魔王「勇者...」(32)

魔王「勇者...」

魔王「死して立ち続け、何を望む」

魔王「...私は楽しかった...」

魔王「お前の報告を聞いた日...心が躍った」

魔王「やっと敵に会えた...そう思ったのだ」

魔王「初めて報告を聞いたのは...」

魔王「南の港の時か...どうしても必要な拠点でな」

魔王「精鋭含む5名を送ったのだ」

魔王「何時もの様に過ごし、何時もの様に床につく」

魔王「あの日も変わらない日常のはずだった」

魔王「あの時の側近の慌て様は見事だったよ」

魔王「私も驚いた」

魔王「あの者は幼き時からの友でな...」

魔王「人に負けるなど...思いもしなかった」

魔王「私の心にも哀しみというものが有った...」

魔王「しかし、同時に震えた」

魔王「愉悦が込み上げたのだ」

魔王「友が死んだというのにな」

魔王「友を失った哀しみ、敵に会えた喜び」

魔王「...その日から、お前の行動を監視する事にした」

魔王「並の者では監視すら満足に出来ん」

魔王「監視に行った者は悉く返り討ちだ」

魔王「あまりの不甲斐なさに側近自ら向かった」

魔王「...彼奴はな...死と引き換えに、お前の情報を伝えた」

魔王「見事な最後だった...」

魔王「勇者...」

魔王「お前にも友がいたな」

魔王「戦士、魔法使い、僧侶...」

魔王「いずれも手練れの者ばかりであったな...」

魔王「はじめに魔法使いが力尽き、戦士を失い...」

魔王「城近くで僧侶を失った」

魔王「1人になったお前は、単騎で城に入った」

魔王「城に残ったのは数名といえど精鋭ばかり...」

魔王「1人の人間がどうこう出来る者達ではない」

魔王「...そう考えていた...」

魔王「だがな...目の前のお前が全て否定した」

魔王「なぁ...勇者...」

魔王「お前は何を望んだ?」

魔王「何の為に此処まで来たのだ?」

魔王「私と戦う為ではないのか?」

魔王「とうに準備は出来ている」

魔王「...何故...動かないのだ?」

魔王「目標が目的が...目の前に居るのだぞ?」

魔王「私が憎いだろ?」

魔王「人間の平和を夢見たのだろ?」

魔王「...私は...何を望んだのだろう...」

魔王「世界の全て...人間のいない世界」

魔王「初まりはそうだった...」

魔王「人間に追いやられた憎しみ...祖が受けた数々の屈辱...」

魔王「全てを思いしらせる筈だった」

魔王「復讐...それが全てだった...」

魔王「...案外退屈でな...」

魔王「側近の奴が全てお任せ下さいと言って聞かんでな...」

魔王「嬉々として働く側近を見るが日課になっていた」

魔王「なかなか賢い奴でな...」

魔王「軍事会議では、口を挟むのも憚る程だ」

魔王「そんな奴だが私は好きだった」

魔王「尊敬とも似てるかもしれんな」

魔王「彼奴が居なくなってから大変だったぞ」

魔王「部下からも慕われていてな...」

魔王「彼奴の作戦こそ側近の意思だと語り、宥め...」

魔王「彼奴の夢を達成してやりたかった」

魔王「ある日気づいたのだ...」

魔王「復讐よりも強敵を求む事よりも、彼奴の夢、願いを...」

魔王「我ながら笑ってしまうな...」

魔王「人間とは...魔族とは...何なのであろうな」

魔王「元は同じモノだったかもしれん」

魔王「姿形だけでなく、心が感情が...」

魔王「人間に近づいていく...」

魔王「お前が...答えを持ってくる...そう思ったのだ」

魔王「勇者よ...」

魔王「答えてはくれぬか?」

魔王「私は1人になった...」

魔王「お前は1人で何を考えた?」

魔王「絶望の中で何を望んだ?」

魔王「わからない...私にはわからない」

魔王「私には...」


-終わり-

短編が書きたかった。
纏めるの難しいな。

短編その2

勇者「...終わった...世界は救われた」カシャン

勇者「...皆...旅が終わったよ...」フゥ

勇者「...さぁ...帰ろう...」クル

勇者「...なぁ...皆..帰えろう?」グス

僧侶「」

勇者「僧侶...旅は終わったんだよ?」

勇者「家に...帰れる...俺達の家に...」

勇者「なぁ...僧侶ぉ..言ったじゃないか、また一緒に暮らそう、また楽しく暮らそうって」ユサユサ

僧侶「」

勇者「...」クル

僧侶「」ドサ

勇者「...魔法使い...冗談は辞めよ?」ガシ

勇者「ほら...何時も..みたいにさ...」ユサユサ

勇者「十分...引っかかったからさ...笑ってさ...」グスグス

勇者「チョロいなぁ...って...言ってくれよ」ユサユサ

魔法使い「」

勇者「...」フラフラ

勇者「戦士ぃ...2人がさぁ...起きてくんないんだよ...」

勇者「頼むよ...何時もみたいにさ...」

勇者「皆を起こしてくれよ...」

勇者「弛んでるぞ!...って気合い...入れてよ...」

勇者「お前がそんなんじゃ...皆...起きれないだろ?」

戦士「」

勇者「じゃぁ...ほら..寝起きの特訓しようぜ?」

勇者「最近してなかったろ?」

勇者「旅...終わったからさ..何時でも勝負できるぞ?」

勇者「どっちが剣術上か...はっきりさせるって...旅終わったら..存分にやろうって...約束したじゃないか」

戦士「」

勇者「...」

勇者「まだ...皆...眠いのか」

勇者「なんだか...俺も...」フラフラ

勇者「ひと...休みしたら..さ...」ドサ

勇者「皆で...かえ...ろ?」

僧侶「」

魔法使い「」

戦士「」





勇者「」


-終わり-

短編3

悠々たる哉天壌
遼々たる哉古今
五尺の小躯を以て此大をはからむとす
ホレーショの哲学
竟に何等のオーソリチーを価するものぞ
万有の真相は
唯一言にして悉す
曰く
『不可解』
我この恨みを懐いて煩悶
終に死を決す
既に厳頭に立つに及んで
胸中何等の不安あるなし
始めて知る
大なる悲観は
大なる楽観に一致すると

操「大いなる天と地、遥か昔」

操「小さな私が大きな事を考える」

操「ホレーショの哲学にどんな価値があるのだろう」

操「全ての真相は不可解の一言に尽きる」

操「不可解。答えが見つからず悩み、苦しんだ」

操「ついに、死を決意して崖の前に立つ」

操「不安はない、悲観と楽観は同じものと知ったから」

終わり
短編でもオリジナルでもありませんでした。

短編4

幼馴染「男は最低だね」

幼馴染「いっつも先に行っちゃう」

幼馴染「私がいくら待ってって言っても無視するんだよね」

幼馴染「小学校の時...んーん、その前から変わらない」

幼馴染「思い出すのはいっつも後ろ姿」

幼馴染「夕日に照らされて、少しボヤけた後ろ姿」

幼馴染「不器用で我儘で」

幼馴染「口が悪くて、いっつも困らせて」

幼馴染「転校する時だって、素っ気ない態度で」

幼馴染「私を置いて...」

幼馴染「連絡も全然くれないし」


カナカナカナカナ

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom