望月聖「いいことが……ありました」 (27)



*モバマスSSです


サアアアアア…


聖(……)

聖(…こんにちは……聖です)

聖(雨のおかげで……事務所も、ずいぶん、過ごしやすくなりました)

聖(私…良好です)ハフ…



あやめ「?」


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あやめ(ふふ…窓枠にあごをのせて……聖殿は今日もなんだかだれているご様子)

あやめ(む…しかしあの表情は『そうは言ってもこのくらいの残暑湿気はなんのその!』という力強さにも満ちておりますね…)ウンウン

あやめ(いやはや、あやめほどにもなると仲良くなった方の思うところは一目見ただけで手に取るように分かります!自分の才覚が末恐ろしいですね!)フフフフ…



ほたる「??」

ほたる(…ああ…またあやめさんがなにかひとりごとを言っています…)


ほたる(あはは…楽しそうだから……いいかな…)

ほたる「!そうだ…」ピコーン

ほたる「んしょっと」ポスン

ほたる(ノート……どこに仕舞ったかなぁ…)ゴソゴソ



聖「???」


ほたる(あ、……あったぁ…よかった……)ホッ…

ほたる(…えへへ。ええと、今日のページは…)パラパラ

聖「……」

聖「…!」ピコン

聖「……」コソコソ

ほたる「……」ゴソゴソ

ほたる「…?」

ピト

ほたる「!!?!…ひうっ…」ビクッ

聖「」ビクッ

あやめ「」ビクビクゥ


ほたる「…!??……!?!?」ビクビク

聖「あ、あの…その」アセアセ

聖「ご、……ごめん。そんなに、驚かれるとは……思わなくて」

ほたる「……あ……聖ちゃん……」

ほたる「う、ううん。わ、私こそ、大げさに驚いたりして……」アセアセ

聖(悪戯はほどほどに……です)マナンダ

あやめ(ふふっ。なんだか微笑ましいやり取りですね……)ガタガタ

ほたる(……あやめさんはどうして机の下で丸まってるんだろう…?)

あやめ(べ、べつに突然の大声に怯えてなどいませんよ!あやめは忍びだもん!)フ、フフーンフ…

ほたる(だ、大丈夫かな…)ソワソワ


ほたる「そ…それにしても」

聖「?」

ほたる「聖ちゃんの手は…ひんやりしてて。あの、大丈夫…だよね?ひょっとして体調が悪かったり…なにかまた私のせいで…」ギュ

聖「…」

ほたる「?…あっ」パッ

ほたる「ごっ…ごめんね。急に握ったりして、それに、私が触ったりしたらまた…」

聖「……」ニコ

ギュ

ほたる「…ぁ…」

聖「……じゃあほたるちゃんが、暖めて……。それに、暖かいと、…不幸でも、暖かいから……」

ほたる「……は、はぃ」

ほたる(でも最後の方はなんだかよく分からないような…?)

聖「…………」フンス

ほたる(…、いいこと言ったーって顔なので、……なにも言わずにおきます…)

ほたる「……えへへ」ギュ

聖「♪」

あやめ「なにも怖くないなにも怖くないあやめは忍びあやめは忍び……」ブツブツブツブツ…

ほたる(あやめさんは大丈夫でしょうか…)アワワ…


ほたる「…それにしても…あの」

聖「?」コク

ほたる「ど、どうして急に、首筋を触って来たりなんて…」

聖「……ほたるが……なにかしているのが、気になって」

ほたる「……あ、はい…」

聖「うん…」コク

ほたる「…………」ハイ…

ほたる(…ふ、ふつうに声をかけてくれたら、いいような?)

聖「……想いを言葉にして、届けるのが、……苦手なので…」テヘ

ほたる(……、聖ちゃんなりの冗談か、な…)ア、アハハ…



ギュウ


ほたる「?」

聖「……私の想い……ほたるに、伝わった…かな…」

ほたる「……」

ほたる「う、うん。だ、大丈夫だよ…」

聖「……そっか。よかった…」ニコ

ほたる「……」コクコク



あやめ(出るタイミングを見失いました)ゴソ

あやめ「あう」ゴン

あやめ「……」サスサス


聖「……」ギュ

聖「それで…」

ほたる「??はい」

聖「それって……なにかな……って、思って」

ほたる「あ…これですか?あ、あはは、これはその…」サッ

聖「……」ムム

聖「気になる」

ほたる「えっ…ええぇえ……」

聖「気になる」バッ

ほたる「あ、あの、その手のかまえはいったい……ひう」ジリ…

聖「必殺技……凍てつく指先、の……出番です…」ワキワキ

ほたる「ひぇええぇぇ」



P「…」

P「なにしてんの?」

あやめ「あっプロデューサー殿っ。いいところに戻られましたっ」ガタガタッ

あやめ「こ、この。…引き出しの下にお団子が引っかかって出られぬのですよぅ……」グス

P「まぬけすぎるだろ」


聖「伝えられないのなら……実力行使です」ババッ

ほたる「い、いやぁ……伝わってはいるんだけど、は、恥ずかしいからっ…ひうー冷たいですー」

聖「ふふ…お早目の白旗を……お勧めします」ペタペタ

ほたる「ふえぇぇー」



P「引っ張ってやるから出て来い」

あやめ「そ、そんなことをしてはお団子が……。ぷ、プロデューサー殿はあやめとお団子どちらが大事だと仰るのです!」

P「なに言ってんだ。そりゃあやめだよ」

あやめ「あ、あう……そんな風に面と向かって言われてしまうと……照れてしまいますよっ」//

P「いいからはよ出て来い」グイグイ

あやめ「いたたたたた……」グリグリ



スポーン


聖「……取ったり」フンス

ほたる「あう…せ、せめて……中は見ないでくれると……」

聖「??…『いいこと手帳』……?」

ほたる「う、うん」

ほたる「その…さ、最近は……昔に比べて、いいことがたくさんあって。でも私は……その…不幸の子に変わりはないから……」ゴニョ

ほたる「い、いつかまた、不幸になっても、いいようにって。楽しかったことを、いろいろ書いてるんです…」

聖「……なるほど…」

ほたる(……恥ずかしい…)

聖「…………」

聖「……ほたるは……やさしいと、思う」

ほたる「…え?」



あやめ「ぷ、ぷろりゅーさ……む、無理やりは、女子にきらわれますよ…」イーターイー

P「誤解を招く言い方をするな。お前がそこにいたら仕事にならないんだよ、早く出ろ」グイグイ

あやめ「それは…つまりあやめが側にいると胸が落ち着かず仕事が手につかぬということですかな!?」ニニーン

P「下らねえこと言ってるとお団子もぐぞ」グリグリ

あやめ「あっ出ますっすぐ出ますのでこれ以上はどうかぁ」ニ、ニーン…


ほたる「ひ…聖ちゃん、それって、どういう……」

聖「……」ニコ

聖「私は……伝えるのが苦手……だから」

ほたる「あ…ずるい…教えてよ」

聖「……ふふ……まだ、表現力が足りない……」フフフ…

ほたる「……もー…」


聖「……でも、大丈夫」

ほたる「?」

聖「……みんな一緒だから。きっと……。上手く言えないけど……」

ほたる「……うん」ニコ

ほたる「そうだよね…そう、信じたいな」

聖「……」ニコ

聖「…、あ」ピコーン

ほたる「??」



P「大きなカブを思い出すな」グイグイ

あやめ「あやめは人間ですよ!?」

P(あー…職場でなにやってんだろ俺……唐突に賢者タイムだ……)グイグイ

あやめ「ちょ…ぷ、プロデューサー、は、激しいですよぉ……!」イタイ…

P「もう黙ってろお前」グイ

あやめ「むぐむぐ」


聖「……こんなのは……どうでしょう」カキカキ…ペタ

ほたる「??これは……?」


スポーン


ほたる「?」

聖「??」


あやめ「あう」ドタ

P「やっと抜けた…」

あやめ「か、かたじけないです…」

P(…、べつにあやめは悪くないというか…俺が悪乗りしただけだし…)

P「すぐに謝ったり、あやめはいいやつだな。こちらこそごめん」

あやめ「!ふ、ふふー。そんなことはありませんよぅ!」テレテレ

P(うざ可愛い)


聖「……びっくり……しました」

P「?ああ、悪いな。驚かせちゃったか」ポン

聖「はい…」

ほたる「だ、大丈夫ですか…?」テヲ…

あやめ「か…かたじけないです…。わたくしとしたことが」アイタタ…

ほたる(……あやめさんが痛い思いをしたのは、また私の……せいなのかも…)ハア…

あやめ「??」

あやめ「…、ふふ」



ポン

ほたる「?ふわ…」ワシャワシャ

あやめ「それを言うなら『ほたる殿のおかげ』です。おかげでプロデューサー殿とちょっとした時間を過ごすことができました」コソ

ほたる「……あ…」

あやめ「ふふ。ほたる殿のおかげですよ♪」

ほたる「……」//

ほたる「そ、そんなこと…」フルフル

ほたる(ふふ……あやめさんの言葉は…本当に忍者さんみたいに、なんだか特別です)


P「これは?」ピッ

P「……、『回るお寿司屋さんに行きたいです』…?」

聖「……はい」コクコク

聖「『いいことがありますように』メモです。対抗馬です」フンス

P(なんの話だ)


P「……、というかこれ、ただの『わがまま』メモじゃ」

聖「ち、……違います。『いいことがありますように』…」ブンブン

P「本当か?」ジト

聖「……、」サッ

P「目を逸らすな、おい」


P「……まあ…どうせ昼飯がまだだしな。普通にお願いしてくれればべつに――」

聖「!ま、回るおすし……行ってみたい……」ピョンピョン

P「よく言えました。じゃあ四人で行こうか」ナデナデ

聖「……わーい」エヘヘ

あやめ「おおープロデューサー殿は太っ腹ですね!」

P「あやめはおねえさんだから半分出せよ」

あやめ「あれっ」

ほたる「…………」クス



クイ

ほたる「?」

聖「……ね」

聖「ほたるのおかげで……いいことが……あったの。ありますようにって思うのも……いいと思う」

ほたる「…………えへへ」

ほたる「そ、…だね。そうかも…」

聖「……そう、です」コクコク


P「よし。じゃあ行こうか」

P「――って…なんだか二人は嬉しそうだな。いいことでもあったのか?」

聖「…」ニコ

ほたる「…」ニコニコ

あやめ「ありましたよ!」ハイッ

P「あやめには聞いてないぞ」

あやめ「聞かれてなくても話しますよ!」ニーン

P「なんだとぉ」

ほたる「……」クス

ほたる「はい。プロデューサーさん」

聖「いいことが……ありました」



・・・・おしまい

同い年同士の二人の口調は手探りなので違和感があったらごめんよ

アンソロのひじりんが可愛過ぎた
楽しかったです。深夜ですがお読み頂いた方、ありがとうございました

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