モバP「プロダクションが合併して二か月……」 (64)

白坂小梅(所属している……プロダクションが……合併して二か月………)

小梅(私の所属するEグループは浜川愛結奈と宮本フレデリカさんの三人……)

小梅「………」ポチポチ

新着メール:2件

小梅「……あっ……」ポチポチ

道明寺歌鈴『小梅ちゃん、この前に言ってた話ですけど良さそうなのが見つかりましたよっ!』

松永涼『小梅、何か面白い映画無い?』

小梅「………」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1363467332

------ レッスン場

ガチャ

小梅「おはよう……ございます」

フレデリカ「おはよ〜、小梅ちゃん」

小梅「あ、あれ……フレデリカさん…?」

フレデリカ「相変わらず早いね〜、まだアタシしか来てないよ」

小梅「そうなんですか……」

フレデリカ「…………」

小梅「あの……ふ、フレデリカさん……?」

フレデリカ「ん〜?」

小梅「う、ううん……」

小梅(ずっと……窓の外を眺めて……ど、どうしたんだろう……?)

フレデリカ「ね、小梅ちゃん。アイドルは楽しい?」

小梅「うん……た、楽しい……みんなと一緒……う、嬉しい……です」

フレデリカ「……そっか」

小梅(あっ……そうだ……)

※続きものになります

前スレ

モバP「プロダクションが合併して……」
モバP「プロダクションが合併して一か月……」

白坂小梅(13)
http://i.imgur.com/IleLewk.jpg
http://i.imgur.com/okAhOHG.jpg

宮本フレデリカ(19)
http://i.imgur.com/nTfydsH.jpg

浜川愛結奈(22)
http://i.imgur.com/haGO6m4.jpg

道明寺歌鈴(17)
http://i.imgur.com/xd8I50W.jpg

松永涼(18)
http://i.imgur.com/Kg2VGKE.jpg

------ Dグループ レッスン場

涼「はぁ!?肝試し??」

小梅「うん……」

涼「今11月だろ?こんな季節にどこでやるんだよ?」

歌鈴「えーっとですね、私の知り合いに神父さんをしている人がいるんですよ」

歌鈴「騒がしくしないなら肝試しくらいは良いよって言ってくれました」

小梅「きっと……みんなも……仲良くなれると思う……悪い子はいないから」

涼(誰とだよ……)

涼「……アタシはレッスンが忙しいからパス」

歌鈴「あれ?涼さんもその日はオフじゃありませんでしたっけ?」

涼「…………」

小梅「り、涼さんは……いかない……?」

涼「あー、えーっと……」

------ 事務所

P「へぇー、そんな事が……」

涼「何とかしてよ、Pサン……」

涼「小梅のやつ、ホラー映画に飽き足りず本当の墓を見に行くとか……」

P「肝試しか、時期外れだけど面白そうだね」

涼「面白くねーよ!」

P「ははっ、涼は相変わらずリアルなのは苦手か。墓地なんて本当に出そうだし」

涼「オバケは見たく……ないな」

P「……まぁ、でも覚悟を決めた方が良いんじゃないかな?」

涼「……どういう意味?」

小梅「…………」

涼「ヒッ!?いきなり現れるなよ!!」

小梅「ご、ご、ごめんなさい……」

P「おはよう、小梅。肝試しの話かい?」

小梅「う、うん……Pさんも……い、行きませんか?」

P「もちろん、参加させてもらうよ。他には誰が来るんだい?」

小梅「えっと……フレデリカさん……愛結奈さん、歌鈴さん……です」

P「涼以外は皆来るのか……」

小梅「涼さんに、お墓行こうって言ったら、レッスンが忙しいって……」

涼「……わかったよ、アタシも行くよ!」

小梅「えっ……り、涼さん……レッスンは……?」

涼「へっ、そんなの何とかなるだろ」

小梅「う、うん……」

社長「あら、面白そうな話をしてるじゃない?」

P「社長、珍しいですね。事務所に来るなんて」

小梅「あっ……オカマさん……」

P「えっ!?」

涼「お、おい……小梅。ストレートに言うのはまずいって!」ヒソヒソ

社長「小梅ちんが主催者かしら?私も参加したいわぁ」

小梅「うん……い、行きましょう……」

P(仲良かったのかこの二人……)

涼(小梅って意外にハート強いよな……)

------ そして…… 肝試し当日

涼(一度断ったのに結局来ちまった……)

愛結奈「ふぅん、時期外れだけど夜の墓地って雰囲気があるわね」

フレデリカ「こりゃ本当に出るかもね〜」

歌鈴「ふわぁあ……さむさむっ!あ、もうっ、Pさん、今ちょっと笑ってませんでした?」

P「笑って無いよ、ともかく冷えるから風邪はひかないようにね」

小梅「えへへ……みんなと……お墓これて嬉しい……」

P「そう言えば社長はまだ来てないのかい?」

小梅「…………?」

愛結奈「どうしたの?」

小梅「……います……り、涼さんの後ろ……」

涼「!?」

社長「あのね、さっきからずっと居たわよ。喋らないからって忘れないで欲しいわ」

涼「ギャーーーーー!?」

社長「私はオバケじゃないわよ!失礼しちゃうわ!」

P「だ、大丈夫?涼?」

涼「P、Pサン……こ、腰が抜け……」

歌鈴「あわわ……あ、悪霊……」

社長「悪霊でも無いわよ!」

愛結奈「ホントに大丈夫なの?このメンバーで……」

フレデリカ「あははっ、二人ともビビりすぎだってば〜!」

小梅「……肝試し……楽しみ……」

------

フレデリカ「ふぅ〜ん、チーム分けして一番最初に教会に付いたチームが勝ちかぁ〜」

涼「へへっ、やるからには本気だよ。安心しな、フレデリカ」

フレデリカ(肝試しだと一番頼りないパートナーだけどね〜……)

涼「さっさとゴールに行って終わらせようぜ」

フレデリカ「へぇ〜、あんなに叫んでたのに強気だね」

涼「まぁ、最初はビビっちまったけどもう大丈夫だろ」

フレデリカ(……ちょっと脅かしてみよ)

涼「……ん?フレデリカ?どこ行ったの?」

フレデリカ「……フンフンフフーン♪……フンフフー♪」

涼「!?」

フレデリカ「……フレデリカー♪」

涼「ヒッ!?」

------

『ギャーーーーー!?』

歌鈴「ふぇっ!?ななな何でしょうか?」

社長「盛り上がってきたわね」

愛結奈「多分涼ね……」

社長「にしてもやっぱり夜の墓地って気味が悪いわねぇ〜」

愛結奈「それにしても、こんな大きな教会があったのね……」

社長「浜川はえらく落ち着いてるけど大丈夫なの?」

愛結奈「こういうのを怖がる歳でもないわ」

愛結奈(ホントは幽霊なんかより社長の方が気味悪いなんて言えないけど……)

歌鈴「愛結奈さん、落ち着いててステキ……」

愛結奈「歌鈴も言うほど怖がってないわね?」

歌鈴「わ、私だって一応巫女なので霊を怖がってられません!」

社長「あら?そう言えばそうだったわね」

愛結奈「ま、じゃあ幽霊が来たら全部歌鈴に任せるわ」

歌鈴「緊張するけど……私、頑張るっ!」

社長「頼もしいわねぇ〜、じゃあ早速ゴールを目指しましょうか」

愛結奈「ワタシは道知らないけど、ゴールにはどっちに向かえば良いの?」

歌鈴「…………」

社長「道明寺の知り合いのとこだし道明寺が知ってるんじゃないのかしら?」

歌鈴「あ、あれれ……こ、ここどこ!?」

愛結奈「…………」

歌鈴「どど、どうしよう……おろおろ」

愛結奈(本当に大丈夫なのかしら……)

------

P(僕は小梅とペアか……ある意味一番頼もしいパートナーかなぁ……)

小梅「…………」

P「小梅はこういうのは慣れてるの?」

小梅「大丈夫……だよ……ふふ……」

P「……そ、そっか」

P(何だかいつもよりイキイキしてるな……)

小梅「あっ……Pさん……こっちです……」

P「ん?どうかしたの?」

小梅「あの、いっしょに見られたら嬉しいなって……え、えへへ……」

P「何か見えるのかい?」

小梅「ほら、奥、あの奥のほう……きっとPさんも見られると思う……」

P「んー……」

小梅「ど、どうですか…?」

P「暗くて良く見えないね……」

小梅「なら……もっと、もっと私の近くで……」

P「まだ何も見えないよ?」

小梅「ほら見て、Pさん……」

P(小梅には幽霊でも見えるのかな?)

小梅「……あっ、ち、近い、顔、近いです!」

P「…………」

小梅(ば、ば、爆発しそう……)モジモジ

P「ま、まぁ先を急ぐとしようか……」

P「うわっ!?」ドテッ

小梅「Pさん……だ、大丈夫?」

P「大丈夫、ちょっと驚いてこけちゃったよ」

P(いきなり、お墓が目の前にあってびっくりした……)

P(そう言えば、夜の墓地だってことをすっかり忘れてた……)

小梅「い、いきなりお墓はダメでした……?」

P「いや、そう言うわけじゃないんだけど……」

小梅「あっ…く、暗いから気をつけないと……て、て、手……繋いで……」

P「あ、あぁ、そうしようか」ギュッ

小梅「え、えへへ……」

P(小梅と一緒に居れば何か色々と大丈夫な気がするな……)

小梅「…………?」

P「どうかした?」

小梅「う、ううん……」フルフル

小梅(あれ……?)

小梅(なんだか……ドキドキするの……Pさんの……せい……?)

------ 教会前

フレデリカ「これで全員ゴールしたね〜」

愛結奈「優勝はプロデューサーのチームか……、まぁ一番安定していたしね」

歌鈴「ふぇぇ……すみません」

社長「怖かったというより歩き疲れたわ……」

涼「…………」

P「ところで何で涼は気絶してるの?」

フレデリカ「……ちょっと脅かしすぎたかな〜」

小梅「涼さん……だ、大丈夫かな……」

フレデリカ「ここまで運ぶの大変だったんだよ。後はプロデューサーがおぶっていってね〜」

P「はぁ……、わかったよ」

愛結奈「まぁそろそろ時間も遅いし帰りましょうか」

社長「帰りは迷わなくて済むわよね、誰かさんが先導はしないし」

歌鈴「はうぅ……ドジは減らしますぅ……」

小梅「…………」

P「小梅、今日は楽しかったかい?」

小梅「うんと……え、えへ……楽しかった」

P「そっか……」

フレデリカ「…………」

------ 翌日…… レッスン場

ガチャ

P「おはよう、みんな」

愛結奈「おはよっ☆」

小梅「お、おはようございます……」

フレデリカ「プロデューサー、おはよ〜」

P「仕事の前にみんなに集まってもらったのは連絡事項があってね」

愛結奈「あら、また何かあるの?」

P「うん、また次の日曜日に『ハロウィンパーティー』というイベントをやることになったよ」

フレデリカ「メイドの次はハロウィンかぁ〜、節操無いね〜」

P「前と違って今回は純粋なパーティーだよ、一般の人が来るって事は変わりないけどね」

P「みんなには仮装して遊んだ後、最後にミニライブをやってもらう」

小梅「ハロウィン……」

P「まず仮装についてだけど、小梅はミイラ、フレデリカは悪魔、愛結奈は日本のオバケに仮装して欲しいってさ」

愛結奈「ちょっと待ってよ、ハロウィンに日本の妖怪なんて出るわけないじゃない!?」

P「……まぁそうだね、とりあえず浴衣を着ていればオッケーみたいだよ」

愛結奈「この季節に浴衣!?なんかワタシだけ毎回扱いが悪いわね……」

P「愛結奈はお目付け役としても期待されてるからあまり目立つのもいけないみたいだね」

愛結奈「わかったわよ、我慢するわ……」

フレデリカ「アタシは悪魔かぁ〜」

小梅「ミ、ミイラ……楽しみ……」

P「二人の衣装も用意してあるから。どんなのかは当日までのお楽しみだけどね」

フレデリカ「あはは、セクシーな衣装で頑張ってみんなを誘惑しちゃおーっと♪」

小梅「胸が……とても、高鳴ります……」

P「うん、楽しみにしておくと良いよ」

P「後、ミニライブに関してはDグループと合同で行う事になっている」

P「具体的なメンバーは小梅、愛結奈、涼、歌鈴の四人でやってもらう」

小梅「えっ……」

フレデリカ「…………」

愛結奈「プロデューサー、フレデリカは入って無いの?」

P「……まぁね、フレデリカには今回はお休みしてもらう事になっている」

フレデリカ「そかそか、じゃあみんなのライブを楽しみにしとくね〜」

小梅「い、良いんですか……?」

愛結奈「Eグループから人数削る意味なんてないと思うけど?」

P「今回のライブには色々意味があるんだよ、この話に関してはこれまでにしとこう」

小梅(フレデリカさんが……な、なんでだろ……?)

愛結奈(フレデリカの実力や人気はピカイチだと思うけど、わざわざ外す理由はなんなのかしら……)

フレデリカ「…………」

P(これで良いのかい?フレデリカ……)

------

フレデリカ「…………」

小梅(フ、フレデリカさん……さ、さっきからずっと……窓の外をみ、みて……)

愛結奈(完全に上の空ね、一体どうしたのかしら……)

フレデリカ「……小梅ちゃん、そこ間違えてるよ。そこは左手じゃ無くて右手だから」

小梅「あっ……ご、ご、ごめんなさい……」

フレデリカ「…………」

小梅(な、なんだろ……今日のフ、フレデリカさん……とってもこ、こ、怖い……)

フレデリカ「……下手くそ」

小梅「えっ……!?」

愛結奈「……フレデリカ?」

フレデリカ「そこら辺の流れは何回も教えてるよね?いつになったらできるようになるのかな〜?」

小梅「ご、ご、ごめんなさい……」

フレデリカ「謝るより先にできるようになってくれると嬉しいんだけどね〜」

愛結奈「フレデリカ、言いすぎよ!」

フレデリカ「…………」

愛結奈「!?」

愛結奈(ワタシが怯むほど睨みつけるなんて、黙ってろって事なの……?)

小梅「わ、私……こ、こ、今度はし、失敗しませんから……」

フレデリカ「それ、前にも聞いたけど?」

小梅「ご、ごめんなさ……グスッ……」

フレデリカ「また泣くの?泣いたら何でも許されるってわけじゃないんだけどね〜」

小梅「な、なんで……そんなこと……」

フレデリカ「何でだろうね?いつまでたっても成長しない小梅ちゃんに飽き飽きしてきたのかな?」

小梅「あ、飽き……?」

フレデリカ「そ、飽きちゃった」

小梅「そ、そ、そんな事……言う……ふ、フレデリカさんはき、き、嫌いです……」

小梅「い、いつもは……も、もっと優しくして……」

フレデリカ「別に嫌いでも良いよ、アタシもそんなに好きじゃ無かったし」

小梅「…………」ビクッ

愛結奈「フレデリカ!何を考えてるか知らないけど言いすぎよ!」

フレデリカ「正直アタシもそんなに好きじゃなかったんだよね〜」

小梅「えっ……」

フレデリカ「実力も大した事無いのに毎日チョロチョロ付きまとわれて若干うざかったしね」

小梅「な、な、なんで……」

愛結奈「いい加減にしなさい!」

フレデリカ「……しらけちゃった、アタシ帰るね」

ガチャッ

小梅「フ、フレデリカさん……グスッ……ま、まって…」

愛結奈「…………」

------ 事務所

P「……何だって!?フレデリカがそんな事を?」

小梅「…………」

愛結奈「いきなりあんな事言うなんて、フレデリカは何を考えてるの?」

P「…………」

小梅「Pさん……わ、私、フレデリカさんにき、嫌われ……」

P「違うよ、フレデリカは決して小梅や愛結奈の事を嫌いになったわけじゃない」

愛結奈「どういう事なの?」

P「これは口止めされていた事なんだけどね」

P「フレデリカがそういう行動に出たのなら、僕も黙っているわけにはいかないな」

小梅「く、口止め……」

P「……フレデリカは今度のハロウィンパーティーが終わったらフランスへ行くんだ」

小梅「!?」

愛結奈「!?」

P「実家の都合でね、日本に戻ってくる予定は今のところ無いらしい」

P「つまり、皆と一緒にアイドルを続ける事はもうできない」

小梅「そ、そんな……」

愛結奈「じゃあ小梅にあんな事言ったのも?」

P「ちゃんと自分から話すって言うから僕も黙っているつもりだったんだけどね」

P「多分、嫌われてからひっそり居なくなる方が良いと思ったんじゃないのかな?」

P「最後にライブを観客席から見たいと言うのも彼女の希望さ」

小梅「なんでそ、そんなこと……」

P「フレデリカも辛かったんだろう、でも良い方法が思いつかなくてこうなってしまったのかな」

愛結奈「まったく、何を考えてるのよ……」

P「……そう言わないであげてくれないか、悩みに悩んでそうしたんだろうから」

小梅「P、Pさん……わ、私……ふ、フレデリカさんにき、き、嫌いって……」

小梅「ほ、ホントはだ、だ、大好きなのに……そ、そ、そんな事い、言って……」

P「小梅……」

愛結奈「で、どうするのよプロデューサー。フレデリカを引きずって連れてくる?」

P「彼女もあれで結構頑固だからね、連れてきても逆効果だよ……」

小梅「Pさん……」

P「……なんにせよこのままにしておくわけにはいかない。小梅、愛結奈、力を貸してくれないか?」

小梅「う、うん……」

愛結奈「もちろんよ、このままバイバイなんてさせるわけないじゃない」

------ 翌日……

小梅「ひ、陽の光……眩し……」

P「ははっ、ごめんね。こんな早朝に呼び出してさ」

小梅「だ、大丈夫……でも、どうして……?」

P「早朝じゃないと駄目なのさ、彼女に会うのはね……」

?「いっけなーい!ちょっと遅れちゃった!」

P「やぁ、相変わらず元気だね」

?「あ、あれ?プロデューサーどうしてレッスンスタジオに?」

P「君こそどうしてって聞いた方が良いかな?」

?「あ、私ですか?私はその……偶然……」

P「毎日こうやって朝早くに自主練しているのは知ってるよ」

?「あはっ、バレちゃったら仕方ないですね!そう、秘密の特訓しようと思って!」

小梅「Pさん……こ、この人は……?」

?「あれっ?この子は確か……?」

P「いつき、君を見込んでお願いがあるんだ。彼女にダンスを教えてあげてくれないか?」

真鍋いつき「せ、先生ですか!?」

P「僕はダンスの流れはわかっていても、実際に踊る事はできない」

P「だから君に踊って貰って先生役をやって欲しいんだ」

いつき「ん〜……わかりました、良いですよ!」

いつき「私にできるかわかりませんが、1人でレッスンしててもやりがいが無いですからね!」

いつき「プロデューサーもいっしょに地獄の特訓、お願いしますよ!ね!」

小梅「P、Pさん……?」

P「彼女はBグループの真鍋いつき。そして、今日から君の先生だ」

P「いつき、この子は白坂小梅。宜しくお願いするよ」

いつき「はい!宜しく!小梅ちゃん!」

小梅「よ、よ、宜しくお、お願いします……」

P「今日から毎日いつきと一緒にフレデリカに教えてもらってたダンスを特訓するんだ」

小梅「あ、愛結奈さんじゃないんですか……?」

P「愛結奈にはフレデリカに気づかれないようにフォローを入れてもらっているのさ」

P「それに、先生ならいつきの方が適任だろうからね」

小梅「…………」

真鍋いつき(22)
http://i.imgur.com/EodyfEX.jpg

いつき「柔軟運動は、筋を伸ばすように!」

小梅「は、はいっ……」

P(小梅は元々ダンスはそれ程得意じゃない……)

P(しかし、フレデリカの気持ちを動かせるのは小梅しかいない、何としても間に合わせないと……)

P「よしっ、柔軟はそれくらいで良いかな。そろそろ始めようか」

いつき「私はもう準備万端ですよ!さぁ、はじめましょう!」

小梅「が、が、頑張る……」

小梅「……はぁ……はぁ……」

いつき「ほら、まだまだ私はイケますよ!全然踊りたりません!」

P(初日からいつきについていくのは流石に厳しいか……)

P「今日はここまでにしようか、そろそろ皆が来るころだ」

いつき「確かにもうこんな時間ですね、レッスンしてると時間忘れちゃう!」

小梅「…………」

いつき「ふーっ。いい汗かいたね!小梅ちゃん!」

P(やはりいつきに先生を依頼したのは正解だったな、教えるのが上手だ……)

いつき「……プロデューサー、どこ見てるんですか?」

P「え?」

いつき「あ、ちょっ、汗で透け……んもぉ〜っ!!プロデューサーってば!」

小梅「Pさん……だ、駄目です……!?」

P「……はいはい、目は閉じておくから早く着替えておいで」

いつき「はーい!じゃあ着替えに行こっか、小梅ちゃん!」

小梅「は、はい……」

------ 更衣室

いつき「うーん、いい汗流れてるなっ☆」

小梅「い、いつきさんは……す、凄いです……」

いつき「小梅ちゃんもあんなに動けるなんて凄かったよ!」

小梅「いつきさんはな、なんで早朝に……?」

いつき「私は元々身体を動かすのが大好きだからっ!」

小梅「運動が……で、ですか?」

いつき「あはは、アイドルになってなかったら……体育の先生とかになってたかな……?」

小梅「そ、そうなんですか……」

いつき「でもやっぱり、私、LIVEが楽しみで楽しみで、少しノッちゃってるかな!」

小梅「楽しみ……?」

いつき「あはは、だって待ち切れないよ! 私の出番まだかなぁー! 早くLIVEしたいなっ♪」

いつき「小梅ちゃんは楽しみじゃないの?」

小梅「私も……む、昔は怖かったけど……今はた、楽しみ……」

小梅(こんな気持ちを教えてくれたのも……)

いつき「どうしたの?」

小梅「わ、私……」

いつき「?」

小梅「ちゃんと踊れるようにど、ど、どんな辛い練習でも、が、頑張ります……」

小梅「だから……もっとわ、私に教えてください……」

小梅「た、大切な人に……お、お、恩返ししたいから……」

いつき「……うん!一緒に頑張ろうね!」

小梅「は、はいっ!」

小梅(Pさん……いつきさんと合わせてくれてありがとう……)

------ そして…… ハロウィンパーティー当日

P「みんな、衣装はバッチリかな?」

愛結奈「かたっ苦しいのは嫌いだけど、まぁたまにはこういうのも悪くないかもね。」

歌鈴「愛結奈さん、セセセクシーです!」

愛結奈「どこかのプロデューサーも、ワタシの姿に夢中みたいだし?」

P(目のやり場には困るのは確かだけどね……)

涼「おっす、Pサン!仮装してきたよ。こんなもんでよかったのかな?」

P「涼は死神か、似合ってるよ」

涼「いやぁ、パーティーなんてバンドしてたころ以来かな。当時はもっとメイクがひどかったけど!」

涼「ま、今は丸くなったって言われるし。誰かのせいでね!」

涼「ところで歌鈴の格好は何だよ?」

歌鈴「私は巫女ですよ!」

愛結奈「巫女はハロウィンの仮装に入るのかしら……?」

P「……まぁ、お祭りだし細かい事は良いんじゃないかな」

愛結奈「ま、歌鈴の場合はドジさえしなければ何でも良いか」

歌鈴「わ、私だって成長してますっ!もうドジっ子返上です!」

小梅「Pさん……」

P「……小梅、良く似合ってるね」

愛結奈「結構良いセンスしてるじゃない」

涼「小梅のドレス、悪くないな。似合ってるし。やるじゃん!」

歌鈴「うふふ、いかにもハロウィンって感じですね!」

小梅「P、Pさん……本当に、このドレスを着ていいの……?」

P「もちろん、君のために用意されたものだからね」

小梅「とっても、ステキ、だから、私、なんて言うか……」

小梅「もっと、もっと、ファンと、Pさんと、みんなに、喜んでもらえるように、なるから……!」

P「……そうだね、今日のライブ、楽しみにしてるよ」

P「僕は今日一日フレデリカと一緒に行動する」

P「皆はハロウィンパーティーを楽しんだ後、ライブ会場に向かって欲しい」

P「会場にはスタッフさん達が居るから、わからない事があれば気軽に聞くと良い」

P「みんな、後は頼んだよ……」

小梅「Pさんがみ、見てくれるなら……大変なことも……が、がんばれる……」

愛結奈「ワタシ一人で頑張るよりもみんなと頑張ったほうが喜んでくれるってのは分かってるわ」

歌鈴「大丈夫です!LIVEが上手くいくように、神様にお祈りしてきたんです!」

涼「へへっ!LIVEの魔法をかけるぜ!」

------

P「お待たせ、フレデリカ」

フレデリカ「おっそーい、女の子を待たせちゃモテないよ、プロデューサー!」

P「ははっ、ごめんごめん。でも凄い衣装だね?」

フレデリカ「セクシー小悪魔、フレデリカの登場だよー!ってな感じでどうかな?」

P「フレデリカにはピッタリだね」

フレデリカ「あはは、プロデューサー、やっぱりちょっと恥ずかしいよーっ!」

P(いつもと調子は変わらないフリをしているのか……)

フレデリカ「ホラ、この羽動くのー♪パタパタ♪」

P「意外に細かいところまで作り込んでるんだなぁ……」

フレデリカ「さっ、Pさま、アタシの手をとって、エスコートしてくれるかなー?」

P「あぁ、今日は一日フレデリカのやりたい事に付き合うよ」

------

小梅「ひ、人が……いっぱい……」

愛結奈「結構大きなイベントね、前のメイドコレクションと並んで中々凄いわね」

涼「ホラーとハロウィンは相性が良いよな」

歌鈴「お昼なのに何だか薄気味悪い雰囲気ですね……。涼さん、驚かさないで下さいね?」

涼「フッ……悪戯はしないよ」

愛結奈(悪戯されて一番ビビるのは涼の癖に……)

小梅「わわっ……」

愛結奈「小梅、大丈夫?人が多いからはぐれないようにね?」

小梅「だ、大丈夫……」

涼「おいおい、大丈夫かよ?ほらっ、小梅。手つないどくか?」

小梅「う、うん……」ギュッ

ボトッ

涼「!?」

歌鈴「ヒッ!?て、手が……取れた!?」

小梅「えへへ……ビックリ……グッズです……」

涼「ギャーーーーー!?」

愛結奈「小梅!そういう小ネタを仕込むのやめなさい!」

小梅「…………」シュン

------

P「さっきから甘いのばっかり食べてるね?」

フレデリカ「甘いのが欲しい時もあるよね!」

P「まぁ、良いけどさ……」

綾瀬穂乃香「あら?珍しい組み合わせですね?」

P「穂乃香!どうしてここに?」

穂乃香「ふふっ、今日は私、お菓子を配る係なんです」

フレデリカ「おっ、そうなんだー。じゃあ綾瀬さん、トリックオアトリート!だったっけ?」

穂乃香「はいっ、ハッピーハロウィーンです」

P(彼女がこういうイベントに参加するとはな……)

穂乃香「……Pさん、私がこんな事するなんて意外でしょうか?」

P「良いんじゃないかな、たまにはそういう風に遊ぶのも大事さ」

穂乃香「……私、今とっても幸せなんですよ!アイドルのお仕事は楽しいし!」

P「それは良かった、頑張りなよ。応援してるさ」

穂乃香「そう言えば、Pさんは甘いものは好きですか?」

P「え?まぁ好きだけど……それがどうかしたのかい?」

穂乃香「いえ、別に……」

フレデリカ「Pさんも言えって事じゃないの?」ヒソヒソ

P「あ、あぁ……トリックオアトリート!これで良いのかな?」

穂乃香「ふふっ、ハッピーハロウィーン」

P「あれ、フレデリカの奴とは違うお菓子だね?」

穂乃香「……私、自分が思っていたより意外と不器用だったので……」

P「?」

穂乃香「いやこちらの話です!その、お口に合えば……!」

フレデリカ(ありゃりゃ、相変わらず真っ直ぐだね〜……)

綾瀬穂乃香(17)
http://i.imgur.com/KofW5Si.jpg

------

小梅「み、みんなと……は、はぐれちゃった……」

小梅(ここ、どこだろう……?)

?「あら、可愛らしい仮装ですね?」

小梅「えっ……」

?「でも、残念ながらここにはお菓子はありませんよ?」

小梅「い、いえ……わ、わ、私……み、皆とはぐれて……」

?「あら、そうなんですか。ここはBグループの休憩室です、また変な所に迷いこみましたね」

小梅「そ、そ、そうなんですか……す、すみません……」

?「ふふっ、かまいませんよ。そうだ、良かったらあなたもここでゆっくりして行きませんか?」

小梅「…………」

?「私も少しお話しの相手が欲しかったのです。良かったらお付き合い頂けませんでしょうか?」

小梅「う、うん……」

クラリス「私はクラリスと申します。あなたと同じアイドルをさせて頂いておりますわ」

小梅「し、し、白坂……こ、小梅……です」

小梅(綺麗な人……)

クラリス「あら、あなたが小梅さんなんですね。いつきさんからお話は伺っています」

小梅「いつきさん……い、良い人です……」

クラリス「ふふっ、私もそう思いますわ」

クラリス「何でも、お友達のために過酷な練習をされているとか?」

小梅「そ、そ、そんなこと……い、いつきさんについていけてませんから……」

クラリス「彼女の運動量についていけるのはBグループにはいません」

クラリス「でも、小梅さんは決して弱音は吐かずについて行こうとしているそうですね」

クラリス「あなたのその思いが届く事を祈ってますわ」

小梅「う、うん……あ、ありがとうございます。く、クラリスさん……」

クラリス「小梅さんはこうやってお話しているだけでは退屈ではありませんでしょうか?」

小梅「ううん……だ、大丈夫……」

クラリス(20)
http://i.imgur.com/8EokPzE.jpg

クラリス「ふふっ、気を遣わなくても大丈夫ですよ」

クラリス「せっかくですから映画でも見ながらお話しましょうか。時間は大丈夫ですか?」

小梅「は、はい……」

クラリス「どのような映画がお好みでしょうか?色々あるので小梅さんの好きなものでかまいませんよ」

小梅「え、えっと……ほ、ほ、ホラー映画……」

クラリス「あら、怖いものが好きなのですね?」

小梅「う、うん……大好き……」

クラリス「ふふっ、今の小梅さんは小さなオバケさんですものね……」

クラリス(小梅さん……聖水をかけたら蒸発してしまいそうですわね……)

小梅「ど、どうかしたんですか……?」

クラリス「いえ、なんでもありませんよ」


小梅「あ、あの……ど、どんな映画があるんでしょうか……?」

クラリス「私はあまりこういうのには詳しくありませんので……」

小梅「ホラーだったら……ど、どんなのでも大丈夫です……」

クラリス「探したのですがこれしかありませんでした。宜しいですか?」

死霊の盆踊り

小梅「…………」

クラリス「何故、目をそらすのでしょうか?」

小梅「い、いえ……お、お、面白そう……です……」

クラリス「そうですか、ではこれにしましょうか」

小梅(ま、また……この映画……)


------

小梅「…………」ジー

クラリス「…………」ジー

クラリス「勢いで選んだのですが……」

小梅「…………」

クラリス「何でしょうかこの映画は……」

小梅「え、えっと……あ、あの……お、お、面白いです…ね……」

クラリス「小梅さんはこういうのがお好きなのですか?」

小梅「ち、ちがっ……!?」


------ ステージ裏

涼「ったく、小梅。一体どこへ行ってたんだよ?」

小梅「く、クラリスさんに……会ってました……」

愛結奈「クラリス……?あぁ、あのBグループのシスターね」

歌鈴「し、シスター!?そんな人がいるんですか?」

愛結奈「あら、知らなかったの?結構有名よ、スカウトしたのはPさんらしいけど」

歌鈴「巫女とシスターは相容れないんです……。歌鈴がんばりますっ!」

涼「……何言ってんだ、んなわけねーだろ……」

歌鈴「そ、そんな事ありませんよっ!絶対どこかでぶつかる事になります!」

愛結奈「敵対心を持つのは勝手だけど、そろそろライブがはじまるわよ」

小梅「…………」

小梅(……頑張ろう……)


------ 観客席

P「……そろそろ始まるね」

フレデリカ「…………」

穂乃香「Pさん、フレデリカさん!」

いつき「どうも!Pさん達は観客席から見るんですか?」

P「あぁ、そうだね。今回は観客席から見る事になってるよ」

クラリス「ふふっ、お久しぶりですね。P様」

P「クラリス、今日は珍しい格好だね」

クラリス「はい、今日は普段着ですが……見慣れませんか?お恥ずかしい……」

フレデリカ「あれ?彼女が噂のシスターアイドルなの?Pさんが連れてきたんだよね?」

P「そうだね、まぁちょっとした縁でね」

クラリス「ふふっ、P様との出会い、私は本当に嬉しく思うのです……」

穂乃香「…………」

フレデリカ(なんか、またとんでもないのが出てきたなぁ〜)

いつき「あ、そろそろ始まりますよ!」

P(皆、これが最初で最後のチャンスだ……。頼んだよ……)

------ ステージ

ワー! ワー! ワー! ワー! ワー!

涼(さぁチカラの見せどころだね!)

歌鈴(私、このステージの上ではドジしないっ……!)

愛結奈(ちゃんと見てなさいよ、フレデリカ……)

小梅「…………」

涼「大丈夫だよ、小梅」

小梅「……涼さん……?」

涼「アンタの思いはきっと届く、歌の魔法を信じな!」

小梅「うん……」

小梅(夢、見せてあげる……)

------ 観客席

ワー! ワー! ワー! ワー! ワー!

いつき「やっぱりLIVEは良いですね!」

クラリス「彼女達の歌、とても心に染み入る良いものです……」

P「うん、皆バッチリ息が合ってるね」

フレデリカ「…………」

P(フレデリカの決意は動かないか……)

穂乃香(白坂さん、確かに凄い子ですね……)

P(まだだ、まだライブは終わっていない……)

穂乃香(Sプロダクションと合併してから、Pさんは白坂さんの事ばかり気にして……)

P「…………」

穂乃香(……Pさん、貴方の目に私はどう映っていますか?)

------ ステージ

ワー! ワー! ワー! ワー! ワー!

愛結奈(ふぅ、何とか終わったわね……でも、フレデリカは最後まで動かなかったわね……)

涼(へへっ、やっぱり歌うのは楽しいな!)

歌鈴(きっ、聞こえますか、この歓声!これが私たちの成果です!)

小梅「…………」

------ 観客席

穂乃香「終わりましたね、素敵なライブでした!」

クラリス「ふふっ、このライブは私にとっても良き糧となりました……」

フレデリカ「終わっちゃったね〜。さ、アタシも着替えてこよっかな」

P「……いや、終わって無いよ」

フレデリカ「えっ?でもライブの曲はもう無いんじゃないの?」

P「最後にもう一曲残ってるさ」

いつき「小梅ちゃん!特訓の成果を見せましょう!さぁ!」


------ ステージ

小梅「……みんな……わ、私……ま、ま、まだ歌います……」

歌鈴「えっ!?で、でも曲はもう終わって……」

涼「歌鈴!ほら、さっさとステージ裏に戻るよ!」

愛結奈「……小梅、最後頼んだわよ?」

小梅「…………」コクッ

小梅(私……ふ、フレデリカさんと会えてほ、本当に良かった……)

小梅(会えなくなるのはさ、寂しいです……)

小梅(そ、それでも、ちゃんと言わなくちゃ……わ、私は一杯お世話になりましたって……)

小梅「わ、私……」

小梅「大切な人の為に……う、歌うから……き、聴いて……欲しい……」



------ 観客席

フレデリカ「……小梅ちゃん?」

P「フレデリカ、しっかり見ておくんだ」

P「全て、君が小梅に教えた事だ……」

いつき「小梅ちゃんはこの日のために毎日毎日一杯練習したんですよ!」

穂乃香「…………」

クラリス「小梅さん……」

フレデリカ(小梅ちゃん……。ダンスは苦手な癖に……)

フレデリカ(この前間違えた所も……、ちゃんと踊れてるじゃん……)

P「ごめん、フレデリカ。君が秘密にしようとしていた事を全て喋った」

フレデリカ「!?」

P「……小梅は君にお礼を言うために内緒で頑張ったんだ」

フレデリカ「…………」


P「ばらした事は済まないと思っている。でも、君がその事で苦しむのを見ているわけにはいかなかった」

P「もう、嫌われ者になる必要は無い。皆の所に行ってあげてくれないか?」

フレデリカ「で、でも……」

クラリス「フレデリカさん」

フレデリカ「えっ?」

クラリス「事情の知らない私がこんな事を言うのも差し出がましいですが……」

クラリス「小梅さんの気持ちはとても強いものです」

クラリス「本当に、あなたの事を慕っていたのでしょう」

クラリス「……答えて、あげてくれませんでしょうか?」

フレデリカ「……Pさん、一緒に来てくれる?」

P「あぁ、行こう」

穂乃香(あれが、白坂小梅……)


------ ステージ裏

小梅「…………」

涼「お帰り!小梅、いつの間にあんな事できるようになったんだよ?」

歌鈴「小梅ちゃん……私、きっとこのLIVEを……ずっと、ずっと忘れないです!」

小梅「わ、私……ち、ち、ちゃんとできたかな……?」

愛結奈「上出来よ。ほらっ、見てごらんなさい」

フレデリカ「…………」

P(良くやってくれた、小梅……)

小梅「あっ……」

フレデリカ「小梅ちゃん……」


小梅「ふ、フレデリカさん……わ、わ、私……」

小梅「ご、ご、ごめんなさいっ!」

フレデリカ「えっ……?」

小梅「私……ふ、フレデリカさんにへ、へ、下手くそって……言われて……」

小梅「嫌われちゃったなって……か、悲しくなりました……」

小梅「それで……ふ、フレデリカさんにき、き、嫌いって……い、言っちゃって……」

小梅「ほ、本当は……だ、大好きなのに……お、思っても無い事……」

フレデリカ「…………」

小梅「こ、こ、こんな事言うのは……あ、厚かましいですけど……」

小梅「で、でも……わ、わ、私……ふ、フレデリカさんにだけはき、き、嫌いにならないで欲しかった……」

小梅「……わ、私はダンスう、上手くできないし……嫌われてもし、しょうがないです……」

小梅「だけど……い、い、一杯練習します……」

フレデリカ「…………」

小梅「だ……から……と、と、友達で……居て…下さい……」

フレデリカ「小梅ちゃん……」

小梅「…………」

フレデリカ「……ごめんね」ダキッ

小梅「ふ、フレデリカさん……?」

フレデリカ「アタシの方こそあんな事言っちゃってごめん……」

フレデリカ「今更、許されないかもしれないけどさ……全部、嘘だから……」

小梅「えへへ……い、良いんです……」

愛結奈「これで一件落着かしら?」

P「そうだね、ちゃんと二人の言いたい事は言えたんだ」

歌鈴「小梅ちゃん……フレデリカさん……グスッ……よよよ良かったです!」

涼「アンタが泣いてどーすんだよ!?」

フレデリカ「愛結奈さんもごめん……、睨んだりしちゃって……」

愛結奈「フレデリカの嘘はわかりやすいから、ワタシにはどうってことないわ」

愛結奈「……テキトーするのも良いけど、たまには素直になりなさいよ?」

フレデリカ「あははっ、そーだね。良い教訓になったよ〜」

小梅「P、Pさん……わ、私……」

P「……ちゃんと言えて良かったね、小梅」

小梅「う、うん……」


------ ……数日後 空港

フレデリカ「いや〜、あっという間だったね〜。もう飛行機に乗らないと行けないのか〜」

歌鈴「あれ?お見送りは私達だけなんですか?」

フレデリカ「うん、ほとんどの人はこの数日でお別れを済ましちゃったからね」

涼「何かフレデリカがいなくなるなんて変な感じだな」

愛結奈「ま、なんだかんだで長い事一緒にいたしね」

P「荷物は少ないね、もう郵送してあるのかい?」

フレデリカ「正解!もうあらかたあっちにおくってあるよ〜」

小梅「…………」

涼「そう言えば、フレデリカってフランス語喋れんの?」

フレデリカ「めるし〜ぼくー……?」

歌鈴「凄いですっ!完璧ですね!」

愛結奈「……どこがよ」

P「あははっ、まぁ親御さんも居るし大丈夫だろう。確か母親がフランスの人だったっけ?」

フレデリカ「うん、ママがフランス人でパパが日本人のハーフなんだ!」

歌鈴「なるほど、それなら大丈夫そうですね!」

フレデリカ「でもママも日本にいるうちにフランス語忘れちゃったんだって!あはは……」

涼「おいおい、そんな状態でよく行く気になったな……」

愛結奈「今わかったわ、このテキトーさは母親譲りね……」


フレデリカ「……さってと、そろそろ行こうかな」

小梅「……あっ……」

歌鈴「はいっ、フレデリカさん。お手製のお守りです。今日のために頑張ったんですよ!」

フレデリカ「ありがと〜、歌鈴ちゃん。でも、交通安全って飛行機に効くのかな?」

P「飛行機用のお守りもあるみたいだけど、交通には変わりないし大丈夫じゃないかな?」

涼「フレデリカ、あっちに行ってもちゃんとテレビ見とけよ。すぐにアタシが出てくるからさ!」

フレデリカ「涼ちゃんなら大丈夫だよ〜。ま、テレビは何て言ってるかわからないだろうけどボチボチ見るね」

愛結奈「……元気で頑張りなさいよ」

フレデリカ「ん、愛結奈さんも一杯ありがと。なんだかんだで甘えちゃうこと多かったね」

愛結奈「まぁ、今更気にしなくても良いわ」

P「気をつけて、行ってきなよ。たまにはこっちにもフランスでの暮らしを教えてね」

フレデリカ「プロデューサー、アタシのことプロデュースしてくれてホントにありがと〜!ちゃーんと感謝してるんだからね♪」

P「あぁ、こちらこそ楽しかったよ。ありがとう」

フレデリカ「……小梅ちゃんの事、宜しくね?」

P「任せてくれ……」

小梅「…………」

フレデリカ「…………」

小梅(ど、ど、どうしよう……な、何て言ったらいいんだろう……)

フレデリカ「小梅ちゃん、またね!」

小梅「は、はいっ!」


小梅「…………」

小梅(フレデリカさんが……行っちゃう……)

涼「小梅、良いのかよ?最後の言葉があんな淡白でさ?」

小梅「い、良いんです……」

小梅「わ、私……一杯話すとた、多分……な、泣いちゃいます……」

小梅「ふ、フレデリカさん……や、や、優しいから……私が泣くとだ、大丈夫だよって言いに来てくれます……」

小梅「で、でも…わ、わ、私……そうなると……行かないでって……言ってしまって……こ、困らせてしまうから……」

歌鈴「こ、小梅ちゃん……」

ポンッ

P「……言ってあげてくれないか?」

小梅「P、Pさん……!?」

愛結奈「後で後悔しないように、小梅もちゃんと言っといた方が良いわよ?」

小梅「あ、愛結奈さん……」

小梅「……グスッ……」


------

小梅『ふ、フレデリカさーん!一杯、一杯、ありがとーーー!!』

フレデリカ「!?」

フレデリカ(あははっ、普段は小声なのに大声出しちゃって……)

フレデリカ(ずるいなぁ、小梅ちゃんは……)

フレデリカ(これでも結構我慢してたんだけど、もう無理かな……)

フレデリカ「ま、いっか……」


------

フレデリカ『小梅ちゃーん!アタシ、ちゃんと応援してるからね!』

フレデリカ『頑張れ!小梅ちゃん!』

小梅「!?」

小梅(ふ、フレデリカさん……な、泣いて……)

フレデリカ『…………』ニコッ

小梅「うっ……グスッ……ヒック……」ボロボロ

P「…………」

愛結奈「プロデューサー、泣いてるの?」

P「やっぱり、悲しいもんだね……」

愛結奈「ずるいわよ……ワタシも我慢してたんだから……」

歌鈴「そ、そうですよ、私だって……グスッ……泣きそうだったんですから……」

涼「あー、チクショー。なんだよ、何でみんな泣いてんだよっ!」ボロボロ

愛結奈「涼が一番泣いてるじゃない……」

涼「小梅!アタシはそばにいてやるからな!」

歌鈴「わ、私もですっ!」


------ 翌日…… 事務所

P「………」カタカタ

P(こうして、フレデリカはフランスへと旅立っていった……)

P(Eグループは二人になるかと思いきや、歌鈴がグループ降格した事により結局3人となった)

P「今度から歌鈴を含めた構成を考えていかないとな……」

小梅「P、Pさん……」ヒョコッ

P「小梅か、どうしたんだい?」

小梅「Pさん……前のハロウィンパーティーみたいな…ホラーのお仕事ないですか……?」

P「もう冬だからね……、夏になれば増えるから取れるかも知れないけど」

小梅「ないの、そう……」

P「ははっ、まぁ探してくるよ」

P「……そう言えば小梅、ハロウィンパーティーでのライブでファンが増えてCランクアイドルになれたよ」

小梅「あっ……や、やった……」

P「おめでとう、この調子だと仕事もいっぱい入ってくるだろうね」

小梅「Pさん……も、もっと有名になったら……ふ、フレデリカさんにう、歌届くかな……?」

P「それなら音楽関係の仕事もこなしていかないとね」

小梅「えへへ……お仕事、楽しいね、ね……?」

P「そうだね、小梅も楽しんでもらえてよかったよ」

小梅「あの、ね、最初は不安だった……けど……今は……お、お仕事も……歌も……楽しい……」

小梅「Pさんが夢を見せてくれた……おかげ……」

P「ん?」

小梅「わ、わ、私……さ、寂しいけど……が、が、頑張る……」

小梅「だ、だから……Pさんはい、い、居なくならないで……」

P「当たり前だよ……」

小梅「うん……わ、私……」

小梅「Pさんにも……い、いっぱい……あ、ありが……とう……えへへ」

P「こちらこそ、いつもありがとう。小梅……」

P(どこに居たって必ず届くさ、君の歌ならね……)

白坂小梅 現在Cランクアイドル

おわり

ここまで読んで下さった方、ありがとうございます

相変わらず、誤字が多くて失礼しました。

ひとまず区切るのでこのスレはHTML化依頼を出しておきます

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