キース「貴様は何者だ!!」 阿笠「わしじゃよ」(41)

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第二話

キース「……!?」

キース「何者かと訊いているのだ!!」


阿笠「わしじゃよ」
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キース「……もう一度だけ訊いてやる。出身と姓名を明確に答えろ」

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第三話

キースは目の前の事態を理解できなかった。


というのも、現在は『進撃の巨人』世界の暦でいうところの847年、

つまりエレン達が属する第104期訓練兵団の入隊式が今日であり、

現在は入隊式の真っ最中で、エレンらはだだっ広い演習場に整列させられ、

キースと名乗る、やたら眼光の鋭いハゲのおっさん(彼は教官らしい、自称していた)に、

無意味に怖い感じで恫喝されていた。


キースは例年通りに、想像力の欠けたお花畑の、しょうもない新米兵士を選別して、

ここがどういう場所で、これからどういうことが起きるのか理解させる為の作業を行なっていたわけだが、

整列する訓練兵達に混じって、一見して中年とわかる男性が佇んでいるのを見つけた。

頭は禿げあがっていて、Uの字に広がるパーマがかった髪も、鼻の下にたくわえた口髭も真っ白だ。

そして太っていた。いくら中年太りという言葉があるにしても、彼のは許容範囲を超えている。

彼がそういう格好をして、また、そういう概念があれば、彼を見た周囲の人間は「あ、サンタさん」と思うかもしれない・

しかし仮にサンタにしても、彼の挙動はおかしかった。


形ばかりでも背筋をピンと伸ばし、足は肩幅に開き、両手を後ろの腰にまわして立つ、

いわゆる『敬礼』の姿勢で整然とした周囲の訓練兵達に対して、

彼は猫背だし、足は内股で、右手は股間を揉みつつ、左手で尻を掻いていた。

目付きはうろんとして、口は半開きだ。しかも半笑いである。


彼がサンタだとすると、ホラー映画の『悪魔のサンタクロース 惨殺の斧』に出てくるのが彼だろう。

彼は幼少期のトラウマから残忍な殺人鬼に成り果て、サンタさんに夢見るアメリカの子供たちを次々と絶望させるのだ。

(あるいは、彼を目撃した近所の小学生は『バッハ』と呼ぶのかもしれない)

ともかく、キースは彼を見つけたとき、恫喝しながら、どうしたものかと考えた。

彼が重度のワーカホリックで、しかし思うことがあり、人生の節目で躓き、

燃え尽き症候群によるうつ症状で呆けてしまった。という可能性もあるだろう。

呆けて、徘徊しているうちに、この場に紛れ込んでしまったのだ。

それならば納得がいく。彼の症状を知見する限り、認知症のそれと一致するからだ。

周囲に立つ子供らを見て、なんとなく真似してそこに立ってみた、ということも考えられなくはない。


しかし、彼は訓練兵団の制服を着ていたので、たまたま紛れ込んだということは無いだろう。

キースの知る限り、あのようなサイズは兵団では取り扱っていない筈である。

兵団に入隊を望むような子らは、総じて豊かな暮らしではなく、あのような恰幅のいい体型の人間は当然いない。

というより、そのような体型の人間が入隊を希望するとか想定の範囲外なので、

普通に考えて、あんな感じのサイズの制服がある訳なかった。

恐らくオーダーメイド品である。

当然団服のレプリカを作ることも、着ることも法に反する。

目前の訓練兵を恫喝しながら、そのような可能性を羅列しつつも、キースは考えあぐねていた。

仮に変質者だとしても、やっていることが余りにも支離滅裂だからだ。

彼がペドフィリア……、はギリギリアウトなので、

俗にロリコン、またはショタコンと類される人間であると仮定すると、

この事態にも若干の説明がつくかもしれないが、納得できない部分が残る。


仮にもここは兵士達が使う訓練場で、今日入隊したばかりの訓練兵達を除いても、

キースを含め、兵士がこの場に何人もいる。

変質者としても、正常(この言葉が適当かわかりかねるが)な人間が、

この場を選んで鬱屈した情欲を満たそうとするとは考えにくい。

そのような行為に及んだ途端、あっという間に取り押さえられてしまうだろう。

【余談ではあるが、ペドフィリアは医学上の疾患で、ロリコン、ショタコンは俗語である。

後者は略称で、それぞれロリータコンプレックス、正太郎コンプレックスが縮んだ言葉である。

 懸命な読者諸君の中にはご存知の方も多いかもしれない。

 正太郎コンプレックスとは、横山光輝の描くSF漫画『鉄人28号』の主人公『金田正太郎』君からくる。

 正太郎君は上がサラリーマンが着ているようなスーツ、ワイシャツ、ネクタイ。下が半ズボンという、

 凛々しくも少年らしさを残した一見ミスマッチなデザインで、これを見る人によっては勃起する者もいるだろう。

 ともかく当時、ロリコンという言葉が台頭している中で、アニメ雑誌『ふぁんろーど』で、

 これの編集長が読者の質問(これはハガキだろうか)に答えるというコーナーがあったという。

 その質問の中に『少年に劣情を抱いた人は、なんて呼べばいいんですか!!』という旨の問(無論正確ではないが、問題は無いだろう)があり、

 これに編集長は、件の金田正太郎の名を挙げたのである。


 日本の漫画、アニメ史はそれなりに長く、また、その市場は世界に誇れる規模を持っている。

 無論その中で、日本の漫画、アニメは独自の発達を遂げてきた。

 人物の造形ひとつとっても、数年ごとに見比べてもかなり変化していて、

 現在のアニメを見慣れた人にとっては、10年前のアニメじゃ勃起できない、と嘆く者もいるかもしれない。

 しかし、これは私(作者)の考えだが、例えどんなに絵柄が変わろうとも、

 当時から現在まで、数多のショタコン達が、可愛くて小さな男の子に勃起していた。

 好みの絵柄が違えど、ショタコンはみな互いの理解者であること、この事実を忘れてはならない。】

キースは逡巡しつつも結局、動く気配のない中年男を意識しつつ、

順に恫喝し、彼の番が来たら恫喝して問い質すことに決めた。


そして、キースは彼に恫喝し、冒頭から第二話までのやり取りを行い、今に至るわけである。


どうしたものか、一見激怒している風で、内心キースはどうしたものかと考えあぐねていた。

強引に締め出すのも考えなかった訳ではない。

しかし、本当に彼が認知症の、正常な判断のつかない人間だったとするならば、これは問題になるだろう。

訓練兵達の手前、余り下手に出るのも下策だ。


キースは手で合図すると、後方で見守っていた教官達が小走りでキース達に向かってきた。

中年を目にしてから、目と簡単なジェスチャーで対策を立てておいたのだ。

あとは彼らの手によって、やんわりと、しかし力づくで中年男は訓練兵達の視界から消える筈である。

中年がどんな人間だろうと、然るべき処置(尋問など)を済ませたのち、然るべき処置(逮捕、拘留など)をしてくれるだろう。

教官達が近づいてくるのがわかると、キースは束の間だがホッとして、

視線を目の前の中年男性に戻した。


キースは思わず、ギョッと両肩を上げてしまった。


キースとしては、訓練兵達の前で醜態を晒した結果になってしまった訳だが、

しかし彼の反応は正常である。誰もがキースと同様に、眼前の光景が信じられなかった。


眼前の太った中年男性は、顔を赤みがけ、息を荒くして、自らの性器に当たる部分を(ズボンの上からではあるが)激しく揉んでいた。

左手は右乳首を弄っているようだ。

阿笠「これ新一。いかんぞい、こんな場所で」


彼の知り合いだろうか、誰かの名前(恐らく名前だと判断した。『シンイチ』という名詞は、彼らの知る言語には無い)をしきりに呟いている。

興奮している様子だったが、周囲にいる人間の思考は止まっていた。


阿笠「ダメじゃったら……。んもう、仕方がないのう」


彼は体をいやらしくくねらせ、胸をこねるように揉んでいた左手(余談だが、加藤鷹は『女性はね、乳腺が性感帯なんですよ』と言っている)の

親指を立てて、それを口に含んだ。


阿笠「ちゅ……、ずず……、ほうかの? ひもちええかい? 新一」


非常にいやらしい(むしろ汚い)音が響き、徐々にその激しさは(汚い方向で)増していく。

あるいは少女のような彼の上目遣いに、周囲の人間は未だに凍りついていた。

その光景は、マリリン・マンソンの歌よりも反社会的かつワイセツで、なによりお茶の間を凍りつかせる光景だった。

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このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年11月18日 (水) 19:28:58   ID: TMyFTiC5

なんだこれは…なんだこれは…

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