ペトラ「兵長に告白する」(84)

  ∧,,∧
 ( `・ω・) ようこそID腹筋スレへ!
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 しー-J
ここはsageずに書き込み、出たIDの数字の回数だけ腹筋をするという、
硬派なトレーニングスレです。
例1 ID:wwh7KM12 ID抽出 の場合 7+12=19 なので19回頑張りましょう。
例2 ID:bicycle. ID抽出 の場合 数字がないので今日は一休み。
さあ、存分に腹筋するがよい↓(`・ω・´)

ペトラ「…決めた、私兵長に告白する」

ペトラがそう言い出したのは、夕食後のことだった。
リヴァイ兵長は既に自室に戻り、グンタとエレンは食事の後片付けで洗い場。
食堂に残っていたのは、ペトラにオルオ、そしてエルドだった。

エルド「…ペトラ、本気か?」

エルドはペトラに先程の一言に口周りを紅茶でべたべたにしたオルオを尻目にペトラに問いかけた。

919回の腹筋?!?!

>>8小文字のLだから18回でOK

>>10
18回か!よかった。腹筋してくる。

>>8
ありがとうございます

ペトラ「うん、本気。…玉砕覚悟だけど」

言わないで後悔するより、言って後悔!とペトラが拳を握る。

エルド「言うのは良いけどなあ、一応言っておくが公私混同はやめとけよ?俺たちは兵士なんだからな」

ペトラ「わかってるよ。ただ、気持ちを伝えたいだけ。私の心臓を、私が誰に捧げているのかを知って欲しいだけなの」

伏し目がちにペトラがそう呟いたのに被せるようにオルオが口を開いた。

オルオ「おい、ペトラ。…伝えることで兵長の迷惑になるとは考えないのか」

口周りを袖で乱暴に拭いながらいつもより幾分低いトーンで話すオルオをペトラが唇を噛みながら睨むように見返す。

ペトラ「…オルオ、何が言いたいの」

怒りよりは困惑に声を震わせながらペトラがオルオに詰め寄る。

オルオ「兵長にとっちゃ、俺たちは一兵士だ。そんな部下に思いを伝えられて見ろ。その時点で部下、という一線を超えてしまうだろ」

何も言い返さないペトラと成り行きを見守るエルドを一瞥したあと、一拍置いてオルオは続けた。

オルオ「ましてや、俺たちは明日をも知れない身。…ただの部下が死ぬより自分に想いを寄せていた部下が死んだほうが…より兵長を傷つけるとは思わないか?」

ペトラ「…そんなの」

わかってるよ、と消え入りそうな声で答えながらペトラは俯く。

エルド「…兵長、死んでいった部下の名前全員覚えているくらいだからな」

オルオ「それでも、告白したいのなら俺は止めない」

そう言ってオルオは席を立ち、ペトラの方を振り返らず食堂を出て行った。

ペトラ「わかってる、もん」

エルド「ペトラ、今日は休め。…オルオはああ言うがペトラがどう行動するかはお前の自由だ」

ぽん、とペトラの肩を叩きエルドも食堂を後にする。
独り残されたペトラは大きく息をつきながら椅子の背もたれに寄りかかり虚空を見つめた。

ペトラ「私のこの気持ちって、やっぱりただのエゴでしかないのかな……」

エルド「…オルオ、どうしたそんな格好つけて」

食堂を出てすぐエルドは腕を組みながら壁にもたれかかるオルオに出くわした。

オルオ「エルド、聞いてくれ」

エルド「ん?」

あんな言い方をしたが、とオルオが続ける。

オルオ「ペトラにあんなこと言っちまったが、エルドお前も気づいてただろ?…ペトラは玉砕覚悟と言ったが、兵長は少なからずペトラのことを想っている」

エルド「ああ、ペトラのことは特別可愛がってるな。…それがペトラを女として意識してのものかと言われればわからんが」

オルオ「気づいてないのはペトラだけだ。…それで、ペトラが告白してみろ。結果は本当に玉砕、か?」

エルド「…オルオ」

合点がいった、という表情でエルドは自嘲気味に笑うオルオを見た。

オルオ「俺はペトラの幸せより自分の気持ちを優先させたんだ」

オルオ「ペトラには幸せになってほしい。そしてその隣りにいるのが俺でありたいなんて、気持ちをな。ペトラの想いを知っても諦めきれねぇんだよ」

エルドもオルオの隣りに背を預けて壁にもたれた。

エルド「若いねぇ、お前らは」

さすが、十代。
エルドはくつくつと食堂にいるペトラに聞こえないように笑った。

オルオ「笑っちまうだろ」

エルド「笑っちまう、な。でも、馬鹿にしてる訳じゃないぜ?…まあ、好きにしな。兵士が青春しちゃいけない、って決まりはないからな」

オルオ「…青春とか小っ恥ずかしい単語使いやがって。やっぱり馬鹿にしてるだろ」

エルド「してない、してない。俺はもう部屋に戻るが、オルオ明日にでもペトラのフォローをしてやれ」

オルオ「あんなこと言っちまったのにどの面下げて俺がフォロー入れるんだよ」

エルド「さあな、まあ頑張れ恋する青年」

チッ、とオルオが舌打ちをするのを背にエルドは自室へと消えた。

リヴァペト……?じゃない…?

>>27
リヴァペト+オルオの予定です。

続きは明日にでも。

ペトラ「オルオのばーかばーか」

自室のベッドの上でペトラは苦し紛れにオルオに軽く悪態をつく。
何度かどすんどすんと枕に拳を沈めていたが、隣室のグンタが壁を鳴らしたのでペトラはや枕に対する理不尽な暴力を終えた。

ペトラ「…でも、オルオの言うことが正論なんだよね」

オルオの言っていたことは正しい。反論の余地もないくらいに。

ペトラ「でも、私の気持ち知ってあんな言い方しなくても………」

自室に戻ったはいいが、ぐるぐると思考が頭の中を立体機動で縦横無尽に駆け巡っていて、全然眠れそうにない。
ペトラは半身を起こしベッドに腰掛けるとふるふると力なく頭を振った。

ペトラ「あー、ダメ。眠気がどこか行っちゃった」

気怠い身体とは裏腹に冴えた目で机上のマグカップを見る。

ペトラ「…お水、飲もう」

ため息と共に立ち上がり、ペトラはマグカップの取っ手を掴み、部屋を出た。

しんと静まり返る廊下は、窓辺は月明かりで薄ぼんやりと照らされてはいるがそれ以外のところは足元もおぼつかない程暗く、ペトラは自室から持ってきたろうそくの灯りのみを頼りに食堂を目指した。

ペトラ(食堂も暗いだろうな。…はやくお水飲んで戻ろう)

きぃ、と鈍い音と共に食堂の木戸を開く。

ペトラ「…あれ?」

予想に反して食堂には先客がいるようだった。
食堂と大きなテーブルの上にひとつろうそくが揺れており、調理場の方からカチャカチャと食器の鳴る音が聞こえる。

ペトラ「…エルド?グンタ?…オルオ?」

こんな時間に誰だろう、とペトラは首を傾げる。

エレンはかわいそうだけれど、夜間の自由行動は許されていないし、エルドかグンタだろうか。
オルオだったら、気まずいな。

そんなことを思いながらペトラが調理場を覗く。


そこにいたのは兵長だった。

ペトラ「兵長!?」

思いがけない遭遇に、思わず大きな声が出た。
ペトラは、はっとして口元を手で押さえるが、その弾みで手に持っていたマグカップが滑り落ちてしまった。

ペトラ「あっ」

慌ててマグカップに手を伸ばすが、届かない。


お気に入りのマグカップだったのに、とペトラが衝撃音に備えてぎゅっと目を閉じるが一向に音は聞こえて来なかった。

ペトラ「…わ」

恐る恐る目を開けると床に落ちる寸前で兵長がマグカップをキャッチしてくれていた。

さすが、だ。
薄明かりの中でこんなに素早く動けるなんて、とペトラは心の中で拍手喝采する。


リヴァイ「気をつけろ、ペトラ」

兵長の諌める一言で拍手喝采していたペトラの心が水を打ったように静まる。

ペトラ「すみません、兵長」

ペトラの謝罪を聞いてか聞かずか兵長はペトラのマグカップを手にしたまま再び洗い場へと向き直った。
おろおろとペトラが背後から兵長の手元を覗き込むと良い香りの湯気が顔にあたった。

ペトラ(…ハーブティーかな)

ハーブの心地良い香りに先程までのうじうじとした心が解れていくように思えた。

リヴァイ「ペトラがこんな時間に起きてくるとはな。…眠れないのか?」

ペトラ「はい、なんだか…目が冴えてしまって」

ゆらゆら揺れるろうそくの炎と兵長の横顔を眺めながらペトラは答えた。

リヴァイ「ハーブティーでいいか?ちょうど俺の分を淹れたところだ。少し湯を足せばもう一人分くらいある」

ペトラ「あ、私がやります!」

心地良い香りにぼんやりしてしまった、と反省しつつペトラが慌てて手伝いを申し出るが兵長はそれを制した。

リヴァイ「もう準備は終わった。あとは淹れるだけだ。…後ろの棚から俺のカップを取ってくれ」

言われた通りにペトラは背後の食器棚をろうそくで照らす。

ペトラ「これですね?」

ペトラは兵長愛用のカップを取り出してそれを手に食堂へと向かった。
ペトラの隣りにティーポットとペトラのマグカップを持った兵長が並ぶ。

ペトラ(…なんか、こういうのいいなあ)

気の利く女リベンジとばかりにペトラがティーポットからそれぞれのカップにハーブティーを注ぐ。

それを黙って待つ兵長を見てペトラは嬉しいようなせつないような気持ちになる。

ペトラ(私どうしたらいいのかな…)

兵長が好きだという気持ちと想いを伝えることで兵長の負担になってしまうことを恐れる気持ちが湯気と共に立ち上っては消え、消えては立ち上る。
ふう、とペトラは息をつくとハーブティーの注がれたカップを兵長の前に置いた。

今日はここまで

ペトラ「良い香りのハーブティーですね」

ペトラがそう言ってはにかむ。

リヴァイ「そうだな。なんのハーブかは知らんが眠れない時に飲むと良いらしい」

ペトラ「………兵長も、眠れなかったんですか?」

リヴァイ「…いや、書類を片付けてたらこんな時間になった。手近なところに茶葉がこれしかなくてな」

ペトラ「…戸棚の中にいろいろ入ってますよ?」

ペトラが首を傾げると兵長は小さく舌打ちした。

リヴァイ「………気づかなかった」

ずず、と兵長がハーブティーを飲み干す音が静かな食堂に響く。

ペトラ(あ、もしかして私が起きてきたからこのハーブティーに…?…うわああ、私恐ろしく空気の読めないこと言っちゃった)

ペトラはがくりと肩を落とす。

ペトラ(今更お気遣いありがとうございますとか言っても遅いかな…でもお礼も言えない子だと思われたくないし…うん)

マグカップをテーブルに置くとペトラは兵長に向き直った。

ペトラ「あの、兵長…ありがとうございます」

リヴァイ「なんの話だ?」

ぶっきらぼうな兵長の言葉に不思議とペトラはほっこりとした気持ちになる。

ペトラ(兵長のこういう優しさ好きだなあ)

ペトラの中で再び兵長への想いが首をもたげる。

ペトラ(…少しだけなら、伝えてもいいかなあ。でも少しだけ伝えるって難しいし、兵長気づいちゃうだろうな…)

思案顔でペトラがテーブルの淵を指でなぞる。

ペトラ(…神様、少しだけ私のエゴを許してください)

心の中でペトラは神に許しを乞い、明日からより一層人類のために励みます、と誓いをたてる。

ペトラ「…もしもの話をしても良いですか?兵長」

リヴァイ「こんな夜中にするような話か?」

ペトラ「…すぐ、すぐに終わりますから」

リヴァイ「言ってみろ」

ペトラ「あの、ちょっとした与太話というか…深く考えずに聞いて欲しいんですけど」

リヴァイ「…回りくどい。簡潔に話せ」

ペトラは数秒視線を彷徨わせると意を決したように続けた。

ペトラ「もし、兵長のことを好きな部下が居たとして、その想いを伝えられたら兵長はどのように感じますか?」

リヴァイ「なんだ、それは。くだらん」

ペトラ「あはは…そうですよね。変な事を言って申し訳ありません」

ペトラが眉尻を下げながらも口角を不自然に上げてごまかすように笑う。

リヴァイ「…ただ、お前に習って俺ももしもの話をしよう」

ペトラ「兵長?」

リヴァイ「近い将来、巨人を全滅させ…これはもしもの話しにするつもりはない」

ペトラ「はい」

リヴァイ「巨人を全滅させ、世界が平和になったら」

ペトラ「…はい」

リヴァイ「さっきの話の部下がお前であった場合」

ペトラ「…はい?」

リヴァイ「さっきの例え話の答えは、ノーではないかもしれないな」

ペトラ「!」

兵長の一言にハーブティーがペトラの気管に進撃した。

ぶつ切りですみません。
今日はここまで

ペトラ「え?!げほ、へい、ちょげほ、っ…ごほっ…え!!?」

リヴァイ「お、おい…大丈夫か?」

ペトラ「…っ……は、はい」

盛大にむせて涙目になるペトラを兵長が心配そうに見る。

ペトラ(…今、絶対顔赤い!)

その視線に気づき、ペトラは自分のマグカップに視線を落とし俯いた。

ペトラ(兵長…自分が言ったことがどういうことかわかってるのかな…別に深い意味はなかったのかな…?)

兵長を盗み見るがペトラにはその目から心配以外の特別な感情を読み取ることはできなかった。

ペトラ「………」

リヴァイ「………」

無言。

ペトラ「………あの」

リヴァイ「………なんだ」

ペトラ「………いいえ、えっと、なんでもありません」

リヴァイ「そうか」

静寂に耐えきれずペトラが口を開くが、なにを話せばいいかわからずに口をぱくぱくさせただけに終わる。
うーんと小さく呻き、ペトラはごくりとぬるくなったお茶を飲み干した。

ペトラ(………うん)

勢いよく立ち上がるとペトラは深々頭を下げる。

ペトラ「兵長、美味しいハーブティー本当にありがとうございました。これで今夜はゆっくり眠れそうです」

リヴァイ「そうか。明日も早い。寝坊はするなよ」

ペトラ「はい、兵長。…あ、カップ片付けますね。明日の朝食当番は私なので、その時に洗います」

リヴァイ「…俺のはまだ残っているからいい。こっちは頼む」

兵長がティーポットを持ち上げペトラへと手渡す。
ペトラはそれを受け取り、空いた手で器用にマグカップと燭台を掴むと洗い場へと向かった。






リヴァイ「…馬鹿か、俺は」

兵長が舌打ちと共に小さく呟いた言葉は洗い場にいるペトラには聞こえなかった。

ペトラ(………うん)

勢いよく立ち上がるとペトラは深々頭を下げる。

ペトラ「兵長、美味しいハーブティー本当にありがとうございました。これで今夜はゆっくり眠れそうです」

リヴァイ「そうか。明日も早い。寝坊はするなよ」

ペトラ「はい、兵長。…あ、カップ片付けますね。明日の朝食当番は私なので、その時に洗います」

リヴァイ「…俺のはまだ残っているからいい。こっちは頼む」

兵長がティーポットを持ち上げペトラへと手渡す。
ペトラはそれを受け取り、空いた手で器用にマグカップと燭台を掴むと洗い場へと向かった。






リヴァイ「…馬鹿か、俺は」

兵長が舌打ちと共に小さく呟いた言葉は洗い場にいるペトラには聞こえなかった。

失敗した!
>>64は無視して下さい



マグカップとティーポットを洗い場の水桶に沈め、ペトラは本日何度目かわからないため息をつく。
沈んでいくティーポットからごぼりと空気の泡が出てくるのを眺めながらペトラはぱちんと己の頬を叩いた。




ペトラ「兵長、お休みなさい!」

洗い場から戻り再び食堂へと現れたペトラは足早に兵長の横を通り抜け食堂を後にした。

ペトラ(ああ~、もう、もう!!)

ペトラは弾丸のように自室に駆け込むとベッドにダイブする。
食堂へ行く前と帰ってきた後と状況は違えど心境はそう変わらない、とペトラは枕に顔を埋めた。

ペトラ「戯れや冗談にしては…罪作りですよ、兵長」

今度はため息の代わりにあくびが出た。
相変わらず心のもやもやは消えないのにハーブティーが効いているのだろうかとペトラは眠い目をこする。

ペトラ「…寝よ」

手繰り寄せた毛布に包まり、ペトラは目を閉じた。

今日はここまで。

間が空いてしまいすみません。
明日か明後日には完結させます。

ペトラ「ふあ…」

ペトラはあくびをしながら猫のように身体を逸らした。
そのまま半身を起こす。

ペトラ「うん、良く眠れた。…兵長のハーブティーのおかげかな」

ゆらゆらと首を左右に傾けたあとペトラは両手で頬を挟むようにして軽く叩いた。

ペトラ「今日も気合い入れてかないと!さて、朝食は何にしようかな」

よいしょという掛け声と共にベッドから勢い良く飛び出たペトラはそのまま手を伸ばしてカーテンを開く。

ペトラ「…良いお天気!」

その朝日の眩しさにペトラは目を細めた。

身支度を終え、皆より少し早めに食堂に降りたペトラは朝食の準備の前に昨日水桶につけて置いたカップを洗い始めた。

ペトラ「…昨日の、期待していいのかな、なんて。………でもまずは巨人を全滅させないと、だね」

自主トレの内容もう少し濃くしようかな、と考えながらペトラは水切り籠に洗い終わったカップを乗せると朝食作りに取り掛かった。

ナイフで切り込みを入れたパンに野菜と魚をソテーしたものを挟み、簡単な朝食を作る。

ペトラ「…こんなもんかな。……ん…?」

背後に気配を感じ振り返るとオルオが居た。

ペトラ「うわ、ちょっと朝から驚かさないでよ…オルオおはよ」

オルオ「ペトラ、おはよう。昨日は…」

ペトラ「…ちょうど良かった。これちょっと味見してみてよ」

オルオを遮るようにペトラがソテーした魚を突き出す。
一瞬オルオは目の前に突き出された熱々の魚に怯んだような様子を見せたが、すぐにお得意の兵長口調で切り返した。

オルオ「ほう、今日の朝食は魚か。なかなかいいセンスだ」

ペトラ「はいはい、黙って食べて。…味濃くない?」

結局昨日オルオが言ったことと兵長が暗に匂わせたことは同じようなことだ。

ペトラ(…端的に言うと色恋は世界が平和になってから、ってことよね)

昨日オルオに言われたときは思わず怒ってしまったが、兵長に言われたらすっとそのまま胸に染み込んできた。

誰に言われたかでこうも捉え方が違ってしまうなんてとペトラは現金な自分に心の中で苦笑しながら、でも恋ってそういうものでしょ、とその感情を飲み込む。

味見と称してひとつ多く魚のソテーをあげたのは密かな謝罪のつもりだ、とペトラはもぐもぐ口を動かす思案顔のオルオを見上げた。

ペトラ「どう?」

オルオ「こんなもんだろ。まあ、俺は少し濃いめなくらいが好きだけどな」

ペトラ「聞いてないから…あ、そろそろみんな起きて来ちゃう!ほら!オルオ、そこのお皿食堂に持ってって」

オルオ「…わかった」

オルオの魚にひとつまみ追加で塩を振りながらペトラは既に盛り付けまで終わったいくつかの皿を指差した。

ペトラ「あ、あとそれ終わったらお茶のカップも並べてー」

オルオ「ペトラ、段取り悪いぞ」

ペトラ「う…ごめん。ちょっと洗い物してたから」

オルオ「仕方のないやつだ」

ペトラ「…ありがと」

文句を言いながらもてきぱきと食器を運ぶオルオにペトラはお礼を言う。

出来上がっていた分の朝食を食堂に運び終えて戻ってきたオルオにペトラが水切り籠から自分とリヴァイ兵長のカップを手渡すとオルオが一瞬動きを止めてペトラを見た。

ペトラ「…ん?」

オルオ「いや、昨日兵長と茶でも飲んだのか?」

ペトラ「うん、ちょっとね」

オルオ「そうか」

短く返事をしてオルオがカップの取っ手を指に引っ掛けた。


ペトラ「…あ、ねぇ…オルオ」

残りの班員のカップを取り出そうと食器棚を開けたオルオが首だけで振り返り、ペトラに視線を送る。

ペトラ「…昨日の、ことだけど」

オルオはペトラに向き直って曖昧に返事をした。

オルオ「…ああ」

ペトラ「よく考えたらオルオの言う通りだよね。昨日は怒ってごめん。私、巨人を全滅させるまで兵長にちゃんと気持ち伝えるのやめる。」

オルオ「…あ、ああ。…当たり前だろ。まあ、せいぜいお前は俺様の補佐に努めるといい」

ペトラ「はいはい。でも私ももっと強くなるからオルオなんかすぐ追い抜いちゃうよ」

オルオ「いやいや、お前は俺の域には達してねぇからな………俺の勇姿に惚れ直すんじゃねえぞ?」

ペトラ「そもそも前提として惚れてません」

オルオ「………まあ、巨人なんか俺がすぐ全滅させてやるよ。…そしたら俺もお前に言いたいことがある」

ペトラ「え?」

なんでもない、と言葉を濁したオルオがカップを手に食堂へと消えた。

ペトラは首を傾げながら最後の皿にパンを盛り付けるとそれを手に歩き出した。

扉の開く音につづき、食堂ががやがやと騒がしくなる。
そのざわつきに乗じてペトラは自分だけに聞こえるような声で呟いた。






ペトラ「…うん、きっと、私は、私たちは巨人を全滅させる」

ペトラ「そしたら、私」






ペトラ「兵長に告白する」

遅くなってしまいましたが、これで終わりです。

お付き合いありがとうございました。

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