中野梓「桜が丘高校が廃校…取り壊しですか…」 (17)

壊される前にもう一度、あの頃の部室を見ておきたいと思った

そう思って、私は廃墟になっている学校を訪れた

先輩達は今なにをしてるんだろう、いつからだったかな、連絡がとれなくなったのは…

携帯電話の画面を見る、あの頃みんなで撮った写真が今も待ち受けになっている

今はもう、会えない先輩達だけど それでも私にとって 人生で最も輝いていた 大切な思い出

階段が軋む

あの頃とは違う 湿気と埃の入り混じった独特の空気が 私の体に纏わり付く

それでもやはりあの学校だ あの頃の部室がこの階段の先にある

部室の前につくと、少し驚いた

けいおん部 と かかれた札が 今も扉にぶら下がっている

乙、面白かった

まあまあだったよ、また書いてくれ

後輩たちがスクールアイドルやる話ですか?

扉を開けようとした私は、思わず手を止めた

声が聞こえる、最初は気づかなかったけど、集中するとその声ははっきりと聞こえ出した

”りっちゃんが”

”ライブでー”

”澪が~”

”ゆいちゃんてばー”

澪ちゃんたち死んじゃったん?(;ω;)

いまどきけいおんって

唯「ちゃんと聞こえたよ」

何年前のネタだよ

続きはよ

おそるおそる扉を開けた私は息を呑んだ

そこにはボサボサの髪の毛に、ボロボロの制服を着た かつての先輩達がいた

あの頃で時が止まったかのように、今度の学園祭ライブについて楽しそうに意見を交わしていた

扉の前で立ち尽くす、私にも気づいてないようだ

なにこれなにこれ 怖い、逃げなきゃ、なにこれ? 夢? 思考の波に飲まれた私の足が ぐらつき ドアをけってしまった

「あ、あずにゃん」

せめて一人称か三人称か統一しようぜ

あかんこれ怖いやつや

おい恐いやつかよ

はよ

はよお

意外と成人編とかありそうだ

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