男「ハーレムをッ!作りたい!!」 (30)


男「だが女の幼馴染などいない!」

男「生徒会長どころか委員長とも接点を持っていない!」

男「つーか委員長男だ!」

男「厳しい! 現実が厳しすぎる! 生きるのがつらい!」

男「よし! じゃハーレムは諦めるしかないな!」



遅筆&書き溜め無しデース

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ガチャ

姉「アンタさっきからうるさーい」

男「あ、ごめん」

姉「ハァ……」

バタン

男(……普段は元気な姉が溜息をつくなんて。俺はそんなにウザかったのか)

男(これから……家に居るときはなるべく静かにしていよう)

母「男ー 朝ごはんできたわよー」

男「今いくー」

男(母さんには悪いけど、今はなにも食べたくない)

男(でも悲しませるのはちょっとなー 食べるしかないか)


と言う訳で


男「いただきまーす」カチャ ガツガツモグクッチャクッチャゴクン カチャン

男「ごちそうさまでしたー」

姉(うわぁ……食べ方汚なぁ……)


男「うわっ もうこんな時間か! んじゃいってきまーす」

母「いってらっしゃーい」

姉(オーバーリアクションうざぁ……)

20分後

男「学校に着いてしまった」

男「ハァ……全校生徒が100人以下の何もない田舎の学校……
  そのうえ生徒の7割が男子……」

男(同じクラスに女子が9人しかいないなんて悲しすぎる。)

男(9人ならハーレムはできなくもない!できなくもない…が)

女「あ、男くん、おはよ!」

男「おはよ!」

男(コイツ 彼氏がいるんだよな……)

~教室~

副会長「で、そしたらさ、女のお兄さんの鼻から飛び出てきたってワケ」

書記「え、それ本当? 女のお兄さんって面白いんだね」

会計「そのうえ超カッコいいんだよ! ホントうらやましいよねー!」

ガラッ

副会長「あ、噂をすれば、女と男だ おはよー」

女「おはよー副会長! なに話してたの?」

会計「女のお兄さんの話!」

男(俺の話だったらよかったのに)

副会長「女のお兄さんってかっこいーよねーって話してた」

女「えー あの兄さんが? ないない!」

会計「恥ずかしがるなってー! ほんとは嬉しいくせにぃ」ツンツン

女「ちょ、会計 ほっぺつつかないで」

会計「あははゴメンゴメン」


会計「そういや昨日のアレ見た?」

女「見た見た! 超最高だったよね」

副会長「うんうん」

書記「つ、続きが楽しみだね」


男(アレってなんだよアレって……)

男(それでいてちゃんと会話が成立してる女子ってすげえ)

男「おはよー」

友「おはよーおつかれ」

男「女子ってすげえな」

友「だな」

男「俺も女のお兄さんみたいに イケメンで高身長で高学歴ならモテるかな」

友「そこに高収入も追加すればモテるんじゃね?」

男「現実って嫌だな」

友「ホントそれだわ」

友「そういやお前さ」

男「うん?」

友「………」

友「…いや、なんでもない」

男「なんだよ~ 気になるだろー!」

友(……)

男(……なんだか様子がおかしい)

男(……まさか)

男「なあ、友。お前もしかして」

友「」ギクッ

男「恋しちゃってるのか?」コソッ

友「ちげー ……うん? あ、いや、ええっと、……実はそうなんだ」

男「うおおマジかよッ!!」ガッターン

副会長「男!ちょっと黙れ!うるさい!」

男「おー悪ぃ!」

男「後で俺だけに教えてくれよ? お前の好きな奴」コソッ

友「あ、ああ……」

キンコンカンコーン


――時間が経つのは早いものだ。

体感時間にして約10分で、一日が終わってしまった。

俺は家に帰りたくて仕方がなかった。

神経質で低血圧の姉は、俺の隣の部屋にいるから、静かにしていなくてはいけない。

でも自分の部屋が一番心休まる場所だから。

俺は足を急かしていた。

あのあと、友は恋している奴の名前を教えてくれた。


「お前の隣の席の、根暗が好きなんだ」


すごく意外だった。

話によると、友が根暗に困っていたところを助けて貰ったのがきっかけだったそうだ。

友は、今まで恋愛をしたことがなかったので、根暗に向けている気持ちが分からなかったそうだ。
でも俺に「恋か?」と聞かれて、はじめて「そうだ」と気付いたみたいだ。

俺は、今すぐにでも告っちまえよと言ったが、
「根暗、今日は休みだから無理だ」と落ち込んでいた。

男「ただいま」

両親は共働き。姉は高校生。

俺以外、家族は誰も居ない空間へとつながる扉を開けた。

当然だが、中には誰も居なかった。

宿題は学校で済ませてしまって暇だったので、リビングでTVゲームをすることにした。

テレビをつけると、連続殺人事件だとか不景気だとか、
とにかく暗いニュースが流れていた。

男「はあ……こりゃ ハーレム作るゥ! なんて言ってらんねーな。」

さすがの俺でも空気を読む能力ぐらい持っている。
不謹慎だ!なんて批判を受けるほど、えげつなく寒い行動をとるつもりはない。

男(でもこりゃマジで……諦めるしかねえんだよな……ハーレム作り)

悩む俺の耳に、着信音が突っ込んできた。

男「誰だ?」

普段ならLINEを使って連絡してくるはずの、友からだった。


ピッ


男「もしもし?」

友『よお』

男「珍しいな、電話とか」

友『こういうのは、直接話した方がいいと思ったんだ』

スマホを片手に、リモコンをいじり、ゲームを起動した。
つい先日発売したばかりの格ゲーだ。

男「おいおい告白か~? もしかして、本当に好きなのは根暗じゃなくて俺だったり~…
  しちゃうッ?!」

友『告白……そ、そうだな。告白、だな。たしかに、こ、これは、告白だ。』

男「ちょ、落ち着けって! え、なに?マジで?!」


まさか友が俺を好きだったなんて……。

いや、確かにハーレム作りたい! って思ってたけど、これは少し違くないですか?
もっとこう……エッティなかんじの美少 女 と イチャイチャしたいんだよッ!

友『根暗が好きだってこと……今日、言っただろ?』

男「あ、ああ」

友『それ言ったらよォ……なんかもう、耐えきれなくなって……』

友は泣いていた。しゃくりあげながら、話を続けた。

友『俺……はじめてアイツと、ちゃんと…会話したのは、4月…だった。
  根暗が……ライトノベルとか読んでるの知って……好きな本とか、いろいろ語ったんだ』

友『なあ男?アイツさぁ……すっげぇ明るいんだよ。
  自分から話すことが少ないだけで、全然暗い性格じゃなかったんだよ』

友『むしろ明るかった…… 女子って本当、分かんねえよな』

友『こんなに女々しいこと言うなんてありえねえけど……
  俺、アイツが好きだった。本当に好きだった。告白したかった』

男「……」

友『これは恋愛的な意味じゃねえけど、俺は、男の事も好きだ。
  根暗と同じくらい大切な存在だと思ってる』


俺は、通話を切る事にした。
この続きは聞かなくても分かっていたからだ。





友『頼む。自首してくれ』




やっと、ゲームのタイトルが流れた。

……事の始まりは昨日の夕方。(でも遡ると長くなるし、書きたくなったら書くので書かない。)

どうして友は、「この事」を知っていたんだろう?
見ていたのか? それとも知り合い全員が知っている?


男「ここまできたら、やり遂げるしかないと思ってたんだけどな」


俺は、クローゼットから、根暗の死体を引きずりだした。

ついさっきロードが済み、タイトルが流れはじめたゲームは、取りやめにした。

どうせ根暗を殺したことはばれてるんだし、
だったら家宅捜査が入る前に部屋の片づけをしよう! と思ったからだ。

見られたくないものがあるベットの下から片付け始めた。

俺にとってエッティな本・表紙はシュレッダーはさみで千切りにして捨てることにした。
どの画像にも思い入れがあったが、涙をこらえて切った。

【市松人形の呪い】【市松人形カタログ】【お人形の怖い話】
【都市伝説の恐怖】【ほんとにあった怖い話】

俺の青春であり希望だったものが、すべて紙くずとなった。

!?

◇ ◇

少し俺の人生について語らせてください。


俺は、昔から「怖い物」が好きだったんです。

俺の事をかわいがってくれた年上のおねえさんよりも、
長年友人をやってきた友よりも、オカルトだとかスプラッタだとかが好きでした。

自分でもおかしいと思うが、「怖い物」…ゾンビとか幽霊を想像したり、見たりするだけで、
ウットリするんです。

ウットリというのは……その…つまり……神を崇めているような気持ちになってしまうことで……

……気が触れているとしか思えないでしょう?


悟られないよう、必死に隠してきました。

でも昨日、根暗を殺したことで台無しになってしまいました。

動機はありません。

つい…ふと思いついて、あとはノリで。

ここだけの話。
自首しなければ、根暗だけでなく、他の女性も殺してたかもしれません。

女とか、姉さんとか。


……ええ。もういっそのこと、ハーレム作っちゃおっかなって。

ハーレム…知らないんですか? 漫画とかであるじゃないですか。
あんなかんじで、俺の……いや、僕の理想郷作っちゃおっかなって。

もう根暗の死体見ちゃったら……アヘッ、フフ……すみません。
なんか興奮してきちゃって。

生気のない顔とか、半開きの眼とか、「市松人形みたいだな」って……。

「幽霊になって復讐しにくるかな」とか「こんな穢れた思いを抱いちゃいけない」とか思ってたら……
ますます興奮してきて………(あッ、思い出したらゾクゾクしてきた……)。


(……家族には、悪い事しちゃったな。

 悲しませるようなことして、本当に申し訳ない……。)

塀の向こうの家族を想うと、胸が痛くなる。

どうやら俺のやったことは、全国ニュースで放送されたらしい。

情報網が「恐ろしく」広くなった現代だ。きっと今頃、自宅は大変な事になっているだろう。


悲しみと恍惚で入り混じった複雑な表情で、柵が取り付けられた窓を見た。
窓の向こうは、コンクリートの壁しか見えなかったが、
俺の脳裏には、哀しいほど何もない、あの田舎が浮かんでいた。



「男と死体とハーレム計画」


おわり

分かり辛くてすみませんでした。特に最後らへん。
初めてSS書いたんで、書きこみあって超ビビりました。
ていうかこんなに短いSSでもそれなりに体力使うんですね。
読んでくれて、ありがとうございました。

おつおつ

なぜ殺されたとわかったんだ?

>>28
友が男の犯行現場を見てたってことでお願いします

HTML化依頼出しました。
とりあえず完結です。
無いとは思いますが、続きを思いついたら立てたいです。(多分思いつかないけど)

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