P「Pヘッド大図解?」 (38)

響「はいさーい! 春香、いるかー?」

小鳥「あら、響ちゃんおはよう」

亜美「あ、ひびきん。おっはー」

真美「はるるんならまだだよー」

響「あれ、そうなのか」

響「そういえば、今日は皆いるんだな」

律子「社長とプロデューサーはいないけどね」

美希「あふぅ……響も春香に呼ばれたの?」

響「そうだぞ。昨日、春香から凄いもの見つけたってメールがあったんだぞ」

真「ボクたちと同じだね」

やよい「伊織ちゃん、すごいものってなんだろうね」

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伊織「春香の事だから、あんまり期待しない方がいいと思うわよ」

雪歩「あはは……響ちゃんもお茶どうぞ」

千早「それにしても春香遅いわね」

亜美「あずさおねーちゃんだってもう来てるのにね」

あずさ「あらあら〜」

貴音「双海亜美、そのような言い方はあまりよろしくありませんよ」

春香「はぁっ……はぁっ……ごめん皆! お待たせ!」ガチャッ!

千早「そんなに慌てなくても大丈夫よ」

春香「いやぁ、実は昨日の夜、興奮しすぎて寝れなくて……ちょっと寝坊を」

小鳥「春香ちゃんがそんなに興奮するなんて、一体何があったの?」

美希「あふぅ。早く教えるの。ミキの貴重な朝の時間をムダにさせないで欲しいな」

春香「……ふっふっふ。美希、そんな事言っていいのかな」

亜美「はるるんが急に強気に!?」

真美「調子乗ったはるるん……別に怖くないね」

伊織「何でもいいから、話を進めてくれない?」

やよい「すごいものって何ですかー?」

春香「あのね。昨日、家に帰る途中に本屋さんに寄ったの。そこでたまたま目に入った本があって」

雪歩「本? お菓子の作り方とかかな?」

春香「そんなんじゃなくて! もっとこう衝撃的な! 最後の一冊だったからつい買っちゃったんだけど」

響「どんな本なんだ? そこまで言うならもったいぶらずに見せて欲しいぞ!」

春香「見たら絶対驚くよ。……これなんだけど」スッ

春香以外「……『Pヘッド大図解』??」

伊織「……は?」

美希「一気に目が覚めたの!」

貴音「面妖な!」

あずさ「一体何なのかしら〜これ」

真「帯の煽り文句も凄いね。『これ一冊でPヘッドの全てが分かる!!』だって」

雪歩「『Pヘッドのなぜ?なに?に全て答える入魂の一冊』とも書いてありますぅ」

律子「いやいやいや、おかしいでしょこれ!」

千早「どこの出版社が……クロタカ出版?」

小鳥「調べてみたけど、インターネット上の検索では全然ヒットしないわ」

伊織「ねぇ、春香? これ、アンタの性質の悪いいたずらじゃないわよね?」

春香「違うよ! いたずらでここまで精巧な本作れないよ! ちゃんとバーコードもついてるでしょ」

やよい「定価9610円……!?」

響「うわぁ、ムダに高いぞ」

律子「分厚さからしたら、当然なのかしら……」

千早「春香はこれを買ったのよね」

春香「うん。っていうか、皆もこれ見つけたら多分買うでしょ」

美希「間違いないの。さすが春香、大儀であったの」

真「ところで、ここに『Pヘッドフィギュアのオマケつき』って書いてあるけど」

春香「ごめん。それ、外付けで意外と大きいオマケだったから家に置いてきちゃった」

貴音「はて。大きいとはどれくらいの?」

春香「全長50センチ……」

亜美「でかっ!!」

真美「はるるん、よく持ち帰れたね」

春香「さすがにすごく大変だったよ」

小鳥「それだけの大きさなら、持って来れなくてもしょうがないわね」

春香「写メ撮ったから後で皆に見せるね」

春香「……あとさ、皆まだ気付いてないみたいだけどここの文見てよ」

あずさ「えぇっと、『Pヘッドの中身も大収録!』……?」

亜美「中身って」

真美「にーちゃんの素顔って事?」

美希「は、春香! さっさとその本を見せるの!」

春香「落ち着いてよ美希。実はこの本、まだ中身見てないんだ」

伊織「まぁ、ビニールかかったままだものね」

春香「昨日、買ってすぐに見ようか見まいか迷って……で、皆にメールしたんだけど」

響「なるほど。皆でこれを読もうって事だな」

亜美「だって亜美たち」

真美「仲間だもんげ!」

………………

春香「じゃ、じゃぁ、いくよ?」

やよい「なんだかドキドキしますねー」

律子「まだ一ページも開いてないんだけど」

春香「……ていっ!」ペラ

春香「……目次」

真「うわっ、これ分厚いと思ってたけど、765ページもある!」

雪歩「章ごとに内容が分かれてるみたいですぅ」

千早「……第一章『Pヘッドの仕組み』」

亜美「第一章だけで72ページもあるみたいだね」

真美「とてもじゃないけど全部なんて見てらんないよー!」

響「取り合えず、その一章の冒頭だけ見てみないか?」

美希「冒頭……『Pヘッドの中身大解剖』って書いてあるの」

春香「じゃ、じゃあそこ開くよ?」ペラ

やよい「わくわく」

あずさ「全面フルカラーなのね〜」

伊織「Pヘッドの断面図って……」

真「すっごくメカメカしいね」

雪歩「まるでロボットですぅ!」

小鳥「解説読んでみるわね……『Pヘッドは非常に複雑な構造をしており、現代でも量産が出来るものではありません』」

貴音「あれは一点ものという事ですか」

春香「なんで一点ものにこんな図解本が出てるんだろう……」

小鳥「『そのほとんどがオーパーツであり、これが作られた歴史的背景を鑑みるにあたって――』」

伊織「ちょ、待った待った! 歴史!?」

春香「もしかして、あれって凄く年代モノなの?」

真「断面図的にはむしろ未来じゃないかな」

千早「あの、今更ですけど、この本って信頼できるんですか?」

小鳥「……そうね。私もちょっと不安になってきたわ」

響「次のページから、中の部品の一つ一つを解説していくみたいだぞ」

亜美「……面白そうだけど、そこぶっちゃけ飛ばしてよくない?」

真美「重要なのってさ、そこじゃないよね」

美希「そうなの。ハニーの素顔が大事って思うな」

春香「じゃ、目次に戻って」ペラッ

小鳥「第一章の欄を見る限りは、特にそれっぽい項目はないみたいね」

亜美「『Aパーツ〜Pパーツまでの構成』とかどーでもいいね」

真美「『Pパーツ製作手順』とかしか見当たらないね」

律子「……私はちょっと興味あるんだけど」

伊織「後で見ればいいじゃないの」

律子「……そうね」

あずさ「それじゃ、次は第二章ね〜」

雪歩「第二章は『Pヘッドの歴史』って書いてありますぅ」

やよい「歴史ですかー」

伊織「……そこはスルーでいいんじゃない?」

春香「ちょ、ちょっと待って! これ、紀元前から始まるみたいだよ!?」

真「どんだけ昔からあるんだろう」

あずさ「すっごく歴史が深いものだったのね〜」

美希「あふぅ。歴史とか興味ないの。さっさと次いくの」

亜美「んじゃ、次は第三章! ……『Pヘッドの七大能力』だって」

真美「超能力とか使えるのかな」

小鳥「Pアローは超音波」ボソッ

律子「……Pイヤーは地獄耳ですか?」

雪歩「Pアローなんて書いてありませんよ?」

真「多分、そこスルーしていいと思うよ」

律子「ゴホン……取り合えず、素顔に関係はなさそうね」

千早「第四章は……『Pヘッドの余談』??」

伊織「なんでこんな中途半端なところで余談が入るのよ!!」

春香「あ、でも面白そうだよ。ここ見て」

貴音「ふむ。『偽物と本物の見分け方』……ですか」

やよい「ふわぁ、ニセモノですかー」

響「あれの偽物なんて、本当にあるのか?」

律子「それを言うなら、そもそもプロデューサーが被ってるのが本物かどうか分からないわ」

美希「ハニーは絶対ホンモノなの!」

真「そこは別にどっちでもいいんじゃないかな」

亜美「っていうか、ミキミキの言い方だとさ」

真美「Pヘッドじゃなくてにーちゃん自身にニセモノがあるみたいだよ」

小鳥「ナニコレ……『Pヘッドの味』?」

貴音「なんと! こ、小鳥嬢、すぐにそのぺぇじを開くのです!」

響「ま、待った貴音! 見ても後悔するだけだと思うぞ!」

貴音「しかし……ッ!! もし、らぁめん味だったとしたらッ!!」

伊織「仮にそうだとしても、実際に食べられないんだから意味ないでしょ」

貴音「ううぅ……皆いけずです」

律子「……くれぐれも、プロデューサーに齧りついたりしないでね」

雪歩「歯型が残ったらかわいそうですぅ」

やよい「あ! 見てみて、伊織ちゃん。『Pヘッドのお手入れの仕方』だって」

伊織「あんなの、手入れとか必要あるわけ?」

小鳥「歴史的価値があるとすれば、あるいは……」

千早「そんな価値のある一品には見えませんが」

律子「普段の扱い、結構ぞんざいですもんね」

あずさ「……それにしても、目的のページが見当たらないわね〜」

美希「考えてみたんだけど、こういうのって一番最後の方にあるって思うな」

春香「最後っていうと……第十三章『Pヘッドの歴代継承者』?」

真「あれって継承するものなんだ」

やよい「なんだかかっこいいです!」

雪歩「やっぱり、親から子へと受け継がれるのかなぁ」

伊織「……Pヘッドって紀元前から今日まで繋がってるの?」

響「さすがに有り得ないんじゃないか?」

律子「その辺の議論は無意味よ」

亜美「そだよー。大事なのはにーちゃんの素顔じゃん?」

真美「せっかくにーちゃんの顔が載ってても、それも信じられなくなっちゃうよ」

響「そ、そうだったな。悪かったぞ」

あずさ「でも歴代継承者っていう事は、その一番最後は……」

小鳥「プロデューサーさんが載ってる筈!」

伊織「でも、ちょっと待って」

やよい「? どうかしたの、伊織ちゃん」

伊織「アイツがプロデューサーになる前に書かれた本だったら、載ってないんじゃない?」

真「あっ!」

美希「それだと意味がなくなるの!」

春香「大丈夫だと思うよ。これ、この前出版された本みたいだし」

小鳥「ホントね。先月発行になってるわ」

律子「それじゃ、現在の継承者のページを見てみましょう」

春香「えぇと、762ページですね」

貴音「いよいよ、ですね」

雪歩「つ、遂にプロデューサーの素顔が……」

やよい「ドキドキするね!」

伊織「わ、私は別に……」

春香「……ゴクリ」ペラッ

あずさ「あら〜」

響「ふ、袋とじ……」

律子「これはウザい」

小鳥「春香ちゃん、ハサミよ」

春香「ええっ! 私ですか!?」

千早「何言ってるの。これは春香が買った本なのよ」

美希「今回ばかりは春香に任せるの」

亜美「いけー! はるるん!」

真美「真美たちの願いとともに!」

春香「分かった。皆、見てて!」

春香「……」チョキチョキ

真「今度こそプロデューサーの素顔が……」

貴音「私たちの前に……」

『ここから先は君の目で確かめてみてくれ!』

全員「えっ」

春香「な、ななななな」

小鳥「なんって舐めたマネしてくれるのよぉぉ!!!」

律子「これ、どこの攻略本? Vジャ○プ?」

やよい「えーっと、これはどういう……」

伊織「やよいは気にしなくていいの。その分、律子たちが気持ち吐き出してくれるから」

貴音「何という……何という……面妖なっ」

響「これは幾らなんでも許せないぞ」

美希「金返せってレベルなの」

真「ボクたちはまだいいよ。これを一万近く出して買った春香は……」チラ

春香「……」ズーン

雪歩「あ、あの、その春香ちゃん、元気出して?」

あずさ「春香ちゃん、きっとそのうち良い事あるから、ね?」

亜美「これはひどい」

真美「真美たちの怒りが頂点だよ」

千早「……出版社に抗議しましょう」

小鳥「千早ちゃん、待って」

千早「え?」

小鳥「……すごく憎たらしいけど、抗議しても無駄よ」

真「な、なんでですか!? この本ウソついてるじゃないですか!」

雪歩「表紙に『Pヘッドの中身も大収録!』って書いてあるのに」

律子「……いいえ。その文面だと、Pヘッドの構造を指しているとも取れるわ」

小鳥「それに、歴代の継承者も掲載されてるみたいだし。全くのウソとはいえないのよ」

美希「そんなのってないの!」

やよい「春香さんがかわいそうです!」

春香「……ううん、皆、もういいの」

千早「春香!?」

響「無理しなくてもいいんだぞ」

貴音「本当に、それでいいのですか?」

春香「うん。元々、話半分で買ったようなものだし」

春香「それによくよく考えたら、こんな本で素顔を知るのもどうなのかなって」

あずさ「春香ちゃん……」

伊織「確かに、春香の言うとおりかもね」

真「この本で素顔を知るのって、ちょっとフェアじゃないかもね」

亜美「はるるん、かっこいーYO」

真美「さっすがはるるんだね!」

律子「……それにしても、結局この大図解ってなんだったのかしら」

ガチャリ

P「はふ〜、疲れた疲れた! ……あれ、皆?」

小鳥「プッ、プロデューサーさん!?」

春香「うわわっ!」サッ

春香(……慌てて大図解隠したけど、よくよく考えたら隠す意味なかったかも)

P「珍しいな。全員揃って。確か今日って午前は休みじゃなかったか?」

律子「え、ええまぁ」

貴音「皆、何となく集まってしまったようです」

響(さすが貴音、フォローが上手いぞ)

P「ハハハ、皆事務所が好きなんだな」

真「まぁ、落ち着きますよね」

雪歩「あれ? プロデューサーこそ、今日はお休みだったんじゃ……」

P「いや、それがな。困った事に、急な仕事が入ったんだよ」

美希「ハニーも大変だね。ちゃんと休まないとダメなの」

やよい「倒れたりしたら大変ですよ」

P「ありがとな。でも、今日ばかりは休めなかったんだよ」

律子「そんなに大変な事があったんですか」

P「ああ。何でもウチの事務所のデマ本が流通してるって話を聞いてな」

P「調べてみたらとある二人の社長が関与してたんだ」

P「とりあえず、二人ともとっちめて流通は止めたけどタイトル見たら笑っちゃったよ」

P「『Pヘッド大図解』だってさ」

P以外「……えっ」




高木「良かれと思ったのに……怒られちゃったね」

黒井「ウィ」

終わり

というわけで完結です。
ラスト中途半端っぽいのは仕様です。オチは>>20なので。

おつん
結局Pヘッドの中身は不明で春香は一万円を失ったのか…

社長の口調がちょっと可愛い

おつん
最近顔がツルツルでなんか黄色がかってるってよく言われるんだ、病気かな

乙もらえた! ひゃっほう!
こんなPヘッドへの溢れ出す想いを書き綴っただけのSSにありがとう!

Pヘッドが好き過ぎて気が付いたらこんな事になってた。
ただアイドルが好きだったあの頃に戻りたい……
と思ったけど、よくよく考えたら初SSからしてPヘッド絡みだったわ。

なんとなくはわかるが今まで書いたSSを挙げてくれ

>>33さん
そんな嬉しい事を言ってくれると、晒さざるを得ないですよ。
新しいのから
P「……」ジー
P「重大発表がある」
P「ぷちどるぱわー」

あと、初SSはP「Pヘッドに飽きた」です。

フリーターのFヘッドに継ぎ足しでPにした…とかいうSSが脳裏に

おつ

おつ

>>31
いづれPヘッドになるよ

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