ヘンゼル「見ろ!お菓子の家がある!」グレーテル「わぁ!素敵っ!可愛い!」 (146)

森の中

ヘンゼル「何だろうな、これ」

グレーテル「凄い、凄い。壁はスポンジで出来てる」

ヘンゼル「扉は板チョコみたいだな」

グレーテル「でも、こんなの誰が作ったんだろう?」

ヘンゼル「やっぱり、お菓子職人じゃないかな?」

グレーテル「……」グゥ~

ヘンゼル「あ……」

グレーテル「いや、あの……違うの……!!」

ヘンゼル「……屋根だけ貰っちゃおうか?」

グレーテル「そんな!! そんなことしたらお菓子の家が壊れちゃうよ!! それに勝手に食べるのはよくないと思うし……」

ヘンゼル「あとで謝れば大丈夫だって。さ、グレーテル。食べるんだ。ここまで何も食べてなかったし」バリバリ

グレーテル「あぁ……お菓子の家がぁ……。あ、お兄ちゃん。中もきちんと作りこまれてるよ。ほら、キッチンもあるし」

ヘンゼル「おー。トイレまでお菓子で作ってある。本当によくできてるな、このお菓子の家。本物の家の大きさなら住めそうだ」

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ヘンゼル「美味しいか?」

グレーテル「う、うん……。でも、良かったのかな……これ……」

ヘンゼル「いけないことだけど、仕方ないじゃないか」

グレーテル「もし、何かのコンテストに出す用だったら……? お菓子コンテストがあったのかもしれないよ?」

ヘンゼル「そんな大事な物をここに置いてはいかないだろ」

グレーテル「そうかなぁ……」

ヘンゼル「いいから、食べるんだ。このお菓子の家を作った人には僕が謝るから」

グレーテル「私も謝るよ」

ヘンゼル「無理やり食べさせたのは僕だ。グレーテルは悪くない」

グレーテル「お兄ちゃん……」

ヘンゼル「さ、お腹すいているんだろ」

グレーテル「う、うん……。お兄ちゃんは食べないの?」

ヘンゼル「僕はお腹空いてないから」

グレーテル「それじゃあ……頂きます……」パクッ

グレーテル「おいしい……!」

ヘンゼルとGLAYのTERU?

魔女「お前、ちゃんと持ってこいっていっただろうがよぉ」

青い鳥「いやぁ。姉さんのヌーブラ姿を想像してたら、思わず忘却の彼方でして」

魔女「全く。あれは大切なものだって再三注意しただろうが」

青い鳥「この可愛いオケツに免じて許してください」プリッ

魔女「胡桃でも突っ込んでやろうか」

青い鳥「やめてくださいよぉ!! 小鳥の尻には荷が重過ぎる仕打ちじゃないっすかぁ!!」

魔女「ともかく、あのお菓子の家をだねぇ……」

青い鳥「姉さん、しっ!」

魔女「どうした?」

青い鳥「人間がいるっすよ。それも二人だ」

魔女「またか……?」

グレーテル「お兄ちゃんも半分食べて」

ヘンゼル「僕はいいって。お前が食べるんだ」

グレーテル「お兄ちゃんもお腹空いてるでしょ?」

青い鳥「あー!!! 姉さん!! あのガキども姉さんの作品を喰らってますよぉ!!」

ヘンゼル「え……!?」

グレーテル「あ……」

魔女「……」

青い鳥「いーけないんだ! いけないんだ!! 勝手に落ちているお菓子の家を食べるなんていけないんだぁ!!!」

ヘンゼル「鳥が喋ってる……!?」

グレーテル「お兄ちゃん……」ギュッ

青い鳥「なんだぁ!? 鳥が喋ってたらあかんのかぁ!?」

魔女「おやおや。随分と日当たりのよさそうな家になっちまったねぇ」

青い鳥「ホントだぁ!! よりにもよって屋根を食べるたぁ!! 年中日焼けしたいのかよぉ!! 色白なくせしてよぉ!! あぁん!! はぁん!?」

グレーテル「ひっ……」ビクッ

ヘンゼル「す、すいません。空腹に耐えかねて、僕が食べました」

魔女「ふぅん。そうかい。そっちの小娘も食べているような気がしたけどねぇ」

ヘンゼル「僕が無理やり妹に食べさせたんです。毒味させようと思って」

グレーテル「ちが……!!」

ヘンゼル「黙ってろ」

魔女「このお菓子の家はあたしの大切なものなんだよねぇ……」

青い鳥「これはなぁ!! 姉さんの最高傑作にして至高の一品なんだよぉ!! それを断りもなく食べるとは、将来の職業は盗人ですかぁ? えぇ、おい?」

ヘンゼル「すいません」

グレーテル「お兄ちゃん……」

魔女「どうしてお菓子で家のミニチュアを作ったと思う?」

ヘンゼル「え……?」

魔女「分かるかい?」

青い鳥「分かる訳ないっすよぉ!! こんな頭悪そうな小僧なんかにぃ!!」

ヘンゼル「……お菓子で本物の家を作りたいから、とかですか?」

青い鳥「んなぁぁ!? なんでわか――」

魔女「糞鳥、黙りな。――どうしてそう思うんだい?」

ヘンゼル「かなり精巧に内部も作りこんであったので……もしかしたら、そうかなって……」

グレーテル「……」

魔女「なるほどね……」

ヘンゼル「あの、勝手に食べたことは謝ります。罪を償えるなら僕がなんでもします。だから、その、妹だけは……」

昔、クレしんの短編でヘンデレとグレテルってのがあったなwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

ん?今何でも

あぁ、ブラックラグーンの双子か、蜂の巣になるなお菓子の家

魔女「お前たち、この森に入ってきたってことは、悪い魔女に食われることも覚悟の上と考えてもいいんだね?」

ヘンゼル「え……!!」

グレーテル「……っ」ギュッ

魔女「この森は人食いの森だとか、魔女の森って呼ばれている場所だ。知らないとは言わせないよ?」

ヘンゼル「……はい」

魔女「なら、こうして悪い魔女に見つかったらどうなるか。わかるね?」

グレーテル「お、おばちゃん、ま、魔女なの……!?」

魔女「ああ、そうさ。お姉さんが魔女だ」

青い鳥「メスガキぃ!! 姉さんはまだ29歳だっつーの!!! おばさんって呼ぶには1年はえぇぞ!!! こらぁ!!! あぁん!! はぁん!?」

グレーテル「ご、ごめんなさいっ!!」

魔女「糞鳥」

青い鳥「なんでしょう?」

魔女「次はないよ?」

青い鳥「……ピヨピヨ」

ヘンゼル「あの、それで……僕をどうするつもりですか……?」

ジェレミー・レナーとジェア・アータートンが浮かんじまった

魔女「丁度、労働力が欲しいと思っていたところさね」

ヘンゼル「労働力……?」

魔女「勝手にあたしの家を食べたんだ。食べた分はきっちり働いてもらおうか」

ヘンゼル「……」

グレーテル「あ、あの……!! 私が……!!」

ヘンゼル「いいんだ。僕が――」

魔女「どっちもだ」

ヘンゼル「妹は何も悪くないんです!!」

魔女「でも、食べただろ? 世の中、食べるためにはそれ相応の労働をしなきゃいけないんだよ? ガキども」

ヘンゼル「……」

グレーテル「お兄ちゃん……」

青い鳥「そうだぞぉ!! 俺だってなぁ!! 虫を食べるのにどれだけ苦労するのか、知ってんのかぁぁ!? あぁぁ!? おぉぉ!?」

グレーテル「ひぐっ……!!」ビクッ

魔女「今からお前達はあたしの奴隷だ。いいね?」

ヘンゼル「は、はい……」

魔女の家

魔女「入りな」

ヘンゼル「……」

グレーテル「……」

青い鳥「お邪魔しますがねぇぇけどぉ!?」

グレーテル「ひゃぁ!!」ビクッ

青い鳥「ふっつう、他人の家にあがるときはお邪魔しますの一言があるもんじゃねぇぇのぉぉ!? んほぉぉ!?」

グレーテル「ご、ごめ……んなさい……」ウルウル

ヘンゼル「やめてください!! 妹を驚かせないでください!!」

青い鳥「はいぃ!?  小僧、カースト制度ってもんを脳髄に叩き込んでやろうかぁ? あっはぁん?」

魔女「糞鳥、うるさいよ。さっさと鳥かごにもどんな」

青い鳥「ふん。命拾いしたな、小僧。あと60秒、姉さんの指示が遅かったら俺が小僧の右乳首がクレーター化するまで突いていたところだぁ」

ヘンゼル「なっ……!!」

魔女「その鳥は口だけだ。気にすることたぁ、ないよ」

青い鳥「姉さん!! 俺だってやるときはやるんですよ!? まだ、生まれてから本気を出したことがないだけでさぁ。あー、一度でいいから本気ってやつを出したいっすわぁ、マジで」

魔女「さてと……。あんたら、何ができる?」

ヘンゼル「……薪割りと掃除。それから家畜の世話です」

グレーテル「お料理と……洗濯ができます……」

魔女「そうかい。そりゃあ、好都合だ。それじゃあ、小僧には明日から、小娘は今日から働いてもらおうかね」

ヘンゼル「あ、あの……それは……いつまで……?」

魔女「あたしの気が済むまでに決まってるだろ?」

ヘンゼル「それは……」

魔女「パパやママから教わらなかったかい? 魔女は残虐で極悪で、人間を食い物としてしか見てないような存在だって」

ヘンゼル「それは……聞いたことがあります……」

魔女「なら、諦めな。お前達はもうここから逃げることはできないし、親の顔を見ることもないんだからね。死ぬまで散々こきつかってやるから、安心しな」

グレーテル「……」

ヘンゼル「分かりました……」

魔女「小娘。裏の小屋が食糧庫だ。そこから好きな食材持ってきて、何か作りな。あんたの腕前を見せてもらうよ」

グレーテル「は、はい……わかりました……」

ヘンゼル「はぁ……」

食糧庫

グレーテル「いっぱいある……」

青い鳥「お悩みかぁ、ファニーガールさんよぉ!!」バサッバサッ

グレーテル「きゃぁ!!」ビクッ

青い鳥「姉さんはカレーが好きだぜ!! 俺も好きだ!!!」

グレーテル「……」

青い鳥「……」

グレーテル「……はぁ」

青い鳥「なんだ、その反応はぁ!!!」

グレーテル「ひぃ!!」

青い鳥「さっさと、にんじんとかぁ!! 肉とかぁ!!! たまねぎちゃんとかぁ!!! 籠に入れろやぁ!!! まぬけぇ!!!」

グレーテル「ごめんなさい……ごめんなさい……」ウルウル

青い鳥「泣いてないでさっさとしろぉ!!! 泣くだけなら俺にもできらぁ!!!」ピヨピヨ

グレーテル「は、はい……す、すぐに……します……」

青い鳥「てめぇはあれだなぁ。何をやらせてもダメなやつだな。あははは!! ついに俺より格下を見つけたぜぇ!! ひゃっはっはっはっは!!!」バサッバサッ

魔女の家

魔女「小僧。お前には明日から毎日、この家の掃除と荷運びをやってもらおうか」

ヘンゼル「荷運び……ですか……?」

魔女「ああ、そうさ。お菓子の家を作るにはそれなりに材料がいるんだよね」

ヘンゼル「それを運べってことですか」

魔女「朝の掃除が終わってから夜までね」

ヘンゼル「……」

魔女「いいね」

ヘンゼル「あの。僕はどうなってもいいですから、妹だけには酷いことをしないでください……。お願いします」

魔女「そりゃあ無理な相談だって分かっていて頭を下げてんのかい、小僧」

ヘンゼル「お願いします。妹だけは……」

魔女「あたしは魔女だよ? 頼まれて頷くとでも思ってんのか。甘いねぇ。砂糖菓子の窓より甘い」

ヘンゼル「あの窓、砂糖菓子なんですか?」

魔女「そうだよ。透明なガラスを再現しようと思ったら、やっぱり砂糖を使わないとねぇ」

ヘンゼル「へぇ……」

グレーテル「ごめんなさい……おそくなり……」ガチャ

青い鳥「姉さん、きいてくれ。小娘の肩の乗り心地が結構しっくり――」

ヘンゼル「なら、この便器は……」

魔女「マシュマロさぁ。座ったとき、フワフワしてていいだろぉ?」

ヘンゼル「なんだか、落ち着かないような気も……」

魔女「なんだってぇ?」

グレーテル「お、にいちゃん……?」

ヘンゼル「おかえり」

魔女「とっとと作りな、小娘」

グレーテル「は、はい……」タタタッ

青い鳥「姉さん!! 何を小僧と親しげにしてんすかぁ!?」

魔女「してない。小僧がお菓子の家について訊いて来るから、説明してやってただけだ」

青い鳥「ずるいずるい!! なら、俺も小娘の周りを飛んで、スカートを靡かせてやるぅ!!」バサッバサッ!!!

グレーテル「きゃぁー!! いやぁー!!!」

青い鳥「ほらほらー!! お前の桃源郷をご開帳しやがれぇ!! うっひょっひょっひょっひょ!!!」バサッバサッ

ヘンゼル「やめてください!!!」バシッ!!!

青い鳥「てめぇぇ!!! 最下層の分際で俺を掴むとはぁ!!! 何事だぁぁ!!!」

グレーテル「お、おにいちゃぁん……」ギュッ

ヘンゼル「妹だけには手を出さないでください、お願いします」

青い鳥「はぁぁ!? てめえ、俺様に命令できる立場だと思ってんのかぁ!? 姉さん!! 小僧に己の立場ってもんを教えてやってくださいよぉ!!!」

魔女「糞鳥。何を勝手に鳥かごから出てるんだ?」

青い鳥「へぇ? いや、ほら、新顔にはここの礼儀ってもんを教えておかないとダメでしょう?」

魔女「今すぐ鳥かごに戻らないと、今晩のおかずにからあげが追加されることになるよ?」

青い鳥「ピヨピヨ」バサッバサッ

グレーテル「はぁ……たすかったぁ……」

ヘンゼル「大丈夫か?」

グレーテル「うん……。ありがとう、お兄ちゃん……」

ヘンゼル「お前だけは絶対に守るから」

グレーテル「おにいちゃん……うれしい……」ギュッ

魔女「おい。早く作りな、小娘。あたしは気が短いよ?」

グレーテル「――で、できました」

魔女「カレーか。あたしはカレーにはちょいとうるさいよ?」

グレーテル「あ、はい……」

ヘンゼル「大丈夫だ。お前の腕ならきっと褒めてくれる」

グレーテル「そ、そうだと……いいんだけど……」

魔女「……はむっ」

グレーテル「……」ドキドキ

魔女「……まずい」

グレーテル「えぇ……そんな……」

青い鳥「マジっすかぁ!? 姉さん、これちょーうまいっすよ!!! マジ、ボーノ!! いや、ボルケーノレベルじゃね!?」

ヘンゼル「え……?」

グレーテル「……」

魔女「バッカ!! ここで落としておかないと、調子にのるだろ!!!」ペシッ!!!

青い鳥「いてぇ!! 姉さん、そんな思慮深いことを……!! すいませーん!!! 俺が浅はかでした!!」

グレーテル「あ、あの……どうでしたか……?」モジモジ

魔女「次に作るとき、この味よりも下だったら容赦なくお前を大鍋にいれて煮込んでやるからね。油断するんじゃないよ」

グレーテル「は、はい……」

魔女「ふん」モグモグ

ヘンゼル「よかったな」

グレーテル「う、うん」

青い鳥「なんか、すげぇガラムマサラがきいてるぅー!!!」

ヘンゼル「……」

グレーテル「……」

魔女「何やってんだ?」

ヘンゼル「え?」

魔女「そんなとこに突っ立ってないで、さっさと飯食って風呂の準備をするんだよ、小僧。小娘も食った後は食器の片付けをやるんだ。いいね」

ヘンゼル「あの、食べてもいいんですか?」

魔女「はぁ? これ全部、あたしらで食べろってかい? バカ言うんじゃないよ」

青い鳥「わかった!! 俺を丸々と太らせて焼いて食べる気だなぁ!! そうはいくかぁ!!! おかわりは2杯までにしとくんだもんねー!!」

グレーテル「……」

魔女「ごちそうさん。小僧、あたしは2時間後には風呂に入るから、それまでに準備を整えておくんだよ?」

ヘンゼル「わかりました」

魔女「小娘も。綺麗にしておかないと、外で寝てもらうからね。夜の森で寝ると腹を空かせた獣が骨まで拾ってくれるだろうけど」

グレーテル「は、はい。し、しっかり、綺麗にしておきます……」

魔女「それじゃあ、自室に篭るから。なんかあったら訊きにきな」

青い鳥「ふぅー……やべえなぁ……。食いすぎて、飛べねぇ……。跳ねていくか」ピョンピョン

青い鳥「あぁ……!! 胃の中が軽く乱痴気騒ぎってるなぁ……!! うぷっ!! たえろぉ!! 俺の五臓六腑たちぃ……!!」

グレーテル「……大丈夫かな、小鳥さん……」

ヘンゼル「なぁ、グレーテル?」

グレーテル「どうしたの?」

ヘンゼル「あの魔女のこと、どう思う?」

グレーテル「悪い人じゃなさそうだけど……」

ヘンゼル「いや、ただ奴隷がどういうものか知らないだけじゃないかな」

グレーテル「そうなのかな?」

ヘンゼル「とにかく、油断だけはするな。もし怒らせるようなことがあれば、きっと殺される……」

ヘンゼル「あの」トントン

魔女『なんだい?』

ヘンゼル「お風呂の準備が整いました」

魔女『ふぅん。そうかい』

ガチャ

魔女「ご苦労さん。それじゃあ、入ってこようかね」

ヘンゼル「どうぞ」

魔女「小僧」

ヘンゼル「は、はい」

魔女「覗いたらどうなるか、わかってんだろうね?」

ヘンゼル「……え?」

魔女「おいおい。最近のガキはそういうこともわかんないのかい?」

ヘンゼル「あの、覗くつもりなんて微塵もありませんけど」

魔女「……あ、そう。それなら、いいんだよ。それなら」

ヘンゼル「はい……」

風呂場

魔女「ふんふーん」ゴシゴシ

青い鳥「姉さん、姉さん」

魔女「なんだい?」

青い鳥「あの小僧と小娘。役に立つんっすか? どうにも俺には小娘の料理と、小娘の縞々パンツ以外に見るべきところはないと思うんすけどぉ?」

魔女「いいじゃないか。労働力が欲しかったのは本当だしね」

青い鳥「まぁ、姉さんがそういうなら、いいんすけどぉ」

魔女「それに逃げ出したところでこの森から抜けようもんなら、問答無用で人間に捕まっちまうだろうし、何したってあのガキどもは詰んでるね」

青い鳥「そうっすねぇ……」

魔女「ここで身が粉になるまで働き続けるか、それとも森の外で絶望するか。二つに一つ。幸せなほうを選べばいいんだよ」

青い鳥「姉さんも悪女っすねえ。選択の余地なんてないじゃないっすかぁ」

魔女「同然だろ? あたしは魔女だよ?」

青い鳥「ひゅー!! 素敵っすよ!! 姉さん!! 伊達に30年生きてないっすね!!!」

魔女「……」ガシッ

青い鳥「おろろ? 姉さん? 鳥を浴槽に沈めようとか考えてません? やめてくださいよぉ! 砂場で十分、汚れは――ごぼぼぼぼ!!!」

寝室

ヘンゼル「……」

ヘンゼル(きちんとしたベッドまで……)

ヘンゼル「やっぱり、あの人は……」

ガチャ

グレーテル「お兄ちゃん……起きてる……?」

ヘンゼル「どうした?」

グレーテル「一緒に寝ても、いい……?」

ヘンゼル「でも、あの魔女は別の部屋で寝ろって……」

グレーテル「ど、どうしても眠れないの……」

ヘンゼル「分かった。寝付くまで隣にいてあげるよ」

グレーテル「お兄ちゃん!」ギュッ

ヘンゼル「大丈夫だ。俺が守ってやるから」

グレーテル「うん……」

ヘンゼル(絶対に……)

いい感じのキャラだな、鳥www

いい人っぽいな
このおばさん

翌朝

魔女「あらぁ、起きなぁ、クソガキども!!」

青い鳥「魔女の朝ははえぇんだぜぇ!!! 牛乳が配達されるよりも5分早く起床すんだぁ!!」

魔女「ほら、さっさと――」ガチャ

魔女「おや?」

青い鳥「居ないっすね。裸足で逃げ出したんじゃないっすか? 姉さんのノーメイク姿は結構パンチ効いてますからねぇ」

魔女「昼食は鳥肉を使ったスパゲティにしようか」

青い鳥「あぁん!! 姉さぁん!! 俺をアルデンテらないでくださいよぉ!! くちばしが滑っただけじゃないっすかぁ!!」

魔女「さてと、んじゃ、いつものように――」

ヘンゼル「あ、おはようございます」

魔女「……なにしてんだい?」

ヘンゼル「掃除を……」

魔女「いつから?」

ヘンゼル「1時間ぐらい前からですけど」

青い鳥「お前は老人かっつーの!! 鳥より早起きして何文得したんだぁ!? あぁん? 言ってみろぉ、小僧ぉ」

リビング

グレーテル「んしょ……んしょ……」

魔女「……」

グレーテル「お、おはようございます。もうすぐ朝食ができますから」

魔女「早くしな。5分以内にできなきゃ、罰が待ってるからね」

グレーテル「は、はい!」タタタッ

魔女「ふん……」

青い鳥「今日のピーちゃんファッションチェーック!!!」バサッバサッ!!!

グレーテル「あ、あの……今、盛り付けている最中ですから……あの……飛び回らないで……」

青い鳥「昨日とかわらねー!!! んでぇ!? お前のファンタジーゾーンはどうなってんのぉ!?」ペロンッ

グレーテル「きゃぁー!!!」

青い鳥「げげー!!! こいつ、白いパンツはいてるぅー!!! 縞パンはいてないなら、もうお前は無価値じゃねえか!! はっはぁん!!」

グレーテル「ご、ごめ、ごめんなさい……せ、せんたく、してて……それで……」ウルウル

青い鳥「今すぐ縞パンに穿き替えろ!! 小娘!! それができないっていうなら、もう俺を穿けばいじゃない!!! 俺を下着にしたらいいじゃない!!!」

ヘンゼル「妹に近づかないでください!!!」バシッ!!

青い鳥「おんどりゃぁ!!! 小僧!!! マイライフに土足で上がりこむんじゃねぇよぉ!! 姉さん!! 社会のルールってもんを小僧に教えてやってくれぇ!!」

魔女「糞鳥、ひっこめ」

青い鳥「……これで勝ったと思うなよ、小僧。まだ5勝1敗だかんなぁ!!」

ヘンゼル「大丈夫か?」

グレーテル「うん……」

青い鳥「無視かよ!! 目上の小鳥に対してそりゃあねえんじゃねえの!? 寂しいだろうがよぉ!!!」

魔女「黙れ」ドガッ

青い鳥「あがぁ!!! 姉さん……!! 小鳥はひじ置きじゃ……ねえっすからぁ……!!」

魔女「早くしなよ」

グレーテル「ご、ごめんなさい! すぐに!!」タタタッ

魔女「で、小僧。あんたの仕事は終わったのかい?」

ヘンゼル「はい。終わりました」

魔女「手を抜いてないだろうね?」

ヘンゼル「……チェックしてもらえますか?」

魔女「飯食ってからしてやる。少しでも汚れがあったら、舌で舐め取ってもらおうか」

廊下

魔女「どれどれ……。掃除は行き届いてるかねぇ……」スッ

ヘンゼル「……」

魔女「うーん……」

魔女(埃一つありゃしない……。これじゃあ、叱れないじゃないか……)

ヘンゼル「あの……どうですか?」

魔女「……」

青い鳥「姉さん、お困りみたいっすね」

魔女「なんだい?」

青い鳥「俺がこの綺麗になった窓ガラスに糞つけてやりますよぉ。それで姉さんが人差し指で俺の糞を擦りとって「なんだい、これは?」のキメ台詞をかましてやるんすよぉ」

魔女「……」

青い鳥「なぁーっはっはっはっは!! 糞がついてりゃあ、小僧も言い逃れできやしねえっすよぉ!! さ、いきますよ!! 姉さん!!!」

魔女「小僧。毎日、これぐらい気合いれてりゃあ文句はない。今後も手を抜くんじゃないよ」

ヘンゼル「はい。がんばります」

青い鳥「姉さん? まずは落とすんじゃないんですか? 姉さん?」

むちゃくちゃ面白いな



魔女「さてと、あんたには生活に必要な水や薪、そして菓子作りに必要なモノを森から調達してきてもらおうか」

ヘンゼル「お菓子作りに……ですか?」

魔女「あたしの目的はなんだい?」

青い鳥「お菓子の家を作ることっす!!」

魔女「……そういうことだ。材料はいくらあっても足りないんだよ」

ヘンゼル「わかりました」

魔女「ここに取ってくるモノは書いてある。カゴが一杯になったら戻ってきて、また森へ取りにいくんだ。いいね?」

ヘンゼル「はい」

魔女「ほら、行ってきな。ああ、そうそう。別にそのまま逃げ出してもかまわないよ。その場合は妹を美味しく頂いちゃうけどね」

ヘンゼル「そんなことしません!!」

青い鳥「サボるんじゃねえぞ!!」

ヘンゼル「行ってきます」

魔女「……ふんっ」

青い鳥「さーてと、俺も行ってきまーす!!」バサッバサッ

魔女「うーん……」

グレーテル「あのぉ……」

魔女「なんだい?」

グレーテル「洗濯、終わりました……」

魔女「そうかい」

グレーテル「あの……お、お兄ちゃんは……?」

魔女「男は外で働くもんだ」

グレーテル「……」

魔女「ここは……チョコで固めて……」

グレーテル「あのぉ」

魔女「なんだい!? うるさいねぇ!! こっちはお菓子の家の模型を作ってるんだ!! 邪魔するな!!」

グレーテル「ご、ごめんなさい……。あの……この後は……何をしたら……いいでしょうか……?」

魔女「あぁ? 掃除は小僧がやったし、洗濯も終わったんだろ? うーん……なんか、テキトーに昼間で時間つぶしときな」

グレーテル「て、てきとーに、ですか……。わかりました……」

魔女「ああ、お兄ちゃんを追って森に行ってもいいけど、命の保障はしないからね。肝に銘じときな」

森の中

ヘンゼル(まずは水を汲んでこないと……)

ヘンゼル「でも、どこに行けば……」

青い鳥「いよぉう!! ブラザー!!!」

ヘンゼル「うわっ!! なんですか!?」

青い鳥「迷える小太りを導いてやろうっていう、小鳥の心意気だろうがよぉ。感謝しろい」

ヘンゼル「僕、別に小太りじゃないですよ」

青い鳥「うっせぇ!! まずは妹にピッタリのシマウマ柄のパンティーを探すぞ!! ついてこい!! 小僧!!」

ヘンゼル「……水はどこだろう」キョロキョロ

青い鳥「ヘイヘイ!! 折角、人語を介してやってんのに、なんだその淡白な反応はよぉ!! 10年に1度しかつかねえとの評判の怒髪天をついちまうぜぇ? いいのかなぁ?」

ヘンゼル「今は水を探しているんです」

青い鳥「水ぅ? 泳ぐつもりか? それともこっそり妹を水辺に呼び出して、ドキッ!兄妹だけの危ない水泳教室でも開講すんのか? おう、その講義、参加してやるよ」

ヘンゼル「何しに来たんですか?」

青い鳥「水が欲するなら、俺についてこいって言ってんだよぉ!!」バサッバサッ!!

ヘンゼル(面倒くさい、鳥さんだな……)

トッコリの声で再生されるのは俺だけじゃないはず

青い鳥「見ろ!! このスワロー飛び!! 俺は地面から30センチすれすれの高さで飛行ができるんだぜ!?」ギューン

ヘンゼル「結構、高い位置で飛ぶんですね」

青い鳥「ああいえば!? そう言っちゃうんだなっ!! 最近のガキはメンドクサいったらありゃしねえ!!」

ヘンゼル「……一ついいですか?」

青い鳥「3つまでなら許す」

ヘンゼル「妹を……グレーテルを虐めるのはやめてください。完全に怯えてしまってますから」

青い鳥「当たり前だろん!! 怯えるような行動を巻き起こしてるんだからなぁ!!」

ヘンゼル「どうしてそんなことをするんですか!?」

青い鳥「俺よりも格下だからだぁー!!!」

ヘンゼル「か、格下って……」

青い鳥「人間はみな、俺よりも偉そうな奴ばったでよぉ。まぁ、実際偉い奴が多かったんで、俺はなにも言えなかった。でも……」

青い鳥「遂に俺よりも生まれたときからの負け組がおいでなすったわけだ!! こりゃあ、調子に乗らざるを得ないじゃねえか!! ピーヨピヨピヨ!!!」

ヘンゼル「……随分と悲惨な半生を過ごしてきたんですね」

青い鳥「これからは俺の時代だっはぁーん!!」バサッバサッ

ヘンゼル(なるべく優しくしてあげよう……)

パンチ効いた鳥だな

鳥もいい奴だなww

魔女の家

魔女「うーん……。やはり、ここは綿菓子で……うん、いい感じだ」

グレーテル「……」

魔女「そうだ。部屋に飾る絵画も菓子でつくりたいねぇ」

グレーテル「……あの」

魔女「なんだ、まだ居たのかい。暇なら寝てなよ。こっちはガキのお守りをするつもりなんてないんだからね」

グレーテル「は、はい……」

魔女「ここはそうさねぇ、生クリームとクッキーで……」

グレーテル「あ……」

魔女「なんだ? 気が散るじゃないのさ」

グレーテル「えっと……あの……な、なんでもないです……。部屋に行きます」

魔女「はぁ……。こら、小娘」

グレーテル「は、はい!」

魔女「何を言いかけたんだい? はっきり言いな」

グレーテル「い、いえ……なんでもありませんから……ごめんなさい……」

魔女「おい。あたしは言えって言ったんだ。いいから言いな」

グレーテル「でも……使用人が……意見を言うなんて……」

魔女「言え」

グレーテル「ひぐっ!?」ビクッ

魔女「……」

グレーテル「あ、あの……そ、そこは……その……ク、クッキーじゃなくて……キャラメルのほうが……いい、かなと……」

魔女「キャラメルだぁ?」

グレーテル「い、いえ……その……わ、私の感想でして……その……おば――お姉さんのほうが……」

魔女「こら」グイッ

グレーテル「ぐぇ」

魔女「今、おばさんって言うおうとしただろ?」ググッ

グレーテル「ふいふぁせん……!!」

魔女「あたしのことはご主人様って呼びな。お前は奴隷なんだからね」

グレーテル「ふぁい、きふぉふけまふ」

魔女「ふんっ。次、言ったらお前に便所掃除させるからね」

グレーテル「ごめんなさい……」

魔女「もういい。それよりもキャラメルなら食糧庫にあるはずだ。持ってきておくれ」

グレーテル「え?」

魔女「え?じゃないよ!! キャラメル持ってこいっていってんだよ、あたしは!!」バンッ!!

グレーテル「は、はい!! すぐに持ってきます!!!」ダダダッ

魔女「ったく……」

魔女(どんな生活を送ってきたら、あんな可愛げのない子どもになるんだろうねぇ……)

グレーテル「――あの!」

魔女「お、早いね。感心、感心」

グレーテル「……キャラメル……どこの箱に……」

魔女「置くの赤い箱だよ!!」

グレーテル「ご、ごめんなさい!!」タタタッ

魔女「あれじゃあ兄のほうがまだ使えるねぇ……」

魔女「いや、まぁ、飯は美味いけどさぁ……」

魔女「ふん」

つい最近シンデレラで似たようなの見た気がするけどそれ書いたの>>1

>>41
魔女「置くの赤い箱だよ!!」

魔女「奥の赤い箱だよ!!」



グレーテル「あった、あった。急がなきゃ」タタタッ

青い鳥「――そこ行く負け組乙女ちゃん!!! ちょっとこっち向きなよぉ!!」

グレーテル「え?」

青い鳥「そーそー。いいアングルだねぇ……。走った所為かなぁ? 食い込んでるよぉ、君のメルヘン街道に白い布地がさぁ」

グレーテル「いやぁ!!! い、いつの間に……股下に……!!」

青い鳥「おいおい。お嬢さん。あまり気を抜いてると、俺みたいなエロい紳士に声をかけられて、紅茶を嗜んじゃうことになるぜ。気をつけろよ。これは教訓だ」

グレーテル「は、はい……ありがとうございます……」

ヘンゼル「鳥さん!!! いい加減にしてください!!!」

青い鳥「やぁーなこった!! 俺は決めたんだぁ!! 小娘の困った顔で私腹を肥やすことをなぁ!!」

ヘンゼル「……」ガシッ

青い鳥「てめぇ!! 水の在り処を教えてやった俺様をどうするつもりだぁ!? 恩を仇で返してみろぉ!! 姉さんが黙っちゃいねえぜぇ!? だから、殺すな!!! 頼む!!」

ヘンゼル「もう、やめてください。グレーテル、何をしてたんだ?」

グレーテル「キャラメル、取りに行ってたの。ご主人様がお菓子の家の見本を作ってて……」

ヘンゼル「そうか。食べちゃったから作りなおさないといけなくなったんだよな……。グレーテル。あの人の手伝いは任せる。くれぐれも怒らせないようにな」

グレーテル「うん。お兄ちゃんは……水を汲んできたの?」

ヘンゼル「ああ。水は一番使うから。もう一度行ってくるつもりだ」

グレーテル「お兄ちゃん、無理だけはしないでね……」

ヘンゼル「するもんか。僕のことは心配しなくていいから」

グレーテル「う、うん……」

ヘンゼル「それじゃあ、行ってくるよ」

グレーテル「お兄ちゃん、気をつけてねー!」

ヘンゼン「ああ!!」

青い鳥「おらおら、小娘。俺もいくんだが?」

グレーテル「え?」

青い鳥「え?じゃねえよぉ!!! あぁぁん!?」

グレーテル「ひぐっ!?」ビクッ

青い鳥「なんかやる気が噴火するようないってらっしゃいがあるだろ!? なぁ!? 妹なら察せよ、そのへん! よろしく!!」

グレーテル「が、がんばって、ください……小鳥さん……」

青い鳥「はぁーい!! 小鳥、頑張りまぁーすっ!!!」バサッバサッ

魔女の家

グレーテル「おまたせ――」

魔女「遅いね。何してたんだい?」

グレーテル「あ、あの……お兄ちゃんが……帰ってきて……」

魔女「話し込んじまったってか。あたしを待たせているのに」

グレーテル「ご、ごめんなさい……」

魔女「罰だね」

グレーテル「ひっ……!!」ビクッ

魔女「……」

グレーテル「あぁ……あぁ……」ガクガク

魔女「……」グイッ

グレーテル「ごめんなさい……もうしません……もうしませんからぁ……うぅ……うぅぅ……」

魔女「昼はピザが食べたい。作りな。出来ないなんて言わせないよ」

グレーテル「うぅ……ごめんなさい……やります……やりますからぁ……」

魔女「おい。いつまで震えてんだい。もう何もしてないだろうが」

グレーテル「あっ……ぐすっ……うぅ……」

魔女「おい、泣き止みな。鬱陶しい」

グレーテル「うっ……ぐすっ……」

魔女「ちっ……。これだから、ガキは面倒なんだ……。ほら」

グレーテル「え……?」

魔女「これでも口に突っ込んどきな」グイッ

グレーテル「むぐっ……!?」

魔女「普通のキャンディーだ。毒なんて入っちゃいないよ」

グレーテル「ごひゅふぃんしゃま……」チュパチュパ

魔女「ピザ」

グレーテル「いふぁしゅぐ……」チュパチュパ

魔女「ふん……」

魔女(なんだ、あの怯えようは。この森に入る前、どこにいたんだろうね……)

魔女(ま、あたしには関係ないことだけど)

魔女「……キャラメルのほうがしっくりくるじゃないのさ。生意気な」

鳥はアレだ、アラジンのジャファーの相棒のイヤーゴで再生される
ともかく支援

>>48
しっくりくるな

森の中

ヘンゼル「ふっ……。よし。戻ろう。次は薪になる木を集めないといけないし」

青い鳥「ピーヨピヨピヨ!! おい、小僧! そんな作業速度じゃあ、カタツムリもそんなお前を横目に鼻で笑いながら老衰死するってもんだぜ?」

ヘンゼル「……」スタスタ

青い鳥「ピュアボーイの両目に俺は映らないってか。まぁ、そうだな。俺は美しすぎて毒にもならぁ。ほら、見ろ。この毒キノコ、綺麗だろ? 食べられないんだぜ?」

ヘンゼル「あの。場所を教えてくれるのはありがたいんですけど、邪魔だけはしないでください」

青い鳥「誰が邪魔してるってぇ? おぉ? 俺はただ将来のジャズ音楽について考えているだけだ。そう、もっと前衛的なジャズがあってもいいだろ?」

ヘンゼル「……」

青い鳥「たとえば、17分間小鳥が囀り続けるジャズコーラスがあってもいいと思わないか?」

ヘンゼル「思いません」

青い鳥「ふっ。ガキにはちょっと大人すぎる話だったかぁ……」

ヘンゼル(訳が分からないな……。早く戻ろう。もうすぐお昼になるし)

青い鳥「あー!!! おい!!! まてよぉ!!!」

ヘンゼル「なんですか? 早く戻らないとあの人に怒られ――」

青い鳥「バッカやろう!! 頭と尻を低くしろ!!!」

ヘンゼル「一体、何を言って――」

青い鳥「いいから!! 言うこと聞け、小便小僧!!」グイッ

ヘンゼル(なんなんだ……)

青い鳥「……あっちを見ろ」

ヘンゼル「え……?」


「いたか?」

「いや……。もう少し奥まで行ってみるか?」

「ダメだ。危険すぎる。町長も無理をするなって言ってるしな」

「そうだな。よし。今日はここまでにするか」


ヘンゼル「……」

青い鳥「行ったみたいだな。ふぅー。遂にこんなところまで踏み込んできやがったか」

ヘンゼル「あの人たちは……?」

青い鳥「ありゃあ森の外にいる人間だ。魔女狩りなんて物騒なことをやってんだよ。ひでーだろ? 鳥の俺も鳥肌もんだわ。あ、元々鳥肌だったわ」

ヘンゼル「魔女狩り……?」

青い鳥「さぁて!! いくぞぉ!!! そろそろ小結がちゃんこ鍋をこさえているころだろ!!!」

ヘンゼル「……あの」

青い鳥「そこは小結じゃなくて小娘だろ!! 鳥さんの鳥頭ぁー!! って、ツッコミ入れるところだろ!? で、俺がすかさずこう切り返すわけだ」

青い鳥「元々、鳥頭だっつーの。ってなぁ!!! ぬぁーっはっはっはっはっはっは!!!!!」バサッバサッ

ヘンゼル「魔女狩りってなんですか?」

青い鳥「あぁ!? きのこ狩りの魔女ヴァージョンだよぉ!! これぐらい乳児でもわかるぞ!?」

ヘンゼル「それって……あの……」

青い鳥「そうだ。姉さんは外の連中に狙われてんだよ。魔女だかんな」

ヘンゼル「やっぱり……」

青い鳥「まぁ、この森に偉いやつらの許可なく入った奴らは問答無用で魔女の仲間って認定されるみたいだしぃ、小僧と小娘ももう魔女の一部だ」

ヘンゼル「……」

青い鳥「てめぇはもうこの森から出た瞬間、撃ち殺されるぜぇ!! あの人間たちが持っていた俺のチンチンぐらいでっかい猟銃でなぁ!!」

ヘンゼル「……そう、ですか」

青い鳥「さすがにブルったか!? 俺の体毛なみにブルーだろ!? なっはっはっはっはっは!!!! ピヨピヨピヨピヨ!!!!」

ヘンゼル「魔女狩り……本当にあったんだ……」

魔女の家 庭

ヘンゼル「……」

青い鳥「でなぁ? そこでナイスガイな俺はこう言うんだよ。お嬢さん、それはどんぐりの背比べですよ。だから、私とトゥナイトしましょうってな」

青い鳥「どうだ? 高尚過ぎて意味の片鱗すら掴めねえだろ?」

ヘンゼル「はぁ……」

青い鳥「おいおいー!! 青い鳥が肩に乗ってやってんのに溜息かよぉ!! 溜息吐かれるたびに幸せを詰め込む俺の身にもなってくんねえ?」

ヘンゼル「そんなことしてたんですか?」

青い鳥「お前、本当に無知無知小僧だな。いいか? 青い鳥っていうのは誰が言ったが知らないが幸せを呼ぶんだって!! だから、俺も色んな人間の手に渡ってさぁ!!」

グレーテル「あ、お兄ちゃん、お帰りなさい」タタタッ

ヘンゼル「ただいま、グレーテル」

青い鳥「まだ俺の話はエンドってないけど!?」

グレーテル「今、お昼ご飯作ってるところなの。お兄ちゃんもお昼休憩していって。ご主人様も休めって言ってくれてるから」

ヘンゼル「そうなのか?」

グレーテル「うん。だから、いこ」

青い鳥「ピザだってぇ!? 俺の好きな食べ物トップ50に入選した食いモンじゃねえか!! ひゃっほー!!! 小娘ぇ!! でかしたぁー!!」バサッバサッ

魔女「仕事はどうだい?」

ヘンゼル「水は確保できました……」

魔女「遅いね。そんなことじゃ日が暮れちまうよ。ピザ一切れか二切れ食ったら、さっさと仕事にもどんな」

ヘンゼル「わかりました」

グレーテル「お兄ちゃん……」

魔女「聞き分けが良いね。素直なガキは割りと好みだ」

青い鳥「てめえはもっと肉食え、肉ぅ!! んで、脂肪で膨らませるところはバインボインにしとけよぉ!! 姉さんみたいなぁ!!!」

グレーテル「は、はい……ごめんなさい……」

ヘンゼル「鳥さん」

青い鳥「わかってるよぉ。イジメんなって話だろ? 覚えてる、覚えてる。まだ3歩あるいてねえし」

魔女「ほら、夕刻までに与えられた仕事ができないようじゃあ、外で寝てもらうからねぇ?」

ヘンゼル「……そうですね。そろそろ行きます」

魔女「早く行け」

青い鳥「おほほい!!! マジかよ!!! まだこっちはとろけるピザの触手と戯れてるところなんだってばぁ!!! あと15分少々待ってもバチはあたんないぜ!!!」

ヘンゼル「行ってきます」



ヘンゼル「……」

グレーテル「お兄ちゃん、待って」タタタッ

ヘンゼル「グレーテル……」

グレーテル「はい、水筒。喉が渇いたら飲んでね」

ヘンゼル「何かあったのか?」

グレーテル「え……?」

ヘンゼル「泣いたあとがある」

グレーテル「そ、そんな……!」

ヘンゼル「嘘」

グレーテル「もう、お兄ちゃんっ」

ヘンゼル「でも、なにかあったんだな?」

グレーテル「……」

ヘンゼル「あの人に何か言われたのか? なんかご主人様って呼んでるみたいだけど……」

グレーテル「違うの。あの……私が、勝手に泣いちゃって……。ご主人様はその……何も……」

ヘンゼル「本当に?」

グレーテル「うん。ご主人様は、その……優しいぐらいで……。今までの人とは……違うみたいで……」

ヘンゼル「それは分かるよ。奴隷の扱い方を知らないみたいだし」

グレーテル「お兄ちゃん……あの……だから……」

ヘンゼル「悪い人じゃなさそうだし、しばらくお世話になろうか。どうせ行く当てもないしな」

グレーテル「いいの……?」

ヘンゼル「ああ。先のことをゆっくり考えなきゃいけないんだ。今はここにいるほうがいいと思う」

グレーテル「お兄ちゃん……」

ヘンゼル「それに……」

グレーテル「どうかしたの?」

ヘンゼル「いや、なんでもないよ。それじゃあ、行ってくる」

グレーテル「うんっ。気をつけてね」

ヘンゼル「水筒、ありがとう。大事に飲むから」

グレーテル「いってらっしゃい!」

青い鳥「だぁー!!! 待てよぉ!!! 早漏ちゃん!!! 俺を連れていってくれなきゃやだーん!!!」ギューン

魔女の家

魔女「さっさと食器の片付けしちまいな。10分で出来なきゃ便所掃除だからね」

グレーテル「は、はい」タタタッ

魔女「うーん。どうにも椅子がイマイチだねぇ……」

グレーテル「んしょ……んしょ……」ゴシゴシ

魔女「おい、小娘」

グレーテル「は、はい! なんですか!?」

魔女「手を止めるな。こっちを見る必要もない。口だけ動かして、声だけ出せ」

グレーテル「は、はい……」

魔女「椅子はどんな菓子を使ったらいいと思う?」

グレーテル「椅子……ですか……」ゴシゴシ

魔女「どーにも良い感じの椅子が見当たらないんだよ」

グレーテル「ええと……バームクーヘン……とか……?」

魔女「バームクーヘンだぁ?」

グレーテル「あぁ……えっと……切り株の椅子みたいになって……その……かわいい、かな……なんて、思って……それで……あの……えへへ……」ゴシゴシ

森の中

ヘンゼル「これぐらいでいいかな?」

青い鳥「小僧ぉ!!! てめえは根性なしかぁ!! それともタマなしかぁ!?」

ヘンゼル「なんですか?」

青い鳥「そんなチマチマと小枝を担いでなんになるってんだ!? おっおっおん?」

ヘンゼル「薪になります」

青い鳥「バァカやろう!! そんなこといってねえよぉ!! 一度に大量の薪を手中に収めちゃう方法を啓示してやろうっていってんだよぉ!!」

ヘンゼル「啓示って、鳥さんは神なんですか?」

青い鳥「はぁん!? この節穴ドッコイ!! この神々しい両翼を見れば一目瞭然ってもんだろうが!!!」バサァァ

ヘンゼル「……」

青い鳥「俺はカーチャンの腹の中にいるころから、神の申し子って言われてたんだぜい?」

ヘンゼル「鳥なら卵の中じゃ……」

青い鳥「その卵は誰のケツ穴から出てきたもんだよぉ!? 少なくとも俺のカーチャンの股間にはメルヘンスティックはなかったと思うぜ!!!」

ヘンゼル「はいはい。分かりました」

青い鳥「俺が卵の殻を破ったとき!! 目の前に居たのは紛うことなきメスの色香をプンプンさせていた。ありゃあ、メス鳥だな。そう、初恋にも似た感情もあったから間違いない」

夕方 魔女の家

青い鳥「でなぁ!! 俺は最後にこう叫んだ!! まってくれぇ!!! 他の鳥は焼いてくれても構わない!! だけど、俺だけは見逃してくれ!!! ってなぁ!!!」

ヘンゼル「はぁ……はぁ……ただいま、戻りました……」ドサッ

魔女「おーおー。結構な量を持ってきたじゃないか。初日だから見逃してやるけど、明日はこの倍は持ってくるんだよ。いいね?」

ヘンゼル「はい……がんばります……」

青い鳥「姉さん!! 姉さん!!!」バサッバサッ

魔女「なんだい、糞鳥。あんたも鳥かごに戻りな。メシの時間になったら呼んでやるから」

青い鳥「外の連中、割とそばまで踏み込んできてますよ。いいんっすか?」

魔女「……好きになせときな。ここまで来るにはもう少し時間がかかるだろうしね。あいつらは揃いも揃って臆病者だ」

青い鳥「まぁ、そうなんすけどぉ。小僧が割りとハッスラーで、奥まで取りにいっちゃうんっすよ。そのときはもう冷や冷やもんで」

魔女「別にガキのお守りを任せたつもりはないよ。そこで死ぬならそれまでの人生だったで終わりさね」

青い鳥「そりゃあ姉さん!!! ヒドいっす!!!」

魔女「あぁ? あんたいつから人間の味方になったんだ?」

青い鳥「違うっすぅ!! 小僧が居なくなったら、また俺が最下層の鳥になっちゃうじゃないっすか!! 鳥にパシらされる人間とか滅多にいないんで、ここは丁重に……」

魔女「……好きにしなよ。お前の器の小さなに感服するわ」

寝室

ヘンゼル(疲れた……。今日は良く眠れそう……)

ヘンゼル「……魔女狩り……か……」

コンコン

ヘンゼル「はい?」

グレーテル「おにいちゃん……」ガチャ

ヘンゼル「どうぞ」

グレーテル「ごめんね? やっぱり一人は怖くて……」

ヘンゼル「いいよ。ゆっくり話したいと思ってたし」

グレーテル「お兄ちゃんっ」ギュッ

ヘンゼル「あの人と何か話をしたのか?」

グレーテル「うん。あのね、私ね、お菓子の家作りを手伝うことになったの」

ヘンゼル「へえ、どうして?」

グレーテル「お菓子選びのセンスがあるって……。でも、本当はお兄ちゃんのお手伝いをしたいんだけど……」

ヘンゼル「気持ちは嬉しいけどグレーテルはこの家に居てほしい。こっちには大木を楽に引っこ抜く嘘理論を延々語る鳥がいるから。疲れるだけだよ」

数日後 早朝

ヘンゼル「ふぅ……。これでよし」

魔女「ふわぁぁ……。ご苦労さん。こっちの生活にも慣れてきたみたいだね」

ヘンゼル「はい」

魔女(冗談で言ったつもりが本当に倍の量を運んでくるようになったし、この子ども働きすぎだろ……。追い出す理由がないじゃないか、全く)

グレーテル「おはようございます、ご主人様。トーストは焼けてますから、お先にどうぞ」

魔女「んー」

グレーテル「おにいちゃーん! ごはんできたよー!」

ヘンゼル「すぐ行くー」

魔女「……」モグモグ

グレーテル「あの、ご主人様? 今日も……あの……その……」

魔女「毎朝あたしの顔色を確認しなくても、アンタには手伝ってもらうよ。いい加減にしないと、便所掃除させるよ」

グレーテル「あ、ご、ごめんなさい……」

魔女「ふん……」モグモグ

青い鳥「姉さん、ガキが住み着いたことで、ますます年増に磨きがかかってきたっすね」

グラクラのマジキチ兄妹が魔女をジェノサイドするssかと思ったのに

魔女の…おねーさんお人よしだな

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てかこのおゲフンゲフン姉ちゃんは便所掃除自分でやってんのかな

>>65
掃除はお兄ちゃんの役目だろ
料理と洗濯以外に汚いことさせるぞゴラァって妹を脅してるだけで

俺だったら便所掃除喜んでやるけどな

便所掃除はむしろ楽しかった記憶が

三十路とはいえムチムチのエロ姉さんしか使ってない便所の掃除とかご褒美だろ

三十路というところが凄いバッドアピール

>>70
わかってない

ほんとうにわかっちゃない

>>70
そこがいいんだろうよ…

美人でエロボディの三十路なんて最高じゃねえか

青い鳥「姉さん!! ねえさぁん!!! 俺、縛られてキーウィに進化しちゃいましたけど!?」ジタバタ

ヘンゼル「行ってきます」

魔女「はいはい」

青い鳥「おらぁ!! 小僧!! 俺を助けようって気持ちはねえのかよぉ!!」ピョンピョン

魔女「……賑やかになったもんだ」

グレーテル「あ、あの……ご主人様……」

魔女「今日は小物をどうするか決めるよ」

グレーテル「は、はい」

魔女「良い家にはね、良質のオブジェや骨董品が置いてあるもんだ。この前作った絵画もその一つだけどね」

グレーテル「……」コクコクッ

魔女「壷とかキャニスターとかあるだろ?」

グレーテル「あ、あと……あの……動物の……け、毛皮……とか……」

魔女「あー。そうだね。そう言うのもアリだねぇ。それも追加させるか」メモメモ

グレーテル「えへへ……」

魔女「ほら、笑ってないでほかにあるなら言ってみな。その代わり、くだらないこと言ったら屋根裏の掃除させるからね」

森の中

青い鳥「自由ってサイコーだな!! そう思うだろ!?」バサッバサッ

ヘンゼル「……」

青い鳥「なんとか言えよ!! いい加減にしねえとその冴えないつむじを集中的に突いてやんぞ!? いいのかなぁ!?」

ヘンゼル「最近、グレーテルが明るくなったと思いませんか?」

青い鳥「はぁ? 小娘って発光すんのか? ホタルみたいにケツが光るのか?」

ヘンゼル「そうじゃなくて、よく笑うようになったというか……。一緒に生活し始めてからまだ数日ですけど、はっきりと違いが出ていると思うんです」

青い鳥「どうだったかなぁ。俺は小娘の下半身と大胸筋にしか興味ねえからなぁ」

ヘンゼル「あの人と出会って本当に良かったかもしれません」

青い鳥「姉さんも最近は小娘にべったりだからなぁ。そろそろマスコットとしてどちらが相応しいのかはっきりさせておかなきゃなるめえな」

ヘンゼル「また変なところで対抗心を燃やして……」

青い鳥「てめぇ!! 最近、姉さんの俺に対する扱いがどんどんぞんざいになってるのに気がついてねえのかよぉ!! あっはぁぁん!?」

ヘンゼル「そうなんですか?」

青い鳥「そぉぉだよぉ!!! あの小娘ぇ……!! 上手く姉さんに取り入ったつもりだろうがそうはいかねえぞ!!! 姉さんの全てを知ってるのは俺だけなんだからなぁ!!!」

ヘンゼル「よっと。水確保。よし、一度戻ろう」

夜 魔女の家

ヘンゼル「ただいま戻りました」

魔女「おふぁえり」

グレーテル「おかえり、お兄ちゃん。ごめんね。ご主人様がどうしてもお腹すいたって言って……」

ヘンゼル「いや、そんなの気にしないから」

魔女「そうだね。お前の仕事が遅いから食事に遅れた。ただそれだけのことだ」

グレーテル「で、でも……ご主人様のお食事は……いつもより……あの……30分ほど……早いような……」

魔女「ほーぅ? 小娘ぇ。随分と生意気な口をきくようになったじゃないか」グイッ

グレーテル「ひっ……」ビクッ

ヘンゼル「やめてください!」

青い鳥「いや、構いません!! そのまま4往復ビンタでもくれてやればいいんすよ!!」

グレーテル「うっ……ごめん、なさい……」

魔女「気をつけなよ。次はないからね」

グレーテル「は、はい……」

ヘンゼル「ありがとうございます」

ヘンゼル「よかったな」

グレーテル「う、うん」

魔女「早く食べな。冷めるよ」

ヘンゼル「は、はい」

青い鳥「姉さん!!! 俺はもう我慢ならねえ!!!」

魔女「あぁ?」

青い鳥「ガキに甘すぎぃ!! 今の小娘の発言は極刑レベルっすよ!! 俺が審判を下す精霊だとしたら、すぐにこの世界から退去願いを出すところっす!!」

グレーテル「ごめんなさい……」

青い鳥「姉さんは魔女のはずっす!! それがどうして、そんな甘言を振りまくんすかぁ!? ガキが付け上がるだけじゃないっすかぁ!!!」

魔女「……」

青い鳥「大体よぉ!! 小僧も小娘もこの家で二番目に偉い俺様のことを敬おうって気が全く見えないのはなんでなの!? おかしいじゃないのぅ!!!」

ヘンゼル「そんなことは……なぁ?」

グレーテル「う、うん……」

魔女「待ちな、糞鳥。ペットのお前がどうして二番目に偉いんだ? 掃除洗濯料理物資運搬。その他諸々をこなしている兄妹よりお前が偉いわけないだろ?」

青い鳥「なんすとぉー!? じゃあ、1年以上も姉さんの裸を観察してきた俺よりも、たった数日ここで汗水流して頑張っている兄妹のほうが偉いんすか!? ありえねぇっすわぁ」

魔女「常識で考えな」

青い鳥「お言葉っすけど、姉さん。姉さんの体調管理とかぁ、俺がやってたんすよ?」

魔女「そんなことしてたのかい?」

青い鳥「当然じゃないっすか!! 今日の乳頭は桃色ですばらしい。穢れを知らない生娘のよう……。とか、全部日記をつけてるっす」

魔女「お前……」

青い鳥「ほーれ、ほーれ。小僧。お前も姉さんの赤裸々なプロフィールには興味あんだろぉ? 下半身は正直だなぁ、ええおい?」

ヘンゼル「何を言ってるんですか?」

魔女「ともかく、そんな下らない事をばっかりやってるなら、そのうち出て行ってもらうよ」

青い鳥「なんすか!!! なんすかぁ!!! なんで俺が役立たずみたいな感じになってんすか!? もういいっす!! こんな家、出て行ってやるっすぅ!!!」

グレーテル「そ、そんな……!! 待って……!!」

青い鳥「黙れ!!! 腹黒妹!!! てめえなんて実の兄と一緒にお風呂入って、兄を無駄にドキドキさせるだけの存在だろうがぁ!!!」

グレーテル「そ、そんなこと、しないです……」

青い鳥「もういやぁ!!! お前らが来てからこの家はメチャクチャよぉ!!! 出て行ってやるぅー!!!!」バサッバサッ

魔女「勝手にしな」

青い鳥「もう知らない!! 姉さんなんてそのまま歳を重ねて淫靡になっていけばいいんだぁ!!!」

ヘンゼル「待ってください!!」

グレーテル「ご主人様……あの……」

魔女「ほっときな。どうせ三歩歩いたら忘れるし」

ヘンゼル「いや……でも……」

青い鳥「――ふぅ、腹減ったな。ごはんにしようぜ」ピョンピョン

魔女「ほら」

青い鳥「わーい」モグモグ

グレーテル「……」

青い鳥「んだぁ!? やらねえぞ!!」

ヘンゼル「グレーテル。気にしないほうがいいって」

グレーテル「う、うん……そうだね……」

青い鳥「てめえは黙ってスカートの中をチラつかせとけばいいんだよ!!」

ヘンゼル「変なこと言わないでください!!」

青い鳥「それが妹のつとめだろぉうがよ!!!」

魔女「どんな務めだ、それは」

別の日

グレーテル「んっ……。よし」

魔女「おはよう」

グレーテル「お、おはようございます。ご主人様」

青い鳥「ピーヨピヨピヨ!!! この天井付近から小僧を見下すことができる俺が下等生物なわけがないだろうが!!!」

ヘンゼル「いいから、雑巾を返してください。まだ窓拭きが終わってないんです」

青い鳥「永遠に終わらない窓拭きってか。ピヨピヨピヨ!! 結構じゃねえかぁ!!! その今世紀最大のミステリーを味わっとけ!!!」

ヘンゼル「ミステリーも何も貴方が雑巾を奪うからできないだけですよ」

魔女「おい、糞鳥。目障りだから降りてきな」

青い鳥「はぁーい」

魔女「よっと」バッ

青い鳥「あぁ!! 姉さん!! 雑巾を取らないでくださいよぉ!! 大事な脅迫ツールなんっすから!!」

魔女「さっさとやりな」

ヘンゼル「どうも。すぐに終わらせます」

青い鳥「姉さん!! 姉さんは俺の味方じゃないんすかぁ!? ないんすかぁ!?!」

ヘンゼル「それじゃあ、行って来るよ」

グレーテル「気をつけてね」

ヘンゼル「うん」

青い鳥「今日はあの話をしてやるぜ、小僧。俺がオリンピアの華だった頃、ライオンと戦ったことがあるんだ。向こうは百獣の王だが、俺は昨日話した通り百鳥の王だからな」

ヘンゼル「また嘘武勇伝ですか。それにしてもその肩書きは全然強そうじゃないですね」

グレーテル「……」

魔女「何してんだい。朝の仕事が終わったら、あたしの手伝いだろ」

グレーテル「あ、ごめんなさい。最近、お兄ちゃんが楽しそうなんで……。少し嬉しくて……」

魔女「……なんで?」

グレーテル「それは……」

魔女「ああ、いや。時間の無駄だね。あんたたちの思い出なんてこれっぽっちも興味ないから」

グレーテル「……」

魔女「数日中にはお菓子の家の建設に入るんだ。細かいところまで決めていかないとねぇ」

グレーテル「今日はどんな……ことを……」

魔女「トイレは何で作るか、だよ。マシュマロは不評だったしねぇ。さて、どうしたものか……」

森の中

ヘンゼル「あの、一つ訊いていいですか?」

青い鳥「三つまでなら許すって前にいっただろうがよ」

ヘンゼル「あの人はどうしてお菓子の家をつくろうって考えているんですか?」

青い鳥「はぁ? 今更な質問だなぁ。旬を逃しすぎ。来年の春を待て」

ヘンゼル「まぁ、魔女のすることですから気にしても仕方ないのでしょうけど」

青い鳥「ずんべらびっちょん!! そういうこったな!! ちょっとやそっと姉さんの傍にいるからって理解できるかってんだよ」

ヘンゼル「グレーテルに訊いたこともあるんですが、どうしてそんなことをやろうとしているのかは一切言わないって言ってましたね」

青い鳥「先に小娘に語ったらマジで家出するとこだっつーの」

ヘンゼル「ただ、お菓子の家のことを考えているときはとても楽しそうにしているみたいですね」

青い鳥「楽しそう? 姉さんが楽しそうにするってときは俺を簀巻きにするときぐらいだぞ?」

ヘンゼル「それとはまた違うんじゃないですか。きっと」

青い鳥「ふぅん……。姉さんがねぇ……」

ヘンゼル「あ、これ材料になりそうですね。持って帰りましょうか」

青い鳥「はいはい。小物ぐらいなら小鳥が持ってやんよ」

夜 魔女の家

魔女「あー、食うのをやめな」

青い鳥「ことわるっす!!! 今日のメシはマジうめーっす!!! 小娘!! 一生、俺のメシ係だからな!!!」

グレーテル「そ、それは、勘弁して、ください……」

ヘンゼル「どうかしたんですか?」

魔女「明日からお菓子の家の建設を開始することにした。予定よりも数週間ほど早いが、お前たちの働きで思いのほか順調に構想も組み上がって、材料も揃ったからね」

魔女「だから、お菓子の家の着工は明日にする。以上。はい、食事を再開してもよし」

グレーテル「……」モグモグ

ヘンゼル「あの、僕たちの仕事は……」

魔女「当然、お菓子の家作りにも協力してもらうよ。今までの仕事をこなしながらね。嫌なら出て行ってもいいんだよ?」

青い鳥「それは困る!!! やっと兄妹子分化計画の下地が出来上がったところなのに!!!」

グレーテル「そ、そんなこと……し、しません……」

魔女「……」

ヘンゼル「僕もやれと言われたらやります。いえ、やらせてください」

魔女「ふんっ。なら、とっとと飯くって風呂の準備して、寝な。明日から忙しくなるよ」

寝室

グレーテル「お兄ちゃん、ご主人様すごく嬉しそうだったでしょ?」

ヘンゼル「ここ数日はずっと楽しそうにしてたけど、今日はなんていうか目が輝いてた気がするな」

グレーテル「うん。きっとね、お菓子の家を作るのがご主人様の夢だったんだと思うな」

ヘンゼル「だろうな。どうしてそんなことを夢見たのかはわからないけど」

グレーテル「それはやっぱり、作りたくなったからじゃないかな?」

ヘンゼル「普通なら『お菓子の家』っていうお菓子を作って満足すると思うけど」

グレーテル「そこはほら、ご主人様は魔女だから」

ヘンゼル「魔女か……」

グレーテル「お兄ちゃん?」

ヘンゼル「それより、そろそろ自分の部屋で寝たほうがいいんじゃないか?」

グレーテル「でも、もうずっとこっちで寝てるし……」

ヘンゼル「まぁ、いいけど……」

グレーテル「おやすみ、お兄ちゃん」ギュッ

ヘンゼル(あの人、魔女狩りのことはどう考えているんだろう……)

魔女の部屋

魔女「ふふふ……。これだけの材料があれば……ふふふ……くひひひ……」

青い鳥「姉さん、変な笑い声を出してると更に婚期が遅れちゃうっすよ」

魔女「明日はチキンライスかな」

青い鳥「おう!! 姉さん!! 青い料理は食欲減衰の原因になるんで不健康っすよ!!! そのむっちりボディは大切にしたほうがいいっす!!!」

魔女「そりゃあ、悪口か?」グイッ

青い鳥「あはっ!!! ご、ごどりで……握力を計らないでくだ、さぁ……ぃ……!!!」

魔女「ふん」

青い鳥「にしても、姉さん。いいんっすか? あんまり目立ったことすりゃあ、外の連中に気づかれちゃうんじゃねえんすかね?」

魔女「あたしのやることに文句でもあんのかい?」

青い鳥「でも!!」

魔女「糞鳥は黙ってみてりゃあ良いんだよ」

青い鳥「小僧は馬鹿じゃないっすよ。魔女狩りのことだって、きっと気にして――」

魔女「知るか。奴隷がどう思おうがあたしはやる」

青い鳥「ああ、そうっすか。姉さんがそういうなら、いいっすけど」

翌日 庭

魔女「まずは基礎作りから始めないとね」

グレーテル「……基礎?」

ヘンゼル「土台のこと。それがしっかりしてないと家は崩れるんだ」

グレーテル「そうなんだ」

青い鳥「そうなんだぁ。じゃねえよ!!! そんな無知頭脳で可愛さアピールして許されるのは今だけだ!!! 覚えとけ!!!」

グレーテル「は、はい……」

ヘンゼル「大丈夫。グレーテルはいつまでも可愛いから」

グレーテル「お兄ちゃん……」

青い鳥「お前らぁ!!! いい加減にしろ!! もうチューぐらいはやってんのか!? ねえ、そこんとこどうなの!?」

魔女「うるさいよ。それより、小屋から道具を持ってきな」

ヘンゼル「はい

魔女「流石に硬いお菓子で土台は作らないとね」

青い鳥「硬いお菓子で土台なんてつくれるんすか?」

魔女「小麦粉とかつかって何回も揚げればなんとかなるはずだ。どうしても無理なら木材を使うしかないけどね……」



魔女「酒を持ってきな!!! 赤い奴だよ!!!」

グレーテル「は、はい!」タタタッ

魔女「……」

ヘンゼル「あの……。まだ初日ですし……」

魔女「奴隷はだまってな」

ヘンゼル「うっ……」

青い鳥「そりゃあ、土台すらまともに出来なかったんだぜぇ!? 気にするななんて無茶な注文っすよねぇ!?」

魔女「うるさい」

グレーテル「ご主人様っ。どうぞっ」

魔女「ありがとう。んぐっ……んぐっ……!!」ゴクゴクッ

ヘンゼル「ワインを一気に飲む人、初めて見た……」

グレーテル「う、うん」

魔女「初めてみたぁだ? なら、よくみときなぁ!! これがワインの本当の飲み方だよ!!! んぐっ!! んぐっ!!! ぷはぁ!!! どうだぁ!!!」

青い鳥「いぇーい!!! 姉さん、二日酔い確定じゃないっすかぁ!!! やっふぅー!!!」

深夜

魔女「……きもちわるい」

ヘンゼル「大丈夫ですか?」

魔女「まだ、起きてたのかい……? 明日の便所掃除は大変だよ……うっ……」

ヘンゼル「まだ始めたばかりですから、何もそこまで自分を追い込むことも……」

魔女「馬鹿か。始めたばかりだから焦ってんだろ」

ヘンゼル「どういうことですか?」

魔女「初っ端から失敗してるってことはだ。この先もどこかで何度も躓くってことだよ」

ヘンゼル「でも、貴方のやろうとしていることは大変なことですし……」

魔女「あたしは魔女なんだ……」

ヘンゼル「……」

魔女「ずっと、そういわれてきた……。だから……」

ヘンゼル「……もう休みましょう」

魔女「そうだね――あ、いや……もう一度、便所に行ってからにするよ……うっ!?」

ヘンゼル「お、おやすみなさい」

翌朝

魔女「うー……」

青い鳥「ピーヨピヨピヨ!!! 良い天気っすねぇ!! 姉さん!!!」

魔女「あ、あたまに響くから……さけぶ……な……」

青い鳥「えー!? なんすかぁ!? ぜーんぜん、きこえないっすけどぉ!? 姉さん、今なんていったんすかぁ!? ねーさーん!!!」

魔女「があぁ!? やめて……おねがい……だ、から……」

青い鳥「はぁー!? マジ聞こえないっす!!!」

魔女「もう……やめてよぉ……」ウルウル

グレーテル「ご、ご主人様!? 大丈夫ですか!?」

魔女「うぅっ……」

ヘンゼル「なにやってるんですか?」

青い鳥「お前も今のうちに拝んどけ!! 二日酔い状態の姉さんはホントーにかわいいんだぜぇ!! なぁーっはっはっはっは!!! いやぁー!! 天使に見えちゃうね!!」

ヘンゼル「貴方って鳥は……」

魔女「あたま、いたい……たすけて……」

グレーテル「あの、横になってください。確か、二日酔いにはカエルが良かったはず……」タタタッ

魔女「う……ん……?」

魔女「いけない。寝ちゃったか……」

青い鳥「姉さん、姉さん。小僧と小娘が人生の先輩である俺のことを簀巻きにしやがったんですけど。どう思います?」

魔女「……」

青い鳥「更に今晩はからあげだとかぬかす始末。こりゃあ、笑えない冗談っすよ。鳥の前でからあげとか、育ちの悪さが如実に現れてますね」

魔女「そういえば二人は……?」スタスタ

青い鳥「あ!! ねーさーん!!! この縄を解いてほしいっす!!!」

魔女「……ん?」

ヘンゼル「やっぱり全部をお菓子で作るのは無理じゃないか?」

グレーテル「で、でも、ご主人様はきっと全部をお菓子で作りたいはずだから」

ヘンゼル「そうはいっても、昨日のこともあるし……」

グレーテル「どうにかならないかな、お兄ちゃん?」

ヘンゼル「こういうことはグレーテルのほうが――」

魔女「……」

魔女(仕事もしないで何やってるんだろうね、あの二人は。まぁ、もう少し寝かせてもらおうかな……)

数週間後

魔女「さっさと材料を運ぶんだよ」

グレーテル「は、はい!」タタタッ

ヘンゼル「ただいま戻りました」

魔女「遅いよ。何やってんだい。水の調達に何時間もかけるな」

ヘンゼル「すいません。途中、材料にできそうなのが見つかって……」

魔女「そうなの? ありがと。それはそっちに置いときな」

ヘンゼル「はい」

青い鳥「姉さん、ありゃあ俺が見つけたんっすよ!!」

魔女「……」

ヘンゼル「あ、それは本当です」

魔女「そう。褒めて損したね」

青い鳥「まだ褒められてねえっすけどぉ!?」

グレーテル「ふふっ……」

青い鳥「小娘ぇ!!! 今、笑いやがったかぁ!!! 俺は笑われるのが4番目ぐれぇに嫌なんだよぉ!!!」

別の日

魔女「うーん……。これをこうして……」

青い鳥「姉さん!! やべえっす!!! 虫が発生しました!!!! アリたちが大名行列ってますけど!?」

魔女「あっそう」

青い鳥「あっそうって!! いいんすか!?」

魔女「構わないよ。材料に使ってるお菓子は人間以外の口には合わないようにしてあるからね」

青い鳥「ま、マジッスか……。俺が食べたら……どうなるんすか……?」

魔女「死ぬ」

青い鳥「えぇー!?」

魔女「食わなきゃいいんだよ」

青い鳥「あはは……そっすね……」

ヘンゼル「鳥さん!! 早く吐き出して!! まだ間に合いますから!! 多分!!」

グレーテル「お腹痛い痛いになっちゃいますから、あの……オエーって……」

青い鳥「何がオエーだ!! そんなことで助かるなら医者はいらねえんだよぉ!!! 他鳥事だとおもって勝手なこと言うんじゃねえよ!! お前らに鳥の気持ちがわかるのかぁ!?」

ヘンゼル「人間なんで鳥の気持ちはわかりませんけど」

               ,, -―-、       
            /     ヽ   
      / ̄ ̄/  /i⌒ヽ、|    オエーー!!!!

     /  (゜)/   / /          
    /     ト、.,../ ,ー-、       
   =彳      \\‘゚。、` ヽ。、o   
   /          \\゚。、。、o
  /         /⌒ ヽ ヽU  o

  /         │   `ヽU ∴l
 │         │     U :l
                    |:!

別の日

魔女「そこの板チョコ」

ヘンゼル「どうぞ」

魔女「よし……これで……」ググッ

グレーテル「……」ドキドキ

魔女「もうすこし……で……」ググッ

バキィ!!

ヘンゼル「あぁ……。チョコが割れちゃいましたね。扉の強度としてはまだ弱いのかもしれません」

魔女「もっと硬くするって、どうやんだよ……。全く」

青い鳥「エロくなればいいんじゃないっすか? 姉さんか小娘が」

グレーテル「エ、エロ……くって……?」

青い鳥「大人の階段を昇れってことだよぉ!!! 垂直になぁ!!! お兄ちゃんで昇ればいいんじゃね!?」

グレーテル「えぇ……」

魔女「はぁ……。細かいところで足止めばっかりだね……」

ヘンゼル「時間はあるんですし、焦らないでやりましょう」

魔女「……そうだね。少し休憩するか。小娘、水をもってきて」

グレーテル「はい」タタタッ

魔女「本当に完成するのかねぇ……。こんなので……。着工からもう2ヶ月以上なのに……。普通の家なら立派なもんができてるよ」

青い鳥「俺の部屋なんて5分ぐらいでできちゃいましたしね!!」

魔女「ありゃあ、空き箱に穴をあけただけだからね」

青い鳥「マイスウィートハウスがそんな簡素なものだったとは……!!」

ヘンゼル「でも、時間さえかければなんとかなりそうですよ。妥協するところはしてますし」

魔女「早くつくらないとねぇ……」

グレーテル「お待たせしました。どうぞっ」

魔女「ありがと」

グレーテル「お兄ちゃんもどうぞ」

ヘンゼル「ありがとう」

グレーテル「……」

青い鳥「俺にはねえのかよぉ!!!!」

魔女「ふぅ……。10分休んだら始めるよ」

別の日

魔女「ありゃ。……おーい」

グレーテル「どうしましたか?」

魔女「木の実が少ないんだ。お兄ちゃんはもう森に行っちまったか?」

グレーテル「はい。でも、今行ったばかりですから追いかければ……」

魔女「頼めるかい?」

グレーテル「は、はい」

魔女「いいかい? わき道に逸れようなんて考えるんじゃないよ? お兄ちゃんが歩く道は決まってんだからね」

グレーテル「はい」

魔女「よし。行ってきな」

グレーテル「はいっ。行ってきます」タタタッ

魔女「……」

魔女(ま、大丈夫だろう)

魔女「さて、作るか」

魔女「早いとこ内装も弄りたいね」

森の中

青い鳥「そのとき!! 俺が颯爽と登場!! 無頼漢に襲われている少女は俺に叫んだ!! 「助けて!! バード戦士!!!」ってな!!」

ヘンゼル「……」

青い鳥「俺の一撃が無頼漢の股間にクリーンヒット!! 覚えてろよの捨て台詞を背中で聞きながら、少女に歩み寄る。そして少女は俺に恋をするんだ」

青い鳥「だけど、所詮は鳥と人間。絶対に叶うことのない恋。なのに少女はこういう。「私、今日から鳥になります」と。それから少女は人語を捨て、ピヨピヨと言うだけになったんだ」

ヘンゼル「その少女は大変ですね。貴方の所為で人生を棒に振ったんですから」

青い鳥「なんだとぉ!!! こらぁ!!! この美談をなんかすげー傍迷惑な鳥の話に改悪するんじゃねえよ!!!! 昨日一晩考えた物語なのによぉ!!!」

ヘンゼル「そうですか。いつもありがとうございます」

青い鳥「全然、ハートが篭ってない気がするのは気のせいってことにしといてやる」

グレーテル「――おにいちゃーん!!!」

ヘンゼル「グレーテル!?」

グレーテル「はぁ……はぁ……。よかった。まだ遠くに行ってなくて……」

ヘンゼル「どうして森に……?」

グレーテル「木の実が少なくなってることをご主人様が伝え忘れたらしくて。それで私が伝えにきたの」

ヘンゼル「そうだったのか。わざわざありがとう」

青い鳥「おめえー、あぶねえだろうが!! 森はエロ紳士だけじゃなくて、ただのエロいやつだっているんだぜ!?」

グレーテル「ご、ごめんなさい……」

ヘンゼル「一緒に行こう。鳥さんが言っているのは珍しく正しいから」

グレーテル「うんっ」

青い鳥「珍しくってなんだよ!! ――ん?」

グレーテル「お兄ちゃん。もうすぐ完成しそうだね」

ヘンゼル「そうだな。でも、中身はまだまだだけど」

青い鳥「おい!! ケツを落として頭を低くしろい!!!」

ヘンゼル「はい。グレーテルも」グイッ

グレーテル「きゃっ。お兄ちゃん……?」

「間違いない。こっちだ」

「本当だ。甘い匂いがする。魔女が何かを企ててるのか」

「そうだろうな。行くぞ」

ヘンゼル「……!」

青い鳥「やべえなぁ……。だから言ったんだ。目立つことはしないほうがいいってよぉ」

>>93
鳥がコイツで再生されるww

グレーテル「お兄ちゃん……あの人たちは……?」

ヘンゼル「森の外にいる人だよ」

グレーテル「それって……」

青い鳥「おい!! お前らはここにいろ!! いいな!!! 移動したら俺の羽で脇を擽るからな!!!」

ヘンゼル「待ってください!! 僕たちも戻ります!!」

青い鳥「何言ってんだよ!! 青二才が!! いいからここにいろ!!! ここにいりゃあ寿命が延びるんだって噂だ!!!」

ヘンゼル「でも、今の人たちは……!!」

グレーテル「ご、ご主人様が……」

青い鳥「だーかーらー!! 俺が行くんだよ!!!」

ヘンゼル「いや……でも……」

青い鳥「俺は幸せを呼ぶんだぜ!? 俺が傍にいるだけで幸運の女神は涎たらしながらダブルピースするぐらい笑うんだよ!!!」

ヘンゼル「それ、大丈夫なんですか?」

青い鳥「黙ってろい!!! いいか!? 絶対に動くんじゃねえぞ!!! 24時間たっても戻ってこないときは、更に24時間まってろい!!」バサッバサッ

ヘンゼル「あ……!!」

グレーテル「お兄ちゃん……」ギュッ

魔女の家 庭

魔女「何の用だい?」

町民「やっと見つけたぞ。魔女め」カチャ

魔女「その物騒な筒は下ろしてくれなさそうだね」

町民「当然だ」

「なんだこの家……。お菓子で出来てるぞ」

「これで子どもを誘い出して食べるつもりなんだろ?」

町民「なんて卑劣なことを」

魔女「……」

青い鳥「ピーヨピヨピヨ!!!!」バサッバサッ

魔女「な……!?」

青い鳥「姉さん!! 言わんこっちゃないっすよ!! きちゃったじゃないっすか!!」

魔女「まぁ、当然だろう。こんだけ甘い匂いを撒き散らしてたら」

町民「鳥が……喋ってる……!!」

青い鳥「あっはぁん!? 鳥が喋ったら罰金でもあんのか!?」

「見てみろよ。この菓子。虫が一切寄って来てないぞ……」

「気持ち悪いな……」

町民「一緒に来て貰おうか。ここで銃殺するよりも公開処刑をしたほうが、町の住民も安心するからな」

魔女「そうだろうね。それで何度も魔女を殺してきたのは知ってるよ」

町民「なら――」

魔女「邪魔な人間をこの森に無理やり入れて、その人間が森から出ようとすれば魔女や怪物扱いにして殺してることもね」

町民「……」

魔女「この森から出た奴は問答無用で魔女扱い。だもんねぇ?」

町民「黙れ。いいからついて来い」

魔女「……」

青い鳥「姉さん!! ここは俺の必殺技ションベンシャワーで奴らを怯ませますから、その間に……」

魔女「いや。あんたはヘンゼルとグレーテルのところに戻りな」

青い鳥「な、なにいってんすか!?」

魔女「命令だ。糞鳥」

青い鳥「ね、姉さん……!!」

森の中

ヘンゼル「よし。行こう」

グレーテル「で、でも……ここにいろって……」

ヘンゼル「あの人が母さんみたいに殺されてもいいのか?」

グレーテル「そんなの……嫌だ……」

ヘンゼル「行こう。守るんだ、僕たちで」

グレーテル「う、うん……」

――バァァァン――

グレーテル「な、なに……?」ビクッ

ヘンゼル「急ごう!」

青い鳥「――そこの仲良し兄妹。どこに行くんだよぉ」バサッバサッ

ヘンゼル「え……?」

青い鳥「水、汲んで来い。行くぞ」

ヘンゼル「待ってください……。あの人は……?」

青い鳥「水を汲んでこいっていってんだろ、小僧。俺に逆らうなんて10日ほどはええよ」

グレーテル「あ、あの……ご主人様は……?」

青い鳥「あぁ!? はやくいけって!!」

ヘンゼル「……っ」ダダダッ

青い鳥「待て!! 小僧!!!」

グレーテル「お兄ちゃん!! 待って!! 私も……!!」

青い鳥「まてこらぁぁぁ!!!!」

ヘンゼル「どいてください!!」

青い鳥「下の毛も生えてねえカギが行ってもなんにもなんねえよ!!!」

ヘンゼル「やっぱり……」

青い鳥「姉さんはずっと前から覚悟はしてたんだ。だから、お菓子の家はできるだけ早く作りたかったんだろうな」

ヘンゼル「……」

グレーテル「ご主人様……どうなったんですか……?」

青い鳥「とりあえずここを離れるぞ。小僧も小娘も外の連中からすりゃあ魔女や怪物だからな」

ヘンゼル「戻らないと……。お菓子の家、まだ完成してないのに……」

青い鳥「待ちやがれっていってんだろ!! 言うこときけよ!! 今ぐらい小鳥の言葉に耳を傾けてもいいだろうがよぉ!!!」

魔女の家 庭

――ゴォォォ――

ヘンゼル「……」

グレーテル「うそ……家が燃えて……」

青い鳥「ほら、行くぞ。雨を凌ぐ場所ぐらいなら知ってるから」

ヘンゼル「あの人は……?」

青い鳥「見りゃあわかんだろ。もう連れ去れたよ」

グレーテル「お菓子の家も……いや……どうして……」

青い鳥「もういいだろ。行くぞ」

ヘンゼル「どうして……大人は……!!」

青い鳥「人捨ての森」

ヘンゼル「……え?」

青い鳥「ここは邪魔な人間を放り込む場所なんだよ。姉さんもそうさ。俺もそうだ。邪魔だからこの森に入れられた。で、勝手に犯罪者みたいな扱いにして、人間が殺しにくる」

青い鳥「お前らもそうだろ?」

ヘンゼル「僕たちは、逃げてきたんです。母さんが死んだっていうこの森まで」

森の中

青い鳥「さーてと、新しい家をつくらなきゃなぁ。俺の部屋はまた同じような広さで頼むぜ!!」

ヘンゼル「……」

グレーテル「……」

青い鳥「ぶぁぁい!!! 空気重い!! 呼吸できないぞ!!!」

ヘンゼル「このままでいいんですか?」

青い鳥「いやぁ、んなこと言われてもなぁ……」

ヘンゼル「助けに行きましょう」

青い鳥「姉さんをか? ピーヨピヨピヨ!!! ムリムリ!!」

グレーテル「……」グイッ

青い鳥「お、ほぉっ……!? ぐるじぃ……よぉ……いも、ど……ぢゃん……!!」

グレーテル「助けましょう!!」

青い鳥「しかしだなぁ……」

ヘンゼル「3つまでなら聞いてくれるんじゃないんですか?」

青い鳥「あー、はいはい。わかったわかった。もうお前らと心中してやるよ。それで満足だろ!? ほら、焼いて食え!!! この食いしん坊ども!!!」



魔女「……」

町民「さっさと歩け」

魔女「……」

「みて、あれよ」

「彼女が15年前に魔女になったっていう?」

「森の中でどうやって生きていたのかしら……。やっぱり生まれたときから魔女だったのよ、きっと」

「そんなやつがずっと近くの森にいたと思うと怖いなー」

魔女(勝手なこといって……)

魔女(お前達が邪魔になった奴隷たちをあの森に捨てていたくせに……)

町民「進め」

魔女「くっ……」

兵士「ご苦労だったな」

町民「いえ」

魔女(魔女を恐れてか、森に遣わせるのは決まって一般市民。それも奴隷になっているものたち。変わらないねぇ……)

処刑場

兵士「お前の処刑は明日の正午となる。それまでここで晒し者になっていろ」

魔女「……便所に行きたいんだけど?」

兵士「どうせ死ぬんだ。今更恥も外聞もないだろ?」

魔女「垂れ流せっていうのか。変態め」

兵士「……明日が楽しみだな」

魔女「そうだね」

魔女「……はぁ」

魔女(酒、もっと飲んどけばよかった……)

魔女「星が良く見えそうだね……」

青い鳥「――姉さん!」バサッバサッ

魔女「なんだい。来たのか」

青い鳥「逃げる気、あるっすか?」

魔女「あるけど? なんとかしてくれるのかい?」

青い鳥「幸せを呼ぶ青い鳥っすよ? 姉さんの運気がアップして偶然にもこの拘束具が外れたりするはずっすよ。大船に乗った気でいてくださいっす」



魔女「あー……。便所行きたい……」モジモジ

青い鳥「飲みましょうか? 食べるほうはちょっと勘弁してほしいっすけどぉ」

魔女「最後の晩餐は鳥の丸焼きって決めてたんだけどねぇ」

青い鳥「へぇー」

魔女「で、どうやったらにげれるんだい?! えぇ!?」ガチャガチャ

青い鳥「おかしいっすね。姉さんのラッキー値がマイナスなんじゃないっすか? 流石にマイナスの人を幸せにはできないっすよぉ」

魔女「……」

青い鳥「やだ、怖い」

魔女「もういいよ。十分だから」

青い鳥「……」

魔女「早く二人のところに戻りな。可哀相だろ」

青い鳥「姉さん」

魔女「ガキは嫌いだけど、あいつらは別だ。生きてほしいんだ。あたしと同じ境遇っぽかったし」

青い鳥「みたいっすね。――それじゃあ、そろそろもどるっす。姉さん、おやすみなさい」バサッバサッ

魔女「すぅ……すぅ……」

――ガチャガチャ――

魔女「ん……?」

青い鳥「姉さん、張り付けの状態でよく眠れるっすね。三十路にもなるとどこでも眠れるスキルが身についちゃうんすか? いやー女捨ててるっすね」

魔女「なんで来たんだ?」

青い鳥「姉さんの大好きなガキどもがどうしても来たいっていうんで、監視の目が薄いところを紹介したんすよ」

魔女「え?」

ヘンゼル「くっ……!! とれない!!」ガチャガチャ

グレーテル「お兄ちゃん、がんばって」

魔女「なっ……!!」

青い鳥「しーっ。姉さん。小僧と小娘の茶番をしっかりみておくべきっすよ。こんなにも必死になって可愛いじゃないっすか」

魔女「……茶番ってどういうことだい?」

青い鳥「だって、姉さんの拘束具を外す鍵は俺が持ってるっすから」

魔女「……」

青い鳥「ほら、二人が一生懸命に姉さんを救おうと奮闘している姿を見せ付けることで、姉さんの目に涙を浮かべさせるという計画っす。だって、ほら、感動クリエイターっすから、俺」

魔女「……」ブチッ

青い鳥「ぬほぉぉ!!! 羽を毟り取らないでぇ!!!」

ヘンゼル「良かった。早く逃げましょう」

グレーテル「こっちです」

魔女「どうしてこんなことをしたんだ?」

ヘンゼル「……優しい人がいなくなるのは嫌なんです」

グレーテル「……」コクッ

魔女「あのねえ……。あたしの奴隷がそんなに気に入ったのかい?」

ヘンゼル「そういうことにしておいてください」

グレーテル「うん……」

魔女「……」

青い鳥「ピヨピヨピヨ!!! 生まれ付いての負け組はこれだからなぁー!!! 底辺の思想はホントダメだわー!!」

魔女「静かにしろ。翼をもぐよ?」

青い鳥「ピヨ」

魔女「分かった。とりあえずここから逃げるよ」

青い鳥「それじゃあ、俺は敵がいないか探ってくるっす」

魔女「よろしく」

ヘンゼル「はい、お願いします」

グレーテル「……あの」

青い鳥「なんじゃい、小娘」

グレーテル「貴方はその……あの……」

青い鳥「なんだよ、はっきり言え」

グレーテル「役立たずなんかじゃないです」

青い鳥「あ?」

グレーテル「いつもお兄ちゃんのことを見守ってくれて、私のことも元気付けてくれて……。貴方がいてくれたから、私も笑えるようになったと思います……」

青い鳥「……」

ヘンゼル「貴方の嘘武勇伝はいつも楽しかったです。辛い仕事もあの話のおかげで時間を忘れられましたし」

青い鳥「なんだよ。そういうことは毎日言うもんだろ!? 今だけのお礼とか全然誠意が篭ってねえじゃん!!!」

ヘンゼル「……いつも、ありがとうございました」

グレーテル「うっ……うぅ……」

青い鳥「それじゃあ、索敵してくるっす!!」

魔女「待て。なにするつもりだ?」

青い鳥「姉さん。幸せを呼ぶ青い鳥ってのは、人知れず姿を消すって知ってましたか?」

魔女「……」

青い鳥「飼い主の幸せを見届ければ次の飼い主を探すんですよ」

魔女「どういう……」

青い鳥「姉さんに出会う前、俺は一人の魔女に喋れるようにしてもらったっす。すげぇ、楽しかった。すげぇ、美人だったし。まだ二十歳だったし、ボインだし、ケツもプリってしてるし」

青い鳥「でも、その人は森に追いやられ、そして殺された。俺も魔女のペットってことで色んな人間に狙われた……」

青い鳥「あの人は幸せだったのかどうかはもうわかんないっす。でも、今回ばかりはわかるっす。3人一緒ならきっと幸せになれるはずっす」

魔女「どこにいくつもりなの!?」

青い鳥「大丈夫っすよ。不幸にだけはさせないっすから」

ヘンゼル「……っ」

グレーテル「あの……やっぱり……!!」

青い鳥「こうしないと、姉さんが逃げられねえだろ。もう手はないんだよ。子分は兄貴にしたがってりゃぁいいんだ!! それで全部上手くいく!!」

魔女「あんた……」

青い鳥「おい、小娘。いつもの頼む」

グレーテル「……」

青い鳥「でかけるとき、俺にかける言葉があんだろ!?」

グレーテル「でも……」

青い鳥「早く言え!!!」

グレーテル「が……がん……ば……っ……」

青い鳥「はぁーい!! 小鳥、がんばりまぁーす!!!」バサッバサッ

魔女「……何をするつもりなんだい、糞鳥は」

ヘンゼル「監視の目を自分に向けさせるって……」

魔女「その間に逃げろって言ったのか」

ヘンゼル「はい……」

グレーテル「でも、あの!! とめたんです!! 私たちも必死に考えたんですけど!!」

魔女「もういいよ」

ヘンゼル「あ……あの……」

魔女「騒がしくなったら動くよ。いいね」

青い鳥「ふんふふーん」バサッバサッ

青い鳥「お、いるいるー」

町民「夜は冷えるな」

「そうだなー」

兵士「無駄口を叩くな」

町民「す、すいません」

青い鳥「さてと、いっちょ幸せを運びますかね」

青い鳥(小僧。いつも仕事の邪魔して悪かったな)

青い鳥(小娘。5年後のお前の胸に飛び込んでみたかったぜい)

青い鳥(姉さん。いつも裸体を無料で見せてくれてありがとうっす。そのビッチっぷりがすげー興奮しました)

青い鳥「すぅー……!!!」

青い鳥「あぁー!!! たいへんだぁー!!!! あっちでお兄ちゃんとお姉ちゃんがやらしいことをしているのを目撃してしまった妹がオロオロしてるぞー!!!!」

町民「なんだと!?」

兵士「誰だ!!!」

青い鳥「そんな理想郷が見たい奴は俺に続けぇー!!!」バサッバサッ



「魔女が逃亡した!!! 探せ!!! まだ町の中にいるはずだぁ!!!」

魔女「何がひきつけるだよ。町から出にくくなったじゃないか」

ヘンゼル「こっちです」

魔女「こっちって……?」

ヘンゼル「ここの壁に穴が開いていて、そこを潜れば外に出られます」

魔女「いやぁ、あんたらはいけるだろうけどさぁ」

グレーテル「早く、ご主人様」

魔女「ええい。仕方ないね」ゴソゴソ

「探せー!!! 見つけ次第、射殺しろ!!」

ヘンゼル「早く!!」

魔女「……あれ?」グッ

魔女「うーん……!!」

グレーテル「どうしたんですか?」

魔女「お尻が抜けないんだけど……。どうする?」

青い鳥「わたすが魔女だぁー!!!」

「そっちにいるぞ!!」

「撃て!!」バァン!!!

青い鳥「あぶねえ!!! やめろぉ!!! 鉄砲とか当たったら死ぬだろうがよぉ!!!!」

兵士「くらえ!!」バァン!!

青い鳥「殺すなら一思いにしろよ!!!」

兵士「なんだ……。鳥……!?」

青い鳥「そうだ!! 鳥だぁ!!! コケコッコー!!!」

町民「こ、こいつ!! 魔女のペットだ!!!」

兵士「そういうことか……。この鳥が魔女を逃がしたのか……」

青い鳥「知能指数は姉さん曰く人間の9歳児並だからな。そんぐらいは朝飯前よ!!!」

兵士「こいつも殺しておかないとな……!!」

青い鳥「死ぬのいやぁー!!! まだ生きたーい!!!」バサッバサッ

兵士「逃がすか!!」バァン!!!

青い鳥「スワロー飛行!!」ギューン

グレーテル「ふーん……!! ふーん……!!!」ググッ

魔女「もっとしっかり押しな!!」

ヘンゼル「僕も手伝います!!」

魔女「変なところ触ったら便所掃除だからね!!!」

ヘンゼル「いつもやってますよ!!」グググッ

グレーテル「ぬけてぇ……!!!」グググッ

魔女「お、抜けそう……!!」

「誰だ!! そこで何をしている!?」

ヘンゼル「しまっ!!」

グレーテル「きゃっ!」グイッ

――ポンッ――

魔女「抜けた!! 早くこっちにきな!!」

ヘンゼル「グレーテル!! 急いで!!」

グレーテル「うん!!」

「待て!! まさか魔女か!?」

ヘンゼル「どうして!!」

「なに!?」

ヘンゼル「母さんは魔女なんかじゃかったのに!! どうして殺されなきゃならなかったんですか!?」

「何を言って……」

グレーテル「お兄ちゃん!!」

魔女「はやくきな!!」

ヘンゼル「はいっ!」ダッ

「くっ!! 止まれ!! 止まらないと……!!」

ヘンゼル「……っ」

「仕方ない……!!」

――バァァン――

ヘンゼル「ぐっ――」

グレーテル「お兄ちゃん!?」

ヘンゼル「大丈夫。腕をかすっただけ……」

魔女「早く逃げるよ」

魔女の家 跡

魔女「そうか……。焼かれたか……」

ヘンゼル「すいません。主の家を守ることが……できませんでした……」

グレーテル「ごめんなさい」

魔女「全くだね。使えない奴隷たちだよ。ここぞというところで使えない奴が一番腹立たしい」

ヘンゼル「……すいません」

グレーテル「ごめ……んなさい……」

魔女「体、冷えただろう? 薪はまだ残ってそうかい?」

ヘンゼル「はい。今すぐ集めます」

グレーテル「でも、火が……」

魔女「火を熾す方法はいくらでもあるよ。とにかく薪を集めてきな」

グレーテル「は、はい」

魔女「……」

魔女(まさか生き残れるとはね……)

魔女(あいつに感謝しなきゃいけないか……)

ヘンゼル「集めてきました」

魔女「こっちも火種は用意できたよ」

グレーテル「すごい。どうやったんですか?」

魔女「魔女の秘密さ。ほら、火をつけるよ」

ヘンゼル「――暖かい」

グレーテル「うん……」

魔女「……」

ヘンゼル「あの……」

魔女「あいつはあたしたちを助けたかったんだ。それで満足してるさ」

グレーテル「……」

魔女「落ち着いたら、あいつの墓でも――」

青い鳥「――俺の墓には姉さんのおっぱいと同じ柔らかさの何かを入れてください」

魔女「うわぁ!?」

ヘンゼル「どうして……!!」

青い鳥「俺が簡単にくたばるわけねえだろ!!! ピヨピヨ!! 俺は生まれたときからの勝ち組なんだからなぁ!!!」

グレーテル「よかったぁ……!!」

青い鳥「抱きしめればいいじゃない!!! ピヨピヨピヨ!! そのまな板なお胸でも俺は満足するぜい!!!」

魔女「あんた……」

青い鳥「どうっすか? あれだけのことを言ったのにきっちり帰ってくるところがすごいでしょ?」

魔女「早く羽を休めな、馬鹿鳥」

青い鳥「ピーヨピヨピヨ!!! ついに糞鳥から馬鹿鳥にランクアーップ!!!」

ヘンゼル「それ上がったんですか?」

青い鳥「糞から馬鹿だぜ!? 魚から猿人ぐらいのランクアップだろうがよ!!」

ヘンゼル「そうですか」

青い鳥「これだからガキは!! 姉さんの愛情を1/10も理解できてないんだよぉ!!」

グレーテル「ふふっ……」

青い鳥「また笑いやがったなぁ!! 小娘ぇ!!! もう堪忍袋の緒と布地が切れたぜ!!! つむじを突いてやる!! 執拗につついてやるぅ!!」バサッバサッ

グレーテル「ご、ごめん、なさい……」

青い鳥「誰が許すかぁー!! 許して欲しければお前が俺を太ももで挟むしかね――」


――バァァン――

魔女「え……」

青い鳥「――ぁ」

ヘンゼル「なっ……」

グレーテル「……」

町民「――鳥を泳がせて正解だった」

「飼い主のところに戻るに決まっている」

「よし。これで……金がもらえるな……へへ……」

魔女「おい……しっかりしろ……」

青い鳥「……ぅ……ぁ……」

ヘンゼル「あの……」

グレーテル「い……や……」

町民「子どもまで……」

「魔女の子どもだろ。殺さないと」

町民「そうだな」

魔女「……」

ちょおおおお鳥いいい!?

鳥……

続きはまだかよーって思いながらお菓子食べてまってる

どうなるんだこの後

下げろよks
スレ主が更新しに来たかと思って期待しちまったじゃないか

映画のヘンゼル&グレーテルを見た後に読むとなんか…

いいスレを見つけました

あたしまーつーわー

いつまでもまーつーわー

たとえあなたーが

エタっていても

はよ……

生存報告でも…

まだかーまだかー

まだですかー

寸止めにもほどがありやす

ちょっと、早くしないとマシュマロ固くなる

つづきをー

まだですかー

待機

こなさそう

こないなー

まだかなー

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