雪乃「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い、ですって……?」 (149)

かなり強引な「やはり俺の青春ラブコメは間違っている」と
「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」のコラボSSです。
強引すぎるのであっさりと。
※ちなみに智子は八幡達と同じ高校という設定です

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1375092997

雪乃「……先生、誰ですって?」

平塚「あーと、1年C組に居る黒木という子なんだが……
  どうも中々クラスになじめなくてな……」

八幡「いわゆるボッチじゃねーか。
  つまりボッチの気持ちはボッチにしか分からねーから
  お鉢がここに回って来たって事ですよね先生?」

平塚「そこまでストレートに言われると何だがまあそうだ」

八幡「認めちゃったよこの人!!」

雪乃「貴方が独りぼっちなのは今更分かりきった事でしょう。
  で、私達奉仕部に何をしろとおっしゃるのでしょうか?」

八幡「おいおいその発言ブーメランだぞ」

平塚「何、簡単な事さ。クラスになじませて欲しいのだが」

八幡「そんな事簡単に出来るんだったら俺は今頃ココには居ないんですが」

平塚「はぁ……それ位私にも分かっている。
  ただ彼女の場合は、実際の所君達よりも酷くこじらせているようなのだ」

雪乃「先生……比企谷くんと一緒にしないで頂けますでしょうか」

八幡「ゆきのん酷い」

結衣「やっはろーゆきのんにヒッキー!あ、平塚先生だ!?」

八幡「相変わらずうっせーなお前は」

平塚「丁度良かった、由比ケ浜の社交性をフルに発揮して欲しいケースだぞ」

結衣「えっ、なになに?」

雪乃「~~!!!……××という訳よ」

結衣「へぇー、そんな子が居るなんて知らなかったよ」

八幡「当たり前だ、一人前のぼっちならまず存在感を消す事を心掛けるからな」

結衣「ぅわー……いかにもヒッキー向けの依頼だよね……」

八幡「おい俺はまだやると決めた訳では」

雪乃「まぁ比企谷くんにおあつらえ向きな依頼だわね」

八幡「もうルート決定なの?選択肢一つしか無いの?どんだけハードモードなの?
  もうバッドエンドしか見えないんだけど」

平塚「とにかく、1年でぼっちなのは彼女だけだ。
  このままだとイジメというセカンドフェーズに移行し兼ねないだろう。
  どうにか助けてやってもらえないだろうか」

帰り道

八幡「くそぅ……何で俺がこんな事に。
  まぁいい……こういう依頼はあっさり塩味で淡白に終わらせるのが
  バッドエンド回避の近道。ソースは俺。
  そう思ったら今日の夕食もあっさりと白身の焼き魚にしたくなった」

小町「あっ、おにいちゃーん!」

八幡「おっ小町、スーパー前で出会うとはなかなかお兄ちゃん的にポイント高いぞ」

小町「お兄ちゃんうざー、どうせ買い物手伝わせる気でしょ。
  まぁいいよー、手伝ってあげる。あっ今の小町的にポイント高いからね!
  その代わり小町の好きなジャイアントコーン買っていい?」

八幡「まぁ好きにしろ、その代わり夕食前に食うんじゃねーぞ」

小町「ぃやったー!」

八幡(うむうむ、喜ぶ小町デラ可愛い。これもお兄ちゃん的にポイント高いからね!
  っと、小町を愛で過ぎて危うく魚コーナー過ぎる所だったぜ……ん?)



智子「ブツブツ……」



八幡「……アイツは」

小町「んー何?お兄ちゃん、って何あそこにいる物体!?」

八幡「こらこら……曲がりなりにも人間というか女だぞ」

小町「あー……そういえば制服がお兄ちゃんトコと同じだね。
  あんな人いたんだ……」

八幡「……」



智子「クソクソクソクソ何で私の横を通っただけで魚臭いとか言ってんだよ
  私は毎日ちゃんと頭も洗ってエイトフォーしてんだよ何がイケないんだよ
  お前らの方がよっぽど魚っぽいだろ毎日ビッチビチの癖にこのビッチ女共」



小町「ぅわ、魚凝視して何かブツブツ言ってる……超怖いんだけど。
  お兄ちゃんみたいにキモイかも……」

八幡「それさりげなく俺もディスッてるよね?」

八幡(あれ、確か依頼対象の……黒木智子とかいう1年生じゃね?
  あの死んだ魚のような三白眼、目の下の隈、ボサボサの頭、間違いない。
  確かにアレはガチだ。ガチで筋金入りのボッチだ。
  なぜならボッチ同士にのみ分かるテレパシーを感じるからだ。
  決してシンパシーではない。いやほんと同情じゃないからねコレ)



智子「……」トテトテトテ



小町「あっ、向こう行っちゃった」

八幡「うむ……これはあっさり塩味には出来そうにはないな。むしろ
  ハバネロを思い切り効かせた激辛カラムーヒョ味になりそうで恐い」

小町「えっ!?夕食をカラムーヒョ味にするのは止めてぇーーー!!!」

翌日

雪乃「しょうがないわね……とりあえず今日はその黒木さん?という子と
  一度話してみる必要があるわね」

八幡「おい俺の顔を見て言うな」

結衣「ヒッキー、頑張って!!」

八幡「っちょちょっと待て!もうこれってレール敷かれてるって事?
  電車でGO!なら踏切事故ルートだよこれ!」

雪乃「……」ペラッ

八幡「ちっ……仕方ねぇな……
  じゃーちょっくら1年C組覗いてくっか」ガラガラガラ、ピシャッ

結衣「……ヒッキー、行っちゃったね」

雪乃「まあ、そこが彼の……マシなところね」



八幡「……ここが1年C組の教室か」

材木座「ゴラムゴラム!!やぁやぁそこに佇まうははちまんではないか!」

八幡「ぅっ!材木座……何でココにいるんだよ」

材木座「うむよくぞ訊いてくれた!
  この先にある教室は視聴覚室で放課後は静かであり精神統一しやすいし
  我が教室からも近いが故に時折そこで小説を執筆していたのである!
  丁度良かった八幡!今しがた完成した超大作に是非目を通して頂きたい!」

八幡「うぜェ……っていうか視聴覚室は放課後立ち入り禁止だろが」

材木座「そういえば八幡こそ何故にここに居るのであろう?」

八幡「あー俺はだな、ちょっとこの教室に用があるというか」

材木座「うむ、そういえばさっき一人見かけたのだが」

八幡「本当か?どれどれ……」ノゾキミッ

智子「……畜生リア充爆発しろリア充全員吹っ飛んじまえ
  何で私が帰ろうとしたら教室の入り口で告白なんかしてんだよテメエら
  お陰で完全に帰るタイミング失ったじゃねーかっていうか未だに
  リア充がまぶし過ぎてそっちの方向に向けねえじゃねーかっていうか
  もう二人とも帰ったよね居なくなって下さい神様お願いします」



八幡「教室の隅の壁に向かって……」

材木座「何やら呪文のようなものを唱えてござるな……」

八幡「しかも何かドス黒いオーラみたいなのまで見えるんだが……」

材木座「は、八幡!……拙者は急用を思い出したのでこれにて失礼!」

八幡(逃げたな……まぁ邪魔者は消えて良し。
  というか、今のコイツには誰も話しかけられねえ。どんな罰ゲーだよそれ。
  さて、どうしたものか……)

雪乃「どうしたのかしら?さっさと話しかけなさい」

八幡「ぉおう!雪ノ下居たのかよ……ビビらせるなよ」

雪乃「貴方が私に対して何か後ろめたい事をしているからではないかしら?」

八幡「油断している時に背後数センチから声をかけられたら誰でもビビるだろ。
  それともこれが学校七不思議の一つ、廃教室の雪女という奴ですかね」

雪乃「……もう結構よ。ねえ、そこの貴方、聞こえてるかしら?」

八幡「おいいきなりかよ」



智子「……」ギギギ



八幡(何かゆっくりと振り向く時に妙な擬音が聞こえるような気もする)

雪乃「そこの貴方は今何をやっているのかしら?」



智子「……り」

雪乃「り?」

智子「リア充爆発しろ!!!」ドタドタドタドタ!!



八幡「どぅあっ!?」ドガッ

雪乃「あら……」

八幡「猛スピードで出て行っちまったが……リア充って
  ……もしかして俺達の事?……なわけないよな」

雪乃「私と比企谷くんがカップル扱いされるなんて……
  人類史上最大の屈辱ね」

八幡「おい」

黒木家

智子「くそったれリア充ビッチ共め全員氏ね」ガチャリ

智子「あっ……!智貴!冷蔵庫に入れてた私のプリンまた食いやがったなぁ!!」

智貴「プリンって昨日そっちが食ったのが最後だったじゃねえか!!」

智子「……あ、そうか」

智貴「ったく、なに八つ当たりしてんだよ……」

智子「う、うるさい!!」ドタドタドタ!

智貴「……やれやれ、どうしたもんかなぁ」



智子「プリン楽しみだったのに……くそぉ何でウチの高校はビッチばっかなんだよぉ
  しかも今日居た奴ら、超美男美女カップルじゃねーかよリア充氏ねマジで!!!
  ……ふん、いいや。ストレス発散しよ。
  今日もまとめサイトを荒らしまくってやるんだ……!
  あ……メールだ。ゆうちゃんからだ!!!」

ゆうちゃん『今日、彼氏と喧嘩したけど、すぐに仲直りしちゃいました~テヘペロ
  仲直りのしるしに、プリクラでキスいっぱいしたの~♡
  もこっちにも写真送るね~♪幸せ分けてあげる♡』

智子「……バルス」

中学校

小町「おっやっはろー大志君、智貴君!」

大志「やっはろー比企谷さん!」

智貴「オッス」

大志「さっき正門前で見たんだけど、今日も、その、お兄さんと一緒に
  チャリで送ってもらったの?」

小町「あー、そうだよー。ってか大志君にお兄ちゃん見られちゃったかー
  ちょっとキモイとこ見られちゃったなー」

大志「え!?いやいやそんな事ないよ!……なんか仲がいいなって」

小町「大志君だって沙希お姉ちゃんと仲が良いじゃん!!」

大志「あはは、いやあれは比企谷さんのお兄さんが色々取り持ってくれたからね」

智貴「……比企谷のにーちゃん、何かしたの?」

小町「あー、うんちょっとね」

大志「比企谷さんのお兄さん、なんか困ってる人のお手伝いをする部活に入ってて
  それで同じ高校にいるウチの姉ちゃんの手助けをしてくれたんだよ」

智貴「マジで!?」

小町「あはは……ほんとウザイ兄で申し訳ありません~」

智貴「あ、あのさ……それって高校生じゃない人の悩みも訊いてくれんのかな?」

小町「……へ?」

奉仕部

八幡「おい今日もあの黒木とか言う奴の監視しろとか言わねえだろうな!?」

雪乃「あら、私はまだ何も言ってないわよ?」

八幡「……この依頼はもう辞めとけ。
  アイツはもうボッチとしてはもう一人前なんだよ。
  俺は見ただけですぐ分かった。ああまでなったら性格的にももう固定されて
  ボッチ根性が心底にまで染み付いてるからもうテコでも動かん。
  ソースは俺」

結衣「でっでも!あのままでいったらあの子いじめられちゃうかも知れないんだよ!?」

八幡「いや、ああまでなったらむしろ周りが敬遠して誰も接触しなくなるまである。
  それを仲間外れだとかハブというイジメの一種と考えるかは別だが」

結衣「えぇえ……それはそれで問題じゃん!」

八幡「ボッチとは畢竟、外見からは仲間外れにされているのとあまり変わらないのだが
  内面としてはそれを堪能しているか苦しんでいるかで大きく異なるのだ。
  そしてアイツの場合は前者である可能性が高い」

雪乃「比企谷くんはそれを証明出来るのかしら?」

八幡「証明するまでもない、ソースは」

雪乃「俺、でしょ。……はぁ、分かったわ。今回は貴方の好きにしなさい」

八幡「……何かそれ俺に丸投げしている感じなんですが」

ピピピ

八幡「おっ、珍しく電話……小町からじゃねーか。
  はいはい、お兄ちゃんですよ~、ってそんな冷めた声でキモイとか言わない!
  それで?ん、うん、え?は?何だって?……む、分かった」プッ

結衣「今の小町ちゃん?どうしたの?」

八幡「雪ノ下、由比ケ浜、この依頼……受けるぞ!!」

雪乃・結衣「「ふぇ!?」」

八幡「小町からの愛(依頼)……このお兄ちゃんがしかと受けとめた!!」

結衣「ヒッキーマジキモイ」

雪乃「何で小町さんがこの依頼の事知っているのかしら?」

八幡「いや、知らねえと思うぞ?
  何でも小町の同級生が、例の黒木さんの弟でな、
  実は弟も姉君の行動について悩ましく思う所があったそうな」

雪乃「で、小町さんを通じて貴方ひいては奉仕部に依頼が来た、というのね」

八幡「まぁそういう所だ」

結衣「ふぅーん、偶然だねー!」



雪乃「とりあえず、もう一度彼女に接触してみましょう」

結衣「わ、私も行く!ほらヒッキーも!!」

八幡「そんな今いきなり話しかけてもマトモにレス出来ねーと思うけどな……」

1年C組

雪乃「あら、やはりもう居ないわね」

八幡「当たり前だ……ぼっちは基本的に学校という監獄から一刻も早く
  解放されたいのであるからな」

結衣「ねぇねぇゆきのんにヒッキー!教室の窓から見てみたらさ、
  今校舎から出て来た子居るんだけど、その子っぽくない?」

八幡「どれどれ……?あぁ、アイツだ」

雪乃「急ぎましょう」

通学路

結衣「ねぇねぇ、なんでこんな尾行みたいな事してんの?」コソコソ

雪乃「まぁ、相手の行動をまず把握しないと相手の心理を探れないというのは
  行動心理学者のスキナー教授も言っている事でもあるし」

八幡「出たよユキペディア……スキナー教授って誰?ゆきのんの親戚?」

雪乃「だけどさっきから、うつむいてケータイばっかりしているわね……」

八幡「おいおい、なんかフラフラしてっぞ」

結衣「あーあるよねー、ケータイとかスマホしてて車に刎ねられちゃったり
  ホームから足を踏み外して電車に轢かれちゃったりとか」

八幡「おいおいそれってフラグ……」

雪乃「あっ」

結衣「まさか本当に道路にはみだしちゃって……危ない!!!」

八幡「!!!」



キキィーーー!!!

>>1です。
すいません。帰ってゴハン作って食べてたらこんな時間になってしまいました・・・

ーーーーーーーーーー


八幡(その時の事は曖昧にしか覚えていない。
  何しろ瞬間的に身体が動いてしまっていたからだ。
  ゴルゴ13ばりに条件反射で人を助ける俺カッコイイとか言っても
  あの二人には全然通じねーんだろうがまあ仕方ない。
  とにかく彼女の身体を抱えて車を躱した後で
  自身と彼女の体を確認したが、大した怪我はしていなかった)



結衣「ひ、ひひ、ヒッキーーー!!!だ大丈夫!?」

雪乃「まったく貴方という人は、もう……」

八幡「うっ……し、仕方ねーだろ。
  勝手に身体が動いたんでな……」

結衣「だからって、だからって……」

雪乃「はぁ、まあ女の子にも怪我はないようね。
  ちょっと気を失ってるみたいだけど」

智子「……うぅう」

八幡「おっ、大丈夫かおい?」

智子「うぅん……ん、え?」

雪乃「良かった、頭も打ってないみたいね」

智子「」///カァアアア

結衣「?」

八幡「!!」

智子「……て、天使様?」



八幡・雪乃・結衣「「「!!!」」」

智子「はっ!!あ、う、あぁう……」

八幡(あっこれはマズい)

智子「ゔぁあああああああ!!!!!!!」

八幡「待て待て待て待て!!!」ガシッ

結衣「くっ黒木さん落ち着いて!!
  また轢かれちゃうよぉ!?」

八幡「おい、普通に立ち上がれるか?……うむ、大丈夫そうだな」



雪乃「……とりあえず、落ち着いて話が訊きたいわね。
  貴方、歩けるかしら?」

智子「あ、う……だ、大丈夫、です……」

結衣「ゆきのん!じゃーあそこのカフェに入ろうよ!」

近くのマグロナルドカフェ

八幡「数あるファストフードチェーンの中で
  ここのコーヒーだけはMAXコーヒーより旨いんだよな」

雪乃「……まぁそれは認めるわ。だけど比企谷くん、その腐った目で
  メニューを睨みつけるのは止めなさい。商品が腐るわよ」

八幡「俺は直視の真眼まで持ってねぇんだが」

結衣「黒木さん?……どうしたの?」

智子(こっこここここ、これはまさか友達とカフェに行くってやつ?
  っという事は私ってついにリア充?リア充になれちゃうのかなぁ?)

智子「……グフフフフウフフウ」

結衣「くっ黒木さん大丈夫!?」

店員「いらっしゃいませ、ご注文はいかがでしょうかぁ?」

八幡「あっブルーマウンテン、ミルクも多めに貰えますか」

雪乃「……私も同じで」

結衣「ぁあ!私も私も!!」

八幡「ってお前は例によってシナモンキャラメルモカフラペチーノとか
  スイーツ(笑)な奴頼めばイイじゃねーか」

結衣「えーっ!?酷いよヒッキー!私だって大人の階段上がりたいよ!」

八幡「なんでH2Oなんだよ?君はまだシンデレラ!?」

結衣「えっ……し、シンデレラなんて///やだなぁヒッキー///」

智子(なにコイツら!?スイーツだ?全員スイーツリア充だ!?
  ……ど、どうしよう、私ここに居ていいのかな……)

智子「……」

八幡(黙ったままだな……仕方ねえな)

八幡「おい、何飲むんだ?」

智子「ひゃいっ!?」

八幡「……あー、なんだ、ここは学年が上ってのもあるからな……
  一つおごってやるよ」

智子「ふぇえええええ!?」

智子(はっ初めて!初めて!!家族じゃない男の人におごってもらえる!!??
  これってこてっれてこれってもしかしてもしかして彼氏フラグ!!??)

雪乃「黒木さん、この男からおごってもらうのは止めた方が良いと思うわ。
  この男に借りを作ると後で何をされるか分からないわよ。
  私がお金を出しますから、貴方は何でも好きなものを頼みなさい」

八幡「男の男たらん機会をすり潰すなんてさすがゆきのん……」

智子「……普通のコーヒーで」ガックリ

結衣「ここの席空いてるよー」

八幡「ふぃー、どっこいしょ」ドスン

雪乃「比企谷くん、ちょっと加齢臭がするから止めて頂けるかしら」

八幡「ばぁか、バレーボールとかでも「そーれー」とか言いながらサーブするだろが。
  掛け声を掛けた方が全身の筋肉に準備させて負担を少なくする上でもイイんだよ。
  これ豆な」

結衣「ヒッキーうざいし若者っぽくないから止めなよ」

智子「……あ”ーどっこいしょ」ドスン

八幡・雪乃・結衣「「「!!!」」」



智子(何で私、この人達と一緒にコーヒー飲んでるんだろ……
  まず女の一人はビッチ。間違いなく誰にでも腰振るだろってほど頭悪そうで
  髪も染めててスカート短くして、きょ、巨乳で……!!!クソ牛ビッチ!
  そしてもう一人の女は、顔が凄い端正なくせに凄く冷徹で雪女みたい……
  表情を全然変えないで喋るし、マネキンっぽい。マネキン雪女だ。
  そして男の方が……確かに目は腐ってて死んだ魚みたいだけど
  よくよく見たら顔も整っててイケメンだし何だか私に近い雰囲気だ。
  何より私を助けてくれたみたいだし!敬意を込めてサカナくんって呼ぼう!)

雪乃「それで、どうして貴方は道路に飛び出したのも気付かないくらい
  ケータイを弄っていたのかしら?」

智子(あぁ、これでフラグ攻略が進めばサカナくんと、さりげなく会話して
  自転車で一緒に通学しちゃったりとか、デートしちゃったりとか……
  最後に、あああんな事やこんな事しちゃったりして……!!
  サカナくん「もう俺の死んだ目には……君しか写らないよ」
  どーしよ!ゆうちゃんを越えちゃうよ!ゆうちゃんに自慢出来るよ!)

智子「……ぐへへ」

八幡「おい、どーした?」

智子「ひゃいい!?」

雪乃「はぁ……私達の話を聞いていたのかしらこの子……」

智子「ピクッ」



智子(このマネキン雪女め……いつまでもお高くとまっていられると思うなよ!
  私だって話くらい聞くスキルくらいあるわ!!喋るスキルは0だけどな!)

八幡「おいおい……まぁとりあえず落ち着いてコーヒーでも飲めよ」

智子(あぁ、イケメンが話しかけてくる……
  サカナくん「さぁ、落ち着いてコーヒーでもお飲み」だってぇ!!えへへ……)

智子「グヘヘへへへ」

雪乃「……この子、まさか知的障害なんじゃないのかしら……」

結衣「ゆきのん、それは言い過ぎかも……でも否定しきれないのが辛いよね……」

智子「……牛ビッチ」

結衣「へ?」

雪乃「まず、改めて貴方の名前から伺いたいわ。貴方は何組の誰さんかしら?」

智子「……く、くろ、くろき……」ボソボソ

雪乃「聞こえないわ。もっとハッキリ喋って頂戴」

八幡「おいおい、威嚇してどーするよ」

雪乃「じゃあ、貴方が訊いてくれるかしら」

八幡「はぁ……おい、まぁ頼むからとりあえず名前、言えるか?」

智子「……」

八幡「ん?(いきなり俺に急接近!?うわ顔近い近い!!)」ズイッ

智子「く!!!!くく黒木、智子ですぅううーーー!!!」クワッ

八幡「ぅわぁ!!いきなりデカイ声出すなぁぁ!!!」

雪乃「……末期的なコミュニティ障害ね。音量調整も出来ないなんて」ミミフサギ

結衣「びっくりしたぁ」

智子(わ、私はコミュ障じゃねー!!ただ知らない人と話をするのが
  1年半ぶりだっただけ!!と、智貴とはちゃんと喋れるんだからね!!)

八幡「まぁとにかくだ、お前ケータイ弄りながら歩くんじゃねーよ。
  ありゃ誰が見ても危ねえだろうが」

智子「あ、う……うん……」

雪乃「年上の人に返事する時は、はっきりハイと言いなさい。
  それから、うつむかないで背筋を伸ばしてちゃんと人の顔を見なさい
  そんなに下を向いていたら表情も読めないし印象が悪いわよ」

八幡「雪ノ下、お前は教師かよ……」

結衣「ま、まあまあ、初めて喋るときは誰でもそういう時あるって!!
  気にしない気にしない!!ゆきのんもちょっと言い過ぎだよ~」

智子(む、牛ビッチのくせにちょっと優しいかも。
  これからは牛ビッチさんと心の中で呼ぼう)

結衣「それに、黒木さんよく見たら結構顔整ってて可愛いと思うよ?
  ね、ねーヒッキー?」

八幡「ん、あ、まぁ、そうだな……悪くねー、かもな」

結衣「だから、もっと顔を上げた方が絶対イイって!!」


智子(なにこの人……!!!いきなり牛ビッチさんが天使に見えて来た!!!
  これからは天使ビッチさんと心の中で呼ぼう!!!)

智子「……」ニタリ

八幡「うっ……(なにこれ一々鳥肌立つわ)」ゾワゾワゾワ

結衣「(ほ、ほらヒッキーも何か話しかけてみたら??)」コソコソ

八幡「(話しかけるって言ってもなぁ……)」

すいません訂正

雪乃「……末期的なコミュニティ障害ね。

雪乃「……末期的なコミュニケーション障害ね。

八幡「ゴ、ゴホン。あー、ケータイで何見てたんだ?」

智子「……ま、まとめサイト、とか……」

八幡(ふむ、やはりボッチの必須アイテムはネット上のまとめサイト。
  これ読みふけると深夜まで掛かるからな。目の下の隈も納得だ。
  仕方ない、同じボッチ同士、少し語らってみるか……)

八幡「む、ど、どこのまとめサイトが好きかな……?」

智子「お、主に軽トンとか、ガチブラとか、あと@chニュー速とか
  海苔巻きとかベータブログはステマが酷いから最近見てないし
  最近と言えばつぶやいたー速報とかトゲッチャーまとめとか
  リアルタイムで情報が追加されるサイトとか超面白いし
  あとはラノベアンテナとかムスカ実況とかスネークとかetc.etc
  (※作者注:このサイトは全てフィクションです)」

雪乃「まるで堰を切ったように一気に話し始めたわね……
  それにしても、何かの暗号かしら?さっぱり分からないわ」

結衣「ヒッキーは分かるの?」

八幡「ほ、ほう……なるほどね(やべえ、全部分かる俺って廃人レベル)」

智子(やっぱり分かってくれた!!サカナくんは本当にイケメンでイイ人だぁ!!
  それになんか知らないけど、私このリア充達と普通に話できてるんじゃね!?
  ってことは私も遂にリア充の仲間入り!?すげゔぇええええ!!!)

智子「……グゥフュフュ」ニパァ

結衣「ヒヒィクッ」ゾワゾワブルブルッ

結衣「きゃっ!!」ツルッ パシャッ

雪乃「あらあら、スカートにもこぼしちゃったわね。このハンカチ使って」

八幡「あーあー、手ぇ滑らせるなよ」フキフキ

結衣「ちょ、ちょっと手洗ってくるね」ガタッ

結衣「お待たせー」タタタッ

八幡「ん?あれ?お前そのスカート……」

雪乃「いつの間に持って来てたのかしら?」

結衣「へへーん!実は今日、さきさきにこのスカートのほつれたとこ
  縫ってもらってたんだよー!」

結衣「ヒ、ヒッキー……変じゃないかなぁ?」

八幡「む、う……ま、まぁ大丈夫なんじゃねーか?よく分からんけど」

結衣「ふふっ///」

智子(グゥエッ!!!天使ビッチさん、すごい破壊力だぁ……!!!
  も、もしかして天使ビッチさんってサカナくん狙いなのかも!?
  こ、これは負けてられないぜ……!!!)

智子「わ、わたすぃも、ととトイレ!!」

八幡「お、おう……構わんから行ってこいよ」



智子「デュフフフ……!!今こそ、私がまとめサイトとかで獲得した
  イマドキおしゃれギャルビッチ共の最新ファッションスタイルで勝負する時!
  とるにたらぬ人間共よ!今こそ我が知と力の下にひれ伏すがいいぞ!!!」

30分経過

結衣「ふぁああ……」

八幡「……なんかえらい長いトイレだな。これは大か?ジャイアントなのか?」

雪乃「比企谷くん、下品よ」

結衣「ヒッキー汚ーい!それに黒木さんにも失礼じゃん!」

八幡「ふん……あ、来た、あ??」

雪乃「」

結衣「」






智子「……………………………………ど、どぅ………………か……な……」



八幡(うっっっ!!!目の前が突然シュルレアリズム!?これって虚数空間なの?
  俺いつの間に噂のくねくねを目にしちまったの?死ぬの?)

結衣「ひ、ヒッキー!!目が、目がァー!!!」

雪乃「ちょ、ちょっと……黒木さん……
  も、もう一度私と一緒にお手洗いに行きましょう……」

智子「……ハイ」

ちょっと出かけます。

>>1です。帰って来てようやく落ち着いたなう

ーーーーーーーーーー


智子「」ドヨーン

雪乃「……いいわ。貴方の事は何となく大体よく分かったわ」フゥー

八幡「本当は全く理解出来てないけど早くこの場を終わらせたいと翻訳した」

結衣「だけど、このまんまは良くないよね」

雪乃「全く、難題ね……」

八幡「あー、それについて俺からちょっと提案なんだが……」

雪乃「何かしら?まあ、貴方の話なんて正直聞けたものじゃないし聞きたくもないけど
  一応聞いておいてあとで忘れてあげるから感謝しなさい」

八幡「おいそれ結局聞かないのと同じじゃねーか」

結衣「それで?」



八幡「うむ……俺はコイツを、奉仕部に入部させたいと思う」



智子(!?)

雪乃・結衣「「!!!!!!」」

雪乃「ちょ、ちょちょっと待ちなさい」

結衣「えっ?えっ??えええーーー???ど、どういうこと??」

八幡「うむ……まあ簡単な事だ。
  奉仕部とはすなわち、ボッチを更生させる為の部活動by平塚先生。
  となれば、コイツも奉仕部で適当に活動させておけば自ずとコミュ障も
  治ろうというものだろう」

八幡(ついでにコイツが奉仕部になじんでいくのと反比例して
  俺の存在をフェードアウトさせて、最終的に俺は奉仕部とはオサラバできる。
  実に一石二鳥の素晴らしい作戦だぜ)

智子(へっ!?ぶ、部活動……!!??
  どういうこと……これってもしかして、私が生涯憧れて止まなかったあの
  部活というヤツに入れたりしちゃうわけなの!!??)ドキドキワクワク



雪乃「……頭が痛くなって来たわ」

結衣(ど、どうしよう……せっかくゆきのんとヒッキーとの楽園だったのに……!)

八幡「よし、決まりだな!それでは明日かr「ちょっと待ちなさい!!」

智子「え……?」

雪乃「比企谷くん、貴方は黒木さんを入れてそれなりになじませつつ
  それと入れ替わりに貴方が奉仕部から抜けようなどと思っているのではなくて?」

八幡「雪ノ下さんアナタはもしやエスパー?この学園狙われちゃうの?」

雪乃「それに、部活動に於ける新人入部に際しては、部長と顧問の同時承認が必要よ。
  それに本人の意思がどうあれ、入部届に不備があれば入部は出来ないわ」

八幡「あー、俺は入部届なんか書いたっけな……?
  随分昔過ぎて覚えてねーんだけど書いてない気もするんだが」

雪乃「というわけで、今は手元に入部届もない事ですし、この件は一旦保留とします。
  だけど……部に来てもらうというのはいいアイデアかも知れないわね」

結衣「……え?」

雪乃「黒木さん、いまさっき比企谷くんが言っていた事は忘れなさい。
  私達奉仕部は、貴方のように困っている人達をサポートする為の部活動なの。
  ただし私達が問題を解決するのではなく、その手助けをするわけね。
  貴方に接触したのは、貴方がクラスで孤立しているから助けてやって欲しいと
  平塚先生に依頼されたからなの。その状況は貴方もよく把握している筈よね?」

智子「……は、はぃ……」

八幡「おい、ぶっちゃけすぎだろ」

雪乃「まずは嫌でも現実をしっかり認識させて貰わなければ何も始まらないわ。
  それで黒木さん、貴方はその上で一時的に、ですが奉仕部部室に来て下さい」

智子「え……えっ!?」パァァ

結衣「ど、どーいうことなのゆきのん!?」

雪乃「黒木さんには、まず性格を矯正する訓練をして頂きます」



智子「ふぇ?ふぇぇえええええ??」

八幡「(何それ初耳。そんな訓練があるならまずお前が受けるべきだと思うが)」

雪乃「比企谷くん、何か?」

八幡「イイエナンデモアリマセン」

雪乃「それと同時に、私達は1年C組をリサーチして
  何か改善出来る余地があるかどうか検討する事にします。
  それじゃあ今日はここまでという事で、解散しましょう」ガタッ

八幡「はぁ、やれやれ……あー、奉仕部部室は特別棟の4階な。
  まぁ雪ノ下はあーいうヤツだが、気にする事ぁねーよ」

智子「は、はい……」パァァァァァ

黒木家・智子の部屋


智子「ほ、奉仕部か……そういえば前に私が日常部を申請して却下食らった時
  同じ張り紙に奉仕部もボランティア部と被るからダメだとか書いてあったなぁ……
  その後すぐに平塚先生が青筋立てながらその部分だけ破いてたっけ……
  でも、ドゥフフフフゥウウウウウ!!あ”ー私もついにリア充ライフ突入!?
  私もリア充って事でイイんだよね!?イイんだよねぇエエエ!?」ドタバタドタバタ



智貴「うっせぇえぞ!!静かにしろ!!今何時だと思ってんだぁ!!」ガチャッ ダン!

智子「黙れ智貴。姉ちゃんは遂にリア充ライフをゲットするに至ったのだ!!
  さあ、姉ちゃんを崇め褒め祭り讃えよ!!!」

智貴「……あーハイハイ。夢みるのもいーけどほどほどにしろよ」パタン

智子「クュフフフ……あ、そうだ!ゆうちゃんにも報告しよう!
  私も部活をやることになりました……と。
  あれ?ゆうちゃんからもメール来てたの見てなかったわ」



ゆうちゃん『今日、彼の所属する部活が地区大会で優勝したの~♡
  記念トロフィーと一緒に撮った写真、もこっちにもあげるね♪』



智子「…………………………フンッ!」カベドン!!!

智貴「だからうっせえっつってんだろおおがあああ!!!」ガチャッ ダン!

ちょっと寝ます。眠い・・・

こんな時間ですが再開します

ーーーーーーーーーー

八幡「あれから週末挟んで月曜な訳だが……アイツ本当に来んのかねぇ」

雪乃「やはりここは本人にもある程度の自主性が無いと駄目だわね。
  もし来なかったら、この依頼はあきらめましょう」

結衣「き、きっと来るよ!……ね?ヒッキー!」

八幡「あ、ああ……まぁ小町にも約束しちまったしなぁ
  (小町に物凄く念を押されたからなぁ……
  小町に嫌われたら俺は確実に比企谷家に居られなくなるだらう)」ブルッ

結衣「どしたのヒッキー?ちょっと顔悪いよ」

八幡「顔「色」に修正しろ……大丈夫なんでもない」

雪乃「由比ケ浜さん、その人の顔は染色体レベルで元から悪いのよ」

八幡「雪ノ下さんそういう生物学的に心をエグる発言は止めて頂きたく」



ガラ……ガラ……ガラ……

結衣「ゥヒイィクゥウッッ!!!」

雪乃「何かしら……前側の戸が微妙にゆっくり開きつつあるわね」

八幡「…………あー、おい。そこに居るのは分かってんだ。
  どうせゆっくり気付かれずに入っていつの間に部屋に居ましたみたいな
  空気に持っていきたいんだろうが、そうはいかねーぞ」

智子「ビクゥ!!!」

八幡「はぁ……普通に入って来いよ。
  誰も脅したり貶したりしねーからよ」

智子「はぃ……」ガラガラガラ

雪乃「奉仕部へようこそ、黒木さん。
  どこにでも良いからお掛けなさい。
  紅茶、飲むかしら?紙コップしか無いけど、良ければどうぞ」

智子「……は、は、ぃ……」オドオド

智子(や、やゔぇーーなにこの緊張感……!!!入学試験のときより緊張するじゃん!
  か、身体がちゃんと動かないんだけど、まるで蛇に睨まれたカエル……!!!
  マネキン雪女が蛇女に見える!!次から蛇女って心の中で呼ぼう!!!)

雪乃「紅茶、ここに置くわね」コトッ

結衣「……えと、あ!そ、そうだ!私クッキー持って来たんだった食べるかな!?」

八幡「おい止めろお前の手作りクッキー食わしたら死ぬぞ」

結衣「ヒッキーひどいし!!これ近所のスイーツショップのやつだし!!」ガサガサ

雪乃「どうしたの?食欲無かったかしら?」

智子「あ、は、っははははいいいただきますぅ!!」バキバリボリバリ

智子「グッ!!グムムムム!!!」

八幡「バカ、慌てて食べるからだ。ほら紅茶飲め」

智子「グムッ、ゴクゴクゴク!!(うっ、超熱い!?)
  ブゥーーーーーーーーーーーー!!!」



結衣「きゃあ!!」

八幡「……(もろにクッキーと紅茶との唾液ミックスが俺の顔にヒットしたぜ)」ベチョベチョ

雪乃「はぁ……比企谷くん、このタオルを使っていいわ」

八幡「む、ありがとう」

結衣「ぅわひゃぁ!」

八幡「由比ケ浜、あからさまに俺から逃げるの止めてくれます?
  今のは小学校の時に比企谷菌移すなとか言って俺から逃げ回った
  3組の吉田くん思い出すだろ!あれ物凄いトラウマになったんだからな!」

結衣「あはは……ごめん」

雪乃「まあ比企谷くんはともかく、今の行為にさっきから謝りもせず
  それどころかこの部室に入ってからろくな挨拶も出来ていない黒木さん、
  一体貴方は何なのかしら?」

智子(こっ、恐い恐い恐い恐い!!!
  なにこの蛇女!そのマネキンみたいな能面顔を急接近させないでくれぇ!!!
  大体お前が熱くて飲めない紅茶を出すのが悪いんじゃん!!
  お前が無理矢理固すぎるクッキー食わせるのが悪いんじゃん!!
  ……とは言えない、恐すぎて口が動かない……)



八幡「雪ノ下、その辺にしといてやれよ」フキフキ

智子「……!」パァァ

智子(やっぱりサカナくんはイイ人だ!!この荒涼たる部室のなかにあって
  一点のオアシスだぁ……!!)

雪乃「まったく、比企谷くんも少々甘やかし過ぎだと思うけど、いいわ。
  とにかく黒木さん、貴方はまずちゃんと喋る事から覚えなさい。
  貴方は多分、社会不安障害(SAD)の一種だと思うわ。
  そこで私が作ったメニューがここにあります。
  まずは発声練習。そして最終的には歌を人前で歌えるようにしましょう」

結衣「ゆきのん凄い……」

雪乃「私の知り合いに精神分析医と認知行動療法士の人が居るの。
  その人に教えてもらったわ」

八幡「雪ノ下、それをまず自身に生かすべきでh」

雪乃「何か?そうね、貴方も同じメニューを受けてもらいましょうか」ギロッ

八幡「イイエナンデモアリマセヌ」

雪乃「さぁ、じゃ早速音楽室に移動しましょう」

>>1です
渋へは書き終わったものから順に載せてます

所用が終わったので再開します
ーーーーーーーーーー

音楽室

~♪~♪♪

結衣「ね、ねぇ、音楽室は合唱部が使ってるみたいだよ?」

雪乃「あら、仕方ないわね……それじゃあ校庭の真ん中でやりましょうか。
  ちょうど野球部とサッカー部のグラウンドに間があるから
  そこなら一目も多いし丁度いいんじゃないかしら」

智子「」ガクガクブルブル

智子(この蛇女……鬼だ!!悪魔だ!!魔王だ!!バハムートだ!!)

八幡(アカン……これは完全にこの依頼終わったな。……ん?)



戸塚「あれっ?あ!!はちま~ん!!!」

八幡「おをお!!俺の心のオアシスよ!!」

戸塚「ははは、ちょっと恥ずかしぃなぁ……はちまんは何でここに?」

八幡「あぁ、ちょっと奉仕部の仕事でな……戸塚こそなんでここに居るんだ?」

戸塚「う、うん……テニス部は次の公式戦まで間があるからちょっとお休みで
  僕、最近地域の合唱コミュニティに入ったんだよー。で、どこかで一人でも
  練習出来ないかと思って探してるんだけど、なかなか練習場所ってないよね……」

八幡「へぇーマジかよ、やるなぁ。
  ……あ、そうだ!なぁ雪ノ下、奉仕部の部室で出来ねえのかよ?」

雪乃「まぁ良いけど。機材や設備が無いわ」

八幡「そんなの、音楽準備室から少し失敬すればいいだろ。
  どうせ発声練習とかなら譜面台くらいで十分だしな」

戸塚「はちまん、いいの?」

八幡「(うわぁその上目遣い、抱きしめたくなっちゃうだろ!)あぁ、もちろんいいぜ」

戸塚「やったぁ!」

八幡「さぁ、じゃーとっとと借りるもん借りて引き返そうぜ」

訂正

そこなら一目も多いし丁度いいんじゃないかしら

そこなら人目も多いし丁度いいんじゃないかしら

奉仕部

戸塚「えっ……この1年の子もやるの?」

雪乃「ええ。発声練習をさせて、最終的には人前でもちゃんと話せるようにするのよ」

戸塚「へー、凄いなぁ」



智子(な、なにこの人!?男?女?すげぇどっちか分からねぇ!!
  こんなニューハーフみたいなヤツがこの世に居たんだ!!
  コイツを盗撮してテレビのアンビリーバボー宛に送ってやろうかな!?)

八幡「おい、お前変なコト考えてねーだろうな!?」

智子「ビクゥ!!……イイエナニモ」

雪乃「ほら、ぼうっとしてないでこの譜面台の前に立ちなさい」

結衣「何の曲で練習するの?」

雪乃「そうね……ドナドナなんてどうかしら」

八幡「連れ去られちゃうのかよ……あれ最後コロされちゃうんだよ?」

智子「」ガクガクブルブル

八幡「ほら、すっかりビビっちまってるじゃねーかよ」

智子「わ、わわわ私、なんかオナカが痛くなってきちゃっっててて」

雪乃「……仕方ないわね。由比ケ浜さん、お手洗いに付き添ってあげて頂戴」

結衣「ええっ私ぃ!?」

雪乃「そうよ。まさかそこにいる三白眼の男に付き添わせる訳にも行かないでしょう?」

結衣「ま、まあそりゃそうだけど……」チラッ

八幡(ホラ、いけいけ)

結衣「じゃ、じゃー黒木さん、大丈夫?行こうね」

八幡(……これはひょっとすると)

八幡「俺もちょっとションベン行ってくらー、戸塚は練習してていいぜ」

トイレ

結衣「黒木さん大丈夫?」

トイレの個室「だ、だいじょぶでしゅ……」ガサゴソ

結衣「大丈夫かな……」



20分経過

結衣「黒木さん、本当に大丈夫?」

トイレの個室「……」

結衣「く、黒木さん?黒木さん返事して!?」ドンドンドン

トイレの個室「……」

結衣「黒木さんドア開けるよ!?いいね!?」ガチャッ

結衣「あれ簡単に開いた!?って居ない!?」

結衣「わ、わわーーー!!!黒木さんが居ないよぉ!?」ダダダダダッ



トイレの外

八幡「由比ケ浜、どーした?」

結衣「くっくっくく黒木さんが消えちゃっちゃたのぉ!!!」

八幡「あー分かった、とりあえずお前はちょっと外探して来いよ」

結衣「わ、分かった!!」ダダダッ

八幡「……(やっぱりか、じゃあこの柱の陰に隠れて、と)」チラッ


智子「……い、居なくなったかな……よし、帰ろっと」トテトテ

八幡「ちょっと待て」ガシッ

智子「ぐぐゔぅ」

八幡「裾掴んだだけだろ、首締まったような声を出すなよ。
  まぁお前が隣の個室に入ってやり過ごすくらいの事は俺にも分かっていたけどな」
雪乃「あら、時間掛かってると思ったらこんな所にいたのね」

八幡「雪ノ下も来ちまったのか……」



智子「は、離せぇ!!!ど、どーせお前らリア充には何も分かりゃしないんだ!!
  私がモテないのはどう考えてもお前らが悪いんだぁ~!!!」



雪乃「はぁ……頭が痛いわね」

八幡「あのなぁ……多分お前、勘違いしてるかも知れないだろうけどな
  実際俺達もぼっちだ。ぼっちの集まりが奉仕部なんだよ。
  だから、このお前にとっちゃ多分雪女にしか見えない雪ノ下も
  多分、お前が思ってる程いい人生歩んでる訳じゃねーんだよ。
  ああいう顔にああいう性格だから、相当敵作っちゃあ倒すような毎日だったろう。
  でも今ではようやく人付き合いも何とか出来るようになったんだ。
  そういう経験を経た雪ノ下の、俺達の支援を、受けてみちゃくれねーか?
  ……決して悪いような事はしねーからよ」

智子(な、何コレ!?私、もしかしてしてこのシチュって契約迫られてる感じじゃね!?
  サカナくん「私と契約して魔法少女になってよ!」みたいな事言ってる!!
  ど、どどどどうしようかな契約しちゃって魔法少女になって世界と闘っちゃう!?)

八幡(あれ……またコイツトリップしてねーか?)

智子「わ、わかった……ちょ、ちょっとだけ、や、やってみるお……」

八幡「……そか、じゃー部室戻るか」

八幡(あの日以来、依頼対象であった黒木智子は奉仕部の部室に来るようになった。
  最初はオドオドとしていて明らかに緊張していたようだったが
  徐々に俺達と打ち解けるようになった。

  問題は、雪ノ下が用意したという性格矯正プログラム(雪ノ下自作)である。
  このプログラムは、ただ単に歌を歌わせるだけでなく
  かのKGBやゲシュタポもかくやという程
  雪ノ下的な怜悧冷酷で残忍な矯正メニューが盛り込まれていたのだ。
  その内容についてはここでは細かくは言うまい……しかし
  彼女は果敢にも、そのメニューをクリアしようと空しい奮闘を続けていたのだ)



雪乃「黒木さん、ほらもっと声上げて!!」

智子「ぁああ、あ、あおいろ、あおいな、あいうえお!!!」

雪乃「もっと!!」

智子「あああ、あーおいろ、あーかいな、あーーいいうえおおおおぉ!!」

雪乃「ふぅ……少し休憩にしましょう」

智子「ぁうぅ……」ガックシ

結衣「え、えと、もこっち!こっち座って!お茶とお菓子あるよ!」

八幡(由比ケ浜はいつの間にか彼女に「もこっち」とあだ名を付けた)

戸塚「もこっちもよく続くよね~!僕なんかなかなか体力無いから声が出にくくて……」

八幡(戸塚にもあだ名が伝染してた。ってか戸塚は虚弱が良い。いいや虚弱で居てくれ)

智子「う、うん……だ、大丈夫だし……」

八幡(それに対して凄く引きつった微妙な笑顔したコイツ。未だにアガッてんな)



智子(特訓はすげー超ハードでしかも蛇女が超恐いけど、それを除けば
  まるでけ●おんみてーな美少女に囲まれた夢の部活ライフじゃん!?
  もうこれって私もリア充リア充って事だよね!?フフュフヒュヒュフウフグフフ)

結衣「あ!ハエがもこっちの手に止まってるよ!?ってお菓子ごと食べちゃった!?」

戸塚「も、もこっち……不味くないの?」

智子「ぅあふ、このお菓子スゴくおおいしいよぉちょっと苦くってヌルっとしてるけd」

結衣「ひっ……!」

戸塚「大丈夫?お茶も飲んでね?」

智子「うぷ」ガブガブガブ

八幡「おいおい……またいつかみてーに吹き出すなよ」



智子(やばい、ちょっと興奮過ぎてオーバーヒート気味だったかも……
  こういう時は少し落ち着いてスマホで裏サイトでも見よう)ガサゴソ

智子「……」

結衣「もこっち、どーしたの?」

八幡「何見てんだ?んー裏サイト?うちの学校のヤツじゃねーか」

結衣「あ、知ってる!!
  小学中学ん時にやってたプロフが高1でもまだ流行ってたりするんだよね!
  私達ん時も高1の時でも中学時代の友達とかとやってたりしたよー!
  でもプロフの裏サイトも結構流行ってたし、それじゃないのかな?」

八幡「何それ初耳。ってかプロフとか作った事もねーし、ぼっちには無縁アイテム。
  ってかお前は何でそんなもん見てんの?」

智子「あ、う……私のクラスの人達の裏情報を掴めば、少しはそれをネタにして
  ゆすったりたかったり交換材料にして友達にできればいいなって……」

結衣「うわぁー……」

戸塚「もこっち!それはダメだよ!!
  でも友達になりたいんなら、ちゃんと面と向き合って言えれば大丈夫だよ!!」

八幡(ううむ、それが簡単に出来れば最初からぼっちは居ない。
  しかしなんて戸塚はとつかわいいんだ、戸塚なら裏サイトに何も書かれないで……
  ん!?そうか!!)

八幡「おい、その裏サイトで……今までどんだけそのクラスメイトの裏情報が
  集まったんだ?」

智子「……こ、この手帳に書き込んであるけど、もう結構集まったんだゥフフグフフ」

結衣「増々ひくわー……って何かヒッキー閃いたの!?」

八幡「うむ、また今回も盛大にやらかそうではないか!!」

雪乃「……貴方の考えがもう分かってしまう時点で私も毒されてるわね……」

八幡(俺のプランに従って、俺は材木座などを駆使して1年C組の裏情報データベースを
  完成させつつ、それを英語用の単語カードに1情報ずつ書き込んでは
  俺自身が1年C組の教室前にバラまいた。もこっちは一切ノータッチだ。
  もちろん俺に関する噂は立つ……しかしそれ以上にそのカードの内容が
  1年C組の全員を色めき立たせるのに十分だった)

八幡(ある情報ではAがBを誹謗中傷し、またある情報ではBがAを侮辱し貶す。
  そういう捻くれつつこんがらがった反人間関係ループが1年C組の
  黒木以外の全員を捉え、絡めとっていくのである)

八幡(結果……カードを撒き始めてから1週間程で
  1年C組は外から誰が見ても分かる位
  クラスの誰もがバラバラになり、誰もがぼっちになった。
  もちろん今もアイツと昼を共にしようという奴は現れないが
  誰も彼女を非難せず、それどころか誰もがアイツと同じ境遇なのである)

八幡(それ以来……彼女は奉仕部部室に来る事は無くなった。
  依頼も自動終了という事で良いだろう)

雪乃「比企谷くん……どうして貴方はこういうやり方しか出来ないのかしらね」

八幡「ああ、しかしお前があの変な特訓をさせるよりはよっぽど効果的だろうが」

結衣「もこっちも、いつの間に部室に来なくなっちゃったね……」

八幡「それは知らん。大体あの特訓は酷過ぎたからな」

雪乃「あら、私はまだ続けるつもりよ?ねぇ比企谷くん?」ガシッ

八幡「ままままさか雪ノ下さんそんな非情な事はしませんよね?ね?」ガチガチガチ

廊下

材木座「ふふふん!!
  八幡とあの少女のお陰で大変素晴らしいインスピレーションが得られたでござる!!
  ぼっちの美少女がある日突然、光の能力を手に入れて学園中のぼっちと手を組み、
  闇の組織首領・氷雪操作能力者の女子生徒会長と壮絶なバトルを繰り広げる!!
  これは絶対売れるであろう!!早くはちまんに読ませたいでござる!!!」

パララララッ

材木座「おおっと!!
  原稿が何枚か手から滑り落ちてしまったではないか!!
  おお、丁度良かったそこの少女!!足元にある原稿を拾ってはくれまいか!?」



智子「……」ペラッ

材木座「ん……ゴラムゴラム!どうしたのかな、そこなる少女……んうっ!?」

智子「……」

材木座「ま、まさか貴様は闇の阿修羅王シュバルツバウムアーシュラ!!!
  い、いかんその原稿を読んではいかんぞぉ!!読むなぁぁ!!!」



智子「……」
智子「……つ、つつ、つつつ、つきあってくださひ///」

材木座「」




長い事付き合って下さった皆さん、読んで頂きありがとうございます。

最後の方ですが、ちょっと中盤がダラダラしてしまったのもありましたので
ちょっと駆け足で展開してしまいました。

また続編を思いついたら書きたいと思います。

すいません、ご批判を受けましたので
>>93辺りから修正してもうちょっと捻って書いてみます。
もうしばしお待ち下さい。

>>92からの続きです
>>93,>>94<>>95 は忘れて下さい。
ーーーーーーーーーー

八幡「ちょっとその手帳貸してくれるか?」ガシッ

智子「……え、っちょ、ちょっとそれはマズいマジでマズいでですです」

雪乃「貴方の考えてる事は分かったわ。どうせその裏情報とやらを
  1年C組の教室にバラまく気でしょう?」

八幡「ぬぅ……なぜ分かった?貴方はやっぱりエスパーなの?地球征服されちゃうの?」

雪乃「くだらない事を言わないで、その手帳を黒木さんに返しなさい」

結衣「そーだよヒッキー!どうせまたヒッキーがそういうのバラまいて
  それでヒッキーが全面的に罪を被ったりしちゃうんでしょ?
  もう、やだよ……そういうの」ウツムキ

八幡「由比ケ浜……」

戸塚「ま、まぁまぁ、でも雪ノ下さんの特訓を続けてれば
  きっと、もこっちも普通に人と喋れる時が来るよ!
  ……あ、そうだ!」

八幡「どーした戸塚?目が輝き過ぎて俺もう惚れそうなんだけど?」

戸塚「え?えぇっと恥ずかしぃなぁハハハ……
  もこっちも、僕の行ってる地域合唱コミュニティに入ってみないかな?
  もこっちって、結構声綺麗だしさ、どうかなぁ!?」

智子「……ぇえ!?」

雪乃「なるほど……確かに名案よね」

戸塚「参加してる地域の人達って、結構色々な年代層の人が居るから
  お話の訓練にもなるんじゃないかなぁ」

週末・公民館


八幡「おうおう、確かに結構人が多いな……小町ー、はぐれるなよ」

小町「大丈夫だってお兄ちゃん!今日は依頼者の智貴君も来てるって!
  会ったら紹介してあげるねぇ!」

八幡「なん、だ、と……」

小町「ふっふーん!お兄ちゃんそんな恐い顔しないの!
  せっかくの顔が台無しだよ?ってこれも小町的にポイント高ーい♪」



戸塚「あっいた!!はちまーん!!こっちこっちー!!」

八幡「おぅ!戸塚はこういう有象無象の中でも一輪の花。
  一発で見つけられるぜ!」

雪乃「……私達も居るのだけど」

結衣「ヒッキー酷いよぉ!さっきから声かけて手も振ってたのに!!」

八幡「おぉうお前らも居たのかよ……!!
  てっきり面倒くさくて来ないだろうと思ってたぜ」

雪乃「何言ってるのかしら?これもれっきとした奉仕部の活動よ。
  少なくとも部長たる私が出ない訳にはいかないじゃないの」

結衣「わ、私も私も!!ヒッキーの監視……じゃない
  ヒッキーのお手伝いしないでどーするし!!」

八幡「なんか余計な一言を聞いた気もするが」



戸塚「あっ、はちまん!合唱サークルの部長さん紹介するね!」

長老「ワシが合唱サークルの部長じゃ。キミが今度参加してくれるという御仁かね?」

八幡「あっイエイエ。僕じゃなくてまだ来てないですけど、女の子が参加します」

長老「ほぉ、良かった。キミじゃ目つきが悪くてどうしようかと思ったわい」

八幡「は、ハハハ……」

小町「あっ来た来た!!おーい智貴君!こっちこっち!」

智貴「おっす、比企谷」

大志「あっ、お兄さん、お久しぶりです!」

八幡「おい。俺はお前にお兄さん呼ばわりされる覚えはねーんだが?」

小町「こらこらだめだよーお兄ちゃん、外面は良くしなきゃ!」

智貴「で、ウチの姉が後ろに……って居ねえ!?」



智子(やべぇよぉ~~こんな大勢の人としゃべれるわけ無いじゃん!!
  こりゃ智貴には悪いけどトンズラこかせて貰おうっと……ん!?)

雪乃「せっかく弟さんに連れてってもらったのに、逃げるとは良い根性ね」ガシッ

智子「」ガチガチガチ

雪乃「貴方が逃げるのは結構だけど、少しは弟さんの気持ち、考えた事あるかしら?」

智子「……」

雪乃「私にも姉が居るけど……たいがい下の子は上の子を慕って尊敬しているものよ。
  例え今はそうではないかもしれないけど、それでも
  弟が姉に頑張って欲しいと思う気持ち、大きくあって欲しいという気持ちを
  踏みにじるのはどうかとは思うわ」

智子「そ、そんなこと……ぷ、プレッシャーだよ……出来ないよ……」

雪乃「それじゃ貴方は、智貴君にどうして欲しいと思っているわけかしら?
  聞けば、貴方は最近、毎晩智貴君の部屋に来て、貴方が悩みだの雑談だのを
  話しているのを、智貴君は黙って聞いているらしいわね。
  それに対して、貴方は最近智貴君に何をしてあげたのかしら?」

智子「……ぅ、な、何も……」

雪乃「なら、少しはお姉さんらしいところを見せてみてはどうかしら?」

智子「……」

結衣「あれ?ゆきのんどっか行っちゃったけど……あ!いたいた!」

雪乃「お待たせ」

智子「……」

結衣「あっ!もこっち!!」

戸塚「もこっち!!来たんだね!!」

智貴「……ねーちゃん」

大志「(智貴がねーちゃんって言うの初めて聞いた)」コソコソ

小町「(えっ本当なの?)」

大志「(だって智貴が中学で一緒になってから「姉」しか言ってねーもん
  そもそも智貴がお姉さんの話とかめったにしなかったしさ)」

小町「(へぇ、やっぱりお姉ちゃんにちょっと思うとこあったのかな)」

八幡「こらこら、こそこそ話すなお兄ちゃんにも分かるように話せ」

小町「てへっ」

戸塚「もこっち!!こっちこっち!部長を紹介するから!」

長老「ほう……この子が今度入会する子かな?」

戸塚「ほ、ほらもこっち!自己紹介!」

智子「……ぁはぅ……黒木……ともこでしゅ……」

長老「ほうほう、まぁなかなか良さそうな子じゃないか。
  声もよく聞けば綺麗な声質じゃし、合唱に向いてそうじゃないか」

老人1「おぉお、これが戸塚くんの言うとった子かぁ~
  ナカナカにめんこい子じゃのう~」

智子「ひっ……!」

老人2「いぁいや、こういう若い子が来てくれてありがたいのぅ~
  ホレ、蜜柑食べっかぁ~?」

智子「ひひぃ……!」

老人3「いやぁウチの孫も丁度こんくらいでのぅ~
  寒そうなカッコしとるからホレ、これ着なさいなぁ」バサッ

智子「うひゃはぁ……!」

老人4「ホレ、自家製のみそビーでも食べんかいのぅ?」グイッ

智子「ぅがふがふがふ」



戸塚「もこっち、早くもサークルの人になじんでくれたみたいだね」

八幡「……あれってなじんでんの?
  何か老人力に圧倒されてるだけな気が」

智貴「……」ウルッ

小町「ん、智貴君、どうしたの?」

智貴「な、何でもねえよ!!
  ……なんか、姉が、他の人と喋ってんの見んの、久しぶりだったから」

大志「あ、なんか分かる。ウチの姉ちゃんも、スカラシップとってから
  余裕出来て、ちょっと社交的になって来たの見てっからさー」

結衣「さきさき、じゃなくて大志君のお姉さんは文化祭とかでも大活躍だよ!!
  私のスカートもこの前縫ってもらったし!」

大志「あ……ありがとう、ございます。
  これも、奉仕部?ってののお陰だと思うんで」

智貴「うちの姉も、奉仕部で変わればいいな……」

雪乃「大丈夫よ。もう変わろうとする芽は彼女の心に育ちつつあるわ……
  あとはどうやって水をやって、日光に当てさせるかだけど」

八幡「今は水じゃなくて茶を飲まされまくってるけどな」

智子「んぐんぐんぐんぐうぷ」ガブガブガブ

老人達「はぁーええ飲みっぷりじゃのぅー」



長老「さぁさぁ、そろそろ練習をば初めますぞぉ!!」

戸塚「じゃ、はちまん!練習聞いててね!もこっちも行こ!」

老人1「はぁーやっとこさ」

老人2「どっこいしょ」

老人3「ふぁーふぁふぁふぁ」

八幡「……おい、なんか老人多くねーか?ってか老人しか居なくない?」

雪乃「まさに高齢化社会の一端という事ね」

結衣「若い子、さいちゃんともこっちだけじゃん」

~♪~♪♪



八幡「『モルダウ』か……懐かしいな、中学とかで歌わされたっけか。
  しかし幾ら練習しても音程が合わないから結局合唱コンクールん時は
  俺だけ指揮者に「アンタは口パクでお願い」と真顔で言われた事もあったな」

結衣「ははは……私は真ん前で歌ったなー!綺麗なソプラノって言われたし!」

雪乃「私もそうね……でも同級女子に嫌われてたから当日に欠席したのだけど
  指揮者が私のリズムに合わせてたせいで、結局ボロボロだったそうよ」

結衣「うわぁ……」

八幡「しかし戸塚も綺麗な声出すなぁ、増々惚れちまうぜ」

結衣「もこっちも、練習の成果あって結構綺麗な声出してると思うし!」

八幡「しかしあの変顔はねぇだろ……」

雪乃「結局、いくら特訓しても、あの顔を斜めに歪める癖だけは
  治らなかったのよねぇ……」フゥー



智子「ゆたぁかなながれぇよモルダウのぉ~」ヒクヒク

ーーーーーーーーーー

長老「はい、今日の練習はこれで終わりぃ」

智子「ぜぇえ、はぁああ、ぜぇえ、はぁあああ……」

八幡「おい、もこっち大分お疲れみてえだな」

雪乃「あの子、体力なさそうだからこの程度でも限界みたいね」



戸塚「お疲れさまでしたー!」

老人1「おう、また来いよぉー」

老人2「達者でなぁー」

長老「あぁ戸塚くん……ちょっと待ってくれんかねぇ」

戸塚「はい、何ですか?」

長老「んーとなぁ、ゲームっちゅうのは上手いかな?」

戸塚「……何のゲームですか?」



長老「これじゃ」バサッ

戸塚「あっ!これってダンスダンスレボリューションですよね?家庭用の」

長老「うむ……実は今度の週末にある町内祭の大会でコイツが演目で出されるんじゃが
  誰もコイツを上手く踊れるヤツはおらんのじゃよ。
  特に老人ともなれば、腰がヤバいからのう……」アツツ

智子「……」フミフミ

戸塚「うーん、でも僕、こういう音ゲーってあんまりやった事なくて……」

智子(これはPS版のDXコントローラー、そしてPS2専用接続子があるって事は
  うん、ここにPS2がある、ちゃんとDDRExtremeも入ってる……)カチャカチャ

長老「そうか……出来れば若い子に参加して貰いたかったが、駄目かのう」

戸塚「す、すいません……」

 
ビャオォーーーンンン



戸塚「!!(これってPS2の起動音!?)」

長老「……うむ?」



智子「……」Here We Go!!
We Will Lock You!!
We Will Lock You!!
We Will Lock You!!



結衣「えっ!?何なに?何が始まったの!?」

八幡「これは……ダンスダンスレボリューションの中でも高難易度で知られる
  We Will Lock Youではないか!!
  俺が黒歴史の中学時代にゲーセンのDDRで攻略しようとしたものの
  結局この鬼面まで一触れもさせる事が敵わなかったという……
  しかしヤツは何と言う事だ!!全てパーフェクトにクリアしている!!」

雪乃「比企谷くんの言っている事が気持ち悪過ぎてよく分からないのだけど……
  まああれを見たら凄い事位は分かるわね……」

八幡「思い出した……アイツこそはその昔、千葉界隈のゲーセンに出没したという
  伝説の”音ゲーのクイーン”!!!」

智貴「ねえちゃん……!」



戸塚「あ、あの……もこっち、いや黒木さんに参加して貰えば……」

長老「うむ……!」




智子「ぜぇえ、はぁあ、ぜぇえ、はあぁああ」ガクガク
We Will Lock You!!
We Will Lock You!!
We Will Lock You!!
 

ーーーーーーーーーー
町内祭当日

ガヤガヤ

八幡「という訳であっという間に町内祭なわけだが」

戸塚「実質あれから1週間くらいだったからね、バタバタだよね……」

結衣「なんか、例のゲーム大会って結構参加者居るみたいだよ?」

雪乃「優勝商品がヨーロッパ旅行って、豪華な方なのかしら?」

結衣「それってすごい事だよゆきのん!多分金額にしたら30万は下らないよ?
  最近じゃ町内の花火大会の予算も削られてるっていうのに!?」

雪乃「へぇ……とすると何か嫌な予感がするわね」

結衣「?」

小町「あっ結衣さん!あっちに出店いっぱいありますよー!!
  お兄ちゃん達ほっといて行かないですかぁー!?」

結衣「おぉっ!!じゃあ小町ちゃんいこうかぁー!!」

八幡「おぅ、行って来い」

小町「はーい!じゃあ後でお兄ちゃん用にりんご飴買って来てあげる!!
  あっこれって小町的にポイント高いからね!」

八幡「ハイハイ」シッシッ



八幡「やれやれ、で、もこっちはどこに居るんだ?」

戸塚「もこっちならもうあそこに居るよ!あの演台のとこに参加者で並んでるんだ!」

八幡「おい、何だか超ガチガチでしかも顔が緑色してんだけど」

 
智子「うううぅうぇっぷぷ、ももも、もももうダメもう吐く朝食べた納豆全部吐く」



八幡「……あ、吐いた」

戸塚「大丈夫かな……」

??「やっはろー!!」

八幡「え……?」

陽乃「お久しぶりー、でもないか」

雪乃「……なぜこんな世俗のお祭りに来ているのかしら姉さん」

陽乃「あれ?知らなかった?町内祭の予算、ウチのお父さんトコから少し出てるの」

八幡「やっぱりか……花火の件もあるからそうじゃねーかとは思ってたが」

雪乃「で、また姉さんはその町内祭を掻き回しに来たのかしら?」

陽乃「おお恐、そんな目で見ないでよー。
  今日は祝辞に来ただけだからー、あっもう時間だわ。
  デートの邪魔しちゃ悪いからねー、じゃまったねー!!」

八幡「やれやれ、相変わらずだなお前のねーちゃん」

雪乃「……ちょっと、黒木さんの様子を見に行きましょう。緊張し過ぎも問題だわ」

 
智子「……」ガチガチガチ

八幡「よっ、もこっち。大丈夫か?さっき少し吐いてたみたいだが」

戸塚「我慢出来なくなったら、言ってね?」

智子「もっっっもももももうががが我慢がっがががまんんんん」

雪乃「これくらい耐えられなくてどうするのかしら?
  社会に出たら、これ以上に大変な事なんて幾らでもあるわよ」

八幡「おい」



??「あれ?アンタらも参加するわけー?」

雪乃「あら、貴方達は……」

三浦「なによ?あーし達も参加するんだけどさー、邪魔しないでくれるかなぁー?」

葉山「僕らも参加する事になったんだ。
  こういう面白いイベントには参加しない事には勿体ないからね」

戸部「えっマジぃ?ってかヒキタニくん達も参加するワケ?超ウケるんだけど!」

八幡「いやいや、俺は参加しねーから。
  参加するのはこいつ。黒木って1年の子だけど
  見た目で侮っちゃなんねーぜ」


三浦「へぇえ……こんな子がねぇ……」

智子「」ガチガチブルブル

三浦「なぁに!?超ブルッてるんですけど!!超ウケるわーー!!!」

戸部「ダメだよヒキタニくーん!こんな超初心者連れてくんなんてなぁ?」

葉山「まぁまぁ、参加する事に意義があるからね」

雪乃「あら……今に見てなさい。ほえ面かくのは貴方達よ」

三浦「へぇ……またあーし達に喧嘩売ろうってーの?
  ひ弱なアンタらがあーし達に勝とうって思ってるわけぇ?」

雪乃「どうかしらね……貴方達がどうしても売りたいっていうのなら
  買ってやっても良いわよ?」

八幡「おい、その辺にしておけ」

雪乃「ちょっと、事務局に行きましょう。二人緊急参加という事で。
  いいわよね?」ガシッ ギロッ

八幡「うっ……わ、ワカリマシタ」


司会「さぁ、それでは本日のメーンエベント!!
  ダンスダンスレボリューション大会を開始します!!
  参加者は2人づつの対戦となります!
  それでは最初の対戦者、お並び下さい!!」



八幡「いきなり俺かよ……しかも対戦者が葉山だと!?」

葉山「やあ、やっぱり君とはこういう運命なのかな、はっはっはは」

八幡(そんな爽やかな顔で勝利フラグ宣言かよ……こういう面では勝てるわけないが)

司会「それでは対戦者、準備はいいですね?」

八幡(いざ……俺の黒歴史を今こそ全開にする時が来た!!)
 

曲目:only my railgun



Here We Go!

八幡(おれの十八番の曲だな……ここはしょっぱなから難易度高いのだが)ダンダダダダン

葉山(……!……!!)ダンダダダダン

八幡(チキショー、あんなに爽やかにステップ踏まれちゃ敵わんな……
  しかし、俺には中学時代に編み出した奇蹟のステップ法、
  題してカマクラキャットウォークがある!!)ダンダダン

葉山(…!…!…………?)ダンダダン

八幡(見よ、これが我が愛猫カマクラとのじゃれ合いの中で生み出した
  ステップ16連射!!!)ダダダダンダダダダン!!!

葉山 ダダダダンダダダン!!!(ウッ!!)

八幡(フッ……所詮ヤツとは黒歴史分の年期が違うのだよ)

 
結果
葉山:Perfect!!(880500)
八幡:Marvelous!!(945600)



観客「うぉおーー!!」「すげぇーー!!」「あの目つきの悪い兄ちゃんが勝ったぞ!!」

八幡(目つきが悪いは余計だろ……まぁ葉山に勝ったから良しとするか)

葉山「ヒキタニ君、流石だね……!」

八幡(何だよお前はアメリカ人かよこんな時でも握手とは……まあ握ってやるけど)

八幡「おぅ、お前も中々やるな(って俺もついアメリカ風に返しちまったぜ)」
 

 
八幡「さて次は雪ノ下と……三浦かよ。
  最悪の対戦カードじゃねーか……」



司会「さぁ、次の対戦者は位置に着いて下さい!」

三浦「あーしとDDRでやりあおうなんざ百年早いっつーの」

雪乃「あら、そう言ってこの前のテニスの時も惨敗しなかったかしら?」

三浦「ふん、そうやって吠えるのも今日で最後だし」

雪乃(おや?三浦さん、私の対戦位置の脇を通った時に何か垂らしたような……?)
 

 
曲目:EZ DO DANCE



Here We Go!

三浦「ふん、こんな初歩的な曲じゃあ勝負にならないし!」ダンダダン

雪乃「あら、私でもこれじゃあ準備運動にもなりはしな……え!?」ダダン ツルッ

雪乃「きゃっ!!」ドシン!!!

三浦「あーら、優等生の雪ノ下さんが転倒ー?やっちゃったって感じぃー?」ダダダン

雪乃「まさか床に……これは椿油?貴方、さっき撒いたわね!?」

三浦「はぁー!?そんなの知らないし!!
  きっと髪型セットした残りが垂れたんじゃなーい?そんなの偶然だしー!!」

雪乃「くっ……!!」
 

 
八幡「おい、まだ気持ち悪いのか?」

智子「ぐぷぅ……も、もうダメッぷぅ」ダダダダッ

八幡「お、おいそっちは対戦台だ……うぁ!!!」

智子「うぷぅぐえぇえええええ!!!」



三浦「えっ?あーしの足に何か……っひいぃいいいええぇえぇええ!!!」ツルッ ベチョッ!!!

三浦「何これぇ……な納豆ぉううぇええオヴヴェエゲロォオヴォゴヴォオ!!!」



八幡(その場で対戦は中断、三浦はゲロまみれ&貰いゲロで戦意喪失として失格となった)
 

 
司会「さ、さぁて、清掃も終わりましたので今一度、盛り上がって参りましょう!!
  次の対戦は、黒木 対 戸部 ~!!!」



智子「もっっももももももう無理無理無理無理」ガチガチブルブル

八幡「おい、大丈夫だから、まずゆっくり深呼吸しろ」

智子「う、うん」スゥーーー ハァーーー

八幡「でだ、よく聞けよ。
  どうせ俺達はぼっちだ。どうしようもない程今まで一人だった、そうだろ?
  だから俺達には失うものなんて何もねーんだよ、いわば身一つだ。
  そして俺達には強い武器がある!それは何だと思う?
  集中力と熱気だ。ぼっちは周りに気を使わなくて良い分、
  好きな対象に思い切り集中する事が出来るんだよ、お前もそうだろ?
  だからな、これはお前の言わば土壇場だ。お前の好き勝手に
  やらかしちゃっても良い場所なんだよ。だから周りに誰が居ようと気にすんな。
  ここは只のゲーセンだと思えばいい。
  お前も”音ゲーのクイーン”と呼ばれてたんだろ?それを今こそ思い出せ!!」



智子「う、うん!!!」
 

 
三浦「戸部ー!!あーしの分まで頑張れよ!!」

葉山「大丈夫さ、戸部君はああ見えて、UK B-Boy Chanpionshipsの関東大会で
  決勝まで進んだ事がある位ダンスが上手いんだからさ」

八幡「なにそれ初耳。ってかB-Boyって何?ボーイスカウト的なヤツ?」

八幡(何だか知らんが……頑張れもこっち。ぼっちの威力を見せつけてやれ!)



曲目:Captain Jack(GRANDALE REMIX)

Here We Go!

戸部「ぃやぁ俺っちにとっちゃぁ慣れ親しんだ曲じゃん?楽勝じゃん?」ダンダダン

智子「…!…!」ダンダダンダンダダン

戸部「!!!」ダンダダンダンダダン



葉山「何だ……?戸部の目つきが変わったぞ?ってかあの女の子……!!!」

三浦「ってかあの女、なんなの?訳分かんないし!」

八幡(訳分からんのはお前だ、めっちゃくちゃゲロ臭いから近寄るな)
 

 
結果
戸部:Marvelous!!(950500)
黒木:Marvelous!!(988700)



司会「勝利、黒木智子選手~~!!!」

観客「うぅうおぉおおおおおおーーー!!!!!」
 


八幡「よくやった、もこっち」

陽乃「あらぁ、あれって比企谷くんの新しい彼女?」

八幡「ビィクゥッ!!お、脅かさないで下さいよ突然……全然違いますから」

陽乃「へぇ、なんか比企谷くんに似た所あるから、てっきりそうかと」

八幡「全然違いますしちなみに貴方の妹さんとも関係はありませんから」

陽乃「あらあら、雪乃ちゃんは違うと思ってたのにー。
  ま、いいわ。面白いものも見れたし、まったねー」

八幡「……何なんだあの人は」

 
八幡(あれから、もこっちは一気に並みいる強豪……っても殆ど素人ばっかだが
  どんどんなぎ倒していき、ついに俺との決勝戦となった)

八幡「よし……どちらが最強のぼっちか、いよいよ頂上決戦と行くか!!」

雪乃「ちょっと待ちなさい」

八幡「何だよ……せっかく精神集中しようとしてたんだが邪魔するな」

雪乃「さっき、姉さんと……話してたわよね?
  何を話していたのかしら……?」

八幡「あぁ?別に……もこっち凄いとか何とか言ってただけだよ」

雪乃「あら、そうだったの。それと、これが本題だけど
  まさか貴方、黒木さん相手に本気出そうとしていないかしら?」

八幡「本気出しちゃだめなのかよ……これは真のぼっちを決める勝負なんだぞ」

雪乃「はぁ……貴方、これは奉仕部の活動の一環でもあるのよ。
  つまり、依頼対象の努力を支援してあげる事が第一という事。
  貴方は依頼対象の努力を潰そうとしていないかしら?」

八幡「くっ……潰すわけねーだろ。というかもこっちのレベルは
  俺が逆に潰されかねねー位だよ。こっちも本気ださにゃ相手に失礼だ」

雪乃「分かったわ……まあ、せいぜい頑張って頂戴」
 

 
司会「さぁさぁ、ついに決勝戦となりました!!
  まずは赤コーナー、死んだ目つきで周囲をビビらすゾンビダンサー、
  比企谷八幡~~!!」

観客「うぉおおおーーーゾンビ!ゾンビ!ゾンビ!」

八幡「おい何だゾンビダンサーって。死んだ目とか俺のトラウマをほじくるなよ」



司会「そして青コーナー!!!目の下の隈がチャームポイント!!
  汚物をまき散らしながら神技を繰り出す新参、黒木智子~~!!!」

観客「うううぉおおおおおおおーーー!!!ゲロ!!ゲロ!!ゲロ!!」

八幡「何だあの司会と観客のノリノリっぷりは……」
 

 
曲目:PARANOiA ~HADES~



八幡「よし……ここで俺の必殺術をお見せしようではないか!!」ガシッ

司会「おおーっと比企谷選手!いきなりサイドバーをがっしり掴んだぁ!?」

観客「反則だー!!」「卑怯だー!!」「引っ込んでろーー!!」

司会「ええっと、ここで反則ではないかという声もありますが……
  曲がもう流れているのでこのまま続けます!!」

八幡「フッ……こうでもしねーと、アイツには勝てねえのは分かってるのさ。
  しかし失うものがないぼっちには、どういう手でも使ってやる!!」

智子「……」スック

司会「おぉーっと!!それに対する黒木選手は仁王立ちだ!!」

観客「おおおおおーーーーー!!!」

八幡「なん……だと」



智子「…!…!」ダダダダンダダダダン!!!

八幡「クソォ!ぼっちの名に賭けて、ここで負ける訳には……!」ダダダダンダダダダン!!!



司会「両者、激しいデッドヒートォ!!!」

観客「うぉおおー!!」「ゲロ頑張れー!!」「ゾンビすっこめー!!」

雪乃「……彼は、何を下らない意地を張ってるのかしら……」

結衣「ヒッキーみっともないよ……」
 

 
結果
八幡:Marvelous!!(978900)
黒木:Marvelous!!(999800)



司会「優勝、黒木智子選手~~!!!」




八幡「…………負けた。人生に……負けた」ガックリ

智子「……へ?ど、どうしたのかな?あれ、な、何が……?」ハッ

雪乃「優勝おめでとう、黒木さん」

結衣「もこっちすごーい!!!」

戸塚「凄く良く頑張ったね、もこっち!!」

智子「ぅへぇ!?な、何だか知らないうちに……か、勝ってたって事ぉ!?」

雪乃「あら、ちょっとしたトリップ状態になってたのね……」

結衣「ほ、ほら、もこっち!!優勝トロフィーだって!!」



司会「黒木選手、優勝おめでとう」

智子「(今になっていきなり緊張が戻って来たぁ)ふ、ふぁい……
   う、うっぅうぷぷううっぷぅううう!!」

結衣「あ……トロフィーのカップにまた吐いた」

雪乃「はぁ……全く」

八幡「……俺はもうボッチですらないんだもう廃人だ……」

戸塚「げ、元気出してはちまん!?」
 

 
結衣「もこっち~!!
  もこっちのスマホで写真とってあげる!!
  ほら、みんな並んで並んで!!」

雪乃「比企谷くん、貴方は黒木さんの隣に行きなさい。
  貴方が一番の功労者なんだから」

八幡「はいはい……(ってコイツ自身とトロフィーが超ゲロ臭すぎて
  出来れば近寄りたくねぇ……今日はどんだけゲロ臭いのよ!?)」

戸塚「やった!はちまんの隣ー!」

八幡(おぉ……ゲロまみれのトイレの中にある一服の芳香剤のようだ……)

結衣「はい、チーズ!」カシャッ
 

 
智子「ちゃ、ちゃんと撮れてるかな……おおおーーっ!!
  何かこんなに大勢と一緒に撮ったのスゲー久しぶりだよぉ!!
  あ……そうだ!早速ゆうちゃんにこの写真送ってあげよっと。
  えっと、今日は何とゲーム大会で優勝しました、っと……」ポチポチ

智子「あれっ、ゆうちゃんからメール来てた……何だろ」



ゆうちゃん『えっとね……もこっち、相談にのって欲しいんだけどね、
  彼との最近のHの事なんだけどね、彼とのHが最近激し過ぎて困っててー』



智子「…………ダァアッ!!!」ブゥン!! ガン!!

八幡「イッテェ!!!誰だスマホ投げつけたヤツはァ!?」

智子「……フン」



八幡(その後、町内祭のクライマックスとして
  あの地域合唱サークルによる『ドナドナ』が何故か披露された。
  もこっちは、相変わらず緊張で口端からゲロを垂らしながら歌っていたが
  誰も咎めるものは居らず、穏やかなうちに町内祭は終了した)



智子「なつかしきぃかわよぉモルダウのォ~」ダラダラ ボタボタ
 

ーーーーーーーーーー
一週間後・奉仕部



結衣「もこっち、奉仕部にあまり来なくなったねー」

雪乃「あの特訓メニューはまだ残っているのに……仕方ないわね」

戸塚「僕はテニスの公式戦が迫って来たんで合唱サークルには最近出てないけど
  もこっち、今でもあの合唱サークルに出てるらしいんだ」

八幡「あー、そういや小町が、もこっちの弟に感謝されたって言ってたな」

八幡(あの町内祭以来、彼女が奉仕部に来なくなった……
  それは、最初に平塚先生によってもたらされた依頼が
  自動終了となった事を意味するだろう……
  しかし、果たして彼女はあれ以来変われたのだろうか?
  いや、変われたのだと信じたい)
 

 
結衣「あ、校門のとこにまた来てるよ!?」

雪乃「あら……」

戸塚「またあのおじいちゃん達だね」



老人1「ふぉら~、もこっちぃ~、こっちに来んしゃいい」グイッ

老人2「もこっち~、一緒に今日もサークルに行こうかのぅ」グイッ

老人3「みんな、自家製のみそピー作って待ってるよぉ~」グイッ

智子「あ、う、ふぁ、はぃい……」ズルズル



八幡(彼女はどうやらぼっちでは無くなったらしい。
  しかし、ぼっちでなくなるというのも、また大変である……)



智子「」ズルズルズルズル




 

>>1です。

すいません……昨日の夜にダメ出し食らってから
捻り直して書くのはこれが限界でした……

また続編思いついたら書きますので、その時にまた宜しくお願いします。

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