P「暴走特急高木順二朗」 (39)

P「いけっ、そこだ……!」

小鳥「頑張ってぇ……!」


『アウト、アウトです! スリーアウト、試合終了ーー!!』


P・小鳥「「キターーーー!!!」」


P「勝ちましたよ音無さん!ゴキブリの如き粘り勝ちですよ!!」

小鳥「勝ちましたねプロデューサーさん!嫌な例えしますね!!」



ガチャッ

春香「おはようございまーす」

千早「……何してるんですか?」


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P「あぁ、高校野球見てたんだよ。 暇だし」

千早「甲子園はまだ開幕していないはずでは?」

P「地方大会、西東京予選さ」

春香「でも、仕事さぼってテレビって……律子さんに怒られますよ?」

小鳥「いいのよ、都立高がベスト4なんて滅多に無いんだから」

P「去年もありましたけどね」


P・小鳥「「HAHAHAHAHA!!」」


春香「うわぁ、いやな大人たち」

千早「そういえば、今日は人が少ないわね」

春香「確かに……」

P「夏休みだからな」

千早「関係あるんですか?それ」

小鳥「でも、社長も居ませんね」

P「さぁ……日サロでも行ってるんじゃないか?」


P・小鳥「「HAHAHAHAHA!!」」


春香「2人とも酔ってます?」

ガチャッ


高木「ごまうぇーい、ごまえーい」

P「あっ社長、おはようございます!堂々の社長出勤ですね!」


高木「頑張ーって ゆきまっしょっ」

小鳥「社長!今日も黒いですね、高校球児もビックリです!」

春香「失礼すぎません………?」


高木「いちっばっん 大好きーな」

千早「……」


高木「私になりーたーいー」パリーン

P「……」

小鳥「……」

春香「……」

千早「……」


P「……………」



P「何? 今の」

P「千早、今事務所を駆け抜けていった人って」

千早「社長ですね」

P「……」

小鳥「えっと、今窓をぶち破っていった黒い物体は」

春香「しゃ、社長……ですかね……?」

小鳥「……」


P・小鳥「「HAHAHAHAHA!!」」


春香「現実逃避!?」

P「いや、おかしいだろ!こんなの絶対おかしいよ!」

春香「お、落ち着いて下さい!」

小鳥「なんか歌ってたし!なんか美声でしたし!」

春香「あれですよ、社長なりにGO MY WAYしようと思って……」

千早「その結果、窓を破った?」

春香「……」


P・小鳥・春香「「HAHAHAHAHA!!」」


ガチャッ

高木「キラメキラリー ずっとチューッと〜」

春香「また来た!?」

P「あれは……幻術なのか!?」


高木「地球でー 輝く光〜」

小鳥「イヤ、あれは……幻術なの!?」


高木「キラメキラリー もっとモアッと〜」

P「イヤ、あれは」

春香「しつこい!」


高木「私を私と呼びったっい!」パリーン

P「……」

小鳥「……」

春香「……」

千早「……」


P「…………」



P「社長だったな」

春香「はい……」

小鳥「体に傷一つありませんでしたね、社長」

春香「2階から飛び降りていったのに……」

P「アレだな、さながら……」

小鳥「さながら?」

P「……さながら、暴走特急だな」

春香「絶対、今考えてなかったですよね」


P「HAHAHAHAHA!!」


千早「プロデューサー、社長は同じルートを走っているので環状線です。 特急ではないかと」

春香「そこツッコんじゃダメだよ、千早ちゃん」

小鳥「いえ、大阪では特急も走ってるわ!」

春香「張り合わないで下さい!」

P「……というか、遊んでる場合じゃないな」

小鳥「そうですね」

春香「え?」

千早「社長はまたすぐやって来るわ、春香。 スタンバイしないと」

春香「……す、スタンバイ?」


P「バリケード、こんなもんでいいですかね」

小鳥「ガムテあるので補強しましょう」

千早「窓、どうします?」

P「あぁ、補強頼む」

春香「……」




春香「順応早すぎません?」

ガチャッ メキメキッ


高木「いつだって 微笑んで〜」ベキボキッ

P「音無さん、麻酔銃早く!」


高木「歩き出せる なーかーまーとなら」メキョメキョッ

小鳥「分かってますよッ!」ジャキッ

春香「何?何この展開!?」


高木「輝いて 見ーつめてー」パキューン

小鳥「ッ…………麻酔、効きません!!」

千早「そんな………!」


高木「今ー はーじーまーる ブランニューデイ!」パリーン

P「……」

小鳥「……」

春香「……」

千早「……」


P「…………」



P「クソッ!!」バン

小鳥「プロデューサーさん、落ち着いて」

春香「さっきまでのギャグな雰囲気はどこに……」

千早「プロデューサー」

P「どうした?」

千早「私に……考えがあります」

春香「……」

千早「高木社長は、歌を歌っています。 これは、何か核心に近いとみて間違いないのでは?」

P「……何が、言いたい」

小鳥「……」


千早「私の歌で、彼を止めます」


P「………!!」

春香「……いや、何それ?」

P「待て千早、無茶だ! それに、お前もただじゃ済まないぞ……!!」

春香「あれですか、コント方向に切り替えたんですか?」

千早「春香……ごめんなさい」

春香「何が!?」


小鳥「………私もやります」

P「音無さん?!」

小鳥「まだまだ、若い子には負けられませんから!」

P「……」



P「ご武運、お祈りします」

春香「……」

ガチャッ


高木「べつになんて いーわないーでー ちがうって言ーってー」

千早・小鳥「「あーなーたーの まーっちでー 燃ーえー尽ーきたーいよー」」

春香「何でLittle Match Girl?」

P「千早のデュエット曲だから、だろうな……」


高木「言い訳なんーか 聞きたくなーいわ 胸が張り裂けそーうーでー」

千早・小鳥「「蕩けーるほどー 私ーの眠りにキースしてぇー」」ズズ

春香「……押されてる?」


高木「私のことがー 好きなーらー アノコをわーすれてー」バキッ メキッ ズドン!!

千早「ぐ………っは」ゴシャァ

小鳥「………〜〜〜〜ッッッッ」メリィッ

P「なっ!?」

春香「流れるようなコンボ……っ」


高木「どーこーか とーおーくへ連ーれーてぇー 行ーってー」パリーン

P「……」

春香「……」

小鳥「」

千早「」


P「………春香」

春香「はい?」



P「すべて、解ったよ」

春香「解った……?」

P「あぁ。 社長のことがな」

春香「……」

P「まず前提として、高木順二朗は人間だ」

春香「知ってます」

P「本当に?」

春香「えっ」

P「一連のアレを見て……人間ではない、怪物のような何かだとは思わなかったか?」

春香「それは……」

P「繰り返すが、社長は人間だ。 人間の心が残っているんだ」

春香「人間の、心……」

P「社長が俺たちに直接攻撃してきたのは、さっきの1回だけだったな」

春香「はい」

P「あれは攻撃じゃなく、メッセージだ」

春香「メッセージ……?」


P「あのとき、千早たちが歌っていたのは?」

春香「Little Match Girl」

P「社長は?」

春香「relations………あっ」

P「そう、どっちも『リ』から始まる曲」

P「……社長は、きっとそれを伝えたかったんだ」

春香「でも……それが、一体」

P「他の曲は?」

春香「え?」

P「社長が、これまで歌った曲は何だった?」

春香「え、えっと……」

P「GO MY WAY!!」

P「キラメキラリ」

P「Brand New Day!」

春香「relations………」


春香「ゴキブリ?」


P「そう、ゴキブリだ」

春香「い……いやいや! 何ですかそのオチ!」

P「社長は……ゴキブリを求めているッ!」

春香「ゴキを求めるって何!?」

P「春香、そこのクーラーボックスを開けてくれ」

春香「……?」ガラッ

P「冷凍したゴキブリが入ってるから」

春香「なんで保存してるんですか!!」

P「非常食としてな……まさか、役立つとは」

春香「ツッコめませんよ、それ……」


ガチャッ

高木「ごまうぇーい ごまえーい」

P「社長! ごはんですよッ!」ブン

高木「頑張ーって いっき………」

春香「あ、止まった」


高木「……」ゴリゴリボキボキ

春香「ちょっと、この上なく不快な音なんですけど……」

P「そう言うな、社長には大事な食事だ」


高木「…………」ベキョベキョグチュルチュル

春香「……」

高木「そうか……君が、助けてくれたのか」

P「いえ……彼女たちのおかげです」

高木「……本当に申し訳ない、この責任は必ずや」

P「その必要はありません」

高木「む?」

P「その代わり、今度ご飯を奢って下さいよ………それこそ、ゴキブリをね」


P・高木「「HAHAHAHAHA!!」」


春香「もうやだこの事務所」



おわり

以上です。読んでくれた方、ありがとうございました。


ご飯時の方がいましたらすいません。お詫びに奢ります

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