うんこ「こんな姿ですが、神です」(29)

男「……」

うんこ「信じていただけますか?」

男「…なにこれ」

うんこ「無理はありません。いきなり神の威光に当てられたとあっては、人間誰しも恐縮してしまうものです」

男「そういうのじゃない」

うんこ「もう一度言います」

うんこ「私だ」

男「お前だったのか」

男「古いよ」

うんこ「すいません」

うんこ「実はアナタの前に、三人ほど声をかけたのです」

男「ほう」

うんこ「一人は無視を決め込み、一人は頭を抱え歩き去り、一人はスゲーうんこが喋った友達呼んでこよーッてなりました」

男「最後の小学生じゃん」

うんこ「寂しかったのです」

男「見境ねーな」

うんこ「すいません」

うんこ「まだ信じて貰えませんか?」

男「自分が超能力者だと相手に伝えるもっとも有効的な手段は、未来予知らしい」

うんこ「ほうほう」

男「なんか予知してみろよ」

うんこ「アナタは今から1日以内に、ごはんを食べるでしょう」

男「とんちじゃなくて」

うんこ「今から百億年後の7月に、地球は滅ぶでしょう」

男「予言でもなくて」

うんこ「私は神ですが、そういうのじゃないのです」

男「じゃあどういうのなの?」

うんこ「…言葉で説明するのは難しいですね」

男「言葉で説明するのを放棄したら、お前はただのうんこだぞ」

うんこ「これは手厳しい。まさに神をも恐れぬ発言」

うんこ「いや…紙をも恐れぬ発言…うんこだけに…フフ」

男「」すたすた

うんこ「違うんです!待ってください!」

うんこ「良かった戻って来てくれて…まだやり直せますよね、私たち?」

男「別れる寸前の彼女みたいなこと言うな」

うんこ「…フフ、そろそろ信じましたか?私が神だと」

男「今までで何一つプラス要素がないんだよ」

うんこ「難しいですね…では、逆に聞きますが」

うんこ「男さんは、自分が人間だと証明ですますか?」

男「そういうごまかし方をするあたり、大した神じゃないんだろうな」

うんこ「手厳しい」


男「いいよもう。神だとしよう。ゴッドうんこだとしよう」

うんこ「認めてくれるのですか!?私がゴッドうんこだと!」

男「何でうんこなんかに憑依してんだよ」

うんこ「それは…話せば長くなるのですが。男さんはイタコをご存知ですか?」

男「自分に霊とか憑依させる人たちだろ」

うんこ「そうです。これはそのイタコのうんこなのです」

男「イタコに謝れ」

うんこ「しかも女子高生イタコです」

男「全然すげーってなんない」

うんこ「フフ、今ちょっと興奮しましたね?この変態!」

男「そこら辺にしとけ」

うんこ「すいません」

うんこ「人を探しているのです」

男「何だよいきなり」

うんこ「呼ばれたのです。助けて欲しい、と」

男「誰に」

うんこ「分かりませんが…女の子の声だったと思います」

男「情報が雑過ぎる」

うんこ「あの声はきっと美少女です。黒髪ポニテのニーソが似合う純粋無垢なJSです」

男「情報からの妄想が過ぎる」

うんこ「男さん!探してくれませんか…!?私を呼んだ子を!私とともに!」

男「いやだ」

うんこ「何でですか!?せっかくちゃんと話したのに!この薄情者!」

男「うんこ持って歩きたくない」

うんこ「確かに!」

うんこ「ビニール袋に入れて歩けば、愛犬の粗相を処理した、むしろマナーの良い人と思われるのでは?」

男「犬いないじゃん」

うんこ「エアードッグですよ」

男「エアードッグでリアルうんこはちょっと…」

うんこ「じゃあ、一度私がうんこだということを忘れてみましょう」

男「うん」

うんこ「目をつむって、女子高生を思い描いてください」

男「…ダメだ、どうしても顔がうんこになる!」

うんこ「そこをもうひと踏ん張り!」

男「体もうんこになった!」

うんこ「ダメだこの方法は!」

「うわぁ!やべー!うんこがしゃべってる!」

男「ん?」

うんこ「キミは…」

「な?な?だから言ったじゃん!だから命かけるっておれ言ったじゃん!」

「だってうんこじゃん!うんこじゃん!」

「ちんこ!」

「ちん…あはははは!ちんこって!」

「ちんこちんこ!」

「ぷーっ、あはははははっ!ちんこ!」

「ちんこちんこ!」

「あはははは!ちんこ!」

「ちんこ!あはははは!」

うんこ「…男さん、助けて!」

男「これは…凄いな…」

うんこ「男さん…っ!」

男「無理だ。これは嵐のようなものだ。彼らの興味がなくなるのを待つしかない」

「ちんこちんこ!」

「ちんこ…うんこ!」

「うんこちんこ!」

「うんこちんこ!」

男「駄目だ!最強の二つが合体してしまった!」

うんこ「そんな!」

「うんこちん…うん?」

少女「!」びくっ

「あっ!少女だ!」

「少女だ!やべー少女菌がうつる!」

少女「え…」

「近付いて来た!やべー逃げろー!」だっ

「あはははは!」だっ

少女「そんな…うっ…ううう……」

男「…この子だな」

うんこ「そうですね」

少女「ぐすっ…ぐすっ…」

男「やぁ」

うんこ「こんにちは」

少女「ひっ…な、なにかようですか…?」

男「キミを待っていたんだ。話を聞いてくれ」

少女「え…?」

うんこ「少女さん、驚かずに聞いてください」

うんこ「私は…アナタに呼ばれて来ました」

うんこ「すぐには信じられないかもしれません…ですが」

うんこ「こんな姿ですが、神です」

うんこ「アナタを助けに来ました」

うんこ「さあ…願いを言ってください」

少女「おかーさーん!!」だっ

うんこ「あれぇっ!?」

男「まぁ確かにそうなるわ」

男「ダッシュで追いかけて捕まえて来た」

少女「んー!?んー!?」

男「舌を噛まれたら困るので猿ぐつわをかましている」

うんこ「ありがとうございます」

男「気にするな」

少女「んー!んー!」

うんこ「元気が良いですね」

男「子供はこうでないとな」

少女「かみさま…?」

うんこ「そうです。アナタに呼ばれて来ました」

少女「すごい!ほ、ホントにかみさまなの!?」

うんこ「そうですとも」

少女「すごいすごい!ホンモノのかみさまだ!」

うんこ「なにこの純粋さ。あれ?やだ私泣きそう…」

男「少女ちゃん、お願い事をしてみなさい」

少女「んーとね…くさい!」

男「鼻をつまんで、お願い事をしてみなさい」

少女「うん!やっへみる!」

少女「んーとね、んーとね!なににしよっかなー!」

男「…今さらだが」

うんこ「何でしょうか」

男「お前に願いを叶える力はあるのか?」

うんこ「大抵のモノは無理です」

男「え」

うんこ「驚くかもしれませんが…実は私は、あまり位の高い神ではないのです」

男「知ってた」

うんこ「私は未来予知も出来ませんし、超能力のような力もありません」

男「じゃあどうすんのさ」

うんこ「大丈夫ですよ。見ていてくださいよ?」

少女「決めたよっ!あのね、私ねっ———…」

少女「待ってよー!」

「おっせーよバカ!がっこう始まっちゃうだろ!?」

少女「で、でもー!わたしもう走れないよー!」

「ああもう!貸せよ!」ばっ

少女「あっ!わたしのかばん!」

「これで走れるだろ!?」

少女「!あっ、ありがとうっ!」

「う…うるせー!はやく走れっ!」

「ふたりともはやく!チャイム鳴っちゃうよ!」

「やべー!いそぐぞ!」

少女「うんっ!」

男「未来予知でも、超能力でもない」

男「なんて言うんだろうな、こういうの」

うんこ「何のことはないですよ。ただほんのちょっと…勇気を貸してあげただけです」

男「勇気?」

うんこ「女の子には歩み寄る勇気を。男の子たちには今までのことを謝る勇……はっ」

男「ん?」

うんこ「男の子たちには、今までのことを『水に流す』勇気を!うんこだけに!」

男「」すたすたすた

うんこ「違うんです!待ってください!」

男「お前このあとどうすんの」

うんこ「神様の世界に戻って、これでランキング上がったか見ます」

男「そういうシステムなのか」

うんこ「なかなか徳ポイントが上がらなくて」

男「なんというか」

うんこ「はい?」

男「どう別れていいのか分からん」

男「いや、自分でもどうかと思うんだが」

男「じゃあな、で済ますにはちょっと強烈過ぎる時間だったから」

男「だからといって別れない訳にもいかないし」

男「どう別れようか」

男「おい聞いてるか?」

男「おい?」

うんこ「」

男「…薄情なヤツ」

女「あの、すいません!」

男「なんですか」

女「駅までの道を聞きたいんですけど…」

男「ああ、いいですよ。この道を真っ直ぐ行って──」

男(…うーん、なんか優しくなったなぁ、俺)

男「——で、突き当りに駅が見えてくるはずですから」

男「すいません拙い説明で…分かりましたか?」

女「はい、ありがとうございます!…ちっ」

男「ん?」

女「あの、もう一つ良いですか?」

男「ん?ああ、なんですか」

女「男さんの徳ポイントがウナギ登りだったんですよ」

男「はい?」

女「私のランキング一個も変わらなかったんですよ」

男「…おい」

女「しかもあれから徳を積みまくってるそうじゃないですか。そんなに神の地位が欲しいですか」

男「おいうんこ」

女「今回は男さんを油断させるために女で来ました」

男「何しに来た」

女「女子高生っぽい声に呼ばれて」

男「雑だな」

女「またお願いしますよ」

男「そんなんだからランキング上がらないんじゃないのか」

女「またそんな事言って、良いんですか?」

女「こんな姿ですが、神ですよ?」



完!

ストレス溜まっててむしゃくしゃして書いた
後悔はしてない

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