーナーの
少女の声とはまた違った声。
ポケモンの可能性も……ない。
これが、テレパシーを使えるもの
だったら話は別だが。

ユウ「君、ここら辺の子?」

僕「い、いや僕は……」

ケイ「荷物の大きさからして違うだろ」

ユウ「じゃあ旅してるの?」

……これを否定すると
色々面倒なことになりそうだ。

僕「旅……です」

ぎこちなく僕は答えた。

ユウ「じゃあさ、一緒に来ない?」

それは唐突な誘いだった。

あまりの唐突さに、一緒にいた
男の子はおろか、イーブイと
ヒトカゲも絶句している。

ここで断っても意味が無い。
そう感じた僕は、こくりとうなずいた。

ユウは笑って、

ユウ「やったー!じゃあすぐ出発ね!」

ケイ「おいおい……」

こうして、三人の旅が始まった。

ユウ「私はユウ!でこっちがケイ!
君は?」

僕「あ、僕は………」


………あれ?


僕「僕は……」


僕は…………


誰、だっけ?

え、何で……!?

ユウ「どうしたの?」

このままではまずい。
な、何とかしないと……

そう思っていた僕の目の前に飛び込んで
来たのは、ケイという男の子の
ポケモン、ヒトカゲ。

ヒトカゲはこのあとリザード、
リザードンと進化するポケモン。
……あ、そうだ!

僕「リュウ」

ユウ「え?」

僕「僕の名前……」

ユウ「へえー、リュウくん、よろしくね!」

ユウは怪しんではいないようだ。

ケイ「……で、これからどうするんだ?」

期待

ユウ「とりあえずポケモンセンター
にいかないと!」

ユウは言った。

ユウ「前のバトルで結構体力消耗してるから、
休ませてあげないと……ってひゃあっ!?」

!?

急にユウが悲鳴をあげたので
僕は驚いた。彼女の先には……


ケイ「野生のポチエナか……」

あ、ここホウエン地方なんだ。

ユウ「もう!よくも驚かせたなー!?
イーブイ任せた!」

ケイ「いや今は回復優先だろ……?
まぁ、いいけど。行け!ヒトカゲ……って」

ユウ,ケイ『先制攻撃!?』

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