神娘「我を呼んだか!」男「呼んでません」(1000)

神娘「えっ」

男「呼んでませんって」

神娘「…でも、二礼二拍手一礼して…」

男「いや、それが礼儀だったって聞いたから」

神娘「お願いしたろ?『彼女が欲しいんですって』…」

男「いや、なんか頼んでおかなきゃならないかなーって」

神娘「…………」ジワッ

男「えええ!?そこで泣くの!?」

神娘「だって…ひっく、久しぶりに誰かが来たと思って…ひっく、張り切ってたのにぃ…」グスグス

男「ああもう分かりました!呼びましたよ!」

神娘「…ほんとうに?」

男「(…まさか本物が出るとは)」

―――――

数日前

先生「……であるからして、昔は神や妖怪といった存在が居ると大真面目に…」

男「……退屈だ」

友「あれだろ?大昔は”あなたは神を信じますか?”とか真面目に言われたんだろ?」

男「らしいな」

友「くだらないなぁ」ハハッ

先生「そこぉっ!」ビバシュッ

友「ほげぇっ!?」

男「南無三」

先生「罰として教本の内容についてレポートをまとめる様に、来週までに」

友「…神頼みする奴の気持ちが分かった気がする」

友「と言う訳で俺はBダッシュましましで家に帰らないといけないのだ」

男「はぁ」

友「お前と放課後の探索に行けないのは大変つらい…」

男「そうか」

友「ちょっとは乗れよ」

男「いや、急いで帰れよ」

友「忘れてた、じゃーな!」

男「生きて帰ってこいよー」


男「…さて、どうすっか」

男「ゲーセンも何も金がねえ、探険にも一人じゃ乗らねえ…大人しく帰るかな」テクテク

ミーン ミーン ミーン

男「…蝉の声?」

ミーン…ミーン…

男「このあたりに蝉がいるような森なんて…森?」

男「どうしてこんなところに森があるんだ?」

男「(馬鹿な、ここには普通の民家があった筈だ…いや落ち着け、これは探索のまたとないチャンス!)」

男「(ここから見えるのは生い茂る木々と大分急な階段…どうやら中は山のようになっているらしい)」

男「…登ってみるかな」

ミーン ミーン…

男「看板がある…」

看板「○○○鎮守の森」

男「前半分が読めないが恐らく地名が入るんだろう」

男「鎮守の森…どういう意味だったか」

―――――

男「……長い」

シャワシャワシャワシャワ…

男「もうすぐ終点だと思うが…流石にきついな」

リーンリーン…

男「さてと、頂上に眠るはお宝か魔物か…っとぉ!」



男「なんだここ、いや授業で習ったことがあるな…神社だ」

男「これは鳥居か…写真で見た通り赤いな、でもちょい剥げてきてるか」

男「手水舎があるな、爺ちゃんの本にやり方が書いてあった気が」パシャパシャ

男「参道は広くてでかいな、中々の神社だったんだろうか?」

男「そしてあそこが…この神社の本体か、神様が居ると言われていた」

男「どうするか、流石にここまで来たからにはやっておきたいんだけど…」

男「神頼みか、やっぱりなんかの願いを言わなきゃ駄目かな?」

男「よし、彼女が欲しいにしてみるか」

男「えーっと、礼儀は確か二礼二拍手一礼…」

男「……何も起こる訳ないよな」

シャーン… シャーン…

男「…!?」

トツ トツ トツ トツ

男「(何かが近づいてくる…奥に誰かが居たのか?)」

トットットットッ

男「(ちっ…戦うか?そもそも誰だ?)」

ガラッ

神娘「我を呼んだな!?そうなのだな!?」

男「呼んでません」

男「(で、最初に戻る訳なのだが)」

神娘「しかしすまんな人の子よ…我は色事の神ではない故その願いは叶えられん」

男「(誰だこいつ)」

神娘「しっ、しかし態々頼みに来たその労苦に対して何らかの労いをかけねばだな…」

男「(黒髪の美少女…というからにはちょい年が過ぎてる気がするし、美女というには幼すぎる)」

神娘「何らかの便宜を図らうつもりだから…堪忍してくれ」

男「(…いい、凄くいい)」

神娘「…人の子?そんなに惚けてどうした?」

男「お前は何者だ?」

神娘「神じゃが」

男「えっ」

神娘「えっ」

神娘「人の子…それが目的でここに来たのではないのか?」

男「そうだけど」

神娘「…そうか、お前は私を信じてくれんのか」シュン

男「いや、信じてはいるけど」

神娘「えっ?」

男「『居たらいいなー』程度だけどな」

神娘「それでもいいのだ、それこそは信仰の始まりとなる」

男「そうなのか?」

神娘「望みは形を作り、やがては成果となって還元される…信仰とはそういうものだ」

男「は、はぁ…」

神娘「人の子よ、頼みがあるのだが」

男「うん」

神娘「お前の信仰、私に捧げてはくれまいか?」

男「…うん?」

男「書類とか…代償とかいるのか?」

神娘「馬鹿を言うな、お前は私を信じてくれれば良い」

男「そんだけ?」

神娘「まあ難しい事を言っても分からぬだろう、我を信じよ、我を崇めよ」

男「んー、分かった」

神娘「そうか!」

男「で、なにをすればいいんだ?」

神娘「本来ならば賽銭だのが欲しいのだが…この状況で贅沢は言っていられない」

男「法外な料金を要求されたらどうしようかと思った」

神娘「お前は時々参拝しに来てくれ、出来れば毎日がよいのだが…」

男「ああ、それならいいぞ」

神娘「本当か!」パァッ

男「そんなもんでいいならな」

男「しかし、神様って何か特別な力がつかえたりするのか?」

神娘「今は使えん、力が足りないからな」

男「信仰とやらか?」

神娘「然様、今の所我を信仰するのはお前だけだ」

男「じゃあ、これから信仰を増やしていくとか」

神娘「…人の子よ、外の世界は平和か?」

男「まあな、このご時世武力はロストテクノロジーだし」

神娘「そうか…ならば私が出る場面はないかもな」

男「…?」

神娘「取り敢えず、今日は帰るがよい」

男「なんでだ?まだ昼だと思うけど」

神娘「ここの森は外界と時の流れが違う、恐らく今外は夕方であろう」

男「えー…またあの階段下るのか…」

神娘「ああそれと、あの階段はもうそれ程長くはないだろうて」

男「あ、それは助かる」

神娘「今の所唯一の参拝者が居なくなると困るからな、特別待遇じゃて」

男「ん、じゃあ明日も来ればいいんだな?」

神娘「無理されても困るがなるべく来てくれればよい」

男「じゃーな神様」

神娘「また会おう人の子よ」

男「…お、本当にすぐだ」

友「おーい我が友ぉー!」ドタドタ

男「どうした?」

友「課題が鬼畜過ぎて生きるのが辛い」

男「それで俺に助けを求めに来たと」

友「したらお前まだ帰ってないって」

男「…なあ、ここには何がある?」

友「はぁ?ただの民家があるだけだが」

男「そうか」

リーン…リーン…

男「虫の声が聞こえる」

友「何言ってんだよ、虫なんてもうここらには居ないって」

男「そうだな」

友「早く帰ろうぜ」

男「ああ」

――――

男「(昨日の事が嘘のように思える事がある)」

友「おっ、男じゃーん!」

男「(あの森は本当は幻覚ではないか、あの神様も、虫の声も)」

友「どしたん?」

男「いや?なんでもない」

友「じゃっ、ぱっぱと学校終わらせよー!」

男「…ああ」

友「どした?」


ミーン… ミーン…

男「幻覚じゃ、なかったんだな」

友「はぁ?」

男「なんでもない」

先生「およそ10世紀前程から4世紀程人類は無意味な戦争を繰り返してきた」

男「なあ友よ」

友「あぁん?」

先生「だが人類は無為に消費するばかりであった戦争を反省し、世界政府を樹立し」

男「神は居ると思うか?」

友「ぶふぅっ」

先生「科学的かつ数学的国家間の統一を目的に」

男「そんな反応するよなぁ」

友「いきなりどうしたよ」

先生「シャラップ!」ビバシュッ

友「あべしっ!?」

男「と言う訳で、君はまた課題を言い渡されたのだな」

友「お前のせいでもある」

男「と言う訳で君にはヒントを渡しておいた、助けになるはずだ」ピラッ

友「おお心の友よ、次からは授業中に話しかけないでくれ」

男「そうするからさっさと終わらせるがいい」

友「十倍返しだからなー!」


男「さてと、行くか」

タン タン タン

男「神様は居るかな」

神娘「おお、来たのだな人の子」バッ

男「約束だからね」

神娘「正直、来なくても恨みはすまいとも思っていたぞ」

男「それも少し寂しいんだけど」

神娘「人はまあ、不気味な物からは逃げ出すものだよ」

男「…経験済み?」

神娘「神だからな」ハハッ

男「なるほど」

神娘「しかし、来てもらったはいいがな」

男「うん?」

神娘「やる事が無い」

男「そう言えば、無い」

神娘「探索でもするか?ここらの森は深く暗い」

男「迷いそうだからいいや、神様が一緒なら迷わないと思うけど」

神娘「こちらも外に出たいがまだ力が足りん」

男「不便なもんだね」

神娘「力ある者には束縛はつきものだ」

男「力って、それが信仰ってやつ?」

神娘「然様」

男「一気に溜める方法は」

神娘「信仰は徳と同じで積み重なる物、泡の如く湧いて出た信仰なぞ役に立たぬ」

男「…クリスマスとかの度にそう思う」

神娘「長い間育んだ信頼、積み重ねた敬意、焼きついた畏れ…それが信仰という形で結晶となるのだ」

男「一時的な形では力にはならない…と」

神娘「その代りそうして長い間積み重なった信仰は、美しく並々と力に満ち溢れているのだ」

男「だから信仰してくれないかと頼んだのか」

神娘「人の子と私の間で育んだ結晶はさぞかし美しかろうよ」

男「(…なんかエロいな)」

男「そういえば、神様って暇なとき何をしてるの?」

神娘「寝ている」

男「うわぁ…」

神娘「そんな顔するな、私とて外に出て動き回りたいが無駄に力を浪費するわけにもいかん」

男「そう言えば今まで信者無しだったもんな、体力カラカラ?」

神娘「ほぼすっからかんだ、正直このまま消滅してもおかしくは無かった」

男「誰にも看取られず、ひっそりと…嫌なもんだ」

神娘「人に忘れられた神なんてそんなものだ、力の大小に関わらず孰れは忘れ去られ消えてしまう」

男「…今はどれぐらい神様がいるんだろうな」

神娘「もうほとんど残っているまいよ」

男「寂しい?」

神娘「いいや?もう神は人に求められては無い、ならば消え去るのもいいのかもしれない」

男「…」

神娘「しかしだな、私にもこうして信徒が出来たからには張り切らねばならぬ」

男「力使い切られても困るんだけどね」

神娘「そんなあほな真似はせんよ、故に何もできず困っている」

男「何もないもんね」

神娘「照れるな」

神娘「と言う訳で何かしたくても出来んのだ、少なくとも今のところは」

男「別に見返りとか求めてる訳じゃないのだがな」

神娘「ほほぉ、では何か?我の体か?」ニヤニヤ

男「それもなんか…違う気がする」

神娘「まあ今お前は私にその溢れ満ちる信仰を注ぎ込んでくれればよい、人の子」

男「まあ、参拝しに来るだけだがな」

神娘「それでよい、やがてその積み重ねは信仰となり還元されよう」

男「まあ植物に水をやるつもりで頑張ろう」

神娘「なんとまあ人の子の癖に不遜な喩えだ、お前の目の前に居るのは神だと言うのに」

男「その人の子の助け無くては生きられないのに?」

神娘「言うなれば寄生状態だな」

男「うわぁ嫌な例え」

神娘「なに心配するな、信仰をたっぷりとを蓄えたからには礼代わりにお前の力となってやろう」

男「神様がそう易々と干渉していいものなのか」

神娘「まあ現状大した力の行使も出来んだろうし良いだろうて、それに…」

男「それに?」

神娘「神を忘れた人の世にとって、果たして神がどれ程力を行使できるのか…恐らく大した脅威にはならぬだろう」

男「神様も力が衰えるのか」

神娘「衰えたのではない、力の意味がなくなったのだ」

男「難しい話?」

神娘「お前もそうであるように今の人は完全に神を信じなくなり、神の姿を忘れた」

男「まあこうして目の前にいるがな」

神娘「魔法を鼻から信じない相手に魔法を見せた所で笑われるだけ、そうなれば力の意味は無いと言う事だ」

男「…」

神娘「忘れられるのも悲しいものだが、まあ自由に人の世に降りられるのも面白い」

男「前向きだな」

神娘「酸いも甘いも噛み分けたからな、人間とは思考の期間が違うのよ」

男「…寂しいか?」

神娘「多少な、やはり私らは人の力失くしては生きてはいけない」

男「まあ、信仰とやらを捧げればいいんだろ?」

神娘「頼んだぞ、私が外にでれるか否かはお前頼みだからな」

男「そろそろ帰るか…結構長く話してしまった気がする」

神娘「気にするな、行き帰りに時間を書けなかった分そう長くは飛んで無い筈だ」

男「助かる、昨日は両親が煩かった」

神娘「まあ日が傾きかけ…といったところか」

男「しかしどうなんだろうな、向こうからはいきなり出てきたように見えるんだろうか」

神娘「神様の力でなんとかしてる」

男「便利だな」

神娘「そう褒めるな、照れる」

男「じゃ、何かなければ明日も来る」

神娘「菓子の一つも出せんがな、待っている」

男「神様の力で何とかできんのか…」ザスザスザス

神娘「………」

シャワシャワシャワ

神娘「………」


――――神様!

神娘「……」

――――神様!神様!

神娘「……やめろ」

――――俺ら神様の為にいってきます!必ず帰ってきます!

神娘「やめてくれ…」

――――神様の力があれば大丈夫です!

神娘「私の力なんて…大した事は出来ん…」

男「ふぃー…」ザシュッ

友「また会ったな!」

男「終わったのか?課題」

友「全然!」

男「さっさとやれよ」

友「終わる気がしねえでやんの!はっはっはぁー!」

男「……」

友「ボスけて」

男「ジュース一本」

友「まじで!?奢る奢る!」

男「………」チラッ

リーン…リーン…

男「…泣いてる?」

友「泣いてねえって!それよか烏龍茶と紅茶と緑茶どれがいい?」

男「サイダー」

友「えっ、この自販機そんなおしゃんてーなもの」

男「サイダー」

友「ガッデム!」

男「………」

リーン…リーン…リーン…

遅筆ですがやっていきます
エロは無いし可愛い女の子も居ねえでやんのです

神娘は可愛くないのね

>>39

男「可愛いと思うんだが」

神娘「えっ」

男「普通に可愛いと思うんだが」

神娘「えっ」

お詫びと訂正を申し上げます

先生「であるからして、偶発的に発生した第三次世界大戦によって」

男「…」カリカリ

友「…」カリカリ

先生「宗教は悪であるとの大方の意見によって」

友「…なぁ、やっぱり宗教って怖いんだろうかな」

先生「科学的解釈によって幻想的思想を打破し」

男「さぁな」

先生「統一的な政治思想を打ち立てる事が第一と」

友「神様なんている訳ないのにな」

男「そうか?」

先生「人間の力による人間の為の世界との考えにより」

友「えっ、もしかしてお前…」

先生「幻想的思想を打ち破るに値してそぉい!」ビスッ

友「おごぉっ」

友「また課題が増えた」

男「自業自得だな」

友「……」チラッ

男「頑張れ」

友「うぉぉぉぉぉ!」ダッ

男「……」

ミーンミーン…

男「いつも夏なんだな、あの森」

ミーン…

神娘「……」

男「うーっす…って神様?」

神娘「…」スゥ

男「寝てるか、随分姿勢良く寝てるのな」

神娘「…」ムニャ

男「…」

神娘「…ん」スヤァ

男「あれだな、どんなご褒美だこれ、信者万歳って言えばいいのか?」

神娘「……はっ!」ガバッ

男「うっす」

神娘「…おお、来たか人の子」ノビー

男「ここは恥ずかしがったりする場面かと思ったけど」

神娘「人に寝顔を見られることなんてよくある話、生娘とは違うわ」

男「まあここでいきなり恥ずかしがられても面倒くさいと思うけど」

神娘「だろうに…ふむ」

男「…」

神娘「話す事が無い」

男「こっちも」

神娘「やる事が無い」

男「うん」

神娘「話す事が無い」

男「うん」

神娘「何かないか、質問とか」

男「時々ふっと浮かぶけど、用意はできない」

神娘「ううむ…折角来た信者に何も出来んのも歯がゆい、せめて神社から少し出れるまでになれば…」

男「何かあるのか?縛りとか」

神娘「我の本体が神社にある故、ここは力の消費が少なくなる休憩地なのだ」

男「ああ、だから力が溜まるまでは出れないと」

神娘「もう少しだと言うのに何ともいじらしい…ええい」

男「そう言えば、一日参拝するたびに信仰はどれぐらい溜まるんだ?」

神娘「中々溜まるぞ、お前が私に疑いを持たず純粋に進行を捧げてくれるお蔭だ…感謝する」

男「まあこうして目の前で喋られたら信じない他ないけどな」

神娘「よいぞよいぞ…その穢れ無き信仰を捧げよ、我を信じよ、我を崇めよ」

男「別に崇めるって程でも無いけど」

神娘「言葉の綾だ、気にするな」

男「じゃあ、このまま毎日通った所でどれぐらいかかるんだ?」

神娘「あと三か月…いや二か月といったところか、多少でも出れる様になるために」

男「二か月…そんなにかかるのか」

神娘「二か月…あっという間だな」

男「えっ」

神娘「ちなみに二か月経ってもこの森からは出れんがな」

男「眩暈がするぐらい長いスパンだなおい」

神娘「そうなったらお前にこの森を案内できるぞ!」

男「(そう言えば多分数世紀単位で待ってるんだよな、神様)」

神娘「ふふん、人の世に降りるまでにはまだかかるがな…まずは慣らさんと」

男「(そう考えたらここから出られるだけでも嬉しいんだろうか)」

神娘「こう言ってはなんだが楽しみだな、うむ」

男「(…楽しみなんだろうな)」

神娘「まあ、それまでは退屈だと思うが…全てはお前次第なのだ」

男「まあ暇だし、いいかな」

神娘「しかしあれだ…やる事が無い」

男「本でも持ってくるか」

神娘「ほほぉ…外界の本か」

男「興味があるのか?」

神娘「私は所謂読書家でもある、神は分別なく知識を吸収するぞ」

男「そいじゃあなんか持ってこよう、あとは…」チラッ

神娘「どうした人の子、神社がきたないのが気になるのか?」

男「結構」

神娘「こちらとしても掃除をしたいと思っていたが…この体ではな」

男「まあやる事は決まった、取り敢えず今日は帰るよ」

―――――

先生「つまりは戦争の断絶の為に全世界で協定を結び」

男「……」

友「……」カリカリ

先生「戦争がなぜ発生するのかの視点から政治学者たちの総力を結集し」

友「…つらいです」

男「頑張れ」

先生「遂に有害な、戦争の起点となる要素を排除する事に」

友「なんだよこれ!無理に決まってるだろ!」

先生「はいそこぉ!」スパーン

友「ぎゃふんっ!」

男「お前も懲りないな」

友「次から次へと課題が…」

男「それでもやりくりできるのも才能だと思うけど」

友「尊敬しても良いのよ?」

男「いやしない」

友「だよなー…」

男「…あとでなんか食べに行こうぜ」

友「センキューマイベストフレンド…」

男「じゃーな、頑張れよ」

友「イェス サー…」

男「うっす」

神娘「よく来たな人の子よ」

男「頼まれた本だけど、数学の本でいいか」

神娘「ん?ああ、無論良いぞ…勉学も神には必要だ」

男「本当に何でも読むのな」

神娘「ふむ…やはりこれだけの期間が開いていると学術も相当進むものだ、面白い」

男「(凄い速度で読み進めてるぞ…)」

神娘「ほほぉ、あの証明は遂に解かれたのか…」

男「じゃ、こっちも作業を始めるか」

神娘「うん?」

男「掃除をしようかと思って」

神娘「…何から何まですまんな」

男「どうせ暇だったしいいさ、それに…」

神娘「それに?」

男「ここの神社って手入れすれば綺麗だと思うしさ、これでもマメだって言われるから」

神娘「…お前は面白い人間だな」

男「そうか?」

男「磨けば光ると思うんだよなー…」ザカザカ

神娘「…思い出すな」

男「ん?」

神娘「昔はこの神社もこうして誰かが掃除をしていたんだってな」

男「……」

神娘「だが、こうしてお前が掃除をしていると…なんだかな」

男「迷惑か?」

神娘「とんでもない、感謝の仕様がないぞ人の子」

男「そりゃ、どーも」

男「…」ザカザカ

神娘「…」ペラッ

男「…なぁ」ザカザカ

神娘「なんだ?」ペラペラ

男「お前と、その人たちってどういう関係だったんだ?」ザカザカ

神娘「簡単な話だ、人は私に信仰を捧げた、私は彼らを愛した、それだけの簡単な関係だ」

男「愛するとか、愛されるとか…それって簡単な関係なのかな」

神娘「簡単だよ、お前たちが難しく考えすぎなだけだ」

男「……」

神娘「性別や思考や生まれや国や…難しい物に縛られ過ぎて本質を見失っているだけなんだ」

男「それは…」

神娘「”私はあなたを愛している”…本当に必要なのはそれだけなんだ」

男「…やっぱり、神様なんだな」

神娘「私は神様で人間でないから、的確な答えじゃないとは思うがな」

男「なら、神様は愛しているか?」

神娘「お前を?無論愛しているともよ」

男「…うーん」

神娘「どうした?」

男「いや?なんでもない」

神娘「そうか…ん、随分と見栄えが良くなったな」

男「おお、なんか無心でやってたら随分と綺麗に」

神娘「感謝するぞ人の子、お蔭で普通よりも多めの信仰が集まってきた」

男「なんだそのご都合主義みたいな」

神娘「我の為に掃除をしたのだ、信仰が多いのも当然だろう?」

男「そういうもんなのか」

男「(しかし随分時間を掛けたな…この分だと夜か)」

神娘「まあ…この分だとまだ日は落ちてないだろう」

男「…ん?」

神娘「どうした?」

男「いや…なんでもない」

神娘「あ、この本はどうする?」

男「読み終わったのか?」

神娘「ああ、中々面白かった」

男「(400ページあるのに…)」

神娘「ここで預かっていた方がいいならそうしよう」

男「んー…どうせ使わないし、暇つぶしに役立つといいからおいておくと良い」

神娘「そうしよう」

男「掃除用具も置いておこう…なんだかここが秘密基地になりそうな気が」

神娘「ああ、居たなぁ神社を秘密基地にする子供は」

男「考える事は同じか…」

神娘「そいつを怒る大人も小さい頃にはやっぱり秘密基地を作ってたから笑いものだ」

男「何世代も見てるんだな、神様は」

神娘「ああ、ずっと見て来たんだ」

男「…そうか」

神娘「しみったれた空気になったね、すまない」

男「ん、じゃあ帰るさ」

神娘「お休み人の子、良い夢を」

男「そっちも…寝るか分からんが」

神娘「偶には人の真似事して寝てみるかな!」カラカラ

男「…」ザッシュザッシュ

男「…っと」ポン

男「愛している、ね」

―――「”私はあなたを愛している”…本当に必要なのはそれだけなんだ」

男「…」

―――「お前を?無論愛しているともよ」

男「…なんか、違うんだよな」


男「帰るか、どうせまた会える」

本日はここまで
良い夢を

神様にやってもらいたいことあれば言って見れば信仰に応じて答えてくれるか持っていってみるよ
何でもは出来ないよ、出来る事だけ

――――

「返事はどうだ」

「芳しくありません、手の内をさらしたくないものかと」

「くそっ、前時代の遺物のような考えだ」

「どうしますか、このままでは」

「それは何としても避けなければならん」

「もしそうなった場合は…」

「確実に負ける、平和ボケした国民では戦うことなぞ不可能だ」

「……」

「……」

―――――

先生「先の戦争で我が国はあと一歩で本土上陸に持ち込まれるところだったが」

友「物騒な話だの-」

先生「しかしながら、突如として激しい嵐と雷雨によって敵艦は悉く沈み遂には殲滅に至った…とある」

友「ほほー」

男「なんかもうお前諦めてないか」

先生「これを神風と呼ぶ説もあるが今現在の科学的視点から照合すると極めて馬鹿らしい言い方であり」

友「酷い物言いだなおい」

先生「実際は運よく低気圧帯が発生したという説が最有力でそこぉっ!」

友「おぎゃんっ!」

男「汚い断末魔だ」

友「なんか悟った気がする」

男「頑張れ、応援する気が出来てきた」

友「と言う訳でお前との探検はまたお預けだ」

男「あれ、そんな恒例の行事だっけ」

友「また会おう友よ!生きていれば!」ダッ

男「またなー」

神娘「……」ムニャ

男「神様」

神娘「ん…ああ人の子、今日は早かったか?」

男「いつも通りだが」

神娘「多少寝すぎたか…うむ、しかし大分体調も良くなってきた」

男「信仰のおかげか?」

神娘「然様、もうじきこの森の中ぐらいならば歩けるようにもなろうて」

男「じゃ、それまで掃除でもしてるかな」

神娘「助かるぞ人の子、この神社が綺麗になる事も力の回復に役立つ」

男「随分地味な事もあるもんだな」

神娘「地味などではない、掃除にかかった労力も貴重な信仰だし神の住まいである神社は神の力の象徴でもあるのだ」

男「地道に、ね」

神娘「本当にお前が居て助かったぞ」

男「今日は歴史の本を持ってきた」

神娘「歴史とな、この隔絶された場所では外界の様子は分からんでな」

男「まあ、あまり気持ちよくない内容もあるけど…」

神娘「構わんよ」

男「ほら」ポスッ

男「……」ザカザカザカ

神娘「……」ペラッ

男「……」ザカザカ

神娘「…」ペラペラ

男「…」ザッザッ

神娘「人の子、この書に書いてあることは本当か?」

男「掛け値なしの本当だな、まあ大昔の事はそっちの方が詳しいと思うけど」

神娘「”戦争根絶のためのあらゆる手段を練り”ね、ふん」

男「気に入らないのか?」

神娘「こいつらは戦争の本質を分かってないんだろう、学者はいつだってそうだ」

神娘「時に人の子、例えば二つの国に戦争があったとしよう」

男「ふむ」

神娘「片方の国は例えば、もう片方の国に不当な搾取をされていたとする」

男「搾取をしていた方が悪いな」

神娘「まあ落ち着け、搾取をしていた方も理由があるとしたらどうだ…例えばそうしなければ民を養っていけないとか」

男「何とか方法を探すのは?」

神娘「大抵の国にとって戦争なんてない方がいいのさ、いわば最終手段、止むに止まれず…試行錯誤なんてとうに終わっている」

男「……」

神娘「どうする?片方の国は生きるために戦いもう片方は取り戻すために戦う、この場合どちらが悪だ?」

男「…分からん」

神娘「つまりはそれだ」

神娘「正義の反対は正義だ、どちらにも引くに引けなくなったときに戦争は始まる」

男「…すまん、まだ終わりが見えてこない」

神娘「お前は政治家がどのように戦争を回避したと書いてあるか言えるか」

男「…”宗教、土地、あらゆるものを統一し人々の違いを撤廃する事により国という隔たりをなくした”」

神娘「よく覚えているな」

男「暗記させられるから、この一説は」

神娘「統一による国という概念の撤廃、それこそ矛盾している」

男「…はぁ」

神娘「そもそも人が生まれた時は国なんてものは無かったんだ、それが成長して国がどんどんと生まれて行った」

男「…必要ないならば国は生まれないと言う事か?」

神娘「然様、利権やしがらみその他ほんの些細な事から今まで国は無数に生まれて消えて行った…それは国という括りがが必要だったからだ」

男「分かって来たぞ」

神娘「例え統一した世界を作ったとしても戦争の種を根絶は出来ん、ただ押さえつけただけ」

男「いずれは芽吹くって事か」

神娘「それも近いうちに、必ず」

男「…なあ神様」

神娘「なんだ人の子」

男「神様って一体何の神様なんだ?」

神娘「…今となってはもう、必要とされなくなった存在だよ」

神娘「……難しい事を言いすぎた気がする」

男「正直真面目な話は似合わない気がする」

神娘「奇遇だな人の子、やっぱり信者だからか?」

男「違うと思うよ」

神娘「しかしなかなか面白いな、神が居なくとも人は着実に進歩している」

男「嬉しそうだな」

神娘「嬉しいさ、いつだって人は神の庇護の元にあるんだから」

男「……」

神娘「ふむ、中々片付いてきたか」

男「この神社は大きくて掃除が大変だ」

神娘「そうか?割かしこじんまりしていると思うが」

男「…普段掃除をしないせいか?」

神娘「まあよい、結果としてぐんぐんと信仰が溜まってきている…この分ならそうそう時間もかかるまい」

男「楽しみだ」

神娘「お前がか?どうして」

男「神様と一緒に散策できる、今まではこうして話してるだけだから」

神娘「口説き文句は好きな女に言うと良いぞ、無駄玉は打たないに限る」

男「はいよ」

神娘「ではそろそろ帰るといい、良い頃合いだろう」

男「ん、じゃあこれを置いておくよ」ドサドサ

神娘「ほぉ?随分大量の書物だが…良いのか?」

男「読まなくなったけど面白い本だよ、おすすめ」

神娘「ここを物置代わりにされても困るが…まあ大目に見てやろう」

男「ありがたい事で」

男「…よいしょっ」ポン

男「んー…勤労は良いねぇ、心地よい疲れ」

男「……神様の事、まだ殆ど何も知らないんだよなぁ」

シャワシャワシャワ…

男「いつか教えてくれるといいけど」

多少理屈じみた話が入ってしまいましたが
別にこれからバトルものになったり理屈だらけになる様な事はありません
今夜はもうちょっと続きます

男「うーっす…神様」

神娘「……」スゥスゥ

男「また寝てる…」

神娘「……ん」

男「やっぱり、まだカツカツなのかね…どっこいしょ」

神娘「…うん…」モゾモゾ

男「起こしちゃったか?」

神娘「……」スゥ…

男「…まあ、起こすのもあれだしな」ホッ

神娘「………」スゥ

男「……」

神娘「……」

男「…中々起きないな」

神娘「……」ムニャ

男「……(やばい、頬つついたら柔らかそう)」ソー…

神娘「……ん」

男「……やめとこう」

神娘「……」

神娘「…ん、ああ、人の子か…」

男「起きたか神様」

神娘「ここは体力の消費が少ないがな…ふぁ、それでも浪費は避けたい」

男「用心深い事だな」

神娘「お前にもらった大切な信仰を無駄遣いしたくない」

男「…おう」

神娘「信仰とはな、ただの活力ではないのだ」

男「そうなのか?」

神娘「お前は誰かに”私を信じろ”と言われて心から信じられるのか?」

男「そりゃ…無理だな」

神娘「信仰とはな、無償の信頼だ、裏切られても構わないと私に全てを捧げる者の心だ」

男「…」

神娘「お前が思っているよりも信仰とは重い、軽んじられるものではない」

男「でもさ、神様は昔信仰を集めていたんだろ?」

神娘「そうだ」

男「そんなに重いものを背負って、辛くなかったのか?」

神娘「愚問だ、その問いは私を馬鹿にしているぞ人の子」

神娘「神には力がある、それと同時に我々には責任がある」

神娘「人々の願いを、信頼を背負う義務がある」

神娘「たかが数千、たかが数万の人の希望を、願いを背負えずして何が神か」

神娘「私には誇りがある、捧げられた信仰を背負い続けた誇りがある」

神娘「それを心配する事はつまり、これまでも私に対する侮蔑と知るがいい!」

男「神様…」

神娘「は、何を言っているのだ…すまん」

男「…」

神娘「最早その信仰を捧げるのはお前だけというのに…熱くなりすぎたな」

男「すまなかった、神様」ペコリ

神娘「へっ?」

男「馬鹿にするつもりは無かったんだ、でもなんか…そうだな、神様だもんな」

神娘「いや、別にそんな謝罪を求めるつもりは無かったのだが…」

神娘「人の子、お前のおかげで積み重なった信仰が私の中で力となりつつある」

男「随分と速いな」

神娘「お前の献身が良かったのだ…もうじき私もこの森の中なら自由に活動できるようにはなるだろう」

男「楽しみか?」

神娘「この神社から出るのはもう何百年ぶりか…」

男「そう言えばこの森って不思議だな、なんか…中に居ると変な気分になる」

神娘「お前が居るこの森は鎮守の森…つまりは神の懐だ、そう思うのも無理はあるまい」

男「神の懐ね…なんか妙な響きだな」

神娘「いわばお前は私の膝元に居るのだ人の子よ」

神娘「今はまだ違和感があるだろうが、私との親和性が高くなればそれも無くなるじゃろうて」

男「親和性?」

神娘「ただ信者となり信仰を捧ても神との親和性は高まらん、私を理解し受け入れる…それが親和性じゃよ」

男「難しい話になりそうだな」

神娘「いいや?こうしてお前が私の傍に居ればいずれ分かる、そういうものだ」

男「そういうものか」

神娘「考えるな、感じろと言う」

男「なるほど」

神娘「他者を理解するのに一番いい方法は、一緒に居る事だよ人の子」

神娘「だから人の子よ、今は私とともに居るがいい」

男「まあ、そのつもりだけど」

神娘「お前は大事な信徒だ、多少の便宜は取りはかってやる」

男「信徒、ね」

神娘「嫌なのか?」

男「そう言う事じゃないんだが…」ポリポリ

神娘「なんだその顔は」

神娘ってかんむすでいいのか?

神娘「ふっふっふ…驚け人の子よ、私がこの社を出られるようになるまで見積もって後三日となった」

男「随分と速いなおい、数ヶ月とか言ってなかったっけ」

神娘「うむ、お前の信仰が私の見立てを遥かに上回ったのだ、嬉しい誤算だな」

男「…ちなみに最初はどんなもんと予想してたんだ?」

神娘「途中で逃げ出すかなと」

男「……」

>>97

神娘「どの名でも構わぬぞ、神はそんな事に気を配らぬ」

男「かみちゃん」

神娘「流石にそれはよせ」

しんこさん

かみにゃん!

>>100

神娘「やけに馴れ馴れしい…が、まあそれでもよいぞ」

男「かみちゃん!」

神娘「やめろと言っておろうが!」

か-たん!

神娘「こほん…まあよい、もうじき私の力が一区切りつくわけだが」

男「そうだな」

神娘「その…1つぐらいお前に何か加護を与えてやれるかもしれん、まあ程度にもよるが

男「加護?」

神娘「謂わば私が絶えずお前の傍についているのと同じだ、どうだ嬉しいだろう」

男「といっても神様っていつも寝たりしているからあんまり心強くは感じないんだが」

神娘「言うな、信仰が集まった暁にはそんなぐうたらともおさらばじゃ」

>>100
>>101
>>103

神娘「良いぞ…だんだんと信仰が我が元に集まってくるぞ」

男「どこから?」

神娘「知らん」

男「それで、どんな加護が選択肢にあるのか非常に気になるのだが」

神娘「ふむ…今のところはこんなもんじゃ」バタン

男「…微妙だな」

神娘「まあそんなものだぞ、まだ本調子じゃないからな」

男「じゃあまだよしておくよ」

神娘「良いのか?ほんの僅かと言えどそれは神の力、人知の及ばない力を得られるというのに…」

男「別に、そういうの求めてないし…うん、自分が欲しいものが見つかったら頼むよ」

神娘「…やっぱりおかしな奴だな、お前は」

男「こうして掃除してるとさ、心が安らぐんだよな」

神娘「…良い所か?ここは」

男「ああ」

シャワシャワシャワ…

男「何と言うか、風が生きてるんだ」

神娘「…ほぉ」

男「なんだろう、ここの風に当たっていると心が落ち着くんだ」

神娘「読み取る力はある、という事か」

男「どう言う事だ?」

神娘「人の子よ、その安寧こそわが力の一端だとしたらどうだ?」

男「…つまり、神様は風を司る神様って事?」

神娘「半分は当りだ」

男「半分?」

神娘「半分、と言うより解釈としては半分正解と言ったところか」

男「もう半分は?」

神娘「秘密だ」

男「なんだよもったいぶって」

神娘「もったいぶってなどいない、話す必要がないだけだ」

男「なんだそりゃ」

神娘「知る必要のない事だってあると言う事だ、特に短い時を生きる人はな」

男「なんか腑に落ちんな」

神娘「神が人に己の全てを晒すと思うか?」

男「なんか不公平なんだよな」

神娘「神と人の間に公平さは無い、つまりそう言う事だ」

男「……風が気持ちいいな」

神娘「ふふ、そうか…もっと褒めるがよい、もっと私を畏れるがよい、其れは皆我が力となる」

男「…よっと」ポンッ

男「なんだかすっかり日課になったな、これ…」

シャワシャワシャワシャワ…

男「…やっぱり違うな あそこと、こことでは」

ちょこっとづつしか進みませんがやっていきます
今日はここまで

シャワシャワ…

神娘「……」

ヒュゥゥ

神娘「……ふ」

カツカツカツ

神娘「来たか、人の子」

男「来たぞ」

シャワシャワシャワ

男「いつも思うんだが」

神娘「なんじゃ?言ってみよ」

男「ここって不思議な空間だよな、暑くもないし寒くも無い」

神娘「そりゃそうじゃろ、我の住みやすい空間にしてあるからな」

男「引き篭り万歳だな」

神娘「じゃがのぉ、代わり映えのない空気も苦手じゃて」

男「暑くしたりとか」

神娘「へばるからいやじゃ、熱いのは嫌いじゃ」

男「じゃあ寒くしたりとか」

神娘「この景色で寒かったら違和感がの」

男「景色は変えられないのか?」

神娘「…さぁの」

男「あー…眠い」ザカザカ

神娘「どうした?寝不足は万病のもとだぞ?」

男「とは言ってもなー」

神娘「なにかあるのか?」

男「昔から寝つき悪くてさー…ベッドとかだとあんまり寝れないんだよね」

神娘「うむ…それはゆゆしき問題…おお、良い解決法があった」

男「えっ、まじ?」

神娘「ここで寝ればよかろう!」

男「えっ」

神娘「えっ」

神娘「駄目か?」

男「いや…でもどこで寝ればいいの?」

神娘「どこで寝るとか決めてもらわんと寝れんのか貴様は」

男「でもなぁ…外で寝た経験なんて無くて」

神娘「寝たいと思った場所で寝ると良い、昔はこの神社の周りで寝るものが多くてな…」

男「…試してみるか」

神娘「掃除も終わった頃合いだろう、存分に寝ると良いぞ」

男「と、言われたはいいがなー…」

―――神娘「枕?そんなもの必要ないぞ、草があれば普通に寝れるものだ」

男「ほんとかなー…」

神娘「我を疑うのをよさんか、信仰に影響が出るだろうが」

男「聞こえてるのか…」

男「あー…ん?なかなか良さげなポイント発見」

男「物は試しだ、寝てみるか…」

男「よいしょっと」ゴロン

男「(草の香りがする、なんか落ち着く)」

ヒュゥッ

男「(風の音が聞こえる、虫の音が聞こえる)」

男「(そう言えばここって神様の膝元って言われてたよな…)」ボー

男「(つまり…これは神様の膝枕で寝るって事か……)」ウトウト

男「(なに…ばかな事を……考え…………)」


男「………むにゃ」

神娘「やっぱり寝おったな」

神娘「全く…神を信用せんとは不届き者め、私がお前を騙すわけが無かろう」

男「………」

神娘「第一だな、幾ら寝れんとはいえそんな不健康な面を見せるでないぞ、心配するだろうが」クドクド

男「………」ゴロン

神娘「全く、それにお前は神に対して不躾過ぎだと思うぞ」クドクドクド

男「……あー…」ゴロゴロ

神娘「それにだなっとぉ…いかんなどうにも、年を食うと説教臭くなる」

神娘「…………」ジー

男「……」ムニャ

神娘「………」ウルッ

男「……」スヤスヤ

神娘「いかんな、どうにも昔に比べて涙腺が弱くなった」

男「……」グーグー

神娘「こやつはこやつであって、他の誰でもないと言うのに…思い出す」

男「……」

神娘「あの時は、たくさん人がいて…みんな笑っていて…」

男「……」ゴロン

神娘「ああ、駄目だなこれ…こんな間抜けづら、あやつには見せられまいて…」

男「……ここは?」パチッ

ザワザワ

男「当り一面の野原が…」

ザワザワザワ

男「風が吹いてる、あの神社と同じ風が吹いてる」

……人の子

男「…神様?」

人の子、人の子ら

男「神様、誰を呼んでいるんだ?」

シャワシャワシャワ

男「虫の声が…」

娘「……」

男「…神様?」

娘「人の子よ」

男「あんた、どうして――――」

男「……ん」パチッ

神娘「起きたか、随分心地よさそうにねおって」カラカラ

男「…こんなにぐっすり寝たのは初めてだ」

神娘「神の力じゃて、別におかしいことは無い」

男「安心すると言うか…なんだろう、誰かに守られている気がして」

神娘「…ふむ、人の子よ」

男「ん?」

神娘「お前が眠れないのはひょっとすると…なにかが憑いているのやもしれん」

男「えっ?なにが憑いてるんだ?」

神娘「分からぬ、我は厄払いではないから用意なしには見る事すらかなわぬ」

男「なんだ…ちょっと残念だな」

神娘「まあ用意すれば見る事も祓う事も可能…かもしれん」

男「凄いな、専門外の事までできるのか」

神娘「神じゃからな」

男「…ひょっとして金をとられたりはしないよな?」

神娘「するかたわけが、信者の悩みを解決するのも神の仕事じゃて」

男「ありがたい、じゃあ頼むよ」

神娘「…疑うなよ、私を」

男「へっ?」

神娘「お前は我を信じよ、我はお前を裏切らん…約束しよう」

男「…もしかして最近信仰が減ってたとか?」

神娘「まあの、行いで打ち消して差引無しといったところだが…信用されてないと言うのは悲しい」

男「……」

神娘「分かったな?」

男「あ、ああ」

神娘「ではもう帰るがよい」

男「よいしょっと」ガサゴソ

男「いやぁよく寝れた…神様に感謝だな」

男「それにしても…」

―――神娘「信用されていないのは悲しい」

男「…神様も悲しんだりするんだな」

先生「それでは修学旅行に行きたい場所を多数決で決定する」

友「男よ、君と会うのは非常に久しぶりな気がする」

男「そうか?」

先生「では…」

友「しっかし修学旅行か」

男「どこに行きたい?」

友「うーん色々あるけど俺は一つかな」

男「ほぉ」

先生「では…」

友「そう言うお前だって決まってるんだろ?」

男「ああ」

先生「では最後、○○神宮!」

男「はい」

友「はいっ!」

先生「…決まりだな、では修学旅行は○○神宮とする」

神娘「……ぐぅ」

男「神様?聞いてる?」

神娘「すまぬ、寝てた」

男「最近力を取り戻したんじゃなかったの?」

神娘「いやさ、事情があってだな…」ノビー

男「事情?」

神娘「案ずるな、後々話す」

男「あ、ああ…それで修学旅行に行く事になったからその間はここにはこれないよ」

神娘「なんじゃ寂しい…とは言わんぞ?若いうちは仲間とともに大いに騒ぎ、楽しむがよい」

男「常々思うけどやっぱり神様は神様なんだな」

神娘「はっはっは、我に普通を求めてはいかんぞ、神と人は違うからな」

sageと酉忘れてた

神娘「して?どこに行くのじゃ?」

男「ああ、○○神宮」

神娘「○○神宮?」

男「神様と出会ったからな、折角だから正式な神宮に言っておこうと」

神娘「ここだって神社じゃぞ」

男「うーん、このご時世国に認められた唯一の場所と言うか…そんなの」

神娘「人が生意気な事をするのぉ」

男「言うなって、まあそう言う訳だから」

神娘「神宮…○○神宮のぉ…面白い事になってきおったわい」ニヤリ

男「なにか?」

神娘「なにも」

男「で」

神娘「うん?」

男「見立てでは今日ぐらいに外に出られるぐらい力が溜まると言っていたが」

神娘「もしかして楽しみにしてたのか?」

男「それなりに」

神娘「あっはっは、そなたも案外子供…すまん」

男「あん?」

神娘「本当にすまん」

男「正直に何があったのか言いなさい」

神娘「いやの?実は昨晩力が丁度溜まっての?」

男「うむ」

神娘「長らくこの神社から出られなかったのもあっての?」

男「はしゃいだわけだな」

神娘「……」

男「そうなんだな」

神娘「…そうだ」

男「それで体力使い果たして寝ぼけてたわけだ」

神娘「うむっ!」シャキーン

男「うむっ!じゃねーぞこら」

神娘「だって嬉しかったから…」

男「神様もこっちの事言えんじゃないか」

神娘「ええい、お前には分かるまい!こっちは数百年は待ったぞ!」

男「確かにそう考えると酷だな」

神娘「まあ…すまんかった、折角信者であるお前が楽しみにしていたのに答えられそうにない」

男「体力の問題か?」

神娘「信仰を使えば回復出来る、が…お前が捧げた信仰をそんな事で使いたくはない」

男「(変な所で律儀なんだな)」

神娘「だから…今日はお前と外に行く事は叶いそうにない、すまん」

男「いや?方法はある」

神娘「あん?」

―――――

男「こっちか?」

神娘「そっちにはあけびの実がある、旨いぞ」

男「ふむふむ…お、なかなか良い」

神娘「こっちにも寄越さんかい」

男「はいはい」

神娘「いやぁ、まさか”おんぶをすれば体力を使わん”とか言われるとは思わんかったぞ」

男「(下心には気づいてないのな)」

神娘「はっはっは!中々快適快適!」

男「(やべえ、当ってる!当ってるってこれ!)」

神娘「次はこっちじゃ!桑の群生地があるぞ!」

男「(神様ってプロポーション最高じゃないか?神だからか?)」ジーン

神娘「…なんかやましい信仰が集まってきておるぞ?」

男「(不覚っ!)」

神娘「まあよい、こっちじゃこっち」

男「(あぶなかった…)」ホッ

神娘「いやぁ…しかしこうしていると思い出すな」

男「(男女の恋愛とか思い出されたらどうしよう)」

神娘「…あの時の子供の子孫は今どうしているのだろうかな」

男「(予想斜め上だった)」

神娘「あの時の子供はこういった気持だったのかもしれんな…」

男「……」

神娘「……はぁ」

男「すまんかった」

神娘「はぁ?」

神娘「…のぉ、人の子」

男「うん?」

神娘「そちは、我の事をどう思っている?」

男「…神様?」

神娘「神じゃが」

男「うーん…どうって言われても」

神娘「そちが私に尽くしてくれているのは分かっている、その理由が分からん」

男「……」

神娘「人は、何の見返りも無しに尽くせるのか?」

男「分からん」

神娘「ええっ」

男「強いて言うなら、風だな」

神娘「風?」

男「ここには下とは違う風が吹いているんだ、土の香りがする」

神娘「…風か」

男「懐かしいんだ、ふとした瞬間に思い出すんだ」

神娘「……」

男「それに、多分小さい頃から憧れたんだと思う」

神娘「ほお」

男「神様なんて居ないと皆は言うけど、どこかに居るんだって思ってた」

神娘「神を信じていたのか?」

男「そんなもんじゃない、だけど…」

神娘「……」

男「この世界には扉がある、そう思っていた」

神娘「扉」

男「この世界から別の場所へつながる扉、今は無くなった幻想への扉」

神娘「そうか」

男「あの時、あの森を見た時ピンと来たんだ これが”扉”だって」

神娘「どんな気持ちだった?お前は何を考えた?」

男「興奮した、胸が高鳴ったよ」

男「虫が鳴いていた、あたり一面自然の森だった、風が吹いていた、木漏れ日が眩しかった」

神娘「良い所だろう」

男「ああ良い所だった、なにより神様がいるのが一番良かった」

神娘「ふふん」

男「だからかな、見返りも無いっていうけどこの世界こそが神様を助ける理由なんだと思う」

神娘「…人の子よ」

男「うん?」

神娘「信仰を差し出すがよい、我を崇めるがよい、我を畏れるがよい」

神娘「その度に貴様は神の力を知るだろう、その度に貴様は新しい世界を見るだろう」

神娘「約束しよう、私の名を持って」

男「つまりは?」

神娘「お前が信仰を捧げればもっと色々なものを見せてやると言っている」

男「楽しみだな」

神娘「浮気するでないぞ」

男「生憎周りには男しか居ない」

神娘「男色と言うのがあってだな…」

男「神様ってそっち系?」

神娘「阿保を言うな、まあ許容範囲内であるが」

男「ストライクゾーン広いのね」

神娘「人である内は許容できるぞ」

男「そろそろ帰るか?」

神娘「そうするか…はしゃぎ過ぎて疲れた」

男「子供か」

神娘「まあ、安心したよ」

男「うん?」

神娘「時々不安になったからな」

男「何がさ」

神娘「…さあ、なぜだろうなぁ」

男「……帰リ道覚えてるか?」

神娘「迷よったか?」

男「しゃーないだろ」

神娘「まったくそれだからお前は…」

男「はよ教えれ」

――――

先生「と言う訳で我々は自由の為に」

友「あー…たりい」

男「もうじき修学旅行、終わったら試験だろうが」

友「どう見ても逆だよな、逆」

男「そうとは思うが」

先生「であるからして」

友「あー…これじゃあ修学旅行に実入りもないぜ」

男「耐えろ」

先生「だからっとぉっ!」ビュイン

友「おぎゃんっ!」バチーン

神娘「人の子」

男「あん?」

神娘「呼んでみただけだ」

男「……」

神娘「ふむ…この書物によるとそういった行為に対し”萌え”と言うのを感じるらしいぞ」

男「…いや、あんまり追求しない方がいいと思う」

神娘「成程」

男「(ラノベはいかんな、読まないから持ってきたが)」

神娘「ふむ、続き続き…」

男「その本つまらなかったから買ってない」

神娘「…人の子よ」フーッ

男「あ、もしかして気に入った?」

神娘「一度読み始めたからには最後まで買わんかぁ!」

男「(そっちだったぁ!?)」

神娘「全く…中途半端は行かんぞ中途半端は」プンプン

男「じゃあ…内容は気に入った?」

神娘「いや?全く陳腐な内容だった」

男「(それでも読むのか)」

シャワシャワシャワシャワ

神娘「最近のぉ」

男「うむ」

神娘「お前は我が神だと言う事を忘れてはおらんか?」

男「…いや」

神娘「忘れておろう」

男「…まあ」

神娘「……」

男「……」

神娘「まあ、仕方のない事ではあるがな」

シャワシャワシャワ…

神娘「しかし考えれば当たり前の話、私はお前に対し神らしいところを見せていない」

男「まあな」

神娘「このままではいかん、お前が思っているより事態は深刻ぞ」

男「そうなのか」

神娘「お前が我を神と思えなければ信仰は集まらん、信仰とはつまりその者に対する畏れ…お前は自分より弱い者を畏れることは無かろう」

男「まあ、確かに」

神娘「無自覚であろうと我を神と思えなければ信仰はいずれ消えゆくのみ…そうなれば幾ら足掻こうとまた元の状況に逆戻り」

男「なんと」

神娘「なかなか由々しき事態ぞ…」

神娘「とはいえ、まあお主なら我が今出来る事も知っておろう」

男「まあな」

神娘「どうにかしたいが…まあどうにもならん」ハァ

男「…神様」

神娘「ん?」

男「この森って神様の管理下にあるんだよな」

神娘「然様、この森の中の時間の進み方も我の管理下にある」

男「神様の領地って訳か…」

神娘「我の最後の領地だ、他の物はすべて外に置いてきた」

男「……」

神娘「これでも昔はそれなりの神ではあったのだぞ?」

男「…なんか、そうだろうな」

神娘「気付いておったのか」

男「勘かな」

神娘「なんじゃそれは」

男「この森は…」

神娘「生きておる、季節は移りかわるしその度に姿を変える」

男「でもあの森とか、全く変わってないけど」

神娘「…時間を止めている、いや止まっているといった方が正しいか…」

男「どうして…」

神娘「…弱さかな、私が弱いからこの森の季節は止まっている」

男「…やっぱり、神様は神様だよ」

神娘「ああん?」

男「疑うまでも無いさ、うん」

神娘「それならいいのだがね…」

ぶつぶつ切りで書いているのは繋ぎを考えたり展開を考えているからです
ご了承ください

神様

神様?

神様!

神娘「なんじゃ人の子…って、寝てたか」

ミーンミーン

神娘「”神様”な、そう呼ばれることも無くなって久しいが…」

神娘「未だに奴らは、私を神と思ってくれているのだろうかな」

先生「で、あるからして」

友「でさぁ、これがこうで」

男「あ?ああ…ああ」

友「おい、大丈夫か?」

男「問題ない…」

友「おいお前明らかに顔色悪いぞ!?」

先生「…どうした?なにかあったか?」

男「もんだい…ありませ…」フラッ

友「おい!」

先生「落ち着け、保険室に連れて行きなさい」

友「あ、はい」

男「……およ」

男「確か具合が急に悪くなって…倒れて…ううむ」

男「寝不足とかには気を付けていたんだが…本当に急だったし」

男「そもそもここはどこだ?」

神娘「お前の意識と言ったところだな、人の子」

男「おわっ!?」

神娘「そんな驚かんでもいいだろう」

男「いや、一人だと思ってたし…」

神娘「…ふぅむ、最初から話す必要がありそうだの」

神娘「まず謝らせてもらおう、すまん」

男「え、えっ?」

神娘「此度は此方の失策でお前を危険な目に合わせた…いや取り返しのつかない事をしてしまった」

男「ちょっと待って、頭の回転には自信があるんだが」

神娘「うむ、一つ一つ話していくから待て」

男「おう、なんかわからんが今はそれしか出来んし」

神娘「まずはこの空間についてだろうかな」

神娘「端的に、簡潔に言えばここはお前の意識下だ」

男「ほぉ?」

神娘「本来なら自分の体が停止している際の精神的自己防衛の為の安全地帯…か」

男「なるほど」

神娘「やけに飲み込みがよいな」

男「だってそうじゃなきゃ神様なんて話せないし」

神娘「実に納得のいく回答かね」

男「で、多分物凄くセキュリティの硬い所に居る筈なのに神様は入ってくるんだ」

神娘「凄いだろう、崇めても良い」エッヘン

男「誰にでも出来る…出来たら凄まじい事になりそうだけど」

神娘「出来なくはない、出来なくはないが…やはり力が居る、それも相当な力がな」

男「…ガード緩いのかなぁ…」

神娘「そんなことは無い、寧ろ相当護りが硬い方だ」

男「じゃあなんで神様が入ってこれるのさ」

神娘「多分と言うか確実に、お前が私を心から受け入れてくれるからだ」

男「……」

神娘「こちらがすんなりと入る事を許す程私を信仰してくれるのだな…感慨深い」

男「(良かったぁ!無意識にガードしてなくてよかったぁ!)」

神娘「お前は私の信者の中でも相当な信仰を私に捧げているのだぞ?誇るがよい」ニッコリ

男「(自分ナイス、自分で自分を褒めてやりたい)」

神娘「…やましい信仰が」

男「滅相も無いです」

神娘「…ごほん、まあここについての説明は以上」

男「つまりはここで二人きりと」

神娘「いや、我は精神だけそっちに飛ばしているから実質私は存在しないぞ」

男「残念なような、ううむ」

神娘「文句を言うな、外の世界に行けるほど力を確保している訳では無い」

男「して、要件とは」

神娘「今回の件はお主の不調ではないのではないかと思っている」

男「なんか不自然な点があったし…なんかいきなり具合が悪くなったんだよな」

神娘「…やはりか」

男「ん?」

神娘「単刀直入に言おう、お前は感化され過ぎた」

男「…感化?」

神娘「お前は”神”と言う存在に感化され過ぎて…いわば人の域を外れかけている、そう仮説を立てている」

男「……人の域を?」

神娘「知ってか知らずか分からんが、神の力の中で衰えても著しい定価をしない部分がある」

男「それは?」

神娘「”影響力”、神が万物に対して干渉する力…人を惹きつける力」

男「影響…」

神娘「それに引っかかったのだ、結果として今のお前は”そう言ったもの”の干渉を受けやすくなっている…と思う」

男「……」

神娘「我ながら迂闊な真似をした、これほどまで早く影響が出るとは…」

男「普段はどれだけかかる?」

神娘「早くて一年…平均的に言うと三・四年は堅いな」

男「おいおい、いくらなんでも早すぎないか?」

神娘「お前の感受性、または私との親和性が私の想像を遥かに超えていた…それに」

男「それに?」

神娘「いや、それは詮索無きことよ」

男「…ああ、そうか」

神娘「(この人の子の素質が高すぎたのは勿論あるだろう、無論)」

男「じゃ、何か対策でもあるのか?」

神娘「(しかし…しかし、それだけではこれほど早く影響は及ばない筈)」

男「おーい」

神娘「(だとすれば…いやもうこれしかない)」

男「神様?」

神様「(……私がこの人の子に依存し過ぎたのか?)」

神娘「(例えば一人から信仰を集めすぎると必然的にその者とも精神的なつながりは濃くなる)」

神娘「(しかし…それはあくまでも微量、取るに足らない違い…繋がりを持つ者は沢山いた)」

神娘「(だがそれは昔の話、今の私は一人の人に全ての信仰を委ねている…)」

男「神様ー!」

神娘「なんだ」

男「なんか考え事してたから」

神娘「当然だろう、考えなければどうしようもない」

男「まあ、こっちは何もできないから神様に全部委ねるけどさ」

神娘「任しておくがよい」

神娘「(全部委ねる、か)」

神娘「(私も、この人の子に全てを委ねているのだろうか?)」

神娘「ふむ…では一つ目”私とこれから関わらない”」

男「断る」

神娘「随分とまあざっくりと言うな」

男「本末転倒だろうがそれは」

神娘「まあこれを受諾されたらどうしようかと思った」

男「傷つくか?」

神娘「いずれ辿るはずだった道をまた繰り返すだけさ、なにもない」

神娘「二つ目、”専門の者に見てもらう”」

男「これは?」

神娘「昔はそれ専門の道具を作る者が居たのだよ、魔除けなり呪符なりの道具を作る職人がな」

男「中々興味深いな」

神娘「そういった類の家系がまだ現存していれば、だがの…」

男「……無理かもな、このご時世」

神娘「…そうか」

男「それで、次は?」

神娘「あ、ああ…三つ目な」

男「……」

神娘「……」

男「…なんだ」

神娘「正直言って、これはおすすめしないのだが」

男「構わない、他の方法が取れない以上それに頼るかもしれない」

神娘「危険が伴うかもしれん、最悪死ぬかも」

男「でも死なないかもしれないんだろう?」

神様「…『いっその事どっぷりとこっちの世界に入り込む』これが三つ目だ」

神娘「逃げられないならいっその事突っ込んでいく…無謀だが現状最も有力だ」

男「成程」

神娘「出来るだけこちらでも援助はするが…やはり限界がある」

男「……」

神娘「出来れば、お前を危険にさらしたくはない…信仰は要るがその為に人を危険にさらすのとは別だ」

男「大丈夫だ」

神娘「その自信はどこから来る?無謀と勇敢は違うのだぞ?」

男「…何というかなー、神様を信じているからかな?」

神娘「…は?」

男「神様を信じてるんだ、きっと危ないときに護ってくれるって」

神娘「……」

男「違うか?」

神娘「…ふ、ふふふ…流石、それでこそわが信者よ!」

男「神様!」

神娘「着いて来い人の子!私がお前を護ってやる!」

男「(なんか知らんがラッキーな気がする)」

神娘「さて、ふむ…”本体”の方も起動したようだな」

男「ほんとだ、なんか体が浮き上がるみたい」

神娘「では今日神社に来い、対策は早いうちがいいからな…」

男「分かった」

神娘「待ってるからな」

男「分かってるって」

友「……おっ、起きたな」

男「酷い具合だ」

友「お前具合悪そうだったもんよ…ってなにそれ」

男「ああん?」

友「ほら、お前が持ってるそれ」

男「…鈴?」

チリン チリーン

友「……なんだろう、凄く神々しい?音が…」

男「(…なるほど)」

友「それいいなぁ、どこで売ってたん?」

男「親が買ってきたからわからん」

友「そっかー…」

男「……」

チリーン

男「(白い鈴だ)」

チリーン

男「(聞いてると心が落ち着くみたいな…)」

チリン

男「(あいつの加護の一つかな)」

チリリーン

男「(まるであの森の中に居るみたいだ)」

神娘「ふむ、気に入ったようだな」

男「良い鈴だけど…なんだこりゃ」

神娘「魔除けの加護が施された鈴、きつくなったときに振ればある程度の輩なら退けられる」

男「あくまである程度、か」

神娘「勘違いしている様だから言っておくが”そう言ったもの”の力なんてピンきりで強い奴は我々でも手こずるのだぞ?」

男「うっへぇ…」

神娘「まあ普通に暮らしてる分には問題なかろうて…うむ」

男「ありがたいな」

男「で、他にもあるんだろう?この鈴」

神娘「流石お目が高い、この鈴は我の神力をもって作り上げた逸物」

男「今作ったわけ…じゃないよな」

神娘「無論、これは我の一番強かった時期に作り上げたもの…効果のほどは相当だぞ」

男「それで、これを鳴らすとこの森と同じような気配がしたのか…」

神娘「まあそう言う事になるな、神の気質は消そうと思っても消しきれん」

男「ふーん…これが神様の気質ね」

神娘「何か問題が?」

男「安心する」

神娘「褒めるな、何も出んぞ」

神娘「それで、だ…ここからが最も重要」

男「うむ」

神娘「正直に言うと、私はこうなっては欲しくなかった」

男「……」

神娘「怖れていた…と言っても良い、こっちに踏み込んでしまったら最後”飛び込む”か”さっぱり関わりを絶つ”かなくなる」

男「神様とも会えなくなるのか」

神娘「そうだ、故に私はお前がこちらに入り込まないように注意をしていた…まあ今となっては無駄な事だったが」

男「無駄じゃないさ」

神娘「そうだといいが…まあ今は詮無きことだ」

神娘「と、言う訳で」ズビシッ

男「なにがと言う訳でだ」

神娘「今日からお前は私の出来るだけ傍に居ろ」

男「…つながりが分からない」

神娘「簡単な話、中途半端より完璧にこっち側に来た方が早い」

男「でも今だって毎日のようにこっちに来てるじゃないか」

神娘「そうだな、お前は本当によくやっている」

男「今更これ以上どうしろと」

神娘「人の子よ」

男「あん?」

神娘「今まで私が入れた事の無い場所だ」

男「…本殿?」

神娘「然様、私の気が染みついた故に今まではお前を通すわけにはいかなかった」

男「今までは」

神娘「そう、今までは」

男「…なるほど」

神娘「それで、その事なのだがな…」

男「これ以上何かあるのか」

神娘「人の子よ、そこに座るがよい」

男「ああ」

神娘「これはまあ…個人的な願いでもあるのだが、聞け」

男「分かった」

神娘「本殿に入る事の出来る人間は限られている…阿保らしいが形式と言うのは大事だ」

男「なんか聞いたことはある」

神娘「…お前は私の為に色々とやってきてくれたな」

男「まあ適当にだが」

神娘「お前の功績は私が知っているし、それは言葉では言い表せない」

男「………」

神娘「なあ人の子、そんなお前に頼みがある」

男「なんだ」

神娘「お前、ここの神主になってくれないか?」

男「……は?」

神娘「簡単な話だ、ただ了解してくれればいい」

男「でも、神主って偉い役職じゃないのか?」

神娘「神の住居に入れる程にはな」

男「作法も何も知らんぞ」

神娘「構わん、必要なら教える」

男「でも「くどい」

神娘「一回しか言わん、良く聞け人の子 私はお前に神主になってもらいたい…そう思っている」

男「……」

神娘「お前は神に認められたのだ、受けろ」

男「……」

神娘「私の神主になってくれ…頼む」

男「…謹んで、お受けするよ」

神娘「そうか!受けてくれるか!」パァッ

男「(断る訳に行かんだろう)」

男「で、どうすればいいんだ?」

神娘「いつも通りで良い」

男「拍子抜けだな」

神娘「表面上はな、だが私としては非常にやり易い」

男「そうなのか?」

神娘「私はお前の信仰を受け取り易くなったし、お前は私の加護を受けやすくなった」

男「そりゃ便利なもんだね」

神娘「それに色々と特典がだな」

男「…その為に神主にしたんじゃないだろうな」

神娘「そんなわけないだろう」

神娘「人の子…いや神主と言った方がいいか?」

男「どっちでもいいよ」

神娘「まあいいか…座るといい」

男「ん?ああ」

神娘「違う、そこじゃない」

男「地べたに座っちゃいかんのか?」

神娘「そうではない、だがお前は本殿に立ち入る資格を持っているのだぞ?」

男「まあそうだな」

神娘「なら必然的に座る場所は決まっておろう」

男「……」

神娘「さあ座れ、遠慮するな」

神娘「……」

男「……」

ミーンミーン…

神娘「こうして隣に座るのは初めてだな」

男「だって神様って基本的に本殿から出ませんから」

神娘「仕方ないだろう、基本的に供給源は一人なんだ」

神娘「なあ、神主」

男「ああ」

神娘「あんだけ言ってなんだが…嫌なら言うのだぞ?」

男「別に、そんな事は思ってないさ」

神娘「……そうか」

チリンッ チリィィン

神娘「貴様らそこに直れ、説教してやる・・・なに案ずるな、軽く三日三晩ほどだ」

男「神様が若干涙目なので自重してください」

神娘「泣いとらんわい!」

友「それでさー…あんなことがあってだな」

男「ああ、うむ…ふむふむ」

友「…おーい?また具合が悪いとか無いよな?」

男「ん?ああ…そんなこと全然ないから大丈夫」

友「ならいいんだが…」

男「(あれから神主としてあの神社に通い詰めてもう二週間になる)」

友「全く先生もひでえよなー」

男「(「もう大丈夫だ」とは神様も言っていたが…つまりそう言う事だろうな)」

友「”修学旅行”なんてな、本当は三年のやる事だぜ?」

男「ああ、そうだな……」チラッ

??「………」ボォォォォ

??「………」ケタケタケタ

男「(すっごく”見える”ようになったからな…まあこっちに来ないからいいんだが)」

友「おい、おーい」

―――神娘「我の神力が利いているうちは余程の物好き以外は近寄るまいよ」

男「(神様ってすげえ)」

神娘「いやなぁ…そう言われても私神様だし…」

神様「ま、まあちょっとだけなら まあ」

友「まあ修学旅行はあれだろ?○○神宮だろ?」

男「ん、そうだな」

友「不思議だよな、このご時世唯一政府に何故か認められた神宮…」

男「詳しいのか?」

友「あ、いや…これはネットから拾った情報なんだがな」

友「色々と取りたざされてるんだよな、各所で」

男「ほお」

友「”取り壊そうとすると呪いがかかる””観光名所”とか理由があるけど確証があるのは無いし…」

男「ますます不思議なもんだ」

友「それにだ、一番謎なのはな」

男「……」

友「”祭神が居ない”んだよ、あの神社」

男「…は?」

友「本当だって、あの神社は”誰も祭っていない”んだよ」

男「それじゃ、神社じゃないじゃないか」

友「でも神社として認められてるんだ、おかしくね」

男「確かにな」

友「不思議なもんだ」

男「良く調べたな」

友「結構齧ってるんだよ、俺」

男「初めて知ったんだが」

友「始めて言うからな、だって周りはこんな事言ったら馬鹿にするし」

男「ならなんで唐突に告白したんだよ…」

友「お前が友だからさ」

男「まあ、ありがとう」

友「うむ」

友「○○神宮、面白そうだと思わないか」

男「興味深いな(神様の事もあるしな)」

友「よっしゃ、向こうに行ったら一緒に調べような!相棒!」

男「おう、やってやろうじゃないの」

友「わくわくすんなぁ」

―――

男「と言う訳で来週から修学旅行だ」

神娘「おお神主、そこの地理教書取ってくれんか」

男「はいはい…ってここも随分と生活臭にあふれて来たな」

神娘「仕方ないじゃろ、私ならともかくここではお前も暮らしているに等しい」

男「ここに来た時は畳しかなかったのに今となっては卓袱台やらなんやらごちゃごちゃと…」

神娘「私としては楽しいんだがな?殺風景よりこういう方が」

男「そうか?」

神娘「人の気配がすると言うのは良い物だ」

男「…そうだな」

神娘「と言うか神主よ、お主まだ今年卒業ではないのだろう?」

男「そうだけどな、色々と変わったんだよ」

神娘「ほぉ」

男「就職する奴は三年次にはもう就職してるんだ、そいで進学する奴は三年になる」

神娘「なるほど、効率を取ったわけか」

男「まあ仕事をする分には十分な学力は与えられてるからな」

神娘「それで今年修学旅行と」

男「そうそう」

神娘「大変なのだな、今の人の子も」

男「変わらんか」

神娘「全くな、昔もひいひい言ってたな…懐かしい」

男「やってることは誰も変わらず、か」

神娘「それで、神主」

男「あん?」

神娘「お前はどこに行くつもりだ?どう進む?」

男「……まだ決めてない」

神娘「そろそろ決めんといかんだろう?」

男「一応就職はする、つもりだけど…」

神娘「まあ、私がとやかく言うつもりは無い」

男「…なあ神様」

神娘「なんだ」

男「まだ迷ってるんだ、進学したとしてもどう進めばいいのか分からない、けど就職するとしても…まだ覚悟が出来てない」

神娘「…そうか」

男「どうするべきなのか分からないんだ、どうあるべきなのかも…」

神娘「私は、お前に何も言わない」

男「……」

神娘「それはお前が考えるべき事だ、私が言うべき事ではない」

男「そう、か」

神娘「……すまんな」

男「自分で決断しなくちゃいけないって分かった、ありがとう」

神娘「…ああ」

男「まあ今は修学旅行楽しむ…あ、そうだ神様」

神娘「おう?」

男「○○神社について何か知らんか?」

神娘「知っている事はある」

男「なんか面白い事は…」

神娘「それと私が話すかは別問題だ」

男「隠し事?」

神娘「その通り、大っぴらな隠し事だ」

男「隠してるんだか隠してないんだかわからんな」

神娘「隠している事は隠してないが、隠している事は隠したままだ」

男「…頭痛い」

神娘「隠し事のない者は居ない…例えばお前は家族になら全てを明け渡すか?自分の領域も何もかも曝け出せるか?」

男「…無理だ、絶対」

神娘「そうだろう、何もかも失くした私だがそれでも私だけの領地はある…隠しておきたい領土、秘密が」

男「神様って時々物凄く人間臭くなるよな」

神娘「生きていて生きてないからな」

神娘「さて、と…お前がどれぐらい”馴染んだか”見せてくれ」

男「ほいよ」

神娘「…ふむ」サワサワ

男「……」

神娘「ふむ…ふむ」クイッ

男「(神様って綺麗だよな)」

神娘「大分馴染んだな」

男「(そうやってこう…近寄られるとだな)」

神娘「興奮するか?」

男「……っ!?」

神娘「ばれんと思ったかどあほう、どれだけの人を見て来たと思っている」

男「い、いや…なんというかな」

神娘「怒りゃせんよ、年頃の男とあれば当然の反応」

男「…誘ってるのか?」

神娘「そうだとしたら?」

男「…いや、いい」

神娘「怖いのか?」

男「違う、答えは分からないけど…そんな事は求めてない」

神娘「…ほぉ?」

男「神様は綺麗だとは思う、少なくともそれは否定しない」

神娘「嬉しい事を言うな」

男「今、触られて近寄られて…興奮はした、それも否定しない」

神娘「ではなぜお前は否定するのだ?一体何が根拠で?」

男「…(あまりこう言う事を考えるのは苦手だ)」

男「多分、神様は…そういった事とは別の場所に居るんだ」

神娘「続けよ」

男「同じ場所に居ないと言うか、何というか…別の存在、人とは明らかに別の次元の存在」

神娘「……」

男「敬意や恐怖は抱いても愛情は湧かない…少なくとも、今は」

神娘「それだけか?」

男「…それだけ、いやあと一つ」

神娘「なんだ」

男「やっぱり、神様は神様で…最初に会った時と今とで何も変わらない、そう思う」

神娘「そうか……」

男「……」

神娘「……」

男「……」

神娘「…ふっ」

男「…は?」

神娘「ふふっ、ふははっ、そうか…なるほど、なるほど…」

男「…もしかして、からかわれた?」

神娘「そうではない、試したのだ」

男「試しっ…?」

神娘「最後まで聞け、確かにお前は此方側に入り影響力に対抗する力は得た」

男「まあ」

神娘「だがそれで再びこちらに対する畏れが消えてしまえば意味はない、あくまで私とお前の関係は何も変わらん…それを言っておきたかった」

男「そうか、そうだな」

神娘「こちらとてお前の努力を、お前の誠意を、お前の信頼を無駄にはしたくない」

男「…ありがとう」

神娘「お互い様だ」

男「まあ…なんだ、いずれ決まるよ」

神娘「だといいがなぁ」

男「…今は考えるのいいか」

神娘「それがいい、お前に考える顔は似合わん」

男「創かも…」

神娘「眠いか」

男「…ああ」

神娘「…今は休め、掃除も終わっただろう」

男「……」スゥ

神娘「……」

ザワッ…

男「…またここか」

ザワザワザワ

男「暑い、眩しい…」ザッザッ

ザザ…

男「…海?」

ザブッ ザブッ

男「海だ、相変わらず広い」

ザザザ…

男「…風の音が聞こえる、波の音が聞こえる」

人よ、ああ

男「また、神様か」

ああ、ああ

男「こっちか?」

娘「……」

娘「……」

男「(横顔も、雰囲気も、全部神様だ)」

娘「……」

男「(…この空間は一体何なんだ?)」

男「なあ、神様…」

娘「神ではない」

男「…は?」

娘「神な筈がない、こんな無力な存在が…神である筈が無い」

男「だって、あんたは」

娘「こんな…私が欲しいのはこんな力じゃなかった、こんな…」

男「なあ…」

娘「こんな事の為に神になったんじゃなかった!」

男「…へ?」

―――――

男「……」バッ

神娘「起きたか」

男「…なあ、神様」

神娘「なんだ?」

男「……いや、やっぱり、いい」

神娘「変だな、妙な夢でも見たか?」

男「いや、なにも見てない」

神娘「はぁ」

男「(この正体が分かるまでは言わない方が良い…そんな気がする)」

神娘「なあ神主」

男「うん?」

神娘「散歩にでも行かんか?」

男「別に、良いけど」

神娘「何か今日は散歩に行きたい気分だからな」

―――

男「……」ザッザッ

神娘「……」ザカザカ

男「…」ザカッ

神娘「なあ神主よ」

男「ああ」

神娘「私は回復した、こうして平然と森を歩けるぐらいには」

男「そうだな」

神娘「死ぬばかりだった私はお前に生かされた、お前が生きろと願うから私は生きる事が出来た」

男「何が言いたい、何が言いたいんだ神様」

神娘「…さあ、自分でもよく分からん」

男「……」

神娘「会った時と何も変わらない、お前はそう言ったな」

男「ああ」

神娘「そうは言ったが…私にとってのお前は、少しだけ変わってきている」

男「…どういえばいいのか分からん」

神娘「私だってわからん、今だって混乱している…」

男「落ち着け神様、なにかおかしい」

神娘「…すまん、私としたことが」

男「驚いた、神様でもあんな顔するんだな」

神娘「失報したか?お前は神が超然とした存在だと思っていたのか」

男「(寧ろ魅力的だったんだがな)」

神娘「今日は…帰れ、きっとそれがいい」

男「…ああ、じゃあ帰ってるよ」ザカザカ

神娘「……」

神娘「なんなのだ、これは!」

―――――

男「結局その本が原因だったと」

神娘「真面目な話だと思ったか?」

男「おおいに思った」

神娘「…すまん」

男「全く、どうしようかと思った」

神娘「思えば恋愛物なんて読んだ事なかったからな、感化されたのだろう」

男「神様って案外のめりこんじゃうタイプ?」

神娘「大抵の神はそうだが」

男「(付き合ってると大変そうだ)」

神娘「何か?」

男「なんでも

男「ところで何の本を読んでた?」

神娘「結構有名な本らしいが外国の物だからな、うむ」

男「(ロミオとジュリエットねぇ、随分古い物を)」

神娘「面白い話だ、だがまあ引き込まれてしまってな…」

男「(引っ掛かるな)」

男「(立場の違いで決して付き合えぬ者か…)」

神娘「どうした?」

男「なんでも?」

神娘「そうか」

男「(…まさかな、自惚れも程々にしないと)」

本日はここまで 骨は組んだ適当に肉を付けつつぼちぼちと
おやすみなさい 良い夢を

男「そう言えば神様ってお酒好きらしいね」

神娘「飲めぬ神は無い、神は皆酒好きだぞ」

男「いやぁ、お酒を奉納したら信仰になるかなと」

神娘「その心意気やよし、だが見返りを求めた奉納はあまり効果にならんからよいぞ」

男「神様が集まったら酒の消費量がやばそうだな」

神娘「まあそれ専用の神も居たし問題にはならんかったな、一人当たり6は飲むか」

男「コップ6杯か?すごいな」

神娘「神は器を使わんぞ?」

男「…じゃあもしかして6升?」

神娘「いや、樽で6だ」

男「………」

―――――

男「神様って海好きなの?山好きなの?」

神娘「どちらも好きだ…うむ、この国の中ならば大抵好きだな」

男「…なんだろう、なんかこの神社に引き篭ってる印象しかないから思い浮かばない」

神娘「たわけが、神有月には出雲に大集合するわ」

男「ちなみに移動方法は?徒歩?乗り物使う?」

神娘「ふむ、両方?」

男「歩きもするのか、意外だな」

神娘「大体超特急で行けばこの国の端に居ても3だな」

男「三日?」

神娘「三時間」

男「……」

以上 おまけにも満たないおまけ

先生「ここが○○神社だ…おいそこ!無暗に歩こうとするな!」

友「げっ」

男「お前は変わらんな」

先生「えー知っての通り、ここは国に認可された唯一の神社であるがーその理由については不明となっている」

男「(…不思議なもんだよ全く)」

先生「認可されたのは昔の話でありそのままなぁなぁでここまで続いてきたと思われ…」

友「先生、言い方に棘が混じってないか?」

男「あの人そういった類を信じてないからな」

友「居るかもしれんのにな」

男「(居るんだがな)」

少女「あっ、あのお猿可愛い?」

女「この建造物良い…、ロマンを感じる」

神娘「いやぁ懐かしい」

子供「ままー、あれなに?」

老人「いいのぉ…一生に一度来てみたかったわい」

老婆「おじいさんそれ毎年言ってるじゃないですか」


男「盛況だな」

友「そうだな」

男「でも多分誰も信仰目的出来てないんだろうな」

友「完全に観光地って感じ?」

男「それで、お前はどうするんだ」

友「んー…取り合えず調べてみる!何か新発見があるかもしれん」

男「そうか、頑張れよ」

友「明日は冒険だかんなー!」

男「あいよ」

男「……」

男「おい」

神娘「おお、神主」

男「何平然としてんだよ」

男「いや、いやいや…普通に外に出てきてるんじゃないよ、ナチュラルに人に混じってるんじゃないよ」

神娘「いやなに、懐かしくてな」

男「いいたいのはそうじゃねえよ」

神娘「落ち着け神主、口調が乱雑になって来とる」

男「誰のせいだと思ってるんだ…」

神娘「まあ落ち着け、ちゃんと訳は話す」

男「そうしてくれ」

神娘「ふむ、まずは私が外に出たとお前は思ってるがそれは誤りだぞ」

男「なんだと」

神娘「ちょいと触ってみい」

男「なんだ?普通に触れられるんじゃ」スカッ

神娘「な?」

男「……」スカッ スカッ

神娘「ここにあるのは謂わば私の精神体、実態を持たぬ影の様な存在」

男「成程…なんか納得はできた、少しだが」

神娘「うむ」

男「でもここってそう簡単に来れるもんなのか?あの森からはずいぶん遠いけど」

神娘「なに、お前に憑けておいただけだから心配は要らん」

男「ちょっともう一回言って」

神娘「お前に我の精神体を憑けておいたから別に心配はいらんと言っておる」

男「運び屋みたいだな…」

神娘「不満だったらすまんの」

男「いや、別に回りくどいやり方せんでも一言言ってくれればよかったのに」

神娘「びっくりした顔を見たくて」

男「子供か」

神娘「して、まあ理由なくこのような事をしたのではない」

男「違うのか?」

神娘「違うわたわけ、正直言ってお主に力を借りすぎるのもどうかと思っていてな」

男「信仰が集まっているかもしれないと思ってここに来たと」

神娘「然様」

男「で、結果は」

神娘「欲も無し、良くも無し」

男「悪いんだな」

神娘「そうともいう」

神娘「まあ、そんなもんだろうとは思っていたのだ」

男「観光と信仰は別だもんな」

神娘「そんな生易しい事を期待してはいない、ただ儲けもんだとは思っていたが」

男「嫌に俗物っぽい物言いだけどいいのか」

神娘「神と仏は違う、神なんて元々生臭いもんだぞ」

「それで、まだ対策は練れんのか」

「いかんせん我が国としても初めての事態でして…」

「ええい何が専門家だ、奴らは無能か」

「霊視能力者もまゆつばものでして…どうにも」

「国の一大事だぞ?」

「私としてもこんな事態にどうしたらいいか…」

「…彼女はまだ見つからんか」

「ええ」

「探せ、なんとしても協力を仰がねば…」

「誰なんですか?彼女とは」

「……」

―――

男「……おはよう」ムクリ

友「ふぁ~…おう、おはよう」

男「(既に修学旅行も三日目に突入し半分が過ぎた)」

友「んー…やっぱ手掛かりすらつかめねえなー」

男「場合に寄っちゃ国も関係してるんだろ?(相変わらず神様は神宮に籠って何かしている)」

友「あーね、まあちょっとだけ分かりゃいいと思ったんだが…」

男「(”力を蓄える為”とか言ってたが…信仰以外の力のソースがあの神宮にはあるのだろうか?)」

友「もうちょい調べるか観光するかどっちにしようか」

男「観光したらどうだ?勿体ないぞ?」

友「そうすっかー…」

神娘「おお、久しぶりではないか」

男「数日ぶりだろ」

神娘「毎日のように顔付き合わせてきた仲ではないか」

男「まあ、そうだが」

神娘「お前の友人はここが気に入ってるのか?」

男「らしい、あいつは今日神宮にはいかないみたいだし」

神娘「ふむ」

神娘「奇妙な友人だな」

男「まあ根は良い奴だよ、それで」

神娘「あん?」

男「ここには何があるんだ?」

神娘「言わんと言っておろう」

男「それでいいと思っていたが…変わった」

神娘「どうして」

男「この地は異常だ、そっち方向に目覚めたから誤魔化せん」

神娘「そうか…お前はもう見えるんだな」

男「多いんだよここ、特にこの神社周辺は…と言うかだ」

神娘「ほう」

男「なんか向こうから話しかけてくるたぁどう言う事なんだよ!」

神娘「…えっ」

―――

男「んー…多いな」

友「ああ、やっぱり珍しい神宮だから人が多いんだろ」

男「そうじゃなくてなー…あ、いやなんでもない」

友「あぁ?」

男「(あぶねえ、こいつはそっち系のが見えないんだった)」

友「しっかし多いなおい」

男「(異常だ、普通なら時々見える程度なのに…ここはぱっと見るだけでも二桁は居る)」

友「やっぱあれかね?なんか引き寄せんのかね」

男「だろうな、何かがここに引き寄せているんだ」

友「けったいなことだな」

男「(まあ十中八九神様が絡んでることは間違いないんだよなー…ん?)」

友「あづー…俺ちょっとアイスくってくるわ」

男「……」ジー

友「何見てんだ…っておおっ、ぺっぴんさんじゃないか!」

男「……」ジトー

友「いや、お前もそう言う事に興味があるんだなーって驚いてみたり?」

男「……」

友「…おーい?何か言ったらどうだ?」

男「……生えてる」

友「は?」

女「…あぁ?」

友「やべっ、こっち向いたぞ!」

女「ちょいとおにーさん?今ボソッとつぶやいたのはこっちのおにーさんかい?」バンバン

友「(は?一瞬でこっちに移動してきた?)」

女「聞いてるんだよおにーさん、早く言わんと食べちゃうよ?」ギラッ

友「(…なんだこの女は?)」ゾワッ

男「ああ、言った」

友「っておい!?」

女「…ほぉ?ちったぁ気が座ってるかな?」

友「やべえよ…逃げた方がいいよ」

男「いや、多分逃げた方がやばいと思うぞ?」

友「どう言う事だよおい」

女「んじゃ、ちょっと行こうかおにーさん…あそこの甘味所でいいだろ?」

男「ああ」

友「ちょっと待てよ」

友「そりゃ失礼な事言ったかもしれねーけどさ、無理矢理引っ立てるのはどうなんだよ」

女「…ほぉ?」

友「悪いけどこいつは俺のダチだ、こいつが酷い目に合おうってなら容赦しねーぞ?」

女「ふん…それで坊主、私が引かなかったらどうするつもりだ?」

友「…こっちも引かねえ!」

女「……」ギロッ

友「……」ギリッ

女「………ぷっ、くく」

友「えっ?」

女「あっはっは…いやすまないね、私はあんたみたいな子が好きでつい脅しちゃうのさ」

男「はた迷惑だなおい」

女「んま、私とこいつはちょっとした知り合いさ…それ以上でもそれ以下でもない」

男「安心していいぞ」

友「…ひょっとして俺、からかわれた?」

男「半分な」

友「ガッデム!」

友「じゃあ俺はアイス買ってくるわ…疲れた」

男「すまんな、後で戻る」

女「時間はかかるかもしれんけどね」

友「お前凄い美人と知り合いなんだな…」

女「おや褒められたよ、嬉しいね」

男「調子の良い事だ」

友「じゃーなー!」

男「ああ」

女「……」

男「……」

女「…で?お前は誰だ?」

男「ただの人間からちょっとこっち側に来ちゃった人間」

女「生えてるってどこが?」

男「立派な尻尾を持ってるんだな」

女「尻尾じゃない、尾って言うんだ」

男「そうか、まあそんなのを出してれば異常に目立つ」

女「普通の人間には見えんよ」

男「そうなのか」

女「…で、お前は何なんだ?」

男「その前にあんたの正体を聞きたい」

女「どう見えた?」

男「硬そうな鱗と長い尾」

女「そこからわかるか?」

男「…龍?」

女「ご明察、私は龍だ」

甘味所

男「聞きたい事はいろいろあるが…例えばその大量の甘味とか」

龍女「気にしたら負けよ」

男「この善哉美味いな」

龍女「ここの店の一番人気だ」

男「よく来るのか?」

龍女「まあ、ここの神宮に来ることすら稀だから度々と言ったところか」

男「なんで今日は来たのさ」

龍女「…その前にお前はいったい何者だ、場合によったら」

男「神主と言った方がいいか」

龍女「…!ほう?あれが神主を取ったか」

男「やっぱり知ってるんだな」

龍女「旧知の仲だ今日会いに来た」

男「とすると…やっぱりここの神宮は神様に関係があるのか」

龍女「なんだ、神主なのに聞いていないのか」

男「不本意ながら」

龍女「あいつも妙な所で気を使うからな」

男「龍から教えてはくれないのか?」

龍女「あいつが隠しているってことは私が話す事じゃないって事だ」

男「成程」

龍娘「一つ言っておこう、まあ弁解なのだが」

男「ああ」

龍娘「あいつは不誠実ではない、多分お前を思って言っていないのだと思う」

男「……」

龍娘「だから…あいつを責めないでやってくれ、頼んだ」

男「責める気とかは無いけど…気になるんだよな」

龍娘「気になると」

男「だってこの話をするときの神様って、なんか辛そうだし」

龍娘「…ほーぉ?」

男「なんだよ」

龍娘「いやいやなんでも」

龍女「まあ、私がとやかく言えたことじゃないがな」

男「こっちにスプーンを向けるな」

龍女「良いではないか人間…ここは無礼講ぞ」

男「……」

龍女「”どれぐらいの化け物がここの敷地に居るか”だって?」

男「分かるか」

龍女「当然、あまり私を甘く見るなよ?」

男「龍って口から火を吐いたりするのか」

龍女「んなわけないだろう、それは西洋のドラゴンだ」

男「違うの?」

龍女「全然」

男「……」

龍女「……」

男「後ろに座ってるのは」

龍女「猫又に近いな」

男「今入ってきたのは」

龍女「刀の付喪神」

男「あの夫婦は」

龍女「つがいだろうな」

男「多すぎないか?いくらなんでも」

龍女「無理もない、神様がここに帰ってきている」

男「…やっぱり神様は関係していると」

龍女「無論」

男「それであんたは」

龍女「そのつてでな、一応旧知の仲ではあるし」

男「神様ってどんな神様なんだ」

龍女「…お前は神官なのにそんな事も話されてないのか」

男「信用されてないのだろうか」

龍女「いんや、信用されてるからこそ…怖いんだろうな」

男「怖い?」

龍女「まあいかんせん怖がり過ぎだとは思うが…まぁ」

龍女「で、お前だ」

男「ああ?」

龍女「何があった?あいつが神官を付けるなんて予想外過ぎるんだ…聞かせろ」

男「別に…ただ森があってだな」

龍女「森?」

男「そこに入ったら…」

………

龍女「…成程、そう言う訳か」

男「何かおかしい所が?」

龍女「納得した、あいつは人間が好きだからな」

男「そうか…」

龍女「だがなぁ、お前にとって難しいだろうな」

男「なにがさ」

龍女「…くく、そうかそうか」

男「何笑ってるんだよ」

龍女「なになに少年頑張りたまえよ、ここの料金は私が払っておくから」

男「お、おう」

――――

男「てな事があってだな」

神娘「…口封じしときゃよかった…」

男「まあなんだか気になってな」

神娘「だから、そんな言う事は」

男「神様、ここに来てから異常な速度で力を取り戻してるみたいだし」

神娘「…分かるのか」

男「最近神様の調子まで分かるようになってきた」

神娘「えっ」

男「だから神様が調子いいとか悪いとか…なんとなくだけど分かる」

神娘「こりゃ、困ったな…」

神娘「ま、そう言う事だとしか言いようがない」

男「いや、そうじゃなくて…」

神娘「神主…いや人の子よ、すまん」

男「……」

神娘「今は言えない、心の準備が出来ないと…だから」

男「…分かったよ、神様に頭下げられて断る訳にもいかんし」

神娘「…すまん、まだ自分でも整理できない」

男「それは…どれだけかかる?どれぐらいの時間を掛ければ整理できる?」

神娘「…分からん」

男「なあ、神様」

神娘「なんだ」

男「それは神様一人で背負うようなものなのか?誰かと一緒に考えちゃ駄目なのか?」

神娘「…人の子」

男「なんだよ」

神娘「神はな、背負わなければならぬものがある、背負ってこそ神なのだ」

男「(そう言う事じゃないんだ)」

神娘「人に頼られてこその神だ、人の信仰をその背に背負ってこその神だ…ここで引いては私のこれまでを否定してしまう」

男「(そう言う事じゃないんだよ、神様)」

神様「だから…今は、待ってくれ」

神娘「ところでだ」

男「あん?」

神娘「私の調子が分かると言うが…今のお前はどこまでわかる?」

男「よく分からん、なんか調子良さそうとか力がついてそうとか…その程度?」

神娘「なるほど、その程度か…」ホッ

男「(神様の夢を見ているなんて言ったらどうだろうな)」

神娘「(まだ夢を見るまではいってない…安心した)」

男「やっぱり神様との繋がりが強まってるって事か」

神娘「然様、お前は毎日のように私とあってるし神主でもある、そして唯一の信者なので当然なのだが…」

男「そうか…」

神娘「(私がこやつにどれだけ気を許しているかにもよるなんて言えんな)」

男「そう言えば明日帰るんだが」

神娘「構わんぞ、こっちはあくまで精神体だから適当に消えればいいし」

男「そう言うもんなのか?」

神娘「うんにゃ、元々ここらの連中と話したかったのと力を持ってきたかったのだし」

男「神様って便利なんだな」

神娘「便利だともよ」

男「神様になれば力使えるのか」

神娘「人の子」

男「…すまん、言いすぎたな」

神娘「憧れるのも分かる、だが…お前が思っているほど世界は甘くはない」

男「……ああ」

―――――娘「こんな事の為に神になったんじゃなかった!」

男「そうだな」

神娘「まあ帰ったとして、またあの森に来ればいいのだが」

男「あー…なんか久々に行く気がする」

神娘「ん、気に入ったか」

男「懐かしいって言ったろ」

神娘「そうかそうか…じゃあ」

男「ん?」

ゴォッ

男「突風?」

ヒュゥッ ヒュルゥゥッ

神娘「私の本来の力を取り戻しつつある…と言う事だ」

男「この神宮に来てから急に強くなったな」

神娘「そうではない…ここまで回復したのもそちの信仰があってこそ、そして神主の責を担ってくれたからこそだ」

男「…もしかして褒められてる?」

神娘「私がお前を貶したことなんて一度も無いだろう?」

男「まあ、そうだな」

ペースが乱気流ですが今日はここで終わります
こんな長くなるとは思わなかった

―――――

男「で、今日帰るわけだが」

神娘「こちらも大分体力は回復した…もう大丈夫だろう」

男「相変わらずここの神社はそっち系のが多いな」

神娘「いずれ静まるだろうよ、もう我は帰るからな」

男「…なあ神様」

神娘「なんぞ」

男「あんたは寂しくないのか?旧知の仲なんだろう?」

神娘「なんだ、深刻な顔してえらく小さい事を心配するのだな」

男「そうじゃないかなとか思っただけなんだがな、ここに居れば神様の力は回復するみたいだし」

神娘「…ふ、ふふっ」

男「こっちは真面目に言ってる」

神娘「いや、お前が私の事をそこまで考えてくれているとはな…ありがたい」

男「……」

―――――

男「で、今日帰るわけだが」

神娘「こちらも大分体力は回復した…もう大丈夫だろう」

男「相変わらずここの神社はそっち系のが多いな」

神娘「いずれ静まるだろうよ、もう我は帰るからな」

男「…なあ神様」

神娘「なんぞ」

男「あんたは寂しくないのか?旧知の仲なんだろう?」

神娘「なんだ、深刻な顔してえらく小さい事を心配するのだな」

男「そうじゃないかなとか思っただけなんだがな、ここに居れば神様の力は回復するみたいだし」

神娘「…ふ、ふふっ」

男「こっちは真面目に言ってる」

神娘「いや、お前が私の事をそこまで考えてくれているとはな…ありがたい」

男「……」

sage忘れ+連投ミス

神娘「ただそうだな…確かにここには友人もいるし空気も良い、ここに居る方がいいかもしれん」

男「だったら」

神娘「だが、私はそれでもあの森に戻るさ」

男「…なぜ?」

神娘「あの森には神主が居て、私を信仰するただ一人の人間がいて、私の居場所がある」

男「そりゃ、そうだろうよ」

神娘「それだけだ、私があの森に居る理由なんてそれだけで十分だ」

男「なんか…むず痒い」

神娘「くく…それにな神主、私とあやつらは例え長い時間会わずとも此処で繋がっている」ポン

男「…心か?」

神娘「私が思い出せば、そしてあやつらが思い出せば…結局はそう言う事なのだよ」

男「……そうか」

神娘「分かったならお前も友人と遊んで来い、今の時間は無駄には出来んぞ」

男「ああ、分かった」

神娘「ったく、生意気にも神の心配をするでないよ」

男「うるさいな…行ってくる」

神娘「ああ精一杯遊んで来い、人の子」

男「一言多いぞー!」タッタッタ

神娘「……それにな、人の子よ」

グラサン男「……」チラッ

神娘「”こっち”にもいろいろと面倒くさい縛りがあるのだよ」

スーツ男「……はい、ええ、見つかりました…」

神娘「…まったく七面倒くさい」

ニット男「……」パシャッ パシャッ

―――――

「で、見つかったのか」

「ええ…○○神宮にて多数の霊能者が確認しました」

「うむ、彼女がまだ消滅していなかったのは朗報だ」

「…しかし、1つ気になる事が」

「なんだ」

「”神が一人の青年と話していた”と言う噂が」

「そんな筈はない、あの神がそんな事をする訳がない」

「しかし確かに…かの宮の巫女も驚愕していましたが」

「何かの気まぐれか見間違いだろう、それよりその後は」

「それが…コンタクトを取ろうとしたところ消滅してしまいまして」

「分身と言う訳か…しくじったな」

―――――

男「で、帰って来たわけだが」

神娘「ご苦労だった」ツヤツヤ

男「(元気になってる…)」

神娘「今の私は実に具合がよいぞ神主、喜ぶがいい」

男「ま、まあ嬉しいんだが…」

神娘「どうした?まさかどこかに不満があるのか?」

男「いや、損だけ短時間で回復するなら信仰なんていらなかったんじゃ…」

神娘「ああ、そう言う事か」

神娘「あの神宮に行って力が戻ってきたわけだが…まあ結果だけ見ればそう見える」

男「うむ、そう見えた」

神娘「だがな、実の所何もないすっからかんの私があの神宮に行っても対して効果はないのだよ」

男「ほう」

神娘「今まで蓄えた信仰、そしてそちの存在あってこそあそこまでの回復となったのだ…正直予想外に回復して驚いておる」

男「じゃあ今までの信仰は無駄ではなかったと」

神娘「至極当然、それにだ…」

男「あん?」

神娘「喩え回復しても、信仰する者の居ない私にとっては無駄に生きながらえる事に過ぎんからな」

男「…まあ、確かに」

神娘「私を待つそちが居るからこうして力を蓄える理由にもなると言うものよ」

男「たった一人だがな」

神娘「何か問題か?」

男「いや、何の問題も無い…と思う」

神娘「力を蓄えたお蔭で…ふふ、楽しみだ」

男「なにか?」

神娘「じきに分かるぞ、楽しみにしているがよい」

男「嫌な予感と期待半々で考えておく」

神娘「つまらん奴だな」

男「……」クァ

神娘「眠いのか?」

男「流石に昨日の今日だし…明日も明後日も学校は無いから」

神娘「なんなら膝枕でもしてやろうか?」

男「いいよ…そこら辺の草陰で寝るから」

神娘「最初は嫌がっていたのに気に入ったものだな」

男「具合がいいんだよな、布団で寝るよりはるかに気持ちいい」

神娘「そうだろう、そうだろう」

ヒュゥ

男「(風が気持ちいい)」

ザワザワザワ

男「(草原に吹く風の様な音が聞こえる)」

シャワシャワ

男「(ここだけは蝉の声が聞こえる)」

――――――

ザァーッ

男「(広い草原のような音が聞こえる…まるであたり一面が…)」

――――――

シャワシャワシャワ

男「(蝉が煩い)」

――――――

ザザァー…

男「(草が揺れている)」

―――――

シャワシャワ…

男「(木漏れ日が眩しい)」

―――――

ザブッ ザザァ…

男「(波の音が聞こえる)」

―――――

ビュゥゥゥッ

男「(突風が)」

――――――

娘「人の子」

ザブン ザザン

男「(ああ、またここに来たのか)」

娘「また会ったな」

男「また会ったね」

娘「……また会ったのか?」

男「分からん」

娘「お前は行かんのか」

男「どこに」

娘「…お前は”違う”な」

男「なにが」

娘「いや、ならば行かなくても良い…そう言う事なんだろうな」

男「お前は…」

娘「…ただの神様だよ」

男「神様って特別な存在だと思うけどね」

娘「そんなことは無い、神なんて大した存在じゃない」

男「でも、力がある」

娘「それだけだ、力があってもそれが望んでいた物とは限らない」

男「……そうか」

娘「なあ、一緒にここの海を見ないか」

男「喜んで」

娘「座れ、そこに」

男「はいはい」

男「……荒い海だな」

娘「いつもよりは穏やかだ」

男「そうなのか」

娘「そうだ、まるでここに沈んでいる者たちの様だ」

男「沈んでいる?」

娘「数多の命がここに沈んだ、何千何万と沈んだ、だから私はここに居る」

男「…そうか」

娘「そうだ」

男「なあ神様」

娘「なんだ」

男「これからあんたはどうするつもりだ」

娘「…分からん」

男「そうか」

娘「ただ永劫の時間があって…私はその中で生きていく」

男「うん」

娘「私には永過ぎる…疲れてしまった」

男「…そうか」

娘「ああ、疲れた」

娘「…お前は」

男「うん?」

娘「いや、なんでもない」

男「…気になるんだが」

娘「知らないなら、知らないままでもいい」

男「そうか」

娘「もうすぐ帰るんだろう?」

男「そうかもしれない」

娘「…じゃあ、また」

男「またな」

――――――

神娘「起きたか、人の子」

男「…うん、まあ」

神娘「どうした?そんなうかない顔をして」

男「(…考えてもしょうがない事か)」

神娘「なあ、最近学校で疲れたとか無いか?」

男「いや?」

神娘「いかんぞ、顔色が悪い」

男「(多分違う理由だと思うがな)」

神娘「全く…ちょっとこっちこい」

男「うん?」

神娘「……」ギュゥ

男「…なんで急に抱きしめられてるんだ」

神娘「力を供給してるからな」

男「密着してるんだが、気になるんだが(主に胸が)」

神娘「気にするな人の子、お前に倒れられると困る」

男「ありがとう…と言うべきなのか?」

神娘「そうしておけ」

男「確かに元気が出た気がする」

神娘「だろう?」ドヤッ

男「(…顔色悪かった理由が夢だとは言えない)」

神娘「あれほど不養生はいかんと言っておるのに全く…」

男「すまんな」

神娘「さて、今日は帰るがよい」

男「なんか随分早いな、いつもはあと一時間ぐらい居るが」

神娘「ふっふっふ…ちょっと試したい事があってな」

男「うん?」

神娘「と言う訳で帰れ、さっさと帰れ」

男「なんか追い返されてる気が…」

男「……暇だ」

男「なんか、この時間に帰ってくるのは久しぶりだな」

男「……暇だ」

神娘「暇か?」

男「おぅっ!?」

神娘「そんな驚かんでもいいだろう」

男「いや、いくらなんでも部屋に行き成り出られたら驚くんだが」

神娘「ドッキリ大成功…というべきか?」

男「そんなサプライズは要らないんだが」

男「んで、なんでこんなとこに居んのさ」

神娘「我の精神体をそちに憑依させただけ…簡単じゃろ?」

男「あー…あの神宮に来たのと同じようにか」

神娘「大分力も回復してきたからこの程度は容易にできる様になったぞ」

男「おめでたい事で、寝る」

神娘「もうちっと驚かんかい」

男「えー…」

神娘「女と部屋で二人きりってのは興奮しない?」

男「だって神様だし」

神娘「そうだな…うむ、失言だったか」

男「……神様」

神娘「うん?」

男「いつまでそこに居る気だ」

神娘「別にいつまでも居られるわけだが」

男「プライベートはどこに行ったんだ」

神娘「そっちも我の調子を見れるではないか、お相子だお相子」

男「そうかもなー…」

男「そう思えば両方筒抜けだな、もう」

神娘「困る事でもあるまい」

男「良く考えたら、確かに困らん」

神娘「一心同体ってやつかね」

男「そうかもしれない、違うかもしれない…結局神様と人間だし、違うかも」

神娘「…そうかもな」

神娘「……」

男「……」

神娘「神主」

男「んだよ」

神娘「そっち、入っていいか?」

男「別にいいけど、実態はないだろう?」

神娘「……」ゴソゴソ

男「(うわっ、なんか入ってきた?)」

神娘「仮組み程度だから薄い体しか作れんが…これでも十分だろう」

男「(なんか居る、後ろになんか入ってきてる)」

神娘「どうだ?」

男「…別に」

神娘「そうか…なあ神主よ」

男「なんだ?」

神娘「お前、我をどう思っている?」

男「どうって」

神娘「こんな性格だとか、こういうのが好きだとか…そんなの」

男「人間が好きで、優しくて…腹に一物抱えてるみたいで、いつも何かに耐えてるみたいな顔をする」

神娘「……そうか」

男「ああ」

神娘「なあ、かんぬ…人の子」

男「ああ」

神娘「私とお前があそこで会ったのは、運命じゃないかな」

男「運命?」

神娘「しかるべき時に、しかるべき理由があって…いや、蛇足か」

男「神様」

神娘「ともかく、私はあの時お前があの階段を昇ってこなければきっと消滅の道をたどっていただろう」

男「聞いたよ、何度も」

神娘「言ったさ、何度も何度も…言っても言いきれない」

男「その度に考えてることがあるんだ」

神娘「なんだ」

男「例えばあの時に戻ったとして、またこの森への階段を見つけたとする」

神娘「ああ」

男「何度戻っても…何度やりなおしたとしても、多分その度に階段を昇るんだと思う」

神娘「……」

男「何度やり直しても、その度にあの森に戻って来る、きっとそうするんだと思う」

神娘「そうか、しかしなぜだ?なぜそう言いきれる?」

男「…きっと、神様がいるからだと思う」

神娘「…ほぉ?」

男「多分…なんとなく神様の事が分かるようになる以前から、神様をどこかで探して居たのかもしれない」

神様「続けよ」

男「だって何の迷いも無しにあんな不気味な所に入っていくなんてできない、少なくとも…いつもだったらしないさ」

神娘「……」

男「だから…何を言っているんだろうな」

神娘「いや、いい」

男「…まあ、それだけだ」

神娘「なあ、神主」

男「ああ」

神娘「随分長い間、お前と付き合っていた気がする」

男「そういえば、そんな気がする」

神娘「お前の事を大事に思っている…無論信者は大事だが、それとは別に特別に思っている」

男「なんでだろうな、こっちもなんか…そんな気分なんだ」

神娘「そうか?」

男「神様の事が大事だ、でもなんだか普通にそう感じる…勿論恋じゃない、なんなんだろうなこれは」

神娘「別に、なんでもいい」

男「気になるがな」

神娘「お前が私を信じ、信仰を捧げている…私にとって大事なのはそれぐらいだ」

男「なんだ、その…言葉に出すとえらく事務的だな」

神娘「その結果私が居る、私が居られるのはお前の信仰のおかげだ」

男「まあ、悪い気はしない」

神娘「だから、怖い」

男「怖い?」

次にお前は「お前がいなくなる事が」と言うッ!

神娘「私の本性がお前に知られてしまうのが、怖い」

男「本性ってなんだよ」

神娘「お前が考えるより私の本性は薄暗く、冷たい」

男「……」

神娘「別に私は誰に後ろ指を指されようといいんだ、私は神なんだからそれも背負わなくちゃいけないんだ」

男「……」

神娘「でも、私は知られるのが怖い…お前にだけは知られたくない」

男「神様」

神様「神が聞いて呆れる、その程度も怖れるなんて」

男「神様?」

神様「…私は、どうしたら」

男「神様」

男「神様はさ、少し疲れちゃったんだよ」

神娘「疲れた?」

男「今までいろんなものを背負い続けてさ、一人の時も考えてただろ?」

神娘「…まあ」

男「別に考えなくていいんじゃないかな、その時で考えれば」

神娘「それでも、お前に信じてもらえなくなることが嫌だ」

男「…でも、それでも信じられるかもしれないだろ?知れば確実に嫌われるとは限らないんだろ?」

神娘「それは」

男「だったら、そんな顔するのやめなよ」

神娘「……」

神娘「…決めた」

男「なにを」

神娘「明日、お前に私の全てを見せよう」

男「急すぎないか?」

神娘「遅すぎた、お前の信仰にむくいるには余りにも…」

男「なにも、遅いなんてことは無いさ」

神娘「一つ言っておく」

男「ああ」

神娘「私の全てを知ったとしても…お前は自由だ、神主をやめるなり私を罵倒するなりしていい、それだけは分かっておいてくれ」

男「…分かった」

神娘「それでは神主、おやすみ」

男「おやすみ」

神娘「しっかり寝るんだぞ」

男「分かってるよ」

神娘「……」

男「(もう居ないのか)」

ザワ ザワザワ

男「(…ああ、また聞こえる)」

ザブゥン ザブッ

男「(波の声が、風の音が)」

ザザザザザ…

男「…そこに居るんだろう?」

娘「久しぶり?それとも初めまして?」

男「また会ったねだと思うよ」

娘「大分曖昧になって来たみたいだね」

男「不本意ながら」

娘「壁がどんどん崩れてきている、気の緩みと言うのかな?」

男「それは、どっちの」

娘「私の、そして彼女の…あとは人の子、君の」

男「つまりは全員か」

娘「仕方ないさ、過去にあれほど心を許した存在は君が初めてだよ」

男「褒めてるのか?」

娘「勿論」

男「それで、一体あんたの正体は何なんだ?」

娘「大方君の予想通りさ」

男「そう思ってた、あんたは過去の神様なんだと思ってた」

娘「その通り」

男「でも…それにしてはやけに生々しい、奇妙だ」

娘「ほぉ?」

男「あんたは神様であって、神様じゃない」

娘「矛盾だね」

男「それを矛盾と思わせずにいるあんたはいったい何者だ?」

娘「…夢だよ」

男「夢?」

娘「ただの夢だ、眠らない神様が見る夢…悪夢の一端」

男「……」

娘「あの神様が過去に対して踏ん切りをつけられれば私はもう出てこなくなる、そんな存在」

男「過去」

娘「お前に見せようとしているもの、お前が受け入れようとしているもの」

男「御見通しか」

娘「”何があっても受け入れる”なんてあれだね、お熱い」

男「からかうなよ」

娘「…からかってないとしたら?」

男「…は?」

娘「お前は人間であれは神様だ、だからお前は彼女に恋も何も抱かない」

男「そうだが」

娘「確かにそう、神と人間の間には明確な隔たりがある、越えられない壁が」

男「…神様は可愛いとは思う、でもその先が無い」

娘「世界がそう設定しているからだよ、壁を作っているんだ」

男「だから、神様には畏れ以外の感情を抱かないと?」

娘「その通り」

男「別に、それでいいんじゃないか?」

娘「本当にか?」

男「…どう言う事だ」

娘「本当にお前は、神様に畏れ以外の感情を抱かないか?」

男「さっき言ったばかりじゃないか、壁があるって」

娘「今は分からなくていいさ、いずれわかる」

男「それは………」

―――――――

男「……」バッ

チュンチュン チュンチュン

男「……夢?」

男母「ご飯よー」

男「今行く」

ジリリリリリリ…

男「なんだったんだ、あれは…」パチンッ

予想外にシリアスになった気がするので遅筆に磨きがかかる
でもこのパートさえ終われば勝る 多分

と言う訳で全く関係のない事を書いてみる

男「……」ペラッ

神娘「……」ペラペラ

男「…なあ、神様」ジーッ

神娘「なんだ?今この部分が面白くてな」ペラッ

男「いやさ、なんかここ最近神社が生活感満載になってるんだがな」

神娘「あー…そう言えば大分散らかってきた」

男「最初は本だけだったな」

神娘「まあそんな力を使わんし、知識を吸収するのは本が一番だし」

男「次第に本を読むのに卓袱台やらなんやら持ってくるようになったな」

神娘「まあ寝て読むのは体勢的にきつい」

男「読書の共にお菓子を持ってくるようになったな」

神娘「西洋の菓子は中々美味かったな」

男「まあそこまでは良かったんだ」

神娘「ほう」

TV「それでは本日のニュース…」

ラジオ「今日の英会話は…」

電気ケトル「……」ジューッ

男「なんで電気やら電波やらが通ってんだよ」

神娘「神の力」

男「万能すぎるだろ」

男「まあ便利だが」

神娘「ここの森って時間軸が滅茶苦茶だから電波なんてあって無い様なもんだがな」

男「確かに五十年前のニュースとかいつの時代か分からん話題とか出てくるが」

神娘「面白くはないか?」

男「面白いけどさ」

神娘「何が不満なのだ」

男「不満は…ないな」

神娘「だろう?」

男「あんだけ殺風景だった部屋がいつの間にかまぁ…ここに住めるまでに」

神娘「まあ大体神主が持ってくるがな」

男「ちょっとだけ身に覚えがないのもあるんだが」

神娘「ほう?」

男「電話とか、電話回線とか」

神娘「いやぁ、まさか繋がるとは」

男「偶に誰かと話してるけど誰と話してるのさ」

神娘「龍とか、亀とか」

男「……」

男「…それにしてもまあ生活臭のする神社だ」

神娘「だって誰も見ないし、問題ないんじゃないかね?」

男「いや、下手すると家より居心地が…」

神娘「いっそここに住むか?」

男「冗談でも言うもんじゃないぞ」

神娘「ばれたか」

男「やらいでか」

神娘「…ま、完全に冗談と言う訳でもないのだがな」

男「何か言ったか?」

神娘「お前はここの神主だからな、別にかまわんのだぞ?」

男「…やめとく、なんか出れなくなりそうだし」

神娘「それもまたいいのだがなぁ」

ここから続き

先生「であるから、恒常的な平和のために」

友「結局何もわかんなかったなぁ」

男「ああ」

友「なんかわかると思ったんだけどなぁ」

男「そうだな」

友「やっぱり何もないのかなぁ」

男「そうかもしれんな」

友「……」バッバッ

男「んだよ」

友「いや、なんか生返事しかしないから」

男「ああ…うん、心配するな」

友「心配するわ」

先生「…おい、そこの二人」

男「げっ」

友「うわっ」

―――

友「まさか両方引っかかるなんて」バリバリ

男「お蔭でこっちまで課題が降って沸いた…」

友「すまんすまん、なんか奢ってやるから」

男「いや、そう言う事じゃなくてだな」

友「ああん?」

男「今日は放課後約束があるんだが」

友「えっ、お前彼女いるの?」

男「んな訳ないだろう」

友「じゃあ遊ぶ約束?」

男「それも違う、些細な用事だ」

友「なーんだ」

男「(神様待ってるかな、待ってるだろうな)」

―――

神娘「…遅い」

神娘「全く…大事な話なのに遅れるとは何事ぞ」

神娘「しかしまぁ、あやつにも外せん用事があるのかもしれん」

神娘「それまでこの本を読むとするか…」

神娘「……」

神娘「………ぐぅ」スヤスヤ

――――

男「ったく…ようやく終わった…」タッタッタ

男「神様?居るんだろ?」

男「神様?どこに居るんだ?」

神娘「…むにゃ」スゥ

男「寝てるのか」

神娘「………」スゥ

男「…なんか眠くなってきたな」

神娘「……」

男「……」

神娘「……」

男「……」グゥ

――――――
男「(……ここは)」

娘「おとん」

娘父「なんだ」

娘「おとん、戦争に行っちゃうの?」

娘父「すぐ戻ってくるさ」

娘「うん…絶対だよ?絶対戻ってきてね?」

娘父「ああ、きっと戻ってくるとも…今回はこっちの方が有利なんだ」

娘「……」

娘父「……」

娘「嘘、ついてないよね?」

娘父「…ついてないとも」

男「(これは…)」

娘「おとん、帰ってこないね」

娘母「そうね」

娘「おとん、この海の向こうに居るのかな」

娘母「そうかもね」

娘「おかん、泣いてるの?」

娘母「泣いてないわよ」

娘「…そっか」

娘母「そうよ」ゴホゴホ

娘「おかん?」

娘母「大丈夫…大丈夫だから」

娘「おかん、嘘ついてない?」

娘母「ついてないよ」

娘「……」

爺「親御さんは?」

娘「居ないよ、海の向こうに行っちゃった」

爺「そうか…」

娘「二人とも嘘をついたんだよ、ひどいね」

爺「お前の事を思っていたんだよ」

娘「でも、私を連れて行ってくれればいいのに」

爺「……」

娘「戦争が二人とも持っていっちゃったんだ、国が弱いのが悪いんだってさ」

爺「確かに、この国は昔から抗争が絶えなかった…立地、立場…この国は報われなさすぎる」

娘「戦争って嫌だね」

爺「嫌なもんだ」

爺「…なあ、お前さんや」

娘「なに?」

爺「もしかしたら、お前がなんとか出来るかもしれん」

娘「えっ?」

爺「戦争の被害者をなくせるかもしれん、お前さんには素質がある」

娘「本当に?私が戦争をなくせる?」

爺「戦争をなくすとは…」

娘「本当に?」

爺「……ああ、なくせるとも」

殿「神の候補が出来たと!」

爺「ええ、戦争をなくすと言ったら喜んで協力してくれました」

殿「そうかそうか…わが国にも神がいれば戦争に勝てるぞ!」

爺「……」

殿「いやぁ、お手柄だぞ爺!褒美は何がいい?」

爺「…あの子に、精一杯のご飯と寝床をあげてくれれば」

殿「お?そうかそうか…確かにこれから神になる娘だからな、あれは」

爺「(すまん、すまん…)」

殿「何としても神を迎えねばならんからな…そうすればこの国もいずれは大国に…」

 神様!

娘「…違う」

 神様!神様!

娘「…こんなんじゃない」

 神様!戦争に行ってきます!力を!

娘「こんなものの為に…神様になったんじゃない」

 神様!どうぞ力を!敵を打倒す力を!

娘「…違うんだ」


 神様!

 神様!神様!神様!神様!神様!神様!

娘「………」

娘「(…背負えと言うか、私に)」

 力が足りません!

娘「(死者も、信仰も、全てを背負えと言うか)」

 もっと力を!

娘「………分かった」

 おお!神様!

神娘「力をくれてやる、敵を圧倒する力をくれてやる」

 神様!

神娘「我を崇めよ!我を称えよ!我を畏れよ!信仰を捧げよ!」

 万歳!神様万歳!

神娘「私の為に死んで来い!」

 うおおおおおおおおおお!

神娘「(……背負ってやる、背負ってやるさ)」

男「(……神様)」

神娘「私は、神様だからな」

神娘「我を呼んだか!」男「呼びました!」

―――――

男「神様!」バッ

神娘「ようやっと起きたか」

男「あ…おはよう」

神娘「おはよう」

男「(気まずい)」

神娘「…懐かしい夢を見たんだ」

男「神様って、色々ありそうだからな」

神娘「昔の私が居て、お前が居た」

男「えっ」

神娘「…見てたんだろう?全部」

男「全部じゃない、でもあれは…」

神娘「私は、風の神様でも道祖神でも…人を護るための神様でもない、そんな優しい存在じゃない」

男「……」

神娘「人を戦争へと駆り立てる神、戦う者たちの為の神…戦神だ、私は」

男「戦神…」

神娘「私は人を生かす為ではない、人を殺すための神だ」

男「それは」

神娘「戦争を止める為ではない、戦争を続けるための神だ」

男「神様」

神娘「あの後、私の願いとは裏腹に国は戦争に勝ち続けて…その度に膨大な被害者を出した」

男「……」

神娘「どこかで止められた筈なんだ、私が居なければ戦争なんて無かったかもしれないんだ…」

男「(傷つけていたのか?)」

神娘「そうじゃなくても、力を与えさえしなければ…そう思う事が何度あったか分からん」

男「(神様だと、そう自覚させるたびに知らずに傷つけていたのか?)」

神娘「でもやるしかなかったんだ、力を与えて殺すか、与えずむざむざ殺させるかしか…」

男「神様!」

神娘「……」ビクッ

男「落ち着きなよ、その為に神主はここに居る」

神娘「…すまん、取り乱した」

男「お茶でも飲もう、持ってくる」

神娘「ああ」

男「持ってきたよ」

神娘「座れ、話がしたい」

男「すっかり調子が戻ってるな」ポリポリ

神娘「さっきがおかしかったのだ、神は冷静でなければならぬ」シャキッ

男「…それでいいのか?」コトン

神娘「あの時決めたのだ、全てを背負うと」ズズ…

男「……」ススス

神娘「恨みも憎しみも全てを受け入れてやると誓った、止められぬならばせめても死なないように祈った」

男「(強いのか弱いのかわからないな)」

神娘「人が我を見て希望となるように、戦う者たちが頭をあげて剣を掲げられるように…そうあろうとした」

男「(戦争、か)」

神娘「…今考えても、他に何が出来たのか分からん」

神娘「1人で考えても…分からん」

男「難しいもんな」

神娘「ああ難しい、神ですら分からぬこともある」

男「自分が元人間だって自覚は?」

神娘「無い」

男「きっぱりしてるな」

神娘「あの時人間としての私は死んで、その代り神である私が生まれた、それだけだ」

男「……」ズズ

神娘「それだけの…簡単な話だ」

男「……」ズズ

神娘「お代わり」コトッ

男「あいよ」

神娘「……」

男「…」トポポポ

神娘「なぁ」

男「ん?」コトッ

神娘「軽蔑しないのか?」ズズ

男「なんでさ」トポポ

神娘「なんでって」

男「別に、しないよ」ズズ

神娘「戦神なんて、軽蔑されてしかるべき存在だ」

男「そんなの神様の意見だろ?」

神娘「確かに、そうだが」

男「別に、仕方ないんじゃないかなぁ」

神娘「軽々しく言える事じゃないと思うんだが」

男「だって戦争なんて知らないもん」

神娘「……」

男「おかしい?戦争を知らない奴はどれだけ聞かされたってその恐ろしさは分からないよ」

神娘「確かにな」

男「今は、戦争なんて遠い場所にある」

神娘「らしいな」

男「その中で神様がいる」

神娘「おかしいか?」

男「全然?」

神娘「……」ズズ

男「…新しく生きろって事じゃないかなぁ」

神娘「新しく…無理だ」

男「なんでさ」

神娘「私には、かつて私を信じた者達をを忘れる事なんてできん」

男「そう言う事じゃないよ」

神娘「は?」

男「忘れるんじゃなくて、その上で新しく生きるんだよ」

神娘「出来るだろうか」

男「だってさ、こうして話している事とか…それだけでもいいんだと思う」

神娘「難しいな」

男「難しく考えてるだけだよ、簡単だって」

神娘「……」

神娘「たくさん殺したんだぞ」

男「神様が殺したわけじゃない」

神娘「戦神なんて今時流行らん」

男「だからそれ以外の生き方考えればいいじゃないか」

神娘「私を恨んでるのがいるかも」

男「恨みも背負ってやるって言ったじゃないか」

神娘「…正直、どうしたらいいか分からん」

男「時間なんて幾らでもあるだろうし、正解なんてないよ」

男「きっと神様を信仰してた人たちも、今の神様は望んでないんじゃないかな」

神娘「そうだろうか」

男「うん、きっと」

神娘「……そうか」

男「少なくとも、何時までも縛られているよりは…そちらの方がいいんじゃないかとは思う」

神娘「なあ、私の考えは間違っていたのか?」

男「間違いなんてどこにもない、そう思う」

神娘「…そうかもな」

神娘「神主、来い」スクッ

男「なんだよ」

神娘「お前に見せたいものがある、良いから来い」

男「分かった」パカラッ

神娘「…そういえば、何時からお前下駄に変えた?」

男「ここで下駄に履き替えてんの、なんか気に入ったから」

神娘「そうか」

男「可笑しいか?」

神娘「いや、懐かしい」フッ

男「やっぱり、神様は笑ってる方がいいよ」

神娘「褒めるな、照れる」

男「……」ザカザカ

神娘「……」ザッザッ

男「こんな道あったんだな」ザッ

神娘「今までは閉ざしていた場所だからな」ザシュッ

男「ばれないようにか」ザカッ

神娘「阿保な事をしたものだ、隠そうと私にとって何も変わらないと言うのに」ザシザシ

男「(吹っ切れたみたいだな)」ザシッ

神娘「……ここだ」

男「(広場だ、巨大な岩一つ以外には何もない)」

神娘「なんだかわかるか」

男「巨大な石以外には…あ」

神娘「なんだ」

男「…墓石?」

神娘「然様、これは戦死者の為の墓石だ…とは言っても自己満足に過ぎんが」

男「神様、これを護っていたの?」

神娘「そうかもしれない、無意味と思いつつも私は…ここを護る為に消えずに居たのかもしれない」

男「……」

神娘「私が消えればこの森も消える、そしてはこの墓石も…だからかもしれない」

男「うん」

神娘「無意味なのに、私はここが何か神聖な場所のように思えて…」

男「ああ」

神娘「…なんでなんだろうな」

男「…神様、手を出して」

神娘「あ?ああ…なんだ」

男「……」ギュゥ

神娘「…ん」

男「少し冷たい」

神娘「人の手なんて、久々に触った」

男「でも、死んでは無い」

神娘「ああ」

男「生きている」

神娘「ああ」

男「だったら…いや、なんでもない」

神娘「なんだ、言いかけは気になるな」

男「説明は苦手だ、答えは神様が見つければいい」

神娘「…ふ、ふふ」

男「なぜ笑うし」

神娘「なんだか、小さなことに囚われていたような気がしてな」

男「小さくはないけどな」

神娘「でもまあこうして…なんだか救われた気がした」ギュウ

男「そうか、よかった」

神娘「お前は私とともにある、それだけで…良い気がした」

男「ああ」

神娘「神主よ」

男「なんだ」

神娘「神の名において、感謝するぞ」ニコリ

男「(…可愛いな)」


ザァァァァァァッ

神娘「なんだ?」

男「…神様!あれを!」

ザァァァァッ ザァァァァァ…

神娘「葉が…緑だった葉が紅くなって…」

男「紅葉しているのか…?」

神娘「一体何が起こっているんだ」

リーン… リーン… カラカラカラ…

男「虫が…でもいつもと違う」

神娘「夏の虫じゃないぞ、これは秋の虫だ」

男「神様、なにかやったのか?」

神娘「知らん、だが急にこの森の季節が変わったのだ」

サァァァァァァァ…

神娘「夏が…いつまでも変わらなかった夏が秋になった…」

男「急に様変わりしたな」

男「(秋の匂いがする)」

神娘「……どうなっている?」

男「(夏の草の香りとは違う…香り立つ秋の匂いがする)」

神娘「なあ、神主は驚いてないのか?」

男「いや、興奮した」

神娘「興奮?」

男「秋だ…すげえ、周り一面の秋だぞ神様!」

神娘「お、おう」

男「この森全体が紅葉しているんだ、一気に様変わりして…凄いよ神様」

神娘「そうだな、なんか私もわくわくしてきたぞ」

男「明日は一緒に探索しよう神様」

神娘「よし、良い銀杏がある場所を教えてやるぞ」

男「調理器具は持ってきたからすぐ食えるな」

神娘「ああ…美味いぞ、秋の食べ物は」

男「ははっ、こりゃいいぞ…いいなぁ」

神娘「…ふふ、お前は何だか変わらんなぁ」

男「神様に毒されたのかもしれない」

神娘「今ではお前の方がよほど順応している気がするがな」

男「神様よりアウトドアだし」

神娘「なにお言うか、こちとら元気があれば散策に出かけてるわ」

男「言ったな?」

神娘「言ったさ」

男「まあ神様も元気になったみたいだし」

神娘「神主の癖に生意気な口をききおって」

男「神様の為ですから」

神娘「ああそうか、ありがたいな」

男「…明日は楽しみだな」

神娘「うむ、私も楽しみにしている」

男「良かったよ、本当に」

神娘「お前には世話になりっぱなしだな、私からは何もしてないと言うのに…」

男「別にいいから、そういうの」

神娘「では私は帰るとするが…どうする?」

男「……」

神娘「神主?」

男「…少し、ここに残るよ」

神娘「そうか…まあ迷う事もあるまい、一直線だからな」ザッザッ

男「……」

ザァァァァァァ…

男「……」

娘「……気づいていたのだな」

男「まあな」

娘「良くやったよ、お前は」

男「褒められたのか?」

娘「褒めたつもりなのだが」

男「えらくひねてるな、神様とは大違いだ」

娘「私は神様であって神様でないからな」

男「はい?」

娘「神様としての役割に耐えきれなかった彼女が私だよ、分かる?」

男「パラレルワールドって奴か、そんな簡単に出てくるもんなのかい」

娘「ここは神様の領土だ、何が起こっても不思議じゃないさ」

男「じゃあ…急に季節が変わったことも?」

娘「そもそも延々と夏が続く事からしておかしいがね」

娘「ありがとう」

男「うん?」

娘「彼女は救われたよ」

男「良かった」

娘「これで、私の役目も終わった」スゥ

男「消えるのか」

娘「元々彼女の強い罪の意識が私を呼んだんだ、もうそれも無くなった」

男「悲しくないのか?」

娘「いいや?だって彼女は私がなれなかった私だから」

男「……そうか」

娘「ああ、あと気を付けた方がいいぞ?」スゥゥゥ…

男「うん?」

娘「お前にとっての彼女は変わり無いだろうけど、逆はそうでもないから」

男「それって、どういう」

娘「さあね、自分で考えなよ」フッ

男「…行っちまったのか」

ここらで一端区切りです 適当に書いてたら難しくなりすぎて頭フット―しそうだよぉ

一応落としどころは最初から用意しているので行方不明は無いと思います 骨組みももう組んであるので
でもそれが風呂敷の大きさに見合うかは分からないけどという残念仕様

男「……」

ジリリリリ ジリリリ

男「……」パチン

男「……」

シーン

男「……」スヤァ

神娘「そこは起きるべきだろうが」

男「はぁっ!?」バッ

神娘「や、おはよう」ニコッ

男「…おはよう」

男「えっ?神様?」

神娘「神だが」

男「なんでここに」

神娘「普通に来れると言ってなかったか」

男「いや、別にそうじゃなくて…どうして来たって事で」

神娘「来たくなったから」

男「…えーっとぉ…」

神娘「駄目か?」

男「駄目じゃ無いけど」

神娘「細かい事は気にするな」

男「ん、ああ、まあそうする」

男「……神様?」

神娘「ん?」

男「もしかして今絶好調?」

神娘「いやぁ、なんだか昨日の晩から力が湧いてきてな」

男「(完全に吹っ切れた所為じゃないかなこれは)」

神娘「いやぁ、お蔭で実体化までできる様に」

男「えっ」

神娘「触ってみるか?」

男「…」ソロー

神娘「変な所は触るなよ?」

男「触るか!…おお?」サワッ

神娘「な?」

男「おお…どうなってんだこりゃ、本物じゃないよな?」

神娘「ちょいっとこっち側に多く比重を置いただけだ」

男「なんだかよく分からんが」

神娘「全体で1になればいいだけの話よ、ただ”本体”はあの森に居るから力が無ければ”こっち”に多く比重は保てないがな」

男「ほほー、つまりそれだけ力が蓄えられたと」

神娘「うむ」

男「それで嬉しくなってはしゃいでたと」

神娘「そこまでは言っていないぞ」

男「で、家に乗り込んできてまで何をする気だ」

神娘「うむ」

男「今日は森の散策に行く予定だろ?」

神娘「まあそうなのだがな?」

男「じゃあ何で来たのさ」

神娘「いや、今日はお前と学び舎に行こうかと」

男「つまり、学校?」

神娘「うむ」

男「…えっ?」

―――

神娘「いやはや、楽しみだな!」

男「(どうしてこうなったし)」

神娘「一度お前と一緒の校舎に行ってみたかったのだ」

男「(なんで神様こんなに笑ってるんだよ)」

神娘「神主」

男「ん?」

神娘「手を出せ」

男「お、ああ」

神娘「よしよし」ニギッ

男「…神様?」

神娘「いやぁ、こうして居るとなんだか力が湧いてきてだな」

男「神様ぁ!?」

神娘「ふんふーん」

男「(なんか神様急に変わった気がするんだが)」

神娘「どうした?」

男「いや、なんでも」

神娘「そうか」ギュッ

男「(うわぁ、手が柔らかい…じゃなくてだな)」ブンブン

―――娘「お前にとっての彼女は変わり無いだろうけど、逆はそうでもないから」

男「なるほどな」

神娘「どした?」

男「空耳じゃね?」

神娘「そうか…」

男「そんなに楽しみなのか?」

神娘「久々の外界だ、まあ神宮には行ったが…それでも見知らぬ場所を探索するのは気分がいい」

男「冒険家なんだな」

神娘「そうともいう、危険には好奇心がつきものだ」

男「好奇心には危険が付きものなんじゃないの?」

神娘「さてはお前、卵と鶏を知らんな?」

男「知ってるけど」

神娘「お前にはユーモアが足りんよ」ブンブン

男「ちょっ、いきなり手を振りまわすな」

神娘「生意気にも人が神にたてつくからだ!」

男「(ああ、神様今妙なテンションになってる)」

神娘「第一だな、いきなり女の手を掴むとは何事だ」

男「(そしてテンションが高くなると一番面倒なタイプだこれ)」

神娘「そう言うのは好きな者にする事であってだな」

男「学校着いたぞ」

神娘「なにっ」

男「(助かった)」

神娘「ほぉぉ…中々大きいのだな」

男「…神様?」

神娘「なんぞ?」

男「そろそろ手を離してくれ」

神娘「確かにこれでは不便だな、ふむ」ヒョイ

男「神様、そう言えば草履なのね」

神娘「これが割かし”ラフ”な格好とやらか、ふふん」

男「(違う気がするんだけどなぁ)」

男「第一、そんな言葉どこで仕入れてくるのさ」

神娘「大抵お前が持ってきた外の書物にだな」

男「(変なもの持ってくるんじゃなかった)」

神娘「私はあれだな、あれが好きだった」

男「神様の事だから伝承か何かか?」

神娘「うむ、そんな感じだ…えらく冒涜的な話だったな、白痴の神がうんたら」

男「……神様?」

神娘「うん?」

男「その本後で回収するから」

神娘「はい?」

男「あそこが渡り廊下、あそこが購買」

神娘「購買?」

男「色々売ってる、結構便利」

神娘「我は財布を持っていないぞ」

男「そりゃあたりまえだがな」

神娘「そうか…」

男「アイスぐらいなら買うよ」

神娘「ほほぉ?アイスとはかき氷の様なものだと聞いたが」

男「間違っちゃいないな、うん」

神娘「まあそれはさておくとしよう、まだ面白そうなものが沢山ある」

男「一気に見ようとすると大変だぞ、それにもうじき講義が始まるし」

神娘「講義?どれだ?」

男「次が政治論理学だな」

神娘「ははぁ」

男「まあ権謀術数とかなら神様の方が上手い気がするけど」

神娘「かか、人に負けるようでは神はやっていけんよ」

男「(本当に教授位なら退けちゃいそうなんだよなぁ…)」

男「神様はどうする?講義一緒に受ける?」ヒソヒソ

神娘「ちょっと待て、なぜいきなり声を潜める」

男「忘れてたけど神様って普通に人には見えないじゃないか、こっちが変な奴に見られたら困るし」ヒソヒソ

神娘「むむ…確かに一理あるな」

男「だから学校に居る間はな?ちょっと黙る」

神娘「仕方なし、手を繋いでおくとしよう」

男「どうしてそうなったし」

神娘「いやぁな、ここの学生は皆活気に満ちているな!」ブンブン

男「……」

神娘「若さゆえの力と言うか…そうだな、やはり若いっていいな神主よ」

男「ああ」

神娘「ここの生徒が皆私の信徒となれば…いやさ言うまいて」

男「(落ち着け、落ち着くんだ)」

神娘「あれが書架で、あれが時計塔か…立派なものだ」

男「(今は学校、右手にはしっかり捕まった神様、でもここは学校)」

神娘「神主、あれはなんだ?」

男「(今は学校今は学校今は学校)」


神娘「いやはや…広大だなここは」

男「…これ」ピラッ

神娘「お?この学校のパンフレットか…」

男「これ読んで観光にでも行ったらどうだ?」

神娘「ほほー、中々興味深くはある」

男「だろ?」

神娘「だが、私はお前と一緒に回りたいぞ」

男「………」

神娘「迷子になるかもしれんしな!」

男「んな自慢げに言われてもな」

神娘「それにだ、こういった探索は道案内を連れて行けと兼好も言っていた」

男「兼好?」

男「んーっと…講義は第二講義室か」

神娘「ああ、そこをまがって右だな」

男「(もう覚えてるのかよ)」

神娘「まあ、な」

男「あん?」

神娘「色々理由をあげ諂ったが、結局はお前と一緒に歩きたいだけだ」

男「…いきなりそういう事言うなって」

男「なあ」

神娘「なんぞ」

男「神様っ俺のことどう思ってるの?」

神娘「私の自慢の神主だ!」

男「…そうか」

神娘「お前と出会えてよかったと思っているぞ」

男「うん、俺もだよ…うん」

神娘「で、講義に行くんだろう?」

男「おっとそうだった…ここだここ」

神娘「中々広そうな部屋だな」

男「(まさか中に”見える”奴なんていないよな…)」

神娘「ん?どうした?」

男「なんでもない」ガラッ

学生A「……」カリカリ

学生B「……」ペラッ

学生C「……」サラサラサラ

男「(杞憂か)」ホッ

先生「……」コホン

男「あ、すみません」

先生「では講義を始める、起立、礼」

友「危なかったな」

男「ああ、ぼーっとしててな」

神娘「遅刻はいかんぞ?」

男「(誰のせいだよ)」

学生D「……」ジーッ

神娘「(…やっぱり、居るか)」ハァ

男「どうした?」ヒソッ

神娘「いいや?なんでも」

――――――

男「(こちら人間、性別男、ただいまピンチです)」

友「なあ、なんか寒くね?」

男「(原因は分かっています)」

神娘「……………………」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

男「(神様、なんで怒ってるんですが)」

先生「であるからして、戦争に加担した者は須らく…」

神娘「……」ゴォッ

先生「ひいっ!?」ビクッ

男「(あ、授業内容か)」

友「なんか冷や汗止まんねえんだけど」

男「先生、私腹が痛くて…」

先生「お?ああ、行って来い」

男「神様、行くぞ」グイッ

神娘「おおっ!?」

男「ったく、なんで怒ってるんだよ」

神娘「よい、大人げなく怒ってしまったが…あれが今の人の考えならばやむを得ない」

男「神様」

神娘「なんだ」

男「学校さぼってあの森に行こうや、な?」

神娘「いいのか?」

男「いーんだ、疲れたし」

神娘「…すまん」

男「いいって」

―――――

男「うん、結構採れたな…これ全部食えるの?」

神娘「美味いぞ?」

男「毒キノコとか混じってないよな…」

神娘「ベニテングダケは美味い」

男「えっ、でも毒があるんじゃ」

神娘「少量なら大丈夫だって、しにゃーせん」

男「……」

神娘「まあこの中に毒は混じっとらんから安心せい」

男「本当?」

神娘「お前は私の言う事を信じろと何度言ったらわかる」

男「わーったよ…」

男「ガスコンロってどこにあったっけ」

神娘「七輪の方がよくないか?」

男「じゃあ炭」

神娘「あそこにあるぞ」

男「網とか」

神娘「あの戸棚の中」

男「あれ」

神娘「お前の手元にある」

男「気付かなんだ」

神娘「阿呆かお前は」

男「”男の目線は女の目線と違う”って誰かが言ってた」

神娘「ほぉ?」

男「曰く、男は狩りにひいでるために視点が遠くに集中するようになったから手元が見えて無い」

神娘「その代わり女は手元が見えると」

男「そうそう」

神娘「中々良いじゃないか、ええ?」

男「神様もやっぱり女なんだな」

神娘「駄目か?」

男「まったくもって」

神娘「ふふん」

男「後は焼けるのを待つだけ」

神娘「やはり茸は素焼きが一番だぞ、醤油で」

男「醤油あったかな」

神娘「前にお前が買ってきただろうに」

男「あ?あー…秋刀魚食った時か」

神娘「そうそう、いきなり醤油買ってないとか言って飛び出して…」

男「いやぁ、うっかりしてた」

神娘「注意力散漫すぎるぞ」

男「さんまに集中してたし」

男「しっかしなー…」

神娘「ん?」

男「周り見てみると、えらくここも所帯じみてきた」

神娘「まあここで生活する分には問題ないものな」

男「ああ、まあな」

神娘「便利だの」

男「神様って普段飯食わないの?」

神娘「食わなくても普通に生活できる…がやはり食うのはいい、心が穏やかになる」

男「そっか、そうだよな」

神娘「そうだとも」

神娘「……」ツンツン

男「もうあがったか?」

神娘「いや、まだだな」

男「結構時間かかるのな」

神娘「じっくり火を通すのがいい、まったりと待とう」

男「そうしよう、酒持って来ればよかった」

神娘「買ってくるか?」

男「いや、今はここで紅葉を眺めているよ」

神娘「それもいい、一面の紅葉は綺麗だな」

男「神様の隣で見ると猶更」

神娘「そうだろう、なんたって私は神だからな!」

男「………ま、いいか」

男「そういえばさ」

神娘「あん?」

男「なんであの時神様あんだけ怒ってたんだ?」

神娘「そうか…そうだなぁ、神主には分かってもらえるかもな」

男「期待されても困るが」

神娘「まあ分からんでもしょうがない事だ」

男「うん」

神娘「”戦争は忘れなければならない事”今はそう聞いているな」

男「今はな」

神娘「それでは駄目だ、忘れてはならぬ、怖ろしい事は忘れてはいけないのだ」

男「でも、嫌な事は忘れてしまいたいだろう?」

神娘「それだ、まさにそれが忘れてはならない理由だ」

男「はぁ」

神娘「人は嫌な事を忘れたがる、戦争の恐怖は年を重ねるごとに薄れていく」

男「……」

神娘「だが忘れた所で戦争はなくなるか?否、戦争の脅威を忘れた国こそが戦争を起こす」

男「…胸が痛くなるな」

神娘「決して忘れてはならぬ…それが戦争だ、忘れては元も子もないのだ」

男「だから怒ったんだ」

神娘「いや…まあ、それもあるが」

男「うん?」

神娘「…これは身勝手な理由だ、理解してくれなくても良い」

男「それでも話してよ」

神娘「私は、戦争に参加した者達を侮辱されたことが一番怒りを覚えた」

男「侮辱?」

神娘「今は、戦争に加担した者は悪だと教えていた」

男「そうだけど」

神娘「果たしてそうなのか?止むに止まれず参加したものは果たして悪なのか?」

男「それは…」

神娘「自らの為に、自らの大事な者の為に剣を取った人間を果たしてそれで済ませていいのか?」

男「……」

神娘「私はそれが許せなかった、あの戦争を無かったことにするのは…海の向こうで散った者達への侮蔑でしかない」

男「(そうか…神様の両親も)」

神娘「…あくまで、私の考えだが」

男「そうか」

神娘「うん?」

男「時々、神様って人間らしくなるのはこういった理由だったのか」

神娘「何だそりゃ…って焦げてる焦げてる」

男「やべっ、お皿とってお皿」

神娘「先に食え」

男「良いの?」

神娘「我は猫舌ぞ」

男「何と言う残念な告白、神様の癖に」

神娘「言うな」

神娘「別に体形が云々は気にしてないがな」

男「(普通にプロポーションがいい部類とは言えん)」


亀進行ぶちぶちぶつぎりですがやっていきます

男「あ、誤解を招く言い方だったが…おんぶしてると色々と当るって意味だからな」

男「よしよし、いい香りだな」

神娘「秋の味覚というやつだ、たんと食え」

男「分かった、じゃあそこの箸取って」

神娘「よしよし」ヒョイ

男「神様?」

神娘「こうだな…醤油をちょいちょいと」

男「神様猫舌なんじゃないのか?」

神娘「ほれ」ズイッ

男「え」

神娘「食え、食え」

男「えーっと」

神娘「あーん」

男「……」

神娘「おらっ、神の飯が食えんか!」

男「(覚悟を決めるか)」

神娘「ええい分からんやつめ!口を開けろ!」

男「あ、あーん?」

神娘「さあ食え!」ズイズイ

男「おごぉっ!?あふぃっ!あふぃぃっ!!?」

神娘「熱いうちが美味いと言うだろう!ほれほれ!」

男「やめろぉぉぉぉ…」

―――――
―――

男「で」

神娘「はい」

男「面白くなってやったと」

神娘「はい」

男「聞いてる?こっちの体人間だよ?」

神娘「知ってる」

男「反省してる?」

神娘「してない」

男「………」

男「凄い痛かったぞ?暑い通り越して痛かったぞ?」

神娘「反省はしていない」

男「頼むからして下さい」

神娘「今は痛いか?」

男「治ったけど」

神娘「ほぉ?やっぱりお前…」

男「なんだよ」

神娘「考えてみろ、それだけの火傷をしてたった数分で治ると思うか?」

男「…確かに、おかしいな」

神娘「つまり、それだけお前は”こちら”に近づいていると言う事だ」

男「なんだか気味悪いな」

神娘「言うな」

男「じゃあ、まさかそのことを確認するために?」

神娘「それは別の話だ」キリッ

男「なんだ…」ガックシ

神娘「なあ神主」

男「あ?」

神娘「1つ聞いておくが…このままでもいいのか?」

男「と言うと」

神娘「いずれこのままではお前の体は此方に近づく…いずれ川を越えるだろうな」

男「…そっか」

神娘「本当にいいのか?私への憐れみだけでお前が…」


男「いいよ、別に」

神娘「…そうか、うん」

男「ほれ」ズイッ

神娘「うん?」

男「あーん」

神娘「…ん」パクッ

男「どうだ?」

神娘「…熱い」

男「結構焼けて来たな」

神娘「良い香りだ、秋の山は美味い物がたんとあるぞ」

男「でも不思議なもんだよな」

神娘「ん?」

男「あんだけ歩いても全く終わりが見えない、この空間ってとんでもなく広いのか?」

神娘「んー…ま、この森について纏めて説明しておこうかの」

男「おう、ありがたい」

神娘「ま、そこに直れ」

神娘「この森は…と言うよりこの山は私が作り上げた空間と言ったな」

男「うん」

神娘「ありゃ嘘だ」

男「なん…だと…」

神娘「空間を作り上げるだけの力があったら主神どころか創造神だぞそれ」

男「じゃあ嘘で通してたのかよ…」

神娘「説明するのが面倒くさかっただけだから」

男「…神様って案外ずぼらなんだな」

神娘「説明とか柄じゃないのでな」

男「頑張れよ」

神娘「嫌じゃ」

神娘「私は元々二つの社を持っていた」

男「それって結構すごい事なんじゃないか?」

神娘「まあ自宅と別荘みたいなものだ、公務の為に大きな社があって休憩のために小さな社があった」

男「つまり…こっちはその大きな社?」

神娘「いや?小さい方」

男「えっ」キョロキョロ

男「(明らかにドでかい鳥居がある、慎ましくも本殿はこれまたでかいし、一式きちんとそろった立派な神社だ)」

男「こっちが小さい方?」

神娘「おう、でかい方は正直疲れる」

男「へ、へえ…」

神娘「あっちは人が多いわ自然が無いわでな…体に合わない」

男「じゃあこっちの方を公務用にしたらいいじゃん」

神娘「ところがそうもいかんのよ」

男「うん?」

神娘「こっちにも体面やら面子やらあるのさ、威厳ってもんが大事なの」

男「(の割にはだらしない所も見せてる気がするが…)」

神娘「お前は別だ」

男「なんでさ」

神娘「神主だからな」

男「お、おう?」

神娘「まあ、あと…四六時中硬くなるのも疲れるしな」

男「……まあ、それなら」

神娘「そう言えばお前と会う時間も長くなったな」

男「流石に学校はそうサボる訳にもいかんけど…うん」

神娘「休日とかいつもここに来てるじゃないか」

男「ここに居ると疲れがとれるんだよ」

神娘「それはいいのだが、食事とかここで取ってても大丈夫なのか?心配されんか?」

男「あ?あー…それは」

神娘「うん?」

―――――

男母「ねえ」

男「うん?」

男母「彼女出来た?」

男「ぶごっ」

男母「最近家に帰る時間遅いし…休みの日にもどこか行ってるみたいじゃない」

男「ま、まあな」

男母「紹介しなさいよ」

男「そんなんじゃないからさ」

男母「えー?」

―――――

男「(言えねえ…)」

神娘「おい?どうした?おい?」

男「なんでもない」

神娘「と言うかお前ここに住んでるのも同然だと思うがな」

男「そこまでは…そこまでは流石に」

神娘「否定できんか」

男「…ソウダネ」

神娘「我としては構わんがな!」

男「えっ」

神娘「話し相手も増えるし、なんだかんだ言ってお前と話していると楽しい」

男「ああ…うん、そうか」

神娘「で、だ」

男「おう」

神娘「ここの空間はその小さな社になるわけだ」

男「ほうほう?」

神娘「あの時、このままでは私はいずれ消えゆく事は分かっていた」

男「…ふむ」

神娘「故に、私には力の消費を極限まで下げる事の出来る空間が必要だった」

男「うん」

神娘「だから私は、小さい方の社とその周辺の山を複製し結界を張ったのだ」

男「…うん?」

神娘「そして複製した空間を内包した結界をこの世界からちょいずらしてだな…」

男「待った」

神娘「ん?」

男「空間を複製して位相をずらした?」

神娘「そうだな」

男「それって案外凄い事なんじゃないの?」

神娘「まあ、そこそこ?」

男「(そこそこの基準がとんでもないんだが)」

神娘「そいでずらした空間の中に居る事で力の漏れを極限まで減らし、かつ時間軸を弄る事で長時間…」

男「段々こんがらがって来たんだが」

神娘「要するにここは私の空間で入ることは物凄く難しい」

男「要約ありがとう、でも普通に入ってこれたのはなんでだろうな」

神娘「本当になんでだろうな、空間に歪みでも出来たか?」

男「そこのところは分からん」

神娘「この空間は、謂わば私の最後の領土」

男「前にも言ってたな」

神娘「同時に私を生き永らせるための揺り籠でもある」

男「揺り籠、ねえ…」

神娘「誰よりも長く生きる神が揺り籠とは、皮肉だろう?」

男「……」

―――――

神娘「……むにゃ」スゥ

男「……」

神娘「…ふ、ふふ…」グゥ

―――――

男「案外的を射た表現だな…」

神娘「なにか?」

男「なにも」

神娘「と言う訳で…まあこの空間についての説明は終わりだ」

男「で、だ」

神娘「ん」

ヒュルルルルルル…

男「木枯らしがきつい」

神娘「確かに…寒いな」

男「そう言えばこの間のあれは急に夏から秋になったわけだが

神娘「あれか…あれは私にも分からん」

男「この空間は神様の物だったら、分からない事ってあるのか」

神娘「この空間は私の物だが、私の物ではない」

男「は?」

神娘「お前は、表面上に出ている意識が自分の全部だと思うか?」

男「うん?うーん…どう言う事だ」

神娘「自分の無意識は自分ではないと言えるか?自分の意識できていない自分は自分でないのか?」

男「それは…違うな」

神娘「つまり、この空間をすべているのは私だ、だがそれは私の表面意識ではなく無意識すら含めた”私”だ」

男「だから、神様が分からない事があると」

神娘「その通り、面倒極まりないが…まあ私の意識下だけでこの空間を構築するとどうしても無理が出る、負担が大きすぎてな」

男「なるほどなるほど、さっぱりわからん」

神娘「知っとる、お前が途中から食う事に集中し始めたあたりから」

男「そういう神様もどんどん食ってるじゃん」

神娘「ばれたか」

男「ばれないとおもいでか」

神娘「こやつめ、ははは」

神娘「一応夏にも戻せるがな、夏に秋のものくってもなーと」ムシャムシャ

男「まーね」モグモグ

神娘「しっかし、花より団子だな」バクバク

男「この場合紅葉だけどな、ちゃんと見てるよ」ムシャムシャ

神娘「久しぶりに見るな、ずっと夏だったから」

男「…見渡す限りの広葉樹だな」

神娘「杉なんてないぞ、花粉症がな」

男「広葉樹なんてもう絶滅危惧種だぞ」

神娘「悲しいものだ」

男「この景色を見て…そう思った」

ヒュッ ヒュゥゥゥゥ

男「…寒い」

神娘「七輪の炎が暖かい…」

男「あっ、独り占めするなよ」

―――――

神娘「神主」

男「ん?」

神娘「私の隣に座れ」ポンポン

男「おう」スタスタ

神娘「……」

男「よっと」

神娘「……」

男「……」

神娘「綺麗だな」

男「絶景って、こう言う事だよな」

神娘「間違いない」

神娘「何も変わらん、時が流れても美しいと思う心は」

男「ああ」

神娘「ただ…もう私の周りには奴らはいない」

男「不満か?」

神娘「…最初はきっと、私のどこかに引っかかりを覚えるだろうと思っていた」

男「うん」

神娘「だが不思議だな…こうして隣にはお前しか居ないと言うのに、あの頃の様な賑やかさはないと言うのに…不思議としっくりくる」

男「……」

神娘「なんだか…落ち着くんだ、こうしてお前と二人きりでいると」

男「そっか」

神娘「…不思議だな」フッ

男「不思議なもんだな」

神娘「ちゃんと神の話は聞け」

男「聞いてますよーだ」

続き遅くなって申し訳ないです エターはしませんで
でもやっぱりぶつぎりになります

閑話休題

男「そういえば」

神娘「ん」

男「神様ってどれぐらい力が使えるようになったの?」

神娘「ふむ、そうだな…試してみるか」

男「神様の力が見れるんだって?」

神娘「おう見せちゃる、腰抜かすなよ?」

男「流石にそこまではしないって」

神娘「とは言えどあまり広範囲でど派手な力は使えんな」

男「正にそう言うのを見たいんだが」

神娘「馬鹿言え、そんな力使ったら赤子でもここに”なにか”がいることぐらいばれるわ」

男「今までばれなかったのが不思議だけどね」

神娘「それは…人徳ならぬ神徳だろう」

男「はいはい、じゃあ風は使えないの?」

神娘「多分今の力なら小さい山の一つや二つへ消し飛ばせるだろうな」

男「…凄くないかそれ?」

神娘「かか、お前の信仰の賜物だ」

男「なんか嬉しいな、信者として」

神娘「おう、誇れ誇れ」

神娘「うーむ…中々思いつかんな」

男「じゃああれだ、加護なんかどうだ?」

神娘「加護を?」

男「例えば身体強化とかさ…それをつけてどれぐらい力がついたかとか」

神娘「やめた方がいいぞ?」

男「なんでさ」

神娘「いきなり垂直にすっとんだり車に轢かれても大丈夫な人間になりたいか?」

男「えっ」

神娘「正直加減が上手くいくか分からん、なにせ数世紀ぶりだしの」

男「じゃあいざって時使えないじゃん」

神娘「リハビリはしとる」ムッスー

男「えっ?」

神娘「なに心配はいらん、最近目覚めがよくなったとか無いか?」

男「まあ、でもこの神社で昼寝するなんていつもの事だし」

神娘「やけに探索しても疲労してない事とか」

男「そう言えば…ってまさか」

神娘「ちょーっとづつ、ちょーっとづつ慣らしていけば問題ない」

男「そう言う事は相談してくれよな…」

神娘「善処しよう」

神娘「第一だな、私としてもお前の役に立ちたい」

男「そりゃ嬉しいけどさ」

神娘「だからまあ、こうしてさり気ない心遣いをだな」

男「さり気ない必要ってあるの?」

神娘「えっ?」

男「いや、なんでさり気ない気回しする必要あるのかなと」

神娘「そりゃ、そのだな」

男「特に必要ないよね」

神娘「…言われてみれば」

神娘「じゃあどうすれば良いのかわからん」

男「別に、堂々としてればいいんじゃないかな」

神娘「…うむ」

男「うん」

神娘「私はお前を護ってやるからな」

男「ありがとうございます、神様」

神娘「うむっ!」

神娘「これだけ色々と世話をされて見返りを与えられなければ神の名が廃るからな」

男「まあこっちは気にしないけど」

神娘「我が気にするのだ、お前は我を信仰していればよい」

男「そうなのかな」

神娘「そういうものだ」

神娘「ううむ、力が戻ったとはいえやはり慣れないと碌に使えん」

男「例えばどんなことしてるのさ」

神娘「こんなの」パチンッ ボッ

男「…指パッチンしたら炎が」

神娘「別に指を鳴らす必要はない…が、鳴らした方が”それっぽい”だろう?」

男「なるほどね、神の力をより見せつけると」

神娘「神はエンターテイナーでなければならない」

男「宗教家が聞いたら絶句しそうだけど」

神娘「なに、奴等とてやっている事は同じよ」

男「成程、神様に似たんだな」

神娘「違うな、奴らが似せたのだよ」

神娘「まあ待っているがいい、私が完全に馴染んだ暁にはお前はエースにだな」

男「ちょい待て、何のエースだ」

神娘「撃墜数ナンバーワン…」

男「何の撃墜だ」

神娘「…夜の?」

男「えっ」

神娘「とんでもない事に気付いた」

男「うん」

神娘「私は戦神だな?」

男「そう言ってたな」

神娘「自ずと掛けられる加護の種類もそっちになっていくな?」

男「おう」

神娘「今時、そんなの要るか?」

男「……」フッ

神娘「おいこら笑うな、笑うな」

男「神様」

神娘「なんぞ」

男「別に、いいよ」

神娘「あん?」

男「なにもくれなくたって、いいんだ」

神娘「…神の威厳か」

男「言ってたね」

神娘「そんなもの、どこで役に立つのだろうな」

男「矜持じゃない?」

神娘「矜持だの、誇りだの…そんなものは」

男「……」

神娘「戦争の中で生まれた私にそんなものはあるのだろうか」

男「分からん」

神娘「だろうな」

男「あのお墓、お墓?行ってきたよ」

神娘「最近妙に綺麗になったと思ったらそうか、お前が…」

男「うん、最近は慣れてきて少しずつ掃除する範囲が広くなってきたしさ」

神娘「まあ、あそこには何も埋まってないが…」

男「埋まってる」

神娘「は?」

男「あの場所には神様の想いが埋まってるんだ、神様の今までが埋まっているんだ」

神娘「…今まで」

男「神様の”今まで”があそこにあって、神様の”これから”がここにある」

神娘「人の子…」

男「だからさ、別にそんな自分を卑下する必要ないって」

男「だから気にすんなって、な?」

神娘「ううむ、人の癖にいっちょ前な事を言う」

男「ひどっ!?」

神娘「…だが、嬉しかったぞ」

男「光栄の極み」

神娘「お前に生かされ、お前に諭されるとは…少しは自立せねばな」

男「このままでもいい気はするけど」

神娘「たわけが」

――――――

「で、見つかったのか」

「ええ、某地方の大学で確認されたようです」

「なんと…大学と」

「驚くべきことに実態に近い姿で顕現していたと」

「力を蓄えていたのだろうか?」

「恐らくはしかし神の力がそう易々と回復するとは…」

「やはり協力者が?」

「そうでしょう、恐らくは小規模なグループ単位の信者を確保したかと」

「バックも調べるとして、ともかく監視を続けろ」

「はい、いずれは協力を仰ぎに?」

「うむ、時間はもうないのだ」

「了解しました」

―――――

男「暇だ」

先生「えー…諸君はもうじきそれぞれの進路に進むのであって」

友「分かりきってること説明されてもな」

男「ああ」

先生「それには早過ぎと言う事は…」

友「で、お前はどこに行くよ」

男「…大学でも行くかなぁ」

友「俺も」

先生「であるからして…」

男「…暇だな」

友「暇だな」

――――――

友「あー…だりー…」ザッザッ

男「進路決定が?」

友「全部」

男「それ言ったらおしまいだろ」

友「わーってるけどさー…」

男「……」クイッ

友「ん?どした?」

男「年柄年中変わらない気候だ」

友「そりゃぁな、制御されてるしな」

男「季節か」

友「季節?…ああ、先生が言ってたな」

男「”季節、と言う言葉が死語になってから早数世紀が過ぎた”」

友「そうそう、それまでは季節の変わり目に病気する奴が沢山いたらしいぜ?」

男「らしいな」

友「それをなくしていつも一定の快適な気候を作り出したって事らしいな」

男「教科書の通りだとな」

友「お蔭でこっちは仮病もしにくくてさー…困っちゃうよな?」

男「……」

友「おーい?」

男「ん、ああ…そうだな」

友「あーだりー…」ザッザッ

男「(季節か)」

友「んじゃ、俺はここで帰るわ」

男「家はこっちじゃなかったっけ」

友「そうなんだが、塾講のバイト初めてさ」

男「…いつの間に」

友「すまん、最近色々あって会ってなかったしな」

男「でも、授業中よく怒られてるお前が塾講になれるのかよ」

友「ひどっ!お前のせいでもあるんだぞ」

男「すまなんだ」

友「ん、じゃーな」

男「…ん、友よ」

友「あん?」

男「今日は車に気を付けた方がいいぞ」

友「なんだそりゃ」

男「別に、友人としての忠告」

友「…なあ」

男「ん?」

友「なんだかお前、段々変わってきたな」

男「ああ?」

友「なんか、どんどんこの世から離れていっていると言うか…」

男「……」

友「何言ってるんだろうな、じゃあ」

男「…じゃあな」

友「体には気をつけろよー!」タカタカ

男「…変わった、か…」

シャワシャワシャワ…

神娘「……ん」コクン

ザワッ ザザザザ

神娘「………」コクッ

ミーン ミーンミーン

神娘「…あうっ」コクンッ

男「おー…よく寝てる」

神娘「…ほぅっ」ガクッ

男「見てると面白いな」

神娘「……ん、お前か」グシグシ

男「おはよう神様」

神娘「おはよう、神主」

男「座るよ」ドカッ

神娘「もうちょい慎重に座ってくれ…寝起きだ」

男「あ、ごめん」

神娘「ふぁぁ…麦茶でも持ってくるか…」

男「いや、神様は行かなくていいよ」ドッ

神娘「ありがたい」

男「おまたせ」カタン

神娘「ん、ありがとう」

男「いつの間に冷蔵庫なんて持ってきたんだ…」

神娘「神を舐めるなよ?」

男「いや、神とか関係ない気がするんだけど」

神娘「あー…まあ簡単だ」ゴクゴク

男「おう」ゴクッ

神娘「私が半実体化したのと同じ原理を使った、”存在の固定化”」

男「ごめん、やっぱいいや」

神娘「言うと思った」

男「神様って実は頭がいい?」

神娘「小難しい方が説明しやすい」

男「煙に巻きやすいんじゃなくて?」

神娘「頭のいいやつは大体やってることだからな」グビッ

神娘「と言う訳でうちには大抵の家電がある」

男「どこか我が家で見たものと言うのは」

神娘「こないだお前のうちに行ったときに見て来たものだから」

男「ははぁ…どうにでどうも面白みがない」

神娘「別に色々なものを見ればその都度変えられるが」

男「いや、良いや面倒くさい」

神娘「外に出るのはいいけど疲れるんだよ、あれ」

男「力の消費とか」

神娘「そうじゃない、精神力が居る」

男「精神力?」

神娘「幾ら実態に近くなっても本当の実態は”ここ”にあるからな」

男「言ってたな」

神娘「形を向こう側に移すのには色々要るんだよ、大体根性が」

男「ははぁ」

男「大変なんだな、神様も」

神娘「今更か」

男「改めてだよ」

神娘「ふん…」

男「そう言えば、大分力は回復したみたいだね」

神娘「そうだそうだ、不自由しないまでには回復したぞ」

男「最初会った時と比べてまぁ…元気になったな」

神娘「うむ、お前のおかげだ」

男「…おう」

男「今日は夏なんだな」

神娘「やっぱり夏の日差しは気持ちがよいからな」

男「秋は昼寝に向かない」

神娘「木枯らしに当たっているとな…風邪をひかぬ身と言えど背筋が震える」

男「こっちは風邪をひきかねん」

神娘「この間は羽織を持ってきたな、貸してやるが」

男「いいよ、自分の常備する方がいい」

神娘「そうか」

男「まあ、ずっと夏より秋もあった方がいいし」

神娘「それは実感している」

男「神様はずっとここに居るしね」

神娘「うむ」

神娘「秋は良い、美味い物が多いし」

男「神様って物食わないでも生きていけるんじゃなかったっけ」

神娘「この世には点滴、たるものががあるらしいな」

男「把握した、それは辛いわ」

神娘「経験があるのか」

男「中学の頃にな…あれは辛かった」ブルッ

神娘「ようやく物食うのに不自由しないこの嬉しさよ」

男「確かに、秋は焚火の温かさも嬉しいから一概に嫌とは言えない」

神娘「天高く馬肥ゆる秋、だな」

男「なんだな、季節によって楽しみってあるんだな」

神娘「外に出て驚いた、本当に季節と言うものが無いのだな」

男「そうだよ、お蔭で体調不良にはならないけど…」

神娘「つまらんな」

男「こうして夏の日差しや、秋の木枯らしに当たってるとね」

神娘「人は季節によって自らの体を育ててきた、季節をなくすと言うのはつまり体を虚弱にしてゆく…」

男「あー…そう言えばここに始めて来た時風邪ひいたわ、親に心配された」

神娘「あの時はまさか外がそんな事になってると思わずにな、迂闊だった」

男「仕方ないよ、神様の時代には季節が当たり前にあったんだろ?」

神娘「うむ、我々は季節と共に生きて来たといっても過言ではない」

男「それを捨てるという事は…」

神娘「言いたくはないが…愚かになったものだ、人間も」

男「……」

神娘「戦争をしていた頃と何も変わっていない…いや傲慢に学ぼうともしない当たりそれよりも…」

男「…そうだな」

男「冬と、春か」

神娘「もう半分だな、冬と春だ」

男「なんで夏しかなかったこの森に秋が来たんだろう」

神娘「……恐らく」

男「ん?」

神娘「私が、ゆるしたから…ではないだろうか」

男「許した?今まで何か悪い事をしたっけ」ポリポリ

神娘「そうじゃない、一つは私が過去の私を赦したからだ、そして過去の私が今の私を赦したのだ」

神娘「それによるものが一つ、もう一つは…」

男「もう一つは?」

神娘「私がお前を心の底から許した、私の今まで誰も触れたことの無い部分に触れる事を許可した…だろう」

男「…なんか、気恥ずかしいな」

神娘「胸を張れ、お前は神に許された者だ」

男「許された…」

神娘「下を向く事は許さん、それは私を侮蔑する事と同じだ…お前はお前らしく胸を張れ」

男「…分かったよ、神様」ニッ

神娘「それでよい、それでこそ私の神主だ」ニヤッ

男「じゃ、残った季節は」

神娘「解放される条件は分からん、ただ私の心理に影響されるとみて間違いないだろう」

男「しっかし、これ以上何かあるのか?」

神娘「分からん、がそれを今考えてもしょうがない」

男「ま、そうだな」

神娘「いずれ分かるかもしれんし、分からんかもしれん」

男「待ちゃいいな」

神娘「散々待ったのだ、今数十年待とうと短い」

男「流石にスパンが違うな」

男「しかしなぁ」

神娘「ん?」

男「ここに居ると…帰りたくなくなる」

神娘「ここに居たらどうだ?どうせその年なら一人暮らしでも…」

男「親に詮索されたら駄目だよ、それに正式な住居が無いと色々困るし」

神娘「不便なものだな」

男「不便だよ、昔に行ってみたいけど」

神娘「そりゃ無理だ、神の力を持っても過去には帰られない」

男「そうだよな…」

神娘「まあ、私としてはお前がここに毎日通うだけで信仰が溜まるが」

男「積み重ねだな」

神娘「そうだが、ちょい違うな」

男「ん?」

神娘「お前は”初日の参拝”のと”二日目の参拝”の、どちらの方が一日毎の信仰が高いと思う?」

男「そりゃ後者だけど…実感しにくいな」

神娘「では”一ヶ月の参拝”と”一年の参拝”ではどうだ」

男「そりゃ一年参拝し続ける方が信仰が強いな」

神娘「つまりはそう言う事だ」

男「…うむ?」

神娘「参拝を積み重ねるうちにその者が持つ”信仰”はより強固に、より心に根付く」

男「読めて来たぞ」

神娘「お前が今までに捧げた信仰は一定ではない、一日毎により大きく、より深い信仰を私に捧げているのだ」

男「自覚ないけどな」

神娘「私は感じるぞ、お前の私を信じる気持ちを」

男「……そうか?」

神娘「ではどうだ?お前は初対面の物と私、どちらを信じる」

男「勿論神様だ」

神娘「つまりそう言う事だよ、少年」ツンツン

男「やめろよ、なんか恥ずかしい」バッ

神娘「初々しいねぇ」ケタケタ

神娘「積み重ねは大事だよ、どんなことに付けても」

男「今はスピード理解が大事らしいけど」

神娘「それは一時しのぎの知識だ、積み重ねには勝てん」

男「なんか勇気でたぞ」

神娘「まあ効率悪いのと積み重ねたのは違うぞ、そこ取り違えるな」

男「うぐっ」

神娘「甘えるな、自分の行ったことに自分は嘘をつかん」

男「分かったよ…やっぱ神様は言う事が違うな」

神娘「生きた期間が違うのよ、こんななりだが人間でいう婆もいい所だ」

男「でも神様の中では」

神娘「若い方だった」

男「神様ってすげえのな…」

神娘「なにを今更いうか」

男「んじゃ、また明日も来るよ」

神娘「麦茶冷やして待ってるぞ」

男「夏にしておいてくれよ?」ザリッ

神娘「抜かりはないわ」ケタケタ

男「かえっかー…」

―――――――

男「ただいも」

男母「おかいも」

男「飯か、丁度良い時に帰って来た」

男母「ああそうだ、言わなきゃいけないことがね」

男「うん」

男母「引っ越すことにしたの」

男「…は?」

また明日

男「…引っ越す?」

男母「お父さんの仕事でね?どうにも単身赴任が長引きそうなのよ」

男「だから向こうに行くって事?」

男母「そうそう」

男「じゃあ、この家は」

男母「売っちゃおうかって、そのお金で向こうに家を買っても良いし…」

男「大学とか…」

男母「別に遠くじゃないから問題ないわよ、ちょっと移動距離が延びるだけで」

男「……」

男母「いいわね?」

男「いや、考えさせてくれ」

男母「うん?何か問題?」

男「(大問題だよ)」

男「(そもそも今まで大学と家が近いからあの森に行けた様なもんだし…)」

男母「今日はカレーよー」

男「ん」

男「(多分、引っ越したらあの森はいけない)」

男母「どしたの?」

男「…なんでもない」

男母「お父さんも久々に顔が見れるって喜んでたわ」

男「(……どうすりゃいいんだ)」



神娘「」

>> 541 Oh miss spell

男「部屋戻るわ」ガチャ

男母「ちゃんと寝るのよー」

男「おう」バタン

男「…あー…」ドサッ

男「週末だけとかになりそうだな…引っ越すと」

男「え?神様と週末にしか会えないの?あの森に行けんのか?」

男「…嫌だな、そりゃ」

――――――

先生「えー、この数式を用いてベクトル分解を行う事で」

男「……」

友「どした、やけに元気がないな」

男「引っ越しか…」

友「えっ、まじ?」

男「まじ…」

友「でもまあ、大学は変わらんだろ?」

男「まあな」

友「なら…まあ、いいんじゃね」

男「そうでもないんだよ…」ガクッ

友「はぁ?なんでさ」

男「えっと、まあ、通学面倒だし?」

友「そっかーそれもあるよなー…」

男「(セーフ)」

友「でもさー、そろそろ一人暮らしでもよくね?」

男「うちは親が煩いんだよ…」

友「関係あるの?」

男「親にとやかく言われるの面倒くさいだろ?」

友「いや、お前がやりたくないならちゃんと言えよ」

男「……そうか」

友「何も言わないから意見を通されるんだぞ?しっかししろよ」

男「友よ」

友「あん?」

男「恩にきる」

友「ジュース一本奢れよ」

――――――

男「と言う事があってだな」

神娘「……」

男「引っ越すかと言われて…」

神娘「……」

男「神様?」

神娘「……神主」

男「うん?」

神娘「我が嫌いになったか?」ウルッ

男「……ん?」

神娘「いや…言うまい、お前がそうしたいと思うならば…」

男「いやいやいや、行かないからね!?」

神娘「…ん?」

男「ちゃんと断るから」

神娘「………取り乱した」グシグシ

男「(可愛い)」

神娘「結論から先に言え!驚いただろうが…」

男「すまん、そのつもりは微塵も無かった」

神娘「…ったくもう…」

男「まさか泣かれるとは思ってなかった」

神娘「今の私は謂わばお前に生かされているのだ、分かるな?」

男「分かってるって…でも引っ越しても週末には会えるけどさ」

神娘「そりゃ、そうだがな…うむ」

男「まあそれでもここには毎日来たいけど」

神娘「それでこそ我が神主だ!」バシバシ

男「痛い、痛いって」

男「いやぁ、友には良い事を言われたもんだ」

神娘「私からも礼を言わねばな…やはり持つべきものは友だ、大事だぞ」

男「あの後ジュースを奢りたかったんだがな」

神娘「ん?どうかしたか?」

男「先生からチョークとお叱りと罰則の課題を受けて…」

神娘「……そうか」

男「眉間から煙が出てた」

神娘「先生も友人も人間ではないのではないか?」

神娘「ではお前はどうする?」

男「んー…それは相談だな、家を売ることが確定してたらどこかに泊まるよ」

神娘「そっか…」

男「ん?」

神娘「いや?なんでもないぞ」コテン

男「(可愛い、いや本当に)」

――――――

男母「え?ここに残る?」

男「うん、通学とかもあるし」

男母「でも…ううん、あなたもそろそろそう言う年頃よね」

男「まあ家事とかは普通にできるしさ」

男母「でもこの家はもう売っちゃう事になってるのよ…契約もすんじゃって」

男「アパートかなんか借りるからいいよ、それにこの家は一人には大きすぎるし」

男母「…ねえ」

男「ん?」

男母「やっぱり好きな人できたんでしょ」

男「冗談言わないでよ」

男「もう寝るよ」ガチャ

男母「おやすみ~」

男「おやすみ」バタン

男「……」

男「と言う訳だ」

神娘「気付いていたのか」

男「どれぐらいの付き合いだと思ってるのさ」

神娘「それもそうだ」カラカラ

男「油断も隙もありゃしないんだから…」

男「」

神娘「帰るぞ、私は」

男「嫌に早いな」

神娘「なに、そんなに長く憑くつもりは無かったのでな」

男「確かこっちの体力も使うんだっけ」

神娘「僅かだがな、お前は私に慣れてるから憑くにしても消費が少ない」

男「便利な体になったもんだ」

神娘「もうすっかりこちら側だよ、お前は」

男「こちら側か、確かに自由に”この世の者ではない”奴等が見えるし…分かる」

神娘「何か不満か?」

男「いや、でも友には薄々気付かれてるんだろうな」

神娘「……ほう」

男「『この世から離れているみたい』だってさ」

神娘「あながち間違えてはいない、お前は最早我々の領土に居るのだからな」

男「それは三途の川を越えたって意味で?」

神娘「死んでは無い、だが”生きても居ない”」

男「随分大ごとだな…」

神娘「神主よ」

男「あん?」

神娘「貴様は今やこちらの住人だ、神々の領土の民だ」

男「そりゃ、光栄…」

神娘「自覚は無いだろうが…お前にも直に分かるだろう」

男「それは真面目に受け取った方がいいか?」

神娘「さあ、どうだろう」

男「神様は汚いな」

神娘「私の生まれを考えれば当然」

神娘「では、帰るよ」スゥ

男「…なあ神様」

神娘「ん?」

男「ひょっとして今日憑いてたのは…」

神娘「…もし本当に引っ越すことになった時、お前とここで話したかったんだ」

男「心配しなくていいのに」

神娘「どうにもならない事もあるから」

男「……」

神娘「ふ、私らしくも無い」

男「大丈夫だよ、出来る限り神様の傍に居るからさ」

神娘「そうもいかんよ」

男「…へ?」

神娘「お前は人間で、私は神だ、それはお前がいくら変わっても変わる筈は無い」

男「うん」

神娘「お前が人間である内は、お前は人と契り、子を成さなければならない」

男「…そんな先の事なんて、分からない」

神娘「気付いていないのか?お前は既に人として成熟しているのだぞ」

男「……」

神娘「それは人の義務だ、在るべき姿だ、私は神である限りお前がその道を進む様導かねばならない」

男「人」

神娘「それが人だ、それが神だ。関係は崩れてまた構成される、それがこの世だ」

男「じゃあ、もし神様がまた一人になったら」

神娘「その時は…大人しく消えるさ」

男「折角ここまで戻ったのに?」

神娘「そもそもなぜ生きるか分からなかった命だ、神の役目には替えられんよ」

男「神様…」

神娘「そんな顔をするな、私まで悲しくなる」

神娘「さて、もうお前は寝ろ」

男「まだ話は終わってないのに?」

神娘「人を寝かすのも神の役目だよ」

男「卑怯だ」

神娘「今更」

男「さて、家はどうするかな」

神娘「それなら…いや、明日話そう」

男「そうしてくれ、疲れた」

神娘「おやすみ、人の子よ」スゥゥ…

男「おやすみ、神様」

男「静かだ」

男「暗い」

男「ここに残る事になったな、家はどうしよう」

男「でも神様可愛かったな、人間なら好きになってた」

男「駄目だ」

男「こうしていると頭がこんがらがる」

男「寝ないと」

男「…寝れない」

男「目が冴える」

男「寝れない」

男「神様と離れなくてよかった」

男「あの場所好きだから、離れたくない」

男「…それだけか?」

男「それだけの為に、あれだけ焦ったのか?」

男「本当に?神様が心配だからだけで?」

男「それだけであれだけ焦るのか?」

男「これも信仰なのか?それとも違うのか?」

男「神様は可愛い」

男「ふとした仕草なんて素晴らしいと思う」

男「きっと人間なら大層持てたんじゃないかな」

男「でも」

男「”神様には畏敬以外の感情を持てない”」

男「神様を友人だと思ったことも無い」

男「ましてや恋愛の対象なんてもってのほかだ」

男「神様は神様であって、同じ次元の存在じゃない」

男「これが神様の言っていたフィルターなのか?」

男「可愛いと思う、でもそれだけだ」

男「時々綺麗だと思う、それだけだ」

男「それ以上は無い」

男「…もうやめよう」

男「神様は神様なんだ」

男「……」

―――――

男「で、何だ話って」

神娘「別に、大した話ではない」

男「おう」

神娘「お前、まだ済む場所は決まってないよな?」

男「引っ越すのもまだだいぶかかるらしいし」

神娘「よかった…」

男「どうかしたか?」

神娘「神主、ここに住まんか?」

男「…ん?」

大分終わりが見えてきた気がする
そして相変わらずテンポ不均一

ちなみに私は過去に鬼娘だの天狗娘だの書いてました。人外好きです
150以下の短い奴だけど一応 トゥェア
おやすみなさい 良い夢を

改めて読み返すと誤字酷い。
ちんたらかいてるのに録に推敲してないってはっきりわかんだね。
見つけたら生暖かい目で見逃して下さい。


神娘「…ふむ、暇だ」

神娘「神主が居たら紛れるが…無理に呼び出す事も無し」

神娘「あやつを待つとするか、時間なら有り余っている」

神娘「どうやって待つか…」

神娘「…」

神娘「…」スゥ


断章


神娘「……」

ミーン ミーン…

神娘「……」

シャワシャワ…

神娘「……」

神娘「……」

―――――ま

神娘「……」

―――――さま

神娘「…ん」

―――――神様

神娘「何だ…もう来たのか?」

子供「何言ってんだ?神様」

神娘「…ん?」

子供A「約束して無い筈だけどなぁ」

子供B「んだ、んだ」

子供C「でもおっかぁが神様に取り付けたのかもしれんな」

子供B「そんだなぁ」

子供A「そっかもしれんなぁ」

神娘「(なんだ?これは)」

子供A「おっかぁがもうじき奉納にくっから、先に来てたんだ!」

子供C「最初に勝った奴が神様に頭撫でてもらえるんださ!」

子供A「俺が勝っただ!」

子供B「いーや俺だ!」

子供C「どっちも同じだと思うがなぁ」

子供A「俺だ!」

子供B「なんだと!」

神娘「(なんだこれは)」

神娘「(知らぬ相手なら幻覚だと勘違いできるだろう)」

子供A「ぐぬぬ…」

神娘「(だが私はこの景色を知っている、この子供達を知っている)」

子供B「ぐぬぅ…」

神娘「(忘れもしない、私が治めていた国だ、私が居た場所だ)」

子供C「あわわわわ…」

神娘「(そして彼らは…私が戦争に送り出す…)」

神娘「……」

女「ばっきゃろー!」

神娘「ふぉっ!?」

子供達「「「うわっ!おっかぁ!」」」

母「ったく…神様の前で喧嘩なんてしてんじゃないよ!」

子供A「ご、ごめんよ…」

子供B「ごめんなさい…」

母「謝るんだったら神様に謝りな!…すみません神様、うちの馬鹿どもが」

神娘「ああ良いとも、子供は元気が一番」

母「すんませんねぇ…あ、奉納しに来ましたよ」

神娘「ほほぉ!これはまた見事な西瓜」

母「よーく川で冷やしてありますよ!」

神娘「よしよし…では食すとしよう、お前たちも一緒にな」

母「えっ?」

子供達「いいのか?」

神娘「無論だ、一人で食すより多くで食べた方が飯は美味い」

神娘「(平和だ)」シャクシャク

ミーン ミーン

神娘「(こうして皆と食べているとまるであれが嘘のように思えてくる)」

ミーン ミーン

神娘「(力を失い、自ら閉じこもり、そして…)」

子供「神様ぁ」

神娘「ん?」

子供「最近は戦無いなぁ」

神娘「まあ…良い事じゃないか」

子供「うん、そうだね」

神娘「ああ」

子供「このままなければいいのにね」

神娘「…ああ」

母「なに、神様が何とかしてくれるさ」

神娘「それは買いかぶりすぎだ、私にそんな力はない」

母「いやいや、現にこの国は神様の威光があって戦争が少なくなりましたよ」

神娘「…そうかな」

母「そうですとも」

神娘「私は、役に立てているかな」

母「神様…」

母「神様、そんな気負わんでもいいんだよ」

神娘「うん?」

母「神様はそこに居るだけでみんなの希望なんだ、それだけで十分なんだよ」

神娘「まるで置物だな」ハハ

母「いいじゃないか、私は神様の事を人形さんみたいに思ってるんだから」

神娘「それは光栄だな」

母「おっとぉ、口が滑ったねこりゃ!」パシーン

爺「おぉ神様!今日もありがとうございます!」ペコリ

神娘「私は何もしてないが」

爺「儂が元気なのも孫が皆元気なのも神様のおかげですぞ!」

神娘「そんな力はないがな」

爺「なんのなんの!神様ですからな!」

神娘「…そうだ!それもこれも私の威光あっての事だ、信仰するがよいぞ」

爺「ありがたやありがたや…」

母「ありがたいありがたい」

子供「ありがとうございます」

神娘「(これでいい、これこそ神の姿だ)」

―――男「神様」

神娘「(…今となってはもうお前しかいないがな)」

婆「神様ぁ、取れたての胡瓜です」

爺「儂は茄子をもって来たぞい!」

神娘「よしよし、ならば台所に立てい!新鮮なうちに野菜を食すぞ!」

母「ちょっと仲間呼んでこないと…」イソイソ

子供「俺たちも呼んでくるぞ!」

神娘「(…ああ、これだ)」

神娘「(これが私が望んでいた光景だ)」

神娘「(これこそが…)」

神娘「(…足りない)」

神娘「(望んでいた光景なのに…足りない)」

―――男「神様」

神娘「ああ、そうか」

母「どうかしたかい?」

神娘「いいや?なんでもない」

神様「(神主、今はお前が居なければ…そうだな)」

神娘「…すまん、少し寝るよ」

母「おや、疲れましたか?」

爺「神様には悪いが騒がせてもらうぞ!はっはっは!」

婆「この年になって騒ぐとは年甲斐もないがねぇ!」カラカラ

神娘「(…夢でも、見れて良かったな)」

子供「神様、寝ちゃうの?」

神娘「すぐ起きるよ」ウトウト

子供「神様」

神娘「なんだい?人の子よ」

子供「…僕ね」

神娘「ああ」

子供?「神様に会えてよかったよ」

神娘「……そうか」

子供?「ここに居るみんなそう思ってるんだ」

ミーンミーン

神娘「そりゃ、よかったよ」

少年「神様は皆が恨んでると思ってるけど、それは違うよ」

神娘「そうかな」

少年「そうだよ」

ミーンミーン…

少年「ここに居るみんなは神様を愛しているんだ」

神娘「そりゃ…嬉しい、嬉しいに決まってる」ウトウト

少年「少なくとも今も、神様の事なんて少しも恨んでない」

神娘「本当に?」

少年「嘘をついたら神様が悲しむから」

神娘「そりゃ、そうだな…」

少年「神様」

神娘「ん?」

少年「愛してるよ、これまでもこれからも」

神娘「告白かい?」

少年「半分はね人間は神様に恋できないけど」

神娘「残念だ」

少年「残念だね」

少年「愛してるから、もう僕らの事は忘れていいよ」

神娘「そんな事は出来ないさ」

少年「神様」

神娘「なんだ」

少年「僕らは死んだんだ」

神娘「……」

シャワシャワシャワ…

少年「僕らは死んだんだ」

少年「あの時戦争で死んだんだ」

少年「1人だって生き残らなかった」

少年「お国のために命を投げ出したんだ」

少年「でもね、神様」

少年「ぼくら、神様を恨んでないよ」

少年「それよりも感謝してるんだ」

青年「神様を護れたことを」

青年「今まで護ってくれた神様を護れたことを」

青年「だから神様、忘れてくれ」

青年「貴方には私達とは違う今がある、生きている」

青年「私達はあなたを束縛するつもりなんてないんだ」

青年「…だから神様」



青年「もうそろそろ目覚めて下さい」

男「神様?」

シャリリリリリリ…

ミーン ミーン ミーン…

男「おはよう神様」

神娘「…寝ているところを見られたな、不覚」

男「気にしてない癖に」

神娘「まあな…神主」

男「ん?」

神娘「私はどんな顔をしていた?」

男「どうって」

神娘「分からなかったならいいんだが」

男「なんか、少し辛そうだったな」

神娘「…そうか」

男「でも」

神娘「ん?」

男「笑ってたよ、神様」

神娘「…そうか」

男「なあ神様」

神娘「なんだ?」

男「どんな夢を見ていたんだ?」

神娘「気になるか?」

男「気になる、神様そういうの頓着してそうだし」

神娘「そうだなぁ」

男「うん」

神娘「とんでもない悪夢を見たよ」フッ

男「なんだそれ」

神娘「さて、上がれ」

男「なにかある?」

神娘「西瓜が一丁」

男「お、いいね」

神娘「既に切り分けてあるからこれもって縁側に行ってくれ」

男「りょーかい」

神娘「あ、先に行っててくれないか」

男「分かったー…おっと」

神娘「おとすでないぞー」

男「わーってるって」

神娘「……」

シャワシャワシャワ

神娘「忘れる事は出来ない」

ミーンミーン

神娘「だが、私は前に進むことにしたよ」

ザァァァァァァァァ

神娘「それでいいんだろう?」




『ありがとう、神様』

ザァァァァァァァッ…

やけにシリアスだけど
きっと次から
きっと
イチャイチャが
プゲラッチョ

書こう書こうと焦っても碌なものが書けないので 
気が向いたら書こうと思います エターじゃないです 多分すぐ来ます
信じて
チェケラッ

男「神様?ここでは暮らせないって言った気がするんだけど」

神娘「外での体面がどうかこうかだろう?心配するな!」

男「なにか策でもあるのか」

神娘「おうとも、お前に家をくれてやろうとな」

男「スケールのでかすぎる話だと思うんだが、騙してないよな?」

神娘「心配するな、ちゃんとした家だ」

男「神様って外界に干渉できたっけ」

神娘「直接的にはまだ干渉するに至ってないが、間接的なら」

男「維持費とか」

神娘「その程度親からぶんどってこい」

男「えー…」

男「でも家をくれてやるって言ってもだよ、どこにあるのかわからん」

神娘「この森の向かいに家があるだろう」

男「あー、あそこ?ぼろい家だよね」

神娘「そこ」

男「…そこ?」

神娘「その家をくれてやる」

男「あのぼろ屋をくれる、かぁ…」

神娘「ただだぞ」

男「確かに維持費とかはただ同然だと思うけど…雨漏りしない?」

神娘「多分な」

男「多分って…」

神娘「ま、色々あるのだ」

男「結構気になるんだがな」

神娘「黙って従え、損はない」

男「はいはい」

神娘「不満か?」

男「滅相も無い」

神娘「…むぅ」

神娘「取り敢えず見に行くといいぞ、下見で」

男「んーそうだな、行ってくるか」

神娘「おおそうか!じゃ、行くぞ」ポン

男「神様も来るのか?」

神娘「当たり前だぞ、神主が仮とはいえ己の住居にする所だからな」

男「へーへーありがたい事で」

神娘「馬鹿にしたな!?」

男「全然、神様の加護があれば万事大丈夫だろうね」

神娘「お、おう」

―――――

男「…で、だ」

神娘「おう」

男「これがその…家?なんだな?」

神娘「そうだな」

男「どう見ても廃墟なんだが」

神娘「雨をしのげるだけはあるな、多分」

男「ここに住めと?神主に?」

神娘「お前は何を言っているのだ阿保め」

男「口が悪いな」

神娘「私はお前にこの家をくれてやるとは言ったが、住めとは言っていない」

男「そうだな」

神娘「お前…私が最初なんでこの家をやると言ったか忘れてないか?」

男「実はそうなんだ、なんだか衝撃的な事を言われた気がして」

神娘「お前はな、私と住むんだ」ズイッ

男「おう」

神娘「私と」ズイッ

男「神様と」

神娘「あの森で」ズイズイッ

男「あの森で」

神娘「一緒に住むんだ!」ズズイッ

男「住む」

神娘「分かったな?」

男「全然」

神娘「この馬鹿たれが!」バチコーン

男「あべしっ!?」

神娘「お前が『取り敢えず住居が無くては困る』と言うから思い出したわけだよ」

男「なんとなくは分かったがな」

神娘「だからその取り敢えずの住居を与えると言っているのだ」

男「……」

神娘「これさえあれば問題ないだろう?な?」

男「なあ神様」

神娘「おん?」

男「神様はなんでそんなに積極的なんだ?」

神娘「言わせるな恥ずかしい」

男「…おう」

神娘「逆に聞くが、異論はあるのか?」

男「無論ない」

神娘「なら良いではないか」

男「…そうだな、別に何にもおかしいことは無い」

神娘「神である私が言うのだ、間違いはない」エッヘン

男「なんでえばるんだよ」

神娘「私が神だからだ」

これ男は住所不定ってことにならね?

>>621

神娘「だから一応の住居を与えたわけだ、住所はあるから住所不定ではない!」エッヘン

男「それ犯罪に抵触しないの?」

神娘「知るかそんなもん!」

男「しっかし…ぼろい家だな、家として認められるのかこれは」

神娘「一応は家だろう、住所のない家なんて家じゃない」

男「お、おう」

神娘「それにだ…こうしてみるとほら、なんとなーくまともに」

男「見えないな」

神娘「お前には心眼が足らん!」

男「んな理不尽な」

男「んで、だ」

神娘「おう」

男「実をいうとあまり持ち物を持っていなかったりする」

神娘「なんだ、ここは荷物置き場にもならんか」

男「(やっぱりぼろいって思ってるんじゃないか?)」

神娘「はて、しかし年頃の男がそんなものを持ってないとは」

男「だってほとんどあの神社に持っていっちまったんだもの」

神娘「えっちぃのとかは」

男「…そんなのわざわざ言うと思うか?」

神娘「つまらん奴め」

男「だから引っ越しってもあんまりやる事ないんじゃないかなとは思うよ」

神娘「…まあ、随分と雑多になったものだとは思っていたが」

男「持っている者なんて本ぐらいしかなかったもんなぁ」

神娘「ゲームと言うのがあるらしいが、それはないのか?」

男「なんか飽きたから売っちまった」

神娘「…遊んでみたかったのだが」

男「じゃあ適当な奴買ってくるよ」

神娘「操作が優しいのがいいのだが」

男「探しとく」

男「んー…じゃ、下見も終わったし帰るか」

神娘「おう、で引っ越しはいつになる」

男「二・三週間後かなぁ」

神娘「そうかそうか…ふふ」

男「うん?」

神娘「これからは一つ屋根の下だな神主」

男「(そう言えばそうなんだよなぁ)」

神娘「これからは沢山探索に出かけような」

男「いつもやってることじゃないか」

神娘「そうだったな」

神娘「…っと、もう言う事も無いな」

男「最近はぐでってばかりだしな」

神娘「随分となれたものだよ」

男「誰のせいだと思ってるんだ」

神娘「でも、それで見える景色もあるだろう」

男「…確かに、まあ」

神娘「神社に寄るか?」

男「いや、今日は帰るよ」

神娘「そうか」

男「ああ」

神娘「…なあ」

男「後悔ならしてないぞ」

神娘「すっかりばれてるな」

男「神様は心配性だな」

神娘「いや…」

男「ん?」

神娘「嫌な予感がするのだ、もうじき何かが起こる…そんな気配が」

男「気を付けておくよ」

神娘「お前に何かあったら…いや言うまい」

男「おう」

―――――

男「じゃ、寝るよ」

男母「はーい」

男「あ、住むところは見つけて来たから」

男母「あらそう、準備はしてたのねー」

男「まあね」ガチャン

男「ふぅ…」ドサッ

――――これからは一つ屋根の下だな

男「…楽しみにしている自分が堪らなく卑しいぜ」

――二週間後

男母「じゃ、ちゃんと栄養取りなさいよ?」

男「分かってるって」

男母「時々電話寄越しなさいね」

男「そこまでせんでもいいだろうに」

男母「心配だし…」

男「こちとらもう子供じゃないからね?」

男母「それもそうね、じゃ」

男「通さんと仲良くやりなよー」

男母「何言ってるのよ、私はあの人の妻よ?」ブロロロロ

男「…いっちまったな」

神娘「いつも思うが如何にも人のよさそうな顔をしているの」

男「実際そうだよってかナチュラルに隣に居座るなよ」

神娘「良いではないか」

とおさん

>>634 変換ちゃんに腹パンしておきますねー

神娘「今日は休日だったか」

男「あーね、もうじき試験だと言うのにのんびりもしてられんが」

神娘「見てやろうか?勉強」

男「あいにく一夜漬けなんて度胸は無い性格なので」

神娘「良き心がけ、だがまあ効率も大事だぞ?」

男「神様が言うセリフかよ」

神娘「私は仏でもないから俗にまみれても良いのだ」

男「そりゃ、結構な事で」

神娘「神と言うのは俗っぽいもんだ」

男「ふぅん」

神娘「酒も煙草もやる、喧嘩もする」

男「人間と変わらんじゃないか」

神娘「つまりそこだよ、神は人と近いんだ」

男「近い…まあ確かに、時々人間と話しているみたいに思えるけど」

神娘「神は人より生まれ、人と共に生きている…つまりそう言う事だよ」

男「そっか」

神娘「そうだ、じゃあ行こう」

男「行こう、神様の森へ」

神娘「私達の森だろう?」

男「ん、ああ」

リーン…リーン…

男「あ、今秋なのね」

神娘「ちょっくら見せたいものがあってだな」

男「うん?」

神娘「これだこれ、このために秋にした」

男「…なんだこれ」

神娘「囲炉裏を知らんか?」

男「いろり?」

神娘「知らんか…ともかく良いものだぞ、これは」

男「ほほぉ」

神娘「ここを囲んで鍋をつついたりするんだ」

男「ああ、郷土資料で見たことがあるかもしれん」

神娘「いいものだぞ、これは」

男「早速つけてみるか」

神娘「点火用具、点火用具は…」

男「コンビニで売ってたかな」

神娘「あった、マッチ」

男「…時代を感じる」

神娘「ふふん、こんな事もあろうかと用意しておいたのだ」

男「そりゃ大した心がけで、付くの?」

神娘「多分付くだろ…えいしょ」シュッ

男「……」

神娘「んしょ、えいしょっ」シュッ シュッ

男「……」

神娘「ええい、このっ、くそっ、この…」シュッシュッシュッ

男「…買ってこようか?」

神娘「黙っておれ!」スカスカスカスカッ

神娘「この馬鹿物がっ」

男「(今日から神様と一つ屋根の下かぁ)」

神娘「言う事を聞かんか!」

男「(学校行って、帰ったら散策でもして、本を読みあったりして)」

神娘「神の言う事が聞けんと申すかっ」

男「(…いつもと変わらなくね?)」

神娘「くそっ、このっ」

男「(…別に変に違うよりそっちの方が楽だな)」

神娘「……」シュッ

男「(それにしても)」

神娘「……」シュッシュッ

男「(変な所で諦め悪いよな神様も)」

神娘「……」シュッ

男「(引っ越すって言った時はあっさり引いた…いやあれは引いてなかった気がする)」

神娘「……」

男「買ってくるよ」ザッ

神娘「頼む」

男「(こっちから動いてやらなきゃ諦めないんだもんな)」

m(_ _)mm(_ _)mペコペコ
(-人-)(-人-)パンパン
m(_ _)mペコ-

支援

――――

男「もうちょっと言ってくれてもいいんだぞ?」

神娘「そうはいってもだな」

男「神主なんだから、神様の言う事聞くのは当たり前だろう」

神娘「確かに!」ポン

男「…もしかして覚えて無かったりする」

神娘「そんなことは無い、ちょっと置いておいただけだ」

男「口が上手い事で」

神娘「褒めるな」

パチパチパチ…

神娘「暖かいな」

男「火で暖を取るってことは無いから新鮮だ」

神娘「昔はよくこうしていたんだがなぁ」

男「悪くないな」

神娘「しかしあれだ…足りん」

男「なにがさ」

神娘「鍋」

男「鍋?」

神娘「鍋が足りん、鍋が」

神娘「囲炉裏と言ったら鍋だ」

男「お、おう」

神娘「鍋が無い囲炉裏なんて囲炉裏ではない」

男「流石にそれは言い過ぎじゃないか」

神娘「言い過ぎではない、それほど鍋と囲炉裏は重要なものだ」

男「(そういうものなのか?)」

神娘「ああ、鍋が食いたい」

男「取ってくればいいじゃん」

神娘「獲ってくるか」

男「そうだな、一緒に行こう」

神娘「おうともさ」

神娘「茸鍋がいいな、うん」イソイソ

男「そう言えば神様っていつも同じ服装だけどいいの?」

神娘「ここは俗世とは無縁の場所、さらに私は神だから穢れも出さないから汚れない」

男「…便所は?」

神娘「人用だ」

男「食ったもの何処に行くの?」

神娘「力となる」

男「うわ、なんかずるい」

神娘「人の体を捨ててよかったことだな、うん」

男「割かし現金なんだね」

神娘「夢なんて昔に捨てた」

男「反応に困るんだが」

神娘「すまんな」

男「それにしても、服替えないの?」

神娘「一応神具と呼ばれる礼装だからな」

男「えっ、それそんなに大事な物なのかよ」

神娘「下位のではあるがな、これを着ていないと示しがつかんしな」

男「すっかり下駄が染みついたなぁ、こっちも」パカッ

神娘「流石にそれで散策に出たら転ぶぞ」

男「その時は運動靴を履くさ、ここに置いてある」

神娘「手馴れたもんだな」

男「自分でも驚くほど適応してる、うん」

神娘「うっ、寒い」

男「上着持ってきた」

神娘「助かる…」

男「神様って寒い暑いは感じるんだな」

神娘「悪いか」

男「いや、別に食べなくてもいい体だし」

神娘「寒暖を感じるのは季節を感じるのと同意、肌で感じるのもまた楽しからずや」

男「そんなもんか」

神娘「そんなもんだ」

神娘「秋と言うのがこんなに寒いなんて忘れてた」ザカザカ

男「ふぅん」ザッザッ

神娘「冬の寒さはこれの日では無かった気がするな」

男「忘れたのか?」

神娘「…ずっと夏だったからな」

男「そうか」

神娘「身を切るような寒い風、まるで時が止まった様な灰色の景色…そして雪」

男「…冬か」

神娘「厳しい冬を乗り越えてこそ、春が訪れる」

男「春?」

神娘「生命の春、冬の試練を乗り越した者のみが享受できる季節だよ」

男「知らないな」

神娘「いずれ訪れれば、二人で花見をしような」

男「楽しみだけど、そんな日が来るかな」

神娘「くるよ、きっと」

男「待っているよ、神様がそう言うなら」

神娘「あっ、しめじだ」

男「舞茸はあるかな」

神娘「外では舞茸の養殖が盛んらしいな」

男「んー、まあ一番馴染みのあると言うか」

神娘「実はきくらげもキノコの一種…生えてはないが」

男「ないのか」

神娘「探せばあるかもしれん、諦めるな」

男「…これって松茸?」

神娘「そうだが」

男「天然ものは大変高級なんだがね」

神娘「結構そこら辺に生えてるが」

男「まあ、うん、予想通りと言うか」

男「大分取れたな」

神娘「帰るか、あ」

男「ん?」

神娘「鍋はあったっけ」

男「土鍋があった気がする」

神娘「出汁とか、昆布があった気がするが」

男「簡易台所にあったなー」

神娘「そう言えば正式な台所は無かったか」

男「元々本殿の中だからなー、台所がある方がおかしい」

神娘「作るか…」

男「木材には困らなさそうだから作れる気がする」

神娘「神の力で身体強化ぐらいなら出来そうだぞ」

男「頼んだ」

神娘「……」ザカザカ

男「……」ザッザッ

ヒュルゥッ

神娘「…寒い」

男「寒いな」

神娘「懐かしい寒さだ」

男「うん」

神娘「昔は、こんな寒い日には皆が集まって…暖を取って」

男「うん」

神娘「…涙もろくなったな、私も」

男「神様」

神娘「うん?」

男「ここに居るさ、神様は一人じゃない」

神娘「…そうだな、そうだよな」

男「ああ、そうだよ」

――――

グツグツ

神娘「……」スジュル

男「……」ゴクリ

グツグツグツ

神娘「…もういいか?」

男「駄目だ、まだ煮えていない」

グツグツグツ

神娘「ちょっとだけ」

男「駄目だ」

グツグツグツグツ

神娘「……なあ」

男「駄目」

神娘「ぬぅーっ!」

神娘「まさか貴様に”鍋奉行”の素質があったとは…」

男「鍋奉行?」

神娘「鍋の事になると途端に口やかましくなる輩の事だ!」

男「こうした方が美味いと思うんだが」

神娘「うぐぅっ」

男「神様堪え性ないと駄目だぞ?」

神娘「うぐっ…」

男「…ん、そろそろかな」

神娘「そうか!」パァッ

男「……」

神娘「…貴様、今私の事を馬鹿にしたな?」

男「いや、滅相も無い」

神娘「ええいまったく!お前は最近不遜すぎるぞ!」パクパク

男「さーせんしたー」パクパク

神娘「第一な、お前は神主であって私は神だぞ」

男「さいで」

神娘「もっと敬いをもってだな」

男「あーん」

神娘「んむっ、ん…美味い!」

男「肉が無いと物足りないと思ったけどそんな事も無かったな」

神娘「だろう?」エッヘン

男「こうして鍋をつつくのも中々良いな、うん」

神娘「そりゃ、昔はこうして親睦を深めたものだ」

男「あ、それ取るなよ」

神娘「早い者勝ちだ馬鹿者」

男「じゃあこっち貰った」

神娘「ちぃっ」

男「早い者勝ちだ」

700ぐらいで終わると思ったら終わらないっぽいです それと今回からsage進行で

神娘「ふむふむ」モッチャモッチャ

男「美味いな」ムグムグ

神娘「やっぱりこうでないとな、茸しか入ってないが」

男「野菜は買ってくるべきだったな」

神娘「概ね同意する」

男「お、もう食べ終わるか」

神娘「うどんでも作ろう、うどん」

男「お、いいなそれ」

―――――

男「食ったな」

神娘「いやぁ、食った食った」

男「それにしても神様はよく食うなぁ」

神娘「お前が食わなさすぎだ」

男「そんな事も無いと思うけど」

神娘「もっと食え 健康で居ろ」

男「お前は親か」

神娘「なってもいいぞ」

男「えっ」

神娘「と言うより人は皆神の子だぞ」

男「あ、そう…うん」

神娘「甘えてきていいのだぞ!」

男「(どう反応していいんだこれは)」

神娘「神主、一緒に月を見よう」

男「月?」

神娘「ここから月が見れるんだ」

男「…あ、本当だ」

神娘「いつもは暗くなる前に帰るからな、お前」

男「帰されるんだがな」

神娘「言うな、時々ここの時間は私の予期しない速さで進む」

男「そうなのか」

神娘「安定している時は外と同じだけ進むようにしている、お前が取り残されることないように」

男「ありがとう?」

神娘「当然の事よ」

神娘「こうして月を見ると、あれだな」

男「うん?」

神娘「……いやいい、今更終わった事だ」

男「…そうか」ウトウト

神娘「眠いか?」

男「少し…」

神娘「よし、じゃあここに横になれ」ポンポン

男「うん?」

神娘「膝枕してやる」

男「……(不意打ち過ぎるだろこれ)」

神娘「さあさあ遠慮するな、減らんから」

男「…じゃ、遠慮なく」ドサ

神娘「神に膝枕される人は珍しいぞ」カカ

男「…恥ずかしい」

神娘「月が見えるな」

男「うん、綺麗だ」

神娘「真ん丸で美味しそうだな」

男「神様」

神娘「なんだ」

男「月が綺麗ですね」

神娘「そういうのは人に言え、神に言う言葉ではない」

男「なんだばれてたか」

神娘「さり気なく馬鹿にしているな?」

男「めっそうもない」

神娘「人か」ナデナデ

男「撫でないでくれ」

神娘「減るもんじゃない」

男「まあそうだが」

神娘「お前はもうちょい私に頼れ」

男「えー」

神娘「助けられてばかりだ」

男「そんな大仰な事はしてない」

神娘「…いや、確かに助けられてばかりだ」

神娘「お前に力をもらった」

神娘「お前が私の過去を断ち切った」

神娘「お前は外の知識を私に持ってきた」

神娘「この森に季節を齎した」

神娘「全てお前のおかげだ」

男「……どうも」

神娘「……」ナデナデ

男「妙な気分だ」

神娘「ん?」

男「初めて会った時は、こんな事されるなんて思っても無かった」

神娘「そりゃ、私もだよ」

男「そっか」

神娘「なんか迷い込んできた人間、その程度だった」

男「自分のことながら酷い言い草だ」

神娘「ついでに利用できないかと考えたよ」

男「本当に酷いな」

神娘「だろう?」

神娘「だが私はお前の誠意に触れた、お前は私に信仰を捧げた」

男「役目だからな、それが」

神娘「神主の役を継いだ、そしてこうして私の隣に居る」

男「それは…役目なのかな」

神娘「さあ、どうだろうな」

男「なんだそれ」

神娘「神主にもいろいろいると言う事だよ」

男「そっか」

神娘「そろそろ寝るか」

男「それがいい…あ」

神娘「ん?」

男「布団ってある?」

神娘「…どうだったか」

男「と言うより神様って普段寝るの?」

神娘「寝ないな、うん」

男「えー…」

神娘「あ、でも一応の為に布団が」

男「一組しかないと言うベタな展開とか」

神娘「いや、結構ある」

男「あるんかい」

神娘「来客とかいるからな、龍とか」

男「成程」

―――――

神娘「こうして隣で誰かが寝るなんて久しぶりだな!」ハッハッハァ

男「お、おう」

神娘「まあ布団は別だがな」

男「(一緒だったらどうしようかと思った)」

神娘「残念だったな!」

男「テンション高いな神様」

神娘「そうか?」

男「うん」

神娘「…そうか」

神娘「なあ」

男「ん」

神娘「最近嫌な予感がするんだ」

男「嫌な予感?」

神娘「戦争の時に感じた気配、死の匂いがする」

男「なんだって!?」

神娘「近い将来何かが起こる、私には分かる」

男「…そうか」

神娘「怖いんだ」

男「そりゃ、死の匂いなんてしたら…」

神娘「違う?」

男「え?」

神娘「私はお前と離れるのが怖い」

男「そりゃ…唐突な告白か?」

神娘「分からん、ただ私にとって今一番交友関係の不快のは間違えなくお前だ」

男「こっちもだよ、そりゃ」

神娘「失うのが怖い、怖いんだ」

男「(…確かに、神様が居なくなるのは怖いな)」

神娘「私の中ではまだ、時々戦火に焼かれる者の声が聞こえるんだ」

神娘「噎び泣きが、怒号が、断末魔が、狂気の笑いがまだ聞こえるんだ…」

男「神様、そっち行くよ」ズリズリ

神娘「へっ?」

男「そのまま寝てりゃ良いからさ」ドスッ

神娘「神の布団に入ってくるなんて不届き者め」

男「罰してくれても構わんよ」

神娘「お前は私の神主だからな、この程度は許そう」

男「ありがたい」

男「ずっと居なくならないなんて、そんな事は言えない」

神娘「その程度、知っている」

男「知っていても、理解はできても、納得できない」

神娘「…っ」ギゥ

男「そんなこと知ってる、神様だけじゃないから」

神娘「私だけじゃない?」

男「神様と別れたくないよ、同じだ、同じなんだ」

神娘「…神主」

男「だから、約束しよう」

神娘「約束」

男「『いれる内は、一緒に居よう』って約束しよう」

神娘「いいのか?」

男「いいよ」

神娘「神との約束は高くつくぞ」

男「知ってる」

不快になってるよい

支援

>>685 ちょっとこのSS誤字多すぎんですけど…
誰だよこれ書いたの ぼこぼこにしてやるよ

誤字は仕様 そう言い切るだけの勇気はない

目立たずsage進行か
”×人外”教を布教するためsageずに進行かちょっとした悩み
今日はsageでいきます

神娘「…」

男「…心臓の音がする」

神娘「そう聞こえるだけだ」

男「動いてないのか?」

神娘「私が人間を止めた日に私は人間としては死んだから」

男「でも確かに、聞こえる」

神娘「また気づいていないのさ、私が死んだことに」

男「…そうか」

神娘「滑稽なもんだ、全部滑稽だ」

神娘「私が護りたかったものは皆死んで、死んでも良かった私だけが生きている」

男「…そうか」

神娘「挙句私はお前に頼り切って生きている、自分では何もできない」

男「……」

神娘「何のための神だ、だれが為の神なんだ」

男「……」

神娘「私は、無力だ」

神娘「無力だ…」

男「だったら、守ってよ」

神娘「誰を」

男「神様の神主を」

神娘「…お前を?」

男「そうだよ」

神娘「でも、私はお前に護られてばかりで」

男「関係ないよ、神様に信仰を捧げる代わりに神様が護ってくれればいいんだよ」

神娘「…神主」

男「悪い予感がするなら護ってくれ、頼む」

神娘「……」

男「神様」

神娘「おい、人の子」

男「なんぞ」

神娘「私を誰だと思ってる、まさかただ人の形をした無能とは思っているまいな」

男「おう」

神娘「我は神、我は絶対の力」

神娘「信ずる者に加護を与え、戦の野に立つ者ぞ」

神娘「たかが人一人を護る事造作も無い、我を畏れよ、我を崇めよ」

神娘「…さすれば、私はお前を護ってやる」

男「そうか!」

神娘「ああ、護ってやるさ」

男「神様が居るなら安心だよ」

神娘「く、くく…まったくお前は時々妙な事を言う」

男「しゃーないだろ」

神娘「人の子」

男「あん?」

神娘「ありがとう」

男「…おう」

神娘「さて、寝るか」

男「1人で寝れるか?」

神娘「馬鹿にするな」

男「安心した」

神娘「…はぁ」

男「……」グゥ

神娘「…んー…」

男「……」

神娘「やっぱり、そうなのか?」

男「…むにゃ」

神娘「人は神に恋をできない」

男「………」

神娘「だが、その逆はそうとは限らんな」

男「……」ゴロン

神娘「…おやすみ、人の子」

――――――

男「んー…良く寝た」

神娘「おう、起きたか」

男「神様ってこんな早く起きるのか」

神娘「元々寝る必要も無いからな」

男「ふぅん、便利なもんだ」

神娘「不便な所もあるがな」

男「えっ」

神娘「まあお前は気付くまい、あくまで人だからな」

男「含みのある言い方だなおい」ノビー

神娘「神主、こっちを向け」

男「良いけど…なんでさ」

神娘「……ふーむ」ジーッ

男「なんなのさ」

神娘「うーん、もうちょっと眉が太くてきりっとしたのが好みだった気がするが…」

男「神様って起きて一番に人の顔の品評するのが趣味だったりするの?」

神娘「ふーむ」ジー

男「ちょっと、神様近い」

神娘「…趣味が変わったか?」

男「何の話!?」

神娘「まあいい、ほらこれ」ズイ

男「なにこれ」

神娘「弁当」

男「買ってきたの?」

神娘「馬鹿言うな、作った」

男「えっ」

神娘「もしやお前、私が料理できないと思ったか?」

男「いや、何度か食べてるから美味いなとは思ってたけど」

神娘「なんだ、何が不満だ」

男「いや、でもこれ神様が造ったんだろ?」

神娘「そうだが」

男「…ありがたくいただきます」

神娘「栄養満点だ」

男「そろそろ行ってくる…」スクッ

神娘「待て」

男「連れてかないぞ?」

神娘「そうではない」スッ

男「どうした」

神娘「握れ」

男「は?」

神娘「さっさと握れ」

男「お、おう」ニギッ

神娘「……」

男「……」

神娘「…よし、行っていいぞ」パッ

男「(何なんだ一体…)」

神娘「ふふん」

遂に700行ったけどgdgd感半端ない 
でも大分佳境に差し掛かったから普通に終わらせられそう
次はsage消そうか迷うけど気分で決めそう テヤンディ
P.S. どうでもいいけど死んだふりをしている蝉はブービートラップだと思う

外見についてはとやかく描写しないよ
これは各自の想像力を大事にしているのであって私が下手くそ極まりないから書けない訳じゃないよ

――――

友「よー、購買行こうぜー」

男「ああすまん、弁当持ってきてるんだ」

友「なんでいきなり」

男「悪いか」

友「確か1人暮らし始めたってな、それでか」

男「お、おう」ギクッ

友「そっかー…お前も遂に一人暮らしか」

男「まあそうだな、うん」

友「お宅訪問すっか!」

男「やめてくれ!」

友「なんでだよ、問題か?」

男「うちはな、超ぼろいんだよ」

友「あっ…まあ、うん、強く生きろ」

男「(神様と暮らしてるなんて言える訳ないだろうが)」

男「と言う訳で弁当だ」

友「ほほぉ、それにしてはやけに…和風だな?唐草模様か」

男「(神様の趣味か…)」

友「それではわが友の料理の腕を拝見…ぬぅっ!?」

友「この色とりどりの野菜の盛り合わせ…」

友「なんとも食欲を誘う様な香り…」

友「そして男子にあるまじきバランスの良さ!」

友「『これはお前が作った弁当ではない』…そうだな?」

ザワ・・・ ザワ・・・

男「(…神様)」

友「なんだこれは!しかも母親が作る弁当にありがちな適度に手を抜いた感が無いな!」

男「(気合入れて作りすぎだぞ!)」

友「友よ、いや…場合によってお前は敵だぞ」

男「違うって、彼女じゃないって」

友「ええい白々しいぞ!」

友「誰のだ!この弁当誰に作ってもらった!」グワシグワシ

男「うるせー!」

友「畜生!いつの間にか彼女なんて作りやがったのか!」

男「彼女じゃないって言ってるだろうが!」

友「でも弁当作ってくれるなんてお前それ確実に好意持たれてるぞ」

男「…なんだと」

友「気付いてやれよ…」

男「(そうなのか?そう言う事なのか?)」

友「でも美味そうだなそれ」

男「美味いぞ、うん」

友「羨ましいな」

男「だろう?」

友「ちくしょ…呪われてしまえ」

男「やーだよ」

―――――

男「ただいま神様」

神娘「おかえり神主」バッ

男「なんだ、腕を広げて」

神娘「おかえりの抱擁だ」

男「はい?」

神娘「早くしろ、待たすな」

男「え、あ、ああ」ギュゥ

神娘「良し」

男「なにがだ」

神娘「飯にするか?」

男「んー、まだ早いかな」

神娘「では風呂でも入るか、確かあったはずだが」

男「いいよ、神様が先は入りなよ」

神娘「しかしだな」

男「神様より先に風呂入る神主がどこに居るんだよ」

神娘「…ふぅむ」

神娘「では、そこに座れ」

男「どした?」

神娘「そのまま私の顔を見ろ」

男「おう」

神娘「……」ジーッ

男「……」ジー

神娘「…ふっ」

男「なんで笑うんだよ」

神娘「いやなに、滑稽でな」

男「喧嘩売ってるの?」

神娘「んなわけなかろう」

男「でもその口調はどう見てもそうとしか」

神娘「そうなったら私は負けるぞ、信者が居ないからな」

男「喧嘩するわけないじゃないか、神様相手に」

神娘「むむぅ」

男「今日は夏だな」

神娘「夏の夜は蒸し暑いが過ごしやすい」

男「団扇がこんなに便利なものだとは」パタパタ

神娘「ん、そろそろ飯にするか」

男「もう作ってあった?」

神娘「暇だからな」

男「本当に?」

神娘「(流石に気恥ずかしいがな)」

男「んむ」パクッ

神娘「どうだ?」

男「…相変わらず美味いよ」

神娘「そうかそうか」

男「……」モグモグ

神娘「…ふふ」

男「あんだい」

神娘「やはり、飯を食う人は見てて楽しい」

男「なんか見られてると恥ずかしいのだが」

神娘「ああ、すまんな」

男「(どうしたんだ一体)」

多分これからこんなのが数発続く予定 いちゃいちゃなのか

「くそっ、もう時間が無い」

「マスコミを抑えるのに手一杯です!」

「分かっている!なぜあの方は見つからん!」

「”座標上にはあるのに見つからない”とのことです」

「く…このままでは我が国は…」

「見つかりましたぞ!」

「なにっ!」

「座標は同じですが次元の違う所にお隠れになっていました!」

「よくやった!今すぐコンタクトに向かう!」

「まさかあのお方を見れる日が来るとは…」

「楽しみなのか?」

「そんなときではないとわかっては居ますが…とても」

「だろうな、私も足が竦む気分だ」

「お察し申し上げる」

「では、”神様”にお目通り願うとするか」

―――――

『最近天候の乱れが激しく、気象庁は何らかの異常事態が発生している可能性が…』

男「…ふむ」

神娘「どうした」

男「いや、まず神社にテレビが持ち込まれたことに驚きだが」

神娘「試しにやってみたが面白い出し物はないな」

男「まあニュース見れるだけで助かるよ」

神娘「で、なんだ?」

男「気象が管理局の管制化から外れた行動をとっているらしい」

神娘「確か…完全な管理下の元一定の過ごしやすい気候を作っていたという事だが」

男「最近なにか上手く行かないらしい、その所為で体調を崩す奴が多くなってさ」

神娘「ふん、貧弱だからだ」

男「確かになぁ、ここの変化と比べたら微々たるものだし」

神娘「飯だぞ」ゴトッ

男「お、ありがと」

神娘「やはり米は良い、何時の時代も米のうまさは変わらん」

男「うまいなー」ムグムグ

神娘「神主、米粒がついてる」

男「おろ?どこよ」

神娘「だらしないぞ」ヒョイパク

男「すまんすまん」

神娘「一粒の米には七人の神様が居てだな」

男「神様を食うのか」

神娘「八百万の神が居る様に、人に食われる神も居るのさ」

男「…神様?」

神娘「なんだ、今説教中なのだが」

男「人の事言えんぞ」ヒョイパクッ

神娘「むぅっ!?…不覚を取った」

男「んじゃ、行ってくる」

神娘「弁当を忘れるなよ」

男「(何時も気合入りすぎて気恥ずかしいのだが)」

神娘「なんだその顔は」

男「いや、なんでも」

神様「では」バッ

男「はいはい」ギューッ

神娘「進行は補給したから行け」

男「つれないねえ」

酉を付けずに作者を装う不届き者が通報されました
私です

友「あー…だりー…」

男「お前もか」

友「むしろなんでお前は平気なんだよ…」ゲッソリ

男「慣れてるしなぁ」

友「えっ」

男「冗談だ、ただ健康なだけだろ」

友「そっかー…」

男「(あっぶね)」

友「どうして急に機構が乱れたのかね」

男「分からん、体調には気をつけろよ」

友「あいあいさー…」

男「(神様の言っていた嫌な予感と関係するのか?)」

先生「えーでは、体調不良に気を付ける様に」

男「(それとも何か別な事か…気にかかるな)」

友「こんな時にも授業かよー…」

男「我慢しろ」

友「でもよー、管制化にある気象がおかしくなるなんてやばいぜ?」

男「それは、確かにそうだが」

友「陰謀の匂いがするとか」

男「そうか?」

友「そうだよ」

男「分からん」

友「そうだよなあべしぃっ!」バピィン

先生「…後で私の部屋に来るように」

男「なむなむ」

男「(さて、あいつは居残り確定として…さっさと帰るか)」ガタン

男「(神様に何か買っていこうかな、肉とか)」

男「(それにしても、弁当とか気合入りすぎてこっちが恥ずかしいんだがな)」ハァ

ザワァッ……

男「…なんだ?」ゾワッ

男「(今一瞬、背筋が震えた気がする)」

男「(…気のせいか?)」

男「(取り敢えず神様に聞いてみるか、早く帰ろう)」

―――――

神娘「さて、今日は夏か…」

神娘「懐かしいな、こうして一人で夏の神社に居ると」

神娘「…今は、一人ではないがな」

神娘「あいつには感謝のしようもなぁ――――っ!?」ゾワァッ

神娘「(なんだ?今一瞬とんでもない悪寒がした)」

神娘「(背筋を這う様な嫌らしい、汚らわしい悪寒…戦争のそれではない、もっとおぞましい何か…)」

コンッ コンッ コンッ

神娘「ん?あいつはもう帰って来たのか…」

コンコンコンッ

神娘「…違う」

神娘「こいつ…神主ではない」

コンッ コンッ

神娘「…何者だ!」

―――――

男「はっ、はっ」タッタッタッ

男「くそっ、何か嫌な予感がする」タッタッタ

男「…?神様の他に誰か居る?」

男「まさか…くそっ!」ダダダダダ

男「神様ぁ!」バッ


龍女「よう人間、久しぶり」

男「おまえかーい!」ドベシャッ

龍女「ひどいな人間、出会い頭にお前呼ばわりとか」

男「いや、神様に何かあったのかと思ったんだが」

龍女「…ほぉ?相変わらずと言うよりますます”こちら側”に精通している様だな」

男「神主なんだから当たり前だろ」

龍女「くく、あいつも良い神主を持ったな」

男「それで、神様はどこだ?」

龍女「何処だと思う?」クスクス

男「…まさか!」

龍女「どうした人間?そんなに神様が大事か?」

男「友達じゃなかったのかよ…」ザリッ

神娘「いや、普通に友人なのだが」

男「普通に居るのかよ!」

龍女「ちっ、折角興に乗って来たというのに」

神娘「悪かったな、茶が入ったぞ」コトン

龍女「かたじけない」グイッ

男「一瞬ヒヤッとしたよこっちは」チビチビ

龍女「ふむ、中々相思相愛のようで」

神娘「そうか?」

男「そうなのか?」

龍女「…はぁ」

神娘「それで、いきなり訪れてきて何の用事だ?からかいに来ただけか?」

龍女「いや、警告しに来た」

神娘「警告?」

龍女「昨今天候が不安定になっていることについてだ」

男「なにっ!?何かわかるのか?」

龍女「分かるも何もない、龍は天候を感知する事に長けているのだ」

男「そうか…」

神娘「で、何が起こっているのだ?」

龍女「簡潔に言おう、これは”前触れ”だ」

神娘「…前触れ?」

男「どう言う事だ」

龍女「これは意図的に仕掛けられた”攻撃”だ、少なくともそう見ている」

男「攻撃!?戦争並びにそれに準じた行為は国際間で禁止されているのに…」

龍女「ふん、まだそんな戯言を信じていたのか」

男「……」

龍女「お前は…流石に気付いているか」

神娘「戦争が簡単になくせるのならばとっくのとうに無くなっている」

龍女「そうだ、戦争は理由があるから起きる、それが痛手をこうむる以上理由なき戦争なぞ存在しない」

男「知ってたよ、でも…小さい頃からそう教えられてきたから」

神娘「だから言ったのだ、甘い考えだと」

龍女「私もここ最近妙な気配を感じたからな、髭を敏感にしていたのだ」

男「髭?」

龍女「おいおい、私は龍だぞ?」

男「戦争」

龍女「気を付ける事だな、軍靴の足音はいきなり鳴り響くわけではないぞ」

神娘「知ってるさ、痛い程な」

龍女「なお悪い事にだ、これは我々にも関係のある事だぞ」

男「どう言う事だ?」

龍女「まさか人為的に他国に大規模な干渉をして、気候を乱すなんてことが易々と出来ると思うか?」

神娘「”こちら側”の力を使っていると考えた方がいいな」

龍女「そうすれば必然的にお前にも声がかかるだろう」

男「ちょ、ちょっと待ってくれよ」

龍女「なんだ」

男「”こちら側”に声を掛ける奴なんているのか?政府直々に否定されてるんだろ?」

龍女「……お前、案外頭が鈍いのか?お人よしなだけか?」

男「言い過ぎだぞ」

神娘「国家間のパワーバランスに古代より深く関与してきた”こちら側”それを上が認知しないなんてことがあると思うか?」

男「…まさか」

龍女「摩訶不思議な力を否定しているのは何もしらん奴だけだ、上の人間は全部知っているのさ」

男「隠していたのか?」

龍女「そうだろう?その方が管理しやすい」

男「…っ」

神娘「まあそう苛立つな、”誰しもが知らない”と言う事は悪用が難しいと言う事なのだから」

龍女「確かにな、昔に比べて呪いなんてものが認知されてないから殆ど悪用もされん」

男「そう、なのか」

神娘「視点を一方向ではなく多方向から見る事は大事な事だぞ」

龍女「(しかしだ、お前に声がかかる事は分かりきっている)」ボソッ

神娘「(出来れば私はなにもせずに居たいが…)」ボソボソ

龍女「(そうもいくまい、確実に声がかかる、居場所が割れるのも時間の問題だろう)」
神娘「(割と派手をしてしまったからな…迂闊だった)」

龍女「(また、この空間を閉じる事も視野に入れた方がいい)」ボソボソ

神娘「(っ…しかし、そうすれば神主が留まるにせよ留まらないにせよ禍根が残る)」ボソボソ

龍女「(…ふむ)」ボソッ

神娘「(なんだ)」ボソッ

龍女「(いやまあ、うん、頑張れ)」ボソッ

神娘「(はぁ?)」

龍女「(なに、お似合いだよお前らは)」ボソボソ

神娘「(えっ、ちょっと待て、えっ)」ボソッ ボソッ

龍女「(気付かないとでも思ったか?私はあの神主とは違う完全なこちら側だぞ?)」ボソボソボソ

神娘「(えーっ、本当にばれてる?えーっ…)」ボソボソッ…

龍女「(動揺するな、ばれる)」ボソボソ

神娘「(ま、まあな)」ボソッ

龍女「(しっかし、面倒くさいのを選んだな)」ボソボソボソ

神娘「(仕方ないだろう)」ボソボソ

龍女「(人間はこちらに怖れしか抱かんのだぞ、まあ相手としてはお似合いだが)」ボソボソボソ

神娘「(うーむ…)」ボソ…

男「(女のひそひそ話は聞かない方がいいのは知っているが気になるな)」

神娘「(こればかりは仕方ない事だ、諦めるよ)」ボソボソ

龍女「(友人としては応援したいが…無理なものは無理だ)」ボソボソ

神娘「(私としては、一緒に居られるだけでもいいのだ)」ボソボソ

龍女「(健気な事で、まあそれぐらいが分相当かもしれんな)」ボソ

神娘「(そっちは良い奴は見つかったか?)」ボソボソ

龍女「(駄目だな、もう龍なんてどこにもいないよ)」ボソボソ

神娘「(そうか…)」ボソ

男「(…気になるな)」

龍女「ま、あらゆる意味で私も出来る限り応援するよ」

神娘「助かる」

男「ありがたい」

龍女「神主、気をつけろよ」

男「なににさ」

龍女「どうやら向こうさん、なりふり構ってないぞ」

男「…おう?」

龍女「戦争は嫌なもんだ」

神娘「ああ、そうだな」

男「…まさか飛んでいくとはな」

神娘「私も飛べるぞ?一応」フワッ

男「えっ、嘘」

神娘「神だからな」

男「一瞬羨ましいと思ってしまった」

神娘「飛ぶのは良いぞ、嫌な事を忘れられる」

男「そっかー…」ウズウズ

神娘「んー…やってみるか」

男「え?」

神娘「よーっとぉ、どりゃぁぁ!」

男「わ、わっ」フワッ

神娘「ん、私の力も相当回復したな」

男「すげえ、浮いてる!」

神娘「これも神の力よ」フフン

男「このまま外に行くのは…流石にできんな、目立つ」

神娘「ふぅ…走って疲れただろう」

男「まあたいしたことは無いぞ」

神娘「風呂湧いてるから入るといい、龍の奴が入れろ入れろ煩かった」

男「神様は?」

神娘「こんなとこまで気を使うな、さっさとは入れ」

男「はいはい」

神娘「体洗ってやるから」

男「はいは…はい?」

―――――

神娘「いやぁ、昔を思い出すな」ゴシゴシ

男「(…てっきり一緒に風呂には居るのかと思った)」

神娘「こうして子供の体を洗ってやったりもしたな」

男「毎度思うけど神様って所帯じみてるよね」

神娘「褒め言葉として受け取っておこう」

男「(しかし、手馴れてるだけあって上手いな)」

神娘「(なかなか身体つき良し、ふむ)」

男「(しかしこの状況…)」

神娘「運動をやってたりするか?」

男「剣道部だった、今でも時々竹刀を振るけど」

神娘「ふぅむ…」

男「そんなまじまじと見るな…恥ずかしいんだが」

神娘「減るもんじゃない、見せろ」

男「…ぐぅ」

神娘「……」ゴシゴシ

男「…神様」

神娘「ん?」

男「一体何なんだろうな」

神娘「さあ、分からんよ」

男「神様はさ、どうするの?」

神娘「どうって…やけに抽象的だな」

男「もしも協力を要請されたりしたらさ、やっぱり協力するの?」

神娘「場合に寄るだろうな」

男「神様がいないと負けるって状況だったら」

神娘「間違いなく協力するだろうな」

神娘「ここは私が護る国だ、そうである以上私はどれほど危険でもそうする」

男「そう、だよな…」

神娘「例えそれが何を対価にしても私は守らなければならない、それが神だ」

男「神か…」

神娘「私が奴等との間に刻んだ盟約だ、そして私本来の役割だ」

男「忘れるわけにはいかないもんな、破棄するわけにも…」

神娘「何か勘違いしてないか」

男「え?」

神娘「私が護りたいのはこの国だけではない、盟約を結んだのは奴等だけではない」

男「他にも何かあったのか?」

神娘「馬鹿が、お前だ」

男「…あ」

神娘「お前を護ると誓った、だから私は引くわけにはいかない」

神娘「私は何があっても引かない」

男「…なら、それならこっちも意地があるよ」

神娘「ほお?」

男「付いていく、人が行ける場所までは神様に付いていく」

神娘「いいのか」

男「元々もうほとんど人間じゃないんだ、いいだろ?」

神娘「建前としては、お前はまだ人間だから連れていく訳にはいかない」

男「でも」

神娘「本音を言えば…ありがたい、1人よりもお前が居た方が嬉しいんだ」

男「神主としての義務だよ」

神娘「偉そうな口を利くなお前も」

――――

男「ここの景色は好きだ」

神娘「ああ」

男「月が見える、星が見える、自然が見える」

神娘「風が吹いている、虫が鳴いている」

男「それで神様がいる」

神娘「私に神主が居る」

男「…もしかしたら、何事も無く終わらないかな」

神娘「甘えるな、”起こるだろう”は”必ず起こる”と同意だ、それも悪い意味なら」

男「そうか」

神娘「沢山あったさ、起こってほしくない事なんて」

男「あるだろうな」

神娘「…誰かの死も、なにもかもだ」

男「……」

男「いやだけどさ…」

神娘「神主」

男「ああ」

神娘「お前は、私を信じろ」

男「信じてるよ」

神娘「お前が信じている限りは私が何とかしてやるから」

男「…ああ」

神娘「私が、何とかしてやるから」

男「信じてる」

神娘「私は」

―――娘「私は……」

神娘「神様だからな」ニマッ

―――娘「神だからな」ギリィッ

男「…ふふ」

神娘「なんだ、結構決め台詞だったんだが」

男「(変わったな、神様も)」

娘「お前のおかげさ」

男「……えっ?」

神娘「どうした?」

男「…いや、なんでもない」

神娘「幻聴とは老いるのが早くないか?」ケラケラ

男「冗談じゃないよそんなの」

神娘「ま、少なくともお前の老いは人より遅いだろうよ」

男「えっ、まじで?」

神娘「いよいよもってお前はこちら側だからな…」

男「複雑だけど…まあ、それでもいいか」

神娘「普通人間は人間であることに拘るのだがなあ…」

男「神様に付き合えるのが普通の人間だと思う?」

神娘「それもそうだな」

―――――――

『相変わらず気候は戻らず、それどころか低気圧による突風等異常気象が発生して』

男「悪化してるな」

神娘「やはり近づいているか…」

男「……」

『気象庁は何らかの外的要因が働いているかもしれないとし』

神娘「嫌に抽象的だな」

男「このご時世だからな、変な発言をすると国際的にまずいんだよ」

神娘「面倒な事で」

『政府は緊急の対策チームを設立し……』

男「無駄だろうな」パチンッ

神娘「いずれこちらにも声がかかるだろう…」

男「出来れば、ばれてなきゃいいけど」

神娘「諦めろ」

男「はいはい」

神娘「ほら、弁当だ」

男「ありがと」

神娘「それと」

男「分かってる」ギュゥ

神娘「良し」

男「じゃ、行ってくる」

神娘「…気をつけろよ、何が起こるか分からん」

男「ああ」

神娘「出来る限りは守るが…予想外の事態は起きること前提だぞ」

男「油断しないでおくよ、『大丈夫』なんて死亡フラグだしな」

神娘「よく分かってるじゃないか」

――――――

男「学校閉鎖?」

先生「連絡が回らなかったか?」

男「…あ(神様の所に居るとメールを見る機会が無かったからか)」

先生「この事態だ、各所が混乱していて学校にも運営を休むようにと」

男「分かりました」

先生「気を付けて帰れよ、私も悪寒がしてな…」

男「はい」

男「(…わが友は無事かな?)」

――――

『あー?まあ、だるい』

男「そうか、無事なようでよかった」

『おめーよー…こっちは体調崩すなんて経験してないんだぞ…』

男「まあ生きていればいい事あるさ」

『ちっ…まあいいや、結構きつい』

男「なにか持っていくか?」

『いや…別にいい』

男「そうか…(無事なようで安心したな)」

チーン

男「じゃ、一週間は休みみたいだから」

『嬉しいのか嬉しくないのかわからん…』

チーン

男「いいじゃないか、偶には休め」

『無事な奴に言われたくねー…』

チーン

『ところでさ』

男「あん?」

『気になってんだけどさ』

男「おお」




『お前のその鈴、こっちまで音が聞こえてるぞ?』

男「……………は?」

『いや、結構うるさく鳴ってたけど…ってどうした?』

男「(……迂闊だった!いや油断してしまっていた!)」

チーン チーン チーン

『おい、どうかしたか?』

男「(”まさかこんなに接近してはいないだろう”と思ってしまった!)」

チーンチーンチーンチーンチーン

『なにかあったのか?おい!』

男「くそっ」ガチャンッ

チーン チーン

男「(近い!相当近い!)」

チーンチーンチーンチーンチーンチーンチーン

男「(どこか?横か?)」バッ

チーン

男「(上か?)」バッ

チーン

男「(…まさか)」

チーン



男「…後ろ?」



チリーン



黒い影「………………」



チリーン

――――

神娘「……なっ」ゾワァッ

神娘「なんだこれは…なんだ、この悪寒は…」

神娘「まさか、神主が危ない!?」

神娘「…それになんだこの空は」バッ

ゴロゴロゴロゴロ ゴロゴロゴロ

神娘「暗雲だ、それも雷雲…しかも、規模が尋常ではないぞ!」

神娘「…神主!」

男「(…やばい)」ゾワッ

チリィィィィン チリィィイィン

黒い影「…………」

男「(危険だとかそんなレベルじゃない…これは”やばい”!)」

黒い影「…………」

チィィィィィイン

男「(逃げないと…くそ、どうやったら逃げられるんだ)」

黒い影「………グァ」ガパァッ

男「…ん?」

黒い影「グァゲェォオァオァエェオァァイェェァオェオォ」ダダダダ

チィィィィィン

男「なんだこいつ、速いっ……!?」

黒い影「ガァァイァァアオァオィァァァ」バッ

男「……あ」


チリーン

終盤戦です 
ここで切ったのは これ以降切られる場所が遠いのでやばいです
眠気が

神様と羊を数える作業します

黒い影「ゲェァァァイェァァアェァァ」

男「(逃げられないっ…!)」

生徒D「はぁっ!」バッ

黒い影「アゲァ!?」

生徒D「いやぁぁっ!」ザシュゥッ

男「(ま、真っ二つに…)」

黒い影「ア……アガァァァアァ…」

生徒D「…ふぅ、間に合った」

男「あ、ありがとう」

生徒D「油断したら駄目だよ?」

男「(出会い頭にそう言わなくても)」ムッ

生徒D「まあ、こっちもこんな早くに来るとは思ってなかったけど…」

男「で、どちら様?」

生徒D「酷いな、君と同じ講義を受けてたのに」

男「…あ?ああ、あの…」

生徒D「剣士で」

男「へ」

生徒D「剣士でいいよ、どうせ名前を憶えてないだろう?」

男「…すまん」

剣士「あの学校人数多いから、知らない人が居ても不思議じゃないよ」

男「そうか」

剣士「うん」

男「……」

剣士「……」

男「終わり?」

剣士「うん」

男「……」

剣士「……」

男「…本当に終わり!?」

剣士「これ以降の行動は教えられてないから」

男「なんて言われたのさ」

剣士「『この男を守れ、あとはそいつが何とかしてくれる』って」

男「は、はぁ…」

剣士「こちらとしても何とかしてくれないと困るんだけど…」

男「そう言われたってなぁ…」

唐突に剣士www

>>782
所謂モブキャラってやつですよ モブ これから多少でてきます
あまり出しゃばらないので勘弁してやってください 私が土下座するので

剣士「……」ボーッ

男「(出来れば神様を巻き込みたくはないんだけど…)」

剣士「…眠い」ウトウト

男「なあ」

剣士「うん」

男「お前も”こっち側”なんだよな?あの化けものを斬り殺してたし」

剣士「うちは退魔師の家系だからね、斬ったり刻んだりは得意なの」

男「お、おう…じゃあさ、神様に会いに行くか?どうせ一緒に居るところ見てるだろうし」

剣士「神様に合わせてくれるの?」

男「まあ、気は進まないけどあれ以上の適任は無いだろう」

剣士「頼むよ、神様に会えるなんてなあ…」

男「(気を付けないとな、神様に危害が加わる様なら…)」グッ

男「ここが入口なんだけど…見えるか?」

剣士「うーん…あ、うっすらと」

男「ここが神社への入り口だ」

剣士「凄いな…こっちも訓練を積んでるつもりだったんだけど全然分からなかった」

男「そうか?こっちははっきりわかったんだが」

剣士「きっと君が特殊なんだよ」

男「そっか…」

剣士「でも、流石は”あの”神様だな…やる事が想像の桁違いだ」ブルブル

男「そんなに威厳のある神様じゃないけどな」

剣士「あれは”ただの神様”じゃないからさ、凄い存在だよね」

男「…ちょっと待て、こっちは神様が”戦神”って以外どんな神様か教えられてないんだが」

剣士「えっ」

男「違うの?」

剣士「いや、こちら側では相当高位な存在なんだけど」

男「えっ、あの日がなぐでぐでしてる神様が?」

剣士「その発言にショックを感じざるを得ないけど、そうだよ」

男「どの位有名なの?」

剣士「それも教えられてないの?」

男「まあ」

剣士「自慢しないんだね…やっぱり神様って俗世と離れてるのかな」

男「酒も普通にやるけど」

剣士「えっ」

剣士「でもあれだよ?この森の名前を見れば多分わかると思うけど…」

男「ああ、それならこれだ」

『○○鎮守の森』

男「どうした?」

剣士「なんだ、ちゃんと書いてあるじゃないか」

男「おん?」

剣士「この名前聞いたことあるでしょ?」

男「……うん?」

―――「このご時世唯一政府に何故か認められた神宮…」

男「…まさか」

剣士「うん、現在この国に現存している唯一の神宮」

剣士「雲隠れした後でも残された…いや”残さざるを得なかった”程の存在」

剣士「その祭神が、ここに居る」

剣士「ここの神様はつまり、○○神宮の祭神なんだよ」

男「…ごめん、凄さがよく分からん」

剣士「えっ」

男「神様は神様だしなぁ、それ以上でもないし」

剣士「うーん…とにかく、凄い神様なんだよ」

男「分かった、そろそろつくぞ」

剣士「うわー…どきどきするな」

男「神様、帰ったよー」

剣士「お初にお目にかかります神様!」ペコッ

神娘「神主!」

神娘「神主ぃ!」バッ

男「おうっ、どうした」

神娘「ええいとっとと服を脱げ!怪我してないか?呪われてないか?」

男「ちょ、やめろっ、大丈夫だから!大丈夫だから!」

剣士「…あ、うん?」ポカーン

神娘「ん?そこに居るのは誰だ」

男「いや、さっき襲われてさ」

神娘「なんだと!」

男「助けてもらった」

神娘「そうか…礼を言わねばらなんな」

剣士「あ、いえ!滅相もありません神様!」ペコリ

男「まあ上がって茶でも飲んでいけよ、用事があるんだろ?」

剣士「良いのかな?神様とお茶なんて飲んでも」

男「毎日一緒に飯食ってるし」

剣士「えっ」

―――――

神娘「ほら、飲め」

剣士「神様が茶を淹れる側だとは…」

男「だって神様の方が美味いんだもん」

神娘「照れるから褒めるでない」

男「しゃーないだろ、淹れた経験なんてないんだから」

神娘「手ずから教えてやってもいいのだぞ?」

男「うーん…結構楽しそうだなそれ…」

剣士「(どうしよう、話に入っていけない)」

神娘「で、そこの」

剣士「あっ、はい」

神娘「一体我の領土に入り込むまでして、何様か」

剣士「(…!?さっきまでと威圧感が違うっ…!?)」ゾワッ

神娘「少なくとも害意が無いのは分かった…だがお前の目的が我である以上早急に理由を述べよ」ゴォッ

男「(…神様のこういった面、見るの久しぶりだな)」ゾクゾク

剣士「分かりません、ですがそこの男さんを護るようにとだけ…」スチャッ

神娘「どう思う、神主」チラッ

男「聞かれても困る」

神娘「ふむ…む、そうか」

男「なんだ」

神娘「先遣隊と言ったところだろうな、こやつは」

男「先遣隊?」

神娘「知っての通りここの入り口は隠されている…そこを割り出す為に案内させたのだ」

男「なるほど、やけに回りくどい」

神娘「となると、直に来るだろうな」

ザッ ザッ ザッ

男「…ん、早いな」

神娘「ここは神の領土だと言うのに…今日は遠慮ない奴が多いな」

ザッ ザッ ザァッ

宮司服の老爺「おお…ここが神のおわす場所…」

偉そうな男「時間が無い、早急にお目通り願うか」

男「(見た所偉そうな奴が一人、スーツの女は秘書か、それで爺さんは神主かな?それと部下みたいなのが結構…)」

神娘「揃いも揃って我が領土になに用か」

宮司服の老爺「このような形で来訪する事、大変申し訳ありません」

偉そうな男「おい、説明しろ」

スーツの女「此度は神様に協力を要請に参りました」

神娘「要請?………まあよい、話せ」

男「(あ、今の神様超不機嫌だ)」

スーツ女「早急に申し上げますと、只今我が国と隣国間に一種の”戦闘を伴う行為”が発生しかけています」

神娘「それは戦争だろう?まどろっこしい言い方をするな、いや隠すな」

スーツ女「…失礼しました」

男「戦争はしちゃいけないんじゃなかったっけ」

スーツ女「その事に付いてですが…隣国が送り込んだのは人間ではありません」

男「こちら側の力を使って何かを送ってきたと」

スーツ女「隣国を問い詰めても”我が国とは関係が無い””言いがかりをつけるな”の一点張りでどうしようもありません」

神娘「どうしようもないんだろう?それで私に話が回ってきたと」

スーツ女「ええ、このままでは我が国は尋常ではない被害を受けると予想されます…しかし現状の戦力ではどうしようもなく」

偉そうな男「君に話が来るのも当然の流れだろう」

男「…あぁ?”君”?」イラァッ

偉そうな男「ああ、私は国家幻想並びに不明事案対策部のトップで尚且つ…」

男「そこじゃねえよ、神様に”君”だと「神主、落ち着け」…ああ」

神娘「で?こうして我が領土に土足で足を踏み入れたと」ギロリ

宮司服の老爺「……!」ゾワッ

偉そうな男「力が欲しいのなら適当に信徒を見繕おう、なに国家の一大事だから予算も降りてな」

神娘「それは良い事だな」

偉そうな男「いや、神様も結構な量の信者を抱えていたのでは?これ程の回復量はただことではない」

神娘「ああ、良い人間に巡り合えたよ」ゴゴゴ

スーツ女「あ…っ」ゾクッ

偉そうな男「いやぁ、神様の隅に置けませんな!」ハッハッハ

神娘「…ああ、そうだな」ニコォッ

男「(神様、流石にその笑顔はやばい)」ゾゾゾゾ

偉そうな男「いや、しかし神主までは見つからなかったと思うので…こちらで最適なのを繕いました」



神娘「……あ゛?」ギョロッ

男「あ」

スーツ女「あ」

剣士「あっ…」

神娘「一つ、聞こう」

偉そうな男「なんだね」

神娘「”お前は何様だ?”」ゴォッ

偉そうな男「…っ!」ゾクゥッ

神娘「要請?我は神だが貴様は、貴様らはその私に指図できるほどの存在なのか?」

ザワザワ… ザワッ…

偉そうな男「あ…え」

神娘「信徒だと?そんなもの最初から居ない、作ろうともしていない」

偉そうな男「それは…また…」

神娘「元より消える他なかった私を都合の悪い時になって頭を下げに来る貴様は何だ?神よりも上に居るのか?」

偉そうな男「そんな…滅相も無い…」

神娘「まあそれはいい、赦そう、知らなかったですまされることだ」

偉そうな男「あ…ありがとうございます…」

神娘「だが」


神娘「神主を繕うと言う発言に限っては許さん」

神娘「絶対に許さん」バチッ バチィッ

男「(おーい?おーい?体から電気でてるんですが神様ってそんな力あったっけ?)」

神娘「神主!来い!」

男「あっ、はい!(凄い威厳だなおい…)」

神娘「私の神主はこやつ一人だ、こやつ以外認めん、分かったな?」

偉そうな男「え…あ……」

神娘「分 か っ た な?」バチィッ!

偉そうな男「はっ、はひいっ!」ドサッ

男「(あ、気絶した)」

―――――

男「結局、あいつら逃げるように帰っちゃったね」ハフハフ

神娘「ふん、敬意を知らぬ者なぞ知らん」プンプン

男「あ、この山菜美味い」

神娘「なんだと」

男「ほら神様、食べなよ」ズイ

神娘「ふむ…ん、美味い」パクッ

男「腹減ってると良い事ないって」

神娘「まあ、確かに」

男「結局受けることになっちゃったね」

神娘「仕方ないさ、予想通りだ」

男「そう、だな…」

神娘「どうした、やけに自信が無いな」

男「…今日の朝まで、大丈夫だろうと思ってた」

神娘「ほう」

男「でもあれの姿を見て…自信が揺らぐ」

神娘「……」

男「あんなのが攻め込んで来たら勝てるのか?本当に?って」

神娘「そうか、私も悪寒を感じたんだ」

男「神様もか」

神娘「あれだけの悪寒は初めてだった、私が想像していたより事態は悪いらしい…」

男「…大丈夫、なんだろうか」

神娘「分からん」

男「そこは嘘でも大丈夫って言う所だろ」

神娘「取り繕った勇気程脆いものはない、そんなものでは決して強くならない」

男「……」

神娘「神主、いや人の子」

男「ん」

神娘「私の手を握れ」

男「ああ」ギュゥ

神娘「どうだ?」

男「どうって…確かに手の感触があって、普通の人間みたいで」

神娘「私は此処に居るか?」

男「…居る」

神娘「私は此処に居る、お前も此処に居る、それだけで十分じゃないか?」

男「…うん、そうだな」

神娘「”私を信じろ”、私にとってのお前は、今ここに居るお前でしかない」

男「ありがとう、なんだか落ち着いた」

神娘「……それは、私もだよ」

男「なんか言った?」

神娘「いいや?」

男「…あ、そうだ」

神娘「なんだ」

男「さっき綺麗な花があったから神様に見せようと思って」

神娘「ほお?」

男「なんか紫の花でさ、綺麗だから」スッ

神娘「これは…」

男「ん?」

神娘「…紫苑だ」

男「しおん、良い名前だな」

神娘「……」ギュ

男「(気に入ってくれたかな)」

神娘「ではお前に、お返しの花を捧げよう」パッ

男「これは?ってそんな事も出来るのか…」

神娘「一種の意向返しだよ」

男「小さい花が付いているな…名前は?」

神娘「これはペンステモンと言う名前だよ」

男「ペンステモン…」

神娘「お前にもらった図鑑を見るまで名前は分からなかったからな、そういう意味でも」

男「可愛い花だな、ありがと」

神娘「(…紫苑か、これはまた…)」ギュ

いよいよ終わりに近づいているけど 広げた風呂敷に見合うだろうか
そして名前の割にモブの出番は大抵ここまでと言うやっつけ具合

やべぇ、すげえ面白い

無理して1スレに収めなくてもいいんだぜ
(まあぶっちゃけ「少しでも長く続い欲しい」という俺の願望なんだがw)

神娘「ああ、おはよう」

男「ふぁ…学校は再開する気配がないしな」

『依然として気象は元に戻らず、体調不良を訴える患者が日に日に増えてきています』

男「こんな調子だしな」

『病院は連日のように対応に追われ、現在どこも満室状態で…』

神娘「…いやらしい手を使うものだ」

男「ああ、これから戦う相手か」

神娘「まだ伝令からは何もないな、だがもうじきだろう」

男「…そうか」

神娘「緊張するか?」

男「そりゃ、するさ」

神娘「神主、いや人の子」

男「ん?」

神娘「映画館に行かんか?」

男「映画館?」

――――――

キネマ『森の宿』

男「えっらい閑散としてるなおい」

神娘「まあこの状況だ、貸切に近いだろうな」

男「まあ確かに、でもどうして映画館よ?」

神娘「ふふんっ」ギュ

男「腕を掴むな、結構重い」

神娘「まあまあ、今日ぐらいはこのままでいいだろう?」

男「…ん、まあ悪い気はしない」

神娘「それじゃ、いざ参る!」トストス

男「大げさだと思うがな」ザスザス

神娘「おい、あれがポップコーンだな?」

男「そうだぞ、買うか?」

神娘「一番でかいのがいいな!」

男「食いきれないと思うから却下」

神娘「確かに、そして飽きそうだな」

男「そもそも上映中に何かを食べるのはマナー違反だと思う」

神娘「ではなぜ売っているのだろうと哲学的な質問をしてみる」

男「それは映画館の売り上げにつながるからです」

神娘「成程至極満足な回答」

男「と言う訳でポップコーンは上映前に食いきれるのを頼もう」

神娘「そこまで言っておきながら買ってくれるお前は良い奴だと思うぞ」

男「褒めるな照れる」

神娘「それは私の台詞だ」

男「キャラメルポップコーンを頼んだわけですが」ボリボリ

神娘「正直ここで帰っても良いと思う」ボリッボリッ

男「それは来た意味ないと思う」ボリュッ

神娘「確かに」ボリッバリッ

男「なにか見るか、ああもうポップコーンが無くなった」

神娘「キャラメルがかかってる場所とかってない場所では残念度が違うな」

男「それは同意する」

神娘「では何を見よう、おすすめはあるか?」

男「知らん」

神娘「だろうな」

『私は道になりたい』

『アパム!弾!弾持って来い弾!』

『未知との遭遇 ちくわ編』

『鮪のカルパッチョのソテー』

男「これはひどいタイトル」

神娘「最早映画かどうかも定かではないな」

男「せめてまともなのを見たいんだが」

神娘「じゃ、これなんてどうだ」

『野良猫は見た!』

男「動物ものか、いいんじゃないかな」

******

『あっ、だめぇっ、私には旦那が』

『いいじゃないか…、見ているものと言ったら猫ぐらいだぞ』

『あぁ~っ あれぇ~っ』

男「(…ほのぼのアニマルものだと思ったらどろどろ人妻ものだったでござる)」

神娘「……」

男「(こういう時って気まずいよなぁ…)」チラッ

神娘「眠い」クァーッ

男「なんか予想していた反応と違う!?」

神娘「この程度の修羅場は見慣れている」

男「あ、ああ…流石としか」

神娘「一人の女を巡って三つ巴どころか村中殺し合ったり、一家無理心中だったり」

男「重いし、凄く重いしそれ」

神娘「だろう?」

神娘「それよりも…今は、な?」チラッ

男「ん?」

神娘「二人きりだぞ」トスッ

男「…そうだな」

神娘「なあ、人の子」

男「うん」

神娘「このままで居られたらいいのにな」

男「神様」

神娘「ん?」

男「なにを今更」

神娘「…くく、そうだな」

男「なあ神様」

神娘「ん?」

男「神様ってどんな奴が好きなんだ?」

神娘「難しい質問だな…」

男「難しすぎて思いつかないから聞いた」

神娘「…ああそうだ、例え話だが」

男「ん?」

神娘「例えば私が死ぬとするだろ?」

男「嫌なたとえだな」

神娘「そうしたら真珠貝で墓穴を掘って、星のかけを墓標にして…そして待っていてくれる人かな」

男「待つってどれぐらい?」

神娘「日が昇るだろ?」

男「うん」

神娘「そして沈むだろ?」

男「うん」

神娘「また昇って、沈んで…飽きるほどにそれを繰り返して、太陽が飽きてしまうまでさ」

男「途方もない話だな」

神娘「そうだな、つまりはそう言う事だ」

男「それまで待ち続けたらまた会いに来るのか?」

神娘「さあな」

男「なんだそりゃ」

神娘「さて、帰るか」

男「ああ、正直この映画には飽きていたんだ」

神娘「決まりきった結末のある映画より、七転八倒の現実の方が面白い」

男「時折嫌になるがな」

神娘「それでも、それだから生きるのはやめられない」

男「神様って生きてるの?」

神娘「死んではいない」

男「なんだ、そんな事か」

――――

神娘「しかし退屈な映画だったな」

男「題名だけは度肝を抜かれたがね」

神娘「ま、そんなもんだろ…ん」

スチャッ カチャッ…

剣士「どうも」ペコリ

神娘「ほら、少なくとも退屈はしなさそうだ」

男「…そうだな」

>>812
終わりが無いのも目安が無いのもスマートではないので
このスレ内ですっぱりと終わらせるつもりです

―――――

男「どうぞ」コトン

剣士「作戦実行の日時が決まりました、丁度一週間後の丑の刻です」ズズズ

神娘「そちらが仕掛けてから一か月経ってまぁ、迅速な作戦指揮な事で」

剣士「手間取った言い訳と言いますか、理由と共に概要を説明いたします」パサッ

男「この国の地図だな、この線は?」

剣士「古来よりこの国…と言うより各国では風水や気脈等様々な礼術を用いて防衛陣を敷いてきました」

男「それがこの線と…」

剣士「はい、賊は流石に陣が厚い所ではなく薄い所に攻め込んでくるだろうとの予測はできましたが…」

男「まあそうだろうな」

神娘「いやしかし、綻びが多いな」

剣士「ええ、何せ数百年前のものですから地形の変更とともに綻びが多発しどこに攻め込んでくるのかわからず…」

男「こんだけ時間がかかったと」

剣士「はい、結果としてここの海岸にて大規模な侵攻作戦が始まるだろうと」トントン

神娘「なるほど、予測に時間が掛かりすぎたこと以外は私も同意だ」

男「神様、棘のある言い方は良しなよ」

神娘「…すまん」

剣士「と言う事でここに我々の全精力を結集し迎え撃つと言う事になりました」

男「つまりはごり押しだな」

神娘「だがまあ、一番現実的な手だ」

男「それで、神様にはどうしてもらいたいの?」

剣士「簡単な話、足止めをお願いしたい」

神娘「足止め?」

剣士「ええ、我々は各個撃破ならばできますがまとめて相手する事は不可能…神様にはそこを何とかしていただきたいのです」

神娘「なるほど、まあ簡潔だが綻びのない作戦だな」

剣士「はい…」

神娘「それがとんでもなく難しいことを除けばだが」

剣士「…無理は承知しております」

神娘「幾ら神主が居るとはいえ私の力にも限りがある、そこは分かっているな?」

神娘「無理にとは言いませんが…この作戦の成否には神様の力添えが必要なんです!」

神娘「…ほぉ」

ミス 最後から二行目は剣士が言ったです 神様一人芝居駄目よ

剣士「私はこの国が好きなんです!護りたいんです!」

男「(…そうか、こいつも護るべきものを持ってるんだな…)」

剣士「無礼なのはわかっています!でも…でもっ…!」

神娘「良い」

剣士「神様…」

神娘「お前の強い想い、この私がしかと聞き届けた」

男「(…最近神様威厳ましましだな)」

神娘「お前の思いも私が受け止めようぞ、任せるがいい」

剣士「あ…ありがとうございます!」ペコリッ

神娘「いよいよもって負けられなくなったな」

男「…そうだね」

―――――――――

それから数日後


『ますますもって異常気象は拡大の一途をたどり…』

男「…もうすぐ山場か」

神娘「ああ、私ももう近くに感じているぞ」

男「気味が悪いな」

神娘「早く終わらせたいものだ」

男「無事に、ね」

神娘「勿論だが…」クァァ

男「眠いの?」

神娘「力を蓄えているからな、溜めても困ることは無いだろうし…」

男「布団を敷くからゆっくり寝てよ」

神娘「助かる…」

男「(神様も緊張しているみたいだな…)」

ゴロッ ゴロゴロゴロ…

男「(最近はあんな雲ばっかりだ、太陽を見なくなっちまった)」

神娘「太陽を隠すと言う事は…国の力を弱める事にもなる」

男「下準備ってわけか」

神娘「向こうは何としてもこちらを落としたいらしいな…そうもいかんが」

男「ああ、だから今はゆっくり休んで」

神娘「…ん…」トッ トッ トッ

男「…寝たか」

ゴロッ ゴロゴロゴロ…

男「……ん?」

ヒタッ ヒタッ

男「(来客?いやこの感覚は…)」

娘「やぁ」スッ

男「やっぱり、君か」

娘「久しぶりだけど忘れてないよね?」

男「忘れる筈無いけど…もう出てこないんじゃなかったっけか」

娘「あの件に関してはもう私は要らなくなったけど、やっぱり時々出てくるんだよ」

男「まあそれも良いけど…何か用事があったんだろう?」

娘「簡潔に言おう」

男「ああ」

娘「どちらかが死ぬか、どちらも死ぬよ」

男「それまた…えらい殺伐としてるな」

娘「今君たちは…いや私達はひどく曖昧で不安定な場所に居る、それがどう落ちるかは想定できない」

男「…死ぬのか」

娘「ああ間違えても自分が死ぬことで”私”を生かそうと思っちゃ駄目だよ?最悪両方死ぬから」

男「分かっているけど…なんだ、いざ言われると…」

娘「目を背けちゃ駄目だよ」

男「……」

娘「目を背けたら見えない世界があるんだから」

男「…分かった」

娘「諦めない限り、きっと悪い方にはいかないよ」

男「そうだろうかな」

娘「そうだよ、私は神様だから」

男「そうか、それなら安心だ」

娘「…ああ、あと教えておいた方がいいよね」

男「うん?」

娘「紫苑の花言葉、君が送った言葉の意味を」

男「気になる、けど怖いな」

娘「耳を貸して」

男「ああ」

娘「紫苑の花言葉はね――――――」

―――――――

そして、決戦の日

その夜の帳が降りる

―――――――

男「…まるで生気が感じられない」

神娘「もう太陽が見えなくなって相当立つからな、国も憔悴しきっている…」

男「絶好のチャンスってわけか」

神娘「ああ、聞こえんか?」

男「…ん」

―――――――――――――ドォーン

―――――ドォォォン

――――――――――ドーォォン

男「…これは」

神娘「化け物どもの太鼓の音だよ、けったいな事だ」

男「…気味が悪いな」ブルッ

神娘「さて、そろそろ着くぞ」

男「もう勢揃いってわけか」

ザワッ ザワワッ…

神娘「少ないな」

男「このご時世だからね」

神娘「…荷が重くなるな」

男「何にもできないのが悔しいんだけど」

神娘「お前はそこで私を信じているがいい、それでいい」ギュ

男「…分かった」ギュッ

宮司服「神様」

神娘「来たぞ」

宮司服「ご無礼にも関わらず力をお貸しくださり誠に感謝で御座います」ペコリ

神娘「世辞は言い、状況を話せ」

宮司服「間もなく到着すると索敵隊からの知らせが」

神娘「どのぐらいだ」

宮司服「凄まじい量です、大よそ1000の鋼鉄の船に化け物がひしめく様に入っています」

男「まるでパンドラの箱だな…」ゾクッ

神娘「だがその中には希望は無いぞ」

男「本土に上陸させるわけにはいかない…か」

宮司服「ええ、いったん抜けられたら最後夥しい量の魔の者が解き放たれることになりましょう…」

神娘「何としても止めねばならんな」

宮司服「はい」

※あれな前振りだけど実は戦闘描写は無いのね 作者の技量が無いからだね 仕方ないね

書こうと思ったら回線おなくなりになったので書き溜めておきます

神娘「さあ、始めようか」バッ

ズズズ…

「見ろ!雲が晴れていく!」

「おお…」

「光だ!光が降りていくぞ!」

男「(戦神としての神様は見た事なかったな…)」

「光が神様の元に…」

「おお、なんと神々しい…」

「後光だ!」

神娘「……聞けぇ!」

「はっ!」ビシッ

「者共!敬礼!」ビシィッ

男「(一瞬にして軍勢を統制下に置いた…凄いな)」

神娘「我々が護るものはこの国であり、人民である」

神娘「だがそれと同時に諸君も同じくこの国の民である!易々と命を投げ出す事は許さん!」

神娘「案ずるな、我を信ずる限り貴様らが負けることは無い!」カッ

神娘「神の加護は貴様らの元にあるぞ!」

「うおおおおおおおおお!」

「よっしゃぁあああ!」

「神様万歳!神様万歳!」

男「(…一発で心を掴んでしまった…これが神の威厳…!)」ゾワッ

神娘「光は我らと共にある!」グワシッ

「うおっ、まぶしっ」

「直視できん!」

男「(大仰なパフォーマンス、激励と叱咤で精神を掌握…これが戦神か)」

影「ヴァェェエエァェアェェアオェ」

影「イゲァァアイェアオィアェエ」

影「イギィィイィイイィィィィィ」

神娘「見よ!敵は漆黒の海より出でて我々の領土を侵犯しようと画策している!」

神娘「構えよ!神の力を見せつけてやるがいい!」

「はっ!」ガチャッ

「気合入れるぜ!」ガリッ

「やってやんよ!」バチバチッ

神娘「……往けぇ!」

「「いくぞぉぉぉぉ!」」「「やってやるわぁぁ!」」「「ごぉぁあああ!」」

ドドドドドドドッ

ヒュンッ ヒュゥン スドォン

伝令「第一波撃破!」

宮司服「早いっ…予想より遥かに…!」

神娘「神主よ」

男「おう」

神娘「よく見ていろ、これが私の力だ、これが私だ」

ズズズズズ…

伝令「第二波!第三波纏めて来ます!」

「凄い数が来るぞぉ!」

「押しとどめろ!何としてもだ!」

男「…なんだ?何も変わらないが…」

影「……ゲゥヴォェェ?」

影「グェァアイェアガァァァイア!」

影「ゲェァァアアェァアア!!!」

男「ちっ、襲ってくる!」

ズズズズズズズ…

男「…なんだ?」

「く、雲が!」

「どんどん敵陣の真上に移動していくぞ!」

ズズズズズズッ…

神娘「さて、”呪い返し”といこうか」ニマァ

影「ガ…ゲ…」

影「ガガガガガガガガァァアァガアァァ!!」

影「ゲェェアァァガガァァ!」

神娘「今更気づいても遅い」スッ

神娘「さあ大人しく神罰を食らうがいい!」バッ

ド ドガァァァァァ…ビシビシッ ピカッドシャァァァ…ン

男「すげ…一発で船が粉々に…」

伝令「更に来ます!」

神娘「ちっ、ならば嵐の中で踊っておれ!」ババッ

ドォォォォン バフゥゥゥゥゥ…

神娘「向こうに船酔いがあるかは分からんが足止めにはなる」

「残党狩りだ!」

「一隻たりとも逃すな!」

「死ぬ気で狩れぇ!」

宮司服「予想外…いや人間如きが神の力を予想するなぞ失礼千万か…」

「いけるぞ!まだまだやれるぞ!」

「うぉぉぉ神様万歳!」

「万歳!ばんざぁぁい!」

神娘「…っ、はぁっ、はぁ…」

男「大丈夫か!?」

神娘「流石に…きついな…っ」

男「神様」ギュゥ

神娘「…ふふ、ありがとう」

男「これしか出来ないけど、神様を目一杯信じるよ」

神娘「それさえあれば千人力よ!」ヒュッ ヒュッ

ドォォォォン…

ドォォォォォォォン…

影「アガァァァァァアアァアァ…」

影「オゴァエァォアイエィアァ…」

――――――

――――

―――

男「(戦闘もいよいよ激化してきた)」

「この野郎っ!」

「行かせはせん!行かせはせんよぉ!」

「お国のためにぃぃぃ!」

男「(皆流石に疲労の色が濃いな…)」

「はいはい、回復したらちゃっちゃと行きな!」

「男が先にへばってんじゃないよ!私らだってやってんだからさ!」

男「(あれは回復の礼術だろうか?色々あるんだな)」

神娘「……くっ はぁっ…!」

男「神様…」

神娘「まだまだ…まだまだぁ!」

「神様の為に負けんぞぉ!」

神娘「護るべき者が居るのだ」

「行かせるかぁ!」

神娘「殺してはならぬ者が居るのだ」

「おらぁぁぁ!」

神娘「これからの者の為に」

「負けるかぁぁぁ!」

神娘「そして」

――――「神様!」

神娘「それを護って散っていった者達のために!」

神娘「負けるわけにはいかんのだ!」

神娘「くっ…はぁ…ぐ…」ハーハー…

男「神様…っ!?」ゾワッ

男「(なんだ?今一瞬凄まじい悪寒が…)」

影「ゲェアェィアィエィァイェイェ」ギュギギギ…

男「…弓兵か!」

「遠距離攻撃くるぞぉ!」「当るな!」「気をつけろ!」

影「ゲェァアァァィァァエィエア!!!!!」バビュンッ

男「速いっ!?」バッ

男「(あ、危なかった…もし当っていたら…)」



ドスッ



男「(致命傷は…)」ゾクッ

男「避けられな…い…」

男「……今、後ろで何かに当たった音が」

男「…まさか、いや、そんな筈は」

――――「どちらかが…」

男「そんな はずは」バッ



神娘「…………か…はっ…」グラッ

―――「死ぬよ」




ドサッ

今日は此処まで

男「……神様?」

神娘「…は、はは…避けられんかったなぁ…」

「嵐が止んだぞ!」

「神様が!」

「なんだと!?」

男「神様なら、治癒出来るんじゃ…」

神娘「悪い…少々力を使いすぎて 間に合わな…い…」ヒュゥ ヒュゥ

男「苦しいの?」

神娘「なに…大したことは…ない…」ゼェゼェ

男「嘘、つかないでよ」

神娘「…流石に ばれる…か…はは…」ヒュゥッ

男「だって、神主だからさ、神主だから」

神娘「……ああ、そうだったな」ゲホッ

神娘「…段々と死んでいく感覚がする」ヒュゥ…

男「そうか」

神娘「懐かしいな、あの頃もこうしてただ消えていくのを待っていたか」

男「……」

神娘「ただあの時と違って、もう私はどうにもできないと言う事だが…」ゲホッ

男「そんな事、言うなよ」

神娘「変に冷静なんだ、苦しいのに、こんなにも苦しいのに頭は冷静なんだ」

男「……」

神娘「神主」

男「ああ」

神娘「お前に命を言い渡す、心して聞け、確固としてかかかれ」

男「…ああ」

神娘「お前に全てを託す、だから護れ」

神娘「国を護れ、人を護れ、自らを護れ」

神娘「私が出来なかった事を…やってくれ」

男「……」

神娘「我が名において命ずる、私の最後の命だ、命を賭した頼みだ」

男「ああ」

神娘「…頼んだ」

男「分かった、分かったよ神様」

神娘「しかし我ながら…呆気ないなぁ…」コホッコホッ

男「こんな時に、そう言う事って言っらだ駄目だと思う」

神娘「辛辣…だね…もう僅かも無い神様に…言う言葉かい…」

男「分からない、でも頭の奥が痺れたように動かないんだ」

男「考えなきゃいけないって分かってるけど、ぼーっとして、熱くて」

男「考えようとするたびに頭の中が白熱したように眩しくなって」

神娘「それでいい」

男「え…」

神娘「今は何も考えるな、振り返るな、ただ前を向いて進め」

男「そんな事、出来る訳が「神主」」

神娘「神主、我が神官よ」

男「うん」

神娘「泣くのは後にしてくれ、私はそんな顔を見たくないから」

男「泣かないよ、男だからね」

神娘「それでこそ…私の…」

神娘「……神主」

男「なんだい」

神娘「近くに…寄って…くれ、力を…神の力を託す…」ハー…ハー…

男「うん、分かったよ」スッ

神娘「もっと寄れ…私の目の前まで…もう目が見えないんだ…」

男「…ああ」カクン

神娘「ふ…ふふ…全くお前は私の事を信用し過ぎているのだな」

男「だって、神主だからさ、神様の事を信用しているからさ…」

神娘「それだから…」スッ

チュッ

神娘「こうして、不意打ちを食らうのだぞ?」

男「……え」スッ

神娘「惜しむべくは瞼だった事だがまあ…不意打ちとしては上々…」ニコ

男「あ…ぁ…」

神娘「は…はは…最後に一本取ってやったぞ…」

男「かみ さま…」

神娘「はは…ははは…は…は……」

男「……」

神娘「……」

男「……」

神娘「………」

男「神様」

神娘「……」

男「…」

神娘「……」

男「神様の居ないこの世の中が、護る価値があるのかは分からないよ」

神娘「……」

男「でも」シュルルルル…

男「神様の言うとおり、護るよ」ゴォッ

男「なんたって、神主だからな」ブワァァッ

神娘「……」コク

男「待っていて神様」スッ

男「今終わらせて、すぐ帰ってくるから」ザシュ ザシュッ

―――――

伝令「駄目です!押し切られています!」

宮司服「く…」

伝令「神は倒れ、我々も疲弊しきっています…最早打つ手が」

宮司服「…これまでか」

伝令「この国は…どうなるのでしょうか」

宮司服「分からん、だが…我々の命と引き換えにしてでも被害を食い止める」バッ

伝令「承知しました」グッ

ヒュル…

「…風だ」

「でも神様はもう…」

ビュゥッ ゴォォッ

宮司服「…随分と、凄い突風だっ…」

「お、おい逃げた方がいいか?」

「馬鹿言え、逃げたら元も子もないぞ!」

ビュォッ バビュゥゥ… ビュオォォォ…

「段々と強くなって…」

「吹き飛ばされるぞ!何かに掴まれ!」

伝令「なんでしょう…この風」ゾワッ

宮司服「分からん、だが」

ゴォォォォォォ… ズォォオォォォ…

――――ギャァアアァァ……

――――イゲェァアァイェァアア……

「船が沈んでいく…」

「突風ってレベルじゃねえな、あれ…」

ドドドドドドドドォッ…

宮司服「あれは、紛れも無く”神の力”…」

男「我は神主」ビュォッ

―――「人の子?」

男「神の代理人としてヒュァッ

―――「お前!」

男「そして、その敵を討つために」ビッ

―――「なあ…いやなんでもない」

男「お前らに」

―――「神主」

男「おてめえらに」

―――「…神主」

男「神罰を下す!」バッ

ビュゴォォォォオオオォォォ… バギンッ  ボキボキボキ…

  ギァアェァア… ……ァ…アア…ァ


―――――「ありがとう」

――――――
―――――

ザァァァァ…

剣士「結局、あっけなく終わりましたね」

宮司服「こちらの犠牲は最小限で済んだ、これも神の御力の成すところだろう」

ザブゥゥン…

剣士「しかし、神様は…」

宮司服「あの後すぐに神主の姿と神様の御姿が見えなくなった」

剣士「二人でどこかに行ったのでしょうか」

宮司服「恐らくは…いや、余計な詮索だ」

剣士「ええ、しかし人間の身で神力が使えるとは…」

宮司服「…いいや、人間の器で神の力は使えん」

剣士「はて、ちらと神主が風を呼んでいるように見えましたが…」

宮司服「神の力を使えるのは人に非ず、それはつまり―――――」

ザザァ…ザブゥゥゥン…

――――――――――

――――――

男「思い出すね、こうしていると」ザッ ザッ

神娘「……」

男「初めて一緒に森に出かけた時、こうして神様をおぶってたんだよ」ザッ ザッ

神娘「……」

男「忘れてた?そんな筈無いと思いたいんだけどな」フッ

神娘「……」

男「…どこに行こうか」

神娘「……」

男「帰るか、あの森に」

神娘「……」

ヒュルゥゥゥゥゥゥ…

―――――

男「…なんだ、これ」

チラチラ… チラチラ

男「視界一面が白い…それで寒い」ブルルッ

男「なんか白いものが振って、それが積もってるのか」

男「夏でも、秋でもない…」ザシュ ザシュ

男「…冷たい」

男「寒い」

男「何も聞こえない」

男「生き物の気配も無い」

―――「生き物に与えられる試練の季節」

男「…そうか、これが”冬”か」

―――「淘汰の季節だよ」

男「…皮肉なもんだ」ブルルッ

男「神様、着いたよ」

神娘「……」

男「…これからどうなるんだろうな」

神娘「……」

男「本当はさ、割り切れていないんだ」

神娘「……」

男「神様は死んでなんかないって、きっとまた戻ってくるって」

神娘「……」

男「信じているんだ、諦めていないんだ」

神娘「……」

男「目を背けたらそこで終わりなんだ、諦めちゃダメなんだって」

神娘「……」

男「…何言ってるんだろうな」

男「……寒いな」

神娘「…」

男「ずっと季節なんて暖かい物だと思ってた」

神娘「…」

男「でも、やっぱり想像って甘くできてるんだよな」

神娘「…」

男「…」

神娘「…」

男「…待てよ」

神娘「…」

男「神様がもし死んでいたなら、この空間はどうなるんだ?」

男「神様の力で構築されていたなら、あの時点で無くなってても良かったんだ」

男「でも、この森には入れたし、しかも季節が動いた」

男「もしかしたら…」バッ

神娘「……」

男「…うん、分かった」

男「信じるよ、信じ続ける」

男「神様がまた帰ってくるって信じる」

男「何年かかっても、何十年かかっても」

男「人間の範囲内で、待つよ」

男「待ってるから」

神娘「……」

男「ずっと、待ってるから」

多分あと一日二日で終わりです

IDすげぇな

>>875 全部Wじゃないのは信仰心の不足ですね

――――――

神娘「そう言えば」

男「うん?」

神娘「ここら周辺の木の名前が気になるみたいだな」

男「あ?ああ、そうだな…別に紅葉が綺麗な訳じゃないし、なんでこの木が沢山植わってるかなって」

神娘「ま、木には紅葉だけじゃないのは気付かんようだな」フッ

男「あ、なんか馬鹿にしてるな神様」

神娘「この木はな…いや、今はやめておこう」

男「んだよ…気になるな」

神娘「気になるだろ?その気持ちを取っておけ」

男「えー…」

神娘「焦がれるほどに焦れる様に、その気持ちはきっと理解した時興奮に昇華するだろう」

男「そういうものか?」

神娘「私はお前の顔を見たいのだ、嬉しがる顔、楽しむ顔、全てを見たい」

神娘「私は見ていたいんだお前を、お前の全てを」ニコッ

男「……」

―――――――

―――――

ヒュゥゥゥゥ…

男「…は」バッ

男「いかん、幻覚か」ブルブル

男「…まあ、回想とも言うけど」

ビュルゥゥゥゥゥ…

男「う、さむ…」ブルッ

男「…帰るか」ザクッ ザクッ

男「……」ザクッ ザクッ

男「(息が白い)」ハァーッ…

男「大分慣れて来たけど、冬は辛いな」

男「……」ザク ザク ザク

男「ただいま」タッ

神娘「……」

男「神様、帰って来たよ」

男「あれからどれぐらい経ったんだろうね」

神娘「……」

男「日が昇って…また沈んで、一週間?一年?それとも一日?」

神娘「……」

男「大丈夫だよ、置いて行ったりはしないから」

神娘「……」

男「(相変わらず神様は眠ったままだ)」

神娘「……」

男「(いや、死んでいるのかもしれない…でも腐敗はしてない)」

神娘「……」

男「(この森に相変わらず冬以外の変化は訪れない、ただ静寂な雪が覆っている)」

神娘「……」

男「だからまだ神様は死んでいない、生きてもいない、眠っているだけなのかもしれないと考える」

神娘「……」

男「それに…」

男「神様」

神娘「……」

男「信じていれば、それは信仰となって神様の力になるんでしょう?」

神娘「……」

男「だったら、信じるよ」

神娘「……」

男「信仰する」

神娘「……」

男「神様を信仰するよ」

神娘「……」

男「待っているから」

神娘「……」

――――

男「さて、偶には飯でも作ろうか…っと」トン

男「(あの時この森に入ってからだろうか、徐々に体に変化が訪れ始めた)」

男「(眠らなくても平気になった、食べなくても平気になった、この雪の中歩き回っても大丈夫になった)」

男「(怪我を負ってもすぐ直る、病気もしない、なぜだろう)」

男「この森自体の時間が止まってるって事なのかな、神様」

神娘「……」

男「…って聞いても無駄か…」ハハ

男「さて、偶には飯でも作ろう…」

――――――

神娘「おい」

男「どーした」

神娘「醤油が無い」

男「あ?ああ、あそこに」

神娘「届かん」

男「はいはい」ヒョイッ

神娘「ええい、この身長がもどかしい」

男「成長とかできないの?」

神娘「出来るが力を使うし…一度やってみたが」

男「ほぉ」

神娘「身長はあまり変わらんかった」

男「…ああ」

神娘「畜生…高いのが羨ましい」

男「そんな事ない、棚に頭ぶつけるし」


神娘「それでも高いところから見えるのは良い」

男「どしてよ」

神娘「頼りがいがある」

男「今でも十分あるけど」

神娘「お前は知らんから言えるのだ」

男「何をさ」

神娘「私が昔、この地を護って来た時の事だ」

男「慕われてたじゃないか」

神娘「それはいいのだ、それは」

男「だったらなんなのさ」

神娘「奴等、私の事を娘か何かだと時々思ってるみたいだった」

男「…あー…」

神娘「なぜ納得する!」

男「親しみがあるんだよ」

神娘「親しみより畏敬を抱け!」

男「抱いてるんだがな」

神娘「行動で示せ!」

男「はい塩」ヒョイ

神娘「おお、ありがたい」パッパッ

男「……」

神娘「……」パッパッ

男「うん」

神娘「そうじゃないだろう!」ガターン

―――――

男「そんな事もあったな」タンタンタン

男「出来た、簡単な炒め物だけど」

神娘「……」

男「ん、出来あいにしては中々」

神娘「……」

男「冬の山菜って見つけるのは大変だけど美味しいんだな」

神娘「……」

男「神様と一緒に行きたいな…あ、でもこの冬だと神様外に出ないだろうけど」

神娘「……」

男「久々に神様の料理も食いたいしな」

神娘「……」

男「ああ」

神娘「……」

男「ごちそうさま」

男「食ったし、久しぶりに寝ようかな」

神娘「……」

男「布団持ってこよう…」

神娘「……」

男「神様寒くないかな、まあ布団の中に入れてるけど」ドサドサッ

神娘「……」

男「寝るか」

神娘「……」

ヒュルルルルルル…

男「…寒い」

神娘「……」

男「(何日経ったんだろうか)」

ビュゥゥゥゥ…

男「(吹雪の日もあるし、快晴の日もある)」

ヒュルルルル

男「(太陽は忙しなく昇っては沈み、昇ってはまた沈む)」

ガタガタガタガタ…

男「(何度それを繰り返しただろう)」

カンカン

男「(100を超えたあたりから、考えるのをやめてしまった)」

ヒュゥー…

男「(体の成長は止まったようにあの時から動かない)」

ヒュルルルルル…

男「(この世界には、変化するものが少なすぎる)」

カタカタカタカタ…

男「(飽きたのかもしれない、でも諦めるにしては大きすぎるものがここにはある)」

男「(神様)」

男「(時々不思議に思う)」

男「(なぜこんなにも神様に固執しているんだろうか)」

男「(神主だから?)」

男「(あの場所に居たから?)」

男「(付き合いが長いから?)」

男「(違う、そうじゃない)」

男「(もっと深い所で、神様に執着している自分が居る)」

男「(なんだ?)」

男「(それはなんだ?)」

男「……明日にしよう」

男「今日は疲れた」

男「…おやすみ」

神娘「……」

ヒュルルルルル…

気付いた 神様居ないとテンポ悪い
登場人物少ないからね シカタナイネ

――――――

男「……」

神娘「人の子」

男「…神様」

神娘「なぜお前は、私を待っているのだ」

男「待っていたいからさ」

神娘「目覚めるか分からない私の為にか?」

男「うん」

神娘「時間を無為に使うな」

男「神様を待っている時間は、決して無意味ではないと思うけどな」

神娘「…お前は馬鹿か?」

男「馬鹿じゃなきゃこんなことしてないさ」

神娘「…努力が報われない時もあると、知らないのだろうな」

男「知らないからこうしている」

神娘「もういい!そのままそこで朽ち果てるがいい!」

男「……」

―――――

男「…夢か」バッ

男「夢の中にまで出てくるとはな、どうかしてるよ」フルフル

ヒュルルルルル…

男「…寒い」ブルルッ

男「外に行くか」トントンッ

ヒュゥ……

男「日が昇る」

男「また一つ日が昇る」

男「…いつまで待てばいい?」

男「何度こうして、昇っては沈むのを見ていればいい?」

男「……神様」

―――――

―――

月日は流れる

男「神様、今日は晴れてるよ」

神娘「……」

男「一緒に外に行こうか、おぶって行くよ」

神娘「……」

男「風邪引いたりしてね、そう言えば神様って風邪引くのかな」

神娘「……」

男「目覚めたら第一に風邪をひいたりしてね、看病しなくちゃ」

神娘「……」

男「うん、じゃあ行こうか」

――――――

太陽は昇り、沈む

男「うーん、髭も生えない」

神娘「……」

男「まあ手入れしなくていいのはいいけどね」

神娘「……」

男「これもこの森が止まってるからなのかな、でも一日は過ぎていくし…どうなんだろ」

神娘「……」

男「まあ神様に聞いても分からないって言うだろうな、うん」

神娘「……」

男「本当になー、不思議の森だよここは」

昇っては沈む

男「吹雪って嫌だな、やっぱり」

神娘「……」


沈んでは昇る

男「なんかどこもかしこも白くて飽きるな」

神娘「……」

男「偶には赤とか黄色とか…秋の色が見たい」


太陽は一直線上を進んで往く

男「雪って、なんで冷たいんだろうな」

神娘「……」

昇る

男「何年経ったんだろ」


沈む

男「冬にも慣れたな」


昇っては

男「随分ここに居る気がする」


沈む

男「…分からない」

―――――

同じ日々が続く

続く

男「なあ、もうそろそろ目覚めても良いんだと思うんだけどな」

続く

「飽きちゃないよ」


続く

男「辞めたくなる時はあったけどさ」


続く続く

「でも、神主だから神様を放っては置けないだろ?」


続く続く続く

「そう思ったらなんだか、まだやれそうな気がしてさ」


終わりも見えない日々が永劫に続く

「そしたらなんかさ、途中からよく分からなくなって」


無意味な積み重ねが

「進んでるのか戻ってるのか分からなくなって」

続く

「ぐちゃぐちゃで、なんかもうどうでも良くなって」


続く

「おかしくなっちゃったのかな」


続く

「もう、訳わかんないよ」


ただ、続く

「神様」




「もう神様の声が思い出せないんだよ」

「最初はぼやけたみたいに時々聞こえ辛くなるぐらいだった」

「気のせいかなと思ったんだけど、やっぱり思い出し辛くなって」

「そのうちぶつ切りになって」

「細切れになって」

「もう思い出せない」

「あれだけ聞いたのに思い出せない」

「どうしよう」

「どうしたらいいんだよ」

「分からないよ神様」

「もう神様を思い出せないんだよ」

「どうしたら…」

「分からない」

「別に、神様の事なんて放っておいてもよかったんだ」

「今だけじゃない、最初に助けを請われた時も無視すればよかったんだ」

「だってそうだろう?自分には関係のない事だ」

「あの時神様を無視しても何の不利益も無かったんだ」

「それでも、無視できなかった」

「神様が倒れたあの時だってそうだ」

「諦めればよかった」

「そうすれば日常に戻れたんだ」

「でも」

「そんな事、出来ない」

「神様を諦めるなんて出来なかった」

「なんでだろう」

「分からない」

男「静かだ」

男「雪は音を吸収するから冬は静かなんだって、神様言ってたっけ」

男「……」

男「寒いな」

男「神様、寒くないかい?」

神娘「……」

男「聞こえてる訳ないか」



「教えてあげるよ」

神娘「……」ポロッ

男「……うん?」

男「神様、こんな髪留めしてたっけ」スッ

男「違う、これは…生花だ」サワサワ

男「…この花、どこかで見た事がある」

男「淡い紫色で、綺麗な…」

――――「さっき綺麗な花があったから――に見せようと思って」

男「神様に、似合いそうな…」

――――「なんか紫の花でさ、綺麗だから」

男「……あ」

男「…しおんだ、これ…」

――――――

娘「教えてあげるよ、紫苑の花言葉を」

男「特別な意味でもあるのか」

娘「うん、自分が送った花の言葉ぐらい覚えておかなきゃ」

男「いや、何気なく渡したんだがな…」

娘「花を送るのは気持ちを送る事、自分では言い表せない直接的な感情をぶつける事」

男「…そんな重いものだとは知らんかった」

娘「だから覚えておいて、自分の捧げた言葉を」

男「ああ」

娘「耳を貸して、よく聞いて、覚えて」

男「意味があるのか」

娘「きっと役立つよ、危ない時にこの花は繋ぎとめてくれるから」

男「そうか」

娘「この花の、花言葉はね」

―――『思い出』

男「思い出…」

娘「沢山の思い出、覚えておいてね」

男「忘れる筈無いさ」

娘「本当に?」

男「本当だよ、絶対」

娘「でも、思い出は忘れるものじゃないんだよ」

男「そうなのか?」

娘「思い出せなくなるもの、引出しにしまったまま場所が分からなくなるものなの」

男「自分の意志には関係なくか」

娘「寂しいけど、そう言う事なんだよ」

『遠方の人を想う』

男「いや神様と遠くないし、すぐ近くだし、人じゃなくて神だし」

娘「距離的には遠くないだろうけど、心理的にはどうなのかな」

男「…分からん」

娘「神様と人間の距離はとても遠いの、別の世界に生きているから」

男「それも、なんだか寂しいな」

娘「想い続ければきっと大丈夫だよ」

男「何が大丈夫なのさ」

娘「さあねー」

男「気になるんだが」

『追憶』

男「なんか物騒な言葉だな」

娘「そう?どこが?」

男「なんか、もう会えないみたいな」

娘「そんな事も無いと思うよ」

男「そうか?」

娘「また会える、その時まで思い出し続けていればそれも追憶なの」

男「そんな状況に陥るのもあれだけどな」

娘「ま、そうだよね」

男「願わくば、だけどな」

娘「そして、最後の一つ」

男「うん」

娘「忘れないでね、この花を見るたびに思い出して」

男「ああ」

娘「その言葉は」

―――――

男「あなたを……」

――『あなたを忘れない』

男「忘れない」ギュゥ

男「忘れない」

娘「そう」

男「そうか」

娘「そう思っていれば思い出せるよ」

男「うん」

娘「だから、”忘れない”って思い続けて」

男「分かった」

娘「きっとそれは、力になるから」

男「約束する」

娘「君自身と、約束してね」

男「分かった」

男「分かった」

―――「おい」

男「忘れないよ」

―――「こっちを向け」

男「絶対忘れない」

―――「…よし」

男「想い続ける」

―――「神主」

男「忘れそうになっても」

―――「笑え、悲しむより笑え」

男「…神様」



―――神娘「それで、いい」

男「…ああ」

多分もうちょい続くんじゃ

―――――

神娘「なあ」

男「うん?」

神娘「もしも、私がお前を好きだといったらどうする?」

男「どうって…分からん」

神娘「…だろうなあ」

男「なんかあれだ、フィルターが掛かったみたいなんだ」

神娘「そういうものだ」

男「うん」

神娘「人と神、神と人、互いに決して交わることの無いように出来ている」

男「なんかあれだな、次元の違いと言うか」

神娘「こちらとしても人間であったうちの同族意識を今は感じんのは、少し寂しいな」

男「神様にとっての人間って?」

神娘「今となっては既に護るべき存在さ」

男「そっか」

神娘「ただ…」

男「うん?」

神娘「それはあくまでお前が”人間”であればだ」

男「別に人間を止めるつもりは毛頭ないけど」

神娘「それは知っている、が」

男「が」

神娘「往々にしてこの世界には予想外がつきものだ」

男「まあ、そりゃ知ってるけど」

神娘「予想外が無ければ私と出会わなかったわけで、なあ?」

男「でも、人間から外れるって何になるのさ」

神娘「……お前は時々馬鹿なのではないかと思う」

男「なんだと」

神娘「ま、いずれその時が来たら分かる」

男「来なかったら?」

神娘「その時はその時さ、簡単な話だ」

――――――

シンシン シンシン

男「よく分からなかった」

男「なんで神様をそんなに待ち続けなきゃいけないのか」

男「あの時神様を諦められなかったのか」

男「…分かったよ」

男「やっと分かったんだ」

ヒュル…

男「神様が好きだ」

男「それだけだったんだ」

男「自分でも馬鹿らしくなるほどに簡単な話だったんだ…」

男「思い出せるよ」

男「さり気なく小首を傾げる仕草が好きだった」

男「新しい事がある度に目を輝かせるのが可愛かった」

男「時々寂しそうな顔をするたびに、悲しそうな顔をするたびにこちらまで悲しくなった」

男「護ろうと思った」

男「助けようと思った」

男「それが全部なんだ、慰めたのも、傍に居たのも全部」

男「神様が好きだったからなんだ」

ヒュルルル…

男「もう迷わない」

男「神様が再び目覚めるまで待ってる」

男「好きだから、待っている」

男「いつか」

男「いつか神様が目覚めるまで」

男「その時にきっと伝えるから」

『貴方の事が好きです』

男「言わなきゃ男じゃないな」

ザザ…

男「………なんだ?」

男「外の様子がおかしい」

男「風が吹いているのに、雪が舞ってるのに…」

ザザザザァ…

男「…違う」

男「風が暖かいしこれは…雪じゃない」フワッ

男「薄い桃色…どこから来たんだ?」

ブワァァァッ

男「外が!」

男「……神社の周りの木は、この花の木だったのか…」

男「蕾が一斉に花開いたんだな…綺麗だ」

ザザァ… ザァッ…

男「雪があっという間に溶け始めている…」

男「この季節は一体…」

―――「冬を乗り越した者のみが享受できる季節」

男「…春か、春が来たのか」

男「なんて綺麗なんだ…」ウルッ

男「こうしてはいられない、神様に知らせてこよう」バッ

男「神様」

神娘「……」

男「春が来たよ」

神娘「……」

男「花が咲いてるんだ」

神娘「……」

男「花見をしようって約束したよね」

神娘「……」

男「今度一緒に行こう、おぶってくから」

神娘「いらん」

男「……え?」

神娘「おぶらせずとも歩けるわ」パチッ

男「……神様?」

神娘「ああ、私だ」

男「本当に神様?」

神娘「そうだ、私が神だ」

男「本当に…」

神娘「神主」

男「…ああ」

神娘「言いたい事は色々ある、がそれを話し合う時間はもうある」

男「そうだな」

神娘「沢山あるんだ、こうして話せる時間が」

男「そう、だよな…話せるんだよな…神様と」

神娘「話せるんだ、安心しろ、一杯話してやるから」

男「嘘じゃないよな?」

神娘「神は嘘をつかんさ」

神娘「だから、私の目ざめに相応しい言葉をお前に掛けよう」

男「うん」

神娘「神主…ありがとう」ニッ

男「あ…ぁ…」フラッ

神娘「お前の信仰、想い、確かに受け取った」ギュゥ

男「……ああ」ヒシッ

神娘「…もう少し、このままで居ような」

男「……ああ…!」

――――――

男「それにしても、この花だったんだな」

神娘「桜と言うんだ、これは山桜と言う種類でな」

男「さくら…満開だな」

神娘「綺麗だろう?」

男「綺麗だ…とっても」

神娘「……お前のおかげだ」

男「そうだな、今回ばかりはそう言わせてもらうぞ」

神娘「ああ、誇っていい」

男「……うん?」

神娘「どうした?」

男「あそこに百合が咲いている、一輪だけ」

神娘「どこだ?」

男「あそこ、冬にいつも座ってた場所の正面」

神娘「見事な白百合だな」

男「どうしてあそこに」

神娘「……ああ、そうか」

男「知ってるか?」

神娘「真珠貝で穴を掘り、星の破片を墓印に…か」

男「なんだよ」

神娘「待ったんだな、お前は」

男「そりゃ待ったさ」

神娘「待ち続けたんだな…」ボロボロッ

男「待ってたんだよ、どうして神様が無くのさ」

神娘「泣きたくない だけど こんなにも想われて泣かないなんて出来んよ…」ボロボロ

男「…なんだか知んないが胸を貸そうか」

神娘「頼む」

男「うん」ギュゥ

神娘「…暖かいな」

男「春だからな」

男「それで、言いたい事があるんだ」

神娘「私が好きなんだろう?お前」

男「聞いていたのかよ」

神娘「なんとなく声が聞こえたんだ」

男「まあ…あれだ、神様はこっちの事どうとも思ってないかもしれないけど…」カリカリ

神娘「好きだ」

男「へ」

神娘「お前が好きだ」

男「ちょっと待て」

神娘「待つものか、こちとらあの戦いがある以前から好いておったわ」

男「なにそれ初耳」

神娘「言ったのは初めてだからな!」

男「そうだけどさ!」

神娘「お前は私が好きだな?そうだな?」

男「そうだけど!」

神娘「私もお前が好きだ」

男「お、おう」

神娘「よし」

男「よし、じゃないよ!」

神娘「何か問題でもあるか?」

男「無いけど…人間と神様だぜ?」

神娘「…ぷっ」クスクス

男「笑う要素あったのか今!?」

神娘「お前、自分がまだ人間だと思ってるのか?」

男「えっ」

神娘「お前、ひょっとしなくとも待っている間自分の身体が成長しなかったろう」

男「まあ、髭も生えなかったし不便じゃなかったな」

神娘「やはりな」

男「なにがなんだか分からん」

神娘「神に恋し、神に愛されるのは人間ではない」

男「…ん?」

神娘「譲渡されたとはいえ神の力を使えるお前の身は最早人間ではない、我々と同族…」

男「それって、まさか…」

神娘「お前は、神になったのだよ」

男「…そっかー…」

神娘「驚かんのな」

男「いや、別になんか驚かなくなったし」

神娘「適応するのは良い事だと思うぞ」

男「まーねー…神様とこうしていればもういいや」

神娘「私もだ」

男「…神様」

神娘「うん?」

男「もうちょっと違う呼び方出来ないかな」

神娘「今までのままでいいだろう」

男「気持ち的にさ、なんか違う呼び方したい」

神娘「まあ確かに、もう”神主”とか”人の子”とかで呼べないな」

男「神主でもいいんだがね」

神娘「それは人のなるものだ、神では神主になれん」

男「そうか…」

神娘「お前でいいか、おまえにすればなんかそれっぽいし」

男「若干暴言っぽいんだが」

神娘「なんか言ったか」

男「なんでも」

男「うーん…あ」

神娘「ん?」

男「みーちゃん、にしよう」

神娘「かーちゃんじゃなくて?と言うかその可愛い名前辞めろ」

男「母親みたいだから嫌だよみーちゃん」

神娘「やめろ」

男「みーちゃん」

神娘「やめんかこんばかもんがぁ!」ドカァァン

男「ちょ、やめろっ、爆発させるの止めうわぁぁぁぁぁ!」

―――――

男「大変な目に合った」

神娘「お前が悪い」

男「でも回復が早いから大丈夫」

神娘「簡単には死なんからなんでもできるな」ニンマリ

男「止めて怖いから止めて」

神娘「…まあいい」ストン

男「良かった生き延びた」ストン

神娘「…桜は良いな」

男「隣に神様がいると一層いいな」

神娘「同意だ、これに関してだけは」

男「なあ神様」

神娘「うん?」

男「この桜の…山桜だっけ?花言葉って何?」

神娘「お前そんなの気にするのか」

男「言われたんだよ」

神娘「何を」

男「花を送るのは気持ちを送る事だって」

神娘「それは同意だが…誰に言われたんだ」

男「いいじゃないか、それより教えてよ」

神娘「…『優れた美人』『純潔』『精神美』『淡泊』」

男「お、おう…なんかすごい言葉が」

神娘「後は…まあいいか」

男「えっ」

神娘「『桜』の花言葉ではないからな それにまあ、忘れた」

男「嘘つけ」

神娘「嘘じゃない」

男「神様の嘘は分かり易い」

神娘「神は嘘を言わん、神の発言が真実なのだ」

男「それせこいぞ、そして今はこっちも神だぞ」

神娘「くっ」

――――――

男「これからどうしようか」

神娘「下界に降りてみるか?」

男「そうだな…なんか怖いけど」

神娘「…親も、何もかも置いてきてしまったものな」

男「それだけは、胸が痛いんだ」

神娘「…すまん」

男「こればかりは恨ませてくれ、自分勝手すぎるけど」

神娘「受け入れるさ」

男「どれだけ変わってるだろうな」

神娘「知らん、それをこれから見に行くのだろう」

男「そうだな」

神娘「ああ、そうさ」

神娘「世界は変わる、永劫に止まる事なく回る」

男「時々ついていけなくて立ち眩みはするけどな」

神娘「その時は私がお前を支えてやろう」

男「なら、君が倒れそうな時は支えてあげるよ」

神娘「…頼むぞ」

男「こっちも、頼んだ」

神娘「行こうか」スッ

男「エスコートは要る?」

神娘「要らん、自分の足で歩けずして何が神だ」

男「へいへい」

男(階段を下っている)

男(あの時とは逆に、延々と続く階段を下っている)

男(そして、隣には神様が居る)

神娘「楽しみだな」

男「ああ」

神娘「怖くもあるな」

男(怖いけど、乗り越えられる気がする)

神娘「…もうじきだ」

男(光が見えてきた)

神娘「さあ行こう」

男(握った手だけがいやに現実的だ)

神娘「私を、いや――――」

男(そうだ、隣に居る君は)




神娘「我を呼ぶのは、どこの人ぞ?」

ここまで読んでくれた方土下座して感謝します ひとまずここで終わりになります
後日談をちょこちょこっとだけ書ければと思ってますが完全蛇足です
余計な事をぶつくさ垂れ流すのは苦手なのでこれで

たぶん明日1000行くまでぼちぼち書いてます

因みに何年待っていたのかわかった人は握手してください
有名な話なので分かる人はぴんと来るはず

百年だよね…?
記憶が曖昧でなんとも言えんが夏目漱石の話だったような違ったような…

>>952 握手
個人的に夢十夜は一夜と三夜がお気に入りです

――――

神娘「良かったのか?」

男「なにが」

神娘「墓参りだけで」

男「いいよ…というかどの面下げて会いに行けばいいのか分からんし」

神娘「ま、そこのところは国が何とかしてくれたらしいがな」

男「国が?」

神娘「お前は海難事故に巻き込まれて死んだ事になっていた、それだけだ」

男「なんて無難な、まあ微妙にあたってるけどさ」

神娘「……すまんな」

男「なんか」

神娘「ん?」

男「神様の気持ちが分かった、これは過去に囚われるわ」

神娘「ああ…」

男「時間が掛かるかもな、立ち直るのには」

神娘「…待っているよ」

男「ああ」

神娘「お前がそうしたように、私も力を貸すからさ」トンッ

男「…ああ」

神娘「これからどうしようか」

男「取り敢えず今まで通りぼーっとしてもしたいな」

神娘「冬だったからな、今まで」

男「…春ってこんなに綺麗なんだな」

神娘「秋に比べて食べ物はないがな」

男「花より団子じゃないからいいんですわ」

神娘「本当に?」

男「う…本当に」

男「一周まわったんだな」

神娘「ああ、夏から始まって秋、冬、そして春」

男「なんか夏って聞くのは懐かしいな」

神娘「こっちとしてもな、しばらくしたら夏になるかもしれん」

男「まあ今は」

神娘「このままでいいな」

男「……」ウトウト

神娘「おい」

男「うん?」

神娘「ここに寝ろ」ポンポン

男「膝じゃん」

神娘「膝枕がしたい」

男「……ん」

神娘「どうだ?」

男「…いい」

神娘「そうかそうか」

男「まさに神様のお膝元か…」

神娘「安心するだろう?」

男「そりゃ、勿論」

神娘「ゆっくり寝ろ、今までの分」

男「うんにゃ…おやすみ」

神娘「おやすみ」

男(柔らかい)

ヒュゥゥゥ…

男(暖かくて、心地のいい風が吹いている)

ゴォッ

男(春一番の様な突風も…)

ゴオォォォォォォ…

男「ん?」

神娘「へ?」

ドォォォォォォッ

男「なんじゃぁ!?」

神娘「おわぁぁっ!?」

ドシャァァァン…

男「……」

神娘「……」

竜女「……」

男「お前かよ!」

龍女「私だ」

神娘「驚いただろうが!」

龍女「そりゃ驚かせることが目的だしな」カラカラ

神娘「全くお前は…」

龍女「その前に我が友よ」

神娘「あん?」

龍女「おはよう」ニッ

神娘「…ああ、おはよう」プイッ

龍女「んー…」ジロジロ

神娘「なんだ?」

男「おん?」

龍女「やっと付き合ったかこのアホンダラが」

男「一発でばれたか…」

神娘「やっぱりお前には敵わんな…」

龍女「龍の髭はな、気を察知するのよ」カラカラ

男「なんか悔しい」

龍女「元人間に龍が負けると思うなよ?」

神娘「ぐぬぬ…」

龍女「それで、昨日目覚めたそうだな」

男「ああ」

龍女「外へは行って来たか?」

神娘「こいつに付いて行った」

男「墓参りでな」

龍女「ふむ…外はどうだった」

男「んー…なんだろ」

神娘「変わりあったか?」

男「なんか、前より馴染みが深くなったみたいな…」

神娘「ああ確かに、なんとなく過ごしやすくなったな」

龍女「やはり気づくか」

神娘「どう言う事だ?」

龍女「あの時、何か不気味な事が起こっている事は誰もが知っている事だった」

男「ああ、あの軍勢の進行があった時か」

龍女「幾ら時間がたっても解決しない問題、そのほかにも本能が危機を察知していた」

神娘「ほうほう」

龍女「相当な鬱憤、不安、そう言ったものが溜まりこんでいた…そこまでは向こうの思う壺だったのだろうな」

男「腹だたしいな」

龍女「だがあの夜を境にそれが一変した、空は元に戻り逆に清々しいまでの風が吹いていた」

男「神様何かやった?」

神娘「なにもやってない」

龍女「そっちの方が思いっきり暴風ぶっ放したから穢れとか色々溜まっていたものが吹っ飛んで行ったんだな」

神娘「やるなお前」

男「それ程でも」

男「それで、こっちに色々けしかけてきたのはどうなったんだ?」

神娘「思いっきり返したなら軽くはすまんと思うが」

龍女「壊滅した」

男「えっ」

龍女「翌朝には既に跡形も無く荒廃しておったわ、よっぽど大掛かりにやったのだろうな」

神娘「…ひょっとして、そのぶっとばしたのも全部?」

龍女「多分な、全く良い呪い返しだ!」ケラケラケラ

神娘「人を呪わば穴二つだなまったく」フッ

男「あー…あは、あははは…」ヒクヒクッ

男「えーっと…それとこれとでどう関係が?」

龍女「ああいや、その日の晩から色々と話題になってな」

神娘「そんな話題になるようなことしたかな」

龍女「『夜なのに眩い光が空から降ってきた』とか」

神娘「へっ」

龍女「『今まで感じたことの無い気分だった、震えるほど畏れを感じた』とか」

男「…神様」

龍女「『死にかけていた老人が全員飛び起きて口それぞれに信仰の言葉を口にし始めた』とか」

神娘「それってまさか」

龍女「それだけじゃない、『卒倒しそうな怒気と共に暴風が吹き荒れた』もある」

男「えっ」

龍女「いずれにせよ」パシン

神娘「…ナンノコトカナー」

男「ナンノコトダロウネー」

龍女「その日を堺に噴出した様に話題となった言葉がある」

男「……おう」

龍女「『神』…今までは鼻で笑われてたそれを大真面目に学者が語り始めた」

神娘「現金主義だなおい」

龍女「現に大多数が説明不明な事を感じていたのだ、説明不明な力が作用していたと考えるのも当然」

男「ううむ…で」

龍女「数十年にも及ぶ追及に耐えきれず国は遂に吐いた、『神は居る』と遂に認めた」

神娘「今まで認めてなかった癖に」

男「言うな神様」

龍女「結果として事は大きく動いた、一国が認めた事で他国も認めねばならくなったからな」

男「良い事なのか?」

神娘「まあ良い事ばかりではないだろうよ、こちらの力を悪用する者も出てくるだろうし」

龍女「今までまやかしだったと思われた研究が発展し、技術によって科学へと昇華された」

神女「調べれば何とかなるものでもないがな」フンッ

男「人間って調べずにはおれないからさ、ほら」

神娘「…まあ、そこは置いておこう」

龍女「うむ、結果として新しい宗教が生まれた」

男「え」

神娘「まあ当然だな」

男「なんでそんな落ちつけるんだよ」

神娘「神だからな」

龍女「まあそんな大したものではない、遊びみたいなものだ」

神娘「不敬だなおい」

龍女「本山を○○神宮、祭神をお前に定めた程度だ」

男「んー…なんか複雑だ」

龍女「なにがだ、もう力を失う心配はないのだぞ?」

男「それでも…なんだかな」

神娘「私の身は信徒の物だからな、慣れろ」

男「…それでもさ」

神娘「私の”身”はな?」

男「ああ」

神娘「だが”心”は違う、それは二人の物だ」

男「…おう」

神娘「それでいいだろう?」ニコ

男「…そんな顔されたら駄目って言えないわ…」

神娘「はっはっはぁ」

龍女「これで終わりかな、私が言うべき事は」

神娘「助かった」

龍女「いやいや」

神娘「結構重要な事を教えられてな…うむ、持つべきものは友」

龍女「今度餅奢れ」

神娘「男手が居るからな」

男「…分かったよ」

龍女「はっはっは、きなこ頼んだ」

神娘「私はあんこで」

男「磯部…」

神娘「見事に分かれたなおい」

龍女「」

>>972 ミス

龍女「で、どうするつもりだ?」

神娘「どうって」

龍女「お前らは外に出るつもりはあるのか?」

男「うーむ…」

龍女「出ればそれなりの信仰は集まる…いや”実物”なんだ、凄まじい効果が出るだろうな」

男「どうする?」

神娘「外か…」

男「どっちでもいいんだ、神様次第」

龍女「まあ私はそれに関してとやかく言わんさ」

――――――

母「ここが○○神宮ね」

子供「わーい!綺麗な花で一杯だー!」

父「こら、ここには神様が居るんだからはしゃいじゃ駄目だよ」

神娘「別に子供がはしゃいだぐらいでとやかく言わんがな」

母「えっ?」

男「あ、すみません…こいつちょっと変人で」ペコリ

神娘「むうっ」

父「あなた達もこの神宮にお参りに?」

男「ええ、まあ」

母「神様が居るんでしょうか…」

神娘「居るぞ、信じれば神は居る」

父「…そんなもんですかね」

神娘「ああ、だから安心して信じろ…そこに神は居るのだから」

父「それでは私は神宮を回ってきますね」

母「ほら、行くわよ?」

神娘「気をつけろよ」

子供「……」ジーッ

男「ん?どした?」

子供「ばいばい、かみさま」ダッ

男「へっ?」

神娘「子供は純粋な分勘づくのかもな」

男「…そうかあ」

神娘「こうして人間に紛れるのも久しぶりだな」

男「こっちもだよ」

神娘「私が人間だった時も、こうして人に囲まれていたな」

男「もう、無理しなくていいんじゃないかな」

神娘「無理はしてないさ」

男「神らしく生きるとか、神らしく振舞うとかじゃなくて…人の中に居る神でもいいじゃないか」

神娘「…そうかもしれんな」

ヒュゥゥ…

男「…風だ」

神娘「私が起こしたんじゃないぞ」

男「知ってるよ、でも…」

―――「私は…神様であって神様ではない」

男「あれ」

―――「気を付けて」

男「待てよ」

神娘「ん?」

――――「これで、私の役目も終わった」

男「神様が過去を認めた時に”神様になりきれなかった神様”は役目を終えた」

――――「彼女の強い罪の意識が私を呼んだんだ」

男「罪の意識が薄れた以上現れることは無い…だったら」

――――「そうだよ、私は神様だから」

男「『あの再び現れたの』は、どの神様だ?」

――――「教えてあげるよ」

男「何のために現れたんだ?神様の強い意識ってなんだったんだ?」

ヒュゥッ ヒュルルゥッ


ヒュゥッ



娘「それはね」

娘「現れる筈のなかった私、神様の強く成長してしまった無意識の自我」

―――「私は人を生かす為ではない、人を殺すための神だ」

娘「一度目は過去への贖罪」

―――「戦争を止める為ではない、戦争を続けるための神だ」

娘「そして二度目は…」

―――「私としては、一緒に居られるだけでもいいのだ」

娘「決して混じりあうことの無い存在への恋慕」

―――「…神主」

娘「簡単に言えば私はお手伝いとか後押し役だね、損な役」

娘「大丈夫とか言っておきながら全然大丈夫じゃないんだよね」

娘「みっともなくて、卑屈で」

娘「…まあでも、いいかな」

娘「だってあれは私だもの」

ザァァァッ…

娘「花嵐はいつ見ても綺麗、向こうに居る二人は見れないだろうけどね」フッ

ザァ…

娘「さあ、そろそろ行こう」スゥ…

ザッ…

娘「末永く仲良くね」

ザァァァァァァッ


ザァァァァァッ 



ザァァァッ…





ザァッ…

男(風が吹いている)

神娘「おい」

男(どこまでも続く空に、風が)

神娘「手を繋ぐぞ、有無は言わせん」

男(願わくばいつまでも吹き続けているように)

神娘「ん?」

男(願わくば―――)





神娘「我を呼んだか?」

男「呼んだよ」





男(君に届く様に)

後日談終了
ぎりぎりですねぎりぎり、私の頭がぎりぎりなせいでペース配分ぎりぎりですぎりぎりぎり
二か月もかかった点ももうぎりぎりですわぎりぎり
読んでくれてありがとうございました 人外物流行れこら

乙すぎる

>>1のまとめブログ的なものないの?

>>989
そんな洒落たもの持ってません 好き勝手書き散かすので探してればあるかも
十中八九黒歴史だから言いませんが

そして酉を付け忘れる失態
見直してみると誤字が凄かったけど見逃してください

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年03月24日 (月) 07:56:53   ID: qKBraKbh

久々にいいものを読んだ

2 :  SS好きの774さん   2014年05月31日 (土) 12:16:25   ID: 4ojmJmRm

もっと評価されてもいい!

3 :  SS好きの774さん   2014年06月08日 (日) 23:38:19   ID: rVANNbaf

これほど感動したssは初めてです

4 :  SS好きの774さん   2014年06月14日 (土) 00:46:29   ID: mjhpELT7

初めてssで涙がでました

5 :  SS好きの774さん   2014年10月05日 (日) 23:13:34   ID: ZrFXhwEA

これ俺がよんだSSの中でもトップクラスの面白さだわ

6 :  SS好きの774さん   2014年11月15日 (土) 05:17:29   ID: Q_UjgXSz

こりゃマジでいいもん見た
おかげでほとんど徹夜になった

7 :  SS好きの774さん   2014年12月13日 (土) 13:53:49   ID: udb1X0rw

この話をいつまでも読み続けてたい

8 :  SS好きの774さん   2014年12月14日 (日) 10:57:57   ID: URxDxKF-

さぁ>>1の作品を曝け出すのだ!皆の衆

9 :  SS好きの774さん   2014年12月17日 (水) 23:41:59   ID: DqSB6ger

いつも何事も、後回しにしていて後悔していたけどこれを
読んだら自分の中の扉が開いた。

10 :  SS好きの774さん   2015年04月02日 (木) 21:40:41   ID: Dr-Z9LC_

売り込めばアニメ化も・・・!

11 :  ミーアキャット   2015年04月19日 (日) 15:01:01   ID: FArxAJrw

泣いたSSは初めてです!
これ本にしましょう!
異論は認めません!

12 :  SS好きの774さん   2015年07月01日 (水) 14:30:14   ID: X0tQ5S7L

これは俺の読んだssでは最高だわ

13 :  SS好きの774さん   2016年02月09日 (火) 02:54:49   ID: oA9UrI7x

初めてssというもので泣きそうになってしまいました。とてもよかったです。

14 :  SS好きの774さん   2016年06月21日 (火) 00:09:36   ID: zfva0ya5

こりゃいい
暇つぶしに読み始めたのにあとの予定も潰してしまった。

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom